第56回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会 議事録

日時

令和6年2月22日(木)15:00~18:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム B101

議事

議事内容
○中村補佐 大変お待たせしました。今ほど過半数の委員の先生にお入りいただきましたので、この委員会が成立しますことを御報告いたします。遅くなりまして大変失礼いたしました。
 それでは、ただいまから第56回「厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会」を開会いたします。
 委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 なお、本日は報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様をユーチューブのライブ配信にて公開しておりますので、御了承ください。
 本日、オンラインでの御参加の委員に向け、何点かお願い事項がございます。会議参加に当たり、ビデオカメラはオンにしていただき、マイクはミュートにしてください。発言時はマイクをオンにしていただき、名前をおっしゃった上で発言をお願いいたします。発言が終わりましたらマイクをミュートに戻してください。御不明な点がございましたら、事前にお伝えしている電話番号までお問い合わせください。
 本日の出欠状況につきまして、御報告いたします。張替委員、持田委員、山下委員より欠席の連絡をいただいております。
 以降の議事進行につきましては、水澤委員長にお願いいたします。
○水澤委員長 それでは、まず資料の確認をお願いいたします。
○中村補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 資料は、議事次第のほか、資料1、資料2、参考資料1~5となっております。
 不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
○水澤委員長 資料のほうはよろしいでしょうか。
 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
 本日の1つ目の議事では、前回に引き続き、新規の疾病追加について情報提供のあった個別の疾病について、委員の先生方に御議論をいただきたいと思います。
 それでは、事務局のほうから御説明をお願いいたします。
○原補佐 それでは、骨・関節疾患の1疾病及び腎・泌尿器疾患の3疾病について御説明いたします。
 骨硬化性疾患につきまして1ページを御覧ください。
 こちらは、過去検討はされていない疾患です。
 本疾病は、全身性にびまん性の骨硬化を来す疾患群で、骨硬化性骨幹端異形成症、濃化異骨症、異骨性骨硬化症など概要に記載の多くの疾病を含んでおり、顔面骨の骨肥厚に伴う脳神経障害や病的骨折、下顎骨などに骨髄炎を伴いやすいとあります。また、類似する疾患として大理石骨病が指定難病に指定されております。
 患者数は100人未満、発病の機構は破骨細胞の形成や機能の、骨のリモデリングに関連する複数の遺伝子異常が同定されておりますが、発病に至るメカニズムは不明と報告されています。効果的な治療方法は未確立で、頭蓋骨や顔面骨の肥厚に伴う脳神経障害に対し、脳神経外科的な手術介入がなされるが、骨硬化が著しいため治療は難渋し、骨折に関しても手術による固定材の刺入が困難で骨癒合も遷延化するとあります。長期の療養に関しては、一般的に生命予後は良好であるが、成人期以降では骨折の遷延治癒や偽関節、骨髄炎症、視力・聴力障害などが日常生活における問題となるとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ25%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本整形外科学会の承認を得ております。
 続きまして、先天性低・異形成腎につきまして6ページを御覧ください。
 平成27年度、平成28年度、平成29年度、平成30年度、令和3年度には、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていない、また令和3年度には「長期の療養を必要とする」との要件も満たしていないと判断することが妥当とされました。
 今回はDefiniteの要件に遺伝子検査が追加されております。
 本疾病は腎実質の発生異常で、両側性に発症した場合には腎機能障害が必発であり、小児慢性腎臓病の約60%を占めるとあります。
 患者数は約8,450人未満、発病の機構は不明で、治療方法は慢性腎機能障害に対する対症療法と末期腎不全に至れば腎代替療法が必要とあります。長期の療養に関しては、小児期の腎移植例は,成人期に移植腎機能が廃絶し二次移植や再透析導入が必要となり、保存期腎不全状態のまま成人に移行した場合、成人期以降で腎代替療法が必要となる例も存在するとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は約28%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児腎臓病学会、日本腎臓学会の承認を得ております。
 続きまして、バーター症候群について12ページを御覧ください。
 平成27年度、平成28年度には、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていない、また平成29年度、平成30年度、令和3年度には、バーター症候群/ギッテルマン症候群の疾病名で「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 今回はギッテルマン症候群を対象から除き、重症に該当する割合が明らかにされております。
