第20回全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会(議事録)

日時

令和6年3月18日(月) 14:00~17:00

開催方法

WEB開催

議事

議事内容
○医療イノベーション推進室 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第20回「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会」を開催いたします。
 委員、参考人の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 事務局を務めさせていただきます、厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室の中須賀と申します。
 本日は、全ての委員に御出席いただくと伺っておりますが、現時点で、辻井委員、向井委員が遅れて参加されると伺っております。
 参考人につきましては、時間の関係で御紹介は割愛させていただきますので、参考資料2「委員名簿・参考人名簿」を御参照ください。
 委員の先生は、常に画像をオン、参考人の先生方におかれましては、御発表もしくは御発言時のみ画面をオンにしていただくようにお願いいたします。
 続いて、資料の確認をさせていただきます。資料は厚生労働省のウェブサイトに掲載しております。議事次第、資料1-1から資料3、参考資料は1から7までございますので御確認ください。
 また、本委員会はYouTubeにて配信をしておりますので、御承知おきください。
 議事に先立ち、事務局から資料1-3、「全ゲノム解析等の推進に関する専門委員会運営細則」の次年度からの変更について、委員の先生方に御承認いただきたく存じます。
 変更させていただきたい箇所は、第5条(委員会の庶務)について、委員会の庶務は、厚生労働省健康・生活衛生局において総括及び処理することとし、医政局がこれに協力するとしていたところを、委員会の庶務は、厚生労働省医政局において総括及び処理することとし、健康・生活衛生局がこれに協力するに変更させていただきたく存じます。
 次年度からは、研究費を継続しつつも、事業費が加わってくるタイミングでありますため、庶務の主体を健康・生活衛生局から医政局へ移管させていただきたいといった趣旨でございます。
 本件、御承認いただける委員の方は挙手をお願いいたします。
(挙手あり)
○医療イノベーション推進室 ありがとうございます。全会一致で御承認いただけたと判断しました。
 事務局からは以上でございます。
 これ以降の進行は中釜委員長にお願いしたいと思います。中釜先生、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 それでは、皆様、本日もよろしくお願いいたします。時間も限られていますので、早速、本日の議題に入りたいと思うのですが、私の声は聞こえておりますでしょうか。
 ありがとうございました。
 では、議題1「全ゲノム解析等に係る検討状況等について」。厚生労働省医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室より、資料1-1及び資料1-2の説明をお願いいたします。
○市村室長 よろしくお願いします。医政局研究開発政策課医療イノベーション推進室長の市村です。資料1-1を御覧ください。
 12ページ目までは、これまで令和5年度中に作成した資料となっております。
 この令和5年度中に作成した資料につきましては、資料1-2に一部ワード化して、この後また説明をさせていただきたいと思いますので、5ページ目を御覧ください。
 5ページ目「これまでの全ゲノム解析等のデータ格納症例数」についてです。
 がん・難病データ格納症例数の累計につきましては、3月1日時点で2万5299症例、がんが1万2684症例、難病が1万2615症例という状況となっております。
 それでは、一気に13ページまで進んでいただきたいと思います。
 今年度最後の専門委員会となります。本専門委員会におきましては、事業実施準備室からの最終報告、そして、AMED研究班からの令和5年度の最終報告があります。
 そして、令和6年度以降の方針案につきまして、この後、御説明をさせていただきたいと思います。
 14ページ目を御覧ください。全ゲノム解析等の実施体制、令和6年度の案となります。
 これまでは、専門委員会、準備室、その下に厚労科研及びAMED研究班があったところですが、厚労科研が今年度で終了しますので、専門委員会と準備室、そして全ゲノム解析等の実施を行うAMED研究班というシンプルな体制となっております。
 専門委員会につきましては、これまでどおり、最高意思決定機関として大所高所からの全ゲノム解析等実行計画の着実な推進に向けた協議を行うとともに、進捗等について確認し、必要な意思決定を行う場であると。
 そして、事業実施準備室につきましては、令和7年度中の事業実施組織発足に向けた具体的な体制整備を加速させて、あわせて創薬や診断技術の研究開発を促進して、患者にいち早く成果を届けるための産学コンソーシアムの運営を行いつつ、構築した情報基盤の試行的利活用を推進する位置づけとなっております。
 また、令和6年度より全ゲノム解析等実行計画に係る事業実施準備室の運営に関する業務につきましては、厚生労働省の委託事業で行いますので、事業実施準備室(厚生労働省委託事業)とさせていただいております。
 AMED研究班につきましては、これまでどおり、がん・難病全ゲノム解析等実行プログラムとしまして、がん領域、難病領域それぞれ革新的がん医療実用化研究事業と難治性疾患実用化研究事業が連携しながらやっていきたいと考えております。
 15ページ目を御覧ください。令和6年度のAMED研究体制の概要(がん領域)になります。
 がん領域につきましては、これまでどおり、A班、B班、C班の立てつけは変わらず、A班の中の基本コホートにおきましては、これまでどおり、患者還元の研究を進めていただくとともに、事業実施準備室と連携しながら、様々な検討を行っていただくと。
 そして、マル2の患者還元・戦略コホートチームにつきましては、全体の50%以上の症例を目標に、出口戦略に基づいた臨床研究等を行っていただくと。
 この後、AMED研究班の報告であるかとは思いますけれども、代表研究機関ごとに、戦略コホート、1つから2つの臨床研究を実施することとなっております。
 B班につきましては、これまでどおり準備室と連携し、コンソーシアムの構築に協力するとともに、蓄積された全ゲノムデータ等を用いた研究を行っていただくと。
 そして、C班につきましては、今後の事業化を見据えまして、先端的なゲノム解析やがん医療の高度化に資する画像解析AI開発及び基盤開発等を実施しつつ、事業実施準備室と連携して、これまで構築してきた解析研究成果等を事業実施準備室の解析・データセンター運営チームに引き継いでいくことを考えております。
 また、一番下のポツですが、A班の患者還元・戦略コホートチームについては、今後、造血器腫瘍等の領域の対象拡大を検討しているということでございます。
 続きまして、16ページ目、具体的にA班、B班、C班体制につきましては、現時点では、A班の患者還元・戦略コホートチームの静岡がんセンターに、分担医療研究機関として名古屋大学医学部附属病院が追加される予定となっております。
 続きまして、17ページ目、難病領域の研究班につきましては、特に大きな体制変更はないのですけれども、一番下の共同研究者の中に、国際医療福祉大学の田村雄一先生、また、国立循環器病研究センターの宮下洋平先生が加わることとなっております。
 18ページ目を御覧ください。全ゲノム解析等実行計画に係る実施体制、令和6年度の案となっております。
 先ほどもお伝えしましたように、専門委員会、準備室、AMED研究班という体制になりつつも、今年度からは、事業化の前段階になっておりますので、解析・データセンターにつきましては、一体的運営を事業実施準備室、事業化に伴う一体的な運営をしていくことになっております。
 また、※2のテクニカルアドバイザーにつきましては、患者還元やELSIなどのテーマごとに委員を任命するというところで、テクニカルアドバイザリーグループという表現からテクニカルアドバイザーという表現に変更させていただいております。
 続きまして19ページ目、事業実施組織発足後の中長期的なスケジュールの案となっております。
 令和6年度、令和7年度にかけまして、実行計画2022に基づき事業化を進めつつ、令和7年度中の事業実施組織に合わせまして、実行計画の改訂を想定しております。
 また、令和7年度中の事業実施組織発足に合わせて、患者還元、出口戦略等を進め、システム開発、情報基盤、利活用等も進めていきたいと思っております。
 事業実施組織発足後には、組織の拡充、人材育成等も検討していく予定でございます。
 以上が、令和6年度の体制についてとなります。
 そして、20ページ目を御覧ください。全ゲノム解析等実行計画2022においては、赤い四角で書いてありますように、事業実施組織については、厚生労働省が主体となって、令和7年度からの事業実施組織発足のため、令和5年度をめどに、最もふさわしい事業実施組織の組織形態を決定することとされております。
 21ページ目を御覧ください。こちらは「『全ゲノム解析等実行計画』に係る事業実施組織に求められる機能等について」ということで、令和5年の2月に策定させていただいたものです。
 一番左の8つの視点、1つ目、公益性・公共性、2つ目、機微情報・個人情報管理、3つ目、データ等の利活用の公平性、4つ目、ガバナンス、5つ目、産業界・アカデミアの参画、6つ目、PPI、7つ目、ELSI、8つ目が人材育成といったような、こちらに記載のある検討の視点に基づいて、現在、最終的な検討を行っているところでございます。
 22ページ目、23ページ目を御覧ください。
 こちらは、令和5年6月に公布・施行された、良質かつ適切なゲノム医療を国民が安心して受けられるようにするための施策の総合的かつ計画的な推進に関する法律。いわゆるゲノム医療推進法についてとなっております。こちらの進捗につきましても、本日、共有をさせていただきたいと思います。
 22ページ目の4ポツ目、基本計画の策定のためのワーキングを昨年の12月に発足させていただいたところです。
 23ページ目を御覧ください。基本計画を策定するためのワーキングとしまして、ゲノム医療推進法に基づく基本計画の検討に係るワーキンググループを昨年の12月に策定したところです。
 検討事項につきましては、先ほどの1ページ前の基本的施策について、基本計画を策定するために検討を行うということになっております。
 構成員につきましては、こちらに記載のあるとおりで、スケジュールとしましては、1回目を令和5年の12月26日に行い、第2回目を今年の2月14日、第3回目を3月12日に行いまして、構成員の先生方から意見をいただいたところです。
 今後、4月以降の予定につきましては、まだ、未定なのですけれども、基本的な基本計画の骨子の策定、そして本文案についての議論を行いつつ、パブリックコメント等を実施して基本計画を策定していきたいと考えております。
 以上が厚生労働省資料1-1の説明となります。
 続きまして、資料1-2を御覧ください。
 こちらは、昨年策定いたしましたパワーポイントの図をワード化したものとなっております。
パワーポイントにつきましては、これまで何度も御説明させていただいたとおりですので、ワード化した内容については、特に大きなそごはないと考えておりますが、例えば、1ポツ目の「『全ゲノム解析等実行計画』の目指す未来」ということにつきましては、戦略的な出口に沿った、いろいろな情報解析を行うことで、ゲノム情報に基づいた普遍的なデータ駆動型医療を実現するということで、全ゲノム解析がコアとなって、今後、全ゲノム解析等の推進をしていきたいという図となっております。
 次のページを御覧ください。2ページ目、こちらの図は、創薬を見据えた出口戦略に基づく質の高い情報基盤の構築と利活用の図でして、これまでも何度も説明させていただきましたとおり、産学コンソーシアムがまずは中心となって、創薬等の出口を見据えた戦略コホートを提案していくという、従来のでき上がった情報基盤を使って創薬をしてくださいというのではなく、ユーザーサイドの産学コンソーシアムが積極的に主体となって、ぜひ戦略をつくって、コホートをつくって、ともに情報基盤を構築していきましょうという図になっております。
 そして、3ポツ目の「『全ゲノム解析等実行計画2022』に基づく出口イメージ」につきましては、3ページ目に記載してあります全ゲノム解析等実行計画2022の基本戦略に基づいて、出口をしっかりイメージしましょうということになっております。
 そして、6ページ目の図4と、3ページ目の図の3というのが、基本戦略に基づいた出口戦略のイメージということになっております。
 この図の4、全ゲノム解析と実行計画2022に基づく出口イメージにつきましては、現時点で、それぞれどういった具体例が想定されるかというものがワード化されているところです。この具体例につきましては、ぜひ先生方からも御意見を伺いたいと考えております。
 最後のスライドが、8ページ目の図5のスライドになります。
 実際に全ゲノム解析等の医療実装に向けた方向性について、それぞれステップ1からステップ3までに分けることができ、同時に、全ゲノム検査の質保証における様々な課題の解決や実務上の課題の解決をしていくべきだということを、ワード化した図となっております。
 以上が、資料1-2の説明となっております。
 以上で、厚生労働省からの説明は終わりにしたいと思います。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの資料1-1、資料1-2の説明につきまして、御質問、御意見がありましたら、挙手をお願いいたします。
 特にございませんでしょうか。よろしいですかね。
 特に手が挙がっていないようですので、では、先に進めさせていただきます。もし、後ほど何かお気づきの点がありましたら、振り返っての御質問でも構いませんので、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、次の議題に移らせていただきます。
 次は議題2、全ゲノム解析等に係る事業実施準備室からの報告、マル1が全ゲノム解析等に係る事業実施準備室からの検討状況等について、準備室の青木先生から資料2の説明をお願いいたします。
 御質問に関しては、最後にまとめて行いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○青木参考人 事業実施準備室の活動について、御報告させていただきます。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは、本日のアジェンダでありまして、まず、プロジェクト推進体制、それから審議事項としてAMED研究班への連携医療機関の追加について、そして報告事項として、全体、それから各チームから、その他となっております。
 次をお願いいたします。
 プロジェクト推進体制に関しましては、次をお願いいたします。
 次からの3ページにわたって人員体制が書いてありますが、これは、特段新しいメンバーは加わっておらず、次の次のスライドまでお願いいたします。
 現在、延べ86名の体制で行っているといった状況です。
 次をお願いいたします。
 では、審議事項に関しましてですが、これは、上野先生になりますでしょうか。
○中釜委員長 審議事項に関しては、土原先生ですかね。
○土原参考人 失礼いたしました。患者還元チームのサブリーダーの土原です。上野の代理で審議をお願いいたします。
 次をお願いいたします。
 AMED研究班への連携医療機関の追加ということで、これまでも御審議いただいてきたものと同じ内容になります。こちらに示しておりますのが要件ということになります。
