第159回先進医療技術審査部会 議事録

日時

令和6年3月14日(金)16:00~18:00

場所

日比谷国際ビルコンファレンススクエア「8D」(オンライン)

出席者

竹内座長、北川座長代理、天野構成員、一家構成員、伊藤構成員、上村(尚)構成員、上村(夕)構成員、掛江構成員、坂井構成員、真田構成員、戸高構成員、飛田構成員、平川構成員、平田構成員、山本構成員、渡辺構成員、志賀技術専門委員、後藤田技術専門委員


(事務局)
医政局研究開発政策課長
医政局研究開発政策課 治験推進室長
医政局研究開発政策課 課長補佐
医政局研究開発政策課 治験推進室長補佐
保険局医療課 先進・再生医療開発戦略専門官
医薬・生活衛生局医薬品審査管理課 審査調整官

議題

  1. 1.新規申請技術の評価結果について
  2. 2.継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について
  3. 3.試験実施計画の変更について
  4. 4.協力医療機関の追加について
  5. 5.その他

議事

 

○竹内座長
 
それでは定刻となりましたので、「第159回先進医療技術審査部会」を開催いたします。御多用の中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は、オンラインでの開催となります。
 本日の構成員の出欠状況ですが、後藤構成員、松山構成員より御欠席の連絡を頂いております。また、本日は技術専門委員として、後藤田委員、志賀委員に御出席を頂いております。どうもありがとうございます。本日は、18名の構成員のうち16名の構成員にお集まりいただいていますが、山本先生がまだお集まりいただいておりませんので、15名ということになりますが、本会議が成立していることを申し添えます。
 それでは、配布資料と本日の審査案件の確認を事務局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 よろしくお願いいたします。傍聴者の方の撮影はここまでとさせていただきます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 配布資料について確認いたします。議事次第から、座席表、開催要綱及び運営細則、構成員及び技術専門委員名簿と続きます。
 続いて、新規申請技術の評価結果について、資料1-1~資料1-5、継続審議の評価を受けた技術の再評価結果について、資料2-1~資料2-5、試験実施計画の変更について、資料3~資料5、協力医療機関の追加について、資料6-1~資料6-2、会議資料の最終ページは71ページとなります。お手元の資料に乱丁、落丁等ありましたら、事務局までお知らせください。
 続いて、利益相反の確認です。申請医療機関との関係、対象となる企業又は競合企業について、事務局から事前に確認させていただいております。今回、整理番号140の技術、大阪大学歯学部附属病院からの新規申請技術について、飛田構成員、山本構成員から利益相反に該当する旨の御報告がありましたため、審議時には一時御退席を頂ければと存じます。志賀委員からも御報告がありましたが、50万円以下でしたので、当該技術の議事とりまとめ及び事前評価に加わることができます。整理番号136の技術、北海道大学病院からの新規申請技術について、伊藤構成員におかれましては自施設からの申請であることから、審議の際には一時御退席いただければと存じます。また、当該技術について、後藤田委員からも報告がありましたが、50万円を超えて500万円未満でしたので、議事とりまとめのみ加わることができません。北川座長代理からも御報告がありましたが、50万円以下ですので、当該技術の議事とりまとめ及び事前評価に加わることができます。事前の届出以外に、もし何らかの利益相反がありましたら、この場で御報告をお願いいたします。それでは、該当なしということで承知いたしました。
 また、今回は資料を事前にメールでお送りしております。会議資料と区別して、構成員・事務局限りの届出書類等を「タブレット資料」と御案内します。なお、会議資料とタブレット資料の内容は異なっておりますので、発言者は会議資料の何ページ、若しくはタブレット資料の何ページと、あらかじめ御発言を頂けますと、議事の進行上助かります。
 本日はオンラインでの開催となり、構成員の先生方には大変御不便をおかけいたします。御発言いただく際には、初めにお名前をおっしゃっていただくようにお願いいたします。また、Web会議ソフトには手挙げ機能が付いておりますので、こちらも適宜御活用ください。以上です。

○竹内座長
 それでは、議事に入ります。まず、「新規申請技術の評価結果」について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料1-1の15ページを御覧ください。先進医療Bとして新規に御評価を頂く技術は、整理番号140「自己脂肪組織由来多系統前駆細胞を用いた歯周組織再生療法」です。申請医療機関は、大阪大学歯学部附属病院です。審査担当構成員は、主担当が北川座長代理、副担当が掛江構成員、平川構成員、技術専門委員が志賀委員となっております。なお、本議題の審議に際し、飛田構成員、山本構成員におかれましては、利益相反の関係から御退席いただきたく存じます。

                        (飛田構成員、山本構成員 退席)

○医政局研究開発政策課長補佐
 それでは、資料1-5の39ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件ですが、診療科は口腔治療・歯周科もしくは歯内療法科またはそれに相当する科、資格は不要、当該診療科の経験年数は5年以上が必要、当該技術の経験年数は不要、当該技術の経験症例数は不要、その他として歯周外科処置の経験症例数10例以上となっております。
 2番目の医療機関の要件ですが、診療科は口腔治療・歯周科若しくは歯内療法科またはそれに相当する科が必要、実施診療科の医師数は歯周外科処置の経験症例数5例以上の歯科医師2名以上が必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は薬剤師が必要、病床数は不要、看護配置は不要、当直体制は不要、緊急手術の実施体制は不要、院内検査の24時間実施体制は不要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は不要となっております。
 3番目、その他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。事務局からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。ただいまのこれらの要件について、何か御意見等はありますか。よろしいでしょうか。御意見がないようですので、この様式第9号については、この形でお認めいただくことといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の北川座長代理より御説明をお願いいたします。

