2024年3月8日 第20回新型インフルエンザ対策に関する小委員会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策課パンデミック対策推進室

日時

令和6年3月8日(金)10:00~12:00

場所

Web開催
事務局:新橋ビジネスフォーラム

議題

新型インフルエンザ等対策政府行動計画の改定に向けた議論

議事

議事内容
○竹下パンデミック対策推進室長 ただいまから「厚生科学審議会感染症部会第20回新型インフルエンザ対策に関する小委員会」を開催します。
 構成員の皆様方におかれましては、御多忙にもかかわらず、御出席いただき誠にありがとうございます。
 私、本日の議事進行を務めさせていただきます、健康・生活衛生局感染症対策部感染症対策課パンデミック対策推進室の竹下と申します。よろしくお願いいたします。
 傍聴の方におかれましては「傍聴に関しての留意事項」の遵守をお願いいたします。
 なお、会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意をください。
 なお、カメラ撮りは議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。
 本日は、ウェブ会議での開催となりますので、御発言の際は、挙手機能を用いて挙手いただくか、チャットに発言される旨のコメントを記載いただき、座長の指名の後に御発言ください。
 なお、ウェブ会議ですのでタイムラグが生じるかと存じますが、御了承をお願いします。
 会議の途中で、長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について、御報告いたします。
 御出席の委員につきましては、通信の確認も踏まえて、お名前を呼ばせていただきます。
 五十音順に、大曲委員。
○大曲委員 大曲です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 川名委員。
○川名委員 川名です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 吉川委員。
○吉川委員 吉川です。よろしくお願いします。
 
 齋藤昭彦委員。
○齋藤(昭)委員 どうぞよろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 齋藤智也委員。
○齋藤(智)委員 齋藤です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 坂元委員。
○坂元委員 坂元です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いいたします。
 谷口委員。
○谷口委員長 谷口です。よろしくお願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 田村委員。
○田村委員 自治医大の田村です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 中里委員。
○中里委員 中里です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 中島委員。
○中島委員 中島です。よろしくお願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 信澤委員。
○信澤委員 信澤です。よろしくお願いいたします。
○竹下パンデミック対策推進室長 よろしくお願いします。
 なお、釜萢委員からは、少し遅れての御出席、長谷川委員からは、御欠席の連絡を受けております。
 現在、委員13名のうち11名に御出席いただいておりますので、厚生科学審議会の規定により、本日の会議は成立していることを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りにつきましては、ここまでとさせていただきますので、御協力をお願いいたします。
 なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音することはできませんので、御留意ください。
(カメラ撮り終了)
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、議事に入る前に、資料の確認をさせていただきます。
 資料は、議事次第、委員名簿、資料1、参考資料1-1から1-3になります。不備等がございましたら、事務局にお申し出ください。
 それでは、ここからの進行は谷口委員長にお願いいたします。
○谷口委員長 お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。それでは、早速ですが、議事に入りたいと思います。
 今日は、幾つか議題がございますので、まず、資料1につきまして、事務局から御説明をお願いできますか。
○堀予防接種課長 それでは、資料1を御覧ください。「新型インフルエンザ等対策政府行動計画 各論部分の検討案」ということでございます。
 1ページ目に13項目がございまして、そのうち下線を引いている部分について、順次、御説明をさせていただきます。
 各論13項目につきましては、下を見ていただきますと、それぞれフェーズに分けて記載ということでございまして、準備期、初動期、対応期ということで説明させていただきます。
 2ページを御覧いただきまして、ワクチンでございます。
 従来の政府行動計画におきましては、新型インフルエンザに重点を置いておりましたけれども、今般のコロナ対応で得た知見も踏まえまして、新型コロナウイルス等を含む新型インフルエンザ等感染症への対策を充実化したいと考えております。
 ワクチンの章では、まず、基本理念としまして、今般のコロナ対応を踏まえて、令和3年に閣議決定されております「ワクチン開発・生産体制強化戦略」に基づき、平時から緊急時におけるワクチンの迅速な開発・供給を可能にするために、必要な施策に取り組むことが重要であるとともに、デジタル化を推進いたしまして、迅速に接種体制を構築することを明記したいと考えております。
 また、3つのフェーズにおきましては、まず、準備期におきましては、平時におけるワクチンの研究開発やデジタル化等による接種体制の準備について。
 また、初動期におきましては、発生した感染症に対応するワクチンの研究開発やワクチンの確保について。
 対応期につきましては、特定接種及び住民接種の体制構築について記載をする予定でございます。
 このほか、有事における迅速な接種体制の確立のため、平時から地方自治体等の関係機関と連携した接種体制の構築を行うことや、ワクチン情報に関する基本的な情報の提供(リスコミ)、また、国際連携、それから接種後の副反応情報等の収集や情報提供につきまして、各フェーズで記載をさせていただきたいと考えております。
 なお、特定接種や住民接種等に係る細かい運用面につきましては、行動計画そのものではなくて、この下にございますガイドラインのほうで記載をしていきたいと考えております。
 主な論点といたしましては、平時からのパンデミックワクチン等の開発の在り方。
 有事におけるワクチンの確保。
 デジタル技術を活用した迅速な接種体制の構築ということでございます。
 ワクチンについては、以上でございます。
○谷口委員長 続いて、資料1の検査についてお願いできますか。
○竹下パンデミック対策推進室長 谷口先生、医療のほうが先でもよろしいでしょうか。
○谷口委員長 結構です。ごめんなさい、医療ですね。
○高宮参事官 そうしましたら、医政局の参事官をやっております、高宮と申します。
 資料の3ページ、⑧番の医療になります。
 医療につきましては、令和4年12月に感染症法等の改正を行っています。ですので「記載の考え方、ポイント」のところに書いてありますが、⑧医療では、改正感染症法の内容などを踏まえた記載を行いたいと考えています。
 改正感染症法の内容を※印で書いております。
 平時において、平時において、予防計画等に沿って都道府県と医療機関との間で協定を締結する。有事には、医療機関がその協定に基づいて、都道府県からの要請に応じて、病床の確保あるいは発熱外来、自宅療養者などへの医療の提供、後方支援または医療人材の派遣を行う仕組み、こういうものが創設されています。
 今回の政府行動計画の3つの段階には、主に以下のとおりの記載をしようと考えています。
 準備期については、有事に備えて平時から行う都道府県における医療提供体制の整備。先ほどの協定の締結ですとか、研修・訓練などを通じた人材の育成、DXの推進、あとは都道府県連携協議会などによる関係者の連携。
 初動期につきましては、新型インフルなどが発生した可能性がある時点から、政府本部決定までに都道府県、医療機関等が行う対応と、対応期への移行の準備を記載したいと考えています。
 具体的には、知見の共有、それから、初動期には、感染症指定医療機関の患者受入体制の確保、それから相談センターの整備などを考えています。
 対応期については、感染状況に応じて都道府県、医療機関などが行う対応などを記載したいと考えています。
 流行初期には、先ほどの感染症指定医療機関に加えて、流行初期医療確保措置、改正感染症法で減収補償を行う対象となる協定締結の医療機関による対応。
 流行初期以降には、それ以外の協定締結医療機関も加えて対応を行っていただくということを記載したいと考えています。
 主な論点については、基本的には、改正感染症法に基づいて予防計画などを都道府県で定めていただくことになっていますので、その予防計画に沿った協定などによる医療提供体制の整備ということにしています。
 以上になります。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、資料1、検査について御説明いただけますでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、検査のほうについて、御説明させていただきます。
 資料の6ページになりますけれども、検査につきましては、従来の政府行動計画では、医療の章に含まれておりました。今回のコロナ対策においても検査は非常に重要でしたので、今回の改定において、新たに検査を章立てするということで考えております。
