第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会 議事録

健康・生活衛生局感染症対策部予防接種課

日時

令和6年2月14日(水) 13:00~15:00

場所

Web会議
厚生労働省 仮設第1会議室
(東京都千代田区霞が関1-2-2)

議題

(1)海外製インフルエンザワクチンの製造株選定に伴う薬事関係の具体的なスケジュール等について(報告)
(2)季節性インフルエンザHAワクチンの供給について(報告)
(3)季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会及び同委員会における審議への参加規程を改正する件について
(4)ワクチンの研究開発支援について(報告)
(5)その他

議事

議事内容
 ○清水ワクチン開発専門官 定刻になりましたので、ただいまより「第34回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会研究開発及び生産・流通部会」を開催いたします。本日は、御多忙のところ御出席いただき誠にありがとうございます。
 本日の議事は公開です。議事の様子はYouTubeで配信いたしますので、あらかじめ御了承ください。なお、事務局で用意しているYouTube撮影用以外のカメラ撮りは、議事に入るまでとさせていただきますので、プレス関係者の方々におかれましては、御理解と御協力をお願いいたします。また、傍聴の方は、傍聴に関しての留意事項の遵守をお願いいたします。会議冒頭の頭撮りを除き、写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 本日は、対面とWeb会議のハイブリッド形式で開催いたします。まず、Web会議を開催するに当たり、会議の進め方について御連絡させていただきます。御発言をされる場合は、まずお名前をおっしゃっていただき、部会長より御指名されてから御発言をお願いいたします。なお、Web会議ですのでタイムラグが生じますが、御了承願います。会議の途中で長時間音声が聞こえない等のトラブルが生じた場合は、あらかじめお知らせしている番号までお電話をお願いいたします。
 また、会議に先立ちまして、事務局に人事異動がありましたので、御紹介申し上げます。昨年の9月1日の感染症対策部の設置に伴い、佐々木感染症対策部長が着任しておりますので、よろしくお願いいたします。なお、佐々木部長は、後ほど公務のため途中で退席させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
 続きまして、委員の出欠状況について御報告いたします。現在、9名の委員にWebにて御出席いただいており、釜萢委員は14時頃より出席する旨の御連絡を頂いております。委員10名のうち9名に御参加いただいておりますので、定足数を満たしており、厚生科学審議会の規定により、本日の会議が成立することを御報告いたします。
 申し訳ございませんが、冒頭のカメラ撮りについてはここまでとさせていただきますので、御協力をよろしくお願いいたします。なお、これ以降は写真撮影、ビデオ撮影、録音をすることはできませんので、御留意ください。
 それでは、議事に先立ちまして、本部会の資料について御説明させていただきます。本部会の資料に関しましては、通信負荷軽減の観点から、基本的に画面には投映いたしませんので、傍聴されている方々を含め、Webサイトに掲載されている資料をお手元に御用意ください。それでは、ここからの進行は伊藤部会長にお願いいたします。
○伊藤部会長 皆様、御出席ありがとうございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。それでは、事務局から、審議参加に関する遵守事項等についての報告をお願いします。
○清水ワクチン開発専門官 審議参加の取扱いについて御報告いたします。本日、御出席いただきました委員から、予防接種・ワクチン分科会審議参加規程に基づき、ワクチンの製造販売業者からの寄附金等の受取状況、申請資料への関与について御申告を頂きました。各委員からの申告内容については、利益相反関係書類を御確認いただければと思います。本日の議事内容において個別に調査審議される品目はございませんので、議事への不参加に該当する方はおりません。以上です。
○伊藤部会長 それでは、早速議事に入らせていただきます。本日最初の議題は、「海外製インフルエンザワクチンの製造株選定に伴う薬事関係の具体的なスケジュール等について」となります。昨年1月の第31回の生産・流通部会で話が出ておりました海外でのインフルエンザワクチンの製造株ということについての話だと思いますが、まず事務局から説明をお願いします。
○藤井予防種課課長補佐 事務局でございます。資料1を御覧ください。資料の表題にありますとおり、海外製インフルエンザワクチンについては、これまでこの部会で製造株選択のスキームについて決定を頂いておりました。今回、薬事関係の部分の具体的な進め方について、報告を行うものになります。
 まず、これまでの経緯について振り返りたいと考えております。資料1の3ページを御覧ください。こちらは、令和4年3月にありました本部会の資料について、当時御議論いただいて決定した内容を更新した上で掲載したものになります。スライドの上の灰色の部分にありますとおり、2年前の部会で、海外製季節性インフルエンザワクチンの導入について、検討を始めていただきました。「現状・課題」の最初の箇条書きにありますが、海外製の季節性インフルエンザワクチンについて、国内で開発が進んでいるものは、鶏卵を用いて製造されるものとなっております。これら鶏卵を用いて製造される季節性インフルエンザワクチンについて、「対応」の囲みの最初の箇条書きにありますとおり、WHOの推奨する複数の製造株の中から選択した株でワクチンを製造していることを前提に、海外製ワクチンの導入について検討を進めることとされました。
