第194回労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会 議事録

日時

令和6年3月14日(木) 13:00~15:00

場所

厚生労働省 職業安定局第一会議室及びオンライン
(東京都千代田区霞が関1丁目2番2号 中央合同庁舎5号館12階)

議事

議事内容
○守島部会長 それでは、ただいまより第194回「雇用保険部会」を開催いたしたいと思います。
 まず出欠状況ですけれども、使用者側委員の清田委員が所用のため途中退室予定と伺っております。
 それから、公益委員の佐々木委員が、これも所用のため御欠席と伺っております。
 それでは、頭撮りはこのくらいまでとさせていただきます。
(報道陣退室)
○守島部会長 それでは、議事に入りたいと思います。
 議題1は「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」、これは諮問案件でございます。この省令案は育児休業給付に関連するものでございます。
 まず事務局より、資料1-1及び1-2について御説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○伊藤総括調整官 雇用保険課でございます。
 私からは、ただいま御発言いただきました資料1-1と1-2について説明させていただきます。
 資料1-1が、実際に諮問いただきます省令案要綱でございます。この内容につきましては、お手元の資料1-2で詳細を説明させていただきます。
 おめくりいただいて1ページ目を御覧ください。
 こちらは、育児休業給付の期間延長手続の見直しに関するものでございます。本件は昨年9月の雇用保険部会におきましても一度報告させていただいたところでございますが、今回改めてこの見直しの趣旨を御説明申し上げるとともに、9月以降の状況ですとか、それを踏まえた見直し内容の案を申し上げます。
 まず資料1-2の1ページ目、「1.改正の趣旨」でございます。
 育児休業給付については現行、原則として子が1歳に達する日までの休業について支給することとされておりますが、法律上、この1歳に達した日後の期間については休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合には、1歳6か月、または2歳に達する日までの支給をすることができるとされております。
 そして、今申し上げました「特に必要と認められる場合」でございますが、現行、省令上、具体的な内容の一つとして、保育所などにおける保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われない場合等としておりまして、さらに雇用保険の業務取扱要領におきまして保育所に入所できない場合の確認手段として市町村が発行します保育所入所保留通知書の提出を求めているところでございます。
 2つ目の○でございますが、この取扱いに関しまして地方分権改革の会議におきまして、自治体の方々から保育所などへの入所意思がないにもかかわらず、給付延長に必要な入所保留通知書を入手するために保育所への入所を申し込む方がおり、その方々への対応に時間が割かれているですとか、あるいは入所意思のない方が申し込んだ結果、意に反して入所内定のあった場合に苦情を受けることがあり、その対応に時間を要しているといったことの背景に、この手続につきまして見直しを行ったところでございます。
 そうした御指摘を踏まえ、政府部内で調整いたしまして、昨年12月の閣議決定の中で市町村の事務負担を軽減するとともに、制度の適切な運用を図るため、ハローワークにおいて延長可否を判断することを明確化する方向で検討し、5年度中に結論を出し、その結果に基づいて必要な措置を講ずる。こういったことを決定したところでございます。
 こうしたことを背景にいたしまして、今回期間延長手続の見直しに関して省令の改正案の要綱を諮問させていただくところでございます。具体的な内容については、引き続き1ページ目の2の「改正の概要」で説明をさせていただきます。
 先ほども申し上げましたとおり、現行の省令上、1歳に達した日後の期間について休業することが雇用の継続のために特に必要と認められる場合、その1つが保育所などにおける保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われない場合としていますが、ここに閣議決定の趣旨を反映するため、速やかな職場復帰を図るために保育所などにおける保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認める場合に限るものとしております。
 この具体的な方法ですが、お手元の資料の5ページ目を御覧ください。
 こちらに確認の書類と、要件について、さらに業務取扱要領において定めることを考えておりますものを説明させていただきます。
 確認書類としましては、現行求めております市区町村が発行する入所保留通知書、これは引き続き必要な書類とした上で、新たに2つ、御本人が記載する申告書と、市区町村に保育所などの利用申込みを行ったときの申込書の写しを追加で提出していただくことを考えております。
 また、要件につきましては、現行の保育所などにおける保育の利用を希望し、申込みを行っているが、当面その実施が行われないこと、これに追加としまして、市区町村に申し込んだ内容が速やかな職場復帰のために保育所などにおける保育の利用を希望しているものであると公共職業安定所長が認めるものであること、これをしたいと思っています。
 ただいま申し上げた要件についてさらに2つのことを考えておりまして、それがその下の赤い矢羽根の2つでございます。
 1つ目は、申し込んだ保育所などが合理的な理由なく自宅、または勤務先から遠隔地の施設のみとなっていないことでございます。これは、職場復帰後の仕事と育児の両立に支障を来すような遠隔地の保育所などのみを申し込んでいる場合には、速やかな職場復帰のために保育の利用を希望しているものとは違うということで設ける要件でございます。
 そして、どの程度の距離をもって遠隔地とするかについてでございますけれども、やはり明確な基準を定める必要があると考えておりまして、例えば御本人が利用する予定の交通手段により自宅または職場からの移動時間が片道30分以上かかる場合、こういったことを考えております。
 また、申し込んだ保育所などが遠隔地のみであったとしても、仮にほかに通える施設がないといった場合には合理的な理由があるものとして取り扱う考えでございます。
 2つ目でございます。市区町村に対する保育利用の申込みに当たり、入所保留となることを希望する旨の意思表示を行っていないことでございます。これは、市区町村に対する保育所の申込書に、例えば保育所などへの入所を希望していないですとか、速やかに職場復帰をする意思がないですとか、書類上明らかに職場復帰の意思がないことが明白な記載がある場合には給付の延長を認めないことを明確にするという趣旨でございます。
 以上がこの追加要件に関する説明でございますが、補足として最後に※印で書いていることを説明させていただきます。
 平成31年に当時の厚生労働省子ども家庭局保育課が発出しました事務連絡の中で、市区町村が保育の必要性の高い方を把握するために、申込書において希望する保育所などに入所できない場合は育児休業の延長を許容できるといった旨のチェック欄を設けることを可能としております。こちらはあくまでも入所できないことを許容できる旨の意思表示でございまして、入所保留となることを希望する旨の意思表示ではありませんので、この欄にチェックがあったとしましても直ちに延長を認めないことにはならないと考えております。
 続いて6ページ目を御覧ください。
