第55回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会・第2回社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(合同開催) 議事録

日時

令和6年2月6日(火)15:00~18:00

場所

航空会館ビジネスフォーラム 501

議事

議事内容
○中村補佐 定刻となりましたので、ただいまから第55回厚生科学審議会疾病対策部会指定難病検討委員会・第2回社会保障審議会小児慢性特定疾病対策部会小児慢性特定疾病検討委員会(合同委員会)」を開会いたします。
 委員の皆様には、お忙しい中、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
 なお、本日は報道関係者及び一般の方の傍聴は行わず、代わりに会議の模様をユーチューブによるライブ配信にて公開しておりますので御了承ください。
 本日、オンラインでの御参加の委員に向け、何点かお願い事項がございます。会議参加に当たり、ビデオカメラはオンにしていただき、マイクはミュートにしてください。発言時はマイクをオンにしていただき、名前をおっしゃっていただいた上で発言をお願いいたします。発言が終わりましたらマイクをミュートに戻してください。
 御不明な点がございましたら、事前にお伝えしている電話番号までお問い合わせください。
 初めに、指定難病検討委員会の本日の出欠状況を御報告いたします。本日は、山下委員は途中までの御出席、小川委員、桑名委員、高橋委員、和田委員は途中からの御出席、持田委員は公務により御欠席する旨の連絡をいただいております。
 続きまして、小児慢性特定疾病検討委員会委員の本日の出欠状況を御報告いたします。本日は、肥沼委員は公務により途中参加の旨の御連絡をいただいております。
 本日は、新規の疾病追加に関して、指定難病と小児慢性特定疾病の両方について情報提供のあった疾病についての検討を含むため、合同での開催としております。それぞれの委員の先生が在籍されていない委員会に係る議事の議決権はありませんが、御意見がありましたら、オブザーバーとして御発言ください。
 以降の議事進行につきましては、まず、小児慢性特定疾病に係る議事の進行を小児慢性特定疾病検討委員会、岡委員長にお願いし、その後、指定難病に係る議事の進行を指定難病検討委員会、水澤委員長にお願いいたします。
 それでは、岡委員長、お願いいたします。
○岡委員長 よろしくお願いします。
 まず、事務局より資料の確認をお願いいたします。
○中村補佐 それでは、資料の確認をさせていただきます。
 オンラインにて御出席の先生方におかれましては、事前にお送りしているPDFにて御覧ください。資料は、議事次第のほか、資料1-1、資料1-2、資料2-1、資料2-2、資料3、参考資料1、参考資料2、参考資料3-1、参考資料3-2、参考資料3-3となっております。
 不足等がございましたら、事務局までお申しつけください。
○岡委員長 それでは、議事を進めてまいりたいと思います。
 本日の1つ目の議事は、「小児慢性特定疾病ごとに厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度の一部を改正する件(案)について」、小児慢性特定疾病検討委員会の委員から御意見をいただきます。では、事務局より御説明をお願いします。
○中村補佐 参考資料1を御覧ください。
 第1回小児慢性特定疾病検討委員会において委員に御議論いただきました、小児慢性特定疾病におけるヒト成長ホルモン治療を行う場合の疾病の状態の程度についてです。
 近年の医学の進歩により、ヒト成長ホルモン製剤について、小児慢性特定疾病の対象疾病と関連した新規の適応症が承認されたところですけれども、一方で、小児慢性特定疾病におけるヒト成長ホルモン治療を行う場合の医療費助成については、厚生労働大臣告示において、その対象となる基準が定められており、同基準において、ヒト成長ホルモン製剤の新規の適応症は対象外となっています。医学の進歩に伴う同製剤の適応の変更等に鑑み、同基準については撤廃する方向性について御賛同をいただきました。
 資料1-1を御覧ください。
 本件に関しまして、令和5年12月26日から令和6年1月26日まで意見募集をしたところ、計3件の御意見をいただきました。お寄せいただいた御意見とそれに対する考え方について、資料1-1のとおりに案をまとめております。
 続きまして、資料1-2を御覧ください。本委員会における検討及び意見募集の結果を踏まえ、同製剤の適応の変更等に鑑み、医療費助成の対象となる疾病の状態の程度が最新の医学的知見を踏まえたものとなるよう、ヒト成長ホルモン治療を行う場合の追加的な基準を削除することについて小児慢性特定疾病部会への報告案を取りまとめております。
 事務局からは以上になります。
○岡委員長 ありがとうございます。
 ただいまの御説明に関し何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 前回、方向性については御議論いただいたところかと思いますけれども、よろしいでしょうか。
 そうしましたら、御承認いただいたということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡委員長 ありがとうございます。それでは、承認ということで進めさせていただきます。
 それでは、(1)厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度の一部を改正する件(案)に関する意見募集の結果について(案)について、御了承いただけたということで進めさせていただきます。
 それでは、御意見を踏まえた対応をさせていただき、事務局において必要な手続等を進めていただくようにお願いいたします。
○中村補佐 委員の皆様方、ありがとうございました。小児慢性特定疾病ごとに厚生労働大臣が定める疾病の状態の程度の一部を改正する件につきましては、小児慢性特定疾病対策部会における審議等を経て告示改正等の必要な作業を進めてまいります。
○岡委員長 ありがとうございます。
 それでは、2つ目の議事に進みたいと思います。
 2つ目の議事は「小児慢性特定疾病に係る疾病ごとの個別検討について」、小児慢性特定疾病検討委員の皆様から御意見をいただきます。まず最初に、事務局から全体の進め方について御説明をお願いいたします。
○中村補佐 資料2-1を御覧ください。今年度は13疾病について情報提供をいただいております。上から順に、染色体又は遺伝子に変化を伴う症候群は5疾病、免疫疾患は1疾病、神経・筋疾患は5疾病、慢性消化器疾患は1疾病、そして皮膚疾患は1疾病について情報提供がございました。
 次に、参考資料2を御覧ください。10ページに、小児慢性特定疾病の新規の疾病追加に関する検討の進め方に関して記載があります。
 審議の結果に関しては、パブリックコメント、疾病対策部会への報告を経て、自治体等への周知を行い、告示・通知改正の実施を予定しております。
 以上となります。
○岡委員長 ありがとうございます。
 それでは、新規の疾病追加の個別の疾病について、委員の先生方に御議論をいただこうと思います。事務局から御説明をお願いいたします。
○高橋補佐 事務局でございます。
 資料2-2、1ページ目を御覧ください。まず、「シャーフ・ヤング(Schaaf-Yang)症候群」について御説明いたします。
 精神運動発達遅滞、新生児期の筋緊張低下、乳児期の哺乳不良、遠位側優位の関節拘縮などを特徴とする先天異常症候群です。2022年の全国調査では約30例が報告されています。哺乳不良、呼吸障害などのために早期から生涯にわたって医療管理を必要としております。
 続きまして、「ロスムンド・トムソン(Rothmund-Thomson)症候群」について、3ページ目を御覧ください。
 ロスムンド・トムソン症候群はtype1とtype2の2つのタイプが存在します。多形皮膚萎縮症、骨の変形を特徴とする染色体または遺伝子に変化を伴う症候群です。若年で骨肉腫が約30%、皮膚がんが5%に合併し、また、多形皮膚萎縮症、日光過敏は必発で、日焼け止めクリームの塗布、外出制限を伴います。
 こちらは指定難病に指定されている疾患になります。
 続きまして、「第14番染色体父親性ダイソミー症候群」について、5ページ目を御覧ください。
 第14番染色体父親性ダイソミー症候群につきましては、14番染色体長腕遠位部に存在するインプリンティング遺伝子の発現異常により発症します。羊水過多、胎盤過形成、小胸郭による呼吸障害、腹壁異常、特徴的な顔貌を示します。治療法は未確立で、対症療法が中心となります。
 こちらは指定難病に指定されている疾患になります。
 続きまして、「トリーチャーコリンズ(Treacher Collins)症候群」につきまして、7ページ目を御覧ください。
 外耳道閉鎖あるいは中耳の耳小骨の形態異常、頬骨弓低形成による眼瞼裂斜下などの部分欠損、また、顔面骨低形成による小下顎などを特徴とします。頬骨や下顎の低形成は摂食障害や呼吸障害を引き起こすことがあり、また、耳小骨の形態異常や中耳腔の低形成により伝音性難聴を来します。
 事務局からは一旦以上となります。
○岡委員長 それでは、ただいま4つの疾病について御説明をいただきましたけれども、これについて要件を満たす、満たさないを含めて判断したいと思いますけれども、何か御意見等ございますでしょうか。
 基本的に要件を満たすという方向性でよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡委員長 そうしましたら、皆様うなずいていることが確認できますので、承認ということで進めたいと思います。ありがとうございます。
 それでは、次の疾病について事務局から御説明をお願いいたします。
