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第18回高齢者医薬品適正使用検討会議事録
医薬局
日時
令和6年6月21日(金) 14:00~16:00
場所
厚生労働省 医薬局局議室
東京都千代田区霞が関1-2-2
東京都千代田区霞が関1-2-2
議題
- (1)令和5年度事業の最終報告について
- (2)令和6年度事業について
- (3)その他
議事
- 議事内容
- ○医薬安全対策課長 それでは、第18回「高齢者医薬品適正使用検討会」を開会いたします。
本日、御出席の構成員の先生方におかれましては、御多用のところ、御出席いただきましてありがとうございます。
本日の検討会の公開については、ユーチューブによるライブ配信を行うこととしておりますので、御理解、御協力のほど、お願いいたします。
議事録については後日、厚生労働省ホームページに掲載いたします。
また、本日はウェブ開催のため、対面での進行と一部異なる部分がありますので、議事に先立ち、審議の進行方法について事務局より説明をさせていただきます。
○事務局 事務局より御説明申し上げます。
まず、ハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問をいただくときはミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なった際は、座長から順に発言者を御指名いただきます。会議中、マイクの調子が悪くなった場合などは、メッセージに御意見を記入していただくようお願いする場合がございます。システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので事前にお伝えしている事務局の電話番号まで御連絡をお願いいたします。もし事務局のサーバーがダウンするなどのトラブルが発生した場合には、事務局から一斉にメールで御連絡いたしますので、御確認いただけますと幸いです。
事務局からは以上になります。
それでは、以降の進行につきましては、座長の印南先生にお願いしたいと思います。印南先生、よろしくお願いいたします。
○印南座長 座長を務めさせていただきます、印南です。皆様には円滑な議事進行に御協力をお願いいたします。
今回はハイブリッド開催ということで事務局から説明がありましたが、これまでの説明につきまして、御質問、御意見等がありましたらお願いします。よろしいでしょうか。
それでは、議事に入る前に、構成員に交代があったとのことですので、事務局より紹介をお願いします。
○事務局 それでは、事務局より御紹介させていただきます。
まず、林構成員が退任されまして、新たに一般社団法人日本病院薬剤師会副会長の筒井由佳構成員が着任されました。筒井先生、もしよければ一言いただければと思います。
○筒井構成員 御紹介いただきました、日本病院薬剤師会の筒井でございます。林構成員から交代をさせていただきました。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
また、樋口構成員につきましても退任されておりまして、新たにNPO法人高齢社会をよくする女性の会副理事長の石田路子先生が着任されております。石田構成員からももしよければ一言いただけますと幸いです。
○石田構成員 石田でございます。樋口構成員に代わってこれからこの会に参加させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
○事務局 ありがとうございます。
また、一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会の伴構成員につきましても御退任されております。本日は、委嘱手続等が間に合っておりませんけれども、同学会副理事長の松下明先生に参考人として御参加をいただいているところでございます。
○松下参考人 松下です。今後、構成員として参加できたらと思います。今日はオブザーバー的な形になりますが、よろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。
林構成員、樋口構成員、伴構成員には、この場をお借りしてこれまでの御議論において貴重な御意見をいただきましたことお礼を申し上げたいと思います。
委員の交代につきましては以上になります。
○印南座長 それでは、委員の出席状況、審議への参加等について事務局から説明をお願いいたします。
○事務局 事務局でございます。
最初に、本日の構成員の出欠状況について御報告いたします。井本構成員、大井構成員より御欠席の連絡をいただいているところでございます。美原先生におかれましては、表示上見えないところではあるのですけれども、ご参加になっているとお聞きしているところです。
○美原構成員 入っています。
○事務局 失礼いたしました。ありがとうございます。
それでは、本検討会の構成員18名中16名の構成員に御出席をいただいておりまして、過半数の御出席をいただいているということで、本日の会議は成立するということを御報告申し上げます。
また、池端構成員、松下構成員より15時頃に御退席されるとの御連絡をいただいております。
また、松下参考人におかれましては、大変恐縮ではございますが、本日は参考人ということになりますので、意見陳述等はもちろん参加していただいて大丈夫ですけれども、議決には加わらないという形になっておりますので、御理解いただければと思います。他の構成員の先生方におかれましては、意見陳述、議決のいずれにおいても参加可能となっております。
報告は以上になります。
○印南座長 それでは、議事を進めてまいります。
初めに、事務局から資料の確認をお願いします。
○事務局 本日の資料を確認させていただきます。
資料はあらかじめメールでお送りしております。順に確認させていただきます。
なお、資料につきましては、今日、ウェブ表示等は行わず、先生方のお手元の資料をご覧いただく形になりますので、御了承いただけますと幸いです。
まず、議事次第と配付資料一覧、開催要項、資料1から5、参考資料1から5までの資料がございます。
資料1につきましては昨年度、令和5年度事業についてという資料になります。
また、資料2につきましてはポリファーマシー対策についてということで、「高齢者医薬品適正使用検討会の取組」という表題となっております。
資料3につきましては「高齢者の医薬品適正使用推進事業に係るアウトカム創出調査一式事業概要」という資料でございます。
資料4-1といたしまして、日本版抗コリン薬リスクスケールの資料がございます。
資料4-2も関連の資料がついてございます。
また、資料5-1、5-2といたしまして、高齢者施設の服薬簡素化提言、また、それに関する資料がついております。
また、参考資料1につきましては、昨年度実施した事業の報告書となっております。
参考資料2から5につきましてはその付属する資料としまして、実際にこれまで作成しておりました指針や業務手順書、その改訂版、あるいは新規に作成する業務手順書の資料等々をおつけしているところでございます。
本日の資料に関しては以上となります。不足等がございましたら、お知らせいただければと思います。
なお、これらの資料につきましては厚生労働省のホームページにも掲載しておりますので、ウェブで傍聴していただいている皆様におかれましてはそちらで御確認をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
○印南座長 それでは、議事次第に沿って議事を進めてまいります。
議題1は、令和5年度事業の最終報告についてです。まずは事務局から資料1について御説明をお願いします。
○事務局 令和5年度事業の業務手順書の見直しについて御説明させていただきます。
まず、資料1を御覧ください。2ページ目ですが、昨年4月の本検討会でお配りした資料になっております。令和5年度の事業につきましては、令和3年度、4年度の病院や地域における取組、さらに本検討会の意見を踏まえて業務手順書等の見直しを行うこととしていました。
3ページ目には、具体的に本検討会でいただいていた御意見を参考として添付しています。
4ページ目を御覧ください。事業の目的は、上に記載しているとおりです。ポリファーマシー対策の強化を図るため、病院や地域においてポリファーマシー対策の取組状況についてアンケート調査を行い、実態や課題を把握するとともに、アンケート調査で判明した課題を踏まえて高齢者の医薬品適正使用の指針及び病院版の業務手順書の見直しを図り、地域版の業務手順書を作成いただきました。委託事業において設置された委員会メンバーは、ページ右側にお示ししているとおり、本検討会の構成員でもある秋下先生に委員長をお願いして、関係の先生方の御協力の下、作成されたものになります。
事業の報告につきましては、参考資料1として配付しております。
また、参考資料2を御覧ください。指針については今回、改めて確認いただき、大きな変更点はございませんでしたが、総論編と各論編の2つの指針のうち総論編の別表3及び別表4の改定案を御提示いただいております。
続きまして、業務手順書の改定について御説明いたします。参考資料3を御覧ください。まず、病院版業務手順書になりますが、3ページに外来患者に係る記載、患者やその家族との関係構築、説明資材に関する記載を追加しています。
