2023年11月15日 薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会 議事録

日時

令和5年11月15日(水)16:00~

場所

厚生労働省専用第22~24会議室

出席者

出席委員(18名)五十音順

(注)◎部会長 ○部会長代理

他参考人1名出席


欠席委員(5名)五十音順


行政機関出席者
  • 城克文(医薬局長)
  • 吉田易範(大臣官房審議官)
  • 中山智紀(医療機器審査管理課長)
  • 野村由美子(医薬安全対策課長) 他

議事

○医療機器審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を開催したいと思います。委員の皆様方におかれましては、御多用中のところ御出席くださいまして、どうもありがとうございます。
現時点で、部会委員23名のうち、18名の方に御出席いただいています。一人、遅れられているようですが、全員出席されると19人ということになります。定足数を満たしているということを御報告します。このうち12人の先生は、Webシステムで御参加いただいているという状況です。
 次に、本日の審議に参考人として御出席いただく先生を御紹介します。議題1について、地方独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター西市民病院呼吸器内科部長の冨岡洋海先生に御出席いただきます。なお、冨岡先生におかれましては、Webシステムにて御出席いただくことになっています。
 続きまして、議事に先立ちまして、所属委員の薬事分科会規程第11条への適合状況の確認結果について、報告します。薬事に関する企業の役員、職員又は当該企業から定期的に報酬を得る顧問等に就任された委員はおられませんでしたので、御報告します。委員の皆様には、毎回、御確認のお願いをしていまして、御負担をおかけしますが、引き続きよろしくお願いいたします。
 続きまして、本日の議題の公開・非公開の取扱いについて、説明させていただきます。
○事務局 事務局です。本日、予定している全ての議題については、企業情報に関する内容などが含まれるため、非公開とします。なお、委員の皆様には事前にメールでお知らせしましたとおり、審議を予定していました「医療機器「レリビオン」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否及び使用成績評価の要否について」については、事務局の都合で、本部会の議題からは取り下げ、次回以降の審議を検討しています。委員の皆様におかれましては、資料を御確認いただいていたところ、直前の御連絡となり誠に申し訳ありません。
 会場の皆様のお手元には、資料が格納されたタブレットのほか、議事次第及び座席表を紙でお配りしています。また、Webにて御参加されている委員の先生方におかれましては、事前にお配りした資料をお手元に御用意ください。
 Web会議で御参加される委員の皆様におかれましては、審議中はマイクをミュート、通信環境等支障がない限りカメラもオンで、よろしくお願いいたします。
 本日の審議事項に関する競合企業として、委員の皆様から寄附金・契約金等の受取状況をお伺いしましたところ、議決に御参加できない委員は、議題1において田中利洋委員が該当しています。この際、御退室いただく必要はありません。
 以上、御報告します。
○医療機器審査管理課長 事務局からは以上です。以後の進行については、小野部会長、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ただいまの事務局からの御説明に対して、何か御意見、御確認はありませんか。よろしいでしょうか。
 よろしければ、これより議題に入りたいと思います。本日は、議題1から3の全てが審議事項となっています。
 それでは、議題1「医療機器「トレミキシン」の製造販売承認事項一部変更承認の可否及び使用成績評価の要否について」に入ります。
本議題についての参考人として、冨岡洋海先生に御出席を頂いています。
それでは、事務局より説明をお願いします。
○事務局 議題1では、新医療機器「トレミキシン」の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、製造販売承認の可否、及び使用成績評価の指定の要否について、御審議を頂きます。
 本品は、令和2年の薬機法改正により導入された「条件付き承認制度」を利用して承認申請された第1号品目となるので、審議品目及び審査の概要の説明に先立ち、事務局より本制度の概要について御説明いたします。参考としてスライドを画面共有しておりますので御覧ください。
 生命に重大な影響があり、かつ既存の治療法等に有効なものがない疾患を対象とする革新的な医療機器については、その早期の患者アクセスが求められる一方で、患者数が少なく治験の実施に相当な時間を要する等の理由により、臨床開発が長期化するなど、承認申請に必要な臨床データの収集に著しい困難を伴います。これに対応すべく、平成29年より「革新的医療機器条件付早期承認制度」をパイロット導入し、使用条件の設定や市販後のデータ収集などの製造販売後のリスク管理を開発段階から計画し、申請前に得られる限られた臨床データでは明らかにならないリスクへの対応を厳重に行うことを前提として、医療機器のリスク・ベネフィットのバランスを図りつつ、早期の実用化を促進してまいりました。当該制度は令和2年の薬機法改正時に法令上明確化されており、本申請は、その申請第1号となります。
 この制度により、一定の臨床データはあるが新たな治験の実施が困難な医療機器でも、関連学会と連携の上、使用施設要件や医師要件の策定、市販後のデータ収集といった製造販売後のリスク管理計画を適切に行うことを承認条件として付すことで、早期に承認することが可能となります。
 条件付き承認制度には二つの類型があり、本日、御審議いただく「トレミキシン」の「既存治療が奏効しない特発性肺線維症の急性増悪の患者」への適応拡大は、類型1を活用した承認申請となります。後ほど医薬品医療機器総合機構より説明がありますが、機構としては、承認申請者の示した資料より条件付き承認制度の各要件を満たすと判断しております。
 したがって、当部会においては、適正使用基準及び使用成績調査を含む製造販売後リスク管理計画の妥当性と、それを条件に限られた臨床データで本品を承認することの可否について、御審議をお願いいたします。
 では、機構より説明をいたします。
○医薬品医療機器総合機構 医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。
