第15回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WG
日時
場所
出席者
印南座長、大西委員、佐藤委員、田宮委員
議事
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
では、定刻になりましたので、ただいまから「第15回政策評価に関する有識者会議医療・衛生WG」を開催いたします。政策評価の担当をしております浅沼でございます。よろしくお願いいたします。
本日は、井深委員並びに宮﨑委員におかれましては御都合がつかず、会議を御欠席となりました。また、田宮委員におかれましてはオンラインでの御参加となっております。
なお、人事異動があり、昨年7月に政策立案総括審議官として青山が、9月に評価分析・評価担当参事官として三村が着任しております。
会議に先立ち、審議官の青山から御挨拶申し上げます。
○政策立案総括審議官
皆様、こんにちは。今、御紹介にあずかりました政策立案総括審議官の青山でございます。本日は座長はじめ5人の皆様、また、オンラインで御参加の皆様、御多忙のところをお集まりいただき、どうもありがとうございます。担当部局の方も大変お疲れ様です。
御案内の通り、政策評価の目的は評価結果を政策へ適切に反映して、効率的で質の高い行政を続けること、また、評価結果を公表することによって、国民に対する説明責任を明確に果たすことでございます。近年は政府全体でエビデンスに基づく政策立案(EBPM)を推進しておりまして、当省、厚労省における政策評価におきましても、昨年度からロジックモデルの作成を導入するなど、政策の進捗状況を正しく知って、状況変化に応じた政策の見直し・改善につなげていくための取組を進めてまいりました。政策評価は行政の自己評価という形で行われはしますが、その客観性・公平性を担保しながらPDCAサイクルを回していくためには、有識者の御知見を頂きまして、活かしていくことが重要と考えております。
本日の会議は「第5期基本計画」に設定されている施策目標のうち、令和7年、来年の夏に事後評価を行うこととなっているものの事前分析につきまして、目標設定の妥当性を中心に、幅広い観点から御助言を頂きたいと思っております。どうぞ御忌憚のない御議論・御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
本日の会議では、事前に御案内したとおり、ペーパーレスとしてタブレットでの開催とさせていただきます。資料となるファイルは、タブレットの「ファイル」とある青いアイコンの中に格納されております。下にスクロールすると次のページに、横にスクロールすると次の資料にまいります。
それでは、この後の議事進行につきましては、座長の印南先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○印南座長
「議事次第」にありますように、「令和6年度実施施策に関する政策評価の事前分析表(案)」を中心に委員の皆様に御議論いただきます。一つ目のテーマ、施策番号I-1-1、「地域医療構想の推進等を通じ、新興感染症等への対応を含めた質の高い効率的な医療提供体制を整備するとともに、在宅医療・介護連携を図り、地域包括ケアシステムを構築すること」について、担当部から5分程度で説明をお願いします。
○医政局総務課長
ありがとうございます。医政局総務課長でございます。
資料1-1、「概要」資料に沿って御説明をしたいと思います。政策目標につきましては、今、座長からも御紹介があった通り、質の高い効率的な医療提供体制を整備するということ、また、在宅医療・介護連携を図って地域包括ケアシステムを構築する、そういった設定になっています。かなり盛りだくさんの、幅広い政策目標でございますけれども、こういった目標を達成するための指標として、この1ページ、2ページに掲げております1番から9番までの項目を立てています。
まず、1番目の項目といたしましては、「医療の質向上に資する体制整備」ということであります。医療の質への関心が高まっている一方で、課題1にありますように、質の向上のための体制整備事業というものを厚労省はやっておりますが、そういったものへの参加病院数の伸び悩みなども課題になっておりますので、達成目標といたしましては、質の評価あるいは公表の推進ができているかどうかということを目標にいたしまして、指標としては医療の質の向上のための協議会を開催しておりますが、こういったものの開催回数をアウトプット指標として設定してはどうかと考えています。
続きまして、2番目の「歯科口腔保健に関する施策」でありますが、口腔の健康の保持というのは基礎的で、かつ重要な分野でありますが、一方で地域格差なども指摘されている背景を踏まえまして、課題2にありますように生活習慣の改善、社会環境整備といったものが必要だと考えています。このため、達成目標といたしましては、地域の実情に応じた施策の推進ということを掲げまして、具体的な指標としましては、2番目にあります歯科健診の実施自治体数というアウトプット、また中間的なアウトカムになるかと思いますけれども、歯科健診の受診者数といったものを設定してはどうかと考えています。
続きまして3番目の「助産師就業」でありますが、就業助産師数の人数は増加傾向にありますけれども、医師の「働き方改革」なども含めまして、助産師の積極的な活用が必要となっています。助産師は病院に偏在しており、そういった所ではハイリスク妊産婦が中心となっておりますので、正常分娩の介助経験を積み重ねることが困難であるといった課題もあります。こういったものを解決していくために、助産師の出向の推進、あるいは助産所と連携する医療機関の確保、こういったものを目指しまして助産師出向人数の増加、あるいは助産師活用推進事業の実施都道府県といったものを指標として取り組んでいきたいと考えております。
続いて左下、4番目、「新規専門医制度」ですが、新専門医制度における専門認定医は一貫して増加しておりますが、高度医療の専門化・高度化も進んできておりますし、また、急速な高齢化も同時に進行しているという中で、課題4にありますように、地域医療や医師のキャリアに対する配慮も行いながら、質の高い専門医の養成が求められているという考えです。このため、達成目標にありますように、地域医療に配慮した形での専門医の養成、総合診療医センターの設置の推進といったものを目指して、ここにありますような専門医数、また、総合診療医センターを整備している大学が所在する都道府県数を指標として取り組んでいきたいと考えております。
続きまして5番目、「外国人患者の受入れ」でございます。訪日外国人、また在留外国人ともに増加傾向でありますが、外国人患者が安心・安全に日本で医療サービスを受けられるようにする必要性も高まっているということですので、環境整備を進めていくことを目指しまして、外国人患者の受入認証病院数を増やしいくとか、あるいは医療通訳の配置数、また、受入れ体制について協議をしている都道府県の数、こういったものを指標として施策を進めていきたいと考えております。
続きまして3ページ目になりますけれども、6番目の項目といたしましては「医療サービスの安定した供給」ということで、医療機関経営の安定化を図るということが一つ課題となっております。また、「持分あり」という医療法人も依然として残っておりますが、そういった持分ありの医療法人の場合は、持分の払戻しなどを請求されるリスクもあり、安定性に課題があると考えております。こういった「持分あり」の医療法人を「持分なし」の医療法人に移行していくための施策、税制優遇なども行っておりますけれども、こういったものも目標に掲げまして、指標としては11番目の病院経営管理指標の利用者割合、また、12番目の持分なし医療法人の移行認定数といったものを掲げながら進めていきたいと考えております。
続いて7番目の「女性医師の就業」でありますけれども、女性医師の割合は年々増加しておりますが、一方で出産・育児等による離職も男性陣と比べてありますので、こういったものを切れ目なく就業していただけるような形で支援していくことが課題であろうと考えております。そういった意味で、女性医師の離職割合というものをアウトカム指標として施策を推進していきたいと考えております。
続いて、8番目の「人口動態の変化を踏まえた医療提供体制」ということで、やはり人口動態が大きく変わっていく中で、引き続ききちんとした医療提供体制を整えていくということが最重要な課題でございます。こういったものを踏まえまして、医療計画に基づいて各都道府県で体制を整備していただきますけれども、細かく指標も設定をして、例えば、災害拠点病院、救命救急センターの耐震化率ですとか、災害派遣医療チームの養成数、へき地医療拠点病院の中での事業の実施、周産期の死亡率、幼児死亡率、また、地域医療構想に基づいて病院の将来構想も考えていくにあたって重点支援区域の設定、そして国から支援した事例数、こういったものを指標として設定して推進していきたいと考えております。
最後、9番目、「在宅医療・介護連携」ですけれども、医療ニーズと介護ニーズを併せ持つ高齢者が増加することが見込まれておりますので、医療と介護を一体的に提供できるような医療・介護連携が重要であると思っております。そういった意味で、在宅医療を提供できているかどうかということを目標といたしまして、在宅患者訪問診療件数をアウトプット指標として設定して、政策を推進していきたいと考えております。私からの説明は以上になります。
○印南座長
ありがとうございました。ただいまから御意見や御質問を伺っていきますが、課題が9つもありますので、まずは1の「医療の質向上に資する体制整備」から、5の「外国人患者の受入れ」までについての御質問、御意見等ありましたら、委員の皆様方、よろしくお願いします。田宮先生、お願いします。
○田宮委員
ありがとうございます。全体としては、とてもよく必要な部分を網羅できていると思いますが、幾つかコメントです。まず大きいところで1つは、ちょっとこのロジックモデルの使い方です。私はこの政策に当てはめた部分というのは専門家ではなくて、我々は医療の質の評価とかサービスの評価として、ヘルスサービスリサーチではよく使っていた部分に似ているのですけれども、そういうときにアウトカム評価というのはとても大事で、アウトカムというのは、本当にその対象者の健康状態とか、利用した人がどうなったかというのが本来のアウトカムなのですよね。
