第159回労働政策審議会安全衛生分科会議事録

労働基準局安全衛生部計画課

日時

令和6年2月21日(水)10:00~12:00

場所

対面及びオンラインにより開催
(AP虎ノ門)
(東京都港区西新橋1-6-15 NS虎ノ門ビル11階)

出席者

会場

公益代表委員
労働者代表委員
使用者代表委員

(五十音順、敬称略)
事務局

オンライン

公益代表委員

労働者代表委員
使用者代表委員
(五十音順、敬称略)

議題

(1)有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)
  (個人ばく露測定に係る測定精度の担保等)
(2)作業環境測定基準等の改正について(報告)
  (作業環境測定(個人サンプリング法)の対象物質の拡大等)
(3)個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(素案)について
(4)労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案の概要について
  (個人事業者等に対する安全衛生対策関係)
(5)その他

議事

議事内容

○髙田分科会長 それでは定刻となりましたので、ただいまから、第159回労働政策審議会安全衛生分科会を開催いたします。本日は、対面及びオンラインの併用により開催することとしていますので、御承知おきください。カメラ撮影等についてはここまでといたしますので、御協力をお願いいたします。まず、事務局からオンラインによるZoomの操作方法等について説明をお願いします。
○計画課長 事務局です。オンラインで御参加の委員の皆様方にZoomの操作方法等について御説明いたします。本日はハウリング防止のため、御発言されないときにはマイクをオフに設定をよろしくお願いいたします。また、御発言される場合には、御発言がある旨をチャットに書き込んでいただき、分科会長から指名がありましたら、マイクをオンに設定の上、氏名をおっしゃってから御発言をよろしくお願いいたします。このほか、進行中、通信トラブルなどの不具合がありましたら、チャットに書き込み、又は事務局へメール等々で御連絡をよろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 それでは議事に入ります。議題(1)「有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」について事務局から説明をお願いいたします。
○化学物質対策課長 化学物質対策課の安井です。私のほうから資料1-2に基づき御説明いたします。こちらは個人ばく露測定に係る測定精度の担保を趣旨とする改正です。
 1ページです。こちらが「化学物質管理に係る専門家検討会」の中間取りまとめ及び報告書となっておりますが、こちらに記載のある毒性あるいはばく露に関する専門家にお集まりいただきまして、御議論を頂いたところです。2ページ目が中間取りまとめ及び報告書の抜粋です。まず、個人ばく露測定の法令上の位置付けですが、左下を御覧いただきたいと思います。左下に図があります。どういったところで個人ばく露測定が規定されているかというところですが、まず、④金属アーク溶接等作業を継続的に行う作業については、個人ばく露測定を行って、それに基づいて適切なマスク、呼吸保護具を選択するということを義務付けております。それから、①指定作業場、これは作業環境測定士による作業環境測定が義務付けられている場所ですが、その中で環境改善が困難な第三管理区分作業場については、個人サンプリング測定等を行って、同じように適切な呼吸保護具を選択することを義務付けております。それから、③ですが、点線囲みの部分になりますが、リスクアセスメント対象物を製造・取り扱う作業場については、リスクアセスメント指針により、リスク見積りのため、必要に応じて個人ばく露測定を行うことになっております。⑤そのリスクアセスメント対象物のうち濃度基準値が設定されている物質を製造・取り扱う屋内作業場においては、濃度基準値を超えるおそれがある場合については、個人ばく露測定を行って、必要なマスクの選択その他について評価することを技術上の指針で求めているところです。
こういったことが総合的な形になっておりますが、1番上のほうに戻ると、作業環境測定においては、測定に専門知識及び技術を要する作業場、指定作業場においては、作業環境測定士による測定(デザイン、サンプリング、分析)を義務付けておりまして、測定結果の精度の担保を行っているわけですが、一方、個人ばく露測定においては、指定作業場における測定を含め、作業実施者の限定が法令上なく、測定精度を担保する仕組みが法令上ないという状態です。
 右下のほうになりますが、これに対して検討会の提言ですが、精度を担保する仕組みとして、まず1つ目のポツで、第三管理区分作業場、それから金属アーク溶接等作業場については、法令上、個人ばく露測定を行うことを事業者に義務付けていることから、法令改正を行って、個人ばく露測定を資格者に行わせることを事業者に新たに義務付けることが適当であるとしています。
 2つ目ですが、確認測定やリスクアセスメントのための個人ばく露測定については、義務付けがありませんので、当面の間は化学物質リスクアセスメント指針及び技術上の指針において、資格者による個人ばく露測定の実施を行政指導として求めるべきであると。さらに、今後、必要な法令の整備を行って、作業環境測定と同様、資格者による個人ばく露測定を義務付ける仕組みを設けることを検討すべきであるという御提言を頂いております。
3つ目ですが、こちら資格者の要件については、義務付けがあるものとないものの両方について、共通の要件とすべきであるという御提言でした。
 次のページですが、では具体的にはどのような要件を求めるべきかという御提言です。こちらについては3つあります。1つ目は、個人ばく露測定のデザイン及びサンプリングを行う資格者の要件としては、従来、作業環境測定を行っている作業環境測定士に追加講習の受講を求めるという趣旨です。特に個人ばく露測定のデザインというのは作業環境測定のデザインとは考え方が異なるため、その点に関する追加講習を受講していただくという趣旨です。この追加講習については、講習の品質管理の観点から、都道府県労働局長により登録を受けた機関が実施するとともに、修了試験を行って修了証を交付するということです。それからオキュペイショナル・ハイジニストの職務については、個人ばく露測定のデザイン及びサンプリングがもともと含まれているということですので、こちらの方についても、デザイン及びサンプリングを行う資格者として認めることが妥当であるということです。
 2つ目は、個人ばく露測定のサンプリングのみを行う資格者の要件等です。こちらについては、個人ばく露測定というのはどうしても測定時間が長くなるので、その測定時間を作業環境測定士のような資格者をずっと拘束するのは現実的ではないという御意見が多数ありまして、先ほどの1に掲げる資格者から指示を受け、方法を指定していただいて、サンプリングのみを行う者というのを設けるべきだと。その方についてはサンプリングの実務に必要な知識に関する講習を受講した者を認めるべきだということです。こちらの講習についても、都道府県労働局長により登録を受けた機関が実施すべきだということです。念のためですが、サンプリングのみを行う者は、1に掲げる有資格者からの指示、具体的な方法を入手した場合のみサンプリングを実施できるということで、単独でサンプリングを実施することはできないということです。
 3つ目ですが、分析です。こちらについては、当然、第一種の作業環境測定士あるいは作業環境測定機関が望ましいということですが、それだけでは足りない可能性がありますので、他法令に基づく測定関係の機関も分析可能とすべきではないかということで、従来の第一種作業環境測定士あるいは第一種作業環境測定士が所属している作業環境測定機関に加えて、所属事業場に係る自分の事業場で採取された試料の分析については、自らの事業場についての、いわゆるラボがありますので、そちらに所属している1級の化学分析技能士でも分析できるというようにすべきだという御提言でした。
こちらを踏まえて、有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令案というのをまとめておりますが、内容については5ページ目です。1つ目と2つ目と3つ目のポツについては、先ほど御説明したものと重なりますので省略いたしまして、こういった御提言を踏まえて、特化則、有機則、鉛則、特化則及び粉じん則に規定する個人ばく露測定について、その測定精度担保を行うために個人ばく露測定を行う者の要件を定める等の所要の改正を行って、当該要件の中で、修了が必要な講習科目の範囲及び時間を定めるという改正です。
 6ページ目が、諮問事項である省令の案です。まず、有機則、鉛則、特化則及び粉じん則の一部改正ということですが、こちらは先ほどの資格の要件を定めるということでして、(ⅰ)デザイン及びサンプリングについては、作業環境測定法第2条4号に規定する作業環境測定士であって、都道府県労働局長の登録を受けた者が行うデザイン及びサンプリングに関する講習を修了したもの又はそれと同等以上の能力を有する者と設定するということです。それからサンプリングのうち、(ⅰ)の者がサンプリングごとに指定する方法により単独でサンプリングを行うという場合については、(ⅰ)の者又は都道府県労働局長の登録を受けた者が行うサンプリングに関する講習を修了した者も認めるということです。分析については、ばく露測定により測定しようとする化学物質に応じた試料採集及び分析に必要な機器及び設備を保有する者であって、なおかつ次のいずれかに該当するものということでして、作環法の第2条5号に規定する第一種作業環境測定士、それから作環法第2条第7号に規定する作業環境測定機関、当該機関に所属する第一種作業環境測定士が分析を行う場合に限るということです。それから当該者が所属する事業場で採取された試料の分析を行う場合に限り、職業能力開発促進法施行規則の別表第11の3の3に掲げる検定職種のうち、化学分析に係る1級の技能検定に合格した者も認めるということです。それから、もう1つ登録省令というものがありまして、こちらも改正いたしまして、こちらは先ほどの(1)の(ⅰ)と(ⅱ)の講習を行う者を「登録個人ばく露測定講習機関」とし、当該機関の登録基準などを定める予定です。
 続いて告示事項です。こちらは御報告ということになるわけですが、講習課目の範囲及び時間に係る告示を制定する予定です。先ほどの(1)の(ⅰ)及び(ⅱ)の講習課目の範囲と時間を以下のとおり定めるということで、デザイン及びサンプリングに関する講習については、個人ばく露測定概論、デザインに関する知識、サンプリングに関する知識、労働安全衛生関係法令で、合計7.5時間の座学ということです。それから実技としては、デザインとサンプリングについて1.5時間の実技を行います。それから、サンプリングに関する講習については、化学物質管理概論、個人ばく露測定概論、サンプリングに関する知識、労働衛生関係法令で6.5時間の座学を受けていただいて、サンプリングの実技研修を1時間30分受けていただくという予定です。
それから公布日ですが、本日、答申を頂きましたら、3月下旬を予定しておりまして、施行については令和8年10月1日ということですが、登録機関に関する規定については、令和6年7月1日から準備施行しまして、資格者の養成をあらかじめ行って、令和8年10月1日の施行に備えるという予定です。以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。本件につきまして、質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨をチャットに書き込みをお願いします。まずは会場の委員で、御質問、御意見のある方はお願いいたします。増田委員、お願いします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。資料の3ページ目に載っている追加講習なのでずが、個人ばく露測定のデザイン及びサンプリングを行う者の要件、こちらはどのくらいの人数の作業環境測定士が受けることになる見込みでしょうか。その規模を教えていただければと思います。もう1点、今後、新たに作業環境測定士の資格を取られる方は、追加講習ではなくてもともとの講習に含めるという、作業環境測定士の資格を取る時点でこの内容が入ってくるように変えていくのか、それとも、作業環境測定士の資格とこの追加講習の資格はあくまでも別立てで運用していくことになるのかを教えていただきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、山脇委員お願いいたします。
