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第9回 創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会 議事録
日時
令和6年3月21日(木)18:00~
場所
厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
議事
- 議事録
○医薬品審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、第9回「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。
本日は、お忙しい中御参集いただきまして、どうもありがとうございます。
初めに事務局から連絡事項を申し上げます。
本日の会議は対面の会議とウェブ会議を併用しております。会議の内容はYouTubeでのライブ配信を行っております。発言される際は、オンラインで傍聴されている方に発言者が分かるよう、冒頭に名前をおっしゃってから発言をお願いいたします。
続きまして、本検討会の構成員の出席状況ですけれども、佐藤陽治構成員、花井構成員より御欠席との連絡をいただいております。また、奥田構成員、中島構成員が後ほど御参加されると伺っております。
最後に、資料の確認ですが、議事次第にお示しのとおり、資料1から5、参考資料1から3-2があります。ウェブで御参加の構成員におかれましては、ウェブ掲載された資料を御覧ください。直接お越しいただいている構成員におかれましては、お手元のタブレットを御確認いただければと思います。
それでは、以後の議事進行は清田座長にお願いいたします。
○清田座長 こんにちは、清田です。
これより本日の議事に入りますので、カメラ取りはここまでといたします。御協力のほど、よろしくお願いいたします。
(カメラ撮り終了)
○清田座長 本日は、議題の順を変更しまして、先に議題2について御議論いただきたいと思います。資料3になると思います。
それでは、議題2につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 資料3をお開きいただけますでしょうか。「治験の更なる効率化(エコシステム)について」、御説明いたします。
2ページ目を御覧ください。
背景でございますが、日本の治験環境につきましてはこれまでも様々検討がされてきておりますが、現在でも海外と比べると実施しにくい側面があると言われております。また、近年、分散型治験、いわゆるDCTやプラットフォーム治験など新たな形態の支援も行われつつあります。現在改定作業中のICH-E6の動向にも留意しつつ、環境変化に対応した規制の在り方を検討する必要あると考えております。
令和4年度厚生労働科研の特別研究事業において、国立がん研究センター東病院の佐藤先生において、日本の治験環境についての調査研究をいただいております。この中で幾つか指摘がされておりまして、マル1からマル3について主に必要であるとして、提言がされている状況です。
また、厚生労働省におきまして、製薬企業やCROに対して行ったヒアリングにおいても同様の点が指摘されており、これらの課題について対応策を検討したいと考えております。
次のページをお願いします。
まず1点目の中央IRBについてでございます。こちらは中央IRB、倫理審査に関する日米欧の状況でございますが、まず日本と米国は施設IRBまたは中央IRBという形になっておりますが、EUは中央IRB等としておりまして、全て、100%というわけではないとは聞いておりますが、中央IRBを中心として制度が成り立っていると認識をしております。
日本と米国、制度上の立てつけは同じと理解しておりますが、ただ、米国におきましては真ん中のガイダンス等のところに記載のとおり、FDAからもガイダンスが出ていたり、あるいはNIHが資金提供する臨床試験については単一IRBによる審査を求めるといったガイダンスも出されているような状況で、米国ではそうしたガイダンスに基づいて中央IRBが進んでいると認識します。
一方、日本におきましてはそうしたガイダンスが特になしと書かせていただいておりまして、法令上実施できないわけではないが、十分に普及していない状況と理解しております。
次のページをお願いします。
日本で中央IRBが普及しない要因につきましては、医療機関にとっては中央IRBによるメリットを受けにくく、デメリットが多いことが指摘されていると理解をしております。具体的にはということで、次のポツに記載しておりますが、例えば審査の質への不安とか、コストメリットがないとか、あるいは逆にIRB審査料が減るとか、そういったような点が指摘されていると理解しております。
続いて次のページ、費用の件についてでございます。
治験費用のポイント制についてでありますが、まず治験費用の算出方法については、日本では国立病院機構が算定要領、いわゆるポイント表を策定しており、また国病機構以外の病院においても多くが同様のポイント表を準備していると承知しております。
2ポツ目、一方と記載していますが、ポイント表に基づく治験費用の算出方法については、日本独自のシステムであり、施設ごとにポイントのつけ方、項目、係数、SMO費用などが異なるということで、ばらつきが生じ、透明性に欠けるといった意見があり、グローバルに対して費用算定の説明が困難な場合があるといった指摘がされております。
また、ポイント表の概念が導入された時代と比べて、治験の複雑性が変化しているということもあり、現在の複雑な治験においてはポイント表の算出法では適正な算出ができないといった指摘も受けているところです。
これに対して次のページですが、Fair Market Valueに基づくベンチマーク型コスト算定ということで、こうした手法が海外では利用されていると聞いております。
このスライドは先ほど申し上げた特研での資料を頂いたものでございますけれども、ベンチマーク、タスクベース、Visit単価といった個々の費用を算定して、積み上げて治験の費用として算出するといった手法が取られていると聞いております。
3点目です。次のページをお願いします。
治験実施の煩雑さとして書いていますが、欧米と比較して日本の治験実施は次の4点のような点で煩雑であるという指摘があると聞いております。代表的なものとして取り上げさせていただいております。
まず1点目ですが、科学的・倫理的な影響がない軽微な変更についても、IRBの審議が必要として運用されている場合があるとしています。例えばプロトコール等の変更のない単なる実施医療機関の追加などでも、現在では審議が必要と考えられているといった点があります。
2点目も同様にIRB審議の点ですが、安全性情報に関する審議が膨大となるという領域や製品があるということです。治験依頼者が知り得た有害事象等について、随時、実施医療機関に通知が必要であり、それらについて全て審議がされているということから、有害事象の発生件数の多い抗がん剤等の領域においては、審議の手間が膨大となるということです。欧米では責任医師が審議の要否を判断できるといった側面もあると聞いております。また、日本ではと書いていますが、外国の同一有効成分の市販後の安全性情報、これについても報告の対象となっているため、この点についても欧米と比べて手間が多いと聞いております。
3点目ですが、同意説明文書の様式が医療機関や依頼者ごとに異なるということによって、医療機関、依頼者それぞれにおいて煩雑さが生じていると聞いています。これについても煩雑の原因だと聞いています。
最後、全体的にオーバークオリティーとなっているですが、逸脱を起こさないことへの意識が高い、モニタリングの頻度を含めこれが高いということも含めまして、必要以上に慎重かつ丁寧に業務が行われる結果、大変煩雑になっている。結果として、CRAが担当できる医療機関の数が欧米と比べて少ないと聞いております。こうした点についても何らかの改善が必要ではないかといったことを問題点として認識しているところです。
こうした背景を踏まえまして、対応の方向性(案)として最後のページにまとめさせていただいております。
まず1点目、中央IRBの活用促進でございますが、原則として中央IRBによる審査が望ましい点を文書化する方向性を含めて、中央IRB活用の促進に向けた検討を進めてはどうかと考えております。この検討に当たりましては、具体的には医療関係者の意見も聴きつつ、厚生労働省、PMDA、製薬業界において検討を進めることとしてはどうかと考えております。
また、2点目、治験費の算定方法の合理化につきましては、業務用や市場価格に基づいた算定、欧米ではFair Market Valueと呼ばれているものの国内の導入の実現性も含めて、医療機関・治験依頼者双方が納得感を得られる方法について必要な検討を進めることとしてはどうかと考えております。
最後、治験運用のさらなる合理化ですが、例えば以下のような点について、医療機関を含む関係者の意見も聴きつつ、厚生労働省、PMDA、製薬業界において検討し、要すればGCP省令の改正を含めてさらなる合理化に向けた取組を進めてはどうかと考えております。また、併せてPMDAの体制強化を進めるものとしてはどうかと考えております。
検討事項として下に5点書かせていただいておりますが、IRB審議事項の整理とかICF様式、治験管理、これは国に対する届出の効率化、また4点目はそうした治験実施における考え方の事例を洗い出して周知をするといったこと、また最後に分散型治験など新たな形態の治験に対応したGCPの在り方についての検討を主な検討項目として進めたらどうかと考えております。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
ただいまの御説明につきまして、先生方の御意見はありますでしょうか。
○事務局 大変失礼しました。
本日御欠席の花井構成員から事前にコメントをいただいておりますので、それを御紹介させていただければと思います。大変失礼いたしました。
治験のさらなる効率化について、希少疾病の治験環境の改善についての記述をお願いしますと御意見いただいています。
希少がんのほか339の指定難病の中で、ある程度集約が求められ、かつ、治療薬パイプラインが存在する疾病について、治験を行おうにも患者の治験医療機関の特定も困難な場合も多くあります。こうした状況を改善する対策を検討する必要性を盛り込んでいただくことも必要かと思います。
薬事からは離れますが、難病疾病ごとに煩雑・煩瑣であっても特定療養を加算することによって算定上の分析が可能になるとともに、患者の集約化にもつながり、治験環境の改善にも寄与すると考えられます。
保険情勢にあまり踏み込んだ記述が所掌外であるならば、関係する部署の連携・協力が期待される等の表現でも構いませんので、何とか報告書に記述できないか検討をお願いしますとのことです。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
ただいまの花井先生の御意見も含めて、御意見のある方、いらっしゃいますでしょうか。
どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。
先ほど厚生労働省から説明のありました方針・方向に関しましては、業界としても了承といいますか、同じ方向を向いているということで賛同いたします。
最も賛同させていただきたいのは最後のところです。厚生労働省、PMDA、製薬業界において検討して、GCP省令の改正を含めて今後さらなる取組を進めていきましょう、そのために議論しましょうというところは賛成したく思います。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