資料2の2ページ、専門協議委員の一覧を御覧ください。本審査に当たり、2名の専門委員から御意見を頂きました。
なお、以降の説明は資料2の3ページからの審査報告書に基づいて御説明いたします。ページ番号は緑色の通し番号、審査報告書のページ番号及び左に記載の行番号を用いて御説明いたします。
 はじめに、本品の概要を御説明いたします。資料10ページ、審査報告書8ページの1行目から御覧ください。本品は、血液を灌流させることにより、血中のエンドトキシンを主とする病因物質を吸着、除去する血液浄化器で、敗血症の病態改善を目的に1993年に承認されています。
 本申請は、条件付き承認制度を利用し、新たに特発性肺線維症(以降「IPF」と言う)の急性増悪の病態改善を使用目的に追加することを主な目的とする、一部変更承認申請です。
 次に、開発の経緯です。資料11ページ、審査報告書の9ページ、3行目から御覧ください。IPFは、肺の間質で炎症や損傷が引き起こり線維化する疾患のうち、原因を特定できない特発性間質性肺炎の一種で、厚生労働省の定める指定難病の一つとされています。IPFは呼吸機能が進行性に悪化する予後不良の疾患で、平均生存期間は3~5年とされており、現在は、その進行抑制に抗線維化薬であるピルフェニドンやニンテダニブエタンスルホン酸塩が第一選択薬として使用されています。
 IPF急性増悪とは、IPFの慢性経過中に呼吸不全が急速に進行する病態で、年間5~15%のIPF患者が急性増悪に移行するとされており、移行した場合の平均生存期間は2か月以内とされています。IPF急性増悪に対しては、治療ガイドラインに基づきステロイドなどの薬物治療を行うことが第一に検討されますが、確立した治療法はないのが現状です。
 本品については、敗血症を基礎疾患とする重度の呼吸不全であるARDSに対しても有効性が期待される旨の報告があり、同様の病理組織像を示すIPF急性増悪に対しても2004年頃から使用され、有効性に関する報告がされるようになりました。その後、この後に御説明する先進医療B試験が2014年から2018年に実施され、一定の有効性及び安全性が示唆されました。
 その結果を踏まえ、日本呼吸器学会よりIPF急性増悪への適応拡大の早期承認に関する要望書が提出され、2021年には希少疾病用医療機器の指定を受けました。
 資料12ページ、審査報告書の10ページ中段、表2に示す理由から、今回の適応拡大が条件付き承認制度の指定要件を満たすことが確認されたため、申請者は当該制度を利用した一部変更承認申請をいたしました。
 外国における使用状況については、資料12ページ、審査報告書10ページの17行目から記載しています。IPF急性増悪への適応は外国でも承認されていないため、ここでは既存適応である敗血症に対して使用したときの報告のみ記載しています。
 続いて、本品の非臨床試験については特段の問題は認められなかったので、臨床評価について御説明いたします。資料17ページ、審査報告書15ページの14行目から御覧ください。本申請では、臨床評価資料として、先進医療B試験及び公表文献を基に作成された臨床評価報告書が提出されました。
 先進医療B試験は、IPF急性増悪患者を対象とした、単群の前向き試験で、2施設で20症例が登録されました。薬物治療を実施した上で本品による治療を追加で実施した場合の4週生存率及び有害事象の発生状況を主要評価項目とした試験で、4週生存率については、文献から設定された外部参照値との比較が行われました。
 先進医療B試験の結果について、資料20ページ、審査報告書18ページの4行目から御覧ください。
 有効性に関しては、Kaplan-Meier法により推定した本治療開始後の4週生存率は65.0%であり、95%信頼区間の下限は外部参照値として設定された既存治療の4週生存率の上限である40%を上回りました。そのほか、副次評価項目として設定された12週生存率、酸素化能、炎症の程度を示す血中CRPなどでも改善が認められました。
 安全性の評価については、資料22ページ、審査報告書20ページの25行目から御覧ください。有害事象は全例に生じ、本品との因果関係を否定できない有害事象として、脳梗塞、血尿及び鼻出血が1例ずつ認められました。重篤な有害事象は12例に生じ、因果関係を否定できない重篤な有害事象は、先ほどの脳梗塞1例でした。
 文献による有効性及び安全性の評価については、資料24ページ、審査報告書22ページの5行目から御覧ください。表15及び図4にお示しする条件で検索を行った結果、45報が評価対象とされました。
 有効性に関して、本治療を実施したIPF急性増悪患者の4週生存率及び12週生存率は先進医療B試験と同様の結果であり、本治療の実施の有無を比較した文献においては、本治療を実施しなかった群よりも本治療を実施した群で生存率に関して良好な結果を得られました。また、酸素化の指標であるP/F比の改善や人工呼吸器からの離脱といった、酸素化能の改善に寄与していることが示唆されました。
 安全性に関しては、血小板数減少や肺血栓塞栓症などの有害事象の報告はあったものの、いずれも軽度であり、特に問題となる事象は報告されませんでした。
 以上の試験成績を踏まえ、機構における審査の概要を御説明いたします。
 まずは、本品の有効性及び安全性についてです。資料29ページ、審査報告書27ページの17行目から御覧ください。
 先進医療B試験では、探索的な結果ではあるものの、4週生存率が既存治療の成績を上回りました。また、ほかの文献でも、同様の成績が報告されていることから、IPF急性増悪に対する本品の有効性は一定程度認められると判断しました。
 安全性に関する機構の見解は、同ページ、24行目から御覧ください。先進医療B試験で因果関係の否定できない重篤な有害事象として報告された脳梗塞に関して、独立評価委員会で手技起因の空気塞栓と判定されましたが、発生した症例が脳梗塞ハイリスク患者であったことから、IPF急性増悪による全身状態の悪化に伴う脳梗塞である可能性も想定されると判断しました。その他の重篤な有害事象については、本品との因果関係が否定されたこと、因果関係が否定できなかった有害事象の転帰が良好であったこと、ほかの文献でも安全性に関する特段の懸念を認めなかったことから、IPF急性増悪に対する本品の安全性は臨床的に許容可能と判断しました。
 続いて、本品の対象患者について、資料30ページ、審査報告書28ページの6行目から御覧ください。
