第4回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ(議事録)
医政局地域医療計画課 災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
日時
13:00~15:00
場所
議事
- 下記のとおり
2024-3-21 第4回救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ
○東専門官 ただいまから第4回「救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会ワーキンググループ」を開催いたします。
構成員の皆様方におかれましては、お忙しい中御出席くださいまして、誠にありがとうございます。
本来であれば構成員の皆様方の御紹介と事務局の紹介をさせていただくところですが、時間の関係上、構成員名簿と座席表の配付をもって紹介に代えさせていただきます。
今回のワーキンググループにつきましては、公開のワーキンググループとして実施、資料や議事録については厚労省ホームページで公開、事前に御希望があった方の傍聴あり、YouTubeライブ配信ありという形での開催としております。構成員の皆様方におかれましては、あらかじめこの点について御了承ください。
今回は、会場にお越しいただいた構成員の方とウェブで参加される構成員の方がいらっしゃいます。ウェブには喜熨斗構成員、細川構成員が参加され、そのほかの構成員の方には会場にお越しいただいております。
また、オブザーバーとして、総務省消防庁救急企画室の飯田救急専門官、内閣府地方創生推進事務局の高橋参事官補佐にウェブで御出席いただいております。
まず、御発言の方法から確認させていただきます。
会場に参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際は、指名を受けてから、マイクのボタンを押して、赤ランプがつきましてから御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度ボタンを押して、マイクを切っていただきますようお願いいたします。
ウェブ参加されている構成員の方々におかれましては、御発言の際はZoom画面の下部にございますリアクションボタンまたは参加者一覧の下部から「手を挙げる」をクリックし、指名を受けてから、マイクのミュートを解除し、御発言をお願いいたします。御発言終了後は、再度マイクをミュートにし、「手を挙げる」を解除していただきますようお願いいたします。
続きまして、お手元の資料を御確認ください。
議事次第、出席者名簿、座席表のほか、資料1、参考資料1をお配りしております。
不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
傍聴の方におかれましては、厚労省ホームページより資料のダウンロードをお願いいたします。
報道の方で冒頭カメラ撮りをしておられる方がおられましたら、ここまででお願いいたします。
それでは、児玉座長に以後の議事進行をお願いいたします。
○児玉座長 それでは、議事に入りたいと思います。
まず、議題1の「令和5年度の本ワーキンググループのとりまとめ(案)について」です。
資料1について、事務局より説明をお願いいたします。
○東専門官 それでは、事務局から資料1、本ワーキンググループにおける令和5年度の議論のとりまとめ(案)について説明させていただきます。
本ワーキンググループは、親会である救急医療の現場における医療関係職種の在り方に関する検討会の昨年度の取りまとめを受け、救急救命士が実施する救急救命処置を検討する場として今年度新規に設置させていただきました。令和2年まで開催していた救急救命処置検討委員会の後継的立ち位置ですが、令和3年の救命士法改正を踏まえ、より多職種連携の視点から御意見をいただけるよう、各職種等を代表する構成員の方々に参画いただいております。
それでは、1ページ目です。
今年度は、第1回から頭出しさせていただいておりました吉備中央町による国家戦略特区における提案に関して集中的に御議論いただきました。本提案に関するこれまでの経緯ですが、まず令和3年10月に吉備中央町から、スーパーシティ型国家戦略特区の公募に対して、救急医療における規制改革について提案がなされました。吉備中央町は人口約1万人、岡山県中央部の中山間地域に位置しております。救急搬送は年間約500件ありますが、町内には二次救急医療機関がなく、町外の高次医療機関へ搬送するには1時間以上を要し、病院到着時に容態が急変して転院搬送することも多いという地域課題を解決するために、救急救命処置の範囲の拡大と、救急車内から医療機関への情報伝送システムを構築することにより適切な搬送先病院選定を実現するというもので、令和4年4月に国家戦略特区諮問会議を経て、同町は国によりデジタル田園健康特区に指定されております。
提案の具体的内容ですが、腹痛を訴える重度傷病者に対し、救急車と医療機関の間で情報伝送環境を構築した上で、医師の細かな指示を受けながら救急救命士がエコー検査を実施し、医師は、エコー検査画像を基に傷病者の状態を確認した上で、救急救命士や救急隊に対し、搬送先や追加処置等の指示を行うというものです。
下の図のように、医療機関側はエコー画像のみでなく、救命士の視線画像や救急車両内の全景映像も伝送され、これにより医師はプローブの当て方の指示も出しやすくなるというものです。
傷病者を適切な医療機関に搬送するとともに、搬送先医療機関ではエコーの情報を基に治療の事前準備を開始でき、傷病者到着後、速やかかつ的確な治療が開始可能となると予想されることから、覚知から本治療開始までの時間を短縮し、傷病者の救命率向上を目指す、このような効果を想定しております。
1枚おめくりいただき、2ページ目に移ります。
本提案は、国家戦略特区において取り組む規制改革事項等として諮問会議で議論され、昨年6月には救急救命処置の範囲の拡大について、2023年3月に行われた検討会の取りまとめを踏まえ、当該検討会のワーキンググループとして、医師の指示の下に救急救命士が実施する救急救命処置を議論する場を同年夏に設置し、エコー検査を含む新しい処置の要望・提案について、安全性必要性、難易度、必要となる教育体制等の視点から検討を行い、検討の結果を踏まえて速やかに必要な措置を講ずるということが決定されました。
そして、同年夏、8月末に本ワーキンググループの第1回を開催しております。
さらに12月末の諮問会議においては、救急救命処置へのエコー検査の追加について、弊省に設置された本ワーキンググループにおいて検討を行い、年度末に同年度の議論の取りまとめを行った上で、その結果を踏まえ、2024年度の可能な限り早期に必要な措置を講ずるということが決定されました。
そして第2回、第3回とワーキンググループを開催し、吉備中央町、岡山大学の提案者にも参考人として御出席いただき、質疑、検討を行ってまいりました。
3ページ目に、本ワーキンググループにおける構成員の皆様方からの主な指摘事項をまとめております。
まず、利点・効果について、バイタルサイン確認等により傷病の推定は可能であり、また、エコー検査の精度や陰性判断後の変化のリスクは存在することから、エコー検査を行うまでもなく早急に搬送すべきではないか。
救急救命処置とは、短時間で実施可能かつ効果をもたらすことが客観的に認められているものであるべきで、その点、エコー検査が傷病者の救命率向上に資するという論拠が不十分であることから、実施の必要性に納得できないという御意見もございました。
