2024年3月18日 第191回労働政策審議会労働条件分科会 議事録

労働基準局労働条件政策課

日時

令和6年3月18日(月) 14:00~15:00

場所

AP虎ノ門 Aルーム
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

公益代表委員
荒木委員、安藤委員、川田委員、黒田委員、佐藤(厚)委員、藤村委員、水島委員、両角委員
労働者代表委員
大崎委員、川野委員、櫻田委員、冨髙委員、西尾委員、藤川委員、水野委員、世永委員
使用者代表委員
鬼村委員、佐久間委員、佐藤(晴)委員、鈴木委員、田中委員、鳥澤委員、兵藤委員
事務局
鈴木労働基準局長、増田審議官(労働条件政策、賃金担当)、黒澤総務課長、澁谷労働条件政策課長、田上労働条件確保改善対策室長、初鹿労働条件政策課課長補佐、小嶋労働条件企画専門官

議題

  1. (1)2022年度 年度評価について
  2. (2)家事使用人の雇用ガイドラインについて(報告事項)

議事

議事内容

○荒木分科会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第191回「労働政策審議会労働条件分科会」を開催いたします。
 本日の分科会も会場からの御参加とオンラインでの御参加、双方で実施いたします。
 本日の委員の出席状況ですが、使用者代表の松永恭興委員が欠席と承っております。
 なお、本日、公益代表の水島郁子委員におかれましては、所用のため途中で退席と伺っております。
 それでは、カメラ撮りはここまでということでお願いします。
 本日の議題に入ります。まず、本日の議題1は「2022年度年度評価について」であります。事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件企画専門官 事務局でございます。
 年度評価につきまして、お手元の資料№1及び参考資料により御説明いたします。資料№1の1ページ目を御覧ください。当分科会におきましては、2025年までの目標を2つ設定してございます。1つ目が年次有給休暇取得率を70%。2つ目が週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%とするものでございます。本日は、この目標の2022年度の進捗状況及び今後の方針等について御説明を申し上げます。
 まず、1つ目の目標である年次有給休暇の取得率につきまして、2022年度の実績は62.1%となってございます。次に、2つ目の目標である週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合につきまして、2022年度の実績は8.9%となっております。
 1ページ目の真ん中少し下の部分から施策の実施状況でございます。主な取組として働き方改革関連法の周知ということで、時間外労働の上限規制や年次有給休暇の年5日の取得義務等の幅広い周知。次のページに行っていただきまして、働き方改革に関する相談・支援ということで、働き方改革推進支援センターによる相談対応や、働き方改革推進支援助成金等による支援、また長時間労働の是正に向けた監督指導、年次有給休暇の取得促進に向けた取組ということで、10月の年休取得促進期間や夏季、年末年始など時季を捉えた集中的な広報などを実施してまいりました。
 3ページ目を御覧ください。2022年度の施策実施状況に係る分析でございます。この部分につきましては、お手元の参考資料に基づきまして御説明をさせていただきます。参考資料の1ページ目でございます。まず、目標1、年次有給休暇の取得率につきましては62.1%と、先ほど申し上げましたけれども、目標である70%とは乖離があるものの、皆様の御尽力もございまして、昭和59年以降最も高い数値となり、また8年連続の増加となったというところでございます。
 参考資料の3ページ目を御覧ください。企業規模別の年次有給休暇取得率の経年変化を掲載しておりますが、2022年の取得率は前年と比較しまして、いずれの規模別区分においても増加してございます。一方で、企業規模が小さいほど取得率が低いという状況になっておりますので、引き続き中小企業に対する支援に取り組む必要があると考えてございます。
 同じページの参考部分を御覧ください。令和4年度の意識調査によりますと、41.4%の労働者が「年次有給休暇の取得にためらいを感じる」または「ややためらいを感じる」と回答しております。この割合は令和2年度調査では52.7%、令和3年度調査では45.5%と年々減少してきております。ためらいを感じる理由としましては、一番下の部分でございますが、「周囲に迷惑がかかると感じる」「後で多忙になる」といったことが挙げられており、年次有給休暇の取得率向上のためには、引き続き年次有給休暇を取得しやすい職場の環境づくりが必要であると考えてございます。
 続きまして、参考資料4ページ目を御覧ください。2つ目の目標でございます。2022年の週労働時間40時間以上の雇用者のうち、週労働時間60時間以上の雇用者の割合は8.9%となり、目標の5%とは乖離があるものの、7年連続減少となった前年からは横ばいとなっており、また3年連続で10%を下回っている状況でございます。
