2024年6月6日 令和6年度第3回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

日時

令和6年6月6日(木)10:00~12:30

田中田村町ビル 6E会議室
(東京都港区新橋2-12-15)

議題

(1)テーマごとの検討①(ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題に対応した安全かつ迅速な承認制度の確立)について
(2)テーマごとの検討④(少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直し)について

議事

○衣笠総務課長 定刻になりましたので、ただいまから、「令和6年度第3回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会については公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開をいたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明点等がありましたら適宜、事務局等がサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
 続いて資料の確認です。議事次第にお示しのとおり、資料1と2があります。Web参加の委員においては、事前にこれらの資料をメールにて送付しております。また、本日は提出資料も同様に御用意をしております。過不足がありましたら御連絡を頂ければと思います。
 最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせします。まず、会場にお越しになって、御参加いただいている委員においては挙手をしていただき、部会長から指名されましたら卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。また、オンラインで御参加いただいている委員においては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。また、御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラについては常時オンにしていただきますようお願いします。
 続いて、本日の出欠状況ですが出席17名、欠席4名ということで、御欠席は小野委員、合田委員、林委員、山本委員となっております。
 それでは、冒頭のカメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行を福井部会長、よろしくお願いいします。
○福井部会長 おはようございます。それでは、本日の議題1に入りたいと思います。本日は、長めの時間設定で2時間半ほど取って、2つの大きなテーマについて御議論いただきたいと思います。私が理解しているところでは、御意見を伺うのが目的で、本日何かを決めて、その次のステップに移るというわけではありませんので、いろいろな御意見を頂ければと思います。
 1つのテーマについて、事務局から20分ほど説明をしていただいた後、50分ぐらいの討論の時間を取りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初にテーマ①、「ドラッグロスや供給不足などの医薬品等へのアクセスの課題に対応した安全かつ迅速な承認制度の確立」について、事務局から説明をお願いします。
○中井医薬品審査管理課長 医薬品審査管理課長です。先ほど部会長からも一言ありましたが、本日は広く意見を頂きたいということですので、何かを決めるとか、そういうことではありません。その旨を申し添えます。
 それでは、テーマ①について御説明申し上げます。2ページが背景で、今回議論いただきたいところをまとめております。早速、中身に入らせていただきます。3ページです。小児用医薬品のドラッグロス解消に向けた制度的対応ということで、小児については御案内のとおり、治験実施が困難であるとか、市場規模が小さいことから、開発が進みにくいということです。そのため、欧米では成人の医薬品開発時に小児用医薬品の開発計画策定を義務付けるといった取組があります。
 これまで、我が国においては、特定用途医薬品指定制度、再審査期間の延長等、そういった優遇策を設けていましたが、先般の「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」において、成人用の医薬品の開発時に、任意で小児用の開発計画を策定し、PMDAの確認を受けられる仕組みを導入してはというご指摘をいただき、その様に対応して参りました。この検討会においては、様々な御意見があり、小児の開発を進めるためにも何らかのインセンティブが必要だという御意見もありました。その様な議論を経て、任意の計画の策定するということで、既に通知を発出しております。
 検討の方向性としては、左下に書いてありますが、任意の計画策定することについて、例えば法令上、努力義務として位置付けることについてどう考えるかを示しております。また、再審査期間についても、既に10年が設定されている場合については、これ以上の延長の余地がないわけですが、それについて上限を引き上げることとしてはどうかという論点を示させていただいています。
 それから、特定用途医薬品に係る制度の見直しということで、特定用途医薬品についての小児開発の支援となる特定用途医薬品指定制度ですが、用量追加や剤形追加といった申請区分のみならず、新有効成分等についても対象とすることとしてはどうかということです。併せて、再審査期間についても、現在は効能追加や剤形追加を前提として4年以上6年未満となっておりますが、申請区分に応じて再審査期間が設定されるよう見直してはどうかということを示しております。
 4ページです。これが先ほどのあり方検討会の議論についてまとめたものです。5ページが、特定用途医薬品指定制度の概要で、指定の考え方、運用についてまとめられたものです。6ページですが、医療上の必要性の高い医薬品への早期アクセスの確保ですけれども、現状でも医療上の必要性の高い重篤な疾患に対する医薬品については、検証的試験の結果を待たず、探索的試験、いわゆる第Ⅱ相試験までの試験において承認を行う制度が、日米欧において設けられております。
 しかしながら、日本のいわゆる条件付き承認制度というのが法的にも定められていますが、承認の取消し規定がなく、明らかな効果が確認できた探索的試験の結果に基づく場合や、検証的試験の実施途中である場合の適用を想定したものとなっております。そのため、米国のAccelerated Approvalや、EUのConditional Approvalに比べて承認件数が少ないという御指摘があります。そういったことを背景に、製薬業界やベンチャー企業、患者団体等により、その運用の拡大を求める声が今までありました。
 これについても、先ほどの薬事規制のあり方検討会において議論を行っていただいて、現行の条件付き承認制度について、適応要件を柔軟に解釈できるよう運用の見直しをすることなどの対応をすることとしていますが、併せて、制度的枠組みのあり方についても、別途検討を進めることという結論を頂いています。この検討会の中においては、先ほど申し上げたように運用を見直してどんどん進めるべきであるという意見、それから、一方では安全性について十分注意をして、対象を限定して進めるべきだという御意見もあったということを補足させていただきます。
 検討の方向性ですが、欧米と同様に、取消し規定を設けた上で、早期に承認するベネフィットが、検証的試験を行うためのリスクを上回るものに対して、臨床的有用性が合理的に予測可能な場合に、承認を与える制度を検討してはどうかということです。併せて、海外で承認済み等の医薬品について、国内では極めて患者数が少ない等の理由で臨床開発がなかなか行われていない医薬品について、輸入や患者申出療養などの手続が煩雑、そういった場合について迅速なアクセスを目指すために、米国のsingle patient INDを参考に、拡大治験を包括的に見直すといったことで、より簡略な仕組みを構築できないかということを論点に入れております。
 7ページです。先ほどの日米欧の早期承認に関する制度の比較をしております。日本は条件付き承認制度、米国、EUとそれぞれあります。下のほうに適用件数が書いてありますが、日本は5件ということで、欧米に比べてかなり少ないということです。右下のAccelerated Approvalについて、Withdrawということで12%が承認を取消ししていることを示しております。
 8ページが、日本の条件付き早期承認制度で、9ページが対象になった品目の一覧です。10ページが、米国で迅速承認を受けた品目のうち、日本で承認を受けた品目の例をまとめております。11ページが薬事検討会においての議論をまとめたもので、赤枠の所に今回、この部会において御議論いただくということで、法改正の要否も含め、併せて検討を進めるということをまとめております。12ページが、米国のSingle Patient Expanded Accessということで、それについてまとめております。基本的にはお医者さんからのリクエストがあって、真ん中の青い所に書いてあるのですが、FDAにおいて極めて短期間において判断される、治験の実施の可否の判断を長くとも5日以内ということになっております。右下のほうには、Accessの件数ということでまとめております。
 13ページは、リアルワールドデータを活用した薬事申請対応の充実強化です。背景としては、リアルワールドデータについての活用が期待されているということ、それから、これまでにも活用に関する基本的考え方等の様々な通知を発出してきたということです。また、令和5年度からは、リアルワールドデータ活用促進事業ということで、そういったレジストリを作っている医療機関を公募して、信頼性の確保に関するデータベースの整備、支援を行ってきております。
 検討の方向性です。左のほうですが、リアルワールドデータによる承認申請が可能であることの明確化ということで、現行の薬機法においては、承認申請においては、臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付とありますけれども、臨床試験の試験成績を添付することが前提とされていて、この点について、リアルワールドデータのみの臨床成績による承認申請も可能であることを法律上、明確化してはどうかというのが1つあります。それから、リアルワールドデータの信頼性に関する基準の新設ということで、今までも留意点を示してきたわけですが、GCP省令等と同様に、信頼性の基準を省令により定めることとしてはどうかという論点をまとめております。14ページがレジストリの薬事申請に関するガイドラインで、15ページは、リアルワールドデータの活用促進事業についてまとめております。
 16ページですが、医薬品等の供給不足を踏まえたアクセス改善に向けた制度の見直しです。背景としては、昨今、後発医薬品を中心として供給不安が指摘されているということで、2023年10月13日に開催された「第4回創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」においては、承認申請の一部変更申請の手続について、欧米と同様の中等度変更事項及び年次報告を試行的に導入することなどが了承されております。また、海外での薬局方適合品などについて、国内への輸入の際の手続の合理化を求める意見もあるということで、こういったことに加えて、更なる薬事制度上の対応の検討を求めるという意見があります。
 検討の方向性としては、海外代替品等の迅速な導入の仕組みということで、既承認医薬品の供給逼迫により医療上の著しい影響が生じる場合に、海外で流通している代替品について、その承認審査及び調査を優先かつ迅速に行うという規定を新たに設けることについてどう考えるか。それから、該当品目については、海外で流通している医薬品の包装のまま国内で流通できるように、一定期間の外国語表示を認める特例を設けてはどうかということ。さらに、日本薬局方の国際整合を進めつつ、その運用のあり方を含めて、制度的な対応を検討してはどうかということでまとめております。
 右に移って、中リスクの変更カテゴリの追加ということで、中等度の変更事項については、製造方法等に係る一部変更のうち、品質に与える影響が大きくないものについては、一定期間内の迅速な変更を可能とする仕組みを設けることとしてはどうか。併せて、年次報告の制度についても導入することとしてはどうかということをまとめております。
 17ページが、日米欧の変更管理の手続の概要で、ここに米国、EU、日本と並べております。日本は、一部変更承認申請と軽微変更届出というのがありますが、中リスクに対応するカテゴリがないこと、それから、いわゆる年次報告、Annual Reportのような仕組みがないことが、国際整合性において日本が足りない部分だということを示しております。18ページが、中程度変更に係るパイロット事業についてのイメージをまとめたもの、19ページが年次報告のイメージをまとめたものです。現時点ではまだスタートしたわけではありませんが、現在それに向けて準備を進めている段階です。
 続いて20ページですが、医薬品製造業における許可制度の見直しということで、背景としては、令和元年の薬機法改正において、サプライチェーンの過程にある保管のみを行う製造所等については、登録制としております。ただし、市場出荷判定直前の保管や、生物由来製品や放射性医薬品等の保管を行う製造所については、除外されているということです。その後、令和元年以降の実績や、国際整合の観点について踏まえて、これらについても認めるべきではないかという御意見を頂いています。それから、グローバルサプライチェーンにおいて、保管のみを行う製造所はかなり多くあり、その都度承認申請書に記載して、変更のたびに一部変更手続ということで、迅速な対応ができないという御指摘を頂いています。それから、製造所における製造管理者の要件について、原則として薬剤師を置くという規定がありますが、それについての見直しを求める意見があります。
 検討の方向性ですが、製造所の登録制度の拡大ということで、生物由来製品や放射性医薬品の保管のみを行う製造所についても登録制としてはどうか、海外製造所については、認定制ではなく登録制としてはどうか、承認書における製造方法において、保管のみを行う場合については、記載を不要としてはどうか。ただし、この場合においても、製品の移動に係る記録は適切に保管する必要があることを付しております。右に移って、製造管理者の要件の見直しということで、製造所における製造管理者について、薬剤師以外の者が担えるよう、要件の見直しを行うことについて、どのように考えるかということでまとめております。