 本疾病は先天性尿細管機能障害によって生ずる症候群で、低カリウム血症と代謝性アルカローシスを示し、全ての病型において、末期腎不全へと高頻度に進行するとあります。
 患者数は31人、発病の機構は、原因遺伝子は判明していますが、その病態は不明、治療方法は未確立で対症療法のみとあります。長期の療養に関しては、生涯にわたるカリウム補充と腎不全に対する治療や腎代替療法が必要とございます。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は25%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児腎臓病学会、日本腎臓学会の承認を得ております。
 続きまして、ロウ(Lowe)症候群について21ページを御覧ください。
 平成27年度、平成28年度、平成30年度、令和3年度には、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 今回は遺伝学的検査を必須とするDefiniteのみが指定難病の対象となっております。
 本疾病は先天性白内障、精神運動発達遅滞などの中枢神経症状、低分子蛋白尿、近位尿細管性アシドーシス、低リン血症などを呈するFanconi症候群を3主徴とするX 染色体連鎖型遺伝疾患であり、腎障害は進行性で末期腎不全に至るとあります。
 患者数は約120人、発病の機構は不明、治療方法は未確立で対症療法のみとあります。長期の療養に関しては、30~40代で末期腎不全に至ることが多く、透析または腎移植が必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は80%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児腎臓病学会、日本腎臓学会の承認を得ております。
 事務局からは以上となります。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 ただいま御説明のありました4疾病について、要件を満たす、満たさないということを含めまして、判断をいたしたいと思います。御意見や御質問はいかがでしょうか。ございますでしょうか。
 順番に、最初の疾患が骨・関節疾患で、その後の3つが腎臓疾患ですので、まず最初に骨硬化性疾患について御議論いただければと思いますが、どなたか御意見はございませんでしょうか。
 この疾病につきましては、御説明がありましたように、非常に包括的な名称になっていまして骨硬化性疾患ということで、教科書の1章分くらいの名前になっているかなとは思われます。概要に書いてある御説明ですと、骨硬化性骨幹端異形成症から始まって、頭蓋骨幹異形成症まで13項くらいの疾患が並んでいて、かつ、などを含む概念という御説明です。遺伝子も物すごくたくさん載っておりまして、恐らくこういうことが重症度分類を用いた場合の対象となる患者さんの比率が25%程度であるという低い数字にもつながっているのではないかなと予測されると思います。したがいまして、もう少し整理をして、まとまった形で出していただいたほうが、指定難病としての議論はしやすいのではないかなと思われます。
 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 これはそういう意味では遺伝子診断が必須かと思うのですけれども、3ページの診断基準のところを拝見しますと、診断のカテゴリーのところで、例えばDefinite1、2、Probable、ミスプリントかもしれませんが、文章を読んでいきますと、Cの鑑別すべき疾患となっています。Cは遺伝学的検査なので、鑑別の対象はEだと思うのです。そうしますとCの遺伝学的検査はどこにも入らないということになってきて、こういったことを含めてきちんと検討していただいたらいいのではないかなと思いました。
 何か追加のコメントはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。そういう意味では、少し時期尚早かなと思われますが、そういうことでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○水澤委員長 私から見える範囲で皆さんうなずいていらっしゃるので、御賛同いただけたと判断したいと思います。ありがとうございます。
 次が先天性低・異形成腎から始まる3疾患は腎臓疾患ですので、こちらについては和田先生がおられたらコメントいただけますでしょうか。
○和田委員 ありがとうございます。和田でございます。
 先天性低・異形成腎に関しましては、これまで2つの要件「診断に関する客観的な指標による一定の基準が定まっている」、また「長期の療養を必要とする」、この2つの要件のことでこれまで議論があったと思います。
 今回新たに客観的な診断基準として遺伝子検査を追加したというのは、学問の進歩ということもあろうかと思います。
 一方で、重症に該当する割合が28%というところがございます。そこが議論になっていくのではないかと思います。
 それから、バーター症候群に関しては、先ほども御説明がありましたように、ギッテルマン症候群を除外して、バーター症候群に絞って申請をされてきているということです。それによって重症に該当する割合が増えてきている。その中でも25%と。こちらもこの25%という数字が議論の対象になってくると私は思います。
 次のロウ(Lowe)症候群に関しましては、診断に関することがこれまで議論されてきたと思います。今回新たに遺伝子診断が必須となったということもあり、ロウ(Lowe)症候群は今回要件を満たすのではないかなと私は考えています。
 以上でございます。
○水澤委員長 コメントありがとうございました。
 そうしますと、先天性低・異形成腎とバーター症候群は、重症度といった面で合致しないけれども、ロウ(Lowe)症候群のほうは合致するのではないかという御意見であったと思います。
 ほかに追加のコメント等いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
