第15回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WG

日時

令和6年2月13日(火)10:58~12:49

場所

中央労働委員会講堂

出席者

菊池座長、岩崎委員、新保委員、平野委員、藤森委員

議事

 

○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 それでは、少し早いですが、皆様が揃いましたので、ただいまから「第15回政策評価に関する有識者会議福祉・年金WG」を開催いたします。政策評価の担当をしております浅沼です。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様におきましては、お忙しい中、お集まりいただき感謝申し上げます。
 なお、人事異動により、昨年7月に政策立案総括審議官として青山が、9月に調査分析・評価担当参事官として三村が着任しております。会議に先立ちまして審議官の青山から御挨拶申し上げます。
 
○政策立案総括審議官
 今、紹介いただきました青山でございます。本日は菊池座長をはじめ、委員の皆様には大変御多忙のところ、お集まりいただき誠にありがとうございます。また、本日、担当部局にも来ていただいております。お疲れさまです。御案内のとおり、政策評価というものは、政策評価を政策に適切に反映して効率的で質の高い行政を実現させること、また評価結果を公表することによって国民に対する説明責任を果たすことにあるかと思います。近年、政府全体としてもエビデンスに基づく政策立案(EBPM)を非常に積極的に、その推進に取り組んでおります。
 厚生労働省における政策評価におきましても、昨年度から行われているロジックモデルを導入して、論理的なつながりで政策を立案評価してもらおうとしてやっておりますが、そういうことで政策の進捗状況を正しく知って、状況の変化に応じた政策の見直し、改善につなげていくための取組を進めています。政策評価は行政の自己評価ではありますが、その客観性・公平性を担保しながらPDCAサイクルを回していくためには、お集まりいただきましたような有識者の皆様の御知見を頂き、いかしていくことが非常に重要だと考えております。
 本日の会議は、第5期基本計画に設定されている施策目標のうち、令和7年、来年の夏に事後評価を行うこととなっているもの、このワーキングでいうと3つありますが、その事前分析について、目標設定の妥当性を中心に幅広い観点から御助言いただきたいと思っております。どうぞ忌憚のない御審議のほど、よろしくお願いいたします。以上です。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 本日の会議では、事前に御案内したとおり、ペーパーレスとしてタブレットでの会議とさせていただきます。資料となるファイルは「ファイル」とある青いアイコンの中に格納されています。下にスクロールすると次のページに、横にスクロールすると次の資料にまいります。それでは、この後の議事進行については、座長の菊池先生にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
皆様、お忙しい中、御参集いただきましてどうもありがとうございます。本日は、議事次第にありますように「令和6年度実施施策に関する政策評価の事前分析表(案)」を中心に委員の皆様に御議論を頂ければと思います。それでは、本日の議論の進め方について、事務局から御説明をお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 議事の進め方について御説明いたします。お手元の議事次第を御覧ください。本日は、令和6年度事前分析表のうち、令和7年度に実績評価を行うもの、つまり令和7年の夏に開催する本ワーキングループにおいて評価書を御議論いただく施策目標について、御意見を頂きたいと考えております。
 具体的には、議事次第に記載されている3つの施策目標について御議論いただきます。テーマによっては多少時間が異なってくるかもしれませんが、まず担当課より10分程度で説明を行いまして、その後、20分程度で御議論を頂く形で進めていただければと思います。説明を終えた課は、随時退室します。
 なお、会議資料の「概要(事前分析表(案)のポイント)」の中に、事前分析表の「確認すべき主な事項」をまとめていますので、こちらも適宜御参考いただいた上で、委員の皆様から御意見を頂ければ幸いです。事務局からは以上となります。
 
○菊池座長
 それでは、早速1つ目のテーマ、施策番号Ⅶ-1-2「複合的な課題を抱える生活困窮者に対し、就労、家計、住まい等に関する包括的な支援を行うことにより、その自立を促進すること」について、担当課から10分程度で御説明をお願いいたします。
 
○社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長
 厚生労働省生活困窮者自立支援室長の米田と申します。よろしくお願いいたします。資料1-1の施策目標Ⅶ-1-2について説明させていただきます。2ページから御覧ください。施策目標としては、先ほど菊池座長からもお話があったとおり、「複合的な課題を抱える生活困窮者に対し、就労、家計、住まい等に関する包括的な支援を行うことにより、その自立を促進すること」です。この目標を達成するためには、私どもとしては、一人一人の状況に応じて法に基づき包括的な支援をしていくことが重要と考えています。
 まず、現状(背景)ですが、大きく3つあります。1つ目が、「生活困窮者の相談支援の現状」です。4ページの資料を使って説明いたします。生活困窮者自立支援制度においては、自立相談支援機関というものがあります。こちらが総合的な相談窓口になっています。ここでは、生活困窮者の抱えている課題を評価・分析し、そのニーズを把握し、ニーズに応じた支援が計画的かつ継続的に行われるように「自立支援計画(プラン)」を作成しています。そのプランの作成件数の推移です。コロナ前からも、新規相談件数・プラン作成件数は毎年増加傾向にありましたが、新型コロナウイルスの影響で、令和元年から2年にかけて急激に増加しました。その影響で、これまで自立相談支援機関ではつながりが薄いとされてきた個人事業主やフリーランス、また外国人等、いろいろな方からの相談が増加しました。現在、コロナの影響はなくなってきていますが、コロナ前と比べると、まだ高い水準です。
 2ページにお戻りください。現状(背景)の2つ目の「新規相談者の相談内容等」です。5、6ページを御覧ください。新規相談者は、性別や年代が様々ですが、相談内容については、5ページの右側にあるとおり「収入・生活費のこと」が一番多い状況です。ただ、仕事探しや住まいについて等の相談もあり、多岐にわたっている状況にあります。
 6ページ、新規相談者の課題と特性です。やはり多いのは、「経済的困窮」ということですが、次いで「住まい不安定」「就職活動困難」「病気」「家計管理の課題」など、様々な課題がロングテールのような形で多岐にわたっている状況が分かるかと思います。
 また、7ページですが、自立相談支援事業の就労支援の対象者数も増加傾向にあります。一方で、令和元年から2年にかけて支援対象者数が大幅に増えたことも相まって、就労・増収率がかなり減りました。令和3年度は少し持ち直していますが、今後の課題として、就労支援対象者数は高止まりしていますけれども、就労・増収率につなげていくことが必要になってくると思っています。
 最後に、2ページの現状(背景)の3つ目の「矯正施設退所者の福祉的支援の現状」についてです。福祉の支援が必要な矯正施設入所者のうち、令和3年の入所受刑者の高齢者率は13.8%、精神障害を有すると診断された入所受刑者は15.3%となっており、5年前と比較していずれも増加しています。こうした状況を踏まえて、高齢又は障害といった事情で、矯正施設から釈放された後に直ちに福祉サービスを受ける必要があるものの、釈放後に行き場のない方がいらっしゃいます。そうした方を必要な福祉サービスにつなげるために、各都道府県が設置する地域生活定着支援センターが、地域の福祉関係機関等と連携・協働しながら、退所後直ちに福祉サービスを利用できるようにするための支援や、地域生活への定着のための支援を行っています。令和3年度の状況としては、矯正施設を退所して受入先に帰住した方のうち障害のある方は846人、矯正施設を退所した支援対象者を受け入れた施設等への支援を行うフォローアップを実施した方は2,600人、そのうち地域に定着して支援が終了した方は723人でした。
 こうした現状を踏まえて、課題を挙げています。2ページの真ん中の「課題1」です。生活困窮者の背景にある課題は多岐にわたり、課題を複数抱える者も少なくないということです。福祉事務所設置自治体が自立相談支援事業をやっていますが、様々な相談を受ける中で、こうした課題に直面しています。自治体では、生活困窮者自立支援法等に基づき、制度内のそれぞれの事業だけではなく、制度外の事業又はインフォーマルのサービスなども活用しながら、言わば地域のネットワークを構築しながら包括的な支援を提供する必要があり、達成目標としても、生活困窮者に対して、本人の状況に応じて自立に向けた包括的な支援を提供するということを考えています。
 測定指標については、下の四角囲みで、7つあります。アウトプットが3項目、アウトカムが4項目です。1つ目は、自立相談支援事業における年間新規相談件数を、令和7年度までに年間40万件とすることを考えています。コロナ前から徐々に増加し、コロナを契機に非常に増加したということがありますが、令和7年度までの相談件数の数字を追跡していきながら評価していきたいと考えています。2つ目は、自立生活のためのプラン作成件数の割合を、年間新規相談件数の50%とすることを考えています。相談を受けるだけでもある程度解決する方もいらっしゃるのですが、複合的な課題を抱えていますので、そうしたものを支援プランという形で、関係者も含めて整理した上で支援していくことが効果的と考えています。
 3つ目は、自立生活のためのプランに就労支援が盛り込まれた対象者の割合ということで、こちらは年間プラン作成件数の60%とすることとしています。就労支援が大きな柱となる中で、こうした数字を追っていきたいと考えています。4つ目ですが、就労支援プラン対象者のうち、就労した方及び就労による収入が増加した方の割合を、年間就労支援対象者数の75%とすることとしています。就労支援をプランに盛り込まれた方が自立していくために、参考となる数字と考えています。5つ目は、住居確保給付金の件で、受給中に常用就職した方の割合を、前年度末時点以上にしたいと考えています。住居確保給付金という制度は、求職活動を要件にしており、一定期間の家賃相当額を給付するものですが、こうした給付を伴う就労支援によって離職者の就職支援につながっているかということを評価していきたいと考えています。
 6つ目は、自立生活のためのプラン作成者のうち自立に向け改善が見られた方の割合を、年間評価実施件数のうち9割とすることを目標としています。具体的には、住まいの確保・安定、医療機関の受診を開始、家計の改善、孤独の解消、自立意欲の向上・改善、収入の増加等、そういった項目について、プラン作成時点と比べて変化があった割合を90%とすることを考えています。
 7つ目です。矯正施設退所者に関して、フォローアップ業務対象者のうち、フォローアップ業務を終了した方の割合を、前年度以上とすることとしています。高齢又は障害のある矯正施設退所者については、地域の中で必要な福祉サービスにつなげるだけではなく、地域生活定着支援センターが行っているフォローアップを適切に実施し、最終的には地域の支援者等へと引き継いで罪を犯していないほかの人たちと同様に、地域の一員として生活できるようにすることが必要と考えていることから、本指標を設定したいと考えています。
 また、事案に応じて必要なフォローアップを行っていて、その期間は事案に左右されるということもあり、各年度において目標を設定することは困難であることから、前年度以上と考えています。全体的な指標については、コロナの関係もあって正確に評価できない部分があると思いますので、令和5年度、令和6年度と、指標の数値を注視していきたいと考えています。長くなりましたが、説明は以上です。ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 
○菊池座長
 ありがとうございました。ただいまの説明につきまして、御意見、御質問などありましたら委員の皆様からお願いいたします。いかがでしょうか。平野委員、どうぞ。
 