 21ページが、保管のみを行う医薬品等の製造業者の登録制度について、令和元年の改正の概要をまとめております。22ページが製造管理者の要件ということで、薬機法第17条第5項に薬剤師を置くということが書いてあります。それから、23ページに、PIC/SというGMP関係の国際団体ですが、PIC/Sにおいて出荷判定の責任者であるQualified Personという資格要件がありますけれども、その資格要件についてまとめております。ここにいろいろ書いてありますが、こういった資格が必要だとされているということです。それから、24ページに、製造所における薬剤師の従事状況ということで、左の円グラフですが、製造所に在籍する薬剤師の人数、その方々の職位ということでまとめております。私からは以上です。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 それでは、引き続きまして25ページ目以降は監視指導・麻薬対策課が説明を申し上げます。
 25ページですが、GMPの適合性調査の見直しについてです。前回の薬機法改正、令和元年の改正において、国際整合性の観点からということですけれども、基準確認証の制度を導入しております。ここに改正前と改正後の比較をしておりますが、原則GMP調査は承認時、5年ごとのサイクルで承認品目ごとにGMP調査を行うという仕組みになっております。これに加えて区分適合性調査申請という仕組みを作りまして、いわゆる製造業者単位、品目単位というよりは、製造品目をまとめた製造業者単位での製造工程の確認という形の仕組みを導入しております。概念が分かりにくいので29ページを参考に御覧いただければと思いますが、原則は品目単位のGMP調査というものを申請時と定期で行っていて、上から下に縦切りの品目ごとの調査という形になるのですけれども、いわゆる横切りの製造所単位での区分適合性調査というものを受けていますと、品目単位の調査については基準確認証が有効な間については免除できる仕組みになっております。国際整合的には、このようなものが望ましいということで前回の改正時に導入しています。
 26ページ、27ページは製造工程区分ごとということになっていまして、例えば、無菌原薬や化成品の原薬、いわゆる生物製剤や放射性医薬品、生物由来製品といった品目のカテゴリごとに基準確認証というものを交付するような仕組みになっているものです。
28ページが今回の検討事項ということになります。1つ目は、より合理的なGMP調査体制の構築ということです。御案内のとおりですけれども、ここ数年、製造業者におけるGMPの不適合や法令不遵守といった部分の事案が多発している状況です。ここを何とかしていかなければならないというのは1つの課題になっています。現行のGMP適合性調査制度においては、全ての品目に対して書面又は実地の調査を行うことになっております。PMDAの例で言いますと、書面調査が87%というような状況でして、本来であれば実地調査に注力したいところではありますけれども、リスクの低い製造所や、本来、毎回行く必要がないような製造所に対しても書面調査を行わなければならないといった、リソース上の課題があるという状況がございます。
 現在、薬機法違反が増加している状況の中で、立入検査や実地調査をより重点的に拡充していきたいというところにリソースを集約・拡充したいというのが、我々規制当局側の願いであり望んでいるところでして、そういう意味ではもう少しGMP調査について、やり方について合理化ができないかというのが1つの考え方です。先ほど、基準確認証制度という、横切りの製造所単位での確認証ということで御説明を申し上げました前回導入の制度ですけれども、輸出用医薬品等は確認証制度の対象に含まれていないこともありまして、そこを改善するような御意見も頂いているところです。
 あとは、先ほど審査管理課から紹介がありました今後導入される中等度変更の承認申請におけるGMP調査をどうするかという課題もあります。そういった中で改正の方向性ですけれども、基本的に適合性調査については、新薬や後発品の新規品目を中心として実地調査を原則とするような調査運用にしたい。そのために、合理化するところは合理化をするということです。品目の定期GMP調査については、サイクルごとに製造業者の方に申告していただきまして、直近の調査状況や品目としての危険度、そういったものを集約してリスクが高い製造業者に対して集約的に実施します。
 先ほどの製造所単位での基準確認証制度ですけれども、輸出用医薬品に係る定期調査にも使えるような形にして、輸出証明等でも使えるようリソースの有効活用をしたいと考えております。また、審査管理課で御検討いただいている中等度の承認事項の変更、製造方法・規格及び試験方法については、変更前の製品と品質の同等性・同質性が確認できるものについては、施設単位での基準確認証が有効である範囲においては、個別のGMP調査を不要としてはどうかと提案させていただいております。
 続いて31ページです。国家検定制度の見直しです。これは第1回の審議会においても御紹介させていただきましたが、国家検定制度、ワクチン・血液製剤等については歴史的にこういう仕組みで、企業に対して、いわゆる品質試験のダブルチェックを国立感染症研究所等で行っているという状況ですけれども、企業の品質管理技術等も大幅に向上している、GMP等も関わっているという状況の中で、国の機関により重ねて実地試験を実施する必要性があるのかどうかというところが、これまでの議論でやってきたところです。
 そのような観点で書面の審査のみで検定が実施可能と考えられるという品目については、基本的に書面審査を中心とした国家検定に移行させる。それに合わせて、検定機関を現行の国立感染症研究所、今後はJIHSという組織になりますけれども、そこから順次PMDAに移管していくことを提案させていただきます。また、書面審査というものを中心とした検定方式に切り替えるということで、言ってみれば検体の抜き取りが必要なくなってくるわけですけれども、現行の法律上、検定という文言を使っているというのは実地検査を行うことが検定という言葉の意味ですので、書面のみの検定というものも可能となるような法律の文言の変更ということを検討しています。
 次に33ページです。もう1つの検定制度の見直しですが、検定用の試験品を現行では都道府県が抜き取りをするとか、いわゆる都道府県の経由事務が非常に多いということで、このような部分についても改善が要望されているという状況もあります。検定の合格について、かつて、昭和の時代は検定証紙という形で製品に紙を貼って封をしていたという状況ですが、現状は検定合格というものをラベルに表示をするというやり方に切り替えております。現行としてはもう既に不合格品が生じること自体まれな状況になっていまして、市場に出荷しているものは、当然検定に合格したものであるということが前提ですので、合格表示の確認作業自体が形骸化している状況も指摘をされています。検討の方向性は実地試験の実施体制の合理化ということで、試験品の採取等の都道府県経由事務については見直しを行いたいということで、具体的には次のページにありますが、基本的にはサンプルの抜き取り等の経由事務については、今後は、直接メーカーとの間でやっていただくような形に合理化をしたいと考えております。
 一方で、事業者が適切に検定に係る業務を実施されているかどうかということについてのチェックの観点では、PMDAのGMP調査等の監視体制を強化している中で、このような都道府県の事務の合理化を図っていこうと考えております。検定合格表示についても、形骸化している状況を鑑みまして、合格表示については廃止をする方向で、いわゆる合格品がきちんとWeb上で確認ができる状況を確保しながら対応しようということです。次は再生医療の関係です。
○高江医療機器審査管理課長 では、最後の(8)ですが、医療機器審査管理課長から御説明申し上げます。再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善ということで、背景・課題ですが、再生医療等製品は医薬品・医療機器と同様に、規格外品については、販売、授与が禁止とされております。一方、患者さんは、自家細胞を用いた再生医療等製品におきましては、患者さんの年齢や全身状態による影響で、含量や細胞増殖能が承認を受けた規格値を下回ってしまうということで、規格外品が発生してしまうことは避けられないところです。その一方、疾患の重篤性や患者さんの状態によっては、もう一度、患者さんから細胞を取って作るという再製造の治療機会の先延ばしがリスクになることもございます。このため、患者さんやお医者さんから規格外品であっても使用したいという強い要望がありまして、現在は治験の枠組を利用した治療が行われております。
 しかしながら、規格外品を用いた治療に備えた治験実施体制の整備が必要となってしまいます。また、通常の治療実施体制に加えた対応が必要になるということで、医療機関、製販業者双方の負担がかなり増えることと、治験の手続きのスケジュール変更がありまして、こちらも時間が掛かるということで、患者さんにも不利益が生じる可能性があるという御指摘がございます。
 方向性として、自家細胞を用いた再生医療等製品ですけれども、製品の安全性が確保されていることを大前提として、例えば患者さんの求めに応じたものであること。含量などが規格外であることにより推定されている効果の低下に比して疾患の重篤性や、患者の状態から治療を受ける機会の損失の影響が多大であること。また、医師が有用性を認めた提供であることなど、一定の要件を満たす場合に限り、いわゆる規格外品の販売・授与等を許容してはどうかと考えております。ただし、これは治療に用いられることになりますので、この場合は市販品と同様、製造販売後安全管理等が適切に行われることを条件とすることは必要だと考えております。
 最後のページは、背景・課題で申し上げたものを図式にしたものです。事務局からの資料1の説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。8項目についての説明をして頂きました。最初の5項目は中井医薬品審査管理課長から、6、7項目は佐藤監視指導・麻薬対策課長から、8項目目が高江医療機器審査管理課長から説明を頂きました。この議題に関しましては、北澤委員、合田委員からも資料として意見が出されております。このテーマは8つともかなり重いテーマですが、議論の時間が限られておりますので簡潔にお願いできればと思います。それでは伊藤委員が挙手をされておりますので、まず、御意見を伺いたいと思います。お願いします。
○伊藤委員 御説明ありがとうございました。資料1のページ番号に沿って意見、コメントを申し上げたいと思います。まず、15ページのリアルワールドデータの整備につきまして、これは北澤先生のコメントに私も同意いたします。いわゆる治験のデータとリアルワールドデータでは、そのサンプルの取り方にセレクションが働いているので、完全なRCTが成立しないという制約は十分に認識しているところですが、それをもちろん考慮しても、なおやはりリアルワールドデータの重要性が、だから駄目だということにはならないと思います。いずれにしてもその患者さんの、長期的な投薬の履歴とか、その後のアウトカムをきちんと評価していくためには、このレジストリデータというか、リアルワールドデータの整備は欠かせないことですので、これは法改正の中で、これをどう使うかどうかはまた別途、これ自体の重要性として議論いただきたいと考えております。
 次に、28ページのGMPの合理化についてですが、このリスクが高いものに対して調査を重点的に行うという考え方自体はすごく理解できるのですけれども、では、何をもってリスクを高いものと考えるか。これは薬品の性質による部分、それから製造事業者の体制による部分の両方あると思いますので、この辺りの基準が明確になって、自分たちがどこを目指して、どのような調査を受ければいいのかが、双方に明確であることが大事かと思います。
 それから質問が1点ございまして、35ページの検定制度に関して、34ページのような形で試験品の採取を経ない形での見直し案を提案されていますけれども、その場合の35ページ上の扱いというのは、例えば今、米国や欧州やカナダにおいて書かれているような方式とどのように違うのか。「行政」、「あり」とここに赤字で書かれている部分が、例えば最後が「なし」になるだけなのか、そのようなところをもう少し解説いただけると有り難いです。
 それから37ページの再生医療に関しては、私もこの規格外品を使っていく道を開くことに対して非常に賛成ですが、先ほどのリアルワールドデータと同じで、レジストリのデータの重要性は引き続き重要ということで、こちらも整備を進めていきたいというのと、規格外品を使うこともそうですが、規格外品が少なくなればなおよいと思いますし、更には再生先進医療とか患者申出療養の使い道がより拡大することも大事だと思いますので、これだけではない形で、その再生医療が広く必要な方に普及するような体制を考慮いただければと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。8つの項目一つ一つについて御意見を伺うということはしませんので、御発言されるときに言及される項目を明示していただけますようお願い致します。ただいまの御質問につき、35ページについて、佐藤課長からお願いします。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 伊藤委員、御質問を頂きましてありがとうございます。検定制度の部分で35ページについて、どういう形になるのかという御質問を頂きました。基本的には米国、欧州、カナダと日本の制度から近い形になるということで、試験品の採取につきましては企業が行う。検定の合格表示についても企業と言いますか、現状行政が実地で確認ということをやっていますが、これは「なし」という形になります。あとはその検定のために行政が実地で行う確認作業等ですけれども、直接的に行政が現地で確認をする形には今後はならない予定ではありますが、結果的にはGMPの立入り検査の機会に、そういう部分の適切性の部分を確認するということなので、ここは「あり」という形の対応になるのかなと考えているところです。
○伊藤委員 ありがとうございました。
○福井部会長 37ページの内容について、高江課長からお願いできますか。
○高江医療機器審査管理課長 伊藤委員、いろいろ御指摘ありがとうございます。正にこちら規格外品、作ることの方向性については賛成いただいているということで、いろいろな付随するその環境が、この規格外品に限らず、再生医療等製品をどのように広く普及させていくかという観点で、幅広い観点からの御意見かと思いますので、一度この法改正事項も含めて、更に検討のほうをさせていただければと思います。ありがとうございます。
○福井部会長 それではオンラインで北澤委員、お願いします。