 次の資料をお願いいたします。
 今回36から40の、ここに示しております5つの施設について申請がございました。事前に患者還元ワーキンググループ及び臨床・患者還元支援チームで確認いたしましたところ、いずれも要件を満たしているということを確認しております。
 次のスライドをお願いします。
 今、A班のほうが幾つか動いておりますけれども、既にA班のほうで認められている場合には、ほかの課題についても認めるという手順となっておりますが、今回の5施設については、今回、全く新規に申請がされたものということで、こちらについて御審議をお願いいたします。
 次をお願いいたします。
 もう一つ追加になりますけれども、来年度、厚労科研の班のほうがなくなりますので、手順について、若干の御審議をいただければと思います。
 来年度につきましては、研究班からAMEDに参加の申請があった場合に、まず、理由書を提出していただいて、これまでは厚労科研のワーキンググループのほうで、まず検討していたのですが、これを準備室の臨床・患者還元支援チームで内容を確認して、不明点等の改訂を各施設にお願いするという手順にいたします。
 それから、その内容については、現在、全ての専門委員会のほうで審議をいただいておりますけれども、より開催頻度が高い準備室のボードで審議をして承認をいただくという手順に変更いたしたいと思います。
 その時点で、AMEDから各研究班のほうへ報告をして、研究が可能となります。
 もちろん、こちらの専門委員会のほうへは、定期的に準備室から委員会のために報告を申し上げるという手順にする予定でございます。
 以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、今、審議案件が2つありましたので、分けて審議を行いたいと思います。
 最初が、AMED研究班への連携医療機関の追加に関してですが、今回5医療機関の新たな申請がありましたが、これについて御承認いただける方は、挙手をお願いいたします。
(挙手あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、この5医療機関を追加させていただきたいと思います。
 続きまして、2つ目の案件は、手順のことになります。連携医療機関の追加の手順について、専門委員会としての最終判断に進みたいと思いますが、先ほど説明があった内容に何か御質問はございますか。よろしいでしょうか。
 それでは、審議に入りたいと思います。
 この提案に関して御承認いただける委員は、挙手をお願いいたします。
(挙手あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。全員から御承認いただきました。では、この案件についても承認させていただきます。
 よろしいですかね、では、全員御承認いただきました。
 では、審議案件は、以上2件でありますので、続きまして報告事項に進みます。
 では、青木先生、引き続き説明をお願いいたします。
○青木参考人 準備室の青木です。
 では、報告事項にまいります。次のスライドをお願いいたします。
 まず、本年度、令和5年度に行った準備室全体の活動のサマリーを報告させていただきます。
 この13ページは、令和5年度の達成目標として最初に提示されたものでございます。
 6つのチームにおいて、この目標を達成すべく、今年度は検討を進めてきたということでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは、今年度の実施事項のサマリーと来年度の実施事項となっております。
 準備室全体といたしましては、令和7年度の事業実施組織設立に向けた検討を開始し、6つのチームを構築して検討を進めてまいりました。
 各チームの定例会、準備室定例会あるいはボード会議を運営するとともに、事業実施組織設立までのロードマップを作成し、また、昨年8月には市民公開シンポジウムを開催いたしました。
 来年度は、事業実績組織設立に向けて、さらに準備を進めるために、中長期事業計画の策定などを行ってまいります。
 臨床・患者還元支援チームは、今年度は、全ゲノム解析等の医療実装に向けた方向性の検討と、患者還元の仕組み・体制を構築することの2つに関して主に検討しました。
 来年度は、医療機関との連携の準備を進めてまいります。
 利活用支援チームは、実データを用いた利活用の実施体制の構築を進めてきました。
 データ提供事業モデルを検討し、また、利活用審査委員会を立ち上げて、今月に第1回の審査委員会が行われたという状況です。
 また、実際にコンソーシアムを設立し、活動を開始しているといったところです。
 来年度は、データ提供事業の具体化が行われる予定になっております。
 解析・データセンター運営チームに関しましては、業務体制の概要策定と、業務上必要な資産等の移行方針の策定を行っており、解析・データセンターが持つ機能を定義したり、部門内の内外製の方針を策定したり、あるいは移行のスケジュール、移行方針を整理してきました。
 来年度は、業務の詳細化と資産等の移行の手続を実際に進めていきます。
 次のスライドをお願いいたします。
 IT・情報基盤・セキュリティチームに関しましては、事業システムや組織インフラにおける設計・運用基本要件を検討しました。来年は、システムの実際の構築と、そのテスト運用というフェーズに入ってまいります。
 ELSIチームは、ELSI上の課題・懸念を洗い出し、特にICF改定に向けた課題などの洗い出しなどを行いました。
 また、このチームは、市民患者の参画を促す体制を整理することも行い、PPI体制を検討し、本年2月にはPPIイベントを開催いたしました。
 来年度は、ELSI対応あるいは参加者パネルの構築の準備などを行う予定になっています。
 総務チームは、法人形態・予算枠決定前の事業実施組織の組織体制などを、できる限り検討してきたというところであります。
 人材要件の定義、人材確保のための訴求ポイントの検討なども行うとともに、紹介ウェブサイトなどを作成いたしました。
 来年度は、事業実施組織の形態が定まったところで、その組織体制を決定し、組織稼働に向けた採用活動などを開始する予定になっております。
 次のスライドをお願いいたします。
 これが、事業実施組織稼働に向けた来年度、令和7年度までのロードマップの全体像を示したものであります。
 少し詳細ですので、簡単にしか説明できませんが、準備室のところを見ていただくと、令和6年度では、実行計画を策定するといったこと、それから中長期計画を策定するといったこと、実際、人員の確保が行われる予定となっております。
 簡単ですが、以上であります。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 引き続きまして、臨床・患者還元支援チームから、土原先生、説明をお願いいたします。
○土原参考人 よろしくお願いいたします。次のスライドをお願いします。
 患者還元体制構築のための事業実施組織、医療機関の役割決定、それから、がんと難病の共通化箇所の特定といったことを進めてまいりました。こちらのほうは概念図ですので、これまでも示しておりますので、次のスライドをお願いいたします。
 具体的には、患者さんが医療機関に来られてから、まず、医療機関が参加するところからですが、その後、実際に検体を集めて検査を行って、患者さんにその結果をお返しするという一連の流れを示しております。
 この中で、濃い緑で示してあるところが、がんと難病の領域で共通化が可能であるし、意味があると結論づけたところであります。
 それから、薄い緑のところは、ここは、今、統合の方向に向けて技術的なところを検討しているところになります。
 濃いグレーになっているところなのですが、ここは、今、残論点となっておりますけれども、ITチームと、ほかのチームでの検討結果を踏まえた上で、もう一度我々のチームのほうで、統合の是非を判断して考えているところであります。
 薄いグレーになっているところが、がんと難病で、ここは、むしろ統合しないほうがいいだろうと、当然、疾患の背景も異なりますので、ここは、それぞれの専門の医療機関で、個別に対応することが望ましいと結論づけたところでございます。
 次のスライドをお願いいたします。
 今の絵を、今度は模式図にしたものになりまして、真ん中の共通化部分というところが、主に実際に解析をするところとなりますけれども、一方で、参加医療機関、実際に患者さんと接するところにおきましては、説明であるとか、それから検体の採取といったところは、疾患の特異性がございますので、それに基づいて体制をつくるべきだと考えております。
 特に大きな違いといたしましては、難病領域のほうでは、主治医の医師と、それから解析の担当といったところが、必ずしも1つの組織には存在しないことが多かろうということで、こちらのほうは、少し一段階複雑な形になっておりますが、こういった背景もございますので、ここはそれぞれで対応するということを考えております。
 次をお願いいたします。
 もう一点、これまで厚労科研の中釜班の患者還元ワーキンググループで議論されたことになりますが、特に造血器腫瘍の患者還元についてというところで、意見をまとめていただきまして、それを今後は我々のチームのほうで検討することになるということでございます。
 次をお願いいたします。
 同じがんの領域の中でも、現在、固形がんのほうでは、実診療の中でも、かなりゲノム解析が行われておりますけれども、造血器腫瘍については、これからということもございます。
 それもありまして、今後、前向き研究で検討するべきだという全体像なのですけれども、それに際して幾つかの検討事項を整理しております。
 次をお願いいたします。
 特に、そこの検討項目の中の1番、患者還元の臨床的有用性といったところになりますが、これまで固形がんの領域では、どちらかというと、治療標的の同定といったところに、非常に重点が置かれていたことがございましたけれども、これも造血器腫瘍の疾患特異性というところで、診断、それから予後予測といったところで、全ゲノム解析の有用性が高くなるということが、今、予想されておりますので、こういったところを、ぜひ組み込むべきであるということを記載されておりました。
 それから、3番目のところで、対象施設とエキスパートパネルの実施体制等ですが、これも固定がんのほうでは、現在、保険診療の中で行われている、がんゲノム医療中核拠点病院等々を参考にということで進んでいるところではありますが、造血器に関しては、こういった保険診療のシステムがまだございませんので、これは独自のものを検討する必要があるのではないかといったことが記載されております。
 次をお願いいたします。
 それから、もう一点、血液に関連した5番のところが、特徴がございます。変異検出のためのゲノム解析パイプラインの中で、いわゆる、がんではない正常部の対象となる検体につきまして、固形がんの場合には血液であるとか、そういったものが使われるのですけれども、造血器腫瘍の場合には、口腔スワブ検体あるいは寛解期の血液試料に腫瘍細胞が含まれているということがございますので、こういったところについて、どのような技術的な対策を練るべきかといったところを、これまでの後ろ向き研究班のデータであるとか、それから解析パイプラインの井元班とも連携して、必要なパイプラインを構築するべきであるということが言われておりました。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の造血器腫瘍の前向きな全ゲノム解析等について、準備室の青木先生から何か追加で御発言はございますか、特によろしいですか。
○青木参考人 土原先生、ありがとうございました。私のほうからは、特にありません。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、続きまして、利活用支援チームから、吉田先生、説明をお願いいたします。
○吉田参考人 24ページをお願いいたします。利活用支援チームの吉田から御報告します。
 先ほど、青木先生から全体的な進捗内容を報告いただきましたけれども、令和5年度の実データを用いた共有を開始するというところについて、建付けをここに御説明しております。
 上のほうに書いてありますように、大きな目的は、事業実施組織設立後の円滑なデータ利活用の実現です。先ほど迅速、公平、安全という観点がありましたけれども、そのために準備室段階で体制全体のシステムチェックをするために、実際に、利活用の申請、審査のプロセスを実施してみる、それからデータシステム、実データを実際に使ってみるということをいたします。目的に書きましたように、事業実施組織設立直後から、国民に安心して受け入れてもらい、かつ多くの利活用する研究者に利用しやすい環境をつくるということで、その下の令和5-6年度の実施概要として3つの点を設定しています。
 1つは、プレ検索と言われているもので、これは、実際の倫理審査であるとか、契約などをする前に、大体どのような症例、あるいは変異であるとか、臨床情報であるとか、そのような条件の症例がどのくらい含まれているかという統計的な集計値を求めて、企画の立案をするという段階です。
 2つ目、データ・システム検証は、実際に実データをDesktop as a Serviceの環境で解析をしてもらって、そのデータシステムの使い勝手などのニーズを収集する。
 3つ目は、利活用の申請と審査のプロセス、これを実際に回してみて検証するということです。
 下のほうの「建付け・方法」ですけれども、事業実施準備室の段階では、法人格はなく、データの権利はAMED及びAMED研究班にありますので、あくまでもAMED研究者との共同研究という形で、実際のデータを使っていただく。
 そのため、一番下にありますが、利活用審査委員会は、試行的・検証的に利活用申請、審査プロセスを運用してみると、こういう骨格で行いました。
 25ページをお願いいたします。
 実際には、右のほうにありますように、医療機関や、解析・データセンターが青で書いているような共同研究体をつくって、AMEDの研究班を構成しているわけですが、このAMEDの研究班の外部の研究者、AMEDと契約があって、研究費をもらうのではない外部の研究者に新たに共同研究という形で、実データの共有をしていただくと。そういうスキームで進めております。
 医療機関と直接共同研究をする上に示したタイプと、それから解析・データセンターと共同研究をする下に示したタイプとが考えられ、左のほうには、先ほどのプレ検索、データ・システム検証、それから、利活用プロセスの検証、この3つに分けて、それぞれがんと難病で、今年度あるいはR6年度に開始をする準備を進めております。
 特に、左下の利活用プロセス検証にありますように、3月12日には第1回の利活用審査委員会を開催することができまして、申請者にも、審査の先生方にも非常に熱心に、予定した時間を大分超過して御議論をいただき、申請・審査に関する非常に重要な数々のフィードバックをいただけました。まさにこの準備室フェーズで、第1回の利活用審査委員会で4件の審議ができたことは、非常によかったと思っております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 では、続きまして、コンソーシアム設置支援委員会からの報告で、こちらは、松島参考人、お願いいたします。
○松島参考人 次のページをお願いします。
 この間、コンソーシアム設置支援委員会を開催いたしまして、コンソーシアムの立ち上げを準備してまいりました。
 おかげさまで、12月21日にコンソーシアムのキックオフ会議を開催することができ、このときは、大体30団体、個人からの会員数でありました。
 それで、先日、2月29日には総会を開催し、その中では、新しく幹事を選出することもいたしました。
