2024年7月3日 中央社会保険医療協議会 総会 第591回議事録

日時

令和6年7月3日(水)診療報酬基本問題小委員会終了後

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア8階

出席者

構成員等
事務局

議題

  • 診療報酬基本問題小委員会からの報告について
  • DPC対象病院の退出に係る報告について
  • 主な施設基準の届出状況等について
  • 医療DXの推進にかかる診療報酬上の対応について
  • その他

議事

議事内容

○小塩会長
 ただいまより、第591回「中央社会保険医療協議会 総会」を開催いたします。
 本日も対面を基本としつつ、オンラインも組み合わせての開催としております。また、会議の公開につきましては、ユーチューブによるライブ配信で行うこととしております。
 まず、委員の出席状況について御報告いたします。
 本日は、末松委員、岡本委員が御欠席です。
 それでは、議事に入らせていただきます。
 初めに「診療報酬基本問題小委員会からの報告について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。おはようございます。
 それでは、診療報酬基本問題小委員会からの報告につきまして、中医協資料総-1のシリーズを用いて御説明させていただきます。
 先ほど、この総会に先立ちまして開催されました診療報酬基本問題小委員会におきまして、尾形分科会長より、分科会における検討方針、そして、令和6年度・7年度の入院・外来医療等の調査について御報告をいただいたところでございます。
 中医協資料総-1-1を御覧ください。こちらが分科会の検討方針として報告されたものでございます。こちらに「今後の検討事項とスケジュール(案)」という形でまとめているものになります。
 「1.背景」とございます。そこの2つ目の○でお示ししますとおり、分科会の下に専門的な視点からの調査・分析を行う作業グループを設置することとしております。
 各グループの作業内容につきましては、総-1-1参考にお示ししてございます。
 そして「2.令和8年度診療報酬改定に向けた対応(案)」に記載のとおり、今後の入院・外来調査の実施・分析と併せて、次期診療報酬改定に係る議論を進めていきたいと考えておりまして、以下に作業グループでの検討スケジュール案もお示ししているところでございます。
 また、2つ目の○にありますように、DPC/PDPSにつきましては、答申書附帯意見も踏まえまして、DPCのデータの検討を行うことを基本としつつ、必要に応じて特別調査を実施することとしてはどうかとしておるところでございます。
 それでは、続きまして、総-1-2に進ませていただきたいと思います。こちらの資料で入院・外来医療等の調査についての概要をまとめております。
 2ページ目、3ページ目には、今回の令和6年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見のうち、5月15日の中医協総会におきまして、入院・外来医療等の調査・評価分科会で調査・検証・検討を行うこととされたものを抜粋して列挙させていただいております。
 調査項目は4ページ目で、上の四角と下に表に掲げてございますように、割り振りを行わせていただきました。
 そして、5ページ目、6ページ目には、調査スケジュールの案をそれぞれ、令和6年度・令和7年度の調査についてお示ししております。
 次に、7ページ以降でございますけれども、こちらに調査項目と内容の案をお示ししておりまして、先ほどの(1)から(8)まで調査内容がございましたが、それぞれ、今回の改定を踏まえまして、どのような観点で附帯意見に基づいて調査を行っていくかを示してございます。調査項目や内容の詳細についてお示ししたものでございます。
 続きまして、総-1-3「賃上げにかかる調査・検証について」でございます。
 こちらは、2ページ目にお進みいただければと思いますが、こちらも附帯意見の中で、賃上げに係る状況につきまして、実態を適切に把握した上で検証を行うということでございますけれども【関係する改定内容】で、ベースアップ評価料、そして、初再診料、入院基本料等の引上げに基づきまして、この下の四角にありますように「①医療機関の賃上げ状況の把握」「②歯科技工所の賃上げ状況の把握」「③薬局に対する調査」で、ここに記載のとおり、把握することとしているところでございます。
 こうした内容につきまして、尾形分科会長から御報告いただきました。
 そして、先ほどの基本問題小委におきましては、これは各号からございましたけれども、まず、賃上げの実施状況について丁寧に、そして、しっかり把握をすべし。
 また、特に2号側からは、この賃上げの加算の取得などについて団体としても努力している旨の御発言があったところでございます。
 次に、回収率の向上について、こちらは主に1号側から御意見がございました。きちんと改定の検証に資する資料にするためにも、また、次の改定を充実したものとするためにも、回収率の向上が重要であるといった御指摘をいただいております。
 また、その上で、これは2号の歯科のお立場の委員からで、今回の改定項目の中にございました口腔関係の調査設計に関しましては、早めに調整を依頼したい、あるいは意見を出させていただきたい旨の御発言がございました。こちらは事務局として受け止めさせていただきたいと思います。
 そして、最後で、これは1号側の委員からで、少し俯瞰的なお立場の御意見でございましたが、それぞれの改定項目について政策効果が出ているのかどうか。それをきちんと把握できるように、そして、次の議論に生かしていくべき。特に、入院・外来ともに、機能分化・強化・連携という観点、そして、新しく設定された入院料や加算などの要件の政策効果がちゃんと把握できるようにといった御指摘をいただいたと承知しております。
 以上のことをコメントいただき、御意見いただき、あるいは御指摘いただいた上で、本分科会からの報告につきまして、先ほどの診療報酬基本問題小委員会におきまして了承されたところでございました。
 以上、報告でございます。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特に御質問等はないようですので。

○高町委員
 すみません。高町です。

○小塩会長
 失礼しました。高町委員、お願いいたします。

○高町委員
 ありがとうございます。
 繰り返しになってしまうのですけれども、私からもこの調査結果の回収率について少し発言させていただきたいと思います。
 この結果は次回の改定に対して重要なデータでありますので、回答には多大な負担がかかることは承知しておりますけれども、よりよい分析を行うためにも回収率を上げていただく努力をぜひしていただきたいと念を押しておきたいと思います。
 ありがとうございます。

○小塩会長
 どうもありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 ほかに特に御質問等はないようですので、本件につきましては、中医協として承認するということでよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)

