2024年3月7日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・再生医療等製品安全対策部会 議事録

日時

令和6年3月7日(木)14:00~

出席者

出席委員(15名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理


欠席委員(7名) 
行政機関出席者
 吉田易範(大臣官房審議官)
 野村由美子(医薬安全対策課長)
 大久保貴之(安全使用推進室長) 他

議事

○医薬安全対策課長 先生方、そして今日、配信を御覧になられる皆様方、YouTubeなどの不具合がございまして、開催が大変遅れまして申し訳ございませんでした。これから、令和5年度第2回薬事・食品衛生審議会薬事分科会医療機器・再生医療等製品安全対策部会を開会いたします。本日、御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御出席を頂きましてどうもありがとうございます。
 今回は会議の公開につきまして、新型コロナウイルス感染防止等の観点から、YouTubeによるライブ配信で行うこととしておりますので、御理解、御協力のほどお願い申し上げます。議事録につきましては、後日、厚生労働省ホームページに掲載をさせていただきます。また、今回もWeb開催としており、対面での進行と一部異なる部分がございます。議事に先立ち、審議の進行方法等につきまして事務局より御説明をさせていただきます。
○安全使用推進室長 御説明申し上げます。本日は不具合がございまして開催時間が遅れましたことを重ねてお詫び申し上げます。会議でございますが、まずハウリング防止のため、御発言時以外はマイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。御意見、御質問を頂く際はミュートを解除し、初めにお名前をお知らせください。発言のタイミングが重なったりした場合は、部会長から順に発言者を御指名いただきます。会議中、マイクの調子が悪かった場合などは、音声の代わりにメッセージに御記入いただくようお願いする場合がございます。システムの動作不良などがございましたら、会議の途中でも結構ですので、事前にお伝えしております事務局の電話番号まで御連絡ください。また、先ほどもメールを差し上げたところですが、再度不調が発生することがございましたら、再度一斉メールにて御連絡させていただきますので、御確認をよろしくお願いいたします。事務局からは以上です。以降の議事進行は佐藤先生にお願いいたします。
○佐藤部会長 皆さま、こんにちは。国衛研の佐藤です。YouTubeを御覧の皆さま、部会の先生方、お待たせいたしました。厚労省のスタッフの皆さま方、接続、どうもありがとうございました。お疲れさまです。
 それでは、議事に入る前に委員の出欠状況、審議への参加等について、事務局から御説明をお願いいたします。
○安全使用推進室長 本日の委員の出欠状況について御報告いたします。泉委員、伊藤委員、小早川委員、宮地委員、山本謙吾委員、萬委員、脇田委員より御欠席との連絡がありました。このほか、数名の先生方が入り直しでうまく入っていないようですが、本部会の委員22名中、現時点で15名の委員に御出席いただいておりますので、薬事・食品衛生審議会の規程により定足数に達していることを御報告申し上げます。
 最後に、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について報告させていただきます。薬事分科会規程第11条には、「委員、臨時委員又は専門委員は、在任中、薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任した場合には辞任しなければならない」と規定されています。今回、全ての委員より適合している旨を御申告いただいております。以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明に対しまして、御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。続きまして、事務局のほうから配布資料について御説明をお願いします。
○安全使用推進室長 資料は、あらかじめメールにてお送りさせていただいておりますが、議題1に関して資料1-1~1-9、議題2に関して資料2-1~2-3-2、議題3に関して資料3-1-1~3-2-2がございます。このほか、議事次第、資料一覧、委員名簿及び参考資料として医療安全情報66号、68号をお送りしています。お手元に御用意のない方がいらっしゃいましたら、事務局までお知らせいただけますと幸いです。なお、本日の議題は全て報告事項となっておりますので、よろしくお願いいたします。
