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第60回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会 議事録|厚生労働省
健康・生活衛生局 感染症対策部予防接種課
日時
令和6年5月22日(水)10:00~12:00
場所
WEB会議にて開催
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
(厚生労働省 専用第21会議室:東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
(1)HPVワクチンについて
(2)その他
(2)その他
議事
- 議事内容
- ○溝口予防接種課課長補佐 それでは、定刻となりましたので、第60回「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会」を開催いたします。
本日は、ご多忙のところ委員、参考人の方々におかれましてはご出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開・頭撮り可としております。また、前回同様、議事の様子につきましてはユーチューブで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。
なお、事務局で用意しているユーチューブ撮影用以外のカメラ撮りにつきましては議事に入るまでとさせていただきますので、関係者の方々におかれましては、ご理解とご協力をお願いいたします。
また、傍聴される方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。なお、会議冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御了承ください。
続きまして、部会の委員に改選がございましたので、ご報告を申し上げます。
釜萢敏委員が本年4月23日に本部会を退任され、新たに笹本洋一委員が5月1日に就任されております。
また、神谷元委員が本部会を3月1日に退任され、新たに鈴木基委員が4月1日に就任されましたので、ご報告申し上げます。
笹本委員、鈴木委員におかれましては、よろしくお願いいたします。
次に、本日の出欠状況について報告申し上げます。
伊東亜矢子委員、白井委員の2名から欠席のご連絡をいただいております。また、中野委員は少し遅れての御入室となっております。
現在、委員12名のうち9名にご出席をいただいておりますので、厚生科学審議会令第7条の規定によりまして、本日の会議は成立いたしましたことを報告申し上げます。
また、本日は参考人といたしまして、牛田享宏愛知医科大学医学部疼痛医学講座教授に出席をいただいております。
最後に、事務局より異動がございましたので紹介させていただきます。
本年4月1日より予防接種救済推進室長に田中桜室長が就任しておりますので、よろしくお願い申し上げます。
引き続き、本部会の資料について確認させていただきます。
本部会の資料は、あらかじめ送付させていただいた電子ファイルで閲覧する方式で実施をいたします。番号01の議事次第及び委員名簿から、番号07の利益相反関係書類までを用意してございます。
なお、大変申し訳ございませんが、冒頭のカメラの頭撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御協力のほどお願いいたします。
(カメラ退室)
○溝口予防接種課課長補佐 それでは、ここからの進行につきましては、脇田部会長にお願いをいたします。
○脇田部会長 承知しました。
皆さん、おはようございます。今日もよろしくお願いします。
最初に、いつもどおり、審議参加に関する遵守事項について、事務局からお願いします。
○溝口予防接種課課長補佐 引き続き事務局でございます。
本日の審議参加の取扱いについてご報告をいたします。
本日ご出席の委員、参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受け取り状況、薬事承認等の申請書類への関与について申告いただきました。
委員、参考人からの申告内容につきましては、番号07の利益相反関係書類をご確認いただければと思います。
なお、本日は議事内容に関して退室や審議または議決に参加できないに該当する方はいらっしゃいませんでした。
また、毎回のお願いで恐縮でございますが、委員、参考人におかれましては、講演料等の受け取りにつきまして、通帳や源泉徴収票などの書類も確認いただくことにより、正しい内容につきまして申告をいただきますようお願い申し上げます。
事務局からの報告につきましては、以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、議事に入っていきたいと思います。
今日の議題は「HPVワクチンについて」ということですが、主に2つありますが、このHPVワクチンの接種につきましては、令和4年の4月から積極的勧奨の再開が行われました。また、積極的勧奨が差し控えられていた間に接種機会を逃した方がおられますので、キャッチアップ接種を行うことが決められて、行われております。
HPVワクチンについては、主に副反応検討部会において継続的に安全性の評価等がなされてきましたけれども、この基本方針部会においても、接種の状況や科学的知見、自治体等の取組について現状を確認したいと思っております。
また、本日は、ブロック拠点病院における取組について御紹介していただくために、牛田参考人をお招きしております。牛田参考人におかれましては、御多忙の中御参加いただきまして、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、今回は特にキャッチアップ接種の機会が今年度いっぱい、つまり、来年の3月いっぱいになっておりますので、この部会における議論を踏まえて、しっかりとその間の周知を行うことも含めて、必要な対応について確認をしていきたいと考えております。
それでは、事務局から資料がありますので、説明をお願いしたいと思います。
○早田予防接種課課長補佐 それでは、説明に入らせていただきます。
本日は「HPVワクチンの接種について」という内容で資料を御用意しております。
まず、背景として、HPVワクチンのキャッチアップ接種については、今年度が最終年度となっておりますが、HPVワクチンについては、本部会で最後に御議論いただいてから少し間が空いておりますので、改めて背景等も含めて確認した上で、周知広報等の取組の方向性について御意見等をいただければと考えております。
あわせて、HPVワクチンの男性に対する接種についてもワクチン小委員会で御議論いただいたところであり、その状況等についても御報告させていただければと考えておりますので、これらの内容について事務局資料に基づきまして順次説明させていただきます。
資料1になります。
2ページ、本日御議論いただきたい内容を大きく3つ用意してございます。1つ目が、ワクチンの経緯、接種の現状及びワクチンに係る知見、2つ目が、取組の状況、3つ目が、ワクチン評価小委員会における議論の状況となっております。
4ページにお移りいただきまして、HPVワクチンに関するこれまでの経緯をおまとめしております。HPVワクチンは平成22年から接種緊急促進事業として開始し、平成25年4月から定期接種を開始いたしました。同年6月に因果関係を否定できない持続的な症状などの報道等がございまして、積極的勧奨を差し控えたといったところでございます。その後、審議会等において様々な検討をいただきまして、令和4年、2022年の4月1日から積極的勧奨の再開及び接種の機会を逃した方に対するキャッチアップ接種を開始したところでございます。
5ページ、こちらはHPVワクチンの積極的勧奨に関する取扱いの議論をまとめたものでございます。HPVワクチンの積極的勧奨の再開につきましては、3つの大きな柱を立てて御議論いただいておりました。1つ目が、HPVワクチンの安全性、有効性に関するエビデンスについて、2つ目が、HPVワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援について、3つ目が、HPVワクチンに関する情報提供について、これらの対策をしっかり行うことによりまして、令和4年4月から積極的勧奨の再開に至っております。
6ページ、HPVワクチンのキャッチアップ接種の対象者、期間等についてまとめたものでございます。対象者は平成9年度生まれから平成17年度生まれの9学年、本年度に関しましては、平成19年度生まれまでの方を対象としております。期間は3年間としまして、令和4年4月から令和7年3月の期間でワクチンのキャッチアップ接種を制度化しております。
7ページ、キャッチアップ接種の期間に関する考え方、主な御意見についてまとめたものでございます。考え方の2点目ですが、キャッチアップ接種の期間を過度に短く設定した場合、短期間に接種が集中することにより、医療機関・自治体の業務や、接種を希望してから実際に接種できるまでの待ち時間等に影響を与える可能性があることが指摘されました。その一方で、キャッチアップ接種の期間を過度に長く設定した場合、早期に接種を行う必要がないという誤ったメッセージにつながる可能性があること、また、この場合、特に年齢が高い世代においては、接種のタイミングが遅れることにより、ワクチンの有効性がより低くなる可能性があるといったところが指摘されまして、自治体の準備や接種対象者の接種機会の確保の観点から、3年間程度が妥当なのではないかということで、3年間といったところで続けております。
8ページ、HPVワクチン接種状況の推移になります。一番左側が平成25年、積極的勧奨差し控えになりました年度のものですが、1回目の接種者数で行きますと10万人弱になっておりまして、その後、接種者数は減少しておりました。最新のものが一番右の令和4年のものになりますが、こちらは1回目の接種者数で54万人程度となっております。
9ページ、こちらはワクチンの納入数ベースの推移になります。一番左側が平成25年4月から6月の積極的勧奨差し控え直前のものでございます。3か月で25万本弱が納入されている状況になっております。その後、納入数は減少しておりました。令和4年4月から6月のところからキャッチアップ接種が再開されまして、ワクチンの納入数に関しても増加してきている状況になります。
10ページになります。こちらはHPVワクチンの年齢別の累積初回接種率を大阪大学の上田先生に御解析、おまとめいただいた資料でございます。一番左側の上になりますが、緊急促進事業を行っていた世代の接種率は70%から80%くらいで推移しておりました。それ以降の年代につきましては、10%から20%ぐらいまで接種率が低下していた時期がございます。一番右側、2022年の緑色のところがキャッチアップ接種になっておりますが、令和4年1年間のキャッチアップで5%から10%程度の接種の上積みができたと見込んでおります。
