- ホーム >
- 政策について >
- 審議会・研究会等 >
- 厚生科学審議会(予防接種・ワクチン分科会 研究開発及び生産・流通部会 季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会) >
- 第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会議事録
第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会議事録
健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課
日時
令和6年4月22日(月) 13:00~
場所
Web会議
中央合同庁舎5号館 共用第9会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)
議題
- (1)厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株につい て検討する小委員会について(報告)
- (2)2024/25 シーズン向けインフルエンザ HA ワクチンの製造株について
- (3)その他
議事
- 議事内容
- ○福澤ワクチン開発専門官 それでは、定刻となりましたので、ただいまより「第1回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会」を開催いたします。本日は、御多忙のところ御出席を頂きまして、誠にありがとうございます。
本日の議事は公開です。議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りにつきましては、議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係の皆様におかれましては、御理解、御協力のほどよろしくお願いいたします。また、傍聴の方は、「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。会議の冒頭の頭撮りを除きまして、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので御留意ください。
本日は対面とWeb会議のハイブリッドで開催いたします。まず、Web会議の開催に当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言をされる場合は、まずお名前をおっしゃっていただきまして、委員長から御指名を受けてから御発言をお願いいたします。なお、Web会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。会議の途中で長時間音声が聞こえないなどのトラブルがございましたら、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
また、開催に先立ちまして、事務局に人事異動がございましたので御報告申し上げます。昨年9月に厚生労働省の組織再編がございまして、「健康・生活衛生局」の「感染症対策部」の下に「予防接種課」が設置されてございます。予防接種課長に堀が、予防接種課課長補佐に眞中が、そしてワクチン開発専門官に私、福澤が着任しております。
続きまして、委員の出席状況について御報告いたします。本小委員会としては初回でございますけれども、1つ目の議題で御案内いたしますとおり、昨年まで開催しておりました小委員会からの継続となりますので、本年度に新たに就任された委員のみ御紹介させていただきます。医薬品医療機器総合機構から岡田委員の後任で中村委員に御参加いただいております。現在、9名の委員のうち9名全員の方に御参加いただいておりますので、定足数を満たしており、厚生科学審議会の規定に基づきまして本日の会議が成立していることを御報告いたします。
また、本日、参考人として5名の方に御出席いただいております。国立感染症研究所インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター長の長谷川参考人、国立感染症研究所インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センター第一室長の渡邉参考人、日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員の金子参考人、中川参考人、大川参考人に御出席いただいております。