 本日、第1回の幹事会を開催したところであります。コンソーシアムにおきましては、事業実施準備室フェーズの活動計画を実際に決定し、実データの利活用促進事業運営体制等の検討を行い、詳細化を行う。また、今後1年間、この準備段階におきまして、運営体制だとか、会則、また、事業内容等の検討を行い、7年度以降の正式立ち上げに向けて準備いたしたいと思っております。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、解析・データセンターからの報告で、こちらは、井元参考人、お願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。
 解析・データセンター運営チームの報告をさせていただきます。
 解析・データセンター運営チームでは、昨年度の専門委員会で示された方向性に従いまして、このテーブルに書かれている4つ、上から戦略方針、2番目が組織・人材、3番目が業務・システム、4番目が移行と、この4つの項目について検討を詳細に進めてまいりました。
 上から3つは、昨年10月の専門委員会で既に説明済みですので、本日は、一番下の赤枠で囲んだ「移行」に関して説明させていただきます。
 赤枠の中の赤字の部分ですが、移行対象は、データ・検体、システムなどの資産、この3つに分類して、それぞれで検討を進めてまいりました。
 次のスライドをお願いいたします。
 このスライドでは、移行計画案作成の前提条件を示しています。解析DC運営チームでは、事業実施組織の法人形態にできるだけ依存しない形で、移行計画の取りまとめを行っております。
 一方、データや検体については、法人形態によって厚労省での調整事項が存在するため、本日は、説明は行いません。システムなど資産についての説明を本日はいたします。
 なお、データや検体については、法人形態が間もなく決定すると思われますので、法人形態の決定後、整理がついた段階で示したいと思っております。
 次のスライドをお願いいたします。
 資産については、3種類に整理して移行計画を立てています。
 まず一番上、全ゲノム解析に関連する研究やAMED研究等の研究以外で開発されたソフトウエアやツールに関する移行方針です。外部製品や研究機関が本研究に関係のない独自の開発を行ったものが対応します。これらは、移行対象外であり、必要があれば共同研究として事業実施組織で活用すると整理しています。
 次に、真ん中、AMED研究等の関連研究で購入したり、開発されたシステムやツールに関してです。これらは、事業実施組織の発足後は、研究班との共同研究で使用することになると整理しています。
 最後に一番下、法人設立前に新規で購入するもの、これは、令和6年度に新規で購入するもの、新規で開発するものになります。これらは、事業で使用するシステムや資産として今後新規に購入・構築されるものですから、移行の対象となります。構築されたシステムやツールは、事業費で購入、開発されるため厚労省に帰属します。従いまして、事業実施組織設立後に厚労省より供出される予定であると考えます。
 次をお願いいたします。
 このスライド以降2枚は、今の私の説明を模式図で表したものとなります。スライド30の上の段は関連研究以外で開発されたもの。これらは、移行対象外ですが、事業実施組織が必要であるならば、研究班が活動している間は研究班との共同研究で利用することになります。一方、AMED研究班は、令和8年度までの年限が現在設定されていますので、研究班終了後は、事業実施組織が、そのシステム、ツールが必要ならば、使用権を有する組織と契約したもとで使用することになると考えます。
 下の段、関連研究で購入・開発されたものに関しては、必要であれば研究班との共同研究として利用する形になろうかと思います。AMED研究終了後は、買替え、つくり替え等のタイミングもあると考えます。その際には、事業実施組織で新規に購入や構築を行うことになるという整理をしています。
 次のスライド31をお願いいたします。
 令和6年度の事業費で購入、構築するシステムについては、厚労省に帰属すると考えますため、厚労省から事業実施組織に供出されることになると考えます。ただし、事業実施組織の法人形態によっては、会計処理が必要となることがあり得ますので、そのことを検討する必要があります。
 次のスライドをお願いいたします。
 このスライドが、解析DC、運営チームの最後のスライドになります。移行のスケジュール案を示しています。
 今申し上げたとおり、一番上の段、逆さまの三角形で示されている法人形態の決定、ここが重要なポイントになります。必要に応じて移行計画を修正をいたします。
 また、データや検体については、右の薄い青の四角の中に書かれていますが、データに関して、特に保管するシステムはITチームとの連携、検体に関しては、利活用チームや患者還元チームと連携しつつ検討を行います。データと検体共通の課題として同意文書等の策定が考えられますが、ELSIチームと連携して移行計画を修正し、確定していく想定です。
 資産についても、本日説明した方針にのっとって、法人形態の決定後、必要に応じて修正を行い、移行計画を進めていくということになります。
 以上、解析・データセンター運営チームからの報告でした。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 では、続きまして、ELSIチームからの報告で、こちらは加藤参考人、お願いいたします。
○加藤参考人 ELSIチームのチームリーダーの加藤でございます。スライドの1つ目をお願いします。
 私のほうからは、ELSIの検討とPPIの検討の2点について、スライドを1枚ずつで御説明いたします。
 まず、ELSIですが、改めて目的を確認しますと、事業実施組織が社会との信頼関係を構築し、それを基盤として事業運営ができるようにするために、先取りしてELSIの課題・懸念を洗い出し、設計に反映させるということ。
 さらに、事業実施組織全体にELSIの観点を浸透させる仕組みを検討・構築し、事業を健全にするということです。
 令和5年度は、事業全体におけるELSIの洗い出しとマッピングを実施しまして、また、国外にある第三者への提供に関する検討を実施し、検討状況は、専門委員会で説明しました。
 さらに、以下の真ん中のところです。5つのアプローチで同意取得の現状を把握して、ICFに関する課題・論点を整理して、改定の方針を検討してきました。
 まず、一番左が同意取得に関する状況の把握、次に、領域ごとのICFを比較の上、課題を抽出し、課題に対する外部意見をヒアリングしました。これは、弁護士等のような専門家の方も含んでおります。そして、ICF改定に向けて反映が必要な論点を整理し、ICFの改定方針案を検討ということになっています。
 そして、R5年度の検討を続ける形で、一番下の部分ですけれども、次年度は、ここに書かれたような内容をさらに検討・整理していく予定であります。
 具体的には、事業実施組織設立に向けた個情法への対応、検体・試料の取扱いや国外にある第三者への提供・利活用、研究倫理指針への対応、リコンタクト対応等の検討結果などを全体として加味しまして、また、他のチームの検討内容も取り込んだ上で、事業実施組織版のICFを最終的に来年度は作成するということになります。これは、先ほど井元先生のところにも出てきたものでもあります。
 次のPPIのほうもよろしくお願いします。
 PPIのほうも目的ですけれども、患者・市民の視点を重視して、社会との対話を通してよりよい事業の進め方を見出していくことにあります。
 令和5年度では、ここに書かれているようなアプローチに沿って、PPIの検討体制を構築して、一覧と優先度を整理してきました。
 各段階において準備室での検討に患者・支援者の立場の協力者、少し次のスライドをぱっと出していただけますか、読み上げませんけれども、右側におられる、がんの側から2名の方、また、難病の側から2名の方に協力者として様々な御意見をいただいてきました。
 元に戻ってください。
 ということで、そういう方々が参画していただいて討議をしました。
 そして、2月12日にPPIイベントを行いまして、意見交換会を実施し、多数の患者、支援者の方からPPIの在り方について意見を収集しております。
 ということで、この5段階でずっと検討してきたのですけれども、一応読みますと、左側でPPI検討体制を整備しまして、そして、事業の案を洗い出しまして、そして、真ん中の3つ目、ここが重要だったのですけれども、優先順位と役割分担の整理をしました。その結果として参加者パネルというものの構築を最優先として位置づけました。ということで、その右側、参加者パネルのあるべき姿を海外の事例を参考にあるべき姿を整理し、また、その姿に基づいて要件を検討し、そして、それらを基に一番右の参加者パネルの構築計画案の作成を進めているところであります。ロードマップの案などもつくっております。
 次年度は、参加者パネルに関する規約、業務規定案・公募資料等、具体的な文書を作成します。
 そして、参加者パネルの公募の準備をし、連携医療機関や事業参加者への説明も実施していきます。
 これらについては、先ほどELSIで述べ忘れましたけれども、いずれも次年度の専門委員会で報告する予定であります。
 私からは以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、続きまして、総務チームからの報告で、こちらは樋山参考人、お願いいたします。
○樋山参考人 総務チームの樋山でございます。よろしくお願いいたします。
総務チームでは、昨年の3月の専門委員会で示されました設置部門につきまして、これまで詳細について各チームの御意見などを伺いながら検討してまいりました。
 その中で、この表の中で白抜きにしてあります部門につきまして、例えば、国際連携部門、それから人材育成部門、それから、コミュニケーション部門などについて、次のページで詳しく説明させていただきますけれども、中身を変更してはどうかと考えております。
 次のページをお願いいたします。
 対象機能といたしまして、広報・PR機能、それから2番のPPI機能につきまして、論点といたしましては、PPI機能と広報機能を1つの部門に設置し、恒常的に連携する体制とすることが適切かどうかというところです。
 それから、特に広報・PR機能を経営戦略と平仄を取る必要があるのではないかという論点が2つありました。
 その検討をした結果なのですけれども、右側に移りまして、コミュニケーション部門の広報・PR機能を総務部門に仮置きしてはどうかということで、理由といたしましては、経営戦略と密接に連携が必要であり、主として経営企画グループで経営戦略を検討することから、総務部門に配置してはどうかというところで、適宜、その他各部門とも連携をするとしております。
 続きまして、PPI機能につきましてですけれども、コミュニケーション部門をPPI部門に名称変更してはどうかというところで、理由といたしましては、広報機能が総務部門に移動することに伴いまして、部門名称をPPI部門としてはどうかとしております。
 続きまして、3番の国際連携機能でございます。論点といたしましては、単独で国際連携部門として設置するだけの恒常的な業務量があるのかという論点がございました。
 検討した結果ですけれども、単独の部門とせずに、総務部門内の経営企画グループに仮置きしてはどうかということで、当面、国際連携機能は別部門とするだけの業務量は想定されないため、経営企画グループに仮置きしてはどうかということと、事業実施組織の状況を踏まえて、単独部門とすることも検討してはどうかとしております。
 続きまして、4番目、人材育成機能でございます。こちらにつきましては、また、次のページで詳細を説明させていただきます。
 論点といたしましては、中長期的に体系的な育成プログラムを検討することを想定しておりますけれども、組織発足当初から単独部門としての業務量があるのかという論点がございました。
 これにつきましては、単独の部門とはせずに、総務部門内の経営企画グループに仮置きしてはどうかということで、人材育成機能は中長期的な人的リソースの育成が目的でございますけれども、当面、別部門とするだけの業務量は想定されておらず、経営企画グループに仮置きしてはどうかということで、この点については事業実施組織の状況を踏まえ、単独部門とすることも検討とさせていただいております。
 最後に、総務機能でございますけれども、庶務・秘書業務機能が必要ではないかという論点がございました。
 このため、総務部門内に総務グループを新設ということで、庶務・秘書業務を実施する機能として、総務部門内に総務グループを配置してはどうかとしております。
 次のページをお願いいたします。
 専門人材に関する人材確保と人材育成の担当でございますけれども、一番下に書かせていただいておりますが、専門人材の人材確保・育成における計画策定、実施は、主に解析・データセンター運営部門や臨床患者還元支援部門でドラフトされておりまして、人材育成支援部門の独自業務は、その取りまとめ(含むレビュー)となるため、単独部門を設置するだけの業務量はないのではないかと想定しております。
 人材育成機能の拡大に応じて、単独の部門とすることを検討するとさせていただいております。
 私のほうからは以上になります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 では、続きまして、その他(英国訪問)についての報告を青木参考人、お願いします。
○青木参考人 昨年の11月末から12月初めにかけまして、中釜先生や井元先生を含めた数名で英国を訪問し、英国のゲノム医療の全体像と、それから情報基盤に関してヒアリングをしてきましたので、その御報告をいたします。
 まず、この図は、イギリスのゲノム医療の全体像を簡単に示したものです。英国のゲノム医療は、このNHS、National Health Serviceが、全国的な臨床ゲノム医療戦略の策定とリーダーシップを担当いたしております。
 このNHSが資源の割り当て、ゲノム医療の運用手順の開発、研究プロジェクトや産業プロジェクトのサポート、それに加えてデジタルデータとインフラストラクチャーの方向性を決めるといった全体の戦略を定めております。
 この図で、Genomics England、GELは、左下に緑色で書いてありますが、NHS内の主に研究用の全ゲノム解析を支援とする役割を持っております。
 また、後ほど説明いたしますが、NGRLというライブラリーを管理するという役目も担っております。
 全体の流れといたしましては、まず、同意を取得した後、検体が採取されてDNAが抽出され、シークエンスされた後、そのシークエンスデータがGenomics Englandで解析されて、また、NHSに解析結果が戻ってきて、それが検討されてレポートが作成され、患者さんの診断治療に用いられるという流れとなっております。
 スライドをお願いいたします。
 患者還元、それから、NHS Englandにおけるゲノム医療体制を示しております。
 右のほうに書いてある地図がイングランドですが、イングランドにおいては、色別に分かれております7つの地域に分かれていて、それぞれの地域で中核となる病院が、GMSA、Genomic Medicine Service Allianceをつくっております。
 それぞれの地域に1個ずつGenomic Laboratory Hub GLHと書いてありますが、GLHが存在して、これがゲノム検査など、全ゲノム以外のゲノム検査を行っています。
 それから、英国には13のGenomic Medicine Centresという中核病院が存在するといった状況です。
 次のスライドをお願いいたします。
 このスライドと次のスライドは、内容がかぶりますので、42ページのスライドを使って、全体のゲノムサービスの全体像をお示しいたします。
 真ん中の薄い青の四角で囲ってあるところ、ここがNHSですが、この左側のほうに病院、それからGMCと書いてありまして、GMCは先ほど申しました、Genomic Medicine Centresです。