○北澤委員 北澤です。13ページのリアルワールドデータの所で、今日は書面で意見を出させていただきました。必ずしも臨床試験の試験成績によらず、リアルワールドデータのみの臨床成績による承認申請も可能であることを法律上明確化してはどうか、と書いてあるのですけれども、私はリアルワールドデータを用いた観察研究がなし崩し的に新薬開発に使われ、結果として質の低いデータで承認されることにならないか危惧しています。今日の意見にも書いたのですが、リアルワールドデータを用いた研究デザインについては、今いろいろな工夫がなされているところであって、研究として行うのはいいですけれども、医薬品の申請や承認といった、国民全体に関わる重要な意思決定に使えるかというと、今のところはまだ疑問です。
 仮にリアルワールドデータを用いた観察研究のエビデンスによる申請を可能とするにしても、それはあくまでも例外であって、どのような場合にどんなリアルワールドデータを使って、どのような方法で研究をすればその例外になり得るのか、是非慎重に検討していただきたいと思います。
 それからもう1つ質問があるのですが、16ページの海外の代替品の導入に関して、導入の仕組みを考えたらどうかという御提案ですけれども、国内の承認されている医薬品が供給できた時点で、その海外代替品の導入というのはなくなるものなのでしょうか。導入の規定を作ると同時に、中止する規定も必要なのではないかと思って質問させていただきました。よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。中井課長、お願いします。
○中井医薬品審査管理課長 先ほどリアルワールドデータにつきましては伊藤先生からもお話いただきましたけれども、私どもとしましては、これがいきなりRCT(ランダマイズコントロールトライアル)が全て置き換わるということは今のところ想定しておりません。ただその一方で、これまでもありましたように、有効性・安全性をより補強するようなデータに使ったりとか、市販後安全対策においてシグナルを検出する場合とか、そういうことが幾つか今でも使われている実態があります。また適応拡大のときなどにも補強データとしてよく使ったりすることがあります。世界的にも、そういう議論がかなり進んでおりまして、各国そうしたことを議論されている段階です。我々の立場からするとそういうことについて日本も遅れないというか、むしろ日本は国民皆保険ですので、そういうデータをしっかり使えるような、補強して有効性・安全性をより強固にしていくという視点で、リアルワールドデータをより活用すべきだということで提案を申し上げたということです。
 それから2つ目の代替品について、これからまだ具体的にこのようにするということを言っているわけではないですけれども、御指摘のとおり、一旦その供給が非常に不足している場合のときに、その規定を念頭に想定しておりますので、これが仮に供給が完全によくなった場合については、特例を見直していくことが当然あり得ると考えております。
○福井部会長 ありがとうございます。花井委員、その後、村島委員、お願いいたします。花井委員どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。まず、11ページの条件付き承認の関係ですけれども、基本的な方向性としては、この条件付き承認制度を利用していく、発展していくというところに賛成しています。ただ、問題はいわゆる承認取消も含めた形のもの、すなわち具体的には、市販後にもう一回きちんと治験をするという条件を付与するのかしないのかとか、そこにも一定のグラデーションがあると思うのです。そこは少し慎重に検討していただいて、やはり安全性確保と、そして有効性は本当にあるのかを十分検討する必要があると思っています。本来、有効性が確認できないという感じになると、取り消すのが妥当だと思うのですけれども、それは日本の制度で可能かどうかを検討する。アメリカのEUAとの比較のときも議論になりましたけれども、1回承認されるとだらだらと市場に存在して、使えてしまうというところが非常に気になるところなので、効かないものは効かないという形になればいいと思います。
 あともう1つは、それを使用することに関して、現場として日本は全部承認になるので、承認した医薬品は使っているというだけで、実はその承認にグラデーションがあるということは、使い方の慎重さとか条件とか、いろいろな注意事項が増えるわけです。それが本当に現場で徹底しているかというのを非常に懸念しているところで、やはりそうした早期承認、若しくは条件付きで承認された医薬品が、適切に現場で使えるような情報提供や条件を守っているかどうかの確認みたいなことは、やはりこれは調査する必要があると思っています。
 それから11ページの最後の、患者の意見やアカデミアの意見を反映する仕組みですが、これは一応賛成ですけれども、実はそのアカデミアと言いましてもいろいろありまして、例えばいわゆる費用対効果などでも、企業側のアカデミアと当局側のアカデミアが出てきて、対立することがしばしばあることで、患者会もそうで、どちらかというといけいけどんどん患者会と、慎重患者会という側面、50万、500万などのCOI確認だけで大丈夫かという問題はあります。参加する専門家あるいは患者会の条件というのは慎重に検討しないと、全部企業を疑うわけではないですけれども、その応援団がそこに登場するということは十分考えられますので、そこはちょっと十分注意して、この制度を導入していただきたいです。
 それから37ページの再生医療等製品について、これはなぜこうなっているのかよく分からないですけれども、薬事でやる話であれば、多分その不完全な規格外のプロダクトについて、責任は国と企業が責任を負っていくという薬事の体制で使うということだと思うのですけれども、いずれにしても保険でカバーしない話になるということであれば、逆に言えば、医療行為で使うのだから再生医療等委員会、これは自家なので一般の委員会が通れば別に医療行為で使えるという立付けもあって、薬事でやるのか、そういうのでやるのかは少し論点があるのかなと思います。
 あとそれと気になるのは、薬事でやると医薬品副作用被害救済制度が使えるはずですけれども、治験だったら使えない、その補償関係とか保険になるのかとか、現状が混合診療になるのかとかそういうものが絡んだ制度設計問題になるかと思って、ちょっとそのお金の話と救済制度としてどうなるかとか、あと医療行為としてのいわゆる安全確保等との整合性はどうなのかというところを、もう少し御説明いただかないと、この制度は何を検討しているのか分からないというか、一定程度の基準を満たせば安全性確認という条件が付いたものについては承認規格内と同じように扱えますと、薬規法で規定して、それで企業責任と国の安全監視の体制に乗るというのであれば、それは分かりやすいですけれども、どうもこれを見るとそうとも書いてはないですよね。中途半端な形で使うようになっていて、その責任の所在とか、さっき言った財政とか救済制度との関係がちょっと分かりにくいので、それの詳しい御説明があったらいいかなと思います。よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。何か加えることはありますか。
○中井医薬品審査管理課長 花井先生から条件付き承認制度についての運用についての御意見を頂きました。またこの今回の提案については、もちろんまだ決まったわけでもございませんし、ただ先生からの御指摘は、こういうことがある場合には運用をしっかり、安全性をきちんと見ろという御指摘だというように思います。それについては全くそのとおりだと思います。
 それから現場への情報提供をしっかり考えるべきだということも、そのとおりだと思います。また、患者の意見を入れるということについて、恐らく検討会の資料の中に入っていて、11ページの一番下の所だと思いますけれども、まだ、今日はこの議論ではありませんけれども、御指摘のとおり、こういった場合について、COIはしっかり見るということについての御指摘は最もだと考えております。
○福井部会長 高江課長、付け加えることはありますか。
○高江医療機器審査管理課長 花井委員、御指摘ありがとうございます。確かにちょっとまだ被害救済、また、再生医療安確法との関係について、今後明確に整理させていただきながら、またお示しできればと考えております。ただ、この御提案の中では、保険に関しては、これは保険を払わないという形で考えているところです。
○福井部会長 ありがとうございます。村島委員どうぞ。
○村島委員 私からの質問は、中井課長が大体お答えになっていらしたのですが、15ページのリアルワールドデータ活用促進事業についての確認です。この活用はいろいろな意味で、よいことだとは思うのですけれども、実際、新規薬剤の申請には使えないと思いながらお聞きしていました。例えば臨床現場で未承認の薬剤を使っているとか、あと55年通知で使っているとか、そういう薬剤を前提にすればリアルワールドデータを使えるのかなと、例えば今でしたら、必要性の高い未承認薬の検討会に出てくるような薬剤の承認時に活用するのだろうなということが、中井課長のお答えで理解できました。
 もう1つ、再審査にも使えるのならとてもいいことだと思ったのですが、この私の理解でよろしいのかの確認です。さらに、いろいろな学会が疾患レジストリやってはいるのですが、こういう目的で使うということが、学会等に浸透しているのかどうか、有効に使うためには、お互いに同じ目標をもって進んだほうがいいのではないかというのが私の意見です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。中井課長からお願いします。
○中井医薬品審査管理課長 村島先生、どうもありがとうございます。御指摘のとおり、それに限ったわけではないですけれども、適応拡大はそれだけでできるのかどうかというのは別問題でありまして、ただ、少なくとも補強できるデータには十分なり得ると理解しておりますので、そういう趣旨で利活用について、これから議論をしていくべきだというように、先生の御専門の妊婦についてもやはりこういうことを十分議論していかなければいけないと思いますし、妊婦への薬物投与についても十分議論をしていくべきだと思っています。
 それから疾患レジストリについては、御指摘のとおり、学会とそういった話は具体的には進んでいるわけではありませんけれども、そのような周知というのはこれからも図っていきたいと思っています。
○福井部会長 ありがとうございました。会場の委員からお願いします。森委員どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。幾つか意見と質問をさせていただきたいと思います。まず、3ページ目の、小児用医薬品のドラッグロスの解消に向けた制度的対応で、先ほど事務局からも開発が進みにくいという話がありました。対象患者数の問題や小児の中でも幅広い年齢が対象となること、それから同意取得など小児特有の課題や採算性の問題などがあって開発が進みにくいと言われています。また、ドラッグロス解消はもちろんですが、現在、用法・用量等に最善の注意を払い成人用医薬品を小児に使用しています。また、小児が飲めるように薬局では製剤学的な知見に基づいて製剤工夫等をしています。小児に適切な用法・用量を設定するための開発や、小児用剤形の開発を進めるべきと考えています。そうしたことから、対応の方向性に関して異論はありませんが、事務局に質問なのですけれども、海外では小児用医薬品の開発の策定を義務付ける等となっていますけれども、この「等」は、ほかにどのようなものがあるのかを教えていただきたいということ。
 それと今回、開発の計画策定については努力義務となっていますけれども、ここは最初から、海外のように義務化は難しかったのか質問したいと思います。
 それから6ページ目の、医療上の必要性の高い医薬品への早期アクセスの確保についてです。医療上の必要性の高い医薬品への早期アクセスの確保は特に重要と考えています。ただし、あくまでも安全性の確保が前提で、安全性について確認できていること、その上で臨床的有用性が予測可能な場合とすべきと考えます。また、提案されているように、承認を維持することが適切ではないことが判明した場合には、速やかに承認を取り消すことを可能とする規定は必要と考えます。また、未知の重篤なリスクが出たときには迅速な対応ができるようにすることが必要と考えます。
 16ページ目の(4)医薬品等の供給不足を踏まえたアクセス改善に向けた制度の見直しの所です。医薬品の安定供給に支障を来しており、先が見えない状況が続いています。アクセスの向上に向けた制度の見直しは必要と考えます。検討の方向性(案)の中の、海外の代替品等の迅速な導入の仕組みですけれども、仕組みを整備することには賛成ですが審査等への影響を踏まえると、あくまでも供給逼迫により著しい影響が生じる場合や医薬品とすべきと考えます。緊急そして迅速ということから、包装等については一定の特例を認めることは理解しますけれども、あくまでもこの制度自体が期限付きであるべきであるということが前提で、国民医療現場が混乱しないような対応をお願いしたいと思っています。そのような医薬品を薬局で使用するときには、患者が不安にならないような丁寧な対応をしていきたいと思います。また、日本薬局方の国際整合については、これは以前から指摘されていると思うのですけれども、この機会に整理すべきところはすべきと考えます。あくまでも日本独自のもので必要なもの、重要なものに関してはしっかり残すべきと考えます。
 20ページの、医薬品製造業における許可制度の見直し、製造管理者の要件の見直しの所ですけれども、製造業の製造管理者は製品の出荷に責任を持つ非常に重要な者であると理解しています。後発医薬品企業の不祥事、何社も行政処分が続いていること、そして先発後発問わず度重なる製品の回収、医薬品の安定供給に大きな支障を来している中、今なぜこの要件の見直しをするのか理解ができません。先日のヒアリングで、近年、抗体やペプチド、核酸、遺伝子治療、治療のモダリティーの多様化に伴い、という御発言がありましたけれども、逆にそういう時代だからこそ、前回、三澤委員からも発言がありましたように、製造管理者として必要なことを正式な大学のカリキュラムで学び、そしてそうした能力があることを国家試験で担保されているのが薬剤師であるので、原則として薬剤師とすべきと考えます。
 あと最後、25ページの、適合性調査(GMP)の見直しの所ですけれども、ここは適正に行われているかどうかをきちんとチェックすること、それが担保できるような仕組みを是非お願いしたいと思います。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。
○中井医薬品審査管理課長 冒頭のところで質問を頂きました、海外で義務付ける等の、「等」というのは何かですが、そのほかにも日本でもありますけれども、この開発のインセンティブ、いわゆる財政や支援も含めてのインセンティブというと、そういったことは幾つかあるということです。
 それから義務化は難しかったのかという御指摘を頂きました。これについては、薬事のあり方検討会におきまして、いきなり我が国において義務付けしてしまうと、ドラッグロスの問題が大きくて、そもそも成人の開発が遅延、遅れるのではないかと、ロスにするのではないかという御指摘もありまして、今回、まずは任意でということを制度として立ち上げたということです。
