令和5年11月13日 革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品創出のための官民対話 議事録

医政局医薬産業振興・医療情報企画課

日時

令和5年11月13日 17:00~19:00

場所

TKP新橋カンファレンスセンター「ホール15D」

出席者

  1. (1)産業側
    医薬品・再生医療産業界
    岡田 安史  (日本製薬団体連合会会長)
    上野 裕明  (日本製薬工業協会会長)
    原田 明久  (米国研究製薬工業協会(PhRMA)在日執行委員会委員)
    岩屋 孝彦  (欧州製薬団体連合会(EFPIA)会長)
    志鷹 義嗣  (再生医療イノベーションフォーラム代表理事会長)
    医療機器産業界
    山本 章雄  (日本医療機器産業連合会会長)
    松本 謙一  (日本医療機器産業連合会副会長)
    小川 一弥  (米国医療機器・IVD工業会会長)
    出井 正   (欧州ビジネス協会 医療機器・IVD委員会委員長)
    江田 信一    (日本臨床検査薬協会会長)
  2. (2)アカデミア
    中釜 斉  (国立がん研究センター理事長)
    大津 欣也 (国立循環器病研究センター理事長)
    松村 到  (全国医学部長病院長会議副会長、近畿大学医学部長)
  3. 三島 良直   (日本医療研究開発機構(AMED)理事長)
  4. 岩﨑 甫  (山梨大学副学長 融合研究臨床応用推進センター長)
  5.  
  6. (3)行政庁
    武見 敬三  (厚生労働大臣)
    濵地 雅一  (厚生労働副大臣)
    堀井 学   (内閣府副大臣)
    今枝 宗一郎 (文部科学副大臣)
    吉田 宣弘  (経済産業省大臣政務官)
    宇津 忍   (医薬品医療機器総合機構(PMDA)理事)

議事

○水谷課長 定刻となりましたので、ただいまより「革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出のための官民対話」を開催させていただきます。
 本日は、皆様、お忙しい中、お集まりをいただき、誠にありがとうございます。
 司会進行を務めさせていただきます、厚生労働省医薬産業振興・医療情報企画課長の水谷でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 この官民対話は、我が国における医薬品・医療機器・再生医療産業がさらに成長していくため、産業界と行政のトップとアカデミアが政策対話の場を持つことにより、産業界をめぐる現状、課題を共有することを目的として開催しております。ぜひ自由闊達な御議論をいただければと考えてございます。
 なお、会議の冒頭、こうした形でプレスが入っておりますが、一連の御挨拶が終わりました後は、プレスの方には御退席をいただきます。
 会議終了後、私ども厚生労働省のほうでどういった議論があったのか、ブリーフィングを行わせていただく予定をしてございます。
 また、議事録につきましても厚生労働省のホームページにおいて公表させていただきますので、あらかじめ御了承いただければと思います。
 お手元の資料1に、本日の御出席者の方々を記載させていただいてございます。構成員は行政、産業界、そして研究機関の方々となっておりますが、時間の制約もございますので、恐縮でございますが、御出席者の御紹介は、お手元の座席表に代えさせていただきます。
 それでは、本会議に御出席をいただいております各省の政務の方々より、御挨拶を賜りたいと思います。
 まず、本会議を主催しております、武見厚生労働大臣より御挨拶をお願いいたします。
○武見厚生労働大臣 今回「革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出のための官民対話」という大変長い名前の会議でございますが、お忙しい中、御出席を賜りまして誠にありがとうございます。
 昨今の長期にわたるコロナのパンデミックの中で、残念ながら我が国は早期にワクチンの開発をすることができませんでした。また、全体的に見て、国内市場における我が国の製薬企業の占有率というのが、年々残念ながら縮小しているという事態にも我が国は陥っております。
 こういう中で、創薬の在り方そのものがグローバルに大きく変化し始めていて、それによって、従来の官と民の役割といったものが、はるかに大きく緊密に連携するものに変質をしていって、それによってアカデミアというのが国内外を問わず、様々なさらなる仲介役となる専門家を通じて、実際に民間企業とスタートアップから、それから新たな創薬に向けての起業家というものが進むようになり、それがまた各国のレギュラトリーシステムというものと連携をしながら、大量生産技術を習得し、そして、実際に製品としてそれぞれの国の国民に届けられるようになる。これが、今、エコシステムと呼ばれるようになって、それは、ただ単に一国の中だけで完結するものでもなくなり、しかしながら、我が国が世界のそうしたグローバルなエコシステムの中にきちんと入っているかといえば、まだまだ現状はそう簡単な状況でもない。
 したがって、改めて我が国にどのような形で創薬の基盤を再構築して、世界の、今まさにつくられようとするエコシステムの中で、我が国が重要な役割をしっかりと継続して果たすことができるようにするためには、一体何をしなければならないのか。このことをアカデミア、そして各企業、また、政府の各担当者、こういった方々にぜひ自由に御議論をしていただいて、我が国のそうした世界を視野に入れたエコシステムの1つの基盤をどのような形でつくったらよいか、こうした具体的な御議論を、ぜひ、今日は進めていっていただきたいと思います。
 お忙しい中、お集まりいただいたことを心から感謝を申し上げ、冒頭における挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、堀井内閣府副大臣から御挨拶をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○堀井内閣府副大臣 皆さん、お疲れさまでございます。内閣府副大臣を務めております、堀井学と申します。
 内閣府といたしまして、第2期健康医療戦略のもと、関係各省とも連携をさせていただいて、AMEDを通じて革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出に向けた様々な研究開発支援を展開させていただきたいと思います。
 また、産学官連携やイノベーションが一層進むよう、今後の健康医療戦略に向けて、医療分野の研究開発の現状、課題等について、様々な関係者から御意見を頂戴しているところであります。
 本日は、皆様から医薬品・医療機器・再生医療等製品産業のさらなる発展に向けた忌憚のない御意見をお伺いできればと思いますので、本日は、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、今枝文部科学副大臣から御挨拶を賜りたいと思いますが、公務の都合上、本日は遅れての御出席と聞いておりますので、文部科学省大臣官房、奥野審議官に代読をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○奥野審議官 文部科学省研究振興局担当審議官の奥野でございます。
 本日、所用により、冒頭からの出席がかなわなかった今枝文部科学副大臣より挨拶文を預かっておりますので、代読させていただきます。
 産業界、行政のトップとアカデミアが対話を深めることは、医療分野のイノベーションを創出する上で極めて有意義なものと考えております。
 文部科学省では、主にアカデミアにおける研究費の支援と、基盤構築の両面から革新的な医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出に向けた研究開発を推進しています。
 基礎的な研究開発の成果を実用化につなげていくことも重要であり、先日閣議決定された令和5年度補正予算案では、大学発の医療系スタートアップの創出強化に新たに取り組むこととしており、医療産業につながる研究開発に文部科学省としてもコミットメントを深めます。
 我が国発の革新的医薬品・医療機器・再生医療等製品の創出に向けて、皆様と一丸となって取り組んでまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 以上です。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、吉田経済産業大臣政務官より御挨拶をお願いしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
○吉田経済産業大臣政務官 ただいま御紹介いただきました、経済産業大臣政務官を仰せつかっております、吉田宣弘でございます。どうかよろしくお願いいたします。
 医薬品産業は、国民の健康と経済成長を支える重要な産業でございます。我が国の創薬力の強化に向けて、経済産業省においても、創薬スタートアップの支援や、バイオ医薬品の製造拠点整備を進めております。
 医療機器産業については、成長産業としての期待も大きい分野でございまして、最近では、プログラム医療機器といった新たなカテゴリーの医療機器が登場するなど、医療機器産業を取り巻く環境が変化しております。
 経済産業省といたしましても、イノベーションの牽引役である、スタートアップをより一層支援することにより、プログラム医療機器を含めた医療機器の開発、実用化、そして、産業の成長を促進してまいります。
 経済産業省としましては、製薬産業、再生医療産業、医療機器産業の競争力強化の観点から、引き続き必要な政策を積極的に実施してまいります。皆様からの忌憚なき御意見をお聞かせいただければ幸いでございます。
 以上でございます。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 堀井副大臣、吉田政務官は公務の都合上、ここで御退席をされます。
 なお、武見厚生労働大臣ほか事務方は、終了まで参加をさせていただく予定としてございます。
(堀井副大臣、吉田政務官 退室)
○水谷課長 それでは、冒頭の御挨拶は以上とさせていただきますので、プレスの方は御退室をお願いいたします。
(報道関係者退室)
○水谷課長 それでは、本日はまず、厚生労働省から資料の御説明のお時間をいただき、その後、産業界、アカデミアの皆様から資料に沿って御説明をいただき、その後、意見交換とさせていただきます。
 早速でございますが、私から資料2について御説明をさせていただきます。
 今回の目的は、アカデミア、それから産業界からの御意見、そして意見交換にあると思いますので、資料の説明は簡潔にさせていただきます。
 資料2、横置きの紙でございまして、1枚目が「医薬品のイノベーション推進に向けた今後の方策について」ということでございます。
 冒頭、武見大臣の御挨拶にもございました、エコシステムの創出ということにつきまして、ポテンシャリティーの高い日本のアカデミアが、国内のみならず海外を含めた様々なアクターと協力をしながら、スタートアップの立上げ、成長を支えるオープンなエコシステムを構築する。こうしたことのために、海外のエコシステムのプレイヤーとも連携しつつ、ファイナンスやガバナンスの仕組みを含めて、検討していく必要があるということでございます。
 こうしたことについて、マル2のところでございますが、令和5年度補正予算におきましても、海外からの投資を呼び込む、こうした観点から必要な予算を計上してございます。
 また、治験環境の整備につきましては、ここに書いてあるような形の取組、そして、医療情報の利活用の推進ということにつきましても、全ゲノム解析あるいは医療情報の二次利用ということについて検討を進めてございます。
 「マル5薬価制度上の対応」でございます。
 令和6年度薬価改定に向けて中医協において議論が行われてございますが、収載時の薬価につきまして、革新的医薬品の加算等の評価あるいは日本へ早期導入した場合の評価、また、特許期間中の薬価維持の仕組みとして、新薬創出等加算の在り方等について、また、市場拡大再算定等について、様々な議論が行われてございます。
 薬事制度上の対応ということにつきましては、ドラッグ・ラグ/ロスの解消等に向けまして、新たに検討会を立ち上げて、本年中に取りまとめを目指して御議論をいただいているところでございます。
 希少疾病用医薬品の早期指定、国際共同治験に参加するための日本人データの要否、こうしたことについて検討を行ってございます。
 最後「マル7司令塔機能の強化」ということで、今年の9月、内閣官房健康医療戦略事務局に、鴨下一郎参与ほかが任命され、関係省庁一体となって各種取組を進めていくこととしてございます。
 2ページ目でございます。医療機器の関係でございます。
 マル1と書いてございますが「医療機器スタートアップエコシステムの強化・リスキリング・人材育成」ということでございまして、優れた医療機器の創出に係る産業拠点の強化ということにつきまして、令和6年度の予算の概算要求に盛り込んでおり、さらにこれを今年度の補正予算に前倒しをして、拠点整備の費用を盛り込んでございます。
 マル2、材料価格制度につきましても、令和6年度材料価格改定に向けまして、中医協で御議論いただいてございます。
 イノベーションに対する評価、プログラム医療機器、市場拡大再算定、不採算品再算定などについて御議論をいただいております。
 「マル3薬事制度上の対応」でございます。
 プログラム医療機器の承認につきまして、いわゆる2段階認証ということに関しまして、SaMD版のリバランス通知、こうしたことの策定、発出を進めてございます。
 その他、DASH for SaMD 2の公表のほか、治験環境の整備などを進めてございます。
