院内感染対策サーベイランス運営会議 議事録

健康・生活衛生局感染症対策課

日時

令和6年3月26日(火)13:30~15:00

場所

WEB開催

出席者

菅井議長  四柳委員  柴山委員
荒川委員  清祐委員  大毛委員 
坂本委員  早川委員  山岸委員
矢原参考人 梶原参考人 保阪参考人
田島参考人 松永参考人 

議題

(1)診療所に係るJANISの公開情報の仕様について
(2)公開情報(検査部門):ブレイクポイント(CLSI)の更新について
(3)検査部門公開情報等について
(4)その他

 

議事

 

○松浦課長補佐 定刻となりましたので、ただいまから「院内感染対策サーベイランス運営会議」を始めさせていただければと思います。
 構成員の皆様方におかれましては、本日、御多用のところ、本会議に御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 本日、議事進行を務めさせていただきます、感染症対策課の松浦と申します。よろしくお願い申し上げます。
 本日、ウェブ会議となっておりますが、まず、本会議を開催するに当たりまして、会議の進め方について御連絡させていただきます。
 御発言される場合は、まず、挙手機能を用いて挙手していただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただき、座長から御指名をいただいてから御発言をお願いいたします。
 なお、ウェブ会議ですので、タイムラグ等が生じますが、御了承いただければと思います。
 会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をいただければと思います。
 続きまして、構成員の先生方の御紹介をさせていただければと思いますが、名簿が事前にお送りできておりませんで、申し訳ございません。先ほど先生方のメールにお送りいたしました。
 まず、今回から新しく「院内感染対策サーベイランス運営会議」に加わっていただきました構成員を御紹介させていただければと思います。
 こちらから五十音順にお名前を申し上げますので、音声のチェックも兼ねまして、一言お返事をいただければと思います。
 まず、広島大学病院感染症科教授の大毛宏喜様。
○大毛構成員 大毛です。お世話になります。どうぞよろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 九州大学病院検査部副臨床検査技師長の清祐麻紀子様。
○清祐構成員 九州大学病院検査部の清祐と申します。臨床検査技師です。どうぞよろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 板橋中央総合病院院長補佐の坂本史衣様。
○坂本構成員 坂本です。どうぞよろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野教授の四柳宏様。
○四柳構成員 四柳でございます。よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 続きまして、そのほか御出席の構成員につきまして、通信状況の確認も兼ねまして、こちらもお名前をお呼びしますので、一言お返事をいただければと思います。
 まず、荒川構成員。
○荒川構成員 荒川です。よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 柴山構成員。
○柴山構成員 柴山です。よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 菅井構成員。
○菅井構成員 よろしくお願いします。
○松浦課長補佐 早川構成員。
○早川構成員 早川です。よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 山岸構成員。
○山岸構成員 山岸です。よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 なお、本日、大曲構成員からは御欠席の御連絡をいただいております。
 また、本日の議題に関連しまして、参考人としてJANIS事務局の先生方と、AMR臨床リファレンスセンターの先生方もお呼びしておりますので、お名前をお呼びしますので、こちらも一言お返事いただければと思います。
 まず、矢原先生。
○矢原参考人 よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 同じく、国立感染症研究所の梶原先生。
○梶原参考人 梶原です。よろしくお願いします。
○松浦課長補佐 同じく、国立感染症研究所の保阪先生。
○保阪参考人 保阪です。よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 続きまして、AMR臨床リファレンスセンターの田島先生。
○田島参考人 田島です。よろしくお願いします。
○松浦課長補佐 同じく、AMR臨床リファレンスセンターの松永先生。
○松永参考人 松永です。よろしくお願いいたします。
○松浦課長補佐 ありがとうございます。