11ページ、こちらは令和4年度の都道府県別の初回接種の実施状況です。令和4年度1年間の初回の接種数を、該当する女子の人口で割ったものを都道府県別に表示しております。青や緑のところが比較的接種状況の高いところ、赤、オレンジのところが低くとどまっているものになっております。都道府県ごとにばらつきがあるといったところを表示してございます。
13ページ、HPVワクチンに関する調査を厚生労働省で実施いたしました。調査実施に関しましては、現状を把握し、今後の広報活動について検討するため、3つの調査を実施いたしました。調査1として、HPVワクチンに関する接種対象者、保護者向けのアンケート調査、調査2といたしまして、対象者及び保護者向けのインタビュー調査、少し深掘りした調査になります。調査3としまして、HPVワクチンに関する情報提供の実施状況に関する調査、自治体向けの調査を行っております。
14ページは、この3つの調査の概要をお示ししたものになります。
15ページになります。調査1のアンケート調査の結果のまとめでございます。1点目、子宮頸がん、HPVワクチンの認知・認識でございますが、子宮頸がんという病気について、また、子宮頸がんは深刻な病気だと思うか、といった質問内容につきましては、80%から90%の対象者または母親に認知がされているという結果でした。
また、HPVワクチンについての認知のところですが、HPVワクチンについて、対象者の36%、母親の14%が「知らない」と回答しておりました。また、接種方法・必要な手続につきましては、対象者本人の52%、母親の25%が「知らない」と回答しておりました。
次に、キャッチアップ接種についての認知でございますが、対象者本人、高校2年生から1997年度生まれの女性の48.5%、母親の19%が「知らない」と回答しておりました。
HPVワクチンに対する認識ですが、子宮頸がんの予防をするのに有効であると前向きに答えた方が対象者本人の59.8%、母親の59.8%でありました。また、HPVワクチンは重要であるに対して前向きに回答したのは、対象者本人の58%、母親の55%でありました。HPVワクチンは安全であるといったことに対する回答としては、対象者本人の56%、母親の55%が「どちらともいえない」という回答をされておりました。
16ページ、HPVワクチンの接種経験、接種した理由として回答が多かったのは「HPVワクチンは有効だと思っているから」「子宮頸がんは危険だと思ったから」のほか、これらに次いで多かったのは、「母親にHPVワクチンの接種を勧められたから」「HPVワクチンを公費で接種できたから」、それから、「HPVワクチンの接種の案内が送られてきたから」などとなっておりました。
2点目、接種案内との接触状況につきましては、自治体から送られてきたHPVワクチン接種の案内を見たことがありますかという質問に対しましては、「はい」と回答したのが、接種対象者本人が58%、母親が81%という結果でした。
情報源についての調査でございます。一般的な健康についての情報源は、対象者本人、母親ともに「日本国内のTV」並びに「インターネット」が多い状況でありました。3点目のHPVワクチンの情報を得る場合に信頼できると思う情報源につきましては、対象者本人、母親ともに「日本国内のTV」が最も多く、次いで「医師からの情報」が多く見受けられました。
次に、調査2のインタビュー調査になります。HPVワクチンについて知ったきっかけとその印象についてです。小6から高3相当の女性につきましては、学校の授業や講演がきっかけで認知しており、ニュートラルな情報として受け取っていることが多いという結果でした。また、その母親及び大学生相当以上の女性については、接種後症状についてのイメージが強く、ネガティブな印象を持っている方が多いといった結果でした。
HPVワクチンを接種した理由については、接種について考え始めたきっかけの大多数は「自治体からの接種の案内が届いたこと」でありました。小6から高3相当の女性におきましては、学校の授業で医療従事者から直接話を聞いたことなど、周囲の環境や会話による影響が大きいということでした。また、大学生相当以上の女性では、キャッチアップ接種を受けた方については、接種の案内を読んだり、インターネット検索などで収集した情報を基に接種を判断しているということでした。
3点目、HPVワクチンの接種を迷っている理由といたしましては、小6から高3相当の女性は「接種するもしないも母親の意見次第」と考えている方もいる一方、身近に亡くなっている方がいて本人は接種したいという考えを持っているが、母親の反対意見を受け入れて接種をためらっている人も見られました。大学生相当以上の女性に関しましては、定期接種の対象年齢だったときに、接種後症状に関する報道について知る機会がありまして、その頃に持ったネガティブなイメージが接種を迷っている理由につながっているという結果でした。
19ページです。ふだんの情報接触ですが、接種対象者本人、母親いずれも、インターネットが中心です。
2点目、HPVワクチンに関する情報収集方法ですが、こちらは自発的に調べる方は限定的でありました。小6から高3相当の女性では、特に低年齢層では母親からの情報の影響を受けていることが多く、母親におきましては、公的機関からの案内を読んでいるといった方が多い傾向でした。
また、4点目ですが、望ましいHPVワクチンの情報の受け取り方といたしまして、対象者層を問わず「紙で受け取りたい」と考える人が大多数でありました。主な理由として「紙だと時間がある時に読むことができる」「自宅に届けられたら大事なものだと思って読む」などが挙げられておりました。
次に、20ページ、調査3、自治体向けの調査結果になります。個別の情報提供につきまして、定期接種については、中学校1年生に対しまして、8割以上の自治体が送付を計画しておりました。また、令和5年12月時点で9割以上の自治体が送付を完了しておりました。従来の定期接種、キャッチアップ接種いずれも、接種券/個別案内に同封した資料としては厚生労働省のリーフレットが最も多かったです。また、再勧奨について、令和5年度、令和4年度いずれも、未接種者への再勧奨を行っていないと回答した自治体が全体の8割前後を占めました。
これらの調査結果から示唆される課題と必要と考えられる対応案を、21ページにまとめております。左側に示唆される課題をまとめておりますが、接種対象者、保護者に対しましては、認知向上の必要性、特に保護者への情報提供の必要性、また、接種につながるような情報提供の必要性が課題として挙げられました。自治体に関しましては、自治体からのさらなる情報提供の必要性が課題として挙げられました。
これに対応する対応案といたしまして、1つ目は、キャッチアップ接種の対象者を中心に、HPVワクチンを含む子宮頸がん予防の重要性について認知を上げるため、国において、SNS等を通じた有効性、安全性を含めた積極的な情報発信を行っていくこと。2つ目で、公費で接種できる期間を含め、国において、接種プログラムに関する情報提供を行っていくこと。なお、キャッチアップ接種については、2025年3月末の終了等を踏まえた広報資材を厚生労働省のホームページで提供してございます。3つ目に、信頼性の高い情報提供を広く行っていくため、国におきまして、ブロック拠点病院事業を通して実施してきました医療機関や医療従事者からの情報提供、教育現場との連携を含みます。こういったことをさらに促していくとともに、自治体においてもこういった取組を積極的に活用してはどうかとしております。
自治体について考えられる対応案としましては、未接種者への再勧奨を含めた情報提供の取組を促していくことに加え、国で作成した広報資材や自治体における取組の好事例を他の自治体にも広く提供し、自治体における効果的な周知広報に活用いただくこととしてはどうかとしております。
次に、ワクチンに係る知見のまとめでございます。
23ページ、こちらは以前の審議会にも出させていただいている資料でございますが、イギリスにおける大規模スタディーでございます。HPVワクチンの接種プログラムの導入が、イギリスでの子宮頸がん発生の減少に大きく寄与したという論文でございます。
24ページ、スウェーデンにおける大規模スタディーのデータでございます。16歳以下で接種した群において、非接種群と比較した接種群の罹患率比は0.12、19歳以下で接種した群では0.36ということで、こちらもワクチンの有効性を示唆するものでございました。
次に、25ページ、デンマークのコホートスタディーになりますが、19歳以下のHPVワクチンの接種では子宮頸がんの予防に対する高い効果が認められたが、16歳以下の接種でより高い有効性が認められ、若年での接種の重要性が示唆されたとなっております。
次に、26ページ、オーストラリアのワクチン接種導入10年後におけるレビューの論文でございます。HPVワクチンの接種導入により、子宮頸部病変を含むHPV関連疾患を低減させる効果が示されたとなっております。
27ページは、HPVワクチンの子宮頸部異形成の再発予防効果に関するシステマティックレビューになっておりますが、HPVワクチン接種は、HPV感染と関連した子宮頸部異形成の再発リスクを低減させる可能性が示唆されたというレビューになっております。
28ページは、今度はワクチンの安全性に関する知見でございます。HPVワクチンに係る安全性につきましては、副反応検討部会におきまして、副反応疑い報告の状況を随時報告させていただいているところでございます。上段の青いところが積極的勧奨再開前の副反応疑いの報告状況、下段の赤いところが2022年、積極的勧奨再開後の報告状況になりますが、製造販売業者、医療機関からの報告いずれも、副反応疑い報告の割合について大きな変化はございませんでした。
29ページ、こちらは副反応疑い報告数の経時的推移とワクチンの納入数から割り算した割合の推移でございます。令和3年度あたりからワクチンの接種数の増加に伴いまして副反応疑い報告の数も増加しておりますが、割合としましては、ほとんど変わらず低い状態が継続しております。
30ページですが、こちらはHPVワクチン接種後に症状を呈した患者様のサーベイランス調査になっております。積極的勧奨が再開となった2022年4月以降、ワクチン接種後の体調不良を主訴として協力医療機関を受診した患者さんを調査しております。積極的勧奨前の2022年3月時点と比べまして、オレンジのところの新規受診患者数ですが、こちらはほぼ横ばいで、顕著な変化は認められないといった結果になっております。
次に、取組の状況について御説明をいたします。
32ページには、厚生労働省におきまして、SNSでの発信でありますとか、中高生向け新聞への広告掲載、インターネット広告の配信等の紹介をしております。
33ページでは、厚生労働省のホームページにおけます一般向けのリーフレット、Q&Aを紹介しておりまして、情報提供を行っており、内容は随時更新しております。
34ページには、キャッチアップ接種について自治体等で活用いただける広報や情報提供資材について御紹介をしております。
35ページですが、こちらは教育現場への周知といたしまして、文部科学省に依頼し、ブロック拠点病院事業への協力依頼に関する事務連絡を都道府県の担当課宛てに発出したという紹介でございます。