 検査の章では、新型インフルエンザ等感染症等発生時に向けた検査体制の整備について記載をしていきたいと考えております。
 なお、個々の検査の目的、特徴等に関する詳細な事項については、ガイドラインに記載するということで考えております。
 行動計画の3つのフェーズにおいて記載すべき内容ですが、準備期については、予防計画、また、検査等措置協定を踏まえた平時及び有事に行う検査体制の検討の考え方を記載したいと考えております。
 また、初動期につきましては、予防計画・検査等措置協定を踏まえた感染症の発生初期から行うべき検査体制や、リスク評価に基づく検査体制整備等の考え方を記載したいと考えております。
 また、対応期につきましては、流行状況及び感染症のリスク評価等に基づく検査体制の整備等の考え方を記載したいと考えています。
 主な論点としましては、ガイドラインに記載すべき検査の種類と範囲についてと考えております。
 また、今後、目指すべき感染症危機管理における検査体制の全体像というのも出す必要性があると考えておりまして、そちらのほうに関しましては、次の7ページのほうで概略を書いております。
 実際に起きたときの感染症の種類によって、開発されないもの等の可能性や、使用する上で、なかなか意義づけが決まらないものも生じる可能性はございますが、基本的にはPCR、あと抗原検査、抗原検査につきましては、いわゆるイムノクロマト等の迅速診断で使うような定性検査、また、今回使われたような抗原定量検査、それに加えて抗体検査と、病原体の性状自体を見ていくゲノム解析というのがあると考えております。
 それぞれを国立感染症研究所、また、検疫所、地方衛生研究所、また、医療機関、あとは民間検査機関で実施することを前提に、いつぐらいのタイミングでどのような形で順番に出てくるのかというめどを記載しております。
 こういった全体像を示した上で、それぞれの意図を記載しながらまとめていくことを考えております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、続きまして、新しい項目ですけれども、保健について御説明をいただけますか。
○山本健康課長 健康課長の山本でございます。8ページを御覧いただけますでしょうか。
 保健のパートにつきましては、今回の新型コロナウイルス感染症対応の中で、保健所、地方衛生研究所等の役割が非常に重要であったことから、従来の政府行動計画にはなかったものでございますけれども、今回の改定におきましては、保健として新設をしていくことを考えております。
 ガイドラインにつきましても、政府行動計画の章立てに沿いまして、保健として策定をすることを考えております。
 保健の章では、保健所や地方衛生研究所等での感染症対応の大まかな事項に記載をするものとしまして、より詳細な事項は、ほかの分野と同様に、ガイドラインに記載をすることを考えております。
 行動計画は、3つのフェーズに分けて記載することを考えておりまして、準備期につきましては、有事に備えて平時から保健所や地方衛生研究所等における体制整備の考え方を記載し、初動期におきましては、新型インフル等が発生した可能性がある時点から、政府対策本部が設置されるまでの間において、都道府県において行う有事への移行準備の考え方を記載することを考えております。
 また、対応期につきましては、感染状況に応じて、都道府県等において、保健所や地方衛生研究所等での感染症対応業務の考え方を記載することを考えております。
 そのほか、横断的なテーマとして、人材の確保や研修訓練等による育成、また、国と地方自治体等の連携、また、業務を効率化に推進する上でのDXの推進についても記載していくことを考えております。
 主な論点としては、現時点、都道府県等において予防計画や、保健所、地方衛生研究所等で健康危機対処計画の策定を行っていただいておりますので、それらに基づく保健体制の整備についてとさせていただいております。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 それでは、最後、物資について御説明いただけますでしょうか。
○鶴田医療機器政策室長 医療機器政策室長の鶴田です。⑫番、物資のところについて御説明をさせていただいております。
 従来の政府行動計画にはなかった物資の確保に関する章を、今回の改定において「⑫物資」として新設をしたいと考えております。
 本章においては、改正感染症法の内容などを踏まえた記載を行いたいと考えております。
 皆様、御案内のとおり、令和4年の感染症法改正において、感染症対策物資等、ここには医薬品、医療機器、個人防護具等が含まれるわけですが、これらの確保のため、平時における事業者からの需給状況等の報告徴収、緊急時における国から事業者への生産要請・指示、必要な支援等を行う枠組み、規定が整備されておりますので、これを活用することを念頭に置いた記載にさせていただきたいと考えております。
 政府行動計画の3つの段階には、主に以下の記載をさせていただきたいと考えておりまして、まず、準備期ですけれども、有事に備えた国・都道府県・医療機関等における感染症対策物資等の確保ということで、国・都道府県や協定締結医療機関等における備蓄の推進、システムを活用した備蓄状況の確認、需給状況について生産事業者等への定期的な報告徴収、こういったものを規定したいと考えております。
 また、初動期ですけれども、感染症の拡大に備えた感染症対策物資等の供給確保に向けた準備及びその供給確保。
 具体には、国・都道府県や協定締結医療機関等における備蓄状況の確認、生産事業者等における需給状況の確認、生産事業者等への生産要請等の実施や準備、こういったものを記載したいと思います。
 最後、対応期のところですけれども、感染状況に応じた感染症等対策物資等の供給確保ということで、国・都道府県や協定締結医療機関における備蓄状況の確認、生産事業者における需給状況の確認、生産事業者等への生産要請等の実施や準備、不足する地域や医療機関への必要な感染症対策物資等の備蓄放出、こういったものを記載したいと考えております。
 また、考え方として、初動期や対応期における生産要請や備蓄の放出についてですけれども、まず①として、可能な限り市場の流通で対応することを想定しております。
 その上で、感染症に基づく報告徴収などにより、市場の流通量や最大の供給能力を見て、市場流通のみでは対応が不十分であると把握した場合には、生産要請の実施や、その上で、備蓄の放出、こういったものを検討したいと考えております。
 主な論点としては、2つ書かせていただいております。
 平時からの計画的な物資の備蓄、国内における物資の需給状況の把握について、また、有事における感染状況に応じた物資の円滑な供給確保、これを主な論点として記載させていただいております。
 説明は以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 本日は委員の先生方に、ワクチン、医療、検査、保健、物資、この5つの面で考え方、行動計画ですので、詳細は調査ガイドラインで今後示されるものと思いますが、その考え方をいかに書いておくかということだろうと思います。
 では、まず、ワクチンについて、御質疑あるいは、ここは絶対書いていただきたいみたいなことも含めて、御意見をいただければと思います。よろしくお願いします。
 信澤先生、お願いします。
○信澤委員 ありがとうございます。
 実は、ワクチンの項目についての議論はないのかと思って、前回、先走って意見を述べてしまったのですけれども、今回、議論の場を設定していただきまして、ありがとうございます。
 前回に引き続き、多くの資料とか、意見の取りまとめをされている事務局の皆様に、改めて敬意を表したいと思います。
 その上で、まだ、ワクチンに関しての議論が可能であるならば、少し意見を述べさせていただきたいと思います。
 現行の行動計画のワクチンの項目を見ますと、プレパンデミックワクチン、パンデミックワクチンの2種類があるとして、それぞれについての計画が示されているわけですけれども、改めて、プレパンデミックワクチンは本当に必要なのでしょうかということを申し上げておきたいと思います。
 前回は、プレパンは維持されると決まったものと思って発言していたのですけれども、もし、まだ考慮の余地があるのであれば、検討していただきたいと思っています。
 現行の行動計画では、発生した新型インフルエンザが、H5N1以外の感染症であったときには、あるいは亜型がH5N1の新型インフルエンザであっても、備蓄しているプレパンデミックワクチンの有効性が低い場合には、パンデミックワクチンを用いることとするとなっているのですけれども、次のパンデミックというのも、恐らく有効性が低い場合に相当するのではないかと、私は思っております。
 ですので、プレパンデミックワクチンの充実というよりは、パンデミックワクチンを特定接種対象者に、いかに早く提供するかに注力したほうが現実的ではないかと思います。
 特にインフルエンザウイルスの場合は、抗ウイルス薬が充実していますので、パンデミックワクチンが接種されるまでの間は薬剤での対応も可能だと思います。
 どうしてもプレパンデミックワクチンの備蓄が必要という場合には、鳥の間で、今、流行して、ヒト感染が認められたようなウイルスをタイムリーに、メッセンジャーRNAワクチンなどで、毎年更新していくのでなければ、本来の効果というのは期待できないような気がします。
 当然、改定される行動計画でもH5N1という文言は変えていく必要があると思いますし、変えていかれるのだと思います。
 それから、パンデミックワクチンに関してですけれども、現行の計画では、6か月以内に全国民分のパンデミックワクチンを製造することを目指して、細胞培養法などの新しいワクチン製造法や経鼻粘膜ワクチンなどの投与法の研究開発を促進するということが書かれているのですけれども、まず、1点質問させていただきたいのは、H5N1以外のウイルスに対しても、現状でですけれども、6か月以内に全国民のパンデミックワクチン製造は達成できているのでしょうかというのを、1つ伺っておきたいと思います。
 それから改定に当たって、現行の行動計画では細胞培養法というようなことを書いてありますけれども、当然、メッセンジャーRNAとか、その他のワクチンへの言及に変えてはいかれるのですねということを伺いたいと思っています。