だから、そういう意味では、この中でアウトカムと書いてあるものの中であくまでこの政策の目標と考えられていて決して当事者の健康状況までを言っていない部分についてもアウトカムとすることが気になります。例えばその受診者数が増えたとか、2番の歯科口腔の実施施設が増えたとか、これは本当を言うとプロセスですし、アウトカムまでは。アウトカムは本当に齲(う)歯とか歯周病が減ったとか、そこまでいうのがアウトカム評価です。その辺の言葉の遣い方が今ひとつ、整理されて遣っているのかなとも思います。政策評価の上なので、これは半ば中間とか、本来の利用者のアウトカム評価というのはちょっと違っていると思います。例えば厚労省さんの「健康日本21」などは、本当にアウトカム評価をやったところに意義があるので、その辺は全体に通してなのですけれど、アウトプットとアウトカムの違いを意識されていれば、それは政策評価の上でのアウトカムということで、どこかで書いておいていただいたりすると、いわゆる利用者のアウトカム評価とは違うことが明らかになりよいのではと思いました。
それに関連すると、1番について、これはアウトプットが医療の質の向上のための協議会開催回数、これはアウトプットと書いてあるので、それは本当にそのもの、アウトプットだと思うのですね。ただ、ここはとても大事なところですし、実際にこの協議会で、どんなことが議論されているか、少し見てみたのですけれど。既に医療の質評価の指標が議論されていたということもあるようですので、開催回数だけですと全くこのクオリティが分からないので、例えば、必要な医療の質評価指標の策定に向けて、きちんと進んでいるとか、その協議が行われているとか、何か少し算定ができることを確認したとか、具体的にできないでしょうか。今はDPCとかレセプトデータで指標が出せるようになっていると思いますので、何かもう少し回数だけではなくて、アウトプットにしても策定に向けてフェージビリティ(実現可能性)を確認したとか、クオリティインディケーターが策定できているとか、何かもう一歩突っ込んでもいいのではないかなというのが1番に関連する具体的コメントです。
2番に対しては、先ほど申し上げたアウトカムとアウトプットという言い方でいうと、何かアウトカムのほうの何かもう少し、歯科口腔の健康格差は大きいので、齲(う)歯とか歯周病の地域間格差がなくなっていく傾向にあるとか、そういうところも歯科疾患実態調査などで見られると思いますのでそのようなもので本当のアウトカムを入れてもいいのかなと思いました。
そういう視点で言いますと、最後のほうの人口動態の変化を踏まえた-のところでは、周産期死亡と幼児死亡が入って、これは本当のアウトカムですね。こういうものがやはり情報として意義も大きく、そういう意味では歯科のところは、もう少しアウトカム評価をしてもいいのかなと思いました。大きく以上です。ありがとうございます。
○印南座長
ありがとうございました。担当課の方、お願いします。
○医政局総務課長
医政局総務課長でございます。御指摘ありがとうございます。まず、医療の質の指標の部分ですけれども、おっしゃるとおりアウトプットとして、協議会の開催回数以外に、もう少し踏み込んだものはないのかというところ、我々もなかなか悩ましいところで、いろいろ検討しているところでありますけれども、今、御示唆いただいたようなクオリティインディケーターの策定の議論の回数ですとか、いろいろもう少し踏み込めるところもあるかと思いますので、少しそこは検討させていただきたいと思います。
また、2番目の歯科口腔の地域間格差についてですが、これも本当に、なかなか悩ましい部分で、いろいろな要素が恐らく複雑に絡まってくるということで、政策評価に関してのアウトプット、アウトカムという意味で、おっしゃるとおり3番目に掲げておりますような歯科健診の受診者数というのは、ある意味で中間的なアウトカムだというように考えています。
そういった意味では、その政策効果という意味でのアウトカムと、それから利用者、患者様の視点に立ったアウトカムと、そこは違うということをしっかり意識しながら、政策評価全体の表記の仕方で、いろいろ限界もあろうかと思いますけれども、そこの意識をしっかりしているという点を、どう強調できるかというのは、少し工夫をさせていただきたいと思っています。ありがとうございます。
○印南座長
よろしいですか。田宮先生。
○田宮委員
是非よろしくお願いします。恐らく政策評価としてのアウトカムというのは分かりますので、そこが何だか分かるような説明がどこかにあるといいかなとは思います。あと是非、クオリティインディケーターについては、とてもここは医療全体に関わる、とても大事なところですので、もう少し踏み込んだ評価を御検討いただけるということですので、よろしくお願いいたします。ありがとうございます。
○印南座長
大西先生、お願いします。
○大西委員
やや、ちょっとミクロな指摘になってしまうかもしれないのですけれども、測定指標12の持分なし医療法人への移行認定数の件ですけれども、この問題といいますか、この課題については、割に民間レベルでの関心が一部では高くて、よく知り合いの税理士さんとかが、これをテーマにしたセミナーを開いたりされていますけれども。最終的な移行認定数というアウトカムは、当然一番重要な指標だと思うのですけれども、なかなか当初の特例期間内の移行認定数の想定どおりには、移行認定が進まなくて、調整期間は3年延長することになったという経緯から考えますと、最終的な移行認定数の手前の段階で、その移行認定を促進するために、どういう施策を試みているかといった部分に関する中間的なアウトプットとか、そういう中間目標的なアウトカムの指標なども参考指標レベルぐらいで設定すると、想定している期間内の移行認定数の実現に向けたプロセスが可視化されて、より望ましい結果に向けたプロセスが、可視化されるのではないかなということを少し感じました。
また、これで3年後に、なかなか移行認定がまだ半分ぐらいしか進まないので、「また3年延長します」で、「最終的な移行認定数はアウトカムとして設定しております」みたいな話が繰り返されるようなことになると、果たしてそんな手前の、今の段階での最終的なアウトカムのみを指標にする進め方が適切だったのかどうなのかという話になりかねないと思いますので、そういった観点からの指標の設定の在り方の検討が必要なのではないかなということを少し感じました。
○医政局総務課長
ありがとうございます。医政局総務課長でございます。御指摘の点ですが、先ほどの田宮委員の御指摘とも重なる部分があろうかと思います。もともとこの6番目の項目については、医療サービスの安定した提供ということで、医療法人が安定して経営していけるかどうかというところが究極の目標でございますけれども、そこの手前の中間的な指標ということで、正に先生がおっしゃったように、この持分なし医療法人の移行というものを、そのためのツールとして、我々は指標設定しているわけであります。
その更に手前ということで、こういった税制優遇の認定制度に認定された法人がどれだけあるかという、もう一歩手前の指標設定をしているということですので、そこの関係性を我々はしっかりと意識しながら、施策を進めていきたいと思いますし、また先生御指摘のように、もう一歩手前の目標設定といいますか、進行管理のための何か設定ができないかと、ここもちょっと意識しながら施策を進めていきたいと思っておりますが、ある意味ではこの持分なし医療法人の移行認定数自体が、かなり手前の部分に目標設定して、政策目標としての評価指標を立てているという部分もありますので、その位置付けをしっかりと意識しながら、施策を進めていきたいと思っています。
○印南座長
ありがとうございました。ちょっとお聞きしたいのですけれども、これは全部、本当は持分なしに移行するべきだという強い規範があるのでしょうか。そうだとすると単純に認定数だけではなくて、認定の比率みたいなものが本当は目標になるのかなと思ってしまうのですけれど、そこまでではないのですか。要するに、贈与税とかいろいろなもので税制優遇を受けなくてもよいと当事者が考えれば、それはそれで構わないという発想なのでしょうか。これはどちらなのでしょうか。
○医政局総務課長
医政局総務課長でございます。なかなか難しい実際の問題もあるかと思いますけれども、やはり究極の目的は、医療サービス、医療法人が安定的に運営できているかということかと思います。それで持分ありの医療法人で、持分をいきなり請求されて、地域医療が崩壊してしまうことをどう防ぐかが最終的な目標と考えますと、そういった事態にならなければ、必ずしも持分ありの法人がゼロにならなくてもいいのではないかという御意見も恐らくあろうかと思います。
一方で、我々としては、やはり持分ありの医療法人から、なしの医療法人に、究極は全て移行してもらいたいとも思っておりますので、そこは現実、何とか安定的に運営できている所も横目で見ながら進めていくのかなと考えています。
○印南座長
ありがとうございました。ほかに御質問や御意見等はいいですか。では、特に分けましたけれども、実質的には分けることに余り意味はなかったと思います。すごく盛りだくさんで、ここで多くの議論をするのはなかなか難しいのかなと思ってしまいました。どうもありがとうございました。担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析を。ごめんなさい、自分で言っておきながら。すみません、では後半で。佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員
産経新聞の佐藤です。ありがとうございます。大きな話と小さな話をします。施策目標1の箱の中を見ますと、「地域医療構想の推進等を通じ、新興感染症等への対応も含めた質の高い効率的な医療提供体制を整備するとともに、在宅医療・介護連携を図り、地域包括支援システムを構築すること」とあります。地域医療構想が法定化されて10年たつわけですが、進捗がなかなかはかばかしくないところです。