申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましてはここまでとさせていただきますので、御了承のほどよろしくお願いいたします。また、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので御留意ください。
それでは、議事に先立ちまして、本部会の資料について説明させていただきます。本部会の資料につきましては、通信負荷の軽減の観点から、基本的に画面に投影いたしませんので、傍聴されている方々を含めまして、Webサイトに掲載されている資料をお手元に御用意いただければと思います。
それでは、ここからの進行は坂元委員長にお願いいたしたいと思います。よろしくお願いします。
○坂元委員長 委員長を仰せつかっております川崎市の坂元でございます。本日はよろしくお願いいたします。
では、まず事務局から審議参加に関する遵守事項について御報告をお願いいたします。
○福澤ワクチン開発専門官 審議参加の扱いについて御報告いたします。その前に、委員と参考人の方はカメラをオンにしていただければと思います。本日、御出席いただきました委員、参考人から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づきまして、ワクチンの製造販売業者からの寄付金等の受取状況、申請資料への関与について御申告いただいております。各委員及び参考人からの申告内容につきましては、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。
本委員会での調査審議を行う品目は、本日は季節性インフルエンザワクチンとなります。本日の出席委員及び参考人の寄付金等の受取状況から、参加規程第5条に基づきまして、中野委員、日本ワクチン産業協会の中川参考人が調査審議を行う品目の申請書類に関与されておりますので、審議時に「退室」に該当いたします。また、参加規程第6条により、日本ワクチン産業協会の中川参考人、金子参考人、大川参考人が調査審議されるワクチンを製造販売する企業(開発している企業を含む)との間で特別の利害関係を有すると考えられますので、審議時に「退室」に該当します。さらに、参加規程第9条により、中野委員が寄付金受取の実績があり、かつその額が50万円以上500万円以下の年度があることから、議決不参加の基準に該当するため、審議の際、「議決に参加しない」に該当いたします。なお、このほか「退室」や「審議又は議決に参加しない」に該当された委員はいらっしゃいません。以上となります。
○坂元委員長 どうもありがとうございました。ただいま、事務局から本日の審議参加について御報告がありました。参加規程第5条により、中野委員、日本ワクチン産業協会の中川参考人が、参加規程第6条により、日本ワクチン産業協会の中川参考人、金子参考人及び大川参考人が、審議時に「退室」に該当します。また、中野委員が、第9条により、審議の際、「議決に参加しない」に該当しております。
しかしながら、参加規程によりますと、「審議会場から退出する」との取扱いにつきましては、「当該委員等の発言が特に必要であると当委員会が認めた場合には、出席し、意見を述べることができる」となっております。今回の会議では、私、委員長として、中野委員には、専門家としての意見を述べていただきたいこと、また、意見を述べることがありましたら公平な立場でお願いしたいと思います。また、日本ワクチン産業協会の中川参考人、金子参考人及び大川参考人には、ワクチン製造候補株の検討について資料を準備していただいており、これら3名の方につきましても、専門家としての意見を述べていただきたいこと、また、意見を述べるに当たりまして公平な立場でお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。そのほか、本委員会での意見の取りまとめは、「議決」には当たりませんが、先ほど御報告のありました中野委員におかれましては、参加規程第9条に準ずる形で意見取りまとめの際には御参加いただけないことと思いますが、委員の皆様方、いかがでしょうか、御承認いただけますでしょうか。
(異議なし)
○坂元委員長 ありがとうございます。それでは、委員会としての参加事項に関して御了承が得られたということで、早速議事に入りたいと思います。
議事に入らせていただきます。本日の初めの議題は、「厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会ついての報告」となります。まず、事務局より御説明をお願いします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。まず資料1-1を御覧ください。こちらは本小委員会の設置要綱となります。本年2月、研究開発及び生産・流通部会において、新型コロナワクチンの製造株に関しても本委員会の検討対象とすること、その設置要綱について所要の改正を行うことを御議論し、御了承いただき、改正をしたものとなります。