 今の御説明のとおりに判定したいと思いますけれども、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○水澤委員長 今度も拝見する限り皆さんに首肯いただきましたので、そのように判定したいと思います。
 それでは、次の疾病について、事務局からの御説明をお願いいたします。
○原補佐 続きまして、染色体・遺伝子異常につきまして、5疾病の説明をいたします。
 8p23.1欠失/重複症候群について27ページを御覧ください。
 過去検討はされていない疾患です。
 本疾病では8番染色体の8p23.1領域の欠失/重複により、心房中隔欠損や発達の遅れ、成長障害、小頭症、特徴的顔貌などが認められるとあります。
 患者数は数千人程度、発病の機構はほぼ全て遺伝子の突然変異によると報告されています。治療方法は心房中隔欠損に対しては症状によって外科的治療を行い、多動や行動障害に対しては、環境調整や必要に応じた薬物療法を行うとあります。長期の療養は必要で、重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ50%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児遺伝学会の承認を得ております。
 続いて、15q26過成長症候群について30ページを御覧ください。
 過去検討はされていない疾患です。
 本疾病は15番染色体長腕末端近くのq26に位置するIGF1Rのコピー数増多により過成長、知的能力障害、特徴的顔貌、先天性心疾患、腎尿路系形態異常、骨格系の異常などを示す症候群とあります。
 患者数は100名程度、発病の機構はIGF1Rのコピーコピー数増多によると報告されております。治療方法は未確立で、内臓形態異常に対しては外科的な処置が必要となる場合があります。長期の療養は必要で、重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ50%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児遺伝学会の承認を得ております。
 続いて、12q14微細欠失症候群について32ページを御覧ください。
 こちらも過去検討はされていない疾患です。
 本疾病では12番染色体のq14領域の欠失により、成長障害、知的能力障害、骨粗鬆症などが認められるとあります。
 患者数は100名程度、発病の機構はほぼ全て遺伝子の突然変異によると報告されております。治療方法は未確立、長期の療養は必要で、重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ50%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児遺伝学会の承認を得ております。
 続いて、17q21.3微細欠失症候群について36ページを御覧ください。
 こちらも過去検討はされていない疾患です。
 本疾病では17番染色体のq21.3領域の欠失により、低出生体重、児新生児の筋緊張低下、乳児期の摂食不良、発達の遅れが一般的な特徴とあります。
 患者数は約2,000名程度、発病の機構は非アリル間の染色体組換えが原因とあります。治療方法は内臓の形態異常に対しては外科的な処置が必要な場合があり、てんかんに対しては、発作型に合わせた治療が必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ50%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児遺伝学会の承認を得ております。
 続いて、VEXAS 症候群について41ページを御覧ください。
 こちらも過去検討はされていない疾患です。
 本疾病はUBA1の体細胞遺伝子異常により成人後期に発症する治療抵抗性の自己炎症症候群で、多彩な全身性炎症症状を呈し、しばしば血球減少や骨髄異形成などの造血障害を伴うとあります。
 患者数は100人未満、発病の機構は不明、効果的な治療方法は未確立で、副腎皮質ステロイドは、治療初期には自己炎症症状に対して有効性を示すが、長期にわたって中等量以上の内服継続を要することが多く、生物学的製剤やメチル化阻害剤を併用するなどの治療強化が試みられているとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ80%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本リウマチ学会の承認を得ております。
 ただ、診断基準に関して、疾患関連が不明なバリアントもProbableで指定難病の対象になっており、また、Definiteの疾患関連の体細胞バリアントの証明についても専門家に相談が必要と補足があり、具体的な遺伝子異常の記載は今回ございません。
 事務局からは以上となります。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 染色体・遺伝子異常に属する5つの疾患の御説明をいただきました。御議論いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。コメントや御質問等ありましたら、お願いいたします。どうでしょうか。
 それでは、申し訳ないのですけれども小児科ということで、石毛先生、何かコメントはないでしょうか。
○石毛委員 石毛です。
 遺伝子や染色体のところは進歩が著しいですので、疾患が分かってきて、グループがつくれるようになったということだとは思うのですけれども、それぞれの疾患、全てではあるのですが、人数とか病気の全体像とかが御記載があまり詳細ではないといいますか、御専門の先生はこれでお分かりになるかもしれないのですけれども、これで全部本当にこれを鑑別できるのか、確実に診断できるのかというところが、まだこちらの書類では難しいのではないかと思うのですが、皆様いかがでしょうか。
