2024年3月18日 第4回 健康・医療・介護情報利活用検討会 医療等情報の二次利用に関するWG 議事録

日時

令和6年3月18日(木)17:00~19:00

場所

WEB開催
TKP新橋16B(16階)

出席者

構成員(五十音順、敬称略)

議題

(1)これまでのワーキンググループで頂いた主なご意見について
(2)これまでの技術作業班における議論について
(3)これまでの議論の振り返りと今後の検討の方向性について

議事

議事内容
【医政局企画官】:事務局でございます。定刻を少し過ぎてしまいましたが、ただ今より、第4回健康・医療・介護情報利活用検討会、医療等情報の二次利用に関するワーキンググループを開催いたします。皆さまにおかれましては、ご多用のところ本ワーキンググループにご出席をいただきまして、ありがとうございます。
 本日は、構成員の皆さまにおかれましては対面とオンラインの併用による開催とし、会議の公開につきましては、YouTubeのライブ配信で行うこととしております。オンラインでご参加の構成員の皆さまは、会議中は、ご発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックしていただきまして、カメラをオンにしていただきますようお願いをいたします。座長の指名を受けてから、マイクのミュートを解除しご発言をお願いいたします。ご発言終了後は、再度マイクをミュートにしていただきますようお願いいたします。
 次に、本日の委員の出欠状況について申し上げます。本日は、宍戸構成員と清水構成員からご欠席とのご連絡を頂いております。また、松田構成員からは、遅れてご参加される旨のご連絡を頂いております。
 次に、資料の確認をさせていただきます。議事次第、資料1-1、1-2、資料2-1、2-2、資料3および参考資料1~6でございます。不備などございましたら、事務局までお申し付けください。
 事務局からは以上になります。森田主査、議事進行をよろしくお願いいたします。
【森田主査】:皆さま、こんにちは。本日も少し遅い時間がスタートですが、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、早速、議事に入りたいと思います。本日の議題は3つございます。最初が「これまでのワーキンググループで頂いた主な意見について」、2番目が「これまでの技術作業班における議論について」、3番目が「これまでの議論の振り返りと今後の検討の方向性について」、この3つでございます。まず、議題1および2を一括してご議論いただきたいと思いますので、資料1-1から資料2-2につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。
【医政局企画官】:事務局でございます。それでは、まず資料1-1についてご説明させていただきます。
 これまでのワーキングで頂いた主なご意見をまとめたものでございます。青字が前回の第3回ワーキンググループで頂いたものでございます。時間の関係上、一つ一つのご意見をご紹介するのは割愛させていただきます。
 まず2ページでございます。公的データベースでの仮名化情報の利用に関する論点の(1)利用目的のところで、公益性に関するご意見を幾つか頂いております。
 それから、3ページでございますけれども、本人の関与の機会の確保への配慮についてのご意見を頂いております。
 それから、5ページでございます。医療現場・患者・国民の理解促進のところでも頂いたご意見を、再掲の形でありますが載せさせていただいております。
 次に6ページでございます。(5)仮名化情報同士の連結について、それから(6)研究者や企業等が公正かつ適切に利活用できる環境の整備について、ご意見を頂いております。
 それから、7ページからは、情報連携基盤の整備の方向性に関する論点でございます。情報連携基盤で取り扱う情報の範囲について、民間データベースに関するご意見を頂きました。
 それから、8ページ、9ページでございます。情報連携基盤のVisiting環境整備についてのところで、研究者による解析ツールの持ち込みについてのご意見を頂きました。同じくこの解析ツールに関しては、9ページのほうにも、審査体制の中でも関連しますので、再掲の形で載せさせていただいております。
 それから、10ページ、情報連携基盤のセキュリティのところでのご意見、また、その他としましてデータベースの一覧化、またはそのダッシュボード化についてのご意見を頂いたところであります。
 それから、11ページでございます。医療DXの推進に関する論点ということで、一次利用で現在構築を進めております電子カルテ情報共有サービスで集めます電子カルテ情報についての二次利用のところに関して、ご意見を頂いたところでございます。
 それから、最後、12ページで、その他のご意見として、情報の利活用についてのご意見を頂いたところであります。
 資料1-1については、以上でございます。
 続きまして、資料1-2についてご説明をさせていただきます。電子カルテ情報と各種データベースの医療等情報との連結解析のイメージということでございます。前回のワーキングにおきまして、仮名化情報同士の連結について具体的なデータベース同士の連結のイメージが湧きにくいということで、具体的なユースケースを示して議論したほうがいいというご意見がございました。それで、資料1-2をお出しさせていただいております。①から④まで、具体的な4つのユースケースをお示ししております。
 ①が、医薬品・医療機器等の有効性・安全性評価でございます。レセプトやDPCデータに含まれます処方情報と、カルテに含まれます臨床情報、特にその診断名、重症度、検査結果や死亡などの転帰と連結解析をすることによりまして、右側にあります「分析例」の所ですけれども、抗がん剤による合併症の発生率、また、医薬品の新たな効果・効能の発見に伴う適用拡大、または副作用の発見などの分析ができる可能性があるというふうに考えております。
 下の②でございます。臨床像の解明、創薬開発の推進ということで、希少疾患につきまして、左下のピンク色の所ですけれども、例えば、難病ですとかがんのデータベースに含まれております重症度ですとか病理診断の内容、または詳細な治療内容とカルテの情報、またはレセプト情報などを連結して分析することによりまして、希少疾患の臨床像の解明、またはその臨床試験の対象者の把握、または組み入れ基準の検討など、効率的な臨床試験が可能になる、そういったユースケースが期待されるのではないかというふうに考えております。
 次のページでございます。③、感染症危機への対応ということで、こちら、行政利用でございます。感染症、予防接種情報ということで、こちらは今、感染症の発生届の情報をデータベース化する取り組みを進めております。また、予防接種につきましても、同じくデータベースの構築を進めております。この中に含まれます発生届の情報、また、ワクチンの接種日や種類、または副反応などに関する情報と、カルテに含まれます臨床の症状、または検査の結果、妊娠などの有無、それから処方や転帰の情報などを連結解析することで、具体的にどういった重症化リスク、また、重症化因子があるのかということ、また、そういった因子を特定した上での医療提供体制の整備など、医療支援の配分などに役立てられるのではないかと。また、ワクチンの有効性の検証にも用いることができるのではないかというふうに考えております。
 ④は、医療、介護・障害福祉サービスの質の評価でございます。レセプト、または介護のレセプトに含まれますADL情報ですとか、介護費、または医療費、または診療行為に関する情報とカルテに関する情報を連結して解析することで、医療や介護・障害福祉のサービスの質の評価、または費用対効果の評価、また、予後予測や治療効果予測モデルの開発などのユースケースが期待できるというふうに考えております。
 資料1-2は以上でございます。
 続きまして、資料2-1でございます。こちらは、このワーキングの下に設置しました技術作業班についての議論の状況をご報告するものでございます。情報連携基盤におけるそのセキュリティの要件ですとか、医療等情報の標準化または信頼性確保についてより専門的な議論をしていただくために、このワーキングの下に技術作業班を設置をいたしました。2月に1回、3月に1回、開催をさせていただきまして、6人の構成員の先生方からお1人ずつプレゼンテーションをしていただきまして、具体的な課題、またはそれへの対応についてご提案を頂いたところでございます。
 今回は、その内容を事務局のほうで要約をいたしまして、これからご説明をさせていただきます。6人の先生方の資料につきましては、参考資料6でそのまま付けさせていただいておりますので、適宜ご参照いただければと思います。
 まず資料2-1の1ページ目、このワーキングの委員でもあられます清水先生のご提言の内容でございます。かいつまんでご説明をさせていただきますが、清水先生からは、上から3つ目の黒丸の所ですけれども、データベースの利用申請の手続きの簡素化、または審査の迅速化についても検討する必要があると。それから、その下にあります「マスターの整備」ということで、情報連携基盤で共有するグランドマスターの構築が必要であるということ。また、その中には、傷病名、医薬品、臨床検査項目だけではなくて、医療機関マスターの全国版も加えるべきであるというご意見がございました。
 特に、医療機関につきましては、移転ですとか経営母体の統廃合などによって名称が変わり得る。また、医薬品につきましても、販売会社の変更などに伴う名称変更などがあるということで、過去の情報とひも付けられた時系列でマスターを作っていく、管理をしていくということが必要とのご意見でございました。
 それから、3ページ目でございます。こちらもこのワーキングの委員であられます、山口光峰構成員からのご提言の内容でございます。山口構成員からは、MID-NETの概要についてご説明をしていただきまして、MID-NETにおけるデータの品質管理、また標準化についての取り組みについて、参考にすべきではないかというご提言を頂いたところであります。
 上から2つ目の黒丸ですけれども、MID-NETにつきましては、参加している10の協力医療機関にデータベースが設置されているということで、 公的データベースとは異なるものの、MID-NETでの構築・運用時に得られたデータ品質管理、標準化に関する知見を参考にすべきであるということでございます。
 具体的にはその下でございますけれども、MID-NETにおきましては、Real-time Data-quality Assuranceという取り組みを運用しておられます。その下に具体的な品質管理計画として信頼性確保の3要素ということで、システムの品質管理、データの品質管理、データの品質管理につきましては、定期的に元データとの一致性を確認し、ほぼ100%の一致を確認しているということでございました。③として、日常的な品質管理ということで、各プロセスの稼働状況を日々確認をしているということで、登録されるデータ件数が通常よりも著しく少ないというような時には、やはり異常検知をして確認をするという取り組みをしているということでございました。
