2023年11月6日 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会 議事録
日時
令和5年11月6日(月)17:00~19:00
場所
厚生労働省専用第22~24会議室
出席者
- 出席委員(15名)五十音順
-
- 荒戸照世
- 井関祥子
- 井上貴雄
- 小野寺雅史
- 勝田賢
- ◎合田幸広
- 小原恭子
- 小牧宏文
- 佐藤陽治
- 竹内隆正
- 永井宏和
- ○永井洋士
- 宮川政昭
- 森尾友宏
- 山本謙吾
(注)◎部会長 ○部会長代理
欠席委員(3名)五十音順-
- 佐藤雄一郎
- 立川愛
- 中岡竜介
行政機関出席者
-
- 城克文(医薬局長)
- 吉田易範(大臣官房審議官)
- 中山智紀(医療機器審査管理課長)
- 野村由美子(医薬安全対策課長) 他
議事
○医療機器審査管理課長 それでは、薬事・食品衛生審議会再生医療等製品・生物由来技術部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙の中御出席いただきまして、ありがとうございます。本会議は、Web会議形式を併用して開催いたします。
現在、再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち15名の方に御出席いただいておりまして、1名の方が遅れて出席される予定となっています。15名のうち7名の委員は、Webシステムを用いての御参加となっております。
続きまして、議事に先立ち、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果を報告します。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、報告させていただきたいと思います。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいております。引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
続けて、本日の議題の公開・非公開について、説明させていただきたいと思います。
○事務局 事務局です。本日予定している全ての議題については、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。
Webで御参加されている委員の皆様におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。
次に、資料4「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業として、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議決に御参加できない委員は、議題1において永井宏和委員が該当しております。この際、御退席いただく必要はありません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行については、合田部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明について、御意見等はありますか。皆様、よろしいですか。
それでは、これより議題に入ります。本日は、議題1及び議題2が審議事項、議題3が報告事項となっています。
では、非公開案件の議題1「再生医療等製品「アベクマ点滴静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定の要否について」の審議に入ります。事務局より説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、「アベクマ点滴静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。
資料の準備の方を御案内させていただきます。資料1-1「再生医療等製品「アベクマ点滴静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定の要否について」のファイルをお開きください。以後の審査報告書のページ数については、審査報告書のファイルの一番下の中央部分に緑色の文字で記載しているページ番号を使用させていただきます。
審査報告書7ページを御覧ください。7ページ上段の「1.1 申請品目の概要」を御覧ください。アベクマ点滴静注(以下「本品」と言う)は、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いて、形質細胞ががん化した骨髄腫細胞に多く発現するB細胞成熟抗原(以下「BCMA」と言う)を特異的に認識するキメラ抗原受容体(以下「CAR」と言う)の遺伝子を、患者末梢血由来のT細胞に導入した再生医療等製品です。本品がBCMAを発現した細胞を認識することによって、CAR導入T細胞に対して活性化、増殖、細胞障害等のエフェクター機能の獲得をもたらし、BCMAを発現する腫瘍を死滅させる効果が期待されております。
本邦では、この品目については、2022年1月に、再発又は難治性の多発性骨髄腫で、「三つ以上の前治療歴を有する患者」を適応対象として、既に承認されております。今般、本品について、より前のレジメンですが、2レジメンの前治療歴のある患者さんを適応対象に追加するために、「効能、効果又は性能」を変更する承認申請が行われました。対象となる疾患の種類は変わりません。
なお、本品は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定される「効能、効果又は性能」として当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。
今般の適応追加に係る海外での承認状況についてですが、米国では、2023年○月に申請が行われ、欧州では2023年○月に申請が行われ、いずれの地域でも11月現在審査中です。
本品の専門協議に御参加いただいた専門委員は、専門委員リストのファイルにありますとおり、4名の委員です。
これ以降、臨床成績を中心に、審査の概要について御説明させていただきます。
審査報告書8ページ中ほどの表1を御覧ください。今般の承認申請では、臨床試験の成績として、国際共同第III相試験であるMM-003試験の成績が提出されました。
まず、有効性について説明させていただきます。審査報告書11ページの表3及び図1を御覧ください。二つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同試験であるMM-003試験において、対照群として国内外の治療ガイドラインに準じた治療レジメンが標準治療群として設定され、有効性等について、本品との比較検討が行われました。
なお、標準治療群の患者は、試験においてPDが認められ、かつ、本品投与の適格性が確認された場合には、治験責任医師からの要請に基づき、本品のクロスオーバー投与が可能とされています。その結果、主要評価項目とされた無増悪生存期間(以下「PFS」と言う)について、標準治療群に対する本品群のハザード比が0.493で、中央値は本品群で13.3か月、標準治療群で4.4か月でして、標準治療群に対する本品群の優越性が検証されたことから、本品の有効性は示されたと判断いたしました。
続いて、安全性です。審査報告書19ページを御覧ください。19ページの中程の「6.R.2 安全性について」を御覧ください。二つ以上の前治療歴のある再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対する本品投与時に特に注意を要する有害事象についてですが、既承認効能に対する承認時に注意が必要と判断された有害事象として、ページの脚注22番に書いてあるのですが、ここの有害事象と同様であり、本品の投与に当たっては、既承認の「効能、効果又は性能」と同様に、これらの有害事象の発現に注意を要する必要があると判断しております。
また、機構は、本品の投与に当たって、上記の有害事象の発現に対応できる十分な設備の整った医療機関において、多発性骨髄腫の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応が行われるのであれば、本品の投与は忍容可能であると判断しております。
以上のように審査を行った結果として、審査報告書3ページを御覧いただければと思います。3ページの下の方から4ページにかけて書いてあります「効能、効果又は性能」、並びに「用法、用量又は使用方法」で、報告書4ページ下の方に記載させていただいた承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。なお、本品の再審査期間は、残余期間(令和14年1月19日まで)を設定することが適当であると判断いたしました。
説明は以上です。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。資料の最適使用推進ガイドライン(案)についても、事務局から続けて説明をお願いできますか。
○事務局 事務局より、最適使用推進ガイドラインについて、御説明させていただきます。お手元の資料1-2「最適使用推進ガイドライン(案)」をお開きください。
最適使用推進ガイドラインは、医薬品で行われている取組にならいまして、試行的に作成するもので、新規作用機序の再生医療等製品について最適な使用を進めていくため、この再生医療等製品を真に必要とする患者や、使用する医師や医療機関の要件についてお示しするものです。
アベクマ点滴静注については、最適使用推進ガイドラインの作成品目となっておりまして、今回、「効能、効果又は性能」に係る製造販売承認事項の一部変更承認に伴いまして、最適使用推進ガイドラインの改訂を予定しております。また、このガイドラインの案については、資料1-2の下に記載しているページでいう3/27ページ上部にお示ししております学会の御協力を頂いて検討しているところです。本部会の委員の皆様からも、御意見、御指摘がありましたら、検討させていただきたく、案をお示しております。
まず、現在お示ししております案から変更予定の点について、御説明させていただきます。こちらは資料に反映できていなくて恐縮ですが、4/27ページの中程に、本品の投与による副作用の治療に用いる薬剤として、トシリズマブ注の効能、効果を挙げさせていただいております。こちらの薬剤は、今般、9月25日の製造販売承認事項の一部変更承認によって、効能又は効果が「悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群」となりましたので、こちらの点を修正予定です。
