第160回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和6年3月21日(木)15:00~17:00

場所

対面及びオンラインにより開催
(AP虎ノ門)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員

労働者代表委員
使用者代表委員
及川勝
 
(五十音順、敬称略)

議題

(1)労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
  (新規化学物質届出関係)
(2)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
  (個人事業者等に対する安全衛生対策関係)
(3)個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(案)について
(4)その他

議事

議事内容
 ○髙田分科会長 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「第160回労働政策審議会安全衛生分科会」を開催いたします。本日は、使用者代表委員の大下委員が欠席しております。また1名、委員が遅れていらっしゃる予定です。本日は、対面及びオンラインの併用により、開催することとしていますので御承知おきください。なお、本日は私自身も申し訳ありませんが、オンラインでの参加となっておりますのでよろしくお願いいたします。カメラ撮影等はここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いいたします。
○計画課長 事務局です。オンライン参加の委員の方々に対してZoomの操作方法について御説明します。本日はハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定をお願いします。また、御発言される場合におかれては、発言がある旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名がありましたら、マイクをオンにしていただき、氏名をおっしゃってから御発言をよろしくお願いいたします。このほか進行中、通信トラブルなど不具合がありましたら、チャットへの書き込み、又は事務局に御連絡をお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 それでは議事に入ります。議題(1)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」について、事務局から説明をお願いします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課長の安井と申します。よろしくお願いいたします。資料1-2で御説明いたします。
 2ページ目ですが、労働安全衛生法の第57条4の第1項で、新規化学物質を製造し、又は輸入しようとする事業者は、あらかじめ有害性の調査を行って、新規化学物質の名称、有害性の調査の結果その他を厚生労働大臣に届け出なければならないことになっています。また、もう1つは届出の際に製造量が少量の場合、それについて確認を受けた場合は先ほどの届出をしなくて良いとする、少量新規の確認という手続もあります。
 こういった手続きを経て、届出があった場合は新規化学物質の名称を公表することになっておりまして、3か月に1回、定期に、官報に掲載することによって、公表を行っております。こちらの制度については、4ページで詳細に御説明いたします。
 まず、1事業場で年間100kg以内の製造又は輸入だった場合は、少量であるということの確認の申請を厚生労働大臣へ行って、それが確認されれば届出は免除されるということです。一方、100kgを超える場合ですが、まず新規化学物質の有害性調査を行っていただいて、その結果を厚生労働大臣に届け出るとともに、必要な健康障害防止措置を実施していただくことになります。
 厚生労働大臣は、頂いたものについて学識経験者からの意見聴取を行いますが、その際に、評価の結果が変異原性が強いと思われるものについては、必要に応じて追加調査、あるいは学識経験者からの意見聴取を行って、その結果、通達という形で健康障害を防止するための指針に基づく措置を要請します。なお、変異原性が弱いと考えるものも含めて、名称の公表をした後1年以内に労働政策審議会に報告するという制度です。必要に応じて左側にありますけれども、厚生労働大臣は届出事業者に健康障害防止措置の勧告を行うこともできることとなっておりますが、こちらについては発動された例はありません。
 続いて、5ページです。現状の届出件数等ですが、まずは1の新規化学物質の製造・輸入届出件数については、大体毎年1,000件ぐらいで推移をしているというところです。2番が先ほどの少量新規の確認件数ですが、こちらはかなりばらつきがありまして、4,000数百ぐらいから2,500件ぐらいで推移しております。大体おおむね6割ぐらいは電子申請となっております。1番の製造・輸入の届出については、現在は全て書面で受け付けております。
 2ページまでお戻りください。一番下の○になりますが、今般、近年のDX化の推進を踏まえて、これらの届出及び申請について、電子申請を原則とする仕組みへ見直したいと考えております。また、従来、官報公示によって行っていた新規化学物質の名称の公表についても、インターネットの利用やその他の適切な方法により行うこととする予定です。
 それから、こちらの新規の電子による申請が著しく困難な場合については、書面による申請も引き続き認めるということですが、本制度による申請を行う事業者は、化学物質の新規開発、有害性の調査等を行う専門技術的能力を有する事業者ですので、電子申請を行う基盤が整っていると認識しております。
 3ページ目ですが、改正の概要です。(1)については、先ほど申し上げました安衛則第34条の4、第34条の5、第34条の6、第34条の8及び第34条の10に基づく届出又は申請については、電子情報処理組織、つまりネットワークを使って行っていただきます。ただし、著しく困難な場合は、引き続き書面での届出又は申請を行うことができる規定を設ける予定です。(2)ですが、新規化学物質の名称の公表は3月以内ごとに1回、定期に、インターネットその他の適切な方法により公表することに改めます。
 公布日等ですが、本日答申を頂いた場合は、令和6年4月中旬には公布できる予定です。施行については令和8年7月1日ということですが、名称の公表に関しては令和6年7月1日から早めに施行をする予定です。それから令和7年1月1日以降は、この省令の施行日前においても電子申請を行っていただくことが可能という経過措置を設ける予定です。説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございます。本件について質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いします。なお、本日は私自身がオンラインで参加をしているため、会場の委員の御発言については事務局より指名をさせていただきます。それでは会場の指名をお願いできますでしょうか。
○計画課長 事務局です。挙手をされた委員の方については、私から指名させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。会場の方から御発言がありますか。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 経団連の鈴木です。諮問事項には賛成させていただきます。その上で、2点ほどコメントをさせていただければと思います。
 デジタル技術の活用、これは事業者の行政手続コストの削減に加えて、行政機関の業務効率化や働き方改革にも資する重要な取組だと思っております。厚生労働省におかれましては、書面のみで行う手続が他にも残っていないかどうかを精査し、必要に応じて見直しに着手いただきますようお願いいたします。
 2点目です。先ほど事務局より御説明がありましたが3ページの(1)の後段のただし書きの箇所です。電子情報処理組織による届出又は申請が著しく困難な場合は、引き続き、書面での届出又は申請を行うことができることとする、このような記載があります。
昨年5月の当分科会では、労働者死傷病報告を含む7つの行政手続を対象に電子申請を原則とする改正省令案の諮問・答申が行われたところです。その際、電子申請によることが困難な場合における紙媒体での報告が経過措置として規定されました。電子申請が困難な場合の解釈が、規定ごとにばらばらにならないよう統一し、電子申請が義務化された後の現場で混乱が生じないよう格段の御配慮をいただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか会場のほうは、いらっしゃいますか。
○計画課長 会場は、今のところ挙手等はありません。
○髙田分科会長 オンラインの委員の書き込みのほうも、今、こちらでは把握できておりませんが、事務局それで大丈夫でしょうか。
○計画課長 チャットに書き込み等はありません。
