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第5回ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ 議事録
日時
令和6年5月22日(水)13:00~15:00
場所
AP虎ノ門
(オンラインとのハイブリッド開催)
(オンラインとのハイブリッド開催)
議題
- 1.今後の議論の進め方
- 2.意見交換
- 3.その他
資料
議事
- 議事内容
- ○松浦医療イノベーション推進室長
それでは、定刻となりましたので、ただいまより第5回「ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループ」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中、お集まりいただきまして誠にありがとうございます。
本日は、吉田先生から少し遅れると御連絡をいただいておりますけれども、そのほかの先生方は全員出席という形で御出席をいただいてございます。
続きまして、資料の確認をさせていただければと思います。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1から4、参考資料1から4までございます。御連絡が直前になって大変恐縮でございますが、御確認いただければと思います。また、本ワーキンググループは公開としております。議事録については、各構成員への確認の上、後日公開いたします。
それでは、本日は、開会に先立ちまして、塩崎厚生労働大臣政務官より一言御挨拶をさせていただきます。
○塩崎政務官
皆様、こんにちは。厚生労働大臣政務官の塩崎彰久でございます。今日はワーキンググループの皆様においては御参加ありがとうございます。心から感謝と敬意を申し上げます。
昨年6月に議員立法として成立したゲノム医療法でございますが、政府は、ゲノム医療の研究開発、提供、生命倫理への適切な配慮、不当な差別への対応等を推進するための基本計画を策定することとされています。
私自身も実は、このゲノム医療法については、超党派の議連のメンバーとして、ゲノム医療を推進していくための様々な課題について議論に参加し、法案づくりに関わっておりました。
その際、ゲノム医療を受ける立場にある患者の方など、関係者から幅広い御意見をいただきまして、ゲノム医療についてはゲノム情報をめぐる差別等への課題についてしっかりと解決していく必要があるものと考えております。
また同時に、やはりゲノム医療を日本が推進していく。そして、そこから様々な新しい医療、科学的な知見が生み出されるような、そうした環境を整えていくことも極めて大事であると考えております。
本ワーキンググループの委員の皆様におかれましては、今後の我が国のゲノム医療を推進するための様々な課題について、ぜひ関係省庁とも連携しながら進めていただきたいと思いますので、皆様の積極的な御議論をお願いしたいと考えております。
なお、今、私がチームリーダーとなって、厚生労働省の中で、別途、ヘルスケアスタートアップ等の振興・支援策検討のプロジェクトチーム、ヘルスタPTを立ち上げて、バイオ、医療DXなど、テーマをいろいろ絞って議論を進めておりますが、実はこのPTの中でもゲノム医療を推進するための後押しとなるような議論も進めていきたいと考えております。
最後に、厚生労働省として、また本ワーキンググループの皆様の議論を踏まえて基本計画を取りまとめてまいりたいと思いますので、ぜひ皆様の御知見、御経験を御共有いただきまして、実りある議論に役立たせていただければと思います。
引き続き、御協力、どうぞよろしくお願いいたします。
○松浦医療イノベーション推進室長
ありがとうございます。それでは、事務局より、簡単に会議の進め方について説明させていただければと思います。適宜、御発言がある際には挙手をお願いいたします。オンライン出席者におかれましては、画面上の「手を挙げる」ボタンを使っていただければと思います。こちらの会場から御指名をさせていただくような形にいたしますので、名前をおっしゃられてから御発言いただければと思います。御発言をされていない間はマイクをミュートにしていただくようお願いいたします。また、時に音声等が不安定になるような場合もございますので、場合によっては、一旦、カメラをオフにするなどの対応を試みていただくようお願い申し上げます。
傍聴に際しましては、携帯電話等の音の出る機器については、電源を切るか、マナーモードに設定をしていただければと思います。それでは、頭撮りはここまでとさせていただければと思います。
(報道関係者退室)
○松浦医療イノベーション推進室長
それでは、以降の運営を座長にお願いいたします。
○中釜座長
座長の中釜です。構成員の先生方、本日はよろしくお願いいたします。早速、本日の議題に入りたいと思いますが、議題1「今後の議論の進め方」について、事務局から資料1の説明をお願いいたします。
○松浦医療イノベーション推進室長
ありがとうございます。それでは、資料1について簡単に御説明をさせていただければと思います。
資料1、1枚目で「今後の議論の進め方(案)」、これまでの経緯としてですが、これまで当ワーキンググループにおきまして有識者の方からの御意見を聴取させていただいた状況でございます。第1回、令和5年12月26日に事務局から簡単な取組状況の説明を申し上げまして、第2回、第3回、第4回と有識者の先生方からのヒアリングを中心に行ってまいりました。
1枚おめくりください。2ページ目、3ページ目、4ページ目は、本ワーキングの委員の先生方を中心にヒアリングという形で行わせていただきましたけれども、先生方、ヒアリングさせていただいた内容等について記載をさせていただいてございます。
続いて、5ページ目を御覧いただければと思います。今後の議論の進め方で、本ワーキンググループにおいて基本計画の策定ということで御議論いただきたいところでございますが、ゲノム医療推進法「第1章 総則」の基本理念等を踏まえた基本計画の策定が必要という状況でございます。条文については第1条、第3条と記載をいたしておりますけれども、今後の議論の進め方といたしまして、ゲノム医療推進法の基本理念について、基本計画でどのような位置づけをするのか。また、基本計画の中で記載する内容について、どのように考えるのか。本日、御意見をいただければと考えてございます。
続きまして、もう一枚、6ページ目を御覧ください。ゲノム医療推進法「第2章 基本計画」の方針を踏まえた基本計画の策定が必要ということで、第2章の第8条について記載をしてございますけれども、このゲノム医療推進法の「第3章 基本的施策」の項目に沿った具体的な施策の取りまとめが必要と考えてございます。事務局といたしましては、これまでのヒアリングを踏まえまして、基本的施策に関する具体的な課題を事務局で整理いたしまして、今後の取り組むべき施策について検討を進めることとしたいと考えてございますが、御意見等をいただければと考えております。
7ページ目で、基本計画に盛り込む項目のイメージで、法令の中でも記載がございますけれども、実施すべき施策についてまとめてございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございました。資料1は、これまでのワーキンググループでの有識者の先生方の御意見をまとめたものに基づいて、今後の基本計画に盛り込む項目のイメージについて説明いただきました。今の説明に関して何か御意見はございますでしょうか。
それでは、天野構成員ですか。手が挙がっていますでしょうか。
○天野構成員
御説明ありがとうございました。今までの議論の経過で、また、それぞれ参考人の方々からそれぞれの専門の分野についてお話を伺ってきたことを御説明いただきました。
1点だけ気になっておりますのが、ゲノム情報の適正な取扱いの確保の論点の中で、実際、参考資料3の中を拝見しましても、いわゆる個人情報保護法の下でゲノム情報とそれにひもづく臨床情報の取扱いが極めて難しいことが今後のゲノム医療やゲノム研究の取扱いにおいて阻害し得る要因であるのではないかという指摘がされているかと思うのですが、この部分については、今までこういった論点としては、今、提示はいただいているのですが、参考人の方等から現状のどういった問題点があるのかについてお話を伺えていないのではないかと思っておりまして、今後の議論の進め方、あるいは時間等にもよるかと思うのですが、この個人情報保護の取扱いについてはもう少し何かお話を伺ってもいいのではないかと感じているところでございます。以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御指摘について、事務局、いかがでしょうか。
○松浦医療イノベーション推進室長
事務局でございます。御指摘ありがとうございます。いただいた意見を踏まえまして、当ワーキングでヒアリング等をできないか、また検討させていただければと思います。ありがとうございます。
○中釜座長
よろしいでしょうか。では、続きまして、佐保構成員、お願いできますか。
○佐保構成員
御指名ありがとうございます。盛り込む項目のイメージについて若干申し上げたいと思います。以前にも申し上げましたが、ゲノム医療を国民、患者、労働者にとって安心・安全な医療とするためには公平なアクセス、生命倫理を含め適切な取扱い、何より遺伝差別の禁止に向けた包括的な法的整備や、万が一、差別やハラスメントなどが起こった際の救済制度といった体制整備も必要だと思いますので、基本計画には、日本において差別を許さない社会づくりに必要な対応を盛り込んでいただきたいと考えております。私からは以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御指摘について、事務局、いかがでしょうか。