 以上、運営会議構成員10名のうち9名に御出席いただいておりますので、会議が成立いたしますことを御報告申し上げます。
 続きまして、資料の確認をさせていただきます。
 まず、議事次第。
 資料1~4。
 参考資料1を御用意しております。
 また、構成員名簿については、先ほどお送りいたしましたので、大変恐縮ですが、御確認いただければと思います。
 参考資料1に記載させていただいておりますが、令和5年度に所管が健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課に変更されておりますので、開催要綱を改訂しております。
 よろしくお願い申し上げます。
 それでは、冒頭のカメラ撮りについては、ここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願い申し上げます。
 続いて、会長の選任に入りたいと思います。
 2022年3月7日の前会議より、会長を菅井構成員にお願いしております。
 引き続き、菅井構成員にお願いすることで、御異議等はございますでしょうか。
(「異議なし」の意思表示あり)
○松浦課長補佐 ありがとうございます。
 御異議ないかと思いますので、それでは、菅井構成員に会長をお願いできればと思います。
 運営会議の会長が議長を行うこととなっておりますので、菅井構成員、以降の進行をお願いしたいと思います。
 よろしくお願い申し上げます。
○菅井議長 ただいま会長に選任していただきました、国立感染症研究所薬剤耐性研究センターの菅井です。よろしくお願いいたします。
 会長が議長を行うということですので、今後の議事について、議事進行を行いたいと思います。
 それでは、早速、本日の議事に入ります。
 本日は、議題として「(1)診療所に係るJANISの公開情報の仕様について」。
 「(2)公開情報(検査部門):ブレイクポイント(CLSI)の更新について」。
 「(3)検査部門公開情報等について」。
 「(4)その他」が用意されております。
 以上、よろしくお願いいたします。
 では、早速、議題1に参りたいと思います。
 議題1は「診療所に係るJANISの公開情報の仕様について」です。
 資料1が配られていると思いますが、それを参照いただき、まず、議題1について、参考人の矢原先生から説明をお願いいたします。
 矢原先生、よろしくお願いいたします。
○矢原参考人 よろしくお願いいたします。
 検査部門のJANISについて、診療所に関する公開情報は、これまで作成しておりませんでした。
 2022年からは、診療所の参加を解禁しておりまして、そのデータを集計して、どのような公開情報をつくるのかというのが資料1の議題です。
 資料1に記載しておりますとおり、2023年1月から9月まで、毎月データを検査部門に提出してきた診療所は約300施設ありました。
 2023年1月から12月までについても、同様の施設数になることが見込まれています。
 そこで、今年、2024年にJANISの公開情報の診療所版を作成するに当たって、これから申し上げる方針で作成してはどうかと考えております。
 まず「対象検体の選定」ですが、本会議に先立って、2023年1月から3月の期間にデータを提出された診療所から得られた検体を集計しました。その結果、分離菌の多かった検体は、この表にお示ししておりますとおり、尿、呼吸器系検体、膣分泌物の3検体で、全体の約8割を占めておりました。ですので、これらの3検体を対象にしたらどうかと考えます。
 そして「対象菌株の選定」ですが、それぞれの検体について、検出頻度が高く、臨床上治療を要する可能性があり、薬剤感受性が重要となる以下の菌株を集計対象とすることを提案します。
 まず、尿検体については、E. coli、K. pneumoniae、E. faecalis。
 呼吸器検体については、S. pneumoniae、H. influenzae、S. aureus。
 膣分泌物について、E. coli、GBSです。
 呼吸器検体について、M. catarrahalis の分離頻度も高いのですが、抗菌薬耐性が問題となるケースは少ないため、対象外としております。
 2ページ目に行っていただきますと、尿検体、呼吸器検体、膣分泌物検体について、それぞれ分離された菌株の分離頻度の多いほうから順に、バープロットで内訳をお示しした図が掲載されています。
 赤印をつけているものが、公開情報のアンチバイオグラム作成対象として提案しているものです。
 3ページ目以降に、先ほど申し上げた、3か月分のデータを試集計して作成した各検体の各菌株に対するアンチバイオグラムを例としてお示ししております。
 このようなイメージのアンチバイオグラムと、2ページ目にお示ししている各検体から分離された菌株の内訳のバープロットの2つが、診療所版公開情報の要素になると思います。
 アンチバイオグラムについて、最後のページに行っていただきますと「TAZ/PIPC(N=12)」という行があります。
 このように、Nが30を下回っているものについては、※をつけて、参考値であることを注釈に記載することを提案いたします。
 以上です。
○菅井議長 矢原先生、どうもありがとうございます。
