第49回 厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(議事録)

日時

令和5年1月19日(木)10:00~
 

場所

AP虎ノ門 11階Aルーム

議題

感染症法等の改正を踏まえた保健所、地方衛生研究所等の強化について

議事

高橋健康課長補佐
定刻になりましたので、ただいまから第49回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会を開催いたします。本日、議事に入るまでの間、議事進行役を務めさせていただきます健康局健康課の高橋と申します。どうぞよろしくお願いいたします。委員の皆様には御多忙の折、御参加いただき御礼申し上げます。本日は皆様にはオンラインにて御参加いただいております。なお、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様をYouTubeによるライブ配信にて公開しておりますので、御承知おきください。開会に当たり健康局長の佐原より御挨拶を申し上げます。
佐原健康局長
 健康局長の佐原です。皆さんどうもおはようございます。第49回の地域保健健康増進栄養部会の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。まず、委員の先生方におかれましては、御多忙のところ本部会に御参集いただきまして誠にありがとうございます。まずもって御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。さて、本部会におきましては、昨年12月に成立しました改正地域保健法に基づき、基本指針の改正について御議論いただいているところであります。今般、自治体の危機管理体制の強化に向けた政府の支援策がまとまりましたので、この場をお借りして御報告したいと思います。
 まず1点目は、保健所それから地衛研の人員体制評価への支援につきまして、令和5年度に、保健所の感染症対応業務に従事する保健師を約450名増員するとともに、保健所及び地衛研の事務職等の職員を、それぞれ約150名増員するための措置が地方財政対策に盛り込まれる予定です。また、保健所設置自治体等が実施する研修や訓練等への財政支援については、IHEAT要員に対する研修や地衛研における訓練等への補助費用が、令和5年度予算案に盛り込まれました。これらの支援策につきましては、今後、国会での審議を経ることとなりますが、これらによりまして予防計画や健康危機対処計画(仮称)の策定。それから人材育成等、保健所設置自治体等が行う取組を、国としてもしっかりと支援してまいりたいと考えます。
 本日の議題であります地域保健法に基づく基本指針の改正につきましては、前回、委員の先生方から頂きました御意見等を踏まえまして、基本指針に盛り込む具体的な案として整理をさせていただきました。後ほど、事務局より資料で御報告させていただきますので、委員の皆様にはそれぞれのお立場から、何とぞ忌たんのない御意見を賜わりますようお願いいたします。甚だ簡単ではございますが、私の挨拶とさせていただきます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
 