 その下の黒丸、「データの標準化」という所ですけれども、MID-NETでは、医療機関が独自に使うローカルコードと標準コードの変換表を継続的に管理をしていると。その上で、データベース取り込み時に標準化を実施しているということでございました。
 続きまして、5ページでございます。医療データ活用基盤整備機構の岡田構成員のご提案内容でございます。岡田先生からは、特に真ん中の解析に関する課題、医薬品コード、傷病名コード、検体検査コードの標準化についてご提言を頂いております。「解析に関する課題」の所ですけれども、公的データベースと民間データベースを連結させる場合には、患者IDとなるキー情報の整備が重要であると。またはその下、死亡情報など長期のアウトカムの評価、治療成績の研究が現在のところ困難だというご指摘がございました。
 「コードの標準化」というところでは、医薬品について、「HOTコードマスター」というのが厚労省標準規格でありますけれども、十分普及していないということで、添付文書に記載されているYJコードを推奨してはどうかということでございました。
 その下の「傷病名コード」につきましては、医療等情報の一次利用の議論を踏まえつつ、ICD-10、ICD-11を推奨する方針としてはどうかということでありました。
 また、検体検査につきましては、厚労省標準のJLAC10がありますけれども、医療機関内ではほとんど使用されてないということがございました。このJLAC10の欠点を克服したコードとしてJLAC11というコードがありますけれども、まだ全ての検体検査には振られていないということでございましたので、このJLAC10とJLAC11をひも付けるような、そういう対応表を整備していくこととしてはどうかというご意見でございました。
 それから、その下の「標準化全体」の所ですけれども、こうしたデータの標準ですとかマスターの整備・管理を一元的に行う組織・団体などを設置する必要があるというご意見がございました。
 続きまして、8ページでございます。大阪公立大学の岡村構成員からの提案内容でございます。岡村構成員からは、現在政府としても進めております全ゲノム解析等実行計画についての概要、また、イギリスのGenomics Englandの取り組みなどをご紹介していただくとともに、造血幹細胞移植患者さんのデータの収集、またはデータベース構築の取り組みについて、ご紹介を頂いたところであります。
 特にその下の下の「コードの標準化、OMOPの紹介」というところを頂きまして、先ほどの岡田先生のところにもありましたけれども、検体検査のコードとしてJLACコードを使うべきであるが普及が進んでいないということで、こうしたコードの付番については、ワークフローを整備しなければならないというご指摘を頂いたところであります。
 また、その下のOMOPですけれども、これは先ほどの岡田先生のところでも同様のご指摘がありましたが、国際共同研究も見据えますと、やはりそのデータベースの構造についても標準化をしていくということが必要でありまして、国際的なコモンデータモデルを検討すべきではないかというご指摘を頂いたところであります。
 続きまして、10ページをお願いいたします。情報処理推進機構(IPA)の田辺里美構成員からは、情報連携基盤のセキュリティについてのご提案を概説的に頂いたところであります。特に表の上から3つ目の所ですけれども、クラウド環境ということで、ネットワーク上に信頼できる環境はないというゼロトラスト・セキュリティモデルの考え方が必要というご指摘。また、その2つ下の黒丸ですけれども、クラウドサービスはマネージドサービスであるため、環境の設定が変化し得ることに留意が必要というご指摘を頂きました。
 特に具体的に二次利用基盤のセキュリティ管理の点では、その下の欄ですけれども、認証方式としまして、本人の2要素認証、認可コントロールが必要というご指摘。また、通信の暗号化におきましては、IPSec VPNを用いることが想定されると。閉域網だからという過信は禁物だというご指摘を頂きました。
 また、その下の黒丸ですけれども、利用ログにつきましては、単に保存するだけではなくて、活用するということが大変重要というご指摘を頂いております。
 また、その下の黒丸ですけれども、前回のワーキングでも少しご議論がありましたが、このVisiting環境の一つであります、イギリスのTREの紹介の中で、Airlockというシステムについてのご紹介を頂きました。このAirlockでは、研究環境からエクスポートまたはインポートできるシステムについてのチェックをするということでありまして、これが二次利用基盤を今後構築していく中でも参考になるというご指摘を頂いたところであります。
 続きまして、12ページでございます。医療データベース協会の足立構成員からは、民間のデータベース事業者のお立場から、民間の取り組みについてご紹介を頂いたところでございます。上から2つ目の「データの品質特性」という欄の2つ目の黒丸ですけれども、基礎的な品質特性、アクセシビリティ、追跡可能性というのは、共同の領域であると。一方で、付加的品質特性というのは、データ需要者によって水準が異なる競争的領域であるというご指摘がありました。
 その上で、その2つ下、品質確保における官民協働と標準化の考え方についてのご提案を頂いたところであります。特に2つ目の黒丸ですけれども、学術、製薬企業など、医療データの二次利用者、またはそのデータベース事業者を交えたコンソーシアムなどで、協働領域またはその競争領域の合意形成、それから、商業的に持続可能な仕組みの創出などを官民で目指すべきだというご指摘を頂いたところでございます。
 また、一番下の、民間データベースとの連携については、データベース同士の連結解析については、その保有主体、安全管理措置を確保すべき主体ですとか措置の内容、責任分界点などを検討する必要があるというご指摘を頂いたところでございます。
 続きまして、資料2-2でございます。今概略を申し上げました6人の構成員の先生方からのご提案を受けまして、今後さらに、技術作業班では、この資料2-2にありますような論点について検討を深めていきたいというふうに考えてございます。「コードの標準化」、「マスターの整備」の所ですけれども、先ほどもありましたが、ICD-10、YJ、JLACコードなどを採用することが考えられるが、これらの普及をどのように進めていくべきか。または、その国際共同研究も見据えたコモンデータモデルの検討への対応が必要ではないかという点。
 また、「マスターの整備」という所では、過去の累積情報とひも付けたマスターの整備、または医療機関の全国版マスターの整備。また、その下、マスターの整備・管理を一元的に担う組織をどうしていくかという点。また、MID-NETの取り組みをどのように取り入れていくかという点。
 それから、1ページの下の「信頼性確保」につきましては、MID-NETや民間事業者でのそうした取り組みについてもどのように取り入れていくかということ。また、英国のデータマネジャーの仕組みについてもどのように取り入れていくか。それから、先ほど足立先生のところでもありました、データの利用者、データベース事業者、または医療機関、行政など、幅広い参加者によるコンソーシアムなどで、品質確保の基礎的部分、またはその課題などを共有する仕組みについてどう考えるかという論点。
 それから、2ページですけれども、情報連携基盤の構築、セキュリティ要件につきましては、HICを拡充する形で構築していくのか、新たな基盤を作るのか。また、セキュリティーホールになる可能性も含めてどうするかという点。また、この情報連携基盤で民間データベースをどうするか。仮に連結する場合には、患者IDをどうするかという点。また、先ほど少し触れましたが、イギリスで導入されているAirlockなどのシステムをどう構築していくかという点。
 それから、セキュリティ確保の点では、先ほども出ました認証、暗号化、それからログの活用、緊急対応といったようなことを要件を定めていくかという点などについても、今後引き続き検討をしていきたいというふうに考えております。その上で、このワーキングでは、各構成員の先生方から、今後もう少しこういう点を深めていくべきではないかという点ですとか、こういう意見があるということなど、ご指摘を賜れれば幸いでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【森田主査】:ご説明ありがとうございました。
 それでは、ただ今の説明につきまして、ご質問、コメント等ございましたら、ご発言いただきたいと思います。幾つか質問が出た後で、事務局からまとめて回答いただくようにしたいと思いますが、それでは、いかがでしょうか。山本構成員どうぞ。
【山本構成員】:ご説明ありがとうございました。特に苦情ではないんですけれども、この会議で、例えば医薬品にYJコードを使うみたいな結論を出すとは、ちょっといかがなものかと思います。医薬品には確かにYJコードとか薬価収載コードとかHOTコードとか、いろんなコードがあるんですけども、それぞれ目的があって、その用途に最適なように作られたコードなんです。
 YJコードというのは、医療機関、薬局での商品管理に最も適したコードになります。従って、医療機関や薬局ではこれを使っているところが非常に多いです。ですから、これを使うのが一番イージーなのですけども、ここで、個別薬品コードですからと言っても、全く同じお薬であっても2つの会社から出ているお薬が結構あって、それらは違うコードが付されるのです。従って、これを分析する側は、幾つのコードが1つの薬品を示しているのかというテーブルを別に持たないといけない。これが不十分なのでHOTコードが作られて、HOT9のレベルでいうと同じお薬は全て同じコードが振られている。販売元や発売元は関係なく振られるんです。これが、少なくとも医学的な分野においては、それで十分なので、それを公開に使うほうがいいという意味で、厚生労働省推奨標準になっているわけですけれども、一方で、HOT9では、医療機関では薬剤の管理ができない。つまり、どの商品がないのか分からないっていうことですので、これは医療機関での在庫管理とかに使うには不向きなんです。
 こういうふうに、さまざまな目的があって使われているコードですから、一律にこのコードを使うっていうのは、よっぽど慎重に議論すべき話だと思うんです。従って、標準コードに対しての継続的な議論が必要だというのはそのとおりなんですけれども、先ほど事務局のほうでYJコードを使うのが決まったように言われていましたが、それはちょっと拙速だというふうに思います。
 それから、各マスターの時系列の管理ですけれども、確かに支払基金等ではあまり長い期間の時系列のマスターはないんですけれども、マスターを提供しているオリジナルのところ、例えば、ICD-10対応病名マスターっていうのは、私が理事長を務めるMEDISで提供しているんですけども、これは差分ファイルを含めてかなりの長期間の時系列データがございますし、医薬品マスターもそうで、もう十数年の履歴管理がされているんです。 そういったところもよく見ていただければ、そういうことが可能であるっていうことが分かると思いますので、ご報告は非常にありがたいんですけれども、その点も含めて、この会議としての結論をまとめていくべきだというふうに思います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。関連して何かご発言ございますでしょうか。
