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令和5年度 第9回化学物質管理に係る専門家検討会 議事録
労働基準局安全衛生部化学物質対策課
日時
令和6年3月22日(金) 16:00~18:00
場所
厚生労働省 専用第21会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館17階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2 中央合同庁舎5号館17階)
議事次第
- (1)化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について
- (2)その他
議事内容
○化学物質評価室長 皆様、本日は大変お忙しい中、御参集いただきまして誠にありがとうございます。それでは、定刻になりましたので「令和5年度第9回化学物質管理に係る専門家検討会」を開催いたします。私は、本日座長に進行をお渡しするまで司会を務めさせていただきます、化学物質対策課化学物質評価室長の藤田と申します。よろしくお願いいたします。
本日は、化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について検討することとしております。そのため、開催要綱別紙の構成員名簿のうち「全般に関する事項」「毒性に関する事項」の欄に掲載の先生方に御参集いただいております。出席者は14名の予定で、大前委員、尾崎委員、髙田委員、武林委員、平林委員がオンライン参加、欠席の予定はなしとなっております。まだ武林委員と平林委員にはオンラインに御参加いただいていないようでが、定刻になりましたので、進めさせていただきます。
本日は、会場とオンラインの併用で開催しております。会場参加の皆様には、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、御発言される場合を除き、マイクをミュート(オフ)に設定していただきますようお願いいたします。また、御発言の際には、あらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、又はお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いいたします。
なお、議事録を作成し、後日公開いたしますので、御承知おきください。本日の会議は公開としており、一般傍聴者につきましては、会場での傍聴のみとさせていただいております。それでは、以降の議事進行を城内座長にお願いいたします。
○城内座長 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○化学物質評価室長 資料の確認をいたします。本日の資料は、議事次第と配布資料一覧、資料としては資料1のみ、参考資料は参考1から参考6までを御用意しております。会場にお越しの構成員の皆様方におかれましては、お手元に配布しております資料に抜けなどがないかの確認をお願いいたします。オンラインで参加いただいている先生には事前に資料をメールで送付していただいておりますが、何かありましたら、事務局までお知らせください。傍聴の方につきましては、本日の資料を厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しておりますので、そちらを御覧ください。資料の確認は以上です。
○城内座長 それでは、本日の議事に入ります。議事1「化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について」です。本日は、事務局から資料の説明の後、論点ごとに区切って議論をお願いしたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○化学物質評価室長補佐 それでは、事務局厚生労働省の吉見から、資料1について説明いたします。まず、2ページを御覧ください。こちらが、前回3月6日の検討会でお示しした6つの論点になります。本日は、これらの論点について3ページ以降に、前回の説明資料のうち関係部分の抜粋、それから前回頂いた主な御意見と、その御意見を踏まえて本日検討していただく論点の順に資料を付けております。また、参考資料として、前回検討会で御説明した資料を全て付けておりますので、御議論に当たって適宜、御参照いただければと思います。
3ページを御覧ください。1つ目の論点は、現行のSDS制度の運用改善を図るべき点はあるかということです。3ページは現行のSDSの規定ですが、前回頂いた御意見に関係するところは赤字にしております。「成分及びその含有量」に関しては、CAS番号を書いてほしいという御意見がありましたが、現状としては安衛法の留意事項通達及びJISともに、記載が望ましいとされております。
4ページを御覧ください。赤字部分です。まず、「貯蔵又は取扱上の注意」の通達の③管理濃度、濃度基準値は、安衛法令で定められている法令の規定による基準値になります。こちらは、通達で記載するように示しております。
次に、その下の「想定される用途及び当該用途における使用上の注意」については、通達では、JISにおける化学品の推奨用途及び使用上の制限に相当する内容を記載すると示しております。
5ページを御覧ください。「適用される法令」の記載については、留意事項通達で、がん原性物質、皮膚等障害化学物質等も含めて記載するということを明記しております。
また、なお書き以降ですが、既に交付されているSDSの更新に時間が掛かるという場合もあります。こういった場合は、変更されているSDSが通知されるまでの間、ホームページへの掲載等により、譲渡・提供先に対して通知するよう努めることを示しております。実際、がん原性物質については、既に該当する製品のリストをホームページに掲載している企業も多いことを確認しております。皮膚等障害化学物質については、今年4月施行とありますが、現在準備されている企業も多いかと思っております。
6ページを御覧ください。「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新についてです。こちらは、省令で義務化しております。変更内容の再通知については、下にあります労働安全衛生法の第57条の2第2項に基づき、努力義務となっているのが現状です。
7ページを御覧ください。ここからは、前回の検討会で頂いた主な御意見です。まず、「成分及びその含有量」に関しては、CAS登録番号をSDSに記載するようにしてほしい。CAS番号があれば皮膚等障害化学物質などの規制に該当するか調べることも可能である。「想定される用途及び当該用途における使用上の注意」に関しましては、実施における使用上の制限を主として記載することが重要であるという御意見を頂きました。「適用される法令」については、皮膚等障害化学物質、がん原性物質について必ず記載されるようにしてほしいという御意見を頂いております。また「貯蔵又は取扱い上の注意」に関しまして、濃度基準値については必ず記載されるようにしてほしいという御意見も頂いております。
8ページをお願いします。「SDSの通知」については、リスクアセスメントの結果に基づく措置として代替物を検討するに当たって、製品を購入しないとSDSが見られないということでは代替物の検討ができないという御意見もありました。「SDSに係る通知事項に変更が生じたときの通知」ですが、こちらは、エンドユーザーに最新の情報を適切に伝えるため、SDSをエンドユーザーに必ず送る等のプッシュ型の制度も必要ではないかという御意見も頂いております。最後に「「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新」については、国が有害性の区分や濃度基準値などの変更情報を提供する仕組みが必要ではないかという御意見を頂いております。
9ページをお願いします。これらを踏まえて、前回の御意見と、前回の会議で事務局が示している論点も含めて、本日御検討いただく論点として、こちらの4点を考えております。保護具の記載、適用法令の記載等をどのように充実すべきか。SDSの更新をどのように譲渡・提供先に伝達すべきか。SDSの電子化、標準化を推進すべきか。国のGHS分類結果や濃度基準値などの変更情報をどのように提供すべきか。こういった内容について御議論いただきたいと考えております。
10ページ、2つ目の論点は、営業秘密として非開示にできるSDSの項目をどう考えるかということです。GHSの原則に、「営業秘密情報(CBI)の保護に適切かを考慮するべきである。ただし、作業者や消費者の健康と安全、又は環境保護を危うくするべきではない」とあり、この原則を基に、非開示できる情報範囲としては、③の一般原則に、物質名称と混合物中の含有量に制限すべきとされております。
11ページ、真ん中の留意事項通達の4ポツ目です。こちらは、成分の含有量が営業上の秘密に該当する場合の通知方法は安衛則第34条の2の6第2項の規定によることができるとなっております。
12ページを御覧ください。具体的には、安衛則での含有量が営業上の秘密に該当する場合に、10%の幅表記による通知を認めております。これにより、営業上の秘密の保護に配慮しております。
13ページを御覧ください。こちらは、諸外国の制度です。EUでは、欧州化学庁(ECHA)に申請して、営業秘密に該当することが認められた場合は、名称として代替名を使用することができます。代替名を使用することにより、成分名の非開示が可能です。米国では、営業秘密の化学物質の名称が非開示とされることをSDSに明示するということで、代替名の記載は不要となっております。カナダは、名称と濃度、含有量ともに、非開示を求めることが可能という制度になっております。
14ページをお願いします。こちらの論点については、前回の検討会では御意見はありませんでした。本日の検討に当たっては、成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるかという点について御議論いただきたいと思います。
15ページをお願いします。3点目の論点です。リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、営業秘密として非開示にできる化学物質の有害性の範囲及び濃度をどう考えるかということが、メインの論点になろうかと思います。GHSの原則の②考慮事項の赤字部分ですが、営業秘密の保護の対象となる化学物質や危険有害性区分の範囲について考慮する必要があります。
16ページをお願いします。混合物の有害性情報については、留意事項通達の赤字の所ですが、「混合物全体として有害性の試験がなされていない場合には、含有する通知対象物質の純物質としての有害性を物質ごとに記載することで差し支えない。」JISのほうでは、混合物の場合、混合物としての毒性情報とGHS分類を記載する。混合物全体として試験されていない場合、あるいは評価するにたる情報が得られない場合は、成分の毒性情報とGHS分類を記載することとなっております。混合物としての分類を行う場合には、GHSの混合物分類方法を使用するとされております。ここで言うGHSの混合物分類方法というのは、本日の参考資料5に当たるもので、こちらは前回の検討会で説明しましたが、この内容を使用して分類するということになっております。
続いて、17ページをお願いします。こちらは、JISに基づく裾切値や濃度限界についてまとめた表になります。濃度限界については前回御説明しましたが、未試験の混合物を成分の危険有害性に基づいて分類する場合に使用する成分の含有量の限界値、つまり混合物中の成分の含有量が、この値未満であればGHS分類の区分に影響しない値ということになります。この表の一番右が安衛法に基づくSDSの裾切値で、その左の行には、カットオフ値/濃度限界が書かれていて、これはGHSの原則のカットオフ値/濃度限界ということで安衛法の裾切値と一緒になっております。しかし、JISの濃度限界、あるいはGHSの利用可能な有害性データがある状態のカットオフ値/濃度限界のところは、また違った値になっており、この値にはギャップがあるということです。例えば、発がん性の場合、区分1は両方とも0.1%で同じなのですが、区分2は、JISの濃度限界は1%、GHS(原則)のカットオフ値は0.1%、安衛法の裾切値も0.1%で、ここにはギャップがあるということです。この間の濃度範囲については、安衛法に基づいて通知が義務付けられていますが、混合物としての有害性区分には影響しないということになっております。
続いて18ページをお願いします。こちらは参考で、安衛法に基づくラベル・SGS対象物質の裾切値の規定です。この裾切値については、従来は安衛則の別表第2で、物質ごとに裾切値を示しておりましたが、その裾切値の根拠というのは、従来からここに示すGHSの有害性区分に基づくものでした。今般、一連のラベル・SGS対象物質追加に際して、このGHSに基づく考え方を告示で規定して、GHSの原則に従って裾切値を規定するということを明確にしております。
19ページは、諸外国の規定です。EUは、営業秘密として成分名を非開示、代替名にできるものとしています。1点目は、EUの職業ばく露限度(OEL)が定められていないこと。日本の安衛法令でいえば管理濃度や濃度基準値に相当するものが定められていないこと。
2点目は、労働安全衛生上の必要な予防措置を講じ、混合物の取扱いによるリスクを制御できるようにするために十分な情報を提供するための必要性に合致すること。こちらについては、これによって濃度が高いような成分は除外するという運用となっています。
続いて3点目は、次に掲げる特定の危険有害性区分のみに分類されていることです。要は、ここに書かれたもの以外は、代替名称の変更ができない。具体的には、発がん性とか、生殖毒性、あるいは生殖細胞変異原性といった有害性クラスについては非開示ができない。また、急性毒性、皮膚腐食性といった区分についても、区分1などの有害性の高いものは非開示にできないといった制度になっております。
20ページは、前回頂いた御意見です。営業秘密は尊重すべきだが、本質的には成分の情報が重要ということを理解した上での議論をする必要があるという御意見、またSDSには混合物としての有害性情報が必要ではないか、一方で混合物としての有害性情報があれば成分の情報は不要とはならないのではないかといった御意見もありました。それから、リスクアセスメントは定量的な分析の問題なので、ハザード情報であるGHS分類の区分にとらわれすぎるのは問題ではないかといった御意見もいただいています。
21ページをお願いします。これを踏まえて、本日検討いただく論点ですが、有害性の高いクラスの物質は含まないとすべきかどうか。具体的には、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性等の有害性クラスによって開示・非開示の範囲を区別すべきか、あるいは、GHS分類の区分によって区別すべきか。例えば、区分1といった有害性の高いものは対象から除くなどというような区分をすべきかということです。
次の点としては、混合物としての有害性分類に影響を与えない濃度とするかどうか。具体的には、GHS(JIS)の濃度限界の考え方を採用すべきか。また、混合物そのものの試験データがある場合、これは濃度限界の概念はありませんが、その場合に非開示にできる範囲をどう考えるか。
さらに、次の点として、GHS分類の区分以外に、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲を判断していく基準はあるかということで、例として、特化則等の特別則の適用対象物質、あるいは濃度基準値が設定されている物質、これらについては、あり方検討会の報告書においても、成分名の省略は認めないこととされておりまして、こういうものは有害性が高い、あるいは法令の適用の確認が必要であるということで、除外すべきではないかという点について御議論いただきたいと考えております。
22ページ、4つ目の論点で、営業秘密として非開示とした場合、SDSにどのように表記するかということです。GHSのほうでは、③一般原則の赤字部分ですが、ラベル又はSDSにその旨を明記すべきとされております。
23ページは、諸外国の規定です。EUは、化学物質の名称を代替名称に変更することができる。アメリカは、営業秘密として非開示であることを明示する。カナダは、政府への登録制度がありまして、その政府に登録した登録番号をSDSに記載するといった制度になっております。
24ページを御覧ください。これらについての前回の御意見を3点、書いてあります。成分名の非開示を認めるとした場合の方法として、一般名(代替名)への置き換えを認める場合には、そのルールが必要ではないか。あるいは一般名(代替名)を認める場合には、有害性が理解できるような名称にすべきではないか。通常はCAS番号をSDSに記載すべきだが、営業秘密に該当する場合にはCAS番号で成分が特定されないよう検討が必要ではないか。こういった御意見を頂いております。
これを踏まえて、本日御検討いただく論点としては、「営業秘密」に該当する旨の明示をすべきかということで、SDSに営業秘密に該当する旨を記載することでよいか。また、一般名への置き換えなどをすべきかどうか。仮に、一般名に置き換えるとした場合、置き換えのルールはどのようにすべきか。最後ですが、含有量の通知はどのようにすべきか。現在、安衛則では、営業秘密に該当する場合には「幅表記」を認めていますが、こういった幅表記などの方法でよいかどうか、そういった点について御議論いただきたいと考えております。
続いて25ページ、論点5は、「緊急事態における情報開示規定をどのように考えるか」ということです。こちらはGHSの一般原則の赤字部分です。緊急事態において、医療関係者に対して治療に必要な特定の秘密情報を開示する手段を確保すべき。また、緊急事態でない場合に、安全衛生の専門家、ばく露した作業者等に対して営業秘密情報を開示する手段を確保すべき。こういった一般原則があります。
26ページは、諸外国の制度です。アメリカは、非常に細かくて、「医療上の緊急事態」においては、次の規定に従って保健専門職、労働者、労働者の代表者に開示されるということです。緊急事態の場合には、直ちに営業秘密に当たる化学物質の名称を開示しなければならないということになっております。次に、非緊急事態、例えば事故までではないのですが、健康診断の有所見とか、そういったような場合については、化学物質の製造者等は、書面による求めにより、保健専門職に、化学物質の名称を開示しなければならないということで、具体的な条件を並べております
それから、カナダにつきましては、営業秘密について政府への登録制度があり、営業秘密情報はあらかじめ政府に登録されていますので、緊急時には政府が開示するというような規定になっております。
27ページを御覧ください。こちらについては、前回は御意見はございませんでした。本日の論点としては、情報の開示が認められるような場面をどのように考えるか。情報の開示が認められる対象者をどのように考えるか。開示の手続をどのように考えるか。具体的には、ここに書いたような内容について、御議論いただきたいと考えています。
そして最後、6点目の論点は、「行政機関への非開示情報の開示等の必要性をどう考えるか」ということで、GHSの一般原則では、要請に応じて、所管官庁に開示するべきとされております。
29ページは諸外国の制度です。EUは、欧州化学庁(ECHA)に申請しなければならないので、既に行政に申請をしていますので、情報は行政機関が持っているということになります。アメリカについては、非開示情報が営業非密によるという主張は支持されるということです。具体的な規定はないのですが、一般的な行政の調査権限で対応しているということではないかと考えております。それから、カナダは、あらかじめ行政に営業秘密の開示の免除の申し立てをするという制度になっています。
最後、30ページですが、こちらの論点についても、前回は特に御意見はごさいませんでした。本日の論点としては、行政義務の執行に当たって必要な場合は行政機関への開示が必要ではないかということで、御議論いただきたいと考えております。資料1の説明は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、論点ごとに検討を進めていきたいと思いますが、皆さん、まずは9ページを御覧いただけますか。9ページの検討項目1の論点について、御意見があればお伺いしたいと思います。論点は全部で6つありますので、10分か15分ぐらいずつで御議論いただければ有り難いと思っています。よろしくお願いいたします。
○最川委員 全国建設業協会の最川です。まず、1の「現行のSDS制度の運用改善を図るべき点はあるか」ということなのですが、取り扱う事業者として必要な情報としては、4月1日から法改正がいろいろありますので、その法改正に対応するために必要な情報というのは、必ず伝達していただきたいという事です。前回の検討会でも濃度基準値や皮膚等障害化学物質を提示してくれとか、何点かお願いました。その伝達方法は私はどのような手段でもいいと思っているのですが、ユーザーが製造メーカーに確認したら、4月1日以降、法改正になったものが、その製品に含まれているかどうかということを必ず答えていただかないと、私たちには分かりません。