処置内容・プロトコールについては、病院前で検査を実施した場合でも、通常、病院到着時にもエコー検査は繰り返し実施するものであり、実証においてもそういった検査、診察等の手順を丁寧に行うことで、試行の形ができるのではないか。
エコー検査の対象、つまり腹腔内液体貯留の可能性、そういったものを判断する明確な基準がないと、腹痛が主訴のものに全例エコー検査を実施することとなってしまうのではないか。
また、ショックであれば輸液を行うという既存の処置プロトコールが、提案のエコー検査が入ることによっていびつとなり、既存の処置を遅らせる原因になるのではないかという懸念も表されました。
難易度・教育体制については、状態によっては静止困難な傷病者もいる中、しかも走行中の不安定な社内でエコー検査を実施することはかなり難しいだろう。
エコー検査は医行為の中でも技術面で難易度が高く、現場で実施可能な水準まで習熟させることは容易ではない。また、救急救命士が新たな行為を実施する場合には、系統的教育を経たものとすべきといった御指摘がありました。
事象における研究デザインについては、搬送中のデータだけでなく、転院搬送への影響も含めてデータを収集できる体制を整えてから、次のステップに行く必要があるのではないか。
また、研究の実施方法として、傷病者の救命率の向上などのエンドポイントがあると思うが、コントロール群はどのように設定するのか。
今回の実証に関する研究デザインを考えるに当たっては、既存のメディカルコントロール体制を前提とすべきという御指摘もいただきました。
このほかにも様々な視点から本提案に関して御指摘をいただきましたが、次の4ページ目に移りまして、本提案の重要性として、吉備中央町の住民が訴える救急医療体制への不安に対し、岡山大学が改善策の一つとして地域の協議会の同意を得て国に提案したものであり、吉備中央町は、その提案の実現に向けて検討を進めるため国によって特区に指定されているということ。
また、搬送途上の傷病者の状態を受入先医療機関が早期に把握することにより、待機する医師の最適化も含め、より適切な受入体制の確保につながる可能性があり、傷病者のためのみならず医師偏在対策や働き方改革の観点からも、地域によっては救急医療体制の一助となり得るという御意見もございました。
そして、病院前でもエコー検査の有用性を検証する上で、エコー検査の実施が既に法令上認められている医療関係職種がより関与すべきであること。
また、研究デザインの精緻化を図ること。その一部として、第3回ワーキンググループを踏まえて設定された対象やエコーの当て方をベースとして処置のプロトコールを検討すること。
救急救命士によるエコー操作に係る習熟度を高める研修の在り方を検討すること。
以上が今後留意すべき点として挙げられました。
これらを踏まえまして、5ページ目、最後のページに今後のイメージ案を提示させていただいております。
令和6年度の可能な限り早期に講じる必要な措置の一環として、令和5年度の本ワーキンググループにおける議論を踏まえた必要なプロセスとして、以下の取組を進めることとする。
まず1つ目として、研究デザインの精緻化、それには搬送前・搬送中のエコー手技及び搬送先病院選定に係るプロトコールの具体的な作成であったり、既存のプロトコールとの整合の検討も含みます。また、これらを検討する場及び病院内外の体制含め、岡山大学が中核となって実証するための体制をしっかりと設置・構築すること。
そして、救急救命士による超音波操作等に係る研修について、効果測定を行いながら必要十分なプログラムを作成すること。
これらの各段階において、本ワーキンググループに進捗状況の報告を行いながら議論を進めていきたい、そういうふうに考えております。
下に模式図を示しておりますが、左端、本年度の取りまとめを行い、次年度、本ワーキンググループとは別の場で、下の箱に書いてあるとおり、提案の処置を行うことによる効果や弊害について、客観的かつ合理的なエビデンスが収集できるように研究デザインの精緻化を図ります。そして、検討状況について適宜本ワーキンググループに御報告いただき、内容についての御意見をいただきます。
そして議論を進めまして、本提案について実証するに当たっての処置プロトコールや事後検証体制、必要な症例数の検討等を含む研究デザインや、教育研修プログラムとして作成されたものが必要十分であると本ワーキンググループで結論を得た場合には、最終的な判断は弊省で行うことになりますが、特区における救急救命処置への特例追加、省令改正を実施、そして特区吉備中央町での実証という流れのイメージにございます。
以上が、事務局の提示する今年度の議論の取りまとめ案となります。よろしくお願いします。
○児玉座長 ありがとうございました。
それでは、構成員の皆様から御意見を伺えればと思います。
御発言の際には、議論を円滑に進める観点から、御意見か御質問か、質問の際はどなたに対する御質問かを明確にして御発言をお願いできればと思います。質問をどんどんお願いできればと思います。御意見よろしくお願いいたします。オンラインで参加の構成員もよろしくお願いいたします。
横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 取りまとめいただき、ありがとうございます。
私は、この取りまとめの方向性については基本的には賛同いたします。
事務局に確認をしたいのですけれども、このワーキングの上にある検討会のほうで昨年度、救急救命処置の国家戦略特別区域における先行的な実証についてということに関する意見が出されていると思います。このワーキングの構成員の先生方の中にも、そちらのほうに参加されている方もいらっしゃると思うのですけれども、そこでの議論と今回のこの提案に関する議論というのは関係のないものと考えて整理してよいのでしょうか。
○児玉座長 事務局、よろしいでしょうか。
○森室長 この上の親会において議論するためにこのワーキングが設置されているものですので、今回の取りまとめに関して検討会には報告をさせていただく形にはなっていくかと思っていますが、御質問にお答えができていますでしょうか。
○横野構成員 そのことは理解しております。昨年度の取りまとめの中に、今回の対象となる処置とはまた別の従来から議論になっていたアドレナリンですとかそういったものについて、戦略特区で先行的な実証ができるかどうかという御議論があったのを資料で拝見したのですけれども、そこでの議論と今回の検討の結果は、枠組みとしては同じと考えていいのでしょうか。どうなのでしょうか。
○児玉座長 佐々木課長、お願いします。
○佐々木課長 地域医療計画課長の佐々木でございます。
御指摘のとおり、親検討会と呼ばせていただきますけれども、その検討会の中で提示されて、ワーキングの中で議論しましょうといったものは継続して進めたいと思っています。順番的にエコーのところを進めさせていただきましたけれども、実際スケジュールとしては次年度になると思いますが、引き続きこちらを取り組んでいきながら、それぞれ必要に応じて親検討会のほうに結果の御報告をしたいと思っております。
以上です。
○横野構成員 分かりました。ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかの方、いかがでしょうか。いろいろな視点があるかと思いますけれども、とりまとめを作成するに当たって、もしさらに追加の御意見、御質問等あればお願いいたします。
淺香構成員、お願いいたします。