 JANISは、その言葉どおり、本来は院内感染対策ということで、病院の中で分離される菌を対象としてきました。
 昨今では、外来検体の収集も始めていますが、このたびは、さらに200床未満の小規模な医療機関及び診療所における薬剤耐性の動向ということで、今回の提案に至った次第と思います。
 以上のことを踏まえて、今の矢原先生の説明を基に御意見、御質問がありましたら、よろしくお願いいたします。
 最初に、山岸先生の手が挙がりました。
 山岸先生、その後、早川先生といきましょうか。
 では、山岸先生、お願いいたします。
○山岸構成員 これは確認ですが、従来公表していた施設の分を公表するものとは別に、診療所だけを特出しして、このようなグラフを出しているという理解でよろしいでしょうか。
○矢原参考人 はい。そのとおりです。
 全く別にPDFファイルを作成して、公開情報のホームページで全く別のリンクを貼って、ダウンロード可能にします。
○山岸構成員 分かりました。
 継続性のことがありますので、そうしていただけるといいと思います。
 ありがとうございます。
○菅井議長 では、早川先生、お願いいたします。
○早川構成員 ありがとうございます。
 質問は2点で、STIの淋菌は、特に対象にならないということでよいのかなという点と、もう一つは、M. catarrahalis は、グラフで見ると、かなり上のほうにあって、いわゆる市中肺炎のBIG 6と言われる原因菌の一つではあります。マクロライド耐性などは、確かに問題にはなるかと思うのですが、外来では、おおむねアモキシシリン・クラブラン酸で治療してしまいます。しかし、数の多さと市中肺炎としての知名度から、若干気になったという2点です。
○矢原参考人 お答えしてよろしいでしょうか。
○菅井議長 どうぞ。
○矢原参考人 淋菌に関しては、厚労省の上地先生からも、ひとつ試しに集計してみてもらえないかと御提案いただいて、事前に集計したのですが、JANIS参加診療所のデータに淋菌はほとんど含まれていませんでした。ですので、集計不可能という回答になります。
 モラクセラに関しては、先生方で御議論いただいて、追加したほうがよいという御意見があれば、もちろん、追加することは可能です。
○菅井議長 ありがとうございます。
○早川構成員 ありがとうございます。
 淋菌は、私も、STIのクリニックでも勤務することがあるのですが、培養をあまり出さずに、尿中の遺伝子検査で診断して、治療してしまう状況かと思います。時々、セフトリアキソン等で治療が失敗した症例が当院も含めた高次の医療機関に回ってくる状況がありますが、確かに感受性は、全国的にうまくサーベイランスができていない現状があるかと思います。
 これは厚労科研など、何か別のプロジェクトで動いているのでしょうか。
 集めようと思わないと、なかなか現場では培養を提出しないし、教えていただいたように、JANISにはデータがないということで、それはもっともかなと思いました。一方で、外来等では、診療する機会も、治療が失敗する症例も増えてきている印象もありますし、梅毒等のSTIの上昇に伴ってこちらも上がってきているのかなという印象はあります。
 何かほかのスキームがあればいいかと思いますし、ここで議論しても、JANISのデータがないものはしようがないということになるかと思いました。
 M. catarrahalis に関しては、私個人としては、あれば参照される先生も多いのかなと思いますが、お手間とデメリットもあるかと思いますので、ほかの先生の御意見もと思いました。
○菅井議長 厚労省から松浦様、ほかのスキームで淋菌を集めている厚労科研等はございますか。
○松浦課長補佐 厚労省でございます。
 淋菌につきましては、別途研究班はあろうかと思います。
 どういうデータがということは、この場ではすぐにお答えできませんが、本会議では、JANISの中身ということでございますので、そういうの観点でのご議論をお願いします。
○菅井議長 ありがとうございます。
 M. catarrahalis については、ほかの委員の先生方、御意見をいただけたらと思います。
 大毛先生、いかがですか。
○大毛構成員 確かに、このサーベイランスの目的が耐性状況を把握するということであれば、あまり問題にならないかもしれないので、事務作業量次第かと思います。以上です。
○菅井議長 ありがとうございます。
 ほかの先生方、御意見はありますでしょうか。
 なければ、この件は、こちらでキューを出させていただくということでよろしいですか。
○菅井議長 では、続けて、柴山先生、お願いします。
○柴山構成員 クリニックのデータの公開は、2023年のデータを今年公開するという段取りになりますでしょうか。
○矢原参考人 そうです。
 2023年1月から12月までのデータを2024年、今年集計して、公開するということです。
○柴山構成員 初めての集計だと思いますが、いろいろデータの精度管理とか、試行とか、そういった課題とかは整理されましたでしょうか。その辺は大丈夫でしょうか。
○矢原参考人 JANISでカテゴリーAに位置づけている、これが検出されたら、常にアラートを上げるという菌が検出されていないことは確認済みです。
