第32回政策評価に関する有識者会議 議事録
日時
場所
出席者
菊池座長、岩佐委員、印南委員、大西委員、玄田委員、新保委員、田宮委員、新田委員、平野委員、藤森委員、松浦委員、皆川委員、宮﨑委員、村上委員代理山脇様
議事
第32回政策評価に関する有識者会議
開催日時:令和6年3月27日(水)14:04~16:06
開催場所:中央労働委員会講堂
出席者:菊池座長、岩佐委員、印南委員、大西委員、玄田委員、新保委員、田宮委員、新田委員、平野委員、藤森委員、松浦委員、皆川委員、宮﨑委員、村上委員代理山脇様
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
ただいまから「第32回政策評価に関する有識者会議」を開催いたします。政策評価の担当をしております浅沼です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におきましては、お忙しい中、お集まりいただき感謝申し上げます。本日、岩崎委員、井深委員、佐藤委員におかれましては御都合がつかず、会議を御欠席となりました、また、村上委員におかれましても御都合がつかず、代理として日本労働組合総連合会労働法制局長の山脇様にオンラインで御参加いただいております。山脇様、どうぞよろしくお願いいたします。また、印南委員、大西委員、玄田委員、新田委員、松浦委員、宮﨑委員におかれましては、オンラインでの御参加となっております。
本日の会議では、事前に御案内したとおりペーパーレスとしてタブレットでの会議とさせていただきます。資料となるファイルは青いアイコンの中に格納されております。下にスクロールすると次のページに、横にスクロールすると次の資料にまいります。オンラインで御参加の方に御連絡です。会議中は可能であればビデオはオンにしていただくようお願いしますが、接続が重くなる場合は適宜ビデオはオフにしていただいて構いません。また、御自身が御発言される場合以外は、マイクをオフにして音声ミュート状態にしていただくようお願いします。御発言の希望がある場合には、Webexの「挙手」アイコンをクリックいただくか、チャット機能を使って発言の希望がある旨を事務局に御連絡ください。事務局にて御発言の希望を確認しました後、発言者を座長が指名しますので、座長から指名を受けましたらミュートを解除し、御発言ください。御発言が終わりましたら、再度マイクをミユートにしていただくようお願いします。
それでは議事を進めますので、本日の議事進行につきましては座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池座長
皆様、この期末の大変お忙しい中、お集まりいただきましてどうもありがとうございます。本日もどうぞよろしくお願いいたします。本日は議事次第にありますように、議事1~5まで多岐にわたる論点について、委員の皆様に御意見を賜りたいと存じます。
それでは、本日の議論の具体的な進め方について、事務局から説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
本日の議論の進め方について御説明いたします。座長から御発言ありましたとおり、本日の議事は多岐にわたりますことから、会議運営の効率性の観点から、まず議事(1)と議事(2)をまとめて御議論いただきます。その後、議事(3)以降を御議論いただきます。委員の皆様からの御議論に先立ち、議事内容について事務局より説明をいたしますので、その後に委員の皆様に御議論、御発言を頂ければと思います。事務局からは以上となります。
○菊池座長
それでは、まず議事(1)及び(2)につきまして、事務局からまとめて御説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
議事(1)(2)について、資料を基に御説明いたします。まず、議事(1)の事務局からの報告事項についてです。資料1を御参照ください。こちらは総務省行政評価局が今月作成した「効果的な政策立案・改善に向けた政策評価のガイドライン」となります。本ガイドラインの作成経緯ですが、昨年度末に政策評価に関する基本方針、こちらは総務省が持っているものですけれども、こちらと政策評価の実施に関するガイドライン、こちらも総務省が持っているものですが、これらが改正されまして、政策評価の様式の自由化が行われましたほか、行政事業レビューという予算事業単位での実績評価の枠組みなど、ほかの政府内での分析作業の成果を、政策評価の評価書に代替できるということが示されました。これを踏まえ、各行政機関において新たな政策評価の手法の導入など、創意工夫を進めているところです。
こうした流れの中、政策評価制度の所管官庁である総務省におきまして、各府省の取組の改善を促進するため、各行政機関の取組例を参考に得られた知見や方法を整理したものが、こちらのガイドラインとなります。
まず、資料の7ページ目を御参照ください、本ガイドラインは、3部構成となっております。第1部では、今年度政策評価の実施において試行的な取組を行いました。幾つかの行政機関の事例が紹介されています。行政機関によって取組状況は様々ですが、例えば12ページ以降に、公正取引委員会の事例があります。令和5年度から行政事業レビューの単位を政策評価の単位と一致させて、行政事業レビューにおける評価作業を活用する形で、政策評価の評価書の記載を簡素化するということをしております。
また、14ページ目以降の警察庁の事例では、令和5年度から独自様式へ移行しております。評価書の作成過程で政策の課題を見つけることを重視して、課題に対する取組の方向性も明確にするというようなことを目的として、課題と取組をセットで議論できるような様式にしております。ほかには、総務省、法務省、経済産業省の事例が紹介されています。
第2部は、27ページからとなっており、「政策効果の測定のポイント」となります。こちらは予算事業単位で実績評価を行う行政事業レビューにつきましても、政策評価と並行して見直しが行われているところ、総務省において試行版レビューシートを分析し、具体的な行政活動、例えば広報普及啓発、給付金、助成金というアクティビティーの分類ごとに効果測定の方法や考え方について整理したものになります。総務省において行政事業レビューのみならず、政策評価における適切な目標・指標の設定等においても、参考として活用してもらいたいと考えているとのことです。
第3部は、93ページからです。「効果分析手法の活用による政策の見直しの検討事例」となっております。政策担当者が政策の効果を把握して政策の前向きな改善につなげていくため、統計分析の手法を活用した具体的な効果分析の事例を紹介していくものとなっております。本ガイドラインの策定を受けまして、当室といたしましては、省内各部局にこれを周知して、政策評価における目標・指標設定や効果分析に当たっての参考とするよう促してまいります。
第1部の政策評価の手法の見直しに関しましては、厚労省においては、本日の有識者会議でも後ほど御議論いただきますけれども、当省において政策評価の評価者対応がかなり幅広く数が多いという状況にありますので、まずは他の評価作業で重複するものだとか活用できる場合は、そちらで政策評価を代替していくという見直しを、まずは進めていきたいと思います。
その上で、本ガイドラインで紹介されているような他省庁の取組も参考としながら、より効果的、効率的な政策評価の実施に向けた見直しを、引き続き進めていきたいと思います。資料1については以上で、御報告となります。
次に、資料2「第14回政策評価に関する有識者会議WGにおけるご意見等への対応状況」です。夏に開催したWGの御報告になります。3つのWGで出された個別の意見について、担当部局にて現状、対応状況等を記載したものとなっております。真ん中の欄は、WG開催後の対応状況を記載したものですが、その際に対応区分が「今後検討」となっていたものについては、令和6年3月時点での検討状況を一番右の欄に追記しております。こちらについては、やや細かい内容になりますので、可能でしたら、会議開催後に事務局のほうに書面にて御意見を頂けると幸いです。
表紙の部分ですが、全体としては47の意見が出ました。区分として、「対応」が46.8%、「今後検討」が21.3%、「対応困難」が17%、「事実関係の照会等」が14.9%となっております。幾つか御意見を御紹介させていただきます。1ページ目の「労働WG」の項番1です。「労災保険給付の審査の適正さを維持しつつ、決定までの所要日数を短縮するための具体的な取組内容を実績評価書に記載いただきたい」との御意見を頂きまして、御指摘のとおり、具体的な取組内容(マニュアル等の作成や改訂等)を実績評価書の「次期目標等への反映の方向性」欄に追記しております。
次のページ、「医療・衛生WG」の項番21です。「研修医等の満足度調査の客観性を担保するような補足的なアンケート調査なども実施されているということが分かるよう、実績評価書を修正するとよいのではないか」との御意見を頂きまして、御意見を踏まえ、実績評価書の記載内容を修正しております。
次のページ、「福祉・年金WG」では、例えば項番33です。「目標未達の要因として新型コロナウイルス感染症流行の影響があげられているが、他に実績が伸び悩んでいる理由があるのではないか。コロナ感染症だけでなく、要因分析を加筆する必要があるのではないか」との御意見を頂き、御意見を踏まえて、実績評価書における要因分析の記載内容を修正しております。こちらについては以上となります。
次に、資料3「第15回政策評価に関する有識者会議WGにおける主なご意見」です。こちらは、本年2月に開催したWGの御議論のうち、ほかのWGにも関連するような御指摘をまとめたものになります。それぞれの施策に関しまして、御所属のWG以外にも御意見があるかと思いますが、そちらについては、会議終了後に事務局のほうに書面にて御意見を頂けると幸いです。
幾つか御説明させていただきますと、例えば2ページの労働WGにおける御意見で、施策目標Ⅲ-3-2の2ですが、「施設の指定に関する指標については、指定が全国的にもバランスよくなされているか確認できる指標を設定できないか検討してはどうか。」との御指摘がありました。
次のページ、「医療・衛生WG」においては、例えば施策目標Ⅰ-1-1の「政策評価という枠組みの都合上、最終アウトカムではなく中間アウトカムを測定指標として設定しているような場合には、その旨の説明を付記すべき。」との御意見がありました。
また、次のページ、「福祉・年金WG」においては、例えば施策目標Ⅶ-1-2の4ですが、「成果に結びつきにくい困難事例については、継続して寄り添った支援を行うこと自体に着目して評価すべきではないか。」との御意見がありました。このような形で、政策評価のやり方全般に関するような御意見を頂いておりますので、こちらにまとめさせていただいております。より細かな対応状況の一覧の作成については、今後作成しまして、夏のWGにおいて皆様にお示しできればと考えております。議事(1)については以上となります。
続きまして、議事(2)令和6年度の政策評価実施方針についてです。今回、目標管理型の政策評価や分野横断評価の在り方を、来年度以降に少し変えていきたいと考えておりますので、初めに、その点の御説明をさせていただきます。資料番号は前後しますが、まず資料6「目標管理型の政策評価の在り方の見直しについて」です。目標管理型政策評価とは、有識者会議WGにおいて御議論いただいている事前分析表を通じた毎年のモニタリングと、それを踏まえた定期的な実績評価のことを指します。
1ページ目の「見直しの経緯」ですけれども、令和4年の総務省政策評価審議会の答申を踏まえまして、政策評価に関する基本方針やガイドラインの改正が行われました。そちらで評価関連作業において、重複しているものや活用できるものがある場合には、そちらの評価関連作業において作成したものを政策評価の枠組みにおける評価書として代替又は活用する、そうしたことを推奨することとされております。