○淺香構成員 前回の会議に参加できなかったので、少し筋違いなところがあるかもしれないのですけれども、取りまとめの中に、そもそもこの提案の大前提、重要事項というのが、住民の方々の救急医療体制の不安に対して、それを解決していくためのいろいろな策の中にエコーがあったというくだりが示されていると思います。救急体制の様々な検討の中に、既にこのワーキングの中でもいろいろな検討、提案がされてきておりましたけれども、そこの様々な提案についても同時に検討されていくということなのか、あくまでも提案があったエコーを用いた搬送方法の検討という形になっていくのか、どちらになっていくのか、事務局のほうに御確認させていただければと思います。
○児玉座長 事務局、お願いいたします。
○東専門官 この場としては、救急救命士の新たな処置を検討する場ということになりますので、扱う内容としては、救急救命処置をエコー検査に限ってですけれども、岡山吉備中央町で実施をすることになります。ただ、吉備中央町の住民が訴える救急医療体制の不安に対してというところに関しては、今日、内閣府の地方創生の担当の方もいらっしゃると思うのですけれども、また別の協議会、地域の協議会があると伺っておりますので、そこで引き続き検討いただけるかと思います。
○淺香構成員 ありがとうございます。いろいろな不安が救急体制の中にたくさんあるのだと思うのですが、その中でも今回、搬送までの時間が長いとか、そういったところに関しての不安に対して岡山大学の改善策が一つ出されたと思うのですが、そこに対して、繰り返しになりますが、複数のこういう案はどうだろうか、当然、救急救命士の業務に関わるところではない対策が出されているかと思うのですけれども、そこに関して全くここでそれをなしという前提でいくと、このエコーの実施に関するいろいろな検討を進めざるを得ないと思うのですが、どっちが有用かということの検討はされずに進んでいくという認識でよろしいでしょうか。
○児玉座長 佐々木課長、よろしくお願いします。
○佐々木課長 佐々木でございます。
御指摘の視点は大変ごもっともだと我々としても思っているところでございますが、まずは一義的にはデジタル田園健康特区として指定された吉備中央町から提案されているこのエコーの提案についてどう捉えるか、これを考えることが我々に求められているミッションでございますので、まずそこをしっかり議論していくということだと思っています。
ただ、今回、ワーキングでの議論を通じまして、そもそもの救急医療体制の在り方とかあるいは代替的なありようについても御指摘いただいていますので、しっかりそれはこのまとめの中にまとめさせていただいて、もちろんフィードバックしていくと。特区の中で住民の方々の御要望に対してどう応えるかというのは改めて検討していただきたいと思いますし、もちろん救急医療体制全般については当課としては今後も検討課題だと思っていますので、引き続き、いろいろな場面を通じて考えてまいりたいなと思っております。
以上です。
○淺香構成員 ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
本多構成員、よろしくお願いします。
○本多構成員 よろしくお願いします。
1ページ目のまとめに関しては、全体像、流れに関しては賛同します。ただ、これをきちんと進めていくために、文言というか言葉を少し整理したほうがいいので提案します。
田邉先生もいらっしゃるので一緒に相談できればと思います。処置とエコーの用語が文面から、救命士が行う処置に相当すると思うのです。エコーが処置になるのかと言うと、医師が行う内容からすれば、傷を縫ったりとか、あるいは薬の処方もそうですが、エコーは処置になるのです。要するに臨床的に診断を行うために検査が必要であって、最終診断に対して必要な処置を行うという臨床現場の業務の中で、処置とエコーは別物、別カテゴリーということです。このように我々の認識と救急隊側の理解の違い、今回の試みをプレホスピタルの現場に取り入れようとするときに混乱している一つの原因だと思います。せっかくこういったものを進めていくためには、細かい話かもしれませんけれども、ピンクの中に書いてある中で、処置の内容と書いてありますけれども、これは特定行為に当てはまるのか、そういう言葉にしてちゃんとしてあげないといけない。
処置とエコー検査はイコールにならない感じがするので、エコー検査を特定行為のカテゴリーにするのか、そこは検討する必要があります。多分、深澤構成員も同じ意見をお持ちと思うのですけれども、検査と処置は違うという点を明確にすること。
さらに細かい話をすると、処置の内容の真ん中のところで、医師の細かな指示を受けながらという点も、恐らくエコー検査に関して細かな指示といってもなかなか難しいと思います。まず「処置」と「検査」との違いいうところを、この場で構成員の方で何人かの意見を聴いて、きちんと区別してあげたほうがいいかなということを思いました。私は特定行為にしないといけないのかなと思っています。あるいは、特定行為という言葉が難しいのであれば、この場で何か提案があればということです。
○児玉座長 重要な御指摘ありがとうございます。何か追加でありますでしょうか。
田邉構成員、よろしくお願いします。
○田邉構成員 救急救命東京研修所の田邉です。
本多先生がおっしゃったとおり、通常、医師側が使う検査と処置、観察で使う検査と実際に何か侵襲的なことをする等を含めて処置と分けて使うのが一般的ですが、救急救命士については救急救命処置として観察も処置も併せて救急救命処置と言っている、救急救命処置の中に含まれているということなので、そこの誤解がそれぞれ生じないように、丁寧にここを記載するというのは本多先生のおっしゃるとおりかなと思います。
その上で、今回のエコーについて、観察ですけれども、これを特定行為として位置づけるか。これまでは救急救命士の既存の処置、救急救命処置の中で、いわゆる先ほどお伝えした観察と処置とあって、観察の部分で特定行為というのはなくて、処置だけが特定行為になっているという中で、今回、観察である超音波検査を特定行為として位置づけるか位置づけないかというのは、この中で議論したらいいなと思います。ただ、これまでの実施しようという方の御説明では、基本的には医師の指示をもってこれを処置すると言っておられたので、説明ぶりからすると、特定行為として位置づけることで実施者側のほうは考えておられたのではないかなと感じておりました。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
本多構成員、お願いします。
○本多構成員 田邉先生、ありがとうございます。
恐らく僕も同じことを思っていて、ただ、救急をやっている医師は特定行為の意味を理解することができるのですが、救急を専門にやっていない先生にはきちんと伝える必要がある。また、救急外来を担当しているのは救急医だけではありませんので、いろいろな先生方が関わってくる中で、今回のような話を進めていく状況になれば、処置と検査というのはどうしても医師側が引っ掛かる言葉となる可能性があります。
今、田邉先生がおっしゃった点は、救急救命士側ではエコーは観察の中に含まれているということがうまく説明できればいいかなと思いました。その提案に関して私は田邉先生と同じ意見で、賛同します。この状況を一般的に皆さんに説明して広めていくときには、どうしても医師側は処置と検査は違うぞと感じると思います。検査に関して言えば、「医療行為である検査を救命士がやるということに関してどのような位置づけです」かという質問には答える準備が必要かなと思いました。
ありがとうございました。
○児玉座長 ありがとうございます。
この点、追加で何かご意見よろしいですか。大丈夫ですか。
事務局のほうもよろしいですか。
○東専門官 ありがとうございました。
