2024年2月5日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録
日時
令和6年2月5日(月)15:00~
場所
厚生労働省専用第15議室
出席者
- 出席委員(17名)五十音順
-
- 荒戸照世
- 井関祥子
- 井上貴雄
- 小野寺雅史
- ◎合田幸広
- 小原恭子
- 小牧宏文
- 佐藤雄一郎
- 佐藤陽治
- 竹内隆正
- 立川愛
- 永井宏和
- ○永井洋士
- 中岡竜介
- 宮川政昭
- 森尾友宏
- 山本謙吾
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(1名)五十音順-
- 勝田賢
行政機関出席者
-
- 城克文(医薬局長)
- 吉田易範(大臣官房審議官)
- 中山智紀(医療機器審査管理課長)
- 野村由美子(医薬安全対策課長) 他
議事
○医療機器審査管理課長 それでは、定刻になりましたので、「薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会」を開催いたします。医療機器審査管理課長の中山でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の中、また、足元の悪い中、御出席いただきましてありがとうございます。本会議はWeb会議形式を併用して開催いたします。現時点で、再生医療等製品・生物由来技術部会委員の18名のうち17名の委員に御出席いただいております。1名のみ欠席です。オンラインで出席いただいている先生は13名となっています。
議事に先立ちまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告させていただきます。委員の皆様には、毎度御確認をさせていただきますけれども、引き続き御理解、御協力をお願いいたします。
続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明させていただきます。
○事務局 事務局です。平成13年の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1、議題2については会議を公開で行い、議題3以降の議題については、再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。Web会議で御参加される委員の皆様におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行については、合田部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 それでは、これまでの事務局からの説明について、何か御意見等ありますか。皆さん、よろしいですか。
それでは、これより議題に入ります。本日は、議題1、議題2、議題4が報告事項、議題3が審議事項となっています。まず、公開案件の議題1に入ります。「ヒト(同種)iPS細胞由来心血管系細胞多層体を用いた重症心不全の治療に関する評価指標案」及び「ヒト(同種)iPS細胞由来心筋球を用いた重症心不全の治療に関する評価指標案」について、議論をお願いします。まず、事務局、よろしくお願いします。
○事務局 事務局です。それでは、議題1について、資料1に基づき御報告をいたします。まず、次世代評価指標の作成事業の概要について、35分の1ページを御覧ください。厚生労働省では、医療ニーズが高く最先端の技術を使った医療機器・再生医療等製品の開発促進を目的として、早期に開発が見込まれる医療機器や再生医療等製品をテーマとした次世代医療機器・再生医療等製品評価指標検討会を設置しておりまして、ワーキンググループで評価指標を検討し、その評価指標を公表しております。これまでのところ、廃止されたものも含めて、再生医療等製品に関しては計17指標を公表しております。評価指標の位置付けとしましては、作成時点の科学的知見に基づき着目すべき事項を示すものでして、法的な位置付けではなく、製品開発の参考とされるものとしてまとめたものとなります。
なお、1ページの下の図に示しますように、経済産業省が作成する開発ガイドラインとも連携をしております。経済産業省では、主に個別の評価項目に対する具体的な評価方法、試験方法や規格についてのガイドラインが作成されております。事業の概要については以上となります。
続いて、今回の議題となっている個別の評価指標案について、概要資料に基づいて御説明いたします。35分の2ページを御覧ください。今回の2つの指標の作成に至った背景について、まずは御説明させていただきます。
平成22年1月18日に「重症心不全細胞治療用細胞シートに関する評価指標」を公表しております。今般、心臓疾患を対象としたiPS細胞を原料とする製品の開発が進んでいるという状況で、以前出している指標を参考に、令和3年度及び令和4年度に新たに3つの次世代評価指標を作成することといたしました。その3つというのが、この図の真ん中に示しました3つですが、一番上の心筋細胞シートについては、昨年度の部会で御報告させていただいておりまして、今回のテーマとなるものは、心筋球及び心血管系細胞多層体です。下の表1においては、今回の対象である2指標の概要を示しております。
続いて、資料の35分の3ページを御覧ください。これらが各製品の違いをまとめたものになります。投与方法等、それぞれの製品ごとに、ほかの製品にはない特性がありまして、例えば投与方法に関しては、心筋球のみで注射投与となっています。それぞれの項目で違いがありまして、これらの違いを踏まえて、昨年度発出した心筋細胞シートの評価指標をベースに、各評価指標案を作成しております。
各指標のポイントを示したのが35分の4ページです。それぞれ個別にポイントを御説明いたします。心血管系細胞多層体については、非細胞生体材料が副成分として含まれていること、細胞シートを積層化する工程があるということに着目しまして、それぞれ留意点を記載しております。また、最後のチェックになりますが、心機能の改善について心血管系内皮細胞の生着がポイントと考えられますので、生着を確認することの必要性について言及をしております。
一番右端の心筋球については、心筋内に打ち込んで機能的心筋組織の再生が期待されているということを踏まえまして、iPS細胞の純化工程の必要性について言及をしております。また、心筋内投与に際して、心筋を突き抜ける可能性等も踏まえた安全性評価、心機能の改善を評価するために、エコー検査や造影MRI等による評価の必要性についても言及をしております。概要の説明は以上となります。