○松浦医療イノベーション推進室長
事務局でございます。御指摘ありがとうございます。いただいた意見を踏まえて、事務局で案を検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○中釜座長
ありがとうございました。ほかに。水澤構成員、お願いいたします。
○水澤構成員
ありがとうございます。「【参考】基本計画に盛り込む項目のイメージ」という、最後のページであったところなのですけれども、12番の「関係者の連携協力に関する措置」というところになるかと思いますが、国際連携についてはどこにもないと思いますので、やはりこれは我が国だけではなかなか難しい部分が出てきますし、WHOなどでも強力にこういう方向に今は進んでいるかと思いますので、国際連携の項目を12番辺りにひとつ入れたらどうかなと思いました。以上です。
○中釜座長
12番の中に国際連携も含めるということですか。
○水澤構成員
そうです。この中で入るとしたら12番のところかなと思いました。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御指摘に関して、いかがでしょうか。
○松浦医療イノベーション推進室長
ありがとうございます。御指摘を踏まえて検討していきたいと思います。
○中釜座長
ほかに御意見はございますでしょうか。角山構成員ですか。お願いいたします。
○角山構成員
ありがとうございます。経団連でございます。少しスケジュールのようなものがあることを期待したのですが、今、どのような検討状況か、教えていただけますでしょうか。
○中釜座長
ありがとうございます。スケジュール感について、いかがですか。
○松浦医療イノベーション推進室長
ありがとうございます。現時点で明示的なスケジュールをお示しできるようなものはございませんけれども、本日もまた新たな、個人情報保護法関係のヒアリングという御指摘もいただきましたので、その辺り、十分に議論した上で検討を進めたいと考えてございます。スケジュールについても、また少し見え自体、適宜、お示しするような形で対応したいと思います。ありがとうございます。
○角山構成員
分かりました。
○中釜座長
では、続きまして、上野構成員ですか。
○上野構成員
すみません。先ほど国際関係について御指摘が出たので、そのフォローで、関係者の協力のところも関係があるので重要だと思いますし、あと、条文上で申しますと、情報の蓄積・管理及び活用のところに国際というふうに、国際間における情報の共有ということが出ていますので、そちらにもひもづけるような形で最終的には方針としていただくといいかなと思いました。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。項目としては3つ目の項目ですか。
○上野構成員
はい。
○中釜座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかに御意見、御質問はございますか。よろしいでしょうか。
○小崎構成員
小崎でございますが、発言してよろしいでしょうか。
○中釜座長
では、小崎構成員、お願いいたします。
○小崎構成員
これまでのヒアリングを聞かせていただきますと、限られた時間の中でそれぞれの方々がこれまでの取組を述べられて、それで特に重要と思われる問題について指摘されたものが、本日、参考資料3としてまとまっていると思うのですが、もし機会があればもう少し、この配られた参考資料3に対して加筆ができるような機会があるとバランスの取れたものになるかと思うのですが、もしタイムスケジュールの上で少し余裕があるのであれば、そのような方法も御検討いただくと、なおよいものができるのではないかと愚考いたしましたので発言いたしました。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御指摘について、いかがでしょうか。
○松浦医療イノベーション推進室長
御指摘ありがとうございます。本日いただいた意見も踏まえて、参考資料3については、適宜、御意見を踏まえながらアップデートしていきたいと思います。ありがとうございます。
○中釜座長
よろしいでしょうか。では、続きまして、横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員
参考資料3に掲げられている内容は、いずれも重要なものだと考えております。これらを具体的に進めていく上で協力を求める必要がある、例えば関係する学会とか当事者の組織、あるいは各関係する省庁や会議体等の役割も含めて、具体的な内容を取りまとめる必要があると思いますので、そういった案をできるだけ早めに御検討いただければと思っております。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御指摘について、事務局、いかがですか。
○松浦医療イノベーション推進室長
ありがとうございます。御指摘を踏まえて、関係省庁ももちろん踏まえまして、しっかりと連携して取り組ませていただければと思います。ありがとうございます。
○中釜座長
ありがとうございます。ほかに御意見はございますでしょうか。特にないようです。また後ほどお気づきの点等がありましたら、本日の会議の後半のほうでもお願いしたいと思います。
では、先に進めさせていただきます。議題2の意見交換になります。この意見交換に際しては、法務省、金融庁、こども家庭庁より資料が提出されておりますので、まず、各関係府省庁からの説明の後に各構成員から御意見を伺いたく存じます。では、最初、法務省からの説明をお願いいたします。
○川副参事官
ありがとうございます。法務省人権擁護局で参事官をしております川副と申します。本日は説明の機会をいただきましてありがとうございます。法務省人権擁護機関の取組について、簡潔に説明させていただきたいと思います。
法務省の人権擁護機関におきましては、主な地方の窓口は法務局になります。そちらで行っている活動に大きく言うと3種類ございまして、人権相談・調査救済制度。それから、従前、委員の皆様から御指摘もいただきました人権啓発活動をやっております。具体的な取組の中身を本日は御紹介させていただければと思っております。
資料に掲げさせていただいていますのは、人権相談から調査救済に至るまでの流れの図でございます。各法務局や電話、メール、それから、最近はチャットなどでも相談を受け付けておりますが、様々な悩みについて相談を受け付けまして、その中で人権侵害のおそれがある事案であって、法務局の関与を希望されるという方については人権侵犯事件として調査救済活動を行っております。その中で任意ではございますが、関係者の方にお話を聞くなどの調査を行った上で、最終的に人権擁護上の観点から何らか問題がある行為があったかどうか、人権侵犯事実があったかどうかということを判断させていただいた上で、その事案に応じた措置を取っているのが、流れになっております。
先ほど御紹介したように、人権相談ですけれども、このような対面、それから、電話、お子様の場合は手紙の方式もございます。それから、LINEであったり、メールといったいろいろなツールを用意しておりまして、こういったツールで様々な悩み・相談に応じているところでございます。
こちらの人権相談、それから、調査救済活動につきましては、こちらのワーキングで御議論されております、例えばゲノム情報・遺伝子情報に基づいた何らかの差別とか不当な扱いを受けましたというお悩みがあった場合には、こちらの人権相談で相談をお受けして、さらに、例えば相手方と話合いの場を設けたいという御希望があったりして、そこに法務局の職員も関与してほしい、そういう助けが欲しいという御希望があった場合には、もちろん、個別の判断はいろいろとございますけれども、こちらの調査救済活動として関与させていただいて、話合いの場を持ったり、それから、そういった発言は差別に当たり得るものですので問題ですということをお伝えしたりということをしたり、そういった活動をしております。ですから、現在でもそういったお悩みがある場合にはこちらで相談を受けることは可能となっております。
続きまして、人権啓発活動でございます。法務省の人権擁護機関では、令和6年度の啓発活動重点目標を「『誰か』のこと じゃない」と定めておりまして、他人事ではなく自分のこととして人権問題を認識していただき、具体的に自らの行動を変えていただく行動変容につながるような人権啓発活動を行っているところでございます。本日は、具体的な中身としてどういう活動などをやるのかを資料では御紹介させていただいております。
左側には人権教室といったものが記載してございます。基本的に多いのは、児童・生徒の方々に向けて、学校等から依頼を受けまして、いじめ等、テーマはいろいろ御希望がある場合がございますけれども、そういったものについて考えていただく。そういった人権教室の取組をしております。その中で障害者の問題を扱ったり、それ以外に、今はインターネット上の誹謗中傷等も問題になっておりますので、そういったものを取り扱ったりもしております。「ビジネスと人権」に関する国内外の関心を背景にして、人権尊重の観点からの企業の研修を行うこともあることを記載させていただいております。
そのほか、中学生の人権作文コンテスト、人権の花運動のほか、人権啓発冊子や動画を作成して配信・配布をするといったこともしております。