書き方として、救急救命処置の拡大というので前半の部分が抜けてしまい申し訳ありませんでした。救急救命処置という中の観察、検査という部分に入ると思いますので、そのようにこちらでもしっかり整理して進めていこうと思います。
○児玉座長 佐々木課長、よろしくお願いします。
○佐々木課長 追加、補足でございます。
今回のお話は、最終的に制度にのせるかどうか、そしてのせた場合、どのような記載にするかだと思っています。のせるかどうかの先ほどの話について、法令に基づいて整理していく必要がございまして、これについては今、田邉構成員、それから本多構成員からございましたように、現在、救急救命処置としていろいろなものが入っている、そんな状況でございます。一般的な感覚としては処置と言えるのかみたいなものも入っているのは事実でございます。ただ、法令上の整理としてはこうなっているということでございまして、その上で具体的な医師の指示の下行うものを特定行為としているわけですけれども、そのようなカテゴリーに入れるかどうかというのはまた整理していく必要があると思いますので、今後、まずは救急救命処置の範囲に入れるかどうか、範疇に入れるかどうかというところをしっかり進めていきながら、おいおい法令上の処置というのを考えたいなと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 日本看護協会の井本でございます。
資料1ページ目、吉備中央町による国家戦略特区における提案のポツ2つ目に、『救急搬送に時間を要し、病院到着時に容態が急変して転院搬送することも多いという地域課題を解決するため、「救急救命処置の範囲の拡大」と「救急車内から医療機関への情報伝送システムを構築」することにより、適切な病院選定を実現するというもの』と説明があったわけですけれども、前回、前々回の私どもからの質疑応答の中で、実際に転院搬送を余儀なくされた症例や、さらに、その内訳としてエコーを行っていなかったことによって生命に影響があった症例は把握できていない、していないということだったと承知しております。
ここに書いてあるのはそのとおりなのですけれども、フォローページで例えば3ページのところに、そういった実態が把握されていないにもかかわらず、転院搬送について地域課題として、なおかつ解決策として搬送中のエコー実施を提案すること自体納得がいかないと私から意見をしたところですが、その辺りの記述がないのです。提案の根拠となることをひもづける何かしらの論拠が確認できていないということについては、どこかに入れていただきたいなと思っています。これは私だけではなくて田邉構成員からも、そういったことはしっかり把握すべきだということも意見があったことと思っておりますが、いかがでしょうか。
○児玉座長 事務局、よろしいですか。
○東専門官 御意見ありがとうございました。
指摘事項の内容に関しては、いただいた内容も含めて再度修正させていただこうと思います。
○井本構成員 繰り返しになりますけれども、救急搬送に時間がかかるという課題に関しては、ほかの構成員からも意見がありましたが、やはりドクヘリなどの活用が最適ではないかと本会としては考えております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
今、井本構成員がおっしゃったとおりだと、私も同感であります。前から今回の1ページ目に書いています時間の短縮と、救命率を向上するという形ですが、救命率に関しましては、もう一つ書いていただきたいことがあります。腹腔内の液体貯留という形になっていますが、この前の意見では臓器破裂と婦人科的な疾患に限るという形で、例えば最初の議題でありました大動脈の破裂とかそういったものは入らないという話であったかと思います。そういったことも、きっちりとどういうことをやるかということは、もっと詳しく明記が必要ではないかなと思います。それだけしかしないよ、という意味にもなるかと私は思っております。
また、今おっしゃったように、本当に今回、臓器破裂でショック状態も伴うような状況であれば、昼間ならばドクターヘリが一番適切であるし、夜間の話に限局してこの話がいくなら、それを明確に書いておくべきではないかなという気もしております。
もう一つは、24時間365日これからこれをやられるならば、一番大変なのはこれを指示するドクターの体制づくりです。岡山大学が責任を持ってやる、2人の当直医がいるからできるという話をなさっておられましたけれども、これの負担は非常に大きなものではないかなと考えられます。今後全国でやるとなると、ポイントとしては一番大きなポイントではないかなと思います。ここは今回なされるデザインの中にどういう形で検証するかということも明記していただきたいかなと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか。
深澤構成員、よろしくお願いします。
○深澤構成員 深澤でございます。
先ほど来からお話があったスーパー特区に対してのお申込みでございます。スーパー特区に関しては、救急搬送に時間を要し、病院到着時に容態が急変して転転院搬送することも多い。その辺の課題を解決するために何とか申し込んだということでございます。
今、皆さんからお話もいただいているとおり、基本的には吉備中央町の救急搬送の時間短縮のためにスーパー特区に申し込んだと私たちも思っていましたけれども、その内容が基本的に救急救命士による超音波検査になぜ結びついたのか、その辺のところもお聞きしたいかなと思っておりますし、また、前回、牧参考人からの御意見の中で、町民の要望としては産婦人科や救急医療の充実、または小児科医療の充実という要望があったのだけれども、その辺のところの充実についてはどうなってしまったのかなと思っているところでございます。
そういうことも踏まえて、今、様々に3回、今回で4回目と思っておりますけれども、厚労省からの説明、参考人からの説明も受けた上で、なおかつ、私たちチーム医療推進協議会としてはまだなかなか納得できないような状態ではございます。私たちの構成員の一人である救急救命士の鈴木先生からも御意見をいただいているところでございますので、そういったところも踏まえて少しお考えいただければなと思っております。
以上でございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
救急搬送の時間短縮という課題に関して、なぜとくに救急救命士によるエコー検査を問題にするのかという指摘は、先ほど来も少しお話があったと思いますけれども、もしどなたかこの点に関してさらに追加で御意見がありましたらお願いできればと思いますが、いかがでしょうか。
加納構成員、よろしくお願いします。
○加納構成員 そもそも論で、何回も繰り返しここの場でも言わせていただいたのですが、二次救急に運ぶか、三次救急に運ぶかというのが選択であれば、限られている400か300の吉備中央町の中での症例であれば、外傷性の臓器破裂を疑う可能性があればすぐに三次救急で決定したらいいだけの話ではないかなと思うのです。わざわざエコー検査をするまでもなく、速やかに三次救急に運ぶ。そういう意味では、なかなか納得できないという意見に全く賛成で、必要性が本当にあるのかなというのをいまだに疑問視しています。それでもやるとなると、やったけれどもこのような形で駄目でしたよという話ができるようなことも必要ではないか、処理的にちゃんと確認しておかなければいけないかなと思っております。
○児玉座長 御意見ありがとうございます。
この点について追加や何かありますでしょうか。
井本構成員、お願いいたします。