○福井部会長 森委員どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。まずは任意でということで、努力義務ということですけれども、これは実効性をもってしっかりと策定が進むようにお願いしたいと考えます。
 薬事の視点ではないのですけれども、こういう開発の計画策定等を行って、医薬品に積極的に開発を行っている企業に関しては、何らかの評価をすることも考えていかなければいけないと思います。以上です。
○福井部会長 努力義務というのはどの程度、何か、義務の部分が本当にあるのかどうなのかはいかがですか。
○中井医薬品審査管理課長 努力義務ということですが、これは何もしなかった場合に、すぐ罰則があるかというとそんなことは全くないわけでありまして、正に努力義務ということでありますが、ただ、今は通知でこういう任意の制度を設けていますが、法的にもやはり努力義務というのを明確にするということで、その辺のインパクトはあるのではないかとは考えています。
○福井部会長 山口委員どうぞ。
○山口委員 私も今の、なぜ義務にならなかったのかなというところが気になって、同じことを質問しようと思っていたのですけれども、今のお話を伺って、例えば、薬を作るときに、これがやはり子供さんにも薬があったほうがいいものと、余りその必要がないものがあると思うのです。例えば、小児にも必要な薬であれば、より望ましいというか、すべきであるみたいなそういう規定は作ることはできないでしょうか。
○中井医薬品審査管理課長 それは今後の議論ではありますけれども、まずは成人を企業としては作るということが前提ですが、最初が一番市場が大きいですので。その後、小児のものを徐々に開発していくというのはよくあることで、そちらのほうからまず、任意の計画を策定していただきまして、今回は薬価上の優遇も入っておりますし、それで進めるということをまず我々としては考えたいと思います。
○山口委員 子供さんの医薬品はなかなか開発されないので、特にそういう薬についてはできるだけというようなことにしていただけたらなと思います。
 それ以外のところで、今回出てきている内容は、やはり細かい議論はこれからあるとしても、おおむね今まで問題だったところを改善するとか、時代の流れに応じて変えていくということだと思いますので、前向きに進めていただけたらいいかなと思います。特に20ページの製造所の登録制度の拡大とか、31ページの国家検定制度、こういうものも時代の変化に、特に、国家検定制度は不合格品がほとんどないということですので、この辺りは変えていく必要があるかと思います。
 先ほど花井委員がおっしゃった、再生医療の規格外品、一定の要件を満たせばということですけれども、これは前回のヒアリングのときにお聞きしたのか、その後の話でお聞きしたのかちょっと私、曖昧ですけれども、費用については発生しないと、規格外の場合はお金を頂かずに提供をしているとおっしゃっていましたので、それをそのまま踏襲するということでよろしいでしょうか。
○高江医療機器審査管理課長 今、山口委員がおっしゃっているとおりで、前回、参考人の方から御説明いただいて、その形でこの制度設計のほうを進めていければと考えております。
○福井部会長 ありがとうございました。ほかに、いかがでしょうか。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 慶應薬学部の三澤です。医薬品の製造管理者の要件、22ページぐらいからの所で前回も発言をさせていただきましたけれども。24ページのデータをちょっと細かく見ていきますと、左側の、医薬品製造業において、薬剤師として従事しているのが職位が高い人ばかりではないということは見て取れると思います。右側の所で、施設・業務の種別の届出薬剤師総数の推移の所ですが、黄色いラインの所ですが、ほぼ3%ぐらいでありました。2006年に薬学部は4年制から6年制になり、2012年に最初の卒業生が出ましたが、その後、6年制になったことで急激に変わったかというと実はそうではなく、ずっと3%台をずっと維持してきました。確かにここ数年、2020年ぐらいからちょっと減ってきているなというのが見て取れるなと思います。一方、主に薬局に勤務する薬剤師、また、診療所・病院に勤務する薬剤師は増えていると思います。
 右下の図を見ると、一番目立つ青いラインは薬局に勤務する薬剤師ですけれども、これは、確かに2019年ぐらいから増えており、これが非常に目立ちます。一方、もともとの数は少ないのですが、深い青のラインで示される医薬品製造業については、実はそんなに変わっていないということが見て取れ、これが、2019年は同じくらいで、2020年からちょっと減り始めて、ここ2020年、2021年、2022年で、ある程度減ってきているというように示されています。私が言いたいのは、これは最近の変化なので、これが一般的なものではなく、私はコロナによる影響もあるのではないのかと考えていて、この製造業における薬剤師数の推移というのは、もうちょっと慎重に見定めてから全体の状況を議論したほうがいいと思います。これがコロナによる影響であったら、ひょっとしたらまた元に戻ってくるかもしれないなと、そのように考えました。
 その上で、23ページのQualified Personの資格要件は、ヨーロッパのものを書いてあると思いますけれども、薬剤師以外の資格として、どういうものを認めたらいいのか、その要件はどうあるべきかというのは、十分に時間を掛けて、慎重に検討をしたほうがいいのではないかと思うのが私の意見の1つです。
 もう1つはワクチンの国家検定についてですが、全体的な方向は反対するものではないのですけれども、この変更によって、都道府県の機能、現在何という名前で今呼んでいるか私は分かりませんが、昔で言うと、衛生研究所、都道府県の検査機能を担っているような、都道府県単位で維持しているサイエンスというか、こういうワクチンなり、感染症なり、いろいろな行政機関の機能が維持されるのか。国として、中央で確かなものが1つあってそれで回して行こうとする、それも1つの考え方ですけれど、やはりある程度、いろいろな機能が地方に分散されているというところも日本の強みであったと思うのですけれども、これで、中央集権にすることによって何か変化があるのか、ないのかというのはちょっと気になります。以上です。
○福井部会長 薬剤師のことについては御意見を伺ったということで、2つ目の国家検定については佐藤課長から。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 御質問ありがとうございます。国家検定の関係で都道府県の機能ということなのですが、実はワクチンですとか、血液製剤という、その国家検定の対象になっている品目については、製造業の許可も実は大臣許可、国の許可になっていて、かつGMP調査の実施主体も都道府県ではなくて、国のほう、PMDAが行っているということになっており、もとからワクチンや血液製剤といった一般の医薬品と違うものについては、より高度な製造管理が必要ということで、国の権限で行っているというような状況になっており、現行制度では、申し訳ないのですが、都道府県の薬事監視委員の方には手足となって、言ってみれば、立入りを見ていただいたり、抜き取りのサンプルを送付していただいたりといった機能を負っているということですので、この件において言えば、特段、都道府県の技術的な集約というものを、今回の改正というものが阻害するというよりは、むしろ、その業務の効率化、合理化に貢献していくものというように考えているところです。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほか、先に、茂松委員からお願いします。
○茂松委員 日本医師会の茂松です。私がちょっと気になるのは、「再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善」という所ですが、再生医療等製品というのは、本当に種々いろいろなものがあるかと思います。それにもかかわらず、一様に規格外品を使っていいというような方向だとしたら、これは問題ではないかと思っております。やはり、その患者さんのそれぞれの症例や重篤性、状態に合わせて、満たすべき要件が慎重に考えられていくべきです。一括してこれを認めるというのは、いかがなものかと思います。。もう1つはGMP制度の改正についてですが、GMP違反に端を発した後発医薬品の供給不安が現在も続いている中で、今、どうして見直しをしないといけないのか、現状の課題解決のために適切かつ必要な見直しであるのか、これは本当に疑問に思うところです。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。高江課長からお願いします。
○高江医療機器審査管理課長 茂松委員、御指摘ありがとうございます。当然、一括で何でもOKという形ですと、何のための規格だということになりますので、今回、例示として様々な条件を挙げさせていただいておりますが、今の御指摘も踏まえた上で、きちんと条件のほうを設定させていただいた上で、また御議論のほうを頂ければと思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。供給について、何か御意見はありますか。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 1点だけ、製造管理者の部分で指摘を頂いたと思うのですけれども、確かに、現状、製造業者さんの薬機法違反が非常に多くなっている。この処分を繰り返すことによって、皆様に供給不安を与えていくということなのですが、やはり、薬機法違反を起こしている部分というのは、正に、製造管理、品質管理が適切に行われていないといった現場の実態というものを反映しているということであろうと思っています。そのことをもって、薬剤師さんを中心としてやっておられる製造、いわゆる管理者の方が適切に機能していないというように申し上げるつもりはないのですが、実際、先ほどの資料の24ページにありますが、ちょっと我々が懸念している部分というのは、製造業者に対するアンケート結果というものの中で、製造管理者、職位という所があります。これは、製造管理者は、今、一意に薬剤師でなければなれないという状況になっているのですが、この一般社員、係長、課長クラスということで、本来、製造管理者というのは、物の品質に責任を持って対処しなければいけない方たちであるにもかかわらず、やはり、この低い職位の方が相当数いらっしゃるというのは、本当に現状というのは、製造品質管理というものに影響を与えていないのか、社内の指揮系統を含めて、本当に大丈夫なのだろうかというところが我々の懸念している点で、薬剤師さんがしっかりと機能を発揮していただけるということであればいいのですけれども、そういう中で、企業からも御要望を頂いているというところで、こういう検討に至っているという認識です。
○茂松委員 ありがとうございます。今の現場を見ても、それも1つの要因だろうと思いますが、ほかに大きな要因があるのではないかと私は思っております。その部分を国のほうで対応できるところは、頑張って早めに調整をしていただければと思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員から。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。薬の開発環境が変わって、より少ない患者集団を対象にした新薬が増えているという認識です。今までと同じ承認方法やプロセスのままでは、患者数の少ない集団での薬剤でラグやロスが広がり、新薬の開発が難しくなることが問題点だと思っています。こうした事態を避けるために、まず1点、メーカーに小児用薬剤の開発計画を努力義務とする所ですけれども、私もこれを拝見して、義務ではないのか、義務にはできないのかと思ったところです。義務の制度を持っている欧米でも、必ずしも完全な義務にはなっていないようですので、努力義務をいかに義務に近づけていくか、実効性を上げていくかという方向で考えていただきたいと思います。
 もう1つは、条件付き承認制度に取消規定を設ける所です。取消規定を設けることには賛成なのですが、資料が何となく条件付き承認の数を増やすのが目的なのかと読まれかねないのは残念なところです。患者数が少ないなど、いろいろな理由で今までと同じようなRCTが難しく、効果や安全性の評価ができない薬剤についても、いかに効果や安全性を測る手法を高めていくか、どのように大規模RCTに代替する手段を持っていくかというのが大事なところだと思います。
 その点から考えると、そういった分野でリアルワールドデータを使うことは有効だと思っています。どのデータを抽出してどう使うかというのは、まだ確立されていないところですし、データの信頼性に直結するので、標準的な手法を作っていくことは不可決だとは思いますが、リアルワールドデータを使って、限られたフィールド、つまりRCTが難しい分野で、コントロール群を作るような手法を、承認申請で使用可能にしていくことには賛成です。言うまでもないかとは思いますが、承認審査のときには、リアルワールドデータの使い方についても審査がされるものと思います。それから、承認後にも、より大集団で検証できるように、リアルワールドデータを継続して長期に使えるようにデータ整備を検討していただきたいです。
 それから16ページ、日本は相対的に市場としての魅力が薄れてきているので、日本独自のやり方を続けていくのはデメリットが生じるとの認識です。平時の課題としては、日米欧の3極で、共通の制度を作っていくことが企業の負担軽減にもアクセスの改善にもなると考えています。
 非常時の後発品の代替使用については、臨時、急変に対応するものなので限定的に行うことに賛成です。例外的な対応が漫然と続くことのないようにしてください。
 再生医療等製品の規格外品のコンパッショネートユース的な取扱いについては、前回、質問もさせていただきましたが、無料だとおっしゃられたことは大変力強く感じました。例外的な取扱いですので、これによって、本来するべき製造管理の工程が甘くなることのない制度設計をしてください。以上です。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか、何かコメントはありますか。それでは、先に川上委員、お願いします。
○川上委員 川上です。2点あります。まず、1点目は確認させていただきたいことです。16ページの(4)、医薬品の供給不足が指摘されており、多角的な観点で対応を検討する必要があると背景の最初の所に記されています。海外品の迅速な導入や製造方法の一部変更に関しての検討の方向性はどちらも賛同いたしますが、これらのみならず、多角的観点という中には、例えば供給状況・供給不安状況の報告や安定供給の責任者を置くようなことを法的にもまだ考えなくてはいけないと思うのですが、こういうことについては、大きなテーマがこの部会で4つ挙がっていると思いますが、今回の大きなテーマの1番よりかは、2番目のテーマの中で検討されていく予定なのかどうかということを教えてください。