○髙田分科会長 そうしましたら、ただいまの鈴木委員の御発言について、事務局から御回答をお願いいたします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課長の安井です。コメントありがとうございます。まず1点目の御意見については、御意見として承りまして検討してまいりたいと考えております。2点目、ただし書きの著しく困難という部分について、労働者死傷病報告は、ある意味全国津々浦々、非常に小規模な事業場も含めて御報告を頂くというものですので、比較的広めに経過措置を認めているということです。新規化学物質の届出については先ほど申し上げましたが、数百社程度の新たな化学物質を新規開発できる技術力を持っている会社に限られておりますので、基本的にはネットワークは使えないことは想定しにくいことでして、例えばハッキングなどのシステムがダウンした場合、あるいは、何らかのトラブルでネットワークが機能しない場合などを著しく困難な場合と想定しておりますが、それ以外については電子でネットワークを使った申請をしていただくことで整理しているところです。以上です。
○髙田分科会長 鈴木委員いかがでしょうか。
○鈴木委員 御説明ありがとうございました。対象となる事業者が違うので、解釈が異なり得るという御説明だったかと思います。理解いたしましたので、違い得ることを明確に周知の際に徹底いただければと思います。以上です。
○化学物質対策課長 分かりました。条文上は明確に書き分けて、表現が著しく困難となっていますので、違いは明らかですがご指摘の御主旨も踏まえて通達でも明確にしたいと思います。
○髙田分科会長 ほかは御発言はありますでしょうか。会場は大丈夫でしょうか。
○化学物質対策課長 会場はありません。
○髙田分科会長 オンラインの委員も追加で書き込みはないようですので、御発言は特にないということでよろしいでしょうか。
 それでは、議題(1)「労働安全衛生規則の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」については妥当と認めることとして、よろしいでしょうか。
                                  (異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 次に、議題(2)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」に関して事務局から説明をお願いします。
○調査官 それでは、御説明いたします。計画課調査官のホシダです。資料2-1に諮問文と要綱が付いております。会場の皆様、資料2-1を開くと、多分両面で読みにくくなっております。2ページ以降左のページが先、右のページが後といった形でつながっております。
 私からは、資料2-2に基づいて御説明いたします。これは、前回の分科会で説明した労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案、個人事業者等に対する安全衛生対策関係です。
 1ページです。この後、最後のページを除いて、基本的に前回の提出資料を付けております。手短におさらいいたしますと、この改正は1つ目の○、令和5年10月にまとめられた「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会」報告書に基づいて行うもの。2つ目の○の1つ目のポツです。安衛法第20条、第21条、第25条を根拠とする関係省令の条文のうち「場所の管理権原に基づく、退避、立入禁止等」について行うものです。これは、前回説明したとおりです。基本的に、前回御議論いただき、御承認いただいているものと思います。
 3ページのみ、前回提出資料の一部変更になっております。一部変更は交付日の所ですが、後で戻ります。その後は、基本的に前回の資料です。
 17ページを御覧ください。こちらは、前回の分科会における御指摘と、今後の対応方針をまとめております。このページは、基本的に前回の分科会において、皆さんから御意見を頂き、私から答えたもので、それを紙にしております。大きく2とおりの御意見を頂いたと思っております。1つは、今回のこの省令案に関して、省令の施行までの間に対応すべき事項。2つ目は、この省令案そのものではなく、今後について実施すべき事項ということです。前者の1つ目です。第1段、省令改正の際と同様、現場で混乱が生じないよう、関係者の意見を踏まえた施行通達を示してほしいという御意見を頂いております。これについては、きちんと関係団体の意見も聞きながら、速やかに施行通達を策定の上、改正省令の交付に合わせてお示ししたいと思っております。2つ目の○です。今回の改正に伴い、関係する告示、ガイドラインについても必要なものについては見直しを行うことという御意見を頂きました。この省令の下にある告示、ガイドラインは改正省令の施行までの間に必要な対象を精査の上、必要なものについて見直しを行ってまいりたいと思っております。
 続きまして、今後についてです。今回、先ほど申しました安衛法第20条、第21条に基づくものに加え、第22条に基づくものは措置済みですが、第23条に基づく関係省令の規定についても、必要なものについて今後の改正の検討対象に含めるべきという御指摘を頂いております。第23条は、作業場の建築物の換気、気温といった規定です。また2つ目の○ですが、安衛則第14条の4第2項第3号の規定に基づき、産業医に権限が付与されている事項です。これは、緊急の必要性がある場合に、産業医が労働者に必要な措置をすることを指示できると。例えば、このままの働き方では熱中症になるから、すぐに休憩して体を冷せといったようなことを指示できるわけですが、その対象が労働者限定となっております。それについて、今後の見直しの検討対象に含めるべきという御指摘を頂いております。これについては、個人事業者等による災害実態を把握し、改正の必要性を精査の上、必要性が認められるものについて所要の改正を行う予定で、今後検討の対象から排除するものではなく、検討の俎上に載せていきたいと思っております。
 3ページにお戻りください。これも、基本は前回説明したとおりです。下から2つ目の公付日について、前回の資料では諮問答申後、速やかに交付と記載しておりました。今回、本日諮問させていただき、答申を頂きましたら速やかに交付したいところですが、官報の手続等関係で、4月下旬ぐらいになってしまう予定です。更にずれ込むかもしれませんが、これぐらいの予定としております。施行日については、前回御説明したとおり、令和7年、来年4月1日施行を予定しているところです。私からの説明は以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。本件について質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨チャットに書き込みをお願いいたします。また、申し訳ありませんが会場の委員については、事務局から御指名をお願いできればと思います。会場の委員で、御発言がある方いらっしゃいますでしょうか。
○計画課長 門﨑委員、お願いいたします。
○門﨑委員 ありがとうございます。諮問内容は、検討会の報告書に沿ったものであり、今後、検討会の報告書に沿って法改正事項を含むその他の事項が適切に審議されることを前提とすれば、特段の異論はありません。その上で、3点意見を申し述べたいと思います。 
1点目は、注文者、個人事業者への周知について。諮問内容を適切に周知いただくことはもとより、今後、法改正も含め、個人事業者に対する安全衛生対策全般にわたって対策を実施していく予定であることを周知いただきたいと思います。また、個人事業者に対する周知は、関係団体等の協力を得ながら、個々人に対して改正の内容が伝わるよう、徹底をいただきたいと思います。
 2点目は、資料5ページの立入禁止の枠外の注記に関して。※の1つ目では、この規定は「作業に従事する者を特定する趣旨であり、改正前の労働者と比較して限定をかけ、又は範囲を定める趣旨ではない」と記載されています。この趣旨が徹底されるよう、丁寧に説明していただきたいと思います。
 3点目は、17ページの「第151回分科会における御指摘と今後の対応」について。前回の分科会での議論を踏まえて整理いただいたものと承知しています。ここに示された考え方に基づいて、適切に対応していただきたいと思います。取り分け、今後の検討に当たって留意すべき事項に記載されている、「災害実態を把握し、必要性が認められるものについては所要の改正を行う」とされている点については、新たに創設される災害報告制度に基づく災害事例の蓄積を待たずとも、実施が可能なものについては早急に検討を進めていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか、会場で御発言がある委員は、いらっしゃいますか。
○計画課長 会場は、このほかいらっしゃいません。
○髙田分科会長 チャットの書き込みも、今のところはないようなのですが、それで合っていますか。
○計画課長 はい。チャット等の書き込みもありません。
○髙田分科会長 そうしましたら、ただいまの門﨑委員からの御意見について、事務局から回答をお願いいたします。