2ページ目ですが、これを踏まえて、当省における目標管理型の政策評価の在り方を見直したいと考えております。具体的には2ページ目に記載している一部の施策目標については、行政事業レビューなどの他の評価関連作業において作成した資料を評価書として代替することにして、別途、実績評価書の作成や、その前提となる事前分析表の毎年度の作成、それから政策評価に関する有識者会議、ないしワーキングでの審議は行わないこととしたいと考えております。
大まかに2種類に分けられるのですけれども、1つ目は、国際関係の施策目標についてです。国際関係の施策については、国際情勢など外部要因が大きいために、施策の進捗状況を毎年度定量的に設定して、政府としての取組を評価するということ自体が難しいということがありました。一方で、予算が国際機関等への拠出金や分担金等として適切に執行されているか、そのお金がどのような使途に用いられているかを確認することは可能です。正に、そうした確認を行っているのが行政事業レビューとなっております。つきましては、国際関係の施策目標は2つありますけれども、こちらについては行政事業レビューで作成したレビューシートを評価書として代替することとしてはどうかと考えております。
2つ目は、施策の実施主体が主として厚労省所管の独立行政法人又は試験研究機関である施策目標についてです。厚労省所管独立行政法人については、毎年、外部の有識者からなる有識者会議などで審議の上、業績の評価が実施されております。また、所管の試験研究機関についても、毎年、研究評価委員会という試験研究機関内部に組織されました外部有識者から構成されている委員会にて審議の上、研究開発課題評価等が実施されております。
所管独法又は試験研究機関が主な実施主体である施策目標については、例えば所管独法についてですが、政策評価で設定している指標と独立行政法人評価で設定している指標が重複している状況です。また、試験研究機関についても、研究開発課題評価、これは5点満点で何点でしたという形で行われておりますが、その数値をそのまま政策評価の指標として設定しているところです。つきましては、ここに掲げております4つの施策目標については、独立行政法人評価や試験研究機関評価で作成した資料を評価書として代替することとしてはどうかと考えております。
なお、一番下のⅩⅡ-2-1については、施策目標の中に「厚生労働科学研究事業の適正かつ効果的な実施」ということが含まれており、この厚生労働科学研究関係については、厚生科学審議会科学技術部会のほうで、政策評価の指標と同様の内容を踏まえて、毎年評価を実施しているところです。科研費関係につきましてもほかの評価関連作業と重複しているという状況になりますので、全体として厚労科研費評価の評価書、若しくは独法評価の評価書、試験研究機関評価の評価書のほうで政策評価の評価書を代替して、今後見直しを進めていきたいと考えております。こちらについては以上となります。
次に、資料7「令和6年度以降の分野横断評価について」です。1ページに、「令和6年度以降の分野横断評価について」とあります。まず初めに「第5期計画期間から分野横断評価について」ということで、これまでの経緯とか、分野横断評価の趣旨をまとめております。厚労省における政策評価におきましては、第5期計画期間からの新たな取組として分野横断評価を試行的に実施してきたところです。
その経緯としては、厚労省で実施している幅広い政策を丁寧に評価していくという観点から、目標管理型の政策評価は、基本計画で定める政策体系に基づく施策目標単位で実施しているところ、近年は複合的な課題を抱える対象者に対して、複数の施策が連携してアプローチするケースが増加しています。こうした状況を踏まえ、第5期計画期間において、複数の政策目標にまたがる分野横断的な課題の進捗状況を評価する取組を新たに実施してきたところです。
その趣旨を矢印の所にまとめておりますけれども、対象が複合的な課題を抱えていることなどによって、医療・労働・福祉の分野の施策が連携してアプローチしている政策が現にある場合に、その政策全体を評価する場を設けて、今後の改善に向けた材料を示すことを目指すという趣旨と捉えております。
その下の「令和6年度以降の分野横断評価について」ですが、これまでの分野横断評価の試行的実施の結果を踏まえまして、テーマの選定に当たっては、施策に関する見直しの議論の状況や制度改正のタイミング、複数の施策目標にまたがっていると言えるかなど、各種の要素や有識者会議委員の皆様の希望テーマも踏まえながら、より慎重、かつ丁寧な検討を行えるスケジュールで行っていくことも考えられます。このため、次回の分野横断評価については、テーマの選定や評価書の作成に当たり十分な調整・準備期間が設けられるよう、試行的に隔年実施として、次回の分野横断評価は令和6年度ではなく、1年飛ばして令和7年度に行うこととしてはどうかと考えております。
具体的には、令和6年度の「厚生労働省における事後評価の実施に関する計画」、これも後ほど、具体的に案文をお示ししますけれども、そちらには、複数の施策目標にまたがり、厚労省内で分野横断的に実施している政策のうち、政策評価の対象とするもの、こちらは分野横断評価のことですが、これについては、令和6年度は実施しない旨を規定したいと考えております。
その上で、令和9年度以降は次期計画期間となりますけれども、そちらにおける分野横断評価の在り方をどうするかにつきましては、令和7年度までの計3回の分野横断評価の実施の結果を踏まえて改めて検討したいと考えております。
次のページですが、「参考1」に、令和6年度に分野横断評価を行わない場合のスケジュールを記載しております。具体的には今回の有識者会議において、令和5年度分野横断評価書案を審議いただきますけれども、それとは別に、令和7年度分野横断評価をやるとして、どんな御希望というのがあるか、どんなことがあり得るかということについて、ブレインストーミングの形で、委員の皆様からアイディア出しを頂きたいと思います。
その上で、頂いた御意見も踏まえまして、事務局のほうで案を検討して、関係部局とも調整した上で、令和7年3月の有識者会議にて案をお示しし、委員の皆様にも御議論いただいた上でテーマを決定する。その上で、令和7年度において、分野横断評価書案を作成し、令和7年度末の有識者会議にて、評価書案を議論いただくというようなスケジュールで考えております。資料7については以上となります。
ただいま御説明しました目標管理型の政策評価の見直しと、令和6年度以降の分野横断評価の実施方法も踏まえて、当初の政策評価基本計画などの改正等を行いたいと考えております。まず資料4-1を御参照ください。こちらは厚労省で定めております政策評価に関する5か年計画です。今は、令和4年度から令和8年度までの第5期計画期間の途中になります。来年度に向けた改正事項として、目標管理型の政策評価の見直しを行うため、10ページに、「実質的に政策評価と同等の評価が行われていると認められる評価関連作業が存在する施策目標については、当該評価関連作業を経ることにより事後評価が行われたものとして扱い、当該評価関連作業において作成した資料を事後評価の評価書として代替して毎年度公表することとし、実績評価方式又は総合評価方式による評価は行わないこととする。」という記載を設けております。
その他の改正事項としましては、水道事業が来年度から国交省と環境省に移管されることから、公共事業評価に関する記載を削除しております。
また、17ページ以降に付いている「別紙」に、政策体系を定めておりますが、この政策体系についても改正を行いたいと考えております。具体的な改正点については、資料4-2「政策体系新旧対照表」(案)を御参照ください。改正事項の1点目は、新旧対照表の2ページで、施策大目標2の2-1として、水道事業に関する目標を定めています。水道事業は先ほど御案内したとおり、来年度から国交省と環境省に移管予定ですので、当省の政策体系からは削除いたします。
改正事項の2点目は、新旧の4ページです。基本目標Ⅴの2-1ですが、こちらについて昨年夏に実績評価を行った際、人手不足の時代に即した目標に変更すべきではないかとの御指摘を頂きましたことから、そちらを踏まえまして、より良質な雇用機会の創出や人材確保・定着支援を盛り込んだ目標に修正したいと思います。こちらについては以上です。
次に、資料5です。こちらも厚生労働省で定めているものですが、基本計画の下に実施計画を毎年度定めて、その年度における具体的な政策評価の実施対象などを規定しております。こちらも基本計画と同様、水道事業の移管を踏まえまして、公共事業評価の記載を削除しております。また、目標管理型の政策評価の見直しの対象とする施策目標を6つ、別紙2の表に列挙しております。また、どのような評価関連作業の資料で評価書を代替していくのかということが分かりますように関連する評価関連作業もそれぞれ列挙しております。
ページは少し戻りまして、5ページです。複数の施策目標にまたがり厚生労働省内で分野横断的に実施している政策という規定があります。こちらは分野横断評価を指すものですけれども、こちらについては、令和6年度は実施しないこと、それから、次回の実施は令和7年度とすることを記載しております。議事(1)(2)についての御説明は以上となります。
○菊池座長
ありがとうございます。非常に多岐にわたる資料で、たどるほうも大変であったかと思いますが、ただいまの説明について、どこからでも結構ですので、御意見、御質問などがあればお願いいたします。オンラインの皆様は、挙手機能などでお示しください。会場の方は手を挙げていただければと思いますが、会場からいかがでしょうか。田宮委員、どうぞ。
○田宮委員
ありがとうございます。ちょっと細かいところかもしれません。水道についてお話します。水道が移管になったということで、以前でもこの会議で、いろいろな災害の後の水道の復興が今一つまだ日本は弱くて、すぐにパイプが破裂してしまっても直す方がいないとか、そういうインフラ的な問題が大きかったと思います。なので、今回、厚労省から出ていったということで、国交省さんがハード面をやって、環境省さんが衛生面をやるということで、それはそれでいいと思いますが、やはり水って、衛生の一番大事なところですので、今回、所管からは離れましたが、それをしっかりとやっていただきたいので、一言申し上げたくて、お話させていただきました。それから、もう1点だけ、今の話の中で、分野横断評価というのもすごく大事なことだと思います。それで、じっくり考えてから次にやるということもいいと私は思います。そうであれば、今日、議論をするのですよね。今回、議論するよりも、いずれは、次の第7回の評価は令和7年度になると書いてあったので、今日議論するようなことも、じっくりやって、本日の議題を調査につなげた上で、また次の議論をしっかりと考えるというようなことを確認させていただきました。ありがとうございます。
○菊池座長
ありがとうございます。前段部分は、国交省と環境省に、こういう意見が出たことを伝えていただきたいと思います。後段部分については、いかがですか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
今、御意見を頂きましたとおり、水道事業に関しては、まず水道課のほうに、委員のほうから今後ともしっかりやっていくように、また、人員もそのまま移動していきますので、引き続きしっかりとやっていくように、御意見をお伝えしたいと思います。分野横断評価については、令和4年度、5年度と、分野をまたがる多機関の連携について取り扱ってまいりましたが、いろいろと共通した観点だとか、共通して見えてくることなどがあると思いますので、そうした今までの実施内容の状況も踏まえて、来年度以降のテーマに、何か引き継げるものがあるのか、参考にして発展させていくべき観点があるのか、そうしたことも踏まえながら、次のテーマを検討してまいりたいと思います。
○田宮委員