 こちらは、現時点で私どもが考えております申告書の様式の一部でございます。中ほど、6にございますように、申込みを行った保育所を記載いただくところですが、そこには最も近隣の1か所のみを記載すればよいようにしたいですとか、遠隔地のみ申し込んだ理由については選択肢方式とするなど、できる限り申請者の方々の負担がかからないような様式となるよう、そういった工夫をしたいと思っております。
 以上が見直しの内容でございまして、この見直しの適用時期でございますが、令和7年4月1日の後に保育所に入所すべく申込みを行う被保険者を念頭に置いています。お子様が1歳、または1歳6か月に達する日が施行日、すなわち令和7年4月1日以後となる被保険者から適用されるよう、施行日を設定しております。
 なお、令和7年4月の入所申込み手続でございますが、早い自治体様の中では今年の10月頃からいろいろと手続が始まりますので、今回御議論いただいた後、省令改正を行った場合にはその後、速やかに制度の周知を図ってまいりたいと考えております。
 以上が内容でございますが、今回の見直しによりまして育児休業給付制度の運用の適正化がより図られるとともに、そうした適正な運用を通じて入所意思のない申込みの減少をすることによって、本当に入所を希望される方がより入所しやすくなったりですとか、そういったことも期待されると考えています。私どもとしましても、制度趣旨に沿った運用がなされるよう努力してまいりたいと思っております。
 私からは以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、ただいまの御説明に関しまして御質問、御意見があったらお受けしたいと思います。どなたからでもどうぞ。
 では、古賀委員お願いいたします。
○古賀委員 御説明ありがとうございます。
 今回の見直しについて、制度の趣旨や自治体の要望等を踏まえて、不適切な事案への対応として改正されるということで理解をしております。
 変更後、ハローワークの実務における課題などが生じないか、引き続き確認していきながら必要に応じて柔軟に対応していくべきであると思いますので、お願いします。
 また、本件を含め、ハローワークに求められる負担や役割が増えていくことが想定されることを踏まえれば、引き続きハローワークの業務改善や体制整備のための支援が必要になるかと思いますので、意見として申し上げます。どうぞよろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。
 では、平田委員お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 諮問のあった省令案について異論はありません。企業の担当者にとっては申請する際の確認書類が増えると理解していますので、しっかりとした周知をお願いします。また、ハローワークにおいて業務が1つ増えると理解しておりますので、効率的な処理のためにノウハウを蓄積しながら、それを全国のハローワークで共有することも必要ではないかと思っておりますので、御検討をお願いします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。オンラインの方もいらっしゃいませんね。
 では、課長お願いいたします。
○尾田雇用保険課長 御指摘ありがとうございます。
 事業主、労働者、あるいは自治体の、今後の事務の見直しということが重要でございますので、先ほど御説明の中でも申し上げましたが、1年かけまして周知をしっかりやっていきたいと思っております。
 また、今回の見直しによりまして、ハローワークが延長手続において一定の責任を負うということが明確になりますので、それに伴う負担というのは一定ございますが、そうした中でも全国のハローワークで一律の統一した基準が極力できるよう、基準は明確化し、また手続もできるだけ簡素化するということを引き続き検討してまいりたいと思っております。御指摘ありがとうございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、当部会といたしましては「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」についてでございますけれども、これについては「おおむね妥当」と認めることとし、その旨を職業安定分科会会長宛てに報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」の報告文案を画面に表示します。また、会場の方には事務局よりお配りいたしますので、御確認いただければと思います。
(報告文案配付)
○守島部会長 ただいま画面に表示されている報告文案によって職業安定分科会へ報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、この報告文案で職業安定分科会へ報告いたしたいと思います。議題1については以上とさせていただきます。
 続いて議題2ですけれども、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱について」、これも諮問でございます。この省令案は教育訓練給付に関連するものでございます。
 まず、事務局より資料2-1及び2-2について御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○川端調査官 雇用保険課調査官の川端でございます。よろしくお願いいたします。
 資料2-1と2-2で御説明申し上げたいと思います。
 資料2-1が、今回省令案の要綱を諮問させていただくものでございます。この内容ですとか改正の趣旨につきましては便宜上、恐縮ですが、資料2-2で説明させていただきたいと思います。
 資料2-2の3ページ目を御覧いただければと思います。
 改正事項は今回2つございます。
 1つ目は資料2-2の3ページ目でございますけれども、こちらの資料で教育訓練給付金の支給手続の流れを示してございます。3つの類型がございますけれども、このうち専門実践教育訓練と特定一般教育訓練につきましては訓練の実施前にキャリアコンサルティングを受けていただく必要がございます。下の図で手続を示しておりますけれども、まず訓練前のキャリアコンサルティングということで訓練受講前に職務経歴を棚卸ですとか、希望する教育訓練がキャリア形成に資するものかどうかを考えていただくためにキャリアコンサルティングを受けていただいてジョブカードを活用して実施しているというものでございます。
 これを経て、受給資格確認ということでハローワークに申請いただくということですけれども、キャリアコンサルティングを実際に受けていただいて、それらの書類を現行は受講開始日の1か月前に出していただくという取扱いとさせていただいております。その後、講座を受講していただいて、支給申請、給付という形になってございます。
 資料2-2の1ページ目にお戻りいただければと思います。
 先ほど説明したとおり、特定一般ですとか専門実践の申請をしていただくに当たっては、訓練前のキャリアコンサルティングを経て、その必要書類を訓練開始日の1か月前までに出していただくということにしてございます。1か月前にしている理由としては、受給資格の審査に当たってきちんと要件を満たしているかどうかの確認に加えて、訓練前のキャリアコンサルティングが適切に実施されているか、あるいはコンサルティングを踏まえた講座選択となっているかというところを確認させていただくということで一定の期間をいただいているところでございます。
 しかしながら、この専門実践教育訓練が創設されてから約10年が経過しているということがございますので、ハローワークのほうにおいても審査の実績、ノウハウは蓄積されてきたということもございますので、この提出期限を緩和させていただいて14日前までにさせていただきたいというのが今回の改正の内容の1つ目でございます。
