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- 2024年5月16日 令和6年度第2回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
2024年5月16日 令和6年度第2回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録
日時
令和6年5月16日(木)10:00~12:30
田中田村町ビル 6E会議室
(東京都港区新橋2-12-15)
議題
次期制度改正に向けた関係業界からのヒアリングについて
議事
○衣笠総務課長 それでは、ただいまから、「令和6年度第2回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみを入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開をいたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な点等がございましたら適宜、事務局などがサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
続きまして資料の確認です。議事次第にお示しのとおり、資料1から7、参考資料1から2があります。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付をしております。過不足がありましたら御連絡いただければと思います。なお、今日は当日配布資料もお手元に御用意をしておりますし、Web参加の方におかれましてはメールで送付をさせていただいております。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって、御参加いただいている委員におかれましては挙手をしていただき、部会長から指名されましたら卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラにつきましては常時オンにしていただきますようお願いします。
続きまして、本日の委員の出欠状況でありますが、御欠席は小野委員、山本委員となっております。また、Webで参加の委員の方は、本日は7名ということで参画いただいているという状況でございます。
それでは、冒頭のカメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行を福井部会長、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 おはようございます。それでは、早速ですけれども本日の議題に入ります。本日は、次期制度改正に向けた関係業界からのヒアリングでございます。関係業界から提出いただきました要望書等を踏まえて関係業界のヒアリングを行わせていただきます。関係団体として、本部会の委員を含めまして、参考資料1のヒアリング対象者一覧に記載の皆様に御出席いただいております。最初に4団体からの意見を伺ったあと、質疑応答の時間を30分程度設けます。そして、後半の3団体から意見を伺ったあと、また30分程度の時間を質疑応答に費やしたいと思います。それでは、まず、中濱委員から説明をお願いいたします。
○中濱委員 議長、ありがとうございます。中濱と申します。本日は貴重な機会を頂き、どうもありがとうございます。私からは医薬品産業界を代表し、日薬連並びに製薬協、PhRMA、EFPIAの3団体の要望に関しまして、薬機法などの制度改正に関するものを中心に御説明させていただきます。
日本は世界で数少ない新薬創出国であり、医薬品産業は日本の成長産業の柱の1つであると考えております。我々は、よりよい医薬品を速やかに患者様に届けるという使命の下、革新的医薬品の研究開発のみならず、開発段階から製造販売後までの一貫した安全対策及び製品の安定供給等に関わる課題解決に向け鋭意取り組んでおります。
このスライドを用いまして、はじめに、今回の要望の背景にある、複雑化した医薬品のグローバルサプライチェーンについて御説明させていただきます。日本に主力工場を有している内資企業における一例をお示しします。1つの製品をグローバルで承認された各国に供給するに当たり、原薬及び中間体の製造所、製剤化や包装を行う工場が各国にまたがっております。
このため、日本の製造所でまず原薬を製造し、これを欧州で中間体に仕上げ、また日本に戻して製剤化し、その一部の製剤バルクを欧州にて最終製品化し、欧州・米国等に供給するといった複雑なサプライチェーンになっております。他の多くの企業でも同様の事情でございまして、グローバルに複雑なサプライチェーンの環境下で医薬品の製造・供給をしなければならないという状況となっております。次のスライド、お願いします。
複雑化したサプライチェーンでは幾つかの課題がございます。まず、承認・変更管理制度が各国で異なるという点です。また、各製造所に対するGMP調査についても国際的に標準化されているとはいえず、1つの製造所に複数の国の調査が入るといった現状がございます。
このため、コロナ禍でそのリスクが顕在化しましたように、ローカルの独自規制を持つ国が優先されない不利な環境に置かれることになります。本邦に革新的な医薬品が遅滞なく供給され、そして本邦の優れた製造所からグローバルに製品を供給し続けられるよう、グローバル化への対応が極めて重要と考えております。次のスライド、お願いいたします。
我々は、ここに示すように、大きく2つの課題感を持っております。1つ目は必要な医薬品のアクセスの向上です。世界の医薬品市場を俯瞰した場合、日本起源の医薬品数の減少、世界市場におけるシェアの低下など、日本の医薬品産業の国際競争力低下が見て取れます。いわゆるドラッグ・ラグ/ロスが再燃している現状と考えております。これには様々な原因がございますが、薬事制度の観点からは予見可能性が高く、国際整合性の高い、合理的で効率的な研究開発、製造、承認申請及び変更手続が行える制度の構築が必要と考えております。
2つ目に安定供給です。後発品企業の品質事案で健康被害が発生し、度重なる製品回収により医薬品の安定供給にも不安を来していること、複数の企業が行政処分を受けているという事実は慚愧に堪えません。行政の指導も仰ぎつつ、業界全体で医薬品の品質確保に向けた取組を進め、一日も早い信頼回復に努めておりますが、制度面からも製造所、現場でのガバナンス強化のサポートを頂けないかと考えております。
これら課題に対する産業界の対応策をこのスライドに挙げておりますが、これらのうち法改正で対応可能なものを要望とさせていただきましたので、次のスライド以降で御説明させていただきます。次のスライド、お願いいたします。
必要な医薬品のアクセス向上に関しましては、3点の要望を挙げております。まず、薬事規制のあり方検討会でも議論されておりますが、欧米に遅れることなく医薬品の製造方法等の変更・改良を行えるよう、短期間の確認で変更ができる中等度変更制度を新たな変更カテゴリーとして導入いただきたく存じます。また、薬事申請資料の邦文記載条項や製造販売承認書で管理すべき事項の見直しも必要と考えております。
2点目はGMP適合性調査、GCP実地/書面適合性調査にリスクベースアプローチを取り入れ、工程や施設の重要度、調査経験やリスク等の施設単位のプロファイリングを基に調査の内容・頻度を決定し、リスクの高い施設を重点的に調査する、国際的に整合性のある合理的制度への見直しを要望いたします。
3点目は日本薬局方、国家検定の見直しです。これらが法令に制定されたのは1960年、昭和35年でございます。現在の薬機法下での製造販売承認の高い基準と照らし二重規制となっている点、国内独自のルールとなっている点や製造販売の禁止等については見直しが必要と考えております。
日本薬局方と米国あるいは欧州薬局方との差異から、米国、欧州での薬局方適合品が日本ですぐに使用できず、需要に応えられないという課題はコロナ感染拡大の際にも明確になりました。グローバルなサプライチェーンの中で、国内独自ルールについての見直しは喫緊の課題と認識しております。次、お願いいたします。
続きまして、安定供給・品質事案再発防止に向けた取組に関する要望を御説明させていただきます。まず、国際的調和推進とグローバルサプライチェーンの効率化のため、製造所、製造工程ごとの基準確認書の利用範囲を拡大し、製造所単位でのGMP管理を進めることを要望いたします。次に、外国政府の管理監督下である海外製造所の手続を合理化し、重複した手続を不要とするよう要望いたします。
3点目は、製造所のガバナンス強化の一環として、製造管理者要件の見直しが重要と考えております。化学合成・低分子を中心とした時代から、近年の抗体、ペプチド、核酸、遺伝子治療等の治療モダリティの多様化に伴い、製造・分析等の技術も多様化し、幅広い自然科学分野から最適な技術背景を持つ人材を製造管理者に当てる必要が生じております。品質事案の第三者報告等では、製造管理者のガバナンス能力に対する指摘もございます。そこで、薬剤師に加え医学、薬学、理学、工学、農学等の自然科学分野の幅広い人材の中から、技術に合致した最適な人材を製造管理者に指名できるよう要望いたします。次、お願いいたします。
GMP調査につきましては、少し将来的な姿も含め補足説明させていただきます。製造所がGMPに適合しているかを確認するためには、定期的調査が行われる必要があるかと存じます。その手法として、国内外を問わず、リスクが高いと考えられる製造所に高頻度に実地調査を行い、リスクが低い製造所への調査頻度を適正化することで調査全体の実効性を高め、品質事案の再発防止、ひいては安定供給の課題解決にもつながるのではないかと考えております。品目単位の調査から製造所単位の調査、そしてリスクベースによる調査への移行に関しまして、引き続き御検討いただきたく存じます。次のスライド、お願いいたします。
続きまして、安全対策の充実及び効率化に向けた取組に関するものです。緊急承認や条件付き承認制度の導入等により、市販後安全対策の重要性が増しております。医薬品のベネフィットとリスクのバランスを評価し、リスクを最小化するために一連のリスク管理計画をまとめたものがRMPと理解しております。そこで、RMPの薬機法における法的位置付けを整理し、医薬品の開発段階・承認審査時から製造販売後までの全ての期間においてリスクに応じた必要な安全対策を実施し、製造販売後の安全確保を図る制度となるよう要望いたします。また、企業副作用症例報告は増加の一途をたどっておりますが、現在では医療関係者からの報告、患者様からの報告、リアルワールドデータの活用と、情報源が広がっております。安全対策は個々の症例評価に加え、データの分析評価、安全対策、リスク最小化活動の立案・実施がバランス良く実施される必要があると考えております。国際整合性・合理性の観点から各種副作用報告等制度を見直し、医薬品ごとのリスクに応じた安全対策を行う制度となるよう検討いただきたいと考えております。
また、ICT/DXの進歩を踏まえ、MR活動は実質、医療機関への直接訪問だけではなくなってきております。GVP省令における医療機関等への情報提供のあり方につきまして、時代に沿った見直しも必要ではないかと考えております。次のスライド、お願いします。
これが最後になります。その他の要望となります。1点目は医薬品の円滑な輸出に向けた取組です。医薬品の輸出入については大幅な輸入超過でございます。アジア向け輸出用医薬品の手続を制度上明確化するなど、円滑な輸出に向けての改正が必要と考えております。
2点目は製薬協からの要望でございまして、後発医薬品及びバイオ後続品の特許抵触の確認、いわゆるパテントリンケージ制度の改定要望であり、本邦においても後発医薬品の承認がなされた事実の開示、後発医薬品及びバイオ後続品の特許抵触の確認について、引き続いての改善・検討等を要望させていただきます。
私からの説明は以上となります。どうもありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、続きまして、日本医療機器産業連合会の田中参考人から説明をお願いいたします。
○久芳委員 ありがとうございます。冒頭、医機連の久芳から少しコメントさせていただいた上で、田中参考人から説明させていただく予定です。本日はこのような機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。医療機器業界から薬機法改正に向けて提言書を出させていただいておりますので、本日はこの内容について御説明させていただきます。
次のスライドです。このスライドが我々の提言書全体の考え方についてまとめたものです。一番下にありますように、国民の医療ニーズへの迅速な対応、これをきちんとやっていくということが大きな考え方です。そのために少し状況を振り返らせていただきます。2014年に従来の薬事法が現在の薬機法として改正され、そのときに、法律の名前に「医療機器」と入れていただいて、医療機器の特性に対する理解が深まってきたと感じております。このタイミングでプログラム医療機器の定義も整理されました。
その後、2019年の改正で医療機器の特性を踏まえた承認制度等の対応をしていただきました。それ以降、このスライドの右のほうに書いてありますが、医療機器の多様性が更に拡大してきたことで患者が使うような医療機器が増えたり、あるいは新しい概念としての治療用アプリといったものが登場してきたりしている状況です。このような中で、医療機器の使用者と医療機器との間の新たな関係の構築が必要になってきています。その中には、情報提供のあり方といったことも含めて考える必要があると思っております。
左側に、医療機器が医薬品と違う点として、改めて幾つか挙げさせていただいております。使用者の要求を反映したユーザビリティの向上、あるいは技術の応用や改善による性能の向上、そして安定的な製造のための部材の変更、こういったことを常に対応していく必要があります。そのために、効率的・タイムリーな手続対応が可能な規制へ深化させていくことが必要です。これらのことにより、冒頭申し上げたように、国民の医療ニーズへの迅速な対応につながっていくと理解しておりますので、こういった観点で貢献していきたいと考えております。以下、医機連法制委員会の田中委員長から説明をお願いいたします。
○田中参考人 ありがとうございます。私は医機連の法制委員会の委員長をしております田中と申します。田中のほうからは、3ページ以降の具体的な要望についてお話をさせていただきます。
3ページをお願いします。こちらは提言書として提出させていただいた医療機器産業界における課題と、それに対する提言の項目です。本日は、このマークした部分について説明させていただきます。オレンジ色の吹き出しの部分は前回会議にて厚労省から提示されているテーマを示しています。
続きまして、5ページを御覧ください。プログラム医療機器の登場やインターネットの普及に伴い、医療機器を使う使用者の裾野が拡大したと考えております。また、インターネット上では誰でも様々な情報にアクセスできるようになっています。このような背景の下、医療機器に関するヘルスリテラシーの向上、それをするためにも一般消費者向けの広告に関し、原則として解禁すべきと考えております。
現在、医家向け医療機器においては、一部の消費者向けの広告が可能な品目を除いて原則実施されていません。そのため、コロナ禍のときに話題になったパルスオキシメーターをはじめ、類似の機能を持つ雑品においては広告できますが、承認や認証取得された医療機器では広告ができないため、悪貨が良貨を駆逐するとまで言われた事態になりました。お陰様で関係者の御協力も頂き、昨年度末にパルスオキシメーター以外に、更に4品目において広告が可能になりました。しかし、雑品に対する取締りはやはり限界があるということと、一般消費者に対しても、医療機器に関する正しい情報を分かりやすく内容を整備した上で提供していくべきと考えております。
また、新しい医療機器として上市された場合、それが1品目しかなければ、例えば販売名を提示しないで疾患啓発という概念で情報を提供していくことが行われますが、1品目しかなければ、それが医療機器として特定されてしまうから広告と見なされてしまう。そのために、新しい分野でのビジネス展開もできないという事態も品目によっては発生しています。このような状況を解消させるためにも、原則、一般消費者向けの広告を解禁として、必要な品目においては制限をかけるという逆の発想をしていくべきではないかと考えております。
6ページを御覧ください。こちらは、医療機器における開発推進のための提案として2つ入れております。1つ目は、リアルワールドデータの利活用推進のためにいろいろな課題がありますが、1つの施策として、既存の医療情報を用いた医療機器開発に関する要件を整理し、それを薬機法の下に定めるという提案です。このニーズとしての背景は、例えば医療機器の使用情報から有効性・安全性に関する評価をして、それらのデータを使い適正使用指針の改定や適用拡大につなげていくことが期待されています。
また、AIを活用した医療機器開発も進んでおりますが、これには大量の医療情報が学習用のデータや検証用として必要になっています。しかし、個人情報の取扱いの要件が複雑であるということで、医療機関における対応も様々となっており、倫理指針に基づくこれらの医療情報の収集や評価をすることに難渋しているのが現状です。そのために規制要件をなるべく分かりやすくするための提案になります。
もう1つは、現在、臨床試験や臨床研究の実施においては、利用目的と試験の種類によって適用されている法律・規制が異なっております。そのために、医療現場においては審査体制や手続が複雑化し、大きな負担になっているとお伺いしています。これらの課題に対して、法体系をシンプルにできないかという提案になります。こちらについては、関係者も多い課題かと思いますので、この後の法改正ということを視野に入れ検討を開始したいということを提案するものになります。
続いて7ページを御覧ください。こちらは国際整合を鑑みたQMSの適合性調査制度のあり方の検討に関する内容です。医薬品でもありましたが、医療機器においても製造に関わるサプライチェーンのグローバル化や複雑化が更に進んでおります。また、国際関係においては、他国の制度そのものと、それのアウトプット、例えば品目の承認、QMSの調査結果を信頼して利用していくという考え方のリライアンスと呼ばれている概念も進んでおります。
そして、国際整合させ、日本のQMS調査報告書に関するリライアンスを進めたいというものが我々の狙いになります。そのためには、このQMS適合性調査制度自体の国際整合を進めていけるよう、官民で連携して検討を進めたいと考えております。残念ながら、抜本的な見直しの具体的な検討はまだ煮詰まっていないため、次期の薬機法改正に焦点を合わせた要望になります。
続いて8ページを御覧ください。こちらは、2005年当時の薬事法改正の際に導入された認証制度です。これを更に安定させ、発展させるための提案として2つ入れております。1つ目は、認証機関が事業撤退するということが過去にもありましたが、その際にルール策定をすべきではないかというものです。認証機関が事業撤退する際は、申請した企業としては認証機関を変えなければならないということが発生します。申請企業としても影響がありますが、医療機器の供給に影響がないことを第一に考え、必要な施策のルール化が重要と考えております。
もう1つは、行政内で運用している品目やQMSの調査結果等に関する情報のデータベースに、認証機関が秘密情報の取扱いに関するルールを定めた上で、アクセスを可能とすることがいいのではないかという提案です。これにより、申請企業がその都度提供しなければならない類似品目の情報や、業所管関係の情報等も提供が不要になるということと、認証機関にとっても審査の効率化が図れると考えております。
続いて9ページを御覧ください。政府によるデジタル化が推進されています。行政文書のオンライン提出もいろいろと可能になってきました。しかし、自治事務となっている販売業・貸与業においては、その予定がまだありません。また、都道府県ごとに申請に必要な要件が異なっているのが今の実態で、例えば、責任役員の変更など、同じ変更が複数の都道府県にまたがる場合においても、関係する全ての都道府県に一つ一つ問合せをして要件を確認しているのが今の現状です。この要件を標準化し、そしてオンラインの手続が可能となるようなシステムの構築に関しては、デジタル庁と連携しながら国主導で進めていただきたいという要望になります。
10ページを御覧ください。要望としては最後です。これは外国医療機器情報の不具合報告のあり方に関するものです。医療機器においての外国医療機器情報に関する不具合報告は医薬品と異なり、既知・未知などのリスクに応じた報告制度にはなっておりません。情報のデジタル化というものを背景に、医療機器の不具合報告は平成20年度と比較すると、令和4年度においては国内事象が6倍、外国事象は113倍まで増加しています。既知の情報というのは既に添付文書等に記載をし、リスク低減措置が取られている情報ですので、より安全対策の観点で重要になる国内事象や未知の外国症例報告にフォーカスするということで、より適切かつ迅速な安全対策及び保健衛生上の向上に貢献できると考えております。
最後のページです。以上、医療機器産業界では技術革新などの環境の変化に合わせて、医療機器の特性に合った医療機器規制の更なる進化により、国民の医療ニーズへの迅速な対応を可能とすることが必要と考えております。引き続き、御指導、御支援のほど、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、続いて日本臨床検査薬協会の山口参考人より説明をお願いいたします。
○山口参考人 私は日本臨床検査薬協会法規委員会所属の山口と申します。私のほうから臨床検査薬3団体であります日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会並びに欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会にてまとめました、次期制度改正に向けた業界要望について御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。まず、こちらのスライドで、体外診断薬業界からの要望の背景を示しております。近年、検査技術の向上や社会・医療の環境変化に伴い、体外診の価値や位置付けが大きく変わってきており、従来の主な使用用途であります疾病の診断や治療の経過観察だけでなく、昨今では胎児の染色体あるいは遺伝子の異常を調べる出生前診断、薬剤投与の患者層別化に用いられるコンパニオン診断といった多様な使用用途で、体外診断用医薬品は開発並びに利用されているところです。また体外診については、令和2年以降、新型コロナウイルス感染拡大により、公衆衛生危機管理の上でもその役割が極めて重要になってきていることが広く周知されているところです。
こちらの資料のほうに示しておりますように、体外診断用医薬品は現状、医薬品に分類されております。医薬品については物質により、有効性・安全性が規定されているのに対し、体外診断用医薬品においては、検査プロセス全体を通じて有効性及び安全性が規定されているなど、医薬品とは大きく異なる特性を有しております。更に体外診断用医薬品は主な特性として、直接ヒトには投与されず、その性能及び安全性は体外診断用医薬品自体だけではなく、使用する測定機器、臨床検査技師の技能、使用環境等を含め、検査プロセス全体を通じて発揮されることが挙げられます。
また、体外診断用医薬品の主な使用者は臨床検査技師であり、医師は検査結果を診断の補助として用いる点、製造及び品質管理の基準は医療機器同様にQMS省令が適用されている点などが医薬品とは大きく異なります。加えて、体外診断用医薬品は国際的には本邦のように医薬品ではなく、医療機器の1つとして分類、規制されている現状があります。
私どもの業界としては、今後の更なる検査技術の向上、社会・医療の環境変化に応じ、有効性及び安全性が高く、かつ先進的な体外診断用医薬品の国際展開、早期国内導入が継続的に実現できるよう、体外診断用医薬品の現状や特性、国際整合を踏まえた規制制度並びに規制要件にしていただくように見直しいただき、適正化いただきたいと考えております。
では、次の資料より業界からの要望5点を挙げさせていただきます。次のページをお願いいたします。まず、1点目として、体外診断用医薬品の定義の見直しを行うことを要望いたします。体外診断用医薬品の定義を見直し、使用目的及びその分類、それに伴う変更を行うことを要望いたします。
体外診断用医薬品は現薬機法においては、専ら疾病の診断に使用することを目的とすると定義されています。一方、先ほど御説明したとおり、現在の使用用途として従来の疾病の診断から広がり、コンパニオン診断、治療薬物のモニタリングなど、治療薬の選択や用量調整等の治療方針の選択に用いる医療情報の提供を行うこと、予後やリスク評価などを行うなど、多様化・拡大しております。
そのため、体外診を開発する企業としては、薬機法上の定義を見直し、多様化した使用目的を網羅いただくことで、体外診断用医薬品への該当性が明確になり、製品開発における予見性がより向上することで、新たな製品の開発意欲も高まると考えております。
また、体外診の特性や国際整合を踏まえた規制制度、及び要件の見直しを図っていただきたく、次回改正においてその分類を医薬品から独立することを要望いたします。それに加え、臨床検査に活用されているにもかかわらず、現在、体外診断用医薬品の対象外とされている製品のうち、検査性能や結果に直接関与・影響するような一部の試薬については体外診断用医薬品の範囲に含め、適切な製造・品質管理がなされた製品の開発・供給が可能となること。薬機法で求めている表示についても体外診の特性に合ったものに見直し、適性化いただくことを要望いたします。
一方、現在、医薬品であることから毒劇薬として規制されている点については、使用現場における影響が生じず、かつ適正な管理が継続可能と考えますことから、医薬品から独立した後も継続して毒劇薬と同様の規制等を継続いただけることを要望いたします。以上が1点目の要望となります。
次のページをお願いします。次のページに2点要望を挙げています。まず2点目として、業態管理者の要件の見直しを挙げています。現状、体外診断用医薬品の製造販売業の総括製造販売責任者、製造業の製造管理者及び販売業の営業所管理者は、いずれも薬剤師であることが要件となっています。しかし、先ほど述べたように、体外診は医薬品とは異なる特性があり、その点を踏まえますと管理者、責任者の要件は薬剤師に限定せず、こちらの資料に挙げているような医師、歯科医師あるいは臨床検査技師といったような有資格者、並びに体外診断用医薬品の開発・製造管理業務を行う上での基本知識となります薬学、化学等の専門課程を修了した者に広げることを要望します。
なお、販売業については、体外診断用医薬品の購入者に対し、情報提供を行う必要があることから、現状のとおり医薬品と同様の取扱いを維持していただきたいと考えるものです。ただ一方、体外診断用医薬品のみを扱う販売業を新設し、その営業所管理については薬剤師以外の要件も認めていただくことを要望いたします。
次に3点目、承認前試験のあり方の見直しについて述べます。現在、公衆衛生上特に重要な検査として指定されている体外診断用医薬品は、承認申請時に品目仕様の実地での確認を目的とし、国立感染症研究所による承認前試験というものが実施されています。
しかし近年、体外診断用医薬品においては、大型の自動分析装置による自動測定の品目が大半を占めており、現状の承認前試験の実態としては、国立感染症研究所が準備したパネル検体を、企業がセットアップした分析装置を用いて自動測定を行うといったものになっていて、実地での品目仕様の確認を行うことの意義が低くなっていると認識しています。
また、承認前試験の実施に当たっては、企業は実生産とみなせる試薬3ロットを同時に製造・供給することが必要となっており、一般的に製造コスト、在庫管理の観点から、製品の上市前に3ロットを同時に製造・在庫すること、また海外では既に上市済の製品について、同様に3ロット確保することは困難な状況となっています。このような状況を踏まえ、承認前試験の目的、実施について見直しを行い、公衆衛生上特に重要な体外診断用医薬品の性能確保を目的として、適切に検査を評価する仕組みを構築することを要望します。