 2点目には、先ほど来、議論になっている20ページの(5)、製造管理者の要件についてです。私自身も、薬剤師以外の者が担えるように見直すことには余り賛成できない立場です。先ほど、社内の職位に関する御説明を頂きましたが、大変恐縮ですが、法令要件としての資格者を雇用して、社員として高い職位に就くように育成していくことは、通常、事業者の中での一般的な努力によるものではないかと思います。確かに資料の中では、薬剤師で製造業への就職者数が減っていることをお示しいただいていますが、24ページで製造業の2つ下の大学でも、半分くらいに減ってきています。医療現場においても、薬剤師の極端な不足と偏在に関して、厚生労働省から偏在指標も出されていて、特に病院薬剤師に関しては確保が喫緊の課題との議論されている中で、薬剤師不足は製造業だけの問題ではないのではないかと思います。製造や品質の問題に端を発した供給不足が生じている中で、薬学教育の中で薬機法や倫理、あるいは薬が使える現場のことを学んでいない、ただ社内で職位が高いだけの人を責任者にすることに、むしろ我々は不安を覚えるので、現状の供給不足がきちんと解消をした後に、法令の要件は5年ごとに見直す機会もありますので、今回ではないタイミングでもよろしいのではないかなと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。最初の点について、中井課長から。
○中井医薬品審査管理課長 供給不安の関係について、供給関係の責任者のお話でありましたけれども、これについてはここではなくて、医政局のほうで後発品の安定供給ということで議論をやっており、ここでの議論というよりは、むしろ医政局のほうの議論でやっているという理解でおります。
○川上委員 すみません。そうすると、薬機法の改正で対応するようなテーマではないということなのでしょうか。
○中井医薬品審査管理課長 今回、薬機法の改正でやれるところもあると思いますが、医政局のほうでも別途議論は行っておりまして、それも踏まえて、我々としてはどういう対策を全体的に講じるかということだと感じています
○福井部会長 ありがとうございます。中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島です。28ページの適合性調査制度の見直しの所なのですが、査察のリソースが限られる中で、メリハリを付けて調査を行うことについては賛同をいたします。リスクに応じて調査を強化する、免除する部分がありますが、リスク評価の方法など具体的な運用方法については、各都道府県の意見や状況も考慮した上で、通知等でお示しいただきたいと思います。よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか、配慮していただく方向で。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 リスクの評価について御意見を頂きました。ありがとうございます。こういったものは今、産業界と研究班等でリスクの評価のあり方をどうすべきかなと検討をしているところで、こういう検討については、都道府県の査察を担っている方々とも共有しながら対応をしていきたいと思いますので、引き続き御協力をお願いしたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。久芳委員、どうぞ。
○久芳委員 医機連の久芳です。医療機器産業界の立場で幾つか意見をお伝えしたいと思います。まず、6ページの(2)の早期承認制度ということで、医薬品について示していただいているというように認識しております。医療機器あるいは体外診断用医薬品についても同様の制度を準備していただいておりますが、こちらも医薬品と同様に、必ずしも利用が進んでいないというのが実態だと認識しております。そういう意味も含めて、方向性は同じかなというように思っておりますので、是非、議論をお願いしたいと考えております。
 13ページの(3)、リアルワールドデータの利活用ということで方向性が示されております。これについては、我々産業界としても、もちろん方向性に賛同するものです。その上で、この信頼性を確保していくという観点は重要だという点にももちろん同意するわけですが、実際にこの利活用が進んでいかないと、ある意味、制度改正をしても意味がないということになってしまいますので、運用に向けての議論に当たっては、是非、産業界としても、意見をお伝えする場を引き続き作っていただきたいとお願いしたいと思っております。
 16ページの(4)、医薬品等へのアクセスの改善という観点で示していただいております。医療機器についても、やはり安定供給の確保という観点で、部材の変更あるいは製造所の変更といったところで医薬品とは少し違う観点での変更が必要になってくると思っております。この点についても別途、御相談、議論をさせていただきたいと思っております。
 20ページの(5)、製造業における製造管理者の要件の見直しということについてです。直接的には同じものではないのですが、医療機器産業界からの提言書の中でも示しましたように、生物由来製品の保管だけをする製造所といったような場合について、製造管理者の要件をより実務に必要なものに見直すことも必要ではないかという点についても是非検討をお願いしたいと思っております。
 最後、25ページに(6)として、GMPに関して示していただいております。医療機器のほうで言うとQMSということになりますが、こちらも方向性としては同じだと思っております。医療機器のQMSについては、既に、製品群ごとの調査ということで、制度の改善をしていただいておりますが、今回の提案と同じように、製品群をさらに拡大させるような見直しや、最終的には製造所単位での調査を目指すような方向性についても検討すべきではないかと考えております。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。何か、高江課長から。
○高江医療機器審査管理課長 久芳委員、御指摘ありがとうございます。今、たくさんお話を頂きましたが、確かに、御要望を頂いていて、まだこちらで検討しきれていない部分、御要望を頂いている中ではありますし、そういったものもまた引き続きこちらで検討の上、この部会の場に御提示できればと考えております。以上です。
○福井部会長 はい。では、佐藤課長から。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課の佐藤です。QMS制度についても御提案を頂きました。医薬品と医療機器では、かなりQMSとGMPの違いというものも、特に医療機器においては関連する施設がすごく多い、医薬品のように、画一的に製造工程、例えば医薬品包装、のようなくくりにならないような実態もあって、設計段階まで含めると、かなり多岐にわたる品質管理をどういう形で管理していくかということも、やはりQMSの課題です。そういう意味で今、製品ごとという考え方で、QMSについては運用をさせていただいているところです。
 ただ、御指摘のように、QMSの製品群ももう少し広げたほうが合理的なのか、この業務の改善という部分、制度的な運用の改善という部分については我々も業界の皆さんとも真摯に協議をしているところで、引き続き、この制度がいい形で運用できるように、法改正自身の話ではないかもしれませんけれども、運用改善に努めてまいりたいと思っております。
○福井部会長 ありがとうございます。恐縮ですけれども、議題1については時間のこともあり、最後に、オンラインで山家委員から御発言をお願いします。
○山家委員 よろしくお願いします。私のほうからは3点、まず、3ページの小児用医薬品の件なのですけれども、ほかの委員の皆様がおっしゃっていたのと近いことですが、私も、小児の部分では、特に、品目のみならず剤形や用量、本当に大いに遅れているというような部分は非常に困っている患者会が多いというような認識でおります。それに伴い、主に賛同させていただきたいところではあるのですが、今後、努力義務の部分で、先ほど、なるべくそれでメーカーの意識が変わるというようなお話がありましたが、もう少し強くしていただけると有り難いなと感じております。是非お願いしたいところです。
 2点目、20ページの部分で、(5)の医薬品製造業における許可制度の見直しの部分、許可制度に関してなのですが、これは医薬品メーカーとしての責任の所在、若しくは職位の関係と薬剤師というお話を伺っていて感じた部分ですけれども、薬剤師に限らず、基本的には企業としての理念や要件、管理者としての要件というのが非常に大事になってくると考えており、そのときの薬剤師としての職能だけではなく、むしろ薬剤師に限らず、その時点できちんとした要件を担保しているということを基本的には確保するべきなのではないかというように感じております。
 それから、34ページの国家検定制度の見直しに関しては、技術の向上に伴って、大分、現行の制度とは変わってきているというように聞いておりますので、これに関しては大いに賛成させていただきたいと考えております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、中濱委員、簡潔にお願いします。
○中濱委員 まずは品質問題が起きていること、それから、安定供給の問題が起きていることを業界として改めておわび申し上げます。
 本日、製造管理者に関して、いろいろ御意見を頂きました。業界としても、薬剤師を基本とすることに変わりはないと思っております。また、薬剤師という要件、すなわちそういった技術的知識に加えて、実務経験、それから、薬機法でも求められている品質問題に関して、責任役員等にもきちんと意見を言える立場が必要と考えております。今、それができていないことについて、本当に、企業としてはもっと育成に取り組まなければならないと思っております。
 一方で、このような実情もあり、製造所で製造しているものに対する適切な技術知識を持っている、例えば、バイオでしたら発酵工学、原薬の製造工場ならプロセス化学といった専門の技術を持っている者にも範囲を広げていただき、かつ実務経験で縛るということも御検討いただきたいと思っております。この点の詳細な要件、また、時期等について御協議いただければと存じます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、次の議題に移ります。議題2「少子高齢化やデジタル化の進展等に対応した薬局・医薬品販売制度の見直しについて」です。今回も、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人に御出席いただいております。それでは、説明を事務局からお願いいたします。
○大原薬事企画官 それでは、資料2に基づきまして、テーマ④について説明させていただきます。1ページ目です。このテーマ④ですが、薬局・薬剤師の機能、それからこの医薬品販売制度が含まれている所です。薬局機能については、現在、薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会で検討を進めております。一方で、この医薬品販売制度については、医薬品の販売制度に関する検討会において議論を進めさせていただきまして、本年1月に取りまとめを行いました。本日はこの販売制度の所、下の赤枠で囲ってある部分について議論を頂きたいと考えております。
 2ページ目は、医薬品の販売制度に関する検討会で検討された事項です。この医薬品の販売制度に関する検討会では、医薬品の販売区分や販売方法、それからデジタル技術を活用した販売でのあり方について、昨年、令和5年2月から開催させていただいて、計11回の議論を経まして、令和6年1月に取りまとめを公表させていただきました。
 全体の概要としては、大きく、ここに書いてある1ポツから5ポツまでの報告となっておりますが、次のページ以降に具体的な説明という形でまとめております。こちらについては、本年2月の本部会でも紹介させていただいておりまして、重複となりますが改めて説明をさせていただきます。
 3ページ目で、検討の進め方についてですが、まず、本制度部会での検討をお願いしたい部分については、基本的には、この販売制度に関する検討会の取りまとめをベースに、具体的な検討を進めていってはどうかと考えております。ただし、後ろに掲載しておりますが、本部会で特に検討すべき事項ということで、この販売の検討会や、前回の本部会で実施いたしましたヒアリング等において、様々な意見がありましたので、そういったところについて、本部会において議論を深めていきたいと考えております。
 では、それぞれのテーマについて見ていきたいと思います。4ページ目で、まず、1.処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売についてです。医療用医薬品は、医師の処方や指示に基づいて医療の中で使用されることを前提に承認されている医薬品です。処方箋医薬品は法律でその旨の記載、規定等がされておりますが、この医療用医薬品の中でも、それ以外の医薬品については通知での規定となっておりまして、通知ではOTCによる対応を考慮した上で、なお、やむを得ない事情があるような場合については、適正な使用のために必要な量を薬局で販売されているといった状況です。
 一方で、近年、この「やむを得ない場合」というところの解釈、拡大解釈によるかと思いますが、医療機関でもらえる薬が処方箋なしで買えますといった広告や、そういったところを大々的に実施して販売しているような薬局も出てきております。行政指導は行うものの、これが法律上明確に禁止されていないことを理由に、改善しないケースも見受けられるといった状況です。
 こうしたことを踏まえまして、今般、この医療用医薬品について、処方箋に基づく販売を基本とした上で、リスクに応じて、処方箋医薬品、旧処方箋医薬品でない部分の医薬品については、法令上例外的にこの「やむを得ない場合」に薬局での販売を認めるとともに、やむを得ないとする具体的な場合や要件というものを明確化するといったことを考えております。
 次に5ページ目、2.濫用等のおそれのある医薬品の販売についてです。昨今の若年者を中心に、一般用医薬品の濫用が拡大傾向にあります。そうしたことを踏まえて、現状も規制というものはありますが、この見直しについて検討を行ったところです。適正使用の徹底という観点から、濫用に関わる情報提供の義務付けや、特に問題となっている若年者が複数個・大容量を購入するような場合に、頻回購入の防止のために本人確認や記録、それから対面またはオンラインでの販売、更には外箱の注意喚起の表示や、直接手に取れない場所への陳列といった対応案が規定されております。