○佐藤部会長 ありがとうございます。議題1に入る前に、前回の部会にて委員から御質問がありました、プログラム医療機器「FoundationOneCDx がんゲノムプロファイル」の不具合報告につきまして、事務局のほうから御説明をお願いしたいと思います。
○事務局 ありがとうございます。前回の部会において、当該プログラム医療機器の不具合報告のデータ異常44件に対して御質問いただきました。提出された不具合報告の中には未完了報告が含まれていたことから、改めて現状を御説明させていただきます。
 本品の使用目的には、腫瘍組織の包括的なゲノムプロファイルを取得することと、医薬品の適応判定の補助を目的として遺伝子変異を検出することの2点がございます。このフローとして、今、画面のほうを表示させていただいていますが、医療機関で採取された検体はFoundation Medicine Inc.(以降、FMIと呼ばせていただきます)に送られ、当該FMIにおいて解析が行われた後、中外製薬が管理するWebページを介して医療機関へ解析結果が提供されます。
 解析は複数の工程から構成されておりますが、御質問いただいたデータ異常の主な要因は、本プログラム、FoundationOneCDxへの入力データ作成の最終段階で実施される、FMIラボの専門家によるデータレビュー時のエラーとなっております。具体的には、最終化前の入力データを専門家がレビューする際に、事前に定められた手順にのっとった作業が行われなかったというものになります。
 解析データの誤りが発見され修正レポートが発行されていることから、「健康被害が生じるおそれ」がある不具合として、薬機法で定める不具合報告が行われておりますが、現時点で不具合によって誤った治療に至った事例はございません。
 このように、データ解析の適切性を確認していましたが、2023年4月以降は追加で、手順書の改善やトレーニングの実施等の対応を行っております。
 これにより、同様の不具合の発生率は減少傾向にありますことから、中外製薬による安全対策措置は妥当と判断しております。説明は以上になります。
○佐藤部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明に対しまして、御意見、御質問のある先生がいらっしゃいましたら御発言をお願いします。いかがでしょうか。よろしいですか。では、プログラム医療機器FoundationOneの不具合報告については以上となります。
 それでは、議題1に移ります。議題1「医療機器・再生医療等製品の市販後安全対策について」に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 事務局より、議題1「医療機器・再生医療等製品の市販後安全対策について」、前回の部会以降の約半年間のうちに医薬安全対策課から発出した、医療機器及び再生医療等製品の安全対策に関する通知を御紹介いたします。
 資料1-1~1-9にお示ししているとおり、約半年間で9報の通知等を発出しております。会議時間の都合上、資料1-7について御説明させていただき、他の通知の詳細な説明は割愛させていただければ幸いです。
 資料1-7、今、画面のほうを表示しております。「医療機器サイバーセキュリティに関する不具合等報告の基本的考え方について」。製造販売業者が行う不具合等の報告については、薬機法で定められているところです。また、医療機器のサイバーセキュリティの確保については、各種通知にてその考え方を示し、製造販売業者は、サイバーリスクに伴う医療機器の不具合等をGVP省令における安全管理情報として取り扱い、適切な製造販売後安全管理を行う必要があることを示しています。今般、医療機器に対するサイバーセキュリティの確保を一層強化するため、厚生労働行政推進調査事業での取りまとめを経て、医療機器サイバーセキュリティに関する不具合等報告の基本的考え方を示しました。当該通知において、サイバーセキュリティに関する不具合等報告の具体的な事例を掲載し、製造販売業者による製造販売後安全管理が、より円滑になるよう周知・指導してまいります。
 議題1の説明は以上となります。
○佐藤部会長 ありがとうございました。ただいまの事務局からの御説明に対しまして、御意見、御質問がおありの先生方がいらっしゃいましたら御発言をお願いします。いかがでしょうか。
○中川委員 中川ですが、よろしいでしょうか。