○山脇委員 資料の2ページにある「法令上の位置付け」に記載のとおり、現状、個人ばく露測定について測定精度を担保する仕組みがないのは課題であると受け止めています。「精度を担保する仕組み」の2つ目の後段に書いてあるとおり、本来であれば必要な法整備を設けることがあって然るべきではないかと思っており、早急に手当てを行っていただきたいと考えています。他方で、法整備がすぐに実現するわけではありませんので、当面の間、行政による指導等を行っていくことについては理解するところです。
 その上で、諮問事項について確認させていただきたいと思います。増田先生の質問と一部重なるのですが、今回、追加で実施される講習、特に今回のポイントになるのはデザインだと思います。デザインが適切に行われることが個人ばく露測定の大前提と言えます。7ページの講習を見ると、学科と実技を合わせて3時間半の履修ですが、有資格者に対して、この3時間半の中でどのようなことを実施し、デザインの適正性をいかに担保していくのか、具体的な内容についてお伺いしたいのが1点目です。
 もう1点は、オキュペイショナル・ハイジニストの取扱いについてです。有識者会議の報告書によると、オキュペイショナル・ハイジニストについては、作業環境測定士とは異なって、追加講習等なく資格者とすることが適当とされております。ただ、6ページ、諮問事項を見ると、(ⅰ)デザイン及びサンプリングのところで、「それと同等以上の能力を有する者」に対しても資格を付与するということですので、それと同等以上の能力を有する者にオキュペイショナル・ハイジニストが入るのかどうか、併せて、オキュペイショナル・ハイジニスト以外の資格を持っている方が今回の有資格者とするのであれば、どういう方が入るのかを教えていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかはよろしいでしょうか。そうしましたら、オンラインの委員からは御発言ございますか。今のところ、チャットの書き込みのほうはないということで大丈夫でしょうか。そうしましたら、増田委員からの御質問、山脇委員の御意見、御質問について、回答をお願いいたします。
○化学物質対策課長 お答えいたします。まず、増田委員からの御質問、2点あったと思います。まず、追加講習はどれぐらいの人数かというところです。これは明確に何人というのは言い難いですが、個人ばく露測定については、特に濃度基準値を将来的には800物質までは増やそうということですので、相当の測定の必要数は出るのではないかと検討会では御議論いただいておりまして、相当の数の作業環境測定士が受講するのを前提に制度設計をしているところでございます。
それから、今後新たに作業環境測定士を受講された方については、追加講習をやらなくて、もともと入れておくべきではないかという御意見ですが、まず、作業環境測定士法という法律が作業環境測定だけを限定にしており、作業環境測定士という資格の中に個人ばく露測定はなかなか入ってこないので、法律を改正しない限りは別立てという形でやらざるを得ない。もちろん、現実問題として、同時にやることは可能だと思いますが、資格としては、作業環境測定士の資格の中に個人ばく露測定が入ることはないです。
それから、山脇委員の1つ目は、御意見として承りたいと思いますが、法制度、作業環境測定法の改正などが必要ではないかという御指摘だと思いますが、こちらについては御意見として承りまして、そういった法改正をできるよう目指していきたいということでございます。
 それから、デザインの講習の内容ですが、こちらについては、まず金属アーク溶接、それから、第三管理区分、いずれについても測定方法に告示が定められていまして、その告示の中に均等ばく露作業、これはばく露される化学物質の量がほぼ均一であると見込まれる作業を複数設定して、それぞれについて必要な人数の測定を行うというやり方です。技術上の指針等の告示については、若干の差異がありますが、均等ばく露作業ごとに測定者を選ぶという考え方は同じですので、そういった内容についてきちんと御理解いただく講習を行う予定です。
それから、ハイジニストにつきましては、御指摘のとおり、6ページの(ⅰ)の、「それと同等以上の能力を有する者」にハイジニストを通達で規定する予定です。それ以外の者について現時点で想定されている資格者はおられないというところです。
説明は以上でございます。
○髙田分科会長 ありがとうございます。増田委員、山脇委員、今のご回答に何かありませんか。増田委員、よろしいですか。山脇委員もよろしいでしょうか。そのほか、御発言はありますか。よろしいでしょうか。それでは、議題(1)「有機溶剤中毒予防規則等の一部を改正する省令案要綱について(諮問)」については、妥当と認めることとしてよろしいでしょうか。
(異議なし)
○髙田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局で答申の手続をお願いいたします。
次に、議題(2)「作業環境測定基準等の改正について(報告)」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室長 それでは、議題(2)の「作業環境測定基準等の改正について(報告)」は、資料2に沿って、化学物質対策課環境改善・ばく露対策室から説明させていただきます。内容といたしましては、化学物質管理に係る専門家検討会で検討し合意されたもので、大きく3つに分かれております。1つ目は、これまで個人サンプリング法の対象としていなかった特定化学物質について、個人サンプリング法の対象に加えるもの。2つ目は、金属の分析方法の追加に関するもの。3つ目は、有機溶剤中毒予防規則において有機溶剤等の消費量の算定に係る数値について改正するものです。
 まず1点目ですが、資料の3ページを御覧ください。もともと定点測定のみであった作業環境測定の中に、下の絵のように、労働者の呼吸域の濃度をより適切に測定する観点から、個人サンプリング法が新たに導入されたものです。4ページですが、A・B測定と個人サンプリング法(C・D測定)を比較した資料となっております。個人サンプリング法の測定対象物質について、現在、①個人サンプリング法対象特化物は限定されており、これを拡大することが改正内容です。令和5年度の検討結果ですが、7~8ページにあります14物質を新たに追加することとしております。これら追加された特定化学物質については、第三管理区分に区分された場所に係る有機溶剤等の濃度の測定告示の個人ばく露測定等の対象物質にも追加することとしております。
 次に2点目です。10ページを御覧ください。新たに金属系化合物を分析する方法として追加するのは、「誘導結合プラズマ質量分析方法」であり、下の※にもあるように、試料に含まれる元素の定性・定量の両方を行うことが可能な方法として、従来から取り入れられております。11ページにあります7種類の金属化合物について、追加するものです。
 次に3点目です。資料の13ページを御覧ください。有機則第2条では、適用除外の判断のために、作業時間1時間に消費する有機溶剤等の量、有機則第17条では、全体換気装置に必要な換気量の算定のため、消費する有機溶剤等の量を用いることが条文上規定されており、その量を算出するための係数が告示で定められております。
 ここで接着剤を例に、「その他の接着剤」とされているものは多数の不特定の製品が含まれる区分となっていますが、定められている数値は共通の0.8となっております。有機溶剤の含有率も様々ですし、そのほかの接着剤などの多数の製品が含まれている区分に共通の数字を定めるというのは適切ではなく、今回所要の改正を行いたいと考えているところです。
 具体的な告示改正の内容といたしましては、14ページを御覧ください。改正内容としましては、「接着剤」の場合であれば、「当該接着剤に含有される有機溶剤の量を当該接着剤の量で除した値」という内容になっておりまして、除した値というのは割算をするということで、例えば製品の量が100gあり、その中に含有される有機溶剤の量が60gということであれば、60/100で0.6という値にするという内容です。
私の説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。本件について、質問、意見等のある方は、会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨チャットに書き込みをお願いします。会場の委員から、門崎委員お願いいたします。
○門崎委員 私からは、改正に当たってのお願いです。今般の改正によって、個人サンプリング法による対象物質が14物質、また分析方法も新たに追加されますが、化学物質を取り扱う労働者が安心・安全に働けるよう、政府として、中小企業をはじめとする全ての事業者に対して周知徹底するとともに、引き続き必要な支援を行っていただきたいということ。また、今般の追加を踏まえて、施行後の状況も注視しつつ、健康被害などの問題が生じていないか、適宜検証していただきたいこと、について発言させていただきます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかはありますか。増田委員、お願いします。
○増田委員 増田です。一番最後の改正点の共通の数値0.8というのが現在の運用であり、これを今後は個別の含有率に応じて数値を設定可能とあります。これは、あくまでもそういう方法をやってもよくて、従来の0.8で引き続き運用しても可かどうかという点をお伺いできればと思います。SDSが全て入手できないような場合は、そういった方法をとらざるを得ない場面もあるのではないかと思いまして、確認させていたただけたらと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかはございますか。オンラインで参加の委員で御発言ありますでしょうか。チャットに書き込みはないようですので、よろしいでしょうか。それでは、門崎委員の御発言と増田委員からの質問について御回答お願いいたします。
○環境改善・ばく露対策室長 門崎委員、御意見いただきましてありがとうございました。今、お話になられたような内容を踏まえて、対策ということでございまして、施行期間についても公布即施行ということではなくて、一定の措置期間を空けて施行ということになりますので、その準備期間の中で一定の対応等が図られるかと思いますので、よろしくお願いいたします。
 増田委員からの質問、ありがとうございます。この0.8の数字については、先ほど最後のほうで申し上げました、製品の中に含まれている有機溶剤の量を割合で出すということで、その0.8というのも基本使えなくて、入っている有機溶剤の量で算出するという形に、今回、告示で改めるとしておりますので、よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。門崎委員、増田委員、よろしいでしょうか。ほか何かございますでしょうか。よろしいでしょうか。ありがとうございます。それでは、事務局から御説明いただきました方針で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 次に、議題(3)「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(素案)について」に関して、事務局から説明をお願いいたします。
○産業保健支援室長 労働衛生課産業保健支援室長の大村です。資料3の「個人事業者等の健康管理に関するガイドライン(素案)について」、説明させていただきます。お手元には、資料3をまとめるために用いました(素案)も参考資料としてお付けしておりますので、適宜御参照ください。
