第8回後発医薬品の安定供給等の実現に向けた産業構造のあり方に関する検討会 議事要旨

日時

令和6年1月31日(水)14:00~17:00

場所

AP日本橋Bルーム

議題

  1. 1.少量多品目構造の解消について(3)
  2. 2.安定供給等のための企業情報の可視化について(3)
  3. 3.これまでの議論の整理等について(2)

議事要旨

議事内容
はじめに
○ 堤構成員が欠席された。
○ 製造業支援の観点から、経済産業省がオブザーバーとして出席した。
○ 独占禁止法の観点から、公正取引委員会が出席した。(プレゼンテーション実施の後、退出)
○ 日本ジェネリック製薬協会及び厚生労働行政推進調査事業費補助金「適切な医薬品開発環境・安定供給及び流通環境の維持・向上に関する研究」研究班から城西国際大学小林教授が参考人として出席した。(各々のプレゼンテーション実施の後、退出)

独占禁止法上の考え方について
○ 資料1について公正取引委員会から説明があり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・以前、「医療用医薬品の供給不足が生じる場合の対応スキーム」が作られた際には、どのような点が独禁法に抵触するという懸念があり、それに対して公正取引委員会はどのような説明をしたのか。
 
・品目集約や企業再編への独禁法上のハードルが事業者の意欲を削がないよう、どこまで独禁法の中で許容されるか、後発品に関し具体例で例示してほしい。
 
・独禁法の中では対応が難しい部分に対して、何らかの対応ができるよう検討してほしい。今議論している内容は取引制限に該当することもあると思うが、そこを乗り越えなければ少量多品種生産の適正化や安定供給の実現ができないこともある。


議題1  少量多品目構造の解消について(3)
○ 資料2-1について事務局から報告があり、続けて、資料2-2について日本ジェネリック製薬協会からプレゼンテーションが行われた。構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。

・OD錠を作る上で、普通錠と違ってどのぐらいコストがかかるか。また、海外ではOD錠がどのぐらい普及しているか。
 
・病院の35%はOD錠を必要としており、入院患者がOD錠を必要としているかもしれない。一方で、OD錠であることが患者に正しく伝わっていない可能性もあり無駄があるのかもしれない。
 
・規格ぞろえについて、医療現場にとって撤退の方向で進んでいいのか、現場の先生にお伺いすべき。非汎用規格も揃えることによって営業面の強みともなり、それでよしとしている企業もあるのではないか。
 
・規格ぞろえのルールが導入された背景として、利益が上がる規格だけを作り利益が上がらない規格はすぐに販売中止になることで医療現場、患者が困ることがあってはいけないという背景があり、ここは失ってはいけないのではないか。
 
・脂質異常症や降圧剤などは普通錠のほうが使われているのはなぜか。
 
・OD錠を収載するかどうかは企業の判断であり、規格ぞろえのような規定もなく、やめたければやめられる状況にあるが、OD錠について何か提案があるか。
 
・非汎用規格の廃棄データは額としては小さいが、非汎用規格をやめることは生産効率の改善として影響が大きいものなのか。
 
・OD錠と普通錠のどちらか一方に片寄せた場合、どのぐらい生産効率が上がるのか。
 
・非汎用品をやめると他社がそこを担うことになるが、業界全体の効率性を上げていくための方法をどう考えるか。
 
・非汎用規格の製造について負担ではないという会社が4分の1程度あるが、どのように解釈できるか。
 
・OD錠の判断は本来企業の自由にすべきだが、安定供給責任が果たせていない現状では、メーカーの一存で決めるのではなく、医療機関や学会の意見を聞き検討したうえで集約化を検討するなど、生産量や余剰生産力を生み出すようシフトできるのではないか。
 
・非汎用規格の製造について、大企業が担う必要は必ずしもなく、業界の中で役割分担した企業が適切に供給するところをうまく組み合わせていくのが一つの答えではないか。
 
・非汎用規格は、例えば、小児用の低用量の製剤は人口が少ないので非汎用規格になる一方、小児科のニーズから先発品企業が薬としての社会的使命を全うするために置いているものもある。薬が持つ社会的使命もきちんと勘案したうえで、非採算性があれば、学会から意見を出してもらい、医療上必要だとなったら薬価なり補助金なり手当てする仕組みを作ればよい。単純に非汎用規格をやめたら効率がよくなるというのは生産性に寄り過ぎていて危うい。

議題2  安定供給等のための企業情報の可視化について(3)
○ 資料3について小林教授からプレゼンテーションがあり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
 
・余剰製造能力指数と在庫指数の関係性について、片方がCでももう片方がAであればトータルとして大丈夫なのか。どのように総合的に評価されるのか。
 
・品目における適合・不適合と製造所におけるGMPの適合・不適合の関係性について、製造所が不適合になればそこで作っている品目は全部アウトだと思うが、どのような整理か。また、法令違反があるとなると相当なインパクトになるが、この点についてどう考えればいいか。
 
・経営層(管理監督者等)の確認日について、この「確認」はどのような行為を想定しているのか。責任役員や経営層がどう監査を指導していくか、報告を受けるだけなのか、報告の受け方はどうなのか、色々なバリエーションが考えられる。また、管理監督者は中間管理職も指す場合もあるので、どのレベルまで求めるか明確になったほうがよい。
 
・全ての医薬品製造販売企業がこのような情報公開をしていくことが理想であり、新薬企業も受け入れられる指標作りも検討してほしい。
 
・品目統合を進めるにあたり、過去に出荷停止を起こしていても再建の取組を行っていれば考慮することとするなど、情報公開が品目集約や業界再編のボトルネックにならないような運用を検討したい。

議題  これまでの議論の整理等について(2)
○ 資料4について事務局から報告があり、構成員からの主な意見・質問は以下のとおりであった。
・「これまでの主な意見」は文章として分かりにくい箇所もあるのではないか。
 
・バイオシミラーを論点として入れるべき。
 
・この「在るべき姿」は、理想のゴールとしてのあるべき姿ではなく、スタート点として達成すべき姿ではないか。
 
・「風土醸成、人材育成といった組織能力向上」は、生産効率の向上だけでなく全体に関係するため、全体に係るようにしてもいいのではないか。
 
・タイムラインとして、いつまでにどのような状況を目指すのか、関係者間でも設定が必要ではないか。
 
・ジェネリック・ロスについて、論点として項目出しするかどうかは別として、例えば薬事の合理化などの記載があってもいいのではないか。
 
・後発品業界の特性も落とし込んだほうがいいのではないか。
 
・患者動向や人口動態を踏まえた後発医薬品の今後の需要についても議論があってもいいのではないか。
 
・独禁法に抵触しない部分も多いとのことであり、その点についても記載すると、コンソーシアムなどもおびえずにできる部分も出てくるのではないか。
 
・委受託と共同開発についてもう少し個別具体的に議論したほうがいいのではないか。例えば、非常時の増産を目的とした委受託の在り方といったことも議論する必要があるのではないか。
 
・企業の製造管理・品質管理に関する取組状況の可視化ももう少し具体的な見解を出していったらどうか。
 
・人材育成についてもう少し検討したほうがいいのではないか。
 
・委受託の関係について実態がどうなっているのかも踏まえ、しっかりと踏み込んだほうがいいのではないか。

おわりに
○ 事務局から、第10回は1月31日(水)を予定していることを案内し、散会となった。