2024年3月12日 第27回医療用から要指導・一般用医薬品への転用に関する評価検討会議

日時

令和6年3月12日(火)17:00~19:00

場所

オンライン会議
TKPガーデンシティPREMIUM東京駅丸の内中央(オンライン会議場)
カンファレンスルーム12J(12階)
東京都千代田区丸の内1-9-1 丸の内中央ビル
 

出席者

出席構成員



出席参考人
 

議題

パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策について
候補成分のスイッチOTC化について
その他
 

議事

○事務局
 定刻より少し遅れての開始となり申し訳ございません。ただいまから、「第27回 医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を開催いたします。
 本日は、五十嵐構成員、近藤構成員、矢口構成員から御欠席との御連絡をいただいております。また、上村構成員、高野構成員、松野構成員、間藤構成員から遅れて出席されるとの御連絡をいただいております。現在のところ14名の構成員に御出席いただいております。
 本日は、議題2の候補成分のスイッチOTC化の議論をするに当たりまして、関係する学会の参考人の先生に御出席いただいておりますので、御紹介いたします。日本消化器病学会より小早川雅男先生に御出席いただいております。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 
○小早川参考人
 どうぞよろしくお願いします。
 
○事務局
 また、ウェブ会議を開始するに当たりまして、注意事項を御説明いたします。発言される際は、画面のマイクのボタンを押してミュートを解除した上でお名前をおっしゃっていただき、座長に指名された後に御発言いただきますようお願いいたします。また、発言されないときはマイクをミュートにしておいてください。
 会議中に接続トラブル等が発生しましたら、事前にお送りしましたウェブ会議のマニュアルに記載されております連絡先に御連絡をお願いいたします。それでは、笠貫座長、以降の議事進行をお願いいたします。
 
○笠貫座長
 笠貫です。それでは、本日の配付資料の確認を事務局からお願いいたします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料につきましては、ペーパーレス化を実施しておりまして、会議場での参加者におかれましては、お手元のタブレット端末で資料を御確認ください。タブレット端末は、会議資料の議事次第を画面に表示した状態で配付しております。他の資料を画面に表示するには、画面左上の「ファイル」を指で一回軽くタップをした上で御覧ください。
 本日の資料といたしましては、ファイルに表示されている上から順に、会議資料、参考資料となります。会議資料につきましては、資料を1つのPDFとしておりまして、議事次第、配付資料一覧、パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策に関する資料といたしまして資料1-1から資料3-2、候補成分のスイッチOTC化に関する資料として資料4から資料6となります。参考資料は、参考資料1から7となります。タブレットには、各個別の会議資料及び参考資料を個別資料のフォルダーに保存しておりますので、適宜御活用くださいますようお願い申し上げます。本日の資料の説明は以上となります。御不明な点がございましたら事務局までお申しつけください。事務局からは以上となります。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。本日の議題に入りたいと思います。まず「パブリックコメントを踏まえたスイッチOTC化の課題点とその対応策について」です。デプロドンプロピオン酸エステルの軟膏、クリーム及びローションについて、事務局から説明をお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料1-1及び資料1-2を用いまして、デプロドンプロピオン酸エステル(軟膏、クリーム、ローション)について御説明申し上げます。デプロドンプロピオン酸エステル(軟膏、クリーム、ローション)につきましては、前回12月の検討会議におきまして一度御検討いただいたものでございます。その後、パブリックコメントを実施いたしまして、パブリックコメントでいただいたコメントを、こちらの資料1-1の中に入れ込んでおります。
 まず、資料1-2のパブリックコメントで寄せられた御意見について御説明を申し上げます。デプロドンプロピオン酸エステルの軟膏、クリーム、ローションに関しましては、4件の御意見が提出されてございます。簡単に内容を御説明申し上げます。
 まず、No.1の御意見でございます。「ストロングクラスのステロイド外用剤であり、決して力価が低いわけではない」という評価検討会議での御意見に対しまして、「既にStrongクラスの薬剤が発売されているので、これを薬剤特性に挙げる意義はない」という御意見でございます。また「軟膏とクリームはある程度同様に考えてよいが、ローションは全く別と考えるべき」。「顔面塗布後に顔面をこすることにより、外傷性の白内障や網膜剥離が起きる可能性がある」という評価検討会議での御意見に対しまして、「“軟膏とクリーム、それから、ローションとは全く違うのだという概念”が記述されたガイドライン、文献、教科書等は見当たらない」。また、以下に示している文献にございますように、「顔面や眼の周囲への刺激が原因で網膜剥離・白内障を起こすことはあるよう」という御意見をいただいております。また、まれではあるが重篤な合併症を回避するため、販売時にそういったことを説明させることを盛り込んではどうかという御意見もいただいております。その下に参りまして、「医療用医薬品の適応には、あせも、単なるかゆみ、じんましんは含まれない」。「あせも、単なるかゆみ、じんましんに対しては、内服や他の外用を使用すべきであり、効能・効果から削除すべき」という検討会議での御意見に対しまして、一般人向けOTCの似たような薬で適用が異なるのは混乱を招くのではないか。既に発売されている同ランクのステロイド外用剤、次のページにございますようにフルコートFとかリンデロンVsにございますように、こういったステロイド外用剤と統一すべきではないかという御意見を頂戴しております。また、その下に参りまして「ステロイド外用剤の不適切使用による症状の悪化や漫然と使用し続けることによる副作用が危惧される」という評価検討会議での御意見に対しまして、「長期連用による医原性が問題となる病態である。長期連用がまずないOTCにこのような注意喚起をするようなら、医療用のほうで注意喚起をすべきではないか」という御意見をいただいております。
 続きまして、No.2の御意見でございます。意見1でございます。「『軟膏とクリームはある程度同様に考えてよいが、ローションは全く別と考えるべき。』との課題については、既に承認され販売されているStrongクラスのステロイド剤のOTCにおいて、使用上の注意、効能・効果、用法・用量は同一であることから、全く別のものと考える必要はないと考える」という御意見。その下に参りまして、意見2でございますが「『あせも、単なるかゆみ、じんましんに対しては、内服や他の外用を使用すべきであり、効能・効果から削除すべき。(短期的課題)』との意見については、OTC化されているStrongクラスのステロイド剤の効能・効果には『あせも、かゆみ、じんましん』が含まれており、同種同効薬では効能・効果は揃えるべきであると考える」。また、「『あせも』は医療用の効能の『湿疹・皮膚炎群』、『じんましん』は医療用の効能の『痒疹群』の読み替えと考えられ、Strongクラスの既承認OTC医薬品のステロイドにおける効能・効果としても設定されている。また、『かゆみ(皮膚そう痒症)』は、副腎皮質ホルモンを主体としたOTC医薬品の効能又は効果は、鎮痒消炎薬製造販売承認基準において『あせも、かゆみ、じんましん』とされていることから、混乱を来たさないためにも同種同効薬では効能・効果を揃えるべきと考える」という御意見でございます。意見3でございます。「『5~6日間使用しても症状がよくならない場合に受診を行うように強く注意喚起する。(短期的課題)』との意見については、既承認のStrongクラスのOTCステロイド剤においても同様の注意喚起がなされており、記載は揃えるべきである」という御意見。意見4に参りまして「『顔や首などの薬剤吸収率の高い部位では、ステロイドの局所的副作用(皮膚萎縮、毛細血管拡張など)が起きやすい。』との課題に『これらの部位での使用は出来るだけ短期間に留めるべき(短期的課題)』との意見については、顔面への使用、使用期間については既承認のStrongクラスのOTCステロイド剤においても既に同様の注意喚起がされており、記載を揃えるべきである」という御意見を頂戴しております。
 続きまして、No.3の御意見でございます。「ストロングクラスのステロイド外用剤における選択肢が広がり、薬剤師によるセルフメディケーション支援の範囲が広がることは評価に値する」「副作用の発現頻度も高まることから、安心安全な使用のために要指導医薬品に留めおくことが肝要である」「漫然とした長期使用、広範囲使用等の乱用防止には、更なる注意が必要とされる」という御意見でございます。
 No.4の御意見でございます。「添付文書及びインタビューフォーム等の公表されている情報によると安全性に問題のある製品ではないと考えられるためスイッチOTC化について問題ないと考える」という御意見をいただいております。
 これらのパブリックコメントで寄せられた御意見の中で、資料1-1に幾つか反映をさせておりますので、御紹介いたします。資料1-1の真ん中辺りでございますが、「軟膏とクリームはある程度同様に考えてよいが、ローションは全く別と考えるべき」というものに対して、いただきましたNo.2の御意見の意見1の部分を追記させていただいております。また、その下に参りまして、適応について1点追記させていただいておりまして、これは、いただいた御意見、No.2の意見2について追記をさせていただいております。事務局からは以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、スイッチOTC化の問題点とその対応策について、個別の御意見があればお伺いしたいと思います。堀委員、お願いします。
 
○堀構成員
 座長、ありがとうございます。私からは、今、資料1-1で書いてありました、パブリックコメントからの御意見について言及させていただきます。「軟膏とクリームはある程度同様に考えてよいが、ローションは全く別と考えるべき」という記載に関して、前回、私が提言させていただいたのと若干ニュアンスが異なるのではないかと思いましたので、その部分に関して補足説明をさせていただきます。私が前回申し上げましたのは、医療関係者、また、添付文書を御覧になった方々は、確かにこの軟膏、クリーム、ローションが使用上の注意、効能・効果、用法・用量が同一であるということをお分かりになるかと思います。しかし一般の消費者がOTCという形でこれを使う場合、やはりその使用部位や、また、季節によっても、この軟膏やクリーム、ローションのそれぞれの使い分けがよく分からないのではないか。それで、結局、その使い分けという部分、つまり、具体的な使い方において、軟膏とクリームとローションは異なるのではないかというような提言をさせていただきました。しかし、今ここに記載の「ローションは全く別と考えるべき」という文章だけの説明ですと、一般の方々がこれを読んだときに、どのような意味なのかということがちょっと分からないと思われる方もいらっしゃるとおもいます。ですから、それに対しまして、パブリックコメントでは、使用上の注意、効能・効果、用法・用量は同一であるから、ローションは全く別物ではないという意見が出たのではないかと思いました。ですので、もし、できるようでありましたらば、実際に、もしOTC化になった場合には、より具体的に消費者が分かりやすいような使い分けの消費者向けの資材とか、または薬局薬剤師の方からの提言があるといいかと思われます。私からは以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。岩月委員、お願いします。
 