○佐藤部会長 中川先生、お願いします。
○中川委員 横浜栄共済病院臨床工学科の中川と申します。サイバーセキュリティの今の通知の件でお伺いします。今の通知の内容は十分把握をしていますが、今、我々のほうでも医療機関として、医療機器に対するサイバーセキュリティに対しての取組を強化しているところですけれども、こちらの内容は主に製造業者のメーカー等に対するものであり、医療機関に対するサイバーセキュリティの通知等はないのかどうかお伺いしたいです。お願いします。
○佐藤部会長 事務局、お願いできますか。
○事務局 中川先生、御質問ありがとうございます。医療機関における医療機器サイバーセキュリティの手引書というのを、昨年3月に通知しているところです。題名を申しますと、「医療機関における医療機器のサイバーセキュリティ確保のための手引書について」という通知を発出しています。医療機関が医療機器を導入する際には、医療機器メーカーからサイバーセキュリティに関する情報を入手した上でネットワークを構成すること、保守・サービス内容の明確化、インシデント発生時の対応手順設定、関係者の教育などが示されています。また、市販後も医療機器メーカーと情報共有しながら使用環境の最適化を図ることなども示しています。現在、サイバー攻撃で大きく問題となっていますのは、医療機器を対象とした攻撃ではなく、医療機関の診療情報システムへの攻撃において診療に支障が出るケースとなっていまして、これに関しては医療機関の担当部局が対応しているほか、このサイバーセキュリティに関するオンラインセミナーも開催しているところです。以上です。
○佐藤部会長 中川先生、よろしいでしょうか。
○中川委員 ありがとうございます。また引き続き、情報がありましたら提供のほうをお願いすると同時に、今後また、そういった医療機器のネットワーク機器が増えてきていますので、また新たにこういった指針等を作っていただくと幸いです。よろしくお願いします。ありがとうございました。
○佐藤部会長 ほかに御質問、御意見、資料1-1~1-9までについてですけれども、ございますか。よろしいでしょうか。では、議題1の報告は以上となります。
 それでは議題2です。「医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について」にまいります。事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題2、「医療機器・再生医療等製品の不具合等報告について」、資料2-1~資料2-3-2に沿って御説明いたします。資料2-1の1ページを御覧ください。令和5年度の上半期である令和5年4月1日~令和5年9月30日までの6か月間の報告状況について、御報告いたします。
 2ページを御覧ください。不具合等報告の全体の概要となります。医療機器及び再生医療等製品の不具合報告制度は、製造販売業者等からの報告である企業報告制度と、医療機関等の医薬関係者からの報告制度の二つから成り立ち、1.は医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づく製造販売業者等からの不具合報告について、3ページの2.は医薬品医療機器法第68条の10第2項に基づく医薬関係者からの不具合等報告になり、それぞれについて報告いたします。
 まず、2ページの1.「製造販売業者等からの不具合等報告」です。医薬品医療機器法第68条の2の6第1項において、医療機器及び再生医療等製品の製造販売業者又は外国製造医療機器特例承認取得者等は、医療機器及び再生医療等製品の有効性及び安全性に係る事項、その他製品の適正な使用のために必要な情報について、能動的に収集するよう規定されております。
 国内にて、医療機器又は再生医療等製品の不具合が原因又はその不具合が原因と疑われる死亡や重篤な健康被害が発生した場合、又は不具合によりそれらが発生するおそれのある症例が発生した場合、製造販売業者等がそのことを知ったとするときには、医薬品医療機器法第68条の10第1項に基づき、厚生労働大臣に報告する義務があります。報告の対象や情報を入手してから報告するまでの期限については、医薬品医療機器法施行規則第228条の20により定められております。
 また、海外で使用される医療機器又は再生医療等製品にて死亡又は重篤な健康被害が発生した症例、又はそれらのおそれがあると判断された症例に関する不具合に関する情報については、医療機器等が使用されている国の規制に従って、各国の規制当局に報告等されることとなりますが、日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる医療機器については、それらの海外における医療機器の不具合等に関する情報を日本の製造販売業者が入手したときには、日本においても外国症例の不具合報告として、不具合報告の対象となります。この場合の報告者は、日本の製造販売業者となります。