○北川座長代理
 北川です。よろしくお願いいたします。申請された医療技術、自己脂肪組織由来多系統前駆細胞、ADMPCと略しますが、これを用いた歯周組織再生療法について、概要を御説明いたします。従来の治療法では、十分な歯周組織欠損の再生が見込めないような辺縁性歯周炎に対して、炭酸アパタイトを混和したADMPCを移植する医療です。
 辺縁性歯周炎というのは、感染が持続し、様々な要因から周囲の骨組織を破壊するような疾患ですが、標準的な治療法の1つとしてはフラップ手術などが行われています。一方で、歯周組織の再生が不十分で完全な治療が得られない、再発する例が見受けられるのも実態です。これらの状況を克服するために、現在もエムドゲイン、あるいはリグロスなどの歯周組織再生療法が既に臨床応用されていますが、申請者らは、これらの再生療法は一定の効果が認められるけれども、大きな骨欠損を伴う重症例には不十分と考え、このADMPCの移植に着目したということです。ADMPCの骨芽細胞系への分化能をin vitroで申請者らは確認しており、動物(イヌ)におけるin vivo研究でも、ADMPCの自己移植が歯周組織再生を促すことを確認しております。
 次に、当該医療の先行研究として、12名の重症歯周炎患者を対象に、脂肪組織由来のADMPCを用いた歯周組織再生療法の効果を検討し、その安全性、有効性を明らかにしております。さらに、現行の歯周組織再生法では困難な一部の症例において、フィブリンにADMPCを混和したものを使って、一定の効果を得ているということです。ただし、フィブリンゲルが歯周外科の適応にはないため、申請者らは歯周外科の適応のある炭酸アパタイト製の骨充填剤をADMPCの支持体として使用することに着眼したということです。
 ということで、この研究では、主要評価項目として、移植36週後の臨床的アタッチメントの獲得量及びその経時的変化、また副次評価項目として、移植36週後の新生歯槽骨の増加率、これはX線写真で測定できるものということです。また、その次の副次評価項目として、移植36週後の新生歯槽骨体積、それから3番目として歯周組織検査値の経時的変化、安全性評価項目としては、有害事象及び疾病等の発生件数及び発生頻度ということで、目標症例数は30例としております。
 実施体制の評価については、責任医師等の体制は「適」、実施医療機関の体制も「適」としております。医療技術の有用性等に関しては、先ほど申しましたように、イヌを用いた前臨床試験でADMPC/アパタイトの有効性と安全性が確認されておりますが、この組合せでのヒトへの適応が初となることから、当該技術は試験物の有効性と安全性を検証することを目的としたシングルアーム、オープンラベルの検証的試験と考えられます。既に保険適用とされているアパタイトとADMPCの相互作用や安全性にもし問題がないとすれば、医療技術としては一定の妥当性、有効性があるのではないかと考えて、「適」とさせていただきました。私からの報告は以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。続いて、志賀技術専門委員より、実施体制の評価について、御評価をお願いいたします。

○志賀技術専門委員
 志賀です。よろしくお願いします。タブレット資料1の44ページを出せますか。

○竹内座長
 44ページですね。

○志賀技術専門委員
 
はい、そうです。

○竹内座長
 では、皆さん、タブレット資料の44ページを確認いただいておりますので、志賀先生、お続けください。

○志賀技術専門委員
 ここにあるように、先進医療の内容を論述した論文が1編、先進医療の有効性及び安全性を評価した原著論文が挙げられております。私としては、特に2つ目の有効性及び安全性を評価した原著論文を詳細に検討するということをいつもしているのですが、57ページを開いてください。

○竹内座長
 同じ資料の57ページですね。

○志賀技術専門委員
 はい。

○竹内座長
 皆さん、お開きいただけましたか。

○志賀技術専門委員
 
開かれていますか。そこに2つ文献情報として載っており、文献1が先ほどの先進医療の内容を論述した論文で、下に文献2だと思うのですが、ここに書かれているのが有効性及び安全性を評価したというものです。見ていただくと分かるように、文献1はヒトで行っております。文献2は、先ほど北川先生が説明されたように、in vitroとイヌの実験です。ということで、通常であれば、当然ここでいう資料2を先にして、その後にヒトで有効性及び安全性を検証して、それから先進医療に申請をして先進医療をするというのが私の解釈であったものですから、正直言って非常に困りました。
 なぜ、こんな逆のように出したのかということになると、上の文献1の4行目ぐらいにありますが、ADMPCとフィブリンゲルということで、今回の本申請と違うのです。それがあるために、多分資料2のin vitroと動物実験のほうを有効性ということで出したのだと考えました。私としては、有効性を示している、安全性を示しているというのは文献1なものですから、そちらに対しての評価で指摘事項を挙げました。
 会議資料の19ページに戻ります。これは、ここに出ているから大丈夫ですか。

○竹内座長
 はい。画面に投影されております。

○志賀技術専門委員
 大丈夫ですね。そのことを見ていただくと分かるのですが。照会事項1として、「本研究にて当該医療の有効性を探索し、その後、新たな先進医療あるいは治験にて有効性の検討を行う」と回答がありました。また、照会事項2に対して、これは従来法との比較などをすべきだということに対して、「本申請療法がリグロス」、これが今、保険に適用されているものですが、「骨補填材との併用療法と比較し、より高い有効性が期待される」と回答されております。実際には比較検討はしていないということになっております。先ほどの申請時に必要な2つの論文、特に2つ目の原著論文を考えますと、これは先進医療の申請前に行うものだと私は考えて、最初は「不適」とさせていただきました。
 また、その次の行にありますように、探索試験や比較試験を行う際には被験者の選択基準に留意する必要があるというようなことがありました。すみません、もう一度タブレット資料の1に戻っていただいて、37、38ページにまたがっていますので、そこを両方出していただければと思います。