次のページをお願いします。4点目として、体外診断用医薬品に関わるGCP省令の策定について示しています。現在、体外診断用医薬品の承認申請における臨床性能試験については、医薬品等の臨床試験の実施基準であるGCP省令の対象外となっています。そのため、臨床性能試験の実施に関する明確なルールは存在していません。
体外診断用医薬品の承認申請における臨床性能試験資料の信頼性については、生データチェックと言われるPMDAによる試験計画書、報告書等の確認プロセスが存在しますが、法的なルールというものは存在していません。また、臨床性能試験の実施に当たっては、試験を実施する医療機関側で治験審査委員会、研究倫理委員会の審査を経て試験を実施していますが、医療機関ごとに審査体制が異なることから、申請資料の信頼性や、被験者の保護に関する考え方が均一ではない可能性があります。
さらに、体外診の臨床性能試験や分析学的性能試験の一つである、既存の体外診断用医薬品等との同等性を確認する相関試験等においては、既に診断に使用した既存の臨床検体を用いるなど、医薬品・医療機器のGCPでは想定されない運用があります。そのため、体外診断用医薬品の特性に合わせたGCP省令の制定を行って、被験者の保護並びに承認申請資料の信頼性担保の向上を図ることを、業界としては要望します。
最後の5に、その他として2点ほど要望を挙げています。1つ目は体外診断用医薬品が存在する検査項目について、研究用試薬あるいは郵送検査サービスとして、一般の方に安易に提供されている現状があります。こちらを踏まえ、これらの薬機法の対象外となっている検査試薬やサービス、こちらの品質、有効性及び安全性が担保されるような仕組みを検討いただくことを要望します。
最後にその他の2つ目として、体外診断用医薬品の特性を反映した、不具合報告制度の構築を要望します。現在、体外診断用医薬品の市販後安全対策として、医薬品と同様、副作用報告が求められています。一方、令和4年4月からスタートした厚生労働科学研究「体外診断用医薬品に係る安全対策のあり方に関する研究」においては、体外診の安全対策として副作用報告から不具合報告へシフトさせることが提言され、現在、体外診の不具合報告の方法を、医療機器の不具合報告制度の枠組みに当てはめる検討がなされています。
次回、法改正を機に、体外診断用医薬品の安全対策が医療機器と並ぶことにより、国際整合が図られるだけでなく、体外診の特性に応じた報告制度としていただくということは、安全情報の収集、報告、不具合情報の利用など、企業にとっても分かりやすい環境になるとともに、医療従事者への適切な安全情報の提供につながると考えることから、業界としては体外診断用医薬品の不具合報告制度の構築を要望します。
以上、体外診断薬業界からの要望の説明となります。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、前半の最後になります。再生医療イノベーションフォーラムの北脇参考人から説明をお願いいたします。
○北脇参考人 この度は貴重な機会を頂き、誠にありがとうございます。再生医療の業界団体、再生医療イノベーションフォーラム、FIRMより、次期制度改正に係る要望内容について御説明いたします。
次のスライドは、第1回医薬品医療機器制度部会での厚生労働省様の発表資料からの引用になります。次期制度改正に向けて御議論いただきたい事項の1つとして、赤枠の再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善が挙げられており、こちらがFIRMの要望するところです。
スライドの3枚目、FIRMからの要望についてお示しいたします。私たちは、自家細胞加工製品では発生が避けられない規格外品について、患者の治療アクセスを確保するために薬機法改正を要望いたします。具体的には、法第65条の5(販売、製造等の禁止)に例外規定を設け、致死的で重篤な疾患あるいは状態にあり、治療選択肢のない患者様に対して医師及び患者様御本人から要請を受けた場合に限り、治療目的での規格外品の提供を可能とする改正を要望いたします。この規格外品への治療アクセスの課題については、これまで規制当局及びアカデミアの方々と協議を重ねております。FIRMは、本課題解決のために日本再生医療学会との共同研究を進めているところです。本日は、本研究内容を踏まえて課題の概要と要望を御説明いたします。
次のスライドです。はじめに、本課題の対象となる自家細胞加工製品について簡単に御説明いたします。細胞加工製品は、細胞を主な構成成分とし、この細胞組織を原料として培養等の加工を含む製造工程を経て製品化されます。自家製品の場合は、患者さん御自身の細胞組織を原料とし、患者様ごとに製品が製造されるということになります。
左のフロー図を御覧ください。治療施設において、患者様より原料となる細胞組織を採取し、右側の製造施設へと輸送して培養等の加工がされます。製造施設では、品質チェックを行い、最終製品に求められる品質が確保されたものが治療施設へと輸送され患者様に使用されます。
次のスライドです。なぜ規格外品が発生するのかという、その背景と具体例についてお示しいたします。薬機法下で製造販売される製品は、品目ごとに満たすべき品質の基準、規格が設定されています。自家の製品では、先ほど申し上げたとおり、患者様から採取された細胞組織を原料としますが、この原料の品質特性は、患者様の全身状態や年齢など、様々な要因や影響を受けて変動が大きいものです。例えば、体調の悪い方や高齢の方から採取した細胞が増えにくいといったことがあります。この原料のばらつきによって、製造したが承認書で定めた規格を満たさない製品、つまり規格外品がどうしても発生いたします。
具体例で見ていただきます。右はCAR-T製品で設定されている規格の項目です。性状、安全性、純度、不純物といった様々な項目があり、それぞれに基準が定められています。実際に発生した規格外品を見ると、細胞生存率や細胞数といった純度、含量を中心として様々な項目で規格外品が発生いたします。1つの製品で、複数の項目で規格外となる場合もあります。ただ、規格外といっても、例えば、細胞生存率の規格が70に対して69%である、あるいは細胞数がやや少ないといった、僅かに基準を満たさないといったものがままあります。規格外品が発生しないよう、製造販売企業は製造方法の改良や規格の見直しを承認後も継続して行い、最善の努力をしております。しかしながら、どこかに基準が設定される限り、その発生をゼロにすることができません。
次のスライドは、規格外品に対するメディカルニーズと臨床使用実績についてお示しいたします。再生医療等製品の適用対象となる患者様は、これまでの医薬品や医療機器では治療できない重篤な疾患・状態にある患者となることがままあります。こういった重篤な状態にある患者様では、再度、細胞を採取して製造することができない、あるいは再製造中に容体悪化等により死亡に至ることもあります。
患者様にとっては唯一の治療選択肢となる製品が規格外となって使用できないとなると、治療機会が失われてしまいます。このような状況から、患者様及び医師から、規格外品であっても治療のために提供してほしいという要望があります。
実際、人道的観点から各国の規制に沿って規格外品が提供され、患者治療に使用されています。欧米では、規格外品も含めて細胞治療レジストリにて臨床使用に関する情報が集積され、その結果が公表されております。
次のスライドは、規格外品への治療アクセスに対する日本の状況です。規格外品は未承認品の扱いとなります。未承認品へのアクセスを患者様が希望する場合、日本では治験、先進医療、患者申出療養の順に制度利用可能性が確認されます。現在は、治験の枠組みを利用して患者治療のために提供がされています。2024年現在、以下にお示しする6品目において、治験の下で規格外品が患者治療に用いられております。
次のスライドは現行制度の課題です。結論から申し上げると、治験での規格外品の提供では、医療機関での医療行為、製造販売業者の活動に大きなひずみや不都合が生じており、持続可能な体制ではありません。具体的に御説明いたします。
まず、規格外品は、いつ、どこで発生するか分かりません。万一の発生に備えて、どの患者様で規格外品が発生しても治療提供できるよう、あらかじめ市販製品を使用する医療機関全てでGCPに準拠した治験実施体制を整備し、恒常的に維持していくことが必要となります。本来、治験は承認申請を目的として実施するものですが、当該治験は、治療提供のための枠組み利用であり、終わりがありません。そして、製品が市場で浸透・拡大するとともに、治験に係る製造販売業者、また、医療機関の人的負担は増大する一方となります。医療機関においては、通常の市販体制と規格外品提供のための治験体制の整備・維持が必要となります。この2つの体制が各医療機関で並行して運用されることになるので、医療の連携、安全性確保の観点からもリスクがあります。患者様視点で見ると、市販から治験へと切り替えるといった手続等により、治療が遅れる可能性や、通常診療では求められない検査やスケジュールの遵守等の不利益が生じる可能性があります。
では、治験以外の制度は活用できないのかということになりますが、その際の選択肢として登場するのが先進医療、患者申出療養です。しかしながら、こちらは治験と同様、最終的には保険償還を目指す制度設計となっております。治験で企業が担っていた企画立案、審査対応、報告、モニタリング等々の対応が医師、医療機関へと移るものであって、通常、製品の使用では求められない負荷の負担先が変わるのみとなっております。こちらは現実的ではなく、また、持続可能な体制ではありません。ついては、患者様にとって最善の治療が提供されることにフォーカスした新たな制度が必要と考えております。
次のスライドは、まとめです。自家細胞加工製品では、適切な製造工程を経ても、多様な患者背景に起因した規格外品の発生が避けられず、何らか効果が期待できる品質であっても、法に沿って出荷することができません。現状の日本では、治療機会を求める患者要望に応えるため、製造販売業者及び医療機関の協力の下、治験の形で提供をしております。しかし、この治験への提供というのは、GCP準拠等の対応により非常に負荷の掛かるものとなっており、恒久的に持続可能な体制ではありません。ついては、欧州における人道的提供の枠組みを参考に、患者の治療を目的とした規格外品の提供を可能とする持続可能な仕組み作りのために法改正を要望いたします。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほぼ50分程度のプレゼンテーション、ありがとうございました。それでは、ただいまの4つの団体からの御説明について、御意見、御質問等がありましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 どうもありがとうございました。今、お聞きしていて、やはり時代の変化に法律が追い付いていないところが多々あるのだと思いましたので、多くの場合は時代に合わせていく必要があると思いました。特に山口参考人がおっしゃった郵送検査サービス、これは線虫と性感染症のことを具体例に挙げられていましたが、かなりいろいろなものが出回っていて、私も電話相談などを受けていますので、やはり何らかの規制をしないと危険だなと感じました。
その上で、3点ほど質問したいと思いますが、まず中濱委員が製造管理者要件の見直しということで、自然科学分野の幅広い人材にとおっしゃって、これは考えますと、将来的にはいろいろな進歩をとげていくと、その範囲も変化するのではないかと思いながらお聞きしていました。先ほど体外診断用医薬品の業態の管理者の要件の見直しの所で、具体的に職種などを挙げられていたのですが、この自然科学分野の幅広い人材というときに、職種であったり、分野であったり、適切な判断ができる人の基準というか、そういったことの御提案も具体的にあるのかどうか教えていただきたいというのが1つ目です。
2つ目として、これは事務局にお聞きしたいのですが、田中参考人からのお話にあった、5ページの医療機器の広告ができない、情報提供ができないということについて、できないとしている理由がどのような理由なのかということをお尋ねしたいというのが2点目です。
3点目として、今の再生医療の所で、患者の治療を目的とした規格外品の提供を可能にする持続可能な仕組み作りのための法改正を要望するというお話があったのですが、これは規格外品といってもかなり様々な程度があるのではないかなと思います。どのぐらいの範囲であれば、治療に適すような内容なのかということが、欧米のルールを参考にとおっしゃったのですが、そのあたり具体的に教えていただければと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。中濱委員から、いかがでしょうか。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。製造管理者の要件に関しては、現時点では薬剤師と限定されていますので、その要件について法的にどのように記載するかは御相談事項だと思いますが、現実的な運用の面では、例えば医学、獣医学、歯学、薬学、理学、工学、農学等の自然科学分野の知識を得ている者、そして実経験等も踏まえた条件というものを御相談させていただきたいと思っています。
○福井部会長 よろしいですか。それでは事務局にというお話ですが。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課です。御質問いただきまして、ありがとうございます。医療機器の広告の関係ですが、医薬品と医療機器はいろいろな状況の違いというものはあるのですが、もともと医薬品の世界においては、医療用医薬品については一般に対する広告はしないという形で、医療機器に対しても同様に適用されているのですが、一方で医薬品の場合では、必ず処方箋を頂いて、その処方箋に基づいて調剤されたものを一般の方に提供するもので、広告だけではなくて、販売規制も当然掛かっている。一般の方に対する販売規制も掛かっているのですが、医療機器については、実はそこの部分は広告規制だけになっていて、一般人でも医療用の機器は選択をして購入することは規制上できる形になっているということです。ただ、広告については、これまで医療用医薬品と同様の考え方を適用し、そこはある種、医療機器業界がおっしゃっているように、医療機器の販売については禁止をされておらず、消費者の選択の幅というものがあるにもかかわらず、そこを医療用医薬品と同様の形での広告規制を掛けているという部分については、最近のコロナの状況の中でも様々な問題を起こしているのではないかと、そういった御指摘を頂いていると認識しています。
○山口委員 では、あくまで広告ができないということであって、医薬品でも今インターネットで、かなりのものを調べることができると思いますが、それを患者の立場の人が自分に使われる医療機器をインターネット等で情報収集しようと思えば、そこまでは規制されていないという理解でよろしいですか。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 おっしゃるとおりです。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、3つ目の再生医療に関する規格外品について、いかがでしょうか。
○北脇参考人 FIRMの北脇です。御質問ありがとうございます。欧米の仕組みということなのですが、資料のスライド12に参考資料として付けていますので、御覧いただければと思います。
欧州のほうでは、ATMPに特化したGMPガイダンスということで、この細胞治療の特性を踏まえて、即時に治療が必要な患者様に対しては医師が判断した上で、それを提供することが正当化されるとなっています。もう少し具体的に申し上げますと、その前のスライドの11枚目になるのですが、こちらの下に書いてありますとおり、製造販売企業のほうは規格外品に対するリスク評価体制を構築した上で、製品ごとにリスク評価を行い、それを医師に提供するということになっています。こちらを提供した上で医師が必要性などを判断するということです。実際に、提供するものが無菌などの安全性に懸念があるというものはお出ししません。ですので、あくまで先ほど申し上げたようなメインは細胞数や生存率といったところが僅かに足らないものが大多数かなと考えています。
○福井部会長 よろしいでしょうか。
○山口委員 あくまで製造した上で、結果を医師に情報提供して、その上で提供できるように欧米ではなっているという理解ですね。ありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございました。花井委員、どうぞ。
○花井委員 1つは日薬連さんに御質問なのですが、スライドの8枚目でRMPの件とMR活動の件について見直しを提言されていますが、もうちょっと具体的に今、現状どのような不都合があるからこのように改善したらいいと言っているのかを、ちょっと教えていただきたいと思います。
それから、体外診断薬のいわゆる郵送検査等々については、確かに今、公衆衛生上、エイズなどもそうなのですが、重要なツールになっているけれども、そこはスペックが分からないです。ですので、現場でここだったら大丈夫ではないかということで、アドホックに対応している現状がありますので、御意見のその方向は非常に賛同しますので、是非、お願いしたいと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございました。最初に日薬連ですか。
○中濱委員 御質問いただきありがとうございます。RMPに関しては、法的な位置付けが明確になっていないというところがありますので、まずRMPの法的な位置付けを整理して、その上で通知、適用、運用レベルの見直しを図っていただきたいと考えています。現時点でも、RMPに関しては運用自体は行っています。そういったところで大きな課題があるという認識はありませんが、法律上の定義を明確にしたほうがいいのではないかという要望になります。
また、MR活動に関しても、今のGVP省令では、医療機関への訪問という前提での記載等がありますので、現在は直接の訪問以外の方法で、医療情報提供等させていただいていますので、そういった部分を反映していただきたいという要望になります。
○花井委員 ありがとうございます。勝手に発言してすみません。後者については、いろいろいわゆるインターネット等々、そういう情報ツールが変わっているところで、割と技術的な話かと思いますが、前者のRMPに関しては現状とりあえず運用は問題はないのだけれども、法的位置付けが曖昧とおっしゃったのですが、今、承認条件との関係でRMPに言及されていることが多いと思いますが、業界はその辺はどのように理解して、そこはどのように法的に整備されたらいいとお考えでしょうか。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。承認条件というところは付されなくても、法律で定義いただくことでいいのではないかと考えています。お答えになっていますか。
○花井委員 そうなのですが、承認条件でRMPを作成し、適切に運用することという承認条件が最近多いです。そうすると、そこの法律上の承認条件ということ、RMPの関係というのが、若干曖昧とも言えるのですが、そこの整理の仕方について御意見を伺いたいのですが。
○中濱委員 ありがとうございます。
○福井部会長 考えていただくということでよろしいですか。
○中濱委員 申し訳ございません。準備して個別の議論のときにと思います。
○福井部会長 後ほど、もし。
○中濱委員 どうもありがとうございます。
○福井部会長 では、事務局からどうぞ。
○野村医薬安全対策課長 失礼しました。医薬安全対策課です。行政側から今の状況について、御説明させていただきたいと思います。御指摘のとおり、今、RMPについては法律ではなくて、GVPと言われている市販後の安全管理に係る省令のほうで記載をしているところで、個別にどの品目をやるかについては、承認条件ということで新薬が承認をされるときに付与しているということになります。多くのもので再審査が終わるときに、RMPに係る調査の結果を踏まえて、承認条件を解除するということで、そこで結局リスク管理計画、これについては再審査が終わると多くのもので終わっていく、そういう意味ではジェネリックについてはほとんどのもので付いていません。一方で例えば、サリドマイド、レナリドミドのように市販後も非常に注意が必要な製品なども出てきています。こういうものは個別に承認条件を付けるということをしていますが、本来、ものの特徴に応じてきちんと管理の計画を立てて、めりはりを付けて安全対策をしていくということは非常に必要だと考えています。これは、すみません、役所側の認識ではありますが、そういった意味で今、省令になっているものについて改めて、医薬品の安全対策全体を考えるコンセプトとしてRMPを位置付けた上で進めてはどうかということを考えています。
○福井部会長 よろしいですか。2つ目の体外診断薬については、いかがですか。花井委員からの御質問がありましたが。
○花井委員 質問ではなくて、意見に賛同するということです。
○福井部会長 特にはよろしいですか。それでは、三澤委員からどうぞ。
○三澤委員 慶應薬学部の三澤です。1番目の方と3番目の方、先ほど質問が出ていましたが、製造管理者は薬剤師でなくてもいいのではないか、ほかの方でもという話がありましたが、薬剤師教育をしている立場から言わせていただきますと、薬剤師教育ではコアカリキュラムという一定の基準を決めて教育をしています。その中で製造管理者として必要な薬事法規、薬機法のことであったり、また分析であったり、その医薬品の評価であったり、そういうことをきちんと各大学で教えるカリキュラムになっています。その上で、国家試験があるということで一定の知識水準は担保していると思っています。
一方で、先ほど来、いろいろな科学技術の進歩や、いろいろな新しい剤形であったり、モダリティに則して、必ずしも薬剤師でなくても務まるのではないかと、むしろそういうことも必要ではないかという議論だったと思いますが、その場合、その事業所なり、その内容によって、製造者のほうで誰かを指名する、そういう形をお考えでしょうか。それとも何らかの知識水準なり、製造管理に必要な知識なり、経験、技術を持っているということを担保するような何か仕組みを御提案されていると考えたらよろしいのでしょうか。その辺りを教えていただけると有り難いのですが。
○福井部会長 森委員、どうぞ
○森委員 ありがとうございます。関連で、今の製造販売責任者なのですが、医薬品の品質管理、市販後の安全管理に関する業務を適正に遂行する能力がある者ということで、薬剤師とした経緯があったと理解しています。もし、この要件を変えるのであれば、なぜ変更する必要があるのかということも含めて慎重に検討すべきだと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。今のお答えでよろしいですか。三澤先生、よろしいですか。
○三澤委員 薬剤師以外ということであれば、何かその新しい仕組みなり、知識なり、その製造管理者が適切であるということを確かめる何か新しい、どういう仕組みか分かりませんが、一定の仕組みが必要だと思います。私はただ、製造者がどなたかを指名して、履歴書が付いてあれば、それで認めていいということではないと考えていますが、何か新しい仕組みを提案されているのか、誰でもいいのではないか、自然科学の知識と経験があればいいのではないかと、そういう御提案なのか、そこをちょっと確かめたいなと思ってお聞きしているところです。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 規制のほうからちょっとお答え申し上げます。多分、業界のほうだとお答えしにくいかなという部分だと思いますので。一般的にと言いますか、薬機法の業態規制の中で製造販売業も製造業もなのですが、人的要件と物的要件というものが許可要件になっています。その許可要件としての物的要件などでは、例えば構造設備を有しているなど、そういう部分があるのですが、一方で人的要件という中で管理者を置くということが規定をされていて、その置くべき管理者の資格要件というものが、各業態ごとに定められているというのが法律上の構成になっています。
業界のほうで御要望いただいているのは、正にその人的要件として、管理者としての適格性がある人というものを、薬剤師以外にも広げてもいいのではないか、そういう御提案と我々は捉えている部分です。
○三澤委員 その資格というのは、どういうふうにその方の水準を担保するのでしょうか。その方法を何か御提案いただいているのか、ただ単に薬剤師でなくてもいいのではないかという話をされているのか、そこをちょっと確かめたいなと思っています。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 そういった部分については、業界のほうにお問合せいただければと思います。
○中濱委員 どうもありがとうございます。もちろん自然科学を履修してきたというところに加えて、どういった従事経験があるかというところは、必須にする必要があるかと思っています。具体的な基準は制度部会で改めて議論させていただきたいと思いますが、単に大学での修学経験だけではなくて、それに追加するものは必要と思っています。以上、御回答申し上げました。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。2つお尋ねします。1点は、体外診断用薬について、山口参考人にお聞きします。5ページ目、研究用試薬、郵送検査サービスについてです。新型コロナ禍で、コロナの検査薬が研究品として流通しました。薬機法の対象外という意味で言えば、これも似たようなカテゴライズかと思いながらお聞きしました。こういうものについても、やはり規制の対象になり得るとお考えでしょうか、そして、ここにはサービスの品質、有効性及び安全性について、担保されていないと記されていますが、担保する仕組みとしてどのような具体的な方策があるとお考えか、それについてまず1点お聞きします。後ほど、もう1点、別の方に。
○福井部会長 よろしいですか。山口参考人から。
○山口参考人 山口です。まず1点目の部分で2点あったと思います。コロナについては、確かに研究用試薬というものが当初使われていました。業界としては、コロナにかかわらず線虫検査、性感染症検査等の郵送サービス等々も含めまして、品質担保というところが重要と考えています。
それから、コロナに関しましては、もう既に各社、承認条件を付与された上での承認などというところがありまして、いずれも承認条件に伴う試験の追加報告をするなどして、基本的にはいわゆる普通の診断薬のように承認申請の評価を受けて、承認されたものと同等のデータを提出した上で、承認が維持されるというようにこの数年で移行していますので、今後基本的には、そのようないわゆる当局から評価をされていないようなものについては、一旦、コロナについてはなくなっていくと考えています。
ただ一方、今後またコロナ同様の新興感染症が発生した際に、いかに品質を担保したような製品を供給できるかは、率直に申しますと課題というところで、その仕組みについても、業界からも当局のほうに御相談、それから御要望は差し上げているところですが、現状まだそれについての具体的な施策はないかなと思っています。
それから、品質をどう担保するかですが、こちらはいわゆる法的なルールではありませんが、例えば業界としては自主基準として、まだ承認等されていないような製品の自主基準的に分析性能、いわゆる検査ツールとしての最低限の性能を保証というか担保するような第三者機関による認証制度というものを設けていますので、そのようなものをいずれ行政のほうとも御相談させていただいて、何かしら活用できるような仕組みが今後できればいいなと思っています。お答えとしては、まだそのような正式な仕組みというものはないというのが現状です。