 また、最後マル4、国際展開につきましても、NCGMにおいて、諸外国への派遣あるいは我が国の医療機関等への受入れ、こうしたことをしているほか、開発途上国、新興国等におけるニーズを十分に踏まえた医療機器のプログラム等の開発、こうしたことについても取り組んでいるところでございます。
 簡潔でございますが、私からの説明は以上でございます。
 次に、医薬品・再生医療産業界から御提出していただきました資料に沿いまして、御説明をお願いしたいと思います。
 なお、大変恐縮でございますが、事前に事務局からお知らせしている時間、こうしたものに沿って御説明をお願いできればと考えてございます。
 まずは、日本製薬団体連合会を代表いたしまして、岡田会長、よろしくお願いいたします。
○岡田会長 ありがとうございます。日薬連会長を拝命いたしております、岡田でございます。
 本日、武見厚生労働大臣の御着任からほどなく、このような官民対話の場を設定いただきまして、誠にありがとうございます。
 私からは、せっかくの機会でございますので、個別各論の要望ではなくて、医薬品産業全体に関する大きな課題認識と、薬価制度に関するあるべき基本骨格の2点について簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。
 次の資料を御覧ください。
 このスライドは、課題認識の全体像をお示ししたスライドであります。タイトルに書いてございますように、科学技術立国日本の再生に向けて、現在、まさに岐路に立たされていると認識しております。
 この上段のグラフは、産業別の世界の市場規模を示したグラフであります。御覧のとおり、医薬品は自動車、素材に次ぐ3番目に大きい成長市場でございます。
 知識集約型産業である医薬品産業は、世界の中で戦っていく力を有する数少ない産業の筆頭格であると認識しておりまして、日本経済の成長を牽引し得る産業であると思います。
 そして、左下は、世界の医薬品市場に占める日本の市場構成比を示したグラフでございます。30年ほど前ですけれども、かつては、世界に占める比率は2割を超えておりました。現在は6%ほどとなっておりまして、年々縮小しております。
 一方で、世界の中における重要性、存在意義が量的には年々小さくなる日本について、市場は小さくても世界からの投資を呼び込むような魅力あるイノベーションフレンドリーな環境を整備していかなければいけないと強く認識しております。
 そして、右下は、昨今非常に大きな問題となっており、国民の皆様に大変な御迷惑をおかけしております、安定供給の問題であります。
 特に後発品につきましては、いまだ30%以上の製品が通常出荷できておらず、また、改善に向かっているとも言い難い状況であります。この発端となっている後発品メーカーを中心とするGMP違反等の不祥事は、一義的にはもちろん当該メーカーの責任であり、この場を借りて、私ども団体を預かる身として、深くおわび申し上げたいと思います。
 一方で、業界団体としても解決に向けた取組を進めているところでございますけれども、この解決に向けては、やはり薬価制度、薬事承認の在り方、産業政策の幅広い観点から、現状の延長線上に一線を画した改革が不可欠と考えているところであります。
 次のスライドを御覧ください。
 こちらは、薬価制度見直しに関する我々の基本的な考え方を示したスライドであります。
 医薬品には、大きく一番左、新薬、真ん中の後発品、長期収載品、そして右端の基礎的な医薬品の3つのカテゴリーがあって、それぞれにおいて求められるもの、あるべき姿に違いがあって、しかるに、めり張りのある薬価制度とする必要があると考えております。
 一番左の新薬については、言うまでもありませんけれども、グローバルスタンダードな観点から、イノベーションを適切に評価いただくことが大切であります。
 そして、真ん中ですけれども、特許が切れたら速やかに後発品に置き換えていくとともに、長期収載品は基本的には市場から撤退する、もしくは価格を速やかに引き下げるべきと考えております。
 ここの新薬と、真ん中のところの時間軸も含めた鋭角的なめり張りが、グローバルスタンダードのイノベーション評価の財源を生み出すポイントになるということを、改めて産業側からも強く申し上げたいと思います。
 そして、一番右端の医療上必要とされる医薬品については、継続的な供給が可能となるように、真に必要性の高い医薬品を科学技術やサイエンスの観点からしっかり峻別した上で、その薬価を下支えすることが必要であると思っております。
 2024年度の薬価改定に向けた議論が大詰めを迎えておりますけれども、こういった考え方のもとで進めていただくことを切にお願い申し上げたいと思います。
 私からの発表は以上でございます。御清聴ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本製薬工業協会の上野会長、御説明をお願いいたします。資料は3-2になります。
○上野会長 私は、ただいま日本製薬工業協会の会長を拝命しております、上野でございます。
 このたびは、官民対話の場を設定していただきまして誠にありがとうございます。
 それでは、日薬連の岡田会長のお時間を少し拝借しながら、私のほうから報告をさせていただきます。
 おめくりください。
 新薬を標榜いたします日本製薬工業協会は、革新的医薬品をスピーディーに生み出し、患者さんに届けることで、日本の健康寿命の延伸に貢献すること、そして、基幹産業として収益を上げ、雇用を確保することにより、日本経済の発展に貢献することを重要なミッションにしております。
 このようなミッションを実現するには、日本の創薬力が強靱であること、そして、そのイノベーションが適切に評価されること、この2つが好循環することによって実現できるものと思います。
 本日は、このうち日本の創薬力強化に焦点を当ててお話をさせていただきます。
 次をおめくりください。
 既に皆様御案内のように、今、世界の創薬の中で大きな変化が起こっているということは御存じのとおりで、一番の大きな変化は、医薬品となるモダリティーの大きな変化です。
 我々が生み出す医薬品は、創薬が求められる対象疾患の変化、そして、イノベーションの進歩に伴い、医薬品となる分子モダリティーは、従前の低分子から抗体、遺伝子治療等を含む新規なモダリティーと多様化しました。
 それによって、これまで有効な治療薬のなかった疾患の克服や、患者さん個人に適した個別化医療の可能性が広がってまいりました。
 その結果、創薬スタイルが大きく変わっており、多様なプレイヤーが参画する創薬エコシステムというものが必要となってまいりました。
 次をおめくりください。
 ここに創薬エコシステムの変化、そして創薬システムの変化についてお話しします。
 従前の低分子創薬においては、各製薬企業が一連の技術、設備を有しており、部分的な協業はあったものの、基本的には自社で完結することができておりました。
 しかし、モダリティーが変わることによって、必要な要素技術の開発や人材像も多様化し、多くの企業では自社だけでは完結することが困難になり、様々な専門性を持つプレイヤーや企業等が参画して創薬を行う仕組み、すなわちエコシステム型の創薬が必要となってまいります。
 このように基礎研究から承認申請に至るバリューチェーンにおいて、多くのプレイヤーが介在するエコシステムにおいて、私どもが重要と思う4つの施策について下に記載しております。
 これらの取組には、既に政府の施策も複数進行中でございますし、また、製薬協としても既に取り組んでいるものもございます。
 次をおめくりください。
 これは、その一例ですけれども、マル1番の創薬基盤技術の実用化における製薬協の取組の実例を御紹介します。
 既に発表しました製薬協の政策提言に端を発し、マルチプレイヤー同士による研究、早期開発への産学連携の取組として始まりました。
 日本が世界をリードする基礎研究に着目、産学で競争力のあるコンソーシアムを設立し、世界に伍する創薬プラットフォーム技術を創生していこうというコンセプトになります。
 このコンソーシアムでは、これまで以上に企業とアカデミア研究者が相互に交流、流動することによって、それらによって創出された知、情報が循環し、新たな知を生む、そのような場の醸成を実現したいと考えております。
 そして、今後、日本の創薬システムをさらに強靱にするためには、もう一段の工夫、新たな取組が必要と考えており、これから、それをお話しさせていただきます。
 おめくりください。
 それを考えるべく事例として、ここに日米英の創薬エコシステムの比較の図を示しております。この図のスケールは同一のスケールでございます。
 まず、創薬エコシステムとして有名な米国ボストンのエコシステムを書いております。御存じのように、そこではハーバードやMITといったトップレベルの大学と臨床実証の場所としての基幹病院が非常に密接に位置し、また集積しています。
 他方、英国ロンドンでは、3つのそれぞれの地域において、大学に加え国営の大型研究所が中心となって、産業化を意識した組織が構築されておりますが、この3つのエコシステム間の連携が非常に強固になされています。
 そして、日本です。これは1つの例となりますけれども、バイオ戦略のもと、東京圏のGTBが採択され、8つのエリアからなるネットワークが構成されています。
 ここから見えてくることとしては、ボストンでのワンマイルスクエアと言われる高密度なエコシステムまたは英国のような広域連携型のエコシステム、それらのいずれにしろ、人がエコシステムの中のプレイヤーとして様々なものをつなぐ仕組みというものが共通であるということです。
 これらの事例からエコシステムの在り方について、産官学で活発に議論し、まずは日本の独自なエコシステムとは何なのだ、あるいは日本の強みとは何なのだというものを考えながら、それを基にして海外のエコシステムといかに連携するか、そういったことを考えることが重要ではないかと思います。
 次をおめくりください。
 先ほど申し述べましたように、エコシステムの成否は、人及びそれらの方々が出会う場の存在が大きいと考えます。創薬に限らず、全ての要素は人によって介在されます。各プレイヤーが交わることで、ここに示したような様々な機会、チャンスが生まれます。
 海外では、パブや飲食店であったり、ラボであったり、時には各種イベントなどに出会いの場があり、意図する場合も、そうでない場合でも、アイデアや知が集まり、イノベーションの種がまかれます。その種は、エコシステムを構成するプレイヤー達が交互につなぎ、豊かな実として回収されます。
 自然界の生態系では、多様な要素がお互いに関わり循環しており、エコシステムの最低条件といいますが、現在の日本で不足しているものは、そのようなエコシステムを構成する要素、いかに人を育てつなぐ仕組みにあるかということを考えます。
 次をおめくりください。これが最後のスライドとなります。
 このように人を育てつなぐ仕組みについて、我々が考えていることを御説明します。
 ポイントは3つの要素、すなわち、人材育成、人材流動性、人材交流の機会にあると考えます。
 まずは人材育成ですが、バイオ製造人材等育成施策は様々動いておりますけれども、不足している職種については継続的な対応が必要です。また、新たな時代、技術に即した人材の育成、教育体制の確立が求められます。
 バイオロジー等の基礎研究は、アカデミアの貢献がより大きい点であり、基礎分野の人材を強化する施策は欠かせません。また、基礎研究をいかにビジネスに結びつけるか、大学に限らず、早期からのアントレプレナー教育の体制確立も必要となるでしょう。
 そして、次に、それぞれのプレイヤーが活発に動き、エコシステムの中で専門性を発揮するために、人材流動性を高める柔軟な施策を、産学官で取り組むことが必要です。また、アカデミア研究者がビジネスに取り組みやすい研究環境も必要でございます。
 最後に、そのようなプレイヤーが交流する機会、海外を参考にしつつも、日本特有の事情があることも考え、リアルだけではなくてリモートも活用しながら、その場を醸成し、そして国を超えて、その取組がなされるようなものを、今後検討、提案してまいりたいと思います。
 そして、それらによりエコシステム内の知が活発に流動、循環し、イノベーションが躍動する、そのような魅力的な場を日本国内にも形成することが欠かせません。
 国と一体となって取組を推進していきたいと思いますので、御支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
 私の報告は以上です。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、米国研究製薬工業協会の原田様、よろしくお願いいたします。
○原田在日執行委員会委員 PhRMAでございます。今日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、日本の健康と経済成長を確実なものにするということで、お話ししたいと思います。
 次のページを開いていただけますでしょうか。
 まずは、現在、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの状況は非常に問題になっておりますけれども、これについて、お話ししたいと思います。
 一番上の現状のドラッグ・ラグ/ロスについてですけれども、2012年から2021年にかけて、欧米で発売された新薬のうち、225品目が日本では未発売です。これは、特にどの領域ということは関係なく、あらゆる領域においてそれが起こっているということです。
 右の図ですけれども、その48%が日本では開発が未着手になっております。そして、現在の第3相試験の現状ですけれども、今、欧米で行われている第3相試験、これのうちの71%が日本での開発未着手となり、これが、恐らく将来にわたるドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの問題になってくると考えています。
 なぜこうなのか。恐らく、サイエンスの裾野が広がって、我々大手だけではカバーしきれない、いろいろな開発が進んでおります。それらのバイオベンチャー、欧米ではバイオベンチャーといっても、非常に規模が大きいバイオベンチャーがありますが、それらのバイオベンチャーが、日本にあえて、なぜ来ないのかということ。