○高橋補佐 事務局でございます。
 続きまして、「シア・ギブス(Xia-Gibbs)症候群」について、9ページ目を御覧ください。
 運動発達遅滞、中等度から重度の知的障害、言語障害、筋緊張低下、脳構造異常、てんかんを来す症候群です。常染色体顕性遺伝形式の先天異常症候群であり、多くは突然変異により発症いたします。
 続きまして、「乳児発症性STING関連血管炎」について、11ページ目を御覧ください。
 遺伝性自己免疫性疾患のI型インターフェロノパチーに分類され、乳児期早期から全身性の炎症、皮膚血管炎、間質性肺炎等を特徴といたします。
 今回、指定難病にも新規追加で申請されている疾患となります。
 続きまして、「遺伝性高カリウム性周期性四肢麻痺」について、12ページを御覧ください。
 発作性の骨格筋の脱力・麻痺を来す遺伝性疾患で、発作時の血清カリウム値が高値を示す特徴がございます。眼瞼・手指などに軽いミオトニーを有することがあり、麻痺発作は、遺伝性低カリウム性周期性四肢麻痺より程度は軽く、持続は短いことが多いですが、高カリウム血症により、致死性不整脈の出現の危険性があります。
 こちらは指定難病に指定されている疾患になります。
 続きまして、「遺伝性低カリウム性周期性四肢麻痺」について、15ページを御覧ください。
 こちらも発作性の骨格筋の脱力・麻痺を来す遺伝性疾患です。発作時に血清カリウム値が著明に低下する特徴がございます。重症の麻痺発作時には電解質異常による致死性不整脈の危険性があり、こちらも指定難病に指定されている疾患になります。
 事務局からは一旦以上となります。
○岡委員長 ありがとうございます。
 ただいま御説明いただきました4つの疾病につきまして、要件を満たす、満たさないを含めて判断したいと思いますけれども、何か御意見、御質問等ございますでしょうか。
 どなたか御発言はございますか。よろしいでしょうか。
 そうしましたら、要件を満たすということで、御承認いただくということでよろしいですか。
(委員首肯)
○岡委員長 それでは、皆様首肯していただいておりますので、承認ということで進めたいと思います。御意見ありがとうございました。
 それでは、次の疾病について事務局から御説明をお願いします。
○高橋補佐 続きまして、「非ジストロフィー性ミオトニー症候群」について、17ページ目を御覧ください。
 筋線維の興奮性異常による筋強直現象を主徴とし、筋の変性を伴わない遺伝性疾患です。運動開始困難、易転倒性などが主な症状ですが、乳幼児早期から呼吸・嚥下障害を来したり、突然死に至る例が報告されております。
 こちらは指定難病に指定されている疾患になります。
 続きまして、「限局性皮質異形成」について、19ページを御覧ください。
 大脳皮質における局所的な発生異常に関連した病巣により、主としててんかん発作を呈します。乳幼児期から学童期に発症し、てんかん重積状態になりますと重篤な後遺症を残すこともある疾患です。
 こちらは指定難病に指定されている疾患になります。
 続きまして、「脊髄空洞症」について、21ページを御覧ください。
 脊髄空洞症は、脊髄内に空洞が形成され、小脳症状、下位脳神経症状、上下肢の筋力低下、温痛覚障害、自律神経障害、側弯症などの多彩な神経症状、全身症状を呈する疾患で、種々の原因で発症します。神経症状出現例では、約70%の持続や間歇的な進行を呈し、慢性の経過を取ります。
 こちらは指定難病に指定されている疾患になります。
 続きまして、「先天性食道閉鎖症」について、23ページを御覧ください。
 先天性食道閉鎖症は、先天的に食道が盲端に終わり閉鎖している疾患です。新生児期の根治術が施行されることが多いですが、重症心疾患・long gap例などでは胃瘻などの姑息手術や多段階手術が施行されます。術後の吻合部狭窄や縫合不全、胃食道逆流症、気管軟化症、経口摂取困難などの合併症を有する症例では著明なQOL低下を認め長期間の通院、入院加療を要します。
 続きまして、「特発性後天性全身性無汗症」について、25ページを御覧ください。
 特発性後天性全身性無汗症は、後天的に明らかな原因なく体の広範囲の無汗を生じ、自律神経異常及び神経学的異常を伴わない疾患と定義されています。暑熱環境で熱中症を来しやすく、特に屋外の暑熱環境での運動や入浴時などに症状を来しやすく、頻度が多いです。
 こちらは指定難病に指定されている疾患となっております。
 事務局からは以上になります。
○岡委員長 それでは、ただいま5疾病について御説明いただきましたけれども、要件を満たす、満たさないを含めて判断したいと思いますが、御意見、御質問等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
 特に御意見がなければ、承認ということでよろしいでしょうか。
(委員首肯)
○岡委員長 皆様首肯していただいておりますので、この5疾病につきましても承認ということで進めさせていただきます。御意見ありがとうございました。
 そうしましたら、今回検討を予定していた疾病は以上となります。
 今回検討した13疾病全てについて御了承いただけたということでよろしいかと思います。
 何か全体を通じてございますでしょうか。
 窪田委員、お願いいたします。
○窪田委員 窪田でございます。
 1つだけ確認させてください。トリーチャーコリンズ症候群だけ、トリーチャーとコリンズの間に中ポツがないのですけれども、これはこの症候群が一人の先生のお名前なのでこのまま引き続きで、中ポツがある他の症候群は2人の先生のお名前だということで理解して、この書き方が一般的であるということでよろしいのでしょうか。小崎先生にお伺いしたほうがいいのかもしれないです。
○岡委員長 小崎先生、もしよろしければ教えていただけますか。
○小崎委員 窪田先生のお考えどおりだと思います。
○窪田委員 ありがとうございます。これはずっと残ることになると思いますので、確認だけさせていただきました。
 ありがとうございました。
○岡委員長 ありがとうございました。
 そのほか全体を通してよろしいでしょうか。
 ありがとうございました。それでは、小児慢性特定疾病に係る議事は終了としたいと思います。
 議事進行を一度事務局にお返しします。
○中村補佐 岡委員長、ありがとうございました。また、委員の先生方におかれましては、御検討いただきありがとうございました。
 続きまして、指定難病に係る議事に移りたいと思います。
 以降の議事進行につきましては、水澤委員長にお願いいたします。
○水澤委員長 それでは、前回に引き続きまして新規の疾病追加の個別の疾病について、委員の先生方に御議論をいただきたいと思います。最初に事務局のほうから説明をお願いいたします。
○原補佐 事務局です。
 新規の疾病追加については、前回に引き続き3回にわたって、個別の疾病について御議論いただく予定としております。本日は新規の疾病追加について情報提供のあった免疫疾患2疾病、消化器疾患6疾病、血液疾患7疾病の計15疾病を予定しております。本日は18時までを予定させていただいております。
 まずは免疫疾患について御説明いたします。
 資料3を御覧ください。
 1ページ目の「乳児発症STING関連血管炎」について御説明いたします。
 過去検討はされていない疾患です。
 遺伝性自己免疫性疾患のI型インターフェロノパチーに分類され、乳児期早期から全身性の炎症、皮膚血管炎、間質性肺疾患を特徴とするとあります。
 患者数は10人未満で、そのうち成人は2名、発病の機構は不明でSTINGの機能獲得変異によってI型インターフェロン産生が亢進するとあります。効果的な治療方法は未確立で対症療法のみ、長期の療養に関しては、生涯にわたり治療を要し、間質性肺疾患により、在宅酸素療法や呼吸器管理が必要になることもあるとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ90%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本リウマチ学会、日本小児リウマチ学会の承認を得ております。
 今回、小児慢性特定疾病にも新規追加で申請されている疾患となります。
 次に、「原発性リンパ浮腫」について、6ページを御覧ください。
 平成27年度、令和3年度には、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要求を満たしていない、また令和3年度には、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 リンパ管の先天的低形成・無形成や機能不全などにより、四肢、特に下肢を中心にリンパうっ滞による浮腫を生じ、慢性的に経過する疾患で、若年で発症して治療経過が長く、効果的な結果をもたらす治療手段がなく、続発性よりも治療には難渋することが多いとあります。
 患者数は約500人、発病の機構は不明とあります。効果的な治療方法は未確立で対症療法のみ、長期の療養に関しては、蜂窩織炎、関節運動や歩行制限、潰瘍形成などの合併症により生涯にわたり診療を要するとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ20%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本形成学会、日本小児外科学会の承認を得ております。
 事務局からは以上となります。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 ただいま御説明のありました2つの免疫性疾患につきまして御意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。特にないでしょうか。
○窪田委員 小慢のほうの委員ですが、発言をしてもよろしいでしょうか。
