2024年3月7日 第2回 標準型電子カルテ検討ワーキンググループ​議事録

日時

令和6年3月7日(木)13:00~14:30

場所

AP虎ノ門Bルーム(WEB会議併用)

出席者

構成員(五十音順、敬称略)

議題

(1) 標準型電子カルテα版の開発状況
(2) α版モデル事業に係るヒアリング

議事

議事内容
1.開会
【北村係長】  事務局でございます。定刻になりましたので、ただいまより「第2回標準型電子カルテ検討ワーキンググループ」を開催いたします。皆様におかれましては、御多用のところ本ワーキンググループに御出席いただき、ありがとうございます。
本日は、構成員の皆様におかれましては対面とオンラインの併用による開催とし、会議の公開につきましては、事前申込制のZoomウェビナー配信で行うこととしております。約160名の皆様から傍聴申込を頂いておりますことを御報告いたします。
次に資料の確認をさせていただきます。本日は、議事次第、資料1、参考資料1でございます。不備等ございましたら事務局までお申しつけください。
なお、本日は木澤構成員から欠席の御連絡を頂いております。また、オブザーバーとして日本薬剤師会、社会保険診療報酬支払基金、SIP統合型ヘルスケアD3受託者であります、一般社団法人NeXEHRSにも御参画いただいております。
 
2.議事
【北村係長】  それでは、これより議事に入ります。オンラインで御参加の構成員の皆様は、会議中に御発言の際は、「手を挙げる」ボタンをクリックし、指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにしてくださいますようお願いいたします。
まず、資料1の2ページ目に、本日構成員の皆様から御意見を頂きたい3つの確認項目をお示ししております。議題につきましては、1と2と分けておりますが、事務局から資料1を使い、まとめて御説明いたします。その後、構成員の皆様から御意見を頂く時間を取りたいと思っております。それではまず、事務局から資料1の御説明を行います。
 
(1)標準型電子カルテα版の開発状況報告(資料1)
(2)α版モデル事業に係るヒアリング(資料1)
【杉山室長補佐】  事務局でございます。あらためまして本日もよろしくお願いいたします。今、画面を投影させていただきますので、資料1をお手元に御用意いただければと思います。
今回は、議事にございますとおり、標準型電子カルテα板の開発状況ということで、現在、要件定義を進めさせていただいています。来年度にはいよいよ開発に入っていくということで、要件定義の状況について共有させていただきます。もう1点は、議事2になりますけれども、そのあとα版のモデル事業を考えております。そちらについてのやり方、方針を共有させていただいた上で、実施に際してこうしたほうがいいのではないかというような御意見を頂きたいということで、お話をさせていただきたいと思います。
それでは、ページをおめくりいただきまして、1スライド目です。まず、現在の状況ということで、こちらはもともと工程表でお示しさせていただいたとおりの状況が概況になります。来年度のα版の開発に向けて、大きく要件定義と言われる業務や機能をどうしていくかというところの検討が概ね完了しまして、先般、技術作業班の中でもいろいろ議論していただきました。その上でいよいよ開発に向かっていくということで、並行して準備を進めているといった状況になっております。そのため、この要件定義の状況と、開発後に控えておりますモデル事業について、このあとお話をさせていただきます。
そういった内容を踏まえて、本日御意見を頂きたいということで、3点御用意させていただいております。大きくはこの1点目、2点目になりますけれども、このモデル事業に関してのテーマになります。今回のモデル事業については、単に作った電子カルテの操作感を見ていただくといったものではなく、医療DXの有用性ということで、情報共有をなされるといったところを主眼に、機能や使い勝手を見ていただきたいというようなことを考えております。
そのため、この1点目、2点目は同じような観点になりますけれども、対象施設としてどういったところがいいかとか、2点目としては、こういったことをやっていく上で、効果検証する上で、どういった情報や御意見を頂くのがよいでしょうかといった点でございます。特に2点目で例に記載しましたけれども、この電子カルテを使っていただくお医者様、看護師さん、事務の方だけではなく、今回、情報を共有されていくという世界になっていくことから、患者様のお声を頂くというようなまアイデアもあるかと思いますので、実際に医療の現場で従事されている皆様からアイデアを頂きたいというのが2点目でございます。
そして3点目は、このモデル事業と、もう少しその先、実際に本当に使っていただくという観点を踏まえたときに、今回このターゲットとしている医療機関の皆様には、電子カルテの導入というのが、なかなか障壁が高い部分がまだあるかと思っております。前回の1回目のワーキンググループの中でも、紙との併用ということもアイデアとしてあるのではないかというお話を頂戴いたしました。実際、多分診療記録を紙でやり取りしながら、例えば今回の紹介状のようなものは電子的にやり取りする、なので共有する情報は電子的に扱うというようなシーンかと思うのですけれども、実現場での運用を想定した場合に、こういった工夫であったり、こういったことを考えたほうがいいというようなアドバイスがあれば頂きたいということと、障壁を緩和していくという上で、アイデアがほかにもあれば頂きたいといった点でございます。
このあと、いったん私から御説明をさせていただき、この3点を中心に皆様から御意見を頂きたいと思っております。その後に、まだお時間があれば、いろいろなアイデア、アドバイスなどを頂けましたら頂きたいといった進め方にさせていただこうと思います。少し長くなりましたけれども、それでは、中身の話をさせていただきます。
3スライド目です。まず、「標準型電子カルテα版の開発状況」ということで、要件定義をしてきた活動のまとめを共有させていただきます。しばらくは1回目のワーキンググループの資料を幾つか付けさせていただいております。1回目のワーキンググループの中でも、今回の標準型電子カルテというのは単にカルテを作るというよりは、情報共有を図るための、ツールと言うと語弊がありますけれども、そういったところが目的なので、そういったところを改めて確認させていただきながらお話をさせていただくということで、再掲させていただいています。
4スライド目でございます。カルテの今回の目的ということで、まず医療DXのシステムやサービス群とつながっていくことで、この情報の共有が可能であるということを目指していく。その際には、あまり国で何でもかんでも作るというよりは、民間の仕組みを活用していくといったところを目指していくこととしております。
5スライド目です。まずα版の対象ということで、以下の無床診療所、そして診療科によらない共通の診療行為といった考え方で、今、要件定義を進めているところでございます。
