第51回患者申出療養評価会議 議事録

日時

令和6年6月20日(木)16:00~18:00

場所

オンライン開催

出席者

構成員等
福井座長 五十嵐座長代理 天野構成員 磯部構成員 上村(夕)構成員 新谷構成員 田島構成員 辻構成員 寺田構成員
手良向構成員 直江構成員 成川構成員 松井構成員 山口構成員 山崎構成員 渡辺構成員
事務局
医療技術評価推進室長 医療課長補佐 先進・再生医療迅速評価専門官 研究開発政策課長 治験推進室長
研究開発政策課長補佐 治験推進室長補佐 他

議題

  1. 患者申出療養の総括報告書に関する評価について
    (患-1)(参考資料1)(参考資料2)
  2. 患者申出療養の試験実施計画の変更について
    (患-2)(別紙1)
  3. 患者申出療養の終了に伴う取下げについて
    (患-3)
  4. その他

議事

議事内容
16:00開会
 ○福井座長
 それでは、少々早いですけれども、ただいまより第51回「患者申出療養評価会議」を開催いたします。
 本日も大変お忙しいところ御出席いただき、ありがとうございます。
 最初に、先生方の出欠状況を確認させていただきます。
 上村尚人構成員、井上悠輔構成員が御欠席と伺っております。
 その他の構成員は全員御出席です。
 本日御欠席の構成員からは委任状の提出がございまして、議事決定につきましては、座長に一任するとされています。
 続きまして、資料の確認を事務局からお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。本日もよろしくお願いいたします。
 頭撮りについてはここまでにさせていただきます。
 それでは資料の確認をさせていただきます。
 (患-1)という縦置きの資料、また、それにつきましては、(参考資料-1)(参考資料-2)とつけてございます。また、(患-2)、こちらも縦置き2枚紙のもの、また、(患-3)、横置きの資料がございます。
 資料については以上でございます。資料について不足、誤り等がございましたら、事務局まで御連絡ください。
 今回の患者申出療養評価会議におきましては、対面とオンラインを組み合わせて開催させていただいております。先生方におかれましては、本日使用する資料一式を事前に送付させていただいております。
 申請書類等については送付させていただいた資料を閲覧していただきます。発言者は会議資料のページまたはタブレット資料のページとあらかじめ御発言いただけますと議事の進行上助かりますので、よろしくお願いいたします。
 以上でございます。
○福井座長
 資料等についてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 それでは、次に今回検討対象となります技術等に関しまして、事前に利益相反の確認をさせていただいております。その結果について事務局から報告をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 それでは、今回検討対象となる技術等に関しての利益相反について御報告いたします。
 本日の検討対象となる技術等に関しての利益相反の対象者はございません。
 以上でございます。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。出席されている先生方におかれましては、このほか、利益相反に関わる申告はございませんでしょうか。よろしいでしょうか。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、議事に入ります。本日は、その他を入れて4つ議題が用意されております。
 最初に、「患者申出療養の総括報告書に関する評価について」でございます。事務局から資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
〇医療課長補佐
 事務局でございます。
 (患-1)を御覧いただければと思います。「患者申出療養 総括報告書に関する評価表」でございます。
 今回、患者申出療養告示番号旧9番、BRAFV600変異陽性の進行性神経膠腫を有する小児を対象としたダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法に関する患者申出療養。九州大学病院において実施されていたものにつきまして、総括報告書が提出されましたので、主担当を五十嵐構成員、副担当を手良向構成員として、評価をお願いしているところでございます。
 それでは、まず技術の概要について御紹介したいと思いますので、(参考資料-1)を御覧いただければと思います。
 「対象と目的」となりますが、BRAFV600変異陽性の進行性神経膠腫を有し、かつ実施すべき標準治療が存在しない15歳未満の小児患者。ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法の有効性と安全性を評価するものとなってございます。
 「投与方法と評価スケジュール」については、お示しのとおりでございます。
 「主要評価項目」は、投与開始後16週までの最良総合効果。
 「副次評価項目」については、無増悪生存期間、有害事象となってございます。