この間に新型コロナ感染症が起きて、人口当たりの死亡者数からすれば、世界的に見れば日本は大変良い成績だったわけですけれども、世の中の満足感は、そうでもないような気がします。コロナ前に地域医療構想が実現できていれば、「もっとうまくできたよね」というのは、都道府県も厚労省も、いたく感じているところだと思っています。
ですが、この目標にダイレクトに答える課題が、課題8と課題9にしかないのは、少し寂しいところだなと思いました。まず課題8ですけれども、とりわけ地域医療構想の確立という意味でいうと、更にダイレクトに答えるのは21、重点支援区域として支援した事例数、になるのではないかと思います。この目標数を見ますと、6年度に3例が挙がっています。数値は過去3年の平均値から出していますので、3年、4年、5年の数を計算して、平均値3例という計算をされたものと思いますが、過去3年間はコロナ禍で、こうした取組が極めて難しかったことを考えると、この3年間を平均した数値でよいのだろうかと疑問に思います。
前年、前前年の目標値を見ても、8例、6例、5例ときているところを見ると、マンパワーの問題として3例しかできないわけではないと思います。過去、地域医療構想を推進しようとしてきた厚生労働省の考えは、正しかったわけですけれども、それがなかなか進まなかった。それを、痛い思いで感じている都道府県と一緒にやっていくのは今しかないと思いますが、この数値は少な過ぎるのではないでしょうか、というのが1つです。
もう1つは、9.の在宅医療・介護連携です。在宅患者訪問診療件数が目標値に上がっていますが、これもコロナの話で恐縮ですが、実際に第5波、第6波のときに、訪問診療を医療機関にお願いしたところ、地域によっては医師会圏域で訪問診療のできる医療機関がありません、というような地域もありました。在支診ができたのが20年以上も前だということを考えると、この間に何をしてきたのかと思いました。訪問診療の件数を上げることも重要だと思いますが、地域によって偏りなく訪問診療のできる医療機関がないと、平時にも家で死ねないということになります。この指標についてもう少し、訪問診療の総件数ではなくて、広がりという意味で満遍なくあるかどうかを測る目標値を掲げることはできないでしょうか。以上、2点です。
○印南座長
お願いします。
○医政局総務課長
医政局総務課長でございます。まず1点目の御指摘ですけれども、地域医療構想の重点支援区域として支援した事例数、この目標設定が少し少ないのではないかという点でございますが、確かにコロナ禍で、なかなかこういった協議が進まなかった所をベースに設定するというのが、目標としては低過ぎるのではないかという御指摘も、もっともなところかと思います。
ただ一方で、こういった協議を進めていくためには、なかなか短期間で進まないという事情もあろうかと思います。そういった意味で、ここの目標値の設定というものは、なかなか難しいところもあろうかと思いますが、一方で2025年を目指して、地域医療構想を進めているわけですけれども、これを最後の追い込みといいますか、どのようにもう一踏ん張りしていくのかということは、委員御指摘のとおり、非常に大きな課題だと思っておりますし、またこの先もどうしていくのかということも、よく考えていかないといけない課題でありますので、そこはこの政策評価の指標の中で追っていくということだけではなくて、我々は将来的な施策として、しっかりと改めて進めていかなければならないと考えております。
そういった点については、骨太の方針ですとか、あるいは改革工程表、そういったところでも、我々なりにいろいろなディスカッションをしたものを、将来の方向性として示しているところでもありますので、そういった動きと合わせて、しっかりと推進をしていきたいと思っています。
また、この政策評価の中で、この目標値をどうするかというのを、改めてまたよく議論をしたいと思いますけれども、委員もおっしゃるとおり、地域医療構想の推進を通してと書いていながら、そこの指標が少ない、あるいは重みが余りないのではないかと捉えられるのも、我々の本意でもありませんので、例えばこの重点支援区域の21区域の指標も、少し重点的な項目として位置付けるとか、そういった全体の中でのバランスもありますけれども、そういったところは一度、考えてみたいなと思っています。
また、在宅の件数の部分ですが、こちらについて地域の偏りとか、そういったものも課題だというのは御指摘のとおりだと思います。これもまた政策の指標として、どういうものができるのかというのは、もちろんすぐに、こういった指標が使えるというのが、なかなか現時点での私の頭の中に思い付かないところではありますけれども、その御指摘自体は大変そのとおりだと思いますので、施策を進めていく中で、何か工夫できないかということは考えてみたいと思っています。
○印南座長
よろしいでしょうか。ありがとうございました。大変失礼いたしました。それでは担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。それでは次のテーマに移りたいと思います。
続きまして、施策目標I-1-2、「医療従事者の働き方改革を推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
○医政局医事課長
医政局医事課長の林でございます。資料に基づいて、まず簡単に御説明させていただきます。資料2-1、2ページに事前分析表の概要を書いております。「医師の働き方改革」については、医師の長時間労働によって医療が支えられている中で、医療の高度化、少子化に伴う医療の担い手の減少が進むなど、医療を取り巻く環境が変化していること。そして、医師の働き方改革の推進は、医師自身が健康で充実して働くことのできる環境を整備していくだけではなく、医療を受ける立場にある患者側にとっても、質の高い安全な医療を持続可能な形で受けていただくために必要であること。こうした認識の下、令和6年4月、正にこの4月から医師に対する時間外・休日労働の上限規制の適用が始まるということです。医師の長時間労働の背景につきましては、医療機関の内側の業務や組織マネジメントの課題、そして地域側の医師の需給や偏在、養成の在り方、あるいは医療のかかり方、医療・介護連携などを含めて、地域側の課題、そして国民の医療のかかり方、国民の意識や行動といった課題、こういうものが絡み合って存在していると考えているところです。
こうしたことから、医療機関側の取組も必要ですし、国民、患者さん側の理解や協力を得ることも必要だということ。そして、医師だけではなくて、様々な看護職をはじめとした業務についても効率化を図ることが必要。こうした広がりをもった課題だというように考えております。
現在の取組ですが、ここに書いてない前提としまして、資料の3、4ページにありますような、時間外労働の上限規制、健康確保措置、こうしたものを法律上のルールとして4月から施行するということです。一般的には、年の上限時間720時間が上限ですけれども、医師の場合は960時間、そして特に必要な場合、あるいは医事の向上のために必要な場合には1,860時間までという、年の上限時間を運用していますけれども、そのための様々な条件とか医療機関の取組なども併せて義務付けられています。こうしたルールを施行していくということを、今取り組んでおります。
そうした中で、2ページに戻りますけれども、病院長などを対象とした労務管理に関する研修の開催、そして「医療勤務環境改善支援センター」の運営支援、こうしたことを通じて、医療機関のルールの適用、そして長時間労働の削減に取り組みやすくしていく、あるいは取り組むための推進力を高めていく、そういう取組をしております。そして国民、患者さん側に向けても、様々な普及啓発事業等を行うことで理解を深めていただく取組をしております。
このロジックツリー自体、こうしたことから大きく医療側の課題、国民側の課題と分けております。課題1として、上限規制適用開始に向けて、個々の医療機関は労働時間短縮・医師の健康確保措置の整備を進めているが、医師の働き方改革に関する取組が十分でない医療機関もあるということで、達成目標としては、医療機関の勤務環境にかかる管理者の意識改革を挙げさせていただき、それに関する指標を提示しております。
課題2は、医療従事者の働き方改革の推進に当たっては、国民が安心して必要な医療を受ける観点からも、国民の医療のかかり方の適正化が必要というように挙げさせていただいて、これに関する達成目標としては、医療のかかり方に関する国民の理解促進、これもなかなか測定しにくいものですけれども、様々な普及事業等の進捗を資料として挙げております。説明は以上です。
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御質問やコメント等がありましたらお願いします。佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員
ありがとうございます。一番知りたいのは課題1のほうで、本当に実現できるのかということですけれども、義務がかかっていますので、なかなか目標値に挙げるのも難しいのではないかと思います。
課題2の4「上手な医療のかかり方」公式サイトアクセス数とありますが、サイトへのアクセス数が本当に国民の理解促進を図ることになるのかというのはやや疑問のあるところです。この公式サイトを見ますと、基本的には、例えば救急安心センター事業♯7119とか、こども医療電話相談事業♯8000につなげるようなものになっています。そう考えると、人間の行動の方に着目して、こうした電話相談へのアクセスが本当に上がったのかどうかを見る方が、国民の理解の促進を測る指標としては適切ではないかと思います。♯7119を上げるのはなかなか難しいかと思いますけれども、♯8000のほうで何らかの指標を作ることはできないのだろうかと思いました。以上です。
○印南座長
いかがでしょうか。
○医政局医事課長
この右側の理解促進ということの指標を何にするかは、なかなか一長一短あって難しい問題だと思っております。ここの理解促進ということから、理解度を測る、あるいは国民の皆様の行動の広がりや変容を測ることがアウトカムとして最もふさわしいと思いますし、そういう指標を測ることがなかなか難しい中で、ここの公式サイトアクセス数のような、私たちが計測しやすい指標を挙げさせていただいているのが現状だと思いますけれども。今、♯8000番の件数とか、そういったここ以外の御提案も頂きましたので、そういうものが可能か、あるいはここの中身につながるか、私どもの中でももう一度検討させていただきたいと思います。