○岩月構成員
 今、堀委員からの御指摘でありますけれども、基本的には要指導医薬品でありますので、剤型の選択を受容者に任せるという状況は多分考えにくいのだろうと思うのです。これは、いつも申し上げていますけれども、医療用医薬品では、剤型の指示も医師がされるのでありますけれども、その剤型がどういった患者さんに、それが対象になっているのかという説明はもちろん薬剤師のほうにしますので、特に今御指摘された、剤型の選択を消費者に委ねるという状況はありませんし、説明もいろいろと同様にさせていただくということになるはずですので、そこはあまり懸念を感じていないというのが、販売する現場の薬剤師の意見でございます。
 
○笠貫座長
 ほかには御意見はございませんか。宗林委員、どうぞ。
 
○宗林構成員
 今と少し似ているような部分がありましたので、全くここには書かれていないのですが、ステロイド剤がOTC化されることによって、ベリーストロングとかストロングというような、強さの目安が、学会で分類されているものがあると思います。それで、お医者様でもらった薬と、それから、OTCで買うもの、また、OTCでも何種類か買えるものが出てきました場合には、パッケージに、その強さがどのぐらいであるかを容易に分かる方法をOTC化するときは考えていただきたいと思います。パッケージであったり、そういったところに、これからOTCとして包材をつくるときには、どのぐらいの強さであるかということが、自宅でも分かるような形ということがとても大切ではないかと思います。よろしくお願いします。
 
○笠貫座長
 デジタル化社会の中で、そういった情報が容易に消費者に見えるような形にすることも考えられます。佐藤委員、お願いします。
 
○佐藤構成員
 ありがとうございます。産経新聞、佐藤です。今の宗林委員の意見に賛成です。ステロイド剤について、ベリーストロング、ストロング、ミディアムなどの表記をしていただきたい旨を1月の意見書でも触れて提出させていただきました。効能・効果に、これも入れよう、あれも入れよう、削除しないで今あるものは入れていこうとなるのですけれども、同じ効能・効果の薬剤を示された場合、利用者は、その薬の違いを見いだせません。同じ効能・効果が書いてあれば同じ薬だと思うので、そこに強い・弱いということが情報として提供されない状態では、なかなか選ぶことが難しいです。また、情報が提供されない状態で、「漫然と使われる」とか「乱用が心配だ」とか言われても困るというところがあります。ぜひ、ストロング、ベリーストロング、ミディアムであるとかの用語は、今かなり一般的に使われていますので、OTC医薬品の箱に分かりやすく識別して書いていただけるようにお願いしたいと思います。医療用医薬品については、先生方が現場で個々の状態を見て考えることだと思いますので、なかなか同様にはいかないということもあるのかもしれませんけれども、一般用医薬品については、基本的に患者が手元で使うものですので表記を検討してもらいたいと思います。あえて言えば、医療用医薬品についても、軟膏は自宅に持って帰って使うものなので、薬の強い弱いが分かるようにしていただくことが望ましいと思います。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。お二人の委員からも、消費者のリテラシー向上のため、基本情報を伝えるような対応策を考えていただきたいということでよろしいでしょうか。それでは、ほかにございませんでしたら、本日いただきました御意見を踏まえて、事務局で検討会議結果案を作成し、それらを構成員に再度御確認いただくという形で進めてよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。続きまして、デプロドンプロピオン酸エステルのテープについて、事務局から説明をお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料2-1と資料2-2を用いまして、デプロドンプロピオン酸エステルのテープ剤について御説明を申し上げます。このテープ剤につきましても、前回12月の検討会議において検討をいただきまして、その後事務局でとりまとめた検討会議での議論についてパブリックコメントを実施させていただいているところでございます。
 パブリックコメントでいただいた御意見については、資料2-2に記載をさせていただいておりますので、まず、パブリックコメントでいただいた御意見について、御紹介申し上げます。全部で3件の御意見が提出されております。
 No.1でございます。意見1でございます。「スイッチOTC化のニーズ等として『ケロイド等の治療のためのOTCのニーズがあるのか、イメージが難しいので示してほしい。』との意見ですが、一定のニーズはあると考える」という御意見でございます。意見2でございます。「『ストロングクラスのステロイド外用剤であるが、テープ剤であるため、効果の増強や、不適切な用法による皮膚感染症等のリスクの増大が懸念される。』との課題については、効果増強に関するデータに基づいて客観的に審査されるべきである」「また医療用医薬品における注意等の喚起との整合性を取るべきである」という御意見をいただいております。意見3でございます。「『臨床現場では、ベリーストロングの外用剤を使用しても症状の改善が認められない場合にテープ剤を使用している。』『効能・効果、適用部位、使用期間、効果の増強等、テープ剤に特有の事項について、わかりやすい情報提供が重要である』(短期的課題)の意見については、効果増強に関するデータや治療ガイドライン等に基づいて客観的に審査されるべきである」という御意見を頂戴しております。意見4でございます。「『あせも、かぶれ、かゆみ、しもやけ、虫さされ、じんましんには適さないため、効能・効果から削除すべき。(短期的課題)』との意見については、既存の一般用ステロイド外用剤と揃えるべきであると考える」。その根拠といたしましては、その下のほうに参りまして、「医療用ステロイド外用薬(貼付剤)として湿疹・皮膚炎群(進行性指掌角皮症、ビダール苔癬を含む)、虫さされ、痒疹群[じん麻疹苔癬、ストロフルス、結節性痒疹(固定じん麻疹)を含む]、乾癬等の効能・効果を有するプラスター剤についても『あせも、かぶれ、かゆみ、虫さされ、じんましん』の効能又は効果を有することが妥当と考える」という御意見をいただいております。
 続きまして、No.2の御意見でございます。こちらは、軟膏、クリーム、ローションでいただきました御意見の3件目と同じでございます。真ん中辺りの「特に」以降でステロイドのテープ剤について言及されておりまして、「ステロイドのテープ剤はスイッチOTC化が初めてであるとともに既存の成分と異なる特性をもつことから、漫然とした長期使用、広範囲使用等の乱用防止には、さらなる注意が必要とされる。したがって一定期間経過後も薬剤師が対面で販売することは必須であると考える」というものでございます。
 また、No.3の御意見でございますが、こちらも、軟膏、クリーム、ローションの4件目と同じ御意見でございます。こちら、プラスターに関しての御意見もございましたので、追加をさせていただいておりますが、「プラスターは、きず・やけどあとに使用可能なステロイドの製剤として、他にはない治療となるため選択肢が広がると考える」という御意見でございます。
 こういった御意見をいただきましたので、資料2-1で追加で記載できる御意見がないかという観点で、1か所追記をさせていただいております。今、画面で御覧いただいているところでございますが、適応の部分でございまして、No.1の御意見の4番目の御意見を追記させていただいているところでございます。事務局からは以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、スイッチOTC化の課題点とその対応策について、個別の御意見があればお伺いしたいと思います。パブリックコメントを受けた後での追加事項について、御説明がありましたが、よろしいでしょうか。堀委員、お願いします。
 
○堀構成員
 たびたび申し訳ありません。先ほど宗林委員、佐藤委員がおっしゃったように、特にこのテープ剤に関しましては、消費者が使い方をしっかり理解していないと、普通の湿布薬のような感覚で貼付してしまうおそれがあります。先ほど岩月委員が、薬局で薬剤師の方が丁寧に説明をするということだったのですけれども、ちょっと気になるのは、自宅でこのテープ剤と普通の湿布薬を混在してしまうようなことがあった場合に、間違って使ってしまう可能性もあるので、パッケージとかにしましても、このテープ剤に関しましては注意喚起をしていただけたらなと思いました。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。ほかにはございませんか。宮川委員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 宮川でございます。今、個人の方からの追加の御意見が2と3というところであって、薬剤師の先生が関与し、適切に指導することで問題なく使用できるはずだという御意見があったわけですけれども、非常に重要な御意見だろうと思っております。薬剤の関与を大事にしていくということも、これから正しくこの薬が使われ、そして、いつも申し上げますけれども、薬を育薬していくということ、間違った方向に使われては困るので、正しい方向で使っていくという形の中で、薬剤師がしっかり関与するということが非常に重要だろうと思っております。昨今、いろいろな薬で要指導医薬品という分類から3年たって第一類一般用医薬品のほうに移ってきておりますが、それだけではなくて、一般用医薬品のほうから、不適切であればまた要指導医薬品のほうに戻ってくるというたてつけがもうすぐできるということですので、しっかりとその中で、この薬の在り方というものを検討しながら、問題をしっかり追跡していくということもこれから重要なことだろうと考えております。これに関しては、薬剤師の専門の先生からまた御意見をいただければと思います。
 