○佐藤委員 ありがとうございます。お答えに対しては、新型コロナ禍で研究用の検査薬を薬機法上で取り締まることができません、自由市場ですのでどうしようもありませんというような事態だったことは、今後何とかする方法が必要なのではないかと個人的には思っています。
2つ目の質問です。北脇さんにお聞きします。規格外品の使用拡大についてです。例外的に人道的な見地から使うということについては、大変納得感がありました。一方で、柔軟に使えるようにすれば、製造の工程管理が甘くなるリスクも伴うのではないかと思いますが、規格品と規格外品の取扱いの差異については、どのような違いを設けるべきだとお考えでしょうか。
○北脇参考人 御質問ありがとうございます。規格外品というのは、製造販売としては本来出してはならないものと思っています。ですので、現在も無償で提供していますし、この例外規定ができた場合でも製販としては無償で提供するということを考えています。ですので、極力企業としてはまずゼロにするということがありきで、規格変更できれば、それに取り組むべきと考えています。その上で残ってしまう、ゼロにならない部分に関して、こちらの特別の枠組みを使うということで、かなり厳密に制限された状況下で使う要件を設定すべきと考えています。患者様の同意はもちろん必要ですし、患者様の状態が重篤であること、また自家細胞製品と限定してその要件を求めることによって、それらのみがこのスキームで使えるということができるのではないかと考えています。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。オンラインで委員の先生方、4名の方が挙手されていますので、順番にお願いしたいと思います。伊藤委員、どうぞ。お願いします。
○伊藤委員 では、資料の番号に基づいて、順次、質問を申し上げたいと思います。まず資料1ですが、9ページ目に書いてありますパテントリンゲージ制度、これは国際特許なども想定されているものだと思っていますが、具体的にはどのような国のどのような制度を参考にして、改善を検討、要望されているのかという点について御質問申し上げます。
次に資料の2の6ページを、まず御覧いただきたいのですが、その6ページの課題と書いてある所の2点目と3点目についてお聞きします。まず2点目に関して、これから様々な個人情報を個人を特定しない形で扱っていくということが重要と考えますが、例えば仮名加工情報の二次利用などを想定されているのかという点についてお聞きします。
それから、背景の3点目にあります適用される法律、規制が異なって、医療現場における診察体制や手続が複雑化しているということは、私もそのとおりだというふうに思っています。このシンプルな法体系とするということに関して、これは業界団体さんと政策当局両方にお聞きしたいのですが、今後どのような工程を考えていらっしゃるのかということについて、改めてお伺いしたいと思います。
それから、同じ資料2の8ページを御覧いただきたいと思いますが、こちらは認証機関が撤退していくけれども、その際に情報が消えてしまうということについて書かれています。これは本来は、例えば認証機関同士が相互に何か情報をやり取りするというよりは、認証している情報ですので、国などでデータベース化をしていくほうが安定的に管理ができるかと思いますが、この点については国としてどのような体制ないし課題を認識していらっしゃるかという点について伺いたいと思います。
それから、同じ資料2の10ページを見ていただきたいのですが、こちらは不具合情報ということについて書いてありまして、非常に多いなというのが1点目として書いてあると思います。これはいわゆる物的な不具合なので、人的なものとはちょっと異なるということではありますが、それをどのように管理していくのかというのが、資料の3の臨床検査委員会から出されているような不具合情報も関連してくるかと。つまり、臨床検査会のほうでは、こちらを医療機器として管理してほしいということで、一方で医療機器業界のほうでは症例報告は不要としてほしいといったことが書いてあるので、この辺りは連動する点があるかと思いますので、改めて不具合情報の管理についてお伺いしたいと思います。
それから、資料4の6ページです。製造販売承認外の規格外品を使うということに関して一定程度、その治療のチャンスという点で私も同意するところは多いのですが、欧米ではこの細胞治療レジストリというものがきちんと収集され、公表されているというのは大きく環境が違うかと思います。やはりこのレジストリの収集があってこその制度変更であり、制度変更するとなったらどういう効果が、ないし影響があったのかということをモニタリングしなければいけないので、これに限ったことではありませんが、何らかの規制の変更を伴う場合は、それに伴うデータベースの構築ということがセットになってくるかと思います。この点について、再生医療イノベーションフォーラムではどのようにお考えなのかということについて、伺いたいと思います。以上です。
○福井部会長 簡潔に回答できる範囲でお願いできますか。資料1について。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。パテントリンゲージに関しては、現時点で特定の外国の制度を指しているわけではありません。複数の国で導入されていますので、国際競合性の観点で今後、議論させていただきたいと思います。以上、回答です。
○福井部会長 ありがとうございます。資料2について、田中参考人。
○田中参考人 それでは田中から、頂きました質問のうち、医療機器に関する部分について御回答させていただきます。御指摘にありました仮名加工情報の二次利用を想定されているのかというお話でしたが、そちらの可能性もあると思っています。匿名加工情報、最近は仮名加工医療情報というものもありますが、その適切な仮名加工ということは必要であることを大前提に置いた提案であり、その方策を限定はしているわけではないものです。
次の、シンプルな法体系の今後といったところは、そこは私もとても気にしているところですので、是非、検討を開始していきたいという要望ですが、具体的なところまではまだ煮詰まっていないのが、今の現状です。
それから、不具合報告の所での御質問を頂きました。こちらのほうは外国において発生している既知の情報、未知の情報といったところの情報収集においては、特に変更ありません。企業においては、外国で起きているものも全て収集するという形の体制がありますので、受け取ったものを既存の添付文書などで既に安全対策がされているものなのか、そうではないのかという判断をした上で、全て報告しています。そのうち既知については既に安全対策が済んでいますので、そこは報告はしない形で、未知の情報についてはPMDAに報告していこうという提案です。情報を一度収集して、それを分析するというところまでは企業の中においては変わらないと、考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。ちょっと時間のことがありまして、申し訳ないのですが、進ませていただきたいと思います。合田委員、その後、山家委員、お願いします。簡潔にお願いできれば有り難いです。
○合田委員 合田です。日薬連の5枚目です。日本薬局方・国家検定の見直しの所です。私は日本薬局方の部会長をやっていまして、もう既に日本薬局方の作成には40年近く関わっています。国際調和といいますか、拡充も含めまして非常に重要なことだと理解しています。そのことについて、我々も積極的に進めている次第です。我々のほうから是非お願いしたいのは、日本薬局方の国際調和で特に条文の所です。いろいろと、国際調和を考えて各条をこういう形にしましょうと、私自身もお願いに上がったこともありますし、日薬連のそのような幾つかある団体で講演もしたことがありますが、具体的にそういうことをやろうとしますと、なかなか日薬連さんの協力が得られないというのが非常に私自身はハードルになっているのではないかと思っています。是非、その点も協力していただければ、非常に先に進むことができると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 よろしいでしょうか。よろしくお願いします。山家委員、どうぞ。
○山家委員 私からは日本臨床検査薬協会さんのほうの件で、3点、申し上げたいと思います。まず順番が逆ですが、最終ページの最終項目の研究用試薬のお話に関しては、特に使用について患者さんたちが混乱しているというのは、私もよく相談を受けますので非常に賛成したいと思います。ただ、挙がっている事例のほかに、例えば髪の毛やごく一般的な血液検査で分かるような項目が入っている検査など、エビデンスが明確でないものとの差が患者さん側には理解されていないというところを強く感じています。ただ一方で、承認されている項目がある場合、新規項目としてLDTが行われているかと思いますが、そういったものの制限にならないようにというところは、ちょっとここを進めるに当たって留意していただきたいと感じています。
それから、次に3ページの薬機法改正の件なのですが、一次抗体等と書いてあります。これは一次抗体だけでなく、もしかすると結果の判定に関わるような化合物が非常に多いのではないかと思っているのですが、どの辺りを対象にされているのかなということをお伺いしたいなと思いました。
それから、その次のページです。製造管理者のお話に関しては、技術の変化に伴う必要性も感じていますので、それに伴う何らかの基準を設けるという必要がある前提で、賛同したいと考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。今の御質問、御意見に何か答えるところはありますか。田中参考人から何かありますか。
○山口参考人 山口から1点ほど、お答えさせていただきます。先ほど御指摘のありました研究用試薬、若しくはLDTの部分ですが、資料には一次抗体と書かせていただきましたが、例えばフローサイトメトリーなど、現状の薬機法上、体外診断用医薬品はキット品という所に制限が掛かっていますので、単品試薬等においても、本来であればその検査の結果の一番コアになる部分の試薬というものがいろいろありますので、業界としては一次抗体に限らず、こちらについて具体的なところは、必要なものはその内容に含めるという方向で議論、検討させていただきたいと考えています。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。すみません、時間のこともございまして、前半の部分につきましては、本日はここまでということにさせていただきたいと思います。それでは、後半の3つの団体からのプレゼンテーションをお願いしたいと思います。最初に、森委員から10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。まず、資料5をお手元に御用意いただければと思います。医薬品医療機器等法等の改正に向けてということで、意見を述べさせていただきます。
まず、重要なことですけれども、国民・患者が、安全で安心かつ適正に医薬品を使用することができるよう、必要な制度改正を行うべきと考えております。そのため3点、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、医薬品の販売制度ですけれども、昨年、厚労省の中に検討会が設置され、11回の議論を重ねて、今年の1月にとりまとめが行われました。安全性の確保と実効性を両立した医薬品販売制度について。2番目ですけれども、将来的に人口減少社会を迎える中、過疎地域等を含めて、医薬品の提供体制をどう確保するのかというのは課題になってくると考えております。地域に必要な医薬品提供体制の構築・確保について。3番目ですけれども、なかなか医薬品の安定供給問題も先が見えません。昨年の10月、日本薬剤師会でも安定供給に関する調査を行いましたけれども、一昨年に比べて、ほとんど全ての薬局で、供給状況が悪くなっているという回答がありました。また、ドラッグ・ラグ/ロスの問題もあります。令和6年度の薬価制度改革においても、ドラッグ・ラグ/ロス解消、安定供給の確保に向けての対応が行われました。この3点に関して、意見を述べていきたいと思っております。
次のページをお願いできればと思います。まず、安全性の確保と実効性を両立した医薬品販売制度に関してです。先ほどお話しましたように、販売制度の検討会でのとりまとめが行われておりますので、国民が安全・安心に医薬品が使用できるよう、このとりまとめの内容、方向に従って進めるべきだと考えております。
その中で市販薬の濫用についてですけれども、若年者を中心に、年齢を問わず一般用医薬品の濫用が拡大しています。救急搬送事例や、相談件数の増加、無許可販売などが社会問題となっています。濫用から国民を守るために、国、製薬メーカー、販売業者、国民、全てが協力して対応していく必要があると考えております。そのため、濫用等のおそれのある医薬品は重点的な対応が必要だと考えます。
まず、濫用対策を進める上で、法改正とは別ですけれども、啓発活動が重要で日薬では啓発のためのポスターを作成して、積極的に取り組んでいます。また、啓発という点では小中学校からの啓発は重要で、学校薬剤師として薬物濫用防止教育等に取り組んでいますが、これは文科省への協力要請が必要と考えます。そうした中、過剰摂取リスク排除と使用時の注意喚起の実効性を両立させる制度設計、そして、専門家の関与が不可欠だと考えております。医薬品購入者の状況を確認し、必要な指導・啓発を行った後に提供・販売する制度とすることが重要だと考えております。また、小容量1個の販売を原則とすること。薬剤師等による情報提供の徹底、声掛けの実効性から直接購入者の手の届く場所に陳列しないということも必要と考えています。
今、国は医療DXを推進しています。オンライン資格確認の基盤を活用した医療情報、薬剤情報等の共有を進めています。OTC医薬品販売についても、これはデジタル庁とも連携が必要になると思いますけれども、マイナンバーカードを活用した購入履歴の一元管理を早期に導入すべきと考えます。
次のページをお願いできればと思います。地域に必要な医薬品提供体制の構築・確保についてです。将来的に人口が減少していく中、過疎地域や中山間地域等を含め、医薬品提供体制の構築・確保というのは、課題だと考えております。地域の医療計画等と整合性を踏まえた、地域に必要な医薬品提供体制を構築できるための方策に取り組む基盤となる制度が必要だと考えます。
医薬品提供体制の構築に当たっては患者、それから地域住民のニーズを踏まえ、地域の薬局が連携してその機能を発揮するための仕組み作りが不可欠となります。地域の医療提供体制は医療計画に基づいて整備をされていますけれども、医薬品の提供体制に関しては現在、そのようなものがありません。行政計画上の根拠をもって整備されることが必要と考えます。薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会で検討されていますが、地域の薬局がその機能を十分に発揮するために、健康サポート薬局及び認定薬局の法制上の位置付け等を含めた再整理が必要ではないかと考えております。
また、前回の法改正のときに議論がありましたけれども、開設者の変更命令については、法制に向けた検討の結果、改正法には盛り込まれず、衆参議院の付帯決議において改正法の施行状況も踏まえて、制度化を検討することとされました。薬局のガバナンス強化に向けた対応も必要と考えます。現在、医療を取り巻く状況は大きく変化をしています。医療を取り巻く状況、薬剤師・薬局業務を踏まえた関係法令等の整備が必要だと考えております。
次のページを御覧いただければと思います。医薬品の安定供給、ドラッグ・ラグ/ロスの解消についてです。創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会のとりまとめが行われております。その内容・方向性に従って、国民が必要な医薬品に迅速にアクセスし、安全・安心に医薬品を使用できるよう、法改正等を進めるべきだと考えております。特に、希少疾病用医薬品、小児用医薬品で、小児用医薬品に関しては、小児特有の理由から、治験や開発が難しいと言われています。必要な患者へ使用できるための薬事上の措置を進めるべきだと考えます。また、製薬企業が取り組むべき事項を実現できる企業体制、先ほど日薬連からもガバナンスのお話がありましたけれども、ガバナンスが必要になってくるのではないかと思います。同時に、そうしたことを担保する都道府県における薬事監視体制の強化が必要だと考えております。医薬品は品質の確保、安定供給が前提であり、製造販売業者の責務として安定供給、品質確保に係る取組の義務付けを検討することも必要ではないかと思っております。
次のページを御覧いただければと思います。終わりにということなのですけれども、医薬品の提供、販売、そして医療に関するルール、それは何のためにあるかということを考えると、それは国民の健康・生命を守るためのものだと思っています。そのため、薬機法及び薬剤師法で人、物、施設等に関する規定が定められています。あくまでも、利便性ではなく安全性を第一に考えること、今回の制度改正に当たっては、医薬品の適正使用の確保・維持という大前提の下、国民・患者の安全を第一に考えて実施をすべきだと考えております。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。続いて、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人より説明をお願いいたします。
○森参考人 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会理事の森信でございます。審議会の議論に当たり、当協会に意見表明の機会を賜り、ありがとうございます。ドラッグストア協会としては、昨年来いろいろな意見があり、検討を重ねてきました。本日、資料とともに述べさせていただく内容は、協会としての統一の見解です。時間も限られていますので、早速、御説明に入ります。
まず、若年者を中心としたいわゆるオーバードーズの問題については、一般用医薬品を販売する立場として、今後も協力させていただく所存です。一方、武見厚労大臣も国会で述べられたように、国民の医薬品へのアクセスを阻害することがないよう、バランスの取れた対策が必要であると申されています。我々販売側にとって現実的に対応可能で、かつ有効な対策である必要があることは言うまでもありません。
この点は、今年初めに、医薬品の販売制度に関する検討会とりまとめという形で公表されていますが、主に以下の3点につき意見があります。1つ目は、購入者情報の記録・保管について、2つ目は、製品の陳列について、3つ目は、一般用医薬品の販売区分及び販売方法について、以上について説明いたします。お手元の資料の5ページを御覧ください。濫用等のおそれのある医薬品の販売については、この数年、厚生労働省より数次にわたる通知等が発出されており、チェーンドラッグストア協会としても厚生労働省の取組に協力してきました。今般、更なる規制強化が提案されていますが、立法による規制強化に当たっては前提としての立法事実が必要であり、チェーンドラッグストア協会として販売規制強化に御協力させていただく上でも有用であると思います。
審議会におかれても、いわゆるオーバードーズとはどのような濫用状態を示すのか、また、救急搬送や中毒性を起こした若年者がどの成分をどの程度服用しているのか、販売規制を強化すべき立法事実を客観的なデータに基づき、議論をお願いいたします。問題の核心がどこにあるのかをデータ等でお示しいただくことが、販売規制に対する国民の納得が得られるものと思っています。
今日は失礼でしたが、当日配布資料として2つの文献を出しています。医療用医薬品、一般用医薬品で中毒症状等が出たことについて、文献で発表されています。この中には、いろいろなことが書いてあるのですが、結論から言うと、薬剤師等の資格者がゲートキーパーとして声掛けをする、販売に関与することが最重要であるということが書いてあります。これを読んでいただくと、途中にいろいろなことが書いてあって、もっと強化すべきではないかということに思いを致すところもあると思いますが、実は、一番のポイントは、先ほど申しましたように、資格者等が販売に関与することで大きな濫用の防止ができているということが書かれていますので、是非、会の終了後に目を通していただければと思います。
資料の6ページを御覧ください。とりまとめの資料では、一定の濫用目的や頻回購入が疑われる場合に、写真付きの公的な身分証明書等、氏名等を確実に確認できる方法で確認を行い、店舗における過去の購入履歴を参照し、頻回購入でないかを確認するとともに、販売後にはこれらの情報及び販売状況について記録し、その情報を保管することが提案されています。まず前提として、当協会としても国民の安心・安全のために必要な資格者への人的投資等を行う覚悟です。
7ページです。購入者情報の記録・保管です。店舗における過去の購入履歴を参照や記録・保管については、まず前提として、仮に一店舗で購入者の氏名等を記録・保管したとしても、他店の買い回りやインターネットでの購入は防げませんので、効果は限定的と考えられます。にもかかわらず、とりまとめの提案どおり施策が導入されると、販売店側であるドラッグストアや薬局・薬店においては、個人情報や販売情報を記録するシステム導入、システム改修、セキュリティを含むシステム全体の見直しのための多額の投資が必要になります。
さらに、当協会が懸念しているのは、本日の産経新聞さんにも載っていたように、多発しているサイバー攻撃等による情報漏えいです。情報セキュリティの観点から、ポイントサービスを導入していないドラッグストアもあります。このように、情報漏えいには細心の注意を払っていますが、保管する情報の価値が高くなるほどハッキングの対象になります。日本を代表する大企業においても、ハッキングの被害は後を絶ちません。端的に申し上げて、個人情報や販売情報の記録や保管は、そのリスクと効果が見合っていません。購入履歴を記録・保管するのであれば、先ほど薬剤師会の方もおっしゃったように、マイナンバーカード等を用いた国による情報管理の推進を希望するところです。
改めて、6ページの赤文字部分を御覧ください。先ほど申しましたように、各種文献では、濫用・依存の防止には、薬剤師等による確認や声掛けが重要とされています。写真付きの公的な身分証を活用する場合も、その目的は、確認や声掛けの実効性確保のためのきっかけの強化と考えています。なお、現在も20歳未満の者への氏名年齢の確認や、20歳以上の複数購入者には購入理由の確認は求めていますが、昨年、令和5年、厚生労働省告示第5号、これは一般の咳止め等ではなくて顆粒、錠剤の総合の風邪薬も含めて販売のときに対応しなさいという通知ですけれども、これが出て以降、販売の現場では、こんな質問はされたことはないと、なぜ答えなければいけないのかと言われ、顧客から暴力を受けたという事例も報告されており、警察に報告して刑事事件にもなっています。本来であれば、政府においてカスハラ、今言われているカスタマーハラスメント対策を講じた上で進められるべき対策ですが、声掛けや購入理由の確認が濫用抑制に効果があるということは、今後も取り組ませていただく所存です。
8ページです。濫用抑制に向けたドラッグストア協会としての取組です。セルフメディケーション推進の要として、多くの一般用医薬品を販売している我々の立場として、国民の皆様の一般用医薬品へのアクセスに関する現場としては、次のような取組が一般用医薬品の適正な使用のために資するものと考えています。まず1つ目です。購入者が対象医薬品を手に取って購入しようとする際や販売シーン等において、薬剤師等が対象医薬品の販売コーナーやレジ等において、適切に販売に関与し、濫用抑制に努めます。すなわち、薬剤師等の関与の強化です。
先ほど述べたように、カスハラ被害に遭う可能性が高まる懸念はありますが、濫用のおそれのある医薬品の販売シーンにおいて、20歳未満の者による購入は、購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証で確認します。これは、検討会で提案があった内容です。今まではやっていませんが、購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証等で確認し、20歳以上の者による複数個又は大容量製品の購入において、購入理由を確認し、これは濫用目的かな、この人は頻回購入ではないかと疑われる場合においては、購入者の氏名等を、ここも写真付きの公的身分証等で確認します。以上のように、購入者が対象医薬品を手に取る際や購入の際などで、販売シーンにおいて薬剤師等の関与を強めることで、濫用目的での対象医薬品の購入には相当な心理的な抵抗が生じます。
10ページです。製品の陳列についてです。とりまとめでは、対象医薬品について、直接購入者の手の届く場所に陳列しないこととする提案がなされています。いわゆる空箱陳列です。この提案も現実的な提案ではないと考えています。現在想定されている濫用等のおそれのある医薬品は市場に約1,500品目あり、販売現場においては、店舗の大小によりますが、そのうち250~400品目をそれぞれ採用して陳列しています。その全てを空箱にしたり、鍵の付いた什器に入れるとなると、結局、大多数の適正な購入者の医薬品アクセスを阻害します。
現品をバックヤードに保管する場合は、購入者が希望する商品を購入したいと言う度にその都度、販売コーナーを離れて取りに行くことが求められます。また、鍵付き什器を設置する場合は、その設置場所の確保及びその什器設置・維持費用等の負担が生じます。まず都市部の店舗では、そもそも保管する場所を確保できない状態です。先ほど述べたとおり、これまで以上に薬剤師等の関与を強化し、また一定の局面において、写真付きの公的な身分証の提示を求めることで、濫用目的での購入に心理的な抵抗を生じさせることが現実的な対策と考えています。
12ページです。これまでのまとめです。現行法の下で、指定第2類医薬品については、薬剤師等が情報提供するための設備から7m以内の範囲に陳列することという規制があり、当協会の会員各社においては、その規制を遵守しつつ、これが重要な所なのですが、成分ではなく効能で判断することが多い購入者の御要望に沿うべく陳列方法を創意工夫しています。その上で、対象品目に関する制度を変更するのであれば、先ほど説明した8ページのとおり、20歳未満の者、20歳以上の複数個大量購入における濫用目的、頻回購入の疑いがあるときの写真付きの公的な身分証の確認の取組であれば、現場で実現可能を確保しつつ、実効性がある施策となります。
最後に、14ページです。一般用医薬品の販売区分及び販売方法です。とりまとめでは、現在の第1類、2類、3類等の一般用医薬品の販売区分を見直すことが提案されています。現状では、どの医薬品がどの区分になるのかは分かりませんが、現在の販売区分は副作用等による健康被害が生じるリスクの程度に応じて検討され、区分されたものと聞いております。資格者が一目でリスクの程度が分かるように表示されており、今一度申しますが、資格者が一目でリスクの程度が分かるように表示されており、合理的かつセルフメディケーションの観点からも有益なものと考えています。従前の販売区分は薬事成分に着目して分類された一定の合理性を有するものと考えていますので、審議会の皆様におかれましては、この販売区分の統合・変更に合理的な理由があるのか、慎重に御議論をお願いしたいところです。
なお、販売区分については、販売区分がないことによって、現場では陳列の場所に規制がなくなるので、作業としては軽減されるわけですが、そういうことよりも第1類、2類、3類のできた理由等も踏まえて御検討をお願いしたいと思います。以上、協会からの説明です。御静聴ありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは最後に、新経済連盟の片岡参考人より説明をお願いします。
○片岡参考人 新経済連盟の片岡です。本日は、説明の機会を頂き誠にありがとうございます。新経済連盟は、一般用医薬品や要指導医薬品の市販薬の販売制度の見直しについて、意見を述べたいと思います。