36ページでは、保険者への周知としまして、厚生労働省保険局から保険者宛てにリーフレット等の周知依頼をしているところでございます。
次に、自治体における代表的な事例について御紹介いたします。自治体で取り組んでいただいている例につきまして、列記させていただいております。
個別の通知といたしましては、中学1年生、キャッチアップ対象者に向けて個別に予診票を送付したり、小学校6年の女子でワクチンを接種していない者とその保護者にリーフレットと予診票を同封したお知らせを送付したり、個別の送付時期を例年より早める、送付回数を例年より多くするといった取組がありました。
また、インターネットを用いた周知としては、自治体独自に普及啓発動画を作成したり、リーフレットを作成して発信したりするなどの取組も見られました。
より柔軟な接種機会の提供といたしましては、ワクチン接種を実施している医療機関の診療時間の延長をしていたり、大学やショッピングモールなど若者が多く集まるような場所で接種の機会を設けたり、検討したりするところがありました。また、特に大学などがある自治体では、住民票の住所と実際の居住場所が異なる住所地外接種になってしまう場合がございますので、そういった場合の償還払いにも柔軟に対応している事例がございました。
そのほか、公共交通機関への広告、接種対象者から周知方法やリーフレットの内容についての意見交換の場を設けていたり、都道府県主催の会議を開催しているといった事例がございました。
38ページ、こちらからは具体的な例を御紹介いたします。まず、宮崎市ですけれども、右側、周知広報の取組といたしまして、公立・私立の中学校で産婦人科医による出前講座を実施したり、生徒だけでなく、参観日等とセットで保護者にも啓発の働きかけをされたりしております。また、県の医師会、産婦人科医会等が協力して解説動画を作成したり、テレビCMを作成したり、また、ワクチン接種拡大事業といたしまして、接種医療機関の診療時間の延長、大学生向けにキャンパス内での接種機会を提供したり、住所地外接種につきましても柔軟に対応したりといった取組をされております。
2つ目は、青森県の取組になります。39ページです。HPVワクチン接種の推進を図るため、県が司令塔の役割を果たすとともに、県内自治体の好事例の紹介や、市町村の接種率を公表することで、県を挙げた取組を推進しております。動画の作成やバスへの広告、市町村ごとの取組、接種率の公表など、取り組まれております。
3つ目が、群馬県の事例でございます。群馬県独自の「高校生リバースメンター」事業といったものがありまして、高校生が子宮頸がん対策について政策提言をし、一部が事業化されております。一例としましては、子宮頸がんの予防普及啓発動画でありますとか、メッセージステッカーつきの生理用品の配布などが事業化されております。そのほか、より柔軟な接種機会の提供としまして、住所地外接種への柔軟な対応でありますとか、医療機関の協力、また、ショッピングモールにおける接種の検討などをされているといった例がございました。
次に、自治体における診療体制等の状況としまして、HPV感染症の予防接種に関する相談支援・医療体制強化のための地域ブロック拠点病院事業といったものを整備しておりまして、接種後症状に悩まれる方等の支援の体制を整えているところでございます。
このブロック拠点病院事業ですが、牛田先生をはじめとしたブロック拠点病院の臨床の先生方の御指導を賜りながら進めてきたところでございます。つきましては、本事業における取組につきまして、牛田参考人より御説明いただければと存じますが、脇田部会長、よろしいでしょうか。
○脇田部会長 承知しました。
それでは、牛田参考人から資料2を提出していただいておりますので、御説明をお願いしたいと思います。
牛田参考人、よろしくお願いします。
○牛田参考人 牛田でございます。
資料2の2ページでございます。今、御説明にありましたように、現在、HPV感染症の予防接種に関する相談支援・医療体制強化のためのブロック拠点病院というものを事業として進めております。これは全国を10ブロックに分けて、各ブロック1から2の医療機関で自治体、それから、関係団体、医師会だとか、いわゆる地域の学会だとか、地方の医療機関、これまでもHPVの副反応患者さんなどの診療に携わってこられた協力医療機関、こういう方々と連携体制を取り、協力することで、安全にHPVワクチンの接種を行っていただけるような環境を整備するというものでございます。
3ページに、令和5年度のブロック拠点病院の一覧が示されております。関東と近畿地区には2つの拠点病院を置いて、残りのところに1か所ずつの拠点病院を置いて、協力体制を取ってきております。この拠点病院間での連携ということで、定期的な会議なども行って推進しているというのが現状となっております。
具体的な活動内容につきまして、4ページを見ていただけたらと思います。ブロック拠点病院としては、先ほどお話ししましたように、医療機関や自治体、関係団体との連携のハブとなって、連携の協力や情報の提供、情報共有を進めていっているところでありますけれども、具体的には次の資料になりますので、また詳しいことは次に述べたいと思います。加えて、厚生労働研究班との連携を進めております。また、協力相談支援・医療体制の強化ということで、HPVワクチン診療マニュアルを昨年度つくりましたけれども、それをさらにリファインしていくということで、それの支援体制を進めようとしております。また、厚生労働省主催の協力医療機関向けの研修会、これは全国に向けた研修会になりますけれども、そういうものの実施の支援などを行っております。
5ページになります。具体的な連携体制の構築の内容になりますけれども、医療機関や医療従事者との連携としては、定期的な連絡会を開催し、ブロック拠点病院を中心として協力機関と一緒にウェブ会議などを中心に顔の見える関係性をつくってきております。今年度はコロナも落ち着いてきたところもありますので、フェース・ツー・フェースでのミーティングなども行うということで、各地区で行われる予定となっています。その中で、医療機関間で接種後症状による受診状況や症例経過を共有することによって、自分のところの病院に来ていない場合でも診療に役立てていけるような試みを行っています。また、研修会を開催して、これはクリニックの先生方などにも参加していただくような形を取って、接種前からの対応、それから、接種の留意点、接種後の副反応の考え方や知見などを共有するということを進めてきています。
それから、教育関係者との連携、これは一つの大きな柱になってまいりますけれども、どうしても接種対象者の多くが学校教育を受けている世代ということになってきますので、学校教育現場との連携が重要であると考えて進めてきております。まずは自治体ですね。県の教育委員会の担当の方などと調整して研修会や資料の提供などを進めてきているところです。特に先ほど御紹介にありましたように、厚労省を通じて文科省から本事業への協力依頼の通達文書を出していただきましたので、各県の教育委員会に実際に出向いていって御協力をいただけるようにお願いしたり、さらに、つくりました資材、右のほうに少しありますけれども、そのような資材を皆さんに提供していくということを現在進めてきております。
それから、情報提供体制の活動としては、接種対象者だけでなくて保護者等にも分かりやすい資料をつくって提供してきているということでございます。それから、接種対象者を多く抱える教育現場への情報提供につきましては、先ほどの教育関係者との連携を通じて進めて、さらに、医療サイドのサポート連携ということで、これは様々なウェブなども使ったり、いわゆるこれまでの紹介などとの関係性をつくっていきながら、サポート連携体制を強化してきているところでございます。
その次の6ページになります。研究班との連携ということでございます。先ほど岡部先生の岡部班のデータが出ておりましたけれども、こちらに西原班との連携というものを図にしております。これまで患者さんがおられますと、患者さんはまず多くの場合、協力医療機関を受診されます。現在の流れでは、協力医療機関のところで収束される場合、もちろんクリニックで収束される場合もあると思うのですけれども、協力医療機関のところまで上がってきた段階で岡部班に情報が上がってきて、それで全国の統計を取るということをやっておりますけれども、それと同時に、現在は協力医療機関との連携を進めてきておりますので、その情報をブロック拠点病院にも共有していく。それで、岡部班との情報を統合していくような形で、実際にどのような患者さんが来られるのかを、特に新規の患者さんの臨床症状について、情報の集積、分析を西原班として行っているところでございます。ブロック拠点病院のスタッフ、研究者が西原班のメンバーにも同じような形で入っておりますので、生きた連携をつくっていく中で、どのような患者さんが来られて、どのような対応をしていけるのかを研究して、分析して、マニュアルの作成のところまで持っていくということが最終的なゴールと考えて進めてきていただいているところでございます。我々の拠点病院としては、そのような中で、その事業に協力していくということで、より効率的な連携を図っていきながら、患者さんや被接種者の方々に資するものがつくっていけたらと、そのように考えております。
7ページになります。教育現場との連携が、少しずつではありますけれども、進んできているところがあります。一番協力していただけるのは、この2つ目のポツのところの養護教諭の先生方、非常にHPVのことに関しても関心が高いですので、そのようなところの方々の会などに出向いていって、研修会などをしていく活動を現在しています。それから、高等学校ではがんの教育授業が行われていますので、その中で私どものスタッフが出向いていって、子宮頸がん及びHPVに関する講義などを行っております。昨年度も行いまして、今年度も行うということで、現在進めてきているところでございます。
8ページになりますけれども、これは先ほどからも話題になっております、今年度で終了するキャッチアップ接種への取組ということであります。9月が一つの期限ということで、いろいろな拠点病院あるいはそれ以外の自治体なども含めまして協力し合いながら、パンフレットをつくっていただいたり、ウェブでの啓発をしていただいたり、特に岡山大学は非常に積極的に取り組んでくださっていて、接種後副反応に対する調査の結果などを、キャッチアップ接種のときに起こってくるような部分について調査などをして、それを報告してくださったりもしております。
愛知県も、9月の期限に対して現在6月30日に愛知県の大村知事、愛知県医師会、名古屋市医師会、婦人科学会、その他の学会が協働して、現在HPVワクチンの普及啓発シンポジウムの準備を進めてきております。がん患者さんでもある俳優でタレントの古村比呂さんにビデオメッセージなどを出していただくほか、SKEだとか、患者さんだとかも参加してシンポジウムを開いていくということで、ここに多くの若い女性などにも参加していただくということで、現在準備を進めているところでございます。このような活動を通じて、キャッチアップ接種への理解、啓発が進んでいけばいいのかと、そのように考えて、いわゆるブロック拠点病院としても協力体制をつくって進めてきているところでございます。
