第2回農業機械の安全対策に関する検討会議事録

労働基準局安全衛生部安全課

日時

令和6年3月15日(金)14:00~

場所

中央合同庁舎5号館(厚生労働省)18階 専用第22~24会議室

議題

(1)農業機械の使用実態について(ヒアリング)
(2)農業機械安全性検査制度の概要
(3)その他

議事

議事内容
○土井室長 定刻となりましたので、第2回「農業機械の安全対策に関する検討会」を開会いたします。
 報道関係者の皆様、傍聴の皆様、この会議の撮影は冒頭のみとしております。改めて御案内しますが、それ以降の撮影は御遠慮いただきますようお願い申し上げます。
 初めに、前回欠席された参集者の御紹介をいたします。独立行政法人労働者健康安全機構労働安全衛生総合研究所新技術安全研究グループ部長の齋藤剛様です。
○齋藤委員 御紹介ありがとうございます。齋藤です。
 前回は都合により欠席いたしまして申し訳ございません。何とぞよろしくお願いいたします。
○土井室長 ありがとうございます。
 また、本日、元広参集者が所用により御欠席でございます。本検討会の開催要項3(5)におきまして、本検討会は参集者以外の者に出席を求めることができるとされております。代理として、一般社団法人全国農業協同組合中央会営農・担い手支援部営農企画課考査役の石澤哲様に御出席いただいております。また、検討会オブサーバーの田中様につきましては、本日はオンラインで御出席いただいております。
 本日の検討会でございますが、農業法人経営者に対するヒアリング、それから農業機械安全性検査制度の概要についての御説明を予定しております。
 まず、ヒアリングでございますが、本日対応いただく方々の御紹介をいたします。農業組合法人木津みずほ生産組合代表の坪谷利之様、それから、株式会社アグリスリーの實川勝之様、そして、有限会社ハーレイ牧場の月井美好様を予定しております。
 それと、農業機械安全性検査制度でございますが、本検討会の志藤参集者に御説明いただくこととしております。どうぞよろしくお願いいたします。
 続いて、資料の確認でございます。本日は議事次第のほかに資料1として第1回検討会議事録、それから、資料2として農業法人経営者ヒアリング資料、資料3として安全性検査の概要を御用意しております。過不足等がありましたら、事務局までお知らせいただければと思います。よろしいでしょうか。
 では、報道関係者の皆様、傍聴の皆様、これより先の御撮影は御遠慮くださいますようお願い申し上げます。
 それでは、この後の議事進行につきましては梅崎座長によろしくお願い申し上げます。
○梅崎座長 承知しました。
 第2回の検討会ということで、最初に議題1の農業法人の経営者の方々のヒアリングを行いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、今ほど御紹介がございました坪谷様からの御説明と質疑応答を行って、次に實川様の御説明と質疑応答といった順に行っていきたいと思います。どうぞ御協力をお願いいたします。
 それでは、坪谷様、まず御説明をお願いいたします。
○坪谷氏 こんにちは。新潟市郊外で54ヘクタールほどの水稲をメインにした農業法人の代表の坪谷といいます。よろしくお願いします。
 現在生産している作物ですが、新潟といえば水稲ですので、水稲がメイン。さっき言った54ヘクタールほどでございます。
 現在使用している乗用型の農業機械ですけれども、トラクターのキャビン仕様で56馬力が1台、それから60馬力が2台。コンバインは6条刈りのキャビン仕様を2台、乗用田植機は8条型の田植機が1台でございます。トラクターは春の耕うん・代掻き、これは4月の初旬から5月の中旬ぐらいまで使用します。田植え終了後、後ろの作業機を外してオフセットのスライドモアとブームモアという草刈り機をつけて、多面的機能支払交付金等を地域の草刈りに使用しています。コンバインは稲の刈取りですので、8月の後半から9月の後半、10月にずれ込むことも一部ありますが、そのぐらいであります。乗用田植機に関しては、5月の初旬から5月末ぐらいまでの使用というのが主な作業です。
 農業機械での事故ですけれども、私の近隣で実際起こったのは、先ほど言ったトラクターによるオフセット、ブームモアといってかなり伸びて法面の下まで刈れる機械があるのですね。それを近づけて畳んでから上げればいいのだけれども、遠いまま上げたら横にひっくり返ったというのは実際に我が集落の隣でありました。
 あとはほとんど聞いたことなのですけれども、コンバインの詰まりを解消するために脱穀部に巻き込まれたとか、トラクターで比較的中山間地の傾斜地を走行中、転落した。あと、最近のトラクターは左右のブレーキペダルを連結したままで作業ができるのですが、旧式のトラクターは左右の連結ペダルを圃場内においては分割したまま作業します。ところが、路上に上がったときにその連結を忘れて、高速走行してブレーキをかけたら片ブレーキになって転落したというのも聞いたことがあります。
 基本的に今言ったトラクター、コンバイン、乗用田植機というのは前後の傾斜には比較的強いのですが、左右の傾斜にはもろい構造になっていますので、例えば農道なども道路の路肩が緩んでいるとそこでタイヤを取られて比較的ひっくり返りやすいということがあると思います。
 農業機械使用に関する教育ということですけれども、当たり前のことですが、作業開始時には全体を目視して異常がないかを確認しましょうと。作業中に異音や振動があれば、作業を中止して点検する。点検する場合は、これは絶対必要なのですけれども、必ずエンジンを止めて、サイドブレーキがついていればサイドブレーキをかけるのだと。これは口を酸っぱくして言っていますが、往々にしてそれがおろそかになる現場ではあると思います。作業が終わったら洗浄して、異常がないかを確認する。これもうちの従業員には徹底してやっているつもりではありますが、次にあるように、そのルールを明文化は決してしていないということで、改めて明文化をしてこういうものをちゃんとしなくてはいけないのだよというのが必要になると思われます。慣れが日常的になると、このぐらいはいいのだと思いがちなのですね。だから、慣れてくる頃に一番おっかない事故が起きるということになるので、その辺りですね。あと、時間に追われると、どうしても作業効率だけを考えて点検を忘れがちになるということで、それも従業員には徹底をしております。
 その他農業機械に求められる安全対策ということですが、いわゆるインターロックというオペレーターが運転席から離れたらPTOが止まるというのも大事なことではありますが、例えばコンバインの作業で籾を排出するときは、運転席に座ったままではなくて立ち上がって後ろを見たり、脇を見たりするので、インターロックがあると排出作業にはちょっと難しいのかなという気がします。
 私からは以上であります。何か質問があればということですかね。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の御報告につきまして、皆様から御質問がありましたら、どうぞよろしくお願いいたしたいと思います。いかがでしょうか。
 まずは、氣多様からどうぞお願いいたします。
○氣多委員 御説明、大変どうもありがとうございました。
 差し支えない範囲で幾つか教えていただきたいのですけれども、雇用されている方、御家族も含めて長期の方と短期の方、短期というのもいろいろあるのかもしれませんけれども、どういうシーズンにどういう方がおられるかと、その人たちがどういうふうに機械を操作するか、あるいは一切操作しない方もおられるかもしれないけれども、そこら辺の状況を、研修生や外国人なども含めて教えていただけるとありがたいと思います。
○坪谷氏 私のところの法人は、設立から36年目で、私が2代目の代表をやっています。うちの家族は実際にはうちの法人には一切タッチしていないということで、私は今、65歳になりましたので、今年いっぱいで代表を退いて平理事に戻る。今、うちの2代目を継ぐべき代表になる者がちょうど50歳になりまして、広域合併したから新潟市なのですけれども、ちょっと隣の離れたところからの農家の次男坊で、農業に興味があったのだけれども、そこのうちのお父さんが個人の農家では食えないからということで一般社会に就職していましたが、農業法人の合同の求人会に参加をして、意欲があるということで26か7のときにうちの法人に入って、私と一緒に日々成長を繰り返して、今、3代目の代表になるのが50歳。あと2人が、農業大学校と専門学校卒業の、これも私の血縁ではない、一人は農家ですし、もう一人は全く非農家というのが今、30代と28がいます。おととし農業大学を卒業した、これも実家は農家ではないのですが、今一番若いのがいまして、あともう一人はハウスのミニトマトを若干栽培しているのですけれども、その管理に女性の人が今、30半ばぐらいだったかな、その人はほとんど農機具に乗ることはなく、ハウスのミニトマトの管理をしているという状況です。
 一応大特の免許は全部取らせていますので、あと作業の仕方も最初にやってみせて、乗ってみせて、ここはこうなのだよ、スピードをどうするのだよというのは逐一教えているのですが、それがちゃんと伝わっているかどうかというのはもう一回改めて帰って、今年の春作業に生かしたいと思っています。
○梅崎座長 ありがとうございます。
 教育に関する質問だったと思いますので、氣多様、今のような御回答でよろしかったでしょうか。もし追加があれば。
○氣多委員 大変ありがとうございます。
 もう一つ、ちょっと立ち入ったことというのかな、お答えいただける範囲でと思うのですけれども、何人も雇用されていて、労働基準監督署と農業法人との付き合いというか、その関係というものを私は知らないものですから、ちょっとどんな感じか教えていただけると。
○坪谷氏 直接はないのですけれども、法人協会の研修等で社会保険労務士のイリキインさんとはよく交流させてもらっていまして、イリキインさんが言うのは、農業は農繁期と農閑期があるから、労働基準法の適用除外になってはいるのだけれども、年間の労働時間と休日などはちゃんと労働基準法に準じなくてはいけないから、その辺はしっかりしてくださいねというのはちゃんともらっているので、代休、残業手当、年間の雇用労働時間は一般の会社に負けないぐらいにやりたいと思って、実際にそうなっているとは思います。
○氣多委員 ありがとうございます。
○梅崎座長 よろしいですかね。
 今のは人の規制というか、今回、農業機械の規制ということなので、その前提としての人の規制、あるいは人の教育という話の御質問でございました。どうもありがとうございます。
 ほかにございましたら、お願いいたします。いかがでしょうか。
 では、齋藤様、お願いいたします。
○齋藤委員 ありがとうございました。
 選ばれているトラクター、コンバインについて、キャビン仕様と書いてあるものをお聞きしたいのですけれども、コンバインだとこの大きさだとキャブレスを選べないかもしれないけれども、トラクターだとまだあると思うのですが、転倒などの事故をお聞きになっているということで、安全のため、あるいは使わせるのに対して安心のためにあえてこういったキャビン仕様のものを選ばれているのですか。それともたまたま手に入ったものがキャビン仕様だったというだけなのかどうなのかということがまず一点。
 もう一つは、キャビンは当然シートベルトとセットだと思うのですけれども、ちょっとお話がなかったものですからあえて聞きたいのですが、シートベルトの着用というのはルール化をされているのでしょうか。
 合わせて2点、キャビンを選ばれた理由とシートベルトについて教えてください。