2ページ目です。こちらは意見の概要をまとめた所です。まずはじめに、制度の見直しに当たっては、セルフメディケーション、それから適切利用のための市販薬へのアクセス、許認可を取得して市販薬を販売する事業者の職業活動の自由といった観点、総合的な観点を踏まえて、合理的根拠に基づいた客観的な検討が必要だと思っています。もちろん、安全性は大事ですし、一方で、医薬品というのは体の不調を治すために使うものですので、それが適切に活用されるようにどう考えていくかというところが必要だと思っています。次ページ以降で詳しく御説明したいと思います。
3ページ、こちらが、検討会のとりまとめに書かれている、濫用等のおそれのある医薬品に関する販売ルールです。案の中では、一部、20歳未満の方へ販売する場合ですとか、あるいは大容量、ちょっと「大容量」の定義がはっきりしていないのがまた問題になってはいるのですが、大容量とか複数個買う場合には例外なく、通常のこれまでのネット販売はできないとされていまして、対面又はビデオ通話が必要とされています。それから、記録の保存については、対面販売とネット販売で条件が分かれていまして、ネット販売のほうが記録を残す範囲がかなり広い案になっております。
4ページです。新経連としては、一律に禁止してしまうのではなくて、記録等を取った上で、20歳未満であるとか、複数個、大容量の場合も、もちろん事情を聞いてということにはなると思いますが、販売する道を残す必要があるのではないかということと、記録についても、対面とネット販売でそろえたほうがいいのではないかという意見を持っております。
5ページです。まず、市販薬の濫用が問題になっている、それに対して対応が必要であることについてはそのとおりであると思っております。ただ、先ほどもチェーンドラッグストア協会さんからもありましたが、具体的に、どういう所にどういう対策を打つのかというのをしっかり考えなければいけないと思っております。やはり根本問題に目を向けた対策も一緒に進めないと、購入のハードルだけを上げてしまうと、結局、濫用するものが変わってしまって別の方向に行ってしまったり、せっかくお薬を買いに来るきっかけをつかんで何かにつなげられるかもしれないのに、それを排除してしまうことにもなりかねませんので、販売規制だけでなく、総合的に対策を考える必要があると思います。2022年に松本先生の論文で、供給低減に偏った対策をしてしまうと別のものに濫用の対象が移ってしまう、かえって弊害も生じ得るというものもありますので、総合的に考える必要があると思います。
それから、販売規制の強化は、もちろん対策の1つではあると思うのですが、それにかなり偏ってしまうと、販売現場の負担増加、あるいは、適正利用者が買いにくい状況をもたらしてしまうという側面もありますので、結局、どういう問題があって、どこにどの程度の規制をして、それによってどういう効果を見込もうとしているのかというのをはっきりした上で対策を考える必要があると思います。支援機関や相談機関は今も存在していると思うのですが、そこを充実させていくこととか、あるいは、販売者の立場で、そこにどうつなげていくか、そういった機関の存在をどう知らせていくかといった周知についても重要なのではないかと思っています。
6ページです。今、一部インターネット販売禁止という案が出ているわけなのですが、これについては反対をします。現在の対面販売及びネット販売の状況を見ても、どちらも完璧というわけではないので、それぞれ追加的対策が必要なのだと思いますが、ネット販売のみを一律に禁止してしまうのはやり過ぎなのではないかと思っております。それぞれの販売の特性を踏まえた上で、どういう場合にどういう方法で販売したらいいのか、ということを考える必要があると思っています。
インターネット販売を一律禁止しているわけではなく、ビデオ通話を導入するだけなのだから簡単なのではないかという意見もあったり、とりまとめにそのようなことが書かれていたりもするのですが、実際はインターネット販売を今までやっている事業者、これは当然、実店舗も持っている、対面販売もやっている事業者で、今、厚労省のサイトに登録されている所で、約3,200件ぐらいありますが、そういった事業者がビデオ通話を導入するのは結構負担が大きくて、もし本当に必須にしてしまうと、対象の販売を取りやめる、ネット販売はしないという所がかなり多くなってしまって、市販薬へのアクセスが阻害される可能性が出てきてしまいます。もちろん、小容量1個だったら販売できる所はあるのですが、例えば、独り立ちをし成年年齢に達している18歳以上の方とか、あるいは、何かしらの事情があって、御家族のために一定の容量を買う必要がある方とか、そういった方を完全に排除してしまうことになってしまうと思います。
それから、記録の作成等の要否や基準、これについては、いろいろな考え方があると思います。何の目的のためにどこまでやるのかということにはなると思うのですが、対面ビデオ通話とインターネット販売でそろえたほうが分かりやすいのではないかと思います。もし差を設けるのであれば、どういった理由、どういった根拠で差を設けるのかということについて、はっきりすべきだと思っています。先ほどチェーンドラッグストア協会の方からもありましたが、やはり、現場というものがありまして、実効的に意味がある形で対策ができないと、結局、決まりだけ決まっていても実態がかけ離れていってしまうとよくないと思いますので、それらを踏まえた上で、どういうタイミングでどういうことをやるとどう効果的なのかというのを、しっかり合理的根拠に基づいて判断すべきなのではないかと思います。
特に、風邪薬などの医薬品が今、市販されているわけで、まず、そもそもそれらの薬の必要性があるのかどうかというのもしっかり検討すべきだと思いますし、買う人が適切に使用する範囲で必要性があるというのであれば、それはしっかりアクセスを確保するべきだと思います。あるいは代替可能性、ほかの製品で代替することはできるのか。できないのであれば、代替するような製品を市場に生み出していくにはどうするべきかということを考えたほうがいいですし、一方で、そもそも、例えばこの年齢の人には必要性がないのだということであれば、販売方法に限らず一律に販売をしないこともありだと思いますので、そこら辺をきちんと合理的根拠を踏まえて検討をしていただきたいと思っています。
7ページ、緊急アンケートということで、短い期間ではあったのですが、医薬品をネット販売している事業者、もちろん実店舗もある事業者に対してアンケートを取ったところ、やはりビデオ通話のシステムを導入する意向がある所はかなり少なかったです。あとは、大容量の定義が分からないので今の段階では回答できませんという方も多かったです。それから、ネット販売の今のとりまとめに書いてある案、対面販売の案、それぞれのルールについて聞いてみたところ、いろいろな理由で、こういう観点で現場としては懸念があるという声が寄せられています。もちろん、懸念があるからできないということではないかもしれないのですが、実効性をもたせるためにどういうルールにするかというのは、しっかり考える必要があると思っています。
8ページ、それから、現状もルールがありますので、それに従って販売するに当たってどういう課題があるかを聞いています。これも、ネットで販売する場合と対面で販売する場合の両方について聞いていて、いろいろな意見が寄せられたのですが、一番多かったのは、自分たちが一生懸命やっても他店舗での購入状況というのは、結局、聞いてもはっきり分かるものではないということで、その一番下に書いてある所なのですが、国によるマイナンバーを活用した仕組みの提供をしてほしいという意見がありました。
次、飛ばして12ページです。要指導医薬品の販売制度に関して。簡潔に申し上げますが、今、オンライン服薬指導を認めるとした場合に、オンライン服薬指導の対象から除外するものを設けるかという観点があると思います。新経済連盟としては、服薬指導の観点と薬剤の管理の観点は別だと思っていますので、オンライン服薬指導を認めない要指導医薬品というカテゴリーは設けるべきではないと思っています。薬剤管理の観点からどうしても店頭に来てもらう必要がある場合でも、オンライン服薬指導と組み合わせた上で実施をすることができるのではないかと思っております。それから、一般用医薬品に移行しない要指導医薬品については、なぜ移行しないのか、どういう場合には移行できるのかといった条件面を、しっかり合理的根拠を確認した上でないと、ポンポンとそういったものが増えていくのは好ましくないと思っております。
14ページ、一般用医薬品のリスク分類の区分見直しに関する意見です。新経済連盟としましても、今までのリスク分類の制度はとてもよくできていると思っております。リスクに応じて専門家の関与のあり方ですとか、あるいは、利用者への情報提供のあり方、あるいは、箱にしっかり書いてあるといった、そういうものが有効に働いていると思いますので、これをなくしてしまって、第3類と第2類を同じにしてしまうのはよくないのではないかと思っていますし、もともとなぜそういう話になっているのかという根本の調査・分析というところがしっかりできていないと考えておりますので、そこはきちんと調べた上で、何を目的にどういう課題があって、どうするとこうなるという、そこをしっかり考えた上で検討いただきたいと思っています。
最後、資格者による関与の明確化をすべきだということ自体に異論はないのですが、どこをどう変えるとどういうところに影響するのか、これも先ほども申し上げたとおり、現場の実態もしっかり把握しながら、ここをこう改善したらこういう効果が得られるのではないかというところをしっかり検討した上で議論していただきたいと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、質疑応答に移りたいと思います。本日の会議は12時25分で終了させていただきますので、議論が途中で打切りになるかもしれません。あらかじめ御了承いただければと思います。本日以外にもディスカッションをする機会はございます。それでは、質問をお願い致します。山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。私は2点。まず、日本チェーンドラッグ協会の森参考人に、置く場所については、確認を強化するとおっしゃったのですが、空箱にすることについては非現実的だという話がございました。確認を強化すればするほど、何とかして手に入れたい方たちの万引き行為が増えることを私は非常に懸念しています。それについてどのように防いでいかれるのか、その対策について教えていただきたいです。
2つ目は、新経済連盟の片岡参考人にお願いします。今日、7名からヒアリングがございましたが、片岡参考人以外の方のお立場はよく分かりましたけれども、新経済連盟はどういうお立場の方の意見を反映された団体なのか。今まで議論をいろいろしてきましたけれども、国民の安全を一番に考えたときに納得できない御意見が多かったので、どのような立場の方の反映をした御意見なのかを聞かせていただきたいと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、最初に森参考人から。
○森参考人 今日の意見の中には入れておりませんが、万引き対策は、店舗販売としては最重要の課題です。年間、パーセントで言うとすごい金額の万引きが行われています。それはOTCに限らず食品も含めて。ですから、万引きについては徹底的に防ぎたい気持ちがあります。
1つは、例えば、今までは化粧品などについてはそこに人が居て、一部の高額の化粧品についてはケースに入れたりしております。皆様もそれを見ていただいていると思いますが、医薬品については、今回こういうふうな指摘、こういう検討会とりまとめとなったというのは、やはり、関与が足らなかったからだと思います。
医薬品コーナーに、一部、医薬品をドラッグに買いに行ったら、声を掛けられたこともないんだよと言われたということも見ました。それは、今までは説明は努力義務の中で、情報提供を求められたら情報提供をするという流れで長年やってきた中で、先ほど言いましたように、一昨年来、また、ここ数年にわたって濫用のおそれのある医薬品についてこのように対応しなさいというのがあり、最終的に去年の4月から、それまでは液体だけでしたが、風邪薬、錠剤についても声掛け等もやりなさいというふうになったのでやっているのです。
やっているのですが、そう簡単にすぐには今まで何十年もやっていなかったことなので、今後、これを機にチェーンドラッグストア協会を中心に、医薬品コーナーで資格者が必ず対応すると、この後決まったら、医薬品コーナーに居るようにすることを徹底してやっていこうと思っていることが1つです。
もう1つは、実は万引きについては、先ほども言いましたように対応をかなり進めています。万引きをしたときの防犯のセンサーがあります。防犯タグです。今は風邪薬についても、濫用のおそれのある医薬品に防犯センサーのタグを付けるには費用が掛かりますので付けておりません。
このことについても、最後の手段はここまでやるべきではないかということで、今、検討しているところです。今日やりますとは言えません。私も、皆さんのコンセンサスというか、統一見解は、防犯のゲートを付けてタグを付けるところまではしておりませんので、今、それを検討しているところです。これをやると、ほとんどの万引きは防げると認識しています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。片岡参考人、いかがでしょうか。
○片岡参考人 新経済連盟は、新しい産業を創出する、あるいは、DX化を主張している経済団体です。医薬品ネット販売に関しては、2009年の薬事法省令改正をきっかけに出来た団体です。以前から、ルールメイキングの際に意見を述べたりしています。
具体的には、会員にインターネットモールを運営する事業者も入っておりますし、会員に医薬品を販売する事業者もいたりします。経済団体の立場で申し上げています。私の発表に安全を考えていないのではないかという思いを持ったということなのですが、それをどの辺りに感じたかを具体的に教えていただけると有り難いです。
○山口委員 特にインターネット販売です。
○片岡参考人 なるほど、インターネットは危険だとお考えになっているということですね。分かりました。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。オンラインの伊藤委員が挙手されております。恐縮ですが、質問やコメントは簡潔にお願いしたいと思います。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。……。
○福井部会長 声が。
○伊藤委員 聞こえますか。
○福井部会長 言葉が分からない状況です。もう一回、最初からお願いできますか。それでは、伊藤委員は後にしていただいて、ほかにいかがでしょうか。先に茂松委員。
○伊藤委員 聞き取りにくいようであれば後回しにしていただいて。
○福井部会長 はい、後回しにさせていただきます。最初に、茂松委員からお願いします。
○茂松委員 どうもありがとうございます。日本医師会の茂松と申します。平成27年10月に「患者のための薬局ビジョン」が公表されて、そこから門前、かかりつけ、地域へと目指す中で10年が経過しようとしているわけです。健康サポート薬局が設定されていますが、その「薬局の利用に対する世論調査」を見ると、健康サポート薬局を知らなかった人が90%近い状況であろうかと思います。
その中で、認定薬局に地域連携薬局等がございます。そことのすみ分け、整合性が、国民から見てとればなかなか分かりにくいのではないか。予防の観点か、疾病の観点かになろうかと思いますが、その辺りの整理をもう少しきちんとしないといけない時期ではないか。これでは、10年、20年たっても余り変わってこない。厚労省は、このことについてどういうふうにお考えなのかをお聞きしたいと思います。
○福井部会長 いかがでしょうか。どなたかお願いします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課でございます。平成27年10月に公表した、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえて、御指摘のとおり健康サポート薬局が平成28年から、それから、地域連携薬局をはじめとする認定薬局は、令和元年の法改正の施行がなされた令和3年から運用を開始しております。
御指摘のように、現在、健康サポート薬局や地域連携薬局を含めて果たすべき役割を、「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」において別途検討しております。その検討結果については、別途、本部会にも報告させていただき、また御意見を頂きたいと思っておりますので、その際は、どうぞよろしくお願いいたします。
○福井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、オンラインの伊藤委員、よろしくお願いします。
○伊藤委員 聞こえますか。
○福井部会長 はい、今回は大丈夫です。
○伊藤委員 ありがとうございます。資料の順番に基づいて質問を申し上げます。まず、資料5の3ページです。へき地、離島等も含めた地域の薬局がサポートしていくことについてです。実態としては、特に人口減少が進んでいる地域においては薬局自体が1店舗もない地域が増えております。ですので、例えば、薬を訪看ステーションに置けない、薬を届けるのにまた時間が掛かるなどいろいろな問題が起きている中で、必ずしも薬局が存在していることをもって提供体制として十分かどうかではなく、例えば、置き薬システムなど、本当に住民に薬が届くシステムを考えることが必要ではないかと考えておりますが、その点をどのようにお考えでしょうか。
それから、資料6です。資料6は、全体を通してすごく分かりにくく感じました。分かりにくいと思っている根本の部分でお聞きしたいのは、薬剤師等の関与、それから、適切に販売に関与というような箇所が8、10、12ページ等に書かれております。先ほどの質問では、関与は、求められたら情報提供するのが関与であるというようなお話がありました。具体的に関与や情報提供を使い分けているのであれば違いがあるのかという確認など、この辺りが曖昧であるがゆえに、声掛けを強化します、見回りを強化しますと言っても、それが具体的にどれぐらいの抑止効果につながったのかという定量的な数字として下りてきていないので、説得力を持って聞くことができませんでした。
システムを改修して情報を明示的にいろいろ取るのはすごく大変なので人によるサポートをということなのですが、やはり、人が減少していて、どこの店舗も人を節約することがこれから進んでくると、人による声掛けもなかなか十分には行き渡らないのではないかということを考えると、長期的な対策が必要ではないかというふうに考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
それから、資料7です。1点だけ申し上げたい所は、12ページの、オンライン服薬指導の対象から除外する要指導医薬品を設けるべきではないということですが、今、オンライン服薬指導を認めない要指導医薬品はそもそも考えていないというか、オンライン服薬指導自体は可能であるという認識でいるのですが、それでよろしいかどうかということです。ここに対して、今、オンライン服薬指導を認めないという議論はないのではないかと思いますが、確認です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、最初に森委員からいかがでしょうか。
○森委員 ありがとうございます。今、委員が言われたように、今後、人口減少社会を迎える中で、過疎地域、中山間地域の中には薬局がある所もあればない所もあります。そのようなことを含めて、へき地・離島等を含めて医薬品のアクセスをどう確保していくかが課題だと考えております。
その中で、医療に関しては地域医療計画に従って計画されます。医薬品も医療とは切っても切れないものですので、今後必要なことは、医療計画と連動した上で地域医薬品提供計画をどうやって策定していくか。それを実効性があるものにするためには、やはり、制度として位置づけすることが必要だと考えております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、森参考人、いかがでしょうか。
○森参考人 御質問ありがとうございます。私の説明が下手だったのが申し訳ありません。現状のルールは、情報提供についても説明を求められたときに説明をしなければならないのが、情報提供の努力義務というものです。3類については努力義務もない状況でしたので、1類については薬剤師が必ず情報提供しています。曖昧なところがあったので、質問を受けることがなければ、状況の確認などもほぼやれていないような現場があったということが事実だということです。
現在も店頭に行った場合に、濫用のおそれのある医薬品について全てに7m以内の所というか、医薬品のコーナーで資格者が居る状況にはまだなっていないと思います。これが現状です。ですから、販売の医薬品コーナーに資格者が居るようにしますということが我々の宣言です。これが関与です。
あと、今後、人口が減る中で人員の確保もということを言われておりました。やはり、医薬品は体に影響を及ぼすものであると重々認識しておりますので、登録販売者の数の更なる増員をして、そして、合格者を出し研修を行い、専門業種として更に人員を減らすことは全く考えておりませんので、医薬品の専門家としての登録販売者の数はしっかり確保していくことが統一見解です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。片岡参考人、いかがでしょうか。
○片岡参考人 新経連の資料の13ページを御覧ください。今、医療用医薬品のオンライン服薬指導は認められているのですが、要指導医薬品だけはオンライン服薬指導が認められておらず対面オンリーになっております。
検討会のとりまとめでは、要指導医薬品についてもオンライン服薬指導を認める方向で取りまとめられているのですが、そうだとしても、オンライン服薬指導を認めない要指導医薬品というカテゴリーを作るべきではないかという意見が書かれていたので、そこに対する意見でございました。
○福井部会長 よろしいでしょうか。
○伊藤委員 分かりました。
○福井部会長 ほかにはいかがでしょうか。茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 ありがとうございます。日本はヘルスリテラシーの教育が遅れており、国民もなかなか力が付いていない中でOTCを広げてきた問題があります。ただ、ここへきて若者などのオーバードーズは非常に問題となっている。これは、医薬品に関わる者が一致団結して止めていかねばならない。
その中で、今日、最後のお二人の団体のお話を聞くと、協力度合いが少ないのではないかという気がします。経済優先に考えていくことも非常に大事かと思いますが、やはり、国民の命と健康を守る立場からすると、そこはもっとしっかり考えていかねばならないのではないかというふうに感じております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。あと5分ほどございます。もしないようでしたら、私から何点か。
最初の中濱委員のお話された所で、製造所の中でリスクが低い所や高い所という言葉が何回も出てきています。皆さん、リスクのある製造所はコンセンサスがあるのですか。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。コンセンサスがある状況ではございません。例えば、リスクは、その製造所自体の能力以外に、製造工程の中でどれぐらい品質や安全性に影響がある部分かというようなプロセスの重要度、リスクというような観点、あと、今は品目ごとですので、これまで何度も査察を受けている工場に関しては、リスクが低いという観点で場合分けができるのではないかと考えておりますが、今の時点ではコンセンサスはございません。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。
○森参考人 今、茂松先生から御指摘いただきましたので、皆さんに1つだけお考えいただきたいのは、今まで濫用のおそれがあると言うから、濫用だけあるのであれば販売しなければいいと思います。そうでなく、適正に利用したい方が、例えば、今日、夕方から急に少し鼻水が出た、熱っぽくなったところで風邪薬を早めに飲んで、そして、栄養剤でも飲んで休んだら次の日は楽になったというふうなことが大多数なのです。
そのことが議論されずにオーバードーズと、どれだけのオーバードーズが起こって、どれだけの死者が出て、どれだけのことがあったのかをはっきりされないと、バランスが全然違うと思うのです。だから、適正に利用される方が利用できなくなるようなことになると、例えば極論を言って、麻薬製剤だったら全部処方箋薬にしなさいとなってしまったら医療は崩壊しますよ。風邪を少し引いただけで皆さんがどんどん行ったら、ほかの病気の治療ができなくなるし、コロナ禍のようなことになると思いますので、その辺りをよくお考えいただきたいと思います。
○福井部会長 森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。国民の一般用医薬品のアクセスの確保は重要なことだと思っています。ただ、今、これだけ社会の中で一般薬での濫用が問題になっています。エビデンスと言っていいのかどうか分かりませんけれども、2016年当時は10代の患者の薬物依存が市販薬で25%だったものが、年々増加して2022年には65%になっているという報告があります。
また、コロナ禍で市販薬のオーバードーズによる救急搬送が2倍になった、それから、国立精神・神経医療研究センターの調査では、高校生のうち1年以内に市販薬を濫用した者は60人に1人というような結果も出ています。こうしたことが出ている中、今、やるべきことは、アクセスを確保した上で、濫用から国民を守るために国、製薬メーカー、販売業者、国民全てが協力して対応していく必要があるのではないかと思っています。
陳列の件は森参考人からもありましたが、陳列に関しては、国民への声掛けや情報提供を確実にするために手の届かない所にするということで検討会の中でもまとまったと思います。仮に陳列を自由にしたときに、そういうことの実効性がどうなのか心配です。これまでも取り組んでいたのですが、そういう中でこれだけ濫用が起きているということは、国民のために改めて見直すべきではないかとに思っています。
それから、もう1つはリスク区分です。これまでの一般用医薬品のリスク区分は、副作用に着目してリスクの区分を行ってきました。これは良かったと思います。ただ、当時はそもそも適正に使うことが前提でしたので、濫用という視点がなかったと思います。これだけ濫用が問題になっている中では、今後、濫用のおそれという視点も入れながら、医薬品のリスクをどう考えるかということで対応すべきだと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。私も個人的に1点だけ、正に森参考人と森委員がおっしゃったことなのですが、有用性と濫用のバランスの数値化はできないのでしょうか。例えば、OTCで亡くなった患者さんがどれぐらい居て、増えているのか減っているのか、最終的なアウトカムが分からないと、何となく感触で有用性のほうがものすごく大きいと、大体分かりますが、でも、何かを決めて新たに制度化した場合に、それが効果があったかどうかは、やはり、数値で比べざるを得ないと思います。濫用についても有用性についても、少し数値化できるところは数値で出してもらえれば、皆さんがディスカッションをする上で有用ではないかというふうに思いました。どうぞ。
○森参考人 そこなのですが、今日、資料を2つ出させていただいた中で、濫用と言われるけれども、それをすぐに麻薬製剤だとみんな思い込んでいるのだけれども、この資料を見てください。1番は、カフェインです。それと、一番安全だと言われていた鎮痛剤のアセトアミノフェンです。カフェインが搬送された中の30%以上です。データをよく見て、イメージで濫用だと、咳止めだ風邪薬だというふうなことで規制をやったら、本当に国民のためにならないと思いますからよろしくお願いします。