 資料3のスライド2を御覧ください。「1 趣旨・適用」についてです。本日は時間の関係もありますので、下線を付した部分などのポイントを中心に説明をいたします。厚生労働省では、昨年10月27日、「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書」を公表しております。この報告書の別添2において、個人事業者が労働者とは異なる場所で就労する場合であっても、労働者と同じ安全衛生水準を享受すべきであり、労働安全衛生法令の枠組みを超える新たな観点については、ガイドライン等で推奨という記載があります。本ガイドラインについては、個人事業者等の健康管理のために自主的な取組等を推奨するものとして作成をいたします。
 本ガイドラインは、事業を行う者のうち労働者を使用しないもの及び中小企業の事業主若しくは役員である個人事業者等が健康に就業するために、個人事業者等が自身で行うべき事項、個人事業者等に仕事を注文する注文者、検討会報告書では「仕事を管理する者」としておりましたが、注文者ではないものの個人事業者等が受注した仕事に関し、個人事業者等が契約内容を履行する上で指示、調整等を要するものについて必要な干渉を行う者(以下「注文者等」という)が行うべき事項や配慮すべき事項等を周知し、それぞれの立場で自主的な取組の実施を促すというものです。なお、本ガイドラインにおいては、検討会報告書の18ページでの記載を踏まえ、発注者となり得る個人や一般消費者についても、その対象に含むものとして位置付けており、これらの方々を入口では本ガイドラインの対象者から除外しないという整理にしております。また、プラットフォーマー、仲介者の位置付けについては、後ほど説明をいたします。
 次に、業種・職種の実情や商習慣に応じた対応を御覧ください。各業種・職種の注文者等や個人事業者等の団体、仲介業者等が、このガイドラインを参考に、それぞれの業種・職種の実情や商慣習に応じた業種・職種別のガイドラインを必要に応じて策定することが推奨されます。
 次に、「労働者」に該当する場合の留意点を御覧ください。労働関係法令の適用に当たっては、個々の働き方の実態に基づいて労働者性が判断されること、「労働者」として判断される場合には、「労働者」として労働関係法令が適用されます。
 続いて、スライド3です。「2 個人事業者等の健康管理の基本的な考え方と各主体の取組」についてです。検討会報告書の記載を踏まえ、本ガイドラインでは、個人事業者等、注文者等、団体等、国を主体として、各々の取組を明確にしております。
 続いて、スライド4です。柱書きにおいて、個人事業者等には、利用可能な各種支援を活用しながら、次の事項を実施することが推奨されることを明確にしています。また、本ガイドラインそのものは推奨されるという位置付けになりますが、具体的な措置の内容については、全ての措置が同じ重み付けではなく、各々の項目ごとに重み付けが変わるものであるという認識のもと、3段階の重み付けをしております。具体的には、文末が「何々する等」であるものが一番重く、次に文末が「望ましい」あるいは「努める」等であるもの、次に文末が「考えられる」等であるものとして表記をしております。詳しくは、参考資料を御参照いただければと思います。
 資料3に戻りまして、(1)健康管理に関する意識の向上についてです。検討会報告書では、「セルフリテラシーの向上」という語を用いておりましたが、「意識の向上」とガイドラインでは言い換えることとしております。
 次に、(2)危険有害業務による健康障害リスクの理解についてです。1つ目のポツですが、危険有害業務による健康障害リスクや健康障害防止対策についての必要な知識を得ておくこと。2つ目のポツは、安全衛生教育、特別教育を受講するとともに、健康障害リスクや健康障害防止対策に関する情報の提供を注文者等に求めることが重要であることを明確にしています。
 次に、(3)定期的な健康診断の受診による健康管理についてです。1つ目のポツですが、個人事業者等の方が、1年に1回、健康診断を受診すること。2つ目のポツでは、健康診断で異常所見があった場合には、精密検査を受け、医療機関を受診するとともに、仕事のペースの見直しなど、必要な措置を講じることが重要であることを明確にしています。続いて、スライド5で、(3)の続きです。1つ目のポツですが、安全衛生法第66条第2項に基づく特殊健康診断の対象業務などに従事する場合には、これらの健康診断と同様の頻度で同様の検査項目による健康診断を受けること。3つ目のポツで、健康診断で異常所見があった場合には、精密検査を受け、医療機関を受診するとともに、仕事のペースの見直しなど、必要な措置を講じることが重要であることを明確にしています。
 次に、(4)長時間の就業による健康障害の防止についてです。1つ目のポツですが、一般の労働者に適用される時間外労働時間の上限規制を参考にして、就業時間を調整することが望ましいことを明確にしています。スライド6で、(4)の続きです。1つ目のポツですが、個人事業者等の方が長時間の就業によって疲労の蓄積を感じる場合には、長時間労働者に対する医師による面接指導制度を参考に、記載のとおり、医療機関の受診、健康相談等を活用するとともに、仕事のペースの見直しなど、必要な措置を講じることが重要であることを明確にしています。
 次に、(5)メンタルヘルス不調の予防についてです。1つ目のポツでは、ストレス要因に対するストレス反応や心の健康について理解するとともに、メンタルヘルスについて日頃からセルフケアに努めること。3つ目のポツで、個人事業者等の方がストレスを確認した結果、ストレスが高いと思われる場合には、労働者に対するストレスチェック制度を参考に、医療機関への受診、健康相談等を活用するとともに、仕事のペースの見直しなど、必要な措置を講じることが重要であることを明確にしています。
 (6)腰痛の防止について、(7)情報機器作業における労働衛生管理、(8)適切な作業環境の確保についてですが、これまでに頂戴しました御意見等を踏まえ、より分かりやすい項目立てに見直しをしております。なお、記載の内容については、検討会報告書を踏襲しております。次に、(9)注文者等が実施する健康障害防止措置への協力については、検討会報告書の記載を踏襲しております。
 続いて、スライド8です。「4 注文者等が実施する事項」についてです。柱書きにおいて、注文者等は次の事項を実施することが推奨されることを明確にしております。この注文者等には、仲介業者や、インターネット等を活用し利用者とサービス提供者を結び付ける仕組みや場を提供運営する事業者であるプラットフォーマーも含まれます。これらについては、個人事業者等に仕事を注文する場合は注文者に該当すること、また、個人事業者等に仕事を注文しないものの、契約内容を履行する上で指示・調整等を要するものについて必要な干渉を行う場合は、注文者等の「等」に該当することを明確にしております。なお、注文者等の「等」には、例えば芸能分野であれば、俳優に演技指導等を行う監督といった方が該当するという整理になります。
 次に、(1)長時間の就業による健康障害の防止についてです。1つ目のポツですが、注文者等は、注文条件等によって仕事を受ける個人事業者等の就業時間が長時間になりすぎないように、記載のとおり、週末発注・週初納入等の短納期発注を抑制し、納期の適正化を図ることに配慮すること。2つ目のポツで、記載のとおり、注文者等は、長時間労働者に対する医師による面接指導制度を参考にして、当該個人事業者等に対して医師による面談を受ける機会を提供することを明確にしています。続いて、スライド9で、(1)の続きです。2つ目のポツでは、記載のとおり、注文条件等で個人事業者等の就業時間や日々の業務量が特定されていることに起因しているので、医師による面談に要する経費は、発注した仕事に必要な経費として、注文者等で負担することが望ましいこと。4つ目のポツでは、注文者等は、医師による面談の結果をもとに、就業時間や日々の業務量について変更を求められた場合には、必要な配慮をするように努めること。5つ目のポツでは、注文者等は、個人事業者等から健康確保に関する相談を受けた場合は、相談に応じ必要な配慮を行うように努めること。6つ目のポツでは、注文者等は、疲労蓄積度セルフチェックの結果、医師による面談の結果、健康確保に関する相談内容について情報管理を徹底するとともに、必要な配慮の検討以外の目的に利用してはならないことを明確にしております。
 続いて、スライド10です。(2)メンタルヘルス不調の予防についてです。1つ目のポツでは、注文者等は、メンタルヘルス不調を予防する観点からも、上記(1)の長時間の就業による健康障害防止の事項を実施することを明確にしております。
次に、(3)安全衛生教育や健康診断に関する情報の提供、受講・受診機会の提供等についてです。2つ目のポツでは、注文者等は、安全衛生教育に係る教習機関や健康診断実施機関の紹介、時間の確保や配慮のほか、自社の労働者に教育や健康診断を行う場合には、個人事業者等も対象に含めて実施することが考えられること。3つ目のポツでは、本ガイドラインは、個人事業者等の健康診断結果の取得を注文者等に求めているものではないことを明確にしております。続いて、スライド11で、(3)の続きです。1つ目のポツで、注文者等自らも行う仕事の一部を個人事業者等に注文する場合、個人事業者等に注文する仕事の安全衛生について一定の知識を有している場合には、危険有害業務の内容、健康障害リスクや健康障害防止対策に関する情報、安全衛生教育、健康診断について、情報提供することを明確にしています。
 続いて、スライド12です。(4)健康診断の受診に要する費用の配慮についてです。検討会報告書では、注文者等が反復・継続して個人事業者等に注文して、個人事業者等が常時業務に従事するという記載をしておりますが、本ガイドラインではこの部分を詳述しております。特殊健康診断等の受診に要する費用の配慮についてです。1つ目のポツで、記載のとおり、注文者等は、特殊健康診断等が必要となる場合には、個人事業者等が特殊健康診断等と同様の検査を受診するのに要する費用の全部又は一部を負担するよう配慮すること。2つ目のポツでは、仕事の契約期間が6月以上である場合には、要する費用の全額を当該注文者が負担すること。3つ目のポツでは、通算しても6月以上とならない場合であっても、例えば、個人事業者等は、特殊健康診断を受診するための費用を日単位に分割しておき、これに注文を受けた仕事に要した実働日を乗じた額をそれぞれの注文者に請求することも考えられるが、個人事業者等からこのような請求があった場合には、誠実に応じることが望ましいことを明確にしております。
 一般健康診断の受診に要する費用の配慮についてです。1つ目のポツで、記載のとおり、作業時間が契約期間で平均して1週間につき40時間以上となることが見込まれ、かつ、期間が1年以上である契約等である場合には、一般健康診断と同様の検査を受診するのに要する費用を当該注文者にて負担することが望ましいことを明確にしております。
 続いて、スライド13です。(5)作業場所を特定する場合における適切な作業環境の確保についてです。2つ目のポツでは、注文者等が当該場所を管理していない場合には、当該場所の管理者や貸与者に作業環境を確認するとともに、所要の措置がされていない場合には、就業場所の変更や、場所の管理者や貸与者に申し入れることなどの措置を講じることが望ましいことを明確にしております。
 次に、「5 個人事業者等や注文者等の団体等に期待される取組」についてです。2つ目のポツでは、本ガイドラインの内容を周知して、その実施を促すことのほかに、働き方や生活習慣の改善、健康障害リスクや健康障害防止対策、安全衛生教育の教習機関や健康診断実施機関に関する情報を提供すること、安全衛生教育を自ら行うこと、メンタルヘルスを含む健康相談に自ら対応することが考えられると明確にしています。
以上が資料の説明です。
 最後に、スケジュールについて御説明をいたします。今月14日より28日まで、本ガイドラインについてパブリックコメントに付しており、現在、国民の皆様から広く意見を募集しているところです。本日の御議論の内容、またパブリックコメントで頂戴した御意見等を踏まえ、ガイドライン案文の作成作業に着手いたします。また、安全衛生分科会において、改めて案文については御説明をさせていただく予定にしております。私からは以上です。