資料1-2を御覧ください。こちらは、予防接種・ワクチン分科会参加規程になります。こちらは、本年4月に行われました予防接種・ワクチン分科会を持ち回りで開催させていただき、本小委員会について所要の改正を行うことを了承いただいたものとなります。御説明については以上です。
○坂元委員長 ありがとうございました。ただいまの説明の中で、委員の皆様方から御意見や御質問がございましたら、お伺いいたしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。では、意見がないという形で先に進めさせていただきたいと思います。
それでは、次の議題に入らせていただきます。「2024/25シーズン向けインフルエンザHAワクチン製造株について」となります。まず、事務局より御説明をお願いします。なお、質疑応答につきましては、全ての資料について御説明いただいた後にお時間を設けたいと思います。よろしくお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局です。資料2、2024/25シーズン向けインフルエンザHAワクチンの製造株について御説明いたします。2ページを御覧ください。こちらは、季節性インフルエンザHAワクチン製造株の選定に当たって、基本的な考え方をイメージした図となっております。基本的な考え方として、製造株の選定に当たっては、原則、WHOが推奨する株の中から、期待される有効性、ワクチンの供給可能量を考慮した上で検討を行うことと今までされております。
3ページを御覧ください。こちらは、ワクチンが出荷されるまでの基本的な流れを示しております。上の段の矢印で示しているように、まず、WHOで亜型ごとに複数の推奨株が推奨されます。WHOの推奨については、例年2月下旬に公表されますが、2024/25シーズンは、4株中1株が2023/24シーズンから変更となっております。続きまして、国内メーカーで増殖性等の製造効率を確認し、そのデータ等も踏まえて、感染研のほうで検討を行っております。次に、厚生科学審議会、この本小委員会ですが、こちらで製造株について検討、決定し、国内メーカーで製造、9月下旬から販売開始といった大まかな流れとなっております。下に、亜型ごとにWHOの推奨、感染研による推奨という表を記載しておりますが、上から2段目、A型のH3N2におかれましては、2023/24シーズンの推奨内容から変更があり、後ほど感染研からも御説明を頂きますが、感染研による推奨株が示されている状況です。
4ページを御覧ください。こちらは、インフルエンザHAワクチン製造の特徴の概念的なものを示したものです。インフルエンザHAワクチンは4価のワクチンとなりますので、4つの原液をバランスよく製造することが重要であり、同じ製造能力でもバランスよく製造することでワクチンの供給量が増えるといったイメージを示しております。
5ページを御覧ください。まず、2月ぐらいから各メーカーが原液製造を始め、9月下旬の市場への供給に向けて順次製造等を進めております。下のほうに記載しておりますが、WHOが新規のH3N2の株を推奨した現状において、4月下旬までにH3N2の国内における製造株を決定する必要があります。
6ページを御覧ください。こちらは、インフルエンザHAワクチン製造候補株の製造効率について概要をまとめたものです。上に記載のあるワクチン製造量の推計方法のイメージとしては、製造量は各製造株の製造効率と卵の数が大きく影響するものとなっております。下の表になりますが、製造効率については、今回変更のあったA型のH3N2においては、前年度比、2023/24シーズン比としては、1.22倍の製造効率となりまして、合計、全体としても1.06倍の製造効率となっております。以降は参考資料となっておりますので、適宜、御参照いただければ幸いです。資料2の説明は以上です。
○坂元委員長 ありがとうございました。続きまして、2024/25シーズンのインフルエンザワクチンについて、国立感染症研究所の御意見を伺いたいと思います。長谷川参考人から資料3-1、資料3-2の御説明をお願いいたします。よろしくお願いいたします。