○平野委員
 御報告ありがとうございました。2つほど最初に御質問したいと思います。先ほどスライド7で、コロナの影響で、ある意味で今まで困窮の重要な指標とされていた就労による増収率が、分母が大きくなって難しくなったということかと思います。最終的に達成目標3で設定されている就労支援が盛り込まれた対象の割合は、今までであれば比較的、分母が一気に変化したわけではないのでいいかなとは思ったのですが、やはり、今日の御説明を含め、これは就労支援の実数でカウントしていくという方法も、今度は逆に単純になってしまいますが、それも一つかなと思いました。その下の比率の問題を明らかにしておく上でも、結構、この分母の変化は大事かなと思っています。できるだけ就労支援の割合が増えることが、後でも申しますが、全体の困窮の事業を推進していく重要な鍵になるのではないかと思っていますので、それが1点目です。
 2点目は、今回は複合的な課題ということがテーマになっているので、スライド3の右下の表がありますが、ここに「ステップアップ率」という、私も不勉強でしたので理解していなかったのですが、幾つか厚労省の資料で拝見させていただきまして、自立の意欲や自己肯定感などをデータ的に取って、それでステップアップの比率を整理されようとしているのを拝見して、せっかくアウトカムらしいというか、非常に重要な指標ではないかとも思ったので、少しこの活用を検討できないかという意味で、2つ目の質問です。
 最後は、違う部分なのですが、総務省から行政報告が出ていたので拝見したところ、各自治体が独自に評価に取り組んでいることを、監査というか、監視というか取り上げられていたのです。もちろん、これを集計したマクロでの評価もとても大事かと思ったのですが、これは一気に言っても無理かもしれませんが、自治体で困窮を自己評価している自治体の比率なども今後、追加していただくといいのではないかとも思いました。やはり、自治体ごとに特性のある事業なので、自治体が自ら評価に取り組んでいる割合みたいな、これは必ずしもアウトカムではないのですが、そこが基盤になって運用が高まっていくのはいいのではないかと思いましたので、後半2つは提案みたいなことですが、もし御意見を伺えれば助かります。以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。まず、事務局からお願いします。
 
○社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長
 ありがとうございます。生活困窮者自立支援室長です。まず、平野先生の1点目の御質問です。就労支援を実数で見ていくのもいいのではないかという御提案だったかと思います。先ほどの資料の3ページの右下の所で、この表は、国の目安値としての経済・財政再生計画改革工程表で、そのKPIということです。真ん中に「就労支援対象者数」があります。ここにプラン作成件数の60%、私どもKPIとして設定しており、先ほど2ページで御説明したのは、ここの内容を引用した形になっております。
 一方で、先生のおっしゃるように、就労支援の実数も大事なことかと思っていますので、そこの実数自体は今後も追い駆けていきたいと思っています。今のところ数字自体はコロナのときに非常に増えて以降は落ちてきているのですが、その後どこまで、本来というか平時の数字かというのはもう少し見極めながら、こういった数字も見ていく必要があるかと今考えているところです。
 2つ目は、先ほどの3ページの右下のステップアップ率ということです。こちらも同様に経済・財政再生計画改革工程表のKPIということで設定しております。ステップアップ率の右にあるとおり、「プラン作成者のうち自立に向けた改善が見られた者の割合」が90%となっております。2ページに戻りますと、このステップアップ率という考え方は、6番目の指標で見たいと思っております。先ほど御提案いただいた件については、6番の中で同じ指標として追っていきたいと考えております。
 最後、3つ目ですが、確かに自治体で困窮制度の事業の運営状況を評価していくのは大事だと思っております。今年度の調査研究事業でも、評価の在り方を検討しておりまして、理想としては、今後、自治体が自分たちの評価を振り返るに当たって、どういった観点で見てもらえればいいのかというので好事例などを調べているところです。その過程で、今どういった自治体が、どんな評価をやっているのかというアンケートを取って実態把握をしようとしております。今後、これも取っていくことについては、私どものほうでも受け止めて検討していきたいと思っております。以上です。
 
○平野委員
 よろしいですか。
 
○菊池座長
 どうぞ。
 
○平野委員
 6番ですが、私の言ったステップアップ率は、私も理解しているつもりですが、それが実際に細かく指標の取り方を見たときに、もともとのデータの取り方も含めて課題が幾つかあるのではないかという感じも少し持っています。実際に、これは事実、9割も本当にステップアップしているのかという疑問点もあったものですから、私も説明不足だったと思いますが。特に厚労省のパワーポイントの中にも、就労準備支援で効果が高くなっている絵が紹介されていましたが、そういうことも含めて、ステップアップ率の厳密な指標の再検討みたいなものがあってもいいのではないかということを追加して検討していけばいいかなと。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。何かあれば、どうぞ。
 
○社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長
 御指摘を踏まえて、また検討させていただきます。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。藤森委員、お願いします。
 
○藤森委員
 御説明ありがとうございます。今回、コロナ禍の中で、この制度がどれだけ大きな効果があったかを実感しております。
 私のほうからは、今の御質問に関連して、大きく3点、お伺いしたいと思います。1つは、先ほどスライドの所に、就労自立に向けた、より添った支援というお話がありました。一方で、なかなか声を掛け続けても就労まで結び付かない方、あるいは、なかなか変化が起こらない課題解決困難事例も多くなってきております。
 そのときに継続して声を掛け続けること自体を成果と見るような目標が必要ではないかと思います。というのは、人が変わるのには、時間が掛かります。それまで声を掛けていくということを、支援現場の方々はやられていますので、そこを評価として入れていけないか。就労自立支援という目標では難しいことは承知しつつも、その点を、まずお伺いできればと思います。
 2点目として、達成目標1の測定指標6に書かれていた「自立に向けての改善」という所で、「変化あり」について、「孤独の解消」「自立意欲の向上」があげられています。これは、どのようにどのように測定されているのか、支援者側からみた数値を取られているのかどうかというところを教えていただければと思います。
 3点目は、これも達成目標1に関する所ですが、測定指標1では、令和5、6年度が40万件という目標です。一方、令和2、3年度の目標は25万件になっており、実績は78万件、55万件です。令和5、6年度の40万件という目標も達成できるものであるならば、もう少し高い目標でもいいのかもしれないと思いました。
 一方で、測定指標2については、令和3年度の目標が50%で、実績は26%でした。そうしますと、もう少し段階を追った目標の設定があるかもしれないと思いました。令和5年度、令和6年度が50%になっています。段階を置いて50%を目指していくという、目標の設定の在り方はあるかもしれないと思いました。同じことが測定指標4についても言えるのではないかと考えております。私のほうは以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。
 