今回はSDSの記載の話なのですが、私は間に合わないと思っているのです。今、私の手元にあるSDSにはほとんど書かれていなくて、もう間に合わないというか、製造メーカーからは改訂するつもりはないというような回答も頂いているので、少なくとも4月1日以降、購入するものでもいいですが、購入したときに、その製品の中に、例えば濃度基準値設定物質、皮膚等障害化学物質、がん原性物質、リスクアセスメント対象物質が裾切値以上含まれているかどうかということは必ず答えていただかないと、私たちは4月1日からの法を遵守することはできませんので、そこを絶対に担保していただきたいので、そういう検討会の議論にしていただきたいと思います。その手段はどのような手段でもいいと思っているのですが、なるべく手間が掛からない、事業者自らが調べるのではなくて、製造側から簡単に入手できる方法を議論していただきたいというお願いです。以上です。
○城内座長 そのほか、ございますか。
○宮内委員 前回休んだので、今の経緯も含めて確認なのですが、今回、皮膚等障害化学物質に関しては、直接接触を防ぐということで、物質名が上がって明確になっていると。それに対しては、しっかりと情報を出すことは、私も絶対要ると思います。そもそもSDSを見る中で、ばく露防護対策が伝わらないと毒性情報だけでは目的を達成できない。そのために、具体的に何をどうすべきなのかということを間違いなく伝える仕組みを、是非この機会に入れていただきたいと思います。それに対するデータ、要するに保護具の種類とか、どういう状況のときにはどういう形のものを使うかということに関して、例えば、手袋であれば今回のマニュアル等に情報が入っておりますので、少なくともそれに関しては、しっかりと入れていただきたいと思います。
いろいろなことが分かってきて、順次、改定することになると思いますが、それもきちんとリアルタイムに情報を更新するということが非常に重要かと思います。ですから、物質名が何かということも確かに重要だし、CASナンバー等も絶対必要だと思うのですが、問題があるのであれば、最終的に応急手当とか非常時の対応とか、ばく露防止対策というところに関して、きちんと押さえておけば事故を防ぐことができるのではないかなと思いますので、是非お願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○化学物質評価室長 オンラインの尾崎委員が挙手しております。
○城内座長 尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員 私も、宮内先生の御意見に賛成です。2、3年前ぐらいから、SDSに関して、日化協が、川上から川下へ伝達するのに3年かかるという独自調査をしました。そして先行して対応をしていこうとしました。なかなか厚労省からゴーサインが出なくて、伝達のところのやり方が滞ってしまったということがありました。現状から言うと、4月1日以降の対応としては、新しい銘柄、新しい製品から手を付けていかざるを得ないということなので、既存の製品に関しては半年、1年ぐらいを目途に、順次切り替えていくというのが実態なのではないかと思います。そういうところからすると、化学業界からできることといったら、SDSの中にCASナンバーがなくて困っているというユーザーからの御意見もありますし、適切な保護具が書かれていないということもありますので、この記載に関しては、業界として努力をさせていきたいなと考えております。それで、取りあえずというと言葉に語弊がありますが、化学物質を、薄皮一枚で、防護するという考えが非常に重要なことだと思いますので、是非、保護具の着用の項目をきちんと記載し伝えるということが一番大事なのではないかなと考えております。
それで、これは厚労省へのお願いなのですが、今回ガイドラインのテキストを作っていただきましたけれども、そこの中では化学防護手袋という言葉が非常に先行して出てしまっているので、化学物質を使う末端の業界の方々には、コストがかかりすぎるという大きな誤解ができてしまったと認識しております。是非、不浸透性の手袋というのを全面的に出していただくようにお願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本です。前回、欠席してしまったので、議論があったかどうか分からないのですが、今の尾崎先生のお話のように、資料の参考6で、例えば今回はホルムアルデヒドが付けられていますけれども、3/7の所に手の保護具というと、保護手袋を着用するとしか書いていなくて、ネガティブなこととして繊維製とか皮製手袋は適さないと。本当にこのように、大抵は、保護手袋を着用するとしか書いていなくて、今回のものでいくと、手袋の成分とその物質とのマッチングによって耐浸透性とかが全然違うというのがあるので、どの成分が当該物質に適しているというものをポジティブリストで書いていただくということが一番大事だと思っています。
そうでないと、いろいろなメーカーの検査結果から類似の物質を捜して推定してというすごい作業をやらなければいけなくなるのです。これは、いろいろなばく露を下げたとしても、保護具を超えて皮膚に接触してしまうと、その先で、健康診断が必要になってしまうということがありますので、手袋のポジティブリストとして、これが大丈夫という成分の組成までというのですかね、そういうものを書いていただければと思います。
それから適用法令については、先ほど最川委員もおっしゃったように、リスクアセスメント対象物は入れていただきたいと思います。このリスクアセスメント対象物が順次増えていくということで、いきなり2,900物質が一斉に用意ドンではないというのはお伺いしているのですが、まず、そこが対象になるわけです。手というか皮膚にしても呼吸にしても全部いろいろ検討しなければいけなくなってきますので、また、後の成分のところでお話はしたいと思いますけれども、まず、幅としてはリスクアセスメント対象物かどうかが必ず分かることと、保護具、特に手袋については構成成分が分かり適した化学物質がわかること、これをお願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 適用法令の所で、今回の資料では、安衛法関係の所の記載だと思うのですが、毒劇法とか他省庁の管轄は別として、一つ、労基法の関係の法令も、できればきちんと書いていただきたいと思います。女性則の対象の26物質とか、先ほどのホルムアルデヒドの例でいうと、最後のほうの労規則第35条の別表、特に労規則第35条の別表の中で、その他厚生労働大臣が指定するものというのは、なかなか捜すのが難しいのがあって、そういうところできちんと確認して、過去にどういう労災が起きているのかとかというのが分かるということは、非常に重要な情報だと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、いかがですか。小野委員、どうぞ。
○小野委員 安衛研の小野です。保護具の記載の所なのですが、今までは、適切な保護具を使用することと書かれているのがほとんどだと思います。それが今回、選ぶべき手袋というか、材質が提案されたことによって、製造業者に対する責任を回避するために、最も防護の厳しい手袋だけを書くという形になってしまうと、結局、手袋を選べないということになってしまうと思いますので、そこまできちんとした手袋の材質を示させるというのは、なかなかハードルが高いかと思います。そういう点で、今までと変わらない記載になることは避けていただきたいように思います。
防じんマスク、防毒マスクについては、種類までしか書けないか、今までは適切なマスクだったので、適切が防じんか防毒かも分からないという状態ではあったのですが、ただ、防じんに関しても、濃度基準値がある場合には、その濃度に応じて違うグレードのものを選ばなければいけないという実態があります。SDSを作る人たちに、本当はそういうことがありますよという注記を記載していただくとか、ただ選べばいいのではなくて、濃度を測って選びましょうと、そういったことまで付け加えてもらうかどうかというところは難しいと思いますが、その辺はどのようにしていくかというのが課題ではあると思います。取りあえず以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○化学物質評価室長 オンラインの尾崎委員が。
○城内座長 尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員 話を聞いていると、桃源郷のようなお話をされています。ポジティブリストは理想なのですが、いきなりそこにたどり着けるかというと、多分たどり着けなくて、やはり一歩不浸透性の所に進んでもらって、例えば軍手は駄目とか、そういうネガティブな領域を廃除して、次に不浸透性という言葉を広めていって、更にもう一歩行くという、そういうことをやらないといけないと感じています。また、SDSを作る人間にものすごくマンパワーが掛かって、達成できないのではないかと思います。
○城内座長 小野委員、お願いいたします。
○小野委員 私は、全て書いてくれというのではなくて、将来的に目指すのはそこだとは思うのですが、不浸透性と書くことで軍手を不浸透性手袋にというのは、今の時期のキャンペーンとしてはそれが一番だとは思っています。ただ、そのときに、安全を求めてEVOHを使いなさいとか、多層フィルムを使いなさいという極端な書きぶりは、かえって使用者を混乱させるという意味で申し上げました。そこで誤解を生じたのでしたら、そんなに細かく書くのは無理だというのは私も承知しておりますので、おっしゃるような形で書いて、次にSDSを改訂するときには、そういう情報ももっと出てくるかもしれませんから、そういうときには、また変えていただくということでよろしいのかと思います。以上です。
○化学物質評価室長 先に大前委員が挙げております。
○城内座長 大前委員、お願いいたします。
○化学物質評価室長 大前委員、マイクがミュートになっているようですので。
○大前委員 失礼いたしました。大前です。各SDSを作る所が、そのような情報を集めるのも結構大変だということもあると思います。それから、それらの情報はどんどん変わるので、むしろ、どこか一か所に保護手袋のサイトを作る、あるいは保護具のサイトを作るということで、SDSを作る方もそれを見にいく、あるいは、SDSを使う方もそれを見にいくということでやらないと、尾崎委員が言われたようにすごく大変なことになると思うので、そういう形もあるのではないかと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員
リスクの見積りというのは、化学物質のハザードすなわち化学物質を提供している側の情報になります。あとは、使用状況というユーザー側の使用条件がそこに入ってくるわけです。そこに関しては、メーカー側は一切分からないのです。ですから、今までの化学業界の先達は、適正な保護具を使用の事でお茶を濁していたのだと思います。お茶を濁したというのは非常に語弊がありますが、そういう言葉を使わざるを得なかったのです。そうでないと、何かあったときに、適正な保護具を使い、具体的に記載されていた保護具を使って被液してしまったではないか、化学物質でばく露したではないかと、そういうことで訴えられたときに負けてしまうわけです。それを回避するために適正な保護具ということで、相当引いた形の表現をしているわけなのです。
今後は、踏み込みますがいきなりポジティブの所まで行くのではなくて、軍手は駄目とか、薄スキンのアクリル系のものだったら大丈夫とか、そういうところで一度ステップを踏んでいただきたいのです。長く時間が掛かる話なので、いきなり、あるべき姿をやると、実行する側の業界に非常に負担が掛かるのではないかと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 確かにステップからいうと、そういうステップもあると思うのですが、実際にユーザーの人たちが本当に欲しいのは、どういう製品なのかというところだと私は思っています。さすがに、それを書くのは難しいのかなという感じはするのですが、まずは選定をするときの参考になる資料を出すと。それは一応、今回のマニュアルのほうに出ています。外国のSDS等を見ると、しっかりと製品名を書いているものもあるのです。では、それが駄目かというと、例えばメーカー側のほうでデータをしっかり持っている。ただ、そのデータというのは保証するというわけではなくて、実験データとして出していると、だから、参考にしてくださいよという形で出していると思います。
それは当然、作業状況とか自然現象も含めて、いろいろ影響するファクターがたくさんあるので、いつでもデータが担保できるかというところは分からないのですが、ある一定の状況で実験をしたときのデータをまず出すということで、それは手袋メーカーであれば、できるわけです。要は、そういう注意書きを付けた上で、きちんと製品を出すということも、私は逆にいいのかなと思っています。そうしていかないと、なかなかこれは進まなくなってしまうと思うのです。メーカーのほうからしても、そういう面では物質に対する責任をしっかり持つということであれば、お互いwin-winの関係になるのではないかなと。なかなかそこまで急に行くとは思わないのですが、むしろ、もうちょっと踏み込んでやったほうが目的は達成するのではないかなと思いました。以上です。
○城内座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本です。作るのが大変だというのは、すごく分かるのです。手袋に関して言うと、例えばニトリル製のものは駄目というと、それは有り難いのですが、何だったらいいのかというと多分、普通のユーザーだと行き着かないと思うのです。これは、このぐらいの材質だったら大丈夫だと思われますとかというのでも有り難いと思うのです。そうでないと、保護手袋をちゃんと使っていないと、健診をやれということになって、何をやったらいいのか分からなくなってしまうというのがありますので、そこはどのように管理したらいいのか。保護具の手袋というときに、こちらのほうだったら望ましいとか、何がしかの情報がないと、現実的に対応ができないのではないかと思うところです。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、ございますか。最川委員、お願いいたします。
○最川委員 この規制は、そもそも化学物質の有害なものを扱ったときに、ばく露して疾病とか、それを防ぐための改正ですよね。だから、訴えられないとかそういうことも分かるのですが、ユーザーに伝わらなかったら全く改正する意味はないですよね。そこは、まず絶対担保して頂きたい。私も先ほどから何回も言っていますが、やらされる側にきちんと伝わらない。尾崎委員の言うところだと、新しい所で1年半から2年ぐらい掛かると。今、出回っているものに関しては、その後だと。私は、前から言っていますよね、SDSなんて改正できないのではないかと、記入されていませんと何年も前から言っているのですよ。そういう状況で、もう4月1日から私たちには義務が掛かるのです。だから、もうできないと思っています。今日、私は最後ですが、4月1日から、聞いたら絶対答えるということだけは決めてください。いや、それは努力義務だとか言われたら、私たちはやりませんよ。
小林部長、どうですかね。伝わっていないのですよ、私たちに。そういう状況があるにもかかわらず、義務付けが4月1日から掛かるのですよ。それを渡す渡さないというような書きぶりの話ではないのです。それは絶対答えていただかないと、SDSへの記載が間に合わなくても聞いたら答えてもらわないと、私たちはできないです。そのまま施行されたら、それは行政の不作為ですよ。ちゃんと伝わるようにしてください。以上です。
○城内座長 事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。まず、リスクアセスメント対象物あるいは皮膚等障害化学物質、がん原性物質については、リストが既に出ておりますので、物質名が分かれば法令の適用は分かります。ただ、それを一々調べるのが大変だという御意見だと受け取りますが、法令の適用というのは、リストによってできるというのが1点です。ただ、それではやりにくいと、円滑に施行できないという御意見については、先ほど申し上げたように、少なくともホームページには載せてくださいという要請はしており、がん原性物質については既に載っておりますし、皮膚等障害化学物質についても、少なくともホームページには載せてくださいという要望はしております。また、メーカーに聞けば、メーカーですから自分の物質に何が入っているというのは当然把握しておりますので、聞けば答えることは、もちろん可能だと思いますので、そういった形で対応することを想定しております。以上です。
○城内座長 最川委員、お願いいたします。
○最川委員 私、何回も言っていますが、まだ書かれていない。4月1日から改正される内容はほとんど書かれていないです。4月1日から一気に全部書かれるのかもしれませんが、4月から対象になる皮膚等障害化学物質とか、がん原性物質とか、濃度基準値設定物質が書かれているというところは、私が調べた限りは、ほとんどないです。ホームページに行っても、前回も言いましたが、今回の改正内容に一番対応していると教えていただいた化学物質のメーカーに、上から順番に6社SDS交付依頼を行いました。6社中3社のSDSが手元に来ましたけれども、それを見ても対象物質が含まれているか分からないですし、3社からは、10日たってもSDS自体もらえていないです。「ください」とメールを打って、受信されたのを確認していますが、そういう状況なのです。それだけは分かっていただきたいです。いつもできている、できていると言われてしまいますが、できていないことを認識していただきたいので、よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長 SDSについて、そういった状態もあるというのは把握しておりますし、それを否定するつもりはありません。ただ、私が申し上げているのは、法律の適用について、SDSには物質名が書いてあります。それが皮膚等障害化学物質とは確かに書いていないSDSが現状ではほとんどですが、物質名を厚生労働省が公表しているものと突合すれば、適用物質であるかどうかは分かる状態になっているということを申し上げているだけです。ですから、別にSDSに適用法令が全部書いてあるということをここで主張しているわけではありません。
○城内座長 最川委員、お願いいたします。
○最川委員 混合物の中に含まれている成分が書かれていないのです。全部書かれていればいいですよ。物質が全部書かれていて、CAS番号があれば調べようがありますが、違う名称で書かれていて、検索しても出ないのです。そういう状況があるということだけ認識していただきたいと思います。
○城内座長 ありがとうございました。前回もちょっと申し上げましたが、SDS、つまり危険有害性情報を伝えなければならない側と、受け取る側のギャップというか、意見の相違は何十年も続いてきました。今ちょっと思ったのですが、欧州のようにはいかないかもしれないのですけれども、日本でも、誰かがSDSをウォッチすると。多分、ちょっとは権力がないといけないかもしれないので、行政が決めれば一番いいとは思うのですが、ウォッチして本当にこれは何も書いていないなとか、危険有害性情報は事業者次第なので、そこはタッチできないと思うのですけれども、余りにも情報が足りないとか、変だなというのに関しては、これでいいのですかというようなフィードバックができるようなシステムが、やはりなければいけないのではないかなと何十年も同じ議論を聞いてきて思いました。簡単ではないと思いますが、ちょっと考えていただければいいかなと思いました。
○化学物質対策課長 今の座長のお話にちょっと関連することですが、メーカーとユーザーで十分な対話をすることが必要であろうと思います。まず、メーカーとしては、ユーザーがどのような情報が必要なのかよく分かっていませんし、ユーザーとしては、メーカーにどういう事情があるかよく分かっていないというところで、対話を積み重ねていく中で、どこまで記載できるのかというのを詰めていくのが理想だろうと思っております。そういった意味において、日本経団連などに御協力いただいて、メーカーとユーザーが一同に介して意見交換を行う場というのを設定していただきましたので、先ほど座長がおっしゃったように、ウォッチするような仕組みができるかどうか分かりませんが、そういったところで対話を積み重ねていく中で、SDSの記載の改善が図られていくのが理想かなと考えております。以上です。
○城内座長 今の議論は、SDSの電子化とか標準化等にもつながっていくと思います。あと、皆さんから御意見等がなければ次に行きたいと思いますが、ここはよろしいでしょうか。では、9ページの論点についてはここまでといたします。