○長谷川参考人 国立感染症研究所インフルエンザ・呼吸器系ウイルス研究センターの長谷川と申します。資料3-1を御覧ください。こちらで、令和6年度のインフルエンザワクチン用製造株とその推奨の理由を述べております。今シーズン(2023/24)の世界的なインフルエンザの流行は、過去2シーズンははっきりとした二峰性のピークが見られましたが、2023/24シーズンは、新型コロナウイルスの流行前のようなピークが1つの流行が見られました。流行のピークは、これまで多くは1月であったのですが、今シーズンは12月に見られました。例年より若干早い流行でした。型・亜型・系統別では、A/H1pdm09、A/H3及びB型(ビクトリア系統のみ)、それぞれ検出されましたが、その割合は国・地域により異なっておりました。傾向としては、北半球はA型の検出が多く、また、A/H1pdmとH3の割合は国・地域によって異なっておりました。南半球はB型の検出が多かったです。
日本の流行は、冬の流行が3シーズンぶりに見られました。2022/23シーズンのピーク後、全国の定点当たりの患者報告数は減少しましたが、1.0以下になることはなく、そのまま2023/24シーズンに入りました。第36週以降の報告数は増加し、第49週でピークを迎えました。そのときの定点当たりの報告数は33.7です。年末に向かって減少しましたが、第1週以降、再び増加し、第6週で次のピークを迎えました。そのときの定点当たりの報告数は23.9です。それ以降、減少しています。インフルエンザ分離・検出報告は、2022/23シーズンでは、A/H3が大多数でしたが、2023/24シーズンでは、2023年中はA/H3とH1pdmが多く報告され、年明けからは、ビクトリア系統のみですが、B型の報告が増えました。
感染研では、WHOワクチン推奨株選定会議、これは2月19~22日に行われましたが、そこで議論された有効株の解析成績、令和5年度ワクチン接種後のヒト血清抗体と流行株との反応性及びワクチン製造候補株の製造効率などを総合的に評価して、令和6年度(2024/25シーズン)のインフルエンザワクチン製造株候補株して、以下の株を推奨することにいたしました。
まず、H1N1亜型については、候補株1つのみを挙げておりますが、A/Victoria/4897/2022(IVR-238)になります。その推奨理由ですが、最近のA/H1N1pdm09亜型ウイルスは、赤血球凝集素(HA)遺伝子系統樹上、6B.1A.5a.2、以下「5a.2」と示しますが、その群から分岐した5a.2a群及び5a.2a.1群に属していました。地域別では、5a.2a群のウイルスは、東南・西・南アジア、アフリカでの検出が多く、5a.2a.1群のウイルスは、日本、北・中・南米の国で検出が多かったです。ヨーロッパは、国により割合に違いがありますが、全体としては、それぞれ同じぐらいの割合で検出されていました。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、2023/24シーズンワクチン推奨株で、5a.2a.1群に属する細胞分離のA/Wisconsin/67/2022類似株及び卵分離のA/Victoria/4897/2022類似株に対する血清は、群を問わず、非常に多くの流行株と良く反応していました。5a.2a群のウイルスでフェレット感染血清との反応性が低下する株が一部存在しましたが、検出地域が限定的で、オーストラリアの一部で見られました。
A/Victoria/4897/2022類似株、これは5a.2a.1群に属する株ですが、これを含む2023/24シーズンワクチンを接種したヒト(小児、成人、高齢者)の血清を用いた血清学的試験では、細胞分離のA/Wisconsin/67/2019類似株に対する反応性と比較した場合に、流行している5a.2a群と5a.2a.1群に属するウイルスに対する反応性はおおむね良好でした。
以上の成績から、WHOは、2024/25シーズンの北半球用のA(H1N1)pdm09ワクチン推奨株として、今シーズンと同じA/Victoria/4897/2022類似株を引き続き推奨しました。国内のA/H1N1pdm09亜型ワクチン製造用としては、令和5年度において高増殖株A/Victoria/4897/2022(IVR-238)が使用されており、また、本株以外に新しくワクチン候補株の性状解析は実施されていないことから、ワクチン株検討会議では、令和6年度のA/H1N1pdm09亜型ウイルスのワクチン株として、令和5年度と同一株であるA/Victoria/4897/2022(IVR-238)を推奨しました。
