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2024年4月17日 第5回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するWG 議事録
日時
令和6年4月17日(水)15:00~17:00
場所
WEB開催
TKP新橋15B(15階)
TKP新橋15B(15階)
出席者
- 構成員(五十音順、敬称略)
-
- 井元 清哉
- 落合 孝文
- 宍戸 常寿
- 清水 央子
- 高倉 弘喜
- 中島 直樹
- 長島 公之
- 日置 巴美
- 松田 晋也
- 森田 朗(座長)
- 山口 光峰
- 山本 隆一
議題
(1)これまでのワーキンググループで頂いた主なご意見について
(2)これまでの議論の整理(案)について
(3)今後の進め方(案)について
(2)これまでの議論の整理(案)について
(3)今後の進め方(案)について
議事
- 議事内容
- 【医政局企画官】:事務局でございます。定刻を少し過ぎましたが、ただ今より、「第5回健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するワーキンググループ」を開催いたします。
皆さまにおかれましては、ご多用のところ、本ワーキンググループにご出席を頂き、誠にありがとうございます。
本日、構成員の皆さまにおかれましては対面とオンラインの併用による開催とし、会議の公開につきましてはYouTubeのライブ配信で行うこととしております。オンラインでご参加の構成員の皆さまにおかれましては、会議中ご発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、カメラをオンにしていただきますようお願いいたします。座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除しご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、石井構成員と山口育子構成員からご欠席とのご連絡を頂いております。また、高倉構成員、長島構成員、松田構成員からは遅れて――高倉構成員はもうお入りいただいています。長島構成員、松田構成員からは、遅れてご参加される旨のご連絡を頂いております。
次に資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1~3および参考資料の1、2でございます。不備などございましたら、事務局までお申し付けいただければと思います。
事務局からは、以上でございます。それでは、森田主査、議事進行につきまして、よろしくお願いいたします。
【森田主査】:皆さま、こんにちは。森田でございます。
それでは、早速ですが、本日の議題に入りたいと思います。本日の議題は3つございます。第1が、これまでのワーキンググループで頂いた主なご意見について、2番目が、これまでの議論の整理(案)について、3番目が、今後の進め方(案)についてでございます。議題(1)から(3)が審議事項となっております。本日は、議題(1)から(3)を一括してご議論いただきたいと思っております。
これまでこのワーキンググループでは4回にわたって議論を行ってまいりましたが、本日は第5回目ということで、これまでの議論をいったん整理するとともに、今後の進め方を確認しておきたいと考えております。事務局のほうで、これまでの議論の整理案と今後の進め方の案を用意していただいておりますので、まず事務局からご説明を頂いた後で、ご議論を頂きたいと思います。
それでは、事務局から資料1から資料3につきまして、ご説明をお願いしたいと思います。西川さん、どうぞ。
【医政局企画官】:事務局でございます。それでは、資料1から3について、ご説明申し上げます。
まず、資料1でございます。資料1はこれまでのワーキングで頂いた主なご意見でございます。資料のうち、青字になっている箇所が前回の第4回で各構成員の皆さまから頂いたご意見をまとめたものでございます。それぞれ個別の紹介は割愛させていただきますが、1ページから最後の13ページまで、それぞれ頂いたご意見をまとめさしていただいたものでございます。
続きまして、資料2でございます。この二次利用に関するワーキンググループのこれまでの議論の整理(案)でございます。1ページ目が構成になっておりまして、1.はじめに、2.議論の経緯、3.ユースケース、4.基本的な考え方、5.二次利用推進の方向性、(1)が公的データベースで仮名化情報を利用・提供する場合の法制面の整備、(2)情報連携基盤の整備、(3)電子カルテ情報の利活用、(4)データ標準化など医療情報を二次利用しやすい環境の整備、6.今後の検討、というふうになってございます。
2ページからでございます。かいつまんでご説明させていただきます。まず、1の「はじめに」というところで、この医療等情報の二次利用に関する意義ですとか、わが国における課題などをまとめさせていただいております。1つ目の「○」ですけれども、この医療等情報を研究者や企業などがビッグデータとして分析をすることによって、有効な治療法の開発、創薬、医療機器開発など医学の発展に寄与することが可能であり、医療等情報については貴重な社会資源であるということでございます。
こうしたこの医療等情報の二次利用を推進することで、そこにあります3つの「・」のようなメリットが期待できるということでございまして、新たな治療薬や治療法の開発、例えば感染症流行時における感染症の臨床像の把握、重症化リスク因子の同定、また、それによります医療資源の適切な配分の計画策定、また、そのアウトカムデータ等を組み合わせて分析することによって、医療や介護・障害福祉のサービスについての質の精緻な評価などが期待できるということでございます。
その下の「○」ですけれども、わが国における医療等情報の二次利用の課題をまとめさせていただいております。1つ目の「・」が、欧米諸国と比較してリアル・ワールド・データ等の研究利用がしづらい状況にあるという指摘。匿名化情報の利用は進んできておりますけれども、仮名化した情報の利用は進んでいない。ナショナルデータベースや介護データベースといった厚生労働大臣が保有しています医療・介護関係のデータベース、いわゆる公的データベースについても仮名化情報は利用できないという状況になっているということです。
次の「・」ですけれども、今申し上げた公的データベース以外にも民間企業のデータベース、独立行政法人や学会のデータベースなど、さまざまなデータベースが分散して存在をしているというのがわが国の特徴でございます。そのために、利活用者、研究者においては、利用をする上での非常に負担が大きくなっているということでございます。
3ページでございます。1番上、カルテ情報の課題認識であります。カルテ情報については、この医療等情報の二次利用において非常に有益な情報を含んでおるわけですけれども、悉皆性のある大規模なデータベースが存在しないという課題でございます。
その下の「○」ですけれども、他方で医療等情報は機微性の高い情報でありますので、特定の個人が識別された場合に大きなリスクを与える可能性がある。また、自らの情報がどのように利用されているか、国民におかれては知ることをできるようにするということも重要だと。本人の権利利益を適切に保護するとともに、医療等情報の二次利用を適切に推進するという、そのために必要な環境整備を行うことが重要というふうにまとめさせていただいております。
3ページの真ん中、大きな2番ですけれども、「議論の経緯」でございます。これは今までの経緯をまとめさせていただいたものでございます。一昨年の令和4年3月から9月にかけまして、このワーキンググループの前身ともいえます、仮名加工情報の利活用に関する検討会を開催して議論を頂いておりました。
その後、昨年の6月には政府のほうで医療DXの推進に関する工程表をまとめさせていただいております。また、規制改革実施計画においても、医療等データに関する特別法の制定も含めて議論をする、検討をするということをされたというところでございます。
さらに3ページの一番下でございますけれども、令和5年5月には改正次世代医療基盤法が成立をしまして、新たに仮名加工医療情報の作成・提供を可能とする仕組みも創設されたところであります。この次世代医療基盤法につきましては、本年の4月1日から施行されているというところでございます。
また、海外の状況でいいますと、EUにおきましては、個人の健康医療データを自分自身で管理し、また、その加盟国間を超えてコントロール、またアクセスをするという、欧州共通での枠組みを定めたEHDS規則案について検討が進んできたところでありまして、わが国でもEUと同等の対応を求める意見が出てきたというところでございます。
4ページの、2つ目の「○」ですけれども、こうした経緯、諸外国の状況、またアカデミア・産業界の意見なども踏まえまして、昨年11月に本ワーキンググループを設置させていただいたと。このワーキンググループでは、主に厚生労働大臣が保有しております医療介護の公的データベースについて、仮名化情報の保護と利活用を図るということ、それから、情報連携基盤の整備の方向性についてご議論を頂いてきたところであります。また、データの標準化ですとか信頼性の確保、情報連携基盤のクラウドやアプリケーション連携など技術的な論点を議論するために技術作業班というのを設置させていただき、本年2月以降、議論をしているところでございます。
4ページの下、大きな3番の「ユースケース」でございます。1つ目の「○」ですけれども、二次利用の適切な推進のためには、医療現場・国民・患者の理解を得るということが必須であるということで、具体的なユースケースを示しながら議論をしていくということが必要だということであります。このワーキングでもこのユースケースについては具体的なものをお示しさせていただきまして、ご意見を頂いてきたところでございます。特に4ページの下の「○」ですけれども、ここに書いてありますような3つのご意見を頂いてきたところでございます。
続きまして、5ページでございます。そうした中で、仮名化情報の利活用のメリットについても整理をしてまいりました。ここに書いてあります、ア、イ、ウの3つが主にメリットとして挙げられるという形でお示しをしてきたところでございます。「ア」の同一対象群に関する追加データの取得・解析が可能になるということ、「イ」の特異な値や記述の削除・改変が基本的には不要であるということ、「ウ」の他の仮名化情報との連結解析が可能になるというメリットを整理してきたところでございます。