○印南座長
ほかはよろしいでしょうか。田宮先生、お願いします。
○田宮委員
ごめんなさい。ちょっと音声が割れてしまって聞き取れてなかったところもあるのですが、私も3番目の医療のかかり方の国民の理解の所の指標については疑問を持っておりまして。今の議論とほぼ似ているのですが、特に同じようなやり方を繰り返すのであれば、比較するためには、対象集団をやはり意識するべきだと思います。今回、この指標を取られた、Nもそんなに多いわけではないですけれども、全国でどんなふうに抽出しているのか、年齢層でサンプリングしているのかとか、その辺の情報があればと思います。この指標でいくのであればNを多くして、なるべく代表性が、あと地域差とか含めて分かるように意識していただきたいと思うのです。現在のこの取り方については何か情報が、資料に少しありますけれども、もう少しありますか。頂けますか。
○医政局総務課長補佐
ありがとうございます。医政局総務課の片岡です。現在の調査につきましては、この特性、属性の所になるのですけれども。例年、国勢調査を基にアンケートを実施しています。現在ですと令和2年の国勢調査の、都道府県別の人口とか男女比を基に、各都道府県において、国勢調査と同じような回答数が得られるような形で集計をさせていただいておりまして、この特性、属性につきましては、毎年ほぼ同じような属性の方にアンケートを取らせていただいている形になっています。御指摘いただきましてありがとうございます。そのため現状としては、完全に同じ方にアンケートを取っているわけではないのですが、男女比とか都道府県別の回答数については、毎年同じような属性の方に取らせていただいているものです。
○田宮委員
分かりました。できるだけ改善をお願いします。
○印南座長
大西先生、お願いします。
○大西委員
御説明ありがとうございました。ほかの施策目標の議論の中でも最終的なアウトカムと、それからそこに至るまでの中間的なアウトプット、ないしアウトカムの指標をどれだけバランスよく設定できるかということはよく議論になる課題ですけれども、この施策目標に関しては、ちょっと2つの課題ともにやや中間的な指標のほうに偏りすぎている印象を受けておりまして。さりながら、最終的なアウトカムの指標をうまく設定することも、特に課題1などに関しては、これから施行される課題でもありますから、なかなか難しい面はあるかと思います。それでも、例えば課題1に関しては、特例、A水準からC水準までの申請許可適用状況とか、それぞれの水準が適用されている医師数の変動割合のようなものを何らかの指標の形で、現時点でも設定することは可能ではないかなと。厚労省のほかの検討会とか、あと、全国医学部長病院長会議が調査した、全国の大学病院の医師のそれぞれの上限規制が適用されている医師数の割合とか、そのような調査は結構もう一般に公表されたりしているようですし。
また課題2に関しても、例えば救急の件数とか、その救急の出動件数の中でどういった出動理由によるものが多かったとか、そのようなことから、国民の上手な医療のかかり方という施策目標の実現に向けた適切なプロセスを、今辿っているのかどうかといったことを指標として測ることも可能なのではないかと思いましたので、そうした観点から、もう少しそれぞれの課題の最終目標に近い測定指標の設定の在り方を検討していただいてもよいのではないかと感じました。以上です。
○医政局医事課長
ありがとうございます。課題2はこれまでのディスカッションでも少し触れましたので、課題1を中心にお答えしようと思います。まず、御指摘は大変おっしゃるとおりだと思っております。最終的なアウトカム、これは労働時間の長い方を減らしていくことを目標としている施策ですので、それ自体を指標とできないかということを考えるのがまずは自然だと思いますし、そのための様々な行政の手続、あるいは医療担当決めが進んでいるかということを、その中間的な指標に掲げるのがより妥当ではないかという御指摘でしたら、大変もっともだと思っております。
労働時間を掲げることについて検討していくと、医療機関側が労働時間を把握していないとか、今正にこの施行に向けて把握をするところからしっかり始めていくフェイズの段階でございまして。下手に医療機関側が把握をしている労働時間は、実態よりも非常に低い場合もあったりして、これ自体を下げることが目標にしにくい状況にあったということ。他方、医師の側が感じている労働時間を調査するということもやっているのですけれども、なかなかこれは毎年やるのが困難で、3年に1回やらせていただいているということもあって、3ページの資料の、病院常勤勤務の約4割が年960時間超、約1割が年1,860時間超の時間外・休日労働。これは令和元年の調査ですけれども、実は令和4年の調査ではこれが大体半減してきていて、そうした意味で私ども、こうした時間が減っているかどうかは非常に重視しながら、3年に1回ぐらい調査をしていく中で大変重視をして、指標として私たち自身は取り組ませていただいているところです。
その上で、施策を進める上でのいろいろな手続が進んでいるかということに関しては、正に今年度はこの連携B水準などの申請がどうであるといったことについて、年を単位としてというよりは、月を単位として確認をしながら、この4月に向かって進めているところですので、そこも内部的にはやらせていただいているのですけれども。そもそも多いほうがいいのか、少ないほうがいいのか、そうした価値観の妥当な水準が明確ではないことであるとか、またこれも年ごとの指標としては妥当ではないといったことで採用させていただいていないところです。御指摘は本当にそのとおりだと思っておりますので、この紙に表現することができていない部分も含めて、私たちのほうで心してしっかりやらせていただきたいと思います。
○印南座長
ほかに御意見等ございませんでしょうか。よろしいですか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いします。次のテーマに移りたいと思います。
続いて、施策番号I-9-1、「革新的な医療技術の実用化を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室長
医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室長です。資料3-1です。事前分析表の概要のうち、2ページ目のポンチ絵を中心に御紹介させていただきます。施策目標は、「革新的な医療技術の実用化を促進するとともに、医薬品産業等の振興を図ること」です。
達成目標を2つ設定しています。1つ目は、左側にお示ししている我が国の創薬、医薬品の研究開発に関する取組です。医薬品産業は、国民の生命、健康に直結する重要な産業です。一方、3ページに折れ線グラフがございますが、「日本起源医薬品の世界医療用医薬品市場シェア」のとおり、日本で開発される医薬品のシェアが年々低下傾向にあり、2000年の12.1%から2021年には9%に減少しております。
背景には、世界市場において売上高上位を占める医薬品が、バイオ医薬品などの新たなモダリティと言いますか、革新的な技術を活用して開発された新しい世代の医薬品の割合が増えてきています。一方、日本では大手製薬企業による新しい技術への投資が遅れており、その結果、世界的な創薬の潮流から後れをとっており、創薬力の低下が指摘されております。
別の背景を4ページ以降に記載しております。欧米では、ベンチャー企業、スタートアップ企業による医薬品の研究開発が多くなってきていることに対して、具体的には、6ページにデータをお示ししております。左側のグラフで示されているとおり、日本ではベンチャー企業による開発の割合が2%と非常に低く、ベンチャー企業の育成やエコシステムの構築が十分とはいえない状況であることも指摘されております。
こうした現状を踏まえ、次の7ページに記載しておりますが、医薬品産業を強化する観点から、医薬品産業強化総合戦略に基づき、AIやがんゲノム医療の進展など治療や開発アプローチの変化を踏まえ、低コストで効率的な創薬を実現できる環境整備を進めるとともに、厚生科学審議会臨床研究部会において取りまとめられた「臨床研究・治験の推進に関する今後の方向性」等も踏まえ、更なる臨床研究や治験に関する取組を進めています。
次のページです。アカデミア等で発見された研究成果等の優れたシーズの実用化を促進して、医薬品・医療機器等の研究開発の実用化を目指すベンチャー企業を育てるエコシステムの確立を目的として、エコシステムを醸成する制度づくり、エコシステムを構成する人材育成と交流の場づくり、「オール厚労省」でのベンチャー支援体制の構築の3つを柱とした取組を併せて行っております。
こうした取組を踏まえ、達成目標1としては、医薬品・医療機器産業の振興及び革新的医薬品・医療機器の創出促進として、複数の測定指標を置かせていただいております。それぞれの測定指標や達成事項については資料3-2にお示ししておりますが、御説明は割愛させていただきます。
もう1つの達成目標は、後発医薬品の使用促進に関する取組についてです。9ページの「後発医薬品の使用促進」です。後発品の使用促進に関しては、先発医薬品と比較して薬価が低い後発医薬品を普及させることにより、患者の経済的負担の軽減、医療保険財政の改善、健全化を図るために従来から促進しております。副次的な効果としては、効率化できた医療費を新しい技術や革新的新薬の開発に向けることも可能となるものです。
直近のデータでは、9ページの右上のグラフのとおり、数量ベースの使用割合が8割を超えています。一方、右下のグラフのとおり、都道府県間での使用割合にばらつきがあるなど、引き続き、後発医薬品の使用促進を図っていく必要があるとしております。そのため、達成目標2では後発医薬品の使用促進を掲げて、各都道府県で取組を図る観点から、後発医薬品安心使用促進事業の実施都道府県数と後発医薬品の使用割合の2つを評価指標として設定させていただいております。御説明は以上です。
