- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 社会保障審議会(生活困窮者自立支援及び生活保護部会) >
- 第29回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
第29回 社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会 議事録
日時
令和6年5月16日(木) 10:00~12:30
場所
AP虎ノ門 11階Aルーム
(東京都港区西新橋1丁目6-15 NS虎ノ門ビル3F・11F(受付3F))
及びWeb会議(ハイブリッド開催)
(東京都港区西新橋1丁目6-15 NS虎ノ門ビル3F・11F(受付3F))
及びWeb会議(ハイブリッド開催)
出席者(五十音順)
- 朝比奈 ミカ
- 池永 彰美
- 今村 英仁
- 浦野 正男
- 大西 豊美
- 岡部 卓
- 奥田 知志
- 勝部 麗子
- 菊池 馨実
- 五石 敬路
- 駒村 康平
- 佐保 昌一
- 生水 裕美
- 新保 美香
- 高橋 昌和
- 竹田 匡
- 堀 有喜衣
- 宮本 太郎
- 𠮷田 英人
- 渡辺 由美子
- 大江 賢一(内堀雅雄委員の代理出席)
議題
(1)生活困窮自立支援法等の一部を改正する法律について
(2)その他
(2)その他
議事
- (議事録)
- 2024-5-16 第29回社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会
○河合室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第29回「社会保障審議会生活困窮者自立支援及び生活保護部会」を開催いたします。
委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
まず、前回の会議より委員の御異動がございましたので、御紹介いたします。
前回、令和5年12月の第28回の開催以降、新たに秦野市長の高橋昌和委員が任命をされております。
次に、事務局に異動がありましたので御紹介させていただきます。
片桐自立推進・指導監査室長です。
それでは、事務局を代表いたしまして、社会・援護局長の朝川より一言御挨拶申し上げます。
○朝川局長 社会・援護局長、朝川です。
第29回生活困窮者自立支援及び生活保護部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
本日は、お忙しい中、部会に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
今回、新たに御就任いただきました高橋委員におかれましては、快くお引き受けいただきまして、改めて感謝申し上げます。
さて、生活困窮者自立支援法と生活保護法の見直しにつきましては、おととしの6月から本部会において精力的に御議論をいただきまして、昨年12月には、委員の皆様の御尽力の下、最終取りまとめをしていただいたということでございます。この最終取りまとめの内容も踏まえまして、今年の2月、政府において生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました。そして、国会での御審議を経て先月17日に成立いたしまして、24日に公布・一部施行をいたしました。
法案の審議では、居住支援の強化、子どもの貧困への対応といった法案に盛り込まれたことのほかにも、「貧困ビジネス」の対応でありますとか、医療扶助の適正化でありますとか、多くの質疑をいただきまして、成立をさせていただいたということです。この改正法が現場の実態に即した形で運用されて、必要な支援が行き届きますよう、今後の本格施行に向けまして、委員の皆様には引き続き御指導いただければと考えております。
本日の部会でも、両制度のさらなる発展のため、忌憚のない御意見を賜りますようお願い申し上げて、私の御挨拶とさせていただきます。
○河合室長 続きまして、事務局より本部会の取扱いについて御説明いたします。
本部会の議事につきましては公開となってございますが、会場での傍聴は報道機関の方のみとさせていただき、そのほかの傍聴希望者向けにユーチューブでライブ配信をしております。本部会では、これ以後の録音・録画を禁止させていただきますので、傍聴されている方はくれぐれも御注意いただきますよう、お願いいたします。
会場の報道関係者の皆様におかれましては、カメラ撮りはここまでとさせていただきます。
それでは、以降の進行を菊池部会長にお願いいたします。
○菊池部会長 皆様、おはようございます。
本日も大変お忙しい中、お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
先ほど朝川局長からお話がございましたが、昨年いっぱいこの部会で取りまとめの作業を委員の皆様の御協力によってさせていただき、それが事務局のほうで法案としてまとめられて今国会に提出され、無事成立したということでございまして、この間、国会の参考人等で御協力を賜った先生方もいらっしゃいます。本当にどうもありがとうございます。そして、事務局の皆様、本当にありがとうございました。御苦労さまでした。引き続き、この部会でもさらなる法律、制度の発展に向けて議論を重ねてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、最初に本日の委員の皆様の出欠状況ですが、大森委員から欠席の御連絡をいただいております。
また、内堀委員の代理として、大江参考人に御出席いただいています。
大江参考人の御出席につきまして、御承認いただければと存じますが、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
出席委員につきましては、定足数を満たしておりますので、開催の要件を満たしてございます。
また、先ほど事務局から御紹介がございましたとおり、今回から高橋委員が新たに委員に任命されておられます。恐れ入りますが、一言御挨拶を賜れればと存じます。よろしくお願いいたします。
○高橋委員 皆様、おはようございます。
全国市長会の推薦で、今年度からこの部会に参加をさせていただきます神奈川県秦野市長の高橋昌和でございます。
新たな委員は私1人だけということでお聞きしておりまして、大変緊張しております。不安もございますけれども、基礎自治体の首長として様々意見交換ができればと思っております。
せっかくの機会でございますので、少しお時間をいただいて秦野市を紹介させていただければと思います。
秦野市は、神奈川県の中央のやや西部に位置をしておりまして、丹沢大山国定公園の裾野に広がる県内で唯一の盆地を形成しております人口16万の都市でございます。
秦野盆地の地下には、箱根の芦ノ湖の約4倍の水量を誇ります天然の水がめがございまして、秦野盆地に点在する湧水群は全国名水百選に選ばれておりまして、その地下水はおいしさ部門で日本一の折り紙つきでございます。
一昨年4月に新東名高速道路の秦野区間が開通をいたしまして、現東名と新東名の3つのインターチェンジと小田急小田原線の4駅がございまして、都内からは車でも電車でも約1時間で行けるということで、大変交通アクセスのよいところでございます。
現在、秦野市では令和9年度(2027年度)の新東名全線開通と秦野丹沢サービスエリアの開設を見据えまして、表丹沢の魅力づくりと小田急線4駅周辺のにぎわい創造の取組を一体的に進めておりまして、全国屈指の森林観光都市を目指したまちづくりを進めております。
丹沢、名水、桜、そして温泉が自慢の秦野市にぜひ一度お越しいただくことをお願いいたしまして、私の挨拶とさせていただきます。どうぞよろしくお願いをいたします。(拍手)
○菊池部会長 よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
それでは、議事に入りたいと思います。
本日の議事は「生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律について」でございます。
進め方といたしましては、まず事務局から資料についてまとめて御説明いただき、その後、質疑応答及び意見交換の時間とさせていただきます。今回は比較的御自由に御発言いただけるかと思ってございます。
それでは、初めに事務局から説明をお願いいたします。
○米田室長 生活困窮者自立支援室長でございます。
資料2「生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律の概要について」、説明をいたします。
2ページを御覧ください。
改正法の全体像でございます。今回の改正法の趣旨は、単身高齢者世帯の増加等を踏まえ、住宅確保が困難な者への安定的な居住の確保の支援や生活保護世帯の子どもへの支援の充実等を通じて、生活困窮者等の自立のさらなる促進を図るため、居住支援の強化、子どもの貧困への対応、支援関係機関の連携強化等の3つの柱に基づく措置を講じる内容になっております。次のページから、それぞれの改正内容について説明をいたします。
3ページでございます。
1つ目の柱、居住支援の強化についてです。目指す姿の2つの四角の部分ですが、単身高齢者世帯のさらなる増加や持ち家比率の低下等、住まい支援のニーズは今後ますます高まることが想定されております。一方で、民間賃貸住宅の空き家は増加傾向にあり、また民間ストックには単身世帯向けの比較的小さいものが多く存在するなど、こうした住宅の有効活用が課題となっています。
このため、その上にありますとおり、高齢者や低額所得者などの住宅確保要配慮者が地域で安心して生活できるよう、国土交通省等と連携し、大家が賃貸住宅を提供しやすい市場環境を整備するとともに、相談から切れ目のない支援体制の構築を図るための改正を行いました。
1ページ飛ばしまして5ページが居住支援の強化に関する改正内容でございます。
主なものとして、左上の生活困窮の相談窓口、いわゆる自立相談支援事業や、重層的支援体制整備事業において、住まいや入居後の生活支援に関する相談支援等を行うことを明確化する。
右上、マル2番、居住支援事業、現行の一時生活支援事業の名称を改称いたしました。この居住支援事業について、地域の実情に応じた必要な支援の実施を努力義務化すること。
3つ目は左下でございます。住居確保給付金の拡充でございます。具体的には、家賃が低廉な住宅等への転居費用を補助するもの。
4番目、右下の改正内容の2つ目の黒ポツですが、無料低額宿泊所の事前届出義務違反の罰則を創設する。また、無届けの疑いがある無料低額宿泊所を発見した場合に、市町村から都道府県への通知の努力義務の規定を創設する。こうした改正を行いました。
また、今国会においては、国土交通省が所管する、いわゆる住宅セーフティネット法等の一部を改正する法律案が提出されています。この法律案では、居住支援協議会の設置を自治体の努力義務とする。居住支援法人等が緩やかな見守り等を行う住宅の仕組みを構築し、この住宅について生活保護の住宅扶助の代理納付を原則化する。そういった改正内容が盛り込まれておりまして、生活困窮者自立支援法等の改正内容と組み合わせることで、福祉部門と住宅部門が連携した包括的な居住支援の強化を図ることとしております。この住宅セーフティネット法等の改正法案の詳細な内容については、参考資料2をつけておりますので、後ほど御参照ください。
あわせて、居住支援に関しまして参考資料4と5をおつけしております。今般、それぞれの自治体で居住支援の強化を図っていくことを見据えて、参考資料5は昨年度の調査研究事業でございますが、この調査研究で整理されたモデル地域の体制なども参考にしていただき、参考資料4は国の補助によるモデル事業でございます。このモデル事業をそれぞれの自治体において積極的に御活用いただければと考えております。
次に、7ページを御覧ください。
改正法の2つ目の柱、子どもの貧困への対応についてでございます。こちらは生活保護法の改正の内容です。
現状と課題でございます。生活保護受給中の子育て世帯に対しては、本人の希望を踏まえた進路選択に向けた環境の改善を図ることが貧困の連鎖を防止する観点から重要である一方、生活保護受給中の子育て世代は、将来の進学に向けた意識などの面で課題を抱えていることや、保護者も周囲の地域との関わりが少ない傾向があり、必要な情報や支援が届きにくい、また支援の場に来ないといった課題があります。また、高卒で安定就労する場合の保護からの自立を後押しするため、新生活の立ち上げ等の支援を行うことが求められております。