6、7ページです。コンセプトということで、歯車で表現させていただいています。標準規格に準拠したクラウドベースということで作っていく。そして、何でもかんでも作るというよりは、左にある医療DXの仕組みとはつなぎ、右にある民間サービスとの接続を目指していくというようなコンセプトで、次の7ページは、それをシステムの構成で表したものになりますので、割愛させていただきます。
そうした上で、8、9ページは、これを実際に導入いただくメリットということで、8ページには大きく2点記載しております。これを導入いただくことで医療DXのサービスが利用になると。例えばということで、その下にありますけれども、電子カルテ情報共有サービスで扱うアレルギーや検査の情報が閲覧できたり、電子処方箋のサービスで扱いますお薬の情報などが利用できるようになると。そういったものが、最終的には患者様御自身がマイナポータルで確認いただくことができる、還元できるといったところがメリットになろうかと思っております。
そういったものを、今回、最初の導入いただくタイミングから使えるような形にすることで、導入の負担というところも軽減できるのではないかといったところで、こういったものを実際の実務の場で使っていただくイメージということで、ユースケースとして、9ページにございますように、実際に診療所の中で標準型電子カルテを使っていただくシーンをお示しさせていただきました。患者様が受付に来られて、本人の同意の確認などをされたあとに、問診・診察の場で先生方が実際にカルテを使いながら、情報を確認しながらといったところ、最終的には会計をなされて、近くの薬局さんでお薬を取られに行く時には処方箋の情報を使っていく。こういったところで使っていけるようなものを目指していくということを記載させていただいております。ここまでが、前回までにお話をさせていただいたコンセプト的なところでございます。
こういった情報共有を目指した標準型電子カルテを作っていくことで、10ページからはしばらく、この要件定義の中で作ってきたものの御紹介になります。このページは、実際に先ほどのユースケースを基に詳細な業務のフローを規定してきておりますという御紹介です。実際に受付けされてからお帰りいただくまでのところをしっかり切っているというところを御参考までにお付けしております。
11~13ページは、もう少し細かくなって、システムの作りに近い形になってきます。実際の業務フローを、この11ページ、12ページ、13ページで、実際にお使いになられる、登場される方々とシステムや情報のやりとりをお示ししています。こういったものを基に、実際には来年度開発の事業者さんに開発していただくといった形になってまいります。
14ページは、これを機能の観点で俯瞰したようなものです。こちらも御参考になりますけれども、絵の真ん中に「診療記録」ということで、カルテを記録する機能がありまして、左側のオレンジの網掛けのところに、患者さんのプロファイルを中心とした患者さんの情報、右側の黄色の網掛けにあるように、オーダリングの関係の機能ということで、以下の無床の診療所を想定した一定の機能はルビした状態において、一番下の行になりますけれども、電子カルテの共有サービス、電子処方箋管理サービスといった医療DXの今予定されている仕組みとは最初からつなげられるような状態にしていくといったところを目指して、まずα版を作っていこうと考えているところでございます。
15ページは、画面のイメージです。実際に6情報をこれから扱っていくに当たって、どんな使い方が考えられるかということで、御参考までにお付けした資料でございます。こういったものを、今後開発していく中で実際に決めていくということでございます。
16ページでございます。今までのような業務や機能を定義といいますか、決めていった上で、実際に作っていく段階においては、前回、1回目のワーキンググループの中で構成員の皆さまからいろいろ御意見、特にコンセプチュアルなところについても御意見を頂きましたので、改めて実際に開発に反映させるべく整理をさせていただいております。主な御意見として、この左側のカテゴリーの中で「コンセプト」として整理しております。①、②の中では、今回作る標準型の電子カルテは情報共有を目指しているツールであるというところを、改めて皆様から頂いているかと思っております。併せて③、④の中で、標準化ということが重要になっていくので、そういったものをどんどん取り込んでほしいというような趣旨で頂いているかと思っております。一方で、「機能/運用」の⑤~⑧に関しては、実現場で実際に御使用されている方々の、導入に向けたところの御意見が多かったことと、最後には「セキュリティ」の観点ということで、こうした意見も踏まえて、今回取り込むところと継続検討するところがございます。
次の17ページに、標準型電子カルテの作りについて改めて整理させていただいております。ここはユーザーさんの視点というよりは、実際の作りの中身の話ですので、使う部分ではないのですけれども、作り方の基本方針としては、医療DXの基盤であったり外部のシステムといったところとは、データの交換規約に準拠していこうと。そうした規約、特にコード類と言われているものについては、システムの内部でも積極的に取り組んでいくと。こうしたことでシンプルに作りにしていくということで、機能の同士があまり密に絡み合わないような、層の関係にあるような構造にしていくということを目指したいと。
こうした作りをしていくことで、特徴1~3にございますように、この医療DXのサービス群とつなぎやすくなることで、情報の活用がなされやすくなるとか、特徴2の標準規格のところに関しては、煩雑なコードの変換だったり、例えば書類等への手で何度も書くというところは軽減されていくだろうということですとか、先々になるところもございますけれども、特徴3のように、民間の仕組みとのつなぎやすさもどんどん増していくということを考えております。これをα版でどこまで追求できるかというところについては、作りながらの部分もございますので、今後、実際の来年度の開発の中でチャレンジしていくといったところで、いずれにせよ、作りという意味でもこういったコンセプトを基に、目指していくといったところでございます。
18ページ、19ページは、その際の交換規約です。18ページは、α版で想定する外部とのシステムとの接続ということで、接続に関しては、相手先の御都合もございますので、一気に全部変えていくというわけには当然いかないものですから、相手先と会話をしながら順次進めていくという形で考えております。
19ページについては、こちらも御参考になりますけれども、標準規格については様々なところにございますので、こうしたものは積極的に取り込んでいこうと思っております。一例として挙げさせていただきますけれども、こういったものは取り組みますということでございます。
以上のような要件定義を経て、これからα版の開発が始まります。本日お話しした内容はかなりチャレンジングな部分も多いものですから、α版というふうに申し上げていますけれども、試行を重ねながら積み上げていくということで取り組んでいきたいと考えております。
そうした開発をしたものを実際に試していただきながら、フィードバックの声を頂くという活動の話になります。