 先進医療B試験では、感染などの誘因があって慢性期のIPFから急性増悪に移行した患者と、比較的症状の軽いP/F比300以上の患者が除外されていました。しかし、誘因があって急性増悪に移行した患者に関しては、先進医療B試験開始後に発行されたIPF急性増悪に関する国際作業部会のレポートや、それ以外の本品を用いた文献で誘因の有無によって治療方針や治療成績に差がないことが報告されたことなどの理由から、誘因のある急性増悪患者を本品の対象にすることは差し支えないと判断しました。
 また、P/F比300以上の患者については、審査報告書29ページの10行目より記載しているとおり、IPF急性増悪の病態を踏まえると、P/F比300以上でも、既存治療が奏効しない患者であれば、本品を使用するベネフィットが期待でき、安全性に大きな懸念がないという報告もあることから、この後に御説明するリスク管理計画の策定を前提に、これらの患者を市販後の適応患者に含めることは可能と判断しました。
 続いて、市販後のリスク管理計画について、資料31ページ、審査報告書29ページの38行目から30ページにかけて御覧ください。本申請は条件付き承認制度を利用しているため、市販後はリスク管理計画に基づいた管理体制を構築した上で、使用成績調査を行うこととしております。
 表17の上段、安全性検討事項と有効性検討事項として記載されているように、本品のリスク管理計画では、先進医療B試験の評価項目や試験結果を基に、本品の評価に必要な情報収集をするとともに、先進医療B試験で除外されていた誘因のあるIPF急性増悪患者に対する結果についても、重点的に情報収集することが予定されています。また、リスク最小化計画としては、表の下段から次のページにかけて記載されているとおり、日本呼吸器学会が作成した適正使用基準に準ずることで、本品のリスク低減化と適切な使用を担保する体制を構築する予定となっております。
 表18にお示しする使用成績調査計画では、本品使用症例全例を対象に、目標症例数を190例とし、現在の医療水準における本品の治療成績を評価するために、ニンテダニブエタンスルホン酸塩の販売日以降の調査実施施設における既存治療成績と比較する設計となっております。
 また、資料34ページ、審査報告書32ページの下段、その他の項にお示しするとおり、条件付き承認制度の趣旨に基づき、本品の有効性と安全性を慎重に確認するために、本調査を3段階に分けて実施していく予定です。段階ごとに使用成績を確認し、第三者評価委員会や機構と協議しながら、実施施設及び対象患者を拡大していくほか、必要に応じて、リスク低減化措置の追加や適正使用基準の見直しを行う計画になっております。
 これらの計画に関する機構の見解については、資料36ページ、審査報告書34ページの12行目から御覧ください。先進医療B試験や文献から得られたデータは限られているため、有効かつ安全に本品を導入するための対策をリスク管理計画の中で定めていく必要があると考えております。そこで、同ページの23行目よりお示しする3点、すなわち、実施医及び実施施設に関する基準の設定と医療従事者への情報提供を行うこと、使用成績調査の結果を確認しながら学会及び機構と協議して適切なリスク管理を行うこと、使用成績に応じて対象患者と使用施設の段階的拡大を行うことが重要と判断し、それらを承認条件として付すことが必要と判断しました。
 以上の審査を踏まえ、機構は、資料39ページ、審査報告書37ページの6行目より記載する「使用目的」にて本品を承認して差し支えないと判断し、本医療機器・体外診断薬部会で御審議いただくことが適切と判断しました。
 本品は使用成績評価の対象に指定し、使用成績評価の評価期間を6年とすることが妥当と判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しました。なお、薬事分科会では報告を予定しております。
 機構からの御報告は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、参考人の冨岡先生から、追加の御説明等はありますか。
○冨岡参考人 専門協議委員の冨岡です。我が国の「死因統計2021年」では、間質性肺疾患は、日本人の死因の第11位になっています。呼吸器疾患としては、肺炎、肺癌に次いで第3位となっております。コロナ禍においても、死亡数が増えているという現状があります。
 その間質性肺疾患の中でも、最も難治性で予後不良な疾患が、本日の対象疾患である特発性肺線維症、IPFになります。今、機構から御紹介がありましたとおり、IPFは慢性かつ進行性の経過をたどる原因不明の間質性肺疾患ですが、その死因として最も多い病態が、この急性増悪になります。北海道スタディという、我が国の疫学データがあるのですが、IPFの死亡原因の40%を占めるということで、このIPFの予後改善のためには、急性増悪の治療が喫緊の課題となっております。
 この急性増悪は、御紹介がありましたとおり、IPFの慢性経過中に両肺野に新たな浸潤影の出現とともに、急速な呼吸不全の進行が見られる病態です。言ってみれば、慢性経過の間質性肺疾患の患者さんにARDSが合併してきた病態と考えられています。
 本邦の厚労省の診断基準があって、これは先進医療B試験で使われていた、原因がはっきりしない急性増悪を対象にしていたのですが、その後、2016年国際ワーキンググループの診断基準が現在使われておりまして、この基準を用いた我々の施設での成績、これは審査報告書の文献19に引用されていますが、30日死亡率が37.5%、院内死亡率が54.7%と、非常に厳しい結果でした。
 このIPFの急性増悪に対して良質なエビデンスを有する治療は確立しておらず、我々、今年、最新のガイドラインとして、IPFの診療ガイドラインを発刊したのですが、これはいろいろなCQを使って、IPFの治療についてのガイドラインを提示したのですが、その中で、トレミキシンの治療というのは、「IPFの急性増悪患者さんの一部には合理的な選択肢である可能性がある」という記載をしておりまして、現在最も期待される治療法と考えられるわけです。
 このトレミキシンの治療は、これまで我が国で、グラム陰性菌による敗血症性ショックの患者さんに対して、長いこと使用されてきた実績があります。先に述べましたとおり、最近の急性増悪の診断基準では、特にウイルス感染を契機とする急性増悪もあるということですので、やはり、その有効性は期待されるかと思います。
もちろん、海外では、こういった急性増悪が起こったときに、肺移植をして救命するという手段があるのですが、我が国の肺移植のドナー不足を考えますと、非常に非現実的な対応になるかと思います。