 同様に、教育訓練支援給付金についても確認票の提出期限を訓練の開始後14日前までとさせていただきたいと考えてございます。
 2つ目の改正事項でございますけれども、この訓練前のキャリアコンサルティングにつきましては一定の要件を満たしたキャリアコンサルタントの方にしていただいているというところでございます。このキャリアコンサルタントの要件としては様々な要件がございますけれども、その要件の一つとして、特定一般教育訓練ですとか専門実践教育訓練を行う法人、団体に雇用されていない方、または法人ですとか団体の役員ではない方ということを求めさせていただいております。趣旨としては、そのキャリアコンサルト自身が利害関係のある法人等が提供する訓練に不当に勧誘することを未然に防ぐということで一定の要件をかけさせていただいているというところでございます。
 2ページ目以降にいっていただければと思いますけれども、政府としては今、労働者のリ・スキリングを推進するということで教育訓練給付の拡充などを図っていきたいと考えてございますが、今の要件のままですと阻害要因として働く可能性がある。実際に質の高いキャリアコンサルタントのマンパワーに限りがあるということで阻害要因として働く可能性があるということで、今回この告示の改正を予定してございます。昨日も人材開発分科会で議論をして、おおむね妥当ということで了承していただいておりますけれども、告示を改正予定でございます。
 それを踏まえまして、省令上ではございますけれども、受講予定者の適切な訓練選択につながるよう支援するといったことですとか、自社が行う特定一般教育訓練等へ誘導しないことというのを省令上、訓練前キャリアコンサルティング実施上の留意事項として規則に明記をさせていただきたいと考えてございます。
 施行時期につきましては、令和6年4月1日を予定してございます。
 資料の説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、ただいまの御説明に関しまして何か御意見、御質問のある方はお受けしたいと思います。
 では、内藤委員お願いいたします。
○内藤委員 ありがとうございます。
 今回の(2)の「キャリアコンサルタントの要件の見直し」が、訓練前キャリアコンサルティングを行うキャリアコンサルタントの確保に資する一方で、自身が所属する法人、団体の訓練に誘導する可能性は否定できないと思っています。変更後も適正な運用がなされ、利用者が適切に訓練を選択できるように、キャリアコンサルタントや訓練を行う法人への指導の徹底と定期的な検証をお願いしたいと思います。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかございますか。
 では、平田委員お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 いずれも異論はありません。(2)の教育訓練給付金に係る訓練前キャリアコンサルティングの留意事項の追加については、昨日、人材開発分科会でも議論があった通り、基本的には受講者の利便性の向上に資するものと思います。欠格要件は廃止する一方で不当な勧誘を防止する措置を省令で規定すると理解していますので、結果として改正前後で同じ効果があればよいと思っています。省令に規定し、しっかりとした運用をお願いします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかにどなたかいらっしゃいますか。オンラインの方も大丈夫ですね。
 ありがとうございました。
 それでは、課長どうぞ。
○尾田雇用保険課長 事務局でございますけれども、御指摘いただきましてありがとうございます。
 私どもといたしましても、今まで欠格要件として規定し、そもそもできないということにしていたのを、できるようにした上で、そういうことが起きないように留意して実施するということで、政策の趣旨としてはそういう意味で変わっております。
 ただ、平田委員から御指摘のございましたとおり、実態が変わらないようにしっかりとするということは私どももやっていきたいと思っておりますので、研修においてしっかりこういう趣旨を周知する、あるいは事業者に対して委託契約等であらかじめそういったことをちゃんと守るように求める、あるいは個々のキャリアコンサルティングにおきましてそういうことをやっておりませんということを確認させる、あるいは実際にそういうことが起きましたらそれはしっかりと事実を確認してしかるべき対処をする。そういったことをしっかりやり、データ等も確認させていただいた上で、この政策の変更前後で変わりなく、変なことが起こらないようにするということはしっかり私どもとしてもやってまいりたいと思っております。
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、当部会といたしましては「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」について「おおむね妥当」と認めることとし、その旨を職業安定分科会長宛てに報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案要綱」の報告文案を画面に映します。また、会場の方には報告文案をお渡しいたしますので、御確認いただければと思います。
(報告文案配付)
○守島部会長 ただいま画面に表示されている報告文案によって、職業安定分科会へ報告いたしたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○守島部会長 ありがとうございます。
 それでは、この報告文案で職業安定分科会へ報告いたしたいと思います。議題2につきましては以上とさせていただきます。
 続きまして、議題3に移りたいと思います。議題3は「失業認定におけるデジタル技術の活用について」でございます。
 まず、資料3について事務局より御説明いただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鈴木調査官 雇用保険課の鈴木でございます。
 資料3に基づいて御説明をさせていただきます。
 おめくりいただきまして1ページ目でございます。
 昨年6月に閣議決定された規制改革実施計画では、失業認定のオンライン化に関して、以下a、bのとおり記載されているところでございます。厚生労働省は雇用保険制度の失業認定について4週間に1度、全員一律に公共職業安定所への来庁を求めている原則的な取扱いをデジタル技術の活用により見直す。
 具体的にはということで、令和5年夏から大規模労働局において以下の取組を実施するということで、1つ目でございますが、公共職業安定所への出頭が大きな負担となっている者について、既に実施中の市町村取次の対象者に加え、難病患者、長期療養者、子育て中の者等についてもオンライン面談による失業認定を可能とする。
 2つ目として、計画的な早期再就職を目指して公共職業安定所の支援を受ける者について、オンラインでの手続のみによる失業認定を可能とする。
 以上につきまして、令和5年夏から取組を開始し、速やかに効果検証を行うとされているところでございます。
 加えてbですが、厚生労働省はaに記載の取組について、特にオンラインでの手続のみによる失業認定に係る効果検証を踏まえた上で、諸外国の実態も参考にしつつ、デジタル技術を活用した雇用保険制度の失業認定関連手続の在り方について検討し、令和6年6月を目途に結論を得る。以上のとおり、規定されているところでございます。