○水澤委員長 そのようなコメントをいただきました。実際、今それをお伺いして見ていますと、概要から要件の判定に必要な事項、情報提供元に至るまで1ページで余りが出てしまうような感じの状況でもあるということは、そのとおりかなと思います。確かにもう少し詳しい記載があったほうが、我々が判定したりする上では非常に助かりますね。
 ほかの皆様、いかがでしょうか。
 高橋先生、お願いします。
○高橋委員 皆様と同じ御意見なのですけれども、読んでいても全体像が把握できない概要になっておりまして、申請するにはまだ十分な書類になっていないのではないかなという気がいたします。
 それともう一点は、学会承認として基本的に日本医学会の分科会の承認が必要であると理解をしていましたが、どうもその承認がないような気がいたします。
 あと、患者数もかなりアバウトな表現でありまして、どのような調査に基づいてこのデータが出てきたのかということもあまりはっきりしないということなので、少しその辺を詰めていただいてから、もう一度また申請をしていただくということもいいのかなと個人的には思います。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 私のほうの説明が不十分であったかもしれませんけれども、今の議論は最初の4疾患に該当する議論かと理解しております。染色体の番号が8pとか15q、12q、17qといった形で病名に入っている4疾患と御理解いただければと思います。
 石毛先生、それでいいのでしたね。VEXASはまた少し違いますので。
○石毛委員 そのとおりです。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 石毛先生、高橋先生からのコメントがございましたけれども、いかがでしょうか。現段階では、まだ資料の整備状況も不十分であるということと、重症に相当する方の割合も、50という数字が出てはおりますけれども、半分しかないという見方もできるとは思いますし、いろいろなところの数字がもう少し詳しくなればこちらも変わってくるのではないかなと思われますので、現段階では指定難病としては難しいという御判断でよろしいでしょうか。
 どうぞ。
○筒井委員 循環器の立場から発言させていただきます。
 我々がほとんど経験したことがないような患者さんなのですけれども、一番最初の症候群では、先天性心疾患として心房中隔欠損症の合併があるということなのです。それはそこを明記されているのですが、それ以外の症候群も先天性心疾患の合併があるということが記載されているのですけれども、先天性心疾患の中で心房中隔欠損症ですと、基本的には重症ではない。手術を行う場合やカテーテル治療を行う場合はありますけれども、先天性心疾患としてはさほど重症ではないということと、先天性心疾患の合併だけでは、どういった心疾患なのか分かりませんし、重症度の判定もそれだけではできないので、先ほどから御指摘のとおりで、先天性心疾患が重症度分類の項目に入っていますが、具体的にどういう先天性心疾患なのかということについても記載していただきたいと思います。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございます。特に循環器の立場から、より詳しい記載が必要だというコメントかと思います。
 ほかにはどうでしょう。よろしいでしょうか。大丈夫でしょうか。
 それでは、これまでの御意見をもちまして、この4疾患につきましては、指定難病としては今は適切ではないと判断したいと思います。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○水澤委員長 ありがとうございます。そのように判定したいと思います。
 それでは、VEXAS症候群につきましては、記載は少し長くあるように思いましたが、いかがでしょう。どなたかコメントいただけますでしょうか。
 お願いします。
○桑名委員 この疾患自体が責任遺伝子を含めて同定され、疾患概念として把握されてまだ数年の新しい疾患概念で、今回申請いただいた研究班でかなり積極的に情報収集をして、今回提出できたと理解しています。本疾患自体は後天的なクローン造血、それも遺伝子異常を伴うものによって、多彩な血球系細胞における異常が自己炎症を起こすという病態までは分かっていますが、発病の機構はいまだに不明でありますし、治療法も明確なものはありません。比較的高齢の男性がほとんどで、重症な症例が多いのも事実でございます。疾患概念として確立はされ、ある程度の重症度、あるいは長期の療養を必要とする点においては難病の基準に合致するとは思うのですが、今回提出された書類を見た場合、まだ情報として詰め切れていないと感じるところがございまして、1つは診断でございます。本疾患はあくまで後天的な遺伝子の変異で規定される疾患群であるのですが、診断基準の中に含まれているバリアントについて、既に疾患関連のものが証明された場合はDefinite、不明なバリアントが証明された場合はProbableとするという記載、ここのところがまだこの病気の本体が詰め切れていないのかなと。Probableというものに関して、本当に本疾患概念が含められるのか、含められないのかというところが、少しまだ分かっていないのかなと。
 一方で、臨床症状から非常に多彩な症状を来しますので、鑑別疾患を含めて診断していくのは難しいということを考えますと、特にバリアント、診断の根拠になる部分について、もう少し基礎的な遺伝子変異のデータが必要かなと思いました。
 もう一点は重症度分類でございますけれども、非常にシンプルでプレドニゾロン換算、10ミリ以下のプレドニンの減量ができない。あるいは、合併するMDSに伴う造血障害で輸血を月1回以上必要とするという、基準そのものが重症度というよりも診療内容、すなわち担当医の診療によって変動し得るものであるという部分がございまして、まだ重症度分類というところではきちんと構築できていないのかなと思います。