○竹内座長
 37ページにたどり着きました。

○志賀技術専門委員
 37、38ページにまたがって出すことはできますか。選択基準の所が見られればいいですが。

○事務局
 志賀先生、申し訳ありません。タブレット資料については非公開としておりますため、画面の投影は控えさせていただいております。

○志賀技術専門委員
 では、見られるということですね。ごめんなさい、分かりました。選択基準を見ていただきますと、2)5.被験者の適格基準及び選定方法の選択基準の2)です。以下の全てを満たす被験歯を有する患者となっておりますが、1として見たときに初診時に重度歯周炎となっていますが、(歯槽骨吸収度33%以上、アタッチメントロス5mm以上、プロービングポケットデプス6mm以上のいずれかの条件を満たす)と書かれているのです。38ページの2にいきますと、近心または遠心部に幅2mm以上の垂直性骨欠損、あるいは深さ4mm未満、幅2mm未満の1、4壁性の垂直性骨欠損のいずれかが認められる歯。3.動揺度が2以下ということは、動揺度が0は動揺度がない、1というのは頬舌的にある、2というのは近遠心的にあるということで、どんどん悪くなってくるのですが、2度以下ということで、0、1、2が含まれるということになります。これは何が言いたいかというと、そうすると組み合わせになってきますので、全てを満たしているものとは言っても、行う被験者に対して、いろいろと様々なパターンが出てしまうと。そうすると、ほかとの比較をするというのも非常に難しくなりますし、それはほかの先生でも指摘している方がいらっしゃったと思います。ですから、この選択基準、これで行うということは、まして再生医療ですから数多くやれるわけではないですし、実際に今回でも30例と書いてあるわけですから、そう考えるとこの基準は、なるべく絞って1つの基準にしたほうがいいだろうということがあります。それが、先ほどの19ページで述べさせていただいた所になります。
 すみません、先ほどの19ページ、画面に出ていると思いますが、もう1つは、インプラント治療というものが、歯科の場合は自由診療と保険診療とがありますので、その費用に対して費用対効果を考えると、やはり将来の保険収載時の医療費への影響を考えた連携企業との費用低減の試みをしていただきたいという、これはここの評価とは関係ないかもしれませんが、非常に気になったものですから、コメントとして出させていただきました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。志賀先生、一応、実施責任医師の体制は「適」、医療機関の体制も「適」、医療技術の有用性等も「適」と御判定いただいておりますが、これはいずれも「適」でよろしいのでしょうか。

○志賀技術専門委員
 はい。先ほど申し上げたように、実際には有用性をきちんと確認をして、それで申請をしていないので、私としては「不適」と考えたのですが、それもあって一番最初にこの回答を出させていただいたのですが、ほかの先生方は多分優しい先生なのかなと思ったのですが。皆さん「適」だったものですから、それで条件が付けばいいのかというぐらいの感じで「適」とさせていただきました。

○竹内座長
 分かりました。では、その辺りは後ほど御議論いただきたいと思います。ありがとうございました。
 続いて、副担当の掛江構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いいたします。

○掛江構成員
 
ありがとうございます。聞こえておりますでしょうか。

○竹内座長
 はい、聞こえております。

○掛江構成員
 よろしくお願いいたします。19ページの評価表を御覧いただければと思います。私からは、会議資料の31~35ページに掲載いただいていますように、幾つか指摘事項を挙げさせていただいております。主に、再生医療法施行規則第13条第2項には説明すべき事項が記載されているのですが、こちらについてかなり不備がありましたので、指摘をさせていただきました。これらについては、おおむね対応いただきましたので「適」とさせていただいております。
 そのほか、説明文書に少し分かりにくい箇所がありましたので、そちらについても指摘をさせていただき、一応対応は頂きました。少しコメント欄に書かせていただいておりますが、当該研究で実施する方法と他の治療法(オルタナティブ)をお示しいただく項目において、オルタナティブ、既存の治療法と今回の方法と何が同じで何が異なるのか、それぞれ何が得意な部分で何が不得意なのかという辺りを比較衡量していただきたいという趣旨で指摘をさせていただいたつもりだったのですが、そこはなかなか指摘事項自体がうまく伝わらなかったのか、非専門家に容易に理解できるような記載を期待したのですが、そのような対応はしていただけませんでした。ただ、だからといって「不適」なのかといわれますと、申請者は申請者のお考えの範囲で説明を尽くしてくださっているとは思いますので、「適」にさせていただいております。
 あとは、全体として、歯科領域で私が慣れていないこともあるかもしれないのですが、全体的に分かりにくい印象がありましたので、図等を用いてより分かりやすくお願いしたいということを最後に追加でお願いしたところ、そちらについては御対応いただけました。
 次に、補償の内容については、当初は詳細な資料を添付されておりませんでしたが、指摘をさせていただいたところ、きちんと詳細な補償の内容についても資料を添付する形の説明文書に変更していただきましたので、「適」といたしました。
 それから、これは補足というか、議論のときに是非先生方に御意見を伺いたいのですが、タブレット資料なので口頭で申し上げますが、この説明文書の16ページの16に費用の負担についての記載項目があります。ここの説明に、「この研究に参加した場合、治療に掛かる費用は全て研究費から支弁されるため、あなたの負担になることはありません」という記載があります。それを読ませていただいて、全部研究費で支払われるのだと理解し、なぜ先進医療にするのかなと思ってしまったところがあって、事務局から確認をしていただいたところ、保険の請求はされるということで、患者さんの自己負担分を研究費で支弁しますというのが実態ということが分かりました。非常に些末なことかもしれないのですが、治療に掛かる費用の全てを研究費からという記載が適切ではないということについて、そこまで細かく指摘する必要がないという御判断があれば、それもそれで受け入れるのですが、その点を後で是非先生方の御意見を伺わせていただければと思っております。以上です。ありがとうございました。

○竹内座長
 ありがとうございました。大変明確に課題を御指摘いただきました。続いて、副担当の平川構成員より、試験実施計画書等の評価について御説明をお願いいたします。

