- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 医政局が実施する検討会等 >
- ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム >
- 第3回 ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチームの議事録
第3回 ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチームの議事録
日時
令和6年4月8日(月) 10:00~12:00
場所
厚生労働省 専用第21会議室
議題
- 1.ヘルスケアスタートアップの現状と課題について
- 2.その他
議事
- 議事内容
- ○水谷課長 定刻となりましたので、ただいまから第3回「ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討プロジェクトチーム」を開催させていただきます。
皆様、本日はお忙しい中御参集いただきまして、どうもありがとうございます。
初めに、本プロジェクトチームのチームリーダーであります、塩崎厚生労働大臣政務官より御挨拶をいただきます。塩崎政務官、よろしくお願いいたします。
○塩崎政務官 皆さん、おはようございます。プロジェクトチームリーダーの塩崎彰久でございます。
世間は桜が満開でございますが、このプロジェクトチームの提言も今月内の取りまとめに向けて大きなつぼみが今、開こうとしている、そのような段階にようやくなってまいりました。
委員の皆様におかれましては、第1回、第2回の議論、そして、その後も大変精力的に公式なもの、非公式なものを合わせて数十回のヒアリングを重ねていただきまして、大変精緻な議論を重ねていただいております。
また、「ヘルスタ・アイデア・ボックス!」においても、多くの国民の皆様から90件以上も御意見をいただいておりまして、こうしたことも踏まえしっかりと政策提言の検討を進めていきたいと思っております。
第1回でプロジェクトチームのメンバーの皆様に、皆様は有識者会議の有識者ではありません、実際に手を動かしていただくプロジェクトチームメンバーですということを申し上げたその意味を、今、皆様は大変な御苦労の中で痛感していただいているのではないかと思いますが、おかげさまで大変具体的な、そして、革新的な様々なアイデアを出していただいているのではないかと思っております。
本日は第3回ということで、経済産業省から私の信頼する同期でもあります石井拓政務官にお越しいただいております。ありがとうございます。
○石井政務官 ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。(拍手)
○塩崎政務官 まさにこのヘルスケア分野は厚労省と経済産業省、他省もいろいろありますけれども、特にこの2省がこれまで長年にわたって協力しながら進めてきた政策分野でございます。石井政務官と私で一緒にこのプロジェクトチームを進めていきたいと思っております。
また、今日はMEDISOから川上明彦プロジェクトマネージャー様にも来ていただいておりまして、MEDISO、まさにこの創薬、また、医療の分野でのスタートアップ支援を続けてきた取組について御紹介をいただく予定となっております。
本日はこうした議論もいただきながら、月内の中間取りまとめに生かしていきたいと思っております。
ぜひ皆様の忌憚のない御意見、そして、建設的な御議論、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○水谷課長 塩崎政務官、どうもありがとうございます。
続いて、今、政務官からもお話がございましたとおり、本日は公務御多忙の中、石井経済産業大臣政務官にも御出席を賜ってございます。石井政務官、御挨拶をどうぞよろしくお願いいたします。
○石井政務官 改めまして、皆さん、おはようございます。経済産業大臣政務官の石井拓と申します。どうぞよろしくお願いします。
本日はお招きいただきまして、誠にありがとうございます。
医療・介護分野の需要は今後ますます拡大することが予想され、その分野における新しいアイデアやビジネスの担い手であるスタートアップ、皆さんそれぞれ御意見を賜っておりますが、極めて重要な役割を果たすと考えております。
先ほど塩崎政務官がおっしゃったとおり、このプロジェクトチームは厚生労働省をはじめ文部科学省、経済産業省が連携することで必要な規制改革などが進み、ヘルスケアスタートアップのビジネスの環境が整備されていくこと、これを大いに期待しているところでございます。
経済産業省でも、現在、新薬創出の鍵を握る創薬ベンチャーへの支援、プログラム医療機器などの革新的医療機器の開発支援、健康・医療データを活用したビジネスの創出に取り組んでおります。
