2024年2月9日 令和5年度第1回 厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会 議事録

日時

令和6年2月9日(金)16:00~18:00

田中田村町ビル 6E会議室
(東京都港区新橋2-12-15)

議題

  1. 1.部会長の選出及び部会長代理の指名について
  2. 2.令和5年度の事業報告
    1. (1)大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の成立について
    2. (2)創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会とりまとめについて
    3. (3)国家検定実施方法の見直しについて
    4. (4)医薬品の販売制度に関する検討会とりまとめについて
    5. (5)薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会について
    6. (6)薬剤師の対人業務の強化のための調剤業務の一部外部委託について
    7. (7)電子処方箋の進捗状況について
  3. 3.次期制度改正に向けた進め方
  4. 4.一般用医薬品等(OTC医薬品)の在り方について

議事

○衣笠総務課長 定刻になりましたので、ただいまから「令和5年度第1回厚生科学審議会医薬品医療機器制度部会」を開催いたします。委員の皆様におかれましては、大変御多用のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。
 初めに、事務局から連絡事項を申し上げます。本日は、会議室における対面形式とオンライン形式を併用して、本部会を進めさせていただきます。本部会については公開といたしますが、一般の方の会場への入場を制限し、報道機関の方のみの入場とさせていただいております。会議の議事録は後日、公開いたします。また、YouTubeでの同時配信も行っております。
 続いて、資料の確認です。議事次第にお示しのとおり資料1-1~1-7、資料2、資料3、参考資料があります。Web参加の委員におかれましては、事前にメールにて送付しております。過不足がありましたら、御連絡を頂ければと思います。
 最後に審議中の御意見、御質問の方法についてお知らせします。まず、会場にお越しになって御参加いただいている委員におかれましては、挙手をしていただき、部会長から指名されましたら、卓上のマイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、マイクをオフにしていただきますようお願いいたします。オンラインで御参加いただいている委員におかれましては、御発言をしない間はミュートにしていただきますようお願いいたします。御発言の際はZoomの挙手ボタンを押していただき、その後部会長から順に発言者を指名しますので、マイクをオンにして御発言をお願いいたします。御発言が終わりましたら、ミュートにしていただきますようお願いいたします。
 続いて、委員の先生方について、お手元の名簿に沿って、お名前の御紹介だけさせていただきます。お手元に委員名簿を配布しておりますので、御覧いただければと思います。まず、伊藤由希子委員です。本日はオンラインです。小口美樹委員です。小野稔委員です。小野委員も、本日はオンラインでの御参加と伺っております。川上純一委員です。川上委員もオンラインです。北澤京子委員です。久芳明委員です。合田幸広委員です。合田委員もオンラインです。佐藤好美委員です。茂松茂人委員です。茂松委員もオンラインです。冨田健司委員です。中島真弓委員です。中濱明子委員です。花井十伍委員です。花井委員も今日はオンラインです。林正純委員です。林委員もオンラインで御参加です。福井次矢委員です。三澤日出巳委員です。村島温子委員です。村島委員もオンラインで御参加です。森昌平委員です。山家京子委員です。今日、山家委員は御欠席です。山口育子委員です。山本隆司委員です。本日は21名中、20名の委員の先生に御出席を頂いております。事務局については座席表に記載のとおりです。
 それでは、本部会の開会に当たり、厚生労働省医薬局長の城から、御挨拶を申し上げます。
○城医薬局長 医薬局長の城でございます。よろしくお願いいたします。まず、委員の皆様方におかれましては、日頃から医薬行政に御尽力いただきまして、心より御礼を申し上げます。また、本日は御多忙のところ会議に御参画いただきまして、重ねて御礼を申し上げます。本日の会議は、委員改選後の初の開催となります。委員の皆様におかれましては、本部会への御就任を快くお引受けいただきましたことについて、この場を借りて御礼を申し上げます。
 本部会は、優れた医薬品医療機器等を国民により安全・迅速・効率的に提供するための仕組みづくり、また、安心して医薬品を使うことができる環境整備に向けて、医薬品医療機器等の施策に関する重要事項について、御議論いただくことを目的としております。是非、忌憚のない御意見を頂ければと考えております。
 本日は、まず報告として、昨年秋の臨時国会で成立した大麻取締法の一部改正法をはじめとして、各種検討会における議論の状況、今年度の医薬行政をめぐる様々な動向につきまして、御報告をさせていただきたいと考えております。また、前回の令和元年の医薬品医療機器等法の一部改正法の検討規定においては、施行後5年を目途として検討を加えることになっております。今年は、その検討の規定を踏まえ、次期制度改正に向けた検討を始めていき、進めていくということを考えております。本部会においても、そのための御議論を頂ければと考えております。本日は、この次期改正に向けた進め方についても御説明をしたいと考えております。
 加えて、スイッチOTC化の推進や、医薬品の販売規制の見直しが必要な状況が生じてきております。これらの議論の前提として、セルフメディケーションの考え方の下で、OTC医薬品である一般用医薬品等の位置付けとか、国民に求められる医薬品のリテラシー等についても、御議論を頂ければと思っております。本日は盛りだくさんではございますが、是非、忌憚のない御議論を頂ければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○衣笠総務課長 それでは、本日の議題1「部会長の選任について」に移らせていただきます。この度、令和5年2月に一部の委員の改選がありましたので、改めて部会長の選出をお願いいたします。厚生労働審議会令第6条第3項には、「部会には部会長を置き、委員の互選により選任する」とあります。本部会には、厚生科学審議会の委員として、川上委員、合田委員、佐藤委員、福井委員がいらっしゃいますので、部会長はこの4人の委員の互選により選任する仕組みとなっております。4人の委員の皆様に御相談いただいたところ、引き続き福井委員に部会長をお願いすることになりましたことを御報告させていただきます。それでは、以後の議事進行を福井部会長にお願いいたします。
○福井部会長 ただいま、本部会の部会長を仰せつかりました福井です。どうぞよろしくお願いいたします。本部会で扱うテーマは非常に多岐にわたっておりますけれども、適切に対応できますよう努めたく思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、まず部会長代理を指名させていただきます。厚生科学審議会令第6条第5項に、「部会長に事故があるときは、部会長があらかじめ指名する者が、その職務を代理する」と定められております。このため、私から部会長代理として三澤委員を指名させていただきたいと思います。部会長代理の三澤委員から、一言、御挨拶をお願できますでしょうか。よろしくお願いします。
○三澤委員 慶應義塾大学薬学部の三澤と申します。よろしくお願いいたします。本日初めて参加させていただきました。私は大学で学生を教育しているという立場にありますので、できれば、現役の方々の意見だけではなく、未来の、将来の医療・医療機器を担う者の立場から、この制度部会で考えていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
○衣笠総務課長 冒頭のカメラ等の撮影は、ここまでとさせていただきます。
○福井部会長 それでは、本日の議題2「令和5年度の事業報告」に入ります。報告事項として(1)~(7)まであります。質疑は、全ての報告が終了した後、まとめて時間を取りたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。まず議題2の(1)について、事務局から説明をお願いいたします。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 それでは(1)大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律の成立について、監視指導・麻薬対策課長の佐藤から御説明させていただきます。資料の1ページの改正の経緯です。大麻取締法の改正については、当審議会の大麻規制検討小委員会において御議論いただいた後、本部会において昨年1月12日に、小委員会での取りまとめを御了承いただきました。その後、昨年の10月24日に、大麻取締法及び麻薬及び向精神薬取締法の一部を改正する法律案として国会に提出させていただき、衆議院、参議院での審議を経て、令和5年12月13日に法律として公布されたといった経緯です。
 改正された法律の中身については、2ページにお示ししております。大麻草の医療や産業における適正な利用を図るとともに、その濫用による保健衛生上の危害の発生を防止することを目的とした措置として、改正が行われております。
 改正の概要は、大きく3点あります。1点目は、大麻草から製造された医薬品の施用等を可能とするための規定の整備です。もともと大麻については麻薬取締法とは別の大麻取締法において規制されているところですが、大麻取締法の中で、大麻から製造された医薬品の施用等を禁止する規定があり、大麻から医薬品を製造することができません。今回の改正において、大麻等を麻向法の麻薬に位置付け直すことをして、この禁止規定も削除するということで、大麻草から医薬品が製造できる、それが施用できるという形に改正しております。
 2点目です。大麻等の施用罪の適用等に係る規定の整備です。現行の大麻取締法では、大麻に対する施用の禁止規定がありませんけれども、これも同様に、大麻等を麻向法の方に移すということで、麻薬としての禁止規定及び罰則を大麻等に対しても適用します。これに伴い、大麻等に対する罰則規定という部分で、若干強化される部分が出てきます。大麻等も麻薬と同じような形で規制されるということ、それに伴って施用罪が適用されるということになっております。同時に、大麻草由来の製品でも、大麻等以外の成分を製品等にお使いいただくことができることになってきますが、そうした際の保健衛生上の危害発生防止という観点から、微量に残留するTHCの残留限度値等を定める等の改正も併せて行っております。