これらを踏まえて、今回の改正においては、下の目指す姿の(1)の部分、生活保護受給中の子育て世帯へのアウトリーチ事業を法定化し、世帯の子どもや保護者に対し、訪問等により学習・生活環境の改善に向けた働きかけ、奨学金の活用など、進路選択に関する情報提供を行うこと。また、(2)の部分、生活保護世帯の子どもが高等学校等を卒業後、就職して自立する場合に新生活の立ち上げ費用として一時金を支給するといった改正を行いました。
続いて8ページを御覧ください。
以降は3つ目の柱である支援関係機関の連携強化に関する内容が4枚続きますので、改正内容の部分を中心に説明いたします。
1つ目は、生活困窮者自立支援制度の就労準備支援事業・家計改善支援事業の全国的な実施の推進についてです。
今回の改正では、家計改善支援事業の国庫補助率を2分の1から3分の2に引き上げること。就労準備支援事業または家計改善支援事業を行うに当たっては、自立相談支援事業とこれらの事業を一体的に行う体制を確保し、効果的かつ効率的に行うものとすること。自立相談支援事業を行うに当たっては、アウトリーチ・地域住民の交流拠点との連携などにより、生活困窮者の状況把握に努めるものとすること。国は、就労準備支援事業・家計改善支援事業等の全国実施のための体制整備や支援の質の向上を図るための指針を策定することといたしました。
続いて9ページでございます。
2つ目は、生活困窮者自立支援制度と生活保護制度の連携等についてです。
今回の改正では、制度をまたいだ連続的な支援を可能としていくため、生活保護受給者向けの就労準備支援事業・家計改善支援事業・地域居住支援事業について、自治体の任意事業として法定化した上で、生活困窮者向けの就労準備支援事業等を生活保護受給者が利用できることとし、また、その場合でも保護の実施機関が継続して関与する仕組みといたしました。
続いて10ページを御覧ください。
3つ目は、相談支援の強化についてでありまして、地域の関係機関が連携し、情報を共有しつつ支援を行うために、今回の改正では、まず生活困窮者自立支援制度における支援会議について、その設置等を努力義務とし、また、生活保護制度においては、関係機関との支援の調整や情報共有・体制の検討を行うための会議体を設置できるということといたしました。
最後に11ページを御覧ください。
4つ目は、医療扶助等の適正実施についてです。
医療扶助の適正実施や健康管理支援事業の効果的な実施を推進していくため、都道府県が広域的な観点から市町村に対し取組目標の設定、評価やデータ分析等に係る必要な助言、その他の援助を行うといった仕組みを創設いたしました。
以上が今回の法改正の主な内容でございます。
なお、本改正法の施行日は、基本的には令和7年4月1日としておりますが、生活保護制度における高卒就職者の新生活立ち上げ費用の支給については、施行日を公布日である本年4月24日とした上で、本年1月1日から遡及適用することで、この春に高校を卒業されて就職された方などにも支給することとしております。
また、本日は参考資料1として改正法の条文等を配付しております。会場で御参加の委員のお手元には、参考資料1の代わりとして法案関係資料の冊子をお配りしておりますので、こちらも併せて御参照ください。
続きまして、資料3「生活困窮者自立支援法等の一部を改正する法律案の審議経過等について」の説明をいたします。
まず、資料3の2ページを御覧ください。
本法案の審議経過を簡単に紹介させていただきます。
本法案につきましては、本年の2月9日に閣議決定をされ、国会に提出された後、衆議院で10時間、参議院で約8時間半の審議を経まして、4月17日に参議院本会議で可決・成立し、4月24日に公布・一部施行となりました。
また、右側にありますとおり、衆参それぞれの厚生労働委員会において参考人質疑が行われましたが、本部会からも菊池部会長、奥田委員、佐保委員、生水委員が参考人として招致され、それぞれ大変貴重な御意見、御見解を述べられました。
3ページを御覧ください。
本法案は、衆議院厚生労働委員会において一部修正が行われております。修正の内容といたしましては、新旧対照表にございますとおり、附則の検討規定に「生活困窮者自立支援法第3条第1項に規定する生活困窮者に対する支援等が公正で分かりやすいものであることを確保する観点」といったことが追加されたというものです。これは、この先、支援が必要な方に必要な支援が行き届かないなどという事態が生じないよう、この法律の施行後5年をめどに行われる検討について、公正で分かりやすいものであることを確保する観点も含めて検討を行うことが明記されたものであると承知をしております。
また、本法案については、4ページから8ページにありますとおり、両議院の厚生労働委員会において附帯決議がなされておりますので、お目通しください。
○大場課長 続きまして、保護課でございますけれども、9ページ以降、資料を御説明させていただきたいと思います。
9ページを御覧いただければと思います。
進学・就職準備金給付金の支給についてということで、これは法律の内容でございますけれども、既に公布日施行ということで4月24日から実施をさせていただいている内容ということで御説明させていただきます。
支給の趣旨と記載しておりますけれども、生活保護受給世帯の子どもが、本人の希望を踏まえた選択に基づいて、高校卒業後に安定した職業に就くことによりまして、自立する際に新生活立ち上げ費用として支給するものとさせていただいております。
その下の支給対象者のところでございますけれども、高校卒業後に就職することが確実に見込まれる者と基本的にしておりますが、2つ目の※のところでございます。こうした方々も対象になるということで、高校卒業後に引き続き就職に必要な知識技能の習得を行った上で就職する場合、あるいは中学校卒業後、高校中退後に就職する場合、こうした場合につきましても支給対象とさせていただいているところでございます。
また、支給額でございますけれども、自宅外に転出する場合は30万円、自宅の場合には10万円と設定させていただいております。
施行日につきましては、本年4月24日から既に実施をさせていただいております。
下にポイントと記載しているところでございますけれども、この施行、実施に当たりまして、自治体に対しましてはポイントに記載しているような事項につきまして周知をさせていただいておりまして、例えば1つ目にございますけれども、本年3月に卒業して就職される方に対しても遡及して支給するということなどについて、周知をさせていただいているところでございます。
続きまして、次の10ページを御覧いただきたいと思います。
10ページからは、いわゆる「貧困ビジネス」への対応という資料になっております。今回の改正法の附帯決議で御指摘をいただいているということも踏まえまして、今回、これまでの対応について整理、説明させていただくため御用意させていただいたものでございます。
上の枠の中でございますけれども、1つ目の○のところでございます。生活保護受給者が多く入居している無料低額宿泊所につきましては、平成30年の社会福祉法改正で、事前届出制、最低基準導入等の規制強化を行っておりまして、これまで必要な指導をこれに基づいて行ってきているところでございます。
さらに今回の改正法におきまして、事前届出の実効性確保ということで、無届けの疑いがある施設につきまして、市町村から都道府県への通知の規定を設けさせていただいております。また、届出義務違反の事業者への罰則の規定を整備させていただいておりまして、いずれも令和7年度から施行することとさせていただいております。
次の○です。福祉事務所におきましては、生活保護受給者への定期的な訪問活動を行っていただいておりますけれども、そうした中で、生活実態の把握、居住環境の確認に努めていただいておりまして、無料低額宿泊所に入居する場合以外の住居も含めまして、住環境が著しく劣悪な状況にある、あるいはサービスの利用を強要するなどの不当な行為があるといったような場合で、転居が適当と確認した場合には転居を促すといった必要な支援を行うとしているところでございます。
こうした対応が福祉事務所において適切に行われるように、昨年9月、それから本年4月にも改めて自治体に対しまして通知を行い、周知徹底を図っているところでございます。
枠の下、昨年9月の事務連絡というところでございますが、趣旨のところにございますけれども、記載にありますような報道がある中で、具体的には免許証の預かりなどの強要をするといったような報道もあったところでございます。
こうした中で、矢印の右側でございますけれども、対応内容ということで、保護の実施機関において生活実態の把握に努めていただきまして、サービス利用の強要など不当な行為が認められる場合に、必要な助言や、転居を促すなどの対応を行うこと。それから、無料低額宿泊所に該当する施設を把握した場合には、都道府県等に報告していただく。こういったようなことにつきまして周知徹底を図ったところでございます。
その下の本年4月の事務連絡につきまして、こちらを発出させていただいておりますけれども、さらに具体的には福祉事務所が情報提供した物件でサービス強要が疑われるといったような事例の指摘があったこととか、あるいは保護費をサービス事業者に交付しているといったような事例の指摘があった。こういうことがございまして、改めて福祉事務所等における必要な対応につきまして整理をさせていただきまして、こうした事例の把握についても対応を進めることとしているということでございます。
具体的な対応内容、右側の矢印のところでございますけれども、要保護者に入居可能な個別物件・施設を福祉事務所が情報提供する場合には、その内容を適切に把握していただくこととか、生活扶助費等の支払いは受給世帯に対して行うことといったようなことなどにつきまして周知徹底を図っているところでございます。
続きまして、次の11ページを御覧いただきたいと思います。
「貧困ビジネス」対応の続きでございますけれども、これまでの規制強化の対応等につきまして整理させていただいている資料になっております。
左上の1のところでございますけれども、無料低額宿泊所につきましては、これまで規制強化、記載のような内容になっておりますけれども、社会福祉法の改正や、それから、2つ目の○ですけれども、面積に応じた住宅扶助の減額措置ということで、居室面積が狭い場合につきましては、住宅扶助の基準額を減額するというような対応を行っているところでございます。
さらにその下の2でございますけれども、今回の改正法の中でも先ほど説明しましたような規制の強化を行っているところでございます。
さらに左下の参考というところがございますけれども、無料低額宿泊所の最低基準を定めておりまして、この中で具体的にはマル1、入居者から受領できる費用を限定するといったようなこととか、マル2、入居申込者にサービス内容や費用の説明を行って、利用契約を文書によって締結する。それから、金銭管理につきましては入居者本人が行うことを原則といたしまして、本人の希望に基づいて施設が金銭管理を行う場合は、個別の契約締結等を適正に実施するといったようなことを運営基準に定めているところでございまして、こうしたものを通じて適正な事業運営の確保を図っているところでございまして、引き続きこうした対応を進めていきたいと考えているところでございます。
説明は以上でございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
それでは、ここから意見交換の時間を設けたいと思います。
本日、議題が非常に間口が広く、恐らくほとんどの皆様から御発言いただけるのではないかと思ってございますので、挙手をお願いするというよりは、順番に御意見いただければと思ってございます。何もなければその旨お申しつけくださればと思いますが、4分程度ということでお願いしたく存じます。4分経過の時点でベルを鳴らせていただく扱いにさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず会場参加の皆様、そしてオンライン参加の皆様ということですが、五十音だと朝比奈委員になるのですけれども、いつもその順番では御不満だということであればまた考えるのですけれども、よろしいですか。
では、朝比奈委員からお願いいたします。
○朝比奈委員 ありがとうございます。
多分一番になるだろうと思って、心の準備をしておりました。どうぞよろしくお願いいたします。
御説明ありがとうございました。様々御尽力をいただいたことに敬意を表したいと思いますし、両院で附帯決議に大変重要な項目も盛り込まれたことを拝見いたしまして、心強く思っているところです。
コロナ禍が収束して以降、私どもで運営をしております市川市の窓口では新規相談者の増加傾向が続いております。関係機関を経由しての御相談が8割で、どこにもつなぎ先がない御相談は一旦困窮窓口で受け止めるかたちが定着してきています。
