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第161回先進医療技術審査部会 議事録
日時
令和6年5月15日(水)16:00~18:00
場所
日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)
出席者
竹内座長、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、後藤構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、松山構成員、山本構成員、渡辺構成員、松下技術専門委員
(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療迅速評価専門官
医薬局医薬品審査管理課 審査調整官
議題
- 1.総括報告書の評価について
- 2.協力医療機関の追加について
- 3.その他
議事
-
○竹内座長
それでは定刻となりましたので、「第161回先進医療技術審査部会」を始めさせていただきます。大変お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日はオンラインでの開催となります。
本日の構成員の出欠状況ですが、北川雄光座長代理より御欠席の連絡を頂いております。本日は18名の構成員のうち、17名の構成員にお集まりいただいておりますことから、本会議が成立していることを申し添えます。
それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほど、よろしくお願い申し上げます。
配布資料につきまして、確認させていただきます。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。
続きまして、総括報告書の評価について、資料1-1~資料1-3。協力医療機関の追加について、資料2-1~資料2-2。会議資料の最終ページは「32ページ」となります。お手元の資料に乱丁、落丁等がございましたら、事務局までお知らせください。
続きまして、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいています。今回、告示番号旧45の技術、岡山大学病院からの総括報告書に関して、構成員からは利益相反に該当する旨の報告はございませんでした。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がございましたら、この場で御報告をお願いいたします。
それでは該当なしということで、承知いたしました。また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書等などを「タブレット資料」と御案内します。会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言いただけますと、議事の進行上助かります。
本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をお掛けいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。
また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いていますので、こちらも適宜、御活用ください。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。それでは早速ですが、議事に入りたいと思います。まず、「総括報告書の評価結果」につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bの総括報告書に関する御評価を頂きますのは、告示番号旧45、「マルチプレックス遺伝子パネル検査」です。申請医療機関は、岡山大学病院です。
審査担当構成員は、主担当が真田構成員、副担当が伊藤構成員、技術専門委員が松下委員となっております。
それでは、資料に沿って御説明します。腫瘍細胞に発生している遺伝子変異を明らかにする「がん遺伝子パネル検査」は、がんゲノム医療において不可欠な検査である。TruSight Oncology 500(TSO500)は、523遺伝子をターゲットとするDNA+RNAアッセイであり、mutationやコピー数異常、融合遺伝子、またMicrosatellite Instability(MSI)やTumor Mutation Burden(TMB)のような免疫療法バイオマーカーの正確な測定も可能である。本試験では、抗悪性腫瘍薬による治療を検討している、又はその可能性がある、治癒切除不能又は再発の病変を有するがん患者を対象として、がん関連遺伝子の変異、増幅、融合を1回のアッセイで検出可能なマルチプレックス遺伝子パネル検査試薬(TSO500)を用いた解析を行い、actionableな遺伝子異常を有する患者の割合を求めることで、遺伝子プロファイリング検査の臨床的有用性を検証する。以上でございます。
○竹内座長
ありがとうございました。それでは、本技術の評価について、主担当の真田構成員から御説明をお願いいたします。
○真田構成員
真田でございます。まず、この技術でございますけれど、過去にこの先進医療でも幾つかのがんパネルの検査が評価の対象になったと理解をしています。今回も、こちらの23ページにこの機械の概要をお示しになっている説明図を付けていただいていますが、基本的にはその遺伝子異常を検出するシステムであり、検出された結果について、エキスパートパネルの解釈を経て患者さんにその結果を還元する構図は、基本的には変わりません。ただ、この機械の特徴としては、先ほど御紹介もありましたが、約500超の遺伝子をターゲットとするDNA+RNAアッセイであって、様々な遺伝子異常やコピー数の異常、融合遺伝子など、多彩な種類の遺伝子関連の異常を検出することができる。あるいは、検体が少量であっても検出することができるというような、幾つかのメリットがあるとされています。
今回の研究では、250例を用いて主要評価項目としては、ほかのパネルの検査のときにも同様に主要評価項目にされたactionableな遺伝子異常が検出される割合。それから、副次評価項目として、やはり過去の検討でも、これは臨床での評価に非常に重要な因子であった、対応する治療薬が実際に投与された割合を含む幾つかの副次評価項目の評価がなされたということで、その結果については、この15ページ~16ページにおまとめいただいているということです。