 次のページで、本部会で特に検討すべき事項①として論点を挙げさせていただいております。(1)として、若年者への対応について、全般的な部分ですが、検討会の取りまとめでは濫用のリスクが高い20歳未満の者に対して、小容量の製品1個の販売のみとするとか、対面又はオンラインで対応する、それから販売状況の記録の保管、記録を参照した販売をするといったことを行うこととしております。
 この取りまとめの中でも、いろいろに併記されている部分もありますし、前回、御意見を頂いた部分もあるかと思いますが、幾つかの論点について、その下に書かせていただいております。まず、年齢の部分については、取りまとめの中でも書かれていますが、濫用の実態を鑑みるに、20代もリスクが高いので年齢を区切る必要はないといったような意見、またはそういった観点から対面又はオンラインでの対応は、購入者の年齢を問わず求めるべきではないかといった御意見もあるかと思います。一方で、民法上の成人年齢である18歳にすべきではないかといった御意見もあります。こういった年齢につきまして御議論いただきたいというところが1つ。
 それから、インターネット販売については、昨今、新型コロナ等で広く普及してきているデジタル技術ということで、過度な負担がなく、このオンラインでの対応ができるのではないかと考えて、こういったオンラインでの対応ということを求めるといった形となっておりますが、一方で、例えば、本人認承済のアカウントを利用するなどで購入履歴等の把握を行うことによって、現状のテキストのみのやり取りでのインターネット販売で、販売可能とすべきではないかといった御意見もありますし、前回の意見陳述でもありましたが、現状のテキストベースのやり取りのみのインターネット販売を禁止するというのは、ビデオ通話を導入する負担が大きいということで、反対するといった御意見もございます。
 また、全体的な大枠の御意見として、こういった過度な負担を事業者や資格者に強いて対応しようとしても、実効性が担保されなければ有効な施策にならないので、こういった実態を把握した上で、有効なタイミングで実効性のある対策をといった御意見も頂いております。これが1つ目の論点です。
 2つ目の論点が7ページ目で、(2)商品の陳列についてです。検討会の取りまとめでは、情報提供の徹底や不適正な医薬品入手の防止のため、直接購入者の手の届く場所に陳列しないとするといったことを書かせていただいております。一方で論点としては、こういった手に届かない所の陳列については、多分、大型店舗ということもあるかと思いますが、品目数が多い場合に、なかなか現実的ではないといったところがあります。そういったことで薬剤師等が販売コーナーやレジ等で、適切に販売に関与して情報提供や声掛けの実効性を高めることで対応したいといった意見もあります。取りまとめにおいても同様に、そういった意見、売場面積のところの御意見がありましたし、あとは濫用されている特定の製品・品目について、きめ細やかな対応を検討することが重要であるといった御意見もありました。
 8ページ目は、(3)販売記録についてです。こちらについての検討会の取りまとめでは、頻回購入の防止のために、若者が購入する場合に、法的な身分証明書を確実に確認できる方法で確認して、過去の購入履歴を参照して頻回購入でないかを確認する。そして、この記録保管を求めるといったところ。それから、中長期的なところですが、複数店舗での重複購入というのを防止するために、マイナンバーカードを活用する可能性について検討すべきであるといったことも、検討会の取りまとめでは頂いております。
 ここに関する論点としては、20歳未満・複数購入の場合だけでなく、全ての購入について記録を参照した販売を義務化すべきといった御意見もあれば、この販売記録の作成については、この販売方法(対面・オンライン・テキストベースのやり取りのみのインターネット販売)、それぞれで要否の差を設けるべきではないといった御意見も頂いております。
 また、この販売時の販売記録の保管、それから、これによる頻回購入の防止効果というのは限定的ということ、それから、こういった記録の保管システム導入に多額の投資が必要である。また、個人情報の管理という部分でなかなか実現性が難しいのではないかといった御意見。その代わりとして、薬剤師等が適切に販売に関与して、若年者等に対して法的な身分証明書の提示を求めて確認することで、抑止力というところでの心理的な抵抗を与えることで対応したいといったような御意見を頂いております。
 次の項目ですが、3.要指導医薬品についてです。要指導医薬品ですが、現在対面販売が義務付けられておりますが、近年のデジタル技術の革進・発展なども踏まえまして、医療用でのオンライン服薬指導が可能となっておりますので、こういったオンラインでの服薬指導というところについて、要指導医薬品についても、薬剤師の判断に基づいて、オンライン服薬指導の導入を可能とするといった案も示させていただいております。ただし、医薬品の特性に応じて、オンラインではなくて対面での販売を行うようなことが適切な品目もあるかと思いますので、こういったオンラインによる情報提供のみで販売可能な対象から、一部除外できるものも残すべきではないかといったところもございます。
 また、現在、要指導医薬品ですが、毒薬・劇薬以外は一定期間経過すると、一般用医薬品に移行する仕組みとなっております。一般用医薬品、すべからくネット販売可能となりますので、医薬品の特性によっては、こういった一般用医薬品に移行せず、要指導医薬品にとどめることが必要ではないかといったこともありますので、そういった要指導医薬品にとどめることも可能にする枠を設けるといった改正も、併せて行いたいと考えております。
 次のページで、論点としては、オンライン服薬指導から除外する要指導医薬品を設けるべきではないといった御意見があります。プライバシー保護の観点からオンライン服薬指導の後で、対面で販売をするといったオプションも認められるべきではないかといった御意見を頂いております。また、一般用医薬品に移行しない要指導医薬品については、合理的根拠なく追加できる制度にすることは反対といった御意見を頂いております。
 次に11ページ、4.医薬品の分類と販売方法についてです。一般用医薬品は、現状ではそのリスクに基づきまして3分類に区分をされております。もともと2類と3類の間には、過去にはネット販売の可否の違いがありました。現状は一般用医薬品全てネット販売も可能となっております。
 この2類と3類ですが、情報提供の努力義務に差はあるものの、2類の情報提供の努力義務というところが、内容が不分明というところもありますし、十分に実施されていないという実態もあります。一方で販売時の関与についてですが、現状、資格者の販売の関与の義務というのが全ての区分に課せられております。ただ、この関与の実施内容が明確でないというところもありますので、現場任せという部分もあり、実施されていない店舗というのもあるという状況です。
 こうした現状を踏まえまして、この一般用医薬品の規制、より分かりやすく実効性のある形に見直しを検討したものでございます。右側にありますが、販売区分を薬剤師が販売するものと登録販売者でも販売できるものとして、大きくこの2区分として、販売時の関与の内容というものを明確化した上で、情報提供については薬剤師のみが販売できる一般用医薬品は引き続き義務とする一方で、それ以外の区分については、専門家が関与した際に、必要に応じて情報提供の必要性を判断して実施することを明確化するということを考えております。
 その上で、さらに専門家の関与が必要ないものについては、医薬部外品への移行も検討するといった形としておりまして、専門家が関与した際に、必要に応じて行われる情報提供という部分については、以前の資料では、この「情報提供」の所に書かせていただいておりましたが、明確化の観点から、この1つ上の義務へ、資料上の記載場所としては「販売の実施(関与)」の所に場所を移動させていただいております。
 ここでの論点は12ページ目です。こちらについては、第2類・第3類医薬品の統合・変更については、慎重な義論をお願いしたいといった御意見や、この区分をなくすことには反対といった御意見、また、この関与の違いによる影響というものを調べるべきではないかといった御意見を頂いております。
 次は13ページで、5.デジタル技術を活用した医薬品の販売についてです。現行制度では、医薬品の販売においては、店舗での資格者の常駐を求めております。規制改革実施計画、それからデジタル推進の会議によって、販売店舗と設備及び薬剤師等がそれぞれ異なる場所に所在することを可能とする制度設計の是非について検討することとされておりました。
 さらに、近年、情報通信技術等も進展していることから、こうした技術を使って、店舗の遠隔管理の妥当性を検討したといったところです。その結果、薬剤師等の資格者が常駐しない店舗において、この店舗にひも付いた薬局等における遠隔での管理の下で、医薬品を受渡店舗において保管し、購入者への受渡しを可能とするといったことです。
 業務のイメージとしては、フロー図を右下にお示ししております。管理店舗の資格者が対応して、遠隔にて購入者とやり取りをして、購入を決定した製品について、受渡店舗での払出しを可能とするというものです。この販売及び販売に関する責任は管理店舗が原則として有することとなりますが、受渡店舗も医薬品を扱うことになりますので、同様の許可を必要とする整理としております。
 このフロー図については、技術的な検証が必要なところもありますので、今後細かいところについては実証により検討を実施していく予定です。例えば、この有資格者……この有資格者が何店舗まで管理できるか、こういった一連のフローの中でどういったスペックの技術を用いるのか、どういった仕組みでやるのかといったことについては、検討を引き続き進めていく予定です。また、管理店舗と受渡店舗ですが、監視指導の円滑な連携が必要になりますので、この円滑化の観点から、当面の間は同一都道府県内で行うということとしております。
 論点としては14ページです。こちらについては、デジタル技術を活用する上で、この受渡店舗は管理店舗と同一都道府県に限ることは合理性がないといった御意見を頂いております。こちらについては、まず制度導入後は同一都道府県内としまして、この制度導入後の検証を踏まえて課題等の検証の上、より広範囲での連携について検討をしていくといった形とさせていただいております。全体としては以上です。
○福井部会長 ありがとうございました。それでは、御意見を伺いたいと思います。山口委員からお願いします。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。私は、医薬品の販売制度に関する検討会の構成員として議論に加わってまいりました。
 まず、4ページの処方箋医薬品以外の医薬品の販売です。検討会のときに零売薬局の方がヒアリングに出てこられて、処方箋なしの医薬品を主として販売されている。いろいろなお話を伺うと非常に危険だと、副作用のおそれのあるものも販売ということで、一般の方の利便性を追求するようなことを中心にされているので、非常に危険だと思いました。ですので、今回出てきている「やむを得ない場合」に例外的に限定して、認める方向性に是非ともしていく必要があるのではないかと思っています。
 次の濫用の所です。そもそも、医薬品は危ないものなので販売に規制を掛けているのだと思います。ということは、アクセスに制限を掛けることで安全性を確保しているので、言い換えれば、こういう医薬に関する議論に関わっていて、不便にすることが安全につながるのではないかというふうに非常に感じます。危険なものだからこそ、利便性の追求では駄目だということを基本に考えていかないといけないのではないかと思って、これまでも発言してまいりました。
 濫用に関しては、私は取りまとめの所と意見がほぼ同じなのですが、それと異なることで言うと、6ページにある年齢をどうするかということです。アルコールも20歳以上になっている観点からすると、そこは統一する必要があるのではないかと思います。一方で、濫用のリスクの高いものは、20、30代の方も中毒があることを考えると、年齢に限らず、対面又はオンラインが基本ではないかと思います。
 それから、陳列のこともいろいろ議論になっていますが、今、スーパーと一緒になっているような薬局が増えてきている中で、例えば、食品や日用品と一般用医薬品をレジで一緒にお支払いするような所があるわけです。少なくともレジのラインは別にしないといけないのではないか。医薬品は医薬品のレジで支払いをすることによって、薬剤師等がきちんと対応することを確保できるのではないかと思いますので、そういうこともプラスして検討する必要があるのではないかと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。それではオンラインで、まず伊藤委員から、その次に花井委員、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。まず、資料2の3ページです。先ほどの山口さんも参加された1月の検討会で取りまとめていることは、同じ議論は繰り返さないと理解してよいのでしょうか。後継の本部会で特に検討すべき事項というふうにこの資料の中に書いてある部分を、この部会では中心に扱うと理解してよいのかという確認です。
 その後、資料に基づいてコメントします。まず、10ページです。取りまとめの方向性と異なる御意見を持っている1人として、ここは特に議論すべきだというふうに解釈されているということで、あえて申します。オンライン指導の対象から除外する要指導医薬品を設けるべきではないという意見を持っております。オンラインでの服薬指導を認めたものをもとに戻す、つまり逆行するような根拠は基本的にはないと思います。ここでも書いてあるとおり、店頭服薬指導、店頭服用、オンライン服薬指導、店頭服用いずれも認められるべきというふうに考えております。
 同じく、12ページです。ここにも取りまとめの方向性と異なる意見を持っております。まず、質問としては、第2類・第3類の医薬品の統合・変更は、どのような重大な課題があり議論の俎上に上ったのかということを、いろいろ資料を見ていたところなのですが、具体的に腑に落ちない部分もあり、改めて、なぜ統合する重要性が高いのかを確認させていただければと思います。
 その点に関して、21ページの図が分かりやすいかと思います。改正後は、第3類の一部分は医薬部外品になる一方で、第3類の点線の左側の部分は旧第2類相当になるということで、一部分は規制を緩和、一部分はある程度規制を強めることになるわけです。これは、どのような根拠で緩和したり強くしたりすることが妥当なのかについて、まだ余り議論が尽くされていないように思います。その辺りについて、現時点でのお考えがあれば伺いたいと思います。
 それから、14ページも同じ趣旨です。取りまとめの方向性と異なる意見を持っております。店舗の管理が面倒であるということが基本的な論拠となっていて、同一都道府県内のみしかオンライン展開ができないということです。そもそも、オンラインが可能と言っておいて、事実上、骨抜きにしているような所だとも考えられます。