 本日は、aにおいて実施されることとされた大規模労働局等におけるデジタル技術を活用した失業認定の現時点における実施状況等について御説明をさせていただき、デジタル技術を活用した雇用保険制度における失業認定関連手続の在り方に関し、御意見をいただきたいと考えてございます。
 1枚おめくりいただきまして2ページ目でございます。
 まず対面の場合の基本的な「基本手当の受給手続の流れ」について御説明させていただきたいと思います。受給資格決定及び4週間に1度の失業の認定を受けるためには、ハローワークへの出頭が必要でございます。ハローワーク職員との面談により、基本手当の受給に必要となる労働の意思・能力の確認を受けることとなっているところでございます。
 基本的な業務フローは図のとおりでございますが、離職後、事業主が被保険者資格の「喪失届」をハローワークに提出し、ハローワークにおいて離職時賃金額や離職理由を精査した後、離職票を離職者の方に交付をいたします。
 その後、求職者はハローワークに来所し、職業相談部門に求職の申込みをし、雇用保険部門には離職票等の必要書類を提出の上、ハローワーク職員との面談で基本手当の受給要件等の確認を経て、受給資格決定がなされます。その後、求職者は説明会会場に出向き、受給資格者証の交付を受けるとともに、ハローワーク職員から雇用保険の受給に当たっての留意事項の説明を受けます。
 求職者は4週間に1回の指定された日にハローワークに来所し、受給資格者証及び失業認定申告書を提出の上、ハローワーク職員との面談により、労働の意思・能力等の確認を受け、失業の認定がなされます。
 ハローワーク職員は失業認定の結果をシステムに入力し、支給期間、支給額等が印字された受給資格者証を本人に返戻するとともに、次回用の失業認定申告書を交付いたします。この際、就職意欲を喚起し、職業相談部門への誘導も行っているところでございます。
 失業認定から1週間後を目途に基本手当の支給がなされますが、再就職、または支給終了まで4週間に1回のペースでこの失業認定プロセスが繰り返されるといった流れとなってございます。
 1枚おめくりいただきまして、3ページ目でございます。
 こちらが、オンライン失業認定の場合の業務の流れでございます。
 まず、現状実施しているオンライン失業認定には、冒頭御説明させていただきました規制改革実施計画にも記載のとおり、2種類の方式が存在いたします。
 1つ目が、ハローワークへの出頭に往復6時間以上かかる離島など市町村取次対象地域にお住まいの方、難病患者、子育て中の方など来所困難な方に対してハローワーク職員が対面と同様、オンライン画面を通じて面談を行いながら認定を行うオンライン面談による失業認定でございます。
 もう一つが、ハローワークの職業相談部門が手厚い支援を行う就職支援プログラムの支援対象者に対して実施しているオンラインでの手続のみによる失業認定でございます。就職支援プログラムの支援対象期間にあることをもって必要な水準の求職活動が行われていると判断し、オンラインで提出された失業認定申告書について疑義がある際には電話確認を行うものの、ハローワーク職員との面談を経ず、提出された申告書のみで失業認定を行うというものでございます。
 1つ目のタイプのオンライン面談による失業認定の場合は、このページの上の部分を御覧いただきたいと思いますが、赤枠で囲っている部分について対面による場合と比べて業務フローが追加されることとなります。すなわち、受給資格決定の際に対象者に対し、オンライン面談による失業認定の案内、雇用保険説明会後には希望者に対し、システムの操作説明を行うほか、4週間に1度の失業認定日にはZoom接続によるオンライン面談を行い、面談終了後、認定結果を踏まえ、支給期間や支給額等を印字した受給資格者証をシステムから出力し、撮影し、パスワードをかけた上で画像データを本人にメールで返戻する等の作業が追加される形となります。
 2つ目のオンラインでの手続のみによる失業認定の場合は、オンライン面談を要しない書面審査であるために、失業認定日のオンライン面談に係る手順が省かれた形となりますが、認定後の受給資格者証の画像データの返戻を行う部分などはオンライン面談と同様の対応が生じる流れとなってございます。
 以上がオンライン失業認定に係る基本的な業務フローの流れでございますが、次のページ以降で現在実施中のオンライン失業認定の状況について御説明したいと思います。
 4ページ目でございます。
 まず、市町村取次対象地域におけるオンライン面談による失業認定でございます。
 対象地域はハローワークへの出頭に往復6時間以上かかる離島など、市町村取次対象の延べ52市町のうち、オンライン環境が整い、自治体の協力が得られた41市町村でございます。市町村取次対象地域では真ん中、水色の枠にございますとおり、従来受給資格決定時にはハローワークへの出頭、4週間に1度の失業認定時には市町村役場に出頭し、ハローワーク職員に替わり、市町村職員が面談を実施し、面談結果をハローワークに取り次ぎ、失業認定、支給決定を行うという流れでございました。
 それがオンライン面談導入後、右側でございますが、受給資格決定時には市町村役場でハローワーク職員が直接オンラインで面談するとともに、失業認定時には本人の希望に応じ、市町村役場への出頭、または自宅でZoomを利用し、ハローワーク職員とオンライン面談を行い、その場で失業認定、支給決定がなされる仕組みとなってございます。令和5年4月から令和6年1月までの対象者は724名、累計のオンライン失業認定実施回数は1,745件、うち自宅からは138件という状況でございます。
 おめくりいただきまして5ページ目でございます。
 令和5年4月から令和6年1月までの実施状況でございますが、認定日時の日程調整段階におけるトラブルは生じてございませんが、対面に比べ、もろもろのロジスティックが追加されることに伴い、2にございますとおり、対面の失業認定に比べ、役場、自宅、双方とも所要時間が多くなる傾向となってございます。
 3や5に記載のとおり、タブレット等の画像を通じて本人確認等をする際、光の反射によりマイナンバーカードや失業認定申告書の内容が見にくく、これを是正するためのやり取りですとか、受給資格者の操作の不慣れに伴う接続不良などにより、オンライン面談が中断されるといったオンライン面談に由来する作業の手間により一定程度所要時間の増加が見られるといったところでございます。これにより、ハローワークでは窓口職員の認定件数が増加したとの事例も報告されてございます。
 市町村役場においては、プライバシーが保たれる専用スペースの確保や調整に負担が生じたとの事例も報告されてございます。
 一方、6にございますとおり、職業相談の実施の観点からは、従来は役場における求人票の閲覧等にとどまることが多かった状況でございましたが、オンラインでハローワーク職員と直接やり取りをすることができるようになり、職業相談等を受けることが可能となったといったポジティブな事例も報告されてございます。
 職業相談や不適切な申告といった観点からは、トラブルは報告されていない状況でございます。
 おめくりいただきまして、6ページ目でございます。
 次に、昨年4月からブロックキー局、※1に記載の9所におきまして実施しているオンライン失業認定の実施状況について御説明をさせていただきます。
 オンライン面談の日程調整や失業認定申告書のオンライン提出等のための独自システムを導入しつつ、以下、1、2の対象者のうち、希望する方に対して実施をしているところでございます。
 まず1でございますが、来所が困難な方、※2にございますとおり、公共職業安定所への出頭が大きな負担となっている育児中の方、障害者、介護中の方、難病患者、長期療養者といった方々を対象に、自宅からのオンライン面談による失業認定を実施しているところでございます。
