第4回 ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチームの議事録

日時

令和6年4月25日(木) 18:00~19:30

場所

厚生労働省 省議室

議題

  1. 1.中間とりまとめ
  2. 2.その他

議事

議事内容
○水谷課長 定刻となりましたので、ただいまから第4回「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム」を開催させていただきます。
 本日はお忙しい中、御参集いただきまして、どうもありがとうございます。
 初めに、本プロジェクトチームのチームリーダーであります、塩崎厚生労働大臣政務官より御挨拶をいただきます。
 塩崎政務官、よろしくお願いいたします。
 
○塩崎政務官 皆様、こんにちは。このプロジェクトチーム、チームリーダーの塩崎彰久でございます。
 本当にお疲れさまでした。第1回を2月5日に開催させていただいてからおよそ80日間、本当に文字どおり皆様に駆け抜けていただきました。本荘先生はじめこの委員の皆様、本当に日夜ありがとうございました。あと田代さんはじめワーキンググループの皆さんにも本当に寝食を忘れてお手伝いいただきまして本当に感謝しています。あと厚労省、そして、経産省、文科省、それぞれオブザーバー、事務局、様々な形でお力添えをいただいた本当に大勢の皆様に感謝申し上げたいと思います。
 数十人にわたるヒアリングと、そして、アイデア・ボックスでも90件以上、様々なアイデアをいただきまして、本当にたくさんの声を今回の提言の中に反映させていただきました。この中間提言、少し説明に回らせていただくと、あれ、いい意味で厚労省っぽくないねとか、厚労省もこういう何か産業政策を考えるようになったのか、いろいろ非常にポジティブなフィードバックをいただくことができました。
 今回、たくさんのヒアリングを通じて気がつかせていただいたのは、やはり日本には超高齢化社会ならではの世界の最先端のイノベーションのニーズがあるということ。そして、日本には世界最高品質の医療DXで集まってくる医療や介護のデータがある。そして、すばらしい研究頭脳があるということでございます。これをどうやって成果につなげていくか、これがこのプロジェクトチームの共通する思いであるわけでございます。
 より健康で、より安心できる、より豊かな社会をつくっていく、その鍵を握っているのが国内外のスタートアップ、ヘルスケア分野での起業家たちが、このテクノロジーを使ってイノベーションを通じて社会課題を解決してくれることではないか。皆さんと一緒にこの80日間、検討している中でその思いと覚悟を改めて強くしております。
 これから今日、中間提言を取りまとめて、そして、6月の最終報告書の取りまとめに向けて、今日、18本の提言がありますけれども、それに限らず、しっかりと一つ一つの提言を具体化していきたいと思っております。
 また、この中身につきましては、今後、政府の骨太の方針、また、新資本主義の実行計画の中にもしっかり取り組んで実行していく、そのことを担保してまいりたいと思います。引き続き国民の皆さんからもたくさんの声をいただきながら、最終提言に向けてすばらしい提言づくり、引き続きよろしくお願いいたします。
 感謝を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 
○水谷課長 塩崎政務官、どうもありがとうございました。
 続きまして、本日は、石井経済産業大臣政務官に御出席いただいてございます。石井政務官から御挨拶をいただきたいと存じます。
 石井政務官、よろしくお願いいたします。
 
○石井政務官 皆さん、改めましてこんにちは。経済産業大臣政務官の石井拓でございます。
 第3回、前回から加えさせていただきまして、この場所にも座らせていただいて、皆様の熱意、そして、このスタートアップでございますが、よく昔から言われていることですけれども、スタートアップ、スタートアップと言っても、支援しますよ、支援しますよと言っても、では、具体的にどうしていくのか、いや、ベンチャーキャピタルがつけばいいのではないか、あるいはワンストップで悩みを聞けばいいのか、そういう話でももちろんなく、そのことは分かっていたのですが、具体的にこのスタートアップをどのように支援していくかということがやはり皆様のお知恵をいただいて、情報もいただいて、塩崎先生もしっかりとまとめていただいていっていると思います。
 随分と勉強させていただいたつもりでおります。医療、そして、介護あるいはDXなど、専門的なことかもしれませんけれども、やがてこれが社会課題を解決するという今の日本の経済の先行き、そして、新たなしっかりとした国内投資をしていく。もちろん国内へ投資していくという方向性は間違いないものですから、このスタートアップをしっかりとこのプロセス。また、ここで取りまとめたとしても日進月歩、いろいろな課題が出てくるかもしれませんし、また、表に出してそれを多くの皆様からの御意見をいただいてよりよくしていくというのも厚生労働省、そして、経済産業省の役割かなとも思っております。
 いずれにしましても、このスタートアップ、取りまとめをまた行っていただき、多くの方にこの取りまとめた事柄を利用してもらい、よりよいスタートアップ支援、そして、社会づくりに貢献していただきたい、そう思っております。
 本当に勉強になります。今日はどうぞまたよろしくお願いします。
 