○髙田分科会長 御説明、ありがとうございました。本件について質問、意見等のある方は、会場の委員につきましては挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まずは、会場の委員で御発言がある方、お願いします。中村委員、お願いします。
○中村委員 御説明ありがとうございます。私から2点ほど意見を言わせていただきたいと思います。まず、1点目は、国の取組についてです。スライド3の「個人事業者等の健康管理の基本的な考え方と各主体の取組」の最後に、国の基本的な考え方が示されていると思うのですけれども、個人事業者や注文者等と異なりまして、国の具体的な取組の記載がないと思っております。国の取組についても検討会報告書に沿って記載すべきではないかというのが、まず1つ目です。
 もう1つが、検討会報告書における記述との整合性についてです。例えば、スライド8に、注文者等が実施する事項の1行目に、(1)~(5)に掲げる事項を実施することが推奨されるというような記載があります。一方で、その下の(1)長時間の就業による健康障害の防止の1行目では、長時間労働になりすぎないように配慮することと書かれております。前段の表現を踏まえると、「配慮することを推奨する」ということになってしまい、日本語として表現がどうなのかなというのが1つあります。スライドの最後に記載されている「不利益取扱い」のように、そもそも「推奨される」という言葉とは相容れない内容も含まれていることを踏まえれば、推奨という言葉はいかがなものかなと思っているところです。そして、スライド12の特殊健康診断の関係です。特殊健診に関して、報告書では安全衛生経費として盛り込むことを注文者に促すというのに対して、このスライド12では「費用の全部又は一部を負担するよう配慮すること」と書かれています。こちらも表現が誤っているのではないかと思っています。これらは一例であると思いますけれども、全体的に、ガイドラインの取りまとめに向けては、就業者保護の視点から、まず、報告書に沿った記述となるよう精査をしていただきたいと思います。また、このガイドラインが事業者や個人事業者を含めて下りていったときに、なかなか表現として読み取れない難しい部分があると思いますので、是非とも、そういった所が分かりやすいような表現に精査をしていただきたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。他にありますか。増田委員、お願いします。
○増田委員 増田です。御説明、ありがとうございました。企業においては、医師、産業医のほかに保健師も健康管理に関して重要な役割を担っています。この内容に、全てではないと思いますけれど、保健師の役割を入れていただいたらよいのではないかと思います。御検討いただけたらと思います。
 あと、もう1点、大村室長の御説明の冒頭の所で、「一般消費者」という言葉が出てきたかと思います。ちょっと、うまく聞き取れなかったので、個人事業者等のほうなのか、注文者等なのか、そもそも、そういった議論はなかったように思いますので、その辺りをもう一度確認させていただけたらと思います。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかは、ございますか。それでは、鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 経団連の鈴木です。ご指名ありがとうございます。表現の仕方は中々難しいところかと思います。1点、先ほど一例ということで中村委員から御発言がありました12ページの特殊健康診断等の受診に要する費用の配慮について申しあげます。参考資料である素案の11ページ下段から12ページ上段にかけての特殊健康診断等の受診に要する費用の配慮についての基本的な考え方は、個人事業者等が特定の注文者からのみ注文を受けた結果、労働者であれば特殊健康診断等が必要な業務に6月以上従事することとなる場合に、受診に要する費用の全額を注文者が負担するよう呼び掛ける。それ以外の場合については、各注文者が個人事業者等の就業環境も踏まえて必要に応じて配慮するよう求める趣旨であると理解しております。この場合分けも含めて、私自身は、本ガイドライン案の基となっている検討会の報告書に沿った内容だと感じているところです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。一旦ここで御回答をお願いいたします。
○産業保健支援室長 ありがとうございます。まず、中村委員の御発言に関してですが、国の取組についてという御意見を頂戴しました。国の取組については、ここでは明示的に書いておりませんが、当然のこととして周知を行うこと、加えて団体経由産業保健活動推進助成金、あるいは産業保健総合支援センター、地域産業保健センターを活用した個人事業者等の方への支援、また、厚生労働省ホームページにおいて、様々なツール、アプリ、また関係情報を提供しておりますので、こういった取組を行っている部分もありますし、また今後、行う部分もありますので、この辺りをガイドラインの趣旨に沿った範囲内で明確に記載をしてまいりたいと思います。
 また、2つ目の、推奨あるいは配慮することといった表現ぶりについて、鈴木委員からも御指摘がありましたが、項目ごとによって検討会報告書の表現ぶりが変わっているところでもございますので、御意見を頂戴したということで、改めて検討会報告書との整合性を図って、適切な表現ぶりとなるよう、ガイドラインの作成作業を進めてまいりたいと思います。
 増田委員から御指摘がありました。まず、1点目、保健師についても産業保健活動をはじめ、いろいろ重要な立ち位置にあるという部分ですが、これについても、今回、個人事業者等の健康管理のために自主的な取組を推奨するという位置付けでガイドラインを作成することにしておりますので、そういったものをより明確に表現する上で、保健師という立ち位置についても明確にする必要があるようであれば、その部分を可能な範囲で明示的に書き込むことを考えたいと思います。
 一般消費者の部分ですが、先ほど御説明した内容について、再度説明をさせていただきます。検討会報告書の18ページでは、発注者となりうる個人や一般消費者についてもこの検討会報告書の対象範囲として位置付けております。このガイドラインでは、入口では対象者から除外しないという整理にしております。
 鈴木委員から、特殊健康診断の表現ぶりについて御指摘を頂きました。これは検討会報告書の書きぶりに即した対応をすべきという御指摘ですので、先ほど中村委員からも特殊健診以外の部分についても御指摘がありましたので、改めて精査をして適切な表現ぶりにしたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。中村委員、増田委員、鈴木委員、よろしいですか。増田委員、お願いします。
○増田委員 追加の御説明、ありがとうございました。考え方はよく分かりました。対象から除外しないということであれば、よいと思うのですが、明確に対象とするのであれば、現行の法令とか商慣行との整合性についてよく検討していただけたらと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、よろしいですか。
○産業保健支援室長 ありがとうございます。
○髙田分科会長 それでは、オンラインのほうで大分お待たせしてしまっているので、大下委員、宮内委員からお願いしたいと思います。まず、大下委員、お願いいたします。
○大下委員 ご説明、ありがとうございます。大下です。1点だけ申し上げたいと思います。4における注文者等が実施する事項について、(1)~(5)までの事項が推奨とされています。これは恐らく、並行して議論されているフリーランス、特定受託事業者の就業環境整備等の議論の一環として、策定に向けた動きが進められているものと理解しています。仕事を発注する先がほぼ一律に個人事業者である、いわゆるプラットフォーマーと想定した場合、ここに記載されている内容に取り組むことは比較的受け止めやすいかと思います。しかし、雇用類似という点は伝わるものの、一般の製造業や建設業などで発注先、下請先に中小の企業法人と個人の事業主、一人親方等が混在しているケースが多くありますが、その際、本内容の遵守を求められても、違和感を感じるのではないかと考えます。取引先の中小・小規模事業者は自社で健康管理をするが、少なくとも個人の一人親方等へは配慮することが推奨されているということが理解できれば、納得できる可能性はありますが、本内容をしっかりと事業者に落とし込んでいくためには、検討会報告書の書きぶりをベースにしながらも、対象となる注文者等に様々な事業者がいるという点を踏まえた上で、ガイドラインの書きぶりを検討いただく必要があります。また、ガイドラインを広めていく上では、丁寧で分かりやすい周知・説明をお願いいたします。私からは以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続いて、宮内委員、お願いいたします。
○宮内委員 ちょっと私が聞き逃しているかもしれないのですが。特に3番の個人事業者等が自身で実施する事項、この8番で適切な作業環境の確保があると思うのですね。実は、平成4年に「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」が出ています。そういう中で、疲労やストレスを感じることが少ない快適な職場環境形成が望まれることと、今は働きやすさが非常に重要ですということが、明確にこの指針に示されているわけなのですが、そういうことも、是非、この個人事業者にもお伝えする、具体的なやり方なども確かいろいろと出ていたと思うので、情報としてそういうのをお伝えするのはどうかと思いました。だから、適切なというのは、どちらかというと好ましくない環境条件についての限定かなと思うのですけれど、そうではなくて、より良い環境を作るという考え方をどこかでお伝えできたらいいのかなと思います。
 また、先ほどありました4番の注文者等が実施する事項の(5)にも、作業場所を特定する場合における適切な作業環境の確保の所でも、なかなかハードルが高いかなと思うのですが、やはり今はそういう面では働きやすさということを重要視するということですから、是非、適切だけではなくて、快適なという内容もどこかに盛り込んでいただけると非常に発展性があるのかなと思いました。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございました。今の大下委員と宮内委員の御意見について、事務局からございますか。
○産業保健支援室長 ありがとうございます。まず、大下委員から御指摘を頂きました個々の表現ぶりについて、措置の表現ぶりについてですが、検討会報告書との整合性を踏まえつつも、やはり実際に現場で使っていただくということも大事なところであるというのは御指摘のとおりですので、いかに読んでいただくときに伝わりやすいか、検討会報告書の考え方も踏まえて、改めてその辺を精査するようにしたいと思います。
 また、周知については非常に重要であるというところは、私どもも思っております。公表した際には、ホームページの充実等を図って、また、都道府県労働局等からしっかりと各関係者に伝わるように周知徹底してまいりたいと考えております。
 宮内委員からも御指摘を頂きました快適な職場環境、作業環境についてです。この辺りは分かりやすくお伝えするというところが非常に重要だと考えております。ガイドラインの本文の分量というのもありますので、可能な範囲にはなりますが、必要な情報を極力盛り込むようにしていきたいと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。大下委員、宮内委員、よろしいですか。ありがとうございます。それでは、会場に戻りまして挙手されている奈良委員、お願いいたします。