このような啓発冊子の中では、先ほど申し上げたように、具体的に国民の皆さんの一人一人の行動変容を促すことができるように、これはやってはいけませんといったことだけを呼びかけるだけではなくて、例えばこういう事例でこういうケース、具体的な事案、こんな場合にはどういうことが問題でしょうかということを御紹介したり、そういうことを考えていただいたり、具体的に行動が変わるきっかけになるようなものを何か受けていただけるような冊子などを作成してお配りしているところでございます。
現在のところ、遺伝子・ゲノム情報に基づく差別といった事案について、具体的な事案の集積もこちらでもなかなかできていないところでもございますし、今後の啓発活動、調査救済活動の中で差別等の事案があれば適切に扱っていくことを考えているところでございます。簡単でございますが、説明は以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございました。では、引き続き、金融庁からの説明を10分程度でお願いいたします。
○佐藤生命保険モニタリング長
ただいま御紹介いただきました、金融庁監督局保険課で生命保険モニタリング長をしております佐藤と申します。本日は、このような発表の機会をいただきましてありがとうございます。
それでは、お手元の資料3になりますけれども、こちらにおきまして「ゲノム情報による不当な差別等への対応の確保」ということで、金融庁におきます取組につきまして御紹介させていただきます。
まず申し上げますが、金融庁といたしましては、保険業界におきましてもゲノム情報によります不当な差別への対応が極めて重要という認識の下で、こちら、資料の上の四角にございますとおり、ゲノム医療推進法の成立、昨年6月でございますが、こちらの成立を受けまして、保険会社に対しまして、ゲノム情報による不当な差別を決して行わないことにつきまして周知徹底を図っているところでございます。
具体的には、その下に書かせていただいておりますとおり、業界団体との意見交換会を設けております。こちらは定期的に行っている意見交換会なのですけれども、生命保険会社並びに損害保険会社の各社の代表者、社長でございますが、代表者と当局金融庁の幹部、金融庁長官以下、幹部が一堂に集う会合がございまして、そちらの場におきまして要請を行っております。
具体的な要請を下に書かせていただいておりますけれども、本ワーキンググループで御議論いただいております内容につきまして、直近では昨年12月26日の第1回目のこちらのワーキンググループにおかれます、先生方からいただきました御意見を紹介させていただいております。
「保険関連では」ということでそちらに記載させていただいておりますけれども、差別等への適切な対応の確保に関しまして、指針やガイドラインの作成といった対応を省庁横断的に検討する必要があるのではないか。または、ゲノム情報の適正な取扱いに関しまして、ゲノム情報の幅広い利活用を考えた場合の取扱いや不適正な利用が生じた場合の対策を検討する必要があるのではないかといった、先生方からいただきました御意見を紹介させていただいております。
その上で今後、基本計画の策定に向けまして議論が本格化するということで、各社に対しまして、引き続き、意見交換をさせていただきたいと考えているということで、協力を求めたところでございます。
また、昨年7月にも同様の周知徹底を図っていたところで、今回、2月におきましても改めまして、そちらは一番下に書かせていただいておりますとおり、保険会社各社におきましては、引受けや支払いの際に遺伝学的検査結果やゲノム解析結果の収集・利用を行わないこと、ゲノム情報による不当な差別を決して行わないことにつきまして、改めて周知徹底を図っているところでございます。
続きまして、2ページ目に参ります。資料の2ページ目をお願いします。
こちらは今、触れましたけれども、令和4年5月に日本医学会様などからの共同声明を踏まえまして、生命保険協会並びに日本損害保険協会におきまして、各会員各社に対しまして、保険の引受・支払実務における現行の遺伝情報の取扱いにつきましてまとめた周知文書を各協会のホームページで公表しているものになります。
そちらの抜粋を下のほうで記載させていただいておりますが、1つ目のポツにありますとおり、生命保険の引受・支払実務におきましては、医療行為の内容等に基づきまして、客観的・合理的かつ公平に判断を行い、人権尊重を基本とした取扱いを行っているという内容に加えまして、2つ目のポツですけれども、これらの取扱いにおきまして、遺伝学的検査結果の収集や利用は行っていない旨を各社公表しているところでございます。
一番下の3つ目のポツに補足的に書かせていただいておりますけれども、これらの取扱いにつきましては、医療の進歩や社会的な議論の成熟等、環境や情勢の変化に応じて、特に今後、ゲノム医療が普及し、遺伝情報について消費者の正確な理解が進むことに伴い、新たな課題が認識された場合等といたしまして、監督官庁の指導や医療・医学的な関係者の方々との意見を参考として見直しを行うことを含め、適時適切に対応することを記載されております。
金融庁といたしましては今後、基本計画策定も踏まえまして、こういったワーキングループでの御意見も踏まえまして、関係省庁と適切に連携した上で対応を進めてまいりたいと考えております。引き続き、御指導のほど、よろしくお願いします。簡単ではございますが、当局からの説明は以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございました。では、続きまして、こども家庭庁からの御発表をお願いいたします。
○小倉課長補佐
よろしくお願いします。声は聞こえておりますでしょうか。
○中釜座長
大丈夫です。
○小倉課長補佐
ありがとうございます。こども家庭庁母子保健課でございます。よろしくお願いします。こども家庭庁といたしましては、こども家庭庁が所管しているゲノム医療施策といたしまして、こちらの資料にございます出生前遺伝学的検査に関する専門委員会の御報告をさせていただきます。
第1回のワーキンググループのときと同じ資料ではございますが、こちらの御説明といたしましては、これまで出生前検査に関しては、産科婦人科学会が主導し議論がなされてきたところがございましたが、令和2年10月に出生前遺伝学的検査に関しまして、厚生科学審議会科学技術部会の下に「NIPT等の出生検査に関する専門委員会」が設置されております。こちらで議論を行い、令和3年10月に報告書を取りまとめております。
報告書には、出生前検査に関する基本的な考え方であったり、あるいは出生前検査に関する妊婦等への情報提供についての留意点であったり、また、NIPT、出生前検査に関わる新たな施設の認証制度に関する内容であったり、そういったものが細かく示されているところでございます。
こちらの中ほどのところですけれども、こちらは本日参加いただいております小崎先生、横野先生もいらっしゃいますが、こういった構成員の先生方に御参画いただきまして御議論いただいているところでございます。少し古い資料で、交代されている先生もいらっしゃいますが、現在も議論は続いております。
2枚目の資料をお願いいたします。こちらは、先ほど報告書のところで発言させていただきましたが、NIPTに関わる新たな認証制度というところで、報告書には、認証制度を定めるようにという記載がございます。こちらは先ほどの専門委員会が一番上の四角の中になっております。現在は所管が厚生労働省からこども家庭庁に移っておりまして、その関係で、一番上、括弧の中はこども家庭審議会科学技術部会と記載されております。出生前検査全般に関して、必要に応じ議論、第三者的な立場での科学的評価等を行っております。
その中で、令和3年に発出しました報告書の中に記載されております認証施設というところで、こちらは日本医学会に、記載にあります出生前検査認証制度等運営委員会を設置させていただきまして、こちらの中にさらにワーキンググループとして情報提供ワーキング、施設認証ワーキング、検査精度評価ワーキングがございます。それぞれの役割を担ったワーキンググループの先生方に参画いただいております。
情報提供ワーキングの中では、出生前検査に関する国民に向けた正確な情報等の啓発普及を目的としておりまして、また、施設認証に関しましては、実際の医療機関。そういったものを、基準を設けて審査、認証をしております。検査精度評価ワーキングとしては、検査を実際に行う検査機関を認証している形になっております。
その下には相談支援事業として、情報提供ワーキングの下にありますが、医療機関以外で相談に乗っていただける事業を整えたり、また、認証施設ワーキングの欄の下にありますが、認証施設も基幹施設と連携施設にわかれます。また、検査精度評価ワーキングとしては衛生検査所等との連携を行って実際の検査業務を行っているところでございます。
引き続き、専門委員会での御議論をいただいた様々な内容について、実際に今後、さらに議論を深めていければと思っております。こども家庭庁としては以上です。
○中釜座長
ありがとうございました。それでは、ただいま、3つの省庁からの資料説明がございましたが、今の説明を踏まえて、構成員の先生方から御意見を伺いたいと思いますが、御質問、御意見のある方。それでは、天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員
御説明いただきありがとうございました。私からは2点ございます。まず1点目が、法務省から御説明いただきましてありがとうございます。特に今回、法務省の方から、いわゆるゲノムに関わる差別については法務省が行っている人権擁護機関による人権相談あるいは調査救済制度の対象になり得るという見解を改めてお示しいただいたことは大変心強く思っております。