 今回の報告では、令和5年度の前期である令和5年4月1日~令和5年9月30日までの医療機器の不具合等報告について、各項目の報告件数を示しております。1.(1)1)の不具合報告の件数については、国内と外国の合計が10万4,991件で、前回の令和5年7月の部会で報告しました、令和4年度後期である令和4年10月1日~令和5年3月31日の件数である11万1,339件と比較して、約6,000件の減少となっております。今回の10万4,991件の内訳ですが、九つの製品の分類で言いますと、多いものは分類3 「処置用・施設用機器等」の2万8,832件と、分類4 「生体機能補助・代行機器」の6万8,530件で、この二つで全体の約93%を占めております。
 国内報告と外国報告の件数ですが、国内報告が1万4,140件、外国報告が9万851件となっており、前回の国内報告である1万3,851件から289件の増加、外国報告については前回の9万7,488件から約6,600件減少となっています。また、コンビネーション医薬品の医療機器部分における不具合報告は、国内報告が822件、外国報告が1,386件の計2,208件がありました。また、再生医療等製品の不具合報告は、国内報告が340件、外国報告が1,727件の計2,067件の報告がありました。
 続いて、2)感染症報告は、医療機器、コンビネーション医薬品が0件、再生医療等製品が1件でした。
 3ページの一番上、(2)の海外の規制当局や外国製造元等が行った措置を報告する外国措置報告については、医療機器が922件、再生医療等製品は6件でした。(3)研究報告は、医療機器については1,674件、再生医療等製品は0件、(4)感染症定期報告は、医療機器は36件、再生医療等製品は85件でした。感染症定期報告の詳細については、次の議題で御説明いたします。また、2.医薬関係者からの不具合等報告は、医療機器では170件、コンビネーション医薬品では2件、再生医療等製品では0件、3.副作用救済給付又は感染救済給付に係る疾病、障害及び死亡の報告は、医療機器、コンビネーション医薬品、再生医療等製品ともに0件でした。
 次に、全体の報告件数の推移等について御説明いたします。4ページを御覧ください。4~7ページには、過去3年分の不具合報告件数の推移をグラフ及び表で示しております。4ページは国内報告と外国報告を合わせた件数のグラフを、5ページは国内報告件数のグラフを示しております。医療機器不具合報告の全体の報告件数の傾向としては、過去の部会でも御報告させていただきましたとおり、フィリップス社によるCPAP製品の回収により一時的に報告数が増加しておりましたが、回収がほぼ終了したため、通常の増減傾向に戻っており、報告件数に大きな増減傾向は認められません。
 続いて、6ページのコンビネーション医薬品については、令和2年度後期から2,000~2,500件程度の水準となっており、報告件数に大きな増減傾向は認められません。再生医療等製品については、前回の令和5年7月の部会で報告いたしました、令和4年度後期の件数1,723件から2,067件で増加をしており、国内外ともに増加しております。要因は、使用患者数の増加や新規の承認品目があったことが挙げられます。市販後において新たに確認された不具合については、添付文書改訂指示を行う等、引き続き対応してまいります。具体的な再生医療等製品の品目別不具合発生件数の推移については、14ページ以降の記載のとおりであり、令和4年度の後期と比較して、国内報告は50件増加、外国報告は294件増加しております。
○医薬品医療機器総合機構 続いて、8ページ以降の製品の分類ごとの不具合について、機構より御説明いたします。8ページ以降においては、後の資料2-2-1~2-2-2の膨大なラインリストより、主要なものをピックアップして説明をいたします。
 まずは、8ページを御覧ください。「2.令和5年度前期の不具合報告の概況」の「2-1-1 各分類における国内不具合報告」には、各分類における国内の不具合報告件数と、その中でも特に報告件数の多かった品目の一般的名称、その主な不具合又は健康被害状況をピックアップして記載しております。表の「一般的名称等」の列には、一般的名称ごとの不具合等報告の件数について、多いものから順に第1位から第3位までの一般的名称を掲載しております。また、「主な不具合又は健康被害状況」の列には、それぞれの一般的名称の製品群で報告された不具合又は健康被害の件数について、多いものから順に第1位から第3位までの事象を記載しております。なお、同数で同順位となる一般的名称や事象名についても、全て掲載をしております。