高橋健康課長補佐
 ありがとうございました。なお、佐原はほかの業務のためここで退席させていただきます。議事に入る前にWeb参加者への留意点、本日の出欠席状況について御説明いたします。まずオンラインで参加の委員の皆様に向けてお願いです。ビデオカメラはオンにしていただくこと。発言時以外はマイクをミュートにしていただくこと。発言される場合には挙手をしていただき、部会長からの指名後に発言していただくこと。発言時にマイクをオンにしていただくこと。発言時に名前をおっしゃった上で発言をしてもらうこと。発言が終わったらマイクをミュートにしてもらうこと。どうぞよろしくお願いいたします。
 次に資料の確認をいたします。座席表、委員名簿、議事次第があります。資料として感染症法等の改正を踏まえた保健所、地方衛生研究所等の強化について。参考資料として、前回第48回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会資料「感染症法等の改正を踏まえた保健所、地方衛生研究所等の強化に向けた考え方(案)」。感染症法等の改正を踏まえた保健所、地方衛生研究所等の強化に関するポンチ絵。令和4年2月改正の地域保健対策の推進に関する基本的な指針の改正内容を配布させていただいております。
 次に出席及び欠席状況ですが、全委員28名中19名が出席されており、過半数を越えていることから会が成立することを御報告いたします。本日は委員の方はWebでの御参加になり、座席表上で御出席委員を記載しております。御欠席委員につきましては、武見ゆかり委員、植木浩二郎委員、達増拓也委員、藤井律子委員、友岡史仁委員、萩裕美子委員、田代堯委員、松下幸生委員、水澤英洋委員から御欠席の連絡を受けており、達増委員の代理として野原岩手県保健福祉部長に御参加いただいております。それでは以後の進行は辻部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
辻部会長
 委員の皆様、今日もどうぞよろしくお願いいたします。それでは審議事項について、事務局から御説明をお願いいたします。
綾企画官
 皆様お忙しいところ、ありがとうございます。資料の説明をいたします。2ページをお開きください。前回も、これまでの議論のまとめということで、委員の先生方から頂いた御意見をまとめたものを説明させていただきました。その後、幾つか御意見を頂きましたので、その部分についてアンダーラインを引いて追記をしております。簡単ですが説明をいたします。
 1、保健所関係です。(1)保健所の役割と確保すべき体制として、上から3つ目の○の所、人口あたりの保健所数や、保健所医師及び保健師の配置基準の設定等、有事を含めた保健所の体制を確保するために、国がどのような体制を備えるべきか、しっかりと示すべきではないかという御意見を頂きました。その下は、地財措置により増員された職員について、国として役割を示しつつ、継続的に人員が配置されるように、自治体に働きかけるべきではないかという御意見を頂きました。
 (2)健康危機管理体制の構築として、計画的な整備についてです。医薬品を含めた備蓄や流通についても検討すべき。その下は、情報システムの整備を平時から実施していくことが重要である。システム構築の際には、システム間の連携を図ること等によって、医療現場などの現場の負担がかからないように構築、整備していくべきだという御意見を頂きました。その下は、リスクコミュニケーションについて、市町村を含め平時のうちから議論等を行うことが重要ではないかという御意見を頂きました。
 3ページの(4)人材の確保・育成です。人材確保については、ところどころアンダーラインを付しております。各保健所に総合的なマネジメント機能を担う保健師の配置が必要であり、また、地財措置により増員された感染症対応業務に従事する保健師が平時から適切に配置されるよう、国としても役割をしっかりと示しつつ、自治体に働きかけてほしいという御意見を頂きました。
 4ページはIHEATです。上から2つ目、保健所がIHEATを円滑に受け入れるための受援体制を構築するとともに、あらかじめ応援の心構えを含めた応援する側に対する研修も必要なのではないかという御意見を頂きました。2つ下は、IHEAT要員の雇用主に対して要請に関する文書依頼を行う等、円滑にIHEATが運用されるように自治体に対してしっかりと示すべきである。その下は、IHEAT要員の研修についても、自治体に対してしっかり実施されるように働きかけるべきだという御意見を頂きました。その下は、IHEATの運用に当たっては、医療人材の広域派遣制度など、他の人材派遣の事業との調整をしっかりやってほしいという御意見を頂きました。
 5ページは地方衛生研究所についてです。(1)求められる役割・能力です。リスクコミュニケーションについて、市町村を含め平時のうちから議論等をしっかりと行うことが重要なのではないか。その下は、体制整備です。医薬品を含めた備蓄や流通についても検討すべきであると。これは、先ほどの保健所の所と共通するので、両方に同じように入れております。甚だ簡単ですが、御意見については前回の部会の中で頂いた御意見を、このように盛り込んだという報告です。
 8ページを御覧ください。正にこの部会の中で御議論いただいている「地域保健法の推進に関する基本的な指針」の改正について、概略を示しております。改正の経緯・趣旨です。これまでもずっと申し上げているように、先の臨時国会で成立をした感染症法等の一部を改正する法律に基づき、そちらに書いている予防計画の記載や都道府県連携協議会の創設。それから地域保健法においては、IHEATや地衛研に係る保健所設置自治体に対する責務が法定化されたことを踏まえて、基本指針を策定するという概略について書いております。改正のポイントですが、1つ目は総論としての基本的な考え方、方向性。2つ目は、保健所の健康危機管理体制。3つ目は、地衛研の健康危機管理体制の3つに分けて、後ほど詳細を報告いたします。
 これは、法律自体が令和5年4月1日から施行されますので、同日に適応、告示で言うところの施行と同じ意味で、適応したいと。そのためには、3月中に告示をしたいと、これは公布と同じような意味合いです。
 中身に入ります。9ページに記載しているのは、基本指針の中に反映していく事項について、前回御議論いただいたペーパーから更に肉付け、加除修正をして、具体的に基本指針の中に反映させていくような記載ぶりとして提示しております。この見方ですが、前回までの議論とどのように対応しているかについては、参考資料1に前回示した基本的な考え方を付けております。例えば(参考1:1ー①)と書いてあるのは、前回の議論のどこに該当するのかを参考までに示しております。それから参考資料2を付けておりますが、こちらは基本指針の記載ぶりを詳細に説明する際にポンチ絵として使おうと思いますので、後ほどその部分がきましたら開いていただきたいと考えております。
 基本的な考え方、方向性の1つ目の○ですが、総論としてこれまでのコロナウイルスに対する課題を踏まえた上で、次の新興・再興感染症の感染拡大やそれ以外の健康危機に対しても、また複合的に発生した場合においても、しっかり対応するために必要な体制強化に向けた取組を進めていくのだという決意表明をしているものです。2つ目の○は、今回のコロナを含めた広域的な感染症まん延の備えとして、感染症の感染拡大時においても、地域における健康づくりなどの地域住民に必要な地域保健対策が継続して実施できるよう、ここは単に感染症に対応するだけではなく、感染症以外の保健所や地衛研が有する重要な機能についても、しっかりと維持ができるようにということを書いております。このために必要な体制整備をするとともに、役割分担を明確化しながら密接に連携して対応するということです。
