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令和6年度 第1回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録
労働基準局安全衛生部化学物質対策課
日時
令和6年5月7日(火) 14:00~17:00
場所
厚生労働省 専用第15会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館12階)
議事次第
- (1)令和6年度検討会スケジュールについて
- (2)化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について
- (3)その他
議事内容
○化学物質評価室長 皆様御出席が確認できたようです。本日は大変お忙しい中御参集いただきまして、誠にありがとうございます。それでは、定刻となりましたので、令和年6年度第1回化学物質管理に係る専門家検討会を開催いたします。私は、本日座長に進行をお渡しするまでの間、司会を務めさせていただきます、化学物質対策課化学物質評価室長の藤田と申します。今年度もよろしくお願いいたします。
本日は、今年度の検討会スケジュール、それから、化学物質の危険有害性の情報提供制度における成分名等の通知について検討することとしております。そのため、開催要領別紙の構成員名簿の全ての先生方に御参集いただいております。現在の出席者は16名で、うち武林構成員、宮内構成員がオンラインで参加されております。津田構成員は少し遅れてオンライン参加の予定となっております。また、髙田構成員、上野構成員が欠席となってございます。
引き続き、開催要領の後ろのほうに付いている参考資料の1、構成員名簿を御覧ください。今回から新たに就任された構成員が3名いらっしゃいます。お一人ずつ所属とお名前を御紹介させていただきますので、皆様、一言ずつ御挨拶をお願いできますでしょうか。まずは、建設労務安全研究会副理事長、飛島建設株式会社安全環境部担当部長の佐藤恭二様でございます。佐藤様、御挨拶をお願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会に所属しております、飛島建設の佐藤でございます。どうかよろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。続きまして一般社団法人日本印刷産業連合会環境安全部部長の森浩二様でございます。森様、よろしくお願いいたします。
○森構成員 日本印刷産業連合会環境安全部を担当しております森と申します。よろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 申し訳ございません。順番が前後してしまいました。一般社団法人日本化学工業協会化学品管理部部長の西村杉雄様でございます。
○西村構成員 一般社団法人日本化学工業協会化学品管理部の西村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 ありがとうございました。本年度は、このメンバーで御検討いただく予定となってございます。改めましてよろしくお願いいたします。本日は会場とオンラインの併用で開催しております。会場参加の皆様は、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようにお願いいたします。また、オンラインの先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、御発言される場合を除きまして、マイクをミュートに設定していただきますようお願いいたします。また、御発言の際には、あらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、又はお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いいたします。なお、議事録を作成し、後日公開いたしますので御承知おきください。本日の会議は公開としております。一般傍聴者につきましては、会場の傍聴のみとさせていただいております。それでは最初に、令和6年度第1回化学物質管理に係る専門家検討会の開催に当たり、厚生労働省労働基準局安全衛生部長の小林から一言御挨拶申し上げます。
○安全衛生部長 皆様お疲れさまでございます。安全衛生部長の小林でございます。本年度初めての検討会でございますので、一言御挨拶を申し上げます。皆様方におかれましては、日頃より労働分野の化学物質管理の推進に非常に御尽力を頂いてございまして、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。また、新たに御参加いただく3人の委員の方、今後、よろしくお願い申し上げます。
皆様方に御協力いただきました新たな化学物質規制につきましては、この検討会でも様々な御意見を頂戴したところでございますけれども、この4月より無事、全面施行を迎えることができました。いろいろな基準策定などに御協力いただきまして、本当にありがとうございます。
昨年度の検討会におきましては、計7回にわたりまして、濃度基準値や基準値設定物質の測定方法などについて御検討いただきました。その報告書を踏えまして、112物質につきまして濃度基準値の告示及び当該物質等の測定方法を示すための技術上の指針の改正を行うこととしまして、先般の4月26日の安全衛生分科会で報告をさせていただいたところでございます。
また、報告書の取りまとめ以降も、労働安全衛生法におけます化学物質の危険有害性の通知に関しての課題、特に成分情報が営業上の秘密に該当する場合の取扱いについて御議論いただいているところでございます。今年度におきましては、昨年度の積み残し57物質に加えまして、新しく167物質につきまして濃度基準値や測定方法を御検討いただくこととなっております。さらに、化学物質の危険有害性の通知における営業上の秘密の取扱い、作業環境測定における個人サンプリング法の適用物質の拡大につきましても、引き続き御検討いただく予定となっております。本年度も、非常に多岐にわたる課題を御議論いただくことになりますけれども、先生方におかれましては、それぞれの御知見、お立場から忌憚のない御意見を頂ければ幸いというふうに考えてございます。今年度もよろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 小林部長、ありがとうございました。それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長 城内です。今年度もよろしくお願いいたします。ではまず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○化学物質評価室長 資料の確認をいたします。本日の資料はお手元のタブレットに格納してございます。資料は議事次第と配布資料一覧、資料1、2、3、4-1、4-2、5となってございます。参考資料は参考1から参考8まで御用意してございます。会場にお越しの構成員の皆様方におかれましては、タブレット中の資料に抜けなどございませんでしょうか。また、オンラインで参加されている先生にも、資料を事前にメールで送付させていただいております。何か抜け等ございましたら事務局までお知らせください。本日の資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の方はそちらを御覧ください。資料の確認は以上です。
○城内座長 それでは、本日の議事に入ります。本日の審議の進め方ですが、議題1に入る前に、令和6年1月31日付けで公表されました、昨年度の本検討会報告を踏まえて、今月上旬に濃度基準告示や技術上の指針の改正が予定されていますので、まずは、事務局からその報告をしていただきます。その後、議題1、2と順に審議いただきます。まずは、濃度基準告示等の一部改正について事務局から報告をお願いいたします。
○化学物質評価室長 藤田です。資料1を御覧ください。先ほど、部長からも報告がありましたように、労働安全衛生分科会で4月26日に報告されております。明日、5月8日に公布の予定となっております。
めくっていただいて2ページ目を御覧ください。皆様、この内容は説明するまでもありませんので、今後の話等も含めて話をさせていただきます。※2の所を見ていただきますと、濃度基準値の設定対象物質は、リスクアセスメント対象物質がおおよそ2,900ありますけれども、そのうち800物質程度と見込まれております。令和4年度に御検討いただいた結果をもちまして、67物質が既に定められているところです。
3ページは、この検討会に関する説明で、先ほど部長からお話もありましたように昨年度、濃度基準に関しては7回、それ以外にも営業上の秘密等に関することなどで2回、御議論いただいたところです。
4ページ目を御覧ください。この改正の趣旨の所の上の箱の下から2行目、新たに112物質ということで、先ほど部長からもありましたけれども、昨年度御検討いただいた報告書を踏まえて、新たに112物質について濃度基準値を定めるということになります。実は、昨年度は約190物質を御検討いただいて、基準値を定めたのが119物質でした。
ご記憶にある方も多いと思いますけれども、7ページを見ていただきますと右側の箱に、すずが縦に5個並んでおります。すずなど、このように統合された物質がありまして、119の物質について基準値を定めていただきましたが、最終的に112物質の基準値を設定することとなりました。また、発がん性物質であるために、基準値が設定できなかったものとして決めていただいたものが4物質ありました。それから、発がん物質以外に文献等が足りなくて検討できないとされたものが6物質ありました。また、積み残し物質は57物質でした。先ほど部長の挨拶にもありましたように今年度も多くの物質、167物質と積み残し57物質を御検討いただくことになりますので、非常にタイトなスケジュールとなり、御迷惑をお掛けしますけれどもよろしくお願いいたします。
11ページに飛んでいただけますでしょうか。昨年度は濃度基準と同時に測定方法についても御検討いただきました。測定方法については告示ではなく、技術上の指針というところで定めさせていただきました。技術上の指針では、合計116物質の測定方法を定めたところです。この116物質は、先ほどのすずが測定方法の違いに応じまして、濃度基準は5つだったのが、測定方法は9つに分類しているので、少し数が多くなっております。また、昨年度の議論の中で、呼吸域のどこを測るのかという問題があったと思いますけれども、この改正の概要の(2)を見ていただきますと、技術上の指針の中で労働者の呼吸域(呼吸用保護具の外側の空気)の濃度を測定するというふうに明確にしたというところがあります。
また、発がん性物質、先ほど4つ決めていただきましたという話をいたしましたが、改正の趣旨の2つ目の○の2行目の所に、発がん性が明確であるため濃度基準が設定できないとされた物質、3物質について測定方法を追加することにしております。残る1つはリンデンでして、測定方法が昨年設定できなかったので、先送りになっているということです。先ほど申しましたように、公示日は明日を予定しております。適用とされるのは、濃度基準が令和7年10月1日となります。それから、測定方法のマスクの外側を測ってくださいねという部分については、即日の適用となります。以上が、資料1の御説明です。
○城内座長 ありがとうございました。今の事務局からの説明について、何か御質問や御意見等があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
では、続きまして議題1「令和6年度検討会スケジュールについて」です。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○化学物質評価室長補佐 資料の説明をさせていただきます。化学物質評価室の吉岡と申します。よろしくお願いいたします。
お手元資料の2を御覧ください。濃度基準値の検討の進め方ということで、こちら、昨年度と考え方は基本的には変わりはございません。基本的な考え方といたしまして、濃度基準値は有害性に関する文献に基づき決定をする、濃度基準値の検討に当たっては次の2点、測定方法が定められていること、有効な呼吸用保護具があることを考慮する。それから、濃度基準値は初期調査と詳細調査の2段階で検討するという形になってございます。
3、今年度の濃度基準値の検討スケジュールになりますが、濃度基準値につきましては各回最大40物質程度を対象としまして、その全体像を示しつつ議論をしていただきます。こちら、第2回から第8回の検討会の間でやっていただく予定になっております。また、測定方法につきましては、各回最大50物質程度を対象に測定・分析方法を御議論いただきます。こちらは第3回から第8回の検討会で行っていただく内容となります。また、第8回の検討会では今年度の積み残しを議論いただくとともに、全体像の取りまとめを行っていただくことを予定しております。
裏面に行っていただきますと、濃度基準値の設定までの流れということで、こちらも昨年度お示しした資料と同じ形の資料となっております。「専門家検討会」と一番左側にございますが、皆様に御参集いただいているこの検討会でございます。令和6年度の開催日程につきまして、既に1月21日までの回を埋めてございます。こちらで御議論いただくために、安全衛生総合研究所の中に専門家会議が設けられております。この図の右のほうになります。こちらの専門家会議の中で御議論いただいた上で報告書を取りまとめていただいて、その報告書の内容に基づいて、この専門家検討会の中で濃度基準値の決定などをしていただくというような流れになってございます。こちら、昨年度と大きな流れは変更ございません。
続きまして資料3を御覧ください。この検討会での当面の検討事項と今年度の検討スケジュールということでございます。この検討会の中での当面の検討事項としまして大きく3点、濃度基準値の関係ということで対象物質ごとの濃度基準値、対象物質ごとの測定方法を御検討いただきます。また、測定関係ということで作業環境測定における個人サンプリング法の適用物質を拡大するための御議論を頂きたいと思っております。3番目としまして、化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知などについて御議論いただくということで、安全データシート(SDS)の運用改善の方策、成分名等の秘密保護のための仕組みの検討ということを御議論いただくことを予定をしております。
2としまして、今年度の検討スケジュールでございます。第1回検討会は本日、5月7日の14時から17時という形になっております。続いて、第2回が6月10日、この第2回から濃度基準の検討を始めていただく予定としております。続いて第3回、こちらは6月24日開催予定としておりまして、この第3回から後半ということで、対象物質ごとの測定方法の検討から開始していただく予定としております。おめくりいただいて第4回、第5回とございます。最後、第8回が来年1月21日を予定しております。予備日としまして2月10日を設けております。ここまで今年度に御議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
続いて資料4-1、4-2について御説明させていただきます。資料4-1が今年度新たに御検討いただく予定の対象物質167のリストでございます。濃度基準値、それから測定方法、それぞれについて数字の1~4、1~5という数字がございます。これは御検討いただく順番についてカテゴライズしているものになります。濃度基準値については1~4、測定方法については1~5という数字がありまして、先ほどの資料3に、例えば毒性グループの1について検討するというような場合には、濃度基準値の1について、このグループの中から御議論を頂くということを予定しているというような数字でございます。
同じく資料4-2を御覧ください。こちらが前年度までの積み残しということで、全部で57の物質のリストです。こちらにつきましては、先ほどと同じ濃度基準値測定方法それぞれの欄に数字がございますが、併せて既に部分的に御承認いただいている部分がございます。こちらについては何年度に承認済みという形で、その年度が記載されているというものでございます。この承認いただいていない部分について、改めて御議論いただくということを予定をしているところでございます。資料4-2まで御説明は以上となります。
○城内座長 今の事務局からの説明について何か御質問や御意見等あればお願いします。いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村でございます。前任の尾崎から申し送りということになりますけれども、検討のタイミングというか、安衛研での検討を頂いた後にこちらのほうで審議をするということなのですが、基準値の提案を検討会の直前に頂くということが多いというように聞いております。その際、私どもは日本化学工業協会会員のメンバーに検討していただいておりまして、その時間が十分に取れていないという現状がございます。一方で、安衛研での検討のプロセスもありまして、そこに時間を要するということも理解をいたしますけれども、日化協のほうで十分なエビデンス等を集める時間を確保したいというように考えておりまして、その時間が十分取れなかったような物質につきましては、検討会の際にこちらから申し上げまして、その次の検討会までに検討の時間を頂くことをお願いできるでしょうかということが1点、お願い事項というか、可能でしょうかという質問になるのかもしれないのですけれども、それについてお願いということでございます。
2点目はちょっと短いですけれども、安衛研のほうで検討された結果、報告書として出てくる、提案書という形で頂くのかと思うのですが、検討された際、議論になったような点につきまして、こちらの専門家検討会のほうでも御紹介いただけると、私どもの議論に資するかなというように思いますので、それをお願いできたらなと思っております。以上でございます。
○城内座長 事務局からどうでしょうか。お願いします。
○化学物質対策課長 御指摘ありがとうございます。昨年度からできるだけ十分に時間、少なくとも10日ぐらいは間を開けるように努力しているところでございますので、今年度も引き続き間を開けるように努力したいと思っております。ケースバイケースなのですが、これについては非常によく使われている物質で十分な検討が欲しいという御指摘があった場合、それは次回にまた再度検討するようなことはございましたので、常にそういうことが必要というわけではないと思いますが、そういった特段の事情がある場合には、あらかじめ御意見を頂ければと思っております。
それから、提案書として頂いた点について、論点となった点等につきましては書面でお配りするのはちょっと難しいと思いますけれども、こういう点が論点になりましたという程度のことを御説明するときに若干付け加える程度はできるかもしれませんが、その辺りでいかがでしょうか。
○大前構成員 ここに出てくる資料はその他のコメントも出てくるのでしたか、安衛研の中の。
○化学物質対策課長 出てきます。
○大前構成員 出てきますよね、そこの所にできるだけ書くようにはいたします。それは今、西村委員のおっしゃったこととぴったり合うかどうかは分かりませんけれども、とにかく議論になって、このような感じでこれは採用しなかったとか、あるいはこれを採用したとか、そういう意味でのコメントは付け加えることは可能だと思います。
○西村構成員 ありがとうございます。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。大前委員。
○大前構成員 すみません、私の記憶違いかもしれないのですが、資料4-2、番号でいきますとR4_90、炭化けい素、これはウイスカーが付くのではなかったでしたか。
○小野構成員 すみません、横から。ウイスカーが付きます。
○大前構成員 そうですよね。
○小野構成員 はい。
○城内座長 では、修正をお願いいたします。そのほかございませんでしょうか。ないようでしたら、次の議事に進みたいと思います。
続きまして、議事2「化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について」です。事務局から資料の説明のあと、論点ごとに区切って議論をお願いしたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○化学物質評価室長補佐 事務局から御説明いたします。お手元資料の5をお開きください。こちらは、昨年度の3月にも御議論いただきました「検討の論点について」というものをベースにしております。そこに、新たな御議論の中身を足したり、また資料を追加したりという形で作成をしております。
表紙をめくっていただきますと、検討項目が6項目あります。こちらについて、それぞれ御議論いただきますが、これから資料について一括で御説明をさせていただきます。3ページ以降になりますが、現行の規定などについて紹介しているページがあります。前回との変更点として、7ページを御覧ください。前回の検討の中で、保護具についての御議論が多かったことを踏まえ、保護手袋の選択方法についてということで、選択マニュアルについて1枚資料を追加しております。この手袋のスクリーニングの手順ということで左下にありますが、作業時間、作業の内容に応じて、使用可能な耐透過性クラスを確認していただいて、その中から手袋の最適なものを選んでいただくということを御覧いただけるようになっております。取り扱う物質に応じて、耐透過性クラスを満たす材質及び厚さを選択していただくということで、事業者の方が選択をしていただくためのマニュアルです。
次のページは、前回の検討会までの御議論についておさらいをしたいと考えております。青字の部分が、前回御議論いただいた部分、追加の部分となりますので、この部分を中心に御説明いたします。まず、適用される法令ということで、適用法令にはリスクアセスメント対象物であることを必ず記載をしてほしい。労基法関係、女性則の26物質や労基則第25条別表や関連告示で規定されている物質についても、できれば記載してほしいという御意見がありました。貯蔵又は取扱い上の注意の中で、濃度基準値については必ずSDSに記載してほしい、すぐにSDSに反映できない場合はメーカーに問合せがあったら答えてほしいという御意見を頂いております。またSDSの中には、有害性や疾病内容など救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきだという御意見を頂いております。
また保護具について、保護手袋の材料についてポジティブリストにすべきという御意見を頂いております。このポジティブリストとして、「ニトリルは駄目だ」と言われるとどうしたらいいかよく分からないので、推奨する物質や材料の情報が欲しいという御意見を頂いております。保護手袋の材料については、逆にネガティブリストにとどめるべきとの御意見も頂いております。リスクの見積りには化学物質のハザードと使用条件が必要で、使用条件についてメーカーは分からないということから、SDSの作成に負担が大きすぎる。まずは、軍手は駄目というような初歩的なネガティブリストから始めたいという御意見を頂いております。また、適切な保護手袋が選べるような記載にしていただきたいという御意見を頂いております。ポジティブリストとして、使用可能な全ての材料を記載するということは現実的ではなく、一方で最も防護レベルの高い材質の保護具、多層フィルムだけを記載されるとなると、価格面から現実的ではなくなって、適切な保護具を選ぶことができないということになりますので、それを避けるべきだという御意見を頂いております。
また、ユーザーが必要な情報は保護手袋の製品名であると。それが難しい場合には、保護具選定のための情報をSDSに記載してほしい。メーカーが物質の有害性に責任を持ち、一歩踏み込んだ形になります。一方で、保護具の記載については参考とするなど、記載されている保護具に限定されると受け取られないようにするべきだという御意見を頂きました。また、ユーザーが保護具を選択できないと、労働者の疾病防止という趣旨の法令改正の意味がないのではないかという御意見を頂いております。手袋だけではなく、防じんマスクについても、粉じん濃度に応じて求められる指定防護係数が異なるため、それを注記すべきという御意見を頂いております。
SDSの通知事項に変更が生じた場合の通知ということで、有害性情報、非常時対応や適用法令については、リアルタイムな情報更新が必要である。また、SDSが更新されても、更新されたという通知がやってこないということ。SDSの改正法令の対応については、新製品については施行日に対応できるが、既存の製品の適用の更新については、1年から1年半の期間を要しているのが実態である。保護具の着用に関する情報が伝わることが一番重要ではないかと考えているといった御意見を頂いております。SDSの記載内容の充実について、SDSを出す側と受け取る側の意見のギャップについては何十年も続いているので、SDSの記載を監視できる何らかの仕組みがあってもよいのではないか。また、SDSの記載の適正化には、メーカーとユーザーの対話を積み重ねることが重要ではないかという御意見を頂いております。SDSの作成者に対する情報提供ということで、SDSを作る人の労力を削減できるような工夫が必要ではないかということで、有害情報を集約したサイトを作るなどの提案を頂いております。
ここまでを踏まえて、本日御議論いただきたい論点ということで、1つ目は、成分及びその含有量について、CAS番号をSDSに記載するということでよいか。2つ目は、想定される用途及び当該用途における使用上の注意ということで、ここについては仮に使用上の制限を主として記載する方向とするとして、具体的にどのような記載が考えられるか。3つ目は、適用される法令ということで、特別則の適用物質、危険物に加えて、リスクアセスメントの対象物、皮膚等障害化学物質、がん原性物質、濃度基準値設定物質については、該当するという旨を必ず記載するということでよいか。また、労基法の女性労働基準規則第2条第1項第18号の妊娠中の女性を就かせてはならない業務の対象物質や、労働基準法施行規則第35条及び別表1の2で定める業務上の疾病の対象物質についても、記載を求めるかどうか御議論いただきたいと考えております。
貯蔵又は取扱い上の注意として、SDSの中に有害性や疾病内容など、救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきか。難しい場合は、その問合せ先として日本中毒情報センターなどを記載をするべきかということについて、御議論いただきたいと考えております。
12ページです。保護手袋の関係ですが、保護手袋の記載をどのように充実するべきか。保護具選択マニュアルにより選択可能であるが、混合物の場合ユーザーが選ぶことは負担が大きいということについて、全ての製品について適当ではない保護手袋の材料、ネガティブリストの明示を求めるということでよろしいか。単一の物質の製品であっても、適当ではないという材質は判断できるため。推奨する保護手袋の材質、ポジティブリストの明示はそのまま使用する製品、取扱い説明書等に基づいて混合する製品など、使用時の成分組成があらかじめ判断できる製品にのみ求めるということでよろしいか。
それから、保護具のポジティブリストを示す場合、以下の3点について留意することでよろしいかということで、1点目は耐透過性レベルが最も高い材料、多層フィルムなどだけを明示するということをせず、使用可能な選択肢を幅広く示す。2点目として、使用方法が取扱い説明書などで詳細に決まっている製品など、耐透過性レベルが特定可能な場合は、製品名や型番といったものを明示をする。3点目は、ポジティブリストを明示する場合は、ポジティブリスト以外でも事業者が選ぶことができるということを明示するといったことに御留意いただくということでよろしいか、御検討いただきたいと思っております。
保護手袋の厚さについては、次のいずれかということで、1点目は、事業者が作業内容や作業時間によって必要な耐透過レベルを決定し、厚さを選択するということを明示する。2点目は、取扱い説明書で指定する標準的な使用方法に基づいて、必要な耐透過性レベルが特定できる場合には、必要な耐透過性レベルを記載するとともに、保護手袋の材質及び厚さを明示する。これは、製品名でも構わないとする。このいずれかとすることでよろしいかということです。
また、呼吸用保護具の記載について、どのように充実するべきか。防毒用と防じん用の違いを明記するということでよろしいか。また、防毒用の場合、使用すべき吸収缶の種類を明記するということでよろしいかということです。
引き続き、譲渡提供前のSDSの提供について、13ページを御覧ください。リスクアセスメントの結果に基づく措置として、代替物を検討するために、購入前にSDSの提供や閲覧を認めるべきか。認めない場合、どのような代替措置が考えられるか。SDSの通知事項に変更が生じたときの通知ということで、有害性情報、非常時対応や適用法令について、迅速なSDSの更新を実現するために、どのような方法が考えられるか。SDSの交付を電子化し、その電子情報の配列を標準化することにより、川上、川中、川下、ユーザーそれぞれの電子システムに直接入力可能とする。これにより、SDSの更新に要する時間の短縮をすること。SDSの更新時に、エンドユーザーまでその情報を適切に伝えるため、SDSが更新されたことを電子メール等で譲渡先に伝達すること。そのほかに何らか方法があるか、御検討いただきたいと考えております。
SDSの作成者に対する情報提供等の支援ということで、「人体に及ぼす作用」の更新について、国が有害性の区分や濃度基準値などの変更情報をメーカー団体に提供するような仕組みが必要ではないか。また、国のGHS分類のデータベースを用いた中小事業場に対するSDS作成支援といったものがあるということの周知が必要ではないか。それから、SDSの記載内容の充実ということで、SDSの記載の適正化にはメーカーとユーザーの対話を積み重ねることが重要であるため、事業者団体により両者の対話の場を常設すべきではないか。ただ、これらについて履行確保の方法ということで、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかという点について、御議論いただきたいということです。
14ページです。2、営業秘密として非開示にできるSDSの項目をどのように考えるかということです。こちらについて、前回の議論の中身ということで、19ページまで飛びます。営業秘密の定義などということで、営業秘密の定義としては、情報が公開されていないこと。申立者が情報が公開されないように合理的な手段を取っていること。開示によって、申立者に財産上の損失又は申立者の競合相手に財産上の利益を与えるといったことが要件として考えられる。これらを踏まえると、営業秘密を保持すべき期間は、情報が開示されるまでの間となる。営業秘密に該当するかという判断は、制度によってメーカーが自ら主張するというもの、行政が審査をするというようなもの。実際の運用の中では、そういった違いがみられるということについて、御説明しております。
また、成分名・含有量の非開示について、含有量については10%の濃度幅といっても、毒性の強いものの0.1%と9%では大分異なるので、有害性クラスによるのではないかという御意見を頂いております。また、有害性の区分にかかわらず、何でも開示をするという議論は、化学業界として耐えられない。区分1なら、成分名・含有量を出す。区分2や3なら、出さなくてもよいという仕組み。発がん性や生殖毒性、生殖細胞変異原性といった重篤な有害性を有するものについては、営業秘密による非開示の対象とせず、成分名を開示する。これらを前提として、成分名が営業秘密による非開示の対象となる場合の含有量の表示は、10%刻みでよいのではないかといった御意見を頂いております。
本日、この点について御議論いただきたいポイントとして、20ページです。営業秘密の定義として、先ほど御紹介させていただいたとおり、3点の要件を定めて、これを満たすというものがよいのではないかという点について、御議論いただきたいと思います。また、成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるかという点について、成分名は有害性区分1や重篤な健康障害を生ずる有害性クラスに該当する場合など、論点3で議論することとなりますが、こういったものを除いて、営業秘密に該当する場合は非開示を認めるということでよろしいか。含有量については非開示を認めず、上記成分名の非開示対象の物質についても、10%刻みを原則とする表示とすることでよろしいか、こちらについて御議論を頂きたいと思います。その上で、履行確保の方法として、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかということになります。
21ページです。3、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、営業秘密として非開示にできる化学物質の有害性の範囲及び濃度をどう考えるかという点になります。こちらについても、前回同様の資料については説明を割愛させていただき、26ページになります。
前回までの御議論ということで、青字の部分を中心に御説明いたします。有害性の高いクラスの物質は含まないとすべきかという点について、混合物としての有害性区分はユーザーへの注意喚起には役立つが、健康障害防止という意味では個々の成分の有害性のほうが大事。エンドポイントで判断をするべき。有害性区分にかかわらず、何でも開示しようという議論には、化学業界としては耐えられない。区分1に区分される物質の名称を出すことは反対しない。一方、区分2以下は、営業秘密に当たる場合、利益の根幹に関わるので、成分名を開示したくない。生殖毒性、発がん性、生殖細胞変異原性などの重篤な有害性を有するものについては、成分名を開示することに反対はしない。特別則適用物質やOELがある物質については、過去の災害の経験を踏まえ、開示対象とすべきといった御意見を頂いております。
また、SDSの有害性区分の問題点ということで、現状のJISの規定では、発がん性区分2の物質の含有量が0.5%だと、濃度限界が1%なので、混合物の有害性区分では発がん性区分2が反映されないことが許容されている。このため、SDSに発がん性物質名は記載されるが、発がん性区分2と記載されない場合があるとの御指摘を頂いております。こちらについて、本日御議論いただきたい論点として、27ページになります。重篤な有害性を有する物質は非開示の対象に含まないとすべきかということで、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性の有害性を有するものは、有害性の区分にかかわらず、成分名の非開示を認めないということでよろしいか。これらの有害性区分は、エビデンスの確からしさによる区分であり、有害性の強さによる区分ではないということにも御留意いただいた上で、御議論いただきたいと思います。
また、呼吸器感作性又は皮膚感作性と誤えん有害性は、有害性区分にかかわらず、成分名の非開示を認めないということでよろしいか。こちらについても、有害性区分がエビデンスの確からしさによる区分ということで、毒性の強さによる区分ではないということを御留意いただきたいと思っております。
3点目は、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、特定標的臓器毒性(単回ばく露、反復ばく露)は、区分1に該当する場合は成分名の非開示を認めないということでよいか。これらの有害性の毒性区分は、毒性の強さによる区分であり、濃度限界値が設定をされているということです。