○平川構成員
 
東京医科歯科大学の平川です。私からのコメントの部分を御確認ください。本試験に関しての統計的な論点というのは、先ほど志賀委員からも御指摘がありましたが、この単群臨床試験成績に基づく試験結果の一般化可能性。つまり、臨床応用されたときに幅広い患者さんにその成績、有効性が期待できるのかという点と、この試験が終わった後に実施される予定である「先進医療若しくは治験」の試験デザインであると判断しております。
 具体的には、先ほど志賀委員からも御指摘があった選択除外基準の選択基準2に係る部分が、非常に幅広い患者さんを登録できるということになっております。実際30例、若しくは35例登録されたときに、対象集団のHeterogeneityが高いということが想像されます。したがって、試験成績が登録された被験者に依存してしまいますので、どうしても単群の臨床試験ですとバイアスが入ってしまうということが懸念されます。
 また、最初のプロトコルのほうには、この試験がいわゆる検証的な位置付けで実施されるものであると記載されておりましたので、この患者のHeterogeneityに伴う選択バイアスの話と、この試験の位置付けについて照会をしました。その結果、申請者の回答は、Heterogeneityの懸念はあるけれども、あくまで探索的な試験として、この後続く検証的試験を計画するための予備的な情報を収集する目的で本試験を実施するということのようでした。つまり、最初のプロトコルに書いてありました検証的試験というのは誤記であって、探索的試験としてPOCを獲得しにいくという目的になります。そういった趣旨に鑑みますと、単群試験デザインでも、まずは予備的なデータを収集する、そして場合によってはこの試験の結果に基づいて将来的な試験の対象集団が検討されるものと考えましたので、統計的事項に関しては「適」と判断いたしました。
 ただ、この後に続く、「先進若しくは治験」のデザインというのは、今のところ決まっているわけではなくて、PMDAと相談して決定する旨が回答されております。是非RCTでリスクベネフィットを評価していただくことが望ましいと考えております。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは、以上を踏まえて、1~16の総評について、主担当の北川座長代理からお願いいたします。

○北川座長代理
 ありがとうございます。今、志賀技術専門委員、掛江構成員、平川構成員からも御説明がありました。まず、この技術の一番の御専門でいらっしゃる志賀専門委員の御意見が非常に重いと、私も受け止めております。私自身は、主に細胞療法の所を少し細かく質問をいたしました。例えば、いわゆる細胞調製会社からの細胞を受け取った後の保管方法、細胞を投与するまでの感染性チェックの検査の方法、判定基準、移植するまでの患者さんの治療の内容、あるいは実際に移植した細胞の機能評価をしないかなどの御質問をさせていただきましたが、おおむね適切な回答が得られております。そこに書いたような細胞の出荷判定について、幾つかのクオリティチェックが必要であるということは述べさせていただきました。
 今回最も議論になるのは、やはりこの試験の位置付けだと思います。この試験の位置付けが探索的なものであって、さらに次なる先進、あるいは治験を要しているものの、そこに到達するための段階であるということを理解し、かつ、先ほど志賀委員、平川構成員からも御指摘のあったHeterogeneityの問題は、その次の試験で更に検証されるということを鑑みると、志賀委員の御懸念がそこである程度担保されるとは考えております。私としては、全体として総合評価は「条件付き適」として、この領域の御専門である志賀委員のコメントも頂いた上で、構成員の皆様の意見が一致すれば、実施可能ではないかという考えです。私からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。総合評価としては、「条件付き適」と御判定いただきました。確認なのですが、この条件というのは、どういう条件になりますか。

○北川座長代理
 まず、ここに少し記載しましたように、細胞療法に関してはクオリティコントロールが非常に重要ですし、この辺りをしっかりしていただくこと。これは、先ほど各委員からも少し細かい指摘もありました。そこをしっかりしていただくことと、最終的に志賀専門委員が「適」と「不適」でお悩みいただいていたので、先ほどの平川構成員が御指摘いただいたような位置付けであれば、医療技術として、まずは探索的に実施可能かどうかというコメントを頂いた上で判断したいということです。

○竹内座長
 ありがとうございます。平川構成員、今回のこの試験は検証的ではなく探索的で、選択バイアスを加えないほうがいいということで、より広く選択基準をとったほうがよいというコメントと理解しましたが、それでよろしいでしょうか。

○平川構成員
 いや、決して試験対象集団を広くしたほうがいいというわけではありません。この時点で将来的な適応集団が明確になっていて、先ほどの選択基準2の部分がより具体的にできるのであれば、そのほうがベターだと思います。

○竹内座長
 なるほど。分かりました。

○平川構成員
 ただ、申請者のほうは、そのようには考えではないということですね。

○竹内座長
 ありがとうございます。平川構成員のコメントを踏まえて、最終的に志賀委員にお伺いしたいのですが、この選択基準をより将来的にこの治療法が適切だと思われるような症例を選ぶという観点で、特にこの選択基準の2)の所をもう一度お考えいただくというようなことを条件とすることで、よろしいでしょうか。

○志賀技術専門委員
 例えば、2)の2の所、近心または遠心部に幅2mm以上、深さ4mm以上の垂直的な骨欠損ということと、動揺度は2以下ではなく動揺度2として、比較検討をするのであれば、そのような条件が必要であろうと考えています。

○竹内座長
 ありがとうございます。

○志賀技術専門委員
 私は、そのことではなくて、先進のための先進というような形になってしまって、本来は絶対先進の申請のときに必要な有効性と安全性を示す原著論文というものがない状態でしていいのかというのが、私は「適」と「不適」ですごく悩んだのですが、それがいいということがこの会議の意向であれば仕方ないです。そうすると、私たちが先進医療をやろうとしたときに、用意する資料の2つの一番大事な有効性及び安全性を示す原著論文がなくてもいいというようなことと同じになりますよね。そちらのほうが問題ではないかと、私は考えています。