困窮窓口のほうでも、昨年度から、広く広報はしていないのですが夜間・休日窓口に試行的に取り組んでおりまして、その結果つながってきている方々も一定程度いて、窓口の体制によってどれぐらい相談がつながるかが変わってくるのだということを実感しています。ただ、夜間・休日対応を全面的に実施するには体制が追いついていないところで、そこは自治体に検討を働きかけています。
一方、昨年7月から市川市でも重層的支援体制整備事業がスタートいたしまして、私どもの法人で多機関協働等の事業の委託を受け、困窮事業と一体的に運営をしています。困窮事業につながってきている御相談で質的に重い御相談、それから関係をつくっていくのに時間がかかる御相談については、多機関協働等の事業のほうで一緒に動きながらバックアップするというやり方で取り組んでいます。
そんな仕事をしながら、困窮制度が機能しているかどうかが地域共生社会に向けた体制づくりにおいて極めて重要で、肝になると言ってもいいのかもしれないと思っています。各分野で相談支援体制づくりが進んでいますが、例えば分野を超えた研修の機会、事例検討などを実施していますと、まだまだ問題解決型の指向が強くて、いわゆる医学モデル、関わって状況がよくならなければそのまま終わってしまうというような事案も多くて、関わること自体に意味を見出す生活モデルと両輪であるということを体制づくりの中でいかに広げていくかも重要だと思っています。
千葉県は中核地域生活支援センターもあり、県内の困窮のネットワークづくりにも積極的に取り組んできていますので、現役世代の人たちが居所を転々としても、自治体間で横につながりながらフォローアップをしていくという体制も一定程度できているのですけれども、これが県域を越えるとたらい回しにされることがあって、断らずに受け止めるということが全国的にどれぐらいできているのかというところに非常に懸念を感じております。
どこの窓口で受けるかというのはその地域の問題で、その方の問題ではないと思うのですけれども、御本人に問題が戻されてしまうということは、私たち専門職ですらこれだけ気持ちがくじけてしまうのですから、困難を抱えながら絶望している方がいかに多いかということをまさに実感をしているところです。こうした相談の体制の在り方や質の在り方については、本当に根気強く、そもそもの制度創立の経緯も踏まえながらしっかりとやっていかなければならないと思っているところです。
もう一つ、出口づくりについて、就労準備を含めた多様な就労支援の部分と参加支援がいかに連動していくかも非常に重要だと思っています。
残された時間で残り2つなのですけれども、一つが住まいの問題です。今般、大きく住まい支援のシステムがまた一歩進むことができまして、大変期待をしているところですけれども、居住支援の相談が困窮に位置づけられることで、そこに集中してしまうことについて懸念をしています。
住まいの困難者は各分野に普遍的に存在すると思います。高齢分野でも地域包括ケアがあり、障害の分野では「にも包括」があり、ここの中の住まいの視点というのがどういうふうになってしまうのか、そこといかに連動させていくかも非常に重要であるということと、それから、空き家の話に触れられていますけれども、今、私たち、例えばひきこもりの方、空き家にしないための持ち家を維持するための支援というのも非常に重要な要素になってきておりまして、次の段階でもう少し広げた住まいの視点をぜひ盛り込んでいただきたいと思います。
最後が子ども・若者、10代後半以降の親族を頼れない子どもたち・若者たちについてです。ここを誰がどういうふうにやっていくかということがどうしても抜け落ちてしまっている印象がありまして、もちろん困窮で、それから重層で、狭間の問題でやっていくのですけれども、狭間と言うにはあまりにも広く、膨大な方たちが支援につながらずに存在をしていると思います。児童福祉法でアフターケアの年齢制限が撤廃されましたけれども、アフターケアでどこまで追いかけていくのかということもありますし、もっと普遍的な枠組みが準備されるべきではないかと。
一方、この間の取組の中で例えば子どもの学習支援とか、子ども食堂さんとか、新しいアクターが登場してきていて、こうした人たちを地域づくりの観点からいかに様々に取り組んでいただくかということを困窮の側でも働きかけをし、協働していくことが重要ではなないかと思っています。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、池永委員、お願いいたします。
○池永委員 民生委員、全民児連の池永でございます。
慣れない私が聞きながら、こんなに早く発表しなければいけないのかなと思ったりいたしました。
私は、この部会は、先ほどお話がありました令和4年6月から参加させていただいておりまして、法改正の審議とかはどのようにするのかなというのもあまり分からなかったといいますか、今回すごく皆様の御議論とかお話をお伺いしまして、よく分かりました。ありがとうございました。本当に勉強させていただきました。
議論の内容とかはなかなか大局的につかむこともできていませんけれども、一番最初にありました改正の概要、居住支援の強化のための措置があるところでいろいろ審議がなされた後で、先日、新聞の見出しなのですけれども、身寄りなき老後、国が支援制度というのを見まして、こういうふうなものにもつながっていくのかなとか思ったりいたしました。今後、独居、単身高齢者が増えていきますので、私たち地域で見守り、つなぐ役をしております者といたしましては、活動の重要性もすごく感じております。
2の子どもの貧困への対応の措置というところで、就学支援とかいろいろ出ておりまして、よかったと思っております。
それから、ケースワーカーさんがアウトリーチで支援をすると。そこで本人の希望も踏まえて進路の選択をするというのもありまして、本人の希望にかなうようにしていただけるというのはすごくありがたくて、そのようにならないといけないと思っておりますけれども、ケースワーカーさんは世帯数を大変多く持っております。そこをどのようになさるのかなということも思っております。
3の支援の関係、支援関係機関の連携強化、これが私たち民生委員・児童委員の一番の役目だと思っております。先ほどの生活保護と困窮のところで、支援会議とか合議体とか会議体がどのような感じでなされているのか、私には詳しいところが分からないところもありますが、こういうことが市町村で多くできるのであれば、民生委員・児童委員もそれに参加させていただきたいなと思います。
生活保護の家庭の情報は、民生委員にはある程度入ってきておりますけれども、生活困窮者の方はなかなか分からない面があります。そういうところで個人情報の保護法とかいうのがありまして、私たちが情報をつかみにくいこともありますので、こういう会議に入っておれば、自分たちでその情報をつかんで支援ができたらいいなと思いました。
国において、いろいろ制度、法改正もなされましたけれども、それが市町村、各自治体に下りてこないと、法がつくられただけで地域のことは進まないと思いますので、困難を抱えている方々が必要とする支援を受けるためには、市町村でそれをしていただいて、地域の住民にもその内容が理解できるように、活用できるようなことを地域住民に周知もしていただいて、私たちも活動していきたいと思っております。
今、各会そうだと思いますけれども、民生委員・児童委員もなり手不足で、欠員が多くなっております。そのためには活動をしやすくするというか、あまりストレスをためないで活動ができるようになればいいと思っておりますので、その点をよろしくお願いします。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、今村委員、いかがでしょうか。
○今村委員 日本医師会の今村です。
時間が限られているということですので、医療の立場から何点かコメントさせていただきます。
今、朝比奈委員、池永委員からも幾つかのお話がありましたけれども、実は幾つかのほかの委員会にも出させていただいているのですが、最近お願いしていることが、日本全国、今、非常に地域差が大きくなっているということ。これが今まで以上にますますこれからも大きくなると。特に人材が不足する、いない地域がどんどん増えていくでしょうと。
そうしたときに、この理想的に書かれたことが現時点でもとてもこんなことはできないという地域がこれから続出していくだろうと。生活困窮者対策だけではなくて、ほかのところでもそういうことが起こっておりますので、そうした際にどうするかということは一点、本当に真剣に考えておかないといけないということ。
2点目は、今回の中でも一つ、医療扶助等の適正実施という部分が述べられました。実は生活困窮者の方々で医療扶助が必要な方は、そもそも医療にかかるということは自立することが非常に困難であるという方々ばかりですねと。一方的に重複だとか多剤投薬の適正化だけやってもこれは無理ではないかなと。先ほど朝比奈委員からも出ましたけれども、実は生活モデルの部分、社会でこの方々の生活をずっと全て面倒を見ろということではなくても、ちょっと支えてあげるだけで恐らく生活がそれなりにできる。そうすると、結果として医療に頼らないという形が一番理想なのだけれども、生活モデルについてのサポートが弱い結果としてもし医療機関にかかっているとするならば、全ての方がそうではないでしょうけれども、そういう方々を医療からたくさん行き過ぎているから行くなと言うのは果たしてその方にとって幸なのか不幸なのか、そこら辺はぜひお考えいただきながら進めていただきたい。
最後、「貧困ビジネス」の部分が出てきました。最近おやめになる民間サービス事業者さんが増えてきて、その方々から、あとは医療機関のほうでお願いということが増えております。これはもうからないから退場を始めているのか、それとも真面目にやった結果として退場されているのか、当然我々は分かりません。そういったところを含めて、今までもうかっていたけれども、もうからないからもう退場というのは、我々医療の世界からすると非常になじまないというか不誠実に見えるのですけれども、ビジネスの場合は当然だということのようですので、少しそういった部分も含めて、中長期にどうやってこれを続けるかといった視点が一点必要。
それともう一つ、実は福祉事務所さん、行政のほうも様々なことをしないといけないので、どうしても民間業者にある意味丸投げしている実態が多い。そうすると、結局紹介されたところ、もしくはおやめになったところも、実は本を正すと福祉事務所さんから紹介されたところみたいなことが今、増えているような気がします。そういった点も含めて、ぜひお考えいただければというか、対策を立てていただければと。
私のほうからは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、大西委員、お願いします。
○大西委員 ありがとうございます。
まずもって今回の審議会の内容につきましては、大変実のあるものであり、私どもの団体としましても前向きに捉えたいなと思っております。
とりわけ先ほど来出ております資料2の10ページのスライド、支援関係機関の連携強化、先ほど池永委員からもございましたが、これまでも困窮者制度は支援会議がありますが、保護制度の会議体がなかった。できましたら一体的にこの会議を設けていただいて、全国民生委員児童委員連合会さんと同様ですが、ぜひとも救護施設に参画をさせていただきたいと思っております。
次に、能登半島地震の支援の関係ですが、まずもってお悔やみとお見舞いを申し上げます。私の法人の事例で恐縮ですが、厚労省を通じて支援の要請がございました。私の法人から45名ほど、1人5日間クールの形で、支援に入らせていただきました。
主に石川県の1.5次避難所だったのですが、当初、御案内ではほぼ特養化しているというようなことで、特養の職員を中心に派遣したのですが、私も現場に参りますと、1.5次避難所という立ち位置からいくと、介護だけでは済まないという点が大きくクローズアップされました。次の移行先も考えながら対応しなければいけない避難所ではないかという思いを強くしました。そのため、途中から救護施設の職員を主に派遣させていただきました。手前みそですが、やはりそのほうが機能的であったのではないかなという思いを持っております。身体的な介護のみならず、いろいろな相談支援にも幅広く乗れる。また、次の移行についてもある一定の相談ができるのではないかなという思いを強く持ちます。
緊急時にそのように柔軟に対応できる職員を救護施設で抱えておりますので、ここにおられる皆さん方も、ある場面、ステージにおいて何か必要であれば積極的に救護施設を活用していただければなと思っております。それがいわゆる地域共生社会に向けての重層的な支援体制の構築にもつながるかと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたしまして、私の発言としたいと思います。
どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、岡部委員、お願いします。
○岡部委員 審議会・部会で審議を重ねよい報告書が作成されました。法案が衆参両院を通過し、無事、両法案とも一部改正され進んだことは、菊池部会長、新保部会長代理、そして朝川局長はじめ事務局の方々のご尽力が非常に大きかったと思っております。一部会委員としてお礼を申し上げます。
今回、部会での審議、また法改正において、私は基本的に2つのことを念頭に置いて判断しています。1つ目は、相談者・利用者の利益にかなった制度になっているかどうか、またその方向に向かっているかどうか。2つ目に、国民・住民に信頼と安心が得られるような制度の仕組み、内容、方法、体制に進んでいるかどうか、がメルクマールになると考えます。その点で前進したと考えております。
先ほど米田室長、それから大場課長から御説明がありました事項は、部会で審議したものを前進させたものになっています。それをいかに実効あるものにしていくかが、広い意味で行政がこれから運営することになってくると思います。
生活困窮者自立支援制度や生活保護制度の関係で一体的に進められていること、住宅、住まいの支援がきちんと位置づけられたこと、子どもの貧困対策についてははっきりとした形で打ち出されたこと、それから、それ以外の事業についても進められたことが非常に大きいと思っております。
生活保護についても、実施機関と関係機関との会議体を設置、保護施設の個別支援計画の策定、高卒後に就職される方の立ち上げ費用の新設、また両法にまたがってくる「貧困ビジネス」の規制についても、公的な資金を出す以上は適正でなければいけないということで、規制強化しています。それが納税者の負託に応えることだと思います。先ほど医師会の方のお話があって、これはこれでまた別途議論が必要と思っております。
その上で、今後検討していただきたいことを2点挙げさせていただきます。
1つは先ほど前進をしたとお話をしましたが、制度は継続していかなければなりません。そして持続可能性なものにしていくためには組織的な取組みをしていかなければなりません。生活困窮者自立支援制度の中で、今回附帯決議で入れていただきましたが、委託契約において単年度契約で行うことは、事業の継続性、組織性、計画性が極めて難しい側面があります。複数年度という文言を入れていただいたことは非常によかったと思っております。
そういう各種事業、とりわけ生活困窮者自立相談支援機関で総合的な相談を受けるということは、直営はまだ良いのですが、社会福祉法人、またそれ以外の経営体も委託できるという仕組みになっておりますので、社会福祉法人それ以外の経営体も継続的に行うことを検討していただくことを、ぜひお願いをしたいと考えます。
2つ目は、生活保護の実施機関は地方分権一括法を受け、社会福祉法の中で法定数は都市部80世帯、町村部65世帯が標準数に変わり、自治体の中の人事政策により、相当担当世帯数に幅が出てきています。100、200、300を担当するところから、標準数に近い、あるいはそれを下回る担当世帯数で行っている自治体もあります。生活保護は法定受託事務で、一部自治事務が入っておりますが、国民の最低生活保障と自立の助長を行う観点に立てば、法定受託事務を担っている自治体として責務はありますので標準数内にとどめることが必要ではないかと考えます。
またこれと併せて生活困窮者自立支援法の業務と体制は生活保護と一体的に行いますので、これも自治体によって、単年度で極めて契約の内容・水準が低く、設定することがありますので、このところも継続してお願い致します。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、奥田委員、お願いいたします。
○奥田委員 ありがとうございます。
今回の法改正、本当に皆さんありがとうございました。今、居住支援がこれだけ必要だということを法律の上でも確認、前進していただきまして本当によかったと思っています。
とはいえ、住まいの問題は一言で言うとパッチワークなのです。ですから、この法律でカバーできる部分とそれ以外の部分を誰がどこでどう組み合わせるかという話、次のステージに私は非常に注目しているところであります。
居住支援について幾つか、衆議院の参考人のときにも発言させていただきましたけれども、議員の皆さん結構住まいのことで集中的に質問も来ていましたし、附帯決議を見ても、やはり一番に切れ目のない支援が必要だと。ついては、根拠法だけではなくて、例えばセーフティネット法も含めて一体的にということが附帯決議にも入っていますが、やはり私は住まい問題にかかわらず、行く行くは第3条の捉え方、先ほどの医療モデルだけではなくて、社会モデルあるいは生活モデルという観点からも、現に経済的に困窮しというところをどう捉えるかというのは大きなテーマになると思います。ですので、今後、第3条のことについては重層の議論がこの後始まるということも聞いていますので、この辺りも含めてパッチワークの第1弾が始まればいいなと思っています。
居住の2つ目の課題としては、私は地方行政が動くかどうかがもう正直肝だと。生困もそうだったのですけれども、例えば圏域はどうするのかみたいな議論がずっと続いているわけで、特に住まい施策に関しては、地方行政は住宅政策をしてきたのです。これも十分かどうかというのはちょっと置いておいて、ほとんど公営住宅中心だったということなのですが、今、議論しているのは、住宅という箱の問題のみならず、居住政策に移行しているのです。だから、今回の法律も、わざわざ生活困窮者居住支援事業ということで名前を変えたと。住宅政策と居住政策は全然違うものだと私は思っていまして、居住政策の中に住宅政策が含まれていると考えていますので、この辺り、地方自治体をどう動かすか。
そのポイントは2つで、1つは今回、セーフティネット法で人口比9割の部分で居住支援協議会を拡充するということが今、議論されていますけれども、数が増えても効果が出るかは、失礼な言い方になるかもしれませんけれども、正直どうかなと。居住支援協議会が人口比9割カバーしたときに一体何が起こるのかということを、現在の数を伸ばすのではなくて、居住支援協議会自体をどう活用するかを厚労省サイドからも注文をつけていくという体制、姿勢が大事なのではないか。
あるいは、住宅政策の中心となっていた公営住宅を今後、厚労省サイドからどう使うのか。今まで箱中心で公営住宅をつくってきたわけです。しかし、単身化等が進む中で孤独・孤立の問題も大きくなって、公営住宅に支援つき、あるいは今、セーフティネット法で議論されている居住サポート住宅というもののサポートをどう厚労省のほうでバックアップしていくのかという話はこれからですので、このところを注目したいと思っています。
さらに、ソーシャルビジネスの部分です。居住政策というのは民間の住宅を中心に、持ち家あるいは民地を中心にやってきましたので、単なる国の法律上・制度上の問題のみならず、ソーシャルビジネスの部分をどう構築するかが肝になると思います。
4点目が人材です。自立相談で来年度以降いこうという話ですけれども、この人材育成をどうするのかということです。
最後に、参院の附帯決議の19番目に、居住政策が大事だから、これから諸政策の達成についての確認をしていくべきだという附帯決議が出ているのですが、ここのところを本当にどう育てていくのかというのが、3省協働の部分も含めて注目したいと思っています。
ごめんなさい、もう一個だけ。ちょっとステージが変わるのですけれども、「貧困ビジネス」のことについては、今回規制されるのは私は基本賛成をしておりますが、先ほど委員から御発言がありました廃業する人が増えていくと。それはそれで悪いところを廃業してくれたらいいなとはっきり思うのですが、でも、そこには人が住んでいるわけだから、そのところをどこで受け止めるのですかと。そうなると、日常生活支援住居施設の拡充あるいは救護施設の拡充ということをはっきりと平行ラインとして明示しないと、規制だけしても、それは政策と言えるのですかという話は私はずっと疑問に思っていまして、ぜひ日住の特にイニシャルコスト、立ち上げの部分の支援を国のほうでバックアップしてほしいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、五石委員、お願いします。
○五石委員 今回、居住支援、子ども等、非常に充実した内容で、この委員に参加させていただき本当に感謝していますし、このような改正案を作成いただきまして、本当にどうもありがとうございました。
私は、今後の方向、検討すべき事項についてお話を申し上げたいと思います。それは、今後より一層包括的な支援体制を築く方向で議論していくべきではないかということです。
1つ目は、先ほど朝比奈委員、今村委員のほうから生活モデルについてお話が出たのですけれども、生活保護に至った段階で医療を支援しようというのではなくて、生活保護に至る前、生活保護を廃止した後をどう支えていくかというところが御本人にとっては非常に大事だと思いますし、廃止した後もすごく不安を抱えながら生活保護を廃止するということもよく伺っていますので、日頃から生活保護の受給有無にかかわらず、その人を支えていくという体制が必要になってくるのではないかというのをまず一つ思います。
2つ目は、附則の第3条につきまして、事業を分かりやすく公正にという話がありますけれども、非常に充実していくのはすごくいいことだと思うのですが、その一方で、ヤングケアラーとか、孤独・孤立とか、新たな問題が上がるごとに補助事業が新たに付け加えられて、外から見れば非常に分かりにくい、使う方にとっても分かりにくい制度になってきているのではないかと思います。この部会でもあまりこの制度が知られていないということが指摘されましたが、国民にとって分かりやすいシンプルな制度にしていくべきではないかというのが2つ目。
3つ目は、これから人口減少がますます進んでいく中で、社会資源もますます不足していくことになるのではないかと思いますが、事業が複数できればできるほど、地域にとっては社会資源がそれだけ使われることになりますので、そこも社会資源を効率的に使う、利用するという意味でも、この事業の包括化が求められてくるのではないかと思います。
そこで今回の改正案を見ますと、1つ目の印象としては、自立支援のところですけれども、生活保護法第27条の2が非常に充実してきたなと思います。それと生活困窮者自立支援との連携がより一層図られることになってくると、生活困窮者自立支援と生活保護の第27条の2がより一層今後連携して、一体化されていくのだろうと思います。すると生活保護の場合、支援は経済的困窮者に限って行われ、その支援はいわゆるターゲットアプローチになります。生活困窮者自立支援と一体化されるとき、経済的困窮者というターゲットアプローチのままでいいのか。むしろ、ポピュレーションアプローチでより広く障害者、高齢者、子ども・若者、生活困窮を包括した支援体制ができるような体制が必要になってくるのではないかと思います。
もう少しごめんなさい。実は、包括的な支援体制につきましては、日本では1960年代後半から70年代にかけてずっと議論されたことで、1971年には全社協から福祉事務所の将来はいかにあるべきかというテーマで報告書がまとめられ、仲村優一氏が委員長を務めています。厚生省でも1990年に大橋謙策先生が生活支援事業研究会を設けられて、トータルケアということをおっしゃっています。このときには、高齢、障害、子どもを超えた包括的な支援体制をつくるべきだということが言われていました。その後、介護保険制度が成立し、介護保険制度に地域包括支援センターができ、障害の基幹相談支援ができ、子育て世代包括支援センターができ、生活困窮者自立支援ができ、分野別に包括的な支援体制ができてきました。今後、より一層包括的な支援体制を築いていくべきではないかと思います。そうすることによって、先ほど奥田委員がおっしゃった生活困窮者自立支援法第3条の問題が自然に解決されていくのではないかと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
駒村委員、お願いします。
○駒村委員 ありがとうございます。
非常に重要な改革が実行されまして、行政の皆様、大変ありがとうございました。
短期と中期と長期的な視点で簡単に3点の視点からコメントしたいと思います。
短期的な視点としては、子ども向けの給付一時金を遡及していただくということで、大変ありがとうございます。漏れなくやっていただきたいなと思っております。