4点目の急性毒性については、区分1から3に区分される場合は、成分名の非開示を認めないということでよろしいか。急性毒性の有害性区分については、毒性の強さによる区分ではありますが、急性毒性値によるもので、濃度限界値という概念は設定をされていないということに御留意いただきたいと思います。
続いての論点が、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、混合物の有害性区分に影響を与えない範囲の濃度のみを非開示の対象とするかという点になります。含有量がGHSやJISの濃度限界以上の場合は、混合物の有害性の区分に影響するということから、成分名の非開示を認めないということでよろしいかということになります。急性毒性には、濃度による非開示制限は適用しないという整理でよいか。また、混合物そのものの試験データがある場合は、濃度限界の概念というものはありませんが、その場合に非開示にできる範囲をどのように考えるかということを御議論いただきたいと思います。
それから、GHS分類の区分以外に、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲を判断するような基準というものはあるかという点です。最後の、履行確保の方法として、事業者がこれらの事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかということについても、御議論いただきたいということです。
28ページです。4、営業秘密として非開示とした場合、SDSにどのように表記をするのかという点になります。30ページに、営業秘密がある場合の一般名の作成方法について、資料を追加しております。
31ページからが、前回までの御議論の中身です。前回の検討会の中で、営業秘密に該当する旨を明示すべきかという点について、営業秘密により非開示とする場合には、「営業秘密」の文言を入れたほうが分かりやすくてよいという御意見を頂いております。一般名に置き換えるとした場合、置き換えのルールをどのようにすべきかという点について、代替名がないと物質がブラックボックスになってしまう。どういう系統であるか、どういう健康影響があるかや、物理化学的性状の特徴が分かるような代替名となるようなルールを作成すべき。どういう健康影響や物理化学的性状の特徴があるのか、代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきという御意見を頂いております。含有量の通知はどのようにすべきかという点について、含有量の表示は10%刻みでよいという御意見を頂いております。
これらを踏まえて、本日御検討いただく論点として、32ページになります。1点目として、営業秘密に該当する旨の明示をするべきかということで、「営業秘密」の文言を入れるということでよろしいか。2点目として、一般名に置き換えをするとした場合、置き換えのルールはどのようにするべきかということで、成分名を非開示とする場合、一般名の表示を求めるということでよろしいか。その場合、一般名は代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきということでよいか。具体的な代替名の決定方法、ルールをどのように定めるべきかということについて、御意見を頂きたいと思います。
3点目として、含有量の通知をどのようにするべきかということで、成分名が営業秘密による非開示の対象となる場合の含有量の表示は、省令で規定されているように、原則10%刻みでよろしいか。また、履行確保の方法として、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかについて、御意見を頂きたいと思います。
33ページからが、5、緊急事態による情報開示規定をどのように考えるかになります。こちらについて、前回の検討会の中での御議論は、35ページになります。情報の開示が認められる場面をどのように考えるかということで、何をもって緊急事態とするかという点の議論が必要である。医療上の緊急事態と産業保健上の必要という2つのケースに分けて考えるべきという御意見を頂いております。情報の開示が認められる対象者をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態でも医療関係者のみで対応するべきではない。自社の車で搬送する場合もあり、医療関係者以外でも物質名を聞けるようにすべきという御意見を頂いております。
情報の開示の手続をどのように考えるかという点について、誰が誰に聞けばよいのかというルートを明確にしてほしい。中小零細でばく露事故が起きたとき、どうするべきかということを念頭に考えるべき。緊急対応中にSDSを見るということは困難であり、連絡先も分からない場合があるといった御意見を頂いております。
医療緊急時の支援体制をどのように考えるかという点について、医療関係者に物質名を報告されても、多くの場合どういうものか分からないということで、治療方針を助言する支援体制が必要である。その場合、24時間365日の対応が必要となるという御意見を頂いております。SDSの中に有害性や疾病内容など、救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきだという御意見を頂いております。
これを踏まえて、次の36ページに本日御議論いただきたい論点として、情報の開示が認められる場面をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態と産業保健上の必要のある場合の2つについて、情報開示を求める場面としてよろしいか。情報の開示が認められる対象者をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態については、医師や看護師などの医療従事者の開示を認めるということでよいか。また、それ以外の方でも、事業場の緊急対応要員にも開示を認めるべきか。それから、非緊急事態については、産業医、産業保健師、衛生管理者、化学物質管理専門家などに開示を認めるということでよろしいかというところの御議論を頂きたいと思います。
また、情報の開示の条件をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態については、ばく露した患者への医療上の措置のために成分名が必要な場合に開示を求めることができるとしてよいか。それから、非緊急事態ということで、産業保健上の必要性の場合には、産業保健上の次のような必要がある場合、成分名の開示を求めることができるとしてよいか。1点目として、ばく露する労働者に対する健康診断、治療、その他健康影響の把握。2点目として、ばく露する化学物質の有害性の評価、作業環境測定の実施、個人用保護具の選択、工学的対策の設計等の必要性で、成分名の開示を求めることができるとしてよろしいかということになります。産業保健上の必要性については、産業保健関係者又は化学物質管理専門家等が判断をするということでよいか。中小零細事業場では、地域産業保健センターの医師なども、その必要性を判断できるとしてよろしいかという点です。
また、次の37ページは、情報の開示の秘密保持をどのように考えるかという点です。医療上の緊急事態においては、情報開示の条件として、医療関係者には秘密保持契約を求めず、医療従事者としての守秘義務で対応することでよいか。医療従事者以外の者についても、事後的に秘密保持契約を結ぶということでよいか。また、緊急事態ではない場合、産業保健上の必要なときには、情報開示の条件として秘密保持契約を求めるということでよろしいか。
次は、情報の開示の手続についてです。医療上の緊急事態については、医療機関から直接製品の製造者に電話等で問い合わせるということでよいか。この場合、書面は要さないということになります。SDSを医療関係者が入手できない場合、事業場の緊急対応要員が製品の製造者に電話等で問い合わせることを認めるか。夜間等に災害が発生した場合の製品の製造者への問合せ先をどのように確保するべきか。また、産業保健上の必要性の説明をする書面を添えて、製品の製造者に開示を求めるということでよろしいか。
医療緊急時の支援体制についてどのように考えるかという点です。医療関係者の診断支援としては、日本中毒情報センターの「中毒110番」等を紹介するということでよろしいか。また、SDSの中に有害性や疾病内容など、救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきか。また履行確保の方法ということで、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかということの御議論をお願いいたします。
38ページからが6、行政機関への非開示情報の開示等の必要性をどのように考えるかです。40ページに移ります。前回の検討会の中で、行政が違法性の判断に用いるのであれば開示が必要だという御意見を頂いております。これについて本日御議論いただきたいのは、製品の製造者が営業秘密の非開示事項を決定するに当たっては、行政への届出等は求めないということでよろしいか。その代わりとして、営業秘密が適切に設定されているかの確認のため、労働基準行政機関への開示義務を課すことが必要ではないか。例えば、現状の安衛法第100条第1項から第3項に基づく報告徴収規定では、個人が化学物質を譲渡・提供した場合(個人輸入等)のときには対応できないということから、所要の改正を検討すべきではないかといった点についての御意見を頂きたいと考えております。資料5についての御説明は以上です。
○城内座長 非常に広範にわたる説明をありがとうございました。それでは、論点ごとに検討を進めていきたいと思います。ダブっている所もありますので大変かなと思いますが、まず、11~13ページの検討項目について御議論をお願いしたいと思います。
11ページ、SDSの成分、記載すべき事項等ですが、ここについてどうしましょうか。順番にいったほうがよろしいですか。成分及び含有量、想定される用途及び当該用途における使用上の注意、適用される法令、貯蔵又は取扱い上の注意の所について御意見等ありますか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。資料の上からいかせていただきます。CAS登録番号をSDSに記載するということですが、実際、私ども日化協が出しているSDS対応ガイドラインというものにも、化学物質を特定できる一般的な番号ということで、CAS登録番号を挙げているところではあります。そういった意味で、書けるものについては書いていくということでいいのかなと思う一方、CAS登録番号は商業ベースで出されている番号ということになっております。ケミカル・アブストラクト同様、出しているものですので、使用する際にはライセンス費用が必要になるということがあります。CAS番号がない物質というものがあるということ。SDSにCAS番号を記載するということは、許容されているというのが状況としてあるようですが、法令でそれを指定するのは難しいかなとは考えております。
細かい話になるのですが、1つの物質に対して複数のCAS番号が設定されているものがあります。もう一方で、指定されたCAS番号が後日CASのほうで削除されてしまうという事態が起こることがあります。それは一切私どもというか、一般には通知されることがないもので、そうしますとCASの委員会としては、デリートしたものが生きていて、ただ一方でその番号で流通するみたいなことが現実には起こっております。そういったことでSDSに誤りがあるということが形式的に発生するのですが、それをもって罰則を受けるようなことがあるようだと、ちょっと困るなと、そういうことは避けていただければいいかなと思っております。以上です。
○城内座長 CAS登録番号については御意見、そのほかありませんか。
○化学物質対策課長 御意見ありがとうございます。CASについては御案内のとおり、言ってみれば民間が作っているものですので、SDSにCASを使う場合にライセンスは要らないというのは明示的に書いてありますので大丈夫だと思いますが、御指摘のとおり、法令上CASという言葉を書いて、CASでないと駄目だとするのは無理があると思います。何らかの形で、例えば化審法番号などもありますので、何らか特定できる番号を付すべきだという形にはしたいと考えております。以上です。
○城内座長 そのほかはありませんか。次の想定される用途及び当該用途における使用上の注意は、前回からも御意見がありましたが、具体的にどのような記載が考えられるかということですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 こちらは一般消費者向けリスト、いわゆる「混ぜるな危険」とか、そういった記載はありますので、それに類することを書いていただくというイメージで行政としては考えているのですが。そういうイメージでよろしいですか。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前構成員 使用上の制限の所で、例えば労災などがあった場合、急性中毒を考えた場合は、これはほとんどが換気の問題で使われているのです。だから、換気、特に蒸気圧が高い液体、もちろんガスそのものもそうですが、「換気の十分な所で使用すること」みたいな、そういう制限は掛けられるのではないかと思います。もし長期ばく露を考えた場合は、これはなかなか難しいと思いますが、長期ばく露をもし書けと言うのだったら、濃度基準値を超えるような所では使うなと。これは非現実的だと思いますので、急性の所だけは少なくとも書いたほうがいいのではないかと。換気がどうのこうのとか、これは絶対入れたほうがいいのではないかと思います。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 安井課長からありましたように、「混ぜるな危険」のようなものを書くのが1つのイメージだということですが、そういった「混ぜるな危険」的なもの、あるいは大前構成員から御指摘があった急性毒性的なものを想定した上で用途であるとか、その際の使用上の注意を書くのが比較的容易な製品がある一方、一般化学品などになってきますと、例えば急性毒性がないであるとか、特定の「混ぜるな危険」な状況が想定されないような物質もあるので、書ける物質については書けるかなと思う一方、書けない製品もあるかなとちょっと思っております。必ず必須で書くということになると難しさがあるかと思います。ただ、御趣旨は分かりまして、急性であるとか、特定の危険な状況が発生し得るものについては理解を申し上げます。
○城内座長 そのほかありませんか。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 今の「混ぜるな危険」のレベルでいくのでしたら、「食べるな、飲むな」というのも入ってくると思いますが、これは要するに、紛らわしい容器に小分けするなということがあるのではないかと思います。そうだとすると、子供が事業場に入ってくることは考えにくいですが、普通の人が手が届かない所に置けとか、何かそういうようなアドバイスも入ってくるのかなと。これはもちろんどのレベルまで書くかですが、一般の人たちが使う、あるいは個人輸入した人たちも対象ということでしたら、そのレベルも必要なのかなと思った次第です。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 今の御意見に反対するものでは全くないのですが、そうなのです、分かります。子供の手が届かない所とか、いろいろな注意があるのですが、それをたくさん書きますと、SDSがものすごく複雑になり得て、それは理解の上で御発言されていると思いますが、一方でSDSを作る側としては、適切に取り扱うのにふさわしいSDSにするためには、あまりたくさん書かないほうがいいかなというところもあるかと思います。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。急性毒性的なものであるとか、危険な状態に陥らないようにするということは書けるということで、あとは宮本先生からありましたが、「食べるな、飲むな」というような、まず容器に小分けにするときには、ラベルを貼らなければいけないというのは、別途の義務がありますので、恐らく法令で義務付けられていることまで書かなくてもいいのかなということもあります。あとは手に届かない所に置けとかというのは、毒劇法の世界では、そういうことも書かなければいけないこともあるのですが、多分、それは急性毒性とか比較的毒性の高いものに限られるのかと思いますので、他法令なども参考にしながら検討させていただきたいと思います。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 今の議論で感じるのですが、結局、書かれていないことで安心されるようなことがあってはいけないと思いますので、そこをどう工夫するのか。つまり、全てにおいて分かるものを書くのは必要ですが、逆にいきますと、私が昔、まだ若い学生の頃、化学品について、もちろん有害性がよく分かっているものは教科書にあるのですが、ないものは非常に怖い思いをしながら扱っていたのです。ただ、逆にSDSを見れば何でも分かるという形になったときに、しかし実際には分かっていなくて、書いていないものがあるとそれがかえって危険な扱いを助長するようなことがあってはならないので、そういった意味で書き方に工夫があるのか、SDSには分かっていることしか書いていなくて、分かっていないこともあるという書き方をするのか、それは逆に化学品を売る側の立場としては商売上の問題があるとか、そういうこともあるかと思いますが、SDSに「危ない」と書いていなければ、安全だと思われないような工夫も必要ではないかという気はいたします。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 あともう1点、可燃物が結構あるかと思います。これは是非「着火源がないような所で」と、その辺は入れたほうがいいかなと思います。それから、爆発限界があるのがありますよね。これは物化性状の所で恐らく情報として載っているのでしょうが、爆発などに関しても、注意書きを入れておくというのはありだと思います。
○城内座長 小野委員、お願いします。
○小野構成員 小野です。2点あります。先ほどの換気の良い所ということについてはもちろんですが、誤った使用状況として割と事故例として多いのが、スプレー型のクリーナーです。シュッとやってきれいにするとか、そういったものに有機溶剤が今完全に含まれています。それを大量に使って全体的な塗膜はがしとか、そういうことに使われてしまいますと、普通、スプレーのクリーナーで換気を余り気にすることはないのですが、近くでやって中毒になるという事例が毎年数例ずつ発生しています。ですから、「換気に注意」というのが、誤った用途のときに特に重要になるという場合があると思います。
あともう一点、今、大前委員からお話がありました可燃物とか引火物です。GHSのラベルには炎のマークが付いているので、それがあるときには絶対にそういうことをしないでほしいと思いますが、今言いましたようなクリーナーや、あるいはトルエンを作業着の汚れを取るために使って、その後タバコを吸いに行って、全身やけどという事例も割と多い状態になっています。
ですから、使用上の制限として、何が書けるのか、特別な事例を書くわけにもいかないのですが、炎のマークが付いていたら、絶対に火を使ってはいけませんということで、可燃とか引火については対応ができると思います。誤った使用についてどこまで書けるのか、書く必要があるのかということについて、はっきりした意見があるわけではないのですが、そういったことは書けるのかどうかということについて気になるところです。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。私の印象だと、これはGHSを日本語にするときもそうでしたが、注意書きの中には、ほとんどの懸念は入っているのです。しかし、こういう議論になると、GHSで書いてある注意書きと、一般に言われているのがリンクしないのです。リンクさせることができるはずだとずっと思っているのですが、なぜか定型の文言はそのままでずっときていて、別のこういう表現も入れたらどうかという議論がいつも起きるのです。危険有害性情報は定型情報としてありますが、注意書きにも文言はいっぱいそろっています。これを決めてくださったのはもともと日化協なので、その辺はもう少し工夫していただくと、さらに使いやすいものになるのではないかと常々思っております。今後、よろしくお願いいたします。そのほかいかがですか。
それでは、次にいきたいと思います。適用される法令ということで、法令上義務が掛かっているものについては、詳細というか、リスクアセスメント対象物であるとか、皮膚障害等化学物質であるということを書きましょうということだと思います。従来は、安衛法対象物質ということで済んでいたのを、もう少しきちんと書くべきではないかということだと思いますが、これについてはいかがですか。御意見をお願いいたします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 補足させていただきます。特別則適用物質とかリスクアセスメント対象物というのは、法令の適用があって、その適用を受けると何らかの法令が、要するに義務が掛かってくるというものですが、例えば、下にある労働基準法施行規則第35条というのは、要するに職業疾病として認めるかどうかという基準で、この第35条に該当があるからといって、何か義務が掛かるものでもないということで、そこは分けて御議論いただければと思います。
○城内座長 いかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 この資料の下の方のものを記載していただいてはどうかという意見は、私が以前この会議で申し上げたものと思いますが、直接の規制ではないというのは、今、事務局から御案内のとおりなのです。実際に産業保健上、問題となる疾病が出ていないかということを考えるときには、この物質で過去に労災認定がされていると、この物質だとこういう病気が出るということで認定されている、そういう情報を得る上では、労基則第35条の別表は非常に有効なものです。代表的なものは本表に書いてありますが、その他厚生労働大臣が指定するというものは、この間も申し上げましたが、すぐ出てこなくて、自分で探そうと思っても意外と難しい。できればそういうところも書いていただいたほうがいいということで意見を申し上げました。もう一度、しつこいですが、こういう趣旨で申し上げたということを言っておきます。
それから、女性則のほうも、こちらは基本的には生殖毒性があるということで選ばれた26物質ですが、一般に誤解が多いのは、妊産婦に適用されると思っている産業医学関係の先生たちも非常に多いのです。実はそうではなくて、これは全ての女性に適用されます。ただ、基準があって、第3管理区分では使用してはいけない、マスクも駄目ですよということで、特別規則の対象物質について上乗せの規制みたいなものが女性則で掛かっています。ただ、ここも一般の女性全部に適用されるというのが、意外と産業医学関係の方々が御存じないようですので、その辺りは注意していただく必要があるのかということで発言をさせていただきました。一応、その辺りを念頭に御議論いただければと思います。以上です。
○城内座長 そのほか御意見はいかがですか。
○化学物質対策課長 今の御意見ですと、適用法令と労基法第35条では少し違うかと思います。要するに、何も適用されていませんので、そういう意味では適用法令の中に労基法第35条を入れるのは、今の御説明の趣旨とは少し違うかと思います。
では、SDSはほかに書く所があるのかと言いますと、過去の災害などを書くその他情報みたいな所がありますので、先ほど小野委員からもありましたが、要するに誤った使い方で災害が起きたとかいうのを書ける欄はありますので、そういった所に書くことが望ましいみたいな感じで整理するのがいいのかなと思いました。
○城内座長 いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 きちんと意見になっていないかもしれません。今、御指摘のあったように、適用法令の所に書くのが適切でないときに、「その他」に書くと一番後ろになってしまいますので、そこが一番いいかどうか本当はよく分からないので、また相談できればと思っております。すみません。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 今の話ですと、第35条については、有害性の根拠として既に専門家の認定で、この物質でこういう障害、こういうものが起きるよということになっているので、GHSのJISだと項目11、個別の有害性情報の所にそういうものを書いていただくということで、一部対応できるのではないかという気もいたします。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。最初の特別規則適用物質等々、リスクアセスメント対象物質等々については、該当する旨を必ず記載するということでよいかということで聞かれていますので、よいでしょうか。ここは私は、個人的には非常に重要な情報だと思っていますが。平林委員、お願いします。
○平林構成員 平林です。それは決まっていればきちんと書いていただきたいと思いますが、もう1つ、そこに付け加えていただきたいのは、その物質がいつ基準になったかという公布日とかを書いていただかないと、もし途中で基準が変わったとか、そういうことになったときに、この情報がどれだけ新しいかということがある程度分かるようにはしておいていただきたいと思いました。以上です。
○城内座長 西村委員、よろしいですか。
○西村構成員 御趣旨を少し確認させていただきたいと思います。何を気にしたかと言いますと、指定の日を書く必要があるものもある、あるいは例えば管理濃度みたいに、更新が行われていついつの更新というものがはっきりあって、それが重要なものがある一方、1回指定されてしまえば、年月日を遡る必要はもはやなくて、それを遡って調べるほうが大変みたいなものが一方であるので、一律に全部それが付くのは良いことではないと思います。
○平林構成員 もちろん、そのつもりです。更新があるものについてはということです。すみません、ありがとうございます。
○城内座長 適用される法令については、よろしいですか。それでは、貯蔵又は取扱い上の注意についてはいかがですか。この情報もたくさん書くと大変なことになるかなと思いますが、ある程度取捨選択が必要かもしれませんが、いかがでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 取扱い上の注意というか、誤って体にかかった等の場合、救急車への情報提供や初期対応についての問合せ先という所があれば、そちらに聞いて対応ということで、かなり必要十分な気がするのですが、中毒情報センター等に2,900物質のいろいろな情報がいくのかという問題もありまして、問われたほうが困るかもしれません。しかも、全国いつどこからレアなものが来るか分からないということになりますので、どういう準備状態が可能なのかによるのではないかと思いました。
○城内座長 ここはいかがでしょうか。
○宮内構成員 全く宮本先生の言うとおりだと思いますが、こういった化学物質を取り扱う事業場の規模として、10人以下の所も当然あって、化学物質管理者や保護具着用管理責任者がもちろん選ばれていると思いますが、兼務でやっているような仕事の中で突発的な事故が起きたときに、やはりどこかできちんとした、しかも短時間で情報を得るのは非常に重要かと思うのです。その辺をどうするかというのは、もちろんユーザーさんのほうに任せて構わないと思いますが、少なくとも拠り所となるような所を1つはきちんと書いておくというのは非常に親切なことかと思います。また、本当に時間がないときに対応することを前提にしますと、これをデータとすると私は非常に貴重なデータになるのではないかと思うのです。むしろ強調して、こういうのを書いておくというぐらいで私はいいと思います。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 これは特殊な物質だけは書いたほうがいいと思います。例えば、シアン系とかあるいはアルシン、硫化水素とか、そういうものは比較的急性毒性で命にかかわるものなので、これは書いたほうがいいと思うのです。それは、メーカーの方は知っているはずなのです。自分の会社で、むしろそれが漏れたら何が起きるかという情報は、恐らくメーカーの方は持っていると思います。メーカーの方が持っていらっしゃる急性毒性情報で、あったほうがいいものだけでもいいと思いますので、全部書くのは無理だと思いますので、その部分だけでよろしいと思います。
○城内座長 宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 今の大前委員の話はごもっともで、私もそうお願いしようと思ったのです。救急隊員や職場で緊急対応する人がガードなしで、例えば心臓マッサージしてしまったとか言うと、そこの吐息で既にばく露されるということもありますから、そういった救急対応する方々の安全を守るということに必要な濃度とか、かなり低濃度で障害が起こるというのでしたら、これは絶対に記載してもらったほうがいいだろうと思います。なので、救急の場に行って病院に着くまでの経路が問題ない方と、そこまでの経路で問題になる方は、少し区分けをする意味があるかと思った次第です。
○城内座長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。次に進みたいと思います。12ページ、保護具関係です。保護手袋の記載をどのように充実すべきか、呼吸用保護具の記載をどのように充実すべきかという所で、御議論をお願いいたします。ネガティブリスト、ポジティブリスト等々、よろしくお願いします。西村委員、お願いします。
○西村構成員 これも以前から、前任の者からも申し上げているとおりです。ここには「使用時の組成があらかじめ判断できる製品」という形で書かれておりますが、そこで使われている条件、状態、保護具の交換頻度等、それは指定でもいいのかもしれませんが、そういったものも非常に重要になってまいります。それ次第というところがあると考えておりますので、一律にポジティブリスト的なもので提供するというのはまた難しさがあるかと思っております。それを法令で求められてしまいますと、提供側としてはちょっと困るなと考えております。
逆に言いますと、今、建設業界のほうで業種別・作業別マニュアルを作っていらっしゃると伺っております。そういったもので個々、条件も含めた上で示せるような形で、時間は掛かってしまうのかもしれませんが、そういったものでやっていくのが現実的かと考えております。
○城内座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。今、建設業界のマニュアルの話が出たので、少しその話をしますと、我々建設業で化学物質を取り扱う場合は、例えば皮膚等障害に関しても、手をそのままどぶづけにしてやるという場面はほとんどないのです。作業をしているときにちょっと付くかなぐらいのレベルです。しかし、従前から我々の業界としては、手袋と言えば軍手だったのです。軍手若しくは素手で作業をしていたという文化があって、今回いろいろな厚労省さんの検討委員会の中で、皮膚等障害でいくと、浸透しない手袋、不浸透性の化学防護手袋というような御指摘を頂いて、確かにそうだなということで、我々の文化としてはポジティブ、ネガティブと言いますと、どちらかと言いますとネガティブになるのか。要するに、軍手は駄目よというスタンスで今は進めています。
現実的に調べていくと、ニトリルの手袋で何ミリ以上使わなければいけないというのは正式には出てしまうのです。3ミリとか4ミリとかいろいろ数字があるのですが、それをやってしまうとどうしても高価になって、誰のためのマニュアルかということを考えますと、実際に作業される方々のためのマニュアルなのです。ですから、先ほど申したように、軍手をつけていた文化は絶対駄目なのだよと。ではニトリルは、お医者さんがやっているような薄手の手袋でやれば、不浸透だから取りあえずはいいやという方向で、落としどころを見つけて今は進めているところです。幾ら高価な手袋はいいよねと言われたとしても、1枚5,000円もするような手袋を毎日使い捨てで、日当がそんなに高くない方々が使うわけがないのです。要するに、現実的なことを考えると、取りあえず我々業界として一歩踏み出そうということで、軍手からニトリルにいこうというような話で進んでいます。補足でした。
○城内座長 非常に貴重な御意見だと思いますが、ほかにありませんか。
○宮内構成員 宮内です。今の御意見はごもっともなのですが、事業主は基本的に適切な保護具を使用させるという義務が掛かっているわけです。そうすると、実際に何を使わなければいけないのかということを明確にSDSから読めないと、目的が達せないと思うのです。そのために選定マニュアルというものが作られたわけなのですが、そこには確かに、物によって非常に多くの材料が使われるとか、若しくは1つ2つ、例えば多層フィルムしか適用にならないとか、そういうことが実際にあるので、なかなか一概にポジティブがいい、ネガティブがいいという選択は難しくて、物質ごとに違うと思うのです。
結局、ネガティブでも、これは使えませんから注意してくださいということが伝わればいいと思うのです。ただ、間違いないのは、なるべく詳しく情報を伝えるほうが、ユーザーとしては非常に助かると思います。もっと言うと、製品名まで書いてあれば、本当にそのとおりで、例えば混合物であっても、この製品であれば問題はないということであれば、非常に助かるデータになると思うのです。だから、そこは主体として、まず考えていったほうがいいと思うのです。
製品名が駄目だという理由があれば、それはそれで構わないと思いますけれども、余り最初から制約した書き方はどうかと思うのです。あくまでも参考として載せるというような、推奨するというのでもいいと思うのですが、そういう書き方で私はいいと思います。SDSはハザード情報で明確ですが、保護具は使用時の状況により影響を受け、使用可能時間等は変わることがありますので、断言する書き方は慎重にすべきと思います。ハザードに関する情報でありますが、保護具を選択する部分はユーザーであり、詳細はメーカーと相談してもらう、選択の責任はユーザーにあることを明確に記載すれば良いと思います。それと単一の物質でしかデータがない場合は、幾つか組み合わせて使うという方法もありますから、そういうことも含めて書いていただきたいと思います。あと、材料と厚さと使用時間と作業分類、その辺が今回、特に保護具の選定マニュアルではきちんと分類されてマトリックスになっていますから、そういうことを含めた形の表現をしていただけるといいかなと思いました。
それから、呼吸用保護具のほうもついでに言うと、これは当然の話というか、どういうものを使うかというのは、防じん・防毒で違いますし、防毒マスクもたくさんありますから、そういうものをどう使うかというのは、そもそも基発0531などに出ていたように、きちんと使うということはもともと出ているので、これは確実に書いたほうがいいと思いました。以上です。
○小野構成員 小野です。私は、どちらかと言うとネガティブリストがあればいいのかなという気が最近はしています。それは、単一の有機溶剤で、余りにもニトリルだとすぐに溶けるとか、そういったような場合には書けるかなと思います。軍手が駄目なのはもちろんなのですが。