 したがって、研究班のほうでもう少し研究、情報収集を進めていただき、診断基準や重症度分類をもう少し精度の高いものとしていただければ、将来的な合致ということはあり得るとは思うのですが、まだ少し時期として早いかなという印象でございます。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございました。非常に詳細に的確な御説明をいただいたと思います。
 私も全く同感でありまして、44ページの鑑別診断だけでも14も上がっておりますし、一番下の診断につきましては、事務局も言っておりましたけれども、これは体細胞バリアントということだと思いますが、バリアントの証明そのものが45ページの参考事項を見ますと専門家に相談しないとなかなか分からないと。私も未診断疾患プロジェクトの中で新しいバリアントが見つかったという御報告を聞いたことがありまして、今そういう時期に当たるのだろうと思います。その下の重症度分類につきましても2項目しかなくて、今の御説明のとおりだと思われます。
 今のような御意見、それから追加のコメント等ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、今御説明いただいたような点を含めまして、少し時期尚早であると。疾患概念がまだ十分に理解されてこなされていないということを付記しておきたいと思います。お認めするには少し時期尚早であると判断したいと思います。
 そうしますと、ここのセクションの5疾患はいずれも指定難病に該当しないと判定したいと思います。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○水澤委員長 ありがとうございました。では、そのように登録していただきたいと思います。
 その次の御説明をお願いいたします。
○原補佐 続きまして、皮膚・結合組織疾患について5疾病の説明をいたします。
 薬剤性過敏症症候群について47ページを御覧ください。
 平成27年度、平成28年度には、「発病の機構が明らかではない」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病は薬剤摂取が契機となり発症時には皮疹、発熱、多臓器障害を生じ、回復期にはヘルペスウイルス感染症及び自己免疫疾患を生じるとあります。
 患者数は70人、発病の機構は不明、治療方法は薬剤性過敏症症候群を起こし得る薬剤の中止とステロイド薬の全身投与とあります。長期の療養に関しては、しばしば後遺症を残すため必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は30%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本皮膚科学会の承認を得ております。
 続いて、化膿性汗腺炎について53ページを御覧ください。
 家族性化膿性汗腺炎の疾病名で、平成28年度、平成29年度、平成30年度には、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていない、また平成30年度には「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、令和3年度には化膿性汗腺炎の疾病名でも「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病は思春期以降に腋窩や鼠径部、臀部などアポクリン汗腺の多い部位に痛みや発赤を伴う硬結が多発し皮下膿瘍を形成し、悪化すると排膿を繰り返し、瘻孔を形成し、肥厚性瘢痕になっていくとあります。
 患者数は約4,900人、発病の機構は不明、治療方法は抗生剤や免疫抑制剤などの内服療法、外科的切除による対症療法とあります。長期の療養は、生涯にわたり症状を繰り返すため必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は8.2%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本皮膚科学会の承認を得ております。
 続いて、壊疽性膿皮症について59ページを御覧ください。
 こちらは過去検討はされていない疾患です。
 本疾病は慢性に経過し繰り返す蚕蝕性の皮膚潰瘍を特徴とする疾患で、主に下腿に単発もしくは多発するとあります。
 患者数は約7,366人、発病の機構は不明、治療方法は副腎必須ステロイドや抗TNF抗体による対症療法とあります。長期の療養に関しては、本邦における統計はないが、抗TNF抗体であるアダリムマブの治験での平均罹病期間が3.3年だったとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は10%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本皮膚科学会の承認を得ております。
 続いて、穿孔性皮膚症について65ページを御覧ください。
 令和3年度には「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病は経表皮的に変性した真皮成分が外部に排出される病理組織的所見を特徴とし、掻痒を伴うとあります。
 患者数は1万人程度、発病の機構は不明、治療方法は掻痒に対して抗アレルギー薬が使用され、紫外線療法、冷凍凝固、レーザー照射などが行われているが難治性とあります。長期の療養は、特になしとあり、重症度分類を用いた場合、対象となる患者は8.2%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本皮膚科学会の承認を得ております。
 続いて、遺伝性掌蹠角化症について70ページを御覧ください。
 平成29年度、令和3年度には、掌蹠角化症の疾病名で「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 非遺伝性の定義が曖昧であることから、今回は遺伝性に限定しております。