また、8ページから12ページまでの間に各種課題に対する対応が記載されていましたが、工夫事例や電子処方箋の活用事例を追加するなどして具体化を図っています。
28ページなどに退院時などにおける地域連携に関する記載を充実させています。また、28ページのイの1ポツ目で「薬剤調整を支援する者」との表現も出てきておりますが、詳細については新たに作成した地域版の業務手順書にて御説明いたします。
地域版の業務手順書について、参考資料4を御覧ください。こちらの3枚目の用語集を御覧ください。地域版の業務手順書では、本書において便宜的に使用した用語として「薬剤調整を支援する者(薬剤調整支援者)」を設けています。この薬剤調整を支援する者は、ポリファーマシー対策に関する一定の知識を有し、地域で医療・介護提供において個別の患者の処方状況、服薬状況を把握し、当該患者の状態に合った適切な処方・服薬を実現するために当該患者のポリファーマシーの課題に対して責任を持って当該患者に関わりのある医療機関や薬局等に働きかけを行うことを通じて当該患者を支援する者としています。
また、地域の医療・介護関係者たちの理解を得ながら協働し、地域全体のポリファーマシー対策の方針の検討等の中核を担う地域のポリファーマシー対策の旗振りをする者として「ポリファーマシーコーディネーター」という用語も新たに設けています。
なお、これらの用語は制度において設置を義務づけているものではございません。
手順書の構成は、病院版の業務手順書に合わせて作成しております。
1ページ目を御覧ください。第1章「ポリファーマシー対策の始め方」では、1のポリファーマシー対策を始める前に準備することとして、(1)の患者やその家族と多職種との連携を構築する、(2)のリーフレットなど、患者やその家族への説明資材を準備するといったことを行う必要があるとしています。
3ページ目からの「2.身近なところから始める方法」として、(1)としてポリファーマシー対策に関心のある仲間で小規模から始めることで、活動やモチベーションを維持しやすい。(2)として、診療情報提供書、入院時持参薬の記録様式、薬剤管理サマリー、お薬手帳、電子処方箋、看護サマリー、服薬情報等提供書など、既にある仕組みや既存ツールをポリファーマシー対策に導入することで取り組みやすくするとしています。また、(3)として、地域で薬剤の調整を担う担当者がいることで一元的な情報管理を行えるほか、患者が相談しやすい環境をつくることが可能という考え方に基づいて、地域でポリファーマシー対策の対象とする患者については患者や患者の家族にポリファーマシーの問題を説明して意向を確認した上で患者の薬剤を一元的に把握し、多職種で効率的に連携して対応するため、ふだんから患者に関わりのある者の中からポリファーマシーを調整するキーマンとして薬剤調整を支援する者を決めることも有効であるとしています。
なお、薬剤調整を支援する者はかかりつけ医やかかりつけ薬剤師等が考えられ、患者が一番相談しやすい者であることが望ましいため、患者の意思を尊重することが重要としています。
7ページ目からの「3.ポリファーマシー対策を始める際の課題と対応策」では、(1)として多職種連携が十分でない、(2)として患者の服用薬の一元的把握ができないなど、幾つかのケースにおいて対応策を示しています。
11ページの第2章「ポリファーマシー対策の進め方」においては、地域で包括的に複数の主体と連携してポリファーマシー対策を推進する場合の流れを例示しています。
「1.ポリファーマシー対策の体制づくり」として、(1)ポリファーマシーの概念を確認する、(2)ポリファーマシー対策の目的を確認するといった内容を挙げながら、12ページ目の(4)ポリファーマシー対策を推進する担当者を決めるという項を設けています。ここでは、地域全体でポリファーマシー対策を推進するためには、地域のポリファーマシーの実行を推進する地域ポリファーマシーコーディネーターを定めることが効果的と考えられること、この担当者は自治体や地域の医師会、中核病院などの地域医療を中心に推進する主体の理解を得ながら地域でのポリファーマシー推進の在り方を検討し、それを実行する役割を担うこと、また、個別の患者に対して地域で連携して取り組む際には、薬剤調整を支援する者について地域の医療従事者等の理解を得ることが効果的と考えられることをまとめています。
(5)では、自治体や保険者との役割の重要性も記載しています。
(6)(7)では、地域包括ケアシステムを担う医療・介護関係者等との連携体制をつくること、デジタル技術を活用することの重要性について記載しています。
16ページの「2.ポリファーマシー対策の実施」では、(1)地域においてポリファーマシー対策の全体的な方針を会議体で検討すること、(2)地域の現状を把握することについて記載しており、その上で地域住民向けのお薬相談会や通いの場を活用して地域住民の理解を深めること、(4)地域の医療・介護関係者等の理解を得ることなどについて、地域の医療・介護関係者等に対し訪問や講演などを通じて説明を行い、ポリファーマシー対策を始めることに理解を得ることについて記載しています。
また、(6)ではポリファーマシー対策の効果をモニタリングすることで活動の改善や活動に対する理解や職員のモチベーションの向上につながることを記載しています。
また、20ページ以降の3では、外来・在宅医療、退院患者、介護老人保健施設など、場面ごとのポリファーマシー対策の実施例を記載しています。
24ページの「4.様式事例集」では、医療機関、地域からの御協力を得まして、ポリファーマシー対策で使用する様式の例を挙げています。
以上で地域版の業務手順書の御説明を終わります。
○印南座長 では、ただいまの事務局からの説明につきまして、何か御質問等がありましたら、お願いいたします。よろしいですか。
○溝神構成員 私から1点よろしいでしょうか。
質疑とは異なるのですけれども、高齢者の医薬品適正使用の指針の資料として、現在、記載されております特に慎重な投与を要する薬物、いわゆるPIMsリストなのですけれども、今後、老年医学会のほうで更新が予定されております。しかしながら、現在作業中でありまして明確な時期は申し上げられないのですが、参考までに御報告をさせていただきます。
○印南座長 ありがとうございました。
溝神先生よりPIMsの更新が予定されているとの御報告がありましたが、今後、更新がなされた際には令和5年度事業で作成した手順書の更新は事務局にて修正をした後、内容の確認につきましては座長に一任いただければと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○印南座長 御異論がなければ、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。
それでは、以上で議題1を終わりにいたします。ありがとうございました。
○秋下構成員 すみません、秋下です。
○印南座長 お願いします。
○秋下構成員 1点だけ、最後に業務手順書の委員会の構成メンバーが書いてあるのですが、ほかの方もそうかもしれないのですけれども、私の肩書が令和5年度の開始時点のものになっておりますので、日本老年医学会の理事長は6月で降りておりますし、東京大学はもう退職しておりますので、それが分かるような形の書き方をお願いできたらと思います。
以上です。
○印南座長 事務局、よろしいですか。
○事務局 事務局にて形式的に確認をさせていただき、修正を加えた後に、厚生労働省のホームページ等に掲載させていただきたいと考えます。よろしくお願いします。
○秋下構成員 ありがとうございます。よろしくお願いします。
○印南座長 よろしいでしょうか。
続きましては、議題2、令和6年度事業について、事務局より説明をお願いいたします。
○事務局 令和6年度事業について御説明させていただきます。
資料2を御覧ください。この資料では、改めてこれまでの事業内容を記載し、右下に令和6年度の取組を記載しています。具体的には、委託事業として見直しを行った指針及び業務手順書の地域における運用調査と医療機関でのポリファーマシー対策業務の効果に関わるエビデンス調査・検討の2つを行う予定としています。
2ページ目を御覧ください。昨年度事業の報告書においても地域における患者や医療従事者への普及啓発が重要であることは記載されているところですが、1「事業目的」の4つ目の白丸の部分で記載しているように、多職種が対策の重要性の認識を共有することが重要である一方で、対策の効果について十分なエビデンスが創出されていないという課題があると考えています。この問題意識の下で今年度事業より新たに事業に取り組んではどうかということで、予算を確保しております。
まずは今年度事業の方向性について御確認いただいた上で、本日、受託事業者の株式会社NTTデータ経営研究所から西尾文孝様、林高穂様に御参加いただいておりますので、本事業の詳細については後ほど西尾様に御説明をお願いしたいと考えております。
私からの御説明は以上となります。
○印南座長 ありがとうございました。
内容につきまして御質問、あるいは御意見等がありましたら、お願いいたします。
○滝田構成員 よろしいですか、日本製薬団体連合会の滝田と申します。