 そういったことから、先進医療B試験は症例数も限られて、またランダマイズでありませんので、エビデンスのレベルとしては十分ではないのですが、有効性と安全性が示唆されたという結果で、この条件付き承認制度を利用し、十分なリスク管理体制のもと実施することは、望ましいと考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様方から、御意見、御質問等はありますか。Webの先生方は、挙手ボタン等を押していただければ、こちらで御指名いたします。特にございませんか。
 それでは、私から事務局に確認事項が一つあります。簡単なことですが、最後に使用成績調査、これは6年と先ほど御説明がありましたが、この使用成績調査の場合、期間を定める場合と症例数を定める場合と、あるいは両方でくくりをつける場合とパターンがありますが、これまでの先進医療B試験においても、かなり長期間を掛けて患者の繰り入れが行われてきたということは、もしかすると6年では十分な症例数が集まらない可能性が想定され得ると思います。ここは、6年としてしまった根拠というのは、何かありますか。
○医薬品医療機器総合機構 事前に、申請者と関連する本品を実施する予定の施設とで議論した上で、この症例数、調査期間は決まってはいるのですが、根拠と言いますか、症例の登録のペースについては、おおむね先進Bと同じ程度で登録されるだろうと計算した上で設定されていると聞いております。
○小野部会長 ありがとうございます。そうすると、何症例ぐらいが登録される見込みということで、この6年という期間を設定されたか、もしよろしければお答えいただけますか。
○医薬品医療機器総合機構 3段階、トータルで190例の予定になっております。
○小野部会長 そうしますと、今度は冨岡先生に私からお伺いします。この6年間で、施設を拡大しつつ、段階的に症例数を増やすということで、三つのフェーズに分けて施設拡大等を行っていくということですが、先ほどの事務局からの説明によりますと、各フェーズごとに安全性に重点を置いた形での、段階的成績調査を行いつつ、施設拡大等を行うという説明だったと理解しておりますが、そうしますと、一定の症例数を繰り入れた後に、使用成績調査を独立委員会が行うという場合には数箇月ぐらい、場合によっては、何か有害事象があった場合には半年ぐらい掛かってしまうことはしばしばあり得ることですが、それを考慮に入れた上でも、6年での190例の登録というのは可能と判断されたのか、その辺のいきさつを御説明いただけますと、私どもも理解がよく進むものですので、よろしくお願いします。
○冨岡参考人 今、IPFの有病率は、人口10万人対10という数字が出ています。それから、昨年、DPCデータを使った急性増悪の頻度のデータが出たのですが、大体毎年、IPFの患者さんの10%というデータが出ております。IPF自体、肺の老化の疾患ともされておりまして、今後症例数は増えるだろうとも言われておりますので、一応、先進医療B試験のリクルートを中心にして、それから算定した年数と症例数ということで妥当かと思います。
 それから、IPFの平均生存期間が、抗線維化薬がなかった時代は大体3年から5年と言われていますので、登録が開始されてから6年というのが、全死亡の評価までできるかという考え方でよろしいかと思います。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。事務局から何か追加はありますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構から少し補足させていただきます。小野部会長から御説明があったとおり、もし、何か審査のときに確認できないリスクが生じた場合とか、有効性に関して適正使用の指針を改正する必要があると判断された場合には、当然、登録を止めて、その検討をしなければいけませんので、その場合は、今計画している期間よりも多少長くなる可能性がありますが、それでもし評価期間が足りない場合には、後日延長することも想定した上で、きちんと有効性と安全性を確認するということに主眼を置いた形で進めていきたいと思っております。
○小野部会長 御説明ありがとうございます。委員の先生方から、何か追加の御質問や御確認はありますか。Webの先生方からも、何かありましたら、よろしくお願いいたします。
○永井委員 質問というよりもコメントですが、本品の場合、先進医療Bで行われた臨床試験成績をもって、まずは条件付きながら薬事承認を得るということですが、もともと先進医療Bというのは保険収載を目的に行われる制度であるのは御承知のとおりです。しかし、今の御議論などを伺っていると、今後、市販後の使用成績評価の6年間でエビデンスを得られた段階で、この条件が解除され、さらにその後、正式な承認になって保険収載という、非常に長い時間が掛かるのではないでしょうか。今回の薬事承認の話とは関係ないかもしれませんが、薬事と健康保険のリンク、特に最近では医療機器の2段階の保険適用の議論もありますので、そういったところに照らして何かコメントがいただけたら有り難いです。
 実際、保険のカバレッジが得られるまでは、患者さんはずっと全額自己負担ですよね。アフェレーシスとこれとなると結構お金がかかるので、何とかならないのかなというコメントです。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局から御回答をお願いします。
○事務局 事務局より回答させていただきます。永井先生、コメントを頂きましてありがとうございます。条件付き承認制度に関しては、承認後、申請企業が保険償還申請を行うことが可能ですので、その点は通常の承認と同様と考えていただければと思います。
 ただ、先ほど機構からも説明がありましたように、市販前に得られるデータが限られておりますので、使用される施設や医師要件等、しっかり守りながら、リスク管理をしながら使っていただく、拡大していっていただくというように考えております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。永井先生、よろしいですか。
○永井委員 はい。
○小野部会長 ありがとうございます。ほかに、御質問、コメントはありますか。
○北澤委員 分からないところで教えていただきたいのですが、審査報告書の26ページの真ん中ぐらいに、「IPF急性増悪の4週生存率が、近年、向上しているとの薬物治療に関する報告もあり」と書いてありましたので、15番の論文の抄録を読んでみました。15番の論文は、実薬群とプラセボ群を比較するプラセボ対照二重盲検RCTで、研究デザインとしてはしっかりしていると思いますが、抄録を見ますと、詳しく中身まで読んでいないので何とも言えないのですが、90日時点の生存率は、むしろプラセボ群の方が良くて、89.2%と高かったという結果でした。一方、審査報告書は、単群の試験であり、生存率が、それを使わなかったら大体40%ぐらいでしょうということで、40%と比べれば高かったということから、これは有効ではないかという推察をしているのですが、本当にそう言えるのか、そこが分からなくなってしまったので、教えていただきたいと思います。