○水澤委員長 窪田先生、どうぞ。
○窪田委員 乳児発症STING関連血管炎なのですけれども、小児慢性特定疾病のほうは乳児発症性と、「性」という字が入っていまして、指定難病のほうは乳児発症STING関連血管炎で、1字齟齬があるのですけれども、もし同じ疾患であるとすれば統一したほうがいいと思いまして質問させていただきました。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 事務局、何か回答できますか。
○中村補佐 こちらにつきましては確認の上、統一する方向で検討したいと考えております。ありがとうございます。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 いかがでしょうか。免疫性ということになっておりますけれども、桑名先生、おいででしょうか。何かコメントいただけますか。
○桑名委員 桑名でございます。
 本疾患につきましては、今日御参加の小児関連の先生方のほうが詳しいと思いますけれども、近年、タイプIインターフェロンは、亢進している疾患群の中から明確に遺伝子異常が同定された疾患群で、今回申請された書類を見ましても、重症に該当する割合が90%、少数ながらも成人まで成長する方もおられるという記載もございますので、それらを踏まえますと、今回の難病の全ての要件を満たしていると思われます。
 以上です。
○水澤委員長 今のはSTINGのほうですね。
○桑名委員 はい。
○水澤委員長 SAVIのほうのコメントをいただきました。
 我々の委員会のほうで時々問題になるのですけれども、今、先生がおっしゃった重症度のところで、1番でしょうか、治療が必要な症例というのがあって、治療が必要なだけで重症でいいのかという御議論が時々あるのですけれども、その辺はどうでしょうか。
 石毛先生、手を挙げていらっしゃいますか。どうぞお願いします。
○石毛委員 石毛美夏です。よろしくお願いいたします。
 今のこともちょうど質問をさせていただきたかったところではあるのですけれども、小慢のほうの資料ですと、日本の患者様が6名で、0~18歳も6名で、全体でも6名ということで、成人の患者様はいらっしゃらないのかなと思って読んでいたところ、乳児発症のSTINGですと僅かながら成人例がいらっしゃるということで、記載に矛盾がございましたので、どちらかが違うのだと思いますが、そこを明確にしていただいたほうがいいのではないかということと、あと今、水澤先生がおっしゃった重症度の基準がこれですと数字化されていないので難しいところがあるのではないかと思いました。改良が必要なのではないかと思います。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 そうしますと、今のSTING、乳児発症「性」が入りますか。STING関連血管炎、SAVIのことにつきましては、現在の記載からすると適応だと判断されるけれども、関連しますSTING重症度分類のところについてもう少し客観性があるような書き方を工夫していただくといったこととか、成人例と小児例の患者数に少し違いがあるように見えるので、その辺を確認していただくということでよろしいでしょうか。
 伊藤先生、どうぞ。
○伊藤委員 小児リウマチ学会でもあるのですけれども、私は腎臓で入っているのですが、私どもにも患者さんがいて、その方は成育医療研究センターに送って、治験をして、助かるようになってJAK阻害薬が効くので、普通は間質性肺炎が悪くなって亡くなっている人も結構多いのですが、治療が出てきたので成人移行する可能性がある疾患と捉えています。
 遺伝子が分かったのは本当にごく数年前でして、我が国にも患者さんがいるのだねというところから今、少しずつ診断できるようになっているので、今後、成人例の軽い患者さんが見つかる可能性があるという感じだと思っています。世界の中でも極めて限られた症例数しかないです。
 我々も最初、若年性特発性関節炎かと思ったのですけれども、肺に間質性肺炎があって、遺伝子をやって診断したということになっています。なので、まだいろいろクリアに成人の数とか重症度を書けない部分はある疾患ですが、生涯にわたり治療が必要で、典型例はほぼ治療しないと死亡する。そして最近新しい治療法がようやくできた。ただし、保険適用は今後というところであります。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 ただいまの御意見、あるいはほかの御意見についてでもいいのですけれども、御議論ありますでしょうか。よろしいでしょうか。
 そういう状況ではありますけれども、先生としても、お立場は違うかもしれませんけれども、指定難病の認定のほうはよろしいのではないかという御意見でしょうか。
 今のJAK阻害薬のほうは、それをずっと使い続けることが必要なのでしょうか。分かりました。うなずいていらっしゃいます。
 よろしいでしょうか。幾つか事務局のほうで確認をしていただくということ。それで非常に大きな問題が出なければ、お認めしてよろしいのではないかという御意見であったと思います。ありがとうございました。
 それでは、2つ目の原発性リンパ浮腫につきましてはいかがでしょうか。これもどなたか御発言いただけると助かります。
 どうぞお願いします。
○桑名委員 この疾患につきましてはこれまでも何回か申請がございまして、その際に要件を満たしていないという判断をされた経緯がございます。
 今回も重症度分類というものに従って、国際的な分類のようですが、重症とされる症例の割合が20%と記載されておりますので、実際に長期にわたる療養は必要かとは思われますが、しかしながら、症状としての重症度が非常に低いというところは、現状での難病の要件を満たすとは言い難いのかなと思っております。
 以上でございます。
○水澤委員長 ありがとうございました。これまでの歴史についても御発言いただきました。
 よろしいでしょうか。ほかにはないでしょうか。
 そうしましたら今の2つ、最初のSAVIのほうは少し御質問等修正がありましたけれども、大きな問題がなければお認めするということと、原発性リンパ浮腫のほうは、やはり今回も要件に少し足りないところがあるという御判断だと思いますが、よろしいでしょうか。
 どうぞ。
○奥山委員 重症度がそれほど重症でないということで外れる、認められないということでしょうか。
○水澤委員長 桑名先生、よろしいですか。そのように私は理解しました。
○桑名委員 ここは小慢とは少し考え方が異なる部分でございまして、根治的治療法がないので、医療としての療養は長期にわたって必要であったとしても、重症度そのものが申請書類の中に記載されているわけですが、それに当てはめた場合の重症者の割合が少ないということは、要件を満たしていないとこれまで判断してきた経緯がございます。明確に何%という基準はありませんけれども、目安とすると6割、7割というところが今までの判断の経緯になったと私は理解しております。
 可能であれば水澤先生、補足していただければ幸いでございます。
○水澤委員長 まさに今、先生に御説明していただいたとおりで、ここのところが小慢のほうと大きく違うところで、多くの疾患が小慢から上がってきたときに、我々が非常に苦しいところでございます。
○奥山委員 重症者の割合が2割なので指定難病にはならないということでよろしいのでしょうか。
○水澤委員長 そうです。例えばいろいろな疾患、特にこの指定難病に上がってこないようなコモンな病気であっても、一定の数の方々は重症の方がおられると思います。例えば20%ぐらいであれば多くの疾患で重症の方がおられて、中には軽症の方もおられて、そういうスペクトラムがあるような感じがいたしますけれども、できれば100%というか、ほとんどの方々が非常に重症である、重篤な重い疾患であるといったことが難病といったときにみんなが思い浮かべることかと思うのですけれども、とは言ってもなかなか100%ということはないと思いますので、だんだんと下がってきて、先ほど先生がおっしゃったようなところまで今、来ているという感じです。それが正直なこれまでの経緯です。
○奥山委員 分かりました。ただ、重症の方は本当に大変で、もちろん全身の感染症から致死的になる方もおられて本当に大変な病気なので、そういう意味では、指定されないというのはちょっと残念な気がするのですけれども、そういう割合ということが重要視されるのであれば仕方ないかなと思うのです。
○水澤委員長 もし先生がおっしゃるように大部分、すなわち最低6割でしょうか、7割、8割、これまではそんな数字をイメージとして我々は考えてきました。最低でも7割、8割くらいと考えてきましたが、亡くなられてしまうような方、皆さんがそれぐらい重症であるということであるとすると、この数字が違っている、研究班からの報告が違っている可能性があるかもしれませんので、そこは少し調査をしていただいて、本当のところはどうなのかということを出していただくのがいいかもしれないと思います。
○奥山委員 分かりました。
○水澤委員長 よろしいでしょうか。
 ありがとうございました。そうしましたら、今の1、2につきましては御同意いただいたとしたいと思います。
 次の疾患の御説明をお願いできますでしょうか。
○原補佐 続きまして、消化器疾患について3疾病ずつ御説明いたします。
 「原発性肝内結石症」について、12ページを御覧ください。
 平成28年度には、「治療法が確立していない」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 肝内結石症のうち、胆道再建の既往がない原発性肝内結石症を対象としており、肝内結石症は反復する胆管炎や胆汁性肝硬変、肝内胆道がんを合併するとあります。一方、無症状例も全体の32.2%あるとあります。