○坪谷氏 キャビンは、うちの法人が設立した当時、私は26歳だったかな、その頃はキャビンのないトラクターの30馬力ぐらいのものが3台あったと思います。春の耕うんの時期というのは比較的暖かいのですよ。ところが、代掻きの時期になると新潟は雨が降って、キャビンのないところでかっぱを来てやっているのですけれども、股のところに水がたまって、それが染みてくるのです。当時、まだキャビンは珍しかったのだけれども、この機械が駄目になる頃には次はキャビンを買いたいなとずっと思っていました。最初にキャビンを入れて、もう今は3台目ぐらいなのですけれども、その最初にキャビンを入れるときにエアコンも当然ですよねと言ったのだけれども、先代の年配の人はエアコンはぜいたく品だと言ってかなり反対されたのですが、農機具メーカーの担当にエアコンのないものを買ってもみんなエアコン式に入れ替えているよと言ってくれとお願いして、エアコンのついたキャビンを3台セットしました。
 コンバインは、雨が降ると刈れないではないかと。ごもっともなのですけれども、今、品種構成で極早生を8月の下旬から刈ろうとすると、あの炎天下でごみだらけの風が来るわけですね。それを考えると、とてもではないけれどもキャビンのないコンバインは乗れないなということで、これもある程度批判もあるのですが、これは福利厚生費だと思えということでキャビンにしました。
 あと、シートベルトは残念ながら、ついてはいるのですけれども、あまり装着はされていないような気がします。私も実のところ、シートベルトはしないですね。それはある意味キャビンが守ってくれているという意識があるかなという気はします。
 以上です。
○齋藤委員 ありがとうございました。
 つい転倒ということが事故なので、気になってしまったのですけれども、そういう意味で作業環境といいますか、福利厚生という意味でのキャビンを選択されているということで、ありがとうございました。
○坪谷氏 あと、新潟平野は割合平たいところなので、あまりトラクターが転倒したとか、コンバインが転倒したというのは私の周りではないのですね。だから、むしろ途中で小用をしたいというときにシートベルトを外してというよりは、すぐ降りられるということで、結構ずるしてはいますね。
○梅崎座長 ありがとうございました。
 ちょっと追加的にお尋ねしたいのですが、近隣でトラクターが転倒したという事故を経験されたということで、先ほどちょっと齋藤さんも言ったのですけれども、キャビンがあると万が一トラクターが転倒したとしても、保護構造という形で作業者を守れるという形があるものですから、その辺もキャビンの効果としては非常に大きいのだなと思ったのですが、その辺はどんなものかなというのが齋藤さんの質問の一つだったと思うのですが。
○坪谷氏 キャビンは非常にありがたいですね。雨が降っても耕うんができる、暑くてもエアコンが効いているという意味では非常にありがたいと思いますし、これから恐らく自動運転になってくると、モニターも当然ハンドルの脇にあって、それが雨ざらしになったらすぐ故障になると思うので、そういう点からもやはりキャビンというのはこれから必須になるのだろうなとは思っています。
○梅崎座長 それは転倒という観点でも効果があるという認識でもいいのですかね。
○坪谷氏 転倒があるとは思えないのですけれどもね。
○梅崎座長 めったにないのですけれども、一旦起きるとすごい嫌ですよね。
○坪谷氏 そうですね。上り坂・下り坂でまっすぐ入る、まっすぐ出る分にはいいのですけれども、登り終わるときにハンドルを切ったりすると後輪が外れてひっくり返るということなので、とにかく左右には弱いのだよというのは口を酸っぱくして言っています。
○梅崎座長 そこは言われていましたね。左右の傾斜については安定しづらいという認識ということで、ありがとうございました。
 川口様、お願いいたします。
○川口委員 どうもありがとうございました。
 先ほど御説明をお聞きしておりましたら、皆さん働いておいでの方は大特免許をお持ちになっていると。代表の坪谷さん自らが乗ってみせ、やってみせて教えられているというお話だったのですけれども、例えば農業機械を購入されたときに、ディーラーであるとか、あるいは農協さんというところから、機種独特の操作の部分というのも中にはあると思うのですけれども、そういうものについて何かここはこのようにやってくださいという、教育と言うとちょっと言い過ぎかもしれないですけれども、そういうガイドやアドバイスなどはこれまでお受けになられているのでしょうかというのが1つ目です。
 それからもう一つは、仮に今まであまりそういうことがなかったとしたときに、今後、研修なり教育なりということをどこかでやっていただけるという機会があれば、これも例えばお金が幾らかかるのかとか、どのくらいの時間なのかということで条件次第だとは思うのですけれども、ぜひ従業員の皆さんを受けに行かせようというお気持ちがあるのかどうか、その辺をお聞きさせていただきたいと思います。
○坪谷氏 春の耕うんのロータリー作業というのは、一番基本のトラクターについている後ろのロータリーで、幅が2.2メーターから2.4メーターです。それは普通につけて走るわけですから、特別な講習も、PTOも何速だよというのはやるのですけれども、代掻きのときのドライブハローというのが折り畳んで2メーター20、広げると4メーター100で、それを買ったときには必ず農機具屋から来てもらって、うちのメンバープラス近隣の人にこういう開き方、畳み方があって、回るときのオフ何とかがあるから危険だよというのはやってもらいますし、さっき言ったスライドモア、ブームモアというのも、機械メーカーからちゃんと現地でこういうふうにして使いますよ、ブームはこうやって出してこうやって畳んでくださいと。ロータリー以外の作業機をつけたときには全部必ず講習会をやっています。
 ほかの農機具の話ですけれども、今、3トンクラスのバックホーでちょうど春作業の前に排水の傷んだところや、稲刈りが終わったときにもまた排水の痛んだところを修繕するので、今、地元のJAの農機センターを中心に、バックホーの作業免許の講習会を開いてくれというのはお願いしてあります。
○川口委員 ありがとうございます。
○梅崎座長 では、志藤様、お願いいたします。
○志藤委員 御説明ありがとうございます。
 機械を操作されるオペレーターの方は何人で、年代は何歳から何歳ぐらいの方でしょう。
○坪谷氏 基本は私と、さっき言った次の代表になる50代、30代、26歳ですね。あと、うちの近所で私の小学校からの同級生で自営の農業をやっているのがいるのですよ。ただ、それは自分の面積が少ないので、終わるとうちに手伝いに来てくれるから、それもうちの機械に乗ります。あと、同じように先輩なのだけれども、自分の面積が小さいから終わると手伝いに来てくれる人がいるので、その人が今、75ぐらいなのかな。メインで乗用機械に乗るのはそのメンバーです。
○志藤委員 というと、4人。代表と後継ぎの方と、お手伝いの方がお二人。
○坪谷氏 それからほかに同級生と先輩がいるから7人ですね。
○志藤委員 7人ですか。
 そのメンバーで、シーズン前、あるいは作業前にミーティングというのは行われていますか。
○坪谷氏 特別ミーティングまではしていないですね。私の同級生もずっと長くトラクターに乗っていますので、馬力は違えども、基本的には同じような仕事なので、特別ミーティングまではしていないです。
 ただ、フロントローダーといって前にバケットがついているものを買ったので、そのときはちゃんと使い方についてやりました。
○志藤委員 あと、さっきのシートベルトの話なのですけれども、別に責めるつもりは全くないのですが、今、私どもと農水省がシートベルトをしましょうという呼びかけをしていまして、確かにキャビン付のトラクターですと、転倒しても運転席の中にいれば、トラクターに潰されることはまずございません。ただ、実際にキャビン付のトラクターが転倒した際にシートベルトをしていなかったがために頭を柱にぶつけて何針も縫われたという重傷を負われた方もいらっしゃいますので、やはりシートベルトをしていただければと思います。
○坪谷氏 極力そのように指導します。
○志藤委員 実際、シートベルトされていない方が圧倒的多数で、同じ新潟県内でも下越であるアンケートをしたら、20%ぐらいの回答者しかシートベルトをされていないという結果もありましたので、できれば坪谷さんのところがいいお手本になっていただけるとありがたいなと思います。お願いをいたします。
 以上です。
○坪谷氏 了解です。
○梅崎座長 志藤様、ありがとうございます。後ほどまた志藤様にお話しいただくので、若干その辺の観点も踏まえてお話しいただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、鈴木様、お願いいたします。
○鈴木委員 ちょっと1~2確認させてください。今、人数は7名程度ということでよろしいですね。
○坪谷氏 はい。
○鈴木委員 ありがとうございます。10名未満ですので、代表が管理されることでよろしいと思いますが、今、いろいろ労働安全衛生法などで新たに雇入れをするときには、雇入れ時の安全衛生教育というのが求められているのですが、ここで法令が改正されて、安全に係る全ての項目について省略することなくやるということになりますが、今、代表のところではまだ30歳前後ぐらいの若い方は、もう何年か前かもしれませんけれども、新規に雇入れしたということで、そのときには何か雇入れ時の安全衛生教育的なものはやられましたでしょうか。
○坪谷氏 そのうちの2人は農業大学校卒業なので、農業大学校で一応基本のトラクターや田植機、あとキャビンがあるかどうかまでは分からないけれども、コンバインは運転していましたし、もう一人は実家が農家なのですよ。だから、父親の農機具を実際に運転していましたので、取りあえずうちにいる人は何かしらの経験がある。ただ、今後、新規に全く経験のない人を雇う場合はそういうものをきっちり徹底しておかないと事故の元になるので、その辺は気をつけたいと思っています。
○鈴木委員 そうですね、今、いろいろな安全ルールを明文化する予定だとおっしゃっていますので、そういうものを活用しながら、安全衛生教育の資料を作っておくと、いつ何時でも活用できると思いました。
○梅崎座長 ありがとうございました。
 では、泉様、お願いいたします。
○泉委員 ありがとうございます。
 1点、先ほど坪谷さんが引退されて理事になられるというお話をされていましたけれども、作業されている範囲の中の方で理事を兼務している方というのはおられるのでしょうか。
○坪谷氏 農事組合法人は3人以上の役員がいないと成立しませんので、今、私を含めて4人が理事になっています。全くの従業員というのは、さっき言ったミニトマトの管理をしている女の子と、おととし農業大学校を卒業したのが普通の従業員で、あとはみんな役員をしています。役員にすると残業手当を払わなくていいのですね。ちょっと別になりますけれども、そのようなところです。
○泉委員 分かりました。ありがとうございます。
○梅崎座長 そろそろ時間になってきたのですが、もし御質問がありましたら、いかがでしょうか。
 では、藤井様、お願いいたします。
○藤井委員 大特の免許を皆さん取っているということですけれども、機械としてはナンバーも取っているのですか。
○坪谷氏 ナンバーは取っています。緑色のナンバーですけれども、納税のナンバーですね。それはあります。
○藤井委員 小型特殊ですね。分かりました。
○梅崎座長 いかがでしょうか。
 1点だけ、先ほどフロントローダーの話がちょっとあったかと思うのですが、大体イメージとしては分かるのですけれども、どういう危険性があるかというのをもう一度簡単に御説明いただければと思うのです。
○坪谷氏 フロントローダーは、今、簡易の基盤整備といって畦抜きが農業法人が主体でできるのですね。そのときに、畦を抜いてバックホーでこちらが高いだろうなという田んぼの土を移動はしておくのですけれども、新潟はレーザーレベラーをかけようとするとかなり乾かないとかけられないのですね。一応目分量でやっておいて、春に耕うんをして代掻きをするときに水を入れるではないですか。そうすると、高いところと低いところは一分かれなので、そのときに高いところの土をフロントローダーでもって低いところに運ぶ。それは前進・後進がメインなので、あまり左右の危険度は少ないということになるので、あまりフロントローダーを使うからここが危険だということには直接つながらないように思います。