 「症例登録予定」としては、4症例、登録期間は18か月、追跡期間は初回投与から少なくとも2年間となっているところでございます。
 「薬事承認までのロードマップ」については、お示しのとおりなので、御参照いただければと思います。
 なお、補足させていただきますと、こちらの治療につきましては、昨年11月24日に、薬事の適応拡大、保険適用となってございまして、BRAFV600変異陽性の固形腫瘍というところに対しての保険適用となってございまして、本技術に関しましては、これを踏まえて、この4症例全てについては、保険適用対象内での治療中であったことになりまして、同日をもって取下げがなされているような技術でございます。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、本技術の評価結果について御説明いただきます。今回は、五十嵐先生と手良向先生にお願いしております。
 最初に、五十嵐先生から御説明をお願いいたします。
○五十嵐構成員
 どうもありがとうございます。
 脳腫瘍の中でも悪性の神経膠腫(グリオーマ)は、成人を含めまして、日本では大体年間5,000人が発症すると言われています。15歳未満の小児に限っても、小児の脳腫瘍は年間1,000~1,100人発症いたしますけれども、その中で、年間300~400人ぐらいがこのグリオーマです。したがいまして、小児の悪性腫瘍の中では一番頻度の高い脳腫瘍と言えると思います。
 神経膠腫は予後が極めて悪い高悪性度のものと、予後が比較的良好である低悪性度のものに分けられます。低悪性度の神経膠腫の中でも、細胞内シグナル伝達経路のMAPK経路の構成因子の1つであるBRAFV600に変異があるとたんぱくの増殖が増えて、腫瘍の悪化につながります。コドン600のバリンがグルタミン酸あるいはリジンに変わるような塩基変異がある場合の患者さんがBRAFV600変異陽性呼ばれています。小児の神経膠腫の2割ほどがBRAFV600変異陽性にで、その方たちに対する効果的な治療法の開発が期待されておりました。
 これまで、BRAFV600変異陽性の小児患者に対する有効な治療法はありませんでした。悪性神経膠腫の治療効果の判定基準に基づく本ダブラフェニブ・トラメチニブ併用療法による治療開始後16週までの最良総合効果は、低悪性度神経膠腫が2例、高悪性度神経膠腫が2例の合計4例全てにおいて、stable disease状態を得ることができました。
 さらに、低悪性度神経膠腫2例の患者さんでは、腫瘍サイズの縮小も見られたことから、確かに患者さんの数は少ないく、観察期間も短期間ですが、一定の有効生を示す結果が示されたと判断することができると思います。
 それから、有効性の副次項目である無増悪性生存期間の中央値も19か月で、その間に腫瘍の進行は認められませんでした。ただし、長期的な有効性の評価はこれから必要と考えております。
 以上より、有効性に関しては、Aの従来の医療技術を用いるよりも、大幅に有効である。
安全性に関しましても、あまり大きな問題はないということで、Bと考えます。
 今回の本治療に起因した有害事象はいずれも非重篤でありまして、海外において先行する臨床試験と同様の結果であったと判断できると思います。
 それから、技術的な成熟度に関しましても、Bの当該分野を専門とし、数多くの経験を積んだ医師または医師の指導の下であれば実施できる治療法だと考えております。
 症例数は4例と限られていますけれども、今回のこの併用療法は、BRAFV600変異陽性の進行性神経膠腫の小児患者に対して有効で、8歳以上の小児に対して安全である可能性が示されたと考えられます。
 薬事未承認の医薬品等を伴う医療技術の場合、薬事承認申請の効率化に資するかどうか等についての助言に関しては、先ほど事務局が御紹介いただきましたように、令和5年11月24日に、この併用療法が小児の標準的な治療が困難なBRAFV600変異を有する進行・再発の固形腫瘍の治療薬として保険収載を既にされております。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○福井座長
 ありがとうございます。
 続きまして、手良向構成員から御説明をお願いいたします。
○手良向構成員
 まず、有効性ですが、症例数は4例ですので、それだけで判断するのはなかなか難しいと思いまして、先行臨床試験、もちろん治験も含みますけれども、それらの結果も確認しながら判断しました。有効性については、Aと判断しています。先行臨床試験で一定の有効性は認められていて、本試験の有効性に関する結果も、それらの結果と大きな差異はないと考えます。
 安全性についても、先行臨床試験の結果と大きな差異はないと思いましたので、「あまり問題なし」と判断しました。
 技術的成熟度については、Aと判断しました。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの説明につきまして、構成員の皆様方から何か御質問等がございましたら、よろしくお願いいたします。