産業界としても、このポリファーマシーの取組というのはいろいろ連携させていただいています。今年度の事業というのはおこがましい話なのですけれども、実は2020年、4年前に産業界と適正使用協議会様と一緒にポリファーマシー啓発の資材を作って厚労省ホームページ等に掲載させていただいているところなのですけれども、これは委員会の確認も得ておりますけれども、今年度、ちょっとマイナーですけれども改定を予定しておるというところを皆様に共有させていただきます。よろしくお願いいたします。
以上です。
○印南座長 その他、御意見、御質問等がありましたら、お願いいたします。よろしいですか。
それでは、事務局の説明どおり、大枠については皆様の御了解を得たということで進めさせていただきます。
それでは、受託事業者である株式会社NTTデータ経営研究所より事業の詳細について説明をお願いいたします。
○NTTデータ経営研究所 令和6年度事業を受託いたしました、NTTデータ経営研究所の西尾と申します。皆様、どうぞよろしくお願いいたします。
資料3を基に事業概要の説明をさせていただきます。本日御説明させていただくのは事業者としての現時点での御提案でございまして、本日の検討会で御意見をいただきましたら、それを考慮いたしまして今後の事業を進めさせていただきたいと考えております。
それでは、資料3の2ページ目をお願いいたします。事業の背景と目的でございます。ページの下の部分に記載しております図を基に説明いたします。今年度、令和6年度事業の実施事項は、先ほど厚労省様からも御紹介がございましたが、大きく2つございます。まず1つ目でございますが、令和5年度事業で作成されました「地域における高齢者のポリファーマシー対策の始め方と進め方」に基づき、地域においてポリファーマシー対策を普及啓発するものでございます。2つ目は、医療現場におけるポリファーマシー対策業務の効果に係るエビデンスを入手するためのデータ分析でございます。
一番右側の「ゴール」と記載した部分ですが、今、説明いたしました2つの取組は医療現場、地域における高齢者のポリファーマシー対策のより一層の推進、ひいては高齢者のポリファーマシーの回避・改善の実現を目指すものでございます。
それでは、次の3ページに参ります。事業の論理的枠組みについて説明いたします。図の一番左側が実施する業務でございますけれども、今、前のページで説明いたしました2つの業務を縦に記載しております。また、横方向でございますけれども、業務ごとのアウトプット、成果物としてアウトカム、そして一番右側に目指すゴールを記載しております。ゴールは前のページで説明した内容と同じですので、その他の部分について説明をいたします。
一番左側の上部のマル1「指針・業務手順書の普及啓発」でございますが、ここでは調査対象地域を2地域選定した上で、その地域で指針や業務手順書を用いて地域におけるポリファーマシー対策を行っていただくという取組でございます。マル1のアウトプットですが、1つ目として普及啓発用資材を作成します。普及啓発用資材は調査対象地域で実際に使用していただき、使用した結果を踏まえ、必要な修正を行ったものを成果物としたいと考えております。2つ目として地域での取組結果を報告書としてまとめます。地域で実施していただいたポリファーマシー対策の一連のプロセスでございますとか、ポリファーマシー対策の成功要因、失敗要因、今後の課題抽出、対応策等の整理などを行う予定です。
また、このマル1で期待するアウトカムとしては、全国でポリファーマシー対策を新たに始める地域が増えること、また、地域におけるポリファーマシー対策に協力する主体が増えること、また、ポリファーマシー対策を効率的・効果的に行う地域が増えることなどを想定いたします。
次に、下段のマル2「データ分析」について説明いたします。マル2の一番左側、実施業務につきまして、医療・介護関係のビッグデータを解析することでございます。このマル2のアウトプットといたしましては、ポリファーマシーと有害事象との間に具体的にどのような関係性があるのかを明らかにした結果を報告書として整備してまいります。
マル2のアウトカムでございますが、医療現場でのポリファーマシー対策の精緻化、また、今後のポリファーマシー対策に関する調査研究の進展などを想定いたします。
次に、4ページをお願いいたします。このページは、指針や業務手順書の普及啓発業務の概要を整理したものです。前のページと内容的に重複する部分がございますので、ここで新たに記載のある部分の説明をいたします。上から3段目の「調査対象地域」でございます。1ポツ目、調査対象地域として都道府県を想定します。また、3ポツ目ですが、ポリファーマシー対策の実施に協力が得られる地域であることを主な要件として考えております。
上から4段目の「普及啓発の進め方」でございます。これは調査対象地域が行うことを想定したものです。1ポツ目、調査対象地域でポリファーマシー対策に係る会議体の設置・運営を行っていただきます。
2ポツ目、令和5年度に作成した「地域におけるポリファーマシー対策の始め方と進め方」に記載されている地域ポリファーマシーコーディネーターや薬剤調整を支援する者の設置・運営を行っていただきます。これは試行的に運用してみて、普及に向けた情報を得たいという意図によるものです。
3ポツ目、普及啓発資材を使った勉強会、研修会などの活動を行っていただきます。
4ポツ目、普及啓発の効果を確認するためのアンケート調査などを行っていただきます。
5ポツ目、一連の活動の取りまとめを行っていただきます。
そして上から5段目、一番下でございますが、「普及啓発結果の総括」を行ってまいります。これは調査事務局が行う想定でございます。
次に、5ページをお願いいたします。このページはデータ分析業務の概要を整理したものです。こちらにつきましては2ページ前の3ページ目と内容的に重複する部分がございますので、ここで新たに記載のある部分の説明をいたします。
まず、上から2段目の「目的」の部分について説明します。医療・介護関係のビッグデータを解析することでポリファーマシーと有害事象との間に具体的にどのような関係性があるのかを明らかにして、新たに得られた知見などを報告書に取りまとめることを目的とします。
上から3段目の「分析の進め方」について説明します。1ポツ目、分析方針は本事業で設置する調査検討会で検討します。2ポツ目、分析は医療経済研究機構に御所属の浜田先生にお願いする予定でございます。3ポツ目、分析はワーキングを設置して詳細な検討を行いたいと考えております。
上から4段目の「分析で使用するデータ」について、(通信不良)するまでにそれなりの時間がかかることが予想されまして、分析の時間がその分少なくなってしまうことなどが考えられましたことから、すぐに使用できる見込みが立っているデータで分析を進める方針としたらどうかとの考えの下、浜田先生とも相談の上、こちらの資料に記載のデータを使用したらどうかと考えております。
上から5段目の成果物のイメージについて説明します。現在、6種類以上の薬剤から特に薬物有害事象の発生増加に関連するというデータがございますけれども、本事業では、例えば特定の薬剤の種類などに限定して分析を行ってみて、同様に6種類以上という結果が出るのか、もしくは異なる薬剤数となるのか、その場合には薬剤の種類によってどのように結果が異なってくるのかなどの分析を行ったらどうかと考えているところであります。
それでは、次の6ページ目に移ります。よろしくお願いします。このページは、本事業のスケジュールを整理したものでございます。現在は事業の全体設計や各業務の調査設計を進めているところでございます。
2番目の2)で調査検討会の開催について記載しております。年度内に3回を予定しております。第1回調査検討会での検討後、3、4に記載する2つの業務を進めてまいります。4番の4)のワーキングにつきましては、第1回調査検討会と第2回調査検討会の間に3回行うことを考えております。
以上で事業概要の説明を終了いたします。どうぞよろしくお願いします。お返しいたします。
○印南座長 ありがとうございました。
ただいま説明のありました内容につきまして、御意見、あるいは御質問等があれば、お願いいたします。
お願いします。
○溝神構成員 溝神です。
2点あるのですけれども、まず一点、どのような地域を選択するのかというところが非常に重要ではないかなと思っているのですけれども、既に地域で対策が取られているところをやるのか、全くやっていないところを選定されるのか、この中で地域の選定はどのようにされるのかという具体的な検討事項がございましたら、教えていただければと思います。
○NTTデータ経営研究所 それでは、私西尾からお答えさせていただきます。
現在予定しておりますものは、都道府県に対してこの事業への参加を希望するかという募集をまずしたいと考えております。そこで手挙げがあるというのが一つでございます。
それが3地域以上あった場合にどうやって2地域を選ぶのかというところでございますけれども、ポリファーマシー対策についての取り組みが進んでいる地域であるというのがまず一つあると思います。現在ある程度進んでいるのか、まだ進んでいないのかのどちらを取るのかはまだ現在は決定していないところでございますけれども、今後事業の調査検討会などで検討をいたしまして、その辺りも考えていければなと思っているところです。
○溝神構成員 ありがとうございます。