 3点目が、大麻草の栽培に関する規制の見直しです。大麻草については、従来から免許制度の下で栽培が可能となっておりましたけれども、今般の改正において、産業用途での栽培の第一種大麻草採取栽培者免許と、医薬品としての使用が可能になるということもありますので、医薬品の原料用に栽培する場合の第二種大麻草採取栽培者免許の2区分を設定することにしております。このうち産業用途である第一種採取栽培者免許については、栽培する大麻草中のTHC濃度が基準値以下の大麻草から採取した種子を利用し栽培しなければならないといった規定を設けるということです。
 この大きな3つの点について、今回改正をさせていただきました。1番目と2番目については、昨年の12月に公布をした日から1年を越えない範囲で、政令で定める日に施行させていただきます。3番目については、栽培に関する様々な免許制度の準備期間等がありますので、公布の日から2年を越えない範囲で施行させていただくという趣旨となっております。1番、2番、3番それぞれの細かい中身については、この後ろに資料を添付しておりますので、御参考に御覧いただければと思います。大麻取締法に関する説明は以上です。
○中井医薬品審査管理課長 続きまして、創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会について、御説明申し上げたいと思います。医薬品審査管理課長の中井です。
 資料をおめくりいただいて2枚目になりますけれども、ここに経緯をまとめています。昨今、我が国の創薬における国際的な競争力の低下、それから安定供給への不安、ドラッグ・ロスという課題が指摘されております。令和4年9月から「医薬品の迅速・安定供給実現に向けた総合対策に関する有識者検討会」が開催され、その報告書が令和5年6月にまとめられております。その中で、薬事規制についても課題が幾つか指摘されています。それらを踏まえまして、令和5年7月から当局において、「創薬力の強化・安定供給の確保等のための薬事規制のあり方に関する検討会」を開催しているということになります。
 具体的に、その有識者検討会の報告書からの指摘ですけれども、次のページです。製造所関係でいくと、変更について迅速な承認を可能とするような変更手続のあり方の明確化。ドラッグ・ロスにつきましては、国際共同治験に参加するための日本人データの要否など、薬事承認制度における日本人データの必要性を整理すべき。また、新しい新規モダリティにつきましては、レギュラトリーサイエンスに基づいた薬事制度の在るべき姿を検討すべきである。オーファンにつきましても、開発早期の段階で指定できるように運用の見直しを検討すべきだということ。それから、小児用医薬品の開発については、成人用を開発する段階で、企業に小児用の開発計画の策定を促すといったインセンティブを検討すべきであるという御指摘を頂きました。また、PMDAによる英語での情報発信について、相談などの取組についても情報発信をすべきだという御意見を頂いています。
 ドラッグ・ラグの状況についてまとめたものが次のページです。ここに示してありますように、欧米で承認されていて国内で未着手の医薬品というのが86品目、そういった状態があると。その中の86品目についての内訳を見ますと、半分以上がベンチャー、それからオーファンも約半分、小児が4割程度ということで、この割合が比較的大きいということが分かっているということです。これらを踏まえまして、先ほど来説明していますように、検討会を令和5年7月から開催しまして、ここには書いてありませんが、昨日、2月8日に第8回検討会を開催しております。6ページに、検討事項の概要があります。こういったテーマにつきまして、御検討いただいているということです。構成員の先生方の名簿が7ページでありまして、8ページに今の状況について記載しております。少し説明をさせていただきたいと思います。
 まず最初のオーファン、希少疾病用医薬品の指定のあり方です。7月10日の検討会におきまして、いわゆる「輪切り」の要件の明確化、医療上の必要性が認められる範囲の明確化、それから、指定時期を非臨床段階まで早期化するということで、日本はオーファンの指定がかなり欧米に比べて少ないという御指摘を頂いていましたので、早期に指定するすということで、1月16日付けで通知を発出しています。小児につきましても成人用の医薬品の開発時に、任意で開発計画の策定を行って、PMDAの確認を受けられる仕組みということの導入について了承されて、これも令和6年1月12日に関連通知を発出しているという状況です。
 次は臨床試験関係です。8月9月に検討会で議論を行いまして、海外で臨床開発が先行した医薬品の国際共同治験に日本が参加する前の日本人での第Ⅰ相試験の必要性について御議論いただきまして、原則不要ではないのかということで了承されています。これについても令和5年12月に通知を、それからQ&Aも発出しています。これにつきましては、海外の興味も高いということでして、英語での通知の発出についても行っています。併せまして、令和5年12月に、希少疾患に用いる薬剤で、外国においてのみ検証的臨床試験が実施されている場合の日本人データの取扱いについて議論を行いまして、それから、条件付き早期承認制度をどのように活用するのかという議論を行っていただきました。ほぼ合意していますが、幾つか修正点がありますけども、今後、通知発出に向けて検討をしていきたいと思っています。治験の効率化につきましては、今後議論をするということです。
 それから、市販後安全対策についても、今年の1月に議論を行っていますけれども、引き続き議論をする予定です。
 それから、品質、医薬品の製造方法に係る薬事審査のあり方です。昨年10月の検討会におきまして、欧米にあって日本にないという制度として、中リスクの変更カテゴリや年次報告の仕組みといったことがあるわけですが、それらを試行的に導入することについて御議論いただきまして、御了承いただいて、現在、試行的な事業の取組について通知を検討中です。それから、昨年11月に、医薬品製造業者等による不正事案の対応として、行政による薬事監視についての議論、立入調査・検査の強化について議論を行っていただきまして、了承されています。
 それから、海外への情報発信です。11月の検討会において、我が国の薬事制度について、来年からPMDAは米国事務所の設置ということの予算要求をしているわけですけれども、それらを通じて積極的・能動的に海外に情報発信していくということについて御議論いただきまして、幾つかの御指摘を頂いて、それを踏まえて、今後、情報発信を進めていきたいという予定にしています。
 次の9ページ以降が、それぞれのテーマについて詳しく書いたものです。説明は省略させていただきますけれども、概略以上です。説明は以上になります。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 引き続きまして、(3)国家検定実施方法の見直しについてです。改めて監視指導・麻薬対策課長です。1ページおめくりいただいて、この検定の見直しについては、ここに書いてあります3項目あります。
 1つ目ですが、国家検定の実施方法の見直しということです。3ページにありますように、ワクチン、血液製剤につきましては、国家検定という仕組みがあります。これは、製造するメーカーが実際に実施する品質等の試験の一部、同じ試験を国立感染症研究所において重複して実施するというものです。そういう仕組みになっているということです。ただ、国家検定については、現在は実地の試験とともに書面での審査も並行して行われているという状況になっています。この書面審査は、SLP審査と呼ばれていますけれども、WHOが定めたフォーマットに基づきまして、メーカーが実施した実地試験の記録だけではなくて、製造記録等についても審査をする仕組みになっています。これが現在の法令上の規定ということで、施行規則に検定試験の一部として位置付けられているということです。
 5ページです。この試験の見直しの方向性です。国家検定制度の制定当時とは大分状況が異なっていまして、今はGMP等における製造管理・品質確保の監督が行われる仕組みになってきています。また、メーカー側の品質管理技術も向上しているという状況がありまして、国の機関により重ねて実地試験を実施せずとも、品質の確認・確保というものが可能になってきているという状況があります。
 実際に次の6ページの状況を御覧ください。2013年度以降の検定の不合格の状況を御覧いただきますと、実地試験による不合格というものはもはやありませんで、この
SLP審査、いわゆる書面審査において、基準の不遵守ですとか、製造工程上の逸脱ですとか、そういった違反等で不合格になっているという状況でして、この実地試験を重複的に行うという部分については、その必要性は大分下がってきている状況ということです。ということで、書面審査を中心とした審査手法で、検定が可能となる品目から、順次、書面審査の方法に移行させるということで検討を進めているところです。
 2つ目が、検定機関です。現在、国立感染症研究所で国家検定の実地試験を行っていますけれども、今般、国立健康危機管理研究機構というものが令和7年4月に設立され、国立感染症研究所と国立国際医療研究センターが合併した形の新組織に移行するということになっています。この組織移行を機に、国家検定の実際の実施につきましては、PMDAのほうに移管するということで、現在検討を進めているところです。これも、国家検定自身が実地試験が必要ではない形の、いわゆる書面審査を中心としたものに移行していくということを踏まえた形になっていくわけですが、国立感染症研究所からPMDAに約5年掛けてこういった検定業務を引き継いでいくということを検討しています。ただ、やはり一部に実地試験が必要な項目等が残ることも想定されていまして、そういうものについては、実地試験の部分を、引き続き感染研から変わった新組織のほうにお願いするということを検討しています。
 3つ目が、国家検定における都道府県の関与ということです。11ページにあるように、ワクチンメーカーから実際に感染症研究所に試験品を送付するとか、合格結果を伝える、また、その検定の表示を行うという過程の中で、都道府県の薬事監視員の方に今関与をしていただいている状況です。いわゆる都道府県経由事務と呼ばれるような形で、試験品等を送付するとか、試験品の抜き取り等を行っていただくという業務を、都道府県の方にやっていただいているという状況です。これにつきましては、先ほど来申し上げている、今後、国家検定について書面審査を中心とした形に移行していくということになって来る状況もありまして、試験品の抜き取りを含む都道府県の経由事務については廃止することを求めるということで、地方分権改革のほうからも指摘を頂いているような状況があります。こういう観点から、これは京都府からの御要望ということで出てきたものではありますけれども、今後、国家検定の実施方法において、都道府県の関与についても不要とする方向で検討を進めているという状況です。
