2023年12月6日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録
日時
令和5年12月6日(水)17:00~
場所
厚生労働省専用第22~24会議室
出席者
出席委員(18名)五十音順
-
- 大隈和
- 岡本吉弘
- ◎小野稔
- 北澤京子
- 久保庭雅恵
- 齋藤嘉朗
- ○佐久間一郎
- 清水昭伸
- 末岡晶子
- 髙松登
- 田中利洋
- 富田英
- 永井洋士
- 福山哲
- 宮川政昭
- 宮城悦子
- 三宅紀子
- 山上聡
(注)◎部会長 ○部会長代理
他参考人2名出席
欠席委員(5名)五十音順-
- 大島まり
- 河野博隆
- 塩谷昭子
- 松宮護郎
- 森田明夫
行政機関出席者-
- 吉田易範(大臣官房審議官)
- 中山智紀(医薬局医療機器審査管理課長)
- 鈴木洋史(医薬品医療機器総合機構審査センター長) 他
議事
○医療機器審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催したいと思います。
先生方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち15名の先生方に御出席いただいております。4名の方は、ちょっと遅れておられるようです。15名のうち、オンラインで9名の委員の方に御参加いただいているという状況です。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしている状況であることを御報告いたします。
本日の審議で、参考人として御出席いただく先生を御紹介いたします。議題1については、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院特命副院長、脳神経内科診療部長の高橋祐二先生、議題2については、近畿大学病院医学部心臓血管センター教授の栗田隆志先生に御出席いただくことになりますが、栗田先生におかれましては、議題2開始時点で御入室いただくことになっております。
議事に先立ち、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、報告させていただきます。会議の都度、書面の提出を頂いており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日の議題の公開、非公開の取扱いについて、説明させていただきます。
○事務局 事務局です。本日予定している全ての議題については、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開とさせていただきます。
会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表と一部追加資料を紙でお配りしております。Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料と送付させていただいた資料を、お手元に御用意ください。
Web会議で御参加されている委員の皆様におかれましては、審議中はマイクをミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンで、よろしくお願いいたします。
資料6の「競合品目・競合企業リスト一覧」をお開きください。Webの先生方におかれましては、ただいま画面共有させていただいております。本日の審議事項に関する競合企業として、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、議決に参加できない委員は、議題2において、小野稔委員、田中利洋委員、富田英委員、松宮護郎委員が該当しております。この際、御退室いただく必要はございません。
また、議題2において、佐久間委員は薬事分科会審議参加規程第8条に基づく「特別の利害関係者」に該当いたします。同条に基づけば、「特別の利害関係者」は原則として審議中は退席する必要がありますが、第5条のただし書において「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる。」とされております。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行についいては、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 それでは、まず議題2の審議において、佐久間委員の「特別の利害関係者」としての取扱いについて、確認したいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局です。佐久間委員におかれましては、日本不整脈心電学会の監事で、同学会のIT/データベース委員会の委員長でいらっしゃいます。議題2の審議品目である「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」の使用成績調査は、同学会のレジストリを用いた製造販売後データベース調査により実施予定とされています。そのため、寄附金・契約金等による利益相反には該当いたしませんが、薬事分科会規程第8条に基づく「特別の利害関係者」に該当することとなります。以上です。
○小野部会長 それでは、今回、議題2の審議に関しては、佐久間委員は、今御説明があったとおり、広い意味で利害関係者になるということですが、寄附金・契約金等の利益相反には該当しないと。ただ、御専門の観点から、佐久間委員の御意見は非常に重要で参考になるのではないかと思います。当部会として、佐久間委員には御出席いただいて、必要な場合に御意見を述べていただくのはどうかと思料しておりますが、いかがでしょうか。委員の先生方から何か御異議、御意見等がございましたら、是非ともお願いいたします。Webから御出席の委員の先生方、何かございましたら、挙手ボタンをお押しいただければと思います。特に意思表示をされている委員の先生方はいらっしゃらないようですので、御異議がないと判断させていただきたいと思います。したがって、佐久間委員には、議題2の審議には御出席いただくという形で進めさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
よろしければ、これより議事に入りたいと思います。本日は、議題1から4が審議事項、議題5が報告事項、また「その他」としての報告も追加であります。
それでは、早速、議題1「医療機器「レリビオン」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。本議題の参考人として、先ほど御紹介いただいた高橋祐二先生に御出席いただいております。それでは、事務局より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
資料1の2ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、2名の専門委員から御意見を頂きました。
以降の説明は、資料1の3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、緑色の通し番号、審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。また、審査報告書に修正がありますので、当日配布資料1の正誤表にてお示しいたします。当日資料として準備した審査報告書は、正誤表の内容が反映された資料です。
それでは、審査報告書に沿って御説明を始めます。はじめに、本品の概要を御説明いたします。資料1の8ページ、審査報告書6ページ、冒頭「1.審議品目の概要」を御覧ください。本品は、片頭痛の急性期治療を目的として、頭部の表層にある三叉神経及び後頭神経を電気刺激するように設計された頭部装着型の外部神経刺激装置です。本品は、ヘッドセット、充電器、電極パッド、患者用モバイルアプリケーション及び医師用インターフェースから構成されます。本品は、患者自身が操作して在宅で使用する機器で、片頭痛が発生した時点で使用を開始します。使用時には、電極部分に装着されている電極パッドを水で湿らせ、接触状態を担保します。ヘッドセット前面のプラス・マイナスボタンで電流値の増減ができます。患者は、不快感がない程度の刺激強度となるよう調節し、最大60分間電気刺激を行います。本品では、前頭部電極にて最大6mA、後頭部電極にて最大12mAの出力が可能です。これらの値は、片頭痛患者に対して実施された本品の予備試験結果から設定されました。欧米で承認されている類似のニューロモデュレーションデバイスと比べ、低めの設定値となっています。本品使用時に電極の接触不良等が発生した場合は、刺激が開始されない若しくは中止されるような安全装置が設けられています。
開発の経緯を御説明いたします。資料9ページ、審査報告書7ページ、15行目から御覧ください。片頭痛は、片側性、拍動性、中等度~重度の強さの頭痛発作が繰り返し生じ、発作は4~72時間持続する特徴を有する一次性頭痛であり、日常生活に支障を来す疾患です。片頭痛の診断は、国際頭痛学会が定めた分類と診断基準により国際的に標準化されています。片頭痛の病態生理については、いまだ確定的な機序は示されていませんが、片頭痛発作には頭蓋内・硬膜血管に分布している三叉神経の関与が考えられています。
片頭痛の急性期治療では、片頭痛発作を確実かつ速やかに消失させ、患者の機能を回復させることが重要であり、国内外において治療の第一選択は薬物療法とされ、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、トリプタン系薬剤等が使用されています。薬物療法における一般的な課題として、一部の患者に対して治療効果が十分に得られないこと、有害事象の発生による患者のアドヒアランス低下、3か月を超える乱用により薬物乱用頭痛を来す可能性などが指摘されています。
ニューロモデュレーションは、末梢神経や頭蓋内神経領域を電気や磁気で刺激することにより神経機能を調整する治療法であり、海外では近年、片頭痛治療にも応用されている非薬物療法です。本品は、非侵襲的に三叉神経と後頭神経を同時に刺激することで、片頭痛の急性期治療において疼痛緩和の目的で使用されるニューロモデュレーション機器として開発されました。
続いて、外国における使用状況について、資料10ページ、審査報告書8ページ、26行目から御覧ください。本品は、米国で2021年2月に許認可を取得し、2023年6月末時点で約○○○○台が使用されています。欧州では2019年7月に許認可を取得していますが、販売体制が整っていないため販売実績はありません。
本品の非臨床試験については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について、御説明いたします。資料17ページ、審査報告書15ページ、27行目から御覧ください。本申請では、本品の臨床試験成績として、RIME試験の試験成績が提出されました。RIME試験は、片頭痛に対する本品の有効性及び安全性を評価する目的で、米国及びイスラエルの12施設で実施されたシャム対照比較試験です。対照群では、治療群よりも弱い出力条件が設定されたシャム機器が使用されました。試験期間中、被験者は片頭痛発作が最大5回発生するか、無作為化から70±10日までのいずれか早い時点までの間、片頭痛発作時に本品を使用しました。
RIME試験における主要評価項目について御説明いたします。資料19ページ、審査報告書17ページ、11行目から御覧ください。主要評価項目は「治療開始2時間後に片頭痛の疼痛が緩和した被験者の割合」と設定され、対照群に対する優越性が検証されました。治療群及び対照群の治療成績は、米国で承認済みのニューロモデュレーション機器及び医薬品の治療効果に関する文献を参考に、治療群における被験者の45%、対照群における被験者の25%で疼痛が緩和されると仮定されました。RIME試験では、資料の21ページ、審査報告書の19ページ、冒頭に示す「片頭痛の適格条件」が定められており、主要評価項目はこの適格条件を満たした初回の本品使用時に評価されました。
試験成績については、資料22ページ、審査報告書20ページ、18行目から御覧ください。主要評価項目の成績は、治療群60.00%、対照群37.29%であり、対照群に対する治療群の優越性が示されました。また、資料23ページ、審査報告書21ページ、中段の表9に示すとおり、副次評価項目「治療開始2時間後に片頭痛が消失した被験者の割合」についても、治療群46.00%、対照群11.86%と治療群で高く、本品による治療の臨床的有効性が確認されました。
続いて、安全性の結果について、御説明いたします。資料24ページ、審査報告書22ページ、3行目から御覧ください。安全性評価項目「被験者登録時から試験終了時までの有害事象の発生率(被験機器との因果関係の有無を問わない)」の成績は、治療群で8例12件(11.94%)、対照群で2例9件(3.13%)であり、いずれも軽度から中等度の予期された事象で、ほとんどが介入なしに回復したことから、安全性について特段の懸念はないと判断いたしました。
以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。まず、本品の有効性及び安全性についてです。資料28ページ、審査報告書26ページ、20行目から御覧ください。冒頭にも御説明したように、片頭痛の急性期治療に期待される効果は、片頭痛発作を確実かつ速やかに消失させ、患者の機能を回復させることです。RIME試験では、治療開始2時間後に片頭痛の疼痛が緩和した被験者の割合について、医薬品の治療効果等を基に臨床的に意義のある値として設定された群間差20ポイントを超える22.71ポイントの群間差が示されました。また、副次評価項目として設定されていた「治療開始2時間後の痛みの消失」における治療群と対照群の群間差34.14ポイントは、片頭痛の急性期治療薬と同程度の変化量でした。以上より、RIME試験の結果から、本品について臨床的に意義のある有効性が示されたと判断いたしました。また、安全性についても、RIME試験で発生した事象のほとんどが治療を要さず、重篤な事象は発生しなかったことから、特段の懸念はないと判断いたしました。
続いて、本品の臨床的位置付けについて、資料31ページ、審査報告書29ページ、35行目から御覧ください。RIME試験により、本品を用いたニューロモデュレーションの有効性と安全性が示されましたが、反復して発生する片頭痛に対して、その都度、本品により一貫性のある有効性が得られることは十分に評価されておらず、RIME試験ではレスキュー薬の使用も約3割の患者で認められました。本品の効果が不十分な場合や本品が装着できない状況があることを考慮すると、本品単独で片頭痛の急性期治療の目的を達成することは難しく、本品を使用する際には、薬物療法と本品を組み合わせた治療戦略を立てる必要があると考えます。したがって、現時点では、片頭痛に対する確立された治療法である薬物療法を第一選択とし、本品については、薬物療法と補完的に使用する新しい治療選択肢として位置付けることが適切と判断いたしました。片頭痛の急性期治療として確立されている薬物療法は、その不応、不適、副作用・副反応によるアドヒアランスの低下、薬物乱用頭痛などの課題があり、これにより日常生活に支障を来している片頭痛の患者にとって、比較的安全性の高い非薬物療法である本品の有用性はあると判断いたしました。
本品の対象患者について、資料34ページ、審査報告書32ページ、冒頭から御覧ください。RIME試験において慢性片頭痛患者は、発作頻度が高く治療効果の判断を複雑にする可能性があることから、対象患者から除外されました。機構は、慢性片頭痛は反復性片頭痛の症状が進行した病態であり、本品の効果が期待できることから、慢性片頭痛の患者を適応に含めることは可能と判断いたしました。ただし、発作頻度が高いことから治療効果の有無の判別が難しくなると想定されるため、その旨も含めた本品の適切な使用方法を患者に周知する必要があると考え、これらについては添付文書やトレーニングを通じて周知するとともに、市販後の治療成績については、使用成績調査により確認することが必要と判断いたしました。
また、18歳未満の患者については、RIME試験の対象患者からは除外されていましたが、本品の治療原理を踏まえると、成人と同様に治療効果が期待でき、本品のリスクが増大するとは考えにくいことから、適応に含めることは可能と判断いたしました。18歳未満の患者における本品の適用可否については、小児の片頭痛に精通した医師が、本品を適切に装着、操作できる患者を心身の発育状況も踏まえて選択し、保護者も含めて指導を行うことがむしろ重要であり、本品を適用可能とする年齢に関する規定は特段設ける必要はないと判断いたしました。
本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策については、資料36ページ、審査報告書34ページ、7行目から御覧ください。ニューロモデュレーションは、薬物療法と比べて安全性が高く、薬物療法と組み合わせることで、その課題を解決することが期待される新しい治療選択肢です。したがって、本邦初の片頭痛に対するニューロモデュレーション機器である本品を有効かつ安全に国内導入するためには、片頭痛治療に精通した医師が、本品の臨床的位置付け、使用方法、治療成績等を十分に理解し、対象となる患者に対して適切な情報提供と指導を行った上で、本品の適正使用に努めることが必要と考えます。これを踏まえ、機構は、表16に示すトレーニングを実施するとともに、表17に示す関連学会が作成する適正使用指針の医師要件や患者要件の遵守が必要と考え、これらを承認条件として付すことが妥当と判断いたしました。
最後に、使用成績調査について、資料38ページ、審査報告書36ページ、冒頭から御覧ください。機構は、本品が本邦初の片頭痛に対するニューロモデュレーション機器であり、RIME試験が慢性片頭痛と18歳未満を除外した片頭痛患者を対象とした海外の臨床試験であったことから、本邦の医療環境下における本品の安全性及び適正使用、並びに慢性片頭痛及び18歳未満の患者における本品の有効性と安全性について使用成績調査により情報収集を行い、必要に応じてリスク低減化や適正使用に関する追加措置を講ずる必要があると判断いたしました。使用成績調査は、表18に示すとおり、予定症例数300例のうち、慢性片頭痛は100例、18歳未満については30例を最低組み入れ数とし、臨床成績が十分に蓄積されていないこれらの症例については、全例調査とすることが妥当と判断し、これを承認条件として付すことといたしました。追跡調査期間は、本品の長期使用における有効性の変化を確認するため、1年とすることが妥当と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、機構は、資料40ページ、審査報告書38ページ、23行目より記載します「使用目的」にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の調査期間を6年とすることが妥当と判断いたしました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しています。
機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。参考人の高橋先生から、何か追加で御説明はございますでしょうか。
○高橋参考人 特に大きく付け加えることはないのですけれども、片頭痛の治療はこれまで薬物療法がその中心だったのですが、非薬物療法の一つの選択肢として、ニューロモデュレーションというのは海外では以前からかなり行われていた治療なので、それが本邦でも導入できるというのは、片頭痛の治療の選択肢がまた増えるということで、その現場にとっては非常にプラスになるのではないかと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。事務局からの説明、それから高橋先生からの追加の御発言を踏まえて、委員の先生方から、何か御質問、御意見はございますでしょうか。Webの先生方は、御発言がある場合には挙手ボタンをお押しください。では、永井委員、お願いします。
○永井委員 京大の永井です。使用成績調査に関するコメントですが、この機器は、実際の現場では、多くの場合、薬と一緒に使われると思うのです。そのような中で、使用成績調査で、臨床試験と同じような評価項目を立てて同じような方法を使って、きちんと効果と安全性を評価できるのかという疑問があります。特に、頭痛という非常にサブジェクティブなものが評価項目なのですね。薬が併用され、さらに自宅で頭が痛くて機械を使い、よくなったかどうかを忘れてしまうことも考えられます。何か工夫しないと、せっかく苦労してやっても、何を見ているのかさっぱり分からなくなるのではないかという気がします。例えばですが、PRO(Patient Reported Outcome)という形で、都度データを収集できるようにする手もあると思います。薬を使い、機械も使えば少しはよくなるに決まっていますので、何か工夫をしないと、調査が徒労に終わりかねないと思うのです。きちんと評価できるような指導を是非メーカーさんにしてほしいというのが思いです。
○小野部会長 ありがとうございました。客観評価をどういう基準でやるのかということと、プラセボ効果とのミクスチャーみたいな感じの科学的な御質問でしたけれども、事務局から御回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。おっしゃるとおり、患者さんの手元には医薬品と本品と両方あるような状況になりますので、治療効果に関しては十分に分けて判断をする必要があると思います。
RIME試験の際にも、レスキュー薬として薬品を使うことは可能でしたので、本品の効果、本品を使用し終わった時点で効果を判定するような、レスキュー薬との効果を分けられるようなノウハウは、蓄積されているかと思いますので、そちらを踏まえて、企業の方には適切に情報を集められるように工夫していただきたいと考えております。