その点が一番重要な点になってくるのではないかなと思いますので、ぜひ御検討をお願いします。
もう一点質問してもよろしいでしょうか。
○印南座長 お願いします。
○溝神構成員 ビッグデータの解析ということでNDBのデータを使われるということなのですけれども、特にその場合、薬物有害事象をどのように取るのかということが一番問題になるかと思うのですけれども、その点の詳細について教えていただければと思います。
○NTTデータ経営研究所 それでは、西尾からお答えさせていただきます。
今、御意見いただきましたとおり、有害事象をどのように見ていくのかというのは難しいところでございます。いろいろな有害事象がある中で、データの中で取れるものというのは限られてくるのかなと考えておりまして、例えば入院をしたとか、要介護状態になったとか、あとはポリファーマシー関係の加算を算定した人であるかどうかといったところがまず見ていける点かなと思っています。ほかにももしかしたらあるかもしれませんので、そこも事業の中でまた今後検討していく点かなと考えているところでございます。
以上です。
○溝神構成員 ありがとうございます。
私自身も同じような形で調査をさせていただきまして、この検討会でも表を作っておりますのでその際には薬剤起因性の老年症候群を実は調査させていただいたのですけれども、6%程度と非常に発生率が高いということが私たちのデータでも出ておりますので、私がやったのはある一つの県のデータでございますので、その辺りが全体でどうなのかとか、年齢分布がどうかという辺りもぜひ御検討いただきたいと思います。
ありがとうございました。
○印南座長 続きまして、どちらがお先だったか、石田先生か、どちらでしょう。
○事務局 美原先生が先に手を挙げていらっしゃったように思います。
○印南座長 では、お願いします。
○美原構成員 全日病の美原です。
先ほど3ページで実施する業務、アウトプット、アウトカムの論理的なお話だという説明があったわけですが、2つの地域の調査を行った結果、アウトカムとして新たに始める地域が増えるということには結びつかないように思うのです。つまり、ここのところで2地域の研究をした結果、アウトカムとしてポリファーマシー対策を新たに始める地域が増える、たかだか2地域を対象とした対策を行い、アウトカムをこれに設定するのはちょっと論理的に問題があるのではないかと思いましたが、いかがでしょうかというのが一つです。つまり、この研究において2地域で対策を実施し、その結果、対策の課題が明らかになる、そしてその後に何らかの介入があって、ここで書いてあるアウトカムとしてポリファーマシー対策を新たに始める地域が増えるということであって、このような地域が増えるということはこの研究の結果の直接的なアウトカムにはならないと思うのですが、いかがでしょうかということが一つです。
もう一つは、先ほどからその次のページで電子処方箋云々というお話があったかと思いますが、電子処方箋がある程度うまく使えるようになっている地域というのは現時点においては極めて限定的なものであって、これが我が国の全体を代表するような場所ではないように思うのですが、いかがでしょうかというのが2点目です。
3つ目が、普及啓発の進め方ということですが、これは様々なところでいわゆるモデル事業のような形として御社がいろいろな形で支援をするということなのでしょうか、それともやってくださいという丸投げなのでしょうか。
その3点についてお話を伺いたいと思います。
以上です。
○印南座長 お願いします。
○NTTデータ経営研究所 NTTの西尾でございます。お答えいたします。
御質問ありがとうございました。まず1点目でございますけれども、アウトカムのところは新たに始める地域が増えることにつながらないのではないかということで、御指摘のとおり直接的につながるというのは難しいかなと。思いといたしましては、得られた内容を踏まえて今後新たに始める地域が増えてほしいという間接的なものとして記載をしたような形ですけれども、誤解があるようでしたら、今後、修正をしてまいりたいと考えております。
○事務局 事務局からも少し補足をさせていただきます。先ほど美原先生から御指摘いただいた点はまさにそのとおりだと事務局としても思っております。この資料の見方としましては恐らく成果物というのが今年度事業で行ったときの結果で、アウトカムというのはさらにその先を見据えて将来的に目指していくものというのが書かれているのであろうと思っておりますので、美原先生の御理解と我々の理解は全くずれていないと感じたところです。御指摘ありがとうございます。
また、2点目につきましても事務局でお答えさせていただきたいと思います。電子処方箋を利用している地域というのを我々の予算要求の段階で少し入れさせていただいたところです。これにつきましては、もともとポリファーマシー対策を進めていく上で電子処方箋の仕組みが導入されていれば、単純な重複投薬などといったものがある程度解消されるとの期待が持てるであろうということ、そうした地域であれば、今後アウトカムを調査していく中でよりクリアに調査ができていくのではないか、結果が得られやすいのではないかという思いがあるというところで、こうした地域のほうが望ましいのではないかということを考えて入れさせていただいたところです。
ただ、美原先生に御指摘いただいたとおり、実際にどれほど広がっていくかというのはこれから見ていかなければ分からないところですので、これから事業が進んでいく中で必ずしもその地域で100%電子処方箋が普及していなければ次に進めないというものでは決してないかなと思っておりまして、あくまでも緩やかにその地域の中で進めていただきながら、できるだけ良い環境を整えていただいて次のステップに進めていくということができればいいのかなと我々としては考えているところでございます。
3点目についてはまたNTTデータさんにお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○NTTデータ経営研究所 それでは、3点目についてNTTの西尾からお答えをさせていただきます。丸投げなのか、モデル事業として支援をするのかというご質問ですけれども、これはもちろん後者のモデル事業として支援をしていくということでございまして、目指すところは2つの調査対象地域で、どのようにすればポリファーマシー対策がうまくいくのかということを調査結果として把握していくということでございますので、それに向けて全力で支援をさせていただきたいと考えております。
以上でございます。
○印南座長 美原先生、よろしいでしょうか。
○美原構成員 はい。ありがとうございました。
○印南座長 続きまして、石田先生、お願いします。
○石田構成員 よろしくお願いします。
この調査の最終ゴールというのが高齢者のポリファーマシーの回避・改善となっております。ここで思うのは高齢者の方々が多数の薬を飲んでいるという現状について、何らかの形で改善し、より適切な状況の中で健康を少しでも回復する、あるいは維持していくことが最終ゴールであるとイメージしております。そうしますと、この論理的枠組みというところの実施する業務、アウトプット、アウトカムというところの中で、これは私の個人的な印象かもしれませんけれども、ここに生身で日々を暮らしている高齢者の姿がほとんど見えないというか、感じられないのです。
実際にデータの分析については医療・介護関係のビッグデータの分析・解析ということになっておりますけれども、そこにもし可能であれば、そこで生きている、生活している、暮らしている高齢者の本音や実際の状況というのが少しでも把握できるような、選ばれた2地域のそういった方々の、言ってみたら個別の状況を把握できるようなデータが欲しいと思いました。今回の調査やデータ分析の際に、実情を把握することができる聞き取り調査のようなものが、これに加えることができるのかどうか、もし可能ならば、ぜひそういったことも考慮した上で、実際にそこで暮らしている高齢者の姿というのがもう少し把握できた形で調査を実施していただければという、これはある意味要望ですけれども、意見として申し述べておきたいと思います。
以上です。
○印南座長 ありがとうございました。
続けて御意見や要望をお聞きしたいと思います。秋下先生、次に挙がっていたと思うのですが。
○秋下構成員 よろしいでしょうか。
まず、普及啓発事業の2地域の話ですが、都道府県ということですが、これは都道府県全体という形になるのか、都道府県の中の一部なのかというところでいうとどういう想定でおられますでしょうか。都道府県全体はいかに小さい県であっても厳しいのではないかなという気がするのですが、いかがでしょうか。
○印南座長 御質問に対して御回答願えますか。
○事務局 事務局からお答えさせていただきたいと思います。
今、秋下先生から御指摘いただいたような点というのもおっしゃるとおりの部分があるかなと思っています。その点につきましては、実際に引き受けてくださる都道府県とよく相談していかないといけないかなとは思っているところです。
他方で、これからそのアウトカムの取得を目指していこうとしたときに、一定の規模での参画というのも必要になってくるかもしれませんので、それを見据えながらできるだけその都道府県に広く御協力いただくということを試行していくのかなと思っています。その辺りは実際に選定プロセスの中でこの事業の委員会の中でも御議論いただくべき事項かなと考えているところでございます。