今のお話で、一つ確認ですが、今日、これから議論する、障害者の雇用というのもしっかり議論しますよね。それの実施が、計画の中では分からなかったので。今日の議論したことも、いずれは評価として実施されるのかどうか、その辺を教えてください。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
この分野横断評価の結果、どうしたのかということのみに着眼した議論の場を設けるというわけではないのですが、もちろん、今回御議論いただいた内容を踏まえて作成し、完成した政策評価書の内容を踏まえまして、政策評価の枠組みに反映できるものがあれば反映する、若しくは、政策評価の枠組みの中でなくても、例えば事務局のほうでいろいろな調査研究事業などをやっておりますので、そうした他の行政活動の中で反映できるものがあれば反映していく、そのためのサポートも事務局として行っていくことを考えております。
○菊池座長
よろしいですか。
○田宮委員
この委員会でも少し、報告書とか何か、随時、タイミングに合わせてやっていただければと思います。ありがとうございました。
○菊池座長
このテーマ自体、今後もずっと毎年フォローしていくというわけではなくて、今回のテーマは今回のテーマで一旦まとめるわけですが、その後のフォローについては、先行して報告していただく形になると思います。平野委員、お願いします。
○平野委員
最初に資料1で報告された政策評価のガイドラインの関係です。少し後ろの第3でしたか、分析方法に関する所で、厚労省関連の、例えば離職者の訓練だとか、何かいろいろと厚労省関連のものも中に含まれていると思うのですが、何かここで、とりわけ御担当のほうで、我々としても、少し深めておいたほうがいいような方法みたいなものが、もしあれば御指摘いただいたらどうかと思ったのですけれども。
○菊池座長
いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
第3部の関係で、厚労省関係としては、例えば123ページで紹介されている女性活躍推進の関係の「差の差分析」と「回帰不連続デザインによる分析」が紹介されております。こちらが一体どういう形で行われた分析かと言いますと、総務省では、実証的共同研究事業というものがあり、各省庁の施策担当課の要望に応じて総務省が統計分析の専門家と協力して政策効果を分析するというものとなっております。
こちらは必ずしも政評室を通しているものではないので、内容について詳細まで把握しておりませんが、こうした統計分析の手法であるということは、政評室でも関係部局にしっかりと周知して、例えば、実証的共同研究事業に興味があれば連絡を頂きたい旨や、もし自分たちでもできそうな分析があるのであれば、今後の効果分析に活かしていただきたい旨を周知してまいりたいと考えております。
○菊池座長
ありがとうございます。藤森委員、お願いします。
○藤森委員
2点、お伺いします。1点目は、評価方式について確認させていただければと思います。先ほど御報告いただきましたが、既に事後評価の評価が出ているものについては、それを実績評価方式、あるいは総合評価方式の評価を行わないと認識しました。確認したいのは、その場合でも、この場の議論は行うという認識でいいのかどうかというところが1点目です。
それから、もう1点です。これまで全体の政策目標をかなりやってきたと思うのですが、何割ぐらいが既にある事後評価書として代替できるのか。大体で結構ですが、どれぐらいの割合があるのかをご参考までに教えていただければと思います。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
先ほど、資料を用いて御紹介させていただきました6つの施策目標、今回、代替を行いたいとしているものについては、こちらの会議やWGにおける議論は実施しないということになります。その点が1点です。
2点目の、ほかの資料で代替できるものがどれぐらいかという点については、まずは、この6つの施策目標について代替を進めていこうということです。ほかに、どれほど代替できるものがあるのかは、まだ精査できておりませんので、引き続き、一体どれぐらい代替できるのかということを検討してまいりたいと思います。その上で、もし代替できるものがある場合には、来年度末の次の有識者会議にお諮りしまして委員の皆様に御相談させていただきたいと思います。
○藤森委員
後者については分かりました。前者についてですが、事後評価がなされているものは、この場で議論をやらないということですね。この理由としては、事後評価のあるものは、議論が既に別途の所でなされているという、そういう認識でよろしいでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
御認識のとおりです。別の評価作業のほうで、外部の有識者の方々を招いた会議体において議論が行われておりますので、こちらでは議論は行わないということになります。
○藤森委員
分かりました。
○菊池座長
オンラインの皆様で、どなたかいらっしゃいませんか。挙手機能などでお示しいただければと思います。よろしいでしょうか。それでは会場から、田宮委員、お願いします。
○田宮委員
今の議論ですが、ほかの所で評価されたものを使うというのは、それでいいと思います。ただ、全体のバランスなどの議論はどこかで必要かと思いますので、そういう場があれば有り難いと思います。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
全体のバランスというのは。
○田宮委員
いろいろ、ここの部分は独法の評価委員会の結果とか、そのように代替するとおっしゃっていましたが、その結果を見て、ほかの結果とも全部合わせて議論するというのはここでやるということでいいですか。一つ一つの評価の細かい部分は各評価委員会に任せるということは、とても合理的だと思うのです。ただ、政策のバランスで、ここの独法の部分が全体に比べたら弱いとか、低いなど、目的に応じて、全体の把握も必要かと思います。ここは一応全体の評価を見る所かと思いますので、他で代替したとしても、そこの結果は、全体で見て議論する場があってもいいのかなと思うのですが。
○菊池座長
ここでは、個別の政策についての評価をそれぞれ1つずつやっていっていますが、それとはまた違う議論をここでやるということですか。
○田宮委員
いやいや、1個1個の政策の中に、ほかに移管する部分が今回あるという御説明ですよね、ほかの評価をやったことによる代替をするというのは。違いますか。
○参事官(調査分析・評価担当)
今回行いますのは、政策体系の中で特に独立行政法人や研究機関等、ほかで別途評価がなされているものについては、こちらの有識者会議での議論の対象から外すと、そういう趣旨のものです。
○田宮委員
すみません。私の理解が少し至ってなくて。細かい評価を、そちらでしていただいた結果の大まかな政策の部分の評価というのが、そちらで出てくるのかと思うのですが、ここは、ほかも全部おしなべて見ている場ですよね。
○参事官(調査分析・評価担当)
おっしゃるとおりです。各WGのほうでは個別に評価させていただきまして、政策評価の在り方全体については、こちらの会議にて議論させていただいております。
○田宮委員
そうですよね。だから、例えば、ほかの独立行政法人を評価される所もWGの1つのような、例えば。そちらで評価した件も全部おしなべて、ここで議論になるのかなと思っているのですが。
○参事官(調査分析・評価担当)
今、考えておりますのは、こちらで行わない評価についても、総務省には随時御報告をさせていただいておりますので、その御報告した内容等の情報共有はさせていただければと考えておりますが、またこちらで改めて議論を行うということは今のところは考えておりません。例えば、来年度に御相談させていただく政策体系全体の中でこのような代替のあり方や、厚労省の中でどのような評価の在り方があるべきかについては、こちらで、また御議論いただければと考えております。
○田宮委員
はい、分かりました。
○菊池座長
ほかにはいかがでしょうか。山脇様、オンラインからお願いいたします。
○村上委員代理山脇様
御指名ありがとうございます。本日は村上の代理で参加させていただいております山脇でございます。資料7について発言させていただいてよろしいですか。
○菊池座長
はい、どうぞ。
○村上委員代理山脇様
資料7で「令和6年度以降の分野横断評価」について、考え方をお示しいただいております。令和5年度の評価書については後ほど、議論があろうかと思いますが、過去2年度分の分野横断評価には一定の成果があったものと認識しております。しっかりと準備の上、令和7年度に充実した分野横断評価が行えるようにしていただきたいと思います。その一環として、令和6年度においては、途中段階で委員との意見交換を行い、テーマ選定につなげていただきたいと思います。以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。いかがでしょうか。
○参事官(調査分析・評価担当)
ありがとうございます。後段のところですが、このような形で開催することは、この時期にと考えておりますが、その検討の途中で、何らかの形で委員の皆様とのコミュニケーションを図りながらテーマ設定を進めてまいりたいと考えております。
○菊池座長
山脇様、よろしいでしょうか。
○村上委員代理山脇様
ありがとうございます。
○菊池座長
ほかに、オンラインの皆様でおられますでしょうか。よろしいですか。会場からもよろしいですか。ありがとうございます。それでは、幾つか御意見を頂きましたので、それを踏まえ、進めていただきたいと思います。
それでは、次の議事に移らせていただきます。議事(3)「令和5年度分野横断評価書について」の御説明をお願いします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
事務局です。令和5年度分野横断評価書、資料8-1と資料8-2になりますが、御説明につきましては、概要として用意しております資料8-1に沿いまして説明させていただきたいと思います。
1枚目です。今回の評価対象は、昨年度末の有識者会議にもお諮りした上で、「障害者の就労支援のための雇用施策と福祉施策の連携強化」として作成を進めました。まずⅠ.評価書の目的についてです。障害者関係施策については、先般障害者総合支援法等の一部改正法が可決されまして、今後障害者関係施策が大きく変わることが見込まれます。しかしながら、この改正法のうち障害者雇用と障害者福祉の連携の促進に関する箇所については、評価時点で一部を除き未施行の状態であり、この連携の実施状況の評価を行うことには時期尚早であるところです。一方で、改正法の内容に限らず、分野横断的に連携した取組を行っているという事例を取材しまして、政策評価の観点から分析することは、障害者関係施策の在り方が変動する中、今後の効果的な施策実施のために有意義であると考えられるところです。特に、当事者を含めた関係者の視点から事例を分析することは、ユーザー目線に立った施策実施にもつながります。そこで、令和5年度の評価においては、障害者就労支援における雇用・福祉・医療、精神障害者の方々に関しましては医療の連携も必要ということで医療を入れさせていただきます。こちらの連携の事例を取材して、当事者の視点、支援者の視点、雇用者の視点から分析することとしました。これにより、連携を強化するために、どのようなデータを示せばよいかなどの検討を通じて、評価書の現状分析を記載する上での1つの材料を示すことを目的としております。なお、※の所ですけれども、本評価書は、改正法による雇用施策と福祉施策の連携強化の進捗状況自体を評価することが目的ではないということを明記させていただいております。
Ⅱ.評価書のフォーカスです。障害者就労支援施策は、かなり幅広な施策がございますので、ある程度フォーカスを絞っております。(1)分析対象とする就労支援です。改正法の基にもなりました「障害者雇用・福祉施策の連携強化に関する検討会」の報告書において、雇用・福祉施策双方が共通認識として持つべき障害者の就労支援における基本的な考え方などの方向性として青字で示されております。「障害のある人もない人も共に働く社会」を目指し、多様な働き方が広がる中、障害者本人のニーズを踏まえた上で、「一般就労」の実現とその質の向上に向けて、障害者本人や企業など、地域の就労支援機関を含む全ての関係者が最大限努力することという方向性が示されております。