 最後に15ページになりますけれども、今後の検討課題です。国家検定制度につきましては、書面を中心とした審査に移行していくということですが、この「検定」という文言自体が、実地の検査を含む概念として法律上規定をされているということですので、こういった法律上の規定についても、今後、当部会において見直しの議論をしていただきたいということで、この検討課題についても触れさせていただいています。国家検定については以上です。
○太田薬事企画官 総務課の太田です。続きまして、資料1-4を御覧ください。医薬品の販売制度に関する検討会のとりまとめについてです。2ページに検討会の検討項目と構成員を記載しています。検討項目として大きく2点、医薬品の販売区分及び販売方法、デジタル技術を活用した販売業のあり方について、昨年2月~12月までの間に11回の検討会を開催し、本年1月に議論の取りまとめを公表いたしました。3ページは全体の概要です。大きく5点ほど挙げていますが、次ページ以降が具体的な説明になります。
 4ページを御覧ください。まず、処方箋医薬品以外の医療用医薬品の販売についてです。医療用医薬品は、医師の処方や指示に基づいて医療の中で使用されることを前提に承認されている医薬品であり、処方箋医薬品は法律でその旨の記載、規定をされているところですが、それ以外の医療用医薬品については通知での規定となっており、さらに、やむを得ない場合には薬局での販売も可能とされているところです。
 近年、この「やむを得ない場合」を拡大解釈して、医療機関でもらえる薬が処方箋なしで買えますといった広告を大々的に実施して販売している薬局が出てきており、行政指導するものの、これが法律上明確に禁止されていないことを理由に改善しないケースも見受けられています。こうしたことを踏まえ、今般、医療用医薬品について、処方箋に基づく販売を基本とした上で、リスクの低い医療用医薬品の販売については、法令上、例外的に「やむを得ない場合」に薬局での販売を認めるとともに、やむを得ないとする具体的な場合や要件を明確化することとしています。
 続きまして、5ページを御覧ください。濫用等のおそれのある医薬品の販売についてです。若年者を中心に一般用医薬品の濫用が拡大しつつあることから、現状の規制の見直しについて検討したものです。適正使用の徹底という観点から、情報提供を義務付けるとともに、特に問題となっている若年者が複数・大容量を購入する場合に、頻回購入防止のための本人確認や記録に加え、対面又はオンラインでの販売、さらに、外箱の注意喚起の表示や直接手に取れない場所への陳列を規定したものです。
 続きまして、6ページを御覧ください。要指導医薬品の販売についてです。要指導医薬品は、現在、対面販売が義務付けられていますが、近年のデジタル技術の革新等も踏まえ、オンライン服薬指導を可能とするものです。既に医療用医薬品についてもオンライン服薬指導が可能となっているところから、要指導医薬品についてもオンライン服薬指導の導入をするところです。ただし、医薬品の特性に応じて、オンラインではなく対面で情報提供を行うことが適切な品目については、対面での実施も認めることとしています。
 また、現在、要指導医薬品は、毒薬・劇薬以外は一定期間経過すると必ず一般用医薬品に移行する仕組みとなっております。一般用医薬品はすべからくネット販売が可能になることから、安全性確保や適正使用徹底の観点からOTC化が進まない状況となっていることも踏まえ、医薬品の特性により必要な場合には、一般用医薬品に移行せず要指導医薬品に留めることを可能とするものです。こうした枠については、個別医薬品の特性を踏まえてしっかりと判断をしていくことが重要と考えております。
 続きまして、7ページを御覧ください。医薬品の分類と販売方法についてです。一般用医薬品は、そのリスクに基づき3分類に区分されていますが、もともと二類と三類の間にはネット販売の可否の違いがありました。二類と三類は情報提供の努力義務に相違があるものの、二類の情報提供の努力義務は内容が不分明なこともあり、十分に実施されていないという実態があります。さらに、販売の関与について、資格者の販売の関与の義務は全ての区分に課せられているものの、これも実施されていない店舗も多くある状況です。こうした現状を踏まえ、一般用医薬品の規制をより分かりやすく実効性のある形に見直しを検討したものです。
 改正案としては、販売区分は、大きく薬剤師が販売するものと登録販売者でも販売できるものの2区分とし、販売の関与を明確化した上で、情報提供については、薬剤師のみが販売できるものは引き続き義務とする一方で、それ以外の区分については、専門家が関与した際に必要に応じて情報提供の必要性を判断し実施すると明確化しています。さらに、専門家の関与が必要ないものについては、医薬部外品への移行も検討することとしています。こうした改正の内容を8、9ページにまとめています。8ページは現状の規制で、9ページに現状と改正案を比較した図をお示ししております。
 最後に10ページを御覧ください。デジタル技術を活用した医薬品の販売についてです。現行制度では店舗での資格者の常駐を求めていますが、規制改革実施計画やデジタル推進の会議において、販売店舗と設備及び薬剤師等がそれぞれ異なる場所に所在することを可能とする制度設計の是非について検討することとされております。さらに、近年、ICT技術等も進展していることから、こうした技術を使っての遠隔管理の妥当性を検討したものです。その結果、薬剤師等の資格者が常駐しない店舗において、当該店舗に紐付いた薬局等による遠隔での管理の下、医薬品を受渡店舗において保管し、購入者へ受け渡すことを可能とするものです。
 業務のイメージとしてフロー図を右下にお示しております。管理店舗の資格者が対応し、遠隔にて購入者とやり取りして、購入を決定した製品について受渡店舗での払出を可能とするものです。販売及び販売に関する責任は管理店舗が実施しますが、受渡店舗も医薬品を扱うことになりますので、業の許可を必要とする整理をしております。
 このフロー図については、技術的な検証が必要な点もありますので、今後、細かい部分については実証により検討も実施していく予定です。例えば、この有資格者が何店舗まで管理できるか、一連のフローの中でどういったスペックの技術を用いるか、どういった仕組みでやるのかといったことについては、今後、検討をしていく予定です。また、管理店舗と受渡店舗の距離については、監視指導の連携・円滑化の観点から、当面の間、同一都道府県内としております。以上が取りまとめの内容です。
 続きまして、資料1-5を御覧ください。薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会についてです。2ページを御覧ください。昨年末に第1回を開催し、具体的な検討はこれからですが、背景、検討内容、構成員をお示しいたしました。今後の薬局・薬剤師のあり方について、検討内容に掲げています2点を中心に御検討いただく予定です。
 1つ目は、夜間・休日、へき地・離島も含めた地域における薬剤提供のあり方です。2つ目は、薬局の機能のあり方です。現在、健康サポート薬局や認定薬局といった機能のある薬局の届出や認定制度ができていますが、このあり方について議論を進めてまいります。夏をめどに一旦取りまとめを実施する予定で、結果については本制度部会にも報告させていただき、必要に応じて御審議も頂く予定です。
 続きまして、資料1-6を御覧ください。薬局における調剤の外部委託についてです。本件は、薬局薬剤師ワーキングの取りまとめ結果として、令和4年8月にも本部会で一旦報告させていただいたところですが、その後の進捗について報告いたします。
 資料の2ページを御覧ください。委託を実施するに当たっての技術的要件等の検討を、厚生労働科学研究にて実施しております。昨年度の研究班では、3ページにありますガイドラインの暫定版を作成いただきました。基本的な考え方、委託薬局・受託薬局にそれぞれ求められることを検討いただいたところです。本年度は、薬局でのシュミレーション結果等も踏まえ、ガイドラインのブラッシュアップを実施中です。
 次のページを御覧ください。外部委託については、国家戦略特区の提案が昨年の9月に薬局コンソーシアム・大阪府・大阪市の共同提案として上がっており、こちらについては、内閣府とも連携して対応を進めているところです。次のページに手続の流れをお示ししています。現在、省令の特例措置に係るパブリックコメントを募集しているところです。
 次のページを御覧ください。特区における実証事業については、薬局薬剤師ワーキングにおける取りまとめの方針、具体的には外部委託の対象となる業務は「一包化」、委託先の対象施設は「同一の三次医療圏内の薬局」といった方針に基づき実施していただいております。また、方法についても、先の厚生労働科学研究のガイドライン暫定版の内容を踏まえ実施する方向で検討を進めているところです。以上です。
○福井部会長 それでは、最後の電子処方箋の進捗状況についてお願いします。
○猪飼企画官 電子処方箋の進捗状況について御報告いたします。電子処方箋については、当部会での御審議を経て、令和4年に法改正がなされまして、昨年1月より運用を開始しております。その後、1年強が経過したところですが、大きなトラブルにも見舞われず運用を行うことができております。これまで1年強が経過した中で、今朝発表された数字ですと、1万3,000を超える医療機関や薬局の皆様に導入いただき、利用いただいております。
 昨年の6月に総理がヘッドとなる医療DX推進本部で取りまとめられた医療DXの推進に関する工程表の中に、電子処方箋について、2025年3月までにオンライン資格確認を導入したおおむね全ての医療機関・薬局に導入することを目指して必要な支援を行う旨、目標が書き込まれております。その目標と照らし合わせた場合、先ほど申し上げたとおり、今、1万3,000程度の導入状況で、おおむね6%に相当しますが、必ずしも導入が芳しくない状況を踏まえ、私どもも医療機関の皆様等にヒアリングを重ねてきた結果、導入が進まない要因として5つほど特定しております。
 その1つ目が、周囲の医療機関・薬局が導入していない。すなわち、周りの薬局や医療機関の皆様の導入が進んでから自分もやろうではないかといった、お見合い的な状況があるということです。2つ目が、医療DXの推進の観点から、もろもろの対応をいろいろ政府から求められる、これがばらばらと来ることが大変だということ。3つ目が、電子署名です。現在は、紙の処方箋であれば、処方箋を発行するとき等に手書きで署名を頂いていますが、それと同等の電子署名を、電子処方箋を打つときに医師の皆様に、調剤結果を登録するときに薬剤師の皆様にお願いしております、この手間が大変だということ。4つ目が、そもそも電子処方箋を導入した上で、ちゃんと使えるのか不安だという疑問。5つ目が、患者の皆様から特段そういったお声を聞かないので、まだ対応しなくていいのではないかということ。そういった主な5つの要因があると認識しております。