 本疾病は掌蹠を中心に角質の肥厚や紅斑を認める疾患で、病型ごとにその程度や皮疹の範囲、そのほかの随伴症状は大きく異なるとあります。
 患者数は147人、発病の機構は不明、治療方法はビタミンD3外用薬や角質融解外用薬、ビタミンA誘導体内服薬があるが効果は限定的とあります。長期の療養は、足底に生じる病型では、強い疼痛により歩行が困難になり、日常生活に支障を来すとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は60%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本皮膚科学会の承認を得ております。
 今回、遺伝性掌蹠角化症となっておりますが、診断基準に関して、Definite2では、遺伝子診断は必須とはされておりません。
 事務局からは以上となります。
○水澤委員長 御説明ありがとうございました。
 ただいま御説明のありました皮膚・結合組織疾患の5疾患につきまして御議論いただきたいと思います。御意見や御質問、いかがでしょうか。錦織先生、もしよろしければコメントをお願いできますでしょうか。
○錦織委員 皮膚科の錦織です。
 今御説明いただいたところで大体よろしいかと思うのですが、最初から順番にいきますと、薬剤性過敏症症候群は、薬剤がきっかけとなって突発性発疹の原因ウイルスであるHHV-6の再活性化というところが伴って起こってくるという少し複雑な病態で、エフェクターTと制御性T細胞とのバランス異常が生じ、皮疹だけではなくて内臓などの臓器障害も生じるというところが特徴です。普通の薬疹と比べると発症迄の期間が少し延びるということと、軽快に要する時間も非常に長くて遷延する。そして、治ったと思っても後で免疫再構築症候群のような形で、自己免疫疾患を合併するような病態が起こるというところで非常に複雑なのです。
 今、病態が分かってきたというところですが、薬剤性というところが1つ原因としてあるということと、確かに長期にわたって療養される方は多いですが、治る方も一方では結構おられるということで、重症度分類でも重症に合致する方は30%ということも考えると、我々が考えている指定難病の疾患概念とは若干ずれるかなと思います。
 次の化膿性汗腺炎は、アポクリン汗腺の部位に生じる慢性の疾患ではあるのですが、この疾患も確かに重症の方はおられます。座位の仕事が随分ある運転士さんとか、そういう方で臀部とかにずっと慢性的に化膿性の病変があって、入退院を繰り返されるような方もおられるのですが、今少しお話にあったような治療でうまくいく例もありますし、何といってもそれほど重症の方がおられるものの、10%以下、重症に相当する方は8.2%ということでしたし、一生続く疾患というわけでもない。随分長いこと持っておられる方もおられますけれども、軽快している時期があるという方もおられるので、長期にわたってずっと療養が続いて、治らないというものでもないかなと思います。治療なしでいけている人もおられます。
 次の壊疽性膿皮症に関しても、我々としては重症感のある方は確かにおられると思っております。炎症性腸疾患の合併とか、慢性関節リウマチの合併もあったりして、それなりに入院治療が必要で、数か月にわたる入院という方が多いということも事実ですけれども、一方で軽快される方もおられるところです。実際の日本での症例の分布というのは、全国調査のような形で詳しくはされていないのではないかと思うのですけれども、一応研究班からの報告では、重症と言われる方が10%という形です。先ほど御紹介がありましたアダリムマブ、抗TNF-α抗体製剤を処方する例も比較的あったりして、最近そういう製剤を使うとかなりよくなってきているというところもありまして、そういう製剤を使うというところで指定難病を申請してきているという可能性もあるのですけれども、その辺りが重症度の割合などからすると、今までの議論を踏まえると少し難しいのかなという印象です。確かに重症の方が多くて、罹病期間が非常に長い方も多いですけれども、今までの議論からすると少し届かないかなという印象を持っております。
 穿孔性皮膚症に関しては、中には難治性で瘙痒が激しい人もおられますが、難病の定義からして、長期にわたる療養という疾患ではないので、この疾患はあまりそぐわないかなと考えております。
 遺伝性掌蹠角化症に関しては、掌蹠角化症は基本的には遺伝性のものがほとんどなので、病名が変わったということ自身はあまり違和感はないのですけれども、病名にあるとおり、基本的に病変の範囲は掌蹠の方が多くて、もちろん症候性ということで、ケラチンの異常によって、ほかの臓器にも症状が及ぶ(症候性)のものもありますけれども、そういう方は非常にごく僅かです。ですので、多くの患者さんが掌蹠の角化、あるいは掌蹠から少し近位に及ぶ角化というところで、当然掌蹠ですから足底の角化も非常にひどくなる症例もあって、そういう症例ですと歩行困難、日常の生活は非常に困難な方がおられます。そして遺伝性なので、この疾患の場合は一生それが続くということですけれども、重症度の割合ということからすると、重症度を満たしている方は少ないのではないかと。とても半分もいない、50%はいないだろうなという印象ですので、当てはまらないかなと私は考えました。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございました。5疾患全てについてコメントいただきました。
 ほかの委員の皆さん、いかがでしょうか。
 今の錦織先生の御説明のとおりかなと私も拝見しておりましたけれども、追加でコメントされる先生方はおられませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 全体として重症度が重症に相当する方の比率は少ないということで、最後の遺伝性掌蹠角化症は約6割という書き方はあるのですけれども、掌蹠に限定している方が非常に多いといったことを含めて、この部分が一つ大きなファクターだという御説明だったと思います。