○水谷課長 石井政務官、どうもありがとうございました。
 頭撮りはここまでとさせていただきたいと思います。ペン記者の方は公開部分まで引き続き傍聴いただくことが可能でございますが、以後の撮影等はお控えいただくようにお願いいたします。
 それでは、出欠等の確認に移ります。
 本日は、経済産業省商務・サービスグループ生物化学産業課、ヘルスケア産業課、医療・福祉機器産業室、中小企業基盤整備機構審議役で経済産業省大臣官房参与の石井様、それから、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課にオブザーバーとして出席をいただいてございます。
 次に、本日の会議資料でございますが、議事次第、開催要綱、委員プロフィール、タスクフォース主査・副主査一覧のほか、資料1と2を御用意させていただいてございます。不足等ございましたらお知らせいただければと存じます。
 ここからは司会進行を本荘座長にお願いさせていただきたいと思います。
 では、座長、よろしくお願いいたします。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 本日、このヘルスタPTで中間取りまとめ、ついにお示しするということになりましたので、まずはこの中間取りまとめの前半、全体的な考え方を私のほうから、それから、各タスクフォースの主査の委員の方々から各タスクフォースのアウトプットについて御紹介いただきたいと思います。なお、本日、鈴木委員が欠席でありますので、総論の部分の話は私のほうからさせていただきます。
 では、この資料1を手に取っていただけますでしょうか。
 まず1枚めくっていただくと、ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム中間提言ということです。取りまとめをここにサマリーをしております。これも既に御承知のことであるかと思うのですが、さらっと簡単におさらいしますと、日本は世界に先んじてヘルスケア領域のイノベーションを生み出すポテンシャルがあるものの、ヘルスケアスタートアップの活躍が限定的である、もったいない状況ですと。
 本PTですが、目標として、ヘルスケアスタートアップの振興を通じ、日本のヘルスケア水準の向上とヘルスケアスタートアップのグローバル市場での活躍の両方を目指すとしております。そこで、戦略を考えなければならないわけなのですが、それぞれ各ヘルスケア市場の特性を見極め、最適なアプローチを選択するということで考えてきました。
 具体策はここに書いていますように5つの5人の主査の方にまとめていただいて提言を申し上げたいと思います。
 では、その前半戦の考え方に入っていきたいと思います。めくっていただいて4ページです。
 イノベーションのニーズがある国として、これは日本は水色の点ですね。かなりチャレンジがある。しかしながら、逆に言えば課題はチャンスということでございます。
 そして、5ページ、データのチャートがありますが、他国にも見られないほど皆保険、介護保険制度、あります。そういったもともとあるデータ、その豊富なデータ、そして、それを集積するということで、今後、これが強みとして発揮できるのではないかというように考えられます。
 めくっていただいて6ページ。
 実際に資金投下、研究開発投資ですね。ライフサイエンス、バイオには多くが投じられてきました。
 しかし、7ページ。
 ヘルスケアスタートアップ、これはデータベースで拾われている数字なのですが、数も比率も少ないのですけれども、さらには数、減っているというかなり危機意識を感じてしまうようなチャートでございます。
 次に参ります。8ページ目。
 すると、結果としてユニコーン、ゼロ。大きなM&A、企業を買ってくれた結果というのも僅かということになっております。
 そして、9ページ目。
 ヘルスケア領域が我が国のIPOにおいて5%しかないということで、これは何か両面あると思います。課題がある、そして、これをチャンスにすることが可能であろうということでございます。
 めくっていただいて、11ページ。
 その目標ですね。先ほどの繰り返しになりますが、国民生活に不可欠なヘルスケアの質の向上を図り、かつ持続可能なものにする。プラス、日本発の新たなサービス・製品の海外市場展開を促進し、グローバルな競争力を有する成長産業にするということでございます。
 めくっていただいて、では、その戦略ですね。13ページ。
 このようにスタートアップを育むためには幾つかの要素があるわけなのですが、こういった要素を鑑みまして、14ページ目、めくっていただいて、各ヘルスケア市場、一様ではございませんので、同じことを打つという話ではなく、大きく3つに分けたアプローチをここでは戦略的に考えてこれを提言に結びつけてまいりました。
 もう少し詳しく言いますのが15ページですね。
 さらに例えばバイオ・再生と言っても1つではなく2つに分かれたりとか、医療機器もしかりですが、そういった形できめ細かく分析を見ていって提言に結びつけていったわけでございます。
 ここまでが考え方のパートでございまして、特に御指摘、質問、ございますでしょうか。なければ中間提言に進みたいと思います。
 16ページ以降が問題意識と中間提言ということであります。
 まず総論ですね。共通的に見られること。
 17ページ。
 これは最初のブレットは、先ほど申し上げたこととほぼ同じでございます。
 2つ目のブレットは、課題はある、そして、育成策が不足しているという指摘がされております。
 3つ目、これはエコシステムの中でもかなりイノベーションといいますか、変革が起こっているという米国の例でありますが、単に幾つかのベンチャー企業、スタートアップに投資をすればいいよという話ではなく、例えばそのベンチャーキャピタルがそのシーズにタップインして、その可能性を検討し、事業計画まで引いてベンチャーをクリエートするという手法も広がっているということでございます。
 このように4つ目のポツに書いてありますが、海外のエコシステムとのギャップが指摘されております。
 そして、5番目のブレットにありますように、MEDISO等やっていますが、まだまだ体制の整備とか施策の拡充を求める声が多いということであり、右側に課題・機会の認識に参りますと、スタートアップが規制側とのつながりが弱い。だからこそ、声を聞くということが大切ですし、継続支援、そして、厚労省だけでなく関係する組織も連携するということで道が開けるのではないか。
 そして、3番目に書いてありますように、放っておくと着手が難しいテーマ、革新的なテーマというものの挑戦が滞ってしまいますので、これを加速したい。
 先ほどエコシステム、海外とのギャップを申し上げましたが、そういった海外のエコシステムともつながろう。英語であり、そして、ベンチャーキャピタルであるということですね。
 さらには、そのインフラが異なるというところに関しては、治験に高コスト、時間がかかっておりますので、それのギャップを埋めたいということであります。
 具体的な提言が18ページ、19ページにございます。
 ヘルスケアスタートアップ関係者から診療報酬改定等の要望を受け付け、検討を行う新たな一元窓口を設置する。これはステークホルダー、投資家等も含めていろいろと声を聞き、それを施策に反映するということです。
 提言2、既にMEDISOがございますが、これを充実・強化するということですね。これに関してはハブとしての機能の明確化、海外展開を含めスタートアップを伴走支援、他の組織との連携、エコシステムの中核にということで、予算を複数年度化かつ大幅増額し、継続的に活動できる組織基盤をつくるという提言でございます。
 3番目、マイルストーン型開発支援の活用により、これまで着手が難しかったテーマの創薬や医療機器開発を加速する。これは右に詳しく書いてありますが、海外のマーケットも狙うというのを冒頭にも申し上げたようにその目標でもあり、これが必要であると。さらには、難病、希少疾患とかAMR、アンメットニーズに基づいた革新的な医療機器などなど、こういったものに対しても開発を促進するという手だてでございます。
 次のページ、提言4、政府支援や申請手続等の相談対応につき、原則英語対応を可能にする。やはり国際的につながる、グローバルと言っている以上は、まずは英語で対応するということで、英語による情報発信、そして、相談対応とか申請書類といったものの英語対応ということでございます。
 提言5、ヘルスケア分野でトップクラスのグローバルVCを日本に誘致する。これは人材育成、人材交流といった目的もございますし、さらには、日本国内でこういったベンチャーキャピタルのオペレーションを拡大、日本での投資を拡大するといったことで、もちろん相手があることでありますが、これを厚労省と経産省の協力の下、立案・実施してアピールもしていくということでございます。
 提言6、DCT等の治験DXを積極活用し、上市までの時間・コストの大幅圧縮を実現する。これはDCTに適する治験の費用に関するAMEDの話もありますし、臨床研究中核病院、こちらのほうにも施策として提言をまとめております。
 では、続きまして、バイオ・再生。
 鍵本委員、お願いできますでしょうか。
 
