2023年12月14日 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 

日時

2023年12月14日 13:30~15:30

開催方法

オンライン会議

出席者

委員(五十音順)


事務局(12月14日時点)
  • 岡部 史哉(総務課長)
  • 原澤 朋史(総務課長補佐)
  • 近藤 恵美子(食品基準審査課長)
  • 田中 里依(食品基準審査課残留農薬等基準審査室長)
  • 佐野 喜彦(新開発食品保健対策室長兼器具・容器包装基準審査室長)
  • 森田 剛史(食品監視安全課長)
  • 三木 輝(食品監視分析官)
  • 福島 和子(輸入食品安全対策室長)
  • 飯塚 涉(HACCP推進室長兼食中毒被害情報管理室長)

議題

  1. 1.審議事項 
    1.食品添加物公定書作成に伴う、「食品、添加物等の規格基準」の改正について
    2.食品中の農薬等の残留基準の新規設定について
  
 2.報告事項​

    1.食品中の農薬等の残留基準の設定について
  

 3.文書による報告事項
    1.食品中の農薬等の残留基準の一部改正について(食品健康影響評価の結果に変更がないもの等)

 4.その他の報告事項
 

議事

 
発言内容

○原澤補佐 定刻となりましたので、ただいまから薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会を開催します。本日の司会をさせていただきます、健康・生活衛生局総務課長補佐の原澤と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 本日もWebでの審議とさせていただきます。何か不具合等がありましたら、お電話又はチャット機能にて事務局まで御連絡いただければと思います。
 はじめに、本日の分科会委員の出席状況についてですが、今村委員、森委員、脇田委員のお三方から御欠席との御連絡を頂戴しています。現在の分科会委員総数22名のうち、現時点で19名の御出席を頂いており、出席委員が過半数に達していますので、本日の分科会は成立していることを御報告申し上げます。なお、苅田委員、木下委員、杉本委員、曽根委員からは、それぞれ途中退席される旨、伺っています。
 事務局の出席状況についてです。大坪健康・生活衛生局長と鳥井審議官については、大変恐縮ですが、所用のため欠席とさせていただいております。御了承ください。また、そのほかの事務局メンバーにおいても、公務のため適宜退室させていただく場合がありますので、その点も併せて御了承願います。
 続きまして、一般傍聴についてです。一般傍聴については、ライブ配信による動画中継での傍聴とさせていただいています。一般傍聴の方におかれましては、厚生労働省のホームページに分科会の資料を公開していますので、適宜御確認ください。
 続きまして、審議の進行方法について説明します。審議中に御意見、御質問を頂く委員におかれましては、カメラをオンにしていただいた上で挙手をお願いいたします。分科会長から順に発言者を御指名いただくこととなります。なお、御発言のとき以外はマイクはミュートにしていただきますよう、御協力のほどよろしくお願いいたします。事務局からの事務的な御連絡は以上となります。
 それでは、議事に移らせていただきます。本日の議題ですが、お手元の議事次第にありますように、食品添加物公定書作成に伴う、「食品、添加物等の規格基準」の改正について、食品中の農薬等の残留基準の新規規定についての2件について御審議いただいた後、事務局から報告事項をお伝えさせていただきます。
 それでは、村田分科会長、進行のほどよろしくお願い申し上げます。
○村田分科会長 御多忙のところ、お集まりくださりありがとうございます。それでは、(1)審議事項➀「食品添加物公定書作成に伴う、「食品、添加物等の規格基準」の改正について」の審議を行います。事務局から御説明願います。
○佐野室長 事務局でございます。まず、資料1を御覧ください。食品添加物公定書の作成に伴う、「食品、添加物等の規格基準」の改正について御説明いたします。
 今回御審議いただくのは、昭和34年厚生省告示第370号の「食品、添加物等の規格基準」の「第2 添加物」の部に定められている食品添加物の規格基準の改正についてです。食品衛生法第21条の規定に基づき、この食品添加物の規格基準等を収載したものが食品添加物公定書でして、今般、第10版の食品添加物公定書の作成に当たり、「食品、添加物の規格基準」を改正するものです。