 国における取組です。国については、都道府県の区域を越えた極めて広域のナショナルレベルでの仕組みとして、応援職員の派遣の仕組みを整備したり、人材育成を通じて、広域自治体としての都道府県や保健所設置自治体の取組を、しっかり支援していく役割があると認識しております。感染症発生時においては、全国の人員体制の状況を迅速に把握しながら、自治体間の応援職員派遣の調整等の支援を行うことについて書いております。続いて、広域自治体としての都道府県として、どのようなことに取り組んでいくべきかを書いております。前段の部分については、感染症法に規定する都道府県連携協議会等を活用しながら、自治体間の役割や連携内容を管内の市町村等としっかり連携を図りながら、議論をしながら平時から調整をする必要があると。「また」以下ですが、1つは感染症対応が可能な専門職を含む人材の確保、国や地方公共団体等からの人材の送り出し及び受け入れ等に関する体制を構築する。それから、都道府県内の保健所、地衛研等の人材育成を支援する。感染症拡大の際には、情報集約や自治体間調整や業務の一元化等の対応によって、保健所設置自治体を支援する。感染拡大の際においては、国や他の都道府県、それから管内の保健所設置自治体としっかり連携をして、調整機能や支援を行う必要があると書いております。
 10ページ、保健所設置自治体における取組です。保健所設置自治体においては、感染経路の特定や濃厚接触者の把握による疫学調査など、その他保健所が実施すべき業務、地衛研が実施すべき業務をしっかり実施するために、人員体制や設備等の整備に心を砕かないといけないということ。「また」以下ですが、これは感染症法に基づく予防計画を策定する際には、保健所の体制や検査体制など、現場の状況をしっかり踏まえた上で策定しないといけない。さらに、単独の自治体だけということではなく、国や都道府県の研修等を積極的に活用しながら、保健所や地衛研等の人材育成に努める。また、さらに実践型の訓練をしっかり実施していただくことが必要だと書いております。
 下の○は、都道府県や保健所設置自治体においては、職能団体や関係機関を含め、しっかりと連携を強化していくことが重要だと書いております。
 説明を省略いたしますが、参考資料では保健所は1ページ目、地衛研については5ページ目、それぞれ国の役割を紙面上省いておりますが、各広域自治体としての都道府県が何をするのか、それから保健所設置自治体として何をやるのか。また現場である保健所、地衛研で何をやるのかということについてまとめております。
 続いて10ページ目の上から2つ目の○です。保健所や地衛研においては、健康危機発生時に健康危機だけではなくて、健康づくりやそういった地域住民に必要不可欠な地域保健対策業務全般をしっかり実施できるように、これは常日頃から外部委託や一元化など、ICTの導入といったコロナ禍で進めてきたような、業務の効率化に資するような取組をしっかり進めていく必要があると書いております。
 その下です。災害についても健康危機管理体制のひとつですし、災害については各自治体で感染症よりも先に取組を始めている部分があると思うのです。特にDHEATの部分について記載をしたいと考えております。一番下の○は、保健所設置自治体は健康危機の発生時に備えた研修や訓練の実施、それから健康危機に対する迅速かつ適切な危機管理を行うことができる人材の育成や、外部人材の活用も含めた必要な人材の確保、機材の整備、物品の備蓄等を通じて、しっかり平時のうちから計画的な体制整備を行う必要があると書いております。
 11ページ目以降が各論です。保健所の健康危機管理体制です。1つ目の○は、保健所の健康危機管理における機能です。保健所は、地域における健康危機管理の拠点として必要な情報の収集、分析、対応策の企画立案・実施、リスクコミュニケーションを行う機関であるということを、しっかり書き込みたいと考えております。このような機能を、健康危機発生時にもしっかり維持していくためには、平時のうちから健康危機に備えた準備を計画的に推進することが必要である。それから、体制強化に向けた取組を着実に推進することについて書いております。その下は、前回も話にありました健康危機対処計画(仮称)を保健所ごとに作っていただくこと。今は手引書や、ここにも書いてある様々な計画、マニュアルを保健所で作っていただいていると認識しております。それを、今回のコロナの反省も踏まえながら、健康危機対処計画(仮称)という形で、名称は様々あると思うのですが作っていただいて、予防計画や保健所設置自治体の取組に反映させていくことが重要なのではないかと考えております。
 参考資料2の8ページ目、一番最後をお開きください。健康危機対処計画(仮称)の概要です。各保健所、それから後ほど地衛研についても出てきますが、地方衛生研究所においても、現場の中で準備を平時のうちから計画的に進めること。それから、保健所設置自治体の中で策定をする予防計画の実行性を、しっかり現場の状況や計画を反映させたものにするために、各現場において健康危機対処計画(仮称)を策定していただくことを考えております。この記載事項のイメージについては、その下に一例を書いております。業務の内容と量の見積もりといった、いざ起きたときにどのように動くのかを、具体的に考えていただくこと。それから、人員体制です。起こったときに後から後から追加するのではなくて、あらかじめどういった人がどのように動くのかを、自治体内外からの応援も含めた形で考えていただくこと。それから、応援職員を受けることを前提にして、受入体制、受援計画についてもしっかり考えていただくこと。それから人材育成は本当に必要になってきますので、研修や実践型訓練の実施についても盛り込んでいただくことを想定しております。
 本文に戻って、11ページ目です。上から3つ目の○ですが、保健所設置自治体は、健康危機管理を含めた地域保健施策の推進のために、本庁に統括保健師を配置する。地域の健康危機管理体制を確保するために、保健所に統括保健師等総合的なマネジメントを行う保健師を配置することを、新たに追加したいと考えております。かつ市町村においても、健康危機管理を含めた地域保健施策の推進のために、統括保健師を配置することを考えております。
 行ったり来たりで恐縮ですが、参考資料2の3ページ目を御覧ください。総合的なマネジメントを担う保健師の配置について説明しております。ポイントだけ申し上げますと、現在、1つ目の○の下の※の所ですが、「都道府県及び市町村に保健活動の横断的な総合調整及び推進等の役割を担う部署を明確に位置付け、保健師(統括保健師)を配置するよう努めることとしている。」と記載しています。これは、現在既に、保健師の保健活動指針の中で定めてお願いしております。今回、新たに保健所レベルでも統括保健師などの総合的なマネジメントを担ったり、保健所長をしっかり補佐できる健康危機管理に強い保健師を育成して配置をすることをお願いしていきたいと考えております。上から4つ目の○ですが、こうすることで都道府県、保健所設置市・特別区、保健所、市町村といった関係自治体の保健師が、横の組織横断的なネットワークを構築することができるということで、保健所長のつながりがあり、本庁のつながりがあり、保健所同士のつながりがあり、更に保健師同士のつながりがあるという、重層的なネットワークづくりに資するのではないかと考えております。そうしたことを踏まえた上で、一番右の青い囲みの中に4つ、総合的なマネジメントを担う保健師に求められる業務として、このようなことをやると書いております。説明は割愛いたします。
 11ページ目に戻ります。一番下の○については、応援職員を含めた外部人材をどのようにしっかり活用していくのかということについて書いております。1つ目の○は、保健所設置自治体は、やはり応援職員としては保健所等への派遣の協力を求めるということです。このために、職能団体としっかり連携強化をする必要があると書いております。「また」以下ですが、応援職員としての派遣協力を求める人材・要員に対して、実践的な訓練を含む研修を定期的に実施することで、日頃からの関係づくりや資質向上に向けた取組をしっかりやっていただく必要があります。そういった中で、どのような外部からの応援があるのかを、イでIHEATについて書いております。
 12ページ目は、市町村からの保健師等の応援派遣についても書いております。ハは、自治体間の応援職員派遣制度、これは広域で国が調整して行っているものですが、これについても基本指針の中に明記することを考えております。
 3番目は地衛研です。地方衛生研究所の健康危機管理体制として、最初に保健所設置自治体が改正地域保健法第26条に基づく責務について書いております。続いて体制整備の在り方について書いております。試験及び検査については、健康危機が発生した際に極めて不可欠な機能ですので、やはりこれは人口規模や財政規模などを勘案すると、都道府県や政令指定都市においては、自らこの体制を地衛研の設置等によってしっかり整備をしないといけない。一方、それを支える調査研究や研修指導、それから情報収集・解析・提供などは、極めて専門的な人材が必要であったりするので、このようなものについては都道府県単位でしっかり整備をしていくことについて書いております。これは前回ポンチ絵で説明しましたので、説明は省略いたします。