 これは、重要な論点かと思いますので、事務局のほうで先に答えていただけますか。
【医政局企画官】:ありがとうございます。今のご指摘含めまして、このコードの問題については、引き続き技術作業班でもご議論いただきたいと思いますし、また、どのコードを標準コードにしていくかというところは、このワーキングや技術作業班だけではなくて、それ専用の議論の場がありますので、そういったところでの議論も今後必要になってくると思いますので、今、山本先生から頂いたご指摘も踏まえて、今後検討していきたいというふうに考えております。
【森田主査】:山本先生、よろしいでしょうか。
 それでは、長島構成員から手が挙がっております。どうぞ。
【長島構成員】:確認したいんですけれども、「民間事業者のデータ」とか「民間データベース」という言葉が出てきますが、次世代医療基盤法の事業者あるいはそれに基づくデータというのは、この中でどういう位置付けになってるんでしょうか。教えていただければ幸いです。
【森田主査】:ご質問ですが、関連して何かご発言ございますでしょうか。
 では、これも明確なご質問ですので、お答えいただけますか、事務局。
【医政局企画官】:ありがとうございます。特に民間データベース、明確なその定義は置いているわけではございませんけれども、今回のワーキングでご議論いただいてる中で、「厚生労働大臣が保有している医療・介護関係の公的データベース」という言葉を使っております。「それ以外の」という意味でここでは「民間データベース」というふうに言っておりますが、このワーキングでもご議論がありましたが、その中でも保有主体はさまざまございます。独立行政法人が持っているデータベースでありますとか、今、長島先生からご指摘があった次世代医療基盤法の認定事業者のデータベースというのもございますし、完全な株式会社が持っているデータベースもございます。
 ですので、そういう意味で、「厚生労働大臣が保有しているデータベース以外」という意味では、この次世代医療基盤法の認定事業者のデータベースもここで言った民間データベースの中に入れて考えておりますけれども、その中でもどういう保有主体、またデータの内容ですとか、どういう安全管理措置が講じられているとかというのはさまざまでありますので、そういった点を踏まえて議論をしていくべきだということかと思っております。そういうご意見を前回のワーキングでも頂戴したかなというふうに考えているところでございます。
【長島構成員】:よろしいでしょうか。
【森田主査】:はい。どうぞ続けてください。
【長島構成員】:一言で民間と言っても、しっかり法律に基づいた厳密なことをやってるところもあれば、必ずしもそれほど厳しい法律でもないところもあるので、それを全部同じような扱いをして民間と一緒に扱われるのはちょっと問題かなと思うので、そこのところは、今後は検討する場合はきちんと峻別(しゅんべつ)してご検討いただければと思います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。それは当然そういうことで予定されていると思います。他にご発言いかがでしょうか。高倉構成員、手を挙げてらっしゃいますか。どうぞ。
【高倉構成員】:高倉です。私、ちょっと言葉尻を挙げるようで申し訳ないのですが、「Airlock」って言葉が何回か出てきたんですけども、これ「AI-Airlock」が正しい用語で合ってますでしょうか。というのが、ちょっとセキュリティ的に「Airlock」っていうと違う意味になってしまうので、これ、英国でやろうとしてるのは「AI-Airlock」っていう話は知ってるんですが、それと同じことなのかが、すみません、事前レクの時に見逃したんですけど、ちょっと今回伺っていて引っ掛かったので。分からなければ後からでも結構ですので教えてください。以上です。
【森田主査】:では、そういうふうに。現時点ではちょっと分からないっていうことでございますね。
【医政局企画官】:事務局でございます。確認をさしていただきますので、分かりましたら、この会議の中でもご回答申し上げたいと思います。
【高倉構成員】:すみません。公式な表に出るやつなので、違ってたらちょっと正直恥ずかしいので、確認をお願いします。
【森田主査】:では、確認をしてもらいます。ありがとうございました。
 他にいかがでしょうか。井元構成員から手が挙がってるようですので、お願いいたします。
【井元構成員】:よろしいですか。資料2-2に今後検討するべき論点がまとめられていますが、2ページ目の情報連携基盤の最初の項目についてです。既にあるHICを拡充するか、新しい基盤を構築するか検討が必要ということが書かれていますが、「新たに基盤を作ることになると、管理が二重三重になりセキュリティーホールになる可能性がある」と記載されています。これは新しい基盤をどのように構築するか、もしくは、今ある基盤をどのように拡充するかに依存して決まるものです。今あるものを拡充するほうが何となくコスト的に安いような気もしますが、それは正直「気」なだけで、実際にコスト計算をしてみないと分かりませんし、運用面でどういう問題があるかも分かりません。現段階では、片方が何か駄目なんじゃないかみたいな色が付かない記載のほうがよろしいかと思います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございます。関連してご発言なければ、いかがでしょうか。
【医政局企画官】:ありがとうございます。今の井元先生のご指摘を踏まえまして、今後具体的な検討を進めさせていただきたいと思います。資料2-2の2ページで書いておりますのは、具体的な構築について、まだ議論をできているわけではありませんが、6人の構成員の先生のプレゼンの中で、こういった二重三重となりセキュリティーホールになる可能性があるというご指摘もありましたので、ここに書かせていただいたところでございますが、具体的なところは、今の井元先生のご指摘も踏まえて、今後検討をしていきたいというふうに考えております。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、続いて、落合構成員どうぞ。
【落合構成員】:ご説明どうもありがとうございます。私のほうも質問ですが、資料2-2のマスターの整備の中では、マスターの整備・管理を一元的に行う組織が必要ではないかという点がありまして、2ページについては、セキュリティ確保の考え方と方策の5ぽつ目の所に、「システムのみに頼るのではなく、規程・ルールの整備や利用者の教育・啓発を行うことも必要ではないか」という指摘があり、6点目では、罰則を設ける場合について議論がされています。
 前半で議論されていた部分とも重なるかもしれませんが、システムというか技術作業班よりは若干超えている範囲も議論されているとは思いますが、今回のこの全体の検討としては、システム面と制度面、体制面、これを総合的に整備しなければ初期の目的が達成できないということもあるところと理解しております。どちらで最終的に決めるのかは、山本先生もおっしゃられていたようにいろいろとあり、技術の側やその他の論点でもいろいろあるとは思いますが、思いつくところは、技術の視点のほうから思いつくところは言っていただいて、その上で、それも踏まえながら、またこちらのこの会議との関係で、親会になるこちらでも必要な議論をしていくということで宜しいでしょうか。こちらの親会のほうでも、技術面に及ぶようなところがあれば、それを適宜技術班にお渡ししていくという、そういう今後の進行になるということで考えてよろしいでしょうか。
【森田主査】:ありがとうございました。これ、ワーキングと作業班の関係ですが、いかがでしょう。
【医政局企画官】:事務局でございます。ありがとうございます。ワーキングとこの技術作業班との関係につきましては、今、落合構成員がおっしゃったとおりでございまして、今回、技術面につきまして、技術作業班でのご議論を紹介させていただきました。おっしゃるとおり、システムにとどまらないご指摘もあったところでございます。また、このワーキングにおきましても、当然ながら、制度面だけではなくてこういったシステム面や技術面などについてもご意見を賜りたいと思いますし、そうした頂いたご意見をさらに技術作業班ではより専門的にご議論を頂きたいというふうに思いますので、相互にキャッチボールをして議論を進めていきたいというふうに考えております。
【落合構成員】:分かりました。どうもありがとうございます。
【森田主査】:それでは、次は中島構成員、お願いいたします。
【中島構成員】:大変いろいろな視点からまとめていただいて、ありがとうございます。これだけいろいろな視点があると、もちろん優先ということはない、全部、全般的に進めていかないといけないということはよく承知しておりますけども、ただ、こういういろいろな事項の中で、今日も日々、データは蓄積しています。ですから、データの質に関すること、例えば、先ほどの標準コードなどの課題に関しては、本当に少しでも早く解決しなければなりません。データがたまってしまった後に決めても、さかのぼってもデータは使える決め事というのは、それは時間をかけてしっかりと考えたほうがいいんですけども、こういうデータの質を後で取り戻せないものに関しましては、少しでも1日でも早く決めてしまわないといけない、そういう意味での優先順位を考えていただきたいと思います。
 すみません、質問ではなくてコメントですけども、今たまってるデータが無駄にならないように、よろしくお願いします。
【森田主査】:ありがとうございました。大変貴重なご意見だと思います。
 それでは、続きまして、葛西参与、お願いいたします。
【葛西参与】:ありがとうございます。ちょっと私も意見があるんですけれども、その前に、たぶん事務局の方、ちょっと大変かなと思って。高倉先生の先ほどの質問ですけど、私のほうで答えてよろしければ、答えようと思うんですが。
 イギリスのものは、AI-Airlockではなくて、AI-Airlockはサンドボックスの話なんですが、Airlockソリューションという、データのアップロード・ダウンロードをチェックするFTPのファイルを見る、そういうセキュリティー・チェック・ソリューションが別にありまして、AI-Airlockの話とはまたちょっと別のものですという回答を、先に私のほうでしておきたいと思います。
 ちょっと私の意見は、どちらかというと、今回の1ページ目にあるデータマネジャーの話を少し、意見がございます。二次利用に関して、ちょっといろんな分野のユースケーススタディーに関して関わってきているんですけれども、思った以上に、まず医療用のレジストリであったり、それから、データベース、コホートデータベースというものがたくさん日本には存在しているんですが、その中で本当に基礎研究ではなく、やや臨床に還元できるレベル、もしくは公的な統計として認められ得るレベルのインプット情報になる、そのレベルでのデータベースというのは、私はあまりたくさんないと思って、感じています。