それから、中期的な視点なのですけれども、直接今日のテーマとは関わらないわけですが、生活保護も関わる部会、あるいは困窮全般に関わる部会なので問題意識だけと思いますが、インフレ局面が定着してきているということで、インフレが社会保障に与える影響がここ30年間ほとんど議論されていなかったことで、かなり久しぶり、今、関わっている皆さんとってみてもインフレ局面の困窮、生活保護の問題、貧困の問題はあまり経験がないのではないかなと思います。研究を遡っても、80年代前半まで少しあるかどうかということであります。
円安がどこまで続くのか、日本の景気と世界の景気の差の問題、財政状況の差の問題、あるいは賃金動向によるわけですけれども、全体的には特に困窮の世帯は賃金上昇のメリットを受けづらいということになると、生計費が上がるということになります。様々な給付がきちんとインデックスがされるのかどうかということや、人手不足によって実施機関の人員がちゃんと確保できるようなことになっていくのか、そういう費用補償も含めて、インフレ局面に入ってきた中で、関連する施策もチェックしていただきたいなと思いました。
長期の課題としては、次のステージというキーワードもありましたけれども、居住支援を皮切りに、高齢者目線の包括的な対応が求められていくのがどんどん要求度が高まってくるのではないか。というのも、人口構成、特に世帯構成が先日社人研からも発表されているわけですけれども、少子高齢化が進むだけではなくて、世帯規模が極めて小さくなると。しかも世帯規模が小さくなるのは、離別とか死別というよりは、未婚の高齢者が急激に増えていくということで、単独世帯の質が大きく変わっていく。こうなると、身寄りがないという方がかなり増えてくることになるわけです。特に未婚の男性はかなり死亡年齢も早い、60代後半から70代前半ぐらいが一番多いのではないかと言われているわけですから、先般発表された孤独死に関わる問題も、これから2040年、50年となってくると急激に増えていく。
そういったところを見込んだ上で、包括的な困窮の部分に特に限定されないで、単独高齢者、未婚高齢者が増えていき、きちんと家族が見守れないという社会がもう目の前まで来ているのだということを視野に入れて、この居住支援を皮切りに考えていくべきことがいろいろあるのではないか。
先ほども個人情報保護の問題もありましたけれども、そういうことの在り方も考えて、骨太な議論も居住支援を皮切りにやっていきたい、やる必要があるのではないか。5年間隔で見直すということなので、2040年前後からこれが深刻になると思いますけれども、一つ一つ確実に考えていく必要があるのではないかなと思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、佐保委員、お願いします。
○佐保委員 ありがとうございます。
この間、この部会の一員として皆さんと部会の中で議論できたこと、それから事務局の御尽力にまず感謝申し上げたいと思います。
今回の改正について、連合は、生活困窮者などが抱える課題が複雑化・多様化している中、その対応力を強化するものとして、おおむね評価をしているところでございます。
一方、今回の改正の柱である居住支援の強化、子どもの貧困への対応、支援関係機関の連携強化などは、現場においてしっかりと取り組まれて初めて効果を発揮するものだと考えております。そのため、今後は各地域において改正の趣旨に合った実効性をいかに確保するか、担保するかが当面の課題だと考えております。
政府として、附帯決議を踏まえ、関係省庁との横の連携、各自治体への働きかけや支援策はもちろん、支援事業の機能強化や質の向上に向けて、実際に現場で支援を担う人材の確保とその処遇改善、さらにはそれらを実現するための財源確保が重要です。
また、任意事業などについては、地方自治体間での取組に差が生じております。全国どこに住んでいても必要な支援が受けられるよう、好事例の横展開や未実施の地方自治体への丁寧な支援などについて、政府からのさらなる積極的な働きかけを求めたいと思います。
加えて、先ほど岡部委員からも言及がありましたが、支援員の安定雇用、処遇改善などに向けて、複数年度契約といったものも有効的であろうかと思います。事業の委託について、契約は自治体の裁量となりますが、技術的助言など自治体への周知をお願いしたいと考えております。
なお、人材確保策、処遇改善を含めて、最終的に全てが施行される令和7年度に向けて今回の改正が実効性のある施策となるよう、予算の充実、財源の確保を含めた対応をお願いしたいと考えます。
次に、居住支援については、今回の改正で相談や見守り支援の強化などが新たに盛り込まれたものの、住宅確保要配慮者に対する恒常的な居住保障の確立に向けては、さらなる取組が必要だと考えております。今回、住宅セーフティネット法等の改正法案に盛り込まれた大家と住宅確保要配慮者双方が安心して利用できる市場環境の整備、居住サポート住宅の創設、地域の居住支援体制の強化などは、住宅確保が困難な人の課題解決に資する取組の充実として期待しております。
一方で、居住支援法人等の取組や居住支援協議会の設置など、促進が中心であり、さらに安定した居住保障の仕組みを推進していく必要があると考えます。
住まいは生活の基盤です。その住宅の確保が困難な人もいる一方で、増える空き家の対策も国の大きな課題となっております。誰もが住居を確保し、安心して暮らせるよう、国による住居費の支援や住宅供給のマッチング推進など、住宅確保要配偶者に対する恒常的な居住保障の仕組みの早期検討をお願いしたいと思っております。
私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、生水委員、お願いします。
○生水委員 ありがとうございます。
生水です。どうぞよろしくお願いいたします。
改正につきまして、御尽力いただき本当にありがとうございました。
私からは、改正の具体的な運用に当たり3点お伝えいたします。
まず、1点目は居住支援の強化についてです。自立相談に、居住に関する相談支援が明文化されましたけれども、自治体が住まいの総合相談窓口を新たに設置するかどうかは任意であると伺いました。改正において居住支援の強化をうたっているのであれば、住まいの総合相談窓口設置に関する運営費、相談支援や関係機関をコーディネートする職員・相談員の人件費、人材育成に関する財政支援を国がしっかり行っていただいて、居住に関する相談支援体制の整備に向けたてこ入れを図っていくことが必要だと思います。また、自立相談支援事業以外の住まいの総合相談窓口が開設された際の連携についても、事務連絡とか自治体マニュアルでも示していくことが必要ではないかと思います。
次に、家賃の低廉な住宅への転居費用の支給についてですが、家賃が高額で転居が必要なのにもかかわらず、収入基準が低過ぎて非該当になる場合が生じるのではないかと思いますので、収入基準額の見直しをぜひお願いします。
また、転居だけでなくて、転居後の継続支援も重要だと思います。今、住まわれている賃貸アパートよりも低廉な物件が市内にない場合は、他市への転居を検討することになりますので、こうした場合の想定も必要だと思います。
生活保護制度において、転居の際に、福祉事務所間同士で移管の手続が行われて、保護が継続するのと同じように、自立支援においても転居後も支援が受けられるように、自治体間同士の支援の移管に関する整備をお願いします。あと、低廉な家賃に転居したくても、保証人、また緊急連絡先がないとか、身寄りのない方の課題もあるので、住まいの相談窓口や居住支援法人が緊急連絡先になることも可能とするなどの仕組みができればと思います。
2点目は、家計改善支援事業についてです。一般社団法人協同総合研究所が令和4年3月に公表されました社会福祉事業の報告書において、上智大学の鏑木先生が、家計改善支援事業は、家計の視点から必要な情報提供や専門的な助言などを行い、継続的な支援を通じて本人自身が家計の管理ができるようになることを目指していく事業である。また、家計改善支援事業とは別に、生活保護の自立支援プログラムにおいて実施されている金銭管理支援事業は、本人の同意の下で公共料金等の支払いや通帳の預かりなどを支援者が代行して行うことを含めた金銭の管理に関する支援を行う事業であり、両事業は趣旨や考え方が全く異なるものであるが、この違いが正しく理解されていない課題がある、と指摘されています。
4月11日に開催された参議院厚生労働委員会で稲葉参考人から御報告のあった事例は、家計改善支援事業ではなく、実態は金銭管理であり、もしそれが家計改善支援事業だと言うのであれば、事業の趣旨に反し間違った考えで運営されているのだと思います。家計改善支援事業とするものの定義をちゃんとしなければ、似て非なるものが家計改善支援の名の下に乱立してしまうのではないかと危惧しています。家計改善支援とは何かを自治体が基本に立ち返って事業を考えることが必要です。正しい理解の下、事業が運用されるよう、改めて家計改善支援は金銭管理ではないことを自治体事務マニュアルに明示することなどが必要ではないかと思います。あわせて、人材育成の研修を強化するなど、全国的な実施を目指して推進いただくようお願いします。
3点目は、自殺対策との連携強化についてです。私の経験から、自立支援相談窓口に来られた中には希死念慮を抱える方が多くおられます。中には実際に自殺未遂に至ったケースもありました。令和5年中の自殺者は2万1837人で、原因・動機別に見ると最も増加したのが経済・生活問題で、前年よりも484件増えて5,181件となっています。だからこそ、困窮と自殺対策の連携はとても重要なのです。けれども、残念ながら現場では連携が進まない状況があるので、根拠と自殺対策の政策的な枠組みの整理を行っていただいて、行政の関係者の連携強化が図れる、そうした仕組みの検討をぜひお願いしたいと思います。
最後になりますが、私の恩師であり仕事の支えでもあった前野洲市長の山仲さんが先月お亡くなりになりました。山仲さんは、「一人をも救えない制度は制度ではない。一人をしっかり支援し、うまくいけば普遍化すればよい。だから、一人の支援が社会のためになる」と訴え続けられまして、困窮支援を強く応援くださいました。山仲さんが思い描かれたように、現場を通じて困っている方のニーズに即した、しなやかで相談者に寄り添った困窮制度であり続けていただくことを心から願っています。
本当にどうもありがとうございました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、高橋委員、いかがでしょうか。
○高橋委員 それでは、私からは3点申し上げたいと思います。
まず、居住支援に関してでございます。今回、法改正で居住に関する相談支援等を明確化いたしまして、入居時から退去時までの一貫した居住支援を強化するとされ、見守りなどの支援の実施を自治体の努力義務とされました。単身高齢者の増加や持ち家比率の低下などによりまして、住まい支援のニーズは今後も高まっていくことが想定をされますけれども、担い手となる民間事業者やシェルター等の地域資源が少なく、事業実施が困難という地域もございます。法改正に当たっては、このような各自治体の実情を御理解いただいた上で、国において御支援をお願いしたいと思います。
次に、子どもの貧困に関してでございます。生活保護受給中の子育て世帯に対する支援といたしまして、今回、訪問などのアウトリーチ型手法により、学習・生活環境の改善、進路選択や奨学金の活用などに関する相談・助言を行うことができるよう、自治体の任意事業として法定化をされました。貧困の連鎖を防止する観点から、相談・助言等の充実、とりわけ学習支援につきましては重要であると感じる一方で、限りある人員の中で、アウトリーチ手法をはじめそれらに携わる人材確保は大きな課題でございます。また、職員の資質向上なども図りながら取り組んでいかなければなりません。そのようなことから、事業運営に当たっては人材確保・育成などについても国において手厚く御支援いただきますよう、何とぞよろしくお願いをしたいと思います。
3点目、支援関係機関の連携強化についてでございます。本部会のこれまでの検討経過におきまして、自治体代表の委員から、事業未実施の自治体の背景や理由などを把握した上で、その意見をよく聴取をしていただきながら、全自治体で事業を実施できるように、支援や環境整備を進めることが必要である旨の意見があったと承知をしておりますけれども、今回これらの意見を踏まえた法改正となりまして、財政面でも国庫補助率の引上げや未実施自治体に対する事業実施支援のための予算強化も図られることとなりまして、大変感謝をいたしております。
最後に、今般の改正内容を踏まえまして、都市自治体としても地域の実情に応じてそれぞれ取り組むことになるわけでございますが、生活困窮者自立支援等については、関係者の理解、協力の下、これまで以上に促進されますことを期待いたしまして、私からの発言とさせていただきます。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、渡辺委員、お願いいたします。