○柴山構成員 クオリティーチェックの手順とか、そういったことも大丈夫ですか。
○矢原参考人 はい。
 カテゴリーA以外の観点で問題のあるデータが含まれているのかどうかは、これから出来上がってくるレポートをチェックしていただく必要があると思います。
 ただ、今回の資料に掲載しているバープロット及びアンチバイオグラムとほとんど同じものが出来上がってくると思いますので、ここに掲載している資料に見つからないような問題が出てくる可能性は非常に低いと考えています。
○柴山構成員 分かりました。
 ありがとうございます。
○菅井議長 四柳先生、お願いします。
○四柳構成員 JANISのサーベイランスは、例えば、お子さんの検体と成人の検体を年齢ごとに分けて集計・報告したりするということは、現実的な問題としていかがでしょうか。
○矢原参考人 年齢に関しては、収集データの必須項目でないという問題がございます。
 年齢は、入力いただけている施設は、恐らく、全体の6割か7割ぐらいだと思います。
 その6~7割のデータに関して、年齢群で分けて集計することは、技術的にはもちろん可能ですので、例えば、研究者がデータの利用申請をしていただいて、年齢に分けて集計していただくことはもちろんできます。
 JANISの事業として、年齢群で分けて集計する必要があるかどうかは、運営会議で議論して決めていただく必要があります。
○四柳構成員 ありがとうございます。
 AMRのいろいろなアクションプランにしても、特に呼吸器などは、成人と小児の部分は分けて集計することも多いかなと思ったので、聞かせていただきました。
 もう一点ですが、200床未満の病院と同じぐらいの施設数を診療所版でも見込まれるということだと思いましたので、これを広げていくことを考えなければいけないのだと思うのですが、そのときに、地域差の問題が大きいのではないかと思います。例えば出てきたものを地図や表の形にして、地域ごとに出すことに関しては検討されてきたのでしょうか。
○矢原参考人 地域的な偏りがかなりあるのが現状だと思われます。
 したがって、データを提出いただいて、集計対象となる診療所が比較的多く存在する地域と、ほとんど存在しないような地域、都道府県が出てきているのが現状だと思います。
 将来的に、参加診療所が増えてきて、全国をカバーできるようになったときは、病院版公開情報でしているような都道府県別、あるいは地域別の公開情報を作成するのも視野に入ってくるのではないかと思います。
○四柳構成員 分かりました。
 私からは以上です。
 ありがとうございました。
○菅井議長 現状でも、いわゆる全体に関するJANISのデータは、ワンヘルスプラットフォームなどに二次利用されていていますよね、矢原先生。
○矢原参考人 JANISのデータを検査概要別に集計した結果は、AMRCRCのワンヘルスプラットフォームに提供して、そこに組み込まれて、ウェブの画面から閲覧可能になっています。
○菅井議長 地図の形で。
○矢原参考人 あと、年齢群でも分けて表示できるようになっています。
 ただし、これは病院のデータだけです。診療所はまだです。
○菅井議長 荒川先生、お願いします。
○荒川構成員 院内感染対策のサーベイランスは、当初は大規模な病院の耐性菌の発生状況とか分離状況を見る、アンチバイオグラムの変動を見ていくということでスタートしたのですが、その後、200床以下の病院も入って、次は診療所に対象を得ていくときに、診療所、クリニックは、外来しか持っていない診療所が多いですね。
 だから、そういうところで調べるとなると、結局、院内感染ではなくて、市中感染のサーベイランスになると思うのですが、そういう論議は、過去のこのJANIS運営会議でどうするかという方針は論議されたのでしたか。
 要するに、院内感染対策サーベイランスのみではなくて、市中感染へとサーベイランスの機能が広がってきている。
 そのこと自体はいいのですが、そういうことをやることについて、過去にこの運営会議で論議されていたか。私も記憶がないのですが。
○菅井議長 私も記憶にないですね。
○矢原参考人 議論されたことはないと思います。
○荒川構成員 今日が初めての論議という話。
○矢原参考人 そうですね。
○荒川構成員 分かりました。
○菅井議長 柴山先生、どうぞ。
○柴山構成員 先ほどの話に関しまして、クリニックも入ってくるとなると、このJANISという院内感染対策サーベイランスという名称も変えたほうがいいのかなという気もします。
 特に、外国の方にお話しすると「nosocomial infection」という単語があると。
 これは院内感染だけなのかとも受け取られてしまうので、今後、名称を考え直したほうがいいのかなと思います。
 以上、コメントです。
○菅井議長 ありがとうございます。
 では、議題1については、最初の淋菌のお話は、取りあえず扱えないということで、M. catarrahalis については、一応、事務局のほうで引き取らせていただくことにしたいと思います。
 最後の市中感染、いわゆる診療所等が入ってくることについて、名前の件についても、一度事務局のほうで持ち帰らせていただいて、次回の運営委員会で再度ということにさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○菅井議長 ありがとうございます。