また、アプリでも、治療の情報は一定程度集めることは可能ですけれども、今回、使用成績調査で集めたい情報というのが、アプリに含まれないものもございまして、使用成績調査については、患者に日誌のような書面で、一括して情報を集めるようなことを企業さんは計画されております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。高橋先生の方から、何か追加でコメントはございますか。
○高橋参考人 我々も日常診療で、頭痛の患者さんの治療効果を判定するときに、例えば頭痛ダイアリーのような、そういうセルフレポーテッドな記録をつけてもらって、発作がいつ起こって、そのときにどういう薬を使って、どういう効果があったかを記録していただいて、それを診療の参考にすることはございます。ですから、先生が御指摘されたように、そういうものを活用して、場合によってはアプリを活用して、きちんと1回1回の発作に対する反応性を記録しておくということは、非常に重要なことであると考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。永井委員、ただいまの御回答に対して、よろしいでしょうか。つまり、PROを有効に評価にもいかすといったところの御回答であったと思います。
ほかに、御質問は。宮川委員、よろしくお願いします。
○宮川委員 宮川です。この場合、非常に重要なところは、電極だと推察するのですが、電極を湿らせて装着するという形になると、電極が、そういう意味では装着できていない、皮膚面と密着していないということであれば、電源が入るのか入らないのか、まずそこのところをお聞かせいただきたいと思います。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。電極の装着が確認できないときには、刺激がそもそもスタートしないような設計になっております。
○宮川委員 ありがとうございます。しかしながら、全面がしっかりと装着することと、それからある程度一局面というか、その局所だけ密着した場合であっても、装着してしまうと誤認した場合には、かなり一部分にその電流が流れるという可能性もあると思うのですが、その接着面が100%ついているという確証というか、そういうことはあるのでしょうか。半分でも100%ついているとして電流が流れてしまう、あるいは、半分であれば電流としては過大な電流は流れないとか、そういう何か安全装置がついているのでしょうか。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。安全装置として、過電流の安全装置もついておりますので、電極が、あくまで全て接触が担保されたときのみ出力が出るような設計となっていますので、患者さんの皮膚に熱傷が起きたりとか、そういうことはないような設計になっていると考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。そうすると結局は、それと一緒に、0から100ステップという、ステップが非常に幅が広いということで、それを自分で調節して適切な刺激になるように、御本人がしっかりと管理をする形であるため、そういう意味では、しっかりと最初のところで教育が非常に重要だろうと、適切な指導が必要だろうと思いますので、そのマニュアルというか、患者さんへの指導マニュアルをしっかりと設定して、分かりやすいようなものを作っていただきたい。そうでなければ、年齢の若い方、それから自宅で用いる場合に、非常に困窮する場合があると思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
○小野部会長 ありがとうございます。その辺の、いわゆる教育と安全性の担保については、先ほども少し承認条件の中にも書かれていたとおりですので、やはり繰り返し、患者さんによっては、適正使用が守れないような場合に、きちんとそれに対して適切な教育が追加でもできるようにというような、安全性の担保も必要だという御意見だと思います。事務局から、最後に何かございますか。
○医薬品医療機器総合機構 電源の設定値については、患者さんが不快に感じない程度の刺激をするように指導を行います。刺激は強ければいいというものでもなくて、強さと効果が相関しないというように知見が得られていますので、その辺りの、強いほうが効くわけではない、不快感を感じない程度で刺激をすれば効果が得られるような設計となっているということを、十分に患者さんに資材等を用いながら教育をしていただいて、適正な使用が担保されるようにしていただきたいと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、質問、コメントはございますでしょうか。北澤委員、よろしくお願いします。
○北澤委員 北澤です。この機器を片頭痛ではない普通の人が使った場合は、何か害が起こるものなのでしょうか。
○小野部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。通常は特別な被害というものは想定されておりませんで、RIME試験で見られたような有害事象として、発赤であったり、皮膚のピリピリ感というものが、起こる事象としては想定されるかなと考えております。本品は在宅で使用する機器ですので、当然、患者さん以外の方の使用は防止しなければならないのですが、本品の使用ステップとして、事前にパッドを濡らしたり、きちんと装着をしたりということで、幾つかステップがありまして、それが正確にできないと適切に刺激が開始されないことになっておりますので、通常、指導を受けた患者さん以外が使用してしまうというリスクは低いのではないかと考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、コメントはございますでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の質問に関連することですけれども、これを使ったとしても、前頭部では最大6mA、後頭部では最大12mAですので、それほど強い電流が流れるという形ではないと思いますので、不快であればすぐ着脱することができるはずなので、多分、大きな問題はないと思います。長時間眠ってしまうということになれば別でしょうけれども、普通であれば、そういうことが起きることは臨床的にはないと考えられるのではないかと思います。
○小野部会長 追加の情報、コメントをありがとうございます。今、宮川委員からありましたけれども、今度私から、逆に質問ですが、片頭痛の治療に使っていて、片頭痛がとれて気持ちよくなって眠ってしまったといった場合、多分、通電時間のリミッターというのがありますが、それはどのようになっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。一度刺激を開始すると、60分で自動的に停止するようになっています。
○小野部会長 ということなので、長時間不用意に通電が続くことはないということが、安全機能としてあるということです。
ほかに、何か御質問は。清水委員、お願いします。
○清水委員 清水です。審査報告書の33~34ページにかけて、18歳未満の患者さんを対象とした議論があります。33ページの方で、申請者の説明として、「ヒトの神経系は12歳までにほぼ100%まで発達している」ということなのですが、12歳未満の方にもこの機器を適用することがあり得るのか。もしあり得るなら、申請者の方から、それについての説明、神経系がまだ未発達の状態でも大丈夫というような御説明や、海外のデータ等がもしありましたら、補足をお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 通常、片頭痛の診断がつく年齢は、大体小学校の高学年程度からと理解をしております。ですので、余り低年齢の患者さん、12歳未満の患者さんに使われてしまうようなケースは、多くないのではないかと考えております。それから、適正使用指針の中で、18歳未満においては片頭痛の確定診断がつく年齢であるということを患者要件としても書いておりますので、この点は守られるのではないかと考えております。
高橋先生、もし追加がございましたら、お願いできますでしょうか。
○高橋参考人 片頭痛の診断は、診断基準がきちんとありまして、それを満たすような典型的な片頭痛は、先ほどお話がありましたように、余り若年というよりも小学校高学年から中学校ぐらいになってから出てくるようなことが多いと思いますので、余り低学年の方には使用は想定されないというのはそのとおりだと思います。逆に、一方では、小学校高学年の、結構激しい片頭痛の方が最近特に多くなっている印象を受けるのですが、そういう方に対しては、今は片頭痛の特異的な治療薬が使えないという状況があって、なので非常に現場の診療が困っているという現状もございます。特に小学校高学年ですと、いわゆる受験生がたくさんいらっしゃって、そういう方々が非常に頭痛で困っていらっしゃるという現状があるので、そういった方々に適用できる安全な治療が非常に望まれているという現状もございます。以上です。
○小野部会長 追加の情報、ありがとうございます。清水委員、よろしいでしょうか。
○清水委員 御説明ありがとうございます。12歳とか小学校高学年の学生、学童の方が対象になって、非常に有効な治療方法となり得るということはよく理解できましたが、今回のデータの中にそういう患者さんが含まれていないこと、それから神経系の発達としても、高学年というのは、12歳に近い年齢ではあるかと思うのですが、少し心配になってお伺いいたしましたが、海外の臨床試験のデータで、12歳とかこれよりも下の方を対象とした成績はございませんでしょうか。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 今回のデータにつきましても、海外につきましても、18歳未満のデータは現状ない状況となっております。ですので、やはり国内の使用成績調査にて、こちらのデータで問題ないのかということは、しっかりと確認していきたいと考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。清水委員、よろしいでしょうか。
○清水委員 はい、ありがとうございました。これは使われるお医者さんの方も、データがないということで心配なところもあるかと思いますので、その辺りしっかりうまく治療が有効になるように、いろいろメーカーさんの方にも御指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小野部会長 コメントありがとうございました。高橋先生、この議論につきまして、何か更に追加でコメントはございますか。
○高橋参考人 先ほど申し上げたことに、特に追加することはございません。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、委員の先生方から、質問、コメント等はございますでしょうか。
特に御意見がないようですので、議決を行いたいと思います。医療機器「レリビオン」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価の期間を6年として指定することでよろしいでしょうか。御異議のある委員の方は挙手、あるいは御発言をお願いいたします。
特に御異議がないようですので、上記の内容で議決をしたいと思います。なお、本件は分科会にて文書報告を行うこととなっております。御協力ありがとうございました。
これで、議題1を終了したいと思います。高橋先生、御参加どうもありがとうございました。
○高橋参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
それでは、マイクの調整がつきましたので、これから議題2「医療機器「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。なお、本議題について、参考人として栗田隆志先生に御出席を頂いております。それでは、まず、事務局より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2の3ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、こちらの3名の専門委員から御意見を頂きました。
以降の説明は、資料2の4ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、緑色の通しページ番号、審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。また、審査報告書に修正がありますので、当日配布資料2、正誤表にてお示しいたします。本件、深くお詫び申し上げます。
はじめに、品目の概要を御説明いたします。資料9ページ、審査報告書6ページ、1行目から御覧ください。「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」は、薬剤不応性症候性の発作性心房細動の治療を目的としたパルスフィールドアブレーションに使用するカテーテルと装置です。パルスフィールドアブレーションは、短時間・高電圧のパルス電場を心筋組織に対して出力することにより、心筋組織の細胞膜の透過性を亢進させ、細胞膜表面に生じた不可逆的な穿孔により細胞死を引き起こさせることで焼灼巣を形成するアブレーション方法です。カテーテルは、図1の左側に示しますように、先端部が環状の多電極カテーテルであり、その環状部は焼灼部位である患者の肺静脈口の大きさに応じて約25~35mm径の間で調整可能です。装置は、カテーテルにパルス電場を出力するためのジェネレータです。以降、カテーテルと装置の組み合わせを「本品」と呼びます。
次に、開発の経緯を御説明いたします。資料12ページ、審査報告書9ページ、14行目から御覧ください。本品の適応である発作性心房細動に対する非薬物治療として、次のページの図6に示しますように、アブレーションカテーテルを用いて肺静脈と左心房の境界の心筋組織を変性させ、心房細動の主な原因である肺静脈起源の異常電位が心房へ流入しないように電気的に隔離する「肺静脈隔離術」が行われています。
本邦における既承認のアブレーション方法では、過度な加熱に伴う炭化やポップ現象と呼ばれる組織の水蒸気破裂により、塞栓症や心穿孔等の合併症が懸念されます。また、アブレーションエネルギーが周辺組織に伝達することで、心房食道瘻や横隔神経損傷等の合併症を引き起こす可能性があります。これらの課題を解決するため、本品が開発されました。細胞死を引き起こすパルス電場の強度及び総供給時間は、組織に熱を発生させる値より小さいことが知られています。また、次のページの表1に示しますように、細胞死を引き起こすパルス電場の強度が組織ごとに異なり、心筋組織の閾値が他の組織よりも小さいことが報告されています。したがいまして、本品において適切なパルス電場を選択することで、過度な加熱に伴う合併症や周辺組織の損傷を低減することが期待されます。
外国における使用状況については、資料15ページ、審査報告書12ページ、3行目から記載しております。カテーテルの外国における許認可はなく、装置は本年10月25日付けで欧州にて許認可を取得しましたが、販売は開始されておりません。
続いて、本品の非臨床試験について、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。資料22ページ、審査報告書19ページ、23行目から御覧ください。本品の臨床試験成績として、欧州11施設及びカナダ2施設で行われたinspIRE試験の試験成績が提出されました。概要については、次のページの表6を御覧ください。inspIRE試験は、申請品のカテーテルと、装置の前世代品を組み合わせたIREシステムを発作性心房細動患者の肺静脈隔離術に用いた際の安全性及び長期有効性を確認することを目的とした、多施設共同、前向き、単群試験です。本試験は、IREシステムの安全性及び有効性を事前に評価するWaveI、ラーニングカーブの影響を最小化するためのWaveII Roll-In、仮説検証に用いるデータを取得するWaveII Mainの三つのコホートから構成され、それぞれ40例、30例、186例が登録されました。
結果について御説明いたします。有効性について、資料30ページ、審査報告書27ページ、6行目から御覧ください。WaveII Mainにおいては、186例全例が3か月フォローアップを完了し、83例が12か月フォローアップを完了したタイミングで中間解析が実施され、試験の早期成功が確認されました。主要有効性評価項目として「有効性評価期間中における心電図データに基づく記録上の症候性又は無症候性の心房細動、心房頻拍及び心房粗動の非発現率」が評価され、性能目標は海外ガイドラインでの推奨値及び類似既承認品の臨床試験での性能目標に基づき50%と設定されました。中間解析時の結果は70.0%、最終試験成績は75.5%であり、中間解析と最終解析で同等の成績が得られ、いずれも性能目標を達成しました。
安全性について、資料31ページ、審査報告書28ページ、19行目から御覧ください。主要安全性評価項目として「初回マッピング及びアブレーション手技7日以内の主要有害事象の発現率」が評価され、その結果、中間解析及び最終解析のいずれも0%であり、inspIRE試験で主要有害事象の発現はありませんでした。また、重篤な有害事象について、WaveII Mainで発現した尿閉1件は、手技との因果関係あり、機器との因果関係なしと判断され、その後回復しました。そのほかの重篤な有害事象は、機器又は手技との因果関係は否定されました。
以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。まず、本品の臨床的位置付けについて御説明いたします。資料33ページ、審査報告書30ページ、12行目から御覧ください。過度な加熱に伴う有害事象や周辺組織の損傷の低減という本品のメリットについては、動物試験及びinspIRE試験において懸念すべき有害事象を認めていないことを踏まえ、原理からは期待し得るものと考えます。また、inspIRE試験の結果から、本品を既承認品と同様の位置付けの心房細動アブレーション機器の選択肢の一つとして、臨床現場に提供する意義はあると判断しました。なお、本品のメリットについては、実臨床におけるデータを引き続き確認していくことが重要と考えます。
次に、海外臨床試験成績の本邦への外挿可能性及び単群試験による評価の妥当性について御説明いたします。資料34ページ、審査報告書31ページ、29行目から御覧ください。本品の使用に関して、本品の作用機序、アブレーション治療に関連する解剖学的部位の形状及びサイズ、使用環境等に大きな国内外差は示唆されないため、本邦の医療環境における本品の有効性及び安全性を、海外にて実施したinspIRE試験の試験成績を用いて評価することは受入れ可能と判断しました。また、肺静脈隔離術を行うアブレーションカテーテルが本邦で既に複数承認されており、既承認品のデータが蓄積し、海外ガイドラインにおいても達成すべき性能目標が明確になってきていることを踏まえ、単群試験により本品の有効性及び安全性を評価することは受入れ可能と判断しました。
次に、有効性について御説明いたします。資料36ページ、審査報告書33ページ、2行目から御覧ください。inspIRE試験の中間解析において早期成功が確認され、最終結果も性能目標を達成しました。主要有効性評価項目における再発の定義には、試験中の抗不整脈薬の新規投与及び増量や再アブレーションを含めるべきだったと考えますが、これらの基準により新たに不成功と判断された症例はなかったことから、結果としては許容可能と判断しました。また、本邦既承認品の臨床試験との比較においても、本品の成績は劣らない数値であったことから、本品の有効性は許容可能と判断しました。
次に、安全性について御説明いたします。資料37ページ、審査報告書34ページ、26行目から御覧ください。inspIRE試験において主要有害事象が発生しなかったこと、機器又は手技と関連する重篤な有害事象の発現はWaveII Mainの1件のみであったことから、一定の安全性は示されたと判断しました。また、パルスフィールドアブレーションが新しい焼灼原理であることを踏まえ、アブレーション治療における主な安全性上の懸念点である食道損傷及び心房食道瘻、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄のリスクについて精査した結果、既承認品と比較してリスクが高まるものではなく、本品を臨床現場に提供することは可能と判断いたしました。また、同じく懸念される脳塞栓のリスクについては、次に詳しく御説明いたします。
資料38ページ、審査報告書35ページ、11行目から御覧ください。WaveIにおいてMRI評価を全例に実施したところ、8例に無症候性脳塞栓が認められました。特に、最初の6例のうち4例と高い割合で認められたため、パルス通電の間隔であるアプリケーション時間間隔や推奨事項の遵守に関するリスク低減策を実施したところ、その後の発現率は既承認品と同程度まで低減しました。発現した無症候性脳塞栓の原因は特定されておりませんが、そのほかの塞栓事象及び血栓事象の発現はないことから、リスク低減策を継続し、本品を臨床使用することは可能と考えます。製造販売後の塞栓事象及び血栓事象の発現状況については、使用成績調査において詳細に情報収集し、新たな知見があれば臨床現場に情報提供する必要があると判断しました。なお、本品における無症候性脳塞栓のリスクが既承認品と比較して明らかに高いとは言えないこと、及び日常診療においてカテーテルアブレーション治療後の全ての症例について、一律に頭部MRI検査を行っていないことから、専門協議での議論を踏まえ、市販後におけるMRI検査を必須とはせず、脳梗塞等の可能性の高い症例のみ実施することが適切と判断しました。