 その1つは、日本の医薬品市場が成長していないということも、大きなことに関係あるのではないかなと思います。なぜなら、バイオベンチャーは、ただでさえ医薬品開発のリスクを背負ってきています。そのリスクを伴って、なおかつ、そのリスクを取って乗り越えたときに、できるだけ成長している市場で上市できると思わなければ、なかなかそこのリスクを取って、あえて投資しようとは思わないのではないかと思います。
 右下の図ですけれども、日本においては2014年、2015年を起点としてR&Dの投資も減っております。これが今の日本の現状だと思っております。
 次のスライドをお願いいたします。
 そして、そのイノベーションを加速するには、先ほど2014年、2015年を起点としてR&Dの投資が減ってきていると申し上げました。
 薬価の点においても、2014年、2015年以降に、様々な政策が取られまして、毎年薬価改定、そして、その薬価の下がり具合は、加速度をもって下がってきているということです。
 医療保険の持続可能性の重要性、これは我々も十分理解しております。しかしながら、高齢化で社会保障費が増加していくと、この調整をある程度薬剤費で賄っていかなくてはならないということも現状なのだろうと思いますけれども、では、これが持続可能な方法なのでしょうか。これは、一度考えていく必要があるのではないかと思います。
 また、この薬価の下落もどこが着地点なのかということが見えません。これは、非常に関係各社にとって不安なところであります。
 したがって、2024年の最低限必要の改革として、我々としましては、他の主要国と同様に、特許期間中の医薬品が価格維持できるような制度、これをぜひお願いしたいと思います。
 また、新規モダリティーや、それから患者家族の視点など、新薬の価値が新規収載時に適切に薬価に反映される、こういう制度をぜひ導入していただきたいと思います。
 また、ある程度中長的期には、現在の市場実勢価格に基づく薬価改定方式、これをぜひ見直していただきたい。なぜなら、現在におきましては、大きなバイイングパワーを持っているプレイヤーがいて、そして、そのプレイヤーが形成する価格によって、この市場実勢価格ができていると思います。対医療機関だけで形成される実勢価格ではありません。それを見直すべきと思っております。
 さらには、改革を実行するために、バイオシミラー、それから後発医薬品の促進、長期収載品の価格の引下げの期間の短縮、こういうものもしっかりと見直していただきたいと考えております。
 次の最後のスライドになりますけれども、そのような現状を考えますと、人々の健康向上、あるいはこの経済成長に貢献する医薬品産業の振興には、もはや産業政策以上に、国としての戦略をつくらなければいけないのではないかと考えております。
 これまでの単年度の薬価で調整するということだけではなくて、中長期的な産業政策の視点は、必要ではないかと思います。そして、この取組は、省庁横断で検討すべきで、そこに国家戦略によって、この分野での投資拡大を目指すべきであると思います。それが、ひいては国民の健康に寄与すると信じております。
 PhRMAからは以上でございます。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、欧州製薬団体連合会の岩屋会長、お願いいたします。資料は3-4になります。
○岩屋会長 EFPIA ジャパンの会長の岩屋でございます。よろしくお願いいたします。
 私どもの資料は1枚でございますので、1ページめくっていただければと思います。
 今、もう日薬連、製薬協、それからPhRMAから、いろいろな提案というか、御発言がございました。
 私どもEFPIAといたしましても、基本の考え方について同意をいたしております。製薬におけるイノベーションは、それを必要とする患者さんたちのためにございます。日本の患者が世界から遅れることなく、イノベーションを享受することができる、そういう社会を実現していきたいということで活動しておりますが、そのために、この3点について、御発言をさせていただきたいと思います。
 1つ目は、薬価制度であります。新薬を開発するというのは非常に長期的な作業でありますが、その中で、投資判断の大前提となっております薬価制度が、企業にとって突然変更されるということがあれば、開発に対して非常に大きな影響がございます。これが繰り返されることになると、長期的な投資をするという判断がなかなかしづらくなると、そういうことが起こりつつあるというのが現状かなと思っております。
 こういったことを防ぐために、予見性が高い薬価制度というのをお願いしておりまして、この点について、引き続き、申し上げたいと考えております。
 世界に先駆けて日本へ先行していいものを届けると、こういうインセンティブを導入していただくと、医薬品の価値が総合的に薬価に、適切に反映されるようなマーケットが、この医薬品の革新というのを、創薬というのを引っ張ってくると、そういう仕組みが必要ではないかと考えております。
 先ほど日薬連の説明の中にもございましたけれども、長期収載品が、後発品が出たときに、速やかに交代できる、そういう環境も実は非常に大切であると思っております。企業にとってみますと、参入する自由だけではなくて、退出する自由というものも保障されていると、そういう制度であることが非常に大切だと考えております。
 2つ目は薬事制度です。試験環境の改善、日本独自の薬事規制の撤廃、先駆的医薬品等の積極的な指定と、これらに係るより早期の薬事審査の開始及び承認の迅速化等に、引き続き取り組んでいただければと考えております。
 薬事制度につきましては、過去10年、15年の間に非常に足早に、皆様の御努力により、日本の制度は非常によくなったと認識をしておりますが、それをさらに進めていただきますとともに、そういったアクセルに対してブレーキを踏まないような保険制度というのをお願いしたいと思っております。
 なお、ここは薬事かどうか、少し判然といたしませんけれども、例えば、2週間処方制限という制限が日本にはございます。これもせっかく日本でどこよりも早く新薬を導入しようというときに、1年間、2週間だけ処方を制限するという制度が同時に存在しておりますと、これは、また、アクセルとブレーキを同時に踏むような、そういうことになると懸念しております。
 3つ目は患者参画の重要性であります。いろいろな患者の方とお話しするたびに、患者様から、日本に、本当に欧米で使えている薬が入ってくるのかという不安の声をお聞きいたします。
 また、これは患者さんたちに対して、現状を説明する努力が我々も足りていないと思いますし、いろいろな制度設計ですとか、これからの改革を議論するときに、適切にその声が吸い上げられていないと認識しておりまして、そこが反映されるような、そういう仕組みをつくっていただければと思っております。
 このような取組によって、我が国が引き続き医薬品における先進国であり続けるということを切に願っております。
 私からは以上でございます。ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、再生医療イノベーションフォーラムの志鷹会長、お願いいたします。資料は3-5になります。
○志鷹会長 FIRM会長の志鷹でございます。本日は発表の機会をいただきまして、ありがとうございます。
 2ページを御覧ください。
 近年医薬品では、ドラッグ・ラグ/ロスの懸念が生じておりますが、再生医療等製品も例外ではありません。
 ここから3枚のスライドで、再生医療等製品におけるドラッグ・ラグ/ロスを回避し、日本国内における革新的な再生医療等製品の創出、普及、産業化を促進するための現状の課題と政府への期待を御説明いたします。
 1点目の課題は、再生医療等製品の多様性を踏まえた規制が整備途上である点です。既にカルタヘナ法については、厚生労働省やPMDAの御尽力により、運用の改善をいただいておりますが、生物由来原料基準も含めた運用改善、規制調和のさらなる推進を期待します。
 また、新たなモダリティーごとの多様な特徴を踏まえ、輸入品の国内出荷試験、規格外品の倫理的供給などについては、既存の制度にとらわれない制度設計、運用改善が必要と考えます。
 そのため、企業も参画し、適時適切なルールの変更を可能とするルール・オブ・ルールの整備を期待します。
 加えて、条件及び期限付承認制度は、再生医療等製品の患者アクセスを早める上で重要な制度でありますが、申請後に判断されるため、企業としては、開発段階で予見性が乏しい点が問題であり、建設的な見直しを期待します。
 2点目として、再生医療等製品の多様な価値が価格として評価されておらず、国内で製品を上市しても十分な収益が得られないため、持続的に研究開発投資サイクルを回すことが困難な企業もあることから、製品の多様性や価値を反映した価格制度の検討の推進を期待します。
 3ページを御覧ください。
 3点目、4点目ですが、現状では、特に遺伝子治療製造拠点の整備が不十分であり、CDMOの育成強化も含め、引き続き対応を期待します。
 また、あわせて、再生医療に係る人材不足の解消が重要です。中長期的な人材の育成に加えて、短期的には産学官の間での人材の流動性を高めるための施策も必要と考えております。
 また、5点目として、他家細胞製品の原材料は輸入に依存しており、地政学的リスクを内在している現状を踏まえて、グローバルに通用する品質の細胞原料を供給できる国内エコシステムの構築への支援を期待します。
 4ページを御覧ください。
 6点目に、医療機関の診療報酬が十分でないことが、再生医療普及の障壁とならぬよう、再生医療特有の手技や体制整備への適切なインセンティブの設定が必要と考えます。
 最後に、医療データの利活用について、再生医療等製品では、ランダム化比較試験が困難な疾患を対象とするケースも多いことから、その際のデータ活用方法に関するガイダンスの策定なども含めて進めていただきたいと考えております。
 本日の内容の詳細は、参考資料として添付しております。また、経団連が11月7日に公表した「バイオ医薬品の産業強化に向けて-再生医療等製品の普及と産業化-」と題した意見書の中でも、これらの課題への対応も含め、記述されておりますので、あわせて御確認ください。
 今後、成長が期待される再生医療分野でのイノベーションの推進に向けて検討を進めていただきますよう、お願いいたします。
 御説明は以上です。御清聴ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、医療機器業界から、事前に御提出いただいた資料に沿いまして、御説明をお願いしたいと思います。こちらも大変恐縮ですが、事務局から事前にお知らせした時間の範囲内でお願いできればと考えてございます。
 まずは、日本医療機器産業連合会の山本会長、お願いいたします。資料は4-1になります。
○山本会長 医機連会長の山本でございます。本日は、このような意見交換の場を設けていただきまして、本当にありがとうございます。
 早速、御説明させていただきたいと思います。
 2ページ目が、本日の目次となります。3ページ目を御覧ください。
 少子高齢化、人口減少社会におきましては、国民が健康で健やかに生活するためのサービスの提供とともに、医療・介護需給ギャップや医療アクセスに係る課題に対応した新たな医療体制の整備が求められていますが、我々医療機器業界としましては、新しい技術による質の高い医療の提供、DXの推進などによる医療現場の効率化、予防・健康・介護に係る各サービスの連続的な提供ということに取り組んでおります。
 6ページ目を御覧ください。
 本日は、昨年5月に閣議決定されました、第2期医療機器基本計画の3つの軸で、イノベーションの推進に向けた取組について、御提案を申し上げたいと思います。
 8ページ目を御覧ください。
 基本方針の1つ目の医療機器の研究開発の中心地としての我が国の地位の確立に関連して、2点申し上げます。
 9ページ目を御覧ください。
 医療機器の研究開発に対する支援に関しましては、基本計画で挙げられましたデータの利活用、レギュラトリーサイエンス、人材育成、研究開発拠点、それから部品、部材などの要素技術の開発・製造等の基盤整備、これが大事であります。
 また、要素技術研究開発の具体的な推進、さらに企業による重点5分野に係る研究開発の支援をお願いしたいと考えております。
 10ページ目を御覧ください。
 データの利活用に関しましては、次世代医療基盤法の改正はありましたけれども、医療データの二次利用は、本人の同意が原則となっております。
 国が中心となりまして、医療機器開発に必要なデータの標準化及び企業がアクセスできる公的なデータ基盤の一体的・体系的な整備、さらには、個人情報の利活用に対する国民への啓発、この辺りをお願いしたいと考えております。
 11ページ目を御覧ください。
 基本方針2つ目の革新的な医療機器が、世界に先駆けて我が国に上市される魅力的な環境の構築に関し、4点申し上げます。
 12ページ目を御覧ください。
 プログラム医療機器、SaMDに関しましては、診断治療精度の向上、業務効率化が期待される一方で、ハードウエアを前提とした既存の規制ではうまくいかない部分があります。
 海外では、デジタル技術の評価プロセスの設定など、政府が積極的に取組を行っております。
 厚生労働省におかれましても、リバランス通知の明確化など、開発環境の整備をお願いしたいと思います。
 13ページ目を御覧ください。
 SaMDや医療機器の新技術につきましては、これまでの保険上の枠組みに収まらないものもあります。革新性について加算や上乗せ等、評価が明確になるよう、また働き方の効率化や、医療財政への寄与など、最終的に患者のメリットとなる新技術について、診療報酬での評価をお願いいたします。
 14ページ目を御覧ください。