○笠貫座長
 岩月委員、お願いします。
 
○岩月構成員
 宮川先生、ありがとうございます。薬剤師会の岩月でございます。おっしゃるとおりで、特に、こういった、いわゆる使い方が難しいものとか、あるいは効果に大きな影響を及ぼすような剤型につきましては、より丁寧に説明をするということが大変重要だという認識を持っています。そのために、先ほど堀委員からも御説明があったように、やはり外装箱とか、あるいは膏体の表面にこの医薬品名を表示するとか、お使いになっていただく方々も忘れないように、そういった工夫を加えることが重要であろうと思いますし、特に今の宮川委員から御指摘であれば、やはりお薬手帳等に記載するということも大変重要だと考えておりますので、そういったことが現場で徹底できるように、こういったものが上市された際には、改めて徹底をしていきたいと思います。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 続けて宮川でございますけれども、そういう工夫が必要であるということです。先ほどの佐藤委員や宗林委員からもお話がありましたように、ステロイドに関しては、ベリーストロングとかストロングといったランク分類の名称が診療ガイドラインなどで使用されております。昨今、OTC医薬品の中でその商品名について、プレミアム、DX、EX等々、ほぼ同じもので、少し配合に変化をつけただけで特別感のあるような名称を与えることがあるのです。私は、昔からそういう名称はOTC医薬品としてあるべき姿ではなく、非常におかしいと指摘してきました。実際にこういうステロイドのように、ストロングやベリーストロングといった医療現場で使われるランク分類の名称が使われている中で、そういう商品名での修飾のための言葉と混在していくことは非常に問題です。名称には薬効としての強さなど、様々な重要な情報が込められているわけです。これは日本OTC医薬品協会にお願いしたいことですけれども、一般用医薬品の感冒で使うせき止めでも鼻水の薬でも、そういうところに、いたずらに修飾語を使うということを改めていただかないと、ステロイド剤でも、表示される名称で問題が起こってきます。消費者の方にも注意していただき、それから、マスコミの方も問題として認識していただいて、しっかりと対応していただけたらと思います。それが、OTCの薬を育てるということになるのではなかろうかと思うので、日本OTC医薬品協会にも、あるべき姿をしっかり考えていただいて、しっかりと対応していただきたいと思います。いたずらにただ特別感を出すというような言葉は避けていただくような方向に持っていっていただければ、ステロイドの薬にストロングやベリーストロングの名称を使っても、それは薬効の面から使っているんだと伝わるようになります。強さという面で使っているんだとみんながきちんと理解できる形になろうかなと思いますので、ぜひ御配慮いただければ幸いかなと思います。以上でございます。
 
○笠貫座長
 磯部委員、どうぞ。
 
○磯部構成員
 ありがとうございます。宮川先生にはいつも大変御指導いただいておりまして、今の御意見も再三再四いただいております。先生からいただいた意図、内容を協会の会員会社にも伝えているところでございます。会社毎でいろいろな考え方があるので、いろいろだとは思いますが、先ほど堀先生からもお話があったように、生活者が混乱しないように、分かりやすいように情報提供をすることはメーカーとしても必要なことだと思っておりますので、そういう視点で、各社ともまたいろいろ対話をしていきたいと思います。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。テープ剤は軟膏より使い方、注意事項が多いという皆さんの共通認識の中で、これは薬剤師だけではなく、メーカーもより対応策を取っていただきたいという御意見だったと思います。今日の評価検討会議の方向性として、ご指摘されたニーズを踏まえた上で、御意見を組み込み、事務局で結果案をまとめ構成員に再度御確認いただくという形で進めてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 続きまして、モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物について、事務局から説明をお願いいたします。
 
○事務局
 資料3-1と3-2を用いまして、モメタゾンフランカルボン酸エステル水和物について御説明申し上げます。このモメタゾンフランカルボン酸エステル水和物につきましても、前回12月の検討会議において1回目の検討をしていただきまして、その後パブリックコメントを実施し、資料3-2にお示ししております御意見をいただいているところでございます。
 まず、資料3-2を用いまして、パブリックコメントでいただいた御意見について御紹介申し上げます。全部で3件の御意見をいただいております。
 まず、No.1でございます。「局所性の副作用、特に小児での長期使用による粘膜の菲薄化が懸念される」「全身性ステロイド剤と比較し可能性は低いが、点鼻ステロイド剤の投与により全身性の作用が発現する可能性がある」という評価検討会議での御意見に対しまして、「全身性の作用が発現する可能性が懸念されているが、定量的に検討してほしい」「粘膜の菲薄化が懸念されるのか不明」ということで、以下に示した文献をお示しいただいております。また、下に参りまして、次の御意見でございますが、「年齢(小児、高齢者)を考慮し、内科的(高血圧、糖尿病等)、眼科的(白内障、緑内障)合併症がないことを十分に確認すれば、副作用発現を低く抑えられると考えられる」という評価検討会議での御意見に対しまして、「合併症よりも強力なCYP3A4阻害剤を使用しているかどうか重要」という御意見でございます。その下に参りまして、「皮膚科領域ではステロイド外用剤の効果の強さによる区分があるが、耳鼻咽喉科領域ではそのような区分は事実上ない。厚生労働省が作成している『類似薬選定のための薬剤分類(改訂版13版)』においても取扱いは異なる。耳鼻咽喉科領域の専門家の意見に基づいて検討することが必要ではないか」という評価検討会議での御意見に対しまして、「適用部位が異なり、また、世界的にも世代でしか区別していない」という御意見でございます。
 続きまして、No.2の御意見でございます。意見1でございます。「『使用対象に15歳未満を含めることは望ましくないのではないか(短期的課題)』の意見については、データに基づいて客観的に審査されるべきであると考える」という御意見でございます。「医療ナゾネックス点鼻液の再審査報告書(平成30年2月9日)によれば、15歳未満であっても重篤な副作用は認められておらず、12歳未満の小児の用法・用量に対する新たな注意喚起は不要と結論づけられている。大人の管理下で家庭において使用されることが多いことも想定され、小児の使用も認めてよいと考える」という御意見でございます。次のページに参りまして、意見2でございます。「『1年間に3ヵ月を超えて使用しないこととするのが妥当で、小児ではさらに短い方が良い。(短期的課題)』の意見については、データに基づいて客観的に審査されるべきであると考える」ということで、その根拠といたしまして、鼻アレルギー診療ガイドラインや医療用の再審査報告書のデータに基づき、「小児適用では医療用医薬品の注意事項に含まれる『可能性は低いが全身性の作用が発現する可能性がある』旨の注意喚起は必要と考えるが、OTC医薬品の要望効能である季節アレルギー性鼻炎の症状緩和を目的とした使用方法においては、長期間、大量投与することは想定していないことと併せて、成人と比べて特段の使用期間の制限を付ける必要性を示す根拠は認められていないと考えられた」という御意見でございます。続きまして、No.3の御意見でございます。「現在の日本において季節性アレルギー性鼻炎の罹患率が高く、まさに国民病ともいえる。モメタゾンフランカルボン酸エステルは1日1回の使用であるため、多くの患者のQOLが向上する反面、使用については特定背景を有する患者(小児・高齢者・妊婦・授乳婦等)に考慮すべきこと、漫然と使用をしないこと、また全身性、局所性の副作用出現が考えられるため、薬剤師による適切な指導、使用中のフォローアップが必要である」という御意見でございます。
 これらの御意見を踏まえまして、資料3-1に追記するものがあるかという観点で、事務局のほうで整理をさせていただきまして、資料3-1の2ページ目でございますけれども、2か所追記をさせていただいております。1点目でございますが、年齢の部分でございまして、いただいたNo.2の意見1の内容について追記をさせていただいております。また、その下に参りまして、「1年間に3ヵ月を超えて使用しないこと」と、「小児ではさらに短いほうが良い」というものに関しまして、No.2の意見2を追記させていただいております。事務局からの説明は以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。本品のスイッチOTC化の課題点とその対応策について、個別の御意見があればお願いします。宮川委員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 お尋ねしたいのですけれども、この「12歳未満の小児」というのは、どこまでが12歳未満を指しているのか。というのは、これは「15歳未満であっても重篤な副作用は認められておらず、12歳未満の小児の用法・用量に対する新たな注意喚起は不要」という記載があったのですけれども、果たしてそれは3歳でもいいのか、6歳でもいいのかということになり、この表記というのはどのように考えていけばいいのか、分からないのでお尋ねしたいと思いました。以上です。
 
○笠貫座長
 橋本委員、お願いします。
 
○橋本構成員
 今のお尋ねにありました表記に関しましては、文言上12歳未満ということになっておりますと、小児、例えば6歳だとか9歳だとか、その辺りでどうかとか、そういったところは微妙な線というのが引けない状況ですので、基本的には添付文書どおりということになるかと思います。ただ、個人的に懸念いたしますのは、短期的な全身性の副作用云々ということよりも、小児の場合には骨の発育を抑制する懸念があるということで、遠い将来のことを考えた場合に、身長が伸びないよねということが最も懸念されるところであります。この意見書を提出するに当たって、季節性のアレルギー性鼻炎ということで、ある程度安全域をつけた意見書となっております。というのは、大体はスギ花粉症などの短期的なことで使う分にはOTC化するには問題ないだろうと。ただし、春先の杉・ヒノキだけではなくて、今度は梅雨時のイネ科であったり秋口のキク科だったり、1年のうち4分の3ぐらいずっと使ってしまう。それが小児に使うということになると、それが毎年毎年繰り返されるということに関しては、やはり注意喚起が必要であろうということで、低い年齢に関しては、ある程度薬剤師の先生から御説明があるほうがよいのではないかというのが個人的な意見です。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 今、橋本先生がおっしゃったように、そのような注意喚起というのがここにどこにも書いていないので、どのような歯止めが必要なのかということで、お聞きしたということでございます。この季節性のアレルギーということがしっかりと書き込まれているか。それでも、今のように、季節性と言っても、春だけではなく夏・秋ということも、通年性に近いぐらい、4分の3という形を実際に想定されるということもありますので、どのようにそれを記載し、そして、薬剤師の先生が適切に御指導いただけるのかということを、この中である程度の書き込みはしていただいて、この内容を充実させていただくということが非常に重要ではなかろうかなと、小児ということに関しては非常に重要なところではなかろうかと考えます。年齢で区切るということができなければ、そういうような注意喚起というのが非常に重要であろうと考えてございます。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。磯部委員お願いします。
 