○奈良委員 奈良です。ありがとうございました。まず、最初の「趣旨・適用」の所で、「労働者」に該当する場合の留意点がきちんと明記をされているということは、このガイドラインの性格をきちんと規定する上で、非常に重要なことなのかなと思っています。その上で、ここでは契約の形式や名称によらず、個々の働き方の実態に基づいて「労働者」であるかどうかが判断されることになるのだという記載があり、その判断基準が、参考資料でも付記がされていますが、労働者に該当するかどうかの判断基準そのものが、何と言うのですかね、最近のビジネス環境の非常に大きな変化の中で社会の実態に追い付いていない部分があるのではないかという指摘もあります。そういう点で言うと、今のプラットフォーマーの関係で就業をしている人たちを幅広く労働者と規定をして保護していく、そうした議論が必要なのではないかなとも思っています。
 それから、4番の所で注文者等が実施する事項が記載されています。8ページの所で1点申し上げておきたいのですが、「注文条件等によって就業時間が長時間になりすぎないよう配慮すること」という記載で、幾つかの事例も挙げられています。とりわけ、適正な納期といったところでの言及があるわけですが、一番大きな要因は単価の問題なのだろうと思っています。仕事を受ける個人事業者等が健康に配慮するほどの余裕もない、長時間の就業に従事しなければ生活できる収入が得られないほどの単価、従事時間で割り返せば最低賃金にも抵触するような低廉な単価による発注が現実には横行しています。ここのところについても何らかの形で、もちろん各種業法等で、こうした発注については、……の範疇については規制もされているわけですが、改めて健康を守るガイドラインの所でも注意を促すということが大事なのではないかなと思っています。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、山脇委員お願いいたします。
○山脇委員 大きく2点発言させていただきます。1つ目は、2ページ目の「趣旨・適用」についてです。検討会報告書で確認されている基本的な考え方をここに追記してはどうかという提案です。今回、検討会報告書が添付されていないので、一部読み上げたいと思います。
 検討会報告書においては、全体を貫く考え方として、次のようなことが書かれております。「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方について、労働者と同じ場所で就業する者や、労働者とは異なる場所で就業する場合であっても、労働者が行うのと類似の作業を行う者については、労働者であるか否かにかかわらず、労働者と同じ安全衛生水準を享受すべきである」というのが、基本的な考え方としてうたわれております。本ガイドラインもこれをベースに作っているのだということを冒頭に明記した上で、ガイドラインの趣旨、目的に入っていくのが望ましいと思っています。報告書に沿った議論が進んでいると思いますので、是非記載をいただきたいというのが1点目です。
 もう1点は、3ページの「基本的な考え方」に関してです。「個人事業者等」について、記載ぶりがやや個人事業者の自己責任を強調しすぎていないかと考えています。特に気になるのは、「労働安全衛生法では、雇用する労働者の健康の確保を事業者の責務としているが、その一方で、個人事業者等は自ら事業を行う者であるから」とされている点です。前段に記載されている「個人事業者については、自らの心身の健康に配慮することが重要」との記載にはまったく異論はありませんが、あえてその後で労働者と個人事業者をかき分けることで二項対立的にする必要はないのではないかと考えます。
 先ほど申し述べた基本的な考え方の趣旨に沿って対応していくべきことはもとより、個人事業者の中には、応諾の自由はあっても、生活維持のために無理な条件で引き受けざるを得ない者もいます。従属的にならざるを得ない場合も少なくないということを踏まえると、健康管理とは言え、個人事業者が過度に自己責任で対応すべきと読まれないような表現にしていく必要があるのではないかと考えているところです。
 そうした観点からすると、個人事業者と注文者の記載順についても検討が必要ではないかと思っております。以降の記載においても、個人事業者、注文者という順で記載がされておりますが、発注者からの注文を受けて初めて個人事業者の事業が成り立つということからすると、この順番でいいのかどうかについて検討いただけないかという点です。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかはよろしいですか。そうしましたら、まず一旦ここで御回答いただいて、その後、お願いいたします。
○産業保健支援室長 奈良委員から御指摘がありました。ありがとうございます。労働者性の判断基準、また注文条件における単価について御発言がありました。これについては、御指摘のとおりという部分もありますが、本ガイドラインは個人事業者等の方の健康管理のためのものでございますので、その基本的な方針の中で、必要となる情報については、関連する情報についても可能な限り記載をしたいと考えております。
 山脇委員からも御指摘がありました。ありがとうございます。まず、スライド2の「趣旨・適用」の部分については、検討会報告書で示された基本的な考え方を、本ガイドラインにおきましても明示的に示すべきではないかという御発言でした。この部分についても、個人事業者等の健康管理に要するのかという文脈に沿って、記載できる部分については記載してまいりたいと考えています。
 2つ目として、個人事業者等の方の自己責任という観点での御指摘がありました。これについても、各民民ベースでの取引に基づく関係によるものと承知しておりますので、なかなかあるべき論と、それから個人事業者等の健康管理という切り口で、どこまで整理をすべきか等々、いろいろ問題があるかと思います。こちらについても、御指摘を踏まえて、改めて精査をして、読み手の方に伝わりやすい形でどう表現するのが一番いいか、そういったことを含めて、案文作成の際には整理をしたいと思います。
 個人事業者等の方と注文者等の方の記載における順番についても御指摘がありました。こちらについても、検討会報告書では、個人事業者等の方が先で、その後に注文者等の方の記載があるという項目もありましたので、改めてその辺りを精査して、先ほど申し上げたとおり、本ガイドライン、個人事業者等の方の健康管理という文脈で編集するというものですので、その辺りは読み手の方に伝わりやすい形で精査をしてまいりたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。奈良委員、よろしいですか。山脇委員、よろしいですか。ありがとうございます。では鈴木委員、お願いします。
○鈴木委員 経団連の鈴木です。ただいまの山脇委員と奈良委員の御発言について少しコメントさせていただきます。山脇委員から、個人事業者について従属的にならざるを得ない場合があるというご発言があったと思います。確かにそのような場合があるとは思っております。ここは労使共通の立場だと思いますが、労働者性が疑われるような場合には、行政としてしっかりと労働者性の判断をしていただく。これが大原則だと思っております。その上で、やはり、個人事業者等と労働者との間には、例えば労働時間の把握等も含めて厳然たる違いがあります。違いを強調する必要があるのかというような御発言もありましたが、私自身は、この部分ははっきりとさせていただいたほうがよいと思った次第です。
 もう1点、奈良委員から、プラットフォームで就労する方の労働者性の問題について、改めて検討すべきではないかという御示唆を頂きました。確かに時代の変遷とともに、労働者性、あるいは事業者性の概念は変わり得るところですので、検討の必要性というのは一定程度理解するところです。他方、御案内のとおり、労働安全衛生法の適用労働者は、労働基準法や労働契約法をはじめ、労働法全体の法体系にも関わり得る話です。当分科会というよりは、より大きな視点で、プラットフォームで働く方のお声なども含めた実態を十分に調査・把握した上で、慎重な議論をしていただくことが重要ではないかと思いましたので、一言述べさせていただきたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。続きまして、及川委員、お願いします。
○及川委員 中央会の及川です。2ページ目に、「業種・職種の実情や商慣習に応じた対応」ということで、そのとおりだと思いますが、少し気になったのは、商慣行に応じたガイドラインの必要に応じて策定ということを推奨されていますが、今、商慣行で中小企業の場合、多段階で下請の構造になっていて、その脱却ができていないとか、あるいは労務費の転嫁はできないとか、まして健康管理のコストをどうやって反映するのかというような難しい問題があります。商慣行に応じたというよりも、望まれる商慣行とされたほうが、誤解がないと感じた次第です。
 また、6ページには、「仕事のペースの見直し」というフレーズが幾つか散見されますが、中小企業の場合、一番の問題である人手不足のところで、今、どうやって仕事をやりくりしようかというところですので、そうは言ってもなかなか難しいと言われる反応があるのだと思います。「見直しなど」ということですので、ほかにもいろいろなことを考えながら対応をしていくのかと感じたところです。
 8ページにある注文者等と個人事業者等の「等」ですが、やはり「等」の所をしっかり把握して、広報していただきたいと思っております。中小企業が見る場合に、御答弁もありましたが、分かりやすくということが一番だと思います。11ページの上から2行目の「一定の知識を有している場合は」ということも、なるべくイメージが分かるような形で工夫をしていただければと思います。
 最後に、12ページの費用の問題ですが、「費用の全部又は一部を負担するよう配慮すること」ということで、お金の話で「全部又は一部」ということになっています。かなり現場は混乱するのではないかと受け止めてまして、もう少し分かりやすい形で整理が必要ではないかと感じた次第です。一番分かりやすいのは、6か月以上と6か月以下で分かれるのがいいのでしょうが、ポツの真ん中の所で、「6月以上とはならない場合であっても」という形で、それも「誠実に応じることが望ましい」となっていますので、対応する小規模事業者の所は、どうやって対応したらいいのかという、かなり現場で困ることが想定されますので、引き続き、工夫をしていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかはよろしいですか。出口委員、お願いします。
○出口委員 出口です。よろしくお願いします。御説明ありがとうございました。検討会報告書の趣旨等を踏まえて、ガイドラインの素案に対して、表現が難しい部分が多々あると思いますが特に異論はございません。
 私からは、前回の第158回時にもお願いしました件を再度要望いたします。先ほど他の委員からも、国のやるべき記載事項が充実した書き方になっていないのではないかというコメントがあったかと思います。個人事業者等の団体に対して取組を期待し、関係団体等による取組を円滑に実施できるよう必要な支援、及びプラットフォーマーや団体がない業種での周知・支援、業種・職種の実情等に応じた個別のガイドラインを必要に応じて策定していただき、団体等がない業種・職種に対しても、団体設立に関する支援等も、今後、是非検討を実施していただくようにお願いいたします。
 また、就業時間や疲労蓄積度のチェック、記録できるアプリのマルチジョブ健康管理ツール等の活用についても、バージョンアップ、ブラッシュアップが必要だと回答を頂いております。メンタルヘルス不調の予防の健康相談についても、相談窓口の整備という面についても、労働者向けだけではなく、特別加入者の方にも支援できる形でアレンジ等も内部で検討中とのことでした。分かりやすく、また使い勝手の良い、利便性の向上につきましても、是非、御検討を頂くようお願いいたします。要望です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、及川委員、出口委員からの御発言について回答をお願いいたします。
○産業保健支援室長 鈴木委員から御指摘がありました。個人事業者等の方の従属性については、御指摘のとおり、個人事業者等の健康管理に関する部分で、こういった情報についても踏まえて作成していくことが重要ではないかと思います。こういった視点も改めて踏まえて、ガイドラインの作成作業を進めてまいりたいと思います。