 分類1の画像診断用機器として、据置型デジタル式循環器用X線透視診断装置、全身用X線CT診断装置、超電導磁石式全身用MR装置、移動型デジタル式汎用X線診断装置、OCT画像診断装置、多相電動式造影剤注入装置等、合計23件報告されております。分類2の生体監視・臨床検査機器等として、再使用可能な高周波処置用内視鏡能動器具、再使用可能な内視鏡用能動処置具、グルコースモニタシステム等、合計586件報告されております。分類3の処置用・施設用機器として、ポータブルインスリン用輸液ポンプ、中心循環系血管内塞栓促進用補綴材、バルーン拡張式血管形成術用カテーテル等、合計5,489件報告されております。
 続いて、9ページを御覧ください。分類4の生体機能補助・代行機器として、大動脈用ステントグラフト、心内膜植込み型ペースメーカリード、成人用人工呼吸器等、合計6,681件報告されております。分類3と4については、リスクの高い医療機器が多く分類されているということもあり、報告件数が多くなっております。分類5の治療・鋼製機器等として、骨手術用器械、治療用電気手術器、脊椎手術用器械等、合計1,150件報告されております。分類6の歯科用機器・材料として、歯科用インプラントフィクスチャ、電動式歯科用ファイル、粘着型義歯床安定用糊材、歯科技工用リング焼却炉、歯科用骨内インプラント材、歯科用根管充填シーラの合計9件報告されています。分類7の眼科用機器として、挿入器付後房レンズ、多焦点後房レンズ、後房レンズ等、合計169件報告されております。
 続いて、10ページを御覧ください。分類8の衛生材料・避妊用具・家庭用機器等として、家庭用電気マッサージ器、家庭用創傷パッド、骨固定型補聴器、子宮内避妊用具の合計5件となっております。分類9のプログラム医療機器は、遺伝子変異解析プログラム(がんゲノムプロファイリング検査用)、ホウ素中性子捕捉療法用治療計画プログラム、生殖細胞系列遺伝子変異解析プログラム(抗悪性腫瘍薬適応判定用)の合計28件と報告されております。なお、これらの国内での不具合の報告及び外国での不具合の報告については、資料2-2-1にまとめておりますので、後ほど御説明いたします。
 続いて、11ページを御覧ください。令和2年10月1日~令和5年9月30日までに新医療機器として承認された品目の国内での主な不具合報告の状況について、御説明いたします。各承認年度において、不具合等報告の件数のうち、多いものから順に第1位から第3位までの品目を掲載しており、令和2年度~令和5年度までで、分類としては分類3、4です。多くが添付文書に記載されている既知の事象となっております。また、未知の事象については、今後も注視し、必要に応じ添付文書を改訂するとともに、医療現場への情報提供を行ってまいります。引き続き、不具合・健康被害の情報を注意深く収集しております。
 コンビネーション医薬品の医療機器部分の不具合報告のうち、国内報告は822件となっております。これらの不具合報告の詳細については、「資料2-2-2 コンビネーション医薬品不具合報告」に別途まとめております。
 続いて、17ページを御覧ください。こちらでは、国内での過去5年間の不具合報告の公表状況についてまとめたものです。こちらは、年度単位での集計になっております。報告された不具合報告は、公表するとともに、最終的に転帰が死亡として報告された症例については、製造販売業者による調査が全て完了した後に、事象と製品との因果関係について評価を行い、評価が終了したものから、その結果についても随時公表をしているところです。死亡との因果関係が否定できないものをA評価、死亡との因果関係が認められないものをB評価、死亡との因果関係が評価できないものをC評価としております。
 続いて、18~19ページには、死亡症例のうち、死亡との因果関係が否定できないAと評価された医療機器の一般的名称別の件数を示しております。こちらの表の報告件数については、一般的名称で分類していること及びそれぞれの分類における製品数や使用者数も異なることから、この資料により個々の製品の不具合発生率の傾向等について議論ができるものではありませんが、御参考として御覧いただければと思います。主に、大動脈用ステントグラフト、経カテーテルウシ心のう膜弁、経カテーテルブタ心のう膜弁などのリスクの高い症例での治療に使用される分類3と4の医療機器の件数が多い傾向にあります。医療機器に関する資料2-1の説明は以上です。