○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、説明のあった件につきましては、中医協として承認したいと思います。
 続きまして「DPC対象病院の退出に係る報告について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、DPC対象病院の退出に係る報告について、中医協資料総-2を用いまして御説明させていただきます。
 1つ目の○にございますとおり、DPC制度におきましては、診療報酬改定時以外の時期に特別の理由により緊急に退出を行う場合は、その可否につきまして医療課において確認を行い、必要に応じて審査・決定していただくこととしてございます。
 その類型に関しましては、その下の表にあるとおりで、病床機能の転換を理由に退出する場合は医療課にて審査を行うこととしてございます。
 その下の○で、今般、以下の4病院から、病床機能の転換を理由としたDPC制度からの退出に係る申請書が提出されてございます。医療課におきまして確認を行いまして、退出について可とする旨を決定したことを御報告申し上げるものでございます。
 下の表にございます医療機関名と、それから、所在地を都道府県のレベルで括弧で書かせていただいてございますが、今般、うえの病院、公立つるぎ病院、社会医療法人財団天心堂へつぎ病院及びいちき串木野市医師会立脳神経外科センターの計4病院から病床機能の転換を理由とした退出に係る申請をいただいてございます。
 退出理由はその右にございますけれども、一番上のうえの病院さんは地域包括ケア病棟への転換、それ以外の3つの病院に関しましては、今般、新しく創設しました地域包括医療病棟への病棟再編や機能転換を行うということで理由が付されているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 よろしいでしょうか。
 特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 続きまして「主な施設基準の届出状況等について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○荻原保険医療企画調査室長
 保険医療企画調査室長でございます。
 資料は、総-3-1-①「主な施設基準の届出状況等」、総-3-2「主な選定療養に係る報告状況」でございます。
 これらの資料は、定期的に報告させていただいているもので、今回は令和5年7月1日現在における報告状況を取りまとめたものでございます。
 令和5年7月1日時点での各医療機関などからの地方厚生局の定例報告に基づきまして、主な施設基準の届出状況、主な選定療養に係る報告状況について、施設基準の届出状況につきましては過去3年分、選定療養に関するものは過去4年分を整理してございます。
 また、主な施設基準の届出状況につきましては、総-3-1-②「主な施設基準の届出状況等 一部修正について」のとおり、一部の項目に集計誤りがございましたので、今回、報告に合わせて修正を行っております。この点について、おわび申し上げたいと思います。
 なお、これらの修正につきましては、令和6年度診療報酬改定への議論への影響はないことは確認済みでございます。今後、マニュアルなどで算出方法を明示しまして再発防止に努めてまいります。
 個々のデータの説明につきましては省略いたしますが、資料としてこういった形で御報告させていただきます。
 簡単ではございますが、説明は以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。
 特に御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 続きまして「医療DXの推進にかかる診療報酬上の対応について」を議題といたします。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○眞鍋医療課長
 医療課長でございます。
 それでは、医療DXの推進に係る診療報酬上の評価について、中医協資料総-4を用いまして御説明させていただきます。
 こちらは、6月12日の中医協におきまして、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用実績要件の設定に向けてヒアリングを行う旨を御報告させていただいたところでございます。本日は、そのヒアリングの結果、そしてまた、論点を御説明させていただきたいと思います。
 2ページ目を御覧ください。ヒアリングの方法で、こちらにございますとおり、6月20日~6月27日にかけまして、13の病院、10の医科診療所、10の歯科診療所、11の薬局開設者にヒアリングを実施いたしました。
 そのヒアリング対象の属性につきましては、下の箱にあるとおりでございます。御覧のとおり、病院、医科・歯科の診療所、そして、薬局、それぞれ、所在地域やマイナ保険証利用率に偏りが生じないように実施したところでございます。
 ページをお進みいただきまして、3ページは病院からのヒアリングの結果となります。
 まず、病院の利用が進んだ事例でございます。こちらで全部をお読みすることはいたしませんで、簡潔に御説明させていただきますが、太字のところを御覧いただければと思います。マイナ保険証の利用を促す積極的な声かけ、それから、早期からの声かけやポスターの掲示、コンシェルジュを配置した。こういった取組がマイナ保険証の利用率の向上につながっているという御指摘でございました。
 次に、その下に<マイナ保険証の利用が進みにくい事例について>で、子ども病院も対象としまして、その病院では、子供の場合、顔認証が実施しづらい、マイナ保険証を保有していない子供が多い。そして、医師、事務職員にどのようなメリットがあるのか理解ができていない。マイナ保険証利用の方が時間を要する場合もある。マイナ保険証の利用登録をされていない方々も多い。情報流出が怖い。患者さんの側の理解が乏しく、窓口で声かけをしても効果が上がらない。こういった御指摘もいただいているところでございます。
 <その他>といたしまして、公費関係に関しまして、マイナ保険証とリンクが進んでいないこと。電子処方箋については、ほとんどが院内処方であり、費用対効果を考えた際に電子処方箋の発行状況を取れるかどうか分からないこと。電子処方箋の要件などにつきまして、高齢の医師が多いことから運用変更にも手間がかかり、システム改修にも費用がかかるといったお声も聞かれたところでございます。
 次に、4ページで、こちらは医科診療所のヒアリング結果でございます。
 利用が進んだ事例につきましては、患者側に分かりやすいメリットがあると利用率が高くなる。現行の保険証で受付をした際には、電子カルテをのぞいていただいて、御自身の薬剤情報や特定健診の情報がその場では確認できない、診療に活用できないことを説明するとこちらは効果的であったという御指摘もいただきました。
 利用が進みにくい事例につきましては、暗証番号を覚えていらっしゃる患者さんが少ない、受付業務がスムーズに行えない。高齢者は独自での操作が難しく、使っていただく際も介助・説明が必要となる。カードリーダーがエラーを起こすといった御指摘もいただいたところでございます。
 <その他>といたしまして、発熱外来やオンライン診療では利用率が上がらないこと。そして、加算を届け出ていない理由といたしまして、加算の施設基準のうち、診察室等でマイナ保険証を利用して取得した診療情報を活用できる体制の要件などについて、紙のカルテを電子カルテに移行するシステムが分からず、届け出ていないといった声も聞かれたところでございました。
 5ページにお進みください。こちらは歯科診療所へのヒアリング結果でございます。
 利用が進んだ事例につきましては、積極的な声かけ、そして、チェアサイド。これは処置台の隣という意味だと承知しますが、歯科医師や歯科衛生士から患者へ伝える。診察券に「マイナ保険証をお持ちください」といった記載した付箋を貼るなどの取組によって進んだという御指摘もいただいております。
 一方で、利用が進みにくかった事例につきましては、患者さんがマイナンバーカード自体を保有していない。マイナ保険証に関して不信感を持ち、現行の健康保険証でも困らない。当初カードリーダーのエラーが多かったといった声が聞かれております。
 6ページで、こちらは薬局でございます。
 利用が進んだ事例につきましては、全店舗で一斉に声かけ、チラシ配布、マイナ保険証料に関する掲示、相談応需、継続した取組を行ったこと。薬局スタッフ全員が制度を理解したこと。そして、医療機関でのマイナ保険証の利用率が高いと、薬局においても利用率が高くなる。こういった御指摘もありました。また、薬局から医療機関に対して声かけを行い、一緒にマイナ保険証の利用促進に取り組む。こういった取組で利用率が向上したということでございました。
 一方で、利用が進みにくい事例につきましては、同一法人内で同様に声かけ等の取組を行っているにもかかわらず地域の医療機関等の対応に差があり、各薬局での利用率の伸び方に差が生じている。処方箋を交付した医療機関でマイナ保険証の利用が進んでいない。薬局のみの働きかけでは限界がある。通常の受付窓口以外、例えばドライブスルー形式等でありますけれども、それで対応する方式を取っている薬局で、ここで1台しかないカードリーダーを受付の都度移動することができない。患者さん以外の方、代理人の方が来局する場合、マイナンバーカードが利用できないといった御指摘をいただいております。
 <その他>といたしまして、薬局における受付対応時の患者の動線の工夫が必要であったり、システムの入替えやシステム障害への対応などで一定期間カードリーダーが使用できない場合に、マイナ保険証の利用率が一時的に低下する。周辺の医療機関では電子処方箋がほとんど交付されておらず、システムを導入するコスト増、紙の処方箋と電子処方箋が併存する時期の薬局業務の大幅な負担増・混乱の印象を持ってしまっているといった意見があったところでございます。
 7ページを御覧ください。こちらは、以上を踏まえました課題と論点でございます。
 まず、課題につきましては、○が3つございますけれども、医療機関・薬局がマイナ保険証の利用促進の取組を行うことで、患者さんがマイナ保険証を実際に利用することにつながっている一方、取組の効果の発現までに時間がかかることや、声かけ等の取組を行ってもマイナ保険証の持参につながらない事例も確認されている。
 2つ目の○でございます。医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用実績要件の設定に当たっては、こうした状況を踏まえつつ、利用率の設定により医療機関・薬局のマイナ保険証利用促進の取組がより進展し、患者が医療DXを通じた質の高い医療にアクセスできるようにすることが重要である。
 3つ目の○でございます。本年12月2日からは、現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえまして、診療報酬の評価の在り方を改めて検討する必要がある。
 論点といたしまして、2つ掲げております。足元のマイナ保険証利用率や、医療機関・薬局のマイナ保険証利用促進の取組等を踏まえ、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用実績要件等の在り方について、どのように考えるか。
 そして、2つ目の○で、これは附帯意見の記載そのものでございますけれども、医療情報取得加算につきまして、令和6年12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえ、医療情報取得加算による適切な情報に基づく診療の評価の在り方について令和6年度早期より見直しの検討を行うことについてどのように考えるかでございます。
 参考資料を幾つか用意させていただいております。
 9ページで、これが6月12日の中医協でヒアリング実施をお諮りしたときの際の資料でございます。
 10ページが、医療情報取得加算に今回新しく加算を組み替えましたけれども、その資料でございます。医療情報取得加算が1~4と分かれております。
 次に、11ページが医療DX推進体制整備加算で、この11ページは、字が多くて恐縮でございますけれども、施設基準の中に、医科医療機関の中で申し上げますと(1)から(8)までありますが「(6)マイナンバーカードの健康保険証利用の使用について、実績を一定程度有していること。(令和6年10月1日から適用)」で、この要件に係る御議論をいただいているところでございます。
 次に、12ページから14ページが、5月実績のマイナ保険証の利用率。
 そして、13ページを御覧いただきますと、これは病院、歯科診療所、医科診療所、そして、薬局というところで、それぞれの折れ線グラフで利用率の推移をお示ししてございます。
 また、14ページは利用状況で、利用割合ごとの施設数の分布を示してございます。
 15ページ目から17ページ目が、都道府県別のマイナ保険証利用率を示したもの。
 そして、18ページ目、19ページ目が、医療機関等におけるマイナ保険証の利用時に生じる主な事象・課題への対応に関する資料でございます。
 事務局からの説明は以上でございます。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの説明につきまして、御質問等がございましたら、お願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。