○井本構成員 今の加納構成員の意見に本当に私も同感です。この実証は「今後のイメージ」のところに示されている内容をこれから本ワーキンググループでもしっかり確認していくのだと思うのですが、先ほど加納構成員の意見にあったように、症例によって二次ではなくて三次ということは今の救急体制の中でもされていることです。そういった中でこの実証研究の必要性があるかということについては、本当に私も理解ができませんが、これを実証するためのデザインを検討していくとしたときに、搬送中にエコーを実施することで、実施しなかった場合とは選定した搬送先が異なって、つまり、もともとそのような症例は三次に行くだろうと思うのですけれども、その症例が選定した搬送先が異なって、さらにそれによって救命や予後の改善に影響したことをどうやって示すのかなと。もともとロードアンドゴーで三次に運ぶであろう症例が多い中で、超音波をやったことで選定先が異なり、それが救命率に影響を及ぼしたのかという効果を検証するデザイン自体が非常に難しいのではないかなと思うのですが、そういったことについてこれからどういう議論をしていくおつもりなのか、何か事務局で把握されていることがあれば教えていただきたい。あと、早期に治療に着手できるというようなことを言っておられましたけれども、私も救急で管理をしておりましたが、高次施設はそもそもそういった場合には救急体制をかなり早急にそろえて、早期に着手できるように対応していると思うのです。そういう中で早期に着手できたということの検証を、どのようにやるのだろうと、本当に想像がつかない。その辺り何か事務局で今、把握されていることがありましたら教えていただきたい。今後、どこかでまた協議がされて、ワーキングに戻されるようなイメージで、何か今の時点で把握されていることがあったら教えていただきたいと思いました。
○児玉座長 佐々木課長、よろしくお願いします。
○佐々木課長 いろいろ御指摘ありがとうございます。
繰り返しになりますけれども、まずは今回、特区で提案されていったエコーに対して、我々として向き合っていく必要がある、これは政府として考えているところでございます。ただ、構成員からこれまでいただいた御指摘は大変ごもっともで重要であり、そもそも必要性はどうなのだというところ、これまでるるいただいたところでございます。
ただ、我々事務局として受け止めている今回の提案というのは、搬送先の選択、これも迅速化していくことによって、結果的に現着から早期の処置に結びつけていく、まさにそこの時間短縮によって救命率を上げていくというような御提案でございますので、それが本当かどうかというところを今後の研究デザインの精緻化、ひいては実際の実証という中で確認していく作業に移っていくのだと思っております。
そうした中で、最初から三次へ送ればいいではないかという話もあったと思うのですけれども、今回考える中で救命救急医療の体制というところも御議論としてございました。そして実際、待機していただく医師の人数なり専門性なりの最適化、こういったことも捉まえながら、効率的な体制の構築ということを考えたときに、何が何でもドクヘリなのだ、何が何でも三次救急なのだではなくて、既存のメディカルコントロール体制をベースに置きながら考えていくのだと思っていますので、これは大変一般論的な話でしかございませんけれども、そういった考え方でもってして、今後、具体的に研究のデザイン、精緻化をしていくということを提案者側には求めたいと思いますし、また、本日いただいた御議論も重ねてお伝えしてまいりたいなと思っております。
そして、諮問会議の決定事項にもございましたように、次年度早期に対応すべきということでございますので、本年の取りまとめを踏まえて、次年度については研究デザインの精緻化に着手という言い方ができるかもしれませんけれども、進められたらと思っているところでございます。ただ、いずれにしましてもこれは事務局としては提案者側にお伝えし、しっかり提案者側にやっていただくことだと思っていますので、提案者側の準備次第でスケジュールが変わってくるというのはあり得るかなと思っております。
以上です。
○児玉座長 よろしいでしょうか。
○井本構成員 今、発言したようなことはお伝えいただき、今までの搬送症例の精査も含めて、またそのうち回答が返ってくるだろうと認識しましたが、それでよろしいですか。
○児玉座長 佐々木課長、よろしくお願いします。
○佐々木課長 間違いなく本日いただいた御意見については提案者側に伝えたいと思っております。そして、過去の転院症例についての精査は、正直できるかどうか分かりませんけれども、改めてお伝えしつつ、そういった症例の捕捉ができるような研究デザインの設定も今後に向けて求めてまいりたいなと思っております。
○児玉座長 ありがとうございます。今のデザインの精緻化を基本的に提案者に求めて、それをこちらで確認するということに今後なるかと思います。ありがとうございます。
ほかの点はいかがでしょうか。
深澤構成員、お願いします。
○深澤構成員 度々申し訳ございません。
研究デザインというお話がございましたので事務局のほうに確認なのですけれども、基本的に研究デザインができましたら、特例追加について今後は実証研究という形で進むのではないかと思っております。この実証研究を行って、搬送時間の短縮という効果、そういうものが出なければ、基本的には全国へは実施、施行しないということになるのかどうか、事務局に御確認したいのです。
○児玉座長 よろしくお願いします。
○東専門官 御質問ありがとうございました。
こちらとしても、最初から設定した結論について出なかった場合には、全国展開はしないと考えております。
○深澤構成員 ありがとうございます。
○児玉座長 御確認ありがとうございます。
佐々木構成員、お願いします。
○佐々木構成員 仙台市消防局の佐々木です。
消防の現場の話を皆さんに知っていただきたくて、情報提供させていただきます。
今、加納構成員や深澤構成員、井本構成員がおっしゃったように、吉備中央町だけを限定してやるのであれば、確かに三次医療機関に搬送したほうがいいのだろうなと私も少し思ったのですけれども、もしいずれ救急救命処置として全国に展開していくのを視野に入れたときに、例えばドクターヘリは有効な手段ではありますけれども万能ではなくて、もし救急隊と合流して活動するときは、勝手に下りられないため着陸地点の許可を取らなければいけないですし、消防隊が現場に行って水をまいたり、安全管理をしたりしてから着陸すると、結構時間がかかるパターンもあるのです。そうするとドクターヘリを呼ばずに搬送したほうがいいという地域もありますので、そういったところも視点に入れて考えていかなければいけないだろうと思っています。
あとは搬送先の医療機関が北と南にあって、北のほうは腹腔内の処置ができる、南のほうができないとなると、確かにエコーというのも有効な手段にはなってくると思いますので、地域によって求められるニーズがあると思います。もしいずれ全国に展開していくのを視野に入れるのであれば、そういった視点も取り入れて考えていっていただきたいと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
地域によってはドクターヘリのほうが使いにくい場合もあり得るということで、このエコーを行うというのもあるかもしれないということですね。ありがとうございます。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 ありがとうございます。