 それから、6か月以内の目標と、前の行動計画では立てていましたけれども、もしメッセンジャーRNAワクチンを使うのであれば、もっと短期間で、全国民分のワクチン製造というのは可能になると思います。
 さらに、メッセンジャーRNAワクチンであれば、パンデミックウイルスそのものに対するワクチンというのが、特定接種者に早期に提供できるのではないかということも考えられますので、先ほど申し上げましたように、プレパンデミックワクチンは不要になるのではないかと考えています。
 長くなってすみません、もう一点だけなのですけれども、前の行動計画で、国内だけでパンデミックワクチンは、原則賄うけれども、必要に応じて輸入ワクチンを確保するということが書かれていますけれども、もちろん国内で全部賄えるのであればいいのですが、今後、インフルエンザだけではなく、いろいろなウイルスによるパンデミックが起きたときには、恐らくメッセンジャーRNAワクチンというのが一番早期に対応できるワクチンの候補となると思うのですけれども、海外では、必ず国内で製造というのを原則としているとは限らないと思いますし、海外の場合、メーカーとあらかじめワクチン供給の契約をするというシステムがあるということで、前に聞いたのですけれども、その辺の情報は、厚労省のほうで得られているのでしょうか、あるいはそういう検討はなされているのでしょうか。
 すみません、大変長くなりましたけれども、以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、後でまとめて答えていただくということで、中島先生、お願いできますか。
○中島委員 ありがとうございます。3点コメントしたいと思います。
 まず1つは、主な論点について、開発の在り方、ワクチンの確保については、今、書かれているとおりで、特にコメントはありませんが、接種体制に関して、今回の新型コロナも振り返って、例えば、戦略的もしくは平等なワクチンへのアクセスというのが提供できたのかというのは、一度振り返ってもいいのかなと思います。例えば、職域接種がかなり進みましたけれども、あれはワクチンの接種数を増やすという意味では、非常に大きな寄与をしたと思いますが、一方で、優先順位に基づいた提供が、例えば、職域接種の場合には、大規模な企業が中心でワクチンのアクセスができて、いわゆる駅前商店街みたいなところは、なかなかその中に含まれていなかったとか、当初、飲食のところが感染のリスクとしては大きかったと思いますけれども、その辺りへのワクチン接種はどうだったのかという意味もありますので、迅速な接種体制の中には、優先順位に基づいた戦略的かつ平等なワクチンへのアクセスの提供というのも議論で入れていただければなと思います。
 2点目は、ワクチンサーベイランスという言葉なのですが、ワクチンの重要性は言わずもがなだと思いますけれども、有効なワクチンが本当にできるのかとか、時期とか効果だとか、不確実性が高いという側面もあると思います。
 ですので、アベイラブルになったワクチンの、例えば、接種状況だとか、効果だとか、免疫の保有状況、副反応、市民の受入れとか、認知とか、接種ギャップがないかとか、いろいろなことを時々刻々評価しながら分析して、都度、接種戦略とか戦術とかオペレーションに反映させる、つまりPDCAを回していく仕組みを最初から構築することが大事だと思います。
 例えば、英国では、今回のコロナでもワクチンサーベイランスストラテジーというドキュメントをちゃんとつくって、複合的な要素で評価するというのを最初に計画を立てて、それに基づいて、例えば、血清疫学調査も含めた定期的な評価をレポートとして公開していったということもありますので、このようなサーベイランスを情報収集して反映させるという仕組みを考えていくのが大事かなと思います。
 その際、分析は都道府県や自治体で行っていくことが重要になりますので、データのオープンソース化を行って、地域ごとに分析が進むような体制を構築することも大事かなと思います。
 3点目、最後ですけれども、優先順位の議論、今回は高齢者が重症化しやすかったわけですけれども、次のパンデミックは、小児が重症になることも考えられますし、その他、ハイリスク者が別のグループにあるということもあり得ると思いますので、こういう幾つかのシナリオというか、可能性を考えた上で優先順位の議論は、ある程度の大枠は先にしておくべきかなと思いますので、これは、もう少し下の細かいところの議論になるかもしれませんが、重要かなと思いました。
 以上、3点です。ありがとうございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、坂元先生、お願いできますか。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 今回のコロナワクチンの供給に関しては、国としては、非常に一生懸命対応していただいたという経緯があるのですが、何せ、生産が海外依存ということもあって、供給の問題が非常に大きかったということはあったと思います。
 ワクチンの研究は、ワクチンの確保といっても、本当に国民のワクチン分の生産体制とか、そういうものが、次の大きなパンデミックで確保できるのかという問題があると思います。
 ヨーロッパでは、いろいろなメーカーとキャパシティーリザベーションという形で、包括協定、つまり、こういうエマージェンシーのときにワクチン供給などに関しての包括協定を結びつつあるという、そういうのが出ているという中で、やはり、いわゆる生産との協定とか、そういうものも平常時に考えていかないと、いざ起こったときに、ワクチンの各国間の奪い合いが起きるとか、そういうことが起きるので、その辺の体制整備というのは非常に重要ではないかと思っております。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、齋藤智也先生、お願いできますか。
○齋藤(智)委員 ありがとうございます。
 まず、計画の全体像として、準備期と初動期と対応期と分かれているかと思うのですが、対応期が正式にこの特措法で本部が立ち上がって、特措法というものが動き出して対応するフェーズとすると、その初動期は前段階の疑わしき、今後、パンデミックとなり得る病原体が発生して、ただ、まだパンデミックポテンシャルの見極めがつかない中で、ただ一方で、もうパンデミックを見越して、いろいろなことに動き始めなければいけないフェーズ、そして、準備期というのが、そういった時期にやるべきことを見越して、ふだんから準備して体制を構築していくかと、そういう3段階で書かれているものと認識しております。
 特に大事なのは、対応期のところでやるべき要素というのをきっちりと認識した上で、準備期にやるべきことをしっかり書いておくことと思っています。
 今回、接種体制という言葉で、結構まるっとまとめられてしまっていると思うのですが、この体制というのを実際に、非常に短期間でたくさんの人に接種を打つというオペレーションを行うに当たっては、そのロジ面もそうですし、コミュニケーションの面もそうですし、生産体制もそうですし、いろいろな複合的な要素があって、それが全てかみ合って成立するものだと思っています。
 ただ、そこで体制という言葉でまるっとまとまってしまうと、具体的に準備しておくべき要素が漏れてしまう可能性があるので、この辺りが網羅的に項目として書き出されていることが重要だと思っております。
 あと、ワクチン接種の戦略をつくるときに、やはり議論をもっと精緻化できるような仕組みをつくっておく必要があると思っています。
 特に、これまで接種順位であったり、誰から打っていくかという議論する際に、それから、中長期的にどうやって打っていくかということを考える上で、やはり、より定量的に、そして検討する因子というのは、より明示的に議論される必要があると思っています。
 そのための手段としては、やはり数理モデルなどの活用、そして、これは単一のモデルでなく、複数のモデルを活用して議論をしながら定量的にかつ多面的に議論の要素をしっかり明確にしながら、議論をしていく体制をつくっていくことが重要だと思っています。
 特に、議論に用いるモデルというものは、やはり信頼されるモデルというものをつくっていかなければならず、突然出てきたモデルで議論するのは難しいところがあります。ふだんの予防接種の検討の中から、こういったものをどんどん活用して議論していくような仕組みをふだんからつくっていく必要があると考えており、その点、準備期の部分に書き込む必要があるのではないかと考えております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 では、齋藤昭彦先生、お願いできますでしょうか。
○齋藤(昭)委員 皆様、おはようございます。
 私から2点、先ほど中島先生からもお話がありましたが、優先順位についてです。今回、新型コロナウイルス感染症は、幸いにも小児は高齢者に比べますと、軽症のことが多いことが分かりました。しかしながら、感染初期にはそれは全くわからず、一体どうなるのか、最初の時期にはワクチンの優先順位は分からなかったわけです。例えば、2009年のインフルエンザパンデミックの際には、小児の感染者が圧倒的に多く、重症例も多かったですので、やはり平時からパンデミックワクチンをつくる際にも、小児が重症化し得るということは、常に考えた上での準備をぜひ検討していただきたいと考えております。
 同時に、初動期にワクチンを確保する際にも、その辺りも常に念頭に置いていただくとありがたいと思います。
 もう一つは、論点の3点目のデジタル技術を活用した迅速な接種体制の構築です。今回、コロナワクチンが国民のほとんどの方に接種されましたが、接種方法として、予診票が地方自治体から個々に配られて、それを基本に接種する。追加接種に関しても、結局、この予診票中心の仕組みが踏襲されて、デジタル技術を使用した接種が全く見えなかったのです。
 これは、子どもの一般的な予防接種についても全く同じで、いまだに接種券を使い、一つ一つのワクチンに1枚ずつの予診票を書いて、それを基に処理されています。マイナンバーカードができて、皆さんに個々の番号がつけられた体制ができているわけですから、もう少しこの仕組みを使ってデジタル技術を利用して接種できないのか、接種券を配って接種するのは、そろそろ終わりにできないのかなと個人的には考えております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 それぞれ非常に重要な御意見、御示唆をいただきました。