 AIにつきましては、診断治療精度の向上、医療の均てん化、医師の負担軽減の観点から、医療現場に果たす役割は急速に拡大するものと思われます。今こそ、AI技術の可能性と課題を整理して、AI技術を使用する場合の指針を策定することは極めて重要だと思います。ぜひAIの医療現場への普及に向けた関係者による検討の場の立上げをお願いしたいと思っております。
 15ページ目を御覧ください。
 イノベーションを推進するためにPMDAにおかれましては、AIなどの新しい技術の審査、承認を行う専門人材の確保など、今まで以上の体制の強化をお願いしたいと考えております。
 16ページ目を御覧ください。
 基本方針3つ目の国民の必要な医療機器へのアクセシビリティの確保に関連し、4点申し上げたいと思います。
 17ページを御覧ください。
 コロナ、ウクライナの紛争、円高による物価高騰など、激変する経済情勢を踏まえまして、安定供給の対応です。
 18ページ、19ページにアンケートの調査がありますけれども、樹脂材料、電子部品、金属材料に至るまで激しく価格が高騰しているころことから、言わば公定価格のある医療機器において、企業収益の圧迫が顕在化しております。
 不採算製品の増加など、安定供給にも懸念が生じており、部材の調達、価格への転嫁、維持のために御支援をお願いしたいと思います。
 続きまして、20ページを御覧ください。
 いわゆる物流の2024年問題に関しまして、納品回数の減少等、医療機器の流通への影響も想定され、効率化が必要との認識でございます。
 現状では、医療機関と販売業の受発注は、約8割が電話、ファクス等を用いており、DXによる効率化が急務と思います。ぜひ、医療機器流通のDXを進める環境整備をお願いいたします。
 21ページ目を御覧ください。
 サイバーセキュリティに対しては、国際統一ルールが設けられることから、医療機関を中心に関係者が連携して取り組むことが求められています。
 また、耐用年数を超えて長期使用されているサイバー攻撃に脆弱な特定保守管理医療機器も大きな課題です。
 医療機関におけるサイバーセキュリティ対策については、法的位置づけを明確にして、コスト負担の在り方の検討、また、特定保守管理医療機器については、継続使用に関するルールづくりの検討をお願いいたします。
 22ページを御覧ください。
 広告規制の見直しについてです。昨今はインターネットなどによりまして、海外からの情報、医療機器に類似した雑品の情報があふれております。
 一方で、製造販売業者は広告規制があるために、正確な情報を提供することができません。そこで、一般人の使用が想定される品目か否かにかかわらず、医療機器、医療技術に関して、適正に情報提供が行えるよう、広告規制の見直しをお願いしたいと思います。これにより、患者の医療リテラシー向上にも寄与できるものと考えております。
 最後に23ページです。
 イノベーションの推進、社会実装に当たりましては、倫理的、法的、社会的の様々な課題、いわゆるELSIへの取組が重要です。産官学連携で環境のルールを整備し、イノベーションをレールに乗せて推進したいと思います。
 私からの説明は以上でございます。ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、米国医療機器・IVD工業会の小川会長、お願いいたします。資料は4-2になります。
○小川会長 AMDD、米国医療機器・IVD工業会の小川でございます。このような機会をいただき、大変感謝しております。
 AMDDの会員企業は、コロナ禍においても、マスクやフェイスシールド、人工呼吸器、パルスオキシメーターなど、COVID-19関連製品の増産、安定供給のため、本社への供給交渉、納期優先などに努めてまいりました。
 また、ワクチン接種用のシリンジ、コンテナ型の簡易CT室、患者さんとの非接触モニタリング機器など、医療現場で必要とされる機器の開発にも取り組んでまいりました。
 次のページに進んでください。
 このような日本国民にとって価値ある製品を開発し、日本の医療を支えるためには、価値に着目した仕組み、Value-Based Healthcareが不可欠と考えています。価値の観点から評価することで、世界に冠たる国民皆保険制度を進化させていくことが必要だと考えています。
 価値を患者さん及び医療に関わる関係者で共有し、選定療養の拡大など、ある程度患者さんにも負担を求めていく、そうしたバランスが求められる時代に既に入っていると考えております。
 医療技術の価値は、技術の発展や社会のニーズによって変遷し得るものです。これまで医療機器の評価にさほど反映されてこなかった健康寿命、患者満足度、介護費用、社会的費用は、超高齢化社会にあって重要な価値尺度と言えましょう。
 次のページをよろしくお願いします。
 価値の高い医療技術を導入するために、AMDDは3つの領域における6つの柱に基づき様々な取組あるいは提言を行っています。
 本日は、その中でも特に医療機器特有のバリューを考慮した算定方式と、流通の効率化と安定供給の確保についてお話ししたいと思います。
 次のページをお願いします。
 まず、価値に基づく収載時の価格算定の1つとして、医療経済性の積極的な評価をお願いします。在院日数の短縮などにより、医療機器の革新的技術改良が医療費削減を達成する場合には、改良加算として経済的評価をお願いします。
 また、反対に、価値に基づかない再算定制度、例えば外国価格による再算定制度などは縮小あるいは廃止をお願いしたいと思います。
 次、5ページは参考資料ですので、飛ばしてください。
 6ページをお願いいたします。
 2024年からの配送業者の働き方改革に伴う医療機器の流通問題への対応が急務となっています。
 必要な医療機器を安定的に医療現場に供給するために、厚生労働省から医療機関に向けて余裕を持った発注、あるいは必要な製品の買取り備蓄、あるいは配送等の附帯サービスの有償化などについての御理解の通知を発出し、医療機関からの協力を仰いでいただくようお願いしております。
 これは、医療機器の流通改善に関する懇談会でも御議論いただいている内容となっております。
 次のページをお願いします。
 最後に、山本会長からもありましたように、昨今の物流コストの増加あるいは円安による原材料あるいは輸入のコスト増加は、私どもAMDD会員企業だけでも年間約3300億円もの損失に達しています。
 これらのコスト増は、医療機関への販売価格に転嫁せざるを得ない状況に徐々になりつつあります。
 そのため、医療機関にとっての逆ざやが発生しており、償還価格を引き上げるルールの導入が必要です。なお、どの程度の逆ざやが生じているかの調査を中医協事務局に要望しているところであります。
 あわせて、外国平均価格再算定においても、日本の価格のほうが低い場合には、償還価格が上がるような見直しをしていただきたいし、安定供給を妨げるような外国平均価格再算定には常に配慮をしていただきたいと思います。
 以上が本日の発表となります。ありがとうございます。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、欧州ビジネス協会、医療機器・IVD委員会の出井副委員長、お願いいたします。資料4-3になります。
○出井副委員長 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。欧州ビジネス協会(EBC)医療機器・IVD委員会です。
 代表の森が所用にて欠席させていただいておりますので、代わりまして副委員長より説明させていただきます。
 1ページをおめくりください。
 この3点について、現状、提案、要望について、本日は説明させていただければと思います。
 1枚おめくりください。
 幸齢社会における医療体制の実現には様々な問題がございます。特に現下の高騰、円安は医療機関及び企業にとって経営上の大きな課題となっております。
 また、オンライン診療のコロナ特例廃止は、患者様の負担となっていることも課題です。社会保障財源の確保をお願いできればと思います。
 さらに、放射性PET検査をはじめとする検査コストが発生している現状では、イノベーションを迅速に提供できる医療保険上の制度構築を要望いたします。
 次のスライドをお願いします。
 医療従事者の働き方改革に対する論点です。
 現在、海外において遅れていたオンライン診療は、患者様の医療の質並びに利便性を確保しておりますので、さらなる拡充を期待するところです。
 下の図に示す遠隔操作による治療や、遠隔ICUの活用は、専門医の不足、働き方改革など、医療問題解決につながるだけではなく、医療を均てん化し、利便性を高めます。
 そこで2点要望いたします。
 1点目として、このような遠隔医療の実現に向けた御議論を引き続きお願いします。
 2点目として、遠隔による入院患者の集中モニター管理など、医療従事者の働き方改革に寄与する製品を評価していただくよう、引き続きお願いいたします。
 次のスライドをお願いします。
 イノベーションについての提案です。
 EBCでは、ドイツのディーガと呼ばれるプログラム医療機器の二段階承認制度にならい、様々な場で日本版ディーガの検討をお願いしてまいりました。
 その結果、二段階承認は制度化が進展しているものと理解しております。また、医薬品においては、公知申請の制度があり、早期に保険収載が可能です。
 そこで、2点提案させていただければと思います。
 1点目として、早期導入に向けた保険上の新たな枠組みとして、選定療養、評価療養の活用を御検討いただければと思います。
 2点目として、予防から予後までのプログラム医療機器などに公知申請の導入を御検討いただければと思います。
 次のスライドをお願いします。
 現状では、診断治療機器の中には、保険償還との乖離が発生している製品や、悪性腫瘍、遺伝子検査、PET検査などにおいては、保険償還が困難な製品がございます。
 そこで提案いたします。
 オンライン診療における設備費用の患者実費負担の実例を踏まえ、選定療養、評価療養を適用する新たな枠組みとしていただくことを、ぜひ御検討いただければと思います。
 次のスライドをお願いします。
 予防医療に対して、保険医療制度の手当がない状況です。右上の地図を御覧いただければと思います。これは、肺がん低線量CT検診の実施国の分布です。2年前より、このスライドを提示させていただいておりますが、低線量CTの浸透により、赤色の地域が拡大しております。また、右下に予防医療の製品の一例を掲載させていただいております。
 そこで、1点要望させていただければと思います。
 このようなクラス1相当の製品は、非医療機器として取り扱われておりますが、これを一定の標榜を認めていただくよう、お願いできればと思っております。
 説明は以上となります。ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本臨床検査薬協会より、江田様、お願いいたします。資料4-4になります。
○江田氏 EBCでIVDを担当しております、江田と申します。本日は、このような機会をいただき、ありがとうございます。
 臨薬協、AMDD、EBCから体外診断用医薬品業界の意見、要望を説明させていただきます。
 2ページ目を御覧ください。本日の発表内容となります。
 3ページ目を御覧ください。「診療報酬におけるイノベーションの評価について」の要望です。
 医療機器と異なり、体外診断用医薬品(IVD)には画期性、改良性、市場性加算等もなく、イノベーティブな製品の開発が行われても、それを評価する仕組みが明確化されておりません。
 現在、中医協の令和4年度診療報酬改定に係る答申書附帯意見に基づき、検査のイノベーションの評価について、保険医療材料専門部会で検討いただいております。
 革新性の高いIVDの開発を促進し、迅速に医療現場に届けるためにも、イノベーションの評価を診療報酬点数に反映することは非常に重要と考えております。制度の導入を、ぜひお願いいたします。
 4ページ目を御覧ください。薬事規制におけるイノベーションの推進です。
 革新的なIVDのグローバル展開、あるいは日本導入を促進するには、薬事規制の国際整合や相互活用が重要な要素となります。
 シングルレビュープログラムを含め、リライアンス向上に向けた検討の推進を要望いたします。
 また、リファレンスカントリーとしての地位を向上させるための第一歩として、承認書や審査報告書等の英語版作成についても御検討をお願いいたします。
 5ページを御覧ください。「新たな感染症危機に対する体制整備」に関する要望です。
 本年9月に政府の感染症対応の司令塔が内閣官房に設置され、感染症対策部が厚労省内に設置されました。
 感染症対策において重要な検査に関わる診断薬業界として、感染症対策部と連携し、次なる危機に備えた体制の構築に貢献したいと考えております。ぜひ、早期の段階から検査体制整備の議論の場に参画させていただきますよう、お願いいたします。
 また、危機管理対策として、今般コロナで整備した装置の維持を含め、平時より医療機関における測定装置の整備等の推奨をお願いいたします。
 6ページを御覧ください。医療機器でも話がありましたけれども、賃金上昇、昨今の為替変動、物流の課題等、非常に厳しい環境のもと、安定供給のための努力は企業ごとに行っております。
 しかし、公的医療保険下で価格転嫁させることが困難なこともあり、事業として非常に切迫している状況でございます。
 企業努力にも限界がございますので、このような急激な環境変化に対して、何らかの対策を御検討いただきますようお願いいたします。
 以上、IVD業界からの要望になります。
 IVDを用いた検査は、医療において非常に重要な役割を担っております。革新的なIVDのスムーズな市場導入、グローバル展開、国内導入の促進、新たな感染症危機への対応及び安定供給の確保、こういったものは、医療を支えるために非常に重要であると考えております。御検討のほど、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 以上で医療機器の産業界からの御説明が終了になります。
 本日は、アカデミア、AMEDからも御出席をいただいております。これも事前に事務局からお伝えしております時間の範囲内で御説明をお願いできればと存じます。