次に、製造販売後の安全対策について御説明いたします。資料42ページ、審査報告書39ページ、30行目から御覧ください。本品は、不整脈の経皮的アブレーション術に対する十分な経験を有している医師が、本品に関する適切なトレーニングを受けた上で、各種合併症に対応可能な施設において使用することが適切と考えます。したがいまして、関連学会と協力し、医師及び施設の基準及びトレーニング内容を適切に設定するとの申請者の方針は妥当と判断し、これを承認条件として付すこととしました。
最後に、使用成績評価について御説明いたします。資料43ページ、審査報告書40ページ、表12を御覧ください。本品が新しい焼灼原理のアブレーション機器であり、臨床データも限定的であるため、製造販売後の使用成績調査において、本邦での実臨床使用における有効性及び安全性を確認し、必要に応じて追加のリスク低減措置を講ずることが重要と考えました。予定症例数を300例、調査期間を4年とすること、重点調査項目に設定された項目を含め、提示された計画案は妥当と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、機構は、資料46ページ、審査報告書43ページ、4行目より記載しております使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断します。また、使用成績評価の調査期間は4年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。それでは、まず、参考人の栗田先生から、何か追加で御発言ありますでしょうか。
○栗田参考人 近畿大学の栗田でございます。本品に関する期待、臨床上のニーズについて、簡単に発言させていただきます。先ほど御説明がありましたように、心房細動に対する治療は、肺静脈隔離というものについて高いエビデンスが確立されているところです。従来のアブレーションの高周波、それからクライオバルーンなどにつきましては、全て温熱効果を利用して、心筋を死滅させて肺静脈を隔離させるものですが、本品は、それと全く別なメカニズムで細胞の障害を起こす、死に至らしめるという、異なる概念からできたものです。特に、肺静脈も、温熱効果の宿命的な問題といいますか、周辺臓器への影響が大きな問題となっています。今回のパルスフィールドアブレーションは特に食道、それから横隔神経など、そういったところへの損傷が波及しにくいというところが特徴です。これは、私たちアブレーションをやっている者にとって、実は悲願でして、非常に大きな期待をもって見ているところです。
今回のカテーテルの形状ですが、リング状になっております。これは、先ほどもお話がありましたように、このリング状のカテーテルといいますのは、私ども、これまでに左房の中で操作をした経験が大変高い、非常にそれに似た形状をしているものでして、操作法につきましては基本的に共通したものだろうと思っておりますし、先端がペン型のように鋭利ではありませんので、組織に対する物理的な損傷もかなり避けられる可能性があると思っております。
もちろん、これは初めて日本で導入される機器ですので、今後の市販後調査につきましては、不整脈心電学会と連携しまして、J-ABという、アブレーションの患者様の全例登録を目指した、ビッグデータというものを学会が推奨しておりますので、それと連携して、症例を登録して、しっかりとフォローアップをするということ。トレーニングにつきましても、学会と連携して、しっかりしたものを作っていくということが決定されております。
私からは以上です。どうもありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、コメントがございましたら、よろしくお願いします。田中委員、お願いします。
○田中委員 奈良医大の田中です。2点お伺いしたいのですが、1点目は、脳梗塞、WaveIで、初期の症例で頻度高く起こったということで、推奨事項の変更を記載されていますが、この抗凝固療法3週間前、ACT350、左心房でのカテーテル交換最小限というのは、起こった症例は、こういうことが守られていなかったというか、何か原因が分かっているという、そういう認識でこういうことになったのでしょうか。
○小野部会長 事務局から回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。最初の6例中4例で無症候性脳塞栓が発生したのですが、抗凝固療法とACTの値については、守られている症例、守られていない症例があったということです。カテーテル交換については、詳細な情報は得られておりませんが、当初からトレーニングとしては推奨されていたのですが、再度推奨を行ったという状況です。
○小野部会長 ありがとうございます。田中委員、どうぞ。
○田中委員 これも含めて、次、国内での使用は、この推奨事項を明記した上で、ということでよろしいでしょうか。
○小野部会長 回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。御理解のとおりでして、こちらの推奨事項をトレーニングで推奨する予定です。添付文書の記載に関しては、ACTの値については明記をしております。ただ、抗凝固療法に関しては、出血リスクとの兼ね合いもありますので、3週間以上前を基本として推奨を行いますが、各症例にて個別に判断が必要なところですので、トレーニングでの周知徹底を行いまして、現在、添付文書内には明記はしていない状況です。
○田中委員 はい。もう1点お願いしたいのですが、これは承認と少し外れるかもしれませんが、300例のこの後の調査で、今後のアブレーション治療の位置付け、安全性は確立されてきているとは思うのですが、この300例でガイドラインが変わるとか、その位置付け、推奨が変わってくるということを見越した症例数の設定ということなのでしょうか。
○小野部会長 これは、むしろ栗田先生にお答えいただいたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
○栗田参考人 ありがとうございます。300例の症例数からといいますと、まず基本、効果と安全性を確認するということが一番の目的です。ガイドラインに関しては、もちろん、今後これの効果がほかの方法と同等であれば、恐らくガイドラインに載ってくるだろうと思いますが、ガイドラインに載せますものは、どうしてもエビデンスというものが必要になります。そういったものを構築してからということが主になるかと思います。そのためにも、J-ABですね、J-ABという登録事業がありますので、これは、この300例に限らず、今後これが臨床的に広まった状況でも、情報を常に収集して、その結果を発表するつもりにしております。したがって、エビデンスが構築されますまで、ちょっと時間が掛かるかもしれませんが、当面は、まず300例でしっかりとフォローアップをする。それ以降も、J-ABを用いて、同様のフォローアップなどをしていく。特に、合併症、有効性に関して観察していく。エビデンスの構築はその後ということになると思います。
○小野部会長 御回答ありがとうございました。田中委員、これでよろしいでしょうか。
○田中委員 承知しました。ありがとうございました。
○小野部会長 それでは、永井委員、お願いします。
○永井委員 アプリケーションの時間間隔に関係する質問です。脳塞栓予防に関する推奨事項については、臨床試験なのでかなり慎重にやっていたはずで、むしろアプリケーション時間間隔を10秒間以上空けるということがポイントだったのかと思います。そこを徹底することで、それまでパラパラ飛んでいた脳塞栓が減ったのかと推測するのですが。時間を空けることで、メカニズム的に、なぜそういった脳塞栓が減ると考えられるのでしょうか。
○小野部会長 これは事務局で回答できますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。この点ですが、アプリケーション時間の間隔を10秒空けるとなぜ減るかという点に関して、申請者の方でも確認を行っていたのですが、明確な原因が、今、特定できていない状況でして、この対策を行ったら減ったので、これは継続しているという状況です。ですので、御質問のお答えとしては、その理由は明確になっていないというところです。
○永井委員 それらを含めて明らかになるとよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。そのとおりでございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、富田委員、お願いします。
○富田委員 昭和大学の富田です。使い勝手は従来品と同等ということでしたので、この機器に関する承認は問題ないかと思っているのですが、心房細動、肺静脈オリジンがコモンではありますが、そのほかに、フォーカルなアブレーションが必要なサブストレート、合併している方も多々いると思うのですが、そういうシチュエーションでは、従来のポイントで焼灼するようなものを併用されるということも想定されているのかどうかということと、そういう方が入っていた場合には、市販後調査はどのような扱いになるのかをお聞きしたいです。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局から回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 まず1点目の御質問に関しては、本品を導入する施設の施設基準において、従来の高周波アブレーション機器を有している施設という条件がありますので、従来のスポット型のアブレーションができる施設に本品を導入していく。それで、肺静脈以外のスポットの焼灼が必要な患者さんの場合には、従来のカテーテルでの対応をしていくことになります。使用成績評価においては、あくまでも、本品は肺静脈隔離術に使用する機器ですので、肺静脈隔離を本品で行った症例のみを評価していく形になります。
○富田委員 ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございました。資料43ページの表12の使用成績調査実施計画(案)のところに、一応、薬物非対応の発作性心房細動ということになっていますので、ほとんどが肺静脈由来の発作性心房細動であろうということを想定した患者選択となっているわけです。
ほかに。それでは、宮川委員、お願いします。
○事務局 すみません、マイクの調子が悪いので、少々お待ちください。
○宮川委員 すみません、教えていただきたいのは、日本人の肺静脈径は、平均すると20mmと承知しているのですが、この場合ですと、25~35mm。先ほど本品を見せていただいたのでは、手元の操作で少し径が小さくなるということは分かるのですが、肺静脈口、その周囲はできるのですが、肺静脈口ぎりぎりの所の焼灼がどのようにできるのか、それについて教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。本品は、肺静脈の入口の部分と、肺静脈の手前、少しだけ挿入して焼く二つのパターンがあります。肺静脈は柔軟性がありますので、径が20mmであっても、少しグッと押し込むような形で入れて、そうすると、電極が組織に張り付くような形でしっかりと接触されて、アブレーションが行える状況になります。
○栗田参考人 すみません、栗田ですが、補足説明します。
○小野部会長 では、栗田先生、お願いします。
○栗田参考人 御質問ありがとうございます。確かに今回、肺静脈径よりも少し大きめの直径ということになっておりますが、この機種では、肺静脈の狭窄というのは恐らく出ないだろうと考えられております。従来の温熱を利用したものを用いて、肺静脈の奥(末梢)を焼きすぎますと、肺静脈の狭窄がくる可能性があります。それから、やはり、心房細動の原因は肺静脈の中だけではなくて、肺静脈と左房の境界領域、Antrumと私たちは言っているのですが、少し手前の領域にも、肺静脈の原因というのが拡大している症例があるということですので、比較的拡大した肺静脈隔離、肺静脈よりもむしろ心房側に少し寄った所も隔離するということが、その後の再発予防に有効であるとされておりますので、若干、肺静脈よりも大きめの、肺静脈よりも、むしろ近位部の焼灼ができるということで、このような大きさになっていると判断しております。
○宮川委員 御説明ありがとうございました。そうしますと、このパルスの圧として、1,760と880の二相性になっているわけですが、そうすると、それがいわゆる、細胞死を起こす電場の強度という形でこれが効いてくる、つまり、肺静脈の周囲、少し心房側に、手前側にあるという意味が、そこに効いてくると考えてよろしいのでしょうか。先生に聞いてしまって申し訳ないのですが。
○小野部会長 栗田先生、専門のお立場からお願いします。
○栗田参考人 そういうことだと思います。基本的には接触が必要です。少し離れても大丈夫だという話は聞いておりますが、接触は必要だと考えております。ただ、接触も、これまでの高周波を用いた場合の接触強度は10g程度が必要で、やや強めに当てないと焼灼効果は得られなかったのですが、今回の場合は、本当にソフトタッチの状況で、細胞壊死が得られるということで、より安全に使えると考えております。
○宮川委員 ありがとうございました。
○小野部会長 コメントありがとうございました。ほかに、委員の方から質問は。永井委員、お願いします。
○永井委員 京大の永井です。もう1点教えてください。対象患者さんが薬剤不応性の症候性の発作性心房細動ということになっているのですが、心房細動を治療する一番の目的は、心原性脳塞栓症の予防ですよね。それは、症候性の心房細動であろうが、無症候性の心房細動であろうが、同じぐらいのリスクと聞いていますが、今回、症候性の心房細動に限定した理由は何なのでしょうか。
○小野部会長 これは事務局から回答できますか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。症候性に限定した理由ですが、心房細動治療の目的の一つとして、QOL改善もありますので、心房細動の症状として、動悸ですとかそういった症状を感じられている患者さんのQOLを改善するという点も目的として含まれておりましたので、症候性の患者さんに限定をしております。
○永井委員 ただ、QOLよりも、心原性脳塞栓症の方が患者さんにとってはずっと大事な話と思うのですが。
○小野部会長 ありがとうございます。栗田先生、これに対して何か追加でコメントございますか。
○栗田参考人 ありがとうございます。大変、ごもっともな御意見であろうかと思っております。しかしながら、現在のところ、心房細動のアブレーションによる最大の効果は、QOLの改善でして、生命予後の改善効果というものにつきましては、正常心機能の患者さんにはまだ明確に確認されていない状況です。また、心原性脳塞栓の予防効果についても、いろいろな報告があって、改善するというものから余り効果がないというものまで、ばらついております。したがって、現在のところ、心房細動に対するアブレーションの効果が明確になっているのは、QOLの改善ということですので、症候性ということが今回の適応になったと理解しております。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに、質問、コメントございますでしょうか。
特にございませんので、議決に入りたいと思います。医療機器「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないということでよろしいでしょうか。もう1点は、使用成績評価の期間を4年として指定することでよろしいでしょうか。御異議、御意見のある委員の先生方は、挙手、御発言をお願いします。特に御異議はないようですので、上記のように議決をしたいと思います。なお、本件については、分科会で報告を行うことになっております。
これをもちまして、議題2の審議を終了いたします。栗田先生、御参加どうもありがとうございました。
○栗田参考人 どうもありがとうございました。
○事務局 栗田先生、退室いただいて差し支えございません。ありがとうございました。
○事務局 事務局より、議題3、医療機器「エピフィックス」の使用成績評価の調査期間の延長について、御説明いたします。
申し訳ありません、当日配布資料の3でございますが、エピフィックスの製造販売業者が「EPJメディカルサービス株式会社」となっておりますが、こちらは12月1日付けで「ディーマー・メディカル・ジャパン株式会社」という名称変更をいたしましたので、こちらを訂正後の表としてお送りさせていただいております。
今回、御審議いただく品目「エピフィックス」につきまして、資料3の1ページを御覧ください。こちらは概要でございますけれども、申請者は米国のMiMedx社でございます。また、選任製造販売業者は、先ほどのとおりEPJメディカルサービス株式会社から社名変更された、ディーマー・メディカル・ジャパン株式会社となっております。
本機器は、乾燥ヒト羊膜絨毛膜からなる吸収性創傷被覆材でありまして、含有する増殖因子やサイトカイン等によって既存療法に奏効しない難治性潰瘍に使用し、創傷治療を促進することを目的として、2021年6月7日に承認されたものでございます。その際、3年間で75症例の安全性を確認する使用成績調査を実施することとして調査期間が設定されました。
しかし、承認後、保険収載等に時間を要し、販売を開始するまでに1年8か月が経過したことから、準備期間について当初11か月と設定していたところ、1年8か月として9か月の延長が希望されております。
症例登録期間についても、販売開始から各医療機関での本製品採用までの申請、倫理審査委員会の承認等に時間を要しており、75症例の症例登録の完了が25か月、販売開始から2年1か月と想定されており、当初の12か月から13か月の延長となっております。
また、解析期間について、当初計画していた4か月に加えて症例調査終了後の調査事項の精査や解析結果に疑義が生じた際に、申請者・選任製造販売業者・調査業務委託会社での確認作業が必要となることから、5か月の延長を要望されております。
以上から、準備期間が9か月、症例登録期間が13か月、解析期間が5か月の、計2年3か月の延長で、調査期間を5年3か月と申請されています。
厚生労働省及び機構の判断として、2年3か月延長して5年3か月とすることは妥当と考えております。
こちらの2年3か月の調査期間の延長について、御審議いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、コメント等はございますでしょうか。
保険償還まで時間が予想外に掛かったということ。また、コロナなどの影響で患者のエンロールメントが非常に遅れたといったようなことと、最終的なデータ整理や疑義解釈などを含めた期間の延長といったことでございます。既に保険償還されて、市販されている医療材料ということになります。
特に御意見等ございませんでしょうか。ありがとうございました。
それでは、議決を行いたいと思います。医療機器「エピフィックス」の使用成績評価は期間を5年3か月として延長指定するということでよろしいでしょうか。御異議がある先生方、御意見のある委員の先生方は、挙手あるいは御発言をお願いします。
それでは、御異議がないようでございますので、上記のように議決をいたします。なお、本件についても、分科会にて報告を行うこととなっております。これで議題3を終了させていただきます。
それでは、議題4「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に入ります。事務局より御説明をお願いします。
○事務局 それでは、議題4につきまして、資料4に基づき御説明させていただきます。
既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また、「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について、御審議いただいております。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが2件ございます。
1ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「歯科用骨形態評価プログラム」、その定義は「パノラマX線画像等から得られた情報をさらに処理して骨形態に関する情報を提供する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。
2ページに「新一般的名称が付される予定の品目概要」がございます。本製品は、歯科パノラマX線画像の画像データを、記録媒体を介して汎用ワークステーションに取り込み、独自の解析アルゴリズムにより、歯科パノラマX線画像上の下顎骨に対して下顎皮質骨の厚み計測と形態評価を行うプログラムとなっております。
類似する一般的名称に、医科分野で使われている「骨強度分析プログラム」がございますが、本品は、歯科分野において骨形態の評価のみを行うものでございまして、骨密度や骨強度の算出は行わないという点で異なりますので、今回新設することとなりました。
本品は、クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、非該当と考えております。
続きまして、4ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「手術用画像認識支援プログラム」、その定義は「内視鏡あるいは外科手術用画像から得られた情報をさらに処理して術中の視覚支援等のために使用する医療機器プログラム。解剖学的構造物等の位置や領域を推定する機能を有する。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。
本一般的名称の適応を考えている審査品目は2品目あり、1品目目は5ページ「新一般的名称が付される予定の品目概要」にございます内視鏡手術支援プログラムです。本製品は、下の図にありますように、内視鏡画像中の尿管・膀胱部位を検出し、候補領域を強調表示することで医師が尿管・膀胱を認識することの支援を行う製品です。