○磯部構成員
 ありがとうございます。私としては、スイッチOTCですから、医療用医薬品のいろいろな経験から、どこまでOTCになった場合に、添付文書、それから、薬剤師からの指導をどうするのかというのを、これまでの実際のデータや評価に基づいてきちんと対応すればいいことだと思います。医療用でも、例えば小児への取扱いについてどのように使っておられるのか。そういった使用の状況も踏まえて、この辺りについてはOTCの場合にどうするのかを記載をすればいいのではないかと。また、ここで書いているのも、花粉による季節アレルギーというのを書いておりますので、今の橋本先生などのお話の小児への御懸念に関しましては、医療用医薬品で、実際に臨床の先生方が使われているようなやり方を、きちんとそのデータを踏まえて、OTCの場合にどのように対応するのか、どういう注意喚起をすることが適切なのか、そういったことをデータに基づいて、審査の中でもいろいろ考えることが必要なのではないかと思います。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。堀委員、どうぞ。
 
○堀構成員
 ありがとうございます。私は、小児に関しまして、季節性アレルギーのときだけ服用するということだったのですけれども、先ほど宮川委員もおっしゃっておりましたけれども、今、割と年間的に季節性アレルギーというものが起こっておりますから、注意喚起に関しては厳重にしていただきたいと思います。私が存じている中学生や高校生に関しましては、年間、ずっと点鼻薬を使用する方が結構いらっしゃいます。というのは、やはり鼻水が出るということに関しましては、今、その年頃の男性・女性かかわらず、やはり気になるところですので、この季節性アレルギーに特化しているとは書かれていても、実際に現場では、一年中この薬が欠かせないというような声も聞いております。先ほど磯部委員とかもおっしゃってらっしゃいましたけれども、やはり注意喚起ということに関しては厳重にしていただきたいなと思いました。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。渡邊委員、お願いします。
 
○渡邊構成員
 私も調剤を受けて、また、OTCも販売している薬剤師でございます。一応、私の勧め方としては、「使ったことがありますか」、特に小さいお子さんの場合は、処方でどこかで使ったことがあるということに関して基準にしたいと思っています。もちろん、季節性のものであるようにということが書かれていたとしても、本人は鼻が詰まって息苦しくてとてもつらいのです。なので、使わざるを得ないところがあると思います。それを、点鼻だけではなくて、ステロイドが入っているので、点鼻を使うときは一番強いときとか、また、そうではないときは、こういうお薬もあるよというような服用の方法もお勧めすることもあるかと思いますので、そこのところは、一度処方をしていただいたことがあるかどうかというのはお聞きしていきたいと思います。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。岩月委員、どうぞ。
 
○岩月構成員
 薬剤師会の岩月でございます。専ら、いわゆる連続して使用する場合に、一番律速するのは、制限をかけるのは、恐らく包装容量なのです。私、今、自分の持っている点鼻薬を見てみたら、目薬などと同じ容量なのですけれども15mlと書いてあるのです。そういったことで、繰り返しお使いになるということは、ある程度、包装容量で制限がかかるのと、やはり、販売するたびに必ず確認をする。先ほどのところでも申し上げましたけれども、今後はスイッチOTCに関しても、お薬手帳とかを使って確認をしていく、こういった作業が必ず必要になってくると私どもも理解をしていますので、そういったことで注意喚起をするということが、全部の問題をクリアできるかどうか分かりませんけれども、かなり重要な役割だと認識をしています。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。ほかにはございませんか。それでは、ただいまの議論の中でも、年齢の問題、期間の問題が挙がりましたが、1日1回使用というニーズの高い薬だということで、挙げられた2つの懸念点として、使い方、適正使用について、薬剤師が指導していただくこと、メーカーサイドとして、使用者が分かりやすい形で表記をしていただくことだと思います。本日いただいた御意見を踏まえまして、事務局で検討会議結果案を作成して、それを構成員に御確認いただくという形で進めてよろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、次の議題に移りたいと思います。「候補成分のスイッチOTC化について」です。エソメメプラゾール他3成分について、概要の説明をお願いいたします。
 
○事務局
 事務局でございます。資料4に基づきまして、まず、プロトンポンプ・インヒビターの再検討の経緯について御説明申し上げます。
 2018年にプロトンポンプ・インヒビターでございますオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウムの検討をしております。このときは、この評価検討会議は、スイッチOTC化の可否を決める会議であったというところがございまして、検討会議の結果につきましては、OTCとすることは否という結論が出たものでございます。その後、評価検討会議の体制が変わりまして、検討会議の目的として、スイッチ化する上での課題点を整理し、その解決策を検討するという形になり、その後、2022年にエソメプラゾールの検討に係る要望がございました。さらに2023年に、2018年に検討いたしましたオメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾールナトリウム3成分の再検討に係る要望が提出されたところでございます。これら4成分につきまして、前回の2018年の検討において指摘された課題をめぐる現状を整理するとともに、その解決策について検討するということで、今回、プロトンポンプ・インヒビターの検討をさせていただければと思っております。次のページに資料4の別紙ということで、2018年当時の検討会議の結果をお示しさせていただいております。半分から下が検討会議の結果でございますが、OTCとすることの可否が否となっておりまして、そのときにあった意見としてまとめられているところでございます。この内容につきましては、この後の資料5のほうで御説明申し上げますが、このページの最後に、当時、「販売実態の改善状況を踏まえ、本成分のスイッチ化に関し、将来的な議論を妨げるものではない。」というように結果に記載をされていたという状況でございます。
 では、次に資料5で、2018年の検討時に指摘された課題をめぐる現状について御説明いたします。この資料5でございますが、左側に2018年のときの検討会議の結果の「OTCとする際の留意事項・その他検討会議における議論」ということで課題として挙げられたものをまとめております。また、右側には、要望者が、2018年に出た課題に対して見解をお示ししたものを事務局として受け取っておりますので、その内容を要望者の見解として現状をまとめさせていただいているというものでございます。
 まず、1点目の部分でございますが、「検討会議の議論においては以下の意見があった」ということで、「1週間程度の短期服用であれば、胸やけに対して効果が期待できるとともに、これまでの使用実績を踏まえると重篤な副作用は出ておらず、安全に使用できるのではないか」という検討会議の御意見に対しまして、要望者の見解といたしましても、医療用のPPIの申請時の臨床試験の成績から1~2週間の使用で効果が期待できるものと考えられる。また、「使用成績調査における投与期間1~14日間での主な副作用は胃腸障害であり、非重篤であった」というもの。また、欧米では既にPPIがOTCとして使用されているというところも御紹介いただいた上で、以上のことから短期間の使用における安全性は担保できると考えるという見解をお示しいただいております。
 次のページに参りまして、次の課題でございますが、「その一方で、長期服用すると重篤な副作用の発現リスクが高まることや、がんの症状をマスクすることから、スイッチOTC化にそぐわないのではないか」というものでございます。この課題に対しまして、要望者の見解といたしまして、長期使用による副作用、がん症状のマスクは既知の情報であることから、これらの情報について販売者に伝達する必要があるということで、資料5の別紙として、「胃のお悩み症状 相談用ガイド(案)」というものをお示ししているのですけれども、これを用いて販売者から使用者に短期使用を徹底することでOTC化は十分可能であるというものでございます。この資料5の別紙の「胃のお悩み症状 相談用ガイド(案)」でございますが、まず上のほうからいくと、どういった症状があるのかというところをお聞きしていく中で、その後に続きますところが、これまでの治療の状況についてお尋ねしたり、あとは、どういった症状であるとか、そういったところを聞き取った上で、最後に「OTCの胃腸薬を検討しましょう」とか、「医療機関への受診をお勧めします」「または、適切な医療機関をご紹介します」ということで、こういう形で胃腸薬を使用するための相談用のガイドというものを作成して、要望者のほうで検討されたというところでございます。この下のところでございますが、情報提供というところで「※お悩みの症状が『胸やけや胃酸の逆流』の場合は、PPIのスイッチOTCの使用をご検討ください。なお、(PPI)の服用前には以下にご留意ください」ということで、先ほどの課題の部分でございますが、医療機関で治療をしたほうがよい病気の症状を隠して早期の治療を遅らせる可能性があるということで、使用者の方へのこういった情報提供を徹底させるというものでございます。
 では、元の資料5の方に参りまして、次の課題でございますが、スイッチOTCとして承認された後には、「要指導医薬品からインターネット販売が可能な一般用医薬品へと移行されるが、インターネット販売において短期使用は担保できないのではないか」という課題でございます。これに関しましては、PPIが承認された後の、製造販売後調査期間中の安全性情報などから、インターネット販売にて本剤の短期使用が担保できるか、また、どのような問題が生じ得るかについて別途検討していくという見解。また、「なお、一般用医薬品のインターネット販売を行う主力ドラッグストア5企業の販売サイト(令和5年11月10日時点)を調査した結果、5企業すべての販売サイトで、第一類医薬品を注文する際の注意事項が明示されており、薬剤師によって情報提供や適正使用の確認が行われることが明記されている」というものを御紹介いただいております。
 次のページに参りまして、次の課題でございますが、前回2018年の検討の際には、平成28年度の医薬品販売制度実態把握調査の結果に基づいて検討をされていたのですけれども、その結果を考慮すると、一般用医薬品の販売の実態として、短期使用が担保される状況ではなく、こうした状況下においてスイッチOTC化は認められないとされたというものでございます。この平成28年度の医薬品販売制度実態調査について、2018年当時の検討の際には、(参考)のところにございますけれども、評価検討会議における議論の中で、PPIの短期使用が担保できない理由として、実態調査の「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入しようとしたときの対応」が不適切な割合が36.6%であるというところで、短期使用が適切に担保できないのではないかということで、左に記載のような課題点として挙げられたというところでございました。この課題に対しての要望者の見解といたしましては、薬剤師が使用者の胃の悩みをなるべく客観的に確認し、状況によっては医療機関の紹介や受診勧奨も含めた適切な対応ができるよう、「胃のお悩み症状 相談用ガイド」、先ほど御紹介したものでございますけれども、こちらを製造販売業者において作成して、こういったものを活用して、短期使用の指導を徹底することを担保していきたいという見解が得られております。その下の(参考)のところでございますが、この実態調査におきましては、平成28年度の調査におきましては「濫用等のおそれのある医薬品を複数購入したときの対応」が不適切な割合が36.6%であったというところ、令和4年の調査では23.5%になったという報告があるというところ。また、改善に向けた取組として、日本チェーンドラッグストア協会では、濫用等のおそれのある医薬品であることを知らせるレジ・アラート・システムを順次導入する対応が取られているという御紹介がなされております。また、このPPIにつきましては、中枢神経に対する作用はなく、濫用等のおそれのある医薬品のように依存性がないため、短期使用の担保を評価できるデータとしては、この実態調査の中にございます、「要指導医薬品販売時における使用者の状況についての確認」と「第1類医薬品販売時における使用者の状況についての確認」がより参考になるということで、御提示いただいております。最新の令和4年の調査におきましては、販売者から使用者の状況についての確認がなされた割合が、要指導医薬品の店舗販売が93.0%、第1類医薬品の店舗販売が91.0%、インターネット販売が97.8%であり、高い割合で適正販売がなされていたというものが紹介されております。
 続きまして、最後でございますが、その他として以下の意見があったということで、「第1類医薬品のインターネット販売において、情報提供者や相談の回答者が薬剤師であることを明確にする改善も必要である」という課題に対しまして、要望者の見解としましては、「第一類医薬品のインターネット販売において、情報提供者や相談の回答者は薬剤師でなければならないことは、薬機法において規定されている。製造販売業者として、上記法令を遵守できない販売者には販売しないこととしたい」という見解をいただいております。
 こういった資料5の内容を踏まえまして、資料6でございますが、既に課題が2018年の検討の際に明らかになっている部分があるというところ、また、資料5におきまして、要望者の見解ではございますが、それに対しての現状と対応策について提示があったというところがございますので、パブリックコメントの案ということで、資料の6をまとめさせていただいております。この「2.検討会議での議論」の部分でございますが、「スイッチOTC化のニーズ等」のところには、2018年当時にもパブリックコメントを実施しておりますので、そのパブリックコメントでいただきました意見の中のニーズに関しての御意見をまとめさせていただいております。また、その下の課題点と、課題点等に対する対応策、考え方につきましては、資料5に記載の内容をまとめさせていただいているというものでございます。
 本日は、この資料6を、今後、検討会議での検討結果としてお示しするに当たりまして、さらに追加の課題点とか課題点に対する対応策について、構成員の先生方から御意見を賜れればと思っている次第でございます。事務局からは以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。ただいま事務局から御説明がありましたように、PPIについて、2018年の検討会議でOTC化は否とされましたが、その後、エソメプラゾールの要望があって、さらにこの3成分についての再要望があり、今回、再検討ということになりました。2018年から6年経過して、その期間中に多くの対応策がとられてきました。社会的背景として、薬剤師の育成及び資質向上等に関する検討会が進められ、2006年に6年教育制度になってからの卒業生が出てから12年たち、薬剤師の役割も、薬局ビジョンでの位置づけにも大きく変化してきたと思います。こうした背景から、2018年の検討結果を踏まえて、今回再度検討を進めるということになりました。それで、資料5の2018年の検討時に指摘されました課題をめぐる現状について御意見をお伺いしたいと思います。本日、参考人として日本消化器病学会から小早川雅男先生に御出席いただいておりますので、御意見をいただけたらと思います。お願いします。
 
