第104回労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会 議事録

日時

令和6年2月26日(月) 15:00~17:00

場所

会場
厚生労働省専用第14会議室(12階)
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

 

議事

○島田室長 それでは定刻になりましたので、ただいまから第104回「労働政策審議会職業安定分科会雇用対策基本問題部会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、御出席いただきまして誠にありがとうございます。
 本日は、当部会の委員が昨年の4月に改選されて第一回目の会合になります。雇用対策基本問題部会長は、労働政策審議会令第7条第4項により、労働政策審議会の本審に所属する公益委員の中から、本審に属する委員により選出されることとなっております。こちらは事前に守島委員が選出されておりますので、御報告申し上げます。以降の議事進行は守島部会長にお願いいたします。
○守島部会長 ただいま御指名にあずかりました守島でございます。御協力よろしくお願いいたします。それでは早速ですけれども、部会長代理の指名を行いたいと思います。部会長代理は、労働政策審議会令第7条第6項の規定により、部会長の私に事故等があったときに、その職務を代理するとされており、部会長があらかじめ指名することになっております。そこで、部会長代理は勇上委員にお願いいたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 また、当部会の下に置かれる港湾労働専門委員会、建設労働専門委員会に所属される委員につきましては、労働政策審議会令第7条第2項の規定により、部会長である私が指名することとなっております。事前に送付している名簿のとおりに指名させていただいておりますので、御覧いただければと思います。
 次に、議事に先立ちまして、雇用対策基本問題部会の委員に交代がありました。それについてお知らせしたいと思います。昨年4月の一斉改選及び7月26日付け、9月15日付けの委員の交代により、公益代表の玄田委員、酒井委員、労働者代表の浦委員、小林委員、使用者代表の新田委員、木村委員が退任されました。それに代わって、公益代表の堀委員、佐々木委員、労働者代表の太田委員、奥委員、使用者代表の阿部委員、伊中委員が新たに御就任されました。
 さらに、事務局である職業安定局の幹部にも異動がありましたので、御紹介いたします。山田職業安定局長、田中高齢・障害者雇用開発審議官、島田建設・港湾対策室長が、それぞれ就任しております。
 本日の出欠状況ですけれども、公益委員の佐々木委員、労働者代表の小林委員、使用者代表の原田委員が御欠席でございます。本日の部会は、お分かりになるようにZoomによるオンラインも活用しての開催となっております。発言方法等につきましては、事前に事務局より送付している「第104回雇用対策基本問題部会の参加方法について」という文書をお送りしておりますので、それに沿って操作していただきますようお願いいたします。それではカメラ撮影はここまではとさせていただきます。
 それでは議事に入りたいと思います。本日の議題は、「新たな港湾雇用安定等計画の策定について」でございます。これは本日、2月26日付けで厚生労働大臣から諮問を受けております。それでは、まず事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○島田室長 それでは、新たな港湾雇用安定等計画の策定について、事務局から御説明します。はじめに、審議経過について御説明いたします。一番後ろに付いているものですが、参考資料3を御参照ください。
 令和6年度からの「新たな港湾雇用安定等計画」については、昨年9月から港湾労働専門委員会において御議論いただき、計画案の原案を取りまとめていただきました。そして年明けの1月から2月にかけて、6大港の地方労働審議会港湾労働部会及び都府県に対して意見照会を行っております。その後、先週2月22日の港湾労働専門委員会において、地方の御意見も踏まえた計画案について改めて御審議いただき、「妥当」と認めていただいたところです。それは参考資料1に付いております。
 本日、雇用対策基本問題部会の委員の皆様に御審議いただき、御了承いただけましたら、3月中に告示を行い、4月から新たな計画の適用をスタートさせていただきたいと考えております。以上が審議経過です。
 次に、新たな港湾雇用安定等計画の策定についてということで、資料2に基づいて御説明いたします。資料2の横表のパワポの資料ですが、そちらで御説明いたします。本日、御審議いただく港湾雇用安定等計画とはどういったものか、また今回の計画の変更のポイントについて御説明いたします。
 まず、1.港湾労働法についてですが、港湾運送事業は、貨物の取扱量が日ごとに変動するという特徴の港湾運送の波動性を有し、企業外労働力に依存せざるを得ない状況にあり、日雇労働者の就労に際して第三者の不当な介入等の懸念などがあることから、港湾労働者の雇用の改善、能力の開発及び向上等に関する措置を講ずることにより、港湾運送に必要な労働力の確保に資するとともに、港湾労働者の雇用の安定、福祉の増進を図ることを目的として制定されております。適用対象港湾は、政令で定める港湾として東京、横浜、名古屋、大阪、神戸及び関門の各港湾(6大港)となっております。