 それぞれ、私どもは対応策を講じており、1つ目のお見合い状況的にあるところについては、隗より始めよということで、まずは公的病院に率先して導入いただくという方針を打ち出しております。2つ目は、医療DX周りである程度時期が似通っているものはまとめて導入していただく方向で、ベンダーの皆様、医療機関や薬局の皆様にお願いをしていくことにしております。3つ目は後ほど御説明したいと思います。4つ目、本当に使えるのかという御不安については、実際に使っていただいている医療機関や薬局の皆様からお声を聴取して、実際に使えたよということを厚労省のホームページにアップロードしております。5つ目、患者の皆様に必ずしも知れ渡ってないというお声が強かったので、国民向けの周知・広報も強化をしております。
 具体的に申し上げますと、最初のお見合い状況があるのではないかということについては、隗より始めよということで、公的な病院をまずは率先して導入しようということです。昨年11月に武見厚生労働大臣から、厚労省所管の病院のトップの皆様にお集まりいただき、電子処方箋を率先して導入してほしい旨を直接お願いさせていただいております。その上で、厚労省の幹部から、他省庁所管の公的病院の皆様、国立大学病院や都道府県立病院、市町村立病院を所管する他省庁の管理職の皆様にも、率先して導入していただきたい旨をお願いしております。
 署名が大変だという御指摘については、今は、日本医師会が運営するHPKIシステムにのっとって、HPKIカードというものをお医者様や薬剤師の皆様に取得していただき、それを使って電子署名を行っていただいていますが、これが署名を打つたびに毎回カードリーダにかざさないといけない、そもそもカードの発行がグローバルな半導体の不足によって遅れているといった御指摘が多数寄せられたことから、この度、そのHPKIカードに代わり、マイナンバーカードを用いて電子署名を打てる仕組みを昨年末に公開したところです。今後、ベンダーの皆様に実装されていく見込みとなっております。
 先ほど5つの要因で御紹介しませんでしたが、当然ながら、医療機関や薬局の皆様におかれては、自費でシステムを改修していただき電子処方箋につなげていただく必要があります。その御負担が大きいということに配慮しまして、厚労省としては従来より導入に掛かる補助金を用意していましたが、今般、6年度予算案においては追加機能も含め補助対象とするように拡充をいたしました。また、5年度補正予算においては、都道府県を実施主体として、実質的に従来の補助金に上乗せするような形で補助率を増すような事業を実施していただくべく、財源を手当てしたところです。現在、各都道府県の皆様と相談をさせていただいております。
 これまで、電子処方箋と言ったときには、医療機関において処方され、それを持って調剤薬局で調剤していただく、いわゆる院外処方のみを対象としてきましたが、今後、院内処方、いわゆる同等の行為が同一の医療機関内で行われる場合、又は入院患者様に対して投薬されるもの、これらの情報を同システムに登録していただく方向で、今、具体的検討を進めており、これらの仕組みを6年度の後半に運用開始できるように調整を進めております。その際には法令の改正も必要となる見込みです。報告は以上です。
○福井部会長 とてもボリュームが多くて大変なのですが、ただいまの事務局の説明について、委員の先生方から御意見、御質問等がございましたら、御発言をお願いいたします。山口委員、どうぞ。
○山口委員 山口です。まず、資料1-4の医薬品の販売制度に関する検討会、これに私は委員として関わっておりまして、特に零売薬局の実態ということで、ほとんど9割以上が処方箋なしの患者に対して売っているような現状を、ヒアリングなどでもお聞きしました。恐らく委員の皆様もニュース等で御覧になっているように、昨今、特に第二類の風邪薬、一般用医薬品のオーバードーズということで、10代、20代の若者を中心にした薬物中毒ということで、搬送されるような若者が増えていることが問題になっています。この検討会の中で紹介されたものでも、10歳未満の搬送者も出てきているということで、かなり深刻な問題だということを認識いたしました。この検討会は、最後の取りまとめまで、かなり幾つかの論点で賛否が分かれて、非常に議論になったところがございます。この後、法改正も含めて、ここの制度部会で議論していくということですので、そういった意見が分かれたところの論点、その背景の辺りを、是非ほかの委員の方々にも丁寧に明らかにしていただいて、しっかりと議論できるようにしていただきたいということをお願いしたいと思います。
 特に、対面又はオンラインということで、濫用のおそれがある薬は、20歳未満の方については対面又はオンラインということになりましたが、果たして本当に20歳未満でいいのかというようなことも、非常に意見が分かれたところでもあります。一応、取りまとめでは、取りあえず20歳未満ということで、早期に見直しをしながら、本当にそれでいいのかどうかを検討していくということで、取りまとめになりました。
 それから、これは規制が厳しくなると、例えば法的に、今でも万引きなどで一般用医薬品を手にしている若者がいるように聞いております。ですので、「直接手に取る所への陳列はよくないのではないか」というような意見が大勢を占めておりましたが、一部、「その辺りをもっと緩めてほしい」というような意見もございましたので、その辺りについて、問題点を是非丁寧にこの場で御紹介いただきながら、次の法改正に向けての話合いができればと思っております。これがお願いです。
 1つ質問があります。資料1-3の国家検定の所です。6ページに国家検定に係る不合格率の推移ということで、1948年度からグラフがあって、戦後間もなくは不合格率が高くて、不合格の件数も多かったのが、今はほとんどゼロになっているということが書かれておりますが、実際の試験を実施する数の推移が見えなかったので、検査の件数自体は増えているのか、増えている中で、このようにゼロになってきているのかというところが分からなかったので、そこだけ教えていただければと思います。以上です。
○福井部会長 事務局、いかがでしょうか。
○佐藤監視指導・麻薬対策課長 監視指導・麻薬対策課です。本日は件数のデータはお示ししていないのですが、1つのワクチンでも、それこそ年間数十件といった単位で検査を行っておりますし、ワクチンの種類も、昔よりも現在は増えている状況で、実際の件数という観点では、だんだん時系列とともに件数自体は増えています。そういう中で、実地試験での不合格は現状では発生していないといった状況であるということです。
○山口委員 よく分かりました。前半の件は、事務局に是非よろしくお願いいたします。
○福井部会長 伊藤委員、お願いします。
○伊藤委員 御説明ありがとうございます。私は2018年からこの部会に携わっております。前回の令和元年の法改正のときに、オンライン服薬指導の制度改正を担当しまして、その後、令和2年にコロナが始まったときは0410対応という、早期に実施することも経験いたしまして、こういった制度改正の重要さは重々認識しているつもりです。今回、また5年ごとの改正に携わるということで、気を引き締めて取り組んでまいりたいと思いますが、質問が大枠で1つあります。御説明していただいた1から7の中に、今後の対応、制度改正の議論に乗ってくるものがあるということなのですが、この中で、重点的に取り組むものとしてどれがあるのかを大枠で伺いたいというのが、1つの質問として1個目です。
 それに関して細かいお伺いになるのですが、4点ほど質問を申し上げます。まず、資料1-2に関してですが、ドラッグ・ロスの解消のために条件付き承認を設けるべきかという論点に関して、今回の制度改正に絡んでくるのか。私の考えとしては、そもそも申請すらしていない、日本市場というものを、申請してもいつになったら薬事承認が得られるかの見通しが利かないと、そもそも市場として認識しないというのは、非常に大きな問題であると思っています。その点でも、事後の規制をよりしっかりするとともに、事前の審査のプロセスをもう少し透明化、分かりやすくするということで、改正が必要だと思っております。私の意見としては、今後の制度改正に乗せていただきたいということを申し上げます。
 次に、資料1-4です。先ほど山口委員からも濫用の可能性の議論があったと伺っております。私は、規制改革推進会議の健康・医療・介護ワーキング・グループのほうでも、この論点を扱っております。
 それに関して伺いたいのが、資料1-4の10ページを御参照いただければと思います。まず、規制改革でも議論になった点が3点あります。オンラインの販売をするに当たって、映像と音声を確認しなければいけない。なぜ映像まで要るのか。必ずしも本人が買いに来るわけではない可能性もあるのに、映像まで確認しなければいけないのか。事実上のオンラインでの販売という規制緩和の骨抜きになっていないかということです。あとは、店舗数に関しても、まずは数店舗で、薬剤師が管理できる範囲でやる、かつ、同一都道府県内の店舗にのみ実施するということで、初めは小さく始めるということで、それ自体は構わないのですが、この実証事業などの取組をいつぐらいまでに成果として確認して、これを次期の制度改正等にも盛り込む予定なのかどうかについて、改めて伺いたいと思います。
 それから、資料1-5の2ページで、ここについても伺い点がございます。こちらは夏をめどに結果を取りまとめるということなのですが、夏をめどに取りまとめるということは、年末までの制度改正などを見越してのスケジュールなのかどうかという点について、確認させていただきたいと思います。
 それから、資料1-6ですが、こちらも非常に大事な業務であると思っております。調剤業務の一部外部委託ということで、外部委託ということ自体が、厚生労働省の概念の中、これまでの法律の中になかったと思うのですが、4ページの下のほうに、規制の根拠法令ということで、ここにも薬機法の施行規則第11条の11というように書いております。「調剤の求めがあった場合には、その薬局で調剤に従事する薬剤師にその薬局で調剤させなければならない」と、場所を規定して、一包化加算の場所も決めるというような規則になっています。これは、省令の改正という形で考えているのか、それとも、これも法律の改正という形で考えているのかという点について、扱いをどの粒度で考えているのかを確認できればと思います。以上です。
○福井部会長 それぞれのポイントについて、時間もありますので簡潔に回答をお願いします。最初に、制度全体のことについてはいかがですか。
○衣笠総務課長 今後、何を重点的に検討するのかという話については、後ほど御説明する次期制度改正に向けた進めとも関連しますが、今後、更に我々のほうで整理しまして、そういったことも含めて、今後お示ししながら議論いただくということになると考えています。したがって、今現在、何かこれをというようなテーマをお示しできるような状況ではなく、整理中ということです。以上です。
○福井部会長 ドラッグ・ロス関係についてはいかがですか。
○中井医薬品審査管理課長 資料1-2の関係について御回答申し上げます。先ほど「条件付き承認制度」と聞こえたのですが、もしもそうであれば、それについても運用の改善をしていかなければいけないと思っていますし、必要であれば制度改正も考えております。