ポジティブリストについて、余りここにいっぱい書いたとしても、使う人がどう使うかで決まってくる部分が大変大きいのです。今、現場の声を聞きますと、化学物質管理者と保護具着用管理責任者、この辺が協力しながら保護具選定マニュアルを見て、化学系の物質を使っていると分かっている会社ですが、そういう人たちの中で、どういう使い方をすれば一番いいのかというのを考えて、それでリストアップして、各社でマニュアルのようなものを作ろうとして、そういう動きをしてくださっているところがあります。
せっかく管理者とか責任者を作っていますので、その人たちが資格さえ取ればいいやということで、それで法令を満たしているという形ではなくて、その人たちがきちんとマニュアルを使える能力を持っていく教育をしながら、SDSに何を書いていくか。その辺でフィードバックがまたくると思いますので、今、一概に、これを使いなさいというのを書くと、かえって混乱するのではないかと思います。材質に関しては、マニュアルを使えば選べますので、私は余り書き込まないほうが逆にいいのではないかと考えております。
○城内座長 小野委員、呼吸用保護具はいいですか。先ほど出ましたので。ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 私もネガティブリストのほうがいいと思っています。その理由としては、結局組合せなので、既に論点の所で混合物について書いてありますが、高くて性能がいいもの、一般論としてはその傾向にあるのですが、例えば混合物で違うものが混じったときに、かつ、実は主成分でなくて、毒性からすると、副成分のばく露を避けなければいけないというような場合が出てきたときに、なまじ主成分に関してポジティブリストがあると、今のリスクアセスメントに関する保護具の選定などの世の中全体の知識が確立する前に、逆に引っ張られて、誤った選択をするような可能性もあるのではないかということを危惧します。そういった意味で、とにかくこれは使ってはいけないというものを並べていくほうが、非常に重要なのではないかと思います。
あとは、ポジティブリストの場合、提供側が作っているときによく分かっていて、これはいいというような場合は、確かにあると思うのですが、材質を選んだとしても、実は製品ごとに性能が随分違うかもしれませんし、実際のところ、これを使って大丈夫だというお墨付きは現実には提供側としても出せないのではないかという気がしているので、まずはネガティブリストをきっちりと出すところから始めればいいのではないかという意見です。以上は保護手袋のことです。
保護具について意見を言わせていただきます。防毒と防じんは、あらかじめ選ぶというのは当たり前なのですが、難しいかもしれませんけれども、防毒マスクも結局、標準的な物質で破過の時間があって、活性炭でも付きにくい物質というのはちょっと分かっているので、これは標準的な保護具の性能で示されているものよりも抜けやすいというような情報が、法令の義務ではないですけれども、書けるものなら書いていただいたほうが、より労働者を守る情報としては有用な情報ではないかと思います。
○小野構成員 呼吸用保護具もよいということですので、お話させていただきたいと思います。今、鷹屋委員が御発言になった、例えば低沸点のジクロロメタンとか、分子量の小さいメタノールといったものが、割と抜けやすいというのは通達にも書いてあって、それらの物質は、データが出ているのはそんなに数が多いわけではないので、ある意味ネガティブリストにできるのかなという気はいたします。ですから、「早めの吸収缶の交換が望ましい」という一文を付けるぐらいはできるかなと思います。
あと、防毒と防じんなのですが、こちらに関しては、先ほどの使用用途との関係があるのですが、「スプレー塗装をするようなときには、防じんと防毒の両方でなければいけません」というような書きぶりが、使用用途との関連が書けるのでしたら、そこは重要かもしれないと思っております。それ以上のことは通達を見ていただくとか、あとは保護具着用管理責任者が責任をもって、社内でまとめていく、管理していくということで、対応していくべきかなと思います。
○城内座長 そのほかはございますか。宮本委員、どうぞ。
○宮本構成員 私は、手袋はポジティブリストにできないかと言った張本人でもあるのですが。というのは、皮膚については直接触れては駄目だということですが、その次の段階は、手袋越しに8時間浸していても大丈夫という完璧を求めているところで、間が何もないという感じがありまして、呼吸用保護具でしたら、指定防護係数と要求防護係数で考えるとか、防毒マスクは呼吸域濃度などと破過時間で考えるとか、少し対応するものがあると思うのです。しかし手袋になると、例えば作業というのは1時間とか、念のためとか、そういうものに対して、そんな高級なものを使う必要はないとか、こういう性能だったらこのぐらいの作業はできるというようなものがあるといいなというところでした。でないと、何でもかんでも完璧なものを装備しなくてはいけなくなってしまって、現実的でないというところにいってしまうので、今のSDSで情報を求めてみても、そのように読めてしまうところもあると思いました。
ですので、例えばニトリルだったら、ちょっと付いても15分は大丈夫とか、洗えば大丈夫とか、洗っては駄目とか、いろいろな情報があるのではないかと思ったところがあります。事業者が、どの手袋を使えば、今のこの人たちの作業に関してはリスクを許容範囲に収めることができるのかというところがないと難しいかなと思って、御発言させていただいた次第です。とにかく、直接タッチは駄目だけれども、あとは完璧にしないと駄目というような、間がないというのが、ちょっと苦しいなと思って、それでポジティブリストにならないかという発言をさせていただいたところです。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 今の真ん中の所がないという意見に近いところですが、そういう意味で、業種別・作業別マニュアルの作成の取組の中というのもありますし、あと、経団連で新設された化学物質管理のワーキンググループ等で、そういった議論を進めようとしているところです。日化協というか化学業界のほうも、そういった場で貢献をしてまいりたいと思っておりますので、業界を超えたところの知識の積み上げをやっていくのが一番いいかなと思っております。
もう一点ありまして、呼吸用保護具のほうです。先ほど小野委員から御指摘があったように、使い方によるのではないかというのが、皮膚のほうではなくて呼吸用のほうにも当てはまると思っております。ちりが出る職場で毒物的なものを扱うということがあるので、その判断はメーカー側、化学物質を提供する事業者からは、必ずしもそれを指定しづらいところが呼吸用保護具についてもございます。逆に申しますと、ユーザーのほうで防じんなのか、防毒なのかという状況は、作業現場の様子を御覧になれば分かるのではないかという思いが1つあります。あと、防毒マスクの吸収缶の種類にしても、私どもから出すSDSを見れば、有機なのか酸なのか、そういったものを選ぶことに余り難しさは、化学メーカーのほうから見てしまうからかもしれませんが、さほど難しさがないのではないかと思っております。以上です。
○城内座長 小野委員、どうぞ。
○小野構成員 小野です。先ほど申し上げた防じんと防毒の両方が必要というシチュエーションについてです。例えば塗料を売っているときに、その塗料の使用方法にスプレー塗装に適していると使用用途を限定している場合があります。そういった場合には、両方必要というのが書けるのではないでしょうかということで、横で研磨をしていて、こちらの人は有機溶剤を使っているという、それについてまでは言及できないと思いますので、それについては使っているものについて、有機溶剤用のマスクでいいということで。
2つ目の御意見のほうなのですが、化学物質を知っている者にとっては、酸か有機かというのはすぐに分かるというお話なのですが、実は、それも余り分かっていない場合もあります。ですから、その場合には「有機ガス用のマスクが適しています」と書いてあげてもいいのかなと思います。そうでないと、防じんと防毒の取り違いというのも、年に数件の事故があったりするのです。ですから、そういう面で、これを使うときにはこういうマスクがいい、こちらはポジティブになってしまうのですが、それがもし書けるような場合には、難しくない範囲で書いてあげてもいいと思います。
ただ、こちらには書いてあるけれども、こちらには書いていないから何でもいいと思われるとか、こちらには有機と書いてあって、こちらには何も書いていないから、きっと有機でいいだろうと想像する人も出てきてしまうので、ポジティブがいいのかどうかということについては、勉強していただくしかないかなと思っています。
○城内座長 そのほかはよろしいでしょうか。時間も少なくなってきましたので、次に進みたいと思います。
13ページです。譲渡・提供前のSDS提供と、SDSの通知事項に変更が生じたときの通知、SDS作成者に対する情報提供の支援、SDSの記載内容の充実、履行確保の方法ということです。これについては、全体を通して御意見等があればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤でございます。代替物を使いたいときに、前任の最川からも話が出ていると思うのですが、購入しないとSDSを出さないというメーカーが結構あって、比較できないのです。ですから、要望すれば入手できるような仕組みができると。極論を言うと、同じような性能であれば我々としても危険なものは使いたくないですし、例えば水性で済むのであれば、塗料でも何でも水性で使えるのであれば、そういったものを使いたいです。そういった製品比較、性能比較はできるのですが、含有している化学物質を見る術がないので、こういったところも我々としては、今後は開示していただけると非常に助かる気がします。
私も化学物質関係の検討会にいろいろと出るようになって、いろいろなSDSを入手するのですが、非常に手間が掛かるのです。インターネットで申し込んで、それから返事が来て、やっとそのデータがもらえる。もっと言うと、データも出さないようなメーカーさんもあるので、その辺のところは、購入しないでもSDSを入手できるような。今後の議論になると思いますが、営業上出せない部分は置いておいたとしても、何が入っているのかは分かるようなデータは開示していただけると助かるかなと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。今、佐藤委員からありましたが、SDSは安全性を伝えるために営業秘密ぎりぎりのところまで出しているという事情もありまして、選んでいただく行為の中に商業的な行為ということもあるために、購入していない方にも一般公開、幅広く公開というのは各社難しさがあるというか、逆に、積極的にこれを見せて、それを商売上にするということも一方で可能ではありますが、示すのが難しいという事業者もあると思っておりまして、一律にはなかなか難しいかなと思っています。手間が掛かるとおっしゃっていたのですが、そのような方法で、一つ一つ請求をしていただくような形になるかなと思っています。
○城内座長 代替措置が考えられるかという質問があるのですが、出す側として代替措置はあり得そうでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。用途というか、製品によって多分違って、今おっしゃったのは、油性の塗料から水性塗料というようなお話だったと思うのですが、このような場合であれば、我が社のこのペイントは水性アクア塗料、水性塗料だと宣伝する企業もあると思うのです。そういった意味では、御希望に非常に積極的に対応できるようなケースもあるかなと思います。あと、「ノンなになに」というような商品の宣伝の仕方というのがあるので。ただ、これはあくまでもSDSの中身の開示ということではなくて商業行為なので、私はこういうことを申し上げましたが、このSDSの開示にはなじんでいないかなと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。山室委員、お願いします。
○山室構成員 記載内容の充実について申し上げます。私は中災防で化学物質管理者の講習会をやっておりまして、事業所様でやる場合などについては、安全データシートを御提供いただいて、それに関連した講義をやりますが、よくできていない安全データシートもあるのです。講義の中で説明するときに、「これでは分からないから、メーカーさん、SDSの提供者に聞いてください」ということをお願いしています。ここにも書いてありますが、対話をしてレベルを上げていっていただくということがよろしいのではないかと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。ほかの項目でも、御意見等があればお願いいたします。事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 一番最後に履行確保の方法というのがございまして、先ほど西村委員からも、一律で求めるのは難しいというような御発言もありました。御案内だと思いますが、まずSDSの交付については、交付自体は義務なのですが、罰則がないということが1つあります。それから、ここで問題になっている、SDSの通知に変更が生じたときの通知が努力義務になっていて、義務になっていない。こういった問題がございます。何を書くべきかとか、そういう細かな議論もありますが、それに加えて、現状の罰則と努力義務の在り方というところにも御意見を頂きたいのですが、よろしくお願いいたします。
○城内座長 いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。SDSの提供側からいたしますと、しばしば免責の所に書いたりもしますが、SDSを作成する側としては、最大限の今ある知識をもって記載しているところではあります。なのではありますが、例えば先ほど申し上げた、CAS番号が変わってしまっているような例等、非常に多岐の項目にわたってSDSは記載しますので、どうしても意図せず過ちが生じてしまうことがございます。それを虚偽だということで罰則を受けるということになりますと、提供する側としては非常につらいと言うか、当たり触りのないところだけしか書きたくないという気持ちも起こってきますし、そういった方向が必ずしもいい方向だとは考えておりません。
○城内座長 そのほかに御意見はございますでしょうか。保利委員、お願いします。
○保利構成員 先ほど佐藤委員が言われたように、代替物を検討するときに、SDSがないと難しいということでした。私もそうだと思うのです。学生などに講義するときに、代替化を検討する場合,代替物の有害性が低いことをSDSで確認するようにということをよく言うのですが、公開できない部分が多いと困りますね。それに対して、求めている情報をどうやって取ったらいいかということをきちんと開示できるようなものがあればいいのですが、そういった何かというのはできるものでしょうか。それとも、無理なものは無理だということでしょうか。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。代替物ということであったときに、ケースバイケースだと思うのです。代替物と考えたときに、何のことを考えたらいいか分からないのですが。
○保利構成員 例えば水性と油性というのが分かりやすいのですが、使用目的は同じで中身が違うという場合です。
○西村構成員 例えば同じ単一物質であって、不純物が違うようなケースを想定されたりしますか。例えば単一物質の話にしてみますが、化学メーカーは、ある単一物質の製品を売るときに、我が社の製品は有害性が低いということを売りにするケースがあります。例えば不純物が少ない、発がん性物質がある閾値以下であるというような言い方をします。そういったようなケースがあり得ると思います。そういった場合には、むしろ積極的に出てくると思います。仕組みとして一律のものを作るというのは難しそうかなと思います。
○保利構成員 そうすると、例えばユーザーの要望に応える形で、何らかの情報を提供できるというのは言えるということでしょうか。
○西村構成員 日化協の西村です。ユーザーの御要望がある化学品の提供事業者があったとして、ユーザーからコンタクトを受けますと。ある物質について、「この物質については不純物による有害性が問題になっていますが、あなたの所ではいかがでしょうか」というような個別の相談には、各社は恐らく対応できるのではないかと思います。そういった形になってくるかなとは思います。
○城内座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。今、私は代替物を比較するのに事前にデータが欲しいというお話をしたのですが、実際の例を言いますと、例えば今回のように、化学物質関連の法改正があって、皮膚等障害の検討資料ができてきて、マニュアルができてきて、では、手袋はどのようなものを使おうかという比較をするときに、やはり必要なのです。
化学物質は何が入っているか、あのマトリックス表の中にエクセルでポンと突っ込んでみて、こんなに高い手袋を使わなければいけないものは駄目だ、もっと安くいけるものはどうなのかというような使い方になってこようと思うのです。我々建設業界は、化学物質の物質がどうだという概念はほとんどありませんので、何が危険だとか、何が危なくないという概念は一切なくて、今のように、いろいろなマニュアルができて、それを比較検討するときには使うと思うのです。一番いい例は、水性なのか油性なのかというのが、一番分かりやすいのですけれども。代替品を使うというのは、そういうような意味でも、これからは重要になってくるのかなという気はします。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 私は研究機関にいて、現実の産業の相場感が分からない中で的外れなことを言っているのかもしれません。今、安井課長から、提供側の義務をどうするかというような話が出ましたが、佐藤委員からの話を聞いていて、現実に化学物質を使う側が化学物質のリスクアセスメントが義務化されている状態であれば、使う側が安衛法の義務を果たすために、そういったSDSなり記載が不十分で労働者を守りきれないというものしか手に入れられないということだと、最終的には提供側の製品が使用されなくなるということで、いわゆる法令上、提供側に義務を掛けなくても、時間は掛かるかもしれませんが、最終的には労働者の健康を守るために、最低限の情報は流通するというところに収斂するものなのかどうなのか。もし収斂するのであれば、それがいい形なのかなと思うのですが、一番最初に「相場感が分からない」と言ったのは、もしかして産業の現場にいない者が、的外れなことを言っているのかもしれませんが、本来なら、それも含めた自律管理なのではないかという気はしております。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。相場感が分からないということだと思います。本当に収斂するかどうかは、私も分からないのですけれども、基本的なところとして、私どもはSDSの作成ガイドライン等を出していますけれども、リスクアセスメントができないようなSDSを作成することは排除するように、日化協としてできることはそういったところかなと思っております。逆に私の個人的な相場感を申し上げますと、そういったようなSDSは出ていないと言ったら言い過ぎかもしれませんが、極めて少ないのではないかというのが、私の感触ではございます。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。
○西村構成員 履行のところから離れてもよろしいでしょうか。
○城内座長 はい。
○西村構成員 通知の変更で電子化、標準化とあるのですが、電子化の流れということはあってもいいのかなと思っています。一方で標準化のところなのですが、現在、SDSは既に流通しておりまして、各社によって、基本的な項目は同じですけれども、2か所に同じことを書いたりとか、より分かりやすくという気持ちだと思うのですが、そういったことをしている現状があって、各社の様式は、基本的な姿は同じでありながら、項目の順番などはまちまちでございます。そういった中で、項目の標準化というのは、現実的には難しい、ハードルが高いなと感じております。こういったことはいい流れだとは思うのですけれども、少し時間を掛けてやっていく必要があるかなと思っております。どういった場で議論するのが相応しいかというのも、相談していかなければならないかなと思っております。
○城内座長 そのほかはございますか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 今の標準化の話なのですが、今考えているのはどちらかと言うと箱です。要するに11個の箱があります。一個一個の箱の中は、幾つか小分けされているという情報があるわけですけれども、それを何段かのエクセルか何かに、紙のフォーマットに入力したら必ずCSVファイルに出るのですが、そのCSVファイルの順番は、とにかく統一にしましょうという感じなのです。だから、その箱の中に何を書くかというところまで標準化しようとは思っていないのです。
○西村構成員 日化協の西村です。箱の中の順番の標準化が割に難しいかもしれないと思っているところです。各社、よかれと思って順番を決めて書いていたりするもので、あるいは各社よかれと思って、同じ内容のものを3項と15項に書いたりとか、すぐには同意が難しいかなと思います。難しいというのは、やらないという意味ではないのですが、少し現実的には時間が掛かるかなと思っています。
○化学物質対策課長 いろいろと不安があるということで申し上げておきますと、紙のフォーマットを変えてもらいたいということは考えていないのです。今のありのままの形を何らかのフォーマットに入力したら、統一的なフォーマットでCSVが出てくるというものを作りたいということで、どういう紙でどう書くのかは、それぞれの各社で決めていただいて結構です。そういう、うまく変換できるソフトを作りたいという趣旨です。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。履行確保の方法はそれで、宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 宮本です。履行確保についてですが、できるかどうかはともかくとして、SDS交付に罰則がないというのは、2000年に義務化されて以降25年、四半世紀たとうというところですから、一段格上げをしていいのではないかという気がします。そうだとすると、変更通知が努力義務だというのもどのぐらい周知されているのか分からないですが、既に十分周知されているのであれば、こちらを罰則なしの義務化するという感じで一段引き上げるということで、今回の措置の実効性を担保することがいいのではないかと思った次第です。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。各国のGHSを調べた時期があって、GHSに基づいたSDSを交付しましょうということに各国でなっているわけですが、SDSの交付にはもちろん義務が掛かって罰則も掛かっていたりするのですが、日本もそうですが、中身には罰則は掛かっていないというか義務は掛かっていないので、中の情報がおかしいから罰則が掛かったという例は実はないのだそうです。多分、掛けられないからなのですが。ただ、それが問われるのは、事故が起きたときに、その情報がなかったがためにどういう事故になったかという、その大きさで跳ね返ってくるということは海外の例でも聞きました。でも、罰則を掛けるというのは、やはり業界としてはGHS導入のときからずっと反対意見みたいなのが当然あって、日本でも、私はいいところに落ち着いているかとは思うのですが、それは今、罰則を掛けたほうがいいのではないかという御意見もありましたが、ここはなかなか難しいところだろうとは個人的に思っております。
そのほか御意見等ございますでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 御指摘のとおり、使用上の注意の中に、例えば、保護具のこれが書いていないから罰則だという運用はあり得ないと思うのです。まず、そういう基準が作れない。ただ、私が申し上げたいのは、そもそもSDSを出していない事業場がまだ1割ぐらいあるのです。それが、行政指導に従わなかったら野放しなのです。それはどうなのかということがあります。あと、更新したときに、今、努力義務なので、更新したから通知してくださいと言っても、「いや、努力義務だから」と堂々と言う事業場はいっぱいいます、現実問題として。それは、義務化するというのが1つあれば、より強い指導ができるようになるということです。私が申し上げたいのは、中身、要するに箱です、箱レベルです。例えば16項目のうち第3項目がスコーンと抜けているとか、あるいは、そもそもSDSを出していないとか、そういうものにしか、もちろん法令違反というのは現実は問えないというのは前提です。
○城内座長 ありがとうございました。そろそろ次に進みたいのですが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、20ページに進みたいと思います。議論、論点はかなりダブっているところもありますので、効率的に行きたいと思います。営業秘密の定義ですが、ここについて御意見を頂きたいと思います。まず、営業秘密の定義、成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるか、履行確保の方法です。これは今の所ともダブるかと思います。これについていかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。賛成意見です。営業秘密の定義、含有量の10%刻み、現行ですが、これでよろしいかと思います。成分名についてはもっと後で議論があるかと思いますので、そちらのほうで意見を述べさせていただきます。以上です。
○城内座長 ありがとうございます。ほかに御意見等ございますでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 宮川です。前の会議でも申し上げたかもしれないのですが、ここに書いてある営業秘密の中で、ちょっと気になるのは、これを開示することによって競合相手に利益を与えるようになってしまうというところです。例えば、非常に毒性の高いものが入っていることを開示すると、これは売れなくなって競合相手に利益があるというのも、ここに該当するかどうかということなのです。そうすると、毒性が高いものが入っているものは営業秘密で明らかにしなくていいというのは、何となくユーザーの立場に立つと納得がいかないような気がするので、この定義はこれ以上難しくて書きにくいのかもしれませんが、その辺りはどうやって考えたらいいかというところをちょっと御検討いただきたいという気がします。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 後ほど論点3で出てきますが、毒性が高いものについては非開示を認めないというアプローチは、それには対応するということなのかと思います。
○城内座長 では、ここの20ページの論点については、基本的にはこういう方向で行くということでよろしいでしょうか。
では、続いて、27ページの論点に移りたいと思います。今の御質問の延長線上ですが、重篤な有害性を有する物質は非開示の対象に含まないとすべきか。リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、混合物の有害性区分に影響を与えない範囲の濃度のみを非開示の対象とするか。GHS分類の区分以外にリスクアセスメントの実施に支障のない範囲を判断する基準はあるか。それから、履行確保の方法は一緒です。いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。基本的には、重篤の有害性を有する物質は非開示の対象に含まれないとすべきということでよろしいかと思っております。ただ1点、付け加えていただきたい項目があります。混合物の場合で、有害性の区分を決めている成分以外の成分について、CBI保護を認めてもよいのではないかと考えております。ちょっと分かりにくかったと思いますが、何を言っているかというと、例えば、急性毒性区分1の当該成分が半分以上入っています、その結果が急性毒性の1になりましたという混合物があります。そのような混合物に急性毒性区分3を持つ成分が入っておりましたと。そういった場合には、急性毒性区分3を示す物質の名称についてはCBI保護を認めてもよいのではないかということです。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 有害性が高いものを除いて認めるということだと思うのですが、有害性が高いかどうかを判断するときに、2つコメントしたいのは、まず1つは、直前の発言にもありましたが、混合物としてのGHS区分が、例えば1になるから有害性が高いとか、GHSの混合物の分類区分を根拠に有害性が高い低いを判断するのは非常に誤った結論になる可能性があると思います。これは定量的に考えられないのです。例えば、発がん物質区分1だと0.1%入っていれば、もうそれで製品自体が区分1になるということなので、では0.1%入っているものは非常に発がん性が高いかというと、そうは言いにくいというところがあるのです。有害性が高い低いを考えるときに、最終的に混合物としての分類を考えるというのは、これはロジックとしておかしいところがあるので、本来はそれぞれの成分及びその含有量でもって考えないといけないということになると思います。
それから、2点目は細かいことなのですが、27ページの真ん中辺りで、呼吸器及び皮膚感作性と誤えん有害性は有害性区分がエビデンスの確からしさによる区分でと書いてあります。すみません、事前にきちんとチェックして意見を申し上げればよかったのですが、ここは必ずしもそうではなくて、有害性が高いか低いかというところの判断で定量的な判断がされています。どのくらいの濃度でもって反応が出るかというようなことで。皮膚感作性についてです。ですので、区分の番号が小さいほうが有害性が高い可能性があるので、この辺りはちょっと慎重に判断する必要がある。特に感作性に関しては、一旦、感作が生じてしまった人に関しては低い濃度でもって反応が起きる可能性があるので、そういう場合には非常に、言い方を変えれば有害性が高い状態になっているということなので、この辺りについては、慎重な議論をしていただきたいという気がします。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。
○化学物質対策課長 確認よろしいですか。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 今の西村委員の御意見は、まず確認したいのですが、今の話は、急性毒性とかみたいに毒性による区分がなされている場合の話ですよね。発がん性とかに当てはまる話ではないですよね。
○西村構成員 今、申し上げた例は、4番目に書いてあります急性区分1~3の、例えばの例ですが、これを申し上げておりまして、1となったときに、3が入っていますが、全体としては1なので、その成分をお伝えすることでいいのではないでしょうかという話です。ちょっと質問に答えていないでしょうか。
○化学物質対策課長 発がん性とかに関わる話ではないということでよろしいですね。
○西村構成員 ええと。
○化学物質対策課長 発がん性は区分1、2、3とあるのですが、それは単にエビデンスの強さで、例えばヒトのエビデンスがあるか動物のエビデンスがあるかどうかで、別に発がんの強さに基づいた区分ではないので、ですから、そういう議論は多分成り立たないと思うのです。
○西村構成員 ただちょっと思うところはありまして、エビデンスの強さ、つまり発がん区分は確からしさを示すものでありますため、1と2において、やはり1というのは非常に重要である。一方で、2に関しては、ヒトでの証拠がない、動物実験においてはある一定程度の制限が加わっていることがありまして、その違いはあるかとは思っております。
○化学物質対策課長 もちろん違いはあるのですが、例えば、リスクアセスメントをするときに、例えば量反応関係で見ると、それのエビデンスにはならないですよね。要するに、急性毒性の場合は明らかに違いますけれど。
○西村構成員 日化協の西村です。数値的な足し算という意味で、2が弱いからというポテンシャルの問題ではないので、そうではないと思います。
○化学物質対策課長 ないということですね、分かりました。それを前提にした上で、急性毒性みたいに、毒性によるATEなどが明らかに違うように区分されている場合で、今の御指摘でいうと、例えば区分1、2、3が入っているときに、もう混合物としての区分は区分1になっているから、区分3については非開示を認めていいのではないかという御主張。
○西村構成員 そのとおりです。
○化学物質対策課長 それについてちょっとお聞きしたいのです。一応、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲ということになっているので、毒性の区分3の場合について、それが非開示になることでリスクアセスメント上支障がないということはなかなか言いにくいと思うのです。要するに、個別物質別に有害性が違いますよね。例えば、区分1のものについては腎臓で、区分2については中枢神経系だという場合に、では区分3は神経系なのだけれど、その物質名を隠されてしまうと、その対策が取れなくなるという問題です。
○西村構成員 それはあれですよね、標的臓器毒性(単回投与)の話になってくるかと思うので、それはまた、どうなのでしょうか。
○化学物質対策課長 今の御議論は本当に急性毒性だけで、急性毒性というのは、要するに、言ってみれば死ぬか生きるかということしか区分はないから。
○西村構成員 そうですね、はい。
○化学物質対策課長 そういう細かいことはいいのではないかという御議論ですね。
○西村構成員 そういうことはできるのではないかと思うのです。
○化学物質対策課長 ですから、区分1を守っていれば、区分1として対応していれば、別にそこに区分2や3が入っていても、結局、より危ないところで死んでしまうから、という御議論ということですね。
○西村構成員 はい。
○化学物質対策課長 あくまで急性毒性に限定した御議論ということですね。
○西村構成員 今は急性毒性に限定してもいいかもしれないですね。
○化学物質対策課長 この辺については大前先生とか御意見いただきたいですが。そういう考え方でいいのですか。
○大前構成員 今のお話は、区分1が大量にある場合という意味ですよね。あとは、例えば、先ほど50%とおっしゃいましたが、半分は区分1で、あとは少ない量という、そういうお話が前提ですよね。そういうことですね。
○西村構成員 はい。
○大前構成員 でしたらあり得るかと思うのですが。ただ、プラスの秘密にしなくてはいけない物質であると。
○西村構成員 そういう状態であれば、区分の低いほうの物質については、秘密保護の対象としてもよいのではないかという考えです。
○保利構成員 よろしいですか、やはり含有量によると思うのです。ですから、1が非常に少なくて2がかなりメジャーであれば、やはりそちらのほうが問題になる可能性が高いと思うのですが、その場合でも1だけでいいという御判断でしょうか。
○大前構成員 今は1が多いという条件のお話ですよね。
○西村構成員 はい、そうですね。
○大前構成員 そういうことですよね。
○保利構成員 そうでない場合はどうするのだということですね。