○調査官 お答えいたします。まず1点目と2点目については、周知の話でした。今後、関係者の皆様、個人事業者の方々も含め、丁寧に周知を行ってまいりたいと思っております。具体的には今の段階できちんとした周知を行っていきたいということと。御指摘にあったとおり、個人事業者の方、御本人に対しても、なるべく伝わるようにきちんと新しい対応の必要性が生じたことを伝わるように、できる限り御本人、関係者の方皆様に伝わっていく周知をしたいと思っております。
 先ほども具体的に御意見を頂きましたが、5ページの1つ目の※です。何とかの作業所において等と規定しておりますが、特段この労働者より狭める趣旨ではないといった旨もきちんと丁寧に周知していきたいと思っております。
 3点目です。17ページの一番下の部分ですが、災害実態を把握し、改正の必要性を精査の上ということについてです。これは、今、委員が御指摘のとおり、一番大きなものは法改正で報告制度を創設し、報告が上がってきた場合、災害実態が把握できるわけです。そうなのですが、そこまで必ず待つと思っているわけではありません。現在も、監督署の対象はもちろん労働者が基本的な対象ですが、個人事業者の災害を全く把握していないわけではありません。例えば、労働者と個人事業者が同時に被災した場合等は把握しますし、そうでなくとも調べてみれば個人事業者だったという場合も把握できている場合があります。そういった形で、災害実態が現に把握でき、そしてまた改正の必要性があるなというものについては、今後、検討を行っていくことは可能であると思っております。法改正の前に必ず検討しますとまで約束はできませんが、きちんと災害実態の内容が把握でき、改正の必要性があるという判断ができるものについては検討を行っていくということはお答えできると思っております。私からは以上です。
○髙田分科会長 門﨑委員、ただいまの説明に何かございますか。
○門﨑委員 結構です。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 そのほか会場の委員、オンライン参加の委員で御発言はございますか。会場のほうは、大丈夫でしょうか。
○計画課長 ありません。
○髙田分科会長 オンラインもチャットの書き込みはないということで、よろしいでしょうか。
○計画課長 はい、チャット等もありません。
○髙田分科会長 それでは議題(2)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」は、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
                                  (異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
 次に議題(3)「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(案)について」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○産業保健支援室長 労働衛生課産業支援室長の大村です。資料3-1の個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(案)について説明いたします。委員の皆様方が御承知のとおり、厚生労働省では、昨年10月に「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書」を公表しております。この検討会報告書を踏まえ、各主体による個人事業者等の健康管理のための自主的な取組を促すため、本ガイドラインを作成することとしております。お手元には参考資料として、資料3-1をまとめるために用いたガイドラインの案をお付けしております。適宜御参照ください。本日は時間の関係もありますので、前回の分科会でお示しした資料から変更をした部分を中心に説明いたします。
 それでは、資料3-1、スライド2を御覧ください。「1趣旨・適用」について、1~3行目です。前回の分科会での御指摘を踏まえ、検討会報告書における基本的な考え方を記載しております。次に、一番下の「労働者に該当する場合の留意点」です。前回の分科会では労働者性に関する御指摘がありましたが、検討会報告書との整合性を確認した上で、記載を変更しないことと整理をしております。なお、参考資料のガイドライン(案)の1ページの脚注に労働者性の判断基準に関連する情報を記載しております。
 続いて、スライド3です。「2個人事業者等の健康管理の基本的な考え方と各主体の取組」について、一番上の小見出し「個人事業者等」です。前回の分科会での御指摘を踏まえ、検討会報告書との整合性を図り、書きぶりを精査し修正しております。一番下の小見出し「国」のところですが、前回の分科会での御指摘を踏まえ、国の取組について検討会報告書との整合性を図りつつ、この取組の内容を記載しております。後ほど、資料3-2を用いて国の取組についての内容を説明いたします。
 続いて、スライド4です。「3個人事業者等が自身で実施する事項」について、柱書きを御覧ください。前後の関連性を明確にするために「1及び2を踏まえ」の記載をしております。また、前回の分科会での御指摘を踏まえ、「が推奨される」について、検討会報告書との整合性を確認した上で削除しております。スライド5と6の記載の変更はありません。
 スライド7です。「(8)適切な作業環境の確保」について、前回の分科会では快適職場の形成に関する御指摘がありましたが、検討会報告書の整合性を確認した上で記載を変更しないことと整理しております。
 続いて、スライド8です。「4注文者等が実施する事項」についてです。柱書き、続いて上から2つ目の「・」では、前後の関連性を明確にするために、「1及び2を踏まえ」の記載をしております。また、前回の分科会での御指摘を踏まえ「が推奨される」について、検討会報告書との整合性を確認した上で削除しております。
 次に、上から4つ目の「・」では、前回の分科会での御指摘を踏まえ、注文者等が一般消費者である場合の取扱いについて、検討会報告書との整合性を図り、書きぶりを精査し記載をしております。
 次に、「(1)長時間の就業による健康障害の防止」の上から1つ目の「・」です。前回の分科会では、「個人事業者等の就業時間が長時間になりすぎないよう配慮すること」を踏まえ、仕事の単価に関する御指摘がありましたが、検討会報告書との整合性を確認した上で記載を変更しないことと整理しております。
 スライド9です。「(1)長時間の就業による健康障害の防止(続き)」についてです。前回の分科会では、保健師の役割に関する御指摘がありましたが、こちらの項目では、検討会報告書との整合性を確認した上で記載を変更しないとしております。
 スライド10です。「(2)メンタルヘルス不調の予防」について、上から2つ目の「・」では、行政の指針をお示ししておりますが、同指針の根拠となる法律と条文を記載しております。
 続いて、スライド11です。「(3)安全衛生教育や健康診断に関する情報の提供、受講・受診機会への提供等」について、上から4つ目の「・」を御覧ください。前回の分科会では、「一定の知識を有している場合」を踏まえ、分かりやすく記載するよう御指摘がありました。この部分については、「一定の知識」がその下に記載されている3つの事項を指しておりますので、これを簡潔に記載しております。
 続いて、スライド12です。「(4)健康診断の受診に要する費用の配慮」について、小見出し「特殊健康診断等の受診に要する費用」を御覧ください。(4)の項目名と小見出しにおいて、「の配慮」が重複しているので、書きぶりを精査の上、小見出しの一部を削除しております。また、小見出し「一般健康診断の受診に要する費用」についても、同様に「の配慮」を削除しております。
 続いて、上から1つ目の「・」において、前回の分科会では、一般健診の対象者となる方が対象から漏れることがないようにと御指摘がありました。このため、検討会報告書との整合性を確認した上で「又は注文後において」と記載しております。また、前回の分科会では、平均して1週間につき40時間以上の「以上」を要件とすべきではないと御指摘がありましたので、検討会報告書との整合性を確認した上で「以上」を「程度」と修正しております。
 続いて、スライド13です。「(5)作業場所を特定する場合における適切な作業環境の確保」について、前回の分科会では、快適職場の形成に関する御指摘がありましたが、検討会報告書との整合性を確認した上で記載を変更しないことと整理をしております。資料3-1の説明は以上です。
 続いて、資料3-2、個人事業者等の健康管理における国の取組について御覧ください。スライド2です。前回の分科会では、「国については2の基本的な考え方のみで、具体的な取組の記載がないが記載すべきではないか」と御意見を頂いておりましたので、下側の枠の中に国の取組をまとめております。1つ目の「〇」、国の具体的な取組については、その進捗に応じて情報を更新していくという予定にしております。厚生労働省ホームページ等より最新の情報を発信していく予定です。