以上です。
○秋下構成員 分かりました。
都道府県の場合には、市町村と比べてメリットというのは後期高齢者医療広域連合という都道府県単位でしかないくくりもありますので、そういうところを利用する場合にはこの単位がいいのかなとはちょっと思いましたので、そういうことも含めて御検討いただければと思います。
それから、もう一つよろしいでしょうか。先ほど溝神構成員から意見のあったアウトカムの取り方に関してなのですが、溝神先生もされていますし、私も先日、日本老年医学会であるデータ分析会社と合同で分析した結果について発表したのですが、老年症候群は割と病名ロジックで、もちろん推定でしかないのですけれども取ることができます。薬剤起因性老年症候群というのはまさにこの検討会で作った指針の中で規定しているものですので、アウトカムにしていくことも検討してはいかがでしょう。横断的なものですと因果関係は分からないのですが、特に今後、これをどう展開していくかというときに、入院とかは少しとりにくいので、先ほどの石田委員の話ではないですけれども、高齢者の目線から見たときに、今、こういう症状で困っているよというところがありますので、そういう症状を改善するのに処方の見直しをしていきませんかという意味では薬剤起因性老年症候群というのを一つのターゲットにしてデータ分析をしていただくというのは非常に重要なのではないかなと思います。
それともう一つ、担当されるのが浜田先生ですので当然織り込んでおられるのではないかと思いますが、後ほど溝神構成員から説明があると思いますが、日本版抗コリン薬リスクスケールといったものも入れ込んでいただいた解析というのをぜひ行っていただきたいと思います。
以上です。
○印南座長 続きまして、橋場先生。
○橋場構成員 ありがとうございます。日本薬剤師会の橋場でございます。
私も今の秋下先生の御質問とかぶる部分がございますけれども、まずは調査対象地域が2か所ということで、それを都道府県という単位でということなのですが、これは手挙げ式でというお話があったかと思うのですが、都道府県に対して手挙げ式になるというイメージでよいのかというのが一点。
その際に、この普及啓発活動を進めていくに当たっては医師会や薬剤師会などのいろいろな各種団体と絡んでいかなくてはいけないところかなと思いますので、そういったところを含めた上での手挙げになるのか、その辺りのイメージをお聞かせ願いたいなというのが一点です。
あともう一点、私もこの手順書の作成に関わらせていただいている中で、今回、新しい概念として地域ポリファーマシーコーディネーター、薬剤調整を支援する者というものが登場しているということがありますので、この2地域で実施していくということに当たっても、この新しい概念が違った形で捉えられないかというのが懸念点としてあります。この手順書を作成していく中では、やはり新しい概念ですので言葉としてできるだけ簡易に分かりやすく書いたつもりではいるのですけれども、なかなか捉える側のイメージというのも違うかなという気がしますので、その辺は御丁寧にやっていただきたいなと思っているというのが一点です。
以上でございます。
○印南座長 ありがとうございました。
ただいまの御質問、御意見に関しまして、事務局ないしはNTTデータ経営研究所から御回答はありますでしょうか。
○事務局 事務局から1点目の地域の選び方について、我々の考え方を御紹介させていただきますと、まず手挙げ式ということで御説明がありましたけれども、この事業を進めていく中で我々が考えるところとしまして、地方自治体、行政機関の御協力がなければこの事業はうまく進まないのではないかなと思っているところです。ですので、我々のルートで各都道府県の薬務課等を通じて確認をさせていただき、その中で御関心がある都道府県さんに手挙げをしていただき、挙がってきたところからこの事業の中の検討会で御議論いただいて選定していくというプロセスになるのではないかと想像しているところでございます。
○印南座長 よろしいですか。
○橋場構成員 大丈夫です。ありがとうございます。
○印南座長 ありがとうございます。
美原先生、お願いします。
○美原構成員 全日病の美原です。
今の意見なのですが、最初の地域を県単位とすることに対して多少違和感を覚えなかったわけではありません。というのは、このようなネットワークがつくられるというのは地域医療構想の構想区域ぐらいが適当な規模なのではないかなという印象を持っていました。
実際、一つの県の中でも地域によってストラクチャーがばらばらである。この話の手引にもあるように、まずは小規模から始めましょうというのをいきなり大きいところでやってちゃんと結果が得られるのかなということを疑問に思います。すなわち県でやるという今の厚労省のお考えは分からないわけではないのですが、現実的にこれがしっかり動くというのは地域医療構想の構想区域レベルではないかと想定されるので一言お話しさせていただきました。
以上です。
○印南座長 ただいまに関しまして、事務局から何かありますか。
○事務局 ありがとうございます。
まず、我々の考え方としましては、美原先生のおっしゃる御指摘もごもっともと思っているところもございますし、特にこうしたモデル的な取組を進めていく上で病院の参画といったことも非常に重要になってくるということを考えると、本当に全体でできるかというのは大きな課題になってくるであろうと思っております。
他方で、一点考えていきたいところとしては、今後実施していく中で実際にやったところとやっていないところの比較について、将来的にデータとして取れれば良いかもしれませんので、逆に県の中でばらつきがあると、しっかり取り組む地域に今年度から参画いただいてやっていく、来年度はやっていない地域に御協力いただいてデータ提供などもいただきながらやっていくというやり方ももしかしたらあるかもしれません。いろいろな工夫ができる余地があるのかなというのを考えながら進めていくということでいかがかなと考えているところでございます。
○印南座長 よろしいですか。
○美原構成員 分かりました。
○印南座長 北澤先生、お願いします。
○北澤構成員 北澤です。
ポリファーマシー対策を進めるに当たっては患者・家族の理解と協力が絶対に欠かせないと思うのですけれども、少なくとも自分の周囲を見ている限り、ポリファーマシーというのがどういうものなのか、あるいはポリファーマシーというのが自分に害を招くおそれがあるのだということを理解して協力したいと思っている人がそもそもそれほど多くない現状もあるのかなと、自分の経験からですけれども思います。
したがって、ポリファーマシー対策を始める前に、患者や家族との関係を構築するとか、説明資材を準備すると書いてあるのですけれども、そこで本当に理解して協力していただくのはそんなに簡単にはできないのではないかと思っています。なので、医療者や行政の方々がポリファーマシー対策をやらなくてはいけないからということで“上から目線”で進めていただくことのないようにお願いしたいと思います。
以上です。
○印南座長 ありがとうございました。要望として伺っておきます。
ほかに御意見等はございますでしょうか。
お願いします。
○筒井構成員 日本病院薬剤師会の筒井でございます。
私も都道府県というところに少し違和感がありまして、今回の地域における高齢者のポリファーマシーの進め方等を拝見していますと、いろいろな部署、関係組織といったものとの連携が非常に重要であると見させていただきましたので、今回のこの期間でそういったアウトカムを出すまでのものがどうなのかなというところを少し疑問に思いましたので、お聞かせいただけたらと思います。
以上でございます。
○印南座長 平井先生、お願いします。
○平井構成員 平井です。
2点お伺いしたいのですけれども、一つは新しい概念としての薬剤調整を支援する者や地域ポリファーマシーコーディネーターという人間というのはどのようにして決めるのか、その地域地域で決めるのか、誰がどう決めるのかということを知りたいのと、それからポリファーマシーは先ほども御意見があったように多くの人が関わってやるべきことなのですけれども、そもそも最初の大元のドクターの処方のところでなかなかポリファーマシーというか、処方の種類を減らすことに対して消極的な状況が依然としてあると思うのですね。前医の処方に手をつけてはいけないみたいな風潮も依然としてありますし、若いドクターなどだったら分からないから同じ処方を続けているという状況もあったりするので、そういったところをまずどうやって解決していくのかなということも重要なのではないかなと医療現場にいると感じます。
以上です。
○印南座長 ありがとうございました。
事務局から何か回答はありますか。
○事務局 事務局でございます。
まず、先ほど筒井先生からどういった期間で考えていくのかという御質問をいただいたところだったのですけれども、我々の資料2の2ページ目を御覧いただきますと、令和6年度につきましては適切なアウトカムについて調査を行う、あるいは地域での取組については先ほどの御説明のとおりということになるのですけれども、その後も令和7年度以降の調査の方法についても今年度検討するということで考えております。今年度だけで完結するものではなく、来年度、あるいは再来年度までということになるかもしれませんけれども、継続して取り組んでいくことになるのではないかというのが我々の考え方になります。