 労働者性の部分ついても御指摘がありました。御指摘のとおり、この健康管理のガイドラインのレベルからすると、更に上位の整理となってまいりますので、詳細な議論については、そちらのほうの結果を踏まえて対応してまいりたいと思います。
 及川委員から、商慣習の部分についての御指摘を頂きました。この部分についても、改めて検討会報告書を確認して、御指摘も踏まえて、より的確な実態に即した表現ぶりとしてまいりたいと思います。それから人手不足の関連の御指摘もありまして、そういったことも踏まえて、現場の実態に即した書きぶりとすべく、一方で、検討会報告書の整理もありますので、その辺、しっかり整理しておきたいと思います。
 注文者等の方や教育知識、あるいは特殊健診に関する御指摘もありました。こちらについても、検討会報告書での基本的な整理、現場での実態、こういったことを踏まえて、より分かりやすい適正な表現ぶりにしたいと思います。
 出口委員からも御指摘を頂いております。ありがとうございます。まず国の支援については、先ほども申し上げたとおり、ガイドライン公表後には周知を徹底すると。それから、団体経由産業保健活動推進助成金の制度、あるいは地域産業保健センターを活用した個別の支援、厚生労働省のホームページを中心に情報の提供を進めてまいるというところです。また、団体への支援というところで、既にある団体等については、直接的な情報提供等行ってまいります。また、団体等がない場合については、関係する皆様が団体化を図るように、働きかけなどを行ってまいりたいと考えております。
 厚生労働省のマルチジョブ健康管理ツールなど、アプリ関連の御指摘がありました。こちらについても、予算制約がありますが、可能な限り、より使いやすいものとしてバージョンアップできるように配慮してまいりたいと思います。
 相談窓口におきまして、労働者の方に加えて、労災保険に特別加入している個人事業者等の皆様も利用できるように周知をしっかりするようにという御指摘がありました。ガイドラインの公表に合わせて、相談窓口などについても、具体的にどういったものが利用できるか周知をし、その際には、御指摘を踏まえて、労災保険に特別加入している個人事業者等の皆様にも伝わるように内容等を考えてまいりたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、及川委員、出口委員、何かありますか。よろしいですか。その他に御発言ありますか。山口委員、お願いします。
○山口委員 1点が記載の工夫のお願い、1点が質問です。1点目は、12スライドの一般健診受診費用についてです。「1週間につき40時間以上となることが見込まれ」とありますが、具体的に明示することで対象が分かりやすくなるという一方で、注文段階において40時間以上が確実に分からない場合には、そういった方が対象から漏れてしまうのではないかという懸念もあるかと思います。「40時間以上となることが見込まれ」という具体的な時間数を記載せず、一般労働者と同程度の作業時間とするといった表現の工夫ができないのかという検討のお願いです。
 2点目が、先ほどの国の取組関与の所につながるかもしれませんが、13スライドの「個人事業者等や注文者等の団体等に期待される取組」の内容で、報告書の26ページには、地域の自治体の関与及び優良団体表彰などのインセンティブ付与といったものが報告書にはありました。ただし、資料3、若しくはガイドラインの案には、インセンティブ付与等の記載が見られておりませんので、この点についてどのように今後対応していくのかというところを質問させていただきます。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほか会場の委員からはありますか。よろしいですか。そうしましたら、今の山口委員の御発言について回答をお願いします。
○産業保健支援室長 御指摘ありがとうございます。まず1点目、一般健診の部分については、週40時間以上の場合ということで、スライド上ではお示しをしております。御指摘のとおり、分かりやすい表現ぶりということで、こういった記載をしております。注文段階で、そういった事例もあるかもしれませんので、御指摘を踏まえて、かつ、より分かりやすい形で表現するようにしたいと思います。
 それから、検討会報告書を踏まえて、地方公共団体との関係、インセンティブの付与について御指摘がありました。ガイドライン公表後につきましては、地方公共団体にも、ガイドラインにつきまして周知をする予定にしております。現時点におきましては、あくまでも法律の枠組みを上回る運用という部分もありますので、当面の間は、ガイドライン本文の周知をもって連携していきたいと思っております。その後については、また法律の枠組み等々の検討も進んでいくかと思いますので、改めてその際に考えていくのではないかと考えております。また、インセンティブの付与についても同様でございます。今回のガイドラインは、個人事業者等の健康管理のために自主的な取組等を推奨するというものになっておりますので、今後の検討がされる中で、改めて考えていくことになろうかと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。山口委員、よろしいですか。そうしましたら、オンラインで宮内委員、御意見があるということで、チャットの書き込みがありますのでお願いします。
○宮内委員 一言だけ発言させていただきます。非常に素晴らしいガイドラインですし、これはきちんとやっていくことで、非常に価値があると私も思いました。やはり、継続してしっかりやっていく上では、どこかで一度、達成度の評価みたいなことをやっていただいて、問題点があればそこを重点的に取り組むと。一気に駆け上がるというのではなく、取りあえず目標を決めて、最終的にはビジョンをしっかり達成するということを是非やっていただくと、非常に実のあるガイドラインになるかと思います。これはお願いです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局からありますか。
○産業保健支援室長 御意見ありがとうございます。達成度の評価状況など、今後の展開、ビジョンについても非常に重要な御指摘と思います。現時点におきましては、個人事業者等の健康管理のために自主的な取り組みを推奨するというところですので、先ほど申し上げたとおり、今後の検討等も踏まえて、その中で改めて精査していくものと考えております。
○髙田分科会長 ありがとうございます。宮内委員、よろしいですか。
○宮内委員 はい。
○髙田分科会長 オンライン参加の委員については、そのほかチャットの書き込みはないということでよろしいですか。会場の委員もよろしいですか。ありがとうございます。多数御意見が出ましたが、そういった御意見を踏まえて、検討会の報告書との整合性をきちんと図っていただいた上で、分かりやすい文案を作っていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。そうしましたら、事務局から御説明いただいた方針で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
次に議題(4)「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令案の概要について」、事務局から説明をお願いいたします。
○調査官 それでは、資料4に基ついて御説明します。1ページです。こちらも、「個人事業者等に対する安全衛生対策のあり方に関する検討会報告書」に基づいて検討を行うものです。2ページ目に、その検討会報告書の関係部分の抜粋を付けております。こちらについては、詳細は後ほど御覧いただきたいと思います。趣旨としては、まず、退避や立入禁止等の措置については、速やかに所要の省令改正を行うとされています。下の※ですが、第22条に基づいて定めている「有害性」については既に行っております。本文と合わせて読みますと、こういった退避や立入禁止等、場所の管理権原に基づくものであって、災害に直結するものは、前に行った省令改正と同様、速やかにやるべしとされたということです。
 一方で、「保護具」や「作業方法」については、災害実態を把握し、改正の必要性を精査の上、所要の改正を行う。災害実態が把握できれば改正の検討をするわけですが、それまでの間については、ガイドライン等何らかの手段で周知を推奨するとされています。
 今ご説明した報告書は長く議論し、ようやく関係者の合意が得られたものですので、戻りまして1ページの下の2つの○に書いてあることは基本的にこの報告書を尊重して、これに沿って対応したいということです。ただ、2つ目の○の1行目ですが、今回の省令改正において、先ほど申しました作業場所の管理権原に基づく措置というのを言い換えますと、基本的には、作業から生ずる危険性ではなく、作業を行う場所に起因する危険性に対処するものについて改正を行うということです。
 3ページを御覧ください。この関係省令の改正の趣旨等の具体的な改正内容です。まず、被改正省令は、労働安全衛生規則やボイラー則等のここに記載のある4省令で、これは精査した結果、この4つしか該当がなかったというものです。改正内容は、①下記について、事業者が講ずる措置の対象範囲を、作業場で何らかの作業に従事する全ての者とするということで、大きく3つ、Ⅰ危険箇所への立入禁止等、Ⅱ特定場所における喫煙等の火気使用禁止、Ⅲ事故発生時等の退避等、この中では記載にあるとおり避難用器具の設置及び避難訓練も含む、それら関連規定も改正することにしております。
 ②ですが、現行の省令において、「事業者は労働者を立ち入らせてはならない」という規定とともに、「労働者は立ち入ってはならない」といった規定があるものがあります。このように労働者に遵守義務を設けているものについては、労働者以外の者に対しても遵守義務を設けるという改正を考えております。
 ③その他、文言の整理等の所要の改正です。
 今後の予定ですが、本日御議論いただき、その議論を踏まえまして、また、パブリックコメントについては先週終了した結果を今まとめているところですが、それを踏まえて、今後、諮問させていたただき、答申をいただきたい、その後速やかに公布したいと思っております。施行は、令和7年4月1日を予定しており、公布から1年程度の期間をみて行いたいと思っております。
 4ページは、参照条文です。
 5ページ目からは、省令改正案の典型的な条文イメージを記載しております。こちらで改正のパターンは基本的に網羅しております。趣旨としては、改正の対象は先ほど申しました報告書に沿ったもの、また、改正の方法は前回やった方法と同様ということで御理解いただければと思います。以下、一つ一つ御説明することはいたしませんが、最も典型的な改正は、この一番上の第128条にあります「労働者が立ち入ることを禁止」となっているところの「労働者」を、「(こういった)作業場において作業に従事する者」に改正するといったものです。なお、この条文では「立ち入ることを禁止」を「表示する旨で禁止する」といった趣旨に改正しています。5ページ以下は先ほど申しました分類に沿って記載しているものです。大変駆け足になりましたが私からの説明は以上です。
○髙田分科会長 御説明ありがとうございました。本件について、質問、意見等のある方は会場の委員については挙手を、オンライン参加の委員については御発言がある旨、チャットに書き込みをお願いいたします。まず会場からは、出口委員、お願いします。
○出口委員 出口です。御説明ありがとうございました。報告書に盛り込まれているものであり、特に異論はありません。要望となります。安衛法の第22条等を根拠とする省令改正時に発出いただきました施行通達には、建設業界の要望等を踏まえた内容が盛り込まれており、これらは建設現場に混乱を生じさせないようにするためには重要な事項でした。今般の省令改正時にも、同様の内容を施行通達に盛り込んでいただくように要望します。建設業界としては、これらの施行通達に準じて、今後も丁寧に指導してまいります。
 また、検討会において、建設業界と多くの議論を交わしました。報告及び報告主体については、周知展開を今後図っていただくことになると思いますが、建設業団体から会員各社に参集いただく機会が増えてきますので、予定でもよいので、分科会での正式なコメントをいただきたいと要望がありました。今後、スケジュールについて分かる範囲で教えていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかにはありませんか。山協委員、お願いいたします。