まず、40.3%でエビデンスレベル3A以上の遺伝子バリアントが検出されたということです。そもそもの期待値が40%と見積もっていたので、ここの期待値の議論については後ほど伊藤先生から御指摘があったところについて、御説明いただけると思いますが、基本的にはそこは解決したという私の理解です。
がん腫を問わず、すべての解析症例全体のおよそ30%で診断の補助、判定根拠となり得る変異が1以上検出されたら、十分有用性としては妥当としたprimary endpointの設定根拠も踏まえて、43%の症例というのはおおむね見込み通りだというふうに記載をされています。
また、遺伝子バリアントに対応した治療薬が投与された割合が、18症例、7.3%。これについても過去の保険収載された遺伝子パネル検査と同等のレベルであると記載をされています。
それも踏まえまして、私からの評価としては17ページになります。まず有効性については、本研究で、主要評価項目については40.3%でactionableな遺伝子変異が1つ以上検出されて、その有用性の指標、判断に重要と考えられる副次評価項目の指標では7.3%に遺伝子バリアントに対応した治療薬が投与された。いずれも既に保険収載された遺伝子パネルと同等と考察されているということで、私からは、Cの従来の医療技術を用いることと同程度というふうに判断をさせていただきました。
安全性につきましては、こちらはエキスパートパネルも含めた、その診断も含めたものの安全性という御意見も過去にありましたが、こちらは体外診断技術のみを取り出した安全性ということに関しては、体外診断技術であることで問題はないと解釈して、Aの問題なしというところにチェックを付けています。
次に技術的な成熟度としては、こちらは機械の診断技術については成熟していると考えられるものの、その有用性、臨床的有用性の成立には、やはり十分な経験を有するエキスパートパネルの存在が必要不可欠であるということでBとさせていただいたということになります。私からは一旦、お返しをいたします。
○竹内座長
ありがとうございました。それでは、続きまして、副担当の伊藤構成員から御説明をお願いいたします。
○伊藤構成員
有効性についてですが、先ほど真田先生から話がありましたが、報告書の記載を見ますと、actionableな遺伝子異常を有する患者の割合を50%前後と見込んでいますと書いてはいるのですが、症例数の設定の根拠の所では、actionableな遺伝子変異が1つ以上検出される期待値を40%、閾値30%ということで症例数の設計がされています。期待値として、40%と50%の違いがあるので、どっちが本当なのですかと問い合わせたところ、基本的には過去の知見から40%と期待されるのだけれども、実際にこのパネル自体は50%ぐらいいくのではないかと思って、50%と書きましたということでした。実際には期待値として40%で、症例数が設計しているということなので、その症例数の設定の根拠に用いた解析方法で、主たる解析を行って、報告をしてくださいとお願いしました。それを受けて、解析していただいて、報告書に追加いただいたという経緯があります。
実際に観測されたactionableな遺伝子変異の割合は、症例数の設定上の根拠のとおりの40%程度のところでしたので、そういった意味では期待どおりの結果が得られたかなと思います。コメント欄にもあるとおり、actionableな遺伝子変異が1つ以上検出された割合というのは、期待どおりで、既承認のパネル検査の結果を上回るものだったということで、やや有効と判定しています。
それから安全性については、体外診断薬なので問題ないと思われますので、問題なしとしています。
技術的成熟度については、エキスパートパネルによる判断が必要であって、Cの当該分野を専門とし、かなり経験を積んだ医師を中心とした体制を取っていないと、実施できないというところを評価しています。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。それでは、続きまして技術専門委員の松下委員から御説明をお願いいたします。
○松下技術専門委員
まず有効性の所ですが、これは岡山大学が認めている形で、もともとのものと同等であると、理論上は幾つか遺伝子の数を増やしたりということで、より多く検出できることが可能であろうという所だったのですが、現実的にその予期した形のレベルが50%設定が40%検出率という所ですが、この辺のところは従来のものとほぼ同じぐらいということで、一応、それを確認させていただいたということで、同等と考えました。
安全性に関しては、今までも御説明があったとおりで、既存検体を用いる体外診断薬ということで、特に問題はないと考えています。
技術的成熟度という所は、エキスパートパネルが今、一定のレベルで行われるようになってきているということがありますので、実際にやる場合には確かに経験というところをどこまで問うのかということになりますが、そのエキスパートパネルがあるという前提で、一定のそういう経験を有したものとなるところを、Bと評価させていただきました。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。それでは、以上、おまとめいただきまして、主担当の真田構成員より何か追加のコメント等がありましたら、よろしくお願いいたします。
○真田構成員
ありがとうございます。私から総合的なコメントということで、17ページの末尾の所から記載をさせていただいています。既に保険適用されているがんゲノムプロファイリング検査に比べてエビデンスレベル3A以上の遺伝子バリアントの検出割合というのは、ほぼ同等のレベルと理解されましたということ。それから、ただ、本技術では解析遺伝子の種類が増加していたり、少量の検体でも実施が可能という利点もあって、更に保険診療上の評価につながるような、実際の遺伝子バリアントに対応した治療薬が投与された割合も既存検査とほぼ同等と考えられたということで、この医療技術そのものの成熟度には問題ないということ。エキスパートパネルが必要であるということも、これは変わりないというコメントを出させていただいた上で、医療技術そのものの成熟度と有効性・安全性については、少なくとも既存のものと同等と考えられた一方で、この機械特有の利点というものがあって、効率化には一定程度資するのではないかという考えについて記載をさせていただいたところです。私からは以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。ただいまの御説明について、構成員の先生方から御質問等はありませんか。渡辺構成員、お願いいたします。