ただ一方で、今回の法務省が行う人権啓発活動についても御説明いただいていて、ここについて申し上げたいのですけれども、先ほどの厚労省からの説明の中で、今後の議論の進め方の中でゲノム医療推進法の基本理念を踏まえた基本計画等の策定が必要とおっしゃっていただきました。基本理念は先ほど御説明いただいたように3つありまして、3つ目は申し上げるまでもなく、いわゆるゲノム情報による不当な差別が行われないようにすることとなっていて、この差別の禁止はまさにこの法律の一つの一丁目一番地のことになってくるわけです。
各論としては当然、金融庁とか、あるいは就労で厚生労働省とかで対応いただくことはもちろん、必要になってくるのですけれども、一番総論の部分で、そもそも不当な差別が行われないようにしなければいけないことをしっかりと明示していただくことは必要だと思っておりまして、そうなってくると、法務省でそのことについて改めてしっかりと明示していただくことは必要ではないかと感じております。
かねてからお願いしているように、法務省で啓発活動強調事項というものがありまして、現在、17個の項目が挙げられているわけでございますが、この中にぜひ、このゲノム情報に係る不当な差別を加えていただきたいことを重ねてお願いしたいと思います。この部分がやはりこういう、今後、ゲノム医療推進法の理念に基づいて、様々な差別に係る政策を進める上での一丁目一番地になる部分だと思いますので、ここはぜひ法務省で検討いただきたいと思っていますし、先ほど法務省のほうでも具体的な差別の事例の集積が十分ではないという御説明があって、確かにそのとおりだと思うのですが、そうであるならば、実際、法務省で具体的な差別の事例について改めて検討いただくことも含めて、ぜひ前向きに進めていただきたいと思っております。法律で定められている事項になってきますので、ぜひこのことはお願いしたいのが1点目でございます。
2点目が、金融庁からも御説明いただきました。金融庁でも既に業界団体との意見交換会等で繰り返し要請いただいていることはありがたく思っております。
ただ一方で、現場での感覚を申し上げますと、やはりなかなか理解が現場の方々に伝わっていないことがあるかと思います。例えば、以前に生命保険協会のプレゼンもいただいた際に、実際、どういう取扱いになっているのかについて、告知対象等についても、細かいことを言えば、医師による遺伝カウンセリングは告知対象だけれども、そうではない遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセリングは告知対象外とか、あるいは自費であっても医師による問診・診察等は告知対象だけれども、ただ、遺伝学的検査の結果を告知いただく必要はないとか、これはプロの方から見れば、ある意味、首尾一貫した取扱いになっているのかもしれませんが、現場の方々は、私が聞き及ぶ限りでは、理解されていない方々がたくさんいらっしゃって、不適切な取扱いは頻発しています。
なので、この部分については、金融庁と業界団体との意見交換の場で要請いただくことももちろん重要なのですが、それにとどめることなく、あるいは業界団体の自主規制という形に任せるのではなく、金融庁から通知等で具体的な事例を踏まえてお示しいただかないと現場はいつまでたっても変わらない状態があるかと思いますので、この部分についても金融庁から通知等を出していただくことを含めて検討いただきたいと考えております。私からは以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございました。では、まず最初の法務省様への御質問ですが、この点について法務省からお答えいただけますでしょうか。
○川副参事官
御質問ありがとうございます。法務省人権擁護局でございます。啓発活動について御質問いただきました。従前から啓発活動強調事項をこちらで定めて啓発活動を行っておりますが、今回、そこに御指摘がありましたゲノム情報に基づく差別をなくすことを追加してほしいという御要望をいただいていると承知しております。啓発活動強調事項自体は社会情勢や、先ほど御紹介しました調査救済活動における事件数とか事例とかといった傾向等、様々な事情を踏まえまして、我々法務省、人権擁護機関、それから、一緒に活動しております人権擁護委員の方の組織体等と協議もした上で毎年度決めているものでございます。当然、今回、法律ができておりまして、ゲノム情報による不当な差別が行われることのないようにすることが基本理念に掲げられておりますので、そういったことを国民一般に広げていくことは非常に重要なことだとは認識しております。
他方において、我々として直ちに啓発活動強調事項に入れるのがなかなか難しいなと感じているのが、まさにゲノム情報による不当な差別とは何なのか。どこまでが不当で、どこまでが合理的な区別になるのかが、やはり何らか、もちろん、全員というわけではないのですが、一定程度のコンセンサスがないと、啓発といってもスローガンを掲げるだけで終わってしまう。先ほど御説明したように、具体的にこういった場面においてこういったことをした、ここのところが問題があるのではないかという具体的なところ、不当な差別が何かという具体的なラインみたいなものができてこないと、一般の皆様に対して効果的な啓発、共感を得て自分の行動を変えていくきっかけになる啓発がなかなか難しいのではないかというところも懸念点としてはあるところでございます。
今後、基本計画を定めていくという中で、差別等への適切な対応の確保も施策の一つとして掲げられるということですので、我々法務省として、関係省庁として皆様との御議論に参加させていただいて、その辺りをつくっていくところをやっていきたい。その上で、ゲノム情報に関する効果的な施策を考えていきたいと現在は考えているところでございます。長くなりまして申し訳ありません。以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。今の法務省からの回答に関して、天野構成員、何か御発言はございますか。
○天野構成員
ありがとうございます。まさに御指摘のとおりで、具体的にどういった事例が差別に当たるのかが難しいというのはそのとおりかと思いますが、ただ、それをいつまでも入れないとなると、やはりこの法律の実効性が難しくなってきますので、事例の集積あるいは事例の定義は必要だということであれば、ぜひそういった研究や検討を進めていただくことをぜひお願いしたいと思います。
○中釜座長
ありがとうございます。法務省、よろしくお願いいたします。続きまして、金融庁に対して、業界との意見交換の場での自主的管理に加えて、通知とかの指導に関しての御指摘ですが、いかがでしょうか。
○佐藤生命保険モニタリング長
金融庁でございます。天野先生、御指摘、御意見ありがとうございます。回答させていただきます。
今、先生から御指摘いただきましたとおり、我々の数回にわたる要請を受けまして現場になかなか伝わっていない、浸透していないという御指摘だったかと思います。確かにそういったことで、現場で解釈を誤って、または不足して対応を行っていた事例も、今後、我々としても周知方法を収集いたしまして、必要に応じまして、業界団体とそういった実務における浸透・定着を図る上でどういった取組が必要かということで、アイデアとしていただきました実例を踏まえた周知も一つの方策として検討してまいりたいと考えております。貴重な御意見ありがとうございます。
○中釜座長
ありがとうございます。実例を踏まえての対応を検討するということで、先ほどの法務省の対応にも共通するかと思いますので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。では、続きまして、横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員
ありがとうございます。天野構成員とも重なるところがあるのですけれども、法務省と金融庁にお伺いしたいと思います。
法務省では、先ほど天野構成員からも御指摘がありましたけれども、人権擁護活動の中で特に力を入れて取り組んでいらっしゃる項目があって、その中には例えば障害者差別解消法のような法律の中で差別の解消や防止の推進が定められていて、それを背景とした活動があると思います。ゲノム医療推進法に関しても同様の考え方で活動の中に盛り込んでいただければということが一点。
それから、既に今までの活動の中で、例えば感染症やハンセン病の問題、あるいは障害に関わる問題等のゲノム医療とも隣接し得る領域での活動が既に行われていて蓄積があると思いますので、そういったもののこれまでの取組を参考にしながら進めていただくのがいいのではないかなと思っております。ぜひ御検討いただきたいと考えています。法務省に関しては以上です。
○中釜座長
では、まず、法務省、今の御指摘について現時点での御対応をお願いいたします。
○川副参事官
法務省でございます。御指摘ありがとうございます。御指摘がありましたように、啓発活動強調事項の中では、例えば、障害を理由とする偏見や差別をなくそうであったり、我々、法務省人権擁護局で所管しております部落差別の問題を解消しようとか、そういったものを強調事項として掲げておりまして、御指摘のとおり、そういった何らかの根拠となる差別の解消に向けた法律等が制定されて強調事項として入っているものもございます。