 なお、先日発表されました労働力調査の結果によりますと、2023年は8.4%となり、目標には届かないものの減少している状況でございます。
 労働時間の状況については、今後の動向を十分に注視しつつ、長時間労働の是正のため、引き続き働き方改革の取組を推進していく必要があると考えてございます。
 では、最後に資料№1にお戻りいただきまして、4ページでございます。施策の達成状況を踏まえた評価及び今後の方針でございます。まず、①の目標につきまして、先ほど御説明させていただいたとおり、労使の皆様の御尽力もあり、着実に増加してきている状況でございます。目標の達成に向けまして引き続き丁寧な相談・支援の実施、各施策の周知等を行ってまいります。
 また、計画的付与制度や時間単位の年次有給休暇制度について取り組む企業の好事例を収集するなどし、周知を行うことを検討しております。
 ②の目標につきましては、労使双方の御尽力もあり、こちらも近年横ばいであるものの長期的には減少傾向でございます。
 これまで時間外労働の上限規制の適用が猶予されておりました建設の事業、自動車運転の業務等についても、いよいよこの4月に適用が開始されるという状況でございます。これらの事業・業種については、長時間労働の背景に取引慣行上の課題があり、上限規制の適用に向けては取引関係者、ひいては国民全体の理解を得ることが必要でございます。こうした状況を踏まえ、厚生労働省においては、取引関係者や国民全体に向けて国土交通省とも連携しながら、働き方改革の重要性や業界が抱える課題について周知広報を行っております。さらに、自動車運転者、特にトラックドライバーに関しては、長時間の恒常的な荷待ち時間を発生させないこと等に係る労働基準監督署による荷主要請、国土交通省のトラックGメンへの協力等の取組を行っております。
 また、医師に関しましては、ほかの職種との業務分担(タスクシフト/タスクシェア)等医療機関の勤務環境改善に向けた取組を支援するため、医療勤務環境改善支援センターによる相談対応、助言等の事業を実施しております。
 加えまして、働き方改革推進支援助成金において、建設業、自動車運転の業務、医師などについて、労働時間短縮等に向けた環境整備に取り組む中小企業を支援するためのコースを設置し、助成金の支給を行ってまいりました。こうした取組を令和6年度も引き続き実施することで、さらなる長時間労働の削減を図ってまいります。
 ページは5ページに移ってございます。また、今、上限規制の適用が猶予された業種について申し上げましたけれども、そういった業種以外においても目標に対し実績が低調なものが認められている状況でございます。目標の達成に向けて、引き続き労働時間相談・支援班や働き方改革推進支援センター等での丁寧な相談対応や、各種支援制度の周知を実施するとともに、各業種における年次有給休暇取得促進や労働時間削減に向けた取組の好事例を展開していくこと等により、企業における働き方・休み方の見直しに向けた自主的な取組を推進してまいります。
 さらに、企業における働き方・休み方の見直しに向けた取組を促進するためには、労使の皆様のみならず、国民の皆様に対しても年次有給休暇の取得、長時間労働の削減のための対策等の重要性を理解いただく必要がございます。
 このため、10月の年次有給休暇取得促進期間や11月の過労死等防止啓発月間等の機会を通じて周知・啓発に努めてまいります。
 事務局からの説明は以上でございます。よろしくお願いいたします。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ただいまの事務局の説明について、御質問・御意見があればお願いいたします。なお、オンライン参加の委員の皆様におかれましては、発言希望の旨をチャットに書き込んでお知らせください。いかがでしょうか。冨髙委員、どうぞ。
○冨髙委員 御説明いただきありがとうございました。
 目標2の労働時間について一言意見を申し上げたいと思います。まず、週労働時間60時間以上の雇用者の割合ですけれども、2022年は全産業で見ても若干増加となっておりまして、先ほど2023年の状況も説明がございましたが、資料を見ますと、運輸業・郵便業、宿泊業・サービス業で1~2%程度増加していることについては、重く受け止める必要があると考えております。
 また、いよいよ来月から適用猶予業種に対する時間外労働の上限規制の適用が開始されますけれども、自動車運転者に対する改善基準告示、医師の上限時間数は、ほかの産業と比べて非常に高い水準でございます。まずは新たな基準の下で着実に長時間労働の是正を進めていくことが重要だと考えております。
 その際には、資料1の4ページにも記載がございますが、短工期の発注や長時間の荷待ちといった取引慣行、また適正な運賃の収受、価格転嫁、こうしたものを含めた商慣行の是正というものを取組の両輪として進めることが非常に重要だと思っておりますし、ここには国民全体の理解と協力が不可欠だと考えております。この4月を前に厚労省においても非常に様々な取組をしていただいていると認識しておりますけれども、上限規制の適用後も監督指導の徹底のみならず、労基署による荷主の要請、他省庁との緊密な連携をぜひお願いしたいと思っております。
