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2024年4月5日 第1回労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会 議事録
労働基準局労働関係法課
日時
令和6年4月5日(金) 13:30~15:30
場所
厚生労働省共用第8会議室(中央合同庁舎5号館19階)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号)
出席者
- 公益代表委員
- 中窪部会長、戎野委員、原委員、藤村委員、水島委員
- 労働者代表委員
- 石橋委員、河野委員、冨髙委員、松元委員
- 使用者代表委員
- 井上委員、坂下委員、高垣委員、山口委員
- オブザーバー
- 小川電力基盤整備課長(経済産業省資源エネルギー庁)
- 事務局
- 鈴木労働基準局長、増田大臣官房審議官(労働条件政策、賃金担当)、吉村労働関係法課長、八木労働関係法課長補佐
議題
(1)部会長・部会長代理の選出について
(2)運営規程について
(3)電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律について
(2)運営規程について
(3)電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律について
議事
- 議事内容
○労働関係法課長補佐 定刻になりましたので、ただいまより第1回「労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会」を開催いたします。
委員の皆様におかれましては、大変御多忙の中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
本日の部会は、会場からの御参加とオンラインでの御参加の双方で実施いたします。
本日の出席委員につきましては、13名全員出席となっており、労働政策審議会令第9条では、委員全体の3分の2以上の出席または公労使各側委員の3分の1以上の出席が必要とされているところ、定足数は満たしておりますことを御報告申し上げます。
部会長を選出いただくまでの間、私、労働基準局労働関係法課課長補佐の八木が議事の進行を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、議事に入る前に、労働基準局長の鈴木から、一言御挨拶を申し上げます。
○労働基準局長 労働基準局長の鈴木でございます。
委員の皆様方におかれましては、お忙しい中、当部会の委員に御就任いただきまして、誠にありがとうございます。
本部会の部会名にもございますけれども、電気事業及び石炭鉱業の争議行為の方法の規制に関する法律について、当部会については、御審議をいただくところでございます。これは、スト規制法と呼ばれている法律でございまして、一度平成26年に労働政策審議会の同じような部会で検討をさせていただきまして、今回は、およそ10年ぶりの開催となるところでございます。
今年度末に向けまして、資源エネルギー庁も本日参加させていただいていると思いますけれども、十分連携を図りまして、スト規制法の在り方について検討を進めてまいりたいと考えてございます。
委員の皆様方におかれましては、忌憚のない御意見を賜りまして、精力的な御審議をいただければ幸いでございます。冒頭に当たりましての御挨拶と代えさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○労働関係法課長補佐 まず、委員の皆様の御紹介でございますが、大変恐縮ながら、お手元の資料1の委員名簿をもって御紹介とさせていただきます。
また、オブザーバーとして、資源エネルギー庁電力・ガス事業部電力基盤整備課長に御出席をいただいております。
それでは、カメラ撮りは、ここまでとさせていただきます。
それでは、本日の議事に入ります。
最初に、本部会の「部会長・部会長代理の選出について」でございます。
労働政策審議会令第7条第4項において「部会に部会長を置き、当該部会に属する公益を代表する委員のうちから、当該部会に属する委員が選挙する」とされておりますところ、本部会で本審の委員でいらっしゃるのは中窪委員のみですので、中窪委員に部会長をお願いしたいと存じます。
皆様よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○労働関係法課長補佐 それでは、ここからは、中窪部会長に進行をお願いしたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
○中窪部会長 皆様、中窪でございます。僭越ながら規則とのことですので、部会長を務めさせていただきます。
このテーマは歴史的な経緯のある深くて重い問題でありますが、現在の状況に照らして適切な見直しをするということで、委員の皆様の御協力を得て進行していきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