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明について、質問やコメント等をお願いいたします。佐藤先生、お願いします。
○佐藤委員
御説明ありがとうございました。測定指標に挙がっている指標は、どれもチャレンジングな感じがいたしました。一方、目標値に掲げているのは前年度以上で、指標がチャレンジングな割に数値は余りチャレンジングでない感じがいたしました。数値設定はこれでいいのかというのが1つです。
課題1の測定指標の箱の中を見ると、チャレンジングなものがばらばらと上がっています。この目標を達成するためにはこういうものが必要だから、その前段階としてこういうことを達成する、というような形にしていかないと、なかなか数字が上向いてこないのではないかと思いました。
特にチャレンジングだと思ったのは、測定指標の8、9辺りです。バイオシミラーに関する部分です。8が上がると9が上がると考えていらっしゃるのかどうか。因果になるような指標をアウトプット、アウトカムとして載せるのがいいかと思います。ただ、必ずしも8がうまくいくと9がうまくいくわけではない感じがしました。
具体的にバイオシミラーの置き換え率についてですが、令和11年度末までに60%以上と書かれています。この数え方ですが、現状、バイオシミラーは18成分だと思うのですけれども、6割だから11成分で80%以上の置き換え率という認識で正しいでしょうか。現状、多分1つもないのではないかと思います。令和11年度末までに60%以上は結構チャレンジングな目標だと思いますので、これを達成するために、先ほど一般論として申し上げた前段階の目標設定のようなものをする必要があるのではないかと思いました。
もう一点は、12の後発医薬品です。80%目標を変える話がされていて、また、後発医薬品周りでは後発医薬品が足りないという話が最も旬な中で、例年と同じく後発医薬品の使用割合を掲げるのは、しかも、アンダーラインを引っ張って主要目標に掲げるのはいかがなものかと思いました。以上です。
○印南座長
お願いします。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室長
御指摘いただきありがとうございます。まず、バイオシミラーに関して御指摘いただいたので、その点についてお答えいたします。初めにおっしゃっていただいた8番と9番の目標がそれぞれリンクしているのかという点については、御指摘のとおり、必ずしも8と9が連携していると言いますか、8が上がれば9が上がるという形で連動するような数字ではないというふうに理解しております。
8番については、どちらかというとメーカー側のバイオ医薬品の製造技術の向上を図るための取組です。一方、9番については、どちらかというとバイオ医薬品の普及を目指すものです。関連しておりますが、必ずしも数字として連携してくるものではないというふうに理解しております。
また、9番のバイオシミラーの目標の数え方です。考え方としてはおっしゃっていただいたとおり、例えば、今18成分あるのであれば、11成分で80%以上置き換わるのは数え方としては正しいです。一方、この後もバイオシミラー自体は80%にならなければいけない成分数が増えていくことになります。そういうこともあり、なかなか後発品と同じように数量ベースで全体が80%という設定の仕方が難しいという問題もあり、少し変わった形ですが、今回はこのような設定の仕方をさせていただきました。ちなみに、数品目ですが80%を超えているものもございます。これをできるだけ増やしていきたいというふうに考えております。
それから、後発医薬品の目標についてです。御指摘いただいたとおり、現在、医療用医薬品において大規模な供給不安が発生しており、後発医薬品でその割合が特に高いことが問題になっています。
私どもとしては、この政策目標とは別の取組ですが、現在、供給不安を解消するために様々な取組を行っております。今の医療用医薬品は1万数製品ございますが、こちらの供給状況を調査して医療現場に情報提供する、あるいは、足元の供給不安で特に不足が言われている解熱鎮痛薬や鎮咳薬などについては、メーカーに対する増産を支援するための補助事業などを実施して、できるだけ解消に努めているところです。それを進めるとともに、後発医薬品の使用促進についても、可能な範囲で実施していきたいというふうに考えているところです。お答えとしては以上です。
○印南座長
お願いします。
○佐藤委員
指標の前半部分、指標設定はチャレンジングなのですが、数値の設定が前年度並みということで、こちらは余りチャレンジングでないのですけれども、もう少し何か数字が入ったりしないのでしょうか。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室長
ありがとうございます。前半部分の所で、指標の項目ではなく設定数値を前年度と比較というところで提示させていただいています。おっしゃることはごもっともかと考えておりますが、我々として、研究の推進という観点から、前年度と比較して更に一歩進んでいるところが、一つ指標になるのではないかと考えているので、こういう形で設定させていただいております。
○佐藤委員
もう1つありました。バイオシミラーについては、この目標値の手前に何らかの目標を設定する必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室長
御指摘ありがとうございます。バイオシミラーの使用促進に当たっては、9番に掲げている目標を設定するとともに、現在私どもは、この目標を達成するためのロードマップと言いますか、工程表を作成する業務を進めております。後発医薬品の使用促進のときにも同じようなことを実施していたのですが、そちらと同じような取組をバイオシミラーでも実施して、その工程表に従って目標を達成するように進めていきたいと考えております。
○印南座長
ほかにいかがでしょうか。大西先生、お願いします。
○大西委員
御説明ありがとうございました。私もこの政策評価は2期目になるものですから、毎回、この測定指標、11と12に関しては度々同じような疑問を口にすることが多いのですが、たまたま後発医薬品の使用割合が低い県と地縁、血縁がある関係もあり、この県はなぜこれほど低いのだろうということを、いつもデータを見ながら感想レベルで思っていたところです。
測定指標の11に関しては、数値がここ数年なかなか変わっていないようですし、促進事業の実施にまだ至っていない都道府県に対する重点的な何らかの対応、使用割合が相変わらず低い県に対する何らかの重点的な対応が必要なのではないかと。この測定指標の設定の在り方とは別の問題になるかもしれませんが、ここ数年、達成目標2を観察してきた立場としては思うところがあります。以上です。
○医政局医薬産業振興・医療情報企画課ベンチャー等支援戦略室長
御指摘いただきありがとうございます。御指摘のとおりかと思います。先ほど説明が少し漏れてしまったのですが、実は、先ほど回答させていただいたバイオシミラーの工程表の作成とともに、今、現行の後発医薬品の使用促進のロードマップについても、併せて見直しを進めております。その中で、御指摘いただいたような点についても、どういう対応ができるかを検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
○印南座長
ほかによろしいでしょうか。田宮先生、よろしいですか。
○田宮委員
すみません。多分、こちらの問題かもしれないのですが、途中で音声が聞こえないところがありました。もうお話が出ていたかもしれない、大体、聞こえたつもりですが、やはり、今、世界の中で日本の創薬が遅れているのはすごく大きい課題と考えております。それには海外との情報交換や日本の認証機構のやり方などもあり、私はPMDAの評価にも関わっているのですけれども、かなり危機感を持って進めておられると認識しています。
がんセンターでも、がんの創薬について同じような認識を持っておられるので、資料の中に「オール厚労省」で頑張るというようなことが書いてありましたので、このままいくとかなり危機感が大きい課題だと思うので、ぜひ連携をとって頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。
○印南座長
何かありますか。ありがとうございます。担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。次のテーマに移りたいと思います。
続きまして、施策番号I-11-1、「新興感染症への対応を含め、地域住民の健康の保持・増進及び地域住民が安心して暮らせる地域保健体制の確保を図ること」について、担当課から5分程度で説明をお願いします。
○健康・生活衛生局健康課長
健康・生活衛生局の健康課長でございます。私のほうからは、今お話がありました新興感染症への対応を含めた地域保健体制の確保について、現状、また目標設定、取組状況について御紹介をさせていただければと思います。
資料4-1の2ページを御覧ください。1.の保健所全体の話と、特にその中でも感染症、健康危機対応に関するものに大きく分けて整理をしております。まず、1.の全体の話ですけれども、地域保健の状況全体としては、いわゆる疾病構造、人口構成が変わる中で疾病構造の変化も含めて地域保健をめぐる状況が大きく変わってきております。そうした中で平時の対応だけではなく、当然危機管理として感染症対応も非常に重要になってきているという状況です。
2つ目のポツで、保健所数自体はほぼ横ばいですけれども、その中で地域保健を担う中で重要な役割を果たしている保健師の数につきましては、令和3年末時点で2万7,979人と、過去5年で微増傾向となっております。体制整備という形で保健所の箇所数や人員の保健師の数をお話させていただいたのですけれども、保健所、本当に様々な取組をやっておりますけれども、真ん中の所で、会議をすればというものではないと思うのですけれども、数値としてお示しできるものとして地域保健医療協議会の開催回数、地域・職域との連携の会議の回数等は示しているとおりです。