 次に、2.港湾雇用安定等計画です。港湾労働法第3条に基づき、6大港における港湾労働者に係る労働力の需給の調整、雇用の改善並びに能力の開発及び向上に関し、国、都府県、港湾労働者雇用安定センター、事業主及び事業主団体が講ずべき措置の指針を示すもので、5年ごとに策定しております。3.計画の期間は、現行計画が令和5年度までとなっており、新たな計画は令和6年度から令和10年度までとなります。
 4.新計画の策定ポイントです。新計画の策定に当たっては、前回計画策定時からの状況変化を踏まえ、以下の項目について検討しました。港湾労働者不足への対応、港湾荷役作業の革新等に対応した教育訓練の支援、港湾労働における安全対策、港湾労働者の雇用の改善、これらのポイントに関して議論いただきました。
 その上で、5.今回の計画の変更のポイントについて御説明いたします。4点記載しております。まず1点目です。(2)計画の背景と課題という中の「今後の港湾労働対策の課題」として、港湾運送業界における技能労働者の不足が顕在化しつつある状況を踏まえ、若年者・女性・高齢者等の幅広い人材の活躍促進を図る取組、及び高度な技能労働者の確保・育成の必要性について記載しております。
 変更の2点目です。(1)雇用の改善を促進するための方策として、技能労働者の不足に対応するため、国・港湾労働者雇用安定センター・事業主及び事業主団体それぞれの役割に応じて、若年者の港湾運送業界への理解・入職の促進を図るための取組について記載しております。
 続いて3点目です。同じく「雇用の改善を促進するための方策」の事業主及び事業主団体が講ずる措置として、幅広い人材の活躍促進の観点も踏まえ、労働条件の改善・雇用環境の整備等を通じた魅力ある職場づくりの推進について記載しております。人材確保・育成等の観点も踏まえ、港湾労働者の安全対策等について記載しております。
 最後にポイントの4点目です。「能力の開発及び向上を促進するための方策」の港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置として、港湾労働者に求められる技能の多様化・高度化に対応した教育訓練内容の充実・強化について記載しております。以上が変更のポイントとなります。
 続いて、具体的な記載内容のポイントを見ていきたいと思います。参考資料2、新旧対照のような形になっているものを御用意いただければと思います。左が新計画案になっており、右が現行の計画となっております。まず、この資料の3ページです。ロの「今後の港湾労働対策の課題」の(ハ)の部分です。右の現行計画の中段の(ハ)の「このままでは将来的に技能労働者が不足する懸念があり」という記載ですが、左の新計画案では、「技能労働者の不足が顕在化しつつあり」と変更しております。
 これを踏まえて、下の段に、こうした課題に対応するためには、「働き方改革をはじめ、労働条件の改善・雇用環境の整備等を通じた魅力ある職場づくりを推進し、安全な労働環境の確保を図ることが不可欠であり、こうした取組を通じて若年者・女性・高齢者等の幅広い人材の活躍促進を図っていく必要がある」と記載しており、現行計画では女性や高齢者の活躍促進といった記載はありませんが、今回、追記しております。
 また、「荷役機械の技術革新の進展等に加え、港湾労働者の人手不足に対応するためには、高度な技能労働者の確保・育成が不可欠であることから、特に若年労働者に対する教育訓練について、支援の必要性が増している」と追記しております。
 続いて、少し飛びますが8ページ中段の部分です。4の(1)雇用の改善を促進するための方策の「国が講ずる措置」として、技能労働者への対応として、新たに「港湾運送業界への理解・入職の促進を図るため、若年者に対して我が国の物流を支え国民生活に寄与する港湾運送業界の仕事や職場の魅力に接する機会を提供するなど、関係機関等と連携した取組を行う」と追記しております。
 今ほどのは国の取組として記載しているものですけれども、この取組に関して港湾労働者雇用安定センターの役割として、次の9ページの冒頭の所ですが、港湾労働者雇用安定センターにおいても、「職場見学等を通じて若年者に対して港湾運送業界の仕事や職場の魅力に接する機会を提供するなど、関係機関等と連携して港湾運送業界への理解・入職の促進につながる取組を行う」としております。さらに、その下の「加えて」の部分ですが、同様に事業主及び事業主団体にも、センターが行う取組について協力するよう努めるということが盛り込まれております。
 続いて、(1)雇用の改善を促進するための方策のハ「事業主及び事業主団体が講ずる措置」の最初の段落に、女性や高齢者が働きやすい職場環境を整備することに努めることが新たに盛り込まれております。「さらに、」以降ですが、最初に御説明した「今後の労働対策の課題」としてあげられていた魅力ある職場づくりについて若年者等の入職促進及び定着の促進の観点からも必要であることや、労働安全対策に取り組むことの重要性や人材確保・育成の観点からプラスとなることを踏まえ、その取組を推進する等を記載しております。