もう1品目は、6ページ「新一般的名称が付される予定の品目概要」の外科手術視覚支援プログラムです。本製品は、画像情報から解剖構造物の位置や領域を推定し、その結果を画面表示することで、医師の視覚支援をする製品です。下の図では、術中に切開しても問題ない結合組織を色づけして提示しています。
本品は、クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、非該当と考えております。
以上でございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から、御意見、コメント、御質問がございますでしょうか。最近多く出始めているAI技術を使った画像解析と画像統合の技術を使った内視境手術の支援プログラムということであると思われます。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御意見がございませんので、議決に入りたいと思います。
まず1点目、「歯科用骨形態評価プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということでよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手、発言をお願いいたします。特に御意見はないと思われます。
続きまして2点目、「手術用画像認識支援プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということでよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手あるいは御発言をお願いいたします。特に御異議はないと思われます。
御異議がないようですので、上記のように議決をいたします。なお、本件は、分科会にて文書報告を行うこととなっております。
以上をもちまして、議題4の審議を終了いたします。
続きまして、議題5「医療機器の再審査結果の報告について」に移りたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。議題5について御説明いたします。資料5の1ページを御覧ください。
今回の販売名は、マル1「プロマス エレメント ステントシステム」、マル2「プロマス エレメント プラス ステントシステム」及びマル3「プロマス プレミア ステントシステム」です。申請者はボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社です。
マル1の品目は、対照血管径が2.50mmから3.50mmの範囲にあり、病変長24mm以下の新規冠動脈病変を有する虚血性心疾患患者の治療に用いられる、薬剤溶出型ステントを含むステントシステムです。平成24年2月8日に承認されております。マル2の品目につきましては、マル1からデリバリー性能の改良とステントサイズマトリックスに小さい径と長いステントサイズを加えた製品です。マル3の品目は、ステントの長軸方向の強度を向上させることを目的として、マル2のステント近位側にコネクタを追加した製品です。
本邦での使用実態下における安全性及び有効性を確認することを目的として、1ページの一番下に記載の期間で再審査が行われました。
7ページ以降を御覧ください。表1にて患者背景を示しております。治療対象となった原疾患の約半数は、安定型狭心症でした。また、表2に示しておりますとおり、標的病変枝数は1.1枝であり、疾患の治療難易度を表すACC/AHA病変分類は、比較的難易度の高いタイプB2とタイプCが全体の7~9割を占めておりました。
安全性について御説明いたします。11ページの(5)安全性を御覧ください。安全性評価の主要な項目は、主要心血管イベントとしており、表10~表12に示しておりますとおり、マル1からマル3のMACEの発生率は術後1年時点で4.6%、11.2%、6.8%でした。術後5年時点では16.6%、23.2%という結果になっております。また、本品との因果関係が否定できない有害事象の発現状況は、それぞれ42例、72例、7例が報告され、再狭窄や死亡、狭心症などが認められました。また、機器の不具合については、数例でステントの不通化が見られ、マル1では重度の石灰化に伴うステントのつぶれがみられました。既承認の薬剤溶出型ステントでは、今回の調査のMACEと全く同一ではございませんが、標的血管不全が主要な評価項目となっており、既承認品の使用成績調査群と本品の承認申請時に提出された臨床試験群の長期成績のいずれに対しても、本調査の安全性の結果は劣らないと判断しております。
続いて、有効性について御説明いたします。13ページの(6)有効性を御覧ください。マル1とマル2では、それぞれ351病変と424病変のデータに基づいてコアラボによるQCA解析が実施されました。マル3についてはコアラボ解析は行われず、各医療機関においてQCA解析が行われました。解析結果については14ページの表13にまとめられております。それぞれの調査にて手技前約70%前後だった径狭窄度が約10%~20%弱となり、手技後9か月では開存が維持されていることが確認され、これは既承認薬剤溶出型ステントの使用成績調査と同等であり、有効性について特段の対応が必要となる問題点はないと判断しております。
承認条件について、17ページを御覧ください。それぞれの製品について、本品を用いた臨床試験における対象患者の予後について経年解析結果を報告すること、使用成績調査を実施すること、そして、国内において本品らを使用しステント血栓症が発生した症例については速やかに報告することの三つを承認条件として付しておりました。今回の報告について、総合評価として、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないと判断しております。したがって、それぞれの承認条件についても解除することが適切と考えております。
最後に、19ページの「8.」関連するその他の薬剤溶出型ステントの承認条件について、御説明いたします。マル1~マル3の後継品にあたる「プロマス プレミア LV ステントシステム」と「シナジー ステントシステム」の2品目に関して、再審査は課されておりませんが、ステント血栓症が発生した際は速やかに報告するように承認条件が付されております。「プロマス プレミア LV ステントシステム」についてはステント血栓症の発生が認められておらず、また、「シナジー ステントシステム」についてはステント血栓症の発生率が0.011%と低く、特有の発生傾向は認められておりません。したがって、後継品2品目の承認条件についても解除することが適切と判断しております。
以上、御報告とさせていただきます。
○小野部会長 使用成績調査についての報告でございましたが、委員の皆様から、御質問、コメントはございますでしょうか。
従来品と劣らず後継品については更に安全性が高いといったような御報告であったと思われます。
特に御質問等がございませんので、これについては報告ということですので、議題5は以上をもちまして終了したいと思います。
本日、事前に用意した議題は以上となりますが、事務局より、その他の報告事項がございますので、よろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。それでは、その他に移らせていただきます。本日、その他の案件としまして、二つの案件を御報告させていただきます。
初めに、議題には記載しておりませんが、前回11月部会におきまして、使用成績評価期間の延長を御報告させていただきました「Inspire UASシステム」について、御説明いたします。使用成績評価期間の延長につきましては既に御審議いただいたところでございますけれども、当該製品が承認された当時の背景につきまして御意見を頂戴いたしまして、次回の本部会において御報告させていただく旨を御回答しておりました。つきましては、本日、その御報告をさせていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。当日配布資料4を御覧ください。
「Inspire UASシステム」、以下「本品」と言いますが、前回の部会で3点の御指摘を頂戴しました。まず、混合性睡眠時無呼吸である場合、本品で気道閉塞を解除しても呼吸改善がしないのではないか。次に、承認審査時に日本人に効果があることをどのように判断したか。最後に、本邦で販売数が見込めるかです。
これらの御指摘に対して説明するにあたり、まずは臨床的な背景と本品の作用原理について説明させていただきます。
睡眠時無呼吸は三つに分類され、呼吸努力があるものの、気道が閉塞しており気流が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸、呼吸中枢の異常により呼吸努力が発生しない中枢性睡眠時無呼吸、そして、閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸が混在している混合性睡眠時無呼吸です。
本品は、閉塞性睡眠時無呼吸を持つ患者の中でも、CPAPが不適又は不忍容と判断された患者を対象としている機器です。肋間に留置されたセンサが患者の呼吸努力を検出すると、舌下に留置された刺激リードからパルスが放出され、気道閉塞している舌を持ち上げて気道閉塞を解除します。
この内容を踏まえ、前回御指摘いただいた点について御説明させていただきます。
本品は治療原理上、閉塞性睡眠時無呼吸、または閉塞性睡眠時無呼吸の時間の割合が高い混合性睡眠時無呼吸に対してのみ、有効性が期待される製品になるため、初回の承認申請時に添付された海外臨床試験は、閉塞性睡眠時無呼吸となる時間の割合が高い患者を対象として実施され、有効性及び安全性が示されました。また、この臨床試験における患者条件が本邦の適正使用指針にも使用されております。
また、海外臨床試験で日本人は含まれていなかったものの、アジア人と類似した頭頸部形状を持つ○○例での成績を確認したところ、全体集団と同様の成績が確認されたことから、日本人でも有効性及び安全性が期待できると判断されました。
なお、販売数については、資料下段に記載している表のとおり計画がされており、現時点で、予定症例数も確保できる見込みとなっております。
機構からの説明は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。前回の部会で出てきた三つの疑問に対しての調査結果ということですが、委員の先生方から、御質問、御意見はございますか。
大分疑問点が明確になったのではないかと思われます。調査、どうも御苦労さまでした。
それでは、事務局、引き続き、報告・連絡事項をお願いします。
○事務局 それでは、その他事項の議題2に移らせていただきます。その他事項、議題2は「SMO(治験施設支援機関)によるGCP違反について」です。事務局より説明をさせていただきます。資料01を御覧ください。
経緯ですが、SMOである株式会社メディファーマに関する公益通報を受けまして、医薬品医療機器法第80条の2第7項及び第80条の5第1項の規定に基づき、令和5年8月29日、30日に無通告の立入検査を、東京本社・大阪営業所に対して実施しました。また、同年9月4日に大阪府内の医療機関に対しても、同様に立入検査を実施しました。立入検査の結果、GCP違反が確認されました。現在、違反の詳細等について精査中であります。
続いて、現時点で確認されている主な違反の概要について、説明をさせていただきます。「(1)治験データの改ざん」に関してですが、少なくとも医薬品の7試験において、治験薬投与時間や採血時間等の改ざんが確認されています。「(2)呼吸機能検査の不適切な実施」についてですが、医薬品の治験において、呼吸機能検査(スパイロメトリー)について、意図的に吐く息の量を減らすよう誘導し、呼吸機能の悪化を偽装していたことを確認しています。その結果、組入れ基準に合致しない被験者が治験に組み入れられているという事実がございました。「(3)医師・施設スタッフ・CRCのIDパスワード共有、トレーニング代理受講」については、治験に必要なトレーニング及び電子署名等のID・パスワードを社内で共有していたことが確認されています。さらに、医師・施設スタッフが受講すべきトレーニング等をメディファーマ社員が代理受講していたことも確認しています。「(4)治験薬保管不備の隠蔽」については、医薬品の治験薬の保管温度逸脱の隠蔽や保管温度の記録の改ざんが確認されています。
続きまして、株式会社メディファーマが関与した試験の範囲及び影響についてですが、資料02を御覧ください。こちらに表でまとめております。医薬品で116試験、医療機器で7試験、合計123試験に株式会社メディファーマが関与していましたが、現時点で健康被害等の報告は受けておりません。
123試験のうち、承認済みの品目に関係する試験は、医薬品で製造販売後臨床試験も含め34試験、医療機器で2試験、合計36試験となっております。これらを、品目数で集計したものが下段になっております。承認済みの医薬品は23品目、医療機器については2品目、合計25品目に株式会社メディファーマが関与していることを確認しております。
既承認品目の確認結果の詳細につきましては、資料03を御覧ください。医療機器については、最後のページになりますけれども7ページに記載されている2品目が該当するものでございます。
試験ごとの違反の有無及ぴ詳細については引き続き精査中でありますが、株式会社メディファーマが関与した症例を除外しても有効性評価及び安全性評価が変わらないこと、または、試験データの信頼性を検証して信頼性が担保できることを、個々の試験ごとに確認することによって、承認済みの品目において、有効性及び安全性の結果への影響はないと判断しております。
なお、確認結果も踏まえ、承認済みの品目について公衆衛生上の危害が生じる可能性がないこと、現時点では製造販売業者において違反等の不適切な行為が確認されていないこと、また、品目名の公表による臨床現場への影響等を考慮し、関係する製造販売業者の名称及び品目名等に関しては、引き続き非公表の取扱いとさせていただきます。
本事案につきましては、薬事・食品衛生審議会の関係する他の部会においても、本日と同様に御報告予定であることを申し添えます。事務局からの説明は以上でございます。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。大変由々しき事態であると思われますが、委員の先生方から、御質問、コメントがございますでしょうか。
内容をかなりコンパクトに御報告いただきましたが、実はかなり膨大な内容に至りますので、なかなか詳細まで知るのは難しいと思われますが、いかがでしょうか。
高松委員、お願いします。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。本当に呆れるばかりというか、本来、この会社が請け負っている、いかに正しくやるかという本来業務のところを、これだけ作為的に改ざんやなりすまし受講を行っていたということは、本当に由々しき事態だと思っています。昨今、製薬業界の中でも、GMP違反等がかなり多く発覚しており、私は患者さんに薬を提供する立場として本当に心苦しい。日本の医薬品がすごく優れているとずっと思っていましたので、その信頼が本当に土台から崩れてしまったような状況です。今後、いかに国民の信頼を回復するかが、これからの業界の目指すところだと思っていますので、厚生労働省の方々におきましては、こういうことがあった場合には厳正に対処していただいて、二度と起こらないように監督をお願いしたいと思っています。以上です。
○小野部会長 コメントありがとうございます。ほかに、委員の先生方から御意見、質問等がございますでしょうか。末岡委員、お願いいたします。
○末岡委員 ありがとうございます。医薬品については別途教えていただいたところではあるのですけれども、今回のメディファーマの最終的な処分が決まるまでの間、医療機器メーカーがこの会社を起用しないというところは、どのような形で確保されるのかというところを教えていただければと思います。
○小野部会長 事務局から御回答をお願いします。
○事務局 末岡委員、コメントをくださりありがとうございます。基本的には今回のように、こういったSMOのGCP違反があったということを公表することによって、世間的に、この会社がこういったことを行っていたということは周知できていると思っていますので、そういったことをSMO自体、メディファーマに対する処罰のひとつ、ペナルティのひとつというふうには考えております。一方で、それを受けて、各製販業者が今後どうするのかというところを、また各製販業者の方で考えていただくことになるのかなというふうに考えております。
○末岡委員 ありがとうございます。製販業者の方が本件を認識しているというところは固いというか、確実だと思ってよろしいでしょうか。医薬品メーカーの方は確実に認識しているというところを教えていただいたところですが、医療機器メーカーはかなり大、中、小といろいろな規模の会社がおありだと思うので、その辺りを懸念しているところです。
○事務局 御意見くださり、ありがとうございます。今回、メディファーマが関与した製販業者については、全てこちらの方から連絡をさせていただいているところですので、医薬品の方と同様に周知されているものと理解しています。
○末岡委員 分かりました。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、御意見はございますでしょうか。佐久間委員、お願いします。
○佐久間部会長代理 今の点に関してですが、これを拝見すると、○○○○○○○○のものでの評価のところがあって、懸念すべきは、新規参入、いわゆるまったく医療機器というところに入ったことがない○○○○○○○○○といったところが関与する可能性があるかなと思っています。どうやって言うかは必要なのだと思いますけれども、こういう会社を選択するに当たって非常に注意してやるべきだといったことを、少しそういう業界に対して、うまい形で示しておく必要があるのかなと感じたのですが、なかなか難しいことだと思いますが、案件が○○○○○○の○件だったということで、ちょっとその点気になったので発言させていただきました。
○小野部会長 ありがとうございます。それに関して、データの照合というか再確認を行ったというふうに聞いていますけれども、その辺の詳細について、答えられる範囲内で回答いただけますか。
○事務局 御意見くださりありがとうございます。新規参入のそういった企業に対する対応を今後どうするかというところは、また行政内でも検討はさせていただきたいと思っているところですけれども、今回に関しては、データの突合というところは行政が全力を挙げて確認をさせていただいたところがあるので、有効性、安全性の方はしっかり担保できていると考えています。また、周知徹底というところですけれども、今回、関与しているようなSMOに対する周知と、もう一つ、SMOを委託先としている医療機関に対する周知、この二つが重要であると考えていますので、今後はこの二つをターゲットにしまして、通知等でGCP遵守はしっかりするようにというところで出させていただきたいと思っています。
○小野部会長 御回答ありがとうございますた。ほかに、御質問、コメントはございますか。
それでは私から。ちょっと答えづらいと思いますけれども、SMOのこういうGCP違反は、程度がいろいろあるので一概にどれとは言えないですが、特に罰則規定がないというのが、一つこういうことを生んでしまう温床になりうるということですね。信頼関係、性善説に基づいて、こういったSMOに試験のマネージメントを依頼しているということですが、何らかのペナルティというか一定の制約が出なければ、また同等の、つまり都合のいいデータを作り出すといったことが起こらないとはなかなか言い切れないところがありますので、ここで議論するべき内容ではないとは思いますが、これは非常に、臨床試験そのものの信頼性が全て揺らいでしまうという、大きな問題になりますから、然るべき議論は更に進めるべきではないか。これは私の座長としての個人的な意見を申し上げます。
○医療機器審査管理課長 今の御指摘、大変重く受け止めさせていただきたいと思います。そもそもGCP基準というものの中でどのような規定を設けるべきか、罰則とどのようにつなげることができるのか、すべきか、などを含め、制度的なものとしてどうあるべきかということについては、行政の中でしっかり検討した上で、規制に反映していくということを検討することとさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○小野部会長 御回答ありがとうございました。ほかに、委員の先生方から御意見等はございますか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間部会長代理 確かにこういうことでの罰則という視点ということはあるのですが、なぜこういう動機が発生してしまったのかというところ、そこを少し調べておく必要もあるかなと思っています。何でこういうことをやってしまうのかという背景のところが、例えば効率を上げるということなのか、いろいろなコストに対する圧縮なのか、その辺りのところというのが、少し明確に、これが起きた動機ということを確認しておかないと、いくら罰則をやったとしても、そこにもしシステム上の欠陥があるとすると、そこが原因になってしまうかと思いますので、非常に難しいとは思いますが、そこまで少し踏み込んだ検討というのが要るのかなと思いました。こういうこともありまして、先ほど高松委員からお話があったように、そういうことが続いたということからいうと、システム上の何か問題があるのかどうかということは検討すべきかなと思いました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この件につきましてはここで終了させていただきたいと思います。
