第365回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 議事録

日時

2024年(令和6年)1月26日(金) 10時00分~

場所

東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎第5号館
職業安定局第1会議室(12階)

出席者

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

議題

  1. (1)労使協定書における賃金等の記載状況(一部事業所の集計結果(令和5年度))等について(公開)
  2. (2)医療・介護・保育分野における職業紹介事業について(公開)
  3. (3)労働者派遣事業の許可等について(非公開)
  4. (4)有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可について(非公開)

議事

議事内容
○山川部会長 おはようございます。ただいまから、「第365回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会」を開催いたします。本日の出欠状況ですが、労働者代表の木村委員が所用により御欠席となっています。小野委員、坂爪委員、田尻委員及び佐藤委員は、オンラインでの御参加になります。小野委員においては、所用で途中御退席と伺っています。
 本日は、議題(1)「労使協定書における賃金等の記載状況等について」を御報告いただいた後、議題(2)として、「医療・介護・保育分野における職業紹介事業について」の報告があります。その後、許可の諮問に係る審査を行います。許可の諮問に係る審査については、資産の状況等の個別の事業主に関わる事項を取り扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を与え又は不利益を及ぼすおそれがある」場合に該当するため、非公開になります。
 では、議事に入りますので、カメラの頭撮りがありましたら、ここまでとさせていただきます。それでは、議題(1)「労使協定書における賃金等の記載状況等について」、事務局から説明をお願いします。
○村上補佐 失礼します。事務局の村上です。まず、資料1-1の2ページを御覧ください。こちらの資料については、今年度8月の部会において、労働者派遣法第30条の4第1項第2号イに係る通知、いわゆる一般賃金通達に係る説明の際に、一般的なスケジュールとしてお示しをさせていただいたものです。今回はこの赤囲みの部分の御報告をさせていただきます。
 資料1-2を御覧ください。例年報告をさせていただいております労使協定書の賃金等の記載状況について、今回は令和5年度の集計結果になります。なお、この集計結果については、本部会後に厚生労働省のホームページに掲載、公表をいたします。
 では、資料1-2の1ページから御説明をさせていただきます。上段の囲まれている中に記載されている集計の概要ですが、本集計については、労働者派遣法第23条に基づき、派遣元事業主に提出が求められている「労働者派遣事業報告書」及び当該報告書に添付された労使協定書から一部事業所を抽出しまして、賃金の記載状況等を集計したものになります。抽出した方法については、これから説明いたします1~7については、企業規模別に無作為抽出をした400事業所を基に集計をしております。また、8については、労働者派遣事業報告書の賃金額の標準偏差から必要なサンプルサイズを算出しまして、その算出された数を確保した上で集計しております。なお、抽出方法については、例年と同様になります。
 資料の説明に入らせていただきます。まず、資料1-2の1ページ、1、選択している待遇決定方式についてです。選択の割合については、派遣先均等・均衡方式は7.9%、労使協定方式が88.8%、併用が3.3%となっております。括弧の数字については、昨年度の集計結果となります。
 続いて2ページです。上段の2、能力・経験調整指数の選択状況を御覧ください。能力・経験調整指数については、能力及び経験の代理指標として算出した指標です。0年を選択している割合が97%、3年が78%、10年が79.1%と、ほかより割合が高くなっているところです。
 次に、中段の3、地域指数の選択状況を御覧ください。地域指数については、地域の物価等を反映するため、一般賃金の一般基本給・昇与等の額に乗じる指数です。都道府県別を選択している割合が85.2%、公共職業安定所別を選択しているのが11.5%、これらを併用しているものが1.6%などとなっております。