○小早川参考人
 小早川です。どうぞよろしくお願いします。2018年の会議にも、私は出席したかと思うのですけれども、そのときにも、薬剤師さんがどのような観点で説明するかというのが大きな議論になったと思うのですが、そもそもPPIというお薬、既に最初のものが販売されて30年以上たっておりまして、非常に安全なお薬だという認識が我々としてはあります。今日の話題に挙がったようなステロイドの外用薬とか、NSAIDs内服とか、こういったものに比べると、安全性というものに関してはかなり大丈夫な製品ではないだろうかと考えております。ですから、14日間投与ということであれば、安全性のリスクというのはかなり低いものではないかと考えております。ただ、懸念されたような、がんのリスク、がんの症状をマスクしてしまうような、確かにそのような作用が全くないとは言えないのですけれども、たとえそういった形で服用したとしても、症状が全部なくなるわけではないですし、発見が遅れたとしても、せいぜい1~2週間、長くても1か月も遅れないだろうなという程度かなとは感覚的には思います。今日議論がございましたように、先ほど説明があったように、薬剤師さんがしっかりと説明して、特にアラーム症状ですね。警告症状。要するに、出血があるとか激しい痛みがあるとか、そういったことを注意していただいて、この薬を販売するにおいては、そういったリスクもかなり低減されるのではというのは思っております。ですから、いろいろ状況がこの6年間で変わったというお話もありましたので、特にそういったところで、そういったことがしっかりされるのであれば、大きな懸念はないのではないかと思います。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。同じく消化器病学会の上村構成員から補足がありましたらお願いします。
 
○上村構成員
 上村です。今、小早川先生が言われたのはほとんどそうなのですけれども、まず2018年のときのこの検討会議でのディスカッション、もしくは、検討会議の役割というのは、笠貫座長はよく覚えておられるように、あの時点では、全会一致で否か可かということを決めたわけです。あの時点でおいても、このPPIというのは、私は、このPPIというのは非常に安全な薬であるということで、短期使用であれば全く問題ないということをお話ししました。やはりお薬というのは、結局どんな薬であっても副作用がございます。だけれども、薬というのは、どのようにして処方したり、薬局で患者さんというか症状のある方にお渡しするかというのは、やはりそのリスクよりもベネフィットのほうが高いと。リスクベネフィットを考えて使うものであると。これは医療であろうが、OTCで薬局でお薬をあげるものであろうが全く同じですよね。そうすると、このPPIというのは、リスクベネフィットからいくと、恐らくOTC化されて使われるのは、すごく働き盛りの方で、病院になかなか行けない方で胸やけが強い、こういった場合に、OTC化されたPPIを内服するということが一番考えられます。そうすると、そのベネフィットは非常に高い、大きいと考えられますから、そういった形で用いること、また、薬剤師の先生方が、そういう認識をきちんとしていただくと。患者というか購入者は購入者でリスクを考えた形で使用していただくと。そういうことであれば、私自身は消化器の専門家として、これは、35年前からアメリカ、欧米ではOTC化しておりました。それで、大きな有害事象、問題になったのは一度もございません。ということで、2018年にもお話ししたように、今回、これはOTC化して全く問題ないのではないかなと考えております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。続きまして、日本臨床内科医会の湯浅構成員から御意見を伺いたいと思います。
 
○湯浅構成員
 2018年にこの成分をOTC薬として承認すべきかどうか議論を重ねてきました。当時我々は、短期的な副作用はほとんどないことはもちろん理解をしていたわけです。しかし、PPIの副作用に関する論文の報告が重なったこともあり、短期であれ長期であれ、そういう状況の中で、PPIをOTC化することに関しては疑問があり、安全性面からOTC化反対の立場を取らせていただきました。あれから6年たちまして、今、消化器の御専門の先生がお話しされたように、PPIに関して、短期投与に関してはほぼ問題はなく、比較的安全に使える薬であると考えてよいと思います。最近、東大病院から出た論文を見ると、これはP-CABのボノプラザンの論文ですが、H2ブロッカーと比較をして、ピロリ菌の除菌後の胃がん発症がP-CABで増え、また、PPIと比較した感度分析の結果では、PPIのピロリ菌除菌後の胃がんリスクはP-CABと同様に増加するという結果でした。この結果からも、長期に高用量のPPIの使用は、胃がん発症のリスクを高めますので、すでにお話しがでておりますが、なるべく低用量、例えば最大用量の半量を1~2週間の使用に留めるように配慮いただきたいと思います。関係各位が販売体制に関してもいろいろと議論され、販売方法についても進展があると聞いておりますが、我々は長期使用をさけるため、購買履歴が必要になると考えています。また、PPIによりがん症状がマスクされることもあり、薬剤師には積極的に受診勧奨を勧めていただきたいと思います。今回、ボノプラザンがPPIと一緒にこの検討会議に上がって議論されるようなことを聞いておりました。ボノプラザンについては、再審査の結果が未公示ということで今回は見送られたと聞いております。我々は、ボノプラザンとPPIは別の薬であると理解をしております。PPIが胃酸に触れて活性体に変化するわけですけれども、ボノプラザンは最初から活性体であり、半減期が長く、血中に長期とどまります。効果発現ははやく、非常に強いクスリです。色々な意味で、PPIとは一線を画すクスリと考えております。
 
○笠貫座長
 ありがとうございました。それでは、皆さんから、資料5について、御意見をいただきたいと思います。平野委員、お願いします。
 
○平野構成員
 ありがとうございます。長期服用に関する懸念ももっともだと思うのですけれども、私、それについて興味を持ちまして、1,300店舗での購買実態を調べたことがございます。実際、何個も、例えば年間に複数個購入される方の購買動向というのを調べてみたのですが、実は明確にありましたことは、長期飲まれる方は1回の購買個数が明確に多いのです。かなり強い正の相関があるという状況でございます。ということは、ずっと続けて飲もうとする方は、毎回買いに行くのが面倒なので、まとめて買いたい。これはH2ブロッカーでの話です。そういうことが顕著に出てきまして、ということは、この長期の服用を防ぐ最も実は簡単な方法は、一回の販売個数を1個に抑える。これは非常に簡単な方法であるなと思っています。特に今回、毎回購入に対して薬剤師が関与するということがありますので、これは成し遂げることが極めて容易であると考えますので、長期服用に関する懸念というのは、一回の販売数を抑えるということでコントロールができるということかと思っております。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮園委員、お願いします。
 