ここでいう働き方は、いわゆる「一般就労」、つまり民間企業における就労のみならず、福祉的な就労も含むものですけれども、この検討会の「障害者の就労支援体系の在り方に関するワーキンググループ」における「これまでの議論等の整理」では、「雇用施策と福祉施策との双方向での行き来を円滑にしていく中で、(中略)常に「一般就労」の可能性を探りつつ、それを希望する方については、その実現に向けて取り組んでいくこと」という考え方が示されております。これを踏まえると、福祉的就労も大事ですけれども、究極的には「一般就労」を目指していくという方向性が示されているということで、それを踏まえて本評価書においては、特に「一般就労」、いわゆる民間企業における就労に向けた支援、及び「一般就労」の場における支援の在り方に重点を置いて分析いたしました。
次のページですが、(2)取材先の考え方です。こうした考え方に基づいて、どういった所を取材したかですが、1就労移行支援事業所と就労定着支援事業所を取材しました。こちらにつきましては、「一般就労」に向けた就労支援及びその後の定着に係る各種の支援を提供しており、近年利用者数も急増しております。その高い需要からも見て取れる事業が障害者の一般就労及び定着における支援において果たす役割は重要ということで、取材先としております。
なお、取材先の選定に当たっては、施策の所管部局である職業安定局、障害福祉部にも意見照会をしていただいた上で決定しております。その中で、1に関しては、「LITALICOワークス」を取材先としております。こちらは全国に拠点を持っており、かなり高い実績を持っている就労移行支援事業所及び就労定着支援事業所です。その中でも、特に連携に力を入れている所として、赤羽の拠点の「赤羽センター」を紹介いただきました。
それから、2障害者就業・生活支援センターです。障害者の就労に係る生活面と雇用面における双方向の支援を行っている機関となります。障害者雇用促進法において、地域における関係機関の連携の拠点として位置づけられていることも踏まえ、取材先としております。取材先としましては、「WEL’S TOKYO」で、神田にあって、都心部を含め東京都の東部エリアを支援対象としている就業・生活支援センターを取材しております。都心部を所管しているということで、たくさんの企業や就業者がいるエリアで多くの実績を持っている所ということで取材させていただきました。
それから、3障害者雇用に取り組む企業ということで、各民間企業は様々な工夫により障害者雇用を進めております。その中で、「株式会社良品計画」については、かなり高い障害者雇用率を達成しており、大いに参考になる取組があるということで取材先とさせていただきました。
次に、4各種就労支援の利用者や、企業で実際に働く障害者として、当事者の方からもヒアリングを実施しております。それぞれの取材先に当事者の方、特に近年就労支援ニーズが増えている精神障害者の方から御意見を伺えないかということでお願いして、調整の結果、赤羽センター及び良品計画において、精神障害者である当事者の方からもヒアリングを実施しております。こうした形で、支援者、雇用者、当事者それぞれの立場の方から取材をさせていただいております。
Ⅲ.障害者就労支援における雇用・福祉・医療にまたがる多機関連携の取組等に関連する先行調査です。なかなか多機関連携のみに着目した調査は余りないですけれども、例えば、(1)効果的な「就労移行支援・就労定着支援の事例集」の作成が行われていたり、(2)障害者就業・生活支援センターにおける就労支援の取組状況等に関する調査の報告書などがありましたので、そこの中で取り上げられている多機関連携の取組について、幾つか紹介させていただいております。本当に様々な取組が行われており、青字の所ですけれども、地域資源の状況は様々であり、関係機関との連携を含め就労支援のあり方は多様であることに留意が必要と、まとめております。
Ⅳ.事例の紹介です。今回「雇用・福祉・医療が効果的に連携している状態」とは何なのかということを念頭において取材を行いましたが、ざっくりとした記載ですので、「障害者本人を中心とした(障害者本人のニーズを踏まえた)シームレスな就労支援が提供されている状態」と分解して定義をしております。その際に、先ほども御案内しました検討会の報告書における記載を参考にしました。こうした定義に基づき、事例の取組内容を取材するとともに、各取材先の担当者や利用者の方、若しくは実際に働いている当事者の方と意見交換を実施しました。そして、連携の取組を「当事者の視点」「支援者の視点」「雇用者の視点」の3視点から分析し、「効果的な連携」の要素、つまり連携のポイントとは何なのかとか、効果を掘り下げました。その上で、連携を評価するため、どのようなデータを示すのがよいかなどを検討いたしました。
次のページは、分析パートです。Ⅴ.事例から見える雇用・福祉・医療にまたがる多機関連携のポイント・効果です。(1)障害者本人を中心とした(障害者本人のニーズを踏まえた)就労支援についてポイントをまとめております。1支援ニーズの適切な把握ということが挙げられます。取材先や当事者の方々から、支援ニーズの把握に当たって、面談のほか実習での状況、他機関における支援の状況も踏まえた多角的アセスメントを行う重要性や、実際に長時間働いてみないと分からない特性もあるということの指摘などがありました。また、家族を含めた多様な機関・関係者と連携することによって、多方面からの情報や視点を踏まえた多角的アセスメントが可能になることの指摘がありました。そうしたことを踏まえて、様々な手段を通じた支援ニーズの適切な把握は、多機関連携の前提であると同時に多機関連携の効果でもあるといえると、示唆をまとめております。
2当事者の主体性の尊重もポイントとなると考えております。取材先において当事者の主体性を尊重するとともに支援終了を見据えて成長させていくための支援、例えば支援の開始時点では、なかなか当事者の方自身で御自身の状況を説明するのが難しかったりするのですけれども、その中の支援機関においては、ロールプレイング研修などを通じて御自身の状況をうまく伝えられるようにするための支援などが行われておりました。それから、当事者主体の活動、例えば良品計画さんでは、当事者の方々が集まった座談会を開催して、悩み事を共有したり、それに対する解決策を提示したりということが行われておりました。そのような活動の実施には、当事者の活力やモチベーションの向上、職場での働きやすさの向上、継続就労といった効果があるという声がありました。これを踏まえまして、当事者の主体性を尊重したものであるか、その発展につながるものであるかにも留意して、連携の取組の評価や事例の収集を行っていくことが必要ではないかと提示しております。
(2)シームレスな就労支援についてです。1関係者間の情報共有がポイントになると考えております。多機関が連携して円滑に支援を提供するためには、各機関での支援や相談の状況等の情報が関係機関間で適切に共有されている必要があります。そうした中で、情報共有の状況の一つの指標になり得るものとして、関係機関との連絡頻度が考えられます。これを踏まえ、連絡頻度についてどのように思うかを取材でも聞いたのですけれども、事例取材先からは、当事者が支援先とつながっているか、相談先が分かることが重要であって、必ずしも関係機関との連絡の頻度が決まっている必要はないという御意見がありました。
また、取材先は共通して、「ナチュラルサポートの形成」、つまり雇用先企業が自然な形で当事者を支えているような状況、そうした「ナチュラルサポートの形成」とか、「当事者や雇用先企業の自立」、これはどういうものをイメージしているかといいますと、支援開始の段階では、支援機関への連絡頻度はかなり高くて、何かあれば、その都度相談していくという形になると思うのですけれども、段々と雇用が進んでノウハウが貯まっていきますと、当事者自身が雇用先企業で適切な人に相談ができる、雇用先企業ではその相談を踏まえて企業自体で考えて適切な対応ができる、そのような形で支援機関への連絡頻度が自然と下がっていくという傾向が見られるという声があり、そうした状態を目指す重要性ということの指摘が支援先からありました。
一方で、当事者からは、定期的な面談の場があると相談がしやすくて安心につながるという意見がありました。これらを踏まえて、連絡頻度が多いということは必ずしも効果的な連携を示さないのですけれども、ただ、特に支援開始の段階では、当事者自身で状況や困り事を言葉で伝えるのが難しい場合があることを踏まえますと、支援のフェーズ別に、当事者と支援機関との間など、関係者間での連絡頻度や連絡内容のデータを収集していくことは、支援開始時に当事者が相談しやすい環境となっているか、若しくは支援終了時にナチュラルサポートが形成されているかの把握に資するのではないかと、示しております。
2関係機関間での考え方のすり合わせです。取材先からは、支援に当たって関係機関や家族との考え方の違いがある場合や、就労支援や障害者雇用に当たっての基礎的な理解が共有されていない場合があることが、連携における課題、違いがあるとなかなか連携がしづらいという指摘がありました。また、多機関連携に当たっては、状況に応じた相談先が把握できていることや、障害者就労支援の地域資源が限られている中、支援機関間で支援の棲み分けができており、互いの役割の中で協働的に支援ができているということが重要という指摘がありました。
そうした中で支援機関からは、支援に当たって「バイスティックの7原則」という対人援助の有名な原則や、キャリアコンサルタントなどの行動規範など、そういった対人援助の行動規範によれば考え方のすり合わせが進むとか、足並みを揃えた支援ができるという指摘がありました。
つきましては、こうした行動規範の普及度合い、つまり認知度や理解度を関係機関で足並みを揃えた支援を行う基盤ができているかどうかということも一つの指標となるのではないかと示しております。
次に、支援に当たっての基本的理解の共有や考え方のすり合わせの場として、WEL’S TOKYO(就業・生活支援センター)では、関係者向け研修会や支援者向けスーパービジョンなどを活用していました。そうした研修会などに参加された関係機関、関係者でありますと連携がしやすいということでした。ついては、こうした関係機関向け研修会などは、各支援機関などの役割の認識をすり合わせることにも有用であると考えられ、その開催回数や参加団体数を評価することも、円滑な連携に向けて重要ではないかと示しております。
3異動時の円滑な引き継ぎです。支援担当者が異動しても引き続き支援を円滑に提供するための取組として、取材先では、支援機関内でのケース会議の開催や就労パスポートなど当事者の情報をまとめた資料の引継ぎ、それから前任者と後任者による雇用先企業での対面での顔合わせなどを実施しておりました。異動時の円滑な引き継ぎのための取組というのは、当事者の状況などに応じて様々なあり方があり得ると考えており、その状況を定量的に把握することは困難ではないかと考えますけれども、必要な支援を継続的に提供するための構成要素として、事例収集などにおいて着目していくことが重要ではないかと示しております。
次のページ、(3)雇用・福祉・医療にまたがる多機関連携の効果等についてです。1多機関連携の効果について取材先から、本当に様々な観点からの御意見をいただきました。それを大まかな表の形でまとめております。ここに記載している効果は、個人個人に適した対応方法の提示といったアウトプット的側面から、働きやすさの向上や心身の安定といった中間アウトカム的側面、それから、就職率や職場定着といった最終アウトカム的側面にまで及びまして、障害者就労支援の各側面の全般にわたっております。