35分の5ページは、これまでに公表した再生医療等製品に係る評価指標のリストとなっております。35分の6ページ以降が、今回御報告させていただく評価指標案の本体となりますので、適宜御参照ください。なお、本評価指標案はいずれもパブコメを実施済みでして、今年度中に通知により公表をすることを予定しております。御報告は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、御意見等ありますでしょうか。宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川です。資料1の3ページなのですけれども、投与法が書いてあって、心筋球は「心臓内に注射」ときちんと書いてあるのですけれども、シートのほうと多層体は「心臓に貼る」となっていて、これは心臓のどこに貼るという形なのでしょうか。心臓に貼るという漠然とした表記でよろしいのか。せっかく、心筋球の所は心臓内にということで書いてあるので、心臓のどこに貼るとかいうように、もう少し具体的な表記はしなくてもよろしいのかなと思ったのです。
○合田部会長 これは機構ですか。よろしいですか。
○事務局 事務局です。御質問ありがとうございます。こちらですが、意図しているところとしては、心臓の表面に貼って経皮的に作用するということで、どこの場所というのは特に部位としては特定をしておりません。心筋球については、注射投与であるということを包括して書かせていただいたというような項目になっております。
○宮川委員 では、内層とか外とか、心膜の外でも大丈夫なのですか。心臓そのものに、どういう所に貼るのかというのが分からなかったものだから、心膜の所に貼っても効くのかどうかということに関わります。これは心膜に貼っても、これではおそらく意味がないですよね。
○医薬品医療機器総合機構 機構から補足させていただきます。議論していたイメージといたしましては、心外膜側に貼るというイメージでお話していたかと思います。
○宮川委員 それでいいのですね。心外膜に貼ってもよろしいという形ですね。
○医薬品医療機器総合機構 特定の品目ということではございませんで、製品群に対する指標ということではございますが、位置の限定についての議論は特になく、心表面の心外膜側のイメージで議論は進んでいたかと思います。
○宮川委員 分かりました。では、心外膜のどこに貼っても大丈夫という形で理解してよろしいということですね。ありがとうございます。
○合田部会長 宮川先生、ということは文章を変えなくてよろしいということですね。
○宮川委員 どこに貼っても良いということなので、心臓に貼るという形で良いと思います。心外膜そのものに貼っても本当にそれが付くのかなと、心外膜から心筋に到達するのかなと思ったものですから質問しました。心筋に直接貼るというイメージでいたものですから、心筋球は心筋内に入れるということで分かったのですが、細胞種としては心筋細胞ですから、心外膜に貼って、それが有効なのかどうか分からなかったもので、それでお聞きしました。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。
○小原委員 すみません、小原です。
○合田部会長 どうぞ。
○小原委員 ここの今の表の心筋球の製造工程の欄に、細胞純化工程というのが記載されているのですけれども、これは心筋球というのが、もともといろいろな細胞の混ざりもので、それを製造する過程で純化していくという意味でしょうか。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 事務局です。こちらはiPS細胞を原料として心筋球へと分化させていくのですけれども、それで、心筋球までに分化しなかった未分化のiPS細胞を除くということを意図しております。
○小原委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ほかに御意見、御質問等ありますか。Webの先生方、よろしいですか。よろしいようですね。それでは、これで議題1を終了したいと思います。
続いて、議題2に入ります。「ヒト細胞加工製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価に関する指針案」について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題2について、資料2に基づき御報告をいたします。資料2の21分の1ページを御覧ください。日本医療研究開発機構の医薬品等規制調和・評価推進事業においては、科学的合理性と社会的正当性に関する根拠に基づいた審査指針や基準等の策定又は最先端の技術を活用した医薬品、医療機器等に係る評価法の開発を実施し、世界に先駆けた国際規格・基準の策定の提案等を目指すことを目的に、レギュラトリーサイエンス研究に特化した公募研究が実施されております。今般、本部会委員の佐藤陽治委員が研究代表として実施された「細胞加工製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価のあり方に関する研究」によりまして、ヒト細胞加工製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価に関する指針案が策定されたという状況です。
同ページ、背景と目的について御説明いたします。本指針案が策定された背景といたしましては、製造販売業者は、製造工程の改良などのために、開発中あるいは承認取得後に医薬品などの製造工程を変更することがあります。この際、製造工程の変更前後における最終製品の同等性/同質性を評価する必要がありますが、ヒト細胞加工製品については、「ヘテロな細胞集団で構成された不均一性を有するものがあって、必ずしも重要品質特性を網羅的に観察できないこと」、また、「モノクローナル抗体のように既存の一連の分析方法を用いて特性解析か難しい場合があること」などの背景から、個別製品の特性に応じた同等性/同質性の評価方法に関して指針が求められているといった状況にあります。こうした背景のもと、ヒト細胞加工製品における同等性/同質性の評価の考え方を示すために、本指針が作成されたものとなります。概要の御説明は以上となります。
21分の2ページ以降が本指針の本体となりますので、適宜御参照ください。本指針案についてもパブコメは実施済みでして、頂いた御意見のうち、反映可能なものは今回の資料において反映をしております。21分の2ページから18ページまでの指針本体と19ページ以降のQ&Aをそれぞれ分けて、今年度中をめどに通知等で公表する予定でおります。御報告は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。これは、事務局からの説明がありましたように、佐藤陽治先生の研究班で実施されたということで、佐藤先生、何か追加はございますか。
○佐藤(陽)委員 国衛研の佐藤でございます。繰り返しになるかもしれませんが、この文書は、先ほどもありましたように、AMEDの医薬品等規制調和・評価研究事業の一貫として実施された研究課題、私が代表としてやっておりましたが、その研究課題のワーキンググループが執筆した草案をもとに、さらに研究課題終了後に、ワーキンググループのメンバーが自主的に業界団体や関連団体から意見聴取を行った上で、推敲を重ねてきたものです。この度、厚生労働省で行政通知案としてパブコメ募集の手続をしていただいた次第でございます。