 これらに患者さんが来まして、同意を取得した後、検体は、真ん中にGLHと書いてある、Genomic Laboratory Hubに送られ、ここでDNAが抽出されます。
 そして、GLHで、全ゲノム解析以外のゲノム検査は、行われております。
 全ゲノム解析を行う場合には、その検体は、右に書いてあるイルミナ社に送られて、ここでシークエンスされて、そのシークエンス結果が、この右下に書いてあるGenomics Englandに送られて、ここで解析されます。
 そして、GELで解析された結果は、また、真ん中の薄い青の四角で書いてあるNHSに戻ってきて、その中で、MDT、Multi Disciplinary Team、日本で言うとエキスパートパネルになりますが、ここでその解析結果が検討された後、レポートが作成されて、そして左側の病院のほうに戻っていって、患者さんの診断治療に用いられるという流れになっております。
 Genomics Englandで解析された仮名化データは、真ん中の下のほうに書いてあるNGRL、National Genomics Research Libraryに格納されます。
 そして、緑の四角の中の左側に書いてありますが、企業やアカデミアは、利活用審査を受けた後、審査で承認された場合には、このNGRLのデータにTRE環境下でアクセスすることができるという形であります。このNGRLには、ゲノムデータと臨床情報も格納されています。これが、全体の流れです。
 スライドをお願いいたします。
 英国においては、10万ゲノムプロジェクトが行われました。その10万ゲノムプロジェクトでは、がんでは33のがん種、1万3880サンプルが解析されました。
 難病では、ホールゲノムシークエンスによって25%が診断されたという報告もあります。
 現在は、今後の戦略のところに少し書いてありますが、10万ゲノムプロジェクトで得られた知見を基に、全ゲノム解析の臨床への実装が開始されているといった状況です。
 この下に書いてありますように、NHS全体で肉腫、膠芽腫、高悪性度の卵巣がん、トリプルネガティブ乳がん、こういったものの全ゲノム解析というのが優先的にサポートされています。
 全ゲノムはNHSのゲノム検査の大体10%程度ということです。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは、対象疾患拡張の現状と今後のスライドですが、全ゲノム解析の対象疾患は、NHS全体で統一されています。こういう疾患に関して、全ゲノム解析をやってよいという基準が決まっておりまして、そのような基準というのは、真ん中に書いてあります、National Genomic Test Directory、NGTDといったものに記載されており、それを見て病院の先生方は全ゲノム解析に回すことができると、判断できるといった状況です。
 このように全ゲノム解析の対象疾患というのは決まっているのですけれども、一方で、地域のニーズに合わせて、全ゲノム解析の個別プロジェクトも行われております。
 例えば、個別プロジェクトとしては、例1と書いてありますが、若年層における心臓突然死、例2と書いてあるリンチ症候群、このようなものに関しては、個別プロジェクトとして全ゲノム解析が行われています。将来的には、対象疾患の拡張の対象になるのではないかと思います。
 以上、簡単ですが、英国訪問に関しまして御報告させていただきました。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、資料2、令和5年度の事業実施準備室の活動についての説明ですが、これまでの説明について、御質問、御意見のある方は、挙手ボタンを押してお願いいたします。
 御発言ございますでしょうか。
 それでは、神里委員、お願いいたします。
○神里委員 ありがとうございます。
 ELSIチームに1点と、あと、事務局に1点お伺いしたいと思います。
 まず、先ほど加藤先生がおっしゃってくださったように、ELSIだとかPPIの領域は、社会との信頼構築が必要ですから、早い段階からの先取りした積極的な活動が必要であるという点、私もそのように思います。
 この点、PPIの活動につきましては、4名の協力者を得て活動を進められていて、そして、2月にはイベントも開催していただいて、先取りした、まさに積極的な活動をしていただいていると思います。
 令和6年度の参加者パネルの開始に向けた土台固めが、着々とできているように感じております。
 一方で、ELSIについては、ICFの検討をしていただいたということで、これが令和6年も引き続き、さらに進化させる形でやっていただくということなのですが、とても大切な取組であることは重々承知しておりますが、ICF以外にもELSIについて、先取りして取り組むべき課題は、いろいろあるのではないかなと思っております。その点のスケジュール感について、教えていただければと思います。
 2点目の事務局にお伺いしたい点なのですけれども、ELSIとかPPIは、専門家の数が本当に限られております。ですので、今後継続した事業をしていくに当たっては、活動を通じて人材育成というものも大切になっているという状況にあります。また、先取りして課題検討をするためには調査研究が必要になってまいります。
 というわけで、一定程度お金、予算が必要なのですけれども、先ほど令和6年は実施体制が変更になるというお話もありましたが、令和6年度の準備組織における予算については、どのように検討がなされているのか、教えていただければと思います。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 では、最初の質問、ELSIチームに関しては、PPIとELSI、あるいはELSI以外の各論点に関する取組について、加藤リーダー、お願いします。
○加藤参考人 加藤でございます。御質問ありがとうございました。
 信頼関係を社会と構築するために、PPIとELSIが重要だということを御確認いただきまして誠にありがとうございます。
 まず、PPIは、比較的分かりやすかったと思うのですけれども、参加者パネルというのを真ん中に置いて、最優先として進めていくということでやっております。
 ただ、一応コメントをしておきますと、それ以外にもいろいろなことを検討するということはやっておりますので、そちらも順次検討していく予定です。
 それから、ELSIですが、これは本当に多岐にわたるところでして、実は一行で済ましてしまったのですけれども、資料のところにありましたのを、ちょっと読み上げますと「事業全体におけるELSIの洗い出しとマッピングを実施」という一行、大変短いのですけれども、これは非常に、特に私として重要と思いまして、患者さんがおられて、先ほど、例えば、NHSでもぐるっと回る円の図があったのですけれども、まさに実際の日本の事業でも、順番に試料が得られて解析して、そして、利活用も行われますし、そして、その中から分かったことを還元していくというぐるっと回るプロセスがございます。
 そこのどの部分にELSIの関係部分があるかということは、マッピングを行っておりまして、10か所以上あるということは、はっきりしておりまして、それは順次検討しています。
 1、2点だけ、このようなこともやっているということで御紹介しますと、eConsentといいまして、電子的なシステムを同意に導入するということに関しては、システムのチームとともに、ELSIも一緒に検討していくことを、緩やかですけれども始まっておりますし、また、同意の撤回というのが、なかなか多くのプロジェクトで手につかないことが多いのですけれども、問題は既に認識しておりますので、これを、また他のチームとともに検討を、令和6年度でもやっていくつもりであります。
 最後に、二次的所見という、常に網羅的ゲノム解析の手法では出てくるものにおいても、患者還元チームとELSIが協力して行っていくことになっています。
 ELSIというのは、ちょっと埋め込まれておりますので、なかなか特出しで説明することができないので、今日は、その辺は述べませんでしたけれども、全体を見ておるということは述べておきたいと思います。
 御質問どうもありがとうございます。
○神里委員 ありがとうございました。
 その他についても取り組んでいただいているということが分かりました。ただ、ICに、今のお話も割とフォーカスが当たっているのかなと思っていたので、IC以外の、例えばベネフィットシェアリングの話だとか、ほかのIC以外のところ、差別の話もしかりなのですけれども、そういったところについても、今から御検討を、既にされているとは思いますけれども、また、進めていただければと思います。ありがとうございました。
○加藤参考人 了解いたしました。ありがとうございます。
○中釜委員長 それでは、2点目の事務局に対して、人材育成、それから、次年度の調査研究について、これは、青木先生から、まずお答えいただけますか。
○青木参考人 青木です。
 人材育成に関しましては、これは、特にELSIのことに関して、私見ですが、事業実施組織の中でも、各部門の中で調査的、研究的な要素を含んでいるというところが、解析・データセンターとELSI部門ではないかと思っておりまして、ELSIのところに関しましては、人材育成計画をつくって、ELSIの人員を増やしていく、ELSIの専門家というのを増やしていくと、そういう長期的な計画にはなっているかと思います。まだ、具体的な計画はできていないかもしれませんけれども。
○中釜委員長 人材育成については、先ほど総務チームからもお話がありましたけれども、人材育成機能として、総務チームの取組には、恐らく各チームとの連携で、人材確保や、育成プログラムを検討していくと理解していますが、よろしいですかね。
 それと、こういうものに関する先取りの、来年度以降の調査研究等に関することが、どうなっているかということに関しては、厚労省、よろしいですかね。
○市村室長 厚生労働省のイノベ室の市村です。
 来年度以降は、先ほど申し上げましたとおり、厚労科研がなくなりますので、事業実施組織の事業に係るものに関しては事業費、AMED研究に関するものはAMED研究費ということになりますので、もし、行政研究のような調査研究が必要ということであれば、また、新たに行政研究を立てる必要があるということになるかと思います。
○中釜委員長 今の回答でよろしいでしょうか。
○神里委員 はい、承知しました。ありがとうございました。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに、御質問、御意見ございますか。
 中村委員、お願いいたします。
○中村委員 皆さん、恐らく気づいておられると思うのですけれども、青木先生の図だと、来年というか、令和7年の4月から実施組織に移行することになっていますけれども、最初に示された厚労案では、令和7年度のどこかというか、多分後半から実施組織が運営されるような図になっているのです。今のELSIの問題もありますけれども、一体誰が契約の主体となってインフォームド・コンセントを取るのか。システム構築をするにしても、一体誰が最終的な権限を持って、誰とコントラクトを結ぶのか。
 井元先生が言われたデータの移管に関しても、具体的に、いつ誰がどう責任を持って実施するのかが全く見えてこなくなっています。私は、準備委員会の先生方、皆さん非常によくやっておられると思いますけれども、何かゴールポストがだんだん向こうに動いていくので、人材育成にしても、誰が責任を持って、本当は令和6年度から始めないといけないと思うのですけれども、そうではないと人が確保できない。いつ正式に始まるかも分からないものに、人は待ってくれないですので、そこを含めて、これだけの大きなものを動かそうと思うと、しっかりした組織で、誰が、例えば人材を雇用するのかという点を含めて、そこをはっきりしないと、なかなか動かないと思うのですけれども、そこは、市村さんなのか、青木先生なのか分かりませんけれども、やはりこんな大きなものをつくるにしては、いつからというディフィニティブなものが、だんだん曖昧にされていくのはよくないと思うのですけれども、どのようにお考えでしょうか。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 これについては、厚労省のイノベ室、お願いいたします。
○市村室長 御質問ありがとうございます。厚労省イノベ室の市村です。
 先ほども申し上げましたとおり、事業実施組織につきましては、令和7年度中の発足を目指して、令和5年度中をめどに法人形態を決定することとなっておりまして、現在、最終的な調整を行っているところです。
 ですので、現時点で申し上げることはできないのですけれども、しっかりと進めていかせていただきたいとは考えております。
○中村委員 立場はよく分かりますけれども、実際こんなものを動かすときに、そこがしっかりしていないと、建物を建てるにしても、木造なのか鉄筋なのか鉄骨なのか、そこさえはっきりしないのに、設計図をつくってくださいと、それで、決まってから動きますと言っても、恐らく準備期間的には、ぎりぎりのところまできていると思いますので、これだけ多くの人が、ゲノム医療につなげようと一生懸命になっているわけですから、システム構築ひとつにしても、誰が責任を持ってコントラクトを結ぶのかということを考えれば、結構厳しいところにきていると思いますし、今、医科研に蓄えられているデータを誰が責任を持って、そちら側に移すのか、これは大変な作業だと思うのですけれども、井元先生がやんわりと言っておられましたけれども、そこは、この組織の大きさを考えれば考えるほど、やはりいつスタートするというのをはっきりしておかないと、それから規模感をはっきりしておかないと、結局、最後の最後で混乱が起こると思いますので、できるだけ、組織形態を含め、いつから発足するのかということをはっきり決めていただきたいと思います。
 コメントです。以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘と理解いたします。先ほどの厚労省の説明の中でも、次年度からは、厚労省の委託事業として準備室が進めるという立てつけになっています。厚労省の委託を受けて動くということですので、最終的な取り決めに関しては、厚労省と準備室とで相談し、連携しながら進めていくわけですけれども、その体制の中で御指摘の点を明確にしながら、確かに先生がおっしゃるように、最終的な法人形態が明確でなければ、いろいろなものをつくり上げることができないということも事実ですので、その辺りのところは、後ろ倒しすることなく進められればと思うところであります。ぜひ厚労省との連携を詰めていきたいと思います。
 ほかに、それでは、宮野委員、お願いいたします。
○宮野委員 今のと関連して、シークエンスの事業などを受ける企業などが想定されるかと思いますが、そちらの立場になって考えると、今、中村先生がおっしゃったことというのは、とてもキーになっていることだと思いました。
 ちゃんとした事業が行われる組織がなければ、事業を受ける企業なども意思決定ができないのではないか、さらには必要な投資を会社のほうでして、シークエンスなどの設備を増やす、規模感のことを中村先生はおっしゃいましたけれども、そういうものが分からないと、厚労省側がこうこうこうですと言って、そのプランはきちんとつくられているのですけれども、それが本当に動くのかどうかということが、民間のほうに伝わるようにしておかないと、さあ、走るぞと言ったときに、それを動かしていく車輪のようなものがなかったということが起こるのではないかと、心配性の私は思ったりします。
 そういう意味で、情報も含めて、今、井元先生がいろいろ請け負っておられることのことも含めて、そういう意味の情報ですが、それも含めて、どういう規模感で受けてもらうところ、受ける企業なり、組織なりが、ちゃんと意思決定ができるように厚労省側が提示しなければ、あのように議論しているのだけれども、ちゃんと動くかどうか分からないと、民間の側は思うのではないかなと思いました。