この中には、なかなか定量的な把握が困難かと思うものも含まれておりますけれども、こうしたアウトプットや中間アウトカム的側面に対する効果にも着目して、データや事例を収集したり指標化できるものについては指標化していくことは、多機関連携も含めて適切・効果的な支援が行われていることを把握することに資すると考えられると、示唆をまとめております。
2キャリア構築に向けた取組です。取材先からは、雇用率の達成で満足せずに障害者の戦力化を意識する企業だと、障害者用のキャリア構築の取組、例えば障害特性に応じた目標を設定したり、障害者用のキャリアパスを構築したり、そうした取組にも目を向けるようになるとの指摘がありました。職員のキャリアパスや目標設定の仕組みは、企業により適切な在り方が異なると考えられるため、なかなか定量的に評価することは困難かと思いますが、例えば障害者雇用に取り組む企業の事例収集に当たって、キャリア構築に向けた取組についても着目していくことは、障害者雇用の質的進展の程度を把握することに資するのではないかと考えております。
3が他者とのコミュニケーション等の効果についてです。多機関連携に関するものではないのですが、重要な観点かと思い記載しております。当事者を含めた取材先からは、雇用先企業の職員とのコミュニケーションも、当事者のモチベーションの向上や安定した就労、信頼関係の構築につながるという意見がありました。また、当事者同士での雑談や困り事の共有・解決策の提示などの交流が、当事者の心身の安定やモチベーションの向上につながっているとの声もありました。
こうした他者とのコミュニケーションや信頼関係の状況というのは様々な形があり得ると思いますので、なかなか定量的に評価することは困難と考えますけれども、事例収集などを行う際に、一般の社員や当事者同士での交流の在り方も把握・分析することに焦点を当てることが重要ではないかとまとめております。現時点の評価書の内容としては以上となります。
今後につきましては、今回、委員の皆様から、こちらについて様々な御意見を頂きたいと思いますけれども、頂いた御意見、御議論の内容を、こちらの評価書の中に記載する予定です。その上で、御意見の内容も踏まえた総括的なまとめとして、「政策評価の結果」というものを追記して、完成版として、次の6月を目途に公表したいと考えております。事務局からの説明は以上となります。どうぞ、よろしくお願いいたします。
○菊池座長
最初にご説明がありましたように、雇用と福祉、施策の連携強化という、その施策、政策評価自体を行うものではないということで、この施策を評価するに当たっての指標として、あるいは評価の在り方として、ふさわしいものは何かという、そういう視点から分析をしたという趣旨かと思います。
それでは、皆様から御意見や御質問等がありましたら、どうぞお願いいたします。いかがでしょうか。会場から、平野委員、お願いいたします。
○平野委員
大変興味深い整理をありがとうございました。とっても簡単なあれなのですが、これ、表現として、取材という表現を取られていると思うのですけれども、これは、かなり意図的に「取材」というようにおっしゃっているのですか。通常は、我々だと「調査」というように普通に表現をするのですが、「取材」という表現はなかなか、何というか、こういう評価の場面では余り使ってこなかったのではないかなと思うのですけれど、「取材」という表現の中に、何か意味がありますか。あと、ちょっと2つありまして。1つは、先ほどアウトプットや中間アウトカムにも焦点を当ててということで、多機関連携の評価というようなお話があったと思うのです。その際に、本編のほうの文章の中に、ページは省略しますけれども「前提であり効果である」というような表現が1つありました。つまり、前提的な意味でいうと、場合によってはインプットを表しているかもしれないと、他方では、それは中間アウトカムかもしれないのですが、効果的な要素と両面あるというような表現がちょっとあって、その辺を、先ほどの多機関連携などは、そういう両方の要素があるのかなと思ったので、そこはもう少し書き込んでいただいてもいいのかなというように思いました。
それから、2つ目のほうは、報告書を読ませていただいたときに、この2つの部門以外に使われている制度として、恐らく、あれは生活困窮の就労準備ではないかなと思う面がちょっとあったのと、それから、精神ですので、訪問看護の事例が1つ載っていたというように思います。そういう点では、ここで「福祉」というように表現している中で、障害福祉を超えて展開されている事業を、この中で使われている部分についても、この趣旨からすると若干、もう少し外側ということの横断化ということになるかもしれませんけれども、つまり、手帳を想定していないで展開していく領域というのが、今、WORK!DIVERSITYみたいな話も含めて、かなり広がっている領域なので、そのことを少し意識して記載していただくと、この重複の範囲がまたまた複雑になってしまうかもしれませんけれど、その横断的という問題の幅の広さも少し表現できるのではないかというように思いましたので、御検討いただければと思います。以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。事務局から、いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
御意見を頂き、ありがとうございます。まず、なぜ「取材」という言葉を用いているかという点なのですが、余り深い意味があったわけではないのですが、ただ、調査となると、今回、3つの事例しか取り扱っていないという点があるので、調査といえるほどのものなのかなという点は、少し引っ掛かるというところではあります。なので「取材」か「調査」かでいうと、「取材」のほうが適切かなとは考えております。
御指摘いただいたのが、概要の所の3ページの(1)の1の青字部分で、支援ニーズの適切な把握は、多機関連携の前提であると同時に多機関連携の効果でもあるといえると、恐らくそこのポイントの所だと思うのですけれども、前提でもあるし効果でもあるという所、そうしたほかの面でも、ここの支援ニーズの把握に限らず言えることがあるかもしれませんので、全体を見直した上で評価書に、追記等ができる所があれば追記するような形でブラッシュアップしたいと思います。
3点目、精神障害者の訪問看護の事例などを取り上げて、他分野というか、福祉の分野以外との連携について御指摘いただきました。頂いた事例は、例えば精神障害などを有している方だと、訪問看護などで、なかなか事業所が入っていけないような家の中の様子なども見られるというところですが、御指摘のとおり、今回、障害福祉ないしは障害者就労支援という、今回、対象としている制度の枠外の制度との連携も見られましたので、そうした意味での横断的連携というところも書き加えてまいりたいと思います。
○菊池座長
いかがでしょうか。
○平野委員
是非お願いしたいと思います。どちらかというと、生活困窮のほうの就労準備のほうが、就労準備という表現をとっていますので、そちらも同時に深めていただければと思います。ありがとうございました。
○菊池座長
会場から、いかがですか。新保委員、お願いします。
○新保委員
大変興味深く、また、とても大切な横断的な評価について進めていただきまして、ありがとうございます。1つ、質問があるのですけれども、ここで「一般就労」を括弧付きで使われているのですが、この一般就労は、法律の中や何かに何らかの定義がなされているのでしょうか。もし、なされているのであれば、今、福祉の就労支援はかなり多様な働き方を進めている中で、この一般就労の定義があるのであれば、お示しいただけると有り難いと思いました。以上です。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
一般就労については、例えば、法律などで具体的な規定や定義といったものはないという理解です。そのため、「いわゆる」という形で用いております。ただ、何というのでしょうか、例えば、政府内部で、ほかの政府が作成した報告書なので、どういった説明のされ方がされているのかなどについては、もう一度精査をして、より適切な説明の仕方があれば評価書の中にも追記していきたいと思います。
○菊池座長
よろしいですか。ほかに、会場では。岩佐委員、お願いします。
○岩佐委員
3点あるのですが、最初は感想です。私は、主として、子供のことや子供の虐待のことなどに対応しているので、機関の連携や会議の持ち方など、いろいろな意味で共通している所があるのだなと思って、すごくいろいろと調査していただいて、何か、腑に落ちるというか、納得できるというか、大変有り難い情報です。御苦労さまです。ありがとうございました。
まず、1つは、この報告書が評価そのものではないとか、視点を調査しているというか、そういうものであるというのは理解しつつ、この報告書がどういうように使われていくのかというか。通常の政策評価ですと、また次に、このことが出てきて、では、これは達成できているとか、できていないとか、私たちも確認ができるのですが。例えば、これがどこかの部局にいって、その部局で、何か検討会での資料の土台になるとか、どういうように、これが発展していくのかという、その方向性みたいなものがあれば教えてほしいというのが1点目です。
2点目は、今からというとあれなのですけれど、主として東京というか、都市部でお聞きになって、すごく貴重な情報を出していただいているのですが、いわゆる非都市部の特有の課題などというようなものがあるのだろうかというところがちょっと気になっております。今から、それに集中して、連携して検討するというのは難しいかもしれませんが、そういうところにも目配せというか、検討が必要なのだというところぐらいでも、もし触れていただければ有り難いなというように思いました。これが2点目です。
3点目は、すごく細かいのですけれど、ここに出てくる言葉使いで「戦力」という言葉使いがあるのですが、ちょっと私としては、戦力と言われると、何か戦争の駒みたいな感じもするので、人によっては意見が違うかもしれませんけれども、少し言葉使いが気になるということや、「成長をさせる」という言葉使いもあるのですが、成長するかしないかというのは、それは御本人さんが主体的に決められていくことで、私たち支援者は、そこをどうサポートして寄り添っていくかという形になるので、ちょっとその辺りの言葉使いも、もし御検討いただければということで、気になったので発言しました。以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
まず、1点目、この評価書がどう使われていくのかといった点での御質問を頂きました。まず、この本評価書については、当室、政策立案・評価担当参事官室と、あと、本日同席している職業安定局と障害福祉部の連名で作成しており、いわば自己評価という形で実施しております。どういった使われ方をしていくかということについては、施策担当課において、今後の政策評価に向けての現状の把握やデータ収集を行うに当たって、本評価書も参考にして進めていくということを念頭に置いております。
この評価書に記載されている内容の全てを、すぐに政策評価の枠組みに、指標や現状分析などの形で反映していくということは困難かもしれません。または、政策評価の枠組みというよりは、例えば調査研究事業やほかの行政活動において反映することがむしろ適切というものもあると思うのですけれども、反映できるものがある場合には、何らかの形で随時反映していくように、事務局としても、状況を整理したりサポートをしてまいりたいと考えております。
言葉遣いの件ですが、「戦力」という言葉については、取材先のほうが用いていた言葉なので、取材結果の中から言いぶりを変えるというのはちょっと難しいかもしれないのですが、少なくとも、事務局のまとめの所では、何らか言いぶりを変えたり、若しくは、何か補足説明をしたりということを検討してまいりたいと思います。