 2つ目の「〇」、検討会報告書を踏まえ、個人事業者等の健康管理に対する直接的・具体的な支援のほかにも、国では、業種・職種別団体や仲介業者、個人事業者等がお住まいになる地域ではなく、就業する地域の自治体などが個人事業者等の安全衛生向上のための取組への関与をするよう働きかけや支援を行うとしております。 2つ目の「・」ですが、個人事業者等を支援する団体の活動に情報提供等の支援、団体等がない業界においては団体等の形成を促すための取組、優良な取組を行っている団体等に対するインセンティブの検討。今後、これらの取組を行うこととして作業の進捗等を踏まえ、安全衛生分科会で御報告を行っていきたいと考えております。資料3-2の説明は以上です。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。本件について、質問や意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いいたします。まず、会場の委員で御発言がある方、お願いいたします。また、事務局から指名をお願いいたします。
○計画課長 事務局です。中村委員から挙手があります。中村委員、お願いいたします。
○中村委員 労働側委員の中村です。資料3-2の国の取組について、質問と要望等を発言したいと思います。記載の2つ目で、個人事業者等が就業する地域の自治体などが関与するよう働きかける取組を促進するとありますが、具体的に、どのような取組を想定されているのかについて厚労省の考えをお聞かせ願いたい。
 もう1つ、その地域の取組に関して、個人事業者に対する安全対策に関する検討会のヒアリングの際に、私から林業の関係についてお話しましたが、個人事業者の災害の把握状況など、地域間で取組に温度差があると認識しています。現状を把握している自治体もあれば、なかなか把握できていない、把握しきれていない自治体もあると思っています。個人事業者がどの地域においても一定水準以上の安全衛生に関する知識を享受できることが必要だと思いますので、政府として積極的な働きかけを行っていただきたいと思います。また、一定期間経過後には、調査などを通じて実態把握に努めるとともに、全体の水準の向上につながるよう、質の改善にも取り組んでいただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほか、会場の委員はありますか。
○計画課長 山脇委員、お願いいたします。
○山脇委員 示されたガイドライン(案)は、検討会報告書や本や本分科会での議論が一定程度反映されたものと受け止めています。その上で2点意見と、1点確認させてもらいたいと思います。
 1点目は、周知に際する留意点についてです。資料3-1の2ページの趣旨・適用の冒頭に、新たに追加いただいたように、個人事業者に対する安全衛生対策の基本は、労働者が行うものと類似の作業を行う者について、労働者であるか否かにかかわらず、労働者と同じ安全衛生水準を享受すべきという考え方に立脚し、このガイドラインが作られていることが今日の分科会において確認されるものと思っています。
 これに関連し、3ページの個人事業者等の部分部分も一部修正いただいており、この内容自体に異論はありません。他方、他方いわゆる個人事業者が健康に就業できるかは、発注者との契約関係や力関係に大きく左右されることとなります。このことを踏まえると、個人事業者に対して過度に自己責任で対応を求めるようなことにならないよう、プラットホーム事業者を、含め、発注者に広く周知をお願いしたいといます思います。
 次に、議題2において労働側委員から発言があったとおり、個人事業者に対する健康確保対策は、このガイドラインが全てではなく、今後議論される法改正を含め、総合的に施策を実施していく予定があることについても、周知の際に丁寧に説明をいただきたいと思います。なお、このガイドラインは法改正に先行して実施されるものであることを踏まえ、今後、情勢の変化などがあった場合には必要に応じて見直しを行っていくべきであると考えます。
 最後に、1点確認させていただきたいと思います。前回の分科会でパブリックコメントを実施する旨の説明がありましたが、パブリックコメントにおいて、どのような意見があったか、特に反対の意見があったかどうかについて、ご紹介いただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。
○計画課長 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 経団連の鈴木です。本日提示いただいたガイドラインは、個人事業者等の健康確保に向けて関係者が取り組むべき事項を具体化したものであり、昨年10月の検討会報告書、それから、前回の当分科会における議論も適切に反映されたものと受け止めております。労働側委員からも御指摘がありましたとおり、ガイドラインの内容をどのように徹底、周知していくかが大変重要だと思っております。先ほど、国の取組についても御説明がありましたが、個人事業者だけでなく、注文者、それから、業種・職種別団体等の関係者にあらゆる機会を通じてガイドラインの情報提供をいただくようお願いするとともに、経団連といたしましても、会員企業にしっかりと周知・広報してまいりたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほか、会場はいかがですか。
○計画課長 増田委員、お願いいたします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。ちょっと確認をさせてください。資料3-1の8ページの4つ目の●に注文者等が一般消費者である場合についても、その注文や干渉が個人事業者等の健康に影響を及ぼす可能性があることに変わりはないというくだりがあります。これは検討会の議論を踏まえて報告書に記載されたものであると承知しておりますが、これは健康影響についての一般論として記載して啓発を促すという趣旨でしょうか、それとも、一般消費者に対して、今後、個人事業者等の安全と健康について具体的に責任を求めるという趣旨でしょうか。後者の場合、一般消費者に、いわば安全配慮義務を求めるその根拠となる法令等が何になるのか確認させていただけたらと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ここまでで事務局から回答をお願いいたします。
○産業保健支援室長 コメントありがとうございます。まず、中村委員からの御指摘についてですが、就業する地域への取組という部分を踏まえて、連携や周知、働きかけをどう行って行いくかと御質問、御意見がありました。厚生労働省には都道府県労働局があり、各々の都道府県労働局では、都道府県と連携する体制や枠組みがあります。まずは、こういったところを活用し、的確に個人事業者等の皆さんの健康確保についての重要性について御理解を頂いて、また、都道府県が中心となって、関係する団体等、関係する皆さんに周知をお願いしていくということになろうかと思います。
 山脇委員から、周知についてコメントがありました。まだ、労働安全衛生法における個人事業者等の位置づけが整理がなされていない状況であり、自主的な取組として個人事業者等の健康確保を進めていただくというところですので、まずは、都道府県労働局、労働基準監督署、また、厚生労働省のホームページを中心にして、働きかけ、情報提供をしっかり行って行いきたいと考えております考えており。特に、その中でも、プラットフォーマーに関係する団体等の皆さん、発注的な立場にある事業者の方あるいは機関の方といったところには、取りこぼしがないようにしっかり周知をしていきたいと考えております。
 また、健康管理ガイドラインの内容のみならず、個人事業者等の皆さんの安全衛生対策について丁寧に周知を進めるようにという部分ですが、現時点でできる部分は、健康管理ガイドラインに関する部分が主体になっております。まずは、そこをしっかりと丁寧に周知をしていきたいと考えて考えおります。今後、個人事業者等に係る法律の枠組み等々の検討の中で、健康管理ガイドラインの見直すべき点、あるいは改善を図っていくべき点等々が見えてくるかと思いますので、そういったことを踏まえて、適宜見直しを考えないといけないと考えております。
 パブリックコメントの状況ですが、大きく分けて3つのタイプの御意見を頂いております。1つ目が細かい文言、いわゆる定義的な内容ですが、言葉使い、あるいは言葉の範疇についてになります。2つ目として、健康管理ガイドラインによる推奨というのではなく、しっかりと法律に位置付けて法律で規制すべきではないかという御指摘がありました。こちらについては、今後、個人事業者等に係る法律の枠組みにおける位置付け等の検討がなされる中で御検討いただくことと思います。最後3つ目に、これは安全衛生の世界を超えて、例えば、費用に係る税制上の取扱に関連する内容など、安全衛生とは直接関係がない御指摘や御意見を頂戴しております。以上がパブリックコメントの概況です。
 鈴木委員から、周知についての御意見と御指摘を頂戴しております。先ほど申し上げたとおり、都道府県労働局、労働基準監督署、また、厚生労働省のホームページを通じて情報提供をしっ行うとともに、特に、注文者の立場になる事業者あるいは機関の方、あとは個人事業者等の方が関係する団体等へしっかり周知を徹底してまいりたいと考えております。
 増田委員から、一般消費者に関する御指摘と御質問がありました。これについては、いわゆる理念ということであり、現段階においては、必ずしも、いわゆる安全配慮義務的なことまでを求めるものではないというところです。