 ちょっと取り止めのない話になったかと思いますが、こちらでプランだけつくっていく、うまくいくよということだけではなく、実際にそれを受けて走らせるところが、意思決定ができるように、民間とのつなぎをやっていくことも、されているかとは思いますが、必要だと感じました。
 以上でございます。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 解析の規模感、事業の規模感という点においては、現在、AMEDの研究事業と並行しながら進めていくことになっています。令和8年度まではAMED研究費という形で全ゲノム解析事業は連携して進めることで、今年度の解析症例が、がんで2,000、難病も同等程度、恐らく次年度も、その規模感あるいは相応のことがAMED研究の中で進められると理解します。それを進めながら、事業組織としてどの程度の規模感として、令和7年度以降スタートするのかという議論も詰めていかないと、解析企業側としても大変困るだろうという御指摘ですが、この点については、現状でイノベ室のほうから何かコメントございますか。
○市村室長 症例数、規模感につきましては、今年度と同等以上の症例数を来年度以降も継続していきたいとは考えております。
 また、民間企業の方々との協力、情報共有、連携ということにつきましても、引き続き密に行っていきたいと考えております。
○中釜委員長 御指摘の点は、非常に重要ですので、その点もしっかりと踏まえながら、準備室として厚労省と連携しながら進めていきたいと思います。
 ほかに御発言、御意見ございますでしょうか。
 葛西参考人から手が挙がっております。お願いいたします。
○葛西参考人 ありがとうございます。
 イギリスの報告の資料のほうの42ページ目を見ていただきたいなと、非常によく丁寧に整理されていましてありがたいなと思うのですが、法人格をこれから御検討されていくというか、決定していく過程の中で、全体のシステム設計を準備室のほうでも担当しておりますので、その関係で少し整理をしておきたいなと思うのですが、イギリスは非常に機能と資金に関して、うまく調整できるように整理されているなと感じています。
 同様の調査は、ITチームでもしているのですけれども、42ページ目にある機能で見ると、一番上側にあるのが、資金であるとかプログラム、事業の調整をするところは白い箱になっています。
 そして、ブルーのところは、事実上病院でして、何がポイントかというと、1つ個人情報保護上、このブルーのところは顕名の情報を扱います。
 それで、Genomics Englandであったり、NGRLというリサーチ・ライブラリーに関しては、これは先進的な研究なので仮名化した情報になります。
 情報システムをつくっていて非常に苦慮するのが、日本の場合、顕名の情報を扱う組織がどこまでという法令があり、そして仮名化、日本は、実は匿名加工しなければいけないのですが、そういう意味では、都度都度研究事業でやろうとすると、一個一個研究班を細かく立てて全部IRBを通して、制度の一環としてやるのではなくて、研究の中でも第三者提供する場合には、研究例外として渡すという、とんでもない煩雑な業務処理が起きています。
 一方、イギリスの場合には、既存の法令制度にのっとって顕名の情報を扱える組織が顕名を扱い、仮名化して先進的な研究をするところは研究するところと切り出されている形になっています。
 同様に、まず、情報保護に関して、きちんと国民が安全に保護されているのだなということが分かるように制度設計をしていないとまずいのですが、そこが法人をつくるときの一番重要なポイントだと私は思っています。
 もう一つが、TREと書いてある、これは、ビジティング環境なのですが、あとNGRLという、Genomics Research Libraryという、このドラム缶はかなりの巨額の金額になります。
 日本でもITチームでリサーチしても、特にがんに関しては、遺伝子データは、結局、膨大な金額で管理することになるので、全てブルーの中の国費だけで管理をするのは相当困難だろうというところが、多分イギリスでも同様の背景があったのではないかなと。
 そのときに、企業、アカデミアというところからの資金提供がしやすいように、グリーンのところは法人格を整理しているはずなのです。
 ですので、NHSにいきなり、企業、アカデミアが資金提供するというのは、NHSは国ですので、それはできません。日本も財政投融資などを使う手はありますけれども、普通はありませんので、そうなるとグリーンのところでGenomics Englandを置いて、そこで資金を柔軟に活用できるという、そういう構造になっています。
 ですので、実際の実務に即した形でちゃんと法人格を整理していただかないと、システム上はそういう形で、今、整理しているのですけれども、うまくそれが駆動しなくなりますので、そこを私は危惧しているところでございます。
 私からの意見です。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 今の御指摘は、臨床情報の取扱いと、それから仮名化した情報を、データの利活用の際にきちんとした管理下で行うべきだというご指摘でした。
 イギリスの場合、それがNHSとGenomics England、この2つのフィールドの中できちんと管理されます。
 一方で、Genomics Englandも必要に応じて臨床情報にコンタクトできる体制を取っていると理解しますと、その辺りを日本の事業実施組織の中でどう実現していくのかというところを、しっかりと詰めていくべきだという御指摘と理解いたしました。ありがとうございます。
 ほかに御質問ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。特にございませんので、それでは、次の議題に移らせていただきます。
 もし、後ほど、この議題2に関連して何か御質問がありましたら、また、そのときに御発言をいただければと思います。
 では、議題3に移ります。議題3は「その他」となっていますが、全ゲノム解析等に係るAMED研究班からの報告について、AMEDから資料3が提出されていますので、この説明をお願いしたいと思います。
 御質問につきましては、最後にまとめて行いたいと思いますので、まずは、AMEDからの説明をお願いいたします。
○芳賀参考人 内容について御報告します。
 次をお願いいたします。
 全ゲノム解析等実行計画2022等に基づきまして、今年度AMEDにおいて、がん・難病全ゲノム解析等実行プログラムを立ち上げ、がん医療実用化研究事業と、難治性疾患実用化研究事業が連携して取り組んでまいりました。
 次をお願いいたします。
 取組に当たりましては、令和5年度は、昨年5月から今月まで、毎月1回研究進捗会議を開催いたしまして、研究の進捗と、がん・難病共通での情報共有とディスカッションを準備室にも御参加いただきながら進めてまいったところです。
 次をお願いいたします。
 今年度のAMED研究体制の概要で、がん領域についてでございます。患者還元、出口戦略に関わるA班、コンソーシアムに関係するB班、解析・データセンターに関わるC班という構成です。次をお願いいたします。
 それぞれA班4班、B班7班、C班1班の計12班で、がん領域の研究開発を進めてまいりました。
 次をお願いいたします。
 難病領域については、代表機関1機関に、分担研究機関16ということで、御覧の体制により研究を進めてきたところです。
 まず、今年度の研究状況の御報告について、がん領域のA班のほうから御報告いたします。
 A-1班の研究成果について、AMEDの土師より御説明いたします。
○土師参考人 では、9枚目を御覧ください。
 患者還元・出口戦略班でございます。A-1班の活動状況につきまして、研究代表者の国立がん研究センターの山本先生の御出席がかないませんでしたので、AMEDより御報告申し上げます。
 10枚目を御覧ください。
A-1班における令和5年度の実施内容でございます。A-1班では、こちらに示します6つの項目、確認用CGP検査の安定的運用、検査選択肢の拡充。
 治療選択肢拡充についての検討。
 標準レポートフォーマット改良、共通化、EDC改良。
 既存のCGPパネル検査との優位性の検討のための観察研究。
 疾患群・二次的所見の実態把握のための観察研究。
 前向き臨床試験の提案に取組みました。
 11枚目を御覧ください。
 本プログラムにおける患者還元の全体像を示します。基本コホートには、A-2班において、プロスペクティブに同意をいただき、全ゲノム解析を実施した患者様のうち、戦略コホートとして実施中の臨床試験に参加された方を除く全ての方が参加されます。
 この基本コホートでは、観察研究として、実際に治療や診断に結びついた方の割合等を調査し、治療が必要になった際には、多くの場合は確認検査を行った上で承認薬や治験、先進医療、患者申出療養などが提供されます。
 12枚目を御覧ください。
 治療と診断におけるこれまでの課題についてです。
 先ほどの確認検査については、本プログラムで実施している確認CGP検査はあくまで研究用であり、患者申出療養、承認薬における治療還元は混合診療になるため、運用困難であるという運用制限がありました。
 一方、治験においては、制限がないものも存在しますが、治験次第であります。
 そこで、患者還元という観点から、今後の全ゲノム検査の対象症例や確認CGP検査の運用を見直しました。
 対象症例については、R4年度までは周術期または術後症例が主体であったため、薬物療法の適用となるまでに時間を要する症例が多く、短期的な患者還元の評価が困難であった点を踏まえ、R5年度からは、進行期の患者登録も進めています。
 また、確認検査については、全ゲノム解析とCGP検査の一致性を確認することを目的とし、R5年度に180例の検体を提出しました。
 こちらについては、現在解析中であり、重要なデータが得られると考えております。
 13枚目を御覧ください。
 確認検査を提出した180症例の内訳です。少数ではありますが、germline用の確認検査も開始しております。
 続きまして、14枚目と15枚目は、A-2班と連携して、標準レポートフォーマットの改良、共通化を進めていること、また、EDC改良も並行して実施していることを示しております。
 16枚目を御覧ください。
 基本コホートのまとめと今後の方向性です。全ゲノム解析とCGP検査の一致性を確認することを目的とし、180症例を対象に確認用CGP検査を実施し、現在解析中です。
 R4年度までは、周術期または術後症例が主体であり、短期的に治療につながりにくい状況でしたが、R5年度からは、進行期の患者登録も進めています。
 今後の方向性としては、全ゲノムの特徴性を活かせる使い方の検討が必要と考えられ、例えば、CGP検査でアクショナブルな遺伝子異常が見つからなかった症例を対象に、構造異常の検出を目指す設定など、診断面における強みを活かすことはできないかなどを検討していきたいと考えております。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、A-2班からの研究成果について、こちらは、浦上先生、お願いいたします。
○浦上参考人 ありがとうございます。静岡がんセンターの浦上です。
 A-2班の研究成果についてお話しします。
 次のスライドをお願いします。
 実施体制は、ここにあるとおりです。これまで全ゲノム解析及びRNA-seqは、5,000症例を超える患者さんで実施されています。
 平均すると毎月200症例となり、現在、保険のパネルの検査が毎月2,000人されていると思いますので約1割に相当する数です。
 そのうちエキスパートパネルは、これまで約半数の3,000人近くの患者さんで実施され、治療方針に関する臨床的・生物学的議論がなされています。
 次のスライドで少し詳しく御説明いたします。
 昨年12月時点の数字ですけれども、エキスパートパネルを実施した2,524症例、一番左のところですけれども、そのうち何らかの薬剤に結びつくアクショナブル変異が検出された症例数は約半数の1,298、そのうち現時点で治療薬の選択肢を提示できた症例数というのは582になります。
 さらにその内訳は、治験、臨床試験が対象となるものが94、そして、コンパニオンなど標準治療の対象となるものが488ありました。
 括弧の中の数字、10という数字が真ん中にあると思いますけれども、実際に薬剤が投与された症例数です。
 なお、この10症例は、全て何らかの確認検査、保険での承認済みのCGPとかCDxがなされています。
 この10症例のうち薬効が得られた症例の数は6症例で、病性コントロールが得られた症例は8症例でした。
 薬の選択だけではなく、全ゲノム解析の優れた点として、確定診断の参考になる、そういう情報をもたらすことがあります。主に構造異常とか、いわゆる転座融合遺伝子ですけれども、病理組織の情報と合わせた生物学的な解釈により原発不明のがん腫の特定や、診断名の確定に寄与した症例、そういうものが真ん中に書いてあります94症例ありました。
 さらに、以上のエキスパートパネルを通した患者還元の出口戦略として、先ほどからお話に出ていますけれども、A-2班では、6つの臨床試験を進めています。
 次のスライドをお願いします。
 角南班、上野班、浦上班で2つずつ、計6つの臨床試験を進めています。
 それぞれここにあるように、直腸がん、小児がん、乳がん、卵巣がん、肺がん、胃がんを対象腫としまして、日本を代表とする臨床研究グループにおいて、多施設共同で新たな治療法の開発を行っています。
 次に、全ゲノムとRNA-seqが役に立った具体的な症例について、幾つか御紹介いたします。
 次のスライドをお願いします。
 ここでは2つで、上のほうは分類ができなかった肉腫において、全ゲノム解析とRNA-seqによるトランスクリプトーム、RNAの発現情報を組み合わせて、新規のパートナー遺伝子を持つRAF1の融合遺伝子を検出したという症例です。
 紡錘型細胞肉腫の特殊な型としてRAF1-rearranged spindle cell neoplasmというのが、最近、報告があるのですけれども、その類型の症例だったということです。
 RAF1は、分子標的薬がありますので、治療薬選択の可能性にもつながるということになりました。
 下のほうは、耳下腺腫瘍の腺房細胞がんなのですけれども、enhancer hijackingという珍しいタイプの転座を見つけたという症例で、これは全ゲノム解析でしか見つけることができなく、染色体9番に位置する転写因子のNR4A3の上流に、4番染色体のエンハンサー領域が転座していて、このNR4A3の発現を上昇させるということが確認できて、腺房細胞がんの病態解明に有用だったという症例です。
 さらに次のスライドで、簡単に5つ御紹介します。
 症例1は、よくあるということはないのですけれども、希少がんですけれども、骨外性ユーイングの特徴的な融合遺伝子EWSR1-FLI1をWGSで検出して、これもRNA-seqで確認を行っています。
 症例2ですけれども、これも染色体再構成で、先ほど、腺房細胞がんがありましたけれども、今度は別の融合遺伝子でMSANTD3の融合遺伝子を検出して、これも特徴的な融合遺伝子で診断に役に立ったと。それで、XXXと書いてあるのは、知財の関係で伏せてあります。
 症例3は、これも染色体再構成で胞巣状軟部肉腫において、これも特徴的な融合遺伝子ですけれども、ASPSCR1-TFE3の融合遺伝子を全ゲノム解析で確認して、RNA-seqでも確認できたと。それで、診断に有用でしたという症例です。
 症例4は、体細胞ではなくて生殖細胞の染色体再構成で、子宮体がんで染色細胞系列の変化としてMSH2の融合遺伝子が見つかったと。RNA-seqでも確認して、融合により、MSIの遺伝子の機能が、恐らく喪失されていて、MSI-Highを示していますので、リンチ症候群という症例になっています。