先ほど申し上げましたとおり、もちろん、今回のゲノム医療推進法についてもそういったものになり得ることは認識しておりまして、御指摘があったように、ハンセン病の問題とか感染症の問題とかは、厚労省さんや文科省さんなど、関係省庁と連携しながら啓発活動も行っております。特に科学的な知見のどういったところを根拠に足がかりにして基本にしてやっていくのかなどは、そういった関係省庁の皆様の御知見が非常に重要になってくると思いますので、そこは連携しながら、御指摘も踏まえまして、啓発活動、それから、調査救済活動の在り方を検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○中釜座長
ありがとうございます。横野構成員の御指摘は、感染者や障がいとは異なった、ゲノムという視点からの差別ということで、これまでの実績を踏まえた新しい法整備の枠組みを検討いただきたいという御意見と認識いたしました。ありがとうございます。では、続きまして、金融庁に対する御質問があるということですが。
○横野構成員
ありがとうございます。先ほどの説明の中で、保険分野での現在の遺伝情報の取扱いについての周知が図られていることの御紹介がありました。
ただ、今の段階では、この周知文書の内容はあくまでも現在の取扱いを説明した内容であり、医療関係者に向けてのものとなっています。ぜひ改めて議論した上で、様々な立場の知見を踏まえた指針を、これはどういう形、行政がつくるものなのか、あるいは業界団体がつくるものなのかというところはあると思うのですけれども、つくっていただきたいこと。
それから、そこで確認された取扱いのルールについてはぜひ広く一般消費者に周知していただきたいと思っております。特に保険商品に関する情報提供の義務があると思いますので、そことの関係の整理や、取扱いについて、実際に商品の購入を検討する消費者がその情報を把握できる機会を充実させることを目指した活動を行っていただきたいと思っております。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御指摘、御要望に関して、金融庁、いかがでしょうか。
○佐藤生命保険モニタリング長
金融庁でございます。御意見ありがとうございます。御指摘いただきましたとおり、様々な分野に対します周知並びに一般消費者の方に対します、保険業法で言います情報提供義務が保険募集人、保険会社には義務化されておりますので、そういったものとの整合性を踏まえて、一般消費者の方々へ広く周知されるような仕組みにつきましても検討させていただければと考えております。ありがとうございます。
○中釜座長
ありがとうございます。横野構成員、今の御回答でよろしいでしょうか。
○横野構成員
ありがとうございます。ぜひ御検討いただきたくよろしくお願い申し上げます。
○中釜座長
それでは、続きまして、佐保構成員、よろしいでしょうか。
○佐保構成員
ありがとうございます。法務省、金融庁、こども家庭庁の取組の御紹介、大変ありがとうございました。
私からはそれぞれの御説明に対する意見等というわけではなく、1点質問と意見を申し述べたいと思っておりますが、本日の御紹介以外にほかの省庁における取組はどうなっているのでしょうかというのが質問です。
第1回のワーキンググループで各省庁の取組状況の御説明があり、以前は労働分野の取組として厚生労働省の説明もあったかと認識しております。今回の説明は第1回の説明から更新された部分だけの御説明という認識、位置づけでよろしいのかという点を確認したいと思います。
意見ですが、今後、検討を進めるに当たって過不足がないように、既に行われている、または予定されている取組を把握することは重要だと考えますので、全体像を整理し提示いただくことも必要ではないかと考えております。私からは以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。これについては厚労省からお願いします。
○中田研究開発政策課長
課長の中田から回答させていただきます。資料1の6ページ目でも今後の基本計画の策定に向けた議論の進め方にも記載させていただいたのですけれども、これまで第1回目で総合的な意見交換を行いまして、2回目以降、各有識者からヒアリングという形でいろいろ論点出しをさせていただいたところまで、今回、議論が進んでまいりました。今後、恐らく基本計画で具体的な中身を、より専門的な見地から詰めた議論がきっと必要なのだろうなと思っておりまして、我々のほうでこういった、今、行政として取り組んでいる内容とか考え方も御紹介させていただき、いわゆるキャッチボールを深めた形で内容の深掘りの議論をしたいなと思っています。
本来であれば、どういうスケジュールで、どういうテーマでやっていけばというところを準備させていただければよかったのですけれども、今回、準備の関係上、御報告いただける省庁からまずは報告という段取りになりましたので、今後は満遍なく議論ができるようにスケジュールを組むことと、先ほど意見がありましたとおり、もうちょっと足りない分野でのヒアリングが必要ではないかという御意見もありましたので、そういうものも間で取り入れながら、具体的に計画の中身が書けるレベルの議論を深めたいと事務局としては思っております。以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御回答でよろしいでしょうか。
○佐保構成員
丁寧な御回答ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○中釜座長
それでは、先ほど吉田構成員から手が挙がっていましたが、よろしいですか。
○吉田構成員
ありがとうございます。音声は聞こえておりますでしょうか。
○中釜座長
大丈夫です。
○吉田構成員
先ほどの法務省のプレゼンテーションをお聞きして、人権擁護の推進を重視する観点から、今回の基本法を踏まえて、ゲノム情報による差別を禁止する法律の制定について、法務省も協力していただきたいと思いました。趣旨としては天野構成員、横野構成員とほぼ同じで。主担当は厚生労働省になろうかと思いますが、法務省にも協力いただき、我が国における差別禁止法を制定していただきたいと思います。法務省様から何かコメントをいただければありがたいです。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御指摘に関して、法務省様のほうから何か御回答はありますでしょうか。
○川副参事官
ありがとうございます。法務省では具体的に差別や偏見をなくそうということで啓発活動を行っておりまして、その根拠となる法律の必要性をここでコメントすることはなかなか難しいところではございますが、この分野につきましては、厚労省さんとも協力しながら、具体的に不当な差別が行われることがないようにするための効果的な施策を協力して検討していきたいと思っております。以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。ぜひ厚労省さんとも詰めていただければと思います。ほかに御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、本日いただいた資料に関する意見交換という意味では以上なのですが、最初の前半の部分の議題1を含めて、まだ御発言いただいていない構成員の方々で何か、この場で御発言がございましたらお願いしたいと思います。例えば五十嵐構成員、本日の議論を踏まえて何かございますでしょうか。
○五十嵐構成員
ありがとうございます。厚生労働省の資料の7ページの「11.人材の確保」についてです。既にヒアリングで少し話は出たと思うのですが、ゲノム医療を実施する上で、患者さんの立場に立って患者さんを援助する観点から、認定遺伝カウンセラーが大変重要な位置を占めていると思います。
7ページの11番の専門人材についてです。現在認定遺伝カウンセラーの方は年間30人から40人程人類遺伝学会に認定されていますが、それでもトータルで400人に達していません。例えば今日お話に出たNIPTもそうですし、がんの遺伝子診断や遺伝性疾患の遺伝相談などの分野でも、これからその役割が増えると考えられます。厚生労働省あるいはこども家庭庁として遺伝カウンセラーの育成という点で何かお考え、あるいは人類遺伝学会と相談や協力などを行う予定があるのでしょうか。教えていただきたいと思います。
○中釜座長
ありがとうございます。人材に関しては様々な局面での様々な人材が必要かと認識いたします。今の御指摘について、厚労省、何かございますでしょうか。
○中田研究開発政策課長
御質問ありがとうございます。後でNIPTに関してはこども家庭庁からも御見解をお話しいただければと思うのですが、今、五十嵐先生からもお話がありましたとおり、この遺伝カウンセリングという観点におきましても、我々事務局としては、何かこれを専門的な人材として共通的な技能の部分があるのかどうか。あとは、それぞれの専門分野にわたるそれぞれの技能が必要になってくるのか。そこをこれから整理する必要があるのかなと思っています。
例えば、このように生殖医療に関しましては、そういう出生前に関するより専門的な知識が必要である一方、いろいろ難病とかがん、それぞれの分野にもそれを前提とした知識を持った上でのカウンセリングが必要になってくると思います。ここの人材育成の方針についても、やはりそういうものを共通する部分で何か進めていったほうがいいのか。それを前提としながらも、それぞれ専門分野に特化した研修とかも必要になってくるのか。そこを今後整理して国の政策を進めるときにはそういった整理が必要かなと思った次第であります。まずは厚労省からは以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。それでは、こども家庭庁から、NIPTを含めて、何か御発言はございますか。
○小倉課長補佐