それでは、事務局の方からよろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 本日は、お忙しいところ、審議に御参加いただきましてありがとうございました。次回部会は1月15日(月)、15時00分から予定しております。詳細につきましてはまた後日メール等で御連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○小野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。
先生方におかれましては、お忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。現時点で、医療機器・体外診断薬部会委員23名のうち15名の先生方に御出席いただいております。4名の方は、ちょっと遅れておられるようです。15名のうち、オンラインで9名の委員の方に御参加いただいているという状況です。薬事・食品衛生審議会令に基づく定足数を満たしている状況であることを御報告いたします。
本日の審議で、参考人として御出席いただく先生を御紹介いたします。議題1については、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター病院特命副院長、脳神経内科診療部長の高橋祐二先生、議題2については、近畿大学病院医学部心臓血管センター教授の栗田隆志先生に御出席いただくことになりますが、栗田先生におかれましては、議題2開始時点で御入室いただくことになっております。
議事に先立ち、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、御報告いたします。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、報告させていただきます。会議の都度、書面の提出を頂いており、御負担をおかけしておりますが、引き続き御協力をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
本日の議題の公開、非公開の取扱いについて、説明させていただきます。
○事務局 事務局です。本日予定している全ての議題については、企業情報に関する内容等が含まれるため、非公開とさせていただきます。
会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表と一部追加資料を紙でお配りしております。Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料と送付させていただいた資料を、お手元に御用意ください。
Web会議で御参加されている委員の皆様におかれましては、審議中はマイクをミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンで、よろしくお願いいたします。
資料6の「競合品目・競合企業リスト一覧」をお開きください。Webの先生方におかれましては、ただいま画面共有させていただいております。本日の審議事項に関する競合企業として、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしたところ、議決に参加できない委員は、議題2において、小野稔委員、田中利洋委員、富田英委員、松宮護郎委員が該当しております。この際、御退室いただく必要はございません。
また、議題2において、佐久間委員は薬事分科会審議参加規程第8条に基づく「特別の利害関係者」に該当いたします。同条に基づけば、「特別の利害関係者」は原則として審議中は退席する必要がありますが、第5条のただし書において「当該委員等の発言が特に必要であると分科会等が認めた場合に限り、当該委員等は出席し、意見を述べることができる。」とされております。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行についいては、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 それでは、まず議題2の審議において、佐久間委員の「特別の利害関係者」としての取扱いについて、確認したいと思います。事務局から説明をお願いします。
○事務局 事務局です。佐久間委員におかれましては、日本不整脈心電学会の監事で、同学会のIT/データベース委員会の委員長でいらっしゃいます。議題2の審議品目である「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」の使用成績調査は、同学会のレジストリを用いた製造販売後データベース調査により実施予定とされています。そのため、寄附金・契約金等による利益相反には該当いたしませんが、薬事分科会規程第8条に基づく「特別の利害関係者」に該当することとなります。以上です。
○小野部会長 それでは、今回、議題2の審議に関しては、佐久間委員は、今御説明があったとおり、広い意味で利害関係者になるということですが、寄附金・契約金等の利益相反には該当しないと。ただ、御専門の観点から、佐久間委員の御意見は非常に重要で参考になるのではないかと思います。当部会として、佐久間委員には御出席いただいて、必要な場合に御意見を述べていただくのはどうかと思料しておりますが、いかがでしょうか。委員の先生方から何か御異議、御意見等がございましたら、是非ともお願いいたします。Webから御出席の委員の先生方、何かございましたら、挙手ボタンをお押しいただければと思います。特に意思表示をされている委員の先生方はいらっしゃらないようですので、御異議がないと判断させていただきたいと思います。したがって、佐久間委員には、議題2の審議には御出席いただくという形で進めさせていただきたいと思いますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。
よろしければ、これより議事に入りたいと思います。本日は、議題1から4が審議事項、議題5が報告事項、また「その他」としての報告も追加であります。
それでは、早速、議題1「医療機器「レリビオン」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。本議題の参考人として、先ほど御紹介いただいた高橋祐二先生に御出席いただいております。それでは、事務局より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
資料1の2ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、2名の専門委員から御意見を頂きました。
以降の説明は、資料1の3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、緑色の通し番号、審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。また、審査報告書に修正がありますので、当日配布資料1の正誤表にてお示しいたします。当日資料として準備した審査報告書は、正誤表の内容が反映された資料です。
それでは、審査報告書に沿って御説明を始めます。はじめに、本品の概要を御説明いたします。資料1の8ページ、審査報告書6ページ、冒頭「1.審議品目の概要」を御覧ください。本品は、片頭痛の急性期治療を目的として、頭部の表層にある三叉神経及び後頭神経を電気刺激するように設計された頭部装着型の外部神経刺激装置です。本品は、ヘッドセット、充電器、電極パッド、患者用モバイルアプリケーション及び医師用インターフェースから構成されます。本品は、患者自身が操作して在宅で使用する機器で、片頭痛が発生した時点で使用を開始します。使用時には、電極部分に装着されている電極パッドを水で湿らせ、接触状態を担保します。ヘッドセット前面のプラス・マイナスボタンで電流値の増減ができます。患者は、不快感がない程度の刺激強度となるよう調節し、最大60分間電気刺激を行います。本品では、前頭部電極にて最大6mA、後頭部電極にて最大12mAの出力が可能です。これらの値は、片頭痛患者に対して実施された本品の予備試験結果から設定されました。欧米で承認されている類似のニューロモデュレーションデバイスと比べ、低めの設定値となっています。本品使用時に電極の接触不良等が発生した場合は、刺激が開始されない若しくは中止されるような安全装置が設けられています。
開発の経緯を御説明いたします。資料9ページ、審査報告書7ページ、15行目から御覧ください。片頭痛は、片側性、拍動性、中等度~重度の強さの頭痛発作が繰り返し生じ、発作は4~72時間持続する特徴を有する一次性頭痛であり、日常生活に支障を来す疾患です。片頭痛の診断は、国際頭痛学会が定めた分類と診断基準により国際的に標準化されています。片頭痛の病態生理については、いまだ確定的な機序は示されていませんが、片頭痛発作には頭蓋内・硬膜血管に分布している三叉神経の関与が考えられています。
片頭痛の急性期治療では、片頭痛発作を確実かつ速やかに消失させ、患者の機能を回復させることが重要であり、国内外において治療の第一選択は薬物療法とされ、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、トリプタン系薬剤等が使用されています。薬物療法における一般的な課題として、一部の患者に対して治療効果が十分に得られないこと、有害事象の発生による患者のアドヒアランス低下、3か月を超える乱用により薬物乱用頭痛を来す可能性などが指摘されています。
ニューロモデュレーションは、末梢神経や頭蓋内神経領域を電気や磁気で刺激することにより神経機能を調整する治療法であり、海外では近年、片頭痛治療にも応用されている非薬物療法です。本品は、非侵襲的に三叉神経と後頭神経を同時に刺激することで、片頭痛の急性期治療において疼痛緩和の目的で使用されるニューロモデュレーション機器として開発されました。
続いて、外国における使用状況について、資料10ページ、審査報告書8ページ、26行目から御覧ください。本品は、米国で2021年2月に許認可を取得し、2023年6月末時点で約○○○○台が使用されています。欧州では2019年7月に許認可を取得していますが、販売体制が整っていないため販売実績はありません。
本品の非臨床試験については、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について、御説明いたします。資料17ページ、審査報告書15ページ、27行目から御覧ください。本申請では、本品の臨床試験成績として、RIME試験の試験成績が提出されました。RIME試験は、片頭痛に対する本品の有効性及び安全性を評価する目的で、米国及びイスラエルの12施設で実施されたシャム対照比較試験です。対照群では、治療群よりも弱い出力条件が設定されたシャム機器が使用されました。試験期間中、被験者は片頭痛発作が最大5回発生するか、無作為化から70±10日までのいずれか早い時点までの間、片頭痛発作時に本品を使用しました。
RIME試験における主要評価項目について御説明いたします。資料19ページ、審査報告書17ページ、11行目から御覧ください。主要評価項目は「治療開始2時間後に片頭痛の疼痛が緩和した被験者の割合」と設定され、対照群に対する優越性が検証されました。治療群及び対照群の治療成績は、米国で承認済みのニューロモデュレーション機器及び医薬品の治療効果に関する文献を参考に、治療群における被験者の45%、対照群における被験者の25%で疼痛が緩和されると仮定されました。RIME試験では、資料の21ページ、審査報告書の19ページ、冒頭に示す「片頭痛の適格条件」が定められており、主要評価項目はこの適格条件を満たした初回の本品使用時に評価されました。
試験成績については、資料22ページ、審査報告書20ページ、18行目から御覧ください。主要評価項目の成績は、治療群60.00%、対照群37.29%であり、対照群に対する治療群の優越性が示されました。また、資料23ページ、審査報告書21ページ、中段の表9に示すとおり、副次評価項目「治療開始2時間後に片頭痛が消失した被験者の割合」についても、治療群46.00%、対照群11.86%と治療群で高く、本品による治療の臨床的有効性が確認されました。
続いて、安全性の結果について、御説明いたします。資料24ページ、審査報告書22ページ、3行目から御覧ください。安全性評価項目「被験者登録時から試験終了時までの有害事象の発生率(被験機器との因果関係の有無を問わない)」の成績は、治療群で8例12件(11.94%)、対照群で2例9件(3.13%)であり、いずれも軽度から中等度の予期された事象で、ほとんどが介入なしに回復したことから、安全性について特段の懸念はないと判断いたしました。
以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。まず、本品の有効性及び安全性についてです。資料28ページ、審査報告書26ページ、20行目から御覧ください。冒頭にも御説明したように、片頭痛の急性期治療に期待される効果は、片頭痛発作を確実かつ速やかに消失させ、患者の機能を回復させることです。RIME試験では、治療開始2時間後に片頭痛の疼痛が緩和した被験者の割合について、医薬品の治療効果等を基に臨床的に意義のある値として設定された群間差20ポイントを超える22.71ポイントの群間差が示されました。また、副次評価項目として設定されていた「治療開始2時間後の痛みの消失」における治療群と対照群の群間差34.14ポイントは、片頭痛の急性期治療薬と同程度の変化量でした。以上より、RIME試験の結果から、本品について臨床的に意義のある有効性が示されたと判断いたしました。また、安全性についても、RIME試験で発生した事象のほとんどが治療を要さず、重篤な事象は発生しなかったことから、特段の懸念はないと判断いたしました。
続いて、本品の臨床的位置付けについて、資料31ページ、審査報告書29ページ、35行目から御覧ください。RIME試験により、本品を用いたニューロモデュレーションの有効性と安全性が示されましたが、反復して発生する片頭痛に対して、その都度、本品により一貫性のある有効性が得られることは十分に評価されておらず、RIME試験ではレスキュー薬の使用も約3割の患者で認められました。本品の効果が不十分な場合や本品が装着できない状況があることを考慮すると、本品単独で片頭痛の急性期治療の目的を達成することは難しく、本品を使用する際には、薬物療法と本品を組み合わせた治療戦略を立てる必要があると考えます。したがって、現時点では、片頭痛に対する確立された治療法である薬物療法を第一選択とし、本品については、薬物療法と補完的に使用する新しい治療選択肢として位置付けることが適切と判断いたしました。片頭痛の急性期治療として確立されている薬物療法は、その不応、不適、副作用・副反応によるアドヒアランスの低下、薬物乱用頭痛などの課題があり、これにより日常生活に支障を来している片頭痛の患者にとって、比較的安全性の高い非薬物療法である本品の有用性はあると判断いたしました。
本品の対象患者について、資料34ページ、審査報告書32ページ、冒頭から御覧ください。RIME試験において慢性片頭痛患者は、発作頻度が高く治療効果の判断を複雑にする可能性があることから、対象患者から除外されました。機構は、慢性片頭痛は反復性片頭痛の症状が進行した病態であり、本品の効果が期待できることから、慢性片頭痛の患者を適応に含めることは可能と判断いたしました。ただし、発作頻度が高いことから治療効果の有無の判別が難しくなると想定されるため、その旨も含めた本品の適切な使用方法を患者に周知する必要があると考え、これらについては添付文書やトレーニングを通じて周知するとともに、市販後の治療成績については、使用成績調査により確認することが必要と判断いたしました。
また、18歳未満の患者については、RIME試験の対象患者からは除外されていましたが、本品の治療原理を踏まえると、成人と同様に治療効果が期待でき、本品のリスクが増大するとは考えにくいことから、適応に含めることは可能と判断いたしました。18歳未満の患者における本品の適用可否については、小児の片頭痛に精通した医師が、本品を適切に装着、操作できる患者を心身の発育状況も踏まえて選択し、保護者も含めて指導を行うことがむしろ重要であり、本品を適用可能とする年齢に関する規定は特段設ける必要はないと判断いたしました。
本品の適正使用を含めた製造販売後安全対策については、資料36ページ、審査報告書34ページ、7行目から御覧ください。ニューロモデュレーションは、薬物療法と比べて安全性が高く、薬物療法と組み合わせることで、その課題を解決することが期待される新しい治療選択肢です。したがって、本邦初の片頭痛に対するニューロモデュレーション機器である本品を有効かつ安全に国内導入するためには、片頭痛治療に精通した医師が、本品の臨床的位置付け、使用方法、治療成績等を十分に理解し、対象となる患者に対して適切な情報提供と指導を行った上で、本品の適正使用に努めることが必要と考えます。これを踏まえ、機構は、表16に示すトレーニングを実施するとともに、表17に示す関連学会が作成する適正使用指針の医師要件や患者要件の遵守が必要と考え、これらを承認条件として付すことが妥当と判断いたしました。
最後に、使用成績調査について、資料38ページ、審査報告書36ページ、冒頭から御覧ください。機構は、本品が本邦初の片頭痛に対するニューロモデュレーション機器であり、RIME試験が慢性片頭痛と18歳未満を除外した片頭痛患者を対象とした海外の臨床試験であったことから、本邦の医療環境下における本品の安全性及び適正使用、並びに慢性片頭痛及び18歳未満の患者における本品の有効性と安全性について使用成績調査により情報収集を行い、必要に応じてリスク低減化や適正使用に関する追加措置を講ずる必要があると判断いたしました。使用成績調査は、表18に示すとおり、予定症例数300例のうち、慢性片頭痛は100例、18歳未満については30例を最低組み入れ数とし、臨床成績が十分に蓄積されていないこれらの症例については、全例調査とすることが妥当と判断し、これを承認条件として付すことといたしました。追跡調査期間は、本品の長期使用における有効性の変化を確認するため、1年とすることが妥当と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、機構は、資料40ページ、審査報告書38ページ、23行目より記載します「使用目的」にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。本品は、使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の調査期間を6年とすることが妥当と判断いたしました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断いたしました。なお、薬事分科会では報告を予定しています。
機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。参考人の高橋先生から、何か追加で御説明はございますでしょうか。
○高橋参考人 特に大きく付け加えることはないのですけれども、片頭痛の治療はこれまで薬物療法がその中心だったのですが、非薬物療法の一つの選択肢として、ニューロモデュレーションというのは海外では以前からかなり行われていた治療なので、それが本邦でも導入できるというのは、片頭痛の治療の選択肢がまた増えるということで、その現場にとっては非常にプラスになるのではないかと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。事務局からの説明、それから高橋先生からの追加の御発言を踏まえて、委員の先生方から、何か御質問、御意見はございますでしょうか。Webの先生方は、御発言がある場合には挙手ボタンをお押しください。では、永井委員、お願いします。
○永井委員 京大の永井です。使用成績調査に関するコメントですが、この機器は、実際の現場では、多くの場合、薬と一緒に使われると思うのです。そのような中で、使用成績調査で、臨床試験と同じような評価項目を立てて同じような方法を使って、きちんと効果と安全性を評価できるのかという疑問があります。特に、頭痛という非常にサブジェクティブなものが評価項目なのですね。薬が併用され、さらに自宅で頭が痛くて機械を使い、よくなったかどうかを忘れてしまうことも考えられます。何か工夫しないと、せっかく苦労してやっても、何を見ているのかさっぱり分からなくなるのではないかという気がします。例えばですが、PRO(Patient Reported Outcome)という形で、都度データを収集できるようにする手もあると思います。薬を使い、機械も使えば少しはよくなるに決まっていますので、何か工夫をしないと、調査が徒労に終わりかねないと思うのです。きちんと評価できるような指導を是非メーカーさんにしてほしいというのが思いです。
○小野部会長 ありがとうございました。客観評価をどういう基準でやるのかということと、プラセボ効果とのミクスチャーみたいな感じの科学的な御質問でしたけれども、事務局から御回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。おっしゃるとおり、患者さんの手元には医薬品と本品と両方あるような状況になりますので、治療効果に関しては十分に分けて判断をする必要があると思います。
RIME試験の際にも、レスキュー薬として薬品を使うことは可能でしたので、本品の効果、本品を使用し終わった時点で効果を判定するような、レスキュー薬との効果を分けられるようなノウハウは、蓄積されているかと思いますので、そちらを踏まえて、企業の方には適切に情報を集められるように工夫していただきたいと考えております。
また、アプリでも、治療の情報は一定程度集めることは可能ですけれども、今回、使用成績調査で集めたい情報というのが、アプリに含まれないものもございまして、使用成績調査については、患者に日誌のような書面で、一括して情報を集めるようなことを企業さんは計画されております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。高橋先生の方から、何か追加でコメントはございますか。