今のドクターヘリは、私もこの地域として、吉備中央町に関しての可能性として申し上げているだけで、大阪であればヘリを飛ばしているよりは救急車で運んだほうがはるかに速いわけです。本来、救急体制として二次救急があって、三次救急へ運ぶというのは、二次救急が手に負えない症例を三次救急に運ぶ、つまり最後のとりでとして三次救急というイメージで私ども大阪ではいるわけです。二次救急の多くでも、今回の議題になっています肝破裂、腎破裂等も含めて対応できる病院もしっかりとあるわけですから、そういう意味で三次救急に運ばなければいけないという話に持っていかれると、我々二次救急にとってみましては違った話になってしまい、また議論しなければいけないかなと思う次第であります。今回の要件というのは、非常に地域性を持つ中での議論かなという感じでいます。こういったことも最終的な結論のときにはしっかりと議論しなければいけないかなと考えております。
○児玉座長 ありがとうございます。
淺香構成員、植田構成員、お願いします。
○淺香構成員 ありがとうございます。
今、お話があったように、あくまでも特区の中の検討という前提に立ったときに、特区の吉備中央地区の二次がないとかありますけれども、先ほどお話があったように病院によって特性が本当に様々だと思いますので、デザインをしていくときに、例えば前、岡山でさえも夜はそんなに人が潤沢にいるわけではないという話もあったかと思うのです。そういう細かい事情まで含めたデザインが必要なのではないかなと思うのです。三次だから全部診られるかというとそうではない。夜はやはり診られないのだと。でも、エコーの対応をする医師2名はどうにか出そう。では、そのほかの体制はどうなっているのだとなると、岡山で24時間365日できるのかというと、その辺の信憑性もどうかなということにもなってくると思いますので、特区でやる以上は、特区の特性をかなり細かく入れたデザインが必要ではないかなと思っております。ですので、これは繰り返しの中で、全国展開の話も出てきますが、まずここでは全国展開ということは完全に抜いたところでお話をしていかないと、話があちこちに行ってしまうのではないかなという懸念を持っておりました。
意見です。
○児玉座長 ありがとうございます。
植田構成員、お願いいたします。
○植田構成員 日本臨床救急医学会の植田です。ありがとうございます。
先ほど佐々木構成員の救急隊の目線でということで、少し私からも追加で発言させていただきたいのですが、エコー検査の有効性について、救急隊の活動の中で一番有効的だと思う場面といいますと、例えば受傷機転が不明確だとか、症状が不明確だとか、ショックの症状が出ていない状況で、ロードアンドゴーの宣言ができなくて、二次病院に搬送となったとき、でも、搬送中に傷病者の様子が何か気になるとき、そういったときにエコーがあれば、エコー検査の結果、腹腔内出血が発見ができて三次病院に搬送先を変更するとか、そういったときにはかなり有効なのかなと思うのですが、それも医療体制の地域性があるので、全国どこでもとは言えないかもしれませんが、搬送時間の短縮も必要ですが、そのような場面での搬送先の選定に有効といったところを踏まえながら今後、更に研究デザインを再検討していただけたらいいかなと思いました。
○児玉座長 ありがとうございます。地域によってはエコーの検査をしたほうが有効に搬送先を選べるというようなこともあり得るのではないかというご意見として承りました。
ほかいかがでしょうか。
本多構成員、お願いします。
○本多構成員 淺香構成員のおっしゃったことに追加で話をしたいと思います。救急外来が抱えている問題、救急医療の中で今、課題が一番大きいところだと思っています。地域の救急医療体制の問題を一緒に混ぜて議論する状況になれば、この問題はあまりにも多過ぎて、広過ぎて、特区でやるという話とかみ合わなくなってくるのかなと思います。
実際に病院は救急医療は救急外来部門で受けて院内の体制に応じて対応していく、その院内の体制で診療を進めていくにあたり、時系列に沿って検討していくと結構大変な時間と人手と体制を考えなければいけなくなってくる。
今回のワーキングでこの議論まで踏み込んでしまうととても大変かなと僕も思います。
特に救急外来部門で起こることは、救急車要請は右肩上がりで、高齢者や軽症者の割合が中心に増えていくという現状です。救急医療は救急車だけの問題ではなく、一般外来のように直接受診者もいますので、ウオークインと救急外来を含めた問題をどんどん体制としてやっていかなければいけない。そういうことを議論するのは今回のワーキングでは難しいかなと。
ただ、その前の段階で、そのエリアでエコー手技なりをやってみるということを少し検討するという機会が与えられたというふうにやってみることはありと思います。制限を加えると多分大変だと思うのですけれども、今、このエリアのこの部分を検討したいのですよとちゃんと切り分けてあげればいいかなと思います。
今回のことは、吉備中央町で起きていることは全国で起きていることかもしれないし、今回の試みが意外にも救急に関する大きな問題を提言してくれているとなると良いかなと思います。将来的に今回の取り組みの結果ができなかったとしても、救急外来の受入れ部分に関する大きな問題があるのだよということを全国的に提案する一つのきっかけになるので、次につながる話に行くと思います。そういったふうにしてもらえるといいかなと思います。
救急外来検討委員会の委員にも参加していますが、救急外来部門で生じる多くの問題があまりにも大き過ぎて、広過ぎて、どこから手をつけていいかというのが悩みです。そういう中で地域の救急医療体制に関する情報発信があるとなると、これは一つのよりどころになるのではないかなと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
佐々木課長、よろしくお願いします。
○佐々木課長 ありがとうございます。
御指摘はごもっともな部分があるのですけれども、交絡要因として救急外来というのをどう捉えるかですが、今回の吉備中央町からの提案を真摯に受け止めたとすると、救命率の向上にどれだけ資することになったのか。そのための前もってのエコーで得られた情報という形になっています。それが時間の短縮であったり、時間短縮の中に搬送先医療機関のセレクションがあると思いますけれども、そこは捉まえてあげなければいけないと思いますので、研究デザインの精緻化の中で、搬送時間の短縮部分であったり、その後の院内でのオーダーリングだとか、そういった体制の準備だとかいったものを分割して研究デザインをつくるというのは可能ではないかなと思いますけれども、後者については外せないところではなかろうかと思っていますので、一応提案を踏まえた形でしっかり提案者に研究デザインをつくっていただくというふうに求めたいなとは思っております。
○児玉座長 よろしいでしょうか。
日本における救急搬送の課題を広く俯瞰した上で、特に今回の吉備中央町での地域特有の課題も踏まえて研究デザインをつくっていただくというのがよいのかなと思います。
ほかいかがでしょうか。
横野構成員、お願いいたします。
○横野構成員 最初に質問させていただいた件なのですけれども、今、いろいろ出てきたお話と関係をしていて、既に候補になっているカテゴリーⅡの処置に関しては、ある程度検討されていて、全国展開を見据えて処置の在り方について検討するというものかなと思っております。
そちらの場合には、アドレナリンとかそういうものですけれども、地域性はもちろんあると思うのですが、全国展開を見据えてどこの地域で行うのかということも含めて検討するような位置づけかなと思っております。