 まずは、国立がん研究センターの中釜理事長、お願いいたします。資料5になります。
○中釜理事長 国立がん研究センター理事長の中釜です。
 私からは、健康長寿に資する個別化予防、さらには新しい医療提供に資する技術展開のための全ゲノム解析及び医療シーズ開発基盤について、当センターの取組を中心に紹介させていただきます。
 次のスライドをお願いします。
 これが、本日紹介させていただく4つのポイントです。
 まず、全ゲノム解析ですが、現在日本では、保険診療下で遺伝子パネルを使ったゲノム診断の検査が行われております。ただ、これはゲノム全体の約0.02%という非常に狭い領域しか見れていないということで、令和7年度から国の事業として全ゲノム解析を中心とした事業実施組織を立ち上げ、その解析結果を患者さんに還元し、さらにはデータを利活用する仕組みの準備が始められています。
 患者さんへの還元とは、全ゲノム解析の結果をすぐに患者さんに還元し、あるいは臨床試験を行う、あるいは患者申出療養や臨床研究に進むことが、実際にどれだけ可能かということが研究ベースで進められており、令和7年度からの事業化に向けて準備を進めているところであります。
 次のスライドをお願いいたします。
 一方、この全ゲノム解析に関しては、ゲノム情報に加えて、例えば、生活習慣や環境要因の情報を加味することにより、さらには様々な健康情報と一緒に考えることによって、個々人のリスクに応じた最適な予防の実現、個別化予防が可能になります。
 具体的な例として、遺伝的な要因に環境要因を加えたときにがんの発症リスクが上がってくることがあります。また、がんの全ゲノム解析により、そのがんがどういう原因によって起こるかということが分かってきます。このような個別化予防に資する研究を展開する、あるいはその医療を実装するという展開が期待されます。
 次のスライドをお願いいたします。
 新しい医療シーズを開発するには、臨床試験基盤が非常に重要です。
 これまで日本の取組は、オールジャパンの体制として、臨床研究中核拠点病院の病院を整備して、研究支援機能を強めてきました。
 同時に、がんゲノム医療中核拠点病院等を整備し、がんゲノム医療の実装体制を整えてきたところです。
 それによって、患者さんのアンメットニーズに応える体制が採られており、その結果、ここに示しますように、医師主導治験あるいは国際共同試験の増加を見ています。MASTER-KEYプロジェクトやSCRUM Japanのような患者登録を通して新しい医薬品開発も進んでいます。
 しかしながら、これだけではまだまだ不十分であるため、15の臨床研究中核病院を中心に、拠点の特性を活かした特色化を推進するとともに、さらにネットワーク基盤を広げ、国内だけでなく国際的に展開しながらデータ基盤を構築することによって、新たな医療シーズ開発が可能になると考えます。
 そのために、例えば、DCTのオンラインの治験や、先ほど申し上げた国際展開も非常に重要であると考えています。
 最後のスライドです。日本においては、バイオ医薬品の開発が1つ大きなボトルネックの部分があります。高度な製造技術と医療技術提供体制を連携を強化することによって、日本で新たな再生バイオ医薬品等の製造開発拠点を促進する必要があると考えております。
 そのためには、全国のアカデミアシーズを実用化する学との共創、早期承認制度を行う官との連携、さらには、CDMO、開発型ラボの運営のような産との共創、この学、官、産が連携することによって、例えば、当センターの柏キャンパスで実現に取り組んでいる柏の葉再生医療プラットフォームのように、企業と、さらには外国機関との連携によって、日本あるいはアジア開発拠点を形成し、これにより新たなバイオ医薬品を開発することが可能になります。既に、再生医薬品、ウイルス治療などの企業を合わせて10品目以上の治験が進行中であり、こういうものに加えて、ベンチャーを育成し、日本の細胞療法に特化した数々のベンチャーなどとも共同しながら、日本において再生バイオ医薬品等に係るシーズを開発するための重要な局面に来ていると考えます。
 このためにも、全ゲノム基盤が非常に重要であると考えています。
 私からは以上です。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、国立循環器病研究センターの大津理事長、お願いいたします。資料6になります。
○大津理事長 国立循環器病研究センターの大津でございます。
 国循では、病院、研究所とともにオープンイノベーションセンターを設立して、知的財産を利活用し、産学連携のもと、医薬品の開発、それから医療機器の開発に積極的に取り組んでいるところであります。
 今日は、そのうち2つのプロジェクトを御紹介させていただきたいと思います。
 1つは、先天性心疾患でございます。先天性心疾患は、新生児、乳幼児の主な死亡原因であります。
 しかし、その手術は非常に難易度が高く、1つは、事前に心臓の3次元構造を術者が完全に把握すること、2番目に、術後の患者さんの状態を予測して手術を決めること、その2つが大事でございます。
 そのため、1つ目でございますけれども、オープンイノベーションセンターに入居する企業とベンチャーと協力しまして、3次元のCT画像から、3次元の本当に触ったら心臓そのものの模型を開発しました。その模型を使うことによって、術者が手術前にトレーニングできるということになります。
 もう一つは、術後の話になります。これは、東京大学と共同研究いたしまして、患者の心臓をコンピューター上で忠実に再現するデジタルツイン技術の一環としまして、新しいシミュレーションシステムを確立しました。
 このシステムを使うことによって、PC上で患者さんの心臓を実現し、そこに仮想的な手術を行うことによって、患者さんが術後どういう経過を取るか、そういうことが予測できるようになりました。
 そこで、そこに書いてあります、2020年から2022年にはAMEDの御支援をいただいて、前向きな特定臨床試験を終え、有効性を確認しております。
 そして来年からは、これもAMEDの御支援を得て治験を開始し、薬事承認を目指すところでございます。
 2番目が、次のスライドですが、メディカルゲノムセンターでございます。ゲノム医療を強力に推進する臨床-研究エコシステムとして、メディカルゲノムセンターを昨年12月に国循内に設立いたしました。
 今、国では、がん、希少疾患が主にゲノム医療の対象になっていますけれども、循環器疾患では、ゲノム医療の難易度は高いのですけれども、その克服に向けて我々努力しております。
 バイオバンクの情報、それからゲノム情報、それから病態の分子探索、それから病態の機序、それから診断治療開発の部門が協力しながら、データシェアリングによって、オールジャパン体制のゲノムのデータベースの創設を目指しています。
 そして、下の4つに示しますように、国循で開発された新しい治療法、あるいは国循では世界最先端のハイスループット・システムを導入しましたので、それによる病態分子の解析、あるいは治療法の解析、それらを利活用して、産官学を通して新しい創薬に結びつけたいと思っているところでございます。
 以上でございます。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、全国医学部長病院長会議から、松村副会長、お願いいたします。資料7になります。
○松村副会長 よろしくお願いいたします。全国医学部長病院長会議、副会長の松村と申します。
 会長の横手がどうしても出られませんので、代わりに出席させていただいております。
 本日は、医薬品・医療機器・医療技術の開発において、全国医学部長病院長会議、AJMCですけれども、及び所属団体である各大学及び病院がどのように関わっているのかについて、お話をしたいと思います。
 資料の1ページ目を御覧ください。
 まず、全国医学部長病院長会議について、紹介したいと思います。
 我々の組織は、全国医学部の教育、研究、診療の諸問題及びこれに関連する重要事項について協議し、我が国の医学並びに医療の改善向上に資することを目的として組織されております。
 組織は、全国82大学の医学部長及び附属病院長で構成され、国立43大学、公立8大学、私立31大学が所属しております。
 現在の会長は、千葉大学医学部の病院長の横手幸太郎先生であります。
 事業ですけれども、1番が、医学教育、研究の振興及び診療の充実に必要な調査研究と情報の交換を行うこと。
 2番が、医育教育、研究及び診療における相互協力について必要な事業。
 3番が、医学教育に関連する代表団体との交渉及び情報の交換などが目的と事業となっております。
 次の資料の2番を御覧ください。
 実際、大学病院がどのように研究に貢献しているのかということを示した資料になります。
 先ほどお話が出ましたけれども、臨床研究中核病院というのは、全国に15ございます。そのうちの13は大学病院であるというのが、左のほうに13大学が示されております。
 我々の傘下は82施設ありますけれども、そのうちの9割、71大学において臨床研究支援部門が設置されております。
 右側のほうに移っていただきますと、これらの大学におきまして、合計4,730の研究が実施されております。
 そして、その下に記載しますように、特許の出願及び取得ですけれども、左が2020年、右が2021年になります。
 国内の特許出願1,586、取得906、国際も994、530と、非常にたくさんの特許が出願されております。
 このように大学病院というのは、医学研究を実践し、そして、それを社会実装するところにおいて、大変大きな貢献をしております。
 そして、次の資料に移っていただいたらいいのですけれども、ここには実際の3つの取組例をお示ししたいと思います。
 1つ目が、東京医科歯科大学ですけれども、医療ビッグデータ、これは、患者さんの診療情報を基にして、国民の皆さんの健康長寿社会に貢献していることを目指すプロジェクトであります。
 2番目は、少し質が変わりますけれども、臨床研究を行うに当たっての被験者保護は非常に重要視されております。ここに記載のHRPPという組織は、被験者保護を、組織IRB、研究者とスタッフ、3つの観点から評価する機関で、大阪大学がそれを取得したということになります。
 3つ目は、岡山大学ですけれども、産学共創活動から、いかにイノベーションを連続的に生み出すエコシステムを整備するのかについての研究をされております。
 最後になりますけれども、資料はありませんが、ここで訴えたいのは、我々の調査では、助教クラスの若手医師の研究時間が全くありません。みんな診療に取られております。そして、来年4月から医師の働き方改革が実施され、さらに状況は厳しくなります。
 今日御出席の文部科学省のほうにおいて、医学教育の在り方に関する検討会の中間取りまとめをしていただきましたが、そこにおいても大学病院における研究力の低下というものを、大きな問題として取り上げていただきました。
 現在、国内の大学のほとんどが、人的資源、それから研究資源の確保についての、様々な御支援をお願いしたいと思っておりますし、経済的支援も、ぜひよろしくお願いいたします。
 以上です。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、日本医療研究開発機構の三島理事長、お願いいたします。資料8になります。
○三島理事長 それでは、資料8で御説明申し上げます。1枚おめくりください。
 まず、医療分野の研究開発推進計画のところでは、基礎から実用化までの一貫した研究開発、そして、社会実用化を図るということがうたわれているわけでございまして、技術・アイデアを事業につなげるための研究者の意識や経営人材・伴走者が不足しているという中で、どう伴走をしながら実用化へ進めていくかという、その伴走の仕方というのが、創薬と、それから医療機器と、それから再生医療と、また異なってくるということで簡単に御説明いたします。
 次を御覧ください。
 これが、創薬支援事業でございます。ここでは、キーワードとしては、創薬ブースター、それから創薬ナビ、それからAMED-FLuXというものが出てまいりますけれども、とにかく実用化を加速するためには、大学、アカデミアがよしとする方法、それから企業が取らなくてはいけないプロセス、これにかなりのギャップがあるということで、とにかく戦略的な相談、研究計画、出口戦略、知財戦略等、こういったものをこの3つの仕組みでもって実現させていこうというものでございます。
 創薬ブースターというところでは、提案をしていただくところから、そういったいろいろな分野の方と相談をしながら、そのスケジュールを立てていくということをしておりますし、AMED-FLuXという新しいやり方は、アカデミアから生まれた有望と思われるシーズについて、これを実際の製薬企業から、有識者を出していただいて、それについてどう進めるかを決めていくというやり方でございます。
 次のページが、医工連携イノベーション推進事業でございまして、ここでは、やはりAMEDでやっております、医工連携イノベーション推進事業というので、実用化実績を上げてきた事業化のコンサルティング、それから伴走支援の仕組みを他事業でも活用できるように広げていこうということで、令和4年度から運用を開始したものでございます。
 ここでは、下にございますように、基礎研究から実用化に至るまで、どのような伴走すればいいかということのプログラムが書いてあるところでございます。
 次の4ページ目でございますが、再生・細胞医療・遺伝子治療研究実用化の支援課題でございますが、これは、創薬と医療機器のものと少し色が違いまして、基礎・応用、そして非臨床POC、そして臨床と進める間に、それぞれに対応した幾つかの箱が書いてございますけれども、特に倫理・社会共創課題であるとか、規制・社会実装の支援課題といったものが特徴でございますけれども、さらに一番下の箱、非臨床POCのところに書いてございますように、研究開発課題の実用化を見据えたアカデミアの研究者と細胞・ベクター製造施設とのマッチング支援、要するに製造という部分が非常に重要になってくるということで、これにふさわしい対策をつくろうということでございます。