21ページです。冒頭で少し申し上げましたけれども、来年度、α版の開発後に、このモデル事業として使っていただくことを考えております。このモデル事業では、医療DXの有用性として、この情報を共有するという観点を取り入れて検証していきたいと考えております。そのため、「概要」に記載のとおり、1ポツ目の、医療DXのサービス群とつないだ状態での確認をしていただきたいということと、2ポツ目にありますけれども、こういったものを医療現場のお医者様、看護師様、事務の皆様だけではなく、患者様にも御参加いただくというのがどうかと考えてございます。スケジュールについては、次のページでもう少し申し上げますので、飛ばさせていただきます。
こういったやり方を考えておりますので、対象施設としては、数カ所になりますけれども、地域の単位での実施を考えております。その際には中核の病院様と、数施設になるかと思いますけれど診療所様に、組み合わせになりますけれども、そういった形で御参加いただくことを想定しています。中核の病院様は恐らく電子カルテは普通はお持ちかと思いますので、標準型電子カルテではないのですけれども、電子カルテ情報共有サービスというプラットフォームに接続をしていただいた上で、診療所の方々にはα版の標準型電子カルテを使っていただいて、こういう組み合わせの中で情報、特に例えば紹介状や6情報のようなものをやり取りいただくようなところで、関連する方々にとってもどうかというところを見ていく。そのような形でのモデル事業を考えているところでございます。
22スライド目は、スケジュールです。スケジュールについては、来年度、α版の開発をしていきます。それと並行して準備をしていくといったところでございます。実際のモデル事業については、来年度の末頃からα版のモデル事業を開始したいと考えているところでございます。
実際に開発の際には、23ページになりますけれども、まだ企画段階ではございますけれども、来年デジタル庁で開発するに当たっては、モデル事業に御参加いただく医療機関の方々にも、適宜ヒアリングをさせていただきたいと思っております。そうしたら、対話しながら一緒に進めていくといったところができるかと思っておりまして、こういったところは今後詰めていきたいと考えております。以上で御説明を終了させていただきます。
〈意見交換〉
【杉山室長補佐】  2スライド目に戻らせていただき、ここからは御意見を皆様から頂きたいということで進めさせていただきたいと思います。冒頭で申し上げましたとおり、テーマについては、こちらのモデル事業に関する1番、2番であったり、運用に関しての3番であったり、こちらからはここを特に教えていただければと思っておりますので、まずはこの3点についての御意見を頂ければと思っております。
やり方としては、まずはウェブの方からお願いしたいと思います。日本医師会の長島構成員、お願いできますでしょうか。
【長島構成員】  日本医師会の長島です。まず、1番目のモデル事業の対象施設ですけれども、このモデル事業の目的が、このα版の例えばメリットとか、あるいは逆にデメリット、あるいは難しさ、課題等を把握するということであれば、1つは、今まで一度も電子カルテを使ってない人は、もしα版を使った場合に、そこのメリットや難しさが電子カルテの一般的なもの、共通のものなのか、あるいはこのα版だからなのかというところが、恐らくわからないということを考えると、一定程度、一部においては、やはり電子カルテを既に使っているところが入らないとまずいだろうと思います。
もう1つ、このα版の大きな目的が、医療DXの仕組みを使って様々な情報の共有をするということであれば、これも、今まで全く共有をしたことない人にとっては、なかなかそこの評価が難しいところもあるので、やはり一部の施設においては、今既に地域医療連携ネットワークなどにおいてほかの医療機関と情報共有の経験のあるところが入る必要があるだろうと思います。そうしないと、共通一般的な問題なのか、このα版の問題なのかの区別がつかなかったり、客観的な評価ができないのではないかと考えます。
したがって、一部でもいいので、既に電子カルテを使っているところや、地域連携ネットワークを使って実績があるところが入るべきかと思います。
もう1つは、紙カルテの運用も非常に重要と思っていますので、紙カルテの運用だけれども、ほかの様々な情報共有の機能などは使えるというようなモデルも入っていただくということも重要かと思います。その意味では、完全な本当の全般的な実施を行う地域・施設だけではなく、モニタリング的に行うような施設も加えるといいのではないかと考えました。
2つ目です。医療DXの想定する有用性の検証ですけれども、ここもまさに、特に有用なものが情報共有ということであれば、日本医師会ではもう何年も前からずっと全国の地域連携ネットワークの調査をしています。その中でどのような情報等の共有をしているのかとか、どのような形で役に立っているのか、あるいは逆にどのような課題があるかということをずっと経年的に持っていますので、そこと照らし合わせるというのは非常に有効だろうと思いますので、その観点としては、ぜひこれまで行っている日本医師会の調査で、どのような項目でどのような結果なのか、これは後ほど提供させていただきますので、ぜひそれを参考にされるといいかと思います。
また、近年は3文書6情報に関して、地域医療情報連携ネットワークのほうでそういうものをきちんと連携し共有していますかというような質問を追加しているというところで、医療DXを踏まえた調査も行っているので、それも非常に参考になるのではないかと思っています。
3つ目の運用ですけれども、以前も申しましたけれども、この標準型電子カルテの最大の目的は、しっかりと患者さんに役立つ医療情報が共有できて、それが診療に実際に還元されるということであれば、必ずしも電子カルテである必然性はないということになります。紙カルテであっても十分役に立つ。実際に私がそうしています。私は、電子カルテは使っていますが、カルテの記録自体は紙でやっています。ただし、レセコン機能は使っていますし、それから、レセプト情報から様々な患者情報、薬剤情報など、全部引っ張ってきて、電子カルテ上で様々な診断書や情報提供書、主治医意見書など、様々な文書を電子的に作成しています。それを紙で印刷して送ることもあれば、電子的なファイルとして送ることもできているということです。もう1つ、地域医療情報連携ネットワークも、実際に栃木県で使っています。これは非常にメジャーなID-LinkとかHumanBridge、あるいは医療介護専用のSNSなども使っています。これも紙カルテで運用しています。
そういう形で、実際のこの機能は紙カルテでも十分使えるということは、私がよく知っているということ。ただし、電子カルテと一緒につながったほうがはるかに便利だということも、よくわかっています。ということで、そのような形で、本来のそもそもの目的は何なのかという観点から、この運用については考えるべきです。紙カルテでも運用していただいて、そうすると、やはりこれは電子カルテとして使ったほうが本当に便利だということがおわかりになると思います。そういう形で、本来の目的に沿った運用をすべきと考えます。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。