ただ、今回のエコーの件はもう既にどこの地域で行うということが具体的に決まっていて、その上で、そこでの実施について検討するということなので、そういう意味で、別の観点から検討すべきものかなと思っているのですけれども、それはそのように考えてよろしいのでしょうか。
○森室長 ありがとうございます。
先生のおっしゃるとおりで、アナフィラキシーに対するアドレナリンの議論の結論の出し方と、今回の特区の要望に対する議論の出し方を同等に考えるものではないと認識しておりますので、個別に判断は必要と考えております。
○横野構成員 分かりました。そうしましたら、今回のこの議論の仕方は今回のケースを前提にしたものということで理解いたしました。ありがとうございます。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。
深澤構成員、お願いします。
○深澤構成員 1点だけ質問なのですけれども、今回のことが特区でもしやられるというようなことになった場合なのですが、その結論はまだ出ていないと思いますが、吉備中央町の消防署の体制について御質問をさせていただきたいと思います。
まず、吉備中央町を管轄する消防署では何台の救急車があるのか。また、その消防署には救急救命士は何名いるのか。恐らく私が知っている限り、出動する救急車には救急救命士が1名同乗するとは限らないと伺っておりますが、今回検討している実証実験に関しては、救急救命士が超音波を行うということを想定しているということで、救急救命士が乗っている救急車での搬送のみが対象となるのかということだけ確認だけさせていただきたいと思います。
○児玉座長 事務局、よろしいでしょうか。
○東専門官 過去に岡山というか提案団体からもらった資料からの発言にはなるのですけれども、吉備中央町の救急医療体制として、岡山市消防からの委託で吉備中央町は運営しているわけですけれども、岡山西消防署吉備中央出張所というところがありまして、そこは高規格の救急車が1台とは記載されております。救命士が何名そこに所属となるかということについては、現時点で資料を持ち合わせていないので御回答できません。申し訳ありません。
○深澤構成員 回答についてはまた後でも結構なのですけれども、私たちが心配しているのは、基本的に救急救命士がやるということでいいですねという確認だけをさせていただきたい。単なる実験としてやるということに関して、そういうことでよろしいですねということになります。
○東専門官 提案の処置の実施主体としては救急救命士になります。
○深澤構成員 それの確認だけです。
○児玉座長 ありがとうございます。
その他の点いかがでしょうか。
一通り御発言いただきましたが、喜熨斗構成員、いかがでしょうか。
○喜熨斗構成員 ありがとうございます。
私も、この方向性については異論がございません。
先ほど議論がありましたとおり、実証研究をするのであれば、どのような症例に対して効果があるのかというのはやはり明確にすべきだろうと思います。例えば緊急手術が必要で、その対応が難しい二次救急に搬送されることが避けられるような視点も含めて、もし実証研究がされるのであればその内容を含んでいただきたいというのが希望でございます。
また、段階としては、改めてエコーがプレホスピタル、病院前について効果があるのか。それは決して救急救命士が最初にその実証研究の対象ではなくても、医師やエコー検査ができる職種が実証して、効果があると分かった段階で、救急救命士が同等の手技が発揮できるものなのかどうか、どのような教育をすれば同等の実施ができるのかという2段階の構成もよろしいかと思いますので、その点も含めてまた内閣府にお返しをいただければと思います。
以上です。
○児玉座長 貴重なコメントありがとうございます。
エコー検査を職務としてすでに実施できる人が行った上で有効性を示して、それから救急救命士がエコー検査を行うという2段階にしてはどうかという御提案もいただいたかと思います。もしそのような点に関してほかに何かありましたらお願いします。
田邉構成員、よろしくお願いします。
○田邉構成員 私も、今回の取りまとめ、今後のイメージも含めて賛成いたします。
特区での実証を踏まえて、ここで書いてある研究デザインの精緻化によって効果を確認して、その効果を踏まえて、全国展開するのか、あるいはこういった地域において有効だということが示せるのか、あるいはどういった地域でもなかなか有効性がないといったようなことであれば、そこでこの議論は一旦終わると。とはいえ、そういった過程があるとまた次の進歩につながりますので、特区での実証で確認して、そこでまたこういった場でその効果を皆で議論する、そんな形に進んでいけばいいなと思っています。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
そのほか御意見いかがでしょうか。細かい点でも結構ですし、何か付け足すことがあればお願いいたします。
○田邉構成員 細かい点でいいということですので、3ページ目の処置内容・プロトコールの3つ目、私が発言したことも捉えて書いていただいているのだと思うのですが、ショックであれば輸液をするという既存のプロトコールがいびつになりということなのですが、既存のプロトコールはもうプロトコールであって、それがいびつになるというものでは多分ないかなと思いますので、既存のプロトコールとの優先順位を明確にしないと必要な処置が遅れる原因になるのではないかということで、優先順位さえしっかりと、あるいはそれぞれのプロトコールの位置づけをはっきりすれば解決することかなと思っています。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。文言を訂正するということで。
ほかいかがでしょうか。
研究デザインの精緻化等のところでも、もし何か追加でコメントがあればどなたでも結構ですのでよろしくお願いいたします。いかがでしょうか。あと研修のところについても、もし何か追加でコメント等ありましたら。研修というか、教育体制をどうするか等々でも何かありましたらお願いいたします。
佐々木構成員、お願いいたします。
○佐々木構成員 教育なのですけれども、私も報告の内容には賛同なのですが、ここに書き足してほしいというのではなくて、救急救命士の教育について皆さんに知っていただきたくて御紹介します。
救急救命士は2年で128ポイント再教育を課せられておりまして、その中で、2年間で48時間病院実習をしなさいという決まりがあります。そのため、例えば知識部分と実技部分はいずれ教育するとき分かれると思うのですけれども、知識の部分に関しては、今、救急需要がすごく高まっているので、集合研修はなかなか難しくて、オンデマンドやインターネットを活用した知識の研修がいいのだろうと考えます。また、エコーの当て方も、もしいずれやることになったときに、集合研修でやるとなかなか難しい部分もあると思うので、48時間の病院実習の中で、病院から協力がもらえればそういったところをうまく活用すると、一気に終わらなくても徐々にそういった手技を習得していく救命士が増えてくるのではないかなと思います。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
ほかに追加で研修や教育の部分について何かありますでしょうか。
喜熨斗構成員、よろしくお願いします。
○喜熨斗構成員 ありがとうございます。