創薬ベンチャー支援では、創薬ベンチャーの育成やベンチャーキャピタルの投資規模拡大など創薬ベンチャーエコシステムの全体の底上げを図るべく、国が認定したベンチャーキャピタルによる出資を要件とし、創薬ベンチャーが実施する実用化開発の支援を進めさせていただいております。
そのほか、医療機器ベンチャー支援、これは設立間もないベンチャー企業が行う開発、事業化のための伴走支援を行っております。
そして、さらにベンチャー企業の創出を図るべく、バイオデザインなどと連携し、企業人材の育成に取り組んでおります。
そして、介護テックベンチャー支援では、介護人材不足に対応すべく介護の負担軽減や生産性の向上、介護される方の自立や社会参画の促進につながるロボット介護機器の開発の支援に取り組ませていただいております。
医療DXベンチャー支援では、PHRを活用したユースケースを生み出すべく、人々の日常生活での行動の変容や医療機関でのPHR活用に向けた実証事業を行っております。
また、ヘルスケアベンチャー支援のためのワンストップ窓口、イノハブの運営を行い、ノウハウの共有や支援者とのマッチングに取り組んでおります。
本日この場でいただく様々な立場からのヘルスケアベンチャーに関わっておられる有識者の皆様の御意見などを踏まえて、また、厚生労働省、文部科学省とともに連携をしながら、ヘルスケアベンチャーの政策にしっかりと取り組んでまいります。
本日はどうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
○水谷課長 石井政務官、どうもありがとうございました。
それでは、早速議事に入りたいと思いますが、頭撮りはここまでとさせていただきますので、報道の皆様におかれましては、御退室いただき、以降の傍聴につきましては、会場外にてユーチューブでお願いできればと思います。よろしくお願いします。
(報道関係者退室)
○水谷課長 まず、出欠について御報告いたします。
奥田委員より御欠席との連絡をいただいております。本日8名の委員の方が会場での参加、3名の委員がオンラインでの参加で、12名中11名の委員に御出席をいただいてございます。
また、経済産業省商務・サービスグループ生物化学産業課、ヘルスケア産業課、中小企業基盤整備機構審議役/経済産業省大臣官房参与の石井様、文部科学省研究振興局ライフサイエンス課にそれぞれオブザーバーとして御出席をいただいてございます。
また、本PTは、ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策に係る個別の事項を議論するため、議論の内容を公開とすることで自由闊達な意見交換に支障を来すおそれがある場合には、非公開とさせていただくこともございます。
次に、本日の会議資料の確認でございますが、お手元の議事次第に記載の資料を御用意させていただいてございます。不足等がございましたら事務局までお知らせいただければと存じます。
ここからは司会進行を本荘座長にお願いさせていただきたいと思います。本荘座長、よろしくお願いいたします。
○本荘座長 本日、先ほどもお名前が出てきましたけれども、MRI、三菱総合研究所の川上さん、MEDISOのプロジェクトマネージャーをやっていただいております。厚労省で実施しているスタートアップ支援の事業であるMEDISO、これについて川上さんから御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川上プロジェクトマネージャー ありがとうございます。三菱総合研究所の川上でございます。
では、私から「MEDISOの今」というところで、MEDISOの現状について御紹介をさせていただきます。
では、次のページをよろしくお願いいたします。まず、MEDISOとはというところでございますが、MEDISOは厚生労働省の医療系ベンチャー支援事業でございます。MEDISOの支援対象は医薬品、医療機器、再生医療等製品の実用化を目指す医療系ベンチャー企業、そして、アカデミアの先生方になっております。MEDISOでは様々なプログラムを実施しておりますが、我々サポーターと呼んでおります様々な専門家による相談対応を一番のメインのプログラムとしております。下半分にポンチ絵を記載しておりますが、現在3月末時点でサポーターは常勤サポーターと呼ばれる方が5名、非常勤サポーターと呼ばれる方が73名おりまして、法規制から事業計画、資金調達、そして、海外展開と、様々な専門家の方々をプールしております。これらの専門家とともに、医療系ベンチャー企業、そして、アカデミアを御支援しているわけでございますが、現時点の予算でございますけれども、MEDISOのほか、ジャパン・ヘルスケアベンチャー・サミット(JHVS)を含む額になりますが、要求ベースで年間4.4億円という事業でございます。
では、次のページをよろしくお願いします。このメインとなる相談対応に関する受付数でございます。MEDISOは2018年の2月に立ち上がりまして、6年2か月で累計1,392件の相談に対応してまいりました。直近の2023年の1年間では年間294件と過去最多の相談受付件数となっております。