 これに関しては、先月31日に規制改革推進会議で答申を出しております。地理的範囲に限る、同一都道府県内に限るということは合理性がないという指摘がなされております。
 今回25ページ以降でしょうか。詳しい濫用の製品に関する情報を資料として添付していただいています。特に、濫用のおそれがある製品名について具体的に知ることができました。例えば、26ページの頻回購入、複数個購入の商品名、それから27ページ、そのような頻回購入が多いものの中に、有害の可能性がある成分が含まれているのかについて、資料を御提示いただいたことは大変有り難く、今後の議論の参考になるかと思います。前回も、こういうデータやファクトがないと議論ができないということでしたので、大変有り難く思っております。
 その上で論点としては、結局、濫用のおそれがある医薬品はすごく限られていることを踏まえると、是非、リスクの高いものに対して重点的にコントロールすることによって、販売の円滑さと濫用の防止の両立をうまく図ることが大事かと思います。これが意見の1つです。
 もう1つは、ここではインターネット販売が濫用につながるとは書かれていませんので、インターネット販売が悪いということではなく、あくまで、皆さんも御存じのように、一般に宣伝されているような一部分の医薬品が非常に問題になっていることを、冷静に観察することが大事です。例えば、まず、ここに挙がっているような医薬品をコントロールしてみるとどうなるか、着手してもよろしいのではないかというふうに思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。検討会の取りまとめについて。
○大原薬事企画官 各種コメントありがとうございます。一つ一つお答えさせていただきます。まず、3ページです。御指摘のとおり、基本的には検討会で取りまとめたところをベースに御議論いただきたいということです。一方で、先ほども申し上げましたが、検討会の取りまとめの中でも両論併記されている部分もございますし、本部会においても意見陳述の中で意見を頂いたところですので、そうした部分について、論点として議論を深めていただきたいということです。
 10ページです。オンライン服薬指導の対象から除外するという部分で、オンラインプラス店頭服用の部分について御意見を頂いたかと思います。こちらについては一番上のポツを御確認いただきたいのですが、オンラインでの情報提供のみにより販売可能の対象から除外できるとなっております。例えば、オンラインで服薬指導をしておいて、店頭で対面販売するというオプションまでは否定していないかと思います。ただ、実際に店頭において対面でやるときには、それなりのお話等をされるかと思いますので、二度手間になる可能性はあるかもしれませんが、そういうやり方について否定されているところではないというところは申し添えます。
 12ページです。なぜ統合するのかという部分です。こちらについては、販売制度の検討会においては、購入者が医薬品のリスク、それから、薬剤師等による情報提供の必要性について理解しやすく、販売者側も規制内容を明確に認識した上で、遵守可能な分かりやすい販売区分にする必要があるという観点から議論されたところです。区分の意義が薄くなってきている2類、3類に対して、区分を維持する必要性がないというところで、不要な複雑化を避けるために、この区分を廃止するという案を出させていただいています。
 14ページです。同一都道府県に限る必要はないというところに関する御意見だったと考えております。先般の規制改革でも、この制度は、まず、都道府県で実施した上で、制度導入後の2年を目途に検証を行って、より広範囲の連携を検討する形になっております。基本的には、この検討会の取りまとめの範囲は超えていないかと思いますが、その辺りについては事後の検証をしっかりやった上でというところです。
 そもそも、デジタル技術を活用する上で、県境についての御議論という部分で同一都道府県としているのは、実際に監視を行う観点を主な要因としているところです。この制度自体はまだ実施したことがないので、まず、一定以上の安全が確保される範囲で制度を導入することが必要です。
 こういうまだやったことがないことについて、薬事監視を行う都道府県、それから、保健所の設置市等の薬事当局においても初めてのことですので、監視の方法や連携の方法についても、新たに構築していく必要があります。まず、連携構築が複雑化することを避けるために同一都道府県内で検証を行って、実態を考慮した上で見直しの検討を行っていく案とさせていただいております。
 最後に、25ページ以降について、商品名についての御意見を頂いたかと思います。製品名でこういう濫用が行われている部分があるかと思います。製品によっては同じ成分が入っているものがほかにもありますので、製品だけに制限を掛けたとしても別の所にいってしまう部分もあるかと思います。こういう成分で指定したものに対してやっていくことが現状です。全体としては以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。いずれにしても、また議論を続けていただければと思います。それでは、花井委員、どうぞ。
○花井委員 ありがとうございます。先ほど山口委員が発言されていたように、2006年改正のときに登販制度を作って専門家の関与が決められたわけです。そのときもOTCにスイッチすることに慎重であったということと、当時のIT技術が今ほどではなかったことを踏まえたのが、この1類、2類、3類と承知しています。
 IT技術が変わった現在においては、当時の環境とは相当違うものがある。私の考えでは、IT技術の進捗、それから、医薬品は今OTC化できるものは、なるべくスイッチして保険療養から外していくのが必要だということで、反対意見もあるかと思いますが、そういう環境に変わった中で考えるならば、現在の2類、3類の統合は賛成です。
 実は私は、先ほど山口委員がおっしゃったように、動線をちゃんと分けて専門家が関与する体制で売るのであれば、1類も廃止して構わないのではないかと。先ほども言ったように、要指導医薬品を残す形が一番シンプルだと考えています。
 これは賛成されない方も居るので特に強くこうしろとは言いませんが、正に、動線を変えて専門家がちゃんと関与する形で、今はチョコレートも薬も同じようなきれいな箱でパッケージされています。一緒のかごで、しかも、違法行為という専門家が関与していない場合も存在しているので、取り締まられていないわけですから、やはり、2006年改正の理念が崩壊していることを真摯に受け止めて、今回、専門家の関与を徹底した形でOTCを扱ってほしいのが、私の意見です。
 これについては業界の協力が要ると思いますが、やはり、薬も何もかも一緒にレジで買うのをやめない限り、幾らいろいろ言っても駄目だと思っていますので、そこを検討していただきたい。また、そうであるならば1類も要らないのではないかという話も、もしかしたら、検討いただけたらと思います。以上です。
○福井部会長 少しハウリングして聞きにくい所があり恐縮です。よろしいでしょうか。それでは、北澤委員、どうぞ。
○北澤委員 北澤です。ありがとうございます。5ページの濫用を防ぐためにどういうようなことをやっていけばいいかということで、いろいろ方策が書いてあります。素朴な疑問ですが、医薬品の外側に注意喚起を表示するというふうに書いてありますが、これは特定の濫用を起こしやすいものに限るのか、全ての医薬品を対象にするのかどちらでしょうか。
 仮に、濫用のおそれのある成分を含む医薬品に表示を限定すると、これを飲んだら濫用できるというような、濫用したい人はそれを目的に薬を買うことがあると思うので、かえって逆効果ではないかと思いました。その点についてお尋ねします。
○福井部会長 いかがでしょうか。
○大原薬事企画官 御指摘の点はごもっともです。やはり、そういう御意見もあることは承知しております。どういう記載ぶりがいいかは、また別途検討が必要であるかと思います。また、全ての医薬品ではなく、濫用のおそれのある医薬品に対して、どういう表示をするのかというものです。
○福井部会長 ありがとうございます。会場からいかがでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 検討会のときに、外箱に表示するのは海外でそういうふうにされている例があり、大人が子供に対して保管する場所などをそれで注意喚起しているというようなお話が出てきましたので、それが反映されて書かれているのではないかと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。まず、先ほど山口委員が言われましたが、そもそも医薬品は規制されているもので誰もが扱えるわけではなく、どこでも扱えるわけではありません。そもそも制限されているものです。アクセスが何のために制限されているのかを忘れてはいけないと思っています。前回、ヒアリングで意見させていただきましたので、今日は全てをお話しするわけではなく、ポイントを絞ってお話しさせていただきます。
 まず、4ページの処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売についてです。いわゆる零売は緊急時に医療へのアクセスを確保しつつ、医薬品のアクセスを確保するための必要な行為で、極めて重要なことだと思っています。私が薬剤師になってから、それほど回数が多くないですが、零売で助かった経験をしております。問題は一部の薬局の売り方が悪いことなので、これは検討会の取りまとめに従って適正な売り方、買えるようにすることをお願いしたい。
 もう1つは広告の問題で、医療機関に受診しないで医療用医薬品が手に入るというものなどがあり、これは論外です。薬事法で承認された以外の使い方も横行していますのでやめていただくこと。もう1つ、最近気になっていることは、よくGLP-1ダイエットと広告していることを目にします。今後、このようなことも考えていくべきではないかと思っております。これが1点目です。
 それから、濫用等のおそれのある医薬品の販売についていろいろ意見を申し上げましたので、幾つか簡潔に申します。対面又はオンラインとするという所で、テキストのみでのインターネット販売についてですが、そもそも、濫用等のおそれのある医薬品に関しては、販売時の啓発や声掛けが非常に重要になってきます。購入者と専門家の間の円滑な意思疎通の点から、対面又はオンラインでの販売にすべきだと考えます。
 現在のインターネット販売はテキストベースですが、ネットに入っていくと回答はチェック式の確認事項となっていて、例えば、他の薬局で購入していませんか、適正使用を目的としていますか、添付文書を読みましたかという定型的なことで、個別の状況の確認を十分に行うような形にはなっていないと思いますので、濫用等のおそれのある医薬品に関しては、対面又はオンラインとすべきと考えています。
 陳列に関しては何回も出ていますのであえて言いませんが、何のために陳列場所を購入者の手の届かないところにするのか、考えて対応していただきたいと思っております。
 9ページの要指導医薬品です。医療用医薬品でオンライン服薬指導が可能とされていることから、要指導医薬品に関しても実施可能とすることはそのとおりでいいと思います。ただ、オンラインでの服薬指導が難しいと判断したときには、当然、対面に切り替える必要があるのではないかと思います。
 また、現状、緊急避妊薬が対象となると思いますが、対面での情報提供、適正使用のために必要な事項の確認等を行うことが必要なものは、オンラインの対象から除外するようなことも必要だと思っております。
 要指導医薬品に関しては、3年経過すると一般用医薬品へ移行してしまうことが、スイッチ化が進まない要因になっておりますので、そういう意味では、医薬品の特性に応じて一般用医薬品へ移行しない制度とすることには賛成しております。
 先ほど11ページの医薬品の分類と販売方法について事務局からありましたが、分かりやすい制度とすること、専門家の管理のあり方の明確化、実効性のあるものとするために、この提案で適当ではないかと考えております。
 最後のデジタル技術を活用した医薬品の販売についてです。あくまでも、遠隔管理に当たっては、高度なデジタル技術が開発され、確実に人、もの、設備、業務等が管理できることが確認されていることを前提として進めていくべきではないかと思っております。その上で、仮にこのようなことが行えるようになったときには、責任の明確化と、購入者への最終的な責任は管理店舗が負うべきだと考えます。
 距離的な制限と受渡店舗数についてどうするのかが議論になっています。遠隔管理を認めることは制度を大きく変えることになります。最初から複数の店舗ありき、複数の都道府県にまたがる実施は考えられないと思っています。何か新しいことを始めるときには、一気に進めないで少しずつ進めていくものだと考えています。まして医療に関すること、国民の健康に関することなので、これはより慎重に進めていくことだと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。先に山家委員から挙手があるものですから、オンラインでどうぞ。
○山家委員 申し訳ありません。私から、8ページの濫用のおそれのある医薬品の販売記録についてです。こちらはやはり濫用ということを考えますと20歳か、18歳かということはもちろんあるのですが、それ以前に、本来的には全年齢のものの記録が必要ではないかと考えます。
 17ページの注に、「身体への影響を鑑み」というような記載ございます。やはり身体の影響、家族や住所などの部分も含めて考えますと、将来的にはマイナンバー制度のような何らかの一元管理の仕組みということを、今の時点から視野に含める必要があるのではないかと考えます。
 もう1点、14ページの実施地域についてです。先ほども話題にのぼっておりましたが、今の時点では都道府県で管理することの必要性は同意いたしますが、将来的に地域のアクセスというようなところを鑑みると、実施後に一定期間結果が出た段階で地域の見直しということを、アクセスが悪い地域を含めて見直す必要があるのではないかと考えます。以上でございます。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 ありがとうございます。日本医師会の茂松でございます。今回は医薬品の販売制度ということで、それについての意見が多く寄せられております。濫用のおそれのある医薬品を若者が買うというのは、これは、何も純粋に濫用がしたいわけではなくて、その社会的な背景のことがあるわけですね。これをどう受けとめてあげるかというのは、我々が一番考えないといけないと思います。売り方も重要ですが、売り方がどうのこうのだけではないと思うのですよ。確かに販売方法も非常に大事なことなのですが、この濫用をする方たちが本当に何で困って濫用してしまっているかということを拾い上げること、これが一番重要なことです。それについての議論ももう少しいろいろなところでしていただいて、どうしたらいいかを考えていただく。これをフィードバックして、いろいろなところから解決策を紹介しながら広めていかないといけないことだろうと思います。