続きまして、A/H3N2亜型について述べます。候補株は、A/California/122/2022(SAN-022)になります。最近のA/H3N2亜型ウイルスは、HA遺伝子系統樹上は多様化していますが、直近の全てのウイルスは3C.2a1b.2a.2群、以下「2群」としますが、これに属しています。2群は、HA上の特徴的なアミノ酸変異により更に分岐し、その中で、ほとんど全てのウイルスは2a.3a.1群で、こちらも……名が長くなってきましたので、もう一度新しい名前に名前が変えられて、新しい群名としてはH群と呼ばれていますが、そこに属してきました。H群は、更にH.1~H.4に分かれました。世界的には、H.2群に属するウイルスが多く報告され、続いてH.1群及びH群に属するウイルスが多かったです。国内の多くの分離株はH.1群に属していました。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、2023/24シーズンワクチン推奨株である細胞分離のA/Darwin/6/2021類似株あるいは卵分離のA/Darwin/9/2021類似株、これらは2a群に属しますが、これらに対する血清は、試験機関により反応性の程度に差がありましたが、約半数の流行ウイルスに対して反応性が低下していました。一方で、2024シーズン南半球用のワクチン推奨株である細胞分離のA/Massachusetts/18/2022類似株及び卵分離のA/Thailand/8/2022類似株、これらは2a.3a.1群/H群に属していますが、これらに対する血清は流行株との反応性は良好でありました。H.2群に属するウイルスには、これらの血清との反応性が若干低下する株も見られましたが、まだ報告数はそれほど多くはない状況にありました。
A/Darwin/9/2021類似株を含む2023/24シーズンのワクチンを接種したヒト(小児、成人、高齢者)の血清を用いた血清学的試験では、細胞分離のA/Darwin/6/2021株に対する反応性と比較した場合、今シーズン多く流行していたH.1群及びH.2群に属するウイルスとの反応性の低下が見られました。H.1群やH.2群を含むH群に属するウイルスが多く流行していること、2023/24シーズンワクチン推奨株に対するフェレット感染血清の反応性が低下している流行株が多くなっていること、一方で、これらの流行株はH群に属するA/Massachusetts/18/2022類似株及び卵分離のA/Thailand/8/2022類似株に対するフェレット感染血清との反応性は良好であったこと、H.1群及びH.2群の流行株に対して、2023/24シーズンワクチン接種者の血清の反応性が低かったことから、WHOは、2024/25シーズンの北半球用のA(H3N2)ワクチン推奨株を、2023/24シーズンのA/Darwin/9/2021類似株から、2a.3a.1/H群に属するA/Thailand/8/2022類似株に変更しました。
感染研では、国内のA/H3N2亜型ワクチン製造候補株(CVV)として、2a.3a.1群/H群に属する高増殖株A/Thailand/8/2022(IVR-237)、A/Brisbane/837/2022(IVR-246)、A/Sichuan-Gaoxin/1144/2023(CNIC-2302D)、A/Sichuan-Jianyang/35/2023(CNIC-2303A)、A/California/122/2022(SAN-022)及びA/California/122/2022(NYMC X-407)を入手し、国内のワクチン製造所3社に分与しました。これらのうち、NYMC X-407株は、WHO協力センターからCVVとして不適当という情報があったため、対象外としました。残りの5株について、各製造所で増殖性(感染価測定)、しょ糖クッション法によるウイルスたん白収量、及びエーテル処理によるスプリット工程及びろ過工程まで行った生産性が評価されました。増殖性については、それぞれの感染価は107~109EID50(50%卵感染価)/0.2mLの範囲でしたが、最大感染価は各社ともSAN-022株が最も高かった結果になりました。ウイルスたん白質含量については、今シーズン国内ワクチン製造株であるA/Darwin/9/2021(SAN-010)と比較したところ、SAN-022株の3社の平均が111%と良好であり、CVV5株中、唯一3社の平均として100%を超えていました。これらの結果から、以降の評価についてはSAN-022株に絞って進められました。継代による抗原性の乖離は認められませんでした。さらに、生産性評価については、今シーズン国内ワクチン製造株であるA/Darwin/9/2021(SAN-010)と比較したところ、3社の平均は122%であり、エーテル処理による収率低下は確認されませんでした。
以上から、ワクチン株検討会議では、令和6年度のA/H3N2亜型ウイルスのワクチン株として、A/California/122/2022(SAN-022)を推奨しました。