次のページをお願いいたします。これらの相談受付にどのような方々が来られているかというのが、こちらのスライドとなっております。左側が相談者の属性の比率、右側が製品種別の比率でございます。左側の円グラフを見ていただきますとお分かりいただけますように、最も多いのはベンチャー企業さんというところで、6割弱ぐらいを占めておりますが、そのほかにもアカデミアの先生方や起業前の個人の方なども多く相談にいらっしゃっております。一方、右側、製品種別の内訳でございますが、実は医薬品は全体の4分の1程度でございまして、一番多いのは医療機器49%となっております。こちらはプログラム医療機器等、SaMD等のベンチャーさんが非常に増えているところも少し反映されているのではないかと考えております。また、円グラフの総数でございますが、右側が1,392件、左側が1,081件となっておりますが、1度相談に来られた方が2度目、3度目とリピーターとして来られている数がこの差分になっております。つまり、全体の相談受付件数の21%程度がリピーターからの申込みという状況となっております。
では、次のページをお願いいたします。これらの相談対応につきまして、相談者からCSアンケートも取っております。相談者満足度は極めて高いというところでございますが、左側がMEDISOの支援全般の総合満足度のグラフでございます。満足、そして、やや満足まで含めますと、総合満足度、満足している方々は92.5%となっております。また、右側、MEDISOの支援を継続的に受けたいかという問いに対しては95.4%の方々が支援継続を希望されておりまして、非常に高い満足度となっております。
では、次のスライドをお願いいたします。今までがMEDISOのメインでございます相談対応に関する御紹介でございました。冒頭申し上げたとおり、MEDISOは相談対応以外にも様々な支援プログラムを提供しております。こちらには12ますでいろいろなものを記載しておりますが、これも一部でございまして、非常に多くのプログラムを提供しているのがMEDISOでございます。
では、7ページをお願いいたします。それはなぜかというところでございますが、医療系ベンチャー企業につきましては、いわゆる一般的な製薬企業等が行うような研究開発を行うと同時に、医療系ベンチャー企業以外のベンチャー企業さんも行っているようなピンク色の部分、企業経営の部分、この両面を同時に非常に少ないリソースでスピード感を持って進めなければならないという特徴がございます。そのため、MEDISOでは研究開発、企業経営の両面を様々な支援プログラムでサポートしているというところでございます。左下にMEDISOの支援分野を記載しておりますが、研究開発、薬事対応、保険収載といったところから資金調達、事業提携、海外展開といったところまで幅広い分野を支援しております。また、これらを支援する上では、右側でございますが、相談対応のほか、スタートアップ向けのセミナーや海外ピッチイベント、調査支援の事業でございましたり、起業プログラムといった様々なプログラムを提供しているというのがMEDISOでございます。
本日は相談対応以外に1つほかの支援プログラムを御紹介させていただきます。次のスライドをお願いいたします。こちらは伴走支援の事業でございます。冒頭申し上げたとおり、MEDISOのメインの相談対応は基本的には1回の相談申込みに対して1~2回の相談による助言、面談による助言を行っているアドホックな支援でございますが、一部の有望な医療系ベンチャーさんには伴走支援も実施しております。こちらは約半年間医療系ベンチャー企業と支援人材をマッチングさせ、6か月間ハンズオンで支援しているものでございます。具体的にはメンタリング・伴走コンサルによる支援を行うアドバイザーと呼ばれる方を全チーム、令和5年度は20チームでございましたが、20チームにアサインをいたしました。加えて、希望チームには、プロボノで実務支援を行う、実際に手を動かしていただく実務者もマッチングができたところについてアサインをしました。こちらは令和5年度は計3チームでございました。これらの方々による伴走支援を1か月に1~2回程度を6か月間行うというところでございます。非常にこの伴走支援事業は効果が高いというところで、こういった支援を受けたところから成功事例と呼ばれるところも出てきつつございますが、一方、支援期間が6か月間というところが一つの課題かと思っております。
続いて、9ページの最後のスライドになりますが、このように本日御紹介した以外にも様々な支援を2018年から続けておりますが、MEDISOの利用者から成功事例が徐々に出つつございます。もちろん成功の定義にもよりますけれども、目指すべき製造販売承認/認証の取得といったところから、そこに至らなくても大型資金調達の成功、ライセンス契約締結、サービスイン等の成功事例が輩出されつつございます。本日こちらにお示ししているのは、インタビュー記事ですとか、MEDISOのイベントへの登壇を通じてMEDISOの支援を受けたことを公表している企業に限って掲載しておりますが、こちら以外にも成功事例と呼べるようなものが徐々に出つつあるというところでございます。