 また、業種ごとの資料等も出していただいておりますが、既に上限規制が適用されているところも含めて働き方改革が進展しているのか把握するとともに、業種ごとの違いもあると思いますので、中小企業を含めて働きかけを引き続きお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 オンラインのほうから発言希望が出ております。まず、佐藤委員、お願いいたします。
○佐藤(晴)委員 ありがとうございます。
 私からは年次有給休暇に関して2点意見、コメントを申し上げたいと思います。
 1点目は、今回の御説明によりますと、年休取得率が年々増加しているということで、各企業がその取得促進に取り組んできた成果が出ているということですので、その結果については評価されてしかるべきだと思っております。
 一方で、意見ですけれども、年休取得率70%ということですけれども、この70%という数値の目標の達成が目的になっては本末転倒だと思っております。と申しますのも、年休の本来の趣旨、社員の皆さんが心身のリフレッシュをして、メリハリのある働き方をするために休暇を取得するというような本来の目的、趣旨がしっかりと理解されて、そして取得するように促していくというのが大事でして、その結果として取得率という数字が出てくると思っておりますので、決して目標の達成が目的にならないように取組を進めていく必要があるというのが1点目です。
 2点目は、その観点から言えることだと思うのですけれども、現在厚生労働省の労働基準関係法制研究会においては、委員の方から年初に時季指定をすることが望ましいといった御意見もあると伺っておりますが、こちらは、全てを否定するわけではないのですけれども、ともすると企業実態に合っていない部分もあると思っております。例えば弊社の場合ですと、鉄道の運行を行っておりますことで、例えば臨時列車の運行や突発的な事象への対応というのがなかなか困難になってしまうということ。また、育児ですとか介護などで御自身で急遽休暇が必要な場合に年休を取ることが難しくなるような傾向になってしまうと。実態として年初に時季指定をすることでそういった課題も起こってくると考えられますので、年休については先ほど申したような本来の趣旨、それから企業とか労働者の実態に即した検討をお願いしたいと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 続いて、鳥澤委員、お願いします。
○鳥澤委員 ありがとうございます。
 私のほうからも意見を1点申し上げさせていただきます。実施状況の分析にも記載があるとおり、2022年度まではコロナの影響も考えられ、経済活動が回復した2023年度以降の数値を注視するということが大切であると考えております。日商が1月に実施した調査では、中小企業の3社に2社、65.6%が人手不足と回答しており、厳しい人手不足の状況が続いております。また、有給休暇取得率が低い、労働時間が長い運輸業や建設業、飲食業では、日商の調査でも人手不足と感じる割合が他の産業よりも高くなっております。人材の確保・定着を進める上でも有給休暇取得率の向上や労働時間短縮の重要性は理解しつつも、足元の人手不足に対する取組がなかなか進まない状況でございます。
 今後生産年齢人口が減少し、コロナの影響が終わり、経済活動が活発になると、さらに人材の確保が困難になると予想され、これまでのやり方ではますます対策が進みづらくなることが懸念されております。厚労省における働き方に関する相談・支援も大変重要ですが、それだけではなく、機械化、デジタル化支援、省力化支援など抜本的な支援による底上げが必要になってくると考えております。他省庁の支援制度の活用など、省庁の枠にとらわれない支援を講じていただきますようお願いいたします。
 私からは以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 続いて、鬼村委員、お願いいたします。
○鬼村委員 御指名ありがとうございます。
 労働時間のほうで1つコメントを申し上げたいと思います。資料にございましたが、週労働時間60時間以上の労働者の割合です。全体的に大きく見れば横ばいということだと思うのですが、皆様から御指摘いただいたとおり、業種によっては労働時間のさらなる削減に取り組んでいかないといけないという状況に既に直面していることと認識しています。さらに、こうした状況に加えて、多くの業種で人手不足がかなり顕在化してきているということを考えますと、労働時間といった観点での改善や対応というのももちろん重要ではございますが、働きがいであるとか、そういうことも考慮した総合的な労働環境の改善ということを各企業、労使でやっていかなければいけないのだろうなと感じております。
 ついては、厚生労働省の皆様には、労働者の方々がそれぞれの力を最大限に発揮してイノベーションを創出できる、そのような労働者の自立的な働き方を実現できるような環境を法制度面でもぜひ進めていただきたいと思っております。