○西村構成員 ええ、そうでない場合はどうするかですね。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 度々申し訳ありません。GHSの区分は、混合されたものがLD50に相当するものがどのくらいか、LC50に相当するものがどのくらいかを計算をして分類することになっています。急性毒性に関しては、混合物としての分類結果がそのものの急性毒性をかなり正確に反映するものになっていると思いますので、最終的に出来上がった製品がどの程度の区分に落ちるかでもって考えてもいいものに該当するような気がします。そうすると、全部開示しろと言わなくてもいい場合も出てくるのかということにはなると思います。ただ、頭に入れなければいけないのは、毒劇法の毒物相当が区分1と2、それから、区分3が劇物相当なので、そういうものをどう開示してもらうかというのは、考え方としては、少なくとも致死作用に関しては、混ざった状態でどの程度毒性を持つかということでもって判断するのが適当ではないかという気がしております。以上です。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 宮川先生からの御指摘があったのですが、毒劇法で区分1~3までは成分の開示がもともと求められていて、安衛法だけ外すというのはなかなか難しいという現実があるのですが。
○西村構成員 今、この話は、あくまでも有害性のみで対象となるような場合でして、ただし書が本当はあって、先ほど御指摘のあったとおり、安衛法でのリスクアセスメント対象物であったり、皮膚等障害化学物質とかそういったものに当たる場合は、もう当然CBIの対象にはならないのですが、有害性の部分に関した議論だけであるようなケースだと思っています。
○化学物質対策課長 毒劇の関係はいかがでしょうか。
○西村構成員 皮膚腐食性物質であっても、毒物相当かもしれませんが、毒物に指定されていないものがありますので、そういったものはまた対象ではないのではないかと考えております。
○城内座長 そのほか御意見ございますでしょうか。森委員、お願いします。
○森構成員 日印産連の森です。今の議論で、ここに「リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として」ということで、SDSを使ってリスクアセスメントをする我々ユーザー側にとっては、リスクアセスメントの実施に支障はないということは、有害性がないので、これはリスクアセスメントの対象物質ではないと理解してよろしいのでしょうか。もしそういう理解でいいのであれば、特にその物質についての記載は必要がないのではないかと思いましたが。
○化学物質対策課長 よろしいでしょうか。
○城内座長 お願いします。
○化学物質対策課長 こちら、2つ目のポツの「リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として」というのは、濃度の概念で使っております。これは濃度限界値というのがありまして、混合物の有害性の区分で、急性毒性は濃度限界はないのですが、例えば特定標的臓器だと10%とかあるのですが、それを下回っているものが仮に入っていたとしても、特定標的臓器としての有害性を混合物として評価しないというルールがあるのです。要するに、入っていないものとみなすというルールがあるので、そういう意味では、御案内のとおり、混合物のリスクアセスメントで、例えばクリエイト・シンプルのような簡易的なものを使うときには混合物の有害性を入力していきますので、その入力に反映されていないもののような、濃度ですね、今、議論しているのは濃度なのですが、そういう濃度限界値を下回っているような濃度のものについては、成分表示がなくてもリスクアセスメントに支障がないのではないかという議論をしております。今、西村さんと私がしているのは有害性の話なので、ちょっと次元が違うのですが。
○城内座長 そのほか御意見よろしいでしょうか。
○化学物質対策課長 あとちょっと、ほぼ急性毒性に議論が収斂されているのですが、区分3について、毒物に指定されていないもの、劇物に指定されていないものもあるから、それだけでも非開示にできないかという話だったのですが、リスクアセスメントの概念から言うと、毒劇に指定されているかどうかは実は余り関係なくて、毒性区分3はやはり3なのですが、そういった点はいかがですか。
○西村構成員 日化協の西村です。今、急性毒性の区分の話をしておりますね。それは、恐らく先ほど宮川先生のおっしゃったとおりでして、全体として区分1ということになりますので、リスクアセスメント上というか、製品の評価上は区分3のものが入っていてもそれで区分1になることはないので、支障がないのではないかと。毒劇の話はまた全然別な話ですよね、別な話だと思っております。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野構成員 安衛研の小野です。先ほど、というか再検討なさるかもしれないのですが、主成分が急性毒性の区分1、それ以外のもっと少ないものについて区分3という、それは間違いないかどうかというのを、今ここで結論を出せないかもしれないですが、そこは御検討いただかないと、区分3のものが圧倒的に多くて、圧倒的に多かったら非開示にはできないから大丈夫ですかね。また、区分3のものが、例えば経皮吸収で急性毒性を発揮する、それ以外のは吸入毒性というふうに、物質の体への侵入経路が違うような場合に、いや、本当にそういうのがあるかどうか分からないですが、そういうときに、量的なものの関係性とかそういうのが変わってくるのかと、ちょっと曖昧な状態ですが思いましたので。要するに、急性毒性1のものが50%以上のときとか、そういう何か制限がないと、やはり完全に非開示ということはできないかもしれないという懸念を持ちました。以上です。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 すみません、参考資料7をお配りしていまして、13ページに急性毒性の混合物の分類手順が入っておりますので、こちらを見ながら説明したほうがいいかと思うのです。参考7です。「GHSにおける混合物の有害性分類の考え方」の13ページです。こちらで、宮川先生が先ほどおっしゃったように、混合物のATEを計算する手段が急性毒性だけについてはあります。そういう意味では、混合物の毒性の区分というのがすごく信頼性が置けるというのは、この混合物ATEが計算できるからということです。小野さんがおっしゃったのは、ばく露経路です。経口、経皮、気体、蒸気、粉じん、ミストで違うのです。それぞれで区分の仕方が違います。ですので、経口と経皮でまたがっているときはどうなのかという議論は、確かに御指摘のとおりで、完全に1つの経口の中に閉じていれば、もう何かそれでいいような気がするのですが、それとは別にポコッと経皮で、また違う話になると、何か西村さんがおっしゃっているような単純な話にはならないかということだと思います。ここについては、もう少しきちんと検討する必要があると思います。
○城内座長 そのほかよろしいでしょうか。では続いて、ちょっと移動したいと思います。32ページをお願いします。営業秘密に該当する旨の明示をすべきか、一般名、代替名に置き換えるとした場合、置き換えのルールはどのようにすべきか、含有量の通知はどのようにすべきか、履行確保の方法とあります。含有量の通知は、前回から一応、合意が得られているかと思いますが、営業秘密の文言を入れるか、あとは、一般名に置き換えるとした場合どういうルールにすべきかということだと思います。この辺、いかがでしょうか。御意見等ありましたらお願いします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 ちょっとお時間がないのが恐縮ですが、30ページにEUのやり方で代替名の作成方法というのがあります。こちらに書いてありますが、成分名というのは母体化合物の構造と対イオンの構造及び光学異性体等々のこの4つの要素で決まることになります。そのうちの1つの要素を置換するか削除するという方法で隠せるというやり方を一次マスキングということで、そのうち2つ隠すことを二次マスキングといいますが、基本的に一次マスキングしか認められていません。置換の方法については、例えば母体化合物はここにありますように、オクタデカンとかがアルカンになるとか、あるいはフッ素がハロゲンになるとか、そういった形で置換をする。あるいは、置換位置番号は削除するやり方があります。これによると、右下にありますが、ものすごく長い正式名称が若干短くなって、ただ、最低限の情報は分かりますが、例えば置換番号や具体的な母体構造が分からなくなるので、どういうものか分からないことになるわけです。こういったやり方でEUはやっておりますので、置き換えのルールであるとすれば、こういうものがありますよというのが1つ御提案でございます。以上です。
○城内座長 御意見いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。御提案の内容の、32ページの営業秘密を入れることでよいかということなのですが、これについては賛成意見ということで申し上げたいと思います。含有量も先ほど申し上げたとおり賛成です。一般名でやる方法につきましては、今御説明がありましたように、基本的な官能基が分かるもので、比較的毒性を予測しやすいというか、これをやらないとやはりいけないだろうなと思うので、代替名をやるということでよいかなと。ただ、一段マスキングと二段マスキングがございます。一段マスキングの中でどれかを選ぶということでいいと思うのですが、中には一段マスキングだと構造によってはそのまま出てしまうようなケースもございます。そういったものにつきましては、何らかの申請とか許諾とか、何らかの形の届出かもしれないですが、何らかの形で担保を取った上で、二段階マスキングを認めていただけるようにお願いできたらと思っております。以上です。
○城内座長 そのほか、御意見等ございますでしょうか。おおよそいいのではないかということですが、事務局としてはそれでよろしいですか。
○化学物質対策課長 分かりました。御要望は理解いたしましたので、どういうやり方があるか考えたいと思います。どうしても二次マスキングしたい物質があるということですね。
○西村構成員 そうですね。
○化学物質対策課長 ごく限られているという認識ですね。
○西村構成員 そういうことだと思います。構造が、何というのでしょう、ある意味単純というか、番号を消しても構造から読めてしまうということですね。
○化学物質対策課長 分かりました。それはちょっと検討させていただきます。
○城内座長 ありがとうございます。そのほか、御意見等なければ。山室委員、お願いします。
○山室構成員 含有量の表示10%刻みという所ですが、クリエイト・シンプルを使って濃度推定するときに、25%以上、5%~25%未満、1%~5%未満、1%未満という4段階に分かれていて、それぞれ推定濃度が変わってくるところがありますので、最終的に詳細の開示を求めることができるということになっているので、いいかもしれませんが、手間を考えると、最初から低い所はこの範囲で示していただけると、ユーザー側はリスクアセスメントがやりやすいのではないかなと思いました。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。この法令の刻み方は実は任意になっていまして、例えば5%の次は15%に切ったり、自在に切れるのです。あるいは、別に10%でなくても、5%刻みでもOKなので、濃度が低い所については多分、実際は裾切値というか、濃度の限界値を下回るかどうかも知りたいでしょうから、そういった所は個別に交渉してもいいでしょうし、何らか我々がガイドライン的なものを示して、こういうときにはこういう区切りの留意点がありますよみたいなのをお示しするのは可能かと思います。
○城内座長 そのほかよろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 大前です。前回の議論ですと、今の一般名の話ですが、健康影響に関連した基をちゃんと付けましょうというようなお話だったと思います。前回出てきたのはイソシアネートだったと思いますが、そういうことはちゃんと入れて、一般名、代替名にするという理解でよろしいですか。
○化学物質対策課長 そうですね、この30ページの所に、有害性があるものであるかないかとかいう記載は実は余りなくて、だから、そういうのをこのやり方で一律というか、定性的に書けるかどうかはちょっと分からないのですが。
○大前構成員 とにかく問題は、健康影響の話なので、今のイソシアネートとか、あるいは酸無水物とか、あるいは場合によってはアミノ基とか、そこら辺がちゃんと分かるような代替名にしていただかないと、多分見るほうは困ると思います。そこら辺、何かうまい工夫があればと思いますが。
○化学物質対策課長 今のアミノの場合は、もともと置換するときの一般名がないので、置換基という一般的な名前にするらしいのです。ただ、先ほど申し上げましたように、この4要素のうちどれを隠すかというのは任意なのです。だから、アミノを残した上で、番号だけ必須というオプションがあります。だから、消し方でできるだけ有害性が分かるようにすべきだということを精神訓話的にうたうことはできますが、個別具体的にと言われると、ものすごくきつくて、そうなると個別物質別に行政が決めていかないといけないので、ちょっとそこは何かそういう精神論的なというか、こういうふうにすべきだということは申し述べられるのですが、個別具体的にこの置換基を隠してはいけないとかいうのを書くのは難しいかと思います。
○城内座長 小野委員、お願いします。
○小野構成員 安衛研の小野です。言い出しっぺなので、あれですけれども、31ページの所で、置き換えのルールはどうすべきかという議論があって、そのときに2番目の黒丸の2番目のマークの所ですけれども、どういう健康影響や物化性状の特徴があるか、代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきという議論がありました。今日検討する所では、2番目のドットの2つ目ですね、そこに代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきということでよいかと書かれていますので、これはきちんと残しておいていただきたいと思います。それで、わけの分からない状態になっていて、何かが起こったら、先ほど罰則の議論でありましたが、罰則にするわけではなくて、何か事実が起こったら、それは隠していたということだねということになるかと思いますので、ここの2つ目の所がルールの1番目というか、重要なポイントだと分かるようにしておいていただければよろしいかと思います。以上です。
○城内座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。本当のエンドユーザーの御意見を言わせてもらいます。ニックネームを付けるなり、マスキングするなりして、物質名を隠すということが今議論されていると思います。しかし、それについては「営業秘密」と書くのですよね。ということは、化学物質に詳しくない人間がSDSを見たときに、10%刻みで成分比が入っていて、それが何かがよく分からない状況の中で「営業秘密」と書かれているものが入ったら、有害性も含めて、それはもう気にしなくていいという考えでよろしいのですか。我々はそれについて考慮しなくてもいいという考え方で捉えていいということになるのでしょうか。エンドユーザーだと、そういう発想になろうかと思うのでお聞きしたのです。
○化学物質対策課長 27ページにあるように、まず重篤な有害性を有する物質は、非開示は認めません。その上で、濃度についてもリスクアセスメントの実施に支障のない範囲で、要するに濃度限界値を下回るものだけに営業秘密を認めるので、「営業秘密」と書いてあるもので、混合物としての有害性の区分に影響があるものはないということになります。ただし、例えば沸点が低いとか蒸気圧が非常に高いもので、非常に濃度が低くても、使用条件によっては大量にばく露する可能性はあるのです。ですから、災害が絶対に発生しないということは言えません。そういった場合については最後に出てきますけれども、開示をして医療機関でちゃんと治療できるような担保をした上で認めるということだと思います。
○佐藤構成員 今、安井課長に説明していただいたように、やはり我々としては「営業秘密」と書かれたら、もう何もしなくてもいいという感覚になってしまうわけです。だから今おっしゃっていたように、こういうときにはこうなりますということは、しっかり明示していただかないと。我々も業界に戻って、今度はこういうようになったよと説明するときに、「営業秘密」と書かれたら気にしなくてもいいけれども、こういう場面もあるので気にしろという話しかできないかという気がしたのです。皆様方のように、化学物質に対して詳しい方々はいろいろ分かるかもしれません。しかし、化学物質のかの字も知らない。我々がよく安井課長に言うのは、こと化学物質に関して、建設業界で働いている人間というのは赤ちゃんみたいなものなのですよ。そういった人間でも分かるような仕組み作りをしていただくと、我々としては助かると思いました。
○城内座長 私の理解だと、営業秘密というのは成分名と含有量というのがありますけれども、危険有害性には掛からないはずです。それはちゃんとラベルやSDSに書かなければいけないので、対応は可能だと思っています。よろしくお願いいたします。そのほかに、宮川委員。
○宮川構成員 今の発言は、非常に重要な点だと思います。27ページに書いているもの以外だとしても、分かってない有害性がある場合もありますし、27ページに掛からなくても、例えば濃度基準値はなくても、産業衛生学会あるいはACGIHやDFGが、許容濃度やばく露限界値を決めているものがありますよね。そうすると、どういう有害性があるかだけではなく、例えばアメリカでは基準値としてこういうものが、TLVやRELやPELで提案されていますと。その情報があると、含有量からクリエイト・シンプルなどにそこの許容濃度を入れることができるので、リスクアセスメントが大分定量的にできるようになってくると思うのです。ですから私は、物質名は隠してもいいと思うのですけれども、それについてどの程度入っていて、どの程度有害性があるかというのは、きちんと書いていただくのが一番重要なことかと思います。私の意見です。
○城内座長 宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 もしクリエイト・シンプルに入れる方法があるのだったら、それを書いてもらっておかないと使えないと思います。ですから物質名を「営業秘密」と言われてマスクをされてしまったら、これはクリエイト・シンプルに入れないという情報になってしまうと思いますし、例えば呼吸用保護具を使うとき、防毒マスクを使うときの破過時間にも関係しないということになってしまいます。そういう意味でいくと、有害性の余り大したことのないものだと解釈されて、リスクアセスメントから抜けてしまうのが実際のところだと思います。もし、有害性がそこそこあるのだったら、リスクアセスメントが義務なのですから、開示してもらわないとやりようがないという気もします。
○城内座長 あとは事務局にまとめていただきたいと思います。
○化学物質対策課長 御意見はよく分かりました。クリエイト・シンプルの場合は御案内のとおり、物質を全部入力するやり方と、混合物の有害性区分を入力するという2つのやり方があります。その後者が必ず使えるという前提になりますので、当然営業秘密として非開示を求める場合は、混合物としての全体の区分があることが大前提で、それは1つの条件として必ず置くことになります。
あと、濃度基準値等が定められていて、例えば個別にばく露を測定しなければいけないものについては、非開示は認めません。皮膚障害物質もそうです。ですから、そういったものは基本的に大丈夫だという理解です。ただ、先ほども申し上げたように、絶対に災害が起きないということは言えませんので、災害が起きた場合の開示先も、きちんと書いてもらうということで対応するということです。
○城内座長 実は、あと2つテーマがありますので、先に進みたいと思います。36ページと40ページの2つが残っておりますから、まず36ページから御議論をお願いしたいと思います。情報の開示が認められる場面をどのように考えるか、情報の開示が認められる対象者をどのように考えるか、情報の開示の条件をどのように考えるかということです。これについていかがでしょうか。コメント等をお願いします。川本委員、お願いします。
○川本構成員 情報開示の対象物質について、質問をさせてください。例えば、混合物だとSDSに通知対象物質、リスクアセスメント物質は名称や成分を記載するのが義務で、リスクアセスメントの対象物質でないものは、努力義務ということになっていますので、当然、営業秘密で非開示になるのはリスクアセスメント対象物質ということになります。今回、緊急事態で情報開示をするとしたら、結局リスクアセスメント対象物質のみになるのか、それ以外のものも考えられるのかという質問です。
○化学物質対策課長 法令上通知することが義務付けられているのは、リスクアセスメント対象物質です。それ以外はもともと義務付けられていないので、営業秘密ということで隠しても違法にならないのです。ここで議論になっているのは法令上、通知が義務付けられているにもかかわらず、あえて隠したものについての議論をしております。
○川本構成員 そういうことで、リスクアセスメント対象物質のみということが分かりました。
○城内座長 そのほかに。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 実際のところ、混合物の中で「営業秘密」という文字があったものを浴びてしまって緊急搬送となった場合に、それを自分たちの社員あるいは救急隊員、消防署などに、例えばここの製造物は営業秘密だけれども、連絡は本当に大丈夫ですか、教えてという場合のことかと思っているのです。それは、そういう方々だったら教えてくれるという意味ですか。それとも営業秘密という部分で隠されているのだったら、たとえそれを浴びてもそんなに問題はない、ほかの物質のほうで有害性があるのだったら、そちらからやってという意味なのか。取扱い上、ここはどういうシチュエーションを考えればいいのか、分からなくなってしまっているのです。どのような場面を想定すればいいのですか。
○化学物質対策課長 御指摘ありがとうございます。場面はいろいろ想定できて、一概には言えないのですが、いずれにせよ、ここで言う医療上の緊急事態というのは、何らかの臨床上の所見が発生しているときです。中毒症状とか、意識を失ったとか何らかだと思います。そこでSDSを見たと。そのSDSの中で、例えば中枢神経系や有機溶剤系で意識を失ったとか、ものすごく分かりやすいものだったら、いちいち開示しなくてもいいケースのほうが多いのではないかと思います。SDSを見ても、そこに書いてある有害性と臨床所見が合わない可能性もあります。そういうところ、あるいは、どうもはっきりしない、本当にここのSDS、営業秘密以外のもので発生したとは言い切れない、不安だという場合は開示請求をするという認識です。
○宮本構成員 ありがとうございました。そうだとすると消防隊ではなく、行った先の病院でかなり高度な医療体制の下で、きちんと所見が取られた後の話になるという、ドクターレベルの問合せを想定するのですか。
○化学物質対策課長 はい。諸外国では一義的に、医療従事者からの開示請求ということになっています。あくまでも医療上の処置の決定のために、成分名が必要な場合です。ただ、前回の議論はそうではなく、緊急対応要員にも開示を認めろという議論があって、ちょっと議論が錯そうしてしまったのですけれども、諸外国ではそういった運用をしていると聞いています。
○城内座長 いかがでしょうか。開示を求めるというのは多分反対がないと思うのですが、どのように開示をするかというのが、なかなか難しいと思います。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。情報の開示の秘密保持をどのように考えるかという、37ページのところで質問をしてもよろしいですか。情報開示の医療上の緊急事態の1つ目の行です。医療従事者以外は秘密保持契約を事後でやるとなっているのですけれども、医療関係者には秘密保持契約は求めず、医療従事者としての守秘義務で対応することでよいかとあります。医療従事者の守秘義務の範囲というのは、業務上取り扱ったことについて知り得た、人の秘密を漏らした場合ということですけれども、営業上の秘密もそれに含まれて、保護される対象になるのでしょうか。もし、そうでないのであれば、2つ目の医療従事者以外と同じ扱いにしたらいいのではないかと思っております。以上です。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。医療法は、もともと職務上知り得た秘密ということになっているので、その辺の解釈がどうなっているのか、私としてはそこで読めるという認識はしていましたが、読めるかどうかというのはもう一回、きちんと確認をしたいと思います。例えば、アメリカにも同じような制度があるのですけれども、医療従事者に対して守秘義務は求めないと、結構明確に法令で書いてあるのです。それは多分、事後的に取るにしても、現実的ではないのだろうと思います。プロフェッショナルな人たちにそういう義務は掛けないという感じだと思いますので、一応それとの並びで今考えているのです。
○城内座長 36ページ、37ページについて、そのほかにいかがでしょうか。ここも今日、結論が出る話ではないと思いますが、御意見をお伺いした上で、再度事務局で検討いただくことになると思います。もし御意見がなければ、次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 こういう特殊な例が起きますと、医師というのは論文にしたくなります。症例報告です。これはどうするのか。要するに企業のほうでやめろ、駄目だと言う可能性が大きいので、そこら辺をどう考えるか、もうちょっと考えていただきたい。基本的に珍しい例だと、当然症例報告をして広める必要があるのです。
○化学物質対策課長 一応36ページに提案させていただいているものについては、ばく露した患者に医療上の措置のために、成分名が必要な場合に開示を求めることになっておりますので、論文発表というところまでは、今回の開示の射程には入っておりません。そちらは交渉していただいてということになろうかと思います。
○大前構成員 交渉すると、ほとんどの企業が駄目だと言うのです。もうそれは目に見えているのです。ここら辺は日化協も駄目だと言うと思いますけれども、次のことがありますから、発表すべきものは発表しておかないと。
○城内座長 そのほかによろしいでしょうか。それでは最後の課題、40ページです。これは行政機関への非開示情報の開示等の必要性ということで、行政への届出をどうするかということです。これについて御意見等はありますか。
○化学物質対策課長 ここに書いてあるのは開示の義務です。開示の結果、先ほど申し上げたような、本来非開示対象でないものを非開示にしていることが分かった場合、違法だった場合の履行確保は別途あります。こちらについては、先ほど御議論がなかったのですけれども、ここは多分、罰則をもって担保しないといけないのではないかと考えております。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。賛成意見です。40ページで御提案いただいている6-3の2つのポツ、行政への届出は求めないということと、その代わりに安衛法第100条の第1~第3項と書いてありますが、そういったやり方でよろしいかと思っております。以上です。
○城内座長 そのほかに御意見等はありませんか。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 宮本です。こういうケースがあるかどうかが分からないのでお聞きします。「営業秘密」と言っておいて、だんだん業界に類似のものが出てきて、もう秘密ではないということで営業秘密を解除することがもしあるのであれば、それはどういうタイミングでSDSに反映するのかは、少し入れておいたほうがいいのではないかと思ったのです。そもそも営業秘密が解除されることはあるのでしょうか。
○西村構成員 日化協の西村です。営業秘密でなくなることは、多分あると思います。例えば、製品の期限が切れてしまったようなことであると思います。そうなった場合は定義上、先ほどの営業秘密から外れてくるので、そもそも対象でなくなることは1つあると思うのです。ただ、提供を受けている側はそれが分からないので、1つは、まずは定義から外れるのではないかと思います。ですから、保護される対象ではなくなってくるのではないかと思います。それで返事になっていますか。
○宮本構成員 宮本です。ありがとうございます。そうだとすると、それはどういうタイミングで営業秘密でなくなったことを入れ込むのですか。SDSの内容変更のときに出すというのはありますが、それに該当するのですか。
○化学物質対策課長 これは御議論いただきたいと思いますけれども、20ページに営業秘密の定義として情報が公開されていないことと、情報が公開されないように合理的な手段を取っていることというのがありますので、それがなくなってしまえば、まず営業秘密の定義からは外れて、法令上非開示が認められなくなります。では、それをどのようにやるかというと、先ほどのSDSの更新の話に行ってしまいます。そこは今は努力義務ですけれども、更新で対応するということになろうかと思います。仮にそういう更新を怠っていることが行政で分かれば、違反を構成するということになろうかと思います。
○城内座長 そのほかに御意見はありませんか。森委員、お願いします。
○森構成員 日印産連の森です。この件ですけれども、情報開示をするときには、やはり緊急性が求められるということだと、医療関係に情報を提供しなければいけないということで、仮にメーカーの担当者にこの話をしたとしても、例えば会社だと、こういった企業秘密を出す場合には、ある程度の了解を得ないと出せないと思うのですよね。そういったときに大きな会社になればなるほど、いろいろな手続があって、情報開示をするに当たっての時間が掛かるということが、実際は想定されると思うのです。それがこういった法律があるということで解決できるのかが疑問なのです。
○化学物質対策課長 御指摘、ありがとうございます。あとは条文の書き方になってきます。例えば、開示をするときにも直ちに開示するとか、条文の書き方があります。「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」という3種類があって、一番厳しいのが「直ちに」です。そういったことで「直ちに」と書けば、監督署としては仮に直ちに開示しなかった場合は、違反を構成するというアプローチで指導をするという形になります。この制度を作った段階で、使用者側団体とメーカー団体と十分協議をして、開示の手続については各社できちんと定めるようにという話は、当然させていただくことになろうかと思います。
○城内座長 そのほかにありますか。時間が過ぎてしまって申し訳ありません。もし、よろしければ議論はこの辺で閉めたいと思いますけれども、言い忘れたことはありませんか。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。今回の議論とは全く関係ないのですけれども、前任の最川から是非、このメンバーにお話しておいてくれと言われたことがあります。昨年度からいろいろな御検討をされていて、化学物質に関する法改正が、今年4月1日から施行されました。我々建設業としては余りにも法改正が早過ぎて、皆さんがついて行けてないので、もうちょっと猶予を置いてくれないかということを小林部長を初め、直訴をしていたときがあります。そのような中で厚生労働省からは、1、2年かけて丁寧な説明をしていきますよというお話だったのです。我々としてはそういったことに関しては、労働基準監督署の臨検等々で指摘はないのかと思っていたのです。
そういった中で4月の中旬に、我々の仲間の都内の現場に、監督署が臨検に入って指導を受けたのです。臨検に来たのは、化学物質に関する法改正がされたので、その辺を重点的に見ますという趣旨の下に来られたようです。何をどうされたかと言いますと、家庭でも使っている赤や黄色などのカラースプレーがありますよね。ああいうスプレーが4、5本現場に置いてあったらしいのです。それを見て監督官が、有機則でいくと、有機溶剤が5%以上含んでいるものを使うときには、作業主任者を置かなければ駄目なんだよという話が1つありました。それから、有機則でいくと保管も風通しが良く、第三者が入らなくて施錠のできるような所に保管しなさいという指導を受けました。これは是正勧告ですから非常に重い指導ですよね。直さないと再開できないぐらいのイメージなのです。そういった指導を受けました。
我々としては今正に議論している、例えば皮膚等障害やマスクの指摘であれば、まあまあ、しょうがないよねというイメージがあるのですが、こと化学物質をひとくくりにされて有機則関係で、なおかつみんなが使っているような、一般の人も使っているようなスプレーにそういうような指摘をされている。要は、何が言いたいかというと、何が危険で何が危険でないのか、我々はどこを重点的に管理していかなければいけないのかが分からなくなってきつつあるのです。せっかくの機会ですから、こういった事例がありますということを皆様に御紹介したいのと、我々としても時間を掛けていろいろな対応をしていかなければいけないので、出先の行政官に対しても本省のほうから、きちんとその辺の指導をしていただけると有り難いと思っています。全然関係のない話ですけれども、申送りなのでさせていただきました。どうもすみませんでした。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。冒頭で言い忘れてしまったことです。継続検討になっている物質に、無水フタル酸があります。無水フタル酸は呼吸器感作性ということで、再検討になっていると思います。しかし非常に低い値です。ただ、一方で根拠とするための試験のために、バリデートされている試験がないと私は伺っており、呼吸器感作性のある物質について、濃度基準値を設定するには非常に難しさがあるかと思っているところです。何を申し上げたいかというと、そういった物質について、そもそも濃度基準値を設定することの必然性というか、正しさみたいなものも含めて議論させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○城内座長 今の御質問と御意見等について、事務局から何かあればお願いします。
○化学物質対策課長 まず佐藤さんの件については何度も御説明しているように、例えば化学防護手袋などについては、知識も非常に必要ですし、浸透するのに時間が掛かるので、きちんと丁寧にやってくださいという指導は、全国会議でもやっておりますし、通達でも示しております。今伺ったお話は従来の有機則なので、私が申し上げた範疇には入っておりませんが、その妥当性をここで御議論するのは難しいのです。当然、双方に言い分があると思いますので、そちらは十分納得のいくまで監督署にお問合せいただければと思います。
それから、呼吸器感作性について濃度基準値を定めているのは、無水フタル酸以外にも既に定まっているものがあります。ACGIH等でも定めておりますので、定めないという結論は、かなり難しいかと思っております。また、その値をどうするかというところについては、一応今回は暫定値となっておりますので、我々の理解としては日化協さんのほうから、より詳細な何らかのエビデンスなりを頂いて、必要があればまた安衛研のほうで再検討するという理解ですから、そういった資料を御提出いただければ、検討させていただきたいと考えております。
○城内座長 よろしいでしょうか。時間が過ぎてしまって申し訳ありませんでした。本日の御意見を踏まえて、事務局で論点の整理等をやっていただけると思います。中間取りまとめに向けた作業をお願いすることになると思います。
最後に「その他」ということですが、事務局から何かありますか。