 また、審査報告書31ページの表18、これから行う使用成績調査でも、この製品を使わなくても、4週生存率は55%に見積もっていて、先ほどの40%よりも高い値を見込んでいるので、この55%と、今回のKaplan-Meier曲線を比べますと、そんなに大きな差があるのか分からなかったので、その辺りを教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○小野部会長 ありがとうございます。今、御質問は二つありまして、一つは論文の内容についての御確認です。もう一つは、成績がKaplan-Meierで見た場合の40%の判断の仕方ということになると思います。これは両方とも事務局でお答えできますか。
◯冨岡参考人 冨岡が答えましょうか。
◯小野部会長 では冨岡先生、よろしくお願いします。
○冨岡参考人 北澤先生、非常に大事な御質問をありがとうございます。このランダマイズドスタディは、最近行われた、本邦、これは世界初の急性増悪に対するランダマイズドスタディなのですが、これは最近の症例で、患者さんに対する治療は、以前は、ステロイドを使ってきました。ステロイドを使っていますと、どうしても感染を契機に急性増悪が起こりうる時代があったわけですが、最近はステロイド、抗炎症治療ではなくて、機構からお話がありましたとおり、抗線維化薬が主体になっております。したがって、このランダマイズドスタディは、ある程度ステロイドを使っていない時代の急性増悪に対するスタディになっております。
 先進医療B試験は、それより前の患者さんがエントリーされていて、そういった違いがあります。一つは、背景でステロイドを使っている患者さんが急性増悪を起こしたときに、特に感染を契機にARDSを来して予後が悪いという可能性が一つ考えられております。
 もう一つは、人工呼吸管理の進歩があります。以前は、急性の呼吸不全になったら、挿管して圧呼吸をやっていたのです。これが非常に肺のダメージを来して、かえって予後を悪くしているというデータがあるのですが、最近は、NPPV、さらにハイフローと言いまして、非常に患者さんには負担の少ない肺の圧損傷を来さない呼吸管理も出てきております。
そういった、ステロイドの使用制限、呼吸不全に対する呼吸管理の進歩によって、今回の比較的新しい試験では、プラセボ群が結構良かったと今考えられておりますので、この使用成績調査のところのニンテダニブという抗線維化薬がキーになりまして、これを使ったときのデータも取ろうということになっておりまして、いわゆる現在のIPFの治療指針、スタンダードに基づいた上での成績を今後出していく必要があるということが重要かと思います。
 いずれにしても、急性増悪が起こってしまうと、重篤であることは変わりありませんが、以前に比べますと、死亡率が改善してきているという傾向は、我々感じております。以上です。ありがとうございます。
○小野部会長 ありがとうございました。冨岡先生、二つ目の御質問も、今の回答の中に、古い時代のデータが生存率に基づいているので、40%という、今後、承認後の試験の最低生存率の算定根拠は、古いデータに基づいていると理解してよろしいですか。
○冨岡参考人 はい、そのとおりです。それと追加しますと、今、スタンダードの抗線維化薬を使うことによって、急性増悪を起こしたときの予後もよくなっているというデータがあります。特に、ニンテダニブというのは、VEGFといって、血管障害のところをポイントにしていますので、急性肺障害で、びまん性肺胞傷害が起こったときの血管障害を抑えるのではないかということで、やはり、今現在のスタンダード、抗線維化薬を使っていることで、この急性増悪の予後が良くなっていることも指摘されておりますので、やはり、今現在の基準で、これからデータを出していくことが必要だと思います。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。よろしいですか。
○北澤委員 御説明ありがとうございました。いずれにせよ、患者さんの予後が良くなるのはいいことですが、その中で、この医療機器を使うことによって、更に良くなるということを示していただきたいと思います。以上です。
○小野部会長 ありがとうございます。
○宮川委員 小さいことで申し訳ないのですが、分からなかったので教えていただきたいのですが、33ページの表18です。その中に「重点調査項目」があります。安全性のところで、「血液浄化器入口での圧上昇」と書いてありますが、これは何をアラートとして示すものなのか教えていただければと思います。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構より回答させていただきます。トレミキシンを含めた血液浄化の体外循環系で、凝固などが発生したときに、こういう浄化器入口圧の上昇がよく報告されているということで、そういったところを適切に捉えていきたいと考えております。
○宮川委員 そういう意味では、こういう血液浄化の体外循環時によく起こすのですが、それだけでフィルターの中の圧上昇が、そこだけでいいのかどうか。つまり、体外循環のところで、ほかのところでもアラームを出さなければいけないところですが、それだけでいいのかなと思ったのです。この入口のところなのか、出口のところなのか、どこで体外循環のときにフィルターが詰まってくるのか。それは本当に入口部だけでいいのかどうかと思ってお聞きしたのです。それだけでよろしいですか。
○医薬品医療機器総合機構 御質問ありがとうございます。先進医療Bの試験成績から、機器の不具合としては、入口部での上昇が見られたので、今回、重点調査項目として設定させていただきましたが、宮川先生のおっしゃるとおり、ほかの部分でもアラートとして圧上昇で詰まりが発生する可能性はありますので、その点に関しては、その他の不具合調査項目として、その辺については情報収集していきたいと考えております。