○鍵本委員 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、バイオ・再生の領域に移りたいと思います。
 総論で大分カバーされているところはありますが、その中で特にバイオ・再生に関しましてヒアリングで得られた声をまず御紹介しますと、そもそも医薬品市場として米国、欧州市場が圧倒的に大きく、世界の60%でございます。したがいまして、産業としては特に米国承認を取らなくてはペイしないという状況になっております。しかし、そこにチャレンジするには、国内のスタートアップがチャレンジするには助言不足や資金不足により難航するケースが多い状況でございます。
 特に、このバイオ領域のスタートアップは開発、製造、ライセンスなどの面で非常に専門的な領域でございますので、結果、うまくいかずに治験のやり直しやデータの再提出になるケースが散見されております。すなわち、ここの人材不足ですね。これが大きく尾を引いているところでございます。
 また、開発ですね。開発を仕上げて商品化していくためには、その上場前後でそれが行われることが多いのですが、例えば上場への要件が厳しく、資金調達あるいはその先の上場後の開発が進まないケースが多発しております。
 こういったことから、このバイオ・再生タスクフォースでは、課題・機会の認識としまして、国内の早期開発へ助言や資金不足というところが主たる課題であるというように考えています。そこをしっかり強くすることでアメリカの開発、FDA審査、これを乗り越えて産業としてしっかりグローバル市場から回収していくということが重要であるという認識に至りました。
 また、それを実現するためには、非常に高度に専門化した製造戦略、非臨床戦略、臨床戦略、ライセンス戦略で、世界に通用する人材、これがしっかりいなければならないのが圧倒的に残念ながら不足している。ここをどうかしなければならないという認識に至りました。
 それから、最後、上場前後もきちんと成長軌道を維持できるようなIPO要件の変更が必要ということを認識しております。
 以上を踏まえまして、バイオ・再生タスクフォースでは3つの提言に至っております。
 1つ目が、AMEDによる創薬ベンチャーエコシステム、これは大変今、評価が高い人気の政策でございますが、ここが今、投資出資額要件というものがございまして、これを緩和して非臨床ステージのパイプラインを支援しやすい運用にすることによってさらに加速していけるのではないかと考えております。
 具体的には現在、最低出資額要件10億円というものがありますが、柔軟に解釈できるよう運用するという方針で提言を出していこうというように書いています。
 2番目、人材のところに戻ります。グローバル視点で新規モダリティーに対応できる人材を育成する官民協力型の教育プログラムを構築したいというように提言を上げたいと考えております。
 関係事業者団体との協力の下、業界全体で新規モダリティーに対応した実務者教育プログラムを構築する。また、日本国内外のCRDMO、これはちょっと専門用語ですが、要は製造ですね。製造や研究の委託を受ける組織、それから、ベンチャーキャピタル、製薬企業、スタートアップ、規制当局などからこの専門人材の一流人材を集めたオープンネットワークを構築する。今、人材が偏っておりますので、これがしっかりスタートアップに届くように、こういったものをつくろうと考えております。
 バイオ・再生スタートアップのIPOの障害となり得る日本取引所グループの上場要件の明確化を図るということを提言3に上げております。
 現在、臨床試験フェーズや創薬パイプラインに関する大手製薬企業とのアライアンスがIPOのための実質的な要件でないということが明確となるよう、取引所のQ&Aなどの記載を見直すということを挙げております。
 また、バイオ系のスタートアップ、これは売上げがない状態で上場しますので、過去、歴史的には臨床試験、フェーズIIaによる薬理効果が確認されていること、あるいはそれを物がいいということが分かる製薬企業のアライアンス締結が行われているということが条件づけられておりましたが、そうではなくともIPOが現実的な選択肢となり得るという理解促進を市場関係者に図りたいというように考えています。
 以上がバイオ・再生タスクフォースの提言3つでございます。
 以上でございます。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 では、続きまして、医療機器・SaMDタスクフォースですね。
 八木先生、お願いいたします。
 