○長島委員
 ありがとうございます。
 7ページの2つの論点についてコメントします。
 まずは1つ目、医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用実績要件についてです。
 ヒアリングの結果を検討いたしますと、一般的な医療機関では、普通の声かけと院内掲示を上回るような取組は負担が大き過ぎて、対応が極めて困難であることが明白になりました。例えばカードリーダー読み込み時の患者さんと職員の二人三脚の対応や、コンシェルジュの配置など、かなりの人手を配置させたり、手間をかけるなど、非常に頑張っている医療機関が利用率を上げておりますが、これは一般的な医療機関には負担が大き過ぎます。
 一方で、医療機関には全く責任のない理由、例えば子供や高齢者の課題、公費への非対応、患者さんが持つ情報流出への恐怖やマイナ保険証への不信感・理解不足、そして、様々なシステム上の課題などにより、利用率が上がらないことも判明いたしました。また、電子処方箋の普及にも様々な課題があることもはっきりいたしました。
 したがいまして、医療機関だけではなく、国や保険者が、例えばシステムの整備、電子カルテ等業者・業界への働きかけ、国民・被保険者の不安払拭、メリットの周知をして、マイナンバーカードをしっかり取得していただき、携行していただく、マイナ保険証に紐付けしていただくなど、これをはじめとして、しっかりとして対応していただくことがまずは大前提であります。
 その上で、利用実績要件の在り方については、参考資料の12ページ以降の利用状況、利用実績のデータ、特に14ページの施設数の分布や、15ページからの都道府県別の利用実績に見られる大きなばらつきがあることを踏まえれば、単純な平均値で考えるべきではありません。全体の分布等を踏まえて、実態を反映した適切な値を使うべきであります。
 また、利用率の向上においては、患者さんにマイナ保険証のメリットを理解してもらうことが重要だと複数の医療機関から指摘がありますが、これに関しては、今般の診療報酬の点数差のみならず、幅広く、そのメリットを享受していただくためには、患者さんご自身がご自分の情報を把握できるように、マイナポータルの活用の仕方を医療機関及びその窓口でも分かりやすく伝えていくことも重要になってくるのではないかと思っております。
 さらに、ヒアリングの中においても、医療DX推進体制整備加算が取りにくい実態も明確になりました。したがいまして、まずは裾野を広げることが最も重要であり、いまだ届出していない医療機関においても、今後届出していただけるよう取り組む必要があることを何よりも強調させていただきます。
 その上で、要件として、届出の足かせになるような高い利用率を設定することは、医療DXそのものの今後の推進に逆行し、大きなブレーキになってしまいますので、断固反対いたします。
 要件設定につきましては、今後議論を深めていくものと思いますが、全体の利用率を上げるためには、いずれの医療機関も、さらなる利用率向上に取り組んでいただく必要があるため、既に利用率が高い医療機関においても、また、今は取り組んでいるにもかかわらず利用率が低い医療機関においても、いずれも取組がさらに加速するように要件設定をすることが必要です。
 続いて、2つ目の論点、医療情報取得加算についてです。
 マイナ保険証による受診が進んだとしても、医療情報を取得・活用することで、質の高い診療を患者さんに提供することに今後も何ら変わりはありません。
 したがいまして、今後、医療情報取得加算の評価の在り方について検討を進めるといたしましても、この加算の趣旨は、標準的な問診票を使用することなどを通じて、質の高い医療を提供する点にあることをないがしろにすべきではないと考えます。したがって、当然ながら、単なるこの加算の廃止は到底受け入れられません。
 私からは以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、林委員、お願いいたします。

○林委員
 ありがとうございます。
 事務局におかれましては、ヒアリングの結果概要につきまして、資料をありがとうございました。
 そもそも、ヒアリング対象医療機関数が少ないことは承知しておりますが、その中でも好事例を収集していると理解しております。結果、歯科診療所の保険証利用率の最高が33%で、医科診療所や病院と比較してもかなり少ないと感じております。ヒアリングの結果、歯科医療機関の責務ではない様々な理由も考えられると理解しております。
 その上で、7ページの論点の1つ目ですが、これまでの資料でも地域による格差が大きいことも示されておりますので、何度も繰り返しの発言になって恐縮ではございますが、拙速に数字だけで決めることをしてしまうと現場の医療機関にも理解が得られないと思っております。
 歯科医師会も、ヒアリングにありますように、診察券に付箋等を貼って、次回、マイナカード持参を促すなど、声かけに加えて様々な工夫をし、マイナ保険証の利用率並びに医療DX推進に前向きに取り組む努力をしておりますので、くれぐれも現場に納得感がある丁寧な配慮をお願いしたく思っております。
 要望でございます。よろしくお願いいたします。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、森委員、お願いいたします。