以上になりますが、MEDISOは引き続きまして、医療系ベンチャー企業さん、そして、アカデミアの実用化に向けた支援を続けているところでございます。
私からは以上でございます。
○本荘座長 ありがとうございます。
後半にスタートアップ支援、そして、MEDISOについて議論するパートはあるのですが、ここでMEDISOのこの事業について質問をいただきたいと思います。どなたか質問はありますでしょうか。
小栁先生。
○小栁委員 すばらしいプレゼンテーションをありがとうございました。
当初こういうものができるというときに、期待半分で本当にできるのかというところも業界の中でうわさがあったのですけれども、蓋を開けてみるとMEDISOに聞けというようなことを、我々のアクセラレーションプログラムをやっていても、そこがワンストップの窓口だねということがすごく浸透していると感じております。
一方で、我々病院で支援をしておりますと、治験をやりたいという海外のベンチャーなども来るのですけれども、英語の体制がどうなっているのかというところと、もう一つ、支援のときに、最近デジタル関係の案件が非常に多いので、SaMDのことに触れられておりましたけれども、デジタル関係の特にメンターを探すのは結構苦労しております。その2点を伺えますでしょうか。
○川上プロジェクトマネージャー ありがとうございます。
まず、英語の対応についてでございますが、MEDISO事務局で相談対応を最初に行います常勤サポーターについても英語対応可能となっております。また、その後の戦略助言面談と呼んでいる非常勤サポーターによる支援も英語対応可能かどうかは事前に確認をしておりますので、そういった方々を中心にアサインをするという形で、基本的には海外からの英語対応も可能な状態となっております。
もう一点の御質問でございますが、デジタル関連のメンターを探すのが難しいというところでございます。現状、常勤サポーター、非常勤サポーターにつきましても、SaMDの御相談が多くございますので、そういったことに対応可能な方々をプールしております。その時々といいますか、時期によって非常に注力しなければいけないメンターの分野も少しずつ変わってきているように受けておりまして、毎年サポーターを公募するときには今年はこういった方々を探しているというところを少しアピールしながら、注力したいところについては重点を図っているところでございます。
○小栁委員 ありがとうございます。
○本荘座長 力強い回答だったと思いますが、ほかに質問はありますでしょうか。よろしゅうございますか。
どうぞ。
○塩崎政務官 川上さん、どうもありがとうございました。
MEDISOがこうして順調に成長し、マーケットの認知と期待を集めていること、大変すばらしいことだと思いますけれども、川上さんが実際に事業を回している中で、逆に課題感、もう少しこういうことができたらとか、もっとこういうニーズがあるのだけれどもとか、ここが実際に運営している側としては少し困っているなとか、そういったところがあれば教えていただけますか。
○川上プロジェクトマネージャー 承知いたしました。
では、現場目線で感じているところについて3点御回答させていただきます。
1点目が、非常に早期の段階のR&D、研究開発に関する支援というところでございます。ベンチャー企業さん、非常に新しい領域、モダリティーを手がける方々が多いと。そういった中で実用化に向けた研究開発に対してきちんと適切なアドバイス、かなり早期な段階でできる方々を拡充はしたいと思っておりますけれども、そういった新規モダリティーにたけている方が、今、実際に製薬企業の中で研究開発を行っている方々が非常に多いので、そういったところの御協力を得ながらもっと支援をしたいなというところが1つ目でございます。
2点目でございますけれども、MEDISOが始まったときに比べまして、非常に多くの機関がベンチャー支援を行っておりますけれども、徐々に連携関係はできているのですけれども、まだまだ有機的につながってそれらをうまく効率的に活用できているかというと、そうではないかと思っております。これは今後MEDISOが公的なベンチャー支援のハブとなりつつ、様々なところに適時適切に御紹介するなどをもっと行っていきたいと思っております。
最後、3点目に関しては、海外展開の支援のところをもっと拡充したいと考えております。MEDISO設立6年経過しまして、ベンチャー企業さんによっては既にグローバル展開を始めている企業さんもございます。5年前、6年前はまだまだそういったところが少なかったのですけれども、事業がある程度継続されたことによってそこのニーズは非常に高いものとなっております。この分野は海外展開がベースでございますので、そこの支援をもっと手厚くしなければならないと感じております。