【長島構成員】  もう1点、追加させてください。標準型レセプトコンピュータと本当一体的に進めていくことは必須かと思っていますが、標準型レセプトコンピュータでも、例えば様々な文書作成機能などは持つこともあると聞いておりますので、その辺りの機能分担やすみ分けというところは、最初からぜひ一体的に進めていただきたいと思います。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。それでは、最後にまとめてお話をさせていただきたいと思いますので、次の方にお話を頂きます。それでは、ささえあい医療人権センターCOMLの山口構成員、お願いできますでしょうか。
【山口構成員】  ありがとうございます。山口でございます。
まず1つ目の、モデル事業の対象施設についてですけれども、私も先ほどの長島構成員と同じで、既に電子カルテの経験のある施設はやはり入れたほうがいいのではないかと思っていました。例示されている電子カルテ未導入の施設、新規開業を予定する施設、これもあった方がいいかと思います。特に新規開業を予定する施設となると、パソコンを使い慣れている層の方が結構いらっしゃるのではないかと思います。一方で、電子カルテ未導入の施設の場合、これまで電子化できなかった理由によってモデル事業の結果が検証できるように、なぜ今まで電子化ができなかったのかをあらかじめ明確にしておいたほうがいいのではないかと思いました。
2番目の、検証するための観点については、私は患者の立場ですので、患者や家族に対して確認する必要があるのではないかと思った点は次の通りです。例えば診察時間が変化したかどうか。長くなったのか、短くなったのか。それから、実際にそれを導入したことによって便利になったとか、スムーズになった点が何なのか。それから、患者から見て、これまでより情報の共有が実感できたことは何なのか。そういったことは患者側に確認できることではないかと思いました。
一方、医療者の側ですけれども、当たり前ですけれども、どんな機能が便利だと思ったのか、その理由と、どのような機能が使いにくかったのか、その理由、そこを明確にする必要は当然ながら必要ではないかと思いました。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。それでは続きまして、池端構成員、よろしくお願いいたします。
【池端構成員】  私は課題に沿って3点お話ししたいと思います。
まず、対象施設については、今までお2人の先生方がおっしゃったように、経験があるところも入れておくと、よりいろいろな課題が見えやすいかと思いますので、そのほうがいいかと私も思っております。
目的ですけれども、そもそもこのモデル事業の目的は、恐らく2つあると私は思うのです。1つは、まず電子カルテに慣れていただいて、電子カルテの普及そのものを図ること。もう1つは、情報共有プラットフォームに乗せて、全国でその情報が共有できること。その2点に分けて少し考えていただいたほうがいいと思います。そういう点で考えれば、まず、電子カルテに慣れていただくために、どういう仕掛けが必要か。そして、それを共有することのメリットをどう感じてもらうかということになります。今、例えば1カ月、2カ月、運用してもらっても、実際は、診療所の先生方が病院との連携で有用性を感じるといっても、連携をしなければいけない事例はそんなに多くないと思いますので、まず電子カルテに慣れていただくためにどういう仕掛けが必要かということを考えていただくと、やはり院内の中でも、電子カルテを入れることによって非常に効率化が図れるとか、いろいろな検査データもすぐ見られるようになるとか、あるいは、少なくともレセプトコンピュータとは連動して、新たに自分が診療行為を導入しなくてもいいとか、そういうメリットをしっかり感じていただくようなことは、α版としてもぜひ押さえておきたいところではないかと思いますので、そういう開発の方向性がいいのではないかと感じています。
3番の、運用に関してですが、有用性に関して、繰り返しますけれど、電子カルテそのものの有用性と、情報を共有することの有用性をしっかり分けて考えていただいた上で、運用に関しては、今、長島構成員もおっしゃったように、紙カルテに対する思い入れとか、あるいはデジタル文字を打つことそのものに対して非常に、高齢の先生方であればまだまだ慣れていないなど、かなり幅があると思いますので、その辺のグラデーションをしっかり、どういうグラデーションでもできる体制をつくっておいて、そして、自分で「やはり電子カルテに落とし込んでいったほうがいい」と思った方は、どんどん電子カルテのほうに重きを置くような形になると思うので、取りあえず最初は同時で入っていけるような形がいいのではないかと思います。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。それでは、大道構成員、よろしくお願いいたします。
【大道構成員】  このモデル事業がうまくいくかどうかは、1つは、モデル事業を行う期間の問題、そして、それに参画する医療機関の多さ、この辺りも結構関わってくると思います。先ほど山口構成員が言われたように、患者さんがそのことに関して、例えば診療時間が短くなったなど、どういうメリットを感じるか。例えば電子カルテを初めて導入する医療機関で、診療時間が落ち着くまで何カ月かかかるのです。初めはどうしても長くなってしまうので、逆に患者さんから不平不満が出てくることが多々あります。「あの先生は全然自分のことを見てくれない」とか、「キーボードにかぶりついて一生懸命なっていて、もうあくせくしていて、見ていてかわいそうだ」とか、当院も20年ほど前に電子カルテを導入した時に、初めはそういうことがありました。だんだんみんな慣れてきて、ブラインドタッチとまで言いませんけれども、電子カルテもだんだんと成長してきますので、非常に使い勝手が良くなってきた時に、患者さんとの対話もスムーズになって、診療時間もどんどん短くなっていくという効果がそのあと付いてくるので、このモデル事業もある程度長い時間検証をしなければ、そこまでは到達しないのではないかということが1つです。
それと、病院とクリニックをグループとして、全体としてモデル事業に参画させるというのは、私は大賛成です。というのは、そうでないと、この電子カルテ情報共有サービスの中のコンテンツがないという状況で、各クリニックの先生方がそのメリットを実感できるかというと、なかなか難しい。いわゆる特定健診のデータしかないところで、それをよしとするかというところですけれども、モデル事業を行うときには、病院のほうから共有サービスに情報をどんどん出せるようなシステムを、まず病院に入れなければいけない。まず入れておいて、どんどん流しておいて、それからクリニックのほうでそれが見られるという構築をされれば、スムーズにいくのではないかという気がします。