 資料2-2-1~2-2-2ですが、先に御説明をさせていただいたとおり、資料2-1の中で主要な不具合について御説明をいたしましたので、内容の説明については先の説明をもって資料2-2-1~2-2-2の説明に代えさせていただき、ここではラインリストの見方についてのみ御紹介をさせていただきます。
 まず、資料2-2-1の1ページに注意事項として、この不具合報告リストの見方を記載しております。このリストについては、医療機器との因果関係が不明なものも含め、製造販売業者等から報告された内容を基に記載をしております。また、報告に関する分類は1~9まで9分類に分類されていて、次に「目次」が記載されており、その次から表の下にページ番号を記して一覧を記載しております。
 一覧の掲載順については、医療機器の一般的名称、販売名、企業名の順に五十音順で掲載をしております。それぞれの件数については、提出された報告書の件数を示したものであり、同一の症例で複数の医療機器が関与している場合には、複数の企業からそれぞれ報告されることがあることから、このような場合には同一の症例を重複してカウントしております。したがって、報告件数がそのまま症例数にはならない場合があることに御留意いただければと思います。
 また、報告症例の中には不具合状況がなし又は不明であり、かつ、健康被害状況が不明のケースがあります。これは、健康被害状況が不明で現品調査を実施できない、得られた使用状況の情報が限られているなどの理由から、機器との因果関係を否定できないと判断するだけの情報が得られなかったため、不具合報告がされたものです。
 表の右端の「対応状況」の欄に、報告症例に対する対応措置の項目として、原則として報告期間対象期間の末日である令和5年9月30日時点での措置の内容を簡潔に記載しております。「回収(改修)」と記載しているのは、製品を医療現場等から引き上げる回収をした場合、又は修理や検査の実施等を行った改修の措置を取ったことを示しております。「情報提供」と記載をしたものは、添付文書の改訂、あるいは書面による注意喚起文書を医療機関等に配布したなどの措置をとったものです。この中には、既に添付文書等で関連する注意喚起の記述がなされているものも含んでおります。
 資料2-2-1の医療機器の不具合報告のまとめと同様に、資料2-2-2ではコンビネーション医薬品の医療機器部分に関する不具合、資料2-3-1では再生医療等製品に関する報告を、それぞれ一覧表でまとめております。
 続いて、資料2-2-3について御説明いたします。医療機器に関する外国措置報告については、企業が外国でも同一性を有する製品、つまり日本で承認を受けた医療機器と形状、構造、原材料、使用方法、効能、効果、性能等が同一性を有すると認められる外国で使用されている医療機器を製造販売している場合に、外国の規制当局などでとられた措置について、日本の行政当局に報告をするというものです。令和5年度前期では、922件の報告がなされております。資料の一番右の2列には、国内外での対応状況について記載をしております。外国で措置を行った結果については、日本の対象製品がない場合を除き、おおむね日本においても同様の対応をとっている状況でした。
 続いて、資料2-2-4について御説明いたします。「医療機器研究報告」は、不具合の発生頻度、発生条件などの疫学調査や集計・分析等に関する内容の文献報告等があった場合に報告されるもので、今回は文献数にして1,674報ありました。なお、今回報告により、安全対策上の特段の措置が必要になったものはありません。医療機器に関する資料2-1の説明は以上です。
○医薬品医療機器総合機構 続いて、再生医療等製品について御説明いたします。資料2-1の12ページを御覧ください。2-3-1に、「再生医療等製品の主な国内不具合報告」を示しております。再生医療等製品は、国内報告全体で340件報告されております。表には、期間中の不具合報告件数が多い3品目を記載しております。また、主な不具合又は健康被害状況については、報告件数上位3位の事象を記載しております。これらの報告は、「資料2-3-1 再生医療等製品不具合報告」にまとめているものです。
 続いて、同じく資料2-1の12ページ、2-3-2を御覧ください。令和2年10月1日~令和5年9月30日までに新再生医療等製品として承認された品目の国内不具合報告について、御説明いたします。表には、期間中に国内不具合報告があった品目を示しており、主な不具合又は健康被害状況については、各々の品目における報告件数の上位3位までの事象を記載しております。なお、表に記載の品目以外に承認された品目は6品目ありますが、これらの品目については期間中に国内不具合報告はありませんでした。