次は、14ページをお願いいたします。14ページは、「成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるか」ということですが、ここについて御議論をお願いいたします。宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本です。前回の議事録を見たのですが、書いていなかったので教えてほしいのですが、営業秘密というのは、例えば薬、内服薬では、10年でパテントが切れるとかもあって細かい製法とかも開示することになると思うのですが、この営業秘密というのは、何年とか区切りがあるものなのでしょうか。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 営業秘密の定義については、前回お配りした資料の資料4の7ページに、「営業秘密の定義」が各国でどのようになっているかというのを入れております。我々として一番分かりやすいと思っているのはカナダで、「情報が公開されていないこと。申立者が、情報を公開されないように合理的な手段をとること。情報が公開されておらず、開示によって申立者に財産上の損失又は申立者の競合相手に財産上の利益を与えることから、申立者又は申立者の競合相手にとって、実質的に又は潜在的に経済的価値を持つこと」となっておりますので、宮本先生がおっしゃったように、例えば、開示されているものは当然、営業秘密に当たらないことになろうかと思います。
○城内座長 宮本委員、お願いします。
○宮本委員 開示されているものではなくて、営業秘密として保護される期間が、何かあるのか。これでいくと外国ばかりで、日本はないと思ってよろしいのでしょうか、ずっと永久的に。
○化学物質対策課長 期間というのは多分、何年と決めることはできないと思うのですが、先ほどおっしゃっていたように、例えば特許切れとかで開示されたら、その瞬間で営業秘密はなくなってしまうことだろうと思います。ですから、何年とかではなくて、実質的にそういう情報が開示されているかどうかという実態論で決まっていくのかと考えております。
○宮本委員 だとすると、営業秘密だというのは、メーカーのほうで、これは秘密だ、自社の営業秘密だと言ったら、言った者勝ちになるのですか。
○化学物質対策課長 大変難しいところですが、国によって少し違いまして、例えばアメリカは、おっしゃるようなシステムで、争いたければ民事で争ってくださいというシステムです。EUとかの場合は政府機関が審査をするのです。そこで、営業秘密があるかどうかをEUが認めないと、非開示を認めないというシステムになっております。日本において、どういったシステムをとっていくかというところは、少し変わってくるところではあります。
○宮本委員 宮本です。だとすると、営業秘密をどう考えるかということが先にないと、何を非開示と認めるかという議論にはならないのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 前回の議論では、こちらの定義を御説明させていただいておりまして、我々としてはカナダの定義が一番分かりやすいので、それをベースに御議論させていただきたいというお話をさせていただきました。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○宮川委員 成分のみ非開示か、含有量の非開示も認めるかという話ですが、ここで言うのは、営業秘密に係るときに含有量の非開示は、これは全然しなくていいという意味ではなくて、10%刻みでいいですよねというところの議論になるということですか。
○化学物質対策課長 そこも議論の範疇に入るのですが、我々は、先ほど吉見が説明しました10%刻みというところになっているので、あえて営業秘密ということにせずに、10%刻みで担保できるのではないかというのが行政のスタンスです。例えば、カナダなどの場合は実際、濃度を完全に隠すことも不可能ではない。かなり難しいらしいのですが、そういうのは認められるケースは少ないらしいのですが、制度的には可能性があると。そういったところまで踏み込むかどうかということだと思います。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 そうすると、今のお答えについて、2点ばかり意見を述べさせていただきます。まず、前回も言ましたが、リスクアセスメントのためには、ばく露情報が非常に重要で、そのためには、どういう物質が、どのぐらいばく露する可能性があるかと。これは、もとの成分の情報がないと非常に難しいのです。10%の刻みでも、例えば9割入っているか、8割入っているか、7割入っているか、その程度の差でもって、それなりにリスクアセスメントの場合には大丈夫かもしれないのですが、かなり毒性の強いものが、0.1%入っているのと、9%入っているのと、これは全て10%以下とか、ほぼ0となってしまうと、実際の影響が違うときに把握できない可能性があるので、含有量の記載自体についても、全体として10%刻みでいいのだというところは、ごく低い濃度でも問題になるものについては、これは将来見直していただく必要があるのかと。そういうことも考えると、基本的に含有量の非開示を、営業秘密に係るから全て認めてしまうというのは、リスクの見積りなどでは非常に困ることなので、私は個人的には、何が入っているか分からなくても、物質Aについては、こういう有害性があって、許容濃度あるいは濃度基準値、そういうものがこのぐらいの濃度であって、しかも製品中にはどのぐらい含まれていますというのがかると、リスクアセスメントはある程度できると思うのです。量は非常に重要な要因だということを申し上げたいと思います。以上です。
○城内座長 事務局、どうぞ。
○化学物質対策課長 事務局ばかり恐縮です。今の御指摘のとおりでありまして、10%刻みでいいかどうかというのは、多分、毒性によると思います。次の論点に絡むわけですが、例えばEUとかでは、毒性の強いものはそもそも非開示を認めていないということですので、そういう意味では、どこまで毒性のあるものの改善を認めるかと、その毒情情報のレベルと濃度は、少しリンクするところはあろうかと思います。
○城内座長 最川委員、お願いします。
○最川委員 前回も確認したのですが、再度確認です。この営業情報を非開示にできるというのは、法改正で義務付けされている、先ほど言ったリスクアセスメント対象物質とか、皮膚等障害化学物質とか、がん原性物質とか、そういうものが裾切値以上入っていた場合は非開示にはできないと、前回聞いたと思うのですが、それはそれでよろしいのでしょうか。
○化学物質対策課長 現状はそうです。それに対して、それだと営業秘密が担保できなくなるので、こういった制度を検討してほしいということですので、今後は裾切値を超えるものについては非開示を認めると。その認めるものについて、どこまで認めるのかという議論を今、させていただければということです。
○最川委員 裾切値以上は開示していただきたいのですが、そのパーセンテージが、例えば10%刻みとかの細かいところまで、私らエンドユーザーとしては求めているわけではなくて、入っているか、入ってないかというところがあればいいので、それをSDSに必ず書くとかではなくてもいいと思っているのです。私は、営業秘密はやはり必要だとは思っているので、それを全部細かく0.1%刻みで書けとか、そういうことを言っているわけではなくて、必ず伝達することを担保してほしいという意味なので、それは口頭でも何でもいいのですが、営業秘密がばれないように伝えるということも含めて、必ず伝わるようにということを担保していただきたいということです。以上です。
○城内座長 ありがとうございした。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 宮川先生の御発言だと、何でもかんでも開示しなくてはならないと、そういう風潮になってしまうので、産業界からすると、今、最川委員が言われたように、区分1であったら、必ずそれは成分名含有量です。それはもう出していくと、そういう流れでいいと思うのです。ただ、区分2とか、3とか、4とかと、そういうところで、シビアに情報を出したくないというのがあれば、是非、そこら辺は大体の名称でも可能な感じにできないかと。含有量に関しても、10%刻みで十分ではないかと考えています。どうせ、CREATE-SINPLEで計算すると、どうしても高めに出ることは分かっているので、そのぐらいあれば十分ではないかと考えています。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今、私の名前が出ましたが、私が先ほど申し上げましたのは、成分名は開示しなくても、その物質について、どういう毒性があって、それがどの程度入っていればという情報のほうが重要だということで、何でもかんでも全て明らかにしてくださいという発言ではありませんので、よろしくお願いします。
○尾崎委員 区分1で切ること、そこの線引きをはっきりしないと、めちゃくちゃになりますということを、私はお伝えしたい。
○城内座長 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 もう一度、今の区分1の点について言いますと、区分1かどうかを決めるのは、これは基本的にはSDSを作っている事業者の判断になってしまいますので、そうすると、なかなか難しいところが出てくるかという気がします。
○尾崎委員 18ページにあるように、SDS交付等に係る裾切値とありますよね。ここできちんと、裾切値があるので、明記の要否は分かるのではないですか。そこでメーカー側が、これを書くか書かないかというところの力量が表われて、書かれなかった場合はどうするのだというような議論にいってしまったら、何の議論にもならないと思うのです。違いますか。
○城内座長 少しお待ちください。この議論は、今、御指摘のように次の有害性とも絡みますので、また、そちらでお願いできますか。時間が詰まっていますので、次の論点、21ページに移りたいと思います。よろしくお願いします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 論点3として少しお答えいたしますと、18ページに裾切値が決まっております。裾切値につきましては、有害性のクラスと区分に応じて決まっております。こちらについては、国が行ったGHS区分に基づいてやるというルールになっており、この区分、例えば急性毒性が区分1であれば、ラベル、SDSの裾切り値は1%ですよというのは、国の行った有害性区分に基づいて行うというルールとなっております。宮川先生が先ほどおっしゃったようなことにならないようにするためには、この裾切値と同じようなシステムを、特に、先ほどの有害性区分というところが重要になるのであれば、それは国のが行った有害性区分を使うというような規定にするのは可能かと思います。以上です。
○城内座長 尾崎委員、御意見はありますか。
○尾崎委員 ございません。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。では私から、懸念と言いますか、ずっとGHSをやってきて少し心配なことがあって。というのは、事業者の方が、これを正確に理解するのが難しいかもしれないということで、少しだけ述べさせていただきます。
まず、17ページですが、安衛法に基づくSDSの裾切値と、GHSの原則のカットオフ値というのは大体並んでいるのですが、実際、JISの分類のほうの数値を見ていただくと、0.1%と1%など、幅のあるものが結構あります。ここについては、実はJISで分類をしていくと、危険有害性情報がSDSやラベルで、すこんと抜ける場合があります。もちろん、この0.1~1%ぐらいの間なので、その間で労働災害が懸念されなければいいと思うのですが、危険有害性が除かれる可能性が非常にあるということは、事業者の皆さん、つまりSDSを交付する側、それから受け取る側も、それは知らなければいけないかと思っています。
もう1点、18ページのほうは少しややこしいので、メモを作ってきたのですけれども。がん原性物質及び皮膚障害等化学物質に関する規定は義務になっているわけですね。それから、18ページの表のカットオフ値も義務になります。一方、先ほど宮川委員のほうからも話がありましたが、JISに基づいた分類というのは事業者に委ねられているわけですね。それがGHS分類の基本にはなっているわけですけれども。
そうすると、事業者による危険有害性に関する情報提供が義務対象物質の想定されている有害性と異なることが多分、かなり出てきます。これはどちらも認められていることなので致し方がないとは思うのですが、そこはきちんと認識しないと、今後かなり大きな問題になり得るかもしれないので、そこは情報提供側と受ける側がきちんと認識していなければいけないかと思っていますので、少しコメントさせていただきました。
そのほか、21ページに関しての論点というか、御意見等はございますか。最川委員、お願いします。
○最川委員 今、城内先生が言われたことも、私もそのとおりだと思っています。今、SDSを作られている方のほとんどはJISに基づいて書かれていて、それでいけば、法律のところの肝腎なところを書かずに、JISどおりに書くことができてしまうことが幾つかあるというところまでは、私は分かっています。JISに基づいて書かれるのはいいのですが、法律のことに関しては必ず書いてほしい。SDSに法令対象物質が記載されるということが一番なのですが、それが出来ていなくても伝達は必ずしていただきたい。そこを伝達しないなどという議論はないので。
それを、もし認めているのだったら4月1日からの施行は延期していただきたいです。それが大前提です。法令改正に対応した情報伝達が出来ていないこともありますよと言われても、私たちは調べようがないので、それは少し無責任です。そのままで済まされてしまうのは困るので、そこは必ずお願いします。
○化学物質対策課長 いちいちコメントするのは恐縮ですが、城内先生がおっしゃったのは、法律上の裾切値の適用にならない物質についてのお話ですので。一応、補足はしておきます。
○城内座長 そのほか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の点の説明についてですけれども、法令上の裾切値の適用にならないものだけですか。なるものであると、SDSは書かなければいけないと。そのときに、発がん性の区分2のものが0.5%入っているときに、これは裾切値をオーバーしているかもしれないけれども発がん性区分は2ですよと、これは書かなくてもよろしいということですよね。
○化学物質対策課長 もう1回お願いします。
○宮川委員 発がん性区分2の物質が0.5%入っているとすると、多分これはJISの分類だと、区分2にならないですよね、0.5%は1%未満ですから。なので、そういうものについては、たとえ法令の対象の物質であろうとなかろうと、SDSは作らなければいけないけれども、そのSDSには、これは区分2ですよと書かなくてもいいということ、あるいはJISに従えば、書かないということになると思うのですけれども。
だから、先ほどの城内先生の御懸念は、法令対象物質については懸念がないということではなくて、一般的に懸念があるということだと思います。これが今、確認と言いますか、質問というか。
○化学物質対策課長 質問ですね。SDS交付については、発がん性は区分1でも区分2でも0.1なので。
○宮川委員 SDSは交付しなければいけない。
○化学物質対策課長 交付しなければいけないです。
○宮川委員 その交付するSDSに、この物質は、交付はするのだけれども発がん性区分が2だと、書かなくてもいいということで。
○化学物質対策課長 書かなくてもいいというか、それは事業者が区分2ではないというように判断したということですね。
○宮川委員 そうですね、はい。
○化学物質対策課長 法令上は、それは認められていますね。独自の、科学的根拠はある場合だと思いますけれども、別に恣意的にではなくて。
○宮川委員 いや、JISの混合物の分類判定に従うと、区分2ではなくなってしまうので、JISに従って区分しませんでしたと。
○化学物質対策課長 御指摘のとおりです。濃度限界を下回っている場合については、有害性区分に反映させる必要がありませんので、そうなります。
○宮川委員 先ほどの城内先生は、その辺りを御心配されたということだと思います。21ページについて2点、意見を言わせてください。真ん中の混合物としての有害性分類に影響を与えない濃度とするかどうかなのですけれども、私としては、混合物として分類が付くか付かないかというのは、実際の現場の作業するような方々にとっては、そういう表示が付いているとか、区分が付いているというのは、それなりに注意喚起にはなりますけれども、一方、慢性的な影響、産業中毒を防ぐというような形でリスクアセスメントをやる立場に立つと、前回も申し上げましたけれども、混合物としてのGHS分類は余り役に立たない。
むしろ成分ごとに、どういう有害性のものが、どのぐらい入っていて、それにどのぐらいばく露するのかということをきちんと見るほうが重要になってくるということなのです。GHS、JISの濃度限界の考え方を採用するかどうかというところは、私としては、余り大きな論点にはならないのではないかと。法律を決める上では、そういうところが重要になるかもしれませんけれども、実際のリスクの評価の上では、それよりもむしろ成分の情報が重要になるというのが1点です。
もう1つ、2つ目のマルですけれども、混合物そのものの試験データがある場合はうんぬんとありますけれども、混合物そのものの試験データがあって判断をしたほうがよいものと、そうではなくて、例えば発がん性物質がどのぐらい入っているかというようなことでもって成分情報から判断するほうがいいということがあります。
これはJISのGHSの分類の中でも、有害性の種類によって混合物の試験を優先するか、あるいは成分情報を優先するかというのは違いますので、この辺りも一概には決められなくて、エンドポイントごとに考えなければいけないのかという気はしていますというのが、この部分についての私の考えです。
○城内座長 事務局、どうぞ。
○化学物質対策課長 御指摘はエンドポイントによるということですが、21ページの上のほうに、エンドポイントで慢性影響があるような生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性等の有害性クラスで、例えば「有」であれば非開示は認めていないわけですけれども、そういったところで非開示を認めないという御主張ということでしょうか。
○宮川委員 個別に非開示を認めないほうがいいかどうかというのは、私は、まだ自分の中では考えがまとまっていません。というのは、先ほど、しつこく申しましたけれども、物質名は公表しなくても、この物質はこういう毒性がありますよというのが分かれば、それなりに対応ができる場合もあると思いますので、実際のシステムがどうなるかによって、非開示を認めたとしても、それなりのことはできる可能性があるかと思っていますので、この辺りは、すみません、個人的にはまだ意見が決まっておりません。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○尾崎委員 いいですか、尾崎ですけれども。手を挙げているのですけれども。
○城内座長 尾崎委員、どうぞ。
○尾崎委員 また今の話をぶり返しになってしまうのですけれども、宮川先生が言うところだと、もうのべつくまなく、区分1も区分2も区分3も区分4も全部同じところで議論されているので、とにかく何でもかんでも成分名を出さなければいけない様に聞き取れます。やはり、区分1のところは出さなければいけないとは思っていますけれども、区分2以上のところで、そこでCBIが関係してくるのであれば、成分を非開示としたい。化学業界としてやりたくないのですよ。これはもう強く言っておきます。ここの開示非開示が業界で働く方々の生活が成り立つかどうかの瀬戸際なので。それは出したくないです、化学業界としては。これは強く言っておきます。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 尾崎委員に少し確認したいところがございます。区分の話が少し出ましたが、この有害性の高いクラス、例えば生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性等の、いわゆる後での慢性影響が確率的に発生するような有害性クラスについては開示するというところは大丈夫ということでしょうか。
○尾崎委員 はい。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。
○尾崎委員 それは16ページの、留意事項通達の所のア~コに関するところの中の一部ですよね。
○化学物質対策課長 いや、16ページというか、この21ページの最初のところですね。16ページもそうかもしれませんが。
○尾崎委員 はい。いいと思います。
○城内座長 あと、先ほど少し議論になりましたけれども、下のほうの「特化則等の特別則の適用対象物質」、それから「濃度基準値が設定されている物質」については、あり方検討会の報告書で言われているような方向でいいということなのでしょうか。皆さん、何か御意見はございますか。
○尾崎委員 よろしいでしょうか。尾崎ですけれども。
○城内座長 尾崎委員、どうぞ。