 続いて、下段の4、通勤手当の支給状況を御覧ください。通勤手当の支給については、実費支給が92.3%、定額支給が6.7%、時給等に合算して支給しているものが0.3%などとなっております。
 続いて、3ページを御覧ください。こちらの上段、5、退職金の支給状況になります。退職金の支給については、退職金制度によるものが30.2%、退職金の前払いや時給などと合算して支給しているものが56%、中小企業退職金共済制度等によるものが8.4%などとなっています。
 続いて、中段の6、賃金の改善に係る記載状況を御覧ください。賃金の改善方法については、高度な就業機会の提供が72.8%、昇給によるものが57%、別手当の支給によるものが33.1%などとなっております。
 続いて、下段の7、労使協定書の締結主体・有効期間を御覧ください。労使協定の締結主体については、労働組合が5.6%、過半数代表者が94.4%などとなっております。また、有効期間については、1年が84.2%、2年が14.8%などとなっているところです。この有効期間については、画一的な基準を設けているものではありませんが、2年以内にすることが望ましいということをお示ししています。
 続いて、4ページです。4~10ページが、8、労使協定書の賃金(基準値0年)の記載状況についてです。例年同様、抽出された事業所の各労使協定書に記載された基準値0年の下限額を集計したものとなっております。例えば、労使協定書に1,000円以上などと幅を持った記載の場合については、支払われている賃金の額ではなく、集計結果です。あくまで、労使協定書に記載されている賃金の額の状況について表しているものであることを、御留意いただければと思います。なお、一般賃金の額の算出に当たっては、地域の物価等を反映するため、地域指数を乗じているところですが、本集計では、抽出した事業所の地域性を除去するために、地域指数を100に換算した額を集計しております。
 また、集計に関してですが、「厚生労働省編職業分類」の中分類で整理をしております。なお、賃金構造基本統計調査の職種が記載されている労使協定書については、これに対応していると考えられる中分類へ集計をしております。その上で、職業分類ごと平均額・最大値・中央値・一般賃金との差額の平均値、あと、職業安定業務統計と賃金構造基本統計調査等の使用割合を記載しているところです。なお、集計において、必要なサンプルサイズを満たしていない職業については、「-」表示とさせていただいております。個々の職業分類の数値については、情報処理・通信技術者、一般事務員、製品製造・加工処理、こちらの3点に絞って御説明をいたします。
 まず、4ページの中段辺りにあります、10情報処理・通信技術者の労使協定の賃金の記載状況についてです。こちらの平均額は1,395円、最大値が1,893円、中央値は1,369円、そして一般賃金との差額の平均値は+17円となっております。
 次に、5ページの中段より少し下の25一般事務員を御覧ください。こちらについては、平均額が1,076円、最大値が1,424円、中央値は1,059円、一般賃金との差額の平均値は+16円となっております。
 最後に、8ページの上段の54製品製造・加工処理を御覧ください。こちらについては、平均額が1,064円、最大値が1,371円、中央値は1,046円、一般賃金との差額の平均値は+15円となっております。以上が、労使協定書の賃金等の記載状況の令和5年度の集計結果となります。
 次に、改定後の厚生労働省編職業分類への対応について、御説明をいたします。大変恐縮ですが、資料1-1にお戻りいただきまして、4ページを御覧ください。こちらの資料については、今年度8月の部会で御説明した資料の一部となります。毎年度夏頃に御報告をしております労使協定方式のための一般賃金については、職業安定業務統計を活用しており、この職業安定業務統計は、厚生労働省編職業分類を基に分類分けがなされているものです。この厚生労働省編職業分類については、前回の改定が平成23年と10年以上経過をしており、この間の産業構造等の変化に伴い乖離が生じている分野もあることから、令和4年4月に改定されたこと、また、令和5年度分から改定後の職業分類で集計が可能となったところですので、赤囲みで囲んでいる所ですが、8月の部会で、今後、改定後の職業分類のサンプルサイズが十分な数があるかどうか等を検証の上、適用年度は判断すると御報告をさせていただきました。今回、この改定後の職業分類のサンプルサイズの状況等について、御報告をさせていただきます。