 なお、中村委員から、御要望として個人事業者等の災害の把握について御指摘がありました。これについては、ご要望として、しっかりと受け止めてまいりたいと思います。
○髙田分科会長 よろしいでしょうか、ただいまの御回答について、中村委員、山脇委員、鈴木委員、増田委員から、何かありますか。
○計画課長 特にないようです。
○髙田分科会長 オンラインの委員の書き込みに移ります。まず、宮内委員、御質問があるということですので、お願いいたします。
○宮内委員 質問というか意見です。大変素晴らしいガイドラインができて喜ばしいと思っております。この中で、一般的な話になるのですが、規則、保護規則等を基にして作られている、構成されているということです。例えば、資料3-1の13ページ、注文者等が実施する事項の5番で、「作業場所を特定する場合における適切な作業環境の確保」というのがあるわけですが、確かに一般的な規則、通達等でこういうことがいわれていて、大変大事なことだと思います。ただ、個人事業者の特性からいいますと、これから例えば、遠隔で仕事ができるとか、テレワークみたいな仕事として非常に重要で、ますます活用して、個人事業者が増えるということを考えますと、例えば、高齢者や障害を持った人たちが、こういう仕事が個人としてできるようになれば活用されると思うのです。そういう中でこのガイドラインが大事になると私は思いました。
 せっかくですので、高齢者や障害に対する配慮みたいなことの1文をどこかに入れられたらどうかと。例えば、作業環境についても、代表的な話しか書いていませんが、もう少し細かく発注者がそういうことに配慮いただきたいということを書いていただくと、長い目で見たときに非常に役立つのではないかと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、新屋敷委員、お願いいたします。
○新屋敷委員 今さらになって申し訳ないのですが、資料3-1の9ページの(1)に「就業時間」という言葉が多分入っていたかと思いますが、こちらの就業時間という言葉と、12ページの健康診断の受診に要する費用等の配慮に関する一般健康診断の受診に要する費用の中で、「作業時間」という言葉が使われていますが、項目が違うので、統一する必要ないという御判断ではないかと思ったのですが、この就業時間と作業時間の関係性がまだよく理解できていなかったため、もし事務局のほうでお考えがありましたら教えていただければと思いました。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、及川委員、お願いします。
○及川委員 資料3-2を作っていただいて、国の取組について明示していただきましてありがとうございます。下の黒ポツの2つについてですが、個人事業者の安全衛生向上に関する取組を業種・職種別にということで書いていただきまして、ありがとうございます。地域の中の中小企業には、発注する側もありますし、同じ発注者であり、なおかつ受注でもあると。受注する事業者であっても、また発注する立場でもあると。そういうことで、是非、こういった働き掛けの取組を御支援いただく場合には、しっかり細かく見ていただければ有り難いと思っています。
 あとこういった取組をする場合、弁護士さんや士業の方がよく知っていることもありますので、必要に応じてこういった士業の方、地域にいらっしゃる面的な感じで是非支援をしていただければと思っております。
 2ポツの「業界団体等の形成を促すための取組を進めることとする」としっかり書いていただきまして、大変有り難く思っております。この場合のきっちりとした一般社団とか財団とかそういうことだけではなく、本当に協議会的な任意組織でまず進めていただくことが効果的だと思いますので、是非、ライトな団体でスタートしていただいて、まず団体がない業界についてしっかり組織化することが重要だと考えております。優良な取組というのは、特に中小企業にとってはベストプラクティス、どういうふうに取り組んでいるのかというのは大変参考になって有り難いと思っています。表彰するだけにとどまらず、そういったベストプラクティスを行って、それを水平展開していくことが重要です。各地に展開していくという意味で、この表彰だけにとどまらず、是非、その先で望ましい取組を周知していくというところまで御支援いただきますようお願い申し上げます。全国中央会としても、3万の中小企業組合、業種別の組合がありますので、しっかりガイドラインについて、個人の事業者の健康管理に向けて広報してまいりたいと思っております。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。ただいまの3名の委員の御発言について、事務局から御回答をお願いします。
○産業保健支援室長 宮内委員から御指摘がありました、高齢者、障害者の方にもしっかり対応できるように明示的に記載すべきではないかという御指摘を賜っております。高齢者の方、障害者の方である個人事業者のの健康確保が重要であることについては御指摘のとおりです。
 ただ一方で、今回、個人事業者等の健康管理ガイドラインという形で基本的な事項を整理させていただいていますので、なかなか本文に記載というのは難しいかと考えております。一方、この部分の重要性については御指摘のとおりですので、今後、周知を行うに当たって、十分に今の御指摘を踏まえ、周知を徹底してまいりたいと考えております。
 団体形成に関する御指摘がありましたが、先に、そちらのほうをお答えさせていただきます。こういった個人事業者等と関係する皆さんの団体形成を図られる際には、厚生労働省として、できる限りの支援、あるいは働きかけかなどをさせていただきたいと考えております。また、団体が任意の団体であるか、あるいは一般社団法人であるかなど、特に要件を問いません。個人事業者等の方のニーズに合う形で団体化、グループ化が図られると思いますので、そういったところをしっかり支援していきたいと考えております。
 また、ベストプラクティスや表彰についての御指摘がありましたが、今後、個人事業者等における法律の枠組み等の検討が進んでいく中で、改めて整理していく必要があると考えております。
○主任中央労働衛生専門官 続きまして、新屋敷委員から御指摘がありました就業時間と作業時間の使い分けの部分です。このガイドラインを通じて、基本的には個人事業者等の方が働かれる時間については、全体を通じて就業時間という表現を使っておりますが、御指摘があった12ページの一般健診の費用負担のベースを計る際の時間については、この部分は作業時間という言い方をしています。これはなぜかといいますと、この部分を就業時間と書きますと、現に個人事業者の方が働いた時間を把握、管理すべきと見えてしまうと、これは労働者性の議論とかも出てきてしまうので、ここで言いたいのは、実際その仕事が生み出す作業のボリュームという観点で40時間程度を書かせていただいておりますので、こちらではあえて作業時間が40時間という言い方をしております。どちらも決定的な違いがあるかといいますと、そうではなくて、実際、個人事業者の方が作業なり、就業なりする時間であることには変わりはないのですが、書いてある場所で何を表わすかということで使い分けをさせていただいた次第です。
○髙田分科会長 ただいまの事務局からの回答について、宮内委員、新屋敷委員、及川委員から何かありますか。
○宮内委員 特にありません。
○及川委員 特に結構です。
○新屋敷委員 ありがとうございます。
○髙田分科会長 それでは、会場のほうに戻りまして、会場の委員で御発言はありますか。
○増田委員 度々すみません、今回、私は参加できるのが最後ですので、もう一言だけ追加させていただけたらと思います。以前の分科会でも申し上げたと思いますが、既存の法令との整合性という観点で是非チェックをしていただければと思っております。報告書の議論のときにも申し上げたと思いますが、一般の労働者にすら実施していない内容のことが出てきて、少し面食らった記憶があります。資料3-1の2ページに書かれている原則があったかと思います。労働者であるか否かに関わらず、労働者と同じ安全衛生水準を享受すべきと。これが基本的な考え方であるのであれば、今回の個人事業者等だけ実施するものがあるというのは、本来おかしくて、それであれば、労働者全般に対する安全衛生の取組の向上という観点で議論していくべきものかと思っていますので、その点を申し上げさせていただけたらと思いました。
 もう一点、12ページ、一般健康診断の受診に要する費用の所で、今回追加されている、「又は注文後において」という所ですが、注文する「際」の場合は、前後が入っていると思いますので、あえてここに「注文後において」を追加された趣旨を御確認させていただけたらと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。そのほか会場ではありますか。
○計画課長 天沼委員、お願いいたします。
