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- 2025年5月8日 第55回労働政策審議会 議事録
2025年5月8日 第55回労働政策審議会 議事録
1.日時
令和7年5月8日(木)10:00~12:00
2.場所
厚生労働省省議室(9階)
3.出席者
- 公益代表委員
- ・阿部委員 ・小畑委員 ・中窪委員
・岩村委員 ・玄田委員 ・山本委員
・植村委員 ・髙田委員 - 労働者代表委員
- ・石川委員 ・永島委員 ・堀谷委員
・清水委員 ・成田委員 ・安河内委員
・中川委員 ・則松委員 - 使用者代表委員
- ・内田委員 ・野村委員
・小山田委員 ・藤原委員
・小松委員 ・村上委員 - 事務局
- ・鰐淵厚生労働副大臣 ・堀井人材開発統括官
・田中厚生労働審議官 ・朝川政策統括官(総合政策担当)
・尾崎会計課長 ・河野政策立案総括審議官
・岸本労働基準局長 ・宇野政策統括官付参事官
・山田職業安定局長
・田中雇用環境・均等局長
4.議題
- (1)会長選挙
- (2)令和7年度労働行政関係予算の主要施策について
- (3)分科会及び部会等の審議状況、法案の国会審議状況について
- (4)労働政策基本部会報告書について
- (5)その他
5.議事
議事内容
○宇野政策統括官付参事官 定刻より少し早いのですが、もしよろしければ、皆様お集まりいただきましたので、ただいまから第55回「労働政策審議会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局の政策統括官付参事官の宇野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本年4月27日付で委員改選がありました関係で、会長が決まるまでの間、事務局が議事を進行いたします。
それでは、審議会の開会に際しまして、鰐淵厚生労働副大臣から御挨拶をいただきます。
○鰐淵厚生労働副大臣 皆様、おはようございます。
厚生労働副大臣の鰐淵でございます。
本日は、第55回「労働政策審議会」の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
改めまして、本日は大変お忙しい中、このように御参集賜りまして、心より感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
また、重ねてになりますが、皆様には日頃より、厚生労働行政に対しまして大変お世話になっておりますことを重ねて感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
本日は、第13期「労働政策審議会」の委員の皆様によりまして、初めての会合となります。
今期は、5名の新しい委員をお迎えすることになりました。改めて、このたび御就任いただきました皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。大変ありがとうございます。
さて、政府におきます最重要課題の一つが、皆様御存じのとおり、賃上げでございます。
今期の春季労働交渉では、大手企業を中心に高い水準の回答が相次ぎ、昨年同時期を上回る賃上げ率となっております。
厚生労働省としましても、こうした賃上げの流れを地方や中小企業にも波及させるため、本年1月、2月を中心に、地方版政労使会議を行わせていただきました。地域における賃金引上げの機運醸成に取り組んできたところでございます。
一方、皆様も御存じのとおり、米国の関税措置の動向が賃上げの動きに水を差すことにならないようにする必要があると考えております。
政府としましても、4月25日に「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を取りまとめさせていただきまして、国内産業、経済への影響を把握、分析しつつ、相談体制の整備や、影響を受ける企業への資金繰りをはじめとした支援等の強化に取り組んでいるところでございます。
また、厚生労働省としましても、都道府県の労働局を通じまして情報収集や相談支援に取り組んでおりまして、引き続き、適切に対応してまいりたいと思っております。
労働政策は、その政策立案に当たりましては、現場を熟知されております皆様の参画を得て、議論を深めていくことが大変重要であると考えております。
委員の皆様方におかれましては、本審議会におきまして、幅広い御見識と豊かな経験に基づきまして、活発な御議論をお願いしたいと思っております。
限られた時間ではございますが、どうか最後までよろしくお願い申し上げます。
本日は、改めまして大変ありがとうございます。
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございました。
カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
なお、鰐淵副大臣は、所用のため、しばらくいらっしゃいますが、会議の途中で退出されますので、御了承いただければと思います。
(報道関係者 退室)
○宇野政策統括官付参事官 本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただきます。操作方法に不明な点がある場合は、事務局にお申しつけください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。
御発言の際は、挙手ボタンを押していただき、指名があるまでお待ちください。指名後、ミュートを解除して御発言ください。
機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡ください。
通信遮断などが生じた際には、進行を一時中断とする場合がございますので、御承知おきください。
議事に入ります前に、新たに委員に就任された方を御紹介いたします。
資料1の労働政策審議会委員名簿を御覧ください。
第13期から、新たに就任された委員を御紹介いたします。
まず、公益代表委員のうち、4名が新たに就任されましたので、順に御紹介いたします。
オンライン参加の中央大学経済学部教授の阿部委員です。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○宇野政策統括官付参事官 よろしくお願いします。
続きまして、東京大学名誉教授の岩村委員です。
○岩村委員 岩村でございます。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 弁護士の植村委員です。
○植村委員 植村でございます。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 東京大学社会科学研究所教授の玄田委員です。
○玄田委員 玄田でございます。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 次に、使用者代表委員のうち、1名が新たに就任されましたので、御紹介いたします。
株式会社三菱UFJ銀行特別顧問の小山田委員です。
○小山田委員 小山田です。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 なお、本日、武石委員、山川委員、安藤委員、山中委員、大橋委員、川﨑委員、西周委員、芳井委員は、所用により御欠席となります。
また、田中厚生労働審議官、河野政策立案総括審議官は、他の公務の都合により、途中から出席いたします。
また、労働政策審議会令、運営規程、労働政策審議会分科会等委員名簿を資料とは別にお配りしておりますので、後ほど御覧いただければと思います。オンライン参加の委員の皆様にも同様の資料を事前に御提供しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
それでは、議事に入ります。
まず、第1の議題「会長の選挙」です。
会長につきましては、労働政策審議会令第5条第1項では「公益を代表する委員のうちから、委員が選挙する」となっており、委員の皆様に選んでいただくことになっております。
いかがお取り計らいいたしましょうか。
髙田委員、お願いします。
○髙田委員 髙田でございます。
当分野で大変造詣が深くていらっしゃる岩村委員にお願いすることでいかがでしょうか。
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございます。
ただいま岩村委員に会長をという推薦がありましたが、岩村委員に会長に就任いただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございます。
それでは、岩村委員に会長に就任いただくことといたします。
では、会長席にお移りください。
(岩村委員、会長席へ移動)
○岩村会長 皆様の御推挙によりまして、労働政策審議会の会長を仰せつかることとなりました、岩村でございます。
何分、慣れない仕事でございますので、委員の皆様の御支援と御鞭撻をいただきつつ、また、事務局の皆様の御支援をいただきつつ、努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 それでは、以後の進行につきましては、岩村会長にお願いいたします。
では、お願いいたします。
○岩村会長 それでは、まず、労働政策審議会令第5条第3項によりまして、私から会長代理を指名することとなっております。
会長代理につきましては、本日は御欠席でございますが、山川委員にお願いしたいと存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
では、次の議題に移りたいと存じます。
資料2「令和7年度労働行政関係予算の主要施策について」。
資料3「分科会及び部会等の審議状況について」。
資料4「法案の国会審議状況について」それぞれ事務局から説明をいただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○尾崎会計課長 失礼いたします。会計課長でございます。
では、私から資料2に基づきまして、今年度の労働行政関係予算の主要施策について御説明させていただきます。
まず、こちらの資料でございますが、衆議院、参議院の修正を踏まえて反映したものになってございます。
まず、右下にページ数がございますが、1ページを御覧いただければと思います。
こちらが総括表になってございます。
真ん中が今年度の予算になってございまして「一般会計」につきましては、34兆3064億ということで、対前年度4875億円増ということでございます。
真ん中やや下寄りにございます「労働保険特別会計」でございます。
こちらにつきましては、対前年746億円増の3兆3158億円となってございます。
主な増要素は、教育訓練休暇給付の創設でございます。
その下にございます「子ども・子育て支援特別会計(育児休業等給付勘定)」でございます。
こちらも、出生後休業支援給付なり育児時短就業給付の創設、さらには男性の育児休業の取得率の増加などもございまして、金額が対前年度で1303億円増となってございます。
予算額としては、1兆616億ということでございます。
具体的な内容につきましては、7ページ以降を御覧いただければと思います。
まず、7ページを御覧いただければと思います。
時間の関係もございまして、主なものだけ御紹介させていただければと思います。
7ページの左側、最初の○でございます。
最低賃金も含めました賃金の引上げ支援でございます。
1つ目の矢羽根でございますが、事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた支援ということで、業務改善助成金。
2つ目の矢羽根でございますが、雇用管理制度の導入に加えまして、賃上げにも取り組む事業主の支援ということで、人材確保等支援助成金について、所要の予算を計上しているところでございます。
また、点囲みの部分があると思います。
こちらにつきましては、昨年度、令和6年度の補正予算に計上された事項を載せているところでございまして、業務改善助成金につきましては、昨年度の補正予算でも300億弱の予算を計上しているところでございます。
同じページの右側でございます。
リ・スキリングの関係でございます。
1つ目の矢羽根、教育訓練休暇給付の創設。
2つ目でございますが、キャリア形成やリ・スキリングの取組を促すための相談支援事業の拡充。
3つ目の矢羽根で、団体等検定制度の活用促進。
4つ目の矢羽根でございますが、公的職業訓練のデジタル推進人材の育成支援について、所要の予算を計上しているところでございます。
8ページに進んでいただきまして、真ん中下寄りぐらいからが人材確保の支援の関係でございます。
人材確保支援ということで、1つ目の矢羽根でございますが、ハローワークの人材確保対策コーナーの増設によります医療・介護分野等への就職支援の強化。
1つ飛ばしまして3つ目の矢羽根でございますが、シルバー人材センター等を活用した高齢者の就労による社会参加の促進。
その下でございますが、ハローワークを中心に設置されております外国人雇用サービスコーナーなどを活用しました外国人求職者への就職支援等について、所要の予算を計上しているところでございます。
右側でございます。
障害者や高齢者など、多様な人材の活躍促進等でございます。
障害者雇用関係が1つ目の矢羽根、2つ目の矢羽根になってございまして、ハローワークのマッチング機能の強化とか、いわゆるなかぽつセンターによります就労支援の促進といったものでございます。
3つ目の矢羽根が、就職氷河期世代も含めた中高年齢層に向けた就労支援ということで、ハローワークに専門の窓口を設置するなどの取組を進めていくこととしてございます。
4つ目の矢羽根でございますが、非正規雇用労働者に関する希望する者の正社員転換とか「年収の壁・支援強化パッケージ」などでございます。
こちらの点につきましては、衆議院で修正が加えられてございまして、130万円の壁への対応ということで、キャリアアップ助成金について拡充が行われているところでございます。
参考資料1の89ページにありますので、後ほど御覧いただければと思います。参考資料1の89ページでございます。
そのほか、この分野で言いますと、高齢者の労働災害防止のための環境整備とか、その下でございますが、地域若者サポートステーションによる就労支援などについて、所要の予算を計上しているところでございます。
9ページでございます。
左上でございますが、仕事と育児・介護の両立支援などでございます。
この部分につきましては、予算を大幅に充実させているところでございます。
主な増要因は大きく2つございまして、増要因の1つ目が、1つ目の矢羽根になります。
仕事と育児・介護の両立に向けた業務代替整備とか、柔軟な働き方の導入等を含めた支援ということで、両立支援等助成金を拡充してございます。
具体的には、介護につきましても、業務代替の助成を実施するといったものを盛り込んでいるところでございまして、予算額としては、対前年度で180億円弱程度の増となってございます。
もう一つの大きな増要因が、上から3つ目の矢羽根になってございます。
冒頭も御説明いたしましたが、共働き・共育てを推進するために、出生後休業支援給付とか育児時短就業給付といったものを創設したということでございます。
予算額としては、790億円程度ということでございます。この2つで900~1000億程度の増となっているところでございます。
同じページ、9ページの下のほうになりまして、ハラスメント防止対策ということで、カスタマーハラスメント対策も含めた対策を推進していくことについて、所要の予算を計上してございます。
また、右側でございますが、フリーランスの就業環境の整備、フリーランス・トラブル110番など、相談支援の実施などを行う予算を計上しているところでございます。
そして、その下でございますが、女性の活躍促進ということで、男女間賃金格差の是正に向けたコンサルティングの実施とか、マザーズハローワーク等によります子育て中の女性等に対する就職支援といったものについて、所要の予算を計上しているところでございます。
以上、駆け足となりましたが、今年度の労働行政関係予算の主要施策について御説明させていただきました。
私からは以上になります。
○岸本労働基準局長 続きまして、労働基準局でございます。
資料3及び資料4に基づきまして、労働基準局関係の分科会などにおける主な審議状況について、御報告申し上げます。
資料3の3ページをまず御覧ください。
【労働条件分科会】の1つ目の○でございますが、令和6年の通常国会におきまして成立した事業性融資の推進等に関する法律の附帯決議を受けまして「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」という新しい部会を設置するため、運営規程の改正を行いました。
なお、同部会は、3月に第1回を開催いたしまして、議論を開始しているところでございます。
2つ目の○です。
労働基準局では、働き方改革関連法施行後5年が経過したことを受けまして、労働基準法等の見直しについて検討する労働基準関係法制研究会を開催しておりましたが、本年1月に取りまとまりました報告書について、1月21日に労働条件分科会に報告させていただき、その後、2月28日以降、順次「労働者」の概念、事業、労使コミュニケーション、労働時間法制について議論を行っていただいているところでございます。
1ページめくっていただいて、4ページですが【安全衛生分科会】の関係です。
下から2つ目の○になりますが、安全衛生分科会におきまして、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案について御審議いただき、建議、法案要綱に対する答申をいただきました。
この法案につきましては、詳しくは資料4にございますが、今国会に提出し、4月10日に参議院厚生労働委員会で可決、4月11日に参議院本会議で可決、昨日、衆議院厚生労働委員会で可決いただいたところまで国会審議が進んでいるところでございます。
同じページの一番下の○ですが、労働施策推進法改正案の中に、安全衛生関係の項目として、治療と仕事の両立に関する規定を盛り込むことについて御審議いただきまして、同じく建議、法案要綱に対する答申をいただきました。
こちらの法案については、3月11日に国会に提出いたしたところでございます。
5ページでございますが、一番上の○です。
熱中症の重篤化による死亡災害の防止のため、熱中症のおそれがある作業者の早期発見などの体制整備といった措置を義務づける労働安全衛生規則の一部を改正する省令案についても御審議いただいたところでございます。
各分科会・部会の開催実績は、5ページの下段のとおりでございます。
労働基準局は以上です。
○山田職業安定局長 続きまして、職業安定局です。
資料は、同じ資料の6ページ目からですが、職業安定局所管の分科会における審議状況等について御説明いたします。
まず、6ページの2つ目の○にありますとおり、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱については「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を受けて、令和6年能登半島地震やその後の豪雨により、度重なる被害を受けた能登半島の復旧、及び創造的復興を一層加速するための支援として、在籍型出向を活用し雇用を維持する事業主を支援するための産業雇用安定助成金に「災害特例人材確保支援コース」を新設するとともに、雇用調整助成金に能登半島地震特例と同様の休業支援を行う「能登半島 地震豪雨・半島過疎臨時特例」を創設することといたしました。
こちらについては、令和6年12月17日に施行しております。
3つ目の○にありますとおり、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱については、令和6年雇用保険制度改正において創設された雇用保険被保険者が自発的に教育訓練を受けるために、無給の休暇を取得した場合に、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金について、制度の詳細を定めるものです。
こちらは、令和7年10月1日から施行の予定です。
4つ目の○にあります職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてですが、雇用保険の被保険者以外の者に対し、教育訓練費用と訓練期間中の生活費用を融資するリ・スキリング等教育訓練支援融資事業を創設するものであります。
こちらも同じく、令和7年10月1日からの施行予定になります。
ページをめくっていただきまして、7ページの7つ目と8つ目の○、下のほうですが、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第5項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱について、及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第8項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱については、雇用保険財政の状況を踏まえて、令和7年度の失業等給付費等充当徴収保険率を1000分の1引き下げて、1000分の7とするとともに、令和7年度の育児休業給付費充当徴収保険率を法律上の法則である1000分の5から1000分の1に引き下げ、令和6年度の料率と同様に1000分の4としたものでございます。
いずれも令和7年4月1日から適用しております。
そのほかの省令改正等の課題については、参考資料2-2の別紙1、別紙3、5~6ページ、9~13ページに内容を記載しており、職業安定分科会及び障害者雇用分科会における2024年度目標に係る中間評価については、別紙11に具体的な数値、状況、評価の動向等を記載しており、就職氷河期世代に対する職業安定行政における今後の取組については、別紙14に今後の取組の内容を記載しておりますので、こちらを御参照いただければと思います。
職業安定局関係は以上でございます。
○田中雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局関係部分につきまして御説明させていただきます。
資料は、10ページからになります。
まず、一番上の○ですが、女性活躍のさらなる推進、職場におけるハラスメント防止対策の強化について御議論いただきまして、年末に建議いただき、建議を踏まえた法律案要綱につきましても1月に諮問し、妥当との答申をいただきました。
これを踏まえまして、3月11日に関係法律の改正法案を閣議決定し、国会に提出しております。
現在、衆議院で審議を待っているところでございます。
○の2つ目から4つ目までにつきましては、両立支援等助成金等の助成金につきまして、補正予算、令和7年度予算に対応するための省令案の諮問を行いまして、いずれもおおむね妥当との答申をいただいてございます。
少し飛んでいただきまして、12ページです。
12ページの上の1つ目の○です。
いわゆる年収130万円の壁ですが、手取りの減による働き控えの解消を図るために、被用者保険の移行を促し、壁を意識せず働くことができるよう、賃上げや就業時間の延長などを通じて、労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を令和7年度中から実施することについて報告を行いまして、委員の皆様から御意見を頂戴しております。
続いて、その下の【雇用環境・均等分科会家内労働部会】です。
この部会におきましては、第15次最低工賃新設・改正計画の内容等の報告を行っております。
その下の【雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会】です。
働き方改革関連法における施行5年後の見直し検討規定に基づきまして、同一労働同一賃金の必要な制度見直しにつきまして、議論を開始しております。
続きまして【勤労者生活分科会】です。
令和7年度の住宅ローン控除の要件緩和の延長に伴いまして、財形住宅貯蓄における住宅の床面積要件の改正を行う省令案について諮問し、妥当との答申をいただきました。
13ページ【勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会】です。
特定業種退職金共済制度の財政検証について、取りまとめを行うとともに、中小企業退職金共済制度における令和7年度の付加退職金支給率を諮問し、妥当との答申をいただいております。
説明は以上です。
○堀井人材開発統括官 引き続きまして、人材開発統括官の堀井でございます。
私どもの関連は、14~16ページまで資料にまとめさせていただいておりますが、幾つかかいつまんで御説明させていただきます。
まず、14ページの部分ですが、4つ目の○になります。
こちらにつきましては、2028年技能五輪の国際大会の開催地が日本に決定したということで、これは前回の静岡から21年ぶりの開催が予定されています。このような内容につきまして、日本の愛知県で開催することを御報告させていただいたことでございます。