 それから、プロセスの透明化についても御指摘いただきましたが、それは運用になると思うのですが、英文化する、情報発信する、それから、先ほど説明しましたが、オーファン制度について早期に指定することによって、海外のベンチャー企業に手を挙げていただくというようなことも含めて、考えていきたいと思っております。制度改正についても、もちろん併せて考えていきたいと思っております。以上です。
○福井部会長 濫用のことについてはいかがですか。
○太田薬事企画官 資料1-4の関係です。10ページの業のあり方についての店舗数と映像の話です。まず、映像の話は、検討会ではデジタル原則を踏まえて、店舗で行っていることをデジタル技術の活用により拡張することを前提に議論していますので、店舗での購入で資格者が対面でて対応しているところについては、同様の対応ができることを想定した議論になります。ただし、ネット販売もできる医薬品ですので、そういったやり取りを否定するものではありませんので、そのように整理してますして。また、店舗数については、これから実証を行います。補正の予算事業ですので、今準備をしているところです。そこで実証を行った上で、何店舗までというところも検討していければと考えております。
 続いて、資料1-5の関係です。夏をめどに取りまとめというところですので、その中で必要な法改正事項が出てくれば、この制度部会にも御審議いただく予定となっております。
 資料1-6の外部委託ですが、そもそも現状の規制は、外部委託が想定された法体系になっていないこともあり、特区の関係では省令改正の形で手続を進めておりますが、医療法の委託に関する規定などを見ますと、法律にしっかりと根を作ったほうがいいのではないかといったところもあると思いますので、まだ決定事項ではございませんが、法改正も視野に入れた形での検討も考えているところです。以上です。
○福井部会長 できるだけ簡潔にお願いしたいと思います。
○伊藤委員 資料1-4について、今年度に実証してということは、今年度中には結論は出ないということですか。
○太田薬事企画官 実証の進捗状況にもよると思いますが、いずれにしても、なるべく早い段階で結果が出せるように検討します。ただ、細かい店舗数の話ですので、この審議会での制度改正方向性とか、そういった話に直接的に関わるような内容ではないと思っております。
○伊藤委員 分かりました。言いたかったのは、山口委員がおっしゃっていたとおり、濫用など、喫緊の社会課題になっている部分に関して、販売方法でできる面と、販売方法でできない面とあると思うのですが、現実に問題が起こっていることに対しては、機動的に対応するようなことも必要ではないか。そうなってくると、販売方法であるとか、本人確認であるとか、ないしは、医薬品の濫用等があるものを要指導に変えるとか、そういったことのシステムを何か、問題がすごく大きくなってからではなくて、もう少し機動的に対処する方向性で検討はされているのかという点について、確認させていただきたいと思います。
○太田薬事企画官 特に問題となっている濫用の部分については、こちらでもできるところは早めに対応していこうということで検討をしているところですので、そのような形で進めてまいります。以上です。
○福井部会長 森委員、お願いします。
○森委員 幾つか簡潔に発言させていただこうと思っています。
 まず、(4)医薬品の販売制度に関する検討会のとりまとめについてです。私も、この検討会の委員として参画しました。検討会で十分に議論を重ねた上で、取りまとめが行われたと理解しています。この検討会の取りまとめで指摘されている課題を解決できる制度設計に向けて、速やかに進めるべきだと考えます。山口委員からもありましたが、特に社会問題となっている濫用防止対策は即座に対応すべきで、制度、行政、メーカー、専門家、全ての関係者ができることを尽くす必要があると考えています。
 それから、デジタル技術を活用した医薬品販売業のあり方については、デジタル技術を活用することにより遠隔管理が可能であるか、現状と課題について整理をされたもので、今後、国民の安全性の確保を第一として、実証等を通してどのようにするのか、慎重に検討すべきだと考えています。
 (5)薬局・薬剤師の機能強化等に関する検討会についてです。夜間・休日の緊急時や離島・へき地での医薬品提供のあり方については、検討会での優先事項となっていますが、重要なことで、2040年を視野に入れて、医薬品提供体制を構築するためには、地域医療計画等と連動して整備していくこと、そして、地域医療計画に位置付けることが必要だと考えています。地域における医薬品提供体制の構築は最重要事項だと考えます。日薬からも委員が参加しており、検討会でしっかり議論を行っていきたいと思っています。
 (6)薬剤師の対人業務の強化のための調剤業務の一部委託についてです。薬剤師サービスを受ける方、また地域医療にとってどうなのかということを、まずは第一に考えるべきだと考えております。2ページにあるように、厚労科研の入江班での実証、特区での事業を踏まえて、安全性と効果の点から、しっかりと検証を行うべきだと思います。調剤業務の一部外部委託が進むことにより、地域の薬局の機能低下とならないのか、地域の医薬品提供体制へ影響を及ぼすことはないのか、極めて慎重に検討を行うべきだと考えます。
 (7)電子処方箋の進捗状況についてです。電子処方箋は、単に処方箋が電子化されたというだけではなくて、電子処方箋を伝達する仕組みを基盤として、医療関係者にも患者にも、情報の連携と活用が進むもので、質の高い医療を提供していくため、この仕組みの活用は大変意義のあるものだと考えております。一方、5ページにあるように、課題があります。これ以外にも、薬局の現場から課題が幾つか寄せられておりますので、是非、厚生労働省におかれては、現場から丁寧に聞き取りをして対応いただきたいと思っております。私からは以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。事務局は御意見を承ったということで、それでは、花井委員、どうぞ。
○花井委員 花井です。今回、示された各テーマについても大変論点がありまして、それはその議論の場で意見は譲りたいと思いますが、全体の進め方について、膨大な論点があるかというのが、期限は限られているということなのですが、前回の改正において見直した点があって、それがうまくいったのかというところをなしに、見直しとは言えないのではないでしょうか。具体的に言えば、例えばガバナンスを強化したにもかかわらず、いわゆるGMP違反が続出したとか、さっき言ったように、条件付き承認制度については、その枠組み自体が検討されていますけれども、どうなのかと。そういうことがあります。
 それから、私が一番関心を持つところは、課徴金制度があって、課徴金制度はどうなっているのかということ。そのときに議論になったのは、広告規制の問題で、例えば、規制強化のきっかけとなった不正研究事件では、オフラベルの流行で本来の薬効そのものではない効果、要するに血圧が下がる薬で心血管イベントの減少、がありますよという、明らかに過大広告なのですけれども。ただ、もともとの論文自体が誤りだったから問題なわけではなくて、論文が正しい論文だったとしても、MRさんが「こちらにも効きますよ」と言えば、明らかに誇大広告ではないかということを提起させていただいて、結果的に、前回は課徴金制度が創設されました。また、いわゆる情報提供と広告法という難しい問題については、今後の課題的になったと思うのです。なので、MR活動において、過大広告的な活動が行われていないかどうかについては、調査もしているのでということで引き取られているので、この課徴金制度だけで、いわゆる過大広告とか虚偽広告というのは、本当に効果があったのかということをお示しいただいた上で、次に進んでいただきたい。今回出たものでも、論点は大きな新しい課題を一生懸命やっていますけれども、もともと終わった課題が本当にこの制度改正でうまくいったのかという話なしに見直しとは言えないと思うので、そこは配慮いただきたい。配慮というよりも、前回の改正でうまくいっているとか、1回そちらのほうで説明があって然るべきかなと思います。いかがでしょうか。
○福井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。
○衣笠総務課長 今の御指摘を踏まえまして、どのような対応ができるか、我々としても検討させていただければと思います。
○福井部会長 茂松委員、お願いします。
○茂松委員 日本医師会の茂松です。本日、いろいろ聞かせていただきましたが、医薬品に関しては医療DXの推進は重要なのですが、そこに安心安全の担保が余りにも少ないのではないかと思います。それと、問題が起たときにどこが責任を取るのかということが、余り明確になっていないと思うのです。ですから、その辺は前回からずっと問題になっていると思うのですが、しっかりと検証していただいて、次につなげていただきたいと考えております。特に医薬品というのは本当に健康に関わることですし、今起こっている、10歳、20歳台のオーバードーズについても、OTCの問題もあるでしょうけれども、本当にここはしっかりと社会的課題に早急に対応していかねばならないと思っています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。林委員、どうぞ。
○林委員 日本歯科医師会の林です。御説明ありがとうございました。私からは、資料1-7について発言いたします。全国医療情報のプラットフォームの構築に関しては、医療DXの柱の1つで、より質の高い医療の実現のために推進していかなければならないと理解しております。日本歯科医師会も、その基盤となるマイナ保険証の現場での取組推進に、患者への声掛けや分かりやすいポスター作成も含めて、努力しているところです。その実現には、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスといったものが必要ということでして、まず、電子処方箋の普及拡大に向けては、資料の9ページに記載の支援も含めて、来年3月までに、おおむねオン資導入の医療機関や薬局は導入してほしいということで報告を受けております。
 ただ、歯科関係のレセコンベンダは小規模な所が多く、電子処方箋の対応、改修については、現在、間近に迫っている公費負担医療や地単公費、そして、居宅同意取得型オン資等の改修も追い付いていないといった実情の中で、更なる対応になります。加えて、機能拡充や院内処方への対応等、精度向上に取り組むということではありますが、スケジュール感とコスト面を勘案して、歯科医療機関や小規模ベンダにとって、まだまだハードルが高く、不安要素が多いというところが事実です。
 次期診療報酬改定での議論も含めて、電子処方箋の導入は重要な位置付けになっていまして、導入に当たって、歯科の実情を十分にご理解いただき、支援の拡大やベンダへの声掛けをお願いし、少しでも負担軽減し、導入促進につながるよう、引き続きよろしくお願いいたします。要望です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。事務局から何かございますか。