 事務局から、今、御質問としていただいたところで、現状でお答えできるところがありましたら、お願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 事務局です。パンデミック対策推進室ですけれども、まず、信澤先生の御質問について、幾つか御回答をさせていただきたいと思います。
 プレパンワクチンの位置づけについてということで、御意見をいただいておりますけれども、その前提となるメッセンジャーRNAのワクチンが使用できるようになったらということがございましたが、こういった新しい技術が、ある程度インフルエンザでも確立していくという状況が見えてきたら、それに合わせて、また、いろいろそういう技術を含めて考えていく必要性はあると考えております。
 これまでも御説明させていただいているとおりで、細胞培養法でできているのは、全国民分が6か月以内にできるという形になっているのは、H5N1になっております。
 それ以外の亜型に関しましては、6か月以上は、やはりかかる可能性が高いと考えておりまして、そこに対しての対応というのを、今後どうしていくのかというのを考えていく必要性があると考えております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 ほかに何かございますか。
○堀予防接種課長 続きまして予防接種課でございます。
 たくさん御意見をいただきまして、どうもありがとうございます。
 まず、接種優先順位の関係で、幾つか御意見をいただきました。幾つかのシナリオに基づいて、大枠の議論をしておくべきではないか、また、今回については、小児の重症化が少なかったけれども、こういった点も考えて議論しておくべきではないかということでございます。
 現行の行動計画につきましては、考え方と実際の具体的な優先順位を行動計画そのもののほうに記載しておりますけれども、こういったことについては、基本的にはガイドラインのほうで、いろいろなパターン、それから考え方についてよく整理をしまして、御指摘をいただいた点も含めながら議論をしていきたいと考えております。
 最後に、齋藤先生のほうからデジタル技術の活用をより進めていくべきではないかという御指摘をいただきました。
 まさに、市町村の接種事務につきましては、パンデミックの対応とは別に、令和8年度からデジタル化を進める方向で、今、準備をしておりまして、そういった意味で接種の記録の管理ですとか、様々な点がデジタル化できるようにということで、そういったものを踏まえてパンデミック対応できるようにということで、しっかり準備を進めていきたいと考えてございます。
 それから、確保の関係で、国内で確保が難しかった場合について、海外からの確保についても検討していくべきではないかという御指摘も複数いただきました。
 この点につきましては、当然、国内で確保できるということが望ましいわけでございますけれども、海外からの確保につきましても念頭に置きまして、その確認事項ですとか、事前の調整についても定められるように準備を進めていきたいと考えてございます。
 それから、齋藤智也先生のほうから接種体制に関しまして、体制という一言でまとめてしまわないで、ロジ面、リスコミ、いろいろな要素をきちんと書き出すようにという御指摘をいただきましたけれども、各要素に分けてしっかり議論ができるように対応していきたいと考えております。
 取りあえず、事務局からは以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 御懸念は、おおむね共有されているのかなと思いました。
 私から1つだけお願いしたいと思うのですけれども、御存じのように、現在、SCARDAで、国内のトップレベル拠点とか、あるいはワクチン開発の支援機能、あるいはキャリア、アジュバントの支援機能、そういったものに巨大な予算がいっておりますし、その中で100日ミッションというのも、今、検討されているところですので、これは当然のことながら、準備期において国がやっていることですので、これらをいかに政策として組み込んでいくかというのも、同時に考えていただければと思います。
 それと、先ほど信澤先生のプレパンデミックワクチン、プライムブースト戦略ですけれども、この間、欧州でH5N1のワクチンが完成したところで、幾つかの国が契約したというニュースもありました。
 恐らく、今後どんな状況となるか分かりませんので、これは、竹下先生おっしゃるように、100日でできるのであれば、それが一番ですが、そういったところと一緒に、もう少し議論を深めていくものかなと思いました。
 以上でございます。
 ほかに委員の先生方、ここで言っておきたいことがございましたら・・・、取りあえずは、よさそうですので、続きまして、医療につきまして、委員の先生方から御質疑あるいは御議論をいただければと思います。
 川名先生、お願いします。
○川名委員 どうもありがとうございます。防衛医大の川名です。
 先に、少しワクチンのお話を追加させていただきますと、私も先ほど、信澤先生がおっしゃっていたことには、御意見に全面的に賛成ですので、それだけ先にお話しさせていただきます。
 あと、医療の点で、2点ほど確認したいところがあります。まず1点目は、フェーズのことになります。今回の行動計画を拝見しますと、準備期、初動期、対応期という分け方がされているわけですけれども、準備期、初動期、対応期の定義がどうなっているのか、また、どうなったら、このフェーズを上げていくのかといったことを、分かりやすく教えていただければと思いました。
 と言いますのは、このフェーズを変えるというのは結構難しいところがあって、例えば、2009年の新型インフルエンザのときには、WHOがなかなかパンデミックを宣言しなかったために、日本では、神戸、大阪でかなり大流行が起こっているのに、パンデミックフェーズに上げられなかったという、世界と日本の乖離みたいなものがありました。ですので、日本国内の流行状況に合わせて独自にフェーズを判断していけるような、そういったことも考えていく必要があるのかなと思いました。
 それと関連して、先ほど御説明はありませんでしたけれども、参考資料の中、5ページに新興感染症発生からの一連の対応ということで、医療のことが書いてあるのですけれども、これは、「新興感染症発生~流行初期」とか、「発生から一定期間経過後」という形で書いてあります。これが、先ほどの準備期、初動期、対応期のフェーズとどう関連しているのかというのを、分かりやすく示していただければと思いました。
 もう一点ですけれども、どこの部分でもデジタル化というのを非常に強調されていると思うのですが、やはり臨床の現場では、新しく出てきた感染症の重症度とか、あるいは臨床像というのは、非常に重要な問題になると思います。
 そういう意味で、例えば、この間の新型コロナのときには、中国から流行が始まって1か月ほどの間に、4万5000人ほどの臨床症状をまとめたデータが、チャイナCDCのレポートに出てきましたけれども、ああいったようなことが、日本ではできないのかどうかというのを、ぜひ今後追及していただければなと思いました。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 続きまして、大曲先生、お願いできますでしょうか。
○大曲委員 谷口委員長、ありがとうございます。
 私からは1点ございます。それは、いわゆる予防計画と、あと地域医療計画の改定の枠組みの中で、感染症指定医療機関ですとか、公的医療機関あるいは新規に協定を知事と結ぶ協定締結医療機関の果たすべき役割というものは、明確にされていくと思います。
 ただ、そちらの傘に入らない医療機関、あるいはもう少し広げて言いますと、リスクのある方がいらっしゃる場としては、高齢者施設等がありますけれども、それらが、この計画の中で果たすべき役割、責務といったところの明記が必要だと思っています。
 現場に戻ると、東京都の対策ですとか、私は新宿区に現場がありますので、そちらの会議に出ると、先ほど申し上げたような指定医療機関等々がやるべきことはどうなのかという議論はあるのです。それ以外のところの医療機関、あるいは高齢者施設等は大事なのだというのは、みんな総論では分かっておるのですが、枠組みがないので、それらを加えてどうやって地域、あるいは都レベルで対策をやっていくのかということに関しては、やはり議論が進まないというのをすごく感じています。ですので、やはり位置づけが必要だろうと思っております。
 私からは以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 では、中島先生、お願いできますか。
○中島委員 ありがとうございます。
 私、2点コメントをさせてください。
 1つは、初動期の書いている、これは医療に限らず後半にもつながると思いますけれども、初動期のイメージなのですけれども、発生した可能性がある時点から政府対策本部が決定するまでの間に、出てくる医療の体制としては、感染症指定医療機関の患者受入体制を確保するという感じで書いていますけれども、最初の非常に初動の曖昧な時期に、実際はたくさんの感染者が発生してしまうこともあり得ると思いますので、その辺りを想定しておくのは大事かなと思います。
 今の感じだと、感染症指定医療機関の体制で受入れができるというイメージだと思います。
 今回の新型コロナに引っ張られ過ぎるのはよくないと思いますけれども、例えば、ダイヤモンドプリンセス1つ発生すると、関東の全域の感染症指定医療機関は埋まってしまったとか、例えば、今回は2020年の春に第一波が大きく出ましたけれども、その前の時期を何とか乗り越えられたのは、そもそも輸入してくる最初の初発患者さんの数が限定的だったからと考えています。
 WHOがPHEICを宣言する前の第1回の緊急委員会が行われた1月23日に、武漢市が春節を前に空港とか交通を遮断して、いわゆる武漢封鎖と言われることを行ったわけで、もし、あれがなければ、PHEIC宣言が行われる前に、大量の感染者が、それこそ春節の波に乗って日本に入ってきた可能性が非常に高かったと思うのです。そうすると、桁違いの初発患者が来て、そういう状況がいきなりやってくると、1月の中旬から後半に、そのときに、さて、この医療体制は大丈夫なのかということも、現実的に考える必要があると思うのです。