○八木委員 それでは、医療機器・SaMDタスクフォースの内容について説明させていただきます。
 まずヒアリング等で得られた声につきましては、やはり治療機器に関して日本の医療機器市場の成長に寄与が非常に大きい反面、輸入に依存している部分があるというところで、ここに力を入れなければいけないと考えています。
 本分野の特徴としましては、やはり医療現場との密接な連携と臨床現場に関する深い理解に基づいた課題・ニーズの設定、高い臨床的価値を創出、しっかりとしたエビデンスを示すというようなことが求められます。しかし、実際に、それをやろうとしたときに医師とか医療機関へのアクセスがまだ難しいというような声や、実際にエビデンスを構築する際に、ヒトを対象として検証するファースト・イン・ヒューマン等を行う環境ががなかなか整っておらず、コストもかかるというような声がありました。
 次の2つ目の内容については、医療機器市場に関して国内外を見たときに基本的には世界的にどんどん伸びていますが、成長率、サイズという観点では異なります。特に米国は成長率が高く、サイズ的に言っても日本の市場に比べて6、7倍程度になるという中で、ヘルスケアスタートアップのスケーリングという観点でやはり海外展開というのは非常に重要と考えられます。しかし、実際に海外で事業展開を検討しようとされているスタートアップの話を聞くと、実際それができる人材はあまりいないですし、それを支援できる人材もなかなか見つからない、という声がありました。
 3つ目の内容については、SaMDに関して、新しい技術に基づいたものであり、その製品上の特徴に基づいた課題が上がってきております。
 1つ目は、特にこのSaMDの領域で医療機器の薬事を通して上市する上で必要な医療機器製造販売業の取得、その人的要件に関するハードルに関するご意見を頂きました。
 また同時に、SaMDの中でも、家庭用で使われる治療アプリは、患者さん本人が日常的に利用することが多いものなのでしっかりと情報発信通じて誤用、間違った使い方をしないように理解促進が必要になるのではないか、という声が上がっております。
 本タスクフォースでまとめました課題点としましては、まず1つ目に関しては、特に命に近いハイリスク・ハイリターンの革新的な治療機器、こちらに関しましては、やはり開発中で、失敗すると患者さんが命を失うリスクがある等なかなか大手企業がやりづらい部分でもあります。そのため、まさにヘルスケアスタートアップがやらなければいけないという部分ではありますが、先ほど申し上げたとおり、医療機関へのアクセシビリティーやエビデンス構築する環境が十分に整備されておらず、この部分が進めにくい場合があるという課題がありました。
 海外展開に関しましては、やはり医療機器のニーズに関して、大本、解剖とか生理学、病態という観点で言えば国内も海外も共通する部分はありますが、命から遠いデバイスになると多様な要素による影響で、ニーズの違いが大きくなってしまう場合がある。そのような場合に、日本で作り込んでしまってから海外進出を進めようとすると、現地のニーズに合わせるために手戻り等が発生してしまう場合があるので、早期に現地のニーズや事業性の検証を行う必要がある。しかし、現地で実際に行うことができる人材、医療従事者、キーオピニオンリーダーやキーパーソンとの関係性を構築できずに時間がかかってしまうという課題があります。
 3つ目に関しましては、医療機器の製造販売業の人的要件については、現状のソフトウエア、SaMDの特徴を踏まえた在り方を整える必要があるのではないかという点と、広告に関しては、現在、規制緩和が進む一方で、家庭用の治療アプリ等に関して一般の方々に向けてエビデンス、客観性の高いデータを示すことができないという状況にあります。一方で、非医療機器アプリでは、効果・効能はうたえない状況ではありますが、信頼性がしっかり担保されていない実験データ等も広告可能なので、その意味で医療機器と非医療機器のアプリの中で扱いに関してギャップがあるという課題が挙がっております。
 以上を踏まえまして、医療機器・SaMDタスクフォースに関しては、以下の3つの提言をまとめました。
 提言1に関しましては、ハイリスク・ハイリターンな革新的治療機器開発について、臨床エビデンス獲得に対する資金支援及び協力する臨床研究中核病院等に対する支援を拡充する。具体的には、医療機関へのアクセスを改善する、臨床エビデンス獲得に関して資金的な援助、あとは環境を整備する等の内容になっております。
 提言2に関しましては、ヘルスケアスタートアップによる海外展開支援に関して専門人材の育成や薬事規制の国際協調の強化を行う。具体的には、JETRO等の組織と連携して企業と起業家、投資家、規制当局等、重要なステークホルダーに関して海外派遣プログラムや研究支援を通じて、実際の現地での検証とか現地の人材の専門家、もしくは医療サイドのキーオピニオンリーダー・キーパーソンへのアクセスを改善して関係構築を支援する。一方で、そのまま依存するわけではなくて、その支援を通じて専門人材を育成していくという形になります。
 また、海外展開に関して薬事規制がハードルの一つとなりますが、Harmonization By Doing等の活動により薬事規制の国際協調を強化してエビデンス構築や薬事に係る海外対応のハードルを下げるということを行います。
 提言3につきましては、SaMDの開発・事業化の制約になり得る許認可規制及び広告規制等を早急に緩和します。こちらに関しましては、製品の質担保と事業開発の促進を両立する形で製販業の取得要件を緩和する。広告に関しては、客観性の担保されたデータ等の利用を可能にすることを検討するというような内容でまとめさせていただいております。
 以上です。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 続きまして、医療DX・AI、原さん、お願いします。
 