その前に、当然、電子的な方法で例えば紹介状なり何なりというのはできるような素地というのも、少し前から手を付け始めて、レクチャーもしながらやっていかれると、スムーズにいくのではないかと思います。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。いったん、一通り皆様から頂きたいと思います。では、こちらの会場から、中島構成員、よろしくお願いいたします。
【中島構成員】  日本精神科病院協会の中島でございます。
1番目ですけれども、やはり、この未導入の施設というのはなかなか難しいと思います。既存の電子カルテを使っているようなところのほうが、今現在使っている電子カルテと比較ができるということで、導入しているようなところを対象にしたほうがいいのではないかと思います。それと、マイナ保険証を利用している施設なのでしょうけれども、例えばマイナ保険証の利用率が高いような施設だと、より電子化に向けて取り組んでいるということで、より効果的な課題とか、メリットとか、そういうことがわかるのではないかと思いました。
2番の有用性については、3文書6情報ですけれども、例えば6情報のほうから医療事故が未然に防げたとか、そのようなメリットがあればいいのではないかと思いました。それと、実際に患者さんからお話を聞いたのですけれども、例えば精神科にかかっている患者さんがほかの内科とか外科に行った時に、その情報で精神科に行っていたということがわかってしまうと、その内科、外科の先生が見てくれないとか、あるいは、何か冷たい態度をされたとか、そういったことを言っていた患者さんが実際にいるのです。そういったことにならないような、何かきちんとした取り組みが必要なのではないかと思いました。
3番目の運用ですけれども、紙カルテと併用するというのはすごくいいと思うのですけれども、そのα版のものと、もう1つ、α版の中の簡易モードみたいな、ボタンでクリックするような簡単なもの、例えば高齢者の携帯電話などで簡単なものがありますけれども、そういう簡便型の簡易モードみたいなものがあれば、より選んで使いやすいのではないかと思いました。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。高橋構成員、よろしくお願いいたします。
【高橋構成員】  全日本病院協会の高橋です。よろしくお願いいたします。私、20年間電子カルテを使って、それから、あともう1点、「ヒト・モノ・カネ」という観点からお話をさせていただければと思います。
1番ですが、やはり、ゼロからのスタートというのは結構難しいところもあるのではないかと思っています。あと、全日本病院協会は民間の中小病院が主体の協会ですので、平成15年辺りに、電子カルテの標準化というものが18くらい立ち上がったと思うのですけれども、その時から関係させていただいて、今回は無床で内科系の診療所ということなのですけれども、これを200床未満に広げるとなると、当然業務フローがかなり変わることになるので、そこを改めて作り直すのかというところはあるのかなと思っています。
情報共有という観点から見ると、当然診療所と病院とでは結構な違いがあるだろうと。人の動き、ものの動きが大きく変わる。特に病院では多職種といいますか、いろいろな職種が動くので、そこをどのようにして効率よく、見やすく、電子カルテを共有できるかということで言うと、診療所は診療所でよろしいと思うのですけれども、それを病院に広げるとなると、紙カルテでは少し厳しいと言いますか、効率化というところでは厳しいのではないかと思っています。
それから、医療と介護の連携、今回は医療ということですけれども、ただ、今回の診療報酬改定と介護報酬改定のダブル改定の中では、医療と介護の連携というのは非常に入ってきていると思いますので、地域医療情報連携ネットワークとはオンライン資格確認等システムとかありますけれども、その辺り、紙で回せるものと、電子的なものでなければ渡せないもの、この14ページの図の中で、どれがどうなっているのか。それを分けて考えてもいいのではないかと思っております。
2番目、有用性を検証するための観点ですけれども、患者さんから見ると、マイナポータルを使いましょうということですけれども、マイナポータルというのは自分のところで情報を集めて見るのみというところが主かと思っております。相手方、いわゆる病院とのやり取りというのは、今はあまり考えられていないのではないかと思うので、先ほどの14ページで、どこまで患者さんにお見せするのか、それができるのかというところも議論の対象になってくるのではないかと思っています。
あと、ベンダーさん側について、あまり言わないほうがいいのかもしれませんけれども、要求としましては、いろいろなオプションはいいと思うのですけれども、基本的なシステムは、やはりわかりやすく同一価格帯にしてほしいと。ベンダーさんによってお金が違うと、この標準化に対して、やはりモデルと違って実際はそれなりにお金がかかってくると思いますので、それを診療所なり病院なりにある程度提示していただくと、私たちもやりやすいかと思っております。
3番については、先ほど紙というところでお話ししましたので、以上となります。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。菅間構成員、よろしくお願いいたします
【菅間構成員】  日本医療法人協会の菅間です。
医療法人協会は中小の病院が主体で、電子カルテに関しては導入しているところがかなり多いかと思います。前回、導入している電子カルテはかなりコスト上、運営上、負担になっているという話をいたしました。先ほどの説明では、情報の共有だけが目的みたいなニュアンスにとれたのですけれど、最終的には名前が示すように標準型電子カルテですから、今、電子カルテが導入されてない診療所と小さい病院だけに入れればいいという話ではなくて、基本的には、既に導入されているところにも使われる標準規格を作ることでなくてはならない。そのコアのところはすべての電子カルテで共有される形にならないといけないと思います。そこのところを確認した上で考えていかないといけないのではないかと思っています。
対象となる施設は、最初に日本医師会の長島構成員がおっしゃられたように、導入されてないところに入れるべきでしょうけれども、可能であればそれと同程度くらい、既に導入されているところを入れて比較する。さらには、あとのほうでお話がありましたけれども、病院との連携と関わってくるので、既に病院と診療所の連携システムを導入しているところも入れていただければ、その有用性の評価はしやすくなるのではないかと思います。その中に、先ほどの最低限の共有するデータと同時に、今後重要になる健診のデータとの連携であるとか、私どもは長島構成員と同じ栃木県で、既に地域の中の病診連携システムが動いていますが、既に連携システムが導入されているところも対象としながら、比較してはどうかと考えています。
有用性に関しては、これも繰り返しになりますけれども、何人かの先生がお話しになられたように、診療時間であるとか、便利になる、効率化の視点を必ず入れないといけないと思います。単純に情報が共有され、国としては情報が集まってきて良いというだけではなく、使用者、ユーザーの医療機関の利便性が上がるかを有用性の検証の中に必ず入れないと、普及することにならないと思います。