 13ページ目です。1つ目の○は、保健所にも出てきましたが、しっかり職能団体をはじめとした関係部局や保健所、地衛研の連携強化はもちろんのこと、管内の市町村、職能団体との連携強化をしっかり図っていかないといけないと書いております。2つ目の○は、地方衛整研究所について、健康危機管理における科学的かつ技術的な中核機関としてということをしっかり書いた上で、その機能について保健所設置自治体の本庁や保健所といった所に対してしっかり情報提供をしたり、分析結果を提供したり、提言をしたりという機能があります。さらに、地域住民に対するリスクコミュニケーションをしっかり図っていくことについて書いております。その下は、地衛研を有する保健所設置自治体に対しては、やはり地衛研の計画的な人員確保や配置、人材育成は極めて重要であると。この継続的な人材育成に当たっては、感染研が行っている研修を活用したり、他の地衛研とのネットワークによって共同研究や研修をやったりしているわけですが、自治体においてもそういうものをしっかり公務に位置付けていただいて、積極的にこういうものを地衛研の職員に活用させることが大事だと書いております。その下は、地衛研は民間検査機関が十分に整うまでの間の検査が重要であるということ。それから、感染研や地衛研のネットワークを活用したサーベイランス機能が非常に重要であるというような、広域的な感染症のまん延における地衛研の役割について、改めてきちんと書くことを考えております。最後に、健康危機対処計画(仮称)について書いております。
 参考資料で説明できなかった部分について、簡単に説明いたします。参考資料2の2ページ目をお開きください。先ほど局長から簡単に報告いたしましたが、具体的な内容が2ページ目に書かれております。年末に総務省から、令和5年度の地域保健対策の概要が出ております。令和5年度の地方財政措置として、どういうものをやるのかということで、これは、もちろん国会での議論が固まった上で、令和5年度から発動するものです。その中に、幾つか人員体制強化に対する具体的な国の支援策が盛り込まれたところです。まず保健所については、感染症対応業務に従事する保健師を、令和5年度は更に450名増員することが盛り込まれました。御存じのとおり、令和3年度から2年間掛けて、既に900名増やしているのですが、更に450名増ということです。これらの保健師においては、2ページ目の一番下の※の参考に書いておりますが、どのようなことをやるのかを4つほど書いております。正に健康危機対処計画(仮称)を作ったり、予防計画の議論に参画をしたり、実践型訓練をしっかり実施したりということによって、保健所における感染症対応をしっかり支えていくことが1つです。
 1つ上の黄色で囲んでいる部分ですが、保健所における保健師以外の職員、事務職員等についても、令和5年度に150名増員することについても盛り込まれております。地衛研については、7ページ目です。地衛研の職員については、150名増員するということです。同様に、地衛研において実施が必要な業務として、参考の※の部分ですが、予防計画への参画、連携協議会、健康危機対処計画(仮称)(仮称)、団体との連携強化、実践型訓練の実施などについて行うと書いております。その下は予算で、地衛研の検査能力の向上や情報収集等の機能の強化のための訓練に対して、国としての2分の1補助をするという予算案を盛り込んでおります。長くなりましたが私からの説明は以上です。
辻部会長
 ありがとうございました。それでは、審議事項について委員の皆様から御質問、御意見を頂きたいと思います。どうぞよろしくお願いします。長津委員からお願いいたします。
長津委員
 皆様、おはようございます。今、御説明いただいた中で薬剤師会を含め、様々なところで職能団体と連携の強化を図るということを、全面に押し出していただいたところは非常に歓迎するところです。
 あと、前段の所で、2、5ページ目にあったと思うのですが、保健所や地衛研の所で、「医薬品を含めた備蓄や流通についても検討すべき」という一文が複数書かれていて、この医薬品の流通を検討すべきという所を説明すると、一文はこれでいいと思うのですが、このことを理解していただくために、現在の日本の医薬品流通というのは壊滅的な状況になってきていて、これは何もコロナだけが原因ではなくて、今、複数の原因が同時に起こっていて、そのコロナの症状を治める、普通で言えば風邪薬とくくられるような薬が手に入らないような状況で、この原因についてもしっかり御理解いただいた上で、保健所や地衛研なりには、その備蓄や流通についての検討に入っていただくということを御説明して、現場に理解していただくというところが重要だと思います。そうでないと、この一文だけを見ると、平時においての流通で物事を図るということは、危機的な状況では全く機能しなくなってしまうので、説明する段にあっては、そこをしっかり現場に理解していただくような努力が必要かなと思っております。以上です。
辻部会長
 ありがとうございます。事務局、いかがでしょうか。
綾企画官
 我々としては医薬品の流通について直接所管しているわけではないので、我々のほうでどうこうするということではないのですが、医政局や関係部局のほうに、こういうような御意見があったというようなことをお伝えした上で、それを踏まえた対応を取るようにしっかり進めてまいりたいと考えております。
長津委員
 ありがとうございます。
辻部会長
 よろしいでしょうか。白井委員、お願いします。
白井委員
 白井です。よろしくお願いいたします。保健所の機能強化又は人材の体制強化ということについて明記していただいて、本当にありがとうございます。その中で、今年度から地財措置もしていただいている保健師の増員ですが、さらに実行性を高めるということについては、やはり設置自治体には条件を強くしていただきたいなというように思います。その実行性の確認というか、実際、その財政措置が人員確保のために使われているのかということを、是非確認していただきたいというように思っています。今も来年度の人員要請など、いろいろと異動の検討をする時期なのですが、人事と話をしている中で、定員よりも採っているのだからいいとか、これ以上はみたいな話も、現場のほうではありますので、そういったところでの御配慮も頂きたいなと思います。
 また、訓練については、今はIHEATと地衛研ということをお示ししていただきましたが、先行してDHEATであるとか、もちろん連携してのDMATの訓練などにも、自治体によっては対応しているところなのですが、特に、その応援側の研修ということをお示ししていただいた中で、やはりソフト面で受援側の立場を考えるというか、自治体によって、本当に対応が違うということがありますので、今回についても、県型保健所や市型保健所、都市部や地方であったりといったところの対応にかなり違いがありましたので、応援する際の心構えということも非常に重要かなというように思います。
 また、今後の感染症に対しての訓練ということになりますけれども、今は本当にまだコロナ3年という形で、新人の職員についてはOJTでやっていっているというような状況がありますので、訓練なのか実際なのかということを考えながら……を見据えて仕事をしていかないといけないのだというように思っています。
 また、市町村との連携の中で重要だなと思ったのは、今回のコロナ問題も含めて、今の高齢者の問題もありますが、やはり福祉部との連携ということが、かなり重要になっているので、市型保健所でしたら、同じ自治体の中でそのような連携ができるところもありますが、県型保健所と管内の市町村ということについては、より福祉的な連携というか、そのマネジメントも重要になってくるので、感染症だけではなく、危機管理といった災害時もそうですが、要援護者という医療配慮者についての対応も、市町村と一緒になってやっていかなければいけないなというように思いました。以上です。ありがとうございます。
辻部会長
 どうもありがとうございました。事務局、お願いいたします。
五十嵐保健指導室長
 事務局です。まず、始めに、統括保健師の関係で御指摘と御意見を頂きました。正に、単に数を増やすということをお示しし、配置を示すということだけではなくて、しっかりと配置がされているかということを引き続き確認していくということは、我々のほうでも重要だというように思っておりますので、続けていきたいというように思っております。