 ですので、サージキャパシティーとか、初動期の計画というのは、そういう想定も含める必要があるのかなと思っています。
 もう一つは、医療の入院ですけれども、今回の新型コロナでも、いわゆる感染症法に基づく蔓延防止を目的とした入院というのが、法律に基づく規定ですが、実際には、感染者が増えた場合には、重症者への医療上の入院加療が必要な人を優先する治療、つまり、蔓延防止に軸足を置いた入院の活用と、医療上の活用というのが、少し矛盾があったと思うのです。これで随分現場も、いろいろなところも苦しんだと思いますので、この辺りの整理は、もう一度振り返ってやっておくべきかなと思います。
 以上、2点です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 では、田村先生、お願いできますか。
○田村委員 ありがとうございます。
 私から1点、コメントを申し上げたいと思います。
 今回のガイドライン、行動計画の策定において、都道府県と医療機関において、医療措置協定を結ぶと。それで、体制の整備を行っているということですけれども、今回のコロナを振り返ってみると、私の栃木の自治医科大学とちぎ子供医療センターですけれども、栃木県の南のほうにあって、ほかの県と接している地域でして、もともと栃木県以外の患者さんが3割から4割程度、とちぎ子供医療センターに受診されているという状況がベースにあります。
 今回、コロナの状況で、各都道府県が中心となって、地域住民の入院措置もしくは外来受診を行っていったわけですけれども、他県の医療機関に入院や外来受診させる場合、もしくは他県の患者を自分の県の医療機関に入院や外来受診させる場合、つまり、県境をまたいで患者の搬送を行う際に、都道府県や医療機関との調整にものすごく時間がかかりました。
 そのため、都道府県と医療機関との間で締結する措置協定の中には、県をまたいで、他県からも患者を移動せざるを得ない環境にあるような場合、もしくは医療レベル的なものもあるということを念頭に置いて、行動計画において何か記載をしていただければいいのではないかなと思った次第です。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 中里先生、お願いできますか。
○中里委員 谷口先生、ありがとうございます。
 保健の立場からも、まず大曲先生が言っていただいたように、地域全体で医療に関して論じる場合、関係者のそれぞれの役割を明記いただいておかないと議論が進まない部分もありますので、ぜひ、関係機関の役割についても記載をお願いしたいと思います。
 また、中島先生からおっしゃっていただいた医療の役割で、蔓延防止という観点からの医療の提供と、重症化を救うための医療の提供、この辺りの役割の分担がコロナ対応において課題になったと感じておりますので、それについても御検討をよろしくお願いいたします。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。現場からの御意見です。
 齋藤智也先生、お願いできますか。
○齋藤(智)委員 ありがとうございます。
 今回のパンデミックのときにも、一時議論に挙がりましたけれども、緊急時といいますか、実際に医療があふれた際の、いわゆる治療のスタンダードについて議論が必要ではないかと思います。
 いわゆる、必ずしも最高の医療、ベストな医療が受けられるわけではないという状況が起き得ると、そういったときの医療基準の変化について、いわゆる倫理的な問題も含めて議論しておくことが必要ではないかと。
 そして、また、国民の理解を得るということも必要ではないかと考えております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 いずれもきちんと考え方として、記載すべき項目を挙げていただきました。
 現時点で、事務局から御対応いただける面がありましたら、お願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 パンデミック対策推進室からです。
 最初に御質問がありましたフェーズのところの話なのですけれども、今回の行動計画については、今日の資料1の1ページ目のところに書いてありますけれども、フェーズの計画の時期が書いてありますが、こういった計画は、あくまでもメニューであって、これを基に、実際発生したときには、ウイルスの特性に応じて必要な対策などを、基本的対処方針という形に書き砕いて、実際出してくことになりますので、基本的対処方針に、それぞれのフェーズの内容とかを記載して出していくことになります。
 そこの考え方に関しましては、参考資料1-3で記載しておりますが、こういった位置づけで計画が記載されたものと承知しております。
 もう一つ、川名先生から御質問のあった、重症度とか臨床像は非常に重要だということですけれども、国内では、例えば武漢からの帰国者のデータであったりとか、最初の100例の記述疫学の情報、例えば、どの年齢の方が、どれぐらいの方が重症、ICUに入っているかとかというのは、今回は感染症研究所のほうから、2月の末に発出しております。大体100例を少し過ぎたぐらいだったのですけれども、こういった体制も今後さらに、より迅速に、より必要な情報を出せるような方向というのは、引き続きサーベイランスや情報収集のところでも記載しておりますが、取り組んでいきたいと考えております。
○高宮参事官 続きまして、医政局の参事官です。御指摘、様々な御意見、ありがとうございます。
 川名先生のほうからの質問のフェーズのところで、資料の5ページの真ん中に書いてある発生からの一連の対応のところと、初動期、対応期との関係の御質問がございました。
 資料の5ページに書いてある左側の一番上、新興感染症の発生時、こちらが行動計画における初動期のことを記載しています。
 初動期については、基本的には感染症指定医療機関において、中心に対応いただくということを考えております。
 ただ、他方で、中島委員からも御指摘があったように、初動期の間に感染者がかなり多く発生するケースもあるだろうという御指摘もございます。
 そういう感染症指定医療機関での対応だけでは収まらない対応が必要な場合、想定を超えるような場合をどうするかというものも考えて、検討、議論をしていきたいと考えています。
 また、感染症指定医療機関の状況がどうなっているかという情報を、しっかりと行政が把握できるような体制を準備しておくことが大事かなと思っています。
 あと、フェーズの資料の5ページのところに戻っていただいて、下に書いてある新興感染症の発生の公表が行われた流行初期、こちらが行動計画の対応期を2つに分けて、予防計画、医療計画では計画を立てています。
 流行初期というのが、対応期の中の公表から3か月ぐらいを想定して、感染症法の流行初期医療確保措置の対象となる協定締結医療機関も加わって対応するということです。
 右側の発生から一定期間経過後、こちらについては、行動計画の対応期の中で、公表後3か月以降を想定して、順次、そのほかの協定締結医療機関も加わって対応いただくことを想定しています。
 それ以外にいただいた御意見、関係機関の役割、感染症指定医療機関あるいは協定締結医療機関以外の医療機関などの役割についても、しっかりと議論をして行動計画に位置づける必要があるのだとか、蔓延防止の入院あるいは医療体制が逼迫した場合の緊急時の入院医療をどうやっていくか、重症化リスクの高い優先順位づけのようなことも念頭に置いて、議論を進めていきたいと考えています。
 以上になります。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 私から、よろしいでしょうか、
 先ほどお話がありましたが、いつというのは極めて重要だろうと思いますし、いつを発生時期とするかというのは、今、世界各国でintegrated surveillance of respiratory viruses with pandemic potentialという形で、サーベイランスが始まっていますので、どこでもって異常という判断のトリガーを引くかということも非常に重要なのだろうと思いますし、恐らく、この初動期というのに、一番たくさんの疑い例が殺到する時期だと思いますので、この初動期というのが極めて重要になるかなと思っていますので、御考慮いただければと思っています。
 ほか、よろしいでしょうか。
 では、続きまして、検査の部門に入りたいと思いますが、この件に関しまして、御質問、御議論がございましたら、よろしくお願い申し上げます。
 齋藤智也先生、お願いします。
○齋藤(智)委員 1点、最初に簡単な質問をさせていただきたいのですけれども、資料の中でタイムラインを書いている資料があると思うのですが、ガイドラインに掲載すべき検査の種類と範囲というページなのですが、ここで書いている検査というのは、いわゆる診断的な病原体検査であったり、免疫検査というものだと思うのですが、最後のウイルスゲームとたんぱく質の構造と機能確認と、ゲノムのところは分かるのですけれども、たんぱく質の構造と機能確認というのがここに入っているのは、どういう意図でしょうか。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 では、追って御質問にお答えいただけると思って、中島先生、お願いできますか。
○中島委員 ありがとうございます。たびたびすみません。
 これも特に初動というか、初期の頃の検査のキャパがかなり限られたときにどうするかという話になるのですけれども、1つは使い方なのですが、事前の啓発というか整理がすごく大事だなと思うのでコメントをさせていただきますけれども、大きく分けて有症状の方に対する、いわゆる受診する方に対する検査とか、そういう中でも特に重症の方、今回高齢者だったり、重症化リスクのある、今はまだ軽症なのだけれどもという方への、医療・治療を念頭に、目的とした検査と、あとは蔓延防止上必要な検査と、今回もいろいろ議論がありましたが、社会とか経済とか安心目的とか、いろいろな方から検査を求めていますので、そういう社会経済的な目的と大きく3つに分けられるのかなと思いますが、検査が限られているときに、どう少ないリソース、限られたリースを使うのかというのは、ちょっと整理をした上で十分アナウンスをしないと、今回も検査抑制派とか、抑制しているとか、いろいろな批判的な議論が後からいろいろ出てきたりしますので、その辺りを十分整理した上で啓発しておいて、限られたリソースを使っていくということが大事だと思います。