○原委員 医療DX・AIタスクフォースの説明をさせていただきます。
 ヒアリングで得られた声ですが、冒頭、政務官からもお話があったとおり、日本には非常に高品質なデータが集積されつつある。特にこの辺りは医療DX室をはじめとして皆様、厚労省等の取組で非常にポテンシャルが高い状態になっている、そういう声もまず聞かれております。
 一方で、このヘルスケアIT事業の市場規模の予測を見ると、グローバルで見ると80ビリオンドルの見込みがある一方で、日本では4000億円程度、2025年の成長の予測となっているということで、まだまだここにはギャップがあるということも見られております。
 この課題について、具体的には下の3つのポツに書いてあるのですけれども、一つは、まずこのデータがきちんとつながっていないというのがあります。これは電子カルテ等のデータをはじめとして、この活用される基盤としてデータが接続、共有される状態になっていないというところ。
 2つ目が、この共有されるデータがあったとして、では、それを活用していろいろな取組をやった実施主体が実際そこでこの利益を還元できるか、価値還元をできるか、価値を得られるかというところにも課題があるというように聞いております。
 これを仮に越えてデータを活用したものができたときに、では、できたプロダクトやサービスを医療機関などに導入していくとなったときに、今度はこの導入するときに医療機関の判断がばらついてなかなかここに時間がかかってしまうというような課題が聞かれております。
 具体的な課題・機会の認識としては、こちらの右のページに書いてあるところですが、まずデータをつなぐ、共有するという観点については、データの公的なデータに関して、具体的にはマイナポータルであるとかオンライン資格確認、こういったデータへのAPI接続、これは今、既にAPI接続はできる状態にはなっているのですけれども、現状だと都度のユーザー認証が必要になっている。そうすると、例えばマイナポータルAPIで接続をしてもう少しプッシュ型で処方情報に基づいてサービスを提供するというようなことがしづらい状況になっているというような課題があるかというように考えております。また、情報項目も限られているというところがこの公的なデータに関するAPIの課題として見られていると考えております。また、民間のデータに関しても電子カルテであるとか健保の基幹システム、こういったAPIの接続がなかなか十分進展していないというところも、このデータがつながるというところの課題というように捉えております。
 続けて2つ目、このデータが、では、仮に接続を共有されたものがあったとして、それを開発していこうとするときの課題がございます。スタートアップが特にこのAI等の新しい技術を使ってサービス・プロダクトを開発しようとしていったときに、規制の適用が不明確になっているために、では、これで開発していった先に後でこういう規制に引っかかってしまうかもしれないということを考えて、なかなかこの開発に踏み出せないという課題があるというのが一つ。
 あとは、特に医療の領域でどういう性能を実現していくと実際に臨床上評価されるのか、それによってスタートアップとして、では、その事業から出てくる収益を得られるのかと。この出口の部分がなかなか見えにくいというところが課題として考えております。
 3つ目ですが、では、データを活用してサービス・プロダクトを作った後に実際に使っていくという観点になったときに、こういう民間のデジタルサービスを導入していくときに様々な医療機関、特にこの医療機関の医療情報部などで情報セキュリティーに関するガイドラインの理解の解釈にばらつきがあるというところだったり、あとはこういうデジタルサービスのセキュリティーに関しては認証がなかなか進んでいない、こういった課題があるために、このサービス・プロダクトの導入が進まない、こういったところが課題としてあるというように捉えております。
 これを踏まえまして、この提言の内容としては、それに対応するような形で3つ、25ページ目に挙げさせていただいております。
 1つ目のデータがつながる、共有するという観点につきましては、マイナポータル等の医療データの民間事業者との接続を持続的なAPIの連携を実現するとともに、連携項目を拡充するというような提言をさせていただいています。
 右側にその具体を書かせていただいておりますが、先ほど申し上げたマイナポータルやオンライン資格確認等のAPIについて、データ連携を都度ではなくて、一度認証すれば一定期間は自動連携を維持できるような運用に改めるというのが一つ。
 あとはマイナポータルでの情報連携項目を拡充するということを提言として入れさせていただいております。
 2つ目の提言ですが、こういったデータが集まっている中で、この開発をしていくところの課題について述べております。医療分野のAI開発促進に向けて、ルールの明確化について今年度中に一定の整理を示すとともに、事業の予見可能性に関する考え方の整理を進めるとしております。
 一つは、このルールメーキングのところで、医療AI開発について、特に課題となるような規制を特定するというところ。あとは適用関係の明確化について今年度中に一定の整理を示すということを述べております。
 例えば医療のデータを昨今、いろいろなところで活用されているような大規模言語モデルのようなAIを活用して作っていった場合に、では、これが法的にどう整理されるのか、こういった課題について整理を示していくことをここでは考えております。
 また、2つ目ですが、この医療AIの製品が普及した場合に、では、こういうものを開発した事業者がどういうように経済リターンを得られるか。この予見可能性を高めて、そういった事業者がより開発に乗り出していけるように、この事業の予見性の方向性を示すということも目指すということを提言に入れさせていただいております。
 最後に提言3ですが、では、こういった製品、プロダクト、サービスが出てきたときに病院、あとは健保において、このサービス導入を進めるに当たっての制約、これは具体的にはベンダーロックインであるとかセキュリティーの課題、こういった課題の解消に向けた相談の窓口を設ける。あとは、こういったものに対する客観的な評価システムを構築するということを提言3に入れさせていただいております。
 具体的には電子カルテであるとか健保の基幹システム等のデータ連携やAPI接続に関係して、スタートアップが直面するような課題、こういうものがあった場合に、これは様々な省庁が関わるところですので、省庁横断的な相談窓口の設置なども視野に入れて、実際にこういう受皿になるようなところで実態の把握を進めるということを挙げさせていただいております。
 また、2点目ですが、この医療情報システムに関連して、適切な情報の保護のために今、3省2ガイドラインというものがございますが、これへの適合性について公的あるいは学会等による認証を行うということを具体的な提案として挙げさせていただいております。
 以上が医療DX・AIの提言になります。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 では、続きまして、介護テック。
 鹿野さん、お願いいたします。
 