続いて、今回、製造販売承認事項の一部変更承認に伴う主な変更点について、御説明させていただきます。3/27ページの「対象となる効能、効果又は性能」の2ポツ目において、前治療歴が3から2となる今回の承認事項一部変更を反映しております。
10/27から20/27ページまでに、今回追加された臨床試験のデータを追記しております。有効性に関しましては、「3.3」として「MM-003試験」を追記いたしました。また、安全性に関しましても、18/27ページ下部に、「MM-003試験」として同様に追記しております。
さらに、ガイドラインでいう21/27ページの「4.施設について」の記載に修正はありません。
また、23/27ページの「5.投与対象となる患者」については、今回、製造販売承認事項の一部変更承認に伴って、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む前治療歴について、これまで三つ以上だったものを二つ以上としております。
最後に、ガイドラインでいう26/27ページの「6.投与に際して留意すべき事項」については、追加で実施された「MM-003試験」で新たに得られた知見としまして、有害事象発現までの期間を追記するとともに、「傾眠、意識レベルの低下、注意力障害、書字障害、記憶障害」の神経系事象を追記しております。
本ガイドラインは、改訂後も引き続き、医薬品と同様に、保険適用上の留意事項としての活用を検討いただくこととしております。説明は以上です。
○合田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見等がありましたら、お願いいたします。Webの先生方を全部見せてもらえますか。皆さん、よろしいですか。会場の先生方、よろしいですか。
○永井(宏)委員 質問よろしいでしょうか。
○合田部会長 永井先生、どうぞ。
○永井(宏)委員 名古屋医療センターの永井と申します。このアベクマという薬剤ですが、今は3ライン以上のレジメンの既往の方に承認となって、このMM-003試験の中間解析によって、「2」から「4」までがその範囲だったので、今回欧米でも審査が行われたということなのですが、「2」を広げるという理解でよろしいですか。
2レジメンの方は日本では組み入れられていません。海外では2~4レジメンの試験ですが、何例ぐらいの症例がこの2レジメンで入ったのか。また、このランダム化の、1対2なのですが、このレジメン数が層別化因子になったかどうかに関しては、何か情報はありますか。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず適応対象の考え方については、委員の御理解のとおりです。今持っているのは、3レジメン以上の前治療歴を持つ患者さんであったのが、今回の申請で2レジメン以上の治療歴のある患者さんであれば使えるようになるという形です。
また、レジメン数の試験の状況なのですが、2レジメンの患者さんについては、本品群は78例、標準治療群は39例入っており、一定数は、全体は本品群254例なので254例中の78例は、2レジメンの治療歴の患者さんが入った試験のデータです。
○永井(宏)委員 試験の骨格で、1対2の層別化因子にそのレジメン数が入っていたと理解してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○永井(宏)委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。小原先生、お願いします。
○小原委員 先ほど御説明がなかったので教えていただきたいのですが、表10の安全性の概要ということで、MM-003試験に関するデータがあるのですが、この中に感染症というのがあります。特に表10ですと、外国人集団の方で感染症が多いですし、表11でもGrade3以上の感染症が挙げられているのですが、具体的にこの感染症というのはどういったものが起きたのでしょうか。
○合田部会長 お願いできますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちらは具体的なものといいますと、抗悪治療で免疫抑制状態で発生するような感染症は、全てこの感染症というカテゴリーで集計してまとめられておりますので、かなり多種多様ですが。
○小原委員 日本人の例の最初の群はゼロで、外国人集団の方が多い形になっておりますが、これはどうして外国人の集団の方が多いのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そこの部分の、なぜ外国人のところに多いかについてまでは、申請者から説明を受けておりません。以上が状況ですが、一方で、先ほどの感染症の具体的な内容について、少し報告書に記載している箇所がありましたので、御案内いたします。審査報告書の11から12ページに、安全性について、特に死亡や重篤な症例について記載している部分があり、そこに具体的な感染症でどういうものが起きたかという情報が書いてありますので、そこから、このようないろいろな感染症が、重篤な症例ではこういうものが発生しているということを確認して、ここに書かせていただいております。
○医薬品医療機器総合機構 機構より一つ補足させていただきます。報告書の26/39ページに、このMM-003試験において認められた事象の表があります。そこの真ん中辺り、「感染症および寄生虫症」のところに、上気道感染、肺炎が多く認められたものとして挙げられており、特に重篤なものとしては肺炎が多く認められたという状況です。
○小原委員 それはウイルス感染症とかそういうのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。感染症の発現状況について、病原体の種類別に示されてはいません。特定の細菌やウイルス感染症の事象も報告されておりますが、病原体が記載されない肺炎の基本語の事象が一番多く発現した状況です。
○小原委員 ありがとうございました。
○合田部会長 小原先生、以上でよろしいですね。
○小原委員 はい。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 森尾です。前治療歴のレジメンのことをお伺いしたいのですが、現在免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬及び抗CD38モノクローナル抗体製剤と書いてあり、一方、恐らく前治療の中には、新しいエロツズマブを使っていらっしゃる方もいると思うのです。これはSLAMF7に対する抗体なのですが、今回それを明示的に入れなかったという理由がもし何かあれば、それを教えていただけたらと思います。これはまだ標準的ではないと考えられているのかどうかという点が1点目です。まず、こちらからお伺いして、またフォローさせていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。SLAMF7のエロツズマブについては、まずファーストラインでは効能を取得しておらず、再発難治のラインだということになります。今回の場合は2レジメン以上なので、そう考えますとファーストラインで取っている抗CD38抗体を、一応抗体として入れたという形にはなるかと思います。
○森尾委員 これは、その位置付けが変わってくれば、また見直す可能性もあるということでよろしいですか。実際に私もレジメンの名前を覚えているわけではないのですが、EPDというのがそのレジメンになっていますが、これが割とラインとして上がってくれば、もしかするとそれも含まれるという解釈でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。ただ、この試験としては、抗CD38抗体が投与された患者さんでということになりますので、それに対してはまた検討が必要かと思います。
○森尾委員 ありがとうございます。それで、レジメンの定義なのですが、免疫調節薬の例えばレナリドミドやポマリドミドが新しいのができてきたり、抗CD38抗体もイサツキシマブというのが出てきたりと、これは違うものを使っていると違うレジメンと数えていらっしゃるということでよろしいですか。コンビネーションは同じだけれども、新世代のものが入っているときには、違うレジメンという捉え方でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、違うレジメンと考えていいと思いますが、抗CD38抗体が例えばダラツズマブが駄目なときにイサツキシマブをやった臨床試験が基本的にはないので、抗CD38抗体にリフラクトリーになった場合は、またイサツキシマブを使うということは一般的にはされていないのではないかとは考えます。
○森尾委員 期待されているのではなかったでしょうか。スイッチで治療効果が期待されていると理解していましたが、そういうわけではないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では実際には行われていないので、実際どれぐらいのものかは分からないかと思います。また、実施時期などを考えると、そこまでのデータが得られているわけではないので、実際にはダラツズマブを行った後にイサツキシマブをやった人が含まれていたかまでは見ていないですが、含まれていたとしても少ないとは思います。
○森尾委員 これの意図は、恐らく新世代のものがリフラクトリーのものに効くものができたときに、それがやはり2レジメンではなくて3レジメンで新しいもののコンビネーションの方が効果があって、もしかしたら薬価も安いとか、少ないケースでもあるかもしれないと思っての質問でした。ありがとうございます。
それから、先ほどの感染症なのですが、注意事項として免疫グロブリンが下がる方がいるとありました。これのパーセンテージは恐らくそんなに低くなくて、10%ぐらいの感じで、例えば感染症が細菌感染症の場合には、やはりそこを防げるのであれば強調しておいていただいたらいいのかなと。IgGレベルがある程度下がっていた場合には、やはり補充も短期間とか考えておくと予防になると。データがどれだけあるかは分からないのですが、とにかく免疫不全症の立場からはやはり重要な点だと思うのです。これはコメントです。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局、何かありますか。よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。低ガンマグロブリン血症についても、添付文書で初回承認時のときから注意喚起させていただいており、患者さんに異常が認められた場合はすぐに適切に処置をすること、グロブリンの補充療法とか、その部分はきちんと注意喚起させていただいておりますので、こちらも引き続き注視させていただきます。