最後の運用に関しても同じことですけれど、最初に申し上げましたように、パソコンを高齢の先生方が使い慣れてないため紙カルテを使っていることが障壁になっていることもありますが、実際は、導入コストと利便性、コストパフォーマンスが一番の障壁なのではないかと思います。その際のコストと利便性、役に立つ点ですが、何回も出ていますように、今回の標準電子カルテはクラウド上にベースを作るので、どこでも診療科、医療機関の大きさと関係なしに、共通で使用する部門システム相当のレセプトコンピュータの機能とか、同じようにサイバーセキュリティー機能に関して、標準規格としてクラウドで提供されれば、コストがかからずアピールになり利用されるのではないかと思います。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。オンラインでもう一度、長島構成員、よろしくお願いいたします。
【長島構成員】  2番の、医療DXの想定する有用性の検証は、極めて困難であると覚悟しておいたほうがいいと思います。なぜかというと、有用性が電子カルテ一般のものなのか、情報共有一般のものなのか、それとも標準型電子カルでα版のものなのか、恐らく区別することはほとんど不可能だと思います。したがって、そこのところは先ほど言ったように、既に情報共有が地域連携ネットワークで行われているので、そこと比較する、あるいは、各地域連携ネットワークではアクセスログなどを取って、どのようなデータに非常にアクセスが多いか、例えば診療記録、看護記録とか、様々なレポートとか画像とか、そういうものをきちんと検証しているところも多いですし、利用者へのアンケート調査等で、どれが一番役に立つということも聞いているところもあるので、それとの比較が重要になるかと思います。
もう一方、標準型であることのメリットの大部分が、恐らく従来のものよりは費用負担が少ない。あるいは、導入や維持、特に診療報酬改定などの変更、あるいは新しい医療DXの機能の追加などへの変更への対応、これは負担が非常に減るのではないかというようなこと。あるいは医療DXの各機能への連携がしやすいのではないかということかと思いますが、これはなかなか、特に実際の機能が動いてないところ、あるいは実際にどれくらいの費用の負担が生じるかがわかってない、変更時の負担がわからないところでは検証のしようがないです。したがって、ここのところをもし行うとすると、細かいヒアリング等で、もしもこれがどれくらいだったらいいですかとか、そういう形で聞くしかない。
一方、これらの有用性は、患者さんには恐らくほとんどわからないと思います。伝わりようがないです。したがって、先ほど言ったように、一般的な電子カルテや情報共有の有用性はわかるけれども、標準型であることの有用性の検証は極めて困難だと最初から確保すべきです。
もう1つ、情報共有のメリット、有用性は、基本的には実際の医療連携が行われている患者さんにおいて発生します。したがって、実際にその地域において、例えば病院と診療所とか、病院と病院とか、その患者さんが複数のところで診療を受けている場合でないと、この情報共有の有用性は生まれません。その観点からすると、モデル事業としてその地域で例えば複数のところ、病院と病院、病院と診療所などで入れていただき、そこで実際に情報共有が可能になるということをしない限り、恐らく情報共有の有用性の検討ができないと思います。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。池端構成員が今手を挙げていらっしゃっていますので、お願いいたします。
【池端構成員】  2回目で申し訳ありません。追加で2点お話しします。
α版で、まず診療所ということで紙カルテとの併用が導入としては有用ではないかと話しましたけれど、今何人かの先生がおっしゃったように、これが中小病院となると、本当に多職種等が絡んできますし、なかなか紙カルテの併用は、実は当院も恥ずかしながら一昨年導入したばかりなのでそう感じるのですが、やはりこれは一気にやるしかないかなという気がしていますので、中小病院の導入と診療所の導入とは分けて考えなければいけないのではないかと思います。
それと1点、これは確認しておきたかったことなのですけれど、最初から電子カルテを使ってないところに導入する場合、当院などは小さな病院ですけれども、それでも半年くらい前から少し準備を始めていって、導入してからは約1カ月、委託事業者のプロが病院に貼り付いて、各部署のいろいろな困り事、ちょっとした困り事を全部フォローしながら、2カ月後に、今度はそれが遠隔操作でできるようにして、3カ月目にほぼフリーで問題なく動くようになりました。最初は本当に小さなことでもつまずいて、どうしていいかわからなくなったり、前へ進めなくなったりすることがあるので、そういう結構きめ細かい対応が初期の段階では必要だと思います。そういうことがモデル事業の各クリニックに一斉に可能なのかどうか。その辺は少し詰めておかなければいけないのではないかということを、最近導入した中小病院の立場として少し感じましたので、追加で発言させていただきました。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。高橋構成員、よろしくお願いいたします。
【高橋構成員】  この1回目は、現場を中心にどのようなものを行えばいいかみたいなところだったかと思います。今の確認項目の1から3までの中には入ってないと思うのですけれども、私は、標準化して何がいいかというと、データ連携ができてくるのではないかと思うのです。標準なくして連携なしと思っています。そうなると、データ連携ができると、いわゆる全国医療情報プラットフォームの中では2次利用基盤、いわゆるナショナルデータベースなどのいろいろなデータ、そこがいろいろなところと結び付いてくるのではないか。今はバラバラなので、そこについては、ここは議論する場ではないのかもしれませんけれども、そこもどこかに置いておかなければいけないのではないかと思っております。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。池端構成員は、大丈夫ですか。会場の皆様、大丈夫ですか。ありがとうございます。
それでは、まず、いろいろな御意見を頂きまして、ありがとうございます。今頂いた御意見について、今我々が考えた中でお答えできそうなものはこの場で答えさせていただきます。まだ考えが浅いところについては、今後、特にモデル事業だったり、今日頂いた中では、α版の先の本格版についてもいろいろアドバイスいただいたと思います。紙でいくのは難しいとか、多職種だったり、あとは作りの中での費用感であったり、そういうところについては今後考えていくことになると思います。
一定量今お答えできるものとして、今日テーマとさせていただきました1~3について、まずモデル地域の対象については、皆様の御意見、ありがとうございます。特にこの比較検証をする上で、今使っていただいている医療機関様には、全部が参加するわけではないとは思うのですけれども、部分的でも御参加いただくことであったり、いわゆる有用性のメリット、特に標準であることのメリットはなかなか、そもそも標準のメリットとは何かというところの評価は難しいということで、やはり、比較材料をどんどん作っていった中で採っていくのがいいのではないかというところは感じました。