また、15ページに移っていただきまして、一番上の1つ目の○でございますが、昨年、令和6年に改正法が成立した内容等を踏まえまして、特定技能制度及び育成就労制度の基本方針につきまして、閣議決定された内容について御報告させていただいたものでございます。
そして、同じ資料の3つ目の○になりますが、職業能力開発促進法施行規則の改正ということで、背景としましては、令和6年度の地方分権改革の提案を受けまして、職業訓練指導員試験の実技試験及び学科試験の全部の免除を受けることができるものにつきまして、職業訓練指導員免許の申請時の事務負担の軽減、時間的制約の解消を図るために、改正を行ったという内容でございます。
その下の4つ目の○になりますが、令和6年に新設しました団体等検定につきまして、初めて3団体の認定を行ったことを御報告させていただきました。
5つ目の○でございますが、令和7年度の予算におきまして、人材開発支援助成金の賃金助成額の引上げや、一部コースの支援要件、経費助成率の見直しを行ったことに伴う省令の改正についてでございます。
最後に、16ページでございますが、外国人技能実習制度に関連しまして、監理団体審査部会において、定例的に技能実習制度の監理団体の許可申請について御審議いただいているものでございます。
参考に付けさせていただいておりますのが、分科会等の開催実績でございます。
説明としては以上でございます。
○朝川政策統括官 最後に、総合政策担当です。
17ページ目でございますが、労働政策基本部会におきましては、労働政策の中長期的な課題につきまして、昨年1月から議論を行っておりましたが、資料に記載のとおり、委員・有識者・企業等からのヒアリングを経て、報告書の取りまとめに向けた議論を実施し、本年4月25日に報告書を公表しました。
内容につきましては、次の議題4で御説明申し上げる予定でございます。
よろしくお願いいたします。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見を頂戴したいと存じます。
今回も、一通り委員の皆様からの御意見を伺った後に、事務局からまとめて回答するという形で進めさせていただければと存じます。
それでは、御意見がある方は、御自身の名前の札を立てていただきますよう、お願いいたします。
また、オンラインにて御出席で御意見のある方は、挙手ボタンを押していただければと思います。
それでは、どうぞ。
いかがでしょうか。
それでは、内田委員、どうぞ。
○内田委員 ありがとうございます。
内田でございます。
私からは、資料3の9ページにございます雇用保険二事業の財政運営について発言させていただきます。
コロナ禍における雇用調整助成金の大幅な活用は、約6兆円と聞いておりますが、これによって、その財源である雇用安定資金が枯渇したため、失業給付等の積立金から約2.9兆円を借り入れて対応したところ、このうちの約1兆円を返済控除すると、昨年末に財務大臣と厚労大臣で合意がなされたと承知しております。
加えて、雇用保険二事業の2024年度決算における剰余の2分の1は積立金の返済に充当し、残りを雇用安定資金に積み立てる見込みとなっており、4年度連続の残高ゼロから脱する目途がつくなど、雇用保険財政の再建がようやく始まったと認識しております。
こうした中、米国内での製造業等の雇用創出を目的としたトランプ政権の関税政策によって、我が国の多くの企業業績への影響と雇用情勢の悪化が懸念されております。
政府におかれましては、状況を注視しながら、不測の事態に備えていただきたくお願い申し上げます。有事がいつ訪れるかは予測できないからこそ、雇用安定資金には一定程度の積立てが不可欠と考えます。
コロナ禍における雇調金の効果検証とその在り方の検討と併せて、雇用保険の財政再建に向けた検討を加速されるよう、お願い申し上げます。
私から以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、清水委員からお願いします。
○清水委員 清水でございます。
資料3の3ページと4ページに、労働条件分科会について記載されております。
先ほど報告いただきましたが、それに関わって、意見を申し述べたいと思います。
働き方改革の基となった2017年の時間外労働の上限規制等に関する労使合意においては、「過労死・過労自殺ゼロの実現と、女性や若者、高齢者など、多様な人材が活躍できる社会の構築に不退転の決意で取り組む」として、労使はもとより、社会全体で取組を進めてまいりました。
しかし、依然として雇用形態間の処遇格差や長時間・過重労働、過労死などの問題はいまだに解決していない状況があります。
そうした中、労働条件分科会では、労働基準法の見直し論議が本格的にスタートしております。
労基法は、働く上での最低基準であり、時代や働き方が変わっても、働く者の命と健康、生活時間を守る強行法規の趣旨は不変であると考えるところです。働く者の安心・安全の底上げにつながる見直しを強く求めたいと思います。
また、民間・公務にかかわらず、あらゆる職場で働く上でのルールの遵守の徹底等、法を上回る労働協約、あるいは労使協定を広げていくためには、集団的労使関係の強化が極めて重要であると思います。その中核的な担い手は、労働組合であると考えておるところでございます。
私たちも、組織化や、組織拡大に取り組んでいますが、厚生労働省においても労働組合の活性化に向けた取組の後押しをお願いしたいと思っております。
加えて、働き方改革のさらなる定着や、法令の理解促進に加えて、厚生労働省としてあらゆる機会を捉えて、ワークルール教育の充実・強化をしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、同じく資料3の12ページの1行目から、働き控えの解消に向けた措置について記載がありますが、そのことに関わって意見を申し上げます。
いわゆる年収の130万の壁による働き控えの解消のためのキャリアアップ助成金の拡充について報告がありました。労働者が壁を意識することなく就労できるための施策は必要ではありますが、その財源については、雇用保険会計ではなく、一般会計などを活用すべきであると考えます。
検討に当たっては、社会保険の原理原則等、他の保険者との公平性など、幅広い視点からの検証が必要であり、労政審において十分に議論されることなく実施されることがないように、丁寧に進めていただきたいということを改めて強く申し述べておきたいと思います。
私からの意見は以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、小山田委員、お願いします。
○小山田委員 ありがとうございます。
小山田でございます。
私からは、令和7年度予算について、三点コメントさせていただきたいと思います。
一点目は、予算措置した施策の効果検証を行い、PDCAサイクルを回していただきたいという点です。
経済の好循環に向けて、賃上げが不可欠ですが、そのためには、中小・小規模企業の大幅な生産性向上や、労務費を含む価格転嫁による賃上げ原資の確保が欠かせません。賃上げは長期戦であり、まさに今、その持続力が問われております。企業のたゆまぬ自己変革努力と、賃上げに向けた政府の強力な支援が必要な状況にあります。
本年度予算におきましても、最低賃金・賃金引上げに向けた支援などに330億円の予算が計上されていますが、政府のこれまでの賃上げ支援がどのような効果を上げたのか、課題はどういった点だったのかを明確にした上で、本年度予算の執行に取り組んでいただきたいと思います。
二点目は、労働施策の予算措置における重点の置き方です。
令和7年度予算では、三位一体改革に向けた取組、すなわちリ・スキリング、ジョブ型人事の導入、労働移動の円滑化に、賃上げ支援の5倍近い、約1600億円の予算措置がなされております。
一方で、先ほどお話がございました労働政策基本部会報告書におきましては、人手不足が深刻さを増す地方の中小・小規模企業、特に存続が危ぶまれる社会インフラ維持に必要な産業・職種に焦点を当てた提言がなされております。両者のバランスをどのように取っていくのか、労働政策全体の重点の置き方が問われているように思います。
私見になりますが、成長分野への労働移動もさることながら、今求められているのは、厳しい労働供給制約下にある社会インフラ事業を含む、産業全体の生産性の底上げだと思います。全産業において、AIやロボティクスの活用・自動化、ビッグデータ活用を徹底的に進め、事業そのものの変革、DXを実現しない限り、抜本的な生産性向上はかないません。そのためには、労働政策と産業政策を両輪とする政府一体となった強力な後押しが必要です。
特に労働政策においては、未曽有の労働供給制約社会がまさにこれから日本に到来すると予想されていますが、そうした日本の状況を踏まえた政策の優先順位づけをぜひお願いしたいと思います。
三点目は、二点目とも関連しますが、労働政策のあるべき長期的ビジョンを明確にした上で、そうした長期ビジョンと整合した年度施策、予算措置を推進していただきたいという点です。
そういった意味で、労働政策基本部会報告書は、その出発点として大変意義深いものと評価しております。
長期的な方向性という観点から一つ懸念を持っておりますのが、政府が新たに掲げる、2020年代中に全国加重平均1,500円の達成を目指すという最低賃金目標の現実妥当性です。
日本商工会議所の調査では、政府目標達成に必要な年率7.3%の引上げが行われれば、中小・小規模事業者の2割が休廃業も検討すると回答しております。
基本部会報告書でも、地方の社会インフラ事業所の厳しい経営実態、見通しが示されていましたが、そうした実態を踏まえない最低賃金の引上げは、地方の産業、生活インフラを支える中小・小規模企業者の事業継続を脅かし、地方創生の実現にも支障を来しかねないと危惧しております。改めて日本の置かれた状況や、今後の変化の方向性を踏まえた労働政策の長期ビジョンの明確化と、それを実現する年度施策、予算措置の推進をお願いする次第です。
私からは以上です。
ありがとうございました。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで参加していただいている委員の中から、石川委員と堀谷委員に続けて御発言いただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員 ありがとうございます。
石川です。
私からは、曖昧な雇用で働く者の保護と、外国人労働者の保護の2点について発言させていただきます。
最初に、曖昧な雇用で働く者の保護についてですが、フリーランス法の施行から間もなく半年となる中、先月、法施行後初めて、公正取引委員会が45名の発注事業者に対して是正指導を行いました。
フリーランス、発注事業者ともに法の理解が十分でないことは、政府の調査からも明らかであり、法令や、相談窓口の周知徹底をお願いしたいと思います。
あわせて、曖昧な雇用で働く者の保護強化に向けては、労働者性の判断基準の見直し・拡充も重要です。
今後、労働条件分科会の下に検討会が設置されると聞いていますが、より多くの者が労働者としての保護が受けられるよう、前向きな拡充を図っていただきたいと思います。
また、今国会には、労働安全衛生法等の改正法案が提出されております。労働者以外の就業者を法の適用対象とする改正であり、早期成立に向け、取組を進めていただきたいと思います。加えて、プラットフォーマーに対する規制など、引き続きの検討課題とされたものもあることから、安衛法施行後の状況把握をはじめ、必要な見直しを検討していただきたいと思います。
また、スポットワークについても述べておきたいと思います。
連合が行いました実態調査からは、スポットワークで働く半数もの労働者がトラブルを経験しています。労働条件通知書が交付されていないなど、労働法が遵守されていない実態も明らかになっています。厚生労働省におかれましては、監督指導の強化はもちろんのこと、実態に即した労働者保護に資する適切な法規制の在り方を検討していただきたいと思います。
2つ目に、外国人労働者の保護強化について触れておきます。
先月、育成就労制度の基本方針が閣議決定されました。今後、具体的な制度の詳細部分について検討が進められていくものと思います。改正法の実効性を高める観点、また、ビジネスと人権の観点からも、労働者保護の強化と権利保障などについて、丁寧な議論をお願いしておきたいと思います。
同時に、日本人との同等報酬規定の実効性確保や、外国人育成就労機構の体制強化なども重要であり、予算措置を含め、その実現に向けた取組をお願いしたいと思います。
また、前回も申し上げましたが、今回の法改正で規制強化することによる他の在留資格の労働者へのしわ寄せを懸念しています。今後、外国人労働者が増加していくことを踏まえれば、外国人労働者全体としての保護強化は喫緊の課題であると思います。
雇用する企業の法令遵守徹底に向け、必要な予算確保を含めた監督指導はもちろんのこと、外国人労働者の受入れや、共生を含めた外国人全般について議論を行う審議会などを政府に設け、必要な施策の検討、見直しを行う仕組みが必要だと考えますので、御検討をお願いいたしたいと思います。
私からは以上です。
○岩村会長 では、続けて堀谷委員、どうぞ。
○堀谷委員 堀谷と申します。
私からは、倒産・事業再編時における労働債権、労働者保護の強化に関して意見させていただきたいと思います。
倒産や事業再編時における労働者保護に関して、昨今、M&Aの件数が増加するなど、企業組織の再編が活発化する中、事業所の閉鎖・縮小や企業倒産が後を絶たない現状にございます。
こうした社会情勢を踏まえ、事業性融資推進法の成立を契機に、労働条件分科会組織再編部会が設置され、組織再編に伴う労働者保護の強化に向けた検討がなされることは、時宜を得たものであり、大変有意義であると捉えております。
特に事業譲渡については、法的ルールがないため、雇用の承継や不承継、労働条件をめぐって労使紛争が生じております。EUなど、諸外国の法制度や取組も参考にしつつ、あらゆる組織再編を念頭に置いた労働者保護の法的ルールの整備に向けた前向きな検討をお願いしたいと思います。
また、現在、国会で譲渡担保に関する法案が審議されており、労働債権保護につながる制度も含まれておりますが、倒産時の労働債権保護の実効性に関する課題は残されたままであります。
具体的には、労働債権よりも、担保権や公租公課等が優先されることで、結果として原資が底をつくことが多いため、労働債権の一部を優先させる先取特権を新たな制度として創設する必要があると考えております。
また、未払賃金立替払制度の強化に加え、労働債権の保護や労働者の雇用、労働条件を保護する方策など、厚生労働省におかれましては、具体的な検討に着手いただくようお願いしたいと思っております。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、続けてオンラインの方で、野村委員にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○野村委員 ありがとうございます。
全国中小企業団体中央会の野村でございます。
私からは、令和7年度予算に関して意見を申し上げます。
御承知のように、我が国の中小企業は約336万社で、全体の99.7%を占めており、労働者の約7割を雇用し、地域の雇用の担い手として大きな役割を担っておりますが、その多くが深刻化する人手不足の中で、労務費をはじめとする費用を適切に価格転嫁することができず、賃上げ原資の確保が厳しい状況となっております。
3月に開催されました政労使の意見交換の場におきまして、石破総理は、今後の中小企業や小規模企業の賃上げに向け、政策を総動員する、また、最低賃金については、引上げのための効果的な施策を具体化し、5月をめどに取りまとめるとおっしゃいました。
しかしながら、先ほど説明がありました資料2の令和7年度厚生労働省予算案における重点事項を見ますと、7ページの最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、また、8ページの人材確保支援は、いずれも令和6年度当初予算より減額となっております。この予算規模で支援を必要とする中小企業をカバーし切れるかというと、必ずしも十分とは言えないのではないかと思います。
最低賃金制度を所管される厚生労働省におかれては、率先して中小企業の賃金引上げへの施策の拡充・強化に向け、今後、一層取り組んでいただきますよう、切にお願いいたします。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場から中川委員、永島委員に続けてお願いしたいと思います。
○中川委員 ありがとうございます。
中川です。よろしくお願いいたします。
私からは、本日の議題4、資料5「労働政策基本部会報告書」に関して、意見、要望させていただきます。
今期の基本部会の報告書は、人手不足で人材確保、定着に深刻な影響を受けている中小企業、そして地方に焦点を当てたものだと思っております。
私が暮らす宮崎でも、まさに人手不足が深刻化しております。
3月末の有効求人倍率、全国平均1.26に対しまして、宮崎県は1.29、九州8県におきましても、大分県に次ぐ高さであり、特に医療・福祉の求人が多く、先般、私も2月末に看護学校の労働研修に宮崎県からの派遣で参りましたが、40名全員が県外に就職するといった実態でございます。就職先も、福岡、東京、大阪といった中心部になっています。
そのほか、ホテルでも、調理師不足によりランチ営業ができないとか、ベッドメークなど、人材不足が非常に深刻さを増しておりますが、とくに29人以下、30~99人以下の企業規模での求人が殺到している状況でもございます。
あわせて、離職率も大変高く、労働時間が長いとか、ハローワークの求人情報と実態が違って、そういった労働相談でもトラブルが発生している状況でございます。
人手不足による地方の疲弊、中小企業の苦境がますます深刻化する中、報告書で示された課題をしっかりと受け止めて、着実な解決を図っていくことが大変重要であると実感しています。
報告書では、地方・中小企業での人手不足の課題解決に向けた具体策として、AIの活用や柔軟な働き方の提供が挙げられております。
これらはいずれも大変必要であると思っておりますが、さらに最も重要なのは、地方や中小企業におきまして、若者や女性、高齢者、外国人の方々、全ての働く人に就職先として選ばれるような良質な雇用を提供すること、そして労働者が安心・安全に働くことができる賃金や労働条件、職場環境に向けた改善を置き去りにすることなく進めていただきたいと切に要望するところでございます。
個別の労使間で労働条件を向上させていくことはもちろん、政策面でも、産業政策と労働政策が連携して、産業の育成と安定雇用を確保すること、そして、労務費の適切な価格転嫁も含めて、サプライチェーン全体での付加価値向上と賃金引上げを推進することが大変重要であると思っております。
地方・中小企業の危機感を改めて認識有いただき、産業政策と労働政策が一体となった政策運営などに政府一丸となって取り組んでいただきたいということを強く要望させていただきます。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
続けて、永島委員、どうぞ。
○永島委員 永島でございます。
私からは、働き方改革の柱の一つでありました、同一労働同一賃金の見直し論議についてです。
私たち労働組合は、2020年の同一労働同一賃金の法施行もてこに、雇用形態間格差の是正の取組を強化し、その結果として、連合の2025年の春季生活闘争でも、有期・短時間・契約等、労働者の賃上げは、いわゆる正規雇用の労働者を上回る成果を獲得できている状況でございます。
ただ、依然として、パートだから、有期だからという理由で、賃金や一時金、各種手当などの面で待遇格差があることは事実でございます。
また、同一労働同一賃金の法規定が直接的には適用されず、待遇改善が置き去りになりがちな無期転換労働者の問題や、正規雇用の労働者の賃金の引下げによって同一労働同一賃金に対応しようとする動きなども一部ございます。
同一労働同一賃金の法整備の目的は、労働者がどのような雇用形態や就業形態を選択しても、納得できる待遇を実現することであります。それを達成できているのか、現状を見れば、課題があるのではないかと考えております。
同一労働同一賃金の法規定は、労働組合の待遇改善の取組の後押しにつながるものであるべきではございますが、同時に、労働組合のない職場で雇用形態間の待遇格差の是正を進める上で非常に重要であると考えております。同一労働同一賃金の目的を真に達成できるための法規定はどうあるべきかという視点で議論が深掘りされることを切に要望するものでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインで参加されていらっしゃいます村上委員にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○村上委員 よろしくお願いいたします。
私からは、資料2の9ページ左側にございます「仕事と育児・介護の両立支援、多様な働き方の実現に向けた環境整備、ワーク・ライフ・バランスの促進」に関して発言いたします。
労働力が減少している我が国では、労働者一人一人が能力を存分に発揮し、社会全体で生産性を高め、最大限の成果を出すことが求められております。そのためには、柔軟な働き方を可能とする環境を整備し、労働者の挑戦を後押しすることが必要と考えます。長く働く時代ともなっており、男女の差なく、様々なライフイベントと両立しながら働いていくことが求められてまいります。
当社、ベネッセでも、働き手の裁量を重んじ、コアタイムの定めのないスーパーフレックス制度とか、出社と在宅を組み合わせたハイブリッド勤務等、時間や場所にとらわれない働き方を推進しておるところでございます。
また、今回の資料にはございませんが、そのほかに裁量労働制についても、自律的な働き方を促進し、ウエルビーイングを実現する上で非常に重要な制度であると認識しております。
現在、労働条件分科会で働き方改革関連法の施行5年後の見直しとして、労働時間の制度について、様々な議論が提示されているということでございます。健康を維持・確保しつつ、多様な働き方を実現するという制度の見直しや強化については非常に重要であり、期待しておるところでございます。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、今度は会場から成田委員、則松委員、続けてお願いしたいと思います。
成田委員、よろしくお願いします。
○成田委員 運輸労連の成田と申します。
私からは、資料2の7ページ、9ページにあります人への投資やリ・スキリングを含む能力開発について発言させていただきます。
本年度、教育訓練休暇給付金の創設など、人への投資の一環として、労働者個々人の学び・学び直しを支援する方策の強化が図られていることは、労働側としても大変望ましいと考えています。
他方、厚生労働省の調査によれば、教育訓練休暇や短時間勤務制度、時間外労働免除制度を導入している企業は、それぞれ1割に満たず、導入予定のない企業が8割を超えている現状にあります。
能力開発の促進には、取組が遅れている非正規雇用で働く者を含め、能力開発の機会を提供することはもとより、教育訓練休暇制度の導入や、長時間労働是正による時間の確保が重要であります。引き続き、企業に対する支援の拡充や、給付金が適切に活用されるよう、周知をお願いいたしたいと思います。
最後になりますが、労働者が主体的にリ・スキリングを含む能力開発に取り組むためには、能力開発が処遇向上につながる「能力開発と処遇改善の好循環」を実現することが不可欠です。好循環の実現に向けた政府の支援を検討いただきたいと思います。
以上であります。
○岩村会長 ありがとうございました。
則松委員、どうぞ。
○則松委員 ありがとうございます。
私からは、2点お話しさせていただきたいと思います。
まず、資料3の10ページにあります雇用の分野における女性活躍推進に関わってですが、女性活躍推進法の期限延長に当たり、男女間賃金差異の公表義務を常時雇用する労働者数が101人以上の企業に拡大するとともに、女性管理職比率を新たに公表義務とする改正法案が3月11日に国会に提出されたことは、女性のさらなる活躍推進の観点から意義のあるものだと認識しています。
一方で、日本の男女間賃金差異、女性管理職比率などを諸外国と比較すれば、依然として男女間の格差が大きく、数値の公表のみでは格差の是正にはつながらないと考えています。
厚生労働省におかれましては、全ての企業に対して、男女間格差の要因分析、是正に向けた取組、取り組んだ結果の検証、課題の洗い出しなど、PDCAサイクルを回すとともに、積極的に情報を公表するよう促していただきたいと思います。
また、誰もが持てる能力を発揮し、活躍できる職場環境を実現するため、事業主行動計画策定が義務づけられていない100人以下の企業を含め、全ての企業を支援し、女性活躍推進の取組を加速していただきたいと思います。
2点目ですが、資料2の9ページ、予算のところなどにありますハラスメント、また、分科会の審議状況に関わって発言いたします。
カスタマーハラスメント対策や求職者に対するハラスメント対策の強化を目的とする労働施策総合推進法等の一部を改正する法律案が今次通常国会に提出されています。
ハラスメントは人権侵害であり、行ってはならないものです。労働者が安心・安全に働くためには、職場におけるあらゆるハラスメントの根絶が不可欠です。