 5ページを御覧ください。こちらですが、改定後の職業分類のうち小分類項目名の変更又は分け方が見直されたもので、一般賃金として公表するために要件としております30以上のサンプルサイズを満たしていない職種は、令和5年11月末時点で3職種となります。具体的な職種については、資料の中段辺りに記載をしております人文・社会科学系等研究者、客室乗務員、船舶旅客係、接客社交係、芸者となります。サンプルサイズを満たさず一般賃金として公表されない小分類職種が生じた場合の対応方法については、毎年度夏頃に発出をしております通達で示しているとおり、見直し前の労使協定に定める額を基礎として、労使で十分に議論を行っていただくこと、また、その際参照する一般賃金としては、上位の中分類のものや賃金構造基本統計調査の対応職種を用いることなどにより対応が可能となります。今回、職業分類が改定されたことにより、昨今の労働市場がより反映された職業区分となり、また、改定後の職業区分で一般賃金を公表できない可能性のある小分類職種については、極めて限定的であることから、令和6年度に公表予定の令和7年度適用一般賃金より改定後の職業分類を用いて、各職種の一般賃金の額を公表させていただきたいと考えております。以上が、改定後の厚生労働省編職業分類への対応となります。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの説明に対する御質問等がございましたら挙手をお願いいたします。Zoomで参加の皆さんは、Zoom内の「手を挙げる」機能を使うか、画面上に映るように挙手をお願いいたします。御質問等ございますでしょうか。永井委員、お願いします。
○永井委員 ありがとうございます。2点意見を申し上げたいと思います。1つ目は、労使協定書の賃金等の記載状況等についてです。これまでの部会でも申し上げてきましたとおり、依然として一般賃金水準との差額がほとんどない職種も存在しております。人への投資の重要性が一層増す中、パートや有期契約労働者の待遇改善に向けた積極的な取組が重要と考えております。労働組合といたしましても、春季生活闘争等を通じて取り組んでまいりますが、引き続き行政による後押しもお願いしたいと思っております。
 2点目は、改定後の職業分類への対応です。資料の5ページにありますサンプルサイズを満たさない職種において、中分類や賃金センサスを参照するといった対応については理解いたしますが、当該職種の労使に対しては、丁寧かつ分かりやすい説明をお願いしたいと思っております。その際、今回の待遇に限るものではありませんが、前年度の労使協定で定めた金額から引き下げるといったことは、労働条件の不利益変更に当たる場合があるということも含めまして、しっかりと周知、指導いただきたいと思っております。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。ほかにはございますでしょうか。佐久間委員、どうぞ。
○佐久間委員 ありがとうございます。私からは1点、資料1-2の2ページ目、地域指数の選択状況について御質問させていただきたいと思います。ここではサンプル数というか選択の割合がネットで305となっておりますけれども、都道府県が85.2%、そして、公共職業安定所が11.5%になっております。この単位とすれば、ハローワーク(公共職業安定所)の数字を用いるところ、また、都道府県の数字を用いるところということで、このような比率が出ているのですけれども、公共職業安定所を使われている県の特徴というか傾向があるかどうか、もしお分かりになることがあったら教えていただきたいと思います。なかなかサンプル数だけだと分からないかもしれませんけれども、比重の傾向として、こちらを使っている県の中の事業所が多いとか、そういうのがサンプルの中で読み取れるかどうか、そこを教えていただきたいと思います。
○山川部会長 いかがでしょうか。
○村上補佐 事務局から御説明させていただきます。地域指数につきましては、今回都道府県の関係が85.2ということで、前回の75.9から10%弱増えているところです。公共職業安定所の地域指数につきましては、傾向は変わりませんが、10%以上となっております。
 佐久間委員からの御質問ですが、特にこの県が、ハローワークの指数を使っているという特色は特段ありませんが、都道府県別のほうに移行していることについては、広域に活動するという観点からは、都道府県別のほうが使いやすい、あとは派遣する市町村が変わるのであれば、乗じる地域指数が変わってくる場合がありますので、派遣労働者の納得感からすると、やはり都道府県別のほうがよろしいのではないかということで、こちらに移行しているものと事務局としては考えているところです。以上です。