最後のページはまとめになりますけれども、事業開始後、HPVワクチン接種に関わる診療科間の連携は構築できてきているのではないかと、そのように考えています。
特に協力医療機関・自治体との顔の見える関係につきましては、もう2年目に入りましたので、結構進んできたのかと、そのように考えております。その中で、実際に症例が必ずしもたくさん出てきていないところは非常に幸いなのですけれども、多くて月十数例になろうかと思いますけれども、各地区ということになるともっと少ないのですけれども、その事例を学んでいきながら、相談・医療体制が強化されてきているところかと思います。
それから、幸い自治体との連携強化と同時に、厚労省、文科省の後押しで、教育現場との連携が少しずつですけれども進んできております。特に今年度は、先ほどお話ししましたように、キャッチアップ接種の期限を踏まえて連携を強化していきたいと、そのようなことで進めているというのが現在のブロック拠点病院の事業として進めている内容かと、そのように考えられます。たくさんの先生方に協力をしていただいておりますので、最後のところに挙げさせていただきました。
私からの報告は以上となります。
○脇田部会長 牛田先生、地域のブロック拠点病院整備事業について御説明いただきまして、ありがとうございました。
ただいまの牛田参考人の発表についての議論は、全ての説明の後にまとめて行わせていただければと思いますので、事務局からさらに説明があると聞いていますので、続きをお願いいたします。
○早田予防接種課課長補佐 それでは、説明を続けさせていただきます。
42ページからになります。ワクチン小委員会における男性に対する接種に関する議論の状況について御説明いたします。
43ページになります。HPVワクチンの男性接種に係る検討状況でございます。議論の経緯といたしましては、直近、令和6年3月、ワクチン評価に関する小委員会において、4価ワクチンを3回接種するという前提で、これを定期接種化する場合の有効性、安全性は一定程度確認されたものの、費用対効果については課題があるとされました。
44ページになります。男性接種の費用対効果をまとめております。分析シナリオAが薬事承認されている疾患についての検討結果、さらにそこから薬事承認を超えたところでシナリオB、さらに、女性への間接的効果を組み入れたシナリオCというところまで検討を進めていただいているといったところを御紹介しております。
これらの点をまとめまして、まとめの紹介になっております。45ページは、まず、これまでの経緯及び接種の現状並びにHPVワクチンに関する知見についてまとめております。
46ページは、まとめの続きといたしまして、取組の状況、また、ワクチン評価小委員会における議論の状況をまとめております。
47ページ、これらの内容をまとめまして、事務局からの論点案として2点挙げております。
論点1「HPVワクチンのキャッチアップ接種及び本来の定期接種の周知広報について」としております。キャッチアップ接種については、円滑な接種を確保しつつ、より高い年齢でワクチンの有効性がより低くなることや、「より早期に接種する必要がない」という誤ったメッセージにつながり得ることなどを勘案し、予防接種施行令上、令和4年度から3年間実施することとしており、今年度末で終了となります。今年度がキャッチアップ接種の最終年度であることを踏まえ、より効果的な周知広報のために、国で作成した周知用資材のほか、自治体における好事例については、改めて接種の主体である市町村等の自治体に対して情報提供し、自治体における効果的な周知広報活動に御活用いただくこととしてはどうか。ワクチンの3回の接種を完了するためには最長6か月程度要することも踏まえ、夏までの間に重点的な周知広報を行うよう、自治体や関係省庁等とも連携し、取り組んではどうか。その際、本来の定期接種の対象者に対する周知についても、改めて確実な周知広報等の取組を実施することとしてはどうかとしております。
次に、論点2といたしまして「HPVワクチンの男性への接種について」です。小委員会においては、以下のような意見がありました。定期接種化を検討する際、基本計画の中でも安全性、有効性、そして、費用対効果を重視して評価すると明記されており、今回、費用対効果の点で課題が残る結果であることは重く受け止めるべきである。一方で、男女平等性や相乗的効果などの観点や、薬事承認に基づかない接種回数の変更が可能かどうかの観点などによっては評価が変わり得ること。ジェンダーニュートラルワクチネーションとVPDの考え方も踏まえて総合的に判断すべき。こうした指摘を踏まえ、HPVワクチンの男性に対する接種について、女性への波及効果等を勘案して評価を進めていくことについてどう考えるか。
以上を論点のまとめといたしまして、資料を作成いたしました。
資料の説明については、以上となります。
○脇田部会長 御説明どうもありがとうございました。
ただいま、事務局と牛田参考人から資料の説明をいただきました。今日はHPVワクチンの接種について議論ができればと考えております。また、事務局から論点1と論点2ということで、資料1の47ページにまとめていただきまして、論点1はキャッチアップ接種と定期接種の周知広報についてというところ、そして、論点2としてHPVワクチンの男性への接種というところで、こちらは小委員会からの議論のまとめというところでございました。
それでは、議論に入ってまいりますが、その前に、本日欠席の白井委員から事前に御意見をいただいているということですので、事務局から御紹介していただけますでしょうか。
○早田予防接種課課長補佐 白井委員からの御意見について代読させていただきます。
論点1については、今年度までで終了であるが、夏までに1回目を接種したら、年度内に3回終了できるので、リマインドのタイミングとして妥当であり、積極的に取り組むべき。枚方市では、未接種の対象者にリマインドの個別案内を予定している。なお、3回に満たない接種であっても、一定の有効性は期待できると考えられるので、接種可能なチャンスは諦めずに、キャッチアップを利用していただきたい。また、キャッチアップの周知に限らず、これからの定期接種について、産学官の各立場からできる取組を進めてもらいたい。
論点2については、女性への波及効果も勘案して、ワクチンの有効性、安全性、費用対効果などについて検討する方向性が望ましいと考える。さらに、男性接種に限らず現在の女性への接種についても、今後も副反応疑い報告などからワクチンの安全性に関する情報を分析し、情報提供できる仕組みを維持していただくようお願いしたい。
以上です。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
今、白井委員からの論点1、論点2に関するそれぞれの御意見をいただきました。
それでは、議論を進めてまいりたいと思いますけれども、まずは論点1ですね。47ページに示していただきましたキャッチアップ接種及び本来の定期接種の周知広報についてというところで、最初に論点1から議論したいと思います。委員の皆様から御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
先ほど白井委員の意見の中にも出ておりましたが、再接種勧奨ですね。これは非常に有力だと思います。川崎市でも既に6月にまず3回目を終了していない接種者に対してフォーカスを絞って再接種勧奨を行う予定で、既にパンフレット等も発送準備済みになっております。それから、キャッチアップもその後1か月遅れぐらいで受けていない方に再接種勧奨をすることとしております。
過去の川崎市のデータも分析すると、全ての予防接種は8月に接種率が高い。保護者の方はお休みが取りやすいこと等を含めて、いわゆる生徒、お子さんは学校が休みというところもあって、ここの8月という時期を狙って国と自治体が一致して接種勧奨を行うというのは、ある意味、最も有効な手段ではないかと思っております。先ほど国の報告の中では再接種勧奨を市町村の8割がやっていないという回答でしたが、ここはぜひ強く市町村等に勧めるべきだと思っております。
もう一点、この資料の25番目の子宮頸がんに対するHPVワクチンの効果に対してのコホート研究、これはデンマークのもので、若いほど効果が高いという形で、特に二十歳以上での効果が薄いという形にはなっています。この論文を読むと、二十歳以上というのはバイアスがかかっているのではないかと言うことです。なぜならば、我々市もHIV検診や性交渉に基づく検査はやっているのですが、日曜検診などで発見する率は一般の医療機関よりも非常に高いのです。つまり、リスク者が来ている可能性があるということです。論文を読むと、二十歳以上は自己負担で来ているということは、自分にリスクを感じて来ているので、当然感染率が高いので、効果が下がるだろうということです。海外のデータを見ると、未感染者に対しては年齢に関係なく効果はあるということがありますので、ここの書きようだと思うのですが、単に年齢が高くなると効果が弱くなるよと書いてしまうのではなくて、そこは感染率が上がるからというようなしっかりしたインフォメーションが必要かと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、伊藤先生、宮入先生、坂元先生、鈴木基先生の順番で参ります。
伊藤先生、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
副反応検討部会から報告させていただきます。2022年4月に積極的勧奨が開始されて、2022年の6月から10月まで副反応検討部会が毎月、頻回に開催、審議をしています。そのときの議事録を見てみますと、大きな問題がなかったということだったのですが、そのときは新型コロナワクチンで、ワクチンで発熱や全身倦怠感や頭痛が起きるのは当たり前という雰囲気になっていたので、HPVワクチンの副反応、特にCRPSと言われる複合的局所疼痛症候群もなかったと記憶しておりますし、横になってワクチン接種してもらうなどの工夫もされておりましたので、血管迷走神経反射も問題になりにくくなっていたのだろうとは思います。今から振り返って議事録を読んでみましても、特段の問題がなかったと思います。
もう一点、本来の定期接種の周知広報ということなのですが、2023年の4月からシルガード9への置き換えが開始されておりまして、それは14歳未満では2回の接種で済むことと、添付文書上は9歳以上で接種できますので、小学校の高学年から接種できます。中学3年生になると2回ではなくて3回接種になってしまうこともあるので、標準的な接種期間が中学校1年生ということではあるのですが、3回接種が必要になる前に接種するということも含めて併せて周知されたほうがいいのではないかと思いました。こちらに関しては意見です。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。宮入です。