○梅崎座長 先ほどメーカーさんが来てフロントローダーの説明をされたというお話がありましたね。
○坪谷氏 それはどこが水平ですよとか、ここにロープをかけては駄目ですよということですね。
○梅崎座長 そういうことですね、分かりました。
 ほかになければ、まだちょっといろいろ聞き足りないことはあると思うのですが、一応ここで御質問は終わりにしようと思うのですが、よろしいでしょうか。
 それでは、坪谷様、どうもありがとうございました。
 続きまして、實川様、お願いいたします。まず、資料に沿って御説明をお願いいたします。
○實川氏 皆様、よろしくお願いします。千葉県から来ました、株式会社アグリスリーの實川と申します。
 私のところでは梨と水稲を作付しているのですが、水稲のほうは先ほど坪谷さんから御説明があったと思いますので、主に梨、果樹のほうでの作業機械も含めて御説明したいと思います。
 使っている農業機械としましては、スピードスプレーヤー、トラクター、あと乗用草刈り機があるのですけれども、その中でも特に今回はスピードスプレーヤーについてお話ししたいと思います。
 農業機械の使用頻度としましては、スピードスプレーヤーが年12回程度となっております。これは防除を中心とした使い方になりますので、主にこれから3月下旬ぐらいから10日に1度、月に3回程度の使用になりまして、秋口ぐらいまでの使用となります。それ以外ですと、トラクターも使用するのですが、肥料の散布等で使いますので、年10回程度となっております。
 あと、農作業での事故についてということなのですが、私自身は特段大きな事故というものは経験したことがないのですけれども、周りの方のお話を聞くと、資料にも入っているとおり、樹体に挟まれて骨を折るとか、中にはお亡くなりになるということも聞いたことがございます。どうしても防除、あとは肥料散布という作業のほうに意識が集中してしまうので、前方に樹体があるとか、枝があるということでそういった事故につながることが多いかなと特に感じております。ほかの農業と違って樹園地の中で作業しているというところにかなり大きな違いがあると思いますので、そういったリスクが非常に大きいかなと思います。
 あと、私のところでは、ありがたいことに割と平たんな場所で樹園地が広がっていますので、進入時、退出時に横転する危険性というのはほぼほぼないのですけれども、同じ千葉県の中でも傾斜地での樹園地というものも中にはありますので、そういった場合にバランスを崩して横転してしまったということも聞いております。
 あと、私のところは公道を走るということも本当にまたぐぐらいのところしか走っていないので、あまり移動するということはないのですけれども、遠方に圃場がある場合に回送車に移動してとか、トラックに乗せてということもあるのですが、そういった場合の荷卸しのときに、積卸しのときに横転するとか、ひっくり返ってしまうということも中にはあると聞いております。
 あと、使用者教育・点検というところなのですけれども、特にスピードスプレーヤーは、今、ほとんど私が運転しております。これは万が一大きな事故につながったときに、大きなけが、もしくは命の危険性というところもありますので、今は怖くてほかの方に譲れないというところもありまして、私が主に担当しております。ですので、ほかのトラクターでの肥料散布など、一部任せている業務もあるのですけれども、そこに関しましては使用者に対する作業手順であるとか、メーカーさんからの御説明等もさせてはいただいておりますけれども、その他日々のメンテナンス、清掃というところで保守点検も行っているところではございますが、やはり日々の実労働としては私が担当しているという状況になっております。
 あと、農業機械に求める安全対策というところでいきますと、こちらには車高、車重バランスや旋回時の小回りと書かせていただいたのですけれども、車高が低ければバランスというのはよくなる一方で、ボディーが地面に近くなってきてしまいますので、車両の積卸しなどで逆に車体が地面であったりトラックの車体自体に接触して、それが横転する可能性につながったりもするので、そこら辺のバランスを取るというところは非常に重要かなと思いますし、あとは樹園地の中を走るということもありますので、旋回するときの小回りしやすさというのはすごく重要かなと思っております。
 あと、その他まだまだ乗用の草刈り機もそうですし、スピードスプレーヤーにはシートベルトというのはそもそも今は私の使っている機種だとついておりません。今の新しいものだったらもしかしたらあるのかもしれないのですけれども、あと、スピードスプレーヤーも今だとキャビン付のものもあるのですが、そこで育てられている農作物、樹形、栽培方法によってはなかなかキャビンのフレーム自体がすごく邪魔になってしまったりということもあって、それが導入しづらいというところもございます。
 ただ、その一方で、先ほどからの御説明でもあるように、横転したときの身を守るという意味では、キャビンではなくても、今、トラクターでもあるような安全フレームというのがもしあれば、そういったリスクは多少改善できるのではないのかなと思っております。
 あと、スピードスプレーヤーは基本的には防除のために行っておりますので、一般のトラクターなどであればヘルメットの着用ということで済まされることが多いと思うのですけれども、防除をするという観点でいくと、農薬の被ばくといいますか、自分たちに対する飛散というのを防がなくてはいけませんので、フィルター付の防除用のヘルメットというものを着用することが多いのですけれども、そうすると、通常のヘルメットよりも視界が大分遮られてしまうのですね。そういった意味でもう少し視界が広い防除用のヘルメットなどがあると、そういった事故につながるリスクというのも減るのではないのかなと思っております。
 あと、インターロックも今、スピードスプレーヤーには恐らくついていないかと思うのですが、こういったものも、本当にイージーミスではあるのですけれども、防除のためにタンクに水を入れるとか、薬を攪拌するとか、何か作業をするときにスピードスプレーヤーの機体から降りることはあるのですが、薬を攪拌させているのでエンジンを切ることはないのですね。ただ、そのときにクラッチを入れたままにして降りてしまうと、急に発進してしまうということもあるかと思いますので、そういった席を離れたときにエンジンが切れるのではなく、進まないといったものがあると、そういったリスクもまた減らされるのかなと思いました。
 以上、雑駁ですが、説明となります。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。
 それでは、主にはスピードスプレーヤーのお話で、トラクターのお話も一部ございましたので、その2機種辺りを対象にぜひ皆様から、第1回でどんな規制が必要になるという話もあったのですが、そういう観点も含めてぜひ御質問いただければと思います。いかがでしょうか。
 それでは、川口様、お願いいたします。
○川口委員 どうもありがとうございました。
 研修・教育から若干離れてしまうのですけれども、スピードスプレーヤーの場合、先ほどお話がございましたように、樹形や栽培様式によってはキャビンがついていると非常に使いづらいというお話があったのですけれども、例えばブドウの棚仕立ての栽培などのときには難しいのかなと思うのですけれども、安全フレームであっても安全域を守るためのスペースをつくろうとすると、やはりそれなりの高さになってしまうと思うのですけれども、先ほどフレームであればということをちょっとお話しされていましたので、フレームだとその辺がどうメリットがあるのかなというところのお考えを教えていただければと思います。
○實川氏 フレームのメリット、要はキャビンとフレームの違いだと思うのですが、これは生産者目線というか、経営者目線でいきますと、費用の問題かなと思っております。やはりキャビン付にしてしまうとそれだけ費用が高くなるということは当然のことだと思いますので、安価であり、なおかつ身を守るという観点でいくと、間を取って安全フレームなのかなと思った次第です。
 あと、今のこの話題の中心としては労働者の安全を守るということだと思いますので、その一方で、なぜそういったキャビン付のものが走りづらいそもそもの樹形なのかというと、その辺は生産に注力していたからなのですね。要はいかにたくさん実を取るかというところで労働者の安全というのを一旦度外視して作っているからだと思うのですね。なので、今後はそういったところを働く方が働きやすい、安全であるというところの観点も含めて作りやすさと安全さ、そして生産量なども全部ひっくるめた生産体系が必要なのかなと思っております。
○川口委員 ありがとうございます。
○梅崎座長 ちょうど今、川口様が御質問したのが私が実は聞きたかった話でした。
○川口委員 もう一点なのですけれども、まさに今、お話があった樹形等の栽培様式を場合によっては安全のために変えていく必要があるという御認識だということだったのですけれども、非常にそこは大事なポイントだと思いまして、特に樹体と機械に挟まれたり、あるいは枝に頭をぶつけたりというところは、栽培様式で低いところまで枝が出ている、あるいは非常に茂っていて見通しが悪いということからこういう事故が起きるというのが結構あるとお聞きしているのですね。例えばこれは果樹の種類にもよりますけれども、矮化栽培等にして機械作業がやりやすいように栽培様式を転換するというものも場合によっては求められてくるのではないかなと思うのですけれども、かなり果樹栽培されている方々は改植については抵抗の多い方が多いと思うのですね。植え替えてすぐに収入にならないということがあって、その辺は今、非常に安全の意識の高い御発言をお聞きして安心したのですけれども、周りの果樹栽培の方を見たり話をされたりして、その辺はどんなお考えなのでしょうか。
○實川氏 そこはかなり厳しいという話が当然出ると思います。私はどちらかというと今後のことを考えてとは認識しているのですけれども、やはり要は植え替える、改植するということは減収に直接つながることなので、それを農家さんに薦めるというのはなかなか厳しいかなと率直に思います。
 ただ、今回の話とはずれてしまうかもしれないのですが、スマート農業という観点でいきましても、果樹の業界としてはすごく遅れているのですね。そういった機械も進んでいる一方で、機械だけとか、サービスだけが進んでいっても、樹形や栽培方法がそこにまだついていっていないというところもありますので、そういったことも含めると、今後はそこも変えていかなくてはいけないのかなと思っています。
○川口委員 ありがとうございました。
○梅崎座長 どうもありがとうございます。
 志藤様、お願いいたします。
○志藤委員 大変すばらしいお考えを持って経営に臨まれているなというところで非常に感銘を受けました。果樹農家さんは枝一本で収入がいくらかというのが分かる世界で、その枝を切るというのは身を切ることと同じということは重々承知しております。
 しかし、私が事故調査で伺った果樹農家の方で脚立から落ちてしまった方などは、天板まで登らないと届かないところまで枝を伸ばしてやっていました。ところがその方はけがをして、そのシーズンの残り3分の2を棒に振ってしまいました。収入が3分の1になってしまった訳です。「まだまだあと10年、20年続けたいのにこういうリスキーなことをやっていたら20年先までたどり着けない」ということで、単年度の収入は下がるけれども、より長い年月、生産できればトータルでもうかるのではないかと考えを改められて、届かない範囲の枝を切られたという方がいらっしゃるのですね。そういう「安全イコールもうからない」ではなくて、長期的な視野の経営的な視点と安全というのを組み合わせてお考えいただけるという實川さんの考え方というのが広まっていけるとありがたいと思いました。そういう意味では先ほどの坪井さんへのお願いと同じような感じになってしまいますけれども、アグリスリーさんがいいお手本になって、広がればいいなと思っています。