そのため、国は、職場においてハラスメントは行ってはならないことを法律に明確に示すとともに、消費者などの権利に配慮しつつ、社会的な合意形成につなげていかなければならないと考えます。
社会における規範意識を醸成するには、カスハラ対策も含めて、中小企業を含む全ての企業が足並みをそろえて一体的に取り組む必要があります。そのため、カスハラ対策においては、必要な経費補助やマニュアル作成など、国による企業への支援が重要になります。
また、カスハラは全ての業種で見られ、その対応は様々であることから、業所管官庁及び消費者庁、警察庁を含めた連携が不可欠であります。厚生労働省主導の下で、連携した対応をぜひともお願いしたいと思います。
加えて、職場におけるあらゆるハラスメントの根絶に向けて、いわゆるSOGIハラ対策の強化をはじめ、現行法で規定されている4種類のハラスメント対策指針などについて、必要な見直しを行うとともに、最近問題視されているスタートアップ業界のハラスメントなども含めて対策を実施する必要があります。
さらに、ILO第190号条約の批准に向けた具体的な検討を進めるべきだと考えています。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、小松委員、お願いいたします。
○小松委員 ありがとうございます。
私からは、多様な人材の活躍推進と職場環境改善に向けた取組について申し上げます。
まず、多様な人材の活躍促進についてですが、賃上げが進む中、いわゆる年収の壁を意識した就業調整が中小企業の人手不足に拍車をかけています。
「年収の壁・支援強化パッケージ」による対策を講じていただいていますが、働く意欲や能力のある女性の活躍推進、中小企業における労働力確保のために、根本的な解決が必要となります。第3号被保険者制度の将来的な解消に向け、早期に国民の合意を得られるよう努めていただきたく、お願い申し上げます。
また、今年度の予算においては、両立支援等助成金の拡充をはじめ、仕事と育児・介護の両立に向けた支援を強化いただき、感謝申し上げます。
一方で、人手不足の中、企業が育児・介護等と両立できる環境整備を進めるためには、マルチタスク化による業務の補完体制の整備や、デジタル化による省力化など、業務プロセスの見直しが必要となります。
政府におかれましては、労働者への金銭的な手当支給等の支援のみならず、こうした業務プロセスの見直し及び多様で柔軟な働き方の導入・拡充に向けた伴走支援を強化いただきますよう、お願い申し上げます。
最後に、外国人材の活躍推進について申し上げます。
育成就労制度の施行を見据えて、現在、各分野での詳細な運用が検討されていると承知しています。技能実習からの移行に際し、受入れ分野、管理の在り方の変更などによって、適正な受入れを行っている事業者や監理団体の円滑な受入れに支障が生じることがないよう、十分な配慮をお願いします。
また、外国人材の受入れ拡大を見据え、企業のみならず、自治体、教育機関も含めた地域全体での受入れを進めることが必要です。
特に自治体直下の国際交流団体の活動は期待でき、当社の位置する東京都の東京つながり創生財団や、大田区の国際都市おおた協会なども、外国人に寄り添った企画・運営が顕著です。
外国人材がより一層活躍できる社会の実現に向け、政府としても支援をお願いします。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、安河内委員、どうぞ。
○安河内委員 安河内でございます。
私からは、業務改善助成金、並びに米国の関税強化策について御発言させていただきたいと思います。
資料は、参考資料1の71ページでございます。
2024年度の地域別の最賃は、全国加重平均で1,055円となりましたが、連合が掲げております「誰もが時給1,000円」にはいまだ到達してございません。人手不足への対応や、生活向上の観点から、まずは一つの通過点として、少なくとも本年度は「誰もが時給1,000円」を達成する必要があると考えています。
その上で、業務改善助成金の活用が非常に重要となってまいります。今後も、最低賃金を継続的に引き上げていくためには、助成金などによる中小企業・小規模事業者の支援策が欠かせないことから、十分な予算確保をお願いいたします。
この間、予算の大半を補正予算で手当てしてきておりますが、しっかりと当初予算で確保すべきであると考えます。
政策効果を高めることも非常に重要でございます。
交付が決定いたしました実績については、昨年度比で5,000件ほど増加しており、当助成金の需要と周知については、これまでより高まっていると推察できますが、一方、効果の検証も必要でございます。とりわけ地域別最低賃金が低位の地域における助成金の活用実態や、助成率の引上げによる影響を把握するため、都道府県別での集計と分析が必要ではないかと考えております。
また、本年10月の地域別最低賃金改定時に大幅な引上げが実現した場合、対象事業所のさらなる拡充の検討と併せて、中小企業などからは、申請書や事業実績報告などに大変な手間と時間がかかるという声もございます。さらなる申請・報告の負担軽減を図っていただきたいと思います。
次に、鰐淵副大臣、あるいは内田委員の御発言でも御指摘がありましたが、米国の関税強化策で影響を受けます中小企業に対しては、国際動向や日本経済の環境変化を踏まえた中小・小規模事業者向けの相談体制の整備や資金繰りの支援など、速やかな支援の拡充が求められております。
さらに、関税強化は国内のあらゆる産業・業種に影響が及びかねないことを踏まえれば、雇用に関する施策も含め、不測の事態に備えた迅速かつ強力な政策面での支援をぜひお願いいたします。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、これで最後としたいと思いますが、藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 ありがとうございます。
私は、清水委員が先ほどお触れになりました年収130万円の壁対策について発言したいと思います。
厚労省からは、壁対策はキャリアアップ助成金の拡充で手当てするという説明がありましたが、この前に年収106万円の壁対策で導入された「社会保険適用時処遇改善コース」は、雇用保険二事業財政が非常に厳しい中で、暫定的な措置として導入されたものであります。それと同じ趣旨のものを今度は130万円の壁に持ってくるということは、本来避けるべき措置であったのではないかと考えております。
130万円の壁対策が決まった暁には、助成金の利用状況などから費用対効果などを検証した上、要件や手続、周知方法などについて、必要な見直しを行い、例えば、所定労働時間の延長に働き手が応じてもらえるよう、働き手の意識改革を促す周知広報に努めていただきたいと思います。
そもそも年収の壁の対策につきましては、働き方に中立な税制、社会保障制度を構築することで解決すべき問題だと考えております。この構築に向けて、私どもも汗をかくつもりでおりますので、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。
その一環といたしまして、週労働時間の要件や第3号被保険者制度の見直しなど、しっかりと進めていただくよう、強くお願いしたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、いただいた御意見につきまして、事務局から御回答いただきたいと思います。簡潔にお願いします。
なお、中川委員が基本部会の報告について御質問されましたが、この後の議題でそれを取り扱いますので、そのときに事務局から回答いただくということにさせていただければと思います。
それでは、基準局長からお願いいたします。
○岸本労働基準局長 まず、労働基準局でございます。
いただいた御意見につきまして、大きく5点まとめさせていただいて、御回答申し上げます。
1点目、労働基準法の見直しや労働組合の意義などについてでございます。
労働基準法に関しては、申すまでもありませんが、労働条件の最低基準を定めたものであるという役割は、今回の見直しに当たっても基本的な視点として持っているところでございます。
本年1月に報告書を取りまとめていただきました労働基準関係法制研究会でも、働く方の心身の健康を守るという視点と、働く方の多様な選択を支えるという視点の両面が重要であるという観点から議論していただきました。
こういった議論を踏まえながら、本年1月から労働条件分科会において、労働基準法の見直しについて議論を始めていただいておりますので、年内目途での取りまとめを目指しておりますが、今後、議論を深めていただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
また、これも申すまでもありませんが、対等な労使関係を構築し、労働条件の改善を図る上で、労働者の団結権、団体行動権、団体交渉権の保障が重要であることは不変でございます。
今後とも、労働組合法の周知など、健全な労使関係の構築に厚労省としても支援してまいりたいと考えております。
それから、ワークルール教育についても御指摘がございました。
漫画形式のハンドブックとか動画版、クイズ形式で労働関係法令について学習することができるスマホアプリなど取り組んでおりまして、若いうちから、学生のうちから労働関係法令の基礎知識を身につけていただけるような取組について、関係省庁とも連携しながら進めてまいりたいと考えております。
それから、賃上げ支援や最低賃金について、幾つか御指摘をいただきました。
まず、最低賃金でございますが、今回の最低賃金の引上げについては、2020年代までに1,500円という高い目標を掲げている中で、政労使の意見交換という場が設けられまして、そこで議論が行われていることが一つ特徴としてございます。
また、それと並行して、5月を目途に、政府として最低賃金引上げのための対応策を取りまとめる予定で、現在、内閣官房を中心に議論が進められております。
こういった状況も踏まえながらでございますが、本年度の最低賃金の引上げについて、最低賃金法に基づいて、公労使三者構成の最低賃金審議会で三要素を考慮して御議論いただき決定すると。
厚労省としては、その枠組みの中で、データに基づく真摯な御議論をいただけるよう、円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。
また、最低賃金引上げについて、特に中小企業の皆様が賃上げしやすい環境整備が重要でございます。
厚労省としては、令和7年度予算において、生産性向上等を支援する各種助成金を「『賃上げ』支援助成金パッケージ」として取りまとめたところでございます。
なお、その金額の総額につきまして、令和7年度当初予算の御説明資料の中で、当初予算額が令和6年度と比してマイナス5億円となっていると御指摘いただきました。
これは、当初予算としてはそのとおりなのでございますが、この項目につきましては、令和6年度の補正予算で業務改善助成金を297億円、生活衛生関係営業の関係でも約6億円を計上しておりまして、令和7年度にも繰り越して使用可能なものですから、令和6年度当初と比べますと大幅に増額を確保しているものでございます。
もちろん、それが補正頼みになっているという御指摘は甘受しておりまして、当初についても増額に努めております。
例えば業務改善助成金では、金額としては、令和7年度当初は15億円ですが、令和6年度と比べますと約1.8倍に伸ばすことを官房の支援も受けて実現したところでございます。
また、政策効果についても御指摘をいただきました。
業務改善助成金について、実績とか対前年度比較を都道府県別に行ってみまして、上位の労働局、下位の労働局を比較し、原因などを聴取して問題点、あるいは好事例といったことを把握して、より実効ある形で業務改善助成金を使っていただけるような取組を今後検討してまいりたいと考えております。
また、申請に関する手続の負担軽減については、電子申請を申請から報告まで一括で可能としておりまして、令和7年度においても、仕入税額控除の報告を電子申請でできるよう、システム改修したところでございます。ぜひ電子申請を使っていただいて、より手軽に使っていただければと思っております。
米国関税への対応ですが、これは労働基準行政のみならず、労働行政全体に関わりますが、4月に政府全体としての緊急対応パッケージが取りまとめられました。労働基準行政としても事業者への相談体制の整備、中堅中小企業をはじめとした関税の影響を受ける企業への支援強化などがパッケージに盛り込まれておりますので、そういった中で情報収集、相談支援など、できることをやってまいりたいと考えております。
大きな3点目として、フリーランスやスポットワークについて御意見をいただきました。
まず、大きく言うと、労働者性が認められるかどうかという問題がこの点はございます。
これについては、本年1月にまとめられました労働基準関係法制研究会報告書でも御指摘いただいておりますが、現在の判断基準ができてから約40年経過しております。
この間、非常に大きな役割を果たしている判断基準であると考えておりますが、時代の変化もございますので、学識経験者の先生方による「労働基準法における『労働者』に関する研究会」を立ち上げまして、今月2日に第1回を開催したところでございます。
今後、同研究会におきまして、裁判例、国際動向などの把握・分析を深め、判断基準の在り方について検討を進めてまいりたいと考えております。
また、労働安全衛生法における今回の改正の中で、今回、労働者でない者を保護対象に取り込むという改正案を国会に提出して、審議いただいておりますが、法案が成立しました暁には、円滑な施行に万全を期してまいりたいと考えております。
また、いわゆるプラットフォーマーと言われる存在は、中身を見ますと、仕事のマッチングのみを行っているプラットフォーマー、あるいは自らが注文者の立場に立つプラットフォーマー、場合によって、アプリを通じた業務遂行に関する様々な推奨が労働基準法の指揮命令を行っていると解されるような場合もあり得るといった多面的な観点から、現行法令との関係を整理する必要があると考えております。労働安全衛生法の改正が成立した場合には、その施行にも関わってまいりますので、施行状況をよく見てまいりたいと考えております。
スポットワークにつきましては、基本的には短期の雇用に関する職業紹介を行っているビジネスモデルであるというのが基本であると考えております。ですので、プラットフォーマーから紹介されて雇った方が労働基準法の使用者としての責任を負うという形態であります。そこがしっかりと守られることがまずは重要であると考えておりまして、労働局や労働基準監督署におきまして労働者等からの相談対応、また、事業所に対する監督指導を行っているところでございます。
大きな4点目、組織再編に関する御議論がございました。
事業再編時の労働者保護は、重要な課題でございます。
事業性融資推進法の成立により、企業価値担保権が創設されたことを踏まえまして、本年3月に組織再編部会という新しい部会を立ち上げさせていただいたところでございます。引き続き、金融庁などとも連携しながら、まずは事業譲渡等指針の必要な見直し、加えて、事業再編に伴う労働者保護に関する諸問題について御議論をお願いしたいと考えております。
また、譲渡担保法案ですが、これについては、労働者など、一般債権者への弁済原資の確保のための規定があるなど、倒産時の労働債権の保護の一定の措置について配慮がなされている内容になっていると認識しておりますが、労働債権と各種債権等の優先順位については、各種債権の性格なども踏まえた広範な検討が必要であると考えております。
労働債権の保護の必要性・重要性の認識は、この間、法務省とも共有しながら議論させていただいておりまして、厚労省としては、賃金支払いなどが確保されるよう、労基法の履行確保、未払賃金立替払制度の円滑な運営に引き続き取り組みますとともに、法案が成立した場合には、労働問題の総合相談窓口において、新たな制度の趣旨・内容について周知を図ってまいりたいと考えております。
最後に、柔軟な働き方を可能とする環境整備や労働時間制度について御意見をいただきました。
労働条件分科会では、御指摘のとおり、働き方改革関連法の施行後5年が経過したことを受けて、労働基準関係法制の課題について議論を開始しているところでございます。
その中では、先ほどと重複いたしますが、働く人の心身の健康を守るという観点と、働く方の多様な選択を支えるという観点の両面が大事だという認識に立ちながら議論を進めてまいりたいと思います。
現在「労働者」の概念や、事業、労使コミュニケーション、労働時間法制の具体的課題をはじめとして、労働基準関係法制の課題について、幅広い議論を労働条件分科会で開始したところでございまして、引き続き議論を深めていただけるよう、事務局としても取り組んでまいりたいと思います。
長くなりましたが、以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、職業安定局長、よろしくお願いいたします。
○山田職業安定局長 最初に、内田委員からいただいたコロナ禍における雇調金の効果検証、雇用保険の財政再建に向けた検討についてですが、コロナ禍における雇用調整助成金等の特例措置による失業等給付の積立金から雇用保険二事業への借入金額については、委員が御指摘のとおり、令和7年度予算編成過程における大臣折衝によって、1兆円の控除は行ったものの、依然として借入額としては1.5兆円あり、雇用保険財政自体が厳しい状況にあるものだと認識しております。
令和6年度決算における雇用保険二事業の剰余の2分の1は、雇用安定資金に組み入れることで残高ゼロ円という状況を脱することにはなりますが、引き続き、雇用保険二事業が果たすべき役割をきちんと果たせるように、安定的な財政運営に努めてまいりたいと思います。
そもそもこういう事態に陥った原因である雇用調整助成金のコロナ禍の特例措置については、JILPTにおいての効果検証を行っているところでありますが、近日中に、その速報版の結果が公表される予定となっております。当該検証結果も踏まえて、労使の皆様の御意見を伺いながら、雇用調整助成金の在り方について検討を進めてまいりたいと思います。
同じく、内田委員から、この話の流れの中で、米国のトランプ政権の関税政策における雇用情勢の悪化の懸念について言及がありました。
これは先ほど基準局長からも話がありましたが、4月25日金曜日に、政府としての米国関税措置に関する総合対策本部において決定された「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を踏まえて、都道府県労働局長に対して、米国関税措置に係る雇用維持策に関する相談や支援について指示をしたところであります。
引き続き、都道府県労働局において、当該指示を踏まえて、米国関税措置に伴う労働市場への影響を適切に把握するとともに、状況に応じて丁寧な相談支援を行うなど、適切な対応を実施してまいりたいと思います。
米国の関税措置に伴う労働市場への影響を適切に把握する中で、仮に雇用への影響が見られた場合には、その状況に応じて、雇用維持への支援の取組について、必要な対応をタイミングを失することのないように、迅速に実施してまいりたいと思います。
こうした有事に対する対応も踏まえれば、冒頭に触れました雇用保険財政を盤石なものにする必要は強く意識しなければと思います。
それから、石川委員からございましたが、外国人労働者の保護の強化についてですが、厚生労働省では、労働施策総合推進法に基づいて外国人雇用管理指針を策定しているところでありますが、法令上の義務として遵守すべき事項や、雇用管理改善に努めるべき事項などを定め、ハローワークにおいて、事業主に対して必要な助言・指導を行っておるところであります。
介護人材の受入れや共生を含めた外国人全般に関する施策については、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づき、関係機関が連携して共生社会基盤強化・基盤整備に向けた取組を行うこととしております。引き続き、関係省庁と連携しつつ、必要な施策の検討、見直しに取り組んでまいりたいと思います。
それから、野村委員からお話があった、人材確保支援の予算が令和6年度当初予算よりも減額になっているということで、業務改善助成金については基準局長から説明がありましたが、人材確保支援に係る予算額が令和6年度に比して減額となっているのは、事業主の人材確保を支援する助成金については、令和7年度から制度拡充をしているところでありますが、この助成金の特性として、申請から支給までの一定期間を要することになることから、予算に反映されるのが令和8年度以降となるということが主な理由であります。
この助成金の制度拡張の内容は、雇用環境整備に係る助成の新設、賃上げに取り組む事業主への加算措置の追加等であり、既に受付自体を開始しておるところであります。これらの制度拡充を通じて、中小企業を含む職場定着を促進し、人材確保支援をより一層進めてまいりたいと思います。
安定局からは以上です。
○岩村会長 では、次に、雇用環境・均等局長、お願いいたします。
○田中雇用環境・均等局長 私からは、6点御説明させていただきます。
まず、清水委員、小松委員、藤原委員からございました130万円の壁の関係でございます。
御指摘いただいた点につきましては、十分に承知しておりますが、こうした措置は、非正規雇用労働者のキャリアアップにつながる取組を行う事業主を支援するという観点から行うものでありますので、この点につきましては御理解いただきたいと考えております。
その上で、今後、130万円の壁の関係ですが、省令改正案要綱につきまして、分科会で御審議いただくことを予定しております。
御指摘いただきました検証につきましても、106万円の壁の助成金の適正執行の観点からも重要と考えておりまして、現在、このコースの助成金が支給された事業主に対しましてのアンケート調査を実施しております。その結果も踏まえながら、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
また、働き手の意識改革でございますが、社会保険加入のメリットや「年収の壁・支援強化パッケージ」の周知広報に引き続き取り組んでまいります。
また、第3号被保険者制度そのものでございますが、これにつきましては、適用拡大を進めることで縮小を図った上で、その実態を分析しながら、その在り方の検討を続けていくものと承知してございます。
続いて、石川委員からいただきましたフリーランスの関係の周知徹底でございます。
昨年11月のフリーランス法の施行に向けましては、公正取引委員会等とも連携しながら、全国各地での説明会の開催等に取り組んでまいりました。
引き続き、公正取引委員会等と連携し、本法の内容や相談窓口の周知に取り組むこと、労働局における法の就業環境の整備違反に関する申出があった場合などについての必要な調査、是正指導などにつきまして、着実に取り組んでまいりたいと考えております。
それから、永島委員からございました同一労働同一賃金の関係です。
現在、部会を開催しまして、必要な見直しについて議論を行っております。
これまで有識者、労使関係団体などからのヒアリングを複数回行っております。
今後、個別の論点についての議論に入ってくるわけですが、御指摘の視点も踏まえながら、待遇改善につながるような検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
それから、則松委員から女性活躍推進につきましての御意見を頂戴してございます。
今、男女間賃金差異と女性管理職比率の情報公表につきまして、強化などを盛り込んだ改正法案を提出し、審議を待っているところでございます。
男女間賃金差異等の情報公表に当たりましては、単に情報公表を行う、数字だけ追いかけるということではなくて、それを契機として、各企業において要因を分析して、改善に向けた自主的な取組を行っていただくことが重要であると考えておりますので、これまでも男女間賃金差異での説明欄の活用を推奨してまいりましたが、数値の公表に加えて、数値の要因分析を行うことが重要であることや、今後の取組についても情報公表を行うことなどを企業に働きかけておりまして、引き続き、こうした取組を行ってまいりたいと考えております。
また、女性活躍推進がしっかりと実効あるものになっていくためには、中小企業に対しての支援も重要でございまして、厚生労働省で中小企業を中心とした事業主を対象とした賃金差異の分析ツールの提供とか、改善に向けたアドバイスなどのコンサルティングを実施しておりますし、また、企業の好事例の周知などを実施しておりますので、これらの取組を通じまして、全ての企業における女性活躍のさらなる推進に取り組んでまいりたいと考えております。
それから、同じく、則松委員からハラスメントの関係での御意見がございました。
職場におけるハラスメント、働く方の尊厳や人権を傷つける等、職場環境を悪化させる許されない行為であると考えておりまして、今般の法案の中でも、職場におけるハラスメントを行ってはならないことを法文上明確にし、それに基づいた規範意識を醸成するといったような内容を盛り込んでございます。
また、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容につきましては、法案が成立すれば、審議会での御議論を踏まえて、指針等でお示しすることになりますが、今「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作っておりますので、これなども踏まえながら、有効な対策をお示しできるように、検討してまいりたいと思います。