 最初の薬剤性過敏症症候群、DIHSにつきましては薬剤性ということ、また感染症の再活性化といった機構等が通常の指定難病には合わないのではないかといったこと。
 それから、壊疽性膿皮症では我が国の統計がまだ十分にないということで、予測では7,000名を超える方々がおられるような数値も出ていますので、これはきちんと調べていただくのがいいのではないかといったコメントもあったかと思います。
 そういうことで、全体としては指定難病には該当しないのではないかということだったと思いますけれども、ほかの論点なり、あるいは追加のコメントがもしありましたらお願いいたします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○水澤委員長 そうしましたら、皆さん御同意いただいたと判断して、この5疾患につきましては指定難病に該当しないと判断したいと思います。
 そうしますと、最初の議題につきましては、ここまでで全部終わったのですか。
 事務局のほうからおまとめをお願いいたします。
○原補佐 1つ目の骨硬化性疾患に関しましては、重症に該当する割合が低いこと、また、疾患としての整理がさらに必要ということから、「長期の療養を必要とする」の要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 2つ目の先天性低・異形成腎に関しましては、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 3つ目のバーター症候群に関しましても、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 4つ目のロウ(Lowe)症候群に関しましては、承認されたと認識しております。
 5つ目から8つ目の8p23.1欠失/重複症候群、15q26過成長症候群、12q14微細欠失症候群、17q21.3微細欠失症候群に関しましては、疾病の情報、患者数などについてもう少し詳しいデータが必要ではないかと御意見をいただいており、また、重症に該当する割合も低いことから、「長期の療養を必要とする」、また「客観的な診断基準が定まっている」との要件を現時点では満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。また、学会承認について日本医学会分科会の承認をいただくようコメントもいただいております。
 9番目のVEXAS 症候群に関しましては、診断基準、重症度分類に関し精度を高める必要があるとコメントをいただいており、現時点では「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 10番目の薬剤性過敏症症候群に関しましては、薬剤性という点で「発病の機構が明らかではない」との要件を満たすことは難しく、また重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 11番目の化膿性汗腺炎に関しましては、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 12番目の壊疽性膿皮症に関しましても、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 13番目の穿孔性皮膚症に関しましても、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 14番目の遺伝性掌蹠角化症に関しましては、重症に該当する割合についてそれほど多くはないのではないかとコメントをいただいており、現時点では「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 事務局からは以上です。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 ただいまの取りまとめの御説明につきまして、御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○水澤委員長 ありがとうございます。それでは、御承認いただいたものとしたいと思います。
 議題1につきまして、全体を通じて何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、1つ目の議事は終了といたしまして、2つ目の議事「既存の指定難病の研究進捗状況に関する検討の進め方について」、委員の皆様から御意見をいただきたいと思います。
 最初に事務局のほうから説明をお願いいたします。
○中村補佐 それでは、資料2を御覧ください。「既存の指定難病の研究進捗状況の確認に関する検討の進め方について」、御説明いたします。
 おめくりいただいて、1ページですけれども、昨年12月27日の指定難病検討委員会で取りまとめていただいた「厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会における指定難病に関する検討の基本指針」において、指定難病の対象となる疾病に係る考え方についてお示ししております。
 こちらの基本方針において、既に指定難病に指定されている疾病については、指定難病検討委員会において研究の進捗状況を適宜確認し、調査研究及び医療技術の進展により得られた治療方法等により「長期の療養を要しない」または「重症者の割合が減少する」等、指定難病の要件に合致しない状況であると判断される場合には、難病法の趣旨・目的に照らし、対象疾病の見直しについて検討するとされたところです。
 こちらの基本方針につきましては、12月の委員会でも御説明しましたように、これまでの議論に基づいて記載したものとなります。これまでの議論を簡単にまとめましたものが4ページ以降にございますので、御説明させていただきます。