○矢原参考人 1点だけ補足してよろしいでしょうか。
○菅井議長 どうぞ。
○矢原参考人 M. catarrahalis も診療所版公開情報に追加するのであれば、病院版の公開情報にも入れたほうがいいのではないかという意見が今、参考人の間で出ていまして、その点も含めて、事務局で持ち帰らせていただきたいと思います。
○菅井議長 よろしくお願いいたします。
 では、ありがとうございます。
 議題1については、これにて終了ということで、議題2に参りたいと思います。
 「公開情報(検査部門):ブレイクポイント(CLSI)の更新について」ということで、矢原先生から資料2の御説明をお願いいたします。
○矢原参考人 資料2は、検査部門の公開情報のレポートを作成するに当たって使用しているブレイクポイントをどうするかについてです。
 従来のJANIS検査部門の公開情報は、医療機関から報告していただいたMICのデータをCLSI2012と、一部感染症法の基準を組み合わせたJANIS独自の基準で判定・集計しています。
 JANIS事務局には、いつまでその古い基準を使って集計を続けるのかといった声も、医療機関及び外部の先生方から時々いただいております。
 特定の菌の分離率や薬剤感受性の経年的な傾向を吟味する上では、同一の基準での集計を続けていく必要があるのですが、一方で、そうした新しい基準での集計を求める声にどう応えていくかを今回の運営会議で議論していただければと思っています。
 AMRアクションプランの成果指標は、JANISの公開情報に基づいて策定されています。
 現在の2027年まで続くアクションプランは、現在のJANISの公開情報、つまり、CLSI2012と感染症法の基準を組み合わせた基準で集計したJANIS公開情報に基づきますので、AMRアクションプラン(2023-2027)が終わるまでは、少なくとも現在のJANISのCLSI2012プラス感染症法の基準での集計は維持していく必要があります。
 その一方で、対処方針としまして、今回、従来の基準での集計に加えて、CLSI2023という新しい基準での集計も行って、2つのレポートを作って公開することを提案させていただきます。
 最後に、議論していただきたい点として、CLSI2023での集計とレポート作成に御同意いただけた場合、さらにそれを続けていくときに、毎年それを新しくしていくのか、つまり、CLSI2024、CLSI2025、CLSI2026の基準での集計を毎年行っていくのか、あるいは一定期間はCLSI2023での集計を継続するのかという点は、先生方の間で議論していただければと思っています。
 2ページ目に「腸内細菌目細菌におけるブレイクポイント」のCLSI2012とCLSI2023の比較をお示ししています。
 例えばCFPMやTAZ/PIPC、キノロン系のブレイクポイントなどは引き下げられています。
 その次のページに「緑膿菌におけるブレイクポイント」もお示ししています。
 最後のページには「JANIS参加医療機関で用いられているCLSI基準」をお示ししており、 CLSI2016、CLSI2012がそれぞれ38%、34%ということで、JANISの参加医療機関の中で現在用いられているCLSI基準になっています。
 最後の表は「国内で使用可能な薬剤感受性MICパネルで対応しているCLSIのバージョン」で、今のところ国内では、CLSI2020に対応した測定パネル、薬剤感受性装置が最新という状況になっています。
 以上です。
○菅井議長 ありがとうございます。
 JANISの検査部門における公開になるブレイクポイントですが、それを今後、どうするかということについての問合せかと思いますが、質問、御意見を承りたいと思います。
 荒川先生、よろしくお願いします。
○荒川構成員 これも、JANISの発足当時のいろいろな論議のことを少しお話ししますと、このJANISのサーベイランスは、医療現場での抗菌薬治療のための情報を提供するということではなく、特定の薬剤耐性菌がどのように増えているのか、どのように分布しているのかを全国的、あるいは病院の中で病棟ごとに把握して、院内感染対策を支援するという目的でスタートしました。
 集計データは、ある程度一貫性を持った基準でやっていかないと、あるとき突然、増えたり、減ったりするようなサーベイランスでは、何を見ているか分からなくなるということで、CLSIの基準を用いるのですが、毎年基準を変えるのではなくて、数年ごとに見直していくとか、大幅に見直すときは、先ほど矢原先生がおっしゃったように、旧基準と新基準で両方のデータを見せて移行期をつくるということを、過去にしてきたと思いますが、今回もそういう形で、JANISのサーベイランスはあくまでもサーベイランスの基準で集計していく。
毎年、変更されるCLSIの基準に振り回されるようなことはしないで、ある一定の年数がたって、それが社会的、国際的にも安定した段階で切り替えていく。
大体10年ごとぐらいに基準を少し見直していく形で対応していけばいいのかなと。