 また、その際には業種によっては様々な働き方が多様にあるということを踏まえた上で、一律の規制ではなくて、労使が話し合って柔軟に働き方や制度に対する運用なりを決められるような、そういった幅を持った検討をお願いできればと思っております。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 藤川委員、お願いします。
○藤川委員 藤川でございます。ありがとうございます。
 年休の取得促進について発言をさせていただきます。年休の取得率につきましては、全体では改善が続いておりますが、参考資料の2ページにございますように、業種別で見た場合、宿泊業・飲食サービス業、教育、学習支援業、卸売業・小売業などは上昇しているとはいえ、相対的に低い水準であります。これらの業種につきましては、パート・有期等で働く者を雇用している企業の比率が高く、労働者全体でも年休の取得にためらいがある方が4割以上であるという調査結果も踏まえますと、特にパート・有期等で働く者が十分に取得できていないことも懸念されます。
 今後は全体の取得率だけでなく、業種・職種ごとの対応や、取得ができていない層が固定化していないかといった観点も含め、年休取得の底上げにつながるよう、きめ細かな実態把握と分析、その結果に基づく一層の取組を進めていただきますようお願いいたします。
 また、参考資料3ページの意識調査の中では、年休について改善してほしいこととして、「ためらいなく取得申請をできる環境や雰囲気になってほしい」という項目が23.1%と最多の回答となってございます。年休取得率のさらなる向上につきましては、雇用形態や企業規模にかかわらず取得しやすい職場環境をつくっていく取組が重要であり、厚労省におかれましても年休の取得率向上に向けた労使の取組の後押しを積極的に進めていただきたいと考えております。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 オンラインから兵藤委員、お願いいたします。
○兵藤委員 御指名ありがとうございます。
 私も有給休暇に関して1つコメントを申し上げさせていただきたいと思います。先ほど来、結果を受けまして、有給休暇の取得率は上昇しているということでございますが、参考資料の3ページにございますように、私も有給休暇の取得に対して労働者がためらいを感じているという回答について少し気になっております。年々減少しているとはいえ、まだ40%を超えているという実態で、こうした問題を解決できるように、労働者が本当に休みやすい環境整備を進めていくことが必要だと思っております。
 弊社では、有給休暇とは別に毎年8日間の個別の連休を付与しておりまして、これと有給休暇を合わせて10日間の連休を取得することができるようになっております。連続して休暇を取るということは労働者のリフレッシュにもつながると考えております。そのほか、小売企業におきましても休暇取得日数の少ない従業員にアナウンスをしたり、休暇取得を働きかけるように勧めたり、労働組合から有給休暇取得のしやすい時期について情報発信をしてもらい、組合と協力しながら取得促進をしたりしているなど、労働者が休暇を取得しやすい仕組みを導入している事例がございます。こうした事例も参考にしていきながら、社会全体で休暇を取得しやすい、休みやすい雰囲気づくりをしていくことが重要なのではないかと考えております。
 私からは以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかに御発言はいかがでしょうか。
 それでは、私のほうから労働基準法制研究会で、年休の取得について年度当初に労働者の希望を聞いてはいかがかという議論が出されております。それに関連してご要望もありましたので、少し付言させていただきます。
 日本で年次有給休暇の時季指定と言うと、具体的に何月何日に休むという個別の時季指定を指し、それを年度当初に決めるというのは非現実的であるという御指摘かと思います。その御指摘はそのとおりですけれども、年次有給休暇の時季指定という言葉になぜ季節の「時季」という語が用いられているか。それは、労働基準法は、時季指定には具体的な日時の指定とともに季節の指定を想定し、この両方を指して時季指定と呼んでいるからです。
 実際、労働基準法が昭和22年にできたときには、季節の指定を含めた時季指定について、年休年度の当初に使用者から労働者にその希望を聴取するような規定まで労働基準法施行規則にはあったところであります。これが現在は削除されていて、時季指定の季節指定のことが忘れられておりますけれども、ヨーロッパではなぜ完全取得のようなことが可能かというと、年度当初に労働者が年休カレンダーで、自分は8月のこの3週間に年休を取得したいという希望を出します。あくまで希望です。そしてヨーロッパでは時季指定権は使用者にあります。労働者の希望を聴取しながら、使用者のほうで、業務の関連もあって、では、あなたはこの時期に、別の方は少しずらした時期にという調整をして決まります。
 ILOでは少なくとも一つの年休は2週間単位を最低限とし、それ以上分割を許さないことにしています。そのような長期の年休の取り方が定着するためには、年度当初に自分は夏休みに比較的長期の休みを取りたい、自分は冬休みに取りたい、そういった希望を聴取し、そして労使が調整した上で、具体的な取得時季を固めていくことが必要でしょう。そうでなければ、労働者が年休取得を言い出すまでは使用者は何もせずに放置して、年休権が2年の時効で消滅していくという日本の年休の実態は変わらない。この発想を変えるべきではないかという議論であり、年度当初に具体的な日時まで全て決めるべきという趣旨で議論がなされているのではないと理解しておりますので、少し説明を加えさせていただきました。