 続いて、資料2-1の20ページを御覧ください。こちらは、「再生医療等製品 過去5年間の国内不具合報告の公表状況」を示しているものですが、資料の見方、集計の方法については、医療機器と同様のものとなっております。
 続いて、資料2-3-2について御説明いたします。再生医療等製品に関する外国措置報告は期間中6件あり、アベクマ点滴静注に関する報告が1件、イエスカルタ点滴静注に関する報告が1件、カービクティ点滴静注に関する報告が2件、キムリア点滴静注に関する報告が1件、ゾルゲンスマ点滴静注に関する報告が1件となっております。当該6件の外国措置報告のうち、アベクマ点滴静注、イエスカルタ点滴静注、カービクティ点滴静注、キムリア点滴静注の計5件の報告については、本邦添付文書において一定の注意喚起済みの内容となっております。残り1件のゾルゲンスマ点滴静注の報告については、アデノ随伴ウイルスベクターDNAのゲノムへの組込みによる理論的ながん原性リスクに関する内容であり、こちらについては対応中となっております。なお、再生医療等製品に関する研究報告はありませんでした。説明は以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局からの説明に対して、御意見、御質問のある先生がいらっしゃいましたら、御発言をお願いします。いかがでしょうか。では、私から一つ、再生医療等製品で一番最後にコメントされていた海外のお話で、お話になっていたのは最近話題のCAR-T製品の二次性T細胞性の血液がんのリスクと解釈してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 佐藤先生、御質問ありがとうございます。最後に申し上げたのは、ゾルゲンスマに関する外国措置報告です。
○佐藤部会長 ゾルゲンスマですね。では、違いますね。すみません。
○医薬品医療機器総合機構 こちらについては、アデノ随伴ウイルスベクターを遺伝子導入として用いているものですが、このAAV、アデノ随伴ウイルスベクターの遺伝子導入というのは、基本的にエピソーマル、エピソームとしてとどまるということですが、ごくまれにゲノムDNAの組込みによるがん原性のリスクが理論的に考えられるというもので、こちらについてはCAR-TのSecondary Malignanciesとは別です。
○佐藤部会長 別ですね。
○医薬品医療機器総合機構 はい。
○佐藤部会長 分かりました。私が誤解していました。すみません。ありがとうございます。齋藤先生、よろしくお願いします。
○齋藤委員 詳しい御説明ありがとうございます。横浜市立大学外科治療学の齋藤と申します。資料2-2-1に目を通させていただいて、どうしても自分が循環器が専門ですので、そちらを見ていたのですが、分類3と4に関しては、やはり件数が年次的に、経時的に増えていることが、まず大前提にあったのと、件数の多い上位三つをサマリーの2-1の資料で挙げられていたのですが、ただサマリーの表で見るのと実際の2-2-1の内容を拝見して見る印象が非常にずれていて、例えば分類3で上がっているものを見ると、不整脈治療のカテーテル治療に付随するものが非常に多い印象を持ったのです。
 やはり分類4に関しては、これは以前から傾向はあったのですが、経カテーテル的大動脈弁の挿入術、いわゆるTAVIに関係するものが引き続き、しかも心停止、心室細動に関係する、致死的なイベントが起きているような件数も比較的多いように思っていたのです。ですので、2-1のような報告書の中で、報告件数の数で上位三つといわれるのと同時に、内容の質的な評価のようなものは別の形で、別の角度から御覧になられる部署があったりするのでしょうかということをお聞きしたくて質問させていただきました。
○佐藤部会長 これは、事務局からお答えをお願いできますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。機構からお答えいたします。まず、先生に御指摘を頂きました2-1の資料の分類3や分類4を御覧になっておっしゃっているのかと思いましたが、こちらに例えば一般的名称はポータブルインスリン用輸液ポンプが1位に書いてあるが、資料2-2-1で多く記載されているペースメーカなどが資料2-1に羅列されていないことに関しての御指摘かと思いました。