続きまして、平井先生から御質問いただきました薬剤調整を支援する者、あるいは地域ポリファーマシーコーディネーターをどうやって選定していくのかということについてなのですけれども、まず薬剤調整を支援する者につきましては、参考資料4の6ページにこういった形で決めていくことになるのではないかという考え方をお示しさせていただいているところではございます。ただ、実際にこれが本当に医療現場で広がっていくのかということについては、まさに今年度事業で実際に取り組んでみていただいて、その進め方の課題があるのか、進めるに当たってどういうところがポイントになるのかといったところが浮き彫りになれば、それを踏まえて資材を作るなどの幾つかのアプローチを考えて全国的な展開も考えていくことになるのではないかというのが我々の考え方でございます。
地域ポリファーマシーコーディネーターにつきましても同様でございまして、これにつきましてはまさに地域ごとに違うのかなということでなかなか難しいところもあるかと思いますが、例示しておりますのが、中核病院の地域連携室に所属する医療従事者の方、あるいは地域の薬剤師会に所属する薬剤師さん、あるいはそのほかの方というのももちろん考えられるかと思います。こうしたところに熱意を持っている方がしっかりと頑張っていただけるように応援していくということではないかなと思っておりまして、これについてもまた今年度事業の中で検討ができればいいのかなと思っております。
平井先生からいただいた2点目の点というのはまさに高齢者のポリファーマシー対策を進めていく上で非常に重要な課題だと思っておりまして、患者さんにどうやって理解していただくかというところも本当に難しい課題であろうと理解しております。文章で書くことは簡単ではあるのですけれども、医療現場で対応していただいている先生方におかれましては本当に日々お考えいただいて対応いただいているのではないかなと我々としては想像するところです。そうした中で今年度取り組もうと思っている課題認識の一つが説明するときの材料というのが先生方に提供できないだろうかというところにありますので、今回の取組を通じてエビデンスという形で示す方向で模索してみてはどうかというのが事務局からの御提案でございます。それが本当に解になるかというのは今後取り組んでみないと分からないところにはなりますけれども、一つやってみていただくというのはどうかなということで事業を展開していこうとしているところでございます。
以上でございます。
○印南座長 平井先生、よろしいでしょうか。
○平井構成員 ありがとうございます。
資料のエビデンスを提供していくということは非常に重要な点で、ただ、例えば文書だけを提供したらそれで事は済まないので、実際は処方が変わったりするとまた患者さんの情報が入りますね。そういうところを継続してきちんとサポートしていくというところも含めてやっていかないといけないかなと思います。
以上です。
○印南座長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。
多様な意見が出まして、私が聞いていて思ったのは、分析と普及啓発の事業とが混在していて、しかも多年度にわたって行うことを前提にしています。最初はきちんと原因分析をやって、それからコーディネーター等を普及させて実際に事業展開して、さらにその結果を見てよりポリファーマシー対策を進める地域を増やすというのが本当の手順だと思います。そのように考えると、分析のところでは県単位の比較ではなくて県内のポリファーマシー対策をしっかりしているところとしていないところで比較すればいいわけですね。いきなり県レベルの話をするのではなくて、どこかの県2つではなくて1つでもいいはずで、その中で進んでいる地域とそうでない地域でデータ分析して、その結果、有害事象などのいろいろな関係が分かるはずなのですね。恐らくそれ以降、実際に普及啓発するもうちょっとプラクティカルな事業などを行って、その成果を見るわけです。ですから、最初の分析はクロスセクションでやって、普及事業は経年的にやるべきなのではないかなと私は思ってしまいましたというのが一つ。
それから、石田先生からあったように、患者さんや御家族の視点は分析でも普及事業でもどちらにも必要なので、どこかでインタビューなりなんなりの方法で定量的な研究だけではなくて定性的な部分を加えることができるのかどうかと私は思いました。入れないと、声が上がっておりましたけれどもやや冷たいデータ分析になるということですね。
私は座長なのであまり自分の意見は言わないようにしているのですけれども、そういうことも含めて御検討していただけたら、ほかにも論点があったと思いますし、事務局のほうで整理していただいて、必要に応じてもう一回議論してもいいですし、あるいはもうちょっと改善した事業プランを出していただくというのはいかがでしょうか。別に先延ばしにする意図があるわけでも何でもないのですけれども、聞いていてややその部分がちょっと気になったなというのはあります。
よろしいですか。基本的には了承でいいと思うのですけれども、そういうことでよろしいでしょうか。
○事務局 ありがとうございます。
先生にいただいた御指摘を、これからの事業の展開に反映できるように御相談をしていきたいと考えております。
これからの展開につきましては、またメール等でも御相談させていただきながら進めていければと思っておりますので、一旦はこの場でいろいろな御意見をいただきながら、また進めさせていただければと考えております。
○印南座長 それと、秋下先生、他の先生からもありましたけれども、関連する先行研究ないし事業があるので、それらをしっかり参照していただきたいと思います。
○事務局 承知いたしました。ありがとうございます。
○印南座長 以上で議題2を終わりにしてよろしいでしょうか。どうもありがとうございました。
本日、その他の項目として構成員から紹介したいというお話もいただいております。抗コリン薬リスクスケールと高齢者施設の服薬簡素化提言について御説明をいただきます。
まず、抗コリン薬リスクスケールについて、溝神委員よりお願いします。
○溝神構成員 よろしくお願いいたします。
画面共有いたします。
○印南座長 音声が聞こえないのですが(中断)。
○溝神構成員 では、続けさせていただきます。
抗コリン薬に関してですけれども、抗コリン薬とは今回、抗コリン作用を持つもの全てを抗コリン薬と総称しておりますけれども、基本的にはアセチルコリンという神経伝達物質の作用をブロックするということで、非常に多くの身体機能に影響を与える薬物であるということで、治療にも多く使われている一方で様々な副作用を引き起こすといった特徴のある医薬品でございます。
そして、この作成の経緯ですけれども、実は海外では抗コリン薬リスクスケール作成において調査をいたしますと、約20近くの抗コリン薬スケールが海外で作成されております。しかしながら、日本での臨床的な視点や日本特有の薬剤だけに特化したスケールというものがまだまだ存在していないということがございました。そこで、日本の老年薬学会で医師、歯科医師、薬剤師、基礎薬学研究者から成るチームをつくりまして、ワーキンググループを立ち上げまして今回作成を行いました。こちらがワーキンググループのメンバーでございます。
この抗コリン薬リスクスケールの目的でございますけれども、高齢者に頻用される抗コリン薬のリスクをまず正確に評価し、薬物治療の適正化、特にポリファーマシー対策を図るということが第1の目的として掲げさせていただいております。
第2として、抗コリン薬のリスクに関して具体的な指標、今回はこのリスクスケールを提供することによって医師、歯科医師、あるいは薬剤師が処方や調剤のときにリスクを再認識していただくということ目指したいと思ってつくっております。
そして第3に、抗コリン薬による薬物有害事象や相互作用を減少させることにより、患者のQOL向上を目的としてつくっております。
対象ですけれども、高齢者を主な対象として作成はしておりますけれども、この後も少し御説明させていただきますように、OTC薬などのいろいろな薬に含まれているという点、そして若年者でも基礎疾患等がある場合は薬物有害事象の危険度が高まるということもございまして、適用対象に年齢上の区分は設けないということにさせていただきました。そして利用対象としては医療・介護現場で使用されることを想定しておりまして、主な対象は薬剤師、医師、歯科医師、看護師やその他の医療・看護専門職全般とさせていただきました。
そして、使い方ですけれども、2つの側面を評価することを推奨しております。まず1つ目としては個々の薬物の評価ということで、個々の薬物が持つ抗コリン作用によるリスクの強さをスコア3、2、1と3段階で評価を行います。そして、当然高いスコアを持つ薬物を使用している場合はより低いスコアの薬物に切り替えることを検討していただきたいと思っております。
そして2点目は、総合的なリスク評価ということで、総抗コリン薬負荷と言われておりますけれども、高齢者は複数の疾患に罹患しておりまして複数の薬物が使用されているといった点を考えまして、薬物のスコアを合算し、患者ごとの総抗コリン薬負荷を算出し、それによって抗コリン薬の全体のリスクを把握することが可能になると考えております。