 ほかにはいかがでしょうか。
 それでは、ほかに御発言がないようでしたら、本分科会における2022年度の年度評価については、ただいま御説明のあったとおり取りまとめることとし、本日各委員から御発言いただいた内容を踏まえながら、引き続き取り組んでいただくことにしたいと考えておりますが、それでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、本議題についてはここまでとさせていただきます。
 続いて、第2の議題に移ります。「家事使用人の雇用ガイドラインについて」ということであります。事務局から説明をお願いします。
○労働条件政策課課長補佐 それでは、事務局より資料№2「家事使用人の雇用ガイドライン」について御説明させていただきます。
 昨年8月に開催されました第189回労働条件分科会において、JILPTが実施した家事使用人に係る実態調査について御報告させていただき、御意見をいただいたところでございます。
 こうしたことを踏まえまして、厚生労働省では今年度委託事業において鎌田耕一東洋大学名誉教授をはじめとする有識者参画の下、議論を行いまして、家事使用人の就業環境の改善に向けて、雇用主である御家庭が家事使用人と労働契約を結ぶ際や、就業中に留意すべき事項を示したガイドラインを作成し、本年2月8日に公表させていただきました。そこで、本日はガイドラインの内容について御報告をさせていただきます。
 それでは、資料№2を御覧ください。ページをおめくりいただきまして、3ページ目に「もくじ」を載せております。構成は大きく分けまして、「基本的な考え方」「家事使用人を雇用する際の留意事項」「家政婦(夫)紹介所の留意事項」となっております。付録としまして「労働契約書の記載例」「家事使用人を雇い入れる際のチェックリスト」を添付しております。
 おめくりいただきまして、4ページ目、5ページ目の見開きの箇所については、JILPTの「家事使用人の実態把握のためのアンケート調査」を参考に、家事使用人に生じているトラブルについて載せているところでございます。
 おめくりいただきまして、6ページ目から「基本的な考え方」を載せております。このガイドラインの目的は、「家事使用人の労働契約の条件の明確化・適正化、適正な就業環境の確保などについて必要な事項を示すものです。家事使用人を雇用する方やこれから雇用しようとする方は、労働契約を結ぶ際や、業務に従事させる際には、家事使用人と十分話し合った上で労働契約の内容を決定するとともに、家事使用人を雇用する際の留意事項に示す内容を守ることが大切です」としております。
 ガイドラインの対象については、雇用主(御家庭)、家政婦(夫)紹介所、家事使用人でございます。家事使用人のところの下に※書きで対象を細かく書いておりますが、家事サービスの提供者は、御家庭と直接労働契約を結ぶ家事使用人、家事代行サービス会社に雇用され、御家庭に派遣される方、マッチングアプリなどを活用する個人事業主など様々ですが、このガイドラインは、労働基準法が適用除外とされている家事使用人を対象者としております。
 7ページ目に家事使用人に適用される労働関係等法令をまとめております。現在雇用主である御家庭や家事使用人には、一般の労働者と同じように、労働契約法や職業安定法、労働者災害補償保険法の労災保険の特別加入に関する部分などが適用されています。
 一方で、一般の労働者に適用されている労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法などは家事使用人には適用されていませんが、家事使用人が働きやすい環境を確保していくため、これらの法律の水準を下回らないようにすることが大事です。そのため、このガイドラインを読んだ上で、家事使用人の適正な就業環境の確保に努めていただきたいとしております。
 ページをおめくりいただきまして、8ページ目から「家事使用人を雇用する際の留意事項」を載せております。まず1つ目が労働契約の条件を明確にしましょうということです。雇用主は、家事使用人と労働契約を結ぶ際に、家事使用人と話し合った上で、例えば次の1から10の事項を明確にしましょう。労働契約書の記載例を参考にしてくださいとまとめております。
 また、その際、口頭で伝えるだけでなく、きちんと書面、もしくは電子メールなどで明示することで、雇用主と家事使用人の間のトラブルを未然に防ぐことにつながること。それから、雇用主はあらかじめ決めた労働契約を守らなければなりません。労働契約書に記載された内容をお互いによく確認し、労働契約の条件に反することがないようにしましょうという形でまとめております。
 続きまして、9ページ目でございます。例えば御自身の家庭ではなく、遠方の親族宅における家事サービスを依頼する場合など、家事使用人が誰からの指示を尊重して業務に従事すべきかについてもあらかじめ決めておくことが望ましいとしております。