○天沼委員 私も意見ということですが、個人事業主に対する安全衛生とか、健康確保についてというのは、従来の枠組みといった所にいろいろな課題がありますので、それぞれ1歩踏み込んだ取組が必要だろうと思っています。今回、健康確保に関して、注文者等が一般消費者である場合についての考え方が示されたということについては、あり方検討会の報告書にも、国は個人や一般消費者に対して、意識啓発を図るということで、今回、ガイドラインということで基本的な考え方が記されたことがまずスタートだと思っております。実際、これを個人や一般消費者に伝えていく取組が重要かと思っています。今後の取組かと思いますが、いろいろな場面を通じて理解を深めていく。国としての取組も引き続きお願いしたいということで、こちらは意見ですが、よろしくお願いします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかにありますか。
○計画課長 ほか追加はありません。
○髙田分科会長 そうしましたら、増田委員と天沼委員の御意見について、事務局から回答はありますか。
○主任中央労働衛生専門官 御質問ありがとうございます。まず、増田委員から、1点目御指摘がありました既存の労働安全衛生関係法令との整合性という部分は、過去にも御指摘を頂いておりました。これは検討するに当たりましては、我々としてもそういう視点を持ってやらせていただきました。ただ、比較対象となる法令の枠組みが、個人事業者は事業者である側面と、あとは作業者、いわば労働者的な側面の両方を有しているのではないかということに着目して、労働安全衛生関係法令でいえば、労使関係、事業者と労働者の間に整備されているもの。あとは注文者と請負人、BtoB、ビジネス同士の間で規定されているようなもの、その両方を踏まえてやる必要があるのかということで整理をさせていただいております。
 その観点で言いますと、何か労使関係、若しくは注文者と請負人の関係で、今回の個人事業者等だけで、何か飛び抜けて、特別の措置をこのガイドラインや検討会報告書で議論している、定めているということはありません。もし、そういうふうに見えている部分があれば御指摘いただければ、検討の経緯を含めて丁寧に御説明させていただきたいと思います。
○産業保健支援室長 続きまして、増田委員から、注文後の文言を追加した理由についてのお尋ねの部分ですが、いろいろな方の御意見を踏まえて、より分かりやすい表記をすべきではないかと考えております。「注文した際」の「際」を辞書で調べますと、「時」、「場合」、「機会」といった解説がなされております。こういったことから、「注文した際」に「注文後」を明示することによりまして、対象者を漏れなく漏しっかりお伝えできるのではないかということから、今回追記をさせていただいております。
 また、天沼委員から御指摘いただいた部分については、御指摘のとおり、意識啓発を含めて進められるよう周知を取り組んでまいりたいと思います。
○髙田分科会長 ただいまの事務局からの回答について、増田委員、天沼委員、何かありますか。
○計画課長 特にないということです。
○髙田分科会長 そのほか会場で御発言を希望される委員はありますか。
○計画課長 特にないようです。
○髙田分科会長 チャットの書き込みも、その後はないということで合っていますか。
○計画課長 はい、ありません。
○髙田分科会長 個人事業者等の健康管理に関するガイドラインについては、基本的な考え方が示された昨年12月以降、委員の皆様には本日まで3回にわたり御議論いただき、様々な御意見等頂きまして、誠にありがとうございました。ガイドラインの内容については、本日までの御議論でおおむね了解が得られているものと思いますので、細かな文言等の記載及び、その公表時期については、分科会長預かりとさせていただくということで、取りまとめとさせていただきたいと思いますが、いかがですか。
                  (異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、そのような方針で進めていきたいと思います。併せて、委員の皆様から御指摘いただいた周知についても、丁寧に進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。それでは、次に議題4、その他としておりますが、ここまでの議題(1)~(3)以外について、何か御発言がありますか。
○計画課長 山脇委員から手が挙がっています。山脇委員お願いします。
○山脇委員 私からは、2点発言させていただきたいと思います。
1つ目は、先ほど鈴木委員から紹介があった、第154回分科会で諮問・答申された労働者死傷病報告等の電子申請の原則義務化に関してです。これは、公布日が令和5年6月上旬、施行日が令和7年1月1日として妥当と答申されたものです。
 しかしながら、つい先日になって、施行日は令和7年1月1日のまま公布されました。第154回分科会では、公布日は6月上旬を予定するものの、事業者の電子申請への対応や、システム改修の準備期間等を考慮の上、施行日を令和7年1月1日とし、約1年半猶予期間を設ける旨の答弁がされています。その趣旨を踏まえると公布が遅れたことに伴い、施行日を変更することも選択肢だったと思いますが、公布日が遅れた背景、および施行日を変更しなかった理由について、見解をお伺いしたいと思います。
 もう1点は、いわゆる防じんマスク通達の廃止に関してです。皆さんの手元に資料がないので分かりづらいかと思いますが、令和5年5月25日に発出された通達において、新たな化学物質管理下における呼吸用保護具の取扱いが示されるとともに、既存の防じんマスク通達が廃止されたものと承知しています。この通達の廃止により、例えば粉じん作業に従事する場合の防じんマスク等の取扱いに何らかの影響がないのかという点を含め、伺いたいと思います。
 なぜ発言をしているかと申しますと、今年3月6日に第10次粉じん障害防止総合対策の一部改定に関する通達が発出されており、その中では、防じんマスク通達の廃止によって、従来の防じんマスク通達に基づく保護具着用管理責任者の選任ができなくなったとして、保護具着用管理責任者とは別に、新たに粉じん作業に特化した粉じん保護具作業管理責任者が選任されることになっています。防じんマスク通達が廃止をされてから10か月が経過したこの段階で、新たに通達を発出した意図を伺いたいのです。昨年5月に発出された呼吸保護具通達が従来の防じんマスク通達と同一の内容を包含するものであれば、3月6日付けの通達の必要性自体に疑義が生じるのではないかと思っています。
 最後に、元々の保護具着用管理責任者については、安衛則、あるいは粉じん則に明確に規定されています。一方、粉じん保護具着用管理責任者については、特段、当分科会においても、じん肺部会においても議論がなく、設定されています。元々規則に規定されていたのであれば、場合によってはこの規則の見直しを行う必要があったのではないかという点も含めて、事務局の考えをお伺いしたいです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局から回答をお願いいたします。
○計画課長 事務局です。1点目の労働者死傷病報告の電子申請の義務化の関係で、昨年の5月に安全衛生分科会で諮問答申をさせていただきました件について、私からお尋ねの件についてお答えいたします。先ほど、山脇委員から御指摘がありましたように、昨年の5月の分科会において公布日については、令和5年6月上旬という形で御説明いたしました。公布については先ほどお話もありましたが、今週の3月18日(月)に公布がされた形になっております。この遅れた理由ですが、省令改正ということで文言の関係の調整、また改正手続の事務作業に時間を要したということで、大変遅くなったということです。この点、我々事務局として、公布までの間、相当の期間が諮問答申のときから空いてしまった点については、まずもってお詫びを申し上げたいと思います。
 また、御指摘がありました公布日の後の施行日の関係ですが、これは昨年の5月時点においては令和7年1月1日ということ。それから、この施行日については現時点においても、我々事務局としては令和7年1月1日ということで考えて作業を進めております。この点については、電子申請によって労働災害の発生状況であったり、その要因というものを容易に電子申請されることによって把握が可能になりますし、また労働災害情報の分析機能の強化、分析結果の効果的な周知といったことも迅速に行われるという改正の内容になっております。
 また、第14次の労働災害防止計画においても、死傷病報告等の電子申請を進めていくことを行うともされていることから、我々としてはこうした電子申請の関係については遅滞なく実施をしていきたいということで、施行時期については引き続き令和7年1月1日とさせていただきたいと考えております。
 他方で、先ほど申し上げましたように、公布が遅れたということがありますので、周知、広報については、我々としてその遅れを取り返すための対応をしっかり行わせていただきたいとは思っております。まず、今週の月曜日に公布された同じ3月18日ですが、安全衛生分野における電子申請の推進全般についての周知のリーフレットを策定し、厚生労働省のホームページに掲載をさせていただいております。また、併せて旧Twitter、XなどのSNSも活用して、こうした電子申請の内容等についても周知を行っているところです。いずれにしても、公布日が遅れたということについてはお詫びを申し上げるとともに、我々としてしっかりとその内容の周知、広報活動については、できる限り、あらゆる手段を使ってでも周知を進めて、遅れを取り戻して、周知をしっかりやっていきたいと思っております。1点目については以上です。2点目は、対策課からお願いします。