○猪飼企画官 よく御相談させていただきたいと思います。
○福井部会長 そのほか、何かございますか。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。手短に申し上げます。資料1-7のオンラインの電子処方箋についての所です。私は、この後に出てくる一般用医薬品への転用に関する検討会の委員もさせていただいておりまして、そこの場で一貫して申し上げているのは、電子処方箋で処方薬と一般用医薬品を併せて突合してチェックできるようにしてほしいということです。マイナポータル、電子版お薬手帳で、一般用医薬品も見られるようにしてください。
 そう申し上げますのは、大分前ですけれども、取材した件で、抗がん剤と一般用医薬品が併用注意になるケースがありました。薬局薬剤師が患者さんの使用に気が付いて、市販の頭痛薬の変更を提案されたというケースでした。恐らくこういうケースは今でも防止できていないのではないかと思います。それ以外にも、例えばオーバードーズの問題にも有効だと思いますので、是非、早く一般用医薬品を電子処方箋で、マイナポータル等で見られるようにしてください。お願いします。
○猪飼企画官 御指摘のとおり、お薬手帳アプリの中には、マイナポータルとAPI連携をしていて、両方が見られるものも増えてきているところではありますが、よく実態をヒアリングさせていただいて、また検討していきたいと思います。
○佐藤委員 できる人はできますということではなくて、デフォルトとして一緒に見られるというようにしてください。お願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
 先ほど茂松先生がおっしゃったことで、時間を取れなかったのですが、安心安全に関して、特に事故が起こったときに、このような体制になっていくと、どこが責任を取るのか分かりにくくなるのではないかというお話でした。この点に関して、事務局として懸念があるとか、こういう対応をしているということはございますか。総論的で申し訳ないのですが。
 茂松先生、先ほどおっしゃったことで付け加えること、あるいは具体的にこういう点についてはどうなのか等ありましたら、お願いいたします。
○茂松委員 特にオーバードーズの問題などは、どこに原因があるのかということを、もっとしっかりと見つめてもらいたいと思いますし、現場ではいろいろな問題が起きていることは、多分御存じだと思います。特にネットを使ってのそういう関係では、本当に安全安心が担保されていないということは現場で感じておりますので、そういうことを述べさせてもらいました。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 先ほどの佐藤委員の発言に関連することなのですが、販売制度の検討会の中で、濫用のある医薬品の購入を一元管理するために、なるべく早くマイナンバーカードを利用してはどうかというような話も挙がっています。これは確か検討会の報告書にも書き込まれていたのではないかと思っています。
 また、先ほど一般用医薬品の一元管理という話もありましたが、今、日本薬剤師会では、お薬手帳へ一般用医薬品を記載することを進めております。かつ、一般用医薬品に関しては成分が分からないので、成分も記載しておいて、例えば医師が見たときに、それがどういう薬であるのかが分かるということも進めています。一般用医薬品と医療用医薬品の重複投与、相互作用もそうなのですけれども、一般用医薬品の成分が治療中の疾患に影響することもありますので、そういうことも今後デジタル化の中できちんと一元管理ができるように進んでいってもらいたいと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。そのほかはいかがでしょうか。伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 先ほど佐藤委員がおっしゃった御意見に、全面的に賛成です。私の考えですが、履歴をかかりつけ医療者がきちんと見ることが、一般用医薬品であれ要指導医薬品であれ重要なのであって、購入先がネットか対面かということで完全に制御できるものではないというように思っております。それは恐らく次の資料3の議題にもなると思いますので、現状では一言だけコメントしたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかには、よろしいでしょうか。それでは次に進みたいと思います。議題3でございます。事務局から説明をお願いします。「次期制度改正に向けた進め方」でございます。
○衣笠総務課長 資料2で御説明いたします。冒頭の城局長からの御挨拶の中でも言及されていたことでもあり、この資料2の参考という所で記載しておりますけれども、令和元年の薬機法改正法の附則の第14条において、政府は、この法律の施行後5年をめどとして、施行の状況を勘案し、検討を加え、必要な措置を講ずることとされております。この検討規定を踏まえて、本部会においても、次期制度改正に向けて、来年度、御議論を頂きたいと考えております。
 大まかには、資料に記載のとおりとなります。今後、日程調整をさせていただきたいと考えておりますが、4月から5月のどこかで本部会を開催させていただければと思っております。その際に検討テーマなどを示して議論を開始する、キックオフということで議論を開始し、その後は5月~11月と書いておりますけれども、テーマごとに月1回のペースで検討を行って、年内には取りまとめを頂ければと考えております。これはあくまで大まかなスケジュールということで、更なる具体的な進め方については、事務局として、部会長とも御相談しながら検討していきたいというように考えております。説明は以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ただいまの事務局の説明につきまして、御意見、御質問等がございましたら、お願いいたします。よろしいでしょうか。それでは、そのようなスケジュールで進めていただくということで、お願いいたします。
 それでは、議題4に進みます。事務局から説明をお願いいたします。
○中井医薬品審査管理課長 それでは、資料3、一般用医薬品の在り方について、OTC医薬品の在り方について、御説明申し上げたいと思います。昨今、先ほどの検討会の報告にもありましたけれども、OTC関係についてはいろいろ議論があり、それ以外にもスイッチOTCということについて、規制改革会議からも今後進めていくべきだという御指摘を頂いております。それらについて、本日、この一般医薬品の位置付けとリテラシーについて、それから、今後のOTCの在り方についてということで御説明申し上げ、御意見を賜りたいと思っております。
 最初に、セルフメディケーションに用いられる医薬品ということで、WHOのガイドラインがあります。ガイドラインの中には、セルフメディケーションに用いる医薬品として、「セルフメディケーションに用いられる医薬品とは、その時点での目的のために、医師の処方箋を要さず、消費者が自らの意思と責任のもとで使用することを意図して製造され、流通され、販売されたものである」というように定義されております。また、セルフメディケーションにおける薬剤師の役割ということで、「薬剤師は、セルフメディケーションを目的とした医薬品の適正かつ安全な使用について、購入者に対してアドバイスを与える重要な役割を果たす」と。このためには、薬剤師の「研修と実践の両方が重要である」ということを御指摘いただいております。
 4ページです。現在のOTC医薬品の分類と販売方法について、まとめております。これについては御案内かと思いますけれども、医療用医薬品がスイッチすると、まずは要指導医薬品になり、原則3年後には一般用医薬品第1類、第2類、第3類に分類されて、下のほうに書いてあるように、様々なリスクに応じて義務、それから対応する専門家が規定されております。
 4枚目においては、海外の分類、販売法についてまとめております。例えばアメリカであれば、濫用等のおそれのある医薬品については薬局ですが、それ以外については、薬局、一般小売店、いわゆるスーパーなどといった所でも販売されています。一方で、イギリスにおいては、薬局において濫用のある医薬品、それ以外に解熱鎮痛薬、鎮咳薬などは薬局、それ以外のリスクの低いものについては一般小売店、薬局ということになっています。オーストラリアについても、薬局の販売する医薬品、それから種類によって薬局、小売店ということで分かれております。続いて資料の6枚目ですけれども、韓国についても同様に、分類においてそれぞれのリスクに応じて規制がされています。
 医薬品の分類と販売規制・国民リテラシーの関係についてということで、まとめた資料です。まず、医療用医薬品については、医療の枠組みの中において規制・専門家の関与ということで、医師が問診や検査結果等から診断し、治療方針を定め、薬剤師の関与の下、適切な薬物療法を行うということです。医師による診断、処方、処方箋、療養指導、薬剤師による調剤、情報提供・服薬指導、相談対応ということであります。国民のリテラシーとしては、医師・薬剤師の指示どおりに医薬品をしっかり服用するということが求められております。
 その一方で、OTC、一般用医薬品に移ると、日本では、今、要指導医薬品というものがあり、その次に一般用医薬品、これはモノの性質(副作用のリスク)というものに基づいて分類されている、また、モノの特性(依存性・過量服薬等)といったリスクに応じて、それぞれ対策が出されております。一方で、国民のリテラシーとしては、国民の選択の中で行われるということであって、規制・専門家の関与ということで、自らが医薬品を選択し使用する際に、薬剤師・登録販売者が関与し、適正使用を確保するということ。求められるリテラシーとしては、適正使用の確保のために、自らも医薬品のリスクを理解して、必要な管理を適切に行うということです。薬剤師・登録販売者からの指示に従い、服用する。自覚症状によって開始・中止を自ら判断。改善しない場合は医療機関を受診する。また、これについては、薬剤師などからの受診勧奨も含めて、そういったことも進めるということです。
 続いて、今後のOTCの在り方についてです。「医療用から要指導・一般用への転用に関する評価検討会議」、この会議は医療用から要指・一般薬に転用する際に議論していただく会議ですがいわゆるスイッチOTC化について議論を行い、その課題・論点をまとめております。この会議ですが、幅広い構成員から構成されており、目的としては、どういったものがスイッチに似つかわしいのかという議論を公開で議論することによって、OTCの開発の可能性について予見性を向上するということであります。