 まず、経緯ですが、食品添加物公定書は昭和35年に第1版が作成されて以来、平成30年の第9版の作成、告示改正は平成29年11月でありますが、第9版の作成まで逐次改正が行われています。食品添加物公定書の改正に際しましては、前回の改正以降に設定された食品添加物の規格基準を収載するとともに、一般試験法や成分規格の見直し、既存添加物の規格の設定、記載方法の改良等についても検討を行いまして、食品添加物公定書の改正に合わせて告示の改正を行っています。
 現在の第9版の食品添加物公定書の作成には、第8版の食品添加物公定書を作成した平成19年から11年を要したことを踏まえ、第10版の食品添加物公定書以降の改正については、第9版のときよりも短い期間で作成をし、時宜を得た実用的な公定書としての整備を目指すこととして、平成30年に第10版の食品添加物公定書の作成検討会を立ち上げ、検討を行ってきました。昨年、検討会による第10版の食品添加物公定書案の素案が取りまとめられ、その後、食品安全委員会における食品健康影響評価、添加物における御審議、パブリックコメントなどを経まして、本日、第10版の食品添加物公定書の公定書作成のための規格基準の改正案などについて御審議いただくものです。
 まず、今回の改正の概要についてですが、大きく9つに分類しています。食品安全委員会における食品健康影響評価の結果と併せて御説明をいたします。
 (1)については、既存添加物の45品目について新たに成分規格を設定するものです。この既存添加物とは、平成7年の食品衛生法改正以前から我が国で製造、流通、使用等されてきた天然添加物として、既存添加物名簿に収載されている添加物であります。今回、新たに成分規格を設定する具体的な品目としては、この資料の別添(1)「新たに成分規格を設定する既存添加物45品目」にお示しをしているとおりです。これらは食品安全委員会における食品健康影響評価の結果において、「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当すると認められる」という答申を受けています。
 (2)として、添加物105品目に係る成分規格(128項目)、既存添加物59品目に係る成分規格(86項目)及び、
○村田分科会長 すみません。……。
○佐野室長 画面共有できておらず申し訳ありません。今、復旧に努めていますので、もう少々お待ちいただけますでしょうか。
○事務局 いかがでしょうか。
○佐野室長 すみません、大変失礼しました。今、先生方の画面に概要という画面は出ていますか。
○穐山委員 出ています。大丈夫です。
○佐野室長 ありがとうございます。では、(2)から続けさせていただきます。大変申し訳ありません。
 (2)のとおり、この指定添加物105品目に係る成分規格(128項目)、既存添加物59品目に係る成分規格(86項目)及び添加物製剤2品目に係る成分規格(3項目)について、試験の操作性の改善及び精度の向上、名称及び構造式、用語、用例、計算式等の記載の統一、使用試薬・試液の変更等を目的として、各成分規格の改正を行うこととしています。該当する添加物については、この資料の別添(2)「成分規格を改正する添加物」を御確認ください。時間の都合もありますので、この食品安全委員会における食品健康影響評価の結果において、「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当すると認められる」という答申をされたものが10個ほどあるのですが、このうち「カラシ抽出物」、「酢酸エチル」、「植物タンニン」及び「テルピネオール」について御説明をいたします。
 まず、既存添加物のカラシ抽出物については、この含量の規格値の改正を93.0%から86.5%に行っています。定量法の改正により精度が向上しまして、より正確な絶対純度が捉えられるという、その現行法で算出されたものよりも低く算出されるということを考慮しまして、規定の精緻化を目的として含量の規格値を下げるもので、その品質については従前から変更はありません。また、分子量定量法及び確認試験も改正を行っていますが、原子量表や定量法改正に伴う記載整備、そして試験方法の見直しです。試験方法の見直しとしては、第9版における定量用イソチオシアン酸アリルを基準としたGC-FDI法から、内部標準として使用されていたデカンを基準とする相対モル感度法(RMS法)に改正をしています。
 次に、指定添加物の酢酸エチルですが、こちらは857ページです。酢酸エチルについては、JECFA及び米国食品化学物質規格集の成分規格との整合性の確保及び試験精度の向上を目的として、含量の規格値を98.0%から99.0%に、確認試験のIR法を液膜法へ変更、屈折率、比重及び定量法についてJECFA……規格のガスクロマトグラフ法に変更しまして、沸点が77℃のため、この香料試験法中の香料のガスクロマトグラフィーの面積百分率法の操作条件(2)に変更を行っています。