それから、部会長代理についてですが、労働政策審議会令第7条第6項に「部会長に事故があるときは、当該部会に属する公益委員を代表する委員又は臨時委員のうちから部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と規定されております。
あらかじめ御相談しました上、藤村委員に部会長代理をお願いしておりますので、御了解いただければと思います。
(異議なしの意思表示あり)
○中窪部会長 ありがとうございます。
それでは、次の議題は「運営規程について」です。
新しく設置された本部会の運営規程(案)について、事務局より御説明をお願いします。
○労働関係法課長 それでは、事務局より運営規程について御説明をいたします。
その前に少し背景といたしまして、資料2を御覧ください。
資料2の「労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会の設置について」という資料でございます。
この部会の設置の趣旨ということでございますけれども、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律につきましては、平成27年の国会における附帯決議におきまして、改正電気事業法の検証時期、これにつきましては、令和7年3月31日まででございますけれども、この時期に合わせまして、過去の部会報告における再検討の指摘に基づいて、その廃止も含めた検討を行い、結論を得るものとすることとされているところでございます。
このため、労働条件分科会の下に、この部会を設置いたしまして、スト規制法の在り方について審議をいただくことといたしまして、昨年11月の労働条件分科会におきまして、この部会の設置について了承をいただいたものでございます。
この分科会で了承いただいたことを踏まえまして、この部会を本日1回目の会議として開催をさせていただいているものでございます。
続きまして、運営規程について御説明をいたします。
資料の3、縦書きの資料でございますけれども、労働政策審議会労働条件分科会電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律の在り方に関する部会運営規程(案)でございます。
この運営規程の案につきましては、内容といたしましては、ほかに設置されております部会の同様の運営規程を参考に、この部会としても規定してはいかがかというものでございます。
第1条につきましては、部会の議事運営につきましては、厚生労働省設置法、労働政策審議会令、それから労働政策審議会運営規程、労働政策審議会労働条件分科会運営規程、こういったものに定めるもののほか、この部会の運営規程に定めるということを規定してはいかがかというものでございます。
第2条につきましては、委員等は部会長の許可を得て、代理者を出席させることができますけれども、この代理の方につきましては、定足数の取扱いでは欠席したものとして取り扱うものとしてはいかがかというものでございます。
第3条につきましては、この部会の運営規程の改廃につきましては、部会の議決について行うというものでございまして、御了承いただければ、この規程は、本日から施行するということで、運営規程の(案)として御提案をするものでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
ただいまの御説明について、御質問、御意見等がありましたら、お願いします。オンライン参加の委員におかれましては、御発言の希望がある場合には、チャットのほうに発言希望と書いてお知らせください。いかがでしょうか。
特にないようですので、本部会の運営規程は、ただいま御説明があったような形で決定し、労働政策審議会関係法令及びこれらの運営規程に基づいて本部会を運営してまいりますので、よろしくお願いいたします。
次の議題は「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律について」です。
事務局から御説明をお願いいたします。
○労働関係法課長 事務局から資料4につきまして御説明いたします。
資料4「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律について」という資料でございます。
右下にページ番号を振っておりますけれども、まず、1ページを御覧ください。
1ページにおきましては「我が国の労使関係法制の基本的な枠組み」といたしまして、憲法で規定されております労働三権の保障をより具体化するものといたしまして、労働組合法等の労使関係法が制定されていることを、下の図でお示ししているものでございます。
資料の2ページを御覧ください。
「労働組合法及びスト規制法における正当な争議行為と刑事免責・民事免責」というものでございます。
2つ目の○にございますけれども、争議権は、全ての争議行為を保障するものではございませんで、正当なものと認められるものに限りまして、刑事・民事の免責が認められております。
この正当性につきましては、一般に主体、目的、手続、態様の観点から個々の事案ごとに判断をされると考えられております。