次の2.の感染症対応につきましては、次の感染症への対応として保健所の体制強化は非常に重要だと我々としても考えております。2つ目のポツで、そのために地方財政措置として、保健師の増員について措置をしているという状況です。また、保健所等の地方自治体の職員だけではなく、3つ目のポツですけれども、いわゆる応援派遣体制の構築が重要だと思っておりまして、今回の制度改正の中で、IHEATと呼ばれる学会・関係団体等から派遣可能な方を事前に登録をし、研修をしていくということをさせていただければと思っています。
そうした2つの観点で目標設定等をさせていただいております。課題1につきましては、アウトカムの所で市区町村の保健師の数をアウトカムとさせていただき、2つ目として、いわゆる分野横断的に様々なことを理解し、対応できる統括保健師の配置というのが、保健所若しくは地域保健の機能を発揮する上で重要だと思っておりますので、そちらを測定目標としております。課題2につきましては、先ほどお話させていただいた外部からの応援する方に、人数というよりはきちんと研修を行っていくことが、緊急時にしっかり対応する上では重要だと思っておりますので、まずそうした研修をしっかり行っていただいている自治体の数をアウトカムとして設定している状況です。私からは以上です。
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明につきましては、御質問や御意見等があればお願いしたいと思います。
○佐藤委員
産経新聞の佐藤です。御説明ありがとうございました。測定指標1、保健所保健師及び市区町村保健師数についてお伺いします。この数ですが、資料4-1の5ページに書いてある令和5年度3,150人を目標にしたものに対応する数字が、1.の3番目のポツの3,950人で、それを上回って現状きているという読み方でいいでしょうか。
○健康・生活衛生局健康課長
すみません。御質問の趣旨が。もう一度お願いしてもよろしいですか。
○佐藤委員
測定指標1、保健所保健師及び市区町村保健師数とあって、保健所の保健師さんと市区町村の保健師さんを両方合わせてアウトカムしようという狙いで、それ自体は良いと思います。市区町村の保健師さんも保健所の保健師さんも、ともに増やしていくことが重要だというのはそのとおりだと思います。一方で、大括りにすると、それぞれがどうなっているのかが見えなくなってしまいます。保健所の保健師の数が、これを目標としたらこうなった、市区町村の保健師は、この数がこう推移したということが見えたほうがいいと思うのです。その点でいうと、保健所保健師数は、概要の1.の3番目のポツに丸括弧があって、全国の常勤保健師数は令和3年度末時点では2万7,979人で、丸括弧の中に都道府県が設置する保健所に3,950人とあるのですけれども、これに対応する数が、事前分析表のポイントの5ページの令和5年度に3,150人と掲げているものがここまで伸びたと理解すればいいのでしょうか。
○健康・生活衛生局健康課長
十分理解できているかどうかはあれですけれども、今お話いただいたとおり、様々な所で保健師が活動して、その総数としたものを目標としては掲げている状況で、地財措置をされているものについては感染症対応業務に従事する保健師をという形で、地財措置としてはされているという状況です。それが、本当に地財措置をされている方が、今後雇われる方が感染症対応業務なのか、どこに配置されているのかというところまでは、その目標の中で示されてはいないのですけれども、でも、全体としてやはり感染症対応若しくは地域保健全体の体制評価をしているという意味では、保健師総数を評価していくことが妥当ではないかと思って、こうしした目標設定をしているところです。お答えになっているかどうかは分かりませんけれども。
○佐藤委員
ありがとうございます。私のほうの理解が足りないのかも知れませんが、そうしますと、令和5年度に3,150人と挙げたほうの数値は、これは、この後推移はどうなったのですか。
○健康・生活衛生局健康課保健指導室長補佐
担当しております、健康・生活衛生局健康課保健指導室の尾川と申します。今、御指摘いただきました5ページ目の地財措置に関する人数の所で、令和5年に3,150人と書いている所について御指摘をいただきました。こちらは地方財政措置でございますので、この程度の人数を増員できる措置を講じているということでして、実際それぞれの地財措置の交付団体の自治体において、このとおりに増やしてくださっている所ももちろんありますし、それとは違う対応をしている所もあると承知をしております。ただ、こちらとしましては、保健所で感染症対応に業務する保健師さんが必要です、そのために、これだけ人が付けられるように地財措置をしますとしておりますので、それらについては別途総務省と共同したフォローアップの調査をしているところです。
○佐藤委員
問題意識としては初めから申し上げているとおり、指標を大括りに作るのではなく、個別に作ったほうがいいのではないかということです。今おっしゃられたように、3,150人のほうは、地財措置にすぎないので、こちらの目標設定には入らないということであれば、保健所保健師の数なり市区町村の保健師の数なりと分けて出すことが必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○健康・生活衛生局健康課長
御指摘ありがとうございます。これは、本当に評価をする上で、項目をどれだけ細かく出し見ていくのか、それとも、大括りで見ていくのかというところの問題だろうと思っています。テーマとして地域保健体制という、これだけでも本当に大きいテーマの中なので、それを市町村と県のところで分けたほうがいいかどうかということについては、検討させていただければと思います。どこまで細かく分けてみるのか、全体を捉えて評価をしていくほうがいいのかというところだと思いますので、御指摘を踏まえて検討させていただければと思います。
○佐藤委員
ありがとうございます。もう一点、ごめんなさい。参考指標の3ですけれども、保健師未設置又は1人配置市町村数は、参考指標というよりも測定指標にすべき項目ではないかという気がしますが、いかがでしょうか。
○健康・生活衛生局健康課長
御指摘ありがとうございます。これは資料の右側の所で選定理由を書かせていただいているので、そこを御覧いただければと思っています。そうした御指摘があることは、我々ごもっともだと思っているのですけれども、やはりそこに記載のとおりですけれども、保健師が2名以上で配置されていることだけをもって、直ちに保健師が確保できていないと評価することはなかなか難しく、様々小さい所を含めていろいろな事情があるので、これを絶対的な指標としてやっていくことが本当にいいのかというと、様々な事情もあるので、あえて指標そのものにはしていないという状況ではございます。
○印南座長
よろしいですか。大西先生、お願いします。
○大西委員
御説明ありがとうございました。測定指標4に関してお尋ねします。単純に質問というレベルの話になりますけれども、IHEAT研修を年に1回以上行っている保健所設置自治体の数は、確かにこれを見ると少ないなというのが率直な第一印象ですので、一番重要な指標にはなるのだろうと思うのですけれども。現状ではなかなか数値の取りまとめなど難しいのかもしれないですけれども、これこそ、例えばIHEAT研修に参加した保健師等の実人数、あるいは研修に参加された方の参加者の満足度調査とか、そういう指標を設定するのにふさわしい達成目標なのではないかということを感じたものですから、そういった観点の測定指標の設定は、まだ現時点では時期尚早とお考えになっておられるのか、その辺りについて所管課の見解をお伺いしたいと思います。
○健康・生活衛生局健康課長
御指摘ありがとうございます。人数で見ていくのか、回数で見ていくのかという御指摘だと思っております。やはり大きい自治体が参加人数を多くして、トータルとして人数が多く見えていくことがいいのかどうか、なかなか難しい議論だと思います。我々、今問題意識があるのは、やはり保健所単位できちんとやっていただくことが重要なので、研修をやっている自治体数で見ていくのが今は妥当ではないかと思っておりますが、御指摘を踏まえてよりよい指標がないかというのは考えさせていただければと思っております。以上です。
○印南座長
ほかいかがでしょうか。私からよろしいですか。今の保健所の指標ですけれども、見ると現在基準値が19自治体で、目標はまずは前年度の実施自治体数を超える。自治体の数に比べてすごく保守的な目標ではないのでしょうかというのが素直な感想ですが。
○健康・生活衛生局健康課長
御指摘ありがとうございます。制度改正当初なので、数値目標、当然全部をやっていただくことが理想の中で、どこに設定するかという御指摘だと思っています。全自治体と書くのが当然ではないかと言われてしまえばそうかもしれないですけれども、これは制度改正されて、今取り組んでいただいていますので、その実施の伸び具合を見ながら、どういう設定がいいのか検討させていただければと思います。以上でございます。
○印南座長
ほか、よろしいでしょうか。田宮先生、ありますか。
○田宮委員
ごめんなさい。また議論、細かいところまで聞こえなかったところもあるので恐縮ですが、これもともと保健所の保健師を増やすという政策ですよね。今、市町村の保健師とのバランスの議論が出ていたと思うのですけれども、現在、感染症について都道府県の保健所の保健師がやることになっていて、対人サービスの市町村よりもそちらの強化が必要ということでこの施策になったのかと理解しています。その辺、市町村の保健師とのバランスにおいては、県の保健所での機能強化ということで大丈夫でしょうかね。その辺は、認識していただければと思って。両方必要ですけれど、これについては都道府県の保健師がメインかなと思っていました。
○健康・生活衛生局健康課長
施策目標1を改めて御覧いただければと思っております。新興感染症対応を含め、地域保健体制の確保という大きいテーマでありますので、昨今の社会情勢として感染症対応が非常に重要で、保健所の強化というのは非常に重要というのは我々も理解するのですけれども、地域保健体制全体となると、市町村を含めて評価をしていきたいと今のところは考えております。以上でございます。
○田宮委員