 その点でいうと、非常に重要なのが、まずデータマネジャーが触る前に当然バリデーションをしたり、構造のバリデーションをしたり、それからデータのパイプラインを通して整合性を取ったりってことは必須なんですが、その後にデータマネジャーがきちんとクレンジングをして、そして、場合によっては、それは費用が発生したとしても、それでも国際研究で使われるというようなレベルのデータベースっていうものを作っていかないと、これは日本国の資産としては全て中途半端になってしまうということに危惧があります。
 なので、各国の、相当量データマネジャーのリソースをはいてるのが実態で、イギリスもそうですしイスラエルもそうですし、先進的に二次利用が進んでる国は、データマネジャーの配置を戦略的に行っています。
 それとあわせて、もう一個重要なのが、データのスキーマとデータのコードと、それから表現型というのが、議論として混ざっているように感じています。コードは当然なんですけど、利用目的に合わせていろいろなコードが存在していて、当然リサーチクエスチョンごとにいろんなコードを多様に使っていくだけですので、それはデータマネジャーの能力であったり解析者の能力に依存します。
 一方、表現型となってくると、主に、やはり今、全ゲノムの事業なんかでもやっていても感じるんですけれども、臨床関係に近くなればなるほど、OMOPにマッピングしているというとこがあります。なので、ある程度、表現型としては、例えばイギリスですと、SNOMED-CTに全部合わせようっていうふうな戦略的方針を作ってるわけですけれども、日本もある程度、表現型、どういうものを使っていくのが二次利用として一番いいのかっていうことは考えなきゃいけないっていう。
 一番おろそかになってるのが、私はスキーマだと思います。データベースをストックするために、当然、二次利用というのはヒストリカルに見るのか、データを交換するのか、それとも多様な解析を行うのか、データレイク調にビッグデータとして持つのかって、要はやり方が全部違いますので、それぞれのデータベースの配置を作る時に、スキーマをどう作るかというのは、各国はかなり丁寧に戦略を取ってるんです。
 なので、今日のこの論点の中にスキーマの話が出てこないことと、あと、やはりデータのパイプラインに関しての論点が出てこないのは、ちょっともったいないと思いまして。コードの議論に比較的議論が日本の場合は移りそうになるんですけれども、そこではないんじゃないでしょうかというのが一つの意見です。
 あとは、ちょっと全体像を知ってる身としては、ちょっとHICに関しては、今のHICはかなり前世代のアーキテクチャーですので、現在の世代、やはりかなり改築をする必要がありますので、私個人の意見では、HICを拡充というよりも、やはり一から作り直すんですけど、何個も日本の中にそういうVisiting環境がある必要はないんじゃないかなという意見です。以上です。
【森田主査】:ご意見ありがとうございました。
 また、よろしいですか。まとめて少しお答えいただきたいと思いますが、それでは、山本構成員。
【山本構成員】:今の葛西参与のお話で、もうHICではなくて、やっぱりVisiting環境というのをしっかり考えてつくるべきだというお考えだと思うのですけども、そういう意味で、技術ワーキングのほうにぜひ検討をお願いしたいのが、たぶん本当に最近の流行っていうのは、プロセスとデータをきちっとコンテナレベルで分離をして分析をする。従って、プロセスレベルは結構自由に持ち込めるのだけどデータは持ち出さないっていう形で分析するのが、今はよく用いられていると思うのです。
 これってやっぱり非常に大事な話で、特にこういった、例えば人工知能を応用するみたいな話って、用意された環境でできることはほとんどないと思うので、そういう意味では、そういうプロセスレベルをコンテナに分離をしてきちっと構築できるようなVisiting環境というのを、ぜひ技術ワーキングのほうできちっとご検討いただいて、提案いただければというふうに思います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 高倉構成員、手を挙げてらっしゃいますか。どうぞ。
【高倉構成員】:高倉です。葛西さんのコメントで内容は理解したんですが、やっぱりちょっとこだわって、すみません。やっぱITセキュリティ屋からすると、AirlockっていうのはAirlock社の認証システムが真っ先に浮かんでしまうので、大変申し訳ないんですが、ここで言っているAirlockが何であるかっていうのをどこかにリファレンス入れていただかないと、たぶんIT系のコンサルの方々が全く違うものを持ってきて現場が混乱するってのが気になってます。
 すみません、他に言いたいことあるんですが、ちょっとまた別の流れがありますので、それ、また後から言います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、一応ご発言いただきましたけれども、手を挙げてらっしゃる方は。よろしいでしょうか。
【高倉構成員】:すみません。よろしいですか。追加の質問で。セキュリティに関してなんですけども、どう言えばいいんですかね。他の方でもコメントが出てたと思うんですが、やはりこの守るのはいいんですけども、これ、万が一、ごめんなさい、これ資料2-2の2ページ目の一番最後に書いてますが、目的外利用があった時に、どのようにして、要は目的外利用があったことを確認するのか。もしくは、どなたが目的外利用したのか、もしくは外へ漏らしてしまったのかがトレースできるような仕組みっていうのが、今回まだ議論に上がってきてないっていうのが気になってます。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 今のご指摘について、事務局、コメントはございますか。
【医政局企画官】:ありがとうございます。オブザーバーの葛西参与からもご指摘がありました、データスキーマ、また、データパイプラインについて、まさに論点に据えて技術作業班の中で引き続き専門的に議論をさせていただきたいというふうに思います。また、山本先生、高倉先生のご意見も踏まえまして、改めて今後の技術作業班での論点事項を整理して、議論を進めたいというふうに思います。
 あと、それから、Airlockの、すいません、注釈につきましては、高倉先生のご指摘を踏まえまして、修正を資料に入れる形で対応をしたいというふうに思います。以上です。
【森田主査】:よろしいですか。ありがとうございました。
 それでは、よろしいでしょうか。時間も押しておりますので、次の議題に入りたいと思います。
 それでは、次、議題3に入ります。これまで本ワーキンググループでの議論を踏まえて、具体的な対応の方向性について議論をしていただきたいと思っておりますので、まずは事務局から資料3のご説明をお願いいたします。
【医政局企画官】:事務局でございます。資料3について、ご説明をさせていただきます。第1回から第4回までの議論を振り返るとともに、それを受けた今後の検討の方向性、また、具体的な対応の方向性についてまとめたものでございます。
 まず1ページでございます。医療等情報の利活用に関する基本的な考え方についてということで、第2回ワーキング以降から、この下半分にありますオレンジ色の①、②、③、④の考え方を提案をさせていただいて、ご議論を頂いたところであります。
 主な内容を上の「議論の振り返り」という薄いブルーの所でまとめてございます。おおむねご賛同いただいたと思っておりますけれども、ご意見としましては、一次利用の観点も含めてDX全体の課題として検討を進めることが重要、それから、データの利活用促進、データの適正な管理とのバランスを取った上で検討を行うことが重要、また、国がガバナンス体制を構築して状況変化に対応することが重要というご意見を頂いたところでございます。
 次の2ページから4ページまでの中で、公的データベースで仮名化情報を利用する場合の法制面についての論点についての議論を簡単にまとめております。2ページの(1)利用場面・利用目的の所でございますけれども、仮名化情報はリスクが高く匿名情報は安全といった議論ではなくて、仮名化情報のリスク分析を行う、仮名化情報を必要とする理由を精査して適正な利用を促す、こういうことが重要。また、利用目的については、相当の公益性がある場合に認めているということが重要であるということでございました。それから、その公益性につきましては、医学の進歩、健康増進に結びつくものは幅広く公益性を認めるべきといった考え方もあるとご指摘がございました。その上で、医学研究、創薬、新たなテクノロジーの発展といったさまざまな状況に応じて継続的な議論が必要だというご指摘がございました。
 (2)の本人関与の機会の確保の所ですけれども、入口段階で二次利用に対する本人の理解が不十分であるので、適切な同意取得が困難であることを考えると、審査体制の中で適切に審査をしていただくことが必要だというご意見がございました。また、公的データベースについては、悉皆(しっかい)性が重視されていることも踏まえて、どうした対応をすることが適切かということを踏まえた検討が必要というご指摘を頂いたところでございます。
 それから、3ページでございます。(3)の保護措置ですけれども、今、各公的データベースでは匿名化情報の利用・提供を行っておりますが、照合の禁止、または必要がなくなった場合のデータ消去の義務、漏えいを防ぐための各種安全管理措置と、違反した場合の罰則などを定めております。仮名化情報を利用する場合にも、これに加えて、利用目的・内容の審査を行うこと、また、データの持ち出しができないようにVisiting環境での利用に制限することについて検討が必要ではないかというご指摘がございました。
 また、改正次世代医療基盤法による仮名加工医療情報の仕組み、ここで求められている安全性、これと同等のものが確保されないと、現場の不安払拭はできないのではないかというご指摘がござました。
 また、仮名化情報につきましては、元データの復元、個人特定のリスクがどの程度あるかを踏まえて保護措置を考えることが重要ということで、利用自体を認めない方向で議論するのではなくて、罰則などを含めて、目的外利用を厳格に管理する方向で議論を進めることが重要ということ。また、個人の権利利益の保護を担う監視・監督機関の役割が非常に重要というご指摘がありました。
 それから、(4)医療現場・患者・国民の理解、利活用の促進という所ですけれども、二次利用については、国民・患者・医療現場の十分な理解を得た上で進めることが前提。リスク、メリット、成果に関して、丁寧かつ分かりやすい説明を行うことが重要ということでございました。それから、国民に対しては、例えば、医療機関のサイネージで流せるコンテンツの作成、なじみのある媒体を活用した情報発信、分かりやすい文章で資料を作成して配布するなどの取り組みが重要ではないかというご指摘がありました。
 続きまして、4ページでございます。仮名化情報同士の連結につきましては、連結することでどのように役立つのか具体的なユースケースを示しながら議論することが重要。また、その公益的なメリット、個人の特定リスクとのバランスを考慮して、ガイドラインや審査体制の整備を行うことが重要ということでございました。また、公的データベースだけではなくて、それ以外の主体が保有するさまざまなデータベースを利用する場合には、その保有主体が異なり、複数の法令に基づく対応が必要となること、責任主体、どういった義務をかけるのかについても考えることが必要だというご指摘がございました。