また、令和7年度から、カスタマーハラスメントも含めたハラスメント事案に対しまして、企業等の事業主や人事労務担当者からの相談に応じて、解決のためのお手伝いをする事業を実施することとしておりますし、また、警察庁とか消費者庁などといった関係省庁、また、業所管の省庁も含めまして、情報共有を行うための取組は、省庁連携会議を開催いたしまして進めているところでございまして、関係省庁と連携しながら各業界での取組を推進してまいりたいと思います。
また、SOGIハラ等でございますが、性的マイノリティーの労働者に対するハラスメントにつきましては、セクシュアルハラスメント防止指針におきまして、性的指向・性自認にかかわらず、労働者に対する性的な言動がセクシュアルハラスメントに当たり得ることや、パワーハラスメント防止指針におきまして、性的指向・性自認に関する侮辱的な言動や、いわゆるアウティングがパワーハラスメントに該当すると考えられることなどを明記し、周知啓発を図っているところです。
また、スタートアップの関係ですが、これにつきましては様々なケースがあると考えられます。
起業家のハラスメントでありますと、労働者を保護することを目的とする現行のハラスメント法制の対象にはならないものでございますが、ハラスメントはあってはならないということで、引き続き、ハラスメントが行われることのない職場づくり全体について取り組んでまいりたいと考えております。
同様に、ILO190号条約につきましても、国内法制全般との整合性につきまして、詳細な検討が必要でございまして、現在、関係省庁とも連携しながら検討を進めております。
最後に、両立支援の関係で、小松委員から御意見を頂戴いたしました。
両立支援に取り組まれる企業への伴走支援につきまして、労務管理の専門家が個々の状況に応じてのヒアリングから課題抽出、具体的な取組に関する提案、フォローアップまでを無料で実施する事業を行ってございます。
令和7年度は実施体制を強化するなどの見直しを行っておりますので、引き続き、企業の職場環境整備が推進できるよう、支援してまいりたいと考えております。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、人材開発統括官、お願いいたします。
○堀井人材開発統括官 それでは、私から、大きく3つのテーマについてお答えさせていただきます。
まず、外国人について、石川委員と小松委員から御指摘をいただいたと思います。
まず、外国人労働者の権利保護、人材の確保・育成が適正に図られるように、石川委員から御指摘をいただきました。
そして、昨年成立した法律に基づいて新たに創設される育成就労制度の関連ですが、関係省令の整備に当たりまして、労使にも御参画いただきました有識者懇談会で様々な御意見をいただきまして、検討を進めてきたところでございます。
現在、この内容につきまして、パブリックコメントを実施している状況でもございまして、この結果も踏まえて、丁寧に内容の検討を進めていきたいと考えています。
また、石川委員から日本人との同等報酬についての御指摘もいただきました。
この点に関しましては、育成就労計画の認定におきまして、育成就労外国人に対する報酬の額が、日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることが要件とされているところでございます。
結果として、この要件を満たしていない育成就労計画が認定されないことになるわけですが、具体的にこの要件をどうするか、判断基準、実効性の確保の在り方等については、制度の運用開始に向けて、引き続き検討していきたいと考えております。
また、外国人技能実習機構についての御指摘もございました。
これが新たな制度創設と相まって、新たに外国人育成就労機構に改組するわけでございますが、この機構におきましては、新たに育成就労外国人の転籍支援という業務や、現在は行っていない、特定技能外国人に対する相談援助も実施することになります。
具体的には、制度の円滑な施行を視野に入れて、労働基準監督署、ハローワークとの連携も含めて、監督指導機能、支援保護機能を強化するとともに、必要な体制が整備されるように、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
また、外国人の関連で、もう一つ、小松委員から御指摘をいただきました点でございますが、新たな育成就労制度は、令和9年4月の運用開始を予定しておりまして、本年3月に、先ほど御報告させていただきましたが、基本方針を決定したという状況でございます。
新たな制度におきましては、監理団体について、要件を厳格化した上で、機能を十分に果たせない団体は許可しないことを考えております。
本年の夏頃には、このような要件等の制度の詳細を定める関係省令を公布し、受入れの対象分野等につきましては、本年12月頃、分野別の運用方針の中身ということで、今後、労使にも御参画いただく有識者会議におきまして、様々な御議論をお願いすることを予定しております。
その上で、円滑な移行という点についての御指摘がございましたが、現在、技能実習制度を活用いただいている方が、新たな育成就労制度への移行に際しまして、変更点等に対して十分な準備を行って、円滑な受入れができるようにということで、令和9年度からの運用開始の前年度、つまり、令和8年度中に新たな監理支援機関の許可や、育成就労計画の認定の事前申請の受付をすることを現在予定して進めているところでございます。
新たな制度で、どのような手続かということについて、引き続き、関係者に対して適時、適切な情報提供が必要だと考えておりますので、可能な限り早期に省令とか運用要領といったものをお示ししていけるように、速やかに、かつ、適切に対応の検討を進めていきたいと考えております。
また、地域全体の受入れについても御指摘をいただきました。
そもそも外国人材の受入れは、複数の省庁も絡みますので、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に基づきまして、関係機関が連携して、共生社会の基盤整備に向けた取組を行うことになっております。
そして、各地方公共団体におきましては、まず、地域の特性等を踏まえた人材確保という観点から、地域協議会に参画して、業所管官庁等との連携を強化していただいたり、共生社会の実現や地域産業政策の観点からの受入れ環境の整備、外国人相談窓口の整備、外国人の生活環境等を整備するための取組を推進するということで、外国人の方にとっても魅力のある地域といったことを取組として進めている状況でございます。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、外国人材が引き続き活躍していただけるような整備を進めていきたいと考えております。
以上が、外国人の関係でございますが、引き続き、2点目でございまして、小山田委員から御指摘があった点の関連でございます。
御指摘の内容としましては、我が国の厳しい供給制約下、そして、今後も一層そういったことが進んでいくだろうと。そういった中におきまして、産業全体の底上げとか、生産性の向上が必要であるというような御趣旨であったかと思っております。そして、その際に、関係省庁とも連携してという御指摘があったかと記憶しております。
このようなことを考えるに当たっては、DX化とか、デジタル人材の育成が大変重要であるかと考えております。
そのために、現在、政府全体としても、2022~2026年度までに、230万人を育成するという目標を掲げて、様々に進めておるところでございますが、私ども人材開発統括官においても、職業訓練におけるデジタル分野の重点化を進めているところでございます。
また、全体の底上げを考えますと、いかにして中小企業等において進めていくかということは大変重要であると考えております。
そのために、特に中小企業等に対する支援といたしまして、JEEDのポリテクセンター等におきましては、人材育成に関する相談から課題に応じたオーダーメード型の訓練の提供までの一貫した支援を行っておりますが、この中で、DX管理の生産性向上支援訓練についても強化して進めています。
実は、一口に「DX化」と言っても、大変レベルが違って、そもそも一体何ですか、具体的に何をやったらいいか、分からないというお話から、業務に課題を感じていて、例えばAIとかRPAを活用して、どのようにしたらいいかといった中身から、本当にレベル、中身がいろいろと違うということを実感しております。そのようなそれぞれ抱えておられる課題のレベル、内容に応じて、適切な支援ができるようにということで、引き続き取組を進めていきたいと考えております。
また、大きく3点目ということで、成田委員から御指摘いただいた人材、人への投資、人材育成策という観点について、お答えしたいと思います。
特に、人材開発支援助成金や様々な施策に関しましては、本日御参加の労使の関係団体の皆様方にも周知等について御協力を賜っておりまして、改めてこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。
その上で、御指摘がございましたように、まず、教育訓練休暇給付金につきましては、本年10月に施行ということで予定されておりますので、円滑な施行に向けて、引き続き労働者、事業主双方に対して周知していきたいと思っております。引き続きの御理解、御協力をいただければと思います。
また、企業が設ける教育訓練休暇制度についても御指摘をいただきました。
こういった制度を設けているところが少ないのではないかというような御指摘もいただきましたので、これまでも人材開発支援助成金におきまして、企業が教育訓練休暇制度を導入する際の経費の一部補助もやっておりますので、この活用促進と普及も進めていきたいと考えておりますし、本年度、令和7年度におきましては、昨今の賃金の上昇のような状況も踏まえまして、長期の教育訓練休暇制度の賃金助成額の引上げ等もやっております。
引き続き、このような内容も周知して、ワンセットで個人についての取組と企業に対する制度導入も併せた形で周知ができないかと考えております。
また、先ほどいただいた成田委員からの御指摘で、能力の開発と処遇改善の好循環という御指摘がありました。大変重要な御指摘だと考えております。
まずはスキルの向上の支援、そして向上したスキルを正当に評価する仕組みが大事だと考えております。
このため、私どもといたしましては、昨年、令和6年に創設した団体等検定のさらなる活用促進、今はまだ3団体ですが、一口に「検定を設ける」と言っても、非常にきめ細やかな新たなスキルの再確認みたいなことが必要ですので、こういったことを進めていきたいと。
その上で、能力開発が処遇向上につながる取組のために、現状の国家資格や民間資格と処遇との関係を実態調査やヒアリングを通じて整理、明確化して、業界内におけるキャリアラダーをどのようにして整備していくかという調査研究事業を本年度から実施したいと考えております。
このようなことを踏まえまして、具体的な現場の労使の取組が促される参考になるような様々な情報提供にも取り組んでまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、政策統括官、お願いいたします。
○朝川政策統括官 私からは一つでございますが、小山田委員からPDCAサイクルについて御意見をいただきました。
労働政策において重要なPDCAにつきましては、労働政策審議会において、まず、2010年8月に点検評価部会を設置し、目標設定を行って、年度末に評価する取組を行ってきました。
その後、2012年度、目標分からは、労働政策審議会の各分科会で毎年度目標設定を行って、その実績の検証の評価を行っています。
また、労働政策も含めまして、厚生労働省の政策の評価については、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づいて、政策体系に定める施策目標ごとに、施策所管部局において政策評価を実施しています。
今後、この政策評価については、2027年度から始まります次期基本計画の策定に向けた検討を進めることとしておりまして、有識者会議で御議論いただきながら検討を進める予定です。これらによって、引き続きPDCAの取組を実践してまいります。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
以上でよろしいでしょうか。
厚生労働省におかれましては、本年度予算の執行や今後の政策立案におきまして、今、委員の皆様から頂戴いたしました御意見を踏まえて取り組んでいただくよう、お願いいたします。
続きまして、議題4の労働政策基本部会報告書に移ります。
本審、労働政策審議会のすぐ下に設置されました労働政策基本部会におきまして、4月に報告書の取りまとめがなされております。
これにつきまして事務局から説明をいただきますが、時間がかなり押しておりまして、当初予定していた12時までに終わらない可能性もございますが、この後、議事進行につきまして、委員の皆様方の御協力をいただきたいということとともに、御予定のある方は、御退席いただいても構いませんので、そのようにお願いしたいと思います。
それでは、まず、事務局から説明をお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 参事官の宇野です。
短く説明させていただきます。
本来は、取りまとめていただきました守島前部会長から御説明、御発言いただくことが必要でございますが、守島部会長は4月26日付で退任されましたので、代わって説明させていただきます。
資料5を御覧ください。
1ページ目を見ていただきますと、労働政策基本部会の設置趣旨です。
労働政策審議会では、各分科会・部会を横断するような課題が議論されにくいという指摘を踏まえまして、平成29年7月に労働政策審議会本審の下に設けられたものでございます。
2ページ目を御覧ください。
今回取りまとめられた第4期となる労働政策基本部会の報告書となります。
令和6年1月から令和7年3月にかけて、有識者等のヒアリングを含めて10回開催し、地方や中小企業における課題や労働政策の在り方について議論が行われました。そして「急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方」を副題とする報告書を取りまとめていただき、令和7年4月25日に公表しております。
報告書の内容は、6ページ以降にございますが、時間の関係で、概要で説明させていただきます。
まず、概要の真ん中に「本部会からのメッセージ」とありますが、この報告書の大きな特徴の一つとして、初めての試みで、報告書の対象となる方々に対し、労働政策基本部会からのメッセージを作成いただきました。
具体的なメッセージは、5ページにございますので、後ほど御覧ください。
報告書の内容につきましては、3章構成となっております。
左下ですが、第1章では、地方・中小企業における人手不足、都市部や大企業に比べてより深刻な状況など、地方・中小企業の現状を整理しております。
その上で、このような現状を踏まえた課題として「地方における賃金等の労働条件の低さや情報発信の不足」など5点に整理しています。
続きまして、右下では、第2章といたしまして、今後の労働政策の方向性として「労働生産性の向上」「労働参加率の向上」「ジェンダーギャップの解消」「情報ギャップの解消」の4つに整理しております。
3ページ目を御覧ください。
3ページ目では、4つに整理したものについて、具体的な施策を書いております。
まず左側の「労働生産性の向上」ですが、市場における「賃金相場」形成機能の強化、
現場人材におけるキャリアラダーの形成、労働政策と産業政策との両輪での取組が重要といった点について触れられております。
また、右側の「労働参加率の向上」ですが、長時間労働の抑制、処遇の改善、仕事と家庭の両立支援が必要であること、地方において、多様なニーズに応じた働き方を推進することは、人手確保につながる可能性があること、商慣行見直しやカスタマーハラスメント対策の必要性などについて触れられております。
4ページ目を御覧ください。
左側の「ジェンダーギャップの解消」に関する施策といたしましては、若年層、中高年層、高齢者など全ての年齢層に対するアンコンシャス・バイアス解消に向けた取組を行うことが必要であること、また、地域密着型で、職場のみならず、家庭・社会における慣習や慣行も含めて見直すことなどについて触れられております。
さらに、右側の「情報ギャップの解消」に資する施策といたしましては、一元的な職場情報サイトの充実、若年層などを対象に、地方の企業の認知度を高める取組の必要性などについて触れられております。
また、下にありますとおり「EBPMの推進」についても触れられており、大学等の研究機関との連携の必要性などについて指摘されております。
本報告書の内容につきましては、厚生労働省といたしまして、厚生労働省において課題の共有がなされ、また、本報告書が指摘した必要な施策が、関係する分科会や部会において速やかに検討を求めたいと考えております。
私からの説明は以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告書についての説明につきまして、御意見等がございましたら、御発言いただきたいと思います。
いかがでございましょうか。
それでは、小山田委員、どうぞ。
○小山田委員 ありがとうございます。
御説明ありがとうございます。
先ほど申し上げましたが、本報告書は、中長期的課題を分科会や部会の単位にとらわれずに、横断的に議論し、提言しているということで、縦割りを排したアプローチは非常に意義が深いと思いますし、提言の方向感についても、異論は特にございません。
施策の実行計画や推進体制は、これから分科会で検討していくということだと思いますが、早急に明確化していただければと思います。
その上で、本施策を効果的・効率的に推進する上で、ぜひ御検討いただきたいのが、地域の中小・小規模企業と地域の人材をつなぐ双方向のデジタルプラットフォームの構築です。
現場の実感から申し上げますと、地方の中小・小規模企業は本当に経営支援が乏しく、本業をやるのが精いっぱいであり、人事部署あるいは企画部署もなく、採用や人材育成、デジタル化等に能動的に取り組む余地がほとんどない企業も多いです。
報告書の冒頭に、メッセージが記載されており、非常によいメッセージだと思う一方、このメッセージを実行に移せる企業がかなり限られているというのが実態ではないかと思います。
地方公共団体や商工会議所、職業訓練機関、ハローワーク、金融機関等の各支援機関が連携して、支援のためのデジタルプラットフォームを立ち上げ、企業はそこにいろいろな経営課題やニーズを登録すると、プッシュ型で様々な情報や支援策が提供される、あるいはそのニーズに基づいた人材マッチングやビジネスマッチング、あるいは各種コンサルティングサービス等をタイムリーに受けられるようになることで、地域ぐるみで人事機能を強化していく、あるいは地域全体が一つの内部労働市場化し、地域全体の需給の調整、人材配置の最適化といったことも期待できるのではないかと思います。
また、こういったプラットフォームができれば、そこに様々な人事関連データが蓄積されていきますので、人材マッチングやビジネスマッチングの精度も上がり、エビデンスベースでの政策効果の検証も進むため、施策を展開するほうにとってもメリットが非常に大きいのではないかと思います。
関係者が多岐にわたりますので、厚労省だけで実行するのは大変厳しいと思うのですが、旗振りをしていただいて、中小・小規模企業支援のための地域の人事機能を担うデジタル人事プラットフォームを一度考えていただけないか、あるいはどこかで御一緒に思考ができないかと考えております。
提言内容としては、非常にいいものが盛り込まれていますので、それをどうやって実行に移すかが一つ大きなポイントではないかと思いました。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
そうしますと、オンラインで野村委員が手を挙げていらっしゃいますので、野村委員、どうぞ。
○野村委員 ありがとうございます。
全国中小企業団体中央会の野村でございます。
私からは、2点意見を申し上げます。
1点目でございますが、資料の3ページの「労働生産性の向上」についてです。
最後の項目に「労働生産性の向上には労働政策と産業政策との両輪で取組みが重要」と記載されております。
厚生労働省におかれましては、これまでも他省庁が行う施策と連携を図っておられることと承知しておりますが、より中小企業者の立場を御理解いただき、効果的で大きな成果をもたらす取組になるよう、期待しております。
2点目でございますが、同じ資料の3ページの「労働参加率の向上」についてであります。
令和元年に施行された働き方改革関連法により定められた労働時間の上限規制により、中小企業におきましても働き方が変化してまいりましたが、成長意欲の高い人や、さらに経験を積みたいと考えている人が希望する働き方ができなくなってきている側面もあり、これが現在の恒常的な人手不足の要因になっているのではないかという意見もございます。
また、項目の2つ目に「長時間労働の抑制を前提とした上で、労働時間や休暇等に関する労働者のニーズを踏まえ、柔軟な働き方を推進していくことが必要」とありますが、その推進に当たっては、労働時間上限規制の効果検証と必要な改善策の検討についても行っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
先ほど中川委員、御発言がありましたが、追加はよろしいでしょうか。
○中川委員 大丈夫です。
○岩村会長 それでは、手を挙げていらっしゃいます、安河内委員、どうぞ。
○安河内委員 ありがとうございます。
時間もない中ですので、簡潔に発言させていただきたいと思います。
働き方改革の関連で「長時間労働の抑制を前提とした上で」と記載してありますので、この点について特に異論はないところであります。
ただ、日本の社会環境を考えたときに、例えば人口減少とか女性活躍、あるいは労働者の社会参加に伴って共助を拡大させていくべきだとか、様々な社会課題を解決するためにも、働き方改革は、労働時間を減少させる方向で議論されるべきだろうと思っております。
その上で、先ほど来お話にあるように、人手不足の中で逼迫した職場を勘案すると、裁量労働制の対象業務等の安易な拡大は、長時間労働を助長しかねないと考えております。裁量労働時間制に関しては、2024年の省令等改正を踏まえた適正運用を着実に進めることが重要であると考えておりますので、ぜひとも丁寧な御議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、事務局からお答えいただきたいと思います。
それでは、まず、宇野参事官からお願いします。
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございました。
まず、連合の中川委員から、先ほどの御説明で宮崎県の実態を挙げていただきまして、非常に厳しい状況だとひしひしと感じました。看護師の皆さんはほぼ県外に行ってしまう等の状況については、基本部会のヒアリングでも実際にお話を聞きました。
ただ、その中でどういった形で改善していくのかというような切り口を考えた際に「良質な雇用」と御指摘いただきましたが、その部分が非常に重要であること、また、良質な雇用がきちんとうまく伝わっていないところに対する問題や、それ以外に、職場だけの問題ではなく、社会全体、地域社会における例えばジェンダーギャップの話等、各分科会・部会だけといった縦割りではなかなか分からないような議論が、基本部会ではあったということで承知しております。
つきましては、良質な雇用機会の提供ということで、今回強調しております。基本部会の報告書の内容がより実際の施策に反映されるように、我々としても努めていきたいと思っております。
続きまして、小山田委員から地域のプラットフォームのお話がございました。
今回御提案いただいたものですので、今、お答えできる状況ではございませんが、先ほど野村委員、中川委員から、今の人手不足、労働供給制約の中では、労働政策と産業政策が一体となった取組が必要になってくると御指摘いただきました。
地方や中小企業の方々が、本当だったら、こういう働き方をすれば定着するのに、その辺のノウハウがないというような状況について、どのようにアプローチしていくかというような問題意識は非常に重要だと思っています。
我々は都道府県労働局を持っていまして、都道府県ごとにブランチがあります。 かつ、働き方改革推進支援センターのような形で、実際には助言や支援をしていくような形があるのですが、地域でどのように関係者を巻き込んで、より良質な雇用や働きやすさ、地域定着とかをどういう形で支援できるのかは、引き続き詰めていきたいと思っております。
私からは以上でございます。
○岩村会長 では、労働基準局長、お願いします。
○岸本労働基準局長 続きまして、労働基準局でございます。
労働時間法制について、野村委員、安河内委員から御意見をいただきました。
現在、労働基準関係法制の見直しについて、労働時間法制も含めて、労働条件分科会で働き方改革施行から5年経過後の見直しの議論を始めていただいているところでございます。