 あくまでも院内感染対策サーベイランスなので、治療のための基準は、各病院が自分の病院のデータを持っているはずなので、それを使って、CLSIの基準と比較して、どういう薬を選択するか、しないかは、各病院が自己責任で決めていくということで、そこまで国が支援するのは、少し親切過ぎるかなという気はします。
○菅井議長 ありがとうございます。
 ほかに御意見はありますでしょうか。
 では、柴山先生、どうぞ。
○柴山構成員 柴山です。
 前回、CLSI2007からCLSI2012に変更したときが、2014年だったと思います。ちょうど10年前ですね。
 なので、たしかそのときも同じような議論で、少なくとも10年ぐらいは同じ基準で様子を見るのがいいだろうということで、移行期は、たしかCLSI2007とCLSI2012と、多分両方集計してやっていたと思いますので、今回もそのような形で、移行期を設けてシフトしていくのがいいのではないかと思います。
○菅井議長 貴重な御意見をどうもありがとうございました。
 早川先生、どうぞ。
○早川構成員 ありがとうございます。
 私は、臨床サイドからの意見ですが、先生方がおっしゃるとおり、サーベイランスとしての継続性も非常に大事かなと思う一方で、臨床現場ですと、かなりCLSIの認知度が高いところもございますので、柴山先生がおっしゃったように、移行期があって並列、もしくは参照できるような形があるといいなと思います。
 エンピリックセラピーに関しては、J-SIPHEのアンチバイオグラムは、かなりそこを意識して薬剤の選択などをされた経緯があると伺っているのですが、一方で、JANISに出しているカットオフのブレイクポイントで二次的に出しているデータという側面もございますので、そういった観点でも、移行期があるとありがたいかなと思いました次第です。
○菅井議長 大毛先生、どうぞ。
○大毛構成員 現場でのJANISに期待していることは、継続性を持った変化を知りたいわけで、先ほど荒川先生がおっしゃったように、治療薬の選択のときに、JANISのデータを用いているわけではないのです。
 ですから、少なくともアクションプランの期間もありますし、現時点では、このデータの継続性が一番現場で求められていることで、併記されること自体は特に異論はありませんが、あまり複雑にならなければいいなと思っています。
 以上です。
○菅井議長 ありがとうございます。
 山岸先生、どうぞ。
○山岸構成員 これも確認的なコメントになりますが、資料2にも書かれていますが、2027年年報までは、現行のCLSI2012プラス感染症法の基準でいくことは既定というか、そこは変えない上で、移行期をどう設定するかということだと思うのですが、2027年までは今のままでいかなければなりませんので、移行のデータは、多分、その時期が近くなってから新しい基準も出ていると思いますが、今変えてしまうのは、あまりよくないのではないかと思いました。
 併記することについて、もし事務局の手間がそれほどないのであれば、問題ないとは思うのですが、現行の基準はずっと続けていくことを前提に検討していただければと思いました。
○菅井議長 ありがとうございます。
 四柳先生、どうぞ。
○四柳構成員 ありがとうございます。
 今までの皆様方の御議論、緩やかに、分かりやすい形で移行していくことに関しては、私自身、全く異存はございません。
 希望ですが、今でも、矢原先生が作られたJANISについてのCLSI2007とCLSI2012の比較は、PDFで見ることができて、非常によくできていると思うのです。
 現場の人にとっては、CLSI2012とCLSI2023が出たときに、どこが違うのというところが非常に気になるところですし、お互いにそれを見ながら参考にしていくと思いますので、同じようなものを是非、矢原先生、あるいは御担当の方で作っていただいて、それを分かりやすいところに上げていだければというのが私の希望でございます。
 以上です。
○菅井議長 ありがとうございます。
 ほかに御意見いただいていない先生方でもしあれば、お願いできますか。
 よろしいですか。
 今まで伺いました意見を総合すると、基本的には、2012年のデータ、CLSI2012は少なくともアクションプランの関係もありますから、2027年までは継続していきましょうと。
 プラスアルファの指標で、CLSIを併用するかどうかは、そのこと自体についてはやぶさかではないが、現場の手間等もあるかもしれないというお話をいただきました。
 この点について、まず、CLSI2012、現行のものを今後しばらくは用いることについては、皆さんの御意見は多分一致していると思いますが、その点はよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○菅井議長 ありがとうございます。
 それと、併記するに当たっては、CLSI2023を用いるのか、それをどんどん更新していくのかという点については、何か皆さんのほうで御意見はございますでしょうか。
 大毛先生、どうぞ。
○大毛構成員 これは清祐先生に教えていただきたいのですが、CLSI2023は、資料2で見ると、どこの施設も使っていないような感じですが、今使われているのは、CLSI2012とCLSI2016が中心で、新しいものを使っている施設はあるのでしょうか。