3つ目の○でございますけれども、スト規制法は、電気事業につきましては、電気事業における争議行為のうち、争議権の保障が及ばない正当でない争議行為の一部を明文で禁止しているものでございます。
資料の3ページを御覧ください。
「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律(スト規制法)」でございます。
スト規制法につきましては、電気事業、石炭鉱業の特殊性、それから国民経済、国民の日常生活に対する重要性に鑑みまして、公共の福祉を擁護するために、下に2つ黒点がございますけれども、電気の正常な供給を停止する行為、その他、電気の正常な供給に直接障害を生ぜしめる行為、
2つ目の黒点ですけれども、保安の業務の正常な運営を停廃する行為でございまして、鉱山における人に対する危害等を生じるもの、こういったものを禁止しているものでございます。
資料の4ページを御覧ください。
「スト規制法において禁止している正当でない争議行為(電気事業関係)について」でございます。
具体的に、真ん中少し上辺りから表がございますけれども、電気事業関係で禁止している争議行為の例といたしましては、4つ○がございますが、スイッチオフなどの積極的行為、それから、発電等に直接障害を生じさせる行為、それから、電圧、周波数の低下を来すといった行為、それから、緊急時におきまして、電気の安定供給を維持・回復するための作業に従事しないこと、こういったことが、禁止対象の争議行為の例として整理されております。
また、禁止対象外の争議行為の例として、3つ○がございますけれども、庶務など、業務の性質上、その争議行為が電気の正常な供給に直接に障害を与えないことが客観的に明らかな場合、
2つ目の○ですけれども、事業場の設備、規模、それから、需給の状況、人員の配置、稼働の状況、運行状況などの諸般の事情を考えますと、争議行為が電気の正常な供給に直接障害を生じさせないことが客観的に明らかな場合、
3つ目といたしまして、使用者側から何らかの対応の措置が取られない限り、争議行為によりまして電気の正常な供給に障害を生ずる可能性がある場合でありましても、あらかじめ労使間で十全の協定がなされまして、それに従って、電気の正常な供給に障害を生じさせることがないように措置が取られるような場合、
こういった場合につきましては、禁止対象外の争議行為の例として整理をされているものでございます。
下に「保護法益」と書いてございます。スト規制法の保護法益につきましては、電気事業につきましては、電気事業における労使の争議行為によりまして、電気の正常な供給に障害が生じることによりまして、国民経済ですとか、国民の日常生活に支障が生じないようにすることとしておりまして、電気につきましては、医療機関等での診療あるいは電車の運行、水道水の供給、工場での生産活動など、様々な場面で必要不可欠なエネルギー源でございまして、現在の電気使用量といいますのは、スト規制法制定時と比較いたしまして、20倍の規模になっているというものでございます。
資料の5ページ目を御覧ください。
「スト規制法の対象となる発電事業者の指定について」でございます。
まず、上にございますのは、先ほど来御説明をしておりますけれども、スト規制法に違反した場合の法的効果といたしまして、刑事・民事の免責が失われるというものでございます。
下側に具体的な規制の対象を整理したものを記載しております。
規制の対象といたしましては、一般送配電事業者、それから、送電事業者、これに加えまして、国民経済ですとか、国民の日常生活に支障を生じるおそれかどうかという観点から、厚生労働大臣が指定いたしました発電事業者、現在18社でございますけれども、こちらを対象としておりまして、具体的に図で申しますと、右下の赤線で囲っている部分が、このスト規制法の対象となっているものでございます。
資料の6ページを御覧ください。
スト規制法制定時の考え方として、提案理由説明を抜粋したものでございます。
下の辺りに、太字に下線を引いておりますけれども、停電スト、電源スト等につきましては、これに携わる人員は全電気産業労働者中、少数に過ぎず、他の大多数の労働者の争議行為は制約されるものではないと同時に、労働者の失う賃金、それから使用者の被る損害は、これによりまして、需要者が不可避的に被ります物質的、精神的損失に比較いたしますと、わずかなものだということで、争議行為の方法といたしまして、他のものとは趣を異にいたしておりまして、電気事業の公共性に矛盾するような争議行為であるということで説明しているものでございます。
資料の7ページを御覧ください。
労働関係調整法におきましても、公益事業等につきまして、特別な調整制度ですとか、規制が設けられておりますので、その内容を説明しているものでございます。
まず、1つ目といたしましては、強制調停ということで、通常であれば、関係当事者の合意に基づいて調停を開始するのが原則でございますけれども、公益事業等につきましては、合意に基づかず開始することが可能になっております。