 訓練に関しては、先生が御指摘のとおり、現在でも、様々な訓練が国も含めてですが自治体のほうでも行われておりますので、既存の訓練も含めて、今後しっかりと人材育成ができるような体制を整備してまいりたいというように考えております。
 市町村に関しても、御指摘いただいた福祉部との連携は非常に重要になってきます。その辺りについてもしっかりと、恐らく都道府県レベルでも市町村との連携というのを、今回しっかりと押し出しているところがありますので、予防計画等々に、しっかりとこの連携ということが書かれ、その保健所レベルでも、対処計画の中でそのような連携を平時からしっかりと順備して実行性のあるものにしていくということが、非常に重要だというように考えております。ありがとうございます。
辻部会長
 白井委員、よろしいでしょうか。
白井委員
 はい、ありがとうございます。
辻部会長
 続いて、清田委員、お願いいたします。
清田委員
 資料10、11ページに関して4点、意見を申し上げさせていただきたいと思っております。まず、10ページ目ですが、1つ目の点の4行目に「感染症の拡大を想定し」ということで、保健所設置自治体における取組について記載いただいておりますが、これに関連して、国における取組として、科学的知見の収集や情報配信についても、明記していただきたいと考えております。その理由としては、令和4年9月2日に本部決定された、新型コロナウイルス感染症対策に関する、これまでの取組を踏まえた次の感染症危機に備えるための対応の具体策において、厚生労働省の感染症対策部及び感染症などに関する新たな専門家組織において、感染症に対する質の高い科学的知見の情報提供がなされることとなっております。国における取組として、科学的知見の収集や情報発信について明記いただけると、これらの業務を行う保健所設置自治体の役割発揮が担保されると考えておりますので、国における取組への明記もよろしくお願いいたします。
 2点目です。同じく10ページの1つ目の9行目にある保健所の人材育成に関してです。意見としては、保健所の人材育成について記載いただいて有り難いと考えておりますが、健康危機への対応力の強化においては、公衆衛生看護活動を担える保健師の人材育成の充実が不可決であるということに関して、その人材育成だけではなく、公衆衛生看護活動を担える保健師の人材育成として記載いただきたいと思っております。この理由としては、例えば、高齢者施設におけるクラスターの発生を予防するためには、保健所や高齢者施設の信頼関係などを築きながら、高齢者施設から迅速に情報が入る仕組みを作ったり、高齢者施設同士が意見交換をできる場を作ったり、平時から健康教育などを通じて能力を評価したりする公衆衛生看護としての活動の展開が重要だと考えております。よろしくお願いいたします。
 3つ目です。同じ10ページ目の3つ目の○、「国は、大規模災害発生時に」という文章の所なのですが、ここの3行目に、被災地市区町村の避難所等において保健活動を行う保健師等について派遣調整等を行うとありますが、「保健師等」という所を「保健師チーム」としていただくことが適当ではないかと考えています。この理由として、令和4年7月22日付けの厚労省からの通知において、大規模災害時の保健医療福祉活動に係る体制の整備についてでは、保健師チーム等と表記されております。自治体保健師はチームとしての体制で活動を行い、また、国の派遣調整もチームとして行われると認知しておりますので、よろしくお願いいたします。
 最後です。11ページの3つ目の○に関してです。今回、統括保健師について記載いただくことも非常に有り難いと考えております。ありがとうございます。ここでの意見なのですが、統括保健師の体制について、健康危機管理を含めた地域保健施策の推進のためにとしていただいておりますが、健康危機管理を含めた地域保健施策の総合的な推進のためにということで、「総合的」という文章を補足いただきたいと考えております。理由としては、この指針に記載いただけることは非常に重要で、保健師にも大きく影響を与えるところです。特に市町村に関しては、様々な業務を担っている中で、総合的な調整をするということが重要となりますので、組織横断的な統括保健師の機能の役割を十分に理解していただくためにも、この「総合的」という記載をお願いしたいと思っております。
 同じく、その統括保健師に関してなのですが、各保健所の健康危機管理を担う総合的なマネジメントを担う保健師を置くことには非常に賛成です。この文章記載の中に、3つ目の○の2行目に「地域の健康危機管理を確保するため」とありますが、ポンチ絵のほうにはあったのですが、保健所長を補佐しながら、この地域の健康危機管理を確保するためということが重要になるので、ここの文章の中にも「保健所長を補佐して」という記載を加えた上で、保健所長を補佐して地域の健康危機管理を確保するためという文章にしていただきたいと思っております。保健所長を補佐しながら、また、他の保健所職員と協議しながら健康危機管理体制対策を考えていく必要があって、保健師が孤立して実施することにならないようにという配慮を頂ければと思っております。
 この同じ統括保健師に関しての内容が参考資料2のほうにもありまして、そのポンチ絵のことで併せてお伝えしたいのですが、3ページ目にポンチ絵が示されておりますが、ここに保健所への設置だけではなく、都道府県や保健所設置市の本庁に統括保健師を置いて、マネジメント体制を充実させることについての記載の工夫もお願いしたいと思っております。また、市町村については、高齢者施設などの現状や対応状況、ワクチン接種の状況。地域住民への効果的な啓発の在り方など、組織横断的な感染症対策の状況を把握して、対策を企画・推進できるための要となる立場の保健師の配置などと踏み込んだ記載をしていただければ、より自治体や市町村において置きやすくなるのではないかと思いますので、ポンチ絵の記載の工夫をお願いしたいと思っております。すみません。以上です。
辻部会長
 ありがとうございました。これについて、事務局から御対応をお願いいたします。
五十嵐保健指導室長
 事務局です。御意見ありがとうございます。まず、1つ目の感染症の拡大を想定しという所で、国における取組として、科学的知見の収集や情報発信についても追記が必要ではないかという御意見かと思います。この点に関しては、保健所や自治体においても、このような取組をしていただいていますし、国としっかり連携しながら知見の収集や情報発信をしていくということは、非常に重要かと思っておりますので、御意見を受け止めながら、どのように記載できるかということについては、今後検討してまいりたいと思っております。
 2つ目ですが、人材育成については、今回、この資料には新たに盛り込むべき事項として記載させていただいておりますが、基本的な地域保健施策を推進していくための人材育成というところについては、現行の地域保健指針のほうにも記載をしている内容というようになっているので、そことも整合性を取りながら、最終的に整理をしたいというように思っております。
 3つ目、災害時の応援派遣について、保健師チームということの御意見を頂きました。現在、この記載ぶりは、広域派遣調整の要領に基づく記載というようになっていますが、実態として保健師チームで派遣しているということはありますので、この辺りも全体の整合性を踏まえて、どのように記載できるかということを整理したいというように思っております。
 4つ目として、総合的な推進のためにという、健康危機管理を含めた地域保健施策の総合的な推進のためにとしてはどうかという御意見を頂きました。現在の書きぶりでは、健康危機管理を含めた地域保健施策の推進のためにというように、総合的に推進するという意味合いが入っているものかというように認識しておりますが、こちらも、そのほかの御意見等を踏まえて、最終的に調整させていただきたいと思っております。
 統括保健師等の総合的なマネジメントを担う保健師というところで、各保健所に保健所長を補佐するというような書きぶりが必要ではないかという御指摘でした。ここは本当に、やはり保健所長をはじめとする所内の関係者と連携するということは前提になっています。これらのことがしっかりと反映できるように、記載については検討してまいりたいというように考えております。以上です。