○高橋参考人 我々も日常診療で、頭痛の患者さんの治療効果を判定するときに、例えば頭痛ダイアリーのような、そういうセルフレポーテッドな記録をつけてもらって、発作がいつ起こって、そのときにどういう薬を使って、どういう効果があったかを記録していただいて、それを診療の参考にすることはございます。ですから、先生が御指摘されたように、そういうものを活用して、場合によってはアプリを活用して、きちんと1回1回の発作に対する反応性を記録しておくということは、非常に重要なことであると考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。永井委員、ただいまの御回答に対して、よろしいでしょうか。つまり、PROを有効に評価にもいかすといったところの御回答であったと思います。
ほかに、御質問は。宮川委員、よろしくお願いします。
○宮川委員 宮川です。この場合、非常に重要なところは、電極だと推察するのですが、電極を湿らせて装着するという形になると、電極が、そういう意味では装着できていない、皮膚面と密着していないということであれば、電源が入るのか入らないのか、まずそこのところをお聞かせいただきたいと思います。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。電極の装着が確認できないときには、刺激がそもそもスタートしないような設計になっております。
○宮川委員 ありがとうございます。しかしながら、全面がしっかりと装着することと、それからある程度一局面というか、その局所だけ密着した場合であっても、装着してしまうと誤認した場合には、かなり一部分にその電流が流れるという可能性もあると思うのですが、その接着面が100%ついているという確証というか、そういうことはあるのでしょうか。半分でも100%ついているとして電流が流れてしまう、あるいは、半分であれば電流としては過大な電流は流れないとか、そういう何か安全装置がついているのでしょうか。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。安全装置として、過電流の安全装置もついておりますので、電極が、あくまで全て接触が担保されたときのみ出力が出るような設計となっていますので、患者さんの皮膚に熱傷が起きたりとか、そういうことはないような設計になっていると考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。そうすると結局は、それと一緒に、0から100ステップという、ステップが非常に幅が広いということで、それを自分で調節して適切な刺激になるように、御本人がしっかりと管理をする形であるため、そういう意味では、しっかりと最初のところで教育が非常に重要だろうと、適切な指導が必要だろうと思いますので、そのマニュアルというか、患者さんへの指導マニュアルをしっかりと設定して、分かりやすいようなものを作っていただきたい。そうでなければ、年齢の若い方、それから自宅で用いる場合に、非常に困窮する場合があると思いますので、是非よろしくお願い申し上げます。
○小野部会長 ありがとうございます。その辺の、いわゆる教育と安全性の担保については、先ほども少し承認条件の中にも書かれていたとおりですので、やはり繰り返し、患者さんによっては、適正使用が守れないような場合に、きちんとそれに対して適切な教育が追加でもできるようにというような、安全性の担保も必要だという御意見だと思います。事務局から、最後に何かございますか。
○医薬品医療機器総合機構 電源の設定値については、患者さんが不快に感じない程度の刺激をするように指導を行います。刺激は強ければいいというものでもなくて、強さと効果が相関しないというように知見が得られていますので、その辺りの、強いほうが効くわけではない、不快感を感じない程度で刺激をすれば効果が得られるような設計となっているということを、十分に患者さんに資材等を用いながら教育をしていただいて、適正な使用が担保されるようにしていただきたいと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、質問、コメントはございますでしょうか。北澤委員、よろしくお願いします。
○北澤委員 北澤です。この機器を片頭痛ではない普通の人が使った場合は、何か害が起こるものなのでしょうか。
○小野部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。通常は特別な被害というものは想定されておりませんで、RIME試験で見られたような有害事象として、発赤であったり、皮膚のピリピリ感というものが、起こる事象としては想定されるかなと考えております。本品は在宅で使用する機器ですので、当然、患者さん以外の方の使用は防止しなければならないのですが、本品の使用ステップとして、事前にパッドを濡らしたり、きちんと装着をしたりということで、幾つかステップがありまして、それが正確にできないと適切に刺激が開始されないことになっておりますので、通常、指導を受けた患者さん以外が使用してしまうというリスクは低いのではないかと考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、コメントはございますでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の質問に関連することですけれども、これを使ったとしても、前頭部では最大6mA、後頭部では最大12mAですので、それほど強い電流が流れるという形ではないと思いますので、不快であればすぐ着脱することができるはずなので、多分、大きな問題はないと思います。長時間眠ってしまうということになれば別でしょうけれども、普通であれば、そういうことが起きることは臨床的にはないと考えられるのではないかと思います。
○小野部会長 追加の情報、コメントをありがとうございます。今、宮川委員からありましたけれども、今度私から、逆に質問ですが、片頭痛の治療に使っていて、片頭痛がとれて気持ちよくなって眠ってしまったといった場合、多分、通電時間のリミッターというのがありますが、それはどのようになっているのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。一度刺激を開始すると、60分で自動的に停止するようになっています。
○小野部会長 ということなので、長時間不用意に通電が続くことはないということが、安全機能としてあるということです。
ほかに、何か御質問は。清水委員、お願いします。
○清水委員 清水です。審査報告書の33~34ページにかけて、18歳未満の患者さんを対象とした議論があります。33ページの方で、申請者の説明として、「ヒトの神経系は12歳までにほぼ100%まで発達している」ということなのですが、12歳未満の方にもこの機器を適用することがあり得るのか。もしあり得るなら、申請者の方から、それについての説明、神経系がまだ未発達の状態でも大丈夫というような御説明や、海外のデータ等がもしありましたら、補足をお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 通常、片頭痛の診断がつく年齢は、大体小学校の高学年程度からと理解をしております。ですので、余り低年齢の患者さん、12歳未満の患者さんに使われてしまうようなケースは、多くないのではないかと考えております。それから、適正使用指針の中で、18歳未満においては片頭痛の確定診断がつく年齢であるということを患者要件としても書いておりますので、この点は守られるのではないかと考えております。
高橋先生、もし追加がございましたら、お願いできますでしょうか。
○高橋参考人 片頭痛の診断は、診断基準がきちんとありまして、それを満たすような典型的な片頭痛は、先ほどお話がありましたように、余り若年というよりも小学校高学年から中学校ぐらいになってから出てくるようなことが多いと思いますので、余り低学年の方には使用は想定されないというのはそのとおりだと思います。逆に、一方では、小学校高学年の、結構激しい片頭痛の方が最近特に多くなっている印象を受けるのですが、そういう方に対しては、今は片頭痛の特異的な治療薬が使えないという状況があって、なので非常に現場の診療が困っているという現状もございます。特に小学校高学年ですと、いわゆる受験生がたくさんいらっしゃって、そういう方々が非常に頭痛で困っていらっしゃるという現状があるので、そういった方々に適用できる安全な治療が非常に望まれているという現状もございます。以上です。
○小野部会長 追加の情報、ありがとうございます。清水委員、よろしいでしょうか。
○清水委員 御説明ありがとうございます。12歳とか小学校高学年の学生、学童の方が対象になって、非常に有効な治療方法となり得るということはよく理解できましたが、今回のデータの中にそういう患者さんが含まれていないこと、それから神経系の発達としても、高学年というのは、12歳に近い年齢ではあるかと思うのですが、少し心配になってお伺いいたしましたが、海外の臨床試験のデータで、12歳とかこれよりも下の方を対象とした成績はございませんでしょうか。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 今回のデータにつきましても、海外につきましても、18歳未満のデータは現状ない状況となっております。ですので、やはり国内の使用成績調査にて、こちらのデータで問題ないのかということは、しっかりと確認していきたいと考えております。
○小野部会長 ありがとうございます。清水委員、よろしいでしょうか。
○清水委員 はい、ありがとうございました。これは使われるお医者さんの方も、データがないということで心配なところもあるかと思いますので、その辺りしっかりうまく治療が有効になるように、いろいろメーカーさんの方にも御指導いただければと思います。よろしくお願いいたします。
○小野部会長 コメントありがとうございました。高橋先生、この議論につきまして、何か更に追加でコメントはございますか。
○高橋参考人 先ほど申し上げたことに、特に追加することはございません。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、委員の先生方から、質問、コメント等はございますでしょうか。
特に御意見がないようですので、議決を行いたいと思います。医療機器「レリビオン」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないということでよろしいでしょうか。また、使用成績評価の期間を6年として指定することでよろしいでしょうか。御異議のある委員の方は挙手、あるいは御発言をお願いいたします。
特に御異議がないようですので、上記の内容で議決をしたいと思います。なお、本件は分科会にて文書報告を行うこととなっております。御協力ありがとうございました。
これで、議題1を終了したいと思います。高橋先生、御参加どうもありがとうございました。
○高橋参考人 ありがとうございました。失礼いたします。
── 高橋参考人退室、栗田参考人入室 ──
○小野部会長 あと、ハウスキーピングのことですが、マイクの調子が悪いので、今、交換をするということで、一旦議事を止めさせていただきます。それでは、マイクの調整がつきましたので、これから議題2「医療機器「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。なお、本議題について、参考人として栗田隆志先生に御出席を頂いております。それでは、まず、事務局より御説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。資料2の3ページ、専門協議委員一覧を御覧ください。本審査に当たり、こちらの3名の専門委員から御意見を頂きました。
以降の説明は、資料2の4ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は、緑色の通しページ番号、審査報告書のページ番号、及び左に記載の行番号を用いて、御説明いたします。また、審査報告書に修正がありますので、当日配布資料2、正誤表にてお示しいたします。本件、深くお詫び申し上げます。
はじめに、品目の概要を御説明いたします。資料9ページ、審査報告書6ページ、1行目から御覧ください。「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」は、薬剤不応性症候性の発作性心房細動の治療を目的としたパルスフィールドアブレーションに使用するカテーテルと装置です。パルスフィールドアブレーションは、短時間・高電圧のパルス電場を心筋組織に対して出力することにより、心筋組織の細胞膜の透過性を亢進させ、細胞膜表面に生じた不可逆的な穿孔により細胞死を引き起こさせることで焼灼巣を形成するアブレーション方法です。カテーテルは、図1の左側に示しますように、先端部が環状の多電極カテーテルであり、その環状部は焼灼部位である患者の肺静脈口の大きさに応じて約25~35mm径の間で調整可能です。装置は、カテーテルにパルス電場を出力するためのジェネレータです。以降、カテーテルと装置の組み合わせを「本品」と呼びます。
次に、開発の経緯を御説明いたします。資料12ページ、審査報告書9ページ、14行目から御覧ください。本品の適応である発作性心房細動に対する非薬物治療として、次のページの図6に示しますように、アブレーションカテーテルを用いて肺静脈と左心房の境界の心筋組織を変性させ、心房細動の主な原因である肺静脈起源の異常電位が心房へ流入しないように電気的に隔離する「肺静脈隔離術」が行われています。
本邦における既承認のアブレーション方法では、過度な加熱に伴う炭化やポップ現象と呼ばれる組織の水蒸気破裂により、塞栓症や心穿孔等の合併症が懸念されます。また、アブレーションエネルギーが周辺組織に伝達することで、心房食道瘻や横隔神経損傷等の合併症を引き起こす可能性があります。これらの課題を解決するため、本品が開発されました。細胞死を引き起こすパルス電場の強度及び総供給時間は、組織に熱を発生させる値より小さいことが知られています。また、次のページの表1に示しますように、細胞死を引き起こすパルス電場の強度が組織ごとに異なり、心筋組織の閾値が他の組織よりも小さいことが報告されています。したがいまして、本品において適切なパルス電場を選択することで、過度な加熱に伴う合併症や周辺組織の損傷を低減することが期待されます。
外国における使用状況については、資料15ページ、審査報告書12ページ、3行目から記載しております。カテーテルの外国における許認可はなく、装置は本年10月25日付けで欧州にて許認可を取得しましたが、販売は開始されておりません。
続いて、本品の非臨床試験について、特段の問題は認められませんでしたので、臨床試験成績について御説明いたします。資料22ページ、審査報告書19ページ、23行目から御覧ください。本品の臨床試験成績として、欧州11施設及びカナダ2施設で行われたinspIRE試験の試験成績が提出されました。概要については、次のページの表6を御覧ください。inspIRE試験は、申請品のカテーテルと、装置の前世代品を組み合わせたIREシステムを発作性心房細動患者の肺静脈隔離術に用いた際の安全性及び長期有効性を確認することを目的とした、多施設共同、前向き、単群試験です。本試験は、IREシステムの安全性及び有効性を事前に評価するWaveI、ラーニングカーブの影響を最小化するためのWaveII Roll-In、仮説検証に用いるデータを取得するWaveII Mainの三つのコホートから構成され、それぞれ40例、30例、186例が登録されました。
結果について御説明いたします。有効性について、資料30ページ、審査報告書27ページ、6行目から御覧ください。WaveII Mainにおいては、186例全例が3か月フォローアップを完了し、83例が12か月フォローアップを完了したタイミングで中間解析が実施され、試験の早期成功が確認されました。主要有効性評価項目として「有効性評価期間中における心電図データに基づく記録上の症候性又は無症候性の心房細動、心房頻拍及び心房粗動の非発現率」が評価され、性能目標は海外ガイドラインでの推奨値及び類似既承認品の臨床試験での性能目標に基づき50%と設定されました。中間解析時の結果は70.0%、最終試験成績は75.5%であり、中間解析と最終解析で同等の成績が得られ、いずれも性能目標を達成しました。
安全性について、資料31ページ、審査報告書28ページ、19行目から御覧ください。主要安全性評価項目として「初回マッピング及びアブレーション手技7日以内の主要有害事象の発現率」が評価され、その結果、中間解析及び最終解析のいずれも0%であり、inspIRE試験で主要有害事象の発現はありませんでした。また、重篤な有害事象について、WaveII Mainで発現した尿閉1件は、手技との因果関係あり、機器との因果関係なしと判断され、その後回復しました。そのほかの重篤な有害事象は、機器又は手技との因果関係は否定されました。
以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。まず、本品の臨床的位置付けについて御説明いたします。資料33ページ、審査報告書30ページ、12行目から御覧ください。過度な加熱に伴う有害事象や周辺組織の損傷の低減という本品のメリットについては、動物試験及びinspIRE試験において懸念すべき有害事象を認めていないことを踏まえ、原理からは期待し得るものと考えます。また、inspIRE試験の結果から、本品を既承認品と同様の位置付けの心房細動アブレーション機器の選択肢の一つとして、臨床現場に提供する意義はあると判断しました。なお、本品のメリットについては、実臨床におけるデータを引き続き確認していくことが重要と考えます。
次に、海外臨床試験成績の本邦への外挿可能性及び単群試験による評価の妥当性について御説明いたします。資料34ページ、審査報告書31ページ、29行目から御覧ください。本品の使用に関して、本品の作用機序、アブレーション治療に関連する解剖学的部位の形状及びサイズ、使用環境等に大きな国内外差は示唆されないため、本邦の医療環境における本品の有効性及び安全性を、海外にて実施したinspIRE試験の試験成績を用いて評価することは受入れ可能と判断しました。また、肺静脈隔離術を行うアブレーションカテーテルが本邦で既に複数承認されており、既承認品のデータが蓄積し、海外ガイドラインにおいても達成すべき性能目標が明確になってきていることを踏まえ、単群試験により本品の有効性及び安全性を評価することは受入れ可能と判断しました。
次に、有効性について御説明いたします。資料36ページ、審査報告書33ページ、2行目から御覧ください。inspIRE試験の中間解析において早期成功が確認され、最終結果も性能目標を達成しました。主要有効性評価項目における再発の定義には、試験中の抗不整脈薬の新規投与及び増量や再アブレーションを含めるべきだったと考えますが、これらの基準により新たに不成功と判断された症例はなかったことから、結果としては許容可能と判断しました。また、本邦既承認品の臨床試験との比較においても、本品の成績は劣らない数値であったことから、本品の有効性は許容可能と判断しました。
次に、安全性について御説明いたします。資料37ページ、審査報告書34ページ、26行目から御覧ください。inspIRE試験において主要有害事象が発生しなかったこと、機器又は手技と関連する重篤な有害事象の発現はWaveII Mainの1件のみであったことから、一定の安全性は示されたと判断しました。また、パルスフィールドアブレーションが新しい焼灼原理であることを踏まえ、アブレーション治療における主な安全性上の懸念点である食道損傷及び心房食道瘻、横隔神経麻痺、肺静脈狭窄のリスクについて精査した結果、既承認品と比較してリスクが高まるものではなく、本品を臨床現場に提供することは可能と判断いたしました。また、同じく懸念される脳塞栓のリスクについては、次に詳しく御説明いたします。
資料38ページ、審査報告書35ページ、11行目から御覧ください。WaveIにおいてMRI評価を全例に実施したところ、8例に無症候性脳塞栓が認められました。特に、最初の6例のうち4例と高い割合で認められたため、パルス通電の間隔であるアプリケーション時間間隔や推奨事項の遵守に関するリスク低減策を実施したところ、その後の発現率は既承認品と同程度まで低減しました。発現した無症候性脳塞栓の原因は特定されておりませんが、そのほかの塞栓事象及び血栓事象の発現はないことから、リスク低減策を継続し、本品を臨床使用することは可能と考えます。製造販売後の塞栓事象及び血栓事象の発現状況については、使用成績調査において詳細に情報収集し、新たな知見があれば臨床現場に情報提供する必要があると判断しました。なお、本品における無症候性脳塞栓のリスクが既承認品と比較して明らかに高いとは言えないこと、及び日常診療においてカテーテルアブレーション治療後の全ての症例について、一律に頭部MRI検査を行っていないことから、専門協議での議論を踏まえ、市販後におけるMRI検査を必須とはせず、脳梗塞等の可能性の高い症例のみ実施することが適切と判断しました。
次に、製造販売後の安全対策について御説明いたします。資料42ページ、審査報告書39ページ、30行目から御覧ください。本品は、不整脈の経皮的アブレーション術に対する十分な経験を有している医師が、本品に関する適切なトレーニングを受けた上で、各種合併症に対応可能な施設において使用することが適切と考えます。したがいまして、関連学会と協力し、医師及び施設の基準及びトレーニング内容を適切に設定するとの申請者の方針は妥当と判断し、これを承認条件として付すこととしました。