5ページの下ですけれども、その上で、この仮名化情報も含めた医療等情報の利活用に関する具体的なユースケースを整理させていただきました。このワーキングでもお示しをしてきましたが、5ページから6ページにかけまして、ア、イ、ウ、エという4点のユースケースについて整理をさせていただいております。
続きまして、6ページの下、大きな4の「基本的な考え方」でございます。二次利用を推進していくに当たりましての基本的な考え方を、このワーキングでもご議論を頂いております。6ページの下、①の法制面・利用環境面の整備に始まりまして、7ページ、②番、本人の権利利益の適切な保護、③番、医療現場や国民・患者の理解促進、二次利用の成果・メリットの情報発信、④番が公正かつ適正な利活用に関する努力ということで、以上4点についてご議論いただいてきたところでございます。
7ページの下からですけれども、大きな5番、「二次利用推進の方向性」ということで、大きな(1)として、公的データベースで仮名化情報を利用・提供する場合の法制面の整備についてご議論いただきました。1つ目の「○」は、先ほども申し上げました、わが国における仮名化情報利用についての課題をまとめたものでございます。
次の8ページ目からでございます。①番、利用場面・利用の目的ということでございます。
公的データベースにおいては、現行の匿名化情報の場合も参考に、相当の公益性がある場合に仮名化情報の利用・提供を可能とする。さらに、この医薬品や医療機器の創出・改善など、医療分野の研究開発については幅広く公益性を認めるべきということが適当というふうにまとめております。ただし、その際、研究の目的・内容に応じて、仮名化情報であることの必要性、リスクなどについて審査を行った上で利用を認めていくということ。また、この公益性の範囲については、医学研究やテクノロジーの発展といった状況変化に応じて引き続き議論を継続していくということでまとめております。
②番、本人関与の機会の確保への配慮でございます。この点につきましては、前回の第4回ワーキングでも複数の先生方からご意見を頂いたところでありますので、そのご意見を踏まえまして、改めて丁寧に記述をさせていただいております。
1つ目の「・」が、まず大前提としまして現在の公的データベースがどうなっておるかということでございます。その多くは、情報の収集時には本人の同意を取得していない。また、審査の適正な手続きを経た上で、本人を特定できない匿名化情報のみを現在第三者提供をしておるということでございまして、提供に当たっても本人同意は取得をしていないということでございます。ただし、がん登録データベースや難病のデータベースなど、一部の例外はございます。
このワーキングでは、この公的データベースについて仮名化情報を利用・提供する時に、本人の関与の機会の確保について、どのように配慮するか議論を行ってきたというところでございます。
8ページの一番下の「・」でございます。このワーキングでは、この医療等情報の二次利用に関して、その研究内容について患者本人が十分に理解することは必ずしも容易ではないということ。また、その情報の取得・提供時における本人同意の取得によって、必ずしも本人の権利利益が十分に保護されているとはいえない場面もあるというご意見がございました。そのため、より実効的に本人の権利利益を保護するという観点からは、専門家も入った審査体制において、研究の目的・内容、安全管理措置について適切に審査を行うということ、また、データ自体をダウンロードできないようにするVisiting解析環境での活用、また、その利活用者への監視・監督によって対応すべきというご意見があったところであります。
9ページでございます。一番上の「・」ですが、また、本人の理解を得るという観点からは、自らの医療等情報の利用停止の求めに対応できるようにするということが重要という意見もございました。その一方で、基本的な考え方にもまとめておりますけれども、公的データベースに関しては、データの悉皆性について意義があるというふうにされてきたことですとか、そもそも今の公的データベースの多くは氏名等が削除されていて本人が特定されない状態になっているということなども考慮してデータ管理の仕組みを考えていくべきという意見もあったというところでございます。
その上で、最後の「・」ですけれども、個人情報保護法との関係の中で仮名化情報の提供についてどう整理をしていくかというところでございます。公的データベースについては、厚生労働大臣が保有主体になっております。この行政機関の長等が保有する個人情報について、今の個人情報保護法におきましては、利用目的のため、または法令に基づく場合に利用・提供するということが可能になっておりまして、第三者への提供に際しても本人同意を取得する必要がないということ、また、多くの公的データベースでは、先ほど申し上げたように氏名等が削除されていて本人が特定されない状態でのデータ保有になっているということも考えまして、仮名化情報を提供していくという時に際して本人同意を得ることとはしないという形で検討を進めたいと思っております。
その上で、今まで頂いたご意見を踏まえまして、次の③番の保護措置を講じることによりまして、全体として本人の権利利益をより適切に、また実効的に保護する仕組みを構築して進めていきたいという形でまとめさせていただいております。
次の③番の保護措置でございます。仮名化情報を提供・利用する際の保護措置ということをまとめております。現在の公的データベースでも求めておりますデータの照合の禁止と、必要がなくなった場合の消去の義務、また、漏えいを防ぐための安全管理措置、また、目的外の不正な利用を行った場合の罰則などについては、仮名化情報の場合も当然に設けていきたいということでございます。
その上で、2つ目の「・」ですけれども、患者や国民の視点を持つさまざまな専門家で構成された審査体制におきまして、利用の目的・内容、安全管理措置、または情報連携基盤で解析を行うための解析ソフトウェア、また、その解析の結果としての成果物について適切に審査を行うということとしたいと考えております。さらに、この仮名化情報については、データそのもののダウンロードができないように、10ページのほうでございますが、Visiting解析環境での利用を基本とするということにしたいと考えております。
このVisiting解析環境につきましては、詳細は後ろで述べますけれども、不正なアクセスや高度なセキュリティ攻撃からデータ漏えいを防ぐための安全管理措置など、必要なセキュリティ要件を満たしたものにして構築をしていくということでございます。
その上で、やはりその監視・監督ということが非常に重要でありますので、個人情報保護委員会との関係性について、または個人情報保護法で義務づけられております開示や訂正の請求、また利用目的以外での利用・提供をされている場合の利用停止の請求についても、この個人情報保護法との、規定との関係性について整理をしていきたいというふうに考えてございます。
10ページの中ほどですけれども、④番、医療現場・患者・国民の理解や利活用の促進、それから、⑤番として仮名化情報同士の連結についても、これまでの議論をまとめさせていただいております。
⑥番、研究者や企業等が公正かつ適切に利活用できる環境の整備でございます。マルチステークホルダーで構成されるコンソーシアムなどを構築して、データの標準化や信頼性確保に関する知見の共有・普及、または提供・利用に関するガイドラインの策定を行うことが重要であるということでまとめております。
その上で、業界に対して自主的な取り組みを求めるだけでなく、11ページですけれども、二次利用の状況、各ステークホルダーの意見などを踏まえて、利用環境のさらなる整備などを対処していく国のガバナンス体制を構築することが重要という形でまとめております。
以上が(1)でございます。
11ページの(2)情報連携基盤の整備でございます。1つ目の「○」が、最初に申し上げたわが国における課題をまとめたものでございます。
①番、取扱う情報の範囲ということでございます。まずは、この情報連気基盤につきましては、公的データベース等にリモートアクセスをして、一元的かつ安全に利用・解析できるセキュリティ保護が行われた環境をつくっていくということで進めたいと考えております。ただ、このワーキングでも議論がありましたが、公的データベース以外にも、例えば独立行政法人、次世代医療基盤法の認定作成事業者のデータベース、各学会のレジストリ、あと民間企業が保有しているデータベースなどさまざまなものがございますので、それらをこの情報連携基盤上で取扱いを可能とするかどうかにつきましては、引き続き保有主体ですとかデータの内容、また安全管理措置、また他のデータベースと連結する場合の識別子(ID)をどうするかといったことも踏まえて、引き続き検討をしていきたいというふうに考えております。
11ページの下からですけれども、この情報連携基盤の要件をまとめております。「ア」がVisiting解析環境の整備ということで、今まで申し上げてきたように、仮名化情報につきましては、このクラウドのVisiting解析環境での利用を基本とするという方向性をまとめております。ただし、記憶媒体を介した提供も可能とするかどうかについては、その必要性、要件を引き続き検討していきたいというふうに考えております。
12ページでございます。「イ」の一元的な利用申請の受付・審査体制のあり方ということで、研究者や企業等の利活用に関する負担を軽減をするという観点から、利用申請の手続きの一元化、また審査体制の原則的な一元化などについて進めていきたいというふうに考えております。ここに書いております(1)から(5)までの方向性をお示しして、今後具体的な取り組みを進めていきたいというふうに考えております。
13ページでございます。この情報連携基盤に求められる情報セキュリティでございます。2月に設置しました技術作業班で、情報セキュリティについて、基本的なところについてご意見を頂いたところでございます。
そうしたご意見も含めまして、この情報連携基盤のセキュリティ要件について、引き続き技術作業班にて検討を進めたいというふうに考えております。
13ページの③、その他ですけれども、この情報連携基盤が備えるべき機能としまして、この研究者や企業の利用者向けに、データベースの特性ですとか申請の方法、利用方法などを分かるように示すポータルを整備していくということ。また、このポータルの中で利用できるデータの可視化ですとか、ダッシュボード機能なども備えていくということを打ち出したいと思っております。