2といたしまして、公益事業につきましては、争議行為をしようとする日の少なくとも10日前までに通知をすることが必要になっております。
3つ目が、緊急調整でございます。内閣総理大臣は、公益事業などにつきまして、争議行為によって国民経済の運行を著しく阻害または国民の日常生活を著しく危うくするおそれがあると認める事件につきましては、緊急調整の決定をすることができるとされておりまして、緊急調整の決定がなされますと、50日間は争議行為を行うことができないことになっております。
4番目は、安全保持施設の争議行為の禁止でございまして、工場、事業場における安全保持の施設の正常な維持、運行を停廃するような行為あるいは妨げるような行為につきましては、争議行為としてでも行ってはならないとされております。
資料の8ページ目を御覧ください。
先ほど、資料で御説明をいたしました、労働関係調整法の緊急調整とスト規制法の関係について整理をしたものでございます。
スト規制と労調法の緊急調整ともに、国民経済ですとか国民生活に多大な支障を生じないようにするために、争議行為を制限しているものでございますけれども、スト規制法につきましては、正常でない争議行為の範囲を明らかにして、未然に防止するものである一方、労働関係調整法の緊急調整は、一定期間、通常の争議行為を禁止しまして、その間に、あらゆる手段を講じまして、労働争議を調整・解決させることを狙いとするものでございまして、スト規制法は、正当でない争議行為の未然防止が主眼、労働関係調整法の緊急調整は、労働争議の調整・解決が主眼となっております。
資料の9ページ目は、スト規制法が制定されて以降の経緯でございますので、説明は省略いたします。
また、参考資料1、参考資料2といたしまして、資料を配付しておりますけれども、参考資料1につきましては、冒頭御説明しましたけれども、昨年の11月の労働条件分科会におきまして、この部会を設置する際に、議論いただく際の資料としてお配りをした、法律の趣旨ですとか、見直しの経緯について整理したものでございます。
また、参考資料2といたしまして、平成27年に一度部会で御議論をいただいた際の報告書でございます。
こちらにつきましても、参考の資料としておつけしておりますけれども、説明につきましては省略させていただきます。
事務局からの説明は以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの説明につきまして、御意見、御質問がありましたら、お願いいたします。
繰り返しになりますけれども、オンラインで御参加の方につきましては、チャットのほうに発言希望と書いてお知らせください。
それでは、冨髙委員、お願いします。
○冨髙委員 ありがとうございます。
今回はスト規制法の見直しの議論のスタートということですので、冒頭、労働側の基本的な考えについて述べさせていただきます。
事務局より御説明いただきましたが、憲法28条で労働基本権が保障されている趣旨は労組法の第1条にもあるように、労働者が使用者と対等な立場に立つことを促進することで労働者の地位を向上させるということであり、労働組合を通じた団体交渉等によって労働者の労働条件などの改善の実現につなげることだと考えております。
そうした意味で、労働基本権は、全ての労働者に等しく保障されるべきだと考えております。
しかし、戦後間もない1953年に、当初、時限法として成立したスト規制法によって、その後、70年以上にわたりまして、電気事業等で働く労働者の労働基本権に制約が課されたままとなっております。これは大きな問題だと考えております。
また、先ほども御説明がございましたが、既に電気事業等には労働関係調整法上の公益事業規制も課されていることを踏まえれば、スト規制法は、憲法28条との整合性を欠いているのではないかと考えております。
以上の点からしまして、スト規制法は、電気事業等で働く労働者の労働基本権を不当に制約していると言わざるを得ないと考えます。したがって、電力システム改革の動向にかかわらず、スト規制法は速やかに廃止をするべきというのが基本的な考え方です。
なお、本日、参考資料2でお配りいただいた平成26~27年の検討の際にも、労働側はスト規制法の廃止を強く求めてきましたが、廃止には至らず、解釈通知の見直しにとどまったことから、反対意見を付さざるを得なかったという経緯がございます。
この平成26~27年の見直し論議の発端となった電事法の改正法案の附帯決議には、「同法の今後の在り方について検討する」とされていただけでした。
しかし、今回の見直し論議の契機である附帯決議におきましては、資料でもつけていただいておりますけれども、「廃止を含めた検討を行う」と、一歩踏み込んだ表記になっております。
こうした立法府の意思は、本部会においても重く受け止めて議論をするべきであると考えておりますので、意見として申し上げておきたいと思います。
以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
そのほかに御意見、御質問等ありますでしょうか。
坂下委員、お願いします。
○坂下委員 経団連の坂下でございます。