 次に2でございますが、計画的な早期再就職を目指してハローワークの職業相談部門による手厚い支援を受ける就職支援プログラムの対象者を対象として、オンラインでの手続のみによる失業認定を実施しているところでございます。
 本年1月までの実施状況は、1の来所が困難な方に対するオンライン面談が317名、累計797件の失業認定、2のオンライン書面認定につきましては110名、累計157件の失業認定を実施しているところでございます。
 続きまして7ページ目でございますが、令和6年1月までの実施状況でございます。
 市町村取組地域における状況と類似したものとなってございます。すなわち、1に記載しているところでございますが、オンラインでの失業認定に際し、追加となる業務フロー等の影響により、対面に比べ、使用時間が長くなる傾向にございます。
 日程調整等については、専用のシステムを導入したことにより円滑にできてございますが、配線接続におけるトラブル、オンラインの画面越しでの本人確認や失業認定申告書の訂正作業等に時間を要した例が報告されてございます。
 2の就職支援の影響につきましては、失業認定の日と別日にオンライン、または対面による職業相談を案内する、オンライン面談での失業認定の直後に引き続き職業相談をオンラインで実施するなどの工夫を行っており、悪影響は特に確認されてございません。
 3つ目の不適切な申告の事例も確認されてございません。
 4つ目の対面窓口とオンライン双方に対応できるハローワークの体制確保の観点からは、オンライン面談に人手が割かれるため、窓口混雑時などに体制が確保できず、窓口の待ち時間が増加したというケースが報告されているところでございます。
 おめくりいただきまして、8ページ目でございます。
 5の効果的な就職支援、不適正な申告防止等の工夫としては枠で記載のとおり、ハローワーク名古屋中所の事例を紹介させていただきたいと思います。より気軽に職業相談を利用いただくようにする観点から、独自にインターネットによる職業相談の予約システムを導入し、オンライン面談による失業認定の対象者に対しても予約システムの利用を積極的に促し、職業相談部門への誘導を図っているところでございます。予約制とすることにより、利用者にとって「待ち時間解消」、ハローワークにとっては「相談内容の事前把握」ができるようになり、相談者の事情を勘案した上で適性と思われる求人を準備できるなど、きめ細かい相談支援を効果的・効率的に行うことが可能となったという事例でございます。
 6のオンラインの失業認定に関する利用者の声などにつきましては、【オンライン失業認定を選択した受給資格者の感想】としては、「子どもの体調に影響されず自宅で失業認定を受けられるため安心できた。」「悪天候だったので来所する支度を考えるとオンラインでできるのは助かった。」「インターネットで申請して雇用保険の手続きができるのはとても便利だった。」等の感想が聞かれております。
 一方、オンライン失業認定を選択しなかった受給資格者の理由としては、「一応雇用保険の手続きはしたが、長期間受給するつもりはなくすぐに就職するつもりであり、システムの操作方法など細かいことを新たに理解しなければいけないのは面倒。」「対面で職業相談をしたい。」「システムの操作マニュアルのページ数が膨大でわかりづらい。」
 といった理由が挙げられてございます。
 なお、【参考】の部分にございますとおり、オンライン失業認定の希望の有無について実施9所において短期間ではございますが、サンプル調査を行ったところ、資料の下にございますとおり、オンライン失業認定を希望する方の割合はオンライン面談の対象となる来所困難者で36.4%、オンライン書面認定の対象となる就職支援ナビ対象者で22.6%という結果でございまして、対面を希望する声も一定数存在していることがうかがえるところでございます。
 以上が、現在実施中のオンライン失業認定の状況でございました。
 おめくりいただきまして、9ページ目でございます。
 以下、9ページ目、10ページ目では独、仏、英、米の失業認定、オンライン化の状況についてまとめてございます。
 失業認定の仕組みにつきましては、初期の段階で行政機関と受給資格者との間で求職活動の計画等を記載した計画等が策定され、これに沿って求職活動を実施するというスキームを採用する国が多い状況でございます。オンライン化の状況でございますが、いずれの国も失業後の初回相談は対面である点は共通しておりますが、その進展度合いは国によって異なっているところでございます。
 ドイツは常時、雇用エージェンシーから連絡の取れる状態であることが必要であり、要請がある場合は直接対面に応じる必要があるものの、求職者登録や失業認定に関する一連の流れがオンラインでの処理が可能となってございます。
 フランスにおいては、月1回の個別就職支援計画、PPAE更新はオンラインにより実施可能でございますが、アドバイザーとのやり取りは3つのカテゴリーに分類し、対応を区別しているようでございます。すなわち、1ですが、独力で再就職先を見つけることが可能と判断される層に対しては原則電話や電子メール、2の求職者の希望と地域企業が求める職務経験等に相当の距離がある層についてはオンライン、または対面による面談、そして3として学歴が低く資格や技能を持たないため、長期失業者になる可能性が高い層については定期的な対面での面談が実施されている状況でございます。
 おめくりいただきまして10ページでございます。
 イギリスにおいては、受給者の積極的な求職活動の促進のために面談が有効であるとの考え方が強く、失業認定は来所して対面による面談が原則とされ、オンライン化は行われていないところでございます。
 アメリカは、失業保険制度は州ごとの運営となっており、資料ではカリフォルニア州の例をお示しさせていただいてございますが、申請、認定、給付の全プロセスがオンライン化されており、申請時、受給資格に疑いがあり、確認する必要が生じた場合は電話インタビューを行うといった対応を行っているようでございます。
 なお、各国の失業認定のオンライン化に関し、このJILPTの調査報告によりますと、いずれの国でもオンライン化によって不正受給が増加した事象は見られていないということでございます。
 続きまして11ページ目でございます。
 失業認定のオンライン化を進めているドイツやフランスでは、失業認定と就職支援との一体性を担保すべく、オンラインによる職業相談も併せて進められているところでございますが、これに関連して我が国の取組も御紹介させていただきたいと思います。
 資料にございますとおり、ハローワークの就職支援サービスは近年順次オンライン化を進めているところでございます。ハローワークに出向かずともオンラインでの求職申込みや職業紹介が可能となっているほか、オンラインによる職業相談についても令和2年度からの試行実施を経て令和4年度から本格実施し、現在順次、その対象を拡大しているところでございます。このオンライン職業相談について利用者からは、時間的な余裕がない場合でも自宅から相談を受けられるのはありがたいですとか、オンラインでの面接が増えている中、より本番に近い形で面接の練習を受けられるようになった等の好意的な声も寄せられる一方で、込み入った職業相談は来所して対面で行いたい等の声も寄せられているところでございます。
 続きまして12ページでございます。
 これまでこの部会におきましては昨年3月、そして5月とオンライン失業認定に関し、御議論いただきました。主な御意見として、以下並べさせていただいております。
 将来的なオンラインの活用自体は否定するつもりは全くないが、失業認定と職業相談、再就職支援への影響、適切な失業認定の実施など課題も多い。
 求職者は当然として、失業認定に携わる労働者も影響を受けるため、双方の声を踏まえ慎重に検討すべき。