 (6)ですけれども、研究者や企業による公正かつ適切な利活用ということで、国がガバナンス体制を構築することが重要というご指摘。それから、業界での自主的な取り組みに関して、特に商用利用については、公益性のある適切な取り扱いを担保するために、業界の指針やガイドラインを決定しておくことが重要というご指摘がございました。また、自主規制を求めるだけではなくて、業界のルールについてマルチステークホルダーで議論をして、全体として適切なガバナンスがかかる形で議論を進めていくことが重要というご指摘がございました。
 こうしたご指摘を受けまして、5ページですけれども、具体的な方向性イメージということで、黒丸で6点にわたって、整理をさせていただいております。
 まず1つ目が、公的データベースで仮名化情報を利用する・提供する場合の目的でございます。現在の匿名化情報での取り扱いを参考に、相当の公益性がある場合の利用を可能としてはどうかと。その際には、医療分野の研究開発など幅広く公益性を認めるべきということが適当ではないかと考えております。ただ、研究の目的・内容に応じて、仮名化情報を利用するその必要性とリスクについて審査を行った上で利用を認めると。また、この公益性の範囲につきましては、医学研究、またはテクノロジー発展などを踏まえて、引き続き議論を継続することが必要だと。
 その次の黒丸、本人の関与の所ですけれども、公的データベースにおきましては、個人情報保護法との規定の関係性を整理した上で、現在、その多くでは本人同意を必ずしも取得をしていないということ。または、そのデータの悉皆性が非常に重要視されているということも含めて、仮名化情報の利用または提供をする際には、改めて本人同意を取るということは前提とせずに進めていくという方向でやっていきたいというふうに考えております。ただし、その前提として、個人や医療現場の十分な理解ということが必要でありますので、この利用の目的、または成果、ユースケースを丁寧に国民に周知をするということで理解を深めていくということ。また、個人の権利利益を保護する適切な保護措置を設けることとしたいというふうに考えております。
 それから、3つ目の黒丸ですけれども、具体的な保護措置でございます。先ほども少し申し上げました、現在の公的データベースの匿名化情報で利用・提供の際に求められております各種の保護措置、安全管理措置に加えまして、国民の視点を含めたさまざまな専門家で構成された審査体制を整備するということ。仮名化情報につきましては、Visiting解析環境での利用を基本とするということとしてはどうかというふうに考えております。その上で、監視・監督を担う機関の役割が非常に重要でございますので、個人情報保護委員会との関係性などについても、適切に整理をしたいというふうに考えております。
 また、医療現場・患者・国民の理解の促進ということでは、先ほど少し触れさせていただきましたが、利活用の目的、メリット、成果について、医療機関で流せる、サイネージで流せるコンテンツの作成・提供、また、なじみのある媒体を利用した情報発信などの取り組みを行うことが重要というふうにしてはどうかと考えております。
 その次の黒丸でございます。仮名化情報同士の連結につきましては、幾つかのメリットが期待されるところでありますけれども、データの内容、相手によっては、個人特定のリスクも懸念されるということから、そうしたリスクも考慮した上で、提供内容・方法について適切に審査をするということにしたいと考えております。
 また、業界内での公正かつ適切な利用という観点では、ガイドラインの作成、または行政、または医療機関、利用者など、幅広い関係者での議論の場を構築することが重要。また、国のガバナンス体制も構築をするということが重要というふうにまとめてはどうかというふうに考えております。
 次、6ページでございます。6ページからは情報連携基盤の整備の方向性についてでございます。議論の振り返りとしまして、取り扱う情報の範囲という所でございますが、情報連携基盤で取り扱う情報につきましては、民間データベースの利点を取り入れること、または公的データベースには含まれてない画像など診療情報も含むデータベースの利活用などについても検討していくべきではないか。一方で、民間データベースの管理体制はさまざまでありますので、一定の要件を設定する必要があるのではないかというご意見がございました。
 (2)でございますけれども、仮名化情報については、Visiting環境においてのみ利用できるようにすべきというご指摘がございました。一方で、Visiting環境につきましては、その利便性がきちんと感じられるような解析環境として整備をするべきということでございました。
 その下、一元的な利用申請の受け付け、また、審査体制の在り方でございますけれども、先ほどのところでもありましたが、入口での同意だけではなかなか無理があるということで、さまざまな専門家、外部委員も含めた審査体制で利用目的などを適切に審査をするということが必要。また、解析ソフトウエアの持ち込みなどについても想定しておくべきというご意見がございました。
 審査体制の一元化につきましては、各個別のデータベースの特性も踏まえた最終確認などの枠組みが必要ではないかというご指摘がございました。その上で、丁寧に審査することは必要だけれども、なるべく時間をかけないようワンステップで行えるような形を目指すべきというご意見もございました。
 次、7ページでございます。情報セキュリティの所ですけれども、情報連携基盤の管理者側で厳格な安全管理措置を設けて管理をすることが重要ということで、利用者側のほうにはあまりに厳しくいない形で実現をする必要があるというご指摘がございました。その他、データの利活用ができるデータベースの一覧化、または統計データを可視化して見せるというようなダッシュボード機能も重要というご指摘を頂いたところでございます。
 以上の議論の振り返りを受けまして、具体的な方向性のイメージを、7ページの下から8ページでまとめさせていただいております。7ページの1つ目の黒丸ですけれども、厚生労働大臣が保有する医療・介護関係の公的データベースにリモートアクセスをして、一元的かつ安全に利活用できるVisiting環境の情報連携基盤を構築していく。公的データベース以外のさまざまなデータベースの取り扱いにつきましては、その保有主体が誰なのか、データの内容、組織・物理的・技術的・人的な安全管理措置の内容、または患者のIDなどの観点に関して、引き続き検討をするということにしたいと思っております。
 それから、仮名化情報につきましては、Visiting解析環境での利用を基本とし、基本とした上で、仮名化情報自体を受け渡し可能とするかどうかについては、その必要性や要件などを引き続き検討してはどうかというふうに考えております。
 8ページでございます。8ページは、審査体制の在り方、利用申請の受け付けの在り方について、まとめさせていただいております。①から⑤まででございますが、公的データベースの利用申請の受付窓口・審査体制は一元化をし、その手順・内容を統一することが望ましいとしてはどうかと考えております。また、審査体制につきましては、NDBや次世代医療基盤法、また諸外国の事例なども参考に、その質や中立性を十分に担保されるものとすると。また、審査に当たっては、各公的データベースの特性も十分に反映できるような仕組みとするということ。
 それから、③ですけれども、倫理審査委員会との関係であります。医学系倫理指針で求められている要件を満たすものとするというふうにした上で、倫理的・科学的観点から利益相反も含めて審査をするということにした上で、各研究機関での倫理審査については必ずしも求めないということにしてはどうかというふうに考えております。
 また、④ですけれども、解析ソフトウエア、また、利活用者の成果物についても、必要に応じてそのリスクなどを審査をするということ。
 それから、⑤ですけれども、仮名化情報の利活用に関する審査基準、ガイドラインなどを策定をする。その内容については、医療関係団体などの関係者、また、利活用者の意見も踏まえて検討をしていきたいというふうに考えております。
 それから、情報セキュリティにつきましては、先ほど出たご意見の中でもありましたけれども、管理者側において厳格な安全管理措置を設け、利用者側に対しては利便性も考慮した上で必要十分な措置を設けるということで、利活用者の認証、ログの保存・監視・活用、また、情報暗号化などについて、引き続き検討をしていきたいというふうに考えております。
 それから、データベースの一覧化、またはダッシュボード機能などを設けることを含めまして、具体的な仕様については引き続き検討したいというふうに考えております。
 それから9ページでございます。こちらは、電子カルテ情報の二次利用についての論点でございます。この医療分野の研究開発の中では、電子カルテ情報の二次利用が非常に重要だというご指摘がございました。ただし、一次利用の段階から二次利用においても有用なデータになるように情報の質を担保していくということが重要だというご指摘。また、電子カルテ情報の二次利用については、丁寧に議論が必要だというご指摘がございました。
 それを受けまして、9ページの下、具体的な対応のイメージでございますけれども、電子カルテ情報につきましては、重要な基礎情報、またはアウトカム情報が含んでおりますので、これを分析することで、医学系研究の発展に寄与するというふうに考えられると思っております。ですので、電子カルテ情報共有サービスで共有されるカルテ情報につきましては、二次利用を可能とする方向で検討してはどうかというふうに考えております。その上で、利用目的に応じて他のデータベースとの連結解析についても可能とする方向で検討を進めてはどうかというふうに考えております。
 具体的な制度設計については、引き続き関係者のご意見を踏まえて検討していきたいというふうに考えております。
 最後、10ページでございます。その他としまして、本日のご意見の中でもご指摘ありましたけれども、データの標準化ですとかマスターの整備、またはその信頼性確保の論点でございます。二次利用と一次利用は切り離せないということで、一体的に考えていく必要があるというご意見がございました。また、マスターの整備が重要、標準コードの普及を行っていく必要があるというご意見。また、死亡情報まで含めたライフコースデータが大事だ。こうしたデータの利用ができる環境整備を目指すべきというご意見などがございました。
 それを受けまして、下の「具体的な対応イメージ」の所ですけれども、データの標準化・信頼性確保の取り組みを進めることが不可欠だという方向性。それから、マスターの整備を行うということで、一次利用の段階から二次利用においても有用となるような標準化を進めるという方向性を出してはどうかというふうに考えております。
 また、マスターの整備など、標準化の取り組みを一元的に進める組織体制の構築についても検討を進めるという方向性を出してはどうかというふうに考えております。また、データのクレンジングも重要であり、MID-NETの取り組みを踏まえて、具体的な方法については引き続き検討するということにしてはどうかというふうに考えております。