 次に、既存添加物の植物タンニン、969ページです。植物タンニンについては、規定の精緻化を目的としまして、含量の項において乾燥物換算である旨を削除しました。また、定義の見直しとして、「カキの果実、五倍子、タラ末、没食子又はミモザの樹皮から得られた、タンニン及びタンニン酸を主成分とするものをいう。」を追記しています。
 事例としては4つ目、最後になりますが、指定添加物のテルピネオール、1123ページです。テルピネオールについては、確認試験の赤外吸収スペクトルの端数の見直しを行っています。実態に即するように改正するとともに、明確でない又は確認できない赤外吸収スペクトルを削除するものです。
 以上が成分規格の改正のうち、食品安全委員会における食品健康影響評価結果において、「人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるときに該当すると認められる」と答申を受けたものについての御説明となります。
 そのほかの成分規格改正については実務的な改正となります。試験の操作性の改善若しくは精度の向上を目的とした試験法の変更、名称の変更又は用語若しくは用例の統一等による規格基準の改正でして、食品安全委員会からは、「食品安全基本法第11条第1項第1号の食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないときに該当すると認められる」と答申を頂いています。
 概要の資料に戻ります。(3)です。指定添加物2品目、既存添加物5品目及び添加物製剤2品目に係る成分規格について、1つの品目あたり複数の子規格が設定されていたものについて、それぞれ個別に規定するための改正を行っています。この資料の別添3「個別規格として規定するための改正を行う添加物」、これについては規定するための改正を個別に行っているところです。
 次に(4)です。第2の添加物のAの通則について、国際整合性、試験の実行性や流通実態との整合性の確保を目的とした実務的な改正を行っています。具体的にはですが、例えば通則3においては、原子量の変動範囲を考慮した第18改正日本薬局方の記載にならい、原子量は2015年国際原子量表による等の記載を追加、改正をしています。例えばこの資料の19ページの通則28においては、においの弱い添加物、次亜塩素酸ナトリウムについては、ビーカーよりも試験管のほうがよりはっきりとしたにおいがするため、試験器具に試験管を加えています。また、通則37、19ページですが、流通実態との整合性のために、従来あった項目37については、流通実態との整合性のためにネスラー管を比色管へ改めるという改正を行っています。その改正に伴いまして、一般試験法(6試験法)、試薬・試液(1品目)及び成分規格・保存基準各条(15品目)において、このネスラー管を比色管に記載修正をしています。そして、昔あった通則37を削除しまして、この新しい所に試薬・試液の項目の中の9の計量器、容器のほうに、先ほどあった、前の版の項目37に相当するネスラー管から比色管を移動するという改正を行っています。
 (5)です。第2の添加物のBの一般試験法において、科学技術の発展に伴い、元素分析法の試験法を新たに一般試験法として規定をしています。既存の一般試験法の16法について、技術の更新、国際整合性の確保、試験の実行性の確保、試験に用いる器具又は試薬・試液の変更、記載整備等に伴う改正を行っています。また、適用する品目がなくなったため、メトキシ基定量法を削除しています。メトキシ基定量法については、1441ページですが、メチルセルロースの定量法についてのみ適用されていた試験法でして、今回このメチルセルロースについては、日本薬局方に掲載されているメチルセルロースの定量法に従い、キャピラリーカラムを用いたガスクロマトグラフィー法に変更しました。そのため、当該試験法が不要になり、このメトキシ基定量法を一般試験法から削除するという改正を行っています。
 (6)です。(6)については、添加物のCの試薬・試液等において、新たな一般試験法の設定や成分規格の規定に伴った試薬を追加しています。試験の操作性の改善及び精度の向上、国際整合性、流通状況の反映、試薬・試液の旧名称の記載削除、用語、用例等の記載の統一などを目的として、改正を行っています。
 (7)は、添加物のCの試薬・試液等において、各品目の参照赤外吸収スペクトルを削除し、Dの成分規格・保存基準各条の各品目に必要な参照赤外吸収スペクトルを新たに追加することを行っています。こちらの資料の413ページです。これを新たに追加を行っています。また、計量器として、容器の規格を追加するための改正を行っています。