次の14ページでございます。(3)電子カルテ情報の利活用でございます。最初に申し上げたように、二次利用という観点では電子カルテ情報というのは、非常に研究利用の価値の高いものだというふうに考えております。今回のこの医療DXの取り組みの中で、現在、一次利用のために電子カルテ情報共有サービスを構築中でございます。ここで収集する電子カルテ情報、最初は3文書6情報でスタートをすることとしておりますが、ここで収集する臨床情報につきまして、二次利用を可能にする、また、他のデータベースとの連結解析も可能とする方向で検討を進めたいというふうに考えております。
14ページの下ですけれども、データの標準化など二次利用しやすい環境の整備でございます。データの標準化・信頼性確保の取り組みが不可欠であるということでございます。
このワーキングでもご意見を多数頂いておりましたが、各種コード、またそれらをひも付けるマスターにつきましても、それぞれ経緯があってできてきたものでありますし、それぞれに課題があるということでございまして、それらの課題を明確にしながらマスターの整備を進めていくということ。また、こうしたマスターの整備を一元的に進めていくための組織体制の構築についても、検討していきたいと考えております。また、こうしたデータの標準化については、まずもって一次利用のためにも必要でありまして、その上でこの二次利用にも資するものだという観点で進めていきたいというふうに考えております。
14ページの一番下からですけれども、質の高いデータを整備していくというのが大変重要でありまして、公的データベースに限った話ではございませんけれども、諸外国の事例、MID-NETなどの先進的な取り組みなども踏まえまして検討を進めていく。具体的には、このデータベースの品質管理を行う技術者のデータマネジャーの計画的な配置、人材育成、またはそのデータベース相互の運用性、これを、運用を効率的に実施するデータスキーマですとかデータパイプラインといった整備についても検討をしていきたいというふうに考えております。さらに公的データベースにつきましては、その質をしっかり確かめて、その質を上げていく、そして維持管理を効率化していくということが大変重要ということでまとめております。
最後、15ページの6番、「今後の検討」でございます。1つ目の「○」は、最近のEUにおけますEHDS規則案の動きを書かせていただいております。4月現在、規則案の正式な採択に向けての調整中というふうに承知をしております。また、このワーキングでは公的データベースを中心にご検討を頂きましたが、リアル・ワールド・データ自体の利活用を進めていくということが求められているわけでありますし、また、国際共同研究も見据えたデータ利活用環境の整備についても期待が高まっているという状況にあるということでございます。
さらには、ゲノム情報につきましても、「全ゲノム解析等実行計画2022」に基づきまして、現在、全ゲノム解析結果の情報を搭載した情報基盤の構築も進められているところであります。
さらには、個人情報保護法については、いわゆる3年ごとの見直しの検討が進められておりまして、医療などの準公共分野については、関係府省庁との連携についても言及をされているところであります。
また、最初に申し上げた改正次世代医療基盤法につきましては、4月1日から施行されたという状況でありまして、この施行状況なども踏まえていく必要があるというふうに考えております。
今、縷々申し上げた状況なども踏まえまして、この公的データベースで仮名化情報を利用・提供するための法整備について、今後関連する各審議会の場で検討を進めていきたいというふうに考えております。それにあわせて、技術作業班におきましては、引き続き、このデータの標準化・信頼性確保、またはそのVisiting解析環境の構築に必要なクラウド環境やAPI連携の整備方法など、技術的な論点について検討を進めていくということを考えております。
これらの検討結果を踏まえまして、この法整備、情報連携基盤の構築等の取り組みをスピード感を持って計画的に進めていきたいということで、最後、まとめてございます。
続きまして、資料3でございます。今後の進め方についてご説明を申し上げます。今、資料2の最後で申し上げたことと重なりますけれども、この第5回までの議論について、これまでの議論の整理ということでまとめさせていただければ、それを基にしまして、今後、厚生労働大臣の保有する医療・介護の各公的データベースの関係審議会におきまして、各データベースの特性、またはユースケースなどを踏まえながら、必要な法整備に向けまして議論を進めていきたいというふうに考えております。また、先ほど申し上げました技術作業班におきましては、データの標準化・信頼性確保等々の技術的な論点について、引き続き議論を行っていきたいと考えております。今後、その関係審議会、またはその下の専門委員会ですとか、また技術作業班での議論の状況について、このワーキンググループにも適宜ご報告を申し上げて、議論をしていきたいというふうに考えてございます。
以上、すいません、長くなりましたが、資料1から資料3の説明でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【森田主査】:詳細なご説明ありがとうございました。
それでは、ただ今のご説明につきまして、ご意見、コメントがございましたら、ご発言を頂きたいと思います。なお、たくさん出る可能性もございますので、事務局からの回答につきましては、ある程度まとまってから回答していただくようにしたいと思います。
それでは、いかがでしょうか。山本構成員、中島構成員から手が挙がっておりますので、まず山本先生、中島先生の順でご発言お願いします。山本先生、どうぞ。
【山本構成員】:ご説明ありがとうございます。報告書案に関して概ねこれで良いと思うんですけども、2点だけ質問させていただきたいと思います。
1つは、5ページ目の1つ目の「○」の仮名加工情報のメリットの「イ」なんですけれども、これは今の個人情報保護法の仮名加工情報の定義を見て、仮名加工情報の定義が他の情報と突合しない限り本人が特定されない情報であるため、この「イ」が誘導されていると思いますが、他の情報と突合しなくても個人が識別できるような情報は結構あると思います。
例えば、プロテウス症候群という『エレファント・マン』の映画で有名になった病気ですけども、その患者さんは世界で百数十人しかいません。日本にも報告があるわけですけれども、その病名を出すだけで本人が特定されてしまうような病気になります。そうすると、ここで特異な値も改変が不要であると言い切ってしまうのは、ちょっとどうかなっていう気がします。
あくまでも、直接個人が識別できないという条件の下でこれをやるのが、「他の情報と突合しない限り本人が特定できない」という個情法での仮名加工情報の定義だと思うんです。本人が特定できる場合は、これはやっぱりやってはいけないってことになるだろうと思いますので、その辺に関して配慮が必要ではないでしょうか。要するに、これを読んだ人が非常に珍しい外的表現を伴うような疾病で、自分のデータは簡単に使われてしまうのかというふうに思ってしまうことがないのか、ここに考慮が要らないのかが1つ目の質問であります。
2つ目は、仮名加工情報は、こういった個人が簡単には特定できないという条件ですけども、この報告書の中では、仮名加工情報は、まずはVisiting環境で使うということで進めていく、それから、媒体等での提供も引き続き検討するという結論だったと思いますが、改正次世代医療基盤法において仮名加工医療情報を扱う場合は、Visiting環境でも利用者に政府の認定が必要になると思うんです。「II型認定」といって比較的簡単に取れる認定だとは思いますけれども。
それが、この中では認定といったことに関して全く触れられていないと思うんですけれども、これは、そういう認定が不要という考えでいいのかを教えていただければと思います。
この2点です。よろしくお願いいたします。
【森田主査】:ありがとうございました。回答は後でということで、それでは、中島構成員、続いて、どうぞ。
【中島構成員】:よろしくお願いします。私からも2点ありますが、これは質問というよりコメントなのですけども、非常に詳細な網羅的なまとめを作っていただきまして、ありがとうございます。
1つ目は、これ全体を読むと、一次利用としては、もうすでにデータベースは非常に整備されているという印象を受けるような気がするのです。われわれ、電子カルテ情報などを実際に研究に用いる場合には相当に苦労しているわけですけども、例えば、全国医療情報プラットフォームの説明もありましたけども、その辺りに、二次利用を意識した一次利用の仕組みをしっかりと構築するということを記載していただくと良いのかなと思いました。
全国医療情報プラットフォーム側の会議では、一次利用が目的だけども二次利用も意識するというように話としては進められてます。ただし、二次利用の具体的な話は、その一次利用側では話されてないわけです。ですから、ここは、二次利用の話と一次利用を連携するために、一次利用も二次利用を意識して整備するべきだということをしっかりと記載してほしいと思います。
一番顕著な例で言うと、電子カルテというのは今のところ、医療機関ベースでいうと50.2%です。49.8%はまだ紙カルテを使っているのです。ここを、例えば一次利用でこれをしっかりと電子カルテ化しないと、この二次利用の意義というのは非常に小さいものとなってしまうわけです。その点、ひとつよろしくお願いします。
それと2番目は、15ページの下のほうに個人情報保護法のことについて少し記載がありますけども、このことは医療情報学会側から山本隆一先生とも以前から言ってたのですが、やはりこの個人情報保護法については、今後は個別法などを考慮するということを入れていただきたい。これはどういうことかといいますと、日本においては現在の同意至上主義の中で全て話が進んでいて、例えば次世代医療基盤法っていうのは個別法の一つなんですけども、やはり同意をいかに処理するかという議論の中で進んできてるわけですが、例えば、個人情報保護法の中では、例えば、パンデミックのような時に迅速に研究が行われるというのは、今の同意至上主義の枠組みの中ではなかなか難しいわけです。そういうことも考慮して、将来的には、より健康医療情報を取り扱いしやすいような個別法の進展を検討すべきということをぜひ記載していただきたいというふうに思ってます。