○労働衛生課長 衛生課長の松岡です。先ほど頂きました第10次粉じん障害防止総合対策通達の改正についてです。粉じん作業における保護具着用管理責任者の作業場ごとの選任については、廃止されている通達を引用しているというような技術的な問題に加え、新マスク通達の解釈が分かりにくく、従来と取扱いが変わったのではないかという誤解が多いということが、私どもの所に複数回疑義照会があり、そのようなことを認識しております。そういったことから、作業場ごとに選任するという新マスク通達の趣旨をより明確にするために、入念的に第10次粉じん障害防止総合対策通達を開始させていただいたところです。通達の改正によって、より分かりやすくなったのではないかと、私どもは思っております。以上です。
○髙田分科会長 ただいまの御回答について、山脇委員、いかがでしょうか。
○山脇委員 ありがとうございます。1点目は、承知しました。是非、残された期間で、丁寧な周知をよろしくお願いします。
 2点目については、改めて伺います。1つは、新たな粉じん保護具着用管理責任者を設定するということについては、規則の改正に当たる可能性があるのではないかという指摘について答えいただきたいと思います。もう1点は、先ほどの回答を踏まえての発言となります。この間疑義が生じていることから改正に至ったということは分かりました。しかし、10か月経過しているとなると、いわゆる防じんマスク通達がなくなったことで保護具着用管理責任者を選任をしなくてもいいのではないかと誤解してしまっている事業者が発生していなかったのかという心配があります。この間、本当にこのような事象がなかったのか、不必要に粉じんを吸ってしまうような労働者が出ていなかったのかという点についてお答えいただきたいと思います。
○髙田分科会長 事務局、お願いいたします。
○労働衛生課長 すみません、もう一度私のほうでもきちんと確認はしないといけないと思いますが、私のうろ覚えの解釈で、すみません。粉じんの保護具の責任者に関しては、通達レベルであったやに私は記憶しており、法令には位置付けられていないものではないかと私は考えております。そうした意味では、今回の通達の改定でよかったのではないかというようなことです。
 それから、この間、10か月の間、選任していなかったのではないかということですが、今までずっと作業場でやっていただいていたことをわざわざ外しにいくというのは、なかなか私どもも想像はしていないのですが、もしそのようなことがあってはいけないので、私どもは今までと変わらないのだということを改めてきちんと周知していきたいと思っております。
○髙田分科会長 山脇委員、いかがでしょうか。
○山脇委員 通達レベルではなく、粉じん則に保護具着用管理責任者という言葉が出てきますので、私はこれは通達ではなく規則だと理解をしています。確認の上、次回御報告をお願いしたいと思います。
○髙田分科会長 では、事務局のほうで1度精査して、回答していただく形でよろしいでしょうか。
○労働衛生課長 そうさせていただければ有り難く思います。
○髙田分科会長 では、山脇委員、そのような形でお時間を頂いて申し訳ございませんが、よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。そうしましたら、次は出口委員でしょうか。
○計画課長 出口委員、お願いいたします。
○出口委員 御指名いただきありがとうございます。前回の分科会にて、4月から一部施行されます化学物質の自律的管理の詳細部分については、次回の分科会までに別途協議させていただきたい旨を要望いたしました。これらについては、今月15日に陳情という形で場を設けていただき、感謝しております。本日は、建設業及び他産業が施行後に、国や行政に強く要請し、是非実施していただきたい項目を建設的にまとめましたので、発言させていただきます。
 環境が整っていない状況下でも施行されることから、今後の全産業、事業者、労働者等のためにも必須であり、早急に検討して実施していただきたいと考えております。項目は4項目となります。1点目が、SDS等の横断的なデータベース化及びSDSの作成ツールも併せて検討を実施するように要請いたします。4月からの働き方改革等により、労働時間の制限等も掛かります。これらのデータベース化により、常に最新の情報を入手し、SDSの作成や法令改正等の円滑な対応が可能となります。また、メーカーによるSDSの精度が統一化でき、事業者、労働者等は最新のSDSの情報が迅速にリスクアセスメントへ移行、反映された情報を基に安全衛生の向上が図れます。しかし、これらの検討には時間を要するため、データベース化の遅れで事業者や労働者等の負担を軽減するためには、少しでも早くメーカーによるSDSの記載事項の精度差をなくす、SDS作成ツール等を作成して、展開していただくことをお願いいたします。
 2点目は、SDSの発行、記載に関する指導及び今後の継続した確認、評価、報告を要請いたします。リスクアセスメント対象物質等のSDSの発行率が全く上昇しなかった点については、これまでの指導方法に問題があるとして、再度指導方法を検討していただき、100%の発行を目標としてSDSの次の4項目。1つ、使用されている皮膚等障害、化学物質名。2つ、使用されている濃度基準値、設定物質名。3つ、使用されているがん原性物質名。4つ、使用されているリスクアセスメント対象物質名。特に取扱事業者が一覧表と照らし合わせて調べなければ、法令対象物質が分からないようなことがないように、指導を徹底していただき、製造販売メーカーの責任で記載の法令内容が4月1日より正しく実施されるように指導するだけではなく、どの程度記載されているかの経過を確認、評価及び定期的な報告を分科会等でお願いいたします。
 3点目は、国産保護手袋メーカーに対して、国、行政として、安価で耐透過性等の優れた製品の開発、指導、支援を要請いたします。公表されました皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアルでは、現存する国内メーカーの化学防護手袋の適正な選定が難しいものも多く、また混合物を取り扱う産業では選定に時間が掛かり、結局は適正な化学防護手袋が選定できない状況となる作業もあります。また、製造業等の使用状況にメーカー側が、年間の生産量の対応を考慮しなければならず、莫大な費用及び産業廃棄物等の環境問題にも影響が及びます。是非、国、行政として、安価で安定的に供給できる耐透過性等の優れた製品の開発、指導、支援をお願いいたします。
 4点目は、皮膚等障害防止保護具の交換頻度検証のための簡易測定の導入を要請いたします。建設業だけではなく、特に製造業、自動車産業からは、情報、意見交換時に、今回の施行によって甚大な問題が発生することが分かっております。その中で、自動車産業が前向きに検討し進めていかれる姿勢はすばらしく、頭が下がる思いでした。この場で詳細なことはお話いたしませんが、既にどのような問題が発生するのか、幾度となく厚労省様には資料等を提出されていると聞いております。この点については、真摯に御対応いただきたいと思います。
 その中で、事業者にて実施可能な簡易測定方法を確立するために、導入支援をお願いいたします。企業が簡易測定を実施するに当たり、信ぴょう性が問題だと検討会等でも発言がありました。今後増え続けていく化学物質の自律的管理を事業者に課すわけですから、信頼できない、信ぴょう性がないとおっしゃるならば、元々、自律的管理などせずに、国、行政が今までどおりに管理していただければよいのではないかと考えている次第です。今後、化学物質による事故、災害をなくし、安全衛生の向上を目指していくならば、必然的な事案となりますので、導入の御検討、支援をよろしくお願いいたします。
 以上4項目が、今後化学物質の自律的管理を進めていく上で必須となる項目です。多種多様な面にも多角的に御検討いただき、事業者や実際に作業に従事する労働者等に負担が掛からないよう、不利益を被らないよう意見を聴取していただき、また御検討いただきながら、安全衛生を柱に生産性、品質、そして環境、費用面等も十分に配慮して、進めていただくようお願い申し上げます。要請する項目は以上の4点となります。お時間を頂戴いたしまして、ありがとうございました。
○髙田分科会長 ただいまの御発言について、事務局から回答がありましたら、お願いいたします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございました。まず直接要請にお答えする前に、既に御案内と思いますが、建設業労働災害防止協会における検討会において、日本建設業団体連合会、全国建設業協会、建設業労働災害防止協会と建設労務安全研究会の代表者により、建設業における化学物質のリスク管理マニュアルというのが合意をされたところです。こちらは、大変意義のある合意ですので、今後建設業界全体として、このマニュアルの推進に努めていただくようにお願いしたいと申し上げます。
 こちらのマニュアルについては、3月19日に説明会が開催され、私も自ら参加して、新たな規制の内容の説明、それから質疑応答にも対応させていただきました。今後とも、厚生労働省としてもこのマニュアルの普及に支援を行ってまいりますので、是非よろしくお願い申し上げます。