積極的勧奨再開やキャッチアップの接種開始から2年たって、様々な対策を取っていただいていることには大変敬意を表しますが、実際に本人の認知というところで、3分の1は「知らない」、通知に関しても半分は見ていないというデータがあることや、キャッチアップの上積みに関しても1年で5%から10%の上積みであり、定期接種の対象になって今年度いっぱいの最初に当たる1年生の接種率も決して高くはなく、中止前の水準に遠く及ばない状況に関しては、今後を考えた場合に、子宮頸がんの予防という観点で大変憂慮される事態かと思います。まず、心配なことであるということは強調すべきかと思います。
対策として、自治体からの接種券の再送付ということが鍵になるかと思いますし、先ほどから出ているポイントで、夏休みを照準とすると本当に今から動かないとできないことですし、これは全国レベルでやっていただきたいと思います。また、それが本人に行き届くことが大事かと思います。
自治体での様々な好事例を挙げていただいて、いずれもすばらしいと思いますが、この中で実際に接種率の向上にどのような対策が寄与したか、そういう分析を進めていただいて、今後も続く子宮頸がんの予防について寄与するような情報を集めていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、笹本委員、お願いします。
○笹本委員 御指名ありがとうございます。日本医師会常任理事の笹本でございます。
御説明をありがとうございました。
HPVワクチンに関する調査結果から明らかなように、定期接種、キャッチアップ接種の両者とも、安全性、有効性などに関する情報提供が最も大事であり、情報源はテレビ、インターネットニュース、さらに学校、自治体からの紙媒体が効果的でした。
日本医師会は、ユーチューブによる情報発信を行っており、2022年5月開始の「教えて! 日医君!~HPVワクチン~」、今年5月開始の「教えて! 日医君!~HPVワクチン2~知っていますか? 若い世代に増えている子宮頸がん~」を合わせて1万8000回以上の視聴が行われており、大変有効と考えております。
都道府県医師会に対しましても、これまで幾度も広報活動やワクチン研修会の開催の依頼、一般向けのリーフレットの提供などを行っております。あわせて、厚生労働大臣にも要望書の提出を行っております。
今後も日本医師会は啓発活動を続ける予定でございますので、以上、追加させていただきました。
○脇田部会長 ありがとうございます。
続きまして、鈴木基委員、お願いします。
○鈴木委員 先ほど事務局から接種率、それから、副反応疑い報告に関するデータをお示しいただきましたし、詳細に取組の状況について報告いただきまして、ありがとうございます。
特にキャッチアップに関する接種対象者、保護者、それから、自治体を対象とする調査結果も、非常に有用なデータだと思います。こうやってきちんと政策のアウトプットを設定してモニタリングする、その要因を分析するというのは、EBPMの基本に沿った非常によい進め方だと思います。
ただ、その結果を見ますと、様々な普及啓発の取組がなされているにもかかわらず、なかなか再勧奨後に接種率が期待されるほど上昇していないというのが率直な感想です。これは厚労省や自治体など行政にもっと頑張ってほしいというだけではなくて、オールジャパンで取り組むべき課題ではないかと思います。先ほど白井委員からもございましたけれども、産学官という言葉もありました。キャッチアップの周知に関して、医療界、関係学会、それから、NPOなどとの連携についてどのようにされているのか、先ほど医師会の取組は伺いましたけれども、現状、事務局として関連学会やNPOなどとの連携について、共有いただけることがあれば教えていただきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、磯部委員、お願いします。
○磯部委員 ありがとうございます。磯部です。
論点の2つについて直接ではないのですけれども、今日の資料1でいえば4ページ、5ページのあたり、積極的勧奨の再開を決定した際に3つの議論をして、HPVワクチンの安全性、有効性に関する最新のエビデンスと安全性、有効性に関する情報提供、そして、ワクチン接種後に生じた症状に苦しんでいる方に寄り添った支援、この3つを柱にしていたわけであります。今日のお話は、どちらかというと寄り添った支援については現状どうなっているのだろうかということの御説明が十分なかったような気がしておりまして、でも、それはこのHPVワクチンを進めていくに当たって、常に視野に入れて重要な柱として考えていかなくてはいけないことではないかということを言いたくなりましたということです。
ただ、牛田先生、御説明ありがとうございました。現状どのように拠点ブロックでやっているかということの取組についてお話を承ったわけですけれども、接種後に生じた症状に苦しむ方に寄り添った支援という意味で、現状の支援体制にどのような課題がありそうなのか、今後なお強化していくべきところがあるのだろうかといったことを、現場を御存じの牛田先生、何か御意見、コメントがあればお願いしたいということです。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、清元委員、お願いします。
○清元委員 今日は各自治体の積極的な取組も含めて、姫路市ももっと頑張らなければ駄目だということを大変感じた次第です。
まず、磯部委員が言われましたけれども、マスとして考えた場合には、各国、デンマークであったりとか、オーストラリアであったりとかを考えると、非常に女性の健康、特にお亡くなりになる方を、こういう病気で亡くなっている方をマスで考えると、しっかりとキャッチアップも含めて理解を深めていくことが重要とエビデンスとして思うということ。
身体化という副反応といいますか、こういったことで、我が国はOECD加盟国の中でこの約10年間、8年、9年ぐらいだと思いますけれども、少し後ろ向きになってしまったことを踏まえ、拠点病院や岡山県全体は非常に接種率が上がっているということを見ると、実は姫路市と岡山は100キロも離れていないのに、もう少し地域の中核病院とも連携しながらやっていかなくてはならないのかということを、今日改めてこの資料を見て思いました。
姫路市は子供の子育てなども含めて応援する未来の家という「みらいえ」という施設をつくったり、若年者、18歳以上に子宮がん検診を勧めるクーポンを送る際にもHPVへの理解を深めるといったこと、保護者の側が子宮がん検診を受ける際に子供にはそのリスクを少しでも下げたいというような啓発事業にできないかということで、最終的に子宮頸がんを撲滅するというところを女性の世代間を超えてできないかという検討を始めているところでございます。できればキャッチアップも含めてこの時期に開始していただくことは、先ほど言われましたように夏休みの受診率を上げると。それから、副反応についても、なるべく寄り添う形の相談をするみらいえを活用したことについても検討していきたいと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
先ほど清元委員に姫路から御発言をいただきましたが、私は先ほど出てきた岡山で、今日、岡山から参加させていただいています。岡山県は確かに今日の資料を拝見しても接種率が比較的良好ということで、これは県を挙げてかなり早い時期からHPVワクチンの大切さに取り組んできた成果かと思って、それは非常に喜ばしく思っております。それでも、接種の現場におりますと、HPVワクチンは本当に接種しても安全性は大丈夫ですかとか、接種したほうがいいのですかとか、そういった御質問のほうがまだ多い印象を持っております。
今は論点1への議論ということで、論点1の接種に関する啓発普及、これを今回の機会にやっていただいて、各自治体にお願いするというのは、もちろん賛成でございます。そして、現在のHPVワクチンの置かれた現状から、これはいつやれば終わりというのではなくて、一度接種率が大いに低下して信頼度が低下したワクチンが再度その信頼を回復するためにはかなりの時間が必要ですし、一般の国民の皆様が安全だ、安心だと思うのにはかなりのいろいろな時間とエビデンスが必要だと思いますので、気長に発信していく必要があると思っています。
例えば予防接種センターなど日頃の外来でワクチンの質問に対応しておりますと、接種要注意者の方、生ワクチンは打てないし、あまり今はワクチンを打っていないという御病気をお持ちの方などと御相談いたしますと、HPVワクチンの接種率はかなり低いです。最近、そういった方々に、打っていいですか、どっちなのでしょうかと時々質問を受けるのです。質問を受けるということは、少しは接種したほうがいいかどうかというお考えを持ってきていただいたということで、それはありがたいことなのですけれども、恐らくそういった接種要注意者の方には、不活化ワクチンですから、病状によっては打ってあげられる方もたくさんいらっしゃるわけですが、まだきっと接種はそれほど浸透していないのではないかと実感として思っておりますので、引き続きの啓発が必要と考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか、よろしいでしょうか。
最後に、私からも少し。今日はHPVワクチンに関する情報をしっかりまとめていただきまして、事務局の皆さんにはありがとうございます。
その上で、HPVワクチンの子宮がんを予防する効果については、有効性が高いと。それから、自治体での接種率ですね。1年度の定期接種の接種率とキャッチアップということですので、全体を見ているわけではないのですが、自治体によってかなりばらつきがある。ですから、有効性が高いワクチンの接種率が地域によってかなり違うということは、その結果が今後何十年かたって子宮がんの有病率にも関わってくるわけですから、自治体の皆さんはぜひしっかりとこれに取り組んで、キャッチアップの機会も確保できるようにしていただきたいということがあります。
リーフレットが非常に重要だということでありまして、宮入先生からもあったのですけれども、自治体の取組の好事例という御紹介があったのですけれども、それが本当に接種率の向上につながっているのかが非常に重要だと思うのです。我々も肝炎の定期検診の取組ということで、検診をいかに受けてもらうかということで、リーフレットは非常に重要なのです。そのリーフレットに正しい情報を載せるのはもちろんなのですけれども、接種という行動につながるようなリーフレットのつくり込み方が非常に重要だと思いますので、あまりそういうことを書くのはどうかと思いますけれども、これが最後の機会だとか、そういった行動につながるような工夫をしてもらう。これはナッジを活用したリーフレットのつくり方ということで、肝炎では研究班でそういった取組をして、それがどのぐらい検診の受検率につながったかというデータを出しているというところもありますので、そういうところも参考にしていただければと思いました。
また、この接種の上積みがそれほど多くはない、5%から10%ということがありましたけれども、ということは、この平成9年から17年のコホートというところもありますし、これが今後子宮がんを発症してくる年齢となってくると、子宮がんを減らしていくような国民的な運動が、ワクチンを含めて検診もありますし、治療ということもありますので、そういったところにもワクチンだけではなくて取り組んでいくことも必要になってくることも、我々は念頭に置いていく必要があると感じたところです。