再生医療に用いられるヒト細胞加工製品の品質を考える場合、従来のバイオ医薬品などと比べて特徴的なこととして、まず、動的で複雑な生きた細胞を含む製品であるということで、これによって製品中の細胞が不均一であるために、有効性や安全性に関する品質特性が特定しづらいということと、先ほどもありましたが、標準化されていない試験法が多いということ、さらには適切な標準品がないといったことが挙げられます。
一方で、ヒト細胞加工製品は、製造の効率向上、コスト削減、スケールアップなど、基礎段階から臨床までの開発段階に応じた製法変更が多いと想定されます。したがって、製法の変更時には、先ほど申し上げたような特徴を考慮に入れつつ、製法変更前後での製品の品質の同等性/同質性を示す必要が生じます。従来の生物薬品の製造工程の変更前後の同等性/同質性の評価については、国際ガイドラインICH Q5Eがありますが、先に申し上げた特徴を持つ細胞加工製品については、ICH Q5Eの記載事項全てをそのまま適用するということは必ずしも合理的ではなく、製品の特性に応じた新たな考え方が必要ということになります。
今回、御提示されている文書は、先に申し上げたような特徴、ヒト細胞加工製品の品質・安全性・有効性に対して、製造工程の変更が有害な影響を及ぼさないことを立証するには、どのようなデータや情報を収集すればよいかというものを助言するために作成されたという次第です。簡単ですが、以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、御意見等はありますでしょうか。井上貴雄先生、お願いします。
○井上委員 意見ではありませんが、資料1ページの冒頭の研究事業の名前が間違っているようです。「医薬品等規制調和・評価推進事業」ではなく、「医薬品等規制調和・評価研究事業」になります。概要の1行目の事業名も同様です。
○合田部会長 ありがとうございます。
○井上委員 発出される際には、御修正をお願いします。
○合田部会長 適切に直してください。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、これで議題2を終了させていただきます。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、部会を再開したいと思います。まずは事務局から事務練絡があります。
○事務局 事務局でございます。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告いたします。資料5、競合品目・競合企業リスト一覧をお開きください。本日の審議事項に関する競合企業として、資料5に示す企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条により、議決に御参加できない委員は、議題3において小牧委員が該当しておりますが、御退室いただく必要はございません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 これまでのところで特に事務局に御意見はございますか。よろしいですか。
それでは、これより議題3に入らせていただきます。議題3は、「再生医療等製品「etranacogene dezaparvovec」を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について」の審議です。まず、事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題3、資料番号3、etranacogene dezaparvovecを希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットを御覧の方は、資料3の16分の2ページを御覧ください。紙資料を御覧の方は、事前評価報告書の1ページを御覧ください。本品の名称はetranacogene dezaparvovec、予定される効能・効果又は性能は血友病Bの出血抑制、申請者はCSLベーリング株式会社となっています。
血友病Bは、血液凝固第IX因子の欠乏又は活性の低下を来すX連鎖性潜性遺伝疾患でございます。血友病B患者では、健康成人と比較して第IX因子が低いため、出血傾向が高く、外傷による出血や皮下・関節内における自然出血のリスクが高まります。出血部位では、神経障害、組織壊死、筋委縮などが起こる場合があり、関節内の出血が繰り返されると、血友病性関節症を生じることもあります。
本品は、血友病Bに対する新規の治療法として開発されている変異型血液凝固第IX因子を発現する遺伝子組換えアデノ随伴ウイルスであり、本品による遺伝子治療は、第IX因子遺伝子を患者の体内に導入することにより、1回の投与で必要な第IX因子活性を長期に維持することが期待されています。
希少疾病用再生医療等製品の指定要件の該当性について、順に御説明いたします。まず、対象患者についてですが、16分の2ページを御覧ください。令和4年度血液凝固異常全国調査によると、国内の血友病Bの患者数は1,294例と報告されています。そのため、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人未満の条件を満たしていると考えられます。
続いて、医療上の必要性について御説明いたします。16分の3ページを御覧ください。現行の血友病Bの治療では、第IX因子製剤の定期補充療法が行われており、根治療法はありません。近年、半減期を延長した第IX因子製剤が複数製造販売承認され、定期補充療法における投与頻度が低減されはしましたが、生涯にわたり定期補充療法を続ける必要があるため、長期にわたって出血傾向を抑制できる新たな治療法の開発が望まれています。本品は、単回静脈内投与で第IX因子を持続的に発現させ、長期にわたって出血傾向を抑制することが期待されています。そのため、医療上の必要性は高いと考えています。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。16分の3ページ、中段を御覧ください。本品は海外臨床試験の結果に基づき、既に米国、欧州、英国、カナダにおいて承認されています。重症又は中等症の血友病B患者を対象とした有効性及び安全性の評価を目的とした海外ピボタル第III相試験では、本品の投与前の調整済み年間出血回数の年4.19回と比べ、本品の単回静脈投与により、本品投与後の12か月間の年間出血率は年1.51回と低下しました。また、本品投与直前は1.19%±0.39%であった第IX因子活性が、本品投与後に36.6~41.4%の範囲で24か月間持続しました。さらに、本邦では昨年4月より、重症又は中等症の日本人患者を対象とした第III相試験が実施されており、開発の可能性はあると考えております。