○福井部会長 是非、エビデンスに基づいたディスカッションができればと思います。時間がまいりましたので、本日は以上にしたいと思います。最後に事務局から、連絡事項等をお願いします。
○衣笠総務課長 次回の第3回制度部会は、本年の6月6日(木)に開催予定です。詳細については、事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。以上をもちまして、第2回医薬品医療機器制度部会を閉会いたします。御協力ありがとうございました。
はじめに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して本部会を進めさせていただきます。本部会につきましては公開とさせていただきますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみを入場とさせていただいております。会議の議事録は後日公開をいたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。厚生労働省全体の取組といたしまして、審議会等のペーパーレス化を進めております。本日はペーパーレスでの開催とさせていただきますので、資料はお手元のタブレットを操作して御覧いただくことになります。操作等で御不明な点等がございましたら適宜、事務局などがサポートいたしますので、よろしくお願いいたします。
続きまして資料の確認です。議事次第にお示しのとおり、資料1から7、参考資料1から2があります。Web参加の委員におかれましては、事前にこれらの資料をメールにて送付をしております。過不足がありましたら御連絡いただければと思います。なお、今日は当日配布資料もお手元に御用意をしておりますし、Web参加の方におかれましてはメールで送付をさせていただいております。
最後に、審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせいたします。まず、会場にお越しになって、御参加いただいている委員におかれましては挙手をしていただき、部会長から指名されましたら卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後、部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたらミュートにしていただきますようお願いいたします。なお、カメラにつきましては常時オンにしていただきますようお願いします。
続きまして、本日の委員の出欠状況でありますが、御欠席は小野委員、山本委員となっております。また、Webで参加の委員の方は、本日は7名ということで参画いただいているという状況でございます。
それでは、冒頭のカメラ等の撮影はここまでとさせていただきます。以降の議事進行を福井部会長、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 おはようございます。それでは、早速ですけれども本日の議題に入ります。本日は、次期制度改正に向けた関係業界からのヒアリングでございます。関係業界から提出いただきました要望書等を踏まえて関係業界のヒアリングを行わせていただきます。関係団体として、本部会の委員を含めまして、参考資料1のヒアリング対象者一覧に記載の皆様に御出席いただいております。最初に4団体からの意見を伺ったあと、質疑応答の時間を30分程度設けます。そして、後半の3団体から意見を伺ったあと、また30分程度の時間を質疑応答に費やしたいと思います。それでは、まず、中濱委員から説明をお願いいたします。
○中濱委員 議長、ありがとうございます。中濱と申します。本日は貴重な機会を頂き、どうもありがとうございます。私からは医薬品産業界を代表し、日薬連並びに製薬協、PhRMA、EFPIAの3団体の要望に関しまして、薬機法などの制度改正に関するものを中心に御説明させていただきます。
日本は世界で数少ない新薬創出国であり、医薬品産業は日本の成長産業の柱の1つであると考えております。我々は、よりよい医薬品を速やかに患者様に届けるという使命の下、革新的医薬品の研究開発のみならず、開発段階から製造販売後までの一貫した安全対策及び製品の安定供給等に関わる課題解決に向け鋭意取り組んでおります。
このスライドを用いまして、はじめに、今回の要望の背景にある、複雑化した医薬品のグローバルサプライチェーンについて御説明させていただきます。日本に主力工場を有している内資企業における一例をお示しします。1つの製品をグローバルで承認された各国に供給するに当たり、原薬及び中間体の製造所、製剤化や包装を行う工場が各国にまたがっております。
このため、日本の製造所でまず原薬を製造し、これを欧州で中間体に仕上げ、また日本に戻して製剤化し、その一部の製剤バルクを欧州にて最終製品化し、欧州・米国等に供給するといった複雑なサプライチェーンになっております。他の多くの企業でも同様の事情でございまして、グローバルに複雑なサプライチェーンの環境下で医薬品の製造・供給をしなければならないという状況となっております。次のスライド、お願いします。
複雑化したサプライチェーンでは幾つかの課題がございます。まず、承認・変更管理制度が各国で異なるという点です。また、各製造所に対するGMP調査についても国際的に標準化されているとはいえず、1つの製造所に複数の国の調査が入るといった現状がございます。
このため、コロナ禍でそのリスクが顕在化しましたように、ローカルの独自規制を持つ国が優先されない不利な環境に置かれることになります。本邦に革新的な医薬品が遅滞なく供給され、そして本邦の優れた製造所からグローバルに製品を供給し続けられるよう、グローバル化への対応が極めて重要と考えております。次のスライド、お願いいたします。
我々は、ここに示すように、大きく2つの課題感を持っております。1つ目は必要な医薬品のアクセスの向上です。世界の医薬品市場を俯瞰した場合、日本起源の医薬品数の減少、世界市場におけるシェアの低下など、日本の医薬品産業の国際競争力低下が見て取れます。いわゆるドラッグ・ラグ/ロスが再燃している現状と考えております。これには様々な原因がございますが、薬事制度の観点からは予見可能性が高く、国際整合性の高い、合理的で効率的な研究開発、製造、承認申請及び変更手続が行える制度の構築が必要と考えております。
2つ目に安定供給です。後発品企業の品質事案で健康被害が発生し、度重なる製品回収により医薬品の安定供給にも不安を来していること、複数の企業が行政処分を受けているという事実は慚愧に堪えません。行政の指導も仰ぎつつ、業界全体で医薬品の品質確保に向けた取組を進め、一日も早い信頼回復に努めておりますが、制度面からも製造所、現場でのガバナンス強化のサポートを頂けないかと考えております。
これら課題に対する産業界の対応策をこのスライドに挙げておりますが、これらのうち法改正で対応可能なものを要望とさせていただきましたので、次のスライド以降で御説明させていただきます。次のスライド、お願いいたします。
必要な医薬品のアクセス向上に関しましては、3点の要望を挙げております。まず、薬事規制のあり方検討会でも議論されておりますが、欧米に遅れることなく医薬品の製造方法等の変更・改良を行えるよう、短期間の確認で変更ができる中等度変更制度を新たな変更カテゴリーとして導入いただきたく存じます。また、薬事申請資料の邦文記載条項や製造販売承認書で管理すべき事項の見直しも必要と考えております。
2点目はGMP適合性調査、GCP実地/書面適合性調査にリスクベースアプローチを取り入れ、工程や施設の重要度、調査経験やリスク等の施設単位のプロファイリングを基に調査の内容・頻度を決定し、リスクの高い施設を重点的に調査する、国際的に整合性のある合理的制度への見直しを要望いたします。
3点目は日本薬局方、国家検定の見直しです。これらが法令に制定されたのは1960年、昭和35年でございます。現在の薬機法下での製造販売承認の高い基準と照らし二重規制となっている点、国内独自のルールとなっている点や製造販売の禁止等については見直しが必要と考えております。
日本薬局方と米国あるいは欧州薬局方との差異から、米国、欧州での薬局方適合品が日本ですぐに使用できず、需要に応えられないという課題はコロナ感染拡大の際にも明確になりました。グローバルなサプライチェーンの中で、国内独自ルールについての見直しは喫緊の課題と認識しております。次、お願いいたします。
続きまして、安定供給・品質事案再発防止に向けた取組に関する要望を御説明させていただきます。まず、国際的調和推進とグローバルサプライチェーンの効率化のため、製造所、製造工程ごとの基準確認書の利用範囲を拡大し、製造所単位でのGMP管理を進めることを要望いたします。次に、外国政府の管理監督下である海外製造所の手続を合理化し、重複した手続を不要とするよう要望いたします。
3点目は、製造所のガバナンス強化の一環として、製造管理者要件の見直しが重要と考えております。化学合成・低分子を中心とした時代から、近年の抗体、ペプチド、核酸、遺伝子治療等の治療モダリティの多様化に伴い、製造・分析等の技術も多様化し、幅広い自然科学分野から最適な技術背景を持つ人材を製造管理者に当てる必要が生じております。品質事案の第三者報告等では、製造管理者のガバナンス能力に対する指摘もございます。そこで、薬剤師に加え医学、薬学、理学、工学、農学等の自然科学分野の幅広い人材の中から、技術に合致した最適な人材を製造管理者に指名できるよう要望いたします。次、お願いいたします。
GMP調査につきましては、少し将来的な姿も含め補足説明させていただきます。製造所がGMPに適合しているかを確認するためには、定期的調査が行われる必要があるかと存じます。その手法として、国内外を問わず、リスクが高いと考えられる製造所に高頻度に実地調査を行い、リスクが低い製造所への調査頻度を適正化することで調査全体の実効性を高め、品質事案の再発防止、ひいては安定供給の課題解決にもつながるのではないかと考えております。品目単位の調査から製造所単位の調査、そしてリスクベースによる調査への移行に関しまして、引き続き御検討いただきたく存じます。次のスライド、お願いいたします。
続きまして、安全対策の充実及び効率化に向けた取組に関するものです。緊急承認や条件付き承認制度の導入等により、市販後安全対策の重要性が増しております。医薬品のベネフィットとリスクのバランスを評価し、リスクを最小化するために一連のリスク管理計画をまとめたものがRMPと理解しております。そこで、RMPの薬機法における法的位置付けを整理し、医薬品の開発段階・承認審査時から製造販売後までの全ての期間においてリスクに応じた必要な安全対策を実施し、製造販売後の安全確保を図る制度となるよう要望いたします。また、企業副作用症例報告は増加の一途をたどっておりますが、現在では医療関係者からの報告、患者様からの報告、リアルワールドデータの活用と、情報源が広がっております。安全対策は個々の症例評価に加え、データの分析評価、安全対策、リスク最小化活動の立案・実施がバランス良く実施される必要があると考えております。国際整合性・合理性の観点から各種副作用報告等制度を見直し、医薬品ごとのリスクに応じた安全対策を行う制度となるよう検討いただきたいと考えております。
また、ICT/DXの進歩を踏まえ、MR活動は実質、医療機関への直接訪問だけではなくなってきております。GVP省令における医療機関等への情報提供のあり方につきまして、時代に沿った見直しも必要ではないかと考えております。次のスライド、お願いします。
これが最後になります。その他の要望となります。1点目は医薬品の円滑な輸出に向けた取組です。医薬品の輸出入については大幅な輸入超過でございます。アジア向け輸出用医薬品の手続を制度上明確化するなど、円滑な輸出に向けての改正が必要と考えております。
2点目は製薬協からの要望でございまして、後発医薬品及びバイオ後続品の特許抵触の確認、いわゆるパテントリンケージ制度の改定要望であり、本邦においても後発医薬品の承認がなされた事実の開示、後発医薬品及びバイオ後続品の特許抵触の確認について、引き続いての改善・検討等を要望させていただきます。
私からの説明は以上となります。どうもありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、続きまして、日本医療機器産業連合会の田中参考人から説明をお願いいたします。
○久芳委員 ありがとうございます。冒頭、医機連の久芳から少しコメントさせていただいた上で、田中参考人から説明させていただく予定です。本日はこのような機会を頂戴しまして、誠にありがとうございます。医療機器業界から薬機法改正に向けて提言書を出させていただいておりますので、本日はこの内容について御説明させていただきます。
次のスライドです。このスライドが我々の提言書全体の考え方についてまとめたものです。一番下にありますように、国民の医療ニーズへの迅速な対応、これをきちんとやっていくということが大きな考え方です。そのために少し状況を振り返らせていただきます。2014年に従来の薬事法が現在の薬機法として改正され、そのときに、法律の名前に「医療機器」と入れていただいて、医療機器の特性に対する理解が深まってきたと感じております。このタイミングでプログラム医療機器の定義も整理されました。
その後、2019年の改正で医療機器の特性を踏まえた承認制度等の対応をしていただきました。それ以降、このスライドの右のほうに書いてありますが、医療機器の多様性が更に拡大してきたことで患者が使うような医療機器が増えたり、あるいは新しい概念としての治療用アプリといったものが登場してきたりしている状況です。このような中で、医療機器の使用者と医療機器との間の新たな関係の構築が必要になってきています。その中には、情報提供のあり方といったことも含めて考える必要があると思っております。
左側に、医療機器が医薬品と違う点として、改めて幾つか挙げさせていただいております。使用者の要求を反映したユーザビリティの向上、あるいは技術の応用や改善による性能の向上、そして安定的な製造のための部材の変更、こういったことを常に対応していく必要があります。そのために、効率的・タイムリーな手続対応が可能な規制へ深化させていくことが必要です。これらのことにより、冒頭申し上げたように、国民の医療ニーズへの迅速な対応につながっていくと理解しておりますので、こういった観点で貢献していきたいと考えております。以下、医機連法制委員会の田中委員長から説明をお願いいたします。
○田中参考人 ありがとうございます。私は医機連の法制委員会の委員長をしております田中と申します。田中のほうからは、3ページ以降の具体的な要望についてお話をさせていただきます。
3ページをお願いします。こちらは提言書として提出させていただいた医療機器産業界における課題と、それに対する提言の項目です。本日は、このマークした部分について説明させていただきます。オレンジ色の吹き出しの部分は前回会議にて厚労省から提示されているテーマを示しています。
続きまして、5ページを御覧ください。プログラム医療機器の登場やインターネットの普及に伴い、医療機器を使う使用者の裾野が拡大したと考えております。また、インターネット上では誰でも様々な情報にアクセスできるようになっています。このような背景の下、医療機器に関するヘルスリテラシーの向上、それをするためにも一般消費者向けの広告に関し、原則として解禁すべきと考えております。
現在、医家向け医療機器においては、一部の消費者向けの広告が可能な品目を除いて原則実施されていません。そのため、コロナ禍のときに話題になったパルスオキシメーターをはじめ、類似の機能を持つ雑品においては広告できますが、承認や認証取得された医療機器では広告ができないため、悪貨が良貨を駆逐するとまで言われた事態になりました。お陰様で関係者の御協力も頂き、昨年度末にパルスオキシメーター以外に、更に4品目において広告が可能になりました。しかし、雑品に対する取締りはやはり限界があるということと、一般消費者に対しても、医療機器に関する正しい情報を分かりやすく内容を整備した上で提供していくべきと考えております。
また、新しい医療機器として上市された場合、それが1品目しかなければ、例えば販売名を提示しないで疾患啓発という概念で情報を提供していくことが行われますが、1品目しかなければ、それが医療機器として特定されてしまうから広告と見なされてしまう。そのために、新しい分野でのビジネス展開もできないという事態も品目によっては発生しています。このような状況を解消させるためにも、原則、一般消費者向けの広告を解禁として、必要な品目においては制限をかけるという逆の発想をしていくべきではないかと考えております。
6ページを御覧ください。こちらは、医療機器における開発推進のための提案として2つ入れております。1つ目は、リアルワールドデータの利活用推進のためにいろいろな課題がありますが、1つの施策として、既存の医療情報を用いた医療機器開発に関する要件を整理し、それを薬機法の下に定めるという提案です。このニーズとしての背景は、例えば医療機器の使用情報から有効性・安全性に関する評価をして、それらのデータを使い適正使用指針の改定や適用拡大につなげていくことが期待されています。
また、AIを活用した医療機器開発も進んでおりますが、これには大量の医療情報が学習用のデータや検証用として必要になっています。しかし、個人情報の取扱いの要件が複雑であるということで、医療機関における対応も様々となっており、倫理指針に基づくこれらの医療情報の収集や評価をすることに難渋しているのが現状です。そのために規制要件をなるべく分かりやすくするための提案になります。
もう1つは、現在、臨床試験や臨床研究の実施においては、利用目的と試験の種類によって適用されている法律・規制が異なっております。そのために、医療現場においては審査体制や手続が複雑化し、大きな負担になっているとお伺いしています。これらの課題に対して、法体系をシンプルにできないかという提案になります。こちらについては、関係者も多い課題かと思いますので、この後の法改正ということを視野に入れ検討を開始したいということを提案するものになります。
続いて7ページを御覧ください。こちらは国際整合を鑑みたQMSの適合性調査制度のあり方の検討に関する内容です。医薬品でもありましたが、医療機器においても製造に関わるサプライチェーンのグローバル化や複雑化が更に進んでおります。また、国際関係においては、他国の制度そのものと、それのアウトプット、例えば品目の承認、QMSの調査結果を信頼して利用していくという考え方のリライアンスと呼ばれている概念も進んでおります。
そして、国際整合させ、日本のQMS調査報告書に関するリライアンスを進めたいというものが我々の狙いになります。そのためには、このQMS適合性調査制度自体の国際整合を進めていけるよう、官民で連携して検討を進めたいと考えております。残念ながら、抜本的な見直しの具体的な検討はまだ煮詰まっていないため、次期の薬機法改正に焦点を合わせた要望になります。
続いて8ページを御覧ください。こちらは、2005年当時の薬事法改正の際に導入された認証制度です。これを更に安定させ、発展させるための提案として2つ入れております。1つ目は、認証機関が事業撤退するということが過去にもありましたが、その際にルール策定をすべきではないかというものです。認証機関が事業撤退する際は、申請した企業としては認証機関を変えなければならないということが発生します。申請企業としても影響がありますが、医療機器の供給に影響がないことを第一に考え、必要な施策のルール化が重要と考えております。
もう1つは、行政内で運用している品目やQMSの調査結果等に関する情報のデータベースに、認証機関が秘密情報の取扱いに関するルールを定めた上で、アクセスを可能とすることがいいのではないかという提案です。これにより、申請企業がその都度提供しなければならない類似品目の情報や、業所管関係の情報等も提供が不要になるということと、認証機関にとっても審査の効率化が図れると考えております。
続いて9ページを御覧ください。政府によるデジタル化が推進されています。行政文書のオンライン提出もいろいろと可能になってきました。しかし、自治事務となっている販売業・貸与業においては、その予定がまだありません。また、都道府県ごとに申請に必要な要件が異なっているのが今の実態で、例えば、責任役員の変更など、同じ変更が複数の都道府県にまたがる場合においても、関係する全ての都道府県に一つ一つ問合せをして要件を確認しているのが今の現状です。この要件を標準化し、そしてオンラインの手続が可能となるようなシステムの構築に関しては、デジタル庁と連携しながら国主導で進めていただきたいという要望になります。
10ページを御覧ください。要望としては最後です。これは外国医療機器情報の不具合報告のあり方に関するものです。医療機器においての外国医療機器情報に関する不具合報告は医薬品と異なり、既知・未知などのリスクに応じた報告制度にはなっておりません。情報のデジタル化というものを背景に、医療機器の不具合報告は平成20年度と比較すると、令和4年度においては国内事象が6倍、外国事象は113倍まで増加しています。既知の情報というのは既に添付文書等に記載をし、リスク低減措置が取られている情報ですので、より安全対策の観点で重要になる国内事象や未知の外国症例報告にフォーカスするということで、より適切かつ迅速な安全対策及び保健衛生上の向上に貢献できると考えております。
最後のページです。以上、医療機器産業界では技術革新などの環境の変化に合わせて、医療機器の特性に合った医療機器規制の更なる進化により、国民の医療ニーズへの迅速な対応を可能とすることが必要と考えております。引き続き、御指導、御支援のほど、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、続いて日本臨床検査薬協会の山口参考人より説明をお願いいたします。
○山口参考人 私は日本臨床検査薬協会法規委員会所属の山口と申します。私のほうから臨床検査薬3団体であります日本臨床検査薬協会、米国医療機器・IVD工業会並びに欧州ビジネス協会医療機器・IVD委員会にてまとめました、次期制度改正に向けた業界要望について御説明させていただきます。
次のページをお願いいたします。まず、こちらのスライドで、体外診断薬業界からの要望の背景を示しております。近年、検査技術の向上や社会・医療の環境変化に伴い、体外診の価値や位置付けが大きく変わってきており、従来の主な使用用途であります疾病の診断や治療の経過観察だけでなく、昨今では胎児の染色体あるいは遺伝子の異常を調べる出生前診断、薬剤投与の患者層別化に用いられるコンパニオン診断といった多様な使用用途で、体外診断用医薬品は開発並びに利用されているところです。また体外診については、令和2年以降、新型コロナウイルス感染拡大により、公衆衛生危機管理の上でもその役割が極めて重要になってきていることが広く周知されているところです。
こちらの資料のほうに示しておりますように、体外診断用医薬品は現状、医薬品に分類されております。医薬品については物質により、有効性・安全性が規定されているのに対し、体外診断用医薬品においては、検査プロセス全体を通じて有効性及び安全性が規定されているなど、医薬品とは大きく異なる特性を有しております。更に体外診断用医薬品は主な特性として、直接ヒトには投与されず、その性能及び安全性は体外診断用医薬品自体だけではなく、使用する測定機器、臨床検査技師の技能、使用環境等を含め、検査プロセス全体を通じて発揮されることが挙げられます。
また、体外診断用医薬品の主な使用者は臨床検査技師であり、医師は検査結果を診断の補助として用いる点、製造及び品質管理の基準は医療機器同様にQMS省令が適用されている点などが医薬品とは大きく異なります。加えて、体外診断用医薬品は国際的には本邦のように医薬品ではなく、医療機器の1つとして分類、規制されている現状があります。
私どもの業界としては、今後の更なる検査技術の向上、社会・医療の環境変化に応じ、有効性及び安全性が高く、かつ先進的な体外診断用医薬品の国際展開、早期国内導入が継続的に実現できるよう、体外診断用医薬品の現状や特性、国際整合を踏まえた規制制度並びに規制要件にしていただくように見直しいただき、適正化いただきたいと考えております。
では、次の資料より業界からの要望5点を挙げさせていただきます。次のページをお願いいたします。まず、1点目として、体外診断用医薬品の定義の見直しを行うことを要望いたします。体外診断用医薬品の定義を見直し、使用目的及びその分類、それに伴う変更を行うことを要望いたします。
体外診断用医薬品は現薬機法においては、専ら疾病の診断に使用することを目的とすると定義されています。一方、先ほど御説明したとおり、現在の使用用途として従来の疾病の診断から広がり、コンパニオン診断、治療薬物のモニタリングなど、治療薬の選択や用量調整等の治療方針の選択に用いる医療情報の提供を行うこと、予後やリスク評価などを行うなど、多様化・拡大しております。
そのため、体外診を開発する企業としては、薬機法上の定義を見直し、多様化した使用目的を網羅いただくことで、体外診断用医薬品への該当性が明確になり、製品開発における予見性がより向上することで、新たな製品の開発意欲も高まると考えております。
また、体外診の特性や国際整合を踏まえた規制制度、及び要件の見直しを図っていただきたく、次回改正においてその分類を医薬品から独立することを要望いたします。それに加え、臨床検査に活用されているにもかかわらず、現在、体外診断用医薬品の対象外とされている製品のうち、検査性能や結果に直接関与・影響するような一部の試薬については体外診断用医薬品の範囲に含め、適切な製造・品質管理がなされた製品の開発・供給が可能となること。薬機法で求めている表示についても体外診の特性に合ったものに見直し、適性化いただくことを要望いたします。
一方、現在、医薬品であることから毒劇薬として規制されている点については、使用現場における影響が生じず、かつ適正な管理が継続可能と考えますことから、医薬品から独立した後も継続して毒劇薬と同様の規制等を継続いただけることを要望いたします。以上が1点目の要望となります。
次のページをお願いします。次のページに2点要望を挙げています。まず2点目として、業態管理者の要件の見直しを挙げています。現状、体外診断用医薬品の製造販売業の総括製造販売責任者、製造業の製造管理者及び販売業の営業所管理者は、いずれも薬剤師であることが要件となっています。しかし、先ほど述べたように、体外診は医薬品とは異なる特性があり、その点を踏まえますと管理者、責任者の要件は薬剤師に限定せず、こちらの資料に挙げているような医師、歯科医師あるいは臨床検査技師といったような有資格者、並びに体外診断用医薬品の開発・製造管理業務を行う上での基本知識となります薬学、化学等の専門課程を修了した者に広げることを要望します。
なお、販売業については、体外診断用医薬品の購入者に対し、情報提供を行う必要があることから、現状のとおり医薬品と同様の取扱いを維持していただきたいと考えるものです。ただ一方、体外診断用医薬品のみを扱う販売業を新設し、その営業所管理については薬剤師以外の要件も認めていただくことを要望いたします。
次に3点目、承認前試験のあり方の見直しについて述べます。現在、公衆衛生上特に重要な検査として指定されている体外診断用医薬品は、承認申請時に品目仕様の実地での確認を目的とし、国立感染症研究所による承認前試験というものが実施されています。
しかし近年、体外診断用医薬品においては、大型の自動分析装置による自動測定の品目が大半を占めており、現状の承認前試験の実態としては、国立感染症研究所が準備したパネル検体を、企業がセットアップした分析装置を用いて自動測定を行うといったものになっていて、実地での品目仕様の確認を行うことの意義が低くなっていると認識しています。
また、承認前試験の実施に当たっては、企業は実生産とみなせる試薬3ロットを同時に製造・供給することが必要となっており、一般的に製造コスト、在庫管理の観点から、製品の上市前に3ロットを同時に製造・在庫すること、また海外では既に上市済の製品について、同様に3ロット確保することは困難な状況となっています。このような状況を踏まえ、承認前試験の目的、実施について見直しを行い、公衆衛生上特に重要な体外診断用医薬品の性能確保を目的として、適切に検査を評価する仕組みを構築することを要望します。