○鹿野委員 ありがとうございます。
 介護テックタスクフォースの説明に参ります。
 1つ目、ヒアリング等で得られた声として4つございます。
 1つが、介護市場の規模が高齢化に伴い年々増加しているという状況の中、有料老人ホームなど一部の例外を除きまして、メインのものが介護保険による給付費、10兆円前後によって外縁を規定されているというところがございまして、昨今、介護保険外サービスの発展という話もございますが、やはり主力のところの大部分は給付費に頼っているというところがございまして、ここの外縁規定のところが問題ではないかというような整理がございます。
 2つ目が、また給付費のうち、人件費が6、7割という形で非常に人件費が高い業界であるというところもありまして、やはり最終的に残る平均収支差率は2.4%ということで、ほかの産業と比べても低く、ICT投資への余力が限定的という状態がございます。
 3つ目が、こういった限られた労働人口の中で増加し続ける高齢者を支えるために現場の負担をどう減らしていくかという中において、現在、この介護テック、介護ロボットという言い方もしますが、活用は期待されておりまして、ケアの質の話と生産性、この2つを同時に実現するということにおいてやはり道具の重要性というのがますます増えておりまして、実際、介護現場の需要という観点においては、介護ロボット導入支援事業及びICT導入支援事業等の令和3年から5年の実績は53.9億から122.4億に227%という形で増加をしております。非常に現場からICTなどに対する期待があるというような状況でございます。
 あとは4つ目、そういった中で様々なイノベーション、介護テックスタートアップの中において、やはり経営戦略ですとか出口戦略等の相談先がなく、あと上場の実現も少ない状態ということもありますので、なかなか相談先もなく、どうしたら保険収載できるのかとか、あと補助金の対象にしながらどうセールスをするのか、そういった様々な経営サイドの意見交換等もなかなか難しいということで、エコシステムが未発達で本当に悩みながらやられている会社が多いなというような声が得られております。
 課題・機会の認識です。
 このヒアリング等、様々な介護現場の声、キャピタリストの声、そして、スタートアップの声、集めた中において、課題と機会の認識ということで4つにまとめております。
 介護テックスタートアップ、現状、施設分野においては23年度にようやく1社、上場を果たしました。ここは規制の緩和ですとか加算というところも追い風になりまして上がっておりますが、在宅分野においては現状、まだ1社も上場実績がないということもございまして、エコシステムが非常に弱いという現状でございます。
 2つ目、介護テックスタートアップの振興によって、生産性向上の取組の促進が不可欠な介護現場において、エコシステムが発達すれば現場の多様なニーズという形でソフトのものもあればハードのものもあれば、あともう少し物理的な昔ながらの福祉用具みたいなところの進化というのもございます。そういった様々、多様なニーズに応じて介護テックの選択肢が提供できるような市場環境の形成ができればというような機会の認識をしております。
 また、介護事業所による介護テックの導入率、現在3割程度という状況がございまして、増加をかなりこの数年間でしていっているのですが、まだまだ過半数を取っているという状況ではございません。さらに、介護事業所向けのDX補助金、かなり増加させて今、いただいておりまして、増えていっている最中ではございますが、まだその応募に対する採択が4割ということで、全ての方、全部は難しいとは思うのですが、過半数をいっていないということもありまして、まだまだITを導入したいという需要に対する補助金の量が足りてないというような状況ではないかなと思っています。
 また、都道府県によって人口当たりの補助金額の偏りがございまして、自治体によってかなり濃淡があります。特に給付費の半分以上の5割以上を占める在宅の事業所においては、まだまだ浸透してないところもありますので、こういった領域の介護テックの活用の余地が大きいというような状況がございます。
 最後に、現行の介護保険の制度はテクノロジー利用の導入インセンティブが限定的であるというところもございまして、さらに施設分野は一定、補助金も加算の関係、ある程度保険に乗ってきているという状況ではございますが、メインの半数の在宅分野の介護テックが社会実装にまだ至っていないという機会の認識をしております。
 続きまして、こちらのヒアリング、課題の内容の整理を基に提言を3つ、まとめてございます。次のページです。
 提言1とまとめておりますのが、現在、MEDISOという形で医療サイドのスタートアップの支援をされる窓口がございますが、こちらの介護テックスタートアップを支援する一元的相談窓口としてCARISOというのを早期に立ち上げるということを提言させていただいております。
 具体的には、現行ありますプラットフォーム事業とかリビングラボというのがございまして、現場の介護事業所とベンダー、メーカー等をマッチングしながら実証するようなモデルがございますので、こちら、発展的にCARISOを進化させることによって介護テックスタートアップ向けの相談窓口を厚労省内部に創設するというところでございます。
 こういった介護テックスタートアップからの相談要望、一括して受け付けて、現場へのつなぎですとか、さらなるUIのブラッシュアップですとか、加えて、スタートアップ側からどうやって保険収載していくかというような出口の戦略も含めていろいろな課題がございますので、まずは一度、相談ができるような窓口をできればと思っております。
 2つ目が、介護テック振興イベントでございます。こちら、投資家とのネットワークイベントですとかアワード、様々な内容で記載をしておりますが、別に今、MEDISOでやられているものがございますので、そちらを参考に支援策の拡充をしていくという形で記載をしております。
 最後は、やはりテクノロジーの導入に当たって現場の理解というのが非常に大事だということが分かっておりますので、現場のITリテラシーというところを教育いたしまして、ぜひ使いこなしていただくようなものができればと思っています。ここは介護現場側もそうですが、テクノロジーサイドも寄り添っていく必要がございますので、ここを両方混ぜながらできるような状況がつくれればと思っております。
 提言の2つ目に参ります。介護事業所向けのDX支援の拡充により介護テックの導入を促し、深刻化する介護就労者不足の解消を目指すという形になっております。
 昨年、介護就労者の頭打ちということで初めて1.2万人不足ということで反転いたしましたが、やはりこれからなかなか大量に人がいるという状況ではございませんので、できる限り介護テックの活用をしながら現場の負担を下げていくという中において、具体的な施策として、右サイドにございます。
 先ほど4割の方が採択されているということがありますが、6割の残りの介護事業所の方々にもDX支援の補助金の交付が受けられるような状況をつくれればということで、DX支援補助金関連予算の対象拡大を含め、支援規模の拡充を図るという形をさせていただいております。
 2つ目が、全都道府県にワンストップ型の相談窓口を設置いたしまして、やはり介護事業所側がなかなかITというだけでも理解が進んでいないというところもございますが、補助金の内容の細かいところにまで来るとなかなか分からないという声もございます。ぜひこちら、一括して介護事業所側が使いやすいような形でコンシェルジュ的なものができればというところ、こちらを提言させていただいております。
 最後、提言の3つ目に参ります。在宅事業者・利用者向け介護テック製品の介護保険上の評価の見直し、導入インセンティブの明確化をすると記載をしております。
 具体的には、今年度、4月から施設側の生産性向上推進体制加算という形で、定常的な点数がつくというような状況を初めて迎えておりますが、まさにこれを残りの在宅の分野に適用できるように老健事業等でエビデンスを収集しながら推進するという記載をしております。
 2つ目、翻って、どちらかというと利用者目線です。介護保険の福祉用具、もしくはデジタル化ですとか高度化をするためにも、まずこういった評価検討会の開催頻度の増加、そして、しっかりデジタルの話が分かるような構成員の追加ということで介護テック領域のメンバーの追加の検討という形の記載をさせていただいております。
 こちら、介護テックタスクフォースの3つの提言となります。
 以上です。ありがとうございました。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 ここまで18の提言について御説明いただきました。
 質疑と討議ですけれども、まずアイデア・ボックスの御説明をしていただいて、それでまとめて討議をやりたいと思いますので、鈴木さん、資料2「ヘルスタ・アイデア・ボックス!」に投稿された主な御意見という資料があると思いますが、そちらのほうをお願いいたします。
 