ほかに御意見ございますでしょうか。
どうぞ。
○中村構成員 中村でございます。
Fair Market Valueという、もともとポイント制を導入したというのは、どう算定していいのか分からないような時代に、ポイント制だとやりやすいということで始まったと思うのですけれども、例えば今は変わっているかもしれませんけれども、アメリカとかでIRBを通るまでに時間がかかるのはなぜかという話を聞くと、例えば採決するフレボノミストが何回採決したら何点とか、幾らかかるとかを細かく計算するから時間がかかるのだという話を聞いたことがあります。それを各医療機関の負担にすると大変なので、そこがうまく簡単にできるような形にしていただきたいのと、それから、このたびオランダの小児ネットワークの事務局をしているラドバウド大学の人に聞いたら、製薬企業に任せて算定しているとすごく安くなると。それを医療機関側で算定し直して高くしたら病院長から褒められたみたいな話もあるので、適正価格というものをきちんと検討できる体制をつくっていただけるといいのかなと思います。小児とかはそれをやると高くなるかなと思って、それで治験してもらえなくなったら困るなとは思っているところでございます。
取りあえず1つは以上です。
ほかにしゃべる方がいなかったら、もう一つ。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。事務局からですけれども、今、御指摘いただいたところは、Fair Market Valueがなかなか日本で普及しにくいというところの理由としても聞いておりますので、その辺り、具体的にどういうことができるかというのを検討していきたいと思います。
ありがとうございました。
○清田座長 もう一点、ついでに。
○中村構成員 中村です。
希少疾病の開発環境の整備は本当に大事だなと思っていまして、たしか前回も話したかと思うのですけれども、ヨーロッパはかなり希少疾病の開発にいろいろなネットワークに公費を投じていますが、それを横串で刺してお互い情報共有する、走っている臨床試験を全部共有しているとか、検討中のバイオマーカーを全部共有して検討したりとか、そういったネットワークもあるのです。なので、希少疾病の開発環境の整備、アカデミア側がもっとやらないといけないと思うのですけれども、そういったものがなかなかアカデミアのボランティア的な活動だけでは十分に整備されないと思うのです。例えば5年間で2回症例調査をしたけれども、それ以来全然しないという希少難病があるのですが、それだとなかなか開発につながらない。今の話では、環境整備という話は同時にある程度希少難病のレジストリー的なものの強化にもどんどんつながってくると思っています。
以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
ほかに御意見ございますでしょうか。
ウェブのほうから、佐藤典宏構成員からお手が挙がっています。佐藤先生、どうぞ。
○佐藤典宏構成員 北海道大学のほうの佐藤でございます。
医療機関側に属する者として、幾つか述べさせていただければなと思っています。それぞれの項目、それぞれ言いたいことはあるのですけれども、あまり長くなるとよろしくないので、かいつまんでお話しさせていただければと思います。
まず、一番上の中央IRBの件でございますけれども、基本的な方向は了承です。私が所属している大学という形態の中で、私は臨床研究中核病院とか、AROの集団だったりとか、国立大学病院の集団だったりとか、そういうところで結構意見交換するのですけれども、先ほど問題点として挙げられた中央IRBのところ、そこはそこでそのとおりなのですが、私の属するような属性の病院であれば、そういったところはもう十分理解してというか、まだ改善されてはいないけれども、もう議論をしてもしようがないので、中央IRBという方向で大きく歩み出すべきではないかという意見をおっしゃる先生方が多いです。もう世界にとり残されていって、治験自体が来なくなるという事態も十分起こり得ますので、一つ一つの問題で少しずつ改善する必要はありますけれども、大きな方向としてはいくべきだということになっておりまして、国のほうが主導してそういう方向で歩んでいくのがよろしいのではないかという意見を言う先生が多くなっています。私自身もそのように思っております。
2つ目の算定の方法については、中村先生がおっしゃったとおりでございまして、治験が非常に複雑化しておりますし、私のところでは再生医療製品とかをかなり扱うことも多くなっておりますので、基礎のポイント表はございませんので、ここは一緒に考えましょうということで現場のほうも理解しております。ただ、本当に中村先生がおっしゃったとおり、算定が非常に大変になりますから、何らかのシステムがあったりとか、一足飛びにはできないと思いますけれども、現場の算定の負担が少しでも軽減するような体制だったりとか方法を一緒に考えながらということで、こういった方向で進むということは、私が所属する多くの医療機関の方は思っていらっしゃると言えると思います。
それから、治験の合理化につきましてはぜひ進めていただきたいということで、現場レベルではあまりにも多い報告書、それから手順、IRB関係でも本当に報告だけといいますか、右から左に流れるだけの情報が多うございますので、そこのところを何とかしていただきたいというのが1点です。
それから、同意説明文書の共通化につきましては、御存じの方も多いと思いますけれども、R&D Head Clubというところで案をつくったものが、製薬協さんで今、かなり進められております。私が所属する国立大学の会合でもそれを説明いただいて、意見を聴かせてもらいたいということで、300ほど意見を出させていただきまして、実は先週、製薬協の方とその会議体を持ったのですけれども、幾つかの意見を取り入れていただいて、御修正いただきました。普及ということに関しては、製薬協さん側がしっかり使っていただかないと、医療機関側もなかなか協力し難いということは製薬協さん側もよく分かっていらっしゃって、その会合では、製薬協さんのほうは、まず製薬協内部の企業でこれを使うことを徹底したいということで申してくださいましたので、そこのところはそういった形で我々医療機関側も協力したいということで述べさせていただきました。
長くなって申し訳ありません。最後にモニタリングの件でございますけれども、製薬企業さん側のほう、効率的なモニタリングというのは取組に一歩踏み込み難いところがあろうかと思っております。我々、医師主導治験というのもやってございまして、中核病院の横並びの会議の中で、リスクベースドアプローチ、モニタリングということを検討する会がございます。そこでかなり手法についてお互いに勉強しまして、一歩踏み出しましょうということになっております。
私のところの北海道大学病院で行う参加施設数はそれほど多くない医師主導治験でございますけれども、リスクベースドアプローチで行うということで始めまして、小さな一歩かもしれませんが始めました。そういったことも含めて、医療機関側と一緒になって進めていっていただければなと思います。
あと最後、蛇足ですけれども、1番目と3番目、表現として医療関係者の意見も聴きつつ、厚労さん、PMDAさん、製薬業界さんで検討と書いていますけれども、意見を聴くだけではなくて、一緒に検討するほうにも医療機関側としては入れてもらいたいなといったところもあります。何か意見を聴いて、いその後どうなったかなではなくて、御一緒に検討させていただければありがたいかなと思っています。
長くなりましたけれども、私からは以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
まず、事務局からはいかがでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。
佐藤先生から御指摘をいただいたFMVのところ、その点については先ほどの論点と同じかと思いますので、どのような実際に進む取組ができるかと検討を進めてまいりたいと思っております。
それから、希少疾病の治験の実施しやすい環境整備のところ、花井構成員から事前にお預かりしたコメントとも論点は同じかと思いますけれども、薬事だけではない様々な担当部局と連携してやる必要があるかと思っておりますので、これについても必要な取組は進めていきたいと思っております。
ただ、花井構成員のほうから、報告書あるいは資料のほうに記載をしてほしいと言っていただいていることですけれども、保険に関する具体的なことについては、この薬事の検討会の報告書の中には少し具体的なことは書きづらいと思いますので、その点については、どのような記載ができるかというのは事務局側で検討させていただきたいと思っております。
それから、佐藤委員からも、御所属の機関における実際の取組を含めて、非常に前向きな後押しをしていただくコメントをいただいたと思っております。中央IRBの推進なども含めて、これはもうずっと以前から推進すべきということは声としては言われていたかと思っております。全体としてもそれを進めたほうがいいだろうというおおむねのコンセンサスがある中で、ただ、実際には制度上可能であるにもかかわらず進んでこなかったという実態がございます。これについては、実際何がネックになっているのか、これもある程度課題として浮かび上がっているのですが、より現場の医療関係者の方から課題を伺って、問題点の洗い出しをして、解決をしていく。例えばGCP上の手続で必要な見直しなどを進めていく、こういったことも進めていきたいと思っております。その際には、医療関係者の方々と密接に連携しながら、よく意見を聴かせていただいた上で、またこちら側の検討した見直しの方向性についても、そのような形が適切かどうかということもよく話を聞かせていただきながら進めていきたいと思っております。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
どうぞ。
○宮川構成員 宮川でございます。
今のお話にあったように、IRBに関してはその質が様々で、はっきり言うと劣悪なところから優秀なところまであるというところの中で、認定倫理審査委員会でも審査実数が数が足りないと一回停止するのですが、その後にまた同じ団体が設立して、それがまた動き出すというような形です。実際にはIRBといっても日本においてどれだけのものが有効に動いているのかは私としては疑問に思っておりますので、しっかりとした中央IRBのような形で物事がなされるということは非常に有効であろうと考えます。ここに書いてありますけれども、医療関係者の意見を聴くだけではなくて議論の中にも入れていただければ幸いと思っております。
日本医師会としても治験促進センターというものを持っていましたので、様々なことをやっていたのですが、非常に経費がかかるのです。公益社団法人の日本医師会としてもその予算化がなかなか難しくて、治験促進センターを手放したという形になってしまいました。関係者の方々には大変御迷惑をかけたと思っておりますけれども、今までその中で様々な仕掛けをつくっておりましたので、それを有効に公的なところでしっかりと使っていただくというような形にしていただければと思います。研究者が非常に研究の中に落とし込みやすいという仕組みをたくさんつくりましたので、活用していただくことが非常に重要だろうと思います。