 続いて、頂きました4点の要請について、御回答を申し上げます。まず1点目、SDSのデータベース、あるいはその作成ツールということです。まずデータベースについては、こちらも何度かお答えしているとは思いますが、御案内のとおりSDSというのは製品別に混合物について作成をされるということで、当然その内容については事業者が独自に保有する情報に基づいて作成をするということがありますし、営業秘密に該当する情報が含まれているということがあります。このため、SDSというのは、各社において作成する著作物という扱いになっております。御意見のあるように、データベースということになりますと、営業秘密の保護、あるいは著作権管理について大きな影響があるということで、こちらは当然、企業経営上重要な問題、収益に大きく影響する問題であり、国が一方的にこれを決めるということはかなり難しいと考えており、化学メーカーとユーザーの協議をしていただいて、どのようなやり方がよいのかを検討していただく必要があると考えております。
 それから2点目のSDS作成ツールについては、当然、SDSの電子化と標準化というのは必要不可欠と考えておりますので、できる限り標準化して、電子データでSDSが交付できるような仕組みは早期に構築したいと我々も考えておりますので、そちらについては注力してまいります。
 2つ目ですが、SDSの記載に関する指導、それから今後の評価ということです。こちらも御案内だと思いますが、化学物質管理の専門家検討会が別途、明日もあるのですが、こちらでSDSの運用について改善すべき点について、現在検討を行っております。その検討結果を踏まえて、必要な対応を行う予定です。また、現状の、例えば皮膚等障害化学物質などの法令の適用について、SDSに記載してほしいという御要望もありましたが、こちらについてはSDSと既存のものについて直ちに改定するというのが必ずしも簡単ではないということですので、最低限ホームページにそういった内容を掲載するようにお願いをしているところです。同様の内容については、がん原性物質についても要請しており、多くの会社で既にがん原性物質についてはホームページに載せている状況です。
 それから、また別途国が行っている専門家検討会とは別に、メーカーとユーザー団体との協議の場も設けられたと聞いておりますので、その場を通じてSDSの記載内容の改善をユーザー団体からも直接メーカーに流していただきたいと考えております。
 3つ目ですが、手袋メーカーに対する開発指導、支援要請です。こちらについては、様々なチャンネルを通じてメーカーに対し、作業性に優れて合理的な価格の商品の開発については、働きかけてきたところです。それを踏まえて、多層フィルムについては安価なものを開発するような会社も出てきておりますし、引き続きこういったメーカーへの働きかけについては続けてまいりたいと思います。
 4点目は、手袋の性能の簡易測定です。こちらについては、数年前から科学研究補助金などで補助しており、様々な調査研究を行っていただいたところです。しかし、今までのところ専門家の評価では、JISで定める測定方法と同等の精度が担保できていないという厳しい評価を頂いております。当然これで諦めるということではなくて、引き続き労働安全衛生総合研究所と連携して、簡易測定の精度の向上を促進していきたいと考えております。私からは以上です。
○髙田分科会長 出口委員は、ただいまの回答について何かありますか。
○出口委員 御回答ありがとうございます。ただ、SDSの横断的なデータベース化については先ほど回答がありましたが、厚労省様から各団体等へ当初の説明から、団体側からはデータベース化を強く要望をしておりました。また、公布前後に各産業から代表者を選出した検討会等で深く議論されずに、単に困難であるとの回答を受け続けてきました。しかし、建設業が製造業、自動車産業等の意見交換会で、厚労省様からの各団体への御説明された内容で異なる点を確認しています。我々としましては、様々な課題や問題点がありますが、今後の化学物質の自律的管理、また安全衛生の向上のために、是非とも御支援いただき進めてまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 事務局はよろしいでしょうか。鈴木委員から手が挙がっているのですが、それでよろしいでしょうか。
○計画課長 鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 鈴木です。御指名ありがとうございます。ただいまの出口委員の御発言に関連して、一言申し上げたいと思います。化学物質の自律的管理に向けた規制の見直しを巡り、これまでも出口委員より類似にわたる意見、要望の御発言がありました。本日も、事務局からSDSの運用改善について検討していくという一定の御回答も示していただいたところですが、私ども経団連の会員企業からも施行に向けた懸念の声が挙がっております。4月1日からの円滑な施行が可能かどうか、私自身も大きな不安を感じるところです。
 改めて申し上げるまでもありませんが、今回の制度改正は従来の法制度の考え方を180度転換するとともに、化学物質を取り扱う事業者を中心に様々な措置義務を罰則付きで課す重大な内容を含むものだと理解しております。事務局の厚生労働省には、新たな規制が定着、浸透するよう、引き続き丁寧な情報発信と現場に寄り添った御支援をいただきたいと思います。加えて、円滑な施行に向けて必要な対策や制度見直しの御検討を、是非とも私からもお願い申し上げたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ただいまの御発言について、事務局からお願いいたします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。これまで累次の御議論をさせていただいておりますが、当方としても現場での円滑な化学物質対策に向けて、改善可能な余地が多々あるのは認識しております。このような大きな法令改正の場合、施行後一定期間はリーフレットなどを用いて丁寧な指導をすることとしております。今回の改正についても同様の対応をする予定としており、丁寧な指導に努めてまいります。
 特に化学防護手袋、あるいは呼吸用保護具の選定については、難しいということもありますので、特に丁寧な指導を行うように地方労働局には指示しているところです。また、来年度については、化学物質対策をより効率的かつ効果的に実施できるようにするため、今年度策定されました保護手袋の選択マニュアルなども踏まえて、業種や作業に応じて、より具体的にリスクの低減措置を示すマニュアルを業種別に作成することを、引き続き行ってまいります。建設業に限らず、他のものについても行ってまいりますので、そういったことを通じて新たな化学物質規制の普及定着を図っていく予定です。以上です。
○髙田分科会長 鈴木委員、いかがでしょうか。
○鈴木委員 御回答ありがとうございます。御案内のとおり、リスクアセスメントの基となるのがSDSです。必要十分な情報が最新の形で的確にユーザー企業に届けられるような、あるいは、先ほど御指摘もありましたように、適正な化学防護手袋の選定が可能となるような特段の対策を改めてお願いしたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございました。事務局、よろしいでしょうか。そのほか、発言のある委員はいらっしゃいますか。
○計画課長 増田委員から手が挙がっております。
○髙田分科会長 増田委員、お願いいたします。
○増田委員 差し支えなければ、本日で最後ですので、一言御挨拶させていただいてよろしいでしょうか。
○髙田分科会長 是非お願いいたします。
○増田委員 ありがとうございます。増田です。一身上の都合により、転職するとともに、安全衛生分科会の委員を辞任させていただくこととなりました。2017年5月の第103回安全衛生分科会より、使用者代表委員として参加させていただきました。ちょうど、働き方改革関連法案、当時はまだ法案であったと思うのですが、それに伴う産業医・産業保健機能の強化についての議論が始まった頃でした。以降、第13次労働災害防止計画、心身の情報の指針、コロナ禍に伴う安全衛生の全般的な見直し、副業・兼業、事務所則の改正、第14次労働災害防止計画、そして今回の個人事業者等と、様々な課題についての議論に加わらせていただきました。公労使による議論を通じて、私自身も大変勉強になりました。本委員会関係者の皆様、特に若輩者の私を委員に推薦していただいた日本経済団体連合会と、その他の検討会にも招へいしていただいた厚生労働省安全衛生部の皆様に、厚く御礼申し上げます。
 今後は、奇しくも本日までの議論にありました個人事業者としてという形になるのですが、企業の産業医として仕事をしていく予定です。労働衛生分野で活動することには変わりありませんし、健診見直し検討会のほうは継続させていただこうと思っております。今後とも、引き続きよろしくお願いいたします。Hasta la vista! 7年間ありがとうございました。
○髙田分科会長 ありがとうございました。そのほか、御発言はありますか。
○計画課長 特にないようです。
○髙田分科会長 ありがとうございます。これで全ての議題を終了いたしました。本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。本日の分科会は、これにて終了いたします。本日はお忙しい中、ありがとうございました。