 これが1点と、もう一つは言わずもがなですが、精度管理はとても大事になりますから、この辺りも大事だなというところをコメントしておきたいと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 大曲先生、お願いします。
○大曲委員 ありがとうございます。
 まず1点目は、中島先生がおっしゃったことに私も賛成であります。
 病院の都合だけ言えば、最初の段階から病原体が検査される、されないというレベルでの検査が、病院を運営するという意味では必要になるというのがあるので、ぜひ回していただきたいということは、まずあるのですが、全体のバランスということは非常に重要だと思います。
 2点目は、スライドの7枚目ですかね、ガイドラインに掲載すべき検査の種類と範囲ということで整理をしていただいていますけれども、これは、MCMの議論なのかもしれませんが、5年、10年というタイムスパンではここに載っていない、でも将来的には使われるような新しい技術というものも当然入ってくると思いますので、それらもスクリーニングしていく、中には定期的に検討して、必要なときには組み込んでいくといったところも必要になると思います。
 3点目、これで最後です。今回、ウイルスの遺伝子配列がはっきりしたという状況で、あとは、いかに試薬等々をつくって世の中に供給するのかということで、各関係者の方々が大変御尽力されたのは、よく存じ上げています。
 ただ、その中でも特に広く検査を行うという中で、いわゆる企業のほうからの検査の提供、しかもかなりのボリュームを持ってという体制ができるまでには、やはり時間がかかったということは伺っています。
 企業側の方の話を聞くと、少し経済的な予見可能性といいますか、採算に乗るといいますか、そういう観点で、自分たちが検査機器を開発していいのかどうか逡巡をしたというところは、正直に語られるところを何回も耳にしています。
 ですので、本当に最速を目指すところであれば、そうした経済的なところもカバーする、1つの切り口ではないですが、そうした観点で仕組みをつくっていくことも必要だと思いますし、私の力では、どこが律速段階だったのかということは、全部は網羅できておりませんが、その点の議論、これは今回の議論とずれるかもしれませんが、その点の議論も必要だと思います。
 私からは以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 坂元先生、お願いできますでしょうか。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。
 検査体制の中で、ほかにも少し書いてあるのですけれども、地方衛生研究所の整備体制というのは、はっきりうたったほうがいいのではないかと、自治体によって、かなり地方衛生研究所の整備に関して温度差があって、一生懸命やっている自治体と割とそうでもないところがあって、地方衛生研究所がどういう整備体制にあって、どうしなければいけないかということの標準的なものをつくっておかないと、ごく初期は、なかなか民間が動かないときに、行政検査という中の一環で地方自治体が前面に立たざるを得ないという場合もありますので、どこかに地方衛生研究所の検査の整備体制の標準の確保みたいのが、この検査の中にも入ってくるといいかなと思っております。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。おっしゃるとおりだと思います。
 田村先生、お願いできますか。
○田村委員 ありがとうございます。私からも1点、コメントをさせていただきます。
 今回のコロナのパンデミックを振り返ってみると、実際、検査体制の初動は、もちろん感染研であったり、各地方衛生研究所の先生方の御尽力で、多くの報告が出ていました。途中からは民間の検査機関が開発してきたような検査キットが巷にあふれてきて、それで一定の国民の安心感を満たすような状況になってきたと思うのですけれども、その中で、検査のクオリティーをどう保つかというところも重要だと思いますが、問題点もあったかと思います。今回、PMDAから緊急承認のような形で、仮免許のようなものを交付していただいて、かなり流通はしたのですけれども、そのフォローアップがなかなかうまくいかずに、結局、検査精度の悪いものが、まだ巷にあふれていて、それで検査自体の信頼性が損なわれるような状況になっていたのが一部見受けられました。そういった承認に対するフォローアップの在り方も重要かと思います。あとは民間の力を十分活用していくことを考えると、ある程度民間の検査会社とは事前契約のような形が必要になるのではと考えます。パンデミックが起きたときには、優先的に検査キットを開発して、その一部などを国が責任を持って買い取るもしくは、研究資金を提供するなどの経済的な契約もある程度必要かなと思います。細かいところを行動計画に書く必要はないのですけれども、ガイドラインの中では、ある程度、そういった経済的な考え方というのも落とし込んだほうがいいのかなと思いました。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 中里先生、お願いできますでしょうか。
○中里委員 ありがとうございます。
 特に初期の段階においては、今回コロナでは、保健所も検体採取などを行っておりました。そのために、検査のできるキャパシティーの問題などから、検査を制限しているのではないかとの御批判を受けた時期もありましたので、中島先生が先ほどおっしゃってくださったように、初期の段階においては、検査をどういう方に、どういうポリシーで行っていくのかということを広く広報しながら、対応していただくことも書いていただいたほうがいいのかなと思いました。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 齋藤智也先生、お願いできますか。
○齋藤(智)委員 今、中里先生がおっしゃっていただいたことと同じになります。
 今回、検査という項目が別に立てられた意図としては、やはり求められている量の検査、そして、きちんとした精度の検査を必要量だけ供給できる体制をつくるというところで、まず、書かれていると思うのですが、やはり大事なのは、どういう人に、どういう目的で検査をするかということ、基本的な考え方をきちんと示すことだと思っています。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 齋藤昭彦先生、お願いできますか。
○齋藤(昭)委員 私から1点だけ、今回のコロナのパンデミックで、これまでなかったこととしては、一般の方々が、パンデミックの後半で、実際に自分でキットを買って自宅で検査することが可能となりました。インフルエンザでは、通常、医療機関に行って検査をして、そして、医療機関で診断してもらいます。これから、例えば、インフルエンザや今後、起こり得る新興・再興感染症に対して、検査を自らが行うかどうかも議論が必要です。国内ではインフルエンザに関して、そして今回のコロナに関しても、まず検査をして、検査が陰性なのか、陽性なのか知りたい方がすごく多いです。今後、国として、自宅で自ら検査をして、診療を進めていくのか、議論をする必要があると思います。
 当然、そこには、今、皆様から御議論のあった検査の精度の問題が非常に大事になってきます。しかしながら、これから医療は、リソースが限られてきます。働き方改革などもあって、できる検査を自宅でやるのは、私は賛成で、医療の現場の負担を減らす取り組みは、今後、インフルエンザの診療においては大事かと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 非常に根本的な問題だと思います。
 事務局から、幾つか御質問がございましたので、御対応いただけるところがあれば、お願いします。
○竹下パンデミック対策推進室長 それでは、パンデミック対策推進室のほうから回答をさせていただきます。
 まず、齋藤智也先生からいただきました、ゲノム解析のところの記載なのですけれども、確かにゲノム解析と、それに関連して追加でいろいろ検査を行わないと分からないことも記載がありますので、記載ぶりについては、少し検討したいと考えております。
 また、検査の目的等に関しまして、初動期のことを幾つかいただいておりますけれども、初動期にどういう目的に位置づけられるのかとか、その後もどういう目的で対応していくのか、要するに検査自体がいろいろな目的で実施するので、それに合わせてどう対応していくかというのは、記載すべき内容と考えておりますので、そこの考え方を行動計画に書きながら、詳細についてはガイドラインのほうでも、もう少し記載をしていくことを考えたいと思っております。
 精度管理についても、非常に重要な点ということで承知しておりますので、この点についても明記していくことを考えております。
 あとは、新技術の話とか、そういったこともございました。あくまでも今回出した、ここで記載している7ページ目のイメージというのは、現状でというところで記載しておりますので、新しい技術が、そこで実際の診療や公衆衛生対策の中に位置づけられたら、当然それも含めて記載していくものと考えております。
 そういったところと、あとは企業との開発の関係などは、MCM検討会のほうでも議論をいただくことになると思いますけれども、そういったところも含めて、関係部門と相談してくことになると考えております。
 また、最後、齋藤昭彦先生からございました、一般の方の検査というところですけれども、こういった課題というのは、今回のコロナでもそうですし、その前からいろいろな議論をされていたと承知しておりますので、関係部局とも相談しながら、引き続き議論を進めていくことになると考えております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 ほかは、よろしいですか。
 私から1点だけ、やはり初期、つまり疾患のことがよく分かっていない時期の医療機関においては、やはり検査が必要な人は全部していただきたい、今のようにいろいろなことが分かった状況ではなくて、全然まだ分からない時期はしていただきたいと、やはり思います。