 (8)です。添加物のDの成分規格・保存基準各条の前文において、資料の415ページですが、組換えDNA技術によって得られた生物を利用して製造された酵素のうち、酵素の定義の基原に係る規定を適用しないものを明確にするための改正を行っています。具体的には、第9版における規定の「遺伝子組換えに係る審査を受けた酵素については、当該酵素の定義の基原に係る規定を適用しない」という所の「遺伝子組換えに係る審査」について、事業者が自主判断できずに申請した審査について、セルフクローニング又はナチュラルオカレンスとの結論が出された場合、この申請行為は「遺伝子組換えに係る審査を受けた酵素に該当しない」ということをより分かりやすくするために、「遺伝子組換えに係る審査を受けた」という従来の記載を、「当該安全性審査の手続を経た旨の公表がなされた」というように改正をして、分かりやすくしております。
 最後に(9)です。添加物のEの製造基準及びFの使用基準におきまして、対象物質の明確化のため、「砂」を削除し、「不溶性の鉱物性物質」を明記するということを行っています。例えば、最初のEの製造基準ですと、1562ページです。この製造基準の中の冒頭を御覧いただきたいのですが、「不溶性の鉱物性物質」として、酸性白土、カオリン、ベントナイト、タルク、ケイソウ土、パーライト、花こう斑岩、活性白土などについて明記をしたという改正を行っています。
 そして、また資料に戻ります。答申案としては、食品衛生法第13条第1項の規定に基づく規格基準について、先ほどお見せした別冊資料第10版の食品添加物公定書案のとおりに改正することが適当であるとしています。また、本改正については、適切な経過措置期間として、原則、告示から1年を設ける予定です。説明は以上です。御審議のほど、よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 ありがとうございました。幾分、分かりづらい説明ではあったのですが、議論に入る前に、部会での審議の状況について、杉本部会長から御報告いただくことはございませんでしょうか。
○杉本委員 国立衛研の杉本です。事務局から説明していただきましたように、第10版においては、第9版から結構大きく改正された部分、それから新規で入れた部分があります。8版から9版のときは長い時間が掛かったのですが、9版から10版については、5年以内に10版を作るということで、皆でかなり頑張って作ったものになります。
 あと、この中では説明がされてないのですが、表に出ないところで、この10版においては、文書のデータ管理のほうが9版よりもしっかりとできるようになっています。ということで、10版以降、11、12版に行くときに、今まで以上に簡単に文書管理ができるようになっているので、スムーズに改正ができるようになっているかと思います。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございました。本件について、何か御意見、御質問はございますでしょうか。合田先生、どうぞ。
○合田委員 今回の大改正、本当に御苦労さまだったと思います。1点だけ、事前に公定書を細かく見せていただきましたけれども、エディトリアルに直せる所がまだかなり残っていると思います。特に名前の所です。いわゆるスペースが、英語表記で空いてないといけない部分ですね。それから、例えばロングハイフン、emダッシュと言いますけれども、そうでないと意味が通じないのに、普通のダッシュになっているものがあります。それから、シングルクォーテーションで、日本語的にいうと半角で入れなければいけない所が全角になっているとか、幾つかそういうのがありまして、その辺は出版までの間には是非直しておいていただければと思います。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。
○合田委員 今の点は既に事務局にも話をしてありますので、多分直るだろうとは思います。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ほかにございますでしょうか。穐山先生、どうぞ。
○穐山委員 御説明ありがとうございました。かなりの大改正で、いろいろと御尽力された先生方、大変お疲れさまでした。これだけの改正をするのはかなり御苦労があったのではないかと思っております。
 3点だけ質問させていただきたいのですが、まず1つ目、アスパラギナーゼが2品目、これは遺伝子組換えだと思いますけれども、株指定で一応規格されています。このように株指定でというものは、このアスパラギナーゼだけという理解でよろしいですか。