併せて、有用性の検証のところになりますけれども、やはり地域という形の中で病院さんだったり診療所さん、複数の方たちに参加いただいて、しかも患者様が移動しない限り情報共有がなされませんので、一定の期間がないと、慣れていただくということもあって、なかなか効果測定が難しいというところも理解できました。
併せて、検証するに当たっては、情報共有するというところは当然このDXの世界で行うのですけれども、そもそも使っていただくためには、操作であったり導入するまでの準備だったり、導入してからの煩雑さみたいなところも含めて見ていただかないと、なかなか定着といいますか、実際にこのまま使っていこうというところにつながっていかないだろうということで、期間についてもしっかり考えなければいけないと理解いたました。
3つ目の運用に関しては、紙も併用というところが、少なくとも診療所においては、紙のカルテで、院内で閉じたような業務においては、一定量、別にそのままでもよくて、一方で、情報の共有をほかの例えば医療機関さんだったり患者さんと図るところにおいては、電子的に使っていくというところは、今の地域医療情報連携ネットワークの仕組みの中でも一定量皆さんは使っていただいている実績もあるということで、こちらについては、我々、もう少し勉強させていただきまして、実際に導入される医療機関の皆様が、最初に使っていただく一歩目の障壁を下げるようなところは考えていきたいと思っております。
そして、ここの問いとは別なのですけれども、標準化を進めていくに際しては、資料の17ページで考え方をお話しさせていただきました。この一番上のメッセージのラインのところの3行目、4行目にございますけれども、今回、この標準規格をできる限り採用していくように作っていくことに当たっては、今回並行して行っています技術作業班なども、いろいろなベンダーさんからのお声を頂いております。そういったものを取り込んだものについては、医療機関さんでこのカルテそのものを使っていただくというのもそうなのですけれども、既存の電子カルテのところにも、使用ベースなのか、プログラムとか、そういうものベースなのか、そういったところは考えていかなければいけないのですけれども、どんどんと還元していくというところを考えていきたいと思っておりますので、そういったことが進んでいくことで、頂いたような考え方が浸透していくというところを目指していくと。
まず、これから作っていくことになります。α版ということで「α」と付けているのは、そういったことも試行を繰り返しながら進めていきたいという意図もございますので、作っていく過程での課題、論点みたいなところについては、皆様に共有しながら進めていきたいと考えております。
それ以外にもいろいろ御意見を頂きましたけれども、いったん事務局からお話しさせていただくことは以上となります。
本日御欠席された、日本看護協会の方々からも御意見を頂戴しておりますので、皆様と重複する部分もございますけれども、御紹介させていただきたいと思います。
【北村係長】  日本看護協会の木澤構成員から、計3つについてということで御意見を頂いております。
まず1点目、モデル事業の対象施設についてです。「このモデル事業は全国医療情報プラットフォームのシステム群を利用することが重要であり、そのためにはマイナンバーカードを用いて本人同意を得る必要があるわけですので、マイナ保険証の利用を患者に積極的に呼びかけるなどして、マイナ保険証の利用実績が多い診療所、又は少なくとも利用実績のある診療所に御参加いただくのが良いと考えております。また、診療情報提供書や患者情報提供書など、現在文書でやりとりしている書類が電子情報として共有・活用できることへの期待感が大きいため、可能であれば、それらの発行実績が多い診療所を選定いただきたいと思っております」ということです。
続きまして2点目、医療DXの想定する有用性を検証するための観点に関しましては、「医療DXの有用性については、医療機関の効率が向上するというだけではなく、患者側の利益につながることも重要ですので、観点の例に挙がっている、診療を受けた患者、付き添い家族の意見・感想を把握するというのは、大変大切な視点だと考えます。また、観点の例に挙がっています、職員の意見・感想については、例えば診療情報提供書の現在のやりとりでは、封入して郵送したり、あるいは患者に手渡したりするというプロセスを看護師が担っている場合も多いと思われます。これが電子的に行われるようになれば、負担軽減にもつながると思われますため、看護師にも有用性をヒアリングいただきたいと考えます」。
最後に3点目、運用についてです。「紙運用の併用は、電子カルテ導入のハードルを下げる1つの方法だと思いますが、有用性を立証するためにも、標準型電子カルテでカバーできる機能について、医師が手書きで書いた書類を看護師等の職員が入力し直すというような二度手間がない形で、モデル事業を実施いただけると良いと思います」という、3点、御意見を頂戴しております。
【杉山室長補佐】  御意見ありがとうございます。オンラインの長島構成員、よろしくお願いいたします。
【長島構成員】  先ほど事務局から御説明がありました、17ページの「標準型電子カルテの意義と特徴」で、最初から申し上げてきました、標準型と標準仕様の2通りがあるということが大変重要だと思っております。そのことで、標準型において日本の将来の望ましい姿をしっかりと示すとともに、民間の、あるいは既存の電子カルテもそこに向かってしっかりと切磋琢磨していただく。その結果、医療機関は標準型電子カルテを強制・義務化されることなく、それぞれの判断でより望ましいものが選択できるというふうにすべきだと思っております。また、この競争が起こることでより機能も上がるし、あるいは、既存の電子カルテ等の価格も大幅に下がるということが期待できると思います。
これは、日本医師会がいわゆるORCA、日本医師会の標準レセプトの提供を始めて、既存のレセコンの価格が大幅に下がった、あるいは機能が上がったということを実際に経験しています。したがって、標準型と標準仕様の両方を医療機関の裁量で選択できるようにするということは、大変重要だと考えています。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。高橋構成員、よろしくお願いします。
【高橋構成員】  今後のモデル選びで結構大変な作業があるのではないかと思っているのですけれども、診療所と病院で二度手間にしないために、あるいは、標準化に際してのメリット・デメリットを考える意味でも、できましたら幾つかの200床未満の病院で、既に電子カルテで動いているところも、モデルとしてα版を使っていただくというようなことができないかどうか。その際に、オンライン資格確認ネットワークや、あるいは電処方箋を既に導入しているところも、今後、標準化に際してどのくらいお金がかかるとか、どのくらい人の労力を介すかということがわかって比較できると思いますので、そこを体験している病院も幾つか選んでいただければと思っております。