 資料の4ページです。こちらは、昨年1月の本部会の資料となります。「現状・課題」の1つ目の箇条書きになりますが、国内の既存のインフルエンザワクチンについては、WHOの推奨株の中から感染研での検討を経て、行政がワクチンの製造株を1つに決めていることなどから、製造株の変更については薬事申請を不要としております。下の「対応」の囲みの最初の箇条書きに記載されておりますとおり、この既存のスキームは存続させることとした上で、2つ目の箇条書きにありますとおり、海外製ワクチンについては、WHOの推奨する複数の製造株から自社で株を決定していますので、製造株の変更についても薬事申請を求めた上で、現状と同様に審議会での検討を経る必要がないことを決定いただいております。
 なお、3つ目の箇条書きでは、既存の株選定スキームと新たに設けるスキームという紀載があり、これらは便宜的に「国内スキーム」、「海外スキーム」という表現を行っておりますが、今後は、製造企業が国内・海外であるかに関係なく、どちらのスキームを使用するかは、ワクチン製造企業の希望に応じて選択できることとされております。
 資料の5ページを御覧ください。こちらには、製造株決定に関する国内と海外のプロセスの比較、また、これは資料の3、4ページの説明とも結果的に合致するものになりますが、それを図式化したものになっております。海外と国内では、大きく違いが2か所あります。
 1つ目はスライドの真ん中辺りになりますが、製造株の決定の部分になります。海外では、WHOが推奨した複数の製造株から、企業が製造株を決定しております。これに対し、日本では行政が1つの製造株を決定しております。
 2つ目として、真ん中少し下の辺りになりますが、海外では、製造株変更に当たって薬事審査の過程を経ておりますが、国内では、行政が決定した製造株で製造していることを踏まえ、薬事審査は求めておりません。
 資料の6ページにまいります。昨年1月までの本部会の議論の中で、海外製インフルエンザワクチンの製造株変更の進め方の大枠について決定を頂いておりました。当時の部会にて、その具体的な進め方として、資料の最初の箇条書きの1つ目の矢羽根にありますとおり、「製造株変更に伴う薬事審査の申請資料やスケジュール」、2つ目の矢羽根の「国家検定のスケジュール」については、関係部署と事務的な調整が必要で、改めて本部会にスキームを報告することとなっておりました。経緯の部分が長くなりましだが、今回はそのスキームが決まりましたので、御報告させていただくものとなります。
 資料の8ページに移っていただきたく存じます。海外製インフルエンザワクチンのように、WHOの推奨株の中から、自社で選定した株を用いて製造されるワクチンの製造株変更についての取扱いを記載しております。スライドの灰色の所に記載しておりますが、薬事を所管しております医薬局において、薬事関係の申請資料や具体的なスケジュール等について検討を進め、その内容について本年1月31日に通知が発出されております。実際の通知を本日の参考資料1に添付しておりますが、その概要を8ページ以下にまとめております。
 まず、「薬事審査」に関する内容を上の枠に記載しております。最初の箇条書きになりますが、WHOの推奨株から自社で選定した株を用いて製造するインフルエンザワクチンについて、製造株を変更する場合は、承認事項一部変更申請、いわゆる一変申請が必要であると記載されております。その一変申請については、一般に10月から開始されておりますワクチン接種に間に合うようにすることを念頭に、遅くとも7月上旬までに申請を行うこととされております。また、3つ目の箇条書きには、一変申請に当たって提出が必要な資料として、製造株の抗原性に関する資料、また、製品の品質に関する資料があることについて記載されており、4つ目の箇条書きには、製造株変更に当たっては、それ以外の内容を含めないことを前提に、申請から承認までの標準的事務処理期間を2か月と設定しております。
 次に、国家検定のスケジュールについては、国家検定に用いる試験試薬やそのデータの送付、また、国家検定の出検スケジュールや出検計画の提出について、国家検定を実施する国立感染症研究所から指定された期日までに行うこと、製造・試験記録等要約書の様式の作成や変更が必要な場合には、出検を行う年の1月中を目途に申請を行うこととされております。
 続いて、資料の9ページには、8ページで御説明をした資料の内容を図式化し、製造株変更のスケジュールの例として想定されるものについてお示しをしております。左上になりますが、2月下旬にインフルエンザワクチンについて、WHOの推奨株が決定された後、ちょうど真ん中辺りになりますが、製造株の変更に関する一変申請の準備を行い、遅くとも7月上旬までに薬事申請、2か月を目標に薬事審査、薬事承認、国家検定を経て、10月頃からのインフルエンザワクチンの接種という流れを想定しております。
 資料の11ページに移っていただきたいと思います。今後の対応、主に今年の秋冬の季節性インフルエンザワクチンの接種に向けた動きについて記載をしております。
 最初の箇条書きの1つ目の矢羽根に、この秋冬のインフルエンザワクチンの製造株の決定、これはいわゆる国内スキームに関するものになりますが、毎年4月頃に行っております製造株検討の小委員会にて検討を行っていただくことを予定しております。また、2つ目の矢羽根にあります今年の秋冬のインフルエンザワクチンの供給予定数量については、毎年8月後半に実施しております本部会にて御報告することを予定しております。なお、2つ目の箇条書きにありますとおり、今後、国内でmRNA等を用いて製造される季節性インフルエンザワクチンが開発されました場合には、その際にWHOの動向等を踏まえながら、製造株選定のスキームを検討していく予定としております。長くなりましたが、資料1の御説明は以上です。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤部会長 ありがとうございます。昨年既に決定したスキームに基づいて、今年は具体的にどのような形で運用するのかという話です。従前は、坂元先生にお願いをしている小委員会で鶏卵培養のワクチン株を決定していたわけですが、今回からは、WHOが推奨したものであるならば、その推奨に基づいて薬事承認申請されて国内で使えるようになるということです。その際、WHOが選定したものという条件がもちろん付いているのだと思っております。そういうものについては、基本的にはこの委員会も含めて、株選定について何ら文句言わずに承認というか、使えるようにするプロセスということだと思っております。まずは皆様から御質問を受けたいと思います。いかがでしょうか。信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 ありがとうございます。今回の海外製のワクチンでの対応から派生して、国内で現在使われている不活化の鶏卵培養ワクチンに対しても、既存の選定スキームのほかに海外製のワクチン用の新しいスキームが使えるということは、選択の幅が広がったという点でいいことではないかと思います。