非都市部における連携の在り方については、御指摘のとおり、確かに今回の取材においても、東京都市部と比較した場合の違いとしては、やはり地域資源が少ないので、例えば、就業・生活支援センターのほうで全ての支援を担ってしまっているといった違いがあるというコメントがありましたので、委員の御指摘も踏まえまして、そうした非都市部における連携の在り方についても検討が必要ではないかという点、言及させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○菊池座長
いかがでしょうか、よろしいでしょうか。やはり文言の使い方、言い回しについては十分留意する必要がありますので、御検討ください。ありがとうございます。ほかに、会場からは、田宮委員。
○田宮委員
2つほどありまして、まず、この分析は、とても突っ込んで大事な所をやっていただいていて、すばらしいと思いました。その上で、例えば、今の4ページ、2ページですかね、取材の対象者が支援者と雇用者と当事者となっています。先ほどの最後の説明の中で、今後やっていくというお話がありましたが、一緒に働く仲間の方たちの一般の社員の方の意識というのはすごく大きいと思いますので、ぜひ対象に含めていただきたいと思います。ヒアリングからそういうことが出てきたということで、今の御説明でもしっかりしていただいたので有り難く思いました。例えば、国際障害分類の環境としても、周りの人の目などはすごく重要な位置を占めているので、障害者の方の雇用の継続にも、とても重要と思うので、是非その柱にも入れるぐらいの感じで取り組んでいただきたいなというのが1点です。
もう1つは、こういうプロセスとかミクロな所に突っ込んだ調査は本当にすばらしいですけれど、片や全体の動向をタイムリーに見るのも大事で、ビックデータの活用ができるかと思います。私の分野では死亡統計をもっと早く出していろいろなことに使いたいみたいなお話をしているのですけれど、統計の仕組み上、いろいろやっていただいてもなかなか難しいところもある中、障害者の雇用については、障害者の雇用の実態が全国的な統計で、どのくらい出ていて、それがタイムリーに、こうした議論につなげられるのでしょうか。私は詳しくないのですけれど、そういうこともミクロとマクロで一緒に評価していくということが重要かと思います。もし、お分かりになればお答えいただきたいですし、難しければ、是非その方向に向かってできることからと思います。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
まず、2点目のほうからになりますが、ミクロデータとマクロデータ、若しくはミクロの視点とマクロの視点からの分析を連携して進めていくことが重要ではないかという御指摘と理解しております。御指摘のとおり、双方向からの視点の分析というものは重要だと考えますので、原局のほうで今現在どんな施策があるのかというのは、当室のほうでは、まだ把握できておりませんけれども、今現在、どんな状況にあるのかということも踏まえて、評価書内での総括として、どのような記載ができるのか検討してまいりたいと思います。
また、一般の方の意識についても本当に、その取材の中で周りの方々とうまくコミュニケーションできている、そういうこと自体が当事者の方々のいきいきとした働き方、自信や安心感といったことにつながっていることが本当に、ありありと見てとれましたので、そうしたところも、より重点を置くような形で、評価書の内容に、どんな形で総括を記載できるか検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○菊池座長
よろしいでしょうか。それでは、皆川委員、お願いします。
○皆川委員
最初に、大変な調査を丁寧にありがとうございました。大変興味深く拝見しました。私のほうからは意見のような形になるかと思うのですが、私も、先ほど岩佐委員から御質問があったような形で、今回の評価が今後どのように使われていくかというところはちょっと考えておりました。今回の評価書や案を拝見して、例えば概要の3、4ページ辺りの所にまとめていただいているのを拝見して、特に青字で指摘されている所はそのとおりだなと思って伺っていました。つまり、どのようなデータが、多機関連携の効果や進捗などを測るのに有用かというのは、確かに、何らかの指標は数字として出せるものはあるかもしれませんが、しかし、その数字だけ、例えば、関係者間での連絡頻度や連絡内容といったことの一定の指標にはなると思うのですけれども、それだけでも、なかなか機能やシームレスな就労支援がなされているかというようなことの実質的な評価にどうつなげていくかというのは、データだけではちょっと難しい面も多いのではないかというように思いました。ですから、何らかの数字のみならず、例えば、事例の調査やアンケート調査などといったものを、先ほどのお話にもありましたが、これからの政策の調査や研究活動、調査活動や運営活動などにいかせるような形で、好事例を集めるといったように、定量的というよりは、やや事例分析というような形になるかもしれませんが、そういった取組も重要ではないかと、今後の指標というか考え方の方向性を考えていく上で必要ではないかなというように思いました。ちょっと意見のようなもので、以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
ありがとうございます。本当に、委員の御指摘のとおり、今回、いろいろな観点から取材結果を分析しましたけれども、やはり、なかなか定量的な把握というのが難しい観点が多いなと。だからこそ今回、先行調査に関するパートも設けておりますが、定量的な分析というよりは、事例集の作成というものがかなり多くなっておりました。やはり、障害者の就労支援というのは、障害者の個々の状況が本当に様々で、また、その障害者の状況のみならず、地域資源の状況、一体どういう点に強みがあるのか、地域資源は多いのか少ないのか、どういう特色があるのかといったことによっても大きく異なってくると。なので、こちらにも書いてあるとおり、定量的把握が難しい面もかなりあるのですけれども、委員のおっしゃるとおり、事例収集などの形で、よりどのような点に着目すれば連携の取組を把握できるのかを今回検討しましたので、今後の分析などにいかしていけたらなと考えております。
○菊池座長
それでは、藤森委員。
○藤森委員
調査のほうをありがとうございました。とても興味深く見ました。例えば、シームレスの就労支援の所に書かれているように、「連絡の頻度が多いことが効果的な連携とは必ずしも限らない」「ただし、そのフェーズによって、初期段階では関係者間の連携の連絡の頻度というのは重要になってくる」というところはとても大事な所だと思います。ややもすると、連絡の頻度だけを見がちなところが、フェーズごとに見ていくという御指摘はとても大切な所だと拝聴させていただきました。
一方で、政策評価の永遠の課題だとも思うのですが、実績の評価の中に、どうやって組み込んでいくのかという課題があると思います。事例集からポイントをつかんでいくことと、一方で、指標化していくという作業との関係がやはり難しさがあると思いました。
例えば、資料8-1の3ページの(2)の2で「関係機関間での考え方のすり合わせ」という所で、「こうした行動規範の普及度合いは、関係機関で足並みをそろえた支援を行う基盤ができているかの一つの指標となるのではないか」と示されています。ここでの指標といったときに、これをどうやって捉えていくのかというところが、課題になっていくのではないかと思いました。実績をどうやって指標化していくのかという難しさを、これから考えていかないといけないのではないかと思いました。ありがとうございました。
○菊池座長
ありがとうございます。何か、コメントがあれば。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
貴重な御意見をどうもありがとうございます。今回、御指摘のとおり、事例収集において、こういう点に着目していることが重要ではないかという形で、具体的に、事例収集をした後にどうするのかというのは、ある意味ちょっと丸投げのような形になってしまっているところがあります。そこは施策担当者のほうで、具体的な専門的知見、実践的知識を生かしながら考えていただくという形になるのかもしれませんけれども、今回、頂いた御意見は、評価書の中にも、事例収集の際の検討すべき事項として書き込ませていただきたいと思います。
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、一旦、オンラインの皆様からお願いしたいと思います。では、松浦委員から、お願いします。
○松浦委員
貴重な御報告をありがとうございます。私からは質問ではなく、意見として3点申し上げます。まず、1点目として、好事例の調査から多機関連携の効果を抽出していただいたことは非常に有益で、多機関連携をするとこのような実利があるのだということを、広く世の中に共有いただきたいと思いました。
2点目は、その一方で、これはあくまでも好事例の調査であって、多くの企業の実態は、多機関連携のかなり手前に位置しているのではないかと思っています。つまり、多機関連携には、雇用者が、障害者雇用にしっかりとコミットし、なおかつ、多機関連携が必要だという課題意識を持って初めて辿り着けるのではないかと思いますが、多くの企業において、雇用者のコミットや課題意識がまだ不十分な段階にあると認識していますので、政策的な支援や評価は、その実態を踏まえた上で考えていただきたいというのが2点目です。
3点目としては少し細かい話になるのですが、1の関係者間の情報共有の、連絡頻度の記載についてです。連絡頻度の情報は必要ないという意見があった一方で、やはり情報を収集してもいいのではないかという記載があります。しかしながら、連絡頻度で評価することに対して、私はやや慎重な立場におります。
というのも、内容によっても連絡頻度は変わってくると思います。また、今申し上げたような実態を踏まえると、連絡頻度よりも、そもそも他機関とつながりたいというニーズを持っているか、あるいは、実際つながっているかという現状を、まずは評価していくほうが現実的なのではないかと考えております。
○菊池座長
ありがとうございます。御意見ということですが、事務局から、何かあればお願いします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
様々な観点からの御意見をありがとうございます。連絡頻度の把握については、確かに多機関連携について目を向けるようになるのは、障害者雇用に関する知識、若しくはノウハウや理解が、ある程度進んだ段階での話なのだろうと思います。その前提としては、やはり支援機関とつながっている必要がある。そうした認識・理解が必要というのは、本当に御指摘のとおりだと思いますので、そもそも、連絡頻度を把握するなど、その前段階としてつながっているかどうか、そこの把握が重要ではないかという点も踏まえて評価書の内容を、より検討させていただきたいと思います。
その上で連絡頻度をどう把握していくかについては、具体的に、個々の障害者自身について、その支援就労開始時点から支援終了時点までの間に、一体どのような連絡頻度、ないしは連絡内容に変化がみられるのかということを分析していくことを念頭に置いております。つまり、一人一人に目を向けていくとした形であれば、いわば、1つの事例を収集していくという形で、今後の政策の実施状況の把握に関して何か有用なデータが把握できるのではないかという考え方の下、記載した内容となっております。
戻りますが、確かに、そもそも連絡頻度以前に、つながっていること自体が重要という御指摘でしたので、その点を踏まえて書きぶりを検討してまいります。ありがとうございます。
○菊池座長
松浦委員、いかがでしょうか。
○松浦委員
ありがとうございます。連絡頻度の実態を把握することについては異論はありません。評価ということを考えたときにはつながっているとか、もっと手前の、知っているかどうか。そこら辺からスタートするべきだと思います。御検討ありがとうございます。以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。それでは山脇様、お願いします。