○宮川委員 ありがとうございます。そういう意味では、この先進医療Bのときにはステロイドだったわけですよね。今、参考人からお話があったように、そういう意味では全身の状態として把握する部分というのは、バックグラウンドが少し違っているので、ここのところでも同じような形で取るのかと思ったのです。ほかのところで、結局体外循環のときにアラートを出すところはいっぱいあるので、ここだけでいいのかなと思ったのです。そういう書き方をすると、そこだけを見ることになるので、ほかのところでも詰まってしまうと言いますか、フィルターがいろいろなところで不具合を起こすということで、圧上昇がかかってしまうところがあるので、是非、総合的に見ていただくように書き換えるほうがいいのかなと思ったのでお聞きしました。ありがとうございます。
○小野部会長 事務局からどうぞ。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございます。宮川先生のおっしゃるとおりだと思いますので、現在のトレミキシンを使う際のシステム全体の不具合がきちんと検出されるように、今の時点だと確かにこれしか見なくていいのかというところが懸念されますので、その点については記載整備をして、きちんとシステム全体としての不具合が収集できるような方法に項目を整備したいと思います。ありがとうございます。
○宮川委員 どうもありがとうございました。
○小野部会長 御質問ありがとうございました。ほかに、何か御質問、御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、議決を行いたいと思います。よろしいですか。Webの先生方からも特に挙手はありませんので、先に議決に進みたいと思います。
 医療機器「トレミキシン」について、本部会として、製造販売承認事項一部変更承認を可として差し支えないものとして、また、使用成績評価期間を6年とすることでよろしいですか。御異議のある方は御意見をお願いいたします。特に、御異議がありませんので、そのような形で議決をしたいと思います。
本件については、分科会で報告を行うこととなっております。
それでは、これで議題1の審議を終了いたします。冨岡先生、御出席どうもありがとうございました。冨岡先生、御退室をお願いいたします。
◯冨岡参考人 ありがとうございました。失礼します。
── 冨岡参考人退室 ──
○小野部会長 それでは、議題2「医療機器「Inspire UASシステム」の使用成績評価の調査期間延長の可否について」に入ります。まずは、事務局より御説明をお願いします。
○事務局 それでは、事務局より議題2、医療機器「Inspire UASシステム」の使用成績評価の調査期間の延長について、御説明いたします。
 資料3の1ページを御覧ください。今回、御審議いただく品目「Inspire UASシステム」の概要となります。申請者は、Inspire Medical Systemsです。
 3ページを御覧ください。本機器の外観図となります。本機器は、CPAPが不適又は不忍容な閉塞性睡眠時無呼吸症候群の患者を対象として、気道の開存性を改善することを目的として使用される植込み型の電気刺激装置です。パルスジェネレータを胸部に植え込み、センサーリードにて読み取った肺の動きから呼吸と同期して、舌下神経周囲に留置された刺激リードにて舌下神経を刺激し、舌基底部の筋収縮を誘発することで、気道の開存性を改善いたします。
 1ページにお戻りいただきまして、下段を御覧ください。本機器は2018年5月に開催された本部会において御審議いただき、5年6か月で○○症例の安全性を確認する使用成績調査を実施することとして、2018年6月に承認されたものになります。しかし、2022年1月の保険収載まで○○○○○月を要し、調査開始の準備にかなりの時間を要したこと、新型コロナウイルス感染症の発生の影響により導入が積極的に進まなかったことから、現時点で登録症例数は○例と、目標登録症例数を大きく下回る状況です。
 一方で、新型コロナウイルス感染症が収束の傾向にあり、今後は症例登録を継続して実施できる見込みであることから、調査期間を○○○○月延長することで、目標症例数に達すると、製造販売業者は判断しております。
 製造販売業者は、導入施設へのトレーニング環境等の積極的な拡充を進めており、20○○年○月までに目標症例数を登録可能と説明しております。今後の新型コロナウルス感染症の動向が不明ではあるものの、製造販売業者の考えは妥当であると考えます。したがって、○○○○月の調査期間の延長について御審議いただきますよう、どうぞよろしくお願いいたします。説明は以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。それでは、委員の皆様から、御意見、御質問等がございますでしょうか。Webの委員の先生方、御意見がある場合は挙手ボタンをお願いいたします。
○宮川委員 宮川です。このSASのときの補助というか、舌根が落ちてくるというところを刺激して、それで上げていくという、舌の基底部を上げていくのですが、センサーのところが胸郭にあります。センサーの感度という点で、どうやって同期させるためのセンサーが動くのでしょうか。センサーリードの先が、どのような形で胸郭を広げるということで呼吸をするという形なのでしょうか。もともとSASの場合にはそんなに胸郭が広がらない場合が多いので、何をもってセンサーとして同期させるということになるのでしょうか。
○小野部会長 ありがとうございます。事務局から回答ございますか。
○医薬品医療機器総合機構 機構より御説明させていただきます。センサーリードの先端の方に、膜型の圧センサーが付いていまして、その膜を胸郭の方に向ける形で、肺の動きを検出するような原理になっております。
○宮川委員 それは分かるのですが、そうすると膜圧でかかるのですけれども、もともとSASなので胸郭が広がらない。だから、何をもって胸郭が広がるということ、呼吸をすることになるのでしょうか。実際には広がらないわけじゃないですか。つまり呼吸がない状態で落ちてくるわけですよね。そのときに、結局SASを改善させるということにならない。舌根が落ちるということだけを防ぐということで、このSASの治療になるのでしょうか。もともと呼吸が落ちるわけですよね。つまりSASにより、呼吸ができなくなって、そして、回復するときにすごく大きく吸うわけですよ。吸うときに、それでやっとそのときにセンサーが働いて、そのときに同時期に舌根が落ち込むということを防いで、気道を上げてあげるということです。だけれども、もともとのところには全然効いていないわけですよね。
○小野部会長 では、事務局からお願いします。
○医薬品医療機器総合機構 御指摘ありがとうございました。先生のおっしゃるとおり、呼吸が止まっている状態では、全くセンサーからは、広がっていないということは検出できないのですが、継続的にセンサーで呼吸状態を検出しておりますので、それが検出できないということをもって、プログラムが働いて、電気刺激を入れるという仕組みになっているデバイスになっております。