 その検討会議において、スイッチOTC化が可能と考えられる医薬品の考え方ということで、まとめております。スイッチOTC化する上で満たすべき基本的要件ということで、1つ目の○で、人体に対する作用が著しくないもの、使用の状態やその変化に応じて、医師による薬剤選択、用量調整等を必要としない医薬品ということです。以下のいずれかのような医薬品ということで、2つ矢羽根がありますが、使用する際に使用者自身が症状から判断することが可能で、適正に購入し短期間使用できる医薬品。それから、初発時は使用者のみで判断が難しい症状ではあるものの、一定期間内の診断情報、服薬指導といった医師、薬剤師による一定の関与により、適正に購入し使用できる医薬品。原疾患以外の症状をマスクするというリスクも含めて、受診が遅れることによって生じるリスクについて対策を講じることによって、より許容可能なリスクにできるということも条件になっております。
 今後スイッチOTC化が考えられるものです。この基本的要件に示した疾患に該当するもので、これまでにOTC医薬品に承認された医薬品には、具体的に次のようなものがあります。1つ目の矢羽根ですが、自覚症状により、自ら服薬の開始・中止の判断が可能な症状に対する医薬品。例として、アレルギー性鼻炎、胃腸薬、水虫・たむし用薬、解熱鎮痛薬が挙げられております。再発を繰り返す症状であって、初発時の自己判断は比較的難しい症状であるものの、再発時においては、自ら症状の把握、服薬開始・中止の判断が可能なものということで、過敏性腸症候群再発症状改善薬、膣カンジダや口唇ヘルペスなどが挙げられております。
 これから更なるスイッチOTC化を進めるためには、こういったOTC医薬品を取り巻く環境整備がより強く求められ、この要件が整えば、新たにスイッチOTC化が考えられるものとして、検討会議において次のような医薬品が議論されました。医師の管理下での処方で長期間状態が安定していて、対処方法が確定していて、自己による服薬管理が可能な医薬品が挙げられております。
 スイッチOTC化に関しての行政における課題・対応です。まず1つは、適正使用の確保ということです。適正使用を担保するための効能・効果、その他適切な設定やセルフチェックシートといった情報提供資材の作成、それから、適正な広告表示がなされていない場合の指導や、薬剤師向けの研修会の支援などといったことがあります。
 販売体制の改善です。リスクに応じて要指導医薬品から一般用医薬品に移行後も対面販売を維持することの検討や、インターネットにおける適正販売を担保する方法の検討ということで、これらについては、先ほどの「医薬品の販売制度に関する検討会」において検討、議論されたものです。
 OTC医薬品を取り巻く環境の改善です。理解向上のための情報の周知や、学校教育、地域活動に応じたリテラシー向上、個人情報の適正な取扱いの確保といったことが、行政の課題・対応ということで、今後はこういったことも引き続き進めていきたいと考えております。
 12枚目、各ステークホルダーの課題に対し求められる役割・対応もまとめています。詳細は省かせていただきますが、先ほどの行政の対応と同じように、適正使用の確保、販売体制の改善、取り巻く環境の改善ということで、それぞれ求められる役割・対応をまとめております。
 以上を踏まえて、今後の対応です。我々としては、セルフメディケーションのWHOのガイドライン、評価検討会の中間とりまとめを踏まえ、以下の方策について、引き続き基本的な要件を満たすOTC医薬品の推進を進めていくことを考えております。具体的には、基本的な要件ということで、人体に対する作用が著しくないものであって、使用者の状態、変化に応じて、医師による薬剤選択、用量調整等を必要とせずに、使用者の選択に基づき使用されることが目的とされている医薬品。なお、使用する際に使用者自身が症状から判断することが可能であり、使用者自身が適正に購入し短期間使用できる医薬品であることや、薬剤師等の専門家による一定の関与により、適正に購入し使用できる医薬品であることも求められるということです。また、症状のマスクをしてしまうリスクも含め、スイッチOTC化した際に懸念される公衆衛生上のリスクを前提とする必要があり、これらについて対策を講じてリスクを許容可能な範囲に抑えるということを前提として、こういったものを進めていきたいと思います。
 そのために必要な対応の実施ということで、行政からは、適正使用の確保、販売体制の改善、環境の整備、先ほど御説明申し上げたものを、これからも引き続きやっていきたいと思っています。それから、行政以外のステークホルダーの方々にも同様に、こういった対応を求めていきたいということです。我々としては、この今後の対応に書いてあることを、今後、いろいろな施策を通じて、検討して進めていきたいと思っています。
 今後、我々としてはこういった対応を検討していきたいというように考えておりますので、本日は、それらについて、是非、御意見を賜れればと思っております。説明は以上になります。
○福井部会長 ただいまの事務局の説明について、御意見、御質問等がありましたら、御発言をお願いいたします。オンラインの伊藤委員、どうぞ。
○伊藤委員 御説明ありがとうございます。意見となりますが、このスイッチOTC化に関しては、規制改革のほうでも議論にはなっています。そこでのポイントは、スイッチ・ラグと呼ばれる問題で、日本だけOTC化が進まないというところから、問題意識がスタートしております。ただ、私の観点ですが、日本と諸外国との大きな違いは、日本はスイッチOTCがあるけれども、同時にOTC類似薬という、保険適用でお医者さんの処方箋で買える薬も同時にあるというところが、1つの特徴になっていると思います。ですので、OTC薬はあるけれども、結局お医者さんを受診してOTC類似薬をもらって、そのほうが消費者としても安く手に入る、対して、売るほうとしてもそのほうが売りやすいということが構図にあって、結局ここの部分ですね。OTC類似薬をどうするかというような、診療報酬上の議論を併せて進めないといけないと思います。
 もう1つ言うと、結局日本は、医師が処方して、医師が保険適用をするOTC類似薬か、患者の自己判断で、いわゆるかかりつけ等に相談することもなく買わなければいけない市販薬かのどちらかしかないという状態になっている。この穴を埋めるというのでしょうか、お医者さんなり、かかりつけ薬剤師、かかりつけ医と呼ばれる方たちが、きちんと指導をした上で市販薬を安心して買うというような環境が整わないといけないと、諸外国と同じような環境が整わないといけないと思います。その点では、先ほど佐藤さんが御指摘されたように、保険薬であれ一般の医薬品であれ、きちんと薬歴が取れるということと、それをきちんと管理してくれる、かかりつけ医ないしかかりつけ薬剤師がいるという環境があることが、これからのかかりつけ医機能推進のフォーマルになってくるのかということを、根本問題としては考えております。
 ですので、この部会の範囲外だとは思うのですが、やはりOTC類似薬との併用について、どう考えるのかということです。そうすると、OTC類似薬がある限り、いつまでもOTC化が進まないというところを、どうにか考えないといけないのではないか。そのために発揮していただきたいのが、やはりかかりつけ薬剤師機能であり、かかりつけ医機能にあると考えております。大きな意見としては、その点になります。
 細かい点で申し上げますと、こちらに関しては規制改革でもスイッチOTC化をどうやって進めているのですかということで議論をしている論点でもありますので、やはりいつまでも検討を、いつまでも慎重にということだけではなくて、是非国民になるべく手近な形で手に入るような大枠の制度設計を。一方で、例えばお医者さんが見ても恐らくOTCで売っていいのかという成分ですね。例えば、5ページにあるコデインやエフェドリン。私がエフェドリンをこの前買ったときにはきちんと説明を受けて、ああ、これだと思ったのですが、やはり成分によっては、本当にこのままOTCでいいのかという部分もあると思うので、一方向で濫用のおそれのあるものを要指導に戻すというような先ほどの議論もありましたが、その行きつ戻りつという部分をもう少し流動的にしていかないと、国民に対する安全・安心・迅速の3点の両立は難しいと思っております。これは、前回出てきた1-4の論点と同様に議論していただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 発言を待っている委員がおりますので、できるだけ手短にお願いします。もしよろしければ、OTC類似薬のことについて、事務局から何かコメントはありますか。よろしいですか。
○中井医薬品審査管理課長 OTC類似薬については、先ほど保険の関係のお話がありましたが、今、私が保険のことを申し上げるのはなかなか僭越ではあります。我々としては、薬事関係において、先ほど言われましたように、かかりつけ医、かかりつけ薬剤師の方々の指導を受けながら、しっかり丁寧に使っていくというお話がありましたし、そういった環境整備については、しっかり対応していきたいと考えております。
○福井部会長 花井委員、お願いします。その後、村島委員、お願いします。
○花井委員 花井です。伊藤委員のおっしゃられた論点は私も感じています。ただし、その大きな論点も踏まえつつ、1、2、3類という分け方も必ずしも分かりやすくないということで要指導となっていて、ちょっと止め置いて出すみたいな形になっていますので、もう少しシンプルな制度化をする必要があるかと。
 同じような主張なのですが、やはりかかりつけ薬剤師、かかりつけ医師がOTCも含めて全体としてきちんと見てあげるという、診察を受けて訪れる券を持っている国民と、単に何かあったときに薬を買いに行ってというのは、ちょっと違うと思うのです。そのときに重要になるのは、それに係る専門家で、やはり薬剤師、医師は医療行為の延長線上できちんと患者を患者主体に診るということです。それから、登録販売者はどのような位置付けになるかはポイントになっているのです。登録販売者という人たちが、セルフメディケーションというか、処方せんを持たずに売薬でいいやという層と、どのようにリテラシーというか、関われるかというところです。やはりヨーロッパに比べると、日本の国民も、そういったセルフメディケーションといっても、リテラシーという言葉は余り好きではないですが、少し足りないというのはありますので、登録販売者を今後どのように位置付けてどのように変えていくのか、若しくは変えないのかという議論と抱き合わせでないと、この1類、2類、3類という分け方も考えられません。それから、当然、販売制度として検討されている……とリンクしてきますので、そこも含めて今後議論できたらと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。配慮していただければと思います。村島委員、どうぞ。
○村島委員 私は、例えば胃薬であったり、腟カンジダとか、できれば膀胱炎などの再発時は、セルフメディケーションでいいのではないかと思っていますので、このOTC化に賛成です。その際に、一番キーになるのは、かかりつけ薬剤師や学校教育です。薬物摂取に関する学校教育は、時間の掛かる問題ではあると思うのですが、注力していっていただきたいと思います。これは、あくまでも意見です。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。事務局から何かコメントはありますか。よろしいですか。それでは、茂松委員、どうぞ。