○森委員
 ありがとうございます。
 論点に沿って発言させていただきます。
 まず、1つ目の論点に示されている医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用実績要件等の在り方についてですけれども、総-4の2ページ目を御覧いただければと思います。2ページ目の一番下に「ヒアリング対象の属性」の【薬局】にチェーン薬局の3法人の利用実績が示されていますが、同一法人内の店舗であっても、ここにありますように、大きな開きが出ています。本年5月時点のマイナ保険証の利用実績は全国平均で7.73%となっておりますが、C薬局の最高である81%は全国平均をかなり上回っています。
 都道府県別の利用率を見ても、一番高い県と一番低い県を比べると10%ほどの差がある状況で、要因の一つとして地域差による影響があると考えます。他の要因としては、ヒアリング結果にあるように、周りの医療機関の取組によっても利用率の推移に影響が出ることが示されています。
 また、薬剤師会の会員からも情報が上がっていますが、マイナ保険証の利用促進を積極的に行っていても、普及の過渡期のためか、利用率が大きく変動してしまうことがあり、利用率が高かった月の翌月には利用率が大きく下回ることもあります。私の薬局でも利用率が14%だったところが、翌月には、同じように取り組んでいたのですが、5%になってしまったこともあります。また、これも私の薬局の事例ですけれども、顔認証つきカードリーダーの不具合で1週間ほどマイナ保険証が使えない状況になってしまったことがあります。
 マイナ保険証の利用実績については、自力ではどうにもならない不安定な要素が大きく、月によって利用率が大きく変動することがあるので、このような状況を考慮していただくことが必要です。毎月の変動により、施設基準の届出やその変更手続がその都度必要になると、マイナ保険証の利用促進の取組をする姿勢は変わらないにもかかわらず現場の負担が増大するため、このような変動があっても現場が混乱しないよう、現場負担に配慮した要件設定や工夫などが必要と考えます。
 また、薬局の特徴になりますが、家族やヘルパーさんなど、代理人が来局することがあります。代理人が来局するとマイナンバーカードが利用できないなど、薬局特有の課題もあります。今は来局しないとマイナ保険証が利用できないため、介護関係施設の患者を訪問する場合については、現在、マイナ保険証を利用できません。施設の規模が大きいと、何十人もの患者はマイナ保険証が利用できないため、在宅訪問を多く行っていると利用率が伸びません。これらの特性や現在は過渡期である状況などを踏まえつつ、利用率の要件設定は極めて慎重に行うべきと考えます。
 重ねてとなりますが、現状、多くの薬局・医療機関で医療DX推進体制整備加算が算定されています。医療業界がDX化を推進していくための大変重要な意味を持つ加算であるため、今回の利用実績の要件設定によりDX化への取組が後退しないことや、多くの薬局・医療機関が脱落しないことに配慮した要件設定とすべきと考えます。
 また、マイナ保険証の利用促進においては国民・患者からの理解が最も重要で、これも私の薬局の事例なのですけれども、特定健診情報が見えるようになりましたので、そのことから腎機能低下を疑って医師に疑義照会を行って用量が半分になったという事例がありました。こうしたことを国民・患者に見える化していって、理解をして進めていくことが重要だと思います。
 最後に、1つお願いがあります。マイナ保険証の利用率は支払基金から毎月連絡を受けていますが、最新の数値を知るにはタイムラグが生じるので、自分たちの利用実績の取組が即座に確認できないので、取組が効果的なのかどうか、把握が難しいです。利用率が早期に分かるような方策も検討していただければと思います。
 次に、2つ目の論点に示されている今後の医療情報取得加算の在り方について、早期より見直しの検討を行うことについては異論ありません。
 私からは以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、太田委員、お願いいたします。

○太田委員
 ありがとうございます。
 今回、論点が2つございますけれども、このどちらにも関係することですが、とにかく、今、各医療機関・病院の現場は非常に大変な労力を払いながら、この医療DXの推進のために努力してございます。実際、今、外来は、様々な声かけ、また、いろいろと付き添ったりとかをしてやっているわけですけれども、それと同時に、御存じのように、6月から診療報酬改定がございました。生活習慣病管理料の対応もまた、現場・外来・受付は様々やってございます。いろいろなことが重なっている中で、今、我々は対応しているわけです。
 ただ、病院も診療所もそうですけれども、今は必ず一月に1回、患者さんが来るわけではございません。2か月に1回と三月に1回しか受診しない患者さんに声かけして、それで少しずつ、今、利用率が上がっている状況だと思います。
 それで、上の課題の2つ目の○にありますが、今、一番重要なのは、このマイナ保険証の利用促進の取組がより推進するような形で今回の利用実績の要件等を設定すべきということでございます。今の段階で、設定の仕方によっては、今、実際に様々な努力をしている医療機関の取組が後退してしまう可能性もございます。そういう意味で、マイナ保険証も医療情報取得加算もそうですけれども、今、現場が取り組んでいる努力をぜひしっかりと御認識いただいて、それを後押しするような形で要件の見直し・設定等をお願いできたらと思います。
 以上でございます。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 それでは、次に、池端委員、お願いいたします。

○池端委員
 ありがとうございます。池端です。
 私も、今、2号側の各委員がおっしゃったことと重なることもあるかもしれませんけれども、まさに今は、このヒアリングからも分かりますように、正確な情報が必ずしも把握されていない方も多いし、そして、誤解もあるといった、いわゆる新しいことに挑戦するための産みの苦しみ、あるいは食わず嫌いなところもあるかと思います。ここをいかに裾野を広げていくかが大事な時期ではないかという気がしています。
 そういう意味で言えば、私、一応、1つ質問しておきたいのですけれども、例えば3ページに、○のところで、マイナ保険証の利用のひもづけです。マイナ保険証の利用登録をしていない人も多いと言われますが、私の理解では、マイナカードを持っていれば、顔認証つきカードリーダーがあればそこでひもづけもできるはずだと思うのですが、これは後で確認しておきたい。
 もしそれであれば、マイナカードさえ持ってくればそこでひもづけできるはずだと思うのですけれども、こういったことが、もし私の理解がそれで正しければ、これすらかなり大きな誤解がこのヒアリングの中でも聞こえてくるということで、まだまだ情報不足があると思いますので、今、長島委員もおっしゃったように、日本医師会もそうですし、厚生労働省としても、あるいは各保険者側からもどんどん新しい情報をもっと伝えていくべきではないかと思います。
 その中で、今ほど、実績要件をどうするかです。手前みそでもって申し訳ないのですけれども、都道府県別で、たまたまですが、福井県は16ページでトップになっています。ただ、トップといっても10.95%で、これはなぜトップになったかというと、恐らく福井県は非常に小さい県で、診療所が6,800ぐらいしかありません。それで、療担規則に入ることが分かって、2年前に私も県医師会から全医療機関に声をかけて、そして、端末を置かないところには全部ヒアリングして、全医療機関を押さえて、そして、廃業するところが幾つかありましたが、そこ以外は全部早めに補助金を頂いて、端末を置くことが少しできたことと、それから、毎月、理事会のたびにそこで、この利用促進のことを言って、それだけやって言い続けてもせいぜい10%程度なので、これを例えば大きな都道府県、東京都等、愛知県等ということで、とても不可能だと思うのです。
 だから、この地域差はどっちかというと、北陸などはすごく高いのは、やはり小さい県でそういう指示・命令系統もある程度行きやすいところもあるのではないかと思いますので、この要件設定については、今、皆さん、各委員がおっしゃったように、高過ぎたらやめたと必ずなると思うので、ちょっと頑張れば手が届くところに、しかもそれを、裾野を広げるということであれば、平均ではなくて、最低限をどこまで上げるか。ここが要件を考えるときの基準になるのではないかということを、裾野を広げる、あるいは現場の感覚としても感じておりますので、その辺も御留意いただきながら実績要件を御検討いただければいいかなと思いました。
 以上、報告と、質問を1個だけお願いします。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいま池端委員から御質問いただきましたマイナ保険証の利用登録についてなのですけれども、それでは、御説明をお願いいたします。