最後に、使用成績評価について御説明いたします。資料43ページ、審査報告書40ページ、表12を御覧ください。本品が新しい焼灼原理のアブレーション機器であり、臨床データも限定的であるため、製造販売後の使用成績調査において、本邦での実臨床使用における有効性及び安全性を確認し、必要に応じて追加のリスク低減措置を講ずることが重要と考えました。予定症例数を300例、調査期間を4年とすること、重点調査項目に設定された項目を含め、提示された計画案は妥当と判断いたしました。
以上の審査を踏まえ、機構は、資料46ページ、審査報告書43ページ、4行目より記載しております使用目的にて、本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。本品は、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断します。また、使用成績評価の調査期間は4年とすることが妥当と判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
機構からの報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。それでは、まず、参考人の栗田先生から、何か追加で御発言ありますでしょうか。
○栗田参考人 近畿大学の栗田でございます。本品に関する期待、臨床上のニーズについて、簡単に発言させていただきます。先ほど御説明がありましたように、心房細動に対する治療は、肺静脈隔離というものについて高いエビデンスが確立されているところです。従来のアブレーションの高周波、それからクライオバルーンなどにつきましては、全て温熱効果を利用して、心筋を死滅させて肺静脈を隔離させるものですが、本品は、それと全く別なメカニズムで細胞の障害を起こす、死に至らしめるという、異なる概念からできたものです。特に、肺静脈も、温熱効果の宿命的な問題といいますか、周辺臓器への影響が大きな問題となっています。今回のパルスフィールドアブレーションは特に食道、それから横隔神経など、そういったところへの損傷が波及しにくいというところが特徴です。これは、私たちアブレーションをやっている者にとって、実は悲願でして、非常に大きな期待をもって見ているところです。
今回のカテーテルの形状ですが、リング状になっております。これは、先ほどもお話がありましたように、このリング状のカテーテルといいますのは、私ども、これまでに左房の中で操作をした経験が大変高い、非常にそれに似た形状をしているものでして、操作法につきましては基本的に共通したものだろうと思っておりますし、先端がペン型のように鋭利ではありませんので、組織に対する物理的な損傷もかなり避けられる可能性があると思っております。
もちろん、これは初めて日本で導入される機器ですので、今後の市販後調査につきましては、不整脈心電学会と連携しまして、J-ABという、アブレーションの患者様の全例登録を目指した、ビッグデータというものを学会が推奨しておりますので、それと連携して、症例を登録して、しっかりとフォローアップをするということ。トレーニングにつきましても、学会と連携して、しっかりしたものを作っていくということが決定されております。
私からは以上です。どうもありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、コメントがございましたら、よろしくお願いします。田中委員、お願いします。
○田中委員 奈良医大の田中です。2点お伺いしたいのですが、1点目は、脳梗塞、WaveIで、初期の症例で頻度高く起こったということで、推奨事項の変更を記載されていますが、この抗凝固療法3週間前、ACT350、左心房でのカテーテル交換最小限というのは、起こった症例は、こういうことが守られていなかったというか、何か原因が分かっているという、そういう認識でこういうことになったのでしょうか。
○小野部会長 事務局から回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。最初の6例中4例で無症候性脳塞栓が発生したのですが、抗凝固療法とACTの値については、守られている症例、守られていない症例があったということです。カテーテル交換については、詳細な情報は得られておりませんが、当初からトレーニングとしては推奨されていたのですが、再度推奨を行ったという状況です。
○小野部会長 ありがとうございます。田中委員、どうぞ。
○田中委員 これも含めて、次、国内での使用は、この推奨事項を明記した上で、ということでよろしいでしょうか。
○小野部会長 回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。御理解のとおりでして、こちらの推奨事項をトレーニングで推奨する予定です。添付文書の記載に関しては、ACTの値については明記をしております。ただ、抗凝固療法に関しては、出血リスクとの兼ね合いもありますので、3週間以上前を基本として推奨を行いますが、各症例にて個別に判断が必要なところですので、トレーニングでの周知徹底を行いまして、現在、添付文書内には明記はしていない状況です。
○田中委員 はい。もう1点お願いしたいのですが、これは承認と少し外れるかもしれませんが、300例のこの後の調査で、今後のアブレーション治療の位置付け、安全性は確立されてきているとは思うのですが、この300例でガイドラインが変わるとか、その位置付け、推奨が変わってくるということを見越した症例数の設定ということなのでしょうか。
○小野部会長 これは、むしろ栗田先生にお答えいただいたほうがいいと思いますが、いかがでしょうか。
○栗田参考人 ありがとうございます。300例の症例数からといいますと、まず基本、効果と安全性を確認するということが一番の目的です。ガイドラインに関しては、もちろん、今後これの効果がほかの方法と同等であれば、恐らくガイドラインに載ってくるだろうと思いますが、ガイドラインに載せますものは、どうしてもエビデンスというものが必要になります。そういったものを構築してからということが主になるかと思います。そのためにも、J-ABですね、J-ABという登録事業がありますので、これは、この300例に限らず、今後これが臨床的に広まった状況でも、情報を常に収集して、その結果を発表するつもりにしております。したがって、エビデンスが構築されますまで、ちょっと時間が掛かるかもしれませんが、当面は、まず300例でしっかりとフォローアップをする。それ以降も、J-ABを用いて、同様のフォローアップなどをしていく。特に、合併症、有効性に関して観察していく。エビデンスの構築はその後ということになると思います。
○小野部会長 御回答ありがとうございました。田中委員、これでよろしいでしょうか。
○田中委員 承知しました。ありがとうございました。
○小野部会長 それでは、永井委員、お願いします。
○永井委員 アプリケーションの時間間隔に関係する質問です。脳塞栓予防に関する推奨事項については、臨床試験なのでかなり慎重にやっていたはずで、むしろアプリケーション時間間隔を10秒間以上空けるということがポイントだったのかと思います。そこを徹底することで、それまでパラパラ飛んでいた脳塞栓が減ったのかと推測するのですが。時間を空けることで、メカニズム的に、なぜそういった脳塞栓が減ると考えられるのでしょうか。
○小野部会長 これは事務局で回答できますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただき、ありがとうございます。この点ですが、アプリケーション時間の間隔を10秒空けるとなぜ減るかという点に関して、申請者の方でも確認を行っていたのですが、明確な原因が、今、特定できていない状況でして、この対策を行ったら減ったので、これは継続しているという状況です。ですので、御質問のお答えとしては、その理由は明確になっていないというところです。
○永井委員 それらを含めて明らかになるとよろしいですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。そのとおりでございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、富田委員、お願いします。
○富田委員 昭和大学の富田です。使い勝手は従来品と同等ということでしたので、この機器に関する承認は問題ないかと思っているのですが、心房細動、肺静脈オリジンがコモンではありますが、そのほかに、フォーカルなアブレーションが必要なサブストレート、合併している方も多々いると思うのですが、そういうシチュエーションでは、従来のポイントで焼灼するようなものを併用されるということも想定されているのかどうかということと、そういう方が入っていた場合には、市販後調査はどのような扱いになるのかをお聞きしたいです。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局から回答をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 まず1点目の御質問に関しては、本品を導入する施設の施設基準において、従来の高周波アブレーション機器を有している施設という条件がありますので、従来のスポット型のアブレーションができる施設に本品を導入していく。それで、肺静脈以外のスポットの焼灼が必要な患者さんの場合には、従来のカテーテルでの対応をしていくことになります。使用成績評価においては、あくまでも、本品は肺静脈隔離術に使用する機器ですので、肺静脈隔離を本品で行った症例のみを評価していく形になります。
○富田委員 ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございました。資料43ページの表12の使用成績調査実施計画(案)のところに、一応、薬物非対応の発作性心房細動ということになっていますので、ほとんどが肺静脈由来の発作性心房細動であろうということを想定した患者選択となっているわけです。
ほかに。それでは、宮川委員、お願いします。
○事務局 すみません、マイクの調子が悪いので、少々お待ちください。
○宮川委員 すみません、教えていただきたいのは、日本人の肺静脈径は、平均すると20mmと承知しているのですが、この場合ですと、25~35mm。先ほど本品を見せていただいたのでは、手元の操作で少し径が小さくなるということは分かるのですが、肺静脈口、その周囲はできるのですが、肺静脈口ぎりぎりの所の焼灼がどのようにできるのか、それについて教えていただきたいと思います。
○医薬品医療機器総合機構 御質問いただきありがとうございます。本品は、肺静脈の入口の部分と、肺静脈の手前、少しだけ挿入して焼く二つのパターンがあります。肺静脈は柔軟性がありますので、径が20mmであっても、少しグッと押し込むような形で入れて、そうすると、電極が組織に張り付くような形でしっかりと接触されて、アブレーションが行える状況になります。
○栗田参考人 すみません、栗田ですが、補足説明します。
○小野部会長 では、栗田先生、お願いします。
○栗田参考人 御質問ありがとうございます。確かに今回、肺静脈径よりも少し大きめの直径ということになっておりますが、この機種では、肺静脈の狭窄というのは恐らく出ないだろうと考えられております。従来の温熱を利用したものを用いて、肺静脈の奥(末梢)を焼きすぎますと、肺静脈の狭窄がくる可能性があります。それから、やはり、心房細動の原因は肺静脈の中だけではなくて、肺静脈と左房の境界領域、Antrumと私たちは言っているのですが、少し手前の領域にも、肺静脈の原因というのが拡大している症例があるということですので、比較的拡大した肺静脈隔離、肺静脈よりもむしろ心房側に少し寄った所も隔離するということが、その後の再発予防に有効であるとされておりますので、若干、肺静脈よりも大きめの、肺静脈よりも、むしろ近位部の焼灼ができるということで、このような大きさになっていると判断しております。
○宮川委員 御説明ありがとうございました。そうしますと、このパルスの圧として、1,760と880の二相性になっているわけですが、そうすると、それがいわゆる、細胞死を起こす電場の強度という形でこれが効いてくる、つまり、肺静脈の周囲、少し心房側に、手前側にあるという意味が、そこに効いてくると考えてよろしいのでしょうか。先生に聞いてしまって申し訳ないのですが。
○小野部会長 栗田先生、専門のお立場からお願いします。
○栗田参考人 そういうことだと思います。基本的には接触が必要です。少し離れても大丈夫だという話は聞いておりますが、接触は必要だと考えております。ただ、接触も、これまでの高周波を用いた場合の接触強度は10g程度が必要で、やや強めに当てないと焼灼効果は得られなかったのですが、今回の場合は、本当にソフトタッチの状況で、細胞壊死が得られるということで、より安全に使えると考えております。
○宮川委員 ありがとうございました。
○小野部会長 コメントありがとうございました。ほかに、委員の方から質問は。永井委員、お願いします。
○永井委員 京大の永井です。もう1点教えてください。対象患者さんが薬剤不応性の症候性の発作性心房細動ということになっているのですが、心房細動を治療する一番の目的は、心原性脳塞栓症の予防ですよね。それは、症候性の心房細動であろうが、無症候性の心房細動であろうが、同じぐらいのリスクと聞いていますが、今回、症候性の心房細動に限定した理由は何なのでしょうか。
○小野部会長 これは事務局から回答できますか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。症候性に限定した理由ですが、心房細動治療の目的の一つとして、QOL改善もありますので、心房細動の症状として、動悸ですとかそういった症状を感じられている患者さんのQOLを改善するという点も目的として含まれておりましたので、症候性の患者さんに限定をしております。
○永井委員 ただ、QOLよりも、心原性脳塞栓症の方が患者さんにとってはずっと大事な話と思うのですが。
○小野部会長 ありがとうございます。栗田先生、これに対して何か追加でコメントございますか。
○栗田参考人 ありがとうございます。大変、ごもっともな御意見であろうかと思っております。しかしながら、現在のところ、心房細動のアブレーションによる最大の効果は、QOLの改善でして、生命予後の改善効果というものにつきましては、正常心機能の患者さんにはまだ明確に確認されていない状況です。また、心原性脳塞栓の予防効果についても、いろいろな報告があって、改善するというものから余り効果がないというものまで、ばらついております。したがって、現在のところ、心房細動に対するアブレーションの効果が明確になっているのは、QOLの改善ということですので、症候性ということが今回の適応になったと理解しております。
○小野部会長 ありがとうございました。ほかに、質問、コメントございますでしょうか。
特にございませんので、議決に入りたいと思います。医療機器「VARIPULSEパルスフィールドアブレーションカテーテル」及び「TRUPULSEジェネレータ」について、本部会として承認を与えて差し支えないものとし、生物由来製品及び特定生物由来製品として指定しないということでよろしいでしょうか。もう1点は、使用成績評価の期間を4年として指定することでよろしいでしょうか。御異議、御意見のある委員の先生方は、挙手、御発言をお願いします。特に御異議はないようですので、上記のように議決をしたいと思います。なお、本件については、分科会で報告を行うことになっております。
これをもちまして、議題2の審議を終了いたします。栗田先生、御参加どうもありがとうございました。
○栗田参考人 どうもありがとうございました。
○事務局 栗田先生、退室いただいて差し支えございません。ありがとうございました。
── 栗田参考人退室 ──
○小野部会長 それでは、議題3「医療機器「エピフィックス」の使用成績評価の調査期間延長の要否」に入りたいと思います。事務局より御説明をお願いします。○事務局 事務局より、議題3、医療機器「エピフィックス」の使用成績評価の調査期間の延長について、御説明いたします。
申し訳ありません、当日配布資料の3でございますが、エピフィックスの製造販売業者が「EPJメディカルサービス株式会社」となっておりますが、こちらは12月1日付けで「ディーマー・メディカル・ジャパン株式会社」という名称変更をいたしましたので、こちらを訂正後の表としてお送りさせていただいております。
今回、御審議いただく品目「エピフィックス」につきまして、資料3の1ページを御覧ください。こちらは概要でございますけれども、申請者は米国のMiMedx社でございます。また、選任製造販売業者は、先ほどのとおりEPJメディカルサービス株式会社から社名変更された、ディーマー・メディカル・ジャパン株式会社となっております。
本機器は、乾燥ヒト羊膜絨毛膜からなる吸収性創傷被覆材でありまして、含有する増殖因子やサイトカイン等によって既存療法に奏効しない難治性潰瘍に使用し、創傷治療を促進することを目的として、2021年6月7日に承認されたものでございます。その際、3年間で75症例の安全性を確認する使用成績調査を実施することとして調査期間が設定されました。
しかし、承認後、保険収載等に時間を要し、販売を開始するまでに1年8か月が経過したことから、準備期間について当初11か月と設定していたところ、1年8か月として9か月の延長が希望されております。
症例登録期間についても、販売開始から各医療機関での本製品採用までの申請、倫理審査委員会の承認等に時間を要しており、75症例の症例登録の完了が25か月、販売開始から2年1か月と想定されており、当初の12か月から13か月の延長となっております。
また、解析期間について、当初計画していた4か月に加えて症例調査終了後の調査事項の精査や解析結果に疑義が生じた際に、申請者・選任製造販売業者・調査業務委託会社での確認作業が必要となることから、5か月の延長を要望されております。
以上から、準備期間が9か月、症例登録期間が13か月、解析期間が5か月の、計2年3か月の延長で、調査期間を5年3か月と申請されています。
厚生労働省及び機構の判断として、2年3か月延長して5年3か月とすることは妥当と考えております。
こちらの2年3か月の調査期間の延長について、御審議いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から、御質問、コメント等はございますでしょうか。
保険償還まで時間が予想外に掛かったということ。また、コロナなどの影響で患者のエンロールメントが非常に遅れたといったようなことと、最終的なデータ整理や疑義解釈などを含めた期間の延長といったことでございます。既に保険償還されて、市販されている医療材料ということになります。
特に御意見等ございませんでしょうか。ありがとうございました。
それでは、議決を行いたいと思います。医療機器「エピフィックス」の使用成績評価は期間を5年3か月として延長指定するということでよろしいでしょうか。御異議がある先生方、御意見のある委員の先生方は、挙手あるいは御発言をお願いします。
それでは、御異議がないようでございますので、上記のように議決をいたします。なお、本件についても、分科会にて報告を行うこととなっております。これで議題3を終了させていただきます。
それでは、議題4「医療機器の高度管理医療機器、管理医療機器又は一般医療機器の指定及び特定保守管理医療機器の指定の要否について」に入ります。事務局より御説明をお願いします。
○事務局 それでは、議題4につきまして、資料4に基づき御説明させていただきます。
既存の一般的名称のいずれにも該当しない医療機器があり、新たに一般的名称を新設する際には、「いずれのクラス分類に該当するかについて」、また、「その保守管理に専門的な知識を要するものとして、特定保守管理医療機器に指定するか否か」について、御審議いただいております。今回は、医療機器の承認に際し、一般的名称の新設が必要なものが2件ございます。
1ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「歯科用骨形態評価プログラム」、その定義は「パノラマX線画像等から得られた情報をさらに処理して骨形態に関する情報を提供する医療機器プログラム。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。
2ページに「新一般的名称が付される予定の品目概要」がございます。本製品は、歯科パノラマX線画像の画像データを、記録媒体を介して汎用ワークステーションに取り込み、独自の解析アルゴリズムにより、歯科パノラマX線画像上の下顎骨に対して下顎皮質骨の厚み計測と形態評価を行うプログラムとなっております。
類似する一般的名称に、医科分野で使われている「骨強度分析プログラム」がございますが、本品は、歯科分野において骨形態の評価のみを行うものでございまして、骨密度や骨強度の算出は行わないという点で異なりますので、今回新設することとなりました。
本品は、クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、非該当と考えております。
続きまして、4ページの「新設する一般的名称(案)について」を御覧ください。新設予定の一般的名称は「手術用画像認識支援プログラム」、その定義は「内視鏡あるいは外科手術用画像から得られた情報をさらに処理して術中の視覚支援等のために使用する医療機器プログラム。解剖学的構造物等の位置や領域を推定する機能を有する。当該プログラムを記録した記録媒体を含む場合もある。」です。
本一般的名称の適応を考えている審査品目は2品目あり、1品目目は5ページ「新一般的名称が付される予定の品目概要」にございます内視鏡手術支援プログラムです。本製品は、下の図にありますように、内視鏡画像中の尿管・膀胱部位を検出し、候補領域を強調表示することで医師が尿管・膀胱を認識することの支援を行う製品です。
もう1品目は、6ページ「新一般的名称が付される予定の品目概要」の外科手術視覚支援プログラムです。本製品は、画像情報から解剖構造物の位置や領域を推定し、その結果を画面表示することで、医師の視覚支援をする製品です。下の図では、術中に切開しても問題ない結合組織を色づけして提示しています。