私からは以上になります。
それでは、今、委員の皆様から御意見がありましたので、事務局からレスポンスいただければと思います。それから、牛田先生からもレスポンスをいただければと思います。
坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 男性接種はこの後にまた議論するという理解でよろしいですか。
○脇田部会長 この後にやります。
○坂元委員 ありがとうございます。
○脇田部会長 それでは、事務局、お願いします。
○和泉予防接種課課長補佐 ありがとうございます。
では、事務局から先ほどの御質問、コメント等に対しまして、レスポンスさせていただきます。
冒頭、坂元先生の御指摘をいただきまして、ありがとうございます。川崎市でも取組をいただくというところで、再勧奨をやっていないところが8割という今回調査がございましたけれども、再勧奨の捉え方がアンケート上、様々だった可能性もありまして、実際に8割かというところはありますが、していないところもあるというのが現状だと思っておりまして、ぜひ様々な取組を進めていただきたいですし、横展開もできるよう、この後、自治体説明会等もやらせていただこうと思っておりますので、情報提供をしていきたいと思ってございます。
論文に関しましてコメントを頂戴したところでございますが、御指摘のとおり、様々な疫学研究の解釈があると思っております。いずれにしましても、WHO等も言っていますように、若い年齢で打つことは非常に効果的であるというところはポイントかとも思いつつ、情報提供の在り方については検討させていただきたいと思っております。
次に、伊藤澄信先生に御指摘をいただきました。副反応疑い報告に基づく副反応検討部会の議論の状況等を補足いただきまして、ありがとうございました。接種回数について、より若いほうが回数が少ない、薬事上こうなっているところについては、重要な御指摘と思ってございます。現在、通知上の標準的な接種時期は13歳として定めてございますけれども、より早い情報提供の仕方等々について、こちらもぜひ前向きに検討させていただきたいと思ってございます。
それから、宮入先生と、最後、脇田先生にも御指摘をいただきました接種率の向上に寄与するような方法の分析でございますが、率直には行動にどうつながっていくかというところの分析は非常に難しいものだと感じておりますので、どのようにできるかというところも含めまして、よく事務局でも検討させていただきたいと思っております。今回お示しさせていただいた接種につながる情報提供の在り方ということで、例えば信頼を置いている情報源として、医師、医療従事者からの情報提供は非常に信頼が置けるといった感触もあるところでございますので、それが結果どれぐらい寄与したかの測定、これは難しいとは思っておりますけれども、どのようなことができるか検討をさせていただいて、それに基づいて効果的にやっていきたいというところは感じておるところでございます。
笹本先生から日本医師会の取組等を御紹介いただきまして、ありがとうございます。事務局で完全に網羅できていなくて恐縮でございましたけれども、日本医師会の皆さんとも連携をさせていただいて、予防接種週間等の周知もさせていただいていると思いますので、ぜひ引き続き取組をさせていただければと考えてございます。
鈴木基先生から御質問いただきまして、NPOとの連携につきまして、私も網羅的に記憶をしていないところではあるのですけれども、医師会さんはNPOではないですけれども、そういった団体の活動に厚労省としても後援名義で協力させていただくなど、幾つかさせていただいているところでございます。網羅的にお伝えするというよりは、そういったことが重要であるという御指摘かと思ってございますので、NPO等の活動についてもよく意見交換をしながら、できる連携は検討をぜひさせていただければと思ってございます。
磯部先生からの御指摘で、今回事務局資料の中に寄り添った支援というところ、柱立てとしてございましたが、取組について不足しておりまして、恐縮でございました。コメントいただいたとおり、牛田先生に現場のコメントをいただいたところで非常にありがたかったですし、また、中野先生にも先ほど予防接種センターとしての取組を少し御共有いただいたかと思ってございます。いずれにしましても、そういった支援が非常に重要であるというところ、接種後の症状に対応していくことの重要性も認識して、例えばガイドラインを作成するところも研究班の中でお願いをするなど、厚労省としても対応しているところでございますので、こういった取組をより進めて、安心して接種いただけるような形で環境を整備することについては事務局としても非常に重要だと思ってございますので、コメントとしてお答えさせていただきたいと思います。
清元先生からも姫路市の取組のお考えについていただきまして、ありがとうございます。様々な自治体の御事情等もあると思いますので、国としても情報提供のやり方等々をバックアップできればと考えてございますので、ぜひ意見交換をしながら進めさせていただければと考えてございます。
中野先生には、先ほど申し上げたとおり、予防接種センターについてもコメントいただきまして、ありがとうございました。予防接種の信頼回復というところは、こうした議論をぜひ進めさせていただきながらできればと私どもとしても考えているところでございます。
最後、脇田部会長にもコメントいただいたところで、行動につながるような方法をぜひ検討するようにということだったかと思ってございます。私ども、基本的なスタンスとして、HPVのワクチンは安全性に関する懸念等々がございまして、一度積極的勧奨を中止したところがございますので、まずは有効性、安全性、制度に関する正確な情報をお伝えすることを基本としまして、リーフレット等を作成してきたところでございます。先生御指摘のように、つながる方法で情報をお伝えしていくというところ、まさに接種期間や公費で打てる期間の情報は非常に接種行動につながるということも今回調査で明らかになったところでありますので、よく御本人、そして、家族が理解した上で接種につながるようにということで、肝炎の取組であったり、風しんの5期の取組も同様の考え方があると承知しておりますけれども、そのよいところを活用できるかも含めて、よく丁寧に検討して進めていきたいと思ってございます。
また、検診という方法も含めて全体でというコメントもいただいたところでございますが、省内、私ども感染症対策部でございますけれども、がんの担当部局ともよく連携をしながら、ワクチンと検診の情報提供、これは併せてだと考えておりますので、全体として情報提供を進めていきたいと考えているところでございます。
簡単ですが、以上となります。よろしくお願いします。
○脇田部会長 どうもありがとうございます。
それでは、牛田参考人に磯部先生からコメントがございましたので、もしレスポンスいただければと思いますが、いかがでしょうか。
○牛田参考人 ありがとうございます。
磯部先生から今後の課題ということも含めて御質問いただいたかと思います。今、月に岡部先生の研究班のデータなどを含めても20例ぐらいが出てきているようなところ、20例もなくて大体1桁ということもあるのですけれども、副反応に関しては非常に少ない発生状況になっています。ほとんどの人がよくなっているということで我々の拠点としては把握しているところはあるのですけれども、この問題は非常に難しくて、数が少ないと多くの先生方が経験していないということにもなってくるのです。そうなると、この一連の副反応の拡大に関わった大きな問題は、ドクターが怖がってしまって、たらし回しをして、それでインターネットに怖い情報が流れてみたいな状況が起こった。マニュアルにはできるだけ打っていただく、最初の接種をしていただく先生が一番御理解いただくことが安心になるのではないか、そういった人たちとの人間関係があれば安心に打っていただけるのではないかということでやってきているのですけれども、どうしても少ないとみんな不安になりがちなのです。ですから、この体制をつくりましたけれども、この中でどうやって維持していくのかが一つ重要だと思いますし、打つ先生方への教育を、研修を何とかして維持していくことが大事なのではないかと思います。
もう一つ、それをやると同時に、安心できるようなデータが出てきている。必ずしも全員が全員急性的な反応に関して予防できるとは思えないところがありますけれども、慢性的に非常に苦しむような状況には持ち込まないようにしていってさしあげることが最も重要な課題になってくるかと思いますので、そのようなことが非常にまれなのだということも含めたデータ発信がすごく大事で、そのときにどういう対応ができるのだということについても、研究班などで学んできたこと、データを皆さんと共有していく、そういう体制を維持していけたらと、そのように思っているところです。
○磯部委員 ありがとうございました。
○脇田部会長 ありがとうございました。
ただいま、事務局と牛田参考人のレスポンスがございましたが、さらに追加して委員の先生方から何かございますか。
よろしければ、論点1についてまとめていきたいと思います。
ただいま、キャッチアップ接種及び本来の定期接種の周知広報についてということで、大きな反対はなく、さらに8月の夏休みを活用できるこのタイミングでしっかりと周知をしていくべきだということであったり、リマインドの重要性であったり、自治体の取組は温度差がかなりあるので、もっと取組を促していくべきではないかといった御意見もいただきました。キャッチアップの接種が今年度で終了することを踏まえまして、最終年度である今年度にしっかりと周知を行っていくことは必要であろうと考えております。また、国における取組はもちろんですけれども、自治体における好事例も紹介がありました。医療機関との協力で周知を行っていくことも効果的であるという調査結果もございました。また、ブロック拠点病院事業に関わっておられる先生方の活動についても御紹介がありました。
今回の取組や議論について、事務局から国民の皆さんにお知らせをすることとともに、今回委員の皆様からあった御意見も踏まえて自治体への周知をしていただきたいと考えております。また、各自治体においてもしっかりと取組を進めていただきたいといった形でまとめたいと思いますが、委員の皆様、この論点1に関してはいかがでしょうか。大体よろしいですか。
それでは、事務局の皆さんには、今のまとめの方向でこの論点1については進めていただければと思います。ありがとうございました。
次に、論点2のHPVワクチンの男性への接種ということに関して御意見をいただきたいのですが、その前に、ワクチン小委員会で議論を進めていただきましたので、委員長であります鈴木委員から、小委員会における議論について御紹介をいただきたいと思います。
鈴木委員、よろしくお願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
ワクチン評価小委員会の委員長として、これまでの議論の状況について説明させていただきます。