したがって、希少疾病用再生医療等製品の3要件を満たしていると考えられるため、本日は希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について御審議のほどお願いいたします。説明は以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、御意見等はございますでしょうか。会場の先生方、よろしいですか。永井先生、よろしくお願いします。
○永井(洋)部会長代理 京大の永井です。開発の可能性についてですが、海外ではフェーズIIBとフェーズIIIが終了後、2022年に米国で、翌年には欧州で承認されています。そうした中で、日本でまたフェーズIIを丸々実施しなければならないのでしょうか。条件付き・期限付き早期承認のトラックでもっと早くできないのでしょうか。海外データをどこまで使えるのか、規制上の理由があると思うのですが、このままで行くと○○○○の製造販売申請となってしまいます。正にドラッグラグの状態になってしまうと思うのですが、日本人でピボタルをやり直さないといけなくなった経緯を教えていただけると幸いです。
○合田部会長 事務局、よろしいでしょうか。
○再生医療製品等審査部長 機構から御回答します。海外先行の開発製品は結構あるのですけれども、日本で承認するに当たっては、日本人データを必要としているというところが基本になっています。海外のデータでは日本人の成績はないということで、国内試験で日本人成績を得るというところは求めました。日本単独でやりますので、全く海外のフェーズIIと同じ症例数、デザインというわけではなくて、希少疾病ですので、日本人でできる症例数の中で、海外と日本の成績が方向性は全く違わないということの評価を、4例で治験を行うということで、国内治験が実施中ということです。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。永井委員、よろしいですか。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。非常に少ない症例数でのピボタルで承認ということで、結果次第かとは思いますが、通常承認になる予定なのですね。
○再生医療製品等審査部長 機構からお答えします。今、計画としましては、条件期限付き承認ではなく、海外と同じ通常承認ということで進めています。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ほかに御質問等ございますか。Webの先生方、よろしいですか。井関委員、どうぞ。
○井関委員 井関です。簡単な質問だけさせてください。この治療の対象外の方として、肝硬変の方とかというのは、このAAVが結局静注された後、多分肝細胞に感染するということで、効能を発揮するということでよろしいですよね。
○事務局 事務局よりお答えいたします。御理解のとおり、本品は肝特異的プロモーターによって因子を発現しますので、肝臓内に遺伝子が存在するということで、間違いありません。
○井関委員 ありがとうございます。それで、それに伴って、これは1回投与で大分長時間効果があるということですけれども、いわゆる肝臓に対する負荷といったものは、私はちょっとよく分かっていないのですけれども、報告はされていますか。これに限らず、このベクターを使った治療において、肝臓への負荷というか負担というものは報告されているのでしょうか。
○合田部会長 事務局、分かりますか。
○再生医療製品等審査部長 機構からお答えします。一般的にAAVは肝臓に指向性が高いということで、肝障害を起こす、肝炎を起こすというところがネックになります。事前に予防的にステロイド投与などで炎症を抑えるというのが行われます。先行のゾルゲンスマもそうですけれども、肝臓での有害事象というのは一番気にはしなければいけないところではありますが、予防的にステロイドでコントロールしながらどこまで許容できるかというところも含めて、有効性、安全性を評価することで進めております。
○井関委員 恐らくそういったことを上回るぐらい、この製剤に期待が掛かっているということですね。
○再生医療製品等審査部長 そうです。
○井関委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等ございますか。よろしいですね。ありがとうございます。
それでは、議決を行いたいと思います。etranacogene dezaparvovecについては、本部会として希少疾病用再生医療等製品に指定することとしてよろしいでしょうか。御異議はありませんか。
確認いたしました。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会にて報告を行うこととします。これで議題3を終了します。
続きまして、議題4「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」に入ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題4、資料番号4について事務局から御報告いたします。カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を目的として、特段の拡散防止措置を取らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を取った閉鎖系で使用する必要があります。
今回は、前回の部会での御報告以降で、令和5年10月から令和5年12月までに第一種使用規程の承認を行った品目はございませんでしたので、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について御報告いたします。資料4の一覧を御覧ください。令和5年10月から令和5年12月までに、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの延べ3品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、取られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。事務局より以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。本件につきまして、委員の先生方から、御質問、御意見等ございますでしょうか。Webの先生方もよろしいですか。それでは、これで議題4を終了させていただきます。
本日の議題は以上です。事務局から連絡事項はございますでしょうか。