 症例5は、びまん性の胃がんの症例で、RNA-seqの結果なのですけれども、いわゆるPD-L2の融合遺伝子が見つかりまして、これも免疫チェックポイント阻害薬が走行するではないかということで治療につながった症例です。
 ここにあるように、30代とか50代とか若い患者さんが多いのですけれども、ほかにもたくさんあるのですけれども、今日はこれぐらいで、全ゲノム解析による、こういう構造異常の検出というのは、非常に診断において有用なツールで、今まで一塩基置換とか、パネルでは分かるのですけれども、こういう染色体レベルのコピー数の変化や、再構成というのがダイナミックに、実は起こっているのだということで、最後に、その1例を次のスライドで紹介いたします。
 これは、Circos plotと言って、全ゲノム解析ではよく出てくるのですけれども、何か難しそうですけれども簡単で、染色体をこの円の中に1番から22番、X、Yまでつなげて円で表示した図です。円で表示すると、染色体間の再構成をつなげることが、真ん中に線みたいのがいっぱいありますけれども、できるので、このほうが分かりやすいのではないかということで、よく使われる図です。
 この例は、御覧になって分かるように、4番の染色体の調和のところに、何かぎっしり埋め尽くされていますけれども、転座が集中して起こっていまして、粉々に一旦なったものが、また再構成されてくっついて、ここら辺順番がかなり変わっていて、かつコピー数の変化も大きくなっています。
 こういうものは、いわゆるChromothripsis、染色体破砕という特徴的な構造変化として捉えられます。ほかにも、こういう染色体の特徴的な構造変化は幾つも、全ゲノム倍加とか、ほかにもいろいろあるのですけれども、こういうものが、全ゲノム解析では見られるというのが、パネルにはない特徴となります。
 こういうものを患者さん一人一人のゲノムの中で何が起きているのかというのを理解するには、非常に役に立つ情報ですので、今後、こういう臨床情報との統合によって、さらに精密な層別化を進めることで、新しい診断治療法の開発につながる可能性もあり、今後の症例集積が重要と思います。
 以上、2班からの報告でした。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、C班の活動報告について、C班の井元参考人、お願いいたします。
○井元参考人 井元でございます。C班の活動成果について報告致します。
 次のスライドをお願いいたします。
 C班は、解析・データセンター班と名前がつけられており、以降では解析班と呼びます。このスライドの一番下にそのミッションを掲載しました。このミッションを遂行するために、解析班では5つのチームを編成して研究を推進してまいりました。本日は、この5つのチームの研究成果について、「ゲノムデータベースの構築の状況」と「データセンターの構築の状況」という2つの軸でそれぞれ紹介させて頂きます。
 次のスライドをお願いいたします。
 まず、ゲノムデータベースの構築の状況でございます。
 令和3年度から令和5年度の3月1日まで、計1万2684症例の解析を終了しております。令和5年度は、あと10日余りで終了しますが、解析班にはデータが引き続き送られ続け、解析班ではその解析を実施し本年度予定されている2,000症例の解析が完了する予定です。従って、今年度分のデータまで合わせると、症例数の合計は1万4000症例程度になる予定です。受け取ったデータは、右の図で模式図を示しました統一パイプラインによって解析が行われています。現在はスパコン上で稼働しています。
 この統一パイプラインによって、様々なゲノム異常を同定してデータベース化しています。まずデータの品質管理から始まり、一塩基置換、挿入・欠失等々、様々な種類のゲノム異常を統一パイプラインによって同定します。そして、解析結果を患者還元班に共有し、エキスパートパネルに活用され患者還元が行われ、また、蓄積したデータベースを用いた利活用に繫がるという流れになっています。
 この統一パイプラインは、現在のものが最終形というわけではございません。新たな観点からゲノムデータを解析する新技術に基づく新たなツールが、日々世界中で構築されております。それらの中から、患者還元に資するツールを評価し、新しく導入する必要があります。また、現在使っているツールに関しても、その解析精度は高めていく必要があります。そのバージョンアップや偽陽性を除くフィルタリングの方法等は、日々改善していくように研究を進めております。
このスライドの最後に書きました構造異常ついては、A-2班の成果の中に「全ゲノム解析が確定診断に寄与した症例数」が94症例であり、その多くは構造異常であったと報告がありました。すなわち、構造異常は、全ゲノム解析を実施する1つの大きなメリットになりますので、その検出精度を高めていく取り組みになります。現在、4つのツールを使って構造異常を検出していますが、より精度を高めていくために、他のツールについても検討しているところです。加えて、ロングリードの全ゲノムデータを令和4年度調整費で取得しました。ロングリードデータは、現在使っているショートリードデータよりも構造異常を正確に検出できるデータになります。ロングリードデータを使って、ショートリードデータから構造異常を精度高く同定できる方法を構築することは、非常に大切な研究だと思っています。ロングリードデータについては、次のスライドで説明をしています。次のスライドをお願いいたします。
 ロングリードデータを令和4年度の調整費を用いて取得し、現在もデータの納品を受けています。解析班では、ロングリードデータを解析するパイプラインを構築しています。PacBio社のHiFiシークエンスによってシークエンスされたデータが取得されていますので、PacBio社のベストプラクティスに沿った解析パイプラインを構築しております。構築したパイプラインによって解析した例を、このスライドの右に載せています。ロングリードデータとショートリードデータが同一の症例から得られていますので、その比較を行うことによって、ショートリードでは見つけにくい構造異常の特徴を抽出するなどの解析を行っております。このような特徴をしっかりと調べることがショートリードデータからの構造異常同定の精度を高めることにつながると思います。また、ロングリードデータは、ショートリードデータに比べると現状ではコストが高くなります。コストが下がった際に、ロングリードデータを患者還元に活用していくための検討にもつながると思っています。
 次のスライドをお願いいたします。
 また、昨年6月には、Pan-genomeリファレンスを使った解析が公開されました。その論文では、従来のGRCh38等のリファレンスを用いたときよりも構造異常の検出精度が高くなると報告されていました。その論文を精査し、Pan-genomeリファレンスを使わない手はないと考え、すぐに研究を開始いたしました。現在、ツールを整備して、Pan-genomeリファレンスを使った解析が安定して実施できるように進めているところです。更に、ロングリードデータとPan-genomeリファレンスを使って、より精度を高く構造異常の検出を行えるパイプラインの構築を進めています。しかしながら、Pan-genomeリファレンスの利用に関して、ツールの開発がさまざまな研究者によってすごい速さで進んでいます。最新情報をキャッチアップしながら進めていくのも、多くのエフォートが必要になりハードな作業となっています。
 更にこのスライドの、下段ですが、ゲノムデータや臨床情報に加えて、世界の潮流としては、病理画像のデータを同時に収集し、それらの解析を患者還元につなげていくことに大きな注目が集まっています。AMED革新がんにおいても、病理画像の収集を開始し、集めた病理画像データを解析する基盤AIモデルを構築する研究を本年度スタートさせました。現在、令和5年度分として、15の医療施設から約2,500症例のホールスライドイメージもしくはメインスライド、病理報告書を同時に集めるように体制構築を行いました。現在、そのフィージビリティスタディを実施しており、倫理審査委員会の承認が得られた施設から実際に病理画像データを研究班に送るデータ収集が既にスタートしております。
 次のスライドをお願いいたします。
 構築したデータベースを将来の創薬等の研究に活用するデータ提供をやっていかなくてはなりません。このスライドは、昨年5月に行われた第15回専門委員会の資料としてITチームの葛西チームリーダーから提示された全ゲノム事業における情報システムの基本構成の案です。多くのシステムが存在し、それらが複雑につながっている様子が、お分かりいただけるかと思います。私が代表を務めています解析班は、解析を実施しデータベースを構築する事に加えて、事業実施組織が使う情報システムをつくるための基礎研究を行うことがミッションとなっております。
 次のスライドをお願いいたします。
 今年度までに解析班において開発、検討している情報システムを、基本構成に重ねた図となります。去年の5月に基本構成が公開された際には、非常に多くのシステムを構築しそれらを連携させていかなければならない状況に途方に暮れるような気持ちもありましたが、1つずつ進めて参りました。本年度でそれぞれのシステムが完成したわけではございません。このシステムは、令和7年度からスタートする事業実施組織が発足するまでに、来年度は事業費を用いてシステム構築が進んでいく予定ですが、少なくとも解析班からは、事業実施組織が使うそれぞれのシステムを構築するための調達仕様書の材料になる情報を出すことはできたと考えています。もちろん、我々解析班が構築したシステムも調査研究からPoCを経て事業実施組織にて使用されることを念頭に開発は進めてきております。
 次のスライドをお願いいたします。
 統一パイプラインは、スーパーコンピューター上で稼動させていると申し上げましたが、クラウドで性能が出るようにチューニングを行っております。現在設定している到達性能は、実績としてスーパーコンピューター上で1日当たり40症例を解析してきましたので、それと同等な性能を確保することにしています。その際のボトルネックを探る研究を行っております。
 また、解析するゲノムデータをシークエンス受託会社から受け取らなくてはなりません。シークエンス受託会社からデータを受け取るロジスティックスに関しては、シークエンス受託会社は多数ございますし、それぞれの事情で、さまざまな方法で送られてきております。それらを整理し、ヒューマンリソースや金銭的なコストを抑えつつ迅速かつ間違いがない推奨される転送方法をシステムと共に提示する必要があると思っています。
 次をお願いいたします。
 先ほどのA-1班からの報告にもありました標準レポートをA-1班と協力して作成し、A-2班と連携して更に改良しています。つまり、患者還元班の先生方に標準レポートを返却し、実際の患者還元の観点からレポートの内容や表現に対してフィードバックを受け、レポートに載せるゲノム変異のフィルタリング条件をチューニングする等の改変を行い標準レポートをより良いものにする取り組みを行っています。また、標準レポートを活用する医療機関も順次増えてきております。
 2ポツ目は、事業実施準備室のシステムの多くはクラウド上で稼働する想定ですので、その運用やセキュリティ対策については、準備室ITチームと連携して進めています。
 3ポツ目のデータ提供環境の調査・PoCについては、今年度準備室にて実データを用いた利活用がスタートしております。その利活用に用いるクラウドを用いた環境の調査とPoCになります。PoCとして、クラウドDaaSを使った環境を構築しました。
 次をお願いいたします。
 臨床情報収集システムは、大きくは2つのシステムに分かれおり、それぞれ1番と2番に対応します。
 1番は、医療施設の中で電子カルテから自動的に院内のFHIRリポジトリに臨床情報を収集する仕組みになります。ただし、がん領域で収集している臨床情報の全てが電子カルテにあるわけではございません。電子カルテにない情報は、適時、利活用に必要であればテンプレートを使って標準化した上で電子カルテに加えて収集する。もしくは、公的データベースに登録があるのであれば、そちらからの情報の突合を将来的には検討していく必要があると考えています。
 2番に記載したシステムは、医療機関のFHIRリポジトリに集まった臨床情報をクラウド上で集約するシステムです。収集基盤システムと呼んでおり、現在構築中となります。
 それぞれの特徴を、その下にまとめています。データ収集はFIHR準拠の項目で進めていますが、データ利活用のモデルとしては、OHDSIのOMOP形式を検討しており、難病との相互利用も想定しています。
また、下に記載したデータ共有・研究支援システムは、クラウド上に全てのゲノムデータを保管してしまうと予算的に難しいことが想定されます。そこで、オンプレミスとのハイブリッド構成を考えています。オンプレミスにゲノムデータを置き、クラウドから閲覧するなどの仕組みをつくっています。スムーズにゲノムデータを閲覧することができることを確認しております。
 次のスライドをお願いいたします。
 このスライドが最後のスライドです。解析班では様々なシステムを構築していますが、医療機関から提出された検体が、解析のどの段階にあるのか、解析状況を見える化する検体と情報の集中管理システムを構築しています。1つだけ画面の切り抜きを貼っています。この画面は、医療機関が使用するシステムの画面になります。他にも検査会社が使用するシステムも既に稼動しており、テスト運用を開始しています。医療機関や検査会社の担当者からフィードバックを受けて、使いやすいシステムにしていくように進めています。また、事業実施準備室のシステムに向けては、調達仕様書に反映するための情報を準備室に提供しています。
 少し長くなりましたが、解析班からの活動報告は以上となります。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、最後、難病領域の研究成果について、こちらは、徳永参考人、お願いいたします。
○徳永参考人 次のスライドをお願いします。
 難病の全ゲノム解析研究プロジェクトの現状を、御報告させていただきたいと思います。
 次のスライドをお願いいたします。
 これは、いわゆる先行研究で、R2年度からR4年度、令和4年度までが先行解析研究でございました。4年度の年度末から新しい、いわゆる本格研究へと移行しておるわけですけれども、まず、先行研究では8,033症例、患者さんの御家族も含めると1万2408検体の全ゲノム解析を実施することができました。目標症例数を超える成果でございました。
 それで、本格研究に入りまして、5年度の状況を御報告させていただきます。
 次のスライドをお願いします。
 今年度の実施内容としては、全ゲノム解析事業実施組織への移行を踏まえて、症例・臨床情報を登録するシステムを新規に開発、円滑なゲノム解析を実施する体制を確立するということで、特に今年度は、工程管理システムと臨床情報登録システムを構築することができました。後ほど御説明いたします。
 それから、4,000症例を目標に既診断及び未診断の難病の患者さんと、その御家族のゲノム解析を実施する目標です。これも目標を超える結果を得ております。
 それから、現状では20の分担研究班、組織としては16の分担研究組織となりますが、加えて142の協力機関の参加をいただいております。
 次のスライドをお願いします。
 先ほども出ました実施体制の概要でございます。中段に国立国際医療研究センター・代表機関があります。
 その前に、黄色の部分ですが、分担研究機関と協力機関が非常に強い連携を持って、患者さんあるいは御家族の検体と臨床情報を、中段の国立国際医療研究センターのゲノム基盤に送っていただいております。
 そして、この解析基盤では、全ゲノム解析のデータ解析をするとともに、難病のバイオバンクを構築し、また、ゲノムデータベースを構築、そこには全ゲノムの解析データに加えて臨床情報等を登録しております。