○渡辺委員 まず、改正への御尽力、また子どもの貧困対策について進めていただきましたこと、ありがとうございます。
私のほうから、子ども・若者の貧困について思うことを少しお話しさせていただきます。
まず、生活保護世帯の子どもの高校卒業後の自立支援のための生活資金一時金が出るということは本当によかったと思います。今、聞いてみると、4月、5月の2か月分は給与が出ないという子がほとんどです。新卒で入ると4月1か月分働いたものが5月25日とか15日とかに出るという中で、本当にこれがあるとないとでは何か大きな違いだと思いますので、これがあったことは本当によかったと思います。ぜひ全ての該当の子どもたちに行くようにと思っております。
2点目、生活保護の受給中の子育て世帯のアウトリーチ事業、これも本当に期待をしております。ぜひと思います。思うところは、例えば奨学金の情報だとか進路の情報とあるのですけれども、実は日々進歩、進化、変化をしていて、私たちの団体でも困窮の高校生の支援を大分しておりますが、本当に毎週ぐらいに奨学金がこういうふうに変わりましたとか、大学受験も今、推薦とかもあって非常に時期が早くなっているので注意してくださいだとか、そういう情報を流している中で、本当に多忙なケースワーカーの方たちがこういうことをキャッチアップしていくのはかなり難しいだろうなと思いますので、そこに関しては研修とか、必要な資料の作成とか、日々変わることを考えるとよりどころとなるホームページみたいなもので情報を取っていただくとか、そのようなバックアップが非常に重要だろうと思っております。
学習支援や生活支援事業に関しては、今も高橋委員からもあったように、本当に要請が強かったので、補助金が2分の1から3分の2にアップしなかったということは非常に残念だなと思っております。引き続きやっていけたらなと思っております。
また、こども家庭庁の同様の事業でいきますと、高校3年生の大学受験料の補助みたいなものが始まるのですが、かなり似た事業なのだけれども、こちらの事業を選択するとその分がないということで、自治体がどの事業を選ぶかによって子どもに不利益が生じてしまうということはよくないことだと思いますので、ぜひこれは早急な対応が必要と思っています。
喫緊の子どもたちの状況を少しお伝えしますと、物価高騰で本当に大変な状況でして、食事がまともに取れないということで、栄養不足で身長や体重が増えない子も増えてきていますし、子どもが重貧血とか、本当にそうそういうことになっても必要な栄養を取らせられないような家庭も多いですし、塾をやめる、部活動をやめる、友達との付き合いをやめるとかそういう状況で、保護者は心身ともに病んで、子どもがヤングケアラーになって、生活保護になるという負の循環が続いています。また、給食費をはじめとする学校納付金が納められなくて、呼び出されるのが嫌だから行かないとか、学校で準備してきてくださいと言われたものが用意できないので、そういったことで学校に行かなくなるという不登校も非常に増えております。
私たちが支援している困窮の子育て家庭、全国の方に聞いたところ、約2割が不登校とか不登校傾向になっているということですし、その子たちが何らかの学びを例えばオンラインで学んでいるかとか、どこかフリースクールに行っているかみたいなことを聞くと、本当にそういう方は僅かで、5割は本当に全く何もしていないという状況ですし、さらによくないなと思うのは、8割のお子さんはどこにも出かけていないと。ずっと家にいると。学校にも行かず、外にも向かずということで、無料の居場所を非常に求める声が多いです。
本当にそういう中で月1~2万円とかすごく少ないお金だと思うのですけれども、それがない中で本当にこういうことになってしまうのはもったいないので、前半では新しい給付の仕組みみたいなこともありましたけれども、こういったことが必要ではないかなと強く思っております。お母さんたちからも、コロナのときはそうはいっても給付金があったのであれがすごく助かったのだけれども、物価高騰の局面では何にもないので本当につらいということです。
今、本当に民間のNPOとかが頑張って、フードパントリーとか子ども食堂とか食を支えるようなことをやっていますけれども、ちょっと前まではああいうものはなくてもよかったわけで、要は社会の仕組みが大きく変わっているのだと思うので、その社会の仕組みに合わせて少し給付の在り方なども変えていかないと、本当に子どもたちが大変な状況になるなと思っています。
最後にもう一点言いたいのは、本当に若者の困窮という課題が大きく残っていると思います。いろいろな制度が充実してきて、大学とか専門学校に行けるようになったのだけれども、そこでも困窮が続くという中で、若者の困窮と言うとどうしてもトー横みたいな、すごく家庭も悪くて、本当に犯罪に近いみたいなことを思いがちですけれども、そうではない多くの子どもたちが、バイトができなくて学費が納められないから大学をやめるかどうかみたいなことの苦労をしていて、相談をすればいいのだけれどもどこに相談に行ったらいいのかよく分からないという中で、闇バイトをしてしまうとかそういう転落をしていくようなことがあるので、若者にどう知ってもらうかということがありましたけれども、例えば大学や専門学校に相談の窓口みたいなものをつくって、学費とかに困ったら相談に来なさい、生活に困ったら相談に来なさいだとか、そのようなことをして本当に貧困の連鎖を断ち切るために、ここまで本当に積み上げてきてよくはなっているので、最後の出口をつないでいくためにも緩やかに支えるような仕組みとか若者の最後の支援は重要だなと思っております。
私のほうからは以上です。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、お待たせしました。オンラインの皆様から御発言いただきたいと思いますが、予定の定時の終了時刻ぎりぎりかなという面もございまして、もし早めに御発言を御希望の方がいらっしゃったら、お手をお挙げいただいて合図をしていただけるとありがたいのですが、𠮷田委員でいらっしゃいますね。それでは、どうぞ先に御発言ください。
○𠮷田委員 ありがとうございます。
皆さん、こんにちは。全国町村会の鳥取県八頭町長の𠮷田でございます。
本日は、事務局より御説明いただきました重要な法律の改正につきまして、少し意見を申し上げたいと思います。
本町では、今から10年余り前の平成24年度からであったと思っておりますが、町村では珍しい福祉事務所というものを設置いたしまして、生活保護制度などに取り組んでいるところであります。相対的には被保護者数や困窮の相談件数は県や市に比べますと多くはないわけでございますが、本日は住民の皆様方に身近な町村の立場で意見を述べさせていただけたらと思います。
まず、居住支援の強化の関係であります。本町には困窮世帯の方が傷病によりやむなく休職をされた事案が以前ございました。その方は高額家賃のアパートに入居されておりまして、家賃の支払いが困難で、転居しようにも転居費用が工面できないといったケースにございました。このたびの改正では、住居確保給付金におけます転居費用の支給などの拡充がされておりまして、大きく進展が図られたと考えているところであります。
そして、相談の明確化というお話もございましたが、今後は高齢化が進展する中で、何より生活困窮の方が安心して居住できる施策が一番であると考えておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。
次に、子どもの貧困の関係でございます。それこそ生活困窮世帯や生活保護受給世帯におきましては、子どもたちも将来的に困窮等に陥ってしまうとありましたように、いわゆる負の連鎖が社会問題として顕在化し、その解決が求められているところでもあります。
今回の改正によりまして、相談・助言をはじめ高卒就職者の新生活の立ち上げ費用の支給が創設されており、大変よいことだと思っております。八頭町では現在、生活保護世帯を除きます住民税非課税世帯のお子さんが大学とか専門学校に進学する際に、単独事業で準備金という形で30万円の給付を行っているところであります。自治体が地域の実情に応じて独自に実施しております子どもの貧困対策の取組に対しましても、国からの積極的な支援はお願いできたらとも考えているところであります。
最後に、支援関係機関の連携強化との関係でございますが、生活困窮者や生活保護受給者への支援といたしまして、関係機関との連携、さらには支援会議の設置は重要だと考えております。ただ、今後、ケースワーカーでありますとか社会福祉士などの業務負担の増加が見込まれますので、福祉人材の確保も必要ではないかと考えております。
生活困窮者自立支援制度におけます支援会議につきましては、会議の設置が努力義務とされましたが、自治体によっては既に類似会議体を設置している場合もございます。新たな会議体の設置に当たりましては、内容や趣旨が重複する会議体の活用など、柔軟な対応を可能としていただければと考えております。
今後、生活保護制度、また生活困窮者自立支援制度を検討する中で、地域の実情に応じた取組が必要だと考えておりますので、財源確保をはじめ人的確保の面など、引き続き御配慮いただけたらと考えております。
少し長くなりました。私からは以上であります。ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
勝部委員からお手が挙がっていますので、どうぞ。
○勝部委員 このたびは法律改正に向けて、参考人の皆様方、仲間から発言いただきました。大変魂の籠もっているお話をそれぞれの委員からしていただいて、特に菊池先生のお話は、いろいろ皆がここで話したことを代弁していただけるような、発言をたくさんいただいたことに感謝をしています。事務局の方にも感謝したいと思います。
今回の審議の流れでは、コロナ禍を踏まえまして、そもそも困窮のおそれのある人は一体誰なのだというのがなかなか明確でなかった。社会保障の脆弱なフリーランスの人や自営業、若者、外国人など、これまでなかなか困窮者の相談窓口につながりにくかった人たちの問題が非常にクローズアップされたと思っています。また、この制度があったことでこういう方々を救えたことは、我々はとても意義深かったと思っています。
さて、今回、社会的孤立ということが具体的に3つの施策の中で具体化できたことがとてもよかったと思っています。
1つは子どもの貧困の問題です。社会的孤立とこれまで一般的に言っていましたが、孤立の中で手続が困難な保護者の人たちが相当いるということがクローズアップされて、まだ生活保護の方だけですけれども、生活困窮の人も本当は同じように困っていますので、ここに対してのフォローがあることがより望ましいとは思いますが、生活保護の方々に対して、まずは進学についての応援ができる、伴走型の支援が始まることはとてもよかったなと思っています。
この3月、我々も中学3年生や、あるいは進路が決まらないまま社会に取り残されてきた若者たちを伴走し続けて、願書の書き方、入学資金のお金の工面、写真を撮ること、志望動機の書き方、当日朝起こしに行くこと、一つ一つやらない限りなかなかつながっていかない、合格発表の日、たくさんの若者が桜が咲いたということで、改めてこういう事業の必要性を感じ、彼ら彼女たちが小学校、中学校はほぼ行けなかったけれども、今、定時制高校などに行って勉強することが面白くなったという発表をしていることについて、大変嬉しく心強く思っています。
この支援の在り方が非常に大切ですが、生活保護の運用の中で見張りのような形にならない、見守りの形で伴走していただけるような運用の仕方についても、その対応についてはこれから考えていっていただきたいですし、スキームについても専門性をしっかりと担保していただきたいと思います。
2点目、居住の問題です。我々生活困窮者自立支援法の窓口でも、うちでは1週間に1回は引っ越しをさせている、それほど居住の問題は大きな問題になっています。生活保護の方であれば今までは転居の費用が出ましたが、今までこういうことがなかったために、社会貢献費用や寄附金などをいろいろ駆使して対応してきたものが、生活困窮者の人たちも転居できる体制ができたこと、これはとても大きい成果と思っています。
しかしながら、大屋さんからは死後事務の問題であったり、見守りのことであったり、それから当事者の保証人の問題、大きな壁がまだまだあります。ぜひここについては引き続きしっかりと対応していくことを考えていかなければならないということを改めて思っているところです。