本品は、クラスII、管理医療機器に指定されるべきものと考えております。また、特定保守管理医療機器の指定については、非該当と考えております。
以上でございます。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から、御意見、コメント、御質問がございますでしょうか。最近多く出始めているAI技術を使った画像解析と画像統合の技術を使った内視境手術の支援プログラムということであると思われます。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。特に御意見がございませんので、議決に入りたいと思います。
まず1点目、「歯科用骨形態評価プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということでよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手、発言をお願いいたします。特に御意見はないと思われます。
続きまして2点目、「手術用画像認識支援プログラム」を管理医療機器として指定し、特定保守管理医療機器として指定しないということでよろしいでしょうか。御異議のある委員の先生方は、挙手あるいは御発言をお願いいたします。特に御異議はないと思われます。
御異議がないようですので、上記のように議決をいたします。なお、本件は、分科会にて文書報告を行うこととなっております。
以上をもちまして、議題4の審議を終了いたします。
続きまして、議題5「医療機器の再審査結果の報告について」に移りたいと思います。まず、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 事務局です。議題5について御説明いたします。資料5の1ページを御覧ください。
今回の販売名は、マル1「プロマス エレメント ステントシステム」、マル2「プロマス エレメント プラス ステントシステム」及びマル3「プロマス プレミア ステントシステム」です。申請者はボストン・サイエンティフィックジャパン株式会社です。
マル1の品目は、対照血管径が2.50mmから3.50mmの範囲にあり、病変長24mm以下の新規冠動脈病変を有する虚血性心疾患患者の治療に用いられる、薬剤溶出型ステントを含むステントシステムです。平成24年2月8日に承認されております。マル2の品目につきましては、マル1からデリバリー性能の改良とステントサイズマトリックスに小さい径と長いステントサイズを加えた製品です。マル3の品目は、ステントの長軸方向の強度を向上させることを目的として、マル2のステント近位側にコネクタを追加した製品です。
本邦での使用実態下における安全性及び有効性を確認することを目的として、1ページの一番下に記載の期間で再審査が行われました。
7ページ以降を御覧ください。表1にて患者背景を示しております。治療対象となった原疾患の約半数は、安定型狭心症でした。また、表2に示しておりますとおり、標的病変枝数は1.1枝であり、疾患の治療難易度を表すACC/AHA病変分類は、比較的難易度の高いタイプB2とタイプCが全体の7~9割を占めておりました。
安全性について御説明いたします。11ページの(5)安全性を御覧ください。安全性評価の主要な項目は、主要心血管イベントとしており、表10~表12に示しておりますとおり、マル1からマル3のMACEの発生率は術後1年時点で4.6%、11.2%、6.8%でした。術後5年時点では16.6%、23.2%という結果になっております。また、本品との因果関係が否定できない有害事象の発現状況は、それぞれ42例、72例、7例が報告され、再狭窄や死亡、狭心症などが認められました。また、機器の不具合については、数例でステントの不通化が見られ、マル1では重度の石灰化に伴うステントのつぶれがみられました。既承認の薬剤溶出型ステントでは、今回の調査のMACEと全く同一ではございませんが、標的血管不全が主要な評価項目となっており、既承認品の使用成績調査群と本品の承認申請時に提出された臨床試験群の長期成績のいずれに対しても、本調査の安全性の結果は劣らないと判断しております。
続いて、有効性について御説明いたします。13ページの(6)有効性を御覧ください。マル1とマル2では、それぞれ351病変と424病変のデータに基づいてコアラボによるQCA解析が実施されました。マル3についてはコアラボ解析は行われず、各医療機関においてQCA解析が行われました。解析結果については14ページの表13にまとめられております。それぞれの調査にて手技前約70%前後だった径狭窄度が約10%~20%弱となり、手技後9か月では開存が維持されていることが確認され、これは既承認薬剤溶出型ステントの使用成績調査と同等であり、有効性について特段の対応が必要となる問題点はないと判断しております。
承認条件について、17ページを御覧ください。それぞれの製品について、本品を用いた臨床試験における対象患者の予後について経年解析結果を報告すること、使用成績調査を実施すること、そして、国内において本品らを使用しステント血栓症が発生した症例については速やかに報告することの三つを承認条件として付しておりました。今回の報告について、総合評価として、薬事法第14条第2項第3号イからハまでのいずれにも該当せず、使用目的又は効果、使用方法などの承認事項について変更の必要がないと判断しております。したがって、それぞれの承認条件についても解除することが適切と考えております。
最後に、19ページの「8.」関連するその他の薬剤溶出型ステントの承認条件について、御説明いたします。マル1~マル3の後継品にあたる「プロマス プレミア LV ステントシステム」と「シナジー ステントシステム」の2品目に関して、再審査は課されておりませんが、ステント血栓症が発生した際は速やかに報告するように承認条件が付されております。「プロマス プレミア LV ステントシステム」についてはステント血栓症の発生が認められておらず、また、「シナジー ステントシステム」についてはステント血栓症の発生率が0.011%と低く、特有の発生傾向は認められておりません。したがって、後継品2品目の承認条件についても解除することが適切と判断しております。
以上、御報告とさせていただきます。
○小野部会長 使用成績調査についての報告でございましたが、委員の皆様から、御質問、コメントはございますでしょうか。
従来品と劣らず後継品については更に安全性が高いといったような御報告であったと思われます。
特に御質問等がございませんので、これについては報告ということですので、議題5は以上をもちまして終了したいと思います。
本日、事前に用意した議題は以上となりますが、事務局より、その他の報告事項がございますので、よろしくお願いします。
○事務局 ありがとうございます。それでは、その他に移らせていただきます。本日、その他の案件としまして、二つの案件を御報告させていただきます。
初めに、議題には記載しておりませんが、前回11月部会におきまして、使用成績評価期間の延長を御報告させていただきました「Inspire UASシステム」について、御説明いたします。使用成績評価期間の延長につきましては既に御審議いただいたところでございますけれども、当該製品が承認された当時の背景につきまして御意見を頂戴いたしまして、次回の本部会において御報告させていただく旨を御回答しておりました。つきましては、本日、その御報告をさせていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 それでは、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。当日配布資料4を御覧ください。
「Inspire UASシステム」、以下「本品」と言いますが、前回の部会で3点の御指摘を頂戴しました。まず、混合性睡眠時無呼吸である場合、本品で気道閉塞を解除しても呼吸改善がしないのではないか。次に、承認審査時に日本人に効果があることをどのように判断したか。最後に、本邦で販売数が見込めるかです。
これらの御指摘に対して説明するにあたり、まずは臨床的な背景と本品の作用原理について説明させていただきます。
睡眠時無呼吸は三つに分類され、呼吸努力があるものの、気道が閉塞しており気流が止まってしまう閉塞性睡眠時無呼吸、呼吸中枢の異常により呼吸努力が発生しない中枢性睡眠時無呼吸、そして、閉塞性睡眠時無呼吸と中枢性睡眠時無呼吸が混在している混合性睡眠時無呼吸です。
本品は、閉塞性睡眠時無呼吸を持つ患者の中でも、CPAPが不適又は不忍容と判断された患者を対象としている機器です。肋間に留置されたセンサが患者の呼吸努力を検出すると、舌下に留置された刺激リードからパルスが放出され、気道閉塞している舌を持ち上げて気道閉塞を解除します。
この内容を踏まえ、前回御指摘いただいた点について御説明させていただきます。
本品は治療原理上、閉塞性睡眠時無呼吸、または閉塞性睡眠時無呼吸の時間の割合が高い混合性睡眠時無呼吸に対してのみ、有効性が期待される製品になるため、初回の承認申請時に添付された海外臨床試験は、閉塞性睡眠時無呼吸となる時間の割合が高い患者を対象として実施され、有効性及び安全性が示されました。また、この臨床試験における患者条件が本邦の適正使用指針にも使用されております。
また、海外臨床試験で日本人は含まれていなかったものの、アジア人と類似した頭頸部形状を持つ○○例での成績を確認したところ、全体集団と同様の成績が確認されたことから、日本人でも有効性及び安全性が期待できると判断されました。
なお、販売数については、資料下段に記載している表のとおり計画がされており、現時点で、予定症例数も確保できる見込みとなっております。
機構からの説明は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。前回の部会で出てきた三つの疑問に対しての調査結果ということですが、委員の先生方から、御質問、御意見はございますか。
大分疑問点が明確になったのではないかと思われます。調査、どうも御苦労さまでした。
それでは、事務局、引き続き、報告・連絡事項をお願いします。
○事務局 それでは、その他事項の議題2に移らせていただきます。その他事項、議題2は「SMO(治験施設支援機関)によるGCP違反について」です。事務局より説明をさせていただきます。資料01を御覧ください。
経緯ですが、SMOである株式会社メディファーマに関する公益通報を受けまして、医薬品医療機器法第80条の2第7項及び第80条の5第1項の規定に基づき、令和5年8月29日、30日に無通告の立入検査を、東京本社・大阪営業所に対して実施しました。また、同年9月4日に大阪府内の医療機関に対しても、同様に立入検査を実施しました。立入検査の結果、GCP違反が確認されました。現在、違反の詳細等について精査中であります。
続いて、現時点で確認されている主な違反の概要について、説明をさせていただきます。「(1)治験データの改ざん」に関してですが、少なくとも医薬品の7試験において、治験薬投与時間や採血時間等の改ざんが確認されています。「(2)呼吸機能検査の不適切な実施」についてですが、医薬品の治験において、呼吸機能検査(スパイロメトリー)について、意図的に吐く息の量を減らすよう誘導し、呼吸機能の悪化を偽装していたことを確認しています。その結果、組入れ基準に合致しない被験者が治験に組み入れられているという事実がございました。「(3)医師・施設スタッフ・CRCのIDパスワード共有、トレーニング代理受講」については、治験に必要なトレーニング及び電子署名等のID・パスワードを社内で共有していたことが確認されています。さらに、医師・施設スタッフが受講すべきトレーニング等をメディファーマ社員が代理受講していたことも確認しています。「(4)治験薬保管不備の隠蔽」については、医薬品の治験薬の保管温度逸脱の隠蔽や保管温度の記録の改ざんが確認されています。
続きまして、株式会社メディファーマが関与した試験の範囲及び影響についてですが、資料02を御覧ください。こちらに表でまとめております。医薬品で116試験、医療機器で7試験、合計123試験に株式会社メディファーマが関与していましたが、現時点で健康被害等の報告は受けておりません。
123試験のうち、承認済みの品目に関係する試験は、医薬品で製造販売後臨床試験も含め34試験、医療機器で2試験、合計36試験となっております。これらを、品目数で集計したものが下段になっております。承認済みの医薬品は23品目、医療機器については2品目、合計25品目に株式会社メディファーマが関与していることを確認しております。
既承認品目の確認結果の詳細につきましては、資料03を御覧ください。医療機器については、最後のページになりますけれども7ページに記載されている2品目が該当するものでございます。
試験ごとの違反の有無及ぴ詳細については引き続き精査中でありますが、株式会社メディファーマが関与した症例を除外しても有効性評価及び安全性評価が変わらないこと、または、試験データの信頼性を検証して信頼性が担保できることを、個々の試験ごとに確認することによって、承認済みの品目において、有効性及び安全性の結果への影響はないと判断しております。
なお、確認結果も踏まえ、承認済みの品目について公衆衛生上の危害が生じる可能性がないこと、現時点では製造販売業者において違反等の不適切な行為が確認されていないこと、また、品目名の公表による臨床現場への影響等を考慮し、関係する製造販売業者の名称及び品目名等に関しては、引き続き非公表の取扱いとさせていただきます。
本事案につきましては、薬事・食品衛生審議会の関係する他の部会においても、本日と同様に御報告予定であることを申し添えます。事務局からの説明は以上でございます。
○小野部会長 御説明ありがとうございました。大変由々しき事態であると思われますが、委員の先生方から、御質問、コメントがございますでしょうか。
内容をかなりコンパクトに御報告いただきましたが、実はかなり膨大な内容に至りますので、なかなか詳細まで知るのは難しいと思われますが、いかがでしょうか。
高松委員、お願いします。
○高松委員 日本薬剤師会の高松です。本当に呆れるばかりというか、本来、この会社が請け負っている、いかに正しくやるかという本来業務のところを、これだけ作為的に改ざんやなりすまし受講を行っていたということは、本当に由々しき事態だと思っています。昨今、製薬業界の中でも、GMP違反等がかなり多く発覚しており、私は患者さんに薬を提供する立場として本当に心苦しい。日本の医薬品がすごく優れているとずっと思っていましたので、その信頼が本当に土台から崩れてしまったような状況です。今後、いかに国民の信頼を回復するかが、これからの業界の目指すところだと思っていますので、厚生労働省の方々におきましては、こういうことがあった場合には厳正に対処していただいて、二度と起こらないように監督をお願いしたいと思っています。以上です。
○小野部会長 コメントありがとうございます。ほかに、委員の先生方から御意見、質問等がございますでしょうか。末岡委員、お願いいたします。
○末岡委員 ありがとうございます。医薬品については別途教えていただいたところではあるのですけれども、今回のメディファーマの最終的な処分が決まるまでの間、医療機器メーカーがこの会社を起用しないというところは、どのような形で確保されるのかというところを教えていただければと思います。
○小野部会長 事務局から御回答をお願いします。
○事務局 末岡委員、コメントをくださりありがとうございます。基本的には今回のように、こういったSMOのGCP違反があったということを公表することによって、世間的に、この会社がこういったことを行っていたということは周知できていると思っていますので、そういったことをSMO自体、メディファーマに対する処罰のひとつ、ペナルティのひとつというふうには考えております。一方で、それを受けて、各製販業者が今後どうするのかというところを、また各製販業者の方で考えていただくことになるのかなというふうに考えております。
○末岡委員 ありがとうございます。製販業者の方が本件を認識しているというところは固いというか、確実だと思ってよろしいでしょうか。医薬品メーカーの方は確実に認識しているというところを教えていただいたところですが、医療機器メーカーはかなり大、中、小といろいろな規模の会社がおありだと思うので、その辺りを懸念しているところです。
○事務局 御意見くださり、ありがとうございます。今回、メディファーマが関与した製販業者については、全てこちらの方から連絡をさせていただいているところですので、医薬品の方と同様に周知されているものと理解しています。
○末岡委員 分かりました。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、御意見はございますでしょうか。佐久間委員、お願いします。
○佐久間部会長代理 今の点に関してですが、これを拝見すると、○○○○○○○○のものでの評価のところがあって、懸念すべきは、新規参入、いわゆるまったく医療機器というところに入ったことがない○○○○○○○○○といったところが関与する可能性があるかなと思っています。どうやって言うかは必要なのだと思いますけれども、こういう会社を選択するに当たって非常に注意してやるべきだといったことを、少しそういう業界に対して、うまい形で示しておく必要があるのかなと感じたのですが、なかなか難しいことだと思いますが、案件が○○○○○○の○件だったということで、ちょっとその点気になったので発言させていただきました。
○小野部会長 ありがとうございます。それに関して、データの照合というか再確認を行ったというふうに聞いていますけれども、その辺の詳細について、答えられる範囲内で回答いただけますか。
○事務局 御意見くださりありがとうございます。新規参入のそういった企業に対する対応を今後どうするかというところは、また行政内でも検討はさせていただきたいと思っているところですけれども、今回に関しては、データの突合というところは行政が全力を挙げて確認をさせていただいたところがあるので、有効性、安全性の方はしっかり担保できていると考えています。また、周知徹底というところですけれども、今回、関与しているようなSMOに対する周知と、もう一つ、SMOを委託先としている医療機関に対する周知、この二つが重要であると考えていますので、今後はこの二つをターゲットにしまして、通知等でGCP遵守はしっかりするようにというところで出させていただきたいと思っています。
○小野部会長 御回答ありがとうございますた。ほかに、御質問、コメントはございますか。
それでは私から。ちょっと答えづらいと思いますけれども、SMOのこういうGCP違反は、程度がいろいろあるので一概にどれとは言えないですが、特に罰則規定がないというのが、一つこういうことを生んでしまう温床になりうるということですね。信頼関係、性善説に基づいて、こういったSMOに試験のマネージメントを依頼しているということですが、何らかのペナルティというか一定の制約が出なければ、また同等の、つまり都合のいいデータを作り出すといったことが起こらないとはなかなか言い切れないところがありますので、ここで議論するべき内容ではないとは思いますが、これは非常に、臨床試験そのものの信頼性が全て揺らいでしまうという、大きな問題になりますから、然るべき議論は更に進めるべきではないか。これは私の座長としての個人的な意見を申し上げます。
○医療機器審査管理課長 今の御指摘、大変重く受け止めさせていただきたいと思います。そもそもGCP基準というものの中でどのような規定を設けるべきか、罰則とどのようにつなげることができるのか、すべきか、などを含め、制度的なものとしてどうあるべきかということについては、行政の中でしっかり検討した上で、規制に反映していくということを検討することとさせていただきたいと思います。ありがとうございます。
○小野部会長 御回答ありがとうございました。ほかに、委員の先生方から御意見等はございますか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間部会長代理 確かにこういうことでの罰則という視点ということはあるのですが、なぜこういう動機が発生してしまったのかというところ、そこを少し調べておく必要もあるかなと思っています。何でこういうことをやってしまうのかという背景のところが、例えば効率を上げるということなのか、いろいろなコストに対する圧縮なのか、その辺りのところというのが、少し明確に、これが起きた動機ということを確認しておかないと、いくら罰則をやったとしても、そこにもしシステム上の欠陥があるとすると、そこが原因になってしまうかと思いますので、非常に難しいとは思いますが、そこまで少し踏み込んだ検討というのが要るのかなと思いました。こういうこともありまして、先ほど高松委員からお話があったように、そういうことが続いたということからいうと、システム上の何か問題があるのかどうかということは検討すべきかなと思いました。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御意見等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この件につきましてはここで終了させていただきたいと思います。
それでは、事務局の方からよろしくお願いします。
○医療機器審査管理課長 本日は、お忙しいところ、審議に御参加いただきましてありがとうございました。次回部会は1月15日(月)、15時00分から予定しております。詳細につきましてはまた後日メール等で御連絡させていただきます。連絡事項は以上です。
○小野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の医療機器・体外診断薬部会を閉会いたします。本日は長時間にわたり、どうもありがとうございました。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 井上(内線4226)