 今回、多くの医療機関に、大学病院も含めて、いろいろな高度な機械が入ったと思います。これは、放っておくと、みんなほこりをかぶって、しかもその技術を得た人が異動してしまうと、次のパンデミックのときに、また最初からやらなくてはいけないことになろうかと思いますので、これは先だってあった研究の基盤のように、医療機関に整備されたリアルタイムPCRマシーンとかをいかに維持できるかというのも、どこかに書いていただけるといいかなと思います。
 あと、地方衛生研究所、ウイルス担当を1人、細菌担当を1人という地方衛生研究所もございます。
 今回、国際保健規則のように、地方衛生研究所のコア・キャパシティー・リクワイアメントみたいなものも一緒につくっていただけると、そうすると、地方自治体も国が地方衛生研究所のコア・キャパシティー・リクワイアメントをきちんと書いていただけると、予算もつくのではないかなという気がしますので、御検討いただければと、個人的には思っています。
 ほかに委員の先生方、あるいは御対応がございましたらお願いします。
 齋藤智也先生、お願いします。
○齋藤(智)委員 今、谷口先生がおっしゃってくださったように、緊急時、こういったパンデミック発生時に、サージキャパシティーといいますか、その検査の体制を拡大するために必要なのは平時の基盤、その平時の基盤のベースラインをしっかりと上げておくことに尽きると思っています。
 そういった意味で、準備期のところに、そういった平時に病原体検査数のベースラインを上げていくという姿勢がきちんと書かれていることが重要ではないかと思います。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 地方は、みんな望んでいるところでございます。
 ほかによろしいでしょうか。
 では、続きまして、これまでの議論と少し重複する部分がありますが、衛研も保健所もありますので、保健につきまして、委員の先生方から御意見、御質問、御議論がございましたら、お願いしたいと思います。
 中里先生、お願いします。
○中里委員 ありがとうございます。
 まず、冒頭、山本課長がおっしゃってくださったように、今回、保健という項目を新しく章立てしてくださったことに感謝申し上げます。
 その上で、2点ほどお話をさせてください。
 まず、患者対応に関してですが、対応期においては、量的な課題が生じてきます。その対応のために保健所業務を一部中止や縮小しながら、感染症対応にあたることになりますけれども、各地方公共団体がそれを判断し、実行することは難しいので、国においてもBCPの発動を助言いただくなどの御支援をしていただければ、現場は動きやすいかと思っております。
 2点目です。保健所に関してもDXの推進というのが書かれて、これは必須だと思うのですけれども、保健所は各都道府県のセキュリティーの問題とか、予算の関係もありますので、総務部局の理解を得ながらDXを進めることが必要になってきます。これについても国を挙げて御支援いただければと思っております。
 すみません、もう一点だけ、ポンチ絵では、消防機関のポンチ絵が出てくるのですけれども、これが保健のほうに入るのか、医療のほうになるのかは置いておきまして、消防機関との協力も大切になってきますので、御協力が得られるような御支援をお願いできればと思っております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 中島先生、お願いできますか。
○中島委員 ありがとうございます。
 1つ、最初に確認をした上で、少しコメントをしたいと思いますが、8ページの保健の最初の考え方、ポイントのところで、アローヘッドの1番、地域の保健に関する事務の章とありますが、事務というのは、どういう意図なのかなと思って、ちょっと読み切れないので後で教えてください。
 以下、コメントはアローヘッド3つ目の「感染症対策業務の大まかな」というところに基づいて発言しますが、保健所の非常に大事な業務の1つは、やはり疫学調査にあると思うのです。今後も感染症危機管理は、地域ごとのリスクアセスメントに基づいて、柔軟な対応をするというのが基本的な軸になっていくと思いますが、そのときに現場で何が起こっているのかというのを深掘りして調べるというのは、実地疫学調査は、主体は保健所にあるわけで、大きな危機管理のサイクルを回していくために、保健所というのは、非常にきめ細かな実地疫学調査をしていく必要があると思います。
 今回のパンデミック対応の中では、どうしても疫学調査と言うと、届出をした症例の聞き取りだとか、あと、濃厚接触者調査というイメージがありますが、この辺りはDXとかの力も借りながら、自動化できるところは自動化するとかをしながら、本来の疫学調査というのは、それに限らない深掘りの調査、現場で何が起こっているのか、何がリスクなのか、何が問題なのかというのを、地域ごとに足で稼いで分析するという地味な疫学調査にあると思います。
 それが、感染症危機対応の中では極めて重要になるので、その力をいかに平時からつけていくかとか、それをうまく活用して危機管理サイクルを回していくとか、この辺りをイメージした書き方というのは大事かなと思います。
 あとは、これも医療と関連するかもしれませんけれども、そういう現場の調査と蔓延防止につなげていく、蔓延防止は別の章にありますけれども、どういう対策がその地域ごとに有効なのかとか、こういうのを回すためにはとても重要で、一方で、患者の入院調整が、果たして保健所なのか、行政の保健に関する業務なのかというのは、うまく整理をする必要があると思っていて、先ほど入院目的も蔓延防止上なのか、医療のかというのがありましたけれども、本来、行政が入院調整に関わるというのはニーズがあると思いますけれども、これを保健という形にするのか、入院調整を整理して考えた上で、先ほどの消防との調整とかのイメージのところも考えていく必要があるのではないかなと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 坂元先生、お願いできますでしょうか。
○坂元委員 川崎市の坂元です。
 保健の機能で自治体としてすごく大事なのは、日頃からの人材確保だと思います。どうしても地方自治体になると、一定の期間で人が入れ替わっていってしまうと、専門職の場合は、あまりそういうことはないのかもしれないですけれども、やはり人材と専門性の確保というのが日頃からされていないといけないと思います。ここには体制整備と漠と書かれていますけれども、やはり大事なのは、先ほど谷口先生も言ったけれども、地衛研にとってはウイルス担当が1人いるか、いないかとかの課題もあり、そういう日頃からのしっかりした人材確保と人材育成というのが根本にないと、こういう緊急時には対応できないと思いますので、その辺の人材確保、教育体制というものをはっきり明記すべきではないかと思っております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 齋藤智也先生、お願いできますか。
○齋藤(智)委員 ありがとうございます。
 このパンデミック対応の中で、保健というのが、最も負荷がかかるセクションでありまして、そこに迅速にリソースを、他の部局等の力も借りて適切に投入するかというところが重要だと思っています。今回、それがなかなかうまくできなかったというのが、大きな反省だと思っております。
 特に初動期、いわゆる特措法の対応として本部が立ち上がったりして動き出すときになれば、ようやくみんな気づいて、対策本部もできるので、様々なほかの保健以外の部署の協力とかも得られる体制もしやすいのでしょうが、特に初動期という段階は、一番保健に負荷がかかっているのだけれども、助けが得られにくいフェーズだと思っています。
 そういう意味で、初動期の段階からきちんとリソースを動かせるように書いておくことが大事だと思っています。
 その方法として、今まで先生方がおっしゃっていただいたように、まず、人材の一定の基盤があってこそ拡張できるので、しっかりと、ふだんから人員が確保されているということが、まず大原則で、それに加えて、やる仕事を減らす、絞るためにBCPというのをしっかり書く。
 その上で、分業体制、保健の中でほかの部局にも手伝っていただけるような仕事をしっかり分けて、分業体制をつくって、そこに適切にリソースを入れていけるような体制、いわゆる支援と受援の体制という形で、健康危機対処計画とかでも、各案をつくっていこうということは明記されているわけですが、それを保健所のほうだけが読む対処計画ではなくて、上位の行動計画の中でしっかり示して、そして、ここにリソースが、保健以外の部局からも投入することが必要だということを書いておくことが大事だと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 今回いろいろ課題がございましたので、いろいろな御意見をいただいています。私も少し御確認いただきたいところがあるのですけれども、僕は個人的には、保健所というのはパブリックヘルスを扱うところであって、医療というインディビジュアルヘルスを扱うところではないと思っていたのですが、今回は、かなりそれが混乱していたように思います。
 今後の考え方は、どちらをメインで保健所に期待しているのかというのも、考え方として書いていただければいいのではないかなと思うのですが、それについてお伺いしたいと思います。
 では、事務局のほうから御対応できるところがありましたら、お願いできますでしょうか。
○山本健康課長 健康課長でございます。
 まず、私のほうからの地衛研、また、保健所の体制の話について御回答をさせていただければと思います。
 その前に、8ページの記載で事務となっていることの御質問がありましたので、これは、ペーパーワーク等だけを指しているものではなくて、感染症対応業務全般、技術的なことも含めて記載をしようと思っていますので、そこは、表現が必ずしも適切ではない面がありますが、そうした趣旨で今後書き進めていきたいということを御理解いただければと思っております。
 また、その上で、保健所、地衛研の体制整備については、今、お話がありましたとおり、健康危機対処計画の中で必要な平時からの体制、もしくは緊急時にどういうことをやるのかの想定も含めて、今、地域において取り組んでいただいております。