○竹内医療介護連携政策課長
 医療介護連携政策課長でございます。
 池端委員の御認識のとおりで、今、窓口に設置されております顔認証つきカードリーダーでマイナンバーカードを健康保険証としての利用登録の手続を簡便に行っていただくことができますので、御認識のとおりでございます。

○小塩会長
 よろしいでしょうか。

○池端委員
 はい。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに。
 それでは、松本委員、お願いいたします。

○松本委員
 ありがとうございます。
 我々の要望を踏まえまして、マイナ保険証の利用率の高い医療機関にもヒアリングを実施していただき、好事例収集いただいた事務局にまずは感謝申し上げたいと思います。
 前提といたしまして、医療DXのメリットを国民が十分に実感できるよう、国・医療関係団体・保険者を含めた関係者が一丸となってマイナ保険証利用を進める必要があることは、皆様、十分認識のとおりでございます。
 その上で、資料の3ページ以降に紹介されておりますヒアリング結果を拝見いたしますと、マイナ保険証の利用が進んだ事例として挙げられました、積極的な声かけ、患者へのメリット説明などはかなり幅広く横展開できる好事例だと思います。
 また、先ほど池端先生からございましたけれども、やはり医師会でもかなり積極的に活動されている成果も出ているとは承っております。私、実は出身が富山で、石川の友人に聞いて、何かやっているのかと聞いたら、特段やっていないということでしたが、そういった県民性も反映されているのか、よく分かりませんけれども、そういうことも個人的には聞いてみたことでございます。
 一方で、利用が進みにくい事例を拝見いたしますと、医療機関のスタッフがメリットを理解できていない、患者への説明に時間がかかることが示されております。被保険者への周知につきましては保険者も努力しなければないと考えておりますけれども、資料の11ページに示されております医療DX推進体制整備加算は、質の高い医療を提供するために、医療DXに対応する体制を確保している場合の評価ですので、残念ながら、体制だけ整備しても、マイナ保険証利用に消極的な医療機関が加算の対象となるということであれば、これは疑問を感じざるを得ません。
 一方、2ページの「ヒアリング対象の属性」を見ますと、利用率の高い医療機関は70%、80%という数字になっております。ヒアリング結果から、マイナ保険証の利用を阻害する要因として子供の場合や公費との関係が示されており、全ての医療機関が直ちに70%、80%は難しいかもしれませんけれども、頑張れば相当程度まで利用率を伸ばすことも可能だと感じております。
 また、薬局につきましても、利用が進んだ事例として医療機関と連携した取組が挙げられておりますが、さらなるマイナ保険証の利用に向け、個々の薬局においてもしっかり取り組んでいただく必要があると考えます。
 以上を踏まえまして、7ページにあります論点についてコメントいたします。
 まず、1点目の医療DX推進体制整備加算の実績要件については、目標となるよう高い基準を設定すべきと考えます。利用率を急激に上げようというのが難しいのであれば段階的な基準の引上げも考えられますけれども、マイナ保険証の利用にあまり積極的でない医療機関まで拾い上げようということは政策目的の達成にはつながりません。2点目の論点とも関係しますが、やはりめり張りを利かせることもあり得るかと考えております。
 次に、実績要件を設定する際には、利用率自体の計算方法も重要な検討課題です。例えば資料の12ページの右上に示されております利用率はオンライン資格確認利用件数が分母となっておりますけれども、一方、2ページにあります最下段には支払基金から通知された利用率という言葉が示されております。ということは、これは分母がレセプトの件数ベースではないかと思います。こうした、この加算の実績をどちらの計算式に合うのか。これは明確にしていただく必要があるかと思います。
 また、今後はマイナ保険証が原則になりますが、既存の保険証を使って受診するケースや、12月2日以降はマイナ保険証を持っていない方々が資格確認書で受診することが想定されます。そうした場合でも医療DXを活用し、少なくともオンライン資格確認はしっかり実施することを加算の要件とすべきと考えております。
 続いて、2点目の論点、医療情報取得加算につきましては、今年の12月2日から健康保険証の新規発行が終了し、マイナ保険証利用がある意味当たり前となります。その場合、医療情報取得加算を継続する必要性は乏しいと考えます。期中の対応になるかもしれませんが、早期の見直しを検討すべきです。
 最後に、1点質問がございます。ヒアリング結果の中で、公費負担とマイナ保険証のリンクが課題であるというものが2つほどあったと思いますけれども、この見通しについて教えていただきたいと思います。
 私からは以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 松本委員から1点御質問をいただいていますが、いかがでしょうか。
 お願いします。

○竹内医療介護連携政策課長
 医療介護連携政策課長でございます。
 医療費助成で、難病あるいは障害など、法律に基づいて実施されるものと、また、子供の医療費助成のように、地方自治体が条例等に基づいて実施するものとございますけれども、現在、デジタル庁におきまして、マイナンバーカードをこれらの医療費助成の受給者証としても利用できるようにする取組を進めてございます。
 今後、全国展開を目指していくということで、まず、それに先駆けまして、現在、先行取組自治体を拡大しているところでございます。昨年度の事業で都城市をはじめとする5自治体を採択し、各自治体で既に運用を開始していると承知してございます。
 これに加えまして、今年度事業といたしまして、取組を開始いただく153自治体を新たに採択したと聞いてございます。さらに二次公募も実施しているところで、今後、順次、拡大し、全国展開の予定と承知してございます。

○小塩会長
 松本委員、よろしいでしょうか。

○松本委員
 ありがとうございました。

○小塩会長
 続きまして、鳥潟委員、お手が挙がっております。お願いいたします。

○鳥潟委員
 ありがとうございます。
 医療DX推進体制整備加算に関するヒアリングを通しまして、また、今の2号側の委員の皆様からの御意見も鑑みまして、非常に努力されている医療機関がおありなのだなということはつぶさに感じたところでございます。また、その中でも積極的な声かけが特に重要という認識を改めて理解したところでございます。
 私たち保険者としましても、マイナンバーに関しましては、保険者の記号番号とマイナンバーの連携から始まり、マイナ保険証をつくってもらう。それから使ってもらうということで、様々な施策・活用を加入者の皆様に呼びかけていっておりまして、そこにリソースも多大にかけている現状があります。同じように、皆様からも御意見いただいたように、ここに集まっている全員もしくは所属組織全体で一層の取組をして、医療DXを完成形に近づけていくことが非常に重要な観点なのかなと思います。
 そう考えたときに、できない理由はいろいろあるとは思うのですが、やはりまず何ができるのかということにお互い着目する必要があるのかなと思っております。いずれにせよ、マイナ保険証の利用率が一定の施設基準になる以上、そこには何かしらの数字を置かなければいけないのですけれども、可能な限り直近の利用率、平均ではなく、分布を鑑みた上で、できるだけ幅広い、医療機関の方々がやる気になるような数字を設定するのがまず大事なのかなと思っております。
 前に進めるために何が必要かを実際にこの場で議論していきたい。そのためには、この数字を使って私たちは議論したのだという確実な数字が目に見えていくといいかなと思っております。期限もあることなので、そんなにぎりぎりまでということは難しいのかもしれませんけれども、そこは厚労省の皆様にも御勘案いただきたいかなと思っております。
 また、医療情報取得加算ですけれども、12月に健康保険証の発行が終了した段階で一定の役割を終えると考えております。早期に見直しの検討を行いたいと考えております。
 以上です。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 続きまして、佐保委員、お願いいたします。