そういった中で、野村委員からお話があった、成長意欲の高い方、経験を積みたい方が希望する働き方ができないといったことは、現場に根差した一つの実態を踏まえたお声であろうと思います。
一方で、安河内委員からお話をいただきました、人口減少下で、女性や高齢者も含めて労働市場に出てきやすい、働きやすい労働環境の実現の重要性といったことも、また重要な観点であろうかと思います。
時間外労働の上限規制の在り方につきましては、様々な視点を踏まえた検討が必要であると考えておりまして、労働条件分科会におきましても、それぞれのお立場から活発な御議論をいただければ大変ありがたいと考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、御意見はここまでにさせていただきまして、本報告書につきましては、労働政策審議会令第9条に基づき、この審議会として了承するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村会長 ありがとうございます。
本報告書につきましては、各分科会等にも関係する様々な提言がなされておりますので、各分科会での議論に役立てていただきたいと思います。
以上で、今日予定していた議事は全て終了となりました。
最後に、何かぜひということで御発言があればと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日の会議は以上で終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
○宇野政策統括官付参事官 定刻より少し早いのですが、もしよろしければ、皆様お集まりいただきましたので、ただいまから第55回「労働政策審議会」を開催いたします。
皆様方におかれましては、大変お忙しい中、御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。
事務局の政策統括官付参事官の宇野と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
本年4月27日付で委員改選がありました関係で、会長が決まるまでの間、事務局が議事を進行いたします。
それでは、審議会の開会に際しまして、鰐淵厚生労働副大臣から御挨拶をいただきます。
○鰐淵厚生労働副大臣 皆様、おはようございます。
厚生労働副大臣の鰐淵でございます。
本日は、第55回「労働政策審議会」の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げたいと思います。
改めまして、本日は大変お忙しい中、このように御参集賜りまして、心より感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
また、重ねてになりますが、皆様には日頃より、厚生労働行政に対しまして大変お世話になっておりますことを重ねて感謝申し上げたいと思います。本当にありがとうございます。
本日は、第13期「労働政策審議会」の委員の皆様によりまして、初めての会合となります。
今期は、5名の新しい委員をお迎えすることになりました。改めて、このたび御就任いただきました皆様に心から感謝を申し上げたいと思います。大変ありがとうございます。
さて、政府におきます最重要課題の一つが、皆様御存じのとおり、賃上げでございます。
今期の春季労働交渉では、大手企業を中心に高い水準の回答が相次ぎ、昨年同時期を上回る賃上げ率となっております。
厚生労働省としましても、こうした賃上げの流れを地方や中小企業にも波及させるため、本年1月、2月を中心に、地方版政労使会議を行わせていただきました。地域における賃金引上げの機運醸成に取り組んできたところでございます。
一方、皆様も御存じのとおり、米国の関税措置の動向が賃上げの動きに水を差すことにならないようにする必要があると考えております。
政府としましても、4月25日に「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を取りまとめさせていただきまして、国内産業、経済への影響を把握、分析しつつ、相談体制の整備や、影響を受ける企業への資金繰りをはじめとした支援等の強化に取り組んでいるところでございます。
また、厚生労働省としましても、都道府県の労働局を通じまして情報収集や相談支援に取り組んでおりまして、引き続き、適切に対応してまいりたいと思っております。
労働政策は、その政策立案に当たりましては、現場を熟知されております皆様の参画を得て、議論を深めていくことが大変重要であると考えております。
委員の皆様方におかれましては、本審議会におきまして、幅広い御見識と豊かな経験に基づきまして、活発な御議論をお願いしたいと思っております。
限られた時間ではございますが、どうか最後までよろしくお願い申し上げます。
本日は、改めまして大変ありがとうございます。
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございました。
カメラの頭撮りはここまでとさせていただきます。
なお、鰐淵副大臣は、所用のため、しばらくいらっしゃいますが、会議の途中で退出されますので、御了承いただければと思います。
(報道関係者 退室)
○宇野政策統括官付参事官 本日の資料は、お手元のタブレットで御覧いただきます。操作方法に不明な点がある場合は、事務局にお申しつけください。
オンライン参加の委員の皆様におかれましては、原則としてカメラはオン、マイクはミュートとしてください。
御発言の際は、挙手ボタンを押していただき、指名があるまでお待ちください。指名後、ミュートを解除して御発言ください。
機器等のトラブルがございましたら、チャット機能でお知らせいただくか、事前に事務局からお送りしている電話番号まで御連絡ください。
通信遮断などが生じた際には、進行を一時中断とする場合がございますので、御承知おきください。
議事に入ります前に、新たに委員に就任された方を御紹介いたします。
資料1の労働政策審議会委員名簿を御覧ください。
第13期から、新たに就任された委員を御紹介いたします。
まず、公益代表委員のうち、4名が新たに就任されましたので、順に御紹介いたします。
オンライン参加の中央大学経済学部教授の阿部委員です。
○阿部委員 よろしくお願いします。
○宇野政策統括官付参事官 よろしくお願いします。
続きまして、東京大学名誉教授の岩村委員です。
○岩村委員 岩村でございます。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 弁護士の植村委員です。
○植村委員 植村でございます。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 東京大学社会科学研究所教授の玄田委員です。
○玄田委員 玄田でございます。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 次に、使用者代表委員のうち、1名が新たに就任されましたので、御紹介いたします。
株式会社三菱UFJ銀行特別顧問の小山田委員です。
○小山田委員 小山田です。
よろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 なお、本日、武石委員、山川委員、安藤委員、山中委員、大橋委員、川﨑委員、西周委員、芳井委員は、所用により御欠席となります。
また、田中厚生労働審議官、河野政策立案総括審議官は、他の公務の都合により、途中から出席いたします。
また、労働政策審議会令、運営規程、労働政策審議会分科会等委員名簿を資料とは別にお配りしておりますので、後ほど御覧いただければと思います。オンライン参加の委員の皆様にも同様の資料を事前に御提供しておりますので、後ほど御覧いただければと思います。
それでは、議事に入ります。
まず、第1の議題「会長の選挙」です。
会長につきましては、労働政策審議会令第5条第1項では「公益を代表する委員のうちから、委員が選挙する」となっており、委員の皆様に選んでいただくことになっております。
いかがお取り計らいいたしましょうか。
髙田委員、お願いします。
○髙田委員 髙田でございます。
当分野で大変造詣が深くていらっしゃる岩村委員にお願いすることでいかがでしょうか。
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございます。
ただいま岩村委員に会長をという推薦がありましたが、岩村委員に会長に就任いただくということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございます。
それでは、岩村委員に会長に就任いただくことといたします。
では、会長席にお移りください。
(岩村委員、会長席へ移動)
○岩村会長 皆様の御推挙によりまして、労働政策審議会の会長を仰せつかることとなりました、岩村でございます。
何分、慣れない仕事でございますので、委員の皆様の御支援と御鞭撻をいただきつつ、また、事務局の皆様の御支援をいただきつつ、努めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 それでは、以後の進行につきましては、岩村会長にお願いいたします。
では、お願いいたします。
○岩村会長 それでは、まず、労働政策審議会令第5条第3項によりまして、私から会長代理を指名することとなっております。
会長代理につきましては、本日は御欠席でございますが、山川委員にお願いしたいと存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
では、次の議題に移りたいと存じます。
資料2「令和7年度労働行政関係予算の主要施策について」。
資料3「分科会及び部会等の審議状況について」。
資料4「法案の国会審議状況について」それぞれ事務局から説明をいただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○尾崎会計課長 失礼いたします。会計課長でございます。
では、私から資料2に基づきまして、今年度の労働行政関係予算の主要施策について御説明させていただきます。
まず、こちらの資料でございますが、衆議院、参議院の修正を踏まえて反映したものになってございます。
まず、右下にページ数がございますが、1ページを御覧いただければと思います。
こちらが総括表になってございます。
真ん中が今年度の予算になってございまして「一般会計」につきましては、34兆3064億ということで、対前年度4875億円増ということでございます。
真ん中やや下寄りにございます「労働保険特別会計」でございます。
こちらにつきましては、対前年746億円増の3兆3158億円となってございます。
主な増要素は、教育訓練休暇給付の創設でございます。
その下にございます「子ども・子育て支援特別会計(育児休業等給付勘定)」でございます。
こちらも、出生後休業支援給付なり育児時短就業給付の創設、さらには男性の育児休業の取得率の増加などもございまして、金額が対前年度で1303億円増となってございます。
予算額としては、1兆616億ということでございます。
具体的な内容につきましては、7ページ以降を御覧いただければと思います。
まず、7ページを御覧いただければと思います。
時間の関係もございまして、主なものだけ御紹介させていただければと思います。
7ページの左側、最初の○でございます。
最低賃金も含めました賃金の引上げ支援でございます。
1つ目の矢羽根でございますが、事業場内最低賃金の引上げに取り組む中小企業・小規模事業者の生産性向上に向けた支援ということで、業務改善助成金。
2つ目の矢羽根でございますが、雇用管理制度の導入に加えまして、賃上げにも取り組む事業主の支援ということで、人材確保等支援助成金について、所要の予算を計上しているところでございます。
また、点囲みの部分があると思います。
こちらにつきましては、昨年度、令和6年度の補正予算に計上された事項を載せているところでございまして、業務改善助成金につきましては、昨年度の補正予算でも300億弱の予算を計上しているところでございます。
同じページの右側でございます。
リ・スキリングの関係でございます。
1つ目の矢羽根、教育訓練休暇給付の創設。
2つ目でございますが、キャリア形成やリ・スキリングの取組を促すための相談支援事業の拡充。
3つ目の矢羽根で、団体等検定制度の活用促進。
4つ目の矢羽根でございますが、公的職業訓練のデジタル推進人材の育成支援について、所要の予算を計上しているところでございます。
8ページに進んでいただきまして、真ん中下寄りぐらいからが人材確保の支援の関係でございます。
人材確保支援ということで、1つ目の矢羽根でございますが、ハローワークの人材確保対策コーナーの増設によります医療・介護分野等への就職支援の強化。
1つ飛ばしまして3つ目の矢羽根でございますが、シルバー人材センター等を活用した高齢者の就労による社会参加の促進。
その下でございますが、ハローワークを中心に設置されております外国人雇用サービスコーナーなどを活用しました外国人求職者への就職支援等について、所要の予算を計上しているところでございます。
右側でございます。
障害者や高齢者など、多様な人材の活躍促進等でございます。
障害者雇用関係が1つ目の矢羽根、2つ目の矢羽根になってございまして、ハローワークのマッチング機能の強化とか、いわゆるなかぽつセンターによります就労支援の促進といったものでございます。
3つ目の矢羽根が、就職氷河期世代も含めた中高年齢層に向けた就労支援ということで、ハローワークに専門の窓口を設置するなどの取組を進めていくこととしてございます。
4つ目の矢羽根でございますが、非正規雇用労働者に関する希望する者の正社員転換とか「年収の壁・支援強化パッケージ」などでございます。
こちらの点につきましては、衆議院で修正が加えられてございまして、130万円の壁への対応ということで、キャリアアップ助成金について拡充が行われているところでございます。
参考資料1の89ページにありますので、後ほど御覧いただければと思います。参考資料1の89ページでございます。
そのほか、この分野で言いますと、高齢者の労働災害防止のための環境整備とか、その下でございますが、地域若者サポートステーションによる就労支援などについて、所要の予算を計上しているところでございます。
9ページでございます。
左上でございますが、仕事と育児・介護の両立支援などでございます。
この部分につきましては、予算を大幅に充実させているところでございます。
主な増要因は大きく2つございまして、増要因の1つ目が、1つ目の矢羽根になります。
仕事と育児・介護の両立に向けた業務代替整備とか、柔軟な働き方の導入等を含めた支援ということで、両立支援等助成金を拡充してございます。
具体的には、介護につきましても、業務代替の助成を実施するといったものを盛り込んでいるところでございまして、予算額としては、対前年度で180億円弱程度の増となってございます。
もう一つの大きな増要因が、上から3つ目の矢羽根になってございます。
冒頭も御説明いたしましたが、共働き・共育てを推進するために、出生後休業支援給付とか育児時短就業給付といったものを創設したということでございます。
予算額としては、790億円程度ということでございます。この2つで900~1000億程度の増となっているところでございます。
同じページ、9ページの下のほうになりまして、ハラスメント防止対策ということで、カスタマーハラスメント対策も含めた対策を推進していくことについて、所要の予算を計上してございます。
また、右側でございますが、フリーランスの就業環境の整備、フリーランス・トラブル110番など、相談支援の実施などを行う予算を計上しているところでございます。
そして、その下でございますが、女性の活躍促進ということで、男女間賃金格差の是正に向けたコンサルティングの実施とか、マザーズハローワーク等によります子育て中の女性等に対する就職支援といったものについて、所要の予算を計上しているところでございます。
以上、駆け足となりましたが、今年度の労働行政関係予算の主要施策について御説明させていただきました。
私からは以上になります。
○岸本労働基準局長 続きまして、労働基準局でございます。
資料3及び資料4に基づきまして、労働基準局関係の分科会などにおける主な審議状況について、御報告申し上げます。
資料3の3ページをまず御覧ください。
【労働条件分科会】の1つ目の○でございますが、令和6年の通常国会におきまして成立した事業性融資の推進等に関する法律の附帯決議を受けまして「組織再編に伴う労働関係の調整に関する部会」という新しい部会を設置するため、運営規程の改正を行いました。
なお、同部会は、3月に第1回を開催いたしまして、議論を開始しているところでございます。
2つ目の○です。
労働基準局では、働き方改革関連法施行後5年が経過したことを受けまして、労働基準法等の見直しについて検討する労働基準関係法制研究会を開催しておりましたが、本年1月に取りまとまりました報告書について、1月21日に労働条件分科会に報告させていただき、その後、2月28日以降、順次「労働者」の概念、事業、労使コミュニケーション、労働時間法制について議論を行っていただいているところでございます。
1ページめくっていただいて、4ページですが【安全衛生分科会】の関係です。
下から2つ目の○になりますが、安全衛生分科会におきまして、労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案について御審議いただき、建議、法案要綱に対する答申をいただきました。
この法案につきましては、詳しくは資料4にございますが、今国会に提出し、4月10日に参議院厚生労働委員会で可決、4月11日に参議院本会議で可決、昨日、衆議院厚生労働委員会で可決いただいたところまで国会審議が進んでいるところでございます。
同じページの一番下の○ですが、労働施策推進法改正案の中に、安全衛生関係の項目として、治療と仕事の両立に関する規定を盛り込むことについて御審議いただきまして、同じく建議、法案要綱に対する答申をいただきました。
こちらの法案については、3月11日に国会に提出いたしたところでございます。
5ページでございますが、一番上の○です。
熱中症の重篤化による死亡災害の防止のため、熱中症のおそれがある作業者の早期発見などの体制整備といった措置を義務づける労働安全衛生規則の一部を改正する省令案についても御審議いただいたところでございます。
各分科会・部会の開催実績は、5ページの下段のとおりでございます。
労働基準局は以上です。
○山田職業安定局長 続きまして、職業安定局です。
資料は、同じ資料の6ページ目からですが、職業安定局所管の分科会における審議状況等について御説明いたします。
まず、6ページの2つ目の○にありますとおり、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱については「国民の安心・安全と持続的な成長に向けた総合経済対策」を受けて、令和6年能登半島地震やその後の豪雨により、度重なる被害を受けた能登半島の復旧、及び創造的復興を一層加速するための支援として、在籍型出向を活用し雇用を維持する事業主を支援するための産業雇用安定助成金に「災害特例人材確保支援コース」を新設するとともに、雇用調整助成金に能登半島地震特例と同様の休業支援を行う「能登半島 地震豪雨・半島過疎臨時特例」を創設することといたしました。
こちらについては、令和6年12月17日に施行しております。
3つ目の○にありますとおり、雇用保険法施行規則等の一部を改正する省令案要綱については、令和6年雇用保険制度改正において創設された雇用保険被保険者が自発的に教育訓練を受けるために、無給の休暇を取得した場合に、賃金の一定割合を支給する教育訓練休暇給付金について、制度の詳細を定めるものです。
こちらは、令和7年10月1日から施行の予定です。
4つ目の○にあります職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱についてですが、雇用保険の被保険者以外の者に対し、教育訓練費用と訓練期間中の生活費用を融資するリ・スキリング等教育訓練支援融資事業を創設するものであります。
こちらも同じく、令和7年10月1日からの施行予定になります。
ページをめくっていただきまして、7ページの7つ目と8つ目の○、下のほうですが、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第5項の規定に基づき失業等給付費等充当徴収保険率を変更する告示案要綱について、及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律第12条第8項の規定に基づき育児休業給付費充当徴収保険率を変更する告示案要綱については、雇用保険財政の状況を踏まえて、令和7年度の失業等給付費等充当徴収保険率を1000分の1引き下げて、1000分の7とするとともに、令和7年度の育児休業給付費充当徴収保険率を法律上の法則である1000分の5から1000分の1に引き下げ、令和6年度の料率と同様に1000分の4としたものでございます。
いずれも令和7年4月1日から適用しております。
そのほかの省令改正等の課題については、参考資料2-2の別紙1、別紙3、5~6ページ、9~13ページに内容を記載しており、職業安定分科会及び障害者雇用分科会における2024年度目標に係る中間評価については、別紙11に具体的な数値、状況、評価の動向等を記載しており、就職氷河期世代に対する職業安定行政における今後の取組については、別紙14に今後の取組の内容を記載しておりますので、こちらを御参照いただければと思います。
職業安定局関係は以上でございます。
○田中雇用環境・均等局長 続きまして、雇用環境・均等局関係部分につきまして御説明させていただきます。
資料は、10ページからになります。
まず、一番上の○ですが、女性活躍のさらなる推進、職場におけるハラスメント防止対策の強化について御議論いただきまして、年末に建議いただき、建議を踏まえた法律案要綱につきましても1月に諮問し、妥当との答申をいただきました。
これを踏まえまして、3月11日に関係法律の改正法案を閣議決定し、国会に提出しております。
現在、衆議院で審議を待っているところでございます。
○の2つ目から4つ目までにつきましては、両立支援等助成金等の助成金につきまして、補正予算、令和7年度予算に対応するための省令案の諮問を行いまして、いずれもおおむね妥当との答申をいただいてございます。
少し飛んでいただきまして、12ページです。
12ページの上の1つ目の○です。
いわゆる年収130万円の壁ですが、手取りの減による働き控えの解消を図るために、被用者保険の移行を促し、壁を意識せず働くことができるよう、賃上げや就業時間の延長などを通じて、労働者の収入を増加させる事業主を支援する措置を令和7年度中から実施することについて報告を行いまして、委員の皆様から御意見を頂戴しております。
続いて、その下の【雇用環境・均等分科会家内労働部会】です。
この部会におきましては、第15次最低工賃新設・改正計画の内容等の報告を行っております。
その下の【雇用環境・均等分科会同一労働同一賃金部会】です。
働き方改革関連法における施行5年後の見直し検討規定に基づきまして、同一労働同一賃金の必要な制度見直しにつきまして、議論を開始しております。
続きまして【勤労者生活分科会】です。
令和7年度の住宅ローン控除の要件緩和の延長に伴いまして、財形住宅貯蓄における住宅の床面積要件の改正を行う省令案について諮問し、妥当との答申をいただきました。
13ページ【勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会】です。
特定業種退職金共済制度の財政検証について、取りまとめを行うとともに、中小企業退職金共済制度における令和7年度の付加退職金支給率を諮問し、妥当との答申をいただいております。
説明は以上です。
○堀井人材開発統括官 引き続きまして、人材開発統括官の堀井でございます。
私どもの関連は、14~16ページまで資料にまとめさせていただいておりますが、幾つかかいつまんで御説明させていただきます。
まず、14ページの部分ですが、4つ目の○になります。
こちらにつきましては、2028年技能五輪の国際大会の開催地が日本に決定したということで、これは前回の静岡から21年ぶりの開催が予定されています。このような内容につきまして、日本の愛知県で開催することを御報告させていただいたことでございます。
また、15ページに移っていただきまして、一番上の1つ目の○でございますが、昨年、令和6年に改正法が成立した内容等を踏まえまして、特定技能制度及び育成就労制度の基本方針につきまして、閣議決定された内容について御報告させていただいたものでございます。
そして、同じ資料の3つ目の○になりますが、職業能力開発促進法施行規則の改正ということで、背景としましては、令和6年度の地方分権改革の提案を受けまして、職業訓練指導員試験の実技試験及び学科試験の全部の免除を受けることができるものにつきまして、職業訓練指導員免許の申請時の事務負担の軽減、時間的制約の解消を図るために、改正を行ったという内容でございます。