 おめくりいただいて、4ページ、法制定時の議論ですけれども、法制定時の難病対策委員会の取りまとめでは、効果的な治療方法が確立するなどの状況の変化が生じた対象疾患については、対象疾患等検討委員会、これは当時の仮称ということで、現在の指定難病検討委員会に相当しますけれども、こちらにおいて定期的に評価し、見直すこととするとされています。
 また、法制定時の附帯決議では、対象疾病の見直しに当たっては、患者数だけでなく、患者の治療状況や指定難病に指定された経緯等も考慮しつつ、慎重に検討することとされています。
 おめくりいただいて、5ページ、直近の議論ですけれども、平成31年3月の指定難病検討委員会において取りまとめられた「今後の指定難病の検討の在り方について」では、指定難病の指定後の状況を当委員会でフォローしていくとともに、治療方法の進歩に伴い、指定難病とは言い難いような状況の変化が生じていると判断される疾病の取扱いの方向性について、検討を行う必要性が指摘されました。
 これを受けて、令和元年6月の難病対策委員会・小慢専門委員会合同委員会で、今後検討するべき論点として、治療方法の進歩に伴い、指定難病とは言い難いような状況の変化が生じていると判断される疾病の取扱いの方向について検討を行うこととし、難病・小児慢性特定疾病研究・医療ワーキンググループでの検討を行いました。
 こちらのワーキンググループでの検討を踏まえて、令和3年7月の難病対策委員会・小慢専門委員会合同委員会において取りまとめられた「難病・小慢対策の見直しに関する意見書」では、指定難病検討委員会における指定難病の指定後の状況のフォローの結果、治療方法の進歩に伴い、長期の療養を要しなくなる等、指定難病の要件に合いたしない状況が生じていると指定難病検討委員会で判断される場合には、対象疾病の見直しについて検討することが適当であり、その際には、一定の経過措置等について検討することが妥当であるとされました。
 法制定時の議論や附帯決議、そしてこれまでの議論や意見書を踏まえて、昨年12月の指定難病検討委員会で、先ほども御説明しました基本方針を取りまとめたところです。
 おめくりいただきまして、9ページ、10ページにただいま御説明しました委員会の意見書等における各要件や留意点等に関する記載をまとめております。
 それでは、1ページにお戻りいただいて、下のほうですけれども、検討に向けたプロセスにつきまして、事務局のほうで整理をさせていただきました。
 具体的には、まず事務局において、既に指定難病に指定されている疾病について、指定難病の要件についての研究進捗状況に関する情報を研究班から収集し、取りまとめた上で、指定難病検討委員会に報告させていただきます。
 そして、指定難病検討委員会において、既に指定難病に指定されている疾病に関する研究進捗状況を確認し、指定難病の要件に合致しない状況であると総合的に判断される場合には、難病法の趣旨・目的に照らし、対象疾病の見直しについて検討いただくこととしております。
 おめくりいただいて、2ページ、今後のスケジュールの案ですけれども、本日、第56回指定難病検討委員会において、既存の指定難病の研究進捗状況の確認に関する検討の進め方等に関する議論をいただき、今月中には既存の指定難病の研究進捗状況について研究班へ情報提供を依頼し、4月には既存の指定難病の研究進捗状況について調査を実施、開始することを予定しております。
 これらの結果を踏まえて、令和6年度に予定しております指定難病検討委員会において、指定難病の新規疾病追加に関する審議と併せて、既存の指定難病の研究進捗状況の確認に関する審議を行う予定としています。この御審議をいただいた後、見直す内容などがありましたら、パブコメや疾病対策部会の報告、告示・通知改正等を経て、審議の結果の反映は令和8年度以降となることを予定しております。
 資料の説明は以上となります。
○水澤委員長 御説明ありがとうございました。
 議事の2につきまして、今、御説明いただきました。既存の指定難病の研究進捗状況を確認して、それを検討し、判定していくということでしょうか。その趣旨とプロセス、それから具体的なスケジュールというところまで御説明があったと思います。それの根拠というか背景になるものが、参考資料としてまとめられているという構成になっていたように思います。
 いかがでしょうか。御意見等お願いできますでしょうか。
 かなり詳しく御説明いただいたので、御質問等はあまりないかもしれませんけれども、スケジュールのところはどうでしょうか。大丈夫でしょうか。
 現在、2月22日の一番上のところです。各班に御依頼をすると。4月、年度が替わって実際に調査を実施していただくということで、その後、その結果に基づいてだと思いますけれども、研究進捗状況の確認に関する審議を行う。新規の追加症例もあるかもしれません。それも議論するということで、12月ぐらいですか、年末くらいを予定して、パブリックコメントも含めた形で対応しようということでしょうか。
 こういう時間的なスケジュールになっておりますが、大丈夫でしょうか。実際の反映は令和8年度以降になるという予定であります。よろしいでしょうか。特に御質問等ないでしょうか。そんなに無理のあるスケジュールではないようには思います。
 特になければ、お認めいただいたということでよろしいでしょうか。こういうスケジュールで進めていくということでよろしいのでしょうか。
 それでは、どなたも御異論ないと思いますので、御承認いただいたと判断したいと思います。ありがとうございました。
 それでは、事務局のほうでは、今のスケジュールに沿って調査等を進めていただければと思います。
 最後にその他について、事務局いかがでしょうか。
○山田課長 特にその他の議題もないかと思っております。委員の皆様方、ありがとうございました。
 次回の指定難病検討委員会の日程につきましては、後日改めて御連絡いたしたいと思います。
 事務局からは以上でございます。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、少し早いのですけれども、第56回「指定難病検討委員会」は終了としたいと思います。
 御協力どうもありがとうございました。