そして、この抗コリン薬総負荷に関してですけれども、服用期間が長くなればなるほどそのリスクが増加するということが示されておりまして、服用期間に関してもぜひ御確認いただきたいと思っております。当然総抗コリン薬負荷を下げるように介入をすることが望ましいと思っております。
そして、日本版抗コリン薬リスクスケールには多くの一般用医薬品も含まれているため、一般用医薬品の使用に関しても同様に評価することが求められるとさせていただきました。なお、薬物の中止に関しては突然の中止によって症状の急激な悪化を招くこともございますので、必要に応じて徐々に減量するなどの対応が望ましいという形とさせていただきました。
対象薬物の選定でございますけれども、文献調査に基づきまして調査を行いまして、この抗コリン薬リスクスケールを作成するには世界中のリスクスケール16文献を入手いたしまして、日本で使用可能な薬物のみに限定することといたしました。この中には薬価収載医薬品と一般用医薬品の両方とも含めております。そして今回は内服薬と全身作用を期待する経皮薬のみを対象といたしまして、いわゆる局所作用を期待するような外用薬、眼科薬、耳鼻科薬、吸入薬などといった全身作用を期待しない薬物は除外させていただきまして、販売中止の医薬品なども除外いたしました。
そして、185医薬品を評価することといたしまして、作成の方法といたしましては平均点を算出いたしまして、そのばらつきを考慮した上でスコアを算出する。そしてそれで決まらなかったものに関してはデルファイ法を用いまして、6名の委員のうち5名以上の委員が同じ点をつけた段階でその点数とするということで、一度の投票で合意に至らなかったものは再度議論を行いまして、それでも点数が決定しなかったものに関しては除外するという形にいたしました。
医薬品としては158医薬品が掲載されておりまして、スコア3が37医薬品、そのうち一般用医薬品が4割を占めるという形となっております。スコア2に関しては27薬物、一般用医薬品は14%、スコア1に関しても94薬物ということで、16スケールと比較いたしましても最も多い結果となっております。これは日本で特異的に使用されている薬物や多くのスケールを用いて網羅的に作成したためだと考えられます。
これがスケールですけれども、薬効群、薬効群中分類、薬物、スコア、そして一般用医薬品のフラグという形で付与させていただいて表記をしております。ベンゾジアゼピンや抗てんかん薬、パーキンソン病治療薬、定型抗精神病薬、特にフェノチアジン系の辺りは3点をつけさせていただいておりますし、クロザピンの辺りも3点となっております。そして、非常に抗コリン作用の強いと言われている抗鬱薬の特に三環系などはほとんど3点となっておりまして、筋弛緩薬や目まいの薬、片頭痛の治療薬といったものも記載されております。そして、今回のこのリストで特徴的なものといたしましては、ここに記載がありますような例えば抗鬱薬やカルシウム拮抗薬、ベータ遮断薬、ループ利尿薬といったあまり抗コリン作用をイメージしないような薬物も多く列挙されておりまして、こういった薬物も抗コリン作用があるということを御認識いただきたいということで記載をさせていただいております。その他、せき止めやいわゆる消化管治療のお薬の辺りも非常に点数が高いもの、特にプロピペリンやブチルスコポラミンなどがございますので3点となっております。
そして、ステロイドに関しても抗コリン作用がございますので、こちらも多くのものが1点となっておりまして、抗コリン作用を特に治療薬として使います過活動膀胱治療薬などは多くの薬物を3点とさせていただきました。免疫抑制剤なども1点とか、ワルファリンといったものも列挙させていただいております。
そして、最も薬物として記載が多いものは、こちらに出てございますヒスタミン受容体拮抗薬、いわゆる抗アレルギー薬に分類されるものでございまして、特に第1世代などはアリメマジンを除きまして全てがスコア3ということで、非常に抗コリン作用の強いものとなっております。
そして、一番右側を御覧いただいて分かりますように、一般用医薬品としても非常に多く販売されているといった特徴がございます。第2世代以降も中枢作用は弱いものの、抗コリン作用も弱くなっているものの、やはり1点ということで点数をつけさせていただいております。その他、抗生剤やいわゆる麻薬の薬の辺りも1点などで評価をさせていただきました。
そして、OTCに関して今回少し注目して、このような形で表記をさせていただきましたけれども、特に日本版抗コリン薬リスクスケールに関して、158薬品の中で実は一般用医薬品として販売されている約1万医薬品のうち3,800医薬品、つまり37%が該当しておりまして、最も多いものとしてはクロルフェニラミンが販売品目の約15%を占めるということで、OTCとしても非常に多くのものが使われているということがこちらの表を御確認いただくと御認識いただけるかなと思います。こういったものもぜひ注意を促していきたいと考えております。
そして、この日本版抗コリン薬リスクスケールに関しましては、抗コリン薬のスケールとともに薬物有害事象に関するスコーピングレビューを行いました。こちらは時間の関係で今日の説明は割愛させていただきますけれども、4-2として本文をつけてありますので、そちらをぜひ御確認いただきたいと思っております。こちらのスコーピングレビューを行いますと、どのような有害事象が抗コリン薬による薬物有害事象として挙がってくるかといいますと、最も多かったのは認知機能低下に関するものが16文献、そして口腔乾燥などの口腔機能に関するものが15文献、運動機能については転倒が多かったのですけれども14文献、そしてQOL、死亡に関するものも11文献、めまいやせん妄といった中枢神経作用といったものも9文献ということで、全部で58文献挙がってきました。
しかしながら、全体の評価をされている文献がございませんでして、抗コリン薬を服用すると何%ぐらい起こるのかといったものは今回のスコーピングレビューで明らかにすることができませんでした。ですので、今後はこういったところをぜひ明らかにしていきたいと考えております。
まとめです。日本版抗コリン薬リスクスケールは、スコア3が37、スコア2が27、スコア1が94薬物、全部で158薬物を列挙させていただきました。適用対象としては高齢者を中心としておりますけれども、適用対象に年齢上の区分は設けておりません。利用対象としては薬剤師、医師、歯科医師、看護師、その他の医療・介護職全般ということと、使い方として個々の薬物の評価、そして総合的なリスク評価を行っていただきたいと思っております。
以上で発表を終わります。
○印南座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして御質問等があれば、お願いします。よろしいですか。
それでは続きまして、秋下委員より御説明をお願いします。
○秋下構成員 よろしくお願いします。
スライド共有いたします。配付されている資料では5-1が提言になりますけれども、これは記者会見のときに、ワーキンググループの幹事を務めました介護老人保健施設横浜あおばの里の丸岡先生が使われたスライドを使わせていただきます。
老年薬学会のこのようなワーキンググループで作業に当たりました。目的等なのですけれども、この検討会でもポリファーマシー対策はやっており、処方の見直し、特に減薬、デプリスクライビングというところが一つの中心になっていると思いますが、これまで服薬回数というところにあまり着目されていなかったということで、その点も考慮する必要があるだろうということでこの検討を行い、提言を出したということであります。
提言は提言1と提言2のシンプルなものでございまして、まず提言1は、服薬回数を減らすことには多くのメリットがあると。具体的には、服薬回数を減らすと誤薬リスクの低下と医療安全の向上に加えて、入所者・入居者にとっては服薬負担の軽減と服薬アドヒアランスの向上、施設職員にとっては与薬負担の軽減と勤務の平準化、いわゆるシフト勤務を組んだりする必要が少なくなるということです。
提言2では、服薬回数を減少するだけではなくて、なるべく昼1回にということを提言しています。施設職員の多い昼の時間帯に服薬を集約することで上の提言1で挙げたようなメリットがさらに大きくなるだろうと。ただし、昼服用に適さない薬物もあり、また、利用場所が変わったときには再度の見直しが必要になるなどの制限もありますということも書いております。
結局服薬簡素化というのが何を指すかということですけれども、左が減薬です。通常、減薬であれば、ビフォーアフターでこういう形になるのですけれども、やはり3回飲まなければいけないケースがある。そういったときに、ポリファーマシー対策と一緒に回数をまとめていくようにすることでより大きな効果が期待できるのではないかということであります。
これについても文献調査を行いまして、いわゆるスコーピングレビューという形で非常に多くの文献を読んでいって、最終的に16文献に絞り込んだということであります。こういうものを調査しますと、複雑性の問題やその実態、影響、介入の効果、あるいは服薬回数ということに関するものがあったということであります。先ほども挙げましたように、服薬簡素化をすることでメリットは誰にあるのかというと、一つは御本人にあるということです。御本人も何回も飲むというのは本来望んでおられないわけで、そういった意味では本人の負担、その結果、アドヒアランスも向上し、飲み間違いといった医療安全上の問題も解消されるのではないか。施設側にももちろんこういった問題があって、介護の人手不足の問題は皆さん御存じのとおりでございますけれども、こういったことにも寄与するのではないかということであります。