○竹内座長
 その点については、先進医療でゼロ例特例というのもあり、全くこれまで実施例がないケースでも先進医療としてお認めしていることがありますので、必ずしもその点は。

○志賀技術専門委員
 それは聞いております。聞いておりますが、それはどちらかといえば内容的に見て十分であったり、例外的に認めてくれることであって、一般的に認めてくれるものではないだろうと考えているのですが、違いますか。

○竹内座長
 ゼロ例特例という特例がありますので、それはお認めいただいていて、また、これまで経験のない先進医療というのもお認めいただいています。ですので、申請した条件でこれまでに有効性、安全性が全くないものでも、先進医療でお認めし
ていることがあって、条件的にはここの場で皆さんに御議論いただいて進めるということになっております。

○志賀技術専門委員
 そうだと思います。それに、この申請書を見たときに、12件の報告が入っているわけですね。

○竹内座長
 はい。

○志賀技術専門委員
 そうしたら、再生医療などはどうしても症例数が少ないですので、その12例が2015年から取られていて、データが蓄積されているわけですよね。

○竹内座長
 そうですね。

○志賀技術専門委員
 それを論文として出して、先ほどの所に出てくれば、これは何の問題もなかったのですが、それが2015年にこの研究をしているにもかかわらず、この研究ではないフィブリンゲルを使ったほうの研究が2022年に論文投稿という記載は、非常に矛盾しているような気がするのですね。

○竹内座長
 先行研究があって、そのときにはフィブリンが使われていて、今回の申請とは違うということで、もう1回これを、今回の申請と同じようなことを当該実施施設でやり直すということも1つのオプションかなとは思いますが、今回それを踏まえて先進医療に提出されたということですよね。

○志賀技術専門委員
 そうしますと、この先進医療で出てきた12例というのは、先行研究の12例なのですか。

○竹内座長
 そういうことになりますね。

○志賀技術専門委員
 それで通るのですか。分かりました。

○竹内座長
 その上で先生に御判定いただいて、条件を付けるとするならば、どういう条件なのかということになるかと思います。先ほど先生から御指摘いただいた選択条件2の所の1、2、3、重症度、骨欠損、動揺度についても、少し基準が曖昧であるので明確化していただきたいというようなことを条件にするということでよろしいですか。

○志賀技術専門委員
 分かりました。

○竹内座長
 ほかに御意見はありますか。平川構成員、いかがでしょうか。

○平川構成員
 この時点で、より具体的にできるのであれば、そのほうがベターだと思いますので、その点については再考いただくことでも差し支えないと思います。

○竹内座長
 1点は、この点、選択基準の点ですね。それから、もう1点は、先ほど掛江先生から御指摘いただいた、やはりまだこの説明文書、同意文書が分かりにくい。それから、他の方法との比較の意味で、本先進医療の得意、不得意の分野の所が非専門家から見ると分かりにくいという御指摘があったので、ここを条件として書いていただきたいということがもう1点かと思いますが。掛江先生、何かコメントはありますか。

○掛江構成員
 ありがとうございます。もし、そうしていただけるのであれば、よりよくなるのではないかと思います。

○竹内座長
 ありがとうございます。そうしますと、「条件付き適」とした場合の条件を、より具体的に申請医療機関に示すためには、今の選択基準の見直し、それから説明文書、同意文書の見直し、特に具体的な所まで踏み込んでの条件をこちらから申し上げるということで、よろしいでしょうか。
 もう1つの方法は、志賀委員からもコメントがありましたように、継続審議とするということもあります。門前払いには通常しない、問題があればそれを指摘し、ご検討いただくという姿勢を取りたいと思います。この部分をこうしてほしいといったようなリクエストを更にお願いするということもあります。構成員からの報告書には全員「適」とありますので、ここで継続審議というのは難しいかと思います。主担当の北川座長代理から、今の2点について条件として、申請医療機関にお返しするという条件でよろしいでしょうか。

○北川座長代理
 志賀委員からも、いろいろな御指摘がありましたので、それを踏まえて、具体的な条件としては今の大きな2点を付けてお返ししてはどうかと思います。

○竹内座長
 それから、もう1つ志賀委員からの御懸念というのは、今までフィブリンを使った12例の経験はあるけれども、酸性アパタイトを使った経験がないという点でした。このADMPCプラス酸性アパタイトについての安全性について、まだ十分検討されていないのではないかという御懸念に対して、もう1点もし条件を付け加えるのであれば、頻回報告をしていただいて、安全を確かめながら進めるというのも1つかと思いますが、この点は志賀委員、いかがでしょうか。

○志賀技術専門委員
 私が申請をしたときに、すぐこれだと思って違っていたわけですから、今更というわけにはいきませんので、少なくとも数例でもきちんと出して、それからでもよろしいのではないかと思いますが。

○竹内座長
 そうすると、1例1例確認する、あるいは頻回の報告をしていただいて、安全性をチェックしていくというのも1つの条件かと思いますが、先生のコメントからすると、そういう形のほうがよろしいですよね。

○志賀技術専門委員
 はい、そう思います。

○竹内座長
 ここも、もう1つの条件として設定することは可能かと思いますが、北川座長代理、いかがでしょうか。

○北川座長代理
 そのような方向でよろしいかと思います。ありがとうございます。

○竹内座長
 ありがとうございます。そうすると、以上3点の条件を申請医療機関にお返しして、御検討いただくということで大体意見がまとまってきたように思います。さらに何かコメントや追加の御意見等はありますか。掛江先生、どうぞ。