○尾崎委員 やはり、この特別則などの領域に関しては化学業界の先達の方々が、相当痛い思いをしてきた領域ですから、無視するということは絶対できないはずです。これはもう、そのまま載せていただいても構わないのではないかと思います。
○城内座長 ありがとうございます。そのほか、21ページの論点は、よろしいでしょうか。
それでは、24ページに進みたいと思います。24ページの下から半分ですけれども、いかがでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 ここにあるように、製品の中に秘密に関わる物質が入っているということに関しては、どこかに「営業秘密」という文言を入れたほうが、見る側としては分かりやすくなるのではないかと思います。
それから含有量に関しては、今、回している10%刻みでいいのではないかと考えています。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 尾崎委員だけでなくていいのですが、いわゆる一般名であるとか、代替名の記載についてはいかがでしょうか。
○尾崎委員 代替名に関しましては、先ほど区分1で書かなければならないという物に関しては、その成分名だったり、CASナンバーでいいと思います。それ以外に関しては、代替名称を可能にしていただけると有り難いと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。化学業界に一番関係のある部分なのですけれども、委員の先生方から御意見はありますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 代替名とか、某かの表示があるといいのですが、全く表示がなくて「営業秘密」とだけあって、ブラックボックスになると怖いと思いますので、使う側、あるいは健康管理をする側からすると、せめて、どういう系統のものなのかとか、化学物質といっても、大体この辺の範疇のものだということが分かる表示がないと、恐ろしくて使えないということになってしまうと思いますので、そこのルールを作っていただければと思うところです。
私としては、せめて、これがどういう健康影響がありそうだというところを考えればいいのかということが分かるといいな、あるいは物理化学的性状がどちらの方向のものなのかというのが分かるといいなと思っています。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次に移りたいと思います。27ページをお願いいたします。「緊急事態における情報開示規定について」です。これについてはいかがでしょうか。川本委員、お願いします。
○川本委員 緊急事態の情報開示で、特に物質名、成分について公開するかという話だと思います。医療関係者に物質名などを報告されても、医療関係者としては、せいぜい中毒センターの治療方針を見て、その中に入っていれば有効ですが、多くの場合、新しい物質でリスクアセスメントの対象外で有害性が分からないとか、この前に小野先生が言われた樹脂のオリゴマーとか、そういうものがあります。そうすると、医療機関も物質名を公開されても分からないので、それをバックアップするような体制を、大変難しいのですが、今後それを考えていただければと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本委員 実際に緊急事態として、割と大量のばく露があったとか、直接被ってしまったというようなときに、SDSを付けて搬送はするのですが、病院に着くまでの間に、事業者側で詳細を調べて通知できればと思います。病院は緊急処置をやっているわけですが、聞くことを同時にはできないから事業者がやるとなると、これは誰が聞けるのかとか、何をもって緊急事態ということを伝えて情報を取れるのかとか、医療関係者だけでやると、そこが限定されすぎてしまって、おっしゃったようにSDSから聞いたとしても分からないから、何をすればいいのかということになってしまうので、どこまでの範囲を誰が聞いて、どういう開示がなされるのか。これが今は、カナダ型だとおっしゃっていたので、カナダ型とすると、医療従事者に限定されてしまったり、あるいは深刻かつ緊急の危険性ということですが、このようなものがその場で分かるわけがないということもあります。ここは米国型でいくのだったら、とにかく労働者でも事業者でも聞けてしまうということになっていますから、この緊急事態というところを想定すると、救急車なり、自車で搬送して病院に行くまでの間に誰が聞けるのかということを想定して作っていただけると有り難いと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員 安衛研の小野です。先ほどの開示の所でもあったのですが、一般名で書いてよろしい。そのときに、有害性についても、ある程度想像できるような名前で開示してほしいというところを特にきちんとしておいて、それに対応する形で、緊急時にはこういうポイントがあるという、それはまた書く所が別になりますけれども、そこがきちんとリンクしていて、その表示があることが、まず前提だと思います。
その上で、先ほどおっしゃったように、医者しか聞けないのか、緊急搬送ですから、そういった人たちが聞けるのか、会社も改めて。SDSをもともと持っているのは会社ですから、そこの中で誰がどう聞けるのかというルートと、その辺をきちんとしておいたほうがいいと思います。
○城内座長 私は、これを見たときに、2つのシステムが必要だと思いました。本当に緊急時のときと、産業保健上必要な場合というのは、ルートが一緒だと緊急時に役に立たないかもしれないので、本当に緊急時に役に立つルートと、そうではないルートが必要だと思いました。可能かどうかは分かりませんが。そのほかに、御意見はございますか。上野委員、お願いします。
○上野委員 私も、今の城内先生の意見に全く同意です。特に、先ほどから宮本委員からもありましたが、緊急性を我々がどう定義するか、考えるかというところで。そうなってくると、土日祝日、24時間365日体制でないと、本当の意味での緊急性は得られない。事故は時期を選ばずに起こる可能性がありますので、そういったときに、現時点では中毒情報センターのようなものが、そういう役割を少しは担っているところはあると思うのですが、今後、こういったところも少し見据えていかないといけないということで、今、城内先生がおっしゃったような2つのシステムは必要かなと思っています。
○城内座長 宮内委員、お願いします。
○宮内委員 大きな会社は、いろいろと体制がしっかりとしていて、要は産業医の先生等も含めて、こういった開示をするようなことができると思うのですが、一方、本当に小さい中小零細の所で、ばく露事故が起きたときにどうするか。化学物質管理者等が、普段いろいろとSDSの読み方とか、教育をすることになるのですが、ポイントになるのは、絶対にやってはいけないことは何かということと、起きてしまったらどうするか。これなのです。
ここがちゃんとできていないと、本当に大きな事故、命に関わることになる可能性がありますので、ポイントをしっかりとつかむときに、ここは絶対に外せないと思います。
先ほどあったように、名称省略というのは仕方ないのですが、一般名でもいいので、そこは必ず入れていただく。このシステムをきっちりと作って、何かあったときはどうするかということに関しては、開示いただけるようなものが絶対に要ると思います。それがないと、最後の砦がなくなってしまうということを懸念しました。
○城内座長 尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 伊勢湾岸道で自社の製品を積んだトラックが事故を起こしたときの経験から話させていただきます。自社製品ですから、SDSは勝手に聞き出すことができて、現地に向かうことができました。トラックに載せていた50本のドラム缶が全て破損して漏えいしたといった事故でした。
それを、ほかの緊急時に適応すると、休日夜間にSDSを入手するのは難しいのではないかと思います。休日夜間を含めて一番入手することができのは、製造元の製造工場には誰かいると思いますので、問合せがきくのではないかと思います。あとは、成分の書き様というところなので、城内先生がおっしゃったように、二重のルートを構築しておかないと、運営していかないのではないかと考えます。
○城内座長 ありがとうございます。そのほかはございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、最後の検討課題にいきたいと思います。30ページをお願いいたします。「行政事務の執行に当たって必要な場合は行政機関への開示が必要ではないか」ということです。これについてはいかがでしょうか。これは、なかなか議論が難しいかなと思うのですが、宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 どういう事態を想定したらいいのかなと思ったのですが、例えば労基署が入ってきて、化学物質の製造元の営業秘密で成分が分からないといったときに、これは成分を開示してもらいなさいという指導があったときとか、そういうことを想定すればいいのですか。
○城内座長 事務局からお願いいたします。
○化学物質対策課長 こちらは緊急事態などを想定しているものではなくて、もっと平たく、例えばこの物質は非開示だとSDSを作られました。例えば発がん性物質については認めないというルールを作ったとして、それが本当に発がん性物質でないかどうかは開示してもらわないと分かりませんよね。要するに、新しく作ったルールがきちんと適用されるかどうか、適法性の判断を監督署がするときには開示していただかないと、違反の摘発ができないという趣旨です。
○城内座長 最川委員、お願いします。
○最川委員 今、課長がおっしゃったことならば、必ず開示していただかないと、行政が要請しても開示しないということがあったら、今後また同じような有害性の疾病が起きるので、そこは行政から要請があったら必ず開示するというようにしていただきたいと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。行政のほうからはよろしいですか。
○化学物質対策課長 もともと安衛法の第100条などで報告を求める規定があるので、そちらで対応することが現状の法令ではできるのではないかと思っておりますが、あえてGHSで書いてありますので、一応、皆様方の御意見を聞いたという趣旨でございます。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。大前委員、お願いします。
○大前委員 将来的な話になるのでしょうけれども、実際に何らかの緊急事態が起きた場合に、SDSの中に医療情報を入れられないか。例えば、この物質は肝機能障害を起こすとか、気になるのは以前、議論になったアルシンなのですが、これは溶血を起こして死にますということとか、そういう最低限の救急医療のための情報を明示するような形でSDSが作られるようになればいいなと思います。
それから、これは過去の経験なのですが、半導体を作る特殊ガスの研究をやっていたときに、メーカーの方々、あるいはメーカーの方々と一緒に本を作りまして、その中には、そのアルシンガスを吸った場合には、どういうような治療をしなくてはいけないということを中に書き込んでおきまして、もしそういうことが起きたら、この本を持って救急に行けというようなスタイルで指導して、半導体関係の会社は全部回ったという経験はあります。
そういう意味でも、SDSの中にそういうことが書いてあると、医療的な対応が必要な緊急時には非常に役に立つと思うので、今後それが入るといいなと思います。
○城内座長 そのほかに御意見等はございませんでしょうか。言い忘れたとか、どのようなご意見でもよろしいのですが、いかがでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員 確認ですが、言い忘れたので。保護具の記載に関して、このマニュアルにあるような対応は可能だということについて、限定をしているわけではないということは確実に書いていただきたいと思うのです。更にいろいろなことが、これから開発も進んで、いいものが出てくるということを想定すると、参考というわけではないのですが、拠として使うというような書き方にしてもらったほうがいいと思います。
逆に言うと、先ほど言いましたように、取扱い時の状況によって、そういった手の材料自体の性能も変わりますので、これは保護具に関して、ほかのものも全て同じだと思いますけれども、そういうことをきちんと考慮して使うことを大前提に、どう書くかは分かりませんけれども、記載をお願いしたいと思いました。
○城内座長 そのほかの委員の方からはございませんでしょうか。最川委員、お願いします。
○最川委員 ポルトランドセメントの話なのですが、最近、化学物質の規制がある中で、前から分かりやすい規制をとお願いしていたのですが、分かりづらくなったうちの1つがポルトランドセメントで、平成30年にリスクアセスメント対象物に追加されたのです。それが、去年の8月30日に基発が出て、ラベルSDS対象物質から削除されたと。その中には、水と反応すると危険だと書かれているのですが、わざわざそれを外されたというのが納得できていない。建設業で一番多い災害で、生コンとかセメント、ポルトランドセメントが反応して起こるアルカリ熱傷で被災されている方がものすごく多いのです。それが、昨年8月にリスクアセスメント対象物質から外されたことで、有害性のランクが下がったように勘違いされています。こういう規制の解除と言うのでしょうか、危険性を正しく伝えていただきたいのに、より分かりづらくなったということがあるので、そういう改正はやめていただきたいと思っています。
それと、できればリスクアセスメント対象物には指定していただきたいと思います。建設業の中では、一番多い災害ということは、厚労省も分かっていると思うのですけれども、水と反応しなければ使わないですから、粉のまま使うということはあり得ませんから、それが前提としているものは、きちんと危険性を伝えていただきたいと思っています。
そして、後で言おうと思っていたのですが、ここで発言させていただきたいと思います。私は本日が最後になるので、来年度から委員が変わりますので、これは製造する方にお願いしたい内容なのですが、私たち建設業で使用する物質は、ほとんど商品なのです。一般ユーザーと同じ商品を大量に使うだけで、その商品を売るときに決められた手順、その商品に書かれている決められた手順で作業をやっています。ほとんど、それ以外にはやっていないです。この液とこの液を混ぜて、こういう刷毛で塗ってくださいというように、書かれたとおりにやっています。
それを製造メーカーに、どういう保護具を使えばいいかを聞くと、答えてもらえないのです。せめて推奨、これを必ず使えではなくて、自分たちが売っている製品なのだから、推奨保護具ぐらいは答えてくださいと、私は製造メーカーに会社に来ていただいて、何を使えばいいのかを聞いても答えて頂けなかったです。そういうことが発生しているので、そこは、せめて推奨の、ニトリル製とかブチル製を使ってくださいとか、マスクは必ずしてくださいとか、少なくとも、それを責任をもって答えて頂きたい。これは厚労省になるのか、経産省になるのかは分かりませんけれども、そこは必ず伝える責任があると思いますので、それを1つ、お願いします。
それと、今後の要望なのですが、相談窓口を決めていただきたい。先ほどから言っていますけれども、今回の改正内容はきちんと伝達されないと思っています。4月1日以降、法令対象物質が入っているかどうかを確認するのに、私たちはお手挙げ状態なので、それを全国の監督署を通じて聞いていただくとか、相談窓口があるのでしたら、それを教えていただきたいと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほかはよろしいでしょうか。
○化学物質対策課長 ポルトランドセメントについては、ポルトランドセメント単体のセメント状態、これが外れたということで、もう1つ、別の製品として生コンという製品があります。生コンという製品は、当然アルカリ性が入っておりますのでSDSが必要になります。ですから、我々が外したのは、いわゆる袋に入っているセメントの状態は外しましたけれども、生コンについては引き続きSDSが要るということを、セメント協会とか、生コンの協会の方には言っております。生コンの協会の方は、共通の生コンのSDSを作られてホームページに載せておりますので、そういった形で、生コンを実際に扱うときには、そのSDSを使っていただくということでございます。
○最川委員 生コンだけではなくて、セメントなのです。セメントを元請が買って、それを使って左官屋さん、左官屋さんが直接買う場合もありますけれども、例えばポルトランドセメントを購入するときに、今、SDS交付義務がなくなってしまったのです。それを伝えなければいけないのに、SDSは努力義務になってしまったので、もらう手段がない。努力義務なので渡せませんという人はいないと思いますけれども、そういうことが起きてしまう。逆に、そういう危険性が落ちたように、業界は捉えていますので、そういうことがないようにしていただきたいということです。
○城内座長 小野委員、どうぞ。
○小野委員 安衛研の小野です。今のポルトランドセメントなのですけれども、セメントの粉を扱いますので、当然粉じんが舞います。それで呼吸器に障害を起こす方とか、目に入って、目の火傷というような角膜損傷という事例もあります。
ポルトランドセメントのSDSには、水と触れると強アルカリになるということが、今までは書かれていました。強アルカリになれば、区分1になりますので、目の損傷性がある。
そういうことで気にしてくださっている方もいたのですが、化学物質管理者の中に、「リスクアセスメント対象から外れたので何もしなくてよくなったのですか」という質問をしてこられる方もいらっしゃいます。
ですから、その辺について、どうすればいいのか。成分で書いても、一般の消費者には、それとセメントはつながらないかなというところもありますので、そこをどのように情報提供していくかということについて、もしかしたら、これだけではなくて、ほかのものもあるかもしれませんので、そういった場合にどういう情報の提供ができるのかということは、化学物質管理者が自ら考えるのか、どこかにそういう情報源があると有り難いと思います。
○城内座長 そのほかはございますか。よろしいでしょうか。それでは、意見はここまでにしたいと思います。
最後に、「その他」ということです。尾崎委員と最川委員が、本年度いっぱいで本検討委員を退任されます。順に御挨拶を頂ければと思います。尾崎委員、思いの丈をお願いいたします。
○尾崎委員 お世話になりました。2021年から、あり方検討会の最後のほうから参加させていただきました。私はプロセス屋です。最近の議題が非常に化学物質の中枢に関わる議論になってきましたので、化学物質の本当の専門家にバトンタッチしたいと思います。彼は西村と言うのですけれども、非常に優秀な人間なので、この専門家会議の役に立つのではないかと考えています。よろしくお願いいたします。
最後に、最初にどの山を攻めるのかというところでいつも疑問に思い、いろいろ考えて意見を申し上げたつもりです。今後は14次防の年次のまとめに、化学物質による労災の現状マトリックスを作っていただきたいと思います。労災が大企業で起きているのか、小規模の事業者なのか、リスクアセスメントをしたのか、していないのか、このマトリックスを作って、どこの領域で労災が多発しているのかをまず解析して欲しいです。それを理解したうえで、年間500件程の化学物質による災害を減らすべきではないかと思います。決して化学物質をたくさん使っている化学業界だから、そこを叩くのだということではなくて、違うところの第三次産業などで、恐らく多くの労災が起きているのだと私は思っています。そういった正しい解析をして、正しい対策をしていただきたいと思います。
今までお世話になりました。ありがとうございました。
○城内座長 尾崎委員、ありがとうございました。
続いて最川委員、お願いいたします。
○最川委員 今まで長い間、化学物質の勉強を本当にさせていただいて、この会議に参加させていただいて、私も本当の危険性、有害性というのを認識できたというのは非常に有り難かった思います。
今まで、大変失礼な発言ばかりして申し訳なかったのですが、それはユーザー代表委員が少ないので、私は全産業を背負って発言しているつもりで、実際にやるつもりで発言していますので、それで、できないことはできない、やれることをできるだけやるためには、これが要るというつもりで発言してきたつもりです。これから委員は変わりますけれども、同じ思い、建設業だけではなくて、ほかの産業も同じ課題を抱えていますので、できるだけ分かりやすい化学物質の規制を作っていただきたいというのがお願いです。
私が懸念しているのは、今まで特化則で規制された123物質以外の災害が8割起きてしまっていた現状を3,000物質規制することで網羅されたというようになっていますが、それがちょっと経つと、今まで123物質だったのが3,000物質になっただけで、その3,000物質以外の物質をまた作って、それが8割になってしまうような、同じようなことが起こらないように、危険性を製造側に正しく伝える。要は、危険な物質を使わないで、同じような危険性のあるほかの物質を使えばいいというところをなくさない限りは、このイタチごっこは変わりませんので、そこを規制する法改正に変えていただければと思います。長い間ありがとうございました。