 患者数は179人、発病の機構は不明で、胆道感染や胆汁成分の変化が示唆されているとあります。治療方法は内視鏡を用いた結石除去術等が行われているが、再発することが多いとあります。長期の療養に関しては、発がん例の多くは診断後10年以上経過してからであり、長期の経過観察が必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ59%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本消化器病学会の承認を得ております。
 次に、「原発性肝外門脈閉塞症」について、17ページを御覧ください。
 平成27年度、平成28年度、平成29年度、平成30年度、令和3年度には、肝外門脈閉塞症の疾病名で「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていない、平成30年度、令和3年度には、「発病の機構が明らかではない」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。具体的には、前回申請された際の個票案では、二次性の疾患を含めた診断基準及び重症度分類となっており、鑑別疾患との境界が不明瞭であることを含め診断基準等の整理が不十分であるため、現時点では「客観的診断基準が確立している」とは考えられないのではないかと判断されております。
 今回は原発性のみを対象としており、鑑別診断に続発性肝外門脈閉塞症として、新生児臍炎、腫瘍、肝硬変や特発性門脈圧亢進症に伴う肝外門脈血栓、胆嚢胆管炎、膵炎、腹腔内手術の記載が追加されております。また、前回は「一般検査所見、画像検査所見、病理所見によって総合的に診断されるべき」として、診断のカテゴリーの記載がなかったところ、今回は診断のカテゴリーとしてDefinite、Probableの各基準が追記されております。
 患者数は770人、発病の機構は不明、効果的な治療方法は未確立で、閉塞した門脈を根本的に開通させる方法はないため、消化管静脈瘤など門脈圧亢進症に対する治療が主体とあります。長期の療養に関しては、消化管静脈瘤出血のコントロールが必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ67%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本肝臓学会、日本門脈圧亢進症学会の承認を得ております。
 次に、「先天性胆道拡張症」について、24ページを御覧ください。
 令和3年度には、「治療法が確立していない」「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病は、総胆管を含む肝外胆管が限局性に拡張する先天性の形成異常で、膵・胆管合流異常を合併するものとあります。
 患者数は約4,000人、発病の機構は不明、治療方法は拡張胆管切除、胆道再建術が標準手術であるが、その後の胆管炎、膵炎、膵石や肝内結石に対する予防並びに治療法が未確立とあります。長期の療養に関しては、拡張胆管切除術後、長期にわたり胆管炎・肝内結石、膵石、膵炎の合併症を有する症例も存在するとあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ9%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児外科学会、日本胆道学会の承認を得ております。
 本日、持田委員より事前に御意見をいただいておりますので、事務局より代読いたします。
 管内結石症につきまして、管内結石症は、胆道系の術後などに発症する二次性と、原因不明の原発性であり、原発性は内視鏡的結結石除去術、結石が存在する領域の肝切除術を行っても再発のリスクが高い難治性疾患です。しかし、無症状の症例が多く、胆管炎、結石遺残、結石の再発などによって、日常生活に障害のあるグレードIV以上の症例は60%未満です。しかし、一過性の胆汁性胆管炎などでグレードIIIと診断される症例は、その後経過観察すると同様の症状が再燃する可能性は高いと思われます。研究班でグレードIIIの症例を長期間にわたって観察し、長期予後をもう少し明確にした上で再申請するのが望ましいと考えます。
 続きまして、原発性肝外門脈閉塞症につきまして、感慨門脈閉塞症は、胆管炎、臍炎などに続発する二次性と、原因不明の原発性に分類され、今回は原発性に限定しての申請です。前回、肝外門脈閉塞症として申請された際の診断基準、重症度分類などは、肝外門脈閉塞症のうち原発性を想定して作成されたものであり、今回の申請では続発性を除外するための鑑別診断が追加されており、今までの問題点は解決されたとみなされます。原発性と続発性の大きな違いは下行性側副血行路の著明な発達の有無ですが、診断基準では、これが2Aの(ア)、2B、3Aに記載されており、Definite、Probableともにこれらのいずれかを満たしておりますので、いずれも原発性肝外門脈閉塞症と診断するのに問題ないと考えます。
 原発性肝外門脈閉塞症の患者は、食道・胃静脈瘤、脾腫などの門脈圧亢進症の症候が徐々に増悪し、肝予備能は良好であるにもかかわらず、これら症候に対する治療を繰り返す必要があるため、QOLは大幅に低下します。肝内の門脈が広範に潰れるのが特発性門脈圧亢進症、肝外の門脈が潰れるのが肝外門脈閉塞症で、別疾患で成立機序も異なると推定されますが、その予後に関してはほぼ同等と考えております。治療を要する重症度III以上の症例は約70%あり、指定難病の要件をほぼ満たしていると考えます。
 続きまして、先天性胆道拡張症につきまして、戸谷分類に示されるように様々なタイプの胆道拡張症があるが、今回はカロリ病などを除き膵・胆管合流異常を合併している症例のみを対象として申請されています。
 膵胆管合流異常は、胆管炎、膵炎などを契機に、画像診断を実施した際に診断されます。胆管炎、膵炎に対する内科的治療後にこれらを頻繁に繰り返す症例は多くありません。大部分の症例は無症状ですが、高齢になると胆道系の悪性腫瘍を併発するリスクが高いため、50歳代程度で拡張胆管部分の切除術を実施します。また、手術後に胆管炎、膵炎を繰り返す症例は少なく、重症度II以上の症例は10%程度です。このため指定難病の要件には合致しないと考えます。
 事務局より以上です。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 今、御説明いただきました3つの疾患、肝内結石症と原発性肝外門脈閉塞症と胆道拡張症、先天性のものでございます。消化器の持田先生のほうから今、コメントをいただきましたが、そのことを含めて御意見等はございますでしょうか。
 御専門の先生のコメントで、私も今お聞きしていて、妥当なコメントをいただいたのではないかと思います。
 先生のおっしゃるように、肝内結石症につきましては研究班のほうに、もう少し長期予後を明確にしていただきたいということをお願いする。
 22番肝外門脈閉塞症については、前回と比べて鑑別診断等についてきちんと改善されているのでよろしいのではないかと。
 それから、先天性胆道拡張症については、重症度の方が非常に少ないと。手術療法でかなりよくなられるといったことかと思いますけれども、そのような形でいきたいと思いますが、窪田先生、どうでしょうか。
○窪田委員 窪田と申します。
 せっかく御専門の奥山先生がいらっしゃいますので、小児外科の奥山先生の御意見をお伺いできればと思います。
○水澤委員長 では、奥山先生、ぜひお願いします。
○奥山委員 奥山です。
 特に追加はないのですけれども、肝内結石に関しては我々小児では割と続発性を見ることが多いので、原発性の患者さんはあまり我々自身経験がないので、確かに研究班のほう、そういうところで長期予後を明らかにしていただくというのは妥当かなと思います。
 それから、原発性肝外門脈閉塞に関しては小児でも結構あって、本当に大変な疾患で、肝臓の病変だけではなくて、場合によっては肺内シャントとか、肺のチアノーゼが出たりとか、最終的に肝移植になったりとかいうことで非常に厄介な疾患で、根本的な治療もないということで、この疾患に関してはぜひ指定難病にお認めいただきたいと思います。
 胆道拡張症に関しては、おっしゃるとおり重症例に関しては確かに少ない、10%ということなので、これは我々の感覚とも一致しますので、その10%が指定難病の要件に合わないということであれば、それは仕方ないかなということです。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございました。大変貴重なコメントをいただきました。
 そのような形でよろしいでしょうか。ほかに御異論がなければ、このような形でお認めしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
 その上で、ちょっと細かいところなのですけれども、原発性肝内結石症の14ページ、診断基準の画像診断の記載なのですけれども、(1)から(3)まで具体的な所見の記載がないのです。例えば(1)ですと、これはスクリーニング検査であって、その説明です。腹部超音波とか検査の種類は書いてあるのですけれども、それで何が見つかるかといった点がよく分からない。この下のほうにちょっと書いてあるものがそうなのかもしれないのですけれども、参考にすべき所見とかが別になっているということがございますので、普通の書き方にしていただいたほうが分かりやすくて、現場では間違いがないのかなという感じがいたします。
 それから、その下のDefinite、Probableのところで、確診所見を証明できるといったところはいいのですけれども、Probableの肝内結石が疑わしい症例、これも微妙な表現だと思うのです。この辺のところを現場の先生方が迷わないようにきちんと書いてもらうことがとても大事なのだろうなと思います。これはフォローアップケースということにはなったのですけれども、今のところも少し事務局からコメントしていただければと思いました。