最後です。生活保護と生活困窮が重なり合う、これも随分議論をしました。これまではどっちが対応するのかということで切れていた部分を連携したり、あるいは重層の会議で関係機関と話し合って進めていくという体制が進んだことで、社会的孤立、特に支援者の孤立についてかなり救われる面が多かったのではないかと思っています。ますますこの点については強化していきたいと思います。
最後です。この事業は、人が人を支えるという大きな事業です。新たなセンターをつくるとかというようにまた細切れにして縦割りをつくるというよりは、どこの機関がそのことを充足させていって、利用者にとってどのやり方が一番いいのかということを各自治体でしっかり考えていくこと。さらには、人が人を支えていくことに自信を持って、またプライドを持って働けるような処遇の改善、ここをこれからも支援いただきたいということを思います。
どうもありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、ほかには特にお手は挙がっておりませんので、浦野委員にお願いできればと思います。
○浦野委員 ありがとうございます。
鐘が鳴る前に発言をやめたいと思っておりますが、時間もありませんので簡潔に申し上げたいと思います。
昨年12月までの審議、そしてそれの法案化、国会への上程、可決、この一連のプロセスで委員の皆さん、そして事務局の皆さん、大変御尽力をくださいました。できましたこの法律についても、もう既にその評価については皆さん方が大勢発言をされておりますので、重ねての発言は控えたいと思います。
具体的な話を1点申し上げます。
先ほど来、住まいの問題、単身高齢者の話などが出ておりましたけれども、一方で、空き家が結構あるのだよねという話もこの間ずっと出ておりました。実は空き家のみならず、空き社会福祉施設が結構あるのだということを考えていかなければいけないのではないかと思っております。
養護老人ホームはもともと生活保護法の養老施設を源流としているのですが、近年、いわゆる措置控えが行われていて、福祉事務所が養護老人ホームに生活困窮の老人を措置しない、入所させないということが行われているというようなことが言われておりまして、結構多くの養護老人ホームがそのために空き部屋をたくさん抱えているという状況がございます。
これが本当の意味で養護老人ホームを必要とするような困窮老人がこの世から減ってきたのだというようなことであればいいのですけれども、どうもそうは思えない。かつて国の機関委任事務であった養護老人ホームの入所措置、したがって、国が2分の1の費用を負担し、県が4分の1の費用を負担するという仕組みで行われていたものが自治事務化されて、全額市が負担するというような状況になったことを契機に、一気に入所措置が減っている。こういった既存の社会支援、高いお金、国費を投じて、公費を投じてつくった福祉施設をみすみす空き家のまま放置しているような状況は改善するべきであろうと思っております。
また、もし本当に養護老人ホームという枠組みではなく新しいものが必要だというのであれば、この養護老人ホームの建物・設備・人材をどう活用していくかということも政策的に検討するべきだろうと思っております。これが1点でございます。
2点目、人材育成についてまだまだ不十分ではないかということです。先般、群馬県桐生市の福祉事務所で起きた大変残念な事件がございました。これが特異な事例であればまだしもなのですけれども、本当に特異な一事例にすぎないと言っていいのかどうなのか。本来であれば支援、保護の最前線に立つ福祉事務所の現業職員が、利用者の名前の認め印を何十本も引き出しに入れてハンコをぺたぺた押していたとか、1日に1,000円しか渡さないから毎日福祉事務所に来なさいという指導をしていたとか、非常に情けない話がありました。
これは福祉の専門性以前に人権意識そのものが問われるような事例で、改めて第一線で公務員として働くソーシャルワーカーの皆さん、もちろんこの人たちが社会福祉主事の資格を持っていなかったのではないかという話もあるのですけれども、ここの教育をしっかりやっていただきたいなと思っております。
以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、大江参考人、お願いします。
○大江参考人 ありがとうございます。
生活困窮者自立支援法等の改正に当たりましては、2月7日に全国知事会社会保障常任委員長名で厚生労働大臣宛てに意見書を提出いたしました。また、本部会においても、これまで都道府県として事業を確実に運営するために必要な人員体制や財政面の支援拡充等について意見を申し上げてまいりました。これから実際に制度を運営することとなる自治体の立場から、引き続き検討いただきたい事項を改めて4点申し上げます。
まず1点目は、無届けの無料低額宿泊所に係る実施機関から都道府県への通知についてであります。努力義務化により、都道府県によっては事務負担が増加することが見込まれます。そのため確実に対応できる体制整備が可能となるよう、必要な財政支援の検討をお願いいたします。
2点目ですが、子どもの貧困への対応についてであります。子どもへのいわゆる負の連鎖を解決していくため、生活保護受給世帯に対するアウトリーチ型の子どもの進路選択支援事業の実施は有益だと考えますが、生活困窮者自立支援制度における子どもの学習・生活支援事業と一体的に機能することで、より効果が発揮されるものと考えます。つきましては、子どもの学習・生活支援事業についても、子どもの進路選択支援事業と同等の財政措置の検討をお願いいたします。
3点目は、生活困窮者自立支援制度における就労準備・家計改善支援の実施体制強化についてであります。生活に困窮し、当該事業を必要とする方が、確実に利用できる体制の整備が必要と考えます。自治体によっては財政面が事業実施のネックとなっていることから、さらなる実施体制充実に向けた財政支援の強化について検討をお願いいたします。
最後に4点目でありますが、医療扶助の適正化等における都道府県による市町村支援についてであります。今後、制度を具体化していくに当たっては、その必要性について数値的な裏づけであったり実効性をお示しいただいた上で、改めて都道府県の意見を聴取するなど、効果的な事業実施につながる対策を十分に検討願います。
私からは以上であります。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、竹田委員、お願いします。
○竹田委員 ありがとうございます。
今般、改正に御尽力いただきましてありがとうございます。私も、この委員の一員として議論に参加させていただき、大変勉強になりました。ありがとうございます。
皆さんから出ておりますので、私からは簡単に1点だけ申し上げたいと思います。
先ほど委員の皆様から出ておりますとおり、物価高騰や人口減少、人材不足というのは、この制度改正に向けた議論を始めた頃よりもより体感的に進んできたなというところが実感としてございます。今後また5年後ということになると、人口減少により、この制度を支える人材はさらに少なくなっていくことが予想されますので、そういった中で、いかにそういった人材を確保していくのかが、今後、制度を持続可能にしていくものとして非常に重要なのではないかなと考えております。
特に、今般の賃上げ等によって人材の確保に取り組んでいる企業も多くありますが、この制度の中で賃金を上げていくこと自体がなかなか難しい状況、社会保障費全体に関わっていく問題だろうと思っております。そういった中で人材を確保できないことによって、支援待ちとか支援が受けられないというような状況をつくっていかないためにも、今からきちんとしっかりとした人材を確保していく取組をこの制度に限らず進めていく必要があるのかなと考えております。
現在、私の周りの医療機関でも求人募集しても人が集まらないとか、介護施設等々含めてなかなか求人募集しても人が集まらない、欠員とか、サービスが提供できないということも徐々に広がってきているような状況もありますし、先ほど委員の中でも出ていましたが、地域格差がかなり広がってきています。北海道の中でも都市部と地方の格差もかなり広がってきているように実感するようになってきましたので、そういったところも含めて検討していく必要があるだろうと考えております。
私からは以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、堀委員、どうぞ。
○堀委員 ありがとうございます。
まず初めに、今般の法案成立に当たりまして、菊池部会長、新保部会長代理をはじめ、参考人として御活躍された奥田委員、佐保委員、生水委員、そして事務局の皆様の御尽力に敬意を表したいと思います
特に私としましては、高卒就職者に対する就職準備金が創設された点については大変ありがたく思っております。
その上で、今後御検討いただきたいこととしまして、既に委員の皆様から御指摘があったことなのですけれども、若者に対する目線の重要性です。子どもと大人との間にあるということで、制度のはざまに置かれがちだと思うのですけれども、人生のキャリアの初期をどのようにスタートできるかということは、貧困の連鎖を断ち切れるかどうかが決まってくる重要なスタートだと思っております。これまでなかなかこうした制度の利用に至らなかった若者につきましても、ぜひ御検討いただけると大変ありがたく存じます。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
それでは、お待たせいたしました。宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 ありがとうございます。
既に委員の皆さんがおっしゃっていたとおり、この部会での議論をしっかり反映させる形で法改正が実現した。これはかなり希有なことだと思うのですけれども、こうした改正を実現した事務局、あるいは部会長はじめ皆さんの御尽力に感謝したいと思います。
もう私、最後ということで、皆さんお疲れだと思いますし、簡単に済まそうと思っていたのですけれども、皆さんの議論を聞いているうちに手元のメモもだんだん盛りだくさんになってしまいまして、鐘プラス1分30秒くらいのところで終わらせたいと思っております。
今回の法改正が浮き彫りにしたのは、この部会の長期的な大きな課題なのではないかなと思います。そのことが一つと、もう一つはもっと早急に対応されなければいけないリアルな問題について、2点お話をしたいと思います。
まず、この部会の長期課題という点では、今回の法改正はこの部会が扱うべき問題の幅の広さ、あるいは生活困窮という言葉の深さのようなものを浮き彫りにしたのかなと思います。一方では、生困と生保の一体化が進められて、子どもの貧困対策とか支援会議の設置等を通して連携を強めていく、これはこれまでの生活困窮者自立支援制度のイメージに沿っているのかもしれません。
しかし、他方で居住支援という分野では、国交省の新たなセーフティネット制度との連携が強まっていって、経済的困窮そのものよりも身寄りがないという困難あるいは孤立に対処していくという方向での展開になって、奥田委員がおっしゃっていたけれども、現に経済的に困窮しという文言との関係が微妙になってくる可能性もありますし、五石委員もおっしゃっていましたけれども、ターゲットというよりもポピュレーションアプローチの方向に行っている。一見、生保のほうに行っているのか、普遍主義的な方向に行っているのか、どっちか分からないような展開になっているのだけれども、ここがまさに本質なのだろうなと思います。ある意味で経済的困窮と孤立という生困の制度にあらかじめあった2つの顔が両方ともはっきり見えるようになってきたということだと思います。
さらに言うならば、今後は自らの権利についての判断能力のない方々、成年後見人制度などの対象になっていた人たちの支援という問題も引き受けていくことになる。そう考えていくと、実はこの部会の課題は非常に重要である。というのは、日本を含めて近代の社会は、ほとんどの人がある程度の所得がある、収入がある、身寄りがある、あるいは自らの権利についての判断能力があるということを想定してつくられたのです。ところが、そうであるからこそお金、収入がほとんどないという人は生活保護、身寄りがない人は例えば施設、判断能力がない人は成年後見制度で被後見人になるというような形で線が引かれてきたわけです。
ただ、所得が著しく低いとか、身寄りがないとか、判断能力を欠くというのが、ある意味ではどこでも当たり前のように広がっている現状の中では、そうした人たちを線を引いて囲い込んでしまうのではなくて、いかに地域とつながり活動できるかという条件をつくっていくこと、これが枢要な課題になってきた。ある意味では、生活困窮者自立支援部会というよりも、生活支援部会あるいは社会的包摂部会というような中身がこの部会の課題として浮上してきているわけです。