○城内座長 最川委員、ありがとうございました。お二人には、非常にお世話になりました。我々もたくさん勉強させていただいたと思っています。
それでは、事務局から何かありますか。
○化学物質評価室長 本日の議事は以上です。本日の議事録は、後日、構成員の皆様に御確認いただいた上で公開させていただきます。次回は来年度になります。濃度基準値のほか、引き続き化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知について、御検討いただく予定としておりますが、改めて構成員の皆様に御連絡させていただきます。
○城内座長 皆さん、貴重な御意見をたくさんありがとうございました。以上で、本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会させていただきます。本日はお疲れ様でした。ありがとうございました
本日は、化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について検討することとしております。そのため、開催要綱別紙の構成員名簿のうち「全般に関する事項」「毒性に関する事項」の欄に掲載の先生方に御参集いただいております。出席者は14名の予定で、大前委員、尾崎委員、髙田委員、武林委員、平林委員がオンライン参加、欠席の予定はなしとなっております。まだ武林委員と平林委員にはオンラインに御参加いただいていないようでが、定刻になりましたので、進めさせていただきます。
本日は、会場とオンラインの併用で開催しております。会場参加の皆様には、御発言の際に必ずマイクを使用していただきますようお願いいたします。オンライン参加の先生におかれましては、周囲の音を拾ってしまうことがありますので、御発言される場合を除き、マイクをミュート(オフ)に設定していただきますようお願いいたします。また、御発言の際には、あらかじめチャットで御発言の旨を入れていただくか、又はお名前を名乗っていただき、座長の指名を受けてから御発言いただきますようお願いいたします。
なお、議事録を作成し、後日公開いたしますので、御承知おきください。本日の会議は公開としており、一般傍聴者につきましては、会場での傍聴のみとさせていただいております。それでは、以降の議事進行を城内座長にお願いいたします。
○城内座長 ありがとうございます。皆さん、こんにちは。よろしくお願いいたします。まず、事務局から資料の確認をお願いいたします。
○化学物質評価室長 資料の確認をいたします。本日の資料は、議事次第と配布資料一覧、資料としては資料1のみ、参考資料は参考1から参考6までを御用意しております。会場にお越しの構成員の皆様方におかれましては、お手元に配布しております資料に抜けなどがないかの確認をお願いいたします。オンラインで参加いただいている先生には事前に資料をメールで送付していただいておりますが、何かありましたら、事務局までお知らせください。傍聴の方につきましては、本日の資料を厚生労働省のホームページにあらかじめ掲載しておりますので、そちらを御覧ください。資料の確認は以上です。
○城内座長 それでは、本日の議事に入ります。議事1「化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知等について」です。本日は、事務局から資料の説明の後、論点ごとに区切って議論をお願いしたいと思います。それでは、事務局から資料の説明をお願いします。
○化学物質評価室長補佐 それでは、事務局厚生労働省の吉見から、資料1について説明いたします。まず、2ページを御覧ください。こちらが、前回3月6日の検討会でお示しした6つの論点になります。本日は、これらの論点について3ページ以降に、前回の説明資料のうち関係部分の抜粋、それから前回頂いた主な御意見と、その御意見を踏まえて本日検討していただく論点の順に資料を付けております。また、参考資料として、前回検討会で御説明した資料を全て付けておりますので、御議論に当たって適宜、御参照いただければと思います。
3ページを御覧ください。1つ目の論点は、現行のSDS制度の運用改善を図るべき点はあるかということです。3ページは現行のSDSの規定ですが、前回頂いた御意見に関係するところは赤字にしております。「成分及びその含有量」に関しては、CAS番号を書いてほしいという御意見がありましたが、現状としては安衛法の留意事項通達及びJISともに、記載が望ましいとされております。
4ページを御覧ください。赤字部分です。まず、「貯蔵又は取扱上の注意」の通達の③管理濃度、濃度基準値は、安衛法令で定められている法令の規定による基準値になります。こちらは、通達で記載するように示しております。
次に、その下の「想定される用途及び当該用途における使用上の注意」については、通達では、JISにおける化学品の推奨用途及び使用上の制限に相当する内容を記載すると示しております。
5ページを御覧ください。「適用される法令」の記載については、留意事項通達で、がん原性物質、皮膚等障害化学物質等も含めて記載するということを明記しております。
また、なお書き以降ですが、既に交付されているSDSの更新に時間が掛かるという場合もあります。こういった場合は、変更されているSDSが通知されるまでの間、ホームページへの掲載等により、譲渡・提供先に対して通知するよう努めることを示しております。実際、がん原性物質については、既に該当する製品のリストをホームページに掲載している企業も多いことを確認しております。皮膚等障害化学物質については、今年4月施行とありますが、現在準備されている企業も多いかと思っております。
6ページを御覧ください。「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新についてです。こちらは、省令で義務化しております。変更内容の再通知については、下にあります労働安全衛生法の第57条の2第2項に基づき、努力義務となっているのが現状です。
7ページを御覧ください。ここからは、前回の検討会で頂いた主な御意見です。まず、「成分及びその含有量」に関しては、CAS登録番号をSDSに記載するようにしてほしい。CAS番号があれば皮膚等障害化学物質などの規制に該当するか調べることも可能である。「想定される用途及び当該用途における使用上の注意」に関しましては、実施における使用上の制限を主として記載することが重要であるという御意見を頂きました。「適用される法令」については、皮膚等障害化学物質、がん原性物質について必ず記載されるようにしてほしいという御意見を頂いております。また「貯蔵又は取扱い上の注意」に関しまして、濃度基準値については必ず記載されるようにしてほしいという御意見も頂いております。
8ページをお願いします。「SDSの通知」については、リスクアセスメントの結果に基づく措置として代替物を検討するに当たって、製品を購入しないとSDSが見られないということでは代替物の検討ができないという御意見もありました。「SDSに係る通知事項に変更が生じたときの通知」ですが、こちらは、エンドユーザーに最新の情報を適切に伝えるため、SDSをエンドユーザーに必ず送る等のプッシュ型の制度も必要ではないかという御意見も頂いております。最後に「「人体に及ぼす作用」の定期確認及び更新」については、国が有害性の区分や濃度基準値などの変更情報を提供する仕組みが必要ではないかという御意見を頂いております。
9ページをお願いします。これらを踏まえて、前回の御意見と、前回の会議で事務局が示している論点も含めて、本日御検討いただく論点として、こちらの4点を考えております。保護具の記載、適用法令の記載等をどのように充実すべきか。SDSの更新をどのように譲渡・提供先に伝達すべきか。SDSの電子化、標準化を推進すべきか。国のGHS分類結果や濃度基準値などの変更情報をどのように提供すべきか。こういった内容について御議論いただきたいと考えております。
10ページ、2つ目の論点は、営業秘密として非開示にできるSDSの項目をどう考えるかということです。GHSの原則に、「営業秘密情報(CBI)の保護に適切かを考慮するべきである。ただし、作業者や消費者の健康と安全、又は環境保護を危うくするべきではない」とあり、この原則を基に、非開示できる情報範囲としては、③の一般原則に、物質名称と混合物中の含有量に制限すべきとされております。
11ページ、真ん中の留意事項通達の4ポツ目です。こちらは、成分の含有量が営業上の秘密に該当する場合の通知方法は安衛則第34条の2の6第2項の規定によることができるとなっております。
12ページを御覧ください。具体的には、安衛則での含有量が営業上の秘密に該当する場合に、10%の幅表記による通知を認めております。これにより、営業上の秘密の保護に配慮しております。
13ページを御覧ください。こちらは、諸外国の制度です。EUでは、欧州化学庁(ECHA)に申請して、営業秘密に該当することが認められた場合は、名称として代替名を使用することができます。代替名を使用することにより、成分名の非開示が可能です。米国では、営業秘密の化学物質の名称が非開示とされることをSDSに明示するということで、代替名の記載は不要となっております。カナダは、名称と濃度、含有量ともに、非開示を求めることが可能という制度になっております。
14ページをお願いします。こちらの論点については、前回の検討会では御意見はありませんでした。本日の検討に当たっては、成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるかという点について御議論いただきたいと思います。
15ページをお願いします。3点目の論点です。リスクアセスメントの実施に支障のない範囲として、営業秘密として非開示にできる化学物質の有害性の範囲及び濃度をどう考えるかということが、メインの論点になろうかと思います。GHSの原則の②考慮事項の赤字部分ですが、営業秘密の保護の対象となる化学物質や危険有害性区分の範囲について考慮する必要があります。
16ページをお願いします。混合物の有害性情報については、留意事項通達の赤字の所ですが、「混合物全体として有害性の試験がなされていない場合には、含有する通知対象物質の純物質としての有害性を物質ごとに記載することで差し支えない。」JISのほうでは、混合物の場合、混合物としての毒性情報とGHS分類を記載する。混合物全体として試験されていない場合、あるいは評価するにたる情報が得られない場合は、成分の毒性情報とGHS分類を記載することとなっております。混合物としての分類を行う場合には、GHSの混合物分類方法を使用するとされております。ここで言うGHSの混合物分類方法というのは、本日の参考資料5に当たるもので、こちらは前回の検討会で説明しましたが、この内容を使用して分類するということになっております。
続いて、17ページをお願いします。こちらは、JISに基づく裾切値や濃度限界についてまとめた表になります。濃度限界については前回御説明しましたが、未試験の混合物を成分の危険有害性に基づいて分類する場合に使用する成分の含有量の限界値、つまり混合物中の成分の含有量が、この値未満であればGHS分類の区分に影響しない値ということになります。この表の一番右が安衛法に基づくSDSの裾切値で、その左の行には、カットオフ値/濃度限界が書かれていて、これはGHSの原則のカットオフ値/濃度限界ということで安衛法の裾切値と一緒になっております。しかし、JISの濃度限界、あるいはGHSの利用可能な有害性データがある状態のカットオフ値/濃度限界のところは、また違った値になっており、この値にはギャップがあるということです。例えば、発がん性の場合、区分1は両方とも0.1%で同じなのですが、区分2は、JISの濃度限界は1%、GHS(原則)のカットオフ値は0.1%、安衛法の裾切値も0.1%で、ここにはギャップがあるということです。この間の濃度範囲については、安衛法に基づいて通知が義務付けられていますが、混合物としての有害性区分には影響しないということになっております。
続いて18ページをお願いします。こちらは参考で、安衛法に基づくラベル・SGS対象物質の裾切値の規定です。この裾切値については、従来は安衛則の別表第2で、物質ごとに裾切値を示しておりましたが、その裾切値の根拠というのは、従来からここに示すGHSの有害性区分に基づくものでした。今般、一連のラベル・SGS対象物質追加に際して、このGHSに基づく考え方を告示で規定して、GHSの原則に従って裾切値を規定するということを明確にしております。
19ページは、諸外国の規定です。EUは、営業秘密として成分名を非開示、代替名にできるものとしています。1点目は、EUの職業ばく露限度(OEL)が定められていないこと。日本の安衛法令でいえば管理濃度や濃度基準値に相当するものが定められていないこと。
2点目は、労働安全衛生上の必要な予防措置を講じ、混合物の取扱いによるリスクを制御できるようにするために十分な情報を提供するための必要性に合致すること。こちらについては、これによって濃度が高いような成分は除外するという運用となっています。
続いて3点目は、次に掲げる特定の危険有害性区分のみに分類されていることです。要は、ここに書かれたもの以外は、代替名称の変更ができない。具体的には、発がん性とか、生殖毒性、あるいは生殖細胞変異原性といった有害性クラスについては非開示ができない。また、急性毒性、皮膚腐食性といった区分についても、区分1などの有害性の高いものは非開示にできないといった制度になっております。
20ページは、前回頂いた御意見です。営業秘密は尊重すべきだが、本質的には成分の情報が重要ということを理解した上での議論をする必要があるという御意見、またSDSには混合物としての有害性情報が必要ではないか、一方で混合物としての有害性情報があれば成分の情報は不要とはならないのではないかといった御意見もありました。それから、リスクアセスメントは定量的な分析の問題なので、ハザード情報であるGHS分類の区分にとらわれすぎるのは問題ではないかといった御意見もいただいています。
21ページをお願いします。これを踏まえて、本日検討いただく論点ですが、有害性の高いクラスの物質は含まないとすべきかどうか。具体的には、生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性等の有害性クラスによって開示・非開示の範囲を区別すべきか、あるいは、GHS分類の区分によって区別すべきか。例えば、区分1といった有害性の高いものは対象から除くなどというような区分をすべきかということです。
次の点としては、混合物としての有害性分類に影響を与えない濃度とするかどうか。具体的には、GHS(JIS)の濃度限界の考え方を採用すべきか。また、混合物そのものの試験データがある場合、これは濃度限界の概念はありませんが、その場合に非開示にできる範囲をどう考えるか。
さらに、次の点として、GHS分類の区分以外に、リスクアセスメントの実施に支障のない範囲を判断していく基準はあるかということで、例として、特化則等の特別則の適用対象物質、あるいは濃度基準値が設定されている物質、これらについては、あり方検討会の報告書においても、成分名の省略は認めないこととされておりまして、こういうものは有害性が高い、あるいは法令の適用の確認が必要であるということで、除外すべきではないかという点について御議論いただきたいと考えております。
22ページ、4つ目の論点で、営業秘密として非開示とした場合、SDSにどのように表記するかということです。GHSのほうでは、③一般原則の赤字部分ですが、ラベル又はSDSにその旨を明記すべきとされております。
23ページは、諸外国の規定です。EUは、化学物質の名称を代替名称に変更することができる。アメリカは、営業秘密として非開示であることを明示する。カナダは、政府への登録制度がありまして、その政府に登録した登録番号をSDSに記載するといった制度になっております。
24ページを御覧ください。これらについての前回の御意見を3点、書いてあります。成分名の非開示を認めるとした場合の方法として、一般名(代替名)への置き換えを認める場合には、そのルールが必要ではないか。あるいは一般名(代替名)を認める場合には、有害性が理解できるような名称にすべきではないか。通常はCAS番号をSDSに記載すべきだが、営業秘密に該当する場合にはCAS番号で成分が特定されないよう検討が必要ではないか。こういった御意見を頂いております。
これを踏まえて、本日御検討いただく論点としては、「営業秘密」に該当する旨の明示をすべきかということで、SDSに営業秘密に該当する旨を記載することでよいか。また、一般名への置き換えなどをすべきかどうか。仮に、一般名に置き換えるとした場合、置き換えのルールはどのようにすべきか。最後ですが、含有量の通知はどのようにすべきか。現在、安衛則では、営業秘密に該当する場合には「幅表記」を認めていますが、こういった幅表記などの方法でよいかどうか、そういった点について御議論いただきたいと考えております。
続いて25ページ、論点5は、「緊急事態における情報開示規定をどのように考えるか」ということです。こちらはGHSの一般原則の赤字部分です。緊急事態において、医療関係者に対して治療に必要な特定の秘密情報を開示する手段を確保すべき。また、緊急事態でない場合に、安全衛生の専門家、ばく露した作業者等に対して営業秘密情報を開示する手段を確保すべき。こういった一般原則があります。
26ページは、諸外国の制度です。アメリカは、非常に細かくて、「医療上の緊急事態」においては、次の規定に従って保健専門職、労働者、労働者の代表者に開示されるということです。緊急事態の場合には、直ちに営業秘密に当たる化学物質の名称を開示しなければならないということになっております。次に、非緊急事態、例えば事故までではないのですが、健康診断の有所見とか、そういったような場合については、化学物質の製造者等は、書面による求めにより、保健専門職に、化学物質の名称を開示しなければならないということで、具体的な条件を並べております
それから、カナダにつきましては、営業秘密について政府への登録制度があり、営業秘密情報はあらかじめ政府に登録されていますので、緊急時には政府が開示するというような規定になっております。
27ページを御覧ください。こちらについては、前回は御意見はございませんでした。本日の論点としては、情報の開示が認められるような場面をどのように考えるか。情報の開示が認められる対象者をどのように考えるか。開示の手続をどのように考えるか。具体的には、ここに書いたような内容について、御議論いただきたいと考えています。
そして最後、6点目の論点は、「行政機関への非開示情報の開示等の必要性をどう考えるか」ということで、GHSの一般原則では、要請に応じて、所管官庁に開示するべきとされております。
29ページは諸外国の制度です。EUは、欧州化学庁(ECHA)に申請しなければならないので、既に行政に申請をしていますので、情報は行政機関が持っているということになります。アメリカについては、非開示情報が営業非密によるという主張は支持されるということです。具体的な規定はないのですが、一般的な行政の調査権限で対応しているということではないかと考えております。それから、カナダは、あらかじめ行政に営業秘密の開示の免除の申し立てをするという制度になっています。
最後、30ページですが、こちらの論点についても、前回は特に御意見はごさいませんでした。本日の論点としては、行政義務の執行に当たって必要な場合は行政機関への開示が必要ではないかということで、御議論いただきたいと考えております。資料1の説明は以上です。
○城内座長 ありがとうございました。それでは、論点ごとに検討を進めていきたいと思いますが、皆さん、まずは9ページを御覧いただけますか。9ページの検討項目1の論点について、御意見があればお伺いしたいと思います。論点は全部で6つありますので、10分か15分ぐらいずつで御議論いただければ有り難いと思っています。よろしくお願いいたします。
○最川委員 全国建設業協会の最川です。まず、1の「現行のSDS制度の運用改善を図るべき点はあるか」ということなのですが、取り扱う事業者として必要な情報としては、4月1日から法改正がいろいろありますので、その法改正に対応するために必要な情報というのは、必ず伝達していただきたいという事です。前回の検討会でも濃度基準値や皮膚等障害化学物質を提示してくれとか、何点かお願いました。その伝達方法は私はどのような手段でもいいと思っているのですが、ユーザーが製造メーカーに確認したら、4月1日以降、法改正になったものが、その製品に含まれているかどうかということを必ず答えていただかないと、私たちには分かりません。