○化学物質評価室長 事務局です。本日の議事は以上です。本日の議事録は後日、構成員の皆様に御確認いただいた上で公開させていただきます。次回の日程は6月10日の月曜日、午後2時から5時を予定しております。場所は、本日と同じ厚生労働省の建物内となっております。議題は濃度基準値の検討と、化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知関係の検討を予定しております。構成員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄の先生方に御参集いただきたいと思っております。正式な開催案内は、後日お送りさせていただきます。以上です。
○城内座長 以上で、本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。
本日は、今年度の検討会スケジュール、それから、化学物質の危険有害性の情報提供制度における成分名等の通知について検討することとしております。そのため、開催要領別紙の構成員名簿の全ての先生方に御参集いただいております。現在の出席者は16名で、うち武林構成員、宮内構成員がオンラインで参加されております。津田構成員は少し遅れてオンライン参加の予定となっております。また、髙田構成員、上野構成員が欠席となってございます。
引き続き、開催要領の後ろのほうに付いている参考資料の1、構成員名簿を御覧ください。今回から新たに就任された構成員が3名いらっしゃいます。お一人ずつ所属とお名前を御紹介させていただきますので、皆様、一言ずつ御挨拶をお願いできますでしょうか。まずは、建設労務安全研究会副理事長、飛島建設株式会社安全環境部担当部長の佐藤恭二様でございます。佐藤様、御挨拶をお願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会に所属しております、飛島建設の佐藤でございます。どうかよろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。続きまして一般社団法人日本印刷産業連合会環境安全部部長の森浩二様でございます。森様、よろしくお願いいたします。
○森構成員 日本印刷産業連合会環境安全部を担当しております森と申します。よろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 申し訳ございません。順番が前後してしまいました。一般社団法人日本化学工業協会化学品管理部部長の西村杉雄様でございます。
○西村構成員 一般社団法人日本化学工業協会化学品管理部の西村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 ありがとうございました。本年度は、このメンバーで御検討いただく予定となってございます。改めましてよろしくお願いいたします。本日は会場とオンラインの併用で開催しております。会場参加の皆様は、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようにお願いいたします。また、オンラインの先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、御発言される場合を除きまして、マイクをミュートに設定していただきますようお願いいたします。また、御発言の際には、あらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、又はお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いいたします。なお、議事録を作成し、後日公開いたしますので御承知おきください。本日の会議は公開としております。一般傍聴者につきましては、会場の傍聴のみとさせていただいております。それでは最初に、令和6年度第1回化学物質管理に係る専門家検討会の開催に当たり、厚生労働省労働基準局安全衛生部長の小林から一言御挨拶申し上げます。
○安全衛生部長 皆様お疲れさまでございます。安全衛生部長の小林でございます。本年度初めての検討会でございますので、一言御挨拶を申し上げます。皆様方におかれましては、日頃より労働分野の化学物質管理の推進に非常に御尽力を頂いてございまして、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。ありがとうございます。また、新たに御参加いただく3人の委員の方、今後、よろしくお願い申し上げます。
皆様方に御協力いただきました新たな化学物質規制につきましては、この検討会でも様々な御意見を頂戴したところでございますけれども、この4月より無事、全面施行を迎えることができました。いろいろな基準策定などに御協力いただきまして、本当にありがとうございます。
昨年度の検討会におきましては、計7回にわたりまして、濃度基準値や基準値設定物質の測定方法などについて御検討いただきました。その報告書を踏えまして、112物質につきまして濃度基準値の告示及び当該物質等の測定方法を示すための技術上の指針の改正を行うこととしまして、先般の4月26日の安全衛生分科会で報告をさせていただいたところでございます。
また、報告書の取りまとめ以降も、労働安全衛生法におけます化学物質の危険有害性の通知に関しての課題、特に成分情報が営業上の秘密に該当する場合の取扱いについて御議論いただいているところでございます。今年度におきましては、昨年度の積み残し57物質に加えまして、新しく167物質につきまして濃度基準値や測定方法を御検討いただくこととなっております。さらに、化学物質の危険有害性の通知における営業上の秘密の取扱い、作業環境測定における個人サンプリング法の適用物質の拡大につきましても、引き続き御検討いただく予定となっております。本年度も、非常に多岐にわたる課題を御議論いただくことになりますけれども、先生方におかれましては、それぞれの御知見、お立場から忌憚のない御意見を頂ければ幸いというふうに考えてございます。今年度もよろしくお願いいたします。
○化学物質評価室長 小林部長、ありがとうございました。それでは、城内座長に以降の議事進行をお願いいたします。
○城内座長 城内です。今年度もよろしくお願いいたします。ではまず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○化学物質評価室長 資料の確認をいたします。本日の資料はお手元のタブレットに格納してございます。資料は議事次第と配布資料一覧、資料1、2、3、4-1、4-2、5となってございます。参考資料は参考1から参考8まで御用意してございます。会場にお越しの構成員の皆様方におかれましては、タブレット中の資料に抜けなどございませんでしょうか。また、オンラインで参加されている先生にも、資料を事前にメールで送付させていただいております。何か抜け等ございましたら事務局までお知らせください。本日の資料は、厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しております。傍聴の方はそちらを御覧ください。資料の確認は以上です。
○城内座長 それでは、本日の議事に入ります。本日の審議の進め方ですが、議題1に入る前に、令和6年1月31日付けで公表されました、昨年度の本検討会報告を踏まえて、今月上旬に濃度基準告示や技術上の指針の改正が予定されていますので、まずは、事務局からその報告をしていただきます。その後、議題1、2と順に審議いただきます。まずは、濃度基準告示等の一部改正について事務局から報告をお願いいたします。
○化学物質評価室長 藤田です。資料1を御覧ください。先ほど、部長からも報告がありましたように、労働安全衛生分科会で4月26日に報告されております。明日、5月8日に公布の予定となっております。
めくっていただいて2ページ目を御覧ください。皆様、この内容は説明するまでもありませんので、今後の話等も含めて話をさせていただきます。※2の所を見ていただきますと、濃度基準値の設定対象物質は、リスクアセスメント対象物質がおおよそ2,900ありますけれども、そのうち800物質程度と見込まれております。令和4年度に御検討いただいた結果をもちまして、67物質が既に定められているところです。
3ページは、この検討会に関する説明で、先ほど部長からお話もありましたように昨年度、濃度基準に関しては7回、それ以外にも営業上の秘密等に関することなどで2回、御議論いただいたところです。
4ページ目を御覧ください。この改正の趣旨の所の上の箱の下から2行目、新たに112物質ということで、先ほど部長からもありましたけれども、昨年度御検討いただいた報告書を踏まえて、新たに112物質について濃度基準値を定めるということになります。実は、昨年度は約190物質を御検討いただいて、基準値を定めたのが119物質でした。
ご記憶にある方も多いと思いますけれども、7ページを見ていただきますと右側の箱に、すずが縦に5個並んでおります。すずなど、このように統合された物質がありまして、119の物質について基準値を定めていただきましたが、最終的に112物質の基準値を設定することとなりました。また、発がん性物質であるために、基準値が設定できなかったものとして決めていただいたものが4物質ありました。それから、発がん物質以外に文献等が足りなくて検討できないとされたものが6物質ありました。また、積み残し物質は57物質でした。先ほど部長の挨拶にもありましたように今年度も多くの物質、167物質と積み残し57物質を御検討いただくことになりますので、非常にタイトなスケジュールとなり、御迷惑をお掛けしますけれどもよろしくお願いいたします。
11ページに飛んでいただけますでしょうか。昨年度は濃度基準と同時に測定方法についても御検討いただきました。測定方法については告示ではなく、技術上の指針というところで定めさせていただきました。技術上の指針では、合計116物質の測定方法を定めたところです。この116物質は、先ほどのすずが測定方法の違いに応じまして、濃度基準は5つだったのが、測定方法は9つに分類しているので、少し数が多くなっております。また、昨年度の議論の中で、呼吸域のどこを測るのかという問題があったと思いますけれども、この改正の概要の(2)を見ていただきますと、技術上の指針の中で労働者の呼吸域(呼吸用保護具の外側の空気)の濃度を測定するというふうに明確にしたというところがあります。
また、発がん性物質、先ほど4つ決めていただきましたという話をいたしましたが、改正の趣旨の2つ目の○の2行目の所に、発がん性が明確であるため濃度基準が設定できないとされた物質、3物質について測定方法を追加することにしております。残る1つはリンデンでして、測定方法が昨年設定できなかったので、先送りになっているということです。先ほど申しましたように、公示日は明日を予定しております。適用とされるのは、濃度基準が令和7年10月1日となります。それから、測定方法のマスクの外側を測ってくださいねという部分については、即日の適用となります。以上が、資料1の御説明です。
○城内座長 ありがとうございました。今の事務局からの説明について、何か御質問や御意見等があればお願いいたします。よろしいでしょうか。
では、続きまして議題1「令和6年度検討会スケジュールについて」です。事務局から資料の説明をお願いいたします。
○化学物質評価室長補佐 資料の説明をさせていただきます。化学物質評価室の吉岡と申します。よろしくお願いいたします。
お手元資料の2を御覧ください。濃度基準値の検討の進め方ということで、こちら、昨年度と考え方は基本的には変わりはございません。基本的な考え方といたしまして、濃度基準値は有害性に関する文献に基づき決定をする、濃度基準値の検討に当たっては次の2点、測定方法が定められていること、有効な呼吸用保護具があることを考慮する。それから、濃度基準値は初期調査と詳細調査の2段階で検討するという形になってございます。
3、今年度の濃度基準値の検討スケジュールになりますが、濃度基準値につきましては各回最大40物質程度を対象としまして、その全体像を示しつつ議論をしていただきます。こちら、第2回から第8回の検討会の間でやっていただく予定になっております。また、測定方法につきましては、各回最大50物質程度を対象に測定・分析方法を御議論いただきます。こちらは第3回から第8回の検討会で行っていただく内容となります。また、第8回の検討会では今年度の積み残しを議論いただくとともに、全体像の取りまとめを行っていただくことを予定しております。
裏面に行っていただきますと、濃度基準値の設定までの流れということで、こちらも昨年度お示しした資料と同じ形の資料となっております。「専門家検討会」と一番左側にございますが、皆様に御参集いただいているこの検討会でございます。令和6年度の開催日程につきまして、既に1月21日までの回を埋めてございます。こちらで御議論いただくために、安全衛生総合研究所の中に専門家会議が設けられております。この図の右のほうになります。こちらの専門家会議の中で御議論いただいた上で報告書を取りまとめていただいて、その報告書の内容に基づいて、この専門家検討会の中で濃度基準値の決定などをしていただくというような流れになってございます。こちら、昨年度と大きな流れは変更ございません。
続きまして資料3を御覧ください。この検討会での当面の検討事項と今年度の検討スケジュールということでございます。この検討会の中での当面の検討事項としまして大きく3点、濃度基準値の関係ということで対象物質ごとの濃度基準値、対象物質ごとの測定方法を御検討いただきます。また、測定関係ということで作業環境測定における個人サンプリング法の適用物質を拡大するための御議論を頂きたいと思っております。3番目としまして、化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知などについて御議論いただくということで、安全データシート(SDS)の運用改善の方策、成分名等の秘密保護のための仕組みの検討ということを御議論いただくことを予定をしております。
2としまして、今年度の検討スケジュールでございます。第1回検討会は本日、5月7日の14時から17時という形になっております。続いて、第2回が6月10日、この第2回から濃度基準の検討を始めていただく予定としております。続いて第3回、こちらは6月24日開催予定としておりまして、この第3回から後半ということで、対象物質ごとの測定方法の検討から開始していただく予定としております。おめくりいただいて第4回、第5回とございます。最後、第8回が来年1月21日を予定しております。予備日としまして2月10日を設けております。ここまで今年度に御議論いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いをいたします。
続いて資料4-1、4-2について御説明させていただきます。資料4-1が今年度新たに御検討いただく予定の対象物質167のリストでございます。濃度基準値、それから測定方法、それぞれについて数字の1~4、1~5という数字がございます。これは御検討いただく順番についてカテゴライズしているものになります。濃度基準値については1~4、測定方法については1~5という数字がありまして、先ほどの資料3に、例えば毒性グループの1について検討するというような場合には、濃度基準値の1について、このグループの中から御議論を頂くということを予定しているというような数字でございます。
同じく資料4-2を御覧ください。こちらが前年度までの積み残しということで、全部で57の物質のリストです。こちらにつきましては、先ほどと同じ濃度基準値測定方法それぞれの欄に数字がございますが、併せて既に部分的に御承認いただいている部分がございます。こちらについては何年度に承認済みという形で、その年度が記載されているというものでございます。この承認いただいていない部分について、改めて御議論いただくということを予定をしているところでございます。資料4-2まで御説明は以上となります。
○城内座長 今の事務局からの説明について何か御質問や御意見等あればお願いします。いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村でございます。前任の尾崎から申し送りということになりますけれども、検討のタイミングというか、安衛研での検討を頂いた後にこちらのほうで審議をするということなのですが、基準値の提案を検討会の直前に頂くということが多いというように聞いております。その際、私どもは日本化学工業協会会員のメンバーに検討していただいておりまして、その時間が十分に取れていないという現状がございます。一方で、安衛研での検討のプロセスもありまして、そこに時間を要するということも理解をいたしますけれども、日化協のほうで十分なエビデンス等を集める時間を確保したいというように考えておりまして、その時間が十分取れなかったような物質につきましては、検討会の際にこちらから申し上げまして、その次の検討会までに検討の時間を頂くことをお願いできるでしょうかということが1点、お願い事項というか、可能でしょうかという質問になるのかもしれないのですけれども、それについてお願いということでございます。
2点目はちょっと短いですけれども、安衛研のほうで検討された結果、報告書として出てくる、提案書という形で頂くのかと思うのですが、検討された際、議論になったような点につきまして、こちらの専門家検討会のほうでも御紹介いただけると、私どもの議論に資するかなというように思いますので、それをお願いできたらなと思っております。以上でございます。
○城内座長 事務局からどうでしょうか。お願いします。
○化学物質対策課長 御指摘ありがとうございます。昨年度からできるだけ十分に時間、少なくとも10日ぐらいは間を開けるように努力しているところでございますので、今年度も引き続き間を開けるように努力したいと思っております。ケースバイケースなのですが、これについては非常によく使われている物質で十分な検討が欲しいという御指摘があった場合、それは次回にまた再度検討するようなことはございましたので、常にそういうことが必要というわけではないと思いますが、そういった特段の事情がある場合には、あらかじめ御意見を頂ければと思っております。
それから、提案書として頂いた点について、論点となった点等につきましては書面でお配りするのはちょっと難しいと思いますけれども、こういう点が論点になりましたという程度のことを御説明するときに若干付け加える程度はできるかもしれませんが、その辺りでいかがでしょうか。
○大前構成員 ここに出てくる資料はその他のコメントも出てくるのでしたか、安衛研の中の。
○化学物質対策課長 出てきます。
○大前構成員 出てきますよね、そこの所にできるだけ書くようにはいたします。それは今、西村委員のおっしゃったこととぴったり合うかどうかは分かりませんけれども、とにかく議論になって、このような感じでこれは採用しなかったとか、あるいはこれを採用したとか、そういう意味でのコメントは付け加えることは可能だと思います。
○西村構成員 ありがとうございます。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。大前委員。
○大前構成員 すみません、私の記憶違いかもしれないのですが、資料4-2、番号でいきますとR4_90、炭化けい素、これはウイスカーが付くのではなかったでしたか。
○小野構成員 すみません、横から。ウイスカーが付きます。
○大前構成員 そうですよね。
○小野構成員 はい。
○城内座長 では、修正をお願いいたします。そのほかございませんでしょうか。ないようでしたら、次の議事に進みたいと思います。
続きまして、議事2「化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について」です。事務局から資料の説明のあと、論点ごとに区切って議論をお願いしたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○化学物質評価室長補佐 事務局から御説明いたします。お手元資料の5をお開きください。こちらは、昨年度の3月にも御議論いただきました「検討の論点について」というものをベースにしております。そこに、新たな御議論の中身を足したり、また資料を追加したりという形で作成をしております。
表紙をめくっていただきますと、検討項目が6項目あります。こちらについて、それぞれ御議論いただきますが、これから資料について一括で御説明をさせていただきます。3ページ以降になりますが、現行の規定などについて紹介しているページがあります。前回との変更点として、7ページを御覧ください。前回の検討の中で、保護具についての御議論が多かったことを踏まえ、保護手袋の選択方法についてということで、選択マニュアルについて1枚資料を追加しております。この手袋のスクリーニングの手順ということで左下にありますが、作業時間、作業の内容に応じて、使用可能な耐透過性クラスを確認していただいて、その中から手袋の最適なものを選んでいただくということを御覧いただけるようになっております。取り扱う物質に応じて、耐透過性クラスを満たす材質及び厚さを選択していただくということで、事業者の方が選択をしていただくためのマニュアルです。
次のページは、前回の検討会までの御議論についておさらいをしたいと考えております。青字の部分が、前回御議論いただいた部分、追加の部分となりますので、この部分を中心に御説明いたします。まず、適用される法令ということで、適用法令にはリスクアセスメント対象物であることを必ず記載をしてほしい。労基法関係、女性則の26物質や労基則第25条別表や関連告示で規定されている物質についても、できれば記載してほしいという御意見がありました。貯蔵又は取扱い上の注意の中で、濃度基準値については必ずSDSに記載してほしい、すぐにSDSに反映できない場合はメーカーに問合せがあったら答えてほしいという御意見を頂いております。またSDSの中には、有害性や疾病内容など救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきだという御意見を頂いております。
また保護具について、保護手袋の材料についてポジティブリストにすべきという御意見を頂いております。このポジティブリストとして、「ニトリルは駄目だ」と言われるとどうしたらいいかよく分からないので、推奨する物質や材料の情報が欲しいという御意見を頂いております。保護手袋の材料については、逆にネガティブリストにとどめるべきとの御意見も頂いております。リスクの見積りには化学物質のハザードと使用条件が必要で、使用条件についてメーカーは分からないということから、SDSの作成に負担が大きすぎる。まずは、軍手は駄目というような初歩的なネガティブリストから始めたいという御意見を頂いております。また、適切な保護手袋が選べるような記載にしていただきたいという御意見を頂いております。ポジティブリストとして、使用可能な全ての材料を記載するということは現実的ではなく、一方で最も防護レベルの高い材質の保護具、多層フィルムだけを記載されるとなると、価格面から現実的ではなくなって、適切な保護具を選ぶことができないということになりますので、それを避けるべきだという御意見を頂いております。
また、ユーザーが必要な情報は保護手袋の製品名であると。それが難しい場合には、保護具選定のための情報をSDSに記載してほしい。メーカーが物質の有害性に責任を持ち、一歩踏み込んだ形になります。一方で、保護具の記載については参考とするなど、記載されている保護具に限定されると受け取られないようにするべきだという御意見を頂きました。また、ユーザーが保護具を選択できないと、労働者の疾病防止という趣旨の法令改正の意味がないのではないかという御意見を頂いております。手袋だけではなく、防じんマスクについても、粉じん濃度に応じて求められる指定防護係数が異なるため、それを注記すべきという御意見を頂いております。
SDSの通知事項に変更が生じた場合の通知ということで、有害性情報、非常時対応や適用法令については、リアルタイムな情報更新が必要である。また、SDSが更新されても、更新されたという通知がやってこないということ。SDSの改正法令の対応については、新製品については施行日に対応できるが、既存の製品の適用の更新については、1年から1年半の期間を要しているのが実態である。保護具の着用に関する情報が伝わることが一番重要ではないかと考えているといった御意見を頂いております。SDSの記載内容の充実について、SDSを出す側と受け取る側の意見のギャップについては何十年も続いているので、SDSの記載を監視できる何らかの仕組みがあってもよいのではないか。また、SDSの記載の適正化には、メーカーとユーザーの対話を積み重ねることが重要ではないかという御意見を頂いております。SDSの作成者に対する情報提供ということで、SDSを作る人の労力を削減できるような工夫が必要ではないかということで、有害情報を集約したサイトを作るなどの提案を頂いております。
ここまでを踏まえて、本日御議論いただきたい論点ということで、1つ目は、成分及びその含有量について、CAS番号をSDSに記載するということでよいか。2つ目は、想定される用途及び当該用途における使用上の注意ということで、ここについては仮に使用上の制限を主として記載する方向とするとして、具体的にどのような記載が考えられるか。3つ目は、適用される法令ということで、特別則の適用物質、危険物に加えて、リスクアセスメントの対象物、皮膚等障害化学物質、がん原性物質、濃度基準値設定物質については、該当するという旨を必ず記載するということでよいか。また、労基法の女性労働基準規則第2条第1項第18号の妊娠中の女性を就かせてはならない業務の対象物質や、労働基準法施行規則第35条及び別表1の2で定める業務上の疾病の対象物質についても、記載を求めるかどうか御議論いただきたいと考えております。
貯蔵又は取扱い上の注意として、SDSの中に有害性や疾病内容など、救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきか。難しい場合は、その問合せ先として日本中毒情報センターなどを記載をするべきかということについて、御議論いただきたいと考えております。
12ページです。保護手袋の関係ですが、保護手袋の記載をどのように充実するべきか。保護具選択マニュアルにより選択可能であるが、混合物の場合ユーザーが選ぶことは負担が大きいということについて、全ての製品について適当ではない保護手袋の材料、ネガティブリストの明示を求めるということでよろしいか。単一の物質の製品であっても、適当ではないという材質は判断できるため。推奨する保護手袋の材質、ポジティブリストの明示はそのまま使用する製品、取扱い説明書等に基づいて混合する製品など、使用時の成分組成があらかじめ判断できる製品にのみ求めるということでよろしいか。
それから、保護具のポジティブリストを示す場合、以下の3点について留意することでよろしいかということで、1点目は耐透過性レベルが最も高い材料、多層フィルムなどだけを明示するということをせず、使用可能な選択肢を幅広く示す。2点目として、使用方法が取扱い説明書などで詳細に決まっている製品など、耐透過性レベルが特定可能な場合は、製品名や型番といったものを明示をする。3点目は、ポジティブリストを明示する場合は、ポジティブリスト以外でも事業者が選ぶことができるということを明示するといったことに御留意いただくということでよろしいか、御検討いただきたいと思っております。
保護手袋の厚さについては、次のいずれかということで、1点目は、事業者が作業内容や作業時間によって必要な耐透過レベルを決定し、厚さを選択するということを明示する。2点目は、取扱い説明書で指定する標準的な使用方法に基づいて、必要な耐透過性レベルが特定できる場合には、必要な耐透過性レベルを記載するとともに、保護手袋の材質及び厚さを明示する。これは、製品名でも構わないとする。このいずれかとすることでよろしいかということです。
また、呼吸用保護具の記載について、どのように充実するべきか。防毒用と防じん用の違いを明記するということでよろしいか。また、防毒用の場合、使用すべき吸収缶の種類を明記するということでよろしいかということです。
引き続き、譲渡提供前のSDSの提供について、13ページを御覧ください。リスクアセスメントの結果に基づく措置として、代替物を検討するために、購入前にSDSの提供や閲覧を認めるべきか。認めない場合、どのような代替措置が考えられるか。SDSの通知事項に変更が生じたときの通知ということで、有害性情報、非常時対応や適用法令について、迅速なSDSの更新を実現するために、どのような方法が考えられるか。SDSの交付を電子化し、その電子情報の配列を標準化することにより、川上、川中、川下、ユーザーそれぞれの電子システムに直接入力可能とする。これにより、SDSの更新に要する時間の短縮をすること。SDSの更新時に、エンドユーザーまでその情報を適切に伝えるため、SDSが更新されたことを電子メール等で譲渡先に伝達すること。そのほかに何らか方法があるか、御検討いただきたいと考えております。
SDSの作成者に対する情報提供等の支援ということで、「人体に及ぼす作用」の更新について、国が有害性の区分や濃度基準値などの変更情報をメーカー団体に提供するような仕組みが必要ではないか。また、国のGHS分類のデータベースを用いた中小事業場に対するSDS作成支援といったものがあるということの周知が必要ではないか。それから、SDSの記載内容の充実ということで、SDSの記載の適正化にはメーカーとユーザーの対話を積み重ねることが重要であるため、事業者団体により両者の対話の場を常設すべきではないか。ただ、これらについて履行確保の方法ということで、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかという点について、御議論いただきたいということです。
14ページです。2、営業秘密として非開示にできるSDSの項目をどのように考えるかということです。こちらについて、前回の議論の中身ということで、19ページまで飛びます。営業秘密の定義などということで、営業秘密の定義としては、情報が公開されていないこと。申立者が情報が公開されないように合理的な手段を取っていること。開示によって、申立者に財産上の損失又は申立者の競合相手に財産上の利益を与えるといったことが要件として考えられる。これらを踏まえると、営業秘密を保持すべき期間は、情報が開示されるまでの間となる。営業秘密に該当するかという判断は、制度によってメーカーが自ら主張するというもの、行政が審査をするというようなもの。実際の運用の中では、そういった違いがみられるということについて、御説明しております。
また、成分名・含有量の非開示について、含有量については10%の濃度幅といっても、毒性の強いものの0.1%と9%では大分異なるので、有害性クラスによるのではないかという御意見を頂いております。また、有害性の区分にかかわらず、何でも開示をするという議論は、化学業界として耐えられない。区分1なら、成分名・含有量を出す。区分2や3なら、出さなくてもよいという仕組み。発がん性や生殖毒性、生殖細胞変異原性といった重篤な有害性を有するものについては、営業秘密による非開示の対象とせず、成分名を開示する。これらを前提として、成分名が営業秘密による非開示の対象となる場合の含有量の表示は、10%刻みでよいのではないかといった御意見を頂いております。
本日、この点について御議論いただきたいポイントとして、20ページです。営業秘密の定義として、先ほど御紹介させていただいたとおり、3点の要件を定めて、これを満たすというものがよいのではないかという点について、御議論いただきたいと思います。また、成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるかという点について、成分名は有害性区分1や重篤な健康障害を生ずる有害性クラスに該当する場合など、論点3で議論することとなりますが、こういったものを除いて、営業秘密に該当する場合は非開示を認めるということでよろしいか。含有量については非開示を認めず、上記成分名の非開示対象の物質についても、10%刻みを原則とする表示とすることでよろしいか、こちらについて御議論を頂きたいと思います。その上で、履行確保の方法として、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかということになります。
21ページです。3、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、営業秘密として非開示にできる化学物質の有害性の範囲及び濃度をどう考えるかという点になります。こちらについても、前回同様の資料については説明を割愛させていただき、26ページになります。
前回までの御議論ということで、青字の部分を中心に御説明いたします。有害性の高いクラスの物質は含まないとすべきかという点について、混合物としての有害性区分はユーザーへの注意喚起には役立つが、健康障害防止という意味では個々の成分の有害性のほうが大事。エンドポイントで判断をするべき。有害性区分にかかわらず、何でも開示しようという議論には、化学業界としては耐えられない。区分1に区分される物質の名称を出すことは反対しない。一方、区分2以下は、営業秘密に当たる場合、利益の根幹に関わるので、成分名を開示したくない。生殖毒性、発がん性、生殖細胞変異原性などの重篤な有害性を有するものについては、成分名を開示することに反対はしない。特別則適用物質やOELがある物質については、過去の災害の経験を踏まえ、開示対象とすべきといった御意見を頂いております。
また、SDSの有害性区分の問題点ということで、現状のJISの規定では、発がん性区分2の物質の含有量が0.5%だと、濃度限界が1%なので、混合物の有害性区分では発がん性区分2が反映されないことが許容されている。このため、SDSに発がん性物質名は記載されるが、発がん性区分2と記載されない場合があるとの御指摘を頂いております。こちらについて、本日御議論いただきたい論点として、27ページになります。重篤な有害性を有する物質は非開示の対象に含まないとすべきかということで、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性の有害性を有するものは、有害性の区分にかかわらず、成分名の非開示を認めないということでよろしいか。これらの有害性区分は、エビデンスの確からしさによる区分であり、有害性の強さによる区分ではないということにも御留意いただいた上で、御議論いただきたいと思います。
また、呼吸器感作性又は皮膚感作性と誤えん有害性は、有害性区分にかかわらず、成分名の非開示を認めないということでよろしいか。こちらについても、有害性区分がエビデンスの確からしさによる区分ということで、毒性の強さによる区分ではないということを御留意いただきたいと思っております。
3点目は、皮膚腐食性/刺激性、眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性、特定標的臓器毒性(単回ばく露、反復ばく露)は、区分1に該当する場合は成分名の非開示を認めないということでよいか。これらの有害性の毒性区分は、毒性の強さによる区分であり、濃度限界値が設定をされているということです。
4点目の急性毒性については、区分1から3に区分される場合は、成分名の非開示を認めないということでよろしいか。急性毒性の有害性区分については、毒性の強さによる区分ではありますが、急性毒性値によるもので、濃度限界値という概念は設定をされていないということに御留意いただきたいと思います。