○宮園構成員
 ありがとうございます。お尋ねしたいのが、これは、かなり短期のものは安心で、効果があってというので、ただ長期がとても心配な薬だと理解しているのですけれども、副作用なども非常に恐ろしいものが書いていて、その中で、資料の中でたくさん、ほかの店に行ってしまえば買えるんじゃないのというようなことも資料の中に書いていたのですが、その資料の中で、ドラッグストア協会様がレジ・アラート・システムを使っていらっしゃると書いていて、このレジ・アラート・システムというのは、その店で何回も買ってというのがアラートになるのか、それとも、何かもっとネットワークを組んでいて、ほかの店も入れながらアラート・システムになっているのか教えていただきたいなと思いまして発言いたしました。
 
○笠貫座長
 平野委員、お願いします。
 
○平野構成員
 JACDS、平野でございます。アラート・システムは、残念ながら他店の販売実績を把握できるものではございません。ただ、どの商品が乱用対象の商品であるかということが表示されますので、それによって複数の販売をしないということのコントロールができると御理解ください。
 
○笠貫座長
 一回の販売個数を制限すると同時に、複数回の販売に関してはチェックができるということになりますか。
 
○平野構成員
 これは、複数回の購入に関しては、恐らく企業によってかなり差があるというのが実態ではあると思います。その場で、これが乱用に気をつけなくてはいけない商品である、したがって、1個しか販売できないということは全店徹底できる。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。上村委員、お願いします。
 
○上村構成員
 今、宮園委員から、何か恐ろしい薬という話が出たのですけれども、長期投与の、私どもは全国33施設で、この5年間の、先ほど話が出たP-CAB、ボノプラザンとPPI、これをRCTで毎年胃カメラをやって、ずっと胸やけの患者さんに飲んでいただきました。その結果がもう判明しました。有害事象がないのです。5年間、毎日毎日毎日きちんと飲んで、それで大きな有害事象は一切ありませんでした。いろいろ欧米から出ている下痢とか肺炎とか骨折、そういったものの割合も全く増えないという成績が出て、今、投稿中です。これが今年中にはもちろんパブリッシュされますから、日本人での最長、それも毎年毎年胃カメラをやって胃の中をのぞきながらの臨床研究の結果が出ますから、本当に、私どもは専門家としては恐ろしい薬などいうのは一つも考えられません。今、OTC化されているロキソニンSなどのほうがずっとずっとリスクある薬であるということであって、それほど、このPPIに対してアレルギーを持つ必要はないと思います。
 
○湯浅構成員
 議長、よろしいでしょうか。
 
○笠貫座長
 どうぞ。
 
○湯浅構成員
 上村先生がおっしゃるように、この薬は、乱用に関係するような、今若い人を中心に一部の薬のオーバーユースのことが社会問題になっていますが、そういった薬ではありません。それで、比較的安全には使えるというのは確かだと思います。ただ、OTC化する際に、最初の段階で、ある程度制限を設けておき、一般の方々、消費者への注意喚起をする必要があると思います。実臨床では、顕微鏡的腸炎と言い、腸内細菌に変化が出て下痢が止まらない、あるいは鉄とかの吸収が障害され、貧血を起こすこともあります。我々は実際に、そういった症例を経験はしておりますので、OTC化する際には慎重を期していかなければいけないと考えています。
 
○笠貫座長
 松野委員、お願いします。
 
○松野構成員
 日本保険薬局協会の松野です。これが安心安全のお薬だということで御説明等もいただいた中で、医療現場のほうでは、皆さん御存じのように、このPPIが胃潰瘍や逆流性食道炎では8週間、あと、十二指腸潰瘍では6週間と添付文書上はなっておりますが、実際は、先生方、医師の御判断で再発再燃を繰り返すということで、長期の服用を安心して継続されている患者さんがほとんどだと私も認識しているお薬となります。ですので、これがもしスイッチOTC化されたときに、現場でどう対応するかという、来られた消費者の方が、初めて胸やけやそういう症状をしてこられるのか、あるいは、医療現場で胃カメラもし、この薬を継続して飲んでいる方が、たまたまクリニックに行けないからここで買いたいと判断されるのかというものが現場で分かったほうがその後の対応もしやすいのではないかなと感じますので、質問票の中にそれが分かるような形のものが入っているほうがいいのではないかなと感じております。以上です。お願いします。
 
○笠貫座長
 宗林委員、お願いします。
 
○宗林構成員
 宗林です。私は事務方のほうに、ボノプラザンはどうして入っていないのかと実は質問したのですけれども、市販後の調査がまだ終わっていない期間だからという御回答だったのです。それで、今、湯浅先生とかいろいろな方からのいろいろな御意見がありまして、今ここには入っていないのですが、これを、例えばボノプラザンをOTC化にしようと思ったら、再度、もう一回ここの会議を経ていかないといけないということになるのでしょうか。事務方にお尋ねしたいと思います。私は、PPIで作用機序自体がちょっと違うという話もありましたけれども、市販後調査が終わったら、そのように同じような形でダイレクトOTC化の部会のほうに出せるものかなと思っていましたが、いかがでしょうか。教えてください。
 
○笠貫座長
 事務局、お願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。ボノプラザンに関しましては、資料4の下のほうに小さい字で記載をさせていただいておりますが、エソメプラゾールの要望が出されたのと同じ時期の令和3年度にボノプラザンフマル酸塩の要望が提出され、受理をしているという状況でございます。今、宗林先生がおっしゃったように、現時点で医療用医薬品の再審査結果がまだ未公示であるというところで、この検討会議の検討の対象となっていないと。現時点ではなっていないという状況でございます。ただ、この評価検討会議、令和3年のときにいろいろ体制等について検討させていただいたときに、同種同効薬の扱いをどうするのかというところをご議論いただいたところかと思いますが、ボノプラザンフマル酸塩につきましても、ひとくくりに言いますと、プロトンポンプ・インヒビターという枠の中にあるというところで、同種同効薬に該当するのではないかというところ、現時点では同種同効薬に該当するのではないかと事務局では考えておりまして、そうなりますと、この評価検討会議の検討をするかどうかというところにつきましては、同種同効薬に該当する場合は検討はしないというところで判断させていただくことになるのかなというところでございます。
 
○宗林構成員
 ありがとうございました。この会議を通過することの時間とか、そういったものが、もちろん慎重にしていかなくてはいけないのですが、逆にOTC部会に出せるものがすごく少ないような気がしましたので、これをなるべくスピーディーにするのか、あるいは、同種同効薬に関しては、OTC部会のほうに出せるというような原則を守って、なるべくたくさんのものが出るようにしていただければと思ったのでお聞きしました。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 磯部委員、お願いします。
 
○磯部構成員
 ありがとうございます。私のほうから幾つかコメントしたいと思うのですが、製造販売事業者の立場として、まずは短期使用ということでどうかというお話に関しましては、最終的には審査で議論があり、新しい薬効群であるのは事実でございますので、まずは短期使用から始めるべしということであれば、製造販売事業者としても、先ほど平野先生のお話もありましたが、それを、先ほどのガイドをしっかり守っていただけるような販売者の方々に販売すると。そういうことを、何らかの契約なども含めてきちんと確保していきたいと。また、そういうことがなぜ必要なのかということについても、このガイドの説明もきちんとお話をしていきたいと思います。ただ、先ほど上村先生から、長期投与の安全性についてもいろいろなデータが出てくると。また、医療用でもかなり長期に使われている薬だと思っておりますので、またそういった安全性に関するデータ等が出てきた際には、厚労省のほうでもまた検討をお願いしたいと思います。その上で、先ほど、湯浅先生のほうから半量でというお話がありました。若干、私が気になりますのは、半量でどのぐらい効果があるのかというデータがないということが一番気になりますが、逆に、半量にしてしまって、効果がないから逆にずるずると使うと。もうちょっと使ったらどうかというような。なかなか効かないので。「じゃあ、半量にしているからもう少し使いますか」みたいな話になっても、逆に困ると思うので、医療用で、先ほど上村先生のお話、小早川先生のお話があって、かなりのデータ、今まで臨床データの蓄積があるのであれば、そのデータの上で、その用量で使って、それでも2週間で効果が見えないのであれば次の手を考えるというようなことにしたほうが、非常に理にかなっているのではないかと思っておりますので、逆にそういうことを徹底していくことで当初始めていくということでやってはどうかと思ってございます。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。岩月委員、どうぞ。
 
○岩月構成員
 先ほどからお話が出ていますように、私ども調剤の現場で、8週とか長い調剤の経験をさせていただいて、もちろん、患者さんが処方箋をお持ちになるたびに確認をするのですけれども、そういった観点からいうと、いわゆる乱用と長期連用は多分違うのです。ですから、そこはきちんと分けて議論をしなくてはいけない。その上で、毎回毎回確認ができるのかといったときに、もちろん現場の薬剤師はそういった仕事をさせていただきますけれども、例えば商品の外装箱にQRコードをつけて、そのQRコードを見ると動画で説明ができるみたいなことも、注意喚起という意味では一つの方法だろうと思うのです。いろいろな方法を組み合わせて、漫然と長期に使わないということの注意喚起は多分必要なのだろうなと思うのです。それと、もう一つ、今の用量のことも、既に医療用で用量が確定をして使っているものと同じものでやるということのほうが、私もそのほうが理にかなっていると思うというのがもう一点。それから、最後に、資料5の別紙でありますけれども、これは、実は薬剤師が店頭で「PPIを下さい」と言って来店をされるということを前提にしているのではなくて、胃腸の症状を訴えられた方にどういうガイドをするのかということでありますので、恐らくですけれども、これが要指導医薬品になれば、ほかのH2ブロッカーなどと同じように、当該医薬品のチェックシートというものが多分できるはずですので、そういったことが用意されるのであるならば、これは恐らく薬剤師の通常の業務の裁量の中のことだろうと私は思っていますので、ここまで必要かどうかというと、明文化したということでは意味があるでしょうけれども、現場では、恐らくこれをしないで、PPIなりH2ブロッカーなりを販売するということは多分ないと思いますので、そこは、もう少し薬剤師の免許証を信用していただいてもいいのかなと思ったりもしています。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。堀委員、どうぞ。
 