今回はSDSの記載の話なのですが、私は間に合わないと思っているのです。今、私の手元にあるSDSにはほとんど書かれていなくて、もう間に合わないというか、製造メーカーからは改訂するつもりはないというような回答も頂いているので、少なくとも4月1日以降、購入するものでもいいですが、購入したときに、その製品の中に、例えば濃度基準値設定物質、皮膚等障害化学物質、がん原性物質、リスクアセスメント対象物質が裾切値以上含まれているかどうかということは必ず答えていただかないと、私たちは4月1日からの法を遵守することはできませんので、そこを絶対に担保していただきたいので、そういう検討会の議論にしていただきたいと思います。その手段はどのような手段でもいいと思っているのですが、なるべく手間が掛からない、事業者自らが調べるのではなくて、製造側から簡単に入手できる方法を議論していただきたいというお願いです。以上です。
○城内座長 そのほか、ございますか。
○宮内委員 前回休んだので、今の経緯も含めて確認なのですが、今回、皮膚等障害化学物質に関しては、直接接触を防ぐということで、物質名が上がって明確になっていると。それに対しては、しっかりと情報を出すことは、私も絶対要ると思います。そもそもSDSを見る中で、ばく露防護対策が伝わらないと毒性情報だけでは目的を達成できない。そのために、具体的に何をどうすべきなのかということを間違いなく伝える仕組みを、是非この機会に入れていただきたいと思います。それに対するデータ、要するに保護具の種類とか、どういう状況のときにはどういう形のものを使うかということに関して、例えば、手袋であれば今回のマニュアル等に情報が入っておりますので、少なくともそれに関しては、しっかりと入れていただきたいと思います。
いろいろなことが分かってきて、順次、改定することになると思いますが、それもきちんとリアルタイムに情報を更新するということが非常に重要かと思います。ですから、物質名が何かということも確かに重要だし、CASナンバー等も絶対必要だと思うのですが、問題があるのであれば、最終的に応急手当とか非常時の対応とか、ばく露防止対策というところに関して、きちんと押さえておけば事故を防ぐことができるのではないかなと思いますので、是非お願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○化学物質評価室長 オンラインの尾崎委員が挙手しております。
○城内座長 尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員 私も、宮内先生の御意見に賛成です。2、3年前ぐらいから、SDSに関して、日化協が、川上から川下へ伝達するのに3年かかるという独自調査をしました。そして先行して対応をしていこうとしました。なかなか厚労省からゴーサインが出なくて、伝達のところのやり方が滞ってしまったということがありました。現状から言うと、4月1日以降の対応としては、新しい銘柄、新しい製品から手を付けていかざるを得ないということなので、既存の製品に関しては半年、1年ぐらいを目途に、順次切り替えていくというのが実態なのではないかと思います。そういうところからすると、化学業界からできることといったら、SDSの中にCASナンバーがなくて困っているというユーザーからの御意見もありますし、適切な保護具が書かれていないということもありますので、この記載に関しては、業界として努力をさせていきたいなと考えております。それで、取りあえずというと言葉に語弊がありますが、化学物質を、薄皮一枚で、防護するという考えが非常に重要なことだと思いますので、是非、保護具の着用の項目をきちんと記載し伝えるということが一番大事なのではないかなと考えております。
それで、これは厚労省へのお願いなのですが、今回ガイドラインのテキストを作っていただきましたけれども、そこの中では化学防護手袋という言葉が非常に先行して出てしまっているので、化学物質を使う末端の業界の方々には、コストがかかりすぎるという大きな誤解ができてしまったと認識しております。是非、不浸透性の手袋というのを全面的に出していただくようにお願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本です。前回、欠席してしまったので、議論があったかどうか分からないのですが、今の尾崎先生のお話のように、資料の参考6で、例えば今回はホルムアルデヒドが付けられていますけれども、3/7の所に手の保護具というと、保護手袋を着用するとしか書いていなくて、ネガティブなこととして繊維製とか皮製手袋は適さないと。本当にこのように、大抵は、保護手袋を着用するとしか書いていなくて、今回のものでいくと、手袋の成分とその物質とのマッチングによって耐浸透性とかが全然違うというのがあるので、どの成分が当該物質に適しているというものをポジティブリストで書いていただくということが一番大事だと思っています。
そうでないと、いろいろなメーカーの検査結果から類似の物質を捜して推定してというすごい作業をやらなければいけなくなるのです。これは、いろいろなばく露を下げたとしても、保護具を超えて皮膚に接触してしまうと、その先で、健康診断が必要になってしまうということがありますので、手袋のポジティブリストとして、これが大丈夫という成分の組成までというのですかね、そういうものを書いていただければと思います。
それから適用法令については、先ほど最川委員もおっしゃったように、リスクアセスメント対象物は入れていただきたいと思います。このリスクアセスメント対象物が順次増えていくということで、いきなり2,900物質が一斉に用意ドンではないというのはお伺いしているのですが、まず、そこが対象になるわけです。手というか皮膚にしても呼吸にしても全部いろいろ検討しなければいけなくなってきますので、また、後の成分のところでお話はしたいと思いますけれども、まず、幅としてはリスクアセスメント対象物かどうかが必ず分かることと、保護具、特に手袋については構成成分が分かり適した化学物質がわかること、これをお願いしたいと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、いかがでしょうか。宮川委員、お願いいたします。
○宮川委員 適用法令の所で、今回の資料では、安衛法関係の所の記載だと思うのですが、毒劇法とか他省庁の管轄は別として、一つ、労基法の関係の法令も、できればきちんと書いていただきたいと思います。女性則の対象の26物質とか、先ほどのホルムアルデヒドの例でいうと、最後のほうの労規則第35条の別表、特に労規則第35条の別表の中で、その他厚生労働大臣が指定するものというのは、なかなか捜すのが難しいのがあって、そういうところできちんと確認して、過去にどういう労災が起きているのかとかというのが分かるということは、非常に重要な情報だと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、いかがですか。小野委員、どうぞ。
○小野委員 安衛研の小野です。保護具の記載の所なのですが、今までは、適切な保護具を使用することと書かれているのがほとんどだと思います。それが今回、選ぶべき手袋というか、材質が提案されたことによって、製造業者に対する責任を回避するために、最も防護の厳しい手袋だけを書くという形になってしまうと、結局、手袋を選べないということになってしまうと思いますので、そこまできちんとした手袋の材質を示させるというのは、なかなかハードルが高いかと思います。そういう点で、今までと変わらない記載になることは避けていただきたいように思います。
防じんマスク、防毒マスクについては、種類までしか書けないか、今までは適切なマスクだったので、適切が防じんか防毒かも分からないという状態ではあったのですが、ただ、防じんに関しても、濃度基準値がある場合には、その濃度に応じて違うグレードのものを選ばなければいけないという実態があります。SDSを作る人たちに、本当はそういうことがありますよという注記を記載していただくとか、ただ選べばいいのではなくて、濃度を測って選びましょうと、そういったことまで付け加えてもらうかどうかというところは難しいと思いますが、その辺はどのようにしていくかというのが課題ではあると思います。取りあえず以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○化学物質評価室長 オンラインの尾崎委員が。
○城内座長 尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員 話を聞いていると、桃源郷のようなお話をされています。ポジティブリストは理想なのですが、いきなりそこにたどり着けるかというと、多分たどり着けなくて、やはり一歩不浸透性の所に進んでもらって、例えば軍手は駄目とか、そういうネガティブな領域を廃除して、次に不浸透性という言葉を広めていって、更にもう一歩行くという、そういうことをやらないといけないと感じています。また、SDSを作る人間にものすごくマンパワーが掛かって、達成できないのではないかと思います。
○城内座長 小野委員、お願いいたします。
○小野委員 私は、全て書いてくれというのではなくて、将来的に目指すのはそこだとは思うのですが、不浸透性と書くことで軍手を不浸透性手袋にというのは、今の時期のキャンペーンとしてはそれが一番だとは思っています。ただ、そのときに、安全を求めてEVOHを使いなさいとか、多層フィルムを使いなさいという極端な書きぶりは、かえって使用者を混乱させるという意味で申し上げました。そこで誤解を生じたのでしたら、そんなに細かく書くのは無理だというのは私も承知しておりますので、おっしゃるような形で書いて、次にSDSを改訂するときには、そういう情報ももっと出てくるかもしれませんから、そういうときには、また変えていただくということでよろしいのかと思います。以上です。
○化学物質評価室長 先に大前委員が挙げております。
○城内座長 大前委員、お願いいたします。
○化学物質評価室長 大前委員、マイクがミュートになっているようですので。
○大前委員 失礼いたしました。大前です。各SDSを作る所が、そのような情報を集めるのも結構大変だということもあると思います。それから、それらの情報はどんどん変わるので、むしろ、どこか一か所に保護手袋のサイトを作る、あるいは保護具のサイトを作るということで、SDSを作る方もそれを見にいく、あるいは、SDSを使う方もそれを見にいくということでやらないと、尾崎委員が言われたようにすごく大変なことになると思うので、そういう形もあるのではないかと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。尾崎委員、お願いいたします。
○尾崎委員
リスクの見積りというのは、化学物質のハザードすなわち化学物質を提供している側の情報になります。あとは、使用状況というユーザー側の使用条件がそこに入ってくるわけです。そこに関しては、メーカー側は一切分からないのです。ですから、今までの化学業界の先達は、適正な保護具を使用の事でお茶を濁していたのだと思います。お茶を濁したというのは非常に語弊がありますが、そういう言葉を使わざるを得なかったのです。そうでないと、何かあったときに、適正な保護具を使い、具体的に記載されていた保護具を使って被液してしまったではないか、化学物質でばく露したではないかと、そういうことで訴えられたときに負けてしまうわけです。それを回避するために適正な保護具ということで、相当引いた形の表現をしているわけなのです。
今後は、踏み込みますがいきなりポジティブの所まで行くのではなくて、軍手は駄目とか、薄スキンのアクリル系のものだったら大丈夫とか、そういうところで一度ステップを踏んでいただきたいのです。長く時間が掛かる話なので、いきなり、あるべき姿をやると、実行する側の業界に非常に負担が掛かるのではないかと思います。以上です。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 確かにステップからいうと、そういうステップもあると思うのですが、実際にユーザーの人たちが本当に欲しいのは、どういう製品なのかというところだと私は思っています。さすがに、それを書くのは難しいのかなという感じはするのですが、まずは選定をするときの参考になる資料を出すと。それは一応、今回のマニュアルのほうに出ています。外国のSDS等を見ると、しっかりと製品名を書いているものもあるのです。では、それが駄目かというと、例えばメーカー側のほうでデータをしっかり持っている。ただ、そのデータというのは保証するというわけではなくて、実験データとして出していると、だから、参考にしてくださいよという形で出していると思います。
それは当然、作業状況とか自然現象も含めて、いろいろ影響するファクターがたくさんあるので、いつでもデータが担保できるかというところは分からないのですが、ある一定の状況で実験をしたときのデータをまず出すということで、それは手袋メーカーであれば、できるわけです。要は、そういう注意書きを付けた上で、きちんと製品を出すということも、私は逆にいいのかなと思っています。そうしていかないと、なかなかこれは進まなくなってしまうと思うのです。メーカーのほうからしても、そういう面では物質に対する責任をしっかり持つということであれば、お互いwin-winの関係になるのではないかなと。なかなかそこまで急に行くとは思わないのですが、むしろ、もうちょっと踏み込んでやったほうが目的は達成するのではないかなと思いました。以上です。
○城内座長 ありがとうございます。そのほか、いかがでしょうか。宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本です。作るのが大変だというのは、すごく分かるのです。手袋に関して言うと、例えばニトリル製のものは駄目というと、それは有り難いのですが、何だったらいいのかというと多分、普通のユーザーだと行き着かないと思うのです。これは、このぐらいの材質だったら大丈夫だと思われますとかというのでも有り難いと思うのです。そうでないと、保護手袋をちゃんと使っていないと、健診をやれということになって、何をやったらいいのか分からなくなってしまうというのがありますので、そこはどのように管理したらいいのか。保護具の手袋というときに、こちらのほうだったら望ましいとか、何がしかの情報がないと、現実的に対応ができないのではないかと思うところです。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほか、ございますか。最川委員、お願いいたします。
○最川委員 この規制は、そもそも化学物質の有害なものを扱ったときに、ばく露して疾病とか、それを防ぐための改正ですよね。だから、訴えられないとかそういうことも分かるのですが、ユーザーに伝わらなかったら全く改正する意味はないですよね。そこは、まず絶対担保して頂きたい。私も先ほどから何回も言っていますが、やらされる側にきちんと伝わらない。尾崎委員の言うところだと、新しい所で1年半から2年ぐらい掛かると。今、出回っているものに関しては、その後だと。私は、前から言っていますよね、SDSなんて改正できないのではないかと、記入されていませんと何年も前から言っているのですよ。そういう状況で、もう4月1日から私たちには義務が掛かるのです。だから、もうできないと思っています。今日、私は最後ですが、4月1日から、聞いたら絶対答えるということだけは決めてください。いや、それは努力義務だとか言われたら、私たちはやりませんよ。
小林部長、どうですかね。伝わっていないのですよ、私たちに。そういう状況があるにもかかわらず、義務付けが4月1日から掛かるのですよ。それを渡す渡さないというような書きぶりの話ではないのです。それは絶対答えていただかないと、SDSへの記載が間に合わなくても聞いたら答えてもらわないと、私たちはできないです。そのまま施行されたら、それは行政の不作為ですよ。ちゃんと伝わるようにしてください。以上です。
○城内座長 事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。まず、リスクアセスメント対象物あるいは皮膚等障害化学物質、がん原性物質については、リストが既に出ておりますので、物質名が分かれば法令の適用は分かります。ただ、それを一々調べるのが大変だという御意見だと受け取りますが、法令の適用というのは、リストによってできるというのが1点です。ただ、それではやりにくいと、円滑に施行できないという御意見については、先ほど申し上げたように、少なくともホームページには載せてくださいという要請はしており、がん原性物質については既に載っておりますし、皮膚等障害化学物質についても、少なくともホームページには載せてくださいという要望はしております。また、メーカーに聞けば、メーカーですから自分の物質に何が入っているというのは当然把握しておりますので、聞けば答えることは、もちろん可能だと思いますので、そういった形で対応することを想定しております。以上です。
○城内座長 最川委員、お願いいたします。
○最川委員 私、何回も言っていますが、まだ書かれていない。4月1日から改正される内容はほとんど書かれていないです。4月1日から一気に全部書かれるのかもしれませんが、4月から対象になる皮膚等障害化学物質とか、がん原性物質とか、濃度基準値設定物質が書かれているというところは、私が調べた限りは、ほとんどないです。ホームページに行っても、前回も言いましたが、今回の改正内容に一番対応していると教えていただいた化学物質のメーカーに、上から順番に6社SDS交付依頼を行いました。6社中3社のSDSが手元に来ましたけれども、それを見ても対象物質が含まれているか分からないですし、3社からは、10日たってもSDS自体もらえていないです。「ください」とメールを打って、受信されたのを確認していますが、そういう状況なのです。それだけは分かっていただきたいです。いつもできている、できていると言われてしまいますが、できていないことを認識していただきたいので、よろしくお願いいたします。
○化学物質対策課長 SDSについて、そういった状態もあるというのは把握しておりますし、それを否定するつもりはありません。ただ、私が申し上げているのは、法律の適用について、SDSには物質名が書いてあります。それが皮膚等障害化学物質とは確かに書いていないSDSが現状ではほとんどですが、物質名を厚生労働省が公表しているものと突合すれば、適用物質であるかどうかは分かる状態になっているということを申し上げているだけです。ですから、別にSDSに適用法令が全部書いてあるということをここで主張しているわけではありません。
○城内座長 最川委員、お願いいたします。
○最川委員 混合物の中に含まれている成分が書かれていないのです。全部書かれていればいいですよ。物質が全部書かれていて、CAS番号があれば調べようがありますが、違う名称で書かれていて、検索しても出ないのです。そういう状況があるということだけ認識していただきたいと思います。
○城内座長 ありがとうございました。前回もちょっと申し上げましたが、SDS、つまり危険有害性情報を伝えなければならない側と、受け取る側のギャップというか、意見の相違は何十年も続いてきました。今ちょっと思ったのですが、欧州のようにはいかないかもしれないのですけれども、日本でも、誰かがSDSをウォッチすると。多分、ちょっとは権力がないといけないかもしれないので、行政が決めれば一番いいとは思うのですが、ウォッチして本当にこれは何も書いていないなとか、危険有害性情報は事業者次第なので、そこはタッチできないと思うのですけれども、余りにも情報が足りないとか、変だなというのに関しては、これでいいのですかというようなフィードバックができるようなシステムが、やはりなければいけないのではないかなと何十年も同じ議論を聞いてきて思いました。簡単ではないと思いますが、ちょっと考えていただければいいかなと思いました。
○化学物質対策課長 今の座長のお話にちょっと関連することですが、メーカーとユーザーで十分な対話をすることが必要であろうと思います。まず、メーカーとしては、ユーザーがどのような情報が必要なのかよく分かっていませんし、ユーザーとしては、メーカーにどういう事情があるかよく分かっていないというところで、対話を積み重ねていく中で、どこまで記載できるのかというのを詰めていくのが理想だろうと思っております。そういった意味において、日本経団連などに御協力いただいて、メーカーとユーザーが一同に介して意見交換を行う場というのを設定していただきましたので、先ほど座長がおっしゃったように、ウォッチするような仕組みができるかどうか分かりませんが、そういったところで対話を積み重ねていく中で、SDSの記載の改善が図られていくのが理想かなと考えております。以上です。
○城内座長 今の議論は、SDSの電子化とか標準化等にもつながっていくと思います。あと、皆さんから御意見等がなければ次に行きたいと思いますが、ここはよろしいでしょうか。では、9ページの論点についてはここまでといたします。
次は、14ページをお願いいたします。14ページは、「成分のみ非開示を認めるか、含有量の非開示も認めるか」ということですが、ここについて御議論をお願いいたします。宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 宮本です。前回の議事録を見たのですが、書いていなかったので教えてほしいのですが、営業秘密というのは、例えば薬、内服薬では、10年でパテントが切れるとかもあって細かい製法とかも開示することになると思うのですが、この営業秘密というのは、何年とか区切りがあるものなのでしょうか。