 さらに、そのデータを製薬企業あるいはアカデミアの研究者が利活用できるような、そういうシステム構築も進めております。
 これらの活動は、上にありますように、これは、厚労省の水澤班あるいはこの専門委員会あるいは事業実施準備室、その他、難病の各種疾患に特化した研究班があります。そういった研究班と連携して進めている状況です。
 次のスライドをお願いします。
 ゲノム解析のフローです。検体あるいは情報の登録等、左側のように、いろいろなプロセスを経るわけですけれども、ここについては、時間の関係で省略させていただきますが、右側を見ていただきまして、難病研究班・IRUD研究班の拠点が國土班の分担研究機関になっていただいています。そして、協力機関の試料・情報を収集する体制を確立いたしました。
 分担研究機関が取りまとめの機関として、一括して症例登録を行って、国立国際医療研究センターでゲノム解析を担当するという形になっております。
 そして、全ての工程は工程管理システムで管理し、関係者は、その進捗を随時確認できるというシステムを構築しております。
 次のスライドをお願いします。
 工程管理システムです。画面の上のほうは症例の登録画面、下のほうは進捗状況を確認できる画面ということでお示ししております。
 上の登録画面では、このシステムを通じて登録できるようになっています。DNA検体情報、患者基本情報を入力し、プレート・チューブはバーコードでID登録を行い、検体の送付・受領時もバーコードで登録を行います。ミスが起こらないようなシステムを構築できております。
 それから、進捗状況も、検体ごとに進捗を工程管理システムから確認できるようになっております。すなわち、事務局と協力機関双方から、その進捗状況を確認できるようになっております。
 次のスライドをお願いします。
 臨床情報の収集につきましては、必須項目と共通項目にそれぞれの臨床情報を分類して扱っております。
 必須項目は、疾患名・年齢・性別・家系情報など疾患の種類にかかわらず、共通の必須の項目ということになります。これらの情報については、症例登録時にシステムへの登録をお願いしている状況です。
 そして、共通項目につきましては、既往症や合併症・検査結果・遺伝学検査・生活習慣などの共通項目を登録していただくことになっています。これは、症例登録の後でも可能ということで、ウェブのアプリを開発しております、Electronic Data Capture、EDCと呼ばれる方式を既に構築して運用している状況です。
 また、並行して、電子カルテから直接取得するDirect Data Capture、DDC方式も現在開発中であります。
 これらの登録されたデータは2種類の国際標準フォーマット、先ほど井元先生の御報告にもありましたOMOPあるいはCDISCといったデータ利活用の国際的に最もよく使われているプラットフォームや、国際的な臨床研究でよく使われている、そういう標準フォーマットに変換できるようになっております。
 次のスライドをお願いします。
 臨床情報共通項目は、症例登録後に登録していただくのですが、このような画面の中に入力していただくという仕組みで、今はEDCシステムを運用している状況です。
 患者の背景につきましても、事務局担当者と協力医療機関の医師が、システム上で確認ができるように、この画面の中の真ん中辺り、赤い帯がついているところですが、登録された情報について、質問とお答えのやり取りができるような、そういうシステムになっております。
 次のスライドをお願いします。
 これから3つの症例を、実際に全ゲノム解析の成果の例として御紹介させていただきます。
 これは、国立成育医療研究センターの要先生から提供いただいたスライドでございます。
 この原因不明の先天性魚鱗癬、それから毛髪異常が認められる患者さんにつきまして、全エクソーム解析を行った結果では未確定だったのですが、今回、全ゲノム解析を行うことによって、少し真ん中辺りですが空白の部分があるのが分かるかと思います。ゲノムのあるエクソンの部分が欠失している、抜けているということで、この患者さんの場合は、父親からは一塩基の挿入のバリアントを受け取って、母親から1エクソンの欠失という全ゲノム解析で初めて見いだされたバリアントを持っているということです。いわゆる複合ヘテロの状態になっているということで、Netherton syndromeと診断され治療方針決定に貢献し、予後良好であるとのことです。
 次のスライドをお願いします。
 次に、発達退行を呈する未診断症例で、歩行不能、無呼吸、社会性退行といった症状が認められる患者さんですが、やはり全エクソーム解析では病的バリアントが検出できなかったということが、全ゲノム解析によって診断が確定した症例です。
 こういう名前の遺伝子の一番下流の辺りですが、エクソンの4の下流のかなりの部分が欠失している病的バリアントが特定されて、Rett syndromeという診断がついたという例でございます。やはり、要先生から御提供いただいたものです。
 次のスライドをお願いします。
 これは、大阪大学の朝野先生から御提供いただいたスライドですけれども、精神運動発達遅滞ということで、様々左上に書いてありますように、てんかん、脳萎縮等症状があります。
 そして、やはり全エクソーム解析を実施しても、病的バリアントが特定できなかったため、全ゲノム解析を行ったところ、やはり遺伝子の一部が欠失していることがわかりました。10キロベースの大きさですので、ゲノム解析としては、かなり大きな規模ですが、染色体のレベルで言えば、微小欠失症候群という分類に入ります。
 難病の場合は、診断がつくこと自体が、本人、家族の安堵につながり、精神面も含めた患者支援となる面があります。特異的治療はまだございませんが、今後の人生で起こり得る様々な疾患関連イベントに向けて準備ができるという意味があると言えるわけでございます。
 次のスライド、これは最後のスライドになりますが、今後の計画も含めて、3月1日時点で、既診断が4,219症例、未診断363例、合計して4,600近い症例数、目標数を超える全ゲノム解析が進行しております。
 今後は、今年度に開発したシステム、すなわち工程管理システム、臨床情報登録システムの運用と改善を行いつつ、未診断患者検体のロングリード解析等、個別課題を集中的に検討するワーキンググループを設置して、さらなる難病のゲノム医療実現に向けた全ゲノム解析の実施基盤の構築を推進するという方針でございます。
 以上でございます。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 それでは、以上で令和5年度のAMED研究班の報告を、各研究班を代表して御発表いただきましたが、この資料3の説明につきまして、何か御質問、御意見はございますでしょうか。
 よろしいですか。
 中村委員、お願いいたします。
○中村委員 どなたも質問されないので、たまにはサイエンティフィックな質問をさせていただきたいのですけれども、井元先生、病理画像と比較されると言っておられましたけれども、すごく大事なことだと思っています。
 実際、例えば100症例の画像データとゲノムデータを一気に解析するくらいのコンピューティングのキャパシティーというのはあるのでしょうか。
○井元参考人 井元でございます。
 100症例程度ですと現有のシステムで大丈夫と思いますが、今年度だけで2,500、来年度もまだ確定はしていませんけれども、同程度の収集を考えております。
 世界的な規模では、その数でもまだまだそれほど多いというわけではございません。がん種に分けると、さらに少なくなってしまいます。また、施設間の差もございます。現在は、施設、スキャナーや染色の違いに起因する差をどのように埋めていくか、そのための基盤モデルの構築をスタートさせています。
 先生のおっしゃられた計算リソースを確保することは、極めて大切です。この分野では、計算リソースを持っているところが勝つということが、世の常のようになってきておりますので、その点は十分に配慮しながら研究を進めていきたいと思っています。
 以上です。
○中村委員 その画像のリゾリューションというのは決まっているのですか、私は、4Kとか8Kなどのもっとハイテクのリゾリューションにした場合に、今まで見えてこなかったものが、ひょっとして見えるのではないかという気はするのです。そうすると、今度は病理画像のデータの容量が一気に増えてしまうので、そういうことも含めて可能かどうか?質問の意図は、例えば、何年か前にAIがマイクロサテライトインスタビリティを、病理画像から判定したという論文があって、その後出てこないのですけれども、いろいろな応用があるので、やはりゲノムの異常、あるいは遺伝子の異常と病理画像を結びつけていくというのは非常に大事なので、ぜひそういうことも視野に入れてやっていただきたいと思います。
 以上です。
○中釜委員長 御指摘ありがとうございます。
 栗原委員、お願いできますか。
○栗原委員 ありがとうございます。2点質問をさせてください。
 1つ目が、あらかじめ少しお聞きしたところはあるのですけれども、改めて確認させて頂きます。資料の19ページで、A-2の班の研究成果の患者還元に関する項目で、全ゲノム解析の結果に基づいて、治療薬の選択肢が提示された症例数と、そのうち投与に至った症例数に大きな乖離があります。例えば582の提示に対して10しか投与がない。さらに、治験臨床が提案された症例数94に対して、実際、治験の参加に至った件数は4件です。このように提案された症例数に対して、実際に投与や治験とかに至った件数が極端に低いので、何か障害があるのか、ここをもっと高めるという発想があるのかという点です。
 それとも、選択肢は提示されたけれども、まだ投与までに至る段階にはなく、時間の流れの中で、こういった差が生まれているのか、そこをお聞きしたいというのが1点目です。
 2点目に、30ページで、先ほどC班のほうでデータセンター構築状況において、情報システムの基本構成というのがありました。
 この構成自体の問題ではないのですが、最初の資料2で御説明をいただいた、今後、準備組織から実施組織に移行する過程で、AMEDとの共同研究成果が、どう実施組織に移行できるのかという点が、ハード面、データ面等で切り分けて整理されていました。今の研究体制の中で、様々なハード、ソフトあるいはデータがつながりをもって開発されているので、今後うまく切り分けて移行できるのかと思うと、難しい問題だと思います。その辺について、こういうシステム等が具体的にお分かりになる方に、どう感じていらっしゃるかをお話しいただければと思います。
 以上、2点です。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 まず、最初の点に関して、こちらは、浦上先生。
○浦上参考人 浦上です。御質問ありがとうございます。
 今、患者還元班で対象としている症例が、周術期あるいは手術後の患者さんということで、全ゲノム解析はどうしても試料が少し多めに必要になりますので、手術で摘出した組織を使うということになって、周術期の患者さんが対象になっています。
 そうすると、手術適応ということであれば、基本的には手術すれば治る患者さんが多く含まれていまして、ただ、残念ながら再発転移というのが数年かかって一部の患者さんで起こってくるわけで、そう考えると、今、全ゲノムが始まって2年とか、それぐらいですので、そんなに多くの患者さんで再発されて、あるいは薬剤の治療に該当するということは、あまりないということになります。
 そこで、先ほどA-1班のお話にもありましたけれども、もう少し進行期の患者さんも入れていこうということで、全ゲノム解析が、せっかくですから役に立つような患者さんも少し増やして、今、いっている状況です。
 以上です。
○中釜委員長 最初の質問は、その答えでよろしいでしょうか。
○栗原委員 ありがとうございます。
 そうすると、全ゲノム解析に基づく、治療が必要な時期というのは、周術期ではなく、もう少し遅い時期ですね。その間に絞り込んでいくと、より効果的なタイミングで、より多くの方に機会を提供することができるという考え方にもなっていくのですかね。
○浦上参考人 そうですね、ここで全ゲノム解析ができるための組織があればいいのですけれども、ですので、事前に理想的には、全部手術された患者さんの組織を取っておいていただいて、再発転移のときに解析を進めるみたいな話がいいのかもしれません。
○栗原委員 ありがとうございます。
○中釜委員長 御質問の答えとしては、対象症例をどう限定していくのか、全ゲノム解析による患者さんの利益というところを、どう設定するかということで、症例が決められていくのだろうと思いますが、現状では症例を含めて解析を行う結果になっていると理解いたしますが、よろしいですかね。
 2つ目の質問で、今後、取得したデータの、例えば利活用あるいは患者還元のところでの研究班のAMED研究とのすみ分けはどうしていくのかということで、恐らくこれはデータ利活用に関する方向性と、結果の患者還元における医療機関との連携をどうしていくのかというところで、事業実施組織の中で議論しながらすみ分けていくのだろうと思うのです。データの利活用に関しては、AMEDさんにお答えいただきたいのですが、AMEDのデータをいかに移管するか、これはAMEDのルールで収められているので、一定期間後には事業実施組織で利活用できる形に持っていくのだろうと理解しますが、その辺を含めてAMEDから説明をいただけますか。
○芳賀参考人 ありがとうございます。
 AMED研究班は委託研究契約に基づいて実施いただいておりまして、なおかつ、公募要領等でも、研究開発されたデータをどのように利活用するかというのも、基本的なところをお示ししておりますので、実施組織での利活用に向けた手続というのも、準備室と相談しながら進めていくということになります。
○中釜委員長 栗原委員、今のお答えでよろしいですか。
○栗原委員 はい、そうなのですけれども、システム等の資産と、データの取扱いが、多分それぞれ存在するだろうと思いましたのと、AMEDにそもそも存在している資産があって、それを利用しながら成果を出しているような場合に、新しい実施組織に移らず、実施組織が新たに調達しなければいけないようなものがどんどん出てくるのだろうと思われます。なかなかお答えづらい質問かもしれませんけれども、実際の難しさを感じました。
○芳賀参考人 では、AMEDの芳賀のほうから、私どもAMEDは、直接研究開発を行う組織ではございませんので、委託契約を結んだ研究機関との契約により、設備の調達等も行っており、一定の手続にのっとった取扱いということになりますので、私どもが直接、設備を持つという構図にはなっておりません。
○栗原委員 分かりました。ありがとうございます。
○中釜委員長 今の答えでよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○井元参考人 井元です。栗原委員からシステムに関するご質問があったかと思います。現在、システムはAMED研究班が構築しており、今後、事業実施組織に移していく、その難しさはいかなるものかという御質問であったと思います。
 現在、我々解析班が、本当に大変な思いをして取り組んでいることについて御質問いただいて、少し救われた気持ちです。我々研究者は、AMED研究費として研究を遂行しておりますので、まず、AMEDとの契約がございます。AMEDとの契約を守りつつ、研究の中で構築したシステムに関しては、例えば業務委託をしている場合は、調達仕様書、業務報告書、作成されたプログラム等、システムの使用が分かる資料の中から可能なものに関して、全て準備室のITコンサルやITチームと共有し、解析班で構築したそれぞれのシステムを評価していただいています。その評価によって、このシステムは事業実施組織で使える、この部分は改変が必要になるというように整理されています。改変が必要なシステムについては、その調達仕様書に、解析班のシステムの内容を反映させることができます。このような手続きを経て、解析班で構築したシステムを事業実施組織に移していくように進めています。また、AMED研究の外で構築したものも整理を行ない、システム移行を進めているいるところでございます。