○森尾委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、御意見等はありますか。永井先生、どうぞ。
○永井(洋)部会長代理 京大の永井です。今回機構からはPFSに基づく結果をお示しいただきました。審査報告書にはOSに関する考察も書かれていますが、有意差がなかったものの、PFSの結果と矛盾しないという点であえて御説明されなかったのかと思います。あるいは、対照群でも途中で実薬投与が可能になっていますので、説明のややこしさを避けられたのかもしれません。いずれにしても、それは審査結果には関係ないので結構です。
一番気になるのが、製造失敗例です。審査報告書の緑の字で10/39ページです。下から8行目ぐらいに、製造失敗が1例と記載されています。なぜこれが気になるかというと、別のCARTではありますが、先日、京大病院で患者さんがアフェレーシスを受け、企業側でCARTを作っていたところ、手順の逸脱とコンタミが否定できないということで、製造に失敗した事例がありました。患者さんは、大切な時間と医療費を使って、結局のところ全くCART治療を受けられなかった事例です。こちらは機構にも報告があげられていますし、厚労省にも報告したわけです。普通の薬剤ならこういうことは起こらないのですが、このような生きた細胞ではときどき起こっていると聞いています。この1例の製造失敗の原因が、患者さん側の要因なのか、あるいは企業側の要因なのか。そして、規格外を製造失敗と言っているのか、もしそうなら治験の枠組みで患者さんに投与できる可能性もあるわけです。それとも、患者さんのところにいく前に失敗ということになったのか、その辺の事情が分かれば教えていただきたいです。
次はコメントになるのですが、現在、市販後にこうした事象を拾い上げる仕組みがないと思うのです。例えば、市販後調査で拾い上げる仕組みはできないのか。あるいは、企業側で拾い上げてビジブルな形にする仕組みはできないのか。その辺りについてコメントいただけると有り難いです。
○合田部会長 貴重な御意見ありがとうございます。これは、最初に機構側から、何かありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から説明させていただきます。御指摘いただいた1例に関して、詳細なデータは持ちあわせていないのですが、今回のMM-003試験全体でクロスオーバーした患者さんも含めて、13例の患者さんにおいて、製造失敗を含む規格の不適合が確認されております。そちらの内容に関しては、規格の不適合もありますし、アフェレーシス産物や中間体の品質不適合、あるいは作業ミスに関しても認められております。これらに関しては、照会回答の中で、対応策あるいは対応についての進捗状況を確認して、対応できるものについては、既に申請者から御説明いただいている状況です。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。13例となると、結構な数に今びっくりしました。こうした製造失敗は、治験でやっている場合には、患者さんの金銭的な負担はありませんが、いざ実地医療になると、交通費や医療費、全て患者さんが負担しなければいけないのです。患者さん側の細胞が原因で仕方ないものもあるのですが、何かの形で拾い上げて、ビジブルにないといけないと思います。
○医療機器審査管理課長 よろしいですか。
○合田部会長 はい、どうぞ。
○医療機器審査管理課長 先生、御指摘ありがとうございます。先生の問題意識については、我々も同じように認識しております。実態として、まずどういう実態があるのかというところは、業界とも相談した上で、いろいろどういったことができるか検討していきます。また、そうした規格外品を実際に使用できるようにする制度的な仕組みも、我々としては検討したいと思っていて、その辺を併せて検討を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。欧州では、既にそういう制度が動いていると聞いています。これもちなみにですが、今回は一医療機関である京大病院として、病院長名の正式文書で回答を求めたのですが、企業秘密だから答えられませんというゼロ回答に近いものでした。医療機関側が幾ら頑張ってもどうしようもないので、是非、国の仕組みとしてこうした問題をマネージする仕組みを考えていただきたいと感じます。ありがとうございます。
○合田部会長 永井先生、貴重な意見をありがとうございます。森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 今の永井先生の御意見に関係することで、これはCART製品全てに関わることだと思うのですが、やはり、ある会社というか非公開にノバルティスなどは、そのデータを集められて、どこでアウトオブスペックになっているか、パーセンテージなのか、あるいは生存率なのか、細胞数なのかというデータとともに、どこが課題であったかを出されようとしています。これは、恐らく、全ての会社にそういうデータを出していただけるようになれば、最初の採取等のところでもし課題があるのであれば、これは病院側が何かしなければいけないと。特定は難しいのですが、やはり患者さんにはベネフィットになるので、そこら辺のデータ出しを、ある程度求めるようにしていただけると有り難いなというのは、個人的にも感じております。以上です。
○合田部会長 森尾先生、ありがとうございます。ほかに、御意見はよろしいでしょうか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 先ほどから森尾先生と、永井部会長代理が御提起されたことについて話していたのですが、どのようにして医療機関でそういうものが分かるようにするのか。そうしないと、改善を図ることが医療機関の中でもできないのです。そのところが非常に問題で、先ほど永井先生がおっしゃったように、これは全部企業の中の問題だからと、秘密の問題だからとされてしまうと、CARTについてはすべて、これからこの審議会の中で、一部変更申請等、いろいろな議論をするときに、非常に苦慮する部分が出てくるのではないかと考えます。ですから、その辺をしっかりと提示していただいて、どこにどういう問題点があって、誰がどのようにしたら少しでも改善するのか。これは、患者さんに対する福音がなければならないので、先ほど永井先生がおっしゃったように、しっかりとした立て付けを作っていかないといけない。ですから、それは課長から今御提示していただいたのですが、ではそれは分かりましたというだけではなくて、立て付けとしてどうするのかということも、やはり部会として、ある程度の方針を出してお願いするとか、お願いベースになるのかもしれませんが、しっかりとした立て付けを作っていくというようにしないと、今後、このCARTも含めて、いろいろ議論できないのではないかと思うので、是非、部会長、そのようにお願いしたいと思います。
○合田部会長 宮川先生、ありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。しっかり立て付けについても、事務局としてしっかり考えて、皆様の御意見もいただくような流れにしていければと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問等はありますか。Webの先生方、よろしいですか。
それでは、御意見等が出尽したようですので、議決を行います。再生医療等製品アベクマ点滴静注については、承認事項の一部変更承認を可としてもよろしいでしょうか。また、再審査期間を、残余期間令和14年1月19日までの指定としてよろしいでしょうか。皆様御異議がないようですので、そのように議決いたします。
本件は、分科会に報告を行うことにします。これで、議題1を終了いたします。
続いて、議題2「Beremagene Geperpavec(B-VEC)を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について」の審議に入ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題2、資料番号2、Beremagene Geperpavec(B-VEC)を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、御説明いたします。資料2に、機構の事前評価報告書がございますので、タブレットを御覧の方は2/23ページから、紙資料の方は事前評価報告書の1ページから、御覧ください。
本品の名称は「Beremagene Geperpavec」、略称は「B-VEC」です。予定される効能、効果又は性能は「栄養障害型表皮水疱症」。申請者はKrystal Biotech, Inc. です。
疾患及び本品の概要について御説明いたします。表皮水疱症は、表皮・基底膜間、基底膜・真皮間を連結する細胞骨格と接着タンパク質に関連する遺伝子の変異により、水疱、びらん又は潰瘍を生じる遺伝性疾患です。表皮水疱症には大きく三つの病型が存在しており、本品が対象とする「栄養障害型表皮水疱症」は、基底膜・真皮間を連結する7型コラーゲンの異常によって生じることが知られております。患者数としては、表皮水疱症全体の約5割程度と推定されております。これに対して、本品は7型コラーゲンをコードするCOL7A1遺伝子を導入した遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスであり、病変部へ塗布することにより栄養障害型表皮水疱症を改善することが期待されている製品となっております。
続いて、希少疾病用再生医療等製品の指定要件への該当性について、順に御説明いたします。
まず、対象者数ですが、表皮水疱症は「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく指定難病で、患者数は500~1,000人と推定されています。栄養障害型表皮水疱症はそのうちの約5割と推定されていることを踏まえますと、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人未満の条件を満たしていると考えております。