○城内座長 事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 営業秘密の定義については、前回お配りした資料の資料4の7ページに、「営業秘密の定義」が各国でどのようになっているかというのを入れております。我々として一番分かりやすいと思っているのはカナダで、「情報が公開されていないこと。申立者が、情報を公開されないように合理的な手段をとること。情報が公開されておらず、開示によって申立者に財産上の損失又は申立者の競合相手に財産上の利益を与えることから、申立者又は申立者の競合相手にとって、実質的に又は潜在的に経済的価値を持つこと」となっておりますので、宮本先生がおっしゃったように、例えば、開示されているものは当然、営業秘密に当たらないことになろうかと思います。
○城内座長 宮本委員、お願いします。
○宮本委員 開示されているものではなくて、営業秘密として保護される期間が、何かあるのか。これでいくと外国ばかりで、日本はないと思ってよろしいのでしょうか、ずっと永久的に。
○化学物質対策課長 期間というのは多分、何年と決めることはできないと思うのですが、先ほどおっしゃっていたように、例えば特許切れとかで開示されたら、その瞬間で営業秘密はなくなってしまうことだろうと思います。ですから、何年とかではなくて、実質的にそういう情報が開示されているかどうかという実態論で決まっていくのかと考えております。
○宮本委員 だとすると、営業秘密だというのは、メーカーのほうで、これは秘密だ、自社の営業秘密だと言ったら、言った者勝ちになるのですか。
○化学物質対策課長 大変難しいところですが、国によって少し違いまして、例えばアメリカは、おっしゃるようなシステムで、争いたければ民事で争ってくださいというシステムです。EUとかの場合は政府機関が審査をするのです。そこで、営業秘密があるかどうかをEUが認めないと、非開示を認めないというシステムになっております。日本において、どういったシステムをとっていくかというところは、少し変わってくるところではあります。
○宮本委員 宮本です。だとすると、営業秘密をどう考えるかということが先にないと、何を非開示と認めるかという議論にはならないのではないかと思ったのですが、いかがでしょうか。
○化学物質対策課長 前回の議論では、こちらの定義を御説明させていただいておりまして、我々としてはカナダの定義が一番分かりやすいので、それをベースに御議論させていただきたいというお話をさせていただきました。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○宮川委員 成分のみ非開示か、含有量の非開示も認めるかという話ですが、ここで言うのは、営業秘密に係るときに含有量の非開示は、これは全然しなくていいという意味ではなくて、10%刻みでいいですよねというところの議論になるということですか。
○化学物質対策課長 そこも議論の範疇に入るのですが、我々は、先ほど吉見が説明しました10%刻みというところになっているので、あえて営業秘密ということにせずに、10%刻みで担保できるのではないかというのが行政のスタンスです。例えば、カナダなどの場合は実際、濃度を完全に隠すことも不可能ではない。かなり難しいらしいのですが、そういうのは認められるケースは少ないらしいのですが、制度的には可能性があると。そういったところまで踏み込むかどうかということだと思います。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 そうすると、今のお答えについて、2点ばかり意見を述べさせていただきます。まず、前回も言ましたが、リスクアセスメントのためには、ばく露情報が非常に重要で、そのためには、どういう物質が、どのぐらいばく露する可能性があるかと。これは、もとの成分の情報がないと非常に難しいのです。10%の刻みでも、例えば9割入っているか、8割入っているか、7割入っているか、その程度の差でもって、それなりにリスクアセスメントの場合には大丈夫かもしれないのですが、かなり毒性の強いものが、0.1%入っているのと、9%入っているのと、これは全て10%以下とか、ほぼ0となってしまうと、実際の影響が違うときに把握できない可能性があるので、含有量の記載自体についても、全体として10%刻みでいいのだというところは、ごく低い濃度でも問題になるものについては、これは将来見直していただく必要があるのかと。そういうことも考えると、基本的に含有量の非開示を、営業秘密に係るから全て認めてしまうというのは、リスクの見積りなどでは非常に困ることなので、私は個人的には、何が入っているか分からなくても、物質Aについては、こういう有害性があって、許容濃度あるいは濃度基準値、そういうものがこのぐらいの濃度であって、しかも製品中にはどのぐらい含まれていますというのがかると、リスクアセスメントはある程度できると思うのです。量は非常に重要な要因だということを申し上げたいと思います。以上です。
○城内座長 事務局、どうぞ。
○化学物質対策課長 事務局ばかり恐縮です。今の御指摘のとおりでありまして、10%刻みでいいかどうかというのは、多分、毒性によると思います。次の論点に絡むわけですが、例えばEUとかでは、毒性の強いものはそもそも非開示を認めていないということですので、そういう意味では、どこまで毒性のあるものの改善を認めるかと、その毒情情報のレベルと濃度は、少しリンクするところはあろうかと思います。
○城内座長 最川委員、お願いします。
○最川委員 前回も確認したのですが、再度確認です。この営業情報を非開示にできるというのは、法改正で義務付けされている、先ほど言ったリスクアセスメント対象物質とか、皮膚等障害化学物質とか、がん原性物質とか、そういうものが裾切値以上入っていた場合は非開示にはできないと、前回聞いたと思うのですが、それはそれでよろしいのでしょうか。
○化学物質対策課長 現状はそうです。それに対して、それだと営業秘密が担保できなくなるので、こういった制度を検討してほしいということですので、今後は裾切値を超えるものについては非開示を認めると。その認めるものについて、どこまで認めるのかという議論を今、させていただければということです。
○最川委員 裾切値以上は開示していただきたいのですが、そのパーセンテージが、例えば10%刻みとかの細かいところまで、私らエンドユーザーとしては求めているわけではなくて、入っているか、入ってないかというところがあればいいので、それをSDSに必ず書くとかではなくてもいいと思っているのです。私は、営業秘密はやはり必要だとは思っているので、それを全部細かく0.1%刻みで書けとか、そういうことを言っているわけではなくて、必ず伝達することを担保してほしいという意味なので、それは口頭でも何でもいいのですが、営業秘密がばれないように伝えるということも含めて、必ず伝わるようにということを担保していただきたいということです。以上です。
○城内座長 ありがとうございした。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 宮川先生の御発言だと、何でもかんでも開示しなくてはならないと、そういう風潮になってしまうので、産業界からすると、今、最川委員が言われたように、区分1であったら、必ずそれは成分名含有量です。それはもう出していくと、そういう流れでいいと思うのです。ただ、区分2とか、3とか、4とかと、そういうところで、シビアに情報を出したくないというのがあれば、是非、そこら辺は大体の名称でも可能な感じにできないかと。含有量に関しても、10%刻みで十分ではないかと考えています。どうせ、CREATE-SINPLEで計算すると、どうしても高めに出ることは分かっているので、そのぐらいあれば十分ではないかと考えています。
○城内座長 宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今、私の名前が出ましたが、私が先ほど申し上げましたのは、成分名は開示しなくても、その物質について、どういう毒性があって、それがどの程度入っていればという情報のほうが重要だということで、何でもかんでも全て明らかにしてくださいという発言ではありませんので、よろしくお願いします。
○尾崎委員 区分1で切ること、そこの線引きをはっきりしないと、めちゃくちゃになりますということを、私はお伝えしたい。
○城内座長 宮川委員、どうぞ。
○宮川委員 もう一度、今の区分1の点について言いますと、区分1かどうかを決めるのは、これは基本的にはSDSを作っている事業者の判断になってしまいますので、そうすると、なかなか難しいところが出てくるかという気がします。
○尾崎委員 18ページにあるように、SDS交付等に係る裾切値とありますよね。ここできちんと、裾切値があるので、明記の要否は分かるのではないですか。そこでメーカー側が、これを書くか書かないかというところの力量が表われて、書かれなかった場合はどうするのだというような議論にいってしまったら、何の議論にもならないと思うのです。違いますか。
○城内座長 少しお待ちください。この議論は、今、御指摘のように次の有害性とも絡みますので、また、そちらでお願いできますか。時間が詰まっていますので、次の論点、21ページに移りたいと思います。よろしくお願いします。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 論点3として少しお答えいたしますと、18ページに裾切値が決まっております。裾切値につきましては、有害性のクラスと区分に応じて決まっております。こちらについては、国が行ったGHS区分に基づいてやるというルールになっており、この区分、例えば急性毒性が区分1であれば、ラベル、SDSの裾切り値は1%ですよというのは、国の行った有害性区分に基づいて行うというルールとなっております。宮川先生が先ほどおっしゃったようなことにならないようにするためには、この裾切値と同じようなシステムを、特に、先ほどの有害性区分というところが重要になるのであれば、それは国のが行った有害性区分を使うというような規定にするのは可能かと思います。以上です。
○城内座長 尾崎委員、御意見はありますか。
○尾崎委員 ございません。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。では私から、懸念と言いますか、ずっとGHSをやってきて少し心配なことがあって。というのは、事業者の方が、これを正確に理解するのが難しいかもしれないということで、少しだけ述べさせていただきます。
まず、17ページですが、安衛法に基づくSDSの裾切値と、GHSの原則のカットオフ値というのは大体並んでいるのですが、実際、JISの分類のほうの数値を見ていただくと、0.1%と1%など、幅のあるものが結構あります。ここについては、実はJISで分類をしていくと、危険有害性情報がSDSやラベルで、すこんと抜ける場合があります。もちろん、この0.1~1%ぐらいの間なので、その間で労働災害が懸念されなければいいと思うのですが、危険有害性が除かれる可能性が非常にあるということは、事業者の皆さん、つまりSDSを交付する側、それから受け取る側も、それは知らなければいけないかと思っています。
もう1点、18ページのほうは少しややこしいので、メモを作ってきたのですけれども。がん原性物質及び皮膚障害等化学物質に関する規定は義務になっているわけですね。それから、18ページの表のカットオフ値も義務になります。一方、先ほど宮川委員のほうからも話がありましたが、JISに基づいた分類というのは事業者に委ねられているわけですね。それがGHS分類の基本にはなっているわけですけれども。
そうすると、事業者による危険有害性に関する情報提供が義務対象物質の想定されている有害性と異なることが多分、かなり出てきます。これはどちらも認められていることなので致し方がないとは思うのですが、そこはきちんと認識しないと、今後かなり大きな問題になり得るかもしれないので、そこは情報提供側と受ける側がきちんと認識していなければいけないかと思っていますので、少しコメントさせていただきました。
そのほか、21ページに関しての論点というか、御意見等はございますか。最川委員、お願いします。
○最川委員 今、城内先生が言われたことも、私もそのとおりだと思っています。今、SDSを作られている方のほとんどはJISに基づいて書かれていて、それでいけば、法律のところの肝腎なところを書かずに、JISどおりに書くことができてしまうことが幾つかあるというところまでは、私は分かっています。JISに基づいて書かれるのはいいのですが、法律のことに関しては必ず書いてほしい。SDSに法令対象物質が記載されるということが一番なのですが、それが出来ていなくても伝達は必ずしていただきたい。そこを伝達しないなどという議論はないので。
それを、もし認めているのだったら4月1日からの施行は延期していただきたいです。それが大前提です。法令改正に対応した情報伝達が出来ていないこともありますよと言われても、私たちは調べようがないので、それは少し無責任です。そのままで済まされてしまうのは困るので、そこは必ずお願いします。
○化学物質対策課長 いちいちコメントするのは恐縮ですが、城内先生がおっしゃったのは、法律上の裾切値の適用にならない物質についてのお話ですので。一応、補足はしておきます。
○城内座長 そのほか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 今の点の説明についてですけれども、法令上の裾切値の適用にならないものだけですか。なるものであると、SDSは書かなければいけないと。そのときに、発がん性の区分2のものが0.5%入っているときに、これは裾切値をオーバーしているかもしれないけれども発がん性区分は2ですよと、これは書かなくてもよろしいということですよね。
○化学物質対策課長 もう1回お願いします。
○宮川委員 発がん性区分2の物質が0.5%入っているとすると、多分これはJISの分類だと、区分2にならないですよね、0.5%は1%未満ですから。なので、そういうものについては、たとえ法令の対象の物質であろうとなかろうと、SDSは作らなければいけないけれども、そのSDSには、これは区分2ですよと書かなくてもいいということ、あるいはJISに従えば、書かないということになると思うのですけれども。
だから、先ほどの城内先生の御懸念は、法令対象物質については懸念がないということではなくて、一般的に懸念があるということだと思います。これが今、確認と言いますか、質問というか。
○化学物質対策課長 質問ですね。SDS交付については、発がん性は区分1でも区分2でも0.1なので。
○宮川委員 SDSは交付しなければいけない。
○化学物質対策課長 交付しなければいけないです。
○宮川委員 その交付するSDSに、この物質は、交付はするのだけれども発がん性区分が2だと、書かなくてもいいということで。
○化学物質対策課長 書かなくてもいいというか、それは事業者が区分2ではないというように判断したということですね。
○宮川委員 そうですね、はい。
○化学物質対策課長 法令上は、それは認められていますね。独自の、科学的根拠はある場合だと思いますけれども、別に恣意的にではなくて。
○宮川委員 いや、JISの混合物の分類判定に従うと、区分2ではなくなってしまうので、JISに従って区分しませんでしたと。
○化学物質対策課長 御指摘のとおりです。濃度限界を下回っている場合については、有害性区分に反映させる必要がありませんので、そうなります。
○宮川委員 先ほどの城内先生は、その辺りを御心配されたということだと思います。21ページについて2点、意見を言わせてください。真ん中の混合物としての有害性分類に影響を与えない濃度とするかどうかなのですけれども、私としては、混合物として分類が付くか付かないかというのは、実際の現場の作業するような方々にとっては、そういう表示が付いているとか、区分が付いているというのは、それなりに注意喚起にはなりますけれども、一方、慢性的な影響、産業中毒を防ぐというような形でリスクアセスメントをやる立場に立つと、前回も申し上げましたけれども、混合物としてのGHS分類は余り役に立たない。
むしろ成分ごとに、どういう有害性のものが、どのぐらい入っていて、それにどのぐらいばく露するのかということをきちんと見るほうが重要になってくるということなのです。GHS、JISの濃度限界の考え方を採用するかどうかというところは、私としては、余り大きな論点にはならないのではないかと。法律を決める上では、そういうところが重要になるかもしれませんけれども、実際のリスクの評価の上では、それよりもむしろ成分の情報が重要になるというのが1点です。
もう1つ、2つ目のマルですけれども、混合物そのものの試験データがある場合はうんぬんとありますけれども、混合物そのものの試験データがあって判断をしたほうがよいものと、そうではなくて、例えば発がん性物質がどのぐらい入っているかというようなことでもって成分情報から判断するほうがいいということがあります。
これはJISのGHSの分類の中でも、有害性の種類によって混合物の試験を優先するか、あるいは成分情報を優先するかというのは違いますので、この辺りも一概には決められなくて、エンドポイントごとに考えなければいけないのかという気はしていますというのが、この部分についての私の考えです。
○城内座長 事務局、どうぞ。
○化学物質対策課長 御指摘はエンドポイントによるということですが、21ページの上のほうに、エンドポイントで慢性影響があるような生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性等の有害性クラスで、例えば「有」であれば非開示は認めていないわけですけれども、そういったところで非開示を認めないという御主張ということでしょうか。
○宮川委員 個別に非開示を認めないほうがいいかどうかというのは、私は、まだ自分の中では考えがまとまっていません。というのは、先ほど、しつこく申しましたけれども、物質名は公表しなくても、この物質はこういう毒性がありますよというのが分かれば、それなりに対応ができる場合もあると思いますので、実際のシステムがどうなるかによって、非開示を認めたとしても、それなりのことはできる可能性があるかと思っていますので、この辺りは、すみません、個人的にはまだ意見が決まっておりません。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。
○尾崎委員 いいですか、尾崎ですけれども。手を挙げているのですけれども。
○城内座長 尾崎委員、どうぞ。
○尾崎委員 また今の話をぶり返しになってしまうのですけれども、宮川先生が言うところだと、もうのべつくまなく、区分1も区分2も区分3も区分4も全部同じところで議論されているので、とにかく何でもかんでも成分名を出さなければいけない様に聞き取れます。やはり、区分1のところは出さなければいけないとは思っていますけれども、区分2以上のところで、そこでCBIが関係してくるのであれば、成分を非開示としたい。化学業界としてやりたくないのですよ。これはもう強く言っておきます。ここの開示非開示が業界で働く方々の生活が成り立つかどうかの瀬戸際なので。それは出したくないです、化学業界としては。これは強く言っておきます。
○城内座長 そのほか、いかがでしょうか。事務局、お願いします。
○化学物質対策課長 尾崎委員に少し確認したいところがございます。区分の話が少し出ましたが、この有害性の高いクラス、例えば生殖細胞変異原性、発がん性、生殖毒性等の、いわゆる後での慢性影響が確率的に発生するような有害性クラスについては開示するというところは大丈夫ということでしょうか。
○尾崎委員 はい。
○化学物質対策課長 ありがとうございます。
○尾崎委員 それは16ページの、留意事項通達の所のア~コに関するところの中の一部ですよね。
○化学物質対策課長 いや、16ページというか、この21ページの最初のところですね。16ページもそうかもしれませんが。
○尾崎委員 はい。いいと思います。
○城内座長 あと、先ほど少し議論になりましたけれども、下のほうの「特化則等の特別則の適用対象物質」、それから「濃度基準値が設定されている物質」については、あり方検討会の報告書で言われているような方向でいいということなのでしょうか。皆さん、何か御意見はございますか。
○尾崎委員 よろしいでしょうか。尾崎ですけれども。
○城内座長 尾崎委員、どうぞ。
○尾崎委員 やはり、この特別則などの領域に関しては化学業界の先達の方々が、相当痛い思いをしてきた領域ですから、無視するということは絶対できないはずです。これはもう、そのまま載せていただいても構わないのではないかと思います。
○城内座長 ありがとうございます。そのほか、21ページの論点は、よろしいでしょうか。
それでは、24ページに進みたいと思います。24ページの下から半分ですけれども、いかがでしょうか。尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 ここにあるように、製品の中に秘密に関わる物質が入っているということに関しては、どこかに「営業秘密」という文言を入れたほうが、見る側としては分かりやすくなるのではないかと思います。