 あと、元素分析にICP-MSが導入されているかと思いますけれども、通常ICP-MSだとカイカにかなり時間が掛かったり、採取量をどのくらいに規定しているかという、この辺がちょっと疑問に思いました。
 それから、既存添加物が今回は45品目に規格設定されていますが、残りは何品目まだ規格が設定されてないものがあるのかどうか、そこを教えていただければと思います。
○村田分科会長 事務局、いかがでしょうか。
○杉本委員 私から答えましょうか。
○村田分科会長 では、杉本先生、お願いいたします。
○杉本委員 事務局、答えられますか。
○女性事務局 株で個別に規格が立っているものは、おっしゃるとおり、アスパラギナーゼしかないのですけれども、今後同じようなものが出てきた際には、株ごとに規格を立てていく可能性はあると思っています。
 2点目のICP-MSは、杉本先生にお力添えいただけると有り難いです。
○杉本委員 ICP-MSとICPですが、穐山委員のおっしゃるとおりで、ICPを使っているものは、実は試薬の項の所で1つか2つしか現在ありません。そのため、一般試験法に入ってない部分であったのですが、海外のJECFAとか、ほかのEUとかの規格の中には、ICPを使った規格が入ってきています。ということで、将来ICP、ICP-MSを入れるときに、一般試験法が立ってないと入れられないので、今回においては前もって入れるということで、日本だけガラパゴス状態にならないように、積極的に一般試験法のほうを改正したというのが経緯です。実際にICPを使っているものは各条の中に確かなかったと思っていますが、今後、海外から輸入といいますか、規格を導入しないといけなくなったときには、海外の規格をそのまま入れることができるようになるかと思います。ですので、今まではICPで海外で規格が立てられていたものは、原子吸光法に切替えをして、日本の規格に合わせるようなことを行っていたのですが、そういうことが今後なくなると考えています。
 もう1つ、45品目の既存添加物の規格が立って、あと残り、カウントの仕方でちょっと数が変わってくるので、正確な数というのはなかなか言いにくいのですが、おおよそ100品目になります。
○穐山委員 ありがとうございました。詳細に理解できました。
○村田分科会長 ほかにございますでしょうか。よろしいですか。それでは、御意見がないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。
○__ 異議なしです。大丈夫です。
○村田分科会長 ありがとうございます。事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過につきましては、次回以降の本分科会で御報告願います。
 次に、「食品中の農薬等の残留基準の新規設定について」、事務局から御説明を願います。
○田中室長 御説明いたします。ただいまの資料1の続きでございます。10ページ目から飼料添加物の資料が入っております。そちらを御覧ください。3-ニトロオキシプロパノール、飼料添加物に関してです。今回審議いただく品目は、本年11月に開催されました農薬・動物用医薬品部会で御審議を頂いた品目です。飼料安全法に基づきまして、飼料添加物として新たに指定するに際し、農林水産大臣から意見聴取があったことから、基準値を設定をするというものです。
 用途は、飼料添加物として牛のメタン排泄の抑制のために用いられるものです。これまでに国内での承認等はございません。少し下にいきまして、食品安全委員会の食品健康影響評価です。本品のADIが出されていますが、1mg/kg 体重/dayと評価を頂いております。
 次のページに基準値案がございます。考え方ですが、本品は投与された牛の体内で速やかに代謝をされ、各組織及び乳において定量限界未満です。また、代謝物はここの構造で示しましたM2を除き、生体内で通常存在する物質であること、このM2は各組織においては定量限界未満であるものの、乳において認められるということで、代謝物M2を残留の規制対象としております。
 続きまして、暴露評価です。この代謝物M2を対象として基準値に基づく推定暴露量を算出しましたところ、ADIの範囲内となっており、特段問題はないものと評価を頂いております。なお、参考の所に記載していますが、本品そのものは牛において速やかに代謝され、測定をしても定量限界未満です。M2は食品安全委員会において、体内で速やかに代謝をされるため、究極毒性物質はM2である可能性が考えられると評価されています。
 次のページに実際の基準値をお示ししております。牛が摂取をする飼料添加物ということで、牛に対して基準を設けております。簡単ですが、本品については以上です。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 ありがとうございました。議論に入る前に、部会での審議の状況について、穐山部会長から御報告いただくことはございませんでしょうか。