○社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長
 どうもありがとうございます。生活困窮者自立支援室長です。まず、1点目の課題解決型というわけではなくて、伴走をしながらの、いわば課題を緩和しながらの支援というものについて、どう評価していくのかという御質問だったかと思います。
 確かに、生活困窮者の方の中には、そういった社会的孤立に陥っている方がたくさんいらっしゃるということで、私どもも法改正をしながら対応してまいりました。
 実際に目に見える成果が難しいという一方で、この制度の中では、目に見える成果ばかりを追い求めてもいけないという我々の思いもあります。そういったものを、どう形にしていくのかというのは大きな課題にはなっているかと思います。今後、どういった評価が適当なのかというのは、今日の御指摘も踏まえて、また検討させていただきます。
 2つ目の御指摘だったのですが、恐縮です、聞き漏らした所があるのですが。
 
○藤森委員
 測定指標6の所に、右側の測定指標の選定理由の所に「孤独の解消」「自立意欲の向上・改善」が、一番下の所に書かれております。これはどのように測るのかと思いました。
 
○社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長
 こちらは、支援者から見た評価ということになっております。そういうふうに受け取っております。3つ目ですが、段階的に目標を設定してはどうかということについても、我々としては、KPIを参考に目標設定しているところもあるのですが、これについても、どういった目標の置き方については、今後検討させていただきたいと思っております。
 
○藤森委員
 測定指標1については、令和3年度を見ますと、25万件に対して55万件ですから大幅に目標を達成しています。これが続くことを前提にした上で、40万件を超える可能性もこれからあると思いますので、ここは高い目標にしてもいいのかなと思います。以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。岩崎委員、どうぞ。
 
○岩崎委員
 御説明ありがとうございました。私は、刑務所のほうから世間に出られて定着されるという方の支援についてお伺いしたいのですが、このフォローアップの終了は723人という数字が出ていたりするのですが、いろいろな高齢の方とか障害のある方たちが、これは働いたというよりは、どちらかと言うと、地域で普通に暮らせるようになったという方たちが多いのかと推察はするわけですが、パーセンテージで言いますと、そんなにフォローアップ業務を終了した比率は高くないように拝見するのですが、フォローアップ業務の長期化ということが、定着の支援センターのほうでも問題になっているということを、別の報告書で拝見したようにも記憶しています。
 これが、この年度から始まって、その年度に終了した人の数が上がってきているのかということと、フォローアップ業務を終了したことの意味が、きちんと定着を見届けて終了したということなのか、ログアウトされたりとか、いろいろな方々、今継続中という方もいらっしゃったが故に、この数字が出てきているのか。少し細かいことですが、把握されている範囲で結構ですので教えていただければと思います。
 
○社会・援護局総務課長補佐
 地域生活定着促進事業を担当している課長補佐の中野と申します。よろしくお願いいたします。まず、フォローアップの数字については、就労に結び付いた方よりも、地域の中で福祉サービス等を受けながら生活している方が多いとお考えいただいてよろしいかと思います。
 フォローアップは、平均しますと大体2年3か月ぐらいの期間であると、令和3年度の社会福祉推進事業の結果として出ております。1つ目の御指摘の年度かどうかというところは、開始と終了が必ずしも同一年度ということではなくて、開始年度が違う方たちも含め、当該年度に終了した数とお考えいただければと思います。
 また、定着したかどうかというところですが、施設等に入られて、そこで安定した生活を送ることができるようになったというような方もいらっしゃいますし、途中で支援を辞退された方も含まれているところです。
 
○岩崎委員
 ですので、年度で評価するということは、複数年度に跨がって支援を受けている方たちも含まれていたり、いろいろな方がおられるので、なかなか厳密に結果を評価するというのは難しい数字と言えるのだろうなと思います。ですから、終了したということの意味、本当の意味で「終わった」という方たちの数というのが、本来的に言いますと、ここに区分けされて上がってきてくれると、もっと事業の評価が分かりやすいと思います。ただ、定着については、都道府県に1か所しかなくて、ただでさえも広域でサポートしていて地域での受入れがなかなか難しいという現状も分かっているので、この数値が簡単に上がるものではないというのも承知しておりますが、できるだけ正確な数字を是非上げていただければと思いました。以上です。
 
○社会・援護局総務課長補佐
 御指摘ありがとうございます。頂いた御意見を踏まえて、また、検討したいと思います。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。新保委員、どうぞ。
 
○新保委員
 御説明ありがとうございました。まず今日の資料の5ページの生活困窮者自立支援事業の実施状況を見ますと、相談内容の一番多いのが、「収入・生活費のこと」で、続いて「家賃やローンの支払いのこと」ということです。就労によって改善できることもありますが、例えば、家計改善支援事業の実施状況などに着目していただいて、収入や生活の困り事、また債務などの改善状況を見ていくことも、就労以外の指標としてあるのではないかということが意見です。
 先ほどステップアップ率の指標のお話が出ていましたが、ほかの隣接する自立支援を行っているような制度の中では、どう変化をされたのかという指標を見ていくことがないように思いますので、指標の取り方の精度を是非、高めていただいて、このような指標の取り方の重要性というものにもきちんと着目しておきたいと思ったところです。以上です。
 
○菊池座長
 いかがでしょうか。
 
○社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室長
どうもありがとうございます。1点目は、家計改善の実施状況も見ていく考えもあるのではないかということです。今回の指標の中では、やはり6番の自立向け改善が見られたものの割合(アウトカム)指標の中には、家計の改善を入れてあり、家計改善支援事業自体の効果を見ていくというものは特段設定していないのですが、家計改善支援事業自体は、先生も御案内のとおり、家計収支の改善に加えて、本人が自ら生活のことについて考えるようにエンパワーメントするみたいなことも事業の目標としてはありますので、そうしたものも包括的に評価できる指標があるかどうかという観点も含めて検討していきたいと思っております。
 もう一つ、ステップアップ率の関係については、先ほど平野先生からも御指摘いただきましたが、ステップアップ率は、確かにほかにはないようなものではあるのですが、これは磨いていくということを今後もしていきたいと私どもは思っています。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 委員の皆様、どうもありがとうございます。最後に私からですが、2点あります。一つ目として、政策目標があって、現状分析で3つの観点から分析しておられるところまでは分かるのですが、そこから課題1に収れんして、そこから達成目標が1つ立てられているのですが、この達成目標1と達成目標2は同じことを言っているだけではないのかということです。これは何のためにやっているのかということです。せっかく現状を複数の観点から把握されたわけですから、それぞれについてどういった課題があるのかということが導かれ、さらに、そこから達成すべき目標が、それぞれ少なくとも1つではない、つまり、政策目標を達成するために具体化された達成目標が幾つか立てられて、それぞれを追求していく中で大きな意味の政策目標として達成されていくという形でないと、何のために、その途中の現状分析があって、そこから課題を引き出すという作業をやっているのかが分からないのです。そこが達成目標1に、また抽象化されてしまうので、そのための測定指標の所が、御質問があったように、少し就労に偏っているのではないかという見方も示されましたが、そこは少し工夫の余地があるのではないかということが1つです。
 もう一つは、目標値の置き方がどうなのかという御質問が複数ありましたが、KPIも大事ですが、そこを意識しすぎというか、つまり、何のために政策評価をやるかと言いますと、後で答え合わせをして、マル・バツを付けられるということではなくて、自分で評価をやっていく中で、自分たちの政策は一体何を目指しているのか、それがどの程度達成できているのかを確認できるという、それを政策の発展につなげていけるという、そういう前向きの作業のツールとなり得る基盤に意味合いがあるということを、私はこの会議でずっと政策評価の専門家の先生方に習ってきたのです。そういう観点からしますと、確かに目標値の置き方自体は難しいですが、なぜ40万件なのかとか、そこはどういう考え方の下に目標値を置くのか。さらに、それがいきなり最終目標を、26%から50%に、本当にやるのですかと。50%はまず遠いので、こういう考え方の下に段階的にプロセスを踏んでいきましょうということも、やはり所管課の考え方ですよね。施策を実現するに当たってのプロセスをどう考えるか。この施策に当たっての所管課の哲学というか、そういうのを一体どう設定しているのかというのが、ここに反映されているような、それが施策評価の意義だと思うのです。
 そういった観点からしますと、前年度以上でいいのか。以上というのは、前年度並みも含められますからね。そういうことも含め、もう少し政策評価のプロセスも活用していただきたいと思っています。ということで、よろしいですか。
 
○社会・援護局・援地域福祉課生活困窮者自立支援室長
 御指摘ありがとうございます。今の菊池先生の御指摘を踏まえて、こちらの指標についても再考したいと思っております。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。後ろのほうにおられる方にも申し上げていますので、よろしくお願いします。ほかによろしいですか。それでは、本日のこの場の議論を踏まえて、事前分析表にも反映を御検討いただきたいと思います。どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。それでは、次のテーマに移ります。
 続きまして、施策番号Ⅶ-1-5「自殺総合対策大綱に基づき、自殺対策を推進すること」につきまして、担当課から10分程度で御説明をお願いします。
 