それから、ICFに関しても、前提条件としては、海外と異なり国民皆保険である日本の中でどのようにあるべきかということもしっかりと考えていかなければいけないと考えます。その中でICFに関しても、今まで私もずっと仕事をしていましたけれども、同意書に関しても医師目線なのです。なぜかというと、患者さんに同意書に氏名を書いていただいて、それからおもむろに医師が書くというような順番となっていますが、本当は逆なのです。医師のほうがこういうことをしますということを説明して、「私はここに署名しますから、そしてあなたはこれを見て、納得したらあなたが最後に署名してくださいね」ぐらいの丁寧な書き方がなかったのです。つまり、どちらかというと、私も医師ですけれども、少し上から目線ではないけれども、そのような考え方の中でやってきた。そのような順番から含めて、全てのところが逆であったというところや、国民皆保険があるために患者が集まりにくい中でいかにしなければいけないのかといったら、すべからく丁寧に議論をしながら、ICFからしても、様式からしてもしっかりと考え方の中でもってやっていくということをみんなで議論して進めていくことが非常に重要なのだろうなと思います。
各先生から言われたことはごもっともなので、そのようなことを考えながら、コストというものはどこにかかっているのか、そういうところを分析しながら合理的に物事を進めていくことがこれから重要なのだろうと考えます。そうでないと、今言ったように臨床家がそこに入っていけないのです。小さな開業医の中でも臨床研究をやりたくてうずうずしている人間がいるのですが、そこの掘り起こしができないというところには、統一した形式があれば、より分かりやすく、各地域でもそういうものを広めていくことができるので、ぜひこれは進めていっていただきたいと思っております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
ウェブのほうから、眞島構成員からお手が挙がっております。どうぞ。
○眞島構成員 ありがとうございます。
今、ICFの話が出てきたと思うのですけれども、欧米ではNothing about us without usといって、我々の声が届かないところで我々のことについて決めてくれるなという、そういったようなモットーが採択されておりまして、今、頂いた文章をずっと見させていただいたのですけれども、患者会の役割あるいは患者さんの役割がどこにも明記されていないのです。今、欧米の製薬協の方たちから我々が依頼されるのは、もうICFの段階ですと本当に変えられることが少ないので、もっともっと川上のところまで行って意見を出してほしいということです。これから使える例えば免疫療法などに関しては、類似したお薬を体験した患者さんから、どういう点が改善されれば皆さん使いやすいお薬になるのですかというところもありますし、やはり試験の段階から、本当にこの治験の計画自体がこれを受ける患者さんにとっては本当にメリットのあるものになるのか、それとも不必要な負担を強いるものではないのか、そういうことも含めて治験全体に関して患者さんの声を反映できるような、今、そういったシステムになっているのですけれども、残念ながら日本ではまだまだというところがあります。最近FDAのほうでも、ペイシェント・エクスペリエンスデータ(Patient Experience Data)の重要性ということが言われてきていまして、それは単に一つの例えばアンケート調査とかそういうものではなくて、様々な観点から患者さんの声を治験に反映させよう、そういった取組が出てきていますので、ぜひ治験運用のさらなる合理化という項目に関しては、患者さんの声をしっかりと治験の中に反映させていくのだ、そういったようなことをぜひ書き入れていただければありがたいなと思っております。
以上です。
○清田座長 どうもありがとうございました。
これに関してはよろしいでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。
ICFの様式につきましては、佐藤先生、宮川先生、また眞島先生からもコメントをいただきました。これについて、標準化に向けた動きなども佐藤先生から御紹介をいただきましたが、ICFについては企業ごとに異なる、あるいは医療機関ごとにそれぞれ書き換えるみたいな作業が非常に煩雑になっているというところも指摘をしていただいておりますので、そういったところの見直しをどのように進めていけるかということは検討してまいりたいと思っております。
また、最後、眞島先生から御指摘をいただきました患者の声を聴くというところについて資料の中に出てきていないのは、確かに御指摘のとおりかなと思っております。患者さんを中心として治験がどのような形であることが望ましいかということは最も原点として重要なことかと思いますので、そういったことも最後の報告書の中に記載ができないか、具体的に検討させていただきたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○宮川構成員 ごめんなさい、時間がないところですけれども、今、患者さんの声と言ったのですが、患者さんの声といったときによく考えなければいけないのは、希少疾病やがんの患者さんそのもの、親御さん、その側面と、それから健康被害を受けた患者さん、患者さんというのはその両局面があるのだということをよく理解して、患者さんの参加ということを考えていただきたい。患者さんと一緒くたではない、そういういろいろな両極端のところの中で参加をしっかりと呼びかけ、そして考えをいただくというようなことをお考えいただければ幸いかなと思います。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○柳本構成員 方向性、一切異存ございません。ありがとうございます。
1点コメントさせていただきたいのは、治験実施の煩雑さのところで、これ以外に我が国における治験の分散、1施設当たりの組入れ可能患者数の少なさというところは明記いただきたいなと思っております。もちろんこの少なさ自体、分散自体は医療提供体制とも密接に絡んでいると思いますので、すぐに解消することは難しいとは思っておりますが、今、挙げられている対応の方向性の部分全てを対応したとしても、まだ分散化というところにおいて我が国の治験の煩雑さというものは欧米に見劣りするというところを我々としてしっかりと認識した上で、それ以外でできるところをできるだけ早く対応するということが必要なのかなと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
それでは、いろいろ御意見をいただいた上で、この方向性に検討事項として加えていただいて進めさせていただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○清田座長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただくことといたします。
それでは、戻りまして議題1について、まず柏谷構成員から製薬業界の意見について御説明をお願いいたします。
○柏谷構成員 柏谷でございます。
私から、業界指導について説明いたします。
2ページ目をよろしくお願いします。
今回の資料は、1月の検討会で業界側の宿題として受けた部分の調査結果、それから、また改めて業界からの提案についてお示ししたいと思います。
前回の宿題に関しましては、前回資料の日米欧での追加の安全性監視を比較したヒートマップの色の違いで、欧米が検討課題をどのようにつくってきているのか、リサーチクエスチョンについて検討すれば日本でも参考になるのではないかという御意見をいただきましたので、欧米の対応について調査いたしました。
また、本件とドラッグラグ・ドラッグロスとの関連につきましては、様々な要因に基づいていますけれども、我々としましてはMRCT参画前の日本人症例の件とも共通して言えることとして、日本の規制の独自性ということが挙げられるのだろうと思っております。
ただ、日本での使用成績調査が多く実施されているのは、規制だけの問題ではなく、企業側も定型的に使用成績調査を提案している状況もあって、規制当局と業界側双方で、今後を含めて検討していきたいと考えております。
3ページ目、よろしくお願いします。
まず、1月にいただきました宿題に対して、欧米における追加の安全性監視計画の考え方に関して、2つの切り口で調査いたしました。1つ目は欧米のガイダンスに基づく整理、2つ目が事例に基づく整理でございます。
事例につきましては、1月でお示ししましたヒートマップの製品の中から、欧米で追加の安全性監視を実施していないブロルシズマブに関して調査いたしました。
4ページ目をお願いします。
こちらがガイダンスの調査結果をまとめたスライドになります。追加の安全性監視計画を実施するには、まず重要なリスクの特定という作業から始まります。重要なリスクの定義につきましては、一番上のカラムですけれども、日米欧のICHで合意されたものがあり、それは特定されたリスクまたは潜在的なリスクのうち、当該製品のリスクベネフィットバランスまたは公衆衛生に影響を及ぼすおそれのあるリスクとなっています。
次に真ん中のカラムですけれども、重要なリスクの特定につきましては、欧州ではガイダンスの中でRMPにリスクベネフィットバランスへの影響と公衆衛生への影響を評価することになっていて、次のスライドで御紹介する事例でも、影響の大きさに関する記載がされています。
米国に関しましては、欧米のRMPに相当するガイダンスはなく、重要なリスクの特定について規定しているガイダンスはありませんでした。
追加の安全性監視を実施するリスクの特定ですけれども、欧州は、重要なリスクの中から既存の情報でリスク最小化の判断ができず、リスク最小化につながる明らかにすべき課題がある場合に実施するようになっていると。すなわち、リスクベネフィットバランスへの影響や公衆衛生への影響が小さく、既存の情報でリスク最小化が実施可能であるリスクに対しては、通常の安全性監視で十分であるという判断をしていると考えております。
米国につきましては、市販後に調査や治験を要求する場合のリスクとして、重篤なリスクに焦点を当てています。
このように、欧米の間でもリスクの特定プロセスは異なっていますけれども、明確化したリサーチクエスチョンに対して追加の安全性監視をするという、その点に関しては欧州・米国共通しているということでございます。
5ページ目をお願いします。
次に、ブロルシズマブの事例の調査結果になります。
網膜色素上皮裂孔は、日本では重要な特定されたリスクとして挙げられていますが、欧州では重要なリスクとはしていません。その根拠を上段に記載しております。欧州では、この事象に対して、実臨床下の医療行為で管理可能であって、リスク最小化につながる安全性監視活動はないと評価して需要な特定されたリスクにはなっていないと。そして、通常の安全性監視活動で十分と判断されているようです。
一方、日本では本剤群と比較群間での発現頻度の違いと、この事象は適切な対応が遅れると重度の視力障害につながるおそれがあるとの理由で重要な特定されたリスクに設定されておられます。
次に、日本でも欧州でも重要な特定されたリスクに設定されている眼内炎症、眼内炎に対して、欧州では追加の安全性監視は不要と判断した根拠が右側に示したものになります。共通して、リスクベネフィットバランスの影響と公衆衛生への影響が低い、欧州では、もしくはないと評価されております。さらにここで分かったことは、適切な標準治療でその事象の管理ができるという評価がされているようです。つまり、既存の情報で最小化ができるリスクについては、追加の安全性監視はしないという判断が欧州ではされております。