私からは以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。まだ手は挙がっておりませんので、では、今のお2人の先生方からのご質問とコメントにつきまして、回答、コメントを事務局にお願いできますか。
【医政局企画官】:事務局でございます。山本先生、中島先生からのご質問、ご指摘いただきましてありがとうございます。
まず山本先生から頂いた1つ目の、5ページの「イ」の仮名化情報のメリットとして挙げていた、この改変が不要というところ。以前にも山本先生から同様のご指摘を頂いたと認識をしておりまして、それも受けまして、基本的には不要というような形で記載を直していたところでございますが、ご指摘のとおり、仮名化情報だからといって全ての場合においてこの記述、削除・改変が不要ということではないというふうに認識をしております。あくまでも、その提供先ですとか研究内容・目的に応じて、まさに特定の個人が識別されるような場合には一定の加工をする、またはその制限をするといったことが必要になってくるものというふうに認識をしております。
それから、2つ目のご質問で頂きました、次世代医療基盤法では認定という仕組みが入っているけれども、今回の場合どうするのかということでございます。今回、われわれが議論さしていただいてきましたのは、厚生労働大臣が保有しています医療・介護の公的データベースということで、そこがまさに次世代医療基盤法が対象にしているデータベースとは違うところでございます。ここのまとめの中でも書いてございますとおり、今も匿名化情報の利用の中では専門委員会などにおいて審査をしていただいて、利活用者についての審査をしていただいていることでございますので、改正次世代医療基盤法のような認定という仕組みではないですけれども、研究者がどういう方なのかをきちんと審査をして、安全管理措置なども認め、判断をしていくという枠組みを作った上で、これは、仮名化情報は利活用していくということを提案しております。
それから、中島先生から頂いた点でございます。1つ目の二次利用を意識して一次利用の仕組みを整備するということで、それはまさに当然のことだと思っておりまして、このワーキングでもご議論いただいてきました。また、このワーキングとは別の、まさに一次利用を議論している別のワーキングがございますけれども、そこでも同様のご議論をいただいているところでございまして、今のご指摘を踏まえて、この資料にも反映をさしていただきたいと思っております。
それから、2つ目のご指摘いただきました個情法との関係でございます。まさに医療分野の個別法、特別法を求める声があるということで、その点についても引き続きこの個情法の見直しの状況も踏まえながら検討を進めるという旨を、どこかに記載をさせていただきたいというふうに考えております。以上です。
【森田主査】:ただ今の回答につきまして、ご質問の先生方、よろしいでしょうか。
【山本構成員】:はい、結構です。ありがとうございました。
【森田主査】:続いて、他にご質問いかがでしょうか。会場から山口構成員、続きまして、オンラインで井元構成員、お願いいたします。
【山口構成員】:PMDAの山口です。私から3つ、コメントさせていただきます。13ページに、Visiting環境のセキュリティに関する記載があります。③の上のところ「また、利活用者においては」という記載についてです。管理側が対応すべき点と利活用者が順守する点を分けて記載いただき大変分かりやすくなりました。この部分につきましては、管理面で必要十分な安全管理措置を設けることだけを記載するのでなく、その他に、契約等により示された事項を順守させることを記載したほうがよいと思います。安全管理措置のみを記載することで、ルール全体が厳しくなってしまいます。あわせて規約や運用ルールを定め順守させることが重要なのかなと思いますので、そのような記載にしていただけると助かります。
次に14ページに、電子カルテ情報共有サービスのことが記載されています。電子カルテ情報共有サービスのデータを二次利用できるように取組むという素晴らしい方向性であると思います。一方、この件につきましては、中島先生からもご意見がありましたが、一次利用目的でのデータ取集段階から二次利用を意識し準備することが重要かと思います。収集してから二次利用のことを検討することで、結構厳しい面がでてくると思います。まもなく収集が始まるのかもしれないですけども、データ収集する前に一度立ち返って二次利用で何か不足していないかをチェックしたほうがいいのかなと思います。PMDAが管理しているMID-NETにつきましても、構築開始し、一度データを蓄積しましたが、蓄積後にみていろんなこと気付きました。また、品質管理に時間をかけた経緯があります。このような経験をしないようにすることが重要かと思いますので、一度立ち止まって見直したほうが良いのではないかと思いました。
最後に、15ページに、品質管理を行う技術者の専門性を踏まえた計画的な配置、人材育成について記載いただいておりますが、非常に良いことが書いてあると思いました。一方、データベースの品質管理等の人材につきましては、配置すればいいとか、人材育成すればいいとかはよく言われるのですが、実際には人材育成をするための仕組みがなく、そのことが問題であると考えております。試行錯誤している状況かと思いますので、予算を取ってでも人材育成の仕組みを構築することを検討したほうがよいのではないかと思いました。
その他の内容につきましては、全般的にかなり丁寧にまとめていただいて、分かりやすくまとめていただいているので異論ございません。以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。
それでは、井元構成員、どうぞ。
【井元構成員】:ありがとうございます。何かおおむね非常に丁寧に説明いただいていて、この書類の中で、ほんど異論はないんですけれども、前の前の会でも少し発言したんですが、参加者の方々が、自分自身のデータが要は科学の発展のために役に立っているとか、医療の発展のために役に立っているということを実感を持って感じていただけるような仕組みが必要だっていうふうに思います。そのことが、ひいては、先ほど一次利用の話もありましたけれども、そのデータベースの充実、そして利活用の促進という形につながるかと思いますので、どこかに入れていただければいいのかなというふうに思っています。
以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
それでは、続きまして、厚労省の葛西参与、お願いいたします。
【葛西参与】:ありがとうございます。何点かちょっと改めて読んで思ったことで、厚労省側で検討いただきたいことではあるんですが、やはり全体を読んでいて、今いろんなデータベースを厚労省は作っています。それで結構、NDBなんかもそうですが、使われ始めてきていて、何が一体、じゃあ、問題で、この二次利用のここに書かれている対応をすると何が変わっていくのかという部分が、やはりちょっと分かりにくいのかなと。
専門、私、結構テクニカルなことをいつも言うので、テクニカルなところでの意見っていうのは結構これ、織り込んでいただいてありがたいと思っているんですが、例えば、今ですと、部分最適にデータベースがあるわけです。疾患別にあったりとか。あと、例えば、製造販売後の安全性調査みたいな話の一つのデータがあるとか、そういう部分部分でのデータがあるんですけれども、長期的なフォローアップができないという。いわゆるフォローアップ外来でやるようなことの中で、どうも科学的に長期的フォローアップをする、もう少し専門的にいうと、いわゆるマルチステートという考え方です。いろんな状態像だったりいろんな治療が行われて、そのアウトカムが次に引き起こすことが何かがあって、その因果関係が連鎖のようにつながっていて、で、予後予測につながっていくということに対して、どういう介入をすればいいのかということを分析するとなると、今できないわけです。
なので、そういう長期フォローアップとかが今できていないので、部分部分ではある程度頑張ってきたんだけれども、どうしても部分部分ではリアル・ワールド・データの分析にはならないという、そういうあるべき姿に向けてやってるんだっていうことをちゃんと書かないと分かりにくいのかなというのが一つです。
とはいえ、ちょっとテクニカルなことで一つあるのが、二次利用基盤のことを考える時に、やはりもう少し明確に書いたほうが、織り込まれてはいるようなんですけれども明確に書いたほうがいいのかなというのが2点ありまして。
1つは、今、政府は、例えば標準電子カルテであったり3文書6情報であったり、もちろん3文書6情報、もう少しデータ項目も広げていきたいというふうに、厚労省、頑張って一丸となってやってるわけなんですが。その中で、そういったデータベース群が出来上がる時に、二次利用にダイレクトに、いわゆるDDCといわれるものなんですけれども、テンプレートでやる方法もあれば、ほんとに電子カルテとAPIで直接つないでデータをストレートに取り出せるというような、そういうシームレスなプラットフォームにしてくほうがいいわけなんですけれども、そういったデータ収集のところで、現場の医師であったり、現場のデータマネジャーの方がもう一度データを入力するという負担をできるだけ軽減するということは、明確に書いたほうがいいのかなというのが1つ目です。
それと、2つ目が、データベースの質の評価ということです。これはある程度取り込まれて書かれているようなんですけれども、今回、体制上、この公的データベースの部分にまず絞って検討されてるようですが、その中で誰がこの公的データベース戦略を担っていくのかっていうことがちょっと不明確だと。「評価」というと何か監査のようなイメージがあるんですけれども、そうではなくて、厚労省の中で本当にこういうことをデータ提供を統一的にやろうとか、データのAPIを統一的にやろうっていう旗振りを、そういう司令塔となるのはどこなのかというのがちょっと分かりにくいという意味で、そこはもう少し明確に体制論であったり計画論というのは書かないと分かりにくいんじゃないかなというのが、ちょっと各論のとこでございます。
いずれもかなり取り込んでいただいているのでそこは問題ないんですが、もう少し文章的にいま一歩、なかなかいろいろな調整事項があって書きにくい部分があるのは私も承知をしてるんですが、国民の方に分かりやすく、効果であったり、これから進め方ということを示していくということが何らか検討いただきたいということが意見としてあります。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
それでは、続きまして、日置構成員、どうぞ。