○社会・援護局総務課自殺対策推進室長
社会・援護局の総務課の自殺対策推進室です。どうぞよろしくお願いいたします。お手元の資料ですが、横の紙、それから適宜分析表も参照しながら御説明申し上げます。
 まず、施策の目標については、大きい紙に書いてありますが、「自殺総合対策大綱に基づき、自殺対策を推進すること」を挙げております。自殺総合対策大綱は、令和4年に見直しを行い、5年間の大綱になっておりますが、今は、その2年目というところです。施策の取り巻く状況を少し御説明させていただきたいと思います。
 直近の数字が令和4年の数字になっており、年度ではなく、年で取っておりますが、自殺者数が2万1881人となっており、コロナ禍があって、ちょっと増えてしまい、令和3年に比べて874人増えているという状況です。男女別にみると、男性については、ずっと減っていたのですが13年ぶりに増加しております。また、女性については、コロナ禍で増加しており、3年連続増えております。男性の自殺者数については、もともと男性のほうが大体2倍ぐらいなのですけれども、同じような形で男性の自殺者数が女性の2.1倍となっていて、大体2対1といった割合になっています。それから、小中高生の自殺者が、近年増加傾向にあり、令和4年が過去最多になっております。514人という数字で、令和2年はコロナの最初の年ですけれども、499人で多かったのですが、それを超えて過去最多になっています。
 現状(背景)について、パワーポイントの資料で少し御説明します。自殺の多くは、原因が多様、かつ複合的な原因であり、背景もそうですが、いろいろなものが連鎖的に関与して発生していると考えています。原因が分からない方もいらっしゃいますが、令和4年中の原因・動機特定者は1万9,164人で、一番多い原因・動機が「健康問題」となっております。こちらは複数カウントできますので、4つまで検証できることになっておりますが、半数以上の方が「健康問題」を理由とされています。その中で特に多いのが、うつ病です。その次に、「家庭問題」「経済・生活問題」「勤務問題」と続いております。国として、いろいろな施策を対応しており、地域の自殺対策強化交付金により、地域における自殺の実態や特性に即した形での自殺の対策を打っていただくことを支援しております。
 また、こどもの関係ですが、こども家庭庁が昨年4月に発足しました。こちらを中心に、「こどもの自殺対策に関する関係省庁連絡会議」を開いており、令和5年の6月に「こどもの自殺対策緊急強化プラン」を取りまとめております。達成目標として、この部分については地域レベルの実践的な自殺対策の取組の更なる推進等を目標の1つとしております。
 次に、測定の指標です。1つ目は、人口10万人当たりの自殺者数をアウトカムにしようとしております。平成27年が18.5%でしたが、それを30%以上減少させようということで、大綱にも記載しておりますが、令和8年に23.0%にしたいと考えており、いろいろな対応を取っていこうということにしております。参考指標も、2つ掲げております。それから、2つ目は、交付金を活用して、事業を実施する都道府県、市町村及び民間団体数をアウトプットとしており、前年度実績以上の数を確保し、施策を広く展開していくことを目指しております。
 それから、もう1つはパワーポイントの右側ですが、自殺対策に関する広報の実施や相談体制の整備を行っております。やはり近年はSNSへの情報発信というのは、皆さんが使っておられますので、我々としても有効だと思い、そちらを活用しているところです。また、従来からの電話相談というのは、やはり高齢の方を中心にニーズがありますので、そちらのほうもしっかり対応するということで、両輪でやっております。
 地域では、いろいろと相談体制を充実していただいていますが、全国共通の電話相談のダイヤルの番号を設定しており、そちらを運用しております。また、SNSについても、「基幹SNS相談事業者」を選定して、しっかり連携して取り組みを行えるような形としております。自殺対策ということで、自分自身に関わる問題と捉えていただくことが重要だと考えており、その割合を上げていこうということで、知識の啓発や普及に取り組んでいるところです。
 課題として、地域住民が自殺に関して相談しやすい環境を更に整備する必要があると受け止めており、達成目標として、自殺や自殺対策に関する知識の普及・啓発ということを掲げております。アウトカム指標を下に書いておりますが、「自殺対策は自分自身に関わる問題であると思う人の割合」をアウトカムとして設定しており、令和4年は63.5%になっておりますが、令和6年度には80%に向上させるように、地道に取り組んでまいりたいと考えております。参考指標として2つ挙げており、こころの健康相談統一ダイヤルの実施回数(アウトプット)や、SNSを活用した相談事業における相談件数(アウトプット)を掲げております。私からの説明は以上です。
 
○菊池座長
 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明につきまして、御意見、御質問等をお願いいたします。平野委員どうぞ。
 
○平野委員
 どうもありがとうございました。私の知っている方もSNSでの相談事業を担当されている方がおられまして、お伺いすると、御自身たちで成果というものをどのように捉えようかという試みをかなりされていまして、もちろん事業が委託されているということもございますので。それで一応、測定指標の中で、参考指標ですけれども、「延べ件数」という形に、今のところはなっているということなので、すぐには無理なのかもしれませんが、受託されている事業者がどのような形で御自身たちの成果というものを捉えようとしているかということを集約していただいて、その中から、もし共通した何か成果をこのように捉えているということでも分かれば、何かそういうところで「延べ」にとどまらない、もう一歩踏み込んだ成果というものを、その中から、結局、この相談事業そのものの有効性を検討するという意味も含めてですけれども、後の交付金の話もそういうことなのではないかというようにも思っています。交付して、そのことが、どういうことがそこで自殺対策のプログラムとして登場しているのかという辺りまで、本来は。そこからアウトカムまでは無理だと思いますけれども、何かそこでなされている取組や、先ほど言ったSNSの相談を受託されている方が、御自身たちでどういう成果を捉えようとしているのかということを集約していただいて、それを、この「延べ」に変わるというか、深めていただくような指標の検討につなげていただければどうなのかなという感じの意見です。以上です。
 
○菊池座長
 いかがでしょうか。
 
○社会・援護局総務課自殺対策推進室長
 どうもありがとうございます。確かに事業者によって、やり方が非常に様々なのと、恐らくSNSだと、ある程度追跡はできるのだと思います。同じ方が何度も来ているとか。ただ、そちらを分かる形にしてしまいますと、逆に、相談を忌避してしまう相談者もいらっしゃるので、少し難しさがあるのかなと思っています。ただ、それぞれの団体の手法に応じてどういった成果を上げていただくか、こちらも交付金等で措置しておりますので、成果を意識していただくというのは、難しいことですが、大切な視点だと思っております。
 どういったことができるかというのは、よく現場の状況もお聞きしながら、また考えてまいりたいと思います。一つ考えられるのは、やはり団体とか自治体等のネットワーク、連携です。お話を聞いていただいて、「あっ、すっきりした、よかった」ということで終わる方もいて、それはそれで、一つの終わり方だと思うのですが、そこで、ちょっと解決等につながらない場合に、次の窓口につなげるというのは、非常に大切なことだと思います。本当にそちらに行っていただけるかどうかは分かりませんけれども、たらい回しにされたと思われる方もいらっしゃるので、そこはある程度、慎重にしなくてはいけないのですが、そういったネットワーク化、それから連携関係をつくることで、例えば全国的なSNS相談の窓口をやっている団体と、個別の市町村というか、自治体等をつなぐという連携みたいなことも我々は促しております。そういったことを、もっともっと広げていきたいですし、それによって、つないだ件数というのは、もしかしたら取れるかもしれないので、そういったことも意識しながら今後、取組を進めていきたいと思います。
 
○菊池座長
 いかがでしょうか。藤森委員、お願いします。
 
○藤森委員
 御説明ありがとうございました。自殺の要因のことについてお伺いしたいのですが、これはとても難しくて、簡単ではないことは承知しております。今日、御説明いただいた4ページのスライドの所で、コロナ禍以降は自殺される方が増えていて、特に小中高生の自殺者数がかなり伸びているということが示されていました。そして、御説明だと、令和4年中の自殺の原因として「健康」が一番多く、「家庭」「経済問題」「勤務問題」というお話がありました。小中高生の自殺が伸びている要因が一体何なのかという分析ができないかなと思いました。特に子供の自殺がこれだけ伸びているわけですから、どのような背景があるのか、実態を分析することによって、アウトプットの施策を目標に挙げていくことができるのではないかと思いました。アウトカムの指標がありますけれども、アウトプットも、もう少し実態分析から提示できるのではないかと思いました。これが1点目です。
 もう一点は、他の領域との連携についてお伺します。例えば、先ほど、うつのお話がありましたが、長時間労働が影響しているかもしれません。それから孤独や孤立の問題などをみると、地域共生社会をいかにつくっていくのかという、地域の中での関係性も大切になってくるように思います。この他領域との連携によって、自殺を減らしていく点について、どのようにお考えになられているのか、をお伺いしたいと思います。
 