 面談時間のみで比べても、通常より要する時間は長くなっていたり、日程調整やデータ登録の事後処理にも比較的時間がかかっているようであり、実態も踏まえた検証をお願いしたい。
 トライアルで使うシステムと、実装の場合とで用いるものが違えば検証の意味はないことから、システム面以外も含めて試行が効果的なものとなるように、その条件には十分に留意をしていただきたい。
 試行については、再就職への影響なども含めて効果検証を通じて課題を把握し、その課題解決を図りながら丁寧に検討を進めていただきたい。
 デジタル技術の活用という要請があって、オンライン化を図っていく方向性については異論はない。他方、失業認定というプロセスは極めて重要なものと認識しており、試行的に実施していく中で浮かび上がってくる課題は着実に解決していき、要請に応える形で対象を広げていくことに期待している。
 ハローワーク職員の業務負担が増していることは懸念する。求職者とハローワーク職員の双方の負担を軽減する方向でオンライン化の対象を広げていくことが必要。
 雇用保険制度研究会で、失業認定は職業相談との連携が重要であるという意見があった。対面とオンラインの違いによって就職に影響がないのかどうかといったデータも蓄積いただきたい。
 例えばマザーズハローワークコーナーの設置など、来所時の面談に困難を抱える方たちが安心して面談が受けられるように様々な創意工夫をしていることから、そういった対応は引き続き進めていただきたい。
 人員体制の拡充や、把握した課題の解決を図りながら、失業認定の現場実態も踏まえて検討を進めていただきたい。
 以上のような御意見を伺っているところでございます。
 続きまして13ページですが、昨年5月の雇用保険制度研究会中間整理では、失業認定の在り方としてオンライン化に関する御意見もいただいているところでございます。主な点について御紹介をさせていただきます。
 (保険制度における失業認定の意義)では、保険事故としての失業の特性から、失業給付が受給できるために失業状態から積極的に脱却しようとしないモラルハザードが生じるおそれがあり、それを外形的に判断できないという面を考えると、保険システムが有効に機能するために、失業認定に当たってハローワークに来所して対面で労働の意思・能力を確認すること自体は非常に重要。保険制度の適切な運営という観点からオンラインによる失業認定をどう考えるかを検討すべきではないか。他方、来所が著しく困難である場合はオンラインの活用を検討すべき。
 (失業認定と職業相談の連携)つきましては、失業認定と職業相談が有効に連携することが再就職促進のために重要であり、オンライン化を促進する方向性はよいが、職業相談という面では対面の有効性や求職者のニーズがあると考えられる。求職者のタイプによって異なることから、対面を希望している人に望まないオンライン認定や職業相談を強制すると効果が生じないのではないか。
 失業認定に関しては、対面で認定して職業相談を行い、再就職につなげていくことが非常に重要。諸外国の例を見ても、初回の職業相談は対面で実施しており、重要な意義があると考えられる。オンラインによる失業認定の適用範囲を拡大するに当たっては、メリットとデメリットを双方検討するとともに、オンラインによって失業認定がきちんとできているのかの検証と同時に、オンラインで失業認定した場合に就職率が低くなっていないかという点も含めた検証が必要。
 イギリスやフランスでは求職者に個別的な就職支援のための計画を策定しており、これが日本の失業認定に相当するような活動になっている。日本でも早期就職希望者や就職困難者など特定の求職者に対して個別支援計画を作成して就職支援を行っているが、失業認定を受ける者全般に対し、そのような個別の支援計画を行うことを検討する必要性を強く感じる。個別支援計画による就職支援は一定の成果を上げていると考えられるし、計画の進捗確認行為が現在の失業認定における求職活動実績の申告・確認作業の代わりになるのではないか。
 14ページですが、(オンライン化に対応した給付制度の在り方)につきましては3つ目の○ですが、オンラインをうまく組み合わせることで、モラルハザードの起こりやすさ等の観点も踏まえ、必ずしも全員に対して対面の失業認定を行う立てつけにしないことも考えられるのではないか。また、初回は来所するが、2回目以降はオンラインによるということも可能ではないか。
 フランスにおいて、求職者を3つのグループに分類し、より職業相談が必要な人に手厚くするという方法は効率的と考えられる。ただ、対面を希望する求職者が対面で職業相談を受けられないようであれば問題がある。
 (オンライン化に対応したハローワークの体制整備)につきましては、フランス・ドイツと比較して、適切な就職支援や雇用保険給付の実務を担当する現場の職員が少ないのではないか。個別支援計画の就職支援や暫定措置・特例的な措置への対応といった点から見ても、常勤職員を中心に職員に負担がかかっており、常勤職員数の増加を検討すべきではないか。
 職員負担を減らすという観点からも、オンライン活用により効率化を進めていった方がいいのではないか。他方、対面とオンラインの双方に対応できる体制が必要になってくることから、オンライン化が必ずしも職員の業務負担軽減につながらない場合もあることに留意すべき。
 以上のような点が指摘されているところでございます。
 おめくりいただきまして15ページ目でございます。
 これまでの状況等を踏まえ、失業認定におけるデジタル技術の活用について今後の方向性の検討に当たっての視点として以下、事務局から提示させていただきたいと思います。
 1つ目でございますが、受給資格者に対する再就職支援を一層効果的なものにするために、デジタル技術を活用しつつ、失業認定部門と職業相談部門との情報連携や計画的な再就職支援の方策を考えていくべきではないかといった視点。
 2つ目でございますが、オンライン化に当たっては対面窓口とオンライン双方に対応できる体制を整備する必要があるところ、対象者への事前の操作方法の説明時、オンライン面談での接続確認時や本人確認時、失業認定申告書の訂正時、受給資格者証の画像データの返戻時等の場面における業務量等の増加をどう改善、緩和できるかといった視点。
 3つ目でございますが、現在実施中のオンライン失業認定の効果検証やデジタル技術を活用した職業相談部門における取組、諸外国の事例等を踏まえ、今後のオンラインによる失業認定の在り方をどのように考えていくべきかといった視点。
 以上の観点などについて、御意見をいただきたいと思います。
 なお、御説明いたしましたアンケート結果にもありましたとおり、対面支援を求める方も多い中、オンラインでの失業認定等を強いることのないよう留意すべきと考えているところでございます。
 事務局からの説明は以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ただいまの御説明に関しまして、質問、御意見等がある方はお受けしたいと思います。
 では、大谷委員が手を挙げていらっしゃいます。
○大谷委員 ありがとうございます。全国中央会の大谷です。御説明どうもありがとうございました。
 まず、質問が何点かございます。
 スライドの3ページで、Zoomにアクセスという記載がありますがオンラインのソフトウエアがZoomに限定しているという意味なのか、教えていただきたいと思います。
 また、マイナンバーカードについての課題が幾つか出てきておりますけれども、こちらはほかの資料と一緒に画像を事前に送ることができないのかどうかということも確認させていただければと思っております。
 それからもう一点が、スライドの6ページにオンラインの独自システムを導入したということがあって、この中で日程調整についての記載があるのですけれども、スライド8ページのハローワーク名古屋の事例では独自に予約制ということで予約のシステムをつくったということが書かれております。この日程調整というのと予約のシステムというものに何か違いがあるのかということを教えていただければと思っております。