○堀構成員
 ありがとうございます。私は消費者の立場からお話をさせていただきたいのですけれども、まず1点は、岩月委員がおっしゃったように、乱用と長期投与というのが、私たち一般消費者にはその違いがよく分からないということをお伝えしたいと思います。ですので、皆様方が乱用とおっしゃっているのと、長期投与というものがどのように違うのか。今、お話をお聞きしていましたが、長期投与というのが非常によくない、でも「乱用って何」ということなので、もし、OTC化された場合、薬剤師からの御説明の際には、その部分を具体的にお示しいただけると、私たち消費者は分かりやすいと思いました。あと、もう一点は、これは私の意見なのですけれども、別紙5の「胃のお悩み症状 相談用ガイド」、これは多分、今、岩月委員がおっしゃったように、薬剤師の方々が販売の際に必ずお使いになるものだと思います。先ほど、上村委員もおっしゃっていましたが、長期投与に関しては副作用がないということでした。しかしながら、これはあくまでも受診をして、医師の管理下で私たち患者はそれを飲んでいるから副作用がなかった。けれども、今度、OTCになった場合は、薬剤師の方がいろいろと注意点、留意点を指導なさったとしても、飲むのは消費者なので、消費者の勝手な解釈によって飲んでしまったら、副作用が全くゼロではないということを御理解いただいた上でOTCにチェンジしていただきたいと思っています。そのために、この「胃のお悩み症状 相談用ガイド」というのは、特に2ページ目のところにおけるピンク色のところで、「症状によっては、緊急の措置を要する場合や重大な病気につながる場合があります」というこの項目は、私たち消費者にとってみるととても分かりやすく大切な項目だと思います。1ページ目の「お悩みの症状は?」というのはよく問診票にある項目なのですけれども、たかが胃痛、たかが逆流性食道炎といっても、こんなに重大な病気につながるんだということを、今回、私、これを拝見して思いました。ですので、改めて受診をした際は、医師は様々な観点から私たち患者に対して診断してくださっていることを痛感した次第です。けれども、OTCになった場合は、先ほど松野委員がおっしゃっていましたけれども、患者は受診をして、自分で自分の病気がどういうものなのか、そして薬もどういう飲み方をしたら悪いということが分かっている方だったらOTC化になってもその薬の服用を継続すればいいのですけれども、そうでなく、「胃薬かな」という形で飲まれる方に関しましては、この2枚目のウォーニング、注意喚起は非常に大切です。やはりこの「胃のお悩み症状 相談用ガイド」というのをもっと薬局でうまくお使いになっていただきたいと思いました。例えば長期投与だとこういうことが起きるかもしれない、だから短期投与にしましょうとか、私たち患者もこれを読むことで、自分たちが自分の健康に対して、自分の体調に関して把握できるとてもいい資材ではないかと思うのです。これからOTCになった場合は、あくまでも患者は自分で自分の健康を管理する必要、義務があります。でも、そのように言われていても、こういう資材があるかないかで全然思いが変わってくるかと思いますので、ぜひこの資材、相談用ガイドをもう少し煮詰めていって、患者にとってもプラスになるようなものがあるといいと思いました。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 宮川でございます。今の、堀委員が数多くのことを御指摘されて、私も言おうと思った大半のことを言ってくださったので大変助かりました。これは先ほど言ったように、長期使用は臨床研究と全く違うわけですね。臨床研究は、何年であっても常に医療者がフォローしているわけです。このOTC化を私は否定するわけでは全くありませんが、しかしながら、今、堀委員が言ったように、購入者、使用者にも確かにいろいろな義務はあるのですが、では、すべて使用者や購入者の自己責任と言っていいのかということが非常に大きな問題であります。主だった責任というのは、販売者であったり、それから、先ほど磯部構成員がおっしゃったように、製造販売業者のものなのです。ですから、そういう方々がちゃんと責任を持ってやっていかなくてはいけません。その薬を使用した人たちは、ひとたび何か具合が悪くなったときに、その販売をした人、それから、そのお薬をつくってそれを売った事業者、そういうところに駆け込まないですね。結局は医療者のところに行って、「具合が悪い」「これを飲んでいても駄目なのですけれども」と言って、それで医療者が診察し内視鏡などの検査をして、時には悪性のものが見つかったり、もっとひどい状況であることが分かる、といった経過を辿ることになります。OTC医薬品というのは、使用する時間が短ければある程度大丈夫ですけれども、それが長期になったときに、果たして、その使用者、購入者の自己責任と言っていいのかどうかということが問題です。そうだったならば、事業者であったり販売者であったり、そういう人たちが責任を負ってくれなくては困るし、その責任が取れる環境の中で、このOTCというものがつくられているのだと考えております。OTCのこの枠組みの中で行われているのだということをしっかりと自覚していただいて、購入者、使用者をどのようにフォローしていけるのか、しおりやリーフレットを含めて手厚いものをつくって、その方たちを守ること、それは、製造し販売する方々の責任であると私たち医療者は思っております。これはOTCを否定するものではありません。ですけれども、事業者から使用者に対しては、そのようなことをしていただかないと、OTCは国民のためになりません。だから、単なる物を売っているのではなく、医薬品であり普通の商品ではないということをしっかり自覚していただいて、発言なり、それから、製造販売承認後の適切な販売のための行動を取っていただきたいと私たち医療者は思っております。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。原委員、お願いします。
 
○原構成員
 専門の先生がいるのでお聞きしたいのですけれども、今回挙がっていますオメプラゾール、ランソプラゾールとかというのは、世代が違うものが混じって上がっているのですけれども、OTCにして販売するときに、薬局のほうで薬剤師が世代を区別して販売すべきかどうかというのが1点と、それから、エソメプラゾールに関しては、医療用医薬品では小児の適応があると思うのですけれども、OTC化した場合には、もちろん小児には使うべきでないという理解でよろしいかという2点を教えていただきたいのですけれども。
 
○笠貫座長
 専門家の上村先生、小早川先生、お願いできますか。
 
○上村構成員
 小早川先生からお願いします。
 
○小早川参考人
 では、まず、PPIの種類ですけれども、あまりそこは結論からいうと考えなくていいのかなと思います。先ほど出たボノプラザンのP-CABに関しては少し毛色が違うかなというところはあるのですけれども、そのほかのPPI製剤に関しては、ほぼ作用機序的に一緒ですし、あまり効力とか副作用とか、そういった面に関してほとんど大きな違いはないのかなと思います。エソメプラゾールが最後に出てきましたけれども、エソメプラゾールはオメプラゾールの光学異性体なので、これもそんなに大きく変わらないかなと思います。今、エソメプラゾールのみ小児のほうの適応があるという話だったのですけれども、それはまた別で、小児の適応は考えていくということでよろしいのではないかなと思います。
 
○原構成員
 ありがとうございます。
 
○笠貫座長
 上村委員、付け加えることはございますか。
 
○上村構成員
 僕も、小早川先生が言われたとおりで、原先生の御質問に関しては、PPIはPPIで全部今同じだと思います。何が違うかというと、結局は胃酸分泌を抑制する能力が個々の薬で違うのです。だから、ボノプラザンは本当に物すごい、通常のPPI、従来のPPIと全く違います。だから、それは考えておかなくてはいけないのですけれども、今回挙がっているPPIに関しては、ほぼ同じだと考えてよろしいかと存じます。以上です。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。渡邊委員、お願いします。
 
○渡邊構成員
 堀さんが先ほど、長期服用と乱用の違いというのをおっしゃっていたと思います。例えば、オメプラゾールは10ミリが基準で20ミリもあるのです。ランソプラゾールは15ミリが基準で30ミリというのもございます。そんな形でミリ数が違うものがあるのですが、OTCになるとしたら10ミリなのだろうなと思います。これは24時間効いていますので1日1回の服用になります。いつ飲んでも大丈夫なのですけれども。ところが、購入した方が、2回、3回まとめて2錠とか、そういうのが乱用という形になります。なので、長期服用と乱用服用は全く違うのですね。乱用の乱は反乱の乱という字を書きますが、そういう違いがございます。あと、多分、OTCになったときは、高価、お金が高いのではないかと思います。保険適用の方が安く手に入ります。それと、保険適用のほうが先生方が30日処方、60日処方、多い方では大学病院等は90日処方などが来ます。これでいいのだろうかと思うことがあるのですけれども、今のところ、上村先生がおっしゃったように、長期服用、決まった量を飲む分には問題がなかったと思われます。ただし、こういうチェックは薬局だけに来るというのがちょっと不自然な感じはするのですが、飲んでいただく患者さんたちにも調剤の方にもお伝えしていかなくてはいけないものだろうなと思います。よろしくお願いします。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。佐藤委員、お願いします。
 