○社会・援護局総務課自殺対策推進室長
 ありがとうございます。1点目ですが、分析のところですけれども、我々も分析を深めたいと思っています。実は、このデータの元データとなっております警察の「自殺統計原票」が、令和4年から変更になっておりまして、より詳細な分析ができる形になってきております。例えば、先ほど申し上げた自殺の原因・動機は、今までは計上数が3つまでだったのです。例えば、遺書などにいろいろなことが書いてあったとしても、3つまで警察の方が書いて集計処理するという形だったのですが、令和4年の1月から4つ計上できることになりましたので、少し分析がしやすくなっているのかと思います。令和4年のデータが今は最新のもので、1年分あるので分析をいろいろやってみています。ただ、令和3年のものと連続性がないので、そこは変にやると間違えますので、まず令和4年のデータを分析し、それをベースにして、今後、令和5年のデータが間もなく出てきますので、その2年分を比較して分析したいと思っています。そこは今までよりも取れるものが増え、ほかの項目も充実させていますので、そういったところをしっかり見ていきまして、その上で、またアウトプットにどうつなげられるかとか、例えば、相談の件数とのリンクですとか、そういったことも見やすくなるのかと思っております。その辺りは、まだ発展途上で、大変恐縮なのですが、しっかりやってまいりたいと思いますので、また御指導いただければと思います。
 それから、子供の関係について御質問いただきましたけれども、子供の自殺の要因分析は、こちらも発展途上ですけれども、まず、そもそもn数が少なく、514人ですので、それを分析するのがかなり難しい問題があります。n数が少ないと、情報共有の壁がありますので、御遺族の方との関係とか、学校が持っているデータを、警察が持っているかどうかというところもあるので、なかなか難しいところはあるのですが、今の自殺の大綱にも、子供の自殺の詳細な調査・分析をしましょうということが盛り込まれておりますので、今は、こども家庭庁を中心に、自殺に関する統計はいろいろなものがありますので、その資料、統計とか関連資料を集約して多角的な分析を行うための調査分析を行っているところです。厚労省も、もちろん協力しておりますし、政府、みんなでやっていきたいと考えております。手法等については今、模索中ですが、最多ということですので、しっかりやらなければいけない課題だと認識しております。
 それから、他の領域との連携ですが、みんなでやっているという部分がありますので、例えば長時間労働の問題、勤務問題に起因する自殺等であれば、厚労省の中のいろいろな部局が関わっておりますし、孤独・孤立の問題ですと、内閣府のほうで音頭を取ってやっておりまして、我々としてもしっかり連携を取ってやっていこうと思っております。それぞれ施策が少しずつ目標の取り方が違いますけれども、そこはしっかり意識しながら対応していきたいと思っております。例えば、先ほどの生活困窮者についても、一緒に連名で通知を出す等を考えながら連携を深めていきたいと考えております。
 
○菊池座長
 岩崎委員どうぞ。
 
○岩崎委員
 先生方の質問と重なるところもあるかと思いますけれども、厚生労働省さんが令和4年から令和5年にかけてSNSの相談事業を実施していて、結果を拝見したのですが、メンタルの不調とか自殺念慮というのは、すごい数として多く上がってきていて、ただ、私はメンタルヘルス領域のソーシャルワークを長年やっているのですけれども、メンタルが不調になるとか、あるいは自殺念慮を抱くとかという大本の原因が何なのかということが、先ほど来おっしゃっている原因究明ということにつながっていくのだと思うのですけれども、一応、相談1件について複数の理由を計上しているというから、いろいろおっしゃったことは全てSNSの相談を受けている方がチェックされているのだと思うのですけれども。そうすると、メンタル不調とか、自殺念慮はすごい数が上がっているので、これらのそうなる原因が分からないと、これはあくまでも不調になっているとか、自殺念慮を抱いていることにすぎず、何でそうなったのかというところを、やはりきちんと聴き取れるというような相談事業の中身じゃないと、余り数だけ上げていただいても、緻密な分析というか、予防につながらないのではないかと。警察のほうのデータとか、あるいは御遺族で聴き取られたことで、どうして亡くなられたのかという結果を推察されたようなデータも出ていますけれども、でも、それは御本人さんが、本当にどういうことで亡くなられたのかというのは、後から調べているということにすぎず、やはり今、危機的状況にあって、サポートを求めている、SOSを求めているという状況で御相談に来ていらっしゃる方たちの相談の本当の中身というか、相談の質をもう少し上げていただいて、しっかり酌み取っていただけたらいいのかなと。多分、十分優れた皆さんが窓口を担っていらっしゃると思うのですけれども、SNSの相談は非常に難しいですね。突っ込みすぎると、特定されなくても閉じてしまうということで、電話とかSNSはお顔が見えない分、非常に高度な技術を必要とするお仕事だと思うので、その辺が難しいですけれども、取り組んでいただきたいなと思います。
 もう1つは、これは厚生労働省のほうに言っても仕方がない部分もあるのですが、学校教育の中で、非常にメンタル不調の問題について、ちゃんと周知してほしいと私たちはずっと思っているのです。ただ、そういうことが非常に思春期の微妙な学生さんたちに対して、そういうことをお伝えするという機会がなかなかないですよね。私は養護教諭の先生の前でお話をさせていただいたときにも、養護教諭の先生方は、身体の健康についてはある程度勉強されているのですが、メンタルの不調のことについて余り十分な知識と経験を持っている人は少なくて、いろいろ聞いてはくれるけれども、じゃあ、それをもっと学校で普及、啓発してもらったらいいのではないですかと言ったら、そういうことをすると、余計に皆さんの不安が高まってしまうというようなことでした。その場にいらっしゃった方の御意見ですから何とも言えないのですけれども、余計に希死念慮を煽るとか、そのような不安につながってしまうから中途半端にもちろんできない、それはそうですよね、というようなことがあったのですけれども、やはり先生方とか、保護者の皆さんとかに、そういったメンタル面の不調を抱える子供さんに対する対処みたいなことが十分に伝わったらいいのになと。ただ、言っているだけのことで恐縮でございますが、以上です。
 
○社会・援護局総務課自殺対策推進室長
 ありがとうございます。1点目ですが、本当におっしゃるとおりSNSの相談というのは、電話も非常に難しくて余り突っ込みすぎると本当に切られてしまいますし、適度なタイミングと適度な内容、打ち返し方で、つながり続けるのは非常に難しく、また切られてしまうと終わってしまいますので、非常に相談を受ける側のスキルが問われるところだと思います。我々としても、民間の団体等で相談を受けてくださる方々のスキルアップというと恐縮ですが、サポートできるような形で、いろいろと考えていきたいと思います。
 それから、学校教育ですが、こちらも、1つは文科省さんと一緒にやらなくてはいけないことなのですが、全ての生徒さんがSOSの出し方教育を年に1回受けられることを目標として緊急プランに掲げておりますし、あと、受止め方について、大人の側ですけれども、教員とか保護者が学ぶ機会を設定する。これも非常に重要なことですので、文科省さんでお取組いただいていると思います。
 また、そのもっと前の段階のメンタル不調の部分につきましては、やはり発達段階に応じて、きちんと系統立って指導する必要がありますので、その辺りはしっかりやっていただくことに緊急プランの中ではなっております。養護教諭の先生もいらっしゃいますけれども、スクールカウンセラーの配置というのもいろいろと御指摘を受けていまして、全部ではないのですが、重点校ということを決めまして、予算上、少し拡充していくという方向性ですので、数が増えれば相談の受皿が増えていきますので、そういったことにも注力していただきたいということで、文科省さんに、我々としてもしっかりお願いしていきたいと思います。
 
○菊池座長
 新保委員、お願いします。
 
○新保委員
 一般市民として暮らしていく中で、家を出てから家に帰るまでの間に町内会の掲示板であったり、駅や電車の中の発信であったり、職場が大学ですけれども、学内にもポスターが貼ってあるなど、かなり自殺対策についての啓発的な発信がなされてきているという感覚を持っています。ゲートキーパーという言葉も大分一般化されてきたのかなと思う中で、達成目標2の関連で、ゲートキーパー養成講座というものも実施していらっしゃいますけれども、例えば養成講座の受講人数を評価指標にする取組はなされないのかということが1点です。
 あと、地域自殺対策強化事業も推進していらっしゃいますけれども幾つかの事業をピックアップされて、その取り組んでいる自治体数を参考として記載するなど、より取り組んでいらっしゃることが具体的に分かるようにしていただいてもいいのかなと思うところです。以上です。
 