その下の4つ目の○になりますが、令和6年に新設しました団体等検定につきまして、初めて3団体の認定を行ったことを御報告させていただきました。
5つ目の○でございますが、令和7年度の予算におきまして、人材開発支援助成金の賃金助成額の引上げや、一部コースの支援要件、経費助成率の見直しを行ったことに伴う省令の改正についてでございます。
最後に、16ページでございますが、外国人技能実習制度に関連しまして、監理団体審査部会において、定例的に技能実習制度の監理団体の許可申請について御審議いただいているものでございます。
参考に付けさせていただいておりますのが、分科会等の開催実績でございます。
説明としては以上でございます。
○朝川政策統括官 最後に、総合政策担当です。
17ページ目でございますが、労働政策基本部会におきましては、労働政策の中長期的な課題につきまして、昨年1月から議論を行っておりましたが、資料に記載のとおり、委員・有識者・企業等からのヒアリングを経て、報告書の取りまとめに向けた議論を実施し、本年4月25日に報告書を公表しました。
内容につきましては、次の議題4で御説明申し上げる予定でございます。
よろしくお願いいたします。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、委員の皆様から御意見を頂戴したいと存じます。
今回も、一通り委員の皆様からの御意見を伺った後に、事務局からまとめて回答するという形で進めさせていただければと存じます。
それでは、御意見がある方は、御自身の名前の札を立てていただきますよう、お願いいたします。
また、オンラインにて御出席で御意見のある方は、挙手ボタンを押していただければと思います。
それでは、どうぞ。
いかがでしょうか。
それでは、内田委員、どうぞ。
○内田委員 ありがとうございます。
内田でございます。
私からは、資料3の9ページにございます雇用保険二事業の財政運営について発言させていただきます。
コロナ禍における雇用調整助成金の大幅な活用は、約6兆円と聞いておりますが、これによって、その財源である雇用安定資金が枯渇したため、失業給付等の積立金から約2.9兆円を借り入れて対応したところ、このうちの約1兆円を返済控除すると、昨年末に財務大臣と厚労大臣で合意がなされたと承知しております。
加えて、雇用保険二事業の2024年度決算における剰余の2分の1は積立金の返済に充当し、残りを雇用安定資金に積み立てる見込みとなっており、4年度連続の残高ゼロから脱する目途がつくなど、雇用保険財政の再建がようやく始まったと認識しております。
こうした中、米国内での製造業等の雇用創出を目的としたトランプ政権の関税政策によって、我が国の多くの企業業績への影響と雇用情勢の悪化が懸念されております。
政府におかれましては、状況を注視しながら、不測の事態に備えていただきたくお願い申し上げます。有事がいつ訪れるかは予測できないからこそ、雇用安定資金には一定程度の積立てが不可欠と考えます。
コロナ禍における雇調金の効果検証とその在り方の検討と併せて、雇用保険の財政再建に向けた検討を加速されるよう、お願い申し上げます。
私から以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、清水委員からお願いします。
○清水委員 清水でございます。
資料3の3ページと4ページに、労働条件分科会について記載されております。
先ほど報告いただきましたが、それに関わって、意見を申し述べたいと思います。
働き方改革の基となった2017年の時間外労働の上限規制等に関する労使合意においては、「過労死・過労自殺ゼロの実現と、女性や若者、高齢者など、多様な人材が活躍できる社会の構築に不退転の決意で取り組む」として、労使はもとより、社会全体で取組を進めてまいりました。
しかし、依然として雇用形態間の処遇格差や長時間・過重労働、過労死などの問題はいまだに解決していない状況があります。
そうした中、労働条件分科会では、労働基準法の見直し論議が本格的にスタートしております。
労基法は、働く上での最低基準であり、時代や働き方が変わっても、働く者の命と健康、生活時間を守る強行法規の趣旨は不変であると考えるところです。働く者の安心・安全の底上げにつながる見直しを強く求めたいと思います。
また、民間・公務にかかわらず、あらゆる職場で働く上でのルールの遵守の徹底等、法を上回る労働協約、あるいは労使協定を広げていくためには、集団的労使関係の強化が極めて重要であると思います。その中核的な担い手は、労働組合であると考えておるところでございます。
私たちも、組織化や、組織拡大に取り組んでいますが、厚生労働省においても労働組合の活性化に向けた取組の後押しをお願いしたいと思っております。
加えて、働き方改革のさらなる定着や、法令の理解促進に加えて、厚生労働省としてあらゆる機会を捉えて、ワークルール教育の充実・強化をしっかりと進めていただきたいと思います。
次に、同じく資料3の12ページの1行目から、働き控えの解消に向けた措置について記載がありますが、そのことに関わって意見を申し上げます。
いわゆる年収の130万の壁による働き控えの解消のためのキャリアアップ助成金の拡充について報告がありました。労働者が壁を意識することなく就労できるための施策は必要ではありますが、その財源については、雇用保険会計ではなく、一般会計などを活用すべきであると考えます。
検討に当たっては、社会保険の原理原則等、他の保険者との公平性など、幅広い視点からの検証が必要であり、労政審において十分に議論されることなく実施されることがないように、丁寧に進めていただきたいということを改めて強く申し述べておきたいと思います。
私からの意見は以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、小山田委員、お願いします。
○小山田委員 ありがとうございます。
小山田でございます。
私からは、令和7年度予算について、三点コメントさせていただきたいと思います。
一点目は、予算措置した施策の効果検証を行い、PDCAサイクルを回していただきたいという点です。
経済の好循環に向けて、賃上げが不可欠ですが、そのためには、中小・小規模企業の大幅な生産性向上や、労務費を含む価格転嫁による賃上げ原資の確保が欠かせません。賃上げは長期戦であり、まさに今、その持続力が問われております。企業のたゆまぬ自己変革努力と、賃上げに向けた政府の強力な支援が必要な状況にあります。
本年度予算におきましても、最低賃金・賃金引上げに向けた支援などに330億円の予算が計上されていますが、政府のこれまでの賃上げ支援がどのような効果を上げたのか、課題はどういった点だったのかを明確にした上で、本年度予算の執行に取り組んでいただきたいと思います。
二点目は、労働施策の予算措置における重点の置き方です。
令和7年度予算では、三位一体改革に向けた取組、すなわちリ・スキリング、ジョブ型人事の導入、労働移動の円滑化に、賃上げ支援の5倍近い、約1600億円の予算措置がなされております。
一方で、先ほどお話がございました労働政策基本部会報告書におきましては、人手不足が深刻さを増す地方の中小・小規模企業、特に存続が危ぶまれる社会インフラ維持に必要な産業・職種に焦点を当てた提言がなされております。両者のバランスをどのように取っていくのか、労働政策全体の重点の置き方が問われているように思います。
私見になりますが、成長分野への労働移動もさることながら、今求められているのは、厳しい労働供給制約下にある社会インフラ事業を含む、産業全体の生産性の底上げだと思います。全産業において、AIやロボティクスの活用・自動化、ビッグデータ活用を徹底的に進め、事業そのものの変革、DXを実現しない限り、抜本的な生産性向上はかないません。そのためには、労働政策と産業政策を両輪とする政府一体となった強力な後押しが必要です。
特に労働政策においては、未曽有の労働供給制約社会がまさにこれから日本に到来すると予想されていますが、そうした日本の状況を踏まえた政策の優先順位づけをぜひお願いしたいと思います。
三点目は、二点目とも関連しますが、労働政策のあるべき長期的ビジョンを明確にした上で、そうした長期ビジョンと整合した年度施策、予算措置を推進していただきたいという点です。
そういった意味で、労働政策基本部会報告書は、その出発点として大変意義深いものと評価しております。
長期的な方向性という観点から一つ懸念を持っておりますのが、政府が新たに掲げる、2020年代中に全国加重平均1,500円の達成を目指すという最低賃金目標の現実妥当性です。
日本商工会議所の調査では、政府目標達成に必要な年率7.3%の引上げが行われれば、中小・小規模事業者の2割が休廃業も検討すると回答しております。
基本部会報告書でも、地方の社会インフラ事業所の厳しい経営実態、見通しが示されていましたが、そうした実態を踏まえない最低賃金の引上げは、地方の産業、生活インフラを支える中小・小規模企業者の事業継続を脅かし、地方創生の実現にも支障を来しかねないと危惧しております。改めて日本の置かれた状況や、今後の変化の方向性を踏まえた労働政策の長期ビジョンの明確化と、それを実現する年度施策、予算措置の推進をお願いする次第です。
私からは以上です。
ありがとうございました。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、オンラインで参加していただいている委員の中から、石川委員と堀谷委員に続けて御発言いただきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
○石川委員 ありがとうございます。
石川です。
私からは、曖昧な雇用で働く者の保護と、外国人労働者の保護の2点について発言させていただきます。
最初に、曖昧な雇用で働く者の保護についてですが、フリーランス法の施行から間もなく半年となる中、先月、法施行後初めて、公正取引委員会が45名の発注事業者に対して是正指導を行いました。
フリーランス、発注事業者ともに法の理解が十分でないことは、政府の調査からも明らかであり、法令や、相談窓口の周知徹底をお願いしたいと思います。
あわせて、曖昧な雇用で働く者の保護強化に向けては、労働者性の判断基準の見直し・拡充も重要です。
今後、労働条件分科会の下に検討会が設置されると聞いていますが、より多くの者が労働者としての保護が受けられるよう、前向きな拡充を図っていただきたいと思います。
また、今国会には、労働安全衛生法等の改正法案が提出されております。労働者以外の就業者を法の適用対象とする改正であり、早期成立に向け、取組を進めていただきたいと思います。加えて、プラットフォーマーに対する規制など、引き続きの検討課題とされたものもあることから、安衛法施行後の状況把握をはじめ、必要な見直しを検討していただきたいと思います。
また、スポットワークについても述べておきたいと思います。
連合が行いました実態調査からは、スポットワークで働く半数もの労働者がトラブルを経験しています。労働条件通知書が交付されていないなど、労働法が遵守されていない実態も明らかになっています。厚生労働省におかれましては、監督指導の強化はもちろんのこと、実態に即した労働者保護に資する適切な法規制の在り方を検討していただきたいと思います。
2つ目に、外国人労働者の保護強化について触れておきます。
先月、育成就労制度の基本方針が閣議決定されました。今後、具体的な制度の詳細部分について検討が進められていくものと思います。改正法の実効性を高める観点、また、ビジネスと人権の観点からも、労働者保護の強化と権利保障などについて、丁寧な議論をお願いしておきたいと思います。
同時に、日本人との同等報酬規定の実効性確保や、外国人育成就労機構の体制強化なども重要であり、予算措置を含め、その実現に向けた取組をお願いしたいと思います。
また、前回も申し上げましたが、今回の法改正で規制強化することによる他の在留資格の労働者へのしわ寄せを懸念しています。今後、外国人労働者が増加していくことを踏まえれば、外国人労働者全体としての保護強化は喫緊の課題であると思います。
雇用する企業の法令遵守徹底に向け、必要な予算確保を含めた監督指導はもちろんのこと、外国人労働者の受入れや、共生を含めた外国人全般について議論を行う審議会などを政府に設け、必要な施策の検討、見直しを行う仕組みが必要だと考えますので、御検討をお願いいたしたいと思います。
私からは以上です。
○岩村会長 では、続けて堀谷委員、どうぞ。
○堀谷委員 堀谷と申します。
私からは、倒産・事業再編時における労働債権、労働者保護の強化に関して意見させていただきたいと思います。
倒産や事業再編時における労働者保護に関して、昨今、M&Aの件数が増加するなど、企業組織の再編が活発化する中、事業所の閉鎖・縮小や企業倒産が後を絶たない現状にございます。
こうした社会情勢を踏まえ、事業性融資推進法の成立を契機に、労働条件分科会組織再編部会が設置され、組織再編に伴う労働者保護の強化に向けた検討がなされることは、時宜を得たものであり、大変有意義であると捉えております。
特に事業譲渡については、法的ルールがないため、雇用の承継や不承継、労働条件をめぐって労使紛争が生じております。EUなど、諸外国の法制度や取組も参考にしつつ、あらゆる組織再編を念頭に置いた労働者保護の法的ルールの整備に向けた前向きな検討をお願いしたいと思います。
また、現在、国会で譲渡担保に関する法案が審議されており、労働債権保護につながる制度も含まれておりますが、倒産時の労働債権保護の実効性に関する課題は残されたままであります。
具体的には、労働債権よりも、担保権や公租公課等が優先されることで、結果として原資が底をつくことが多いため、労働債権の一部を優先させる先取特権を新たな制度として創設する必要があると考えております。
また、未払賃金立替払制度の強化に加え、労働債権の保護や労働者の雇用、労働条件を保護する方策など、厚生労働省におかれましては、具体的な検討に着手いただくようお願いしたいと思っております。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、続けてオンラインの方で、野村委員にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○野村委員 ありがとうございます。
全国中小企業団体中央会の野村でございます。
私からは、令和7年度予算に関して意見を申し上げます。
御承知のように、我が国の中小企業は約336万社で、全体の99.7%を占めており、労働者の約7割を雇用し、地域の雇用の担い手として大きな役割を担っておりますが、その多くが深刻化する人手不足の中で、労務費をはじめとする費用を適切に価格転嫁することができず、賃上げ原資の確保が厳しい状況となっております。
3月に開催されました政労使の意見交換の場におきまして、石破総理は、今後の中小企業や小規模企業の賃上げに向け、政策を総動員する、また、最低賃金については、引上げのための効果的な施策を具体化し、5月をめどに取りまとめるとおっしゃいました。
しかしながら、先ほど説明がありました資料2の令和7年度厚生労働省予算案における重点事項を見ますと、7ページの最低賃金・賃金の引上げに向けた支援、また、8ページの人材確保支援は、いずれも令和6年度当初予算より減額となっております。この予算規模で支援を必要とする中小企業をカバーし切れるかというと、必ずしも十分とは言えないのではないかと思います。
最低賃金制度を所管される厚生労働省におかれては、率先して中小企業の賃金引上げへの施策の拡充・強化に向け、今後、一層取り組んでいただきますよう、切にお願いいたします。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、会場から中川委員、永島委員に続けてお願いしたいと思います。
○中川委員 ありがとうございます。
中川です。よろしくお願いいたします。
私からは、本日の議題4、資料5「労働政策基本部会報告書」に関して、意見、要望させていただきます。
今期の基本部会の報告書は、人手不足で人材確保、定着に深刻な影響を受けている中小企業、そして地方に焦点を当てたものだと思っております。
私が暮らす宮崎でも、まさに人手不足が深刻化しております。
3月末の有効求人倍率、全国平均1.26に対しまして、宮崎県は1.29、九州8県におきましても、大分県に次ぐ高さであり、特に医療・福祉の求人が多く、先般、私も2月末に看護学校の労働研修に宮崎県からの派遣で参りましたが、40名全員が県外に就職するといった実態でございます。就職先も、福岡、東京、大阪といった中心部になっています。
そのほか、ホテルでも、調理師不足によりランチ営業ができないとか、ベッドメークなど、人材不足が非常に深刻さを増しておりますが、とくに29人以下、30~99人以下の企業規模での求人が殺到している状況でもございます。
あわせて、離職率も大変高く、労働時間が長いとか、ハローワークの求人情報と実態が違って、そういった労働相談でもトラブルが発生している状況でございます。
人手不足による地方の疲弊、中小企業の苦境がますます深刻化する中、報告書で示された課題をしっかりと受け止めて、着実な解決を図っていくことが大変重要であると実感しています。
報告書では、地方・中小企業での人手不足の課題解決に向けた具体策として、AIの活用や柔軟な働き方の提供が挙げられております。
これらはいずれも大変必要であると思っておりますが、さらに最も重要なのは、地方や中小企業におきまして、若者や女性、高齢者、外国人の方々、全ての働く人に就職先として選ばれるような良質な雇用を提供すること、そして労働者が安心・安全に働くことができる賃金や労働条件、職場環境に向けた改善を置き去りにすることなく進めていただきたいと切に要望するところでございます。
個別の労使間で労働条件を向上させていくことはもちろん、政策面でも、産業政策と労働政策が連携して、産業の育成と安定雇用を確保すること、そして、労務費の適切な価格転嫁も含めて、サプライチェーン全体での付加価値向上と賃金引上げを推進することが大変重要であると思っております。
地方・中小企業の危機感を改めて認識有いただき、産業政策と労働政策が一体となった政策運営などに政府一丸となって取り組んでいただきたいということを強く要望させていただきます。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
続けて、永島委員、どうぞ。
○永島委員 永島でございます。
私からは、働き方改革の柱の一つでありました、同一労働同一賃金の見直し論議についてです。
私たち労働組合は、2020年の同一労働同一賃金の法施行もてこに、雇用形態間格差の是正の取組を強化し、その結果として、連合の2025年の春季生活闘争でも、有期・短時間・契約等、労働者の賃上げは、いわゆる正規雇用の労働者を上回る成果を獲得できている状況でございます。
ただ、依然として、パートだから、有期だからという理由で、賃金や一時金、各種手当などの面で待遇格差があることは事実でございます。
また、同一労働同一賃金の法規定が直接的には適用されず、待遇改善が置き去りになりがちな無期転換労働者の問題や、正規雇用の労働者の賃金の引下げによって同一労働同一賃金に対応しようとする動きなども一部ございます。
同一労働同一賃金の法整備の目的は、労働者がどのような雇用形態や就業形態を選択しても、納得できる待遇を実現することであります。それを達成できているのか、現状を見れば、課題があるのではないかと考えております。
同一労働同一賃金の法規定は、労働組合の待遇改善の取組の後押しにつながるものであるべきではございますが、同時に、労働組合のない職場で雇用形態間の待遇格差の是正を進める上で非常に重要であると考えております。同一労働同一賃金の目的を真に達成できるための法規定はどうあるべきかという視点で議論が深掘りされることを切に要望するものでございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○岩村会長 ありがとうございます。
それでは、オンラインで参加されていらっしゃいます村上委員にお願いしたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○村上委員 よろしくお願いいたします。
私からは、資料2の9ページ左側にございます「仕事と育児・介護の両立支援、多様な働き方の実現に向けた環境整備、ワーク・ライフ・バランスの促進」に関して発言いたします。
労働力が減少している我が国では、労働者一人一人が能力を存分に発揮し、社会全体で生産性を高め、最大限の成果を出すことが求められております。そのためには、柔軟な働き方を可能とする環境を整備し、労働者の挑戦を後押しすることが必要と考えます。長く働く時代ともなっており、男女の差なく、様々なライフイベントと両立しながら働いていくことが求められてまいります。
当社、ベネッセでも、働き手の裁量を重んじ、コアタイムの定めのないスーパーフレックス制度とか、出社と在宅を組み合わせたハイブリッド勤務等、時間や場所にとらわれない働き方を推進しておるところでございます。
また、今回の資料にはございませんが、そのほかに裁量労働制についても、自律的な働き方を促進し、ウエルビーイングを実現する上で非常に重要な制度であると認識しております。
現在、労働条件分科会で働き方改革関連法の施行5年後の見直しとして、労働時間の制度について、様々な議論が提示されているということでございます。健康を維持・確保しつつ、多様な働き方を実現するという制度の見直しや強化については非常に重要であり、期待しておるところでございます。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、今度は会場から成田委員、則松委員、続けてお願いしたいと思います。
成田委員、よろしくお願いします。
○成田委員 運輸労連の成田と申します。
私からは、資料2の7ページ、9ページにあります人への投資やリ・スキリングを含む能力開発について発言させていただきます。
本年度、教育訓練休暇給付金の創設など、人への投資の一環として、労働者個々人の学び・学び直しを支援する方策の強化が図られていることは、労働側としても大変望ましいと考えています。
他方、厚生労働省の調査によれば、教育訓練休暇や短時間勤務制度、時間外労働免除制度を導入している企業は、それぞれ1割に満たず、導入予定のない企業が8割を超えている現状にあります。
能力開発の促進には、取組が遅れている非正規雇用で働く者を含め、能力開発の機会を提供することはもとより、教育訓練休暇制度の導入や、長時間労働是正による時間の確保が重要であります。引き続き、企業に対する支援の拡充や、給付金が適切に活用されるよう、周知をお願いいたしたいと思います。
最後になりますが、労働者が主体的にリ・スキリングを含む能力開発に取り組むためには、能力開発が処遇向上につながる「能力開発と処遇改善の好循環」を実現することが不可欠です。好循環の実現に向けた政府の支援を検討いただきたいと思います。
以上であります。
○岩村会長 ありがとうございました。
則松委員、どうぞ。
○則松委員 ありがとうございます。
私からは、2点お話しさせていただきたいと思います。
まず、資料3の10ページにあります雇用の分野における女性活躍推進に関わってですが、女性活躍推進法の期限延長に当たり、男女間賃金差異の公表義務を常時雇用する労働者数が101人以上の企業に拡大するとともに、女性管理職比率を新たに公表義務とする改正法案が3月11日に国会に提出されたことは、女性のさらなる活躍推進の観点から意義のあるものだと認識しています。
一方で、日本の男女間賃金差異、女性管理職比率などを諸外国と比較すれば、依然として男女間の格差が大きく、数値の公表のみでは格差の是正にはつながらないと考えています。
厚生労働省におかれましては、全ての企業に対して、男女間格差の要因分析、是正に向けた取組、取り組んだ結果の検証、課題の洗い出しなど、PDCAサイクルを回すとともに、積極的に情報を公表するよう促していただきたいと思います。
また、誰もが持てる能力を発揮し、活躍できる職場環境を実現するため、事業主行動計画策定が義務づけられていない100人以下の企業を含め、全ての企業を支援し、女性活躍推進の取組を加速していただきたいと思います。
2点目ですが、資料2の9ページ、予算のところなどにありますハラスメント、また、分科会の審議状況に関わって発言いたします。
カスタマーハラスメント対策や求職者に対するハラスメント対策の強化を目的とする労働施策総合推進法等の一部を改正する法律案が今次通常国会に提出されています。
ハラスメントは人権侵害であり、行ってはならないものです。労働者が安心・安全に働くためには、職場におけるあらゆるハラスメントの根絶が不可欠です。
そのため、国は、職場においてハラスメントは行ってはならないことを法律に明確に示すとともに、消費者などの権利に配慮しつつ、社会的な合意形成につなげていかなければならないと考えます。
社会における規範意識を醸成するには、カスハラ対策も含めて、中小企業を含む全ての企業が足並みをそろえて一体的に取り組む必要があります。そのため、カスハラ対策においては、必要な経費補助やマニュアル作成など、国による企業への支援が重要になります。