【日置構成員】:ありがとうございます。おまとめいただいてありがとうございました。大きなところで特段何かあるわけでもないのですが、少しだけ記載の内容のところで、所与の前提が書いてあるところに入ってくるのか、所与の前提なので特段書かないのかというところはあるので、コメントとしてお聞きいただければと思うんですが、15ページのところをお願いいたします。
今後の検討のところで、先ほど山本先生のほうからもあった、加工の程度ですとか具体的な加工方法、あと、対象データについては特段記載はないので、少なくとも学会のレジストリや民間企業が保有するデータベース入ってきた時には画像も入ってくるよなと思いながら拝見しているところです。そうすると、仮名加工といわれた時の加工の程度っていうのは、データの性質によっても異なり得るというふうに話を伺っております。
これが各審議会等の場で検討を進める際に何らか検討されるのか、それともちょっと法令のベースだと、法令・法律のレベルだと、具体的な加工の方法まで書かれないだろうというところがありますので、法律が制定された後に、あるいは改正された後に検討されるのかな、そういう意味で所与の前提かなというふうに思ったんですが、そういったところもありますので、実際にデータ活用するというところ・場面では、そういった加工の程度っていうのも議論に上がってきそうだというところ。この中に、一番最後の「○」に当然のように含まれているんだということであれば特段気にはしないのですが、少し気になりましたのでコメントさせていただいた次第です。
あとは、中島委員のほうからお話のあった、個情法の同意至上主義のようなところについては、個情法の見直しの中では、今のところ「本人同意を要しない公共に資するデータ利活用等の在り方」の程度で、かなり限定的に議論がされているように思います。なので、これはこの場でという話ではないんですが、そういったところ、かなり限定的な方向でしか個人情報保護法の改正が進まないのであれば、医療のほう、分野別に個別法、特別法という形で対応するというのは、前向きに捉えていかれたほうが良いのかなという気がいたします。これは積極的に書けということではありませんが、関連してということでコメントさせていただきます。以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。それでは、もう少し質問、大丈夫ですか。松田構成員、どうぞ。
【松田構成員】:松田でございます。まとめていただきまして、ありがとうございました。内容につきましては、特に大きな意見ありません。
若干気付いたところで、14ページのマスター等の整備のところなのですが。電子カルテを共通化して、いろんな臨床研究とかいろんな産業開発をやる時には、その焦点となるのが、たぶん医療材料だったりとか医薬品だったりとか、あるいは診療手技だったりすると思います。ここで問題になってくるのは、医薬品の場合には、全部レセコンコードが付いているからいいのですけども、医療材料の場合には、実はレセコンコードが全部には付いておりません。そのため、医療材料卸の方々が現場で付帯的サービスとして、各病院で使ういろんな医療材料については各病院独自のバーコードを添付して、情報対応している場合がかなりあります。
そうすると、医療材料に関して何かいろいろと臨床研究的なことをやろうとした時に、統一的なデータが取れないってことになります。医療材料にはJANコードが付いているので、JANコードを付けていくという作業が情報活用のためには必要になると思います。その時に、その今、コストといいますかその負荷を誰が取るのかということが問題になり、今のままだとたぶん卸業者の方になると思います。医療材料の情報化に関する実態調査は一度やっておいたほうがいいと思います。
それから、あと、医療行為に関しては、例えば手術そうなんですけども、いろんな手術手技を今は無理やりKコードに、厚労省の診療報酬の支払いのコードのほうにひも付けている実態があります。それでは正しい手技の把握になりません。そういう意味では、各学会と少しお話をされて、医療行為に関する手技のコーディングの棚卸をぜひやっていただけたらと思います。
以上、気付いた点です。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
それでは、もうひとかた、手が挙がっておりますので、落合構成員、どうぞ。
【落合構成員】:どうもありがとうございます。細かい部分を中心に、この前身の検討会で議論していた内容と比べてかなりご検討を進めていただいて、だいぶかなり議論としては反映していただいていると思っております。
細かいところからですが、5ページから6ページの辺りについてでございますが、資料2の辺りで、ユースケースの中で、ここでは明示的には書かれている部分と書かれてない部分もあるかもしれませんが、全般的には、この医薬品・医療機器開発ということと、さらに希少疾患であったりということで、さまざまな研究のユースケースを踏まえて今後、研究であったり、開発に関するケースを考えてご検討していただけることとなっております。ぜひこういった、どういった目的のために検討され、また制度が作られてきたのかを踏まえて、今後も運用していただければと思っております。
続きまして、第2点としましては、12ページのほうです。この辺りで審査体制について、NDB、次世代法の委員会、諸外国の事例も参考にとなっておりまして、先ほども少しご議論あったところだとは思いますが、NDBですとか次世代法にも課題があるのではないかという声もあって、この二次利活用の検討になってきていると思いますので、全く無視するわけにいかないことも分かる一方で、改善をしなければいけないこともあります。実際には、諸外国の事例ということもありますし、利用者側のニーズもよく捉えて、このあたりは今後検討していっていただけるよう、ニーズ側も踏まえた整備というあたりが分かるようにしていただければと思っております。
15ページのほうをお願いいたします。こちらの15ページの「今後の検討」ということで、リアル・ワールド・データなども触れていただいており、一次から二次へということで議論されていた各先生方の議論には全くもって賛同するところであります。さらに二次利活用のこの基盤をどう整備していくかという議論をしておりましたが、諸外国でのこういった医療政策であったり、場合によっては制度もそうですが、こういったリアル・ワールド・データの利用であったり知見といったようなところについても、どういうフレームワークを整備していくといいのか、また、場合によってはプラットフォームを整理していくといいのか、ということも考えていくことは重要ではないかと思います。ぜひそういった点もご検討いただけるといいのかなというふうに思っております。
最後に1つ、大きい点ですが、細かい検討の内容自体はこういった内容でよろしいかと思っておりまして。一方で、非常に大きいところで言いますと、やはり先ほども少しご議論ありましたが、医療データをどういうふうに集めて利用できるようにしていくのかがあります。これは、体系的にというか、戦略的に議論されていくことが本来的には重要であろうと思っております。
その意味では、ほんとは一次利用、二次利用両方を踏まえてということであろうかと思っておりますが、ここはこの検討会としてどこまで書けるのかということはありつつも、ただ、二次利用の側面でどういう情報と利用が必要で、どういうふうに無理がなく集めていけるかが重要です。そこで現場の方の、現場の専門家の方々のご負担の話もあったかと思いますが、そういうところはぜひ、そういった検討を行っていくに当たっての利活用側の司令塔というところと、逆に一方で、中に書いてありますが、監督をする側、それぞれがしっかり十分な権限とリードをする、そういう役割を果たしていくという中で利用環境の継続的改善につなげていけるのではないかと思います。これは細かい内容というよりかは大きいところにはなりますが、ぜひ司令塔的な機能を見いだしていっていただけるようなことも可能であれば、何らか書き込んでいただければと思います。
私のほうでは以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。今のとこ、まだ手が挙がっておりませんので、それでは……。その後でよろしいですか。では、取りあえず、ここで事務局から回答をお願いいたします。
【医政局企画官】:事務局でございます。幾つかご質問、ご意見を頂きまして、ありがとうございます。
まず井元先生から頂いた提案の以前にもワーキングでご指摘を頂いた点、十分反映できておらず大変申し訳ございません。科学の、医学の発展に役立っているということが実感的に感じられるような仕組みということで、そういった点も少しこの中に入れさせていただけるように検討したいと思います。
それから、葛西参与からも幾つかご指摘を頂きました。最後の落合先生のご指摘とも関連するところもあったかと思いますけれども、データ収集の場面、また入力の場面でのドクターなどの負担軽減の話もございました。それから、公的データベース戦略、司令塔という話もございました。ちょっとこれはなかなか大きな話でありますので、この中にどこまで書き込めるかというのはちょっとなかなか分からないですが、少し書き方を検討させていただきたいというふうに思ってございます。
一応、今の中にも国のガバナンス体制の構築というのを書いているところがございますけれども、そこはそうした司令塔というふうなところも意識をして書いていたところでございます。まさにデータの、世の中のデータの利活用の状況ですとか課題などを継続的に把握して対処をしていくという体制を国の中につくっていきたいというふうに考えております。
それから、日置先生からご指摘いただきました、加工の程度、加工基準について、それはご指摘のとおり、まさに今後、法整備をした上で、この辺が議論になってくるものと認識をしております。ご指摘あったとおり、必ずしもその加工基準自体が法律事項になるわけではございませんけれども、省令ですとか通知などを定めていく時にこの加工基準をどう設定するのかというのがまさに論点になると思っていますので、そういうことはしっかりと認識をしているところでございます。
それから、松田先生からご指摘のあったコードの問題。こちらにつきましても、松田先生からありました、例えばJANコードの付番ですとか、それらのコードをひも付けるマスターの整備などの必要性についてもわれわれも認識をしているところでございますの、このあたりについて、技術作業班でもご議論を賜っていきたいというふうに考えております。