○菊池座長
 いかがでしょうか。
 
○社会・援護局総務課自殺対策推進室長
 ゲートキーパーについては、我々としても非常に有効な施策だと思っておりますので、取組の推進をしております。今年度、ゲートキーパーの養成に必要な研修教材を、今、作ろうとしております。前のものが平成25年ぐらいの内閣府時代に作成したものですので、少しブラッシュアップして、そちらを作り、今後、出来ました暁には、それをしっかりと自治体等で活用していただけるようにしていきたいと考えておりますので、その辺りも含めて、進展も踏まえつつ考えていきたいと思います。また、交付金の関係につきましても、どういったことが考えられるのかを検討していきたいと思います。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。私から1点あるのですが、先ほど、困窮支援室に対して申し上げたことと、やや重なるのですけれども、今回の資料の中でも子どもの自殺対策について、かなり紹介されていて、多分、力を入れているのだと思いますが、政策評価の所管課あるいは所管庁として行う意義の1つとしては、やはり自分たちが何を、どこに力を入れているのか、何を推進しようとしているのかということが政策評価するにあたっても、1つの発信になるわけです。そこが政策評価の1つの意義だと、これは政策評価の専門家の先生方に教えられてきたことなのです。そういう意味で、確かに他省庁との重なりはあって、連携はあると思いますけれども、そういう対策室なわけですので、子どもに力を入れているのであれば、それを取り出して達成目標に入れるのか、あるいは少なくとも測定指標の中に立てて、更にアウトカムだけではなく、SNS世代、SNS等を活用して、その際の整備、強化プランに入っていたり、何かアウトプットでも指標を立てられそうな感じもしますし、何か、そういった形で指標を立てられてもいいのではないかと思います。
 なぜなら、そこに力を入れて推進しておられるわけだから、ほかにもあるかもしれません。健康問題なのか、勤務問題なのか、そういうものを指標にしていくというのも検討の余地があると思いますけれども、いかがですかね。政策評価というのは、もともとそういう意義もあるのです。後ろ向きに、外部からチェックされるという、そのために説明しなければいけないということではなく、自分たちが何をしようとしているのか、どういう考え方で、何をしようとしているのかということを示していくという、そういう意義があるのです、政策評価というのは。ですので、そういった観点から指標の置き方とかを検討していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 
○社会・援護局総務課自殺対策推進室長
 子どもの関係につきましては、分担してやっている関係もありますので、厚労省として、どういうことが考えられるかというところは検討させていただきたいと思います。
 
○菊池座長
 重なりがあるところだと思いますので、御検討いただければと思います。ほかによろしいですか。
 それでは、担当課におかれましては、本日の御議論を踏まえ、事前分析表への反映をお願いできれば幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。御苦労さまでした。
 それでは、本日の最後のテーマにまいりたいと思います。少しお待ちください。
 続きまして、政策番号Ⅷ-1-1「障害者の地域生活や就労を総合的に支援すること」につきまして、10分程度で御説明をお願いいたします。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 障害保健福祉部障害福祉課長をしております伊藤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に資料をお配りしているのですが、2ページの概要という1枚紙を御覧いただきながら、いろいろ参考資料を付けていますが、基本的にはこの一枚紙を見ていただきながら、少し簡単に御説明させていただきたいと思います。障害の関係は、大きく施策目標1という所もそうですが、地域生活、就労、その2点を大きな課題として引き続き掲げております。目標に関しても、指標に関しても、それに沿った目標を掲げています。もちろん障害福祉というひとつの分野を取っても、いろいろな捉え方、評価の仕方があると思うので、なかなか難しいなと思いながらも、少し説明しますが、やはり近年のいろいろな施策の大きな柱というか課題、そして施策目標を2つの項目に挙げるとすると、やはり地域移行と就労だと思いますので、そこは変わらないのかなと思っております。
 一方で、測定指標を一枚紙の下に、1から8に書いております。7、8だけは少し変えていますが、基本的にはこれまでどおりとしております。正に、この辺りは、本日の先生方の御意見を踏まえつつ、直したり付加したりいろいろやりながら、来年度、令和6年度の評価につなげていきたいと考えております。前回、こちらのワーキングで、障害関係は令和2年度に議論されたと伺っておりますので、この指標にも少し関わってくることですが、それ以降の動きを御紹介させていただきたいと思います。
 大きい1つのものとしては、社会保障審議会の障害者部会という審議会がありまして、正に、菊池先生、新保先生におかれましては、正に部会長と代理でまとめていただいているので釈迦に説法ではありますが、令和4年の6月に、障害者部会の報告書をまとめていただいております。こちらの中でも、大きく言えば、やはり地域生活、地域移動を進めるか、一般就労をどう進めるか、そういった軸で政策を体系的にまとめていただいています。それに基づいていえば、同じ令和4年12月に、国会で障害者総合支援法の改正をしていただいているのと、もう1つ大きな話としては、ちょうど1週間前ですが、3年に一度の報酬改定を行っておりますので、今回、令和6年度の障害者福祉の報酬改定については、岩崎先生にも御参加いただいて、検討チームで、その具体的な定数をまとめていただいて、先週公表したのですが。当然、そこでも引き続き障害者部会の報告書に基づいて、地域移行をどう進めるか、一般就労をどう進めるべきかといった軸で、今日は大部な資料なので、付けていませんが、そういった政策を行ってきているのが、この2、3年かなと思っております。
 目標や実績に係る動きも、1つのトラックとして御紹介したいのは、障害者福祉計画を都道府県、市町村で作っております。これは3年に一度のサイクルで回しています。今のサイクルが、ちょうど今年の5年度で、3年度、4年度、5年度の3年間で、次が正に6年度、7年度、8年度で、つまり8年度末の目標に向けて、今、市町村や自治体で計画を作っているという段階です。少しややこしいのですが、令和6年度からの3年間の目標を作るに当たって、国のほうで基本指針というのを、それに先立ってまとめています。ちょうど1年前ぐらいに、障害者部会のほうで、国の考え方を議論していただいた上で、半年前の令和5年の5月に、国としての基本指針を示します。そこには地域移行の目標とか、就労の目標などを書いてあるわけですが、それを春に国が示しまして、それに基づいて、都道府県が計画を作り、6年度からスタートするということです。
 申し上げたかったのは、実際に、この政策評価の中の目標値というのは、都道府県が作った目標を積み上げて、例えば都道府県が地域で、3年間で進めるという目標を積み上げて、国としての目標値にすると。そういうサイクルで、これまでも回しておりますし、今後もやっていきたいと思っております。ちょうど地域移行と就労に関して、1年前に国としての指針を作るに当たって、どのような議論があったかということを、最後に紹介させていただくと、基本的には、まず実績を足下に置いた上で、政策的な目標を加味すると、そんな考え方なのですが、一枚紙にも書いてありますが、実績値だけでいくと、少し目標を下回るというのが実績だと思います。地域移行も、これだけ進めたいなというところが少し及ばなかったり、この期間はコロナの影響もあったと思うのですが、就労移行も、目標ほど進まなかったり、そんなことがありながらも、単に実績値を伸ばすだけではなくて、やはり政策的な目標を進めるべきだというのを加味して、少し情報を修正したような目標を、国の指針として都道府県に示したという経緯があります。その結果、都道府県のほうで、その国の意を汲んで高めの目標を設定していただけるのか、なかなかそうはいかないのかというのは、今ちょうど待っているところではありますが、そういった形で、国としては少し高めの目標を設定するとともに、最初に申し上げた法改正や、報酬改定の中でも、そういった動きが進むように、いろいろな各種、加算という言い方になりますが、いわゆる事業者に対するインセンティブ措置を設けて、国としても、目標を設定するだけではなくて実際の報酬によって後押しすると、そんな取組を、国としてはしております。説明は以上です。いずれにしても本日は、そういった取組に対するコメントですとか、そもそも評価指標とか、その辺りの工夫とか、是非、御意見を賜わればと思っております。以上です。よろしくお願いします。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。少し2ページの事前分析表について、簡単にでも説明いただけると。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 分かりました。2ページ、まずは会計の所で、1番に書いてあるのは、障害者の人数、これは何でカウントするのかというのがあるのですが、基本的には手帳ベースです。人数でいうと、1,000万人以上います。基本的には増えているということです。そのうち、実際に試算して使う人も増えています。当然、利用者が増えているということは、事業者数も増えて、全体として増加傾向にあるということが書いています。
 2番は、地域移行の現状という所で、施設から地域への移行というのは、徐々に進んではいるのですが、先ほど少し目標を下回っているという話もしましたが、少し実績としては難しくなってきている面があります。正に、障害者部会等で、なぜかというと、一言で言うと、重度化、高齢化とよく言いますが、施設からしても、まずは地域移行しやすい方、すぐできる方からやっていきますので、だんだん取組が進むにしたがって難しくなってくるし、更にまた高齢化も進んでくるというところで少し課題は出てきているのですが、しかしながら、それでいいということではなくて、申し上げたように、やはり政策的には地域移行を進めるべきだ、進めたいというのがあります。その下に「地域生活支援拠点等」と書いてありますが、これが正に、障害者の方の地域生活を支えるために各市町村でつくるサービスというか、そういう事業なわけですが、そういったものを今、一昨年の法改正で、全市町村の設置の努力義務というのが設けられたわけですが、足下の数字としては半分ぐらいにとどまっているので、これを、いかに全市町村に広げていくかということだと思います。
 それから、3番の就労の関係は、一般就労を本人の希望を踏まえた上で、一般就労へというのは、これまでもそうですし、いろいろな審議会等でも確認されているところです。一般就労も増えているのですが、その手前に当たる就労継続支援事業(A型・B型)、そういったところも非常に増えているので、福祉的な就労の方も増えるし、そこから一般就労に移行している人も増えていると、そんな動きです。B型の平均工賃も、A型もそうですが、増加傾向にはあります。それぐらいです。
 あと課題と目標は、同じことを書いてあるので、一旦、以上とさせていただきます。
 