労働側のほうから冒頭に、基本的な考え方ということで御発言がありましたので、使用者側としましても、基本的な考え方について述べさせていただきたいと思います。
御指摘がありましたとおり、我が国の労使関係法制の基本的な枠組み、事務局の資料にもございましたけれども、憲法第28条におきまして、労働三権の保障というものが書かれておりまして、それを具体化するものとして、種々関連の法律があると理解しております。 この重要性につきましては、使用者側としても十分認識しておるところでございまして、認識は共有していると理解しております。
他方で、今回の議論の対象となります、いわゆるスト規制法につきましては、国民生活や国民経済に与える影響が極めて大きい電力事業及び石炭鉱業に着目しまして、規制をしているというものでございます。
このスト規制法の保護法益であります、電気の正常な供給の確保、これは使用者側、経済界はもとより、国民にとっても、その生命に関わる極めて重要な課題であり、そのために正当でない争議行為を明確にして、その未然防止を図るという、この法規制の目的並びに手法いずれについても極めて重要なものであると認識しております。
この部会の設置理由でもございます、前回の部会からの状況の変化につきまして、環境変化も含めまして、十分かつ慎重に把握、評価しながらスト規制法の今後の在り方について、慎重に議論を進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
河野委員、お願いします。
○河野委員 電力総連の河野でございます。私からも少し意見をさせていただきます。
我々電気事業については、これまでの部会の中でも多くのことを述べてまいりましたが、他の公益事業とともに、労働関係調整法上の公益事業規制が課されています。こうした中で、電力システム改革によって、電気事業においても自由化となっていますが、スト規制法によって、旧一般電気事業者、さらには卸電気事業者に働く労働者に限定して、憲法が保障する労働基本権を制約する合理的な根拠はないものと考えております。
健全な事業運営には、労使の信頼関係と真摯な議論が何よりも不可欠であり、労働組合法の目的にも「労働者が使用者との交渉において、対等な立場に立つことを促進すること」とされております。
また、電力の関係労使間の労働協約において、電気の供給に影響を及ぼす可能性がある労働者は争議行為の対象外としており、それによらない場合であっても、電気の供給に支障を生じさせない措置を取るようにしているところです。
こうした状況に鑑みても、労働関係調整法の公益事業の規制に服することで十分であり、スト規制法は速やかに廃止し、電力労働者の基本労働権を回復していくべきであると考えております。
元旦に発生しました能登半島地震から3か月が経過しましたが、この間、被災地において、全国の電力労働者が駆けつけ、それぞれの持ち場、立場で懸命な取組が行われました。
また、このような災害時だけでなく、平時でも電気事業に働く者は、安定供給を守り抜くという使命を全うすべく、日々の業務に従事しております。電力システム改革以降も、電力労働者の使命は変わっていません。こうした実態も踏まえて、これからしっかりと論議をさせていただければと思いますので、よろしくお願いします。
○中窪部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
山口委員、お願いします。
○山口委員 電気事業連合会の山口でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
電気事業者として部会の設置に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
まず、私ども電気事業者に与えられました最大の使命、これは電力の安全・安定供給によって国民経済、生活をしっかりと支えていくことであり、このことは、今後も変わらない価値観でございます。
この使命を果たすための大変重要な要素として、安定・成熟した労使関係を構築し、維持、発展させていくことが非常に大事なことだと考えてございます。
ただいま、河野委員からもございました労使の密なコミュニケーション、これによって労使関係を保ち、そして、災害対応などを含め、安定供給にしっかりと責務を果たしていく、ここについては労働側と経営者側、全く意見を一致するところでございます。この点を、まず、大前提として申し上げておきたいと思います。
それから、今後の部会の議論に当たってというところでございますけれども、先ほど坂下委員からもございましたので重複するかもしれませんが、今回の部会の設置経緯を踏まえますと、ただいま資源エネルギー庁を中心に行われております、電力システム改革の検証の状況を踏まえながら、この部会においても議論がなされるものと考えてございます。
こういった議論も踏まえながら、私どもとしては、真摯にこの部会の中で意見し、議論を進めてまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
○中窪部会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインの高垣委員が発言を希望ということですので、お願いいたします。