○山川部会長 佐久間委員、何かございますか。
○佐久間委員 ありがとうございます。資料1-2の集計ですけれども、非常に傾向が分かりやすく出ていると思います。事務局としては集計等今後もまた大変な作業だと思いますけれども、是非よろしくお願いいたします。
○山川部会長 ありがとうございます。ほかに御質問等ございますでしょうか。平田委員、どうぞ。
○平田委員 御説明ありがとうございました。各項目の状況は、昨年から大きな変化はないと理解しました。派遣元の事業主が、同一労働同一賃金への対応を着実に進めていく中で、派遣先で雇用されている通常の労働者と、派遣労働者との間で不合理な待遇差が生じている場合には、その解消がさらに進展していくよう、経団連としても引き続き呼び掛けていきたいと思っております。
○山川部会長 ありがとうございます。事務局から。
○中嶋課長 重要な点について御指摘を、それぞれ労使からいただきました。大変ありがとうございます。私どもとしましても、引き続きこうした施行状況の把握などを通じまして、この労使協定を通じた公正な待遇の推進ということに、しっかり関わってまいりたいと存じます。
 それから、職業分類、新たなものにつきましては、関係するところも含めてしっかりと周知をということでございました。御指摘の観点も含めまして、丁寧に行っていく考えです。
○山川部会長 ありがとうございました。よろしくお願いいたします。ほかによろしいでしょうか。以上は御報告ということです。
 ほかにないようでしたら議題(2)「医療・介護・保育分野における職業紹介事業について」に移ります。事務局から説明をお願いいたします。
○中野補佐 事務局の中野です。議題(2)「医療・介護・保育分野における職業紹介事業について」、御説明いたします。医療・介護・保育分野では、少子高齢化の進展等に伴う利用ニーズの高まりを背景として、看護師等の人材不足が進み、有料職業紹介の利用も大きく増加しております。有料職業紹介事業の利用が増えることで、求人者において手数料の負担感も高まっており、特に早期離職のケースで手数料負担が重く認識されているものと受け止めております。これまでの対応ですが、資料2-1を御覧ください。
 1つ目ですが、平成29年改正職業安定法や関係指針において、手数料等の情報開示義務や返戻金制度の推奨、就職後2年間の転職勧奨の禁止などを規程し、平成30年1月に施行しました。ただ、その後におきましても、一部事業所において高額のお祝い金の提供や、それを得るために転職してしまう求職者がいることを指摘されたことなどを踏まえ、2つ目ですが、転職勧奨につながるような求職者への「就職お祝い金」などを令和3年4月から禁止いたしました。
 このような規制を行う一方で、3つ目ですが、優良な職業紹介事業者の選択円滑化を進めるため、分野ごとの職業紹介事業に係る協議会に関係団体にも御参画いただきながら、適正な職業紹介事業者の基準を策定し、この基準を基に適正な事業者を認定する適正事業者認定制度を創設いたしました。
 4つ目ですが、法令に違反する職業紹介事業者に厳正に対処するため、令和5年2月に都道府県労働局に「『医療・介護・保育』求人者向け特別相談窓口」を設置し、寄せられた情報を基に必要な対応を行うことができるよう体制を整備しております。
さらに5つ目ですが、ハローワークにおいて医療・介護・保育などの人手不足分野の人材確保を支援するための「人材確保対策コーナー」を拡充しております。
このような取組を行ってまいりましたが、昨年6月に閣議決定されました規制改革実施計画等を踏まえ、令和5年度におきましては次のような追加的な取組を行っております。資料2-2を御覧ください。
 1つ目は、法令に違反する職業紹介事業者への厳正な対応です。これについては、主に「『医療・介護・保育』求人者向け特別相談窓口」の周知と、3分野の有料職業紹介事業者への集中的指導監督の実施により対応しております。少し具体的に取組を御紹介したいと思います。
 参考資料2-1を御覧ください。昨年2月に設置したこの特別相談窓口ですが、医療・介護・保育分野に従事する労働者を採用する際、職業紹介事業者に支払う手数料が高い、早期離職の背景に事業者による転職勧奨があるのではないかといった指摘について、3分野の求人者が相談しやすくなるよう窓口を明確にするとともに、法令違反等の相談があった場合は、指導監督等必要な対応を行うものです。特別相談窓口の設置当初にも業界団体の皆様に周知の御協力をお願いしましたが、昨年7月にも改めて業界団体の皆様や各都道府県に周知を依頼し、また様々なリーフレットの作成や広報の機会を捉えるなど、広く周知を行っております。