続きまして、B型です。B型のビクトリア系統ですが、推奨株は、B/Austria/1359417/2021(BVR-26)です。最近のB/ビクトリア系統のウイルスは、HA遺伝子系統樹上、V1A.3a.1、以下「3a.1」群と、V1A.3a.2、以下「3a.2」群に分かれていますが、前シーズン同様、2023/24シーズンも3a.2群のウイルスが主流でした。
フェレット感染血清を用いた抗原性解析では、今シーズンのワクチン推奨株B/Austria/1359417/2021類似株(3a.2群に属する)に対する血清は流行株と良く反応しました。
また、B/Austria/1359417/2021類似株(3a.2群に属する)を含む2023/24シーズンワクチンを接種したヒト(小児、成人、高齢者)の血清を用いた血清学的試験では、細胞分離B/Austria/1359417/2021類似株に対する反応性と比較した場合、流行の主流である3a.2群のウイルスに対して良く反応しました。
以上の成績から、WHOは、2024/25シーズンの北半球用のB/ビクトリア系統ワクチン推奨株として、今シーズンと同じB/Austria/1359417/2021類似株を引き続き推奨しました。
国内のB/ビクトリア系統ワクチン製造用としては、令和5年度において高増殖株B/Austria/1359417/2021(BVR-26)が使用されており、また、本株以外に新しくワクチン候補株として性状解析は実施されていないことから、ワクチン株検討会議では、令和6年度のB/ビクトリア系統ウイルスのワクチン株として、令和5年度と同一株であるB/Austria/1359417/2021(BVR-26)を推奨しました。
B型の山形系統ですが、推奨株はB/Phuket/3073/2013です。山形系統については、2020年3月以降、自然界における流行で解析された山形系統ウイルスは報告されておらず、検出は弱毒生ワクチン由来の株であることが分かっております。したがって、WHOの季節性インフルエンザワクチン推奨株選定の専門家会議からは、季節性インフルエンザワクチンに山形系統ウイルスを含める理由がないため、4価ワクチンから山形系統のワクチン株を除き、3価ワクチンにすべきとの意見が出されております。しかしながら、WHOは、各国・地域の当局が4価あるいは3価ワクチンの決定を行うべきであるとしていることから、WHOは、2024/25シーズンの北半球用の4価ワクチンのために含むべきB/山形系統ワクチン推奨株として、これまでと同様にB/Phuket/3073/2013類似株を推奨しました。
我が国では厚生労働省から2024/25シーズンは4価ワクチンとするとの方針が出されたため、山形系統ワクチン株について議論されました。B/Phuket/3073/2013はワクチン製造株として製造実績もあることから、令和6年度のB/山形系統ワクチン株として、令和5年度と同一株であるB/Phuket/3073/2013を推奨しました。以上です。
○坂元委員長 長谷川先生、詳細な御説明をありがとうございました。引き続き、参考人の日本ワクチン産業協会から、資料4の御説明をお願いします。よろしくお願いいたします。
○中川参考人 日本ワクチン産業協会インフルエンザ専門委員会の中川です。日本ワクチン産業協会から、資料4、2024/25シーズンのインフルエンザHAワクチン製造候補株の検討成績を御報告いたします。
まず、2ページです。製造候補株の製造適性評価の方法を簡単に説明いたします。製造候補株の製造適性評価は、小スケールの実験系で、ワクチン製造と同じように発育鶏卵にウイルス株を接種して培養します。発育鶏卵からウイルス液を採取し、濃縮、しょ糖クッション遠心を行います。得られた精製ウイルス液について、ウイルスたん白質の収量を評価します。こちらを中間評価と呼びます。2017/18年シーズンまでは、収量の評価はここまででしたが、2017/18年シーズンの埼玉株におけるエーテルスプリット工程での収率低下を受け、2018/19年シーズンからは、小スケール実験系でスプリット工程、ろ過工程を行い、模擬ワクチン原液まで作製し、ウイルスたん白質の収量を評価するように変更いたしました。これを、最終評価と呼んでおります。WHOの推奨株は、A/H3N2以外は2023/24年シーズンから変更がありませんでしたので、変更がありましたA/H3N2のみ製造候補株を評価しております。