次に、医療上の必要性について御説明いたします。表皮水疱症は、現在、創傷被覆剤等による対症療法が行われていますが、標準的な治療法は確立しておりません。2018年12月に、ヒト(自己)表皮由来細胞シートであるジェイスが、「難治性又は再発性のびらん・潰瘍を有する栄養障害型又は接合部型表皮水疱症」の適応症で製造販売承認されておりますけれども、原料となる正常様皮膚組織を採取できる患者に適応が限られておりまして、患者自身から正常な皮膚組織を採取できなければ使用できないという製品になっています。本品は、7型コラーゲンをコードするCOL7A1遺伝子を導入した遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスですので、患者からの皮膚組織採取等を要さず、病変部へ塗布することのみによって栄養障害型表皮水疱症を改善することが期待されておりますので、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。海外における二重盲検プラセボ対照第III相試験(B-VEC-03試験)において、主要評価項目とされた「治療開始6か月時点(22及び24週、又は24及び26週)で完全閉鎖した創傷の割合」において、統計学的に有意な差が認められておりまして、本結果に基づいて、本年5月に米国では承認されています。また、本邦から参加する試験として、国際共同第III相非盲検継続投与試験(B-VEC-EX-02試験)が実施されておりまして、開発の可能性についても、あるというように考えております。
以上、御説明しましたとおり、本品は希少疾病用再生医療等製品の指定の3要件を満たしていると考えております。本品の希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について、御審議のほどお願いいたします。
○合田部会長 それでは本件につきまして、委員の先生方から、御質問や御意見等はございますか。Webの先生方はよろしいですか。永井宏和先生、お願いいたします。
○永井(宏)委員 治験も日本でやっているということなのですけれども、診断というのは基本的には遺伝子変異まで見る診断をしているのですか。今後、遺伝子診断も実地臨床が使えるような開発をしていくのかどうかということについて、教えてください。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 事務局でございます。御質問ありがとうございます。現在の表皮水疱症の診断基準においては、遺伝子検査は必須になっておりません。ですので、一応現在の考えとしては、恐らく承認をされれば、この診断基準に従って栄養障害型と診断された患者さんであれば、本品の適応はできるのではないかと考えております。
○永井(宏)委員 遺伝子治療なのですけれども、今のところは、この治験に関しては、遺伝子診断はやっていないのですか。
○事務局 そうですね。栄養障害型表皮水疱症という診断を付けるには、遺伝子検査は必須にはなっていないのですが、栄養障害型表皮水疱症の中にも、優性いわゆる顕性でしょうか、顕性のものと潜性のものがございまして、それを判断する上で、両親にその変異が認められるかとか、そういうような遺伝子検査というのは実施されているようです。
○永井(宏)委員 基本的に、診断には、このコラーゲン7型に異常があると考えてよろしいですか。
○事務局 はい、そのように考えております。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問はございますか。会場の先生方も、Webの先生方もよろしいですね。井関先生、どうぞ。
○井関委員 今の確認なのですが、これはよく分かっておらず申し訳ないのですが、どういう状況であれ、タイプ7コラーゲンが発現しないということで、この疾病が起きるという判断でよろしいということですね。
○事務局 そうですね。少なくとも難病の指定に係る診断基準という観点からすれば、遺伝子検査については必須とはなっていないという状況です。ただ、その臨床症状で診断が難しい場合には、遺伝子検査をするといった場合もあるという状況と理解しております。
○井関委員 ありがとうございます。患者さんに、遺伝子検査をしないまでも、タイプ7コラーゲンの発現が低いとか、そういうことを調べることもないということでしょうか。mRNAではなくて、そのタンパク質そのものの発現ということです。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 その難病の診断というところ以外での検査という理解でよろしいですか。すみません、今の御質問の意図が酌み取れていないのですけれども。
○井関委員 いわゆる希少疾病用再生医療等製品として使っていくに当たって、要するに、これはタイプ7コラーゲンタンパク質を補うということで、それは非常にいいことです。タイプ7コラーゲンタンパク質の発現を確認しないで、タイプ7コラーゲンを発現するウイルスを塗りましょうでいいのかなと思っただけなのです。
○医薬品医療機器総合機構 機構から説明させていただきます。治験の確認をしたのですけれども、治験のインクルージョンクライテリアには、遺伝子検査を確認した上で、欠損していることを確認した上で、その患者が適応対象になっているということを確認しております。
○合田部会長 小野寺先生、どうぞ。
○小野寺委員 別に希少疾患だから遺伝子診断を行うのではなく、この製品が遺伝子治療用製品であるためで、遺伝子検査をしないで遺伝子治療をやるわけがないのです。だから、もちろん治験においてもやられており、今後、製造販売承認のときにも、必ず遺伝子検査をして、COLAがマイナスでない限り、この薬を使う意味がないわけです。
○医薬品医療機器総合機構 本品の特性を踏まえまして、やはりそのような遺伝子欠損を確認した上で投与するということが適当と考えますので、どういった患者さんを対象にするかということにつきましては、審査の中で慎重に丁寧に見ていきたいと考えております。
○合田部会長 井関先生、どうぞ。
○井関委員 先生、ありがとうございました。それとともに、タイプ7コラーゲンに、いわゆる変異がなくても、結果としてタイプ7コラーゲンの発現が落ちているパターンも考えられると思うのですね。そうなると、実施可能かどうかは別として、やはり患者さんの皮膚でのタイプ7コラーゲンの発現量というのは調べなければいけないのではないかなと思ったりもするのですけれども。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 今回のオーファン指定のところでは、そこまでの検討はできていないのですけれども、やはり実際に投与するということに当たりましては、そういった観点からの検討も必要かと思いますので、そこは審査の中で、どういった対応ができるのかどうかというところも含めて、検討をさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問等はございますか。Webの先生方いかがですか。森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 今、調査票を見ていたのですが、やはり遺伝子検査の項がありますので、恐らく診断基準の中でそれを御覧になられて診断されるのだろうなというようには認識しています。ただ、小野寺先生がおっしゃるとおりなので、そこら辺を何か明示しておいていただいた方がいいのかと思いました。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかによろしいですか。佐藤陽治先生、どうぞ。
○佐藤(陽)委員 診断が必要となれば、もちろん診断の方の品質保証とか、性能評価というのも必要になってきますので、そちらも御検討いただければいいと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局はいいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ただいまの御指摘も含めて検討させていただきたいと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかによろしいですか。
それでは、特に追加の意見もないようですので、議決を行いたいと思います。B-VECについては、本部会として、希少疾病用再生医療等製品に指定することとしてよろしいでしょうか。皆様、御異議はありませんか。それでは御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。
本件は、分科会にて報告を行うこととします。これで、議題2を終了します。
続きまして、議題3「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」、事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題3、資料番号3について、事務局から御報告いたします。
カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を行う目的として、特段の拡散防止措置を採らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合は、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要があります。
まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について、御報告いたします。1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での御報告以降で、令和5年4月から9月までに第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらに示しております5品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程にのっとって本遺伝子組換え生物等の使用等を行う限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
続きまして、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について、御報告いたします。2、3ページの一覧を御覧ください。こちらも同じく、令和5年4月から9月までに第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの延べ30品目となります。これらにつきましても、機構の一定の評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、採られる拡散防止措置は適切と判断したものです。
事務局からは、以上でございます。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして、委員の先生方から、御質問や御意見等はございますか。小原先生、どうぞ。
○小原委員 第二種使用等の27番と28番のところ、E.coliのところが、「E. scherichia coli」の「.」を抜いた方がいいと思います。これは、「Escherichia coli」にするか、「E.coli」にした方がいいと思うので、この「E.」を、両方とも「.」を取られたらいかがかと思います。