次のページをお願いします。4点目として、体外診断用医薬品に関わるGCP省令の策定について示しています。現在、体外診断用医薬品の承認申請における臨床性能試験については、医薬品等の臨床試験の実施基準であるGCP省令の対象外となっています。そのため、臨床性能試験の実施に関する明確なルールは存在していません。
体外診断用医薬品の承認申請における臨床性能試験資料の信頼性については、生データチェックと言われるPMDAによる試験計画書、報告書等の確認プロセスが存在しますが、法的なルールというものは存在していません。また、臨床性能試験の実施に当たっては、試験を実施する医療機関側で治験審査委員会、研究倫理委員会の審査を経て試験を実施していますが、医療機関ごとに審査体制が異なることから、申請資料の信頼性や、被験者の保護に関する考え方が均一ではない可能性があります。
さらに、体外診の臨床性能試験や分析学的性能試験の一つである、既存の体外診断用医薬品等との同等性を確認する相関試験等においては、既に診断に使用した既存の臨床検体を用いるなど、医薬品・医療機器のGCPでは想定されない運用があります。そのため、体外診断用医薬品の特性に合わせたGCP省令の制定を行って、被験者の保護並びに承認申請資料の信頼性担保の向上を図ることを、業界としては要望します。
最後の5に、その他として2点ほど要望を挙げています。1つ目は体外診断用医薬品が存在する検査項目について、研究用試薬あるいは郵送検査サービスとして、一般の方に安易に提供されている現状があります。こちらを踏まえ、これらの薬機法の対象外となっている検査試薬やサービス、こちらの品質、有効性及び安全性が担保されるような仕組みを検討いただくことを要望します。
最後にその他の2つ目として、体外診断用医薬品の特性を反映した、不具合報告制度の構築を要望します。現在、体外診断用医薬品の市販後安全対策として、医薬品と同様、副作用報告が求められています。一方、令和4年4月からスタートした厚生労働科学研究「体外診断用医薬品に係る安全対策のあり方に関する研究」においては、体外診の安全対策として副作用報告から不具合報告へシフトさせることが提言され、現在、体外診の不具合報告の方法を、医療機器の不具合報告制度の枠組みに当てはめる検討がなされています。
次回、法改正を機に、体外診断用医薬品の安全対策が医療機器と並ぶことにより、国際整合が図られるだけでなく、体外診の特性に応じた報告制度としていただくということは、安全情報の収集、報告、不具合情報の利用など、企業にとっても分かりやすい環境になるとともに、医療従事者への適切な安全情報の提供につながると考えることから、業界としては体外診断用医薬品の不具合報告制度の構築を要望します。
以上、体外診断薬業界からの要望の説明となります。ありがとうございます。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、前半の最後になります。再生医療イノベーションフォーラムの北脇参考人から説明をお願いいたします。
○北脇参考人 この度は貴重な機会を頂き、誠にありがとうございます。再生医療の業界団体、再生医療イノベーションフォーラム、FIRMより、次期制度改正に係る要望内容について御説明いたします。
次のスライドは、第1回医薬品医療機器制度部会での厚生労働省様の発表資料からの引用になります。次期制度改正に向けて御議論いただきたい事項の1つとして、赤枠の再生医療等製品の特性を踏まえた治療アクセスの改善が挙げられており、こちらがFIRMの要望するところです。
スライドの3枚目、FIRMからの要望についてお示しいたします。私たちは、自家細胞加工製品では発生が避けられない規格外品について、患者の治療アクセスを確保するために薬機法改正を要望いたします。具体的には、法第65条の5(販売、製造等の禁止)に例外規定を設け、致死的で重篤な疾患あるいは状態にあり、治療選択肢のない患者様に対して医師及び患者様御本人から要請を受けた場合に限り、治療目的での規格外品の提供を可能とする改正を要望いたします。この規格外品への治療アクセスの課題については、これまで規制当局及びアカデミアの方々と協議を重ねております。FIRMは、本課題解決のために日本再生医療学会との共同研究を進めているところです。本日は、本研究内容を踏まえて課題の概要と要望を御説明いたします。
次のスライドです。はじめに、本課題の対象となる自家細胞加工製品について簡単に御説明いたします。細胞加工製品は、細胞を主な構成成分とし、この細胞組織を原料として培養等の加工を含む製造工程を経て製品化されます。自家製品の場合は、患者さん御自身の細胞組織を原料とし、患者様ごとに製品が製造されるということになります。
左のフロー図を御覧ください。治療施設において、患者様より原料となる細胞組織を採取し、右側の製造施設へと輸送して培養等の加工がされます。製造施設では、品質チェックを行い、最終製品に求められる品質が確保されたものが治療施設へと輸送され患者様に使用されます。
次のスライドです。なぜ規格外品が発生するのかという、その背景と具体例についてお示しいたします。薬機法下で製造販売される製品は、品目ごとに満たすべき品質の基準、規格が設定されています。自家の製品では、先ほど申し上げたとおり、患者様から採取された細胞組織を原料としますが、この原料の品質特性は、患者様の全身状態や年齢など、様々な要因や影響を受けて変動が大きいものです。例えば、体調の悪い方や高齢の方から採取した細胞が増えにくいといったことがあります。この原料のばらつきによって、製造したが承認書で定めた規格を満たさない製品、つまり規格外品がどうしても発生いたします。
具体例で見ていただきます。右はCAR-T製品で設定されている規格の項目です。性状、安全性、純度、不純物といった様々な項目があり、それぞれに基準が定められています。実際に発生した規格外品を見ると、細胞生存率や細胞数といった純度、含量を中心として様々な項目で規格外品が発生いたします。1つの製品で、複数の項目で規格外となる場合もあります。ただ、規格外といっても、例えば、細胞生存率の規格が70に対して69%である、あるいは細胞数がやや少ないといった、僅かに基準を満たさないといったものがままあります。規格外品が発生しないよう、製造販売企業は製造方法の改良や規格の見直しを承認後も継続して行い、最善の努力をしております。しかしながら、どこかに基準が設定される限り、その発生をゼロにすることができません。
次のスライドは、規格外品に対するメディカルニーズと臨床使用実績についてお示しいたします。再生医療等製品の適用対象となる患者様は、これまでの医薬品や医療機器では治療できない重篤な疾患・状態にある患者となることがままあります。こういった重篤な状態にある患者様では、再度、細胞を採取して製造することができない、あるいは再製造中に容体悪化等により死亡に至ることもあります。
患者様にとっては唯一の治療選択肢となる製品が規格外となって使用できないとなると、治療機会が失われてしまいます。このような状況から、患者様及び医師から、規格外品であっても治療のために提供してほしいという要望があります。
実際、人道的観点から各国の規制に沿って規格外品が提供され、患者治療に使用されています。欧米では、規格外品も含めて細胞治療レジストリにて臨床使用に関する情報が集積され、その結果が公表されております。
次のスライドは、規格外品への治療アクセスに対する日本の状況です。規格外品は未承認品の扱いとなります。未承認品へのアクセスを患者様が希望する場合、日本では治験、先進医療、患者申出療養の順に制度利用可能性が確認されます。現在は、治験の枠組みを利用して患者治療のために提供がされています。2024年現在、以下にお示しする6品目において、治験の下で規格外品が患者治療に用いられております。
次のスライドは現行制度の課題です。結論から申し上げると、治験での規格外品の提供では、医療機関での医療行為、製造販売業者の活動に大きなひずみや不都合が生じており、持続可能な体制ではありません。具体的に御説明いたします。
まず、規格外品は、いつ、どこで発生するか分かりません。万一の発生に備えて、どの患者様で規格外品が発生しても治療提供できるよう、あらかじめ市販製品を使用する医療機関全てでGCPに準拠した治験実施体制を整備し、恒常的に維持していくことが必要となります。本来、治験は承認申請を目的として実施するものですが、当該治験は、治療提供のための枠組み利用であり、終わりがありません。そして、製品が市場で浸透・拡大するとともに、治験に係る製造販売業者、また、医療機関の人的負担は増大する一方となります。医療機関においては、通常の市販体制と規格外品提供のための治験体制の整備・維持が必要となります。この2つの体制が各医療機関で並行して運用されることになるので、医療の連携、安全性確保の観点からもリスクがあります。患者様視点で見ると、市販から治験へと切り替えるといった手続等により、治療が遅れる可能性や、通常診療では求められない検査やスケジュールの遵守等の不利益が生じる可能性があります。
では、治験以外の制度は活用できないのかということになりますが、その際の選択肢として登場するのが先進医療、患者申出療養です。しかしながら、こちらは治験と同様、最終的には保険償還を目指す制度設計となっております。治験で企業が担っていた企画立案、審査対応、報告、モニタリング等々の対応が医師、医療機関へと移るものであって、通常、製品の使用では求められない負荷の負担先が変わるのみとなっております。こちらは現実的ではなく、また、持続可能な体制ではありません。ついては、患者様にとって最善の治療が提供されることにフォーカスした新たな制度が必要と考えております。
次のスライドは、まとめです。自家細胞加工製品では、適切な製造工程を経ても、多様な患者背景に起因した規格外品の発生が避けられず、何らか効果が期待できる品質であっても、法に沿って出荷することができません。現状の日本では、治療機会を求める患者要望に応えるため、製造販売業者及び医療機関の協力の下、治験の形で提供をしております。しかし、この治験への提供というのは、GCP準拠等の対応により非常に負荷の掛かるものとなっており、恒久的に持続可能な体制ではありません。ついては、欧州における人道的提供の枠組みを参考に、患者の治療を目的とした規格外品の提供を可能とする持続可能な仕組み作りのために法改正を要望いたします。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほぼ50分程度のプレゼンテーション、ありがとうございました。それでは、ただいまの4つの団体からの御説明について、御意見、御質問等がありましたら御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 どうもありがとうございました。今、お聞きしていて、やはり時代の変化に法律が追い付いていないところが多々あるのだと思いましたので、多くの場合は時代に合わせていく必要があると思いました。特に山口参考人がおっしゃった郵送検査サービス、これは線虫と性感染症のことを具体例に挙げられていましたが、かなりいろいろなものが出回っていて、私も電話相談などを受けていますので、やはり何らかの規制をしないと危険だなと感じました。
その上で、3点ほど質問したいと思いますが、まず中濱委員が製造管理者要件の見直しということで、自然科学分野の幅広い人材にとおっしゃって、これは考えますと、将来的にはいろいろな進歩をとげていくと、その範囲も変化するのではないかと思いながらお聞きしていました。先ほど体外診断用医薬品の業態の管理者の要件の見直しの所で、具体的に職種などを挙げられていたのですが、この自然科学分野の幅広い人材というときに、職種であったり、分野であったり、適切な判断ができる人の基準というか、そういったことの御提案も具体的にあるのかどうか教えていただきたいというのが1つ目です。
2つ目として、これは事務局にお聞きしたいのですが、田中参考人からのお話にあった、5ページの医療機器の広告ができない、情報提供ができないということについて、できないとしている理由がどのような理由なのかということをお尋ねしたいというのが2点目です。
3点目として、今の再生医療の所で、患者の治療を目的とした規格外品の提供を可能にする持続可能な仕組み作りのための法改正を要望するというお話があったのですが、これは規格外品といってもかなり様々な程度があるのではないかなと思います。どのぐらいの範囲であれば、治療に適すような内容なのかということが、欧米のルールを参考にとおっしゃったのですが、そのあたり具体的に教えていただければと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。中濱委員から、いかがでしょうか。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。製造管理者の要件に関しては、現時点では薬剤師と限定されていますので、その要件について法的にどのように記載するかは御相談事項だと思いますが、現実的な運用の面では、例えば医学、獣医学、歯学、薬学、理学、工学、農学等の自然科学分野の知識を得ている者、そして実経験等も踏まえた条件というものを御相談させていただきたいと思っています。
○福井部会長 よろしいですか。それでは事務局にというお話ですが。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課です。御質問いただきまして、ありがとうございます。医療機器の広告の関係ですが、医薬品と医療機器はいろいろな状況の違いというものはあるのですが、もともと医薬品の世界においては、医療用医薬品については一般に対する広告はしないという形で、医療機器に対しても同様に適用されているのですが、一方で医薬品の場合では、必ず処方箋を頂いて、その処方箋に基づいて調剤されたものを一般の方に提供するもので、広告だけではなくて、販売規制も当然掛かっている。一般の方に対する販売規制も掛かっているのですが、医療機器については、実はそこの部分は広告規制だけになっていて、一般人でも医療用の機器は選択をして購入することは規制上できる形になっているということです。ただ、広告については、これまで医療用医薬品と同様の考え方を適用し、そこはある種、医療機器業界がおっしゃっているように、医療機器の販売については禁止をされておらず、消費者の選択の幅というものがあるにもかかわらず、そこを医療用医薬品と同様の形での広告規制を掛けているという部分については、最近のコロナの状況の中でも様々な問題を起こしているのではないかと、そういった御指摘を頂いていると認識しています。
○山口委員 では、あくまで広告ができないということであって、医薬品でも今インターネットで、かなりのものを調べることができると思いますが、それを患者の立場の人が自分に使われる医療機器をインターネット等で情報収集しようと思えば、そこまでは規制されていないという理解でよろしいですか。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 おっしゃるとおりです。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、3つ目の再生医療に関する規格外品について、いかがでしょうか。
○北脇参考人 FIRMの北脇です。御質問ありがとうございます。欧米の仕組みということなのですが、資料のスライド12に参考資料として付けていますので、御覧いただければと思います。
欧州のほうでは、ATMPに特化したGMPガイダンスということで、この細胞治療の特性を踏まえて、即時に治療が必要な患者様に対しては医師が判断した上で、それを提供することが正当化されるとなっています。もう少し具体的に申し上げますと、その前のスライドの11枚目になるのですが、こちらの下に書いてありますとおり、製造販売企業のほうは規格外品に対するリスク評価体制を構築した上で、製品ごとにリスク評価を行い、それを医師に提供するということになっています。こちらを提供した上で医師が必要性などを判断するということです。実際に、提供するものが無菌などの安全性に懸念があるというものはお出ししません。ですので、あくまで先ほど申し上げたようなメインは細胞数や生存率といったところが僅かに足らないものが大多数かなと考えています。
○福井部会長 よろしいでしょうか。
○山口委員 あくまで製造した上で、結果を医師に情報提供して、その上で提供できるように欧米ではなっているという理解ですね。ありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございました。花井委員、どうぞ。
○花井委員 1つは日薬連さんに御質問なのですが、スライドの8枚目でRMPの件とMR活動の件について見直しを提言されていますが、もうちょっと具体的に今、現状どのような不都合があるからこのように改善したらいいと言っているのかを、ちょっと教えていただきたいと思います。
それから、体外診断薬のいわゆる郵送検査等々については、確かに今、公衆衛生上、エイズなどもそうなのですが、重要なツールになっているけれども、そこはスペックが分からないです。ですので、現場でここだったら大丈夫ではないかということで、アドホックに対応している現状がありますので、御意見のその方向は非常に賛同しますので、是非、お願いしたいと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございました。最初に日薬連ですか。
○中濱委員 御質問いただきありがとうございます。RMPに関しては、法的な位置付けが明確になっていないというところがありますので、まずRMPの法的な位置付けを整理して、その上で通知、適用、運用レベルの見直しを図っていただきたいと考えています。現時点でも、RMPに関しては運用自体は行っています。そういったところで大きな課題があるという認識はありませんが、法律上の定義を明確にしたほうがいいのではないかという要望になります。
また、MR活動に関しても、今のGVP省令では、医療機関への訪問という前提での記載等がありますので、現在は直接の訪問以外の方法で、医療情報提供等させていただいていますので、そういった部分を反映していただきたいという要望になります。
○花井委員 ありがとうございます。勝手に発言してすみません。後者については、いろいろいわゆるインターネット等々、そういう情報ツールが変わっているところで、割と技術的な話かと思いますが、前者のRMPに関しては現状とりあえず運用は問題はないのだけれども、法的位置付けが曖昧とおっしゃったのですが、今、承認条件との関係でRMPに言及されていることが多いと思いますが、業界はその辺はどのように理解して、そこはどのように法的に整備されたらいいとお考えでしょうか。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。承認条件というところは付されなくても、法律で定義いただくことでいいのではないかと考えています。お答えになっていますか。
○花井委員 そうなのですが、承認条件でRMPを作成し、適切に運用することという承認条件が最近多いです。そうすると、そこの法律上の承認条件ということ、RMPの関係というのが、若干曖昧とも言えるのですが、そこの整理の仕方について御意見を伺いたいのですが。
○中濱委員 ありがとうございます。
○福井部会長 考えていただくということでよろしいですか。
○中濱委員 申し訳ございません。準備して個別の議論のときにと思います。
○福井部会長 後ほど、もし。
○中濱委員 どうもありがとうございます。
○福井部会長 では、事務局からどうぞ。
○野村医薬安全対策課長 失礼しました。医薬安全対策課です。行政側から今の状況について、御説明させていただきたいと思います。御指摘のとおり、今、RMPについては法律ではなくて、GVPと言われている市販後の安全管理に係る省令のほうで記載をしているところで、個別にどの品目をやるかについては、承認条件ということで新薬が承認をされるときに付与しているということになります。多くのもので再審査が終わるときに、RMPに係る調査の結果を踏まえて、承認条件を解除するということで、そこで結局リスク管理計画、これについては再審査が終わると多くのもので終わっていく、そういう意味ではジェネリックについてはほとんどのもので付いていません。一方で例えば、サリドマイド、レナリドミドのように市販後も非常に注意が必要な製品なども出てきています。こういうものは個別に承認条件を付けるということをしていますが、本来、ものの特徴に応じてきちんと管理の計画を立てて、めりはりを付けて安全対策をしていくということは非常に必要だと考えています。これは、すみません、役所側の認識ではありますが、そういった意味で今、省令になっているものについて改めて、医薬品の安全対策全体を考えるコンセプトとしてRMPを位置付けた上で進めてはどうかということを考えています。
○福井部会長 よろしいですか。2つ目の体外診断薬については、いかがですか。花井委員からの御質問がありましたが。
○花井委員 質問ではなくて、意見に賛同するということです。
○福井部会長 特にはよろしいですか。それでは、三澤委員からどうぞ。
○三澤委員 慶應薬学部の三澤です。1番目の方と3番目の方、先ほど質問が出ていましたが、製造管理者は薬剤師でなくてもいいのではないか、ほかの方でもという話がありましたが、薬剤師教育をしている立場から言わせていただきますと、薬剤師教育ではコアカリキュラムという一定の基準を決めて教育をしています。その中で製造管理者として必要な薬事法規、薬機法のことであったり、また分析であったり、その医薬品の評価であったり、そういうことをきちんと各大学で教えるカリキュラムになっています。その上で、国家試験があるということで一定の知識水準は担保していると思っています。
一方で、先ほど来、いろいろな科学技術の進歩や、いろいろな新しい剤形であったり、モダリティに則して、必ずしも薬剤師でなくても務まるのではないかと、むしろそういうことも必要ではないかという議論だったと思いますが、その場合、その事業所なり、その内容によって、製造者のほうで誰かを指名する、そういう形をお考えでしょうか。それとも何らかの知識水準なり、製造管理に必要な知識なり、経験、技術を持っているということを担保するような何か仕組みを御提案されていると考えたらよろしいのでしょうか。その辺りを教えていただけると有り難いのですが。
○福井部会長 森委員、どうぞ
○森委員 ありがとうございます。関連で、今の製造販売責任者なのですが、医薬品の品質管理、市販後の安全管理に関する業務を適正に遂行する能力がある者ということで、薬剤師とした経緯があったと理解しています。もし、この要件を変えるのであれば、なぜ変更する必要があるのかということも含めて慎重に検討すべきだと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。今のお答えでよろしいですか。三澤先生、よろしいですか。
○三澤委員 薬剤師以外ということであれば、何かその新しい仕組みなり、知識なり、その製造管理者が適切であるということを確かめる何か新しい、どういう仕組みか分かりませんが、一定の仕組みが必要だと思います。私はただ、製造者がどなたかを指名して、履歴書が付いてあれば、それで認めていいということではないと考えていますが、何か新しい仕組みを提案されているのか、誰でもいいのではないか、自然科学の知識と経験があればいいのではないかと、そういう御提案なのか、そこをちょっと確かめたいなと思ってお聞きしているところです。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 規制のほうからちょっとお答え申し上げます。多分、業界のほうだとお答えしにくいかなという部分だと思いますので。一般的にと言いますか、薬機法の業態規制の中で製造販売業も製造業もなのですが、人的要件と物的要件というものが許可要件になっています。その許可要件としての物的要件などでは、例えば構造設備を有しているなど、そういう部分があるのですが、一方で人的要件という中で管理者を置くということが規定をされていて、その置くべき管理者の資格要件というものが、各業態ごとに定められているというのが法律上の構成になっています。
業界のほうで御要望いただいているのは、正にその人的要件として、管理者としての適格性がある人というものを、薬剤師以外にも広げてもいいのではないか、そういう御提案と我々は捉えている部分です。
○三澤委員 その資格というのは、どういうふうにその方の水準を担保するのでしょうか。その方法を何か御提案いただいているのか、ただ単に薬剤師でなくてもいいのではないかという話をされているのか、そこをちょっと確かめたいなと思っています。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 そういった部分については、業界のほうにお問合せいただければと思います。
○中濱委員 どうもありがとうございます。もちろん自然科学を履修してきたというところに加えて、どういった従事経験があるかというところは、必須にする必要があるかと思っています。具体的な基準は制度部会で改めて議論させていただきたいと思いますが、単に大学での修学経験だけではなくて、それに追加するものは必要と思っています。以上、御回答申し上げました。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。2つお尋ねします。1点は、体外診断用薬について、山口参考人にお聞きします。5ページ目、研究用試薬、郵送検査サービスについてです。新型コロナ禍で、コロナの検査薬が研究品として流通しました。薬機法の対象外という意味で言えば、これも似たようなカテゴライズかと思いながらお聞きしました。こういうものについても、やはり規制の対象になり得るとお考えでしょうか、そして、ここにはサービスの品質、有効性及び安全性について、担保されていないと記されていますが、担保する仕組みとしてどのような具体的な方策があるとお考えか、それについてまず1点お聞きします。後ほど、もう1点、別の方に。
○福井部会長 よろしいですか。山口参考人から。
○山口参考人 山口です。まず1点目の部分で2点あったと思います。コロナについては、確かに研究用試薬というものが当初使われていました。業界としては、コロナにかかわらず線虫検査、性感染症検査等の郵送サービス等々も含めまして、品質担保というところが重要と考えています。
それから、コロナに関しましては、もう既に各社、承認条件を付与された上での承認などというところがありまして、いずれも承認条件に伴う試験の追加報告をするなどして、基本的にはいわゆる普通の診断薬のように承認申請の評価を受けて、承認されたものと同等のデータを提出した上で、承認が維持されるというようにこの数年で移行していますので、今後基本的には、そのようないわゆる当局から評価をされていないようなものについては、一旦、コロナについてはなくなっていくと考えています。
ただ一方、今後またコロナ同様の新興感染症が発生した際に、いかに品質を担保したような製品を供給できるかは、率直に申しますと課題というところで、その仕組みについても、業界からも当局のほうに御相談、それから御要望は差し上げているところですが、現状まだそれについての具体的な施策はないかなと思っています。
それから、品質をどう担保するかですが、こちらはいわゆる法的なルールではありませんが、例えば業界としては自主基準として、まだ承認等されていないような製品の自主基準的に分析性能、いわゆる検査ツールとしての最低限の性能を保証というか担保するような第三者機関による認証制度というものを設けていますので、そのようなものをいずれ行政のほうとも御相談させていただいて、何かしら活用できるような仕組みが今後できればいいなと思っています。お答えとしては、まだそのような正式な仕組みというものはないというのが現状です。