○清祐構成員 ありがとうございます。
 九大の清祐です。
 最新にしている施設はかなり少ないと思います。
 ただ、キノロンとか、結構大きく変わっている点があるので、私も、JANISに載せるのであれば、CLSI2022以降、CLSI2023、最新版を載せていただいて、しばらくそれで併記で様子見という形がよろしいかと思います。
○大毛構成員 ありがとうございました。
○菅井議長 ありがとうございました。
 それでは、一応、ここの議題としましては、まず、CLSI2012については、引き続き継続して使っていくことと、新しいものについては、CLSI2023にするかどうかも含め、一度事務局のほうで引き取らせていただきまして、さらに検討を加え、次回の運営会議で決めたいと思いますが、よろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○菅井議長 よろしいでしょうか。
 では、これで議題2を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
 では、続いて、資料3を御覧ください。
 議題3の検査部門公開情報等につきまして、矢原先生から改めて御説明をお願いいたします。
○矢原参考人 資料3について、JANIS検査部門の公開情報・還元情報のアンチバイオグラムに、これまでセフトリアキソンが含まれていませんでした。
 セフォタキシムは測定していないので、セフトリアキソンを追加してほしい、という声を医療機関からいただくことも増えてきましたので、今回、セフトリアキソンの追加を提案いたします。
 追加の箇所は、資料3に記載しているとおりです。
 以上です。
○菅井議長 ありがとうございます。
 ただいまのセフトリアキソンを検査部門の公開情報に追加する菌種は「対象菌種」としてそこに挙げておりますStreptococcus pneumoniae、Streptococcus pyogenes、Streptococcus agalactiae、Enterobacterales、Haemophilus influenzae です。
 この件について、御意見はございますでしょうか。
 感受性薬剤の追加でございます。セフトリアキソンです。
 特に御意見がないということであれば、オーケーということで承ってよろしいでしょうか。
(首肯する構成員あり)
○菅井議長 ありがとうございます。
 では、続きまして、資料4の説明を矢原参考人、お願いいたします。
○矢原参考人 資料4は、「菌名コードの追加について」です。
 Corynebacterium striatum という菌について、これまでJANISの菌名コードに記載されていなかったのですが、感染研における最近の研究で、β-ラクタマーゼ産生遺伝子をプラスミド上に保有していることが分かりました。
 また、血流感染症から分離された菌株で、β-ラクタム系抗菌薬耐性が多いので調べてほしいという病院検査室からの依頼があります。
 また、感染症原因菌としての認知度が低くて、臨床ではコンタミネーションとして判定されることも多いですが、免疫不全患者における重症肺炎や単独感染として肺膿瘍からこの菌が分離された症例の報告もあります。
 したがいまして、菌名コードにこの菌の追加を提案いたします。
 以上です。
○菅井議長 御説明ありがとうございます。
 今の点につきまして、皆様方から御意見、御質問はありますでしょうか。
 早川先生、どうぞ。
○早川構成員 ありがとうございます。
 C. striatum は、SSIの原因菌や、記載してあるように、免疫不全の方の肺炎ということで、臨床現場で目にする機会がかなり多い菌です。
 汚染菌かどうかの判断は常に求められますが、実際に治療対象となることも多いので、追加いただけましたら、非常にありがたいと思いました。
 以上です。
○菅井議長 ありがとうございます。
 柴山先生、どうぞ。
○柴山構成員 確認ですが、今回は、菌名コードを新たに追加するということで、まだ公開情報、アンチバイオグラムに追加するということではないのですね。
○矢原参考人 そういうことではないです。
○柴山構成員 将来的にそうなった場合に、対応できるように、そういう準備をしておくということでしょうか。
○矢原参考人 はい。
○柴山構成員 あるいは研究目的で、JANISに利用申請があった場合にも、対応できるようにしておくとか、そういうことですか。
○矢原参考人 はい。
 JANIS側として、その菌を扱える体制を整えておくということです。
○柴山構成員 取りあえずは。
○早川構成員 今までは、Corynebacterium species でまとめられており、C. striatum として区別されていなかったということですか。
○矢原参考人 今、確認いたします。
○早川構成員 今後、区別できるように扱っていくということかと思いまして、それであればありがたいと思った次第です。
○矢原参考人 現在、Corynebacterium speciesが菌名コード6000番。
 それから、Corynebacterium diphtheriaeが6001番。
 Corynebacterium jeikeium が6002番という3つの菌名コードだけJANISの菌名コード表に掲載されています。