最初に確認ですけれども、ワクチン評価小委員会は、予防接種に関する基本計画に基づいて、ワクチンの有効性、安全性及び費用対効果に関して、評価方法を含めて医学的、科学的な視点から議論を行い、考え方を整理する委員会であると位置づけられています。2022年8月の小委員会での議論に基づきまして、男性も含めたHPV関連疾患の予防に関する最新のエビデンスが取りまとめられまして、既に提出されている2価、4価及び9価HPVワクチンのファクトシートの追補版として、今年3月14日の小委員会に提出されました。
委員会では、委員から様々な御意見がありました。先ほど事務局がまとめてくれましたように、男性への接種に関して有効性と安全性に関するエビデンスは確立されているという点について異論はありませんでした。一方で、現在薬事承認されています4価ワクチンを3回接種するという前提で推計された費用対効果分析の結果につきましては、費用対効果に課題があるという評価とともに、その前提そのものについて委員の間で議論が交わされました。
私なりにまとめますと、委員の意見は主に4つです。
1つ目は、今年1月時点でWHO加盟国194か国のうち137か国で国の予防接種プログラムに導入されており、59か国で性別を問わず男性も接種対象になっている。日本も男女問わず接種するというジェンダーニュートラルワクチネーションという考え方を取るべきであるという意見。
2つ目、海外諸国では2回接種で実施されており、また、2022年に出されたWHOポジションペーパーに基づき、1回接種のプログラムが導入されている国が、英国、オーストラリアをはじめ38か国ある。このように、日本も3回接種ではなく2回接種、さらには1回接種について検討すべきではないかという意見。
3つ目は、男性での陰茎がん、中咽頭周辺がん、肛門がんを合わせると、年間約5,000人の新規患者が発生し、そのうちHPVが関連しているものが半数以上を占める。基本計画の原則に沿って、ワクチンで予防可能なものは予防するという考えを取るべきではないかという意見。
そして、4つ目は、男性にも接種機会を同等に確保することで、女性の接種率の改善にもつながるのではないかという意見。
これらの意見、本質的に重要なものですけれども、薬事承認の範囲内で有効性、安全性、費用対効果を検討するという現在の小委員会の前提に関わるものでありますことから、適切な議論の進め方について事務局で検討していただきたいとして、委員会の議論をひとまず取りまとめた次第です。
本日、基本方針部会の場で議論の機会を設けていただきまして、ありがとうございます。
私からは以上です。よろしくお願いいたします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
今、鈴木委員からワクチン小委員会での議論について御紹介をいただきました。また、鈴木先生からまとめという形で御紹介をいただいたということであります。
それでは、論点2、HPVワクチンの男性への接種に関する御意見、御質問等を委員の皆様から頂戴したいと思いますが、いかがでしょうか。
それでは、伊藤委員、坂元委員、宮入委員の順番でお願いします。
伊藤先生、お願いします。
○伊藤委員 ありがとうございます。
風しんワクチンが開始当初は女性、女の子から始まって、最終的には男子に広がっている。今回定期の5期接種の接種率の問題も含めた歴史的な経緯も含めて考えますと、HPVは基本、男性から女性に感染させているものである以上、男の子にも接種するという考え方は賛成しますけれども、男性のメリットからは、4価の3回接種ワクチンにしなければいけないというのが現行の選択肢ということについては、いかがなものかという気がいたしております。男の子にメリットがあるかどうかは別にして、現在、女の子に対しては9価のワクチンが使われていて、将来、男女間の感染防止ということから考えると、なぜ男子だけ4価にしなければいけないのかについての説明はなかなか難しいと思っております。海外の状況、特に4価や9価についてどのような状況で、かつ、もし海外でも男性に対して9価のワクチンが使われているのだとしたら、今後日本での承認の見通しについて教えていただければと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、坂元委員、お願いします。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
伊藤先生からもありましたように、HPV感染が一種の性行為感染症であって、女性への感染の責任の大きな部分が男性側にあるというのは、これは明らかだと思います。つまり、HPVが性的な接触でうつるため、男性の感染を防ぐことが女性に感染させないことで子宮頸がんの発生を防ぐことにつながるという、私はこの考え方は一つ正しいと思います。
ただ、先ほど説明がありましたように、HPVが男性の肛門がんや咽頭がんの発生に関わる点に関しての費用対効果、発生数そのものが少ないので、ここはあまり費用対効果が出ないのではないか、そこは仕方のないことだと思っています。ただ、見方として、今回の費用対効果の計算の中でも、人口集団の中での男女感染の相互感染を防ぐことによる予防効果の費用対効果も計算には入れておりますが、ここの見積りを大きくすると言ったら変ですけれども、そこのしっかりした考え方の見直しが必要ではないかと思っております。
それから、HPVワクチンがずっと議論になっていますように、一定の副反応は避けられないと。過去にいろいろな副反応で苦しんでおられる方もいらっしゃる。端的に言えば、この負荷を女性のみに負わせるというのは、男女の相互感染という観点からも、私は大きな問題があると思っております。男性の責務という観点からも、費用対効果という議論もありますが、男性接種を私は進めるべきではないかと考えております。
また、現実に男性接種に独自補助を出している自治体も増えてきております。見ると、かなり財政的に豊かな自治体もあり、この辺がワクチンギャップにつながらないように、また、安全性の観点からも、個々に自治体がばらばらに接種をやっていくのではなくて定期接種化することで全体としての安全性の情報が取れるという観点、これは女性にとっても男性にとっても好ましいと思いますので、男性への定期接種化の議論を鋭意進めることも、既に始めてしまっている市町村もある中で、市町村としても強く要望したいと思っております。
以上でございます。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続きまして、宮入委員、お願いします。
○宮入委員 ありがとうございます。
小委員会で改めて男性に対するHPVワクチンの接種が有効であると示していただいたこと、本当に感謝いたします。
子宮頸がんの全体の予防という観点では、接種率が上がっていない。先ほどの議論の中で中野委員から話があったように、長期的に時間をかけて信頼を回復していくプロセスの中で、男性にもこれを接種していくというジェンダーニュートラルの考え方については非常に重要ですので、今後もこれを推進していく方針は検討を続けていただきたいと思います。その中で、より現実的なところで、現在の接種方法以外の単回接種などのことについても御検討いただければと思っております。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
次に、中野委員、お願いします。
○中野委員 中野でございます。
事務局に作成していただいた資料に「女性への波及効果」と書いていただいてあるのは、今まで複数の委員の先生方に言及いただいた女性の子宮頸がんの予防、そういうことを意味しているものだと理解しております。こちらを例えばどれぐらいのパーセンテージで防げるのかとか、どれぐらいの費用対効果があるのかを計算しようと思っても、正直、なかなか難しいところがあると思うのです。例えばほかのワクチンの例でいうと、小児にHibと肺炎球菌のワクチンが導入されて、髄膜炎は大いに減りました。髄膜炎は大いに減りましたけれども、私たち現場の小児科医の印象として、中耳炎や他の呼吸器感染症も減っていると思います。ただ、その減っている効果はどこに効果があって、どれだけ効果があったかは計算できないですけれども、感染症の基本である予防というのは、とても大切だと考えております。
小委員会での議論でも、世界の各国と比べて男性に接種されている国と我が国とのいわゆるワクチンギャップのことにも言及いただいたと思いますけれども、これは我が国が治療に関しては保険診療で国民皆保険でカバーされているけれども、予防に関してはワクチンが定期接種にならないと幅広く皆さんにお勧めする、普及させる手段がほかにないところに一番起因しているのではないかと思っています。こちらに言及し出すとかなり話が深く幅広くなってくるので、それ以上は申し上げませんが、将来的にはそういったことも含めて、私は予防は大切だと思っているので、HPV、ヒトパピローマウイルスもそうですし、ほかの病原体も含めて、それをしっかり考えていく必要があるときに来ているのではないかと思っています。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
続いて、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 ありがとうございます。
先ほど私は小委員会の委員長として、あくまで委員の意見を取りまとめるという形で発言させていただきました。今回は基本方針部会の一委員として意見を申し上げさせていただきたいと思います。
私自身の意見としては、3つあります。
1つ目ですけれども、小委員会で多くの委員から意見があったように、国際的な議論の流れを踏まえますと、我が国もジェンダーニュートラルワクチネーションの考え方をしっかりと整理、理解した上でですけれども、これを採用するべきではないかと考えます。ただ、整理、理解が必要だと申し上げましたけれども、この言葉、実は結構複雑でして、男女の区別なく接種するということだけを指しているのではないということなのですね。例えば女性が接種することで、その間接効果で男性におけるHPV関連疾患が減少する、これは男性によるフリーライディングであり、不公正であるという見方がある。あるいは、男性自身がHPVワクチンの接種によって受けることができるはずのメリットを十分享受することができない、これは不公正である、だから、どちらの場合も男性、女性ともに接種することが公正であるという考え方があるわけです。一方で、低中所得国のようなリソースが限られていて、かつ、子宮頸がんの発生率が高い状況下では、女性に優先的に接種することが公正である、こういった議論があるわけです。このように、ジェンダーニュートラルワクチネーションという言葉は非常に倫理的に複雑な側面があることを、我々はしっかり理解しておく必要があります。
なぜ理解する必要があるのかというと、これが費用対効果分析に際して、女性のみ接種に対して男女接種を比較するのか、あるいは全く接種なしに対して男女接種を比較するのかということに関わってくるからです。イギリスのJCVIも、最初は女性のみ接種に対して男女接種を比較するということをして、費用対効果が優れないという評価でしたが、その後、接種なしと男女接種を比較する方針に変更しています。この背景にある考え方について、しっかりと関係者の間でコンセンサスをつくった上で評価をしていく必要があると考えます。これは意見の1つ目です。