 すみません、長くなって恐縮ですが、資料3の説明は以上でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、ただ今のご説明につきまして、ご意見、コメント等をお願いしたいと思いますが。最初に山本構成員、山口構成員、そして、その順番でご発言をお願いしたいと思います。山本先生、どうぞ。
【山本構成員】:ありがとうございます。今ご説明いただいた資料の8ページ目の④なんですけれども、私、この会議で発言してなかったような気もするので、ちょっと追加をしておきたいです。
 NDBをはじめとして、厚労省が管理する公的データベースの利活用の立ち上げ時、それから提供も含めて、かなりの関与をさせていただいているんですけれども、その時に、私が個人的に最も重視しているのが、この成果物の審査なんです。この、提供先っていうのは、今、制度整備が進んで、ここでも議論されているように制度で整備されるわけですから、提供された利用者に関しては、ある程度の制度的な規制ができるんですけれども、公表されたものっていうのは、全くアウト・オブ・コントロールになってしまって、世の中にどんどん広がっていって、どう利用されるか分からないです。
 従って、この成果として表に出すデータをしっかりと審査をすることによって、実際に国民の権利侵害を防ぐことができる。これをしっかりできていれば、実際に活用するのは制度的にある程度制御できるので、ある程度制限を緩めて利用していただくことができるということが、たぶんいえると思うんです。
 従って、この持ち込みソフトとか並列に書いてありますけども、成果物・公表物についての審査は非常に重要だというふうに考えておりますので、よろしくお願いをいたします。以上です。
【森田主査】:貴重なご意見、ありがとうございました。
 それでは、山口構成員、どうぞ。
【山口(育)構成員】:ありがとうございます。国民の理解のところなんですけれども。すみません、失礼しました。さっきから何度も落ちておりまして。今、聞こえますでしょうか。
【森田主査】:はい。今はよく聞こえます。
【山口(育)構成員】:国民の理解というこの問題、どうすれば国民の理解につながるのかと考えながら、ずっと会議に出てきました。確かにポスターやサイネージなど、あらゆる方向で国民に理解を求めていくことが大事だと思っているんですけれども、情報のリテラシー自体にとても格差があります。年代によっても、インターネットになじみが薄い年代と、今の子どもたちであれば、もう生まれてから情報に囲まれているっていうような世代までいろいろとあって、どれだけ周知しても限界があると思っているところです。
 その中で、特に子どもさんです。もうモバイルにしたって当たり前に身近で使っている世代の人たちに、情報についての基本的なことを理解してもらうことがとても大事ではないかと思っていまして。この世界はあまりにも変化のスピードが速いので常にアップデートして教育することは難しいと思うんですけれども、例えば、「匿名化」「仮名化」「二次利用」といった基本的な用語などを、これは省庁を超えて取り組んでいただきたいという思いで申し上げているんですけれども、ぜひ教育の中で取り組んでいかなければいけないことではないかと考えていました。
 今日お答えいただくことは無理だと思うんですけれども、今現在、小中高のどの段階で、情報についてどんな教育が行われているのか分かれば、また次回以降で結構ですので調べていただけたらと思います。それをお聞きした上で、何か提案ができればと思っております。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、続きまして、葛西参与、そして、高倉構成員、落合構成員、長島構成員の順でお願いいたします。
【葛西参与】:ありがとうございます。私は主にちょっと2点ありまして、今日の資料でいうと、5ページ目とかです。5ページ目の所で、上から2つ目です。
 本人同意を改めて取ることを前提とせず、仮名化情報の提供を行うという話であるとか、一番最後のページぐらいに、EUのEHDS法案は参考になるが文化的な状況を考えてよく考えましょうみたいなことが書いてあるんですけど。ちょっと誤解がないように整理をする必要があると思っているのが、本人同意を改めて取ることを前提としないで使うとしても、実はEHDSもそうなんですけれども、規制をただ弱めてるわけではなくて、より本人同意を取る。取ったら、あと、例えばIRBを通して各研究班で個別のガイドラインに基づいてどのように管理してるか分からないという状態で管理しますという、そういう学術例外的なものの部分最適をやめて、ちゃんと均質的に、例えば自分のデータを使ってほしくないという方がいたら消す必要があったりというような、それはトレーサビリティーが必要だと先ほど高倉先生もご意見言われてましたけども、そういった情報保護の在り方を医療に特化してきちんと整備をしていきましょうという意味なので、ただ何か規制を緩和してるように誤解されるとまずいと思ってます。むしろ丁寧に情報を管理するための要件を整理しましょうと言ってるので、そこのメッセージは的確に言わないとまずいというふうに思います。
 それから、もう一つ、ガバナンスに関してなんですけれども、元々今回厄介なのは、公的データベースがどこの所にも、各所に「厚生労働大臣が保有する公的データベースの」っていうふうに書いてあるんですが、私が知る限り、結構な量、厚生労働省、データベースを持っていて、感染症でもそうですし、例えば、医療機関データベースも二次利用、本当はできるといいなと。3文書・6情報もありますし、NDBもありますし、それ以外にも大量にあって、各法に基づいていろいろなデータベースを、各部門担当者が、ある種必要だということに基づいて、いろいろな委員会で基づいて、あまり戦略なくデータベースを乱立してしまってるというのを感じています。
 なので、本来は、二次利用に対して、公的データベースがあっても各国はちゃんと質を高めたデータベース、質を高めるために非常にデータマネジャーの方が尽力いただいて、必死に作って付加価値を付けてきたデータベースをきちんと成長させるという戦略があります。
 なので、何か公的データベースを第三者に提供して売り上げが上がるというのは良くないことみたいなことばっかり考えがちなんですけど、そうではなくて、データマネジャーの人たちが丁寧に作っていったデータベース、むしろそうやって丁寧に作られてないデータベースは逆に統廃合してもいいと私は思っていて、そういうデータベースの評価です。それから、今むしろコストがすごく少なくて、技術も脆弱(ぜいじゃく)なまんま、何とか必死にデータマネジャーの方が守られてるデータベースっていうのもありまして、そこにはきちんと資金提供しなきゃいけないという、そういう選択と集中のような戦略を持つ、そういうガバナンス体制を持たなきゃいけないということが書かれていないと。
 あえて言うと、5ページ目にガイドラインを作ってガバナンスを構築するとなってるんですが、ガバナンスというのは、やっぱり価値を創造するということも含めてガバナンスを作らなきゃいけないので、そういった二次利用を促進するための価値創造のそういう施策に関するパッケージを厚労省がきちんと整備をするということが、まず法令を作ることの第一歩になるんではないかなというふうに感じます。以上です。
【森田主査】:ありがとうございます。それでは、続きまして、高倉構成員、お願いいたします。
【高倉構成員】:高倉です。私のほうは、7ページ目になるのかな。Visiting環境の件で、ちょっとセキュリティからはずれるのですが。ごめんなさい、7じゃない。Visiting環境の説明がどっか載ってたと思うんです。ごめんなさい。その辺りです。
 これ、Visiting環境で研究する、分析するのは結構なんですが、例えば、プログラムを持ち込んで解析をして結果を持って帰るっていう、こういう一連の作業をされた時に、どんなプログラムを持ち込まれて、先ほどやった説明でプログラムの審査をすべきだと確かご説明もあったと思うんですけども、その時にどのようなプログラムが持ち込まれて、どのような処理がされて、どのような結果が出てきたのかっていう。これもトレーサビリティーですけども、ちょっとトレーサビリティーとは普段言わなくて、われわれ「来歴(プロビナンス)」って言いますけども、どのようにデータを作っていったかっていうのがトレース、要は追跡できるようになってないと、これはすみません、学術側のわがままで申し訳ないんですが、最近オープンサイエンスの流れからすると、そういう再現性がない研究のやり方にはもう予算を付けないって、例えばEUも、あと米国NSFも言ってますし、内閣府のほうもその方向に動いてますので。
 要は、持ち込まれたプログラムが特定できる、それから、どのような結果が出ていったかっていうのが特定できるような仕組みが必要になるというのを、これ、このVisiting環境のところを伺っていてちょっと気になりましたっていうのが一点。
 それから、もう一点なんですけども、このVisiting環境で仮名データは持ち出し禁止というのは分かるんですが、じゃあ、その分析した結果は当然持ち出さなきゃ意味がないので、持ち出せると思うんです。その結果を持ち出して、その結果がほんとに人が特定できないのか、個人が特定できないのかっていうと、それは分からないってのが正直なとこだと思います。そうすると、その仮名データから分析した結果を持って帰って、持ち出したデータに対して、やっぱりトレーサビリティーがないと非常にまずいことが起きるというのが気になりました。
 2点です。以上です。
【森田主査】:重要なご指摘だと思いました。ありがとうございました。
 それでは、続きまして、落合構成員、どうぞ。
【落合構成員】:どうもありがとうございます。私も何点か申し上げていきたいと思います。1つが、5ページのぽつの2つ目の所でして、先ほど葛西参与のほうからも少し議論があって、またこの点について述べたいと思います。「本人同意を改めて取ることを前提とせず」という部分ですが、これはたぶん公的DBを前提にしていて、法令に基づく場合ということで同意取得を行っていなかったのか、それとも別の根拠でこれまでそう整理されていたのかと、今後、特に公的DB等に関係するところでは、全般的な法改正ではなくて個別DBに関する部分を改正することによって同様のこともできるのか、という話もあろうかと思います。ここの根拠が法令に基づくということなのかどうかは、確認して明確にしておいていただくことは重要ではないかと思いました。これがまず1点目です。
 2番目の関係では、先ほどおっしゃられていた、全体として同意がなくなるということで保護が弱まる形になると誤解をされることは、非常に良くないと思っております。そういう意味ではオプトアウトについてもご指摘がありましたが、その前の資料2-2の所でも、高倉構成員もおっしゃられていたように思いますが、技術的なログ確保だったり目的外利用をどう見つけられるようにしていくかなどの対策も重要です。これは認証であったり、事前・事後の審査であったり、場合によっては抜き打ちの監査であったりによって、監督機関の整備もあろうかと思いますが、こういう対策も含めて適切に行っていって、同意という形式的な手続きは整理をしていく、という形にしていっていただくことが重要ではないかと思っております。