○山脇委員 何点か発言させていただきたいと思います。まず1点目は、先ほどのガイドラインの所で発言しようか迷ったのですが、今般の見直しの全体像がいまだ見えないという点です。先ほどの健康管理ガイドラインに引き続き、本議題において、安全対策に関する省令事項の第一弾が示されました。
 一方で、法改正事項が示されていないがゆえに、全体像が分かりづらくなっているというのが、正直なところです。先ほどの健康管理ガイドラインに関する答弁でも、事務局からは、法改正が進まないとできないところがある旨の回答でありました。健康管理に関してせっかく宮内先生から前向きな御提案があったにもかかわらず、法改正がないと進まないできないというのであれば、そのような点をも踏まえ、法改正に関して早急に議論できるように、事務局には準備を進めていただくよう改めて要望を申し上げておきたいと思います。これが第1点目です。
 2点目は、1ページ目の「改正の趣旨」の○の2つ目に関してです。今回の省令改正は、あくまでも20条、21条、25条に関してのみであると受け止めています。報告書及びその背景となっている最高裁判決は、場所に起因する危険性に限定したものだけではなく、同じ場所で就業していれば生ずる危険性も含むものとされていますので、20、21条、25条を根拠とするもの以外については今後改正に関する議論が行われるものと受け止めています。もし受け止めが違うようでしたら、事務局から御発言いただきたいと思います。
 併せて確認したいのは、今般の省令改正を踏まえて、通達やガイドラインの改正が必要となってくるかと思いますが、これらは施行までに実施をされるのかどうかを確認させてもらいたいと思います。
 最後となりますが、23条を根拠とするものは今回の改正対象としないということで記載がされています。しかし、23条の省令を見ますと、例えば履物、懐中電灯など、保護具と同列に扱うべき内容も含まれていると思いますので、今般の省令改正では取り扱わなかったとしても、なるべく早いタイミングで見直すべきと考えます。これらの取扱いについてどのようにお考えか伺いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかにはありませんか。増田委員、お願いします。
○増田委員 増田です。御説明ありがとうございました。内容については、特に異議はありません。労働安全衛生規則の第14条の4の第2項の第3号、(産業医に対する権限の付与等)の項に「労働者の健康を確保するため緊急の必要がある場合において、労働者に対して必要な措置をとるべきことを指示すること」という規定があります。今回は労働安全衛生法の20条から25条の見直しということですので、ここはかからない所だとは思いますが、ここは労働者だけに限定されているのです。緊急確保措置についての見直しというのが、一番最後に付いていたかと思いますので、いや、緊急措置ですね。緊急措置という観点では、ここも含まれてくるかと思います。産業医の目の前に作業者が倒れていて、自分の会社の労働者ではないから何もしないというのはおかしな話だと思いますので、今後の検討事項として挙げておいていただけたらと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。ほかにはよろしいでしょうか。そうしましたら、出口委員と山脇委員と増田委員の御発言について、事務局から回答をお願いいたします。
○調査官 御質問等ありがとうございます。まず、出口委員のご質問、施行通達の策定のため、現場に混乱を生じさせないような調整をしていただきたいということです。まず、こういった省令改正を行いまして、円滑な施行をすることは非常に重要です。今回の省令改正で建設業界ほか関係者の方に無理な御負担をお願いするようなつもりは全くありませんので、そこは当然、この趣旨の範囲内で、そして実際に施行が可能なように、関係団体の御意見もうかがいながら通達等を示していきたいと考えています。
 次に災害の報告、また報告主体についてです。この報告制度は基本的に法改正を行って、それによって創設されるものです。今後のスケジュールとしては、まず今回この省令改正について御議論いただきまして、また可能な限り早く、次回にでも諮問させていただいて、答申いただきたいと思います。法改正の議論については、その後になると思っていますので、省令の諮問・答申後のなるべく早い段階から開始していきたいと思っています。報告主体については、今申しましたとおり法改正によって創設されるものですので、法改正の議論の中で今後、検討していくものになると考えています。
 またこの点は山脇委員の1つ目の「法改正事項がまだ示されていないので全体像やスケジュールが分からない」という点とも関連しますが、今後、省令の諮問、答申の後、法改正の全体像やスケジュールについても可及的速やかにこの分科会において議論をしていきたいと思っています。
 また、資料の1ページ目の「今回の改正においては」というのは、もちろん、今回のこの省令改正、今、議論している省令改正においてはという趣旨です。またこの省令改正について、関係する通達やガイドラインの改正など必要があるものは施行までにやるのかという御質問がありましたが、こちらについては施行までに行います。省令改正の公布後、可能な限り早く対応していきたいと思っています。
 1ページ目の、「安衛法第23条ほかを根拠とするものは改正対象としない」という部分についてです。こちらも、基本的に先ほど申しました検討会報告書に沿って改正対象を挙げています。23条は報告書の中では改正対象とされていなかったところです。一方で、山脇委員がおっしゃったとおり、履物や照明具の規定など、保護具と同様の規定もあります。こちらについては、保護具と同様ということで、保護具や作業方法については、今回ではなく、改正の必要性を精査の上、行うというように報告書でもされていますし、そういう方針で考えていますが、こちらについても、保護具等と同等に災害実態を把握できれば、今後、改正の検討という形でやっていくことになろうかと思っています。
 最後、増田委員から安衛則14条の4の第2項第3号、産業医の関係の規定についてご質問がありました。今回の改正対象は先ほどの報告書に従い安衛法20条、21条、25条に基づく立入禁止等の措置ということで、ご質問の産業医の規定はこの中には含まれておらず、よって今回の改正対象としては整理していませんが、今後の検討課題として、御指摘を踏まえて検討させていただければと思います。また、先ほどの23条に基づく規定も同じですが、今回改正対象に挙がっていないもので必要なものについては、ガイドライン等何らかの手段で、対応いただくことが望ましいという形では示していきたいと考えているところです。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。出口委員、山脇委員、増田委員、よろしいでしょうか。ほかにはありませんか。オンライン参加の委員からは、チャットの書き込みは現在ないようですが、よろしいでしょうか。会場もよろしいでしょうか。
 それでは、委員の皆様からの御意見も踏まえまして、事務局から御説明いただいた方針で進めていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
○調査官 今の御議論を踏まえまして、諮問の準備、また手続を進めさせていただきたいと思います。
○髙田分科会長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。それでは次に議題(5)「その他」としていますが、ここまでの議題1~4以外で何か御発言はありませんか。出口委員、お願いいたします。
○出口委員 出口です。お時間がない中、発言の機会を与えていただきありがとうございます。前回の分科会でも発言させていただきました2024年4月1日からの施行に向けて、検討会等にて化学物質の管理マニュアル作成を鋭意努めてまいりましたが、問題となる項目が多く、進捗状況が思わしくありません。新たな化学物質規制の項目については、今回、発言させていただけなければ、建設業の意見、要望が通らず建設業の現場が混乱する可能性がありますので、この場をお借りして発言させていただきます。他の産業におかれましても、同様の問題が発生すると思われます。時間の制限もありますので、主な項目について発言させていただき、回答を頂けるものについてはこの場で、また、その他の詳細な意見、要望については、次回の分科会までに回答を頂きまして、個別に協議、調整させていただければ幸いです。
 まず建設業では、大きく3つの問題点があります。1つ目は皮膚等障害化学物質への直接接触の防止。2つ目が、SDS等による通知事項の追加及び含有量の標示の適正化。そして、3つ目が生コン等の支給が提供となり、化学物質管理者の選任、SDSの交付が必要になりました。この3点を主な問題点として挙げさせていただきます。
 まず1つ目の皮膚障害防止用保護具の選定基準等に係るマニュアル検討委員会で作成していただきました皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル暫定版ですが、みずほリサーチのトライアルヒアリングの結果、現場の問題点が浮彫りとなっています。3事業場で全てのマニュアルを使用しても保護具の選定ができませんでした。建設業では、現状のSDSの情報では、このマニュアルは使用できないとの結果になっています。また、暫定版のマニュアルと作成中のリーフレットですが、安衛則594条の2、対象作業の解釈が、皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアルの作業分類3では、特化則の解釈より厳しくなっています。平成29年8月厚労省作成の、経皮吸収・皮膚障害防止対策のリーフレット記載事項の注6には、対象作業には次のものが含まれています。1つ目が特定化学物質に直接触れる作業、2つ目が特定化学物質を手作業で激しくかき混ぜることにより体に飛散することが常態として予想される作業。一方では次のような作業は含まれません。突発的に特定化学物質の液体等が飛散することがある作業、もう1つが特定化学設備に係る作業であって、特定化学設備を解放等しないで行う作業とあります。また、注7では、「使用する保護具の種類は、作業内容等に応じて選定されるものであり、常時全ての種類の保護具が必要という趣旨ではありません」という注釈が加えられています。暫定版のマニュアルの化学防護手袋の選定フロー③の作業分類では、全ての作業に該当し、化学防護手袋を使用しなければなりません。保護具選択の作業分類の内容が、化学物質に触れることが通常想定されていない作業まで化学防護手袋を使用しなければならない状況となり、結果、特化則よりも厳しい内容になってしまうことは納得できません。作業分類3の化学物質に触れることは通常想定されない作業等の記載は、特化則のリーフレットにおける対象外の作業とほぼ同等の作業と思われ、化学防護手袋を義務付けられるのは厳しすぎます。
 建設業だけではなく、化学品の試験を行っている業界や自動車産業等でも一般に販売されている作業手袋を使用しており、現実的ではありません。また、危険性が増す、品質が担保できない、使い捨てるには保護具の価格が高いとの声も多く聞かれます。建設業では、有害性だけではなく、災害防止のために危険性を考慮したリスクアセスメントを実施しています。今回のマニュアルで選択された手袋では危険性が増すため、災害防止を考慮した選択も認めていただきたいです。
 そして、2つ目は、SDSによる通知事項の追加及び含有量の標示の適正化です。①でも発言しましたが、現状のSDSの記載内容では製造するメーカーや手袋のメーカーの対応状況では、混合物を取り扱う建設業は、適切な保護具は選択できないという問題です。実際にヒアリングでは1業者も適切な保護手袋を選択できませんでした。暫定マニュアルを参照すれば、化学防護手袋を選択可能で、予定どおり施行に支障がないとの回答がありましたが、保護具の選択にはSDSの内容が適正に記載されてることが前提となります。施行によって適正化されるSDSは、新規の製品からです。既存の製品については適正化されるまでには一定の時間が掛かり、それまでの期間は、保護具の適正な選択が難しい状況が続くということになります。作業する者が適正な保護手袋等を選択できずに、またメーカーに問い合わせても回答を得られず、作業に影響が出て、現場がパニックとなりかねません。このような状況が発生することは絶対に回避しなければなりません。