 ほかにはそういう細かい点でそごはないでしょうか。お気づきの点はよろしいでしょうか。
 それでは、事務局のほうから次の疾病、Peutz-Jeghersから御説明をお願いします。
○原補佐 では、次の3疾病について御説明いたします。
 「Peutz-Jeghers症候群」について、32ページを御覧ください。
 平成28年度、平成29年度には、「発病の機構が明らかでない」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病は食道を除く全消化管の過誤腫性ポリポーシスと口唇、口腔、指尖部を中心とする皮膚、粘膜の色素斑を特徴とする常染色体顕性遺伝性疾患で、本症候群で見られる過誤腫性ポリープは粘膜上皮の過誤腫的過形成、粘膜筋板からの平滑筋線維束の樹枝状増生が特徴とあります。
 患者数はおおよそ704人、発病の機構はSPK11遺伝子の生殖細胞系列の病原製品が病因とされておりますが、色素斑・ポリポーシス発症機序は不明、効果的な治療方法としては繰り返し内視鏡的摘除を行うとあります。長期の療養に関しては、生涯を通じてポリープに対する内視鏡的治療を繰り返し行う必要があり、頻度としてはおおむね6か月から数年ごととあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ20%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本消化器内視鏡学会の承認を得ております。
 次に、「巨大リンパ管奇形」について、37ページを御覧ください。
 本疾病は、頸部顔面病変は既に難病指定を受けておりますが、今回、部位を特定しない横断的な疾患として申請されております。
 リンパ管奇形は、は先天性に発症する腫瘤性のリンパ管形成異常であり、内部に感染や出血を起こし、急性の腫脹・炎症を繰り返すとあります。また、多くの場合、病変の範囲拡大や離れた部位の新たな出現はないとあります。
 患者数は約7,000人、発病の機構は不明で遺伝性はなく、リンパ管の発生異常が考えられているとあります。治療方法は、主に外科的切除と硬化両方が選択されるが、重要な脈管や臓器を取り囲む巨大病変は完治は困難で、長期の療養が必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ50%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本形成外科学会、日本小児外科学会、日本皮膚科学会の承認を得ております。
 次に、「青色ゴムまり様母斑症候群」について、45ページを御覧ください。
 平成30年度、令和3年度には、「診断に関し客観的な指標による一定の基準が定まっている」との要件を満たしていない、また令和3年度には、「長期の療養を必要とする」との要求を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 全身の皮膚及び消化管を中心とした内臓に生じる静脈奇形が特徴で、時に重篤な出血性合併症を起こすとあります。
 患者数は100人未満、発病の機構は不明で血管発生異常と考えられているとあります。効果的な治療療法は未確立で、消化管病変に対しては内視鏡的硬化術やレーザー凝固術、外科切除などが試みられるとあります。長期の療養に関しては、出血や消費性凝固障害、疼痛などに対する診療が生涯にわたり必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はレジストリの登録患者数が少なく、正確な割合は不明とあり、研究班に確認したところ、8例中6名が該当すると報告されております。診断基準、重症度分類は日本形成外科学会、日本小児外科学会、日本皮膚科学会の承認を得ております。
 こちら3疾病につきましても、持田委員より事前に御意見をいただいておりますので代読いたします。
 Peutz-Jeghers症候群につきまして、主として腸管に過誤腫が多発する疾患で、下部消化管内視鏡検査で多発性ポリープの存在から疑われ、生検で過誤腫と確定した際に、皮膚・粘膜の出血斑を確認し、その後、家族歴の確認、遺伝子検査などを実施して診断を確定します。過誤腫が増大すると腸重積をいたしますが、内視鏡下のポリープ切除術を実施することでその予防は可能です。また、内視鏡的治療も年1回以上実施する症例は多くありません。このため、重症度分類から対象となる症例は20%程度であり、指定難病の要件は満たさないと考えます。
 続いて、巨大リンパ管奇形につきまして、頸部顔面病変として巨大リンパ管奇形は指定難病の278番として認められておりますが、今回は消化器領域からの申請となっています。しかし、診断基準、重症度などは体表・軟部組織を対象としたものになっており、消化器臓器としての関連が明らかではありません。消化器との関連を明確にした新基準等を作成する必要があると考えます。
 また、成人になってからも発症することが少なくなく、消化器病変が問題になるのであれば、成人の消化器系の学会の承認も必要と考えます。
 続きまして、青色ゴムまり様母斑症候群につきまして、対象となる症例の比率が不明ということですが、本症候群は小児特定慢性疾患であるため、これに登録した症例の検討から推測することができるのではないでしょうかとコメントをいただいております。
 事務局からは以上です。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 持田先生からまたコメントをいただいておりますけれども、小児慢性特定疾病のほうの委員の先生方で御意見のある方、コメント等ありましたら、ぜひお願いいたします。よろしいでしょうか。
○窪田委員 何度もすみません。窪田です。
 中山先生がPeutz-Jeghersの診断基準に関わられていらっしゃいますので、ぜひ一言お願いしたいと思います。
○水澤委員長 中山先生、おられますでしょうか。
○中山委員 信州大学の中山と申します。ありがとうございます。
 この疾患に関しては小児慢性特定疾病に認定されておりますが、生涯にわたって全消化管にポリープが発生してくるということで、生涯にわたって治療が必要な疾患になります。
 今回問題になっております重症度に関してですけれども、個人差があるというのは事実でして、特に小腸に多数のポリープができるような方は、小腸腸重積による生命に関わるような合併症が起きることがあり、実際今そういった方が成人期にどのぐらいいらっしゃるかということを難病班で全国頻度調査をしておりますので、またその結果などを踏まえて、より正確な重症者の割合などを今後検討させていただいて、日本人の正確なデータでまた今後研究班で検討させていただければと思います。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございます。大変貴重な御意見でございます。ぜひ調査の結果を将来的に得て、またこの会でディスカッションできればと思います。ありがとうございます。持田先生と同じ結論であったと思います。
 Peutz-Jeghersに関しまして、よろしいでしょうか。
 そうしましたら、巨大リンパ管奇形のほうはどうでしょうか。どなたか御意見ありますでしょうか。ここは持田先生が書かれていますように、消化器に限って今回申請がされているのですけれども、種々の記載は体表のほうを基準としたもの等を流用されていると判断できるかと思いますので、もう少しそこは調査をしていただくと。成人になってからの方々も含めて調査をしていただくということを研究班のほうにフィードバックさせていただくのがいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。そういうことでよろしいでしょうか。今回は指定難病の要件は満たさないということになると思います。
 それでは、青色ゴムまり様母斑症候群につきましては小慢になっているということですので、御意見のある方がおられるかと思いますが、いかがでしょうか。どんな感じでしょうか。
 事務局に最初にお聞きしたいのですけれども、研究班に確認したところ8例中6例が重症というのは、成人なのでしょうか。
○原補佐 こちらの8例の年齢については、研究班のほうには聞いておりません。
○水澤委員長 現在分からないということですね。分かりました。ぜひ聞いていただければと思うのですけれども、ほかにはいかがでしょうか。記載はとにかくレジストリはなく正確な割合は不明ですということだと、なかなか判断のしようがないのですが、担当の研究班はどちらになりますか。先ほどと同じでしょうかね。難治性血管腫・脈管奇形・血管奇形・リンパ管腫云々というもの、今は秋田先生が研究班でいらっしゃるということでしょうか。
○原補佐 そうです。
○水澤委員長 ありがとうございます。研究班のほうでそこのところをもう少し明らかにしてもらうようなことをお願いするということでよろしいでしょうか。なかなか今の時点でえいやと決めてしまうのもできないということでございますので、よろしくお願いします。よろしいでしょうか。
 錦織先生、よろしいでしょうか。
 では、特に御異論ないように思いますので、そのようにしたいと思います。ありがとうございました。
 それでは、次は血液疾患です。続けてお願いいたします。
○原補佐 続きまして、血液疾患について、初めの4疾病を御説明いたします。
 「出血性線溶異常症」について、52ページを御覧ください。
 過去検討はされていない疾患です。
 本疾病は線維素溶解(線溶)制御因子の先天的機能不全、あるいはプラスミノゲンアクチベータの先天的活性増強により出血傾向あるいは止血不全を来し、侵襲あるいは月経時の少量の出血後の予期せぬ大出血や遷延する出血とともに筋肉・関節内出血や臓器出血なども認めるとあります。