○合田部会長 事務局はよろしいですか。そういうルールなのですね。私は知りませんでした。
○小原委員 そこは、「E.」でしたら「E.coli」になりますし、「Escherichia」でしたら「.」を取る形の方がいいと思います。
○事務局 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。こちらについては、確認をさせていただきまして、正式な名称に修正したいと思います。
○小原委員 はい。
○合田部会長 検討をお願いします。ほかによろしいですか。よろしければ、これで議題3を終了したいと思いますが、よろしいですか。特にないようですので、議題3を終了させていただきます。
本日の議題は以上でございます。事務局から連絡事項等はありますか。
○医療機器審査管理課長 本日も御議論をありがとうございます。次回の部会は、2月5日月曜日の15時からを予定しております。詳細につきましては、後日、メールにて御連絡をさせていただきます。連絡事項は以上です。
○合田部会長 それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。
現在、再生医療等製品・生物由来技術部会委員18名のうち15名の方に御出席いただいておりまして、1名の方が遅れて出席される予定となっています。15名のうち7名の委員は、Webシステムを用いての御参加となっております。
続きまして、議事に先立ち、事務局より、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果を報告します。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、報告させていただきたいと思います。委員の皆様には、会議開催の都度、書面を御提出いただいております。引き続き御理解、御協力を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
続けて、本日の議題の公開・非公開について、説明させていただきたいと思います。
○事務局 事務局です。本日予定している全ての議題については、企業情報に関する内容などが含まれるため非公開といたします。
会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしております。また、Webにて御参加されている先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。
Webで御参加されている委員の皆様におかれましては、審議中はマイクミュート、通信環境等支障がない限りカメラオンでお願いいたします。
次に、資料4「競合品目・競合企業リスト等一覧」をお開きください。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業として、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議決に御参加できない委員は、議題1において永井宏和委員が該当しております。この際、御退席いただく必要はありません。以上、御報告いたします。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以降の進行については、合田部会長、よろしくお願いいたします。
○合田部会長 それでは、ただいまの事務局からの説明について、御意見等はありますか。皆様、よろしいですか。
それでは、これより議題に入ります。本日は、議題1及び議題2が審議事項、議題3が報告事項となっています。
では、非公開案件の議題1「再生医療等製品「アベクマ点滴静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定の要否について」の審議に入ります。事務局より説明をお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 議題1、「アベクマ点滴静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、機構より御説明させていただきます。
資料の準備の方を御案内させていただきます。資料1-1「再生医療等製品「アベクマ点滴静注」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定の要否について」のファイルをお開きください。以後の審査報告書のページ数については、審査報告書のファイルの一番下の中央部分に緑色の文字で記載しているページ番号を使用させていただきます。
審査報告書7ページを御覧ください。7ページ上段の「1.1 申請品目の概要」を御覧ください。アベクマ点滴静注(以下「本品」と言う)は、遺伝子組換えレンチウイルスベクターを用いて、形質細胞ががん化した骨髄腫細胞に多く発現するB細胞成熟抗原(以下「BCMA」と言う)を特異的に認識するキメラ抗原受容体(以下「CAR」と言う)の遺伝子を、患者末梢血由来のT細胞に導入した再生医療等製品です。本品がBCMAを発現した細胞を認識することによって、CAR導入T細胞に対して活性化、増殖、細胞障害等のエフェクター機能の獲得をもたらし、BCMAを発現する腫瘍を死滅させる効果が期待されております。
本邦では、この品目については、2022年1月に、再発又は難治性の多発性骨髄腫で、「三つ以上の前治療歴を有する患者」を適応対象として、既に承認されております。今般、本品について、より前のレジメンですが、2レジメンの前治療歴のある患者さんを適応対象に追加するために、「効能、効果又は性能」を変更する承認申請が行われました。対象となる疾患の種類は変わりません。
なお、本品は、「再発又は難治性の多発性骨髄腫」を予定される「効能、効果又は性能」として当部会における審議を経て、希少疾病用再生医療等製品に指定されております。
今般の適応追加に係る海外での承認状況についてですが、米国では、2023年○月に申請が行われ、欧州では2023年○月に申請が行われ、いずれの地域でも11月現在審査中です。
本品の専門協議に御参加いただいた専門委員は、専門委員リストのファイルにありますとおり、4名の委員です。
これ以降、臨床成績を中心に、審査の概要について御説明させていただきます。
審査報告書8ページ中ほどの表1を御覧ください。今般の承認申請では、臨床試験の成績として、国際共同第III相試験であるMM-003試験の成績が提出されました。
まず、有効性について説明させていただきます。審査報告書11ページの表3及び図1を御覧ください。二つ以上の前治療歴を有する再発又は難治性の多発性骨髄腫患者を対象とした国際共同試験であるMM-003試験において、対照群として国内外の治療ガイドラインに準じた治療レジメンが標準治療群として設定され、有効性等について、本品との比較検討が行われました。
なお、標準治療群の患者は、試験においてPDが認められ、かつ、本品投与の適格性が確認された場合には、治験責任医師からの要請に基づき、本品のクロスオーバー投与が可能とされています。その結果、主要評価項目とされた無増悪生存期間(以下「PFS」と言う)について、標準治療群に対する本品群のハザード比が0.493で、中央値は本品群で13.3か月、標準治療群で4.4か月でして、標準治療群に対する本品群の優越性が検証されたことから、本品の有効性は示されたと判断いたしました。
続いて、安全性です。審査報告書19ページを御覧ください。19ページの中程の「6.R.2 安全性について」を御覧ください。二つ以上の前治療歴のある再発又は難治性の多発性骨髄腫患者に対する本品投与時に特に注意を要する有害事象についてですが、既承認効能に対する承認時に注意が必要と判断された有害事象として、ページの脚注22番に書いてあるのですが、ここの有害事象と同様であり、本品の投与に当たっては、既承認の「効能、効果又は性能」と同様に、これらの有害事象の発現に注意を要する必要があると判断しております。
また、機構は、本品の投与に当たって、上記の有害事象の発現に対応できる十分な設備の整った医療機関において、多発性骨髄腫の治療に対して十分な知識と経験を持つ医師によって、有害事象の観察や管理等の適切な対応が行われるのであれば、本品の投与は忍容可能であると判断しております。
以上のように審査を行った結果として、審査報告書3ページを御覧いただければと思います。3ページの下の方から4ページにかけて書いてあります「効能、効果又は性能」、並びに「用法、用量又は使用方法」で、報告書4ページ下の方に記載させていただいた承認条件を付した上で、本品を承認することは可能と判断いたしました。なお、本品の再審査期間は、残余期間(令和14年1月19日まで)を設定することが適当であると判断いたしました。
説明は以上です。御審議のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
○合田部会長 ありがとうございます。資料の最適使用推進ガイドライン(案)についても、事務局から続けて説明をお願いできますか。
○事務局 事務局より、最適使用推進ガイドラインについて、御説明させていただきます。お手元の資料1-2「最適使用推進ガイドライン(案)」をお開きください。
最適使用推進ガイドラインは、医薬品で行われている取組にならいまして、試行的に作成するもので、新規作用機序の再生医療等製品について最適な使用を進めていくため、この再生医療等製品を真に必要とする患者や、使用する医師や医療機関の要件についてお示しするものです。
アベクマ点滴静注については、最適使用推進ガイドラインの作成品目となっておりまして、今回、「効能、効果又は性能」に係る製造販売承認事項の一部変更承認に伴いまして、最適使用推進ガイドラインの改訂を予定しております。また、このガイドラインの案については、資料1-2の下に記載しているページでいう3/27ページ上部にお示ししております学会の御協力を頂いて検討しているところです。本部会の委員の皆様からも、御意見、御指摘がありましたら、検討させていただきたく、案をお示しております。
まず、現在お示ししております案から変更予定の点について、御説明させていただきます。こちらは資料に反映できていなくて恐縮ですが、4/27ページの中程に、本品の投与による副作用の治療に用いる薬剤として、トシリズマブ注の効能、効果を挙げさせていただいております。こちらの薬剤は、今般、9月25日の製造販売承認事項の一部変更承認によって、効能又は効果が「悪性腫瘍治療に伴うサイトカイン放出症候群」となりましたので、こちらの点を修正予定です。
続いて、今回、製造販売承認事項の一部変更承認に伴う主な変更点について、御説明させていただきます。3/27ページの「対象となる効能、効果又は性能」の2ポツ目において、前治療歴が3から2となる今回の承認事項一部変更を反映しております。