以上になります。
○塩崎政務官 ありがとうございました。
○本荘座長 ほかに質問はございますでしょうか。よろしいですか。
では、次に行きたいと思います。
川上さん、ありがとうございました。
これまで2回プロジェクトチームの会合を開催したわけなのですけれども、それからヒアリングを多数実施していただきまして、その他作業、議論など、皆さん、特に各主査、副主査の方々には感謝申し上げたいと思います。
そして、中間に向けて取りまとめていくわけなのですが、第1回の会合で、本日第3回で中間について議論をするとアジェンダ設定をしておりましたので、その辺について議事を進めていきたいと思います。
では、資料2について事務局から御説明をお願いいたします。
○鈴木課長補佐 事務局の医政局の鈴木でございます。よろしくお願いいたします。
早速、御指示いただきました資料2に基づきまして説明させていただきたいと思います。
2ページをお開けいただきたいと思います。第2回のプロジェクトチーム以降、本荘座長からもお話がございましたけれども、各タスクフォースに分かれまして、主査、副主査の方々にヒアリングを実施いただきました。そのヒアリング先につきましては、別の資料3にございますけれども、主査、副主査の皆様におかれましても、また、ヒアリングを受けてくださった皆様におかれましても、改めて事務局から御礼を申し上げたいと存じます。
その上で、提言の基本的な考え方について、本資料に基づきましてワーキングチームに取りまとめていただきました。この点につきましても、大変ありがとうございます。私から取りまとめていただいた考え方に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。
2ページでございますけれども、これはエグゼクティブ・サマリーということでございまして、振興・支援策の基本的な方向性を示しているものでございます。この1番目でございますけれども、まずは現状ということで、現状は、日本は高齢化による課題先進国となっていて、世界に先んじてヘルスケア領域における課題解決とイノベーションが不可欠であること、また、皆保険下のデータの集積のしやすさといった独自の強みがあって、潜在力は高いというところがございますものの、ヘルスケアスタートアップの数や成功例が限定的であって、これを育む仕組みの不足や課題の解決が急務であるという現状があるわけでございます。
そこで、2番の目標のところでございますけれども、ヘルスケアスタートアップの振興を通じまして、ヘルスケア水準の向上とヘルスケアスタートアップのグローバル市場での活躍の両方を目指す、これを目標として掲げるというものでございます。
そして、それを実現するための戦略が3番でございますけれども、これまでのように幅広く支援を行っていくというところから、各ヘルスケア市場の特性を見極めて最適な振興・支援アプローチを選択することとしてはどうかということで、マル1、マル2、マル3とございますけれども、世界直行アプローチ、段階的海外進出アプローチ、国内充実アプローチ、この詳細につきましては、後ほど御説明させていただきますけれども、この3つのアプローチに分かれて実施していってはどうかという御提言をいただいているものでございます。
それを具体策として4番のところで今後さらに御検討いただくという構造になっております。
引き続きまして、3ページと4ページを御覧いただければと思います。今、私から御説明させていただきました2ページはサマリーに関するところでございますけれども、これを1つずつブレークダウンして見ていくと、3ページからということでございます。
その上で、4ページからは、なぜヘルスケアスタートアップが重要なのかという現状の御説明となってございます。このページの左半分にありますように、科学技術研究の研究費のうち、ライフサイエンスの分野がほかの分野と比較して一番多く投資されている現状がございます。また、右半分のように、さらに先端技術にフォーカスをした場合でも、バイオテクノロジーはAIや量子技術以上に投資がされていて、ヘルスケア産業は日本のポテンシャルの高い領域の一つと見込まれていると、そのようなことが分かる次第でございます。
引き続きまして、5ページを御覧いただければと思います。今、申し上げましたとおり、大きく投資がされているにもかかわらずユニコーン企業は0社となっております。また、大型M&Aの実績に関しても、右半分にございますように、ほとんどない現状が分かる次第でございます。
引き続きまして、6ページにつきましては、IPOの社数が書かれているわけでございますけれども、毎年100社程度の国内IPOがある中で、ヘルスケア領域はその5%にとどまっているというものでございます。5ページの点と併せて申し上げるとするならば、ヘルスケアスタートアップの出口や成功が少ないということがございまして、こうした観点から、この支援が必要となってくるということでございます。
これが現状に関するものでございますけれども、その上で、7ページ、8ページで目標というところでございます。