○事務局 本日の部会審議、ありがとうございました。次回の部会ですが、3月25日月曜日の18時30分からということで、少し遅い時間の開催となり恐縮でございますが、よろしくお願いしたいと思います。詳細等につきましては、後日メールで御連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、本日はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の中、また、足元の悪い中、御出席いただきましてありがとうございます。本会議はWeb会議形式を併用して開催いたします。現時点で、再生医療等製品・生物由来技術部会委員の18名のうち17名の委員に御出席いただいております。1名のみ欠席です。オンラインで出席いただいている先生は13名となっています。
議事に先立ちまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告させていただきます。委員の皆様には、毎度御確認をさせていただきますけれども、引き続き御理解、御協力をお願いいたします。
続けて、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて説明させていただきます。
○事務局 事務局です。平成13年の薬事・食品衛生審議会決議に基づき、議題1、議題2については会議を公開で行い、議題3以降の議題については、再生医療等製品の承認審査等に関する議題であり、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。Web会議で御参加される委員の皆様におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行については、合田部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 それでは、これまでの事務局からの説明について、何か御意見等ありますか。皆さん、よろしいですか。
それでは、これより議題に入ります。本日は、議題1、議題2、議題4が報告事項、議題3が審議事項となっています。まず、公開案件の議題1に入ります。「ヒト(同種)iPS細胞由来心血管系細胞多層体を用いた重症心不全の治療に関する評価指標案」及び「ヒト(同種)iPS細胞由来心筋球を用いた重症心不全の治療に関する評価指標案」について、議論をお願いします。まず、事務局、よろしくお願いします。
○事務局 事務局です。それでは、議題1について、資料1に基づき御報告をいたします。まず、次世代評価指標の作成事業の概要について、35分の1ページを御覧ください。厚生労働省では、医療ニーズが高く最先端の技術を使った医療機器・再生医療等製品の開発促進を目的として、早期に開発が見込まれる医療機器や再生医療等製品をテーマとした次世代医療機器・再生医療等製品評価指標検討会を設置しておりまして、ワーキンググループで評価指標を検討し、その評価指標を公表しております。これまでのところ、廃止されたものも含めて、再生医療等製品に関しては計17指標を公表しております。評価指標の位置付けとしましては、作成時点の科学的知見に基づき着目すべき事項を示すものでして、法的な位置付けではなく、製品開発の参考とされるものとしてまとめたものとなります。
なお、1ページの下の図に示しますように、経済産業省が作成する開発ガイドラインとも連携をしております。経済産業省では、主に個別の評価項目に対する具体的な評価方法、試験方法や規格についてのガイドラインが作成されております。事業の概要については以上となります。
続いて、今回の議題となっている個別の評価指標案について、概要資料に基づいて御説明いたします。35分の2ページを御覧ください。今回の2つの指標の作成に至った背景について、まずは御説明させていただきます。
平成22年1月18日に「重症心不全細胞治療用細胞シートに関する評価指標」を公表しております。今般、心臓疾患を対象としたiPS細胞を原料とする製品の開発が進んでいるという状況で、以前出している指標を参考に、令和3年度及び令和4年度に新たに3つの次世代評価指標を作成することといたしました。その3つというのが、この図の真ん中に示しました3つですが、一番上の心筋細胞シートについては、昨年度の部会で御報告させていただいておりまして、今回のテーマとなるものは、心筋球及び心血管系細胞多層体です。下の表1においては、今回の対象である2指標の概要を示しております。
続いて、資料の35分の3ページを御覧ください。これらが各製品の違いをまとめたものになります。投与方法等、それぞれの製品ごとに、ほかの製品にはない特性がありまして、例えば投与方法に関しては、心筋球のみで注射投与となっています。それぞれの項目で違いがありまして、これらの違いを踏まえて、昨年度発出した心筋細胞シートの評価指標をベースに、各評価指標案を作成しております。
各指標のポイントを示したのが35分の4ページです。それぞれ個別にポイントを御説明いたします。心血管系細胞多層体については、非細胞生体材料が副成分として含まれていること、細胞シートを積層化する工程があるということに着目しまして、それぞれ留意点を記載しております。また、最後のチェックになりますが、心機能の改善について心血管系内皮細胞の生着がポイントと考えられますので、生着を確認することの必要性について言及をしております。
一番右端の心筋球については、心筋内に打ち込んで機能的心筋組織の再生が期待されているということを踏まえまして、iPS細胞の純化工程の必要性について言及をしております。また、心筋内投与に際して、心筋を突き抜ける可能性等も踏まえた安全性評価、心機能の改善を評価するために、エコー検査や造影MRI等による評価の必要性についても言及をしております。概要の説明は以上となります。
35分の5ページは、これまでに公表した再生医療等製品に係る評価指標のリストとなっております。35分の6ページ以降が、今回御報告させていただく評価指標案の本体となりますので、適宜御参照ください。なお、本評価指標案はいずれもパブコメを実施済みでして、今年度中に通知により公表をすることを予定しております。御報告は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、御意見等ありますでしょうか。宮川先生、お願いします。
○宮川委員 宮川です。資料1の3ページなのですけれども、投与法が書いてあって、心筋球は「心臓内に注射」ときちんと書いてあるのですけれども、シートのほうと多層体は「心臓に貼る」となっていて、これは心臓のどこに貼るという形なのでしょうか。心臓に貼るという漠然とした表記でよろしいのか。せっかく、心筋球の所は心臓内にということで書いてあるので、心臓のどこに貼るとかいうように、もう少し具体的な表記はしなくてもよろしいのかなと思ったのです。
○合田部会長 これは機構ですか。よろしいですか。