 また、あらかじめ業務で求める水準を示して家事使用人と認識を合わせておくと、労働契約をめぐるトラブルの発生を未然に防ぐことができ、より良好な雇用関係につながるというふうにまとめてあります。
 そして、就業時間内に終えることができる業務量を設定することも大切としております。
 続きまして、2つ目、労働契約の条件を適正にしましょうということで、報酬について、報酬の額、報酬の支払方法、報酬の支払日についてまとめております。
 続いて、10ページ目でございます。就業時間などについては、1日当たり8時間、1週当たり40時間を上限とすることが望ましいなど、就業時間とか休憩の時間などは労働基準法に沿った内容としてまとめております。そうした内容が望ましいという形で作成しております。
 10ページ目の一番下の「介護保険との併用の場合」というところで、同じ人に家事使用人としての業務と介護保険サービスの双方を行ってもらう場合には、家事使用人の過重労働を防止するため、雇用主はできる限り介護保険サービスにより対応を依頼する時間も含めて、家事使用人としての就業時間が上記で示した就業時間におさまるよう、契約の段階で設定するなど、全体の就業時間を踏まえた就業時間や休憩時間を設定することが望ましいとさせていただいております。
 続きまして、11ページ目に労働契約の期間、労働契約の条件の変更を載せた後、そして家事使用人が行うことができる業務について具体例、留意点をまとめさせていただいております。
 続きまして、12ページ目、就業環境を整えましょうということで、雇用主の協力と情報提供としまして、常に日頃から家事使用人とコミュニケーションを取ることが大切であること。また、就業時間の管理としまして、雇用主は、家事使用人の就業日ごとの始業・終業時刻を確認して記録し、就業時間を適正に管理することが望ましいこと。それから、就業場所については、就業中のけがが発生しないように、家事使用人に対して注意を呼びかけていただきたいことをまとめております。
 また、適切な業務内容と業務量のところでは、残業してもらう必要が出てきた場合には、家事使用人の同意を得た上で、それに見合った適切な報酬を支払うなどの対応を取るようにしてくださいというふうにしております。
 続きまして、13ページ目でございますが、介護保険サービスと介護保険給付の対象ではないサービスを組み合わせて利用している御家庭もあると思いますが、その場合に、介護保険サービスと家事使用人として行ってもらう業務を含む保険外サービスの違いを明確化した上で、その双方について、ケアプラン上に明確に位置づけられていることが必要です。その上で、その内容を御家庭でしっかり理解して、それぞれの業務の時間数についてどれくらいの時間が必要かを把握しておくようにしましょうとさせていただいております。
 続きまして、14ページ目でございますが、家事使用人が業務に関する相談などをしやすい環境を整えることの重要性、それからその他、就業環境に関する留意事項としまして、家事使用人に対するパワハラ、セクハラなどのハラスメントは絶対に許されないこと。また、トラブルを避けるためにも金品や貴重品など触れてはいけないものについては事前に伝え、金庫など鍵のかかる場所に保管するなどして雇用主自身で管理をしていただきたいことなどを載せております。
 15ページ目では労働契約の更新・終了の際は適切に対応していただきたいことをまとめております。
 続きまして、16ページ目でございますが、保険の加入やけがなどの発生状況について確認しましょうということで、雇用主は、家事使用人または家政婦(夫)紹介所に対してどのような保険に加入しているのかを確認しましょう。また、それをお互いに事前に確認し、万が一の場合に備えておきましょうとさせていただいております。
 今まで御説明させていただいたところが御家庭に留意していただきたい事項でございます。
 17ページ目から「家政婦(夫)紹介所の留意事項」をまとめております。家事使用人の雇用主は御家庭ですが、家事使用人の働きやすい環境を確保するためには、両者の労働契約成立をあっせんする家政婦(夫)紹介所の理解と協力が不可欠ですということで、募集段階、契約段階、その他として大きく3点に分けて留意事項を載せさせていただいております。
 内容としましては、家政婦(夫)紹介所はあくまでも労働契約成立のあっせんを行う機関であることを説明した上で、御家庭に雇用主としての自覚を持っていただきたいということ、また、雇用主と家事使用人との相性、求められている業務内容と家事使用人のスキルや経験、希望の業務内容が適切に対応しているかなどを確認し、マッチングミスが起こらないように配慮していただきたいこと。それから、家事使用人から相談や苦情を受けた場合は、家事使用人から十分話を聞いた上で、必要に応じて雇用主と家事使用人との話し合いを促したり、家政婦(夫)紹介所で対応したりするなど、早期の解決を図るように努めていただきたいことを書いております。
 18ページ目、19ページ目は労働契約書の記載例という形で、記載の内容、記載の際に注意していただきたいことをまとめております。
 最後、一番後ろのページに「家事使用人を雇い入れる際のチェックリスト」を添付させていただいております。