○渡辺構成員
まず評価に関しては全く異論はありません。それから、先生方が御指摘になられた有効性に関しての疑義に関しても、研究者から十分な回答がなされたと理解しています。
1点、気になりますのは、本論とはちょっと違うので申し訳ないのですが、説明文書の7ページに研究参加により予想される利益というものがあるのですが、本研究で調べる遺伝子の割合が書いてあるだけで、既存の研究と比べどれだけ長所があるか、利益があるかというようなことの記載がないので、これを患者さんが読んだ場合に分かりにくいように思います。これは評価とは全く関係ない話ですが、もし研究者にお伝えいただくことができるのであれば、患者さんに予想される利益と書いてある以上は、どういう利益かということが分かりやすいように記載をしていただくようにお願いしたいと思いました。私からは以上です。
○竹内座長
ありがとうございます。今回は総括報告書ですので、今後、そうするとこのような研究を実施するときには、申請医療機関、研究者の方に、今、渡辺先生が言われた同意説明文書では、この検査をすることの利点のようなことを書いていただいたほうが、より分かりやすい患者同意説明文書になるのではないかということを、コメントを添えればよろしいでしょうか。
○渡辺構成員
既存のパネル検査では限られた遺伝子変異しか保険適用にはありませんが、この研究に参加した場合の利益というのが、患者さんがこの文書を読んだときに分かりにくいのではないかと思ったものですので、もう少し理解しやすいような文書にしていただきたいという意味で、今回の評価とは関係がないのですが、コメントさせていただいた次第です。
○竹内座長
分かりました。それでは、申請医療機関にそのようにコメントを付けまして、お伝えするということでよろしいでしょうか。
ほかにコメント等はありませんか。申請医療機関とのやり取りの中で、今回、松下委員からも御指摘いただきましたが、理論的には遺伝子数が増えている、あるいはRNAも対象にしている。それから融合遺伝子、コピーナンバーバリアント等の結果も、この検査では対象になっているということで、理論的には従来のがんゲノム遺伝子プロファイリング検査よりも、より多くのactionable遺伝子が同定されるのではないかと期待されたのですが、そうでなかった。その理由について、申請医療機関とのやり取りの中で分かっておりますので、そのことだけ追加で少し御説明いただけますか。事務局からお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
事務局でございます。本研究において、融合遺伝子とTMB-high、高遺伝子変異量検出症例が増えた一方で、既承認パネルで遺伝子バリアントに対応した治療薬を投与できる遺伝子が同定できなかった症例を含んでいたことで、上昇分と低下分が相殺されたと考察されているそうです。actionable遺伝子の検出についても、同様のことが言えるとのご見解を得ております。以上です。
○竹内座長
ありがとうございました。これは渡辺構成員からも御指摘が確かあったかと思いますが、これは従来法とは余り変わらなかった、想定される遺伝子搭載数そのほかの今回の検査の有用性を数字の上で示せなかった理由は何かということで、こちらのほうは申請医療機関から明確な回答が得られているということです。以上を踏まえまして、さらに何か追加の質問等はありませんか。よろしいですか。
ないようですので、それでは今回、告示番号旧45については、ただいま御審議いただいた結果を取りまとめまして、先進医療会議に報告させていただきたいと思います。ありがとうございました。
松下技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構です。本日は大変御多忙のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございました。
○松下技術専門委員
ありがとうございました。
(松下技術専門委員 退席)
○竹内座長
それでは、続きまして先進医療Bの協力医療機関の追加について、事務局から御説明をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
御説明いたします。資料2-1の25ページを御覧ください。告示番号60について1施設、告示番号73について1施設、告示番号74について3施設の協力医療機関の追加申請がありました。
資料2-2の27ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認しました。協力医療機関の追加として、御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上です。
○竹内座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、事務局は手続をお進めくださいますようお願いいたします。
本日は議題が少なくて、以上ですが、せっかくの機会ですので構成員の皆様方から全体を通して何か御意見、御質問等はございますでしょうか。活発な御意見を頂きまして、事務局のほうでも申請医療機関と照会、やり取りをさせていただきまして、今回の申請医療機関から回答を頂戴しております。そういう意味では、この先進医療技術審査部会で頂きました構成員の皆様からの大変貴重な御意見で、これに沿った回答を申請医療機関から頂いて、このような形で審査が進んでいるという状況です。何か追加のコメント、あるいは要望事項はありませんか。よろしいですか。
それでは、大変スピーディーに審査が進みまして、ないようでしたら次回の日程について事務局から連絡をお願いいたします。
○医政局研究開発政策課治験推進室長補佐
次回は令和6年6月19日、水曜日の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については別途御連絡します。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。
○竹内座長
それでは、これをもちまして「第161回先進医療技術審査部会」を終了させていただきます。どうもありがとうございました。(了)