○事務局 事務局です。御質問ありがとうございます。こちらですが、意図しているところとしては、心臓の表面に貼って経皮的に作用するということで、どこの場所というのは特に部位としては特定をしておりません。心筋球については、注射投与であるということを包括して書かせていただいたというような項目になっております。
○宮川委員 では、内層とか外とか、心膜の外でも大丈夫なのですか。心臓そのものに、どういう所に貼るのかというのが分からなかったものだから、心膜の所に貼っても効くのかどうかということに関わります。これは心膜に貼っても、これではおそらく意味がないですよね。
○医薬品医療機器総合機構 機構から補足させていただきます。議論していたイメージといたしましては、心外膜側に貼るというイメージでお話していたかと思います。
○宮川委員 それでいいのですね。心外膜に貼ってもよろしいという形ですね。
○医薬品医療機器総合機構 特定の品目ということではございませんで、製品群に対する指標ということではございますが、位置の限定についての議論は特になく、心表面の心外膜側のイメージで議論は進んでいたかと思います。
○宮川委員 分かりました。では、心外膜のどこに貼っても大丈夫という形で理解してよろしいということですね。ありがとうございます。
○合田部会長 宮川先生、ということは文章を変えなくてよろしいということですね。
○宮川委員 どこに貼っても良いということなので、心臓に貼るという形で良いと思います。心外膜そのものに貼っても本当にそれが付くのかなと、心外膜から心筋に到達するのかなと思ったものですから質問しました。心筋に直接貼るというイメージでいたものですから、心筋球は心筋内に入れるということで分かったのですが、細胞種としては心筋細胞ですから、心外膜に貼って、それが有効なのかどうか分からなかったもので、それでお聞きしました。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。
○小原委員 すみません、小原です。
○合田部会長 どうぞ。
○小原委員 ここの今の表の心筋球の製造工程の欄に、細胞純化工程というのが記載されているのですけれども、これは心筋球というのが、もともといろいろな細胞の混ざりもので、それを製造する過程で純化していくという意味でしょうか。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 事務局です。こちらはiPS細胞を原料として心筋球へと分化させていくのですけれども、それで、心筋球までに分化しなかった未分化のiPS細胞を除くということを意図しております。
○小原委員 分かりました。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ほかに御意見、御質問等ありますか。Webの先生方、よろしいですか。よろしいようですね。それでは、これで議題1を終了したいと思います。
続いて、議題2に入ります。「ヒト細胞加工製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価に関する指針案」について、事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題2について、資料2に基づき御報告をいたします。資料2の21分の1ページを御覧ください。日本医療研究開発機構の医薬品等規制調和・評価推進事業においては、科学的合理性と社会的正当性に関する根拠に基づいた審査指針や基準等の策定又は最先端の技術を活用した医薬品、医療機器等に係る評価法の開発を実施し、世界に先駆けた国際規格・基準の策定の提案等を目指すことを目的に、レギュラトリーサイエンス研究に特化した公募研究が実施されております。今般、本部会委員の佐藤陽治委員が研究代表として実施された「細胞加工製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価のあり方に関する研究」によりまして、ヒト細胞加工製品の製造工程の変更に伴う同等性/同質性評価に関する指針案が策定されたという状況です。
同ページ、背景と目的について御説明いたします。本指針案が策定された背景といたしましては、製造販売業者は、製造工程の改良などのために、開発中あるいは承認取得後に医薬品などの製造工程を変更することがあります。この際、製造工程の変更前後における最終製品の同等性/同質性を評価する必要がありますが、ヒト細胞加工製品については、「ヘテロな細胞集団で構成された不均一性を有するものがあって、必ずしも重要品質特性を網羅的に観察できないこと」、また、「モノクローナル抗体のように既存の一連の分析方法を用いて特性解析か難しい場合があること」などの背景から、個別製品の特性に応じた同等性/同質性の評価方法に関して指針が求められているといった状況にあります。こうした背景のもと、ヒト細胞加工製品における同等性/同質性の評価の考え方を示すために、本指針が作成されたものとなります。概要の御説明は以上となります。
21分の2ページ以降が本指針の本体となりますので、適宜御参照ください。本指針案についてもパブコメは実施済みでして、頂いた御意見のうち、反映可能なものは今回の資料において反映をしております。21分の2ページから18ページまでの指針本体と19ページ以降のQ&Aをそれぞれ分けて、今年度中をめどに通知等で公表する予定でおります。御報告は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございました。これは、事務局からの説明がありましたように、佐藤陽治先生の研究班で実施されたということで、佐藤先生、何か追加はございますか。
○佐藤(陽)委員 国衛研の佐藤でございます。繰り返しになるかもしれませんが、この文書は、先ほどもありましたように、AMEDの医薬品等規制調和・評価研究事業の一貫として実施された研究課題、私が代表としてやっておりましたが、その研究課題のワーキンググループが執筆した草案をもとに、さらに研究課題終了後に、ワーキンググループのメンバーが自主的に業界団体や関連団体から意見聴取を行った上で、推敲を重ねてきたものです。この度、厚生労働省で行政通知案としてパブコメ募集の手続をしていただいた次第でございます。
再生医療に用いられるヒト細胞加工製品の品質を考える場合、従来のバイオ医薬品などと比べて特徴的なこととして、まず、動的で複雑な生きた細胞を含む製品であるということで、これによって製品中の細胞が不均一であるために、有効性や安全性に関する品質特性が特定しづらいということと、先ほどもありましたが、標準化されていない試験法が多いということ、さらには適切な標準品がないといったことが挙げられます。