 昨今ですと、病院などでかなり多い通院の方たちをさばくために事前にウェブの問診とか、オンラインの予約とかしているような状況ですから、こういったさばき方というのはせっかくオンラインを使うのですから必要になってくるのではないかと思っているところです。
 それから、予約を取るにしても来所の方たちの混雑する時間帯とか季節感とか、そういったもので大体どの辺で忙しくなるというのが分かると思いますので、業務に支障が出ないような日程の組み方というものが必要になってくるのではないかと思っております。
 それから、意見というところでございますが、まず御説明いただいたとおり、やはり対面支援ということを希望する受給資格者の方たちというのは一定数いるということでございますから、オンラインだけに限定するといったようなことがないようにしていただきたいと思っておりますし、また、御説明いただいた資料の中で所要時間が増加したということが何回か出てきましたけれども、平均というものが書かれていて、そこを見ると大して変わらないように見えるのですが、中には長い人がいたのか、それとも平均的に長くなっているのか、改めて確認を取っていただきたいと思います。
 また、議題1のほうで平田委員もおっしゃっておりましたけれども、課題点につきましてはハローワーク間で情報共有、ノウハウ共有というものをしていってほしいと思いますし、また利用が進んでいけば課題が解消していくということが多々あるのではないかと思っております。データの積み重ねによって就職の影響があったのかどうかですとか、事前にいただいていた雇用保険部会における意見の中に出ているような形の課題点というものも解消していくのではないかと思っておりますので、引き続き検証方々よろしくお願いいたします。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、質問のところをお答えいただけますか。
○尾田雇用保険課長 事務局でございますが、幾つか御質問をいただきましたのでその点についてお答えさせていただきます。
 まずは大谷委員からのZoom限定なのかという御指摘につきましては、今、運用しているシステムにつきましてはZoomでの対応を前提としたシステムになっておりますので、これはZoomでの面談というふうにさせていただいております。ですから、利用者の方につきましてはそのシステムを通じてZoomでの面談ということで今の運用上はお願いしているところでございます。
 2点目のマイナンバーカードでございますが、これは何のためにやっているかと申しますと、面談時にその方が本当に本人なのかということを確認させていただいております。ですから、画面を通じてその方にマイナンバーカードを自ら提示していただいて、本人ですよ、そこに写真が写っているのは私ですよということをしていただいているということで、これは現場で対面でやっている手続を今オンライン面談で実現するという趣旨でやっておりますので、事前に送るということで代替できるかというとちょっと質が変わってまいりますので、そこは御指摘を踏まえて引き続きどういうやり方があるか検討してまいりたいと思いますけれども、そういう趣旨でございますので当面はこのやり方でやらざるを得ないかなと思っております。
 また、3点目の日程調整につきましては、ちょっと説明がややこしくて恐縮だったのですが、8ページ目でお示ししましたシステムというのは、これは今回の失業認定とは別のシステムで名古屋中所のほうでオンラインの職業相談のための予約システムを設けたという趣旨でございます。今のこの職業相談の予約システムと、今年の7月から実施しております失業認定のシステムは連動しておりませんので、名古屋中所では、別途職業相談の予約システムがあるのでそちらで予約してくださいという誘導をしているという趣旨でございます。
 その他、御指摘いただいておりました点も少し御説明いたしますと、業務の繁閑につきましてはどうしてもハローワークの全体の業務の繁閑に連動する部分がございますので、オンライン面談だろうと、対面だろうと、多い時期は多いということではございますが、現在の運用上はなるべくオンライン面談の方については特定の日の特定の時間に集中して対応できるようにということで現場の工夫でやっているところでございます。
 とはいえ、それでも本日鈴木のほうから御説明したような体制上の課題というのがどうしても出てくるという報告も受けているところでございます。
 また、所要時間につきましてはちょっと雑駁な報告にとどめておりますので、平均どれくらい、大体これくらいということでございます。正確に把握するということがどこまでできるかはありますけれども、今後課題としてデータの蓄積というのは御指摘のとおりでございますので、どのような把握の仕方があるかどうかは検討させていただきたいと思います。
 また、ノウハウの共有につきましては大谷委員御指摘のとおりで私どもも考えておりまして、現在9所で実施しておりますが、この9所の経験というのもしっかりと共有しながら、今後、もしもさらに拡大するのであれば、その際にはしっかりと局間、所間でノウハウを共有し、そこの中で工夫をしつつ改善していくということを私どもとしても求めていきたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問のある方いらっしゃいますか。
 では、まず冨高委員お願いいたします。
○冨高委員 ありがとうございます。
 今後のオンライン化の方向性については、対面のニーズもある中で、選択肢として「オンライン化」を整備する、ということかと思いますが、いずれにしても先ほども御説明いただいたような現在の試行状況から明らかになった課題や、システムの使いにくさなどを丁寧に解消していくことが重要だと考えております。
 その上で2点申し上げます。まず1点目ですが、3ページ目の「オンライン失業認定に関する業務の流れ」について、ハローワークの現場の職員の声も聞いており、認定のために必要な個人情報を取り扱う上でシステムのセキュリティー面を不安視する声が挙がっております。特に受給資格者証のメール送信に当たっては、メールをダブルチェックするなど、個人情報の漏えいにつながらないように細心の注意を図ることが必要であり、職員の心理的な負担や作業時間の増加につながっていると聞いております。
 また、オンライン失業認定の際の本人確認についても懸念や課題があると聞いておりますので、そういった懸念、リスクを解消できるような速やかなシステム改修もぜひ検討いただきたいと思っております。
 2点目ですが、オンライン化の対象について、来所困難者に対するオンライン化の必要性は私どもも理解するところですが、就職支援プログラム事業の支援対象者についてはその定義や運用方法を引き続き検討する必要があると思っております。ハローワークごとの判断の部分もあるかと思いますが、就職支援プログラムの対象者の基準や、対象者になるとどのようなことを求職者に求めるのかなど、現場が混乱しないように一定の基準を定める必要があるのではないかと感じております。
 また、資料の最後の今後の検討にあたっての視点に記載されていますが、諸外国の事例を参考にするに当たっては十分なセキュリティー対策を講じていただくことや、既存のシステムや制度とのバランスをきちんと勘案する必要があると考えております。拙速にオンライン化を進めることで結果的に現場の職員の負荷にもつながり、それがひいては求職者にも影響を与えることも想定されます。十分に求職者、職員の声の反映、さらにハローワークの体制整備、人員確保などを実施いただくようお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 では、続きまして平田委員お願いいたします。