○穐山委員 今、田中室長からもお話がありましたが、私から簡単に概要を再度お伝えいたします。これは飼料の安全性の確保及び品質の改善に関する法律に基づき、新規の飼料添加物として指定するものです。農林水産大臣から意見聴取があったことから、残留基準を設定するものです。
 これは飼料添加物ですが、本年11月に開催した部会において審議を行い、幾つかの報告書の記載整備に関する指摘がありました。
 こちらですが、地球温暖化のためにメタンガスが出るのですが、基本的にそれの抑制のための飼料添加物です。ただ、食品安全委員会の評価結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性は認められておらず、閾値が設定できると評価されていること、また、畜産物への残留や代謝試験等の結果から得られたデータに基づき、規制対象物質や暴露評価対象物質の選定に特段問題がなかったこと、また、分析法、残留のデータ、暴露評価により、残留基準値は適切であり、特段の問題はないという結論に至りました。以上です。
○村田分科会長 ありがとうございます。本件について、何か御意見、御質問はございますでしょうか。五十君先生、どうぞ。
○五十君委員 ちょっと確認をしたいと思っていますのが、この資料の中で諸外国の状況の欄を見ますと、基本的には基準の設定されていない所がほとんどでして、EUにおいて2-ニトロオキシプロパノールについては、適正に牛に使用している限り、食品を摂取しても問題ないという回答が出ている中で、我が国はこの値を代謝物M2として設定しているという辺りが、ちょっと私がフォローできなかったのです。これはWTOなどに出したときに指摘を受ける部分かと思いますが、その辺の詳しいこと、M2としたことと、値をどう設定したかという辺りを説明していただければと思います。よろしくお願いします。
○村田分科会長 事務局、ないしは穐山先生、いかがでしょうか。
○田中室長 事務局からお答えいたします。五十君先生、御指摘をありがとうございます。資料に書いておりますように、EUのほうでは基準値は設定されておりません。日本においてはM2を代謝物の値で設定をするということで、その部分ですが、食品安全委員会での御評価において、本品が牛の体内で速やかに代謝をされ、その一部の代謝物M2が残留をするということで、さらにそのM2に関しては、毒性学的な所見が精巣毒性とされていましたけれども、本品そのものと同じ毒性所見が見られるということでして、代謝物M2が本品そのものの究極毒性物質と考えられるという御判断がございました。それを踏まえますと、3-NOPのADIが代謝物M2の毒性を踏まえたものとして設定をされていると考えられますので、これを基に代謝物のM2を規制対象として基準値を設定することに問題はないと考えております。
 EUの評価においては、この3-NOPの毒性評価はなされていますけれども、代謝物のM2に対してもその評価が有効なものと判断をされております。EUは基準値を作っていないけれども、日本では基準値を設定すると、そこの違いに関しましてですが、本剤はEUにおいても飼料添加物で、日本においても飼料添加物として使用されるという、同様の使い方がされる中で、適正に使用された結果をもって基準値を設けておりますので、海外においても適正に使用されれば、日本の基準値にも合致するもののと考えられますので、EUの基準値がないというところと、規制の方法は違いますけれども、現実的な国際貿易上の問題はないものと考えております。
○村田分科会長 五十君先生、いかがでしょうか。
○五十君委員 大体趣旨はフォローしたのですが、確認したいのはこの暴露評価の主語がないのですが、暴露評価の値というのは代謝物M2ではないですよね。
○田中室長 実際の算出におきましたM2の値で出しまして、M2は3-NOPの分子量の違いがありますので、そこを換算した形でADIと比較をしております。
○五十君委員 ちょっと気になったのが、「000」という値が出ていて、基準値として0.01ですか、これを設定しているところの考え方がかなり気になるところで、多分WTOに出した場合は基準値がほかがないので、わざわざ日本は設定している根拠は何かというときに、かなり指摘を受ける可能性があるのではないかと思いましたので、確認ということです。