○佐藤委員 ありがとうございます。お答えに対しては、新型コロナ禍で研究用の検査薬を薬機法上で取り締まることができません、自由市場ですのでどうしようもありませんというような事態だったことは、今後何とかする方法が必要なのではないかと個人的には思っています。
2つ目の質問です。北脇さんにお聞きします。規格外品の使用拡大についてです。例外的に人道的な見地から使うということについては、大変納得感がありました。一方で、柔軟に使えるようにすれば、製造の工程管理が甘くなるリスクも伴うのではないかと思いますが、規格品と規格外品の取扱いの差異については、どのような違いを設けるべきだとお考えでしょうか。
○北脇参考人 御質問ありがとうございます。規格外品というのは、製造販売としては本来出してはならないものと思っています。ですので、現在も無償で提供していますし、この例外規定ができた場合でも製販としては無償で提供するということを考えています。ですので、極力企業としてはまずゼロにするということがありきで、規格変更できれば、それに取り組むべきと考えています。その上で残ってしまう、ゼロにならない部分に関して、こちらの特別の枠組みを使うということで、かなり厳密に制限された状況下で使う要件を設定すべきと考えています。患者様の同意はもちろん必要ですし、患者様の状態が重篤であること、また自家細胞製品と限定してその要件を求めることによって、それらのみがこのスキームで使えるということができるのではないかと考えています。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。オンラインで委員の先生方、4名の方が挙手されていますので、順番にお願いしたいと思います。伊藤委員、どうぞ。お願いします。
○伊藤委員 では、資料の番号に基づいて、順次、質問を申し上げたいと思います。まず資料1ですが、9ページ目に書いてありますパテントリンゲージ制度、これは国際特許なども想定されているものだと思っていますが、具体的にはどのような国のどのような制度を参考にして、改善を検討、要望されているのかという点について御質問申し上げます。
次に資料の2の6ページを、まず御覧いただきたいのですが、その6ページの課題と書いてある所の2点目と3点目についてお聞きします。まず2点目に関して、これから様々な個人情報を個人を特定しない形で扱っていくということが重要と考えますが、例えば仮名加工情報の二次利用などを想定されているのかという点についてお聞きします。
それから、背景の3点目にあります適用される法律、規制が異なって、医療現場における診察体制や手続が複雑化しているということは、私もそのとおりだというふうに思っています。このシンプルな法体系とするということに関して、これは業界団体さんと政策当局両方にお聞きしたいのですが、今後どのような工程を考えていらっしゃるのかということについて、改めてお伺いしたいと思います。
それから、同じ資料2の8ページを御覧いただきたいと思いますが、こちらは認証機関が撤退していくけれども、その際に情報が消えてしまうということについて書かれています。これは本来は、例えば認証機関同士が相互に何か情報をやり取りするというよりは、認証している情報ですので、国などでデータベース化をしていくほうが安定的に管理ができるかと思いますが、この点については国としてどのような体制ないし課題を認識していらっしゃるかという点について伺いたいと思います。
それから、同じ資料2の10ページを見ていただきたいのですが、こちらは不具合情報ということについて書いてありまして、非常に多いなというのが1点目として書いてあると思います。これはいわゆる物的な不具合なので、人的なものとはちょっと異なるということではありますが、それをどのように管理していくのかというのが、資料の3の臨床検査委員会から出されているような不具合情報も関連してくるかと。つまり、臨床検査会のほうでは、こちらを医療機器として管理してほしいということで、一方で医療機器業界のほうでは症例報告は不要としてほしいといったことが書いてあるので、この辺りは連動する点があるかと思いますので、改めて不具合情報の管理についてお伺いしたいと思います。
それから、資料4の6ページです。製造販売承認外の規格外品を使うということに関して一定程度、その治療のチャンスという点で私も同意するところは多いのですが、欧米ではこの細胞治療レジストリというものがきちんと収集され、公表されているというのは大きく環境が違うかと思います。やはりこのレジストリの収集があってこその制度変更であり、制度変更するとなったらどういう効果が、ないし影響があったのかということをモニタリングしなければいけないので、これに限ったことではありませんが、何らかの規制の変更を伴う場合は、それに伴うデータベースの構築ということがセットになってくるかと思います。この点について、再生医療イノベーションフォーラムではどのようにお考えなのかということについて、伺いたいと思います。以上です。
○福井部会長 簡潔に回答できる範囲でお願いできますか。資料1について。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。パテントリンゲージに関しては、現時点で特定の外国の制度を指しているわけではありません。複数の国で導入されていますので、国際競合性の観点で今後、議論させていただきたいと思います。以上、回答です。
○福井部会長 ありがとうございます。資料2について、田中参考人。
○田中参考人 それでは田中から、頂きました質問のうち、医療機器に関する部分について御回答させていただきます。御指摘にありました仮名加工情報の二次利用を想定されているのかというお話でしたが、そちらの可能性もあると思っています。匿名加工情報、最近は仮名加工医療情報というものもありますが、その適切な仮名加工ということは必要であることを大前提に置いた提案であり、その方策を限定はしているわけではないものです。
次の、シンプルな法体系の今後といったところは、そこは私もとても気にしているところですので、是非、検討を開始していきたいという要望ですが、具体的なところまではまだ煮詰まっていないのが、今の現状です。
それから、不具合報告の所での御質問を頂きました。こちらのほうは外国において発生している既知の情報、未知の情報といったところの情報収集においては、特に変更ありません。企業においては、外国で起きているものも全て収集するという形の体制がありますので、受け取ったものを既存の添付文書などで既に安全対策がされているものなのか、そうではないのかという判断をした上で、全て報告しています。そのうち既知については既に安全対策が済んでいますので、そこは報告はしない形で、未知の情報についてはPMDAに報告していこうという提案です。情報を一度収集して、それを分析するというところまでは企業の中においては変わらないと、考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。ちょっと時間のことがありまして、申し訳ないのですが、進ませていただきたいと思います。合田委員、その後、山家委員、お願いします。簡潔にお願いできれば有り難いです。
○合田委員 合田です。日薬連の5枚目です。日本薬局方・国家検定の見直しの所です。私は日本薬局方の部会長をやっていまして、もう既に日本薬局方の作成には40年近く関わっています。国際調和といいますか、拡充も含めまして非常に重要なことだと理解しています。そのことについて、我々も積極的に進めている次第です。我々のほうから是非お願いしたいのは、日本薬局方の国際調和で特に条文の所です。いろいろと、国際調和を考えて各条をこういう形にしましょうと、私自身もお願いに上がったこともありますし、日薬連のそのような幾つかある団体で講演もしたことがありますが、具体的にそういうことをやろうとしますと、なかなか日薬連さんの協力が得られないというのが非常に私自身はハードルになっているのではないかと思っています。是非、その点も協力していただければ、非常に先に進むことができると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。以上です。
○福井部会長 よろしいでしょうか。よろしくお願いします。山家委員、どうぞ。
○山家委員 私からは日本臨床検査薬協会さんのほうの件で、3点、申し上げたいと思います。まず順番が逆ですが、最終ページの最終項目の研究用試薬のお話に関しては、特に使用について患者さんたちが混乱しているというのは、私もよく相談を受けますので非常に賛成したいと思います。ただ、挙がっている事例のほかに、例えば髪の毛やごく一般的な血液検査で分かるような項目が入っている検査など、エビデンスが明確でないものとの差が患者さん側には理解されていないというところを強く感じています。ただ一方で、承認されている項目がある場合、新規項目としてLDTが行われているかと思いますが、そういったものの制限にならないようにというところは、ちょっとここを進めるに当たって留意していただきたいと感じています。
それから、次に3ページの薬機法改正の件なのですが、一次抗体等と書いてあります。これは一次抗体だけでなく、もしかすると結果の判定に関わるような化合物が非常に多いのではないかと思っているのですが、どの辺りを対象にされているのかなということをお伺いしたいなと思いました。
それから、その次のページです。製造管理者のお話に関しては、技術の変化に伴う必要性も感じていますので、それに伴う何らかの基準を設けるという必要がある前提で、賛同したいと考えています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。今の御質問、御意見に何か答えるところはありますか。田中参考人から何かありますか。
○山口参考人 山口から1点ほど、お答えさせていただきます。先ほど御指摘のありました研究用試薬、若しくはLDTの部分ですが、資料には一次抗体と書かせていただきましたが、例えばフローサイトメトリーなど、現状の薬機法上、体外診断用医薬品はキット品という所に制限が掛かっていますので、単品試薬等においても、本来であればその検査の結果の一番コアになる部分の試薬というものがいろいろありますので、業界としては一次抗体に限らず、こちらについて具体的なところは、必要なものはその内容に含めるという方向で議論、検討させていただきたいと考えています。
○福井部会長 ありがとうございます。よろしいですか。すみません、時間のこともございまして、前半の部分につきましては、本日はここまでということにさせていただきたいと思います。それでは、後半の3つの団体からのプレゼンテーションをお願いしたいと思います。最初に、森委員から10分程度でお願いできればと思います。よろしくお願いします。
○森委員 ありがとうございます。日本薬剤師会の森でございます。まず、資料5をお手元に御用意いただければと思います。医薬品医療機器等法等の改正に向けてということで、意見を述べさせていただきます。
まず、重要なことですけれども、国民・患者が、安全で安心かつ適正に医薬品を使用することができるよう、必要な制度改正を行うべきと考えております。そのため3点、意見を述べさせていただきたいと思います。
まず、医薬品の販売制度ですけれども、昨年、厚労省の中に検討会が設置され、11回の議論を重ねて、今年の1月にとりまとめが行われました。安全性の確保と実効性を両立した医薬品販売制度について。2番目ですけれども、将来的に人口減少社会を迎える中、過疎地域等を含めて、医薬品の提供体制をどう確保するのかというのは課題になってくると考えております。地域に必要な医薬品提供体制の構築・確保について。3番目ですけれども、なかなか医薬品の安定供給問題も先が見えません。昨年の10月、日本薬剤師会でも安定供給に関する調査を行いましたけれども、一昨年に比べて、ほとんど全ての薬局で、供給状況が悪くなっているという回答がありました。また、ドラッグ・ラグ/ロスの問題もあります。令和6年度の薬価制度改革においても、ドラッグ・ラグ/ロス解消、安定供給の確保に向けての対応が行われました。この3点に関して、意見を述べていきたいと思っております。
次のページをお願いできればと思います。まず、安全性の確保と実効性を両立した医薬品販売制度に関してです。先ほどお話しましたように、販売制度の検討会でのとりまとめが行われておりますので、国民が安全・安心に医薬品が使用できるよう、このとりまとめの内容、方向に従って進めるべきだと考えております。
その中で市販薬の濫用についてですけれども、若年者を中心に、年齢を問わず一般用医薬品の濫用が拡大しています。救急搬送事例や、相談件数の増加、無許可販売などが社会問題となっています。濫用から国民を守るために、国、製薬メーカー、販売業者、国民、全てが協力して対応していく必要があると考えております。そのため、濫用等のおそれのある医薬品は重点的な対応が必要だと考えます。
まず、濫用対策を進める上で、法改正とは別ですけれども、啓発活動が重要で日薬では啓発のためのポスターを作成して、積極的に取り組んでいます。また、啓発という点では小中学校からの啓発は重要で、学校薬剤師として薬物濫用防止教育等に取り組んでいますが、これは文科省への協力要請が必要と考えます。そうした中、過剰摂取リスク排除と使用時の注意喚起の実効性を両立させる制度設計、そして、専門家の関与が不可欠だと考えております。医薬品購入者の状況を確認し、必要な指導・啓発を行った後に提供・販売する制度とすることが重要だと考えております。また、小容量1個の販売を原則とすること。薬剤師等による情報提供の徹底、声掛けの実効性から直接購入者の手の届く場所に陳列しないということも必要と考えています。
今、国は医療DXを推進しています。オンライン資格確認の基盤を活用した医療情報、薬剤情報等の共有を進めています。OTC医薬品販売についても、これはデジタル庁とも連携が必要になると思いますけれども、マイナンバーカードを活用した購入履歴の一元管理を早期に導入すべきと考えます。
次のページをお願いできればと思います。地域に必要な医薬品提供体制の構築・確保についてです。将来的に人口が減少していく中、過疎地域や中山間地域等を含め、医薬品提供体制の構築・確保というのは、課題だと考えております。地域の医療計画等と整合性を踏まえた、地域に必要な医薬品提供体制を構築できるための方策に取り組む基盤となる制度が必要だと考えます。
医薬品提供体制の構築に当たっては患者、それから地域住民のニーズを踏まえ、地域の薬局が連携してその機能を発揮するための仕組み作りが不可欠となります。地域の医療提供体制は医療計画に基づいて整備をされていますけれども、医薬品の提供体制に関しては現在、そのようなものがありません。行政計画上の根拠をもって整備されることが必要と考えます。薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会で検討されていますが、地域の薬局がその機能を十分に発揮するために、健康サポート薬局及び認定薬局の法制上の位置付け等を含めた再整理が必要ではないかと考えております。
また、前回の法改正のときに議論がありましたけれども、開設者の変更命令については、法制に向けた検討の結果、改正法には盛り込まれず、衆参議院の付帯決議において改正法の施行状況も踏まえて、制度化を検討することとされました。薬局のガバナンス強化に向けた対応も必要と考えます。現在、医療を取り巻く状況は大きく変化をしています。医療を取り巻く状況、薬剤師・薬局業務を踏まえた関係法令等の整備が必要だと考えております。
次のページを御覧いただければと思います。医薬品の安定供給、ドラッグ・ラグ/ロスの解消についてです。創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会のとりまとめが行われております。その内容・方向性に従って、国民が必要な医薬品に迅速にアクセスし、安全・安心に医薬品を使用できるよう、法改正等を進めるべきだと考えております。特に、希少疾病用医薬品、小児用医薬品で、小児用医薬品に関しては、小児特有の理由から、治験や開発が難しいと言われています。必要な患者へ使用できるための薬事上の措置を進めるべきだと考えます。また、製薬企業が取り組むべき事項を実現できる企業体制、先ほど日薬連からもガバナンスのお話がありましたけれども、ガバナンスが必要になってくるのではないかと思います。同時に、そうしたことを担保する都道府県における薬事監視体制の強化が必要だと考えております。医薬品は品質の確保、安定供給が前提であり、製造販売業者の責務として安定供給、品質確保に係る取組の義務付けを検討することも必要ではないかと思っております。
次のページを御覧いただければと思います。終わりにということなのですけれども、医薬品の提供、販売、そして医療に関するルール、それは何のためにあるかということを考えると、それは国民の健康・生命を守るためのものだと思っています。そのため、薬機法及び薬剤師法で人、物、施設等に関する規定が定められています。あくまでも、利便性ではなく安全性を第一に考えること、今回の制度改正に当たっては、医薬品の適正使用の確保・維持という大前提の下、国民・患者の安全を第一に考えて実施をすべきだと考えております。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。続いて、日本チェーンドラッグストア協会の森参考人より説明をお願いいたします。
○森参考人 一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会理事の森信でございます。審議会の議論に当たり、当協会に意見表明の機会を賜り、ありがとうございます。ドラッグストア協会としては、昨年来いろいろな意見があり、検討を重ねてきました。本日、資料とともに述べさせていただく内容は、協会としての統一の見解です。時間も限られていますので、早速、御説明に入ります。
まず、若年者を中心としたいわゆるオーバードーズの問題については、一般用医薬品を販売する立場として、今後も協力させていただく所存です。一方、武見厚労大臣も国会で述べられたように、国民の医薬品へのアクセスを阻害することがないよう、バランスの取れた対策が必要であると申されています。我々販売側にとって現実的に対応可能で、かつ有効な対策である必要があることは言うまでもありません。
この点は、今年初めに、医薬品の販売制度に関する検討会とりまとめという形で公表されていますが、主に以下の3点につき意見があります。1つ目は、購入者情報の記録・保管について、2つ目は、製品の陳列について、3つ目は、一般用医薬品の販売区分及び販売方法について、以上について説明いたします。お手元の資料の5ページを御覧ください。濫用等のおそれのある医薬品の販売については、この数年、厚生労働省より数次にわたる通知等が発出されており、チェーンドラッグストア協会としても厚生労働省の取組に協力してきました。今般、更なる規制強化が提案されていますが、立法による規制強化に当たっては前提としての立法事実が必要であり、チェーンドラッグストア協会として販売規制強化に御協力させていただく上でも有用であると思います。
審議会におかれても、いわゆるオーバードーズとはどのような濫用状態を示すのか、また、救急搬送や中毒性を起こした若年者がどの成分をどの程度服用しているのか、販売規制を強化すべき立法事実を客観的なデータに基づき、議論をお願いいたします。問題の核心がどこにあるのかをデータ等でお示しいただくことが、販売規制に対する国民の納得が得られるものと思っています。
今日は失礼でしたが、当日配布資料として2つの文献を出しています。医療用医薬品、一般用医薬品で中毒症状等が出たことについて、文献で発表されています。この中には、いろいろなことが書いてあるのですが、結論から言うと、薬剤師等の資格者がゲートキーパーとして声掛けをする、販売に関与することが最重要であるということが書いてあります。これを読んでいただくと、途中にいろいろなことが書いてあって、もっと強化すべきではないかということに思いを致すところもあると思いますが、実は、一番のポイントは、先ほど申しましたように、資格者等が販売に関与することで大きな濫用の防止ができているということが書かれていますので、是非、会の終了後に目を通していただければと思います。
資料の6ページを御覧ください。とりまとめの資料では、一定の濫用目的や頻回購入が疑われる場合に、写真付きの公的な身分証明書等、氏名等を確実に確認できる方法で確認を行い、店舗における過去の購入履歴を参照し、頻回購入でないかを確認するとともに、販売後にはこれらの情報及び販売状況について記録し、その情報を保管することが提案されています。まず前提として、当協会としても国民の安心・安全のために必要な資格者への人的投資等を行う覚悟です。
7ページです。購入者情報の記録・保管です。店舗における過去の購入履歴を参照や記録・保管については、まず前提として、仮に一店舗で購入者の氏名等を記録・保管したとしても、他店の買い回りやインターネットでの購入は防げませんので、効果は限定的と考えられます。にもかかわらず、とりまとめの提案どおり施策が導入されると、販売店側であるドラッグストアや薬局・薬店においては、個人情報や販売情報を記録するシステム導入、システム改修、セキュリティを含むシステム全体の見直しのための多額の投資が必要になります。
さらに、当協会が懸念しているのは、本日の産経新聞さんにも載っていたように、多発しているサイバー攻撃等による情報漏えいです。情報セキュリティの観点から、ポイントサービスを導入していないドラッグストアもあります。このように、情報漏えいには細心の注意を払っていますが、保管する情報の価値が高くなるほどハッキングの対象になります。日本を代表する大企業においても、ハッキングの被害は後を絶ちません。端的に申し上げて、個人情報や販売情報の記録や保管は、そのリスクと効果が見合っていません。購入履歴を記録・保管するのであれば、先ほど薬剤師会の方もおっしゃったように、マイナンバーカード等を用いた国による情報管理の推進を希望するところです。
改めて、6ページの赤文字部分を御覧ください。先ほど申しましたように、各種文献では、濫用・依存の防止には、薬剤師等による確認や声掛けが重要とされています。写真付きの公的な身分証を活用する場合も、その目的は、確認や声掛けの実効性確保のためのきっかけの強化と考えています。なお、現在も20歳未満の者への氏名年齢の確認や、20歳以上の複数購入者には購入理由の確認は求めていますが、昨年、令和5年、厚生労働省告示第5号、これは一般の咳止め等ではなくて顆粒、錠剤の総合の風邪薬も含めて販売のときに対応しなさいという通知ですけれども、これが出て以降、販売の現場では、こんな質問はされたことはないと、なぜ答えなければいけないのかと言われ、顧客から暴力を受けたという事例も報告されており、警察に報告して刑事事件にもなっています。本来であれば、政府においてカスハラ、今言われているカスタマーハラスメント対策を講じた上で進められるべき対策ですが、声掛けや購入理由の確認が濫用抑制に効果があるということは、今後も取り組ませていただく所存です。
8ページです。濫用抑制に向けたドラッグストア協会としての取組です。セルフメディケーション推進の要として、多くの一般用医薬品を販売している我々の立場として、国民の皆様の一般用医薬品へのアクセスに関する現場としては、次のような取組が一般用医薬品の適正な使用のために資するものと考えています。まず1つ目です。購入者が対象医薬品を手に取って購入しようとする際や販売シーン等において、薬剤師等が対象医薬品の販売コーナーやレジ等において、適切に販売に関与し、濫用抑制に努めます。すなわち、薬剤師等の関与の強化です。
先ほど述べたように、カスハラ被害に遭う可能性が高まる懸念はありますが、濫用のおそれのある医薬品の販売シーンにおいて、20歳未満の者による購入は、購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証で確認します。これは、検討会で提案があった内容です。今まではやっていませんが、購入者の氏名等を写真付きの公的な身分証等で確認し、20歳以上の者による複数個又は大容量製品の購入において、購入理由を確認し、これは濫用目的かな、この人は頻回購入ではないかと疑われる場合においては、購入者の氏名等を、ここも写真付きの公的身分証等で確認します。以上のように、購入者が対象医薬品を手に取る際や購入の際などで、販売シーンにおいて薬剤師等の関与を強めることで、濫用目的での対象医薬品の購入には相当な心理的な抵抗が生じます。
10ページです。製品の陳列についてです。とりまとめでは、対象医薬品について、直接購入者の手の届く場所に陳列しないこととする提案がなされています。いわゆる空箱陳列です。この提案も現実的な提案ではないと考えています。現在想定されている濫用等のおそれのある医薬品は市場に約1,500品目あり、販売現場においては、店舗の大小によりますが、そのうち250~400品目をそれぞれ採用して陳列しています。その全てを空箱にしたり、鍵の付いた什器に入れるとなると、結局、大多数の適正な購入者の医薬品アクセスを阻害します。
現品をバックヤードに保管する場合は、購入者が希望する商品を購入したいと言う度にその都度、販売コーナーを離れて取りに行くことが求められます。また、鍵付き什器を設置する場合は、その設置場所の確保及びその什器設置・維持費用等の負担が生じます。まず都市部の店舗では、そもそも保管する場所を確保できない状態です。先ほど述べたとおり、これまで以上に薬剤師等の関与を強化し、また一定の局面において、写真付きの公的な身分証の提示を求めることで、濫用目的での購入に心理的な抵抗を生じさせることが現実的な対策と考えています。
12ページです。これまでのまとめです。現行法の下で、指定第2類医薬品については、薬剤師等が情報提供するための設備から7m以内の範囲に陳列することという規制があり、当協会の会員各社においては、その規制を遵守しつつ、これが重要な所なのですが、成分ではなく効能で判断することが多い購入者の御要望に沿うべく陳列方法を創意工夫しています。その上で、対象品目に関する制度を変更するのであれば、先ほど説明した8ページのとおり、20歳未満の者、20歳以上の複数個大量購入における濫用目的、頻回購入の疑いがあるときの写真付きの公的な身分証の確認の取組であれば、現場で実現可能を確保しつつ、実効性がある施策となります。
最後に、14ページです。一般用医薬品の販売区分及び販売方法です。とりまとめでは、現在の第1類、2類、3類等の一般用医薬品の販売区分を見直すことが提案されています。現状では、どの医薬品がどの区分になるのかは分かりませんが、現在の販売区分は副作用等による健康被害が生じるリスクの程度に応じて検討され、区分されたものと聞いております。資格者が一目でリスクの程度が分かるように表示されており、今一度申しますが、資格者が一目でリスクの程度が分かるように表示されており、合理的かつセルフメディケーションの観点からも有益なものと考えています。従前の販売区分は薬事成分に着目して分類された一定の合理性を有するものと考えていますので、審議会の皆様におかれましては、この販売区分の統合・変更に合理的な理由があるのか、慎重に御議論をお願いしたいところです。
なお、販売区分については、販売区分がないことによって、現場では陳列の場所に規制がなくなるので、作業としては軽減されるわけですが、そういうことよりも第1類、2類、3類のできた理由等も踏まえて御検討をお願いしたいと思います。以上、協会からの説明です。御静聴ありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは最後に、新経済連盟の片岡参考人より説明をお願いします。
○片岡参考人 新経済連盟の片岡です。本日は、説明の機会を頂き誠にありがとうございます。新経済連盟は、一般用医薬品や要指導医薬品の市販薬の販売制度の見直しについて、意見を述べたいと思います。
2ページ目です。こちらは意見の概要をまとめた所です。まずはじめに、制度の見直しに当たっては、セルフメディケーション、それから適切利用のための市販薬へのアクセス、許認可を取得して市販薬を販売する事業者の職業活動の自由といった観点、総合的な観点を踏まえて、合理的根拠に基づいた客観的な検討が必要だと思っています。もちろん、安全性は大事ですし、一方で、医薬品というのは体の不調を治すために使うものですので、それが適切に活用されるようにどう考えていくかというところが必要だと思っています。次ページ以降で詳しく御説明したいと思います。