 厚生労働省では、今、御説明させていただきましたガイドラインのほか、家事使用人が労災保険に特別加入ができる旨の周知をするためのポスターや、家政婦(夫)紹介所等が特別加入団体となるための手続の手順等を解説したガイドも別途作成しております。家事使用人の就業環境の改善に向けて、今、御説明させていただいたガイドラインと併せて周知に努めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、委員の皆様よりただいまの説明について御質問・御意見があればお願いいたします。西尾委員、どうぞ。
○西尾委員 御説明ありがとうございました。
 ガイドラインにつきまして、様々な就労環境や健康確保、契約のことなどを網羅的にまとめられ、大変有意義なものだと思います。ぜひ周知徹底いただきたいと考えておりますが、6ページにありますとおり、ガイドラインの対象者が3つに分類されております。雇用主となる御家庭はもとより、紹介所の方々にもガイドラインを周知したうえで、家事使用人の働き方をご理解いただくということ、さらには家事使用人御本人にもガイドラインの内容をしっかりと知っていただくことが重要です。
 次に、家事使用人の方々は、統計を見たところ、60歳以上の方が8割以上となっていたと思います。したがいまして、相対的ではありますが、パソコンやスマートフォンを用いた周知が難しい可能性もあると思いますので、別途紙媒体も含めて、周知広報を進めていただくということが重要と思っています。
 その上で、このガイドラインの内容を確認させていただきますと、労働者とほぼ同様の取組を行うことが望ましいとされておりますので、家事使用人の労働者性というのは極めて高いと考えています。さらにその就労実態の確認が必要かと思いますが、労働基準法上の適用除外の規定を廃止する方向で検討を進めていただきたいということを意見として申し上げます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 それでは、鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 御指名ありがとうございます。
 家事使用人の適切な労働環境の確保は重要な課題だと認識しており、今般のガイドラインの作成は、労働条件の明確化やハラスメントの防止、ただいま西尾委員から御指摘がありました家政婦(夫)紹介所の留意事項・役割等にも踏み込んでおり、非常に意義のある取組だと受け止めております。
 西尾委員からの御発言は、労働基準法上の労働者に含めるべきとの御示唆だと思います。家事使用人の保護の必要性は理解しておりますが、法技術的な論点や実務上の難しさもあると認識しており、この点は十分な議論が必要ではないかと考えております。
 例えば労働基準法の適用対象となる場合、一般的には労働安全衛生法や労働者災害補償保険法も適用になると解釈されてきたと思います。その前提で申し上げると、雇用主である家庭が家事使用人に対して医師による健康診断を実施する、また、家事使用人の労働保険料を定期的に納める、これらの実効性をどのように確保するのかという話や、36協定をはじめとする労使協定の締結・届出、家事使用人の労働時間管理をどのように円滑に行い得るのかという話も含めて、しっかりとした議論が必要ではないかと思っております。
 繰り返しですが、家事使用人の保護の必要性について、私自身、否定するものでは決してないのですが、職業紹介事業者の役割等も含めて、実効性のある保護のあり方を議論していくことが重要ではないかと思い、一言コメントさせていただきました。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 佐久間委員、お願いします。
○佐久間委員 ありがとうございます。
 私も先ほど西尾委員が発言された内容に同感でございます。このガイドラインの関係というのは、家政婦(夫)紹介所の方は事業者ですから、ご自分の立場はすでに分かっていらっしゃると思うのですけれども、家事使用人なり、6ページに出ております雇用主、家政婦(夫)紹介所なりが、自分たちが事業者、労働者に位置づけられるのか、どういうふうに置かれている立場だということをまず明確にするためには、このガイドラインを作成していただいくことは非常に喜ばしいことだなと思います。
 ただ、心配なのが、家政婦(夫)紹介所を通じて家事使用人または雇用主に周知は何とかできると思うのですが、直接契約をされている場合とか、そういうのはどのように普及していくのか。家事使用人と雇用主の関係というのは実際分かりにくいところもあります。行き渡るといっても、配布するところが分かりにくく、対象に行き渡るのか、ぜひこの辺を留意していただきたいと思います。今回のパンフレット等、このような整備を図りながら、まず自分たちの置かれた立場、そして労働者性というのも意識付け、明確にして、議論をすべきなのかなと思います。
 例えば副業・兼業の関係で、2か所に行って8時間を超えれば残業代がつくのだよとか、そういう認識というか、整備というのもまだまだだと思いますし、その辺の扱いの関係、また労働保険の関係もありますので、まず周知をしていく必要があるなと感じております。