 続いて参考資料2-2を御覧ください。職業安定法や職業安定法指針の遵守が徹底されるよう、3分野の無期雇用の紹介実績がある有料職業紹介事業者に対して、集中的な指導監督を実施しております。有料職業紹介事業者について、主な確認事項としては、手数料の額・率、そこに含まれるサービスの内容に関する求人施設への明示義務、返戻金制度を設けている場合は、その内容に関する求人施設への明示義務、労働市場への情報開示義務、求人施設や求職者からの苦情に適切に対応するための体制整備、その紹介により無期雇用就職した者に対する2年間の転職勧奨の禁止、最後に「お祝い金」の提供禁止といったものです。
 また、3分野の求人者からも、利用した職業紹介事業者に関する情報を収集しつつ、実施しております。今年度中に指導監督を実施し、結果については、来年度上旬での取りまとめを予定しております。
 資料2-2にお戻りください。「医療・介護・保育分野における職業紹介事業について②」です。追加的取組の2つ目は、有料職業紹介事業の更なる透明化に係る取組です。この取組は、主に3分野の紹介手数料の平均値・分布、離職率について、地域・職種ごとに公表するものと、離職状況の公表が不十分な事業者に対して追跡調査を徹底させるとともに、離職者数の掲載期間を延長するものという2つの取組を進めました。
 2の1ポツですが、参考資料2-3に資料の一部を抜粋いたしました。こちらを御覧いただきたいと思います。
職業安定法では、職業紹介事業者に対し、年度ごとの運営状況に係る職業紹介事業報告書を厚生労働大臣に提出するよう定めており、その報告を基に、全国各地域ブロック別及び一部都道府県別の職種別平均手数料及び分布、並びに平均離職率を算出しました。
 平均手数料については、事業所ごとの常用就職件数、ここでは無期雇用又は4か月以上の期間を定めて雇用される者の就職件数を指しておりますが、こちらとそれに係る手数料総額により算出しております。離職率については、事業所ごとの常用就職件数と、それに係る離職者数、こちらは無期雇用のみ、就職後6か月以内に離職した者の数を用いて算出しております。
この公表資料及び人材サービス総合サイトにおける公表データにより、求人者が納得する手数料額での紹介及び紹介事業者との契約が促進されることを期待しております。
 資料2-2にお戻りください。2の2ポツです。各職業紹介事業者は、厚生労働省が運営する「人材サービス総合サイト」において、紹介した就職者の離職状況を、過去2年分掲載することとされていました。昨年8月に本部会で御審議いただき、この根拠となる省令を昨年10月に改正し、過去5年分の離職状況を掲載することとし、人材サービス総合サイト上も過去5年分の離職状況が閲覧できるようになりました。
 現在の主な取組の3つ目ですが、優良な職業紹介事業者の選択円滑化に係る取組です。参考資料2-4を御覧ください。
これは、法令遵守等の基準を満たす適正な紹介事業者を認定して、「見える化」を推進し、またこれにより、求人施設等がサービスの質や内容をあらかじめ把握した上で、適正な事業者を選択可能にするものです。
「適正事業者認定制度」の認定に当たりましては、法令遵守等の「必須基準」と、より良いサービス提供のための「基本基準」の2種類の基準を設けております。
 必須基準におきましては、職種別に手数料を公表している、早期離職時の返戻金制度を設けている、求職者に「お祝い金」を支給していないなどの項目が設けられており、医療・介護・保育の各分野別に定められた16~18項目を全てクリアする必要があります。
基本基準におきましては、求職者のキャリア、志向、希望の勤務時間や曜日・勤務場所等の制約を把握した上で、適した就業先の紹介を行っている、求人者からの求人申込みは電話だけでなく、書面、FAX、メールで受け付けている、手数料率を含むサービス提供条件を求人者に十分説明し、理解を得た上で契約締結により事前合意している、などの項目が設けられており、各分野別に定められた11~13項目のうち、おおむね7割以上の項目をクリアすることが必要となります。
 認定基準6か月以内の離職に対する返戻金制度を要することの追加検討に当たりましては、各分野の業界団体の皆様に会議の委員としてご参画いただき、議論を進めております。今年度中には、基準の見直しを行いたいと考えております。
 資料2-2にお戻りください。現在の主な対応の4つ目は、ハローワークの機能強化です。3分野における対応には、ハローワークの機能強化も必要であると考えておりまして、労働者の職場定着にお困りの求人者に対して関係機関と協力し支援を実施、業界団体と連携した就職イベント等の開催、オンライン上での利用促進などを順次実施しており、年度内にはハローワークごとの職種別就職実績も公表を予定しております。