また、カスハラは全ての業種で見られ、その対応は様々であることから、業所管官庁及び消費者庁、警察庁を含めた連携が不可欠であります。厚生労働省主導の下で、連携した対応をぜひともお願いしたいと思います。
加えて、職場におけるあらゆるハラスメントの根絶に向けて、いわゆるSOGIハラ対策の強化をはじめ、現行法で規定されている4種類のハラスメント対策指針などについて、必要な見直しを行うとともに、最近問題視されているスタートアップ業界のハラスメントなども含めて対策を実施する必要があります。
さらに、ILO第190号条約の批准に向けた具体的な検討を進めるべきだと考えています。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、小松委員、お願いいたします。
○小松委員 ありがとうございます。
私からは、多様な人材の活躍推進と職場環境改善に向けた取組について申し上げます。
まず、多様な人材の活躍促進についてですが、賃上げが進む中、いわゆる年収の壁を意識した就業調整が中小企業の人手不足に拍車をかけています。
「年収の壁・支援強化パッケージ」による対策を講じていただいていますが、働く意欲や能力のある女性の活躍推進、中小企業における労働力確保のために、根本的な解決が必要となります。第3号被保険者制度の将来的な解消に向け、早期に国民の合意を得られるよう努めていただきたく、お願い申し上げます。
また、今年度の予算においては、両立支援等助成金の拡充をはじめ、仕事と育児・介護の両立に向けた支援を強化いただき、感謝申し上げます。
一方で、人手不足の中、企業が育児・介護等と両立できる環境整備を進めるためには、マルチタスク化による業務の補完体制の整備や、デジタル化による省力化など、業務プロセスの見直しが必要となります。
政府におかれましては、労働者への金銭的な手当支給等の支援のみならず、こうした業務プロセスの見直し及び多様で柔軟な働き方の導入・拡充に向けた伴走支援を強化いただきますよう、お願い申し上げます。
最後に、外国人材の活躍推進について申し上げます。
育成就労制度の施行を見据えて、現在、各分野での詳細な運用が検討されていると承知しています。技能実習からの移行に際し、受入れ分野、管理の在り方の変更などによって、適正な受入れを行っている事業者や監理団体の円滑な受入れに支障が生じることがないよう、十分な配慮をお願いします。
また、外国人材の受入れ拡大を見据え、企業のみならず、自治体、教育機関も含めた地域全体での受入れを進めることが必要です。
特に自治体直下の国際交流団体の活動は期待でき、当社の位置する東京都の東京つながり創生財団や、大田区の国際都市おおた協会なども、外国人に寄り添った企画・運営が顕著です。
外国人材がより一層活躍できる社会の実現に向け、政府としても支援をお願いします。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、安河内委員、どうぞ。
○安河内委員 安河内でございます。
私からは、業務改善助成金、並びに米国の関税強化策について御発言させていただきたいと思います。
資料は、参考資料1の71ページでございます。
2024年度の地域別の最賃は、全国加重平均で1,055円となりましたが、連合が掲げております「誰もが時給1,000円」にはいまだ到達してございません。人手不足への対応や、生活向上の観点から、まずは一つの通過点として、少なくとも本年度は「誰もが時給1,000円」を達成する必要があると考えています。
その上で、業務改善助成金の活用が非常に重要となってまいります。今後も、最低賃金を継続的に引き上げていくためには、助成金などによる中小企業・小規模事業者の支援策が欠かせないことから、十分な予算確保をお願いいたします。
この間、予算の大半を補正予算で手当てしてきておりますが、しっかりと当初予算で確保すべきであると考えます。
政策効果を高めることも非常に重要でございます。
交付が決定いたしました実績については、昨年度比で5,000件ほど増加しており、当助成金の需要と周知については、これまでより高まっていると推察できますが、一方、効果の検証も必要でございます。とりわけ地域別最低賃金が低位の地域における助成金の活用実態や、助成率の引上げによる影響を把握するため、都道府県別での集計と分析が必要ではないかと考えております。
また、本年10月の地域別最低賃金改定時に大幅な引上げが実現した場合、対象事業所のさらなる拡充の検討と併せて、中小企業などからは、申請書や事業実績報告などに大変な手間と時間がかかるという声もございます。さらなる申請・報告の負担軽減を図っていただきたいと思います。
次に、鰐淵副大臣、あるいは内田委員の御発言でも御指摘がありましたが、米国の関税強化策で影響を受けます中小企業に対しては、国際動向や日本経済の環境変化を踏まえた中小・小規模事業者向けの相談体制の整備や資金繰りの支援など、速やかな支援の拡充が求められております。
さらに、関税強化は国内のあらゆる産業・業種に影響が及びかねないことを踏まえれば、雇用に関する施策も含め、不測の事態に備えた迅速かつ強力な政策面での支援をぜひお願いいたします。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、これで最後としたいと思いますが、藤原委員、どうぞ。
○藤原委員 ありがとうございます。
私は、清水委員が先ほどお触れになりました年収130万円の壁対策について発言したいと思います。
厚労省からは、壁対策はキャリアアップ助成金の拡充で手当てするという説明がありましたが、この前に年収106万円の壁対策で導入された「社会保険適用時処遇改善コース」は、雇用保険二事業財政が非常に厳しい中で、暫定的な措置として導入されたものであります。それと同じ趣旨のものを今度は130万円の壁に持ってくるということは、本来避けるべき措置であったのではないかと考えております。
130万円の壁対策が決まった暁には、助成金の利用状況などから費用対効果などを検証した上、要件や手続、周知方法などについて、必要な見直しを行い、例えば、所定労働時間の延長に働き手が応じてもらえるよう、働き手の意識改革を促す周知広報に努めていただきたいと思います。
そもそも年収の壁の対策につきましては、働き方に中立な税制、社会保障制度を構築することで解決すべき問題だと考えております。この構築に向けて、私どもも汗をかくつもりでおりますので、ぜひ真剣に取り組んでいただきたいと思います。
その一環といたしまして、週労働時間の要件や第3号被保険者制度の見直しなど、しっかりと進めていただくよう、強くお願いしたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、いただいた御意見につきまして、事務局から御回答いただきたいと思います。簡潔にお願いします。
なお、中川委員が基本部会の報告について御質問されましたが、この後の議題でそれを取り扱いますので、そのときに事務局から回答いただくということにさせていただければと思います。
それでは、基準局長からお願いいたします。
○岸本労働基準局長 まず、労働基準局でございます。
いただいた御意見につきまして、大きく5点まとめさせていただいて、御回答申し上げます。
1点目、労働基準法の見直しや労働組合の意義などについてでございます。
労働基準法に関しては、申すまでもありませんが、労働条件の最低基準を定めたものであるという役割は、今回の見直しに当たっても基本的な視点として持っているところでございます。
本年1月に報告書を取りまとめていただきました労働基準関係法制研究会でも、働く方の心身の健康を守るという視点と、働く方の多様な選択を支えるという視点の両面が重要であるという観点から議論していただきました。
こういった議論を踏まえながら、本年1月から労働条件分科会において、労働基準法の見直しについて議論を始めていただいておりますので、年内目途での取りまとめを目指しておりますが、今後、議論を深めていただけるよう、取り組んでまいりたいと考えております。
また、これも申すまでもありませんが、対等な労使関係を構築し、労働条件の改善を図る上で、労働者の団結権、団体行動権、団体交渉権の保障が重要であることは不変でございます。
今後とも、労働組合法の周知など、健全な労使関係の構築に厚労省としても支援してまいりたいと考えております。
それから、ワークルール教育についても御指摘がございました。
漫画形式のハンドブックとか動画版、クイズ形式で労働関係法令について学習することができるスマホアプリなど取り組んでおりまして、若いうちから、学生のうちから労働関係法令の基礎知識を身につけていただけるような取組について、関係省庁とも連携しながら進めてまいりたいと考えております。
それから、賃上げ支援や最低賃金について、幾つか御指摘をいただきました。
まず、最低賃金でございますが、今回の最低賃金の引上げについては、2020年代までに1,500円という高い目標を掲げている中で、政労使の意見交換という場が設けられまして、そこで議論が行われていることが一つ特徴としてございます。
また、それと並行して、5月を目途に、政府として最低賃金引上げのための対応策を取りまとめる予定で、現在、内閣官房を中心に議論が進められております。
こういった状況も踏まえながらでございますが、本年度の最低賃金の引上げについて、最低賃金法に基づいて、公労使三者構成の最低賃金審議会で三要素を考慮して御議論いただき決定すると。
厚労省としては、その枠組みの中で、データに基づく真摯な御議論をいただけるよう、円滑な運営に努めてまいりたいと考えております。
また、最低賃金引上げについて、特に中小企業の皆様が賃上げしやすい環境整備が重要でございます。
厚労省としては、令和7年度予算において、生産性向上等を支援する各種助成金を「『賃上げ』支援助成金パッケージ」として取りまとめたところでございます。
なお、その金額の総額につきまして、令和7年度当初予算の御説明資料の中で、当初予算額が令和6年度と比してマイナス5億円となっていると御指摘いただきました。
これは、当初予算としてはそのとおりなのでございますが、この項目につきましては、令和6年度の補正予算で業務改善助成金を297億円、生活衛生関係営業の関係でも約6億円を計上しておりまして、令和7年度にも繰り越して使用可能なものですから、令和6年度当初と比べますと大幅に増額を確保しているものでございます。
もちろん、それが補正頼みになっているという御指摘は甘受しておりまして、当初についても増額に努めております。
例えば業務改善助成金では、金額としては、令和7年度当初は15億円ですが、令和6年度と比べますと約1.8倍に伸ばすことを官房の支援も受けて実現したところでございます。
また、政策効果についても御指摘をいただきました。
業務改善助成金について、実績とか対前年度比較を都道府県別に行ってみまして、上位の労働局、下位の労働局を比較し、原因などを聴取して問題点、あるいは好事例といったことを把握して、より実効ある形で業務改善助成金を使っていただけるような取組を今後検討してまいりたいと考えております。
また、申請に関する手続の負担軽減については、電子申請を申請から報告まで一括で可能としておりまして、令和7年度においても、仕入税額控除の報告を電子申請でできるよう、システム改修したところでございます。ぜひ電子申請を使っていただいて、より手軽に使っていただければと思っております。
米国関税への対応ですが、これは労働基準行政のみならず、労働行政全体に関わりますが、4月に政府全体としての緊急対応パッケージが取りまとめられました。労働基準行政としても事業者への相談体制の整備、中堅中小企業をはじめとした関税の影響を受ける企業への支援強化などがパッケージに盛り込まれておりますので、そういった中で情報収集、相談支援など、できることをやってまいりたいと考えております。
大きな3点目として、フリーランスやスポットワークについて御意見をいただきました。
まず、大きく言うと、労働者性が認められるかどうかという問題がこの点はございます。
これについては、本年1月にまとめられました労働基準関係法制研究会報告書でも御指摘いただいておりますが、現在の判断基準ができてから約40年経過しております。
この間、非常に大きな役割を果たしている判断基準であると考えておりますが、時代の変化もございますので、学識経験者の先生方による「労働基準法における『労働者』に関する研究会」を立ち上げまして、今月2日に第1回を開催したところでございます。
今後、同研究会におきまして、裁判例、国際動向などの把握・分析を深め、判断基準の在り方について検討を進めてまいりたいと考えております。
また、労働安全衛生法における今回の改正の中で、今回、労働者でない者を保護対象に取り込むという改正案を国会に提出して、審議いただいておりますが、法案が成立しました暁には、円滑な施行に万全を期してまいりたいと考えております。
また、いわゆるプラットフォーマーと言われる存在は、中身を見ますと、仕事のマッチングのみを行っているプラットフォーマー、あるいは自らが注文者の立場に立つプラットフォーマー、場合によって、アプリを通じた業務遂行に関する様々な推奨が労働基準法の指揮命令を行っていると解されるような場合もあり得るといった多面的な観点から、現行法令との関係を整理する必要があると考えております。労働安全衛生法の改正が成立した場合には、その施行にも関わってまいりますので、施行状況をよく見てまいりたいと考えております。
スポットワークにつきましては、基本的には短期の雇用に関する職業紹介を行っているビジネスモデルであるというのが基本であると考えております。ですので、プラットフォーマーから紹介されて雇った方が労働基準法の使用者としての責任を負うという形態であります。そこがしっかりと守られることがまずは重要であると考えておりまして、労働局や労働基準監督署におきまして労働者等からの相談対応、また、事業所に対する監督指導を行っているところでございます。
大きな4点目、組織再編に関する御議論がございました。
事業再編時の労働者保護は、重要な課題でございます。
事業性融資推進法の成立により、企業価値担保権が創設されたことを踏まえまして、本年3月に組織再編部会という新しい部会を立ち上げさせていただいたところでございます。引き続き、金融庁などとも連携しながら、まずは事業譲渡等指針の必要な見直し、加えて、事業再編に伴う労働者保護に関する諸問題について御議論をお願いしたいと考えております。
また、譲渡担保法案ですが、これについては、労働者など、一般債権者への弁済原資の確保のための規定があるなど、倒産時の労働債権の保護の一定の措置について配慮がなされている内容になっていると認識しておりますが、労働債権と各種債権等の優先順位については、各種債権の性格なども踏まえた広範な検討が必要であると考えております。
労働債権の保護の必要性・重要性の認識は、この間、法務省とも共有しながら議論させていただいておりまして、厚労省としては、賃金支払いなどが確保されるよう、労基法の履行確保、未払賃金立替払制度の円滑な運営に引き続き取り組みますとともに、法案が成立した場合には、労働問題の総合相談窓口において、新たな制度の趣旨・内容について周知を図ってまいりたいと考えております。
最後に、柔軟な働き方を可能とする環境整備や労働時間制度について御意見をいただきました。
労働条件分科会では、御指摘のとおり、働き方改革関連法の施行後5年が経過したことを受けて、労働基準関係法制の課題について議論を開始しているところでございます。
その中では、先ほどと重複いたしますが、働く人の心身の健康を守るという観点と、働く方の多様な選択を支えるという観点の両面が大事だという認識に立ちながら議論を進めてまいりたいと思います。
現在「労働者」の概念や、事業、労使コミュニケーション、労働時間法制の具体的課題をはじめとして、労働基準関係法制の課題について、幅広い議論を労働条件分科会で開始したところでございまして、引き続き議論を深めていただけるよう、事務局としても取り組んでまいりたいと思います。
長くなりましたが、以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、職業安定局長、よろしくお願いいたします。
○山田職業安定局長 最初に、内田委員からいただいたコロナ禍における雇調金の効果検証、雇用保険の財政再建に向けた検討についてですが、コロナ禍における雇用調整助成金等の特例措置による失業等給付の積立金から雇用保険二事業への借入金額については、委員が御指摘のとおり、令和7年度予算編成過程における大臣折衝によって、1兆円の控除は行ったものの、依然として借入額としては1.5兆円あり、雇用保険財政自体が厳しい状況にあるものだと認識しております。
令和6年度決算における雇用保険二事業の剰余の2分の1は、雇用安定資金に組み入れることで残高ゼロ円という状況を脱することにはなりますが、引き続き、雇用保険二事業が果たすべき役割をきちんと果たせるように、安定的な財政運営に努めてまいりたいと思います。
そもそもこういう事態に陥った原因である雇用調整助成金のコロナ禍の特例措置については、JILPTにおいての効果検証を行っているところでありますが、近日中に、その速報版の結果が公表される予定となっております。当該検証結果も踏まえて、労使の皆様の御意見を伺いながら、雇用調整助成金の在り方について検討を進めてまいりたいと思います。
同じく、内田委員から、この話の流れの中で、米国のトランプ政権の関税政策における雇用情勢の悪化の懸念について言及がありました。
これは先ほど基準局長からも話がありましたが、4月25日金曜日に、政府としての米国関税措置に関する総合対策本部において決定された「米国関税措置を受けた緊急対応パッケージ」を踏まえて、都道府県労働局長に対して、米国関税措置に係る雇用維持策に関する相談や支援について指示をしたところであります。
引き続き、都道府県労働局において、当該指示を踏まえて、米国関税措置に伴う労働市場への影響を適切に把握するとともに、状況に応じて丁寧な相談支援を行うなど、適切な対応を実施してまいりたいと思います。
米国の関税措置に伴う労働市場への影響を適切に把握する中で、仮に雇用への影響が見られた場合には、その状況に応じて、雇用維持への支援の取組について、必要な対応をタイミングを失することのないように、迅速に実施してまいりたいと思います。
こうした有事に対する対応も踏まえれば、冒頭に触れました雇用保険財政を盤石なものにする必要は強く意識しなければと思います。
それから、石川委員からございましたが、外国人労働者の保護の強化についてですが、厚生労働省では、労働施策総合推進法に基づいて外国人雇用管理指針を策定しているところでありますが、法令上の義務として遵守すべき事項や、雇用管理改善に努めるべき事項などを定め、ハローワークにおいて、事業主に対して必要な助言・指導を行っておるところであります。
介護人材の受入れや共生を含めた外国人全般に関する施策については、外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策に基づき、関係機関が連携して共生社会基盤強化・基盤整備に向けた取組を行うこととしております。引き続き、関係省庁と連携しつつ、必要な施策の検討、見直しに取り組んでまいりたいと思います。
それから、野村委員からお話があった、人材確保支援の予算が令和6年度当初予算よりも減額になっているということで、業務改善助成金については基準局長から説明がありましたが、人材確保支援に係る予算額が令和6年度に比して減額となっているのは、事業主の人材確保を支援する助成金については、令和7年度から制度拡充をしているところでありますが、この助成金の特性として、申請から支給までの一定期間を要することになることから、予算に反映されるのが令和8年度以降となるということが主な理由であります。
この助成金の制度拡張の内容は、雇用環境整備に係る助成の新設、賃上げに取り組む事業主への加算措置の追加等であり、既に受付自体を開始しておるところであります。これらの制度拡充を通じて、中小企業を含む職場定着を促進し、人材確保支援をより一層進めてまいりたいと思います。
安定局からは以上です。
○岩村会長 では、次に、雇用環境・均等局長、お願いいたします。
○田中雇用環境・均等局長 私からは、6点御説明させていただきます。
まず、清水委員、小松委員、藤原委員からございました130万円の壁の関係でございます。
御指摘いただいた点につきましては、十分に承知しておりますが、こうした措置は、非正規雇用労働者のキャリアアップにつながる取組を行う事業主を支援するという観点から行うものでありますので、この点につきましては御理解いただきたいと考えております。
その上で、今後、130万円の壁の関係ですが、省令改正案要綱につきまして、分科会で御審議いただくことを予定しております。
御指摘いただきました検証につきましても、106万円の壁の助成金の適正執行の観点からも重要と考えておりまして、現在、このコースの助成金が支給された事業主に対しましてのアンケート調査を実施しております。その結果も踏まえながら、必要な対応を行ってまいりたいと考えております。
また、働き手の意識改革でございますが、社会保険加入のメリットや「年収の壁・支援強化パッケージ」の周知広報に引き続き取り組んでまいります。
また、第3号被保険者制度そのものでございますが、これにつきましては、適用拡大を進めることで縮小を図った上で、その実態を分析しながら、その在り方の検討を続けていくものと承知してございます。
続いて、石川委員からいただきましたフリーランスの関係の周知徹底でございます。
昨年11月のフリーランス法の施行に向けましては、公正取引委員会等とも連携しながら、全国各地での説明会の開催等に取り組んでまいりました。
引き続き、公正取引委員会等と連携し、本法の内容や相談窓口の周知に取り組むこと、労働局における法の就業環境の整備違反に関する申出があった場合などについての必要な調査、是正指導などにつきまして、着実に取り組んでまいりたいと考えております。
それから、永島委員からございました同一労働同一賃金の関係です。
現在、部会を開催しまして、必要な見直しについて議論を行っております。
これまで有識者、労使関係団体などからのヒアリングを複数回行っております。
今後、個別の論点についての議論に入ってくるわけですが、御指摘の視点も踏まえながら、待遇改善につながるような検討をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
それから、則松委員から女性活躍推進につきましての御意見を頂戴してございます。
今、男女間賃金差異と女性管理職比率の情報公表につきまして、強化などを盛り込んだ改正法案を提出し、審議を待っているところでございます。
男女間賃金差異等の情報公表に当たりましては、単に情報公表を行う、数字だけ追いかけるということではなくて、それを契機として、各企業において要因を分析して、改善に向けた自主的な取組を行っていただくことが重要であると考えておりますので、これまでも男女間賃金差異での説明欄の活用を推奨してまいりましたが、数値の公表に加えて、数値の要因分析を行うことが重要であることや、今後の取組についても情報公表を行うことなどを企業に働きかけておりまして、引き続き、こうした取組を行ってまいりたいと考えております。
また、女性活躍推進がしっかりと実効あるものになっていくためには、中小企業に対しての支援も重要でございまして、厚生労働省で中小企業を中心とした事業主を対象とした賃金差異の分析ツールの提供とか、改善に向けたアドバイスなどのコンサルティングを実施しておりますし、また、企業の好事例の周知などを実施しておりますので、これらの取組を通じまして、全ての企業における女性活躍のさらなる推進に取り組んでまいりたいと考えております。
それから、同じく、則松委員からハラスメントの関係での御意見がございました。
職場におけるハラスメント、働く方の尊厳や人権を傷つける等、職場環境を悪化させる許されない行為であると考えておりまして、今般の法案の中でも、職場におけるハラスメントを行ってはならないことを法文上明確にし、それに基づいた規範意識を醸成するといったような内容を盛り込んでございます。
また、事業主が講ずべき雇用管理上の措置の具体的な内容につきましては、法案が成立すれば、審議会での御議論を踏まえて、指針等でお示しすることになりますが、今「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」を作っておりますので、これなども踏まえながら、有効な対策をお示しできるように、検討してまいりたいと思います。
また、令和7年度から、カスタマーハラスメントも含めたハラスメント事案に対しまして、企業等の事業主や人事労務担当者からの相談に応じて、解決のためのお手伝いをする事業を実施することとしておりますし、また、警察庁とか消費者庁などといった関係省庁、また、業所管の省庁も含めまして、情報共有を行うための取組は、省庁連携会議を開催いたしまして進めているところでございまして、関係省庁と連携しながら各業界での取組を推進してまいりたいと思います。
また、SOGIハラ等でございますが、性的マイノリティーの労働者に対するハラスメントにつきましては、セクシュアルハラスメント防止指針におきまして、性的指向・性自認にかかわらず、労働者に対する性的な言動がセクシュアルハラスメントに当たり得ることや、パワーハラスメント防止指針におきまして、性的指向・性自認に関する侮辱的な言動や、いわゆるアウティングがパワーハラスメントに該当すると考えられることなどを明記し、周知啓発を図っているところです。