10/27から20/27ページまでに、今回追加された臨床試験のデータを追記しております。有効性に関しましては、「3.3」として「MM-003試験」を追記いたしました。また、安全性に関しましても、18/27ページ下部に、「MM-003試験」として同様に追記しております。
さらに、ガイドラインでいう21/27ページの「4.施設について」の記載に修正はありません。
また、23/27ページの「5.投与対象となる患者」については、今回、製造販売承認事項の一部変更承認に伴って、免疫調節薬、プロテアソーム阻害剤及び抗CD38モノクローナル抗体製剤を含む前治療歴について、これまで三つ以上だったものを二つ以上としております。
最後に、ガイドラインでいう26/27ページの「6.投与に際して留意すべき事項」については、追加で実施された「MM-003試験」で新たに得られた知見としまして、有害事象発現までの期間を追記するとともに、「傾眠、意識レベルの低下、注意力障害、書字障害、記憶障害」の神経系事象を追記しております。
本ガイドラインは、改訂後も引き続き、医薬品と同様に、保険適用上の留意事項としての活用を検討いただくこととしております。説明は以上です。
○合田部会長 それでは、委員の先生方から御質問、御意見等がありましたら、お願いいたします。Webの先生方を全部見せてもらえますか。皆さん、よろしいですか。会場の先生方、よろしいですか。
○永井(宏)委員 質問よろしいでしょうか。
○合田部会長 永井先生、どうぞ。
○永井(宏)委員 名古屋医療センターの永井と申します。このアベクマという薬剤ですが、今は3ライン以上のレジメンの既往の方に承認となって、このMM-003試験の中間解析によって、「2」から「4」までがその範囲だったので、今回欧米でも審査が行われたということなのですが、「2」を広げるという理解でよろしいですか。
2レジメンの方は日本では組み入れられていません。海外では2~4レジメンの試験ですが、何例ぐらいの症例がこの2レジメンで入ったのか。また、このランダム化の、1対2なのですが、このレジメン数が層別化因子になったかどうかに関しては、何か情報はありますか。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。まず適応対象の考え方については、委員の御理解のとおりです。今持っているのは、3レジメン以上の前治療歴を持つ患者さんであったのが、今回の申請で2レジメン以上の治療歴のある患者さんであれば使えるようになるという形です。
また、レジメン数の試験の状況なのですが、2レジメンの患者さんについては、本品群は78例、標準治療群は39例入っており、一定数は、全体は本品群254例なので254例中の78例は、2レジメンの治療歴の患者さんが入った試験のデータです。
○永井(宏)委員 試験の骨格で、1対2の層別化因子にそのレジメン数が入っていたと理解してよろしいでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 はい、御理解のとおりです。
○永井(宏)委員 ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。小原先生、お願いします。
○小原委員 先ほど御説明がなかったので教えていただきたいのですが、表10の安全性の概要ということで、MM-003試験に関するデータがあるのですが、この中に感染症というのがあります。特に表10ですと、外国人集団の方で感染症が多いですし、表11でもGrade3以上の感染症が挙げられているのですが、具体的にこの感染症というのはどういったものが起きたのでしょうか。
○合田部会長 お願いできますか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。こちらは具体的なものといいますと、抗悪治療で免疫抑制状態で発生するような感染症は、全てこの感染症というカテゴリーで集計してまとめられておりますので、かなり多種多様ですが。
○小原委員 日本人の例の最初の群はゼロで、外国人集団の方が多い形になっておりますが、これはどうして外国人の集団の方が多いのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 そこの部分の、なぜ外国人のところに多いかについてまでは、申請者から説明を受けておりません。以上が状況ですが、一方で、先ほどの感染症の具体的な内容について、少し報告書に記載している箇所がありましたので、御案内いたします。審査報告書の11から12ページに、安全性について、特に死亡や重篤な症例について記載している部分があり、そこに具体的な感染症でどういうものが起きたかという情報が書いてありますので、そこから、このようないろいろな感染症が、重篤な症例ではこういうものが発生しているということを確認して、ここに書かせていただいております。
○医薬品医療機器総合機構 機構より一つ補足させていただきます。報告書の26/39ページに、このMM-003試験において認められた事象の表があります。そこの真ん中辺り、「感染症および寄生虫症」のところに、上気道感染、肺炎が多く認められたものとして挙げられており、特に重篤なものとしては肺炎が多く認められたという状況です。
○小原委員 それはウイルス感染症とかそういうのでしょうか。
○医薬品医療機器総合機構 機構よりお答えいたします。感染症の発現状況について、病原体の種類別に示されてはいません。特定の細菌やウイルス感染症の事象も報告されておりますが、病原体が記載されない肺炎の基本語の事象が一番多く発現した状況です。
○小原委員 ありがとうございました。
○合田部会長 小原先生、以上でよろしいですね。
○小原委員 はい。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに御質問はありますか。森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 森尾です。前治療歴のレジメンのことをお伺いしたいのですが、現在免疫調節薬、プロテアソーム阻害薬及び抗CD38モノクローナル抗体製剤と書いてあり、一方、恐らく前治療の中には、新しいエロツズマブを使っていらっしゃる方もいると思うのです。これはSLAMF7に対する抗体なのですが、今回それを明示的に入れなかったという理由がもし何かあれば、それを教えていただけたらと思います。これはまだ標準的ではないと考えられているのかどうかという点が1点目です。まず、こちらからお伺いして、またフォローさせていただきます。
○医薬品医療機器総合機構 機構からお答えいたします。SLAMF7のエロツズマブについては、まずファーストラインでは効能を取得しておらず、再発難治のラインだということになります。今回の場合は2レジメン以上なので、そう考えますとファーストラインで取っている抗CD38抗体を、一応抗体として入れたという形にはなるかと思います。
○森尾委員 これは、その位置付けが変わってくれば、また見直す可能性もあるということでよろしいですか。実際に私もレジメンの名前を覚えているわけではないのですが、EPDというのがそのレジメンになっていますが、これが割とラインとして上がってくれば、もしかするとそれも含まれるという解釈でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 そうですね。ただ、この試験としては、抗CD38抗体が投与された患者さんでということになりますので、それに対してはまた検討が必要かと思います。
○森尾委員 ありがとうございます。それで、レジメンの定義なのですが、免疫調節薬の例えばレナリドミドやポマリドミドが新しいのができてきたり、抗CD38抗体もイサツキシマブというのが出てきたりと、これは違うものを使っていると違うレジメンと数えていらっしゃるということでよろしいですか。コンビネーションは同じだけれども、新世代のものが入っているときには、違うレジメンという捉え方でよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 基本的には、違うレジメンと考えていいと思いますが、抗CD38抗体が例えばダラツズマブが駄目なときにイサツキシマブをやった臨床試験が基本的にはないので、抗CD38抗体にリフラクトリーになった場合は、またイサツキシマブを使うということは一般的にはされていないのではないかとは考えます。
○森尾委員 期待されているのではなかったでしょうか。スイッチで治療効果が期待されていると理解していましたが、そういうわけではないのですか。
○医薬品医療機器総合機構 臨床試験では実際には行われていないので、実際どれぐらいのものかは分からないかと思います。また、実施時期などを考えると、そこまでのデータが得られているわけではないので、実際にはダラツズマブを行った後にイサツキシマブをやった人が含まれていたかまでは見ていないですが、含まれていたとしても少ないとは思います。
○森尾委員 これの意図は、恐らく新世代のものがリフラクトリーのものに効くものができたときに、それがやはり2レジメンではなくて3レジメンで新しいもののコンビネーションの方が効果があって、もしかしたら薬価も安いとか、少ないケースでもあるかもしれないと思っての質問でした。ありがとうございます。
それから、先ほどの感染症なのですが、注意事項として免疫グロブリンが下がる方がいるとありました。これのパーセンテージは恐らくそんなに低くなくて、10%ぐらいの感じで、例えば感染症が細菌感染症の場合には、やはりそこを防げるのであれば強調しておいていただいたらいいのかなと。IgGレベルがある程度下がっていた場合には、やはり補充も短期間とか考えておくと予防になると。データがどれだけあるかは分からないのですが、とにかく免疫不全症の立場からはやはり重要な点だと思うのです。これはコメントです。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局、何かありますか。よろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ありがとうございます。低ガンマグロブリン血症についても、添付文書で初回承認時のときから注意喚起させていただいており、患者さんに異常が認められた場合はすぐに適切に処置をすること、グロブリンの補充療法とか、その部分はきちんと注意喚起させていただいておりますので、こちらも引き続き注視させていただきます。
○森尾委員 よろしくお願いします。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、御意見等はありますか。永井先生、どうぞ。