 参考資料2-5を御覧ください。3分野におけるハローワークの支援機能を強化するため、全国の主要なハローワーク115か所に、人材確保対策コーナーを設置しております。人材確保対策コーナーでは、専任のスタッフを配置し、求人者に対する求職者ニーズを踏まえた求人条件の見直しや、求人票の書き方のコンサルティング、求職者に対する担当者制によるきめ細かな職業相談紹介、業界団体、関係機関等と連携した業界の魅力発信・求職者の掘り起こし、ツアー型面接会の実施などを行っております。
 こうした取組の結果、令和4年度では、人材確保対策コーナーを通じて、約4.8万人の方が就職しており、引き続き、ハローワークにおけるマッチングに取り組んでまいりたいと考えております。医療・介護・保育分野における職業紹介事業については、以上でございます。
○山川部会長 ありがとうございました。それでは、御質問等ございますでしょうか。ありましたら、先ほどと同様の方法で挙手等をお願いいたします。冨髙委員どうぞ。
○冨髙委員 今、御説明いただきました医療・介護・保育分野においては、先般の職業安定法施行規則の改正を含めて業界全体の底上げに向け、様々な取り組みを行っていただいていることは、理解をしております。有料職業紹介事業の更なる透明化として、平均手数料や離職率の公表もされておりますが、是非、更なる透明性の確保に向けて継続的な取組をお願いしたいと思います。
 更に、先ほど集中的指導監督を行っているという説明もございました。その結果については御紹介いただけるということでしたが、こうした結果を有効に活用していくことが重要だと思っておりますので、結果を踏まえて、より積極的な取組をこの部会でも検討していければと考えております。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。では、田尻委員お願いします。
○田尻委員 御説明ありがとうございます。何点か意見を申し上げたいと思います。中小企業の人材不足はかつてないほど深刻で、今後の生産年齢人口の減少を踏まえると、状況は更に厳しいものになっていくと考えております。御説明いただいた現在の主な対応については、いずれも重要な取組であり、今後も着実に実行していただき、引き続き、健全な市場環境の整備に向けて取り組んでいただきたいと思います。
 細かい点ですが、資料2、2ページの特別相談窓口については、業界団体等を通じて広く周知いただいておりますが、参考資料を拝見しますと、施設系の団体が多く含まれているものの在宅系が少ないように見受けられます。より多くの事業者に届くように幅広く業界団体との連携をお願いできればと思っております。
 2つ目の紹介手数料の平均値については、参考資料の平均数値額、紹介手数料額等、私は介護業界に身を置いていますが、現場の肌感覚よりはかなり低い感じで、実態とかなり解離があるように思いました。対象に有期雇用の方と無期雇用の方が含まれているとのことですが、常勤、非常勤という点についても、是非、「見える化」していただければと思っております。今後、御検討いただければと思っております。
 もう一点、私は介護事業者ですが、人材確保の厳しさを本当に痛感しております。こうした紹介手数料の負担は非常に重くのしかかっているのも現実問題ですので、ハローワークの機能強化に強く期待をしております。昨今の求職者の方の活動状況を見ていると、オンラインでの活用が主流になっていると感じますので、ハローワークもシステムの操作性の向上、オンラインでの機能向上を強化していただきたいと考えております。
 加えて、中小の介護事業者においては、今後の生き残りのために複数事業者による連携や共同での取組を進めている動きもあります。そういった連携体に対する支援等も含め、介護人材の確保に向けた支援を引き続きお願いしたいと思います。よろしくお願いします。以上です。
○山川部会長 ありがとうございました。ほかに御質問、御意見、平田委員お願いします。
○平田委員 いずれも適切な措置を講じていただいていると認識しております。引き続き、求人者と求職者双方の安心につながるような着実な制度運用をお願いしたいと思います。また、優良な紹介事業者の「見える化」は、人材確保円滑化の有力な1つの手段と認識しています。認定基準を追加する方向性に異存はありませんが、今回の基準の追加が有効に機能するかの検証を行いながら、必要に応じて更なる見直しも検討していくことが重要と考えておりますので、意見として申し上げます。