特に保健所保健師と書いてしまうと、狭めている気もしますね、そうすると。
○健康・生活衛生局健康課長
おっしゃるとおり書き方はあるかもしれないけれど、指標設定の所を御覧いただければと思います。これは、保健所及び市町村の保健師数という形で幅広く。
○田宮委員
入ってますよね。そうなんですよ。そうしたら、保健所保健師を増員と余り書かなくてもいいのではないですかね。さっきおっしゃったように、感染症に対応できるという。
○健康・生活衛生局健康課長
実際に保健所と市町村の業務範囲との関係ではないかと。記載は、正確に書き分けられるよう、より工夫を考えさせていただければと思います。以上です。
○田宮委員
そうですね。はい、お願いします。
○印南座長
ほか、よろしいでしょうか。それでは、ありがとうございました。担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。 次のテーマに移りたいと思います。
施策番号Ⅰ-11-3、「総合的ながん対策を推進すること」について、担当課から5分程度で説明をお願いいたします。
○がん疾病対策課課長
がん疾病対策課長です。それではお手元の資料に沿って、がん対策について御説明します。「総合的ながん対策を推進すること」ということが施策目標となっておりまして、その概要として大きく3本柱があります。1つ目はがん検診の推進、2つ目はがんの医療体制の均てん化・集約化、3つ目が患者さんの生活の質の向上、こういう3点になっております。
それぞれに呼応する形で達成目標というものを設定しておりまして、がん検診については、がんの早期発見・早期治療を目指すことで、がんの死亡率、死亡者の減少を実現すること。2点目は、医療体制のところでは、拠点病院との役割分担等を踏まえた集約化を推進すること。3点目は患者さん、家族の生活の質の向上を目指すということになっておりまして。
それぞれ測定目標がありまして、がん検診については3本、がんの年齢調整死亡率や、受診率、あるいは精密検査の受診率ということです。2つ目の医療体制についても、がんの年齢調整死亡率に加えて、役割分担に関する議論が行われている都道府県の数ということを示しております。3つ目の生活の質の向上ということで言えば、やはり仕事と治療の両立ということが非常に重要な観点ということで、それに着眼した測定指標、それに加えて自分らしい日常生活が送れていると感じていただいている患者さんの割合であったり、小児世代に着眼したような指標、そして、がんの治療をすると髪の毛が抜けたりだとか、爪が剥げたりだとかしますので、そういった外見の変化に伴う相談の患者さんの増加数、こういったことを測定指標として設定をしているところです。概要は以上です。
○印南座長
ありがとうございました。ただいまの説明について、御質問とかコメントがあればお願いいたします。
○佐藤委員
御説明ありがとうございます。産経新聞の佐藤です。測定指標1にアンダーラインが引っぱってあります。がんの年齢調整死亡率です。数値を見ますと、がんの年齢調整死亡率、数値が前年度に比べて低下とありますが、基本的には下がるものだと思っていて、下がらない何らかの要素があるということでしょうか。
○がん疾病対策課課長
ありがとうございます。少しがん種ごとに見てみると、男性は実は順調に下がっていますが、女性は下げ止まっているものがあります。男性で多いのが肺がんだったりしますので、肺がんであれば禁煙をすれば確実に死亡率が下がったりだとか、そういった予防効果、あるいは胃がんのピロリ菌除菌みたいな、そういった予防効果があるものが男性のがんで多いものですから、大分下がっているわけですけれども。女性は子宮頸がんや乳がん、大腸がんなど、そういったものについては、なかなかダイレクトな予防法が現時点で、一部、子宮頸がんはワクチンがありますけども、それがなかなかないという現状ですので、死亡率の減少にダイレクトにつながるようなことにはなっていないということはあります。ただ、いずれにしても予防できるものは予防する、先ほどのワクチンや検診、日頃の食生活など、非常に大事だと思いますので、そういったことを我々が施策としても充実させていくということが重要だと思っております。
○佐藤委員
ありがとうございます。そういうことであれば、女性の年齢調整死亡率とかって挙げていただくほうがよろしいのではないかと思いました。というのが感想レベルの話です。がん検診受診率のほうは、確か母数の数え方などに若干課題があって、数値がなかなか堅牢ではないというのか、なかなか難しいところがあると思いますが、精密検査の受診率のほうは把握ができる数字だと思いますので、もう少しチャレンジングな目標設定をしてもいいのではないかと思いました。以上です。
○がん疾病対策課課長
ありがとうございます。男性女性それぞれ、あるいはがん種ごとにかなり特徴があるようなこともありますので、その施策としても、そういったことをきめ細かくやっていきたいと思います。また、最後、少しお話があった精密検査の受診率、当然がん検診を受けっ放しではしょうがないので、精密検査まで行って、やっぱり1つのプログラムということだと思いますので、今、現時点では9割ということを達成目標としていますが、足元をきちっと確認しつつですが、より高みを目指した施策ということを、今後とも検討していきたいと思っております。ありがとうございます。
○印南座長
ほか、いかがでしょうか。
○田宮委員
ありがとうございます。私はちょっと課題2のがん医療提供体制の均てん化・集約化のところが気になりまして、ここはやはりまだ、現状、地域格差も大きいところですので、これの指標が4と5だけで足りるのかという気持ちを持っております。4にしても都道府県別に出して議論するのでしょうか。やはり都道府県の差、もともとの差はいろんな要因でありますので、せめて推移、増えているのか減っているのかとか、そういうものも均てん化という以上、4は都道府県にどこまで踏み込んでいるのかという点を伺いたい。あと5番、これも最初の1-1の医療の質の評価のところと同様なのですけれども、こういう議論が行われているのはもちろん大事で、これも指標としてよろしいと思いますが、この先クオリティインディケーターとか、いろんな指標が、今既に議論されているのではないかと思います。がんセンターなどでも一部されていますし、ここもとても大事なところですので、5番についてももう少し踏み込んだ指標の検討をしていただきたいと思いました。以上、2つです。
○がん疾病対策課課長
田宮委員、ありがとうございます。まず1点目のところですが、おっしゃるとおり地域差を何で把握をする、評価をするかというのは、非常に難しいところではありますが。4つ目の測定指標であるがんの年齢調整死亡率に関して言えば、例えばこういったもの、あるいは年齢調整罹患率や、そういったことについては都道府県単位で集計可能な指標になっていますので、今回のがん対策基本計画第4期においては、そういった都道府県単位でできるもの、都道府県単位で集計をしてそれを出していこうということを今回初めてやろうと思っています。それを中間評価等の場でさらして、必要に応じて地域間の評価につなげられないかということを、少しチャレンジングにやっていこうかと考えています。恐らく文脈の中で、先ほどクオリティインディケーターの話であったり、ここの5番の指標であったりということで、そういった中間評価を表でやっていく中で、もう少しいい指標があるのか、何をもって地域差ということを語れるのか、そういったことについて今後の研究課題でもあろうかと思いますので、引き続き我々としても進めていきたいと思っております。
○田宮委員
ありがとうございます。本当にそのとおりで、今、4番について都道府県別にという動きがあるということなので、是非それを進めていただきたい。いろいろ調整する必要はあると思いますが、お願いしたいです。そうすると4番はアウトカム評価ですから、そこまでいくのは最終的なところですので、その前のいろんな治療がどの程度そこで行われているか、私たちで言うとプロセス指標ですが、そのアウトプットとして都道府県別にどのぐらいの治療が行われているのかみたいなプロセスについても、アウトカムの議論も大事ですが、中間的な指標もいろいろ可能だと思いますので、是非、意識して御検討をお願いいたします。
○がん疾病対策課課長
分かりました。ありがとうございます。
○印南座長
ほか、よろしいでしょうか。それではどうもありがとうございました。担当課におかれましては、本日の議論を踏まえて、事前分析表への反映をお願いいたします。
続いて、施策番号Ⅱ-3-1、「規制されている乱用薬物について、不正流通の遮断及び乱用防止を推進すること」について担当課から5分程度で説明をお願いします。
○監視指導・麻薬対策課長
監視指導・麻薬対策課長の佐藤です。本日の資料6-1の概要に沿って御説明いたします。2ページが概要になっております。令和6年度の分析表ですが、施策目標としては、「規制されている乱用薬物について、不正流通遮断及び乱用防止を推進すること」です。現状が書いてありますが、薬物事犯の状況の観点では、近年、覚醒剤事犯が減少している一方で、大麻事犯増加が見られる。特に、若年者での乱用が拡大しているという状況がございます。
一方、減少している覚醒剤ですが、再犯者率は年々上昇しているといった傾向も見られます。麻薬、覚醒剤ではなく、危険ドラッグ、1つ手前のものですが、これについては一度、平成27、28年にいわゆる店舗での販売を撲滅したことがありましたが、近年、令和4年になってから、新たなタイプの危険ドラッグの流行が見られてきており、検挙者の人数も増加している状況になっております。
また、全国の店舗も、令和5年になってから新たに確認されているものも増えてきている状況になっています。そのような薬物事犯、危険ドラッグ事犯がございますが、全体として薬物乱用防止というものが施策的な目標になるわけです。ここに向けて「第六次薬物乱用防止五か年戦略」を関係省庁の間で作成し、厚労省の取組としては、啓発事業をまず1つの柱として続けて対応しております。その危険ドラッグについては、速やかに指定薬物としての指定を行うといった形での対応を行っております。