 あと、農研機構のほうも果樹の栽培技術なども研究しておりまして、各都道府県の果樹試験場と情報交換を密にやっている中で、これからの栽培技術の開発は機械作業を前提としています。いかに機械作業で生産性を上げるか、そして作業が安全にできるかという技術開発も進められているということもございますので、県の試験場などにも御相談いただければと思います。
○實川氏 ありがとうございます。
 そこでいきますと、安全性というのと同時にシンプルな樹形にするということが安全性にもつながりますし、作業の効率化というところにもつながるのですね。なので、今後、特に果樹の農家は法人という形の形態も少なく、今までだと家族経営が圧倒的に多くて、篤農家と呼ばれる技術で成り立つ産業でもあったというところが今後は変わっていかなくてはいけないと思いますので、人に教えるとか、任せるという意味でも、シンプル樹形、作業効率というのも大事かなと思っております。
○梅崎座長 志藤様、よろしいでしょうかね。
 最初に言っておけばよかったのですが、特に農業機械の関係で様々な構造について、ちょうど最初にお話のありました転倒時保護構造であるとか、シートベルトの話だとか、あるいは前照灯ライトから始まってヘッドガードや防護柵という構造に対するお話をいただければと思います。あと、今、お話がありましたが、使用方法、作業方法ということに論点を集中していただいて御質問いただければ、非常にありがたいなと思います。どうぞよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。もちろんそれ以外の質問でも。
 では、齋藤様、お願いいたします。
○齋藤委員 ありがとうございました。スピードスプレーヤーは私も興味があって、いろいろ技術的なお話を聞けたのでありがたかったのですが、その辺は結構トラクターとの比較でお話しされているのかなと勝手に推測したのですけれども、トラクターのほうについて、スピードスプレーヤーは怖くて自分でしか運転していないというお話でしたが、トラクターは使わせているのか、あるいは使われているもののトラクターの安全装備について教えていただければと思います。
○實川氏 トラクターの安全装備は、使う頻度としてはトラクターのほうが少ないというところもありまして、あまり使う頻度が少ない分危険度というのもちょっと薄く感じてしまっているところがあるのですが、ただ、トラクターの安全フレームというのは、今、中側についてはいるのですけれども、あれを上げてしまうとかなり邪魔というところがありまして、今はあの状態ではちょっとつけられないですね。
 ただ、スピードスプレーヤーのほうがもともとの車高が低いので、フレームがあったとしても恐らく対応できるかなと思っています。ですので、なかなか話としてトラクターは今の状態ではもっと車高が低くないと難しいかなと思っています。なので、車高は低くしたほうがいいのではないかなと思う一方で、あまり低くし過ぎるとバランスが悪くなってしまうのかなというところです。
○梅崎座長 いかがでしょうか。
 髙橋さん、お願いいたします。
○髙橋委員 今回の農機具の中で高所作業車という項目があるのですけれども、果樹の仲間というか、そういうところでの事故や使い方という情報があれば、教えてほしいです。
○實川氏 千葉県の場合、特に高所作業車だとリンゴなどのパターンが多いと思いますので、あまり使われている方がいらっしゃらないので、身近な情報ではないのですが、午前中の雑談の中で、山形のさくらんぼは、直接高所作業車ではないのですけれども、もともとが高設のハウス栽培で、ビニールの張り替えであるとか、作業自体が非常に同じ果樹農家から見ても危険だな、怖いなとは思っております。そういった中で高所作業車を使わないとやれないというのは、私の今後の果樹経営の中ではあまり高所作業車を使わなくてはやれないものはやりたくないと思っています。
 ちょっと御質問に答えられていないかもしれないですけれども。
○髙橋委員 私は福島なので、高所作業車はあちこちにあるのですね。端から見ていてもすごく怖いのですね。何か情報があったらまた教えてください。
○梅崎座長 逆に髙橋様から見てみて、高所作業車はこの辺のところを気をつけて構造を考えていかなければいけないとか、もし何かその辺の御意見があったら教えていただければと思います。
○髙橋委員 實川さんが言ったように、平場の畑だとそういう果樹の問題などはありますけれども、斜面地での使い方を相当注意しないと、あれは怖い思いをする人が結構いるなと感じてはいます。
○梅崎座長 その辺はどうなのでしょう。實川様、もしその辺で高所作業車の作業を見ていてちょっとどうかなという御意見はありますでしょうか。
○實川氏 ちょっと私の周りにはあまりないので、申し訳ないです。
○梅崎座長 分かりました。ありがとうございます。
 ほかに御質問がございましたら、お願いいたします
 それでは、氣多様、お願いいたします。
○氣多委員 どうもありがとうございました。
 先ほど坪谷様に聞いたことと同じようなことなのですけれども、差し支えない範囲でどういう方を雇われているか、長期・短期、そのうち機械を使われる方がおられるのか、使うとしたらどういう使い方か、SSはほとんど御自身とおっしゃっていましたけれども、逆に言うとほとんどだから一部はどなたかにもあるかもしれませんので、そこら辺を教えてください。
○實川氏 分かりました。
 今、生産のほうでは雇用8名ほどでやっております。その中で農業機械を運転する者としては40代の私と、もう一人40代がいます。あと、20代後半の者が2名ほど大型特殊免許を取得して乗っていますけれども、主にトラクターのほうです。先ほどのスピードスプレーヤーはほとんどと言いましたが、100%私が使っております。
 あと何をお答えすればよかったですか。
○氣多委員 8名の方は常時雇用ですか。
○實川氏 はい。
○氣多委員 臨時の方が機械を使うというのはないですか。
○實川氏 ないです。
○氣多委員 分かりました。
○梅崎座長 よろしいでしょうかね。
 ほかにございましたらお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
 では、藤井様、お願いします。
○藤井委員 機械の点検の状況のところに「メーカーでの整備」と書いてあるのですが、これは定期的にメーカーにメンテナンスを任せているということですか。
○實川氏 そうです。年に1回、シーズンオフになるタイミングでお願いしております。
○藤井委員 分かりました。
○梅崎座長 ほかにございますか。
 では、鈴木様、お願いいたします。
○鈴木委員 ソフト的な点で申し訳ないのですけれども、教育に関して、今、ここでは労働者に対する教育という項目のところで機械の購入や更新時のメーカーさんの説明と書かれておりますが、これは安全教育としてメーカーさんと対応するチャンスがあったら、それを利用して教育もしてもらうということですか。
○實川氏 そうですね、先ほどの坪谷さんの御質問にもあったような入社時のというのはちょっとまだやっていなくて、今後、法制化も進むという中で取り入れていきたいなと思っているのと、あと、今までの過去の雇用の場合ですと、県の研修会、セミナー等に参加してそこら辺を学んでいるというところがございます。
○梅崎座長 ほかにいかがでしょうか。
 先ほど實川様がPTOの関係というか、要するにエンジンを切らないで止まっているときに急発進されると非常に危ないのでということを言われていましたので、そこは結構安全上重要な問題かなと思えたのですが、現状、實川様のほうで使われているスピードスプレーヤーの基本的な仕様とともに、もうちょっとこの辺を工夫してもらえると安全性が確保できるよねというアドバイスがございましたら、お願いできればと思うのです。
○實川氏 どうしても動力が走向のほうとポンプのほうが連動しているので、エンジンを切ると両方とも止まってしまう。なので、ポンプのほうだけは動かしたいけれども、走行のほうは席から離れたときには切れるという仕組みになると、そういった事故は減らせるのではないかと思った次第なのですけれども、それが技術的にギアが入ってしまっている、それが席を外れるとぱっと戻るようにするということなのか、電子的な部分なのかというのはちょっと。
○梅崎座長 現状はそうはなっていないのだけれども、その辺の機能があると非常にうれしいなという。
○實川氏 そうですね。結構低速運転をしていると、馬力というか、動く力が強いので、サイドブレーキを引いてあったとしても発進する力のほうが大きいので。
○梅崎座長 ありがとうございます。
 では、川口様、お願いいたします。
○川口委員 今、御説明いただいた点なのですけれども、走向のほうは止めてポンプだけを動かすという場合のポンプを動かしているというのは、止まっている状態で散布を続けているということですが。
○實川氏 いえ、攪拌です。
○川口委員 タンク内の攪拌のほうですね。分かりました。
 実は私どもはメーカーの立場の者なのですけれども、つい昨年、スピードスプレーヤーについて、安全使用のための啓発ビデオというのを作ったのですね。事故としてはよくひかれる事故というのが一つの形態としてありまして、例えば坂道などで止めて、侵入路に止めてあるものを外して進入していけるようにということをしたりするときに、止めたつもりでも後ろから動いてきてひかれてしまったということもあるものですから、特に傾斜があるようなところの場合には必ずエンジンを切って、なおかつサイドブレーキを引いて、本当は傾斜の場合には車輪止めまでかけていただくのが一番いいのですけれども、そういうことのお願いはしているのですね。
 今のポンプと走行を分けて、走行だけでも止まるようにというお話があったのですけれども、どのくらい長い間止めておかなければいけないのかということによって、短い時間であれば、ポンプが止まってもまたエンジンをかければアジテーターは動きますので、それほど支障はないのかなという気もするのですけれども、その辺はどんな状況なのか教えていただければと思います。
○實川氏 ここに関してはかなりケース・バイ・ケースといいますか、経営者さんごとになっていると思うのですが、そもそもタンクに水を入れるまでの時間がどのぐらいかかるのかというのは、井戸からくんで蛇口でひねるぐらいの水の量なのか、それとももっと加圧して一気に出るものなのかによってもまるで変わってきてしまうと思うので、そこがまず大きい違いかなと思います。
 うちの場合ですと、毎分300リッター出るポンプで送り出していますので、要は薬をまき終わって次のものを補充して再出発するまでに5分ぐらいです。ただ、それは本当に水がすぐにくめる状況にあるのでその速さですけれども、それがかなり本当に井戸から細々と出る水の量でくんでいるとなると、大分時間がかかるかなと思います。
○川口委員 分かりました。ありがとうございます。
○梅崎座長 逆に、川口様のほうでビデオを作られて、例えばスピードスプレーヤーでどんなことが災害防止上重要な点というふうに作られたのでしょうか。すみません、参考程度に。
○川口委員 スピードスプレーヤーの事故の中で非常に深刻でなおかつ件数が多いのは、一つは転落・転倒。それから2つ目には、實川さんの中にもありましたけれども、枝等に挟まれるという事故です。それから3つ目が、先ほど私が申し上げた止めておいたはずのものが動いてきてひかれてしまうという事故だということで、転倒・転落の場合には、例えば狭い農道で路肩の部分に草が茂っていてどこが端か見えないようなときには踏み外してしまうということもありますので、ちゃんと草刈りをして見えるようにしましょうとか、あるいは樹園地に侵入していく、出ていくときにもちゃんと下が分かるような状況で、なおかつちゃんと入っていけるような進入路にしてくださいということ。それから、挟まれ事故は、どうしてもまいている部分が気になって後ろを見てということがありますので、できるだけ挟まれるような邪魔になる枝があれば、事前にちゃんと自分の樹園地の中を点検して、危ない枝は切っていただく。あるいは、できれば機械作業に合ったような栽培様式に変えていただくということが大きいのかなということでございます。ひかれは先ほど申しましたようなことで、大体その大きな3つのことについてこういうことに気をつけましょうというビデオを作っております。