○茂松委員 日本医師会の茂松です。我々が日常の診療をしている中で、数年間同じような薬を使って、例えば風邪を引いたときにこれはいけるだろうと思って使っていても、例えば体調の悪さでそれが本当に逆効果になったりすることが非常にあると思います。ですから、人体に対する作用が著しくないものであって、使用者の状態やその変化に応じて、医師による薬剤選択や用量調整などを必要とせずと書いていますが、これは日常診療の中では非常に難しいと思います。ですから、セルフメディケーションは本当に慎重にしないといけないということです。
 OTC医薬品を取り巻く環境の整備の中では、学校教育とありますが、学校教育では1年のうちに1回か2回の講義が少しあるぐらいで、子供にとっては全く残ってこないということがあります。リテラシーを付けていくのでしたら、やはり何回も何回もそういうことを学校教育の中でやっていって、セルフメディケーションはこうだと、自分の責任で使うのだということを、しっかりと教育していただければと思います。
 今は、やはり高齢者の方々、中年の方々に、日常の診療の中では、そのリテラシーは全く付いていないので、逆にセルフメディケーションの怖さをお話すると、もう私は買わないでおこうということになったりします。ですから、きちんとした教育を子供のときからしていくことは非常に大事かと思っておりますので、その辺りの体制をしっかり整えていただきたいと思います。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。森委員、どうぞ。
○森委員 対応の方向性に関しては、異論はありません。国民自らの健康の維持・増進のため、セルフメディケーション、セルフケアの推進は非常に重要なことだと思っております。薬機法の第1条の6にもありますが、国民の役割として、医薬品の適正使用、医薬品に関するリテラシーの向上は不可欠だと考えています。
 また、今、かかりつけ薬剤師ということが出ていましたが、適正使用のためには薬剤師の関与が不可欠です。個々の需要者の状況を踏まえた販売の可否の判断、必要に応じた受診勧奨など、医師、歯科医師との連携、それから医薬品の選択の支援、必要な情報提供等と管理は重要になり、しっかりと薬剤師として取り組んでいきたいと思っています。
 また、セルフケア、セルフメディケーションを推進する上で、時代の要請というのでしょうか、時代の変化というのでしょうか、国民が必要な医薬品にアクセスができるように、今日ありましたが、評価検討会議の中のとりまとめに従って、スイッチ化を進めていくべきだと考えます。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。佐藤委員、どうぞ。
○佐藤委員 産経新聞の佐藤です。この検討会で一般用への転用を決められなかった薬の中に、社会的な環境が整わないという理由だったものが一定数あります。その1つについては、先ほど資料1-4の中で御説明いただいた要指導医薬品に止め置けるようになったことで、大分解決し、大変よかったと思います。
 もう1つ、課題になりながら解決しなかった課題に、10ページの(2)の矢羽根の2つ目ですが、「再発を繰り返す症状であって、初発時の自己判断は比較的難しい症状であるものの」という部分があります。確か検討会の中で検討されたのは片頭痛の薬でしたが、確定診断はされていて、例えば旅行先や出張先で一般用医薬品が買えればいいのだけれども、診断されたことを確実に薬局で確認できないということで、転用は見送りになりました。このような薬についても、先ほどの医療DXのような形で、患者さんが薬剤師に医師の診断にかかる情報を見せることができれば、一般用への転用が可能だと思いますし、医療職から見た安全性も担保できると思います。その辺りについても、是非、社会的な環境を整える方向で、お願いしたいと思います。
○福井部会長 ありがとうございます。事務局から何かコメントはありますか。よろしいですか。
○中井医薬品審査管理課長 御指摘はごもっともかと思いますので、それらも踏まえて体制の構築を考えたいと思います。
○福井部会長 ほかにはありますか。山口委員、どうぞ。
○山口委員 先ほど花井委員がおっしゃった第1類から第2類、第3類という見直しが必要ではないかというのは、私自身もそう思っています。2類、3類は、ほとんど問題がないということをおっしゃる方がいらっしゃるのですが、先ほどから何度も問題になっている濫用というのは、ほとんど第2類です。やはり、この1類、2類、3類という視点だけではなくて、危険なものというような、あるいはネット販売は不可ということをカテゴリにつくらないと、ちょっと危険かと思っています。
 一部には、ネット販売のほうが履歴が残るという御意見があるのですが、ECサイトが変わると、そこは突合できません。先ほど佐藤委員がおっしゃったように、私も、マイナンバーカードを使って一元管理ができるようになるといいと思って、この医薬品の販売のときにも、ずっと発言をしてきたのですが、やはりマイナンバーカード自体が100%普及をしないと、その徹底はできないという一方の国民側の問題もありますので、どうすればそれが早くできるようになるかは真剣に考えていかないといけないことかと思っています。
 スイッチになかなか移行しないということで言うと、3年たつとネット販売が可になるということで、恐らく先ほどおっしゃったのは緊急避妊薬のことだと思うのですが、これがなかなかスイッチ化できなかったという問題があると思うのです。そのように自動的に3年たったらネット販売可ということも、そこで振り分けることも1つ必要ではないかと思います。
 先ほどから、かかりつけ薬剤師、かかりつけ医の存在を何人かの方がおっしゃっていますが、確かにしっかりしたかかりつけ医などを持っている方は相談できると思うのです。私は、かかりつけ医は基本的に患者が選んでいると思います。ところが、薬剤師に関しては、患者が選ぶかかりつけ薬剤師になっていないことが1つ問題だと思っています。薬剤師から私をかかりつけ薬剤師として同意してくださいと強要されているように受け止めて、非常に負担だとおっしゃっている方が結構いらっしゃいます。ですので、やはり薬局も薬剤師も患者が選ぶのだという、考え方の方向性を変えない限りは、そういった相談できる薬剤師を選ぼうという意識を持つ人が増えてこないと思いますので、そういったことも併せて考えていく必要があるのではないかと思っております。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。ほかにはいかがでしょうか。
○北澤委員 北澤です。今までの御意見とだいたい同じですが、医療を受ける立場からすると、先ほど森先生が言われたように、今の薬局が本来あるべき薬局になっているのかという点があるように思います。OTCの問題、あるいは先ほど出てきたような販売制度の問題にも、そこが関係しているのではないかと思います。
 そもそも、2015年に「患者のための薬局ビジョン」ができたときに、かかりつけ薬局、かかりつけ薬剤師が、地域で患者さん、購入者に対応することが盛り込まれていたと思いますし、私はそのつもりになっていたのですが、現実にはまだ十分でないような感じがしております。ですので、OTCについて議論する際は、やはり先ほど出てきた薬局の役割、薬剤師の役割についても一緒に議論しないと、話は前に進まないのではないか。日頃、近所の薬局に行って感じていますので、是非よろしくお願いします。
○福井部会長 ありがとうございます。三澤委員、どうぞ。
○三澤委員 薬剤師の教育をしていて気になるのは、病院の薬剤師はもちろん医療情報にしっかり根ざして、カルテ情報も見て専門的な指導ができますが、薬局の薬剤師はなかなか医療情報へのアクセスがないところが問題だと思います。医療情報へのアクセスがあった上では、その職能をいかして、国民の期待に応えるような役割を果たせると思いますが、「どうしたのですか」「頭が痛いのです」といった検査情報がない所で話を聞くレベルでは、比較的、安心させてあげるとか、当たり障りのない、若しくは、非常にまずいような状況ですと、受診勧奨をすることもありますが、対応に限界があります。薬局の薬剤師が置かれている状況を考えないと、やはり今の話のかかりつけ薬剤師という役割を果たせるかどうか疑問です。薬局の薬剤師を医療情報へのアクセスが可能な環境に置かせてあげることが重要ではないかと、私はそのように考えています。
○福井部会長 ありがとうございます。様々な問題点があるように思います。今後とも、是非ディスカッションを続けて、あらゆる側面から考えて、ベストだと思えるような仕組みづくりに貢献いただければと思います。よろしいでしょうか。森委員、どうぞ。
○森委員 手短に。まず、かかりつけ薬剤師なのですが、いろいろな薬局があって、いろいろな薬剤師がいるので、ここは、是非国民がこの人に任せたいという人を選んでもらえばと思っております。
 それから、業務がなかなか進んでいないのではないかという意見があるのは、確かにそのとおりで、いろいろな所で言われますが、私が大学を出たときの薬剤師の仕事と今の仕事を比べると、かなり大きく進歩したのではないかと思っております。特に、この何年間かの服薬管理、薬剤師の調剤を例にとれば、処方箋を監査して調剤設計をするのが1つです。それから、薬剤の調製をする、これも大学の授業で教わりますが、製剤学的な知識を使いながら調剤をするということ。それから、患者への服薬指導。ここ何年か力を入れている投薬後のフォローがあります。それをしっかりと進めることと、そうした仕事をしていることをきちんと国民に見せていくことが、何においても重要なのではないかと思っていますので、しっかりと取り組んでいきたいと思っています。以上です。
○福井部会長 ありがとうございます。久芳先生、どうぞ。
○久芳委員 医機連の久芳です。今日はOTC医薬品の議論ということですので、医療機器の立場で直接的な意見は特段ないのですが、医療機器でも家庭用の医療機器のあり方、あるいはプログラム医療機器が今後ますます発展してくるという中で、こういったものに関する情報をいかに国民にしっかり正しく届けていくかという課題という意味では、共通する部分が非常に多いと感じております。是非、我々も、こういったところを大いに参考にさせていただきながら、議論を深めていきたいと考えております。ありがとうございました。
○福井部会長 ありがとうございます。それでは、本日の議論はここまでとさせていただきます。事務局におかれましては、本日の議論を踏まえて、今後の取組を進めていただければと思います。
 最後に、事務局から連絡事項等はありますか。
○衣笠総務課長 事務局です。次回以降の制度部会については、また改めて御連絡を差し上げますので、よろしくお願いいたします。
○福井部会長 それでは、以上をもちまして「令和5年度第1回医薬品医療機器制度部会」を閉会といたします。御協力、誠にありがとうございました。