 最後に、10ページのロの(イ)の部分です。「能力の開発及び向上を促進するための方策」のロ「港湾労働者雇用安定センターが講ずる措置」としては、(イ)港湾荷役作業の革新化等に対応した教育訓練の拡充として、「荷役機械オペレータを始め港湾労働者に求められる技能は一層多様化・高度化しており、港湾労働の魅力向上、人材確保への寄与の観点も含め、訓練ニーズに的確に対応し、高度な技能労働者を確保・育成する必要がある」と修正しております。また、「このため、神戸市に設置されている港湾技能研修センターにおいて、より実践的な訓練内容の一層の充実・強化を図る」と修正しております。新たな港湾雇用安定等計画(案)について、事務局からの説明は以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明に関しまして議論を始めたいと思います。御意見、御質問がある方は、是非お願いいたしたいと思います。会場の方は挙手をしていただき、オンラインの方は挙手のボタンがありますので、又は声をあげていただいても、どちらでも構いませんので御発言いただきたいと思います。では、よろしくお願いいたします。阿部委員、お願いいたします。
○阿部委員 御説明いただきありがとうございます。ただいま御説明のありました新たな港湾雇用安定等計画は、関係者の意見を踏まえて、丁寧に検討されたものと認識しておりますので、特に異論はございません。その上で、港湾運送事業特有の課題があるということは認識しておりますが、労働者不足と、その対策として今回の計画で盛り込まれております若年者・女性・高齢者の活躍推進や雇用改善といった課題については、業種を問わず言われることです。今回の計画の実行に当たっては、建設や運輸といった他の類似の業種の好事例も参考にしながら、実効性の高い取組の実施を要望したいと思います。私からは以上です。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに、どなたか御発言はございますか。冨髙委員、お願いいたします。
○冨髙委員 ありがとうございます。まず1点、質問させていただきます。現行の計画を論議させていただいた5年前の本部会で、労働側委員から、港湾労働者の雇用の安定や福祉の増進という法の目的に鑑み、次の5年間に適用港の拡大に向けて議論を進めていただきたい旨の発言をしました。事務局からは、事務局を含めて議論を重ね、その進捗状況も確認するという主旨の回答を頂いたと思っておりますが、今回も引き続き6大港に限定されております。よろしければ、この5年間にどのような議論が行われたのか、進捗等があれば教えていただければと思います。
○島田室長 今、冨髙委員からの御質問がありました件につきまして、5年前において、そういった検討を労使の間で進めていく中で、行政も含めて議論を重ね、その進捗も確認するというような形でした。その後、実際には労使での具体的な検討が、諸般の事情もあってということかと思いますが進んでいないところもあり、行政としても進捗管理が十分でなかった点もあるかと思います。
 そういう中で、先日の2月22日の専門委員会や秋の専門委員会でも、この適用港湾の拡大についての御意見もあり、港湾労働部会の中でもそういった御意見がありました。そういう中で、今後どうしていくのかということを先日の専門委員会の中で、行政も含めて積極的に議論を重ねていくことが必要だということで、3者、公益の先生も含めてですけれども、あらためて合意させていただきましたので、今後、しっかりとその枠組みの中で検討していきたいと思っております。
○冨髙委員 ありがとうございました。全港適用は港湾労働者全体の雇用の安定と福祉の充実につながるものだと考えますので、今、御報告いただきましたように、厚生労働省にも是非積極的に関与していただきながら見直しの検討を進めていただければと思います。
 それから、先ほど阿部委員からもありましたが、今回の計画案においては、若年者に加えて、女性や高齢者の働きやすい職場環境の整備を促進する旨が追記されております。やはり、施設整備の部分など、不十分な部分もあるのではないかと思いますが、荷役作業の機械化などもあり、これからは若年者に加えて女性や高齢者も働きやすい状況が進んでいくものと考えます。好事例の周知などにより取組が進むように、是非積極的な支援をしていただければと思います。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。ほかに、御意見、御質問のある方はいらっしゃいますでしょうか。伊中委員、よろしくお願いいたします。
○伊中委員 伊中と申します。どうも失礼いたします。私から質問と意見を言わせていただきたいと思います。まず、質問としては、港湾運送業というものは地域性が限定されるという意味で、少し特有な課題があるということは、本当に私自身も感じております。その中で、人手不足や人材不足というのは港湾運送業界だけではなくて、建設土木関係にも言えることではないかなと感じておりますので、そういう近い業界との意見交換や連携した取組はあるのでしょうかということが質問です。