○掛江構成員
 ありがとうございます。今までの先生方の御議論を拝聴していて少し思ったのが、まだこれは探索的な段階の研究であるという理解をさせていただいたほうがよろしいということですよね。であれば、現在の説明文書はそういうトーンで書かれている印象はないので、その辺りをきちんと明記をしていただいたほうがいいかと。今日の議論を踏まえて、そこは追記していただきたいと思いました。
 すみません、本当に些末な点なのですが、費用負担の書き方については、患者さんに全部研究費で支弁しますと書いてあるのだけれども、実際には保険請求しますよという所について、患者さんに不利益はないのでそのままでもいいという考え方もあるかと思いつつ、何となく正確ではないなというところも引っ掛かっているのですが。もし、ほかの件で条件を付けていただく際に、また説明文書の一部修正が入るとするならば、その辺りもそんなことまで指摘する必要がないという御意見がもしないようであれば、そこも一緒に修正を求めていただければと思いました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。先ほどの説明文書、同意文書の所で分かりにくいということで、本先進医療の他の方法と比べての得意、不得意を書き込むこと。それから、費用負担について、より正確性を期した書き方をしてほしいこと。それから、本試験の位置付けが探索的であることの3つを患者さんに分かりやすく御説明いただきたいということです。この3点、よろしいでしょうか。一家先生、どうぞ。

○一家構成員
 ありがとうございます。今、竹内先生にまとめていただいた3点は、私も賛成です。説明文書を直すのであればということで、もう1つだけ申し上げてよろしいでしょうか。

○竹内座長
 はい。

○一家構成員
 タブレット資料の242ページ、説明文書でいうと19番目の項目の終わりのほうの記述なのですが、最後のパラグラフでしょうか、「将来、この研究で得られたデータ」をうんぬんかんぬんと研究データの二次利用のことが書いてあるのです。その3、4行目に、「二次利用する場合には、改めてその研究結果を特定認定再生医療等委員会において審査」し、つまり本研究でデータを二次利用する別の研究を立てる場合には、その研究計画を特定認定再生医療等委員会で審査すると書いてあります。しかし、認定再生医療等委員会というのは基本的に被験者に対する介入・侵襲ありの研究を審査する所なので、情報だけを使った研究を審査する場所ではないはずで、そうした研究は普通の倫理委員会で審査するのが再生医療法と医学系研究倫理指針の関係だと理解をしているので、ここの書きぶりは正しくはないと思っています。
 患者さんにここまで正確に規制ルールを説明しなくてはいけないかという意見もあるかもしれないのですが、正確性という意味では少し欠けるので、指摘されるのであれば、この点も指摘しておいていただくといいかと思いました。

○竹内座長
 ありがとうございます。分かりました。そのほかに、御意見等はありますか。よろしいですか。それでは、ただいまのような議論を踏まえて、この条件をきちんと明示した上で、申請医療機関に「条件付き適」という形で進めさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
 志賀技術専門委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構です。本日は、大変御多忙のところを御出席いただきまして、貴重な意見を頂きまして、誠にありがとうございました。

○志賀技術専門委員
 ありがとうございました。

○竹内座長
 整理番号140については、「条件付き適」という形で進めさせていただきます。ありがとうございました。

                           (志賀技術専門委員 退席)

○竹内座長
 飛田構成員、山本構成員には、お戻りいただくことといたします。

                        (飛田構成員、山本構成員 入室)

○竹内座長
 続いて、「継続審議の評価を受けた技術の再評価結果」について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料2-1の41ページを御覧ください。先進医療Bとして再度御評価を頂く技術は、整理番号136「食道表在癌に対するアルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法」です。申請医療機関は北海道大学病院です。審査担当構成員は主担当が坂井構成員、副担当が掛江構成員、平川構成員、技術専門委員が遠藤委員となっております。なお、本議題の審議に際し、伊藤構成員におかれましては、利益相反の関係等から御退席いただきたく存じます。御協力のほどよろしくお願い申し上げます。

                              (伊藤構成員 退席)

○医政局研究開発政策課長補佐
 また、本件審議につきましては、後藤田委員に御参加いただきます。後藤田先生におかれましては、カメラ・マイクともにオンにして御参加いただきますと幸いでございます。

                               (後藤田委員 参加)

○医政局研究開発政策課長補佐
 本技術は第156回先進医療技術審査部会で審議されましたが、懸念事項が多いことから継続審議となっております。
 それでは、資料2-5の53ページを御覧ください。審議に先立ち、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件について、事務局より御説明いたします。まず、1番目の実施責任医師の要件として、診療科は消化器内科または消化器外科が必要、資格は日本消化器内視鏡学会専門医が必要、当該診療科の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験年数は5年以上必要、当該技術の経験症例数は実施者として10例以上必要、その他の要件として、日本消化器内視鏡学会専門医であって、「アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼を用いた消化管治療内視鏡(内視鏡的消化管止血術を含む)」の経験を有する者となっております。
 2番目の医療機関の要件として、診療科は消化器内科または消化器外科が必要、実施診療科の医師数は、日本消化器内視鏡学会専門医であって、「アルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼を用いた消化管治療内視鏡(内視鏡的消化管止血術を含む。)」の経験症例数10例以上を有する医師2名以上が必要、他診療科の医師数は不要、その他医療従事者の配置は臨床工学技士が必要、病床数は400床以上が必要、看護配置は7対1看護以上が必要、当直体制は外科系又は内科系医師1名以上が必要、緊急手術の実施体制は必要、院内検査の24時間実施体制は必要、他の医療機関との連携体制は不要、医療機器の保守管理体制は必要、医療安全管理委員会の設置は必要、医療機関としての当該技術の実施症例数は10例以上必要、その他として日本消化器内視鏡学会の認定基準を満たす指導施設となっております。
 3番目のその他の要件として、頻回の実績報告は不要となっております。事務局からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。これらの要件につきまして、何か御意見等はございますでしょうか。これは大きな議論になりまして、特にポイントだったのは、適応症例の中に食道だけではなくて胃が入っていたところがありまして、たくさんの御意見を頂きました。今回は胃を除いていただいて、食道表在癌という形で適応を絞っていただいたということがありました。ただいまの事務局からの御説明に対して、よろしいでしょうか。特別、御意見はございませんので、この様式第9号につきましてはお認めすることといたします。
 次に、技術の概要と実施体制の評価について、主担当の坂井構成員より御説明をお願いいたします。