 PRになってしまいますけれども、私どもの団体のホームページに載せておりますので、一度ぜひ御覧いただければと思います。
○梅崎座長 場合によってはもし参考になれば、見せていただけるとありがたいのですが。
○川口委員 こういうところでもちろん映していただいても大歓迎でございます。
○梅崎座長 その点は厚労省と相談して、それとちょうどトラクターの話も実は今、實川様のほうでされていたものですから、トラクターについても安全についてビデオというものは作られているのでしょうか。
○川口委員 それは隣の氣多さんの団体のほうが結構やられていると思います。
○氣多委員 では、PRさせていただきますけれども、最近、比較的動画にも力を入れているつもりですので、私ども日本農業機械化協会のホームページで無料で幾らでもご覧いただけますし、必要であれば、もちろん次回以降、上映することは幾らでもさせていただきます。
○梅崎座長 ありがとうございます。動画で見られますもんね。私も見たことがあるので、またそれは厚労省さんを介してお願いするかもしれません。そのときはどうぞよろしくお願いします。
 若干話がそれてしまいましたが、そろそろ時間になるのですが、實川様の関係で御質問がございましたら、いかがでしょうか。まだ1問ぐらいできると思うのですけれども、よろしいでしょうか。
 それでは、實川様、どうもありがとうございました。
 続きまして、月井様から資料に沿って御説明をよろしくお願いいたします。
○月井氏 栃木県那須塩原市から参りました、月井美好と申します。現在、酪農を営んでおります。
 あとは座って失礼いたします。
 まず、概要から申し上げますと、現在生産している作物につきましては、一番は生乳です。ここに載せていませんけれども、牛乳の生産がメインです。その生乳を生産するための重要なものが飼料用デントコーンや飼料用牧草で、その下にWCSの収穫機とあるのですけれども、WCSも13ヘクタールぐらいは今作っております。あと、飼料用デントコーン、牧草関係については、年間延べで約60ヘクタールを作っております。
 現在使用している機械につきましては、キャビン型のトラクター、全部キャビンなのですけれども5台。125、105馬力から90馬力が2台と、70馬力が1台。それから、WCSの収穫機は乗用型で、デントコーンの収穫と兼用で使っているのですけれども、これが2台ございます。それにこのWCSを収穫してロールにして落としますので、そのロールにしたものについてラッピングマシンでフィルムを巻くという機械を使っております。あとは、ホイールローダーについては今、4台使っております。牧場が2か所にありますので、両方で2台ずつでやっているということでございます。
 あとは、ここには載せていないですけれども、今回の対象にはなっていませんけれども、餌を混ぜるミキシングのミキサーを載せている大型トラック、また、4トンの深ダンプという堆肥を運搬する機械とか、それから農機具を移動するための4トンのキャリアカーは、私がけがをしてから導入しました。あとは普通の2トンのトラックとか、そういうものが今、農業機械と作業に必要な機械でございます。
 農業機械の主な作業頻度ということですけれども、ホイールローダー、トラクターについては通年で使っております。これはなぜかというと、まず餌を作るために全てホイールローダーで自給飼料のデントコーンやTMR、それから飼料会社に委託しているTMRをミキサー車に入れるために1台は使っております。あとは、トラクターについては農作物や牧草などの作付から収穫ということでほぼ一年中使っております。
 あと、4番の農業機械の事故について知っている情報ということなのですけれども、これはここに書いてあるとおり、皆さん御覧のとおり、私が自分で右腕をなくしております。ここに日にちも入っていますけれども、2021年6月3日に、ここからロールベーラーというものでトワインというひもがあったのですが、それを何回もメーカーさんに直してもらって直ったと思ったら結果的に直っていなかったのですけれども、それを修理しようと思ったときに、こちらの右のほうの神経が散漫だったので、それで引っ張り込まれて、急いで引っ張ったらもうここからなかった。そのときに私はこういう長袖だったので、まず血を止めるためにここで止血をして、端をここで挟んで、それからかみさんに救急車を手配してくれと携帯で連絡してということで、これは本当に身近に自分で体験していますので、これはあまりお勧めできる体験ではないのですけれども、こういう状況です。
 そのほかに周りの方ということであるのですけれども、私の同級生もトラクターのアタッチをつけるときに、サイドブレーキがきちんと引かれていなかったと思うのですけれども、それでアタッチとの間に挟まれて亡くなっています。また、昨年も1人、我々の那須地方で亡くなっている方がいた。私がけがをしたときに、たまたま氣多さんがうちの取材に来ていただいていたので、全国で242名の方が亡くなっていると。ただ、全部法人とか、そういうあれではないのですけれども、要するに中核として働いている方、年齢構成は分かりませんけれども、やはりベテランの人が亡くなっているのではないかなと感じています。ですから、そういう事故というのは一件でもなくさなくてはならないのかなと思っております。
 あと、5番の農業機械使用に関する教育・点検については、現在、特に私が自分でけがをした関係もあるのですけれども、トラクター、ローダー、全てでシートベルトを必ずするということで徹底しています。なぜかというと、横転した場合に人間の心理としては倒れる方向に逃げる習性があるのです。そうしますと、倒れる方向へ逃げれば挟まれる危険性もいっぱいあるということで、先ほどキャビンの話もされていましたけれども、キャビンがあるから安全かというと、やはりヘルメットをしていないと、先ほどのフレームにぶつけてということもありますし、あと、トラクターのキャビンのガラスは完全に車と同じで粉々にはなるのですけれども、やはりそれでもけがをしやすいということで、自分が誤ったことでこういうけがをしていることについては絶対うちのスタッフ、または周りからも出さないし、出させないというつもりであえてこういうふうに皆さんに、実際の事故の展示物ですね。それはもう皆さん見れば、口で言うよりも。
 いかに腕がなくなって大変かというと、ネクタイは今、やっと自分で締められるようになりました。だから、そういうものが本当に動かない。あとは食事も最近あれですし、右利きだったので、サインもやっとこの頃は自分で左で書けるようになりましたけれども、そういう体験は私たちのスタッフにも、それから周囲の仲間にも絶対にお勧めできないですから、そういうつもりで今は私は啓蒙活動という形もこれから生きている限りはやりたいなと思っております。
 あと、6番の労働者に対する教育・安全ルールについての策定については、当然こういう機械の不具合が出たときには必ずPTOを止める、エンジンを止める。これは古くて新しい言葉で、これで何百人か何千人か分からないですが、日本全国でこの被害というか、犠牲となっているので、だから、基本的にはこれからきちんとこういう機械の性能の面でも改善はしなくてはいけないですけれども、やはり意識改革ということが重要なのかなと感じております。
 あとは皆さんの御質問にお答えしたいと思います。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今の月井様の御説明に対して御質問がありましたら、お願いいたします。
 それでは、氣多様、お願いいたします。
○氣多委員 どうもありがとうございました。
 今、月井社長からも名前を出していただきましたけれども、以前からお世話になっておりまして、先ほど座長のおっしゃったビデオの関係で事故を取材させていただいて、その節は大変どうもお世話になりまして、ありがとうございました。
 それとは直接関係ないというか、皆さんに同じことをお聞きしているのですけれども、お伺いしているので大体経営の概要は分かっているつもりなのですけれども、酪農の部門は今回の話とはちょっと違うので、そこを抜いて飼料生産の部門でどれぐらいの雇用者がいて、それが短期と長期とどれぐらいおられて、そのうちその方たちがどういう機械の使い方をされるか教えてください。
○月井氏 総勢で今、10名です。10名の中には私と家内もいて、家内は基本的に今は経理のほうだけで現場には出ておりませんけれども、私の牧場の原点は家内が東京生まれで、栃木に戻って一緒に行ってもらって、人工授精者の資格を取って、ほとんど牛のことについては家内と話しても私は全然太刀打ちできませんので、一切任せております。
 それと、今、技能実習生が3名おります。3名のうち男性が1名で、女性が2名で、3人ともタイから来ていただいています。2年目の実習生が1名、それから今年1年目の男子と女子が1名ずつで2名、それと、一部上場企業に勤めていた女性が22歳のときに酪農をやりたいのですけれどもということで来て、それがもう2年半、本当に一生懸命やっていただいている子で、将来は酪農家に嫁に行きたいのだと言っている子が1名。それと、地元の隣の集落から来ている男の子が31歳ですけれども、もう高校が終わってからですから13年ぐらいになりますけれども、1名おります。そのほかにうちの娘と娘の友達が東京から来て人工授精師の資格を取って、いわゆる繁殖管理、飼料管理をやってもらっています。
 あと、農作業についてなのですけれども、娘と娘の友達が住み込みでいますけれども、この2人についてはトラクター作業、補助から何から全部やっております。全て大型特殊の免許、それから大型トラックの免許まで持ってやっていただいています。
 31歳の男の子については大型トラックの免許まで取ってもらって、ミキサー車が大型トラックなものですから、それでTMRのミックスなどの作業をやってもらっています。
 あと、一部上場から来た女の子については、今のところ搾乳と牛の健康状態のチェック関係を毎日見てもらっています。
 技能実習生については、一人は搾乳をもう任せられるので、その子は英語も日本語も全部堪能なので、逆に安心して任せられる状況になっていますので、技能実習生というのは本当に私たちの対応の仕方によってはすごい戦力になるなと思っています。
 新しく来た子2人については、一人はタイは徴兵制がありますので、1年間軍隊を経験していたということで採用しました。その子は何か用事を頼むと走ってくるというか、日本ではなかなか体験できないような生活を一緒に。いろいろな農作業を今まで自分でやってきて、牧場の整備などの工事等も、私が右腕がなくてできないので、私の右腕になってもらうよということで、今、牧場の整備関係と、私の牧場からはにおいを出さないというのが一番のコンセプトなので、においを出さない原因は何かというと、牧場の中に糞をためないできれいにしておくということでやっておりまして、自分のところのブランドの牛乳とバター、チーズももう23年やっております。ですから、6次産業というのが農林水産省で平成23年から言われていますけれども、その初めの頃からそういうことの対応で、販売については私の家内が納品から何から一切やっています。そういうものが今のうちの作業体系と人の配置です。
○氣多委員 先ほどもお聞きしたのですけれども、労働基準監督署との付き合いというのはあるのですか。
○月井氏 1度だけ来ました。なぜかというと、たまたまうちのスタッフが家になかなか帰らないので、仕事は終わっているのですけれども、牧場は出ているけれども帰っていないということで家族が心配して、そんなになぜ働くことがあるのだということで奥さんが労働基準監督署に聞きに行ったそうです。それで状況を見に来て、一応こういう話でやっていますという形の回答は当然文書でも出したことがありますけれども、それ以来で、先ほどお話がありましたように、農業については労働基準法の適用外になりますよと。住むのは別ですけれども、作業の時間管理適用外になるというのは時間の早かったり遅かったりということがありますのでということで説明はして、理解はしていただきました。