こども家庭庁です。ありがとうございます。認定遺伝カウンセラーのお話だったかなと思うのですけれども、こちらも非常に重要な問題と考えております。先ほど御報告させていただきました専門委員会、令和3年に取りまとめた報告書の中の基本的な考えというところで項目だけお伝えしたかなと思うのですが、その中でも受検前後の十分な説明、遺伝カウンセリングが不可欠というところが明記されております。
その上で、遺伝カウンセラーは重要な立ち位置を占めているところなのですが、先ほどの御質問としてありました、具体的に学会として増やしていく方向で何かやり取りをしているのではないかというところにクローズに答えれば、こちらは今、そういったお話には至っていない。
我々としては、施設認証の中で、遺伝に精通するスタッフであったり、超音波に精通するスタッフ等の勤務であったりを基幹施設、連携施設の要件としております。以上です。
○中釜座長
ありがとうございました。今の御回答でよろしいでしょうか。小崎先生、何か関連して御質問でしょうか。
○小崎構成員
五十嵐構成員から認定遺伝カウンセラーのことについて御説明をいただきありがとうございます。前人類遺伝学会の理事長の小崎でございます。
今、少し誤解があるようなので説明させていただきますが、遺伝カウンセラーという職種はいわゆる心理のカウンセラーとは異なる職種であります。臨床遺伝学ないしゲノム医療の知識を知った上で、適切な知識を患者さんにお伝えした上で心理的な側面に応える部分がございますので、いわゆる精神科的な心理カウンセラーとは全く異なるものであるとの認識をしていただきたいと思います。
現在、NIPTに関する議論の御紹介がありましたが、当初は出生前カウンセリングという記載であったかと思いますが、これは遺伝カウンセリングであるべきだという発言を私がしたのを記憶しております。したがいまして、各職種で患者の心に寄り添う仕事は重要だとは思いますが、今回の法律のことに関しての認定遺伝カウンセラーの役割は、別格と言うつもりはございませんが、別の性質を診るものを再確認させていただきたいと思い発言させていただきました。改めまして、五十嵐構成員に御礼申し上げます。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。ほかによろしいでしょうか。では、大沢構成員、何か御発言はございますでしょうか。
○大沢構成員
資料1で感じたところなのですけれども、7ページの「実施すべき施策」の「2.ゲノム医療の提供の推進」なのですが、最近、乳がんの分野ではホルモン受容体陽性の転移性乳がんに新しいお薬が承認されたのですが、特定の遺伝子変異が認められていることが適応の条件で、調べるためには遺伝子パネル検査を受ける必要があります。このお薬ではFoundationOneのみが承認されたコンパニオン診断となりました。がんゲノム医療連携病院ですらない病院では、検査受けられる病院に患者さんに行ってもらう必要があり、先日地域での勉強会では、適応を調べるために他院受診してもらうのはハードルが高いという率直な意見が出ていました。東京のように病院が多いところでもそうなので、病院へのアクセスが困難な地方などではよりハードルが高いのではと思いました。調べる項目を絞ったコンパニオン診断にした方がお薬の恩恵を受けられる患者さんが増えるのではという声もあり、全ゲノムには逆行する話なのですが。すみません。感想なのですけれども。
○中釜座長
ありがとうございます。今の御質問はゲノム医療の提供の推進の方向性ということですが、厚労省のほうで何かお答えはありますか。
○中田研究開発政策課長
御質問ありがとうございます。後ほど、がん医療に関して担当から補足があればお願いしたいと思っておりますが、これまでの検討の中でも、このがんの地域の問題は非常に大きな課題としていただいておりましたので、こういったことも今後、このワーキングの中で議論を深めていきたいという思いでおります。何か担当課で補足があったら、この後、申し上げます。以上です。失礼いたしました。
○中釜座長
では、よろしいでしょうか。重要な御指摘だと認識いたします。ゲノム医療の提供体制について、さらに細かく詳細に詰めていただきたいという御指摘だと思いました。続きまして、神里構成員、何か御発言はございますでしょうか。
○神里構成員
ありがとうございます。法務省様からの御発表に関係するところなのですけれども、先ほどの質疑応答の中でもありましたように、やはりゲノム情報による不当な差別の範囲をこれから決めていかないと、法務省における人権活動でも実際上はなかなか、その啓発も難しいところだと思います。
そうしたときに、今回の参考資料3のこれまでの意見のまとめの8ページの「(8)差別等への適切な対応の確保(第16条)」の項目においても「例えば、就労や保険商品の販売に際して」ということで、具体的に想定される課題を整理して検討するべきではないかというところをこれまでの意見ということで拾っていただいています。
各論に行くことは重要なのですけれども、ただし、その前に不当な差別とは一体、何なのか、まずは共通認識を私たちの中でも持っておくことが重要なのではないか。そこが、基盤としてできることによって各論、それは保険とか労働、あるいはそれ以外においても応用できることになると思います。そのため、ゲノム医療に関しての事例はないということでしたが、不当な差別についての情報提供を法務省様からいただきまして、また、国の法律あるいは国際的な規範・条約、いろいろあると思いますけれども、そこにおける不当な差別のカテゴリー・範囲についても御教示をいただければ今後の議論の推進につながると思いますので、御協力いただければと思います。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。不当な差別の定義に関してですが、これは法務省の認識とも共通すると思うのですけれども、今の御指摘を受けて、法務省あるいは厚労省から何か、今後の進め方についてのお考えがありましたらお願いいたします。まず、法務省さん、いかがでしょうか。
○川副参事官
法務省でございます。御指摘ありがとうございました。御指摘にございましたとおり、まさに不当な差別がどういったものなのか、総合的な共通認識は重要なのかなと思いますけれども、我々のほうでどこまで情報として提供できるところがあるか分からないところですが、多分、共通認識として、共通の傾向として言える部分、例えば何らかの目的に範囲を超えたものを求めているという、何か一定の傾向みたいなものが言えるのかどうか。その辺は我々も考えてみたいと思います。
専門的なところはなかなか難しいところですが、先ほど別の構成員の方からも御指摘があったように、関連したり隣接するような分野における従前の事例等も参考になるのかとは思いますので、検討してみたいと思います。ありがとうございます。
○中釜座長
ありがとうございます。国際的な取組、事例のようなものも参考になるかと思うのですけれども、厚労省で何かございますか。
○中田研究開発政策課長
ありがとうございます。ここは法律の第16条の規定の中にも不当な差別ということの記載がありまして、我々事務局としても、では、この不当な差別がどういうものを指すのかというのは非常に大きな課題だなと認識もしていましたし、まさにここが今後の各論に入る上でも大事な論点だなということを改めて認識させていただきました。
今回、この法律を預かる立場といたしましては、この法文上のさらなる、これをどのような専門的な知見から解釈してやっていくかについては我々行政側の基本計画を作成する立場の者が考えていかなければいけない範囲かなと思っておりますが、我々としても、これまでの様々な差別への対応とか、あとはまさにこういったところにつきましては、これまでの有識者または専門家の方々の意見もいただきながら、共通認識をまず持てるような議論を進めていかなければいけないと思っております。今後、そういった観点で整理を進めていきたいと思っております。以上であります。
○中釜座長
ありがとうございました。よろしいでしょうか。では、続きまして、菅野構成員、何か御発言はございますでしょうか。
○菅野構成員
大体、皆様によってポイントがカバーされていると思うのですけれども、私が考えますと、この分野はやはりいろいろなところで新しいことがいつも起こっている。そうしますと、ここで考えている前提そのものが崩れることまであり得るかなと思いますので、あまり突き詰めた枠組みをつくってしまうのではなくて、2年に一度なり、3年に一度なり更新していけるような枠組みでこの法律をさらに進めていくということが必要ではないかなと考えて、いろいろな御意見をお聞きしておりました。
多分、ゲノム分野以外の分野でも医療は今、非常に大きな変革の時期に来ておりますので、変革が起こってしまうとここで一生懸命ディスカッションしていた前提が崩れるみたいなことがしばしば起こり得ますので、やはりそうなったときにタイムリーに計画を変更していくという仕掛けが今後は必要になってくるかなと思っております。以上です。
○中釜座長
重要な御指摘ありがとうございます。ゲノムの理解がこれからますます進む中で、それに対応した対応策ということでの御指摘だったと思います。ありがとうございます。
では、続きまして、角山構成員、いかがでしょうか。
○角山構成員
いろいろな意見が出ておりまして、特に私から追加することはございません。1点だけ、先ほど出ましたが、改めてお願いしておきたいのは、ゲノム情報の扱いに関しまして、現在の個人情報保護法の下での考え方を整理するほうがいいのか、あるいは昨今出ていた特別法についての議論も進んでおりますので、そこでの整理がよろしいのか。ぜひそこら辺の検討もお願いしたいところでございます。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。重要な御指摘と受け止めました。ありがとうございます。では、続きまして、深田構成員、いかがでしょうか。