○穐山委員 今、田中室長からも言われたように、一応、残留基準から基本的に基準値案を求めています。ですから、暴露評価から求めているのではなくて、残留基準値案が暴露評価の範囲に入っているということから残留基準値案を作って0.01として定めているわけです。そこは特に科学的根拠はしっかりしていますので、たとえWTOで訴訟が起こったとしても、科学的根拠に基づいてやっているということです。また、この0.01ppmは、EU等の欧米国の、いわゆるデフォルトMRFでの0.01ppmと同じ値ですので、基本的に問題は起こらないのではないかと考えております。
○村田分科会長 合田先生、何かございますか。
○合田委員 穐山先生が残留基準値案と言われたのは、残留の測定値からというように言われるべきだっただろうなと思いました。
○穐山委員 申し訳ありませんでした。
○合田委員 そこから決めてて、具体的な根拠があるということで、全然問題はないと。元々のルール上もデフォルトと同じ値なので何も問題はないと、そういうことだと思います。
○村田分科会長 ほかに御質問はございますでしょうか。
○田中室長 すみません、事務局です。穐山先生に御説明を頂いたところですが、資料のページ数でお示しさせていただければと思いました。今、参考資料1の1615ページを表示しておりますけれども、こちらのほうが基準値でして、一番右のほうに実際に残留試験として分析をした値が、牛の筋肉、脂肪、肝臓、腎臓に関していずれも定量限界未満であったということで、それによって基準値は0.01と付けております。一律基準と同じ値を付けております。乳については、実際に分析したところ、検出がありますので、その値を基に一定のゆとりをもった値ということで計算をしまして、推定が0.0108とありますが、こちらをもって基準値としては0.01ということで、これはいずれもM2の値から算出をしております。
 次のページに、推定摂取量の計算のほうをお示ししております。先ほどの基準値、M2ですけれども、それらがそれぞれの牛の摂取量を勘案したときにどれぐらいの量を摂取されるかというのが、基準値より右のカラムに表記しています。例えば国民全体であれば、2.8μg/人/dayとありますけれども、これをADIに換算するに際しては、代謝物M2と本品の分子量の比を用いて換算を行っております。補足は以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。ほかにございますでしょうか。ほかに御意見はないようですので、分科会としてはこれで了承したいと思いますが、いかがでしょうか。よろしいですか。
○__ 異議ありません。
○村田分科会長 ありがとうございます。それでは、事務局には答申に向けた手続を進めてもらいます。その他の経過につきましては、次回以降の本部会で御報告してください。
 次に、報告事項に移ります。食品衛生分科会規程第8条第1項により、部会の議決をもって分科会の議決とされた事項については、同条第3項の規程に基づき、その決定事項を分科会に報告することとされております。まず、(2)報告事項の1「食品中の農薬等の残留基準の一部改正について」、事務局から御報告ください。
○田中室長 御説明いたします。報告事項ですが、今回1品目ございます。キザロホップエチル及びキザロホップPテフリルです。次のページに一覧といいますか、概要としてお示ししておりますが、健康影響に問題のない範囲のADIとの比較の結果を得ております。ARfDも同様でございます。もう少し細かく次のページより御説明いたします。
 本品は、本年の9月に開催されました農薬・動物用医薬品部会で御審議を頂いた農薬です。成分名は、先ほど申し上げました、キザロホップエチル及びキザロホップPテフリルです。農薬取締法に基づく適用拡大申請がありまして、基準値設定の要請がありました。また、海外で作物に使用するためインポートトレランス制度による要請があり、それらを受けての基準値の設定です。
 構造式はこちらに記載のとおりですが、1点訂正をさせていただきます。構造式は3つありますが、一番下のキザロホップテフリルに関して注釈を付けているのですが、この中についてです。ここは、事前に合田先生の御指摘を受けながら作成をしていたのですが、まだ少し誤りがありまして、2行目の一番最後の所に「ラセミ体」とありますが、この「体」を付けるのは不適切であると御指摘を頂きましたので、削除をするという訂正をさせていただきます。部会報告も同様にさせていただきたいと思います。合田委員、ありがとうございました。
 続きまして、用途ですが、農薬の除草剤です。国内の登録ですが、あずき、ばれいしょ等を対象に登録をされております。