○坂井構成員
 坂井でございます。よろしくお願いいたします。技術の概要から説明させていただきます。肉眼的食道粘膜内癌に対しましては、内視鏡的切除(EMR/ESD)といった切除が標準治療ですけれども、人工透析や出血のリスクなどによって内視鏡的切除が実施できない場合には、外科的切除が選択されるとされています。しかし、外科的切除は更に侵襲が大きく、術後の合併症によりQOLが低下する可能性が高くなります。そのため、これらの患者群に対しては、侵襲の少ないアルゴンプラズマ併用高周波凝固焼灼療法(以下「APC療法」)が食道癌診療ガイドラインでも治療の選択肢として示され、一定の安全性や有効性が示されております。
 このAPC療法は、タブレット資料2の587ページ、通し番号でいうと932ページに概要図がございますのでご覧ください。こちらは、アルゴンガスを標的表層組織に噴霧して、電気手術器により組織凝固を行うものであり、内視鏡的止血療法として、日常診療で行われている技術であります。当該技術に対しましては、日本消化器内視鏡学会が中心となり、診療報酬要望を行ってきましたが、十分なエビデンスがないとの理由から、保険収載されておりません。
 会議資料52ページのロードマップを御覧ください。申請者は当該技術の保険収載を目指して、エビデンスを構築することを目的として、この試験を先進医療ですることを計画しました。対象は食道表在癌で、除外基準は、ロードマップの左下に記載されているとおりです。
 主要評価項目は、術後12週の局所完全奏効割合です。副次評価項目は、こちらの1)~5)の部分ですが、そこまでが試験概要となります。
 評価に移ります。実施責任医師の体制及び実施医療機関の体制につきましては、前回と同様に「適」と判断いたしました。こちらの医療技術の有用性につきまして、これまでの議論としまして、これまでは対象疾患に早期胃癌が含まれておりまして、この選択基準5)に示されている条件のいずれかに合致する場合に、本当にこの標準的治療が困難かという点について、専門委員の先生からは、「早期胃癌に関してはそうとは言えないのではないか」という御意見を頂きました。また、「仮に併存疾患により手術や内視鏡的切除が困難である患者群があったとしても、この当該技術で有用性が示せる患者さんがどの程度いるのかが疑問である」という御意見も頂いたというように理解しております。この辺りにつきましては、もしも本日参加いただいております後藤田先生から、修正や補足がございましたらお願いしたいと思います。
 以上のような議論が今回ございまして、対象疾患について再考を頂くということで、委員会からは申請者にお伝えいたしました。その結果、対象疾患を食道表在癌のみとして、APC療法以外の治療法の実施が困難、あるいはそのような適応のない患者群を組み入れるという計画に変更されたことから、当該技術の有用性については評価が可能となったと判断いたしましたので、医療技術の有用性等については、「適」と判断いたしました。一旦、私からは以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして、実施体制の評価につきまして、遠藤技術専門委員は本日御欠席ですので、事務局より代読をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料2-2の44ページを御覧ください。遠藤技術専門委員からの実施体制の評価として、実施責任医師等の体制、実施医療機関の体制、医療技術の有用性等について、いずれも「適」とされております。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。続きまして、副担当の掛江構成員より、倫理的観点からの評価について御説明をお願いいたします。

○掛江構成員
 ありがとうございます。掛江です。本件はもう既に御説明いただいておりますとおり、食道表在癌に対する研究計画へと全面的に変更していただいたことを受けまして、説明文書も全面的に御修正いただきました。これまでの指摘事項についても適切に御回答、若しくは御対応いただきましたことから「適」としました。補償の内容につきましては、前回の審査の際に既に「適」であることを確認させていただいておりますので、特にコメントはしておりません。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。続きまして、副担当の平川構成員より、試験実施計画書等の評価につきまして、御説明をお願いいたします。

○平川構成員
 医科歯科の平川です。統計的事項に関しましては、前回から特段の変更はありませんので、従来どおり「適」と判断させていただきました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございました。最終評価に移る前に、後藤田先生、何かコメントはございますでしょうか。

○後藤田技術専門委員
 ありがとうございます。特段ありません。坂井先生がおっしゃられたとおり、食道に特化されましたので、全てすっきりして、スムーズに理解できるようになったと思います。ありがとうございました。

○竹内座長
 ありがとうございました。最後に、1~16の総評について、主担当の坂井構成員からお願いいたします。

○坂井構成員
 これまでの数々の指摘事項に御対応いただきましたので、「適」と判断いたしました。以上です。

○竹内座長
 ありがとうございます。これからとりまとめたいと思いますが、何か追加の御発言等はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございます。
 それでは、これから検討結果のとりまとめを行いたいと存じます。大変申し訳ございませんが、後藤田委員は一時、御退席いただきますようお願いいたします。
 
                              (後藤田委員 退席)

○竹内座長
 ありがとうございました。それでは整理番号136につきましては、「適」ということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。皆様から、「適」ということで御了解いただきました。整理番号136につきましては、「適」とさせていただきます。伊藤構成員、後藤田委員にはお戻りいただきたいと思います。

                        (伊藤構成員、後藤田委員 入室)

○竹内座長
 
ありがとうございました。後藤田委員におかれましては、以降は御退席いただいて結構でございます。本日は御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございました。

○後藤田技術専門委員
 ありがとうございました。

                               (後藤田委員 退室)