辻部会長
  清田委員、いかがでしょうか。


清田委員
  了解いたしました。よろしくお願いいたします。


辻部会長
  ありがとうございます。続いて黒瀨委員、お願いいたします。


黒瀨委員
  まず、基本的な指針に今回お示していただいた改正内容に関しては、おおむね同意させていただきます。その上で、何点かお願いと確認があるのですが、まず、1点目は、2ページ目の(2)の①の3番目の○の所、2行目辺りに「システム間の連携を図る等により医療現場の負担がかからないようにすべき。」というように、これまでの議論のまとめとして記載していただいているのですが、実際に、この指針の本文のほうを拝見する限りでは、それに関して、特に明確で具体的な記載はないのかなと思って見ています。例えば、10ページ目の2番目の○の3行目に「ICTの導入などを積極的に推進する」という書きぶりがあるのですが、ICTを導入すれば効率が良くなって、医療現場の負担が掛からないということには、イコールにはならないので、むしろ、よくテレビ報道等でもありますが、ああいう極端な例ではないにしても、感染症の急激な拡大時には、特に診療所などでは、医師1人が昼間、夕方まで外来をやって、その後、夜中にHER-SYSを入力したり、あるいはワクチンを打ってV-SYSを入力したりと、いろいろなICTが入っていることも便利な面もあるのですが、それによって、ものすごく労力と負担も掛かってしまう。しかも、それらが統一的なシステムではないので、それぞれデバイスが違ってしまったり、あるいは、せっかく電子カルテに入力したものを、またいちいちV-SYSやHER-SYSに打ち直しをしなければいけないとか、そういったシステムの統一感がない、統一性がない、あるいは連携がないために、かえって現場に負担を掛けているということもありますので、ここは1つ、システムの開発に当たっても、そういった無駄を省けるようなICTの導入を目指していただきたいということが1つです。例えば、その電子カルテなどに入力したデータを送れば、そこで自動的にV-SYSやHER-SYSに入力ができるといったことも、将来的には視野に入れていただきたいというように考えています。
 2点目は、同じ10ページ目の1番目の○の所に、都道府県や保健所設置の自治体は、医師会等、職能団体との連携を強化するという、非常に有り難い点ですが、今回のコロナ禍で、特に東京都の経験から言うと、やはり東京都と保健所設置自治体である特別区と、必ずしもそれぞれで密接な連携が取れていない。あるいは、何か齟齬があった場合に、どちらがプライオリティーを持つのかというところがはっきりしていない。いわゆる役割の明確化がはっきりしていないために、現場としては、では、東京都の言うことを聞くべきなのか、その特別区の、例えば新宿の言うことを聞くべきなのかというのが、特に感染の初期の頃は非常に混乱を起こしたところでもありました。例えば、PCRの検査センターを立ち上げるにしても、私としてはいろいろな苦労があったというように感じております。そういった点で連携の強化も大切なのですが、その中で、まず、役割の明確化というものがしっかりあった上で、更に連携を強化していただきたい。特に、都道府県等、保健所設置自治体が重なるような地域で、そのような混乱が起こらないように、しっかりと明確化するということも考慮に入れていただきたいと思います。
 最後に、もう1つ。参考資料2の3ページ目ですが、保健所に、総合的なマネジメントを担う保健師の設置をしていただいて、保健師のネットワークがしっかりと構築されて、迅速な対応が可能になると非常に心強く有り難い話だと思います。ただ、1点だけ気を付けていただきたいのは、保健師さんのいろいろな経験や今までのバックグラウンドもあって、必ずしもその考え方や運営の仕方に統一感がない場合もあるので、そこら辺の保健所機能の均てん化ということも考慮に入れた上で、この保健師の方々にも検証をしていただいて、危機対応を同じ目線で行えるようにしていただければ幸いだと思います。以上です。


辻部会長
  ありがとうございます。では、事務局からお願いいたします。


綾企画官
  ありがとうございます。いずれも非常に貴重な御意見と伺っておりました。まず、ICT導入の部分について基本指針の中に書くのは、HER-SYSなど、そのようなことではなく保健所の中のシステムのことなので、この部分に先ほど御指摘を頂いた事項について盛り込むのは、なかなか難しいと思いますが、どのような形で中に盛り込めるのか検討してまいりたいと思います。
 2つ目の役割の明確化、更に連携強化というのはおっしゃるとおりだと思っております。そのような趣旨も踏まえ、役割の明確化については、基本的な考え方のところで役割をまず明確化する、都道府県がその都道府県管内の自治体を指導しながら自治体、保健所設置市や保健所を持たない市町村などとしっかり協議をしながら、役割を明確化することを盛り込んでいるつもりですが、きちんとそれが読めるかどうかというのは改めてチェックしたいと考えております。
 最後に、保健所機能の均てん化ということで御意見を頂きました。こちらについても、しっかり踏まえて進めていきたいと思っております。以上です。


黒瀨委員
  ありがとうございました。


辻部会長
  よろしいでしょうか。では、井伊委員、お願いします。


井伊委員
  日本看護協会の井伊です。私からは3点申し上げたいと思います。まず、1点目は、11ページの統括保健師に関することです。このように統括保健師を明記していただくのは大歓迎、賛成です。この統括保健師については、平成25年に発出された地域における保健師の保健活動に関する指針に関連して、健康局長通知で記の4ということで記載をされた、ここが一番の起点です。
 組織横断的に総合調整、技術的、専門的側面から指導する役割を担う部署を保健衛生部門に明確に位置付け、そこに保健師を配置することを努めるようにという通知です。これをもって私ども保健師間では、これは統括保健師ということで、それぞれの自治体でこうした立場の保健師を置くことを努力し、そして、いろいろ理解していただき、今があると思っておりますので、この統括保健師が保健師間の単なる呼称ではなく、是非、指針に明記していただきたいと思います。そして、そうするのであれば、統括保健師の育成体制が今はありませんので、それも今後しっかりと整えていただきたいと思います。保健師間のみならず、他の関係の皆様にもこういったことを理解していただける方向で進めていただきたいと思います。
 その場合、これは地域保健活動に係る基本的な指針なのですが、そもそも統括保健師に関しては、地域における保健師の保健活動に係る指針、つまり保健師の活動指針のほうで記載をされているところですので、こちらの改正も早々に着手していただきたいと思います。それから、これまでは自治体における統括保健師だったものが、この感染症法関連では保健所にということで、参考資料2の3ページに保健所における総合的なマネジメントを担う保健師の配置という資料のポンチ絵で、先ほどいろいろ御意見もあり、賛成ではありますが、この右下枠の「保健所の総合的なマネジメントを担う保健師に求められる業務」とありますが、これだと、私どもが統括保健師に期待される役割と、これまでいろいろ議論し、検討し、研鑽し、整理してきたものより狭いと思います。ですので、こういったことも含めて、保健師の活動指針の改正を早急に着手していただきたいと思います。それが1点目です。
 2点目は、今回この感染症法等の改正等を踏まえた事項は理解できますが、例えば、人材確保、計画の策定等はそれぞれがそれぞれにやるべしという方向性になっていると思います。一方、既に現行の基本的な活動指針の中には、健康危機が発生した場合の危機管理の対応についての手引書は、都道府県や市町村が作成すると定められておりますので、これを進めるときには、余り重複することなく作業が効率的といいますか、合理的にできるように、しっかりと都道府県の指導・支援が必要だと思いますので、そこをもう少し強調していただければと思います。それが2点目です。
 3点目は、これまでも何度も申し上げてまいりましたが、資料の2ページ(1)保健所の役割と確保すべき体制の3つ目の○です。人口あたりの保健所数や、保健所医師および保健師の配置基準の設定等、このような体制について改めて示していただきたいと考えているところです。少なくとも、現行の評価といいますか、モニタリングについては、このような部会において基礎的な資料として私たちは拝見できるといいなと思います。そういった基礎情報の共有なく、保健所の機能強化について議論することになっておりますので、この内容とは少し外れますが、今後、そのような方向で議論ができるようにお願いしたいと思います。以上です。