あと、最後、落合先生からご指摘いただいた点についても、この議論の整理の中に反映できるか、検討をさしていただきたいと思っております。
最後の司令塔のところは、どこまで書けるかというのは難しいところもありますが、どのような書き方ができるか検討をしたいと思っております。
失礼いたしました。井元先生の前に山口光峰先生から3点頂いておりました。情報連携基盤のセキュリティのところ、管理者側と利用者側のところについてもご指摘を受けて、修正をさしていただきたいというふうに思います。
また、電子カルテ情報共有サービスを現在構築に向けて進めております。こちらも森田先生に主査を務めていただいております別のワーキングで議論をしておりますけれども、二次利用の観点から、例えば6情報のコードを一意に入力するというところについてまとめていただいたところでありますので、まさに二次利用で使うということも意識をして制度設計をしていきたいというふうに考えてございます。
以上でございます。
【森田主査】:ご質問された構成員の先生方、よろしいでしょうか。
それでは、手が挙がっておりました清水構成員、どうぞ。すみません、落合構成員。
【落合構成員】: 1点だけです。ありがとうございます。たぶん最大限コメントしていただいたように思っております。1つだけ補足させていただきまして、ガバナンスということで書いていただいていまして、元々今まで議論あったところを意識して書いていただいていたと思っております。
一方で、ヨーロッパのEHBSの議論などもしていたかと思いますが、必ずしもヨーロッパでいうところのいわゆるEDPBとかEDPSのような個人情報の監督機関だけが議論しているわけでもないと思います。個人情報保護法に相当するところは最終的にそちらの権限になってくるわけですが、むしろ利活用の戦略であったりを考えていくことも、両論ヨーロッパでも実施されていることかと思います。ガバナンスをしっかり整備していくという意味で書いていただいていること自体、極めて適切だと思っております。
一方で、利活用の側の側面でも引っ張るような役割の関係で、ガバナンスというのは、進めたいという人が全部決めてしまえば、それはガバナンスにならない場合もあります。それで、個人情報保護当局などがチェックをするという形で、前向きの機関としっかりチェックする機関と両方を整えていくことが重要と思っております。こまで書けるかはいろいろあるのはよく分かりますので、私のほうで発言させていただいたコメントの趣旨の補足ということで捉えていただければと思います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。もうそれはご理解いただいていると思います。
それでは、清水構成員。その後で高倉構成員、お願いします。
【清水構成員】:ありがとうございます。全く違う観点から2点あります。
まず、資料3の「今後の進め方」のところにある点についてです。
私、技術作業班の方にも入っておりまして、今回のこの資料2、この一番まとめになってる部分に幾つか反映してほしいという技術的な観点があります。実際技術作業班で討議されている点について、今後親会であるこちらのワーキンググループにどういう形で反映されていくのか。一次利用、二次利用に関して他にもいろいろあるワーキンググループ、委員会などで、最終的にどういう形で実現しようとしているのか。先ほど組織論のような話もちょっと出ましたけども、そのあたり、このワーキンググループはどのような位置付けにあるのか、少なくとも目論見のようなことを一度共有いただければというふうに思っております。事前説明の時にもちょっと質問させていただいたのですが、できれば皆さんで共有していただいたほうがいいかなと思って発言させていただきました。それが1点目です。
2点目は、この流れからすると資料2のほうに何かコメントするのはもしかしたら今日が最後のチャンスかもしれないと思いながら、コメントさせていただきます。一番最初に山本構成員がおっしゃった個人の特定ができてしまう可能性のある例について、山本構成員が例として挙げられた疾患名、ちょっと私は存じ上げてないので分からないのですが、疾患名を挙げてしまうと個人が分かってしまうというお話だったと思います。
例えば、私はその疾患のことを知らないですし、そうするとその疾患についての解析をしたいというニーズもないので、データを入手することもないですし、結果個人を特定することもない。逆に、個人を特定できてしまう可能性があるのはその領域の専門の方たちであり、何らかの理由があって、そのデータを入手されたいのだと思います。その方たちは、その疾患について非常にお詳しいからこそ個人が特定できてしまう可能性がある。実際にその疾患領域の専門で医学の発展のために解析したい人たちと個人が特定できてしまう人とが必然的に重なってしまうことになります。個人が特定できてしまう可能性があったらば、そのデータは粒度を下げなければいけないっていう一律の形にしてしまうと、このようなケースではデータの価値が下がってしまうと思います。私は逆にそのデータをもらったところで個人特定もできないですし、価値ある解析もできない。
今極端な2つの例を挙げたのですが、ということで、個人が特定できてしまう可能性がある場合には粒度を下げなければいけないってことではなく、個人を特定する目的でデータを入手する、あるいは解析をしてはいけないっていう形に置き換えないと、せっかくのデータの価値が下がってしまうのではないかと懸念しています。個人の特定ができてしまう可能性のあるケースについての議論は、もう少し詰めたほうがいいのかなというふうに感じました。
【森田主査】:ありがとうございます。
高倉構成員、手を挙げてらっしゃいますが、ちょっと山本構成員のご議論についてのご質問だと思いますので、山本先生のほうから最初にご発言をお願いいたします。
【山本構成員】:ありがとうございます。清水先生、コメントありがとうございます。
私が発言した趣旨は全く違う趣旨でございまして、この報告書は広く公開されるわけですよね。これを一般の人も全部読む。その時に、分析だけを優先して患者の保護に対して配慮がされていないんじゃないかという印象を与えないために、そういう配慮があったほうがいいんじゃないかという意味で申し上げました。
先生のおっしゃるように、本来こういった個人情報に関わる権利侵害というのは、その人にとっては、全く関係のない研究者たちにその人のことが知られようが何をしようがほとんど関係ないんです。多くの人は、自分の知り合いの中で自分が秘密にしていることがあからさまになってしまうとか、そういうことに対して権利侵害と感じるわけで。ですから、私がいつも申し上げていますように、研究者に対して個人が特定できる・できないっていうようなことをあんまり議論する必要はない。
だから、今、私、NDBとか介護データベースとか、難病・小慢のデータベースの提供の責任者をやっていますけども、これも研究者に対して本人が特定できるということを強く求めているわけではなくて、その人が研究の結果として公表する、つまり誰でも見ることができるデータによって個人の権利の侵害が起こらないということを確認するということで、提供しているデータは、もうもちろん一意特定性があったり、個人が特定できるデータも出しているんです。それは当然だと思います。
だから、何かそういう意味で申し上げたんではなくて、この報告書として、患者さんへの対する配慮っていうのがあったほうがいいんじゃないかということで申し上げました。以上です。
【清水構成員】:ありがとうございます。すみません、理解できていませんでした。ご説明ありがとうございます。
【森田主査】:ありがとうございます。文言の調整になるかと思いますので、それはまた後で事務局と相談をして最終的に確定さしていただきたいと思いますが、それでは、高倉構成員。
【高倉構成員】:高倉です。まず最初に、今の話に関連するんですけども、やっぱり希少疾患の場合って、どうしても、たぶん他のデータと突合していくと特定できてしまう可能性はある。これはたぶん否定すべきものではないと思いますし、そういう可能性がありますというのをどこかではっきりと言っておいたほうがいいかなと思います。
それから、あと、やっぱその患者さん団体のほうとの、何ていうんですか、丁寧な説明もしくは丁寧な議論はしておかないと、やっぱりご理解いただけないような、かなり難しい問題だと思いますので、そちらのほうはぜひよろしくお願いいたしますと。
それから、もう一点は、これ、13ページのほうなんですが、セキュリティに関してなんですけども。13の、確か、今出てきてます。持ち込みを行う場合で、「データ等」と書いてあるのがちょっと気持ち悪いように思ってます。前のほうでは確かプログラムのことも書いていたのに、ここでは「データ等」、たぶん「等」っていっているのでプログラムも入ってるんだろうっていうふうには読んでいるんですが。
データというよりは、持ち込まれるプログラムがほんとにセキュリティ的に問題がないのかっていうのをどこかで確認すべきではないかというのを、たぶん技術作業班の方々にちょっとご検討いただきたいのと、もう一つは、持ち込んだデータ、それからプログラムの記録です。たぶんデータそのものとかプログラムそのものを置いていってくださいっていうのは今度は持ち込む方々が嫌がると思いますので、持ち込んだデータ、もしくは持ち込んだプログラムが何であったかという記録――僕らだったら、ハッシュ値、取りますけども、何ら、要は後で何かあった時に持ち込まれたものがこれですってことが確認できるような仕組みがあったほうがいいかと思います。ここは、追加していただくかどうかは置いといて、作業班の方々でちょっとご議論いただきたいと思います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございます。
それでは、関連して葛西参与と、そして日置構成員、続いてお願いいたします。
【葛西参与】:ありがとうございます。ちょっとすっぽり抜けてるということが1個ありまして、今日こちらの発言を主にしたかったんですが、難しいのは、実は「本人関与の機会の確保」という言い方です。いわゆる「オプトアウト」という言葉がちょっと独り歩きすると誤解があるんですが、自分のデータがどこで使われていて、自分がそのデータを使ってほしくないというようなことを、権利を行使するという機能、そういった機能をシステム上の機能として実装する際に1個抜けていることがあって。