また、スタートアップの関係ですが、これにつきましては様々なケースがあると考えられます。
起業家のハラスメントでありますと、労働者を保護することを目的とする現行のハラスメント法制の対象にはならないものでございますが、ハラスメントはあってはならないということで、引き続き、ハラスメントが行われることのない職場づくり全体について取り組んでまいりたいと考えております。
同様に、ILO190号条約につきましても、国内法制全般との整合性につきまして、詳細な検討が必要でございまして、現在、関係省庁とも連携しながら検討を進めております。
最後に、両立支援の関係で、小松委員から御意見を頂戴いたしました。
両立支援に取り組まれる企業への伴走支援につきまして、労務管理の専門家が個々の状況に応じてのヒアリングから課題抽出、具体的な取組に関する提案、フォローアップまでを無料で実施する事業を行ってございます。
令和7年度は実施体制を強化するなどの見直しを行っておりますので、引き続き、企業の職場環境整備が推進できるよう、支援してまいりたいと考えております。
以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、人材開発統括官、お願いいたします。
○堀井人材開発統括官 それでは、私から、大きく3つのテーマについてお答えさせていただきます。
まず、外国人について、石川委員と小松委員から御指摘をいただいたと思います。
まず、外国人労働者の権利保護、人材の確保・育成が適正に図られるように、石川委員から御指摘をいただきました。
そして、昨年成立した法律に基づいて新たに創設される育成就労制度の関連ですが、関係省令の整備に当たりまして、労使にも御参画いただきました有識者懇談会で様々な御意見をいただきまして、検討を進めてきたところでございます。
現在、この内容につきまして、パブリックコメントを実施している状況でもございまして、この結果も踏まえて、丁寧に内容の検討を進めていきたいと考えています。
また、石川委員から日本人との同等報酬についての御指摘もいただきました。
この点に関しましては、育成就労計画の認定におきまして、育成就労外国人に対する報酬の額が、日本人が当該業務に従事する場合の報酬の額と同等以上であることが要件とされているところでございます。
結果として、この要件を満たしていない育成就労計画が認定されないことになるわけですが、具体的にこの要件をどうするか、判断基準、実効性の確保の在り方等については、制度の運用開始に向けて、引き続き検討していきたいと考えております。
また、外国人技能実習機構についての御指摘もございました。
これが新たな制度創設と相まって、新たに外国人育成就労機構に改組するわけでございますが、この機構におきましては、新たに育成就労外国人の転籍支援という業務や、現在は行っていない、特定技能外国人に対する相談援助も実施することになります。
具体的には、制度の円滑な施行を視野に入れて、労働基準監督署、ハローワークとの連携も含めて、監督指導機能、支援保護機能を強化するとともに、必要な体制が整備されるように、引き続き取り組んでいきたいと考えております。
また、外国人の関連で、もう一つ、小松委員から御指摘をいただきました点でございますが、新たな育成就労制度は、令和9年4月の運用開始を予定しておりまして、本年3月に、先ほど御報告させていただきましたが、基本方針を決定したという状況でございます。
新たな制度におきましては、監理団体について、要件を厳格化した上で、機能を十分に果たせない団体は許可しないことを考えております。
本年の夏頃には、このような要件等の制度の詳細を定める関係省令を公布し、受入れの対象分野等につきましては、本年12月頃、分野別の運用方針の中身ということで、今後、労使にも御参画いただく有識者会議におきまして、様々な御議論をお願いすることを予定しております。
その上で、円滑な移行という点についての御指摘がございましたが、現在、技能実習制度を活用いただいている方が、新たな育成就労制度への移行に際しまして、変更点等に対して十分な準備を行って、円滑な受入れができるようにということで、令和9年度からの運用開始の前年度、つまり、令和8年度中に新たな監理支援機関の許可や、育成就労計画の認定の事前申請の受付をすることを現在予定して進めているところでございます。
新たな制度で、どのような手続かということについて、引き続き、関係者に対して適時、適切な情報提供が必要だと考えておりますので、可能な限り早期に省令とか運用要領といったものをお示ししていけるように、速やかに、かつ、適切に対応の検討を進めていきたいと考えております。
また、地域全体の受入れについても御指摘をいただきました。
そもそも外国人材の受入れは、複数の省庁も絡みますので、「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」に基づきまして、関係機関が連携して、共生社会の基盤整備に向けた取組を行うことになっております。
そして、各地方公共団体におきましては、まず、地域の特性等を踏まえた人材確保という観点から、地域協議会に参画して、業所管官庁等との連携を強化していただいたり、共生社会の実現や地域産業政策の観点からの受入れ環境の整備、外国人相談窓口の整備、外国人の生活環境等を整備するための取組を推進するということで、外国人の方にとっても魅力のある地域といったことを取組として進めている状況でございます。
引き続き、関係省庁とも連携しながら、外国人材が引き続き活躍していただけるような整備を進めていきたいと考えております。
以上が、外国人の関係でございますが、引き続き、2点目でございまして、小山田委員から御指摘があった点の関連でございます。
御指摘の内容としましては、我が国の厳しい供給制約下、そして、今後も一層そういったことが進んでいくだろうと。そういった中におきまして、産業全体の底上げとか、生産性の向上が必要であるというような御趣旨であったかと思っております。そして、その際に、関係省庁とも連携してという御指摘があったかと記憶しております。
このようなことを考えるに当たっては、DX化とか、デジタル人材の育成が大変重要であるかと考えております。
そのために、現在、政府全体としても、2022~2026年度までに、230万人を育成するという目標を掲げて、様々に進めておるところでございますが、私ども人材開発統括官においても、職業訓練におけるデジタル分野の重点化を進めているところでございます。
また、全体の底上げを考えますと、いかにして中小企業等において進めていくかということは大変重要であると考えております。
そのために、特に中小企業等に対する支援といたしまして、JEEDのポリテクセンター等におきましては、人材育成に関する相談から課題に応じたオーダーメード型の訓練の提供までの一貫した支援を行っておりますが、この中で、DX管理の生産性向上支援訓練についても強化して進めています。
実は、一口に「DX化」と言っても、大変レベルが違って、そもそも一体何ですか、具体的に何をやったらいいか、分からないというお話から、業務に課題を感じていて、例えばAIとかRPAを活用して、どのようにしたらいいかといった中身から、本当にレベル、中身がいろいろと違うということを実感しております。そのようなそれぞれ抱えておられる課題のレベル、内容に応じて、適切な支援ができるようにということで、引き続き取組を進めていきたいと考えております。
また、大きく3点目ということで、成田委員から御指摘いただいた人材、人への投資、人材育成策という観点について、お答えしたいと思います。
特に、人材開発支援助成金や様々な施策に関しましては、本日御参加の労使の関係団体の皆様方にも周知等について御協力を賜っておりまして、改めてこの場を借りて御礼申し上げたいと思います。
その上で、御指摘がございましたように、まず、教育訓練休暇給付金につきましては、本年10月に施行ということで予定されておりますので、円滑な施行に向けて、引き続き労働者、事業主双方に対して周知していきたいと思っております。引き続きの御理解、御協力をいただければと思います。
また、企業が設ける教育訓練休暇制度についても御指摘をいただきました。
こういった制度を設けているところが少ないのではないかというような御指摘もいただきましたので、これまでも人材開発支援助成金におきまして、企業が教育訓練休暇制度を導入する際の経費の一部補助もやっておりますので、この活用促進と普及も進めていきたいと考えておりますし、本年度、令和7年度におきましては、昨今の賃金の上昇のような状況も踏まえまして、長期の教育訓練休暇制度の賃金助成額の引上げ等もやっております。
引き続き、このような内容も周知して、ワンセットで個人についての取組と企業に対する制度導入も併せた形で周知ができないかと考えております。
また、先ほどいただいた成田委員からの御指摘で、能力の開発と処遇改善の好循環という御指摘がありました。大変重要な御指摘だと考えております。
まずはスキルの向上の支援、そして向上したスキルを正当に評価する仕組みが大事だと考えております。
このため、私どもといたしましては、昨年、令和6年に創設した団体等検定のさらなる活用促進、今はまだ3団体ですが、一口に「検定を設ける」と言っても、非常にきめ細やかな新たなスキルの再確認みたいなことが必要ですので、こういったことを進めていきたいと。
その上で、能力開発が処遇向上につながる取組のために、現状の国家資格や民間資格と処遇との関係を実態調査やヒアリングを通じて整理、明確化して、業界内におけるキャリアラダーをどのようにして整備していくかという調査研究事業を本年度から実施したいと考えております。
このようなことを踏まえまして、具体的な現場の労使の取組が促される参考になるような様々な情報提供にも取り組んでまいりたいと思います。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、政策統括官、お願いいたします。
○朝川政策統括官 私からは一つでございますが、小山田委員からPDCAサイクルについて御意見をいただきました。
労働政策において重要なPDCAにつきましては、労働政策審議会において、まず、2010年8月に点検評価部会を設置し、目標設定を行って、年度末に評価する取組を行ってきました。
その後、2012年度、目標分からは、労働政策審議会の各分科会で毎年度目標設定を行って、その実績の検証の評価を行っています。
また、労働政策も含めまして、厚生労働省の政策の評価については、行政機関が行う政策の評価に関する法律に基づいて、政策体系に定める施策目標ごとに、施策所管部局において政策評価を実施しています。
今後、この政策評価については、2027年度から始まります次期基本計画の策定に向けた検討を進めることとしておりまして、有識者会議で御議論いただきながら検討を進める予定です。これらによって、引き続きPDCAの取組を実践してまいります。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
以上でよろしいでしょうか。
厚生労働省におかれましては、本年度予算の執行や今後の政策立案におきまして、今、委員の皆様から頂戴いたしました御意見を踏まえて取り組んでいただくよう、お願いいたします。
続きまして、議題4の労働政策基本部会報告書に移ります。
本審、労働政策審議会のすぐ下に設置されました労働政策基本部会におきまして、4月に報告書の取りまとめがなされております。
これにつきまして事務局から説明をいただきますが、時間がかなり押しておりまして、当初予定していた12時までに終わらない可能性もございますが、この後、議事進行につきまして、委員の皆様方の御協力をいただきたいということとともに、御予定のある方は、御退席いただいても構いませんので、そのようにお願いしたいと思います。
それでは、まず、事務局から説明をお願いいたします。
○宇野政策統括官付参事官 参事官の宇野です。
短く説明させていただきます。
本来は、取りまとめていただきました守島前部会長から御説明、御発言いただくことが必要でございますが、守島部会長は4月26日付で退任されましたので、代わって説明させていただきます。
資料5を御覧ください。
1ページ目を見ていただきますと、労働政策基本部会の設置趣旨です。
労働政策審議会では、各分科会・部会を横断するような課題が議論されにくいという指摘を踏まえまして、平成29年7月に労働政策審議会本審の下に設けられたものでございます。
2ページ目を御覧ください。
今回取りまとめられた第4期となる労働政策基本部会の報告書となります。
令和6年1月から令和7年3月にかけて、有識者等のヒアリングを含めて10回開催し、地方や中小企業における課題や労働政策の在り方について議論が行われました。そして「急速に変化する社会における、地方や中小企業での良質な雇用の在り方」を副題とする報告書を取りまとめていただき、令和7年4月25日に公表しております。
報告書の内容は、6ページ以降にございますが、時間の関係で、概要で説明させていただきます。
まず、概要の真ん中に「本部会からのメッセージ」とありますが、この報告書の大きな特徴の一つとして、初めての試みで、報告書の対象となる方々に対し、労働政策基本部会からのメッセージを作成いただきました。
具体的なメッセージは、5ページにございますので、後ほど御覧ください。
報告書の内容につきましては、3章構成となっております。
左下ですが、第1章では、地方・中小企業における人手不足、都市部や大企業に比べてより深刻な状況など、地方・中小企業の現状を整理しております。
その上で、このような現状を踏まえた課題として「地方における賃金等の労働条件の低さや情報発信の不足」など5点に整理しています。
続きまして、右下では、第2章といたしまして、今後の労働政策の方向性として「労働生産性の向上」「労働参加率の向上」「ジェンダーギャップの解消」「情報ギャップの解消」の4つに整理しております。
3ページ目を御覧ください。
3ページ目では、4つに整理したものについて、具体的な施策を書いております。
まず左側の「労働生産性の向上」ですが、市場における「賃金相場」形成機能の強化、
現場人材におけるキャリアラダーの形成、労働政策と産業政策との両輪での取組が重要といった点について触れられております。
また、右側の「労働参加率の向上」ですが、長時間労働の抑制、処遇の改善、仕事と家庭の両立支援が必要であること、地方において、多様なニーズに応じた働き方を推進することは、人手確保につながる可能性があること、商慣行見直しやカスタマーハラスメント対策の必要性などについて触れられております。
4ページ目を御覧ください。
左側の「ジェンダーギャップの解消」に関する施策といたしましては、若年層、中高年層、高齢者など全ての年齢層に対するアンコンシャス・バイアス解消に向けた取組を行うことが必要であること、また、地域密着型で、職場のみならず、家庭・社会における慣習や慣行も含めて見直すことなどについて触れられております。
さらに、右側の「情報ギャップの解消」に資する施策といたしましては、一元的な職場情報サイトの充実、若年層などを対象に、地方の企業の認知度を高める取組の必要性などについて触れられております。
また、下にありますとおり「EBPMの推進」についても触れられており、大学等の研究機関との連携の必要性などについて指摘されております。
本報告書の内容につきましては、厚生労働省といたしまして、厚生労働省において課題の共有がなされ、また、本報告書が指摘した必要な施策が、関係する分科会や部会において速やかに検討を求めたいと考えております。
私からの説明は以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの報告書についての説明につきまして、御意見等がございましたら、御発言いただきたいと思います。
いかがでございましょうか。
それでは、小山田委員、どうぞ。
○小山田委員 ありがとうございます。
御説明ありがとうございます。
先ほど申し上げましたが、本報告書は、中長期的課題を分科会や部会の単位にとらわれずに、横断的に議論し、提言しているということで、縦割りを排したアプローチは非常に意義が深いと思いますし、提言の方向感についても、異論は特にございません。
施策の実行計画や推進体制は、これから分科会で検討していくということだと思いますが、早急に明確化していただければと思います。
その上で、本施策を効果的・効率的に推進する上で、ぜひ御検討いただきたいのが、地域の中小・小規模企業と地域の人材をつなぐ双方向のデジタルプラットフォームの構築です。
現場の実感から申し上げますと、地方の中小・小規模企業は本当に経営支援が乏しく、本業をやるのが精いっぱいであり、人事部署あるいは企画部署もなく、採用や人材育成、デジタル化等に能動的に取り組む余地がほとんどない企業も多いです。
報告書の冒頭に、メッセージが記載されており、非常によいメッセージだと思う一方、このメッセージを実行に移せる企業がかなり限られているというのが実態ではないかと思います。
地方公共団体や商工会議所、職業訓練機関、ハローワーク、金融機関等の各支援機関が連携して、支援のためのデジタルプラットフォームを立ち上げ、企業はそこにいろいろな経営課題やニーズを登録すると、プッシュ型で様々な情報や支援策が提供される、あるいはそのニーズに基づいた人材マッチングやビジネスマッチング、あるいは各種コンサルティングサービス等をタイムリーに受けられるようになることで、地域ぐるみで人事機能を強化していく、あるいは地域全体が一つの内部労働市場化し、地域全体の需給の調整、人材配置の最適化といったことも期待できるのではないかと思います。
また、こういったプラットフォームができれば、そこに様々な人事関連データが蓄積されていきますので、人材マッチングやビジネスマッチングの精度も上がり、エビデンスベースでの政策効果の検証も進むため、施策を展開するほうにとってもメリットが非常に大きいのではないかと思います。
関係者が多岐にわたりますので、厚労省だけで実行するのは大変厳しいと思うのですが、旗振りをしていただいて、中小・小規模企業支援のための地域の人事機能を担うデジタル人事プラットフォームを一度考えていただけないか、あるいはどこかで御一緒に思考ができないかと考えております。
提言内容としては、非常にいいものが盛り込まれていますので、それをどうやって実行に移すかが一つ大きなポイントではないかと思いました。
私からは以上です。
○岩村会長 ありがとうございました。
そうしますと、オンラインで野村委員が手を挙げていらっしゃいますので、野村委員、どうぞ。
○野村委員 ありがとうございます。
全国中小企業団体中央会の野村でございます。
私からは、2点意見を申し上げます。
1点目でございますが、資料の3ページの「労働生産性の向上」についてです。
最後の項目に「労働生産性の向上には労働政策と産業政策との両輪で取組みが重要」と記載されております。
厚生労働省におかれましては、これまでも他省庁が行う施策と連携を図っておられることと承知しておりますが、より中小企業者の立場を御理解いただき、効果的で大きな成果をもたらす取組になるよう、期待しております。
2点目でございますが、同じ資料の3ページの「労働参加率の向上」についてであります。
令和元年に施行された働き方改革関連法により定められた労働時間の上限規制により、中小企業におきましても働き方が変化してまいりましたが、成長意欲の高い人や、さらに経験を積みたいと考えている人が希望する働き方ができなくなってきている側面もあり、これが現在の恒常的な人手不足の要因になっているのではないかという意見もございます。
また、項目の2つ目に「長時間労働の抑制を前提とした上で、労働時間や休暇等に関する労働者のニーズを踏まえ、柔軟な働き方を推進していくことが必要」とありますが、その推進に当たっては、労働時間上限規制の効果検証と必要な改善策の検討についても行っていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございます。
ほかにいかがでございましょうか。
先ほど中川委員、御発言がありましたが、追加はよろしいでしょうか。
○中川委員 大丈夫です。
○岩村会長 それでは、手を挙げていらっしゃいます、安河内委員、どうぞ。
○安河内委員 ありがとうございます。
時間もない中ですので、簡潔に発言させていただきたいと思います。
働き方改革の関連で「長時間労働の抑制を前提とした上で」と記載してありますので、この点について特に異論はないところであります。
ただ、日本の社会環境を考えたときに、例えば人口減少とか女性活躍、あるいは労働者の社会参加に伴って共助を拡大させていくべきだとか、様々な社会課題を解決するためにも、働き方改革は、労働時間を減少させる方向で議論されるべきだろうと思っております。
その上で、先ほど来お話にあるように、人手不足の中で逼迫した職場を勘案すると、裁量労働制の対象業務等の安易な拡大は、長時間労働を助長しかねないと考えております。裁量労働時間制に関しては、2024年の省令等改正を踏まえた適正運用を着実に進めることが重要であると考えておりますので、ぜひとも丁寧な御議論をお願いしたいと思います。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、事務局からお答えいただきたいと思います。
それでは、まず、宇野参事官からお願いします。
○宇野政策統括官付参事官 ありがとうございました。
まず、連合の中川委員から、先ほどの御説明で宮崎県の実態を挙げていただきまして、非常に厳しい状況だとひしひしと感じました。看護師の皆さんはほぼ県外に行ってしまう等の状況については、基本部会のヒアリングでも実際にお話を聞きました。
ただ、その中でどういった形で改善していくのかというような切り口を考えた際に「良質な雇用」と御指摘いただきましたが、その部分が非常に重要であること、また、良質な雇用がきちんとうまく伝わっていないところに対する問題や、それ以外に、職場だけの問題ではなく、社会全体、地域社会における例えばジェンダーギャップの話等、各分科会・部会だけといった縦割りではなかなか分からないような議論が、基本部会ではあったということで承知しております。
つきましては、良質な雇用機会の提供ということで、今回強調しております。基本部会の報告書の内容がより実際の施策に反映されるように、我々としても努めていきたいと思っております。
続きまして、小山田委員から地域のプラットフォームのお話がございました。
今回御提案いただいたものですので、今、お答えできる状況ではございませんが、先ほど野村委員、中川委員から、今の人手不足、労働供給制約の中では、労働政策と産業政策が一体となった取組が必要になってくると御指摘いただきました。
地方や中小企業の方々が、本当だったら、こういう働き方をすれば定着するのに、その辺のノウハウがないというような状況について、どのようにアプローチしていくかというような問題意識は非常に重要だと思っています。
我々は都道府県労働局を持っていまして、都道府県ごとにブランチがあります。 かつ、働き方改革推進支援センターのような形で、実際には助言や支援をしていくような形があるのですが、地域でどのように関係者を巻き込んで、より良質な雇用や働きやすさ、地域定着とかをどういう形で支援できるのかは、引き続き詰めていきたいと思っております。
私からは以上でございます。
○岩村会長 では、労働基準局長、お願いします。
○岸本労働基準局長 続きまして、労働基準局でございます。
労働時間法制について、野村委員、安河内委員から御意見をいただきました。
現在、労働基準関係法制の見直しについて、労働時間法制も含めて、労働条件分科会で働き方改革施行から5年経過後の見直しの議論を始めていただいているところでございます。
そういった中で、野村委員からお話があった、成長意欲の高い方、経験を積みたい方が希望する働き方ができないといったことは、現場に根差した一つの実態を踏まえたお声であろうと思います。
一方で、安河内委員からお話をいただきました、人口減少下で、女性や高齢者も含めて労働市場に出てきやすい、働きやすい労働環境の実現の重要性といったことも、また重要な観点であろうかと思います。
時間外労働の上限規制の在り方につきましては、様々な視点を踏まえた検討が必要であると考えておりまして、労働条件分科会におきましても、それぞれのお立場から活発な御議論をいただければ大変ありがたいと考えております。
以上でございます。
○岩村会長 ありがとうございました。
それでは、御意見はここまでにさせていただきまして、本報告書につきましては、労働政策審議会令第9条に基づき、この審議会として了承するということでよろしいでしょうか。
(「異議なし」と声あり)
○岩村会長 ありがとうございます。
本報告書につきましては、各分科会等にも関係する様々な提言がなされておりますので、各分科会での議論に役立てていただきたいと思います。
以上で、今日予定していた議事は全て終了となりました。
最後に、何かぜひということで御発言があればと思いますが、よろしいでしょうか。
ありがとうございます。
それでは、本日の会議は以上で終了とさせていただきます。
どうもありがとうございました。
照会先
政策統括官付政策統括室
調整第一係 内線(7728、7749)
代表: 03-5253-1111