○佐保委員
 ありがとうございます。
 私からも、ヒアリングにつきましてお礼を申し述べたいと思っております。
 その上で、7ページの論点、1つ目でございますが、マイナ保険証利用実績要件等の在り方を考えるに当たっては、医療機関におけるマイナ保険証の利用状況をきちんと把握する必要があると考えます。
 2ページのヒアリング対象の医療機関におけるマイナ保険証の利用率を見ると大きな差がありますが、なぜ、そのような差が生じているのか、この資料だけでは詳細がきちんと分かりませんので、もう少し詳細を御提示いただきたいと考えております。
 また、ヒアリングの内容には地域性についても言及されておりますので、全体が分かるよう、今後とも、地域差が分かるような詳細な利用状況についてもお示しいただければと思っております。
 論点の2つ目の医療情報取得加算については、12月2日から現行の健康保険証の発行が終了することを踏まえれば、被保険者の負担を鑑みて、見直しの方向で検討すべきと考えております。
 私からは以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 続きまして、鈴木委員、お願いいたします。

○鈴木委員
 御指名ありがとうございます。
 私は、医療DX推進体制整備加算について発言させていただきたいと思っております。
 この資料の2ページ目を見ますと、やはりマイナ保険証の利用率、最高で、病院で72%、医療で83%で、かなり高くなっています。
 3ページ以降には、ヒアリング結果で、利用の推進が進んだ理由も書いてあります。やはり手間がかかり、人手がかかることは理解ができます。
 ただ、これは逆に言うと、ほかの医療機関でも、ある程度できること。その中では、やはり積極的な声かけ。これについてはできるのではないかという形で、そういった地道な取組というか、努力、そしてまた、業務がお忙しいところは分かります。ただ、医療にかかる人たちにとって、そこの窓口の人たちの声かけ。これは非常に、今、困っているわけですから、これで便利になるのだということ。また、そういったことがヒントになったりすると思いますので、こういった地味な取組をしっかり推進することを含めて、医療DX推進体制整備加算だという認識をしております。
 ですから、そういう意味では、マイナ保険証の利用率に関しては、ある程度加算をするわけですから、加算をすることに、その評価にふさわしい高い水準で設置して、皆さん、本当に大変だと思うのですが、やはり目的は一つです。方向性は一つなので、ここではお忙しい中でも、その有効的な声かけを皆さんで検討しながらやっていただいて、また、より早く、高い水準に持っていっていただければと思っております。
 私の意見は以上でございます。

○小塩会長
 ありがとうございました。

○高町委員
 すみません。高町です。

○小塩会長
 高町委員、お願いいたします。

○高町委員
 ありがとうございます。
 私もマイナ保険証の普及について、引き続き、努力していくことが必要なことだと考えています。
 その上で、医療情報取得加算に関しましては、1号側の委員の皆様と同様に、これは検討し、廃止していく方向に進んでいくものではないかと考えています。
 ありがとうございます。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 長島委員、お手が挙がっています。お願いします。

○長島委員
 まず、1つ目の実績要件ですけれども、先ほど申しましたように、積極的な声かけや適切な院内掲示、これはぜひやっていくべきだと思いますが、それをしっかりやったとしても、医療機関ではどうしようもない様々な要因を先ほど幾つか申し上げました。それによって、すぐには実績は上がらないのです。上がるとしても、かなり時間がかかる、あるいは地域差、施設差があります。
 例えば参考資料の14ページで「マイナ保険証利用割合ごとの施設数の分布」を見ていただければ、真ん中の病院のところは比較的パーセントが高いものもありますが、一方、医科診療所を見てください。3%未満がまだ31%です。ここのところも、別に手を抜いているわけではないと思います。先ほどご紹介したような様々な人手がかかるようなことは、中小規模の病院とか診療所ではなかなかできません。
 したがって、積極的な声かけとか院内掲示をしっかりやったとしても、なかなか上がらない、上がるとしてもかなり時間がかかるのが実態であるとご理解いただければと思います。
 そして、今、最も重要なことは、医療DXをしっかりと推進することです。そのためには裾野を広げることです。今、実際に取り組んでいるところが脱落してしまう、あるいは今後届出しようと思っているところが届出をやめてしまうことは絶対あってはならない。それでは、医療DXが大ブレーキがかかります。
 したがいまして、しっかりと積極的な声かけ、院内掲示等をしっかり行っている医療機関を後押しするようなものでなければいけないと思っています。目標となるべきような高い水準にすることには断固反対いたします。
 次に、2つ目のところですが、先ほども申しましたけれども、仮にマイナ保険証の利用がどんどん進んだとしても、ここの医療情報取得加算の本来の趣旨は、標準的な問診票を使用することなどを通じて、質の高い医療を提供する点にあります。これはマイナ保険証による受診が進んだとしても、今までと何ら変わりはありません。この趣旨はそのままですので、この加算を廃止することはあり得ないと考えております。
 以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。

○松本委員
 高い目標設定について、御意見をいただいておりますけれども、我々保険者にも実は非常に高い目標が与えられております。我々は逆に、四半期ごとに数字を厚労省に報告し、フォローいただいているぐらいでございます。皆様方は、ある意味ではこういった医療機関の区分で、大枠かもしれませんけれども、我々は個々の健保へのフォローも受けていることは御承知いただきたいと思います。
 やはり全てにおいて目標に向かって頑張るモチベーションが必要かと思いますので、確かに脱落するという危惧も十分理解はできますけれども、やはり少しずつ上を向いていることについては理解して、この数字の設定は進めなければと思っておりますので、そうした中でどういった形がいいのか。
 今、11ページに現状の点数が出ておりますけれども、それと施設基準。これはどう組み合わせていくのがいいのかについてはもう少し議論していきたいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

○小塩会長
 長島委員、お願いいたします。

○長島委員
 保険者の皆様も大変ご苦労されているということは、今のお話を聞いて理解いたしました。ですので、全体で一丸となってしっかり進めていくことが重要かと思います。
 また、この設定に関しては、状況を見ながら、特に最初はしっかりと裾野を広げることを第一目標として、その後、積極的な声かけなどが功を奏してだんだん上がってくれば、それを見ながら、また設定を考えるというような、現実を見ながら進めていくのも一つの方法ではないかと思います。
 最初はとにかく、裾野を広げ、脱落させない。これが最も重要であります。
 私からは以上です。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 太田委員、お願いいたします。