 最後に、革新的医療技術創出拠点というところでございますが、ここでは、PD、PS、POとともにサイトビジットや全体会議等を実施して、文科省の橋渡し研究支援機関と、厚労省の臨床研究中核病院を一体的に運用するということでございまして、下の図にございますように、橋渡し研究支援機関のほうではシーズの発掘、育成、そして、臨床研究中核病院では、計画を立案し、実施していく能力、共同して特定臨床研究を実施する場合の指導的な役割を果たす役ということで、それぞれの橋渡し機関、あるいは臨床研究中核病院に12の大学、それから14の病院が関わって、実用化までを進めていくという体制を取って進めてございます。
 以上でございます。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 続きまして、山梨大学副学長、融合研究臨床応用推進センター長の岩崎先生、お願いいたします。資料9になります。
○岩崎副学長 山梨大学の岩崎でございます。
 私は、山梨大学の副学長もしておりますけれども、AMEDの医薬品事業のPDも務めている関係から、今日の発表させていただきたいと思います。
 本日は、趣旨は、アカデミアの創薬を活性化することによって、日本の創薬力を回復させる、活性化させるという点に尽きるお話でございます。
 1枚目をめくっていただきますと、先生方は、もう御承知のことだと思いますけれども、最近の革新的な医療技術というものの源泉は、ほとんどがアカデミアから出てきているという事実があります。
 ここには、1972年の『SCIENCE』ですけれども、ここで初めてフリードマンらが、ジーンセラピーと、この可能性について言及した論文が載っているわけですけれども、こういう基礎研究が長い間、絶え間ない研究によって、やっと実用化されるということもありますので、大学のアカデミアの基礎研究にも、ぜひ力を入れていただきたいと思います。
 ただ、現在のところ、こういうアカデミアが新しい医療技術創出の担い手となっておりますけれども、では、日本はどうかというと、残念ながら諸外国に比べると、まだまだその力は十分に発揮されていないのではないかと感じております。
 次をめくっていただきますと、私がAMEDの医薬品プロジェクトのPDとして、いろいろと携わらせていただいたことで感じたことを、何点かお話をさせていただきたいと思います。
 AMEDが発足して10年近くたとうとしておりますけれども、医学部の、医学部に限りませんが、大学の先生方が革新的な医療技術を創出しようということに関して、AMEDの支援等々、かなり先生方の意識が変わってきた。要するに実用化をして、社会に提供する、患者さんに届けたいと、こういう意識がかなり強くなってきたということは、AMEDの果たしてきた役割ではないかなと考えております。
 それから、先ほど中釜先生らもお話がありましたけれども、最近の進歩によりまして、非常に精細な理論に基づく治療薬の開発がなされてきた。それから、アカデミアですので、どうしても、正直言って、ビジネス的にはなかなか成り立ちにくい難病、希少疾患、小児、AMR等々の、こういうメディカルニーズが非常に高い、ただ、患者さんの数はあまり多くない、こういうものを研究されている先生が多い。
 ただ、AMEDの今の支援の在り方が、どうしても基礎研究から、せいぜい臨床研究の最初の段階にとどまってしまっていて、なかなか最終ゴールまで届かせることが難しい。
 それから、医師主導治験という仕組みが日本にはございまして、これも非常に多くの先生が、この仕組みに取り組んでいらっしゃる事実がございます。理論的なアプローチによって、この試験の成功確率というのは、従来のものよりはかなり高いものではないかと。
 ただ、医師主導治験の結果、いい結果が得られても、それを実際に実用化に達する、ここの方策が、残念ながら日本には整備されていない。また、国際的な試験もなかなか現実は難しい状況です。
 それから、これは研究者側の問題でもあるのですけれども、開発当初から、先生方は、ほとんどの先生が欧米の先進的な研究者といいネットワークを持っていらっしゃるにもかかわらず、研究開発のプランには、最初からグローバルな視点が、残念ながらあまり見られていないと、こういう問題があろうかと私は感じております。
 こういう点を踏まえて、本日提案させていただきたいのは、ただいま、三島理事長からも種々の提言がございましたけれども、AMEDというものの目的をもう一度明確化させて、各事業の連携等々を図ることを強化する。
 具体的には、創薬支援部門であれば、伴走支援型の充実をさせる。AMED-FLuXという事業を立ち上げましたけれども、これはアカデミアの研究者の先生と、製薬企業の開発経験者の方々の自由な意見交換の場として活用されておりますけれども、これをもっと早い時期に、またはもう少し遅い時期とか、拡充してもよろしいのではないかなと。
 それから、AMEDにはサイクル事業等のアカデミアのシーズをベースにして、企業が実用化を目指すという仕組みがありますが、これがなかなか問題を抱えていることが顕在化してまいりました。かえって、バイオベンチャーを潰すのではないかと、こういう議論も最近はなされているということも仄聞しておりますし、こういうものに対していい仕組みですので、抜本的な見直しをすることによって、バイオベンチャーの育成に資する仕組みにする必要があると考えております。
 それから、創薬ベンチャーエコシステムも、今の段階は、1を10にする仕組みであって、0を1にするという仕組みには、残念ながらなっていないので、ここら辺も拡充をしていただきたい。
 いずれにしても、こういうものを通してAMEDの目的は、臨床的な有効性、安全性を、まず見る。これも低分子だけでなくバイオ等々の、そういう新しいモダリティーに対しても、そこまで見られるちゃんとした力、それから施設、ファースト・イン・ヒューマンと申しますが、その施設を整備することが必要だろうと思います。
 その次は、こういう成果を無駄にしないためにも、薬事承認、それから社会実装まで導くことができる公的な支援の仕組みを構築してはどうかと考えております。どうしてもアカデミアの先生方が頑張っていらっしゃるのは、製薬企業にとっては、正直やりたいけれども、やるわけにはいかないみたいな、ビジネス的に非常に難しいものが多い。こういうものは、製薬企業の方々のお力もお借りして、物をつくるのは、アカデミアの方々には、あまり任せるわけにいきませんので、やはりこれはプロフェッショナルの方の御協力が必要だと思います。なかなか採算的に合わない、ただ、メディカルニーズが高いものは、公的な仕組みをつくって、成果を患者さんに届ける仕組みを構築したらいかがかと提案いたします。
 日本は世界に冠たる皆保険制度等々、医療に関しては非常に公共性の高い仕組みを持っているわけで、こういうところに新しいお薬を届けるというところにも、この公共性を生かした仕組みをつくる。官製企業というと少しあれですけれども、もうからない官製企業をつくっていただいて、ぜひ研究者の成果を患者さんに届けることができる仕組みを構築していただきたい。
 そういうことを通じて、日本型のエコシステムというものをつくることによって、これは世界に冠たる日本の特徴ある仕組みになるのではないかなと。そうすれば、日本が持っている基礎研究能力の高いポテンシャルを現実的に患者さんに提供できる、こういう仕組みがつくれるのではないかなと思っております。
 私からは以上です。どうも御清聴ありがとうございました。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 業界、そしてアカデミアの皆様、限られた時間の中で簡潔に御説明いただき、どうもありがとうございました。
 続きまして、ただいま御要望いただいた事項につきまして、行政担当者のほうから簡潔に御説明をさせていただきたいと思います。
 では、森光審議官からお願いします。
○森光審議官 まず、日頃より医療保険行政への御理解、御協力を賜りまして感謝を申し上げたいと思います。
 まず、本日は、医療機器及び医薬品の評価の在り方について、様々御要望、そして御提案をいただきました。さらに、財源確保等につきましても、具体的に踏み込んだ御提案をいただいたと思っております。
 革新的な医薬品・医療機器については、イノベーションの適切な評価が重要であるとともに、国民皆保険の持続性、それから保険財政の重点的・効率的配分の観点も重要であるということから、これらのバランスを取りながら、引き続き薬価制度改革、材料制度改革に取り組んでまいりたいと考えております。
 あわせて、医療機器・医薬品の安定供給を確保し、国民が必要なものを使用できるようにするということ、これも重要な課題と認識しております。医療上の必要性が高い医療機器・医薬品について、価格を維持または引き上げる仕組みを設けておるところではございますけれども、次の24年、令和6年の診療報酬薬価改定についても、現在、議論が進行中でございますので、その中でもまさに議論の焦点となっているところでございまして、今日いただきました御提案につきましても、検討をさせていただいておるところでございます。
 それから、再生医療等製品の保険上の取扱いについてでございますけれども、再生医療等製品については、これまで承認されたものを見ましても、非常に幅広い用途、それから用い方も様々、そして、またデリバリーシステムも様々という中で、一つ一つどのような形の評価がふさわしいのかということを検討しながら、今、薬価をつけておるところでございますけれども、もう少し症例を集積させていただいた上で、今後の在り方を引き続き中医協の中で検討させていただきたいと考えておるところでございます。
 また、そのほか、たくさんの御意見をいただいたところでございます。多くは、まさにイノベーションの評価をきちんとするべしという御意見だったかと思います。
 この点については、今年の、まさに令和6年の約制度の見直しにおいて、大きな課題、まず、一丁目一番地の課題だと認識をしておるところでございまして、これもまさに、今、御出席の方々の意見を聞きながら検討を進めているところでございまして、本日の御提案も含めて検討を進めていきたいと考えておるところでございます。
 私のほうからは以上でございます。
○水谷課長 続きまして、大坪局長、お願いします。
○大坪局長 本日も御意見ありがとうございます。健康・生活衛生局長でございます。
 私のところは健康局でございますので、薬事・薬価に直接絡むものではございませんが、今、健康局のほうで進めている研究開発に資するような取組を2点御報告したいと思っております。
 まず、1つ目はワクチンであります。今般のコロナにおきましては、今日、原田さんがいらっしゃいますけれども、外資の企業の皆様の御協力をいただいて、日本国民に対して提供ができたところであります。かなりワクチンが逼迫している中で御協力をいただいたと思っております。
 ただ一方で、国内での生産体制の脆弱、ここも強く認識させられたところでございます。我々としましては、令和3年の6月にワクチン戦略の強化に対する閣議決定をいただいておりますので、これを踏まえまして、関係省庁とよく連携をし、具体的には経産省さんですとか、あとは三島先生のところのAMEDと役割分担をしながら研究開発の強化、これを強く推進してきたところでございます。
 何社か国内での企業を採択させていただいて、結果として、今年の8月には第一三共さんから薬事の承認が下りたというところであります。
 また、引き続いて、変異株についての研究開発、薬事申請も第一三共から出していただいている。
 それ以外にも複数の国内企業が開発を進めていただき、今、複数の社から薬事申請をいただいているところでありまして、厚生労働省としましても国内の生産体制の強化、これを次のパンデミックですとか、様々なことに耐えられるような体制をしっかりつくってまいりたいと考えております。
 2つ目は、少し毛色が変わっていますが、難病・小慢のデータベースに関して御報告したいと思っております。
 難病・小慢、特定疾患につきましては、オーファンドラッグの研究開発に資するような情報、このデータベースを我々は持っているわけでありますけれども、これを第三者の皆様、民間の企業の方を含めて提供できるような仕組みを、昨年の難病法と児童福祉法の改正に基づいて可能としたところであります。
 現在、施行に向けてどういった情報を、どういった仕組みで提供することによって使っていただけるか、これは企業の皆様からもヒアリングをしながら検討を進めているところでございます。
 これは、AMEDの中でも難病の、例えばサイクルとかヴィークルですとか、そういったところで、これまでもベンチャーの皆様を支援してきたところでありますけれども、引き続き、厚生労働省としましても、こういった貴重なデータを皆様に使っていただけるような仕組みを、これからつくってまいりたいと思っております。
 以上です。
○水谷課長 続きまして、佐々木部長、お願いします。
○佐々木部長 感染症対策部の佐々木です。
 2つの感染症危機の切り口で申し上げたいと思います。
 まず、1つ目の感染症危機は、冒頭、武見厚生労働大臣も申し上げたパンデミックの形での感染症危機です。
 これについては、今、大坪局長からオンゴーイングに、今、どういう取組をしているのかという話をいたしましたし、次の感染症、パンデミックに向けてという意味では、江田さん、臨薬協からも、先ほど、次の感染症に向けて平時のうちから様々やり取りをしたいというお話をいただきました。これは、そのとおりに平時から進めたいと思いますので、江田さん、よろしくお願いいたします。
 次に向けては、今、政府全体の行動計画を年内に中間まとめ、それで来年夏に向けて最終的な取りまとめを進めております。
 なかなかこのパンデミックに向けてというのは、皆さんのところ、コマーシャルベースに載りにくいところではございますので、政府全体の支援を、この行動計画の文脈の中でうまく載せていきたいと思います。
 2つ目の感染症危機ですが、これはAMR、薬剤耐性です。今年5月に広島で、G7広島首脳会合、長崎で保健大臣会合がありました。