続いての論点が、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、混合物の有害性区分に影響を与えない範囲の濃度のみを非開示の対象とするかという点になります。含有量がGHSやJISの濃度限界以上の場合は、混合物の有害性の区分に影響するということから、成分名の非開示を認めないということでよろしいかということになります。急性毒性には、濃度による非開示制限は適用しないという整理でよいか。また、混合物そのものの試験データがある場合は、濃度限界の概念というものはありませんが、その場合に非開示にできる範囲をどのように考えるかということを御議論いただきたいと思います。
それから、GHS分類の区分以外に、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲を判断するような基準というものはあるかという点です。最後の、履行確保の方法として、事業者がこれらの事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかということについても、御議論いただきたいということです。
28ページです。4、営業秘密として非開示とした場合、SDSにどのように表記をするのかという点になります。30ページに、営業秘密がある場合の一般名の作成方法について、資料を追加しております。
31ページからが、前回までの御議論の中身です。前回の検討会の中で、営業秘密に該当する旨を明示すべきかという点について、営業秘密により非開示とする場合には、「営業秘密」の文言を入れたほうが分かりやすくてよいという御意見を頂いております。一般名に置き換えるとした場合、置き換えのルールをどのようにすべきかという点について、代替名がないと物質がブラックボックスになってしまう。どういう系統であるか、どういう健康影響があるかや、物理化学的性状の特徴が分かるような代替名となるようなルールを作成すべき。どういう健康影響や物理化学的性状の特徴があるのか、代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきという御意見を頂いております。含有量の通知はどのようにすべきかという点について、含有量の表示は10%刻みでよいという御意見を頂いております。
これらを踏まえて、本日御検討いただく論点として、32ページになります。1点目として、営業秘密に該当する旨の明示をするべきかということで、「営業秘密」の文言を入れるということでよろしいか。2点目として、一般名に置き換えをするとした場合、置き換えのルールはどのようにするべきかということで、成分名を非開示とする場合、一般名の表示を求めるということでよろしいか。その場合、一般名は代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきということでよいか。具体的な代替名の決定方法、ルールをどのように定めるべきかということについて、御意見を頂きたいと思います。
3点目として、含有量の通知をどのようにするべきかということで、成分名が営業秘密による非開示の対象となる場合の含有量の表示は、省令で規定されているように、原則10%刻みでよろしいか。また、履行確保の方法として、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかについて、御意見を頂きたいと思います。
33ページからが、5、緊急事態による情報開示規定をどのように考えるかになります。こちらについて、前回の検討会の中での御議論は、35ページになります。情報の開示が認められる場面をどのように考えるかということで、何をもって緊急事態とするかという点の議論が必要である。医療上の緊急事態と産業保健上の必要という2つのケースに分けて考えるべきという御意見を頂いております。情報の開示が認められる対象者をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態でも医療関係者のみで対応するべきではない。自社の車で搬送する場合もあり、医療関係者以外でも物質名を聞けるようにすべきという御意見を頂いております。
情報の開示の手続をどのように考えるかという点について、誰が誰に聞けばよいのかというルートを明確にしてほしい。中小零細でばく露事故が起きたとき、どうするべきかということを念頭に考えるべき。緊急対応中にSDSを見るということは困難であり、連絡先も分からない場合があるといった御意見を頂いております。
医療緊急時の支援体制をどのように考えるかという点について、医療関係者に物質名を報告されても、多くの場合どういうものか分からないということで、治療方針を助言する支援体制が必要である。その場合、24時間365日の対応が必要となるという御意見を頂いております。SDSの中に有害性や疾病内容など、救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきだという御意見を頂いております。
これを踏まえて、次の36ページに本日御議論いただきたい論点として、情報の開示が認められる場面をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態と産業保健上の必要のある場合の2つについて、情報開示を求める場面としてよろしいか。情報の開示が認められる対象者をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態については、医師や看護師などの医療従事者の開示を認めるということでよいか。また、それ以外の方でも、事業場の緊急対応要員にも開示を認めるべきか。それから、非緊急事態については、産業医、産業保健師、衛生管理者、化学物質管理専門家などに開示を認めるということでよろしいかというところの御議論を頂きたいと思います。
また、情報の開示の条件をどのように考えるかということで、医療上の緊急事態については、ばく露した患者への医療上の措置のために成分名が必要な場合に開示を求めることができるとしてよいか。それから、非緊急事態ということで、産業保健上の必要性の場合には、産業保健上の次のような必要がある場合、成分名の開示を求めることができるとしてよいか。1点目として、ばく露する労働者に対する健康診断、治療、その他健康影響の把握。2点目として、ばく露する化学物質の有害性の評価、作業環境測定の実施、個人用保護具の選択、工学的対策の設計等の必要性で、成分名の開示を求めることができるとしてよろしいかということになります。産業保健上の必要性については、産業保健関係者又は化学物質管理専門家等が判断をするということでよいか。中小零細事業場では、地域産業保健センターの医師なども、その必要性を判断できるとしてよろしいかという点です。
また、次の37ページは、情報の開示の秘密保持をどのように考えるかという点です。医療上の緊急事態においては、情報開示の条件として、医療関係者には秘密保持契約を求めず、医療従事者としての守秘義務で対応することでよいか。医療従事者以外の者についても、事後的に秘密保持契約を結ぶということでよいか。また、緊急事態ではない場合、産業保健上の必要なときには、情報開示の条件として秘密保持契約を求めるということでよろしいか。
次は、情報の開示の手続についてです。医療上の緊急事態については、医療機関から直接製品の製造者に電話等で問い合わせるということでよいか。この場合、書面は要さないということになります。SDSを医療関係者が入手できない場合、事業場の緊急対応要員が製品の製造者に電話等で問い合わせることを認めるか。夜間等に災害が発生した場合の製品の製造者への問合せ先をどのように確保するべきか。また、産業保健上の必要性の説明をする書面を添えて、製品の製造者に開示を求めるということでよろしいか。
医療緊急時の支援体制についてどのように考えるかという点です。医療関係者の診断支援としては、日本中毒情報センターの「中毒110番」等を紹介するということでよろしいか。また、SDSの中に有害性や疾病内容など、救急対応に必要な情報、吸入した場合の措置を盛り込んでおくべきか。また履行確保の方法ということで、事業者が上記の事項を履行することを担保するため、どのような方法が考えられるかということの御議論をお願いいたします。
38ページからが6、行政機関への非開示情報の開示等の必要性をどのように考えるかです。40ページに移ります。前回の検討会の中で、行政が違法性の判断に用いるのであれば開示が必要だという御意見を頂いております。これについて本日御議論いただきたいのは、製品の製造者が営業秘密の非開示事項を決定するに当たっては、行政への届出等は求めないということでよろしいか。その代わりとして、営業秘密が適切に設定されているかの確認のため、労働基準行政機関への開示義務を課すことが必要ではないか。例えば、現状の安衛法第100条第1項から第3項に基づく報告徴収規定では、個人が化学物質を譲渡・提供した場合(個人輸入等)のときには対応できないということから、所要の改正を検討すべきではないかといった点についての御意見を頂きたいと考えております。資料5についての御説明は以上です。
○城内座長 非常に広範にわたる説明をありがとうございました。それでは、論点ごとに検討を進めていきたいと思います。ダブっている所もありますので大変かなと思いますが、まず、11~13ページの検討項目について御議論をお願いしたいと思います。
11ページ、SDSの成分、記載すべき事項等ですが、ここについてどうしましょうか。順番にいったほうがよろしいですか。成分及び含有量、想定される用途及び当該用途における使用上の注意、適用される法令、貯蔵又は取扱い上の注意の所について御意見等ありますか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。資料の上からいかせていただきます。CAS登録番号をSDSに記載するということですが、実際、私ども日化協が出しているSDS対応ガイドラインというものにも、化学物質を特定できる一般的な番号ということで、CAS登録番号を挙げているところではあります。そういった意味で、書けるものについては書いていくということでいいのかなと思う一方、CAS登録番号は商業ベースで出されている番号ということになっております。ケミカル・アブストラクト同様、出しているものですので、使用する際にはライセンス費用が必要になるということがあります。CAS番号がない物質というものがあるということ。SDSにCAS番号を記載するということは、許容されているというのが状況としてあるようですが、法令でそれを指定するのは難しいかなとは考えております。
細かい話になるのですが、1つの物質に対して複数のCAS番号が設定されているものがあります。もう一方で、指定されたCAS番号が後日CASのほうで削除されてしまうという事態が起こることがあります。それは一切私どもというか、一般には通知されることがないもので、そうしますとCASの委員会としては、デリートしたものが生きていて、ただ一方でその番号で流通するみたいなことが現実には起こっております。そういったことでSDSに誤りがあるということが形式的に発生するのですが、それをもって罰則を受けるようなことがあるようだと、ちょっと困るなと、そういうことは避けていただければいいかなと思っております。以上です。
○城内座長 CAS登録番号については御意見、そのほかありませんか。
○化学物質対策課長 御意見ありがとうございます。CASについては御案内のとおり、言ってみれば民間が作っているものですので、SDSにCASを使う場合にライセンスは要らないというのは明示的に書いてありますので大丈夫だと思いますが、御指摘のとおり、法令上CASという言葉を書いて、CASでないと駄目だとするのは無理があると思います。何らかの形で、例えば化審法番号などもありますので、何らか特定できる番号を付すべきだという形にはしたいと考えております。以上です。
○城内座長 そのほかはありませんか。次の想定される用途及び当該用途における使用上の注意は、前回からも御意見がありましたが、具体的にどのような記載が考えられるかということですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 こちらは一般消費者向けリスト、いわゆる「混ぜるな危険」とか、そういった記載はありますので、それに類することを書いていただくというイメージで行政としては考えているのですが。そういうイメージでよろしいですか。
○城内座長 大前委員、お願いします。
○大前構成員 使用上の制限の所で、例えば労災などがあった場合、急性中毒を考えた場合は、これはほとんどが換気の問題で使われているのです。だから、換気、特に蒸気圧が高い液体、もちろんガスそのものもそうですが、「換気の十分な所で使用すること」みたいな、そういう制限は掛けられるのではないかと思います。もし長期ばく露を考えた場合は、これはなかなか難しいと思いますが、長期ばく露をもし書けと言うのだったら、濃度基準値を超えるような所では使うなと。これは非現実的だと思いますので、急性の所だけは少なくとも書いたほうがいいのではないかと。換気がどうのこうのとか、これは絶対入れたほうがいいのではないかと思います。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 安井課長からありましたように、「混ぜるな危険」のようなものを書くのが1つのイメージだということですが、そういった「混ぜるな危険」的なもの、あるいは大前構成員から御指摘があった急性毒性的なものを想定した上で用途であるとか、その際の使用上の注意を書くのが比較的容易な製品がある一方、一般化学品などになってきますと、例えば急性毒性がないであるとか、特定の「混ぜるな危険」な状況が想定されないような物質もあるので、書ける物質については書けるかなと思う一方、書けない製品もあるかなとちょっと思っております。必ず必須で書くということになると難しさがあるかと思います。ただ、御趣旨は分かりまして、急性であるとか、特定の危険な状況が発生し得るものについては理解を申し上げます。
○城内座長 そのほかありませんか。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 今の「混ぜるな危険」のレベルでいくのでしたら、「食べるな、飲むな」というのも入ってくると思いますが、これは要するに、紛らわしい容器に小分けするなということがあるのではないかと思います。そうだとすると、子供が事業場に入ってくることは考えにくいですが、普通の人が手が届かない所に置けとか、何かそういうようなアドバイスも入ってくるのかなと。これはもちろんどのレベルまで書くかですが、一般の人たちが使う、あるいは個人輸入した人たちも対象ということでしたら、そのレベルも必要なのかなと思った次第です。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 今の御意見に反対するものでは全くないのですが、そうなのです、分かります。子供の手が届かない所とか、いろいろな注意があるのですが、それをたくさん書きますと、SDSがものすごく複雑になり得て、それは理解の上で御発言されていると思いますが、一方でSDSを作る側としては、適切に取り扱うのにふさわしいSDSにするためには、あまりたくさん書かないほうがいいかなというところもあるかと思います。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。急性毒性的なものであるとか、危険な状態に陥らないようにするということは書けるということで、あとは宮本先生からありましたが、「食べるな、飲むな」というような、まず容器に小分けにするときには、ラベルを貼らなければいけないというのは、別途の義務がありますので、恐らく法令で義務付けられていることまで書かなくてもいいのかなということもあります。あとは手に届かない所に置けとかというのは、毒劇法の世界では、そういうことも書かなければいけないこともあるのですが、多分、それは急性毒性とか比較的毒性の高いものに限られるのかと思いますので、他法令なども参考にしながら検討させていただきたいと思います。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 今の議論で感じるのですが、結局、書かれていないことで安心されるようなことがあってはいけないと思いますので、そこをどう工夫するのか。つまり、全てにおいて分かるものを書くのは必要ですが、逆にいきますと、私が昔、まだ若い学生の頃、化学品について、もちろん有害性がよく分かっているものは教科書にあるのですが、ないものは非常に怖い思いをしながら扱っていたのです。ただ、逆にSDSを見れば何でも分かるという形になったときに、しかし実際には分かっていなくて、書いていないものがあるとそれがかえって危険な扱いを助長するようなことがあってはならないので、そういった意味で書き方に工夫があるのか、SDSには分かっていることしか書いていなくて、分かっていないこともあるという書き方をするのか、それは逆に化学品を売る側の立場としては商売上の問題があるとか、そういうこともあるかと思いますが、SDSに「危ない」と書いていなければ、安全だと思われないような工夫も必要ではないかという気はいたします。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 あともう1点、可燃物が結構あるかと思います。これは是非「着火源がないような所で」と、その辺は入れたほうがいいかなと思います。それから、爆発限界があるのがありますよね。これは物化性状の所で恐らく情報として載っているのでしょうが、爆発などに関しても、注意書きを入れておくというのはありだと思います。
○城内座長 小野委員、お願いします。
○小野構成員 小野です。2点あります。先ほどの換気の良い所ということについてはもちろんですが、誤った使用状況として割と事故例として多いのが、スプレー型のクリーナーです。シュッとやってきれいにするとか、そういったものに有機溶剤が今完全に含まれています。それを大量に使って全体的な塗膜はがしとか、そういうことに使われてしまいますと、普通、スプレーのクリーナーで換気を余り気にすることはないのですが、近くでやって中毒になるという事例が毎年数例ずつ発生しています。ですから、「換気に注意」というのが、誤った用途のときに特に重要になるという場合があると思います。
あともう一点、今、大前委員からお話がありました可燃物とか引火物です。GHSのラベルには炎のマークが付いているので、それがあるときには絶対にそういうことをしないでほしいと思いますが、今言いましたようなクリーナーや、あるいはトルエンを作業着の汚れを取るために使って、その後タバコを吸いに行って、全身やけどという事例も割と多い状態になっています。
ですから、使用上の制限として、何が書けるのか、特別な事例を書くわけにもいかないのですが、炎のマークが付いていたら、絶対に火を使ってはいけませんということで、可燃とか引火については対応ができると思います。誤った使用についてどこまで書けるのか、書く必要があるのかということについて、はっきりした意見があるわけではないのですが、そういったことは書けるのかどうかということについて気になるところです。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。私の印象だと、これはGHSを日本語にするときもそうでしたが、注意書きの中には、ほとんどの懸念は入っているのです。しかし、こういう議論になると、GHSで書いてある注意書きと、一般に言われているのがリンクしないのです。リンクさせることができるはずだとずっと思っているのですが、なぜか定型の文言はそのままでずっときていて、別のこういう表現も入れたらどうかという議論がいつも起きるのです。危険有害性情報は定型情報としてありますが、注意書きにも文言はいっぱいそろっています。これを決めてくださったのはもともと日化協なので、その辺はもう少し工夫していただくと、さらに使いやすいものになるのではないかと常々思っております。今後、よろしくお願いいたします。そのほかいかがですか。
それでは、次にいきたいと思います。適用される法令ということで、法令上義務が掛かっているものについては、詳細というか、リスクアセスメント対象物であるとか、皮膚障害等化学物質であるということを書きましょうということだと思います。従来は、安衛法対象物質ということで済んでいたのを、もう少しきちんと書くべきではないかということだと思いますが、これについてはいかがですか。御意見をお願いいたします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 補足させていただきます。特別則適用物質とかリスクアセスメント対象物というのは、法令の適用があって、その適用を受けると何らかの法令が、要するに義務が掛かってくるというものですが、例えば、下にある労働基準法施行規則第35条というのは、要するに職業疾病として認めるかどうかという基準で、この第35条に該当があるからといって、何か義務が掛かるものでもないということで、そこは分けて御議論いただければと思います。
○城内座長 いかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 この資料の下の方のものを記載していただいてはどうかという意見は、私が以前この会議で申し上げたものと思いますが、直接の規制ではないというのは、今、事務局から御案内のとおりなのです。実際に産業保健上、問題となる疾病が出ていないかということを考えるときには、この物質で過去に労災認定がされていると、この物質だとこういう病気が出るということで認定されている、そういう情報を得る上では、労基則第35条の別表は非常に有効なものです。代表的なものは本表に書いてありますが、その他厚生労働大臣が指定するというものは、この間も申し上げましたが、すぐ出てこなくて、自分で探そうと思っても意外と難しい。できればそういうところも書いていただいたほうがいいということで意見を申し上げました。もう一度、しつこいですが、こういう趣旨で申し上げたということを言っておきます。
それから、女性則のほうも、こちらは基本的には生殖毒性があるということで選ばれた26物質ですが、一般に誤解が多いのは、妊産婦に適用されると思っている産業医学関係の先生たちも非常に多いのです。実はそうではなくて、これは全ての女性に適用されます。ただ、基準があって、第3管理区分では使用してはいけない、マスクも駄目ですよということで、特別規則の対象物質について上乗せの規制みたいなものが女性則で掛かっています。ただ、ここも一般の女性全部に適用されるというのが、意外と産業医学関係の方々が御存じないようですので、その辺りは注意していただく必要があるのかということで発言をさせていただきました。一応、その辺りを念頭に御議論いただければと思います。以上です。
○城内座長 そのほか御意見はいかがですか。
○化学物質対策課長 今の御意見ですと、適用法令と労基法第35条では少し違うかと思います。要するに、何も適用されていませんので、そういう意味では適用法令の中に労基法第35条を入れるのは、今の御説明の趣旨とは少し違うかと思います。
では、SDSはほかに書く所があるのかと言いますと、過去の災害などを書くその他情報みたいな所がありますので、先ほど小野委員からもありましたが、要するに誤った使い方で災害が起きたとかいうのを書ける欄はありますので、そういった所に書くことが望ましいみたいな感じで整理するのがいいのかなと思いました。
○城内座長 いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 きちんと意見になっていないかもしれません。今、御指摘のあったように、適用法令の所に書くのが適切でないときに、「その他」に書くと一番後ろになってしまいますので、そこが一番いいかどうか本当はよく分からないので、また相談できればと思っております。すみません。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 今の話ですと、第35条については、有害性の根拠として既に専門家の認定で、この物質でこういう障害、こういうものが起きるよということになっているので、GHSのJISだと項目11、個別の有害性情報の所にそういうものを書いていただくということで、一部対応できるのではないかという気もいたします。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。最初の特別規則適用物質等々、リスクアセスメント対象物質等々については、該当する旨を必ず記載するということでよいかということで聞かれていますので、よいでしょうか。ここは私は、個人的には非常に重要な情報だと思っていますが。平林委員、お願いします。
○平林構成員 平林です。それは決まっていればきちんと書いていただきたいと思いますが、もう1つ、そこに付け加えていただきたいのは、その物質がいつ基準になったかという公布日とかを書いていただかないと、もし途中で基準が変わったとか、そういうことになったときに、この情報がどれだけ新しいかということがある程度分かるようにはしておいていただきたいと思いました。以上です。
○城内座長 西村委員、よろしいですか。
○西村構成員 御趣旨を少し確認させていただきたいと思います。何を気にしたかと言いますと、指定の日を書く必要があるものもある、あるいは例えば管理濃度みたいに、更新が行われていついつの更新というものがはっきりあって、それが重要なものがある一方、1回指定されてしまえば、年月日を遡る必要はもはやなくて、それを遡って調べるほうが大変みたいなものが一方であるので、一律に全部それが付くのは良いことではないと思います。
○平林構成員 もちろん、そのつもりです。更新があるものについてはということです。すみません、ありがとうございます。
○城内座長 適用される法令については、よろしいですか。それでは、貯蔵又は取扱い上の注意についてはいかがですか。この情報もたくさん書くと大変なことになるかなと思いますが、ある程度取捨選択が必要かもしれませんが、いかがでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 取扱い上の注意というか、誤って体にかかった等の場合、救急車への情報提供や初期対応についての問合せ先という所があれば、そちらに聞いて対応ということで、かなり必要十分な気がするのですが、中毒情報センター等に2,900物質のいろいろな情報がいくのかという問題もありまして、問われたほうが困るかもしれません。しかも、全国いつどこからレアなものが来るか分からないということになりますので、どういう準備状態が可能なのかによるのではないかと思いました。
○城内座長 ここはいかがでしょうか。
○宮内構成員 全く宮本先生の言うとおりだと思いますが、こういった化学物質を取り扱う事業場の規模として、10人以下の所も当然あって、化学物質管理者や保護具着用管理責任者がもちろん選ばれていると思いますが、兼務でやっているような仕事の中で突発的な事故が起きたときに、やはりどこかできちんとした、しかも短時間で情報を得るのは非常に重要かと思うのです。その辺をどうするかというのは、もちろんユーザーさんのほうに任せて構わないと思いますが、少なくとも拠り所となるような所を1つはきちんと書いておくというのは非常に親切なことかと思います。また、本当に時間がないときに対応することを前提にしますと、これをデータとすると私は非常に貴重なデータになるのではないかと思うのです。むしろ強調して、こういうのを書いておくというぐらいで私はいいと思います。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 これは特殊な物質だけは書いたほうがいいと思います。例えば、シアン系とかあるいはアルシン、硫化水素とか、そういうものは比較的急性毒性で命にかかわるものなので、これは書いたほうがいいと思うのです。それは、メーカーの方は知っているはずなのです。自分の会社で、むしろそれが漏れたら何が起きるかという情報は、恐らくメーカーの方は持っていると思います。メーカーの方が持っていらっしゃる急性毒性情報で、あったほうがいいものだけでもいいと思いますので、全部書くのは無理だと思いますので、その部分だけでよろしいと思います。
○城内座長 宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 今の大前委員の話はごもっともで、私もそうお願いしようと思ったのです。救急隊員や職場で緊急対応する人がガードなしで、例えば心臓マッサージしてしまったとか言うと、そこの吐息で既にばく露されるということもありますから、そういった救急対応する方々の安全を守るということに必要な濃度とか、かなり低濃度で障害が起こるというのでしたら、これは絶対に記載してもらったほうがいいだろうと思います。なので、救急の場に行って病院に着くまでの経路が問題ない方と、そこまでの経路で問題になる方は、少し区分けをする意味があるかと思った次第です。
○城内座長 ありがとうございます。そのほかよろしいでしょうか。次に進みたいと思います。12ページ、保護具関係です。保護手袋の記載をどのように充実すべきか、呼吸用保護具の記載をどのように充実すべきかという所で、御議論をお願いいたします。ネガティブリスト、ポジティブリスト等々、よろしくお願いします。西村委員、お願いします。
○西村構成員 これも以前から、前任の者からも申し上げているとおりです。ここには「使用時の組成があらかじめ判断できる製品」という形で書かれておりますが、そこで使われている条件、状態、保護具の交換頻度等、それは指定でもいいのかもしれませんが、そういったものも非常に重要になってまいります。それ次第というところがあると考えておりますので、一律にポジティブリスト的なもので提供するというのはまた難しさがあるかと思っております。それを法令で求められてしまいますと、提供側としてはちょっと困るなと考えております。
逆に言いますと、今、建設業界のほうで業種別・作業別マニュアルを作っていらっしゃると伺っております。そういったもので個々、条件も含めた上で示せるような形で、時間は掛かってしまうのかもしれませんが、そういったものでやっていくのが現実的かと考えております。
○城内座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。今、建設業界のマニュアルの話が出たので、少しその話をしますと、我々建設業で化学物質を取り扱う場合は、例えば皮膚等障害に関しても、手をそのままどぶづけにしてやるという場面はほとんどないのです。作業をしているときにちょっと付くかなぐらいのレベルです。しかし、従前から我々の業界としては、手袋と言えば軍手だったのです。軍手若しくは素手で作業をしていたという文化があって、今回いろいろな厚労省さんの検討委員会の中で、皮膚等障害でいくと、浸透しない手袋、不浸透性の化学防護手袋というような御指摘を頂いて、確かにそうだなということで、我々の文化としてはポジティブ、ネガティブと言いますと、どちらかと言いますとネガティブになるのか。要するに、軍手は駄目よというスタンスで今は進めています。
現実的に調べていくと、ニトリルの手袋で何ミリ以上使わなければいけないというのは正式には出てしまうのです。3ミリとか4ミリとかいろいろ数字があるのですが、それをやってしまうとどうしても高価になって、誰のためのマニュアルかということを考えますと、実際に作業される方々のためのマニュアルなのです。ですから、先ほど申したように、軍手をつけていた文化は絶対駄目なのだよと。ではニトリルは、お医者さんがやっているような薄手の手袋でやれば、不浸透だから取りあえずはいいやという方向で、落としどころを見つけて今は進めているところです。幾ら高価な手袋はいいよねと言われたとしても、1枚5,000円もするような手袋を毎日使い捨てで、日当がそんなに高くない方々が使うわけがないのです。要するに、現実的なことを考えると、取りあえず我々業界として一歩踏み出そうということで、軍手からニトリルにいこうというような話で進んでいます。補足でした。
○城内座長 非常に貴重な御意見だと思いますが、ほかにありませんか。
○宮内構成員 宮内です。今の御意見はごもっともなのですが、事業主は基本的に適切な保護具を使用させるという義務が掛かっているわけです。そうすると、実際に何を使わなければいけないのかということを明確にSDSから読めないと、目的が達せないと思うのです。そのために選定マニュアルというものが作られたわけなのですが、そこには確かに、物によって非常に多くの材料が使われるとか、若しくは1つ2つ、例えば多層フィルムしか適用にならないとか、そういうことが実際にあるので、なかなか一概にポジティブがいい、ネガティブがいいという選択は難しくて、物質ごとに違うと思うのです。
結局、ネガティブでも、これは使えませんから注意してくださいということが伝わればいいと思うのです。ただ、間違いないのは、なるべく詳しく情報を伝えるほうが、ユーザーとしては非常に助かると思います。もっと言うと、製品名まで書いてあれば、本当にそのとおりで、例えば混合物であっても、この製品であれば問題はないということであれば、非常に助かるデータになると思うのです。だから、そこは主体として、まず考えていったほうがいいと思うのです。
製品名が駄目だという理由があれば、それはそれで構わないと思いますけれども、余り最初から制約した書き方はどうかと思うのです。あくまでも参考として載せるというような、推奨するというのでもいいと思うのですが、そういう書き方で私はいいと思います。SDSはハザード情報で明確ですが、保護具は使用時の状況により影響を受け、使用可能時間等は変わることがありますので、断言する書き方は慎重にすべきと思います。ハザードに関する情報でありますが、保護具を選択する部分はユーザーであり、詳細はメーカーと相談してもらう、選択の責任はユーザーにあることを明確に記載すれば良いと思います。それと単一の物質でしかデータがない場合は、幾つか組み合わせて使うという方法もありますから、そういうことも含めて書いていただきたいと思います。あと、材料と厚さと使用時間と作業分類、その辺が今回、特に保護具の選定マニュアルではきちんと分類されてマトリックスになっていますから、そういうことを含めた形の表現をしていただけるといいかなと思いました。
それから、呼吸用保護具のほうもついでに言うと、これは当然の話というか、どういうものを使うかというのは、防じん・防毒で違いますし、防毒マスクもたくさんありますから、そういうものをどう使うかというのは、そもそも基発0531などに出ていたように、きちんと使うということはもともと出ているので、これは確実に書いたほうがいいと思いました。以上です。
○小野構成員 小野です。私は、どちらかと言うとネガティブリストがあればいいのかなという気が最近はしています。それは、単一の有機溶剤で、余りにもニトリルだとすぐに溶けるとか、そういったような場合には書けるかなと思います。軍手が駄目なのはもちろんなのですが。
ポジティブリストについて、余りここにいっぱい書いたとしても、使う人がどう使うかで決まってくる部分が大変大きいのです。今、現場の声を聞きますと、化学物質管理者と保護具着用管理責任者、この辺が協力しながら保護具選定マニュアルを見て、化学系の物質を使っていると分かっている会社ですが、そういう人たちの中で、どういう使い方をすれば一番いいのかというのを考えて、それでリストアップして、各社でマニュアルのようなものを作ろうとして、そういう動きをしてくださっているところがあります。
せっかく管理者とか責任者を作っていますので、その人たちが資格さえ取ればいいやということで、それで法令を満たしているという形ではなくて、その人たちがきちんとマニュアルを使える能力を持っていく教育をしながら、SDSに何を書いていくか。その辺でフィードバックがまたくると思いますので、今、一概に、これを使いなさいというのを書くと、かえって混乱するのではないかと思います。材質に関しては、マニュアルを使えば選べますので、私は余り書き込まないほうが逆にいいのではないかと考えております。