○深田構成員
ありがとうございます。深田でございます。構成員の様々なこれまでの意見を丁寧に取りまとめていただきまして誠に感謝申し上げます。
私から追加で2点ほど、お伺いしたいことがございます。まず1点目になりますが、資料1になります。大沢構成員からも御指摘がございましたが、ゲノム医療の提供体制とか、治療へのアクセスの地域格差も含めた課題は非常に重要かと思っております。私もパネル検査等をはじめ、ゲノム医療を介して患者さんと向かい合っている中で、それによって恩恵を受けられる患者さんを目にするととてもうれしい気持ちになりますが、まだ現時点では苦しい思いをされている患者さんが非常に多いのを日々感じております。
患者さんがより、このゲノム医療の恩恵を受けられるように、今回まとめていただいた意見などを踏まえて、具体的に基本計画に取り組んでいっていただければと思っております。こちらは質問というか、感想という形になります。
2点目なのですが、金融庁様の資料についてお伺いできればと思っております。現在の金融庁様の取組を丁寧に御解説いただきまして誠にありがとうございます。
私はつい先日、患者様に全ゲノム研究のお話などをしていたときに、それをやろうかどうか、興味はあるけれども、悩まれている患者さんがおられました。よくよく話を聞きますと、こういうものをやると、将来、自分が生命保険とか、そういうものに入れなくなるのではないかという懸念をかなり強く持たれていることがとても印象的な場面がございました。
実際に、2017年6月に公表されていますが、厚労科研で医科研の武藤香織先生がゲノム差別についての実態のアンケートを取られた際に市民の方から、生命保険に入ることを拒否されたとか保険料が高く設定された方が1.2%ほどいらっしゃったという結果を拝見してございます。1.2%という数字は一見すると少ないようにも思いますが、実数にしますと130名という人数が書いてあり、かなり多いなという印象がありまして、金融庁さんでそういった実態の把握がどれくらい進んでいるのかということと、これまでの取組を御解説いただきましたが、今後、より実効性のある取組を予定されていらっしゃるのか。少しお話もあったかと思いますが、改めてお伺いできればと思います。以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。では、金融庁さんから実態をどう把握されているかについてお願いいたします。
○佐藤生命保険モニタリング長
御意見ありがとうございます。回答させていただきたいと思います。今、患者様との貴重なエピソードにつきまして御紹介いただいたところ、並びにアンケートの結果につきましても御紹介いただいたところでございますが、金融庁といたしましては、実態の把握という点につきましては、日頃、当局に寄せられる一例としましては苦情や相談が、窓口を設けておりまして、そちらに寄せられる苦情等につきまして、一件一件、我々のほうで精査しております。そういった中におきまして、こういった、もし仮にゲノム情報に基づく不当な差別があった場合につきましては、保険会社を通じて実態把握に努めて、必要に応じて改善を求める一般的なスキームを設けているところでございます。
数にしますと、相談件数全体としましては1四半期で大体2,000件程度、年間に直しますと8,000件ぐらいの苦情や相談が寄せられているところなのですけれども、それらを我々、週単位で日頃精査しているのですが、その中におきまして、今、ゲノム情報に基づく不当な差別の実態は現時点では把握はされていないところではございます。ただ、今、御紹介いただきましたような患者様とのエピソードやアンケートの結果等も踏まえまして、今後、我々、そういった情報を活用しながら実態把握を進めてまいりたいとは考えております。
○中釜座長
ありがとうございます。深田構成員、今の回答でよろしいでしょうか。
○深田構成員
ありがとうございます。御丁寧に対応いただけるということで、誠に感謝申し上げます。
○中釜座長
では、ぜひ引き続き、よろしくお願いいたします。続きまして、三木構成員、よろしいでしょうか。
○三木構成員
ありがとうございます。差別等々につきましては、皆様方からの十分な御議論がなされているとは感じております。
私は当初、研究という立場からの意見を述べさせていただいたわけですけれども、ここで改めて、ゲノム医療推進という、具体的にどのようなゲノム医療を今後推進することができるのか。そのようなイメージも少し考えながら、やはりこの法律あるいは基本計画を立てる必要があるのではないかなというふうには少し感じております。
がんゲノム医療につきましても今まで、例えば深田先生などからもいろいろな問題点が出されました。そういうものをどのような形でどこまで解決していくのか、あるいは解決するためにどのような研究が必要なのか。例えば、重点的な研究が必要なものもあるのではないかと思います。あるいはそういうがんゲノム医療の体制そのものにもいろいろな改善が必要だろうしという、具体的なイメージをある程度話し合いながらこの計画もつくっていく必要があるのではないかと思います。
もう一方、全ゲノム解析も同じようなことが言えると思います。全ゲノム解析をして、具体的にどのようなゲノム医療が今後推進できるだろうかというイメージ、あるいはそれに対しても、先ほどと同じように、推進するために重点的な研究は一体、何が必要なのか、それを進める体制はどうなのか。そういった具体的なところを考えながら基本計画も進めていく必要があるのではないかなと感じているところであります。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。今、御指摘のゲノム医療全体に関するビジョン、日本としての方向性についての質問ですが、厚労省から何か検討はありますでしょうか。
○中田研究開発政策課長
御提案ありがとうございます。我々としてもそういった御意見を踏まえて検討したいなと思っているところでありますが、今、想定されているのは恐らくがんや難病分野での、それぞれの医療での応用は非常に大きく取り上げられているところでありますが、それ以外にもこの法律の中では、遺伝子検査ビジネスでの実施している実態、また今後、こういった遺伝子検査が予防に使われていくのではないかという様々な分野での活用。こういったものもこの法律の中で含まれておりますので、そういったことを今回、非常にテーマが広い分野ではありますけれども、そういったところをきちんとカバーするような形でそれぞれの対策を考えていく必要があるのかなと思っております。以上であります。
○中釜座長
ありがとうございます。関連して、小崎構成員から御質問ですか。
○小崎構成員
はい。ありがとうございます。明確なビジョンを持つことが重要だと思いますし、国際連携ということもございましたので、御紹介させていただきます。
IRDiRC、International Rare Diseases Research Consortiumという、20か国以上の国が参加する研究コンソーシアムがありますが、その目標の第一は、希少疾患が疑われる患者さんが、疑われてから1年以内に正確に診断がつくという極めて明確な目標がございます。我が国も、様々な今後の予防医療とゲノムの応用があるにせよ、この一丁目一番地について速やかに実施することを明確な目標にしていただきたいと思います。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。では、続きまして、水澤構成員ですか。お願いいたします。
○水澤構成員
ありがとうございます。先ほど、今も話に出ました国際連携ということでお話しさせていただきましたけれども、昨日の問合せに対して2~3、回答を送りました。もう一つは、今日もたくさんの御意見、御説明があって、これは全て大事だと思うのですけれども、一番最初のこととして、なぜこういうことが必要なのかが国民の皆さんによく分かるように示す。それはとりもなおさず、ゲノムの持っている力の重要性。ゲノム医療、ゲノム科学の重要性が背景にあるわけですが、そういうことがあって、国家が管理する、進める、保障することがぜひ必要なのだということが分かっていただけるような、分かりやすい形での啓発といったことを全体として進めていくとよろしいのではないかと思っております。ぜひ、その点を御配慮いただければと思います。よろしくお願いします。
○中釜座長
重要な御指摘と認識いたします。ありがとうございました。続きまして、森構成員、よろしいでしょうか。
○森構成員
ありがとうございます。これまでの様々な分野、そしてまた、関係機関の御意見をいただき、重ねて、こういった形でまとめられたことを大変ありがたく思っています。難病の患者といたしましても、やはりこのゲノム医療、新たな医療として、そしてまた、体制づくりに期待しているところです。
一方で、やはりまだ難病の患者さんが一般企業で働くときに、病気を開示できていないところでしたり、それから、健康診断を求められたときにも、非常に診断を受けて、もしも病気のことを開示しなければならなくなって、会社を辞めさせられるのではないかといった御相談もまだ続いているのが現状です。
私たち、治療を毎日受けながら、ぎりぎりのところで日々の生活を送っていますので、もしも何らかの形で不利益が起こったり差別の目にさらされたりというところがあればたちまち日々の生活すら壊れてしまうと思っていますので、この機会に、本当にこのゲノム情報に関する差別に対しての法整備はやはり一番にしっかりと考えていただきたいところです。非常に期待しております。