【杉山室長補佐】  菅間構成員、よろしくお願いいたします。
【菅間構成員】  1点だけ。先ほどのモデル事業の対象として、多くの方々が入ってないところだけではなくて入っているところにも入れなさいとの話だったと思います。そうすると既存のシステムと今回作る標準のα版をつなげるための費用が恐らく発生すると思われます。電子カルテが入っているところも対象に入れるのであれば、APIの部分の工夫をしながら、その予算措置も考えた上で、このモデル事業の対象を検討していただければと思います。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。
【上田参事官】  皆様方の御意見で、私から総括と、杉山構成員から話があった以外のところで補足をさせていただきたいと思います。主に3点、お話しさせていきたいと思っています。
標準型であることの有用性をどう示していくかというところが、1つあると思っています。有用性と言った場合に、やはり利便性、これに関しては患者さんの利便性もあれば医療従事者の方の利便性もあります。この利便性のほうは、モデル事業の中で、今、比較の話もありましたけれども、そういった中で見えてくるところではないかと思っています。
一方で、有用性の中にはコストの軽減のお話もあると思っています。これは、もちろんモデル事業というステージの中でわかるところもあるのですけれども、やはりこれはある程度作っていきながら、こちらである程度測定して見ていくところもあると思っています。そこについては、私ども、開発をしていく中で十分注意を払いながら、将来的なコスト構造がどうなるのかということを注視しながら作業を進めていきたいと思います。コストということで言うと、内部構造が標準化されることによって、例えば診療報酬改定時のコストが下がった、また、例えば検査会社など、実施したい時に連携する際のコストが下がったなど、いろいろなコストが下がる要素はあると思います。その辺が具体的にどこなのか。医療DXの関連システムとのつなぎのコストもあると思います。そのコストが大体どれくらい落ちるのかは、正直言って、まだ我々も見えていないところがありますので、こういったところを、α版を作っていく中で、実際に作業をしていく中で見えてくることがあると思います。もちろん、最終的にはコストはスケールを出さないと、1医療機関当たりのコスト単価は下がっていかないので、ある程度は、最後は推計というか、これくらいにスケールしたらこうなりますということになると思いますが、その基礎材料は集まっていくと思っていますので、それに十分留意しながら行っていきたいと思います。
2つ目でございます。既存の電子カルテとの関連でございます。当然、我々はまずここのターゲットの1つとして、電子カルテを導入していない医療機関にまず入れていただくというのは、重要なミッションとして1つあると思っております。一方で、既存の電子カルテについて、何もこのプロジェクトが影響を与えないと思っているわけではもちろんありません。その中で、17ページに「標準的なデータ交換規約は、既存電子カルテでも取り入れられるよう公開していく」という表現も上のほうに書いてありますけれども、願わくは既存電子カルテで使えそうなモジュールといったものは、既存電子カルテのほうに渡して入れていただく。もちろんレギュレーションの中で解決できるところもあると思いますけれども、例えば物としてお渡しするということもできないのか。ただ、あまり押し付けても仕方がないので、既存電子カルテにとってどういうものが本当に有用なモジュールとなり得るのか、この辺も重要なテーマだと私どもは思っておりますので、こういったところにも留意しながら話を進めていきたいと思っております。
3点目に、マイナポータルで閲覧する、逆はないのかみたいなお話もあったと思います。技術的に言うと、逆も本来はできるはずです。例えば、今、プロジェクトの中では予防接種母子保健の話のDX化を進めておりまして、予防接種母子保健の中の例えば問診票というか予診票といったものをマイナポータルのほうで入力して、それを病院側にお伝えするといったことは、現に行おうとしているところです。
一方で、それでは、何から何まで国民のものを、全部マイナポータルを経由して病院のほうに伝えるかどうかというのは、ここは若干別問題だと思っています。将来的には、基本的なものであればマイナポータルを通してという発想もあると思いますけれども、一方で、やはりいろいろな独自の中で国民のほうから医療機関に伝えたい情報もあると思いますので、そういったものはマイナポータルを通さずに直接やっていくということもあるかと思っております。
ただ、資料の17ページにもありますように、そそういったときに、この標準型の電子カルテであれば、直接にしろ、ある程度標準的なインターフェースがきられていて、そういったことのつなぎが楽になっていくという側面はあるのではないかと思っております。ここにも特徴3で書いているように、その辺にも留意しながら作業を進めていきたいと思っております。
【杉山室長補佐】  デジタル庁上田参事官、ありがとうございました。ほか、皆様から御意見等ございますでしょうか。長島構成員、よろしくお願いいたします。
【長島構成員】  マイナポータルを双方向性にという話があって、一方、全部マイナポータルを通すことになると大変だということを考えると、もう1つの道が、民間のPHRサービスもきちんと質を高めて、セキュリティや個人情報の扱い方に問題がないような条件をきっちりと整えた上で、例えばこの標準型電子カルテとAPI連携できるというような形、あるいは、ほかのオンライン資格確認等システムのインフラを活用できるという形で、そのルートも使うというのが大きな考え方だと思いますので、標準型電子カルテのAPI連携の中で、1つが適切な民間PHRサービス、もう1つが全国の地域医療情報連携ネットワーク、こことの連携はぜひ最初から考慮すべきだと思っています。
【杉山室長補佐】  ありがとうございます。ほか、ございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、本日は以上とさせていただきます。
まず、来年度からこのα版の開発に入っていきます。本日、医療機関に従事されている皆様からも御意見を頂戴いたしましたし、並行して技術作業班の中でも技術的な観点で頂いております。我々厚生労働省と、今日一緒におりますデジタル庁と、引き続きこういったコミュニケーションをとりながら進めさせていただきます。
来年度のこういったワーキンググループ、技術作業班については、その開発の状況も踏まえて、また、やり方を含めてお話をさせていただきたいと思います。いずれにせよ、まだ始まったばかりということもあって、こういったところの進め方や内容については、引き続き御意見を頂きたいと思っておりますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
 
3.閉会
【杉山室長補佐】  それでは、本日は以上とさせていただきます。ありがとうございました。