 それぞれAMR、ワンヘルスの文脈の中で載ったところでございますけれども、これについては、今年度、厚生労働省からの備蓄事業を始めたところです。
 また、学術的な面で言うと、先週ですけれども、先ほどのG7長崎保健大臣会合を踏まえてのハイレベルでの専門家会合を行いましたし、また、政治的な追い風という意味では、今年の3月には自民党ワンヘルス議連ができて、そういう意味では、与党、政府を挙げてAMR対策を加速してまいりたいと思いますので、これもなかなかコマーシャルベースに載りにくいところではあると思いますので、だからこそ平時から対話を重ねていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○水谷課長 続きまして、城局長、お願いいたします。
○城局長 医薬局長の城でございます。本日は、いろいろ御意見いただきまして、ありがとうございます。
 私からは、幾つかお話をさせていただきたいと思いますが、まず、薬事規制、私どもは医薬局ですので、やはり薬事のお話をさせていただくことになりますが、特に医薬品でいけば、ドラッグ・ラグ/ドラッグ・ロスの懸念といった状況の中で、要因はもちろん単一のものではないのですが、その中でも、そういった要因を一個ずつ解消していかないと駄目だということで、例えば、希少疾患の希少疾病医薬品のオーファンの指定の早期化とか、それから一変の在り方の見直しとか、できることは検討を進めて、順次やっていこうとしているというか、相当表に出しましたが、やっているところであります。
 ただ、そういった形でやっている中で、一方で、もちろん、新薬、創薬、それから革新的な医薬品、再生医療等製品をやっていくに当たって、私の立場からは、やはり、GMPはいろいろと御意見があると思いますが、安全性といった部分とか品質、これは、ぜひ当たり前の話というか、大前提の話なので、ここは改めてちゃんと踏まえていただきたい、業界が業界として仕事するための基本の基本ですので、是非ここは引き続きお願いしたいと思っています。
 それから、機器のほうではSaMDの関係のお話をいただきました。リバランス通知のお話がありましたが、これも本年中に発出ができればいいなということで、今、進めていますので、いろいろお声を聞かせていければなと思っています。
 それから、再生医療等製品の関係でいくと、いろいろお話もいただきました。
 御承知と思いますけれども、諸課題検討会で、これは皆さん入っていますが、とにかくここの世界は、それぞれ製品ごとというか、物によって相当違いますので、ルールになればルールにしていくわけですが、基本的に意見交換をするとか実態を反映していくための場があるということと、そして、その場で、実際にいろいろ御意見をいただきながら、規制の在り方を協議していくという形で、定期的にやらせていただいていますので、そういったところで、今日もたくさんいただきましたけれども、実際に具体に出していただいて、個別に処理していくという形にさせていただくのがいいのではないかと思っています。
 いずれにしましても、こういった場でもいただきましたし、日頃も私どもの薬事関係についても御意見をいただくと思います。そういうことを踏まえて、改善できるもの、特に新規の製品とか、革新的製品、創薬、こういったものをどういう形で薬事が資することができるのかというのは大事な観点だと思っていますので、そういった意味でも、いろいろと意見交換をさせていただければと思っています。よろしくお願いいたします。
○水谷課長 それでは、残された時間で意見交換とさせていただきたいと思います。
 意見交換は、大きく医薬品・再生医療産業界のほうと、それから医療機器業界とに分けまして行いたいと考えてございます。
 まずは、医薬品・再生医療産業界の観点から意見交換をお願いできればと思っております。
 それでは、御質問、御意見等ある方、挙手でお願いできればと思います。よろしくお願いします。
 どうぞ、よろしくお願いします。
○志鷹会長 FIRMの志鷹でございます。再生医療に対するコメントをありがとうございます。
 我々としましては、本当にいろいろな特殊性がある製品、カテゴリーだと思っておりますし、御指摘いただいたように、一つ一つ特徴が違うところがございますので、我々、提供できるデータは、可能な限り出したいと思います。それから、いろいろなサブモダリティーといいますか、ティシュ型のもの、サスペンジョンのもの、それから、ex vivo、in vivoの遺伝子治療と、それぞれ複数製品が出てきていますので、共通の課題というのがあれば、ルール化していただければと思いますし、個別のものというのは、個別の対話のところで、お話を続けさせていただければと思っております。
 よろしくお願いいたします。
○水谷課長 どうぞ。
○森光審議官 保険局でございますけれども、まさにおっしゃるとおり、今まで出てきたものを見ますと、いろいろと一つ一つが特徴的であると、その中で共通した課題といったものも少しずつ見えてきているところではございます。ぜひ、業界の方々と、そういう共通の課題等々について、しっかり意見交換をしながら進めていきたいと思っております。
○水谷課長 よろしくお願いします。
○原田在日執行委員会委員 PhRMAですけれども、今回、新たな司令塔機能ができるということで、そこで作成される総合的な戦略の中に、ぜひ国民に向けて、創薬イノベーションが称賛される社会を築くといいますか、その創薬イノベーションが重要なのだと盛り込んでいただきたいと思います。結局イノベーションというのは、1つの会社だけでやるわけではなくて、社会が育むものだと思うのです。ですから、イノベーションを生み出しても、それを社会が受け入れないとイノベーションにならないと思います。ぜひ新たな司令塔機能の中に、創薬イノベーションが国民の健康に寄与するのだというメッセージを、強く打ち出していただきたいと思います。
○水谷課長 ありがとうございます。
 創薬力の強化につきましては、私のほうからも冒頭御説明申し上げたとおり、内閣官房健康医療戦略室のほうを中心として、まさに関係省庁が連携して対応していくという体制をとっております。
 今、武見大臣の御指導のもと、様々な関係者から御意見を伺いながら具体的な形というのを模索している、そういう段階であります。
 今、原田さんがおっしゃられたとおり、この創薬力の強化というのは何のためなのか、すなわち、創薬をする企業のためなのかということではなくて、最終的には、それは我が国の国民に革新的な医薬品・医療機器等がきちんと届くようにする、そうしたことが目的だと思います。
 そうした観点も踏まえまして、今、おっしゃっていただいたような創薬力の強化というものを何のために行っていくのか、そうしたメッセージの発出も含めまして、よく関係省庁と連携をしながら取組を進めていきたいと考えております。
 お願いします。
○岡田会長 日薬連の岡田です。
 イノベーションの推進と国民皆保険の両立というキーワードは、あらゆるところで言われているところでありますけれども、まさにそのことを実現するためには、これまでの枠組み、現在の枠組みを超えた議論が必要だと思っております。
 少なくとも医薬品という要素を見ると、現在の枠組みでは、最先端の科学技術力によって創成された画期的新薬から、時間の経過に伴ってガイドラインから外れた薬剤まで全てカバーされております。
 ただ、今、いろいろ議論がされているのは、本質的に医療上必要性の高い医薬品を安定供給するという切り口であり、いわゆるカバーされることが重要であって、そういった医薬品をサイエンスの観点から選定する、峻別するという仕組みを整備する必要があると思っております。
 現在、承認後の薬剤というのは、基本的には市場実勢価を中心に政府の統制がなされているわけでございますけれども、実臨床での有用性をリアルワールドデータで判断して、医療の効率を高めていく、あるいは価値や価格を再評価する、あるいは場合によっては、保険給付から外すといったことも含めて、サイエンスに立脚した仕組みによって政府は統制していくべきではないかと思っております。
 やはり医薬品というのは、ほかの産業分野にはなく、情報の非対称性が最も高い商材だと思っておりまして、その観点について、やはりしっかりとした評価基軸を持つことによって、世界に冠たるイノベーションと国民皆保険の両立がなされるのではないかと思っていまして、ぜひ、そういったことについても御検討をいただければと思う次第であります。
 以上でございます。
○森光審議官 非常に貴重な御提案、それから非常に重要なことの御指摘をいただいたと思います。
 まさに、最初におっしゃられたように、我々、国民皆保険の話と、それからイノベーション、これを両立しなければならないところでありましたけれども、非常に財源問題等々、御心配いただいているところについても、本当にこれを、今、真摯に議論をしておるところでございます。
 そういったところで、まさにサイエンスの視点というのは非常に大事なところだと思っています。
 そういう意味では、医薬品・医療機器の再評価等々についての在り方も問われるだろうと思います。費用対効果の話だったり、それから追加での再申請というところもあるかと思います。
 また、かなり価値が下がってきたもの、これについてどう考えるのか。まさに保険から外すといった御提案もありましたけれども、そういうものを含めて、これは、小さい意味での薬価制度というのではなく、広く保険の仕組みといったことでの議論が必要なものだと思っております。
 これは、本当に重大な、そして、大事な議論だと思っておりますので、いろいろ御提案、そして皆様の意見を伺いながら、全体として考えていくものだろうと思っております。ありがとうございました。
○水谷課長 どうぞ。
○上野会長 製薬協の上野ですけれども、今日はエコシステムということで、国の間のエコシステムの比較をさせていただきました。
 私自身、この問題を考えるに、日本のエコシステムを考える場合に、何もボストンの真似をする必要はない。一方で、日本だけに閉じる必要もないと思います。
 ただ一方で、その中で重要なのは、やはり強みというものがないと、なかなか他国も興味を持ってもらえないという中で、日本のエコシステムの特徴は何かとか、強みというのをもう一段掘り下げて考える必要があるかと思います。
 その中で、1つ強みになり得るだろうなというのは、やはり日本というのは、非常に統一性、均一性の高い風土であります。
 そういう中で、そこから得られる健康医療データは、多分、すごく世界的に見ても質の高いものが取得されるとは思うのですが、その一方で、それらが、今日もお話にありましたかもしれないですけれども、なかなかうまくつながっていない。その問題を改めて解決すべく、今回、設置される司令塔には、せっかく日本にある医療情報データをうまくつなげて、例えば、創薬とかの利活用につながる仕組みづくりを、ぜひしていただきたいということ。
 あと、もう一点は、日本の中にあっても、いわゆるエコシステムと言われるものは、地方にもございます。それはそれで私はいいと思うのですが、そういう日本国内のエコシステム間がつながる、何かそういう仕掛けがないか、そういったものを製薬協の中でも考えて議論していきたいと思いますので、それは国のほうも、ぜひそこは御協力いただきたいと思います。
 以上です。
○水谷課長 どうもありがとうございます。
 では、続きまして、岩屋様、お願いします。
○岩屋会長 すみません、先ほどの質問に戻ってしまうかもしれないのですけれども、森光審議官のお答えなどにもありましたが、医薬品の価値をこれから評価していくということで、いろいろな議論があるというのは、それは非常に結構なことだと思いますし、基本的に我の医薬品市場というのは、最初に薬価をつけていただいた後は、基本的には自由競争というか、資本主義の原理でビジネスを展開していますので、そこで既に価値の判断というのは1回されていると。
 それを前提に申し上げますと、まず、最初に非常に画期的な医薬品を、これから国を挙げて開発していこうと、それを盛り上げていこうという議論の中で、先ほども申し上げましたけれども、そちらの方向の議論と同時に、とはいえ、画期的な医薬品でも、やはり経済的な部分で調整をしましょう、あるいは修正をしましょうという議論が同居していると、メッセージとして非常に外資系企業は困惑するということを、正直に申し上げたいと思います。
 HTAの議論も、今、中医協で議論されておりますので、こうであるということではないのですけれども、やはりもともと薬価制度を補完するという形で導入されたものであって、それが本体と同一視されるような議論になりつつあるというのは、正直申し上げて業界とすると非常に懸念があるし、それはおかしいのではないかと思っております。
 実際のHTAもそうなのですが、特に特許期間中の画期的な医薬品については、ぜひメッセージをシンプルにしていただければなと思います。
 一方で、特許が終わりまして、後発品が出ているというものにつきましては、先ほど申し上げたとおり、どちらかと言えば、後発品のほうの市場が整って、そこに一刻も早くバトンタッチしていくと、これは岡田会長も、そういう発言をされておりましたが、その際、やはり、企業として価値判断をして、これをビジネスとして維持すべきではないというジャッジをしたときには、また、撤退をする自由が与えられるということも、併せて考えていただければと思います。
 私ども安定供給に協力をするというのは、もちろんのこと、企業の責務として認識しておりますが、それは未来永劫、ビジネスにならないものは、ビジネスを続けるということはありませんし、そういうメッセージになると、また、医薬品の開発に対する意欲をそぐ結果になると思いますので、ぜひその点、老婆心ながらというか、お考えのことであると認識しておりますが、ぜひ再度、よろしくお願いしたいと思います。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 時間の関係もございますので、医薬品業界の関係の意見交換は、ここまでとさせていただきまして、続きまして、医療機器業界の関係の意見交換に移りたいと存じます。