○太田委員
 1点だけ、医療情報取得加算に関しての、1号側の先生方から、政策目標が12月の段階では達成できたのであるから廃止という意見があります。先ほどから医療機関は、たくさん患者さんに声かけとか寄り添いながら普及に向かって、今、取り組んでおりますけれども、これは見ていただくと分かるのですが、例えば医療DX推進体制整備加算は初診なのです。月1回8点で、今、お話をして、声かけをして持ってきてくださいと言っているのは、再診で来ていただいている患者さんが一番多い。しかも、お年寄りの方々で、その方々に必死になって寄り添って、こうやって使うのですという話をやって、それで何とか情報を入手して、よりよい医療につなげていくという形をやっています。
 この医療情報取得加算に関して、今、やはり医療機関が必死になってDXを進めて、声かけをして普及させようというもののかなり大きなモチベーションになっていることも事実であります。これは12月の段階になりましても、当然、1年間は既存の保険証が使えるわけですし、先ほどありましたけれども、資格確認書が5年間有効という状況の中で、今後もマイナンバーカードを持ってきていただく取り組みを現場で進めていって、実際に我が国の医療のインフラとして機能するところまで持っていくことが最終的な政策目標の達成という形になるのだろうと思っています。
 ですので、12月の段階でマイナ保険証が原則となったからといって政策目標が達成できているわけではなくて、まだ継続して、医療現場、また、保険者を含めて、全体として努力を続けなければいけないものなのだろうと思っています。そういう意味でも、医療情報取得加算に関しても安易に廃止することがないよう、ぜひとも、この政策目標を達成できる方向で、診療報酬点数が進んでいくような形で御配慮いただきたいと思っております。
 以上でございます。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 茂松委員、お願いいたします。

○茂松委員
 ありがとうございます。
 役割分担ということがよく言われますが、我々は現場で医療をすることが本当に重要であることが一番であります。余裕がある診療であれば、本当にこういうことはみんなで努力していけるのです。けれども、我々医療現場では本当に抑制をかけられて、この狭い中でやっていけという中で、なおかつ医療DXも進めていこうということでございます。ここはよく考えていただいて、なぜマイナンバーカード、医療DXが進まないのか。これはやはり、そういうことに対しての国民の信頼がまだ薄いことであって、それは国も関係者もそれに努力していくことが本当に必要であります。
 今、我々は裾野を広げていくことが重要であります。決して進んでいるところをどんどん進めるわけではなくて、やっていないところをどんどん広げていくことが重要であって、現場でやっている医療は本当に抑制されてきていることは、この中医協の場では皆さんがよく御存じだと思います。その中でどんどんDXを進めなさいと。何が目標なのかといえば、これはやはり患者さんの健康を戻すことが一番であります。だから、そこに向かって我々も、DXも進めながら、医療を確実にやっていかないといけないことをもう少し考えていただきたいと思います。
 今のご意見を聞いておりますと、DXをどんどん進めないといけないことが一番になっておりまして、やはり患者さんの健康を求めていくことが我々の一番の目的でありますので、これに沿うように医療DXもそれなりにちゃんと進めていこうということでお願いできればと思っております。これは関係するところが一致協力して動かないといけないと思っておりますので、その辺のご理解をよろしくお願いしたいと思っております。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 オンラインで、奥田委員のお手が挙がっていますので、お願いいたします。

○奥田委員
 まずは、ヒアリング、どうもありがとうございました。
 また、他の委員からのいろいろな御意見を聞いていて思ったのですけれども、まずは今回、医療DXということで、医療分野についてのみ議論が進んでいますが、もはや少子高齢化が進む日本社会において、やはりDXは進めていかないといけない分野であると思います。今年も、2024年はトラック運転手の問題とか、2025年はITの崖とか、もはや日本社会全体の将来を考える上でDXは避けて通れない問題かなと。マイナンバーカードは、どうしても健康保険証の話ばかりになりますけれども、マイナンバーカードの健康保険証利用はマイナンバーカードの機能のわずか一つであって、むしろ、今後の日本社会をよりよくしていくための国民全体が利用していくべきものなのかなと。
 それで、お話を聞いている中で思ったのは、医療サイド、お医者様から患者さんに、マイナンバーカードは有効ですよ、大丈夫ですよという一声を言っていただくだけでももっと実は利用が促進できるのではないかなと思いました。先ほど鳥潟委員からのお話や、松本委員からの高い目標設定というお話がありましたが、医療機関がやる気になるような目標設定、どの水準かというのは非常に難しいかもしれませんけれども、そういった水準を設定した上で今後も普及を図っていく。これが日本社会全体のDXを進めていく上でのインフラの一つになっていくのではないかなと思います。
 ですから、できない理由を探すのではなくて、どうやったら問題を解決できるか、課題を解決できるかという議論をしていきたいなと思います。
 私からは以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 飯塚委員、お願いいたします。

○飯塚委員
 ありがとうございます。
 資料の13ページを見ていまして、マイナ保険証の利用率の推移がございます。赤線の歯科診療所が黄色の医科診療所の約2倍になっていまして、率直なところ、意外な気がしました。
 マイナ保険証の利用の大きなメリットの一つは、医薬品の処方の状況とか、あるいは検診データの活用と考えているのですけれども、その観点からすると、医科においてよりマイナ保険証のメリットが大きい印象が個人的にはあったのですが、データ上はそうではないようです。
 この歯科と医科の大きな違いがどう理解するのがよいのか。もっと重要なことは、利用率の向上のために何を学べるのか。そういったことで、もし現場の感覚がありましたら教えていただければと思いました。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 今、飯塚委員から御質問がありましたけれども、13ページのグラフの見方ですが、もし何かコメントがございましたら、お願いいたします。
 長島委員、お願いいたします。

○長島委員
 その前の12ページの一番上の※で、利用率=マイナ保険証利用件数をオンライン資格確認利用件数で割ったものとございますので、そのような特性があるところが多く使われていると、利用率としては上がってくることはあり得るかと思います。
 一方、レセプトベースでの利用率もありますが、幾つかの利用率といった場合に、パラメーターがございますので、これはそれぞれの特性があると思いますので、それぞれ上手に使っていくといいのではないかなと考えます。恐らく、ここの違いはこの計算方法に由来するものではないかと私としては推察いたします。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 非常に多くの御意見を頂戴いたしました。特にほかにはコメント等がございませんようでしたら、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 今後、事務局におかれましては、本日いただいた御意見も踏まえて対応していただくようにお願いいたします。
 続きまして「その他」についてを議題といたします。本件は報告事項です。
 事務局より資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。

○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。資料総-5を御覧ください。再生医療等製品に関する報告でございます。
 コラテジェン筋注用4mgにつきましては、薬機法において、標準的な薬物治療の効果が不十分で、血行再建術の施行が困難な慢性動脈閉塞症における潰瘍の改善という効能・効果について、有効性を推定できると評価されたため、平成31年3月に条件及び期限つきで製造販売承認され、その後、令和元年9月に薬価収載されたものでございます。
 条件及び期限つき承認を受けた品目は、本制度を説明した総-5参考の1ページ目にありますけれども、この下半分です。必要なデータをそろえた上で、期限内に再度、承認申請をしなければならないとされており、本品目は承認後5年間の期限が付されたため、令和5年5月に有効性を確認するための製造販売承認申請が行われました。
 しかしながら、本品目の製造販売業者の令和6年6月24日付公表資料で、再度、承認申請するために必要なデータを収集するための調査において、この条件及び期限つき承認時に評価された国内第Ⅲ相臨床試験成績を再現できなかったことから、本申請を取り下げることとされ、具体的には6月27日付で取下げがあり、条件及び期限つき製造販売承認が失効いたしました。
 これを受けて、この総-5の2ページ目にありますように、同日付で条件及び期限つき製造販売承認を失効した旨、医薬局から通知が発出されており、併せて、この資料の1ページ目にあるように、保険診療上の取扱いの通知を保険局医療課から発出しております。薬価基準から本品目を削除する予定であること。薬価基準からの削除の前であっても、保険診療上、その使用を差し控えられたいことを示しているものでございます。
 説明は以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ただいまの説明につきまして、御質問等はございますでしょうか。
 長島委員、お願いいたします。