一方で、ヒト細胞加工製品は、製造の効率向上、コスト削減、スケールアップなど、基礎段階から臨床までの開発段階に応じた製法変更が多いと想定されます。したがって、製法の変更時には、先ほど申し上げたような特徴を考慮に入れつつ、製法変更前後での製品の品質の同等性/同質性を示す必要が生じます。従来の生物薬品の製造工程の変更前後の同等性/同質性の評価については、国際ガイドラインICH Q5Eがありますが、先に申し上げた特徴を持つ細胞加工製品については、ICH Q5Eの記載事項全てをそのまま適用するということは必ずしも合理的ではなく、製品の特性に応じた新たな考え方が必要ということになります。
今回、御提示されている文書は、先に申し上げたような特徴、ヒト細胞加工製品の品質・安全性・有効性に対して、製造工程の変更が有害な影響を及ぼさないことを立証するには、どのようなデータや情報を収集すればよいかというものを助言するために作成されたという次第です。簡単ですが、以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、御意見等はありますでしょうか。井上貴雄先生、お願いします。
○井上委員 意見ではありませんが、資料1ページの冒頭の研究事業の名前が間違っているようです。「医薬品等規制調和・評価推進事業」ではなく、「医薬品等規制調和・評価研究事業」になります。概要の1行目の事業名も同様です。
○合田部会長 ありがとうございます。
○井上委員 発出される際には、御修正をお願いします。
○合田部会長 適切に直してください。ほかにいかがですか。よろしいですか。それでは、これで議題2を終了させていただきます。
○医療機器審査管理課長 それでは、以降の議論は非公開とさせていただきますので、傍聴の皆様は御退席くださいますようお願いいたします。準備が整い次第、非公開案件の議題の審議を開始いたします。
──傍聴人退席 ──
○医療機器審査管理課長 それでは、部会を再開したいと思います。まずは事務局から事務練絡があります。
○事務局 事務局でございます。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について御報告いたします。資料5、競合品目・競合企業リスト一覧をお開きください。本日の審議事項に関する競合企業として、資料5に示す企業について、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、薬事分科会審議参加規程第13条により、議決に御参加できない委員は、議題3において小牧委員が該当しておりますが、御退室いただく必要はございません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 それでは、部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 これまでのところで特に事務局に御意見はございますか。よろしいですか。
それでは、これより議題3に入らせていただきます。議題3は、「再生医療等製品「etranacogene dezaparvovec」を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について」の審議です。まず、事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題3、資料番号3、etranacogene dezaparvovecを希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。タブレットを御覧の方は、資料3の16分の2ページを御覧ください。紙資料を御覧の方は、事前評価報告書の1ページを御覧ください。本品の名称はetranacogene dezaparvovec、予定される効能・効果又は性能は血友病Bの出血抑制、申請者はCSLベーリング株式会社となっています。
血友病Bは、血液凝固第IX因子の欠乏又は活性の低下を来すX連鎖性潜性遺伝疾患でございます。血友病B患者では、健康成人と比較して第IX因子が低いため、出血傾向が高く、外傷による出血や皮下・関節内における自然出血のリスクが高まります。出血部位では、神経障害、組織壊死、筋委縮などが起こる場合があり、関節内の出血が繰り返されると、血友病性関節症を生じることもあります。
本品は、血友病Bに対する新規の治療法として開発されている変異型血液凝固第IX因子を発現する遺伝子組換えアデノ随伴ウイルスであり、本品による遺伝子治療は、第IX因子遺伝子を患者の体内に導入することにより、1回の投与で必要な第IX因子活性を長期に維持することが期待されています。
希少疾病用再生医療等製品の指定要件の該当性について、順に御説明いたします。まず、対象患者についてですが、16分の2ページを御覧ください。令和4年度血液凝固異常全国調査によると、国内の血友病Bの患者数は1,294例と報告されています。そのため、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人未満の条件を満たしていると考えられます。
続いて、医療上の必要性について御説明いたします。16分の3ページを御覧ください。現行の血友病Bの治療では、第IX因子製剤の定期補充療法が行われており、根治療法はありません。近年、半減期を延長した第IX因子製剤が複数製造販売承認され、定期補充療法における投与頻度が低減されはしましたが、生涯にわたり定期補充療法を続ける必要があるため、長期にわたって出血傾向を抑制できる新たな治療法の開発が望まれています。本品は、単回静脈内投与で第IX因子を持続的に発現させ、長期にわたって出血傾向を抑制することが期待されています。そのため、医療上の必要性は高いと考えています。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。16分の3ページ、中段を御覧ください。本品は海外臨床試験の結果に基づき、既に米国、欧州、英国、カナダにおいて承認されています。重症又は中等症の血友病B患者を対象とした有効性及び安全性の評価を目的とした海外ピボタル第III相試験では、本品の投与前の調整済み年間出血回数の年4.19回と比べ、本品の単回静脈投与により、本品投与後の12か月間の年間出血率は年1.51回と低下しました。また、本品投与直前は1.19%±0.39%であった第IX因子活性が、本品投与後に36.6~41.4%の範囲で24か月間持続しました。さらに、本邦では昨年4月より、重症又は中等症の日本人患者を対象とした第III相試験が実施されており、開発の可能性はあると考えております。
したがって、希少疾病用再生医療等製品の3要件を満たしていると考えられるため、本日は希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について御審議のほどお願いいたします。説明は以上です。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、御意見等はございますでしょうか。会場の先生方、よろしいですか。永井先生、よろしくお願いします。