○永井(洋)部会長代理 京大の永井です。今回機構からはPFSに基づく結果をお示しいただきました。審査報告書にはOSに関する考察も書かれていますが、有意差がなかったものの、PFSの結果と矛盾しないという点であえて御説明されなかったのかと思います。あるいは、対照群でも途中で実薬投与が可能になっていますので、説明のややこしさを避けられたのかもしれません。いずれにしても、それは審査結果には関係ないので結構です。
一番気になるのが、製造失敗例です。審査報告書の緑の字で10/39ページです。下から8行目ぐらいに、製造失敗が1例と記載されています。なぜこれが気になるかというと、別のCARTではありますが、先日、京大病院で患者さんがアフェレーシスを受け、企業側でCARTを作っていたところ、手順の逸脱とコンタミが否定できないということで、製造に失敗した事例がありました。患者さんは、大切な時間と医療費を使って、結局のところ全くCART治療を受けられなかった事例です。こちらは機構にも報告があげられていますし、厚労省にも報告したわけです。普通の薬剤ならこういうことは起こらないのですが、このような生きた細胞ではときどき起こっていると聞いています。この1例の製造失敗の原因が、患者さん側の要因なのか、あるいは企業側の要因なのか。そして、規格外を製造失敗と言っているのか、もしそうなら治験の枠組みで患者さんに投与できる可能性もあるわけです。それとも、患者さんのところにいく前に失敗ということになったのか、その辺の事情が分かれば教えていただきたいです。
次はコメントになるのですが、現在、市販後にこうした事象を拾い上げる仕組みがないと思うのです。例えば、市販後調査で拾い上げる仕組みはできないのか。あるいは、企業側で拾い上げてビジブルな形にする仕組みはできないのか。その辺りについてコメントいただけると有り難いです。
○合田部会長 貴重な御意見ありがとうございます。これは、最初に機構側から、何かありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から説明させていただきます。御指摘いただいた1例に関して、詳細なデータは持ちあわせていないのですが、今回のMM-003試験全体でクロスオーバーした患者さんも含めて、13例の患者さんにおいて、製造失敗を含む規格の不適合が確認されております。そちらの内容に関しては、規格の不適合もありますし、アフェレーシス産物や中間体の品質不適合、あるいは作業ミスに関しても認められております。これらに関しては、照会回答の中で、対応策あるいは対応についての進捗状況を確認して、対応できるものについては、既に申請者から御説明いただいている状況です。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。13例となると、結構な数に今びっくりしました。こうした製造失敗は、治験でやっている場合には、患者さんの金銭的な負担はありませんが、いざ実地医療になると、交通費や医療費、全て患者さんが負担しなければいけないのです。患者さん側の細胞が原因で仕方ないものもあるのですが、何かの形で拾い上げて、ビジブルにないといけないと思います。
○医療機器審査管理課長 よろしいですか。
○合田部会長 はい、どうぞ。
○医療機器審査管理課長 先生、御指摘ありがとうございます。先生の問題意識については、我々も同じように認識しております。実態として、まずどういう実態があるのかというところは、業界とも相談した上で、いろいろどういったことができるか検討していきます。また、そうした規格外品を実際に使用できるようにする制度的な仕組みも、我々としては検討したいと思っていて、その辺を併せて検討を進めていきたいと思います。ありがとうございます。
○永井(洋)部会長代理 ありがとうございます。欧州では、既にそういう制度が動いていると聞いています。これもちなみにですが、今回は一医療機関である京大病院として、病院長名の正式文書で回答を求めたのですが、企業秘密だから答えられませんというゼロ回答に近いものでした。医療機関側が幾ら頑張ってもどうしようもないので、是非、国の仕組みとしてこうした問題をマネージする仕組みを考えていただきたいと感じます。ありがとうございます。
○合田部会長 永井先生、貴重な意見をありがとうございます。森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 今の永井先生の御意見に関係することで、これはCART製品全てに関わることだと思うのですが、やはり、ある会社というか非公開にノバルティスなどは、そのデータを集められて、どこでアウトオブスペックになっているか、パーセンテージなのか、あるいは生存率なのか、細胞数なのかというデータとともに、どこが課題であったかを出されようとしています。これは、恐らく、全ての会社にそういうデータを出していただけるようになれば、最初の採取等のところでもし課題があるのであれば、これは病院側が何かしなければいけないと。特定は難しいのですが、やはり患者さんにはベネフィットになるので、そこら辺のデータ出しを、ある程度求めるようにしていただけると有り難いなというのは、個人的にも感じております。以上です。
○合田部会長 森尾先生、ありがとうございます。ほかに、御意見はよろしいでしょうか。宮川先生、どうぞ。
○宮川委員 先ほどから森尾先生と、永井部会長代理が御提起されたことについて話していたのですが、どのようにして医療機関でそういうものが分かるようにするのか。そうしないと、改善を図ることが医療機関の中でもできないのです。そのところが非常に問題で、先ほど永井先生がおっしゃったように、これは全部企業の中の問題だからと、秘密の問題だからとされてしまうと、CARTについてはすべて、これからこの審議会の中で、一部変更申請等、いろいろな議論をするときに、非常に苦慮する部分が出てくるのではないかと考えます。ですから、その辺をしっかりと提示していただいて、どこにどういう問題点があって、誰がどのようにしたら少しでも改善するのか。これは、患者さんに対する福音がなければならないので、先ほど永井先生がおっしゃったように、しっかりとした立て付けを作っていかないといけない。ですから、それは課長から今御提示していただいたのですが、ではそれは分かりましたというだけではなくて、立て付けとしてどうするのかということも、やはり部会として、ある程度の方針を出してお願いするとか、お願いベースになるのかもしれませんが、しっかりとした立て付けを作っていくというようにしないと、今後、このCARTも含めて、いろいろ議論できないのではないかと思うので、是非、部会長、そのようにお願いしたいと思います。
○合田部会長 宮川先生、ありがとうございます。
○医療機器審査管理課長 御指摘ありがとうございます。しっかり立て付けについても、事務局としてしっかり考えて、皆様の御意見もいただくような流れにしていければと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問等はありますか。Webの先生方、よろしいですか。
それでは、御意見等が出尽したようですので、議決を行います。再生医療等製品アベクマ点滴静注については、承認事項の一部変更承認を可としてもよろしいでしょうか。また、再審査期間を、残余期間令和14年1月19日までの指定としてよろしいでしょうか。皆様御異議がないようですので、そのように議決いたします。
本件は、分科会に報告を行うことにします。これで、議題1を終了いたします。
続いて、議題2「Beremagene Geperpavec(B-VEC)を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について」の審議に入ります。事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題2、資料番号2、Beremagene Geperpavec(B-VEC)を希少疾病用再生医療等製品として指定することの可否について、御説明いたします。資料2に、機構の事前評価報告書がございますので、タブレットを御覧の方は2/23ページから、紙資料の方は事前評価報告書の1ページから、御覧ください。
本品の名称は「Beremagene Geperpavec」、略称は「B-VEC」です。予定される効能、効果又は性能は「栄養障害型表皮水疱症」。申請者はKrystal Biotech, Inc. です。
疾患及び本品の概要について御説明いたします。表皮水疱症は、表皮・基底膜間、基底膜・真皮間を連結する細胞骨格と接着タンパク質に関連する遺伝子の変異により、水疱、びらん又は潰瘍を生じる遺伝性疾患です。表皮水疱症には大きく三つの病型が存在しており、本品が対象とする「栄養障害型表皮水疱症」は、基底膜・真皮間を連結する7型コラーゲンの異常によって生じることが知られております。患者数としては、表皮水疱症全体の約5割程度と推定されております。これに対して、本品は7型コラーゲンをコードするCOL7A1遺伝子を導入した遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスであり、病変部へ塗布することにより栄養障害型表皮水疱症を改善することが期待されている製品となっております。
続いて、希少疾病用再生医療等製品の指定要件への該当性について、順に御説明いたします。
まず、対象者数ですが、表皮水疱症は「難病の患者に対する医療等に関する法律」に基づく指定難病で、患者数は500~1,000人と推定されています。栄養障害型表皮水疱症はそのうちの約5割と推定されていることを踏まえますと、希少疾病用再生医療等製品の指定基準である5万人未満の条件を満たしていると考えております。
次に、医療上の必要性について御説明いたします。表皮水疱症は、現在、創傷被覆剤等による対症療法が行われていますが、標準的な治療法は確立しておりません。2018年12月に、ヒト(自己)表皮由来細胞シートであるジェイスが、「難治性又は再発性のびらん・潰瘍を有する栄養障害型又は接合部型表皮水疱症」の適応症で製造販売承認されておりますけれども、原料となる正常様皮膚組織を採取できる患者に適応が限られておりまして、患者自身から正常な皮膚組織を採取できなければ使用できないという製品になっています。本品は、7型コラーゲンをコードするCOL7A1遺伝子を導入した遺伝子組換え単純ヘルペスウイルスですので、患者からの皮膚組織採取等を要さず、病変部へ塗布することのみによって栄養障害型表皮水疱症を改善することが期待されておりますので、医療上の必要性は高いと考えております。
最後に、開発の可能性について御説明いたします。海外における二重盲検プラセボ対照第III相試験(B-VEC-03試験)において、主要評価項目とされた「治療開始6か月時点(22及び24週、又は24及び26週)で完全閉鎖した創傷の割合」において、統計学的に有意な差が認められておりまして、本結果に基づいて、本年5月に米国では承認されています。また、本邦から参加する試験として、国際共同第III相非盲検継続投与試験(B-VEC-EX-02試験)が実施されておりまして、開発の可能性についても、あるというように考えております。