 今のところそれだけです。
○氣多委員 ありがとうございました。
○梅崎座長 先ほどちょっと申し上げたのですけれども、特に短い時間の中でできれば第1回の農業機械の主な機械的規制というか、その使用法も含めて御質問をぜひいただければと思いますので、いかがでしょうか。もちろんそれ以外の質問でも結構でございますし、今の氣多様の質問も非常に重要な質問でした。
 では、齋藤様、お願いします。
○齋藤委員 大変貴重なお話を伺いました。ありがとうございました。
 御自身も事故経験をされたことがあって、キャビン型のトラクターでシートベルト、ヘルメットも徹底してやられているということで、それは御自身としては一緒に働かれている方にまた同じ目に遭っていただきたくないという思いが強いかと思うのですけれども、これは一方では働いている方々にとっても安心して働けるといいますか、こういうふうにきちんとやっていただいているので作業を十分にできるというか、そういう雰囲気というのは、相手の方がどう思われているかという印象はなかなか難しいかもしれませんけれども、従業員の方々はそれに関してはどのように感じられていますでしょうか。
○月井氏 多分それが当たり前だと思っていると思います。
 ただ、なぜかというと、私は55歳までNTTに勤めていました。辞めて酪農を本格的に始めて、今年の6月でやっと20年です。ですから、2頭の牛から始めて今は400近くいますけれども、自分の夢をどんどん形にしていきたいなという形でやってきたので、農業者の人たちというのは人を使うことは上手ですけれども、働く人の気持ちはなかなか経験がないので分からないのですね。私は自分で人事評価も受けながら、自分でも営業所長をやっていましたから人の評価もしていましたし、それが今、非常に役立っているということはありがたいなと思っています。
 その程度でどうでしょうか。
○梅崎座長 よろしいでしょうか。
 では、髙橋様、お願いいたします。
○髙橋委員 この安全対策で検討しているいろいろな機械というので、具体的にコンバインやスプレーヤーなどが出ているのですけれども、酪農というか、畜産の中でそれに準ずるというか、ここにWCSの収穫機なども入っていますけれども、そのほかにコンバイン的な機能を持つ機械というのはどんなものがございますか。
○月井氏 まず、このWCSの収穫機の大元は6条のコンバインなのです。値段的にこの機械は約2000万します。ですから、私があえてWCSをここへ入れさせていただいたのは、コンバインが入っていて、これは逆に言うと機械的な危険性はこちらのほうがあるのですよ。背丈も高いのですね。中で刈り取った稲わらを1センチか2センチにカッティングしたものをロールにしてフィルムをかけて発酵していくという飼料作りの方式なので、このWCSというのは私たちはコンバインに準ずるものかなと思っております。
○髙橋委員 よく畜産だと海外の大型機械でデントコーンの収穫機で飛ばしてトラックに入れるという機械も日本に少し入っているではないですか。そういうものを含めると、収穫機で収まるのか、コンバインというふうに個別になってしまうとこうなってしまうので。
○月井氏 今、髙橋様が言われたようなことは全部関連してくると思います。私の仲間のところの6条のデントコーンを一度に刈っていく6条刈りの機械は6000万です。そういう機械が私どもの仲間でも、今、私の地域に4台ぐらい入っています。このWCSの収穫機械についてはもう10台を超えました。やはり仕事が速いですけれども、要するに費用もかかるという形で、全てそういうものの安全作業ということについては、機械の大小や種類とか、この動力を使ってやるものについては全部安全作業ということを原点に考えていかないと、けがをしたときの被害が要するに最悪は命をなくすという状況になる可能性がある。ですから、それはこれから避けていかなくてはいけないのかなと。
 まして農業に従事する人がどんどん減っていく。米とか、いろいろな業種にかかわらず作業者が減るということは、幾らで便利な機械でも今度は動かさなくなったら宝の持ち腐れになってしまうのかなと私は考えています。
 うちの場合は女性が結構機械を使ってくれるのですよ。そうするとなぜ便利かというと、男性と違って機械を無理に使わないのですね。農業といえども女性が進出してきていただいていますし、そういう中でも女性でも男性でも簡単にと言うと言い方は悪いですけれども、安心・安全に使える機械をこれからメーカーさんにも考えていただきたいなというのと、1つだけ私がけがをした原因の中で、修理に出しても直らなかったということで、製造物責任云々があるのではないのということで、今、仲間の弁護士にいろいろ調べていただいています。私のけがについては業務上過失傷害ということで時効まで3年あるので、今年の6月2日までということで、そういう話も今、仲間の弁護士が調べてくれています。
○志藤委員 私は飼料作機械の専門でもあるので、髙橋さんの質問に対してちょっと補足させていただきます。こういう飼料作物の収穫機械というのは何種類かありまして、月井さんがおっしゃられたお隣さんの6条刈りというのはいわゆるデントコーンを収穫するフォレージハーベスターというもので、前のアタッチメントを交換することによって、乾かした牧草も収穫できます。いずれも細かく切って、吹き上げてトラックの荷台に荷受けします。それをサイロ詰めするという作業体系になります。
 あとはロールベーラー。資料には書かれていませんけれども、月井さんがけがをされた直接の機械は、牧草を拾い上げて円柱形のロールベールという形に成形する機械です。
 資料に記載されているWCS収穫機というのがありますが、WCSというのはホールクロップサイレージ、つまり茎も茎葉も実も全部使って発行させた餌のことです。WCS収穫機というと一般的には飼料用イネ専用の収穫機を指しますが、月井さんがお持ちなのは、汎用型飼料収穫機といいまして、私が開発した機械でございます。デントコーンも飼料用イネにも両方対応できるという機械で、細断して、ロールに成形するという機械であります。
 こういった収穫機全体で、件数自体は少ないのですけれども、酪農家の件数割合からすると決して低くない割合で負傷事故、あるいは死亡事故が発生しています。いずれも巻き込まれによるものが大部分であります。
 以上、補足させていだきました。
○髙橋委員 ロールベーラーというのは一体型のものと牽引型というか、アタッチメントとして見るのか、本当の一体型として見るかでこの安全特別教育が変わってくるような気がするのですよ。
○志藤委員 ロールベーラーはトラクターにけん引されるものが大部分で、一部ですけれども、自走式もあります。これはもっぱら水稲農家などが稲わらを収集して、それを肉牛農家さんに売るという用途で使うものです。
 あと、WCS収穫機というか、汎用型飼料収穫機は自走式の機械です。車体のベースは6条刈りコンバインですけれども、機体前部の収穫する部分はコンバインのものとは全く違いますし、お腹に積んでいる機構(成形室)もコンバインとは全く違うものになります。
○月井氏 私がけがをしたのは牽引型のロールベーラーです。ですから、トラクターの動力をPTOというものでつないで、それを止めてあればこういうけがはしなかったのですけれども、それは後の祭りという形になっています。
○志藤委員 ちょうど私は月井さんに事故の聞き取り調査もさせていただいていましたので補足させていただきます。作業中に牧草を拾い上げて、機械の中身がいっぱいになりますと、外周をトワインと言われるひもでぐるぐる巻きにして、成形性を保って機械から放出するという作業を連続して行います。このトワインと言われるひもを繰り出す装置に不具合があって、繰り出している途中で切れてしまうということが頻発したのですね。エンジンとPTOを回した状態でその不具合を直しに機械の上に乗っかって、しかもその作業は上体を屈めたような姿勢でやらなくてはいけない。不具合のあった繰り出し装置は月井さんの向かって左側についていますので、右手を機械に手をついて上体を支えて、左手で作業をやっているときに、右手も握りなどもない部分でしたので、右手がすっと滑ってそのすぐ先にあった稼働部に落ちて巻き込まれてしまったという事例です。
○梅崎座長 そうすると、今の皆様のお話を聞いていると、6番目にある機械不具合時のPTO、エンジン停止の励行ということがやはり非常に重要な課題となるのですね。
○月井氏 これは事故を防ぐ一番の近道だと思います。機械が壊れないということは絶対にないので、わざわざ危険なところに近づかないよと子供さんにしつけているという話があるのですけれども、機械が壊れたときにそれと同じことを私がやってしまったということなので、これはこれからも永遠に続く課題だと思うのですけれども、やはり啓蒙活動をきちんとやっていかなくてはいけないのかなと思っております。
 あと、1点だけいいですか。前回の資料の中で、11ページの真ん中辺りで横手委員さんから出ているいろいろな機械を買ったときの使用説明という文言があると思うのですけれども、ぜひこれはきちんとやっていただけるようにお願いしたいのですよ。なぜかというと、こういう精密機械は一回聞いただけでは分かりません。説明を受けたからといってはいとサインはするのですよ。そうすると、説明したことになってしまうのですね。だけれども、一回で覚えられる人はまずいないと思います。ですから、ぜひここのところは。
○梅崎座長 どの資料ですか。
○月井氏 1回目の議事録の11ページです。
○梅崎座長 議事録の11ページですね。分かりました。
○月井氏 ここのところは、説明責任ということではないのですけれども、責任があるないではなくて、使う人が安全に使えるような説明を徹底することは私もお願いしたいなと思ったので、取り上げさせていただきました。よろしく検討をお願いします。
○梅崎座長 そうですね、分かりました。
 時間にはなったのですが、まだいろいろお話を伺っていない人もいらっしゃいます。オブザーバーの方もいらっしゃいます。オブザーバーの方、あと田中様、あるいは石澤様も含めて何か御質問などがございましたら、特に農業機械の構造に関する話や使用方法に関する話でございましたら、お願いしたいのですが、いかがでしょうか。
 田中様、お願いいたします。
○田中委員 全商連の田中です。
 1点だけ月井様にお伺いしたいのですけれども、会社のほうではシートベルト、ヘルメットの完全励行をなさっているということですが、このことが近隣の農家、あるいは酪農家の方々にも広がっているという動きはお感じになっておられますでしょうか。その点だけお伺いしたいです。よろしくお願いします。
○月井氏 正直に申し上げまして、私は同じ酪農をやっていますけれども、同業者との交流がないのです。なぜかというと、今の時期などは特にそうですけれども、餌が高くて困った困ったというので、そういう前向きの話は意外と同業者とはないのですよ。ですから、異業種との交流のほうが多いので、そういう機会がないので、本当に付き合う人にはシートベルトしたほうがいいよとは言いますけれども、それ以外のことは現在のところはアクションを起こしていません。
○田中委員 どうもありがとうございました。
○梅崎座長 田中様、よろしいでしょうか。
 ほかにオブザーバーの方でお話がありましたら、いかがでしょう。
 横手様、お願いいたします。
○横手委員 月井さん、本当にありがとうございました。本当におっしゃられるとおりで、1回に限らず使っていただいているということなので、できれば毎年、使う前にもう一度調子はどうですか、この使い方は大丈夫ですかといったことをきちんとやるというのが我々の使命だと思っております。
 あと、どうしても月井さんのお話を伺ってあれなのですけれども、やはり機械を無理に使わないという女性の使い方もすごく大事なことで、これからもし安全教育をやるということであれば、その視点というのは取り入れていかなくてはいけないのだなと非常に感じました。