 再度資料2-2-1を御覧いただきたいのですが、こちらは不具合状況、健康被害状況、不具合発生場所といった記載の全てがそろった場合に、一つの列に記しております。恐らく、こちらが多く見えるのは、それらが少しでも違いますと別の列になりますので、その列の数は確かに先生のおっしゃるような印象かと思いますが、同様の不具合を件数としてまとめた場合には、資料2-1の状況になっているということです。
 また、機構では、死亡症例を含めたすべての不具合報告について、担当職員が報告された翌営業日以内に報告内容を確認、評価をしています。すぐに対応しなければならないことがあるかないかということについては、きちんと評価をしているところです。御説明は以上です。
○齋藤委員 ありがとうございました。
○佐藤部会長 ほかに御意見、御質問はありますか。よろしいですか。では、議題2の報告は以上です。
 次に議題3、「医療機器・再生医療等製品の感染症定期報告について」、事務局から御説明をお願いいたします。
○事務局 議題3、「医療機器・再生医療等製品の感染症定期報告について」、資料3-1-1~資料3-2-2に沿って御説明いたします。まず、感染症定期報告について、制度の概要を御説明いたします。ヒトや動物等に由来し、保健衛生上特別な注意を要するものとして、厚生労働大臣が指定する生物由来製品については、その原材料が細胞組織等であることから、未知の感染因子である細菌、ウイルス等を含有している可能性が否定できません。また、感染症につきましては、一般的な医薬品・医療機器の副作用、不具合等と比べ、製品との因果関係が明確になる以前から潜在的に感染が進行するおそれがあり、さらに、感染した後は、時間の経過に伴い軽減することなく、一定期間経過後に顕在化するおそれもあります。このような背景を踏まえ、生物由来製品については、医薬品医療機器等法において、製造販売業者等に対し、製品への直接的な影響が未だ不明の原料動物等の感染症に関する最新の知見を常に把握し、それを集積した上で、感染症のリスクを多角的に評価・検討し、その結果を報告するよう義務付けており、これが感染症定期報告となります。
 感染症定期報告で寄せられた情報につきましては、本部会も含めた薬事・食品衛生審議会に報告し、措置が必要ないか御検討いただいております。以上が、感染症定期報告の概要です。
 本報告の資料は、3-1と3-2に分かれており、資料3-2は重複を含む期間中の全ての報告となります。そのうち、重複や過去に報告されたものを整理し、今回の期間に新規に報告されたものをまとめたものが資料3-1になります。また、資料番号の末尾が1の3-1-1及び3-2-1が医療機器、末尾が2の3-1-2及び3-2-2が再生医療等製品の報告をまとめたものとなっております。
 それでは、資料3-1-1、医療機器の報告を御覧ください。今回は、2023年4月1日~2023年9月30日までに報告されたものをまとめております。詳細な説明は省略させていただきますが、こちらについては今回、新たに報告された文献は38件ございました。
 次に、資料3-1-2、再生医療等製品の報告を御覧ください。こちらについては、今回、新たに報告された文献は1件ございました。これらの報告について、国立感染症研究所の脇田委員、宮﨑委員、国立医薬品食品衛生研究所の澤田委員に御確認いただいておりますが、この場で御紹介すべき特段の御意見は頂いておりません。議題3の感染症定期報告に関する御説明は以上です。
○佐藤部会長 ありがとうございました。こちらの議題について、御意見、御質問等がありましたら、御発言をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。では、議題3の報告は以上といたします。
 予定していた議題は以上ですが、事務局から何かありますか。
○安全使用推進室長 次回の部会の日程については、令和6年7月頃を予定しております。なお、別途部会での審議が必要な議題が生じた場合には、開催予定が早まることがありますので、御承知おきいただければ幸いです。なお、詳細な日時については、事務局より改めて先生方の御都合を伺って調整させていただきたいと思います。
 最後になりますが、本日はこの会議の開催に当たり、Web会議設定の不手際があり、開会が遅れましたこと、本日御参加の先生方、また傍聴の皆様には、改めてお詫びを申し上げます。大変申し訳ございませんでした。以上です。
○佐藤部会長 それでは、これで令和5年度第2回医療機器・再生医療等製品安全対策部会を閉会いたします。長時間にわたり、ありがとうございました。引き続き、よろしくお願いいたします。
( 了 )
備考
本部会は、公開で開催された。

照会先

医薬局

医薬安全対策課 安全使用推進室 医療機器情報専門官 齋藤(内線2751)