○高垣委員 送配電網協議会の高垣と申します。よろしくお願いいたします。
弊会は、電気事業連合会から独立して、2021年4月に事業を開始しておりまして、一般送配電事業者による運営組織となっております。皆様におかれましては、平素より一般送配電事業への御理解と御協力を賜りまして、誠にありがとうございます。
今、山口委員から御発言いただきました内容と同様、我々としましても、今後とも各社の労働組合の皆様方と、対話を重ねながら安定した労使関係を築くことによりまして、電力の安全・安定供給という使命を果たしていくことが大切と考えております。
今後の本部会の議論でも真摯に議論してまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
以上になります。
○中窪部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
石橋委員、お願いします。
○石橋委員 ありがとうございます。労側委員の、基幹労連の石橋といいます。
先ほど来のやり取りの中で、重複する部分もあろうかと思いますけれども、発言をさせていただきます。
皆様も御認識のとおり、電気は非常に重要な社会インフラでありまして、あらゆる産業において、なくてはならないエネルギーでありますし、その安定供給を確保するということは極めて重要です。
しかし、電力の安定供給の確保は、労働者の労働基本権を制約することによって実現するものではなく、エネルギー政策や産業政策の中で議論すべき論点であると考えています。
電気事業の特殊性や重要性が強調されますが、水道、ガスはもとより、電気通信なども私たちの経済活動の生活に欠かせないものであり、他の社会インフラと峻別することはできないのではないかと思っております。
実際、本日の資料4の7ページにもありましたけれども、労働関係調整法では、公益事業等として幅広い事業に規制がなされています。そうしたことを踏まえますと、電気事業と石炭鉱業にのみ、屋上屋を重ねる形で規制を設けるべき合理的根拠はどこにあるのかと思います。「スト規制法が廃止されると、ストが起こって電力が止まりそうで不安」といったような漠然とした感情論で議論するのではなく、諸外国の事例等も参考にエビデンスに基づいた議論をしていくべきであると考えております。
以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
井上委員、お願いします。
○井上委員 日野自動車の井上と申します。本日は、よろしくお願いいたします。
私は経済界におりますが、電気を大変多く使用させていただいている立場から一言申し上げたいと思います。
電力事業の関係の皆様、経営者の方もそうですが多くの労働者の方々のご尽力によりまして、電力の安定供給がなされており、私たちはそのおかげで安心して事業活動ができていると考えております。
一方、御案内のとおりではありますが、2050年カーボンニュートラルの実現や急速なデジタル化の進展を考えますと、私ども事業会社にとって、また、これは社会全体にとってと言えるかと思いますが、電気というエネルギーの果たす役割は、ますます重要になってきていると認識しております。
したがいまして、スト規制法は電気の安定供給という観点から意味あるものではないかと考えております。
この10年間、スト規制を取り巻く環境はいろいろな形で変わってきておりますので、これを十分に認識して、その在り方について慎重に議論をさせていただけたらと思っております。よろしくお願いいたします。
以上です。
○中窪部会長 ありがとうございました。
そのほか、いかがでしょうか。
よろしいですか。それでは、本日は第1回ということですので、スト規制法の概要等について確認し、基本的な立場からの御意見をいただきました。事務局は、本日の議論も踏まえて、次回の開催時に必要な資料を準備していただくよう、お願いいたします。
それでは、次回の日程について、事務局から説明をお願いします。
○労働関係法課長 事務局でございます。
平成27年6月16日に成立いたしました電気事業法等の一部を改正する法律の附帯決議、これは、先ほど来何度も申し上げておりますけれども、このスト規制法の在り方につきましては、電気事業法等の一部を改正する法律の施行後の検証時期、これが令和7年3月31日まででございますので、この時期に合わせまして、その廃止も含めた検討を行い、結論を得るとされているところでございます。
こうしたものも踏まえまして、今後は、まずは、スト規制法を議論いただくに当たりまして、前提となります電気事業の概要、こういったものを御説明いただくような機会を、まずは設けていきたいと考えているところでございます。
具体的な次回の部会の日程ですとか、場所あるいは議題につきましては、調整中でございますので、追って御連絡をさせていただきます。
○中窪部会長 何か特段に御質問等ございますか。
よろしければ、第1回、本日の部会は、これで終了といたします。
お忙しい中、御参集いただき、どうもありがとうございました。