○鈴木課長補佐 ありがとうございます。医政局の鈴木でございます。
 今、御指示いただきました資料2でございますが、私のほうから御説明させていただきたいと思います。
 政務官からも先ほど御指摘、触れていただきました「ヘルスタ・アイデア・ボックス!」でございますけれども、本PTの立ち上げに合わせまして、ほぼ同じ時期に立ち上げさせていただきました。2月7日から御意見を頂戴しておりまして、4月24日水曜日現在で御意見90件、頂戴しております。
 この資料にもございますけれども、共通課題というものが一般的に多くなっている次第でございますが、バイオ/再生、メドテクなどにつきましても多く、12件、19件という形で来ております。また、投稿された方の属性といたしましては、やはりスタートアップの方から49件ということで過半数を占めておりますけれども、ほかにも医療機関等、あとまた医薬品・医療機器メーカー、コンサル、ベンチャーキャピタル、アカデミア、アクセラレーターという形で幅広く頂戴をしている次第でございます。
 引き続きこのアイデア・ボックスにつきましては設けさせていただくところでございますので、国民の皆様からの御意見を募集したいというように考えている次第でございます。
 以上でございます。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 では、御質問、御意見などございましたら承りたいのですが、いかがでしょうか。委員の方々、ございますでしょうか。
 どうぞ。
 
○香本委員 スタートアップ業界に専門人材が不足しているというのが全ての項目で言われていると思うのですが、例えば海外のKOLであったり、日本のPMDA経験者の方や、海外事業展開に必要な海外の経営者、主にアメリカで経営陣を採用する支援など、共通する人に関する課題に対する打ち手は、この総論提言の中のどこに落とし込まれるのでしょうか。私の理解では、このMEDISOの機能・体制の拡充に入ってくると想像しますが、その理解でいいのか確認させてください。
 