 あと、意見としては、いろいろな技能労働者の不足や、業界内でも労働条件の改善や雇用環境の改善も含めてですが、いろいろな面で認知してもらわなくてはできないこともあるのかなと感じております。特に認知が低いと思われる港湾運送業界の実態も広く伝えていただいて、まず、この業界の特種な部分というのも伝えていただいて、そのメリットも併せて理解してもらわないと雇用も生まれないと思いますので、そういうことの広報的なものにも力を入れてやっていただきたいということと、港湾労働者雇用安定センターの役割というのは、今とても重要かなと感じておりますので、そういうものの充実も是非とも図っていただきたいと思っております。以上です。
○守島部会長 ありがとうございました。それでは、質問の部分をお願いいたします。
○島田室長 まず、御質問にありました建設などの他の業界との意見交換とか、関係というようなお話がありましたが、直接、建設業界と港湾業界が何か取組を共有するような場といったものは、ございません。
 私どもは、建設と港湾の両方の業界を担当しているものですから、今回のように新たな若者に港を見てもらうといったような事業は、実は建設のほうでは先に取り組んでいる部分もありまして、そこは良い取組であると考えておりましたので、港湾でもそれをやって、港をまず知ってもらって、入職の選択肢の1つに入れてもらえたらと、そういう形で活用させてもらっている状況です。
 あと、いろいろな港湾の実態や、先ほど申し上げたような新たな事業の中で、若い人にも見てもらおうと思っている中で、港湾ならではというような部分もいろいろあるかとは思います。入ってから離職になっても困りますので、やはり厳しさなど、例えば勤務の不規則な面なども結構ありますので、ある程度そういった面も伝えながら、港湾で働く仕事の魅力といったものをしっかりと広報していきたいと思います。
 最後にありました港湾労働者雇用安定センターの役割についても、先ほどの計画の中でも充実・強化させるということを盛り込んでおりますが、委員からの御指摘も踏まえて、そこをしっかりとやっていきたいと考えております。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますか。若鶴委員、お願いします。
○若鶴委員 日建連の若鶴でございます。今お話がありましたが、港湾関係のお話をお伺いして、働き方改革や人手不足で、女性や若年者がいないなど、そして高齢化、正に今、建設業で起きていることと同じようなことが起きていて、こういう課題の認識としては一致しているかなということが多数ございました。
 女性に関しましては、我々は今、女性に入ってもらうために、いろいろな取組などをやっております。身近な例ですと、女性用トイレを現場に増やしていくとか、女性の更衣室をもっと増やさなければいけないといったような話をしております。また、若年層について言えば、ずっとやってはいるのですが現場見学会などもやりまして、皆様に建設業の魅力を伝えることを今もやっているところです。
 実は今、建設業で一番大きな問題は2024年問題で、時間外労働の上限規制が他産業に比べて5年遅れで来るということで、我々の一番の喫緊の課題として抱えております。
 実は、港湾業さんとの一番大きな違いは、建設は単品産業で、一つ一つの工事請負契約で工期が関わってきますので、その一つ一つの工事請負契約の工期設定を、もっと長い工期で工事させてくださいということを、まず発注者さんに御理解いただけないと、我々の業界というのは根本的なところでやはり変わらないのです。
 ということで、日建連としては、発注者さんのほうへ、適正工期確保宣言というのを、この間発表させていただきました。ごくごく当たり前なのですが、4週8閉所ができるような工期で、残業をできるだけ少なくして、それで工事ができるような環境を整えさせてくださいということの取組が今始まったところです。
 ただ、先ほど言いましたように、女性の問題や若年層の問題などいろいろと共通するものがございますので、今後いろいろと厚労省さんと連携をしながら、こういった課題に取り組んでいきたいなと考えております。以上でございます。
○守島部会長 ありがとうございます。ほかに御意見、御質問のある方はいらっしゃいますか。よろしいですか。
 これ以上の御質問、御意見がないようですので、本件については御了解いただけたということで、当部会は厚生労働省案を「妥当」と認め、その旨を私から御報告申し上げたいと思います。御意見等はございますか。大丈夫ですね。ありがとうございます。それでは、報告文案の表示をお願いいたします。
(報告文案 表示)
○守島部会長 ただいま表示されております報告文案により、労働政策審議会会長あてに報告することにしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○守島部会長 ありがとうございます。それでは、そのように報告させていただきます。ほかに、何か御発言のある方はいらっしゃいますか。よろしいでしょうか。それでは、本日の議事は以上で終わりにさせていただきます。本日は、お忙しい中お集まりいただき、どうもありがとうございました。