 3番の点についてですが、審査体制については、やはり手続きが合理化されることが必要かと思いますし、重ねてにはなります。Visiting環境は、葛西参与や山本先生からもご指摘があったと思いますが、現代的な環境になっていくことが必要であろうかと思います。先ほど高倉先生からもご指摘があった論文の場合もあろうかと思いますし、場合によっては、厚労省、PMDA等への提出の場合には、生のデータに近いようなデータの提出も必要な場合もあるかもしれませんので、そういった点も検討していくことが必要かと思います。当局提出の場合は、またさらに考えなければならないのではとも思います。
 また、5ページの仮名化情報の連結の点についてですが、ここは基本的に書かれてること自体はそうかと思います。また、これは将来的にさらにということではあろうかと思いますが、プライバシー強化技術に関する部分も、評価していく可能性も、ここは記載していただくことも重要ではないかと思います。
 その次の7ページの1つ目の、リモートアクセスをでき、一元的に利用・解析できるVisiting環境を整備するということは、非常に重要ではないかと思います。Visiting環境側を1つにまとめることがいいのではというご議論も本日あったとは思いますが、1つにするかどうかはあろうかと思いますが、投資が重複しないようにしつつも、なるべくいろいろ疎結合になるような形で連携できるほうがより良いだろうということは、思想としてはあるのかと思います。
 一方で、1つに絞られてしまうと、必ずしも、こういうVisiting環境間の競争が働かないことによって、あまり新しい環境が整備されないとなることも困ると思いますので、そういう意味では、1つに絞っていくような場合には改善のためのインセンティブ整備も重要ではないかと思います。
 最後に大きい点が2つございまして、マネジャーに関する議論もございましたが、資料の2-2のほうで組織に関する点もありました。運用のほうもそうですし、監督についてもそうですが、組織的なというか人的・組織的な体制の整備は、非常に重要ではないかと思っております。
 もう一点、この公的DBの関係についてはかなり整備されてきているとは思いますが、一方で、規制改革推進会議で議論していた際の意見書の関係を思い出していきますと、必ずしも公的DBだけではなかったようにも思っております。今回の公的DB以外にも有用なDBなどもいろいろあるかと思いますし、必ずしも公的DBだけに、二次利用というところが今回のスコープの範囲だけに絞られているわけではないようにも思われます。もちろん公的DBを進めていくこと自体は非常に重要だろうと思いますが、そうでないDBについても、仮名化であったりですとか、そういったところの対応をどう考えていくかは、今後の検討課題として重要ではないかと思っております。
 以上でございます。
【森田主査】:たくさんありがとうございました。
 それでは、次、長島構成員ですか、お願いいたします。
【長島構成員】:まず5ページの2つ目の「本人同意を取ることを前提にせず」という所は、先ほどの葛西参与と同じ意見です。まずその大前提が、個人の権利・利益を保護する措置をよりしっかりとすること。例えば、事前・事後の利用停止の請求に対して対応するような仕組みというのも当然前提となるということで、ここは葛西参与と同じ考えであります。
 それから、10ページの下のほう、2つ目の丸で、「一次利用の段階から二次利用においても有用となる医療等情報の標準化を進める」とありますが、これはよりもっと正確に言うと、一次利用自体に役立つ医療等情報の標準化を進め、二次利用における有用性につなげるということかと思っています。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、続きまして、中島構成員、お願いいたします。
【中島構成員】:よろしくお願いします。これまでは、この公的データベースに関してさまざまな議論があり、それに対する解決を探るということで大変素晴らしいと思います。その一方で、この時間では、今後の方向性ということで発言しますと、必ずしも公的なデータベースだけではなく、先ほど落合構成員が言われたように、例えば同意などについても考えていかないといけないと感じます。今開いているページ、10ページの一番上です。
 この「二次利用の仕組みづくりは、一次利用の仕組みとは切り離せない。現場に目配せしつつ」ということをさらりと書いているんですが、ここって実は、私は非常に重要だと思っています。つまり、二次利用のこれからの大きな命題の一つに個別化医療というのが必ず出てくるわけです。そうすると、さまざまなデータがたまり、それをビッグデータで解析して、それを知識としてその個人に個別に渡すというのが、個別化医療の形の一つです。あるサービスを使う、あるいはあるスマホアプリをどんどん使い続ければ使い続けるほど、個人にとって、ぴったりと合ってくる、そういう個別化医療を考えないといけないわけです。
 そうすると、これまでの議論にあったのは、匿名加工化と仮名化とその同意が中心ですが、今、この医療以外のさまざまなスマホアプリを使っているような情報取扱事業者の多くは、もう顕名データでサービスをする。これは、なぜそれができてるのかというと、利用者にとってそのリスクに比べても、もっと大きな、例えばマイルとかポイントとかクーポンとかさまざまなインセンティブがあるわけです。医療の現場でも、そのポイントが悪いわけではなく、さらにはむしろ新しい、例えば個別の医療情報に対する副作用の情報だとか、あるいは新しい新薬情報だとか、真剣に患者さんが向き合っている疾患に対する素晴らしい情報を、その患者さん自身がとても必要とする、欲しいと思うような情報を個別にフィードバックする、例えば、あなたのこの体質の場合には、この薬は使わないほうがいいというようなことを、インセンティブとして与えることもできるんです。
 つまり、これまでの匿名化のデータ利用というのは、主にはあなたの次の同じ病気になった人のためにデータを使わしてくださいという、データをボランティアで使うという世界だったんですけども、これからは「あなたのために使う」ということも含めて考えると、また同意の取り方も変わってくると思うんです。
 そういう意味では、がんなどでの個別化医療が今盛んにいわれていますけども、がんの場合には、なかなかそういうふうにずっと使い続けるということが少ない世界かもしれないんですけど、糖尿病だとかそういう経過の長い疾患になると、そういうサイクルを回して個別化をするという時に、顕名あるいは仮名化からすぐに戻せるというようなやり方で、しかも同意の取り方も十分にこれからの社会を考えた上での同意の取り方というのを考えていくということを、ぜひ検討していただければと思います。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 何人かの方から重なるところもございましたが、ご質問、ご意見出ましたけれども、このあたりで、事務局、ちょっと整理をして回答を頂けますか。
【医政局企画官】:ありがとうございました。何人かの先生方からご意見を頂いた点を踏まえて、またこの具体的な対応の方向性については改めてお示しをさしていただきたいと思っております。
 幾つかご指摘がありました本人同意のところにつきましては、まさにオブザーバーの葛西参与、それから落合先生、長島先生、中島先生からもご指摘いただいたとおりだと思っておりまして。まず、基本的に今は公的データベースについてはそれぞれ各法律に根拠がございまして、まさに法令に基づく場合としてデータの収集をしているところでございます。なので、そういった整理も踏まえまして、個人情報保護法との関係については適切に整理をしていきたいというふうに考えております。
 ただ、その整理を行った場合でも、全体として、個人の権利利益の保護がきちんと図られるような仕組みとするということが最も重要だというふうに考えておりますので、監視・監督の体制だとか利用目的の審査、または山本先生からご指摘のあった成果物の公表前の審査なども含めて、きちんとした保護が図られるような仕組みをトータルとして整備をするということだと思いますので、そういった方向性をもっと明確になるような記載にさせていただきたいというふうに思っております。
 また、その他、頂いたご意見につきましても、もう一度整理をさせていただきまして、この具体的な対応の方向性の中に反映をさせていただきたいというふうに考えております。以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 あと、手を挙げてらっしゃる方が4名いらっしゃいまして、先に会場から、山口構成員、お願いします。
【山口(光)構成員】:山口です。ありがとうございます。
 幾つかあります。5ページをお願いします。5ページの「相当の公益性がある場合」については、第1回の検討会でも意見させていただきましたが、薬事利用が含まれるのかを明らかにしていただきたいと思っています。「医療分野の研究開発」が含まれていることは承知していますが、この中には薬事利用が含まれていないといわれることが多いので、明確にしていただきたいと思います。
 2点目、個人情報の保護につきましては、重要だと思います。資料には同意を取得することを前提にしないことが書いてありますが、そのためには国民の理解を深めていくことが重要だと思います。一方、重要な薬剤の開発、特に希少難病の疾患の薬剤の開発についても、公益性があると思いますので、どのように法令除外として取り扱うのか等を整理いただければと思います。
 5ページの3個目にVisiting環境の利用を前提とするということで書いてあります。また、7ページには、Visiting環境の利用を前提に、利用者の利便性も考慮すると書いてあります。ありがとうございます。利用者の利便性向上につきましては、私、ずっとコメントしておりますが、改善されなければ利用されないと思います。一方、利便性を考慮していただくことも大切ではありますが、システムでいろんな要件を制限するのは無理がありコストも高騰してしまうため、ルールとか罰則規定を設けることを前提に考えたほうがよいと思います。ルールとして求めること、システムに委ねるところを明確にしていただきたく思います。ルールにつきましては、利活用者側のルールのことを言及しておりますので、よろしくお願いします。
 あと、HIC基盤の技術については、すごく進んでいるのかなと思っていたのですが、葛西参与等から既に技術が進み、遅れ始めているという意見がありました。おそらく、当時は、最前線の技術であったと思いますが、技術は日進月歩進んでいるのでそのあたりを考慮したほうがよいと思いました。例えば、HIC基盤だけでなく、次世代利用基盤の事業者等において導入されるVisiting環境やMID-NETが導入しているVisiting環境を比較し、最近のトレンドを把握し、現時点の最善の答えを出すのがいいのかなと思いました。
 あと、持ち出しのルールについては、山本構成員からご意見ありましたが、厳密にやったほうがいいとは思います。一方、法的に利用する場合等については、緊急性を要することが多いので、全ての利用に同じルールを適用するのではなく、法的で利用する場合の持ち出しのルールはどうするかとかをご考慮いただければと思いました。