○城内座長 小野委員、呼吸用保護具はいいですか。先ほど出ましたので。ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 私もネガティブリストのほうがいいと思っています。その理由としては、結局組合せなので、既に論点の所で混合物について書いてありますが、高くて性能がいいもの、一般論としてはその傾向にあるのですが、例えば混合物で違うものが混じったときに、かつ、実は主成分でなくて、毒性からすると、副成分のばく露を避けなければいけないというような場合が出てきたときに、なまじ主成分に関してポジティブリストがあると、今のリスクアセスメントに関する保護具の選定などの世の中全体の知識が確立する前に、逆に引っ張られて、誤った選択をするような可能性もあるのではないかということを危惧します。そういった意味で、とにかくこれは使ってはいけないというものを並べていくほうが、非常に重要なのではないかと思います。
あとは、ポジティブリストの場合、提供側が作っているときによく分かっていて、これはいいというような場合は、確かにあると思うのですが、材質を選んだとしても、実は製品ごとに性能が随分違うかもしれませんし、実際のところ、これを使って大丈夫だというお墨付きは現実には提供側としても出せないのではないかという気がしているので、まずはネガティブリストをきっちりと出すところから始めればいいのではないかという意見です。以上は保護手袋のことです。
保護具について意見を言わせていただきます。防毒と防じんは、あらかじめ選ぶというのは当たり前なのですが、難しいかもしれませんけれども、防毒マスクも結局、標準的な物質で破過の時間があって、活性炭でも付きにくい物質というのはちょっと分かっているので、これは標準的な保護具の性能で示されているものよりも抜けやすいというような情報が、法令の義務ではないですけれども、書けるものなら書いていただいたほうが、より労働者を守る情報としては有用な情報ではないかと思います。
○小野構成員 呼吸用保護具もよいということですので、お話させていただきたいと思います。今、鷹屋委員が御発言になった、例えば低沸点のジクロロメタンとか、分子量の小さいメタノールといったものが、割と抜けやすいというのは通達にも書いてあって、それらの物質は、データが出ているのはそんなに数が多いわけではないので、ある意味ネガティブリストにできるのかなという気はいたします。ですから、「早めの吸収缶の交換が望ましい」という一文を付けるぐらいはできるかなと思います。
あと、防毒と防じんなのですが、こちらに関しては、先ほどの使用用途との関係があるのですが、「スプレー塗装をするようなときには、防じんと防毒の両方でなければいけません」というような書きぶりが、使用用途との関連が書けるのでしたら、そこは重要かもしれないと思っております。それ以上のことは通達を見ていただくとか、あとは保護具着用管理責任者が責任をもって、社内でまとめていく、管理していくということで、対応していくべきかなと思います。
○城内座長 そのほかはございますか。宮本委員、どうぞ。
○宮本構成員 私は、手袋はポジティブリストにできないかと言った張本人でもあるのですが。というのは、皮膚については直接触れては駄目だということですが、その次の段階は、手袋越しに8時間浸していても大丈夫という完璧を求めているところで、間が何もないという感じがありまして、呼吸用保護具でしたら、指定防護係数と要求防護係数で考えるとか、防毒マスクは呼吸域濃度などと破過時間で考えるとか、少し対応するものがあると思うのです。しかし手袋になると、例えば作業というのは1時間とか、念のためとか、そういうものに対して、そんな高級なものを使う必要はないとか、こういう性能だったらこのぐらいの作業はできるというようなものがあるといいなというところでした。でないと、何でもかんでも完璧なものを装備しなくてはいけなくなってしまって、現実的でないというところにいってしまうので、今のSDSで情報を求めてみても、そのように読めてしまうところもあると思いました。
ですので、例えばニトリルだったら、ちょっと付いても15分は大丈夫とか、洗えば大丈夫とか、洗っては駄目とか、いろいろな情報があるのではないかと思ったところがあります。事業者が、どの手袋を使えば、今のこの人たちの作業に関してはリスクを許容範囲に収めることができるのかというところがないと難しいかなと思って、御発言させていただいた次第です。とにかく、直接タッチは駄目だけれども、あとは完璧にしないと駄目というような、間がないというのが、ちょっと苦しいなと思って、それでポジティブリストにならないかという発言をさせていただいたところです。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 今の真ん中の所がないという意見に近いところですが、そういう意味で、業種別・作業別マニュアルの作成の取組の中というのもありますし、あと、経団連で新設された化学物質管理のワーキンググループ等で、そういった議論を進めようとしているところです。日化協というか化学業界のほうも、そういった場で貢献をしてまいりたいと思っておりますので、業界を超えたところの知識の積み上げをやっていくのが一番いいかなと思っております。
もう一点ありまして、呼吸用保護具のほうです。先ほど小野委員から御指摘があったように、使い方によるのではないかというのが、皮膚のほうではなくて呼吸用のほうにも当てはまると思っております。ちりが出る職場で毒物的なものを扱うということがあるので、その判断はメーカー側、化学物質を提供する事業者からは、必ずしもそれを指定しづらいところが呼吸用保護具についてもございます。逆に申しますと、ユーザーのほうで防じんなのか、防毒なのかという状況は、作業現場の様子を御覧になれば分かるのではないかという思いが1つあります。あと、防毒マスクの吸収缶の種類にしても、私どもから出すSDSを見れば、有機なのか酸なのか、そういったものを選ぶことに余り難しさは、化学メーカーのほうから見てしまうからかもしれませんが、さほど難しさがないのではないかと思っております。以上です。
○城内座長 小野委員、どうぞ。
○小野構成員 小野です。先ほど申し上げた防じんと防毒の両方が必要というシチュエーションについてです。例えば塗料を売っているときに、その塗料の使用方法にスプレー塗装に適していると使用用途を限定している場合があります。そういった場合には、両方必要というのが書けるのではないでしょうかということで、横で研磨をしていて、こちらの人は有機溶剤を使っているという、それについてまでは言及できないと思いますので、それについては使っているものについて、有機溶剤用のマスクでいいということで。
2つ目の御意見のほうなのですが、化学物質を知っている者にとっては、酸か有機かというのはすぐに分かるというお話なのですが、実は、それも余り分かっていない場合もあります。ですから、その場合には「有機ガス用のマスクが適しています」と書いてあげてもいいのかなと思います。そうでないと、防じんと防毒の取り違いというのも、年に数件の事故があったりするのです。ですから、そういう面で、これを使うときにはこういうマスクがいい、こちらはポジティブになってしまうのですが、それがもし書けるような場合には、難しくない範囲で書いてあげてもいいと思います。
ただ、こちらには書いてあるけれども、こちらには書いていないから何でもいいと思われるとか、こちらには有機と書いてあって、こちらには何も書いていないから、きっと有機でいいだろうと想像する人も出てきてしまうので、ポジティブがいいのかどうかということについては、勉強していただくしかないかなと思っています。
○城内座長 そのほかはよろしいでしょうか。時間も少なくなってきましたので、次に進みたいと思います。
13ページです。譲渡・提供前のSDS提供と、SDSの通知事項に変更が生じたときの通知、SDS作成者に対する情報提供の支援、SDSの記載内容の充実、履行確保の方法ということです。これについては、全体を通して御意見等があればお伺いしたいと思います。いかがでしょうか。佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤でございます。代替物を使いたいときに、前任の最川からも話が出ていると思うのですが、購入しないとSDSを出さないというメーカーが結構あって、比較できないのです。ですから、要望すれば入手できるような仕組みができると。極論を言うと、同じような性能であれば我々としても危険なものは使いたくないですし、例えば水性で済むのであれば、塗料でも何でも水性で使えるのであれば、そういったものを使いたいです。そういった製品比較、性能比較はできるのですが、含有している化学物質を見る術がないので、こういったところも我々としては、今後は開示していただけると非常に助かる気がします。
私も化学物質関係の検討会にいろいろと出るようになって、いろいろなSDSを入手するのですが、非常に手間が掛かるのです。インターネットで申し込んで、それから返事が来て、やっとそのデータがもらえる。もっと言うと、データも出さないようなメーカーさんもあるので、その辺のところは、購入しないでもSDSを入手できるような。今後の議論になると思いますが、営業上出せない部分は置いておいたとしても、何が入っているのかは分かるようなデータは開示していただけると助かるかなと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。今、佐藤委員からありましたが、SDSは安全性を伝えるために営業秘密ぎりぎりのところまで出しているという事情もありまして、選んでいただく行為の中に商業的な行為ということもあるために、購入していない方にも一般公開、幅広く公開というのは各社難しさがあるというか、逆に、積極的にこれを見せて、それを商売上にするということも一方で可能ではありますが、示すのが難しいという事業者もあると思っておりまして、一律にはなかなか難しいかなと思っています。手間が掛かるとおっしゃっていたのですが、そのような方法で、一つ一つ請求をしていただくような形になるかなと思っています。
○城内座長 代替措置が考えられるかという質問があるのですが、出す側として代替措置はあり得そうでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。用途というか、製品によって多分違って、今おっしゃったのは、油性の塗料から水性塗料というようなお話だったと思うのですが、このような場合であれば、我が社のこのペイントは水性アクア塗料、水性塗料だと宣伝する企業もあると思うのです。そういった意味では、御希望に非常に積極的に対応できるようなケースもあるかなと思います。あと、「ノンなになに」というような商品の宣伝の仕方というのがあるので。ただ、これはあくまでもSDSの中身の開示ということではなくて商業行為なので、私はこういうことを申し上げましたが、このSDSの開示にはなじんでいないかなと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。山室委員、お願いします。
○山室構成員 記載内容の充実について申し上げます。私は中災防で化学物質管理者の講習会をやっておりまして、事業所様でやる場合などについては、安全データシートを御提供いただいて、それに関連した講義をやりますが、よくできていない安全データシートもあるのです。講義の中で説明するときに、「これでは分からないから、メーカーさん、SDSの提供者に聞いてください」ということをお願いしています。ここにも書いてありますが、対話をしてレベルを上げていっていただくということがよろしいのではないかと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。ほかの項目でも、御意見等があればお願いいたします。事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 一番最後に履行確保の方法というのがございまして、先ほど西村委員からも、一律で求めるのは難しいというような御発言もありました。御案内だと思いますが、まずSDSの交付については、交付自体は義務なのですが、罰則がないということが1つあります。それから、ここで問題になっている、SDSの通知に変更が生じたときの通知が努力義務になっていて、義務になっていない。こういった問題がございます。何を書くべきかとか、そういう細かな議論もありますが、それに加えて、現状の罰則と努力義務の在り方というところにも御意見を頂きたいのですが、よろしくお願いいたします。
○城内座長 いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。SDSの提供側からいたしますと、しばしば免責の所に書いたりもしますが、SDSを作成する側としては、最大限の今ある知識をもって記載しているところではあります。なのではありますが、例えば先ほど申し上げた、CAS番号が変わってしまっているような例等、非常に多岐の項目にわたってSDSは記載しますので、どうしても意図せず過ちが生じてしまうことがございます。それを虚偽だということで罰則を受けるということになりますと、提供する側としては非常につらいと言うか、当たり触りのないところだけしか書きたくないという気持ちも起こってきますし、そういった方向が必ずしもいい方向だとは考えておりません。
○城内座長 そのほかに御意見はございますでしょうか。保利委員、お願いします。
○保利構成員 先ほど佐藤委員が言われたように、代替物を検討するときに、SDSがないと難しいということでした。私もそうだと思うのです。学生などに講義するときに、代替化を検討する場合,代替物の有害性が低いことをSDSで確認するようにということをよく言うのですが、公開できない部分が多いと困りますね。それに対して、求めている情報をどうやって取ったらいいかということをきちんと開示できるようなものがあればいいのですが、そういった何かというのはできるものでしょうか。それとも、無理なものは無理だということでしょうか。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。代替物ということであったときに、ケースバイケースだと思うのです。代替物と考えたときに、何のことを考えたらいいか分からないのですが。
○保利構成員 例えば水性と油性というのが分かりやすいのですが、使用目的は同じで中身が違うという場合です。
○西村構成員 例えば同じ単一物質であって、不純物が違うようなケースを想定されたりしますか。例えば単一物質の話にしてみますが、化学メーカーは、ある単一物質の製品を売るときに、我が社の製品は有害性が低いということを売りにするケースがあります。例えば不純物が少ない、発がん性物質がある閾値以下であるというような言い方をします。そういったようなケースがあり得ると思います。そういった場合には、むしろ積極的に出てくると思います。仕組みとして一律のものを作るというのは難しそうかなと思います。
○保利構成員 そうすると、例えばユーザーの要望に応える形で、何らかの情報を提供できるというのは言えるということでしょうか。
○西村構成員 日化協の西村です。ユーザーの御要望がある化学品の提供事業者があったとして、ユーザーからコンタクトを受けますと。ある物質について、「この物質については不純物による有害性が問題になっていますが、あなたの所ではいかがでしょうか」というような個別の相談には、各社は恐らく対応できるのではないかと思います。そういった形になってくるかなとは思います。
○城内座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。今、私は代替物を比較するのに事前にデータが欲しいというお話をしたのですが、実際の例を言いますと、例えば今回のように、化学物質関連の法改正があって、皮膚等障害の検討資料ができてきて、マニュアルができてきて、では、手袋はどのようなものを使おうかという比較をするときに、やはり必要なのです。
化学物質は何が入っているか、あのマトリックス表の中にエクセルでポンと突っ込んでみて、こんなに高い手袋を使わなければいけないものは駄目だ、もっと安くいけるものはどうなのかというような使い方になってこようと思うのです。我々建設業界は、化学物質の物質がどうだという概念はほとんどありませんので、何が危険だとか、何が危なくないという概念は一切なくて、今のように、いろいろなマニュアルができて、それを比較検討するときには使うと思うのです。一番いい例は、水性なのか油性なのかというのが、一番分かりやすいのですけれども。代替品を使うというのは、そういうような意味でも、これからは重要になってくるのかなという気はします。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。鷹屋委員、お願いします。
○鷹屋構成員 私は研究機関にいて、現実の産業の相場感が分からない中で的外れなことを言っているのかもしれません。今、安井課長から、提供側の義務をどうするかというような話が出ましたが、佐藤委員からの話を聞いていて、現実に化学物質を使う側が化学物質のリスクアセスメントが義務化されている状態であれば、使う側が安衛法の義務を果たすために、そういったSDSなり記載が不十分で労働者を守りきれないというものしか手に入れられないということだと、最終的には提供側の製品が使用されなくなるということで、いわゆる法令上、提供側に義務を掛けなくても、時間は掛かるかもしれませんが、最終的には労働者の健康を守るために、最低限の情報は流通するというところに収斂するものなのかどうなのか。もし収斂するのであれば、それがいい形なのかなと思うのですが、一番最初に「相場感が分からない」と言ったのは、もしかして産業の現場にいない者が、的外れなことを言っているのかもしれませんが、本来なら、それも含めた自律管理なのではないかという気はしております。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。相場感が分からないということだと思います。本当に収斂するかどうかは、私も分からないのですけれども、基本的なところとして、私どもはSDSの作成ガイドライン等を出していますけれども、リスクアセスメントができないようなSDSを作成することは排除するように、日化協としてできることはそういったところかなと思っております。逆に私の個人的な相場感を申し上げますと、そういったようなSDSは出ていないと言ったら言い過ぎかもしれませんが、極めて少ないのではないかというのが、私の感触ではございます。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。
○西村構成員 履行のところから離れてもよろしいでしょうか。
○城内座長 はい。
○西村構成員 通知の変更で電子化、標準化とあるのですが、電子化の流れということはあってもいいのかなと思っています。一方で標準化のところなのですが、現在、SDSは既に流通しておりまして、各社によって、基本的な項目は同じですけれども、2か所に同じことを書いたりとか、より分かりやすくという気持ちだと思うのですが、そういったことをしている現状があって、各社の様式は、基本的な姿は同じでありながら、項目の順番などはまちまちでございます。そういった中で、項目の標準化というのは、現実的には難しい、ハードルが高いなと感じております。こういったことはいい流れだとは思うのですけれども、少し時間を掛けてやっていく必要があるかなと思っております。どういった場で議論するのが相応しいかというのも、相談していかなければならないかなと思っております。
○城内座長 そのほかはございますか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 今の標準化の話なのですが、今考えているのはどちらかと言うと箱です。要するに11個の箱があります。一個一個の箱の中は、幾つか小分けされているという情報があるわけですけれども、それを何段かのエクセルか何かに、紙のフォーマットに入力したら必ずCSVファイルに出るのですが、そのCSVファイルの順番は、とにかく統一にしましょうという感じなのです。だから、その箱の中に何を書くかというところまで標準化しようとは思っていないのです。
○西村構成員 日化協の西村です。箱の中の順番の標準化が割に難しいかもしれないと思っているところです。各社、よかれと思って順番を決めて書いていたりするもので、あるいは各社よかれと思って、同じ内容のものを3項と15項に書いたりとか、すぐには同意が難しいかなと思います。難しいというのは、やらないという意味ではないのですが、少し現実的には時間が掛かるかなと思っています。
○化学物質対策課長 いろいろと不安があるということで申し上げておきますと、紙のフォーマットを変えてもらいたいということは考えていないのです。今のありのままの形を何らかのフォーマットに入力したら、統一的なフォーマットでCSVが出てくるというものを作りたいということで、どういう紙でどう書くのかは、それぞれの各社で決めていただいて結構です。そういう、うまく変換できるソフトを作りたいという趣旨です。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。履行確保の方法はそれで、宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 宮本です。履行確保についてですが、できるかどうかはともかくとして、SDS交付に罰則がないというのは、2000年に義務化されて以降25年、四半世紀たとうというところですから、一段格上げをしていいのではないかという気がします。そうだとすると、変更通知が努力義務だというのもどのぐらい周知されているのか分からないですが、既に十分周知されているのであれば、こちらを罰則なしの義務化するという感じで一段引き上げるということで、今回の措置の実効性を担保することがいいのではないかと思った次第です。
○城内座長 そのほかございますでしょうか。各国のGHSを調べた時期があって、GHSに基づいたSDSを交付しましょうということに各国でなっているわけですが、SDSの交付にはもちろん義務が掛かって罰則も掛かっていたりするのですが、日本もそうですが、中身には罰則は掛かっていないというか義務は掛かっていないので、中の情報がおかしいから罰則が掛かったという例は実はないのだそうです。多分、掛けられないからなのですが。ただ、それが問われるのは、事故が起きたときに、その情報がなかったがためにどういう事故になったかという、その大きさで跳ね返ってくるということは海外の例でも聞きました。でも、罰則を掛けるというのは、やはり業界としてはGHS導入のときからずっと反対意見みたいなのが当然あって、日本でも、私はいいところに落ち着いているかとは思うのですが、それは今、罰則を掛けたほうがいいのではないかという御意見もありましたが、ここはなかなか難しいところだろうとは個人的に思っております。
そのほか御意見等ございますでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 御指摘のとおり、使用上の注意の中に、例えば、保護具のこれが書いていないから罰則だという運用はあり得ないと思うのです。まず、そういう基準が作れない。ただ、私が申し上げたいのは、そもそもSDSを出していない事業場がまだ1割ぐらいあるのです。それが、行政指導に従わなかったら野放しなのです。それはどうなのかということがあります。あと、更新したときに、今、努力義務なので、更新したから通知してくださいと言っても、「いや、努力義務だから」と堂々と言う事業場はいっぱいいます、現実問題として。それは、義務化するというのが1つあれば、より強い指導ができるようになるということです。私が申し上げたいのは、中身、要するに箱です、箱レベルです。例えば16項目のうち第3項目がスコーンと抜けているとか、あるいは、そもそもSDSを出していないとか、そういうものにしか、もちろん法令違反というのは現実は問えないというのは前提です。
○城内座長 ありがとうございました。そろそろ次に進みたいのですが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。
それでは、20ページに進みたいと思います。議論、論点はかなりダブっているところもありますので、効率的に行きたいと思います。営業秘密の定義ですが、ここについて御意見を頂きたいと思います。まず、営業秘密の定義、成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるか、履行確保の方法です。これは今の所ともダブるかと思います。これについていかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。賛成意見です。営業秘密の定義、含有量の10%刻み、現行ですが、これでよろしいかと思います。成分名についてはもっと後で議論があるかと思いますので、そちらのほうで意見を述べさせていただきます。以上です。
○城内座長 ありがとうございます。ほかに御意見等ございますでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 宮川です。前の会議でも申し上げたかもしれないのですが、ここに書いてある営業秘密の中で、ちょっと気になるのは、これを開示することによって競合相手に利益を与えるようになってしまうというところです。例えば、非常に毒性の高いものが入っていることを開示すると、これは売れなくなって競合相手に利益があるというのも、ここに該当するかどうかということなのです。そうすると、毒性が高いものが入っているものは営業秘密で明らかにしなくていいというのは、何となくユーザーの立場に立つと納得がいかないような気がするので、この定義はこれ以上難しくて書きにくいのかもしれませんが、その辺りはどうやって考えたらいいかというところをちょっと御検討いただきたいという気がします。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 後ほど論点3で出てきますが、毒性が高いものについては非開示を認めないというアプローチは、それには対応するということなのかと思います。
○城内座長 では、ここの20ページの論点については、基本的にはこういう方向で行くということでよろしいでしょうか。
では、続いて、27ページの論点に移りたいと思います。今の御質問の延長線上ですが、重篤な有害性を有する物質は非開示の対象に含まないとすべきか。リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、混合物の有害性区分に影響を与えない範囲の濃度のみを非開示の対象とするか。GHS分類の区分以外にリスクアセスメントの実施に支障のない範囲を判断する基準はあるか。それから、履行確保の方法は一緒です。いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日本化学工業協会の西村です。基本的には、重篤の有害性を有する物質は非開示の対象に含まれないとすべきということでよろしいかと思っております。ただ1点、付け加えていただきたい項目があります。混合物の場合で、有害性の区分を決めている成分以外の成分について、CBI保護を認めてもよいのではないかと考えております。ちょっと分かりにくかったと思いますが、何を言っているかというと、例えば、急性毒性区分1の当該成分が半分以上入っています、その結果が急性毒性の1になりましたという混合物があります。そのような混合物に急性毒性区分3を持つ成分が入っておりましたと。そういった場合には、急性毒性区分3を示す物質の名称についてはCBI保護を認めてもよいのではないかということです。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 有害性が高いものを除いて認めるということだと思うのですが、有害性が高いかどうかを判断するときに、2つコメントしたいのは、まず1つは、直前の発言にもありましたが、混合物としてのGHS区分が、例えば1になるから有害性が高いとか、GHSの混合物の分類区分を根拠に有害性が高い低いを判断するのは非常に誤った結論になる可能性があると思います。これは定量的に考えられないのです。例えば、発がん物質区分1だと0.1%入っていれば、もうそれで製品自体が区分1になるということなので、では0.1%入っているものは非常に発がん性が高いかというと、そうは言いにくいというところがあるのです。有害性が高い低いを考えるときに、最終的に混合物としての分類を考えるというのは、これはロジックとしておかしいところがあるので、本来はそれぞれの成分及びその含有量でもって考えないといけないということになると思います。
それから、2点目は細かいことなのですが、27ページの真ん中辺りで、呼吸器及び皮膚感作性と誤えん有害性は有害性区分がエビデンスの確からしさによる区分でと書いてあります。すみません、事前にきちんとチェックして意見を申し上げればよかったのですが、ここは必ずしもそうではなくて、有害性が高いか低いかというところの判断で定量的な判断がされています。どのくらいの濃度でもって反応が出るかというようなことで。皮膚感作性についてです。ですので、区分の番号が小さいほうが有害性が高い可能性があるので、この辺りはちょっと慎重に判断する必要がある。特に感作性に関しては、一旦、感作が生じてしまった人に関しては低い濃度でもって反応が起きる可能性があるので、そういう場合には非常に、言い方を変えれば有害性が高い状態になっているということなので、この辺りについては、慎重な議論をしていただきたいという気がします。以上です。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。
○化学物質対策課長 確認よろしいですか。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 今の西村委員の御意見は、まず確認したいのですが、今の話は、急性毒性とかみたいに毒性による区分がなされている場合の話ですよね。発がん性とかに当てはまる話ではないですよね。
○西村構成員 今、申し上げた例は、4番目に書いてあります急性区分1~3の、例えばの例ですが、これを申し上げておりまして、1となったときに、3が入っていますが、全体としては1なので、その成分をお伝えすることでいいのではないでしょうかという話です。ちょっと質問に答えていないでしょうか。
○化学物質対策課長 発がん性とかに関わる話ではないということでよろしいですね。
○西村構成員 ええと。
○化学物質対策課長 発がん性は区分1、2、3とあるのですが、それは単にエビデンスの強さで、例えばヒトのエビデンスがあるか動物のエビデンスがあるかどうかで、別に発がんの強さに基づいた区分ではないので、ですから、そういう議論は多分成り立たないと思うのです。
○西村構成員 ただちょっと思うところはありまして、エビデンスの強さ、つまり発がん区分は確からしさを示すものでありますため、1と2において、やはり1というのは非常に重要である。一方で、2に関しては、ヒトでの証拠がない、動物実験においてはある一定程度の制限が加わっていることがありまして、その違いはあるかとは思っております。
○化学物質対策課長 もちろん違いはあるのですが、例えば、リスクアセスメントをするときに、例えば量反応関係で見ると、それのエビデンスにはならないですよね。要するに、急性毒性の場合は明らかに違いますけれど。
○西村構成員 日化協の西村です。数値的な足し算という意味で、2が弱いからというポテンシャルの問題ではないので、そうではないと思います。
○化学物質対策課長 ないということですね、分かりました。それを前提にした上で、急性毒性みたいに、毒性によるATEなどが明らかに違うように区分されている場合で、今の御指摘でいうと、例えば区分1、2、3が入っているときに、もう混合物としての区分は区分1になっているから、区分3については非開示を認めていいのではないかという御主張。
○西村構成員 そのとおりです。
○化学物質対策課長 それについてちょっとお聞きしたいのです。一応、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲ということになっているので、毒性の区分3の場合について、それが非開示になることでリスクアセスメント上支障がないということはなかなか言いにくいと思うのです。要するに、個別物質別に有害性が違いますよね。例えば、区分1のものについては腎臓で、区分2については中枢神経系だという場合に、では区分3は神経系なのだけれど、その物質名を隠されてしまうと、その対策が取れなくなるという問題です。
○西村構成員 それはあれですよね、標的臓器毒性(単回投与)の話になってくるかと思うので、それはまた、どうなのでしょうか。
○化学物質対策課長 今の御議論は本当に急性毒性だけで、急性毒性というのは、要するに、言ってみれば死ぬか生きるかということしか区分はないから。
○西村構成員 そうですね、はい。
○化学物質対策課長 そういう細かいことはいいのではないかという御議論ですね。
○西村構成員 そういうことはできるのではないかと思うのです。
○化学物質対策課長 ですから、区分1を守っていれば、区分1として対応していれば、別にそこに区分2や3が入っていても、結局、より危ないところで死んでしまうから、という御議論ということですね。
○西村構成員 はい。
○化学物質対策課長 あくまで急性毒性に限定した御議論ということですね。
○西村構成員 今は急性毒性に限定してもいいかもしれないですね。
○化学物質対策課長 この辺については大前先生とか御意見いただきたいですが。そういう考え方でいいのですか。
○大前構成員 今のお話は、区分1が大量にある場合という意味ですよね。あとは、例えば、先ほど50%とおっしゃいましたが、半分は区分1で、あとは少ない量という、そういうお話が前提ですよね。そういうことですね。
○西村構成員 はい。
○大前構成員 でしたらあり得るかと思うのですが。ただ、プラスの秘密にしなくてはいけない物質であると。
○西村構成員 そういう状態であれば、区分の低いほうの物質については、秘密保護の対象としてもよいのではないかという考えです。
○保利構成員 よろしいですか、やはり含有量によると思うのです。ですから、1が非常に少なくて2がかなりメジャーであれば、やはりそちらのほうが問題になる可能性が高いと思うのですが、その場合でも1だけでいいという御判断でしょうか。
○大前構成員 今は1が多いという条件のお話ですよね。
○西村構成員 はい、そうですね。
○大前構成員 そういうことですよね。
○保利構成員 そうでない場合はどうするのだということですね。
○西村構成員 ええ、そうでない場合はどうするかですね。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川構成員 度々申し訳ありません。GHSの区分は、混合されたものがLD50に相当するものがどのくらいか、LC50に相当するものがどのくらいかを計算をして分類することになっています。急性毒性に関しては、混合物としての分類結果がそのものの急性毒性をかなり正確に反映するものになっていると思いますので、最終的に出来上がった製品がどの程度の区分に落ちるかでもって考えてもいいものに該当するような気がします。そうすると、全部開示しろと言わなくてもいい場合も出てくるのかということにはなると思います。ただ、頭に入れなければいけないのは、毒劇法の毒物相当が区分1と2、それから、区分3が劇物相当なので、そういうものをどう開示してもらうかというのは、考え方としては、少なくとも致死作用に関しては、混ざった状態でどの程度毒性を持つかということでもって判断するのが適当ではないかという気がしております。以上です。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 宮川先生からの御指摘があったのですが、毒劇法で区分1~3までは成分の開示がもともと求められていて、安衛法だけ外すというのはなかなか難しいという現実があるのですが。