○長島委員
 資料によりますと、再度の承認申請を行う期限が令和6年3月25日であるところ、期限よりも10か月程度前である令和5年5月31日に再申請がなされ、それから約1年が経過した本年6月27日に再申請の取下げがなされたということです。このタイムラインに関して2点質問いたします。
 1つ目です。まず、期限よりも10か月程度前に再度の承認申請を行ったことについては、有効性の検証に必要な期間として、事前に想定した範囲内にあったのでしょうか。
 2つ目です。また、再申請から1年以上が経過した時点で取り下げられた点については、薬事の結論が出る前に、企業の意向で取り下げる対応が行われることも、制度上は、許容されているのでしょうか。
 以上、御回答をお願いいたします。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 2点、長島委員から御質問がございました。よろしくお願いいたします。

○高江医療機器審査管理課長
 長島委員、ありがとうございます。医薬局医療機器審査管理課長からお答えさせていただきます。
 まず1点目、期限よりも10か月程度前に承認申請が行われたことについてでございますが、条件・期限つき承認を与える際の審査の過程では、承認後の調査計画についても審査をなされております。そこで申請者と合意された内容を踏まえて、期限は5年と設定させていただきました。
 その後、アンジェス社で実施されました承認後の調査におきまして、目標症例数が期限よりも早く集まったことを受けまして、同社が有効性の検証を行うための十分な解析期間も含めた上で、想定されていた期限よりも結果的に10か月程度前に改めて申請がなされることに至ったものと考えてございます。
 これは一般論になってしまって恐縮でございますが、当初想定していた期限よりも前に症例数が集められた。このこと自体は想定され得ることで、その場合、期限よりも前に申請がなされることを制度上何らか妨げるものではないと考えてございます。
 また、再申請から1年以上経過した時点で企業の意向で取り下げることについてですが、この申請の取下げにつきましては申請者の自主的な判断により行われるものだと認識してございまして、これは本制度においても許容されているという理解でございます。
 以上です。

○小塩会長
 長島委員、いかがでしょうか。

○長島委員
 回答ありがとうございました。タイムラインについて理解できました。
 今後、薬事・食品衛生審議会において、有効性等について議論が行われることになると思いますが、その結論についても、今後ご報告いただければと思います。
 私からは以上です。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 事務局、いかがでしょうか。

○高江医療機器審査管理課長
 御指摘ありがとうございます。
 こちらの申請が既に取り下げられてしまった以上、薬事・食品衛生審議会の場での正式に議論が行われる場は設けられないことになりますが、当然、今、中医協に御報告させていただきますように、薬事・食品衛生審議会にもこの事案についての御報告をさせていただきまして、また何か特記事項がございましたら、中医協にも御報告させていただければと考えております。
 以上でございます。

○小塩会長
 よろしいでしょうか。

○長島委員
 はい。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかに。
 森委員からお手が挙がっています。お願いいたします。

○森委員
 ありがとうございます。
 コラテジェン筋注用の保険上の取扱いについては異論ありませんが、企業から取下げが行われたことや、再生医療等製品の条件及び期限つき承認の特性などについて、今後の薬価制度の在り方における検討すべき課題として発言させていただきます。
 再生医療等製品は、細胞や遺伝子を用いることから、製品が均質ではないことや、疾患の希少性により、少数の治験症例で評価せざるを得ないことがあり、従来の承認方法では有効性を示すデータ収集やその評価が困難な場合が多いため、早期の患者アクセスを実現するため、安全性が確認され、有効性が推定されれば条件及び期限つき承認されることになったもので、製造販売業者は、その承認後、期限内に本承認を得るために改めて申請をするものと理解しています。
 本制度自体は、再生医療等製品の特性を踏まえると、必要な制度であると考えます。その上で、再生医療等製品をはじめとする革新的新薬のイノベーション評価については中医協で引き続きの検討となっていますので、今回のような条件及び期限つき承認された品目の取扱いも含め、検討が必要と考えます。
 以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかに御質問等はございますでしょうか。
 松本委員、お願いいたします。

○松本委員
 ありがとうございます。
 コラテジェンの薬価基準からの削除につきましては、薬事制度に連動した対応ということで理解いたしますけれども、企業からこの間の経緯や理由の説明が一切なく、プレスリリースを拝見したところ、戦略の変更という言葉で片づけられておりますので、回収するから問題がないという対応には疑問を感じます。これまで公的医療保険でカバーしてきたことを考えますと、医療保険制度をある意味翻弄するものであり、極めて遺憾であると言わざるを得ません。
 患者に新しい治療の選択肢をなるべく早く届けるという条件及び期限つき承認制度そのものを否定するものではありませんけれども、有効性が推定され、安全性が認められた場合に、言わば仮免許であっても、薬価についてはしっかりした評価になっております。ちなみに、承認段階で薬価については、約60万円を2回打つとなりますので、120万円という形の薬価がついているということであります。そもそも、薬事の段階でしっかり審査を行い、今回のようなケースが起きないようにお願いしたいと思います。
 一方で、ほかの事例になりますと、プログラム医療機器などにつきましては、2段階承認制度と連動して、第1段階承認の段階では評価療養で対応する運用が令和6年度改定で導入されました。患者さんになるべく迅速に新製品を届ける観点では、こうした運用も参考にしていただき、条件つき承認の場合の対応を検討することも十分にあり得ると考えております。
 また、6月21日に閣議決定されました新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画にも、有効性が十分でない再生医療等製品については、保険医療と保険外診療の併用を認める保険外併用療養費制度の対象範囲を拡大すると明記されております。こうした国の方針も踏まえまして、条件及び期限つきで承認された再生医療等製品につきましては、先ほど森委員からもありましたけれども、次回改定に向けて、その在り方や運用方法を議論すべきだと考えております。
 私からは以上でございます。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 ほかはよろしいでしょうか。
 長島委員、お願いいたします。

○長島委員
 ただいま松本委員がご指摘の点は、これからしかるべき場所でしっかりと検討していくことかと思っております。まだどうこうという問題・レベルではないのではないかと考えております。
 以上です。

○小塩会長
 ありがとうございました。
 事務局からお願いいたします。

○安川薬剤管理官
 薬剤管理官でございます。
 幾つかいただいた意見ですが、再生医療等製品に関しましては、先ほど森委員からもありました令和6年度薬価制度改革の骨子の中でも、医薬品の例により対応する再生医療等製品も含め、革新的新薬における薬価上の適切なイノベーション評価の在り方等について検討課題とされているところでございます。今回の条件及び期限つき承認された事案や、本日御指摘いただいた点も踏まえ、こういった課題について検討していきたいと考えているところでございます。
 以上です。

○小塩会長
 ありがとうございます。
 ほかはよろしいでしょうか。
 特にほかには御質問等はないようですので、本件に係る質疑はこの辺りとしたいと思います。
 本日の議題は以上です。
 次回の日程につきましては、追って事務局より御連絡いたします。
 それでは、本日の総会は、これにて閉会といたします。どうもありがとうございました。