これは、技術作業班で検討していただく事項として載せていただかなければと思ってるのが、今日のテーマの中でAIに触れてることがないんです。人工知能に関して。一番難しいのは、やっぱり普通にデータベースが正規化されたデータベースであったり、もちろんNoSQLだとしても、どこに自分のデータがあるかということは、データマネジャーだったりシステム管理者は探そうと思えば探せるんですが、AIの場合は非常に分かりにくくなってしまうという。
EHBSの場合には、ハイリスクAIにのみ規制をかけるというアプローチをとってるんですが、実は日本でAIについて医療分野でどういうふうな規制の枠組みをかけるかという議論もできていなければ、例えばNDBを予後予測に使う、もしくはNDBで使ったデータを学習データにして生成AIにしますとかいろんなことを考えた時、もちろんそれは厚労省が保有するデータベースですから、医療機関データベースを生成AIで「こういう医療機関がありますか」って問いかけをしたら、そこは答えが出てくるというようなモデルを作ったとして、いろいろなそういう公的データベースをAIを活用してどう使えるかというディスカッションもできていない。
一方、別のAIの加速化をする会議のほうでは、医療分野でAIを加速化するためのプラットフォームを作ろうとか、そちらにも私、関与はしてるんですが、そういう議論はされていますので、やはりこちらでもちゃんとそのAIの実装面を技術作業班でどう実装していくかということと、AIに関してどうやって規制をかけていくかという議論は進めなければいけないと思うんです。
そのフィードバックをまた親会に、きっと親会やってもらいたいという思いを込めてなんですが、親化に戻して、どういう規制をほんとに枠組みとして作っていくかという議論をしなければいけないので、ちょっとAIについてちゃんと一段落言及していただきたいというのがお願いでございます。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。これは、事務局のほうは、ご検討くださいということですので。
【医政局企画官】:まとめて後で。
【森田主査】:分かりました。失礼しました。日置構成員、どうぞ。
【日置構成員】:ありがとうございます。先ほど来出ている山本先生等からのコメントで、加工のところの対象というところについては、もし何かこの整理、これまでの議論の整理に書き込み、追記されるのであれば、それは識別行為の禁止義務であるとか他の制度面でも対応しているところかと思いますので、ばらばらに書いてしまうと、かなりリスクの面だけが強調されるのがちょっと懸念されるというふうにお話を伺っておりました。ですので、何か追記される際には、制度で担保して対応していくものもあるんだということが分かるような形でお書きいただいきたいというふうに思いました。
また、少し先ほど何かオプトアウトですとかトラッキングみたいな話もあったと思うんですが、その部分も基本は制度面で担保しているところ、あるいは情報の収集対応や保存対応で担保しているところもあるんだと思いますので、どこまで議論が今後も必要なのかっていうところはご判断いただいた上で、書き込むところがあるのであれば書き込んでいただくのかなというふうに思いました。以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。
それでは、一応ここで手が挙がらなくなりましたので、事務局からお願いいたします。
【医政局企画官】:事務局でございます。清水構成員から頂いたご質問の点ですけれども、技術作業班につきましては、今後もご議論をいただくということにしておりまして、まさにこのデータの標準化ですとか信頼性確保の取り組み、またこのVisiting環境の情報連携基盤をどう作っていくか、そのセキュリティ要件などなど、ご議論いただくことになっております。
これらについては、今後、厚生労働省においても必要な予算を確保して進めていかなければならないというふうに思っておりますので、技術作業班で議論していただいて、またその内容をこちらの親会のほうにもぜひフィードバックをして議論を重ねていきながら、どういった予算を確保して、どういった年限で進めていくかということで、今度政策のほうにつなげていきたいというふうに考えております。
それから、高倉先生からもご指摘いただいた点について、13ページの修正について検討をさせていただきたいというふうに思っております。
それから、葛西参与からご指摘あったAIについても、すいません、どのような内容をちょっと書いていくべきか、森田主査、葛西参与ともご相談をして、検討さしていただければというふうに思っております。
また、最後に日置先生から頂いた点、この中でもちょっと書いてはございましたが、既に公的データベースの匿名化情報の利用の際にもデータ照合の禁止ですとか、制度面で担保しているところがあります。それは仮名化情報の場合も当然のごとくやっていくということでございますので、制度面での担保しているところがきちんと分かるような形にしたいというふうに思っております。
以上です。
【森田主査】:ありがとうございます。ただ今の回答につきまして、さらにご質問とかございますか。では、清水構成員、どうぞ。
【清水構成員】:すいません、ありがとうございます。私の最初の質問に対するお答えの方なんですが、技術作業班に対してこのワーキンググループは親会という位置づけにあって、この親会に関しては、次回の開催日時は決まってないけれども、技術作業班で何か話が出てきたら、また反映してディスカッションしましょうという位置付けだというふうに理解しました。
皆さんからのご意見の中にもありましたように、一次利用とも関係してくる部分もありますし、一次利用あるいは全体的な推進に関してもいろいろな部会とか委員会がある中で、森田先生は複数の座長になられてるようですけども、最終的に厚生労働省さんとして、あるいは国として、この二次利用のワーキンググループの結果をどのような形で反映して、最終的に実現しようとするのかというところの、少なくとも目論見、他の委員会との関係のようなものをちょっと示していただけたらというのが質問だったんですけども。前回、事前説明の時に、こういう委員会があるというご説明をいただいたのですけども、そのお話でもいいので、ここでも共有いただけたらというのが質問の趣旨でした。
【医政局企画官】:失礼いたしました。資料が今ありませんけれども、元々こちらのワーキングも、健康・医療・介護情報利活用検討会というものの中の一つのワーキンググループでございます。他にも一次利用について議論しているワーキンググループがございまして、そちらについても森田主査に座長を務めていただいているところでございます。そこで主に一次利用の電子カルテ情報共有サービスのあり方について議論をしていただいております。
また、中島先生に主査をお務めいただいております「基盤ワーキング」というのもございまして、電子カルテ情報共有サービスに至る前の情報の利活用をどう進めていくかという、その大枠のところを今までご議論してきております。このワーキングの関係でいいますと、そういう構造になっております。
また、今後各公的データベースの仮名化情報の利用・提供を可能とする、さらに電子カルテ情報共有サービスで集めてきた情報の二次利用を可能としていくという観点からいいますと、一定の法整備が必要になってきますので、その点については、それぞれ関係する審議会に諮っていくということが必要だと考えております。
また、例えばナショナルデータベースですと、医療保険部会がございます。その下にも専門委員会、山本隆一先生もお入りいただいている専門委員会がございますので、もちろんそういったところでの専門的な検討も経た上で医療保険部会に諮っていくというような形になろうかとは思いますけれども、そういった一定の手続きを経て法整備に向けてやっていきたいというのが、今後の進め方として考えているところでございます。
【森田主査】:よろしいですか。委員会がたくさんあって、それぞれのところでそのテーマを議論してるのですけれども、その委員会ごとに議論されてる結果が必ずしも共有をされていないというのがご指摘の点かと思っています。私も複数の会議の座長をやっておりますけれども、私の中でも必ずしも共有されてないところがないわけでもないので、これは、大変複雑な問題ですので、その点につきましては、ある段階で、例えば法改正とか何かする場合には、総合的に厚生労働省として、この医療データをどのような形で制度化を進めていくのかということについて示していただきたいと思いました。これはむしろ審議官にお願いしておくことかもしれませんので、よろしくお願いいたします。
それでは、よろしいでしょうか。まだご発言がない構成員、医師会の長島構成員と東京大学の宍戸構成員は、ご発言よろしいでしょうか。
【長島構成員】:日本医師会の長島でございます。
【森田主査】:長島構成員、どうぞ。
【長島構成員】:全体的には特に異論ありませんけれども、やはり国民と医療現場の不信・不安を生じては全体が進まないので、そこのところの配慮を十分にした報告書にしていただければ幸いです。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。それでは、宍戸構成員、どうぞ。
【宍戸構成員】:宍戸でございます。本日の議論は全体として、先生方からさまざま頂いたご指摘も踏まえつつ、今回の報告書がおおむねこれまでの議論を踏まえ、また二次利用の在り方について包括的に整理をしたものとして、大方のご賛同を得られているのではないかと受け止めたところでございます。事務局において、幾つか頂いたご指摘を踏まえて修正を行い、ブラッシュアップしていっていただければと思います。
私個人といたしましては、これもご指摘にありましたような、AIあるいは医療LLMの開発なども昨今盛んに議論されるようになりつつある中で、二次利用の在り方をやはりしっかり考える必要があるだろう、それが1点です。
2点目は、そのような二次利用の利活用が、最終的には公益の概念の範囲にはいろいろな議論があるわけでございますが、最終的には社会あるいは人類等の福利に資するという意味での公益の実現に向かって使っていくものだという視点です。
そして第3に、それを的確に実現するための、先ほど来、落合構成員などもおっしゃっていましたけれども、ガバナンスを、攻めも守りも両方を含めた上で、適時に問題を把握して必要な修正を行っていく。場合によっては医療固有の政策とか法制度の立法あるいは提案、修正であったり、場合によっては、医療以外の外にある一般的な法律であったり規定についても、特別法を作るのか、あるいはそうでないのかといったことも含めての広い意味での大きなガバナンスの構築が国民の信頼を得るために必要だという視点です。