それから含有量に関しては、今、回している10%刻みでいいのではないかと考えています。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 尾崎委員だけでなくていいのですが、いわゆる一般名であるとか、代替名の記載についてはいかがでしょうか。
○尾崎委員 代替名に関しましては、先ほど区分1で書かなければならないという物に関しては、その成分名だったり、CASナンバーでいいと思います。それ以外に関しては、代替名称を可能にしていただけると有り難いと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。化学業界に一番関係のある部分なのですけれども、委員の先生方から御意見はありますか。宮川委員、お願いします。
○宮川委員 代替名とか、某かの表示があるといいのですが、全く表示がなくて「営業秘密」とだけあって、ブラックボックスになると怖いと思いますので、使う側、あるいは健康管理をする側からすると、せめて、どういう系統のものなのかとか、化学物質といっても、大体この辺の範疇のものだということが分かる表示がないと、恐ろしくて使えないということになってしまうと思いますので、そこのルールを作っていただければと思うところです。
私としては、せめて、これがどういう健康影響がありそうだというところを考えればいいのかということが分かるといいな、あるいは物理化学的性状がどちらの方向のものなのかというのが分かるといいなと思っています。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、次に移りたいと思います。27ページをお願いいたします。「緊急事態における情報開示規定について」です。これについてはいかがでしょうか。川本委員、お願いします。
○川本委員 緊急事態の情報開示で、特に物質名、成分について公開するかという話だと思います。医療関係者に物質名などを報告されても、医療関係者としては、せいぜい中毒センターの治療方針を見て、その中に入っていれば有効ですが、多くの場合、新しい物質でリスクアセスメントの対象外で有害性が分からないとか、この前に小野先生が言われた樹脂のオリゴマーとか、そういうものがあります。そうすると、医療機関も物質名を公開されても分からないので、それをバックアップするような体制を、大変難しいのですが、今後それを考えていただければと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。宮本委員、お願いします。
○宮本委員 実際に緊急事態として、割と大量のばく露があったとか、直接被ってしまったというようなときに、SDSを付けて搬送はするのですが、病院に着くまでの間に、事業者側で詳細を調べて通知できればと思います。病院は緊急処置をやっているわけですが、聞くことを同時にはできないから事業者がやるとなると、これは誰が聞けるのかとか、何をもって緊急事態ということを伝えて情報を取れるのかとか、医療関係者だけでやると、そこが限定されすぎてしまって、おっしゃったようにSDSから聞いたとしても分からないから、何をすればいいのかということになってしまうので、どこまでの範囲を誰が聞いて、どういう開示がなされるのか。これが今は、カナダ型だとおっしゃっていたので、カナダ型とすると、医療従事者に限定されてしまったり、あるいは深刻かつ緊急の危険性ということですが、このようなものがその場で分かるわけがないということもあります。ここは米国型でいくのだったら、とにかく労働者でも事業者でも聞けてしまうということになっていますから、この緊急事態というところを想定すると、救急車なり、自車で搬送して病院に行くまでの間に誰が聞けるのかということを想定して作っていただけると有り難いと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。小野委員、お願いします。
○小野委員 安衛研の小野です。先ほどの開示の所でもあったのですが、一般名で書いてよろしい。そのときに、有害性についても、ある程度想像できるような名前で開示してほしいというところを特にきちんとしておいて、それに対応する形で、緊急時にはこういうポイントがあるという、それはまた書く所が別になりますけれども、そこがきちんとリンクしていて、その表示があることが、まず前提だと思います。
その上で、先ほどおっしゃったように、医者しか聞けないのか、緊急搬送ですから、そういった人たちが聞けるのか、会社も改めて。SDSをもともと持っているのは会社ですから、そこの中で誰がどう聞けるのかというルートと、その辺をきちんとしておいたほうがいいと思います。
○城内座長 私は、これを見たときに、2つのシステムが必要だと思いました。本当に緊急時のときと、産業保健上必要な場合というのは、ルートが一緒だと緊急時に役に立たないかもしれないので、本当に緊急時に役に立つルートと、そうではないルートが必要だと思いました。可能かどうかは分かりませんが。そのほかに、御意見はございますか。上野委員、お願いします。
○上野委員 私も、今の城内先生の意見に全く同意です。特に、先ほどから宮本委員からもありましたが、緊急性を我々がどう定義するか、考えるかというところで。そうなってくると、土日祝日、24時間365日体制でないと、本当の意味での緊急性は得られない。事故は時期を選ばずに起こる可能性がありますので、そういったときに、現時点では中毒情報センターのようなものが、そういう役割を少しは担っているところはあると思うのですが、今後、こういったところも少し見据えていかないといけないということで、今、城内先生がおっしゃったような2つのシステムは必要かなと思っています。
○城内座長 宮内委員、お願いします。
○宮内委員 大きな会社は、いろいろと体制がしっかりとしていて、要は産業医の先生等も含めて、こういった開示をするようなことができると思うのですが、一方、本当に小さい中小零細の所で、ばく露事故が起きたときにどうするか。化学物質管理者等が、普段いろいろとSDSの読み方とか、教育をすることになるのですが、ポイントになるのは、絶対にやってはいけないことは何かということと、起きてしまったらどうするか。これなのです。
ここがちゃんとできていないと、本当に大きな事故、命に関わることになる可能性がありますので、ポイントをしっかりとつかむときに、ここは絶対に外せないと思います。
先ほどあったように、名称省略というのは仕方ないのですが、一般名でもいいので、そこは必ず入れていただく。このシステムをきっちりと作って、何かあったときはどうするかということに関しては、開示いただけるようなものが絶対に要ると思います。それがないと、最後の砦がなくなってしまうということを懸念しました。
○城内座長 尾崎委員、お願いします。
○尾崎委員 伊勢湾岸道で自社の製品を積んだトラックが事故を起こしたときの経験から話させていただきます。自社製品ですから、SDSは勝手に聞き出すことができて、現地に向かうことができました。トラックに載せていた50本のドラム缶が全て破損して漏えいしたといった事故でした。
それを、ほかの緊急時に適応すると、休日夜間にSDSを入手するのは難しいのではないかと思います。休日夜間を含めて一番入手することができのは、製造元の製造工場には誰かいると思いますので、問合せがきくのではないかと思います。あとは、成分の書き様というところなので、城内先生がおっしゃったように、二重のルートを構築しておかないと、運営していかないのではないかと考えます。
○城内座長 ありがとうございます。そのほかはございませんか。よろしいでしょうか。
それでは、最後の検討課題にいきたいと思います。30ページをお願いいたします。「行政事務の執行に当たって必要な場合は行政機関への開示が必要ではないか」ということです。これについてはいかがでしょうか。これは、なかなか議論が難しいかなと思うのですが、宮本委員、お願いいたします。
○宮本委員 どういう事態を想定したらいいのかなと思ったのですが、例えば労基署が入ってきて、化学物質の製造元の営業秘密で成分が分からないといったときに、これは成分を開示してもらいなさいという指導があったときとか、そういうことを想定すればいいのですか。
○城内座長 事務局からお願いいたします。
○化学物質対策課長 こちらは緊急事態などを想定しているものではなくて、もっと平たく、例えばこの物質は非開示だとSDSを作られました。例えば発がん性物質については認めないというルールを作ったとして、それが本当に発がん性物質でないかどうかは開示してもらわないと分かりませんよね。要するに、新しく作ったルールがきちんと適用されるかどうか、適法性の判断を監督署がするときには開示していただかないと、違反の摘発ができないという趣旨です。
○城内座長 最川委員、お願いします。
○最川委員 今、課長がおっしゃったことならば、必ず開示していただかないと、行政が要請しても開示しないということがあったら、今後また同じような有害性の疾病が起きるので、そこは行政から要請があったら必ず開示するというようにしていただきたいと思います。
○城内座長 そのほかはいかがでしょうか。行政のほうからはよろしいですか。
○化学物質対策課長 もともと安衛法の第100条などで報告を求める規定があるので、そちらで対応することが現状の法令ではできるのではないかと思っておりますが、あえてGHSで書いてありますので、一応、皆様方の御意見を聞いたという趣旨でございます。
○城内座長 そのほかに御意見はございますか。大前委員、お願いします。
○大前委員 将来的な話になるのでしょうけれども、実際に何らかの緊急事態が起きた場合に、SDSの中に医療情報を入れられないか。例えば、この物質は肝機能障害を起こすとか、気になるのは以前、議論になったアルシンなのですが、これは溶血を起こして死にますということとか、そういう最低限の救急医療のための情報を明示するような形でSDSが作られるようになればいいなと思います。
それから、これは過去の経験なのですが、半導体を作る特殊ガスの研究をやっていたときに、メーカーの方々、あるいはメーカーの方々と一緒に本を作りまして、その中には、そのアルシンガスを吸った場合には、どういうような治療をしなくてはいけないということを中に書き込んでおきまして、もしそういうことが起きたら、この本を持って救急に行けというようなスタイルで指導して、半導体関係の会社は全部回ったという経験はあります。
そういう意味でも、SDSの中にそういうことが書いてあると、医療的な対応が必要な緊急時には非常に役に立つと思うので、今後それが入るといいなと思います。
○城内座長 そのほかに御意見等はございませんでしょうか。言い忘れたとか、どのようなご意見でもよろしいのですが、いかがでしょうか。宮内委員、お願いします。
○宮内委員 確認ですが、言い忘れたので。保護具の記載に関して、このマニュアルにあるような対応は可能だということについて、限定をしているわけではないということは確実に書いていただきたいと思うのです。更にいろいろなことが、これから開発も進んで、いいものが出てくるということを想定すると、参考というわけではないのですが、拠として使うというような書き方にしてもらったほうがいいと思います。
逆に言うと、先ほど言いましたように、取扱い時の状況によって、そういった手の材料自体の性能も変わりますので、これは保護具に関して、ほかのものも全て同じだと思いますけれども、そういうことをきちんと考慮して使うことを大前提に、どう書くかは分かりませんけれども、記載をお願いしたいと思いました。
○城内座長 そのほかの委員の方からはございませんでしょうか。最川委員、お願いします。
○最川委員 ポルトランドセメントの話なのですが、最近、化学物質の規制がある中で、前から分かりやすい規制をとお願いしていたのですが、分かりづらくなったうちの1つがポルトランドセメントで、平成30年にリスクアセスメント対象物に追加されたのです。それが、去年の8月30日に基発が出て、ラベルSDS対象物質から削除されたと。その中には、水と反応すると危険だと書かれているのですが、わざわざそれを外されたというのが納得できていない。建設業で一番多い災害で、生コンとかセメント、ポルトランドセメントが反応して起こるアルカリ熱傷で被災されている方がものすごく多いのです。それが、昨年8月にリスクアセスメント対象物質から外されたことで、有害性のランクが下がったように勘違いされています。こういう規制の解除と言うのでしょうか、危険性を正しく伝えていただきたいのに、より分かりづらくなったということがあるので、そういう改正はやめていただきたいと思っています。
それと、できればリスクアセスメント対象物には指定していただきたいと思います。建設業の中では、一番多い災害ということは、厚労省も分かっていると思うのですけれども、水と反応しなければ使わないですから、粉のまま使うということはあり得ませんから、それが前提としているものは、きちんと危険性を伝えていただきたいと思っています。
そして、後で言おうと思っていたのですが、ここで発言させていただきたいと思います。私は本日が最後になるので、来年度から委員が変わりますので、これは製造する方にお願いしたい内容なのですが、私たち建設業で使用する物質は、ほとんど商品なのです。一般ユーザーと同じ商品を大量に使うだけで、その商品を売るときに決められた手順、その商品に書かれている決められた手順で作業をやっています。ほとんど、それ以外にはやっていないです。この液とこの液を混ぜて、こういう刷毛で塗ってくださいというように、書かれたとおりにやっています。
それを製造メーカーに、どういう保護具を使えばいいかを聞くと、答えてもらえないのです。せめて推奨、これを必ず使えではなくて、自分たちが売っている製品なのだから、推奨保護具ぐらいは答えてくださいと、私は製造メーカーに会社に来ていただいて、何を使えばいいのかを聞いても答えて頂けなかったです。そういうことが発生しているので、そこは、せめて推奨の、ニトリル製とかブチル製を使ってくださいとか、マスクは必ずしてくださいとか、少なくとも、それを責任をもって答えて頂きたい。これは厚労省になるのか、経産省になるのかは分かりませんけれども、そこは必ず伝える責任があると思いますので、それを1つ、お願いします。
それと、今後の要望なのですが、相談窓口を決めていただきたい。先ほどから言っていますけれども、今回の改正内容はきちんと伝達されないと思っています。4月1日以降、法令対象物質が入っているかどうかを確認するのに、私たちはお手挙げ状態なので、それを全国の監督署を通じて聞いていただくとか、相談窓口があるのでしたら、それを教えていただきたいと思います。以上です。
○城内座長 ありがとうございました。そのほかはよろしいでしょうか。
○化学物質対策課長 ポルトランドセメントについては、ポルトランドセメント単体のセメント状態、これが外れたということで、もう1つ、別の製品として生コンという製品があります。生コンという製品は、当然アルカリ性が入っておりますのでSDSが必要になります。ですから、我々が外したのは、いわゆる袋に入っているセメントの状態は外しましたけれども、生コンについては引き続きSDSが要るということを、セメント協会とか、生コンの協会の方には言っております。生コンの協会の方は、共通の生コンのSDSを作られてホームページに載せておりますので、そういった形で、生コンを実際に扱うときには、そのSDSを使っていただくということでございます。
○最川委員 生コンだけではなくて、セメントなのです。セメントを元請が買って、それを使って左官屋さん、左官屋さんが直接買う場合もありますけれども、例えばポルトランドセメントを購入するときに、今、SDS交付義務がなくなってしまったのです。それを伝えなければいけないのに、SDSは努力義務になってしまったので、もらう手段がない。努力義務なので渡せませんという人はいないと思いますけれども、そういうことが起きてしまう。逆に、そういう危険性が落ちたように、業界は捉えていますので、そういうことがないようにしていただきたいということです。
○城内座長 小野委員、どうぞ。
○小野委員 安衛研の小野です。今のポルトランドセメントなのですけれども、セメントの粉を扱いますので、当然粉じんが舞います。それで呼吸器に障害を起こす方とか、目に入って、目の火傷というような角膜損傷という事例もあります。
ポルトランドセメントのSDSには、水と触れると強アルカリになるということが、今までは書かれていました。強アルカリになれば、区分1になりますので、目の損傷性がある。
そういうことで気にしてくださっている方もいたのですが、化学物質管理者の中に、「リスクアセスメント対象から外れたので何もしなくてよくなったのですか」という質問をしてこられる方もいらっしゃいます。
ですから、その辺について、どうすればいいのか。成分で書いても、一般の消費者には、それとセメントはつながらないかなというところもありますので、そこをどのように情報提供していくかということについて、もしかしたら、これだけではなくて、ほかのものもあるかもしれませんので、そういった場合にどういう情報の提供ができるのかということは、化学物質管理者が自ら考えるのか、どこかにそういう情報源があると有り難いと思います。
○城内座長 そのほかはございますか。よろしいでしょうか。それでは、意見はここまでにしたいと思います。
最後に、「その他」ということです。尾崎委員と最川委員が、本年度いっぱいで本検討委員を退任されます。順に御挨拶を頂ければと思います。尾崎委員、思いの丈をお願いいたします。
○尾崎委員 お世話になりました。2021年から、あり方検討会の最後のほうから参加させていただきました。私はプロセス屋です。最近の議題が非常に化学物質の中枢に関わる議論になってきましたので、化学物質の本当の専門家にバトンタッチしたいと思います。彼は西村と言うのですけれども、非常に優秀な人間なので、この専門家会議の役に立つのではないかと考えています。よろしくお願いいたします。
最後に、最初にどの山を攻めるのかというところでいつも疑問に思い、いろいろ考えて意見を申し上げたつもりです。今後は14次防の年次のまとめに、化学物質による労災の現状マトリックスを作っていただきたいと思います。労災が大企業で起きているのか、小規模の事業者なのか、リスクアセスメントをしたのか、していないのか、このマトリックスを作って、どこの領域で労災が多発しているのかをまず解析して欲しいです。それを理解したうえで、年間500件程の化学物質による災害を減らすべきではないかと思います。決して化学物質をたくさん使っている化学業界だから、そこを叩くのだということではなくて、違うところの第三次産業などで、恐らく多くの労災が起きているのだと私は思っています。そういった正しい解析をして、正しい対策をしていただきたいと思います。
今までお世話になりました。ありがとうございました。
○城内座長 尾崎委員、ありがとうございました。
続いて最川委員、お願いいたします。
○最川委員 今まで長い間、化学物質の勉強を本当にさせていただいて、この会議に参加させていただいて、私も本当の危険性、有害性というのを認識できたというのは非常に有り難かった思います。
今まで、大変失礼な発言ばかりして申し訳なかったのですが、それはユーザー代表委員が少ないので、私は全産業を背負って発言しているつもりで、実際にやるつもりで発言していますので、それで、できないことはできない、やれることをできるだけやるためには、これが要るというつもりで発言してきたつもりです。これから委員は変わりますけれども、同じ思い、建設業だけではなくて、ほかの産業も同じ課題を抱えていますので、できるだけ分かりやすい化学物質の規制を作っていただきたいというのがお願いです。
私が懸念しているのは、今まで特化則で規制された123物質以外の災害が8割起きてしまっていた現状を3,000物質規制することで網羅されたというようになっていますが、それがちょっと経つと、今まで123物質だったのが3,000物質になっただけで、その3,000物質以外の物質をまた作って、それが8割になってしまうような、同じようなことが起こらないように、危険性を製造側に正しく伝える。要は、危険な物質を使わないで、同じような危険性のあるほかの物質を使えばいいというところをなくさない限りは、このイタチごっこは変わりませんので、そこを規制する法改正に変えていただければと思います。長い間ありがとうございました。
○城内座長 最川委員、ありがとうございました。お二人には、非常にお世話になりました。我々もたくさん勉強させていただいたと思っています。
それでは、事務局から何かありますか。
○化学物質評価室長 本日の議事は以上です。本日の議事録は、後日、構成員の皆様に御確認いただいた上で公開させていただきます。次回は来年度になります。濃度基準値のほか、引き続き化学物質の危険有害性情報提供制度における成分名等の通知について、御検討いただく予定としておりますが、改めて構成員の皆様に御連絡させていただきます。
○城内座長 皆さん、貴重な御意見をたくさんありがとうございました。以上で、本日の化学物質管理に係る専門家検討会を閉会させていただきます。本日はお疲れ様でした。ありがとうございました