 以上でございます。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 オンラインから両角委員、御発言ください。
○両角委員 ありがとうございます。
 このガイドラインの内容等について異論はないのですが、ほかの委員からも指摘がありましたように、そもそも労基法の適用を除外される家事使用人の概念をどう解釈するか、また、そもそも現行の適用除外制度を維持すべき否かか、といった問題があります。それ等の問題について労働基準関係法制研究会でよろしくご検討をいただきたいと思います。
 もう一つは、家事労働者に関する実態の把握についてです。近年、家事の外注化に対するニーズが増え、家事労働者の就業形態も多様化していると思います。労働基準法の制定当初は、家事使用人として住み込みのお手伝いさんが念頭に置かれていましたが、現在は実態が非常に変化しています。このたび厚労省でされた調査は貴重なものですが、対象は家政婦(夫)紹介所などを通して個人の家庭に雇われている方であり、それ以外にも家事労働者の働き方はいろいろあると思います。その実態がもう少し明らかになると、法制度の検討も適切にできるのではないかと思いますので、より詳細な実態の把握についても検討いただければと思います。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 ほかにはいかがでしょうか。川田委員、どうぞ。
○川田委員 ありがとうございます。
 まず、事務局に対して御質問させていただきたい点として、このガイドラインを行政の施策としてどういう形で使っていくことになるのかということです。既に他の委員から御指摘がありましたガイドライン自体の周知というのは当然視野に入ってくると思います。また、家事使用人の方に適用される法律は、ここにも出てくるように結構複雑で、適用される法律というのもあるので、そこのところについてはそのガイドラインの内容を使いながら、通常の労働者と同じように法令を適用していくということかと思うのですが、労働基準法など、適用除外にはなっているけれども、労働基準法の扱いを参考にした扱いをすることが望ましいという部分について、これは恐らく監督行政の対象にはならないだろうけれども、家事使用人の雇用関係について、例えば個別労働紛争解決促進法の下での総合労働相談窓口で受け付けるということも考えられるかと思いますが、例えばそういう相談が持ち込まれたときにこのガイドラインを使うということを想定しているのかという点です。以上が御質問です。
 関連して意見として、このガイドラインの内容については、今、総合労働相談窓口の話を持ち出しましたが、関係する当事者が何か疑問に思ったり、知りたいと思ったときに相談できる体制を整備するとか、どこに相談したらいいのかということを周知するという点も大切ではないかと思い、意見として併せて述べさせていただきます。
 以上です。
○荒木分科会長 ありがとうございました。
 御要望・質問等が事務局にありましたので、事務局からお願いします。
○労働条件政策課課長補佐 ありがとうございます。順次回答させていただければと思います。
 まず1点目、周知の関係と、これは行政機関としてどういうふうに使っていくかという点についてまとめて回答させていただきます。こちらのガイドラインについては、全国の家政婦(夫)紹介所のほか、全国の都道府県労働局や労働基準監督署内に設置している総合労働相談コーナーに紙媒体で配布させていただいているところでございます。家事使用人から実際に相談があった場合には、ガイドラインを活用しつつ適切に相談に乗っていただきたいという形で各局に既に通知を出しているところでございます。
 また、厚労省のホームページ、厚労省のSNSを活用した周知も行っているところではございますけれども、どういった形が家事使用人の皆様に届くかも考えつつ、引き続き様々な機会を捉えて周知に努めていきたいと考えているところでございます。
 2点目、家事使用人の労働基準法の適用の関係について御意見をいただいたところでございます。家事使用人への法的保護の在り方については、現在、労働基準関係法制研究会における論点の1つとして議論を行っているところでございますが、この中では労働基準法制定当時の家事使用人の働き方から変化があることを踏まえれば、家事使用人に労働基準法を適用する方向が望ましいのではないか、私家庭に労働基準法上の使用者義務を負わせることは現実的ではないのではないかといった御意見があったようなところでございます。引き続き労働基準関係法制研究会で議論を深めていければと考えているところでございます。
 以上でございます。
○荒木分科会長 よろしいでしょうか。
○川田委員 はい。
○荒木分科会長 ほかに御質問・御意見等ありますでしょうか。
 よろしければ、大変貴重な御意見をいただいたところでございますが、この議題についてはここまでとさせていただきたいと思います。
 最後に、次回の日程等について、事務局から説明をお願いいたします。
○労働条件企画専門官 事務局でございます。
 次回の日程等につきましては、調整の上、追ってお知らせいたします。
○荒木分科会長 それでは、本日の労働条件分科会は以上といたします。お忙しい中、御参集いただきましてありがとうございました。