以上、御説明しましたとおり、本品は希少疾病用再生医療等製品の指定の3要件を満たしていると考えております。本品の希少疾病用再生医療等製品の指定の可否について、御審議のほどお願いいたします。
○合田部会長 それでは本件につきまして、委員の先生方から、御質問や御意見等はございますか。Webの先生方はよろしいですか。永井宏和先生、お願いいたします。
○永井(宏)委員 治験も日本でやっているということなのですけれども、診断というのは基本的には遺伝子変異まで見る診断をしているのですか。今後、遺伝子診断も実地臨床が使えるような開発をしていくのかどうかということについて、教えてください。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 事務局でございます。御質問ありがとうございます。現在の表皮水疱症の診断基準においては、遺伝子検査は必須になっておりません。ですので、一応現在の考えとしては、恐らく承認をされれば、この診断基準に従って栄養障害型と診断された患者さんであれば、本品の適応はできるのではないかと考えております。
○永井(宏)委員 遺伝子治療なのですけれども、今のところは、この治験に関しては、遺伝子診断はやっていないのですか。
○事務局 そうですね。栄養障害型表皮水疱症という診断を付けるには、遺伝子検査は必須にはなっていないのですが、栄養障害型表皮水疱症の中にも、優性いわゆる顕性でしょうか、顕性のものと潜性のものがございまして、それを判断する上で、両親にその変異が認められるかとか、そういうような遺伝子検査というのは実施されているようです。
○永井(宏)委員 基本的に、診断には、このコラーゲン7型に異常があると考えてよろしいですか。
○事務局 はい、そのように考えております。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問はございますか。会場の先生方も、Webの先生方もよろしいですね。井関先生、どうぞ。
○井関委員 今の確認なのですが、これはよく分かっておらず申し訳ないのですが、どういう状況であれ、タイプ7コラーゲンが発現しないということで、この疾病が起きるという判断でよろしいということですね。
○事務局 そうですね。少なくとも難病の指定に係る診断基準という観点からすれば、遺伝子検査については必須とはなっていないという状況です。ただ、その臨床症状で診断が難しい場合には、遺伝子検査をするといった場合もあるという状況と理解しております。
○井関委員 ありがとうございます。患者さんに、遺伝子検査をしないまでも、タイプ7コラーゲンの発現が低いとか、そういうことを調べることもないということでしょうか。mRNAではなくて、そのタンパク質そのものの発現ということです。
○合田部会長 事務局、よろしいですか。
○事務局 その難病の診断というところ以外での検査という理解でよろしいですか。すみません、今の御質問の意図が酌み取れていないのですけれども。
○井関委員 いわゆる希少疾病用再生医療等製品として使っていくに当たって、要するに、これはタイプ7コラーゲンタンパク質を補うということで、それは非常にいいことです。タイプ7コラーゲンタンパク質の発現を確認しないで、タイプ7コラーゲンを発現するウイルスを塗りましょうでいいのかなと思っただけなのです。
○医薬品医療機器総合機構 機構から説明させていただきます。治験の確認をしたのですけれども、治験のインクルージョンクライテリアには、遺伝子検査を確認した上で、欠損していることを確認した上で、その患者が適応対象になっているということを確認しております。
○合田部会長 小野寺先生、どうぞ。
○小野寺委員 別に希少疾患だから遺伝子診断を行うのではなく、この製品が遺伝子治療用製品であるためで、遺伝子検査をしないで遺伝子治療をやるわけがないのです。だから、もちろん治験においてもやられており、今後、製造販売承認のときにも、必ず遺伝子検査をして、COLAがマイナスでない限り、この薬を使う意味がないわけです。
○医薬品医療機器総合機構 本品の特性を踏まえまして、やはりそのような遺伝子欠損を確認した上で投与するということが適当と考えますので、どういった患者さんを対象にするかということにつきましては、審査の中で慎重に丁寧に見ていきたいと考えております。
○合田部会長 井関先生、どうぞ。
○井関委員 先生、ありがとうございました。それとともに、タイプ7コラーゲンに、いわゆる変異がなくても、結果としてタイプ7コラーゲンの発現が落ちているパターンも考えられると思うのですね。そうなると、実施可能かどうかは別として、やはり患者さんの皮膚でのタイプ7コラーゲンの発現量というのは調べなければいけないのではないかなと思ったりもするのですけれども。
○合田部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 今回のオーファン指定のところでは、そこまでの検討はできていないのですけれども、やはり実際に投与するということに当たりましては、そういった観点からの検討も必要かと思いますので、そこは審査の中で、どういった対応ができるのかどうかというところも含めて、検討をさせていただきたいと思っております。ありがとうございます。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問等はございますか。Webの先生方いかがですか。森尾先生、どうぞ。
○森尾委員 今、調査票を見ていたのですが、やはり遺伝子検査の項がありますので、恐らく診断基準の中でそれを御覧になられて診断されるのだろうなというようには認識しています。ただ、小野寺先生がおっしゃるとおりなので、そこら辺を何か明示しておいていただいた方がいいのかと思いました。以上です。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかによろしいですか。佐藤陽治先生、どうぞ。
○佐藤(陽)委員 診断が必要となれば、もちろん診断の方の品質保証とか、性能評価というのも必要になってきますので、そちらも御検討いただければいいと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。事務局はいいですか。
○医薬品医療機器総合機構 ただいまの御指摘も含めて検討させていただきたいと思います。
○合田部会長 ありがとうございます。ほかによろしいですか。
それでは、特に追加の意見もないようですので、議決を行いたいと思います。B-VECについては、本部会として、希少疾病用再生医療等製品に指定することとしてよろしいでしょうか。皆様、御異議はありませんか。それでは御異議がないようですので、そのように議決させていただきます。
本件は、分科会にて報告を行うこととします。これで、議題2を終了します。
続きまして、議題3「遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律第4条に基づく遺伝子組換え生物等の第一種使用規程の承認及び同第13条に基づく遺伝子組換え生物等の第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について」、事務局より説明をお願いします。
○事務局 事務局でございます。議題3、資料番号3について、事務局から御報告いたします。
カルタヘナ法では、ウイルスを含む遺伝子組換え生物を、治験等を行う目的として、特段の拡散防止措置を採らない開放系で使用する場合には、カルタヘナ法に基づいて承認された第一種使用規程を遵守する必要があります。また、医薬品や遺伝子治療用製品を製造するために遺伝子組換え生物等を用いる場合は、カルタヘナ法に基づく一定の拡散防止措置を採った閉鎖系で使用する必要があります。
まずは、第一種使用規程の承認を行った品目について、御報告いたします。1ページの一覧を御覧ください。前回の部会での御報告以降で、令和5年4月から9月までに第一種使用規程の承認を行った品目は、こちらに示しております5品目となります。機構での評価、学識経験者からの意見を踏まえ、本申請における第一種使用規程にのっとって本遺伝子組換え生物等の使用等を行う限り、生物多様性に影響が生じるおそれはないと判断したものです。
続きまして、第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目について、御報告いたします。2、3ページの一覧を御覧ください。こちらも同じく、令和5年4月から9月までに第二種使用等の拡散防止措置の確認を行った品目は、こちらの延べ30品目となります。これらにつきましても、機構の一定の評価、学識経験者からの意見を踏まえ、いずれの遺伝子組換え生物等についても、採られる拡散防止措置は適切と判断したものです。
事務局からは、以上でございます。
○合田部会長 ありがとうございました。それでは、本件につきまして、委員の先生方から、御質問や御意見等はございますか。小原先生、どうぞ。
○小原委員 第二種使用等の27番と28番のところ、E.coliのところが、「E. scherichia coli」の「.」を抜いた方がいいと思います。これは、「Escherichia coli」にするか、「E.coli」にした方がいいと思うので、この「E.」を、両方とも「.」を取られたらいかがかと思います。
○合田部会長 事務局はよろしいですか。そういうルールなのですね。私は知りませんでした。
○小原委員 そこは、「E.」でしたら「E.coli」になりますし、「Escherichia」でしたら「.」を取る形の方がいいと思います。
○事務局 事務局でございます。御指摘ありがとうございます。こちらについては、確認をさせていただきまして、正式な名称に修正したいと思います。
○小原委員 はい。
○合田部会長 検討をお願いします。ほかによろしいですか。よろしければ、これで議題3を終了したいと思いますが、よろしいですか。特にないようですので、議題3を終了させていただきます。
本日の議題は以上でございます。事務局から連絡事項等はありますか。
○医療機器審査管理課長 本日も御議論をありがとうございます。次回の部会は、2月5日月曜日の15時からを予定しております。詳細につきましては、後日、メールにて御連絡をさせていただきます。連絡事項は以上です。
○合田部会長 それでは、これをもちまして、本日の再生医療等製品・生物由来技術部会を閉会いたします。本日は、どうもありがとうございました。
( 了 )
- 備考
- 本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。
照会先
医薬局
医療機器審査管理課 課長補佐 飯野 彬(内線2787)