○宮川委員 実際にはどのぐらいの間隔になるのですか。結局、SASに対してアシストをするわけですよね。だから舌根が落ち込むのを、今言ったように刺激で舌根部を広げるというか、それだけで呼吸はアシストできないのではないですか。もともとないのです。実際に広がっていないのを、今言ったようにプログラムで、何秒かなければそれをアシストして刺激するのだけれども、刺激して舌根の低下が防げたからといって、呼吸を促進させることにはならないのです。
○小野部会長 事務局、お願いします。
○医薬品医療機器総合機構 機構から御説明させていただきたいところなのですが、すみません、私もこれを担当したときに審査チームを担当しておりませんので、詳しいデータまでは存じ上げていないため、正確な答えは今することができませんので、後日、先生の方に、その点についてはデータも含めて御説明させていただくことでよろしいでしょうか。
○宮川委員 それはいいのですけれども、そもそも、それだからこそ症例の導入がこれだけ進まないのではないですか。○例しかないというのは、実際、これが有効ではないのですよ。私は呼吸中枢のこともやっていましたから、そう考えます。舌根のところの刺激だけでは、SASの治療にはならない。それで、今言ったように、呼吸がないから、結局は10数秒なければ、舌根部を広げてあげるというところ、落ち込みを防いであげるということをするのだけれども、それでただ気道が開くだけなのです。気道が開いたとしても、結局は呼吸そのものに対しての刺激がないので、全くSASの治療にはならないということになるのではないかと思います。だからこそ、余り症例数の集積が進まないのかなと思います。いたずらにそれをやったからといって、本当にどうなるのかなと思ったのでお聞きしたのです。
○小野部会長 ありがとうございました。適応が一応、いわゆる閉塞性のOSASになっていますので、多くの場合は混合性のSASなので、今、宮川委員が御指摘のとおりで、呼吸刺激が入らないので、いわゆる無呼吸の状態が続く。閉塞機転は電気刺激で、舌下神経刺激で、舌の沈下を防ぐことはできるけれど、ということですので、中枢性の無呼吸に対してこれが有効かどうかという。もう少し言い方を変えると、有効かとの御質問なので。これは実際に今もうオンゴーイングの症例、使用成績調査になっていますので、止めるというほどではないのですが、ただし、宮川委員の疑問に対しては、何らかの形で、事務局でお調べいただいて、御回答いただくということで対応するということで、宮川委員、よろしいですか。
○宮川委員 私だけでなくて、全員にフィードバックしていただければと思います。そういう意味では皆さんの知識の補完になるし、なぜこういうことが起こってしまったのかなということなので、いたずらに長くしても実際に症例が集まらないかなというのが心配だったのです。今後どうやってそれをまた再評価するのか。あまり長くやるよりは、ある程度のところで、もう少し短く区切ったところで、本当に有効なのかということも、ある程度考えていかなければいけないのかなと考えます。小顎症の方も含めて、特用の状況以外は余り、今、部会長がおっしゃったように、有効な手立てにならないのではないかと危惧したものですから、皆さんにまた教えていただければと思います。よろしくお願いします。
○小野部会長 事務局の方も、そういう対応でよろしいでしょうか。それとも今、御回答可能ですか。
○医療機器審査管理課長 よろしいでしょうか。この調査期間の延長というところを一旦お認めいただければ、今、先生から御指摘いただいたような御懸念点、疑問と思われることも含めて、次回の部会のときに、また改めて説明させていただくということにさせていただくということでいかがでしょうか。
○小野部会長 承知いたしました。この疑問は、使用成績調査の期間の延長とはまた少し内容を異にいたしますので、そのような形で、また次回おまとめいただき、事務局からの回答をお待ちしたいと思います。
ほかに、御質問、御意見はございますでしょうか。末岡先生、どうぞ。
○末岡委員 すみません。ありがとうございます。二つ教えていただきたいのですが、保険収載まで時間が掛かったというお話だったのですが、これは何か特段の事情があったのか、御存じのところがあれば教えていただきたいというのが一つと、あと○例ということで、当初の見込みより相当少なかったのだと思うのですが、それは保険収載後の事例ということになるのか。直近の時点で、ある程度スピードアップして増えているのかという観点なのですが、その辺りを教えていただければと思います。
○小野部会長 事務局からお願いします。
○事務局 事務局より回答させていただきます。まず、保険収載が遅れた背景ですが、企業が、資料の1ページに書かせていただいているとおり、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、何か製品について問題があったわけではなく、手続上の遅れと伺っております。また、○例につきましては、保険収載後の症例となっております。以上です。
○小野部会長 ありがとうございました。末岡委員、よろしいですか。
○末岡委員 ありがとうございました。
○小野部会長 ほかに、御意見、御質問はございますでしょうか。ありがとうございました。
それでは、議決に入りたいと思います。医療機器「Inspire UASシステム」の使用成績評価は、期間を○年として指定するということと、延長するということでよろしいでしょうか。御異議のある方は意見表明をしていただければと思います。ありがとうございました。特に御異議がないようですので、そのように議決をしたいと思います。
 なお、この件は、分科会にて報告を行うこととなっております。以上をもちまして、議題2の審議を終了したいと思います。
 それでは、議題3「医療機器「ホウ素中性子捕捉療法用中性子照射装置」を希少疾病用医療機器として指定することの可否について」に入りたいと思います。事務局から御説明をお願いします。
○事務局 議題3、資料4、「ホウ素中性子捕捉療法用中性子照射装置」を希少疾病用医療機器として指定することの可否について、事務局より御説明いたします。
まずは、希少用疾病用医療機器の指定制度につきまして、簡潔に御説明いたします。本制度は、難病等を対象とする医薬品や医療機器が、医療上の必要性が高いにもかかわらず、患者数が少ないことにより、本邦で十分に研究開発が進んでいない製品に対して、その研究開発を促進するための支援措置を講ずるものでございます。