 患者数は100人未満、発病の機構は不明、効果的な治療方法は未確立で、出血時あるいは出血予防としてトラネキサム酸・新鮮凍結血漿を用いるとあります。長期の療養に関しては、反復性の出血に対して必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ100%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本血栓止血学会の承認を得ております。
 次に、「慢性活動性EBウイルス病」について、58ページを御覧ください。
 平成28年度、平成29年度、平成30年度、令和3年度には、「発病の機構が明らかではない」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病は遷延または再発する伝染性単核症様症状を呈し、末梢血及び病変部に高レベルのEBV DNAが検出される疾患で、間質性肺炎、間質性腎炎、ぶどう膜炎、冠動脈瘤など、伝染性単核症様症状には通常見られない病変もしばしば認めるとあります。
 患者数はおおよそ1,000人未満、発病の機構は不明で、EBV初感染後に感染リンパ球が増殖し、慢性の経過で様々な臓器障害を呈することが発病につながると推測されるとあります。長期の療養に関しては、繰り返す炎症症状の制御のため、ステロイドやγ-グロブリン大量療法などの免疫調節・抑制療法が必要で根治療法は造血細胞移植とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者は小児では70%以上、成人例は全例と報告されております。診断基準、重症度分類は日本血液学会、日本小児血液・がん学会の承認を得ております。
 次に、「サラセミア」について、65ページを御覧ください。
 令和3年度には、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 ヒトヘモグロビンのグロビン遺伝子における病原性変異によって、α鎖とβ鎖の量的不均衡が生じた結果、赤血球寿命の短縮を来す疾患で、常染色体顕性遺伝性疾患とあります。
 患者数は約2万人、発病の機構は不明で遺伝子変異が関与しているとあります。効果的な治療方法は未確立で、赤血球輸血、除鉄療法などの対症療法が主体、長期の療養が必要とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ10%未満と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児血液・がん学会の承認を得ております。
 次に、「不安定ヘモグロビン症」について、70ページを御覧ください。
 平成29年度、平成30年度、令和3年度には、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断されることが妥当とされました。
 本疾病は先天性溶血性貧血の一病型であり、αまたはβグロブリン遺伝子の構造変異によって発症する常染色体顕性遺伝性疾患で、不安定ヘモグロビンが赤血球内で変性して沈殿すると、赤血球は変形能が障害され、網内系で破壊されるとあります。
 患者数は約200人、発病の機構は不明で遺伝子変異が関与しているとあります。効果的な治療方法は未確立で、造血幹細胞移植以外の根治療法はなく、赤血球輸血、除鉄療法及び脾臓摘出術などの対症治療が主体とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ10%未満と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児血液・がん学会の承認を得ております。
 事務局からは以上です。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 ただいまの血液疾患につきまして3疾患、いかがでしょうか。御議論をお願いいたします。
 張替先生、今日はおいででしょうか。
○張替委員 来ていますけれども、滝田先生から手が挙がっているみたいです。
○滝田委員 張替先生、どうぞ先におっしゃってください。
○水澤委員長 張替先生、お願いいたします。
○張替委員 1番目の出血性線溶異常症については一応要件を満たしているということで、診断基準のほうもDefiniteは遺伝子で、Probableは当該遺伝子の活性の低下ということで明確ですし、Definite、Probableでいくと100%重症ということなので、これについては要件を満たしていると思いました。
 CAEBVに関しては、確かに重症なのですけれども、成人としては腫瘍性の疾患という捉え方をしておりますので、そういった点で、指定難病に該当するかというと少し違うかなという気がしました。
 サラセミアと不安定ヘモグロビン症につきましては、以前も上がってきていますけれども、先ほど来議論されている重症者が10%未満ということで、これも要件を全部満たすことにはならないという考えに至りました。
 以上です。
○水澤委員長 ありがとうございました。
 それでは、滝田先生、お待たせしました。どうぞ。
○滝田委員 ありがとうございます。
 CAEBVに関してなのですが、小児では必ずしも腫瘍性の疾患という概念ではなく、どちらかというと免疫異常を背景に発症してくるような、非常に重篤な、むしろ免疫異常症というような捉え方でございます。ウイルス感染が引き金にはなっておりますが、ただ、一般的なEBウイルス感染症とは全く症状が異なりますし、ウイルス感染であったとしても、一般的に知られた感染症状を呈さずに、このような慢性的な持続感染による非常に重篤な状態になる機序というのは十分に解明されてございませんので、指定難病の要件を満たすのかなと私は考えております。
○水澤委員長 ありがとうございます。
○伊藤委員 小児科学会の伊藤です。
 私も成人の方も診たことがある。若年成人というか、いるのですけれども、今井先生が多分一番詳しいのでコメントいただきたいのですけれども、原発性免疫異常症の一つと考えられていると思います。例えばインターフェロンの異常だと結核が重症化したりとか、特定の感染症に対して異常な反応が起きる。小児の場合、骨髄移植しないと助からないという疾患ですので、数も少ないですし、我々小児科がたくさん診る疾患ですけれども、入れておいていいのかな、難病にしていただけるといいのかなという気もいたします。今井先生がより詳しいです。
○水澤委員長 では、今度は今井先生。
○今井委員 防衛医大小児科の今井です。
 結構成人の免疫異常症の患者さんたちも紹介いただいたりとかすることもあるので、これに関しても少しだけ経験があります。多分滝田先生が一番今まさにCAEBVに関しては研究を進めているところです。恐らく遺伝的な背景があって免疫異常になる、感染をきっかけにして免疫異常が激烈に出るという疾患で、他国であまりない、Caucasian(白人)等であまり報告されていないこともあって、WHOの分類とかでもリンパ腫に分類されていた時期があったかと思うのですけれども、最近やはり別なのではないかと捉えられていると思いますので、恐らく成人も含めて難病にしていただきたい疾患の一つかなとは考えておりますし、それによってまた研究も進んだりとか、データベースについてもつくられて、正確な症例数を把握しようという試みもなされているやにお聞きしておりますので、ぜひ御検討いただければと思います。
 小慢委員ですのでオブザーバーですけれども、よろしくお願いいたします。
○水澤委員長 小児科の先生方3名から、難病ではないかという御発言がございました。指定難病検討委員会の者としては非常に板挟みでつらいところでございますけれども、ほかに御意見はどうでしょうか。
○伊藤委員 小児なのであれですけれども、成人で何人かさらにデータがあると、重症度とかがあれば通るのでしょうか。僕らとしては小児科で多く経験する疾患で、日本が研究をリードしないと発展しない。日本人はEBウイルスは血球貪食症候群になったりとか、固形事案の人とは明らかに違うのです。なので、何かいい方法があれば残せないかなと、EBウイルスをよく診る人間としては思います。
○水澤委員長 ありがとうございます。
○滝田委員 今お話があったように小児に多い疾患ですので、私どもは割と診断とか治療する機会も多いのですが、もしかしたら成人領域の先生は私どもに比べると診る機会は少ないのかもしれませんけれども、私のほうにも、先日も80代のCAEBV感染疑いの方の相談が参りまして、もしかしたら潜在的に成人領域にこういった疾患をお持ちの方が多くて、ただディテクトされていないだけという可能性もあるかと思いますので、指定難病に御指定いただいて、実態把握というところも併せてやっていくのがよろしいのではないかと考えております。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 指定難病検討委員会の先生方、いかがでしょうか。御質問等があったら、非常にいい機会だと思いますので、時間はたっぷりありますので、ぜひ御議論いただければと思います。
 前の委員会で、成人のほうの血液内科の先生からのお話としては、先ほど張替先生からお聞きしたのと同じような御説明をお聞きして、今回初めてではないと思います。何度か申請があって、認められていなかったと思いますけれども、今回のいろいろな御意見をお聞きして、いかがでしょうか。
 例えば疾患としての理解、先ほどの免疫不全症候群と捉えられているというのは、もう間違いないものとして確定しているのでしょうか。間違いないと言ったらおかしいかもしれませんが、学会としては今、そういう捉え方で研究が進んでいるのでしょうか。