○竹内座長
 引き続きまして、「試験実施計画の変更」につきまして、事務局から御説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料3の55ページを御覧ください。東京都立小児総合医療センターからの申請で、告示番号50「腫瘍治療電場療法」です。適応症は「膠芽腫」です。御審議いただく主な変更内容について、56ページを御覧ください。
 主な変更内容として、実施期間の変更となっており、被験者登録期間と研究実施期間がそれぞれ6か月の延長となっております。
 変更申請する理由としましては、第153回の当部会の変更申請で協力期間延長を行った際には、新型コロナウィルス感染症の影響も薄れ、かつ、多機関共同の体制も整備されたことから、令和6年3月末までの6か月の登録期間延長で6症例の追加登録が可能と予想していた。実際にその予想どおり、令和5年12月末時点で3症例が登録され、さらに4症例の候補症例が存在した。4症例の候補症例に対して臨床試験の同意説明を行ったが、2症例で同意が得られず、1症例では一旦同意が得られたがその後同意撤回となり、令和6年2月22日時点で、予定症例数の10症例に対して、登録症例数は8症例となった。
 令和6年3月8日現在、候補症例として2症例が存在する。しかしながら、現時点では同意取得見込みが不明であること、さらに同意が得られても、放射線治療等の必要な先行治療が終了するのに月単位の時間を要することから、現行の研究実施期間内に症例登録が完了することは困難と考え、実施期間を延長することとした。なお、既に候補症例は2症例存在することから、6か月間の延長で症例登録が完了できると見込み、延長後の登録期間を2024年9月末までとした。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございます。本変更内容につきまして、御意見等はありますか。よろしいでしょうか。特に御意見等はありませんので、それでは、告示番号50の変更についてはお認めすることといたします。
 続きまして、「次の試験実施計画の変更」について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料4の59ページを御覧ください。国立国際医療研究センター病院からの申請で、告示番号62「自家膵島移植術」です。適応症は「慢性膵炎又は膵動静脈奇形」です。御審議いただく主な変更内容について、60ページを御覧ください。
 主な変更内容として、1つ目、膵臓消化工程における消化酵素の追加、2つ目、評価項目の追加、3つ目、同意説明文書で合併症についての説明を追加、4つ目、協力医療機関の追加、5つ目、人事変更、記載整備等となっております。
 変更申請する理由としては、1つ目については、以前より日本の膵島移植時の膵島分離工程で使用されてきたロシュ社の消化酵素が、メーカーの都合により供給が中止となったため、他社の同等品を使用できるよう追加した。追加製品は、動物由来原料フリーの製品に限定することにより、リスクを抑制することとした。また、これら追加製品は、海外では広くヒト膵島分離工程に使用されている製品であり、ロシュ社製品と同等の効力を有する。
 2つ目については、糖代謝をより詳細に評価するため、3つ目については、変更前の版でも手術合併症の記載はあったが、ある程度まとめて記載されていたものから、より分かりやすいよう、頻度や重症度の高いものを個別に項目立ててより詳細に記載したため、4つ目については、試験実施計画策定初期から参加を希望していた施設について、準備を行ってきたところ、幾つかの施設で体制が整ったためでございます。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございました。本変更内容について、何か御意見等はありますか。こちらもよろしいでしょうか。特に御意見ありませんので、それでは、告示番号62の変更についてはお認めすることといたします。
 続きまして、「次の試験実施計画の変更」について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 御説明いたします。資料5の63ページを御覧ください。名古屋大学医学部附属病院からの申請で、告示番号64「ネシツムマブ静脈内投与療法」です。適応症は「切除が不可能なEGFR遺伝子増幅陽性固形がん」です。御審議いただく主な変更内容について、64ページを御覧ください。
 主な変更内容としては、1つ目は実施期間の延長、2つ目は人事異動、記載整備となっています。変更申請する理由としては、変更前の試験期間では、総括報告書の作成に要する期間が見込まれていなかったため、研究終了までに必要な期間を再考し、試験期間を延長した。また、変更前は試験期間等に開始日及び終了日の記載がなかったが、関係者間で研究期間を明確に共有するため、年月日表記を追記した。なお、研究開始日について、実際に研究を開始したのはjRCT公表日であるが、先進医療として告示されたのは2022年9月1日であることから、先進医療告示適用日である2022年9月1日を研究開始日として追記した。以上でございます。

○竹内座長
 ありがとうございます。御意見等はありますか。よろしいですか。報告書のまとめの期間というのも設定していただいたということです。特に御意見はないようですので、告示番号64の変更についてはお認めすることといたします。ありがとうございます。
 続きまして、「先進医療Bの協力医療機関の追加」について、事務局から説明をお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 資料6-1の67ページを御覧ください。告示番号48について1施設、告示番号62について3施設の協力医療機関の追加申請がありました。資料6-2の69ページ以降を御覧ください。事務局において、先進医療を実施可能とする保険医療機関の要件(様式第9号)を満たしていることを確認いたしました。協力医療機関の追加として、御了承いただきたく存じます。特に御意見がなければ、手続を進めさせていただきます。以上でございます。

○竹内座長
 よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局は手続を進めていただきますようお願いいたします。
 本日の議題は以上ですが、構成員の皆様、全体を通して何か御意見、御質問等、あるいは追加のコメント等はありますか。大変活発な御議論を頂きました。よろしいでしょうか。ありがとうございます。ないようでしたら、それでは、次回の日程を事務
局からお願いいたします。

○医政局研究開発政策課長補佐
 次回は令和6年4月17日(水)の開催とさせていただきます。時間は16時から18時までの予定で、詳細については別途御連絡させていただきます。また、本日の議事録については、作成次第、構成員の皆様に御確認をお願いし、その後、公開させていただきますので、よろしくお願いいたします。

○竹内座長
 ありがとうございます。それでは、これをもちまして、第159回先進医療技術審査部会を終了させていただきます。どうもありがとうございました。
(了)