日本に関しましては、眼内炎症については、日本人被験者での発現割合が日本人以外の被験者と比べて高い結果であり、本リスクの特徴を明らかにする必要があるという理由で、特定使用成績調査を実施しています。眼内炎については、試験全体の結果で0.7%と0.1%の差というところと、重症化すると視力障害につながるおそれがあるという理由で特定使用成績調査が行われています。
以上が1月の宿題に対して調査した結果になります。
なお、今回の説明でブロルシズマブを選んだ背景ですけれども、重要なリスクと判断しなかった根拠については、欧州では通常記載されていないのですけれども、この製品では重要なリスクとしなかった根拠が明確に記載されており、欧米の考え方を理解する事例として最も我々も参考になった一つの事例であったということで選択しておりますので、この辺の扱いについては御留意いただきたいと思っております。
結論として、先生方から前回1月のときにヒートマップの色の違いについてという話があったのですけれども、こちらのほうは、日本での審査の過程における指導と、もしくは企業自らの判断で使用成績調査を選択している場合もあって、その理由を白黒明言することは難しいと考えております。だからがゆえ、その根っこは深いというか、日本では漫然と使用成績調査の実施に傾いているのではないかとも思われ、今回の議論を契機に、日本における使用成績調査の在り方、ひいては追加の安全性監視活動の在り方については引き続き協議が必要なのではないかなと考えております。
6ページ目、次のスライドをお願いいたします。
このスライドは、1月の資料の内容を改めて整理したスライドになります。左上のスライドになりますけれども、1月の検討会で説明さしあげましたが、使用成績調査は再審査申請資料の中心的役割を果たす資料と自発報告の補完としての意味合の2つの意味合いがあったわけです。しかし、自発報告の他に関しましては、ほかの制度の充実もしくは強化などによって、その目的での必要性は少なくなってきたのではないかと考えております。また、医療従事者の働き方改革や技術革新に鑑み、現在の使用成績調査の在り方を見直す必要があるものと考えております。
右上のスライドですけれども医薬品暴露から短期間で発現し、医薬品との因果関係の推測が容易な副作用については、市販直後調査と自発報告により十分収集が可能と考えております。
一方、医薬品の因果関係の評価が難しい副作用に関しましては、市販直後調査と通常の安全性監視活動では評価が難しく、これらに関しましては追加の安全性監視活動がその候補になると考えております。
また、このような事象に関しましては、日本単独での情報収集というよりかは、国際的に評価していくことも今後必要になるものだと考えております。
下の図に関しましては、先ほど説明した欧米での対応が妥当ではないかというところでございます。
7ページ目をお願いします。
今回の欧米の考え方を踏まえて業界で検討した提案を説明いたします。
結論から申しますと、一番下のところの業界提案と書いてあるところですけれども、医薬品の製造販売後調査等の実施計画の策定に関する検討の進め方についての通知を改定することを我々としては改めて提案したいと。
具体的には、なぜそうなったかということですけれども、上のほうから順番に下りてきますけれども、重要なリスクの設定の際には、リスクベネフィットバランスの影響と公衆衛生への影響を評価して、該当するものを評価結果とともにRMPに規定することとしてはどうかと考えております。
また、追加の安全性監視活動は、既存の情報でリスク最小化が実施可能である場合は、通常の安全性監視活動で対応可能と判断し、既存の情報でリスク最小化の判断ができず、リスク最小化につながる明らかにすべき課題がある場合には、その課題解決のために科学的な情報が必要な場合、追加の安全性監視活動の実施を検討するということを提案したく思います。
重要なリスクの定義をより明確にすることと、リスク最小化につながる明らかにすべき課題があるか否か、この2つの視点は、これまで日本で目に見える形で取り入れてこなかった視点だと思いますので、ぜひとも検討していただければと考えております。
8枚目をよろしくお願いします。こちらが最後のスライドになります。
欧米の考え方を参考に、現行の先ほど申し上げました医薬品の製造販売後調査等の実施計画の策定に関する検討の進め方についての通知に対する改訂案を具体的に示したものがこのスライドになります。
提案の大きなポイントは、ステップ1に重要なリスクを特定するプロセスを加えることでございます。その後、ステップ2では欧州に倣い、リスクベネフィットバランスや公衆衛生への影響、さらにリスク最小化に寄与する懸念事項か否かを検討して、追加の安全性監視活動が必要か否かを判断することを盛り込みました。また、どのような場合は通常の安全性監視のみで監視をしていくのかというのも、矢印を追加して判断基準をより分かりやすく、欧米の考え方を取り入れた案にしております。
このような通知改訂によって、欧米のベンチャー企業を含めた製薬企業から見ても、自国の市販後の安全性監視活動の考え方と同様の考え方であるということがひもづけられますと、日本の安全性監視を行うことができると判断できるようになると考えております。
なお、この改訂案について議論するためにも、引き続き本件について継続議論を業界、行政でやっていくことをお願いしたいと考えております。
私からの発表は以上になります。
○清田座長 ありがとうございました。
それでは、続きまして事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 それでは、資料2をお開きください。
まず、2ページ目です。
こちらは1月12日、前回の検討会における主な御意見を記載させていただいております。
使用成績調査の在り方については、1ポツ目では、役割は相対的に低下しているとか、2ポツ目では活用が限定的といった御意見がありました。ただ、3ポツ目で、特定の患者集団の情報収集には有用といった御意見もありました。また、4ポツ目ですが、直後調査を6か月行った後に、その時点でデータを吟味して、改めて計画を立てる2段階もあるのではないかといった御意見をいただいたところです。
また、全例調査についても、現在の運用の在り方を議論する必要あるといったことや、データベース調査について、現在日本では環境が整っていないといった御意見をいただいたところです。
続きまして、3ページ目です。
いただいた御意見も踏まえまして、対応の方向性の案をまとめさせていただいております。
まず、リサーチクエスチョンの設定と適正な対処方法の検討についてです。
1ポツ目ですが、リサーチクエスチョンの設定の在り方及び製造販売後調査等の計画検討時期については、引き続き製薬業界・行政間での議論を継続することとしてはどうかと考えております。
ただ、少なくとも現時点で言えることについて、3点記載させていただいております。
まず1点目ですが、単に治験の症例数が少ないことや、一部の患者集団における情報が不足していることのみがリサーチクエスチョンである場合には、使用成績調査を実施する根拠となるものではないこと。
また、これらを背景として、単に特定された重大なリスクに相当する副作用の頻度調査のみを行うために使用成績調査を実施することが適切な対処方法とはならないことを明確化するとしてはどうかと考えております。
また、3ポツ目ですが、少なくとも、製造販売後調査等を実施することが再審査期間の付与の前提となるものではないことを明確化してはどうかと考えています。
最後に、使用成績調査は、重要な特定されたリスクについて、その頻度調査を目的として行うことの意義は限られており、基本的には、重要な潜在的なリスク、重要な不足情報に関する調査を目的として行うことが想定されるものであることを明確化してはどうかと考えています。
続いて、製造販売後調査等の計画検討時期についてですが、計画につきましては、承認時に具体的なリサーチクエスチョンがある場合には、承認前に検討することとしています。現在でもそうですが、それ以外の場合、承認時に具体的なものがない場合には、承認前ではなく、市販後の適切な時期に、その要否を含めて検討するものとしてはどうかと、こうしたことを明確化してはどうかと考えております。
続いて4ページですが、全例調査の対象についてであります。
まず、単に日本人の治験の症例数が少ないことのみを理由とした全例調査は、原則として行わないこととしてはどうか。例えば、次のような場合、マル1からマル3のいずれかに該当するような場合には、一律には実施しないことを考慮してよいのではないかと思っております。
まず、マル1ですが、日本人では限られているが、海外では情報があるといったケース。
マル2が、作用機序が同様の類薬の実績がある場合。
マル3は、適応追加の場合といったことで、類型化しているところです。
2ポツ目ですが、また、リスク最小化を目的とした全例調査は、行わないこととするとしてはどうかと思っております。これはちょっと日本語がおかしかったかもしれませんが、全例調査も目的としてリスク最小化を目的とするものについては、そういった目的では行わないこととするとしてはどうかと思っています。
リスク最小化につきましては、従前どおり、市販直後調査や医療機関、医師の要件の設定などを活用することとしてはどうかということです。
3ポツ目、具体的なリサーチクエスチョンがあって、必要と認められる場合には、全例調査を行うことが否定されるものではないということも念のため記載させていただいております。
最後、データベース等のRWDの活用についてですが、製造販売後調査として使用成績調査を行わない場合であっても、製版後の安全監視活動においてデータベース等のRWDを用いて幅広く情報収集することは有用であり、引き続きRWDの利活用を推進することとしてはどうかと。
また、併せて基盤整備の構築にも取り組んでいくとしてはどうかと思っております。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
○事務局 失礼いたしました。花井構成員からのコメントを御紹介させていただきます。
市販後調査について、リサーチクエスチョンを明確化し、合理的範囲で求めることについては賛同いたします。
一方で、市販直後調査に関しては、これまで以上に重要度が増していると考えます。市販直後調査で重要な役割を果たすMRの人数も少なくなる傾向が見受けられる中で、より市販直後調査において医師が協力しやすいよう、企業に具体的かつ効果的な対応を求めた記述の追加をお願いいたします。
以上でございます。
○清田座長 ありがとうございます。
それでは、今までの御説明に対しまして、御意見ございますでしょうか。
どうぞ。
○成川構成員 ありがとうございます。成川です。
今の資料2の3ページ、4ページに対応の方向性というものを取りまとめていただきまして、事務局の方には感謝をしたいと思います。
御提案の方向については賛同したいと思います。その上で3点ほど意見を申し上げます。一つ目は、ここに書いたようなことをどのような形で明確に文章化をして実行するかということが重要だと思っておりますので、そのフォローアップも含めてぜひお願いしたいと思っています。と申しますのは、先ほど柏谷構成員から通知改訂案といって御提案いただきまして、この改訂内容についてはまたいろいろなところで議論していきたいと思っているのですけれど、実はこの通知は2019年3月につくられたガイドライン的なものなので、内容的には非常によくできたガイドラインだと思っているのですけれども、実態と合っていないというのが私の分析でありまして、つまり、ガイドラインに沿ったような形で実際の市販後調査がされていないのではないかと思っていますので、ガイドライン化とともに、さらにそれを個別の品目できちんと当てはめて実行していただくということが重要だということがまず1点目のコメントです。