それと、5月23日、難病法が成立した日として、難病の日として、今、毎年イベントを行っていますけれども、今年はゲノムについて、ゲノムとはという本当の基本的なところの御講演をいただきました。ゲノムについての講演をしますと言って人を集めるのではなくて、一般のいろいろな方々に参加していただき、その中でゲノムについての講演をしていただきました。そういった点では非常に一般の方々にも知っていただくことができ、特別なものではなくて、みんながやはり必要な知識なのだということを分かっていただけたと思いますので、そういった啓発も私たちも続けていきたいと思いますし、ぜひ先生方にもお願いしたいところです。以上です。
○中釜座長
ありがとうございます。重要な御指摘かと思います。差別ということを議論する前に、ゲノムの意義を広く普及啓発することの必要性を御指摘いただきました。ありがとうございます。それでは、山田構成員、いかがでしょうか。
○山田構成員
ありがとうございます。山田でございます。本日の議論の場でも皆様から分かりやすい御説明をいただいて、あと、重要なポイントについては質問、コメント等を皆様がされているので、繰り返すところは私からはないのですけれども、1点だけあるとしますと、やはり差別の問題で、法務省の方の御説明とかも大変興味深く聞かせていただきましたが、差別は起きてからだと遅い部分がございますので、そういうものが起きないように、あらかじめ予防できるような、法律も含めた枠組み整備とか、あと、関係する方々の啓発・啓蒙活動とか、そういったものをしっかりやっていくことによって、将来、差別が起きない、起きにくいように持っていくのが重要かなと思いました。私からは以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございました。それでは、以上で本日、構成員の先生方から全員、お話をお伺いしたかと思うのですが、まだ御発言いただいていなかった方、あるいは追加での御発言のある構成員の方々はいらっしゃいますでしょうか。天野構成員、お願いいたします。
○天野構成員
ありがとうございます。本日の議事には上がっていなかったのですが、参考資料3、今までの意見を基に、第4回まで構成員からの主な意見をもってまとめていただいている資料がアップデートされているかと思います。
その中で、2ページ目にゲノム医療の提供の推進についての項目をまとめていただいて、3ポツ目になります。割と長い説明になっているのですが「がん遺伝子パネル検査は、現時点では標準的治療法が終了した場合に保険適用となっているが、治療上の必要に応じて標準治療の開始前に実施する場合も想定される。当面の対応として」という部分があって「さらに、患者申出療養を活用すること以外にも」という部分があるのですが、これは「さらに」の前と後で全く別のことを言っているかと思いますので、まず、一つの提案としては、これは「さらに」の前と後を分けていただきたいのが一点の意見です。
もう一点が、すみません。今日は議事になっていないのですが、非常に重要な部分と思うので、あえて意見を申し述べる次第ですが、この前半部分に関連して、今日、ちょうど新聞で報道があったと承知しておりまして、いわゆる保険外併用療法でがん遺伝子パネル検査が初回治療から受けられるようにしてはどうかという提案が出ているというふうに新聞記事で拝見いたしました。
例えば、がん遺伝子パネル検査を初回治療から受けられるようにしてほしいというのはがんの関連の腫瘍学会とか、あるいは私たち患者団体などから繰り返し、政府に対してお願いして要望してきた項目であるわけですが、そういった観点からすると、確かに保険外併用療法という形で認めていただけると、保険診療と併用して受けられる点では現状よりは半歩前進していることは言えるかもしれませんが、ただ、申し上げるまでもなく、遺伝子パネル検査は安い検査ではありませんし、そういった保険外併用療法にとどめ置かれたままとなってしまいますと、結果として多くの患者さんが受けることはできないことになってしまって、格差にもつながりかねないと思いますので、こういった保険外併用療法でこの遺伝子パネル検査を初回治療から使えるようにする考え方をもしかしたら、この部分で述べていらっしゃるのかもしれませんが、この部分については、現状の緊急避難的な項目、あるいは当面の項目、対応とすべきと考えておりまして、それがずっと固定化されてしまうことについては、むしろ医療費を阻害しかねないと考えますので、あえて意見を申し述べた次第でございます。私からは以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。今の天野構成員からの御指摘に関して、厚労省からよろしいでしょうか。
○中田研究開発政策課長
御指摘ありがとうございます。まず、2ページ目の修文の点につきましては、また天野構成員と相談して修文をさせていただきたいと思っております。
また、パネル検査の現状につきましては、今日、担当の者もいると思いますので、そちらから追加で回答させていただきます。今、オンラインで入っておりますので、がん・疾病対策課から御回答をお願いいたします。
○原澤推進官
お世話になります。音声は入っていますでしょうか。
○中釜座長
大丈夫です。
○原澤推進官
ありがとうございます。がん・疾病対策課の原澤でございます。天野先生、御指摘ありがとうございます。
ただいまいただいた方針につきましては、現時点で明確に定まっているものではございませんで、この場での御回答は差し控えさせていただきたいと思っておりますが、従前からがん対策推進基本計画の議論の中でも、がん遺伝子パネル検査等の結果を含む、それを踏まえたがんに対する治療が適切なタイミングで患者さんに届くようにということで方策をしっかり検討することを方向性として打ち出させていただいておりますので、ただいまいただいた御意見も踏まえて、引き続き検討してまいりたいと考えてございます。簡単ですが、がん・疾病対策課からは以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございます。よろしいでしょうか。それでは、大沢構成員から追加での御発言があるようですので、お願いいたします。
○大沢構成員
せっかく今日はこども家庭庁の方、あと、法務省の方もいらっしゃるので、ちょっと気になったのですけれども、参考資料3の(10)の教育のところで「初等・中等教育の段階から、ゲノムに関する正しい知識の教育を」というところがありますが、これは本当に大事だと思います。がんだけの教育とか、難病、精神疾患だけとかではなくて、ゲノムに関しても、国民に対してゲノムの力や重要性を教えるのをこどものときからというのはすごく大事だと思います。
あと、こどもの知る権利、例えば親御さんが遺伝性のがんの場合とか遺伝性の難病だった場合に、こどもに伝えて、そして、こどものときに検査しておいたほうが予防につながる病気もある中で、伝えづらさとかはいろいろありますけれども、こども家庭庁や法務省のこどもの知る権利など、何らかの形でうまく連携を取りながらこどもの将来の健康とか幸せにつながるような対策ができていけばいいなと思ったので、すみません。発言させていただきました。
○中釜座長
ありがとうございます。教育や国民への啓発に関して、こども家庭庁から何か今の御質問に対して御回答はありますか。では、お願いいたします。
○小倉課長補佐
こども家庭庁でよろしいですか。
○中釜座長
お願いします。
○小倉課長補佐
ありがとうございます。親子に関わる遺伝情報というところで、非常に重要な観点と承知しております。
非常に様々な分野が係ってくるところかなと思っておりまして、当課としても、こどもに関わる文科省様であったり、厚労省様であったり、経済産業省様であったり、連携して今後、検討していけたらと思っております。よろしくお願いします。
○中釜座長
ありがとうございます。法務省から、こどもの知る権利という視点から何かございますか。
○川副参事官
法務省でございます。ありがとうございます。先ほど御紹介した、小学生や中学生の方々に向けた人権教室の中で、今、特に言っているのは、こどもの権利条約等を分かりやすく説明するなどして、一人一人のお子さんが権利の享有主体である意識を持っていただくことをテーマに行っております。そういったことの観点、そういった機会を利用して、そのようなゲノムに関することをお伝えすることが、普通であればそういう御協力もしていけるかなと思いつつ、なかなか扱うのが、御指摘があったように、すごく難しい分野なのかなという気もしておりまして、伝え方も研究していく必要があるのかなと思った次第でございます。ありがとうございます。
○中釜座長
ありがとうございます。今の回答でよろしいでしょうか。厚労省から何か追加でございますか。よろしいですか。ありがとうございます。
ほかに御発言はよろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、最後に「その他」に移りますが、事務局よりお願いいたします。
○松浦医療イノベーション推進室長
事務局でございます。次回の運営につきましては、座長と御相談させていただき、また後ほど御連絡させていければと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。事務局からは以上でございます。
○中釜座長
ありがとうございました。本日も構成員の先生方にはスムーズな議事進行に御協力いただき、誠にありがとうございました。
それでは、以上をもちまして本日の会議は終了させていただきます。どうもありがとうございました。