辻部会長
  ありがとうございます。では、事務局からお願いします。


五十嵐保健指導室長
  事務局です。1点目の統括保健師について御意見を頂いたところです。先生御指摘のとおり、平成25年の保健師活動指針のところで統括保健師について言及し、各自治体でそれぞれ配置を促進していただいたところかと思います。その当時から人材育成については、役割と能力をしっかり明確にして国のほうでも人材育成をしてきたところです。引き続き、その仕組みは使いながら、今回、新たにこの健康危機に関する総合的なマネジメントという明確な役割が加わりましたので、その辺りも含めての人材育成の拡充を行っていきたいと考えております。御指摘いただきました保健師の活動指針見直しについても、今後、引き続き検討していきたいと考えております。
 2点目についてですが、御指摘のとおり、今回、お示しした健康危機対処計画については、各自治体で既に作成していただいているようなマニュアルや手引き、ガイドライン等々が現場にございます。このようなものを活用していただきながら、今回のコロナの対応を踏まえ、再整理をしていただくことが大きな方向性だと考えておりますので、現在、示している手引書等々とも関連させ、混乱のないようにしっかりと示していく。この健康危機対処計画についても、一定程度、その策定方針についても国のほうで示してまいりたいと考えております。
 3点目の保健所等々の配置に関してですが、各自治体において地域の実情に応じて保健所体制の整備がなされていると承知しております。今回のコロナの対応を踏まえ、各自治体がそれぞれ評価をして保健所体制を強化していく、その地域の中で評価していくことが非常に重要と考えておりますので、それらの取組が自治体の中でしっかりとされるように国としても支援をしていきたいと考えております。また、一定程度、このモニタリングがどのようにできるかということに関しては、引き続き検討していきたいと考えております。以上です。


辻部会長
  井伊委員、いかがでしょうか。


井伊委員
  是非、よろしくお願いします。保健師の活動指針についても、平成25年に発出して時間も経ちますので、このような位置付けがきちんと活動指針のほうにも置かれて、そして、統括保健師という言葉が単なる呼称ではなく、それぞれの自治体等でも明記されるように、是非、検討を進めていただきたいと思います。ありがとうございます。よろしくお願いします。


辻部会長
  ありがとうございます。では、松岡委員お願いします。


松岡委員
  発言の機会を頂き、ありがとうございます。私から2点申し上げたいと思います。1点目は、9ページの総論、あるいは健康危機対処計画に関係することです。今般の見直しにおいては、専ら新型コロナを想定して見直していこうということになっているかと思います。ただし、感染症となると、これまでの例ではサーズやエボラ、デング熱等、そういった事例もあります。あと、学校給食でOー157が集団発生したといったような事例もあります。こういったときの対処もありますので、そういったことも念頭に置かれたほうがよいのではないかと思います。
 また、感染症でいうと、HIVや肝炎ウイルス等、非常に潜伏期間が長い疾患、それがまた大きな健康被害に派生するようなものもあります。そういった感染症もいろいろな類型がありますので、そういったことも念頭に置きながらお考えいただいたらよいかと思います。更に、もう少し広げますと、ここは範囲に入るか分かりませんが、化学物質の拡散、混入による大規模な健康被害、あるいはキノホルム、スモン等による大規模な健康被害等もありましたので、そういったような事例等も念頭に置いて、これから考えていただければと思います。
 2点目ですが、検疫所関係です。検疫所において感染者が発見された場合、保健所と連携して健康観察をするようなことがありますので、そういった検疫所との連携等も念頭に置きながら、今後、位置付けを考えていただくとよいのではないかと思います。以上です。


辻部会長
  ありがとうございます。では、事務局お願いします。


綾企画官
  感染症だけではなくて、健康危機全般として化学物質やスモンなどは、おっしゃるとおりだと思います。我々としては、まず感染症に重きを置きながら、しっかり対応していただくと。それをほかの健康危機にも広げていくということが大事だと思いますので、そういうふうな考え方で進めていきたいと思います。検疫所との連携については、これは関係機関に含まれると思いますが、また違う部署でやっておりますので、そちらのほうとしっかり連携を取りながら、御意見を踏まえながらやってまいりたいと思います。以上です。


辻部会長
  松岡委員、いかがですか。


松岡委員
  どうもありがとうございます。


辻部会長
  続きまして、米川委員、お願いします。


米川委員
  よろしくお願いします。確認が1点と、意見を1点申し上げます。今般、この整理は非常によくできていると思います。各関連する組織がどのような使命、役割を果たすかということで、非常によく御整理いただいていると思います。
 質問ですが、計画の中で、令和5年度までに保健師さんを更に450人増やすというお示しがありましたが、保健師さんの全体の人数というのは、私は余り承知しておりませんが、簡単に450人というのは増やせるというか、募集をかけたら応えられるような状況にあるのかどうか、これをお教えいただきたいというのが1点です。
 意見としては、今般の整理によって、大規模な健康危機がまた発生したときには対応はできると思います。現場である、特に保健所の統括保健師さんを中心に訓練を重ねて対応というのは、一定、整うと思うのですが、記載の中に、概念としてある連携協議会での事前の訓練というか、事前の協議みたいなものが少し薄いような気がするのです。概念としては国、都道府県、ほか関係者が多いわけですから、それらの人たちが集まってやりましょうということで、連携協議会の概念は非常にクリアではあると思いますが、実際に事が起きたときに、どなたかもおっしゃっていましたが、知事さんがこう言った、国が言った、市長さんはこう言った、そういうふうなところのリポートライン等もかなり錯綜するかと思いますので、この連携協議会がうまく機能して、1本のリポートラインが作れることは非常に重要だと思います。この辺りの訓練と言いますか、事前準備についてどのようにお考えかお教えいただきたいと思います。以上です。