 もう1つは、今は日本でOTCが非常に広がってまいりましたが、日本で一般の方への薬に対する教育というのはほとんどなされてきていません。医薬品というのは使い方によって薬にも毒にもなることを教育の中でほとんどされてきてない、そういうヘルスリテラシーがない中で、こういう中で新しいOTCの薬が出てくると皆勘違いすることもあり、そこのところをどう考えるかということも、やはりしっかり議論をしていかないといけないとは思います。売り方の課題や問題などはいろいろ出てくるでしょうけれども、一般の方へのリスクはできるだけ最小限にすることが重要です。ただ、その人の背景に何があるかを聞き出して対応できるという状態・体制を、我々がきちんと作っていかねばならない。どういう売り方ができないから問題だという発言も散見されますが、そういう問題ではないと思うのです。問題の全体をやはり我々はしっかりと議論しないといけないと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、お願いします。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。ありがとうございます。まず、濫用等のおそれのある医薬品の販売についてです。この取りまとめの方向性に賛成です。年齢も、たばこ同様に20歳にすることでよろしいかと思います。特に大事なのは、陳列についてだと考えています。レジの後ろなどに置くことで、「あの薬が欲しいんです。」と言ったときに、「何歳ですか、何か証明書を持っていますか。」と、購入者と販売者のファーストタッチができることが重要だと思うので、レイアウト変更などによりレジの後ろに置く形にすることが重要だと思います。
 実現可能性のためには、ある程度品目数を限ることは必要だと思っていて、成分名で考えますと、品数がかなりたくさんになるかと思いますが、ある成分のものを全部置く必要は多分薬局側にもないと思いますので、一定程度リスクの高いものに絞って背後に置くという形にすることで、ファーストタッチを確実にすることが重要ではないかと思います。品目を絞った場合に、次々に薬が変わっていく可能性はありますので、そこについては少し柔軟な対応が必要になるかと思います。濫用等のおそれのある医薬品については、以上です。
 要指導医薬品についてです。医療用医薬品は既にオンライン服薬指導が可能になっておりますので、要指導医薬品でも可能にすることに賛成です。対面機能が確実に果たせるようにお願いします。私はオンラインだから駄目だとは思いません。オンラインでも、双方向、リアルタイムの対面機能をきちんと果たせるようにすることが大事ですので、事業者さんには、そこが実現できることを示していただきたいと思います。ただし、例えば1錠の個包装で販売して、その場で服薬確認をしていただくような薬剤は例外的に、リアルの服薬指導が必要だと思います。これらはオンラインの画面越しでは難しい例外的な薬剤と考えています。
 これまで、医療用医薬品のOTC化を検討してきたのですが、その中で最終的に対面機能が果たせなくなる、という理由で、OTC化できなかったものが複数ありました。対面機能がオンラインでも、実店舗でもきちんと果たせるようになると、OTC化できる医療用医薬品がありますので、要指導医薬品にとどめるというカテゴリは作っていただきたいと思います。お願いします。以上です。
○福井部会長 ありがとうございました。
○森参考人 部会長、私参考人として参加させていただいたのですけれども、実際我々が90%以上販売しているわけです。その中の意見を検討会で伝えることができていないので、私は参加をさせていただいています。ですから、是非現場の話を聞いていただきたいと思うのですよ。前回も話しましたけども、是非、時間がないので、部会長から私のほうに指名をしていただければと思います。
○福井部会長 今でしょうか。今日はちょっと難しいのではないかと思います。事務局と相談したいと思います。先に、冨田委員から挙手がありましたので。
○冨田委員 同志社大学の冨田です。ありがとうございます。先ほど茂松先生がおっしゃいましたが、やはり濫用に関しては、そもそもなぜ、どうして若者が濫用するのか。どういった若者が、どのように濫用するのかといったことが、なんとなく私たち分かっているようで、実は実態はよく分かってないのじゃないかということを申したいです。ですので、そういった若者へのできるだけヒアリングや調査をお示しいただいて、その内容を基に本研究、本検討会でできること、対策について議論していくことが必要ではないかと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは森参考人から、できましたら5分以内程度でお願いします。
○森参考人 20分掛かります。20分掛かると思って来ている、20日間寝ずにというくらいに作ってきました。というのは、まずは大前提で、検討会でまとめられた、検討会を基にと言われますけれども、我々店舗で販売しているのですね、90%以上を我々販売している業界の意見が、ほとんどと言っていいほど入っておりません。その中で、前回の5月16日の制度部会で福井部会長様より、有用性と濫用のバランスを数値化はできるのかということで、厚労省さんのほうに問合せをされて。どのくらいの方がOTCで亡くなられたりしているのか、増えているのか減っているのかということもあって、資料を厚労省さんのほうから出していただいていますが、参考資料の24ページ以下は、以前からある資料でございまして。これは小さいから分かりにくいのですが、文字が。2018年ぐらいまでの資料だったり、2020年までの資料だったりということで。この資料においては私たちが新しく今日意図的に紙で出させていただいていますが、これは必ず持ち帰っていただいて内容を読んでいただきたいと思います。3~9ページに至って、検討会でも出されただろう資料について、この正当性といいますか、分析がしっかりなされて、検討会で議論されたのかということを疑わしく感じたところでございます。
 次に、厚労省さんの資料の6ページなのですけれども。ここを読みますと時間が掛かりますので、前回私どもは医薬品の濫用等で、今日から国民の皆さんを守るゲートキーパーとして必要な確認等は毅然として行いますということを申し上げております。その上で、検討会とりまとめで提言されています購入者情報の記録保管。いわゆる空箱陳列、これについては絶対に実行不可能でございます。先ほどからいろいろな意見を出されまして、危険だ危険だとおっしゃいますが、危険ドラッグじゃない。OTCというのは有用性があって、そして使い方が間違って、危険になっているわけですから。多くのほとんどの国民が、この間も申しましたように、ちょっとした風邪のときなどに利用して、非常に助かっているわけです。先ほど1類の話もありましたけれども。1類の薬が出て、薬剤師が説明をして、本当に助かったと。自分は仕事をしている中で、病院で長く時間を待って、そして、あるいは感染をしたことがあるとかで、そういう方が胃の調子がちょっと悪いというときに、薬を飲んだというようなことで、本当に助かっているというのが、これが現場でございます。
 それで、あとは資料の7ページについて意見を申します。7ページは、手の届かない所にあるいはバックヤードに、先ほどは品目数を減らせとか言われましたけども。品目数を減らせというのが、我々国のお金をもらっているわけでもない自由経済の中でやってるメーカーに対しての発言とは、本当に思えないと思います。品目数を医療用だったらジェネリックに代えることできるでしょうけれども、OTC医薬品で、あなたのところ辞めなさい、あなたのところ辞めなさいといったことを、国がやるのか。という中で、店頭では250~400品目の対象商品を販売しております。これは2023年、昨年の4月から総合風邪薬も規制されましたので、250品目から400品目を取り扱っています。これを鍵付きの什器に移すということは、まず手に届くということができないので、購入しようとする人が手に取ることが全くできない。今まで買ったのはこれだったかなということを気付きもしない。更に、その鍵を1つずつ開ける。どのような現場を見て、私はそういうことを発言されたのか、全く分からない。年間に、これはインテージのデータですけれども、総合風邪薬と咳止めの風邪薬で1億4,231万個。1億4,231万個販売されている。これを、鍵のかかる所に入れて、それを一般のスタッフ、資格を持った人間に開けさせて、それを待つ時間に今度は、今日の日経の新聞にも載ってましたけども、我々店頭では流通業・サービス業ではカスハラが2人に1人はあるわけですよ。強烈なのです。それ現場分かりますか、皆さん。分かって、ものを言って欲しい。
 ですから、私たちは何をやるかというと、今までルールの中に、先ほど説明がありましたように、情報提供は義務と努力義務に分かれてたので、努力義務だから説明を求められたときに説明をしようという状況でしたので、ですから医薬品コーナーに常駐でいなかったということを言っております。それが現状でした。ですから、ここは確実に現場で医薬品のコーナーに資格者が常駐して、そして医薬品の濫用以外の薬についても購入状況を見ながら、声掛けもやる。それから濫用については全てにおいて声掛けをやるという、今までやってこれなかったことは人員を増やして、資格者を徹底的に増やしてやっていこうと。これが、一番の濫用防止ですよ。私はそれ以外の防止はないと思う。そのときに「なぜこれを飲むのか。」と言ったときに、先ほど先生おっしゃったように、その家庭環境の話になったりするのだと思うのです。そういう心の支えにもなるので、我々は店頭で医薬品コーナーに、これは統一見解でございますが、資格者が常駐することをやっていくということでございます。続きまして。
○福井部会長 申し訳ないのですけれども5分以上になります。
○森参考人 だから、これ委員に出てもらえないからこんなことになるんですよ。このところで厚労省さんが、なぜ我々ね、99%、90%と言ったけど本当は99%ですよ、我々売ってるんですよ。調剤薬局さんがバックヤードに置けるよと言う。それは、調剤薬局は「濫用のおそれ等のある医薬品」以外を含めて48品目くらいの取り扱いです。それは鍵かけれますよ。
○福井部会長 何かの形で御意見はまた伺いますので。
○森参考人 30分以上時間をください。それと、現場を皆さん見てください。都心の店で空箱を置くって、どこに置くのですか。実際を見てから、もの言ってください。それやるなら。
 それともう1つ、最後に言います。国民がそれを望むのかというのをアンケート取ってみてくださいよ。しっかり、皆様方の意見だけじゃなく。多くの方が困ることになると思います。以上です。
○福井部会長 もう少しいい雰囲気で議論したく思いますので、少し加減していただけませんでしょうか。
○森参考人 分かりました。次はゆっくり喋りますけど、時間は限られた、私たちは厚労省さんに20分はいきますよ、言ってるんですよ、事前に。にもかかわらず、5分で。それは先生、難しいですよ。
○福井部会長 ほかの委員にもそのようにお願いしていますので。
○森参考人 ただ、我々は委員ではなくて、参考人としてしか呼ばれてないし、前回の検討会とりまとめに至っては、ドラック業界の意見は、ことごとく入れられておりません。以上です。
○福井部会長 はい。伺いましたので、また事務局と相談したいと思います。それでは中島委員、どうぞ。
○中島委員 東京都の中島でございます。まず、6~8ページにかけての、濫用等のおそれのある医薬品についてです。若年層中心に市販薬の濫用が広がっておりまして、都としても大変深刻な問題であると認識いたしております。これまでよりも更に踏み込んだ対応が必要と考えております。まず6ページで、若年者の対応について、テキストベースのネット販売を可能とするべきとの御意見がございますが、ここは反対をさせていただきたいと思います。東京都では昨年度、若者が多く集まる地域、繁華街等にある薬局・店舗販売業、約240件に対して一斉監視指導を実施しております。この中で約6割の店舗で、濫用のおそれのある医薬品の販売を断ったことがあるとのことで、その理由としまして、購入者の見た目や挙動から不適正利用が疑われたためといったことが挙げられております。専門家が購入者の様子を見て、販売可否を判断することは非常に重要と考えておりまして、また、現在リアルタイムでやり取りする技術、ツールが十分に普及していると思いますので、基本的には対面又はオンラインで販売すべきと考えております。
 次に、商品の陳列についてです。商品を万引きして、多量摂取した事例等もございますので、不適切な商品の入手を防止するとともに、また専門家から確実な情報提供を行うためにも、購入者の手の届かない場所に商品を陳列することが必要と考えております。なお、先にお話ししました一斉監視指導の際に、対象の店舗の約3割以上で陳列を自主的に工夫していることを確認しており、一部商品も含めますと空箱対応しているのが80件、レジカウンター後ろやショーケースに商品を陳列している店舗が5件ございました。
 次に、8ページの販売記録についてです。これも一斉監視指導の中で、頻繁に購入しようとする方がいると回答した店舗が一定数ございました。販売記録を作成、参照して、頻回購入を防止すること、また、監視指導の際に対応を確認することが重要と考えております。
 また、次に14ページの受渡店舗と管理店舗の距離についてなのですが、こちらも監視指導を適切に行うためには管理店舗と受渡店舗を所管する自治体間で、緊密な連携が必要と考えており、まずは同一都道府県内に限る必要があると考えております。ただ、同一都道府県内と言いましても、こちらの制度が管理者、有資格者の方と販売の現場が離れている新しい制度となっており、監視体制についてもこれまでどおりでは難しいと思いますので、厚労省と連携しながら、きちんと監視体制を構築していく必要があると考えております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。簡潔によろしいですか、冨田委員どうぞ。
○冨田委員 同志社大学の冨田です。ありがとうございます。私は商学部ということもありまして、先ほどの森参考人のお話、非常に興味深く聞かせていただきましたので、また次回は是非時間を設けていただいて、深く議論していければと思います。
○福井部会長 よろしいでしょうか。何となく中途半端な形になってしまいましたけれども、本日の議論はここまでとしたいと思います。事務局から連絡事項等ございますか。
○衣笠総務課長 次回の第4回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会については、本年7月5日に開催予定です。先ほど部会長からもありましたが、議題等含めて相談しながら、進めていきたいと思っております。詳細については、また事務局から御連絡差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、第3回医薬品医療機器制度部会を閉会といたします。ありがとうございました。