それから、繰り返しになりますが、二次利用を適切に進めて、先ほどの福利を実現する上で必要、重要だということをこの報告書は議論してきたものと思いますので、その点について、改めて最後ブラッシュアップの際にご留意をいただければよろしいのかなと思っております。
私からは簡単ですが、以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。事務局、よろしいでしょうか。そういうご要望です。
それでは、他にございませんでしょうか。
【医政局参事官】:参事官の田中でございます。オンラインでの参加で申し訳ありません。
今、葛西参与、それから宍戸先生からもお話のありましたAIにつきましては、この二次利用の場だけではなくて、まさに医療分野でのAIの活用についてより広く議論する必要があるということで、議論の場については、今後どのような形で進めるのかということはまだ定まっていないというふうに承知をしておりまして、ここの場かどうかは分からないということで、ひとつお伝えをさせていただきたいのが一点と、いずれにしても、この二次利用の中でのAIの位置付けみたいなことはこの報告書の中にも記載をさせていただきますが、その点だけ事前にお伝えをさせていただきたいと思います。
あわせて、どういう形で議論をされるかについては、皆さまにも情報共有をさせていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
【森田主査】:ありがとうございます。
それでは、皆さんのご発言といいましょうか、リストを見ておりましたら、構成員の中で私も構成員に入っておりますので、一言だけ最後に述べさせていただきます。
全体として、皆さんの今日のご発言はそのとおりだと思いますし、私もいろいろとこの文書を作る段階からお手伝いをしてまいりましたけれども、それなりに現時点では整理されたのではないかと思っております。
ただ、ちょっと気付きました点で3点ぐらいあります。1つは、あくまでもこれは、現時点では公的なデータベースを主たる対象としております。それ以外にも技術作業班のほうからも出ましたけれども、いろいろと他にもデータベース、利用すれば価値のあるデータベースが存在するわけでして、それをどのような形でこれからこの中に取り込んでいくのかという点と、2番目は、関連するところですけれども、一次利用で作られるいわゆる電子カルテの情報です。そういうものもこれに付け加えていくといいましょうか、接合していくことによって、より大きな価値を持つということは間違いないと思います。
その点について、現在、この今回のまとめで射程にしてるところというのが理想的な全体から見てどのくらいの部分なのかということを、最初のところで明記をしておいたほうが読まれる方にとっていいのではないかと思っております。途中で特に「公的データベース」という言葉が非常にたくさん出てまいりますので、それだけを議論してるのかといわれると、現時点ではそうなんですけれども、必ずしもそれに限られるものではないということは、今日のいろんなご質問なんかから見ても感じるところですので、その辺は検討さしていただきたいと思います。
2番目には、一次利用の話が出ておりましたけれども、ヨーロッパのEHDSが欧州理事会と議会の間で合意ができて、今、法的なチェックをしてるようです。最終案ももうご存じの方いらっしゃるのかもしれませんけれども、間もなく出てくるように聞いております。あそこで問題、あのアーキテクチャー、構造として何があるのかというと、一番ベースにあるのがEHRという電子カルテの仕組みであって、それを一次利用と二次利用にそれぞれに固有のプラットフォームを使っていく、利活用していくという仕組みになっておりまして。一次利用と二次利用が体系的にしっかりと結び付いているという仕組みになっていると思います。
それが望ましいと私も思うのですが、わが国の場合は、なかなかその一次利用のデータベースというのが、今日のお話にもございましたけれども、まだ十分に整備されていないという状態です。ですから、公的データベースをまず使ってという話になってくると思います。
この点につきましても、やはり今日もお話ございましたけれども、わざわざ二次利用のためにデータを入力するということですと、せっかくその一次利用の仕組みを作っていくのが、そのことが、それが生かされないということになりますので、これも全体像のようなものをやはりどこかでしっかりと書いておいたほうがいいのではないかと思いますし、それに関連して申し上げますと、そうした全体像を考えて、それの実行をマネージしていくと同時に、新たにそういう要素を修正が必要な場合には修正を加えていくような、そういう包括的にこの医療情報と医療の在り方というのを考えていく場が必要なのではないかと思います。
これを「司令塔」という言葉で言ってしまいますと、ちょっと別な誤解を招く可能性もあるのかもしれませんけれども、役割はそういうことだと思いますし、そこでのファンクション(機能)というのが、宍戸さんも言われましたし、どなたかも、落合先生ですか、触れられましたけれども、いわゆるガバナンスということになってくるのではないかと思いまして。そのあたりのことも、やはり触れておいたほうがいいのではないかと思った次第です。
最後に、もう一つ付け加えさせていただきますと、AIについては私もよく分かりませんけれども、これはまだ非常に不確定な部分が多いところだと思います。現段階でこういうふうに規制をすべきだということを書き切るというのは相当難しいところだと思います。今の田中参事官のお言葉もそうですけれども、別途それについてはきちんと検討するということですので、そちらの検討に委ねて、それをこちらに反映するというような形で、またこの二次利用の在り方について、それを活用していくといいましょうか、取り入れていくというような形で書いておくのが、私としてはいいのではないかと思っております。AIについてかくあるべきと書くっていうのは、今の段階では相当難しいように思うのですが、ご専門の先生方で「いや、それは違う」っていう方がいらっしゃれば、教えていただきたいところです。
【宍戸構成員】:座長、よろしいでしょうか。
【森田主査】:はい、どうぞ。
【宍戸構成員】:まさに今、座長がおっしゃられたとおり、あるいは田中さんからもご指摘いただいたとおりでございます。この場で何かAIについて、医療データの二次利用でAIがどうこうということを具体的に今決め切ることは、国内外のAI規制を巡る、あるいはそもそものAIの研究開発を巡る動向から見て、大変難しいものが私はあると思っております。
ですから、むしろ書き切るというよりは、医療データの二次利用がAIの利活用にとって十分な意味を持ってることは、よく意識している。しかし、同時にAIのそれぞれの研究開発あるいは規制を巡る、つかさ・つかさのご議論と、医療データの二次利用との議論とが、的確にフィードバックをし、コミュニケーションをすることができるガバナンスの体制を構築することが何より肝要であるということを本来申し上げたつもりだったのですけど、うまく説明できていなかったことがお二方のご指摘でよく分かりましたので、補足をさせていただく次第でございます。ありがとうございます。
【森田主査】:ありがとうございました。ただ、これ文章としてどう書くか難しいところだと思いますので、宍戸さんに書いてもらったほうがいいのかなという気がしますが、それは冗談ですけども、工夫をいたします。
【落合構成員】:座長、1点よろしいでしょうか。
【森田主査】:はい。落合さん、どうぞ。
【落合構成員】: AIの点については、確かに今ご議論いただいてるとおり、私も総務省の会議の関係で7~8年関わっておりますが、なかなか今書くのは難しいところがあります。大事なのは、それをどう規制するかよりかは、用途としてAIを使っていく可能性があり、それを踏まえてどうこちらのデータ側のほうもガバナンスを整備していくかということだと思います。そこをしっかり意識して議論していこうということが分かるようになっていれば、今の時点ではもう必要かつ十分なのではないかと思います。
横から差し出がましく、申し訳ございません。
【森田主査】:ありがとうございました。
宍戸構成員、何かおっしゃりかけていたようですが、よろしいですか。
【宍戸構成員】:もう、今、落合構成員がおっしゃっていただいたことと基本的に同じですので結構でございます。
【森田主査】:分かりました。
それでは、一応、皆さんからご意見を頂きましたので、特に追加のご意見がなければ、このあたりで締めさせていただきたいと思います。
本日のご議論をできるだけ踏まえた形でこれまでの議論の整理案の文書を修正して、これから確定させていただきたいと思います。今後、具体的なご発言の内容をどのように反省して修正していくかということにつきましては、事務局と相談の上ですけれども、主査である私のほうにご一任いただきたいと思いますが、よろしゅうございますね。
もちろん個別的なことについては、それぞれご発言された先生に趣旨を反映してるかどうかについて確認させていただくことはあろうかと思います。
それでは、今の点、特にご異論がなければ、このくらいでこの議論は終了させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ご異論ないようでございますので、どうもありがとうございました。それでは、本件にかかる議論はここまでとしたいと思います。
以上で本日の議題は終了ですけれども、最後にその他、また全体を通して何か言い残したこととか、これだけは言っておきたいとか、そういうご発言ございましたら、手を挙げていただきたいと思いますが、よろしいですね。
それでは、議事のほうを事務局のほうにお返ししたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
【医政局企画官】:事務局でございます。本日も活発なご議論を頂きまして、誠にありがとうございました。次回の開催につきましては、また事務局からご案内をさせていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
また、本日の議事録につきましては、作成し次第、ご発言者の皆さま方にご確認をいただきまして、その後、公開をさせていただきます。
事務局からは以上でございます。
【森田主査】:それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。活発なご議論、どうもありがとうございました。
一同:ありがとうございました。
―― 了 ――