○西村構成員 今、この話は、あくまでも有害性のみで対象となるような場合でして、ただし書が本当はあって、先ほど御指摘のあったとおり、安衛法でのリスクアセスメント対象物であったり、皮膚等障害化学物質とかそういったものに当たる場合は、もう当然CBIの対象にはならないのですが、有害性の部分に関した議論だけであるようなケースだと思っています。
○化学物質対策課長 毒劇の関係はいかがでしょうか。
○西村構成員 皮膚腐食性物質であっても、毒物相当かもしれませんが、毒物に指定されていないものがありますので、そういったものはまた対象ではないのではないかと考えております。
○城内座長 そのほか御意見ございますでしょうか。森委員、お願いします。
○森構成員 日印産連の森です。今の議論で、ここに「リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として」ということで、SDSを使ってリスクアセスメントをする我々ユーザー側にとっては、リスクアセスメントの実施に支障はないということは、有害性がないので、これはリスクアセスメントの対象物質ではないと理解してよろしいのでしょうか。もしそういう理解でいいのであれば、特にその物質についての記載は必要がないのではないかと思いましたが。
○化学物質対策課長 よろしいでしょうか。
○城内座長 お願いします。
○化学物質対策課長 こちら、2つ目のポツの「リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として」というのは、濃度の概念で使っております。これは濃度限界値というのがありまして、混合物の有害性の区分で、急性毒性は濃度限界はないのですが、例えば特定標的臓器だと10%とかあるのですが、それを下回っているものが仮に入っていたとしても、特定標的臓器としての有害性を混合物として評価しないというルールがあるのです。要するに、入っていないものとみなすというルールがあるので、そういう意味では、御案内のとおり、混合物のリスクアセスメントで、例えばクリエイト・シンプルのような簡易的なものを使うときには混合物の有害性を入力していきますので、その入力に反映されていないもののような、濃度ですね、今、議論しているのは濃度なのですが、そういう濃度限界値を下回っているような濃度のものについては、成分表示がなくてもリスクアセスメントに支障がないのではないかという議論をしております。今、西村さんと私がしているのは有害性の話なので、ちょっと次元が違うのですが。
○城内座長 そのほか御意見よろしいでしょうか。
○化学物質対策課長 あとちょっと、ほぼ急性毒性に議論が収斂されているのですが、区分3について、毒物に指定されていないもの、劇物に指定されていないものもあるから、それだけでも非開示にできないかという話だったのですが、リスクアセスメントの概念から言うと、毒劇に指定されているかどうかは実は余り関係なくて、毒性区分3はやはり3なのですが、そういった点はいかがですか。
○西村構成員 日化協の西村です。今、急性毒性の区分の話をしておりますね。それは、恐らく先ほど宮川先生のおっしゃったとおりでして、全体として区分1ということになりますので、リスクアセスメント上というか、製品の評価上は区分3のものが入っていてもそれで区分1になることはないので、支障がないのではないかと。毒劇の話はまた全然別な話ですよね、別な話だと思っております。
○城内座長 そのほかいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野構成員 安衛研の小野です。先ほど、というか再検討なさるかもしれないのですが、主成分が急性毒性の区分1、それ以外のもっと少ないものについて区分3という、それは間違いないかどうかというのを、今ここで結論を出せないかもしれないですが、そこは御検討いただかないと、区分3のものが圧倒的に多くて、圧倒的に多かったら非開示にはできないから大丈夫ですかね。また、区分3のものが、例えば経皮吸収で急性毒性を発揮する、それ以外のは吸入毒性というふうに、物質の体への侵入経路が違うような場合に、いや、本当にそういうのがあるかどうか分からないですが、そういうときに、量的なものの関係性とかそういうのが変わってくるのかと、ちょっと曖昧な状態ですが思いましたので。要するに、急性毒性1のものが50%以上のときとか、そういう何か制限がないと、やはり完全に非開示ということはできないかもしれないという懸念を持ちました。以上です。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 すみません、参考資料7をお配りしていまして、13ページに急性毒性の混合物の分類手順が入っておりますので、こちらを見ながら説明したほうがいいかと思うのです。参考7です。「GHSにおける混合物の有害性分類の考え方」の13ページです。こちらで、宮川先生が先ほどおっしゃったように、混合物のATEを計算する手段が急性毒性だけについてはあります。そういう意味では、混合物の毒性の区分というのがすごく信頼性が置けるというのは、この混合物ATEが計算できるからということです。小野さんがおっしゃったのは、ばく露経路です。経口、経皮、気体、蒸気、粉じん、ミストで違うのです。それぞれで区分の仕方が違います。ですので、経口と経皮でまたがっているときはどうなのかという議論は、確かに御指摘のとおりで、完全に1つの経口の中に閉じていれば、もう何かそれでいいような気がするのですが、それとは別にポコッと経皮で、また違う話になると、何か西村さんがおっしゃっているような単純な話にはならないかということだと思います。ここについては、もう少しきちんと検討する必要があると思います。
○城内座長 そのほかよろしいでしょうか。では続いて、ちょっと移動したいと思います。32ページをお願いします。営業秘密に該当する旨の明示をすべきか、一般名、代替名に置き換えるとした場合、置き換えのルールはどのようにすべきか、含有量の通知はどのようにすべきか、履行確保の方法とあります。含有量の通知は、前回から一応、合意が得られているかと思いますが、営業秘密の文言を入れるか、あとは、一般名に置き換えるとした場合どういうルールにすべきかということだと思います。この辺、いかがでしょうか。御意見等ありましたらお願いします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 ちょっとお時間がないのが恐縮ですが、30ページにEUのやり方で代替名の作成方法というのがあります。こちらに書いてありますが、成分名というのは母体化合物の構造と対イオンの構造及び光学異性体等々のこの4つの要素で決まることになります。そのうちの1つの要素を置換するか削除するという方法で隠せるというやり方を一次マスキングということで、そのうち2つ隠すことを二次マスキングといいますが、基本的に一次マスキングしか認められていません。置換の方法については、例えば母体化合物はここにありますように、オクタデカンとかがアルカンになるとか、あるいはフッ素がハロゲンになるとか、そういった形で置換をする。あるいは、置換位置番号は削除するやり方があります。これによると、右下にありますが、ものすごく長い正式名称が若干短くなって、ただ、最低限の情報は分かりますが、例えば置換番号や具体的な母体構造が分からなくなるので、どういうものか分からないことになるわけです。こういったやり方でEUはやっておりますので、置き換えのルールであるとすれば、こういうものがありますよというのが1つ御提案でございます。以上です。
○城内座長 御意見いかがでしょうか。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。御提案の内容の、32ページの営業秘密を入れることでよいかということなのですが、これについては賛成意見ということで申し上げたいと思います。含有量も先ほど申し上げたとおり賛成です。一般名でやる方法につきましては、今御説明がありましたように、基本的な官能基が分かるもので、比較的毒性を予測しやすいというか、これをやらないとやはりいけないだろうなと思うので、代替名をやるということでよいかなと。ただ、一段マスキングと二段マスキングがございます。一段マスキングの中でどれかを選ぶということでいいと思うのですが、中には一段マスキングだと構造によってはそのまま出てしまうようなケースもございます。そういったものにつきましては、何らかの申請とか許諾とか、何らかの形の届出かもしれないですが、何らかの形で担保を取った上で、二段階マスキングを認めていただけるようにお願いできたらと思っております。以上です。
○城内座長 そのほか、御意見等ございますでしょうか。おおよそいいのではないかということですが、事務局としてはそれでよろしいですか。
○化学物質対策課長 分かりました。御要望は理解いたしましたので、どういうやり方があるか考えたいと思います。どうしても二次マスキングしたい物質があるということですね。
○西村構成員 そうですね。
○化学物質対策課長 ごく限られているという認識ですね。
○西村構成員 そういうことだと思います。構造が、何というのでしょう、ある意味単純というか、番号を消しても構造から読めてしまうということですね。
○化学物質対策課長 分かりました。それはちょっと検討させていただきます。
○城内座長 ありがとうございます。そのほか、御意見等なければ。山室委員、お願いします。
○山室構成員 含有量の表示10%刻みという所ですが、クリエイト・シンプルを使って濃度推定するときに、25%以上、5%~25%未満、1%~5%未満、1%未満という4段階に分かれていて、それぞれ推定濃度が変わってくるところがありますので、最終的に詳細の開示を求めることができるということになっているので、いいかもしれませんが、手間を考えると、最初から低い所はこの範囲で示していただけると、ユーザー側はリスクアセスメントがやりやすいのではないかなと思いました。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。この法令の刻み方は実は任意になっていまして、例えば5%の次は15%に切ったり、自在に切れるのです。あるいは、別に10%でなくても、5%刻みでもOKなので、濃度が低い所については多分、実際は裾切値というか、濃度の限界値を下回るかどうかも知りたいでしょうから、そういった所は個別に交渉してもいいでしょうし、何らか我々がガイドライン的なものを示して、こういうときにはこういう区切りの留意点がありますよみたいなのをお示しするのは可能かと思います。
○城内座長 そのほかよろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 大前です。前回の議論ですと、今の一般名の話ですが、健康影響に関連した基をちゃんと付けましょうというようなお話だったと思います。前回出てきたのはイソシアネートだったと思いますが、そういうことはちゃんと入れて、一般名、代替名にするという理解でよろしいですか。
○化学物質対策課長 そうですね、この30ページの所に、有害性があるものであるかないかとかいう記載は実は余りなくて、だから、そういうのをこのやり方で一律というか、定性的に書けるかどうかはちょっと分からないのですが。
○大前構成員 とにかく問題は、健康影響の話なので、今のイソシアネートとか、あるいは酸無水物とか、あるいは場合によってはアミノ基とか、そこら辺がちゃんと分かるような代替名にしていただかないと、多分見るほうは困ると思います。そこら辺、何かうまい工夫があればと思いますが。
○化学物質対策課長 今のアミノの場合は、もともと置換するときの一般名がないので、置換基という一般的な名前にするらしいのです。ただ、先ほど申し上げましたように、この4要素のうちどれを隠すかというのは任意なのです。だから、アミノを残した上で、番号だけ必須というオプションがあります。だから、消し方でできるだけ有害性が分かるようにすべきだということを精神訓話的にうたうことはできますが、個別具体的にと言われると、ものすごくきつくて、そうなると個別物質別に行政が決めていかないといけないので、ちょっとそこは何かそういう精神論的なというか、こういうふうにすべきだということは申し述べられるのですが、個別具体的にこの置換基を隠してはいけないとかいうのを書くのは難しいかと思います。
○城内座長 小野委員、お願いします。
○小野構成員 安衛研の小野です。言い出しっぺなので、あれですけれども、31ページの所で、置き換えのルールはどうすべきかという議論があって、そのときに2番目の黒丸の2番目のマークの所ですけれども、どういう健康影響や物化性状の特徴があるか、代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきという議論がありました。今日検討する所では、2番目のドットの2つ目ですね、そこに代替名と有害性の関連性が分かるようにすべきということでよいかと書かれていますので、これはきちんと残しておいていただきたいと思います。それで、わけの分からない状態になっていて、何かが起こったら、先ほど罰則の議論でありましたが、罰則にするわけではなくて、何か事実が起こったら、それは隠していたということだねということになるかと思いますので、ここの2つ目の所がルールの1番目というか、重要なポイントだと分かるようにしておいていただければよろしいかと思います。以上です。
○城内座長 佐藤委員、お願いします。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。本当のエンドユーザーの御意見を言わせてもらいます。ニックネームを付けるなり、マスキングするなりして、物質名を隠すということが今議論されていると思います。しかし、それについては「営業秘密」と書くのですよね。ということは、化学物質に詳しくない人間がSDSを見たときに、10%刻みで成分比が入っていて、それが何かがよく分からない状況の中で「営業秘密」と書かれているものが入ったら、有害性も含めて、それはもう気にしなくていいという考えでよろしいのですか。我々はそれについて考慮しなくてもいいという考え方で捉えていいということになるのでしょうか。エンドユーザーだと、そういう発想になろうかと思うのでお聞きしたのです。
○化学物質対策課長 27ページにあるように、まず重篤な有害性を有する物質は、非開示は認めません。その上で、濃度についてもリスクアセスメントの実施に支障のない範囲で、要するに濃度限界値を下回るものだけに営業秘密を認めるので、「営業秘密」と書いてあるもので、混合物としての有害性の区分に影響があるものはないということになります。ただし、例えば沸点が低いとか蒸気圧が非常に高いもので、非常に濃度が低くても、使用条件によっては大量にばく露する可能性はあるのです。ですから、災害が絶対に発生しないということは言えません。そういった場合については最後に出てきますけれども、開示をして医療機関でちゃんと治療できるような担保をした上で認めるということだと思います。
○佐藤構成員 今、安井課長に説明していただいたように、やはり我々としては「営業秘密」と書かれたら、もう何もしなくてもいいという感覚になってしまうわけです。だから今おっしゃっていたように、こういうときにはこうなりますということは、しっかり明示していただかないと。我々も業界に戻って、今度はこういうようになったよと説明するときに、「営業秘密」と書かれたら気にしなくてもいいけれども、こういう場面もあるので気にしろという話しかできないかという気がしたのです。皆様方のように、化学物質に対して詳しい方々はいろいろ分かるかもしれません。しかし、化学物質のかの字も知らない。我々がよく安井課長に言うのは、こと化学物質に関して、建設業界で働いている人間というのは赤ちゃんみたいなものなのですよ。そういった人間でも分かるような仕組み作りをしていただくと、我々としては助かると思いました。
○城内座長 私の理解だと、営業秘密というのは成分名と含有量というのがありますけれども、危険有害性には掛からないはずです。それはちゃんとラベルやSDSに書かなければいけないので、対応は可能だと思っています。よろしくお願いいたします。そのほかに、宮川委員。
○宮川構成員 今の発言は、非常に重要な点だと思います。27ページに書いているもの以外だとしても、分かってない有害性がある場合もありますし、27ページに掛からなくても、例えば濃度基準値はなくても、産業衛生学会あるいはACGIHやDFGが、許容濃度やばく露限界値を決めているものがありますよね。そうすると、どういう有害性があるかだけではなく、例えばアメリカでは基準値としてこういうものが、TLVやRELやPELで提案されていますと。その情報があると、含有量からクリエイト・シンプルなどにそこの許容濃度を入れることができるので、リスクアセスメントが大分定量的にできるようになってくると思うのです。ですから私は、物質名は隠してもいいと思うのですけれども、それについてどの程度入っていて、どの程度有害性があるかというのは、きちんと書いていただくのが一番重要なことかと思います。私の意見です。
○城内座長 宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 もしクリエイト・シンプルに入れる方法があるのだったら、それを書いてもらっておかないと使えないと思います。ですから物質名を「営業秘密」と言われてマスクをされてしまったら、これはクリエイト・シンプルに入れないという情報になってしまうと思いますし、例えば呼吸用保護具を使うとき、防毒マスクを使うときの破過時間にも関係しないということになってしまいます。そういう意味でいくと、有害性の余り大したことのないものだと解釈されて、リスクアセスメントから抜けてしまうのが実際のところだと思います。もし、有害性がそこそこあるのだったら、リスクアセスメントが義務なのですから、開示してもらわないとやりようがないという気もします。
○城内座長 あとは事務局にまとめていただきたいと思います。
○化学物質対策課長 御意見はよく分かりました。クリエイト・シンプルの場合は御案内のとおり、物質を全部入力するやり方と、混合物の有害性区分を入力するという2つのやり方があります。その後者が必ず使えるという前提になりますので、当然営業秘密として非開示を求める場合は、混合物としての全体の区分があることが大前提で、それは1つの条件として必ず置くことになります。
あと、濃度基準値等が定められていて、例えば個別にばく露を測定しなければいけないものについては、非開示は認めません。皮膚障害物質もそうです。ですから、そういったものは基本的に大丈夫だという理解です。ただ、先ほども申し上げたように、絶対に災害が起きないということは言えませんので、災害が起きた場合の開示先も、きちんと書いてもらうということで対応するということです。
○城内座長 実は、あと2つテーマがありますので、先に進みたいと思います。36ページと40ページの2つが残っておりますから、まず36ページから御議論をお願いしたいと思います。情報の開示が認められる場面をどのように考えるか、情報の開示が認められる対象者をどのように考えるか、情報の開示の条件をどのように考えるかということです。これについていかがでしょうか。コメント等をお願いします。川本委員、お願いします。
○川本構成員 情報開示の対象物質について、質問をさせてください。例えば、混合物だとSDSに通知対象物質、リスクアセスメント物質は名称や成分を記載するのが義務で、リスクアセスメントの対象物質でないものは、努力義務ということになっていますので、当然、営業秘密で非開示になるのはリスクアセスメント対象物質ということになります。今回、緊急事態で情報開示をするとしたら、結局リスクアセスメント対象物質のみになるのか、それ以外のものも考えられるのかという質問です。
○化学物質対策課長 法令上通知することが義務付けられているのは、リスクアセスメント対象物質です。それ以外はもともと義務付けられていないので、営業秘密ということで隠しても違法にならないのです。ここで議論になっているのは法令上、通知が義務付けられているにもかかわらず、あえて隠したものについての議論をしております。
○川本構成員 そういうことで、リスクアセスメント対象物質のみということが分かりました。
○城内座長 そのほかに。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 実際のところ、混合物の中で「営業秘密」という文字があったものを浴びてしまって緊急搬送となった場合に、それを自分たちの社員あるいは救急隊員、消防署などに、例えばここの製造物は営業秘密だけれども、連絡は本当に大丈夫ですか、教えてという場合のことかと思っているのです。それは、そういう方々だったら教えてくれるという意味ですか。それとも営業秘密という部分で隠されているのだったら、たとえそれを浴びてもそんなに問題はない、ほかの物質のほうで有害性があるのだったら、そちらからやってという意味なのか。取扱い上、ここはどういうシチュエーションを考えればいいのか、分からなくなってしまっているのです。どのような場面を想定すればいいのですか。
○化学物質対策課長 御指摘ありがとうございます。場面はいろいろ想定できて、一概には言えないのですが、いずれにせよ、ここで言う医療上の緊急事態というのは、何らかの臨床上の所見が発生しているときです。中毒症状とか、意識を失ったとか何らかだと思います。そこでSDSを見たと。そのSDSの中で、例えば中枢神経系や有機溶剤系で意識を失ったとか、ものすごく分かりやすいものだったら、いちいち開示しなくてもいいケースのほうが多いのではないかと思います。SDSを見ても、そこに書いてある有害性と臨床所見が合わない可能性もあります。そういうところ、あるいは、どうもはっきりしない、本当にここのSDS、営業秘密以外のもので発生したとは言い切れない、不安だという場合は開示請求をするという認識です。
○宮本構成員 ありがとうございました。そうだとすると消防隊ではなく、行った先の病院でかなり高度な医療体制の下で、きちんと所見が取られた後の話になるという、ドクターレベルの問合せを想定するのですか。
○化学物質対策課長 はい。諸外国では一義的に、医療従事者からの開示請求ということになっています。あくまでも医療上の処置の決定のために、成分名が必要な場合です。ただ、前回の議論はそうではなく、緊急対応要員にも開示を認めろという議論があって、ちょっと議論が錯そうしてしまったのですけれども、諸外国ではそういった運用をしていると聞いています。
○城内座長 いかがでしょうか。開示を求めるというのは多分反対がないと思うのですが、どのように開示をするかというのが、なかなか難しいと思います。西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。情報の開示の秘密保持をどのように考えるかという、37ページのところで質問をしてもよろしいですか。情報開示の医療上の緊急事態の1つ目の行です。医療従事者以外は秘密保持契約を事後でやるとなっているのですけれども、医療関係者には秘密保持契約は求めず、医療従事者としての守秘義務で対応することでよいかとあります。医療従事者の守秘義務の範囲というのは、業務上取り扱ったことについて知り得た、人の秘密を漏らした場合ということですけれども、営業上の秘密もそれに含まれて、保護される対象になるのでしょうか。もし、そうでないのであれば、2つ目の医療従事者以外と同じ扱いにしたらいいのではないかと思っております。以上です。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。医療法は、もともと職務上知り得た秘密ということになっているので、その辺の解釈がどうなっているのか、私としてはそこで読めるという認識はしていましたが、読めるかどうかというのはもう一回、きちんと確認をしたいと思います。例えば、アメリカにも同じような制度があるのですけれども、医療従事者に対して守秘義務は求めないと、結構明確に法令で書いてあるのです。それは多分、事後的に取るにしても、現実的ではないのだろうと思います。プロフェッショナルな人たちにそういう義務は掛けないという感じだと思いますので、一応それとの並びで今考えているのです。
○城内座長 36ページ、37ページについて、そのほかにいかがでしょうか。ここも今日、結論が出る話ではないと思いますが、御意見をお伺いした上で、再度事務局で検討いただくことになると思います。もし御意見がなければ、次に移りたいと思いますが、よろしいでしょうか。大前委員、お願いします。
○大前構成員 こういう特殊な例が起きますと、医師というのは論文にしたくなります。症例報告です。これはどうするのか。要するに企業のほうでやめろ、駄目だと言う可能性が大きいので、そこら辺をどう考えるか、もうちょっと考えていただきたい。基本的に珍しい例だと、当然症例報告をして広める必要があるのです。
○化学物質対策課長 一応36ページに提案させていただいているものについては、ばく露した患者に医療上の措置のために、成分名が必要な場合に開示を求めることになっておりますので、論文発表というところまでは、今回の開示の射程には入っておりません。そちらは交渉していただいてということになろうかと思います。
○大前構成員 交渉すると、ほとんどの企業が駄目だと言うのです。もうそれは目に見えているのです。ここら辺は日化協も駄目だと言うと思いますけれども、次のことがありますから、発表すべきものは発表しておかないと。
○城内座長 そのほかによろしいでしょうか。それでは最後の課題、40ページです。これは行政機関への非開示情報の開示等の必要性ということで、行政への届出をどうするかということです。これについて御意見等はありますか。
○化学物質対策課長 ここに書いてあるのは開示の義務です。開示の結果、先ほど申し上げたような、本来非開示対象でないものを非開示にしていることが分かった場合、違法だった場合の履行確保は別途あります。こちらについては、先ほど御議論がなかったのですけれども、ここは多分、罰則をもって担保しないといけないのではないかと考えております。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。賛成意見です。40ページで御提案いただいている6-3の2つのポツ、行政への届出は求めないということと、その代わりに安衛法第100条の第1~第3項と書いてありますが、そういったやり方でよろしいかと思っております。以上です。
○城内座長 そのほかに御意見等はありませんか。宮本委員、お願いします。
○宮本構成員 宮本です。こういうケースがあるかどうかが分からないのでお聞きします。「営業秘密」と言っておいて、だんだん業界に類似のものが出てきて、もう秘密ではないということで営業秘密を解除することがもしあるのであれば、それはどういうタイミングでSDSに反映するのかは、少し入れておいたほうがいいのではないかと思ったのです。そもそも営業秘密が解除されることはあるのでしょうか。
○西村構成員 日化協の西村です。営業秘密でなくなることは、多分あると思います。例えば、製品の期限が切れてしまったようなことであると思います。そうなった場合は定義上、先ほどの営業秘密から外れてくるので、そもそも対象でなくなることは1つあると思うのです。ただ、提供を受けている側はそれが分からないので、1つは、まずは定義から外れるのではないかと思います。ですから、保護される対象ではなくなってくるのではないかと思います。それで返事になっていますか。
○宮本構成員 宮本です。ありがとうございます。そうだとすると、それはどういうタイミングで営業秘密でなくなったことを入れ込むのですか。SDSの内容変更のときに出すというのはありますが、それに該当するのですか。
○化学物質対策課長 これは御議論いただきたいと思いますけれども、20ページに営業秘密の定義として情報が公開されていないことと、情報が公開されないように合理的な手段を取っていることというのがありますので、それがなくなってしまえば、まず営業秘密の定義からは外れて、法令上非開示が認められなくなります。では、それをどのようにやるかというと、先ほどのSDSの更新の話に行ってしまいます。そこは今は努力義務ですけれども、更新で対応するということになろうかと思います。仮にそういう更新を怠っていることが行政で分かれば、違反を構成するということになろうかと思います。
○城内座長 そのほかに御意見はありませんか。森委員、お願いします。
○森構成員 日印産連の森です。この件ですけれども、情報開示をするときには、やはり緊急性が求められるということだと、医療関係に情報を提供しなければいけないということで、仮にメーカーの担当者にこの話をしたとしても、例えば会社だと、こういった企業秘密を出す場合には、ある程度の了解を得ないと出せないと思うのですよね。そういったときに大きな会社になればなるほど、いろいろな手続があって、情報開示をするに当たっての時間が掛かるということが、実際は想定されると思うのです。それがこういった法律があるということで解決できるのかが疑問なのです。
○化学物質対策課長 御指摘、ありがとうございます。あとは条文の書き方になってきます。例えば、開示をするときにも直ちに開示するとか、条文の書き方があります。「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」という3種類があって、一番厳しいのが「直ちに」です。そういったことで「直ちに」と書けば、監督署としては仮に直ちに開示しなかった場合は、違反を構成するというアプローチで指導をするという形になります。この制度を作った段階で、使用者側団体とメーカー団体と十分協議をして、開示の手続については各社できちんと定めるようにという話は、当然させていただくことになろうかと思います。
○城内座長 そのほかにありますか。時間が過ぎてしまって申し訳ありません。もし、よろしければ議論はこの辺で閉めたいと思いますけれども、言い忘れたことはありませんか。
○佐藤構成員 建設労務安全研究会の佐藤です。今回の議論とは全く関係ないのですけれども、前任の最川から是非、このメンバーにお話しておいてくれと言われたことがあります。昨年度からいろいろな御検討をされていて、化学物質に関する法改正が、今年4月1日から施行されました。我々建設業としては余りにも法改正が早過ぎて、皆さんがついて行けてないので、もうちょっと猶予を置いてくれないかということを小林部長を初め、直訴をしていたときがあります。そのような中で厚生労働省からは、1、2年かけて丁寧な説明をしていきますよというお話だったのです。我々としてはそういったことに関しては、労働基準監督署の臨検等々で指摘はないのかと思っていたのです。
そういった中で4月の中旬に、我々の仲間の都内の現場に、監督署が臨検に入って指導を受けたのです。臨検に来たのは、化学物質に関する法改正がされたので、その辺を重点的に見ますという趣旨の下に来られたようです。何をどうされたかと言いますと、家庭でも使っている赤や黄色などのカラースプレーがありますよね。ああいうスプレーが4、5本現場に置いてあったらしいのです。それを見て監督官が、有機則でいくと、有機溶剤が5%以上含んでいるものを使うときには、作業主任者を置かなければ駄目なんだよという話が1つありました。それから、有機則でいくと保管も風通しが良く、第三者が入らなくて施錠のできるような所に保管しなさいという指導を受けました。これは是正勧告ですから非常に重い指導ですよね。直さないと再開できないぐらいのイメージなのです。そういった指導を受けました。
我々としては今正に議論している、例えば皮膚等障害やマスクの指摘であれば、まあまあ、しょうがないよねというイメージがあるのですが、こと化学物質をひとくくりにされて有機則関係で、なおかつみんなが使っているような、一般の人も使っているようなスプレーにそういうような指摘をされている。要は、何が言いたいかというと、何が危険で何が危険でないのか、我々はどこを重点的に管理していかなければいけないのかが分からなくなってきつつあるのです。せっかくの機会ですから、こういった事例がありますということを皆様に御紹介したいのと、我々としても時間を掛けていろいろな対応をしていかなければいけないので、出先の行政官に対しても本省のほうから、きちんとその辺の指導をしていただけると有り難いと思っています。全然関係のない話ですけれども、申送りなのでさせていただきました。どうもすみませんでした。
○城内座長 西村委員、お願いします。
○西村構成員 日化協の西村です。冒頭で言い忘れてしまったことです。継続検討になっている物質に、無水フタル酸があります。無水フタル酸は呼吸器感作性ということで、再検討になっていると思います。しかし非常に低い値です。ただ、一方で根拠とするための試験のために、バリデートされている試験がないと私は伺っており、呼吸器感作性のある物質について、濃度基準値を設定するには非常に難しさがあるかと思っているところです。何を申し上げたいかというと、そういった物質について、そもそも濃度基準値を設定することの必然性というか、正しさみたいなものも含めて議論させていただければと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○城内座長 今の御質問と御意見等について、事務局から何かあればお願いします。
○化学物質対策課長 まず佐藤さんの件については何度も御説明しているように、例えば化学防護手袋などについては、知識も非常に必要ですし、浸透するのに時間が掛かるので、きちんと丁寧にやってくださいという指導は、全国会議でもやっておりますし、通達でも示しております。今伺ったお話は従来の有機則なので、私が申し上げた範疇には入っておりませんが、その妥当性をここで御議論するのは難しいのです。当然、双方に言い分があると思いますので、そちらは十分納得のいくまで監督署にお問合せいただければと思います。
それから、呼吸器感作性について濃度基準値を定めているのは、無水フタル酸以外にも既に定まっているものがあります。ACGIH等でも定めておりますので、定めないという結論は、かなり難しいかと思っております。また、その値をどうするかというところについては、一応今回は暫定値となっておりますので、我々の理解としては日化協さんのほうから、より詳細な何らかのエビデンスなりを頂いて、必要があればまた安衛研のほうで再検討するという理解ですから、そういった資料を御提出いただければ、検討させていただきたいと考えております。
○城内座長 よろしいでしょうか。時間が過ぎてしまって申し訳ありませんでした。本日の御意見を踏まえて、事務局で論点の整理等をやっていただけると思います。中間取りまとめに向けた作業をお願いすることになると思います。
最後に「その他」ということですが、事務局から何かありますか。
○化学物質評価室長 事務局です。本日の議事は以上です。本日の議事録は後日、構成員の皆様に御確認いただいた上で公開させていただきます。次回の日程は6月10日の月曜日、午後2時から5時を予定しております。場所は、本日と同じ厚生労働省の建物内となっております。議題は濃度基準値の検討と、化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知関係の検討を予定しております。構成員名簿のうち、全般に関する事項、毒性に関する事項の欄の先生方に御参集いただきたいと思っております。正式な開催案内は、後日お送りさせていただきます。以上です。
○城内座長 以上で、本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会させていただきます。どうもありがとうございました。お疲れさまでした。