3ページは、A/H3N2製造候補株の中間評価の結果です。製造候補株は、感染研から5株が分与されましたので、この株について検討を行いました。その結果、たん白質収量が最も高いA/California(SAN-022)は、昨シーズンの製造株であるA/Darwin(SAN-010)に対して111%という結果となりました。
4ページは、A/California(SAN-022)株のウイルス粒子形状を電子顕微鏡で観察した画像となります。桿状のウイルス粒子も観察されましたが、その量は過去の製造株程度であり、ウイルス粒子形状による製造への影響はないものと考えております。
5ページは、A/California(SAN-022)株の最終評価の結果です。最終評価の模擬ワクチン原液段階では、昨シーズン製造株であるA/Darwin(SAN-010)株に対して、A/California(SAN-022)株は122%の収量という結果でした。表には示しておりませんが、最終評価を行う際に、精製ウイルス液の段階での収量も確認しております。この結果は、昨シーズン製造株であるA/Darwin(SAN-010)に対して、119%となりました。また、スプリット工程でも収率低下は見られておりません。
これらの評価の結果から、日本ワクチン産業協会としては、A/California(SAN-022)株の製造適性は十分にあると結論付けております。以上で報告を終わります。
○坂元委員長 中川参考人、御説明をどうもありがとうございました。事務局から何か補足説明等はございますか。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。補足は特にございません。
○坂元委員長 どうもありがとうございました。以上、御説明を頂きました。ここからは、皆様方の質疑応答の時間としたいと思います。御質問のある方は、よろしくお願いいたします。リアクションで挙手、又は、私は全員見えておりますので、手を挙げていただいても結構です。よろしくお願いいたします。いかがでしょうか。H1N1とH3N2、それからB型、WHOは1種類オーストラリアのみと言っていますが、今シーズンにつきましては、我が国ではプーケットも入れて4価とするという今までの御説明だったと思いますが、皆様方、いかがでしょうか。ワクチン産業協会からも、新たなワクチンについては十分なワクチン量が得られるという御説明でした。いかがでしょうか。御質問等はございますでしょうか。脇田先生、よろしくお願いします。
○脇田委員 皆さん、余り意見がないようですので。私も、この結果については特に異論はありません、今年度、H3だけ変更ということで異存はありません。
ただ、1点質問というか、伺っておきたいのですが、山形株が世界的にもう検出されていない状況で、WHOも3価を推奨するというところもあり、我が国でも3価ワクチンへの移行を今後どのように進めていくかという点について、もし厚労省からお話できることがあればお願いしたいと思います。以上です。
○坂元委員長 事務局、ただいまの脇田先生の御質問に対してよろしくお願いいたします。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。日本における3価ワクチンの導入時期についての御質問かと思いますが、現時点では具体的な時期は御提示できず、各製剤の薬事承認の状況や、シーズンごとの製造スケジュールも考慮し、医療現場で混乱等を招かないように、メーカー等にヒアリングを行っているところです。他方で、WHOの見解も踏まえ、2025/26シーズンでの切替えを目標に、可能な範囲で早期に導入できるよう調整していってまいります。以上でございます。
○脇田委員 ありがとうございました。
○坂元委員長 脇田先生、以上でよろしいですか。
○脇田委員 はい、よく分かりました。
○坂元委員長 釜萢先生、お願いします。
○釜萢委員 ありがとうございます。質問はありません。今の御説明で、3価にするかどうかの検討は今後の課題かと思いますが、4価で今回準備をするというのに大変心強い結果が得られたと考えております。是非、これでいったらよろしいのではないかと思います。よろしくお願いいたします。
○坂元委員長 釜萢先生、ありがとうございました。ほかの委員の皆様方、何か御質問、御意見等はございますでしょうか。福島先生、よろしくお願いいたします。
○福島委員 ありがとうございます。株選定のプロセス等については、異論はありません。いつも大変詳しい分析と評価をありがとうございます。私がお聞きしたいのは、今シーズンから鶏卵培養のインフルエンザワクチンの国内製造メーカーさんが3社になりましたので、株選定のところでは生産性は問題ないということですが、3社での製造能力というか、その辺の懸念がないかどうかだけお聞きしておきたいと思いました。