 齋藤構成員からお話がありましたとおり、それをこの上位の中できちんと記載をしていくということは、我々としても重要なことだと考えておりますので、そうした本日の御意見も踏まえながら、記載を進めていければと思っております。
 その際には、本日お話がありましたようなBCPの話や、保健所や地衛研、特に保健所等の平時からの職員のみでは対応できない面もあろうと思っておりますので、参考資料をつけさせていただいておりますけれども、IHEATや、それぞれの自治体組織の本庁からの応援等々について、どうしていくのかということも含めて、記載をさせていただければと考えております。
 取り急ぎ、私のほうからは以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 ほかに御対応いただけるところは、ございますでしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 パンデミック対策推進室からです。
 搬送の件、中里先生からもございましたが、この点、非常に重要な点だと考えておりますので、こういった点についても、十分検討していきたいと考えております。
 また、疫学の調査も非常に重要だということですけれども、こちらのほうも、現在もFETPのコースが国立感染症研究所でございますが、この支援体制の強化であったりとか、IHEATに対しての感染症の研修実施の支援というのもありますので、こういった面からも含めて、さらなる充実を図っていきたいと考えております。
○谷口委員長 ほか、よろしいでしょうか。
 私から1点だけ、これは、日本国の人事制度のせいなのかもしれませんが、ジェネラリストとして2年間で交代していくと、確かに多くの方が、いろいろな技術を身につけられると思いますし、いざというときに応援ができるのだろうと思いますが、本当の意味での行政における感染症対策のスペシャリストというのは、なかなかできないと思うのです。
 例えば、アメリカ、イギリス、フランス、多くの国で、その部署に10年ぐらいいます。途上国は、ほとんど入った部署に局長になるまでいます。日本は2年ごとに変わります。スペシャリストとジェネラリストのバランスということを、日本の人事体制で考えていただくということは、できないのかなと思っているのですが、以前に坂元先生が難しいかもということを言われていましたけれども、1点だけお願い申し上げます。
 以上です。
 ほか、お伺いしておくことはございませんでしょうか。
 どうぞ。
○山本健康課長 健康課長です。
 1点だけ補足で、地域の役割分担等々についての御意見もあったかと思っております。それにつきましては、参考資料をつけさせていただいているように、今回、地域において既に取り組んでいただいているかと思うのですけれども、連携協議会というものを開催して、地域で事前に検討していただくことも非常に重要だと思っておりますので、そうしたことも併せて記載をさせていただければと思っております。
 以上でございます。
○谷口委員長 ありがとうございました。
 それでは、よろしいようですので、最後の課題、物資につきまして、御質問、御議論等ございましたら、お願いできますでしょうか。
 田村先生、お願いします。
○田村委員 ありがとうございます。
 1点、まず質問と、あとはコメントなのですけれども、まず、質問は17ページにあります、一番下のポンチ絵で、輸入が途絶2か月、それで2か月目以降という形でグラフが出ているのですけれども、この図の内容というのは、縦軸については、各会社とかメーカーと調整をして、ある程度、打ち合わせが済んでいるというと考えていいのか、というのが、まず、1点の質問。
 あと、コメントとしましては、恐らくほかの部分、全体に波及するものだと思うのですけれども、パンデミックが起きたときには、日本国内だけではなくて、世界中で物事が枯渇する、不足する状況になってきます。実際、今回の新型コロナにおいても、いろいろなものが不足して輸入に頼っていましたが、輸出元の国であっても自分の国を守らなければいけないということで、日本はさまざまな物資の輸入にかなりの時間調整が必要だったり、粗悪なものが入ってきたりだとか、いろいろな現状が起きました。
 そうなってきたときに、今まで各委員の先生方からお話があったように、平時のときのさまざまな物資の開発であったり、研究契約だったり、さらに研究の支援だったりということを強化していって、実際、有事が起きたときに、そのものを一気に増産体制を築いていただいて、メイド・イン・ジャパンで対応していくことが基本になるのかなと考えられます。この発言は、物資のセクションで発言しますけれども、ほかの部分についても同じような考え方が踏襲されるのでないかと考えておりますので、ぜひその点について御考案いただければと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 ほかに御質問、御議論ございませんか。
 では、私から1点、今回PCRの試薬とかが結構足りなくなって、多くは輸入物だったのですけれども、あれを国内での生産体制を考えるとか、あるいはそれも備蓄するとか、そういった考えはあるのでしょうかというのが1点です。
 齋藤智也先生、お願いします。
○齋藤(智)委員 今回、やはり物をいかに確保するかというところが、1つ対応の問題になった点であり、物資という項目が設けられたことは非常に重要だと思っています。
 ここで、物資として、ひとまとめに書くところもあれば、検査体制とかの中でも、それぞれ物資の確保の必要性というのが、それぞれ明示的に書いておくことが大事だと思っています。
 あと、物資なのですけれども、ここの今の書きぶりですと、初動期が一番物資の奪い合いといいますか、いかにこの時点で確保しておくかという話が問題になってきて、その際に、結局、資金確保というのが必ずボトルネックになってきて、調達のために迅速に使えるお金がないというと、動けないという状況が一定期間発生すると考えています。特に、実際に特措法などが動き出していない初動期という段階は、非常に難しい。
 この辺りで使える資金を確保する、ファイナンシングメカニズムをつくっておくということを書いておくことは、必要なのではないかと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 ほかによろしければ、事務局から御対応できる面、お願いできますでしょうか。
○麻生医療用物資等確保対策推進室長補佐 ありがとうございます。医療用物資等確保対策推進室でございます。
 田村先生から17ページのポンチ絵について、御質問をいただきました。こちらの縦軸と横軸などの考え方というところでございますが、横軸はコロナの実績を踏まえて、おおよその目安として、例えば、初動1か月ですとか、2か月目以降といったところを設定させていただいているところではございますが、実際のところ、もちろん、その時々の感染状況に応じて、もっと早く動いたりしないといけないところはあるかと思いますので、あくまでイメージと思っていただいて、必要に応じて生産要請の規定とかをしっかり機能させていくところでございますので、御理解いただければと思います。
 以上です。
○谷口委員長 ほかは、よろしいですか。
○鶴田医療機器政策室長 すみません、医療機器政策室長です。幾つかいただいた質問について、お答えさせていただきたいと思います。
 改正感染症法が、16ページ目に物資に関するパートについては、資料としてつけさせていただいておりますけれども、これは法律に基づいて増産の要請ができるとか、あとは経済的な要素についても何らかの対応が必要なのではないかという御指摘もあったわけですが、右下の担保措置のところに書いてありますように、国の要請・指示に従い生産・輸入・売渡し・貸付け・輸送・保管を行う事業者に対する財政上その他必要な措置というのが法律事項として規定されていますので、これを駆使していくことが大事だと思っておりますので、そういった要素をガイドラインに、また、この行動計画のほうにも、法律を踏まえた記載をさせていただきたいと考えております。
 基本的に新たに発生する感染症の特性に応じて、必要となる物資が何なのかというのを早めに探知し、それらの製品というものが、基本的にはメーカーの在庫としてあるわけですけれども、それでは不足することが見込まれる場合には、早め早めに増産要請をしていくことが重要だと思っておりますので、そういった一般的な考え方をしっかり行動計画のほうには記載をさせていただきたいと考えております。
 以上です。
○谷口委員長 ありがとうございます。
 1点だけ、先ほど備蓄品目には、例えば核酸抽出試薬みたいな検査試薬は含まれていないのですけれども、これは、今回はなくなりましたけれども、現状では入れないという方針でしょうか。
○竹下パンデミック対策推進室長 パンデミック対策推進室です。
 先ほど、最初に谷口先生から御質問のあったPCR試薬とかの国産という話がございましたが、MCM検討会のほうで検査というのが、もちろんターゲットになっているのですけれども、この検査のターゲットというのと、当然どういう病原体というのもあると思いますが、例えば、いろいろな検査において、多くの病原体を対象に使う上で、より効率性の高いものであったりとかを展開がしやすいものとか、そういう平時からのつながりとか、そういったことも含めた検査試薬の開発とか、そういった検査試薬及び検査試薬に関連する先が抽出薬みたいな、そういったものも含めて、当然射程に入れながら議論をいただいてもいいのかなと考えております。
○谷口委員長 ありがとうございます。よろしくお願いします。
 ほかに、この資材、物資につきまして、委員の先生方から、よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。意見は出尽くしたようですし、実際に多くの御意見をいただきまして、事務局からもそれに対して、共通の認識なのだろうと思いますので、今後、これらを中心に、行動計画を完成していただきたいと思います。
 ほかに、特に最後に言っておきたいこと、よさそうですので、事務局のほうにお返しします。
○竹下パンデミック対策推進室長 本日は、活発な御議論いただき、大変ありがとうございました。
 委員の皆様の御意見を踏まえ、進めさせていただきたいと考えております。
 また、次回日程については、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 本日は、お忙しい中誠にありがとうございました。