2点目が、3ページ目の冒頭にあったリサーチクエスチョンの制定は非常に重要でありまして、あるいはリスク管理計画(RMP)における重要なリスクをどう選定するかというのは、安全性監視の計画作成の出発点となるすごく重要なものです。ですから、これについて業界と規制当局の間で継続的に今後また議論をしていただくことは非常に重要だと思っていまして、ぜひお願いしたいと思います。
これについては、具体的にどういう場で議論をするのか、あるいはどんなスケジュール感でやるのかということについて、もし今の時点で事務局でお考えがあったら教えていただきたいというのが2つ目です。
最後の3つ目は、今回の資料にないのですけれども、くどいようで前回の繰り返しになるのですけれども、新薬の適切な市販後安全性監視システムの整備というのは、広い意味で言うと日本における開発環境の整備でありまして、これを進めていくことは重要だと思っています。その際に、現在の日本のルールですと、使用成績調査を行うときの医療機関における倫理手続、つまり倫理審査や、あるいは対象患者さんからのインフォームドコンセントの手続とか、その辺りの規定が今のルールには全くないです。実態は、各企業あるいは医療機関の個別判断で対応しているということになっているので、そろそろ、しかるべき場で、この場でなくてもいいのですけれども、GPSP省令でその辺りどうするかということをぜひ法制面のほうからも御議論をいただくことを希望します。よろしくお願いいたします。
以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
事務局のほうから今の御提案について。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。事務局からお答えいたします。
リサーチクエスチョンの設定のところはこの検討事項の肝になるところだと思っておりまして、今回、具体的にどういう場合にはどうするというところまで深掘りした案を示させていただくことができなかったことは申し訳なく思っておりますが、大きな考え方、方向性は御確認いただいたと思っておりますので、ここからさらに具体化したものをつくり上げていきたいと思っております。
先ほど2019年の通知も御紹介、御言及をいただきました。我々も、あの通知自体は考え方としては全くそのとおりで、その考え方を否定する必要は全くないとは思っているのですが、あれを具体的に当てはめるときに、一律の使用成績調査にならないような、具体的な考え方とかケースとかそういったものを充実させていきたいと思っています。
具体的には、この検討会で方向性が決まった後、業界と当局との間でそれを深掘りして検討するような場を設けたいと思っておりますし、それは速やかに進めていきたいと思っております。
それから、最後に御指摘をいただきました製造販売後の調査の中で倫理的な配慮等に関するものがGPSP等にないという点については、この御指摘も踏まえてどのような対応ができるかということは検討させていただきます。
○清田座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
柏谷構成員から何か追加ありませんでしょうか。
○柏谷構成員 大丈夫です。迅速に業界と行政で制度改革について議論していただくということは非常にありがたく思っておりますので、この問題は重要ですので、早く進めていただければと思っております。
○清田座長 よろしくお願いいたします。
ほかに御質問ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○中村構成員 これは厚労省あるいは柏谷さんへの御質問になるかと思うのですけれども、リスクベネフィットバランスへの影響とか公衆衛生への影響は、後になってみてこうやって見ると、欧州がやっていることのほうが妥当な気がするなと思うのですけれども、こういう考え方はあまり日本の中で今まで議論されてきていないので、これでまた通知を出したとしても、一製薬企業がPMDAのとある部門と話をすると、結局旧態依然とした議論で、ぐるぐる回って先に行かないことが危惧されるのですけれども、ここ辺りをより具体的に検討できるために、どういう人材、例えば薬剤疫学の専門家が必要だとか、もっと公衆衛生に詳しい人が必要だとか、何そういった提案はございますか。何となく通知を出してもまた審査の場でぐるぐるしそうなイメージが湧いてくるのです。
○柏谷構成員 柏谷です。
今のところ具体的な人材どうのこうのというところは、アイデアはないのですけれども、まず話を進めると。確かに人材不足でもありますし、経験不足でもありますし、そのような考え方はなかったというのは、成川構成員からもお話があったところではございますけれども、そういうところを理解して、その上でみんなで議論しながらよりよいものをつくっていくということがまず一義的には必要なのかなと思っております。
○中村構成員 もう一つ加えて質問なのですけれども、こういうところの考え方を例えば欧米の規制当局とPMDAの関係者の中で議論して目線合わせをするとか、そういうことは今までやられたのか、それから今後できるのか、そこも含めて御質問させてください。
○清田座長 PMDAからお答えいただけますか。
○PMDA執行役員(新薬審査等部門担当) 具体的にRMPの在り方とかそういったところは、今日、安全部門の担当の者が来ていないので詳細にはお答えできないのですけれども、個別の新薬の承認審査の際は、例えば抗がん剤ですとオンコロジーのクラスターの電話会議の場であるいは様々な個別品目の承認に当たって課題となっていることについては個別に欧米の規制当局ともよく連携を取った上で、どういう形で添付文書を設定するのか、あるいはどのような追加の安全性監視活動をやるのかとか、そういったことも含めて議論をしております。今回、製薬協から追加の安全性監視に関する欧米との違いについて御提示があったものの中には、欧米の承認時に既にデータがたくさんあって、追加の安全生活監視活動が先に進んでしまっていたようなものについて日本でどうするかとか、そういった個別の事情もいろいろあったと承知しておりますので、そういった中で欧米ともしっかりとRMPの在り方とか、リサーチクエスチョンの立て方とか、そういったところは議論していけるようにしたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
この会議は、PMDAも変わりたいと思ってやっているわけですから、ぜひもうちょっとポジティブに捉えていただければと思います。
○中村構成員 期待しています。つい先日もとある審査部とのやり取りであれ、先祖返りしたかなと思ったことがあったので、ちょっと厳しいことを言わせていただきました。
○清田座長 先祖返りしないようにと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ほかに御意見ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
どうぞ。
○宮川構成員 大変初歩的な質問で申し訳ないのですけれども、今、そういう意味では柏谷構成員から一例という形で5ページに提示されたわけでしょうけれども、その中で、適切な治療で管理可能であるという形で眼内炎の発現率が低かったと書いてあります。しかしながら、これは一般に適切な治療で管理可能であるというような表現で、欧州の場合はこういう表現をされるということかと思います。適切な治療で管理可能というのは、どのように適切とされるのか。つまり、それが起こった場合に、誰がどのように責任を取るのか。PMDAも含めて、この記載が日本であった場合に、どのように考えるのか。その辺りのところのしっかりとした書き込みが今まで検討されていないし、欧米のそういう考え方ではない日本においては、仕方なしにそのような形で重症化すると失明に至る可能性があるので、その前にしっかりとした検討をしてくださいときちんと例を見てくださいということです。そのことによってこれが市販されて、そして通常の診療の中に落とし込めるという形で実臨床される。その辺りの言葉において、どこに力点があって、誰が責任を取っていくのか。企業が責任を取るのか、PMDAが責任を取るのか、それから実地の医療者、そういうものがしっかり見ていかなければいけないのか。そういうところの責任が全然見えないのです。安全性の監視なしでいいといったところに、柏谷構成員が出したのですが、これは字面の中で、これを本当に出したときに、どうやって皆さんが責任を取るのかしらと思ったので質問させていただきました。
○清田座長 ありがとうございます。
私の理解は、欧米に右へ倣えしろと言っている話ではないと思っています。
○宮川構成員 ただ一例で出したのだけれども、こういう違いを出したときに、これで議論しろというのは分かるのです。柏谷構成員がこれを出したということは、PMDAにも出されたということです。欧米の実例を出しながら、今後検討するのだといったところでは、よく分かるのですが、それを責めているわけではなくて、今後そういうところもきちんとやらなければいけないし、先ほど御質問があったように、リサーチクエスチョンの検討の場はどこでやるのですか、事前にどうやってそれをきちんと検討して載せるのですか。そういう場が何も書いていなく、それでこの報告書がまとめられているということになれば、実臨床に落とし込んだときに混乱するばかりなのです。今までと同じことなのです。そうすると、それは日本に実力がないから一歩手前かで収めておきましょうみたいな話になるので、そのところの曖昧さを残したまま今、検討しているのです。そのところは言葉を濁さないでしっかりやっていただかなければいけない。
だから、迅速にやるのはいいけれども、その前のそういう試験というのは少し簡素化しながら、実臨床に落とし込んでもいい。そこで、安全の監視活動をする、市販後調査をする、全例調査するのは嫌だよとまた企業が言うわけです。どっちにバランスを取ったらいいのですかと言うと、あるときには早く調査をしてほしいと言い、あるときには全例調査みたいなことは嫌だからと言い、もちろんこうやって先ほど事務局から方向性をきちんと4つも出していただいた。それに当てはまらないというところでは、これも合理的なのです。けれども、軽重とかそういうものが非常にあるときには、あるときにはこうというふうに、少し顔が変わってしまっているので、今までの報告書を見てもそういうふうにしか見えない。ぜひともその辺りのところはしっかりと私たちが読み込んで、そして検討会の中で語句もちゃんとしっかりとした定めをしてやっていかないと、ただ検討会でやりました、字面を整えましたといっても、実際には本当は何も変わらないということが起こってしまうのを私は懸念しています。
以上です。
○清田座長 懸念されているそうですけれども。
○柏谷構成員 柏谷です。
宮川構成員、どうもありがとうございます。
先生の御指摘は全くそのとおりだと感じております。我々もそうだったのですけれども、今まで全例調査で最終的に承認くださいというような逃げ方もしてきた経緯もございます。今回、この検討会を実施していただいて、その中でそういう時代ではないよと、ちゃんとサイエンスに基づいていろいろ考えていきましょうというところで一歩踏み込めたというのは非常に大きいかなと思っています。