 令和5年11月24日に保険収載されたということですけれども、これは、この保険収載自体が今回の九州大学病院のデータを踏まえた上での保険収載ということなのでしょうか。それとも、このデータが出る前に保険収載が決められたのでしょうか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 こちらのデータは、ほかにも患者申出療養の中で実施されているものもございましたけれども、あくまでも参考データという位置づけと確認してございます。ほかの基本的な企業治験等のデータを基に適応拡大となっているものと承知してございます。
 事務局でした。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
○直江構成員
 直江です。関連質問よろしいですか。
○福井座長
 直江先生、どうぞ。
○直江構成員
 ありがとうございます。
 今の御判断で、私は全然問題ないと思いますが、関連した質問ですが、このダブラフェニブ・トラメチニブという併用療法は、現在、小児に対して、たしか北海道大学が一時出されていたと思いますし、これは、国立がんセンターの小児にも含まれていたように思うのですが、ちょっと曖昧ですが、今、ほかはどういう状況になっているのでしょうか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。直江先生、御質問ありがとうございます。
 補足いたしますと、保険適用の対象となっているところの用法・用量が、体重26キロ以上の患者を対象としているものでございますので、それ以外につきましては、その26キロ未満の患者さん、実質上お子さんが中心となりますが、それにつきましては、適用外となってございまして、北大病院におきましては、その対象の適応外のところについての患者申出療養を継続しているという状況と御理解いただければと思います。
○直江構成員
 確認ですが、あとは、この患者申出療養としては2件走っているという理解でよろしかったですか。1件でしたっけ。
○医療課長補佐
 基本的には、北大病院による技術と御理解いただければと思います。
○直江構成員
 承知しました。
○福井座長
 ありがとうございます。
 そのほか、いかがでしょうか。
 よろしいですか。
 もし、ないようでしたら、五十嵐先生、手良向先生の評価結果どおりということにさせていただきたいと思います。
(構成員首肯)
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、議題の2番目、患者申出療養の試験実施計画の変更について、資料が提出されておりますので、説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。「患-2」について御説明さしあげます。「患者申出療養の試験実施計画の変更について」でございます。
 申請医療機関は、名古屋大学医学部附属病院。
 患者申出療養の名称は、繊維芽細胞増殖因子受容体阻害薬投与歴のある進行固形がん患者に対するペミガチニブ経口投与療法でございます。
 適応症は、FGF-R1またはFGF-R2遺伝子の増幅、FGF-R3遺伝子の変異またはほかのFGF-Rの変化が認められる進行固形がんとなってございます。
 試験の概要、実施期間、予定症例数、現在の登録状況については、御覧いただければと思います。
 変更の内容になりますが、マル1につきましては、用法・用量の変更、マル2につきましては、プロトコル違反が判明した場合の中止の明確化となってございます。
 変更申請する理由でございますが、マル1につきましては、休薬期間中に症状の悪化を認めたため。マル2につきましては、インフィグラチニブ経口投与療法での重大な不適合を受けて対応が必要と考えられたためとなってございます。
 まず、補足さしあげますと、マル2の対応につきましては、先般のこの会議で御議論いただいた内容を踏まえて、このプロトコル違反が判明した場合の中止の明確化につきましては、治験実施計画あるいは説明同意文書に位置づけるというような対応となっているところでございます。
 また、別紙1につきましては、事務局からの確認事項に対する回答というところを名古屋大学からいただいているところでございます。
 確認事項1とその回答については、個人情報を含むため非公開とさせていただいているところでございますけれども、症状の悪化の詳細について聞き取りをしているところでございます。
 2番のペミガチニブ経口投与療法の変更あとの用法・用量の設定根拠というところについて回答を得ているところでございまして、かいつまんで御紹介させていただきますが、2023年には、「FGF-R1融合遺伝子陽性の骨髄性またはリンパ性腫瘍」では、連日投与が承認用法となってございます。
 今回のもともとの患者申出療養でのプロトコルになりますと、胆管がんのプロトコルとなってございまして、2週間投与して1週間休薬するという治療スケジュールとなっていたところでございますけれども、昨年、認可されております骨髄性またはリンパ性腫瘍では、連日投与、こちらのほうが有効性が高いということで承認されているというところが紹介されているところでございます。
 また、安全性に関しましては、安全性解析対象集団における間欠投与または連日投与した際の本剤の全般的な安全性プロファイルは、いずれも管理可能であり、忍容性はおおむね良好であったというところでございます。