○平田委員 ありがとうございます。
 資料の最後にある検討の視点について、総論としてデジタル技術の利点を失業認定に取り入れていく方向と認識しておりますが、直ちに失業認定を全面的にオンライン化することは現実的ではないと思っております。求職者ごとに、能力や経験、特性が異なりますので、対面とオンラインでベストミックスを追求することが必要ではないかと思っております。こうした観点からは、フランスの考え方は一定程度参考になるのではと思いました。
 また、オンライン化に伴うハローワークの業務の増大には留意が必要と思っております。例えば、資料に「受給資格者証の撮影とメール送付」とありますが、受給資格者の利便性の向上やハローワーク職員の事務負担軽減に資することを考えれば、受給資格者証のデジタル化についても今後の課題として検討してはどうかと思っておりますので、意見として申し上げます。
 以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに何か御意見とか御質問のある方、いらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 では、課長お願いします。
○尾田雇用保険課長 御指摘ありがとうございます。
 まず冨高委員から御指摘のございました1点目と、平田委員からも御指摘がございました個人情報の管理に関しましては、私どももこの点は現場に一定負担をかけているというところは認識しております。その中で、平田委員から受給資格者証のデジタル化という御提案がございました。
 実は、私どもとしても受給資格者証のマイナポータルを通じた電子交付というものが実現できるように、今後検討を進めることとしております。ちょっと先の時期になりますが、そういったことが実現すれば、このような形でメールで個人情報に配慮しながらパスワードをかけて、職員で漏えいがないようにダブルチェックするという多重な負担をかけている状況というのは改善できる、一気に業務的には軽減できると思っておりますが、そこも含めまして今後の在り方というのは考えていきたいと思っております。
 本人確認に課題があるという点については、私どもとしても現場の感覚をお聞きしながら、どういう課題があり、解消できるのか、というのは考えていきたいと思っております。
 また、冨高委員から御指摘がございました2点目でございますが、就職支援プログラム対象者の定義が曖昧ではないかという点でございます。御指摘の点も、現実にはどういう方が対象となるかというのは一定程度、本省から示しておりますけれども、最終的にどういう方を対象とするか、あるいはどういうことをその方に支援するかというのはハローワークのほうで判断するというのが現状でございます。
 ただ、御指摘の趣旨は、こういった形でオンライン化を進めるのであれば、そういう方はきちんと基準を示すべきではないかということかと思います。それは重要な御指摘だと思いますので、私どもとしてもその点は引き続き考えていきたいと思っております。
 また、一方でこの支援プログラムをどういう範囲まで広げていくかということは、今後のハローワークにおける就職支援の在り方としても検討課題として認識しておりますので、そこも並行して進めてまいりたいと思っております。
 また、冨高委員から、諸外国の例を引きながら拙速に進めないようにという御指摘がございました。この点につきましては、私どもとしましてもデジタル化だから全てデジタル化ということではなくて、ハローワークの役割と失業認定が有している趣旨、単に基本手当を支給するための確認ではなくて、就職支援も併せて機能として持っているということを十分に認識した上で、本日ハローワーク全体のオンライン化という資料もお示ししましたが、そういった中で職業相談部門、失業認定部門、業務の在り方を検討していく中でどういうふうにしていくかということをしっかりと検証しながら考えてまいりたいと思っております。
 以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに何かコメントとか御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 それでは、この議題はこの程度とさせていただきたいと思います。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて今後の対応方針の案について整理を進め、適切なタイミングで当部会に御報告いただければと思います。よろしくお願いいたします。
 では、議題3はこれで終わりまして議題4に移りたいと思います。議題4は「専門実践教育訓練の指定基準の見直しについて」の報告でございます。
 まず資料4について事務局より御説明いただきたいと思います。
○谷口参事官 人材開発統括官付参事官の谷口と申します。私から、議題4につきまして御説明いたします。
 教育訓練給付の対象講座の指定に関しまして、専門実践教育訓練の指定基準の見直しを行いましたので御報告いたします。
 資料4のページをめくってください。
 今回の改正につきましては、専門実践教育訓練におけるデジタル関係講座の指定基準について見直すものでございます。具体的な改正内容につきましては、専門実践教育訓練の第6類型「第四次産業革命スキル習得講座」につきまして、対象レベルを「ITスキル標準レベル4相当」から「ITスキル標準レベル3以上」に拡充すること。
 また、第5類型「一定レベル以上の情報通信技術に関する資格取得を目標とする課程」につきまして、訓練時間の要件を第6類型の要件とそろえた上で、類型を統合することが主な改正内容でございます。
 施行につきましては、令和6年4月から新たな基準に基づく指定講座の募集を開始し、令和6年10月指定分から対象講座の運用を開始したいと考えております。
 本件につきましては、先般2月28日に開催されました第45回人材開発分科会におきまして改正案の諮問を行いまして御審議いただきました。その結果、本件につきましておおむね妥当ということでございます。その後、告示改正の手続を進めておりまして、本日3月14日付で官報掲載がされたところでございます。今後、この新たな基準に基づきまして講座指定を行ってまいります。
 報告は以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ただいまの御説明に関しまして、御質問、御意見のある方はいらっしゃいますでしょうか。
 奥委員、お願いいたします。
○奥委員 御説明ありがとうございました。
 人材開発分科会においても触れられたと伺っておりますが、見直し後においても現行のレベルが保たれているか、検証を行っていただきたいと考えております。
 また、これを機に1月の雇用保険部会報告でも記載されたとおり、地域や類型ごとの講座数の偏りの是正、それから講座指定の在り方、基準の見直しなどの検討を進めていただきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○守島部会長 ありがとうございます。
 ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。大丈夫ですか。
 ありがとうございました。それでは、本件につきましてはこれで終わらせていただいて、以上とさせていただきたいと思います。
 本日用意されている議題は以上でございますので、本日の部会はこれで終了とさせていただきたいと思います。委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、どうもありがとうございました。