○村上委員代理山脇様
この横断評価書については、今後の雇用施策と福祉施策が効果的に連携を図っていく上で参考にすべき点も多くあると思いますので、全体としては高く評価できると思っております。その上で3点ほど、意見を申し述べたいと思います。
まず1点目は、資料8-1、3~4ページにまたがっている「Ⅴ.事例から見える雇用・福祉・医療にまたがる多機関連携のポイント・効果」についてです。これまでの質疑応答の中で事務局の見解もお示しいただいています。折角、良い評価書を取りまとめていただいていますので、この中で書かれているもののうち、政策に反映できるもの、あるいは、評価指標に反映できるものなどをしっかりと峻別し、どう政策に落とし込むかということは、関係各局の中で御検討いただき、適切に反映していただきたいと思います。
2点目は、8-1の3ページ、3異動時の円滑な引き継ぎについてです。先ほど議論がありました、定量的に把握することは困難とされている点に関してです。障害特性にもよりますが、やはり、相談相手となっていた支援担当者の方が代わることは障害者の方にとってみれば大きな変化だと思いますので、特に配慮が必要な状況だと考えます。
引き継ぎの有無あるいはその理由、実施する場合の項目や方法等、好事例の収集にとどまらず、データ収集についても御検討いただきたいと思っております。障害者本人の不安を取り除く、あるいは低減させるという観点からすると、やはり、丁寧に取り組んでいただくことが望ましいのではないかと思いますので、検討いただきたいと思います。
3点目は、医療機関との連携の在り方についてです。評価書の中でも、医療機関において障害者の就労や就労移行支援の理解に差があることなどが課題として挙げられております。医療機関において、就労に向けた支援を行う意識をより一層強く持っていただくことが重要と考えます。認識の共有、あるいは底上げにつながるよう、今後の施策の中で対応を御検討いただきたいと思っております。以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。事務局いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
御意見を頂きましてありがとうございます。まず1点目ですが、今後、施策若しくはその評価の枠組みの中にどういった形で落とし込むかという点については、施策担当課とも連携しながら、一体どういう反映の仕方があり得るか、政評室としても協力しながら検討してまいりたいと思います。
2点目の異動時の円滑な引き継ぎに関する記載についてです。こちらの異動時の引き継ぎについては、様々な取組の仕方があると。例えば、電話で終わらせる場合もあれば、対面できちんと引き継ぐ場合もある。それは、その利用者がどれだけ複雑な課題を抱えているかということにもよるので、定量的把握は困難ではないかと書いていたのですが、ただ、その引き継ぎの有無、そのこと自体を把握するということであれば、また状況は変わってくると思いますので、御意見を踏まえて、どういった書きぶりがあり得るかを検討してまいりたいと思います。
それから、3点目の医療との連携についてです。今回、分析パートにおいて、医療機関についてはこれという形でまとめているわけではないのですが、御指摘のとおり、医療機関の連携も含めて書かせていただいているところです。特に、医療機関の関係では、御指摘のとおり、考え方に差があり、なかなか連携がうまくいかない場合もあるという声もありましたので、その連携の在り方について、特に重要ではないかという点を含めて評価書の記載の在り方を検討してまいりたいと思います。御意見ありがとうございます。
○菊池座長
山脇様、ありがとうございます。ほかにオンラインで参加の皆様から、何かございませんか。宮﨑委員、お願いします。
○宮﨑委員
今回、分野横断の評価ということで、大変、貴重な取組の御報告をありがとうございました。この横断評価を行ったからこそ、特に、連携ということに着眼して評価したからこそ見えてきたことということで貴重な内容が示されたと思います。
私からは4ページ、(3)の「雇用・福祉・医療にまたがる多機関連携の効果等について」という、この表を見せていただいて、私が一番強く感じたのは、この連携の一番のベースは、当事者の生活面や体調面の安定、そこが整っていかないと、やはり雇用という主体性が生まれないし、継続性にもつながらない。だから、ここの生活面や体調面を、いかに本人が自己コントロールできるようにするか、また、家族や身近な支援者がそこをサポートできるかという、ここが基本なのかなと改めて強く感じました。
だから、当事者が中心にいて、そして支援者又は雇用企業がその外枠にいるというような同心円上の構造があるのかなと。これまでも幾つか別の事例を拝見して、当事者の方がいつの間にか置き去りにされて、周りでどんどん話し合いが進んで、自分の知らないうちにいろいろなことが進んでしまい、何か自分が置き去りになってしまったという声も、ときどき聞きます。
やはり、当事者の方が中心で、そこに生活や体調面の安定が保障されなければ、こうした雇用というところ、そしてまた、ここでいう連携というところが、うまい形で連携していかないのかなと、改めて、今回の調査結果を見させていただいて強く感じました。意見という形になってしまうかもしれませんが、よろしくお願いします。
○菊池座長
ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
御意見ありがとうございます。今回、正に当事者を置き去りにしない支援、当事者主体の支援ということで、良い取組を行えている支援先、若しくは雇用先を取材できたと考えております。
委員の御指摘のとおり、特に生活面と体調面での安定がなければ、その先、継続した就労にはつながっていかないということで、この生活面と体調面での安定というのは、正に、なぜ多機関連携が必要なのかということの理由でもあると思いますので、御指摘も踏まえながら評価書の内容、総括のところをブラッシュアップさせていきたいと思います。御意見ありがとうございます。
○菊池座長
宮﨑委員、よろしいでしょうか。
○宮﨑委員
はい、お願いいたします。
○菊池座長
ありがとうございます。大西委員、お願いします。
○大西委員
御説明ありがとうございました。今の宮﨑委員の御意見に関連する気付きの指摘のようなレベルの意見になります。やはり家族も含めた当事者の生活面と体調面の安定が、回り回って雇用先や支援機関との効果的な連携も含めた就労生活の安定につながるという視点は、正に、そのとおりかと考えております。
私も障害年金等の裁判を弁護士の立場で経験した職務経験を踏まえて申し上げますと、特に、若年層の障害者の方の就労生活の安定に向けては、やはり親御さんや御兄弟、御家族による日常生活のフォローとか、体調面の安定も含めた家族間での支援が非常に重要な鍵を握るということは、私の障害年金の行政訴訟等の経験も踏まえて、非常に痛感しているところです。むしろ、そのような訴訟では、原告御本人、当事者が自らのいろいろな日常生活や就労生活の状況を尋問で答えるのに、かなり限界があるような事例も多いので、むしろ、家族の方が重要な証人として法廷に立たれることが多いという状況もあったりします。
そのような意味で、やはり御家族との連携や御家族からの支援の状況を、こういった施策の評価の中で、どのように現状を把握して、その点における御家族との効果的な連携が就労生活の安定に寄与した好事例とか、逆に、その点に問題があった事例等も取材されて、評価書の中に盛り込んでいただくと、雇用先企業や支援機関、医療機関も含めた同心円上の効果的な連携による障害者の就労生活の安定に向けた総合的な施策の評価という点では、より充実した評価書の記載につながるのではないかと、この資料8-1や8-2を読んで感じました。以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
御意見いただき、ありがとうございます。委員の御指摘のとおり、今回の取材でも、やはり家族が一番、当事者の状況をうまく説明でき、状況を分かっている場合があると。特に、知的障害者さんの場合は、そのようなケースがあったりするという声を取材においても聞きました。
今回の分析パートでも、少し家族の件に触れていますが、結構、さらっと終わらせてしまったかなという感覚がありますので、今、御提案いただいたような家族との連携に関する着眼の仕方、頂いた御意見も踏まえて、もう少し、どういった形で膨らませることができるか検討してみたいと思います。ありがとうございます。
○菊池座長
ありがとうございます。非常に重要な御指摘を頂きましてありがとうございます。ただ、私から1点、指摘させていただきますと、私は、社会保障審議会障害者部会等にも関わっていますが、家族の重要性を殊更に強調することについては、最近は慎重であるべきという、そのような状況、ヤングケアラーがまさにそうですが、むしろ、家族も含めた支援者支援という、家族への支援という、そういった視点が重要になってきて、そのような議論をしていますので、家族の重要性を強調するのは気を付けたほうがいいということです。
それから、家族の在り方も随分変わってきていますので、福祉関係の先生方には当然のことでお分かりだと思いますが。例えば、先日の障害者総合支援法の改正でも、まずは、地域で暮らす障害のある方が独り暮らしをする。今まではグループホームがその受け皿でしたが、グループホームも通過点なのだということで、そういった形に評価をする方向での法律改正もされてきています。ですので、家族の位置付けについては、固定的な家族の捉え方を前提にしないほうが、多分、今の厚生労働省の施策と合っていると思います。そこを御考慮いただきたいと思います。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
御指摘いただきましてありがとうございます。座長の御指摘のとおり、家族についても、取材において、先ほど申し上げたとおり、当事者のことをよく分かっているという場合もあれば、逆に家族からの視点になってしまう。つまり、当事者の視点ではなく、家族から見て、この子はこういう形、こういうようであるという形で、いわば、固まり過ぎているような考え方に寄り過ぎてしまっている御家族もいらっしゃるケースがあり、そうした取材結果もありました。
本当に家族の在り方というのは様々ですので、御指摘のとおり、その家族というものを強調しすぎる、重要視しすぎるというのも問題はあると思います。そうした点を重々踏まえ、どういった書きぶりがあり得るかを慎重に検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○菊池座長
よろしくお願いします。ほかにいかがでしょうか。ほかになければ、最後に、平野委員からということでよろしいですか。オンラインの皆様、よろしいですか。それでは、平野委員からお願いします。
○平野委員
先ほどの取材ではないのですが、事例収集ということで。ただ、先ほどから出ているように、量的にはなかなか難しいこともあるのですが、1点だけ、ここに「うまくいっていると感じているとき」という表現がありますよね。「うまくいっているとき」というのは、必ずしも事例だけを言っているのではない気がします。
事例を幾つか集めた上で、うまくいっているという表現になっていると思うので、何か単純な事例からそれを引き出したのではなくて、幾つかの事例に共通している内容として、うまくいっていると聞き取れているのではないかと思うのです。ちょっと、そこは1点、全て事例的だというか質的だという、内容的には質的な話なのですが、もし、使い分けができるのであれば、この「うまくいっている」という表現をできるだけ、それこそ、うまく使ってもらって、次元を上げていただけるとよろしいかなという思い、それがポイントに表われているというようにも感じますので、その辺をうまく表現していただければと思います。付け足しですが、どうぞよろしくお願いします。