2つ目ですが、薬事承認外の2回あるいは1回接種について、本格的に検討すべきではないかと考えます。既に9価ワクチンについては15歳未満に2回接種可能となっておりますけれども、ほかのワクチンも含めて2回接種の効果の3回接種に対する非劣性は多くのスタディーで示されていますし、このことは論文やWHOのポジションペーパーでも明記されています。こうした国際的な動向と学術的なコンセンサスを踏まえて、柔軟な対応を考えるべきできないかと思います。
3つ目ですが、費用対効果分析の手法について、現在の解析では基本分析で女性への効果を考慮していない、また、女性の接種率が高くなり得るという前提で分析が行われています。ただ、今日の前半の議論を踏まえますと、これらの前提は必ずしも正当化できるとは思えませんので、現在採用しております簡易的な手法も含めて見直していくのはどうか、このように思います。
以上をまとめますと、費用対効果分析に際して、ジェンダーニュートラルイミュニゼーションの考え方と接種回数に関するエビデンスをしっかり整理、コンセンサスを形成した上で、2回接種及び1回接種について、女性バーサス男女接種だけではなくて接種なしバーサス男女接種の比較を検討するべきではないか、このように考えております。
私からは以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
ほかの委員の皆様、いかがでしょうか。よろしいですか。
では、私からも意見を。まさに今、鈴木委員におっしゃっていただいた費用対効果の分析ですね。これは44ページに示していただいたところなのですけれども、私も正確には理解していないかもしれないのですが、この子宮がんを減らすことを考えていくと、男女ともに接種した場合に費用対効果が十分にあるのかという観点で分析をしていただければと思っていました。まさに鈴木先生が言われたような費用対効果分析の専門的な御意見があったとおりに分析を進めていただければ、もう少し費用対効果としてはリーズナブルなところになるのではないかと考えました。
それから、委員の先生方からも御意見があったとおり、男性から女性に感染をしているというところがありますので、これは先ほど少し意見を申し上げましたけれども、これから日本が子宮がんを減らしていく、オールジャパンでという言葉もありましたとおり、日本全体で取り組んでいくということの一つとして、男性への接種も取り組むべきではないかと考えたところです。これは私の意見です。
ほか、いかがでしょうか。
清元委員、そして、池田委員ですね。よろしくお願いします。
○清元委員 姫路市長の清元です。
我々は科学や医学の進歩で様々な疾患を克服してきたと思うのですけれども、女性の病気、子宮頸がんということでHPVはスタートしていると思いますが、今、空前の少子化が進んでいる中で、男女共同参画と社会において女性の病気をなくしていこうという流れを止めないためにも、男性、いわゆる人類としてジェンダーニュートラルワクチネーションを進めていくべきではないかと考えます。
実際に自分が孫がいる時代になって、風しんの予防接種をしてしっかりと男の特におじいさんの世代なども含めて抗体があるかどうか、また、風しんの予防接種をして不幸な子供が生まれてこないように予防していくことに対して、多くの理解がだんだん深まっていきました。男性接種も勧奨していくことで、10年、20年、このウイルスそのものが形を変えて減っていくことになるのであれば、男性接種を勧奨していくべきなのではないかと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
池田委員、お願いします。
○池田委員 池田でございます。
小委員会でワクチンの男性接種の費用対効果の分析を研究班として対応させていただきました。この際に、本来であれば諸外国で行われているようないわゆるダイナミックモデルといった集団への影響評価ですね。そういったこと前提のモデルということで当初計画したわけなのですが、その場合には、男女間で感染するような病気の場合には、性行動の頻度や男女間の感染確率など、そういった詳細なデータが必要になりまして、残念ながら国内でそういった十分なデータが得られませんでしたので、先行研究でダイナミックモデルで行われた推計などを参考に、モデルを再構築ではなくて、それらを利用した形で今回推計を出しているところでございます。
結果を御覧になっていただきますと、非常に不確実性が大きいといいますか、特に女性への間接的効果のところの推計は現状のデータでは困難なところでございますが、費用対効果に大きく関わってまいりますのが、日本で3回接種を前提とした分析でやりますと、諸外国のような費用対効果はなかなか出ないところがございます。ぜひ4価であっても9価であっても、男性に対する2回接種に向けてこれから開発や承認を目指すなど、そういったところを進めていただくことを、費用対効果の分析をした者としても、ジェンダーニュートラルという観点から、そういったものを推進するにはその点が非常に大きな課題かと思っているところでございます。
また、鈴木先生から御指摘いただきましたイギリスにおける分析の考え方が変わってきているというところも、私どもとしても認識しておりますので、そういう形での分析を御指示いただけましたら、これはもうすぐに計算できますので、そういったものも必要に応じて御提示をしていきたいと思います。
以上です。
○脇田部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
では、事務局からレスポンスをいただいてからまとめたいと思いますが、事務局、いかがでしょうか。
○和泉予防接種課課長補佐 事務局でございます。
御意見をいただきまして、ありがとうございます。冒頭、伊藤澄信先生からコメントをいただいたところで、薬事の見込み等でございますけれども、定型的なお答えで恐縮ですけれども、企業活動としての薬事申請あるいは当局としての承認というところのお見込みについては、なかなか確たるところが言えないところでございます。問題意識として御指摘いただいた4価の3回ではどうかというところ、9価の回数はどうかというところも含めてということかと思いますけれども、その辺りについては企業の出方次第になってございますので、小委員会でも議論させていただきましたけれども、この薬事申請の状況などについては、よく事務局でもフォローしていきたいと思っているところでございまして、お答えに代えさせていただければと思っております。実際に海外でもそういった形でほかの価数の高いワクチンが使われていたり、少しオフラベルかもしれませんけれども、回数が減じられているケースもあるとは承知しているところでございます。
そのほか、各委員の御意見に対して確たるお答えができるものではなくて、承るものも多かったかと思いますが、宮入先生からも単回接種というコメントをいただきましたけれども、ここは薬事の状況であったり、そういった評価が可能かどうかも含めて、審議会において御議論をぜひさせていただければと思っているところでございます。
中野先生には大きな話もいただいたところで、以前のほかの部会でも御指摘をいただいたかと思っておりまして、予防接種の在り方、基本的には予防接種法に基づいて公衆衛生上やっていくことが基本と考えておりますけれども、問題意識としては承らせていただければと思っております。
ジェンダーニュートラルワクチネーションのところ、様々な御指摘をいただいて、重要性は感じているところでありまして、今回事務局の資料といたしましても、そういったジェンダーニュートラルということ、両性に平等に打つというところを達成するに当たっても、基本的には有効性、安全性、そして、費用対効果の物差しが変わるものではないとは感じているところであります。そういった観点からも、今回女性への波及効果等も勘案して評価を進めてはどうかというところは、まさに男性に接種することを検討するに当たっても、こういった効果も勘案して評価をすることについていかがかというところをお諮りさせていただいたものでございます。評価の方法等、先ほど池田先生からも御指摘をいただきましたけれども、様々な方法があり得ることとか、冒頭申し上げた薬事の状況などもよく情報収集しながら、引き続き議論をさせていただければと事務局としては考えているところでございます。
以上となります。よろしくお願いします。
○脇田部会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様からさらに追加の御意見等はございますでしょうか。よろしいですか。
ありがとうございました。
それでは、この論点2ですね。「HPVワクチンの男性への接種について」というところですけれども、これは小委員会での議論をまとめてもらいました。その議論について御紹介をいただいて、事務局案として、最後、HPVワクチンの男性に対する接種については、女性への波及効果を観点して評価を進めていくことについてどう考えるかということですけれども、委員の皆様からはおおむね反対はなかったところですけれども、様々な御指摘はありました。ジェンダーニュートラルという点に関しても鈴木委員から考え方を整理していただきましたし、費用対効果の計算方法といいますか、評価の方法といいますか、そういったものも様々な観点があるのではないか、そして、利用できるワクチン、これは薬事承認も絡んでくるので一概に何とも言えないところもありますけれども、利用できるワクチンについても工夫できる可能性があるのではないかといった御指摘があったと思います。
現時点の評価ですね。ワクチンの有効性、安全性については一定程度確認をされているけれども、費用対効果の結果は課題がある状況であるということで、薬事承認の状況も見ていく必要があるところであります。
引き続き科学的知見に基づいて議論を行っていく必要があるので、特にワクチンの薬事の状況については事務局において引き続き注視していただくとともに、小委員会でまた議論を継続していただく形で進めさせていただければと思いますが、委員の皆様、いかがでしょうか。
それでは、そういった形で議論を進めていただいて、時期を見て基本方針部会でもまた議論をさせていただければと思います。
それでは、先ほどの論点1、そして、論点2はこういった形で取りまとめさせていただきましたので、事務局及び関係の部会の皆様に御対応いただきたいと考えております。
準備をしました議題は以上となりますが、さらにそれ以外で先生方からございますでしょうか。
それでは、特にないようでしたら、事務局にお渡ししたいと思います。
○溝口予防接種課課長補佐 事務局でございます。
本日も活発なご意見、ご議論をいただきまして、ありがとうございました。
次回の開催につきましては、追って御連絡をさせていただきます。
事務局からは以上になります。
○脇田部会長 どうもありがとうございました。
それでは、本日の基本方針部会、終了したいと思います。今日も委員の皆様、活発な御議論をどうもありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。