先ほどの実臨床のことも考えてという御指摘もごもっともでございまして、私の今日の説明の中で、白黒はっきりできないという話はさせていただきましたけれども、まさにそこの点でございます。では、欧州のやり方でいいのだろうという話ができなかったのは、欧州では実医療の場でどういうことが行われているのか、日本のその判断というのはおかしかったのかということを考えたときに、我々デスクワークの人間からでも、日本の判断は間違っていないよねというところもあり、そこのところの深掘りは必ず必要かなと。
そういうところも今までちゃんと議論できていなかったわけで、そういうところは今回の話をきっかけに、宮川構成員含めいろいろな方々と詳細を議論させていただければと思っておりますので、引き続きこの点に関しては、せっかく検討会で話題に上がったことですので、継続的に議論させていただければと思っております。
○宮川構成員 ありがとうございます。
ですから、先ほど患者さんという話をしたときに、疾患で困られている方のサイドと、それから疾患でいろいろな副作用、いろいろなことが起こった患者さん側、両方がいらっしゃる。医師が全部判断するわけではない、患者さんが全部判断するわけではない、両極端がいらっしゃるので、しっかりとした構成員含めていろいろな方がいらっしゃる中でこういうものがつくられていかなければならない。アカデミアだけでも駄目、それから企業だけでも駄目、患者さんだけでも駄目、そして患者さんもいろいろな立場の方がいらっしゃる。そういう中でしっかりと考えていくということが必要なので、これは単に時間がないから、これで一つの区切りをつけて、結論を出して、文言をつくっていくのでしょうけれども、その中でもまだまだ積み残しがあって、やらなければいけないことはしっかりとその中で書き込んで、ある程度の時期にはちゃんとそういうものを解決するのだよというところも書き込みがないと、やはり不完全なものになるのではないかなと思ったので発言させていただきました。
○清田座長 ありがとうございます。その辺を積み残さないように報告書が出来上がると確信しております。
どうぞ。
○中村構成員 今、宮川先生の御発言を聞きながら思ったのですが、実際、リスクマネジメントプランをつくるときに、どれぐらい臨床感覚のあるお医者さんが今、企業あるいはPMDAで関わっておられるのかなとちょっと思ったりしたのです。場合によって、承認の前にアカデミアとか臨床現場にちゃんと相談して、しっかりした計画というか、それはリスクマネジメントプランにかかわらず、適正使用のための相談をアカデミアとしてきなさいみたいな形で学会のほうに来てくださることもあるのですけれども、そこ辺りはどれぐらいうまく、今みたいな宮川先生の声みたいなものが内部で出ればもうちょっと手が打てるように思うのですけれども、そこ辺りは製薬企業一般としてどんな感じですかというと、製薬企業の代表としては答えにくいですか。
○柏谷構成員 はい、非常に答えにくいです。各社いろいろなアプローチもありますし、各社で抱えているドクターと関係のある専門医の先生方でもいろいろあると思いますので、一概には言えないかなとは思っていますけれども、安全性に関することですので、その辺のところはいい加減にしている企業はないと、そこはもう声を大にして個人的には言いたいと考えております。
○宮川構成員 宮川です。
それは私もずっと経験しています。欧米ではかなりドクターの方が企業の中にいらっしゃる。日本ではだんだん少なくなってきているのが現状なのです。それをちょっと危惧したものですから、そのことを含めて言わせていただいたということが、今、中村構成員がおっしゃったようなところで、どこで誰がどういうふうに考えるのかということをしっかりと明確に出していかないと問題が起こってくるだろうなということは想定されるのではないかなと思います。
○清田座長 ほかに御質問、御意見ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
眞島先生からウェブでお手が挙がっています。どうぞよろしくお願いいます。
○眞島構成員 ありがとうございます。
ページ4のリアルワールドデータの活用についてのコメントです。欧米の患者会と話すと指摘されますのは、患者は治験に関してはテストアームに入りたいのだということです。コントロールアームとかプラセボは冗談ではないという声がやはり聞こえてきて、じゃあどうしたらいいのかというところでリアルワールドデータの使い方というのは一つあるよねという話があります。実際日本で治験をされる先生方に聞くと、リアルワールドデータなんて治験の環境下で集めていないので、そんなものはごみだよという話があって、ああそうか、やはり使えないのかな、そう思ってきたのですけれども、最近ではゲノム医療が進んできて、バイオマーカーベースでもって横断型でお薬が使えるようになって、今、C-CATでは単純にジーンプロファイリングのデータだけではなくて臨床データも同時に集めているということなので、RWDも使えるようになってきたのではないかと感じています。また、希少がんに関して言えば国立がんセンターのほうでマスターキープロジェクトが走っております。ここは希少がんのレジストリーとしては世界最大規模になってきていますので、そういったようなデータベースの活用は今後ますます盛んになっていただきたいなと私も思っていますので、最後に書いていますけれども、データベースの整備等の基盤構築に取り組む、ぜひこのリアルワールドデータの活用を日本でも進めていただければありがたいと思います。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。事務局です。
この資料は製造販売後調査の中でのリアルワールドデータの活用について書かせていただいておりますが、今、眞島構成員から御指摘いただいたように、新薬の開発時において、外部対象などとしてリアルワールドデータを使えないかということは、考え方としては進めるべきであるということは言われていると思っております。厚労省でもぜひそういった活用事例を増やしていけないかということで、様々な信頼性確保のための支援あるいは相談制度などを設けて取り組んでおりますが、まだなかなか活用が進みにくいという状況にあります。さらなる取組が必要だと認識しておりますので、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
○清田座長 よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
ほかに御意見ございますでしょうか。
どうぞ。
○中村構成員 あと1つだけ、使用成績調査のところで、基本的には、重要な潜在的なリスク、重要な不足情報に関する調査を目的として行うことが想定されると書いてあって、先日、小川先生もおっしゃっていましたけれども、小児の情報がなかなか添付に反映してもらえないとかいう話もありましたけれども、重要な不足情報も小児に使えるものは全例やってほしいと小児科の先生は思うと思います。
ただ、それを言うと企業側の負担が増えて小児がやられないと困るので、その辺りのもしかしたらインセンティブとか何らかの手当ても必要かと思いますけれども、本当に現場で一生懸命情報を集めたりするのです。より低い年齢のお子さんの情報を一生懸命集めたりしても、現時点で今、厚労省の指定研究のほうでも議論していますが、そこをどこに反映するのかがなかなか明確になっていないので、こういった調査をしっかり進めていただきたいというのと、それがうまく進むように、それからその結果がうまく反映されるようにということをうまくリンクして御検討いただければと思います。
○清田座長 事務局からお答えください。
○次世代ワクチン等審査推進室長 ありがとうございます。
小児のような特定の患者集団での情報収集が重要であるということは、この論点についての1回目の議論、1月のときにも御意見として頂戴したかと思っておりますし、今後、リサーチクエスチョンとかそのための具体的な調査方法を検討する中で、そういった切り口も含めて検討させていただきたいと思っておりますし、また、そこで集まったデータの活用方法についても、今、言及いただいた中村先生の研究班のほうでも御議論いただいていますので、そちらともよく連携をしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○清田座長 よろしいですか。
ほかに御意見ございますでしょうか。
ありがとうございます。それでは、ないようでございますので、対応の方向性に関しましては御了承いただいたものといたします。皆様の御意見も踏まえてまとめられると思います。
それでは、次に議題3について、事務局から御説明をお願いいたします。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局から説明をさせていただきます。
議題3につきましては、「PMDAの第5期中期目標・中期計画について」でありますけれども、こちらの議題につきましては、この検討会が始まりまして最初のほうの回で、構成員の方から、PMDAの体制強化とかPMDAの在り方について議論する場を設けてはどうかという御提案をいただいておりました。それぞれの検討事項を議論する中でも、PMDAの関わりなどについては御議論があったかと思うのですが、今回、最終回となりますので、この第5期中期目標・中期計画を通じて御報告をさせていただきたいと思っております。
中期目標・中期計画については、独立行政法人は5年ごとに定めることとなっております。PMDAにつきましては、令和6年度から新しい5か年、すなわち第5期が始まることとなっております。
中期目標・中期計画という2つがあるのですが、中期目標についてはまず厚生労働省が定めます。それを受けましてPMDAにおいて中期計画を定め、それを厚労省が承認をするという形になっております。
資料番号が前後逆になってしまうのですが、まず資料4-2の中期目標のほうを先に御覧いただければと思います。中期目標の概要を抜粋しておりまして、全体像につきましては参考資料としてつけておりますが、本日は特に審査業務を中心に、資料4-2の概要を使って説明をさせていただきます。
2枚目を御覧いただければと思います。
PMDAの使命と目標ということで、全体像をまずまとめております。かいつまんで説明をさせていただきますと、中段右側にあります環境変化というところをまず御覧いただければと思います。海外で承認されているにもかかわらず、日本では承認されていない国内未承認薬が、日本で薬剤の開発に着手されないというドラッグロスの問題などが生じており、新たな医薬品等アクセスの課題が生じていると。
また、新型コロナウイルス感染症に対するmRNAワクチンやプログラム及びこれを記録した記録媒体であるプログラム医療機器(SaMD)をはじめとする、これまで前例のなかった革新的な医薬品・医療機器等が申請・承認されており、テクノロジーの発展が加速をしている。
この検討会におきましても、ドラッグロスあるいは創薬力の強化という観点で昨年7月以来議論していただきましたが、こういった問題意識も踏まえた上で、第5期の中期目標をつくっております。
矢印の下、中期目標のところですけれども、特に審査関連を抜粋して説明させていただきますと、2つ目のマル、イノベーションに的確に対応した医薬品等の相談及び審査の実施、また3つ目、海外開発先行の医薬品等の国内開発・導入のための環境整備及び情報発信の強化といったことを目標の柱として掲げさせていただいております。
3枚目をお願いいたします。
今申し上げたことをもう少し敷衍して説明をさせていただきます。
具体的事項というところを御覧いただいて、まず1)医薬品審査業務の迅速かつ適切な実施、先ほど申し上げたところをもう少し具体的な事項としてブレークダウンをしております。