 ありがとうございました。
○梅崎座長 いかがでしょうか。ほかのオブザーバーの方でお話はございますでしょうか。あるいは石澤様からも何かよろしいでしょうか。
 それでは、これで月井様のヒアリングを終了いたします。どうもありがとうございました。
○月井氏 ありがとうございました。
○梅崎座長 ありがとうございました。
 それでは、一応これで3名の経営者の方のヒアリングは終了いたしますが、何か事務局で補足はございますでしょうか。
○高松審査官 事務局でございます。
 農業機械のユーザーからのヒアリングに関しては、本日行いました経営者の皆様のほか、農業従事者の方とのヒアリングを予定しておりまして、現在、関係の団体等々で調整を進めているところでございます。農繁期の関係もあり、今回参加できないということなどがありますが、そのような方々に関しましては次回以降にヒアリングをお願いする予定としているところでございます。
 以上でございます。
○梅崎座長 そういうことで、引き続きヒアリングは継続していくということですので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、次に、議題2の安全性検査の概要についてでございます。これは農業機械については農研機構さんが一番の団体ということで、安全性検査を農研機構さんで実施していますので、本日はその概要を志藤様から御説明いただければと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。本日の議論も踏まえてお話ししていただけると非常にありがたいなと思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
○志藤委員 農研機構の志藤でございます。安全性検査の概要について説明いたします。
 次をお願いします。安全性検査というのは3つの内容で構成されておりまして、最初に安全装備検査ということで、この対象になりますのは原則全ての農業機械になってございます。今年度の実績では、今年の2月末の時点では9機種150型式が受検してございます。
 そして、マル2は安全キャブ・フレーム検査でございまして、これは乗用トラクター用、そして農業運搬機用のものを対象にしてございます。今年度は20型式が受検して合格しております。
 そして3つ目は、ロボット・自動化農機検査でございます。ロボット農機としては乗用トラクター、田植機、あと穀物乾燥機の遠隔監視装置、自動化農機は乗用型の農業機械一般ということで、2機種37型式が今年度合格してございます。
 次をお願いします。一つ一つ詳しく話をしてまいります。まず最初は安全装備検査でございますけれども、農業機械の安全性に必要な装備や機能を基準に照らしましてこれを満たしているかについて確認を行っております。基準に満たない部分につきましては、基準を満たすよう指導を行い、それが満たされたことを確認した上で合格判定の審議会にかけるということになっております。確認する項目は、危険源からの防護、安全装置、安全標識。安全標識というのは注意マークですね。これらを含めた9項目になってございます。これらの基準はISO規格など、国際標準に準拠してございます。この写真に安全装置の一例を示しておりますが、左側は歩行用トラクターの装置です。バックしながら装着したロータリーで作業をすると非常に危険だということで、バックギアに入れるとロータリーが動かせない、あるいはロータリーのクラッチを入れるとバックギアに入らないような構造という形になっています。そして、作業中に即時機械を止めたいというときに使う緊急停止ボタンを、操作する位置から手の届きやすい範囲に配置することが決められております。
 次をお願いします。2つ目が、安全キャブ・フレーム検査でございますけれども、これは破壊試験になります。トラクターの最大質量、トラクターには一連のシリーズがありますけれども、その中で最も大きなトラクターの質量から算出した所要吸収エネルギー、これは押しつける力とフレームが変形した量の積算値になりますけれども、これが所要のエネルギーを満たすまで油圧シリンダーでフレームを変形させます。変形させる方向も、写真は横から押していますけれども、後方から、あと試験の種類によっては前方から、そして写真のように側方から、そして上方から潰すという形で全ての強度試験で最大変形したときに、この右側に示してありますような安全域と言われますオペレーターの安全を確保するための空間に侵入するものがないかを判定するものであります。大型トラクター用、クローラトラクター用、小型トラクター用など、試験コードは4種類ありまして、大型トラクター用、クローラ用についてはヨーロッパ標準でありますOECDトラクターテストコードに準拠したものになってございます。
 次をお願いします。そして3つ目、ロボット・自動化農機検査でございます。ロボット農機といいますのは、使用者が圃場内や圃場の周辺から監視しながら無人で自動運転させる農業機械で、これを対象としておりまして、自動モードになっているか、あるいは手動モードになっているかというのを周囲からその状態が分かるかどうかの表示の機能、あとは障害物や人を検出したときに、一定の距離に近づいたときに警報音を発する、さらに接近し続けた場合には機械が停止するといった機能が確実に動作するかどうかといったところを確認します。
 自動化農機は、機械に運転者が乗た状態で使われるものです。まっすぐ走らなくてはいけないとなったときに、手放しでも機械のほうが自動で直進操舵を行うという機能を有したものを自動化農機と言っていますけれども、自動操舵モードでも運転者がハンドル操作等を行ったときには手動モードにすぐ切り替わる、人の判断、操作を優先させるといった機能が確実に動作するかどうかを確認する内容になってございます。
 次をお願いします。安全性検査は現在、改定作業中でございまして、前回第1回でも農作業事故の発生件数というのが説明されましたけれども、その死亡事故のうちの7割が農業機械により発生しているという現状に鑑みまして、こういった機械による事故の低減化を目指しまして、令和7年度以降、対象機種に対して新たな安全装備を基準に盛り込む方向で、今、改定作業を行っています。
 その盛り込むべき安全装備の代表例としまして、一つには乗用トラクターの転倒事故への対策強化、そして今日も事例の中で多々出てまいりましたけれども、乗用トラクターの作業機への巻き込まれ事故への対策強化といったものも盛り込まれます。
 次をお願いします。1点目の転倒・転落の事故対策です。安全フレームがついていても、シートベルトをしなかったがために転倒時に運転者が投げ出され、トラクターの下敷きになってお亡くなりになるという事故が多々発生してございます。ということで、シートベルトを装着しないでエンジンをかけ、走ろうとすると、警報音やランプが発光して、運転者にシートベルト未装着の注意喚起を与えるという装置、シートベルトリマインダーを装備することを基準に盛り込むこととしています。令和7年度からこれが基準化されるということになってございます。
 次をお願いします。もう一つは、巻き込まれ事故です。この写真は痛々しいですけれども、この方は今から15年ぐらい前に私が初めて聞き取り調査を行った方でいらっしゃいますけれども、トラクターの駐車ブレーキをかけず、PTOクラッチも切らずにトラクターから降りて、そのトラクターの真後ろで作業しているときに、じわじわとトラクターが動いてきてロータリーに巻き込まれてしまったという事故に遭われた方でございます。運転者がシートから離れたことを検知して、シートから離れて7秒以内にPTO、自分の動力を遮断するというインターロック装置といったものを令和7年度から装着するということになってございます。
 ただ、トラクターの作業の中では、オペレーターがシートから離れて作業機を動かして作業しなくてはいけないという場面もあります。そういった場合は、作業者が意図している間だけPTOを駆動させることができるという仕組みも併せて取りつけることができるというふうにしてございます。
 非常に簡単ですけれども、安全性検査の概要について説明させていただきました。御質問をいただきたいと思います。
○梅崎座長 どうもありがとうございました。
 それでは、今、御説明のありました内容につきまして、先ほど申し上げた農業機械の構造、作業方法も含めて、その他の質問でも差し支えございませんので、ぜひ皆さんから御質問をお願いいたします。いかがでしょうか。
 では、髙橋さん、お願いいたします。
○髙橋委員 現場からですけれども、先ほど實川さんが言ったとおり、これによってのコストというのがどの程度この機械に乗っかってくるかというのが結構現場で心配なところだと思うのですけれども、そんなに高額な装置ではないのですか。
○志藤委員 この基準化については農機メーカーさんと日農工さんと関係団体さん、あと農水省と綿密に度重なる検討を重ねてきております。やはりメーカーさんもこういう装備が義務化になったので値段がこれこれ上がりますというのはなかなかユーザーさんへの言い訳にしにくいということが共通した認識でいらっしゃると思います。各メーカーさんもただでさえ材料費が上がって大変なことはあるかと思うのですけれども、経営努力の中でユーザーさんに納得していただける価格帯に納めるという努力をしていただいていると私は理解してございます。
○梅崎座長 よろしいでしょうか。
 ほかに御質問がありましたら、オブザーバーの方も含めてどうぞお願いいたします。いかがでしょうか。
 それでは、横手様、お願いします。
○横手委員 横手でございます。
 安全キャブのフレーム検査で最大質量というのは、作業機というのは何か考慮されているのでしょうか。
○志藤委員 いえ、作業機は含めません。燃料や冷却水、オイルなどを標準状態で搭載した状態での質量となります。
○横手委員 ありがとうございました。
○梅崎座長 いかがでしょうか。どんな御質問でも差し支えございませんので、お願いしたいのですが。
 私から伺ってもよろしいでしょうか。あるいは齋藤さん、何かありますか。
○齋藤委員 基準等はISO規格に準拠ということなのですけれども、逆にここで重要なことが分かって、あるいは基準が明確になって国際的に提案するというのはあるのですか。
○志藤委員 3つ目のロボット・自動化農機検査については、実はロボット農機は日本が先進国でございますので、今、ISOの18497という規格にこのロボット農機のトラクターと田植機の試験方法を反映させていただくことを目標として農研機構から専門家がワーキンググループに派遣されて議論しております。今年の前半ぐらいには正式にISOの18497に私どもの検査内容が掲載される見通しになってございます。
○梅崎座長 よろしいですか。
 ほかにいかがでしょうか。
 私からちょっと教えていただきたいのですが、1ページ目で、確認項目は危険源からの防護、安全装置、安全標識等の9項目とあるのですけれども、今回、農業機械の安全対策に対する検討会ということで、例えば構造については前照灯から始まってヘッドガード、防護柵、あと転倒時保護構造、要するにキャビンですね、あとシートベルトというものが話題として出ているのですが、基本的に今回出ているような話で、先ほどのユーザーさんの対応能力というのを含めてこれで必要十分なのかどうなのかというので何か御意見がありましたら、いただきたいなと思っていて、前回の議論を踏まえてということになると思うのですが。
○志藤委員 例えば乗用トラクターなど、公道走行可能なものについては、車両保安基準を満たすということになりますので、そちらのほうで定められているものについては私どもの検査の中では重複部分は避けてございます。そうでないものについては、作業に必要な部分についての項目はおおむね網羅しているものと考えてございます。