○坂元委員長 ありがとうございました。これは、厚生労働省からお答えいただけますか。それとも、ワクチン産業協会、いかがでしょうか。
○眞中予防接種課課長補佐 事務局でございます。ワクチンの供給量につきましては、正に各メーカーから製造効率等が示されたところですので、これから夏の流通部会等に向けて、メーカーとも検討しながら進めてまいりたいと思います。以上です。
○坂元委員長 ありがとうございました。今の御説明でワクチン産業協会のほうはよろしいでしょうか。
○中川参考人 日ワク協の中川です。はい、特に異論はございません。
○坂元委員長 福島先生、よろしいですか。
○福島委員 ありがとうございます。その回答で十分です。ありがとうございます。
○坂元委員長 ありがとうございます。ほかに何か御意見、御質問等はございますでしょうか。中野先生、よろしくお願いします。
○中野委員 中野です。質問ではないのですが、インフルエンザワクチン全般に関することで、1点だけ意見を述べます。先ほど来お話が出ていますように、ウイルスの変異等を念頭に置いたワクチンの有効性と供給の安定性、その2つの観点からインフルエンザ不活化HAワクチンを御準備いただくという方針は非常に大切なことで、しかも、先ほど詳細に説明いただいた検討結果をお聞きしますと、先ほどの方針で私も妥当だと思っています。
接種の現場にいる者として思っていることは、いわゆるインフルエンザワクチンの接種シーズンが始まって、早い時期から潤沢に供給されるということが、接種の現場ではとても大切なことのように感じております。先ほどのプランであれば、今シーズンも恐らくウイルスの増殖性その他を考えると順調にワクチンを準備いただけるのではないかなと思っておりますが、こちらも先ほどから話題となっております、株が3つなのか4つなのかという問題、現在、4種類含まれている株が3種類になるかどうか。この点が、いつから切り替えるということははっきりしていない。今後、順次決めていくということですが、そちらが順調にいつからどうなるということがはっきりしたほうが、来シーズン以降も間違いなくしっかりと供給されると思っています。
なおかつ、不活化HAワクチン以外に、我が国ではインフルエンザワクチン、ほかのモダリティのワクチンのお話も、実際に承認された製剤もありますし、そういったお話も出ていますので、今シーズンのことはもちろん現在の御提案で全く異論はありませんが、来シーズンも見据えて、早い時期からいろんなことを見定めていっていただければなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂元委員長 中野先生、どうも御意見ありがとうございました。委員の皆様方、ほかにいかがでしょうか。よろしいですか。では、質疑応答で意見なしということで、これから審議にまいりたいと思います。
次のシーズンに、インフルエンザワクチンの製造株として選定することが適当と考える株について、皆様方から御意見を頂きたいと思います。ただいままで、4種類のワクチンの御提案がございました。H1N1についてはビクトリア株(IVR-238)、H3H2についてはカリフォルニア(SAN-022)、B型のオーストリア株、B型の山形株の4種類の御提案がありましたが、皆様方に御審議いただきたいと思います。いかがでございましょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
では、本日の審議のまとめに移りたいと思います。A型のH1N1につきましては、昨年度と同じビクトリア株(IVR-238)を選定すること。2番目、A型のH3H2については、カリフォルニア株(SAN-022)を選定すること。3番目、B型のビクトリア系統については、昨年度と同じくオーストリア株(BVR-26)を選定すること。最後に4番目として、B型の山形系統については、昨年度と同じくプーケット株を選定することで御異議はございませんでしょうか。よろしいですか。
(異議なし)
○坂元委員長 以上、異議なしという形で皆様方の御了承を得たということで、そのようにさせていただきたいと思います。
以上で、本日予定しております議事は終了ということになりますが、その他事務局から何かございますでしょうか。
○福澤ワクチン開発専門官 次回の小委員会の開催につきましては、後日追って御連絡させていただきたいと思います。事務局からは以上でございます。
○坂元委員長 それでは、本日の季節性インフルエンザワクチン及び新型コロナワクチンの製造株について検討する小委員会を終了いたしたいと思います。本日は、皆様方、どうもありがとうございました。これにて終了させていただきたいと思います。どうも御苦労さまでした。