 それで、幾つか伺っておきたいのですが、従来ですと、健康局長通知で、先ほど伊藤先生からもお話がありましたように、決められたワクチン株で製造するということになっていますが、メーカーが独自にWHO推奨株で製造した場合には、そういう枠組みの外で製造が行われるということで、WHOの推奨株を使う分には問題ないのだと思いますけれども、そうすると、もしそういうメーカーが増えてくると、健康局長通知の意味がちょっと曖昧になるのかなという、あるいは健康局長通知でも、今までのように特定の株名を出すのではなくて、WHOの推奨の仕方のように、何々like株という推奨の仕方に変えたほうが統一性が取れるのかなという気がいたしました。
 それともう1つ、これは私が申し上げることでもないのかもしれませんが、メーカーのほうがよく御存じだと思いますけれども、ワクチンを製造する際に、感染研から分与されたワクチン株で製造することとしているメーカーもあると思いますので、その場合には感染研からではなくて、WHOが推奨しているワクチン株を使うというように変更しないと、多分、海外スキームの製造の仕方ができないのではないかと思いました。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。ほかにどなたかございますか。なければ、事務局から今の信澤先生の御質問に対して回答をお願いできますでしょうか。
○藤井予防接種課課長補佐 事務局でございます。まず、1点目の健康局長通知で選定するものと、あとは今回海外スキームのような形、新設のスキーム独自でやる場合というようなところで、もし海外製のスキームを使うことが増えてきた場合には通知の意味が曖昧になるのではないかというような御質問が1つ目だったかと思っております。
 こちらについては、実際に今後運用していく上で検討していくことだと考えておりますが、少なくとも国内の不活化ワクチンについては、現在のように国内の既存のスキームの中で、例えば試薬の調整などについてのメリットなどもありますので、引き続き行った上で、また、各企業とも相談をしながら必要に応じて検討を進めていくことになるのかなと思っております。こちらがまず1点目になります。
 それから、ワクチン株、感染研から分与されたものと、それからWHOから推奨されたもの、そういったものが出てくるというお話についてですが、担当の理解としましては、基本的に感染研から分与されたものについては、国内のスキームに乗るような形になると考えておりまして、それ以外に海外で製造されるものについては、別途入手をされるというような形になってくると理解をしておりますが、こういったものについても運用を見ながら検討をしていくことになるかと思っております。こういった回答でよろしいでしょうか。
○信澤委員 ありがとうございます。少し私の説明が、あるいは私の理解が違っているのかもしれませんが、海外用のスキームが使えるようになったということで、私の理解では海外で製造されたワクチンだけではなく、日本国内で現在使っているような季節性のインフルエンザワクチンの場合にも、今のスキームではなくて、メーカーがWHOCCからワクチン株を輸入して製造していくことが、もちろん薬事承認の変更などは必要ですけれども、可能になるのかなと理解していたのですが、現行のワクチンに対してはそれは適用されないということでしょうか。
○藤井予防接種課課長補佐 事務局です。今、国内で製造されている不活化ワクチン、4社が今年製造されておりますが、そちらについても先生のおっしゃるとおりで、今回の資料の中ですと4ページの一番下辺りになりますが、今後ワクチンの製造企業の御判断の中で、各企業の希望に応じて選択ができることになっております。その部分につきましては、また今後、運用を見ながら検討されていくことになると考えております。
○伊藤部会長 ありがとうございました。ほかに御質問はありますでしょうか。福島先生、どうぞ。
○福島委員 質問というよりはコメント程度なのですが、今回、海外製のインフルエンザワクチンの導入に当たって、これまで行われてきた国内スキームとは別のスキームを立てられたということ、それは短期的には、次のシーズンのフルミストをどう流通させるかというところで作らなければならないスキームだったと理解しておりますけれども、このようなスキームが作られたことで、先ほど信澤先生がおっしゃいましたように、今後、国内メーカーさんも、どちらかを選べるという選択肢ができたということは非常にいいことだと思いました。
 これから数年は、国内メーカーさんのインフルエンザワクチンの株選定スキームは従来どおりで行くのだろうなと思うのですが、今後mRNAワクチンが承認、流通したりなど、多分ここ10年ぐらいでかなり変わってくると思いますので、それは追々状況を見て、また調整していくのかなと理解をしております。以上です。
○伊藤部会長 ほかにどなたかございますか。去年から予定されたスキームだと思いますので、国内のメーカーについても、WHOの推奨株を使って、国内で製造するときには薬事承認を経て製造販売していただくという話になるのだろうと思います。フルミストだけでなくて、高用量のインフルエンザワクチンや様々な細胞培養、アジュバントを添加したタンパクワクチンなど、様々なスキームが海外から入ってくる可能性があるという状況なのだろうと思います。引き続き予防接種としての枠組みはウォッチしてくのでしょうけれども、感染研で株選定するという役割については、ある一定程度の低下、必要性が失われていくということは、昨年決定したことから派生した現実的な変化で、実運用スキームがこんな形で提示されたということで御理解いただければと思いますが、事務局、そういうことでよろしいですよね。ありがとうございました。
 それでは、ほかに御意見がないようでしたら、次の議題に移らせていただきます。「季節性のインフルエンザHAワクチンの供給について」となります。まず、事務局から御説明をお願いいたします。
○藤井予防接種課課長補佐 それでは、事務局から失礼いたします。資料2を御覧ください。表題に「季節性インフルエンザHAワクチンの供給について」と書かれた資料について、事務局から御説明をいたします。
 2ページを御覧ください。背景の所の最初の箇条書きになりますが、インフルエンザについては、予防接種法上でB類疾病に分類され、65歳以上の方等を対象として、定期接種が実施されております。次の箇条書きになりますが、インフルエンザHAワクチンは、現在、国内4社から供給されておりまして、年間の供給量は、年度により変動はありますが、直近3年度では1mL入りのバイアルで2,900~3,600万程度となっております。年間の使用量は、令和3、4年度は2,600万本程度で、今年度も同程度の使用量が見込まれております。
 報告事項に移ります。この度、インフルエンザHAワクチンを製造しております国内4社のうち、第一三共株式会社から従来の鶏卵培養の皮下注製剤については、今年度限りの供給として、次のシーズン以降、言い換えますと、今年の秋冬以降の生産・販売は行わない旨の報告がありました。報告事項の箇条書きの3つ目になりますが、来シーズンに向けた第一三共以外の3社の生産予定数量は、現時点では、今シーズンの使用量と同程度以上となる見込みです。今後、来シーズンに向けて製造株の収率等を精査した後、例年同様に8月頃になりますが、来シーズンの生産予定数量をこちらの部会に報告させていただく予定です。簡単ではございますが、資料2に関する事務局からの説明は以上となります。どうぞよろしくお願いいたします。
○伊藤部会長 まず、皆さんから御質問を受けたいと思いますが、いかがでしょうか。第一三共が従来型の鶏卵培養のワクチン製造から撤退するということだと思います。漏れ聞くところによれば、コロナのダイチロナの製造とかフルミストなどと、様々な業務が発生しているので、そちらに注力する必要から、鶏卵培養については撤収すると、これは伝聞ではありますが、聞いています。全体としてはやむを得ないかなとは、もちろん思うのですけれど、皆さんから、ほかに御質問などございますか。信澤先生、どうぞ。
○信澤委員 今後、今お話がありましたようなフルミストですとか、あるいはmRNAワクチンが増えてきた場合、このワクチンの供給量のところは、何か色分けでこういうワクチンがどれぐらいとかいう、そういうワクチンごとの供給量の提示ということになるのでしょうか。
○伊藤部会長 事務局からお願いできますか。
○藤井予防接種課課長補佐 事務局からお答えいたします。毎年8月に、まさにそういった生産予定数量などをお示しをしております。その部分につきまして、mRNAワクチンですとか、フルミストですとか、そういったものが出てまいりましたときの記載につきましては、今後どのようにお示しするのか検討させていただきたいと考えております。少なくとも、既存の鶏卵培養の皮下注のものにつきましては公表しておりますところですが、8月の部会でお示しをすることを考えております。
○伊藤部会長 ほかにございますか。坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元でございます。信澤先生の質問とも関係するのですが、今すぐにではないのですけれど、いろいろなモダリティのワクチンが出てきたときに、供給量の見積りは結構難しくなってくる可能性があると思います。今までは鶏卵ワクチン1つしかなくて、恐らくインフルエンザワクチンを打たれている方は、どのメーカーのワクチンを打たれたかということすら、ほとんど意識はしていないのではないかと思うのですが、今後例えばフルミストとかmRNAとかいろいろなものが出てきたときに、それぞれ皆さんの選択が広がるのはいいことなのですけれど、供給量を読むのが逆に難しくなってくるので、その辺を今後しっかり考えていかなければならないと思います。
 特に65歳以上の高齢者はB類にはなると思うのですけれど、そういう新しいワクチンもB類の中に入ってくると、市町村のほうも、その辺の周知とかを考えていかなければならないので、今のうちから今後のスキームもある程度見通して考えていく必要があると思っております。以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。今のは御意見ということで、これは全ての人たちが心配する、特に自治体が心配される話でしょうし、フルミストに至っては適用対象の人たちも違いますので、そういう意味では、より細かく見ていかなければいけないのだろうと思います。そういう点で、分かり次第できるだけ早めに会を開いていただく、報告が今までは8月末になっていたことが多かったと思いますが、それだと自治体の対応がなかなか大変かなという気もするので、情報提供の機会がもう少し早いほうがいいのかという気がします。そこは、この部会から厚生労働省にも、できるだけ早めに情報提供をしていただき、公開できるようにしていただきたいとお願いをしたいと思いますが、それはよろしいでしょうか。多分、そういうことですよね、きっと皆さんが希望されていることは。合田先生、どうぞ。
○合田委員 今の意見は全くそのとおりで、どういう生産になるかで、タイプが違うと受ける人がどれを受けたらいいかというのは全く別問題になるという、特に地方自治体の方はそれが分からないと困るだろうなと思いましたので賛成いたします。
○伊藤部会長 皆さん首肯していただいていますので、厚生労働省にお願いをしたいということで、よろしいでしょうか。
○藤井予防接種課課長補佐 先生方、どうもありがとうございます。今、部会の先生方から頂いた御意見を踏まえまして、できるだけ早めに、できるところからやっていきたいと考えております。以上です。
○伊藤部会長 引き続いて、次の議題に移らせていただきます。「季節性インフルエンザワクチンの製造株に関する小委員会及び同委員会における審議の参加規程に改正する件について」となりますが、まず事務局から御説明をお願いいたします。
○藤井予防接種課課長補佐 資料3の関係につきまして、事務局から御説明いたします。本議題の季節インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会及び設置要項等の改正に関しまして、経緯を含め、資料3-1「新型コロナワクチンの製造株に係る検討について」に基づいて御説明させていただきます。
 資料の3ページを御覧ください。背景として、具体的な説明はここでは割愛をさせていただきますけれども、新型コロナワクチンの接種に関するこれまでの経緯が記載されております。
 4ページを御覧ください。令和6年度以降の新型コロナワクチンの接種についてまとめられております。これまで進めてきた新型コロナウイルスの特例臨時接種については、本年度末、今年の3月で終了すること、そしてその下の1にありますとおり、令和6年度からは65歳以上等を対象にした定期接種に移行すること、次に2の部分になりますが、接種のタイミングについては年1回、秋冬とすること、そして3の「用いるワクチンについて」に記載されておりますが、ワクチンに含むウイルス株については、当面の間、毎年見直すこととされています。
 資料の5ページを御覧ください。つい先日となりますけれども、2月5日の予防接種・ワクチン分科会におきまして、赤枠で囲まれた部分の最初の箇条書きになりますが、新型コロナワクチンに含まれますウイルス株の選択については、インフルエンザワクチンと同様に、最新のWHOの推奨株を用いることを基本とすること、また、3つ目の箇条書きにありますが、今後の具体的な検討につきましては、インフルエンザワクチンの株の検討と同様に、本部会、研究開発及び生産・流通部会において行うことが決定されたところです。
 資料の6ページですが、令和5年、昨年秋冬の新型コロナワクチンの接種に向けた実績のスケジュールが記載されております。春にWHOにおけるワクチンの推奨株の議論が行われた後、国内においても予防接種・ワクチン分科会等で議論が行われ、昨年の6月16日の取りまとめを受けて、ワクチンの製造販売業者が準備を進め、9月1日以降、順次、製造販売承認事項の一変が承認され、昨年9月20日から接種が開始されております。
 資料の7ページを御覧ください。灰色の部分の最初の箇条書きになりますが、新型コロナワクチンの接種に用いるワクチンについて、国内では、主流の流行株の疫学的状況やワクチンの開発状況を踏まえて検討を行ってきたこと、また、mRNAワクチンを用いることができない方等への選択肢確保の観点から、ほかのモダリティのワクチンも用いることができるようにしてきたこと、また、具体的な御説明は割愛いたしますけれども、WHOで行われた直近の評価の概要について記載をしております。
 資料の8、9ページは、本日の部会にて取り扱われた資料の再掲となっております。
 資料の11ページが、今回お諮りする内容になります。灰色の部分の最初の箇条書きを御覧ください。予防接種・ワクチン分科会、こちらは2月5日に開催された際の議決事項になりますけれども、その内容を受けて、本部会、また、既に設置されています「季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会」において、新型コロナワクチンの製造株に関する検討を行うことについてお諮りをいたしたく存じます。こちらが御了承いただけます場合には、2つ目の箇条書きのとおり、当該小委員会の設置要項につきまして必要な改正を行わせていただきたいと考えております。下の隅付き括弧の最初を御覧ください。設置要綱の改正案につきましては、資料3-2として御準備いたしております。詳細な説明は省略させていただきますけれども、既存のインフルエンザワクチンに関する小委員会の設置要綱をベースに、新型コロナワクチンも検討できるように記載を改めたものになります。
 なお、資料3-3としまして、予防接種・ワクチン分科会の参加規程につきましても、分科会にお諮りをした上で、必要な改正を行っていくことを予定しておりますので、その改正案をお示ししております。
 再び灰色部分の2つ目の箇条書きに戻りますが、小委員会での検討に当たりましては、重要な科学的知見に関する専門家を参考人として招致するなど、検討体制の充実を図っていきたいと考えております。以上が資料3関係及び議事次第の議題3の関係の御説明となります。御審議のほど、どうぞよろしくお願い申し上げます。
○伊藤部会長 ありがとうございます。季節性インフルエンザワクチンの製造株について検討する小委員会は、昨年4月の名簿を拝見すると、坂元先生に委員長をお願いしていて、荒戸先生、釜萢先生、福島先生が参画されていて、インフルエンザワクチンの株選定を検討していただいております。今回、WHOによる株決定が入ってくるのと、バーターのような形にはなりますが、季節性インフルエンザだけではなく、新型コロナのワクチンの株選定についても決めていただくように図るということが、上の分科会のほうからの意見を踏まえて決まってきているということですが、まず、このことに関して御意見や御質問はございますか。
 特段の御意見がなければ、今後、新型コロナのワクチン株の選定について議論、情報収集をした上で御報告いただいて、最終的に我が国で使うワクチンに関しての決定をしていくという手続かと思いますが、それでよろしいでしょうか。福島先生、どうぞ。
○福島委員 多分、詳細はこれから決まると思いますので、今、具体的な質問ということではないのですが、インフルエンザワクチン株の選定については、WHOから亜型系統ごとに推奨株が幾つか出されて、それを踏まえつつ、日本の周囲で流行している株を、感染研のサーベイランス情報をもとに評価いただいたり、あるいは流行予測株とワクチン候補株の抗原性の合致度などを見ていただいて、さらに小委員会のほうでその候補株の増殖性、生産性等を含めて、本当に丁寧に国内選定株を決めていただいていると思います。これが国内用の株選定スキームの最大の強みであります。
 私、先ほど発言し忘れたのですが、この長所は、海外用の株選定スキームができたとしても、決して損なわれることはない非常に利点の多い選定方法だと思っております。一方、コロナワクチンについては、現在のところ1つの株ぐらいしかWHOで推奨されていない状況で、国内の株をどうやって決めていくのかなというのがちょっと疑問ではあります。以上です。
○伊藤部会長 では、まず、釜萢先生から御意見を頂きます。
○釜萢委員 ありがとうございます。少し遅参をいたしまして失礼いたしました。今日提示された資料3-1の11ページの方法について、私は適切で妥当であろうというように考えております。
 今、福島先生からも御指摘がありましたが、コロナワクチンの株がどのように実際に提示されるのか、WHOがこの株というのを選定しているのだと思いますけれども、それに見合った株を使ったワクチンが安定的に供給されるかどうかについては、季節性インフルエンザのときの経験とはまたちょっと違う、いろいろな不確定の要素も入ってくるのかなというようには感じておりますが、それについては、検討に必要な専門家の方を場合によってはお入れになるということかと思いますので、その中で新型コロナのワクチンをどのようにやっていくのかということについて、小委員会でまずしっかり検討し、それを踏まえて、本部会でもきちんと承認をするという形でいけばよいのではないかなというように感じております。
 もう既に議論が出ていたのかもしれませんが、季節性のインフルエンザの場合には、株を選んだ後で、実際に作ってみたら収量が足りなかったので、また少し株を修正したというような経験もありますが、コロナのワクチンの場合は、そういうようなことは余りないのかなというようにも思います。というのは、モダリティが違うので、その辺りはそうはならないのかなという気もしますけれども、万全の体制を取る必要があります。繰り返しになりますが、この形の検討の枠組みが私は適当だと思っておりまして、意見を申し述べました。以上です。
○伊藤部会長 坂元先生、どうぞ。
○坂元委員 川崎市の坂元です。私もこの方法で問題はないと思います。ただ、福島先生がちらっと懸念をおっしゃったのは、今後コロナワクチンというのは1種類が選ばれるのか、例えばリコンビナントとmRNAは開発スピードが違うので、mRNAに合わせて直近を選ぶと、リコンビナントがついてこられないので、もしかするとWHOがかなり幅広に選んだ場合、複数のワクチン株みたいなものが出てきたときという問題と、あとは今後の大きな課題として、いろいろなモダリティのワクチンが出てきたときに、恐らく価格が違ってくるので、それをどうやってB類の中でうまく入れていくかというのは、市町村としてもなかなか大変なことだと思うのです。単に、学術的に「では、これでいってみましょう」といったときに、それがひょっとすると非常に高いものだった場合、いろいろな問題が出てきたりなど、そういう費用面での配慮もしていかなければいけないのかなというように思っております。これは意見です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。福島先生や坂元先生からの御懸念、御意見に対して、事務局から回答されますか。
○藤井予防接種課課長補佐 事務局から失礼します。新型コロナワクチンの株選定については、これまでも検討がされてきたというように認識をしておりますが、こうしたインフルエンザの小委員会などを経て、インフルエンザと併せて検討することによって、また、実績を積み重ねていくことによって、こういった議論が今後更に深まっていくのかなというように考えているところです。以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございます。最初なので、なかなか難しい問題が発生する可能性ももちろんあるのだろうと思います。別の所で言われているとおりで、やはりモダリティによって株選定というのは開発から製造までの時間が違うので、本当に1つでいいのかなど、最終的に分からないところもありますが、ただ、専門家や多くの参考人の方も集めていろいろな情報を共有していただいて、公開できる資料としてまとめていただくというのが小委員会の役割だと思いますので、まずは走っていただいて、その上で、どういう形で決めていくのかについては、この委員会、若しくは分科会で最終的な決定をしていただくための最初のステップだと認識しております。ですので、問題が見つかったことに関しては、この委員会、若しくは上の委員会に報告していただくということを目的とする委員会が立ち上がったという理解をしておりますが、それで皆さんよろしいでしょうか。
 今の段階で余りガチガチに決めるということではないということではありますが、昨年は、感染研がある程度のレコメンデーションを出してきたのが、これからはこの委員会で皆さんの知恵を絞っていただいた結果を外に出していくということだと思っておりますが、それでよろしいでしょうか。ありがとうございます。皆さんに首肯していただいていますので、そういう形にさせていただきます。
 それでは、次の議題に入ります。「ワクチンの研究開発支援について」です。きれいに情報をまとめていただいておりますので、御報告をお願いいたします。
○坂西予防接種課課長補佐 資料4に基づいて御説明いたします。ワクチン研究開発支援の取組の状況については、前回、昨年8月の部会においても御説明しておりますので、本日は、前回から更新された箇所を中心に御説明したいと思います。
 2ページ目の「ワクチン開発・生産体制強化戦略関連予算」については変更はありませんので、説明を省略させていただきます。
 続いて、3ページの「ワクチン開発・生産体制強化に関する取組の全体像」については、左上の角が丸い青枠の中の赤字部分ですが、これまで取組の内容で記載していたものに、具体的な事業名称を追加で記載しました。具体的には、左上の「世界トップレベル研究開発拠点形成」には、具体的な事業の名称として「ワクチン開発のための世界トップレベル研究開発拠点形成事業」、右下の「戦略的研究費ファンディング機能の強化」には、「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」を記載しています。このうち、この赤文字の下のもの、「ワクチン・新規モダリティ研究開発事業」に関して、4ページ以降で詳細な資料を付しています。
 4ページ、ワクチン・新規モダリティ研究開発事業の説明ですが、上のほうの1つ目のダイヤのところを御覧ください。本事業は、「今後のパンデミックの脅威に備え、重点感染症に対して、感染症有事にいち早く、安全で有効な、国際的に貢献できるワクチンを国内外に届けるため、平時より長期的・安定的かつ戦略的に、(1)感染症ワクチンの開発、(2)ワクチン開発に資する新規モダリティの研究開発を支援する。」というものとなっております。その下のダイヤのところですが、「そのため、AMEDに設置するSCARDAにおいて、産学官の研究チームによる応用研究~臨床試験に対し、戦略的に研究費用を配分」するというものです。
 具体的には、その下のオレンジ色の枠内を御覧いただきたいのですが、平時の取組としては大きく分けて2つあり、(1)として感染症ワクチンの開発、(2)としてワクチン開発に資する新規モダリティの研究開発を行うことが掲げられております。(1)の感染症ワクチンの開発の箇所の最初の白丸の所ですが、この取組は「重点感染症を対象とすることが基本」とされています。重点感染症については、過去にこの部会を含めた合同部会において、「重点感染症の暫定リスト」を御了承いただき、また、その後、この部会において、「SCARDAにおいてワクチン開発を支援する重点感染症」を選定いただいております。御参考として、本日の資料19ページ以降に、当時の資料を抜粋して添付しております。
 4ページの説明を続けます。この(1)の感染症ワクチンの開発については、重点感染症を対象とすることが基本とされており、具体的には5ページに内容を記載しております。
 5ページを御覧ください。表の上の外の1.重点感染症に対するワクチン開発については、これまでに8課題が採択されて研究開発が進められております。例えば、枠内の1つ目にはユニバーサルコロナワクチン開発、その下はユニバーサルサルベコウイルスワクチンの研究開発が掲げられ、研究開発が進められております。
 6ページを御覧ください。表の上の外の2.ワクチン開発に資する新規モダリティの研究開発については、その下ですが、(1)重点感染症にも応用可能性が見込める新規モダリティの研究開発として、これまでに11課題が採択されて研究開発が進められております。
 7ページを御覧ください。表の上の外、(2)感染症ワクチンへの応用が期待される新規モダリティの研究開発として、これまでに8課題が採択されております。また、このスライドの下のほうですが、より優れたワクチンの速やかな実用化に資する支援ユニットとして2課題が採択され、データベースの構築などの研究開発が進められています。
 8ページはAMEDのワクチン開発推進事業の説明ですが、変更はありませんので、説明を割愛させていただきます。また、9ページからはワクチン生産体制等緊急整備事業の御説明ですが、11ページまで変更がありませんので、説明を割愛させていただきます。
 12ページは、ワクチン生産体制等緊急整備事業の採択を受けて、新型コロナワクチンの開発に取り組んでいる企業の開発の進捗状況の表となっております。一番上の(1)、第一三共株式会社においては、中程の欄の赤字の箇所の2行目ですが、昨年11月に、オミクロン株XBB.1.5系統に対応した12歳以上向けブースター用ワクチンとして薬事承認を受け、同年12月4日より、令和5年秋開始接種向けに供給が開始されました。
 また、その下の(2)、Meiji Seikaファルマ株式会社においては、中程の欄の赤字の箇所ですが、昨年11月に、起源株に対応した成人用初回免疫用・ブースター用ワクチンとして薬事承認を受けました。起源株に対応したmRNAワクチンですので、製品の供給は行われておりません。同社は、引き続き変異株対応ワクチンの開発に取り組んでおります。
 その下の(3)、塩野義製薬株式会社においては、中程の欄の一番下の行ですが、昨年12月より変異株に対応したブースター用第Ⅲ相試験を開始しております。
 その下の(4)、KMバイオロジクス株式会社においては、中程の欄の一番下の行ですが、昨年12月よりオミクロン株XBB.1.5系統に対応した小児第Ⅲ相、発症予防効果検証試験を開始しております。
 その下の(5)、VLPセラピューティクスジャパン株式会社においては、中程の欄の一番下の行ですが、昨年12月よりオミクロン株XBB.1.5系統に対応したブースター用第Ⅲ相試験を開始しております。VLPセラピューティクスジャパンが第Ⅲ相試験に進みましたので、ワクチン生産体制等緊急整備事業により支援を行い、現在、国内で開発が進行している新型コロナワクチンについては、いずれも第Ⅲ相試験の段階以上までに到達している状況になりました。
 13ページは、経済産業省によるデュアルユース補助金の御説明です。上の青枠の中の黒丸の3つ目ですが、前回の部会における御説明では、令和4年度補正予算による第二次公募は選考中でした。今回の資料に記載のとおり、ワクチン製造に不可決な製剤化・充填拠点、サプライチェーンリスクのある部素材等の製造拠点を重点的に23件を採択し、昨年9月20日に公表されたとのことです。その23件の概要については、次の14ページに表の一覧として示されております。例えば、表の一番上ですが、ワクチン製造拠点として、株式会社アルカリスやモデルナ・ジャパン株式会社によるmRNAワクチン製造拠点が採択されております。
 15ページは、第1次公募での採択と第2次公募での採択を合わせて、ワクチン製造拠点等の整備状況が日本地図上にプロットしてまとめられております。16ページには、部素材の国産化に向けた採択の状況がまとめられております。そして、17ページは、御参考までに、デュアルユース事業の第1次公募での採択の状況を添付しております。資料4の御説明は以上でございます。
○伊藤部会長 ありがとうございます。いつもながら、現在までのアップデートをしていただきまして、きれいなデータとしてまとまっていると思っておりますが、皆さんから御質問はありますでしょうか。どちらかというと報告案件で、これだけ資料としてきれいにまとまっているものは余りないと思いますので、この部会から全国民に対して、このような状況で新型コロナのワクチン、今後の新しいワクチンについての開発が進んでいますということを承知していただくいい機会だと思います。よろしいですか。御意見などはないようですね。ありがとうございました。
 今日予定していた議事は以上なのですが、そのほか、事務局のほうから幾つか説明を頂くことになっておりますので、よろしくお願いします。
○藤井予防接種課課長補佐 本日は2点ほど御報告をさせていただきます。まず、1点目ですが、参考資料3を御覧ください。こちらは、麻しん風しん混合ワクチン及び麻しんワクチンに関する製造販売業者における自主回収の対応について、本年1月16日に通知を発出いたしましたので、その内容を御説明いたします。
 まず、1ページの2段落目ですが、今回の事案の概要を記載しています。武田薬品工業株式会社のMRワクチン及び麻しんワクチンについて、麻しんウイルスの力価が有効期間内に承認規格を下回るロットが確認されたこと、また、一部のロットでは、今後有効期間が満了する前に承認規格を下回る可能性があるとして、企業による自主回収が行われたという事案となっています。
 記の1のところですが、回収対象となった麻しん含有ワクチンの品質、有効性及び安全性について、資料の5ページ以降に添付している武田薬品工業株式会社から当課の課長に宛てて提出のあった見解書を基に、その概要を記載しています。
 通知2ページの最初の箇条書きになります。まず、品質については、出荷時において品質試験の結果はいずれも適合していること、また、現時点において品質に関する情報は寄せられていないとされています。次の箇条書きに、有効性に関して、自主回収の時点で承認規格が担保されているロットは感染予防効果が得られていると考えられるほか、自主回収が行われた時点で承認規格を下回っているロットであっても、WHOのテクニカルレポートや臨床試験の結果を基に、承認規格よりも低い力価で抗体が獲得できるとされており、感染症予防効果は得られていると考えられるとされています。そして、2ページの中程の最後の箇条書きのところですが、安全性については、現時点において安全性の懸念は認められていないとの見解が記載されております。
 これらの状況を踏まえて、定期接種の際に回収対象となったワクチンを接種された方におかれましても、再接種を勧奨する必要はありませんが、必要な評価を行った上で再接種が適切と判断された場合については、その再接種を定期接種として実施することは差し支えないということをお示ししております。
 記の2ですが、ワクチンの供給等について記載をしています。今回の自主回収を受けて、(1)の所には、MRワクチンについては、武田薬品工業株式会社に加えて、他2社が製造販売するMRワクチンについても、ワクチンの安定的な供給の観点から、前年実績と同程度を上限とした出荷量の調整を行っていることが記載されております。(2)には、今回の自主回収によって、麻しんワクチンが欠品することになりますが、その代替措置として、MRワクチンを使用するようお願いをしております。また、(3)では、MRワクチンの出荷量については、前年同様の出荷量が維持できることから、定期接種は接種対象者の限定を行わず、通常どおり実施できることを記載しています。
 記の3には、今後、4月頃までは武田薬品工業株式会社から出荷される麻しん風しん混合ワクチンについては、自主回収されているロットと同様の影響を受けているものの、有効期限内に麻しんウイルスの力価が承認規格を下回る可能性があることを除いて、品質、有効性・安全性について懸念は認められないとする同社からの見解を受け、力価が承認規格を満たしている期間において使用されることを前提に、定期接種に使用することは差し支えないことをお示ししています。
 また、記の4には、今回ワクチンについて出荷量の調整を行われることを踏まえ、定期の予防接種の対象の方に接種機会が確保できるようにすることなど、ワクチンの予約注文に関して、医療機関や卸売販売業者の皆様に御対応いただきたいことについて記載をしております。麻しん含有ワクチンに関する事務局からの御説明、御報告は以上です。
○伊藤部会長 ありがとうございます。医療現場では結構騒ぎになったなとは思っておりまして、ただ、安全性の部分に関して懸念がないということだとは思いますけれども、こういうニュースがあると、一部で足りないとかという話は漏れ伝えられてきているところですが、オーバーオールで見ると、それほど大きな問題がないように対処しましたということだと思います。皆さんから御質問や御意見はありますか。大丈夫ですか。ありがとうございます。
 では、引き続いて「厚生科学審議会の感染症部会の設置について」の御説明をお願いします。
○坂西予防接種課課長補佐 参考資料4-1、厚生科学審議会感染症部会への小委員会の設置についてです。この度、感染症部会の下に新たに小委員会が設けられることになりましたので御報告いたします。
 2ページを御覧ください。表題の「危機対応医薬品等に関する小委員会の設置について」です。上の灰色の部分ですが、これまで厚生労働省健康局における部局開催の検討会として「感染症危機対応医薬品等の利用可能性確保に関する検討会」を設置し、重点感染症の考え方、暫定リストの作成等をしていただいていました。下の課題のところですが、重点感染症の判断基準の精緻化や危機対応医薬品等の利用可能性確保の具体の方法等について議論を進めていく必要があることなど、課題が生じております。そのため、このスライドの一番下の枠の中の対応案ですが、部局開催の検討会の枠組みから変更を行い、感染症部会の下に「危機対応医薬品等に関する小委員会」を設置し、重点感染症の暫定リストの更新の是非等の議論を行う旨、昨年12月22日の感染症部会で了承がなされました。
 これまで、研究開発及び生産・流通部会においては、検討会の成果を踏まえて暫定リスト等に関する議論を行っていただいておりましたが、今後この小委員会での議論を踏まえて御議論をいただく予定となっておりますので御報告いたします。御説明は以上です。
○伊藤部会長 感染症部会の中の小委員会の設置についての説明ですが、何か御質問などはありますでしょうか。ワクチンが絡んでくると、この部会にも関係はするのだろうなと思いますが、一応このような御報告があり、承りましたということだと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。今のところ御質問がないようですので、ほかに事務局のほうから何かありますか。
○清水ワクチン開発専門官 本日も様々な御意見を頂きましてありがとうございました。次回の開催については追って御連絡させていただきますので、引き続き御協力のほど、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
○伊藤部会長 それでは、本日の厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会の研究開発及び生産・流通部会を終了させていただきます。皆さん、ありがとうございました。