○本荘座長 これは人材という項目を大きくつくって、そこに集約するという方法論もあるかとは思うのですが、それであると逆に、先ほどおっしゃられたように非常に個別具体的な、専門性と言っても幾つもありますので。今回はMEDISOにも含まれていますが、そのほかの部分にも人材に対しての策というのは教育のような話であったり、あるいは人材交流であったりというので幾つかに散らばっているというのが今回の中間提言の構成にはなっております。
 おっしゃるように、その人材については、それこそ人材もそうですし、そもそもアイデア、ヒト、カネというようになって、ヒトに大きな課題があるというのは既に分かっている話なのですが、おっしゃるように、これはもうヒト、カネ、アイデアもそうなのですが、尽きないテーマではありますので、最終に向けてさらに掘っていき、どういう具体提言にできるかというのは逆にまたお知恵を賜りたいなというように思っておりますので。ただ、最終提言と言っても何か月もあるわけではなくてすぐ締切りが来てしまいますので、またお力を借りたいと思います。よろしくお願いいたします。
 
○塩崎政務官 ちょっと補足しますと、今、多分香本さんがおっしゃったこと、幾つかの提言に分かれて、どういう人材をということで分かれて記載されていると思います。例えば海外の経験のある人を連れてくるというのは提言5のグローバルVCを日本に誘致するですとか、または英語対応可能にする、こういったものが効いてくる話だと思いますし、または新しく人材を育てていくというところになりますと、バイオ・再生の提言2にある新規モダリティー、こういった特に欠けている人材の育成にかけているところ。そして、そういったもの、いる人材をネットワーキング化していくところになっていくとMEDISOだったり、そういったものが機能してくるのではないかというように思います。
 
○香本委員 ありがとうございます。
 人は本当に非常に重要な共通の課題だと思います。この次の具体的な部分になるので、この場で議論するべきか分かりませんが、例えば専門家に対してストックオプションを出しやすくする、例えばMEDISOにいる人が伴走支援するスタートアップのストックオプションをもらうことができるようにする、MEDISOが人材を海外に持ち、その海外人材が日本のスタートアップのストックオプションを持つことができるようにするなど、専門人材がスタートアップを支援するモチベーションを高めるための幾つかの施策もどこか具体的に入れればいいのではないかなと思っております。
 
○本荘座長 ありがとうございました。
 今の話はヘルスケア分野に限らずよく出る話でございまして、私もアメリカのベンチャーキャピタルなどのアドバイザーとかやっていると、日本とアメリカで常識も法律も違うのでその辺をどう工夫して突破できるのかというのは、逆に言うと、特にアメリカのサポーター、サポートしていただける方々からするとそれは当たり前でしょうという話で言われてしまいますので、それに対してどう応えるかというのはおっしゃるように大きな課題だと思います。
 
○小栁委員 京都大学、小栁です。よろしくお願いします。
 非常に膨大な情報の中から取りまとめていただいて、非常に受け止めるほうも大変だなというように感じているのですが、先ほど皆さんを拝見していて、私、よく考えると、ここの課題はほぼ今まで過去10年間、スタートアップに対応してきた中で結構経験したことが多いなと。逆に言うと、こんな私のような知識のない人間に頼るしかないという現状が今まであり、ここからは次のモードに変わっていくというステージなのかなというようにこの皆さんのメンバーを拝見していてちょっと思いました。
 そのときにプレーヤーとして誰が出てくるのかと思いますと、やはり大企業なのかなと。そこへの窓口というのがもう少し、実際に個別にはあると思うのですが、特に原先生にいろいろ私、勝手にお願いをしていた中で、製薬企業さんとかは医療DX・AI、ここから出てくる情報に対しては物すごくメリットがあるはずだけれども、今、現状では彼ら、自分たちのビジネスとしてあまり自分事として考えられてないなというように思うのですね。
 そこでキーになるのは、提言3にあります客観的な評価システム。これは実は介護についてもほかのSaMDとかバイオ・再生でも結構同じところに落ちていくのかなというようにちょっと思いましたので、何らかの形で開発途中のものがどれぐらいの価値があるのかというところを客観的に見るようなシステムが全般的にあると望ましいのかなと。
 本来であればベンチャーキャピタルさんが目利きをやるというところの一番最たるものだと思うのですが、日本だけでは無理で、アメリカの市場ではどういうようになるとか、あと例えば1人の患者さんのデータがどれぐらいの価値なのかという議論をしていいのか、いけないのかとか、何かそういうところが医療DXのところで原先生、結構苦労されたのだろうなというところも見てとれるので、これができると一気に我々も製薬企業と話がしやすくなるなと思いましたので、何らかの形で大企業とのブリッジというところ、ちょっと意識して全体的に何か最終提言に向けては調整していただけるとありがたいなというように感じました。
 以上です。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 ほかに。どうぞ。
 
○曽山委員 LINK-Jの曽山でございます。ちょっと遅参いたしまして誠に申し訳ありません。
 今の小栁先生のお話、まさしくそのとおりだと思っておりまして、MEDISOをこれまで6年間ぐらい、すごくよく僕はやっているなと思っているのですが、せっかく厚生労働省の事業なので、まさしく出口側、製薬企業さんをはじめとして個別の企業なのか、製薬協さんをはじめとする団体さん、別として、そことの結びつき、そのための働きかけみたいなのをぜひMEDISOでやっていただけるといいのではないかなというように思っております。
 以上です。
 
○本荘座長 ありがとうございます。
 せっかくなので、ナイーブなクエスチョンでもオーケーなので、どうぞ。あるいは御指摘。ユーチューブ、切ってから話したいという話でしたら、それはそれでいいのですが、いかがですか。
 では、次に行きますか。
 では、そうしましたら、公開部分については以上とさせていただきたいと思いますので、一旦事務局にお戻しいたします。
 
○水谷課長 これ以降は中間取りまとめ以後の検討事項に関する御議論をいただきたいと存じます。公開した場合に自由闊達な意見交換に支障を来すおそれがあるため、非公開とさせていただきます。議事要旨につきましては後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としてございます。