○今井委員 免疫異常症として、比較的血液の先生たちが多く診ているとは思うのですけれども、リウマチ系では恐らくない感じで、もっと激烈なので、抗がん剤も活用したりしないと治せないというところもあって、血液の先生たちが診ることも多いので、日本小児血液・がん学会と連携しながら、研究とか治療とか診断とかをやっているような現状であります。
 桑名先生からお手が挙がっているように思います。
○水澤委員長 桑名先生、よろしければどうぞ。
○桑名委員 私、この委員会に以前からずっと入って議論を聞いている範囲では、この疾患が難病として認められない理由は、腫瘍かどうかということよりも、感染症かどうかということであったと記憶しています。すなわち、もしEBウイルスが発症要因であれば、難病の要件を満たさないという議論がこれまで盛んにされていて、その病型の中で確かに造血器腫瘍に近いものもあるけれども、そこではなくてEBウイルスの存在を証明することが診断であるということは、EBウイルスが発病に関連しているという議論で外れてきたように記憶しているのですが、水澤先生、そうではなかったですか。
○水澤委員長 両方であったと思います。クロナリティーがあって、出てきて、腫瘍に近い存在というのも、あるいは腫瘍という見方、今もお話があったように、私も大学院にいた頃に経験しましたけれども、血液内科と併診しましたが、血液のがんをやっていらっしゃる方々が主に診ていらっしゃるという現実があると思います。したがって、腫瘍性の問題と感染症としての問題と両方があって、難病のほうからは要件を満たさないと。いわゆるカテゴリーが違うという考えだったと思います。
○桑名委員 その診断根拠に病原微生物の存在証明は必須だということだとすると、感染症に分類せざるを得ないというのが前回のときに議論になった記憶があるのですが、これはEBウイルスがなくても診断できる疾患なのでしょうか。私、専門ではないので、その辺を教えていただければと思います。
○水澤委員長 滝田先生、どうぞ。手が挙がっています。
○滝田委員 ありがとうございます。
 確かに診断にはEBウイルスのゲノムのコピー数が必要になってまいりますので、ウイルスそのものをディテクトするということになります。今、感染症であれば外れるのではないかという御指摘でございますが、私は今、指定難病の要件についてという別の資料を拝見しておりますけれども、それに書かれていることを読ませていただきますと、ウイルスなどの感染が原因となって発症する疾病については原則①に該当しないものとする。つまり、病因が不明なものには該当しないとする。ただし、ウイルスなどの感染が契機となって発症するものであって、一般的に知られた感染症状と異なる発症形態を示し、症状が出現する機序が未解明なものについては個別に検討を行うものとするという要件がございますので、慢性活動性EBウイルス感染症はまさにこの部分に当たるのではないかなと考えております。なので、感染症だからというところだけで該当しないという議論ではなくて、もう少し踏み込んだ御議論をいただければと思っております。
○水澤委員長 今井先生、今、手を挙げられましたか。
○今井委員 手を挙げました。
 その例として、既に認められて、原発性免疫不全症の中に入っている2つの病気、X連鎖リンパ増殖症候群、1型と2型がありますけれども、これはfulminant(劇症)IM(伝染性単核症)になりうる疾患です。致死的な伝染性単核症になる疾患として最初はカテゴライズされてきて、そのうちに原因遺伝子が2つは見つかったという形で明らかになってきたという流れになっていました。
 同じような形で、恐らくCAEBVと我々が呼んでいる疾患も幾つかの病型には分かれてくるのだろうと思うのですけれども、何も素因がない人が感染したがためになってしまう感染症ではないと各業界の先生方が全て思われている疾患ではあると思うので、しかも治療法についてもかなり難渋しているということもありますので、感染を契機にした重症免疫疾患の一つであるという考え方だと現在は思われていると思います。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 岡先生、どうぞ。
○岡委員長 私、今日は先ほど来発言を控えていたのは、今までどのように難病の先生方が難病の診断をしてきたのかというところをじっくりと聞かせていただこうということで聞かせていただいていたのですけれども、今、小児の先生方がCAEBVに関してはこうした見方があるという御意見を申し上げて、それが少し成人と違うのではないかというところがあります。ただ、もう一方で、難病の先生方と今日こうやって意見を共通の場所で議論するというのは非常に大事なのですが、難病の枠組みというものが今まであるということも、難病の委員の先生方が今まで繰り返しおっしゃっている点かなと思っています。ですので、そこに違和感があるということは事実かもしれないのですけれども、また、難病は成人の場合にはがんであるとか感染症であるとか事業を分けてやっておられるところもありますので、ここは小児の先生がこのように考えられているということを参考にしていただいて、難病の先生に御判断いただくしかないのかなとは思うので、その点は小慢の委員の先生方は御理解いただければと思います。こうやって聞かせていただくことで私も今日、次回以降どのように考えていったらいいのかなと非常に勉強になっているというところがございますし、先ほど水澤委員長がこういう点がすごく悩む点なのだとおっしゃったりしたことが非常によく理解できるのですけれども、議論の方向性は少し小慢の先生方も考えていただきたいとはちょっと思いますので、一言発言させていただきました。
○水澤委員長 先生、ありがとうございました。大変助け舟でもないのですけれども、全体を俯瞰していただいたような御発言をいただきまして、非常にうれしく思います。
 今日でこの検討会は終わりではありませんので、議論を深めるという意味で、継続的に検討するという形に私としてはしたいと今、傾いてきております。
 どうぞ。
○伊藤委員 今、聖マリアンナがAMEDで分子標的薬を開発しているホームページを見ていると、小児、思春期、成人に多いのですけれども、小児は結構生存率が高いのですが、思春期は大体3年で、高齢だと30%ぐらいと書いてある。思春期、造血幹細胞移植をしてもかなり悪そうなことが書いてあるので、80歳は珍しくて、若年成人に結構発症することが多いと思います。むしろ子供を持ったりとか、結婚したり社会で働いていく段階でこういう重たい病気にかかってしまうので、治療法が未開発な部分がありますので、支援があるといいかなと思いました。また持ち越して検討していただけると、小児科寄りの疾患なので少しうれしいと思います。今回は本当に論議ができてよかったです。ありがとうございます。
○水澤委員長 ということで、CAEBVにつきましては継続的に審議したいと思います。
 あと2つあります。サラセミアと不安定ヘモグロビン症につきましていかがでしょうか。これは先ほどもお話がありましたように比較的軽症の方が多いということでございまして、要件を満たさないのではないかということでございますが、それはよろしいでしょうか。
 特に御異論ないと思いますので、ここはお認めいただいたということで判定したいと思います。
 最後の3疾患、事務局からお願いできますでしょうか。
○原補佐 不安定ヘモグロビン症につきましては。
○水澤委員長 サラセミアと不安定ヘモグロビン症、一緒にあれしました。御意見がもしあったらどうぞ。
○今井委員 不安定ヘモグロビン症とサラセミアも1つだけ確認させていただきたいのですけれども、非常に重症なサラセミアの患者さんというのは当然いらっしゃって、今、遺伝子治療とかもかなり開発されたりしているような現状で、最近、外人の方でそういう患者さんを時々目にしたりもするものですから、もし例えばβ0サラセミアとか、そのような形で亜分類して、必ず重くなる患者さんだけという診断基準ではないけれどもそういうものがつくられると、難病の俎上にのってくるような形になったりするのでしょうか。教えていただければと思います。
○水澤委員長 それはこれまでも議論がありました。まず事務局からお願いします。
○原補佐 これまでも指定難病で検討する際には、重症型だとか、小児期発症だとか、そういった一つの疾病を切り取った形での検討ではなく、その疾病全体として指定難病の要件を満たすかどうかという点で御議論をいただいております。
 事務局からは以上です。
○今井委員 分かりました。そうなると、α0サラセミアとかいう一つの疾患と言えないということですか。
○水澤委員長 そういう形で指定難病検討委員会では議論をしてまいりました。これまでの例外は、たくさん例外があるのですけれども、悪性関節リウマチです。関節リウマチは指定難病ではないのですけれども、悪性関節リウマチが指定難病になっていたように記憶しておりますが、それをやっていくと切りがないというか、悪性高血圧症とか様々なもので部分症が出てくるというか、つくることが可能になってしまいますので、そういった点で議論してきたという点は御理解いただければと思います。
 ただ、先ほどのCAEBVもそうだと思いますけれども、結局、最初にお示しになった要件のところで複雑な書き方になっているのは、なかなか難しいわけです。そのように分けることがというか、疾患が実は本質的に違うのだみたいな形になったり、非常に合理的にそのように考えたほうがいいのだということがあれば、もちろんそちらのほうを取るということもあり得ると私は思います。したがいまして、そういったところはオープンに、学術的に正しい方向に議論をしていくのが正しいのではないかなと私は思います。ありがとうございました。
 では、サラセミアと不安定ヘモグロビン症は両方とも重症分類の方が少ないということで、要件を満たさないと判定したいと思いますが、よろしいでしょうか。
(委員首肯)
○水澤委員長 そうしましたら、残りの疾患の説明をお願いいたします。