そのような現状を踏まえながらの課題ですが、課題1としては、依然、薬物乱用の根絶には、当然、至っていない状況で、まず、正しい知識等の普及啓発を行っていくこと。規制薬物については、特に、覚醒剤の再犯率が高い状況もあり、再乱用防止に関する課題に取り組んでいきます。
その中で、この課題1についての達成目標を申し上げますと、総合的な対策を推進するとともに、主に普及啓発の部分、もう1つは、再乱用防止に関する施策的な事業という部分についての評価ということで、測定指標としては、こういった啓発の訪問事業等の回数、これはアウトプットになりますが、実際の訪問事業で啓発を受けた方々の人数、これが正にアウトカムという形です。
再乱用関係においては、再乱用防止対策事業の参加者等の継続的支援の実施率といったものを測定指標にしております。この測定指標は、直接的にいろいろな意味で介入をしている施策に関する部分でのアウトプット、アウトカムということですが、この犯罪に関する検挙人数等の部分は他律的な部分ですので、アウトプット、アウトカムとしての参考指標ということで、この麻薬指定数や検挙人数、押収量を挙げております。
課題2ですが、危険ドラッグ流通の遮断、危険ドラッグ検挙人数増加の一因として、正しい知識等が十分普及していないといった部分がございますので、ここについての達成目標としては、遮断の1つの手段として指定薬物に指定をしていくこと。また、正確な情報を提供していくことになります。
情報提供の観点では、測定指標は先ほどの課題1と同様に、いわゆる訪問事業という部分のアウトプット、実際に啓発を受けた方のアウトカムということになってまいりますが、いわゆる危険ドラッグ、指定薬物の状況を見るということでは、参考指標として指定薬物の新規指定数、危険ドラッグ事犯の検挙人数といったアウトカムを置いた形での構成になっております。御審議のほど、よろしくお願いします。
○印南座長
ただいまの説明について、御質問やコメントがありましたらお願いします。
○佐藤委員
御説明ありがとうございました。産経新聞の佐藤です。達成目標1、達成目標2とも参考指標に挙がっている数字を測定指標に挙げられないというのは、よく理解するところです。ただ、測定指標のほうが、課題1、課題2のほうも同じ目標設定になってしまうのはどうなのだろうと少し疑問に思いました。達成目標1の3を達成目標1の大きな指標にすることは難しいのだろうかと思いました。
この3の数字ですが、分母に薬物乱用者に対する再乱用防止対策事業参加者数を取っていて、これは47人となっているのですが、大分、少ないなと思いました。これはどのように、リクルートでもないので希望を聞いているのだと思いますが、むしろ、この数はもっと増やせるのではないかと思いました。まず、これはどのように出していらっしゃるのか、どのように参加者を募っていらっしゃるのか教えてください。
○監視指導・麻薬対策課長
この3の再乱用防止事業の件ですが、これは第一次予防だけでなく、第二次予防、第三次予防という観点で、我々も非常に重要な施策だと思っているのですが、実は、薬物乱用で捕まった方で、実際に検察に行ってそこから起訴される、起訴されないという、いろいろな形があるのですが、実際に起訴され、有罪になってしまい、収監されるような方というのは、この我々の事業対象にはならない形になります。
実際に、この事業で対象になる方というのは、有罪にはなりますが、執行猶予判決がついた、又は、実際に検察まで行きましたが不起訴になったという方々で、その中で、かつ実際に乱薬に対する対応を積極的に希望されている方が分母になってきます。実際、かなり検察とも御協力させていただき、被疑者の方をこちらに回していただいたりして、やらせていただいているのですが、そういう意味では、世の中で見ている逮捕者数等に比べると母数は小さくなってくるということで、正に、これは厚労省でできる範囲でやっているということです。そのような観点では、薬物乱用者で捕まった方は、かなり法務省でフォローしていただいているものも相当数あるということです。
○佐藤委員
よく分かりました。47人というのは、その対象になる人たちが少ない中で、その中でも、一定程度の方に対して提供できているということでしょうか。
○監視指導・麻薬対策課長
基本的に、御希望された方には全員提供できている状況にはなっております。
○佐藤委員
ありがとうございます。希望される人が増えていくような取組があるといいかなと思いました。対象になる人に占める、実際にこの事業に参加された方の割合、もちろん、今、3.として挙がっている、実際に、この方たちが確実に継続をして行かれることも重要だと思いますので、この3.の取扱いが挙がってもいいのではないかと思いました。以上です。
○監視指導・麻薬対策課長
ありがとうございます。頂いた御意見を参考に、また次年度に向けて検討させていただきたいと思います。ただ、この逮捕者数の母数自体が、結構、他律的な数になってきており、その中で我々も増やすことが良いのかどうかということも一方ではあり、なかなかその辺りの目標を他律的な数字で設定しにくい状況もありましたので、何らか、考えてはみたいと思っております。
○印南座長
ほか、いかがでしょうか。大西先生、お願いします。
○大西委員
御説明ありがとうございました。達成目標1、主に測定指標1、2に関連する別の測定指標を設定すべきであるとか、そういったレベルの話ではなく、コメント程度の発言になりますが、測定指標1を見ますと、対象となる訪問先というのは、主に初等教育機関といいますか、小学校、中学校になるという理解でよろしいですか。
そうであるとすれば、確かに、そのような若年時からの薬物の弊害に関する教育は、大変重要ではあると思うのですが。その一方で、先ほどの御説明にもありましたとおり、大麻事犯に関して若者の乱用が増えているという御説明がありましたが、私どもが仕事を通じて得ている情報でも、最近はSNS等の影響もあると思いますが、特に大麻に関して、危険性を軽視するような風潮、例えば「たばこと、どれほど違うの」みたいな、そういう若者の発言を耳にしたこともありますが、そのような、よろしからざる風潮が、特に高校生、大学生辺りの世代を中心に広がっているのではないかと疑われる、憂慮すべき状況もあると思います。
そういった薬物の種類、大麻グミ等の話もありますが、モダリティとか、そのような製剤形態として、こういった薬物の危険性を誤解させかねないような最近の新しい風潮もあり、世代別、特に危険性に関して軽視しているのではないかと疑われるような世代層への重点的な啓発活動等、そういったことも必要になるのではないかと、測定指標1、2を拝見して思った次第です。
○監視指導・麻薬対策課長
どうもありがとうございます。全く先生の御指摘のとおりです。やはり、初等、中等教育において提供するプログラムと、もう少し高等教育に近い所の方々に提供するプログラムには違いがあると思います。
特に、小学校、中学校の皆さんには「駄目、絶対」という形で、入口から薬物を絶ちましょうというところから入っていくのですが、もう1つ上のジェネレーションになってくると、もう少し、何でいけないのかということを、きちんと考えてもらうような形の中身にしていく。
また、先生がおっしゃるように、大麻についても合法化している国もあるので安全だとか、決して彼らは安全だから合法化しているわけではないのです。そのような情報が正確に伝わっておらず、皆さん、都合のいいように解釈しているようなところもあり、それがSNSで拡散している。そこをターゲットにした広報、啓発というものが必要になっているということです。
そのようなことで、実は、今、デジタル広報という手法を高校生以上の方々をターゲットに取り入れており、いわゆるデジタル上で彼らにそういった正しい情報を普及する。Googleに大麻と入れると、密売サイトではなく、我々の啓発サイトが出てくるようにするとか、そのようなことをやりながら正しい情報の提供という形でやっているところではあります。
これは近年始めた部分でもあり、定量的にアウトプット、アウトカムをどのように評価するか、手法として我々十分に確立できていない部分もあり、そのようなものがどのような形で、今後、指標にできてくるかも含めて、少し我々の中でも検討させていただきたいと思っております。
○印南座長
私から質問ですが、最近、問題になっているのは、若い人の風邪薬等の乱用ですよね。
○監視指導・麻薬対策課長
はい。
○印南座長
それで、薬局の販売規制をやりましたが、これは、そもそも麻薬対策課の仕事の範ちゅうに入るのですか。これは入らないのですか。
○監視指導・麻薬対策課長
私どもは禁止薬物の対応をしている部署で、実際、いろいろな正しい情報の普及啓発の中には、実は、先生が御指摘のようなオーバードーズとか、そのようなものについても一緒に啓発をしてはいるのですが、施策という観点でいいますと、Ⅰ-7-2の医薬品の安全対策等を推進するほうに入ってきますので、この辺りは、担当課に持ち帰らせていただきたいと思います。
○印南座長
例えば、指導等に従わない薬局もあるようなので、実際的な施策目標の達成には必要なのではないかと思います。
○監視指導・麻薬対策課長
御指摘は全くそのとおりだと思います。
○印南座長
ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。それでは、担当課におかれましては、本日の議論を踏まえ、事前分析表への反映をお願いいたします。
以上をもちまして、予定しておりました議事は全て終了いたしました。本日は特に熱心かつ有意義な御審議をいただき、ありがとうございました。それでは、事務局より本日の議論の取扱いについて説明をお願いします。
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
本日頂いた御意見等の取扱いですが、まず、事前分析表の記載に関する指摘については担当課において必要な修正をいたします。その後、当室で取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。取りまとまりましたら、皆様にも最終版を送付いたします。また、本日の会議の場で伝えきれなかった御意見がございましたら、3月1日金曜日までに事務局に御連絡ください。説明は以上です。
○印南座長
これをもちまして、本日の会議を終了させていただきます。どうもありがとうございました。