○永井(洋)部会長代理 京大の永井です。開発の可能性についてですが、海外ではフェーズIIBとフェーズIIIが終了後、2022年に米国で、翌年には欧州で承認されています。そうした中で、日本でまたフェーズIIを丸々実施しなければならないのでしょうか。条件付き・期限付き早期承認のトラックでもっと早くできないのでしょうか。海外データをどこまで使えるのか、規制上の理由があると思うのですが、このままで行くと○○○○の製造販売申請となってしまいます。正にドラッグラグの状態になってしまうと思うのですが、日本人でピボタルをやり直さないといけなくなった経緯を教えていただけると幸いです。
○合田部会長 事務局、よろしいでしょうか。
○再生医療製品等審査部長 機構から御回答します。海外先行の開発製品は結構あるのですけれども、日本で承認するに当たっては、日本人データを必要としているというところが基本になっています。海外のデータでは日本人の成績はないということで、国内試験で日本人成績を得るというところは求めました。日本単独でやりますので、全く海外のフェーズIIと同じ症例数、デザインというわけではなくて、希少疾病ですので、日本人でできる症例数の中で、海外と日本の成績が方向性は全く違わないということの評価を、4例で治験を行うということで、国内治験が実施中ということです。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。永井委員、よろしいですか。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。非常に少ない症例数でのピボタルで承認ということで、結果次第かとは思いますが、通常承認になる予定なのですね。
○再生医療製品等審査部長 機構からお答えします。今、計画としましては、条件期限付き承認ではなく、海外と同じ通常承認ということで進めています。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、ほかに御質問等ございますか。Webの先生方、よろしいですか。井関委員、どうぞ。
○井関委員 井関です。簡単な質問だけさせてください。この治療の対象外の方として、肝硬変の方とかというのは、このAAVが結局静注された後、多分肝細胞に感染するということで、効能を発揮するということでよろしいですよね。
○事務局 事務局よりお答えいたします。御理解のとおり、本品は肝特異的プロモーターによって因子を発現しますので、肝臓内に遺伝子が存在するということで、間違いありません。
○井関委員 ありがとうございます。それで、それに伴って、これは1回投与で大分長時間効果があるということですけれども、いわゆる肝臓に対する負荷といったものは、私はちょっとよく分かっていないのですけれども、報告はされていますか。これに限らず、このベクターを使った治療において、肝臓への負荷というか負担というものは報告されているのでしょうか。
○合田部会長 事務局、分かりますか。
○再生医療製品等審査部長 機構からお答えします。一般的にAAVは肝臓に指向性が高いということで、肝障害を起こす、肝炎を起こすというところがネックになります。事前に予防的にステロイド投与などで炎症を抑えるというのが行われます。先行のゾルゲンスマもそうですけれども、肝臓での有害事象というのは一番気にはしなければいけないところではありますが、予防的にステロイドでコントロールしながらどこまで許容できるかというところも含めて、有効性、安全性を評価することで進めております。
○井関委員 恐らくそういったことを上回るぐらい、この製剤に期待が掛かっているということですね。
○再生医療製品等審査部長 そうです。
○井関委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問、御意見等ございますか。よろしいですね。ありがとうございます。
それでは、議決を行いたいと思います。etranacogene dezaparvovecについては、本部会として希少疾病用再生医療等製品に指定することとしてよろしいでしょうか。御異議はありませんか。
確認いたしました。御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。本件は分科会にて報告を行うこととします。これで議題3を終了します。
続きまして、議題4「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」に入ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題4、資料番号4について事務局から御報告いたします。カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を目的として、特段の拡散防止措置を取らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合には、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を取った閉鎖系で使用する必要があります。
今回は、前回の部会での御報告以降で、令和5年10月から令和5年12月までに第一種使用規程の承認を行った品目はございませんでしたので、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について御報告いたします。資料4の一覧を御覧ください。令和5年10月から令和5年12月までに、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの延べ3品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、取られる拡散防止措置は適切であると判断したものです。事務局より以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。本件につきまして、委員の先生方から、御質問、御意見等ございますでしょうか。Webの先生方もよろしいですか。それでは、これで議題4を終了させていただきます。
本日の議題は以上です。事務局から連絡事項はございますでしょうか。
○事務局 本日の部会審議、ありがとうございました。次回の部会ですが、3月25日月曜日の18時30分からということで、少し遅い時間の開催となり恐縮でございますが、よろしくお願いしたいと思います。詳細等につきましては、後日メールで御連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。それでは、本日はこれで閉会させていただきます。どうもありがとうございました。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医療機器審査管理課 課長補佐 飯野 彬(内線2787)