そのような方向に足を踏み出していかざるを得ないというところが見えてきているさなかに2番目の問題、早急に対応するべきリアルな問題になりますけれども、このようにますます包括的でスキルフルな対処を求められる課題を担っている自治体の現場では、特に直営の場合、相談支援の多くの業務がいわゆる会計年度任用職員によって担われているということで、もちろん賃上げが4月に遡及されないとか、退職金等の支払いがかなりハードルが高いとかいう問題もありますけれども、それ以上に毎年の契約更新、特に3年の節目で公募をしなければいけない。現場でこうした立場の人たちが庁内を縦横に駆け巡って諸部局をつないでいくことができるのだろうかということです。ある意味で、経験を積んで一言言えるようになってくると、一部の話だとは思いますけれども、上司に煙たがられるというようなことも聞いたりします。
そうした中で、この部会として自治体の責に帰するわけにはいかないと思うのです。国も期間業務職員みたいな形でモデルを示していたりするわけでありますので、しっかり自治体の事情を踏まえつつ、この人たちが活躍できる条件をどうつくっていくのか。つまり、ますます包括的になっていく、そしてスキルを求めるようになっていくこの分野の課題と、それを現場で担っていく立場でスキルが集積しづらい構造と、このジレンマ、矛盾にどう対応していくのかということ、これがますます大事になってくるのかなと皆さんの議論を聞きつつ思いました。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
それでは、新保部会長代理からお願いいたします。
○新保部会長代理 法改正に向けた御尽力と、本日この部会を開催していただきましたことに心より御礼申し上げます。
部会の議論における課題については、法改正による具体的な措置を講じていただきますとともに、特に子どもの貧困への対応についての措置については、公布日ないし令和6年1月1日から遡及適用するなどの迅速な対応をされ、このことは高く評価されるべきと思います。
部会が終わった後に保護課のほうで生活保護世帯の子ども向けの将来を考える「〇カツ!(まるかつ!)」というとても親しみやすいパンフレットを厚労省のホームページに掲載してくださっています。同じものを自治体が掲載しているという例も大分見られるようになりました。先ほど渡辺委員からもありましたけれども、こうした取組を今後一層充実していただくことを願うところです。
私からは、今後、両制度における自立支援がよりよく進んでいくことを願って、2つほどお伝えしたいと思います。
第1は、両制度が今後連携強化を進めるに当たり、両制度で実施する家計改善支援事業・就労準備支援事業などの本来の在り方を、支援を担う支援員のみならず、自治体の制度担当者、ケースワーカー、査察指導員、課長など、全ての担当者が事業の理解ができるように周知徹底していただくとともに、既に取組を進めていただいているように、今後の研修等を一体的に進めていただきたいということです。
衆参両院の附帯決議においても、両事業の質の改善ということがうたわれております。特に家計改善支援事業は、先ほど生水委員からもありましたように、家計を入り口に本人に寄り添う支援をするものであり、家計管理、金銭管理とは全く異なるものですので、やはりこうしたことをきちんとみんなの共通理解にしていくことが重要と思います。
第2は、生活保護における自立と自立支援、就労と就労支援の考え方や在り方を、現在実務を担っている自治体の本庁職員、福祉事務所の生活保護担当職員、支援を担う人たちが共通理解を持てるように指針を示し、通知やマニュアルの整備をお願いしたいということです。
現在、生活保護における自立の考え方は、経済的自立、日常生活自立、社会生活自立の3つであることが部会でも説明されました。平成17年度に自立支援プログラムが始められた当初は、経済的自立は就労自立とされていました。間もなく就労自立は経済的自立と表現されるようになり経済的自立支援には、就労だけでなく年金受給ができるようにする支援なども含まれるようになっています。
しかしながら、現在、生活保護担当職員が日常用いている生活保護手帳においてこれらの定義を調べようとしますと、平成17年度における自立支援プログラムの基本方針の通知が根拠となり、当初の通知は就労自立で説明されていますので、現状と異なっているのではないかと思います。
その後、平成22年度に厚労省で行われた「生活保護受給者の社会的居場所づくりと新しい公共に関する研究会」では、経済的自立、日常生活自立、社会生活自立の3つの自立は並列であるとともに相互に関連する、企業就労など有給労働に就くことだけを目標とするのではなく、就業体験、技能習得、ボランティア等を通じた社会参加にも意義があると整理をされ、平成31年度には、「生活保護受給者に対する就労支援のあり方に関する研究会報告書」で、生活保護受給者による就労支援についても、一般就労だけでなく様々な働き方を通じて生活を豊かにするための就労支援の充実を図るという見直しの方向性が示されています。しかしながら、現状は、「就労」支援が「就職」支援のように狭く捉えられていたり、就労支援と就労指導の区分が明確になっていないなどの課題が生じていると思います。これらの生活保護における自立支援、就労支援の考え方は、生活困窮者自立支援制度に引き継がれて、生活困窮者自立支援制度の人材養成のための国における研修テキストにおいて明示されています。
一方で、生活保護の領域の自立支援プログラムが始まってから約20年たって、生活保護のほうで検討されてきた自立支援、就労支援の考え方が、気づくと生活保護の領域で必ずしも共通認識が持てていない現状になっているのはとても残念なことだと思っております。指針や通知の整備、マニュアルの整備については、今後、両制度が一体的に連携して、よりよい形で支援を進めていくためにもぜひお願いしたいと思います。
以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
これで一当たり皆様から御意見をいただくことができました。ありがとうございます。
予定の時刻を若干過ぎてございますが、ここは言い残したのでぜひという方がおられたら合図していただければと思うのですが、いかがでしょうか。
会場からはよろしいですか。
オンラインからはよろしいですか。
ありがとうございます。
本日も、非常に活発な御議論をいただきまして、ありがとうございました。
早くもと申しますか、今後に向けた様々な課題を御提示いただくことができたかなと思ってございます。本当にいろいろあるなと思いましたけれども、例えば子どものところは進んできている部分はあるけれども、若者支援は今後どこでどういう形で進めていくのかという点が、複数の委員の皆様から御提示があったかと思いました。
あとは多くの皆様から、住まい支援については次のステップをどうするかが課題である。あるいは、いわゆる身寄り問題はこれから取り組んでいかなければいけないといったお話もございました。
この2つは全世代型社会保障構築会議の改革工程にも入っているテーマでありまして、今年度対応か、その後、2028年までの対応かという部分はありますけれども、いずれにしてもこの辺りは政府として取り組んでいかなければいけない課題であろうと思います。さらに今年度の対応としては、いわゆる重層事業の見直しもメニューに挙がっていますので、その辺りは取り組んでいかなければいけないのだろうと思います。
ただ、その際のアプローチとして、五石委員からは生活保護法第27条の2と生困の一体化というか重なりというようなお話がございまして、今回改正はそこのところでかなり進んだと思いますが、一方では、ポピュレーションアプローチというお話もございました。宮本委員からも、普遍主義的な対応という方向性もあり得るというお話がございまして、法学的に言うと一般法と特別法という区分けがございますけれども、生活困窮者自立支援法は制定当初からの議論として、いわゆる相談支援の一般法的な位置づけも考えられてきたところで、ただ、種々の理由から経済的困窮という枠がはめられた。これは奥田委員がいつも言われるところ、先ほども御発言いただいたところですが、そこをどう考えるか。昨年からの議論でも、相談支援の一般法的な在り方も、宮本委員の言われるところの普遍主義的な位置づけもあり得る、そこを念頭に置きながら今後の幾つかの大きな課題に取り組む、最初からそこを排除しないことが必要ではないかと私も思った次第です。
あとは今村委員から、地域格差の深刻化をどう捉えるかというお話がありました。それから、五石委員からも、かなりきめ細かく今後のニーズに対応する。そうすると様々な事業がどんどん増えていく。しかし、それを動かすリソースが限られているというか、どんどん減っていく中でどうしていくのか。包括化が課題だというお話をされましたけれども、そういった意味での包括的支援体制整備をどうするのか。介護職員が足りないという文脈で割と今、取り上げられますけれども、それだけではない。社会保障制度全体としてどのように包括的な支援体制を取っていくかが大きな課題で、そこをしっかり意識していかなければいけないのだなということも学ばせていただきました。どうもありがとうございます。
様々御意見をいただいて、少しこの部会はお休みに入る、必要に応じてということになるのかなと思いますので、事務局から今日の御発言を受け止めてということもあるのですが、せっかく今日、最初から最後まで朝川局長にも御参加いただき、大変な量のメモを取っておられますので、一言局長からお言葉をいただけるとありがたいと思ってございますが、いかがでしょうか。
○朝川局長 ありがとうございます。
4点ほど申し上げたいと思います。
通常、このような部会・審議会は、制度改正に向けて議論を行うのが中心でございますので、法律改正が終わるとそれで終わるというのが通常でございますが、委員の皆様方の熱い御提言もいただいて、今日、法律が通った後、開かせていただくということをやらせていただいて、とてもよかったと思いましたというのが1つでございます。
2つ目は、今日たくさん御意見をいただいて、いずれも貴重な御意見であったと思います。この部会はすごく特色がある部会だと思いますのは、社会が変化してきている中で、まだ潜在化しているような課題、何となくもやもやとして捉えにくい課題をいろいろな視点から言語化していただけている。そういう意味で、とても刺激的で示唆に富む御意見を今日もたくさんいただけたと思いました。
3つ目でございますけれども、今回の法律改正は、法律を改正すること自身も重要ではあるのですが、法律で改正したものの性格上、住まい支援をはじめとして、実施に移していくところが極めて重要でございます。住まい支援、法律に書いたこと自体は、実は条文上はそんなに大きい改正が行われているわけではなくて、むしろ実施に向けて自治体にどういうふうに運用していただくか、今日説明はしませんでしたけれども参考資料5にありますように、今後、モデル事業をやって、本格施行に向けてどのように自治体に住まい支援に取り組んでいただくか、そこを具体的にしていくことが重要だと思っていますので、そこをしっかりやっていきたいと思っているというのが3点目。
最後、4点目は、今日の御意見の中でも、数多く身寄りのない世帯が増えてきて、そこへの対応が必要だとか、それ以外にも次につながるような課題を明確にしていただいたと思っています。
この部会を今後どう運営していくかというのもありますけれども、いずれにしても私ども社会・援護局としては、今挙げていただいたような次に向けた政策課題にしっかり取り組んでいく必要があると思っていますので、いろいろな形でまた引き続き皆様の御指導を仰ぎながら政策を展開していきたいと思いますので、よろしくお願いします。
どうもありがとうございます。
○菊池部会長 どうもありがとうございました。
大きな課題とともに、今後の運営あるいは実務面における様々な改善に向けた御提案などもいただいていますので、それは個別に改善します、あるいはしましたという部分があれば委員の皆様にお返しいただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
それでは、時間も過ぎてございますので、本日はこの辺とさせていただきたいと思います。
最後に、今後の予定につきまして、事務局から御連絡をお願いいたします。
○河合室長 本日もありがとうございました。
本部会につきましては、今後の開催予定といたしましては現在のところございません。開催の必要が生じましたら改めて御案内をさせていただければと思っておりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
以上です。
○菊池部会長 それでは、本日の議事は全て終了いたしました。
皆様、議事進行に御協力いただきまして、どうもありがとうございました。