○菊池座長
 ありがとうございました。いかがでしょうか。御意見、御質問等ございましたらお願いいたします。平野委員、どうぞ。
 
○平野委員
 御報告ありがとうございました。ちょっと卑近な例なのですけれども、ある自治体の社会福祉審議会の委員をしていて、先日、障害福祉計画の御紹介があって、この地域移行には私も関心があったので数値を見ていたら、ちょっと自治体名は言えないのですけれど、「3、3、4」という3年間の計画数値なのですよね。審議員として、どのようにその数値を読めばいいかというのは、なかなか難しいわけです。現状が3で、その3年間が「3、3、4」で、自治体の規模は当然小さいわけなので、そういう数値になるのかなということだと思うのですね。
 それで審議員だったので、どういうコメントをするかということはちょっと課題だったので、一般的に、ほかの数値も障害福祉計画の場合には増分主義というか、前年度対比でどう数を増やしていくかという、比較的、作り方もそのようになっているということなので、例えば議論になっている、そこの地域にその人が戻ってくるという人を、具体的に想定しながら作っている計画では決してないのですよね。
 そういう点で、この地域移行の数値というのは、先ほどおっしゃったように、前回の20年のときの実績評価をここでしたときにも、結果的には地域移行には、バツが付いたのですよね、評価で。それで、菊池先生の「もうちょっと、ちゃんと要因分析をしなさい」みたいなコメントが私のメモに書いてあったので、そのとおりだというような認識を持っているのですけれど。ちょっと長くなって恐縮なのですが、つまり古くて新しいというか、ずっとそれで、先ほど御指摘されたように、重い人が残っているという、お話にもあったかと思います。ただ、やはり地域移行という課題は、かなり広域的に捉え直さないと、先ほど私は、ある自治体の例を言いましたけれど、それは大体10万人前後ぐらいの自治体の規模で、大体そういう数値になるわけですよね。そうしたときに、場合によっては、広域で入所施設を確保している所からの移行という問題も当然あろうかと思うのです。
 あるいは県営の施設です。先日、津久井やまゆり園の評価、振り返りのシンポジウムに出ましたけれども、やはり地域に移行できる人も中にはいたという、重い人たちが中心だったと思いますが。そういうお話を聞いている際に、やはり神奈川県は、黒岩知事が、そこを思い切って改革しようという視点にされたわけですね。そういう点で何か地域間格差みたいなものを出すというのはとても難しいし、余り正当な方法ではないと思うのですけれども、是非もう少し、障害福祉計画の増分主義的な計画のマニュアル化ではなく、もうちょっと広域の都道府県が地域移行という問題をどのように捉えているのかというような視点を導入されて、その上に、何か地域移行を推進する要因というものを検討していただければなと、余り建設的な意見ではないのですけれど。
 その際に、2番目に指標として出てくるグループホームとの関係が余り論じられていないのではないかなという気がしました。もちろんグループホームは自宅から来る場合も当然あるので、一概に地域移行のためのグループホームという位置付けにはならないかと思いますけれども、いや、自宅からの地域移行という面は当然ありますけれども、そういう点で、何か分析上、地域移行を推進するということと、施設からの地域移行という意味ですけれども、そのことにグループホームがどの程度の効果を及ぼしているのかという分析も加えていただいて、今後の国からの政策誘導というか、そういうことを考えていただければいいのではないかなと思ったということでございます、以上です。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 ありがとうございます。御指摘を踏まえてということかなと思います。まずは後者のほうが具体的なというか、グループホームに関しては、まずはおっしゃるとおり、どのように整備できるかを考えたいと思います。ちょっと先生の御指摘とピタッとかみ合っているかどうか分からないのですけれど、私自身もグループホームは結構難しいなと感じているのは、やはりこれまでの地域移行の1つの大きな受け皿としての役割があるので、こうやって2番として位置付けられてきたのだと思います。
 経年比較という考え方からすると意味があるのだと思いますが、一方で、最近それこそ障害報酬の検討チームなどでも割と議論になったのは、逆にグループホームは、今は特に参入規制みたいなものがないこともあって、どんどん増えてしまって、自治体の人と話をしたりすると、逆にちょっと増え過ぎてしまって困るみたいな面も出てきている。実際に給付費などもすごく増えていますし、そういった議論もあったり、もちろん質が良ければいいということなのですけれども、やはり結構、質も様々で、今回の報酬改定でも内部評価みたいなことを、グループホームに新たに義務付けたりとか、結構課題となっています。今回は、すぐの導入は見送りましたが、ほかの施設と同様に、総量規制みたいなことも考えるべきではないかなどという議論も少し出ています。
 何を言いたいかというと、基本的には増えることが地域移行だという前提でやってきたのですけれど、果たしてそう言えるのかとか、このグループホームの位置付けというのは、少し問題かなと思っています。
 もう1つ、前者のほうは、より大きな、もう少し大きなというか、大事なことをおっしゃったというように受け止めましたけれど、確かに我々も、増分主義とおっしゃったかと思いますけれども、我々自身が多分そうなってしまっているし、私も都道府県の数字を積み上げたと言いましたが、市町村等の届けの数字を足して、国のターゲットとしているということなのですけれど。じゃあ、足下の市町村がどう作っているかと言ったら、おっしゃるような「3、3、4」みたいな話とか、結局、それが現場だとすると、それを単純に足しても、果たしてそれが成り立っているのかという、そんなことだと思います。
 なかなかそういうものは、「じゃあ、市町村とか届けに、すぐに何かできるのか」というと、パッとお聞きして考えても、なかなかキャパ的な話も含めて簡単ではないなと思いつつ、でも、少なくとも「ただ足せばいいんだ」ということには恐らくならないはずなので、すみません、ちょっと気の利いたことが言えないのですが、課題として持ち帰らせていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 ありがとうございます。いかがでしょうか。藤森委員どうぞ。
 
○藤森委員
 御説明ありがとうございます。前回のところでも、地域移行のところで、私が申し上げたのは、移行と、地域の整備状況や受け皿の整備状況というのは、やはりセットで議論しないと、移行だけが先行して議論するというのは課題ではないかと申し上げた記憶があります。
 今回、移行については、なかなか目標を達成できずにいるということでした。一方で、地域生活支援拠点について、整備している自治体を増やしていこうとされています。これは意義のあることだと思っております。
この点で、地域生活支援拠点が既にある所に置いて、地域移行がどのように進んでいるかということについて実態を分析していくことが必要ではないかと思います。多分、拠点の質によって、それは変わってくると思います。その辺りの分析も必要ではないかと思います。拠点を整備していくこと自体も必要なのでしょうが、今、既に整備された所では、どのような実態になっているのか。移行との関係についての分析を、お伺いできればと思います。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 ありがとうございます。パッと今、お聞きしていて、手元も含めて、そういう分析を私自身は見たことがない気がするので、もしかしたら課の中にあるのかもしれないのですが。ただ、おっしゃるように、拠点というものを推進するということの本質は、おっしゃるように、それによって何が変わったかということだと思うので、これもちょっとアウトカム的な議論ではなくて、どちらかというとアウトプット的な議論ですけれども、少なくとも私がパッと今、思い浮かぶのは、その拠点というのを整備するのはいいけれど、その内実というか、今回の報酬改定でもコーディネーターという拠点において、実際にそういうことを行う人員の名前なのですけれど、そういう人を本当に置くための人件費を報酬改定でみるということを今回、実際にやろうとしているのですけれど。
 何を言いたいかというと、おっしゃるように、それによって何が進んでいるかということを比較などすると、確かにそれで見えてくるし、それが見えると逆にやっていない所もやろうという話になると思うので、そこはちょっと受け止めさせていただいて、やってみたいと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 いかがでしょうか。岩崎委員、お願いします。
 