○佐藤構成員
 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。2018年にこの薬が検討されたときに、上村先生の御意見が説得力があると思い、OTC化が妥当だと発言させていただいた記憶があります。そのときに課題になっていた、薬局での適切な販売についても改善しているということで、その点はよかったと思います。これがゴールということはありませんので、薬局薬剤師さんには引き続きしっかりやっていただきたいと思います。用法用量については、皆さん、大体短期間、2週間程度で一致しているようです。用量については、根拠のある用量でOTC化していただくことが大事かと思います。OTC化の話をするときに、皆さん、医療機関に通って医療用を使っている方がOTCで買うようになることばかりを考えるのですけれども、私は、OTC医薬品の価値というのはそれだけではないと思っています。例えば、ここにいらっしゃる方は、皆さん、具合が悪ければ医療機関に行かれる方ばかりだと思うのですけれども、世の中には医者は絶対に行きたくないとおっしゃる方もいらっしゃって、あるいは通っていたけれどもやめてしまってそのまま行かないとか、医療優等生ではない方はたくさんいらっしゃって、具合が悪いけれども我慢しているとか、そういう方は地域にたくさんいらっしゃると思うのです。そういう方たちが、何となく調子が悪いから薬局に行って、今ここに出された使い方ガイドでしたか、とてもいいものが出ていると思ったのですけれども、このガイドを使って、薬剤師さんから、「それはやはり医者に行ったほうがいいよ」と言われて、OTC医薬品を使っていた人が医療用医薬品の使用に、上がっていくような使い方も、OTC医薬品の役割だと思いますので、ぜひここは、OTC化することで合意できればいいと思います。以上です。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 磯部委員、どうぞ。
 
○磯部構成員
 先ほど私の敬愛する宮川先生から御指摘いただきました。私は、それをしっかり守っていかなくてはいけないと。まさしく製造販売事業者の責務は薬機法に明確になっておりまして、何をすべきなのか、それから、前回の令和元年の薬機法改正では、それをきちんと許可事業者が法令を遵守するための体制までつくって、何かあれば厳しく指導を受けるという形になっておりますので、それについて、我々協会でも、そういった法令遵守という問題については徹底をしておりますし、今後もやっていきたいと思います。また、そうではないというところがあれば、ぜひ宮川先生からまた御指摘もいただければと思います。また、今後の、私はこのスイッチ会議、このPPIもそのはしりだと思いますが、本当に日本の医療提供体制はこれから厳しい時代を迎えていくと思います。地方ではなかなか医療にかかりにくくなる時代が出てくると思いますし、医療保険は崩壊の危機に瀕していると思います。そういう中で、どうやって日本国全体で必要な医療を国民に提供していくか、医療者も国民も、また、行政も一緒になって考えていくのかは重要な問題で、大事な医療保険の資源もどのように使うのが一番いいのかということも、皆で真剣に考えていかなくてはいけない問題だと思っております。そういう中で、医療支援のワイズスペンディングをどのように考えていくのかというのは、このPPIが試金石ではないかと思っております。今後いろいろなものがいろいろなところで要望が出てくると思いますけれども、日本社会全体として、確かにいろいろな意味で新しいものが出てくると怖い面があるかもしれませんけれども、それをどう使いこなしていくのかということも含めて、ぜひ皆さんで御議論いただきたいと思います。また、諸外国では、特に中井課長から非常に指導を受けていますが、米国CDTMとかイギリスのPBPMとか、医師の指導下から自分で使用するという単純なシフトではなく、地域の医師や薬剤師の方々がいろいろな形で関与しながらプロトコルをつくり、全体としてのマネジメントをしていくやり方での安全使用を目指していくという考え方も諸外国では進んでおります。そういうことも考えながら、何とか我が国の医療が守れるように、こういうものをうまく使いながらやっていければありがたいなと思います。また、先ほどのガイドもいろいろ言っていただいてありがとうございます。これも宮川先生から大変御指導いただいて、こういったものをやるべきだと言われております。また、こういった、症状からレッドフラッグサインをどのように見つけて、薬剤師も指導するのか。また、一般の方々もよく知っておかないといけないのか、そういったことについても、我々も、ヘルスリテラシーを高めるという視点からも、こういったガイドの普及に取り組んでいきたいなと思ってございます。以上でございます。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。岩月委員、お願いします。
 
○岩月構成員
 私は、宮川先生から御指摘いただいた販売責任というのは本当に重く受け止めておりまして、今回、制度部会のほうでも第2類医薬品と3類が登録販売者と薬剤師が販売責任を持つ医薬品というカテゴライズをリカテゴライズされたわけですけれども、そういう意味で言いますと、要指導医薬品とか第1類医薬品は、薬剤師が販売責任を負う医薬品でありますので、当然、長期間にわたる、いわゆる連用については、薬剤師の責任範囲を超えることになりますから、それは私どもが売ってはいけないということだということも認識をしております。販売者、要するに、国家資格を持った人間が販売をするということは、違反をすれば当然行政処分の対象になるわけですから、そういったことを常に念頭に置いて薬剤師が店頭に立つということが大変重要だと思っていますから、宮川委員の御指摘は重く受け止めて、私どももそれをこれからいろいろな場面で実践をしていきたいと思っています。ありがとうございました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。宮川委員、どうぞ。
 
○宮川構成員
 短くお話をさせていただきます。先ほど、購入者とか使用者といった話をしたのですが、購入者の中に患者さん未満の方がいるわけです。ただ症状があって大きな病気ではなさそうだということで、OTCを購入する人と、患者さんとして病気を持っている人に対してどのように扱うのかが非常に重要と思いますが、今までの議論の中で使い分けられていないので混乱のではないでしょうか。だから、長期使用ということも含めてですけれども、病名がつくレベルの方と、その未満の方と、どのようにOTCというものを使い分けていくのか、それを考えることが日本の国民皆保険制度を含めた医療制度を守っていくことになるのではないかと考えています。薬剤師の先生方と、事業者の方々、そして医療関係者が、国民を守っていくという考え方の中で議論し、整理をし、言葉一つ一つも定義を考えながらやっていくことが重要ではないかなと思ったので、一言だけ付け加えさせていただきました。
 
○笠貫座長
 ありがとうございます。パブコメを行うに当たりまして方向性を整理させていただきたいと思います。2018年、当時は薬局ビジョンの前で、まだ、制度設計が不確定なところで、スイッチ化には全員合意が非常に大事だと思って進めさせていただきました。その中で、企業から10種申請されて、その中で9種類全員合意だったのですが、PPIだけは合意に至りませんでした。2020年、規制改革推進会議で、本検討会議では可否を決めないことになりました。本日の検討会議では、PPIの1成分を除く4成分に関しては、長期使用ではなくて短期使用でのOTC化することについて、皆さん合意の方向だったと思います。ここでは可否は取りませんが、皆さんの御意見は、ほぼ共通認識になったと思っています。この6年間の間で多くのことが進展したと強く感じました。まず、相談用ガイドやレジ・アラート・システムなど、販売側において、安全確保のためのOTC化推進に向けた進展がありました。新たに指摘された、乱用と長期使用の問題、レジ・アラート・システムの改善によって対応できるだろうと思います。短期使用だけではなくて、1回の販売個数等、より安全かつ有効な適正使用のための連携システムを検討していただきたいと思います。長期使用の問題については、科学的論争ではなく、現在の科学的エビデンスから生活者として受容可能なリスクを議論することです。私も現役のときには5種類の学会ガイドラインをつくりましたが、医療現場での標準的治療をどう決めるかについて、1年間、専門家が20~30人集まって議論を重ねました。本検討会議でのOTC化の議論は科学的論争までは必要ないと思います。そういうも踏まえて、OTC化の短期使用ということが議論されているのだと思います。今後、長期使用については、科学的進歩や社会的背景の変化とともに、OTC化の内容は変わることもあるかもしれませんが、そのときに議論することになると思います。この検討会議での2021年の中間とりまとめで、最も大事なことはステークホルダーの連携でした。そういう意味では2023年の販売制度に関する検討会が進み、医師・医療関係者、薬剤師・薬局関係者だけではなくて、医師との連携を基盤として、製造販売業者・販売業者との連携が非常に重要だということが改めて強調されたように思います。また、皆さんの御指摘の中で、消費者・生活者・国民のリテラシーが非常に大事だということも痛感しました。先ほどのステロイド剤の分類についても、乱用と長期使用の違いについても、国民のリテラシーとして持つべきだとの意見がありました。専門家にとっては当然のことでも、非専門家にとっては決してそうではなく、国民とともに大事な情報を共有することが必要だと思います。用量については、基本的に、科学的根拠が必要だろうと思いますし、先ほど新たにQRコードの話も出たように、添付文書も電子化されているというデジタル化社会において、どのように連携プレーを取っていくのかという制度設計が必要になってくるのだろうと思います。先ほど磯部委員からも出ましたが、国全体として皆保険制度、地域医療、地域包括ケアにおいて、国民あるいは患者を中心にした健康医療をどのように構築していくかという観点から、OTC化という課題は、この変革期の中で重要な位置づけになるのだろうと思います。本日は、重要なことをたくさん御指摘いただいたと思います。こういう方向性で、事務局におまとめいただくことにしたいと思います。インターネットについては、本日議論されていませんが、御意見がありましたらご連絡いただき、事務局で整理いただきたいと思います。よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、このエソメプラゾール他3成分については、検討会議として、パブリックコメントを実施することにしたいと思います。事務局で案をまとめ、構成員にも再度確認をしていただいた上で、手続を進めさせていただきたいと思います。
 本日の議題は以上でございますが、よろしいでしょうか。それでは、事務局のほうから、そのほかにありましたらよろしくお願いします。
 
○事務局
 事務局でございます。本日も長時間にわたり御議論いただきまして、ありがとうございました。次回の本検討会議につきましては、詳細が決まり次第御連絡をさせていただきます。御多用のところ恐縮でございますが、どうぞよろしくお願いいたします。事務局からは以上でございます。
 
○笠貫座長
 これで第27回「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」を終了させていただきます。どうも御協力、ありがとうございました。

 

照会先

厚生労働省 医薬局 医薬品審査管理課

03-5253-1111(内線 2737、4225)