マル1、世界最速レベルの審査期間の堅持と、イノベーションに的確に対応した相談及び審査を実施する。また、患者ニーズの高い医薬品や海外開発先行の革新的医薬品について、実用化支援や情報発信の強化を図る。
マル2、ジェネリック医薬品の安定供給確保へ貢献するための迅速な審査の実施と一層の質の向上を図る。安定供給に関しても、この検討会の中で一部議題として取り上げさせていただいたところです。
1つ飛ばしてマル4、適合性調査の効率化と国内治験の支援及びリアルワールドデータ等への適切な対応を図る、これは本日も議論のあった論点かと思います。
マル5、新しい製造技術に的確に対応し、GMP実地調査の充実及び無通告査察の着実な実施を図る。また、都道府県等の職員への教育支援の充実及び医薬品品質に係るリスクコミュニケーションの促進を図る、これは品質に関連して、GMP調査、薬事監視の強化という議論もこの検討会でさせていただいたところです。
その下、2番のところは医療機器、再生医療等製品ですので飛ばさしていただいて、4枚目を御覧いただければと思います。
具体的事項が続いておりまして、3番、レギュラトリーサイエンスの推進による業務の質の向上、こちらも革新的なイノベーティブな製品に対応するために、レギュラトリーサイエンスの活動強化などを図っていくということを書いております。
4番、国際化の推進のところですけれども、この中では特にマル3、日本の薬事制度及び相談制度等の機構の業務内容・実績に関する世界への情報発信を強化すること、これもこの検討会の中で御議論をいただいたところです。
それ以降は評価指標、具体的にどのような定量的な指標で評価をするかとか、重要度・困難度など評価に当たっての視点を書かせていただいておりますが、本日は省略をさせていただきたいと思っております。
続きまして、資料4-1、中期計画のほうにつきましてPMDAから説明をお願いいたします。
○PMDA執行役員(新薬審査等部門担当) では、私のほうから、資料4-1の第5期中期計画の案の概要について御説明いたします。
先ほど説明がありましたとおり、厚生労働大臣により中期目標が定められましたので、それを踏まえまして、現在、PMDAとしての中期計画について厚生労働大臣に認可の申請をしている状況でございます。
具体的にページとして2枚目のページ、ページ数としては3と書いてあるところですけれども、次期中期計画(案)の概要と書いてございます。上の枠囲みのところにある基本的な考え方については、先ほど松倉補佐から御説明がありました中期目標の説明と同様に、現時点の背景、ドラッグロスの話、あるいはメッセンジャーRNAワクチンなどの新規モダリティーの革新的な医薬品などが出てきている、そういった背景が記載されているところでございます。それを踏まえた真ん中の審査業務のところで、特に新薬に関係する事項ということで具体的な業務の概要を書いております。先ほど御説明がありましたとおり、イノベーションに的確に対応した相談及び審査の実施、患者ニーズの高い製品について実用化の支援ですとか、革新的な製品の日本での開発・導入に着手しやすくなる環境の整備と情報発信、それから、本日御議論いただいたこととも関係しますけれども、国内治験手続等の簡素化・負担軽減を支援するための環境を整備する。それから、一度この検討会でも品質に係る議論がございましたけれども、品質に係るリスクコミュニケーション推進ですとか、GMP等に関する都道府県職員への教育支援の充実、こういったところが項目として入っているところでございます。その中で、一番下にあるようにPMDAの業務・実績の世界への発信というものも具体的な中期計画として入っているということでございます。
次のページに行っていただきまして、第5期の目指す方向性ということでポイントを絞っておりますが、こちらも先ほど御説明があった中期目標に沿ったものとなっております。レギュラトリーサイエンスの観点からの実用化推進に対する積極的な貢献ということで、その中で、この検討会でもたくさん議論いただきました小児用医薬品あるいは希少疾病用医薬品等の未承認薬等の解消に向けた対応といったことも、方向性として、大きな柱として盛り込んでいるところでございます。
また、国際的な貢献ということで、先ほども説明しましたPMDAの業務内容・実績の世界への発信をしていくことも盛り込まれています。
それから、業務の質の向上や一層の効率化ということで、レギュラトリーサイエンスの推進ですとか、あるいはパンデミック等の緊急時対応体制の整備、それから、これはまず安全部門から始めるということですけれども、患者会との連携による情報提供等の充実などリスクコミュニケーションの強化も行っていく。さらにはIT化ですとかBPR、ビジネス・プロセス・エンジニアリングといったところも、業務改善もしっかりやっていくということを示しております。
次のページにつきましては、いわゆるタイムクロックの目標ということで書かせていただいておりますけれども、従来から新医薬品の優先品目については、総審査期間が80%タイル値で9か月と定めているなど、現行、世界最速の審査期間となっておりますので、これをしっかりと堅持してやっていくということと承知しております。
次のページ、最後のページですけれども、具体的な次期中期計画案の中でどのような記載をしているかと申しますと、まず1つ目ですけれども、Early considerationの発信や最新の科学的知見に基づく臨床評価ガイドラインの策定などイノベーションに的確に対応した相談及び審査の実施と書いてございます。Early considerationといいますのは、この検討会の場でも議論がありましたように、例えば新規モダリティーの製品に対してどうやって開発をしていくのか、あるいは新たな臨床試験のデザインの考え方について、どうやって取り込んで医薬品の開発を効率化していくかとか、そういった最新の技術あるいはその考え方について、PMDAとしても開発者の参考となるように、しっかりと考え方をどんどん示していくと。そういうことで開発の手助け、迅速化に貢献していくということでございまして、こういったことをしっかりとPMDAとしても取り組んでいきたいと考えております。
2つ目と3つ目のポツですけれども、今行っているRS戦略相談あるいは治験相談の対面助言などにおいて、日々、ICHなども含めて様々なガイドラインとかが新たに発出された際には、その考え方をしっかりと踏まえて、適切な対面助言を迅速にやっていくということでございます。
4つ目のポツがまさにこの検討会の場で議論いただいた内容に関するものでして、希少疾病用医薬品に関しましては、要件の明確化による対象拡大ですとか、あるいは早期指定について通知なども発出されているところでございます。それに伴って、PMDAとしてもその通知の考え方に従って、件数なども増えていきますけれども、厚労省からの予算的な支援などもいただきながら、しっかりと対応していくということ。
それから、小児用医薬品についても、開発計画についてPMDAで確認するというスキームを今後つくっていくことになりますので、そういったことについてもPMDAとしてもしっかりと対応していきたいということでございます。
その次の海外開発先行の革新的医薬品について日本での開発導入に着手しやすくなる環境の整備と情報発信の強化、これにつきましては、例えば海外の学会等におきまして、日本の規制あるいはPMDAの業務内容、どういったサポートができるかとか、そういったこともしっかりと説明、情報発信して、ベンチャー企業等との個別相談なども実施していきたいと考えておりますし、海外のベンチャー企業に対する相談支援の窓口となる拠点として、アメリカのワシントンDCに拠点を設置するというようなことも計画に盛り込んでおります。
また、この検討会の場で御議論いただきましたように、海外開発先行の医薬品の国際共同治験に日本が参加する場合のフェーズ1試験の必要性等について考え方も整理されましたので、そういったことについてもしっかり踏まえた適切な相談対応をしていきたいと思っております。
そのほか、パンデミックに対応できる審査体制の構築などもしっかりやっていきたいということでございます。
あと、ジェネリックのところに書いてございますけれども、こちらの検討会で議論いただいたことと関係する事項としては、後発医薬品の承認申請に当たって、適合性調査を強化するとか、そういった内容も盛り込まれているところでございます。
駆け足となりましたけれども、私からの説明は以上でございます。
○清田座長 ありがとうございました。
ただいまの御説明につきまして、御意見ございますでしょうか。
どうぞ。
○柏谷構成員 柏谷です。ありがとうございます。
ここに記載されている内容、本当に全てやっていただければ非常にありがたいのですけれども、1つ懸念として私が考えているのが、今回の検討会の中で、オーファン指定の制度改革というところがありましたけれども、僕は長く薬事をやっていますが、初めてその中で何が書かれたかというと、PMDAの工数不足から、優先審査・優先対面助言非該当品をつくりますよと。つくるのはいいのですけれども、PMDAの工数不足だということが明言されているというところが実は非常に気になっています。今、日本では年に4回しか承認のタイミングがない中で、日米欧で寸分たがわないような審査スピードでやっておられて、また、業界からの要望にも今までそつなく対応していただいたにもかかわらず、ここにきて初めてPMDAの工数不足ということが明記されてしまったと。そこを危惧しておりまして、もしそのところが非常に懸念になっているということであれば、多大なる時間を使っておられるであろう審査報告書の記載内容の改定、そのほか資料がいっぱいあると思いますけれども、そういうところの効率化とか、あと民間の力をある程度使っていただくということも、PMDAの成り立ちからなかなか難しいところがあるということは存じ上げておりますけれども、PMDAが成り立ってからもう数十年たっているということを考えれば、民間の力も活用しながら、米国スタイルですね。日本ではある程度定年になられた方がPMDAに就職したり、またPMDAの方が若かりし頃に民間に来るという流動性はあるのですけれども、若かりしときに民間に行って、行政に行って、また民間に戻ってくるということの人の流動性は米国ではかなり厳しい規定はあるのでしょうけれども、そういう流動性もありますので、ぜひとも今後はここまで来ているのであれば民間の力も活用していただくということも念頭に置かれてはどうかなと思っております。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
いかがですか。
○PMDA執行役員(新薬審査等部門担当) 御指摘ありがとうございます。
PMDAとしても、審査業務の効率化というところにはしっかり取り組んでいきたいと思います。
また、人員体制の強化のところはどちらかというと私どもはむしろ厚生労働省にお願いをする立場ですので、そこのところで予算的な措置ですとか、場合によっては製薬業界の方々とも手数料とかそういったところで御相談しなければいけない場合もあろうかと思いますので、そういった面での御協力とかをお願いすることもあるかもしれません。
それから、人材の流動性のところは、私どもだけではなかなか難しいところではございますけれども、それこそ製薬業界の中で流動性を高めるようなことが何かできるのかとか、そういったことも御検討いただければ大変ありがたいと思っております。
○清田座長 ありがとうございます。
眞島先生からお手が挙がっています。眞島先生、どうぞ。
○眞島構成員 ありがとうございます。