 最後に、質問です。集中的指導監督実施に関する御説明がありましたが、今日の時点でお答えいただける範囲で、指導実施の規模感や対象範囲等について、教えていただければと思います。
○山川部会長 御質問がありましたので、これまで様々な有益な御意見も頂きましたので、まとめてお願いできますか。
○中嶋課長 承知しました。大変、様々な角度からの御指摘を頂き、ありがとうございます。頂いたもののうち、少し各論のところからお答えをさせていただきます。田尻委員から御指摘のありました窓口のところは、私どもも、もちろん施設系だけではなく在宅系のところにも団体にお願いをしたり、団体以外にも個別に機会を捉えたり、新しいリーフレットを作るときには必ずこのような話を入れる対応をしているところです。御指摘を踏まえ、更に幅広い団体の御協力等を頂きながら進めていきたいと存じます。
 それから、手数料実績開示の工夫でも御意見を頂きました。この部分は、確かに御指摘のとおりで、フルタイムの方もいれば、そうでない方もいる中で、平均値としてはこれぐらいになっているところです。これをもう少し見やすい、使いやすい形にできないのかという御指摘だと思います。そういった点についても少し工夫をしながら、このデータ自体は事業報告に基づくものということもあり、なかなか使い方に制約があったりしますが、これに限らず、更なる「見える化」の観点からどんな工夫ができるのか検討していきたいと存じます。
 次に、集中的指導監督の規模感について、基本的には無期雇用の就職の紹介をしている所、この紹介所に関しては基本的にほぼ全てをカバーするような形、成果と課題をしっかり把握できるような形での規模で実施をしているところです。
 全体的なところで様々な御指摘を頂きました。こちらについては、取組の周知といった部分はもちろんですが、この指導監督の結果を有効活用していく点も頂きました。更なる「見える化」の推進、ハローワークの機能強化の部分でも御意見、アイデアを頂きました。どれも重要な御指摘と受け止めております。まず、一通り今年度の取組を進めた上で見えてくる成果や課題、更には、頂いた個々の御指摘等も踏まえ、よく考えて部会にも御相談させていただけたらと存じます。ありがとうございます。
○山川部会長 ほかに、御意見、御質問ございますでしょうか。奈良委員お願いします。
○奈良委員 今の話にもあったとおり、非常に重要な取組で、多くの方からも御発言がありましたが、是非、今後もこの取組の周知徹底化等、そして、適切に集約をしていただき、是非、分析報告等をお願いしたいと思っています。とりわけ、ハローワークの機能強化については、私も是非お願いをしたいと思います。
 その上で、医療・介護・保育などの分野での質の高いサービス水準の維持というのは国民的な課題、要請だと思います。それは、職業紹介事業の見直しや改善だけではなかなか維持できない部分でもあると思います。やはり、国の医療施策、福祉施策、とりわけ、診療報酬、介護報酬、公的価格の部分の配慮も含めて、是非、ケアの現場を担う人材の育成、何より安心して働ける環境をつくる、そういったことに事業者がきちんと足を踏み出せるような取組をお願いしたいと思っております。以上です。
○山川部会長 ありがとうございます。何かありますか。
○中嶋課長 大変、重要な御指摘を頂き、ありがとうございます。私ども、この紹介手数料等の関係については、様々な論点がありながらも一番大事なところは、大切なエッセンシャルサービス部門について、きちんと人材が確保できるようにすることだと思っております。
 おっしゃるとおり、そうした中、各分野それぞれの所管において、人材確保、育成、それに資する様々なことをやっております。私どもは同じ省内ですので、そういった動きを見ながら、雇用部門でどういった対応ができるのかを考えて組立てをしているところです。そうした中で、我々にできることとして、官民の需給調整機能を強化しながら御指摘の点にしっかり対応していきたいと思います。ありがとうございます。
○山川部会長 奈良委員は、特段、よろしいでしょうか。ほかにございますでしょうか。委員の皆様方の関心の高さがうかがえたところです。
 研究者としての個人的なコメントを申しますと、ある種、労働市場の機能が活発化していることの現れかと思います。実は、民事裁判の動向を見ていますと、医療・介護・保育に関わる事案だけでなく、職業紹介契約をめぐる民事裁判が、少しずつですが増えているような状況があり、そのような意味でも、市場機能が適切に発揮されるための工夫が、いろいろ行政にも要請されていることを裁判例の動向からも感じたところです。
これは研究者としての個人的なコメントです。
 ほかはよろしいでしょうか。それでは、公開の議題はここまでとさせていただきます。