 では、御意見、御質問等ある方、よろしくお願いいたします。
 どうぞよろしくお願いします。
○松本副会長 医療機器産業連合会副会長の松本でございます。
 お時間がないので、2つの実例を挙げながらと思います。
 1つは、国策でもありますけれども、安定供給、これは、平時と非常時に分かれると思いますけれども、非常時は、今でも思い出すのは、11年前の東日本大震災のときに、人工呼吸器が足りないということで、行政から夜中中、私の自宅にお電話をいただきまして、東北6県の人工呼吸器の設置台数の分布等々の御質問がありました。今でも思い出すのですが、そのときに、この種の会議で、私は人工呼吸器だけではないけれども、例えば、人工呼吸器について、官民で備蓄センターをつくったらどうですかと。機械は腐るものではないので、もし数年で余ったらば、JICAさんのODAと協力して、発展途上国に回したらいかがですかというようなことを申し上げました。
 これは実現しませんでしたけれども、それから7、8年たって、COVID-19が起こりまして、同じように人工呼吸器が足りないということが起こりました。そのような備蓄センターのようなものを今こそお考えいただいたらいかがかなということが1つでございます。
 これは、平時の流通に当たりましては、医療材料等々の輸送にドローンを利活用するとか、いろいろ考えるべきであろうかと思います。
 もう一つ、脱炭素、カーボンニュートラルの件です。これは、医療機器産業として、どのように、実際に国策に協力できるのかということを考えていかないと、ただ口で言っていてもどうしようもないのではないかと。
 例えば、アメリカでは20年前から、R-SUD、単回使用医療機器器の再製造ということが言われました。今、現実に年間総千億円のコストセービング、あるいは九千数百トンの脱炭素ということが実施されています。日本では5、6年前からのお話ですが、やはり、再生ではなくて再製造、リマニュファクチャリングの実施ということを本気で考えるべきです。さらに、これは個社によってはいろいろな御意見があるかもしれませんが、やはり国民として国策に沿うにはどうしたらいいかということを先ず考えるべき時代が来ているのではないかと思います。
 まだ申し上げたいことは、この他「バーコードの活用と医療DX」とか多々ありますけれども、お時間の関係で、以上にいたします。ありがとうございました。
○水谷課長 ありがとうございました。
 続けて、山本会長、お願いします。
○山本会長 医機連会長の山本です。
 今日はイノベーションの話ということなので、私が思うイノベーションについて述べさせていただきます。まず、イノベーションの難しさですが、まず第一のハードルは、立ち上げの難しさです。これは、叡智を結集して、先生方と一緒になって立ち上げていかなければならないものと思っていますし、異論のないところだと思います。第二のハードルは、社会実装、要は市場に届けるということです。ここには、ELSIの議論もあると思いますし、まさに、色んな場で議論をさせていただいていると思っています。第三のハードルとして認識しなければならなのが、社会実装後の事業としてのサステナビリティです。事業が継続できるかどうかであり、これがなければ、結局イノベーションとして世に中に残らないことになります。第二、第三の議論として、診療報酬の改定や薬価の改定の話もあるのだと思いますので、これからは、社会実装だけでなく、事業のサステナビリティにも目を向け、議論をしていくべきだと考えております。
 以上です。
○水谷課長 ありがとうございます。
 どうぞよろしくお願いします。
○小川会長 AMDDの小川でございます。
 限られた時間なので、発表の中では触れなかったのですが、医療機器で結構大きなオポチュニティーというか、機会はデジタルだと感じておりまして、例えば、バリュー・ベースド・ヘルスケアをやるに当たっても、データとか、そういったものがそろってきますと、バリューをはかるのが非常にはかりやすくなってくる。デジタルを使うことによって医療の効率を上げたりとか、精度を上げたりとか、連携を保ったりとか、かなり大きな広がりがあると思うので、ぜひデジタルに関しても、医療の世界に、非常に大きな課題だという捉え方をしていただければと思います。
 以上でございます。
○水谷課長 ありがとうございます。
 では、江田さん、お願いします。
○江田氏 EBCの江田でございます。
 1つは、安定供給です。森光審議官からもお話がありましたけれども、我々EBCや臨薬協、AMDD、内資、外資、全て今の状況は事業継続が非常に厳しいと感じております。
 そういう中で、今、御検討をいただいているということですので、ぜひ保険の中でどういう仕組みができるのかというところを御検討いただければと思っております。
 もう一点が、COVID-19のパンデミックで、体外診断用医薬品、IVDの重要性というのは非常に国民の皆さんにも分かっていただけたかと思っています。
 今日の話の中でもパンデミックに関して、次のパンデミックに備えて議論に参加させてくださいということもお話ししましたが、AMRにつきましても、非常に重要な政策課題というお言葉がありましたので、こちらについても、ぜひ今後、一緒にお話をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
 以上です。
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 まだまだ議論が尽きないところなのですが、司会の不手際によりまして、もう今、予定された時間になろうとしておりますので、意見交換はこの辺りとさせていただきたいと存じます。
 それでは、最後に、武見厚生労働大臣から御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○武見厚生労働大臣 大変貴重な御意見を率直に頂戴して、ありがとうございました。
 まず、私自身、全体像として大変重要な問題提起があった。我が国における皆保険制度というものが、今日の医学・医療の進歩をどこまでカバーできるのか。この問題提起は、政治家である私どもの立場からすれば、実は決定的に重要であります。
 どうやら、今のままの医療保険制度では、現在の医学・医療の進歩の果実というものを、全てどころか、相当部分カバーできない状態に陥ろうとしている。
 では、一体、先ほどから出ているような選定医療といった考え方を用いることになるとすれば、今度は、皆保険制度の中で我が国の1つの政治文化となってきている、保険証1枚あれば、どこの医療機関でも適切な医療を受けることができるという、我が国におけるエクイティの問題、この問題を、そうした新しい制度、仕組みの中でどのように捉えるのかと。これに対する回答をきちんと用意しないと、この皆保険制度というものを簡単に実は変えることはできません。
 したがって、ぜひ皆様方におかれましては、こうした現在の医療保険制度が、残念ながら医学・医療の進歩を全てカバーできなくなりつつある現状の中で、どのような新たな医療保険制度、また同時に、それを改めてエクイティというものをできるだけ守りながら、どのように新しい財源を確保し、新しい医学・医療の進歩をカバーできる仕組みとなっていくのか。こうしたマクロな全体像に関わる御議論も私は必要になってきたのかと、今日のお話を伺いながら認識をいたしました。
 第2点、やはりお話を伺ってみて非常に重要になってきた課題は、ガバナンスとリーダーシップの問題であります。やはり、今日の大きな転換期、これは偶然やってきました。今、COVID-19のパンデミックの収束する時期の中で、国民は、我が国の医療制度の弱点を嫌というほど見てしまいました。
 したがって、それが大きな新たな政治的モメンタムをつくり出して、政治家である我々に、新たな改革をするチャンスを与えてくれるようになっております。
 この政治的モメンタムというものをどのように生かして、我が国の大きな政策の転換を実現するリーダーシップをつくり、そして、また、それを実行するガバナンスを再構築していくのか。それは、ただ単に健康医療戦略室を内閣官房につくればいいだけの話ではありません。その中に、先ほどから議論になっているようなサイエンスという1つの極めて重要なディシプリンをきちんと組み込んで、サイエンスをベースとしたリーダーシップというものが、きちんと確立できるようなガバナンスの体制を組まなければならない。それは一体どういうものであるべきかという点も、ぜひもっと詳しく御議論いただきたいと思いました。
 そして、同じく今日のお話の中で、やはり危機管理の問題というものを通じて、新しい改革の機運が生まれてきたという観点があったように思います。今、厚生労働省では、NCGMと国立感染症研究所を母体として、新しい危機管理の体制づくりを進めようとしております。かなり役所の実務担当の皆さん方には、私は無理を言って、年内に必ずその大きな枠組みづくりはきちんとつくって、示せるようにしてほしいと言っておりますが、これらの具体的な課題の中には、今日御議論いただいたような緊急時におけるイノベーションをどのように吸収できるような新しい仕組みが必要になるのかということが組み込まれております。
 しかもその中で、我が国に決定的に欠けていたのは、データサイエンスと、それをきちんと実現する保健医療に関わる情報システムの欠如でありました。
 したがって、医療DX推進室が厚生労働省にできており、この厚生労働省のガバナンスの問題に取り組んでおります。
 こうした新たな医療DXを推進して、全国的な規模での情報システムを整備し、今日御議論いただいたようなデータをそれぞれに二次利活用ができ、しかもそれをデータサイエンスとして創薬に活用できる、そうした仕組みを我が国の中につくらなければならないというのも、今日のお話の中からよく分かりました。
 最後に、オープンイノベーションであります。これは、もはや一国の中の枠組みだけでは実現できない。今日は、アメリカや欧州の製薬協の関係の方々も来てくださっておられますけれども、こうした新しい我が国の創薬の基盤を再構築しようとするときには、日本だけで完結するような考え方では、全く実現は不可能であろうと。これは、いかにして、そうした新たな人材、そして、また同時に、資金を含めて非常に内外の垣根を越えた官民学が連携した、そうした資金も調達し、技術も相互に交流することができる仕組みをつくらなければならないのだろうと。そういうオープンイノベーションが可能なガバナンス、そして、それを実際にきちんと実現していくための我が国の法に基づいた新しい仕組みというのは一体何なのだろうか。
 AMEDの話が今日も出てまいりまして、非常に率直にいろいろ御議論をいただきましたけれども、ちょうど10年を迎えました。改めて、10年を振り返って、この分野におけるAMEDの役割というものも、再度、こうした新しい時代状況の中で考えていただければと、私は今日、つくづく思いました。
 いずれにせよ、これらは、我が国の国民と健康と命を守るという最大の目的のために、私どもは取組ます。
 したがって、こうした新しい仕組みの中で、創薬で企業等と連携したシーズを開発するアカデミアの能力強化という形が上手にうまくいったとしても、その果実というものは、何も狭く日本の製薬企業だけが、それをエンジョイするのではない、海外の製薬企業もそこに、きちんとアクセスすることができて、その成果物を享受する、こういう仕組みにしなければ、技術と資金の交流などできるはずがありません。
 したがって、そういう観点で結果としては、たとえそのシーズを効果的に開発してくださる方々が海外の企業であったとしても、我々日本の政治家にとって大事なのは、その結果が、我が国の国民の健康と命を守るために役に立つアクセスがきちんと保障されることであれば、その結果を御自由にお使いいただいて、誠に結構であります。
 したがって、このような新しい発想で、我が国の創薬の基盤の再構築を進めなければならないのだなということは、今日の御議論を伺いながら、つくづく思いました。
 そして最後に、日本の強みという御議論がありましたので、これらを実際に実現していくときに、日本の強みというのは一体どこにあるのかというのを皆様方から、ぜひ具体的にお聞かせいただきたいと思います。
 再生医療であるとか、バイオのテクノロジーが議論をされ始めたときに、実は私の死んだ親父が、バイオの新たな分野については、日本は、実は文化的に、おみそだとか、発酵の技術があって、この技術は、恐らく日本が新たなバイオの時代に確実に活用できる文化的な素地になるだろうと言っていて死んでしまったのですが、残念ながら、あまりそうはならなかった。
 しかし、改めてそれはなぜか、そして、改めて日本の強みというのはどこにあるのか、もう一度皆様方からしっかりと伺いながら、それを生かした新たな創薬の基盤づくりを、今日こちらにいる厚労省の実務の皆さん方と私どもは、ぜひ皆さんとの連携をきちんと持ちながら実現していきたいと思います。
 私はせっかちでありまして、年内までに一応の中間取りまとめをやってくれと、無理難題を吹きかけておりますので、あそこにいる水谷さんは、必死になってそれをやっているわけでありますけれども、ぜひ、これから実務家の皆さん方が、それぞれ皆様方に御協力を持ちかけ、御相談に伺うと思います。大変御多忙だとは思いますが、邪魔だなと思わないで、しっかり御協力していただいて、この日本に残された、恐らくラストチャンスと思えるようなこの大きな時期に、我が国が誤りなく、新しい創薬の基盤をつくることができるよう、御協力いただくことをお願い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
○水谷課長 どうもありがとうございました。
 引き続き私ども、産業界、そしてアカデミアと連携をしながら取組を進めてまいりたいと考えてございます。
 では、これをもちまして、本日の会議を終わらせていただきたいと思います。
 皆様、お忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございました。