社会保障審議会障害者部会(第140回)議事録

日時

令和6年3月5日(火)16:30~18:30

場所

ベルサール飯田橋駅前
東京都千代田区飯田橋3-8-5 住友不動産飯田橋駅前ビル1階

出席者

委員(五十音順)

議題

  1. (1)令和6年度障害福祉サービス等報酬改定等について(報告)
  2. (2)障害福祉サービスデータベースにおける第三者提供について
  3. (3)その他

議事

内容
 
○菊池部会長 それでは、定刻になりましたので、ただいまから第140回「社会保障審議会障害者部会」を開会いたします。
 委員の皆様におかれましては、大変御多忙のところお集まりいただきましてありがとうございます。
 最初に、いつものことですが、議事運営の進め方についての確認をさせていただきます。
 本日の会議については、こちらの会場で原則対面としつつ、オンラインも併用して開催いたします。
 事務局においては、資料説明はできるだけ分かりやすく、要点を押さえた説明となるようにしてください。
 各委員からの発言についてお願いがあります。最初に私が発言を希望される方を募りますので、会場の方は挙手をお願いいたします。オンラインの方はZoomの「手を挙げる」機能を使用してください。私の指名により、発言を開始してください。より多くの委員の御発言の機会を確保するため、できるだけ簡潔に御発言いただきたいと思います。御発言の際は、まずお名前を名乗っていただき、可能な限りゆっくり分かりやすくお話しください。その際、資料の記載内容について御発言される場合には、資料番号と記載内容の位置について御教示、お願いします。
 また、会場の方はできるだけマイクに近寄ってお話しください。発言後は必ずマイクのスイッチをオフにしてくださいますようお願いいたします。
 円滑な会議運営に御協力をお願いいたします。
 それでは、事務局より本日の委員の出席状況、資料の確認をお願いいたします。
○江口企画課長 事務局でございます。
 それでは、委員の出席状況について御報告申し上げます。
 本日は、白江委員、新保委員、吉川委員から御都合により御欠席との御連絡をいただいております。
 また、中村委員の代理として廣田参考人に出席させたいとの申出がありましたが、皆様、よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○江口企画課長 ありがとうございます。
 では、次に本日の資料ですけれども、議事次第、資料1から4、参考資料1から6。
 以上となります。
 会場にお越しの方でこれらの資料の不足などございましたら、事務局にお申しつけください。
 それでは、冒頭カメラ撮りがありましたらここまでということで、御協力をお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○菊池部会長 それでは、議事に入ります。
 まず、議題1につきまして、資料1と2の説明を事務局からお願いします。
○伊藤障害福祉課長 障害福祉課長の伊藤です。
 私からは資料1-1、1-2を使いまして、令和6年度障害福祉サービス等報酬改定について御説明いたします。報酬改定につきましては、当部会においても、昨年秋から冬にかけて計3回ほど御意見をいただいたところです。その後、昨年末に政府としての予算編成の中で改定率という数字を決定いたしまして、昨年の御議論と年末の改定率を踏まえて、本年2月6日に障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいて具体的な内容を発表させていただいたところでございます。それが報酬改定の概要ということでございます。
 その後、明日までになりますが、現在パブリックコメントの手続中でございますが、それを踏まえて、今月の中下旬に向けて報酬の告示、通知、Q&A等を発出し、原則として4月1日からの施行に向けて今、準備を進めているという状況でございます。
 資料1-2から先にポイントだけ御説明させていただきます。資料1-2の4ページは経緯が書いてあるのですが、5ページを御覧ください。5ページの最初のマル、2つ目のマル辺りが昨年の年末の予算編成過程で決まったポイントがまとめてございます。改定率は全体で1.12%ということになっております。その改定率を前提として、障害福祉分野の人材確保のため、介護報酬と同様の処遇改善を行うということが1つのポイントです。
 その上で、障害者が希望する地域生活の実現。それから、新規参入が増加する中でのサービスの質の確保・向上を図る観点から、経営実態を踏まえたサービスの質等に応じたメリハリのある報酬設定を行うというのが基本的な考え方でございます。
 その上で、次のマルですが、また、既存の加算の一本化による新たな処遇改善加算の創設ということで、今般の措置を活用して障害福祉の現場で働く方々にとって、令和6年度に2.5%のベースアップ、令和7年度にそこからさらに2%のベースアップに確実につながるよう、そういう措置をするとともに、事業者の方々にも政府としてこういったベースアップを要請しているということでございます。
 もちろん、今回の改定が処遇改善に与える効果について実態を把握するということと、7年度までは書いてありますが、8年度はどうするかということに関しては次のパラグラフですが、処遇改善分について2年分を措置した上で、3年目、すなわち令和8年度分の対応については、令和8年度の予算編成過程で検討すると。そういった決定になってございます。
 ちょっと飛ぶので、今、見ていただく必要はないのですが、1-2の関係では101ページ、本文の最後のところに当たるのですが、「終わりに」ということで、多岐にわたる御意見をいただいたわけですが、主に検討チームの場で引き続き検討すべきという今後の論点について、マル1からマル11まで11点ほど今後の検討課題ということで記載しております。もちろん、これ以外は検討しないという意味ではありませんが、一応検討チームの場で明示的にまとめたのがこの11点だと御理解いただければと思います。
 内容については資料1-1で御紹介させてください。資料1-1の表紙をおめくりいただいて、2ページ、主な改定内容、1、2、3、4と書いてあるページを御覧ください。こういったものが2枚ありまして、その後、各項目について1枚ずつポンチ絵が入っておるのですが、本日は時間の関係もありますので、最初の2枚でポイントを紹介させていただきます。
 まず、左上のところからです。先ほども申し上げました現行の処遇改善加算の一本化、そして加算率の引上げを行います。
 次に、地域生活支援拠点等におけるコーディネーターの配置を評価するための相談サービス等への加算というものを今回創設しております。月1回当たり500単位という加算を創設しております。
 次ですが、強度行動障害を有する障害者の受入体制の強化。今回の報酬改定のトピックの一つとして中核的人材や広域的支援人材による集中的支援といったことを加算で評価しております。
 次が感染症発生時に備えた医療機関との連携強化。これは介護保険、介護報酬と同様の措置でございます。
 虐待防止と身体拘束の適正化と2つ例示しておりますが、ほかにも情報公表の未実施だったり、BCPの未作成だったり、必要な基準を満たしていない場合の減算ということを何点か導入しております。
 通所系サービスと食事提供加算に関しては、今回も3年延長ということであるのですが、栄養面の評価の導入というのを加えております。
 物価高騰を踏まえたということで、施設における補足給付の基準費用額を月1,500円ほど引き上げております。
 業務効率化については、幾つかやれることをやっております。
 2、訪問系サービスについては、入院中の重度訪問介護の利用を区分6から区分4以上に広げるとか、重度化・高齢化を踏まえたということで、居宅介護と重度訪問介護についての国庫負担基準の引上げを行っております。
 右方のほうで、日中活動系については、生活介護について、現在は開所時間ごとの基本報酬の報酬体系のものを、サービス提供時間に応じた評価を導入しております。一方、ここに関してはいろんな御意見もいただいているところですので、下のなお書きにも書いてありますが、一定の配慮を設けるということを明記しております。
 生活介護や短期入所において、医療的ケアが必要な者への対応の評価も導入しております。
 4、施設系・居住系については、施設から地域へということを推進するということをこの部会でも御議論いただきましたが、施設の全ての入所者に対して、地域移行への意向を確認するとか、10人規模の利用定員の設定。地域移行した結果、入所定員が減った場合のアウトカム評価を導入する。グループホームについては、希望する一人暮らしに向けた支援ということで、加算を導入しています。グループホームにおいてもサービス提供時間の実態に応じた報酬体系を導入しました。グループホームの透明性の確保ということで、地域連携推進会議の設置を令和7年度から義務化することとしております。
 次のページをお願いします。
 5番の訓練系サービスについては、自立度評価指標(SIM)の活用を報酬上評価しております。
 6番の就労系サービスにつきましては、就労移行支援については、定員を20人以上から10人以上にして、地方部においてサービス提供を増やしたいということでございます。
 就労継続支援A型のスコア方式について、生産活動収支や平均労働時間に応じた評価ということでメリハリづけをする。
 B型についても、現在でも平均工賃月額に応じた報酬体系ではありますが、そのメリハリをより利かせていくということ。
 一方で、人員配置「6:1」の報酬体系の創設。手厚い人員配置を評価するということも行っております。
 就労定着支援については、基本報酬を就労定着率のみに応じた報酬体系に見直す。
 就労選択支援は令和7年10月からの新しいサービスですが、新サービスですので、基本報酬や人員配置基準を新たに設定しております。
 7、相談系サービスにつきましては、機能強化型の基本報酬を充実するとともに、多機関連携の加算などを充実しております。
 最後に、8、障害児支援関係ですが、児童発達支援センターの中核機能の評価。
 児童発達支援・放課後等デイサービスにおいても他のサービスと同様にサービス提供時間に応じた評価を今回導入しております。
 医療的ケア児や重症心身障害児等の支援ニーズの高い児への評価。
 障害児ならではの分野として、家族支援の評価やインクルージョン推進の取組の評価を充実しております。
 一番最後ですが、障害児入所支援についても小規模化や地域生活に向けた支援の評価を充実させております。
 駆け足になりましたが、以上です。本日もまた様々な御意見をいただければと思います。
 報酬改定については以上です。ありがとうございました。
○川部自立支援振興室長 続きまして、資料2、6年度の補装具の基準価格の改定ということで、自立支援振興室の川部と申します。よろしくお願いします。
 めくっていただきまして2ページでございます。今回の補装具の基準改定に当たって、基本的な考え方です。障害者総合支援法に基づいて補装具の費用を支給しています。個々の補装具の支給基準というのは大臣告示で定められまして、3年に1回、便宜上見直しを行っています。令和6年度はちょうど改定の年ということで、今回価格の見直しを行っています。
 今回の価格見直しの主な考え方、要因ですが、現在補装具の素材となる原材料費、例えば金属、プラスチックの価格高騰、原油価格の高騰。補装具を作製するに当たって、外国から資材を入れたり、パーツを取り寄せたりすることがありますので、為替相場における円安の進展などの影響。あと、補装具をつくるに当たって、新たな技術が導入されたり、原材料自体も進化しているということを踏まえて、今回の基準価格の見直しを行っております。
 スケジュールですが、現在パブリックコメントを実施中でございまして、3月14日までパブリックコメントを募集した後、下旬に大臣告示を見直して、4月1日からの施行というスケジュールになっております。
 3ページに移りますが、今回の主な改定内容ということで、例えば一番上にある義肢については8万1800円から8万6500円に値上げしているということになります。
 足底装具ということで、従来は石膏包帯と言われるもので、石膏と包帯をもって型を取っていたのですが、最近インプレッションフォーム。例えば足をぐっと押しつけると簡単に足型が採型できるような新たな素材とか採型方法ができましたので、それに対する新規の価格を設定したり、中ほどの車椅子になりますが、一見10万円から9万円に価格が落ちているように見えますが、これは基本的には骨格のみで、最低限のもの、モジュラー式を原則として、価格を1回下げていますが、上のほうを見ていただきますと、当然車椅子をつくるに当たっては、その人の体型とか腕の長さ、下肢長等々、採寸と言われるものをしないといけません。出来上がったものの例えば座面の当たり方とかシートの貼り方などを調整しなければいけない。そういうものが従来10万円の中に含まれていたものを、やはり手間と技術は別だということで、「適合等」ということで、新たに単価を外出しにしています。こういう改定を行っています。
 補聴器とか視覚障害者の安全つえ、歩行補助つえ、重度障害者がよく使う意思伝達装置なども先ほどの要因を加味して価格を改定しているということになります。
 めくっていただきまして、4ページは現在のスケジュールを整理したものでございます。団体のヒアリングなども経て今のパブリックコメント案になっています。
 5ページは参考ですが、この補装具検討委員会の構成員の所属・役職などをお知らせさせていただいています。
 説明は以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、ただいまの事務局の説明につきまして皆様から御意見、御質問をお願いいたします。御発言につきましてはできるだけ簡潔に、お一人様3分以内を目安にお願いいたします。
 会場参加の皆様、今日はだいぶ多くの委員にいらしていただいておりまして、事務局の顔がやっと見えるぐらいの距離になってまいりました。会場参加の皆様からお願いしたいと思いますが、挙手でお示しいただければと思います。それでは、私の右手の皆様から。全員でいらっしゃいますね。それでは、安藤委員からお願いしてよろしいでしょうか。
○安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
 今回の報酬改定は、経営実態調査では訪問系サービスが黒字であり、介護保険では訪問介護の基本単価が下げられたので、障害の居宅介護や重度訪問介護も引下げになるのではないかと危惧していましたが、マイナス改定ではなくて基本単価の微増となったことは、厚生労働省の皆様の御尽力があってのことで、まずは感謝申し上げます。ありがとうございます。
 また、担当者の専任によって施設入所者全員を対象に地域移行の希望の有無を確認することは、地域生活支援拠点の機能強化対策と併せて今後の地域移行の要になると思います。ここの連携がうまく機能することを非常に期待しています。
 そこで、質問を1つ、意見を1つ、要望を1つお願いします。
 昨年12月6日に報酬改定検討チームで取りまとめられた基本的な方向性の地域生活支援拠点等の整備の推進を含めた障害者の地域移行の促進という項目では、障害者支援施設の在り方についての検討を進めるため、令和6年度において今後の障害者支援施設が担う役割や機能等に関して整理しつつ、さらなる地域移行を進めていくための調査研究の実施や検討の場を設けるとされています。この研究や検討の場について、内容やスケジュール感を現在どのように考えられているのか、進捗状況を教えてください。
 また、この検討の場や研究事項などがこれから具体化される場合に、この調査研究等検討会は、地域移行や地域生活に携わっている障害当事者団体、研究者によって構成していただいて、みんなでよく対話して進めていけるように引き続き御尽力いただけますようお願い申し上げます。これが意見です。
 最後に虐待防止の好事例をぜひ教えていただきたいです。資料4になるのですが、後にしましょうか。資料4のことはまた後でお願いします。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 御質問がございましたので、よろしくお願いします。
○伊藤障害福祉課長 障害福祉課長です。
 施設の在り方の検討については、安藤委員から御紹介いただいた12月のものと同じような書きぶりが今日の1-2の101ページにもあるのですが、令和6年度にそういった施設の在り方を検討するという方向性を示しております。
 御質問の内容やスケジュールに関しては、現時点では未定でございます。なので、この場で何か御紹介する段階には至っておりません。お許しいただければと思います。
 その上で、御意見をいただいたように、いろんな当事者の団体の方とか、幅広く議論いただくということはそのとおりだと思っておりますし、未定とは申しましたが、今、私の方向性としては、特定の方向性、結論ありきでということではなくて、まさに幅広い意見をお伺いした上で議論していただきたいなと思っておりますが、いずれにしてもそういうのが決まった段階で改めて御説明したいと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。
○安藤委員 はい。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、小﨑委員、お願いします。
○小﨑委員 全国肢体不自由児施設運営協議会の小﨑です。
 まず、資料1-1の43ページ、資料1-2の100ページのところですが、家族支援について、在宅障害児だけでなく、入所の障害児についても幅広く取り上げていただき、感謝しております。前回の当会よりの発言の繰り返しとなりますが、被虐待等、家庭の事情により長期入所となっているお子さんにおける家族の問題だけではなく、有期有目的支援における比較的短期の入所時においても、在宅復帰に当たって調整が必要な事項は非常に多くありますので、入所期間や入所理由に制限をかけないような運用上の御配慮をお願いしたいと思います。
 もう一点、資料2です。補装具・支援機器については、いろいろな技術革新や新たな知見を踏まえた新機器が多く出てきているところであります。その効用を早期かつ的確に評価することは難しい面もあると思いますが、基準内への積極的な取り込みを御検討いただきたいと思います。
 以上になります。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、酒井委員、お願いします。
○酒井委員 ありがとうございます。全国就労移行支援事業所連絡協議会の酒井です。
 報酬改定を受けてということで、資料1-1の3ページに就労系サービスの主な改定内容が記載されておりますが、これらに関連して発言をさせていただきます。まず、就労系サービスの報酬改定に当たっては、現場の実情や課題に対応した仕組みを取り入れてもらいまして、改めて感謝申し上げます。
 1つ目が就労移行支援事業ですけれども、就労移行支援事業としては、地方の事業所数の減少傾向がここ数年の課題であったわけですが、今回そのことに対応すべく、最低定員を20名から10名に変更していただきました。まずは新たな定員で地方の事業所数の推移を見守りたいと思いますが、これだけでは地方の事業所数の減少を食い止めることはできないかもしれないなと思っています。引き続き地方における就労移行支援機能の在り方について、次期報酬改定に向けて検討を重ねてもらいたいなと考えているところです。
 次に、就労定着支援については、定員区分による報酬以上の評価をやめて、定着率のみに応じた体系にしていただいて、これもよかったと思います。ただ、我々、問題意識としてこれまでも伝えていますが、サービスの開始時期に関しては積み残された課題であるという認識をしています。就労後6か月までの間に実際どんな支援が提供されていて、就労定着支援が始まる6か月後からと支援の内容が違わないのか、あるいはそこに支援の濃淡が生まれていないのかなど、これも次期報酬改定に向けて検証をしてもらいたいと考えております。
 新しくできます就労選択支援については、報酬に加えて制度の骨組みが固まったわけですが、例えば人材養成の在り方、あるいは本サービスを受ける前にこのプロセスが1つ増えるわけですので、それをどのようにスムーズに行うか。また、他機関との連携の在り方など、既に見えている課題などもありますので、開始まで1年6か月ありますが、それらにどのように対応できるか、どんな工夫が考えられるか、これも検討を重ねていただきたいなと思っています。
 そのほか、就労継続支援についても実態に即した報酬改定になったのではないかなと思っていまして、これも感謝申し上げたいなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、櫻木委員、お願いします。
○櫻木委員 ありがとうございます。日本精神科病院協会の櫻木です。
 今回の障害福祉サービスの報酬の改定は、かなり苦労されたというところが見えるのですけれども、そのために様々な加算、いろんな方向性というふうに考えられたのだろうと思いますが、むしろ体系が非常に複雑になって、全体のありようが分かりにくい。どういう方向にこれから障害福祉サービスを持っていこうかというところがなかなか読み取れないというふうな報酬の改定になっているのではないかと心配しています。
 障害者部会での議論の中でも、例えばケースマネジメント、医療あるいは福祉といった部分の連携についての御意見が様々見られましたし、それから質の担保ということについての議論も多く聞かせていただきました。さらには、こういった障害福祉サービスの持続可能性についての言及というのもあったかと思います。
 連携の問題というのは、報酬で位置づけていく、方向づけをしていくというのはなかなか難しいのだろうと思います。今回の資料1-1の35ページのところに示しているように様々な加算をつくっていただいて、特に通院同行であるとか、あるいは情報提供に関しては新たに加算をつけていただいているということです。しかし従来からいろんな加算があったわけですが、連携についてはなかなかうまくいかなかったということがあります。
 今回、地域生活支援拠点でコーディネーターを配置するということについて、かなり大胆に加算をつけられたと考えていますけれども、これが、将来的に言えば、例えば介護保険などで見られるような形のケアマネジメントないしはケースマネジメントをするようなところに方向を考えておられるのかどうかというのはお聞きをしたいと思います。
 連携の問題で言うと、どうしても今、問題になっている福祉リワークのところに触れざるを得ないわけですが、これも本来障害者の一時休業中に就労系のサービスを利用するということで、この障害者部会でも我々も何回か説明を受けて、それなりに理解をしたつもりだったのですが、実態はそういうふうにいっていない。そもそも就労中の障害者が一時休業しているところが前提条件にあったはずなのですけれども、現在問題になっている福祉リワークの場合にはいわゆる不特定多数の方を対象にやっているということで、チェリーピッキングという言葉があるのだそうですが、障害の軽いあるいは障害を持っておられない方を選別して、むしろ障害の重い方を排除するような形で利潤を生んでいくというようなビジネスモデルになっていると聞いています。今後そういったことに関してのいろんなチェックの機能を持たないと、サービス自身の持続可能性というところに関わるように思いますし、そもそも何より障害者のためのサービスが曲げられていくということになります。これも連携を始めとするサービスを全体的に俯瞰してケースマネジメントないしケアマネジメントをしていくという仕組みがないということが原因になっているのではないかと考えています。
 これは質問ではありませんけれども、事務局のほうからコメントをいただければと思います。
 ありがとうございました。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 事務局からいかがでしょうか。
○伊藤障害福祉課長 障害福祉課長です。
 櫻木先生から御指摘いただいたいわゆるリワークの件につきましては、先ほど冒頭の説明でお伝えしましたが、本日の資料1-2でいきますと57ページになるのですが、昨年12月の部会でも御説明した内容のとおりですが、運用の適正化ということを行う旨をこの2月6日の文書にも明記しておりますし、冒頭に申し上げましたとおり、具体的な通知等に関しては3月下旬を目指して今、作成中でございますので、そこにきちんとした形で反映させていくというのがまず第一だと思っております。
 その上で、12月の回でも櫻木委員から調査結果などを基に御説明があったと記憶しておりますが、そういったことは、我々の調査もそうですし、今後も引き続き実態を把握した上で。今回の6年度改定のタイミングでやれることは御説明したとおりですが、今後引き続き実態を把握し、また必要な対応を考えていきたいと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 具体的にケースマネジメントを置くというようなことについても言及されたかと思うのですが、その点は何かありますか。
○伊藤障害福祉課長 失礼しました。その点に関しては、必ずしも櫻木先生がおっしゃったことを正確に理解できていないかもしれませんが、これは釈迦に説法ですが、もちろん障害者総合支援法に基づいては計画相談支援というのが位置づけられておりますし、今回も方向性が見えにくいというお話はありましたが、今、まさに御紹介いただいた資料1-1の35ページにも書いてあるとおり、基本報酬にしろ、各種連携に対する加算にしろ、充実を図るということを厚労省としては打ち出しているところです。その上で、地域生活支援拠点はそれとして、法律上、障害者総合支援法の一昨年の改正で位置づけられ、市町村の設置の努力義務ということがされておりますので、そういった方向性をより推進する観点から、コーディネーターの人件費相当部分を評価するというのを今回設けておりますので、お答えになっているか分かりませんが、相談は相談、拠点は拠点でそれぞれ推進しようと考えております。
○菊池部会長 差し当たりよろしいですか。
○櫻木委員 すみません。ちょっとわかりにくかったのですけれども、例えば精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの議論の中では、いわゆるかかりつけ精神科医機能と言って、多職種でケースマネジメントをしていく機能が言及されたと思うのですが、これは精神障害に限らず、ケースマネジメントないしはケアマネジメントという機能がないと、必要なサービスが必要な人にきちんと効率的に提供されるというふうになかなかなっていかないと思うので、何らかの仕組み、システムが必要ではないかとずっと考えています。しかし、今のお話だと、それぞれのところはそれぞれにその加算なり評価をして伸ばしていこうということですが、結局、基本的部分というのは収れんしていかないような感じがするのですけれども、いかがでしょうか。
○羽野地域生活・発達支援障害者支援室長 地域生活・発達支援障害者支援室長でございます。
 今、御質問いただきました地域生活支援拠点につきましては、基本的には緊急時の対応、地域移行の支援ということをやるものとして位置づけられております。
 先般の法改正のところでもう一点法律で位置づけられましたのが自立支援協議会、いわゆる協議会です。協議会のほうでは個別のケースを議論しながら、個別のケースから見えてくる地域の課題を抽出しまして、まさしく精神の問題も含めて地域課題を抽出して、地域でどのように障害者の方々を支えていくかというのを議論していく場が、もともとあるのですけれども、今回法律にその旨が明確に位置づけられておりますので、どちらかというとそちらのほうで地域課題を議論して、関係者の連携を強めていくということで議論していただくのかなと思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 今回はその辺で収めていただければということで。
○櫻木委員 今後また議論をしていくということで。
○菊池部会長 はい。今後の議論ということにさせていただければと思います。ありがとうございます。
 それでは、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 全国手をつなぐ育成会の佐々木でございます。御説明ありがとうございました。
 今回の報酬改定においては、入所施設で暮らす人への将来的な暮らしぶりの希望を確認する取組、そしてグループホームからの地域生活移行を推進する取組、さらに地域生活支援拠点へのコーディネーター配置の報酬設定をしていただき、感謝しております。
 その上で、私どもといたしましては、実務運用で改善を図っていただきたい部分、あるいは次期の報酬改定議論において見直していただきたい部分を中心に5点の意見を申し上げます。
 まず、資料1-1の24ページ、1点目としてグループホームの基本報酬について。総額の予算を考えると致し方ないことであったかもしれませんが、世話人配置基準を踏まえても支援区分4、5を中心に引下げになったことを少し懸念しております。今、グループホームの利用者の3割が区分4、5でありますし、今後入所施設からの地域移行を考えますと、4、5の方が多いのではないかということで、入所施設からの地域移行が停滞しないように十分留意していただくようお願いしたいと思っています。
 資料1-1の21ページ、2点目として生活介護における時間別報酬の設定についてですが、利用者の状況や送迎などの実態を踏まえた対応をお願いしたいと思います。とりわけ送迎時間がとても長くなってしまう地域もありますし、また、都内でも踏切があったりして、1時間半ぐらいかけて送迎しているケースもあります。ということで、送迎に伴う介助や支援に対する評価などについては、必ず実務運用で緩和、改善を図っていただくようにできればお願いしたいと思います。
 3点目として、就労継続支援B型のうち、一律報酬の事業所における報酬の設定について、改めて一律型の意義をお考えいただきたいと思っています。こちらの報酬を選択している事業所は、地域の特性やニーズを踏まえ、小規模あるいは高齢になった利用者を抱えているケースも多いと思われます。令和3年度の報酬改定においては、地域共生社会の実現を目指し、工賃だけに着目するのではなく、地域との協働やピアサポートを評価する趣旨で一律型が創設されたものと理解しております。次期の報酬改定議論においては、こうした趣旨を十分に踏まえた報酬の設定を御議論くださるようお願いしたいと思います。
 4点目です。地域生活支援拠点のコーディネーター配置への報酬設定について。地域移行などをコーディネートした場合に加算が設定できるものと思いますが、企業で働いていたり、移動支援などの地域生活支援事業のみを利用している人などが計画相談を利用していないわけですが、そういう方たちが自宅から自立生活へ移行する場合のコーディネートも加算の対象となるよう、実務運用でしていただけたらと思っております。
 最後に、報酬改定における重要な評価指標となっている経営実態調査について。資料1-2の102ページマル9にも書いてございましたが、やはり収支差率が議論の中心になるということは理解しておりますけれども、人材確保が大変厳しい折、欠員を補充できず、人件費が下回ったことで黒字化したこともある。そしてまた小さな事業所では人が辞めても、赤字にならないように人を補充していないというケースもあると思います。次期の報酬改定議論においてはこうした状況も十分に留意していただくようにお願いしたいと思います。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。
 今回の報酬改定に向けて、これまでこの障害者部会でも再三地域生活支援拠点等の重要性、そのための拠点コーディネーターの配置について意見をしてまいりましたし、施設からの地域移行についても、コロナ禍で滞留していた地域移行をさらに推し進めるようにこの報酬改定を見直していただきたいという御意見を今回の報酬改定でかなり受け止めていただけたと考えております。
 特に地域生活支援拠点等のコーディネーターの配置についての加算が創設されたことで、今度は我々の実践が問われるということになると考えております。先月、2月9日から11日まで滋賀県大津市で「アメニティーフォーラム27」を開催させていただき、950人の参加をいただき、ここの場にもいらっしゃる菊池部会長をはじめ、厚労省の皆様にも御登壇いただきました。そのフォーラムの最後に私たちが中心となって全国地域生活支援拠点等連絡協議会の発足を宣言させていただきました。櫻木委員からも御指摘があったとおり、なかなか複雑で分かりづらいという部分をこの報酬改定を受けて、我々が実践としてしっかりとモデルを示していったり、皆さんと引き続き議論をして、障害のある方が地域で安心して暮らし続けること、そして御本人が望む生活が送れること、そして地域移行が進むことについての役割をしっかりと果たせるように、引き続き皆さんと議論をしたり、研究をして取り組んでまいりたいと思います。今日は決意表明ということで、意見をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、私の左手側の皆様、お手を挙げいただきたいのですが。こちらも全員の皆様。井上委員からお願いいたします。
○井上委員 ありがとうございます。日本知的障害者福祉協会の井上です。
 全体的には各団体の要望が反映されていると思いますので、まずは感謝申し上げたいと思います。
 1点目は、各事業の方向性が出そろったわけですが、これを実際に成果が上がるものとするには、先ほど櫻木委員からも発言がありましたが、マネジメント力が大切だと思っています。それは行政と我々の関係もそうですし、我々施設長なり理事長なりという、事業運営を担う者のマネジメント力が発揮されないと、制度が整ったとしても成果は上がらないということになりますので、その辺については私たちも十分注意してやっていきたいと思いますが、今後も一層の御指導をいただければありがたいというです。
 2点目として、大分議論になりましたが、サービスの質の評価が今後最も大事になるだろうと思います。利用者や御家族にとってのよりよいサービスにこそ高い報酬が得られるような仕組みでなければ、向上していかないのではないかという思いがありますので、ぜひサービスの質の評価という部分に関しては、データも大事ですけれども、専門職の関わりや人の評価というところを中心に、ぜひ今後の在り方の中で御検討いただきたいと思います。
 3点目は、これも櫻木委員から発言があったと思いますが、全国的には小規模事業所が非常に多くて、加算制度というのが複雑になればなるほど取得が難しいという意見を多く聞きますので、今後の制度設計に当たっては、基本報酬の部分においてまずは上げていただくという仕組みであることが全体的な広がりという点では大事だというところです。
 最後にもう一点、質問だけさせていただくと、先ほど佐々木委員がおっしゃっていたグループホームの区分4や5などの報酬が下がっていることは、方向性としてはいかがなものかと思ったところです。もしもその辺りの事情があれば、ぜひ聞かせていただければありがたいです。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 御質問に対して事務局からお願いします。
○伊藤障害福祉課長 ありがとうございます。
 グループホームの基本報酬、区分4、5辺りの点についてお答えします。基本的には昨年秋の報酬改定検討チームの資料でもお出ししているとおりであるのですが、今回グループホームに関しては、全体の経営実態調査、いろんな課題、限界が指摘されていることももちろん承知しておりますが、一方で、改定の一番基礎となる指標であることも現時点では事実でございまして、全体の中では相対的には収支差率が高めだったこと。それから、検討チームのほうでの各論の分析、詳細な分析としては、障害区分ごとの収支差率というのを少し細かい資料を出しておるのですが、そういった中で少し高いところ、低いところがあったところを一定調整させていただいたということです。
 繰り返しになりますが、佐々木委員からもコメントがあったかと思いますが、全体の中でメリハリが必要という中で、実調だったり、区分ごとの分析を基に、一定の調整が必要になったということで御理解いただければと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、沖倉委員、お願いします。
○沖倉委員 沖倉です。
 全体のことを1点だけお願いします。先ほど櫻木委員からありましたけれども、今回とても複雑化しているという話の中で象徴的だなと思ったのは、事前に御説明を頂戴するときに、今回は資料をデータで皆さん見ていますが、印刷をして拝見したときに、物すごい分量のペーパーをいただいて、それの説明をいただいたわけですけれども、何を申し上げたいかというと、恐らく基本報酬が幹で、多様な加算が枝だとすると、枝がとても多くて、幹はどこにあるのかというのが見えにくくなっているということ。何回かの報酬改定を経てより見えにくくなっているなと思いました。
 これからパブリックコメントを終えて、出来上がった報酬改定を各自治体、法人、事業所まで情報を届けていくわけですが、我々議論に参加している者でもなかなか全体像を把握するというのは難しいので、しっかり皆さんに届くように情報提供していただきたいということをお願いしておきたいと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 叶委員、お願いします。
○叶委員 全国社会就労センター協議会の叶です。よろしくお願いします。
 この場では2点ですけれども、1つは生活介護で、先ほども出ましたが、生活介護の基本報酬がサービス提供時間に応じた設定となりましたが、サービス提供時間に送迎にかかる時間を見込めるようにしていただきたい。特に北海道とか地方部では事業所が利用者の自宅から遠方にあり、送迎時間がかかってしまうことにより、サービス提供の見直しや、あるいはやめてしまう、中止等が懸念されるということが1つです。
 もう一つ、今回の改定ということではないのですけれども、就労移行支援についてです。就労移行支援の支給決定について、いまだに生涯1回という市町村が存在している。そういった誤った運用をしている市町村に対して、Q&Aや留意事項等で通知をしていただきたいと思っています。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 小阪委員、お願いします。
○小阪委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪と申します。
 障害や病気があっても誰もが希望する地域生活が実現できるという方向性を持った報酬改定であれば、私たちとしても望ましいものと思っています。ただ、いろんな委員の方がおっしゃってくださったように、報酬改定だけで障害をお持ちの方の暮らしが必ずしもよくなるというわけではないと思うのと、地域移行に関しては報酬改定だけで進めるというのは難しいと思うので、引き続き国としてもバックアップ、推進を考えていただきたいなと思います。
 加えて、ピアサポートの専門性の評価に伴うピアサポート実施加算のさらなる広がりについて、こちらも望ましい方向性だと考えています。
 2点質問させていただければと思います。1点目、ピアサポート体制加算、ピアサポート実施加算の算定要件である研修修了については、経過措置の適用があったかと思います。この経過措置の延長の可能性はありますでしょうか。
 2点目、現時点でもし分かればでいいのですが、障害者ピアサポート研修未実施の都道府県及び指定都市はおおよそどれぐらいあるものでしょうか。
 以上、2点お教えいただければ幸いです。
○菊池部会長 御質問がございましたので、お願いします。
○羽野地域生活・発達支援障害者支援室長 ピアサポートのところにつきましては、取りあえず事実関係だけお答えしたいと思いますが、経過措置は現時点ではないというところでございます。
 未実施の自治体数は、確認したいと思いますが、たしか10程度だったかなと思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 また正確に確認した数字はお伝えいただくということでお願いしますね。
○羽野地域生活・発達支援障害者支援室長 はい。
○菊池部会長 小阪委員、よろしいでしょうか。
○小阪委員 はい。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、竹下委員、お願いします。
○竹下委員 ありがとうございます。日本視覚障害者団体連合の竹下です。
 3点発言させていただきます。資料1-1の部分で、グループホームから希望する一人暮らし等に向けた支援の充実という部分は、非常に大事な、ある意味では新しい制度かなと思っております。そういう意味では、新設の報酬がどんどん増えてきているわけですから、ここの適用要件とか、あるいは運用の面が非常に分かりやすくなるように今後早急に文章化、Q&Aになるのか分かりませんが、お願いしたいというのが1点です。
 2点目は、資料そのものの問題ではないのですが、先ほどの安藤委員の発言にも重なるのですけれども、今回障害福祉サービスの報酬改定で1.12%のプラス改定をされている。介護保険においても1.59だったですか。数字を忘れましたけれども、プラス改定のはずなのですが、訪問系で単価が下がっている。そうなってくると、障害者の場合に、65歳問題を考えたとき、どうなるのかなということについて少しお聞きしたいと思うのです。すなわち、この間、65歳問題に絡んで共生型のサービス事業所も増やしてきたはずなのです。すなわち、障害福祉サービスを受けている人が65歳になって介護保険に移行するときにトラブルにならないようにということで考えてきたはずなのです。
 ところが、今回の改定で介護保険のほうが単価が下がるわけです。そうすると、65歳まで障害福祉サービスを利用していた方が、65歳になった途端に単価の下がった訪問介護に言わば強制的という言い方はよくないかもしれませんけれども、非常に執拗に移行を迫られるということが自治体でトラブルとして起こってくるのではないかと懸念するわけです。
 残念ながら我々は介護保険部会に直接意見を言う機会がないわけですが、現実にそういう65歳問題によって移行することを考えた場合に、障害者のサービス継続ということについてどうお考えになった結果なのかについて少しコメントをいただければと思います。これは2点目です。
 3点目は資料2の補装具のところでの質問です。この資料を見てみましたら、今回改定に当たって検討委員会が持たれたということで、メンバーが書いてあるのですが、そうすると、冒頭にも3年ごとの改定と言っているわけですから、では、3年後には補装具についてもこの委員会が設置されて、改定に向けた検討がされるというふうにお聞きしていいのかどうかについて確認させてください。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 いかがでしょうか。
○伊藤障害福祉課長 障害福祉課長です。
 竹下委員の意見で言うところの2点目、介護と訪問介護と障害福祉サービスの関係のところですが、まず適用関係に関しまして、報酬改定でルール、取扱いを変えるということはしておりませんで、手元にございませんが、直近ですと、昨年6月、この部会での御議論なども踏まえて介護保険と障害の65歳の方の適用関係について、いろんな運用上の留意点等をお示ししておりますし、それは今回の改定においても変わることはありません。
 その上で、我々も介護報酬のほうの議論自体は直接やっておりませんので、お答えはなかなか難しいのですが、介護報酬と障害報酬の財源やそれぞれの改定率とかもそれぞれ議論しておりますので、そこは何か調整を図ったということではないのですが、今後御指摘のような影響があるのかないのかというのは見ていきたいと思います。
 取りあえず以上です。
○菊池部会長 よろしいでしょうか。竹下委員。
○竹下委員 委員長、今の説明で仕方ないのかもしれませんけれども、でも、現実には介護保険においてもプラス改定で、もちろん一つ一つのサービス項目によっては、先ほどの話で出てきているようにプラマイ両方あるわけですが、現実に1つの継続的なサービスを利用する。言い方が不適切かどうか分かりませんけれども、現実的に居宅支援であろうが、訪問介護であろうが、ほぼ同一の流れの中でサービスを受けていて単価が下がるわけです。それを考えずに体系を考えるというのは、一つの流れの中でサービスを利用している障害者にとってみれば、非常に不合理な結果をもたらすということ。このことは介護保険部会に十分伝えていただく必要があるのではないかと思っております。意見としてで結構です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 私、介護保険部会長も仰せつかっていますが、介護報酬は介護給付費分科会で議論しています。骨格の部分は介護保険部会で報告を受け議論しますが、報酬そのものについては介護給付費分科会で、確かに竹下委員のお話を伺って、総合支援法7条で接続している面があって、間接的でありますけれども、介護報酬の在り方に障害福祉サービスを受けておられる方のサービスの受け方というか、在り方、関係していることはしていると思いますので、給付費分科会でヒアリング等で障害関係団体などを対象にしているかどうか、今、すぐには分からないですよね。
 そういったことをやっていれば、そういったニーズを勘案しながら介護報酬の議論をしていたということにはなると思いますけれども、特にしていないということであれば、今後に向けた検討課題かなと思うので、その辺りを調べて、老健局のほうと調整というか、確認をしていただくといいのかなと思ったのですけれども。
○伊藤障害福祉課長 障害福祉課長です。
 部会長がおっしゃったことに関しては確認はしたいと思います。その上で、1点だけ補足させていただくと、竹下委員はもう既に御存じかもしれませんが、一応御説明させていただくと、介護報酬改定率は1.59、障害のほうは1.12ということですが、障害のほうで今日御説明しましたけれども、当然処遇改善加算とかそういうのを入れてそういった改定率ですので、訪問介護のほうでも基本報酬のことが報道等されておりますが、当然処遇改善加算を入れて考えればプラス改定になっているというふうに理解しております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 では、確認のほうはしておいていただければと思いますので。
○川部自立支援振興室長 資料2の御質問ですが、前回の改定も検討委員会を設置して同じように進めています。次回の改定においても市場調査とかを厚生科学研究費でデータを集めて、やはり評価委員会の検討会を設置して、この中で専門的に検討していくということになります。ただ、メンバーは少し変わる可能性はあります。
 以上です。
○菊池部会長 それでは、吉野委員、お願いします。
○吉野委員 改めまして、全日本ろうあ連盟の吉野でございます。
 障害の報酬改定の部分につきましては、特に視覚・聴覚言語障害者支援体制加算が拡大するということ、さらに障害児に対しての支援加算が新たに新設され、御配慮いただいたことに感謝申し上げます。
 さらに、反映された内容について心配している点がございますので、5点申し上げたいと思います。
 1点目は、資料1-1の11ページ、1-2の12ページに掲載されていることです。障害者の意思決定は非常に重要な要素となると思います。障害福祉サービスを利用するときに、意思決定するためには、障害当事者がきちんと手話あるいは自分の言語で意思疎通を図るということがポイントになると思いますので、聴覚障害者の相談員、手話通訳の配置等もきちんとカリキュラムに入れるように通知をしていただきたいです。
 2点目は、資料1-1の12、資料1-2の12ですけれども、障害者虐待防止に関する権利擁護につきまして。虐待というのは、意思疎通が図れないというところを原因として、虐待が発生しているという事案もあります。ですので、聞こえない、聞こえにくい人たちにもこれが適用されるケースがあることも研修カリキュラムに含め、充実していただきたい。研修につきましては、障害に応じた対応方法などについて。やはり対応が異なります。例えば盲ろう者のご主人と、ろうの奥様という御夫婦の例です。コミュニケーション方法は当然触手話という形になります。手をたたくなどで、意思疎通を図るということになりますが、たまたま奥さんのほうが怒って御主人の手をたたく。これはコミュニケーションの1つの方法ですけれども、それを支援者やケアマネから見ると虐待に当たる、と誤った認識し、通報され、虐待ということで問題化してしまったという事例がございます。
 そういったこともございますので、誤った受け止め方のないように、研修プログラムの中に障害の対応方法についてもきちんと盛り込むことをお願いしたいです。現在きちんとしたカリキュラムはありませんので、誤った解釈がなされないように研修においても指導をお願いしたいです。
 3つ目は資料1-2の22ページになります。重度障害者入院の場合に特にコミュニケーション支援が重要になります。この充実につきましても、入院したときにコミュニケーション手段が十分図れる環境が重要になってきます。それが現場ではなかなか難しい。例えばALSとか障害区分6だけではなく、ろう者も現場できちんとコミュニケーションが図れないということがあるのです。ですから、ろう者も該当することを自治体に通知を出していただきたいです。
 次、相談支援に関して。相談支援事業所等々障害福祉サービスを利用するときに、相談支援は非常に要になります。うまく意思疎通が図ることができれば相談・障害福祉サービスにつながります。しかし現場ではきこえない利用者とのコミュニケーションができない問題が多々起きています。相談支援事業所におきましても、手話通訳、ろう当事者の相談員の配置、研修プログラムの充実、も含めて御配慮をお願いしたいと思っています。
 以上です。よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 それでは、お待たせしました。オンライン参加の皆様からお願いしたいと思いますので、挙手機能を使って合図をお願いします。いかがでしょうか。山本委員、お願いします。
○山本委員 よろしくお願いいたします。
 まず、このたびの見直しで本会の要望を踏まえた改定が複数実現したことに感謝申し上げたいと思います。
 幾つか指摘させていただきたいと思います。まず、障害福祉サービス等における横断的な改定事項のうち、障害者虐待の防止・権利擁護についてです。資料1-1の12ページ、資料1-2の12、13ページです。支援者による障害者への虐待行為はあってはならないものであり、今回の報酬改定で障害者虐待防止措置未実施減算の創設や身体拘束廃止未実施減算額の見直しがなされたことは、障害者虐待防止の推進を後押しするものと考えております。さらなる身体拘束の適正化の推進にあたっては人員体制の充実が必要であるため、そうした手厚い対応を行う施設や事業所を評価する仕組みについては引き続き検討していただきたいと思います。
 続きまして、障害者支援施設等における医療機関との連携強化・感染症対応力の向上について、資料1-1の15ページ、資料1-2の16ページです。感染症発生時に備えた平時からの体制整備を評価し、医療機関との連携を促す改定内容となったことに感謝いたします。感染管理体制の強化という点について、医療機関に所属する感染管理認定看護師や感染症看護専門看護師は、障害者支援施設等に出向き、感染管理の研修や施設の課題抽出、具体的な改善策の提示に至るまでの一元的な支援を行うことができます。実態を見ながら感染管理認定看護師や感染症看護専門看護師の活用の評価についても御検討いただけたらと思います。
 続きまして、各サービスにおける改定事項のうち、医療的ケア児の成人期への移行にも対応した医療的ケアの体制の充実等についてです。資料1-1の22ページ、資料1-2の35ページです。「医療型短期入所受入前支援加算」の加算対象は、自宅等への訪問やテレビ電話装置により医療的ケアの手技等を確認した場合となっておりますが、実際には自宅での支援以外にも、事業所において御家族同伴で家庭での様子やケア方法を確認したり、個別の支援マニュアルを作成したりするといった支援も行われております。加算の拡大については今後も引き続き検討していただきたいと思います。
 最後に、相談支援の質の向上や提供体制を整備するための方策、医療的ケア児・重症心身障害児への支援の充実のうち、送迎加算についてです。重症心身障害児を支援する事業所以外における送迎加算の対象について、現行では「医療的ケア区分による基本報酬を算定する事業所のみ、看護職員の付き添いが必要」とありますが、見直し後は「看護職員の付き添い」についての記載が削除されております。これについて何か意図がございましたら教えていただきたいと思います。
 以上でございます。
○菊池部会長 最後の点につきまして、いかがでしょうか。
○栗原こども家庭庁障害児支援課長 こども家庭庁障害児支援課長でございます。
 今回送迎加算、児童の部分につきまして、医療的ケア児とか重症心身障害児、医療濃度の高い方の加算の充実を図っておりまして、すみません。資料の記載ぶりの体裁が若干悪くて誤解を招いたかもしれませんが、改定後の要件は、当然医療的ケア児の方を送迎する際には看護職員あるいは喀痰吸引職員の必要な医療的ケアが行える体制を確保するということを要件にすることとしておりますので、もしちょっと分かりにくい点があったら、申し訳なかったと思います。
 ありがとうございます。
○山本委員 ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、藤井委員、お願いします。
○藤井委員 ありがとうございます。国立精神・神経医療研究センターの藤井です。
 今回の報酬改定ではたくさんの意見が寄せられる中で、これだけ複雑なサービス体系の適正化を図るということで、事務局におかれましては大変な御苦労をされたことと思います。ありがとうございました。
 私からは、全体的なこととしては、多くの委員が指摘されているとおり、サービスが非常に複雑ですので、私自身も全体をしっかり理解しているかというと、正直なところ自信がないわけで、利用者さんにとっては非常に分かりにくく、さらに分かりにくくなったのではないかなと危惧をしています。利用する方や現場の支援者さんが理解しやすいように、AI等も活用して情報提供の仕方の工夫が必要なのではないかなと思っています。
 細部につきましては、櫻木委員からの御指摘とかぶってしまうので恐縮なのですけれども、資料1-2の57ページの休職期間中に就労系障害福祉サービス等を利用する際の対応に関して、少し意見を述べさせていただきます。今回の法改正で休職中の方の就労系障害福祉サービスの一時的な利用が法令上も位置づけられたわけですが、法令上位置づけられる前から一定の条件を満たせば、休職中の方が就労系の障害福祉サービスを利用することは容認されていたというのは周知のとおりで、その結果、休職者への復職支援を提供する就労系の障害福祉サービス事業所が増えているという状況があるかと思います。
 就労系の障害福祉サービスだけではなくて、自立訓練事業所でも休職者への支援を提供している事業所もある状況で、休職者の方が障害が一律に軽いとは申しませんけれども、自立訓練というのは、本来長期入院とか長期入所されていた方を支援対象として想定しているはずなので、一般的には休職中の方よりも障害の程度とか病状が重い方が想定されているメインユーザーではないかと思いますので、障害の程度がより軽いと思われる休職中の方が多くのサービスを利用することで、重い方が利用しづらくなるという状況です。先ほど櫻木委員がチェリーピッキングとおっしゃっていましたが、自立訓練に限らず、就労系障害福祉サービス等でもそういうチェリーピッキングを助長してしまうことを私も懸念しています。
 運用の適正化を行う旨を明記していただいたのはとてもありがたいのですけれども、今後実態調査等を行うということでしたので、その結果を踏まえて、例えば利用者全体に占める休職者の割合の上限を定めるといった割と分かりやすい基準を示していかないと、こんなことはあまり言いたくないのですが、複雑化したサービスの盲点をつくような不適切なサービスというのが実際あるわけで、そういうものがなくならないのではないかなと懸念をしています。
 障害の重い方が結果的にサービス利用しづらくなるということがないように、また、障害の重い方に対して丁寧な支援を提供している事業所が不利益を被ることがないように、今後の検討課題としていただければと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございました。
 清水委員、お願いします。
○清水委員 ありがとうございます。国立障害者リハビリテーションセンター病院の清水です。
 これだけ膨大な内容を取りまとめていただいて、本当にありがとうございます。
 もう何人かの方もおっしゃっていましたから重複になるかもわかりませんけれども、これを理解するのは非常に難しく、これだけつくっていかれるに当たりましては、皆様、相当御苦労も重ねられていると思いますので、アウトプットにもかなり工夫が要るのかなと思いました。例えば早見表みたいなものがあったり、あるいは簡易にダイジェスト版みたいにお勉強、研修を受けるような機会を提供していただくとか。そうでないと、せっかくこれだけつくられても、その制度自体が埋もれてしまって活用されないと非常に残念なことになりかねないかなと感じました。
 私は眼科医ですのでどうしても視覚障害のところに目が行ってしまいますけれども、資料1-2の同行援護のところのページに特定事業所加算の加算要件の見直しというところで、プラスになっているところもあるのかなと思いますが、同行援護につきましては、以前もこの会議で申し上げたことがあったかもわかりませんけれども、首都圏と地方で状況が大分変わっています。首都圏ですと、この見直し後の案でも割と動きやすいところも出てきているかもわかりませんが、地方、特に交通インフラが整っていないところに関しては、同行援護のもうちょっと深いところまで見て検討していかないといけないような地域も出てきているのではないかと思いますので、何かの折には御検討いただけるとありがたいかなと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 河野委員、お願いします。
○河野委員 様々な制度の細々としたことを決めていただきありがとうございます。
 私どもは日本難病・疾病団体協議会、難病の患者会でして、平成25年に障害福祉サービスが利用できるようになって、その時点でもどういうサービスを利用したらいいか分からないとか、サービスについて知らないという形の意見が多くあって、以前の資料の中で、難病患者さんが大体100万人いるとして、0.42%ぐらいの利用率みたいなのです。難病患者さんが1万人いたら、42人しか利用していないということをどう捉えるかということも我々は考えなくてはいけないのですが、その中でも利用しているサービスの中では、これはずっと言っているんですけれども、居宅介護とか生活介護、あと、就労継続支援A型、B型とか、就労移行支援の2つに集中しているわけです。その中で、今回1年半後ぐらいに実際に施行されるという就労選択支援とかの件に関して、いろいろと期待はしているのですけれども、難病患者、実は普通の会社で働ける人とそういう障害福祉サービスを利用して就業する人とか、分かれたりするので、我々JPAとしては普通の会社で働くことを一生懸命頑張っていたところで、まだまだ障害福祉サービスの就労支援等については理解していないし、どういう方が利用しているかということも今後調べなくてはいけないのですけれども、就労選択支援に関してすごく期待していますので、我々もそういうサービスについてしっかりと啓発していくことによって、今のところ難病患者さんはなかなか福祉サービスを利用していないのですが、利用できるような形になるように啓発していきたいということ。
 あと、就労選択支援に関してはしっかりとしたサービスにしていただいて、難病患者さんも利用できるような形にしていただきたいということで、期待と私たち患者会としての今の思いを伝えました。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 阿部委員、お願いします。
○阿部委員 ありがとうございます。日本身体障害者団体連合会の阿部です。
 多くの委員の方も言及されましたように、自立した地域生活の方向性の仕組みについていろいろお話しいただいてまいりました。地域生活支援拠点、自立支援協議会の充実ということも含めて、それからグループホームからやがては一人暮らしということなども含めて大事なことだと思います。
 一方、地域で暮らす重度の方々から地域の理解が不十分ではないかということをお聞きすることもあるのは事実であります。とは言いながら、地域との交流が円滑に行われて、その人らしい生活を行っている地域もあるのではないかと思いますので、そのような自治体または地域における好事例も紹介いただいて、それらを基に、さらに充実した支援体制がつくられていくことに期待されるということ。そして、私たち障害当事者団体もそのような中で役割を持てるのであれば、ぜひ一緒に取り組ませていただきたいと思います。
 そして、竹下委員の発言、部会長の発言をお聞きしながら思ったことは、例えば身体障害者手帳を持っている人の70%以上は65歳以上。75%かもしれません。多くの人が65歳以上であり、介護保険の対象になるということを聞くにつれ、部会長もお話しされましたように、介護保険の中でも障害がある人の特性、障害者の高齢化に伴う重度化等もありますので、介護保険の中での検討に当事者も関われるようになることが必要なのかなと感じたということを申し上げさせていただきます。
 以上です。よろしくお願いします。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 永松委員、お願いします。
○永松委員 全国市長会の永松でございます。
 今回障害福祉サービスの報酬改定ということで、加算の評価、あるいは基準を満たしていない場合は減算の導入という形で、私どもの市町村に寄せられるいろんな話の中で、ほとんどのことが要望どおり認められたなと思っています。また、こども家庭庁におかれましても、医療的ケア児であるとか強度行動障害の子どもたちの支援加算とか、本当に理解をしていただいています。ありがとうございます。
 ただ、1つ要望がございます。SELPの叶委員からお話がありましたように、次回改定以降になるかと思いますけれども、訪問介護の報酬の中で送迎に要する時間は、全額は難しいでしょうけれども、やはりある程度の評価をしていただきたい。と申しますのも、今後急激に人口減少が進みますので、本人の意向ではなくて、事業所側の経営などの問題で地域での生活をそもそも営めなくなるのではないかと、心配しています。特に周辺部に住んでいる利用者からすると、本当は今、住んでいる場所で暮らしたいけれど、「在宅生活」が結果的に選べないという状況になりそうなので、送迎時間の加算評価があれば、ありがたいと思います。
 最後に、意見ですが、複数の委員から制度が複雑になったとのご指摘がございました。多くの意見を反映しながら整合性を保つとこうなるのはよく分かります。地元の県庁にも確認しましたけれども、職員の少ない小規模事業所もたくさんありますので、文書通知だけでなく研修会を実施するということです。事業所で請求漏れであるとか、結果として不正請求にならないように、特に後で指定取消されると一番困るのは利用者本人になりますので、都道府県にはきめ細かな相談・指導をお願いしたいと思います。また、市町村も事業所をよく存じておりますので、加算・減算の内容について相談があれば、県の指導をきちんと伝えてまいります。そうすれば、後々の監査の段階になって大きな問題とならなくて済みます。
こうして、市町村と県が日頃から連携し、相談・指導していくということで、事業者の運営の質の担保ができるものと考えます。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 冨岡委員、お願いします。
○冨岡委員 日本相談支援専門員協会の冨岡と申します。
 今回の報酬改定に対して、相談支援の拡充に向けていろいろと要望を伝えさせていただきましたが、多くのことを反映していただきまして、本当に感謝申し上げます。
 話は変わりますが、今回の能登半島地震への被災地支援について、全国からたくさんの相談支援専門員が応援に来て今もなお支援をしてくれています。本日も30名の方が参加して訪問活動を実施しております。被災地の訪問活動は、環境の変化等によって顕在化された新たなニーズを理解するということがとても求められ、質の高い相談支援が要求されております。
 今回報酬改定の内容を実践に生かしていけるよう、相談支援専門員にNSKとしてしっかり伝えていく、そして質の高さを一緒に上げていくということを行っていきたいと考えております。
 私からは以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 江澤委員、お願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 資料1と資料2について簡単に意見を述べたいと思います。
 まず、このたび令和6年度の診療報酬改定では、精神障害への多職種協働による包括的支援マネジメントの充実、あるいは精神科地域包括ケア病棟の創設、発達障害児等への対応の強化等が導入されました。介護報酬改定では医療機関や通所リハビリテーションの事業所での自立訓練の導入等の見直しもなされたところです。
 今回はトリプル改定でもありまして、かかりつけ医をはじめとする医療との連携強化、テーマとしては感染対策や協力医療機関との連携、あるいは相談支援専門員とのかかりつけの連携など様々あろうかと思います。
 また、地域移行あるいは地域定着の受け皿の充実もさらなる期待をしているところでございます。
 これらの実現のためには、報酬改定後の実態を把握するためにしっかりとデータを収集し、検証を行って、次回改定につなげていくことが重要だと思いますので、お願いしたいと思います。特に処遇改善による人材確保やサービスの質の向上に資するプロセスの評価は重要課題と考えております。併せまして、経営状況の正確な実態把握にも努めていただきたいと思います。
 先ほどから介護報酬改定の訪問介護の適正化に対する御意見も複数あります。これは介護の給付費分科会で私も申し上げましたし、適正化に対する反対意見もあったところでございます。
 一方で、介護経営の実態調査において収支差が高く出ていたこともあり、今回の介護保険の介護報酬においては、訪問介護のあのような改定になったという状況だろうと認識しております。
 ところが、昨年1年間においては訪問介護事業所の倒産件数が過去最高の頻度となったということもあります。したがいまして、現場の肌感覚と報酬改定のこのたびの結果がそごを生じている、そぐわないというところが一番の問題点だろうと思います。
 したがいまして、障害福祉サービス等報酬改定においても各事業所の経営状況というものはしっかりと実態を把握して、そこに手当てなり対応していくということが大変重要になるかと思いますので、また引き続きよろしくお願いしたいと思います。
 資料2については一言だけ申し上げたいと思います。個々の補装具の支給基準額等は3年に1回の見直しを行っているところですけれども、昨今の状況を考えますと、原材料費の価格高騰、原油価格の高騰、為替相場の変動というものが、非常に短期間の間に大きな変動を来すことがしばしばございますので、今後3年に1回の見直しがいいのかどうか、あるいはもう少し短期間での見直しを導入するのかどうかは検討課題ではないかと思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 野澤委員、お願いします。
○野澤委員 ありがとうございます。
 私、報酬改定の外部委員をやっていたので、そこだけお話しさせていただきたいと思います。今回の報酬改定、あれこれといろいろ言わせていただいて、結果的にすごくいいものになったなと思っているのです。ただ、実際にその単価が反映されて数字が出てくると、現場の方々から、ここは随分傷めつけられて、これではやっていけないとか、何でこんなことになったんだとか、私、結構苦情も言われて、初めてそこで実情を知るということなのです。先ほど来いろんな委員の方が言われていますけれども、とても複雑で難しくて、ずっと報酬改定の議論に参加していても分からないのです。ある程度しようがないものはあるのですけれども。
 それと、毎回毎回この議論に参加していて思うのは、最初にいろんなこれまでのデータとか実績とかを出して、それから各団体ヒアリングをして、総論をつくるわけです。これは本当に文句のつけようのない総論なのです。いろんな方が言っていることを全部反映させた総花的な総論になっているので。ところが、ここから各論になっていくと、おのずと予算の制約があるので、そこで調整が図られて、サービスごとに議論を積み上げて調整するものだから、各論になってくると、あれ、こんなはずだったのかなというところが出てくるのです。どうしてもメリハリをつけるものですから。修正がなかなか難しい段階でどんどん議論が走っていくと。
 今回もそうで、それ、待ってくださいということで、かなりブレーキをかけて修正していただいたと思ったのですが、私が思うのは、総論の段階でかなり戦略を練って、今回の報酬改定は何をやるのかというのをもっと絞って明確化しなければいけないのではないかなという気がするのです。しかも、それはサービスごとではなくて、テーマごとに戦略を練らなければいけないのではないかなという気がしています。例えば今回も私は施設入所支援のことでいろいろ言わせていただいたのですけれども、サービスごとだと、施設入所支援、生活介護というふうになっていくわけです。ただ、これは御本人の人生とか生活を考えたときに、グループホームへ移行したとき、どうやって移行していくのか、受け皿はどうするのか、地域生活支援拠点とか自立生活援助とか、そういうものをサービスを貫いたテーマで考えていかないと、なかなか戦略になっていかないのではないかなという気がしているのです。
 この辺りをやるには何が必要なのだろうなと思ったときに、私は部長さんや課長さんたち、幹部の強力なリーダーシップがないと難しいなと思っています。今も本当に頑張っていらっしゃるのは見てきましたので、頭が下がる思いなのですが、もっともっとこの辺の幹部の縦割りではない、各担当者の積み上げからそれを調整するのではなく、今の時代、これからの3年間で何が必要なのだろうという明確なビジョン、戦略を立てた上でメリハリをつけていくということをやらないと、あれもこれもやったようで、やっていないようで、実際に数字が出ると、いろいろなところから支障が出てみたいなことが繰り返されていくような気がしていて、ちょっと苦情めいたあれで恐縮なのですけれども。
 もう一つ、これも先ほど来からいろんな委員の方が言っていましたが、データとなる経営実態調査と支援の質の評価は、もっともっと研究する必要があるなと思っていて、経営実調も、これでちょっと利益率が高いところを下げられると機械的にやられてしまうと、これはなかなか現状とそぐうことになってしまったり、戦略的な報酬改定になっていかないような気がするのです。
 あと、支援の質はとても難しいのですけれども、これをずっと追求して、どういう支援の質を評価できるのかというのをさらに考えていただければと思っております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。よろしいですか。
 特になさそうですので、それではここまでとさせていただきます。本日も様々な御意見をいただきました。今回反映できなかった部分も含め次回の宿題、課題というお話もいろいろありましたので、あるいはこれからの運用面等で工夫できる部分があるかと思いますので、事務局のほうでしっかり受け止めていただき今後に生かしていただきたいと思います。ありがとうございます。
 印象に残ったお話が幾つかあったのですが、何人かの皆様から非常に複雑化して分かりにくくなったという部分がございました。診療報酬点数表、あの分厚いのを見ればお分かりのとおり、きめ細かくニーズに応えていこうと思うと、どうしても細かくなってしまう、複雑化してしまうというのは、ある意味では致し方ない面があると思いますが、そのことと事業者さんあるいは利用者の皆さんに分かりやすいものにしていくというのはなかなか難しいことでありますが、しかし、それをどうお示ししていくか、分かりやすいように見せていくのかというのは、報酬の体系そのものとは別個にいろんな工夫ができると思いますので、その辺もこれから事務局のほうでいろんな工夫をされていかれると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 もう一点印象に残ったのは、永松委員から急激な人口減少社会がすぐそこに来ている、もう既に人口減少が始まっているというお話がありまして、私も永松市長の杵築市にはお邪魔して、障害福祉だけではない、共生社会を地域で実現しておられるというのを見せていただいて、その中での御発言ということで、非常に重く受け止めたのですけれども、言わば地域を支える社会的基盤というか、人的な基盤がどんどん細っていくというのがもう見えているわけで、今日も多くの方から御発言がありましたが、その中で地域移行をどうするのだ、もっと具体的なものを示さないといけないのではないか、どういう議論をしていくのだというお話がありましたが、ある意味では急いでというか、地域移行の話をしっかりとつくっていく必要が。永松委員の話を伺って、さらにその必要性があるなと私は感じたということで、一言述べさせていただきました。この点もこれから検討されるということですので、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは、皆様、御協力ありがとうございました。
 まだ議題がございますので、もう少しお付き合い願いたいと思います。次に、資料3につきまして事務局から御説明をお願いいたします。
○江口企画課長 企画課長の江口です。
 資料3「障害福祉サービスデータベースにおける第三者提供について」を御覧ください。1ページですが、2つ目のマル、障害者部会での議論等を受けて、令和4年12月に障害福祉サービスデータベースを整備し、併せて障害福祉データベースの第三者提供を可能とするための法改正を行ったところであります。この法改正は、障害者総合支援法と障害児に係るデータベースの関係で同じような規定を児童福祉法のほうにも新規で設けております。この2つが根拠法ということになります。
 3つ目のマルですが、障害福祉データベースの整備そのものについては、令和5年4月1日が施行となっておりましたので、昨年の4月から運用を開始しております。一方で、第三者提供に関する規定の施行日は、法律上、公布の日から起算して3年を超えない範囲内で政令で定める日とされていまして、まだ具体的にこの政令が定まっていないという状況であります。
 これを踏まえまして、矢印の下のところですけれども、障害福祉データベースにおける第三者提供のスキームを構築すること、そして第三者提供に関する規定の施行日を決定することが必要という状況であります。これらのデータベースについては、医療保険のNDB、介護DBの取扱いが先行しておりますので、これらも参考に障害福祉サービスのデータベースについての第三者提供のスキーム、関連規定の施行日について、本日この部会に案を御提示するものであります。
 2ページを御覧ください。第三者提供の際には、障害者総合支援法と児童福祉法の規定に基づいて、それぞれの法律に社会保障審議会またはこども家庭審議会の意見を聴かなければならないという規定がございます。先ほども少し触れましたが、先行しているデータベースであるNDB、介護DBにおける対応を踏まえて、障害福祉データベースの取扱いについては、以下のとおりとしてはどうかと考えております。
 1点目のポツですが、第三者提供に関する議論については、内容が極めて専門的になることを踏まえ、この障害者部会、こども家庭審議会の下に置かれています障害児支援部会、両部会の下に「匿名障害福祉及び障害児福祉情報等の提供に関する専門委員会(案)」を設置してはどうかと考えております。
 また、この専門委員会においては、第三者提供の可否について、相当の公益性を有するか、不適切利用による個人の権利利益の侵害の可能性がないか等の観点から、総合的に審査することとしてはどうかと考えております。
 1つポツを飛ばしまして一番下ですけれども、具体的に第三者提供の可否の判断をするに当たっては、よるべきガイドラインが必要と考えておりますので、このガイドラインの内容について、まずは専門委員会で検討を行うこととしてはどうかと考えております。
 1つポツを戻りまして、専門委員会の具体的な運営については別紙で書いておりますので、3ページを御覧ください。3ページの真ん中ほど、構成員のところですけれども、専門委員会の委員は、障害福祉及び障害児福祉等関連情報の有識者を中心に構成することとして、障害者部会長、障害児支援部会長と相談の上、確定できればと思っております。
 具体的な検討項目は、先ほども触れましたが、ガイドラインの内容を検討するというのが1点。もう一つは、具体的に第三者提供のスキームが動き始めて以降、個々の提供の申出が出てくる形になりますので、その申出があった内容について、相当の公益性を有するか、不適切利用による個人の権利利益の侵害の可能性がないか等を個々に判断して、その可否について決めていくということがもう一つの検討内容になります。
 最後のマルのところですが、専門委員会の運営については、原則公開とした上で、実際個々の提供の申出が出てきた場合には、個々の申出の内容を審査する形になりますので、そのような審査は非公開としてはどうかと考えております。
 次のポツですけれども、専門委員会の検討の結果については、原則として障害者部会、障害児支援部会の議題とするということで考えております。ただし、専門委員会での提供申出の審査に係る議決については、障害者部会及び障害児支援部会に報告するものとし、障害者部会長及び障害児支援部会長の同意を得て、障害者部会及び障害児支援部会の議決とすることができることとしてはどうかと考えております。
 具体的には、まず専門委員会のほうで御議論いただくガイドラインについては、専門委員会のほうでガイドラインの案を策定していただき、その内容を障害者部会、障害児支援部会に上げて、そこで議論していただいた上で、最終的なガイドラインとして確定するということを考えております。
 一方、ガイドラインが確定した後、具体的に第三者提供の枠組みが動き出した後、第三者から個々の提供の申出がございますので、個々の申出に対する審査については、専門委員会で御議論いただいて、そこで結論が出たものについては、両部会長の同意を得るということを条件に、専門委員会の議決をもって障害者部会、障害児支援部会の議決としてはどうかということで考えております。
 これらの取扱いについては、先行しておりますNDB、介護DBと同様の取扱いとするということで御提案させていただくものになります。
 最後、4ページは具体的なスケジュールについてであります。専門委員会の設置、本日御提案させていただいているものですが、これを本日障害者部会のほうで御了解いただき、そして障害児支援部会のほうでも御了承いただく必要があります。障害児支援部会のほうは3月下旬の日程でこの議題がかかると聞いておりますので、両部会のほうで御了承いただければ、今年の夏頃、第1回の専門委員会を開催するという形で動かし始めたいと考えております。
 専門委員会においては、まずはガイドラインの内容について検討いただき、その案が固まれば、模擬審査の結果も踏まえてガイドラインの案を取りまとめていただきます。その上で、先ほど申し上げましたけれども、障害者部会、障害児支援部会で御議論いただいた上で、ガイドラインとして最終的に確定をしていただくということで考えております。
 今、申し上げたガイドラインの策定のスケジュール、それから昨年4月から運用し始めております障害福祉データベースについても第三者提供の観点での改修が必要となりますので、そういったデータベースの改修の関係から、具体的に第三者提供に関する法律と関係政省令の施行については令和7年12月1日としてはどうかと考えております。
 事務局からは以上です。
○菊池部会長 それでは、ただいまの説明につきまして、皆様から御意見、御質問がありましたらお願いいたします。オンラインの方は挙手機能を使って、会場の方はお手を挙げいただきたいのですが、会場の方、いかがですか。吉野委員、お願いします。
○吉野委員 全日本ろうあ連盟の吉野でございます。
 第三者提供に関するガイドラインは非常に重要だと考えております。専門委員会を設置するとのことですが、「専門」というのは有識者の集まりだろうと思います。ただ、それのみならず、障害当事者も構成員として加わるということが重要ではないでしょうか。審議の過程も重要と思いますので、当事者を加えるよう、よろしくお願いいたします。
○菊池部会長 御意見として承っておきます。
 ほかにはいかがでしょうか。特にございませんか。
 本件につきましては決定事項となってございます。ほかに御意見がございませんようでしたら、吉野委員も原案自体に反対という御趣旨ではないと思いますので。
○吉野委員 反対ではありませんけれども、専門委員の選出のときに構成員に当事者も加えるということを御配慮、お願いしたい。それのみです。よろしくお願いします。
○菊池部会長 そういった御要望があったということで、承りたいと思います。
 その上で、この原案自体についてはお認めいただくということでよろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○菊池部会長 ありがとうございます。
 特段御異議ございませんようですので、承認するということにさせていただきます。どうもありがとうございます。
 それでは、続きまして、資料4につきまして御説明をお願いします。
○羽野地域生活・発達支援障害者支援室長 地域生活・発達支援障害者支援室長の羽野でございます。
 資料4「障害者虐待事例への対応状況調査結果等について」というものを御覧いただければと思います。資料4の2ページ目を御覧いただければと思います。毎年度厚生労働省のほうで実施しております障害者虐待対応事例の状況調査の結果につきまして、令和4年度の結果を昨年12月に公表したところでございます。この結果の概況でございますが、まず養護者虐待、施設充実者虐待につきまして、それぞれ通報件数、虐待判断件数、被虐待者数、いずれも増加をしている。特に施設従事者による虐待判断件数が大幅に増加しているというところでございます。具体的な数字の御説明は省略いたしますが、2ページ目の下の枠囲みのところを御覧いただければ数字が載っているというところでございます。
 上のマルの2ポツ目のところをご覧いただければと思います。養護者による虐待のところでございますが、通報者の割合としては、警察からの通報が半分程度を占めているという特徴があるというのが1点でございます。
 3ポツ目のところをご覧いただければと思います。施設従事者による虐待の判断件数につきましては、施設・事業種別で見たときには、共同生活援助、グループホーム、施設入所支援、生活介護の順に多いということ。障害種別では知的障害者や行動障害のある方々の割合が多いという特徴があるというところでございます。
 次のページは虐待判断件数の増加の要因についてでございます。3点書かせていただいておりますけれども、障害者虐待防止法の通報義務が浸透してきているということ。それから、令和4年度から施設・事業所における虐待防止措置が義務化されておりまして、そのことによる影響もあるだろうということ。3点目として、そもそも論としてのサービス利用者数の増加ということも考えられるのではないかと考えております。
 また、なお書きのところでございますが、施設従事者虐待について、市町村のほうで発生要因として考えているものを幾つか挙げてもらっておりますけれども、「教育・知識・介護技術等に関する問題」「倫理観や理念の欠如」などが多く挙げられているという状況でございます。
 現在、この調査結果の詳細な分析、重篤事例の検証などを今年度の調査研究で行っているところでございますが、来年度以降も調査項目の追加も含めて調査研究で検討していきたいと思っております。
 今後の対応でございます。3ページ目の下のところでございます。今般の報酬改定でも一定対応しておりますが、事業所向けの対応として、障害者虐待防止措置の未実施についての減算措置を導入するということ。それから、身体拘束廃止の未実施減算について、入所・居住系については減算額の引上げをするということでございます。3ポツ目のところでございますが、共同グループホーム、障害者支援施設のところでございますが、地域連携推進会議のような外部の目を入れる取組を入れていくということ。4点目のところでございますが、強度行動障害を有する児者への支援体制の強化といったこともやっていくということにしてございます。
 2つ目のマル「あわせて」というところでございますが、自治体向けの対応というところでございます。2点目のポツのところです。都道府県が実施する障害者虐待防止研修につきましては、令和6年度から国のほうで標準的な研修カリキュラムを示すことにしておりまして、そちらで質を確保していくということ。
 3つ目のポツでございますが、今年度行っている調査研究の中で虐待防止のための取組事例といったものも把握してまいりますので、その辺りを踏まえまして、これから国のほうで虐待防止の手引の見直しをしていきたいと思っております。これらの取組を通じまして改めて自治体における障害者虐待防止や早期発見の取組を徹底していきたいと思っております。
 簡単ですが、以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ただいまの説明につきまして御意見、御質問をお願いいたします。オンラインの方は挙手機能でお示しください。会場の方は挙手をお願いしたいのですが、最初に安藤委員、お願いします。ほかにいかがですか。丹羽委員、井上委員、叶委員、小阪委員、吉野委員ですね。
 それでは、安藤委員からお願いします。
○安藤委員 ありがとうございます。全国脊髄損傷者連合会の安藤です。
 虐待防止の好事例をぜひ御提示いただければと思っています。虐待防止と人材育成は直結していて、全ての事業者がこの2つで悩んでいます。厚労省から既に「障害者虐待の防止と対応の手引き」や「障害者虐待防止法の理解と対応」などが公表されていますが、ぜひこちらに際して虐待防止の好事例なども取り上げていただいて、教えていただければなと思っています。これは要望です。
 以上です。ありがとうございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 丹羽委員、お願いします。
○丹羽委員 全国地域生活支援ネットワークの丹羽でございます。
 虐待防止については、その仕組みが機能して通報件数なども増えているというふうには理解しているものの、やはり重大な虐待案件が依然としてなくならなかったり、人材不足の折、いろんな産業やいろんなバックボーンを持った人たちが障害福祉の仕事に就いてきています。その中で虐待防止研修のカリキュラムの見直しの案が出されているところではありますが、2018年から相模原事件を踏まえて厚生労働省が共生社会等に関する基本理念と普及啓発事業を主催して、もう6年実施しております。その研修はその研修、虐待防止研修は虐待防止研修、サビ管研修、各社法定研修がありますけれども、そろそろ相模原事件を踏まえて行われた共生社会の研修の総括や、そこに含まれるエッセンスを、我々の仕事の価値や意義ということをそれぞれの法定研修の中に少しなじませていくというか、仕込んでいくという作業も必要かなと共生社会の研修にも協力している者として感じております。
 今後この法定研修のカリキュラムの見直しに当たっては、様々な人材が障害福祉の分野にも参入してきているという状況から、いま一度そういった我々の仕事の価値や意義ということがしっかりと伝えられる、そんなことも必要ではないかと考えております。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 井上委員、お願いします。
○井上委員 知的障害者福祉協会の井上でございます。
 先ほど御報告があったとおり、虐待を受けた障害者の約70%が知的障害の方たちだという結果で、本当に深刻に受け止めているところです。この結果には様々な要因があるのだろうと思いますが、先ほど話題に上がったようなビジネスモデルが非常に心配されるというのが1つです。もう一つは、多くは障害の重い人たちが利用する場所で起きていますので、第三者委員が多くの事業所に入っていくという仕組みでなければ、今以上には守り切れないのではないかというのが2点目です。最後ですが、私はトップマネジメントが最も重要だと思います。要するに、直接支援を行うスタッフの研修等は随分充実したものがあると思いますが、やはり経営者や施設長自らが、虐待をなくすのだという強いメッセージを出していかなければ、虐待はなくならないのではないかと思いますので、施設長なり管理者の研修の部分について、ぜひ御検討いただければありがたいというところです。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 叶委員、お願いします。
○叶委員 全国社会就労センター協議会の叶です。
 1点だけですけれども、今回質の確保につなげるために共同生活援助、グループホームと施設入所支援に地域連携推進会議を設置すると。地域の関係者を含む外部の目、あるいは第三者による評価を定期的に入れる取組が努力義務化されるということで、それはいいのですが、今後はそこで何をチェックして、問題があった事業所に具体的にどういう対応をしていくのかということが重要かなと思っておりますので、今後その辺をしっかり議論していくことができればと思っています。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 小阪委員、お願いします。
○小阪委員 日本メンタルヘルスピアサポート専門員研修機構の小阪です。
 障害者虐待事例の対応状況調査結果等についてですが、虐待の相談・通報件数に対して、虐待判断件数との間にかなりの乖離が生じていることは以前から気になっているところですが、関連して1点質問させていただければと思います。障害者虐待に係る相談・通報があったにもかかわらず、明らかに虐待ではなく、調査不要とされた1,444件及び352件は、例えばどのような事例があるのでしょうか。相談・通報があったにもかかわらず調査不要とする在り方が今般の障害者虐待防止の取組強化の中において果たして適切な対応と言えるのか、いささか心配になりますので、教えていただければと思います。
○菊池部会長 事務局、いかがでしょうか。
○羽野地域生活・発達支援障害者支援室長 まず、原則論で申し上げますと、障害者虐待が疑われる事例があれば、原則訪問等により対応するというのが原則であるということは申し上げたいと思います。その上で、訪問等による対応がなされないまま処理がなされているものが一部あるわけですが、そのようなものの中で大体どういうものがあるかというのを我々が把握している限りでは、虐待とは言えないような、いわゆるサービスに対する苦情みたいなものが寄せられたケースなどについては、そういった処理がなされているやには聞いております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 それでは、吉野委員、お願いします。
○吉野委員 全日本ろうあ連盟の吉野でございます。
 資料4の9ページ、虐待の件数について書いてありますけれども、身体障害者の数、知的障害の数、精神障害の数、発達障害の数、難病数と、5種類のカテゴリーに分かれておりますが、身体障害者数のパーセンテージが総数となっています。身体障害の中には視覚、聴覚、肢体と様々な種別がございますので、次の検討のときで結構ですけれども、この調査をする際には障害種別の数をしっかりと示していただきたいと思います。この数を見ることによってより課題が掘り下げられ正確な分析が可能になります。これが1点目です。
 次に、研修についてですけれども、先ほど申し上げたように、障害当事者が参画してきちんとその研修、対応方法等について学んでいただくようにお願いしたいと思います。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 1点目については。
○羽野地域生活・発達支援障害者支援室長 現状では、今、吉野委員がおっしゃったように、障害種別はこの5類型で把握しているというところでございます。把握するに当たっては、実際に自治体の皆さんが、通報があって把握をしていく。この調査票の様式によるものでありまして、実際にどの程度負荷をかけていいかというところは検討しなければなりませんが、今後様式の項目の追加も含めて検討していきたいと思いますので、今日の吉野委員の御意見も含めて、どのような対応ができるか考えたいと思います。
○菊池部会長 御検討をよろしくお願いします。
 それでは、オンラインで江澤委員からお願いします。
○江澤委員 ありがとうございます。
 虐待が増えているというのは大変ゆゆしきことでございます。特に障害者福祉施設従事者等による障害者虐待が増えているというのは、これはプロのスタッフが行っていることなので、極めて重要案件で、早急な改善が必要なことだと思います。
 以前から何度も申し上げておりますように、虐待をしない、あるいは身体拘束をしないという組織風土の構築が極めて重要であります。先ほどの御意見にもありましたように、やはり経営者、管理者のリーダーシップによる組織的な取組というのが欠かせないと思います。
 同じ人員配置であっても拘束や虐待が多い施設と少ない施設があります。また、従業員、職員は地域の身近な事業所に通って働いているケースが圧倒的に多いと思います。ということは、職員の資質に全体的にはさほど差がないかと思います。もちろん、虐待をするような一部の不適切な職員も存在しているかとは思いますが、全体的なマスで見たときに、身近なところに通っている職員、すなわち職員の人たちも同じでも、虐待や拘束が多い施設、少ない施設、あるいはゼロの施設、地域にはいろいろ存在しているわけであります。
 したがいまして、御本人の症状に向き合うのではなく、その人の人となりという本質に対応する、そういったプロスタッフとしての専門性を高めるための研修・教育を、経営者、管理者のリーダーシップの下、取り組んでいくことが欠かせないと思っております。人を大切にできなければ、どの仕事に就いてもうまくいかないわけですから、特に我々の業種は人を大切に想うということをしっかりと心に留めて、そういったものを理念に掲げて、組織的、あるいは一人一人の職員の心に根づかせていくということを日々継続していくことが極めて大切なことだと思っております。
 以上でございます。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 ほかにはよろしいですか。
 それでは、佐々木委員、お願いします。
○佐々木委員 すみません。先ほど手を挙げそびれてしまって。
 知的障害のある人たちが圧倒的に虐待されているという結果には、家族としては大変憤りを感じるとともに悲しいなと思っています。ただ、たまたま先日、知的障害者の権利擁護関係のシンポジウムに出ましたときに、一緒に出たシンポジストの方から家族会が問題だというようなことを言われたのです。つまり、うちの子供は大変お世話になっていて、虐待なんか受けていないのだというようなことを御家族がおっしゃるので、そういうこと自体が問題なのではないかというふうに言われました。
 確かに私の息子がまだ高等部ぐらいにいたとき、もう20年近く前ですけれども、そういったいろんな事件があったりしたときに、家族は虐待した人を守るようなことを発するということを言われたことがあります。本当に大変な子供を預かってもらっているというありがたさもあると思うのですが、私も親ですのでそういったことは理解できます。ただ、親の会としても、これからそういった親の認識を変えていなければいけないのだな。そういう意識を変えていけるようなこともやっていきたいと思います。宣言になってしまいますけれども。そういうことが実態としてまだまだある。何十年たった今もまだまだあるということをすごく言われてしまいました。
 以上です。
○菊池部会長 あえてこの場で発言をいただいたということで受け止めさせていただきます。ありがとうございます。
 ほかにはよろしいでしょうか。
 ございませんようですので、今日このテーマを取り上げてくださって、多くの御発言をいただきましたが、今、調査研究で分析が進んでいて、報告書は厚労省のホームページで公表予定ということですが。
○吉野委員 吉野ですが、意見を1つよろしいでしょうか。
○菊池部会長 はい。では、吉野委員。
○吉野委員 全くその他になってしまうのですが、お時間もないようなので意見だけ。
○菊池部会長 短時間でお願いします。
○吉野委員 先ほど竹下委員のほうからも御意見があったのですけれども、介護保険の検討部会と医療部会とこちらの社会保障審議会があると思うのですが、当事者が参画していません。これは必要だと思っております。医療部会ではDX、オンライン医療なども導入されているところですけれども、障害者が取り残されてしまうという懸念がありますので、医療部会のほうも障害当事者が参画していただくよう、ぜひ部会のほうでお願いしたいと思いました。
 以上です。
○菊池部会長 ありがとうございます。
 関連部局にそういう意見があったことはお伝えいただきたいと思います。
 戻りますけれども、ホームページに公表というところで、何らかのエッセンスなりをまたこの部会で報告する可能性もあるかもしれません。調査研究の内容そのものを審議会で出すというのはあまりないことかもしれませんが、ただ、せっかく皆さん御関心をお持ちいただいているので、検討していただくということでよろしいですか。
○羽野地域生活・発達支援障害者支援室長 はい。
○菊池部会長 お願いします。
 それでは、時間が参りましたので、本日はここまでにしたいと思います。
 最後に今後のスケジュール等につきまして、事務局からお願いいたします。
○江口企画課長 事務局です。
 本日は長時間にわたりまして熱心な御議論、大変ありがとうございました。
 次回の障害者部会の日程については、決まり次第御連絡差し上げますので、よろしくお願いいたします。
 事務局からは以上です。
○菊池部会長 それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。皆様、大変お忙しい中、長時間にわたりましてどうもありがとうございました。