 このようなことから、骨髄性またはリンパ性腫瘍で承認されている連日投与に変更することとしたというところが回答となっているところでございます。
 事務局からの説明は、以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 それでは、本患者申出療養の試験実施計画の変更について判断が必要とのことですけれども、何か御質問・御意見ございますでしょうか。
 休薬期間に反跳することが確認されたということで、それで、連日投与に変更したいということです。
 天野構成員、どうぞ。
○天野構成員
 御説明ありがとうございました。
 今回の患者申出療養に関する変更に関しては、事務局からの説明のとおりお認めしていいのではないかと考えておりますが、1点事務局に確認したいのが、今後の患者申出療養に関してになります。
 今回の事案のように、言い方は難しいのですけれども、被験者である患者さんがプロトコルの適格要件を満たしてないことを秘匿して、患者申出療養や先進医療といった保険外併用療法に入ってきたときに、当該患者さんに対して保険外併用療法の適用をどのようにするのか、あるいはどのようなペナルティーがあり得るのかということについては、現時点では明確な根拠はないことが、前回までのディスカッションで明らかになっている状態かと思いますので、その検討は別途必要かと思いますが、いかがでしょうか。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 御指摘のところ、宿題のところと思ってございますけれども、例えば、今回、名古屋大学が実施したプロトコルの変更のような内容というところについて、改めて、保険外併用の場合には求めていくかどうかというところも一つ見解になるのかなと思ってございます。これは、引き続き、もし、構成員の先生方の御意向をもちろん踏まえているところでの改めての検討課題とさせていただくところも一つかなと思っておりますが、福井先生のお考えとかも含めてというところだと思います。
○福井座長
 ディスカッションを続けていくより仕方ないと思います。今、全ての結論を出せるかどうかはちょっとよく分かりませんが、そのような扱いにさせていただきたいと思いますけれども、天野構成員よろしいでしょうか。
○天野構成員
 かしこまりました。
○福井座長
 よろしくお願いします。
 ほかにございませんでしょうか。
 それでは、ないようでしたら、告示番号8の技術につきましては、実施計画の変更を認めることとしたいと思います。よろしいでしょうか。
(構成員首肯)
○福井座長
 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。
 それでは、3番目の議題に入りたいと思います。「患者申出療養の終了に伴う取下げについて」でございます。資料が提出されておりますので、事務局から説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 続きまして、「患者申出療養の終了に伴う取下げ」となりまして、御報告事項となってございます。
 まず1つ目でございます。告示番号1、患者申出療養名としては、インフィグラチニブ経口投与療法でございます。
 適応症については御覧いただければと思います。承認状況は、現時点で未承認となってございます。
 取下げ理由でございますが、症例登録及びプロトコル治療が終了し、データ固定が完了したため。
 なお、総括報告書については、提出準備中であるとなってございます。
 臨床研究中核病院としては、名古屋大学医学部附属病院によるものとなってございます。
 続きまして、告示番号3、慶應義塾大学病院によるものでございまして、名称としましては、トラスツズマブエムタンシン静脈内投与療法でございます。
 適応症は乳房外バジェット病となってございます。
 承認状況としては、適応外となってございまして、取下げ理由としましては、全ての症例についてプロトコル治療及び観察が終了したため。
 なお、総括報告書については、提出準備中であるとなってございます。
 御説明は以上でございます。
○福井座長
 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして、何か御質問等ございますでしょうか。
 2つとも、総括報告書については、提出されることになっておりますので、また、そのときに、内容については御審議いただきたいと思います。
 よろしいでしょうか。
 治療の観察期間が終了ということですので、ここまでは、報告を受けたということにさせていただきたいと思います。
 本日の議題は、4番目が「その他」となっておりますが、事務局から何かございますでしょうか。
○医療課長補佐
 事務局からは、特にございません。
○福井座長
 構成員の先生方から何かございますでしょうか。
 何もないようですと、非常に早く終わることになりますが、よろしいでしょうか。
 それでは、次回の開催について、事務局から説明をお願いいたします。
○医療課長補佐
 事務局でございます。
 次回は日程調整の上、後日連絡させていただきます。
○福井座長
 それでは、第51回「患者申出療養評価会議」を終了といたします。本日は御多忙のところ御参加いただき、本当にありがとうございました。また、引き続きよろしくお願いいたします。