綾企画官
  まず、450名の増員ということですが、参考資料2の2ページをもう一度御覧ください。真ん中を見ていただくと、保健所において、感染症対応業務に従事する保健師数ということで、コロナ禍前が1,800名、令和4年度は、地方交付税の中に国から900名分の人員増の財源も含めてお渡しをしていて2,700名ということになっています。令和5年度には3,150名になるということです。規模間としてはこういうことです。実態の数字については、今、手元に数字を持っていませんので、不正確になってしまいますので差し控えますが、大体の規模間はこんな感じです。
 募集をかけたら集まるのかということについては、これは御指摘のとおり、まず問題ということです。その前に、各自治体でしっかり理解をしていただいて、保健師さんの定員を増やしていただくと。これは極めて重要と考えております。募集については、集まる所、集まらない所といろいろあると思います。まずは、各自治体において、こういうふうな国からの一種の財源と申し上げますが、地方財政措置が講じられたので、きちんとそれに見合う保健師さんの数の増員をやってくださいというお願いを、我々国のほうからしっかりやっていかないといけないということが、まずあるのではないかと思います。
 2つ目の連携協議会については、先の臨時国会で成立した感染症法の改正において、都道府県連携協議会ということで、都道府県が指導して、関係自治体や関係者を集めてしっかり協議をするということになっております。また、連携協議会の在り方については、本部会ではなくて、恐らく、感染症部会など他の部会になると思いますが議論されることになると思います。今、頂いた御意見はごもっともだと思いますので、関係の部局にしっかり御意見をお伝えしたいと思います。以上です。


辻部会長
  米川委員、いかがですか。


米川委員
  ありがとうございます。どうぞよろしくお願いします。


辻部会長
  大津委員、お願いします。


大津委員
  国立循環器病研究センターの大津です。今回もまとめていただいて、非常によくできていると思います。ただ、マニュアルなどをこれから作成すると書いてありますが、やはり、一旦作ったからと言って安心せずに、トレーニングを繰り返して、そして、どんどんシェイプアップしていくことが必要と思っています。
 もう1つの懸念は、私は現職の前には海外にいたのですが、それと日本との違いを見ますと、やはり日本はこれもそうですが、保健所の統括は都道府県であると。そうしますと、都道府県の知事さんによって全く違うことをなされるということがあるので、こういう国家的な非常事態のときは、保健所も国が統括するような、非常事態法みたいなものが必要ではないかと感じますが、いかがですか。


辻部会長
  事務局、いかがですか。


綾企画官
  最初の御意見について、非常にありがとうございます。しっかり進めてまいりたいと思いますので、よろしくお願いします。
 非常事態において、国が全体を統括して、直営で筋の通った対策をしてはどうかという話については、散々、そういうふうな議論もあり、臨時国会において感染症法の改正の中で、資料は付けておりませんが、今の形としては、国においても平時の際や有事の際に、これは感染症法の改正の中身ですが、都道府県の権限や国の権限等をしっかり見直したということです。
 どういうふうになったかと言いますと、平時においてですが、都道府県においても見直しをしまして、都道府県が域内の市町村、例えば政令指定都市等と都道府県の間で意見の相違があって、違う方向を向いてしまうというときに、都道府県が県内の政令指定都市を含めた方針を調整していくという総合調整権限が追加されたということです。
 それから、有事においては、都道府県と政令指定都市であったり、ほかの市町村との関係で方針が違うときには、指示までできるという権限が付け加わりました。
 それから国においても同様で、国も感染症発生まん延時においては、国が各都道府県間の総合調整を行いますということです。
 それから、指示についてはもとからあった権限ですが、感染症発生まん延時において、都道府県間で方向が違う場合には、最終的には指示ができると感染症法上ではなっております。
 誰がどういうふうに整理をするのかというのは、一定、先の臨時国会で議論がなされて、今のこういうふうな形になったということだと思います。現場で起こったことは、これからも一生懸命検証しながら、どういうふうな仕組みがいいのかというのは、我々としてもしっかり考えていきたいと考えております。以上です。


辻部会長
  大津委員、いかがですか。


大津委員
  どうもありがとうございました。よろしくお願いします。


辻部会長
  諸岡委員、お願いします。


諸岡委員​ 
  私のほうから1点お礼とお願いになります。お礼については、前回、基本的な指針の所で、栄養士会のほうを記載いただきたいとお願いさせていただきました。今回、人材育成や連携強化の指定の所で、栄養士会のほうも記載していただいて本当にありがとうございました。
 お願いについては、資料の10ページになります。先ほど清田委員からも御発言を頂いたのですが、上から3つ目の○の大規模災害の所です。ここに「保健活動を行う保健師等」という形で記載がありますが、できれば、保健師・管理栄養士等と、管理栄養士の職種を付け加えていただけると有り難いです。御説明の中で、災害時の保健師等の広域応援派遣調整要領に基づいて記載をしていると御説明がありました。この「等」については、その他、専門職及び業務調整員という形で記載がありましたが、管理栄養士については、東日本大震災以降、厚生労働省から大規模な災害が起こった際には、全国の自治体に派遣調整が行われておりますので、是非、記載についてお願いをしたいと思います。以上です。


辻部会長
  事務局、いかがですか。


綾企画官
  DHEATにおける管理栄養士の名称の記載については検討していきたいと思いますので、よろしくお願いします。


辻部会長
  諸岡委員、いかがですか。


諸岡委員
  DHEATの部分ではなくて、その下の3行目の所、保健活動を行う保健師・管理栄養士というふうにお願いしたいと思います。


綾企画官
  失礼しました。そのようにいたします。私の勘違いでした。


辻部会長
  ほかに御意見、御質問はありませんか。よろしいですか。それでは、ただいまの議論をまとめますと、大筋では御了承いただいたと思っております。その上で、若干の文言修正が必要になるかと思いますので、その修正については、私、部会長に御一任いただきたいと思いますが、いかがですか。ありがとうございます。お認めいただきました。また、今後の進め方についても、委員の皆様から大変貴重な御意見を頂きましたので、事務局におきましては、その点も含めて進めていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
 ほかに委員の皆様から何か御意見はありますか。白井委員、お願いします。


白井委員
  このようないろいろな職種の意見であったり、立場の意見を入れていただきまして、本当にありがとうございました。重要なのは、保健所の設置自治体又は都道府県がきちんとこれを読み込んでいただいて、それを現場に下ろしていただくということが重要だと思います。計画を立てるということについては、本当に現場のいろいろな負担というか、これからの作業もありますが、もちろんそれを作るということで、本庁が本気になるということを私たちは期待したいと思います。そのような御助言を、是非、国のほうからもよろしくお願いします。以上です。


辻部会長
  若干、まだ時間が残っておりますので、今の白井委員のような御意見などがありましたら、この時間を利用していただきたいと思いますが、いかがですか。特にありませんか。それでは、本日の議論はここまでとさせていただきます。最後に事務局から何か御発言はありますか。


高橋健康課長補佐
  先に部会長がおっしゃられたとおり、委員の皆様から頂きました本日の御意見を踏まえて、事務局で整理させていただき、次の部会において具体的な案等を示してまいりたいと思います。なお、今後のスケジュールについては、今回の議論を踏まえて、追って調整させていただきますので、お忙しい中、恐れ入りますが、どうぞよろしくお願いします。


辻部会長
  それでは、本日の部会を終了したいと思います。委員の皆様におかれましては、スムーズな議事進行に御協力いただき、ありがとうございました。これにて閉会といたします。