 次に、9ページです。医療DXの推進に関する論点についてです。電子カルテ共有サービスに共有される臨床情報については、二次利用を可能にする方向で検討することを記載いただきました。これにより医療情報の二次利用が非常に前進するかなと思います。この医療情報共有サービスで集約されたデータベースについても、公的DBという位置付けになるのかと思いますが、その部分が分かりづらいと思いました。難病DB等の他のDBは既に運用されているため、公的DBと位置づけられている感じがしますが、電子カルテ情報共有サービスのDBについては、まだ情報が蓄積されてないため、わかりづらいため、公的DBに該当することを明確にしていただいたほうがいいのかなと思いました。
 既に何人かの構成員からあがりましたが、電子カルテ情報共有サービについては、データを蓄積してからいろいろチャレンジすることになると思います。ただし、データを蓄積してから考えるのではなく、蓄積する前に前に、データ品質とか標準化を考慮し、二次利用できるよう考え、そしてチェックしながらやって蓄積いただいたほうがいいのかなと思いました。
 6つ目です。公表基準につきましては、山本構成員からご意見があがりましたが、公表されることは非常に大事ではありますが、審査についても重要だと思います。一方で、先ほど言いましたけども、法的に利用する場合については、安全対策の利用とか添付文書に改定するとか非常に急いでいる場合もありますので、通常の研究等における審査基準は異なる形で明確に頂けたほうがいいと思いました。
 最後です。次世代医療基盤法のDBを薬事利用できるようにすることにつきましては、工夫が必要でした。規制当局がどこまでアクセスできるかを整理する必要があると思いますので、公的DBを薬事利用することを検討するのであれば、同様に整理する必要があるのではないかと思いました。以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、お待たせいたしましたが、日置構成員、どうぞ。
【日置構成員】:ありがとうございます。1つ目は、論点①の具体的な方向性イメージ、スライド5ページの所なんですが、1つ目の黒丸の所、そもそも今回一次的に対象となっているのは公的データベースですので、法令に基づいて各法を根拠に集められてきていると。その中で、じゃあ、同意を取り直すとかいう話がどの段階で、何に対して発生するのかっていうところも、一回、目線合わせをしたほうがいいのかなと思っています。
 というのも、個人情報保護法上の法令上の要求としての同意であるとか、行政機関なので必ずしも同意なくデータ提供というのはできるところはあるんですが、そういったところのお話として尽きるのかというのと、もしこれが相当の公益性というところを前提とするので、治験、研究というお話になった時には、研究に参加する・しないというところの本人の意思を確認するという意味の同意というのもあるのかなと思われました。
 3点目は、先ほど申し上げたとおり、一次利用のところは、公的データベースで法令に基づいて収集されるので、そこについてデータが抜けるということは考えがたいのかなというのもありますので、ここでいうとこの本人同意、何を意味しているのかというのは、まず目線を合わせたほうが良いのかなと思っております。
 その上で、どういう本人関与も含めて仕組みを作るか。今3つぐらい、「本人同意」といわれた時に考えられるものがあるかなというので挙げたんですけども、それを踏まえて、それに代えて全体につきご本人関与させる形というのは、例えば公益性という形で目的・ニーズというのを絞っていけば、おのずとそれに合わせた形で本人関与の形、定まるでしょうし、そこにプラスアルファ、じゃあ、公益性とか目的のところ、加工の程度であるとか、審査の方法であるとか、そういった全体として、先ほど企画官がおっしゃっていただいた、全体で制度設計していくんですという形でおっしゃられていたので、そこの時には今申し上げた目線入れていただいたほうが良いかなと思いました。
 その時に、個人情報保護法の3年ごと見直しでも、各所から同意に全て係らしめるようなやり方ってのはいかがなものかというので意見も出てきているところですので、そちらのほうも横に見ながら検討を進めていただくのが良いかなと思っております。
 2点目でございます。具体的な方向性イメージ、論点②のほうの8ページ、お示しいただきたいんですが。ここで、審査体制について柔軟な形で負荷がかからないようご検討いただきまして、ありがとうございました。他方で、やっぱり研究者の皆さん、研究機関に所属されているということかと思いますので、そちらのガバナンスっていうものが利かない形になるっていうのはあまり望まれないのかもしれないと一般的には思うところでございますので、どういった形で研究者の皆さんが参加していただいて、審査を受けて、それがちゃんと研究機関側も把握できるのかっていうところの仕組みづくりもご意見いただききながら進めたほうが良いのではないかなと思いました。
 以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、続きまして、石井構成員、お願いいたします。
【石井構成員】:ありがとうございます。先生方からたくさんご意見が挙がっているところとかぶってしまいますので、私からは、ガバナンスのところで若干コメントさせていただこうと思います。4ページです。
 先生方からガバナンスについてのご意見がちょうど出ているところですが、ここでガバナンスがどういう意味なのかということについて、必ずしもコンセンサスが取れているわけではないような気がしております。プライバシーやデータ保護の文脈でガバナンスと言っているのか、そうでないのかといったところで、先生方の使われる「ガバナンス」という用語の意味合いが若干違うのではないかという印象を抱きました。
 もちろん多岐にわたるデータベースを統廃合して、そのデータベースを効率的に成長させていくことは、効果的なデータ保護やプライバシーのガバナンスを行っていく観点でも非常に関連することになります。その時に、個人情報保護、データ保護やプライバシーのそのためのガバナンスやマネジメントといった時に、どういう世界を目指していくのか。こういう観点から何が必要か、といったことを、もう少し深掘りないし具体的に考えていく必要があるのかなという、そういう印象を抱いたところでした。
 概念整理の必要性と、データ保護が望ましい形を目指していく上で、どういうプロセスでガバナンス、体制を構築していくのか。このあたりの一歩進んだ説明が必要になってくるような印象です。
 その時に、特に大きな企業だと思いますけど、プライバシー、データ保護のマネジメントやガバナンスに非常に一生懸命取り組んでおられる先例がある中で、今回のこの検討会で進めようとしている取り組みで、何か参考にできる先例はあるのか、あるいは新しい考慮事項が出てくるのかというのは、私もその辺りは分からないので、何かその先例で参考にできるものがあるのかも少しお調べいただいて、もし得られたことがあればご教示いただければと思いました。
 以上になります。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、井元構成員、お願いいたします。
【井元構成員】:井元でございます。私からは、先ほど中島先生がおっしゃられた同意の今後の在り方、あるべき姿に関して、全くその通りだと思いました。
 6年、7年前くらいだったでしょうか、日本にはさまざまな地域コホートがありますが、それらを連携させるプロジェクトがございました。そのプロジェクトを総括する責任者の方がおっしゃられました。日本には、三百数十万人の方々がどこかのコホートに入っていらっしゃる。しかしながら、ご自分がどこのコホートに入ってるかご存じないんです、と。やっぱりそういう状況は好ましくないと思います。
 参加者の方々がデータを提供したいと思えるような仕組みづくりがなければ、データベースの発展もないのは当たり前です。例えば、健康・医療に関する情報を得ることができるメリット、広い意味での報酬だと思いますけれども、そういうことを参加者の方が享受できて、データを提供するメリットを感じられて、喜んでご自分の情報を公的なデータベースに登録するという文化を育まないといけないのだろうと思っています。
 以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、時間もだいぶ押してまいりましたが、他にご発言ございませんでしょうか。本日は大変貴重な意見をたくさんご発言いただいたと思いますので…失礼。松田先生、どうぞ。
【松田構成員】:ありがとうございます。公的データベースの活用は進めなければいけないと思います。しかし、いくつか論点があります。例えば、フランスは、がん登録のデータ活用等をやってるんですけども、その際にそれをやっているということを国民に公にしていて、そこから抜けたい国民に対してはオプトアウトできる仕組みを作っています。
 日本も、先ほど井元委員や中島委員が言われたように、自分がどこのコホートに入ってるか分からない状態でデータベース化が進んでいくというのは、考えてみると非常に危ない状態だと思います。やはり自分のデータを使わせない権利というのもつくらないといけないだろうと思います。仕組みづくりとしては、少し複雑になりますが、例えば、公にこういうものをやります、と宣言したうえで、そこから抜けたい人はどうぞ申請してくださいというような形で、オプトアウトの仕組みをきちんと準備していくことが、逆にいえば、国民が安心してデータを出してくれることになると思います。この議論もぜひお願いしたいと思います。
 以上です。
【森田主査】:ありがとうございました。大変重要な論点かと思います。それでは、もうよろしいでしょうか。
 それでは、ただ今、構成員の方から大変貴重な意見たくさん頂いたと思いますけれども、そのご意見を踏まえまして、次回の会議では、このワーキンググループとしまして、これまでの議論を整理して、まとめて提出したいと思っております。
 ということで、本日の議題は以上で終了いたしますが、最後に、その他、または全体を通して、ぜひ言っておきたいというご意見ございましたら、どうぞこの機会にご発言ください。よろしいですね。
 それでは、議事を事務局にお返しいたします。
【医政局企画官】:事務局でございます。大変活発なご議論を頂きまして、ありがとうございました。次回の開催につきましては、また事務局からご案内をさせていただきます。引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
 また、本日の議事録につきましては、作成し次第、ご発言者の皆さま方にご確認を頂きまして、その後、公開させていただきます。よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上でございます。
【森田主査】:ありがとうございました。
 それでは、本日は予定より10分ほど早いのですが、もうだいぶ時間も遅くなっておりますので、このあたりで閉会とさしていただきたいと思います。どうも活発なご意見、ご発言、ありがとうございました。それでは、これで終了いたします。
 一同:ありがとうございました。
―― 了 ――