○菊池座長
事務局、いかがでしょうか。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
ありがとうございます。確かに、「うまくいっていると感じるとき」について、委員の御指摘のように、幾つかの事例に共通した内容として言っているときと、個々の事例について言っているときとの書き分けはできていなかったと思います。御指摘を踏まえて、書き方の在り方を検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。
○菊池座長
様々な御意見を賜りまして、どうもありがとうございます。活発な御議論を頂き、今日もかなり時間が押してきております。もう1つ議題がございますので、申し訳ございませんが、この議題については、この辺で締めさせていただきます。様々な御意見を頂きましたので、それも踏まえて、事務局のほうで御検討をお願いしたいと思います。
それでは、続いて議事(4)次回の分野横断評価テーマ案について、御説明をお願いします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
議事(4)です。先に議事(2)で御議論いただいたとおり、来年度以降は分野横断評価を試行的に隔年実施としたいと考えております。ついては、次回の令和7年度の実施に向けまして、委員の皆様から、ブレスト的に、次回の分野横断評価書のテーマ案について、どういったテーマがよさそうかというアイディア出しを頂きたいと考えております。フリーディスカッションとして御自由に御発言いただけますと幸いです。その後、一体どうするかという点につきましては、今回頂いた御意見も踏まえまして、事務局にてテーマを検討、精査し、関係部局とも調整の上、来年3月の有識者会議で案をお示しして、委員の皆様の御議論を頂いた上で決定するといった流れで考えております。では、忌憚ない御意見のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○菊池座長
ということでございます。すみません、時間も限られておりますので、今日のところはアイディア出しといいますか、こんなテーマがあるのではないかというようなことを、どうぞ、お気軽にというか、7年度までは時間がありますので、是非、事務局に向けて、アイディアを頂ければと思いますが、いかがでしょうか。田宮委員。
○田宮委員
ありがとうございます。私としては、今のちょうど先ほどの議論も踏まえて、家族というのをきちんと見ていく必要があると思います。支援の当事者としての家族という視点は本当に重要です。また家族も、血縁や法律に基づかない家族もいっぱいあるわけです。これを幅広く見ていくことは、座長先生がおっしゃったように、家族は支える側だけではなくて、家族も支えられなければいけないと考えます。でも、家族を対象にした調査や施策は意外とないです。介護の離職についても、私も介護のほうは結構やっていますが、家族の、介護者に対する支援というのは、介護保険は家族の介護の社会化ということで、家族はやらなくてもいいという方向に持っていってくださったのはすごくよかったのですが、やはりそれだけでは済まない部分もあって、その辺も含めて、家族を多角的に見て、支援される側の家族ということも含めて、家族というのがいいのかなと思っていました。
○菊池座長
ありがとうございます。事務局とのやり取りは省略させていただいて、アイディアだけ頂くということで、平野委員、お願いします。
○平野委員
今ちょうど家族のことが出て、私もずっと家族支援を研究してきた立場としても、是非それは入れていただきたいのですが、私の意見は、先ほど生活困窮のお話をして、そこで就労準備の話があると。さらに、最近では重層的支援体制整備事業の中に、また参加支援という新しい考え方が出てきました。広い意味で、逆に言うと今回のように、障害者手帳を持った人の就労支援とともに困窮の就労支援もあるし、さらに就労というのをかなり幅広く捉えたときの、「働く」ということへの支援ということで非常に、参加支援でも幅広い支援も登場しているので是非、厚労省としても重視されている重層的な支援という観点から、それぞれの重なりを、また整理していただけると有難いと思っております。以上です。
○菊池座長
ありがとうございます。それでは、玄田委員、お願いします。
○玄田委員
ありがとうございます。ちょっとだけ一言。先ほどからの労働政策の、今日の話で感じることが多かったのは、雇用対策は基本的には個人が対象というのが大原則だったと思います。それに対して福祉政策は比較的世帯単位で考えないと問題が解決しないのは、比較的ずっと障害者を含めてあったのが、最近やはり雇用対策もどちらかというと世帯という視点で考えていかないと、家族間再生産がずっと続く状況が以前よりも強まっている気がします。
例えば、サポステなんかを見ていても、やはり若者を対象なのですが、今若者の対象が広いので、そのお子さんも、やはりお母さんと同じような状況を繰り返しているみたいなことが非常に散見されて、就業対策が個人にといっていると、そこで努力しても、またそのお子さんが同じことを繰り返したりするということで、長期的に少子化問題にもつながっている気がします。ただ一方で、今までは全然、就業対策を世帯単位で考える例が余りなかったので、今日のような福祉対策と就業対策を障害者の下で連携して考えるときに、今日は家族という言葉が出たので、今それに反応しているのですが、対象の捉え方をどう考えるかというのは、少ししっかりとどこかで議論して研究していって必要な施策を考える状況に来ているなと、今日の皆さんのお話を伺いながら思った次第です。以上です。
○菊池座長
どうもありがとうございます。それでは、山脇様、お願いします。
○村上委員代理山脇様
ありがとうございます。テーマ案に関して、高年齢期の働き方、あるいは、先ほども意見がありました介護人材の確保は、分野横断的な評価にもなじむのではないかと考えておりますので、検討の素材にしていただければと思います。
○菊池座長
ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。宮﨑委員、どうぞ。
○宮﨑委員
すみません、アイディア出しということなので。私は今、介護人材の話が出ましたが、福祉系の人材ですね、保育を含め、介護、いわゆる高齢者、障害者の支援人材ですね。昨今は、やはりいろいろな方たちへのしわ寄せ、結局、人員が集まらないことによる肉体的・精神的なストレスがすごく大きくなっているように思います。それで結局、最終的なしわ寄せを受けるのは、通園、あるいは入所している方たちです。この方たちへの施策の有り様というのは一つ、ますます今後の大きな課題になっていくのではないかと思いました。アイディアというレベルで、よろしくお願いします。
○菊池座長
どうもありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。非常に貴重なアイディアを頂きまして、もう2回分ぐらいテーマが立つかと思いましたけれども。事務局のほうで、今の御意見も踏まえて、また検討していただいて、まだ時間があるので、また次に検討する会があるということでよろしいですよね。どうですか。
○参事官(調査分析・評価担当)
ありがとうございます。本日頂いた御意見等も踏まえまして、事務局内でも検討いたしまして、3月の会議までの間に、コミュニケーションを取らせていただきたいと考えております。
○菊池座長
全体会は1年後になるので、次はWGになるので、WGでそれぞれ議論するというよりは、個別に各委員とのコミュニケーションの中で具体化していくという理解でよろしいですか。
○参事官(調査分析・評価担当)
はい、そのように考えております。
○菊池座長
ということだそうですので、委員の皆様にも個別に打診があるということですので、是非、積極的に御意見を頂戴できればと存じます。どうぞ、よろしくお願いいたします。
少し時間を過ぎてしまいまして申し訳ございません。本日予定しておりました議事は終了いたしました。本日も大変有意義な御議論を頂きましてありがとうございました。それでは、事務局から本日の議論の取扱いについて御説明をお願いいたします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
長時間にわたる御議論を頂きましてありがとうございました。本日の御議論を踏まえて、令和6年度の政策評価を進めさせていただきます。分野横断的に実施している政策の評価書につきましては、本日頂いた様々な御意見、御指摘を踏まえて、担当部局とも相談の上、必要な修正を行いたいと思います。修正作業が終わりましたら、省内で所要の手続を経た上で、6月頃を目途に、総務省への通知及び厚労省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。また、併せて、皆様にも最終版を送付いたします。
また、お時間の都合上、本日の会議の場で御発言できなかった御意見等ございましたら、4月4日までに事務局まで御連絡ください。
最後になりますが、本年度も委員の皆様方におかれましては、様々な施策について御議論いただき、また様々な御指摘を頂きまして、誠にありがとうございました。本日の会議や各WGでの御意見等を今後の政策評価に生かせますよう、事務局として一層の取組をしてまいります。次年度もどうぞ御指導のほど、よろしくお願いいたします。事務局からは以上となります。
○菊池座長
それでは、これをもちまして本日の会議は終了させていただきます。お忙しい中、御参加いただきまして、どうもありがとうございました。
【会議後の提出意見】
資料2及び資料3に係る意見については、会議開催後に事務局宛に提出されることとなっていたところ。資料2について、村上委員より意見提出があったことから、議事録として以下のとおり公表する。
(村上委員)
<資料2 P2 番号2(施策目標Ⅲ-3-1)について>
それぞれ背景理由は異なるものの、所要日数を測定指標、審査件数を参考指標に設定することは難しい旨の回答が示された。しかし、「達成目標2 給付金法に基づく給付金等の円滑な支給」においては、測定指標自体が設定されておらず、仮に参考指標の追加すら難しいのであれば、政策評価の項目としてふさわしいのか疑問がある。次回以降、別の目標設定をすべきと考える。
<資料2 P3 番号12(施策目標Ⅵ-1-3)について
問題のある実習実施者や監理団体には何度も訪問する場合もあると認識しており、単純に実地検査数だけで評価することは難しいのではないか。測定指標とするのが難しいとしても、実地検査は技能実習制度の適正な運用確保において重要な役割を担うことから、当年において本来実地検査の対象となる実習実施者数および監理団体数と、実際に実地検査を行った実習実施者数と監理団体数は参考指標とすることを検討いただきたい。
また、そのほか、会議時間の制約により、会議の場で発言できなかった意見については、事務局宛に提出されることとなっていたところ。新保委員より意見提出があったことから、議事録として以下のとおり公表する。
(新保委員)
<資料8-1 P3(1)2「成長させていく」、P4(3)2「戦力」について>
この2点については、岩佐委員より表現に留意が必要ではないかとご意見が出されていたところです。私も、同様に思います。P3の「成長させていく」は、「させる」は本人主体とは離れた表現であり、また、成長がそもそも就労支援の目的(支援のゴール)なのかどうか…ということもあり、慎重に記載していただく必要があると感じました。P4の「戦力として」というのも、このまま用いてしまうと、誤解や批判を招きかねないと思います。「本人中心」「当事者主体」ということが、今回の政策評価にあたっての重要な概念だと思いますので、ぜひ、資料で用いる表現も、できるだけそれに沿ったものにしていただくことを望みます。