○岩崎委員
 御説明ありがとうございます。今、既に御説明いただいたこととも重なることばかりなのですけれど、私もそのグループホームの増加ということを非常に、逆に危機感をもって拝見しております。それはなぜかというと、施設からの地域移行は、さほど伸びていないのに、グループホームばかり伸びているというのは、もちろん親なき後の問題というようなことで、その重度化とか高齢化というようなことは、進んでいるという地域の事情も、もちろんあって、そうなっているのでしょうけれども、本来的にもう少し、地域のグループホームに入所しないで支えられる人たちも吸収されていく可能性が非常に高いというようなことを心配しています。
 だから、施設入所者は、高齢になって亡くなっていく分も含めてだんだん減っていきますけれど、今度はグループホームが、本当に何か壊れた場所になってしまって、障害のある人たちが本当に地域で、その人らしく暮らすというようなことを保障できるようなグループホームの実践になっているのかどうかという、これは多分、御担当の皆さんも大いに危機感を持ってくだされていると思っているので、あえて言う必要もないのですが、そのことが心配で、本当に自治体の計画よりも、何か特別に増えているというようなことに非常に大きな違和感、ほかの事業との比較でいうと違和感を持ちます。
 それから先生方の指摘もありましたけれども、やはり自治体間の格差というようなものが広がっていく一方のように思っておりまして、そういった意味で、先ほどもお話された地域生活支援拠点に関してコーディネーターをきちんと配置するというようなことを報酬改定でお考えいただいたことについては非常に嬉しく思っています。ですので、本当なら、このアウトカムを、できれば個人的にはコーディネーターの配置にするような方向に変えてほしいなと思っています。
 もっとよく言えば、グループホームに関しても、グループホームから逆に地域に出ていかれたというような方たちの数とかも、是非カウントしてもらいたいなというようなことを考えています。もちろんそこは実生活援助が、どのぐらい活用されたかということでフォローできるというお考えなのだろうと思うのですけれど、老婆心ながら、そのようなことを感じております。以上です。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 ありがとうございます。まず、グループホームの在り方というか、それにまつわる課題というのは本当におっしゃるとおりだと思うので、今後の最重要の1つの課題だと思っております。指標に関してグループホームから地域移行というのも、もちろん役人的な定義としては、グループホームも地域にカウントしてはみたいな話もあるのですが、一方で今回の法改正の報酬改定でも、グループホームから在宅で独り暮らしをどう勧めるかということも、正に政策課題にしたところですので、そこをどうカウントしていくかという話かなと思いましたし、それから拠点に関してもおっしゃるとおり、コーディネーターの配置のところを見るべきだというのもあると思いますので、ちょっと検討させていただきたいと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 新保委員、お願いします。
 
○新保委員
 ありがとうございました。障害者福祉の施策は、本当に当事者の皆様の声を大切にしながら歩みを進めておられると心から思っております。そういう中で、3番の就労支援のところもとても重要で、今、5、6、7、8と指標を挙げていただいているのですけれども、先般の改正で就労選択支援が創設されましたので、今後はそのような取組も指標として採用していくということも検討されてもよいのではないかと思ったところです。
 あと、今、参考資料に挙げておられる7、8ですが、定着支援の利用者数や、事業者ごとの定着率というところも、指標としてもいいような重要な数字ではないかと思っております。これからも着実に取組を推進していただければと思います。以上です。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 ありがとうございます。まず、就労選択支援に関しては、新しく始める話なのはおっしゃるとおりだと思います。ちょっとテクニカルな話としては、施行自体が7年10月施行ということに、今はしておりますので、6年の評価ではちょっとなじまないかなと思いますので、その次というか、施行された後はありうると思います。
 それから参考資料ところですが、参考資料となっている由縁自体は、先ほど申し上げた障害福祉計画に係る国の基本指針において、少しこの辺の就労定着に関する指標を変えたものですから、それに伴って、こちらの政策評価でも変えているので、変えたことに伴って継続する観点から参考資料という、多分そういう事務的な整理だというように理解しているので、私自身は別に、この「参考」ということにこだわりはないので、少し官房とも相談して、並びで外しても別にいいのであれば、中身自体は大事な話だと思っておりますので。以上です。
 
○菊池座長
 よろしいでしょうか。平野委員、どうぞ。
 
○平野委員
 ちょっと追加で申し訳ありませんけれども、ナカポツセンターといいますか、就労・生活支援センターの意義は結構大きいかなと思っておりますし、それが都道府県によっては、かなり上乗せを人員上でされている所も結構あると思うのですね。都道府県単位での格差みたいな話も含めてですけれども、何かこのナカポツセンターをめぐって、何らかの形で具体的に良いアイディアが出せればよかったのですけれども、ちょっとそれも浮かばなかったので、何か、ナカポツセンターをめぐって、国のほうで取られているデータのうち、もし1つの指標として、つまり総合的な支援というようなことも含めてですけれども、文字どおり就業と地域生活を支えるという重要な拠点で、千葉県などはとても大きな独自展開もされているようですので、私はちょっと滋賀県に関わっていて、やはり滋賀県も多分、2名分の人件費が上乗せされていたと思いますけれども、何かそういうことの評価を捉えるような方法はないものかなと、ちょっと考えましたので、もし御参考にしていただければと思います。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 ありがとうございます。まず、御意見として受け止めさせていただきます。ちょっとすみません、今、ぱっとナカポツセンターというので、もちろんいろいろな捉え方があると思うので、考えたいと思いますけれども、私自身が今、思い付くものがないのと、少なくとも、今ここで、これがベストという意味ではなくて、挙げてみましょうというように基本的には障害総合支援法のいろいろなサービス体系といいますか、B型にしても、定着支援にしても、先ほどの選択にしても、障害者総合支援法のサービス給付の体系で、いろいろな、データがそういうものだと、報酬の給付だとか取りやすいからというのは結構あるのですけれども、そういうもので今のところはそろっているので、ちょっとナカポツセンターは、またそれとは違う軸にはなるのですが、しかしながら就労関係では、もちろんキーとなる主体の1つなので、どういう捉え方と、ほかのものとどう並べるかというのは考えたいと思います。ありがとうございます。
 
○菊池座長
 ありがとうございました。ほかによろしいでしょうか。私からは特にないのですが、指標は難しいと思うのですけれども、ちょうど先週末、アメニティーフォーラムが滋賀であって、江口課長も行かれていましたけれども、そこで障害年金の話に参加したのですけれども、やはり事業者とか支援者から口々に、施設の補足手当があって、それがどんどん貯まっていくのだという話がありました。
 他方、その地域のグループホームの立場から言うと、なかなかそれはやはり厳しいと、手当があるにしてもです。施設の中にいたほうがどんどんお金が貯まるという。それを本人が使えるかどうかというのは、また別問題ですが。これは所得保障なのですけれども、その辺をどうにかしないと、という話です。ただ、なかなかそうしたことをここに反映するのは難しいですよね。施策目標の射程というか、難しさを感じた次第です。
 
○社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課長
 正に先生がおっしゃったとおりで、なかなか政策評価というステージかどうかはあるのですが、一方で、地域移行をまずは挙げていても、結構いろんな課題があると認識しており、地域移行ということをどう考えるか、上では、在宅と施設のいろいろな現金の話ですけれど、金銭面も含めた制度が必ずしも同じになっていないというか、じゃあ、それをどうするべきかみたいなことは議論にはなっていますし、今回の報酬改定の報告書でも、ちょっと役人的なあれですが、検討事項としては明記しているということ、それにはちょっと引き続きになってしまうのですが。
 一方、もちろん、今、施設に入っている方からすると、もちろん貯まっていくという方もあるとは思いますが、やはり負担が増えるということでも、給付が減るということは負担が増えるということを意味する面もありますので、なかなかその辺の難しさがあるとはいえ、正に在宅との公平性の観点からの補足給付金とか、そういったものも検討課題にはなっておりまして、ちょっと現時点では、これぐらいの説明しかできないのですが、課題として本質的な課題かなと思っております。
 
○菊池座長
 所得保障とサービスと、また生活保護などの低所得者、困窮者対策と、あと就労等、障害がある人の生活をどう支えていくかという、それをまとめて議論する場がないのですよね。ずっと前に、雇用と福祉を一緒に議論して、すごく生産的だったと思いますけれども、そういった評価の限界というか、そういったものもありますので、それをどう乗り越えていくかということですよね。すみません、横道に外れてしまって申し訳ありません。
 それでは、いろいろと御意見が出ましたので、本日の御議論を踏まえて、担当課におかれましては、事前分析表への反映をお願いいたします。どうもありがとうございました。御苦労様でした。
 ということで、本日予定しておりました議事は全て終了いたしました。誠に熱心、かつ有意義な御議論を頂きましてありがとうございました。それでは、事務局から本日の議論の取扱いについて、御説明をお願いいたします。
 
○政策立案・評価担当参事官室長補佐
 本日頂いた御意見等の取扱いにつきましては、まず事前分析表の記載に関する指摘につきましては、担当課において必要な修正をいたします。その後、当室で取りまとめの上、総務省への通知及び厚生労働省ホームページでの公表手続を進めさせていただきます。取りまとまりましたら、皆様にも最終版を送付いたします。また、本日の会議の場で伝え切れなかった御意見がございましたら、2月20日(火曜日)までに、事務局まで御連絡ください。説明は以上でございます。
 
○菊池座長
 それでは、これをもちまして、本日の会議を終了させていただきます。お昼に掛かりまして、この時間になりましたが御苦労様でした。ありがとうございました。