 よろしいでしょうか。
○中釜委員長 今の説明でよろしいでしょうか。
○栗原委員 はい、分かりました。
 恐らく、実際には、相当大変なのだろうなと思いますし、必要なものだけ移管されて、実施組織が回るかというと、多分欠けてくるものがたくさん出てくるのだろうと思うので、そこを補っていくような作業が必要なのだろうなと拝察しました。
 ありがとうございました。
○中釜委員長 研究事業と並行して進め、その際のシステムの移管や、仕様に関する難しい面を御指摘いただいたと理解します。その辺りは、できるだけ不都合がないように、できるだけ利活用に資するような形で、事業実施組織、あるいは前段階の準備室として取り組んでいきたいと思っています。御指摘ありがとうございました。
 森正樹委員、お願いいたします。
○森正樹委員 前田先生が、先に手を挙げていたのですが、よろしいですか。
○中釜委員長 では、先に森正樹先生。
○森正樹委員 すみません、それでは、1つ質問と、2つコメントをさせていただきます。
 まず、井元先生にですが、1つ質問ですけれども、病理診断とAIのひもづけは、もちろん非常に大切だと思うのですけれども、そもそもの病理診断のところの最終的な診断の信頼性が十分担保されているかどうか。
 恐らく、病理診断自体は、9割ぐらいはほぼ病理の先生方、違う先生が見られてもほぼ一致すると思うのですけれども、1、2割は、やはりなかなか難しいところがあると思います。
 本来であれば、そういう難しいのをAIがきちんと診断してくれれば、最もいいと思うのですけれども、最初のデータ構築をするときの病理診断の信頼度がきちんと担保されているかどうかというところを教えてもらえればと思います。
○中釜委員長 よろしいですかね、お願いします。
○井元参考人 ありがとうございます。
 病理報告書を収集しておりますが、その信頼度についての付加的な情報は、今のところはいただいておりません。我々の方で可能な対応としては、現在構築している基盤AIを用いた解析結果と病理報告書を照らし合わせて、一致しているかどうかを確認し、不一致の症例に関しては、解析結果を提供元の医療機関にフィードバックし確認していただく、そういうことが可能であろうと思います。
○森正樹委員 ありがとうございます。
 複数の病理で同時に診断をして、コンセンサスを得ておくというのが難しい症例に関しては、非常に重要だと思いますので、そういうことができれば、よろしくお願いできればと思います。
○井元参考人 アドバイスありがとうございます。
○森正樹委員 あと2つ、コメントなのですけれども、この領域ではなくて、前のことで申し訳ないのですが、1つは、今後、国民の間に、これがより広がっていくとなると、国民への啓蒙というのが、非常に重要性をますます帯びてくると思います。これまでも国民に対していろいろなことで、ゲノム診療の推進ということで、努力されてきたと思いますけれども、先日、医師の働き方改革の委員会のようなところで、医師の働き方について、電車の中の広報で流すとか、15秒ぐらい流すということを計画しているようで、非常にいい案だなと思ったので、国民に広く周知できるような方法をお願いできればというのが1つ目のコメントです。
 もう一つのコメントは、これだけしっかりした、その一方で、非常に膨大な組織になりつつあるように思いますので、どこかの時点では、これまでの先生方も指摘されていましたけれども、具体的な人数とか、それから運営費とか、それからそれを賄う予算というのを、ある程度具体的な数値というのをどこかで提示していただくと、私どもにとっても安心感があると思います。今の時点では、一体どこからお金が出てくるのだろうなと、非常に心配なところもありますので、その辺、どこかの時点で、ある程度示していただければありがたいなと思いました。
 以上です。
○中釜委員長 ありがとうございました。
 最初の広報活動に関しては、準備室あるいは事業実施組織の中で、広報活動、PPI活動の一環の中で、普及啓発に努めていきたいと思いますし、様々なイベントを介して何か共有できるような場、そういうものを検討していければと思います。
 先ほどELSIチームからありましたけれども、PPIのイベントなども広く介しながら、先生の御指摘のところは解決していきたいと思います。
 それから、人数等の組織の規模感に関しては、冒頭に法人形態を含めた、今後の組織としての規模感という御指摘ありましたけれども、それに関係する話ですので、そこが確定した段階で、ある程度、段階的な規模感あるいは運営体制が決まっていくのだろうと思います。
 厚労省から何か追加で御発言はございますか。
○市村室長 厚生労働省のイノベ室の市村です。
 予算規模に関しましては、厚労省資料の25ページ、26ページに令和6年度の当初予算案と、令和5年度の補正予算の資料が載っていますので、そういったものも規模感の参考になると考えております。
○中釜委員長 広報・啓発活動に関して、総務チームから、何か追加で御発言ございますか。
○樋山参考人 いただきました意見につきまして、今、総務チームの中でも、広報チームの中でも、国民への啓蒙が重要だということは認識しておりますので、引き続き、どのような形で、どのようなタイミングで発信できるのかについては、検討していきたいと思います。ありがとうございます。
○中釜委員長 よろしいでしょうか、森委員。
○森委員 はい。
○中釜委員長 それでは、すみません、前田参考人から手が挙がっていました。前田参考人、お願いいたします。
○前田参考人 すみません、参考人という立場で質問をさせていただいて申し訳ございませんけれども、私は患者還元という観点から、井元先生になるかと思いますけれども、御質問させていただきたいのですけれども、やはり、患者さんに結果をお返しすることになると、やはり病的意義がしっかりしたものでないと、返すことには適切ではないと思うのです。
 先ほど幾つか有効な例というのがあったのですが、融合遺伝子ですとか、再構成というのは比較的、病的意義が分かりやすいと思うのですけれども、例えば、イントロン領域の調節領域の異常ですとか、そういったものが、どれほど病的意義があるかというのは、やはり非常にトリッキーなところなのではないかと思います。
 私、血液学が専門ですけれども、アメリカで昨年、全ゲノムのクロムシックというのが、CMSで承認されましたけれども、蓋を開けてみたら、結局、もう既に分かっているものを、ホールゲノムで見るというだけであって、決してディスカバリーな意味合いがないということで、その辺が原因になるのではないかと思うのですけれども、井元先生にお伺いしたかったのは、例えば、ロングリード等でバリデーションが確実になったものに対して、その先の病的意義に関しては、例えば最近ですと、AlphaFoldのバリアントとか、ああいったものを利用しながらですとか、既存のデータをAIで活用しながらとか、その辺の流れというのは、今、かなりこのプログラムに組み込まれているのでしょうか。
○井元参考人 御質問ありがとうございます。
 そういうin silicoの予測に関しては、いろいろなことができると思います。それに加えて、例えば、モデル動物等を使って、ファンクショナルなデータを得て、同定したゲノム変異に臨床的な意義があるのかということも併せて検討するべきだと思います。
 そのようなデータが蓄積していったとき、どういうエビデンスがあれば、患者さんにゲノム解析の結果を還元できるのか、そのルールづくりが必要だろうと感じています。私は医師ではございませんので、臨床現場とはギャップがあるかもしれませんが、そのようなことを感じています。
 in silicoの予測は、様々なものを出すことができます。それを患者さんにどのように還元するか、真剣に考えるべきだと思っています。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 前田先生、今の回答でよろしいでしょうか。
○前田参考人 はい、ありがとうございます。
○中釜委員長 ほかに御質問、御意見ございますか。
 よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。それでは、全体を通して、何か改めて御質問、御意見ございますでしょうか。
 本事業は、AMEDの研究事業と、その成果をいかに事業体として抽出し、事業として組み立てていくかということで、その作業を準備する段階で行ってきているわけですけれども、次年度も、恐らくそういうことを繰り返しながらと思います。葛西参考人、お願いいたします。
○葛西参考人 私は大分戻ってというか、全体に関わることではあるのですが、一番関係があるのは、資料1-2の出口戦略に関する議論の整理というものです。
 これは、まだ案ですので、今日これで決定されたということではないと思っているのですが、私の立場ですと、データベースを、当然標準化をするがんと、難病も標準化をしていくところであったり、それから、そのほかに必要なデータを活用するという意味でいうと、ページで言うと5ページ目に、リアルワールドデータの活用という言葉が、さらっと書いてあったりします。
 ただ、これは非常に大きくて、これ1つ取っても、例えば、イギリスの場合、セカンダリーユースサービスという、いわゆるメインとなるプログラムの臨床情報と、それだけでは、全く診断をつけるであったり、治療に向けていくということで足りない情報を補うために、例えば、前治療でやっているレジストラーの情報であったり、それからマクロのがん登録のデータであったりと、いろいろなセカンダリーのデータベースを活用して、そして、参考となる情報は使い切って、その上で臨床科の先生方に、できるだけ正しく治療をするように、還元できるようにということを目指していきます。
 そうなったときに、日本でそれほどの質を保てている二次利用のデータベース、レジストラーとして、がん登録などは、かなり質がキープされているのですけれども、そうではないデータベースで、質が保たれているものと、そうではないデータベースというものが大量にあり、厚労省の作業としても、いろいろなコホートデータベースから、いろいろなデータベースがあるのですけれども、その中でどれの質が保たれていて、第三者提供ひいては国際研究などで資するレベルなのかというのを、よく考えないとまずいなと思っています。
 そのときに、1つ御検討いただかなければいけないのが、まず、データマネジャーというものですね。臨床情報は、集めて、ただデータベース化すると動くわけでは全くなくて、まず、データのバリデーションをして、そのバリデーションの後にデータマネジャーが目視をして、データの質を高めていくということを必ずやっているものこそが、質が高いものになります。
 そういったデータマネジャーの育成というのは非常に遅れていまして、特に今回の全体事業の中で、データベースを第三者に提供するというのは一番重要な価値ですので、そのデータマネジャーに関する戦略というのは、どこかに定義をしなくてはいけないのではないかなと思います。
 それから、全体的に、当然私は否定的ではなくて、ロングリードであったり、それからAIの活用などというのは、ぜひともやるべきだと思っているのですけれども、直近で実装しなければいけないもの、今ある質が高いデータベースをちゃんと使うということ。
 それから、例えばDDCのようなものも、電子カルテから直接データが取れるようによく書かれているのですが、直接ではないのですね、正確には、いろいろなサーバーを介在して取っているケースがあって、本当に直接負担なく取れているのかというところを見極めていかなければいけないという、そういう実装面で直近やらなければいけないことと、AIであったり、いろいろなデータベースの利活用を広げていく、中期的に早く基礎研究と連携して進めていくものというのが、出口戦略の中で混在しているなと感じています。
 ですので、この出口戦略自体に、まず、時間軸に合わせた出口のイメージをつくらなければいけないのではないかというのが1つ。
 それから、そのために必要な資源、予算であったり、人員であったり、特に今日少し不安になったのは、事業実施組織において人材育成に少し特化した部分はなくなるような感じの報告をされていたので、とはいえ、データマネジャーであったり、バイオインフォマーであったり、すぐに人材育成できない分野がたくさんありますので、そういったところに関しては、きちんと工程の中に落とし込んでいかなければいけないなと思っていまして、この出口戦略に漫然とやりたいことが書かれているという状態から、やや肯定的なイメージにステップをよく精査して、整理をする必要があるのではないかという意見です。
 以上です。
○中釜委員長 重要な御指摘ありがとうございます。
 リアルワールドデータの利活用におけるデータマネジャーのような専門性の高い人材の確保ということですが、恐らく現状の全ゲノム事業の中でも、臨床情報を入力する、あるいは取得する際にも、やはり精度の高い情報を収集するために、データマネジャーの存在は非常に重要だと認識しています。それに関して厚労省のほうで、現時点でお考えがありましたら、お願いいたします。
○市村室長 御指摘ありがとうございます。
 本当に御指摘のとおり、令和5年度に議論をしてきたものの整理であり、まさに今後、短期、中長期的なものが混在しているという御指摘もあったりだとか、データマネジャー戦略が必要ではないかという御指摘に関しまして、今後しっかりと具体的に検討していくべきものだと考えております。
○中釜委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問ございますでしょうか。
 よろしいでしょうか。実際、データマネジャーに関しては、例えば、オランダのケースなどでも実際に臨床情報を収集する際には、やはり精度の高い情報を収集することで、各医療機関や施設にデータマネジャーを置いているなど、恐らくイギリスも同じケースだと思います。その辺りの体制を、どう整えていくかというのは、非常に重要な視点かと、改めて認識いたしました。ありがとうございます。
 ほかは、よろしいでしょうか。
 今回の議論につきましては、非常に多くの御指摘、御意見をいただきました。その点を踏まえながら進めたいと思いますが、今回の議論につきましては、重要な問題として、法人形態と、それに伴った規模感が非常に重要だということが、冒頭の御指摘でありました。その辺りのところをしっかりと見据えた上で、御指摘いただいた点を踏まえながら取り組んでいきたいと思います。今日、提示させていただきました資料の内容に関しては、おおむね合意いただいたということで、よろしいですかね、委員長預かりとさせていただければと思いますが、特に御異議ございますでしょうか。
 本日いただいた御意見を踏まえた微修正につきましては、先生方の御意見を反映させていただきたいと思いますので、また、その方向で進めさせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○中釜委員長 ありがとうございます。
 それでは、以上で本年度最後の委員会を終了したいと思います。追加の御意見等ございましたら、適宜、事務局まで寄せていただければと思います。
 委員の先生方には、スムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。
 また、議事進行を事務局にお返しいたします。
○医療イノベーション推進室 中釜先生、ありがとうございました。
 来年度の専門委員会の日程調整につきまして、後日、事務担当より連絡があるかと思いますので、専門委員の先生方におかれましては、御回答のほどよろしくお願いいたします。
 それでは、以上をもちまして、本日の委員会を終了したいと思います。ありがとうございました。