 次のページ、食品安全委員会の健康影響評価です。まず、キザロホップエチルの部分に関して、ADIが0.009mg/kg 体重/dayとされております。ARfDに関しては、キザロホップエチルは設定の必要がないということです。2がキザロホップPテフリルです。こちらのADIは0.013mg/kg 体重/dayです。こちらは、ARfDが設定されておりまして、0.3mg/kg 体重とされております。両物質に総合評価が行われまして、より低いほうのADI0.009を採用すること、あと、ARfDは0.3を採用されております。
 続いて、今回の基準値は別紙のほうですので、後ほど御説明いたします。その設定をした基準値に基づく暴露評価の結果ですが、まず長期暴露評価ということで、ADIとの比較、いずれの年齢階層においても、食品を介した摂取により健康に悪影響を生じるおそれはないものと考えられるとしております。短期暴露も同様に、食品を介した摂取により健康に悪影響を生じるおそれはないものと考えられます。
 基準値案が次のページです。今回改正する基準値が黒い太枠で囲まれていますが、その2つ横のカラムに登録の有無、あるいは「IT」という用語が書かれております。ここに「IT」とか「申」の文字が付いているものが、今回要請があったものです。国際基準や基準値、データに基づいて設定をしております。その他、要請などないものに関しても、新たに作物残留データ等に基づいて値を見直しております。本品につきましては以上でございます。よろしくお願いいたします。
○村田分科会長 どうもありがとうございました。質疑に入る前に、部会での審議の状況について、穐山部会長から御報告いただくことはありますでしょうか。
○穐山委員 もう一度、概要を少し御説明させていただきます。これは、農薬取締法に基づく適用拡大申請に伴う近似値設定の要請です。小麦、そば等の適用拡大であります。また、インポートトレランス制度に基づく基準値設定の要請を受けて、残留基準値を設定するものです。この農薬は、本年の9月に開催した部会において審議を行い、幾つかの報告書の記載整備に関する指摘がありましたが、食品安全委員会の評価結果として、生体にとって問題となる遺伝毒性は認められておらず、閾値が設定できるという評価をされていること、また、作物残留試験や代謝試験等の結果から得られたデータに基づき、規制対象物質や暴露評価対象物質の選定に特段問題がないということと、残留分析法、作物残留試験のデータ、暴露評価により、残留基準値は適切であり、特段の問題がないという結論に至っております。私からのコメントは以上です。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局及び穐山先生からの御報告につきまして、委員の方から何か御意見、御質問はございますでしょうか。よろしいですか。ありがとうございました。
 次に、(3)文書報告による報告事項に移ります。「食品衛生分科会における確認事項」において特に定められた事項については、文書配布により分科会に報告を受けることとされております。この資料に関しては、事前に委員の皆様の所に配布されていると思います。部会長からの補足の御説明、あるいは委員の方から何か御意見、御質問などはございますでしょうか。穐山先生も特にございませんか。
○穐山委員 私からは特にありません。
○村田分科会長 分かりました。それでは、特段の御意見がなさそうですので、次へ移らさせていただきます。
 続いて、その他の報告事項に移ります。食品衛生分科会における審議・報告対象品目の処理状況について、事務局から報告願います。
○田中室長 資料4です。こちらの資料では次のページにお示ししておりますが、前回の10月4日分科会及び前々回の6月29日分科会で扱われました品目につきまして、その後の状況をお示ししたものです。いずれにつきましても、パブリックコメント、WTO通報を順次進めさせていただいているところです。以上でございます。
○村田分科会長 どうもありがとうございます。ただいまの事務局からの報告に対して、御意見、御質問をお願いいたします。ありがとうございました。以上で報告事項の議事は終わりました。最後に、事務局から何か連絡事項はございますでしょうか。
○原澤補佐 事務局です。事務局からは、次回の食品衛生分科会の予定について御案内させていただきます。まず、本日は長時間の御審議を頂きまして、誠にありがとうございました。次回の食品衛生分科会につきましては、現時点では2月の開催を予定しておりますが、詳しい日時につきましては追って御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上でございます。
○村田分科会長 長時間の御審議、誠にありがとうございました。年の瀬間近で、皆様、慌ただしくお過ごしのことと存じます。どうぞ御自愛ください。これをもちまして閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。