今のいわゆる再教育の128時間のうちの48時間のところにも、医療機関等で救急救命士が研修をしているということもありますし、岡山県がそれを実施されているか私は存じ上げませんが、最近ではワークステーション方式で医師と救急救命士が同時に出動するケース、または最近では法律が改正されまして、医療機関に救急救命士が在籍していて、ドクターカーで医師と同時に救急救命士が出動するというケースもございますので、一つの案としては、医師と救急救命士が同じ現場にいる段階で救急救命士が実施が可能か、その場で医師が必ず確認ができている状況というのも最近では増えてきておりますので、そういった場を活用するというのも一つ手があるのではないかと思っております。
以上です。
○児玉座長 ありがとうございます。
今の研修等の件に関して、ほかに追加はよろしいですか。
その他の点でも結構ですので、何か。
本多構成員、お願いします。
○本多構成員 全く別の話で1つありますけれども、エコーをやることに関して、コスト言い換えれば診療報酬の問題がどうしてもついてきます。これだけ機械をそろえたりすると、何らかの形で医療行為に関しては、その行為に対する診療報酬が必要である。これは経済の原則というよりも、事業として成り立つ上で必要だと思うのです。
病院前医療では診療報酬に関する問題と、救急隊側が行う処置がごっちゃ混ぜになって、おそらく、将来的に報酬とコストの問題になってくると思っています。病院で実施すれば診療報酬点数を技師さんが行っても算定できる。一方で、プレホスでエコーを実施した場合どうやってするのですかという議論は当然出てくると思います。
救急診療含めて医療にはコストがかかるので、学問的な研修も必要だけれども、実際にこれを運用するとなると、必要性があってやる検査に関して当然診療報酬が発生するという原則は持たないといけない。これがないと診療行為は成り立たない議論になってくるのですが、今ここで議論するとどんどんワーキング話が複雑化するので、将来にわたっていろいろなことを含んでいる話題とします。
さっき田邉先生がおっしゃったように、まずやれることをやってみて、その結果ですることだと思うので、このワーキングの議論がどんどん広がっていっている流れと感じます。その究極に残っている一つの問題がエコー手技の検査に関する診療報酬をどうするかという点であり、今回の議論では検討する時間はないと思いますけれが、実際広めていく上で、超音波検査機器自体も安くないし、メンテナンスも大変だし、機械を維持するというのはとても大変なことなので、病院を経営する側からもプレッシャーがかかってきます。
田邉先生がおっしゃったとおり一回戻して、体制とかそういうことで一旦とどめるということを確認したかったということです。一応ここで発言しておきます。
○児玉座長 ありがとうございます。コスト等のことも重要な点だと思いますので、御意見ありがとうございます。
加納構成員、お願いします。
○加納構成員 今の点にも少し絡むかと思うのですけれども、私が参加しております別のところの委員会で、いわゆる医療機器の安全管理という問題が出ております。これを誰が管理するかということで今、議論しているわけですし、どれだけ信頼度を持って安全に医療機器を使うかという中で、超音波検査は実は真っ先に入っている機器なのです。今回使うのは安い、簡易な形のものだということなのですが、ここら辺を含めて、報酬がどうのこうのもあるのですけれども、誰が管理して、ちゃんと使えるようにしておくかというのも責任を持って決めなければいけないし、いろいろな問題が絡んでくるかなと思います。最終的には費用対効果のほうも考えなければいけないかなと思いますし、その結果、それができるかどうかということにつながってくるのではないかなと考えております。
○児玉座長 ありがとうございます。安全管理の点もよく議論しておく必要があろうということで、ありがとうございます。
ほかいかがでしょうか。話は大体尽きましたでしょうか。ほかにもし追加であればお願いしたいのですけれども、よろしいですか。
井本構成員、お願いします。
○井本構成員 意見交換が広がり過ぎて何を意見していいか分からなくなりましたが、まずは研究デザインの精緻化、つまりどんな実証が提案されるのかというところを詰め、それにより、教育とかいろいろな今出たことを議論していくということでよろしいのですね。研修ありきとかその先の話が出てきて、どこまでがこのステップの範囲なのかというのがちょっと分からなくなりました。
○児玉座長 事務局からもし補足があればお願いいたしますけれども、私の理解では、5ページのほうにありましたように、研究デザインの精緻化というのが非常に重要で、それを提案者のほうでつくっていただいて、こちらでチェックするというのが非常に重要なところだと思いますので、もし何かさらにコメントがあればお願いできればと思います。
もう一つ、研修の点も5ページのところにありますけれども、実際にやる場合に、4ページ、5ページで救急救命士のエコー操作に関わる習熟度を高める研修の在り方を検討するというようなところも一つ今後の課題として必要なのではないかと思っております。
よろしいですか。
○井本構成員 どんな対象に何を実施するのかというところがまだしっかり見えていない中での研修に関する意見交換なので、何を議論すればいいのかちょっと分からなくなったので確認いたしました。
以上です。
○児玉座長 事務局、何か補足はありますか。よろしいですか。
ほかはいかがでしょうか。
もしほかに追加がなければ、少し早いですけれどももう終わっても大丈夫かなと思います。よろしいですか。
こちらから見えておりませんで申し訳ありません。オンラインでご出席の消防庁の飯田専門官、もしコメントがありましたらどうぞよろしくお願いします。
○飯田オブザーバー(総務省消防庁) ウェブにて失礼いたします。消防庁の飯田でございます。
これまで丁寧な御議論をしっかりと拝聴させていただきました。繰り返しにはなるかもしれませんが、若干消防庁からのコメントをさせていただければと思います。
第2回、岡山市消防局に御参加いただきましたが、岡山市と吉備中央町は異なる基礎自治体でございますが、先ほどもございましたが、消防業務については岡山市に事務委託をしているという構造になっております。ですので、本特区制度を活用して実証を行うことについて、吉備中央町と岡山市消防局の協議を踏まえた意向ということであれば、消防庁としては尊重いたします。
ただ、全国展開の可能性につきましては、御意見もたくさんございましたが、生命・身体に関わることですので、消防庁としてもしっかり手順を踏んで有効性を検証いただきたいと考えております。
引き続き、どうぞよろしくお願いいたします。
○児玉座長 貴重な御意見ありがとうございました。
そのほかよろしいでしょうか。
そうしましたら大体議論が出たということで、これでもう締めに入ろうかと思います。
本日は、取りまとめ案の最終的な文言や表現ぶりについて様々な御意見をいただきました。このため、事務局においては、本日の検討会の御質問、御意見を踏まえて、「とりまとめ(案)」について必要な修正や整理を行うというのをお願いしたいと思います。その上で、改めて持ち回りで審議を行うこととしたいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
(構成員首肯)
○児玉座長 では、そのようにさせていただきます。ありがとうございます。
最後に、事務局から何かありますでしょうか。
○東専門官 ありがとうございました。
今日いただいた内容で再度修正案を作成し、御連絡させていただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。
○児玉座長 それでは、これにて本日のワーキンググループを終了いたします。
皆さん、お忙しい中ありがとうございました。
照会先
医政局地域医療計画課
災害等緊急時医療・周産期医療等対策室
病院前医療対策専門官 東(2628)