昨年DIAのときでしたか、FDAからディレクターの方とかがいらして、以前もそういう方たちと米国の患者会とで話をさせていただいたことがあるのですけれども、患者会とPMDAのコラボレーションがどれぐらい進んでいるのかと質問されて、答えづらかったのですけれども、今、FDAのほうでは先ほどお話ししたペイシェント・エクスペリエンスデータというものを用いて、承認申請に関して患者さんの声を届けて、お薬を待っている患者さんのために一日でも早くお薬を届ける方法はないのかなということを考えてくださっているという印象を受けました。PMDAの方たちにも患者さんの声をPMDAの中に反映するような仕組みとペイシェント・エクスペリエンスデータの活用について、ぜひ計画の中に入れていただいて、FDAと同じように患者さんの声が反映される承認申請ということを実現していただければありがたいなと思います。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。
どうぞ。
○PMDA執行役員(新薬審査等部門担当) 眞島構成員から、大変重要な御指摘ありがとうございます。
私どもも現時点で患者会の方々との協働というところが欧米に比べてまだまだ足りていないという状況と認識しておりまして、そこのところを今後しっかりと取り組んでいくという方向性でございます。PMDAの中でも患者参画に関する部署横断的なプロジェクトチームをつくりまして、その中で患者参画に関するPMDAの関わりの在り方など、基本的な考え方について文書も取りまとめたところでして、そういった形でしっかりと連携して進めていけるようにしたいと思います。今後、そういった方向についていろいろと御相談させていただきながら、進めていければと思っております。
○眞島構成員 よろしくお願いいたします。
○清田座長 よろしいでしょうか。
ほかに御意見ございますでしょうか。
宮川先生、どうぞ。
○宮川構成員 宮川です。
私が言うことではないのですが、PMDAは人材力の強化と中期目標に書いてありますけれども、今、柏谷構成員もおっしゃったように、人材というのは非常にお金がかかるわけです。もちろん常々私は申し上げておりますけれども、PMDAはそれほどお金を持っていない。もっとそういう意味ではそこに資金的なものも含めて国がしっかりとした支援をしなければいけないと思います。今、柏谷構成員がとても良いことをおっしゃったのは何かというと、人材交流も含めて、そういう意味では給料は企業が払うこととして、PMDAに行って一生懸命勉強させて、そして自分たちの企業のためになるのだということで、それだけおっしゃるのであれば、人材をどうぞ活用していただくと。勉強の場をPMDAにするのだということで、有効にやっていけば、それこそ交流も含めてしっかりとしたことができる。そしてさらに国のためになる。そして人材力の強化、それはウィン・ウィンの関係で製薬企業の中にもあるというような形になるのではないかなということで、とても持って帰れるようなものではないかもしれませんが、ぜひ製薬団体の中でそういうことをしっかりと議論していただいて、ただPMDAにやれやれというのではなく、PMDAに対してもしっかりとした支援をするということです。それは国の中でできる限りのことを皆さんでやっていくことであり、もちろんそれはアカデミアの中でもしっかり検討しなければいけない話だろうとは思いますけれども、そういうこともぜひ企業の中で考えていただき、また、PMDAのほうでも少ない資金力の中で、どのような人材力の強化ができるかどうか、その中身をしっかりとまた検討していただくということをすればよろしいのではないかなと考えます。私が言うことはないとは思いましたけれども、発言させていただきました。
以上です。
○清田座長 ありがとうございました。
ほかに御意見ございますでしょうか。
よろしいですか。
一方では、働き方改革があるのです。ですから、その辺のバランスは難しいかなと。工夫していただいて、効率化をして、それで審査も迅速化していただくということに尽きるのではないかなとは思います。
それでは、ほかに御意見がないようでしたら、この辺で御確認いただいたものとしてよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○清田座長 ありがとうございます。それでは、御了解いただいたものといたします。
今までいろいろな御意見をいただいて、ここまで来たわけです。報告書につきましては、事務局で議論を反映していただいたもので作成していただくと致します。それを、私が出来上がったものを確認させていただきます。それで、確認したいという構成員の先生方がいらっしゃれば、確認していただくという感じで、私1人ではなくて、そのほうがいいのではないかなと思います。それでよろしいですか。
それではまず、出来上がった報告書は私が一回目を通して、皆様にも一度確認していただいて、それでフィックスするということでいきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
本日の検討会は以上ですけれども、今回、最終回でございますので、医薬局長から一言。
どうぞ。
○中村構成員 すみません。どうしても1つだけ聞いておきたかったことがあって、1回目のときに小児の話がちらっと出た中で、その中に対応の方向性が2つあって、承認申請パッケージの柔軟性と、小児用剤型の利用促進策というものも書かれていたのですけれども、ここは具体的な議論はその後は一切ないのですが、我々からすると非常に大事で、特に小児用剤型の利用促進、具体的には海外からせっかく入れてきたけれども、日本の医療現場に合わなくて、実は小児病院ですら大人のものをいまだに使っているとか、あるいは、それ以外の切り口では、そういう剤型変更がいまだにいっぱいやられているとか、そういったところの解決をこれからしていかないといけないと、小児科領域ではすごく強く思っていますので、それも含めて、この検討会、つい数回前にたしか清田先生もこれは本当に今年度中に終わるのかとおっしゃったぐらい今日もいっぱい意見が出たのですけれども、そういった問題が、ここが終わった後止まらないように、ぜひ何らかの御検討を進めていただければと思います。よろしくお願いします。
○清田座長 ぜひよろしくお願いいたします。
○次世代ワクチン等審査推進室長 承知いたしました。
○清田座長 眞島先生からまたお手が挙がっています。どうぞ。
○眞島構成員 今回は本当にディスカッションできなかったのですけれども、日本で取り入れているコンパッショネート・ユースシステム、日本では拡大治験と、治験という名前がついているのですけれども、名前はともかくとして、それが患者さんのためになって使われているというのであればいいのですけれども、なかなか使われていないという現状があります。これに関してはアメリカのように治験が終わり、承認申請に入り、ただ、承認までに1年かかるので、その間、人道的観点から患者さんにそのお薬を届けようということから、そういうシステムが使われていると思うのですけれども、日本ではアメリカのようには使われていないという現状がありますので、今後の課題としてぜひそのようなことも検討していただければありがたいと思います。
以上です。
○清田座長 ありがとうございます。ぜひそういった場を設けていただければと思います。
では、医薬局長、一言よろしくお願いします。
○医薬局長 皆さん、本当にありがとうございました。
この会議そのものは、創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制の在り方についてということで、夏に始めさせていただきました。ほかの検討会からいろいろ指摘をもらった上で、薬事でできることということで始めたという経緯がございます。
今も眞島構成員からもありましたし、中村構成員からもありましたが、薬事に関する御議論はたくさんあると思うので、それはそれぞれ本当にたくさんある話の中で、特に今回、まさに安定供給確保という切り口で切り取れるものについて、我々もかなり踏み込んだ形でファクトや方針の御提示をさせていただいて、そしてそれぞれのお立場から、患者のお立場であったり、あとは臨床であったり、研究であったりという立場で、お困りのこととかお考えをいただいて、これも相当踏み込んだ前向きな御意見をいただいたおかげで、さまざまな項目について方向性の提示ができたと思っています。
運用でできることについては、既に、かなり通知も出しながら対応してきたつもりであります。どちらかというと薬価の議論が後ろで走っていたりとか、それから産業構造の話が走っていたりして、業界紙なんかに出てくるのはそちらが多くて、本検討会はあまり取り上げてもらっていないなというのもちょっとありますが、そういう意味では玄人受けのする実のある議論だったのだろうなと私は思っておりまして、実際これまで御指摘をいただいたことをここで確認をいただいたり御意見をいただいたりして、相当改革を大胆にできた部分も大きいだろうなと思っています。
既に運用を始めている部分もありますので、意見をいただくだけで、とも思ったのですが、これだけの御議論をいただいたので、やはり一回取りまとめという形できちんと残したいなということもあって、今、原案を用意しているところであります。一旦この会は閉じますけれども、これからは実際に具体化の作業をしつつということでありますし、それから、これだけのメンバーにここでいろいろ御意見いただきましたので、これからまた折に触れてこの薬事関係で御意見をいただいていければと思っております。
我々としては、しっかりと形に残したこれを物にしていくということで、まずは取りまとめの御相談をさせていただいた上で、そしてそれを具体化することに努めたいと思いますし、これからも折に触れて薬事についての忌憚のない御意見をお寄せいただければと思います。
この取りまとめに向けての皆様の御協力、本当にありがとうございました。これからも引き続きよろしくお願いいたします。
以上でございます。
○清田座長 どうもありがとうございます。
最後に事務局から何か御報告はございますでしょうか。
○次世代ワクチン等審査推進室長 事務局からです。
検討会の報告書につきましては、先ほど座長のほうからおまとめをいただきましたけれども、本日案としてお示ししているものに、本日の議論の結果を反映したものを事務局で作成をさせていただきます。その内容につきまして、座長を含めまして構成員の皆様にメールベースで御確認をいただき、最後、確定しましたら公表という扱いをさせていただきたいと思っております。
事務局からは以上でございます。
それでは、最後に清田座長から締めていただければと思います。よろしくお願いいたします。
○清田座長 清田でございます。
今まで私の稚拙な進行に御協力いただきまして、各方面からいろいろな御意見をいただいて、本当に問題点がはっきりしたなと思います。これから恐らく今回の会を出発点として、新たないろいろな方面の議論がなされていくだろうと思いますし、少なくとも審査の在り方等々、PMDAのほうでも変わっていくと確信しております。ますます迅速化されるだろうし、いい方向に向かっていくのではないかなという印象を持っていますので、この会はもうここで閉じますけれども、今後ともぜひいろいろなところで御意見をいただければと思っております。御指導をいただいて、私も勉強になりました。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。
以上です。
それでは、この辺でそろそろ時間もいいところですので、本検討会はこれで終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。