 また、3つ目の、生コン等の支給は提供となり、化学物質管理者の選任、SDSの交付が急遽必要となりました。建設労務安全研究会が1月18日に提出した特別委員会、化学物質による労働災害防止のための新たな規制に関する質問、意見要望書に対して、同月31日付けで回答を頂いています。その中で、生コン、セメント等で、元請が購入して専門工事業者が打設等する場合は、譲渡、提供に当たらないかという問いに対して、元請事業者が生コンを購入、それらを下請業者に引き渡す行為は、提供に当たるという回答でした。また、元請事業者は自らの事業場、店社に化学物質管理責任者を選任し、関連するSDSの交付等の業務を管理するとともに、下請業者に当該SDS交付等をする必要があると回答いただいています。しかし、建設業では元請は材料を支給するケースが非常に多く、かつ現業の実際の感覚としては、支給という言葉が適切で、多く使われています。
 他の検討会に出席している委員からは、今までの検討会等では出席の厚労省担当者から、生コン等は工事の委託であり、提供ではないとの発言があった旨の報告を受けており、これらを覆すものでした。4月からの施行に対して、2月に入り、まだ、このような質問及び回答を頂くことになっている状態です。当初は元請各社にして取扱いがなければ、化学物質管理者の選任は不要と説明会などでも聞いて、対応していた元請各社は急遽、化学物質管理責任者の選任を余儀なくされています。施行間際で支給品のSDSを交付する体制を整えなければならず、支給品が多い元請では、時間的に対応が非常に厳しい状況です。ただし、昨日、開催された建災防での検討会において、厚労省から皮膚等障害防止保護具選定マニュアルの検討結果を聴取の上、建設業の6種類の作業別マニュアル案の主に化学防護手袋の選定について議論が交わされ、マニュアル案の完成に向けて御協力、御指導いただき、これまでの硬直状況から少し動き出した感が見えたという報告も受けています。しかし、建設業としては、これらの問題点が障害となり、施行する状況には至ってないとの見解です。丁寧に指導する、これらが一定の期間、監督署の臨検等にて指導される程度で、罰則及び法違反に該当しない措置ならば、建設業としての要求がかない、問題点を解決する時間を設けることができるのではないかと考えています。
以上が建設業においての、化学物質関連での意見、要望の一部を発言させていただきました。非常に問題が多く、時間的に発言が絞り切れませんでしたが、御回答いただける部分については、この場でお聞きして、詳細については次回の分科会までに別途協議、打合せさせていただくことで御検討をよろしくお願いいたします。今回は発言する機会を頂きまして、ありがとうございました。
○髙田分科会長 ありがとうございました。時間が過ぎていますが、事務局から何かありますか。
○化学物質対策課長 コメントいただきまして、ありがとうございます。3点、いただきましたが、いろいろ事実認識にも大分、誤解があるようです。まずマニュアルについては、成分名があれば選択を可能にできるマニュアルになっています。一部の委員は、どうもそれをメーカーごとに分けたり、手袋メーカーに選ばせるということを御主張されていましたが、そのようなマニュアルにはなっていませんということを、16日の検討会で御説明しまして、マニュアルについては、原案どおり、若干の修正を経た上で2月末に公開するということで合意したものです。
 それから、建設業のマニュアル委員会についても、こちらも同様の話がありました。個別の手袋メーカーごとに耐透過レベルというものがないと選択できないと強く誤解されていたようですが、そういったものではありませんと、厚生労働省は、成分名が分かれば、材質と厚さというものを踏まえて、耐透過性レベルが分かるような一覧表を使っていますので、メーカーなどにかかわらずこれは選べますというところで、やっと御理解を頂いて、そちらで話が今進んでいるというところです。どうしてそのような誤解をしたのか、私は分かりませんが、我々の厚労省のマニュアルは当初からそのようになっています。
 それから特化則よりも厳しい対応ということですが、例えば特化則44条であれば、化学物質による障害のおそれがあるものについて取り扱う場合についてはというような記載になっていますが、今回の594条の2については、おそれがあることが明らかなものを取り扱うということです。そのため、特化則で選んだ選定基準と異なりまして、非常にエビデンスがしっかりしているもの、ヒトによる疫学調査や動物実験できちんとしたデータがある、そういったもので絞り込んでいます。そういった絞り込んだ関係上、適用については厳しくするということで、条文の趣旨が異なりますので、特化則と違うというような御指摘は全く当たらないということです。
 それからニトリル手袋、こちらも御発言があるのですが、化学防護手袋でなくていいのではないかというおっしゃる一部の委員がおられますが、透過レベルというものが分からないと、JISによって試験が行われた透過レベルが分からないと手袋は選べないわけですので、化学防護手袋といいますか、そのJISに基づく透過レベルが明らかになっている手袋を使う必要があります。そうでなければ、安全な手袋と判断ができないということです。こちらについても、前回、御議論いただきまして御理解を頂いたかなと思っています。
 それから、2点目、SDSですが、SDSに正確な記載がないというような懸念がある、そういった御発言でした。また選べなかったというところも、実際にそんなことはなく、機械的に選ぼうと思うと選べるのですが、SDSに書いていないものがあるかもしれないから選べなかったと言っているという御主張だったと私は認識していまして、こちらについては令和6年4月1日、234物質について義務化されるということで、その中に皮膚等浸透有害性物質はほとんど入っていますので、そういったものがきちんとSDSに記載されると認識はしています。御説明どおり、4月1日にいきなり全ての記載されたSDSが流通するかというところについて、タイムラグがあるのではないかという御指摘については、そういったところはそのとおりだと思いますが、SDSに現在記載されているものによって選定を行うことは可能ですので、特段パニックが起きたりすることはないという認識です。
 それから生コンです。生コンについては、一般的に譲渡、提供の定義ですが、譲渡というのは有償、無償を問わず所有権の移転を伴う行為を指しまして、提供というのは所有権を留保したものを渡すという事実行為を指すということで、提供の例としては物品の塗装、修理の際に、その物品の所有者が修理工場に対して塗料を引き渡し、その塗料を修理に使用することを要請するような場合の引き渡しということです。同様に、元請事業者が生コンを購入して、それをコンクリート打設業者に引き渡して、これでコンクリートを打ってくださいという行為は提供に当たるものということで、従来からこのような解釈をしています。特に解釈を変えたという事実はありません。
 それから、生コンを生コン業者に発注するというのは、製造の委託に当たるという御指摘については、生コンを製造してくださいということを生コン業者に発注する場合は、製造の委託になりますが、出来上がった生コンをコンクリート打設業者に提供する場合は提供に当たるということですので、この点については全く関係のないお話をされているということです。
 それから、従来から生コンはSDSの交付対象物で、従来からセメント協会で統一されたSDSがネットに全て載っています。そのURLを交付するような形で提供というのは現に行われているもので、特に何か負担が掛かるようなものではないというところです。
 最後ですが、これ以外に細かな御質問は確かに書面で頂いていまして、回答もしているわけですが、3月1日に建設業労働災害防止協会の支部長会議などに私も呼ばれていますので、そういったところで意見交換させていただければと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。鈴木委員、お願いいたします。
○鈴木委員 すみません、時間が超過していますが、一言だけ申し上げたいと思います。皮膚障害等防止用保護具については、私どもも幾つか意見を耳にしているところです。例えば、先ほど課長からも御回答がありましたが、手袋の選定に必要十分な情報が、SDSに記載されていないのではないかという声は結構多く聞いています。
 それから、多くの物質で耐透過性を持つ国内産の手袋について、メーカーの供給体制に不安があるという声や、あるいはVOC計を用いた簡易的な透過測定の結果に応じて、手袋の使用時間を480分以上とすることを認めてほしいという声など、本日はお時間の関係で端折らせていただきますが、いろいろと届いています。4月1日に向けて円滑な施行への必要な御対応を是非、引き続き厚生労働省には強くお願いしたいと思います。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。事務局、お願いいたします。
○化学物質対策課長 コメントありがとうございます。SDSについては、先ほど申し上げましたように、段階的に物質が増えていくということですので、そちらについて十分な記載が現時点でないというような御指摘については、そういった事例もあろうかと思いますので、こちらについては、メーカーときちんとやり取りをしながら、やっていく予定にしています。また、SDSの記載内容については、例えば保護具の記載が不十分であるなど、様々な御意見がユーザー側から出ています。それがきちんとメーカー側に伝わっていないという実態もありますので、メーカーとユーザーが対話をできるような場というものを設けようと、現在、検討しているところです。日本経団連さんにも御協力を頂いているところです。
 それから、手袋については供給に不安があるというような御指摘です。こちらについても、国産メーカーであればそういった可能性もありますが、海外の相当大手の化学防護手袋が大量に日本に輸入されています。そういった事業者については、いわゆるワールドワイドでビジネスをされている方ですので、日本で需要が若干上がったからといって、全く供給できなくなるような状態は余り想定されないのではないかとは考えています。もちろんこちらについては、メーカーとやり取りをしながら、供給などに問題が生じないように今後も協議をしていきたいと思います。
 あとは、簡易測定を認めてほしいということについても、手袋におけるマニュアル選定委員会の専門家にも御意見いただきましたが、その再現性が非常に低いなど、様々な問題点を御指摘いただきまして、現時点でそれをそのまま使って手袋の選定をするのは、ちょっと難しいのではないかという結論になっていますが、こちらについても、引き続き、よりきちんとしたものができないか、検討を続けていく予定です。また、御要望にもありましたが、このような大きな法令改正の場合、施行後一定期間はリーフレット等を用いて丁寧な指導をすることにしています。今回の改正についても、同様の対応をする予定としていまして、現場で丁寧な対応に努めていくということです。特に化学防護手袋、あるいは呼吸用保護具の選定については、難易度も高いということですので、特に丁寧な指導を行うように地方労働局に指示しているところです。当方としても、現場での円滑な化学物質施行について改善可能な余地が多々あるということは認識しています。このため、施行後も、引き続き、化学物質対策をより効果的、かつ効率的に実施できるようにするために、関係のマニュアル等の整備を行っていく予定ですので、御協力よろしくお願いいたします。以上です。
○髙田分科会長 ありがとうございます。よろしいでしょうか。時間が超過して申し訳ありませんでした。これで全ての議題を終了しました。本日も熱心に御議論いただきまして、ありがとうございました。本日の分科会は、これにて終了します。本日はお忙しい中、ありがとうございました。