具体的にこの服薬簡素化フローチャートというものを作成しておりまして、こういったものの作成に当たって当検討会の指針にあるようなフローチャートがかなり参考になったということを申し上げておきたいと思います。対象者、使用者、それからこういう注意書きも書いてありますけれども、ステップ1、2、3、4と、特に最初の段階でどういった薬剤を見ていくのかというところとか、実際にできるのかというところを考え、そこで難しければ取りあえず様子を見るというのもこの場合はあるだろうということでありますけれども、できるとなったときには多職種で協議をし、当事者はやはり入れていく必要がある。本人となかなかコミュニケーションが取れない場合もありますので、その場合は御家族等のキーパーソンへのしっかりとした説明と、その際にやはりどうしても嫌だというケースもあるだろうということで、実施困難という流れもあります。処方変更が実施できれば経過を見ていくし、そのまま退所・退去に至る例もあるので、そういうときにはどういう経緯でやったのかということを書面で残す必要があるし、入所・入居を継続されている場合、いわゆる居住型の施設の場合もこちらになりますけれども、継続した見直しというのがあって、ここはループになっているということであります。
具体的には薬剤ごとや処方全体で考え方の例を示していますし、特にここは注意点だと思いますけれども、添付文書を外れるようなものは気をつけなければいけない。それから、変更によって副作用、有害事象が生じるケースもあるし、一緒に飲むことによる相互作用、それから一回にまとめたからといってあまりにも多くの錠剤となると飲めないとか、あとは変更に伴って血液検査なども行ったり、薬剤が高いものになるケースもあるので、そういうことも考えましょうと。施設側についても同じようなことはありますし、最終的に本人やキーパーソンの承諾は要りますよねということであります。
それから、これも当検討会の指針の各論編(利用環境別)に様々な職種がどういう役割を果たすかというのを書いてありますけれども、高齢者施設で実際にどういう役割があるのかということもまとめてあります。
これは説明のポイント。
それから、処方変更は先ほど言いましたようにこういう形であるということです。
それから、評価です。これもお話ししたとおりです。
具体的に分かりやすい例として事例も幾つか挙げておりますので見ていただけたらと思いますが、例えばこの方は朝昼夕の3回になっている。ここに挙げたような薬物ですけれども、例えばクエン酸第一鉄は2錠分になっているけれども、これは1回でいいのではないかということです。薬剤の特性上、これは1回で済む。それから酸化マグネシウムも2錠でしたら1回にできるでしょうということですし、アンブロキソールやニフェジピンについてはそれぞれ徐放錠がありますので、徐放錠に変更することで一日1回にできる。硝酸イソソルビドについてはテープ剤だったら一日1回にして使うことができるといった変更も伴う必要があるわけですけれども、一日1回、この場合は昼に変えたという事例があったということで、こういうものも紹介されているということであります。
それから、これは本人や御家族にどういう説明をするのかということで概要として資料5-2にまとめているものでありますけれども、どういうことでこういうことをやるのかというのを施設側が説明していただくために用意しているということであります。
以上が資料になります。高齢者施設ということで作成しておりますが、実際には施設から入院して施設にまた帰る人、あるいは自宅から入院したけれどもこの人は施設に入ることになるよねという人などの場合はこの原則を当てはめてしまっていいわけですね。そうすると急性期病院でも、DPC病院などの高度の機能を提供している病院であってもこういうことは取り入れられますし、在宅患者でも訪問診療を主に受けているような方であれば、特に独居高齢者は昼にヘルパーさんが来て、あるいはデイサービスを利用してという方であればこれが当てはまるということであります。そうではない方の場合などですと夜1回とか、朝1回とか、ほかの方法はあると思いますけれども、結局服薬回数のことはもう少し考えましょうよということで提案しました。本検討会の中でもこういうことも取り入れていただいて進めていただけるといいかなということであります。
御説明は以上になります。ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につき、御質問等があれば、お願いいたします。よろしいでしょうか。
○秋下構成員 特に先ほどの抗コリンも医療系の雑誌などでは結構出てきておりますし、服薬簡素化の提言については新聞など一般誌でも結構報道されましたので、情報提供としてもお話をさせていただきました。
ありがとうございました。
○印南座長 ありがとうございました。
何もなければ、本日予定されている議題は以上ですので、さらに全体を通じて何か御意見等があれば、お願いいたします。
お願いします。
○筒井構成員 日本病院薬剤師会の筒井です。
先ほどの御説明、高齢者の施設の服薬簡素化フローチャートのことで1点だけお伺いしたいのですけれども、これは処方医や処方元の医師への情報提供もなされる、あるいは老健の施設の医師の判断によってその変更がなされるという手順でよろしいのでしょうか。
○秋下構成員 もちろん幾つもの注意事項もございますので、提案してくるというか、上げてくるところはどの職種でもいいと思いますが、最終的な判断は医師と薬剤師が関わる必要があるということは提言の中でも述べております。
ありがとうございます。重要な視点です。
○筒井構成員 ありがとうございます。
当院は急性期の病院なのですけれども、こういった介護保険施設からの患者さんを緊急で受け入れたときに飲まれている内容と処方の内容に違いがあったり、そういったところの説明が分かるようにしていただけるのが一番ありがたいかなと思いますので、そちらのところも手順として恐らく定められているとは思いますけれども、よろしくお願いいたします。
○秋下構成員 ありがとうございます。
これは一応高齢者施設のということで、高齢者施設内で何をするかということを書いておりますけれども、先ほど私が最後に申し上げましたように、むしろ高齢者施設から来たときに、処方が実際には複雑になっている方を、急性期病院には医師も薬剤師もたくさんいますので、そこでしっかりと簡素な処方にしていただいて、それでまた高齢者施設にお返しいただくという形に持っていくことが本来は望ましいと考えております。高齢者施設に期待するというよりは、むしろ高齢者施設のために急性期病院で対応いただくといいのではないかなと思っております。
○筒井構成員 分かりました。こういった視線を持って、いろいろな職種で考えていけるようにという気づきをいただけるものと捉えさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○秋下構成員 ありがとうございます。
○印南座長 ほかにいかがでしょうか。
北澤先生。
○北澤構成員 この服薬簡素化の御提言は大変すばらしいと思いました。ぜひ広めていただきたいと思います。
また、こうした形で薬を多職種で見直すことによって、今回は薬の服薬回数を減らすという御提案だと思うのですけれども、レビューしているうちに実はこの薬はもう要らないのではないかとか、薬を減らすほうにもつながっていくのではないかと大変期待を持って拝見させていただきました。よろしくお願いします。
○秋下構成員 ありがとうございます。
そのとおりです。減薬と並行して進めていただく話かなと思います。石田構成員には、できましたら高齢社会をよくする女性の会でもこういったものに対して一般の方々がどのような感想を持っておられるのかみたいなことをまたフィードバックしていただければ大変ありがたく存じます。
○石田構成員 承知いたしました。ぜひとも一緒にやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○秋下構成員 ありがとうございます。
○印南座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。
それでは、議題は終了したということで、事務局から何か連絡事項があれば、お願いいたします。
○事務局 本日御確認いただきました指針や業務手順書の改訂・作成につきましては、先ほどいただきました御指摘を踏まえて微修正の上で厚生労働省のホームページに掲載するなど、普及活動に努めてまいりたいと思います。
また、次回の検討会の日程でございますけれども、日程調整の上、改めて事務局から御連絡させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
以上でございます。
○印南座長 それでは、本日も活発な御議論を大変ありがとうございました。
本日の検討会はこれにて終了いたします。お疲れさまでした。