 この指定基準としまして、用途に係る患者数が本邦において5万人未満であること、重篤な疾病を対象とするとともに、代替する適切な医薬品等又は治療方法がないこと、あるいは既存の医薬品等と比較して著しく高い有効性又は安全性が期待されること、対象疾患に対して当該医療機器を使用する根拠があるとともに、その開発に係る計画が妥当であると認められること、としており、これら三つの指定要件に合致するものを、厚生労働大臣が希少疾病用医療機器として指定を行うものでございます。なお、この指定が直ちに医療機器の製造販売承認に結びつくものではありません。
 それでは、資料4に基づき御説明させていただきます。資料ページ2、医薬品医療機器総合機構の事前評価報告書を御覧ください。
 本品の名称は「ホウ素中性子捕捉療法用中性子照射装置」、いわゆるBNCTと呼ばれている装置で、予定される使用目的又は効果は「ホウ素薬剤であるボロファランとともに使用し、切除不能な皮膚血管肉腫の治療として用いる。」です。申請者は株式会社CICSです。
 なお、BNCTは現在、住友重機械工業が「切除不能な局所進行または局所再発の頭頸部癌」として、既に承認されているものがあります。
 資料ページ24を御覧ください。BNCTの原理の概要について御説明いたします。BNCTは、がん細胞に選択的に取り込まれる性質を持つホウ素薬剤をあらかじめ投与し、その後に熱中性子を照射することで、がん細胞内に取り込まれたホウ素薬剤にぶつかり核分裂を起こし、短飛程のα線等の放射線を発生し選択的にがん細胞を死滅することで治療を行うものになります。そのため、正常細胞にほとんど損傷を与えず、低侵襲で1回程度の治療ができ、患者への負担が少ない治療方法とされております。
 次に、希少疾病用医療機器の指定要件への該当性について、資料ページ3を用いて御説明いたします。
 まず、対象者数について説明いたします。本品の対象とする血管肉腫は、悪性軟部腫瘍の組織型の一つであり、悪性軟部肉腫の約2~3%を占めると報告されております。また、血管肉腫の発症部位のうち、皮膚発症の割合は約50~60%と報告されており、発症部位としては頭頸部が約90%を占めております。本邦における皮膚血管肉腫の患者数についての正確な統計データは存在しておりませんが、2016年及び2017年の全国がん登録に基づく皮膚血管肉腫の新規患者数は320人と報告されており、また、日本皮膚科学会認定専門医研修施設における全国調査では、切除不能又は遠隔転移を有する皮膚血管肉腫の患者数は年間約300例と推定されております。以上のことから、希少疾病用医療機器の指定基準である5万人未満の条件を満たしていると考えております。
 続きまして、医療上の必要性について説明します。血管肉腫は進行が速く、5年生存率は約10%であり、急速に出血性の病変が拡大し止血困難な出血を来すことから、標的病変を縮小させることは、生存率の向上のみならず、出血事象等を改善し、QOLの向上にも寄与するものと考えております。また、血管肉腫に対する有効な標準治療はないとされております。BNCTは、ホウ素薬剤が、がん細胞に特異的に集積される現象と、高い線エネルギー付与をもち短飛程のα線等を利用した放射線治療で、腫瘍選択的効果が期待できる治療方法として期待されております。さらに、BNCTは、原則1回のホウ素薬剤の投与と中性子照射で完了することから、従来の5~7週間を要する放射線治療と比べ、通院期間の短縮による患者負担の大幅な低減にもつながります。以上のことから、医療上の必要性は高いと考えております。
 最後に、開発の可能性について説明いたします。令和4年11月より切除不能な血管肉腫の患者10症例を対象に、有効性と安全性を評価することを目的とした第II相試験が開始され、○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○○、開発は着実に進行しております。以上のことから、開発の可能性にも該当していると考えております。
 したがいまして、希少疾病用医療機器の指定の3要件を満たしていると考えております。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○小野部会長 委員の皆様から、御意見や御質問等はございますか。よろしいでしょうか。
それでは、議決に入ります。医療機器「ホウ素中性子捕捉療法用中性子照射装置」を希少疾病用医療機器に指定することとしてよろしいでしょうか。今、Webの画面が切れてしまいましたけれども、こちらはつながっていますね。画面の電源だけ落ちたようですね。Webの先生方も聞こえていらっしゃると思いますので、御異議がある方は何か意見の表明をお願いします。特に御異議はないようですので、そのような形で議決をいたします。
なお、本件は、分科会にて報告を行うこととなっております。以上をもちまして、議題3の審議を終了したいと思います。ありがとうございました。
 本日の議題は以上となりますが、事務局から何か連絡事項等はありますでしょうか。
○医療機器審査管理課長 事務局から御連絡を申し上げます。
○小野部会長 失礼いたしました。音声が途切れたようです。今、音声は聞こえていますか。ありがとうございます。それでは、先ほどの音声が切れた辺りから、もう一度改めて進めたいと思います。
議題3の医療機器「ホウ素中性子捕捉療法用中性子照射装置」を希少疾病用医療機器に指定することとしてよろしいでしょうか。御異議のある方は意見表明をお願いいたします。特に御異議はないようですので、そのような形で議決をしたいと思います。
なお、本件は分科会で報告を行うこととなっております。以上をもちまして、議題3の審議を終了いたします。ありがとうございました。
 本日の議題は以上となりますが、事務局からそのほかの連絡事項はありますか。
○医療機器審査管理課長 それでは、御連絡申し上げます。委員の先生方におかれましては、本日もお忙しいところ、御協力を賜りまして誠にありがとうございます。次回の部会は、12月6日水曜日の17時からを予定しております。詳細につきましては、またメールにて御連絡させていただきたいと思います。連絡事項は以上でございます。
○小野部会長 それでは、以上をもちまして、本日の薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会を閉会したいと思います。委員の先生方には、お忙しいところ、本日はありがとうございました。
( 了 )
 
 
備考
本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。

照会先

医薬局

医療機器審査管理課 再生医療等製品審査管理室長 井上(内線4226)