8ページに目標ということで書いていただいているわけでございますけれども、繰り返しになり恐縮でございますが、ヘルスケア水準の向上とヘルスケアスタートアップのグローバル市場での活躍の両方を目指すというものを目標として掲げるということでございます。
引き続きまして、9ページと10ページを御覧いただければと思います。今、まさに申し上げました目標をどういう戦略で実施していくのかが、9ページ以降になります。
10ページにありますように、これまではスタートアップの成功を左右する5つの要素、つまり、アイデア、ヒト、カネ、開発環境、市場というものに対しまして、幅広くこの支援が提供されてきたという現状がございます。
その上で、11ページ、今後どうしていくべきかというところでございまして、今後はそのような幅広い支援から、ヘルスケア市場の動向をよく見極めた上で、手厚くと申しますか、めり張りをつけて国力を投資していかなければならないのではないか、そういう考え方に基づいているものでございます。今回4つのタスクフォースに分かれて御検討いただきましたけれども、それぞれごとにアプローチを変えていく必要があるのではないかというものでございます。
具体的には、ページの左のほうに3つのアプローチが書かれているわけでございますけれども、まず、アプローチ1といたしまして、世界直行アプローチというものがございます。これは国内市場と世界市場が構造的に近接しているという特徴がございますため、初期から世界市場を視野に展開するための戦略を構想し、遂行するために支援していくこととしてはどうかというものでございます。これは伝統的なバイオ領域、また、伝統的な医療機器が該当するものでございます。これをイメージでお示しいただいているのが、右のところにございますけれども、日本で優れたアイデア、研究をつくった上で、グローバルに通用する起業家、つまりヒトを育成し、かつその目利き力を強化してアーリーステージへの投資、カネですね。これを強化した上で、その上のほうでございますけれども、欧米にあるところのヒト、カネというところで、世界に飛び出していかせるようにするべきではないか、そういうアプローチを取るべきではないかというものでございます。これがマル1の部分でございます。
引き続きまして、ページの真ん中部分でございますけれども、段階的な進出アプローチということで書いていただいております。これは国内市場と世界市場の規制環境に差異があることから、まずは国内で先駆的な製品・サービスの展開を支援した上で、段階的に海外進出の可能性を模索してはどうかというものでございます。最先端のバイオ、最先端の医療機器/SaMD、医療DXやAI、介護テックが該当するというものでございます。これをイメージで示していただいているのが右の部分でございますけれども、まずは日本や欧米の中でのアイデア、ヒト、カネが集まった段階で、日本におきまして世界に先んじた法整備を行って開発環境を整える、また、世界に先んじた市場形成を行って市場を整える、こうしたことによって世界の市場にも打って出られるのではないか、こういったアプローチを取るべきではないかというのがマル3でございます。
引き続きまして、最後でございますけれども、3番のところでございまして、これは国内充実アプローチというものでございます。これはスタートアップが国内市場で持続的に製品・サービスを提供できるための支援や環境整備を行っていくべきではないかという考え方でございまして、これは介護テックが該当するというものでございます。右の部分でございますけれども、これは海外の展開というよりもまずは国内の充実を図っていこうというものでございまして、そのためのヒトやカネの在り方を検討するべきではないかというものでございます。その中で社会保障インフラをサステーナブルにするための必要な投資を行っていくべきではないか、そのような考え方ということでございます。
今、申し上げましたのが、戦略的な考え方というところでございまして、12ページ以降でございますけれども、こうした戦略的な考え方を基にいたしまして、では、分野ごとにどういう対策があり得るかということでございますけれども、この後に改めて非公開のところで御議論いただくことになっている次第でございます。
私からは以上でございます。
○本荘座長 鈴木さん、ありがとうございます。
これはオーバーオールの考え方のパートですね。こちらについて御質問、御意見をいただきたいと思います。
御質問、特にございませんでしょうか。よろしゅうございますか。
では、次に進めたいと思います。
そうしましたら、次に移る前に、事務局に一度お戻しをさせていただいて、ユーチューブの話などありますので、お願いします。
○水谷課長 これ以降、個別の事項に係る内容を御議論いただきたいと思います。自由闊達な意見交換に支障を来すおそれがあるため、非公開とさせていただきたいと存じます。議事要旨につきましては、後日、厚生労働省のウェブサイトに掲載予定としております。