○原補佐 では、次の3疾病について御説明いたします。
 「口唇赤血球症」について、75ページを御覧ください。
 平成29年度、平成30年度、令和3年度には、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病は赤血球が酸素・二酸化炭素を交換するため、本来は中央が窪んだ円盤状の形態を取るが、本疾病は赤血球膜を構成するたんぱく遺伝子の変異によって口唇状の形態になり、溶血性貧血を発症するとあります。
 患者数は約500人、発病の機構は不明で遺伝子変異が関与しているとあります。効果的な治療方法は未確立で、赤血球輸血、除鉄療法などの対症療法が主体とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ40%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児血液・がん学会の承認を得ております。
 次に、「ピルビン酸キナーゼ欠乏性貧血」について、80ページを御覧ください。
 平成29年度、平成30年度、令和3年度には、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 先天性溶血性貧血の一型で、新生児期重症黄疸で気づかれる例が約半数、残りは慢性溶血性貧血で発症するとあります。
 患者数は約100人、発病の機構は不明で遺伝子変異が関与しているとあります。効果的な治療方法は未確立で、赤血球輸血、除鉄療法などの対症療法が主体とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ30%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児血液・がん学会の承認を得ております。
 次に、「グルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症」について、85ページを御覧ください。
 平成29年度、平成30年度、令和3年度には、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされました。
 本疾病はX染色体潜性遺伝性の先天性溶血性貧血で、変異酵素の活性低下により赤血球内の抗酸化物質であるグルタチオンの還元反応が障害され、赤血球寿命が短縮するとあります。
 患者数は約400人、発病の機構は不明で遺伝子変異が関与しているとあります。効果的な治療方法は未確立で、慢性溶血性貧血例に対する赤血球輸血、急性溶血発作例に対する輸液・輸血療法などの対症療法が主体とあります。重症度分類を用いた場合、対象となる患者はおおよそ30%と報告されております。診断基準、重症度分類は日本小児血液・がん学会の承認を得ております。
 事務局からは以上です。
○水澤委員長 御説明ありがとうございました。
 それでは、御議論をお願いいたします。いかがでしょうか。
 過去何度か長期療養ということで、これが今の重症度ということになりますけれども、要件を満たさないという判定を受けている疾患でございます。
 張替先生、またコメントをいただければ大変助かります。
○張替委員 過去も同じような数値で上がって、重症度の基準を満たさないということで要件から外れていますので、今回は新たな情報はないということで、要件から外れるでやむを得ないかなと思います。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 ほかには御意見はありませんでしょうか。いかがでしょうか。
 どうぞ。
○滝田委員 私も張替先生と同意見で、重症度分類には当たらないという理解でよろしいのかなと思います。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。お二人の専門の先生からコメントいただきました。今回は要件を満たさないのではないかということで判定したいと思います。
 そうしましたら、ここまででしょうか。事務局のほうからまとめをお願いできますでしょうか。
○原補佐 1つ目の乳児発症STING関連血管炎に関しましては、重症度分類の再検討について研究班へ確認することになったと認識しております。
 また、成人の人数について、研究班から成人2名と情報提供されておりますが、小慢との情報の整合性について確認したいと思います。
 2つ目の原発性リンパ浮腫に関しましては、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 3つ目の原発性肝内結石症に関しましては、長期予後に関しての研究が必要なことから、現時点では「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 また、診断基準の記載ぶりについてコメントをいただきました。
 4つ目の原発性肝外門脈閉塞症に関しましては、承認されたと認識しております。
 5つ目の先天性胆道拡張症に関しては、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 6つ目のPeutz-Jeghers症候群に関しましては、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 7つ目の巨大リンパ管奇形に関しましては、診断に関して診断基準の再検討が必要ということから、診断基準に関し客観的な指標による一定の基準が定まっているとの要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 8番目の青色ゴムまり様母斑症候群に関しましては、重症に該当する割合の情報が少ないことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 また、日本消化器病学会の承認が必要ではないかとコメントをいただいております。
 9番目の出血性線溶異常症に関しては、承認されたと認識しております。
 10番目の慢性活動性EBウイルス病に関しては、「発病の機構が明らかではない」との点で今後も検討が必要ということで、現時点では承認は見送りになったと認識しております。
 11番目のサラセミアに関しては、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 12番目の不安定ヘモグロビン症に関しましても同様に、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 13番目の口唇赤血球症に関しましても同様に、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 14番目のピルビン酸キナーゼ欠乏性貧血に関しましても同様に、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要求を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 15番目のグルコース-6-リン酸脱水素酵素欠乏症に関しましても同様に、重症に該当する割合が低いことから、「長期の療養を必要とする」との要件を満たしていないと判断することが妥当とされ、承認は見送りになったと認識しております。
 事務局からは以上です。
○水澤委員長 10番のCAEBVに関して、継続審議ということです。まだ今期の委員会の機会はあるかと思いますので、そこでもう一回議論ができればいいなと私は思っておりますが、そのようにはできますか。前もそのようなことがあったと思います。ですので、指定難病検討委員会だけでもいいですけれども、できれば御一緒のときに御議論できれば私はいいかなと思っておりますので、スケジュールは事務局のほうで検討していただければと思います。したがいまして、10番がまだ決定していないということで、そのほかはよろしかったように思います。
 今おまとめいただきましたけれども、それでよろしいでしょうか。今日はたくさんおられますので、指定難病検討委員会の委員の皆様、御賛同いただける方は手を挙げていただけますでしょうか。挙手をお願いできますか。そうですね、このリアクションでお願いできますか。事務局のほうでちゃんと判定してくださいね。
(賛成者挙手)
○水澤委員長 皆さん挙げられていると思います。
 念のために御異論のある方、御発言願えますか。指定難病検討委員会の方だけでございますけれども、よろしいでしょうか。
 まだ挙手が残っていらっしゃる方がいますけれども、御異論はゼロかと思います。
 ありがとうございました。指定難病検討委員会の委員の皆さんには、全会一致でお認めいただいたと思います。細かいところの修正等につきましては、事務局と私のほうに御一任いただければと思います。
 最後に、事務局に一旦お返しして、予定等について御説明をお願いいたします。
○中村補佐 委員の先生方、御議論いただきましてありがとうございます。
 御指摘いただいた点につきましては、研究班のほうにも確認をさせていただきますけれども、もう少し時間がかかるということであれば、今回の一連の検討の中では確認が間に合わない可能性もございますので、その場合は次回以降ということもあり得ますので、御了承いただけますと幸いでございます。
 今後の日程ですけれども、次回、第56回の指定難病検討委員会については、単独で開催することとしており、令和6年2月22日に予定しております。小児慢性特定疾病検討委員会の次回の日程については、事務局より改めて御連絡させていただきます。
 詳細については、後日御案内申し上げます。
 事務局からは以上です。
○水澤委員長 ありがとうございます。
 特に御質問とかはありませんでしょうか。よろしいでしょうか。
 ありがとうございます。
 本日は以上で終了といたしたいと思います。どうも御出席ありがとうございました。