3ページ、こちらが、検討会のとりまとめに書かれている、濫用等のおそれのある医薬品に関する販売ルールです。案の中では、一部、20歳未満の方へ販売する場合ですとか、あるいは大容量、ちょっと「大容量」の定義がはっきりしていないのがまた問題になってはいるのですが、大容量とか複数個買う場合には例外なく、通常のこれまでのネット販売はできないとされていまして、対面又はビデオ通話が必要とされています。それから、記録の保存については、対面販売とネット販売で条件が分かれていまして、ネット販売のほうが記録を残す範囲がかなり広い案になっております。
4ページです。新経連としては、一律に禁止してしまうのではなくて、記録等を取った上で、20歳未満であるとか、複数個、大容量の場合も、もちろん事情を聞いてということにはなると思いますが、販売する道を残す必要があるのではないかということと、記録についても、対面とネット販売でそろえたほうがいいのではないかという意見を持っております。
5ページです。まず、市販薬の濫用が問題になっている、それに対して対応が必要であることについてはそのとおりであると思っております。ただ、先ほどもチェーンドラッグストア協会さんからもありましたが、具体的に、どういう所にどういう対策を打つのかというのをしっかり考えなければいけないと思っております。やはり根本問題に目を向けた対策も一緒に進めないと、購入のハードルだけを上げてしまうと、結局、濫用するものが変わってしまって別の方向に行ってしまったり、せっかくお薬を買いに来るきっかけをつかんで何かにつなげられるかもしれないのに、それを排除してしまうことにもなりかねませんので、販売規制だけでなく、総合的に対策を考える必要があると思います。2022年に松本先生の論文で、供給低減に偏った対策をしてしまうと別のものに濫用の対象が移ってしまう、かえって弊害も生じ得るというものもありますので、総合的に考える必要があると思います。
それから、販売規制の強化は、もちろん対策の1つではあると思うのですが、それにかなり偏ってしまうと、販売現場の負担増加、あるいは、適正利用者が買いにくい状況をもたらしてしまうという側面もありますので、結局、どういう問題があって、どこにどの程度の規制をして、それによってどういう効果を見込もうとしているのかというのをはっきりした上で対策を考える必要があると思います。支援機関や相談機関は今も存在していると思うのですが、そこを充実させていくこととか、あるいは、販売者の立場で、そこにどうつなげていくか、そういった機関の存在をどう知らせていくかといった周知についても重要なのではないかと思っています。
6ページです。今、一部インターネット販売禁止という案が出ているわけなのですが、これについては反対をします。現在の対面販売及びネット販売の状況を見ても、どちらも完璧というわけではないので、それぞれ追加的対策が必要なのだと思いますが、ネット販売のみを一律に禁止してしまうのはやり過ぎなのではないかと思っております。それぞれの販売の特性を踏まえた上で、どういう場合にどういう方法で販売したらいいのか、ということを考える必要があると思っています。
インターネット販売を一律禁止しているわけではなく、ビデオ通話を導入するだけなのだから簡単なのではないかという意見もあったり、とりまとめにそのようなことが書かれていたりもするのですが、実際はインターネット販売を今までやっている事業者、これは当然、実店舗も持っている、対面販売もやっている事業者で、今、厚労省のサイトに登録されている所で、約3,200件ぐらいありますが、そういった事業者がビデオ通話を導入するのは結構負担が大きくて、もし本当に必須にしてしまうと、対象の販売を取りやめる、ネット販売はしないという所がかなり多くなってしまって、市販薬へのアクセスが阻害される可能性が出てきてしまいます。もちろん、小容量1個だったら販売できる所はあるのですが、例えば、独り立ちをし成年年齢に達している18歳以上の方とか、あるいは、何かしらの事情があって、御家族のために一定の容量を買う必要がある方とか、そういった方を完全に排除してしまうことになってしまうと思います。
それから、記録の作成等の要否や基準、これについては、いろいろな考え方があると思います。何の目的のためにどこまでやるのかということにはなると思うのですが、対面ビデオ通話とインターネット販売でそろえたほうが分かりやすいのではないかと思います。もし差を設けるのであれば、どういった理由、どういった根拠で差を設けるのかということについて、はっきりすべきだと思っています。先ほどチェーンドラッグストア協会の方からもありましたが、やはり、現場というものがありまして、実効的に意味がある形で対策ができないと、結局、決まりだけ決まっていても実態がかけ離れていってしまうとよくないと思いますので、それらを踏まえた上で、どういうタイミングでどういうことをやるとどう効果的なのかというのを、しっかり合理的根拠に基づいて判断すべきなのではないかと思います。
特に、風邪薬などの医薬品が今、市販されているわけで、まず、そもそもそれらの薬の必要性があるのかどうかというのもしっかり検討すべきだと思いますし、買う人が適切に使用する範囲で必要性があるというのであれば、それはしっかりアクセスを確保するべきだと思います。あるいは代替可能性、ほかの製品で代替することはできるのか。できないのであれば、代替するような製品を市場に生み出していくにはどうするべきかということを考えたほうがいいですし、一方で、そもそも、例えばこの年齢の人には必要性がないのだということであれば、販売方法に限らず一律に販売をしないこともありだと思いますので、そこら辺をきちんと合理的根拠を踏まえて検討をしていただきたいと思っています。
7ページ、緊急アンケートということで、短い期間ではあったのですが、医薬品をネット販売している事業者、もちろん実店舗もある事業者に対してアンケートを取ったところ、やはりビデオ通話のシステムを導入する意向がある所はかなり少なかったです。あとは、大容量の定義が分からないので今の段階では回答できませんという方も多かったです。それから、ネット販売の今のとりまとめに書いてある案、対面販売の案、それぞれのルールについて聞いてみたところ、いろいろな理由で、こういう観点で現場としては懸念があるという声が寄せられています。もちろん、懸念があるからできないということではないかもしれないのですが、実効性をもたせるためにどういうルールにするかというのは、しっかり考える必要があると思っています。
8ページ、それから、現状もルールがありますので、それに従って販売するに当たってどういう課題があるかを聞いています。これも、ネットで販売する場合と対面で販売する場合の両方について聞いていて、いろいろな意見が寄せられたのですが、一番多かったのは、自分たちが一生懸命やっても他店舗での購入状況というのは、結局、聞いてもはっきり分かるものではないということで、その一番下に書いてある所なのですが、国によるマイナンバーを活用した仕組みの提供をしてほしいという意見がありました。
次、飛ばして12ページです。要指導医薬品の販売制度に関して。簡潔に申し上げますが、今、オンライン服薬指導を認めるとした場合に、オンライン服薬指導の対象から除外するものを設けるかという観点があると思います。新経済連盟としては、服薬指導の観点と薬剤の管理の観点は別だと思っていますので、オンライン服薬指導を認めない要指導医薬品というカテゴリーは設けるべきではないと思っています。薬剤管理の観点からどうしても店頭に来てもらう必要がある場合でも、オンライン服薬指導と組み合わせた上で実施をすることができるのではないかと思っております。それから、一般用医薬品に移行しない要指導医薬品については、なぜ移行しないのか、どういう場合には移行できるのかといった条件面を、しっかり合理的根拠を確認した上でないと、ポンポンとそういったものが増えていくのは好ましくないと思っております。
14ページ、一般用医薬品のリスク分類の区分見直しに関する意見です。新経済連盟としましても、今までのリスク分類の制度はとてもよくできていると思っております。リスクに応じて専門家の関与のあり方ですとか、あるいは、利用者への情報提供のあり方、あるいは、箱にしっかり書いてあるといった、そういうものが有効に働いていると思いますので、これをなくしてしまって、第3類と第2類を同じにしてしまうのはよくないのではないかと思っていますし、もともとなぜそういう話になっているのかという根本の調査・分析というところがしっかりできていないと考えておりますので、そこはきちんと調べた上で、何を目的にどういう課題があって、どうするとこうなるという、そこをしっかり考えた上で検討いただきたいと思っています。
最後、資格者による関与の明確化をすべきだということ自体に異論はないのですが、どこをどう変えるとどういうところに影響するのか、これも先ほども申し上げたとおり、現場の実態もしっかり把握しながら、ここをこう改善したらこういう効果が得られるのではないかというところをしっかり検討した上で議論していただきたいと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、質疑応答に移りたいと思います。本日の会議は12時25分で終了させていただきますので、議論が途中で打切りになるかもしれません。あらかじめ御了承いただければと思います。本日以外にもディスカッションをする機会はございます。それでは、質問をお願い致します。山口委員、どうぞ。
○山口委員 ありがとうございます。山口でございます。私は2点。まず、日本チェーンドラッグ協会の森参考人に、置く場所については、確認を強化するとおっしゃったのですが、空箱にすることについては非現実的だという話がございました。確認を強化すればするほど、何とかして手に入れたい方たちの万引き行為が増えることを私は非常に懸念しています。それについてどのように防いでいかれるのか、その対策について教えていただきたいです。
2つ目は、新経済連盟の片岡参考人にお願いします。今日、7名からヒアリングがございましたが、片岡参考人以外の方のお立場はよく分かりましたけれども、新経済連盟はどういうお立場の方の意見を反映された団体なのか。今まで議論をいろいろしてきましたけれども、国民の安全を一番に考えたときに納得できない御意見が多かったので、どのような立場の方の反映をした御意見なのかを聞かせていただきたいと思いました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、最初に森参考人から。
○森参考人 今日の意見の中には入れておりませんが、万引き対策は、店舗販売としては最重要の課題です。年間、パーセントで言うとすごい金額の万引きが行われています。それはOTCに限らず食品も含めて。ですから、万引きについては徹底的に防ぎたい気持ちがあります。
1つは、例えば、今までは化粧品などについてはそこに人が居て、一部の高額の化粧品についてはケースに入れたりしております。皆様もそれを見ていただいていると思いますが、医薬品については、今回こういうふうな指摘、こういう検討会とりまとめとなったというのは、やはり、関与が足らなかったからだと思います。
医薬品コーナーに、一部、医薬品をドラッグに買いに行ったら、声を掛けられたこともないんだよと言われたということも見ました。それは、今までは説明は努力義務の中で、情報提供を求められたら情報提供をするという流れで長年やってきた中で、先ほど言いましたように、一昨年来、また、ここ数年にわたって濫用のおそれのある医薬品についてこのように対応しなさいというのがあり、最終的に去年の4月から、それまでは液体だけでしたが、風邪薬、錠剤についても声掛け等もやりなさいというふうになったのでやっているのです。
やっているのですが、そう簡単にすぐには今まで何十年もやっていなかったことなので、今後、これを機にチェーンドラッグストア協会を中心に、医薬品コーナーで資格者が必ず対応すると、この後決まったら、医薬品コーナーに居るようにすることを徹底してやっていこうと思っていることが1つです。
もう1つは、実は万引きについては、先ほども言いましたように対応をかなり進めています。万引きをしたときの防犯のセンサーがあります。防犯タグです。今は風邪薬についても、濫用のおそれのある医薬品に防犯センサーのタグを付けるには費用が掛かりますので付けておりません。
このことについても、最後の手段はここまでやるべきではないかということで、今、検討しているところです。今日やりますとは言えません。私も、皆さんのコンセンサスというか、統一見解は、防犯のゲートを付けてタグを付けるところまではしておりませんので、今、それを検討しているところです。これをやると、ほとんどの万引きは防げると認識しています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。片岡参考人、いかがでしょうか。
○片岡参考人 新経済連盟は、新しい産業を創出する、あるいは、DX化を主張している経済団体です。医薬品ネット販売に関しては、2009年の薬事法省令改正をきっかけに出来た団体です。以前から、ルールメイキングの際に意見を述べたりしています。
具体的には、会員にインターネットモールを運営する事業者も入っておりますし、会員に医薬品を販売する事業者もいたりします。経済団体の立場で申し上げています。私の発表に安全を考えていないのではないかという思いを持ったということなのですが、それをどの辺りに感じたかを具体的に教えていただけると有り難いです。
○山口委員 特にインターネット販売です。
○片岡参考人 なるほど、インターネットは危険だとお考えになっているということですね。分かりました。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。オンラインの伊藤委員が挙手されております。恐縮ですが、質問やコメントは簡潔にお願いしたいと思います。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 ありがとうございます。……。
○福井部会長 声が。
○伊藤委員 聞こえますか。
○福井部会長 言葉が分からない状況です。もう一回、最初からお願いできますか。それでは、伊藤委員は後にしていただいて、ほかにいかがでしょうか。先に茂松委員。
○伊藤委員 聞き取りにくいようであれば後回しにしていただいて。
○福井部会長 はい、後回しにさせていただきます。最初に、茂松委員からお願いします。
○茂松委員 どうもありがとうございます。日本医師会の茂松と申します。平成27年10月に「患者のための薬局ビジョン」が公表されて、そこから門前、かかりつけ、地域へと目指す中で10年が経過しようとしているわけです。健康サポート薬局が設定されていますが、その「薬局の利用に対する世論調査」を見ると、健康サポート薬局を知らなかった人が90%近い状況であろうかと思います。
その中で、認定薬局に地域連携薬局等がございます。そことのすみ分け、整合性が、国民から見てとればなかなか分かりにくいのではないか。予防の観点か、疾病の観点かになろうかと思いますが、その辺りの整理をもう少しきちんとしないといけない時期ではないか。これでは、10年、20年たっても余り変わってこない。厚労省は、このことについてどういうふうにお考えなのかをお聞きしたいと思います。
○福井部会長 いかがでしょうか。どなたかお願いします。
○大原薬事企画官 医薬局総務課でございます。平成27年10月に公表した、「患者のための薬局ビジョン」を踏まえて、御指摘のとおり健康サポート薬局が平成28年から、それから、地域連携薬局をはじめとする認定薬局は、令和元年の法改正の施行がなされた令和3年から運用を開始しております。
御指摘のように、現在、健康サポート薬局や地域連携薬局を含めて果たすべき役割を、「薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会」において別途検討しております。その検討結果については、別途、本部会にも報告させていただき、また御意見を頂きたいと思っておりますので、その際は、どうぞよろしくお願いいたします。
○福井部会長 よろしいでしょうか。ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。それでは、オンラインの伊藤委員、よろしくお願いします。
○伊藤委員 聞こえますか。
○福井部会長 はい、今回は大丈夫です。
○伊藤委員 ありがとうございます。資料の順番に基づいて質問を申し上げます。まず、資料5の3ページです。へき地、離島等も含めた地域の薬局がサポートしていくことについてです。実態としては、特に人口減少が進んでいる地域においては薬局自体が1店舗もない地域が増えております。ですので、例えば、薬を訪看ステーションに置けない、薬を届けるのにまた時間が掛かるなどいろいろな問題が起きている中で、必ずしも薬局が存在していることをもって提供体制として十分かどうかではなく、例えば、置き薬システムなど、本当に住民に薬が届くシステムを考えることが必要ではないかと考えておりますが、その点をどのようにお考えでしょうか。
それから、資料6です。資料6は、全体を通してすごく分かりにくく感じました。分かりにくいと思っている根本の部分でお聞きしたいのは、薬剤師等の関与、それから、適切に販売に関与というような箇所が8、10、12ページ等に書かれております。先ほどの質問では、関与は、求められたら情報提供するのが関与であるというようなお話がありました。具体的に関与や情報提供を使い分けているのであれば違いがあるのかという確認など、この辺りが曖昧であるがゆえに、声掛けを強化します、見回りを強化しますと言っても、それが具体的にどれぐらいの抑止効果につながったのかという定量的な数字として下りてきていないので、説得力を持って聞くことができませんでした。
システムを改修して情報を明示的にいろいろ取るのはすごく大変なので人によるサポートをということなのですが、やはり、人が減少していて、どこの店舗も人を節約することがこれから進んでくると、人による声掛けもなかなか十分には行き渡らないのではないかということを考えると、長期的な対策が必要ではないかというふうに考えておりますが、この点はいかがでしょうか。
それから、資料7です。1点だけ申し上げたい所は、12ページの、オンライン服薬指導の対象から除外する要指導医薬品を設けるべきではないということですが、今、オンライン服薬指導を認めない要指導医薬品はそもそも考えていないというか、オンライン服薬指導自体は可能であるという認識でいるのですが、それでよろしいかどうかということです。ここに対して、今、オンライン服薬指導を認めないという議論はないのではないかと思いますが、確認です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、最初に森委員からいかがでしょうか。
○森委員 ありがとうございます。今、委員が言われたように、今後、人口減少社会を迎える中で、過疎地域、中山間地域の中には薬局がある所もあればない所もあります。そのようなことを含めて、へき地・離島等を含めて医薬品のアクセスをどう確保していくかが課題だと考えております。
その中で、医療に関しては地域医療計画に従って計画されます。医薬品も医療とは切っても切れないものですので、今後必要なことは、医療計画と連動した上で地域医薬品提供計画をどうやって策定していくか。それを実効性があるものにするためには、やはり、制度として位置づけすることが必要だと考えております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、森参考人、いかがでしょうか。
○森参考人 御質問ありがとうございます。私の説明が下手だったのが申し訳ありません。現状のルールは、情報提供についても説明を求められたときに説明をしなければならないのが、情報提供の努力義務というものです。3類については努力義務もない状況でしたので、1類については薬剤師が必ず情報提供しています。曖昧なところがあったので、質問を受けることがなければ、状況の確認などもほぼやれていないような現場があったということが事実だということです。
現在も店頭に行った場合に、濫用のおそれのある医薬品について全てに7m以内の所というか、医薬品のコーナーで資格者が居る状況にはまだなっていないと思います。これが現状です。ですから、販売の医薬品コーナーに資格者が居るようにしますということが我々の宣言です。これが関与です。
あと、今後、人口が減る中で人員の確保もということを言われておりました。やはり、医薬品は体に影響を及ぼすものであると重々認識しておりますので、登録販売者の数の更なる増員をして、そして、合格者を出し研修を行い、専門業種として更に人員を減らすことは全く考えておりませんので、医薬品の専門家としての登録販売者の数はしっかり確保していくことが統一見解です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。片岡参考人、いかがでしょうか。
○片岡参考人 新経連の資料の13ページを御覧ください。今、医療用医薬品のオンライン服薬指導は認められているのですが、要指導医薬品だけはオンライン服薬指導が認められておらず対面オンリーになっております。
検討会のとりまとめでは、要指導医薬品についてもオンライン服薬指導を認める方向で取りまとめられているのですが、そうだとしても、オンライン服薬指導を認めない要指導医薬品というカテゴリーを作るべきではないかという意見が書かれていたので、そこに対する意見でございました。
○福井部会長 よろしいでしょうか。
○伊藤委員 分かりました。
○福井部会長 ほかにはいかがでしょうか。茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 ありがとうございます。日本はヘルスリテラシーの教育が遅れており、国民もなかなか力が付いていない中でOTCを広げてきた問題があります。ただ、ここへきて若者などのオーバードーズは非常に問題となっている。これは、医薬品に関わる者が一致団結して止めていかねばならない。
その中で、今日、最後のお二人の団体のお話を聞くと、協力度合いが少ないのではないかという気がします。経済優先に考えていくことも非常に大事かと思いますが、やはり、国民の命と健康を守る立場からすると、そこはもっとしっかり考えていかねばならないのではないかというふうに感じております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。あと5分ほどございます。もしないようでしたら、私から何点か。
最初の中濱委員のお話された所で、製造所の中でリスクが低い所や高い所という言葉が何回も出てきています。皆さん、リスクのある製造所はコンセンサスがあるのですか。
○中濱委員 御質問ありがとうございます。コンセンサスがある状況ではございません。例えば、リスクは、その製造所自体の能力以外に、製造工程の中でどれぐらい品質や安全性に影響がある部分かというようなプロセスの重要度、リスクというような観点、あと、今は品目ごとですので、これまで何度も査察を受けている工場に関しては、リスクが低いという観点で場合分けができるのではないかと考えておりますが、今の時点ではコンセンサスはございません。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますか。
○森参考人 今、茂松先生から御指摘いただきましたので、皆さんに1つだけお考えいただきたいのは、今まで濫用のおそれがあると言うから、濫用だけあるのであれば販売しなければいいと思います。そうでなく、適正に利用したい方が、例えば、今日、夕方から急に少し鼻水が出た、熱っぽくなったところで風邪薬を早めに飲んで、そして、栄養剤でも飲んで休んだら次の日は楽になったというふうなことが大多数なのです。
そのことが議論されずにオーバードーズと、どれだけのオーバードーズが起こって、どれだけの死者が出て、どれだけのことがあったのかをはっきりされないと、バランスが全然違うと思うのです。だから、適正に利用される方が利用できなくなるようなことになると、例えば極論を言って、麻薬製剤だったら全部処方箋薬にしなさいとなってしまったら医療は崩壊しますよ。風邪を少し引いただけで皆さんがどんどん行ったら、ほかの病気の治療ができなくなるし、コロナ禍のようなことになると思いますので、その辺りをよくお考えいただきたいと思います。
○福井部会長 森委員、どうぞ。
○森委員 ありがとうございます。国民の一般用医薬品のアクセスの確保は重要なことだと思っています。ただ、今、これだけ社会の中で一般薬での濫用が問題になっています。エビデンスと言っていいのかどうか分かりませんけれども、2016年当時は10代の患者の薬物依存が市販薬で25%だったものが、年々増加して2022年には65%になっているという報告があります。
また、コロナ禍で市販薬のオーバードーズによる救急搬送が2倍になった、それから、国立精神・神経医療研究センターの調査では、高校生のうち1年以内に市販薬を濫用した者は60人に1人というような結果も出ています。こうしたことが出ている中、今、やるべきことは、アクセスを確保した上で、濫用から国民を守るために国、製薬メーカー、販売業者、国民全てが協力して対応していく必要があるのではないかと思っています。
陳列の件は森参考人からもありましたが、陳列に関しては、国民への声掛けや情報提供を確実にするために手の届かない所にするということで検討会の中でもまとまったと思います。仮に陳列を自由にしたときに、そういうことの実効性がどうなのか心配です。これまでも取り組んでいたのですが、そういう中でこれだけ濫用が起きているということは、国民のために改めて見直すべきではないかとに思っています。
それから、もう1つはリスク区分です。これまでの一般用医薬品のリスク区分は、副作用に着目してリスクの区分を行ってきました。これは良かったと思います。ただ、当時はそもそも適正に使うことが前提でしたので、濫用という視点がなかったと思います。これだけ濫用が問題になっている中では、今後、濫用のおそれという視点も入れながら、医薬品のリスクをどう考えるかということで対応すべきだと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。私も個人的に1点だけ、正に森参考人と森委員がおっしゃったことなのですが、有用性と濫用のバランスの数値化はできないのでしょうか。例えば、OTCで亡くなった患者さんがどれぐらい居て、増えているのか減っているのか、最終的なアウトカムが分からないと、何となく感触で有用性のほうがものすごく大きいと、大体分かりますが、でも、何かを決めて新たに制度化した場合に、それが効果があったかどうかは、やはり、数値で比べざるを得ないと思います。濫用についても有用性についても、少し数値化できるところは数値で出してもらえれば、皆さんがディスカッションをする上で有用ではないかというふうに思いました。どうぞ。
○森参考人 そこなのですが、今日、資料を2つ出させていただいた中で、濫用と言われるけれども、それをすぐに麻薬製剤だとみんな思い込んでいるのだけれども、この資料を見てください。1番は、カフェインです。それと、一番安全だと言われていた鎮痛剤のアセトアミノフェンです。カフェインが搬送された中の30%以上です。データをよく見て、イメージで濫用だと、咳止めだ風邪薬だというふうなことで規制をやったら、本当に国民のためにならないと思いますからよろしくお願いします。
○福井部会長 是非、エビデンスに基づいたディスカッションができればと思います。時間がまいりましたので、本日は以上にしたいと思います。最後に事務局から、連絡事項等をお願いします。
○衣笠総務課長 次回の第3回制度部会は、本年の6月6日(木)に開催予定です。詳細については、事務局から御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 ありがとうございます。以上をもちまして、第2回医薬品医療機器制度部会を閉会いたします。御協力ありがとうございました。