○梅崎座長 あるいは、例えばさっきPTOの話などもちょっとございましたけれども、やはりPTOの中では、ここの御提案ですと、今、農研機構さんのほうではPTOインターロック装置という形で、しかも離席から7秒以内にインターロックが作動すると。7秒というのはかなりいろいろな議論の中で決まった数字かなと思うのですけれども、どうなのでしょうか。ユーザーさんの視点から見てこれはどうしても必要だとは思うのですけれども、何かこの辺りでユーザーさんのほうからこれは結構効果があるよねとか、あるいはちょっとこの辺は改善が必要だとか、そういう御意見が出ているようなものはあるのでしょうか。
○志藤委員 今、検討しているのは、むしろ機械を作る側での検討段階で、この基準をユーザーさんに提示して意見を伺うという段階まで来ていないのですね。ですので、今の御質問には今の段階ではちょっとお答えできません。
○梅崎座長 分かりました。
 2ページ目に安全標識というのがあったのですけれども、これは具体的にはどういう標識ですか。
○志藤委員 これは産業機械などでも共通で使われているISO、あるいは日本ではJIS規格になっている、危険度に合わせて3段階で色が赤や黄色に定められている注意喚起のためのシールです。
○梅崎座長 ここでいう安全装置というのは防護柵のことでしょうか。あるいはそれ以外のものも。
○志藤委員 安全装置は、先ほど説明させていただいたように例えばこの写真に示すようなものですね。機種によってそれぞれ変わっておりますけれども、ちなみに安全フレームというのは安全装置というよりも危険源からの防護の中で据えられているものではあるのですけれども。
○梅崎座長 そうすると、防護柵は危険源からの防護の中に含まれているという感じなのですね。分かりました。
○志藤委員 あと、ちょっと補足なのですけれども、先ほどのスピードスプレーヤーの話ですけれども、これも農林水産省と防除機メーカーさんと私どもでこの安全性の向上についての議論を進められてございまして、我々サイドとしてもスピードスプレーヤー用の安全フレームの装着に向けてメーカーさんといろいろやり取りをさせていただいており、あと、枝との挟まれの対策なども、関係者の間で今、検討を進めている段階でございます。
○梅崎座長 スピードスプレーヤーはさっき川口様からのお話を聞いて非常によく分かりました。逆にパワポのトラクターの代表例として乗用トラクターの転倒事故の対策強化や乗用トラクターの作業機の巻き込まれ事故の対策強化というところが農業機械としては一番ポイントになるところと考えていいですかね。
○志藤委員 やはり乗用トラクターは死亡事故で最も数が多いので、しかも原因としては転倒・転落ということですので、そこへの対策を強化するというのが順当な対策の考え方かなと思います。
○梅崎座長 さっきキャビンと安全フレームというお話があったのですけれども、もちろん本当はキャビンがあれば、転倒時保護構造の関係から一番いいものだなと思っているのですが、逆に安全フレームでないとできないものというのは何かあるのでしょうか。
○志藤委員 安全フレームではないとできない作業ということですか。
○梅崎座長 そのような質問です。あるいはちょっと使えない機械とか、というのは、私はやはり転倒時保護構造が非常に必要だと思っていて、そのためにはやはりキャビンなのかなと思ったのですけれども、単純にコストだけの話として安全フレームというお話になっているのか、それとも何か作業的にそれが困難なので安全フレームという形になっているのか、両方あると思うのですけれども、ちょっとそれが分からなかったものですから、素人的な質問で申し訳ございません。
○志藤委員 トラクターといいましても大きいものから小さいものまでございまして、特に小さいもので、今、もう25馬力ぐらいからキャビン仕様が出ているかと思うのですが、そうするとどうしても小さいトラクターにとっては頭でっかちになってしまうのですね。かえって転倒に弱いということになって、乗っている人は大丈夫だけれども機械は壊れてしまう。
 あとは、小型トラクターを使っていらっしゃる方というのはやはり規模の小さいところ、圃場が狭いところ、あるいは保管場所が古い納屋で、軒が低いというところは、やはり使い回しが悪くなるので安全フレーム仕様が使われることがもっぱらになります。
 ですので、ユーザーさんの使われる条件や経営規模、あとは作業の種類などで小型トラクターの安全フレームというニーズは非常に高いものだと理解してございます。
○梅崎座長 そうすると、作業の視点というよりはむしろそこは小型を使うかどうかというところが一つキャビンなのか安全フレームなのかという仕分けになるのですね。
○志藤委員 そうですね。80馬力以上、100馬力越えみたいなものは、ほとんどというかもう今は全部キャビン付ですね。でないと、そういう方というのは大面積で、作業時間も長いということで、なるべく疲れないように作業したい。疲れるとまた事故の元になりますので、そういう面でもキャビンという作業の快適性の確保を安全性も含めてという形で、ユーザー層のニーズによって使い分けられていると理解しています。
○梅崎座長 すみません、基本的な質問だったのですけれども、皆さんの共通認識にするためでした。
 どうぞ。
○氣多委員 今の御説明で十分なのですけれども、特に小型のものですけれども、實川さんもそうだと思うのですけれども、果樹園などですと、安全フレームでも高過ぎて通れない。その場合、後ろが倒せるようになっています。
○梅崎座長 つまり、そういう作業面で何かあるかなと思ったものですから。
○氣多委員 それからハウスの中などでも使いますので、そういう倒さないと入れないようなところもございます。
○梅崎座長 分かりました。ありがとうございます。
 それともう一点は、乗用トラクターの作業機の巻き込まれ事故のところなのですけれども、ここも基本は防護柵ということで、ガードということでいかざるを得ないと思うのですけれども、やはりガードも実際使うときに外してしまってそのまま放置してしまうだとか、あるいはガードもいろいろ形状を工夫していかないと、ガードの端から手が入ってしまうとか、そういうものもある。最近、何かそういうところでの技術的な検討というものは、昔のガードとはちょっと変わっているところとか、進んだりしたところがあるのでしょうか。基本的な質問で申し訳ないです。
○志藤委員 危険源からの隔離ということでしょうかね、要するにガードの仕方で、構造によっては完全に覆うことができないとなると、作業者と危険源の距離で稼ぐのですね。例えば隙間の寸法と危険源までの距離が指先が入るのか、手首まで行くのか、上まで行ってしまうのかということで距離が変わってくる。そこら辺に関する基準が2019年からちょっと強化されまして、ただ、全ての農業機械でそれをクリアできるレベルにない、要するに構造的にそれに準拠してしまうと本来の機能が発揮できないとか、あるいはオーバースペックになってしまうということがあって、以前の基準と両方合わせで検査が現在行われてはいるのですけれども、基本的な防護、ガードの考え方というのは特に技術的に革新があったというところはございません。古典的な方法ですね。
○梅崎座長 多分あれかなと分かってはいるのですが、2019年の何の規格ということですか。
○志藤委員 ISOのほうがどんどん改定されていますので、そちらのほうに横並びにしたということになります。
○梅崎座長 結構古い旧式の機械というのもかなり農業機械の場合は多いと思うので、まだガードが不十分なものとか、簡単に外してそのままというものもあると思うのですが、それはもちろん新しい機械を買えばいいと思うのですけれども、そういうものに対してそれができないというときにどういう対策があり得るかなと思ったのですが。
○志藤委員 これは機械側の対策だけではちょっと難しいかなと。先ほど髙橋委員もおっしゃったように、そういう安全装置をつけると幾ら値段が上がってしまうのですかというのが、ユーザー側からすれば切実な問題かなと思うのですね。
 もう一つには、安全というのは我々農業関係者は今までただで手に入るものという認識でいたような気がするのです。他産業では全く違いますね、お金を払って手に入れるものという形になります。そこら辺の意識の改革も併せて考えないと、農業機械メーカーはこういうふうに今まで薄い鉄板一枚でガードを済ませていたというものをもう少しきっちり覆うようにしました、でも僅かながら値段が上がってしまいますというところを、多少値段が上がってもより安全に作業できる機械を売ってくれよとユーザーさんが言ってくれるようになると、メーカーさんももう少し安心してもうちょっと安全なものをとなる。
 ただ、残念ながら、農業の分野ではいわゆるリスクコミュニケーションが不全な状態になっています。事故に遭われた方は、月井さんは極めて特異な例だと思うのですけれども、自分が悪かったと言って黙り込んでしまうのですね。私などが調査に行くと、機械にも危険源がいっぱいあった、機械的要因はあると言っても、「そういうものは承知の上で使っていたのだから、それでミスったのは俺が悪い」とメーカーさんには何も言わないので、メーカーさんに安全上の改善要望がなかなか伝わりづらいのですね。なので、メーカーさんの方もそういうユーザーさんの声が届きませんので、具体的な対策を許されるコストの中でどう実現していくかという検討がなかなか進めにくいという状況にあるかと思うのです。
 ですので、これは機械側だけがどうこうではなくて、関係者を含めて全体の認識を向上させていかないといけないのではないかなと私は考えております。
○梅崎座長 川口様、お願いします。
○川口委員 さらにちょっと付け加えますと、今、古い機械が結構まだ使われているというお話だったのですけれども、例えばトラクターの場合、大分古い機械で安全フレームをつけていないものもまだまだたくさん使われております。何年か前に農林水産省の農作業安全の施策を強力に推し進める中に、メーカーとしての対応として、例えば古いトラクターで安全フレームがついていないものに後づけで、これも相当出血覚悟でメーカーが安価なコストでもって安全フレームをつけましょうと。
 あるいは、通常、新しいトラクターを買っていただいたときには下取りで取ったものがまた中古の市場に出てくるのですけれども、メーカーのほうで下取りで買い取ったものをもう自分のところで処分して、中古に出回らないようにして、安全なものがどんどん出ていくようにということはメーカーとしても取り組んできたところでございます。
○梅崎座長 ありがとうございます。
 最後に1点だけなのですけれども、PTOのインターロック装置の話もあったのですけれども、例えばトラクターなどを見たときに、ほかの機種でもいいのですけれども、古い機械も多いものですから、ざくっとなのですけれども、実際どれぐらいの機械でPTOが適用されているという認識で私どもは考えておけばよろしいのでしょうか。
○志藤委員 PTOインターロック装置が適用されている機械ですか。まだ令和7年度から基準化されるものなので、現状は一部の輸入機に限られます。
○梅崎座長 私も正直本当に見たことがなかったので、分かりました。これからの課題ということですね。ありがとうございます。私ばかり聞いてしまって申し訳ございません。
 そうしたら、以上でヒアリングを終わりたいと思います。若干過ぎてしまって申し訳ございませんでした。
 それでは、志藤様、ありがとうございました。
 それでは、本日の議題はこれで以上でございますが、事務局から何かございましたら、お願いいたします。
○土井室長 次回につきましては、農業機械メーカーからのヒアリングを中心に行いまして、併せて一部農業従事者からのヒアリングも行う予定にしております。ヒアリングの方法につきましては座長と相談させていただきますので、御了承いただければと思います。
 以上でございます。
○梅崎座長 それでは、本日の議事はこれで全て終了いたしましたので、進行を事務局にお返しいたします。
○土井室長 
 本日の議事録でございますけれども、後日、皆様にお諮りしますので、御確認をお願い申し上げます。
 次回の検討会の予定につきましては、皆様に追ってメールにて御連絡いたしますので、よろしくお願いします。
 本日はありがとうございました。