○早川構成員 ありがとうございます。
○菅井議長 ほかに御意見、御質問はありますでしょうか。
 ありがとうございます。
 質問がないようですので、菌名コードの追加を許可いただいたということにしたいと思います。
 ありがとうございます。
 では、次に、議題4に参ります。
 議題4「その他」について、委員、参考人の先生方から何か御意見等はございますでしょうか。お伺いいたします。
 荒川先生、どうぞ。
○荒川構成員 荒川ですが、小規模の病院とかクリニックをサーベイランスの中に加えていく方針は非常にいいと思いますが、その場合、個々の無床診療所などは、データを出そうとすると、余計な負担が増えることになる。
無床診療所は、検査センターに外注で検査をしているところが多いと思うので、検査センターにデータをまとめてもらって、提出してもらうようなことをしていってもいいのかなという気がします。その場合は、当然、診療所の同意が要りますが。
 あと、JANISのフォーマットは一応、電文形式のHL7、要するに、どんな機種でも互換性をもってデータを扱えるようなシステムが導入されていると理解しているので、検査センターを通じて、そういう形でデータ収集をして、個々の診療所、クリニックの同意の上で進めていけば、もう少し参加施設がたくさん期待できるのではないかという気がしますが、いかがでしょう。
○菅井議長 矢原先生、いかがですか。
○矢原参考人 クリニックの同意に加えて、検査センター側で個々のクリニックの情報をどこまでこちらに提供していただけるかという問題がございます。
 以前、AMED研究班で大手検査センターから頂いたデータを分析して、例えば、AMRCRCのワンヘルスプラットフォームにデータ提供するなど、そういった研究をしたことがありますが、検査センターから頂いたデータについて、個々の診療所について、都道府県情報さえ頂くことはできませんでした。それは、検査センター側の事情で不可能でした。
 ですので、検査センター側でそれが可能かどうかも、一つ現実的な障壁になってきます。
 私からの回答は、取りあえず、以上です。
○菅井議長 荒川先生、どうぞ。
○荒川構成員 こういうサーベイランスを進める上で、常に困難や問題点が過去にもたくさんあって、それを一つずつ克服して、今のような体制に皆さん練り上げていただけたと思うので、結局、個々の無床診療所などからデータをもらう場合に、マンパワーの問題とか、いろいろな問題で、なかなかそのことに許諾できないみたいな形で、協力してもメリットがない。
 大きい規模の病院であれば、加算の対象になるので、メリットはあるのですが、クリニックの場合は、そういうインセンティブもない状態で協力を依頼するのは、何か少し工夫が要るかなという気がしたので、そういうことを考えると、個々のクリニックの同意をもらった上で、もらえたクリニックについて、それを担当している検査センターのほうでデータをまとめて、出してもらうことをしてもいいのかなと考えて、提案したのですが、それはまた事務局と厚労省でよく検討していただければと思います。
○菅井議長 ありがとうございます。
 柴山先生、何か御意見はありますか。
○柴山構成員 先ほど矢原先生が説明されましたとおり、検査会社側のほうで、そこのクリニックのデータだけ抜き出さなければいけないとか、そういう技術的な問題もあったように記憶していますし、単に検査会社にお願いしたほうが簡単だとか、そういう話ではなかったと思います。
 どういう形が一番いいのかは、もう少しいろいろと検討する必要があるのかなと思います。
○菅井議長 ありがとうございます。
 荒川先生が言われたように、多分、工夫が要る。診療所のほうに同意が取れればという形で、そういうスキームをこれからきちんと考えていく必要があると思います。
○松浦課長補佐 厚生労働省でございます。
 御意見等、ありがとうございます。
 荒川先生の御指摘は、厚労省としても非常に重要だと思っております。
 一方で、柴山先生、矢原先生に御説明いただいたとおり、全体のスキームとか、どういう形でデータを取っていくかというところも含め、非常に課題も多いと思っておりますので、我々としても今後の検討課題とさせていただければと思います。
 ありがとうございました。
○菅井議長 ありがとうございます。
 ほかに御意見等はございますでしょうか。
 なければ、本日の議事に関しては以上で終了となりますが、厚労省から何か追加でございますでしょうか。
 なければ、次回会議の開催については、また事務局のほうから調整させていただきたいと思いますが、厚労省、いかがでしょうか。
○松浦課長補佐 厚生労働省でございます。
 先生方、本日はお忙しいところ御出席いただきまして、ありがとうございます。
 こちらからは特にコメントはございませんので、先ほど座長からコメント、御説明いただきましたが、今後の日程については、また事務局から御相談させていただければと思います。
 本日は本当にありがとうございました。
○菅井議長 それでは、これをもちまして「院内感染対策サーベイランス運営会議」を終了したいと思います。
 皆様、長時間にわたりまして御協力ありがとうございました。
 失礼いたします。